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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-05
(54)【発明の名称】ニューラルネットワークメモリ
(51)【国際特許分類】
   G06N 3/063 20060101AFI20220829BHJP
   G11C 11/54 20060101ALI20220829BHJP
   G11C 13/00 20060101ALI20220829BHJP
   G06G 7/60 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
G06N3/063
G11C11/54
G11C13/00 270A
G06G7/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577223
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 US2020040279
(87)【国際公開番号】W WO2021003147
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】16/503,015
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595168543
【氏名又は名称】マイクロン テクノロジー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】ボニアルディ マッティア
(72)【発明者】
【氏名】トルトレッリ インノチェンツォ
(57)【要約】
例示的な装置は、メモリアレイ及びメモリコントローラを含み得る。メモリアレイは、第1の複数のメモリセルを含む第1の部分を含み得る。メモリアレイはさらに、第2の複数のメモリセルを含む第2の部分を含み得る。メモリコントローラは、第1の部分及び第2の部分に結合され得る。メモリコントローラは、短期記憶動作のために第1の複数のメモリセルを作動させるように構成され得る。メモリコントローラはさらに、長期記憶動作のために第2の複数のメモリセルを作動させるように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の複数の可変抵抗メモリセルを含む第1の部分と、
強制書き込みサイクルにより劣化された第2の複数の可変抵抗メモリセルを含む第2の部分と、
を備えるメモリアレイと、
前記第1の部分及び前記第2の部分に結合されたメモリコントローラと、
を備えた装置であって、
前記メモリコントローラは、
短期記憶動作のために前記第1の部分を作動させることと、
長期記憶動作のために前記第2の部分を作動させることと、
を実行するように構成される、
前記装置。
【請求項2】
前記コントローラは、RESET読み出し妨害パルスを印加して、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの前記RESET読み出し妨害を適用したいずれかのメモリセルのコンダクタンスを変更させることにより、短期記憶動作のために前記第1の部分を作動させるように構成され、
前記コンダクタンスは、シナプス荷重またはシナプス荷重の一部分を表す、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラは、短SETパルスを実行して、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの前記短SETパルスを印加したいずれかのメモリセルのコンダクタンスを変更させることにより、短期記憶動作のために前記第1の部分を作動させるように構成され、
前記コンダクタンスは、シナプス荷重またはシナプス荷重の一部分を表す、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記メモリコントローラは、RESET状態中の前記第1の複数のメモリセルのうちのいずれかのメモリセルのコンダクタンスを、SET状態に遷移せずに、パルスを印加して増加させることにより、短期記憶動作のために前記第1の部分を作動させるように構成され、
前記コンダクタンスを増加させることは、短期シナプス荷重の増加を表す、
請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1の複数のメモリセルのうちのいずれかのメモリセルの前記コンダクタンスをリセットすることにより、短期記憶動作のために前記第1の部分を作動させるように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記メモリコントローラは、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルの前記RESET状態よりも、コンダクタンスの高いRESET状態中の前記第2の複数の可変抵抗メモリセルのうちのいずれかのメモリセルのコンダクタンスを、パルスを印加して増加させることにより、長期記憶動作のために前記第2の部分を作動させるように構成され、
前記コンダクタンスを増加させることは、長期シナプス荷重の増加を表す、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記メモリコントローラは、前記第2の部分を作動させる前に、前記第2の複数の可変抵抗メモリセルで前記強制書き込みサイクルを実行するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記強制書き込みサイクルを実行するように構成された前記メモリコントローラは、少なくとも10,000回の強制書き込みサイクルを実行するように構成された前記メモリコントローラを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記強制書き込みサイクルを実行するように構成された前記メモリコントローラは、前記第2の複数の可変抵抗メモリセルを、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルの劣化状態よりも進行した劣化状態にさせるように構成された前記メモリコントローラを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記強制書き込みサイクルを実行するように構成された前記メモリコントローラは、前記第2の複数の可変抵抗メモリセルのそれぞれに関連付けられたコンダクタンスを、不可逆的に増加させるように構成された前記メモリコントローラを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記いくつかの短期記憶動作を実行するように構成された前記メモリコントローラは、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちのいずれかのメモリセルで、1000回未満の短期記憶動作を実行するように構成された前記メモリコントローラを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
第1の複数の可変抵抗メモリセルを含む第1の部分と、
劣化された第2の複数の可変抵抗メモリセルを含む第2の部分と、
を備えるメモリアレイと、
前記メモリアレイに結合されたメモリコントローラと、
を備えた装置であって、
前記メモリコントローラは、
短期記憶動作のために前記第1の部分を作動させることと、
長期記憶動作のために前記第2の部分を作動させることと、
作動基準が満たされたことに応答して、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの特定の1つのメモリセルを、前記第2の複数の可変抵抗メモリセルのうちの1つのメモリセルとして、再分類することと、
を実行するように構成される、
前記装置。
【請求項13】
前記作動基準は、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの前記特定の1つのメモリセルで、閾値回数を超える短期記憶動作が実行されることを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記作動基準は、RESET状態中の前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの前記特定の1つのメモリセルのコンダクタンスが、閾値より大きくなることを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記メモリコントローラは、長期記憶動作のために前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの前記特定の1つのメモリセルを作動させる前に、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの前記特定の1つのメモリセルで強制書き込みサイクルを実行するように構成される、請求項12~14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
短期記憶動作のために前記第1の部分を作動させるように構成された前記メモリコントローラは、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルの部分集合のそれぞれのコンダクタンスを変更するように構成された前記メモリコントローラを含み、前記コンダクタンスは学習アルゴリズムのデータに対応し、
前記メモリコントローラは、前記学習アルゴリズムが長期学習の発生を示したことに応答して、前記第2の複数のメモリセルの部分集合に、前記データを移動させるように構成される、
請求項12~14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
メモリアレイの複数の短期メモリセルで第1の複数のニューラルネットワーク動作を実行することと、
前記メモリアレイの複数の長期メモリセルで第2の複数のニューラルネットワーク動作を実行することと、
前記複数の短期メモリセルのうちの少なくとも1つのメモリセルに記憶されたデータを、前記複数の長期メモリセルのうちの少なくとも1つのメモリセルに記憶するように、転送することと、
を含む方法であって、
前記データは、前記第1の複数のニューラルネットワーク動作に関するシナプス荷重を表し、
前記データを転送することは、前記第1の複数のニューラルネットワーク動作が長期学習の発生を示したことに応答して、前記データを転送することを含む、
前記方法。
【請求項18】
前記第1の複数のニューラルネットワーク動作を実行することは、前記第1の複数のニューラルネットワーク動作に関する前記シナプス荷重の増加に対応する前記第1の複数の短期メモリセルに記憶されたデータを変更することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記データを転送することは、前記シナプス荷重が閾値シナプス荷重を超えていることに応答して転送することを含む、請求項17~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
ニューラルネットワーク動作のために、可変抵抗メモリセルのアレイの第1の部分を短期メモリセルとして作動させることと、
前記ニューラルネットワーク動作のために、前記アレイの第2の部分を長期メモリセルとして作動させることと、
を含む方法であって、
