(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-05
(54)【発明の名称】エアロゾル送達装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 11/04 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
A61M11/04 300E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021578236
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 US2020040765
(87)【国際公開番号】W WO2021003438
(87)【国際公開日】2021-01-07
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522001493
【氏名又は名称】エアージャ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】コネリー,ビバリー
(72)【発明者】
【氏名】ウェンズリー,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ロイド,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ウェンズリー,デイビッド
(57)【要約】
供給源から製剤を受容するように構成された回転ポンプを備えた、ユーザへの物質送達のためのエアロゾル化装置であって、製剤が、ユーザの生理学的変化をもたらすように設計された標的物質を含み、回転ポンプがさらに、供給源から製剤を輸送し、ユーザによる吸入のために気化素子の助力により蒸気形態で製剤を送達するように構成されている、エアロゾル化装置が説明されている。
【選択図】
図38B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給源から製剤を受容するように構成された回転ポンプを備えた、ユーザへの物質送達のためのエアロゾル化装置であって、
前記製剤が、前記ユーザの生理学的変化をもたらすように設計された標的物質を含み、前記回転ポンプがさらに、前記供給源から前記製剤を輸送し、前記ユーザによる吸入のために気化素子の助力により蒸気形態で前記製剤を送達するように構成されている、
エアロゾル化装置。
【請求項2】
前記回転ポンプが、1以上の軸を中心に回転するように構成された少なくとも1つの回転可能素子を備え、
前記回転ポンプが、前記少なくとも1つの回転可能素子の回転運動を介して前記製剤を輸送するように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記製剤が前記回転ポンプによって輸送されているときに、前記製剤が前記回転可能素子の表面上で流される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記回転ポンプが、前記少なくとも1つの回転可能素子を駆動するように構成されたアクチュエータを備えている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記アクチュエータが、磁石および/または電磁石を備えている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの回転可能素子が、ブレードまたはベーンを備えている、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記気化素子が、ヒータを備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ヒータが、抵抗加熱素子または誘導加熱素子を備えている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記回転ポンプが、前記製剤を前記気化素子へ輸送するように構成され、
前記気化素子が、前記製剤を液体状態から前記蒸気形態へと変換させるように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記製剤が、前記供給源内に保持されたときに液体状態である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記製剤が、前記回転ポンプを通って輸送されているときに、液体状態である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記回転ポンプおよび前記気化素子が、別個の個別の構成要素として提供されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記気化素子が、前記回転ポンプに作動可能に連結されている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記気化素子が、前記回転ポンプと一体化しているか、または前記回転ポンプ上にある、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記製剤が前記ポンプによって輸送されているときに、前記ポンプが前記製剤の粘度を測定するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
ユーザへの物質送達のためのエアロゾル化装置であって、
製剤を保管するように構成されたチャンバであって、前記チャンバの内部容積が調整可能であり、前記製剤が、前記ユーザに生理学的変化をもたらすように設計された標的物質を含む、チャンバと、
前記チャンバに作動可能に連結されたアクチュエータであって、前記アクチュエータが、前記チャンバから前記製剤を輸送するように前記チャンバの前記内部容積に変化をもたらすように構成され、前記製剤が、前記ユーザによる吸入のために気化素子の助力で蒸気形態で送達される、アクチュエータと
を備える、エアロゾル化装置。
【請求項17】
前記アクチュエータが、ポンプを備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記ポンプが、蠕動ポンプである、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記アクチュエータが、前記チャンバの前記内部容積に前記変化をもたらすために回転運動を生じるように構成される、請求項16または17に記載の装置。
【請求項20】
前記アクチュエータが、プランジャまたはピストンを備える、請求項16に記載の装置。
【請求項21】
前記アクチュエータが、前記チャンバの前記内部容積に前記変化をもたらすために線形運動を生じるように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記チャンバが、前記製剤を保管するための中空の空洞を備える、請求項16に記載の装置。
【請求項23】
前記チャンバが、可撓性材料で作られた壁を備える、請求項16に記載の装置。
【請求項24】
前記チャンバの壁が、前記チャンバの前記内部容積の前記変化がもたらされているときに折り畳み式である、請求項16に記載の装置。
【請求項25】
ユーザへの物質送達のためのエアロゾル化装置であって、
(1)製剤を保持するように構成された供給源であって、前記製剤が前記ユーザの生理学的変化をもたらすよう設計された標的物質を含む供給源に、および/または(2)前記製剤を蒸気状態に変換するように構成された気化素子に、近接して設けられた粘度センサ、を備えるエアロゾル化装置であって、
前記粘度センサが、少なくとも1つの回転素子を備え、前記製剤の粘度を測定するように構成される、エアロゾル化装置。
【請求項26】
前記製剤を前記気化素子へ輸送するように構成されたポンプをさらに備える、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記ポンプが回転ポンプであり、前記回転ポンプが前記粘度センサとして機能するようにさらに構成される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記供給源が、前記製剤を保管するように構成された折り畳み式チャンバを備える、請求項25に記載の装置。
【請求項29】
前記チャンバへ作動可能に連結されたポンプをさらに備えており、前記ポンプが、前記製剤を前記チャンバから輸送するために前記チャンバの内部容積における構成された効果変化である、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記ポンプが、前記粘度センサとして機能するようにさらに構成される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記粘度センサが、前記少なくとも1つの回転素子に及ぼされるトルクに部分的に基づいて前記製剤の前記粘度を測定するように構成される、請求項25に記載の装置。
【請求項32】
前記粘度センサが、前記少なくとも1つの回転素子を駆動しているときの応答時間に部分的に基づいて前記製剤の前記粘度を測定するように構成される、請求項25に記載の装置。
【請求項33】
前記ポンプがステッピングモータを備え、
前記ポンプの前記応答時間が、前記ステッピングモータが、あるステップから次のステップへ移動するのにかかる時間間隔の測定値に基づいている、
請求項26または29に記載の装置。
【請求項34】
前記製剤の前記粘度が、選択された粘度閾値より高い場合、前記製剤を加熱するように構成されたヒータをさらに備える、請求項25に記載の装置。
【請求項35】
前記製剤の前記粘度を、選択された粘度範囲内に維持するために、前記製剤の温度を調節するように構成されたヒータをさらに備える、請求項25に記載の装置。
【請求項36】
前記ヒータが、前記製剤が前記装置内で輸送されているときに、前記製剤の前記温度を実質的にリアルタイムで調節するように構成される、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記ヒータが、前記装置が作動する環境の周囲温度に基づいて前記製剤の前記温度を調節するように構成される、請求項35に記載の装置。
【請求項38】
前記ヒータが、前記ポンプおよび前記供給源の少なくとも1つに配置される、請求項34~37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
前記製剤の前記粘度が、いずれの他の粘度測定センサまたは流量センサも使用せずに、前記回転ポンプを使用して測定することができる、請求項27に記載の装置。
【請求項40】
前記製剤の前記粘度が、いずれの他の粘度測定センサまたは流量センサも使用せずに、前記ポンプを使用して測定することができる、請求項30に記載の装置。
【請求項41】
ユーザへの物質送達のためのエアロゾル化装置であって、
ヒータに隣接して設けられた分配素子であって、
前記ヒータが、製剤を加熱して蒸気形態へと変換するように構成され、
前記製剤が、前記ユーザに生理学的変化をもたらすように設計された標的物質を含み、
前記分配素子が、前記製剤の前記加熱および前記蒸気形態への前記変換を促進するために、前記製剤を前記ヒータ上に均一かつ一貫して延展するように構成される分配素子を備える、エアロゾル化装置。
【請求項42】
前記分配素子が、エラストマー材料を含む、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記エラストマー材料が、シリコーン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ニトリル、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記分配素子が、1以上のチャネルを備える、請求項41に記載の装置。
【請求項45】
前記製剤が、前記1以上のチャネルに沿って前記ヒータの上に分配される、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記1以上のチャネルが、覆いのない少なくとも1つのチャネルを備える、請求項44または45に記載の装置。
【請求項47】
前記分配素子が、可撓性であり、異なる種類および形状の表面に適合するように構成される、請求項41に記載の装置。
【請求項48】
前記製剤が、前記装置が作動する周囲環境の影響を受けることなく、前記ヒータ上に均一かつ一貫して延展される、請求項41に記載の装置。
【請求項49】
前記製剤が、前記装置の作動回数および前記装置の作動期間の影響を受けることなく、前記ヒータ上に均一かつ一貫して延展される、請求項41に記載の装置。
【請求項50】
前記製剤が、前記製剤の粘度の影響を受けることなく、前記ヒータ上に均一かつ一貫して延展される、請求項41に記載の装置。
【請求項51】
前記分配素子が、異なる粘度の複数の製剤と共に使用されるように構成される、請求項41に記載の装置。
【請求項52】
前記製剤の前記加熱および前記蒸気形態への変換が、灯芯を使用することと比較して前記分配素子を使用して改善される、請求項41に記載の装置。
【請求項53】
前記分配素子が、ウィッキング特性の変化を受けない、請求項41に記載の装置。
【請求項54】
前記分配素子が、前記ヒータの内面または外面を包み込まない、請求項41に記載の装置。
【請求項55】
前記供給源が、折り畳み式のリザーバまたはチャンバを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項56】
前記標的物質が、化学有効成分または医薬有効成分である、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項57】
前記化学有効成分または医薬有効成分が、ニコチン、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(CBT)、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項56に記載の装置。
【請求項58】
前記製剤が、前記標的物質を保持するための担体を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項59】
前記担体が、エタノール、プロピレングリコール、植物性グリセリン、水、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項58に記載の装置。
【請求項60】
前記蒸気形態の前記製剤が、ディスペンサへ送達される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項61】
前記ディスペンサが、前記ユーザの気道に近接して配置されるように構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項62】
前記ディスペンサが、前記蒸気形態の前記製剤が通過できる複数の開口部を備える、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項63】
流路をさらに備え、前記ヒータが前記流路内に配置される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項64】
前記ヒータの表面上に多孔質層をさらに備える、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項65】
前記多孔質層が、金属メッシュを備える、請求項64に記載の装置。
【請求項66】
前記多孔質層が、ガラス繊維、ガラスフリット、またはセラミックフリットを含む、請求項64に記載の装置。
【請求項67】
前記製剤が、溶液、懸濁液、またはエマルションである、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項68】
