(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-05
(54)【発明の名称】エアログリッパ装置、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
B65H 3/08 20060101AFI20220829BHJP
B65H 7/12 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
B65H3/08 340
B65H7/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021578157
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2020040269
(87)【国際公開番号】W WO2021003141
(87)【国際公開日】2021-01-07
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503204222
【氏名又は名称】ザ ノース フェイス アパレル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】The North Face Apparel Corp.
【住所又は居所原語表記】3411 Silverside Road,Wilmington,Delaware 19810 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バラバノフ,ディミトリ
(72)【発明者】
【氏名】スチュワード,ドウェイン
【テーマコード(参考)】
3F048
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AB10
3F048BA13
3F048BB02
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3F343MB04
3F343MB13
3F343MB14
3F343MC06
3F343MC13
3F343MC17
(57)【要約】
装置は、曲面(106)と、流体を曲面に隣接して移動させるように配置された流体出口(110)と、曲面に隣接して配置された材料(300)を検出するように構成されたセンサ(112)と、曲面に隣接して配置された材料の、センサを介しての検出に基づいて起動するように構成されたクランプ(202)であって、作動時に材料を曲面に固定するようにさらに構成されているクランプ(202)と、を備え得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面と、
前記曲面に隣接して流体の流れを惹起するように配置された流体出口と、
前記曲面に隣接して配置された材料を検出するように構成されたセンサと、
前記曲面に隣接して配置された材料の、前記センサを介しての検出に基づいて起動するように構成されたクランプであって、作動時に前記材料を前記曲面に固定するようにさらに構成されているクランプと、を備える装置。
【請求項2】
前記曲面は、湾曲体の少なくとも一部分を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記湾曲体は、ほぼ円筒形状を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記流体出口は、加圧流体源と連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記流体出口は、加圧空気源と連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記材料へ不規則性を導入するように構成されたアジテータをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記不規則性は、波または伸びである、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記クランプは、前記材料の第1の縁部を前記材料の第2の反対側の縁部に向かって剥離するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記センサは、前記材料が前記曲面に固定された時点を検出するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記材料が前記曲面に固定されたことを検出すると、前記センサは、前記流体の流れを停止するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
材料プライのスタックから少なくとも1つのプライをデスタックするための方法であって、
材料プライのスタックを固定することと、
前記材料プライのスタックの最上プライに隣接して空気力学的揚力を生成することと、
前記最上プライの持ち上げを感知したことに基づいて、前記最上の材料プライを曲面へ固定するためのクランプを作動させることと、を含む方法。
【請求項12】
