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特表2022-538544甘草抽出物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する筋肉疾患予防又は治療用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-05
(54)【発明の名称】甘草抽出物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する筋肉疾患予防又は治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/484 20060101AFI20220829BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20220829BHJP
   A61P 21/06 20060101ALI20220829BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20220829BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20220829BHJP
   C12N 5/077 20100101ALN20220829BHJP
【FI】
A61K36/484 ZNA
A61K31/353
A61P21/06
A61K31/12
A23L33/105
C12N5/077
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575429
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 KR2020007826
(87)【国際公開番号】W WO2020256397
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0072992
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0073088
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0073089
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0073090
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0073091
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0073092
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517429259
【氏名又は名称】ネオ クレマー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チェ,インホ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヨン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】マ,ジン ヨル
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ウォン-キョン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヘ ジン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD48
4B018ME14
4B018MF01
4B065AA93X
4B065AC12
4B065BB26
4B065CA44
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA94
4C088AB59
4C088AC11
4C088BA09
4C088CA05
4C088CA06
4C088MA02
4C088MA52
4C088MA66
4C088NA14
4C088ZA94
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB19
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA36
4C206MA72
4C206MA86
4C206NA14
4C206ZA94
(57)【要約】
本発明は、筋肉疾患予防又は治療用組成物に関し、より詳細には、甘草抽出物若しくはその分画物、又はこれから分離された化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する、筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物及び健康機能食品組成物を提供する。本発明に係る甘草抽出物又はその分画物、前記化合物又はその塩は、筋芽細胞を増殖させて筋管を形成させ、筋肉細胞への分化を促進させることができる。また、前記甘草抽出物又はその分画物、前記化合物又はその塩は、損傷した筋肉を再生させることに優れた効果を有するので、前記組成物を用いて様々な筋肉疾患を効果的に予防、改善又は治療可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘草抽出物又はその分画物を有効成分として含有する筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項2】
前記甘草抽出物は、前記甘草を蒸留水に入れ、110~120℃で2~4時間加熱して抽出した熱水抽出物であることを特徴とする、請求項1に記載の筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項3】
前記分画物は、前記甘草抽出物を、ジクロロメタン(dichloromethane)、酢酸エチル(ethyl acetate)及びn-ブタノール(n-buthanol)からなる群から選ばれる一つ以上の溶媒で分画したものであることを特徴とする、請求項2に記載の筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項4】
前記甘草抽出物又はその分画物は、筋芽細胞を増殖させ、筋管を形成させ、筋肉細胞への分化を促進させることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項5】
前記甘草抽出物又はその分画物は、損傷した筋肉を再生させることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項6】
前記甘草抽出物又はその分画物は、筋肉タンパク質分解又は筋肉委縮を抑制させることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項7】
前記甘草抽出物又はその分画物は、
筋肉分化関連因子であるMYOG、MYOD、MYL2及びPax7からなる群から選ばれる一つ以上の発現を増加させ、筋肉タンパク質分解関連因子であるMSTN、MuRF1、Atrogin 1及びニトロチロシン(Nitrotyrosine)からなる群から選ばれる一つ以上の発現を減少させることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項8】
前記筋肉疾患は、
筋委縮症(muscular atrophy)、筋異栄養症(muscular dystrophy)、筋肉減少症(sarcopenia)、筋肉病症(myopathy)、筋無力症(myasthenia)及び筋肉損傷(muscular injury)からなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項9】
甘草抽出物又はその分画物を有効成分として含有する、筋肉疾患予防又は改善用健康機能食品組成物。
【請求項10】
下記化学式1~3のいずれか一つで表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する、筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
<化学式1>
【化1】

<化学式2>
【化2】

<化学式3>
【化3】
【請求項11】
前記化合物又はその塩は、
甘草メタノール抽出物をジクロロメタン(dichloromethane)又は酢酸エチル(ethyl acetate)で分画した分画物から分離されたことを特徴とする、請求項10に記載の筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項12】
前記化合物又はその塩は、
筋芽細胞を増殖させ、筋管を形成させ、筋肉細胞への分化を促進させることを特徴とする、請求項10に記載の筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項13】
前記化合物又はその塩は、
損傷した筋肉を再生させることを特徴とする、請求項10に記載の筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項14】
前記化合物又はその塩は、
筋肉タンパク質分解又は筋肉委縮を抑制させることを特徴とする、請求項10に記載の筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項15】
前記筋肉疾患は、
筋委縮症(muscular atrophy)、筋異栄養症(muscular dystrophy)、筋肉減少症(sarcopenia)、筋肉病症(myopathy)、筋無力症(myasthenia)及び筋肉損傷(muscular injury)からなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする、請求項10に記載の筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項16】
下記化学式1~3のいずれか一つで表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する、筋肉疾患予防又は改善用健康機能食品組成物。
<化学式1>
【化4】

<化学式2>
【化5】

<化学式3>
