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特表2022-538758長時間作用型の局所製剤及びその使用方法
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  • 特表-長時間作用型の局所製剤及びその使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(54)【発明の名称】長時間作用型の局所製剤及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/08 20060101AFI20220830BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 31/335 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 31/42 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 33/10 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 33/14 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
A61K9/08
A61K47/10
A61K47/22
A61K47/14
A61K31/335
A61K31/42
A61P33/10
A61P33/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572077
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(85)【翻訳文提出日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 US2020037444
(87)【国際公開番号】W WO2020252269
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】62/861,621
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517430299
【氏名又は名称】ピードモント アニマル ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ヘプラー ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ポールセン ニール イー.
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル マイケル エス.
(72)【発明者】
【氏名】デンプシー ゲイル エル.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA13
4C076BB31
4C076CC34
4C076DD37
4C076DD37S
4C076DD46
4C076DD59
4C076DD60
4C076FF12
4C076FF32
4C076FF34
4C076FF51
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA10
4C086BC67
4C086CA03
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA63
4C086NA11
4C086NA12
4C086ZB39
4C086ZC61
(57)【要約】
本願明細書においては、局所投与するための活性成分の長時間作用型で非水系の薬学的に許容できる組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)薬学的に活性な薬剤と、
b)ベンジルアルコールと、
c)炭酸プロピレンと
を含む、薬学的に許容できる局所組成物。
【請求項2】
前記ベンジルアルコールが、約50.0~90.0w/w%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記炭酸プロピレンが、約5.0~30.0w/w%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
a)薬学的に活性な薬剤と、
b)N-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、
c)2-ピロリドンと、
d)トリグリセリドキャリアと
を含む、薬学的に許容できる局所組成物。
【請求項5】
NMP及び2-ピロリドンの組み合わせが、約30.0~70.0w/w%で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記NMPが、約15.0~25.0w/w%で存在する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記2-ピロリドンが、約25.0~35.0w/w%で存在する、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記トリグリセリドキャリアが、約25.0~60.0w/w%で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
抗酸化剤をさらに含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)である、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
