(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-05
(54)【発明の名称】超音波アクチュエータ、およびそのような超音波アクチュエータを有するモータ
(51)【国際特許分類】
H01L 41/09 20060101AFI20220829BHJP
H02N 2/04 20060101ALI20220829BHJP
H01L 41/047 20060101ALI20220829BHJP
H01L 41/187 20060101ALI20220829BHJP
H01L 41/053 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
H01L41/09
H02N2/04
H01L41/047
H01L41/187
H01L41/053
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500141
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 DE2020100586
(87)【国際公開番号】W WO2021004583
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】102019118198.4
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505257752
【氏名又は名称】フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘプナー,ラインハルト
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA06
5H681BB02
5H681BB13
5H681DD23
(57)【要約】
本発明は、底面(3)と、底面と幾何学的に相似であるカバー面(4)と、底面とカバー面とを相互接続する側面(5)とを有するプレート(2)の形態の超音波アクチュエータ(1)に関し、プレートは電磁材料を含み、プレートの周期的変形を誘起するための電極(6、6’、7、7’)が、プレートの底面上およびプレートの底面の反対側のカバー面上に配置され、底面(3)は、互いに平行に配置され、横面(5)の接触部分(50、50’)を形成する少なくとも2つの面(8、8’)を含み、互いに平行に配置される底面の2つの面は、平行に配置された面(8、8’)のそれぞれの端点を相互に接続する接続線(9、9’)とともに、底面に内接する平行四辺形(10)を形成し、この平行四辺形内では、90°とは異なる角度が隣接する面間に囲まれている。本発明は、そのような超音波アクチュエータを有するモータにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面(3)と、前記底面に幾何学的に相似であるカバー面(4)と、前記底面と前記カバー面とを相互接続する側面(5)とを有するプレート(2)の形態の超音波アクチュエータ(1)であって、前記プレートは電気機械的材料を含み、電極(6、6’、7、7’)が、前記プレートの周期的変形を励起するために、前記プレートの前記底面上および前記底面の反対側の前記カバー面上に配置され、前記底面(3)は、互いに平行に配置され、前記側面(5)の接触部分(50、50’)を形成する少なくとも2つの辺(8、8’)を含み、互いに平行に配置される前記底面の前記2つの辺は、互いに平行に配置された前記辺(8、8’)のそれぞれの端点を相互に接続する接続線(9、9’)とともに、前記底面に内接する平行四辺形(10)を形成し、前記内接平行四辺形(10)において、当接する辺間に90°以外の角度が規定されることを特徴とする、超音波アクチュエータ(1)。
【請求項2】
前記内接平行四辺形の、より大きい内角(11)は、93°~105°、好ましくは95°~99°の値を有することを特徴とする、請求項1に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項3】
前記底面(3)は八角形であり、台形(12、12’)が前記内接平行四辺形(10)の各辺に接し、各台形(12、12’)の底辺(13、13’)は前記内接平行四辺形(10)のそれぞれの長辺と一致することを特徴とする、請求項1または2に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項4】
各台形(12、12’)は、等脚台形であることを特徴とする、請求項3に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項5】
