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特表2022-538696ニコチン含有粒子を含有する充填材を含む経口袋状ニコチン製品
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  • 特表-ニコチン含有粒子を含有する充填材を含む経口袋状ニコチン製品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-05
(54)【発明の名称】ニコチン含有粒子を含有する充填材を含む経口袋状ニコチン製品
(51)【国際特許分類】
   A24B 13/00 20060101AFI20220829BHJP
   A24B 15/32 20060101ALI20220829BHJP
   A24B 15/38 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/32
A24B15/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500600
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2020068797
(87)【国際公開番号】W WO2021004928
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】19184827.4
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510171922
【氏名又は名称】スウィーディッシュ・マッチ・ノース・ヨーロップ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】モルテン・キンドヴァル
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB08
4B043BC02
4B043BC15
4B043BC18
4B043BC19
(57)【要約】
本開示は、充填材及び充填材を封入する包装材の唾液浸透性パウチを含む経口袋状ニコチン製品であって、前記充填材は、- 0.8~1.0等の0.7~1.0の真球度、0.2mm~2.0mmの径を有し、(i)セルロース、スターチ、ポリアルコール及び糖並びにその任意の組み合わせから選択される材料を含む、外表面を有するコア、(ii)唾液可溶性結合剤及びニコチン源を含み、コアの外表面の少なくとも一部に適用される、第1のコーティングを有し、充填材の総質量に基づいて50質量%~90質量%等の50質量%~100質量%の範囲の量で提供される粒子、並びに- 任意に、充填材の総質量に基づいて0.05質量%~10質量%の範囲のタバコ材料を含む、経口袋状ニコチン製品に関する。本開示はまた、前述の充填材を含む経口袋状ニコチン製品を調製する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材及び前記充填材を封入する包装材の唾液浸透性パウチを含む経口袋状ニコチン製品であって、
前記充填材が、
- 0.7~1.0、例えば0.8~1.0の真球度及び0.1mm~2.0mm、例えば0.2mm~2.0mmの径を有する粒子であって、
前記粒子の各々が、
(i)外表面を有するコアであって、前記コアが、セルロース、スターチ、ポリアルコール、糖及びその任意の組み合わせからなる群から選択される材料を含む、コア、
(ii)結合剤及びニコチン源を含む第1のコーティングであって、前記第1のコーティングが、前記コアの前記外表面の少なくとも一部に適用される、第1のコーティング
を含み、
前記粒子が、前記充填材の総質量に基づいて、50質量%~100質量%、例えば50質量%~90質量%の範囲内の量で提供される、粒子、
並びに
- 任意に、前記充填材の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内のタバコ材料
を含む、
経口袋状ニコチン製品。
【請求項2】
タバコ材料を含まない、請求項1に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項3】
充填材が、前記充填材の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内のタバコ材料を含む、請求項1に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項4】
前記粒子が、前記充填材の総質量に基づいて、50質量%~99.5質量%、例えば50質量%~95質量%、例えば50質量%~約90質量%、例えば50質量%~80質量%、例えば50質量%~70質量%、例えば50質量%~60質量%の量で提供される、請求項1から3のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項5】
前記粒子が、0.5mm~2.0mm、例えば0.6mm~2.0mm、例えば0.7mm~2.0mm、例えば0.8mm~2.0mm、例えば0.9mm~2.0mm、例えば0.5mm~1.5mm、例えば0.7mm~1.5mm、例えば0.9mm~1.2mmの径を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項6】
前記粒子が、0.3mm~1.5mm、例えば0.7mm~1mm、例えば0.8~1mmの範囲内のd50値を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項7】
前記粒子が、0.8~1.0の真球度及び0.2mm~2.0mmの径を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項8】
前記コアが、ニコチンを含まない、請求項1から7のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項9】
前記コアが、内部空間を含まない又は内部空間を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項10】
前記コアの前記材料の総質量に基づいて、前記コアの材料の80質量%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば100%が唾液不溶性である、請求項1から9のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項11】
前記コアが、セルロース、スターチ、ポリアルコール及び糖からなる群から選択される材料を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項12】
前記コアの前記材料が、微結晶セルロース、イソマルト及び/又はマルチトールを含む又はこれらからなる、請求項1から11のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項13】
前記コアの前記材料が、微結晶セルロースを含む、又はこれからなる、請求項1から12のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項14】
前記粒子及び/又は前記コアが、0.8~1.0、例えば0.85~1.0、例えば0.9~1.0の真球度を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項15】
前記コアが、前記粒子の径の80%以上を占める径を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項16】
前記第1のコーティングが、前記コアの外表面全体に提供される、請求項1から15のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項17】
前記第1のコーティングが、均一な厚みを有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項18】
前記厚みが、前記粒子の径の20%以下を占める、請求項17に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項19】
前記結合剤が、前記ニコチン源と混合されて存在し、例えば均一な混合物であり、それによって、前記ニコチン源が、保管、例えば
60%~75%の相対湿度で、
22℃~30℃の温度で、及び/又は
15週間、
行われる保管時に分解されるのを防ぐ、請求項1から18のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項20】
前記第1のコーティングが、唾液溶解性である、請求項1から19のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項21】