薬学的に活性な薬剤が、マクロライド系の寄生虫駆除剤である、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
マクロライド系の寄生虫駆除剤が、モキシデクチン、セラメクチン(selamectin)、ミルベマイシン、イベルメクチン、ドラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン(eprinomectin)、ドキシメクチン(doximectin)、アビメクチン(abimectin)、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ツラスロマイシン(tulathromycin)、ガミスロマイシン、ジリスロマイシン、フィダキソマイシン、メガロマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、又はそれらの組み合わせである、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
マクロライド系の寄生虫駆除剤が、モキシデクチンである、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
薬学的に活性な薬剤が、イソキサゾリン化合物である、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
イソキサゾリン化合物が、アフォキソラネル、フルララネル、サロラネル、ロチラネル、又はそれらの組み合わせである、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
モキシデクチン及びフルララネルを含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
薬学的に活性な薬剤が、約1.0~25.0w/w%の量で存在する、前述の請求項に記載の組成物。
【請求項18】
哺乳動物への投与により、少なくとも約50又は60日あるいはそれより長い間、当該対象の血流中に少なくとも約5~15ng/mlの薬学的に活性な薬剤が存在する、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
哺乳動物への投与により、少なくとも約90日あるいはそれより長い間、当該対象の血流中に少なくとも約2~10ng/mlの薬学的に活性な薬剤が存在する、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
対象における疾患又は障害を治療する方法であって、
前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物の有効量を前記対象に局所投与すること
を含む、方法。
【請求項21】
前記対象が哺乳動物である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象がイヌである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象がネコである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記疾患又は障害が感染症である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記疾患又は障害が寄生虫感染症又は微生物感染症である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記疾患又は障害が外寄生生物感染である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記外寄生生物が、コロモジラミ、ケジラミ、疥癬(scabies)、ノミ又はマダニである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記寄生虫感染症が、イヌ糸状虫(heartworm)である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
哺乳動物への投与により、少なくとも約50又は60日あるいはそれより長い間、当該対象の血流中に少なくとも約5~15ng/mlの薬学的に活性な薬剤が存在する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
哺乳動物への投与により、少なくとも約90日あるいはそれより長い間、当該対象の血流中に少なくとも約2~10ng/mlの薬学的に活性な薬剤が存在する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、2、3、4、5又は6ヶ月ごとに1回投与される、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、多くても2、3、4、5又は6ヶ月ごとに1回投与され、
前記対象が、各投与後少なくとも2、3、4、5、6ヶ月以上にわたって、実質的に、感染がないままである、
前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
対象におけるイヌ糸状虫を予防又は治療する方法であって、
前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物の有効量を前記対象に局所投与すること
を含む、方法。
【請求項34】
前記対象がイヌ又はネコである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が、多くても2、3、4、5又は6ヶ月ごとに1回投与され、