【化6】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甘草抽出物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する筋肉疾患予防又は治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
筋肉(muscle)は、人体を構成する重要な要素であり、中胚葉の幹細胞で発現する組織である。筋肉は、人体の40%程度を占めており、骨と靭帯に支えられて位置し、筋線維束からなって互いに動き、細胞の大きさを変化せて収縮を誘発する。筋肉は、骨格筋肉、心臓筋肉、内臓筋肉に区分されるが、それぞれの位置で力を生成し、動きを誘発し、骨、関節、内臓などの身体器官を保護する役割も担う。また、筋肉は、再生能力を有しており、筋肉が損傷を受けると、衛星細胞とその周辺環境によって変性された後、再び元来の収縮弛緩能力を有する筋肉に再生され得る。
【0003】
筋肉疾患は先天的な遺伝又は環境的な原因によって発生し、近年、高齢化社会及び寿命延長の傾向に伴い、筋減少に関連した疾患も増加している。人の筋肉は40歳から毎年1%以上ずつ減少していき、80歳になると最大筋肉量の50%程度が減少し、老年の筋肉減少は、身体全般の機能を低下させる最も重要な原因として認識されている。このような筋肉疾患は、過去に比べて全世界的に増加の一途にある。
【0004】
しかしながら、筋肉疾患は、その原因が他の疾患に比べて様々であるため、正確な診断がし難く、その種類によって症状及び疾患の強度も様々であり、しかも、正確なメカニズムが明らかにされていない希少疾患の形態も多い。筋肉疾患はその症状が急激に進行し、筋肉疾患の患者は上記の疾患が進行するにつれてひとりでは日常生活が難しい程度に苦しんでいるが、根本的な関連疾患に対する治療剤は殆どないのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、筋肉疾患治療に優れた効果を有する天然物の抽出物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する筋肉疾患予防又は治療用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、甘草抽出物又はその分画物を有効成分として含有する筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0007】
本発明は、甘草抽出物又はその分画物を有効成分として含有する筋肉疾患予防又は改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0008】
本発明は、下記化学式1~3のいずれか一つで表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0009】
<化学式1>
【0010】
【化1】
【0011】
<化学式2>
【0012】
【化2】
【0013】
<化学式3>
【0014】
【化3】
【0015】
また、本発明は、前記化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する筋肉疾患予防又は改善用健康機能食品組成物を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る甘草抽出物又はその分画物、これから分離された化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、筋芽細胞を増殖させ、筋管を形成させ、筋芽細胞の筋肉細胞への分化を促進させる。また、損傷した筋肉を再生させることに優れた効果を有するので、本発明に係る前記甘草抽出物又はその分画物、これから分離された化合物又はその塩を有効成分として含有する薬学組成物又は健康機能食品組成物により、様々な筋肉疾患を効果的に予防、改善又は治療することができる。
【0017】
また、前記組成物は、天然物を利用するので、副作用が少なく、安全であるという長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例に係る甘草抽出物又はその分画物製造方法を概略的に図式化したものである。
図2】甘草熱水抽出物処理による筋芽細胞(C2C12)の増殖及び分化の観察結果であって、aは、甘草熱水抽出物の濃度による細胞増殖をMTT法で確認したイメージ及びグラフであり、bは、前記細胞表面にスクラッチ(scratch)を加えた後、甘草熱水抽出物の処理による変化を示すイメージであり、cは、筋芽細胞の筋肉細胞への分化の有無を確認できる融解指数(fusion index)、実時間PCR(real-time PCR)、ウェスタンブロット及び免疫染色法の結果である。
図3】甘草熱水抽出物の摂取によるマウスの筋肉を分析した結果であって、aは、マウスの体重及び筋肉減少率を示す表であり、bは、ウェスタンブロット結果であり、cは、ウェスタンブロットから出たバンドの強度を特定して数値化したグラフであり、dは、免疫染色法を用いたタンパク質発現変化を示すイメージである。
図4】甘草抽出物の分画物処理による筋芽細胞増殖の有無の結果であって、aは、筋芽細胞のMTT分析イメージ及びグラフであり、bは、前記細胞表面にスクラッチを加えた後、前記分画物処理による変化を示すイメージである。
図5】甘草抽出物の分画物処理による筋芽細胞の分化の観察結果であって、aは、筋管形成イメージ及び融解指数を示すグラフであり、b及びcは、前記分画物処理による筋肉分化/筋肉委縮遺伝子及びタンパク質の発現変化を示すものである。
図6】本発明の一実施例に係る酢酸エチル(EtOAc)分画物から分離された最終単一物質の化学構造を示す。
図7】最終単一物質の処理による筋芽細胞増殖及び分化の観察結果であって、aは、本発明の一実施例によって分離された最終物質10種の処理による細胞増殖変化を示すグラフであり、bは、筋管形成イメージ及び融解指数を示すグラフであり、cは、購買した最終物質3種の処理による細胞増殖変化を示すグラフであり、dは、筋管形成イメージ及び融解指数を示すグラフである。
図8】購買した最終物質の中でリキリチゲニン(Liquiritigenin)をマウスに摂取させた後に筋肉の変化を分析した結果であって、aは、体重、筋肉重さ及び筋肉減少率を示すグラフであり、bは、H&E染色結果を示し、cは、筋肉の直径(μm)を測定して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明は、甘草抽出物又はその分画物を有効成分として含有する筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0021】
甘草(Glycyrrhiza uralensis Fischer)は、双子葉植物のバラ目マメ科に属する薬用植物で、自然から採取又は栽培して得たものであってもよく、商業的に販売されているものを購入したものであってもよい。
【0022】
甘草は、根又は根茎をそのまま使用するか、又は周皮を除去して使用でき、好ましくは、甘草の乾燥根を使用することができる。
【0023】
本明細書において、“抽出物”とは、抽出方法、抽出溶媒、抽出された成分又は抽出物の形態を問わず、天然物の成分を抜き出すことにより得られた物質を意味し、天然物の成分を抜き出して得られた物質を抽出後に、個別の方法で加工又は処理して得ることができる物質のいずれをも含むことができる。
【0024】
前記甘草抽出物は、当該技術分野における通常の方法によって抽出されてよく、例えば、熱水抽出、超音波抽出法、濾過法、還流抽出法などがあり、それらは単独で行われてもよく、2種以上が併用して行われてもよい。
【0025】
本発明において、前記甘草抽出物は、水、C1~C4のアルコール又はそれらの混合溶媒で抽出されたものでよく、好ましくは、前記甘草を、甘草重量対比で15~25倍、より好ましくは20倍の蒸留水に入れ、110~120℃、より好ましくは115℃で、2~4時間、より好ましくは3時間加熱して抽出した熱水抽出物でよいが、これに制限されるものではない。
【0026】
本発明において、前記甘草抽出物の分画物は、前記甘草抽出物、好ましくは前記甘草の熱水抽出物を、ジクロロメタン(dichloromethane)、酢酸エチル(ethyl acetate)及びn-ブタノール(n-buthanol)からなる群から選ばれる一つ以上の溶媒で分画したものでよく、より好ましくは酢酸エチルで分画した、甘草熱水抽出物の酢酸エチル分画物でよい。
【0027】
本発明の一実施例によれば、前記甘草の熱水抽出物を蒸留水に懸濁させた後、ジクロロメタン、酢酸エチル、n-ブタノールに順に分配させ、それぞれの溶液を蒸発させてジクロロメタン分画物、酢酸エチル分画物、n-ブタノール分画物を得た。
【0028】
本発明において、前記甘草抽出物又はその分画物は、筋芽細胞を増殖させ、筋管を形成させ、筋芽細胞の筋肉細胞への分化を促進させることができる。また、前記甘草抽出物又はその分画物は、筋肉タンパク質分解及び筋肉委縮を抑制し、損傷した筋肉を再生させることができる。
【0029】
前記甘草抽出物又はその分画物は、筋肉分化又は筋肉再生関連因子であるMYOG、MYOD、MYL2及びPax7からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子又はタンパク質の発現を増加させることができ、筋肉タンパク質分解又は筋肉委縮関連因子であるMSTN、MuRF1、Atrogin 1及びニトロチロシン(Nitrotyrosine)からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子又はタンパク質の発現を減少させることができる。
【0030】
MYODは、筋肉特異遺伝子の発現を開始させ、筋肉衛星細胞(muscle satellite cells)が筋芽細胞(myoblast)に分化することを誘導する。MYODの活性によるミオゲニン(myogenin,MYOG)発現の誘導は、筋芽細胞の結合(fusion)に最も重要な要素であって、筋管細胞(myotube)の形成に関与し、このような過程により形成された筋線維は束を成して最終的に筋肉を形成する。
【0031】
本発明は、下記化学式1~3のいずれか一つで表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0032】
<化学式1>
【0033】
【化4】
【0034】
<化学式2>
【0035】
【化5】
【0036】
<化学式3>
【0037】
【化6】
【0038】
