(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(54)【発明の名称】2成分接着剤組成物、それで調製された物品、およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20220830BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J11/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568226
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(85)【翻訳文提出日】2021-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2019087008
(87)【国際公開番号】W WO2020227963
(87)【国際公開日】2020-11-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ユイ
(72)【発明者】
【氏名】フェン、シャオカン
(72)【発明者】
【氏名】モン、チンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】フォン、ヤンリー
(72)【発明者】
【氏名】チェン、フアン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ、シウメイ
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EF051
4J040GA11
4J040GA13
4J040JA13
4J040MA10
(57)【要約】
【解決手段】 2成分接着剤組成物が提供される。2成分接着剤組成物は、イソシアネート成分、イソシアネート反応性成分、およびアミン-エポキシ付加物を含み、接着剤と金属合金基材のような基材との間での優れた接着強度を達成し得る。当該組成物を用いて調製されたラミネート物品、物品を調製するための方法、および2成分ポリウレタン接着剤組成物中の接着促進剤としてのアミン-エポキシ付加物の使用も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2成分接着剤組成物であって、
(A)少なくとも2つのイソシアネート基を有する1種以上の化合物を含むイソシアネート成分と、
(B)少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する1種以上の化合物を含むイソシアネート反応性成分と、を含み、
(i)脂肪族モノアミン、脂肪族ジアミン、脂肪族トリアミン、脂環式モノアミン、脂環式ジアミン、脂環式トリアミン、芳香脂肪族モノアミン、芳香脂肪族ジアミン、芳香脂肪族トリアミン、芳香族モノアミン、芳香族ジアミン、芳香族トリアミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の一級または二級アミンと、
(ii)脂肪族、脂環式、および芳香族、モノ-、ジ-、またはポリエポキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ化合物と、の間の反応から誘導されるアミン-エポキシ付加物をさらに含む、2成分接着剤組成物。
【請求項2】
前記少なくとも2つのイソシアネート基を有する1種以上の化合物が、
a)少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
4~C
12脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
6~C
15脂環式または芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
7~C
15芳香脂肪族ポリイソシアネート、およびこれらの組み合わせと、
b)1種以上のa)のポリイソシアネートを、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
2~C
16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
6~C
15脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
7~C
15芳香脂肪族多価アルコール、500~5,000の分子量を有するポリエステルポリオール、200~5,000の分子量を有するポリカーボネートジオール、200~5,000の分子量を有するポリエーテルポリオール、少なくとも2つのアミノ基を含むC
2~C
10ポリアミン、少なくとも2つのチオール基を含むC
2~C
10ポリチオール、少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つのアミノ基を含むC
2~C
10アルカノールアミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上のイソシアネート反応性成分と反応させることによって調製されたイソシアネートプレポリマー(ただし、前記イソシアネートプレポリマーは、少なくとも2つの遊離イソシアネート末端基を含む)と、からなる群から選択される、請求項1に記載の2成分接着剤組成物。
【請求項3】
前記少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する1種以上の化合物が、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
2~C
16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
6~C
15脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
7~C
15芳香脂肪族多価アルコール、500~5,000の分子量を有するポリエステルポリオール、200~5,000の分子量を有するポリカーボネートジオール、200~5,000の分子量を有するポリエーテルポリオール、少なくとも2つのアミノ基を含むC
2~C
10ポリアミン、少なくとも2つのチオール基を含むC
2~C
10ポリチオール、少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つのアミノ基を含むC
2~C
10アルカノールアミン、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する植物油、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の2成分接着剤組成物。
【請求項4】
前記イソシアネート反応性成分(B)の含有量が、前記イソシアネート成分(A)のモル含有量に基づいて、50モル%~98モル%である、請求項1に記載の2成分接着剤組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の一級または二級アミンが、C
2~C
12脂肪族モノアミン、C
2~C
12脂肪族ジアミン、C
2~C
12脂肪族トリアミン、C
6~C
16脂環式モノアミン、C
6~C
16脂環式ジアミン、C
6~C
16脂環式トリアミン、C
7~C
16芳香脂肪族モノアミン、C
7~C
16芳香脂肪族ジアミン、C
7~C
16芳香脂肪族トリアミン、C
6~C
16芳香族モノアミン、C
6~C
16芳香族ジアミン、C
6~C
16芳香族トリアミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記エポキシ化合物が2~8個のエポキシド基を有し、C
2~C
16アルキルグリシジルエーテル、C
6~C
16アリールグリシジルエーテル、エトキシル化C
2~C
16脂肪アルコールグリシジルエーテル、C
2~C
16脂肪アルコールグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、C
2~C
12アルキレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の2成分接着剤組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の一級または二級アミンが、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、およびヘキシルアミンからなる群から選択され、
前記エポキシ化合物が、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、およびノボラックエポキシ樹脂からなる群から選択される、請求項1に記載の2成分接着剤組成物。
