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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-05
(54)【発明の名称】歯の再石灰化のための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20220829BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20220829BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/24
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021578266
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(85)【翻訳文提出日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2020068810
(87)【国際公開番号】W WO2021001529
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】19184355.6
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522003408
【氏名又は名称】ファートン ホールディング エス.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERTON HOLDING S.A.
【住所又は居所原語表記】RUE SAINT-MAURICE 34,2800 DELEMONT SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100104639
【弁理士】
【氏名又は名称】早坂 巧
(72)【発明者】
【氏名】ハイデナウ,フランク
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB011
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB291
4C083AB292
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC741
4C083AC742
4C083CC41
4C083EE32
(57)【要約】
本発明は、歯の再石灰化のための組成物及びその使用に関する。当該組成物は、リン酸カルシウム(CaP)ガラス及びシリカゾルを含んでなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯の再石灰化のための組成物であって、
a)リン酸カルシウム(CaP)ガラス、及び
b)水性シリカゾル
を含んでなる、組成物。
【請求項2】
Capガラスが粉砕され且つ篩過されたものであり、粒子径が100μm未満である、請求項1の組成物。
【請求項3】
Capガラスの粒子径が、35μm未満のD50及び/又は90μm未満のD90を有するものである、請求項2の組成物。
【請求項4】
完全脱塩水及び希塩酸を更に含んでなるものである、前記請求項の1つ又は2つ以上の組成物。
【請求項5】
グルコン酸クロルヘキシジン及び/又は希塩酸を更に含んでなる、前記請求項の1つ又は2つ以上の組成物。
【請求項6】
リン酸カルシウムガラスが略等モル量のCaCOとPから製造されるものである、前記請求項の1つ又は2つ以上の組成物。
【請求項7】
約30~35%w/wのSiOゾル、約60~70%w/wの水、及び約2~3%w/wのCaPガラスを、SiOゾル、水及びCaPガラスの合計量ベースで含んでなる、前記請求項の1つ又は2つ以上の組成物。
【請求項8】
歯の再石灰化のための前記請求項の1つ又は2つ以上の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯の再石灰化のための組成物及びその使用に関する。当該組成物は、リン酸カルシウム(CaP)ガラス及び水性シリカゾルを含んでなる。
【背景技術】
【0002】
リン酸カルシウムは、骨格における最も有用な材料の一つである。即ち、歯及び骨の主たる構成要素であり、硬さと安定性を提供している。歯における再石灰化(無機物の再取り込み)は、従って、その硬さと虫歯に対する抵抗性を高める。