前記対象が、各投与後少なくとも2、3、4、5、6ヶ月以上にわたって、実質的に、イヌ糸状虫がないままである、
前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
対象における外寄生生物を死滅させる方法であって、
前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物の有効量を前記対象に局所投与すること
を含む、方法。
【請求項37】
前記対象がイヌ又はネコである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記外寄生生物が、コロモジラミ、ケジラミ、疥癬(scabies)、ノミ又はマダニである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が、多くても2、3、4、5又は6ヶ月ごとに1回投与され、
前記対象が、各投与後少なくとも2、3、4、5、6ヶ月以上にわたって、実質的に、外寄生生物の生存がないままである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
対象における外寄生生物を死滅させる、及び前記対象におけるイヌ糸状虫を予防又は治療する方法であって、
前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物の有効量を前記対象に局所投与すること
を含む、方法。
【請求項41】
前記対象がイヌ又はネコである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記外寄生生物が、コロモジラミ、ケジラミ、疥癬(scabies)、ノミ又はマダニである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物が、多くても2、3、4、5又は6ヶ月ごとに1回投与され、
前記対象が、各投与後少なくとも2、3、4、5、6ヶ月以上にわたって、実質的に、イヌ糸状虫がいないままでありかつ外寄生生物の生存がないままである、
前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2019年6月14日出願の米国仮特許出願シリアル番号第62/861,621号に対する優先権の利益を主張する。上記出願の内容全体が、その全体として参照により本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、長時間作用型で非水系の局所製剤に関し、より詳細には、特に哺乳動物で用いる長時間作用型の製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
いくつかの寄生生物は、家畜に対して、特に例えばネコやイヌ等の伴侶動物に対しても、外寄生する又は感染させることが可能である。これら有害生物及び寄生生物は、動物とその所有者の両方にとって大きな有害物である。
【0004】
こうした寄生生物のひとつがイヌ糸状虫(heartworm)である。ネコ及びイヌにおけるイヌ糸状虫症は、世界中で臨床的問題となっている。診断方法が改善されていること、効果的な予防策、ならびに獣医学の専門家及び飼い主の間での認識の増加にもかかわらず、イヌ糸状虫はいまだ根絶されていない。
【0005】
イヌ糸状虫の雌成虫は、それらのミクロフィラリアと呼ばれる幼虫を、動物の血流内に放出する。その後、蚊が、当該感染動物からの吸血時にミクロフィラリアに感染する。その後10~14日の間に、ミクロフィラリアは、蚊の体内で感染幼虫期へと成熟する。その後、当該蚊が、別のイヌ、ネコ又は他の感受性動物を刺すと、その咬傷を介して感染幼虫が侵入する。次いで6ヶ月余りかけて感染幼虫がイヌ糸状虫の成虫へと成熟し、イヌではそれが最大7年間生きる可能性がある。
【0006】
よく知られているイヌ糸状虫治療用製品としては、ADVANTAGE MULTI(登録商標)(モキシデクチン及びイミダクロプリド)、HEARTGARD(登録商標)(イベルメクチン及びピランテル)、INTERCEPTOR(登録商標)(ミルベマイシン)、及びREVOLUTION(登録商標)(セラメクチン)が挙げられる。しかしながら、例えばノミ及びマダニ等の他の寄生虫感染症と共にイヌ糸状虫を適切に治療し、単回の局所投与後2~3ヶ月以上の強固な治療をもたらすのに利用可能である外用剤は現在存在しない。
【0007】
したがって、寄生虫感染症の哺乳動物に対して、該哺乳動物に与える必要がある投与回数/投与量を最小限にしつつ、持続する治療上の救済をもたらす組成物を得ることが要望されているであろう。
【発明の概要】
【0008】
一態様においては、本開示は、長時間作用型で非水系の薬学的に許容できる局所組成物を提供する。
【0009】
一実施形態においては、薬学的に許容できる局所組成物は、
a)薬学的に活性な薬剤と、
b)N-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、
c)2-ピロリドンと、
d)トリグリセリドキャリアと
を含む。
【0010】
実施形態においては、NMP及び2-ピロリドンの組み合わせが約30.0~70.0w/w%で存在する。例えば、NMPは、約15.0~25.0w/w%で存在し得、また2-ピロリドンは、約25.0~35.0w/w%で存在し得る。
【0011】
別の実施形態においては、薬学的に許容できる局所組成物は、
a)薬学的に活性な薬剤と、
b)ベンジルアルコールと、
c)炭酸プロピレンと
を含む。
【0012】
実施形態においては、ベンジルアルコールは、約50.0~90.0w/w%で存在し、また炭酸プロピレンは、約5.0~30.0w/w%で存在する。
【0013】