【請求項7】
前記アミン-エポキシ付加物の含有量が、前記イソシアネート成分(A)のモル含有量に基づいて、1モル%~60モル%である、請求項1に記載の2成分接着剤組成物。
【請求項8】
前記2成分接着剤組成物が、
(1)リン酸エステルポリオール、
(2)ポリエーテルアミン-エポキシシラン付加物、
(3)オキサゾリジノン基を有するエポキシ-芳香族ジイソシアネート付加物、
(4)リン酸エステルポリオールと、ポリエーテルアミン-エポキシシラン付加物との組み合わせ、
(5)リン酸エステルポリオールと、オキサゾリジノン基を有するエポキシ-芳香族ジイソシアネート付加物との組み合わせ、または
(6)リン酸エステルポリオールと、ポリエーテルアミン-エポキシシラン付加物と、オキサゾリジノン基を有するエポキシ-芳香族ジイソシアネート付加物との組み合わせ、をさらに含む、請求項1に記載の2成分接着剤組成物。
【請求項9】
第1の基材、第2の基材、およびそれらの間の接着剤層を含むラミネート物品であって、前記接着剤層が、前記イソシアネート成分(A)を、前記イソシアネート反応性成分(B)および前記アミン-エポキシ付加物と反応させることによる、請求項1~8のいずれか一項に記載の2成分接着剤組成物を用いて調製され、前記接着層が、前記アミン-エポキシ付加物の残留部分が共有結合しているポリウレタン主鎖を含む、ラミネート物品。
【請求項10】
前記第1の基材および前記第2の基材を用意する工程と、
前記イソシアネート成分(A)を、前記イソシアネート反応性成分(B)および前記アミン-エポキシ付加物と組み合わせて、接着剤前駆体を形成する工程と、
前記第1の基材と前記第2の基材とを前記接着剤前駆体とともに接着する工程と、
任意選択的に、前記接着剤前駆体を硬化させるか、または前記接着剤前駆体の硬化を可能にする工程と、を含む、請求項9に記載のラミネート物品を調製する方法。
【請求項11】
2成分ポリウレタン接着剤組成物中の接着促進剤としてのアミン-エポキシ付加物の使用であって、
前記アミン-エポキシ付加物が、(i)脂肪族モノアミン、脂肪族ジアミン、脂肪族トリアミン、脂環式モノアミン、脂環式ジアミン、脂環式トリアミン、芳香脂肪族モノアミン、芳香脂肪族ジアミン、芳香脂肪族トリアミン、芳香族モノアミン、芳香族ジアミン、芳香族トリアミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の一級または二級アミンと、(ii)脂肪族、脂環式、および芳香族、モノ-、ジ-、またはポリエポキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ化合物と、の間の反応から誘導され、
前記2成分ポリウレタン接着剤組成物が、(A)少なくとも2つのイソシアネート基を有する1種以上の化合物を含むイソシアネート成分と、(B)少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する1種以上の化合物を含むイソシアネート反応性成分と、を含み、
(A)イソシアネート成分の、(B)イソシアネート反応性成分および前記アミン-エポキシ付加物との反応が、前記アミン-エポキシ付加物の残留部分が共有結合しているポリウレタン主鎖を生成する、アミン-エポキシ付加物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2成分接着剤組成物、2成分接着剤組成物で調製されたラミネート物品、物品を調製するための方法、および2成分ポリウレタン接着剤組成物中の接着促進剤としてのアミン-エポキシ付加物の使用に関する。2成分接着剤組成物は、様々な金属または金属合金基材に対して優れた接着強度を有する接着剤層を生成する。
【背景技術】
【0002】
接着剤組成物は、多種多様な目的に有用である。異なる最終使用用途における接着剤の使用は一般に知られている。例えば、接着剤は、パッケージング産業において使用されるフィルム/フィルムおよびフィルム/ホイルラミネートの製造に使用され得る。無溶剤ラミネート接着剤は、有機溶剤または水性担体を含まない場合があり得るか、または最大100パーセントの固形分を含み得る。塗布時に接着剤から除去されねばならない有機溶剤または水が存在しないことに起因して、無溶剤接着剤は、かなり高いライン速度で塗布され得、迅速な接着剤塗布が必要な用途において好ましい。同時に、環境保護、健康、およびプロセスの安全性に関する欠点も回避され得る。
【0003】
様々な種類の無溶剤ラミネート接着剤が報告されており、2成分ポリウレタン系ラミネート接着剤について多くの研究が行われている。典型的には、2成分ポリウレタン系ラミネート接着剤は、イソシアネート含有プレポリマーを含む第1の成分と、1つ以上のポリオールを含む第2の成分とを含む。第1の成分は、イソシアネートモノマーの、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールなどのイソシアネート反応性化合物との反応によって得ることができる。第2の成分は、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールなどのイソシアネート反応性化合物である。各成分は、任意選択的に、1種以上の追加の添加剤を含み得る。2つの成分は、所定の比率で組み合わされ、フィルム/ホイル基材上に塗布され、次いで別のフィルム/ホイル基材板にラミネートされる。
【0004】
それにもかかわらず、従来の2成分無溶剤ポリウレタン系ラミネート接着剤は、従来の溶剤型接着剤と比較した場合、ラミネートが処理され得る前の高い初期粘度、弱い初期結合、遅い結合生成などのいくつかの欠点を示す。さらに、これらの接着剤は、特に酸性条件下では、比較的に耐薬品性が劣る傾向がある。さらに、既存の無溶媒接着剤は、金属またはアルミニウム合金などの金属合金で作製された基材への不十分な接着強度を示す。上記の性能特性の1つ以上を改善するために、添加剤または改質剤が組み込まれ得ることが報告されているが、それらのいずれも、満足のいく特性、特に金属または金属合金基材への接着強度を首尾よく達成しない。接着促進剤は、酸、アルカリ、湿気、熱、照射などに対する弱い耐性などの追加の欠点を有することも報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の理由により、上記のような向上した接着強度、および他の性能特性における改善を有する2成分無溶媒ポリウレタン系ラミネート接着剤組成物が望ましい。
【0006】
継続的な調査の結果、我々は、驚くべきことに、上記の目標の1つ以上を達成し得る無溶媒ポリウレタン系接着剤組成物を開発した。
【0007】
本開示は、アミン-エポキシ付加物を含む独自の無溶媒ポリウレタン接着剤組成物、組成物を使用することによって調製されたラミネート物品、ラミネート物品を調製するための方法、およびポリウレタン接着剤組成物中の接着促進剤としてのアミン-エポキシ付加物の使用を提供する。
【0008】
本開示の第1の態様では、本開示は、
(A)少なくとも2つのイソシアネート基を有する1種以上の化合物を含むイソシアネート成分と、
(B)少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する1種以上の化合物を含むイソシアネート反応性成分と、を含む、2成分接着剤組成物を提供し、
2成分接着剤組成物は、アミン-エポキシ付加物をさらに含み、アミン-エポキシ付加物は、
(i)脂肪族モノアミン、脂肪族ジアミン、脂肪族トリアミン、脂環式モノアミン、脂環式ジアミン、脂環式トリアミン、芳香脂肪族モノアミン、芳香脂肪族ジアミン、芳香脂肪族トリアミン、芳香族モノアミン、芳香族ジアミン、芳香族トリアミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の一級または二級アミンと、
(ii)脂肪族、脂環式、および芳香族、モノ-、ジ-、またはポリエポキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ化合物と、の間の反応から誘導される。
【0009】
本開示の第2の態様では、本開示は、第1の基材、第2の基材、およびそれらの間の接着剤層を含むラミネート物品を提供し、接着剤層は、イソシアネート成分(A)を、イソシアネート反応性成分(B)およびアミン-エポキシ付加物と反応させることによる、上記の2成分接着剤組成物を用いて調製され、接着層は、アミン-エポキシ付加物の残留部分が共有結合しているポリウレタン主鎖を含む。
【0010】