【0003】
歯の再石灰化のための組成物は先行技術に多数知られている。
【0004】
例えばWO 2010/041073 A1は、口腔内での使用のためのフィルムを記載しており、当該フィルムは次のもの即ち、水溶性ポリマーフィルム形成材、生物活性ガラスを含んでなり、当該フィルムは口腔内において、フィルムの分解前又は実質的な分解前に少なくとも1本の歯に最長60分間接着する能力を有し、且つその歯を再石灰化させる能力を有する。当該フィルムは、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースから選ばれる水溶性ポリマー性のフィルム形成材と、二酸化ケイ素、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、及び酸化リンを含んでなるものである生物活性ガラスと、を含んでなる。
【0005】
EP 1343450は、再石灰化による歯の局所治療のための歯科用接着性フィルムに関するものである。このフィルムは、歯に接着し水に溶解性又は膨潤性である担体材料と、当該材料中に蓄えられた活性成分からなる。当該フィルム中の活性成分の一つは、リン酸塩、フッ化物、フッ化物、フルオロリン酸塩、及びそれらの混合物より選ばれる細かく粉砕された水に低溶解性のカルシウム塩であり、好ましくは、10~300nmの平均粒径を有するヒドロキシアパタイト及び/又はフルオロアパタイトである。更に、当該担体材料は、好ましくはタンパク質成分を、好ましくは水に低溶解性のカルシウム塩とタンパク質成分とタンパク質成分とからなる複合材料の形で、含んでなる。
【0006】
EP 1811942は、酸性官能基を有するエチレン性不飽和化合物と、酸性官能基を有しないエチレン性不飽和化合物と、カルシウム及びリンを遊離するガラスとを含んでなる歯科用組成物を記載しており、当該酸性官能基は好ましくはリン酸官能基である。
【0007】
WO 2019/068596は、ポア体積が0.1ml/g未満の球状で無水の非晶質シリカゲル粒子と口内に適した担体とを含んでなる歯の清掃用組成物に関するものである。
【0008】
WO 2019/034348は、生物活性ガラス、水に溶解性及び/又は低溶解性のカルシウム源、リン酸塩源、及び生理学的に許容し得る担体を含んでなる口腔ケア組成物を記載しており、そこにおいて当該生物活性ガラス及び迅速溶解性及び/又は水溶性のカルシウム源は、重量比(a:b)が1:3~20:1で存在しており、カルシウム源は塩化カルシウム、硝酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム又はそれらの混合物である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、歯の象牙質表面を完全に保護し象牙質表面の凸凹や欠損を有意に最小化する組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は歯を再石灰化するための組成物に関するものであり、
a)リン酸カルシウム(CaP)ガラス、及び
b)水性シリカゾル、
を含んでなるか又はそれらよりなる。
【0011】
本発明の組成物は、好ましくは、ガラス成分としてのSiOを含有しない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記のように、歯の再石灰化のための本発明の組成物は、次のものを含んでなる:
a)リン酸カルシウム(CaP)ガラス、及びb)水性シリカゾル。
【0013】
一実施例において、本組成物はこれら2種の成分のみからなる。
【0014】
本発明の組成物は、歯の石灰化での使用に役立つ。本組成物は、器具(綿棒、ブラシ、空気流)を用いて歯肉ポケット内の歯頚部に塗られる。この場合、ゲル層(SiO)が形成され、これは超微細ガラス粒子(リン酸カルシウムガラス)を含んでいる。このゲル層は硬化して、最初に歯頚部の露出した象牙細管の表面密封を提供する。
【0015】
その後の何日かにおいて、このリン酸カルシウムガラスは口腔内環境において且つ自身のイオン成分に起因して分解され、開放した象牙細管内で再石灰化を伴ってヒドロキシアパタイト即ちリン酸カルシウムが形成される。その結果、これらの細管は永久的に密封される。
【0016】
その結果、熱さ/冷たさ及び/又は甘さ/酸っぱさに対する歯の感受性が低下し、また歯周病が止められる。更には口腔粘膜の歯肉ポケットを落ち着かせ、最善の場合には歯周病によって障害された歯肉ポケットの再生も起こる。