前記第1のコーティング中の前記結合剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びその任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1から20のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項22】
前記ニコチン源が、ニコチン塩及び/又はニコチン塩基、例えば、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン二酒石酸塩、ニコチン二酒石酸塩二水和物、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物及びニコチンサリチル酸塩、ニコチン安息香酸塩、ニコチンポラクリレックス及びその任意の組み合わせからなる群から選択されるニコチン源である、請求項1から21のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項23】
前記ニコチン源が、以下:ニコチン一酒石酸塩、ニコチン二酒石酸塩、ニコチン二酒石酸塩二水和物の1つ又は複数である、請求項1から22のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項24】
前記ニコチン源の量が、ニコチン塩基として計算されるニコチンの0.1mg~20mgの範囲内、例えばニコチンの0.5mg、1.0mg、1.5mg、2.0mg、2.5mg、3.0mg、3.5mg、4.0mg、4.5mg、5.0mg、6.0mg、7.0mg、8.0mg、9.0mg、10mg、12mg、14mg、16mg、18mg、又は20mgである、請求項1から23のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項25】
前記粒子が、前記コアと前記第1のコーティングとの間に、及び/又は前記第1のコーティングの上部に置かれる第2のコーティングを更に含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項26】
前記充填材が、ニコチン源を含むコーティングを含まない粒子を更に含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項27】
前記粒子が、請求項1から25のいずれか一項に規定の粒子と同じ大きさを有する、請求項26に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項28】
前記粒子が、1つ又は複数のコーティングを欠いている又は含む、請求項26又は27に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項29】
前記充填材が、pH調整剤、香料、甘味料、湿潤剤及びその任意の混合物からなる群から選択される添加物を更に含む、請求項1から28のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項30】
前記添加物が、
- 請求項26から29のいずれか一項に規定の粒子に吸蔵される、
- 前記第1のコーティングに含まれる、
- 前記第2のコーティングに含まれる、及び/又は
- 前記粒子コアに吸蔵される、請求項29に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項31】
前記添加物が、前記第1のコーティング、前記第2のコーティングに含まれるpH調整剤であり、及び/又は請求項26から29のいずれか一項に規定のニコチン源を含むコーティングを含まない前記粒子に吸蔵される、請求項29又は30に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項32】
前記充填材の総質量に基づいて1~5質量%の量で水を更に含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項33】
前記粒子が、タバコを含まない、請求項1から25のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項34】
前記粒子が、タバコを含まない、請求項26から28のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項35】
前記粒子及び前記タバコ材料が、機械的混合物を形成する、請求項1又は請求項3から34のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項36】
請求項1から35のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品を調製する方法であって、前記方法が、以下の工程:
a)請求項1から35のいずれか一項に規定の充填材を用意すること、及び
b)請求項1から35のいずれか一項に規定の唾液浸透性パウチに前記充填材を封入すること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、充填材(filing material)及び充填材を封入する包装材の唾液浸透性パウチを含む経口袋状ニコチン製品(oral pouched nicotine product)であって、充填材は、0.7~1.0の真球度(sphericity)及び0.2mm~2.0mmの径を有する粒子を含む、経口袋状ニコチン製品に関する。本開示はまた、前述の経口袋状ニコチン製品を調製する方法に関する。更に、本開示はまた、このような充填材を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
伝統的に、経口無煙タバコ製品は、製品のタバコからニコチン満足感を提供するために、消費者の口腔に使用されている。タバコの他に、経口無煙タバコ製品は、一般的に、水、塩、pH調製剤並びに香料及び湿潤剤等の追加の成分を含む。一般的に、これらの製品は嗅ぎタバコ(snuff)と呼ばれる。嗅ぎタバコは乾燥又は湿潤していてもよく、包装していない形態又は袋状の形態で提供されてもよい。湿性嗅ぎタバコは2種類に分けられ、アメリカタイプの嗅ぎタバコ(American snuff)とスカンジナビアタイプの嗅ぎタバコ(Scandinavian snuff)がある。アメリカタイプの湿性嗅ぎタバコは、一般的に湿潤した細かく挽いたタバコ又は刻みタバコの発酵工程によって製造される。スカンジナビアタイプの湿性嗅ぎタバコ(スヌース(snus))は、一般的に発酵の代わりに加熱処理工程(パスツーリゼーション)を用いて製造される。加熱処理はタバコ調製物内部の有機体の少なくとも一部分を分解、破壊又は変性させるために実行される。
【0003】
タバコを含まない又は少量のタバコを含む経口袋状ニコチン製品は、今や、特に、その魅力的な外見、新鮮さ及び味のおかげで消費者の間で徐々に人気がでている。更に、この種の製品は、ユーザーがタバコに暴露されることなくニコチンを楽しむことができる。
【0004】
経口袋状ニコチン製品は、典型的に、上顎又は下顎と唇の間パウチを置き、限定された時間、それをそこに保持することによって、消費者に使用される。製品は、ユーザーの口に快適に目立たずに合うように構成される。パウチ材は、唾液が充填材を通過し、香料及びニコチンが充填材から消費者の口に拡散することができるように、充填材を適所に保持する。
【0005】
このような経口無煙非タバコ嗅ぎタバコ製品又は経口無煙低タバコ嗅ぎタバコ製品の充填材はニコチンを含む。
【0006】
EP2 177 213は、1~50%のニコチン及び0~99%の賦形剤の均一な混合物を含むニコチン含有顆粒であって、顆粒は少なくとも150μmの粒径を有する。賦形剤はセルロースであってもよい、ニコチン含有顆粒を開示している。ニコチン含有顆粒は、粒状粒子に結合力を与える賦形剤の存在によって、粉塵が少ない又は無塵である。ニコチン含有顆粒は経口投与の医薬品の調製に使用できると言われている。
【0007】
EP 1 338 288は、10%以上の量の60~350の平均重合度を有する結晶セルロースを含み、0.60~0.95g/mlのタップ嵩密度(tapped bulk density)、0.7以上のアスペクト比、1.10~1.50の形状係数、及び10~400μmの平均粒径を有する、医薬用のセルロース粒子を開示している。好ましくは、粒径は40~400μmであり、より好ましくは50~400μmであり、更により好ましくは50~300μmであり、特に好ましくは50~200μmである。粒子は、内部又は表面上に医薬を含む顆粒であってもよい。
【0008】
NO 20170683Aは、湿性充填材及び湿性充填材を封入する包装材の唾液浸透性パウチを含む経口袋状ニコチン製品であって、湿性充填材は、結晶セルロース、香料、ニコチン源、pH調整剤等の、トリグリセリドの充填材の総質量に基づいて0.5~20質量%の範囲にある粒状非タバコ材料を含む、経口袋状ニコチン製品を開示している。
【0009】
EP 3491940 A1は、袋状無煙スヌース製品の充填材の製造方法であって、以下の工程、a)非タバコ植物材料をニコチンでコーティングすること、b)コーティングした非タバコ植物材料をさらなる成分と、任意にタバコ材料と混合し、充填剤を形成すること、及びc)任意に充填材をパスツーリゼーション工程に供すること、を含む、製造方法及びこのような方法の製品を開示している。