前記化学式1~3の化合物は、甘草から分離された活性成分であり、好ましくは、前記化学式1はリキリチゲニン(Liquiritigenin)、前記化学式2はテトラヒドロキシメトキシカルコン(Tetrahydroxy methoxychalcone)、前記化学式3は、リコカルコンB(Licochalcone B)であってよい。
【0039】
前記化合物又はその塩は、当業界における周知の方法で天然物から直接分離又は抽出される、化学的合成法によって製造される、又は市販中のものを選択して使用できるが、その方法又は物質は特に限定されない。
【0040】
本発明において、前記化合物又はその塩は、水、C1~C4のアルコール又はそれらの混合溶媒で抽出された甘草抽出物、好ましくは甘草メタノール抽出物を、ジクロロメタン(dichloromethane)又は酢酸エチル(ethyl acetate)で分画した分画物から分離されたものでよく、好ましくは、前記甘草メタノール抽出物をジクロロメタン及び酢酸エチルに順に分配させて得た分画物から分離されたものでよいが、これに制限されるものではない。
【0041】
より好ましくは、前記化合物又はその塩は、前記甘草の乾燥根を100%メタノールで還流抽出した甘草メタノール抽出物を蒸留水に懸濁させてジクロロメタンに分配させ、その水分画からジクロロメタンを除去した後、酢酸エチルに分配させて得た酢酸エチル分画物から分離されたものでよい。
【0042】
より詳細には、前記化学式1の化合物又はその塩は、酢酸エチル画分物のヘキサン-酢酸エチル-メタノール(hexane-EtOAc-MeOH,5.5:1:0.1、3:1:0.1、v/v)、クロロホルム-アセトン-メタノール(CHCl-Acetone-MeOH,3:1:0.1、v/v)、クロロホルム-メタノール-水(CHCl-MeOH-HO,5:1:0.1、3:1:0.1、v/v)と共にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel column chromatography)を行い、5個の画分(Fr.E1~E5)を得、このうち、画分物E2をSNAP Ultra C18カートリッジを用いて、MPLCによりメタノール-水(MeOH-Water,34~75%のMeOH、v/v)の勾配で分離し、16個の画分物(Fr.E2A~E2P)を得た後、このうち、画分物E2Cを、ヘキサン-酢酸エチル-メタノール(hexane-EtOAc-MeOH,3:1:0.1、v/v)溶剤があるシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて分離したものでよいが、これに限定されるものではない。
【0043】
前記化学式2の化合物又はその塩は、前記酢酸エチル分画物から分離された5個の分画物(Fr.E1~E5)のうち分画物E3を、SNAP Ultra C18カートリッジを用いて、MPLCによりメタノール-水(MeOH-Water,33~80% MeOH、v/v)の勾配で15個の分画物(Fr.E3A~E3O)に分離した後、このうち、分画物E3Eを、SNAP KP-SILカートリッジを用いてMPLCによりヘキサン-酢酸エチル-メタノール(hexane-EtOAc-MeOH,28~36% EtOAc-MeOH、1:0.1、v/v)の勾配で分離したものでよいが、これに制限されるものではない。
【0044】
また、前記化学式3の化合物又はその塩は、前記15個に分離された分画物(Fr.E3A~E3O)のうち分画物E3Fを、SNAP KP-SILカートリッジを用いてMPLCによりヘキサン-酢酸エチル-メタノール(hexane-EtOAc-MeOH,20-34% EtOAc-MeOH、1:0.1、v/v)の勾配で5個の分画物(Fr.E3FA~E3FE)に分離し、このうち、分画物E3FBを、TLC(シリカゲル60 F254、hexane-EtOAc-MeOH、1:1:0.2、v/v)で分離して得たものでよいが、これに制限されるものではない。
【0045】
前記化合物は、それと同じ効能を有する範囲内で薬学的又は食品学的に許容可能な塩の形態で使用できる。
【0046】
本明細書において、“薬学的又は食品学的に許容可能な”とは、前記組成物に露出される細胞又はヒトに毒性がないことを意味する。
【0047】
前記塩は、薬学的又は食品学的に許容可能な塩基性塩又は酸性塩のいずれか一つの形態で使用することができる。塩基性塩は、有機塩基塩、無機塩基塩のいずれか一つの形態で使用することができ、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、セシウム塩、アミニウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアミニウム塩及びピリジニウム塩からなる群から選ばれてよい。
【0048】
酸性塩は、遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩が有用である。遊離酸としては無機酸及び有機酸を使用でき、無機酸としては、塩酸、臭素酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、二重リン酸、硝酸などを使用でき、有機酸としては、クエン酸、酢酸、マレイン酸、リンゴ酸、フマル酸、グルコール酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、酢酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、4-トルエンスルホン酸、ガラクツロン酸、エンボン酸、グルタミン酸、クエン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸などを使用できるが、これに制限されず、当業界で通常使用される様々な無機酸及び有機酸で形成されるいかなる塩も含まれてよい。
【0049】
また、前記化合物は、薬学的又は食品学的に許容される塩の他、通常の方法によって製造可能なあらゆる塩、水和物、溶媒和物、誘導体などをいずれも含むことができる。付加塩は、通常の方法で製造でき、水混和性有機溶媒、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、又はアセトニトリルなどに溶かして過量の有機塩基を加えたり或いは無機塩基の塩基水溶液を加えた後、沈殿又は結晶化させて製造できる。または、この混合物から溶媒や過量の塩基を蒸発後に乾燥させて付加塩を得るか、又は析出された塩を吸引濾過して製造できる。
【0050】
本発明において、前記化合物又はその塩は、筋芽細胞を増殖させ、筋管を形成させ、筋芽細胞の筋肉細胞への分化を促進させることができる。また、前記化合物又はその塩は、筋肉タンパク質分解と筋肉委縮を抑制し、損傷した筋肉を再生させることができる。
【0051】
本発明において、前記筋肉疾患は、筋機能低下、筋肉消耗又は筋肉退化などによる筋肉疾患であり、例えば、筋委縮症(muscular atrophy)、筋異栄養症(muscular dystrophy)、筋肉減少症(sarcopenia)、筋肉病症(myopathy)、筋無力症(myasthenia)及び筋肉損傷(muscular injury)からなる群から選ばれる一つ以上でよいが、これに制限されるものではない。
【0052】
本明細書において、“予防”とは、本発明に係る薬学組成物又は健康機能食品組成物の投与によって、筋肉疾患、又はその少なくとも一つの症状の発生を抑制させたり或いは発病を遅延させるあらゆる行為を意味する。また、再発を予防又は防止するために、前記疾病が快方に向かっている対象の治療を含む。
【0053】
本明細書において、“治療”とは、本発明に係る薬学組成物の投与により、筋肉疾患、又はその少なくとも一つの症状を緩和、減少、又は消滅させるなど、その症状を好転させたり或いは有益に変更させるあらゆる行為を意味する。
【0054】
本明細書において、“薬学組成物”とは、特定の目的のために投与される組成物であり、本発明の目的上、筋肉疾患、又はその少なくとも一つの症状を予防したり又は治療するために投与されるものを意味する。
【0055】
本発明に係る薬学組成物は、薬学的分野における通常の方法によって製造可能である。前記薬学組成物は、剤形によって薬学的に許容可能な適切な担体と配合されてよく、必要によって、賦形剤、希釈剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、結合剤、崩壊剤、溶剤などをさらに含んで製造されてもよい。前記適切な担体などは、本発明に係る甘草抽出物又はその分画物、これから分離された化合物又はその塩の活性及び特性を阻害しないものであり、投与形態及び剤形によって個別に選択されてよい。
【0056】
本発明に係る薬学組成物は、いかなる剤形で適用されてもよく、より詳細には、通常の方法によって経口型剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の非経口型剤形にして使用可能である。
【0057】
前記経口型剤形のうち固形剤形は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、ゲル剤、カプセル剤などの形態であり、少なくとも一つの賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、セルロース、ゼラチンなどを混ぜて調製でき、単純な賦形剤の他にステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤なども含まれてよい。また、カプセル剤形では、前記言及した物質の他にも脂肪油のような液体担体をさらに含むことができる。
【0058】
前記経口型剤形のうち液状剤形は、懸濁剤、耐溶液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、通常使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他にも、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてよい。
【0059】
前記非経口剤形は、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれてよい。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使用されてよい。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用されてよい。これに制限されず、当該技術分野に知られた適宜の製剤をいずれも使用可能である。