【0017】
ここに使用されるシリカゾルは、好ましくは、ポリケイ酸の実質的に球状の分子でできた水性コロイド性分散体であり、質量で10%~最高90%、好ましくは質量で15%~50%の二酸化ケイ素を含有する(残部りは水である)。本発明において使用される水性シリカゾルの一例は、KOSTROSOL(登録商標)の名称で市販されている製品であり、Chemiewerk Bad Kostritz GmbHにより製造されている。この製品は、化学的には水性コロイド性弱アルカリ性シリカ分散体と定義できる。この組成物の成分は、次の通りである。
【0018】
【表1】
【0019】
このCaPガラスは、好ましくは粉砕され篩にかけられ、100μm未満の粒子径を有する。好ましい一具体例においてCaPガラスの粒子径はD50が35μm未満、好ましくは20μm未満又は10μm未満及び/又はD90が90μm未満、好ましくは20μm未満である。、
【0020】
粒子径は、好ましくは篩法(例えば篩タワー)により決定され、粒子径分布は質量に基づく。このことは、例えばD50=10μmの場合、与えられたサンプル中の粒子の50%質量画分が10μm未満の粒子径を有し、そして粒子の50%質量画分が10μm超の粒子径を有することを意味する。同様にして、D90=20μmの場合は、与えられたサンプル中の粒子の20μm未満の粒子径を有する粒子の質量画分が90%であり、90μm超の粒子径を有する粒子の質量画分は10%であることを意味する。
【0021】
篩法は、例えばドイツ標準DIN 66165に記載されている。この標準は、2つの部分からなる。DIN 66165-1は原理を記載し、DIN 66165-2は、篩法の手順を記載している。
【0022】
本発明の組成物は更に、好ましくは完全に脱塩された水及び/又は希塩酸を追加で含んでなる。この完全に脱塩された水は、好ましくは滅菌のために沸騰される。この場合、本発明の組成物の好ましい組成は、リン酸カルシウム(CaP)ガラス、水性シリカゾル、完全脱塩水、及び希塩酸(pH調整用)である。この希塩酸は、好ましくは、100gの完全脱塩水あたり35%塩酸の1.62gにより調製してよい。本組成物の好ましいpHは、pH約6.6~6.7である。
【0023】
別の一具体例において、本発明の組成物は、更にグルコン酸クロルヘキシジン及び/又は希塩酸を含んでなる。
【0024】
グルコン酸クロルヘキシジンは一般に、例えば、軽い火傷の場合のような、更にはまた歯肉炎その他の口腔内や喉の炎症性疾患のような、小さな傷や障害及び感染性疾患の予防及び治療に使用されている。実際の活性成分はクロルヘキシジンであり、これは消毒剤のグループの活性な防腐剤の一つであり、炎症疾患の予防及び治療用や口腔衛生用に用いられている。この塩素化ビグアニド誘導体は、特に細菌に対して活性である。その効果は、細胞膜の機能の破壊による。
【0025】
グルコン酸クロルヘキシジンは、薬剤学的に慣用されている量(0.1~0.2% w/w)で本組成物に添加される。
【0026】
本発明において用いられるリン酸カルシウム(CaP)ガラスは、好ましくは略等モル量のCaCOとPから製造される。本発明のリン酸カルシウムガラスの正確な製造例は下記の実施例に見いだされる。
【0027】
本発明の好ましい一具体例において、歯の再石灰化のための本発明の組成物は、次の成分を含んでなる:SiO2、水及びCaPガラス成分の合計量ベースで、SiOゾル約26~27% w/w、水約53~54% w/w、CaPガラス成分約19~21% w/w。
【0028】
替わりとして、歯の再石灰化のための本発明の組成物は、次の成分を含んでなる:SiO、水及びCaPガラス成分の合計量ベースで、SiOゾル約30~35% w/w、水約60~70% w/w、及びCaPガラス約2~3% w/w。
【0029】
加えて、pH調整のための少量の希塩酸及び/又はグルコン酸クロルヘキシジンを所望により含む。
【0030】
本発明の組成物のpHは、好ましくはpH6.6~6.7である。
【0031】
本組成物は、例えば、乾燥物中、次の割合で各成分を含んでなる:
・乾燥物中のCaの質量画分:20.4質量%
・乾燥物中のPの質量画分:31.2質量%
・液体成分(Kostrosol)中のSiの質量画分: 4.67質量%
・混合物全体中のSiの質量画分:4.55質量%
【0032】