前記装置が、前記蒸気形態の前記製剤を1回のポンプ回転当たり約0.001μL~約5μLの範囲の速度で分配するように構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項69】
前記ポンプが、約50Hzを下回る回転周波数で作動するように構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項70】
前記ポンプが、前記ユーザの吸入速度に部分的に基づいて依存するポンプ速度で作動するように構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項71】
前記製剤がさらに、アセブトロール、アセトアミノフェン、アルプラゾラム、アマンタジン、アミトリプチリン、アポモルヒネ二酢酸塩、アポモルヒネ塩酸塩、アトロピン、アザタジン、ベタヒスチン、ブロムフェニラミン、ブメタニド、ブプレノルフィン、ブプロピオン塩酸塩、ブタルビタール、ブトルファノール、カルビノキサミンマレイン酸塩、セレコキシブ、クロルジアゼポキシド、クロルフェニラミン、クロルゾキサゾン、シクレソニド、シタロプラム、クロミプラミン、クロナゼパム、クロザピン、コデイン、シクロベンザプリン、シプロヘプタジン、ダプソン、ジアゼパム、ジクロフェナクエチルエステル、ジフルニサール、ジソピラミド、ドキセピン、エストラジオール、エフェドリン、エスタゾラム、エタクリン酸、フェンフルラミン、フェノプロフェン、フレカイニド、フルニトラゼパム、ガランタミン、グラニセトロン、ハロペリドール、ヒドロモルホン、ヒドロキシクロロキン、イブプロフェン、イミプラミン、インドメタシンエチルエステル、インドメタシンメチルエステル、イソカルボキサジド、ケタミン、ケトプロフェン、ケトプロフェンエチルエステル、ケトプロフェンメチルエステル、ケトロラックエチルエステル、ケトロラックメチルエステル、ケトチフェン、ラモトリギン、リドカイン、ロペラミド、ロラタジン、ロキサピン、マプロチリン、メマンチン、メペリジン、メタプロテレノール、メトキシサレン、メトプロロール、メキシレチンHCl、ミダゾラム、ミルタザピン、モルヒネ、ナルブフィン、ナロキソン、ナプロキセン、ナラトリプタン、ノルトリプチリン、オランザピン、オルフェナドリン、オキシコドン、パロキセチン、ペルゴリド、フェニトイン、ピンドロール、ピリベジル、プラミペキソール、プロカインアミド、プロクロペラジン、プロパフェノン、プロプラノロール、ピリラミン、クエチアピン、キニジン、リザトリプタン、ロピニロール、セルトラリン、セレギリン、シルデナフィル、スピロノラクトン、タクリン、タダラフィル、テルブタリン、テストステロン、サリドマイド、テオフィリン、トカイニド、トレミフェン、トラゾドン、トリアゾラム、トリフルオペラジン、バイプロ酸(vaiproic acid)、ベンラファキシン、ビタミンE、ザレプロン、ゾテピン、アモキサピン、アテノロール、ベンズトロピン、カフェイン、ドキシラミン、エストラジオール17-アセタート、フルラゼパム、フルルビプロフェン、ヒドロキシジン、イブチリド、インドメタシンノルコリンエステル、ケトロラックノルコリンエステル、メラトニン、メトクロプラミド、ナブメトン、ペルフェナジン、プロトリプチリンHCl、キニーネ、トリアムテレン、トリミプラミン、ゾニサミド、ベルガプテン、クロルプロマジン、コルヒチン、ジルチアゼム、ドネペジル、エレトリプタン、エストラジオール-3,17-ジアセタート、エファビレンツ、エスモロール、フェンタニル、フルニソリド、フルオキセチン、ヒオスシアミン、インドメタシン、イソトレチノイン、リネゾリド、メクリジン、パラコキシブ、ピオグリタゾン、ロフェコキシブ、スマトリプタン、トルテロジン、トラマドール、トラニルシプロミン、トリミプラミンマレイン酸塩、バルデコキシブ、バルデナフィル、ベラパミル、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、ブロマゼパム、ブスピロン、シンナリジン、ジピリダモール、ナルトレキソン、ソタロール、テルミサルタン、テマゼパム、アルブテロール、塩酸アポモルフィン二酢酸塩、カルビノキサミン、クロニジン、ジフェンヒドラミン、タンブトール、フルチカゾンプロプリオナート(fluticasone proprionate)、フルコナゾール、ロバスタチン、ロラゼパムN,O-ジアセチル、メタドン、ネファゾドン、オキシブチニン、プロマジン、プロメタジン、シブトラミン、タモキシフェン、トルフェナム酸、アリピプラゾール、アステミゾール、ベナゼプリル、クレマスチン、エストラジオール17-ヘプタノアート、フルフェナジン、プロトリプチリン、エタンブタール(ethambutal)、フロバトリプタン、ピリラミンマレイン酸塩、スコポラミン、およびトリアムシノレンアセトニド(triamcinolene acetonide)からなる群から選択される化合物を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2019年7月3日出願の米国仮特許出願第62/870,612号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
気道は、医薬化合物または医薬組成物を血流と迅速に接触させるための利用可能な経路である。薬物は、医薬化合物または医薬組成物を含む蒸気またはエアロゾルを介して送達されることができる。呼吸器組織に送達される薬物は、特定の呼吸器作用を有する薬物、または対象内の他の組織において医学的応答を引き起こす薬物を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書では、医薬化合物または医薬組成物を含有する蒸気またはエアロゾルを有利に生成する装置を利用する、気道を介した薬物送達の有効な方法が認識される。提供される薬物送達装置は、迅速な薬物動態が必要とされるか、または消化管取り込みの問題を回避する必要がある状況下で特に有効であることができる。提供される装置を使用した気道を介した薬物送達はまた、可能なとき、静脈内薬物送達のコストおよび複雑性を回避することもできる。
【0004】
薬物送達装置は、迅速な薬物動態(典型的には、1~3ミクロン範囲の質量空力学的直径中央値(MMAD)範囲になるように最適化されたエアロゾルサイズ)を可能にするのに十分に小さな粒径で気道の奥深くに、医薬化合物または医薬組成物を含む粒子を送達することが好ましい。呼吸用薬物送達装置はまた、送達される医薬化合物の薬用量を正確に計量し、医薬化合物の劣化または分解を最小限にすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、ユーザへの物質送達のためのエアロゾル化装置を提供する。装置は、供給源から製剤を受容するように構成された回転ポンプを備えてよい。製剤は、ユーザの生理学的変化をもたらすように設計された標的物質を含んでよい。回転ポンプはさらに、供給源から製剤を輸送し、ユーザによる吸入のための気化素子を用いて蒸気形態で製剤を送達するように構成することができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、回転ポンプは、1以上の軸を中心に回転するように構成された少なくとも1つの回転可能素子を備えてよい。回転ポンプは、少なくとも1つの回転可能素子の回転運動を介して製剤を輸送するように構成することができる。製剤は、製剤が回転ポンプによって輸送されているときに、回転可能素子の表面上を流れることができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、回転ポンプは、少なくとも1つの回転可能素子を駆動するように構成されたアクチュエータを備えてよい。アクチュエータは、磁石および/または電磁石を備えてよい。少なくとも1つの回転可能素子は、ブレードまたはベーンを備えてよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、気化素子は、ヒータを備えてよい。ヒータは、抵抗加熱素子または誘導加熱素子を備えてよい。回転ポンプは、製剤を気化素子へ輸送するように構成することができる。気化素子は、製剤を液体状態から蒸気形態へと変換させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、製剤は、供給源内に保持されたときに液体状態であってよい。製剤は、回転ポンプを通って輸送されているときに、液体状態であってよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、回転ポンプおよび気化素子は、別個の個別の構成要素として提供されてよい。気化素子は、回転ポンプに作動可能に連結されてよい。気化素子は、回転ポンプと一体化してよいかまたは回転ポンプ上にあってよい。ポンプは、製剤がポンプによって輸送されているときに製剤の粘度を測定するようにさらに構成することができる。
【0010】
本開示の別の態様は、ユーザへの物質送達のためのエアロゾル化装置を提供する。装置は、製剤を保管するように構成されたチャンバを備えてよい。チャンバの内部容積は、調整可能であってよい。製剤は、ユーザの生理学的変化をもたらすように設計された標的物質を含んでよい。装置はさらに、チャンバに作動可能に連結されたアクチュエータを備えてよい。アクチュエータは、製剤をチャンバから輸送するために、チャンバの内部容積に変化をもたらすように構成することができる。製剤は、ユーザによる吸入のために、気化素子の助力を用いて蒸気形態で送達されてよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、アクチュエータは、ポンプを備えてよい。ポンプは、例えば、蠕動ポンプであってよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、チャンバの内部容積に変化をもたらすために回転運動を生じるように構成することができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、プランジャまたはピストンを備えてよい。アクチュエータは、チャンバの内部容積に変化をもたらすために線形運動を生じるように構成することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、チャンバは、製剤を保管するための中空の空洞を備えてよい。チャンバは、可撓性材料で作られた壁を備えてよい。チャンバの壁は、チャンバの内部容積の変化がもたらされているときに折り畳み式であってよい。
【0013】
本開示のさらなる態様は、ユーザへの物質送達のためのエアロゾル化装置を提供する。装置は、(1)製剤を保持するように構成された供給源であって、製剤がユーザの生理学的変化をもたらすよう設計された標的物質を含んでよい、供給源に近接して、および/または(2)製剤を蒸気状態に変換するように構成された気化素子に近接して設けられた粘度センサ、を備えてよく、粘度センサは、少なくとも1つの回転素子を備えてよく、製剤の粘度を測定するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、装置はさらに、製剤を気化素子へ輸送するように構成されたポンプを備えてよい。ポンプは、回転ポンプであってよい。回転ポンプはさらに、粘度センサとして機能するように構成することができる。いくつかの実施形態では、供給源は、製剤を保管するように構成された折り畳み式チャンバを備えてよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、装置はさらに、チャンバに作動可能に連結されたポンプを備えてよい。ポンプは、製剤をチャンバから輸送するために、チャンバの内部容積に変化をもたらすように構成することができる。ポンプはさらに、粘度センサとして機能するように構成することができる。粘度センサは、少なくとも1つの回転素子に及ぼされるトルクに部分的に基づいて製剤の粘度を測定するように構成することができる。粘度センサは、少なくとも1つの回転素子を駆動するときの応答時間に部分的に基づいて製剤の粘度を測定するように構成することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、ポンプは、ステッピングモータを備えてよい。ポンプの応答時間は、ステッピングモータが、あるステップから次のステップへ移動するのにかかる時間間隔の測定値に基づいてよい。いくつかの実施形態では、装置はさらに、製剤の粘度が、選択された粘度閾値より高い場合、製剤を加熱するように構成されたヒータを備えてよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、装置はさらに、製剤の粘度を、選択された粘度範囲内に維持するために、製剤の温度を調節するように構成されたヒータを備えてよい。ヒータは、製剤が装置内で輸送されているときに、製剤の温度を実質的にリアルタイムで調節するように構成することができる。ヒータは、装置が作動する環境の周囲温度に基づいて製剤の温度を調節するように構成することができる。ヒータは、ポンプおよび供給源のうちの少なくとも1つの上に配置することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、製剤の粘度は、いずれの他の粘度測定センサまたは流量センサも使用せずに、回転ポンプを使用して測定することができる。製剤の粘度は、いずれの他の粘度測定センサまたは流量センサも使用せずに、ポンプを使用して測定することができる。
【0019】
本開示の別の態様は、ユーザへの物質送達のためのエアロゾル化装置を提供する。装置は、ヒータに隣接して設けられた分配素子を備えてよい。ヒータは、製剤を加熱して蒸気形態へと変換するように構成することができる。製剤は、ユーザの生理学的変化をもたらすように設計された標的物質を含んでよい。分配素子は、製剤の加熱および蒸気形態への変換を促進するために、製剤をヒータ上に均一かつ一貫して延展するように構成することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、分配素子は、エラストマー材料を備えてよい。エラストマー材料は、シリコーン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ニトリル、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されてよい。いくつかの実施形態では、分配素子は、1以上のチャネルを備えてよい。製剤は、1以上のチャネルに沿ってヒータの上に分配されてよい。1以上のチャネルは、覆いのない少なくとも1つのチャネルを備えてよい。いくつかの実施形態では、分配素子は可撓性であってよく、異なる種類および形状の表面に適合するように構成することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、製剤は、装置が作動する周囲環境の影響を受けることなく、ヒータ上に均一かつ一貫して延展されることができる。いくつかの実施形態では、製剤は、装置の作動回数および/または装置の操作期間の影響を受けることなく、ヒータ上に均一かつ一貫して延展することができる。いくつかの実施形態では、製剤は、製剤の粘度の影響を受けることなく、ヒータ上に均一かつ一貫して延展することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、分配素子は、異なる粘度の複数の製剤と共に使用されるように構成することができる。製剤の加熱および蒸気形態への変換は、灯芯を使用することと比較して分配素子を使用して改善することができる。したがって、分配素子は、ウィッキング特性の変化を受けなくてよい。いくつかの実施形態では、分配素子は、ヒータの内面または外面を包み込まない。
【0023】