台形(12、12’)の各対角線(14)の長さは、一方の台形の底辺(13、13’)と対向する辺(16、16’)と、他方の台形(12、12’)の底辺(13、13’)との間の距離(15)と実質的に同じであることを特徴とする、請求項4に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項6】
先行する請求項のいずれか1つに記載の超音波アクチュエータ(1)を備え、前記超音波アクチュエータを固定して保持するための取付装置(110)と、前記超音波アクチュエータに対して移動可能であり前記超音波アクチュエータと摩擦接触する可動子(120)とを備える、モータ(100)。
【請求項7】
前記取付装置(110)は、前記超音波アクチュエータと、前記側面(5)の異なる部分(52、52’、54、54’)において接触する、少なくとも4つの保持部分(111,111’,112,112’,113,113’)を含み、前記少なくとも4つの保持部分のうちの2つの保持部分は機械的に剛性であり、剛性保持部分(111、111’)を形成し、前記少なくとも4つの保持部分のうちの2つの保持部分は弾性特性を有し、弾性接触部分(112、112’)を形成することを特徴とする、請求項6に記載のモータ(100)。
【請求項8】
前記剛性保持部分(111,111’)と前記弾性保持部分(112,112’)とは、各々、互いに対して斜めに対向して配置されることを特徴とする、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記取付装置(110)は、それぞれの剛性保持部分(111、111’)およびそれぞれの弾性保持部分(112、112’)によって接触される前記側面(5)の領域間に位置する前記超音波アクチュエータの前記側面(5)の部分(56、56’)と各々が接触する2つのさらなる保持部分(113、113’)を備えることを特徴とする、請求項7または8に記載のモータ。
【請求項10】
前記可動子(120)は、前記超音波アクチュエータ(1)にその接触部分(50、50’)において直接的または間接的に接触し、トルクが前記超音波アクチュエータに作用するように前記超音波アクチュエータを間で締め付ける、2つの細長く相互に平行な走行面(122、122’)を含み、それにより、いずれの場合でも、前記剛性接触部分と接触している前記側面(5)の部分(52、52’、54、54’)が、前記剛性接触部分に押し付けられることを特徴とする、請求項6~9のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項11】
前記可動子(120)は、互いに離間した少なくとも2つのガイド部分(125、125’)を含み、これらは、別途設けられたガイド要素(130、130’)または前記取付装置(110)のガイド部分(116、116’)と接触して、前記ガイド部分(125、125’)と前記ガイド要素(130、130’)または前記ガイド部分(116、116’)との間の摺動相対運動を可能にすることを特徴とする、請求項6~10のいずれか1項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の包括的な文言に依れば、底面と、底面と幾何学的に相似であるカバー面と、底面とカバー面とを相互接続する側面または横面とを有するプレートの形態の超音波アクチュエータであって、プレートは電気機械的材料を有し、プレートの周期的変形を励起するために、プレートの底面上およびプレートの底面の反対側のカバー面上に電極が配置され、底面は、側面の接触セクションを画定する少なくとも2つの互いに平行に配置された辺を有し、底面の、2つの互いに平行に配置された辺は、互いに平行に配置された辺のそれぞれの端点を相互接続する接続線と共に、底面に内接する平行四辺形を形成する。本発明はさらに、超音波モータを形成するそのような超音波アクチュエータを有するモータに関する。
【0002】
この文脈において、上記および下記で用いられる「電気機械的材料」という用語は、電圧の印加および対応する電界の生成時に機械的変形を行う材料として理解されるべきである。特に、これは、圧電セラミック材料などの圧電特性を有する材料を含むが、例えば静電特性を有する材料も含む。
【0003】
このような超音波アクチュエータやそれを組み込んだ超音波モータは、小型で安価でエネルギー消費の少ない装置、例えば小型カメラ、携帯電話やスマートフォンのレンズ、小型の記憶装置など、小型、高位置決め精度、およびドライブによる低エネルギー消費が要求される装置に用いることができる。
【背景技術】
【0004】