実施形態においては、薬学的に活性な薬剤は、約5.0~20.0w/w%、又は約5.0~15.0w/w%、又は約10.0w/w%で存在する。
【0014】
実施形態においては、薬学的に活性な薬剤は、随意にイソキサゾリン化合物と組み合わせた、マクロライド系の寄生虫駆除剤及び/又は抗菌剤である。様々な実施形態においては、マクロライド系の抗寄生虫薬は、モキシデクチン、セラメクチン、ミルベマイシン、イベルメクチン、ドラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン(eprinomectin)、ドキシメクチン(doximectin)、アビメクチン(abimectin)、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ツラスロマイシン(tulathromycin)、ガミスロマイシン、ジリスロマイシン、フィダキソマイシン、メガロマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、又はそれらの組み合わせである。一実施形態においては、マクロライド系の寄生虫駆除剤はモキシデクチン(moxidectin)である。実施形態においては、イソキサゾリン化合物は、アフォキソラネル、フルララネル、サロラネル、ロチラネル、又はそれらの組み合わせである。一実施形態においては、組成物は、モキシデクチン及びフルララネルの組み合わせを含む。
【0015】
実施形態においては、薬学的に活性な薬剤は、約5.0~20.0w/w%、又は約5.0~15.0w/w%、又は約10.0w/w%で存在するモキシデクチンである。
【0016】
ある態様においては、例示的な製剤は、以下の表Iに記載するとおりであり、ここでモキシデクチンは、任意の薬学的に活性な薬剤で置換され得る又は添加され得る。
【0017】
(表I)製剤
【0018】
ある態様においては、例示的な製剤は、以下の表IIに記載するとおりであり、ここでモキシデクチンは、任意の薬学的に活性な薬剤で置換され得る又は添加され得る。
【0019】
(表II)製剤
【0020】
ある態様においては、例示的な製剤は、以下の表IIIに記載するとおりであり、ここでモキシデクチンは、任意の薬学的に活性な薬剤で置換され得る又は添加され得る。
【0021】
(表III)製剤
【0022】
ある関連の態様においては、例示的な製剤は、以下の表IVに記載するとおりであり、ここでモキシデクチンは、任意の薬学的に活性な薬剤で置換され得る又は添加され得る。
【0023】
(表IV)製剤
【0024】
ある関連の態様においては、例示的な製剤は、以下の表Vに記載するとおりであり、ここでモキシデクチンは、任意の薬学的に活性な薬剤で置換され得る又は添加され得る。
【0025】
(表V)製剤
【0026】
ある関連の態様においては、例示的な製剤は、以下の表VIに記載するとおりであり、ここでモキシデクチンは、任意の薬学的に活性な薬剤で置換され得る又は添加され得る。
【0027】
(表VI)製剤
【0028】
ある実施形態においては、薬学的に活性な薬剤は、約0.25~25.0w/w%の量で存在する。他の態様においては、トリグリセリドは、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル又はトリカプリルグリセリルである。他の実施形態においては、トリグリセリドは、最大約40.0w/w%±15.0w/w%の量で存在する。他の態様においては、組成物は、無菌であり、局所投与用に製剤化される。
【0029】
本明細書においては、本発明の製剤を投与することによって、対象における疾患又は障害(例えば、寄生虫症の発明(parasitic invention)、外寄生生物感染)を治療する方法もまた提供する。驚くべきことに、本発明の製剤を局所投与した場合、臨床的に有効な量の薬学的に活性な薬剤が、局所投与後の約2、3、4、5、6ヶ月以上にわたって対象の血流中に存在する。様々な実施形態において、単一の、又は複数の薬学的に活性な薬剤が、単一の製剤で投与される。
【0030】
本開示はまた、マクロライド系の寄生虫駆除剤を含めた本発明の製剤を局所投与することによる、対象におけるイヌ糸状虫を予防又は治療する方法を提供する。
【0031】
さらに、イソキサゾリンを含めた本発明の製剤を局所投与することによる、対象における外寄生生物を死滅させる方法を提供する。
【0032】
本開示はまた、マクロライド系の寄生虫駆除剤及びイソキサゾリン、例えばモキシデクチン及びフルララネル等を含めた本発明の製剤を局所投与することによる、対象における外寄生生物を死滅させて対象におけるイヌ糸状虫を予防又は治療する方法を提供する。
【0033】
実施形態においては、本開示の組成物は、多くても2、3、4、5又は6ヶ月ごとに1回投与されて、対象は、各投与後少なくとも2、3、4、5、6ヶ月以上にわたって、実質的に、イヌ糸状虫がいないままでありかつ外寄生生物の生存がない状態のままである。実施形態においては、当該製剤が、単回の局所投与により、3ヶ月以上にわたって対象の体内のイヌ糸状虫を死滅させ、また3ヶ月以上にわたって対象における外寄生生物を死滅させる。実施形態においては、当該製剤が、単回の局所投与により、3ヶ月以上にわたって対象の体内のイヌ糸状虫を死滅させ、また4ヶ月以上にわたって対象における外寄生生物を死滅させる。実施形態においては、当該製剤が、単回の局所投与により、4ヶ月以上にわたって対象の体内のイヌ糸状虫を死滅させ、また4ヶ月以上にわたって対象における外寄生生物を死滅させる。実施形態においては、当該製剤が、単回の局所投与により、5ヶ月以上にわたって対象の体内のイヌ糸状虫を死滅させ、また5ヶ月以上にわたって対象における外寄生生物を死滅させる。実施形態においては、当該製剤が、単回の局所投与により、最大4、5、6ヶ月以上にわたって対象の体内のイヌ糸状虫を死滅させ、また対象における外寄生生物を死滅させる。