前記空気力学的揚力は、空気源を介して空気流を開始することによって生成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プライの第1の縁部が前記材料プライのスタックから係合解除されたかどうかを、センサを介して検出することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の縁部が持ち上げられていないことを検出すると、前記材料プライのスタックの前記最上プライを、アジテータを使用して撹乱させることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記撹乱は、前記最上プライに波または伸びを導入することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記クランプが前記最上の材料プライを固定したことを、前記センサを介して検出すると、前記空気流を係合解除することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記クランプを使用して、前記最上プライの第1の縁部を持ち上げることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記クランプを使用して、前記最上プライの前記持ち上げられた第1の縁部を前記最上プライの第2の縁部に向かって引っ張ることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
材料プライのスタックから少なくとも1つのプライをデスタックするためのシステムであって、
本体と、
前記本体に取り付けられた湾曲体であって、曲面をさらに備える湾曲体と、
流体を受容するために前記本体の第1の側に配置された流体入口と、
流体を前記曲面に隣接して移動させるように構成された、前記流体入口に1つ以上のチャネルを介して接続された複数の流体出口と、
前記曲面に隣接して配置された材料を検出するように構成されたセンサと、
前記曲面に隣接して配置された材料の、前記センサを介しての検出に基づいて起動するように構成されたクランプであって、作動時に前記材料を前記曲面に固定するようにさらに構成されているクランプと、を備えるシステム。
【請求項20】
前記材料に不規則性を導入するように構成されたアジテータをさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、材料取り扱い装置、システム、および方法に関し、より具体的には、布地プライのスタックから最上プライを分離し移動させるためのエアログリッパ装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料品の製造では、様々なプロセスで布地を複数の層またはプライに並べるのが一般的である。例えば、布地は、切断テーブル上に層またはプライのスタックに置かれ、次いで、布層の厚さ全体を通して所望のパターンに切断されて、アパレル片のスタックを形成し得る。次いで、個々の布地片は、スタックから分離され、縫製作業または組み立てプロセスで衣服の他の構成要素につなぎ合わされる必要がある。そのような布地部分は、必要に応じて、ポケット、袖、または他の衣服構成要素などのアイテムを含み得る。単一の布地プライを同一の布地片のスタックから機械的に分離することが課題である。例えば、布地は、十分に硬くなく、比較的しなやかで柔軟性があるので、困難が発生し得る。さらに、層間および縁部間の摩擦により、プライが互いにくっつく可能性がある。したがって、シート状の木材、紙、または比較的硬い他の物品に関連して十分に機能する技術は、一般に、布地プライに関連してうまく利用されていない。同様の形状の布地プライのスタックからの1つの布地プライの分離を機械化するいくつかの試みには、ピン、ペンチ、吸引デバイス、ローラー、フック、バーブ、エアブラスト、摩擦バックリングデバイスなどが含まれる。
【0003】
一例として、エアブラストを利用する1つのタイプの布地プライ分離デバイスが、Carrollの米国特許第3,877,695号の特許に図示および記載されている。Giesonらの米国特許第4,462,585号の米国特許に示されているもののような他のデバイスは、その顎部間の距離を間接的かつ機械的に感知して、1つ以上のシートがクランプされたかどうかを判定する機械的把持デバイスを利用している。
【0004】
しかしながら、改善が必要である。
【発明の概要】
【0005】
装置は、曲面と、流体を曲面に隣接して移動させるように配置された流体出口と、曲面に隣接して配置された材料を検出するように構成されたセンサと、曲面に隣接して配置された材料の、センサを介しての検出に基づいて起動するように構成されたクランプであって、作動時に材料を曲面に固定するようにさらに構成されているクランプと、を備え得る。
【0006】
材料プライのスタックから少なくとも1つのプライをデスタックするための方法は、材料プライのスタックを固定することと、材料プライのスタックの最上プライに隣接して空気力学的揚力を生成することと、最上プライを感知したことに基づいて、最上の材料プライを曲面へ固定するためのクランプを作動させることと、を含み得る。
【0007】