前記アレイの前記第1の部分を作動させることは、前記ニューラルネットワーク動作に関する短期メモリのシナプス荷重の増加を表すために、RESET状態とSET状態との間で、前記可変抵抗メモリセルのうちの第1のメモリセルのコンダクタンスを増加させることを含み、
前記アレイの前記第2の部分を作動させることは、前記ニューラルネットワーク動作に関する長期メモリのシナプス荷重の増加を表すために、劣化されたRESET状態と劣化されたSET状態との間で、前記複数の可変抵抗メモリセルのうちの第2のメモリセルのコンダクタンスを増加させることを含み、
前記劣化されたRESET状態は、前記RESET状態よりも大きなコンダクタンスを有し、
前記劣化されたSET状態は、前記SET状態よりも大きなコンダクタンスを有する、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、メモリアレイのニューラルネットワークメモリに関連する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下は、概して、メモリデバイスに関し、より具体的には、メモリデバイスを使用した重み記憶に関する。メモリデバイスは、コンピュータ、無線通信デバイス、カメラ、及びデジタルディスプレイなどの様々な電子デバイスに情報を記憶するために、広く使用されている。情報は、メモリデバイスの様々な状態をプログラムすることにより記憶される。例えば、バイナリデバイスには2つの状態があり、多くの場合、論理「1」または論理「0」で示される。他のシステムでは、3つ以上の状態が記憶され得る。記憶された情報にアクセスするために、電子デバイスの構成要素は、メモリデバイスに記憶された状態を読み出し得る、または検知し得る。情報にアクセスするために、電子デバイスの構成要素は、メモリデバイスに状態を書き込み得る、またはプログラムし得る。
【0003】
磁気ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期ダイナミックRAM(SDRAM)、強誘電体RAM(FeRAM)、磁気RAM(MRAM)、抵抗変化型RAM(RRAM)、フラッシュメモリ、及び位相変化メモリ(PCM)などを含む、様々な種類のメモリデバイスが存在する。メモリデバイスは、揮発性または不揮発性であり得る。FeRAMなどの不揮発性メモリは、外部電源がない場合でも、自身の記憶された論理状態を長期間維持し得る。揮発性メモリセルは、外部電源により定期的に更新されなければ、時間の経過とともに自身の記憶された状態を失い得る。
【0004】
一般に、メモリデバイスの改善には、数ある指標の中でも、メモリセル密度の増加、読み出し/書き込み速度の向上、信頼性の向上、データ保持の延長、消費電力の削減、または製造コストの削減などが含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の実施形態による、メモリシステムの例示的な図解を示す。
図2】本開示の実施形態による、メモリデバイスを使用した重み記憶に対応する三次元メモリアレイの一部分の実施例を示す。
図3】本開示のいくつかの実施形態による、メモリアレイの一部分の斜視図を示す。
図4A】本開示の実施形態による、メモリデバイスを使用した短期記憶学習を行うための、重み記憶をサポートする複数のメモリセルでの動作の特徴を示すメモリアレイの実施例を示す。
図4B】本開示の実施形態による、メモリデバイスを使用した長期記憶学習を行うための、重み記憶をサポートする複数のメモリセルでの動作の特徴を示すメモリアレイの実施例を示す。
図5】本開示のいくつかの実施形態による、三次元(3D)クロスポイントメモリアレイのメモリセルの閾値電圧のグラフの例を示す。
図6A】本開示の実施形態による、SET状態の自己選択(SSM)メモリセルの閾値電圧を示すグラフの例を示す。
図6B】本開示の実施形態による、RESET状態の自己選択(SSM)メモリセルの閾値電圧を示すグラフの例を示す。
図7】本開示の実施形態による、メモリデバイスを使用した短期記憶学習または長期記憶学習の方法を示す。
図8】本開示の実施形態による、メモリデバイスを使用した短期記憶学習または長期記憶学習の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の実施例は、装置を含み得る。例示的な装置は、メモリアレイ及びメモリコントローラを含み得る。メモリアレイは、第1の複数のメモリセルを含む第1の部分を含み得る。メモリアレイはさらに、第2の複数のメモリセルを含む第2の部分を含み得る。メモリコントローラは、第1の部分及び第2の部分に結合され得る。メモリコントローラは、短期記憶動作のために第1の部分を作動させるように構成され得る。メモリコントローラはさらに、長期記憶動作のために第2の部分を作動させるように構成され得る。
【0007】
いくつかのニューロモルフィックシステムは、PCMデバイスまたは自己選択メモリデバイス(図2-3に関連して説明される)などの抵抗変化型RAM(RRAM)を使用して、シナプスの値(すなわち重み)(例えばシナプス荷重)を記憶し得る。このような可変抵抗メモリは、複数のレベルを記憶するように構成された、及び/または広いセンスウィンドウを有し得るメモリセルを含み得る。このような種類のメモリは、パルス(例えばスパイク)制御によりトレーニング動作を実行するように構成され得る。このようなトレーニング動作は、スパイクタイミング依存可塑性(STDP)を含み得る。STDPは、ノード(例えばニューロン)間で送信されるスパイクの相関関係により誘発されるヘブ学習の形式であり得る。STDPは、ノード(例えばニューロン)間の接続の強度を調整するプロセスの例であり得る。
【0008】
ニューラルネットワークでは、シナプス荷重は、2つのノード(例えばニューロン)間の接続の強度または振幅を指す。ニューラルネットワークを介して送信される情報の性質及び内容は、シナプスを表すノード間に形成される接続の属性に部分的に基づき得る。例えば、接続の属性は、シナプスの重みであり得る。数ある中でも、ニューロモルフィックシステム及びデバイスは、従来のコンピュータアーキテクチャでは不可能であり得る結果を達成するために設計され得る。例えば、ニューロモルフィックシステムは、学習、視野または視覚処理、聴覚処理、高度なコンピューティング、または他のプロセス、あるいはこれらの組み合わせなどの生物学的システムに、より一般的に関連する結果を達成するために使用され得る。例として、シナプス荷重及び/または少なくとも2つのメモリセル間の接続は、シナプス、またはシナプスの接続性の強さまたは度合を表し、短期記憶及び長期記憶の生物学的発生に対応するそれぞれの短期接続または長期接続に関連付けられ得る。後述されるように、短期型または長期型の少なくとも2つのメモリセル間のシナプス荷重を増加させるために、使用するメモリセルのタイプに応じて、一連のニューラルネットワーク動作が実行され得る。
【0009】
ニューラルネットワーク動作の学習イベントは、ニューロン間のスパイクの因果伝播を表し得、接続しているシナプスの荷重増加を可能にする。シナプスの荷重増加は、メモリセルの導電性の増加により表され得る。可変抵抗メモリアレイ(例えば3Dクロスポイントまたは自己選択メモリ(SSM)アレイ)は、重みまたはメモリセルコンダクタンスによりそれぞれ特徴付けられるシナプスのアレイを模倣し得る。コンダクタンスが大きくなるほど、シナプス荷重は大きくなり、記憶学習の度合いは高くなる。短期記憶学習は、高速及び/または可逆記憶学習であり得、可逆的なメカニズムにより、シナプスのアナログ荷重は増大し、すなわちその電気伝導は増加する。長期記憶学習は、低速及び/または不可逆記憶学習であり得、セルコンダクタンスは特定の状態(例えばSETまたはRESET)でも不可逆的に増加し、より長い経験依存的な学習から生じる忘れられない記憶をもたらす。例として、(メモリセルを長期メモリセルに変換するために)長期メモリセルで強制書き込みサイクルを実行することによるセルコンダクタンスの増加は、不可逆であり得、よって、強制書き込みサイクルを実行する前のメモリセルをリセットするよりも、長期メモリセルをリセットするほうが、セルコンダクタンスは高くなる。しかし、既に劣化された長期メモリセルで長期記憶動作を実行することによるセルコンダクタンスの増加は、リセットで元に戻すことができる。
【0010】
各関連タイプの記憶学習動作を実行するために、異なるメモリセル(例えば短期メモリセルまたは長期メモリセル)が使用され得る。メモリセルは、後述される動作に基づいて、短期メモリセルまたは長期メモリセルになり得る。可逆及び不可逆的な劣化メカニズムを可変抵抗(例えばカルコゲニドベース)クロスポイントアレイで使用することで、セルが伝導するアナログ電圧(例えば下記では閾値電圧(Vt)と称される)を表し得るセルの導電性に影響を与え、従って、生物学的ニューロンの学習の様々な方法を模倣することができる。
【0011】
神経系に存在し得る神経生物学的アーキテクチャを模倣するように、及び/または長期及び短期の学習または関係性に関連付けられたシナプス荷重を記憶するように構成されたシステム、デバイス、及び方法が、本明細書で説明される。メモリ装置は、第1の部分と第2の部分とを含むメモリアレイを含み得る。メモリアレイの第1の部分は、第1の複数の可変抵抗メモリセルを含み得、第2の部分は、第2の複数の可変抵抗メモリセルを含み得る。第2の部分は、強制書き込みサイクルにより劣化され得る。劣化メカニズムには、カルコゲニド材料の損傷が含まれ得る。カルコゲニド材料以外の材料で構成されるメモリセルを含むいくつかの実施形態では、劣化メカニズムには、メモリセル間の熱的関係性、メモリセル間の制御ゲート結合を介した制御、メモリセルに対応する電荷損失、温度により生じる信号損失または閾値損失などが含まれ得る。
【0012】
メモリコントローラは、短期記憶動作のために第1の部分を作動させるように構成され得る。第1の部分の作動には、複数のパルスを第1の複数のメモリセルに印加することが含まれ得る。例えば、メモリコントローラは、第1の部分における第1の複数の可変抵抗メモリセルのセルコンダクタンスを増加させるために、複数のREAD妨害パルスまたは短SETパルスを印加し得る。第1の複数のメモリセルの作動は、短期学習を表し得る。メモリコントローラは、長期記憶学習のために第2の部分を作動させるように構成され得る。長期記憶動作を実行している間の第2の部分の作動には、前の強制書き込みサイクルパルスの劣化により引き起こされるセルコンダクタンスをさらに超えてセルコンダクタンスを増加させるために、複数のREAD妨害パルスまたは短SETパルスを実行することが含まれ得る。第2の複数の可変抵抗メモリセルは、長期学習を表し得る。第2の部分により表される長期学習は、第2の複数のメモリセルの劣化により引き起こされ得る。いくつかの事例では、複数のメモリセルは、グループで読み出され得、読み出し動作中に、シナプス荷重が検出され、組み合わされ得る。
【0013】
上記で紹介された本開示の特徴は、図1図3のメモリデバイスに即して下記でさらに説明される。その後、図4A(短期学習)及び図4B(長期学習)の複数のメモリセルの具体例が説明される。本開示のこれらの特徴及び他の特徴はさらに、メモリデバイスを使用した重み記憶に関する装置図、システム図、及びフローチャートにより例示され、これらを参照して説明される。
【0014】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、メモリデバイス128を含むコンピューティングシステム100の形態の装置のブロック図である。本明細書で使用されるメモリデバイス128、コントローラ140、及びメモリアレイ130はまた、別個に「装置」とみなされ得る。