【0034】
実施形態においては、モキシデクチン及び/又はフルララネルを含む製剤は、特にイヌのイヌ糸状虫及び外寄生生物の感染を治療するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本発明の一実施形態におけるデータを示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
発明の詳細な説明
以下の語、定義及び略語を適用する。本明細書で用いる略語は、化学及び生物学的な技術分野の範囲内でのその従来の意味を有する。
【0037】
「対象」の語は、本開示の方法によって治療しようとする哺乳類の生物を指す。こうした生物は、例えば家庭用のイヌ及びネコ等である伴侶動物を含むが、これに限定されない。本開示の文脈においては、「対象」の語は、概して、以下に記載する治療(例えば、本開示の組成物の投与)を受けることとなる又は当該治療を既に受けた個体を指す。
【0038】
本明細書で用いる場合、「患者」又は「対象」は、ヒト動物又は非ヒト哺乳動物のいずれかを指す。非ヒト動物としては、任意の非ヒト哺乳動物が含まれる。こうした非ヒト動物は、げっ歯類、非ヒト霊長類(例えば、サル及び類人猿(ape))、有蹄動物、ヒツジ、ウシ、反芻動物、ウサギ、ブタ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ネズミ等を含み得るが、これに限定されない。本発明のある実施形態においては、動物は哺乳類である。一部の実施形態においては、動物は、例えば家庭用のイヌ及びネコ等である伴侶動物を含むが、これに限定されない。本開示の文脈においては、「対象」の語は、概して、以下に記載する治療(例えば、本開示の組成物の投与)を受けることとなる又は当該治療を既に受けた個体を指す。
【0039】
「治療有効量」の語は、研究者、獣医、医師、又は他の臨床家によって探索されている患者又は組織の生物学的応答又は医学的応答を誘発することとなる、化合物又は医薬組成物の量を意味する。
【0040】
「薬学的に許容できる」は、キャリア、希釈剤、又は賦形剤が、製剤の他の成分と混合可能でなくてはならず、かつ、そのレシピエントにとって有害であってはならないことを意味する。
【0041】
ある化合物「の投与」及び又はある化合物「を投与すること」の語は、治療を必要とする対象に、本開示の化合物又は医薬組成物を与えることを意味するものと理解されたい。
【0042】
数に関連する「約」の語は、別段に記載が無い限り、当該数の上及び下のわずかな変動の範囲を含むものであることを意味し、例えば、1の値は、最大0.5から1.5と、それらの間にある全ての数を含めるものと理解されるであろう。
【0043】
実施形態においては、本発明の医薬組成物は、(i)NMP、(ii)2-ピロリドン、及び(iii)トリグリセリドキャリアを含めるキャリア中の、例えばマクロライド及び/又はイソキサゾリン化合物等である活性成分の非水系局所用溶液の形態である。
【0044】
実施形態においては、NMP及び2-ピロリドンは、いずれも、組成物のうちの約5.0~40.0w/w%、又は10.0~40.0w/w%、又は15.0~35.0w/w%、又は20.0~30.0w/w%の量で存在し、例えば、約20.0w/w%又は30.0w/w%等である。
【0045】
実施形態においては、NMPは、組成物のうちの約15.0~25.0w/w%の量で存在し、2-ピロリドンは、組成物のうちの約25.0~35.0w/w%の量で存在し、例えばそれぞれ約20.0w/w%及び約30.0w/w%等である。
【0046】
実施例に示すように、本発明者は、ここに記載する製剤が、その活性成分の血漿中レベルが、2、3、4、5ヶ月以上を超えて持続され、また匹敵する活性成分の用量を皮下注射又は経口投与を介して投与されるよりも当該レベルが高いものであるという薬物動態プロファイルを提供することを発見した。
【0047】
この製剤のアプローチは、バイオアベイラビリティの予期せずに有意な改善をもたらす。したがって、皮下注射又は経口投与と比較して疾患を回復させる及び/又は寄生生物を制御する持続する有効性を導く、活性成分の同様の血中レベルが達成可能である。
【0048】
実施形態においては、トリグリセリドは、約5.0~70.0w/w%、又は25.0~60.0w/w%、30.0~60.0w/w%、又は30.0~50.0w/w%の量で存在する。一部の実施形態では、トリグリセリドは、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸又はそれらの任意の組み合わせである。例えば、トリグリセリドは、トリ(カプリル酸/カプリン酸(C8及び/又はC10))グリセリル又はトリカプリル(C8)グリセリル等の中鎖トリグリセリドである。実施形態においては、トリグリセリドは、カプリル酸及びカプリン酸の混合物であって、当該混合物は、約40.0~85.0%のカプリル酸と約15.0~60.0%のカプリン酸とを含むか、又は当該混合物は、約50.0~80.0%のカプリル酸と約20.0~50.0%のカプリン酸とを含むか、又は当該混合物は、約65.0~80.0%のカプリル酸と約20.0~35.0%のカプリン酸とを含むか、又は当該混合物は、約50.0~65.0%のカプリル酸と約30.0~45.0%のカプリン酸とを含む。一実施形態においては、トリグリセリドは、脂肪酸エステル皮膚軟化薬であり得、例えば商標MIGLYOL(商標)の下で販売される固形の、グリセリンを含む飽和ココナッツ油とパーム核油由来のカプリル酸/カプリン酸脂肪酸との混合物等であり得る。別の実施形態においては、トリグリセリドは、脂肪酸エステル皮膚軟化薬であり得、例えば商標CAPTEX(商標)、例えばCAPTEX(商標)8000等の下で販売される飽和ココナッツ油とパーム核油由来のカプリル酸/カプリン酸脂肪酸との混合物等であり得る。