【0060】
また、本発明に係る薬学組成物は、治療効能の増進のために、カルシウム又はビタミンなどをさらに添加してもよい。
【0061】
本発明に係る薬学組成物において、前記薬学組成物は、薬学的に有効な量で投与可能である。
【0062】
本明細書において、“薬学的に有効な量”とは、医学的治療に適用可能な合理的な受恵/危険の割合であって、疾患を治療するのに十分である一方、副作用を起こさない程度の量を意味する。
【0063】
前記薬学組成物の有効容量レベルは、使用目的、患者の年齢、性別、体重及び健康状態、疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与方法、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、配合又は同時使用される薬物を含む要素及びその他医学分野によく知られた要素によって個別に決定されてよい。例えば、一定ではないが、一般に、0.001~100mg/kg、好ましくは0.01~10mg/kgを1日1回~数回投与できる。前記投与量はいかなる面にも本発明の範囲を限定するものではない。
【0064】
本発明に係る薬学組成物は、筋肉疾患が発生し得る任意の動物に投与でき、前記動物は、例えば、人を含む霊長類の他、牛、豚、馬、犬などの家畜などを含むことができる。
【0065】
本発明に係る薬学組成物は、製剤形態による適当な投与経路で投与でき、目的組織に到達できる限り、経口又は非経口の様々な経路で投与可能である。投与方法は、特に限定されず、例えば、経口、直腸又は静脈、筋肉、皮膚塗布、呼吸器内吸入、子宮内硬膜又は脳血管内(intracere-broventricular)注射などの通常の方法で投与可能である。
【0066】
本発明に係る薬学組成物は、筋肉疾患の予防又は治療のために単独で使用されてもよく、手術又は他の薬物治療などと併せて使用されてもよい。
【0067】
本発明は、甘草抽出物又はその分画物を有効成分として含有する筋肉疾患予防又は改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0068】
好ましくは、前記甘草抽出物は甘草熱水抽出物でよく、前記甘草抽出物の分画物は甘草熱水抽出物の酢酸エチル分画物でよい。
【0069】
前記甘草抽出物又はその分画物は、筋芽細胞を増殖させ、筋管を形成させ、筋芽細胞の筋肉細胞への分化を促進させることができる。また、前記甘草抽出物又はその分画物は、筋肉タンパク質分解と筋肉委縮を抑制し、損傷した筋肉を再生させることができ、筋肉疾患の予防又は改善のための健康機能食品組成物として活用できる。
【0070】
これに相応する特徴は、上述した通りである。
【0071】
本発明は、下記化学式1~3のいずれか一つで表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する筋肉疾患予防又は改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0072】
<化学式1>
【0073】
【化7】
【0074】
<化学式2>
【0075】
【化8】
【0076】
<化学式3>
【0077】
【化9】
【0078】
好ましくは、前記化合物又はその塩は、甘草メタノール抽出物をジクロロメタン(dichloromethane)又は酢酸エチル(ethyl acetate)で分画した分画物から分離されたものでよく、リキリチゲニン(Liquiritigenin)、テトラヒドロキシメトキシカルコン(Tetrahydroxy methoxychalcone)、又はリコカルコンB(Licochalcone B)を含むことができる。
【0079】
前記化合物又はその塩は、筋芽細胞を増殖させ、筋管を形成させ、筋芽細胞の筋肉細胞への分化を促進させることができる。また、前記化合物又はその塩は、筋肉タンパク質分解と筋肉委縮を抑制し、損傷した筋肉を再生させることができ、筋肉疾患の予防又は改善のための健康機能食品組成物として活用できる。
【0080】
これに相応する特徴は、上述した通りである。
【0081】
本明細書において、“改善”とは、本発明に係る健康機能食品組成物の摂取により、筋肉疾患、又はその少なくとも一つの症状を緩和、減少、又は消滅させるなど、その症状を好転させたり或いは有益に変更させたりするあらゆる行為を意味する。
【0082】
本明細書において、“健康機能食品”とは、健康機能食品に関する法律第6727号による人体に有用な機能性を有する原料や成分を使用して製造及び加工した食品を含み、栄養供給の他にも、本発明の目的上、筋肉疾患の予防、生体防御、免疫、回復などの生体調節機能を効率的に示すように加工された医学、医療効果の高い食品を意味する。
【0083】
本発明に係る健康機能食品は、筋肉疾患の予防又は改善を目的に、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、シロップ又は飲料などとして製造できる。前記健康機能食品が取り得る形態に制限はなく、前記薬学組成物と同じ方式で製剤化して機能性食品として用いられてもよく、或いは各種食品に添加されてもよい。
【0084】
前記健康機能食品は、通常の意味のいかなる食品も含むことができる。例えば、飲料及び各種ドリンク、果実及びその加工食品(果物缶詰め、ジャムなど)、魚類、肉類及びその加工食品(ハム、ベーコンなど)、パン類及び麺類、クッキー及びスナック類、乳製品(バター、チーズなど)などが可能であり、通常の意味でのいかなる機能性食品も含むことができる。また、動物のための飼料として用いられる食品も含むことができる。
【0085】
本発明に係る健康機能食品組成物は、当業界で一般に使用される食品学的に許容可能な食品添加剤(食品添加物)及び適切なその他補助成分をさらに含めて製造できる。食品添加物としての適合性は、別の規定がない限り、食品医薬品安全処に承認された食品添加物公典の総則及び一般試験法などに基づき、当該品目に関する規格及び基準により判定できる。前記‘食品添加物公典’に収載された品目には、例えば、ケトン類、グリシン、クエン酸カルシウム、ニコチン酸、桂皮酸などの化学的合成物;柿色素、結晶セルロース、コウリャン色素、グアーガムなどの天然添加物;L-グルタミン酸ナトリウム製剤、麺類添加アルカリ剤、保存料製剤、タール色素製剤などの混合製剤類などを挙げることができる。
【0086】
前記その他補助成分は、例えば、香味剤、天然炭水化物、甘味剤、ビタミン、電解質、着色剤、ペクチン酸、アルギン酸、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸化剤などをさらに含有できる。特に、前記天然炭水化物には、ブドウ糖、果糖のようなモノサッカライド、マルトース、スクロースのようなジサッカライド、及びデキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカライド、キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールを使用することができ、甘味剤としては、タウマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤、又はサッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使用することができる。
【0087】
本発明に係る健康機能食品に含まれている前記甘草抽出物又はその分画物、これから分離された化合物又はその塩の有効容量は、筋肉疾患予防又は改善などのその使用目的によって適宜調節されてよい。
【0088】
前記健康機能食品組成物は、食品を原料とし、一般薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという長所があり、携帯性に優れるので、筋肉疾患予防又は改善のための補助剤として摂取可能である。
【0089】
本発明は、甘草抽出物又はその分画物を有効成分として含有する筋芽細胞増殖用試薬組成物を提供する。
【0090】
本発明は、甘草抽出物又はその分画物を有効成分として含有する筋芽細胞の筋肉細胞への分化促進用試薬組成物を提供する。
【0091】
本発明は、下記化学式1~3のいずれか一つで表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する筋芽細胞増殖用試薬組成物を提供する。
【0092】
<化学式1>
【0093】
【化10】
【0094】
<化学式2>
【0095】
【化11】
【0096】
<化学式3>
【0097】
【化12】
【0098】
本発明は、前記化合物又はその塩を有効成分として含有する筋芽細胞の筋肉細胞への分化促進用試薬組成物を提供する。
【0099】
また、本発明は、ヒト以外の動物に甘草抽出物又はその分画物を処理する段階を含む筋芽細胞増殖方法を提供する。
【0100】
本発明は、ヒト以外の動物に甘草抽出物又はその分画物を処理する段階を含む筋芽細胞の筋肉細胞への分化促進方法を提供する。
【0101】
本発明は、ヒト以外の動物に、下記化学式1~3のいずれか一つで表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を処理する段階を含む筋芽細胞増殖方法を提供する。
【0102】
<化学式1>
【0103】
【化13】
【0104】
<化学式2>
【0105】
【化14】
【0106】
<化学式3>
【0107】
【化15】
【0108】
本発明は、ヒト以外の動物に前記化合物又はその塩を処理する段階を含む筋芽細胞の筋肉細胞への分化促進方法を提供する。
【0109】
これに相応する特徴は、上述した通りである。
[発明を実施するための形態]
【0110】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例を挙げて詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明の内容を例示するためのものであり、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0111】
<実施例1>甘草抽出物及び分画物の製造
1.材料準備
甘草(Glycyrrhiza uralensis Fischer)の乾燥根は、クァンミョン薬草点で乾燥させたハブを購入した。全ての植物に対する標本は、韓国漢方医学研究所のKM応用センター薬草銀行に保管されている。