【0010】
US 2014/255452 A1は、製品に関係する識別情報がパウチ上に又はパウチの内部に提供される経口ニコチン含有医薬パウチ製品及びこのような製品を形成する方法を開示している。製品は、外側水浸透性パウチ、外側水浸透性パウチの内部に位置するニコチン含有医薬組成物、及びニコチン含有医薬組成物に関係する製品識別情報を有することができる。
【0011】
US 2016/073689 A1は、パウチ製品から水溶性成分を放出するように適応させたパウチ製品を開示し、本明細書に提供される。パウチ製品は水浸透性パウチを通って放出することができる水溶性成分を含み、表面積を有する組成物を含む空洞を規定する外側水浸透性パウチを含むことができ、外側水浸透性パウチは、第2の複数の異なる繊維と混合した複数のヒートシール性結合剤繊維を含む不織ウェブを含むことができる。
【0012】
WO 2019/115778 A1は、湿性充填材及び湿性充填材を封入する包装材の唾液浸透性パウチを含む経口袋状ニコチン製品であって、湿性充填材は、粒状非タバコ材料、非被包性非粒状香料、ニコチン源、pH調整剤、モノグリセリド、及び湿性充填材の総質量に基づいて0質量%~10質量%の範囲のタバコ材料を含む、経口袋状ニコチン製品を開示している。
【0013】
WO 2010/104464 A1は、対象の口腔に活性剤を送達するように設計された半浸透性パウチを含む経口送達製品を開示する。パウチは複数の粒子を封入し、粒子は、活性剤、例えばニコチンを含むアルギン酸マトリックスである。アルギン酸はアルギン酸ナトリウムであってもよい。
【0014】
WO 2012/134380 A1は、少なくとも1つの遊離ニコチン塩の粉末、少なくとも1つのpH調整剤及び少なくとも1つの充填材、並びに水不溶性パウチを含むコアを含むニコチンの経口送達のための製品を開示し、パウチは唾液に浸透性であり、そこに粉末の部分を溶解し、製品は純水に接触すると少なくとも6のpHを提供する。
【0015】
US 2018/271139 A1は、経口袋状無煙タバコ製品等の経口袋状製品を開示し、タバコ材料等の充填材、並びに充填材を封入する唾液浸透性パウチ、最大長及び最大幅を有する長方形を有する製品を含み、製品の最大幅は3mm~10mmの範囲にあり、製品の最大長は25mm~40mmの範囲にあり、最大幅に対する最大長の比は3~6であり、経口袋状製品は0.3~0.7gの範囲の質量を有する。
【0016】
粉末及び顆粒は多くの用途に有用であるが、粉末又は粒状粒子の小さいサイズ、不規則な形状及び/又は低流動性は、粉塵等の問題、特定の形状への変形が困難であること、及び/又は粉末又は粒状粒子のサイズ及び/又は形状の実質的な変化に伴う成分の放出等の粉末又は粒状粒子に加えられる成分の多くが放出することにしばしば関連する。
【0017】
したがって、ニコチンの多く又は全てを放出することができ、快適な口の感触を提供し、並びに/又はそのサイズ、形状及び口腔に使用している間の口の感触を実質的に保持する、粉塵がほとんどない又はない経口ニコチン含有製品が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】EP2 177 213
【特許文献2】EP 1 338 288
【特許文献3】NO 20170683A
【特許文献4】EP 3491940 A1
【特許文献5】US 2014/255452 A1
【特許文献6】US 2016/073689 A1
【特許文献7】WO 2019/115778 A1
【特許文献8】WO 2010/104464 A1
【特許文献9】WO 2012/134380 A1
【特許文献10】US 2018/271139 A1
【特許文献11】WO 2017/125405
【特許文献12】ノルウェー第085548号
【特許文献13】WO 2012/069505
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Notices「Total moisture determination」、Federal Register、74巻、4号、712~719頁、2009年1月7日水曜日
【非特許文献2】AOAC (Association of Official Analytical Chemics)、Official Methods of Analysis 966.02:「Moisture in Tobacco」 (1990)、5版、K. Helrich (ed)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
概要
前述の問題の少なくとも1つを軽減し、及び/又は周知の技術によって提供されない有利な点及び態様を提供することが本開示の目的である。
【0021】
更に、経口使用中の消費者の好ましい口の快適さ、食感及び/又は感覚刺激の経験を提供する経口袋状ニコチン製品を提供することが本開示の目的である。
【0022】
通常のユーザー条件下で、ニコチンの口腔への満足感のある放出速度を有する経口袋状ニコチン製品を提供することが本開示の別の目的である。
【0023】
本明細書に記載の充填材を含む経口使用のためのパウチを調製する場合に形成される粉塵を減少させる又はなくすことが本開示の更に別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本開示は、充填材及び充填材を封入する包装材の唾液浸透性パウチを含む経口袋状ニコチン製品であって、充填材は:
- 粒子が、0.8~1.0等の0.7~1.0の真球度及び0.2mm~2.0mm等の0.1mm~2.0mmの径を有し、
各粒子が:
(i)セルロース、スターチ、ポリアルコール、糖及びその任意の組み合わせからなる群から選択される材料を含む、外表面を有するコア、
(ii)結合剤及びニコチン源を含み、前記コアの前記外表面の少なくとも一部に適用される、第1のコーティング
を有し、
前記充填材の総質量に基づいて50質量%~90質量%等の50質量%~100質量%の範囲の量で提供される、粒子
並びに
- 任意に、充填材の総質量に基づいて0.05質量%~10質量%の範囲のタバコ材料
を含む、経口袋状ニコチン製品を提供する。
【0025】
本開示はまた、以下の工程:
a)本明細書に記載の充填材を用意すること、
b)本明細書に記載の唾液浸透性パウチに充填材を封入すること
を含む、経口袋状ニコチン製品を調製する方法を提供する。
【0026】
定義
本明細書において、「タバコ材料」という用語は、タバコの葉、葉片及び茎等の葉の部分の繊維状材料、又はタバコ抽出物に対して使用される。葉及び葉の部分は、粉砕、切断、断片化又は脱穀等の細かく分断(分解された)されていてもよく、葉の部分は、タバコ材料に規定の割合で混合されてもよい。
【0027】
本明細書で使用する場合、「タバコ」は、タバコ(Nicotiana)属の任意のメンバーの任意の部分、例えば葉、茎(stem)及び茎(stalk)を意味する。タバコはまるごと、粉砕、断片化、切断、粉砕、硬化、熟成、発酵、又はその他の処理、例えば、顆粒化又は封入されてもよい。
【0028】
「ニコチン源」という用語は、液体又は固体形態等の任意の形態のニコチンを指す。
【0029】
本明細書で使用する場合、「経口使用のための袋状ニコチン製品」又は「経口袋状ニコチン製品」等の用語は、経口使用を意図した唾液浸透性パウチ材料に包装されたニコチン含有充填材の部分を指す。経口袋状ニコチン製品の2つの例は経口袋状ニコチン非タバコ製品と経口袋状低タバコニコチン製品である。
【0030】
本明細書で使用する場合、「経口袋状ニコチン非タバコ製品」、「経口袋状タバコ不含ニコチン製品」等の用語は、製品にタバコを含まない、経口使用を意図した唾液浸透性パウチ材料に包装されたニコチン含有充填材の部分を指す。
【0031】
本明細書で使用する場合、「経口袋状低タバコニコチン製品」等の用語は、充填材の総質量に基づいて約0.1質量%~約10質量%又は約0.1質量%~約5質量%の範囲のタバコ材料の量が製品に含まれる、経口使用を意図した唾液浸透性パウチ材料に包装されたニコチン含有充填材の一部分を指す。
【0032】
本明細書で使用する場合、「水分量」という用語は言及する調製物、組成物又は製品における水及びその他のオーブン揮発性物質(例えばプロピレングリコール)の総量を指す。水分量は、言及する調製物、組成物又は製品の総質量の質量パーセント(質量%)として本明細書に提供される。本明細書で使用する場合、質量パーセント(percent by weight)、質量パーセント(weight percent)及び質量%(wt%)は同義に使用してもよい。
【0033】