本開示の第3の態様では、本開示は、第1の基材および第2の基材を用意する工程と、イソシアネート成分(A)を、イソシアネート反応性成分(B)およびアミン-エポキシ付加物と組み合わせて、接着剤前駆体を形成する工程と、第1の基材と第2の基材とを接着剤前駆体とともに接着する工程と、任意選択的に、接着剤前駆体を硬化させるか、または接着剤前駆体の硬化を可能にする工程と、を含む、ラミネート物品を調製するための方法を提供する。
【0011】
本開示の第4の態様では、本開示は、2成分ポリウレタン接着剤組成物中の接着促進剤としてのアミン-エポキシ付加物の使用を提供し、
アミン-エポキシ付加物は、(i)脂肪族モノアミン、脂肪族ジアミン、脂肪族トリアミン、脂環式モノアミン、脂環式ジアミン、脂環式トリアミン、芳香脂肪族モノアミン、芳香脂肪族ジアミン、芳香脂肪族トリアミン、芳香族モノアミン、芳香族ジアミン、芳香族トリアミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の一級または二級アミンと、(ii)脂肪族、脂環式、および芳香族、モノ-、ジ-、またはポリエポキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ化合物と、の間の反応から誘導され、
2成分ポリウレタン接着剤組成物は、(A)少なくとも2つのイソシアネート基を有する1種以上の化合物を含むイソシアネート成分と、(B)少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する1種以上の化合物を含むイソシアネート反応性成分と、を含み、
(A)イソシアネート成分の、(B)イソシアネート反応性成分およびアミン-エポキシ付加物との反応は、アミン-エポキシ付加物の残留部分が共有結合しているポリウレタン主鎖を生成する。
【0012】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求されるように、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本明細書に記載されるいくつかの実施形態に従って調製されたラミネート物品の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書に記載されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0015】
本明細書に開示されるように、「組成物」、「配合物」、または「混合物」という用語は、物理的な方法によって異なる成分を単に混合することによって得られる、異なる成分の物理的なブレンドを指す。
【0016】
本明細書で開示されるように、「および/または」は、「および、または代替として」を意味する。特に記載がない限り、すべての範囲は端点を含む。
【0017】
本開示の一実施形態によれば、無溶媒接着剤組成物は、イソシアネート成分(A)およびイソシアネート反応性成分(B)を含む「2成分」、「2パート」、または「2パッケージ」組成物である。イソシアネート成分(A)およびイソシアネート反応性成分(B)は、別々に移送および保管され、ラミネート物品の製造中に塗布される少し前または直前に組み合わされる。組み合わされると、成分(A)のイソシアネート基は、アミン-エポキシ付加物の存在下で成分(B)のイソシアネート反応性基と反応してポリウレタンを形成する。アミン-エポキシ付加物もまた、ヒドロキシル基およびアミン基のようなイソシアネート反応性基を含み、したがって、アミン-エポキシ付加物の残留部分もまた、ポリウレタンの主鎖に共有結合している。
【0018】
イソシアネート成分(A)
様々な実施形態において、イソシアネート成分(A)は、少なくとも約2.0、好ましくは約2~10、より好ましくは約2~約8、最も好ましくは約2~約6の平均官能基を有する。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分は、少なくとも2つのイソシアネート基を含む1種以上のポリイソシアネート化合物を含む。好適なポリイソシアネート化合物には、2つ以上のイソシアネート基を有する芳香族、脂肪族、脂環式および芳香脂肪族ポリイソシアネートが含まれる。好ましい実施形態では、ポリイソシアネート成分は、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC4~C12脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC6~C15脂環式または芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC7~C15芳香脂肪族ポリイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリイソシアネート化合物を含む。別の好ましい実施形態において、好適なポリイソシアネート化合物は、m-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートおよび/もしくは2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の様々な異性体、カルボジイミド修飾MDI生成物、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素化MDI、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、またはそれらの混合物を含む。
【0019】
代替的または追加的に、ポリイソシアネート成分はまた、2~10、好ましくは2~8、より好ましくは2~6の範囲のイソシアネート官能基を有するイソシアネートプレポリマーも含み得る。イソシアネートプレポリマーは、上記のモノマーイソシアネート成分を、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,4-ブチンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシ-メチル)シクロヘキサン、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、およびポリブチレングリコールからなる群から選択される1種以上のイソシアネート反応性化合物と反応させることによって得ることができる。ポリイソシアネート成分として使用するために好適なプレポリマーは、2~40重量パーセント、より好ましくは4~30重量パーセントのNCO基含有量を有するプレポリマーである。これらのプレポリマーは、好ましくは、ジおよび/またはポリイソシアネートと、より低分子量のジオールおよびトリオールを含む材料との反応によって調製される。個々の例には、好ましくは、ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートと、例えば、約800以下の分子量を有する低分子量のジオール、トリオール、オキシアルキレングリコール、ジオキシアルキレングリコール、またはポリオキシアルキレングリコールとの反応によって得られる、好ましくは、5~40重量%、より好ましくは20~35重量パーセントのNCO含量を有するウレタン基を含む芳香族ポリイソシアネートが含まれる。これらのポリオールは、ジ-および/またはポリオキシアルキレングリコールとして、個別にまたは混合物として使用することができる。例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールおよびポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレングリコールを使用することができる。ポリエステルポリオール、ならびにブタンジオール等のアルキルジオールもまた使用することができる。また有用な他のジオールとしては、ビスヒドロキシエチル-またはビスヒドロキシプロピル-ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、およびビスヒドロキシエチルヒドロキノンが含まれる。
【0020】
イソシアネート成分にも有利に使用されるものは、いわゆる修飾多官能性イソシアネート、すなわち、上記のイソシアネート化合物の化学反応によって得られる生成物である。例示的化合物は、エステル、尿素、ビウレット、アロファネート、好ましくはカルボジイミドおよび/またはウレトネイミンを含有するポリイソシアネートである。カルボジイミド基、ウレトネイミン基および/またはイソシアヌレート環を含み、12~40重量パーセント、より好ましくは20~35重量パーセントのイソシアネート基(NCO)含有量を有する液体ポリイソシアネートも使用することができる。これらには、例えば、4,4’-2,4’-および/または2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートに基づくポリイソシアネートおよび対応する異性体混合物、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネートおよび対応する異性体混合物、ジフェニルメタンジイソシアネートとPMDIの混合物、ならびにトルエンジイソシアネートとPMDIおよび/またはジフェニルメタンジイソシアネートの混合物が含まれる。