【0112】
2.甘草熱水抽出物の製造
甘草熱水抽出物を製造するために、乾燥甘草片(50.0g)を1,000mL蒸留水に入れ、115℃で3時間加熱して抽出した。抽出後、標準試験体(standard testing sieves,150μm)を用いて濾過し凍結乾燥させた。凍結乾燥抽出物粉は、3次蒸留水に溶かした後、4℃に24時間放置した。24時間後、5000gで5分間遠心分離後に上澄液を新しいチューブに移し、-20℃に保管した。
【0113】
3.甘草熱水抽出物の分画物製造
図1は、本発明の一実施例に係る甘草抽出物又はその分画物製造方法を概略的に図式化したものである。
【0114】
図1に示すように、前記実施例1の2番段階で製造された甘草熱水抽出物(10.0g)を蒸留水に懸濁させた後、ジクロロメタン(dichloromethane,DCM,CHCl)、酢酸エチル(Ethyl Acetate,EtOAc又はEA)、n-ブタノール(N-Butanol,BuOH)に分配させた。次に、それぞれの溶液を45℃で減圧下に蒸発させ、ジクロロメタン(99.6mg)、酢酸エチル(333.0mg)、n-ブタノール(1037.0mg)分画物をそれぞれ得た。
【0115】
4.最終物質抽出及び分離
4-1.抽出及び分離方法
H及び13C NMRスペクトルは、内部標準としてテトラメチルシラン(tetramethylsilane;TMS)が使用された600MHzでBRUKER AVANCE III HD 600を用いて記録された。中圧液体クロマトグラフィー(Medium-pressure liquid chromatography;MPLC)は、SNAP KP-SIL及びSNAP Ultra C18カートリッジがあるIsolera One(Biotage,Uppsala,Sweden)を用いて行われた。カラムクロマトグラフィー(Column chromatography)は、シリカゲル(Kieselgel 60,70~230及び230~400メッシュ(mesh)、Merck,Darmstadt,Germany)、YMC C18樹脂及び薄層クロマトグラフィー(thin-layer chromatography;TLC)を用いてシリカゲル60 F254及びRP-18 F254Sプレート(0.25mm、Merck,Darmstadt,Germany)で洗浄した後、UV光(254及び365nm)で視角化し、10%硫酸(HSO)で染色した。
【0116】
4-2.最終物質の抽出及び確認
図1のような順序で、まず、甘草(Glycyrrhiza uralensis,4.2kg)の乾燥根を、100%メタノール(MeOH)で3回還流抽出した(それぞれ15L)。メタノール抽出物(957.0g)を蒸留水に懸濁させた後、ジクロロメタン(DCM)に分配させた。その水分画からジクロロメタン溶液を除去した後、酢酸エチル(EtOAc)に分配させた後、酢酸エチル溶液を45℃で減圧下に蒸発させ、酢酸エチル分画物(137.0g)を得た。
【0117】
前記酢酸エチル分画物を、ヘキサン-酢酸エチル-メタノール(hexane-EtOAc-MeOH,5.5:1:0.1、3:1:0.1、v/v)、クロロホルム-アセトン-メタノール(CHCl-Acetone-MeOH,3:1:0.1、v/v)、クロロホルム-メタノール-水(CHCl-MeOH-HO,5:1:0.1、3:1:0.1、v/v)と共にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel column chromatography)を行い、5個の分画(Fr.E1~E5)と半結晶質固体(Semi-crystalline solid,Fr.EC)を確保した。
【0118】
分画物E2(4.9g)は、SNAP Ultra C18カートリッジを用いてMPLCによりメタノール-水(MeOH-Water,34~75% MeOH、v/v)の勾配で分離し、化合物1(23.9mg)を含む16分画(Fr.E2A~E2P)を確保した。
【0119】
- 化合物1(4-ヒドロキシ安息香酸、4-hydroxybenzoic acid):白色粉末(White powder)、C1H NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ 7.67 (2H, d, J = 7.2 Hz, H-2, 6), 6.61 (2H, d, J = 7.2 Hz, H-3, 5). 13C NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ 170.1 (C=O), 163.3 (C-4), 132.9 (C-2, 6), 122.7 (C-1), 116.0 (C-3, 5)。
【0120】
分画物E2C(243.5mg)は、ヘキサン-酢酸エチル-メタノール(hexane-EtOAc-MeOH,3:1:0.1、v/v)溶剤があるシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて分離して化合物2(108.5mg)を確保した。
【0121】
- 化合物2(リキリチゲニン,Liquiritigenin):無色針結晶体(Colorless needle crystals)、C15121H NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ 7.68 (1H, d, J = 8.5 Hz, H-5), 7.28 (2H, d, J = 7.6 Hz, H-2´, 6´), 6.77 (2H, d, J = 7.8 Hz, H-3´, 5´), 6.45 (1H, d, J = 6.5 Hz, H-6), 6.31 (1H, s, H-8), 5.32 (1H, d, J = 12.6 Hz, H-2), 3.00 (1H, t, J = 15.0 Hz, H-3a), 2.64 (1H, d, J = 16.8 Hz, H-3b). 13C NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ 192.1 (C=O), 165.3 (C-7), 164.1 (C-9), 157.5 (C-4´), 129.9 (C-1´), 128.4 (C-5), 127.6 (C-2´, 6´), 114.9 (C-3´, 5´), 113.5 (C-10), 110.3 (C-6), 102.4 (C-8), 79.6 (C-2), 43.5 (C-3)。
【0122】
分画物E2D(420.3mg)は、SNAP KP-SILカートリッジを用いてMPLCによりヘキサン-酢酸エチル-メタノール(hexane-EtOAc-MeOH,17~25% EtOAc-MeOH、1:0.1、v/v)の勾配で隔離し、化合物3(51.7mg)及び化合物4(15.4mg)として確保された。
【0123】
- 化合物3((R)-(-)-ベスチトール,(R)-(-)-Vestitol):無色結晶体(Colorless crystals)、C16161H NMR (600 MHz, Acetone-d6) δ 7.05 (1H, d, J = 7.7 Hz, H-6´), 6.89 (1H, d, J = 7.1 Hz, H-5), 6.50 (1H, s, H-3´), 6.42 (1H, d, J = 6.1 Hz, H-5´), 6.36 (1H, d, J = 5.7 Hz, H-6), 6.28 (1H, s, H-8), 4.23 (1H, d, J = 6.7 Hz, H-2), 3.98 (1H, t, J = 9.5 Hz, H-2), 3.72 (3H, s, -OCH3), 3.47 (1H, m, H-3), 2.99 (1H, m, H-4), 2.82 (1H, d, J = 14.8 Hz, H-4). 13C NMR (600 MHz, Acetone-d6) δ 160.3 (C-4´), 157.4 (C-7), 156.6 (C-2´), 156.1 (C-9), 131.0 (C-5), 128.7 (C-6´), 120.9 (C-1´), 114.3 (C-10), 108.7 (C-6), 105.6 (C-5´), 103.6 (C-8), 102.4 (C-3´), 70.4 (C-2), 55.3 (-OCH3), 32.6 (C-3), 31.0 (C-4)。
【0124】
- 化合物4(イソリキリチゲニン,Isoliquiritigenin):黄色結晶体(Yellow crystals)、C15121H NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ 7.90 (1H, d, J = 8.2 Hz, H-6´), 7.73 (1H, d, J = 15.2 Hz, H-β), 7.56 (3H, s, H-2, 6, α), 6.79 (2H, d, J = 8.3 Hz, H-3, 5), 6.36 (1H, dd, J = 8.6, 1.6 Hz, H-5´), 6.24 (1H, s, H-3´). 13C NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ 193.5 (C=O), 167.5 (C-4´), 166.3 (C-2´), 161.5 (C-4), 145.6 (C-β), 133.3 (C-6´), 131.8 (C-2, 6), 127.8 (C-1), 118.2 (C-α), 116.9 (C-3, 5), 114.7 (C-1´), 109.1 (C-5´), 103.8 (C- 3´)。
【0125】
分画物E2F(95.1mg)は、SNAP KP-SILカートリッジを用いてMPLCによるヘキサン-酢酸エチル-メタノール(hexane-EtOAc-MeOH,11~22% EtOAc-MeOH,1:0.1、v/v)の勾配で分離し、化合物5(11.2mg)として確保された。
【0126】