本明細書に示される水分量は、参考文献Notices「Total moisture determination」、Federal Register、74巻、4号、712~719頁、2009年1月7日水曜日、及びAOAC (Association of Official Analytical Chemics)、Official Methods of Analysis 966.02:「Moisture in Tobacco」 (1990)、5版、K. Helrich (ed)に基づく方法を用いることによって決定することができる。この方法では、2.5±0.25gの試料を取り、22℃の温度、60%の相対湿度といった本明細書に規定される雰囲気条件で、水分の蒸発前と脱水の完了後に試料を計量することによって、水分量を質量測定で決定する。本明細書に記載の実験では、Mettler Toledo's Moisture Analyzer HB43、ハロゲン加熱技術を有する天秤を(言及の参考文献のオーブン及び天秤の代わりに)使用する。試料を105℃まで加熱する(言及の参考文献では99.5±0.5℃)。90秒の時間枠の間、質量の変化が1mg未満である場合、測定を止める。試料の質量パーセントとしての水分量は、その後、Moisture Analyzer HB43によって自動で計算する。
【0034】
本明細書では、「香料(flavour)」又は「香料(flavouring agent)」は、限定されないが、エッセンシャルオイル、単一香料化合物、配合された香料及び抽出物を含むニコチン製品の芳香及び/又は味に影響を与えるように使用される物質に対して使用される。
【0035】
「d50」という用語は、一群の粒子の粒径分布の平均径、すなわち、体積基準の累積分布の平均粒径の値を意図する。例えば、d50=0.8μm/mmの場合、試料の粒子の50%が0.8μm/mmより大きく、50%が0.8μm/mmより小さい。さらなる例では、d10=0.8mmの場合、試料の粒子の10%は0.8mmより小さく、90%は0.8mmより大きい。
【0036】
真球度は、「S」と命名することもでき、粒子が数学的に完璧な球にどれほど近いかを示す測定値である。真球度Sは、真の周囲長Prealに対する円相当の周囲長PEQPCの比である。円相当の周囲長、PEQPCは、例えば、画像解析を用いた粒子の投射領域と同じ領域を有する円の周囲長である。この文脈では、投射領域は、3次元粒子の2次元投射から生じる領域である。真球度価Sは0~1であってもよい。1に等しい真球度価Sを有する粒子は、球の形状を有する。真球度は、粒子の試料に対する画像解析を用いた測定に基づいて計算することができ、投射領域A及び投射される真の周囲長Prealが記録される。粒子は、同平面に投射されてもよい。例えば、粒子は分散単位に分散されてもよく、その後、図8に示されるように測定されてもよい。画像解析は、本明細書に記載のSymantec社の装置を用いて実施してもよい。図7は真球度Sを計算するために使用してもよい以下の等式を示す:
等式(1):
【数1】
【0037】
本明細書に記載の粒子の径は等しい投射領域の円の径であってもよい。これは、粒子の投射領域と同じ領域を有する円の径である。この文脈では、投射領域は、3次元粒子の2次元投射から生じる領域である。本明細書で使用する場合、XEQPCは、等しい投射領域の円の径を指す。図7aは、投射領域Aを有する3次元粒子の2次元投射を示す。図7bは、等しい、すなわち、図7aの投射と同じ投射領域Aの円に変換された図7aの2次元投射を示す。等しい投射領域、XEQPCの円の径は、図7bの円に示される。本明細書に記載の粒子の径を決定するために画像解析を使用してもよい。例えば、画像解析は、本明細書に記載のSymantec社の装置を用いて実施してもよい。例えば、本明細書に記載の粒子は、約35~約10のメッシュサイズを有するメッシュを通過することができる。これは、約0.5mm~約2.0mmのメッシュサイズ範囲に対応する。
【0038】
図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1はコア1及び第1のコーティング3を含むニコチン含有粒子を示す。
図2図2はコア1及び第1のコーティング3を含むニコチン含有粒子を示し、第1のコーティング3は第2のコーティング5によってコア1から分離される。
図3図3はコア1、第1のコーティング3及び第2のコーティング5を含むニコチン含有粒子を示し、第2のコーティング5は第1のコーティング3に適用される。
図4図4はコア1、第1のコーティング3、第2のコーティング(5及びさらなる第2のコーティング6)を含むニコチン含有粒子を示す。
図5図5はそれぞれ、コーティングされていないCellets700粒子及びコーティングされたCellets700粒子の粒径分布を示す。
図6図6はそれぞれニコチン含有粉末及びコーティングされた微結晶球に実施された流動試験の結果を示す。
図7図7aは投射領域Aを有する3次元粒子の2次元投射を示す。図7b図7aの粒子と等しい投射領域Aの円を示す。図7cは真の周囲長Preal及び投射領域Aを有する粒子について真球度を計算するための等式を示す。
図8図8は粒子を測定する画像解析装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
本開示は、充填材及び充填材を封入する包装材の唾液浸透性パウチを含む経口袋状ニコチン製品であって、充填材は:
- 粒子が、約0.8~約1.0の真球度、約0.2mm~約2.0mmの径を有し、
各粒子が:
(i)外表面を有するコア
(ii)結合剤及びニコチン源を含み、コアの外表面の少なくとも一部に適用される、第1のコーティング
を有する、粒子、
並びに
- 任意に、充填材の総質量に基づいて約0.05質量%~約10質量%の範囲のタバコ材料
を含む、経口袋状ニコチン製品を提供する。
【0041】
コアは、セルロース、スターチ、ポリアルコール、糖及びその任意の組み合わせからなる群から選択される材料を含んでもよい。更に、粒子は、充填材の総質量に基づいて約50質量%~約90質量%等の約50質量%~約100質量%の範囲の量で提供してもよい。
【0042】
したがって、充填材及び充填材を封入する包装材の唾液浸透性パウチを含む経口袋状ニコチン製品であって、充填材は:
- 粒子が、0.8~約1.0等の約0.7~約1.0の真球度、約0.2mm~約2.0mm等の約0.1mm~約2mmの径を有し、
各粒子が:
(i)セルロース、スターチ、ポリアルコール、糖及びその任意の組み合わせからなる群から選択される材料を含む、外表面を有するコア、
(ii)唾液可溶性結合剤及びニコチン源を含み、コアの外表面の少なくとも一部に適用される、第1のコーティング
を有し、
充填材の総質量に基づいて約50質量%~約90質量%等の約50質量%~約100質量%の範囲の量で提供される、粒子
並びに経口袋状ニコチン製品
- 任意に、充填材の総質量に基づいて約0.05質量%~約10質量%の範囲のタバコ材料
を含む、経口袋状ニコチン製品が提供される。
【0043】
経口袋状ニコチン製品は、タバコを含まなくてもよい、すなわちタバコ不含であってもよい。したがって、タバコ不含の本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品が提供される。
【0044】
或いは、充填材は、充填材の総質量に基づいて約0.05質量%~約5質量%、約0.05質量%~約0.5質量%、約0.05質量%~約0.3質量%等の約0.05質量%~約10質量%の範囲のタバコ材料等のタバコ材料を含んでもよい。したがって、タバコを含む前述の充填材を含む経口袋状ニコチン製品は、低タバコ経口袋状ニコチン製品であってもよい。タバコ材料は充填材と混合されて、均一な混合物等の混合物として提供してもよい。タバコ材料は漂白したタバコ材料等の精製されたタバコ材料であってもよい。更にタバコ材料はタバコ繊維、粉砕されたタバコ及び/又はスヌース等の嗅ぎタバコとして提供されてもよい。
【0045】
本明細書に記載の充填材粒子はタバコ材料を含まなくてもよいと考えられる。言い換えれば、タバコ材料は、存在する場合、充填材粒子の部分を形成しなくてもよい。更に、タバコ材料は充填材に存在する場合、充填材粒子と機械的混合物を形成してもよい。本明細書で使用する場合、機械的混合物は成分の混合物を意図し、成分は互いから分離されてもよい。
【0046】
経口袋状ニコチン製品の粒子は、充填材の総質量に基づいて約50質量%~約95質量%等、約50質量%~約90質量%等、約50質量%~80質量%等、約50質量%~70質量%等、約50質量%~60質量%等の約50質量%~約99.5質量%の量で提供されてもよい。
【0047】
充填材粒子の形状は、球状又は実質的に球状であってもよい。球状粒子は1.0又は約1.0の真球度を有すると理解される。実質的に球状の粒子は、約0.7~約1.0等、約0.80~約0.95等、約0.85~約1.0等、約0.9~約1.0等の1.0以下の真球度を有すると理解される。本明細書に記載の粒子の全て又は実質的に全ては、約0.8~約1.0等、約0.8~約0.95等の約0.7~約1の真球度を有してもよい。例えば、充填材の総質量に基づいて90質量%以上等の80質量%以上の充填材粒子は、約0.8~約1.0等、約0.8~約0.95等、約0.85~約1.0等、約0.9~約1.0等の約0.7~約1の真球度を有してもよい。
【0048】