本開示の追加の態様は、少なくとも以下を提供する。いくつかの実施形態では、供給源は、折り畳み式のリザーバまたはチャンバを備えてよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、標的物質は、化学有効成分または医薬有効成分であってよい。化学有効成分または医薬有効成分は、ニコチン、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(CBT)、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0025】
製剤は、溶液、懸濁液、またはエマルションであってよい。いくつかの実施形態では、製剤は、標的物質を保持するための担体を含んでよい。担体は、エタノール、プロピレングリコール、植物性グリセリン、水、またはこれらのいずれかの組み合わせを含んでよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、蒸気形態の製剤は、ディスペンサへ送達されてよい。ディスペンサは、ユーザの気道に近接して配置されるように構成される。ディスペンサは、蒸気形態の製剤が通過できる複数の開口部を備えてよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、装置はさらに、流路を備えてよく、ヒータは、流路内に配置されてよい。ヒータの表面に多孔質層を設けてよい。多孔質層は、金属メッシュを備えてよい。多孔質層は、ガラス繊維、ガラスフリット、またはセラミックフリットを含んでよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、装置は、蒸気形態の製剤を1回のポンプ回転当たり約0.001μL~約5μLの範囲の速度で分注するように構成することができる。ポンプは、約50Hz未満の回転周波数で作動するように構成することができる。ポンプは、ユーザの吸入速度に部分的に基づいて依存するポンプ速度で作動するように構成することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、製剤はさらに、アセブトロール、アセトアミノフェン、アルプラゾラム、アマンタジン、アミトリプチリン、アポモルヒネ二酢酸塩、アポモルヒネ塩酸塩、アトロピン、アザタジン、ベタヒスチン、ブロムフェニラミン、ブメタニド、ブプレノルフィン、ブプロピオン塩酸塩、ブタルビタール、ブトルファノール、カルビノキサミンマレイン酸塩、セレコキシブ、クロルジアゼポキシド、クロルフェニラミン、クロルゾキサゾン、シクレソニド、シタロプラム、クロミプラミン、クロナゼパム、クロザピン、コデイン、シクロベンザプリン、シプロヘプタジン、ダプソン、ジアゼパム、ジクロフェナクエチルエステル、ジフルニサール、ジソピラミド、ドキセピン、エストラジオール、エフェドリン、エスタゾラム、エタクリン酸、フェンフルラミン、フェノプロフェン、フレカイニド、フルニトラゼパム、ガランタミン、グラニセトロン、ハロペリドール、ヒドロモルホン、ヒドロキシクロロキン、イブプロフェン、イミプラミン、インドメタシンエチルエステル、インドメタシンメチルエステル、イソカルボキサジド、ケタミン、ケトプロフェン、ケトプロフェンエチルエステル、ケトプロフェンメチルエステル、ケトロラックエチルエステル、ケトロラックメチルエステル、ケトチフェン、ラモトリギン、リドカイン、ロペラミド、ロラタジン、ロキサピン、マプロチリン、メマンチン、メペリジン、メタプロテレノール、メトキシサレン、メトプロロール、メキシレチンHCl、ミダゾラム、ミルタザピン、モルヒネ、ナルブフィン、ナロキソン、ナプロキセン、ナラトリプタン、ノルトリプチリン、オランザピン、オルフェナドリン、オキシコドン、パロキセチン、ペルゴリド、フェニトイン、ピンドロール、ピリベジル、プラミペキソール、プロカインアミド、プロクロペラジン、プロパフェノン、プロプラノロール、ピリラミン、クエチアピン、キニジン、リザトリプタン、ロピニロール、セルトラリン、セレギリン、シルデナフィル、スピロノラクトン、タクリン、タダラフィル、テルブタリン、テストステロン、サリドマイド、テオフィリン、トカイニド、トレミフェン、トラゾドン、トリアゾラム、トリフルオペラジン、バイプロ酸(vaiproic acid)、ベンラファキシン、ビタミンE、ザレプロン、ゾテピン、アモキサピン、アテノロール、ベンズトロピン、カフェイン、ドキシラミン、エストラジオール17-アセタート、フルラゼパム、フルルビプロフェン、ヒドロキシジン、イブチリド、インドメタシンノルコリンエステル、ケトロラックノルコリンエステル、メラトニン、メトクロプラミド、ナブメトン、ペルフェナジン、プロトリプチリンHCl、キニーネ、トリアムテレン、トリミプラミン、ゾニサミド、ベルガプテン、クロルプロマジン、コルヒチン、ジルチアゼム、ドネペジル、エレトリプタン、エストラジオール-3,17-ジアセタート、エファビレンツ、エスモロール、フェンタニル、フルニソリド、フルオキセチン、ヒオスシアミン、インドメタシン、イソトレチノイン、リネゾリド、メクリジン、パラコキシブ、ピオグリタゾン、ロフェコキシブ、スマトリプタン、トルテロジン、トラマドール、トラニルシプロミン、トリミプラミンマレイン酸塩、バルデコキシブ、バルデナフィル、ベラパミル、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、ブロマゼパム、ブスピロン、シンナリジン、ジピリダモール、ナルトレキソン、ソタロール、テルミサルタン、テマゼパム、アルブテロール、塩酸アポモルフィン二酢酸塩、カルビノキサミン、クロニジン、ジフェンヒドラミン、タンブトール、フルチカゾンプロプリオナート(fluticasone proprionate)、フルコナゾール、ロバスタチン、ロラゼパムN,O-ジアセチル、メタドン、ネファゾドン、オキシブチニン、プロマジン、プロメタジン、シブトラミン、タモキシフェン、トルフェナム酸、アリピプラゾール、アステミゾール、ベナゼプリル、クレマスチン、エストラジオール17-ヘプタノアート、フルフェナジン、プロトリプチリン、エタンブタール(ethambutal)、フロバトリプタン、ピリラミンマレイン酸塩、スコポラミン、およびトリアムシノレンアセトニド(triamcinolene acetonide)からなる群から選択される化合物を含んでよい。
【0030】
本開示の別の態様は、1以上のコンピュータプロセッサによる実行の際に、先のまたは本明細書の他所の方法のいずれかを実施する機械実行可能コードを含む非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0031】
本開示の別の態様は、1以上のコンピュータプロセッサと、それに連結したコンピュータメモリとを備えたシステムを提供する。コンピュータメモリは、1以上のコンピュータプロセッサによる実行の際に、先のまたは本明細書の他所の方法のいずれかを実施する機械実行可能コードを含む。
【0032】
本開示の追加の態様および利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示され説明される以下の発明を実施するための形態から当業者には容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべてが本開示から逸脱することなく、様々な明白な点で修正が可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示と見なされるものとし、限定と見なされないものとする。
【0033】
参照による組み込み
本明細書で言及されるすべての公表物、特許、および特許出願は、あたかも各個々の公表物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる公表物および特許または特許出願が本明細書に含まれる本開示と矛盾する範囲に対しては、本明細書は、いかなるこのような矛盾する材料に取って代わるおよび/または優先することを意図している。
【0034】
本開示の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に明らかにされている。本開示の特徴および利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を明らかにする以下の発明を実施するための形態、および添付の図面(本明細書では「図(Figure)」および「図(FIG)」とも)を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図0】本明細書に説明するものと一致するエアロゾル薬物送達装置の例示的な概略図を図示する。
【
図1】医薬化合物または医薬組成物を含む液体を圧送するための3歯ギヤを備えたギヤ付き回転ポンプを示す。
【
図2】医薬化合物または医薬組成物を含む液体を圧送するための3歯ギヤを有する代替的なギヤ付き回転ポンプを示す。
【
図3】
図2の回転ギヤ付きポンプの側面図を図示する。
【
図4】永久磁石を備えたギヤを有する4歯ギヤポンプの概略図を示す。
【
図5】より小さな流体ユニットのより正確な制御を達成するために、より小さな歯を有するギヤを利用する回転ポンプを図示する。
【
図6】回転ポンプおよび圧送速度を制御するための電気誘導磁石を示す。
【
図7】可変磁場を創出するための一連の巻線磁石の拡大図を図示する。
【
図8】ギヤの周りに電磁石が配備された回転ポンプ配置を示す。
【
図9】ウォーム歯車機構によって駆動される回転ポンプ配置を示す。
【
図10】複数の入口ポートおよび出口ポートを通して流体を押し出すための回転ポンプ設計を示す。
【
図12】薬物送達装置において利用することができる回転ベーンポンプを示す。
【
図13】ポンプハウジングと接触している剛性エラストマー材料を備えたインペラポンプを図示する。
【
図14】加熱素子に向かって流体を駆動するピストン型ポンプ付きリザーバを示す。
【
図15】加熱素子に向かって流体を駆動するホイール付き圧送機構を備えた折り畳み式リザーバを示す。
【
図16】加熱素子に向かって流体を押し出すピストン型リザーバを駆動するねじ付き機械式シャフトを図示する。
【
図17】ピストン型流体リザーバの圧送流量を制御するためのソレノイド・爪型機構を示す。
【
図18】ソレノイドおよび爪を利用して可変容積リザーバの圧送流量を制御するための交互の回転様式を図示する。
【
図19】ソレノイド・爪計量機構へのばね機構の追加を示す。
【
図20】加熱素子上へと流体を分配するように位置決めされた液体流路を備えたガス流路にわたって構成された抵抗加熱素子を図示する。
【
図21】流路から加熱素子へ液体を延展するように構成された追加の繊維状材料を備えた、
図20の装置を示す。
【
図22】加熱素子表面上への液体の改善された分散を可能にするために繊維状材料の形状に沿った加熱素子を示す。
【
図23】液体流路の出口を取り囲む円錐形の加熱素子を示す。
【
図24】ガス流路内で、多孔質部分を備えた液体流路と接触した加熱素子を示す。
【
図25】穿孔された金属箔出口を使用して加熱素子上へと液体を分配する液体流路を図示する。
【
図26】加熱素子に近接した一連の孔を備えた出口で終止する液体流路を示す。
【
図27】
図26に図示する配置の概略側面図を図示する(ヒータ素子がU字形の螺旋へと形成されている)。
【
図28】液体が加熱素子の箔内で孔を通って押し出されると液体を気化させるように設計された箔加熱素子を示す。
【
図29】ガス流路に沿ってではなくガス流路を横切って配置された
図28の加熱分配装置を図示する。
【
図30】加熱素子表面上の液体の分散を改善するために表面が処理された加熱素子を示す。
【
図31】誘導加熱された金属ガス流路のための配置を示す。
【
図32】液体流路の出口のための誘導加熱配置を図示する。
【
図33】薄い金属箔から形成された加熱素子を示す。
【
図34】金属箔を打ち抜いて隆起したチャネルを形成することによって形成された液体流路を示す。
【
図35】プリント回路板で採用される方法と同様の方法を使用して製作されたヒータを示す。
【
図36】本明細書で提供される方法を実施するようにプログラムされたまたはさもなくば構成されたコンピュータシステムを示す。
【
図37A】第1の形状係数のエアロゾル薬物送達装置の図および写真を示す。
【
図37B】第1の形状係数のエアロゾル薬物送達装置の図および写真を示す。
【
図38A】第2の形状係数のエアロゾル薬物送達装置の図および写真を示す。
【
図38B】第2の形状係数のエアロゾル薬物送達装置の図および写真を示す。
【
図39A】シリンジ型流体リザーバに連結されたリードスクリュー用のギヤ駆動部の図を図示する。
【
図39B】シリンジ型流体リザーバに連結されたリードスクリュー用のギヤ駆動部の図を図示する。
【
図40A】シリンジ型流体リザーバに連結されたリードスクリュー用のウォーム駆動部の図を図示する。
【
図40B】シリンジ型流体リザーバに連結されたリードスクリュー用のウォーム駆動部の図を図示する。
【
図40C】シリンジ型流体リザーバに連結されたリードスクリュー用のウォーム駆動部の図を図示する。
【
図41A】エアロゾル形成のための流体分配システムについての軸上設計を示す。
【
図41B】エアロゾル形成のための流体分配システムについての軸上設計を示す。
【
図42A】エアロゾル形成のための流体分配システムについての側面指向設計を示す。
【
図42B】エアロゾル形成のための流体分配システムについての側面指向設計を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し説明してきたが、このような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、いまや多数の変化、変更、および置換を行うであろう。本明細書に説明する本発明の実施形態に対する様々な代替物を、本発明を実施する上で使用することができることは理解されるべきである。
【0037】
本明細書全体を通して使用される様々な用語は、文脈上別段の指示がない限り、以下のように読解されてよい。全体を通して使用される「または」は、「および/または」と書かれているかのように包括的であり、全体を通して使用される単数形の冠詞および代名詞は、それらの複数形を含み、逆もまたそうであり、同様に、性別のある代名詞は、その対となる代名詞を含み、そのため、代名詞は、単一の性別によって使用、実施、実行するなどのために本明細書に説明されるものを限定するとして理解されないものとし、「例示的」は、「実例となる」または「具現的」として理解されるものとし、必ずしも他の実施形態よりも「好ましい」として理解されないものとする。用語についてのさらなる定義は、本明細書に系統立てて示されてよく、これらは、本明細書を読むことから理解されるように、それらの用語の前後の例に適用されてよい。
【0038】
医薬化合物を気道に有効に送達するためのエアロゾル薬物送達装置が本明細書で提供される。本発明の装置は、カンナビノイド、ニコチン、およびステロイドを含む任意の種類の医薬化合物を送達するために利用することができる。エアロゾル薬物送達装置は、気道へのより有効な薬物送達を可能にするために、医薬化合物のより正確な投与およびエアロゾル粒径のより有効的な制御を提供することができる。エアロゾル薬物送達装置はまた、薬物送達前および薬物送達中の送達医薬品の劣化を最小限にすることもできる。
【0039】
医薬組成物
本開示は、医薬化合物および医薬組成物のエアロゾル送達のための装置を提供する。医薬化合物は、処置された対象において生物学的応答を生じるように意図されるいずれかの化学種を含むことができる。医薬化合物は、小分子薬物、ペプチド、核酸、または塩を含むことができる。医薬化合物は、医薬有効成分(API)を含むことができる。医薬組成物は、1以上の医薬化合物を含むことができる。医薬組成物は、非生物学的目的のための追加の成分を含むことができる。医薬組成物中の追加の成分は、カチオン、アニオン、安定化剤、酸化防止剤、可溶化剤、増粘剤、および緩衝剤を含むことができる。医薬組成物は、1以上の担体液体を含むことができる。担体液体は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、および油を含むことができる。医薬組成物は、溶液、混合物、または懸濁液を含むことができる。医薬組成物は、エマルションを含むことができる。医薬組成物は、1以上の不揮発性成分を含むことができる。