【0015】
この実施例では、システム100は、メモリアレイ130を含むメモリデバイス128に結合された(例えば接続された)ホスト126を含む。ホスト126は、数ある様々な種類のホストの中でも、パーソナルラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、デジタルカメラ、スマートフォン、またはメモリカードリーダなどのホストシステムであり得る。ホスト126は、システムマザーボード及び/またはバックプレーンを含み得、いくつかの処理リソース(例えば1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、またはいくつかの他の種類の制御回路)を含み得る。システム100は、別個の集積回路を含んでもよく、またはホスト126及びメモリデバイス128の両方が、同一の集積回路上に存在してもよい。システム100は、例えば、サーバシステム及び/または高性能コンピューティング(HPC)システム及び/またはこれらの一部であり得る。図1に示される実施例は、フォンノイマン型アーキテクチャを有するシステムを示すが、本開示の実施形態は、フォンノイマン型アーキテクチャによく伴う1つ以上の構成要素(例えばCPU、ALUなど)が含まれ得ない非フォンノイマン型アーキテクチャで実施されてもよい。
【0016】
明確にするために、システム100は、本開示に特別な関連性を有する特徴に焦点を当てるように簡略化されている。メモリアレイ130は、例えば、自己選択メモリ(SSM)アレイ、3次元(3-D)Xポイントメモリアレイ、STT RAMアレイ、PCRAMアレイ、RRAMアレイ、NANDフラッシュアレイ、及び/またはNORフラッシュアレイであり得る。アレイ130は、アクセス線(本明細書ではワード線または選択線と称され得る)により結合された行と、センス線(本明細書ではデータ線またはデジット線と称され得る)により結合された列とに配置されたメモリセルを含み得る。図1では単一のアレイ130が示されるが、実施形態はこのように限定されない。例えば、メモリデバイス128は、いくつかのアレイ130(例えばNANDフラッシュセルのいくつかのバンクなど)を含み得る。
【0017】
メモリデバイス128は、バス135(例えばI/Oバス)経由でI/O回路144を介して提供されるアドレス信号をラッチするアドレス回路142を含む。アドレス信号は、アドレス回路142を介して受信され、メモリアレイ130にアクセスするために、行デコーダ146及び列デコーダ137によりデコードされる。アドレス信号はまた、コントローラ140に提供され得る(例えばアドレス回路142を介して、及び/または制御バス131を介して)。データは、検知回路(図示せず)を使用してデータ線上の電圧及び/または電流の変化を検知することにより、メモリアレイ130から読み出され得る。検知回路は、メモリアレイ130からデータのページ(例えば行)を読み出し、ラッチし得る。I/O回路144は、I/Oバス135経由でホスト126と双方向データ通信を行うために使用され得る。書き込み回路148は、メモリアレイ130にデータを書き込むために使用される。
【0018】
バンク制御ロジック及び/またはシーケンサと称され得るメモリコントローラ140は、制御バス131によりホスト126から提供される信号をデコードする。これらの信号には、データ読み出し、データ書き込み、及びデータ消去の動作を含むメモリアレイ130で実行される動作を制御するために使用されるチップイネーブル信号、書き込みイネーブル信号、及びアドレスラッチ信号が含まれ得る。様々な実施形態では、コントローラ140は、ホスト126からの命令を実行し、メモリアレイ130へのアクセスを順序付ける役割を果たす。メモリコントローラ140は、ステートマシン、シーケンサ、またはある他の種類のコントローラであり得る。
【0019】
メモリコントローラ140は、様々な構成要素、例えば行デコーダ146、列デコーダ137などを介して、メモリセルの動作(例えば読み出し、書き込み、再書き込み、リフレッシュ、放電)を制御し得る。いくつかの事例では、行デコーダ146及び列デコーダ137のうちの1つ以上は、コントローラ(例えばメモリコントローラ)140と同じ場所に配置され得る。メモリコントローラ140は、所望のアクセス線(例えば図2のアクセス線210)及びセンス線(例えばセンス線215)を活性化するために、行及び列のアドレス信号を生成し得る。メモリコントローラ140はまた、メモリアレイ(例えばメモリアレイ201)の動作中に使用される様々な電圧または電流を生成及び制御し得る。一般に、本明細書で論じられる印加電圧または印加電流の振幅、形状、極性、及び/または持続時間は、調整または変更され得、メモリアレイ(201)の作動で論じられた様々な動作により異なり得る。さらに、メモリアレイ130内の1つ、複数、または全てのメモリセルは、同時にアクセスされ得、例えば、全てのメモリセルまたはメモリセルのグループが単一の論理状態に設定されるリセット動作中に、メモリアレイ130の複数または全てのセルは同時にアクセスされ得る。
【0020】
メモリアレイ130は、複数のメモリセルの第1の部分122と、複数のメモリセルの第2の部分124とを含み得る。第1の部分122は、第1の部分122を使用して短期記憶学習を表すように、特定の方法でプログラムされ得る。例として、セルの第1の部分122で複数のニューラルネットワーク動作を実行する時、第1の部分122は、最初にプログラム解除され得る。複数の短期記憶動作は、読み出し妨害(SSMメモリの場合)または短SETパルス(3Dクロスポイントメモリの場合)を使用して、短期メモリセルを特定の回数プログラムすることを含み得る。短期記憶動作のそれぞれは、第1の部分122のセルのそれぞれに関連付けられたシナプス荷重を増加させ得る。第1の部分122の短期学習は、可逆であり得る。
【0021】
第2の部分124は、第2の部分124を使用して長期記憶学習を表すように、特定の方法で、強制書き込みサイクルを使用してパルス化され得る。強制書き込みサイクルは、長期メモリセルとして使用される第2の部分124のメモリセルで長期記憶動作を実行する前に、実行され得る。特定の数の強制書き込みサイクルを第2の部分124で実行して、長期学習が模倣され得る。強制書き込みサイクルに続いて、第2の部分124のセルのそれぞれに関連付けられたシナプス荷重を増加させるために、第2の部分124のセルで複数の長期記憶動作が実行され得る。下記の図2図4Bに関連してさらに説明されるように、第2の部分124の長期学習は、不可逆であり得る。
【0022】
図2は、本開示の様々な実施形態による、メモリデバイスを使用した重み記憶に対応する3Dメモリアレイ201の一部分の実施例を示す。メモリアレイ201は、図1を参照して説明されたメモリアレイ130の部分の実施例であり得る。メモリアレイ201は、基板204の上に配置されたメモリセルの第1のアレイまたはデッキ219-1と、第1のアレイまたはデッキ219-1の上部に存在するメモリセルの第2のアレイまたはデッキ219-2とを含み得る。メモリアレイ201はまた、アクセス線210-1、アクセス線210-2、センス線215-1、及びセンス線215-2を含み得、これらは、図1を参照して説明されたアクセス線及びセンス線の実施例であり得る。図2に示される図解の実施例のように、第1のデッキ219-1及び第2のデッキ219-2のメモリセルはそれぞれ、メモリセル205-1及び205-2などの自己選択メモリセルを含み得る。いくつかの実施例では、第1のデッキ219-1及び第2のデッキ219-2のメモリセル205-1、205-2はそれぞれ、クロスポイントアーキテクチャに適し得る別の種類のメモリセル、例えばCBRAMセルまたはFeRAMセルを含み得る。図2に含まれるいくつかの要素は数字標識でラベル付けされており、他の該当する要素はラベル付けされていないが、描かれる特徴の視認性及び明瞭さを高めるために、他の該当する要素も同じである、または類似していると理解されよう。
【0023】
いくつかの事例では、第1のデッキ219-1の自己選択メモリセル205-1はそれぞれ、第1の電極211-1と、可変抵抗(例えばカルコゲニド)材料213-1と、第2の電極217-1とを含み得る。さらに、第2のデッキ219-2の自己選択メモリセルはそれぞれ、第1の電極211-2と、可変抵抗(例えばカルコゲニド)材料213-2と、第2の電極217-2とを含み得る。いくつかの実施形態では、アクセス線(例えば図2のアクセス線210)は、電極211または217の代わりに電極層(例えば共形層)を含み得、従って多層アクセス線を含み得る。このような実施形態では、アクセス線の電極層は、メモリ材料(例えばカルコゲニド材料213)とインターフェースし得る。いくつかの実施形態では、アクセス線(例えばアクセス線210、センス線215)は、電極層または電極を介さずに、メモリ材料(例えばカルコゲニド材料213)と直接インターフェースし得る。
【0024】
第1のデッキ219-1及び第2のデッキ219-2の自己選択メモリセルは、いくつかの実施形態では、共通の導電線を有し得、よって、各デッキ219-1及び219-2の対応する(例えばy方向に垂直に整列された)自己選択メモリセルは、図1を参照して説明されたセンス線(215)またはアクセス線(210)を共有し得る。例えば、第2のデッキ219-2の第1の電極211-2、及び第1のデッキ219-1の第2の電極217-1は、両方ともセンス線215-2に結合され得、よって、センス線215-2は、垂直に整列された隣接する(y方向の)自己選択メモリセルにより共有される。
【0025】
メモリアレイ201のアーキテクチャは、図2に示されるように、アクセス線210とセンス線215との間のトポロジカルクロスポイントにメモリセルが形成され得るため、いくつかの事例では、クロスポイントアーキテクチャの実施例として言及され得る。このようなクロスポイントアーキテクチャは、いくつかの他のメモリアーキテクチャと比べると、比較的高密度のデータストレージを低生産コストで提供し得る。例えば、クロスポイントアーキテクチャを備えたメモリアレイは、面積が縮小されたメモリセルを有し得、その結果、いくつかの他のアーキテクチャと比べて、より高いメモリセル密度に対応し得る。
【0026】
図2の実施例は、2つのメモリデッキを示すが、他の構成は、任意の数のデッキを含み得る。いくつかの実施形態では、メモリデッキのうちの1つ以上は、可変抵抗(例えばカルコゲニド)材料213を含む自己選択メモリセルを含み得る。他の実施形態では、メモリデッキの1つ以上は、強誘電体材料を含むFeRAMセルを含み得る。さらに他の実施形態では、メモリデッキの1つ以上は、金属酸化物またはカルコゲニド材料を含むCBRAMセルを含み得る。カルコゲニド材料213は、例えばセレン(Se)、テルル(Te)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、炭素(C)、ゲルマニウム(Ge)、及びシリコン(Si)の合金などのカルコゲニドガラスを含み得る。いくつかの実施形態では、主にセレン(Se)、ヒ素(As)、及びゲルマニウム(Ge)を有するカルコゲニド材料は、SAG合金と称され得る。
【0027】
メモリセル205は、いくつかの実施形態では、自己選択メモリ(SSM)セルを含み得る。メモリセル205はまた、別の種類のメモリセル、例えば3Dクロスポイントメモリセル、記憶構成要素及び選択構成要素を含む相変化メモリ(PCM)セル、CBRAMセル、またはFeRAMセルを含み得ることが理解されよう。