超音波モータ用の超音波アクチュエータは、US5 672 930およびUS 5 665 918から公知であり、圧電励起プレートが接合された共振体からなる複雑な複合振動子として設計されている。これらのアクチュエータの欠点は、比較的複雑な構造を有し、製造するのに費用がかかることである。したがって、それらは、小型機器における使用のための安価で大量生産される製品としては除外されている。
【0005】
さらに、文献US6 765 335 B2からは、共振体が矩形の圧電板として形成された、超音波モータ用超音波アクチュエータが公知である。この超音波アクチュエータは、単純な設計および容易に制御可能な製造技術を特徴とし、その理由から、低コストの大量生産製品として適しているように思われる。しかしながら、この超音波アクチュエータの欠点は、比較的高い電力がその動作のために必要とされ、エネルギー消費の増加をもたらすという事実に見られる。したがって、そのような超音波アクチュエータも、対応して低いエネルギー消費が必要とされる小型デバイスにおける使用については、除外される。
【0006】
EP 2 153 476 B1から公知である超音波アクチュエータは、それが比較的単純な設計であると同時に、高い動作安定性または安全性で電力消費量が小さい、という点で、上記の問題を実際に解決し得る。それにもかかわらず、EP 2 153 476 B1に開示された超音波アクチュエータでは、対応する超音波モータの実現は、特に、そのようなモータの可動子の構造に関して、より高い費用に関連付けられる。この場合、永続的に信頼性のある動作に必要である、超音波アクチュエータに対する、ロータの一定した接触力の、可動子の全移動距離にわたる実現には、かなりコストがかかることが判明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、単純な設計および低い電気エネルギー消費に加えて、容易な態様で、特に大量に製造および組み立てることができ、かつ良好なスケーラビリティまたは小型化能力を有し得る、単純に構築されるが永続的に信頼性のあるモータの実現を可能にする特性も有する、超音波アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、冒頭に記載したタイプの超音波アクチュエータによって解決され、それは、底面に内接する平行四辺形に関して、90度からずれた角度が、いずれの場合でも、当接または近接または隣接する辺間に含まれる。すなわち、内接平行四辺形は直角平行四辺形ではない。
【0009】
内接平行四辺形の特定の形状により、互いに平行に配置されたそれぞれの辺は、直角平行四辺形の場合のように、それぞれの辺法線に沿って移動することによって完全に重なり合うことはできない。言い換えれば、各々が対応する辺の中心を通る法線は交差せず、互いに対して平行かつオフセットして配置される。この場合、例えば、超音波アクチュエータに対して移動される可動子の走行面が、超音波アクチュエータの横面の対応する辺によって形成される接触部分または接触面を押圧することに起因して、接触部分または接触面に対する法線に沿って力が作用する場合、超音波アクチュエータを回転させようとするトルクが生じる。走行面に作用する対応する逆トルクは、可動子に接続されるかもしくは可動子と一体のガイド部またはそのガイド部分の、ガイド装置のガイド要素に対する、規定された接触力を生成するために、用いられてもよい。このようにして、対応する超音波モータの最適化された動作に必要な超音波アクチュエータに対する機械的予荷重と、ガイド装置、好ましくは摺動ガイドのガイド要素に対するガイド部分の上述の接触圧力とが、例えば可動子の一体部分である走行面を介して同時に実現され得る。
【0010】
これに関して、内接平行四辺形の、より大きな内角は、93°~105°の間、好ましくは95°~99°の間の値を有することが有利であり得る。したがって、内接平行四辺形の、より小さい内角は、87°~75°の間の値、好ましくは85°~81°の間の値を有する。内接平行四辺形のこのような幾何学的形状により、可動子の走行面が超音波アクチュエータの接触部分に押し付けられる、対応する超音波モータの場合、超音波モータの永続的かつ信頼性のある動作に有利な逆トルクが、可動子に接続されたガイド装置に適用され得るが、より大きい内角の値がより小さいと、この目的に充分なトルクまたは逆トルクは、もはや達成され得ない場合がある。より大きい内角の値がより大きいと、超音波アクチュエータのあまり安定しないとともにあまり規定されない振動がもたらされ、それによって、より低い位置決め精度がもたらされ、対応する超音波モータで、より不規則な駆動をもたらす。
【0011】