【0021】
一般に、イソシアネート成分の量は、接着剤層およびラミネート物品の実際の要件に基づいて変化し得る。例えば、例示的な一実施形態としては、イソシアネート成分の含有量は、接着剤組成物または接着剤層の総重量に基づいて、15重量%~60重量%、または20重量%~50重量%、または23重量%~40重量%、または25重量%~35重量%であり得る。本開示の好ましい実施形態によれば、イソシアネート成分(A)のモル量は、イソシアネート基が、成分(B)、接着促進剤、および任意の追加の添加剤または改質剤に含まれるイソシアネート反応性基の総モル量に対して化学量論的モル量で存在するように適切に選択される。
【0022】
イソシアネート反応性成分(B)
本開示の様々な実施形態では、イソシアネート反応性成分は、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む芳香脂肪族多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、少なくとも2つのヒドロキシ基を有する植物油、およびこれらの混合物からなる群から選択される1種以上のポリオールを含む。好ましくは、ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC2-C16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC6-C15脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC7-C15芳香脂肪族多価アルコール、100~5,000の分子量を有するポリエステルポリオール、1,500~12,000の分子量を有するポリエーテルポリオール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましい実施形態によれば、ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、少なくとも2つのヒドロキシ基を有する植物油、またはこれらの組み合わせを含む。
【0023】
好ましい実施形態では、イソシアネート反応性成分は、2種以上のポリエーテルポリオールの混合物、2種以上のポリエステルポリオールの混合物、少なくとも1種のポリエーテルポリオールと少なくとも1種のポリエステルポリオールとの混合物、またはポリエステルポリオールとモノマーポリオールとの混合物などの、2種以上の異なるポリオールの混合物を含む。
【0024】
好ましい実施形態では、イソシアネート反応性成分は、良好なフィルム形成性、可撓性、および弾性を達成するために、500~5,000、好ましくは1000~3,000g/モルの分子量を有するポリエステルポリオールである。ポリエステルポリオールは、典型的には、2~12個の炭素原子、好ましくは2~6個の炭素原子を有する多官能性アルコールを、2~12個の炭素原子、好ましくは2~6個の炭素原子を有する多官能性カルボン酸、またはその無水物/エステルと反応させることによって得られる。ポリエステルポリオールを調製するための典型的な多官能性アルコールは、好ましくはジオールまたはトリオールであり、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、またはヘキシレングリコールが含まれる。典型的な多官能性カルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、または複素環式であり得、例えば、ハロゲン原子で置換され得、かつ/または飽和または不飽和であり得る。好ましくは、多官能性カルボン酸は、スベリン酸、アゼライン酸、フタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、無水グルタル酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、二量体脂肪酸からなる群から選択される。一般式HOOC-(CH2)y-COOHで表されるジカルボン酸が優先され、式中、yは、1~20の整数、好ましくは2~20の偶数である。ポリエステルポリオールは、好ましくは、少なくとも2つのヒドロキシル基で終端している。好ましい実施形態において、ポリエステルポリオールは、2~10、好ましくは2~6のヒドロキシル官能基を有する。別の実施形態では、ポリエステルポリオールは、80~2000mg KOH/g、好ましくは150~1,000mg KOH/g、より好ましくは200~500mg KOH/gのOH価を有する。ポリエステルポリオールには様々な分子量が企図される。例えば、ポリエステルポリオールは、約500g/モル~約5,000g/モル、好ましくは約600g/モル~約4,000g/モル、好ましくは約500g/モル~約3,000g/モル、好ましくは約1000g/モル~約2,500g/モル、好ましくは約1200g/モル~約2,000g/モル、より好ましくは約1,500g/モル~約1,800g/モルの数平均分子量を有し得る。
【0025】
あるいは、ポリエステルポリオールとしては、ラクトンのホモポリマーまたはコポリマーであるラクトン系ポリエステルジオール、好ましくは、好適な二官能性開始剤分子を有するラクトンの末端ヒドロキシル官能性付加生成物が挙げられる。好ましいラクトンは、一般式HO-(CH2)z-COOHによって表される化合物から誘導され、式中、zは、1~20の整数であり、メチレン単位の1つの水素原子はまた、C1~C4アルキルラジカルによって置換され得る。例示的なラクトン系ポリエステルジオールは、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、メチル-ε-カプロラクトンまたはそれらの混合物を含む。
【0026】
別の好ましい実施形態では、イソシアネート反応性成分は、1.0~3.0の官能基(ポリオール分子中のイソシアネート反応基、特にヒドロキシル基の平均数)、および1,500~12,000g/モル、好ましくは2,000~8,000g/モル、より好ましくは2,000~6,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有するポリエーテルポリオールである。ポリエーテルポリオールは、一般に、触媒の存在下で、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、およびこれらの混合物から選択される1種以上のアルキレンオキシドの、適切なスタータ分子との重合によって調製される。典型的なスタータ分子には、分子内に少なくとも2つ、好ましくは4~8のヒドロキシル基を有するか、または2つ以上の一級アミン基を有する化合物が含まれる。好適なスタータ分子は、例えば、アニリン、EDA、TDA、MDAおよびPMDAを含む群から、より好ましくはTDAおよびPMDAを含む群から、最も好ましくはTDAから選択される。TDAを使用する場合、すべての異性体が、単独で、または任意の所望の混合物において使用することができる。例えば、2,4-TDA、2,6-TDA、2,4-TDAと2,6-TDAの混合物、2,3-TDA、3,4-TDA、3,4-TDAと2,3-TDAの混合物、および上記のすべての異性体の混合物も使用することができる。分子中に少なくとも2つ、好ましくは2~8のヒドロキシル基を有するスタータ分子として、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ヒマシ油、糖化合物、例えば、グルコース、ソルビトール、マンニトールおよびスクロース、多価フェノール、フェノールとホルムアルデヒドのオリゴマー縮合生成物等のレゾール、ならびによびフェノール、ホルムアルデヒドおよびジアルカノールアミンのマンニッヒ縮合物、ならびにまたメラミンを使用することが好ましい。ポリエーテルポリオールを調製するための触媒には、アニオン重合用の水酸化カリウム等のアルカリ触媒、またはカチオン重合用の三フッ化ホウ素等のルイス酸触媒が含まれ得る。好適な重合触媒には、水酸化カリウム、水酸化セシウム、三フッ化ホウ素、またはヘキサシアノコバルト酸亜鉛または四ホスファゼニウム化合物等の二重シアン化物錯体(DMC)触媒が含まれ得る。本開示の好ましい実施形態では、ポリエーテルポリオールとしては、(メトキシ)ポリエチレングリコール(MPEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)、または一級ヒドロキシル末端基および二級ヒドロキシル末端基を有するエチレンエポキシドおよびプロピレンエポキシドのコポリマーが挙げられる。