【0028】
いくつかの実施例では、後述されるように、ニューラルネットワーク動作がセル205で実行され得、これにより、セル205で実行される短期及び/または長期記憶動作の作用に応答して、セル205の導電性が増加する。例として、特定のメモリセル205で複数の短期記憶動作を実行することは、特定のメモリセル205の導電性を増加させ、これにより短期記憶学習の増加が表され得る。特定のセル205の導電性が増加したことにより、セルは、短期記憶学習前よりも低い閾値電圧で伝導する。このように、導電性のアナログ増加を使用して、短期記憶学習が表され得る。
【0029】
さらに、第2の特定のメモリセル205は、第2の特定のメモリセル205でニューラルネットワーク動作を実行する前に劣化され得、これにより長期記憶学習が表される。一例として、他の(例えば長期の)記憶動作を実行する前に、第2の特定のメモリセル205の劣化により、所与の状態(例えばSETまたはRESET)の第2の特定のメモリセル205の導電性は、不可逆的に増加し得る。このように、事前に組み込まれた導電性の増加により、長期記憶学習は、事前に劣化されていないメモリセル(例えば短期記憶学習に使用されるセル)と比べて、より厳密に模倣される。短期及び長期記憶動作に関するさらなる詳細は、本明細書でさらに説明される。
【0030】
メモリアレイ201は、互いの上部に形成された2つ以上の二次元(2D)メモリアレイを含み得る。これは、単一の2Dアレイと比較して、単一のダイまたは基板の上に配置または作成され得るメモリセルの数を増やすことができ、これにより、製造コストの削減、メモリデバイスの性能の向上、またはこれら両方を実現し得る。図2に描かれる実施例では、メモリアレイ201は、2つのレベルのメモリセル205(例えばメモリセル205-1及びメモリセル205-2)を含み、よって、3Dメモリアレイと見なされ得るが、しかし、レベルの数は2つに限定されなくてもよく、他の実施例はさらなるレベルを含み得る。メモリセル205がレベルを越えて互いと整列(正確に整列、重なり合って整列、またはほぼ整列)され得るように、各レベルは整列または配置され得る。
【0031】
例として、スイッチを介して物理的に接続された2つの構成要素(例えばトランジスタ)は、電子通信状態である、またはスイッチの状態(つまり開または閉)に関係なく結合された状態であり得る。トランジスタは、トランジスタの閾値電圧以上の電圧がトランジスタゲートに印加されるとき、「オン」の状態、すなわち「活性化」状態になり得る。トランジスタの閾値電圧よりも低い電圧がトランジスタゲートに印加されるとき、トランジスタは「オフ」の状態、すなわち「非活性化」状態になり得る。
【0032】
図2に示されるように、積層された2つのメモリセル205-、205-2は、センス線215-2などの共通の導電線を共有し得る。すなわち、センス線215-2は、上部メモリセル205-2及び下部メモリセル205-1と結合され得る。他の構成も可能であり得、例えば、第3の層(図示せず)が、上部メモリセル205-2とアクセス線を共有してもよい。
【0033】
いくつかの事例では、電極がメモリセル205をアクセス線210またはセンス線215に結合し得る。「電極」という用語は、導電体を指し、メモリアレイ201の要素または構成要素の間に導電経路を提供するトレース、ワイヤ、導電線、または導電層などを含み得る。従って、電極という用語は、いくつかの事例では、アクセス線210またはセンス線215などの信号線を指し得、並びにいくつかの事例では、アクセス線とメモリセル205との電気接触として使用される追加の導電要素を指し得る。いくつかの実施形態では、メモリセル205は、第1の電極と第2の電極との間に配置されたカルコゲニド材料を含み得る。第1の電極は、カルコゲニド材料をアクセス線210に結合し得、第2の電極は、カルコゲニド材料をセンス線215に結合し得る。第1の電極と第2の電極は、同じ材料(例えば炭素)でも異なる材料でもよい。一実施形態では、メモリセル205は、1つ以上のアクセス線と直接結合され得、アクセス線以外の電極は省略されてもよい。
【0034】
読み出しと書き込み、短期記憶動作、及び/または長期記憶動作などの動作が、アクセス線210のうちの1つ及びセンス線215のうちの1つを活性化または選択することにより、メモリセル205で実行され得る。アクセス線210またはセンス線215を活性化または選択することは、それぞれの信号線に電圧を印加することを含み得る。アクセス線210またはセンス線215の活性化は、メモリセル205に電圧をもたらし、これによりコンダクタンスを増加させ、これにより特定のメモリセル205に関連付けられたシナプス荷重を増加させ得る。シナプス荷重の増加は、学習(例えば後述される短期学習または長期学習)の増加を示し得る。アクセス線210及びセンス線215は、金属(例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、タングステン(W)、チタン(Ti))、金属合金、炭素、導電的にドープされた半導体などの導電材料、あるいは他の導電材料、合金、または化合物などから成り得る。
【0035】
いくつかのアーキテクチャでは、セルの記憶構成要素(例えばCBRAMセルの抵抗構成要素、FeRAMセルの容量性構成要素)は、選択構成要素により信号線から電気的に絶縁され得る。「絶縁された」という用語は、電子が現在流れることができない構成要素間の関係を指し、構成要素間に開回路がある場合、構成要素は互いに絶縁されている。例えば、スイッチにより物理的に接続されている2つの構成要素は、スイッチが開いている時には、互いに絶縁され得る。本明細書で説明されるように、他の実施例では、選択構成要素は、カルコゲニド材料を含み得る可変抵抗メモリセルの可変抵抗構成要素であり得る。可変抵抗メモリセルは、後述されるように、自己選択メモリセルを指し得る。具体的には、可変抵抗メモリセルは、メモリセルの選択構成要素及び記憶構成要素の両方として機能することができる単一の材料(例えばカルコゲニド材料)から成る、自己選択メモリセルであり得る。
【0036】
アクセス線210は、選択構成要素に接続され得、選択構成要素を制御し得る。例えば、選択構成要素は、トランジスタであり得、アクセス線210は、トランジスタのゲートに接続され得る。あるいは、選択構成要素は、カルコゲニド材料を含み得る可変抵抗構成要素であり得る。アクセス線210を活性化すると、メモリセル205の記憶構成要素とそれに対応するセンス線215との間に、電気接続または閉回路が生じ得る。次に、センス線にアクセスして、メモリセル205に記憶されるデータの読み出しまたは書き込みが行われ得る。メモリセル205を選択すると、派生した信号を使用して、記憶された論理状態が特定され得る。いくつかの事例では、第1の論理状態は、メモリセル205にわたる無電流、または無視できるほど小さい電流に対応し得るが、第2の論理状態は、有限電流または閾値電流に対応し得る。本明細書で説明されるように、一連の導電性の増加は、短期記憶または長期記憶の学習の増加に対応し得る。一例として、ニューラルネットワーク動作が短期メモリセルで実行され得、これにより、短期メモリセルの導電性が増加し、短期記憶学習の増加が表される。同様に、ニューラルネットワーク動作が長期メモリセル(例えば事前に劣化されたセル)で実行され得、これにより、長期メモリセルの導電性が増加し、長期記憶学習の増加が表される。短期記憶学習または長期記憶学習が発生したことを示すニューラルネットワークアルゴリズムに応答して、ニューラルネットワーク動作は実行され得る。
【0037】
メモリセル205は、アクセスされると、センス構成要素(図示せず)により読み出され、または検知されて、メモリセル205の記憶された状態が特定され得る。抵抗可変メモリセルなどのいくつかのメモリセルでは、記憶された状態は、メモリセルの閾値電圧と同義であり得る。例えば、電圧がメモリセル205に印加され得(対応するアクセス線210及びセンス線215を使用して)、メモリセル205を通る派生電流の存在は、印加された電圧及びメモリセル205の閾値電圧に依存し得る。いくつかの事例では、複数の電圧が印加され得る。さらに、印加された電圧により電流が派生しない場合、センス構成要素により電流が検出されるまで、他の電圧が印加され得る。電流が派生した電圧を査定することにより、メモリセル205の記憶された論理状態が特定され得る。いくつかの事例では、電流が検出されるまで、電圧の大きさが増加され得る。他の事例では、電流が検出されるまで、所定の電圧が連続的に印加され得る。同様に、メモリセル205に電流が印加され得、電流を生成するための電圧の大きさは、メモリセル205の電気抵抗または閾値電圧に依存し得る。電流がセルを流れる(例えば伝導する)閾値電圧の増加は、ニューラルネットワーク学習(例えば短期記憶学習または長期記憶学習、閾値電圧が増加したセルの種類による)の増加を示し得る。
【0038】
いくつかの事例では、メモリセル205(例えば相変化メモリセルまたは自己選択メモリセル)は、カルコゲニド材料を含み得る。メモリセルのカルコゲニド材料は、アクセス動作中は非晶状態のままであり得る。いくつかの事例では、メモリセルを作動させることは、メモリセルに様々な形状のプログラミングパルスを印加して、メモリセルの特定の閾値電圧をプログラムすることを含み得、つまり、メモリセルの閾値電圧は、プログラミングパルスの形状を変化させることにより変更され得、これにより、メモリセル内のカルコゲニド材料の位相または状態が変更され得る。短期メモリセルでは、カルコゲニド材料のこの変更された位相または状態は、短期メモリセルをリセットする(例えばRESETを実行する)ことにより、元に戻され得る。しかし、長期メモリセルでは、初期の劣化(強制書き込みサイクル動作の実行により引き起こされた劣化)は、長期メモリセルをリセットしても元に戻らない。長期メモリセルをリセットしても、その閾値電圧(または導電性)は、リセットされた短期メモリセルと同一の閾値電圧にはリセットされない。
【0039】
例えばSSMメモリの場合はカルコゲニド材料の非晶質度、または3Dクロスポイントの場合はカルコゲニド材料の非晶質度または結晶質度に応じて、カルコゲニド材料の導電度が閾値電圧により表されるという点で、閾値電圧は、カルコゲニド材料に関連し得る。閾値電圧は、メモリセルに関連して発生した学習の具体的な度合または量を示し得る。
【0040】
センス構成要素は、ラッチングと称され得る、検知されたメモリセル205に関連付けられた信号の検出及び増幅を行うために、様々なトランジスタまたは増幅器を含み得る。次いで、セル205が伝導する電圧に応答して検出されたメモリセル205の応答は、出力として列デコーダを介して出力され得る。いくつかの事例では、センス構成要素は、列デコーダまたは行デコーダの一部であり得る。あるいは、別の実施形態では、センス構成要素は、列デコーダまたは行デコーダに接続され得る、またはそれらと電子通信し得る。少なくとも1つの実施形態では、図2に示されているものの代替的な選択肢または付加的な選択肢として、センス構成要素が複数のアクセス線210に結合されるようにセンス構成要素を配置することが含まれ得る。例として、センス構成要素は、その機能目的を失うことなく、列デコーダ(図示された)または行デコーダ(センス構成要素との関連付けは図示せず)と関連付けられ得ることが、当業者には理解されよう。
【0041】