- 化合物5(メジカルピン,Medicarpin):白色非結晶粉末(White amorphous powder)、C16141H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.39 (1H, d, J = 7.5 Hz, H-1), 7.13 (1H, d, J = 7.1 Hz, H-7), 6.55 (1H, d, J = 6.0 Hz, H-2), 6.45 (2H, s, H-8, -10), 6.42 (1H, s, H-4), 5.50 (1H, d, J = 5.8 Hz, H-11a), 4.24 (1H, d, J = 5.4 Hz, H-6eq), 3.77 (3H, s, -OCH3), 3.62 (1H, br t, J = 10.4 Hz, H-6ax), 3.54 (1H, d, J = 4.3 Hz, H-6a). 13C NMR (600 MHz, CDCl3) δ 161.2 (C-9), 160.7 (C-10a), 157.1 (C-3), 156.8 (C-4a), 132.3 (C-1), 124.9 (C-7), 119.2 (C-6b), 112.8 (C-11b), 109.9 (C-2), 106.5 (C-8), 103.8 (C-4), 97.0 (C-10), 78.6 (C-11a), 66.6 (C-6), 55.6 (-OCH3), 39.6 (C-6a)。
【0127】
分画物E3(41.6g)は、SNAP Ultra C18カートリッジを用いてMPLCによりメタノール-水(MeOH-Water,33~80% MeOH、v/v)の勾配で分離し、15個の分画(Fr.E3A~E3O)として確保された。分画物E3E(140.0mg)は、SNAP KP-SILカートリッジを用いてMPLCによりヘキサン-酢酸エチル-メタノール(hexane-EtOAc-MeOH,28~36% EtOAc-MeOH,1:0.1、v/v)の勾配で隔離し、化合物6(35.2mg)として確保された。
【0128】
- 化合物6(テトラヒドロキシメトキシカルコン,Tetrahydroxy methoxychalcone):黄色針状(Yellow needles)、C16141H NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ 7.89 (1H, d, J = 15.6 Hz, H-β), 7.55 (1H, d, J = 15.6 Hz, H-α), 7.48 (1H, d, J = 6.7 Hz, H-2´), 7.45 (1H, s, H-6´), 7.14 (1H, d, J = 7.9 Hz, H-6), 6.82 (1H, d, J = 7.5 Hz, H-5´), 6.59 (1H, d, J = 7.9 Hz, H-5), 3.78 (3H, s, -OCH3). 13C NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ 191.4 (C=O), 152.1 (C-4´), 150.7 (C-4), 149.9 (C-2), 146.5 (C-3´), 140.9 (C-3), 139.6 (C-β), 131.8 (C-1´), 123.4 (C-6´), 121.4 (C-1), 120.5 (C-α), 120.3 (C-6), 116.3 (C-2´), 115.9 (C-5´), 112.7 (C-5), 61.7 (-OCH3)。
【0129】
分画物E3F(410.0mg)は、SNAP KP-SILカートリッジを用いてMPLCによりヘキサン-酢酸エチル-メタノール(hexane-EtOAc-MeOH,20~34% EtOAc-MeOH,1:0.1、v/v)の勾配で隔離し、5個の分画(Fr.E3FA~E3FE)として確保された。分画物E3FB(17.5mg)は、TLC(シリカゲル60 F254,hexane-EtOAc-MeOH,1:1:0.2、v/v)で分離し、化合物7(5.6mg)として確保された。
【0130】
- 化合物7(リコカルコンB,Licochalcone B):黄色針状(Yellow needles)、C16141H NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ 7.97 - 7.91 (3H, m, H-2´, 6´, β), 7.61 (1H, d, J = 15.7 Hz, H-α), 7.19 (1H, d, J = 7.9 Hz, H-6), 6.85 (2H, d, J = 6.9 Hz, H-3´, 5´), 6.61 (1H, d, J = 7.5 Hz, H-5), 3.81 (3H, s, -OCH3). 13C NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ 191.3 (C=O), 163.9 (C-4´), 151.0 (C-4), 149.9 (C-2), 141.0 (C-β), 139.7 (C-3), 132.2 (C-2´, 6´), 131.1 (C-1´), 121.3 (C-1), 120.4 (C-α), 120.3 (C-6), 116.4 (C-3´, 5´), 112.7 (C-5), 61.7 (-OCH3)。
【0131】
画分物E5(20.4g)は、SNAP Ultra C18カートリッジを用いてMPLCによりメタノール-水(MeOH-Water,20~44% MeOH、v/v)の勾配で隔離し、9個の画分(Fr.E5A~E5I)として確保された。画分物E5B-Dは、SNAP KP-SILカートリッジを用いたMPLCによるクロロホルム-メタノール-水(CHCl-MeOH-HO,12~20% MeOH-HO、1:0.1、v/v)の勾配と結合して5個の画分(Fr.E5BA~E5BE)として確保された。画分物E5BAは、半結晶質固体を得た後、メタノールで再分配して化合物8(969.0mg)として確保した。
【0132】
- 化合物8(リキリチン,Liquiritin):白色粉末(White powder)、C21221H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 7.65 (1H, d, J = 7.6 Hz, H-5), 7.44 (2H, s, H-2´, 6´), 7.06 (2H, s, H-3´, 5´), 6.51 (1H, s, H-6), 6.35 (1H, s, H-8), 4.88 (1H, s, H-1´), 3.68 (1H, s, H-6´), 3.10 - 3.50 (6H, m, H-2´, 3´, 4´, 5´, 6´, 3), 2.67 (1H, d, J = 15.2 Hz, H-3). 13C NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 190.4 (C=O), 165.1 (C-7), 163.5 (C-9), 157.9 (C-4´), 132.8 (C-1´), 128.8 (C-5), 128.4 (C-2´, 6´), 116.6 (C-3´, 5´), 114.0 (C-10), 111.0 (C-6), 103.0 (C-8), 100.7 (C-1´), 79.1 (C-2), 77.5 (C-5´), 77.0 (C-3´), 73.6 (C-2´), 70.1 (C-4´), 61.1 (C-6´), 43.6 (C-3)。
【0133】
分画物E5BB-Cは、クロロホルム-メタノール-水(CHCl-MeOH-HO,7:1:0.05、6:1:0.05及びMeOH、v/v)溶媒と共に、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて結合及び分離し、6個の分画(Fr.E5BBA~E5BBF)として確保された。分画物E5BBD(220.0mg)は、SNAP KP-SILカートリッジを用いてMPLCにより酢酸エチル-メタノール-水(EtOAc-MeOH-HO,4~10% MeOH-HO、1:0.1、v/v)の勾配で隔離し、化合物9(113.5mg)として確保された。
【0134】
- 化合物9(リキリチンアピオシド,Liquiritin apioside):黄色粉末(Yellow powder)、C2630131H NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ 7.71 (1H, d, J = 8.3 Hz, H-5), 7.41 (2H, d, J = 6.9 Hz, H-2´, 6´), 7.09 (2H, s, H-3´, 5´), 6.48 (1H, d, J = 6.4 Hz, H-6), 6.34 (1H, s, H-8), 5.44 (1H, br s, H-1´), 5.40 (1H, s, H-2), 4.98 (1H, d, J = 7.0 Hz, H-1´), 3.01 (1H, t, J = 14.5 Hz, H-3), 2.70 (1H, t, J = 16.8 Hz, H-3). 13C NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ 193.2 (C=O), 166.8 (C-7), 165.4 (C-9), 159.1 (C-4´), 134.3 (C-1´), 129.8 (C-5), 128.8 (C-2´, 6´), 117.5 (C-3´, 5´), 115.0 (C-10), 111.8 (C-6), 110.7 (C-1´), 103.8 (C-8), 100.7 (C-1´), 80.7 (C-3´), 80.7 (C-2), 78.6 (C-2´), 78.5 (C-3´), 78.0 (C-2´), 78.0 (C-5´), 75.4 (C-4´), 71.3 (C-4´), 66.0 (C-5´), 62.4 (C-6´), 44.9 (C-3)。
【0135】
分画物EC(3.0g)は、SNAP KP-SILカートリッジを用いてMPLCによりクロロホルム-メタノール-水(CHCl-MeOH-HO,12~16% MeOH-HO、1:0.1、100%アセトン、v/v)の勾配で分離し、1個の分画として確保された後、メタノールで再分散して化合物10(22.2mg)として確保された。
【0136】