底面、またはそれに平行に配置され、幾何学的に相似であり、好ましくは同じ形状のカバー面は、八角形であり、いずれの場合でも、台形、好ましくは等脚台形が、内接平行四辺形の両側において接し、各台形の底辺は、内接平行四辺形のそれぞれの長辺と一致することが、有利であり得る。結果として得られる超音波アクチュエータの角柱形状は、比較的低い材料コストで可動子を駆動するために利用可能な変形の特に効果的な励起を可能にする。
【0012】
等脚台形の場合、ある台形の対角線の長さが、その台形の底辺と対向する辺または底辺と他方の台形の底辺との間の距離と実質的に同じであることが、有利であり得る。これらの幾何学的比率は、ある超音波アクチュエータをもたらし、その幅は、その高さの2倍未満であり、したがって、比較的小さい設置面積を有し、それによって、必要とする材料がより少ない。加えて、超音波アクチュエータのそのような幾何学的比率は、三次元が用いられる振動モードに重ね合わされる結果をもたらす。振動モードの一次元は、用いられた振動モードが消失することなく、外的影響によって抑制され得る。これは、外部の影響およびアクチュエータの機械的環境に対するモータの全体的な堅牢性を増大させる。
【0013】
本発明はさらに、上述の超音波アクチュエータを有するモータであって、超音波アクチュエータを固定して取り付けるための取付装置と、超音波アクチュエータに対して可動であり、超音波アクチュエータと直接的または間接的に摩擦接触する可動子とを含み、取付装置は、超音波アクチュエータに異なる領域で接触する少なくとも4つの保持部分を含み、それらのうち、2つの保持部分は機械的に剛性であり、剛性保持部分を形成し、2つの保持部分は弾性特性を有し、弾性保持部分を形成する、モータに関する。
【0014】
この場合、剛性保持部分および弾性保持部分は、各々、互いに斜めに対向して配置されることが有利であり得る。
【0015】
加えて、取付装置は、それぞれの剛性保持部分およびそれぞれの弾性保持部分によって接触される超音波アクチュエータの側面の領域間に位置する超音波アクチュエータの側面の領域と各々が接触する2つのさらなる保持部分を含むことが有利であり得る。
【0016】
一実施形態では、モータは、可動子が、超音波アクチュエータに接触部分において直接的または間接的に接触し、それを間で締め付ける、2つの細長い平行な走行面を備えるように、構成されてもよい。接触部分を介して導入される締め付け力の結果として、トルクが、超音波アクチュエータの特定の幾何学的形状に起因して、超音波アクチュエータに作用し、それによって、超音波アクチュエータは、横面のそれぞれの部分で、取付要素のそれぞれの剛性保持部分に対して押し付けられる。
【0017】
この場合、可動子は、互いに離間した少なくとも2つのガイド部分を有するガイド部を含み、ガイド部分は、摺動運動を可能にするガイド要素またはガイド部分と係合していることが有利であり得る。ガイド要素の場合、これらは別々に存在し、ガイド部分の場合、これらは好ましくは取付装置の一体部分である。ガイド部分は、好ましくは、ガイド部と一体に形成され、ガイド部は、好ましくは、可動子と一体に形成される。
【0018】
以下は、本発明による超音波アクチュエータおよび対応するモータの実施形態を、対応する図に関して説明するものであり、同じ参照符号は、異なる図の同じ部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による超音波アクチュエータの底面の上面図である。
【
図2A】
図1による超音波アクチュエータの異なる斜視図である。
【
図2B】
図1による超音波アクチュエータの異なる斜視図である。
【
図3】
図1および
図2による超音波アクチュエータを有するモータの実施形態の斜視図である。
【
図4】
図3によるモータの超音波アクチュエータのための取付装置の図である。
【
図6】
図1および
図2による超音波アクチュエータを有するモータの実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、八角形プレート2または八角形プリズムの形状を有する、本発明による超音波アクチュエータ1の底面3を平面図で示し、したがって、底面3の反対側の、
図1には見られないカバー面は、底面3と同じ形状を有し、底面3とカバー面とを接続する側面5は、底面3に対して垂直かつカバー面に対して垂直に配置されている。しかしながら、超音波アクチュエータ1の実施形態は、底面3の形状とカバー面の形状とが幾何学的相似性をもって互いと異なり、したがって側面5が底面3またはカバー面に対して垂直に配置されないことも考えられる。
【0021】
底面3の八角形の形状および超音波アクチュエータの対応する角柱形状は、互いに区別可能な8つのセクションを有する側面5をもたらし、辺8および8’は、側面5の接触部分50および50’を形成する。接触部分50および50’は、超音波アクチュエータによって駆動される対応する超音波モータの要素と直接的または間接的に接触するように設けられる。