【0040】
いくつかの例では、本開示の医薬化合物および医薬組成物は、蒸気またはエアロゾルとして対象に提供することができる。いくつかの例では、医薬化合物または医薬組成物を含む蒸気またはエアロゾルは、液相成分の気化または沸騰によって生成することができる。他の例では、蒸気またはエアロゾルは、担体液体の除去とそれに続く固相の医薬化合物または医薬組成物の気化または昇華によって生成することができる。
【0041】
本開示の医薬化合物または医薬組成物は、特定の沸点または昇華点/昇華範囲を特徴とすることができる。医薬化合物または医薬組成物は、少なくとも摂氏約40度(℃)、60℃、80℃、100℃、120℃、140℃、160℃、180℃、200℃、250℃、300℃、または少なくとも約350℃以上の沸点または昇華点/昇華範囲を有することができる。医薬化合物または医薬組成物は、約350℃以下、300℃以下、250℃以下、200℃以下、180℃以下、160℃以下、140℃以下、120℃以下、100℃以下、80℃以下、60℃以下、または40℃以下もしくはそれを下回る沸点または昇華点/昇華範囲を有することができる。医薬化合物または医薬組成物は、約40℃~約60℃、約40℃~約100℃、約40~約200℃、約40℃~約350℃、約60℃~約100℃、約60℃~約200℃、約60℃~約350℃、約100℃~約200℃、約100℃~約350℃、または約200℃~約350℃の範囲の沸点または昇華点/昇華範囲を有することができる。
【0042】
医薬化合物または組成物は、合成、製剤、保管、および送達を含むそのライフサイクルのいずれかの部分の間に劣化を経験することがある。医薬化合物または組成物は、還元、酸化、異性化、反応、脱官能化、沈殿、または化学的喪失の他の機序を含むがこれらに限定されないいずれかの機序による劣化を経験することがある。医薬化合物または医薬組成物は、対象への送達時の劣化の程度によって特徴付けられてよい。劣化の程度は、元の製剤と比較したときの送達時に残存する医薬化合物または医薬組成物の質量またはモル基準での百分率として定義してよい。例えば、約10mg/mlの元の製剤の濃度で約20%程度の劣化を有する特定の医薬化合物は、薬物送達時に約8mg/mlの濃度を有することができる。劣化の程度は、薬物送達中の具体的なプロセスについて測定することができる。例えば、劣化の程度は、プロセス中に生じる劣化の量を特徴付けるために、医薬化合物または医薬組成物の気化またはエアロゾル化の間に測定することができる。
【0043】
医薬化合物または医薬組成物は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または約95%の劣化の程度を有してよい。医薬化合物または医薬組成物は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれを上回る劣化の程度を有してよい。医薬化合物または医薬組成物は、約95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、19%以下、18%以下、17%以下、16%以下、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下またはそれを下回る劣化の程度を有してよい。
【0044】
劣化の程度は、特定の温度で測定してよい。劣化の程度は、少なくとも約-40℃、-30℃、-20℃、-10℃、0℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、100℃、150℃、200℃、250℃、300℃、350℃、400℃またはそれを上回る温度で測定してよい。劣化の程度は、約400℃以下、350℃以下、300℃以下、250℃以下、200℃以下、150℃以下、100℃以下、50℃以下、40℃以下、30℃以下、20℃以下、10℃以下、0℃以下、-10℃以下、-20℃以下、-30℃以下、-40℃以下またはそれを下回る温度で測定してよい。劣化の程度は、特定の時間にわたって測定してよい。劣化の程度は、約1ミリ秒(ms)、10ms、100ms、1秒(s)、10s、30s、1分(min)、5分、10分、30分、1時間(hr)、3hr、6hr、12hr、1日、1週間、1か月または1年の期間にわたって測定してよい。劣化の程度は、少なくとも約1ミリ秒(ms)、10ms、100ms、1秒(s)、10s、30s、1分(min)、5分、10分、30分、1時間(hr)、3hr、6hr、12hr、1日、1週間、1か月、もしくは1年、またはそれより長い期間にわたって測定してよい。劣化の程度は、約1年以内、1か月以内、1週間以内、1日以内、12hr、6hr、3hr、1hr、30min、10min、5min、1min、30s、10s、1s、100ms、10ms、1msまたはそれより短い期間にわたって測定してよい。
【0045】
本開示の医薬組成物は、特定のレオロジー特性を有する液体を含んでよい。医薬組成物は、ニュートン流体または非ニュートン流体を含んでよい。医薬組成物は、剪断増粘性または剪断減粘性であってよい。医薬組成物は、チキソトロピー性、擬似塑性またはレオペクシー性であってよい。本開示の医薬組成物は、温度依存性粘度を有する流体を含んでよい。いくつかの例では、温度を上昇させると、医薬化合物を含む流体(例えば、液体製剤)の粘度が低下し得る。他の例では、温度を上昇させると、医薬化合物を含む流体(例えば、蒸気製剤)の粘度が上昇し得る。医薬組成物の液体製剤は、所与の温度で約1センチポアズ(cP)、10cP、100cP、1000cP、10000cP、100000cP、または1000000cPの粘度を有してよい。医薬組成物の液体製剤は、所与の温度で少なくとも約1センチポアズ(cP)、10cP、100cP、1000cP、10000cP、100000cP、もしくは1000000cPまたはそれを上回る粘度を有してよい。医薬組成物の液体製剤は、所与の温度で1000000cP以下、100000cP以下、10000cP以下、1000cP以下、100cP以下、10cP以下、もしくは1cP以下またはそれを下回る粘度を有してよい。
【0046】
本開示の医薬化合物または医薬組成物は、気道へのエアロゾルまたは蒸気の送達をしやすくするいずれかの目的のために選択されてよい。いくつかの例では、化合物または組成物の迅速な薬物動態学的取り込みについての必要性により、エアロゾルまたは蒸気の送達のために医薬化合物または医薬組成物を選択してよい。他の例では、消化管内の取り込みの問題(例えば、酸反応性)を回避する必要性、または静脈内薬物送達のコストおよび侵入による攻撃性を回避する必要性により、医薬化合物または医薬組成物をエアロゾルまたは蒸気の送達のために選択してよい。
【0047】
本開示の医薬化合物または医薬組成物は、気道へのエアロゾルまたは蒸気の送達をしやすくするいずれかのクラスの医薬から選択されてよい。医薬化合物または医薬組成物は、制酸薬、逆流抑制薬、抗ドーパミン作動薬、細胞保護薬、鎮痙薬、オピオイド、カンナビノイド、α遮断薬、β遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、利尿薬、抗不整脈薬、硝酸塩、抗狭心症薬、血管収縮薬、血管拡張薬、抗高血圧薬、凝固薬、抗凝固薬、止血薬、スタチン、脂質低下薬、抗うつ薬、抗精神病薬、刺激薬、抑制薬、抗不安薬、抗炎症薬、麻酔薬、筋弛緩薬、抗コリンエステラーゼ、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、ステロイド、気管支拡張薬、鎮咳剤、粘液溶解薬、充血除去薬、抗毒素(antitoxin)、抗毒素(antivenom)、抗ヒスタミン薬、同化薬、異化薬、治療用ペプチド、治療用核酸、ビタミン、ミネラル、補助因子、またはサプリメントを含んでよいが、これらに限定されない。
【0048】
本開示の具体的な医薬化合物は、ニコチン、アセブトロール、アセトアミノフェン、アルプラゾラム、アマンタジン、アミトリプチリン、アポモルヒネ二酢酸塩、アポモルヒネ塩酸塩、アトロピン、アザタジン、ベタヒスチン、ブロムフェニラミン、ブメタニド、ブプレノルフィン、ブプロピオン塩酸塩、ブタルビタール、ブトルファノール、カルビノキサミンマレイン酸塩、セレコキシブ、クロルジアゼポキシド、クロルフェニラミン、クロルゾキサゾン、シクレソニド、シタロプラム、クロミプラミン、クロナゼパム、クロザピン、コデイン、シクロベンザプリン、シプロヘプタジン、ダプソン、ジアゼパム、ジクロフェナクエチルエステル、ジフルニサール、ジソピラミド、ドキセピン、エストラジオール、エフェドリン、エスタゾラム、エタクリン酸、フェンフルラミン、フェノプロフェン、フレカイニド、フルニトラゼパム、ガランタミン、グラニセトロン、ハロペリドール、ヒドロモルホン、ヒドロキシクロロキン、イブプロフェン、イミプラミン、インドメタシンエチルエステル、インドメタシンメチルエステル、イソカルボキサジド、ケタミン、ケトプロフェン、ケトプロフェンエチルエステル、ケトプロフェンメチルエステル、ケトロラックエチルエステル、ケトロラックメチルエステル、ケトチフェン、ラモトリギン、リドカイン、ロペラミド、ロラタジン、ロキサピン、マプロチリン、メマンチン、メペリジン、メタプロテレノール、メトキシサレン、メトプロロール、メキシレチンHCl、ミダゾラム、ミルタザピン、モルヒネ、ナルブフィン、ナロキソン、ナプロキセン、ナラトリプタン、ノルトリプチリン、オランザピン、オルフェナドリン、オキシコドン、パロキセチン、ペルゴリド、フェニトイン、ピンドロール、ピリベジル、プラミペキソール、プロカインアミド、プロクロペラジン、プロパフェノン、プロプラノロール、ピリラミン、クエチアピン、キニジン、リザトリプタン、ロピニロール、セルトラリン、セレギリン、シルデナフィル、スピロノラクトン、タクリン、タダラフィル、テルブタリン、テストステロン、サリドマイド、テオフィリン、トカイニド、トレミフェン、トラゾドン、トリアゾラム、トリフルオペラジン、バイプロ酸(vaiproic acid)、ベンラファキシン、ビタミンE、ザレプロン、ゾテピン、アモキサピン、アテノロール、ベンズトロピン、カフェイン、ドキシラミン、エストラジオール17-アセタート、フルラゼパム、フルルビプロフェン、ヒドロキシジン、イブチリド、インドメタシンノルコリンエステル、ケトロラックノルコリンエステル、メラトニン、メトクロプラミド、ナブメトン、ペルフェナジン、プロトリプチリンHCl、キニーネ、トリアムテレン、トリミプラミン、ゾニサミド、ベルガプテン、クロルプロマジン、コルヒチン、ジルチアゼム、ドネペジル、エレトリプタン、エストラジオール-3,17-ジアセタート、エファビレンツ、エスモロール、フェンタニル、フルニソリド、フルオキセチン、ヒオスシアミン、インドメタシン、イソトレチノイン、リネゾリド、メクリジン、パラコキシブ、ピオグリタゾン、ロフェコキシブ、スマトリプタン、トルテロジン、トラマドール、トラニルシプロミン、トリミプラミンマレイン酸塩、バルデコキシブ、バルデナフィル、ベラパミル、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、ブロマゼパム、ブスピロン、シンナリジン、ジピリダモール、ナルトレキソン、ソタロール、テルミサルタン、テマゼパム、アルブテロール、塩酸アポモルフィン二酢酸塩、カルビノキサミン、クロニジン、ジフェンヒドラミン、タンブトール、フルチカゾンプロプリオナート(fluticasone proprionate)、フルコナゾール、ロバスタチン、ロラゼパムN,O-ジアセチル、メタドン、ネファゾドン、オキシブチニン、プロマジン、プロメタジン、シブトラミン、タモキシフェン、トルフェナム酸、アリピプラゾール、アステミゾール、ベナゼプリル、クレマスチン、エストラジオール17-ヘプタノアート、フルフェナジン、プロトリプチリン、エタンブタール(ethambutal)、フロバトリプタン、ピリラミンマレイン酸塩、スコポラミン、およびトリアムシノレンアセトニド(triamcinolene acetonide)を含んでよい。
【0049】
医薬化合物または医薬組成物は、特定の薬用量で対象に送達されることができる。医薬化合物または医薬組成物は、少なくとも約1マイクログラム(μg)、10μg、50μg、100μg、250μg、500μg、750μg、1ミリグラム(mg)、5mg、10mg、50mg、もしくは少なくとも約100mgまたはこれを上回る量で送達されることができる。医薬化合物または医薬組成物は、約100mg以下、50mg以下、10mg以下、5mg以下、1mg以下、750μg以下、500μg以下、250μg以下、100μg以下、50μg以下、10μg以下、もしくは約1μg以下またはこれを下回る量で送達されることができる。
【0050】
本開示の医薬組成物は、1以上のカンナビノイド化合物を含んでよい。カンナビノイドは、ヒトを含む多くの動物のカンナビノイド受容体系に結合する化合物のクラスを含む。カンナビノイドは、内部シグナル伝達のために動物によって天然に産生される内在性カンナビノイド、植物によって産生される植物性カンナビノイド、および製造される合成カンナビノイドなどのカテゴリーへと広く分類することができる。カンナビノイドは、広範囲の薬理学的作用を生じることができ、それらを医薬研究のための有効標的とすることができる。ほとんどの市販のカンナビノイドは、アサ属の植物に由来する。テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)、およびカンナビジオール(CBD)などの一般的な化合物を含む、少なくとも100のカンナビノイド化合物がアサ植物に由来している。
【0051】
本明細書に開示されるカンナビノイドは、カンナビゲロール型(CBG)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビゲロール酸モノメチルエーテル(CBGAM)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビクロメン型(CBC)、カンナビクロマノン(CBCN)、カンナビクロメン酸(CBCA)、カンナビクロメバリン型(CBCV)、カンナビクロメバリン酸(CBCVA)、カンナビジオール型(CBD)、テトラヒドロカンナビノール型(THC)、イソ-テトラヒドロカンナビノール型(イソ-THC)、カンナビノール型(CBN)、カンナビノール酸(CBNA)、カンナビノールメチルエーテル(CBNM)、カンナビノール-C4(CBN-C4)、カンナビノール-C2(CBN-C2)、カンナビオルコール(CBN-C1)、カンナビノジオール(CBND)、カンナビエルソイン型(CBE)、カンナビエルソン酸A(CBEA-A)、カンナビエルソン酸B(CBEA-B)、カンナビシクロール型(CBL)、カンナビシクロール酸(CBLA)、カンナビシクロバリン(CBLV)、カンナビシトラン型(CBT)、カンナビトリオール、カンナビトリオールバリン(CBTV)、エトキシ-カンナビチオールバリン(CBTVE)、カンナビバリン型(CBV)、カンナビノジバリン(CBVD)、テトラヒドロカンナビバリン型(THCV)、カンナビジバリン型(CBDV)、カンナビゲロバリン型(CBGV)、カンナビゲロバリン酸(CBGVA)、カンナビフラン(CBF)、デヒドロカンナビフラン(DCBF)、およびカンナビリプソール(CBR)といった、カンナビノイドを含むが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書に開示される対象組成物のカンナビノイドは、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジオールモノメチルエーテル(CBDM)、カンナビジオール-C4(CBD-C4)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビジバリン酸(CBDVA)、カンナビジオルコール(CBD-C1)、およびこれらの組み合わせを含むがそれらに限定されないカンナビジオールクラスの化合物を含むことができる。CBDは、デルタ-1-カンナビジオール、デルタ-2-カンナビジオール、デルタ-3-カンナビジオール、デルタ-3,7-カンナビジオール、デルタ-4-カンナビジオール、デルタ-5-カンナビジオール、デルタ-6-カンナビジオール、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0053】