- 化合物10(オノニン,Ononin):白色粉末(White powder)、C22221H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.43 (1H, s, H-2), 8.05 (1H, d, J = 8.5 Hz, H-5), 7.53 (2H, d, J = 7.5 Hz, H-2´, 6´), 7.24 (1H, s, H-8), 7.15 (1H, d, J = 8.1 Hz, H-6), 6.99 (2H, d, J = 7.6 Hz, H-3´, 5´), 5.12 (1H, d, J = 7.8 Hz, H-1´), 3.78 (3H, s, -OCH3), 3.73 (1H, m, C-6´), 3.19 - 3.48 (5H, m, H-2´, 3´, 4´, 5´, 6´). 13C NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 175.1 (C-4), 161.9 (C-7), 159.4 (C-4´), 157.5 (C-9), 154.1 (C-2), 130.5 (C-2´, 6´), 127.4 (C-5), 124.4 (C-1´), 123.8 (C-3), 118.9 (C-10), 116.0 (C-6), 114.0 (C-3´, 5´), 103.8 (C-8), 100.4 (C-1´), 77.6 (C-5´), 76.9 (C-3´), 735. (C-2´), 70.7 (C-4´), 61.0 (C-6´), 55.6 (-OCH3)。
【0137】
<実験例1>甘草抽出物、その分画物処理による筋芽細胞増殖、分化及び筋肉再生効果の確認
1.実験方法
1-1.C2C12細胞培養及び甘草熱水抽出物、その分画物又は最終物質処理による増殖の観察
マウス筋芽細胞株であるC2C12細胞は、10%ウシ胎児血清(Fetal bovine serum;FBS)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Penicillin/streptomycin;P/S)が含まれたダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium;DMEM)で培養した。
【0138】
甘草の熱水抽出物、その分画物又は最終物質の効果を検証するために、C2C12細胞(2×10cells/ml)を12ウェル(well)細胞培養皿に入れて24時間間付着させた後、熱水抽出物(0、50、100、200μg/ml)、その分画物(25μg/ml)又は最終物質(0.5ng/ml)を1日間処理し、細胞の増殖を確認した。培地は、2日に1回ずつ入れ替え、細胞は37℃で培養した。
【0139】
1-2.スクラッチ(Scratch)実験
C2C12細胞が100%成長した時に細胞表面にスクラッチ(scratch)を加え、熱水抽出物(50μg/ml)又はその分画物(25μg/ml)を処理して1日間培養後に細胞の回復程度を観察した。
【0140】
1-3.筋芽細胞の増殖の検証(MTT法)
細胞の増殖を検証するために、細胞の培養培地を除去し、DMEMで細胞を洗浄した後、リン酸緩衝生理食塩水(phosphate bufffered saline;PBS)に溶解されたMTT試薬(0.5mg/ml)500μlを各ウェルに添加し、37℃で1時間放置した。反応液を除去し、1000μlのジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide;DMSO)を各ウェルに添加した。紫色のホルマザン結晶(formazan crystals)をDMSOに完全に溶解させ、540nmで吸光度を測定した。
【0141】
1-4.甘草熱水抽出物、その分画物及び最終物質処理による分化の観察
分化処理誘導のために、細胞が約70%以上成長した時に、2% FBSと1% P/Sを追加したDMEM(分化培地)に入れ替え、熱水抽出物(100μg/ml)、分画物(25μg/ml)又は最終物質(0.25ng/ml)を処理した後、2日又は4日間培養した。培地は、2日に1回ずつ入れ替え、細胞は37℃で培養した。
【0142】
1-5.ギムザ染色(Giemsa stain)及び融解指数(fusion index)
細胞の培地を除去し、PBSで細胞を洗浄した。洗浄後、1:1体積比のメタノール(Methanol):PBS試薬を処理し、2分間固定した。さらに、2:1体積比のメタノール:PBS試薬を添加し、2分間さらに固定した。2分後、0.04%ギムザ(Giemsa)試薬を添加して30分間放置し、30分後にPBSで洗浄後に細胞の様子を顕微鏡で観察し、細胞の写真を3枚ずつ撮った(300×)。撮った写真から、筋管細胞における融解(fusion)した核の数を数え、総細胞の核の数を数えた後、融解した核の数を総細胞の核の数で割って%値を算出した。
【0143】
1-6.RNA抽出及びcDNA合成
トリゾール(TRIzolTM)試薬1mlを添加した後、超高周波粉砕機(sonicator)を用いて細胞を粉砕した。粉砕したサンプルを遠心分離した後(12,000rpm、10分、4℃)、上澄液を新しいチューブに移し、クロロホルム200μlを入れ、室温に10分間放置した。その後、遠心分離し(12,000rpm、10分、4℃)、透明色の上澄液を得た。
【0144】
次に、イソプロパノール(isopropanol)500μlを入れて10分間放置し、遠心分離してRNAペレットを得た。RNAペレットに70%エタノール(エタノール+ジエチルピロカルボン酸(diethylpyrocarbonate;DEPC)が処理された蒸留水)を添加して洗浄した後、完壁に除去して乾燥させた。乾燥した透明色のRNAにDEPCの処理された蒸留水を入れ、-80℃に保管した。全RNA量は、ナノドロップ(Nanodrop)で測定し、1.2%アガロースゲル(Agarose gel)で18s、28sバンドを確認した。cDNAは、2μgの全RNA(total RNA)とランダムヘキサマー(random hexamer)プライマー、逆転写酵素(Reverse Transcriptase)と共に合成した(25℃:10分、37℃:120分、85℃:5分)。
【0145】
1-7.遺伝子発現確認
遺伝子発現の確認のために、実時間PCR(real-time PCR)を行った。実時間遺伝子発現の観察のために、サイバーグリーン(SYBR green)の蛍光物質を含むPower SYBR Green PCR Master Mixを用いて遺伝子発現を分析した(7500実時間PCRシステム)。PCRプライマーは、NCBI GenBankから確保された塩基配列(nucleotide sequence)に従ってPrimer 3ソフトウェア(http://frodo.wi.mit.edu)でデザインした。
【0146】
PCRは、95℃で10分、さらに95℃で33秒、遺伝子プライマー温度(tm)によって33秒、72℃で33秒間、40回反応を行った。実時間PCR分析から得られたc(t)値の分析により、遺伝子発現値を分析した(fold change 2-△△Ct formula)。処理していない細胞の遺伝子の発現値を1としたうえで、処理した細胞の遺伝子発現値を計算した。遺伝子c(t)値分析時に、平準化(normalization)はGAPDH(Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)遺伝子を用いた。
【0147】
前記PCRプライマーの配列は、下記表1の通りである。
【0148】
【表1】
【0149】
1-8.細胞組織免疫染色法(Immunocytochemistry)
培養したC2C12細胞の培地を除去し、PBSで1回洗浄した。洗浄した細胞に4%ホルムアルデヒド(formaldehyde,Sigma)を処理して15分間細胞を固定した後、PBSを用いて細胞を洗浄し、0.2%トリップトン(tipton)X-100(Sigma)を入れて5分間放置した。再びPBSを用いて洗浄し、エンハンサー溶液(enhancer sol.)を入れて30分間放置した後、1次抗体(MYOD、MYOG、ミオシン軽鎖2(MYL2)、Atrogin 1、MuRF1、ニトロチロシン、MSTN、1:50)を入れ、4℃で14時間反応させた。抗体を除去し、PBSで10分間3回洗浄した後、2次抗体(Alexa Fluor 488ヤギ抗ウサギ又はマウスSFXキット)と1時間培養した。培養後に抗体を除去し、PBSで10分間洗浄した後、DAP I(4’,6-diamidino-2-phenylindol)で核を染色し、蛍光顕微鏡を用いてタンパク質の発現を観察した。
【0150】
1-9.ウェスタンブロット(Western blot)
培養したC2C12細胞の培地を除去し、PBSで洗浄した。洗浄した細胞にRIPAバッファー(Radioimmunoprecipitation assay buffer,Thermo)とタンパク質分解酵素抑制剤(Thermo)を入れた後、細胞を溶解させてタンパク質を抽出した。抽出したタンパク質のうち40μgを8~10%のアクリルアミドゲル(Acrylamide gel)で電気泳動した後、PVDFメンブレイン(Polyvinylidene fluoride membrane,Milipore)に移した。これを、3%脱脂乳(skim milk)又はウシ血清アルブミン(bovine serum albumin;BSA)で1時間室温でブロッキング(blocking)した。その後、1%脱脂乳又はBSAに希釈した1次抗体(MYOD:1:500、MYOG:1:400、MYL2:1:1000、β-アクチン:1:1000、MuRF1:1:500、Atrogin 1:1:500、ニトロチロシン:1:10000、MSTN:1:500、GAPDH:1:1000)を添加し、16時間以上4℃で反応させた。16時間後、TBST(Tween20が含まれたTris-Buffered Saline)で3回洗浄し、HRP(horseradish peroxidase)が付着した2次抗体を室温で1時間反応させた。これをTBSTで3回洗浄し、Super Signal West Pico化学発光基質を入れて現像した。
【0151】
1-10.組織免疫染色法(Immunohistochemistry)
パラフィン含有の筋肉組織にそれぞれキシレン(xylene)とエタノールでデパラフィン化(deparaffinization)及び水分を供給し、内因性過酸化酵素活動(endogenous peroxidase activity)を中止させるために、0.3% HOH/メタノールで組織を浸した。その後、形態学観察のために、ヘマトキシリン/エオシン(hematoxylin/eosin)で染色するか、1%の正常ヤギ血清(Normal goat serum)で非特異的抗体との反応を遮断するために、組織と1時間室温で反応させた後、1次抗体(1:50)と16時間以上4℃で反応させた。16時間後、PBSに3回洗浄し、HRP(horseradish peroxidase)の付着した2次抗体(1:100)を、室温で1時間反応させた。HRP標識ストレプトアビジン(Horse radish peroxidase-conjugated streptavidin)を添加してタンパク質の発現を検出した後、顕微鏡で観察した。