【0022】
底面3の短辺の2つ、すなわち辺8および8’は、互いに平行に離間して配置され、辺をそれぞれの辺法線に沿って移動させることによって、辺8および8’を完全に重複させることはできない。言い換えれば、辺8および8’は、それらの延在方向で見て、互いにオフセットして配置される。同様に、辺8および8’のそれぞれの対応する端点を相互接続する2つの接続線9および9’は、底面3に内接する平行四辺形10をもたらし、この平行四辺形は矩形ではないか、または隣接もしくは当接する辺がそれらの間に90°から逸脱する角度を囲む。この場合、平行四辺形の2つのより大きな角度11は97°であり、その結果、平行四辺形のより小さな角度は83°となる。
【0023】
内接平行四辺形10の両側において、底面3に関して、それぞれの等脚台形12、12’が隣接し、それらのそれぞれの底辺13、13’は、それぞれの接続線9、9’に対応する内接平行四辺形10のそれぞれの長辺と一致する。台形12、12’の各対角線14の長さは、一方の台形の底辺13、13’と対向する辺16、16’と、他方の台形12、12’の底辺13、13’との間の最短距離15と実質的に同じである。この場合、辺16、16’は、底面3の形状の短辺も表し、それぞれの台形12、12’の底辺13、13’と平行に配置される。
【0024】
内接平行四辺形10が直角平行四辺形から逸脱するという事実により、それぞれの直角台形の、底辺13、13’に対向し、それと平行である辺16、16’の中心点から延在する辺法線は、交差せず、互いに平行かつ離間して延在する。
【0025】
図2Aは、
図1による超音波アクチュエータ1を、主に底面3に向けられた斜視図で示す。互いに鏡像に配置された2つの同一に形成された電極6および6’は、八角形の底面3上に位置し、介在する間隙によって互いに分離され、それによって互いに電気的に絶縁される。底面3の辺8および8’によって形成される接触部分50および50’に加えて、底面3の長辺は、側面5の部分52、52’、54および54’を形成し、底面3の残りの2つの短辺16および16’は、側面5の部分56および56’を形成するかまたは画定する。
【0026】
図2Bは、
図1の超音波アクチュエータを異なる斜視図で示すので、ここでは主にカバー面4を見ることができる。底面3上と同様に、2つの同じ形状の鏡像電極7および7’がカバー面4上に位置し、これらも、介在する分離ギャップによって互いに離間され、したがって、互いに電気的に絶縁される。カバー面の2つの電極7および7’は、底面3上に取り付けられた2つの電極6および6’に対して鏡像に配置される。2つより多い電極を底面3およびカバー面4にそれぞれ配置することも考えられる。さらに、底面上の電極の数とカバー面上の電極の数とが異なることが考えられ、例えば、2つの電極が底面に配置されてもよく、一方、1つの電極のみがカバー面に配置されてもよい。
【0027】
接触部分50,50’は、超音波アクチュエータ1の対応する面を表し、超音波アクチュエータ1に対して移動または調整される可動子等の要素と直接接触してもよい。しかしながら、直接接触は超音波アクチュエータ1の電気機械的材料の摩耗の増大につながる可能性があり、それは通常、かなり劣った摩擦特性を有するので、摩擦および摩耗特性に関して最適化された摩擦要素が接触部分50および50’に設けられることが好ましい。接触部分50および50’に配置された摩擦要素の存在下では、超音波アクチュエータの接触部分50および50’と超音波アクチュエータ1に対して移動または調整される要素との間の間接的な接触が達成される。
【0028】
図3は、
図1および
図2による超音波アクチュエータ1を有するリニアドライブとして実現されるモータ100の潜在的な実施形態の斜視図である。ここで、超音波アクチュエータは、取付装置110に挿入され、取付装置自体は、
図3には見えない態様で、より上位の静置要素、例えば基部に接続され、それによって超音波アクチュエータの静置取付けが達成される。
【0029】
可動子120は、空間的に構造化されたシートの形態で超音波アクチュエータに対向してまたは相対的に移動可能に配置され、2つの細長い走行面122、122’は、可動子120と一体的に形成され、互いに平行に配置され、それらは、
図3には見えない摩擦要素を介して、超音波アクチュエータの接触部分50、50’に間接的に接触する。
【0030】