【0049】
本組成物で用いられるトリグリセリドは、全体的に、モノグリセリド又はジグリセリドで置換され得る又は添加され得、その脂肪酸部分は飽和又は不飽和、好ましくは飽和であり、また6~30個の炭素原子を含有するということが理解されるであろう。一部の実施形態においては、グリセリドの脂肪酸部分は、18~24個の炭素原子を含有し、より好ましくは20~22個の炭素原子を含有する。
【0050】
本明細書で用いる場合、「飽和」の語は、例えばアルキル基である、炭素-炭素単結合のみを含有する脂肪酸部分を指す。本明細書で用いる場合、「不飽和」の語は、少なくとも1つの炭素-炭素の二重結合又は三重結合(例えば、アルケニル基、-CH=CH-、又はアルキニル基、-CH≡CH-)を含有する脂肪酸部分を指す。存在し得る任意のアルケニル基は、シス型又はトランス型のいずれで存在してもよい。一部の実施形態においては、脂肪の脂肪酸部分は、飽和であるか又は1もしくは複数のアルケニル基により不飽和であるかのいずれかである。
【0051】
別の実施形態においては、本発明の医薬組成物は、(i)ベンジルアルコール、及び(ii)炭酸プロピレンを含めるキャリア中の、例えばマクロライド及び/又はイソキサゾリン化合物等である活性成分の非水系局所溶液の形態である。
【0052】
実施形態においては、ベンジルアルコールは、組成物のうちの約50.0~90.0w/w%、60.0~85.0w/w%、又は60.0~80.0w/w%又は70.0~80.0w/w%の量で存在し、例えば約70.0、70.1、70.2、70.3、70.4、70.5、70.6、70.7、70.8、70.9、もしくは80.0w/w%、又は約71.0、72.0、73.0、74.0、75.0、76.0、77.0、78.0、79.0、もしくは80.0w/w%等である。
【0053】
実施形態においては、炭酸プロピレンは、約5.0~30.0w/w%、又は10.0~30.0w/w%、又は10.0~20.0w/w%又は12.0~20.0w/w%又は12.0~18.0w/w%の量で存在し、例えば、約12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0又は20.0w/w%等である。
【0054】
組成物はまた、賦形剤を含有してもよい。ある態様においては、賦形剤としては、エタノール、2-エトキシ(2-エトキシ)エタノール、オレイン酸エチル、酢酸エチル、安息香酸エチル、ベンジルアルコール、グリセリン、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、イソプロピルアルコール、2-ピロリドン、DMSO、ポリビニルピロリドン(例えば、PVP K17)、炭酸プロピレン、グリコフロール(glycofurol)、N-メチルピロリドン、プロピレングリコール、アセトン、酢酸メチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、及びオレイン酸、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オンが挙げられる。
【0055】
ベンジルアルコールは、組成物のうちの約50.0~90.0w/w%、60.0~85.0w/w%、又は60.0~80.0w/w%又は70.0~80.0w/w%の量で存在し得、例えば約70.0、70.1、70.2、70.3、70.4、70.5、70.6、70.7、70.8、70.9、もしくは80.0w/w%、又は約71.0、72.0、73.0、74.0、75.0、76.0、77.0、78.0、79.0、もしくは80.0w/w%等である、別のアルコール(例えば、エタノール)で置き換えられてもよいことが理解されるであろう。
【0056】
様々な実施形態においては、本発明の薬学的に許容できる組成物で用いるアルコールとしては、1又は複数のアルコール及び/又はグリコールが挙げられる。当該アルコールは、薬学的に許容可能であり、また概して、約室温、およそ20℃で、液体である。例として、本発明の組成物で用いるアルコール又はグリコールとしては、プロピレングリコール、エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール(トランスキトール(Transcutol(登録商標))、ベンジルアルコール、グリセリン、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400等のうちの1又は複数が挙げられ得る。
【0057】
また、薬学的に活性な薬剤は、その水和物形態であり得るが、混合中又は混合後には組成物に水を添加しない。すなわち、本明細書に記載の当該組成物は、実質的に非水系であり、例えば当該組成物は、例えば水等である水性物質を約3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.5又は0.1w/w%未満で有する。
【0058】
当該組成物の成分のうちのいずれか又は全てが、それらの脱水形態又はそれらの無水形態で含まれ得る。
【0059】
例示的な製剤は、以下の表VIIに記載するとおりであり、ここでモキシデクチンは、例えばフルララネル等である任意の薬学的に活性な薬剤で置換され得る又は添加され得る。
【0060】
(表VII)製剤
【0061】