【0027】
別の好ましい実施形態では、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する植物油は、天然植物油(例えば、ひまし油)、または大豆油、菜種油、パーム油、ベニバナ油、ひまわり油、コーン油、亜麻仁油、トール油、カノーラ油、綿実油、ひまし油、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される天然植物油の触媒的変性(例:酸化、官能化など)によって調製された変性植物油であり得る。
【0028】
一般に、本明細書で使用されるイソシアネート反応性成分の含有量は、イソシアネート成分(A)の総モル含有量に基づいて、約50モル%~約98モル%、好ましくは約60モル%~約97モル%、より好ましくは約70モル%~約96モル%、より好ましくは約80モル%~約96モル%、より好ましくは約85モル%~約95モル%の範囲であり得る。
【0029】
本開示に関して、アミン-エポキシ付加物およびリン酸エステルポリオールなどのイソシアネート基と反応し得る官能基を含む他の化合物は、いわゆる「イソシアネート反応性成分」の定義の範囲内ではない。アミン-エポキシ付加物およびリン酸エステルポリオールは、分子構造またはその機能によって、イソシアネート反応性成分と明確に区別され得る。
【0030】
接着促進剤
本開示の様々な実施形態では、接着剤組成物は、アミン-エポキシ付加物、リン酸エステルポリオール、ポリエーテルアミン-エポキシシラン付加物、エポキシ-芳香族ポリイソシアネート付加物、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1種以上の接着促進剤を含む。本開示の別の好ましい実施形態によれば、接着剤組成物は、接着促進剤として、アミン-エポキシ付加物を含む。本開示の別の好ましい実施形態によれば、接着剤組成物は、接着促進剤として、アミン-エポキシ付加物およびリン酸エステルポリオールを含む。本開示の別の好ましい実施形態によれば、接着剤組成物は、接着促進剤として、アミン-エポキシ付加物およびポリエーテルアミン-エポキシシラン付加物を含む。本開示の別の好ましい実施形態によれば、接着剤組成物は、接着促進剤として、アミン-エポキシ付加物およびエポキシ-芳香族ポリイソシアネート付加物を含む。本開示の別の好ましい実施形態によれば、接着剤組成物は、接着促進剤として、アミン-エポキシ付加物、ポリエーテルアミン-エポキシシラン付加物、およびエポキシ-芳香族ポリイソシアネート付加物を含む。本開示の別の好ましい実施形態によれば、接着剤組成物は、接着促進剤として、アミン-エポキシ付加物、リン酸エステルポリオール、ポリエーテルアミン-エポキシシラン付加物、およびエポキシ-芳香族ポリイソシアネート付加物を含む。本開示の様々な実施形態では、アミン-エポキシ付加物、リン酸エステルポリオール、およびポリエーテルアミン-エポキシシラン付加物は、別々に、またはイソシアネート反応性成分(B)中の配合成分として、供給され、送られ、貯蔵され、エポキシ-芳香族ポリイソシアネート付加物は、別々に、またはイソシアネート成分(A)中の配合成分として、供給され、送られ、貯蔵される。
【0031】
1.アミン-エポキシ付加物
一実施形態によれば、アミン-エポキシ付加物は、以下の反応スキームによって表されるアミンとエポキシ化合物との間の付加反応によって調製される。
【化1】
式中、R
1およびR
2は、独立して、水素、C
2~C
12アルキル基、アミノ置換C
2~C
12アルキル基、C
6~C
16シクロアルキル基、アミノ置換C
6~C
16シクロアルキル基、C
7~C
16アラルキル基、アミノ置換、C
7~C
16アラルキル基、C
6~C
16アリール基、およびアミノ置換C
6~C
16アリール基からなる群から選択され、R
3は、エポキシ化合物の残存部分である。
【0032】
理論に束縛されないが、上記の付加反応は、ヒドロキシル基を生成し、付加物はまた、窒素原子に直接結合した水素原子(すなわち、N-H)も含み得る。付加物中のこれらの活性基は、イソシアネート成分(A)のイソシアネート基とさらに反応し得、したがって、付加物の残留部分を接着剤層中のポリウレタンの主鎖に共有結合させ、接着促進の機能を達成する。
【0033】
本開示の一実施形態によれば、付加物中のアミンとエポキシ化合物との間のモル比は、1:3~10:1、または1:2~8:1、または1:1~6:1、または1:1~5:1、または1:1~4:1、または1:1~3:1、または1:1~2:1である。本開示の別の実施形態によれば、付加物は、500~6,000などの300~8,000の平均分子量を有し得る。
【0034】
本開示の一実施形態によれば、アミンは、C2~C12脂肪族モノアミン、C2~C12脂肪族ジアミン、C2~C12脂肪族トリアミン、C6~C16脂環式モノアミン、C6~C16脂環式ジアミン、C6~C16脂環式トリアミン、C7~C16芳香脂肪族モノアミン、C7~C16芳香脂肪族ジアミン、C7~C16芳香脂肪族トリアミン、C6~C16芳香族モノアミン、C6~C16芳香族ジアミン、C6~C16芳香族トリアミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される一級または二級アミンである。好ましくは、アミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、またはオクチルアミンなどのC2~C12脂肪族一級モノアミンであり、より好ましくは、n-ブチルアミンである。本開示の別の実施形態によれば、アミンは、アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、ジエチルエアニリン、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、メチルアミノクロトネート、エチルヘキシルアミン、テトラメチル-ブチルアミン、フェニルエチルアミン、フェネチジン、オレイルアミン、メチル-ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノシクロヘキサン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、メチレンビス(メチル-シクロヘキシルアミン)、イドホロンジアミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0035】
本開示の一実施形態によれば、付加物を調製するために使用されるエポキシ化合物は、1分子当たり平均1つまたは少なくとも2つのエポキシド基(すなわち、エポキシ化合物の1モノマー当たり1つまたは少なくとも2つのエポキシド基)を含む。いくつかの実施形態では、エポキシ化合物は、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、グリシジルエステルエポキシ樹脂、グリシジルアミンエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、フェノールエポキシ樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるジエポキシド樹脂を含む。本出願の一実施形態によれば、エポキシ化合物は、C2~C16アルキルグリシジルエーテル、C6~C16アリールグリシジルエーテル、エトキシル化C2~C16脂肪アルコールグリシジルエーテル、C2~C16脂肪アルコールグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、C2~C12アルキレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。好ましい実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAエポキシ樹脂である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、160から1500の範囲内のエポキシド当量(EEW)を有するビスフェノールAエポキシ樹脂である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、220から800の範囲内のエポキシド当量(EEW)を有するビスフェノールAエポキシ樹脂である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、室温で、約100cP~約500,000cPの範囲内の粘度を有する。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、室温で、約1,000cP~約20,000cPの範囲内の粘度を有する。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、室温で、約8,000cP~約16,000cPの範囲内の粘度を有する。いくつかの実施形態では、粘度は、100cP、1,000cP、または8,000cP~10,000cP、または12,000cP、または14,000cP、または16,000cPである。