その特別な設計により、可動子120は、とりわけ、特定の弾性特性が与えられ、それにより、取付装置110を可動子120に挿入した後の走行面122、122’は、摩擦要素もしくは接触部分50、50’に対して所定の力で押し付けられる。この力は、一方では、超音波アクチュエータが、信頼性がありかつ規定された動作に必要な予加重を受けることを確実にし、他方では、本発明による超音波アクチュエータの幾何学的形状により、超音波アクチュエータが反時計方向にトルクを受けることを確実にし、それによって、超音波アクチュエータが取付装置110の中にしっかりと保持されるように、超音波アクチュエータを取付装置110にしっかりと押し付ける。
【0031】
このように超音波アクチュエータに加えられるトルクは時計回りの逆トルクを引き起こし、これが可動子120に作用する。可動子120と一体に設計されるのは、互いに離間し、異なる形状を有する2つのガイド部分125および125’、ならびに、互いに対向して配置され、
図3では見えない2つの軸受部分126および126’である。ガイド部分125、125’および/または軸受部分126、126’を別個の構成要素として提供し、それらを例えばねじもしくは接着剤接続によって可動子120に接続することも考えられる。
【0032】
ガイド部分125,125’は、鋼製で互いに平行に配置された2つの丸棒状ガイド要素130,130’と摺動係合している。同様に、セラミック製のガイド要素130、130’を使用することも考えられる。そのガイド部分を有するガイド部124は、ガイド要素130、130’とともに、摺動ガイドを形成し、摺動ガイドは、走行面122、122’の形状によって既に発生した摩擦、および超音波アクチュエータの摩擦要素とのそれらの接触状況を補償して、可動子120の直線運動をより正確にするのに役立つ。
【0033】
可動子120に作用する逆トルクは、ガイド部分125および125’が
図3の上側ガイド要素130と規定された接触状態にあることを保証する。ガイド部分125および125’は各々、ガイド要素130が通って突出する開口を有する。ガイド部分125、125’の断面は円形ではないが、各々がV字形領域を有し、それの2つの側面がガイド要素130を支持する役割を果たす。
図3の左側のガイド部分125の場合、V字形部分は下方向を指すが、
図3の右側のガイド部分125’の場合、V字形部分は上方向を指す。ここで、可動子120に作用する逆トルクは、ガイド部分125、125’のV字形部分またはそれらの側面を、規定された力でガイド要素130に対して支え、したがって、同時に、ガイド要素130とガイド部分125、125’との間で規定された相互位置合わせが行われる。
【0034】
ガイド部分125、125’のV字形部分の側面または脚部がガイド要素130に押し付けられる力は、可動子120の走行面122、122’を介して超音波アクチュエータ1に作用する力によって影響され得、これらの力は、主として、可動子120の板金の弾性特性と、その幾何学的形状と、超音波アクチュエータの幾何学的形状とに依存する。これらの力、およびその結果の、超音波アクチュエータに作用するトルクが高いほど、可動子に作用する対応する逆トルクは大きくなる。ここで、ガイド部分125、125’が互いから離れているほど、増加するレバー長さに起因して、ガイド部分125、125’のV字形領域の側面または脚部の、ガイド要素130に対する接触力は、低くなる。したがって、これらの接触力の調整は、ガイド部分125、125’の間隔によって達成されてもよい。
【0035】
このように形成された滑り軸受または摺動ガイドは、組み立てが容易であり、実現が比較的簡単であり、したがって全体的に費用効果が高い。接触力は、特に、超音波アクチュエータが機能しなければならない低い摩擦抵抗が生じるように調整されてもよい。同時に、そのような摺動ガイドは、高い機械的負荷に耐えることができ、高い走行精度を示す。
【0036】
図4は、分離された態様で、したがって
図3によるモータの詳細として、
図1および
図2による超音波アクチュエータ1が挿入された取付装置110のみを示す。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製の取付装置110は、合計6つの保持部分111、111’、112、112’、113、113’を有し、それらは、超音波アクチュエータに、その側面5の異なる部分52、52’、54、54’、56、56’において接触し、したがって超音波アクチュエータをしっかりと締め付けるかまたは保持する。取付装置110のための他の材料、特にポリマー材料、例えばポリオキシメチレン(POM)またはポリアミド(PA)も同様に考えられる。
【0037】