本明細書に記載の充填材の粒子は全て、同じ又は実質的に同じ大きさを有してもよい。本明細書で使用する場合、「同じ大きさ」という表現は、±20%以下等、±10%以下等の±30%以下で、径の大きさが異なる粒子を意図する。例えば、80%以上の粒子は、90%以上等の同じ大きさを有してもよい。
【0049】
本明細書に記載の粒径は、画像解析によって測定することができる。例えば、画像解析は、本明細書に記載のSymantec社の装置を用いて実施してもよい。このような装置は、図8に示されるように動作することができ、1はパルス光源であり、2は測定範囲に適応可能なビーム拡大ユニットであり、3は分散ユニットであり、4は粒子流動であり、5は対物レンズであり、6はカメラである。良好に分散した粒子流動は画面を通って導かれる。粒子は、輸送流体によって互いから分離し、重なる粒子は避けられる。画像フレームあたりの多くの粒子数をキャプチャーすることができる。
【0050】
充填材粒子の粒子は、約0.2mm~約2.0mm等、約0.5mm~約2.0mm等、約0.6mm~約2.0mm等、約0.7mm~約2.0mm等、約0.8mm~約2.0mm等、約0.9mm~約2.0mm等、約0.5mm~約1.5mm等、約0.7mm~約1.5mm等、約0.9mm~約1.2mm等の約0.1mm~約2.0mmの径を有してもよい。例えば、粒子は約0.5mm~約1.5mmの径を有してもよい。
【0051】
更に、充填材の粒子は、約0.7mm~約1mm、約0.8~約1mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1.0mm等の約0.5mm~約1.5mmの範囲のd50値を有してもよい。例えば、充填材の粒子は、約0.7mm~約1mm等、約0.8mm~約1mm等の約0.3mm~約1.5mmの範囲のd50値を有してもよい。さらなる例では、d50は約0.2、約0.3、約0.5、約0.6、約1.2、約1.5又は約2.0であってもよい。値は±30%以下で変化し得る。
【0052】
本明細書に記載の充填材の粒子は、約0.8mm~約1.15mmの範囲の径を有し、約0.9のd50値を有してもよい。
【0053】
粒子及び/又は粒子コアの外表面は平滑又は少なくとも実質的に平滑であってもよい。
【0054】
本明細書に記載の充填材の粒子は、粉末の流動性に比べてより良い流動性を有することが分かった。結果として、粒子を封入する経口袋状ニコチン製品は、口腔内の場所等の製品と接触する対象物に、又はその中に適合するように、その形状を容易に調節することができる。更に、経口袋状ニコチン製品は粉末を含む経口袋状ニコチン製品より乾燥が少ないことを知覚することができる。
【0055】
充填材粒子コアは、約0.85~約1.0等、約0.9~約1.0等の約0.8~約1.0の真球度、及び/又は約0.2mm~約1.5mm、約0.2mm~約1.0mm、約0.2mm~約0.5mm等の約0.2mm~約1.8mmの粒径を有してもよい。
【0056】
充填材粒子コアは充填材粒子の径の80%以上を含む又はからなる径を有してもよい。
【0057】
充填材粒子コアは、本明細書に記載のニコチン源等のニコチンを欠いていてもよく、すなわち、コアはニコチンを含んでいなくてもよい。或いは、コアは本明細書に記載のニコチン源を含む又はニコチン源からなることができる。
【0058】
更に、充填材粒子コアは内部空間(internal voids)を含まなくてもよい。或いは、充填材粒子コアは内部空間を含んでもよい。内部空間が存在する場合、充填材粒子コアはニコチン源を含んでいてもよく、又はニコチン源を含まなくてもよい。本明細書で使用する場合、「内部空間」は、孔等の内部の区画を意味する。したがって、充填材粒子コアは多孔性又は非多孔性であってもよい。例では、充填材は多孔性コアを含む粒子、非多孔性コアを含む粒子又はこの粒子の混合物を含む。
【0059】
更に、充填材粒子コアは唾液可溶性材料及び/若しくは唾液不溶性材料を含む又は唾液可溶性材料及び/若しくは唾液不溶性材料からなることができる。例えば、充填材粒子コアは唾液不溶性材料と任意に一緒に唾液可溶性材料を含む又は唾液可溶性材料からなることができる。さらなる例では、充填材粒子コアは、コア又はコア材料の総質量に基づいて約90質量%以上、約100質量%等の約80質量%以上の唾液不溶性材料を含んでもよい。
【0060】
充填材粒子の粒子コアの材料は、微結晶セルロース、イソマルト及び/又はマルチトールのような、セルロース、スターチ、ポリアルコール及び糖からなる群から選択することができる。例えば、充填材粒子コアの粒子コアの材料は、結晶セルロース、任意にイソマルト及び/若しくは糖を含む又は結晶セルロース、任意にイソマルト及び/若しくは糖から構成されてもよい。さらなる例では、充填材粒子コアの粒子コアの材料は、結晶セルロースを含む又は結晶セルロースから構成されてもよい。
【0061】
充填材粒子コアの材料は、コアの総質量の約90質量%~約100質量%、約100質量%等の約80質量%~約100質量%から構成されてもよい。
【0062】
第1のコーティングは、コアの外表面の少なくとも一部に適用される。例えば、第1のコーティングは充填材粒子コアの外表面の全体部分に適用してもよい。第1のコーティングは均一又は不均一な厚みを有してもよい。例では、第1のコーティングは約25μm~約50μm等の約10μm~約100μmの範囲の均一又は実質的に均一な厚みを含む。第1のコーティングの粒子コアへの適用によって、実質的に平滑な粒子外表面、球状若しくは実質的に球状の形状等の望ましい粒子形状、及び/又は所望の流動性を提供することができる。更に、本明細書に記載の第2のコーティングに提供されてもよい粒子コアへの第1のコーティングの適用は、粉末の粒子等のより小さい大きさを有する1つ又は複数の粒子に接着するニコチン源に比べて、より大きい表面にニコチン源を分布し、製品を消費者の口腔に使用する場合に、最初のニコチン放出等のニコチン放出を増加させることの助けとなり得る。更に、第1のコーティングのニコチン源の全て又は実質的に全ては、ニコチン含有粒子の衝突なしに、使用時に放出させることができ、それによって例えば咀嚼又は噛むことなくニコチン源の使用を最大にする。
【0063】
第1のコーティングは結合剤及びニコチン源を含む又は結合剤及びニコチン源からなる。結合剤及びニコチン源は、均一に混合するというように混合してもよい。したがって、第1のコーティングは結合剤及びニコチン源の均一な混合物を含む又は結合剤及びニコチン源の均一な混合物から構成されてもよい。有利なことに、結合剤は唾液可溶性であり、それによって第1のコーティングがヒトの唾液等の唾液に接触する場合、ニコチン源を放出させることができる。結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ポリビニルピロリドン(PVP)及びその任意の混合物からなる群から選択することができる。結合剤は更にコリドン、すなわち、ポリビニルピロリドン及び/又はポリエチレングリコール(PEG)を更に含んでもよい。結合剤としての機能の他に、結合剤は分解からニコチン源を保護し、ニコチン源の望ましい放出速度を提供し、及び/又はニコチン源が所望の場所に確実に配置することを可能にする。更に結合剤はニコチン源が粒子コアに吸蔵されるのを防ぐことができる。更に、結合剤は、均一な混合物といったニコチン源との混合物であってもよく、それによってニコチン源が、
約60%~約75の相対湿度、
約22℃~約30℃の温度で、及び/又は
約15週間保管
等の保管時に分解されるのを防ぐ。
【0064】
第1のコーティングのニコチン源及び任意に本明細書に記載の粒子コアは、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン二酒石酸塩、ニコチン二酒石酸塩二水和物、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物及びニコチンサリチル酸塩、ニコチン安息香酸塩、ニコチンポラクリレックス及びその任意の組み合わせからなる群から選択されるニコチン源等のニコチン塩及び/又はニコチン塩基であってもよい。例えば、ニコチン源は以下の1つ又は複数であってもよい:ニコチン一酒石酸塩、ニコチン二酒石酸塩、ニコチン二酒石酸塩二水和物。特に、ニコチン源はニコチン二酒石酸塩二水和物であってもよい。
【0065】
袋状製品あたりのニコチンの量、すなわち、袋状製品あたりのニコチン源の量は、ニコチンベースとして計算されるニコチンの約0.1mg~約20mgの範囲内、例えば、約0.5mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg、約3.5mg、約4.0mg、約4.5mg、約5.0mg、約6.0mg、約7.0mg、約8.0mg、約9.0mg、約10mg、約12mg、約14mg、約16mg、約18mg又は約20mgのニコチンであってもよい。
【0066】