材料プライのスタックから少なくとも1つのプライをデスタックするためのシステムは、本体と、本体に取り付けられた湾曲体であって、曲面をさらに備える湾曲体と、流体を受容するために本体の第1の側に配置された流体入口と、流体を曲面に隣接して移動させるように構成された、流体入口に1つ以上のチャネルを介して接続された複数の流体出口と、曲面に隣接して配置された材料を検出するように構成されたセンサと、曲面に隣接して配置された材料の、センサを介しての検出に基づいて起動するように構成されたクランプであって、作動時に材料を曲面に固定するようにさらに構成されているクランプと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の図面は、概して、本開示に論じられる様々な例を、限定としてではなく、例として示す。図面において、
【0009】
【
図3】布地プライをクランプする、
図2の例示的なシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載されているのは、材料取り扱いのための装置、システム、および方法である。一実施例として、エアログリッパ装置は、スタックの残りの部分の完全性を維持しながら、複数の(例えば、スタック)柔軟または半剛性の布地プライまたは層から、1つ以上のプライをデスタックするように構成され得る。システムおよび/または方法は、本明細書に記載の工程を行うために、管理または製造プロセスの1つ以上の工程から情報を獲得し得る。本明細書では、例示として布地またはテキスタイルを参照し得る。しかしながら、より広い範囲の材料への適用が企図されており、したがって、そのような例示的な用語に限定されるべきではない。
【0011】
さらなる実施例として、複数のプライまたは層から1つ以上のプライをデスタックするための方法は、布地プライのスタックを接触によって機械的に固定することを含み得る。いったん固定されると、布地スタックの最上プライに隣接して配置された湾曲体(例えば、円筒体)の周りに空気を流すことによって、(例えば、エアログリッパ装置を介して)空気力学的揚力が生成される。一定時間たっても布地の縁部が持ち上げられない場合は、アジテータを使用して布地スタックを乱してもよい。それでも縁部が持ち上げられない場合は、エアログリッパが素早く持ち上げられて追加の低圧力を生成し、少なくとも最上の布地プライまたは層を乱し得る。センサがプライの持ち上げられた縁部を検出すると、クランプが作動されて、1つ以上の布地プライをエアログリッパ装置に固定し得る。空気の流れは、停止され得る。エアログリッパ装置は、布地の固定された縁部とともに、持ち上げられた縁部から反対側の縁部に引き戻され得、その結果、スタックから少なくとも単一のプライが取り出される。
【0012】
図1は、例示的な装置100(例えば、エアログリッパ装置)を示す。装置100は、本体102を備え得る。本体は、材料プライまたは切断された材料構成要素を受容するように構成された布地または材料取り扱いフレームなどのフレームに取り付けられて移動可能であるように構成され得る。
【0013】
湾曲体104が、本体102に結合されるか、または本体102とともに形成され得る。いくつかの実施形態では、湾曲体104は、ほぼ円筒形状を備え得る。湾曲体104は、曲面106を備え得る。様々な曲線が使用され得る(例えば、対数曲線、放物線など)。曲面106は、乱流を最小限に抑えるために、平滑であり得る(例えば、突起、隆起などがないか、または最小限)。
【0014】
流体入口108が、本体102に結合されるか、または本体102と一体化され得る。流体入口108は、空気などの流体が曲面106に向かって流れることを可能にするように構成され得る。一実施例として、流体入口108は、流体を、本体102の一部分を通って曲面106に向かわせるように構成された導管を備え得る。1つ以上の流体出口110が、本体102の一部分に隣接して、またはそれを貫いて配置され得る。1つ以上の流体出口110は、開口を備え得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の流体出口は、本体102に取り付けられた、もしくは本体102と一体化された、またはそうでなければ湾曲体104と遠位で結合されたプレートに、ドリルまたはパンチ穿孔された開口(例えば、円筒形開口)であり得る。そのような円筒形流体出口は、(集中型円錐ではなく)誘導された流体の「拡散」円錐効果を生み出し、それによって、より多くの空気を表面と係合させる(例えば、湾曲体または曲面の全範囲に沿って1つの長い円筒形出口を効果的に作り出す)ように構成されている。あるいは、流体出口は、小さな円形出口のアレイとして構成され得る(例えば、現在の2つの間に追加出口を追加して、効果的に一列の空気出口を作り出す)。出口は、(
図1に示された実施形態のように)曲面の外部とするか、または曲面と一体化して、空気を曲面の接線方向に放出させることができる。流体出口110の数、密度、および幾何学的パラメータは、空気動的効果の所望の強度、どこが分離点となるか、流体入口108における流体圧力、空気流量などに依存し得る。
【0015】