本開示の組成物は、カンナビノイドの一種としてテトラヒドロカンナビノール(THC)を含むことができる。THCは、デルタ-9-THC、デルタ-8-THC、およびそれらの組み合わせを含むことができる。THCは、デルタ-6a、7-テトラヒドロカンナビノール、デルタ-7-テトラヒドロカンナビノール、デルタ-8-テトラヒドロカンナビノール、デルタ-9,11-テトラヒドロカンナビノール、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール、デルタ-10-テトラヒドロカンナビノール、デルタ-6a,10a-テトラヒドロカンナビノール、およびそれらの組み合わせを含むことができる。デルタ-9-テトラヒドロカンナビノールは、(6aR,10aR)-デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール、(6aS,10aR)-デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール、(6aS,10aS)-デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール、(6aR,10aS)-デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール、およびそれらの組み合わせを含む立体異性体を含むことができる。
【0054】
本明細書に説明するカンナビノイド組成物はまた、テルペンを含む他の成分も含有してよい。本開示のカンナビノイド組成物は、モノテルペノイド、セスキテルペノイド、ジテルペノイド、およびトリテルペノイドなどのテルペノイドを含むがこれらに限定されない1以上のテルペン化合物を含むことができる。テルペンは、非環式、単環式、または多環式であることができる。テルペンは、ミルセン、リモネン、リナロール、trans-オシメン、cis-オシメン、α-ピネン、β-ピネン、α-フムレン(α-カリオフィレン)、β-カリオフィレン、δ-3-カレン、trans-γ-ビサボレン、cis-γ-ビサボレン、trans-α-ファルネセン、cis-β-ファルネセン、β-フェンコール、β-フェランドレン、グアジョール、α-グアレン、α-オイデスモール、β-オイデスモール、γ-オイデスモール、テルピノレン、α-セリネン、β-セリネン、α-テルピネオール、フェンコン、カンフェン、cis-サビネン水和物、α-トランス-ベルガモテン、α-cis-ベルガモテン、ボルネオール、γ-クルクメン、α-ツジェン、エピ-α-ビサボロール、イプスジエノール、α-イランゲン、β-エレメン、γ-ムウロレン、α-カジネン、α-ロンギピネン、カリオフィレンオキシド、およびこれらの組み合わせを含むことができるが、それらに限定されない。
【0055】
本開示のカンナビノイド組成物は、プレグネノロンまたは、THC中毒、MSM、フルビン酸、L-テアニン、魚油、およびフェニルエチルアミン(PEA)を中和する他の化合物を含むがこれらに限定されない1以上の追加の化合物またはその誘導体を含むことができる。
【0056】
本開示のカンナビノイド組成物は、その誘導体を含むプレグネノロンを含むことができる。プレグネノロンは、アサ中毒から、例えば、THCから対象を保護するのに役立つことができる。プレグネノロンまたはその誘導体は、水溶性であるように製剤することができる。本開示のカンナビノイド組成物は、約1~50ミリグラム(mg)のプレグネノロンまたはその誘導体を含むことができる。例えば、本開示の単位薬用量は、約1~50ミリグラム(mg)のプレグネノロンを含むことができる。本開示のカンナビノイド組成物(例えば、単位薬用量)は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、または50mgのプレグネノロンを含むことができる。本開示のカンナビノイド組成物(例えば、単位薬用量)は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、または50mgのプレグネノロンを含むことができる。本開示のカンナビノイド組成物(例えば、単位薬用量)は、多くとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、または50mgのプレグネノロンを含むことができる。
【0057】
エアロゾル薬物送達装置
医薬化合物または医薬組成物を含むエアロゾルまたは蒸気を担持するガス流を送達するための装置が本明細書で提供される。本開示の装置は、ガス流を対象の気道内へと送達するように設計されてよい。ガス流は、気道へのアクセスを提供するいずれかの通路またはオリフィスを介して対象に提供されてよい。いくつかの例では、医薬化合物または医薬組成物を含むガス流は、口腔、鼻腔、または気管切開などの別の開口部に提供されてよい。
【0058】
エアロゾルまたは蒸気薬物送達装置は、受動的または能動的な送達機序を介して医薬化合物または医薬組成物を提供してよい。受動的なエアロゾルまたは蒸気送達機序は、外部供給源からの運動量移送の入力によってガス流が提供されるいずれかの機序を含んでよい。いくつかの例では、受動的な送達機序は、対象による吸入または対象もしくは投与個体による装置の手動的な機械作動を含んでよい。能動的なエアロゾルまたは蒸気送達機序は、内部供給源からの運動量移送の入力によってガス流が発生するいずれかの機序を含んでよい。いくつかの例では、能動的な送達機序は、ガス流を付与するポンプ、送風機、またはファンを含んでよい。他の例では、能動的な送達機序は、推進剤または他の加圧ガス源によって発生するガス流を含んでよい。
【0059】
本発明のエアロゾルまたは蒸気薬物送達装置は、ガス流路、加熱素子、液体流路、ポンプ、およびリザーバを備えてよい。
図0は、本明細書で提供される薬物送達装置の例示的な概略図を図示する。リザーバまたは供給源010は、流体を流体流路030を通して移動させるロータリまたは回転ポンプ020によって加熱素子040に供給される医薬化合物または医薬組成物を含む流体を保持することができる。ロータリまたは回転ポンプ020(またはピストンポンプなどいずれかの適切な異なる種類のポンプ)は、流体流路030とポンプ020との間の接続を可能にする少なくとも1つの入口022および少なくとも1つの出口024を有することができる。流体は、加熱素子040へ移動することができ、加熱素子040において加熱されてエアロゾルまたは蒸気050を形成する。
【0060】
エアロゾルまたは蒸気薬物送達装置は、医薬化合物または医薬組成物を保持する1以上のリザーバを備えることができる。リザーバは、医薬化合物または医薬組成物を含む液体を少なくとも1つの液体流路を通して1以上の加熱素子へ送達するポンプへ作動可能に接続されることができる。加熱素子は、医薬化合物または医薬組成物を含む液体をエアロゾルまたは蒸気へ変換するのに十分な熱エネルギーを提供することができる。医薬化合物または医薬組成物を含むエアロゾルまたは蒸気は、医薬化合物または組成物の投与のためにエアロゾルまたは蒸気を対象へ担持するガス流路内のガス流中で運ばせることができる。本開示の薬物送達装置は、ハウジング、センサ、マイクロプロセッサ、電源(例えば、電池)、ならびにボタンおよびスイッチなどの制御装置などの追加の形体を備えることができる。いくつかの例では、本発明の薬物送達装置は、リザーバと加熱素子との間に灯芯材料を備えなくてよい。
【0061】
本発明のエアロゾルまたは蒸気薬物送達装置は、医薬化合物もしくは医薬組成物を含むエアロゾルもしくは蒸気の送達を増強するか、または装置の制御を改善する、いくつかの有利な態様を有することができる。エアロゾルまたは薬物送達装置は、最小限の容積の液体流路(例えば、小径針)を有することができ、それによって、加熱素子上へ液体を堆積させるための圧送速度の変化からの応答時間を急速にする。非加熱のまたは最小限に加熱された液体流路は、気化前の液体の加熱を最小限にする。気化前の加熱の低減は、薬物送達プロセス中の医薬化合物または医薬組成物の劣化の程度を低減させることができる。加熱素子は、加熱された表面上の堆積した液体の厚さを低減させるための大きな表面積を有することができる。より薄い液体層は、気化速度を増大させることができ、それによって、劣化、沈殿、および他の喪失機序による医薬品の喪失を少なくすることができる。加熱素子は、液体で濡らすことができる表面を有してよいか、またはそれに代わるものとして、液体をヒータに対して保持することができる材料(繊維材料など)を有してよい。加熱素子は、通常の抵抗材料を利用して、0.1~2.0Ωの範囲、またはより好ましくは0.4~1.5Ωになるように設計されてよい。加熱素子は、加熱された表面からガス流路への空気経路を最小限にするように設計されてよい。最後に、ヒータ素子の温度測定および制御を可能にするために、高い温度係数の加熱材料を有することが有利であり得る。
【0062】
本発明のリザーバは、医薬化合物または医薬組成物を含む液体を保持するように構成されたいずれかのチャンバまたは容器を備えることができる。リザーバは、剛性容器であってよいか、または可撓性、変形可能、もしくは折り畳み式であることができる。リザーバは、ポリマー材料または金属材料を含むことができる。リザーバは、プラスチック層および金属層で作られた多層積層体などの可撓性のまたは折り畳み式の材料を備えることができる。プラスチック層は、ポリエチレン(PE)、低密度PE、線状低密度PE、中密度PE、高密度PE、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエステル、またはナイロンのうちの1以上の層を含むことができる。シーラント助剤は、性能を改善することができるコーティングを含んでよく、エチレンアクリル酸、メタロセン、サーリン、ビニルアルコール、もしくは塩素ビニリデン、またはプラスチック層上に堆積された、もしくはプラスチック層間に積層した、典型的には様々なアルミニウム合金から作製された金属層を含むことができる。リザーバは、リザーバから流体を駆動するピストン型またはシリンジ型の作動部材を備えた剛性容器を含むことができる。リザーバは、1以上の入口ポートまたは出口ポートを備えることができる。リザーバは、リザーバが薬物送達装置の他の構成要素に作動可能に接続されることを可能にする1以上のフィッティングを備えることができる。リザーバは、使い捨てカートリッジを含んでよい。リザーバは、固定されたまたは再充填可能なカートリッジを含んでよい。リザーバは、液体および気体を含む流体がリザーバ内へと注入されることを可能にする、ハウジングの外部の1以上のポートへ接続することができる。
【0063】
リザーバは、エアロゾルまたは薬物送達装置の常備または非常備の取付け具を備えてよい。常備リザーバは、エアロゾル送達のための化合物を含む流体を充填することができるエアロゾルまたは薬物送達装置内の固定チャンバまたは固定区画を備えてよい。常備リザーバは、1以上のポートを通して流体を充填(load)または充填(charge)することができる。いくつかの場合、流体は、流体を装置の空気流内へと送達するために使用されるポート以外のポートを通して充填することができる。非常備リザーバは、エアロゾルまたは薬物送達装置用の流体を収容することができるいずれかの適切なカートリッジまたは嚢を備えてよい。いくつかの場合、リザーバは、シリンジ装置またはピストン-プランジャ装置を備えてよい。カートリッジまたは嚢は、装置内に保持または配置される密封容器または非密封容器であってよい。シールは、プラスチック、金属箔、またはいずれかの他の適切な材料で作られてよい。非常備リザーバは、単回使用または複数回使用(例えば、再充填可能なカートリッジ)について意図してよい。
【0064】
保管もしくは輸送中の流体喪失を防止するために、またはエアロゾルもしくは薬物送達装置用の化合物の安定性もしくは保管寿命を確保するために、常備または非常備リザーバを密封することができる。常備または非常備リザーバは、手動でまたは非手動で取り出せる材料を用いて流体送達ポートで密封することができる。リザーバは、エアロゾルまたは薬物送達装置の内側の機構によって開封することができる。リザーバ上のシールは、機械的破壊、熱的薄化、熱劣化、化学反応、または化学溶解などの方法によって開封することができる。密封リザーバは、送達される化合物の意図された保管寿命を有することができる。保管寿命は、最短、最長、または平均の保管寿命であってよい。密封リザーバは、約1日、1週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、9か月、1年、1.5年、2年、3年、4年、5年、または5年を超える保管寿命を有することができる。密封リザーバは、少なくとも約1日、1週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、9か月、1年、1.5年、2年、3年、4年、5年、または5年を超える保管寿命を有することができる。密封リザーバは、約5年以内、4年以内、3年以内、2年以内、1.5年以内、1年以内、9か月以内、6か月以内、5か月以内、4か月以内、3か月以内、2か月以内、1か月以内、1週間以内、1日以内の、または1日に満たない保管寿命を有することができる。
【0065】
リザーバは、総容積を有することができる。リザーバは、少なくとも約100マイクロリットル(μl)、500μl、1ミリリットル(ml)、5ml、10ml、20ml、30ml、40ml、50ml、または約100mlの容積を有することができる。リザーバは、少なくとも約100マイクロリットル(μl)、500μl、1ミリリットル(ml)、5ml、10ml、20ml、30ml、40ml、50ml、または少なくとも約100mlもしくはそれを上回る容積を有することができる。リザーバは、約100ml以下、50ml以下、40ml以下、30ml以下、20ml以下、10ml以下、5ml以下、1ml以下、500μl以下、または約100μl以下もしくはそれを下回る容積を有することができる。リザーバは、医薬化合物または医薬組成物の特定数の用量を収容することができる。リザーバは、約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、または約200回用量の化合物または組成物を収容することができる。リザーバは、少なくとも約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、または少なくとも約200回用量もしくはそれを上回る化合物または組成物を収容することができる。リザーバは、約200回用量以下、150回用量以下、100回用量以下、90回用量以下、80回用量以下、70回用量以下、60回用量以下、50回用量以下、40回用量以下、30回用量以下、20回用量以下、10回用量以下、5回用量以下、または約1回用量以下の組成物の化合物を収容することができる。
【0066】
エアロゾルまたは蒸気薬物送達装置は、医薬化合物または医薬組成物を含む液体の移動のための液体流路または液体流経路を備えることができる。流路または流経路は、ポリマー、金属、ガラス繊維、ガラスフリット、セラミック繊維、およびセラミックフリットなどの材料を含むことができる。流路または流経路は、PEEKまたはカプトンなどの高温ポリマーを含むことができる。流路または流経路は、1以上の区間のチューブ配管またはパイプ配管を備えることができる。流路または流経路は、2つの他の構成要素、例えば、リザーバおよびポンプを作動可能に接続するハウジングの成形されたまたは製造された区間を備えることができる。流路または流経路は、流路または流経路を固定し、流体流路を漏逸または混入から密封するフィッティングなどの追加の構成要素を備えることができる。流路は、ヒータ、流量センサ、温度センサ、および圧力センサなどの埋め込まれたまたは挿入された構成要素を備えることができる。