【0152】
1-11.甘草熱水抽出物食餌による筋肉再生効果の観察
甘草の熱水抽出物又は最終物質であるリキリチゲニン(liquiritigenin)処理による筋肉再生効果を観察するために、マウスに対して甘草熱水抽出物又はリキリチゲニンを摂取させ、及びカルディオトキシン(Cardiotoxin;CTX)を筋肉に注入/非注入した後、筋肉の形態及び再生を観察した。C57BL/6マウスに甘草熱水抽出物(100mg/kg)又はリキリチゲニン(15mg/kg)を摂取させて1日後に、100mMのカルディオトキシンを腓腹筋(gastrocnemius)筋肉に注入した。カルディオトキシン注入後、甘草熱水抽出物又はリキリチゲニンを毎日摂取させ、カルディオトキシン未注入又は注入7日後に筋肉組織をサンプリングした。カルディオトキシンを未注入又は注入7日後に確保した筋肉から、イメージJ(image J)プログラムを用いて直径(μm)を測定した。
【0153】
2.実験結果
2-1.甘草熱水抽出物処理による筋芽細胞の増殖及び分化の確認
甘草熱水抽出物処理による筋芽細胞の増殖を確認するために、C2C12細胞に前記熱水抽出物0、50、100、200μg/mlを1日間処理した後、細胞の増殖をMTT法で分析した。
【0154】
図2は、甘草熱水抽出物処理による筋芽細胞(C2C12)の増殖及び分化観察の結果であり、ここで、筋芽細胞の増殖程度は、何ら処理もしていない細胞の値を100としたうえで、甘草熱水抽出物を処理した細胞の相対値を計算し、分化及び遺伝子発現程度は、何ら処理もしていない細胞の値を1としたうえで、甘草熱水抽出物を処理した細胞の相対値を計算して示した。これは、下記の実験にも同一に適用される。
【0155】
図2を参照すると、aから、甘草熱水抽出物50及び100μg/mlを細胞に処理したとき、前記抽出物を処理していない細胞に比べて約20%程度細胞が増殖していることが確認できた。また、bイメージから、C2C12細胞にスクラッチ(scratch)を加えた後、甘草熱水抽出物50μg/mlを1日間処理したとき、前記抽出物を処理していない細胞に比べて前記抽出物を処理した細胞の回復程度がより高いことが見られた。
【0156】
図2のcを参照すると、甘草熱水抽出物処理によるC2C12細胞の分化を確認するために、細胞に2% FBS分化培地を処理し、甘草熱水抽出物(100μg/ml)を共に処理して4日間培養した結果、前記抽出物を処理した細胞から筋管形成が観察され、筋肉細胞に分化する際に高く発現するMYOD、MYOG、MYL2などの遺伝子又はタンパク質の発現が増加することが見られた。また、タンパク質分解及び筋肉委縮に関連したAtrogin 1、MuRF1遺伝子又はタンパク質の発現が減少することが見られた。
【0157】
2-2.甘草熱水抽出物処理による筋肉再生効果の確認
甘草熱水抽出物処理による筋肉再生効果を確認するために、マウスに甘草熱水抽出物を摂取させた後、カルディオトキシンをマウス筋肉に注入し、損傷した筋肉の再生程度を分析した。また、損傷のない筋肉からも、前記抽出物の効果を検証するために、甘草熱水抽出物を食べさせた後に関連タンパク質の発現を観察した。
【0158】
図3は、甘草熱水抽出物の摂取によるマウス筋肉を分析した結果であり、これを参照すると、aの表から、甘草熱水抽出物を摂取したマウスと摂取していないマウスとの間に体重の変化は殆どなかったが、摂取していないマウスに比べて前記抽出物を摂取したマウスの筋肉減少率が少ないことが見られた。
【0159】
図3のb、c及びdを参照すると、甘草熱水抽出物/カルディオトキシンを注入したマウスの筋肉において筋肉再生時に高く発現するタンパク質であるPax7、MYOD、MYOG及びMYL2タンパク質の発現が、カルディオトキシンのみ注入したマウスに比べて増加し、また、筋肉分化抑制、タンパク質分解及び筋肉委縮に関連したMSTN、MuRF1、Atrogin 1及びニトロチロシンタンパク質の発現が、甘草熱水抽出物/カルディオトキシンを注入したマウスの筋肉において、カルディオトキシンのみを注入したマウスに比べて減少することが見られた。ただし、筋肉損傷を与えていないマウスの筋肉では、甘草熱水抽出物の摂取によるタンパク質の発現の差異が観察されなかった。
【0160】
2-3.甘草抽出物の分画物処理による筋芽細胞の増殖の確認
甘草抽出物の分画物処理による筋芽細胞の増殖を確認するために、C2C12細胞に分画5種(25μg/ml)を1日間処理した後、細胞の増殖をMTT法で分析した。
【0161】
図4は、甘草抽出物の分画物処理による筋芽細胞増殖の有無の結果を示すものであり、これを参照すると、甘草熱水抽出物(EX,10%)を処理した細胞の他、甘草の酢酸エチル分画物(EtOAc,12%)又はn-ブタノール分画物(BuOH,12%)を処理した細胞からも、前記抽出物又は前記分画物を処理していない細胞に比べて、細胞の増殖が増加することが見られた。ただし、ジクロロメタン(DCM)分画物を処理した細胞では、処理していない細胞に比べて、細胞の増殖が減少したことが見られた(27%)。
【0162】
また、細胞にスクラッチを加え、前記分画物を処理して1日間培養した結果、酢酸エチル分画物を処理した細胞において、処理していない細胞に比べて、細胞のスクラッチを加えた部位の回復力が高いことが見られた。
【0163】
2-4.甘草抽出物の分画物処理による筋芽細胞の分化の確認
甘草抽出物の分画物処理によるC2C12細胞の分化の確認のために、細胞に2% FBS分化培地を処理し、前記分画物(25μg/ml)も共に処理して4日間培養した。
【0164】
図5は、甘草抽出物の分画物処理による筋芽細胞の分化観察結果であり、これを参照すると、甘草の酢酸エチル(EtOAc)分画物の処理によって筋管の形成が増加したことが確認できた。
【0165】
これに加え、筋肉分化に関連したMYOD、MYOG及びMYL2遺伝子とタンパク質の発現が増加し、また、タンパク質分解、筋肉委縮及び分化抑制に関連したAtrogin 1、MuRF1及びMSTN遺伝子の発現が減少したことが確認できた。また、MuRF1及びMSTNタンパク質の発現が減少したことが確認できた。
【0166】
甘草のn-ブタノール(BuOH)分画物を処理した場合にも、筋管の形成が増加したことが確認でき、これに加え、MYOG及びMYL2遺伝子とタンパク質の発現が増加し、Atrogin 1及びMuRF1遺伝子の発現は減少した。甘草熱水抽出物(EX)を処理した場合にも、MYL2遺伝子の発現が増加し、Atrogin 1及びMuRF1遺伝子の発現が減少し、水(HO)分画物を処理した場合には、MYOG遺伝子の発現が少し増加したが、その他関連遺伝子の発現には変化がなかった。
【0167】
2-5.最終単一物質処理による細胞の増殖の確認
図6は、本発明の一実施例に係る酢酸エチル(EtOAc)分画物から分離された単一物質の化学構造を示す。前記分画物から、いくつかの段階の分画を経て10種の最終物質を分離した後、構造分析を行った。
【0168】
下記表2は、前記分離された10種の最終物質及びその分析結果を示す。
【0169】
【表2】
【0170】
前記最終物質処理によるC2C12細胞の増殖を観察するために、最終物質0.5ng/mlを1日間処理し、細胞の増殖をMTT法で観察した。
【0171】
図7は、最終単一物質の処理による筋芽細胞増殖及び分化の観察結果であり、aを参照すると、0.5ng/mlのリキリチゲニン(Liquiritigenin;10%)、テトラヒドロキシメトキシカルコン(Tetrahydroxymethoxychalcone;8%)又はリコカルコンB(Licochalcone B;11%)の物質を処理した細胞において、前記物質を処理していない細胞に比べて、細胞の増殖が増加することが見られた。
【0172】
図7のbを参照すると、筋管形成及び融解指数がリキリチゲニン(13%)、テトラヒドロキシメトキシカルコン(28%)又はリコカルコンB(19%)処理によって増加することが見られ、cを参照すると、購入した純粋なリキリチゲニン(0.25ng/ml、5%)、テトラヒドロキシメトキシカルコン(0.25ng/ml、5%)又はリコカルコンB(1ng/ml、11%)の物質を処理した細胞において、前記物質を処理していない細胞に比べて、細胞の増殖が増加することが見られた。また、dを参照すると、筋管形成及び融解指数がリキリチゲニン(20%)、テトラヒドロキシメトキシカルコン(23%)又はリコカルコンB(20%)処理によって増加することが見られた。
【0173】
2-6.リキリチゲニン(Liquiritigenin)処理による筋肉再生効果の確認
リキリチゲニン処理による筋肉再生効果を確認するために、マウスにリキリチゲニンを摂取させた後、カルディオトキシンをマウス筋肉に注入して再生された筋肉の直径を測定し、損傷した筋肉の再生程度を観察した。
【0174】
図8は、購買したリキリチゲニン(Liquiritigenin)をマウスに摂取させた後、筋肉の変化を分析した結果であり、これを参照すると、aにおいて、リキリチゲニンを摂取したマウスと摂取していないマウスとの間に体重の変化及び筋重さは殆ど変化しなかったが、摂取していないマウスに比べて前記物質を摂取したマウスの筋肉減少率は少ないことが見られた。
【0175】
図8のb及びcを参照すると、リキリチゲニンを摂取したマウスの筋肉直径が、摂取していないマウスに比べて、再生された筋肉の直径(摂取していないマウスの筋肉直径:78±4μm、摂取したマウスの筋肉直径:91±3μm)がより大きいことが確認された。カルディオトキシン未注入マウスの筋肉でも、摂取したマウスの筋肉直径が摂取していないマウスの筋肉直径(摂取していないマウス筋肉直径:124±4μm、摂取したマウス筋肉直径:139±4μm)に比べてより大きいことが確認された。
【0176】
以上、本発明内容の特定の部分を詳細に記述してきたが、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的記述は単に好ましい実施の態様に過ぎず、これによって本発明の範囲が制限されるものでない点は、明らかである。すなわち、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項及びそれらの等価物によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2022538544000001.app
【国際調査報告】