本発明の更なる点に従って、上に概要を示した組成物は、歯を再石灰化するために使用される。既に上に概要を示したように、本組成物は、歯肉ポケット中の歯頚部に器具で塗られる。この場合、ゲル層(SiO)が形成され、これは超微細ガラス粒子(リン酸ガラス)を含んでなる。このゲル層は硬化し、最初に歯頚部における露出された象牙細管の表面密封を提供する。その後何日かにおいて、このリン酸カルシウムガラスは口腔内環境中で分解され、ヒドロキシアパタイト即ちリン酸カルシウムがそのイオン成分から形成され、開放した象牙細管内で再石灰化する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】(左)炉の充填;右)炉のプログラミング
図2】処置された象牙質表面の0日、1日、7日及び14日後の走査型電子顕微鏡(SEM)画像(倍率2500)
図3】本発明の組成物による処置の前(0日)及び後(14日)の縦の象牙細管を有する象牙質表面
図4】未処置の(0日)及び処置された(14日)象牙質表面のトポグラフィックSEM画像
図5】本発明の組成物により処置されてから14日後の象牙質表面の象牙細管を通る断面。
【実施例
【0034】
1.リン酸カルシウムガラスの製造
1.1 素材ガラス混合物の製造
リン酸カルシウムガラスからなる坩堝仕込み物の製造には101.09gのCaCO(1.00モル)及び141.94gのP5(1.00モル)が必要である。
【0035】
25.27gのCaCO(0.250モル)を秤取しメノウの乳鉢に入れる。次いでセラミックのスパーテルを用いて、35.48gのP(0.250モル;注:非常に吸湿性)を手早く秤取してメノウの乳鉢内のCaCOに加える。
【0036】
混合物を2分間念入りに粉砕する。次いで混合物は5分間放置しなければならず、次いで再度2分間粉砕する。
【0037】
次いで混合物を酸化アルミニウム製乳鉢に入れ、そして更なる部分を、25.27gのCaCOと35.48gのPとから上記と同様にして調製し、これを繰り返す。メノウ乳鉢の容量のため、効果的な混合を行う上で、より多い量を一度に粉砕してはならない。
【0038】
1.2 焼成炉の準備(ガラス溶融)
図1に示したように炉に入れる。炉を閉じ、0℃~1050℃:300K/hの加熱速度の燒結プログラムを選択する。
図1を参照のこと:左)炉への充填;右)炉のプログラミング。
【0039】
1.3 ガラス投入
耐熱性バケツに冷えた水道水(完全脱塩水ではない。ガラスからの浸出を防止するため!)を入れて準備しなければならない。
【0040】
トングで坩堝を掴み(確実な把握を確認)、バケツの少し上へと移動させ(跳ねを避ける)、ガラス融液を冷水に注ぐ。この操作は安全に、しかしバケツ内でガラス融液が冷えるのを防ぐよう素早く行わなければならない。
【0041】
その後、坩堝は炉内のセラミック製ハウジング中に戻し、炉を密閉し、放冷させる。
【0042】
固化したガラスはできるだけ早く水から取り出して乾燥キャビネット内で40℃で16時間乾燥させなければならない。その後、ガラスは粉砕することができる。
【0043】
1.4 ガラス粉砕
固化したガラスは、粗く粉砕し次いで2つの酸化アルミニウム製粉砕カップに入れるべきである。酸化アルミニウム製粉砕ビーズ(3個の中型ビーズ 直径=1.5cm、4個の小型ビーズ 直径1cm)を加え、遊星ボールミル中200rpmにてガラスを4時間粉砕する。比較的大きな粒子が残っていないことを確認するために(ガラスの破片や比較的に大きな粒が残っているかもしれない!)、粉砕されたガラスを篩タワー中で篩(200μm)にかける。平均粒子径の決定のため、サンプルを採りレーザー粒度計による測定に付す(D50 25μm未満)。
【0044】
2.成分混合物の調製
2.1 化学物質
・Kostrosol(登録商標)0830(水性シリカゾル、Kostrosol830データシートを参照)
・完全脱塩水(FD水)、滅菌のため煮沸
・希塩酸(35%塩酸の1.62gを100gのFD水に)
・リン酸カルシウムガラス(粉砕及び篩過;粒子径100μm未満、セクション1を参照)
・20%グルコン酸クロルヘキシジン(任意)
【0045】
2.2 装置
・Sartorius CP234S分析天秤
・Brand トランスファーペッテS(容量500~5000μl)
・BrandトランスファーペッテS(容量100~1000μl)
・Portamess 911 pHメーター(Knick社より)
・150mlビーカー(液体成分の調製用)
・1個の圧延縁ガラス容器(リン酸カルシウムガラスの秤取用)
・12個の塗布単位用圧延縁ガラス容器(50mm×20mm、容量15ml)
・12個の密着する蓋