メモリアレイ201は、学習量に対応する「アナログ」方式で変更されたメモリセル205の閾値電圧を有することにより、学習量に基づいて神経生物学的アーキテクチャを模倣するように構成され得る。メモリアレイ201は、カルコゲニドメモリの特性及び対応する劣化メカニズムの効果を利用して、学習量に対応する出力を提供し得、これはアナログ出力と称され得る。図6A図8Bに関連して下記でさらに説明されるが、劣化メカニズムは、メモリセルで実行されるサイクル数に基づき得る。例として、0~100回サイクルが実行されたメモリセルは、劣化メカニズムの影響が少なくあり得、短期記憶学習セルと称され得る。例として、10,000回以上の強制書き込みサイクルを経験したメモリセルは、劣化メカニズムの影響が大きくあり得、長期記憶学習セルと称され得る。
【0042】
いくつかのメモリデバイスでは、カルコゲニド材料213-1、213-2(以下213と総称する)に電子パルスを印加することにより、カルコゲニド材料213は影響を受け得、これには、いくつかの事例では、物理的形態の変化が含まれ得る。いくつかのカルコゲニド材料213の物理的形態には、非晶状態及び結晶状態が含まれる。これらの物理的形態の抵抗は異なり、これにより、カルコゲニド材料213は、カルコゲニド材料213に関連する様々な閾値電圧を有することが可能となる。いくつかのカルコゲニドメモリシステムでは、カルコゲニド材料213を非晶状態にするために、コントローラは、電気パルスでカルコゲニド材料213を加熱し、パルスを除去することによりカルコゲニド材料213を急速に冷却し得る。急速な冷却により、カルコゲニド材料213の構造は、秩序の乱れた状態となり、よって高抵抗になり得る。
【0043】
いくつかの3Dクロスポイント及び/またはPCMシステムでは、カルコゲニド材料213を結晶状態にするために、コントローラは、電気パルスでカルコゲニド材料213を加熱し、電気パルスを下げることによりカルコゲニド材料213をゆっくりと冷却し得る。ゆっくりと冷却することにより、カルコゲニド材料213の構造がより秩序立った状態となり、よって低抵抗となる時間が提供され得る。メモリアレイ201のメモリセルは、カルコゲニド材料のこれらの特性を使用して、学習量に対応する閾値電圧に関連付けられたアナログ値に関連付けられ得る。
【0044】
メモリアレイ201の第1の部分は、短期記憶動作を実行するために使用され得、メモリアレイ201の第2の部分は、長期記憶動作を実行するために使用され得る。複数のニューラルネットワーク動作を実行するために、複数の短期記憶動作は、メモリアレイ201の第1の部分(例えば図1の第1の部分122など)で実行され得、複数の長期記憶動作は、第2の部分(例えば図1の第2の部分124など)で実行され得る。短期記憶動作は、短期メモリセルが基準のコンダクタンス(例えばシナプス荷重)にリセットできるような可逆的な方法で、メモリアレイのセルに関連付けられたシナプス荷重を増加させ得る。第2の部分などの長期メモリセルでは、長期記憶動作を実行する前に、長期メモリセルのコンダクタンスを増加させる複数の強制書き込みサイクルが実行され得る。強制書き込みサイクルによりもたらされる長期メモリセルの劣化は、コンダクタンスを不可逆的に増加させ得る。これらの長期メモリセルで長期記憶動作が実行されると、長期記憶動作によるコンダクタンスの増加は元に戻すことができるが、基準のコンダクタンスに戻すことはできない。言い換えると、強制書き込みサイクル動作の前に長期メモリセルをリセットして得られるコンダクタンスは、強制書き込みサイクル動作の後に長期メモリセルをリセットして得られるコンダクタンスよりも、小さくなる。
【0045】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、メモリアレイ303の一部の斜視図を示す。メモリアレイ303は、いくつかのアクセス線310及びいくつかのセンス線315、例えば本明細書ではビット線と呼ばれ得るデータ/センス線の交点にメモリセル305が配置されたクロスポイントアーキテクチャを有し得る。示されるように、アクセス線310は、互いに略平行であり、互いに略平行であるセンス線315に略直交する。しかし、実施形態は、平行/直交構造に限定されない。
【0046】
様々な実施形態では、メモリセル305は、「積層」構造を有し得る。各メモリセル305は、アクセス線310とセンス線315との間に形成されたそれぞれの選択構成要素と直列に接続された記憶構成要素を含み得る。記憶構成要素は、可変抵抗記憶構成要素であり得る。可変抵抗記憶構成要素は、一対の電極、例えば308と312との間に形成された可変抵抗記憶構成要素材料309を含み得る。選択構成要素は、一対の電極、例えば312と316との間に形成された選択材料314を含み得る。
【0047】
メモリアレイ303のメモリセル305は、相変化材料と直列の選択構成要素を含み得、よって、メモリアレイ303は、相変化材料及びスイッチ(PCMS)アレイと称され得る。いくつかの実施形態では、選択構成要素は、例えば、2端子のオボニック閾値スイッチ(OTS)であり得る。OTSは、例えば、導電性電極などの一対の導電材料の間に形成されたカルコゲニド材料を含み得る。閾値電圧未満の電圧がOTSの両端に印加されたことに応答して、OTSは「オフ」状態、例えば非導電状態に留まり得る。あるいは、閾値電圧よりも大きい電圧がOTSの両端に印加されたことに応答して、OTSは「オン」状態にスナップバックし得る。「オン」状態では、OTSデバイスは、かなりの電流を伝導することができ、その端子の電圧は、いわゆる「保持電圧」レベルでほぼ一定であり続ける。
【0048】
本開示の実施形態は、PCMSクロスポイントアレイまたは特定のセル選択スイッチに限定されない。例えば、本開示の方法及び装置は、例えば数ある種類のメモリセルの中でも、抵抗変化型ランダムアクセスメモリ(RRAM)セル、導電性ブリッジランダムアクセスメモリ(CBRAM)セル、及び/またはスピン注入ランダムアクセスメモリ(STT-RAM)セルを利用するアレイなどの他のクロスポイントアレイに適用することができる。
【0049】
可変抵抗記憶構成要素がPCMを含むいくつかの実施形態では、相変化材料は、カルコゲニド合金であり得、数ある相変化材料の中でも、インジウム(In)-アンチモン(Sb)-テルル(Te)(IST)材料、例えばInSbTe、InSbTe、InSbTeなど、またはゲルマニウム(Ge)-アンチモン(Sb)-テルル(Te)(GST)材料、例えばGeSbTe、GeSbTe、GeSbTe、GeSbTe、GeSbTeなどが挙げられる。本明細書で使用されるハイフン付きの化学組成表示は、特定の混合物または化合物に含まれる元素を示し、示される元素を含む全ての化学量論を表すことが意図される。他の相変化材料として、例えば、Ge-Te、In-Se、Sb-Te、Ga-Sb、In-Sb、As-Te、Al-Te、Ge-Sb-Te、Te-Ge-As、In-Sb-Te、Te-Sn-Se、Ge-Se-Ga、Bi-Se-Sb、Ga-Se-Te、Sn-Sb-Te、In-Sb-Ge、Te-Ge-Sb-S、Te-Ge-Sn-O、Te-Ge-Sn-Au、Pd-Te-Ge-Sn、In-Se-Ti-Co、Ge-Sb-Te-Pd、Ge-Sb-Te-Co、Sb-Te-Bi-Se、Ag-In-Sb-Te、Ge-Sb-Se-Te、Ge-Sn-Sb-Te、Ge-Te-Sn-Ni、Ge-Te-Sn-Pd、及びGe-Te-Sn-Ptが挙げられ得る。可変抵抗材料の他の例として、遷移金属酸化物材料、あるいは2つ以上の金属、例えば遷移金属、アルカリ土類金属、及び/または希土類金属を含む合金が挙げられる。実施形態は、特定の可変抵抗性材料、またはメモリセル305の記憶構成要素に関連する材料に、限定されない。例えば、記憶構成要素を形成するために使用され得る可変抵抗材料の他の例には、数ある中でも、二元金属酸化物材料、巨大磁気抵抗材料、及び/または様々なポリマーベースの可変抵抗材料が挙げられる。
【0050】
いくつかの実施形態では、電極は、メモリセル305の選択構成要素と記憶構成要素との間で共有され得る。また、いくつかの実施形態では、アクセス線310及びセンス線315は、メモリセル305に対応する上部または下部電極として機能し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、可変抵抗記憶構成要素材料309は、選択材料314と同じ材料(複数可)のうちの1つ以上を含み得る。しかし、実施形態は、このように限定されない。例えば、可変抵抗記憶構成要素材料309と選択材料314は、異なる材料を含んでもよい。本開示の様々な実施形態によれば、抵抗記憶構成要素材料309とセル選択材料314との相対的配置は、図3に示されるものと逆であってもよい。
【0052】
本明細書で説明される材料は、様々な薄膜技術により形成され得、様々な薄膜技術には、数ある中でも、スピンコーティング、ブランケット式コーティング、低圧化学蒸着(CVD)などの化学蒸着(CVD)、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化ALD、物理蒸着(PVD)、熱分解、及び/または熱成長などが含まれるが、これらに限定されない。あるいは、材料は、本来の位置で成長され得る。本明細書で説明及び図示される材料は、層として形成され得るが、材料はこのように限定されず、他の三次元構成で形成されてもよい。
【0053】
図3には示されていないが、いくつかの実施形態では、メモリアレイ303は、3Dアーキテクチャの一部であり得、例えばタイル、デッキなどのいくつかの平面が互いに垂直に積層されている。このような実施形態では、アクセス線310及びセンス線315は、例えば、3Dアレイの1つの平面のメモリセルに通信可能に結合され得る。さらに、メモリアレイ303は、例えばアクセス線310及びセンス線315を介して、メモリアレイに関連付けられた回路、例えばメモリアレイ303の作動に関連付けられた様々な回路の中でもデコード回路に、接続され得る。メモリアレイ303に関連付けられたこのような回路の要素、例えばトランジスタなどは、例えば、メモリアレイ100の基礎となるように形成され得る。
【0054】
動作時、メモリアレイ303のメモリセル305は、選択されたアクセス線310及びセンス線315を介して、メモリセル305の両端に、例えば書き込み電圧などの電圧を印加することにより、プログラムされ得る。メモリセル305を特定のデータ状態にプログラムするために、例えば記憶構成要素の抵抗レベル(例えば閾値電圧)を調整することにより、メモリセル305の両端の電圧パルスの幅及び/または大きさは、調整され、例えば多様に変化し得る。メモリセルの閾値電圧の調整は、調整されるメモリセルに関連付けられた特定の量の学習(例えばニューラルネットワーク学習)に対応し得る。メモリセルの閾値電圧の調整は、複数のREADパルス(例えば自己選択メモリセルを使用する場合はRESET読み出し妨害パルス)または短SETパルス(3D Xpoint(商標)メモリセルなどの3Dクロスポイントメモリセルを使用する場合)を実行することにより、実現され得る。例として、短SETパルスは、セルのコンダクタンスを増加させる閾値下電圧短SETパルスであり得る。
【0055】
例えば読み出しなどの検知動作を使用して、閾値電圧が特定され、これによりメモリセル305の学習に関連付けられたシナプス荷重の量が特定され得る。例えば、特定の電圧が、選択されたメモリセル305に対応するセンス線315及びアクセス線310に印加され得、派生電圧差に応答してセルを流れる電流が検知され得、これは、メモリセル305の閾値電圧を示す。検知動作はまた、選択されたセル305のデータ状態を検知するために、選択されていないアクセス線310及びセンス線315、例えば選択されていないセルに接続されたワード線及びビット線を、特定の電圧にバイアス印加することを含み得る。