1つ以上の流体出口110は、流体が流体出口110を出る点または線で曲面106に対して実質的に垂直に(または接線方向に)流体の流れを誘導し、それによって曲面の周りで流体の流れを開始して、スタックの残りの部分から1つ以上の最上の材料プライの分離を開始するのに必要な揚力を作り出すように構成され得る。空気が平滑な曲面106を超えて吹き出されると、空気の「境界」層が曲面106のすぐ隣に形成され、それにまとわりついて、その表面の輪郭に追従し得る。そのような構成により、スタックの残りの部分を乱すことなく、材料スタックから単一のプライを持ち上げることが可能となる。形成される空気の境界層は、少なくとも1つの材料プライを持ち上げることを可能にするいくつかの特性を含む。一例として、空気は、(真空グリッパの場合のように)それを通ってではなく、曲面106に隣接して配置された材料(例えば、布地)の表面にほぼ平行に移動し得る。曲面106に隣接する空気は、ゆっくりと移動することもあれば、または静止することさえある。曲面106から遠ざかるように半径方向に移動する、空気の速度は劇的に増加し、表面から離れたある小さな距離で最大に達し、曲面106からさらに離れたある距離で徐々に減少する。事実上、形成された空気層は、曲面106を包み込むように構成された「移動の速い空気のシート」であり得る。円筒形の場合、円筒形の前面にある「分離」スポット(例えば、線)(例えば、空気が円筒形に衝突する場所から約120度)。分離スポットでは、空気のシートが円筒形から分離し、円筒形に対して実質的に接線方向に流れ得る。円筒形状を有するものを含む代替設計構成では、「空気のシート」に、表面を完全に包み込ませ得る。上記の実施形態では、揚力プロセスは、材料の多孔性に依存せず、多孔性および非多孔性の材料に利用され得る。
【0016】
1つ以上の流体出口110は、流体入口108と流体連通し得る。1つの例示的な実施形態では、本体102の内部は、例えば、本体102の第1の側(例えば、湾曲体104から最も遠い側)に、流体入口108を接続する複数のチャネル(例えば、2つ以上)を含み、本体102の別の側(例えば、湾曲体104に最も近い側)に1つ以上の流体出口110を含み得る。いくつかの実施形態では、単一の流体入口チャネルが、出口の数(この場合は2つ)だけ分割され得る。チャネルの形状は、各チャネルを通って流れる流体がチャネル間で実質的に均等に分割されるように、実質的に同一であり得る。チャネルが異なる形状(例えば、直径など)を備える場合、流体が不均一に分配され、他の出口よりも多くの流体が一部の出口から流出し得る。空気などの流体は、約80~100psiの圧力で、流体入口108と流体出口110との間を通過し得る。他の圧力および流体を使用してもよい。流体の流れは、圧縮機によって、または曲面106の外部または内部にあるプロペラもしくはファン機構を有する電気モータによって、生成され得る。
【0017】
センサ112が、曲面106に隣接する1つ以上の状態を感知するように配置され得る。
図1に示されたように、センサ112は、本体102に隣接して配置され得、本体102に取り付けられ得る。一実施例として、赤外線(IR)タイプのセンサ(例えば、光センサ)が、光ビームを放出し、(例えば、プライの縁部がビームの窓を覆ったときの)ビームの遮断を感知するように構成され得る。部分的に布地/材料に応じて、他のセンサを容易に使用することができる。センサ112は、ビームが遮断されたこと(したがって、プライの縁部がうまく持ち上げられたこと)だけでなく、持ち上げられたプライが1つ以上ある(例えば、隣接するプライが一番上のプライにくっついていることがある)かどうかを感知するように構成され得る。センサ112は、曲面106の外部にあってもよいし、または曲面106と一体化されていてもよい。センサ112が曲面106に隣接してよりよく感知できるようにするために、1つ以上のセンサ開口114、116または窓を本体102および/または湾曲体104に形成し得る。
【0018】
図2は、フレーム200に結合された装置100を示す。1つ以上のクランプ202が、装置100に隣接してフレーム200上に配置され得る(例えば、装置100の上部に取り付けられ得る)。クランプ202は、持ち上げられた布地片またはプライなどの材料プライを、湾曲体104に対して固定するために作動する(例えば、起動する)ように構成され得る。クランプは、プライの持ち上げられた縁部と係合し、例えば、湾曲体104の一部分に対してそれを保持するように構成された機械的クランプ機構(例えば、二本指クランプまたは他のそのような衝撃クランプ)であり得る。他の実施形態では、クランプ202は、非制限的/非機械的(例えば、接着剤ベース、空気/吸引ベース、磁気など)であり得る。フレーム200は移動可能であり得、
図3に示されたように、布地片またはプライのスタック300に隣接して装置100を位置決めするために使用され得る。材料プライが曲面106に隣接していることをセンサ112がいったん感知すると、クランプ202が、
図3に示されたように作動され得る。プライがクランプ202によって湾曲体104に固定されたことをセンサ112がいったん感知すると、空気流が停止され得る。
【0019】
図4A~