・12個のマグネティックスターラーロッド(10×6mm)
・マルチポイントスターラー(VarioMag社より)
【0046】
ビーカー、圧延縁ガラス容器及びマグネティックスターラーロッドは、完全脱塩水(FD水)中で煮沸することにより滅菌する。蓋は、Bacillol(登録商標)(2-プロパノール、1-プロパノール及びエタノールに基づく消毒剤)で消毒する。
【0047】
2.3 液体成分の調製
26.8gのK&ouml;strosol(登録商標)及び53.2gの煮沸水を秤取する。次いでこれら2つの成分を合わせ、約15分間撹拌する。
【0048】
2.4 懸濁液の調製
各塗布単位につき、5gの液体成分を用いる。秤量は、Sartorius CP324S分析天秤上で行う。各場合に、4710μlの液体成分(密度:1.06g/ml)を、Brand トランスファーペッテS(容量500~5000μl)を用いて、12個の圧延縁ガラス容器へとピペッティングする。続いて、各場合に、0.125gの固体成分(リン酸カルシウムガラス)をSartorius CP324S分析天秤上で小型の圧延縁ガラス容器に秤取し、そして液体成分を含んだ上記12個の圧延縁ガラス容器に移す。
液体成分と固体成分とを合わせることにより懸濁液を形成する。圧延縁ガラス容器は関連した蓋で密封する。続いて、サンプルをマルチポイントスターラー(VarioMaq社より)上で700~750rpmにて約1時間撹拌する。
【0049】
2.5 pH測定及びHCl添加
1時間の撹拌時間後、各場合に、Brand トランスファーペッテS(容量100~1000μl)を用いて300μlの希塩酸を加える。次いでこれら12個の圧延縁ガラス容器を再び密封する。これらのサンプルを終夜撹拌する。
【0050】
2.6 グルコン酸クロルヘキシジン(20%)の添加
最後に、グルコン酸クロルヘキシジン(20%)を添加する。グルコン酸クロルヘキシジンは、Sartorius CP324S分析天秤上で秤取する。各場合において、50μlのグルコン酸クロルヘキシジン(20%)をBrand トランスファーペッテS(容量100~1000μl)を用いて上記12個のサンプル中に移す。個々の測定量を記録する。グルコン酸クロルヘキシジンの添加に続いて、サンプルを再び密封し、なお5分更に撹拌する。ふわふわした析出物が形成される。長く(約2時間)放置するときサンプルは固体となる。
【0051】
3.in vitro実験における象牙細管の密封
3.1 サンプル調製
歯のサンプルを象牙細管に達するまで横断方向に研磨した。清浄化し乾燥させたサンプルに、綿棒を用いて再石灰化懸濁液を塗った。懸濁液は歯(象牙質)に対し10分間作用した。続いてサンプルを生理食塩水(媒質は毎日交換)中に所定の期間(0日、1日、7日、14日)貯蔵した。この設定は、口腔内の環境を模擬するように働いた。各観察時点において、サンプルを取り出し、乾燥させ、走査型電子顕微鏡法(SEM)により分析した。
【0052】
3.2 実験結果
図2のSEM画像は、処置した象牙質の各観察時点(0日、1日、7日、14日)における表面を示す。
図2を参照のこと:処置した象牙質の0日、1日、7日、14日後のSEM画像(倍率2500)
【0053】
0日においては、単に粗くされたエナメルが存在する。その後、使用例に示した生物活性ガラスに基づく再石灰化ペーストが塗られる。1日後、連続層が依然観察できる。7日後、コーティングは分解し始め、カルシウムイオン及びリン酸イオンの放出が始まる。これらのイオンは、再石灰化してリン酸カルシウムを形成し、カルシウムとリン酸塩からなる製品の溶解度を超えて、コーティングの下の象牙細管をシールする
【0054】
コーティングの完全分解に続き、2つの効果が観察できる(図3,4)
【0055】
図3は、本発明の組成物による処置の前(0日)及び後(14日)における縦の象牙細管を有する象牙質表面を示す。図3において、未処置の表面と比べて、象牙細管が完全に閉ざされていることが明らかである。
【0056】
図4において、処置により象牙質表面の凸凹及び欠損が有意に最小限化されていることが明らかである。図4は、未処置の(0日)及び処置された(14日)象牙質表面のトポグラフィックSEM画像を示す。
【0057】
象牙細管に対し横断する切断面を調製したとき(図5)、生物活性ガラスに基づく再石灰化ペーストによる処置の結果細管がシールされていることが明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】