【0036】
付加物は、上記のポリエーテルなどの任意の架橋剤の存在下で調製され得る。別の実施形態では、付加反応は、高温(例えば、還流下)または減圧下で起こり得る。
【0037】
一般に、アミン-エポキシ付加物の含有量の含有量は、イソシアネート成分(A)のモル含有量に基づいて、1モル%~60モル%、または5モル%~50モル%、または10モル%~40モル%、または12モル%~30モル%、または14モル%~20モル%である。
【0038】
2.ポリエーテルアミン-エポキシシラン付加物
一実施形態によれば、ポリエーテルアミン-エポキシシラン付加物は、以下の反応スキームで概略的に表されるポリエーテルアミンとエポキシシラン化合物との間の付加反応によって調製される。
【化2】
式中、R
4およびR
5のうちの少なくとも1つは、4~1,000個の炭素原子、または6~500個の炭素原子、または8~200個の炭素原子、または10~100個の炭素原子、または12~50個の炭素原子、または14~20個の炭素原子を含むポリ(アルキレンオキシド)基などの、2~2,000個の炭素原子を含むポリ(アルキレンオキシド)基であり、ポリ(アルキレンオキシド)基は、任意選択的に、アミノ基で終端され得、一方、R
4およびR
5のうちの1つはまた、水素、C
2~C
12アルキル基、アミノ置換C
2~C
12アルキル基、C
6~C
16シクロアルキル基、アミノ置換C
6~C
16シクロアルキル基、C
7~C
16アラルキル、アミノ置換C
7~C
16アラルキル基、C
6~C
16アリール基、およびアミノ置換C
6~C
16アリール基からなる群からなる群から選択され得、R
6は、エポキシ-シラン化合物の残存部分であり、好ましくは、追加のエポキシ末端基を任意選択的に有するシラン基である。
【0039】
ポリエーテルアミンは、任意の直鎖状または分岐状、脂肪族、脂環式、または芳香族ポリエーテルアミンであり得る。好ましい実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)基は、ポリプロピレンオキシド基またはポリエチレンオキシド基である。別の好ましい実施形態では、ポリエーテルアミンは、1つ、2つ、またはそれ以上の一級アミン部分を含む。
【0040】
本開示の一実施形態によれば、付加物を調製するために好適なエポキシ-シラン化合物は、1分子当たり平均1つ、2つ、3つ、または4つのエポキシド基を含む。本開示の一実施形態によれば、エポキシ-シラン化合物は、以下の式を有し、
[A(C1~C10アルキレン)]n(C1~C6アルコキシ)4-nSi、
式中、Aは、グリシジル、グリシジルオキシ、およびエポキシ化C4~C6シクロアルキルからなる群から選択され、
nは、1、2、3、または4の整数である。
【0041】
好ましいエポキシ-シラン化合物は、[グリシジル(C2~C6アルキレン)](C1~C4アルコキシ)3Siまたは(エポキシ化C4~C6シクロアルキル)(C1~C4アルコキシ)3Siである。本開示の好ましい実施形態によれば、エポキシ-シラン化合物は、(グリシジルプロピレン)(メトキシ)3Siまたは2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランである。
【0042】
理論に束縛されないが、上記の付加反応は、ヒドロキシル基を生成し、付加物はまた、窒素原子に直接結合した水素原子(すなわち、N-H)も含み得る。付加物中のこれらの活性基は、イソシアネート成分(A)のイソシアネート基とさらに反応し得、したがって、付加物の残留部分を接着剤層中のポリウレタンの主鎖に共有結合させ、接着促進の機能を達成する。
【0043】
本開示の一実施形態によれば、付加物中のアミンとエポキシ化合物との間のモル比は、1:3~10:1、または1:2~8:1、または1:1~6:1、または1:1~5:1、または1:1~4:1、または1:1~3:1、または1:1~2:1である。
【0044】
付加物は、上記のポリエーテルなどの任意の架橋剤の存在下で調製され得る。別の実施形態では、付加反応は、高温(例えば、還流下)または減圧下で起こり得る。
【0045】
一般に、アミン-エポキシ付加物の含有量の含有量は、イソシアネート反応性成分(B)の重量に基づいて、1重量%~40重量%、または5重量%~35重量%、または10重量%~30重量%、または12重量%~25重量%、または15重量%~20重量%である。
【0046】
3.エポキシ-芳香族ジイソシアネート付加物
一実施形態によれば、エポキシ-芳香族ジイソシアネート付加物は、以下の反応スキームによって表されるエポキシ化合物と芳香族ジイソシアネート化合物との間の付加反応によって調製される。
【化3】
式中、R
7は、別のイソシアネート基で終端された直鎖状または分岐状C
6~C
15アリーレンであり、R
8は、エポキシ化合物の残存部分である。
【0047】
理論に束縛されないが、上記の付加反応は、5員オキサゾリジノン環を生成し、付加物は、遊離イソシアネート基で終端される。イソシアネート成分(A)とイソシアネート反応性成分(B)との間の反応中に、付加物中の遊離イソシアネート基は、成分(B)中のイソシアネート反応性基と反応し得、したがって、付加物の残留部分(特に、オキサゾリジノン環)を接着剤層中のポリウレタンの主鎖に共有結合させ、接着促進の機能を達成する。
【0048】
本開示の一実施形態によれば、付加物中の芳香族ジイソシアネート化合物とエポキシ化合物との間のモル比は、1:3~10:1、または1:2~8:1、または1:1~6:1、または1:1~5:1、または1:1~4:1、または1:1~3:1、または1:1~2:1である。
【0049】
本開示の一実施形態によれば、芳香族ジイソシアネート化合物は、m-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、および/または2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の様々な異性体、カルボジイミド変性MDI生成物、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、およびこれらの任意の混合物から選択される。本開示の好ましい一実施形態によれば、芳香族ジイソシアネート化合物は、MDIである。
【0050】
本開示の一実施形態によれば、付加物を調製するために使用されるエポキシ化合物は、1分子当たり平均1つまたは少なくとも2つのエポキシド基(すなわち、エポキシ化合物の1モノマー当たり1つまたは少なくとも2つのエポキシド基)を含む。いくつかの実施形態では、エポキシ化合物は、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、グリシジルエステルエポキシ樹脂、グリシジルアミンエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、フェノールエポキシ樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるジエポキシド樹脂を含む。本出願の一実施形態によれば、エポキシ化合物は、C2-C16アルキルグリシジルエーテル、C6-C16アリールグリシジルエーテル、エトキシル化C2-C16脂肪アルコールグリシジルエーテル、C2-C16脂肪アルコールグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、C2-C12アルキレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。好ましい実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAエポキシ樹脂である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、160から1500の範囲内のエポキシド当量(EEW)を有するビスフェノールAエポキシ樹脂である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、220から800の範囲内のエポキシド当量(EEW)を有するビスフェノールAエポキシ樹脂である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、室温で、約100cP~約500,000cPの範囲内の粘度を有する。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、室温で、約1,000cP~約20,000cPの範囲内の粘度を有する。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、室温で、約8,000cP~約16,000cPの範囲内の粘度を有する。いくつかの実施形態では、粘度は、100cP、1,000cP、または8,000cP~10,000cP、または12,000cP、または14,000cP、または16,000cPである。