図4Cは、複数のプライまたは層から1つ以上のプライをデスタックするためのプロセスが、接触によって布地プライのスタックを機械的に固定することを含み得ることを示す。いったん固定されると、布地のスタックの最上プライに隣接して配置された湾曲体(例えば、円筒体)の周りに空気を流すことによって、(例えば、エアログリッパ装置を介して)空気力学的揚力が生成される。一定時間たっても布地の縁部が持ち上げられない場合、布地スタックを乱すために、アジテータ400が使用され得る。例えば、アジテータ400は、布地の縁部を持ち上げる際の空気力学的揚力を支援するために使用され得る。アジテータ400は、プライに不規則性(例えば、波)を導入することによって、間接的に縁部を持ち上げるために使用され得る。一例として、アジテータ400は、プライまたはプライの一部分をわずかに伸ばしたり、または可逆的に変形させたりすることができ、その結果、プライの表面に導入された不規則性(例えば、うねり)が空気力学的揚力を増大させる間に、一番上のプライが下のものから機械的に分離される。このようにして、アジテータは、空気力学的揚力の前のプライマーとして作用し得る。すなわち、一定時間持続(例えば、2~3秒)後に、空気力学的揚力がプライの縁部を固定できない場合、アジテータを作動させるために、信号が送信され得る。このプロセス中、空気流は、係合され得る。次いで、アジテータ400は、伸び、波、または他のそのような不規則性を一番上のプライに導入して、プライの縁部を持ち上げさせ得る。いくつかの実施形態では、このプロセスは、オペレータの介入なしに実行し得る。
【0020】
非限定的な実施例として、アジテータ400は、材料プライのスタックの間に乱流を生成するように構成された機械的装置を備え得る。さらなる実施例として、アジテータ400は、クランプ202と同様の機械的装置(例えば、2本指クランプ)を備え得る。他の構成を使用してもよい。例えば、アジテータは、アクチュエータ(例えば、モータ)に接続されたホイールを備え得る。別の例では、アジテータ400は、回転し、それによって一番上のプライと機械的に係合するように構成され得る曲面(例えば、円筒形)の一部分を備え得る。さらに別の実施形態では、エアログリッパ装置100は、アジテータをプライのスタックに押し付け、エアログリッパ装置100をわずかに後方に引っ張ることによって、アジテータとして使用されるように構成される。
【0021】
それでも縁部が持ち上げられない場合、エアログリッパを素早く持ち上げて追加の低圧力を生成し、少なくとも最上の布地プライまたは層を乱してもよい。センサがプライの持ち上げられた縁部を検出すると、クランプが作動されて、1つ以上の布地プライをエアログリッパ装置に固定し得る。空気の流れは、停止され得る。エアログリッパ装置100は、布地の固定された縁部とともに、持ち上げられた縁部から反対側の縁部に引き戻され得、その結果、スタックから少なくとも単一のプライが取り出される。
【0022】
図5は、
図4A~
図4Cに示されたような例示的な方法の流れ図である。ステップ510で、プライ(例えば、布地プライ)のスタックが(例えば、接触によって)固定され得る。ステップ512で、空気力学的揚力が生成され得る。揚力は、例えば、空気源(例えば、流体入口108)を介して空気流を開始することによって生成され得る。ステップ514で、エアログリッパ装置(例えば、装置100)が、プライの縁部を持ち上げ得る。プライが空気流によって係合されない場合、アジテータ(例えば、アジテータ400)が作動されて、最上プライに不規則性を導入し得る。プライの縁部がスタックから係合解除されていない場合、エアログリッパ装置が迅速に持ち上げられ得、ステップ512および514が繰り返され得る。ステップ516で、プライの縁部の持ち上げが検出されたときに、クランプ(例えば、クランプ202)が作動され得る。ステップ518で、クランプは、プライを固定し得る。ステップ520で、空気流は、係合解除され得る。ステップ522で、プライの縁部が、持ち上げられた縁部から反対側の縁部まで剥離され得(例えば、引き戻され得)、その結果、スタックの最上プライが取り出される。
【0023】
装置、方法、およびシステムは、特定の方法、特定の構成要素、または特定の実装形態に限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0024】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。範囲は、本明細書では、「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表されている場合がある。そのような範囲が表されているとき、別の実施形態は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」を使用して値が近似値として表されているとき、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されよう。さらに、各範囲の終点は、他の終点に関しても、他の終点とは無関係でも重要であることが理解されよう。
【0025】
「任意選択の」または「任意選択的に」とは、その後に説明される事象または状況が、発生し得る、または発生し得ないことと、説明が、事象または状況が発生する場合と発生しない場合とを含むこととを意味する。
【0026】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」という語ならびに「含む(comprising)」および「含む(comprises)」などの語の変形は、「含むがこれらに限定されない」を意味し、例えば、他の構成要素、整数、またはステップを除外することを意図しない。「例示的な」とは、「の一実施例」を意味し、好ましいまたは理想的な実施形態の示唆を伝えることを意図するものではない。「など」は、限定的な意味ではなく、説明の目的で使用される。
【0027】