【0067】
エアロゾルまたは蒸気薬物送達装置は、1以上のポンプを備えることができる。ポンプは、容積式ポンプを含むことができる。ポンプは、回転ポンプを含むことができる。他の場合、ポンプはピストンポンプを含むことができる。ポンプは、リザーバから流体を押したり圧搾したりし、それによってリザーバ内の液体の体積を低下させる機械的アクチュエータまたは素子を備えることができる。ポンプは、リザーバと加熱素子との間の流路または流経路内に配置された構成要素であることができる。ポンプは、ポリマー、金属、および磁性材料を含む様々な材料を含むことができる。ポンプは、電源または電磁源に作動可能に接続することができる。ポンプは、電気的または電磁的に作動することができる。
【0068】
エアロゾルまたは蒸気薬物送達装置は、ロータリまたは回転ポンプを備えることができる。ロータリまたは回転ポンプは、ハウジングを備えてよい。ポンプハウジングは、プラスチック(例えば、射出成形プラスチック)もしくは打ち抜き金属、または最適な内部容積を有する材料の組み合わせで作ることができる。ロータリまたは回転ポンプは、液体がポンプに入るための1以上の入口と、液体がポンプから出るための1以上の出口とを有することができる。ロータリまたは回転ポンプは、内側チャンバ内で回転またはさもなくば移動して液体を入口から出口に移動させる1以上の内側部材を備えることができる。1以上の内側部材は、部分的にポンプを駆動するために使用することができる1または複数の磁石を備えることができる。ロータリまたは回転ポンプは、内側部材のうちの1以上を駆動する、移動させる、または回転させるための手段を備えることができる。この手段は、部材に取り付けられた回転機械式シャフトを備えてよいか、またはポンプの内部の1または複数の磁石に作用する可動磁場であることができる。いくつかの例では、可動磁場は電磁石によって生成することができる。
【0069】
図1および
図2は、ギヤの片方または両方を駆動することができる3歯ギヤポンプの断面図を図示する。このギヤは、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを備えたハウジング内へと設置することができる。このギヤは、ポリカーボネート、ABS、またはナイロンなどの射出成形プラスチックで作ることができる。本発明のポンプは、約0.1ミリグラム毎秒(mg/s)、0.5mg/s、1mg/s、2mg/s、3mg/s、4mg/s、5mg/s、6mg/s、7mg/s、8mg/s、9mg/s、または約10mg/sのポンプ速度を有することができる。本発明のポンプは、約0.1mg/s、0.5mg/s、1mg/s、2mg/s、3mg/s、4mg/s、5mg/s、6mg/s、7mg/s、8mg/s、9mg/s、または約10mg/sのポンプ速度を有することができる。本発明のポンプは、約10mg/s以下、9mg/s以下、8mg/s以下、7mg/s以下、6mg/s以下、5mg/s以下、4mg/s以下、3mg/s以下、2mg/s以下、1mg/s以下、0.5mg/s以下、もしくは0.1mg/s以下、またはそれを下回る吸入速度を有することができる。追加として、気化させることが所望であり得る液体は、単位密度付近であってよい。これにより、約1~5mm
3毎秒の所望のポンプ速度がもたらされ得る。
【0070】
いくつかの例では、(駆動機序から必要とされるトルクを最小限にするために)圧送に機械的利点を有することが望ましくあり得る。約1回毎秒回転するポンプを有することが有利であり得る。3歯ギヤポンプは、(2つのギヤが存在し得るので)歯のキャビティあたり約0.1~約1mm
3の容積を有し得る。製造を単純にするようポンプの特徴を比較的大きく保つために、ギヤの厚さは、容易に射出成形することができる最小の厚さ、例えば、0.1mm~約0.5mmに保つことができる。約0.1~約3.5mm
2の各歯のキャビティの断面積。いくつかの例では、歯のキャビティはほぼ楕円形であり、深さ(内側から外側)は0.5mmであり、約0.5mm~5.0mmの長さとなる)。結果として得られるポンプの大まかなサイズは、1~10mmの直径を有するであろう。
図2は、ギヤとハウジングとの間の公差の問題を除去するために追加され得るオーバーモールドされたエラストマー材料を追加した同じ3歯ポンプの断面図を示す。このようにして、より正確なポンプを構築することができる。追加として、
図2は、歯付きギヤポンプのための入口ポートおよび出口ポートの代替的な位置を示す。
図3は、駆動シャフトの位置を示す同じポンプの側面図である。
【0071】
図4は、ギヤの片方または両方の内部がポンプを駆動するために使用される永久磁石を備えることができる4歯ギヤポンプの断面図である。ポンプ内の内部磁石の使用は、ポンプハウジングを通してギヤのうちの1つ以上を機械的駆動装置に物理的に連結する必要なくポンプを駆動することができる。磁気駆動システムは、(例えば、機械的シャフトがハウジングを通過する場合に)機械的連結における漏逸を最小限にし、高公差部品製造の必要性を排除するために有利であり得る。永久磁石を備えるギヤは、いずれかの数のギヤ歯に対して構成されてよい。
図5は、歯の数が増加したギヤポンプの断面図を示す。このようにして、ポンプの回転ごとにより少量の製剤を圧送することができ、それによってポンプ駆動回路の機械的利点が増大し、ポンプの精度が増大する。各ギヤが15の歯を有する場合、各歯のキャビティは、約0.01~0.2mm
2の横断面積を有することができる。
【0072】
図6は、ギヤポンプ用の例示的な磁気駆動機序の概略図を示す。この例では、6個のコイルが使用される(1セット2個のコイルからなる3セット)。コイルは空気中心を有することができるか、またはコイルはメタリングコアの周りに巻き付けることができるか、またはフェライト材料をコアとして使用することができる。1セット2個のコイルからなる3セットは、回転様式で直流電流で順次通電され、N極およびS極の磁場を生成させ、それによって固定磁石を駆動することができる。
図7は、
図6の駆動回路の拡大図である。
【0073】
図8は、磁気駆動装置のトルクを増大させるために使用することができるギヤ減速設計の断面図を示す。追加として、このようにして、回転ごとにまたは駆動装置ごとに圧送される製剤の量を低減させ、それによってポンプの制御を上昇させることができる。明らかなように、駆動方法の機械的利点を高めるために、追加のギヤ減速を使用することができる。
図9は、駆動方法からポンプへの機械的ギヤ減速を増やす方法としてのウォーム歯車を示す。
【0074】
図10は、例示的な回転ポンプの断面図を示す。小さな方の内側ギヤは、ハウジングへ固定され、ロータ上の大きなギヤと係合し、それにより、ロータがハウジングと共に、意図する経路を確実にたどることができる。ロータは、示すようにハウジングと固定することができ、
図10にも示すように、軸上でロータ内で回転することができる軸の周りを回転するオフセットを有するシャフトによって駆動することができる。
図11は、
図10と同じ例示的な回転ポンプを示すが、ポンプを駆動するために使用することができる内部磁石を有する。この例では、ロータを正しい位置に保つために使用されるギヤは、磁石の下に配置することができる。
図10のポンプと同様の駆動方法が使用される。
【0075】
図12は、ベーンポンプの断面図を示す。ベーンは、ハウジングの内壁に対して圧縮下にあってよく、ポンプが回転するにつれて、ベーンは、ポンプの内部スペーシング内の変化に適応するために自由に(圧縮下で)内外に移動することができる。製剤が液体(すなわち、非圧縮性)である場合、ベーンが入口ポートを閉鎖すると、液体を含有するポンプの断面は、出口ポートが開放するまで一定の横断面(回転軸間の距離は一定)を有することができる。
【0076】
図13は、インペラポンプの断面図を示す。インペラ材料は、剛性エラストマー材料、または圧送される医薬化合物もしくは医薬組成物の液体粘度の範囲にわたって一貫した変形を有するように選択された材料であってよい。ポンプは、液体組成に関係なく一貫したポンプ速度を与えるように設計されてよい。
【0077】
エアロゾルまたは蒸気薬物送達装置は、リザーバから直接流体を駆動することを含む圧送方法を備えることができる。いくつかの例では、薬物送達装置は、ピストンまたはシリンジ様の装置などの機械的アクチュエータを有する1以上の剛性リザーバを備える。他の例では、薬物送達装置は、1以上の折り畳み式または可撓性リザーバを備えることができる。折り畳み式または可撓性リザーバは、液体を収容するチャンバを形成する箔または薄膜から作ることができる。剛性、折り畳み式、または可撓性のリザーバの場合、機序、構成要素、素子またはアクチュエータがリザーバに沿って駆動され、リザーバ内に収容された液体をリザーバから放出させる。機序、構成要素、素子またはアクチュエータは、分配される液体の速度および体積を制御するための手段、例えば、可撓性リザーバに沿って2のバレルを回転させる電気駆動シャフトへ機械的または電気的に連結することができる。
【0078】
図14は、例示的なリニアポンプおよびリザーバシステムの横断面図を示す。リザーバは、その中に(横断面にわたって)プランジャを有するチューブであってよい。プランジャは、リザーバから液体を圧送するために(シリンジと同様に)チューブの軸に沿った駆動装置であってよい。リザーバは、液体と適合する材料から作られたプラスチックから射出成形されてよい。加熱素子に送達される液体の量が約1mg/s~約5mg/sである場合、プランジャの計量移動が所望のポンプ速度をもたらすようにリザーバの横断面を選択することができる。例えば、プランジャが0.1mm/秒の計量移動速度でリードスクリューによって駆動される場合、横断面積は約10~約50mm
2である必要があり得る。これにより、プランジャ(およびリザーバの直径は約3.5~約8.0mmとなり得る。他の例では、プランジャは、(回転ソレノイドおよび爪駆動部と比較して)ソレノイドおよび爪システムで線状に駆動することができる。この例では、合理的なより低いレベルの移動は、1.0mm/秒となるだろう。これにより、約1.0~3.0mmのリザーバ直径がもたらされ得る。
【0079】
図15は、1または複数のホイールまたはワイプの使用によって液体が折り畳み式リザーバから駆動されることができる折り畳み式リザーバを備えることができる第2のリニアポンプおよびリザーバシステムを示す。ホイールまたはワイプをリザーバに沿って移動させて、バッグから液体を絞り出すことができる。リザーバ材料は、市販されている密封された多重悲嘆材料(本明細書の他の箇所に説明されている材料を含むことができるか、またはそれに類似していてよい)で作ることができる。横断面および駆動機序の定寸は、プランジャリザーバで使用することができるものと同様であってよい。
図16は、プランジャまたはホイール/ワイプのいずれかを押すために使用されるスクリュー駆動システムを示す。
【0080】
図17は、ソレノイドおよび爪システムを使用する例示的なリニア駆動装置を示す。ソレノイドが作動すると、爪が駆動部材を設定距離だけ押すことができる。第2の爪は適所内へと収まることができ、それによって、この部材が後方に移動するのを、いったんソレノイドが反転または非働化すると防止することができる。ソレノイドが反転または非働化すると、第1の爪は、駆動部材の歯の上を滑って、次の歯を係合させることができる。
【0081】
図18は、スクリュー駆動装置と共に使用することができる例示的な回転ソレノイドおよび爪システムを示す。リニア駆動システムと同様に、ソレノイドは、爪を回転ギヤホイール内へと駆動して回転させることができるように作動することができる。二次爪を使用して、ホイールが後方に回転するのを防止することができる。このシステムは、回転駆動部の機械的利点が(リニア駆動部よりも)高まり、それによって、より大きな横断面のリザーバを採用することが可能になるので、有利であり得る。この回転駆動部は、ギヤポンプなどの回転ポンプ設計のうちのいずれにも採用することができる。
【0082】
図19は、プランジャ/シリンジリザーバおよび折り畳み式バッグリザーバの両方についての例示的な代替駆動部を示す。この駆動部では、圧縮ばねなどの部材にエネルギーを蓄えることができる。次いで、ソレノイドおよび爪システムを使用することによって制御された様式でエネルギーを放出することによって、エネルギーをリニアポンプへ分配することができる。いくつかの例では、同じ機序を回転様式で使用することができ、それによって、エネルギーを圧縮ばねまたは巻きばねに蓄えることができ、爪をホイールへ適用することができる。
【0083】
いくつかの例では、医薬化合物または医薬組成物を含む液体の流体特性は、一定の圧送速度を維持するために、またはポンプを作動させておくために変更することができる。一部の液体、例えば、一部のカンナビノイドでは、液体の粘度が高くなることがある(100,000センチポアズから1,000,000センチポアズもの高さまで)。このような場合、液体は、より多大な量の圧送作業を必要とし得る。液体の粘度はまた、液体の温度が低落するにつれて高くなることもある。いくつかの例では、液体の粘度は、電気駆動回路に対するポンプの応答時間を測定すること(ポンプがステッピングモータにおいて次のステップに到達するのにかかる時間間隔の測定)によって、ロータリまたは回転ポンプによる圧送中に測定することができる。これは、ウォーム駆動装置などによる、駆動装置における大きな機械的減速装置、または複数のギヤ減速装置を有さない回転ポンプで有用であり得る。望ましくない高粘度が測定された場合、液体は、ポンプ自体の内部、リザーバ内、液体流路内もしくは液体流経路内、またはこれらの組み合わせの内部で加熱されて、所望の液体粘度に到達することができる。他の例では、薬物送達装置は、液体リザーバ内または液体流路内のどこかで液体粘度を独立して測定するインペラなどの回転素子を備えることができる。
【0084】
いくつかの場合、エアロゾルまたは蒸気薬物送達装置は、ポンプの速度、加熱素子の温度、流体の粘度、またはこれらのいずれかの組み合わせを示す
図38Aおよび
図38Bに示すようなディスプレイを備える。さらに、本明細書に開示される装置は、ポンプの速度、加熱素子の温度、流体の粘度、またはこれらのいずれかの組み合わせを調整するためのアクチュエータを備えることができる。例えば、流体の粘度が、意図するよりも高いことをディスプレイが示す場合、ユーザは、意図する流体粘度をディスプレイが示すまで、加熱素子の温度および/またはポンプの速度を調整することができる。
【0085】
粘度検知のための回転素子は、検知に必要な他の構成要素に連結されてよい。回転素子は、機械的シャフト、ギヤ、モータ配線、電源、回路構成要素、回転センサ、トルクセンサ、またはマイクロプロセッサに連結されてよい。回転素子を含む電気的素子および機械的素子からなる組み合わせは、粘度検知回路を備えてよい。粘度検知回路は、目標とする粘度または粘度範囲に到達するために液体温度を変化させる1以上のヒータまたは熱交換構成要素に作動可能に連結されてよい。粘度検知回路は、特性応答時間を有することができる。特性応答時間は、粘度を測定することと、液温を変化させることによって目標粘度に到達することとの間の時間差を含むことができる。粘度検知回路は、約1マイクロ秒(μs)、10μs、100μs、500μs、1ミリ秒(ms)、10ms、50ms、100ms、250ms、500ms、1秒(s)、5s、または約10sの特性応答時間を有することができる。粘度検知回路は、少なくとも約1マイクロ秒(μs)、10μs、100μs、500μs、1ミリ秒(ms)、10ms、50ms、100ms、250ms、500ms、1秒(s)、5s、もしくは約10s、またはそれを上回る特性応答時間を有することができる。粘度検知回路は、約10s以下、5s以下、1s以下、500ms以下、250ms以下、100ms以下、50ms以下、10ms以下、1ms以下、500μs以下、100μs以下、10μs以下、もしくは約1μs以下またはこれを下回る特性応答時間を有することができる。