【0051】
付加物は、2つの原料の反応を促進し得る触媒の存在下で調製され得る。理論に束縛されないが、触媒は、例えば、グリシン塩、三級アミン、トリアルキルホスフィンおよびジアルキルベンジルホスフィン等の三級ホスフィン、モルホリン誘導体、ピペラジン誘導体、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセト酢酸エチル等とBe、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、CoおよびNi等の金属とから得られるもの等の様々な金属のキレート、塩化第二鉄および塩化第二スズ等の強酸の酸性金属塩、有機酸とアルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、NiおよびCu等の様々な金属との塩、有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、二酢酸スズ(II)、ジオクタン酸スズ(II)、ジエチルヘキサノエートスズ(II)、およびジラウリン酸スズ(II)等の有機スズ化合物、ならびに有機カルボン酸ジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレートおよびジオクチルスズジアセテート、有機カルボン酸のビスマス塩、例えばオクタン酸ビスマス、3価および5価のAs、SbおよびBiの有機金属誘導体、ならびに鉄およびコバルトの金属カルボニル、またはそれらの混合物を含み得る。好ましい実施形態によれば、触媒は、トリフェニルアンチモンおよびイドジン、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデク-7-エン、塩化アルミニウム、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。本開示に関して、「トリフェニルアンチモンおよびイドジン」とは、トリフェニルアンチモンおよびイドジンの両方が反応に添加される触媒系を指す。
【0052】
三級アミン触媒は、少なくとも1つの三級窒素原子を含有し、ヒドロキシル/イソシアネート反応を触媒することができる有機化合物を含む。三級アミン、モルホリン誘導体およびピペラジン誘導体触媒は、例として、これらに限定されないが、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチル-ジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルピペラジン、ピペラジン、N-エチルモルホリン、2-メチルプロパンジアミン、メチルトリエチレンジアミン、2,4,6-トリジメチルアミノ-メチル)フェノール、N,N’,N”-トリス(ジメチルアミノ-プロピル)sym-ヘキサヒドロトリアジン、またはそれらの混合物を含み得る。
【0053】
別の実施形態では、付加反応は、高温(例えば、還流下)または減圧下で起こり得る。
【0054】
一般に、エポキシ-芳香族ジイソシアネート付加物の含有量の含有量は、イソシアネート反応性成分(B)のモル含有量に基づいて、1モル%~60モル%、または5モル%~50モル%、または8モル%~40モル%、または10モル%~30モル%、または14モル%~20モル%である。
【0055】
4.リン酸エステルポリオール
本開示での使用に好適なリン酸エステルポリオールは、ポリオールのリン酸またはポリリン酸との反応生成物であり、以下のように、2つ以上のヒドロキシル基および1つ以上のリン酸エステル部分を有し得る。
【化4】
【0056】
エステルを調製するのに好適なポリオールは、イソシアネート反応性成分(B)用のポリオールであり得る。好適なリン酸エステルポリオールは、少なくとも90、または少なくとも200、または少なくとも400g/モル~4000以下、または2000以下、または900g/モル以下の分子量を有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、好適なリン酸エステルポリオールは、リン酸エステルポリオールを、1つ以上のポリイソシアネートまたはジイソシアネートとさらに反応させることによって作製されるウレタン結合を含有するものである。
【0058】
一般に、リン酸エステルポリオールの含有量の含有量は、イソシアネート反応性成分(B)のモル含有量に基づいて、1モル%~60モル%、または5モル%~50モル%、または10モル%~40モル%、または12モル%~30モル%、または14モル%~20モル%である。
【0059】
触媒
成分(A)と、成分(B)と、接着促進剤との間の反応は、イソシアネート基とイソシアネート反応性基との間の反応を促進し得る1種以上の触媒の存在下で起こり得る。理論に束縛されないが、触媒は、例えば、グリシン塩、三級アミン、トリアルキルホスフィンおよびジアルキルベンジルホスフィン等の三級ホスフィン、モルホリン誘導体、ピペラジン誘導体、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセト酢酸エチル等とBe、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、CoおよびNi等の金属とから得られるもの等の様々な金属のキレート、塩化第二鉄および塩化第二スズ等の強酸の酸性金属塩、有機酸とアルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、NiおよびCu等の様々な金属との塩、有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、二酢酸スズ(II)、ジオクタン酸スズ(II)、ジエチルヘキサノエートスズ(II)、およびジラウリン酸スズ(II)等の有機スズ化合物、ならびに有機カルボン酸ジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレートおよびジオクチルスズジアセテート、有機カルボン酸のビスマス塩、例えばオクタン酸ビスマス、3価および5価のAs、SbおよびBiの有機金属誘導体、ならびに鉄およびコバルトの金属カルボニル、またはそれらの混合物を含み得る。
【0060】
三級アミン触媒は、少なくとも1つの三級窒素原子を含有し、ヒドロキシル/イソシアネート反応を触媒することができる有機化合物を含む。三級アミン、モルホリン誘導体およびピペラジン誘導体触媒は、例として、これらに限定されないが、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチル-ジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルピペラジン、ピペラジン、N-エチルモルホリン、2-メチルプロパンジアミン、メチルトリエチレンジアミン、2,4,6-トリジメチルアミノ-メチル)フェノール、N,N’,N”-トリス(ジメチルアミノ-プロピル)sym-ヘキサヒドロトリアジン、またはそれらの混合物を含み得る。
【0061】
一般に、本明細書で使用される触媒の含有量は、0超であり、イソシアネート成分(A)、イソシアネート反応性成分(B)、および接着促進剤の総重量に基づいて、最大1.0重量%、好ましくは最大0.5重量%、より好ましくは最大0.05重量%である。
【0062】
添加剤
特定の要件に応じて、様々な添加剤が、接着剤組成物にさらに含まれ得る。これらの添加剤は、独立した成分として送られ、貯蔵され得、成分(A)および(B)の組み合わせの少し前または直前に接着剤組成物に組み込まれ得る。あるいは、これらの添加剤は、それらが、イソシアネート基またはイソシアネート反応性基に対して化学的に不活性である場合、成分(A)および(B)のいずれかに含有され得る。本開示の様々な実施形態によれば、添加剤としては、粘着付与剤、可塑剤、レオロジー調整剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、顔料、水捕捉剤、界面活性剤、溶媒、希釈剤、難燃剤、およびこれらの2種以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