本明細書に開示の充填材の粒子は、さらなる第2のコーティングを含んでもよい。第2のコーティングは、粒子コアの外表面に適用してもよい。結果として、粒子コアの外表面は第2のコーティングを含む。第2のコーティングはコアと第1のコーティングとの間に置かれてもよく、コアの外表面の一部分又は全てを覆ってもよい。更に又は或いは、第2のコーティングは第1のコーティングの外表面全体といった、第1のコーティングの外表面の少なくとも一部分に適用されてもよい。第2のコーティングの厚みは均一又は不均一であってもよい。厚みは約10μm~約100μmであってもよい。
【0067】
第2のコーティングの粒子コアへの適用は、ニコチン源及びコアに吸蔵される任意の添加物に所望の形状を提供する。更に第1のコーティングの外表面に第2のコーティングを適用することは、得られる粒子状材料の流動性を改善することができ、ニコチン源及び任意の添加物の第1のコーティングからの放出速度を制御することを助けることができる。
【0068】
第2のコーティングは唾液可溶性結合剤等の結合剤を含んでもよい。唾液可溶性結合剤は、ヒトの唾液等の唾液に接触する場合、溶解する。結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース(MC)、ポリビニルピロリドン及びその任意の混合物からなる群から選択することができる。さらなる第2のコーティングは本明細書に記載の添加物を含んでもよい。例えば、第2のコーティングは本明細書に記載のpH調整剤を含んでもよい。このように、pH調整剤は、第1のコーティングのニコチン源から離しておくことができ、それによってニコチン源の溶解のリスクを減少させることができる。或いは、第2のコーティングは本明細書に記載の添加物等の添加物を欠いていてもよい。第2のコーティングはニコチン源を欠いていてもよい、すなわちニコチンを含んでいなくてもよいと理解される。
【0069】
本明細書に記載の第1のコーティング及び/又は第2のコーティングは唾液可溶性であってもよい。本明細書で使用する場合、唾液可溶性は、言及される成分又は材料の全て又は実質的に全てが、ヒトの唾液等の唾液に接触する場合、溶解することを意味する。言及される成分又は材料は、成分又は材料の総質量に基づいて約60質量%以上の範囲で部分的に溶解することができ、又は消費者の口腔に置かれた時、約1時間、約30分、約10分、約5分等の約2時間以内に完全に溶解することができる。
【0070】
任意に第2のコーティングと共に、第1のコーティングの厚みは、粒子コアの径に比べて小さくてもよい。例えば、厚みは、粒径の20%以下を構成する又は占めてもよい。更に、粒子コア材料の主要部分は唾液不溶性であってもよい。例えば、コア又はコア材料の総質量に基づいて、粒子コア材料の80質量%以上、例えば90質量%、95質量%、100質量%は、唾液不溶性であってもよい。本明細書で使用する場合、唾液不溶性は、言及される成分又は材料が、ヒトの唾液等の唾液に接触する場合、溶解しない又は実質的に溶解しないことを意味する。例えば、成分又は材料の10質量%以下は、唾液に接触すると、例えば、2時間、1時間、30分間等の時間で唾液に接触すると溶解し得る。結果として、ニコチン含有粒子の大きさ及び形状は、ヒトの唾液等の唾液に接触する場合、実質的に変化しないままであってもよい。したがって、口腔に製品を使用する消費者によって経験される口の感触は、時間が経っても、実質的に変化しないままであり得る。
【0071】
本明細書に開示の充填材は、ニコチンを含まない粒子及び/又はニコチン含有粒子を更に含んでもよく、ニコチンはコアにのみ配置される。これらの粒子は、ニコチン含有コーティングを欠いている、すなわち、ニコチン源を含むコーティングを含まないことを除いて、充填材の粒子と同じ、又は実質的に同じであってもよい。或いは、これらの粒子は充填材の粒子と異なっていてもよい。これらの粒子は、本明細書に記載の添加物を含んでもよく、本明細書に記載の添加物を欠いていてもよく、又は添加物の混合物を含んでもよい。これらの粒子は、1つ又は複数のコーティングを欠く又は含んでいてもよく、本明細書に記載の添加物等の添加物を含む又は含んでいなくてもよい。これらの粒子は追加の充填材として提供してもよい。これらのニコチンを含まない粒子及び/又はニコチン含有粒子の大きさ、密度及び/又は形状は、ニコチンがコアにのみ配置されており、充填材の粒子と同じであっても、異なっていてもよい。有利なことに、これらのニコチンを含まない粒子及び/又はニコチン含有粒子の密度は、ニコチンがコアにのみ配置されており、経口袋状ニコチン製品を保管する場合に分離のリスクを最小にするため、充填材の粒子の粒子密度と同じ又は実質的に同じであってもよい。
【0072】
本明細書に記載の充填材は、pH調整剤、香料、甘味料、湿潤剤及びその任意の混合物からなる群から選択される添加物を更に含んでもよい。
【0073】
本明細書に開示の添加物は、
- ニコチンを含まない粒子及び/又はニコチン含有粒子に吸蔵されてもよく、ニコチン源は粒子コアにのみ配置され、
- 第1のコーティングに含まれてもよく、
- 第2のコーティングに含まれてもよく、及び/又は
- 粒子コアに吸蔵されてもよい。
【0074】
添加物がpH調整剤である場合、添加物は第1のコーティング及び/又は第2のコーティングに含まれてもよい。更に又は或いは、pH調整剤は、本明細書に記載のニコチンを含まない粒子及び/又はニコチン含有粒子に吸蔵されてもよく、本明細書に記載のようにニコチンは粒子コアにのみ配置される。
【0075】
本明細書で使用する場合、「~に吸蔵される(sorbed to)」という表現は、「~に吸着される(adsorbed to)」又は「~に吸収される(absorbed to)」ことを意図する。「~に吸着される」は、本明細書に記載のニコチン源又は添加物等の成分が粒子又は粒子コアの外表面に接着することを意図する。更に、「~に吸収される」は、本明細書に記載のニコチン源又は添加物等の成分を粒子又は粒子コアの孔等の空洞に含まれることを意図する。
【0076】
本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品のpH調整剤は、pHを約7~約10の範囲にあることを可能にする。このpHは製品の製造後すぐといった、製品の製造後に達成することができる。
【0077】
更にこのpHは室温に保管する、又は約5℃~10℃で冷蔵庫に保管するといった、製品の保管時に提供される。pHを約7~約10の範囲、例えば、約7~約9.5、約7~約9.2、約7~約9、約8~約9に達成することは、口腔粘膜に悪影響を与えることなく、良好なニコチンの取り込み及び/又は抽出並びに味を与えることを可能にするため、有利である。
【0078】
pH調整剤の量は、充填材を純水に分散させる場合、7.0以上のpH、例えば、約7.0~約10.0の範囲のpH、約8.0~約9.0範囲のpH、約8.3~約8.7の範囲のpHを提供するように、選択することができる。
【0079】
100mlの蒸留水を、例えば、100mlの三角フラスコ中の5.0gの充填材に加え、得られた混合物を磁気スターラーで100rpmで約5分間、攪拌し、その後、そこから得られる抽出物のpHを較正されたpHメータ(製造者の説明書に従う)で測定することによって、充填材のpHを測定することができる。読みの正確性のために、試料溶液は1時間以内に分析される。この文書では、「rpm」という用語は、revolutions per minute(1分あたりの回転数)の略語である。更にこの文書では、「室温」という表現は、約20℃~約25℃、例えば約22℃の温度の略語である。
【0080】
適切なpH調整剤の例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム及びその任意の組み合わせが挙げられる。例えば、pH調整剤は水酸化カリウムであってもよい。さらなる例では、pH調整剤は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸水素カリウムであってもよい。
【0081】
pH調整剤は、第1のコーティング、第2のコーティングに含まれてもよく、及び/又はニコチン源を含むコーティングを含まない粒子等のニコチンを含まない粒子に吸蔵されてもよい。高pHはニコチン源の安定性に悪影響を及ぼし得るため、pH調整剤の一部又は全てをニコチン源から分離しておくことによって、ニコチン源の保存安定性を改善することができる。
【0082】
充填材は1つ又は複数の香料を含んでもよい。例えば、香料は液体、油、粒状材料等の固体又はその混合物であってもよい。
【0083】
香料はpH>7で安定し得る。更に、本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品の充填材の香料は、疎水性香料であってもよい。
【0084】
香料の例として、ベルガモット、ユーカリ、オレンジ、マンダリン、シトラス、レモン、ペパーミント、スペアミント、ミント、メントール、甘草、イチャクソウ、ウイスキー、ラム、チェリー、様々なベリー、タバコ、コーヒー、バニラ、ライム、リンゴ、桃、カルボン、リモネン及びその2種以上の任意の組み合わせが挙げられる。
【0085】