超音波アクチュエータにその長い方の側面部分52’、54で接触する2つの保持部分は、機械的により弾性が低く、したがって剛性であり、対応して剛性である保持部分111、111’を形成するように設計されており、一方、同様に、超音波アクチュエータに長い方の異なる側面部分52、54’で接触する2つの他の保持部分は、機械的に弾性であり、したがって弾性特性を有し、対応して弾性の接触部分112、112’を形成する。保持部分113,113’は、超音波アクチュエータに、短い方の側面部分56,56’で接触しており、機械的な弾性も低い。
【0038】
可動子120の走行面122、122’から2つの摩擦要素20に作用する力Fが、それから超音波アクチュエータ1に作用するトルクMと同様に、
図4に示されており、トルクMは、超音波アクチュエータを反時計回りに回転させようとする。このトルクMにより、側面部分52’,54が、より強く、剛性の接触部分111および111’に押し付けられる一方、接触部分111および111’はより強固に支持される。同時に、側面部分52、54’は、作用トルクMによって弾性接触部分112、112’から離れようとするが、それらの弾性特性は、これらの側面部分52、54’との一定の接触を保証し、弾性接触部分112、112’の、側面部分52および54’に対する押圧力は、作用トルクMとは無関係である。
【0039】
図5は、
図3のモータを側面図で示し、視線方向は駆動方向と一致する。ここでは、特に、ガイド部分125、125’および軸受部分126の断面形状、ならびにそれらの、ガイド要素130、130’との係合状況が、図示されている。
図5において前方に面したガイド部分125は、下向きのV字形部分を有し、ガイド要素130は、V字形部分の両側面または両脚部上に載置されるか、またはそれらによって支持される。一部のみが見える、
図5において後方に面したガイド部分125’は、上向きのV字形部分を有し、ガイド要素130は、ここでも、このV字形部分の両側面または両脚部に載置される。したがって、可動子を介して超音波アクチュエータに作用するトルクに起因する、可動子に作用する逆トルクは、ガイド部分125、125’においてガイド要素130を押圧し、同時に位置合わせする働きをする。ガイド部分125および125’の反対側には、それぞれの軸受部分126、126’があるが、そのうち、前方に向いた軸受部分126のみが見える。これは直角の溝形状の凹部を有し、そこにガイド要素130’が隙間を有して取り付けられる。軸受部分126’は、軸受部分126と同じ断面形状を有する。軸受部分126および126’は、それに固定的に接続される可動子120の軸受部124の、ガイド要素130の周りでの回転を防止する働きをする。
【0040】
図6は、
図1および
図2による超音波アクチュエータ1を有するリニアドライブとして実現されるモータ100のさらなる可能な実施形態の斜視図である。ここで、取付装置110は、
図3または
図4と同じように構成され、それと一体的に形成される細長いガイド部116、116’を含み、これに対して、空間的に構造化された金属シートの形態の可動子120と一体的に形成された湾曲または角度のあるバーの形態のガイド部分125、125’が支持され、それらのうち、ガイド部分125のみが
図6に見られる。支持装置110と一体的に形成されたガイド部分116、116’によって
図3および
図5のガイド要素130の機能を引き継ぐことにより、より少ない構成要素を有し、組立もより容易かつ迅速である、本発明による超音波アクチュエータを有するモータの、はるかにコンパクトな設計が可能になる。
【符号の説明】
【0041】
参照符号のリスト:
1:超音波アクチュエータ
2:プレート
3:(プレート2の)底面
4:(プレート2の)カバー面
5:(プレート2の)側面
6,6’:電極
7,7’:電極
8,8’:(底面3の)辺
9,9’:接続線
10:平行四辺形(底面3に内接する)
11:(内接平行四辺形10の)より大きい内角
12,12’:(底面3の)台形
13,13’:(台形12、12’の)底辺
14:(台形12、12’の)対角線
15:(台形12、12’の底辺13、13’に対向する辺16、16’と他方の台形の底辺との間の)距離
16,16’:(台形12、12’の底辺13、13’に対向する)辺
20:摩擦要素
50:(側面5の)接触部分
52,52’:(側面5の)部分
54,54’:(側面5の)部分
56,56’:(側面5の)部分
100:モータ
110:(モータ100の)取付装置
111,111’:(保持装置110の)剛性保持部分
112,112’:(保持装置110の)弾性保持部分
113,113’:(保持装置110の)保持部分
116,116’:(保持装置110の)ガイド部分
120:可動子
122,122’:(可動子120の)走行面
125,125’:(可動子120の)ガイド部分
126,126’:(可動子120の)軸受部分
130,130’:ガイド要素
【国際調査報告】