【0086】
エアロゾルまたは蒸気薬物送達装置は、1以上の加熱素子を備えることができる。いくつかの例では、加熱素子は、吸入または注入されたガス流内でのエアロゾルまたは蒸気の形成を可能にするためにガス流路内に配備することができる。他の例では、加熱素子を流体流経路に近接して配備して、医薬化合物または医薬組成物を含む液体への直接的な熱エネルギー入力を可能にすることができる。加熱素子は、抵抗ヒータまたは誘導ヒータを備えることができる。
【0087】
本発明では、ヒータ素子は、リザーバから流体を受動的に輸送する灯芯材料なしで設計することができる。いくつかの例では、液体医薬化合物または医薬組成物は、ヒータ素子の上または中へと直接圧送することができる。ヒータ素子および液体流路の設計は、ガス流路を横切って整列したヒータ素子を有するなど、フォームファクタが従来の気化装置において使用するために伝導性であるように、または既存の「ポッド」型の気化カートリッジ内へはまるであろうサイズを有するように設計されることが有利であり得る。
【0088】
ヒータ素子は、従来の鋼合金から、または他の金属素子および/もしくは合金から作られてよい。素子の温度を決定および制御することができるように、熱係数の大きな加熱素子を有することが望まれる場合、例えば、チタン、銅、またはタングステンを使用してよい。この温度制御は、ポンプ速度(気化した製剤の量)と併せて温度を制御するために重要であり得る。加熱素子は、カプトンまたはPEEKなどのポリマーまたはエラストマー材料を部分的に含むことができる。ポリマーまたはエラストマー材料は、熱劣化に耐えることができる。いくつかの例では、ポリマーまたはエラストマー材料は、350℃以上の温度で安定であることができる。ポリマーまたはエラストマー材料は、加熱素子の表面上の液体の均一な分散を増強もしくは支援することができるか、またはヒータ素子を支持するために、もしくはヒータ素子を電気的に絶縁するために使用することができる。
【0089】
加熱素子は、ワイヤから形成されてよいか、またはいくつかの金属合金のシート(箔)から形成されてよい。加熱素子に通電することによって加熱される場合(電気誘導を使用する場合と比較して)、加熱素子は最適な電気抵抗を有することができる。加熱素子の電気抵抗は、約0.1オーム(Ω)、0.2Ω、0.3Ω、0.4Ω、0.5Ω、0.6Ω、0.7Ω、0.8Ω、0.9Ω、1.0Ω、1.1Ω、1.2Ω、1.3Ω、1.4Ω、1.5Ω、1.6Ω、1.7Ω、1.8Ω、1.9Ω、2.0Ω、2.5Ω、または約3.0Ωであってよい。加熱素子の電気抵抗は、少なくとも約0.1オーム(Ω)、0.2Ω、0.3Ω、0.4Ω、0.5Ω、0.6Ω、0.7Ω、0.8Ω、0.9Ω、1.0Ω、1.1Ω、1.2Ω、1.3Ω、1.4Ω、1.5Ω、1.6Ω、1.7Ω、1.8Ω、1.9Ω、2.0Ω、2.5Ω、もしくは少なくとも約3.0Ωまたはそれを上回ってよい。加熱素子の電気抵抗は、約3.0オーム(Ω)以下、2.5Ω以下、2.0Ω以下、1.9Ω以下、1.8Ω以下、1.7Ω以下、1.6Ω以下、1.5Ω以下、1.4Ω以下、1.3Ω以下、1.2Ω以下、1.1Ω以下、1.0Ω以下、0.9Ω以下、0.8Ω以下、0.7Ω以下、0.6Ω以下、0.5Ω以下、0.4Ω以下、0.3Ω以下、0.2Ω以下、もしくは少なくとも約0.1オーム以下またはそれを下回ってよい。加熱素子の電気抵抗は、約0.1Ω~約0.4Ω、約0.1Ω~約1.0Ω、約0.1Ω~約1.5Ω、約0.1Ω~約2.0Ω、約0.1Ω~約3.0Ω、約0.4Ω~約1.0Ω、約0.4Ω~約1.5Ω、約0.4Ω~約2.0Ω、約0.4Ω~約3.0Ω、約1.0Ω~約1.5Ω、約1.0Ω~約2.0Ω、約1.0Ω~約3.0Ω、約1.5Ω~約2.0Ω、約1.5Ω~約3.0Ω、または約2.0Ω~約3.0Ωの範囲であってよい。
【0090】
加熱素子は、電源に電気的に接続することができる。電源は、1以上の一次電池または二次電池を備えることができる。加熱素子は、特定の熱出力を提供することができるか、または特定の電力要件を有することができる。加熱素子は、約5ワット(W)、10W、15W、20W、25W、30W、35W、40W、または約50Wの熱出力または電力要件を提供することができる。加熱素子は、少なくとも約5ワット(W)、10W、15W、20W、25W、30W、35W、40W、もしくは少なくとも約50W、またはそれを上回る熱出力または電力要件を提供することができる。加熱素子は、約50W以下、40W以下、35W以下、30W以下、25W以下、20W以下、15W以下、10W以下、もしくは約5W、またはそれを下回る熱出力または電力要件を提供することができる。いくつかの例では、加熱素子は、約6W~約22Wの熱出力または電力要件を有することができる。
【0091】
いくつかの例では、加熱素子は誘導ヒータを含む。加熱素子が電気誘導によって加熱される場合、加熱される素子の周りに電気コイルを配置することができる。コイルは、素子に近接することができ、電磁場(エネルギー)を素子に導くためにフェライト材料および他の材料の使用を組み込むことができる。誘導コイル内の交流電流の周波数は、素子の幾何形状を考慮して選択されるものとする。素子の厚さがある厚くなるにつれて、周波数は低下するものとする。典型的には、素子の「スキン」が例えば、厚さ0.004インチである場合、典型的な周波数は、約200~400khzになるであろう。
【0092】
いくつかの例では、本発明の加熱素子は、加熱素子の表面上に液体の化合物または組成物を分散させるのを助ける繊維状またはフリット状の材料と物理的に接触させることができる。他の例では、液体流路または液体流経路は、流路または流経路の出口で抵抗加熱または誘導加熱されて、流れる液体からエアロゾルまたは蒸気を生成する材料(例えば、フリット金属)を備えることができる。
【0093】
図20は、ガス流路内のワイヤのコイルであり得るヒータ素子を示す。ワイヤは、ステンレス鋼、ニッケルクロム合金、チタンまたは同様の合金などの金属合金で作ることができる。いくつかの例では、ワイヤの直径は、約0.1mm~約0.5mmの範囲であることができる。長さは、約1~約20mmであることができる。電気抵抗は、0.1~3オームであることができる。コイルのピッチは、ヒータ線の直径の約1.2~2.0倍であることができる。いくつかの例では、液体流路は、加熱素子上へと液体を分配することができる。チューブは、金属、ガラス、セラミック、またはPEEKもしくはカプトンなどの高温プラスチックから作ることができる。
【0094】
図21は、加熱素子上へと液体を分配するのを支援する液体流路の端部に多孔質材料が配置された
図20の構成を示す。この多孔質材料は、ガラス繊維、またはガラスもしくはセラミックのフリットから作ることができる。
図22は、
図21と同じ構成であるが、加熱素子は、多孔質材料の周りに輪郭を形成し、適所に保持するのに役立つ空間内へと巻かれている。
図23は、多孔質材料を保持するために別の形状へと巻かれたヒータ素子を有する。
【0095】
図24は、加熱素子として使用することもできる液体流路を示す。この例では、流路は、その外側に、加熱した表面積を増大させるのを支援する多孔質材料を有することができる。多孔質材料の例としては、金属繊維マット、および金属スクリーンがあってよい。あるいは、チューブは、表面積を増大させ、濡れ特性を高める表面処理を外部に施してよい。いくつかの例では、液体流路は、セラミックで表面処理されてよい。これらのセラミックは、チタンなどで表面を酸化チタンへと酸化させることによって、加熱素子の表面上に形成されてよい。
【0096】
図25は、ステンレス鋼などの金属箔で作ることができる液体流路を示す。この箔は、それ自体の上に折り畳まれて溶接される(例えば、シーム溶接される)ことができるか、またはシールは折り畳み自体に形成されることができる。液体流路の端部には、液体を加熱素子上に延展するために使用される一連の孔があってよい。あるいは、液体流路は、PEEKまたはカプトンなどの高温プラスチックのシートから作ることができる。
【0097】
図26は、螺旋状加熱素子に沿って延びる一連の孔を有する金属チューブまたは別の材料であってよいディスペンサを図示する。
図27は、
図26のものと同様の構成を示すが、液体流路の周りに部分的に嵌合する横断面を形成する方法でヒータ素子を巻き付けることができるものを示す。
【0098】
図28は、液体を運ぶチャネルを形成するために互いに溶接することができる金属箔から作られた例示的な液体流路と加熱素子との組み合わせを示す。箔に通電して液体を加熱することができる。いくつかの例では、厚さ12.5ミクロン(0.0005インチ)のステンレス鋼を使用することができる。
図29は、
図28と同様の構成を示すが、気化区域がガス流路に沿って配置する場合と比較して、ガス流路を横切って配置することができるものを示す。
【0099】
図30は、加熱された表面を有する加熱素子として使用することもできる薄化した金属チューブから作られたガス流路を示す。液体は、外部から小さな孔を通してチューブの内部へと圧送することができる。チューブは、チューブを備えた材料内で電流を消散させることによって加熱することができる。
【0100】
図31は、液体が内面上に分配することができる金属チューブを示す。チューブは、電気誘導を使用して加熱することができる。管の周りにコイルを配置することができ、コイルに交流電流を流すことができる。誘導加熱ための典型的な周波数は、約100kHz~約500kHzの範囲であろう。この交流電磁場は、チューブ内で電流を誘導または発生させ、それによってチューブを加熱する。
【0101】
図32は、折り畳まれた金属箔からヒータ素子を作ることができる例示的な誘導ヒータを示す。箔の折り畳みは、液体がガス流路へ輸送されるチャンバを形成することができる。箔チューブは、ガス流路の中央に保持することができる。
【0102】
図33は、薄い金属箔から作られた加熱素子を示す。穿孔、エッチングまたは切断(例えば、レーザ切断)などの方法を通じて箔に孔を開けることができる。これらの孔は、2の有利な目的を果たすことができる。金属箔の孔は、加熱素子の電気抵抗を増大させることができ、液体は孔を通して圧送することができる。ヒータの片側では、エアロゾル化または気化した液体を運び去るガス流路があってよく、もう片側では、液体を加熱素子へ運ぶための液体流路がある。
図34は、加熱素子または加熱素子の裏側の多孔質材料へ液体を運ぶ隆起したチャネルを生じさせるような方法で、金属箔に孔を打ち抜くことによって形成することができる液体流路を示す。
【0103】
図35は、回路基板作製方法を使用して作ることができる加熱素子および液体流路を示す。基板には、複数の小孔を有することができる。例えば、孔の数は、約100または約1000とすることができ、孔の大きさは、約0.001インチ(in)~約0.01inの範囲とすることができる。基板の最上層では、孔の周りに加熱素子を配置することができる。電流は、基板の底面への垂直相互接続アクセス(ビア)を使用することによって、1つの孔から次の孔へ直列様式で経路設定することができる。基板は、必要な温度(おおよそ350℃)に耐えることができる材料(カプトンなど)から作ることができる。
【0104】
エアロゾルまたは蒸気薬物送達装置は、医薬化合物または医薬組成物を対象へ運ぶガス流路を備えることができる。ガス流路は、1以上の入口と1以上の出口とを備えることができる。ガス流路は主として、空気または他のガスを輸送することができる。ガス流路は、ガス流路内にガス流を生じさせる推進剤または圧縮ガスの1以上の供給源に作動可能に接続することができる。ガス流路は、1以上の区間のチューブ配管またはパイプ配管を備えることができる。ガス流路は、装置ハウジングの鋳造または作製された1区間を備えることができる。ガス流路は、ポリマー、金属、セラミック、およびガラスなどの材料を含むことができる。
【0105】
エアロゾルまたは蒸気薬物送達装置は、ハウジングを備えることができる。ハウジングは、エアロゾルまたは蒸気薬物送達装置の構成要素を固定および封入するよう機能する1以上のピースを備えることができる。ハウジングは、ポリマー、金属、セラミック、およびガラスなどの材料を含むことができる。ハウジングは、リザーバ内の液面を見るための1以上の窓を備えることができる。ハウジングは、薬物送達装置との電気的接続性または流体接続性を確立するための1以上のポートを備えることができる。ハウジングは、1以上のデジタルまたはアナログディスプレイ、例えば、残存用量数を備えることができる。ハウジングは、薬物送達装置を制御するための様々なボタンおよびスイッチを備えることができる。ハウジングは、耐漏性、防水性、または対破損耐性であるように設計することができる。ハウジングは、射出成形によって形成することができる。
【0106】
本開示は、本開示の方法を実施するようにプログラムされたコンピュータシステムを提供する。
図36は、電子薬物送達装置を制御するようにプログラムされたまたはさもなくば構成されたコンピュータシステム3601を示す。コンピュータシステム3601は、例えば、圧送された流体の検出された粘度に基づいて回転ポンプ速度を調整するなど、本開示の薬物送達の様々な態様を調節することができる。コンピュータシステム3601は、ユーザの電子デバイス、または電子デバイスに関して遠隔に配置されたコンピュータシステムとすることができる。電子デバイスは、モバイル電子デバイスとすることができる。
【0107】
コンピュータシステム3601は、シングルコアプロセッサもしくはマルチコアプロセッサ、または並列処理のための複数のプロセッサとすることができる中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」および「コンピュータプロセッサ」)3605を備えている。コンピュータシステム3601はまた、メモリまたはメモリ位置3610(例えば、ランダムアクセスメモリ、読出し専用メモリ、フラッシュメモリ)と、電子記憶装置3615(例えば、ハードディスク)と、1以上の他のシステムと通信するための通信インターフェース3620(例えば、ネットワークアダプタ)と、キャッシュ、他のメモリ、データストレージ、および/または電子ディスプレイアダプタなどの周辺装置3625とを備えている。メモリ3610、記憶装置3615、インターフェース3620および周辺装置3625は、マザーボードなどの通信バス(実線)を経てCPU3605と通信する。記憶装置3615は、データを記憶するためのデータ記憶ユニット(またはデータリポジトリ)とすることができる。コンピュータシステム3601は、通信インターフェース3620の助力でコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)3630に作動可能に連結することができる。ネットワーク3630は、インターネット、インターネットおよび/もしくはエクストラネット、またはインターネットと通信するイントラネットおよび/もしくはエクストラネットとすることができる。ネットワーク3630は、いくつかの場合、電気通信ネットワークおよび/またはデータネットワークである。ネットワーク3630は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にすることができる1以上のコンピュータサーバを備えていることができる。ネットワーク3630は、いくつかの場合、コンピュータシステム3601の助力で、コンピュータシステム3601に連結したデバイスがクライアントまたはサーバとして作動することを可能にすることができるピア・トゥ・ピアネットワークを実装することができる。
【0108】