本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品の充填材は、充填材の総質量に基づいて香料の約0.5質量%~約3.0質量%の範囲に含んでもよい。
【0086】
香料は、結合剤及びニコチン源と共に第1のコーティングに含まれてもよい。更に又は或いは、香料は、機械的混合物又は質量を形成するように充填材と混合して提供されてもよく、本明細書に記載の第2のコーティングに組み込まれてもよく、本明細書に記載のニコチンを含まない粒子等のニコチンを含まない粒子に組み込まれてよく、及び/又は本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品を含む容器に加えられてもよい。
【0087】
本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品に香料を加えることは、香料を缶等の経口袋状ニコチン製品のための容器の内側面に加え、香料を内側面から経口袋状ニコチン製品に拡散又は移行させることによって達成することができる。したがって、本開示は、本明細書に記載の香料を本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品に加える方法も提供し、方法は以下の工程を含む:
- 香料を経口袋状ニコチン製品の容器の少なくとも1つの内側面に適用すること、
- 経口袋状ニコチン製品を容器中に置くこと、
- 容器を閉じること。
【0088】
容器は、経口袋状ニコチン製品に適した包装及び/又は消費者容器であってもよい。したがって、本明細書に記載の容器は、消費者のポケット若しくはハンドバックに便利に運ぶように適応されてもよく、及び/又は本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品等の任意の周知の種類の嗅ぎタバコ製品を包装するために使用することもできる。容器はプラスチック及び/又は金属で作製されてもよい。更に、容器は任意の所望の形状又は幾何学形態を有してもよい。例えば、容器は円柱の形態を有してもよい。容器は、内部空間を規定する上部及び基部を含んでもよい。基部は、基面及び基面から伸長する周囲壁を含んでもよい。上部は容器の基部から取り外し可能である蓋の形状であってもよく、又は容器の基部に蝶番を付ける若しくは付着する蓋の形状であってもよい。例えば、蓋はスナップフィットによって基部に付着していてもよい。容器は耐タンパ性であってもよい。一例では、容器はWO 2017/125405に記載されていようなものでもよく、そっくりそのまま本明細書に組み込まれる。さらなる例において、容器は、ノルウェー第085548号の意匠登録に示されているものでもよい。
【0089】
製造の観点から、基部の下内部表面に、及び/又は蓋の上内部表面に香料を適用することが望ましい。容器はその後閉じられる。
【0090】
風味付けは1週間等の特定の時間、保存の間、行われてもよい。保存は室温、すなわち、約20℃~約25℃、又は約5℃~約10℃の冷蔵庫中でなされてもよい。保存期間中、香料は、容器の少なくとも1つの内部表面から経口袋状ニコチン製品に拡散又は移る。
【0091】
したがって、香料を加える方法は、更に以下の工程を含む:
- 容器を1週間保存すること。
【0092】
充填材は、天然又は合成甘味料等の甘味料も含んでもよい。甘味料の例として、ショ糖、グルコース、デキストロース、マルトース、フルクトース、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファム、スクラロース、サイクラミン酸塩及びその任意の混合物が挙げられる。
【0093】
甘味料は、結合剤及びニコチン源と共に第1のコーティングに含まれてもよい。更に又は或いは、甘味料は、機械的混合物又は質量を形成するように充填材と混合して提供されてもよく、本明細書に記載の第2のコーティングに組み込まれてもよく、本明細書に記載のニコチンを含まない粒子等のニコチンを含まない粒子に組み込まれてよい。
【0094】
本明細書に開示の充填材は、充填材の総質量に基づいて約1質量%~約50質量%、例えば、約20質量%~約45質量%、約1質量%~約20質量%、約1質量%~約10質量%、約20質量%、約1質量%~約3質量%の量の水を更に含んでもよい。例えば、充填材は、充填材の総質量に基づいて約1質量%~約5質量%の範囲の水を含む。
【0095】
以下の工程を含む本明細書に開示のニコチン含有粒子を調製する方法も提供する:
- 本明細書に記載の外表面を有する粒子コアを用意すること、
- 本明細書に記載の第1のコーティングを粒子コアの外表面に適用すること、
- 任意に、本明細書に記載の第2のコーティングを粒子コアの外表面及び/又は第1のコーティングの外表面に適用すること、
- 任意に約50μm等の150μm以下である少なくとも1つの寸法を有する粒子等の小粒子を取り除くこと。
【0096】
小粒子の除去はメッシュを使用することによって実施されてもよい。第2のコーティングを外側コア表面に適用することで第2のコーティングを含む外側コア表面を提供することが理解される。
【0097】
例えば、以下の工程を含む本明細書に開示のニコチン含有粒子を調製する方法を提供する:
a)本明細書に記載の外表面を有する粒子コアを提供すること、
b)本明細書に記載の第1のコーティングを前記粒子コアの外表面に適用すること、
c)任意に本明細書に記載の第2のコーティングを第1のコーティングの外表面に適用すること、
d)任意に約50μm等の約150μm以下である少なくとも1つの寸法を有する粒子等の小粒子を取り除くこと。
【0098】
さらなる例では、以下の工程を含む本明細書に開示のニコチン含有粒子を調製する方法を提供する:
a)本明細書に記載の外表面を有する粒子コアを提供すること、
b)本明細書に記載の第2のコーティングを前記粒子コアの外表面に適用すること、
c)本明細書に記載の第1のコーティングを第2のコーティングの外表面に適用すること、d)任意にさらなる第2のコーティングを第1のコーティングの外表面に適用すること、及び
d)任意に約150μm以下の少なくとも1つの寸法を有する粒子等の小粒子を取り除くこと。
【0099】
第2のコーティング及びさらなる第2のコーティングの組成は同じであっても異なっていてもよいと考えられる。
【0100】
有利なことに、ニコチン含有粒子の製造は、150μm未満の少なくとも1つの寸法を有する粒子等の小粒子を取り除くことを含む。したがって、得られるニコチン含有粒子は粉塵がなく、又は少なくとも粉塵が減少している。粉塵がパウチ密封強度に悪影響を与えるため、この粉塵がないこと又は粉塵が実質的にないことは、本明細書に記載の経口袋状製品の製造に非常に有利である。したがって、本明細書に記載のニコチン含有粒子はパウチの密封強度を改善することができる。したがって、本開示は、50μm等の約150μm以下の少なくとも1つの寸法を有する粒子を含まない経口袋状ニコチン製品を提供することができることが理解される。
【0101】
第1のコーティング及び、存在する場合の第2のコーティングは、例えば、コーティング流動床噴霧を使用することによって、粒子のコアに適用することができる。
【0102】
本明細書に開示の方法によって得ることができる又は得られる本明細書に開示のニコチン含有粒子も提供する。
【0103】
本開示のニコチン含有粒子の例は以下に続く。コア、第1のコーティング、存在する場合の第2のコーティングは本明細書に記載されているものであってもよいと理解される。
【0104】
図1は球状ニコチン含有粒子を示し、コア1は球形状及び外表面2を有する。第1のコーティング3はコア1の外表面2の全体部分に適用される。第1のコーティング3は外表面4を有する。
【0105】
図2は球状ニコチン含有粒子を示し、コア1は球形状及び外表面2を有する。第2のコーティング5はコア1の外表面2全体に提供され、外表面2は第2のコーティングを含む。第1のコーティング3は第2のコーティング5を含む外表面2全体に適用される。したがって、第2のコーティング5はコア1と第1のコーティング3との間に配置される。
【0106】
図3は球状ニコチン含有粒子を示し、コア1は球形状及び外表面2を有する。第1のコーティング3はコア1の外表面2の全体部分に適用される。第1のコーティング3は外表面4を有する。第2のコーティング5は第1のコーティング3の外表面4の全体に適用される。
【0107】
図4は、球状ニコチン含有粒子を示し、コア1は球状形状及び外表面2を有する。第2のコーティング5はコア1の外表面2全体に提供され、それによって外表面2は第2のコーティング5を含む。第1のコーティング3は第2のコーティング5を含む外表面2全体に適用される。したがって、第2のコーティング5はコア1と第1のコーティング3との間に配置される。第1のコーティング3は外表面4を有する。さらなる第2のコーティング6は第1のコーティング3の外表面4の全体に適用される。したがって、第1のコーティング3は第2のコーティング5とさらなる第2のコーティング6との間に配置される。第2のコーティング5及びさらなる第2のコーティング6の組成は同じであっても異なっていてもよい。例えば、第2のコーティング5は、結合剤及び添加物を含んでもよく、さらなる第2のコーティング6は、結合剤又はその逆から構成されてもよい。