【0056】
図4Aは、本開示の様々な実施形態による、メモリデバイスを使用した重み記憶に対応するメモリアレイ401の実施例を示す。メモリアレイ401は、図1図3をそれぞれ参照して説明されたメモリデバイス100の一部及びメモリアレイ201または303の実施例であり得る。メモリアレイ401は、シナプスの重みに対応し、よってセルに関連付けられた学習の量に対応するアナログコンダクタンスに関連付けられた複数のメモリセル405を含み得る。このようにして、複数のメモリセル405は、神経系に存在し得る神経生物学的アーキテクチャを模倣するように、及び/または1つ以上のシナプス荷重を記憶するように構成され得る。よって、複数のメモリセル405は、ニューロモルフィックシステム及び/またはニューラルネットワークの一部分の実施例であり得る。
【0057】
いくつかのニューロモルフィックシステムは、PCMデバイスまたは自己選択メモリデバイスなどの抵抗変化型RAM(RRAM)を使用して、シナプスの値(または荷重)を記憶し得る。このような抵抗変化型メモリは、複数のレベルを記憶するように構成された、及び/または広いセンスウィンドウを有し得るメモリセルを含み得る。このような種類のメモリは、パルス(例えばスパイク)制御によりトレーニング動作を実行するように構成され得る。このようなトレーニング動作は、スパイクタイミング依存可塑性(STDP)を含み得る。STDPは、ノード(例えばニューロン)間で送信されるスパイクの相関関係により誘発されるヘブ学習の形式であり得る。STDPは、ノード(例えばニューロン)間の接続の強度を調整するプロセスの例であり得る。
【0058】
図4Aは、本開示の実施形態による、メモリデバイスを使用した短期記憶学習を行うための、重み記憶をサポートする複数のメモリセル405の読み出し動作の特徴を示すメモリアレイ401の実施例を示す。メモリアレイ401は、図3を参照して説明されたメモリアレイ303の実施例であり得る。メモリアレイ401は、複数のメモリセル405-1、405-2、405-3、405-4、405-5、405-6、405-7、405-8、405-9を含み得る。複数のメモリセル405は、複数のセンス線415-1、415-2、…、415-S(以下複数のセンス線415と総称する)、及び複数のアクセス線410-1、410-2、410-3、…、410-N(以下複数のアクセス線410と総称する)に結合され得る。
【0059】
複数のメモリセル405の読み出し動作は、複数のメモリセル405のそれぞれが伝導する閾値電圧(例えばシナプス荷重)を検出し、これらの閾値電圧を組み合わせて(例えばシナプス荷重を組み合わせて)組み合された出力443を生成するように構成され得る。
【0060】
コントローラ(例えばメモリコントローラ140)は、読み出し動作のために特定のメモリセル405またはメモリセル405のグループを選択し得る。いくつかの事例では、コントローラは、読み出し動作のために1つ以上のメモリセル405を選択し得る。コントローラはまた、複数のメモリセル405のうちの少なくとも1つに関連付けられた1つ以上のセンス線415及び/またはアクセス線410を識別すなわち選択し得る。
【0061】
コントローラは、複数のメモリセル405に入力441を提供し得る。入力441は、複数のアクセス線410に印加される複数の電圧値(例えばV1、V2、V3)を含み得る。コントローラは、アクセス線410を、入力441に含まれる1つ以上の電圧値(例えば読み出し電圧値)にバイアス印加し得る。いくつかの事例では、アクセス線410は全て、同じ読み出し電圧にバイアス印加される。いくつかの事例では、コントローラは、1つ以上のアクセス線を他のアクセス線とは異なる電圧にバイアス印加し得る。
【0062】
コントローラはまた、1つ以上の選択されていないアクセス線410-N(例えば複数のメモリセル405のうちのいくつかと結合されていない1つ以上のアクセス線)を、読み出し電圧値にバイアス印加し得る。いくつかの事例では、1つ以上の選択されていないアクセス線410-Nに印加される読み出し電圧値は、選択されたアクセス線410-1、410-2、410-3に印加される電圧値と同じである。いくつかの事例では、1つ以上の選択されていないアクセス線410-Nに印加される読み出し電圧値は、選択されたアクセス線410-1、410-2、410-3のうちの少なくとも1つに印加される少なくとも1つの電圧値とは異なる。
【0063】
コントローラは、複数のメモリセル405のうちの少なくとも1つに結合された1つ以上のセンス線415で生成された1つ以上の信号を含む出力443を検出し得る。センス線415の出力443は、複数のメモリセル405のうちの少なくとも1つと結合されたアクセス線410に入力441を印加することに基づいて、生成され得る。例として、入力441は、セル405に印加される特定の電圧であり得、特定の電圧が少なくともセル405の閾値電圧であることに応答して、セル405は、出力信号を生成し得、これはセンス線415に沿って電流信号の1つとして送信される。例えば、出力443の信号には、特定のセンス線415に対応する電流信号(例えばI1-ST、I2-ST、I3-ST)が含まれ得る。電流信号I1-ST、I2-ST、及びI3-STは、短期記憶学習から生じる電流信号であり得る。セルの閾値電圧が低下すると、セルのコンダクタンスが増加し、入力441によりセルの伝導が引き起こされる可能性が高くなり、これは短期記憶学習を示す。
【0064】
例として、ニューラルネットワーク動作(例えば短期記憶動作または長期記憶動作)は、図5に示されるように、3Dクロスポイントアレイのメモリセルで実行されるいくつかの短SETパルスを含み得る。短SETパルスは、セルの電圧をRESET状態とSET状態との間ノードのどこかに変更することを目的とした、SETパルスよりも短い短プログラミングパルスであり得る。短SETパルスは、あらかじめ調整されたRESET状態のメモリセルで実行され得る。さらに、例として、ニューラルネットワーク動作(例えば短期記憶動作または長期記憶動作)は、図6A図6Bに示されるように、自己選択メモリ(SSM)アレイのSSMセルで実行されるいくつかのRESET読み出し妨害パルスを含み得る。RESET読み出し妨害パルスは、セルの状態を妨害し得る読み出しパルスを指す。例として、複数のこのようなRESET読み出し妨害パルスを印加する効果は、セルの状態を妨害して、セルのRESET状態の電圧をセルのSET状態に向かって移行させる傾向にすることであり得る。RESET読み出し妨害パルスは、あらかじめ調整されたRESET状態にあるSSMセルで実行され得る。短期記憶動作は、RESET状態に置かれ、かつ基準のコンダクタンスを有するメモリセル(短期メモリセル)で実行され得る。対照的に、長期記憶動作は、いくつかの強制書き込みサイクルが行われたメモリセルで実行され得、強制書き込みサイクルにより、長期メモリセルのコンダクタンスは恒久的に増加した状態になっている。長期メモリセルのコンダクタンスは、リセットされた後でも、強制書き込みサイクル(長期メモリセルを恒久的に劣化させる)が実行される前のメモリセルのコンダクタンスよりも、大きくなる。明確に説明すると、劣化された長期メモリセルの初期コンダクタンスは、長期記憶動作により増加し得、この増加したコンダクタンスは、リセット後、初期コンダクタンスに戻すことができるが、劣化により増加したコンダクタンスは、元に戻すことはできない。
【0065】
個々の重みを表す個々の信号は、複数のメモリセル405と結合された各センス線415上で検出され得る。各信号は、信号に寄与する異なるメモリセルを有し得る。例えば、第1のメモリセル405-1は、第1のセンス線415-1の信号に寄与し得る。第2のメモリセル405-2は、第2のセンス線415-2の信号に寄与し得る。第3のメモリセル405-3は、第3のセンス線415-3上の信号に寄与し得る。第4のメモリセル405-4も、第1のセンス線415-1の信号に寄与し得、第5のメモリセル405-5も、第2のセンス線415-2の信号に寄与し得、以下同様である。
【0066】
コントローラは、複数のメモリセル405に印加された特定の電圧で複数のメモリセルのそれぞれが伝導するかどうかを検出したことに基づいて、複数のメモリセルに関連付けられた閾値電圧を特定し得る。コントローラは、各センス線415の信号を組み合わせて、総合的な重みを表す総合信号を生成し得る。どのセルまたはいくつのセルが伝導するかに対応するアナログ値は、総合的な重みに比例し、及び/または総合的な重みに基づき得る。コントローラは、センス線415の信号を合計して、総合的な重みを生成し得る。いくつかの事例では、コントローラは、1つ以上のアクセス線上の1つ以上の電圧を表す電圧の入力ベクトル(例えばベクトルV1、V2、V3)に重み行列を適用することにより、積を生成し得る。積を生成することにより、複数のメモリセル405の閾値電圧を表す出力443が得られ得る。いくつかの事例では、読み出し動作中のセンス線の電流は、同じセンス線上の複数のセルに記憶された複数のアナログ重みの組み合わせであり得る。
【0067】
図4Bは、本開示の実施形態による、メモリデバイスを使用した長期記憶学習を行うための、重み記憶をサポートする複数のメモリセル405の読み出し動作の特徴を示すメモリアレイ445の実施例を示す。メモリアレイ445は、図3を参照したメモリアレイ303の実施例であり得る。メモリアレイ445は、複数のメモリセル405を含み得る。複数のメモリセル405は、複数のセンス線415-1、415-2、…、415-S(以下複数のセンス線415と総称する)、及び複数のアクセス線410-1、410-2、410-3、…、410-N(以下複数のアクセス線410と総称する)に結合され得る。
【0068】
複数の長期記憶動作を実行する前に、複数の強制書き込みサイクル動作がメモリアレイ445で実行され、メモリアレイ445のセルは不可逆的に劣化され得る。セルの不可逆的な劣化により、セルは、長期メモリセルとして機能することが可能となる。複数の強制書き込みサイクル動作により、メモリアレイ445のメモリセルの導電性が増加し得、これは、強制書き込みサイクル動作に続いて実行される長期記憶動作中のシナプス荷重の増加を表す。対照的に、ニューラルネットワーク動作を実行する前に強制書き込みサイクルが実行されていない図4Aで示されるメモリアレイ401のセルは、初期のコンダクタンスが低く、これはシナプス荷重が低いことを表す。従って、図4Aに示されるメモリアレイ401のセルは、短期メモリセルとして機能し得る。
【0069】
コントローラは、複数のメモリセル405に結合された1つ以上のセンス線415で生成された1つ以上の信号を含む出力449を検出し得る。センス線415の出力449は、複数のメモリセル405と結合されたアクセス線410に入力447を印加することに基づいて、生成され得る。例として、入力447は、セル405に印加される特定の電圧であり得、特定の電圧が少なくともセル405の閾値電圧であることに応答して、セル405は、出力信号を生成し得、これはセンス線415に沿って電流信号の1つとして送信される。例えば、出力449の信号には、電流信号(例えばI1-LT、I2-LT、I3-LST)が含まれ得る。電流信号I1-LT、I2-LT、及びI3-LTは、長期記憶学習から生じる電流信号であり得る。例として、長期記憶動作が実行される前に、10,000サイクルを超える多数の強制書き込みサイクルがメモリセル405で実行され得、これにより、長期記憶動作で生じるコンダクタンスは、図5-6Bに関連してさらに説明されるように、セルが短期メモリセルであった場合よりも、高くなる。
【0070】