本明細書において範囲は、ある値(第1の値)から別の値(第2の値)までとして表すことができる。そのような範囲が表される場合、その範囲は、いくつかの態様では、第1の値および第2の値の一方または両方を含む。同様に、先行詞「約」を用いて値が近似値として表される場合、特定の値が別の態様を形成することが理解されよう。さらに、各範囲の終点は、他の終点に関しても、他の終点とは無関係でも重要であることが理解されよう。本明細書に開示された多数の値があり、そして各値がまた、その値自体に加えて「約」その特定の値として本明細書に開示されることもまた理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。2つの特定のユニット間の各ユニットもまた開示されていることも理解される。例えば、10と15が開示されている場合、11、12、13、および14も開示されている。
【0028】
本明細書で使用されるとき、用語「約」および「でまたは約」は、問題の量または値が指定値、ほぼ指定値、または指定値とほぼ同じであり得ることを意味する。本明細書で使用されるように、特に示されないかまたは推論されない限り、それは±10%の変動を示す公称値であることが一般的に理解される。この用語は、類似の値が特許請求の範囲に記載された同等の結果または効果を促進することを伝えることを意図している。すなわち、量、大きさ、配合物、パラメータ、ならびに他の量および特性は正確ではなく、かつ正確である必要はなく、許容誤差、換算係数、四捨五入、測定誤差など、ならびに当業者に知られている他の要因を反映しておおよそおよび/またはそれより大きくもしくは小さくなり得ることが理解される。一般に、量、大きさ、配合物、パラメータまたは他の量もしくは特徴は、そうであると明示的に述べられているかどうかにかかわらず、「約」または「およそ」である。定量的値の前に「約」が使用されている場合、特に明記しない限り、パラメータは具体的な定量的値自体も含むことが理解される。
【0029】
説明された方法およびシステムを実行するために使用され得る構成要素が説明されている。これらの構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが説明されるとき、これらの様々な個々のおよび集合的な組み合わせおよび順列のそれぞれへの特定の言及は明示的に説明されていないこともあるが、すべての方法とシステムについて、本明細書ではそれぞれが具体的に企図および説明されていることが理解される。これは、説明されている方法での動作を含むがそれらに限定されない、本出願のすべての態様に適用される。したがって、実行され得る様々な追加動作が存在する場合、これらの追加動作のそれぞれは、記載された方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせで実行され得ることが理解される。
【0030】
上記の説明は例示的であり、限定的ではないことが意図されている。例えば、上述の例(またはその1つ以上の態様)を互いに組み合わせて使用することができる。上記の説明を検討することで、当業者によってなど、他の実施形態を使用することができる。要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるようにするために、37 CFR§1.72(b)に準拠して提供されている。特許請求の範囲または意味を解釈または限定するために使用されることはないとの理解のもとに提出されている。また、上記の詳細な説明では、開示を簡素化するために様々な特徴を一緒にグループ化することができる。これは、請求されていない開示された機能がいかなる請求にも不可欠であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴にない場合がある。したがって、以下の特許請求の範囲は、実施例または実施形態として詳細な説明に組み込まれ、各特許請求の範囲は別個の実施形態として独立したものであり、そのような実施形態は様々な組み合わせまたは順列で互いに組み合わせることができる。
【0031】
特に明記しない限り、本明細書に記載のいかなる方法も、その動作が特定の順序で実行されることを必要とすると解釈されることを決して意図するものではない。したがって、方法の請求項がその動作が従うべき順序を実際には記載していないか、または動作が特定の順序に限定されるべきであることが特許請求の範囲もしくは説明において別段に具体的に述べられていない場合、いずれにしても、順序が推定されると決して意図するものではない。これは、ステップまたは動作の流れの構成に関する論理事項、文法上の編成または句読点から派生した単純な意味、および本明細書に記載されている実施形態の数または種類を含む、任意の可能性のある明白ではない解釈の根拠にも適用される。
【0032】
本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、様々な改変および変形がなされ得ることは当業者には明らかであろう。本明細書に記載の仕様および実用形態を考慮して、当業者には他の実施形態が明らかであろう。本明細書および例示的な図は単なる例示と見なされ、真の範囲および趣旨は、以下の請求項によって、そのような請求項が権利を与えられる同等物の全範囲とともに示されることが意図される。
【国際調査報告】