【0108】
更に、経口袋状ニコチン製品を提供する方法を提供し、方法は、以下の工程を含む:
a)本明細書に記載の充填材を用意すること、
b)充填材を唾液浸透性パウチに封入すること。
【0109】
充填材のニコチン含有粒子は本明細書の記載のように調製されてもよく、任意に本明細書に記載の添加物及び/又はタバコ材料と混合されてもよい。更に、充填材は本明細書に記載されるように風味付けされてもよい。充填材を唾液浸透性パウチに封入する工程は、充填材の部を測定し、その部をパウチに挿入することによって行われてもよい。
【0110】
本明細書に開示の方法によって得ることができる又は得られる本明細書に開示の経口袋状ニコチン含有製品も提供する。
【0111】
経口袋状ニコチン製品のパウチは任意の適切な唾液浸透性、及び好ましくは非溶解性であり、不織材料等の包装材から作製されていてもよい。包装材は、本明細書ではパウチ材料とも呼ばれ、ビスコースレーヨンステープルファイバー等の再生セルロースのステープルファイバー、及びポリアクリレート等の結合剤を含む不織材料であってもよい。包装材は、香料及び/又は着色料等の追加の成分も含んでもよい。更に、包装材は薬学的に許容される材料であってもよい。
【0112】
一例では、本明細書に記載のパウチの包装材は、不織材料を含む又は不織材料からなり、前記包装材は、繊維を含む不織材料を含み、繊維は、約1.7デシテックス未満の線密度を有し、前記不織材料は約30g/m2以上の坪量を有する。これは、包装材に唾液及び充填材成分について満足のいく強度、柔軟性及び/又は浸透性を提示することができる。
【0113】
本明細書に開示の経口袋状ニコチン製品は、実質的に長方形(製品を平面上に置いて上から見た場合)等の長方形を有してもよい。このような場合に、製品の長手方向は、実質的に長方形の製品の長さに対応し、製品の横方向は実質的に長方形の製品の幅に対応する。パウチは横方向のシール及び/又は長手方向のシール等の1つ又は複数のシールを含んでもよい。
【0114】
経口袋状ニコチン製品(充填材及び包装材を含む)の総質量は、約0.2~約1.5gの範囲にあってもよい。
【0115】
経口袋状(すなわち分包)ニコチン製品は、例えばWO 2012/069505に開示されるように、容器又は型に無作為に配置されてもよい。或いは又は更に、それぞれの経口袋状ニコチン製品は小袋に置かれてもよい。
【0116】
本明細書に開示の経口袋状ニコチン製品は、頬側の配置(例えば、上顎又は下顎と唇又は頬との間に袋状製品を配置することによって)等の口腔での使用を意図し、したがって、経口使用のための分包(袋状)ニコチン製品、すなわち、経口袋状ニコチン製品と言ってもよい。経口袋状ニコチン製品は、上顎又は下顎と唇又は頬との間でユーザーの口に快適に目立たずに合うように大きさが定められ、構成される。
【0117】
本発明は、以下の実施例で更に記載されるが、これは請求項に記載の本発明の範囲を限定するものではない
【実施例
【0118】
実施例
全般
Cellets700 MCC球はPharmatrans-Sanaq社、スイスによって供給された。これらの球は、微結晶セルロース単独で製造される。この実施例における粉末ZYN Spearmintは、Swedish Match社から得られ、微結晶セルロース、マルチトール、ヒドロキシプロピルセルロース、香料添加物、pH調整剤、甘味料及びニコチン二酒石酸塩を含んでいた。微結晶セルロース及びマルチトールは粉末の総質量に基づいて約84質量%で構成される。ニコチン二酒石酸塩は粉末の総質量の約2.5質量%で構成される。粉末は、容量に関して以下のD値を有した:d10= 125μm、d50= 250μm、d90= 400μm。
【0119】
略語
以下の略語はこの文書全体にわたって使用され、その意味を以下に説明する。
mm ミリメートル
μm マイクロメートル
g グラム
mg ミリグラム
ml ミリリットル
sec. 秒
H 時間
min. 分
MCC 微結晶セルロース
【0120】
(実施例1)
コーティング液体は、まず、エタノール及び結合剤(HPC L、Nisso社、日本によって供給)を混合し、HPCを5時間完全に溶解させることによって調製した。その後、ニコチン二酒石酸塩二水和物(Siegfried AG社、スイスによって供給)、炭酸水素ナトリウム(TATA Chemicals社、英国によって供給)、及び炭酸ナトリウム(Novacarb社、フランスによって供給)を以下のTable A(表1)に従って添加する。ニコチン二酒石酸塩二水和物の粒径を混合する前に、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムを3分間、乳鉢で粉砕することによって減少させた。
【0121】
【表1】
【0122】
168.16gのCellets700 MCC球(Pharmatrans-Sanaq社、スイスによって供給)をwurster insertで設定されたMidiGlatt lab流動床装置(Glatt社、ドイツによって供給)を用いて上記のコーティング液体でコーティングされ、工程パラメータ設定は以下であった:入口の空気の温度48~55℃、空気流 40m3/h、噴霧器の圧力1,5 bar、液体流1、7~1、9g/分。コーティング後、2つ組及び3つ組、すなわち共に固着する2つ又は3つの粒子は、1mmの篩にかけることによって取り除かれた。また、微粉は500μmの篩にかけることによって取り除かれた。
【0123】
コーティング収率は62%であった。本明細書で使用する場合、コーティング収率は以下のように計算した:コーティング収率=(製品の最終質量-加えたコア材料)/(負荷した固体コーティング材料)。得られるコーティングされたMCC球は、水分量2,6%、pH値8,99、及び真球度0,92を有した。真球度及びd50値(以下参照のこと)を、Rodos/L分散ラインID NO 214D及びVibri/L試料供給ID NO 273を有する2012、Symantec社、ID No.290-DからのQicPic装置を用いて計算した。真球度については、標準偏差は0.01であった。コーティングされたMCC球のd50は940μmであった。コーティング層の厚みはコーティングされたMCC球及びコーティングされていないMCC球についてのd50の値から、約25μmと推定した。100mlの蒸留水を5.0gのコーティングされたMCC球を入れた125mlのビーカーに加え、得られた混合物を磁気スターラーを用いて100rpmで約5分間、室温で攪拌し、その後、そこから得られる抽出物のpHを較正されたpHメータ(製造者の説明書に従う)で測定することによって、コーティングされたMCC球のpHを測定した。読み取りの正確性のために、試料溶液を1時間以内に分析した。
【0124】
QicPic装置を用いて上述のCellets700 MCC球についても真球度及びd50を測定した。真球度は標準偏差0.01で0.93であることが分かった。d50は890μmであることが分かった。
【0125】
図5はそれぞれ、コーティングされていないCellets700及びコーティングされたCellets700の粒径分布を示す。
【0126】
水浸透性不織パウチ材料を用いて、コーティングされたMCC球をそれぞれ0.5~0.6gのパウチに分けて包装した。パウチは3名のレファレンスグループによって試験され、タバコ又は非タバコ粉末に基づく経口ニコチン含有パウチに比べて食感がかなり快適であること、及び、パウチは使用中にパウチ容量を依然として保持しながら、それが置かれた口腔部分の形状に合うように、パウチ形状を容易に調節することが明らかになった。
【0127】
(実施例2)流動試験
実施例1の15gのコーティングされたMCC球を60度の傾きを持ち漏斗の管の内径が5mmのガラス製漏斗を通して注いだ。球が漏斗を通過するのに必要な時間を測定し、この手順を5回繰り返した。ZYN 3mg Spearmint(Swedish Match社による製造)を充填するパウチを構成する粒状粉末について、同手順を行った。コーティングされた球及び粒状粉末が漏斗を流れるのに必要な時間を以下の式を用いて質量流量に計算した:質量流量=試料の質量/通過時間。
【0128】
結果を図6に示す。質量流量は、粒状粉末に比べて、コーティングされたMCC球のほうが44%大きかった。
【0129】
本発明はその詳細な説明と合わせて記述しているが、前述の記述は説明することを意図し、添付の請求項の範囲によって規定される本発明の範囲を限定することを意図しない。その他の態様、利点及び修正は、以下の請求項の範囲にある。
【符号の説明】
【0130】
1 コア
2 外表面
3 第1のコーティング
4 外表面
5 第2のコーティング
6 さらなる第2のコーティング
A 投射領域
1 パルス光源
2 測定範囲に適応可能なビーム拡大ユニット
3 分散ユニット
4 粒子流動
5 対物レンズ
6 カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a-7b】
図7c
図8
【国際調査報告】