図4Aに関連して説明される短期(ST)記憶学習、及び図4Bに関連して説明される長期(LT)記憶学習は、図4Aの短期記憶学習には出力(I1-ST、I2-ST、I3-ST)443のアナログ電流読み出しを使用して、図4Bの長期記憶学習には出力(I1-LT、I2-LT、I3-LT)449のアナログ電流読み出しを使用して、実行され得る。
【0071】
いくつかの実施例では、第1の部分のセル(例えば短期メモリセル)に記憶されたデータは、短期記憶学習の出力電流ベクトル(例えばベクトルI1-ST、I2-ST、I3-ST)が特定の電流閾値を上回ることに応答して、第2の部分に記憶されるように転送され得る。例として、記憶学習は、短期記憶学習から長期記憶学習への切り替えとして示され得る。従って、短期記憶学習に関連する重みパターンは、I1-ST > I(閾値)、I2-ST > I(閾値)、I3-ST > I(閾値)である場合に、短期メモリアレイから長期メモリアレイに移動され得る。長期増強(アレイのメモリセルで10,000回を超える強制書き込みサイクルを実行するなど)の後、I1-LT>I1-ST、I2-LT>I1-ST、I3-LT>I3-STとなる。言い換えると、メモリセル間の学習が特定の閾値を超えて増加したという指示に応答して、短期学習に関連付けられたメモリセル(例えば図4Aで説明され、かつ図1のメモリアレイ130の第1の部分122に関連付けられたセル)に記憶されたデータは、長期学習に関連付けられたメモリセル(例えば図4Bで説明され、かつ図1のメモリアレイ130の第2の部分124に関連付けられたセル)に、転送され得る。
【0072】
短期増強(短期記憶学習に関連付けられた)は、アレイの低訓練領域(例えば100~1,000回の書き込みサイクル)におけるアナログ電圧の低下(コンダクタンスの増加)を伴い得、従って、図5及び図6Bに関連して説明されるように、RESETの事前調整から始まる可逆的伝導増加を特徴とする。短期増強は、SSM技術を使用した読み出しパルス(RESET読み出し妨害)または3Dクロスポイントを使用した短SETパルスなどの可逆的な劣化メカニズムにより、可能となり得る。
【0073】
長期増強(長期記憶学習に関連付けられた)は、10,000~100,000回以上の書き込みサイクルの後にアレイを訓練することによる不可逆的な電圧低下(コンダクタンスの増加)を伴い得る。この事例では、短期記憶学習を使用して得られたパターンは、不可逆的な劣化メカニズムによりさらに強化され、これにより短期メモリセルが長期メモリセルに切り替わり得る。図6Aに関連して説明されるように、さらなる増強が強制書き込みサイクルにより可能となり、SET電圧が不可逆的に低下し得る。
【0074】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、三次元(3D)クロスポイントメモリアレイのメモリセルの閾値電圧のグラフ556の例を示す。グラフ556は、RESET状態551及びSET状態553のそれぞれに関して、セルの電圧にサイクル数がどのように影響するかを示す。
【0075】
グラフ556は、y軸に沿った閾値電圧555と、x軸に沿ったサイクル数557を示す。閾値電圧555は、任意の単位で示され、必ずしも実際の閾値電圧を示すわけではないが、閾値電圧の増加または減少を示す。0サイクルと100サイクルとの間の間隔552は、短期記憶学習フェーズに関連付けられる。10,000サイクルを超える間隔554は、長期記憶学習フェーズに関連付けられる。短期記憶学習中のメモリセルのコンダクタンスは、長期記憶学習フェーズ中よりも、低くなり得る(閾値電圧が高いことで示される)。短期記憶学習フェーズ(間隔552)と長期記憶学習フェーズ(間隔554)との間の間隔は、コンダクタンスの不可逆的な増加が生じる間隔を指す。サイクル数557が増加すると、メモリセルの閾値電圧555が低下し、これは、より多くのサイクル数がメモリセルで実行されて、コンダクタンスが増加したことを示す。このコンダクタンスの増加は、学習の増加を示し、シナプス荷重の増加を表し得る。
【0076】
一例では、短期記憶学習を示す間隔552は、短期メモリセル(例えば図1の第1の部分122)で短期記憶動作を実行した結果を示し得、長期記憶学習を示す間隔554は、長期メモリセル(例えば図1の第2の部分124)で長期記憶動作を実行した結果を示し得る。
【0077】
図6Aは、本開示の実施形態による、SET状態の自己選択(SSM)メモリセルの閾値電圧を示すグラフ666の例を示す。661で示されるプロットは、正極性読み出しに関する。663で示されるプロットは、負極性読み出しに関する。
【0078】
グラフ666は、y軸にメモリセルの閾値電圧665を、x軸に実行されたサイクル数667を示す。閾値電圧665は、任意の単位で示され、必ずしも実際の閾値電圧を示すわけではないが、閾値電圧の増加または減少を示す。0サイクルと100サイクルとの間の間隔662は、短期記憶学習フェーズに関連付けられる。10,000サイクルを超える間隔664は、長期記憶学習フェーズに関連付けられる。短期記憶学習中のメモリセルのコンダクタンスは、長期記憶学習フェーズ中よりも、低くなり得る。短期記憶学習フェーズ(間隔662)と長期記憶学習フェーズ(間隔664)との間の間隔は、コンダクタンスの不可逆的な増加が生じる間隔を指す。サイクル数667が増加すると、メモリセルの閾値電圧が低下し、これは、コンダクタンスの増加を示す。このコンダクタンスの増加は、学習の増加を示し、シナプス荷重の増加を表し得る。
【0079】
図6Bは、本開示の実施形態による、RESET状態の自己選択(SSM)メモリセルの閾値電圧を示すグラフ676の例を示す。671で示されるプロットは、負極性読み出しに関する。673で示されるプロットは、正極性読み出しに関する。
【0080】
グラフ676は、y軸にメモリセルの閾値電圧675を、x軸にサイクル数677を示す。閾値電圧675は、任意の単位で示され、必ずしも実際の閾値電圧を示すわけではないが、閾値電圧の増加または減少を示す。0サイクルと100サイクルとの間の間隔672は、短期記憶学習フェーズに関連付けられる。約10,000サイクルを超える間隔674は、長期記憶学習フェーズに関連付けられる。短期記憶学習中のメモリセルのコンダクタンスは、長期記憶学習フェーズ中よりも、低くなり得る。短期記憶学習フェーズ(間隔672)と長期記憶学習フェーズ(間隔674)との間の間隔は、コンダクタンスの不可逆的な増加が生じる間隔を指す。サイクル数677が増加すると、メモリセルの閾値電圧675が低下し、これは、コンダクタンスの増加を示す。このコンダクタンスの増加は、メモリセル間の学習の増加を示し、メモリセル間のシナプス荷重の増加であり得る。
【0081】
図7は、本開示の実施形態による、メモリデバイスを使用した短期記憶学習及び長期記憶学習の例示的な方法790を示す。方法790は、本明細書で説明されるように、コントローラ(例えば図1のコントローラ140)またはその構成要素により実施され得る。いくつかの実施例では、コントローラは、デバイスの機能要素を制御するためのコード集合を実行して、後述される機能を実行し得る。コントローラは、後述される機能の態様を、ハードウェア及び/またはファームウェアを使用して実行し得る。
【0082】
792にて、方法は、メモリアレイの複数の短期メモリセルで第1の複数のニューラルネットワーク動作を実行することを含み得る。コントローラは、ニューラルネットワーク動作を短期メモリセルで実行させ得る。ニューラルネットワーク動作は、生物学的短期記憶学習を模倣する短期記憶動作であり得る。
【0083】
794にて、方法790は、メモリアレイの複数の長期メモリセルで第2の複数のニューラルネットワーク動作を実行することを含み得る。コントローラは、ニューラルネットワーク動作を長期メモリセルで実行させ得る。ニューラルネットワーク動作は、生物学的長期記憶学習を模倣する長期記憶動作であり得る。
【0084】
796にて、方法790は、シナプス荷重に関連付けられたデータが短期メモリから長期メモリに移行されたことに応答して、複数の短期メモリセルのうちの少なくとも1つに記憶されたデータを、複数の長期メモリセルのうちの少なくとも1つに記憶されるように転送することを含み得る。例として、短期メモリセルは、シナプス荷重を示し得、これが増加したシナプス荷重に変化したことから、短期メモリセルのデータは長期メモリセルに転送され、長期メモリセルがこの増加したシナプス荷重を示し得る。
【0085】
図8は、本開示の実施形態による、メモリデバイスを使用した短期記憶学習及び長期記憶学習の例示的な方法880を示す。方法880は、本明細書で説明されるように、コントローラ(例えば図1のコントローラ140)またはその構成要素により実施され得る。いくつかの実施例では、コントローラは、デバイスの機能要素を制御するためのコード集合を実行して、後述される機能を実行し得る。コントローラは、後述される機能の態様を、ハードウェア及び/またはファームウェアを使用して実行し得る。
【0086】
891にて、方法880は、ニューラルネットワーク動作のために、可変抵抗メモリセルのアレイの第1の部分を短期メモリセルとして作動させることを含み得る。短期メモリセルとしての可変抵抗メモリセルのアレイの第1の部分の作動には、実行される動作の数に基づいて短期メモリセルが可逆的に劣化するように作動させることが含まれ得る。
【0087】
893にて、方法880は、ニューラルネットワーク動作のために、アレイの第2の部分を長期メモリセルとして作動させることを含み得る。アレイの第2の部分の作動には、実行される動作の数に基づいて長期メモリセルが不可逆的に劣化するように作動させることが含まれ得る。
【0088】
895にて、方法880は、ニューラルネットワーク動作に関する短期メモリのシナプス荷重の増加を表すために、リセット状態とセット状態との間で、可変抵抗メモリセルのうちの第1のメモリセルのコンダクタンスを増加させることを含み得る。897にて、方法880は、ニューラルネットワーク動作に関する長期メモリのシナプス荷重の増加を表すために、劣化されたリセット状態と劣化されたセット状態との間で、複数の可変抵抗メモリセルのうちの第2のメモリセルのコンダクタンスを増加させることを含み得る。
【0089】
前述の方法は可能な実施態様を説明すること、並びに動作及びステップは再配置あるいは変更されてもよいこと、並びに他の実施態様が可能であることに、留意されたい。さらに、2つ以上の方法の実施形態が組み合わされてもよい。
【0090】
メモリデバイスを含む本明細書で論じられるデバイスは、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム合金、ガリウムヒ素、窒化ガリウムなどの半導体基板上に形成され得る。いくつかの事例では、基板は、半導体ウェーハである。他の事例では、基板は、シリコンオンガラス(SOG)またはシリコンオンサファイア(SOP)などのシリコンオンインシュレータ(SOI)基板、あるいは別の基板上の半導体材料のエピタキシャル層であり得る。基板または基板のサブ領域の導電性は、リン、ホウ素、またはヒ素を含むがこれらに限定されない様々な化学種を使用したドーピングを通して、制御され得る。ドーピングは、基板の初期形成または成長中に、イオン注入により、または任意の他のドーピング手段により、実行され得る。
【0091】