CPU3605は、プログラムまたはソフトウェアにおいて具現化することができる一連の機械可読命令を実行することができる。命令は、メモリ3610などのメモリ位置に記憶することができる。命令は、CPU3605に命令することができ、CPU3605は、その後、本開示の方法を実施するようにCPU3605をプログラムすることができるか、またはさもなくば構成することができる。CPU3605によって実行される演算の例は、フェッチ、デコード、実行、およびライトバックを含むことができる。
【0109】
CPU3605は、集積回路などの回路の一部とすることができる。システム3601のうちの1つ以上の他の構成要素は、回路に含めることができる。いくつかの場合、回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0110】
記憶装置3615は、ドライバ、ライブラリおよび保存されたプログラムなどのファイルを記憶することができる。記憶装置3615は、ユーザデータ、例えば、ユーザプレファレンスおよびユーザプログラムを記憶することができる。コンピュータシステム3601は、いくつかの場合、イントラネットまたはインターネットを経てコンピュータシステム3601と通信するリモートサーバ上に位置するなど、コンピュータシステム3601の外部にある1以上の追加のデータ記憶装置を備えることができる。
【0111】
コンピュータシステム3601は、ネットワーク3630を経て1以上のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム3601は、ユーザ(例えば、薬物送達装置の対象)のリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモートコンピュータシステムの例としては、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレートPCもしくはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))、または携帯情報端末がある。ユーザは、ネットワーク3630を介してコンピュータシステム3601にアクセスすることができる。
【0112】
本明細書に説明する方法は、例えば、メモリ3610または電子記憶装置3615などのコンピュータシステム3601の電子記憶場所に記憶された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実施することができる。機械実行可能コードまたは機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供することができる。使用中、コードはプロセッサ3605によって実行することができる。いくつかの場合、コードは、記憶装置3615から取得することができ、プロセッサ3605による容易なアクセスのためにメモリ3610に記憶することができる。いくつかの状況では、電子記憶装置3615を除外することができ、機械実行可能命令がメモリ3610に記憶される。
【0113】
コードは、コードを実行するのに適合したプロセッサを有する機械で使用するために事前コンパイルおよび構成することができ、または実行時の間にコンパイルすることができる。コードは、コードが予めコンパイルされた様式でまたはコンパイルされた様式のままで実行することを可能にするように選択することができるプログラミング言語で供給することができる。
【0114】
コンピュータシステム3601など、本明細書で提供されるシステムおよび方法の態様は、プログラミングにおいて具現化することができる。本技術の様々な態様は、典型的には、ある種の機械可読媒体上に担持されるかまたは該機械可読媒体内で具現化される機械(またはプロセッサ)実行可能コードおよび/または関係するデータの形態の「製品」または「製造品」と見なすことができる。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)またはハードディスクなどの電子記憶装置内に記憶することができる。「記憶」タイプの媒体は、コンピュータ、プロセッサなどの有形メモリ、または様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどの関係するモジュールのいずれかまたはすべてを含むことができ、ソフトウェアプログラミングのためにいつでも非一時的記憶を提供することができる。ソフトウェアの全部または一部は、インターネットまたは様々な他の電気通信ネットワークを経て通信することができる。このような通信は、例えば、あるコンピュータまたはプロセッサから別のコンピュータまたはプロセッサへの、例えば管理サーバまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへのソフトウェアのローディングを可能にすることができる。したがって、ソフトウェア素子を担持することができる別のタイプの媒体は、ローカルデバイス間の物理インターフェースにわたって、有線および光の地上ネットワークを経て、ならびに様々なエアリンクにわたって使用されるなどの、光波、電波、ならびに電磁波を含む。有線または無線のリンク、光リンクなど、このような波を搬送する物理的素子はまた、ソフトウェアを担持する媒体と見なすこともできる。本明細書で使用する場合、非一時的で有形の「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータまたは機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する何らかの媒体を指す。
【0115】
この故に、コンピュータ実行可能コードなどの機械可読媒体は、有形記憶媒体、搬送波媒体、または物理伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとることができる。不揮発性記憶媒体には、例えば、図面に示されるデータベースなどを実装するために使用することができるようないずれかの(1または複数の)コンピュータなどにおける記憶装置のいずれかなどの光ディスクまたは磁気ディスクがある。揮発性記憶媒体には、このようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどのダイナミックメモリがある。有形伝送媒体には同軸ケーブル、コンピュータシステム内にバスを備えるワイヤをはじめとする銅ワイヤおよび光ファイバがある。搬送波伝送媒体は、電気信号もしくは電磁信号、または無線周波数(RF)データ通信および赤外線(IR)データ通信の間に生成されるような音波もしくは光波の形態をとることができる。それゆえ、コンピュータ可読媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、いずれかの他の磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、いずれかの他の光学媒体、パンチカード紙テープ、孔のパターンを有するいずれかの他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、FLASH-EPROM、いずれかの他のメモリチップもしくはカートリッジ、データもしくは命令を搬送する搬送波、このような搬送波を搬送するケーブルもしくはリンク、またはコンピュータがプログラミングコードおよび/もしくはデータを読み取ることができるいずれかの他の媒体がある。これらの形態のコンピュータ可読媒体の多くは、実行のために1以上の命令の1以上のシーケンスをプロセッサに搬送することに関与することができる。
【0116】
コンピュータシステム3601は、例えば、薬物送達および装置制御オプションを提供するためのユーザインターフェース(UI)3640を備える電子ディスプレイ3635を備えることができるか、またはこの電子ディスプレイ3635と通信することができる。UIの例としては、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)およびウェブ系ユーザインターフェースがあるが、これらに限定されない。
【0117】
本開示の方法およびシステムは、1以上のアルゴリズムによって実施することができる。アルゴリズムは、中央処理装置3605による実行の際にソフトウェアによって実施することができる。アルゴリズムは、例えば、流体粘度を決定することができ、加熱素子の出力を調整して流体特性を調整することができる。
【0118】
[実施例]
[実施例1]
-例示的なエアロゾル送達装置
呼吸器への薬物送達のためのエアロゾルは、手持ち式装置を使用して生成することができる。装置は、医学用途、医薬用途、レクリエーション用途、またはそれらの組み合わせを意図することができる。装置は、投与履歴および用量制御の制御および表示を可能にすることを意図したユーザインターフェースを備えている。装置は、一体型スクリーンを有する本体と、制御ボタンと、吸入ポートを有するマウスピースと、キャップとを備える。スクリーンは、バックライト照明、データ表示、およびセキュリティの手段を備えて、湾曲していても平坦であってもよい。装置はさらに、流体化合物を収容するカートリッジを備える。装置はまた、エアロゾル発生機序と電源とを備える。電源は、充電式電池または交換可能電池であってよい。充電式バッテリを備えたエアロゾル送達装置はまた、マイクロIUSBポートなどの充電ポートを有してよい。充電ポートはまた、例えば、薬用量制御をアップロードするために、ユーザインターフェースへの外部接続を可能にしてよい。
【0119】
図37Aは、正面図、側面図、背面図、および等尺図が表示された第1の装置フォームファクタの図を示す。
図37Bは、第1のフォームファクタで製造されたデバイスの写真を示す。
図38Aは、正面図、側面図、背面図、および等尺図が表示された第2の装置フォームファクタの図を示す。
図38Bは、第2のフォームファクタで製造されたデバイスの写真を示す。
【0120】
[実施例2]
-用量カートリッジリザーバ
本明細書に説明するものなどのエアロゾル送達装置は、シリンジ型リザーバを備えてよい。製品を出荷することができ、妥当な保管寿命を有することができるためには、リザーバ、この場合はシリンジの内部を、製剤の充填の際に密封することができる必要がある。これを行うために、シリンジポンプ駆動部がシールに十分な圧力を加えると破裂する破断可能なシールでシリンジの出口が密封されたシリンジが製造される。このシールは、(十分な力で破断するように)シールの薄化または狭小化によって緩和または脆弱化したプラスチックの部分であってよい。シリンジに製剤を充填するために、シリンジの内部に真空を適用し、内部から空気の大部分を除去することができる。次いで、製剤をリザーバ内へと圧送することができる。その後、入口点は、ヒートシーリングなどの方法またはいずれかの他の適切な方法によって封止することができる。
【0121】
[実施例3]
-リザーバ駆動素子
用量カートリッジを収容するエアロゾル送達装置は、シリンジリザーバおよびプランジャを備える。プランジャを駆動するシリンジポンプの素子は、製品の再使用可能部分内に配置することができる。吸入の終了時にシリンジポンプ駆動部がプランジャを引き戻して、望ましくない製剤が搾り出されるのを防止する必要がある場合、シリンジのプランジャを駆動素子に嵌合させることができる。プランジャは、プランジャと駆動素子との間に嵌合留め具(ボールおよびソケット)または他の適切な手段を用いて駆動素子に接続することができる。あるいは、駆動素子上に磁石を配置してよく、プランジャ上に金属部品を配置してよい。
【0122】
図39Aは、嵌合留め具3930によってシリンジプランジャ3920に連結されたリードスクリュー駆動素子3910の図を示す。リードスクリュー3910は、リードスクリュー3910と嵌合するギヤ3950に連結されたステッパモータ3940によって駆動される。
図39Bは、
図39Aに示す駆動素子構成の断面図を示す。
【0123】
図40Aは、第2の駆動素子構成の図を示す。リードスクリュー4010は、嵌合留め具4030によってシリンジプランジャ4020に連結されている。リードスクリュー4010は、ステッパモータ4040によって回転するウォーム歯車4050に連結されている。
図40Bおよび
図40Cは、ウォーム歯車4050によって駆動されるリードスクリュー4010の断面図を図示する。
【0124】
[実施例4]
-位置検知
エアロゾル送達装置は、駆動素子がシリンジプランジャに嵌合した時を正確に判断するための位置検知装置を備えることができる。用量カートリッジが製品の再使用可能部分内へと挿入されると、駆動装置はシリンジプランジャを位置決めすることができ、それに適切に嵌合することができる。エアロゾル送達装置は、リードスクリューの位置を判断する位置検知装置を備えることができる。
図39Bおよび
図40Aは、プランジャと駆動素子との間の光路がステッパモータの1回転当たり何回か遮断されるLED/光検出器対3960を示す。ステッパモータの回転数を検出することにより、装置はステッパモータの速度を測定することができる。ステッパモータは、ステッパモータが停止するまで弱い力で前方に駆動され、それによって駆動部とプランジャとが嵌合したことを示す。
【0125】
[実施例5]
-軸上分配方法
エアロゾル送達装置は、エアロゾル形成を可能にするためにリザーバから加熱素子へ流体を移送する分配システムを備えることができる。
図41Aは、加熱素子に対する「軸上」設計を有する流体ディスペンサの図を示す。ヒータ素子4110は、高温プラスチック、または分配ポート4130を経て製剤をヒータ素子4110上に分配し、ヒータ素子を適所に保持するために使用されるセラミック部材4120の周りに巻き付けられる。ヒータ素子4110は、高温に耐えることができる他の適切な材料で作ることができる。
図41Bは、加熱素子4110に対して分配ポート4130の位置がわかる、
図41Aに示す分配システムの断面図を示す。
【0126】
[実施例6]
-横方向分配方法
エアロゾル送達装置は、エアロゾル形成を可能にするためにリザーバから加熱素子へ流体を移送する分配システムを備えることができる。
図42Aは、加熱素子に対する横向きの設計を有する流体ディスペンサの上から見た図を示す。ヒータ素子4210は、気道4220を横切って分配素子4230の前((下流)で空気中に吊り下げられた電気抵抗性ワイヤ(チタンまたはニクロムまたは他の適切な材料)からなるコイル(螺旋)である。分配素子4230は、金属、セラミック、または高温シリコーンで作られ、製剤をラインへと延展するために使用され、そのようにして、製剤はヒータ素子4210の縁部上に分配される。
図42Bは、
図42Aに示す分配システムの側面図を示す。
【0127】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し説明してきたが、このような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書内で提供される具体的な例によって制限されることを意図していない。本発明は、上述の明細書に関して説明してきたが、本明細書の実施形態の説明および例示は、制限する意味で解釈されることを意味していない。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、いまや多数の変化、変更、および置換を行うであろう。さらに、本発明の態様はすべて、様々な条件および変数に依存する本明細書で明らかに示される具体的な描写、構成または相対的な比率に制限されないことは理解されるものとする。本明細書に説明する本発明の実施形態に対する様々な代替物を、本発明を実施する上で使用することができることは理解されるべきである。それゆえ、本発明はまた、何らかのこのような代替物、改変物、変形または同等物も網羅するものとすることは企図されている。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内での方法および構造ならびにこれらの同等物がそれによって網羅されることが意図されている。
【国際調査報告】