ラミネート物品
本開示の一実施形態では、ラミネート物品は、上から下に、第1の基材、接着剤層、および第2の基材を含み、接着剤層は、本開示の接着剤組成物で形成され、基材のうちの少なくとも1つは、金属または金属合金、好ましくはアルミニウムまたはアルミニウム合金から作製される。
【0064】
製造技術
当該接着剤組成物を使用してラミネート物品を形成する方法も開示される。成分(A)、成分(B)、接着促進剤、および任意の追加の添加剤が、ラミネートプロセスの少し前または直前に組み合わされて、硬化性混合物を形成し得、これは、噴霧コーティング、ブレードコーティング、ダイコーティング、キャストコーティングなどの従来のコーティング技術によって塗布され得る。いくつかの実施形態では、上記で議論された接着剤組成物などの接着剤組成物、および硬化性混合物は、液体状態である。いくつかの実施形態では、組成物および硬化性混合物は、25℃で液体である。組成物が25℃で固体であっても、必要に応じて組成物を加熱して、液体状態に変換することは許容可能である。硬化性混合物の層は、基材の表面に塗布される。基材は、1つの寸法が0.5mm以下であり、他の2つの寸法が両方とも1cm以上である任意の構造である。いくつかの実施形態では、基材に塗布される硬化性混合物の層の厚さは、1~5μmである。
【0065】
いくつかの実施形態では、別の基材の表面を硬化性混合物の層と接触させて、未硬化ラミネートを形成する。次いで、硬化性混合物は、硬化させるか、または硬化することが可能になる。未硬化ラミネートは、例えば加熱されていてもされていなくてもよいニップローラに通すことによって、加圧することができる。未硬化ラミネートを加熱して硬化反応を促進することができる。
【0066】
本明細書に開示されるラミネート生成物は、包装材料などの任意の所望の目的に好適な形状を有するように、切断またはその他の方法で成形され得る。
【実施例】
【0067】
本発明のいくつかの実施形態は、以下の実施例においてここに記載され、すべての部およびパーセンテージは、他に特定されない限り、重量による。しかしながら、本開示の範囲は、当然ながら、これらの実施例に記載される配合物に限定されない。むしろ、実施例は単に本開示の発明である。
【0068】
実施例で使用された原料の情報を以下の表1に示す。
【表1】
【0069】
調製実施例1
この調製実施例では、ブチルアミン-ビスフェノールAエポキシ樹脂付加物を調製した。21.9gのブチルアミンおよび18.1gのDER383を、添加漏斗、還流冷却器、メカニカルスターラー、および真空システムを備えたフラスコに別々に添加した。フラスコの内容物を、100℃に加熱し、2時間還流し続けた。次いで、26.2gのVoranol CP450を、フラスコに添加し、次いで、フラスコの内容物を、70℃、高真空で、さらに2時間維持した。生成物を、付加物1としてマークした。
【0070】
調製実施例2
この調製実施例では、ポリエーテルアミン-エポキシシラン付加物を調製した。10gのVoranol CP450、2.36gのKH560、および0.57gのJeffamine D-400を、添加漏斗、還流冷却器、およびメカニカルスターラーを備えたフラスコに別々に添加し、均質な液相が形成されるまで十分に攪拌した。フラスコ内の内容物を、50℃で4時間加熱し、その間に反応物のIRエポキシピークを、FT-IR分光光度計で監視した。生成物を、付加物2としてマークした。
【0071】
調製実施例3
この調製実施例では、ポリエーテルアミン-エポキシシラン付加物を調製した。10gのVoranol CP 450、1.68gのKH560、0.9gのDER 383、および0.57gのJeffamine D-400を、添加漏斗、還流冷却器、およびメカニカルスターラーを備えたフラスコに別々に添加し、均質な液相が形成されるまで十分に攪拌した。フラスコ内の内容物を、50℃で4時間加熱し、その間に反応物のIRエポキシピークを、FT-IR分光光度計で監視した。生成物を、付加物3としてマークした。
【0072】
調製実施例4
この調製実施例では、エポキシ-芳香族ジイソシアネート付加物を調製した。10gのDER 383、および2gのERL-4221を、添加漏斗、還流冷却器、およびメカニカルスターラーを備えたフラスコに別々に添加した。フラスコ内の内容物を、60℃の温度で添加し、均質な液相が形成されるまで十分に攪拌した。0.35gのPh3Sbおよび0.42gのI2を、攪拌しながらフラスコに添加し、次いで、40gの4,4-MDIをその中に添加した。フラスコの温度を、170℃に上げ、この温度で30分間維持した。次いで、フラスコを、100℃に冷却し、その中に52gのPAPI 27を添加し、フラスコを、さらに60℃に冷却し、30分間混合し、次いで、反応をさらに1時間続けた。生成物を、付加物4としてマークした。
【0073】
以下の発明実施例および比較例を、表2に列挙される特定の配合を使用することによって、以下の一般的な手順を用いて実施した。
【0074】
イソシアネートパートの調製
ステンレス鋼の容器を洗浄して、汚れ、グリース、および残留化学試薬を除去した。1種以上ポリイソシアネートおよび任意の水捕捉剤を容器に添加し、内容物を真空下で十分に混合して、均質な分散液を生成した。イソシアネート成分と相溶性である接着促進剤(すなわち、存在する場合、エポキシ-芳香族ジイソシアネート付加物)を、任意選択的に容器に添加した。任意の追加の添加剤(例えば、顔料、充填剤)を容器に添加し、完全真空下、40℃で、高剪断ディスペンサーを用いて、肉眼で平滑な表面が観察され得るまで内容物を混合した。混合物を容器から排出し、約250μmのメッシュサイズを有するふるいを通して濾過した。イソシアネートパートを、接着剤層を塗布する前に5ガロンのドラム缶に保管した。
【0075】
ポリオールパートの調製
ステンレス鋼の容器を洗浄して、汚れ、グリース、および残留化学試薬を除去した。1種以上のポリオールおよび任意の架橋剤を容器に加え、15分間混合した。容器を完全真空に排気し、内容物をさらに0.5時間混合し、次いで、真空を解放した。容器内の水分含有量を監視し、容器内にまだ検出可能な水分が存在する場合、上記の排気工程を繰り返した。触媒および水捕捉剤を容器に添加し、均質な分散液が生成されるまで、内容物を真空下で混合した。イソシアネート成分と相溶性である1種以上の接着促進剤(すなわち、存在する場合、アミン-エポキシ付加物、ポリエーテルアミン-エポキシシラン、および/またはリン酸エステルポリオール)を容器に添加し、均質な分散液が生成されるまで、混合物を混合した。任意の追加の添加剤(例えば、顔料、充填剤、酸化防止剤など)を容器に添加し、完全真空下、60℃で、高剪断ディスペンサーを用いて、肉眼で平滑な表面が観察され得るまで内容物を混合した。混合物を容器から排出し、約300μmのメッシュサイズを有するふるいを通して濾過した。ポリオールパートを、接着剤層を塗布する前に5ガロンのドラム缶に保管した。
【0076】
ラミネート物品の調製
異なるイソシアネートパートおよびポリオールパートを、室温(約25℃)で組み合わせて、接着剤を形成し、それを3003合金基材に塗布して、ラミネート物品を生成した。ラミネート物品を、室温で7日間硬化させ、試験片に切断し、以下の技術によって特性評価した。
【0077】
特性評価技術
ガラス転移温度(Tg):DSC(DIN ISO 11357)、-50℃~150℃、10℃/分、2回目の加熱結果。
引張強度および伸び:DIN EN ISO 527-2、ドッグボーン試料試験、試験速度:2mm/分
ラップ剪断強度:DIN EN 1465、厚さ:0.2mm、試験速度:5mm/分。
【表2】
【0078】
付加物1を、付加物2、付加物3、または付加物4で部分的に置き換えたことを除いて、上記の発明実施例1~3を繰り返すことによって、追加の実験を実施し、優れた接着強度を達成し得た。
【0079】
上記の実験結果から分かるように、発明実施例で調製された接着促進剤は、接着層と金属合金基材との間の接着強度を有意に改善する。
【0080】
比較例3、発明実施例2、および発明実施例3で調製されたラミネート物品が引き裂かれた図面を参照されたい。比較例3では、接着促進剤を省略しているため、接着破壊がもたらされ、これは、破壊後、接着剤が1つの基材上にのみ付着し得、残留接着剤が別の基材上に残らないことを意味する。対照的に、発明実施例2および発明実施例3の接着剤層は、両方の基材上に残され(いわゆる凝集破壊モード)、これは、はるかに高い凝集力を表す。
【国際調査報告】