添付の図面に関連して本明細書に記載される説明は、例示的な構成を説明しており、実施され得る、または特許請求の範囲に含まれる全ての実施例を表すものではない。本明細書で使用される「例示的」という用語は、「例、事例、または例示として役立つ」ことを意味し、「好ましい」または「他の例よりも有利である」という意味ではない。発明を実施するための形態には、説明される技法の理解を提供する目的で、具体的な詳細が含まれる。しかし、これらの技法は、これらの具体的な詳細がなくても実践され得る。いくつかの事例では、説明される実施例の概念が曖昧になることを避けるために、周知の構造及びデバイスがブロック図の形式で示される。
【0092】
本明細書に説明される情報及び信号は、様々な異なる技術及び技法のうちのいずれかを使用して表され得る。例えば、上記の説明全体を通して言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁性粒子、光学場もしくは光学粒子、またはこれらの任意の組み合わせにより、表され得る。
【0093】
本明細書の開示に関連して説明される様々な例示的なブロック及びモジュールは、汎用プロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、もしくは他のプログラムマブル論理デバイス、個別ゲートもしくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、または本明細書で説明される機能を実行するように設計されたこれらの任意の組み合わせを用いて、実装または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替的に、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ(例えばデジタル信号プロセッサ(DSP)とマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併用する1つ以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のこのような構成)として、実装されてもよい。
【0094】
本明細書の説明は、当業者が本開示を作成または使用することを可能にするために提供される。本開示に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される全般的原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の変形形態に適用することができる。従って、本開示は、本明細書で説明される実施例及び設計に限定されず、本明細書で開示される原理及び新たな特徴と一貫した最も広い範囲を認められるべきである。
【0095】
前述の発明を実施するための形態では、本明細書の一部を形成し、例示として具体的な実施例が示される添付図面への参照が行われる。図面では、同様の番号は、いくつかの図を通して実質的に類似する構成要素を表す。他の実施例を利用してもよく、本開示の範囲から逸脱することなく構造的、論理的、及び/または電気的な変更を行ってもよい。
【0096】
本明細書の図は、最初の一桁または複数桁の数字が図面の図番号に対応し、残りの桁の数字が図面の要素または構成要素を識別する、番号付け規則に従う。異なる図面において類似する要素または構成要素は、類似の数字を使用することにより識別され得る。理解されるように、本開示のいくつかの付加的な実施形態を提供するために、本明細書の様々な実施形態に示される要素は、追加、交換、及び/または除去することができる。さらに、理解されるように、図に提供される要素の比率及び相対的大きさは、本開示の実施形態を例示することを意図しており、限定的な意味として解釈されるべきではない。
【0097】
本明細書で使用される「a」、「an」、または「いくつかの(a number of)」ものは、1つ以上のそのようなものを指し得る。「複数の(plurality)」ものは、2つ以上を意図する。本明細書で使用される「結合される(coupled)」という用語は、電気的に結合されること、介在要素なしで直接的に結合及び/または直接的に接続されること(例えば直接の物理的な接触により)、あるいは介在要素により間接的に結合及び/または間接的に接続されることを含み得る。用語「結合される」はさらに、相互に協働または作用する(例えば因果関係にあるような)2つ以上の要素を含み得る。
【0098】
本明細書では具体的な実施例が示され説明されたが、示された実施形態は、同じ結果を達成するように意図された構成と置き換えられてもよいことを、当業者は理解するであろう。この開示は、本開示の1つ以上の実施形態の適応形態または変形形態を含める意図がある。上記の説明は、例示的なものであり、限定的なものではないことを理解されたい。本開示の1つ以上の実施例の範囲は、添付の特許請求の範囲を、添付の特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲と併せて参照して、特定されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-02-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の複数の可変抵抗メモリセルを含む第1の部分と、
強制書き込みサイクルにより劣化された第2の複数の可変抵抗メモリセルを含む第2の部分と、
を備えるメモリアレイと、
前記第1の部分及び前記第2の部分に結合されたメモリコントローラと、
を備えた装置であって、
前記メモリコントローラは、
短期記憶動作のために前記第1の部分を作動させることと、
長期記憶動作のために前記第2の部分を作動させることと、
を実行するように構成される、
前記装置。
【請求項2】
前記コントローラは、RESET読み出し妨害パルスを印加して、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの前記RESET読み出し妨害を適用したいずれかのメモリセルのコンダクタンスを変更させることにより、短期記憶動作のために前記第1の部分を作動させるように構成され、
前記コンダクタンスは、シナプス荷重またはシナプス荷重の一部分を表す、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラは、短SETパルスを実行して、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの前記短SETパルスを印加したいずれかのメモリセルのコンダクタンスを変更させることにより、短期記憶動作のために前記第1の部分を作動させるように構成され、
前記コンダクタンスは、シナプス荷重またはシナプス荷重の一部分を表す、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記メモリコントローラは、RESET状態中の前記第1の複数のメモリセルのうちのいずれかのメモリセルのコンダクタンスを、SET状態に遷移せずに、パルスを印加して増加させることにより、短期記憶動作のために前記第1の部分を作動させるように構成され、
前記コンダクタンスを増加させることは、短期シナプス荷重の増加を表す、
請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1の複数のメモリセルのうちのいずれかのメモリセルの前記コンダクタンスをリセットすることにより、短期記憶動作のために前記第1の部分を作動させるように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記メモリコントローラは、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルの前記RESET状態よりも、コンダクタンスの高いRESET状態中の前記第2の複数の可変抵抗メモリセルのうちのいずれかのメモリセルのコンダクタンスを、パルスを印加して増加させることにより、長期記憶動作のために前記第2の部分を作動させるように構成され、
前記コンダクタンスを増加させることは、長期シナプス荷重の増加を表す、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記メモリコントローラは、前記第2の部分を作動させる前に、前記第2の複数の可変抵抗メモリセルで前記強制書き込みサイクルを実行するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
記メモリコントローラは、少なくとも10,000回の強制書き込みサイクルを実行するように構成され、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
記メモリコントローラは、前記第2の複数の可変抵抗メモリセルを、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルの劣化状態よりも進行した劣化状態にさせるように構成され、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
記メモリコントローラは、前記第2の複数の可変抵抗メモリセルのそれぞれに関連付けられたコンダクタンスを、不可逆的に増加させるように構成され、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
記メモリコントローラは、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちのいずれかのメモリセルで、1000回未満の短期記憶動作を実行するように構成され、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
記メモリコントローラは、動基準が満たされたことに応答して、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの特定の1つのメモリセルを、前記第2の複数の可変抵抗メモリセルのうちの1つのメモリセルとして、再分類するうに構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記作動基準は、
記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの前記特定の1つのメモリセルで、閾値回数を超える短期記憶動作が実行されることと、
RESET状態中の前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの前記特定の1つのメモリセルのコンダクタンスが、閾値より大きくなることと、
を含む作動基準群のうちの1つを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記メモリコントローラは、長期記憶動作のために前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの前記特定の1つのメモリセルを作動させる前に、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルのうちの前記特定の1つのメモリセルで強制書き込みサイクルを実行するように構成される、請求項12~1のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
記メモリコントローラは、前記第1の複数の可変抵抗メモリセルの部分集合のそれぞれのコンダクタンスを変更するように構成され前記コンダクタンスは学習アルゴリズムのデータに対応し、
前記メモリコントローラは、前記学習アルゴリズムが長期学習の発生を示したことに応答して、前記第2の複数のメモリセルの部分集合に、前記データを移動させるように構成される、
請求項12~1のいずれか1項に記載の装置。
【国際調査報告】