例示的な製剤は、以下の表VIIIに記載するとおりであり、ここでモキシデクチンは、任意の薬学的に活性な薬剤で置換され得る又は添加され得る。
【0062】
(表VIII)製剤
【0063】
例示的な製剤は、以下の表IXに記載するとおりであり、ここでフルララネルは、任意の薬学的に活性な薬剤で置換され得る又は添加され得る。
【0064】
(表IX)製剤
【0065】
例示的な製剤は、以下の表Xに記載するとおりであり、ここでフルララネルは、任意の薬学的に活性な薬剤で置換され得る又は添加され得る。
【0066】
(表X)製剤
【0067】
例示的な製剤は、以下の表XIに記載するとおりであり、ここで薬学的に活性な薬剤は、任意の薬学的に活性な薬剤で置換され得る又は添加され得る。
【0068】
(表XI)製剤
【0069】
例示的な製剤は、以下の表XIIに記載するとおりであり、ここで薬学的に活性な薬剤は、任意の薬学的に活性な薬剤で置換され得る又は添加され得る。
【0070】
(表XII)製剤
【0071】
一部の実施形態においては、組成物は、例えば抗酸化剤又は防腐剤等である不活性成分を含む。例えば没食子酸プロピル、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、MTG(モノチオグリセロール)、クエン酸トリエチル、クエン酸、TBHQ(tert-ブチルヒドロキノン)等である抗酸化剤を、本製剤に添加することができる。抗酸化剤は、概して、約0.01~約2.0%(w/w)の量で製剤に添加される。ある実施形態においては、抗酸化剤は、約0.01~2.0%、0.05~2.0%、0.5~2.0%、又は0.5~1.5%の量で存在する。例えば、実施形態においては、組成物は、最大又は約0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9又は2.0w/w%の量で、MTG及び/又はクエン酸を含む。実施形態においては、組成物は、最大又は約0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9又は2.0w/w%の量で、BHT及び/又は没食子酸プロピルを含む。
【0072】
例えばパラベン(メチルパラベン及び/又はプロピルパラベン)等である防腐剤は、約0.01から約2.0w/wの範囲の量で製剤中で好適に用いられる。
【0073】
本発明の製剤は、そのプロセスの任意の工程中に、混合物に水を添加することなく調製することができる。
【0074】
本開示は、疾患又は障害を治療するのに有効である量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤と、薬学的に許容できる賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。薬学的に活性な薬剤は、水和物であり得、例えば当該分子の一水和物又は二水和物である。
【0075】
本明細書に記載の製剤で用いる好適な薬学的に活性な薬剤は、ある活性な薬剤成分か、又は複数の有効成分の組み合わせである。当該活性な薬剤としては、単に例として、抗菌剤、寄生虫駆除剤、及び駆虫剤が挙げられる。
【0076】
実施形態においては、薬学的に活性な薬剤は、寄生虫駆除剤、及び駆虫剤の両方である。
【0077】
すなわち、本開示は、疾患又は障害(例えば、寄生虫感染症、微生物感染、及び/又は外寄生生物感染)を治療するのに有効である量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤と、薬学的に許容できる賦形剤とを含む組成物を提供する。
【0078】
実施形態においては、本明細書に記載の製剤で用いる薬学的に活性な薬剤は、マクロライド系の寄生虫駆除剤及び/又は抗菌剤である。マクロライドには、モキシデクチン、セラメクチン、ミルベマイシン、イベルメクチン、ドラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン(eprinomectin)、ドキシメクチン(doximectin)、アビメクチン(abimectin)、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ツラスロマイシン(tulathromycin)、ガミスロマイシン、ジリスロマイシン、フィダキソマイシン、メガロマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、又はそれらの組み合わせを含み得るがこれに限定されない。当該活性な薬剤は、典型的には水和物であり得、例えば当該分子の一水和物又は二水和物である。
【0079】
実施形態においては、本明細書に記載の製剤で用いる薬学的に活性な薬剤は、イソキサゾリンである。
【0080】
イソキサゾリンとしては、当技術分野で公知である任意のイソキサゾリンが挙げられ得る。イソキサゾリン化合物及び寄生虫駆除剤としてのそれらの使用は、例えば、米国特許出願公開第2007/0066617号、及び国際特許出願の国際公開第2007/079162号、国際公開第2009/002809号、国際公開第2009/024541号、国際公開第2009/003075号、国際公開第2009/080250号、国際公開第2010/070068号、国際公開第2010/079077号、国際公開第2011/075591号、及び国際公開第2011/124998号に記載されるが、これらの開示及び本明細書で引用する文献は、参照により援用される。このクラスの化合物は、例えばマダニ及びノミ等の外寄生生物に対して、優れた活性を有することがわかっている。
【0081】
イソキサゾリン化合物は、様々な異性体で存在し得る。イソキサゾリン化合物への言及には、常に、当該化合物の全てのあり得る異性体が含まれる。別段に述べない限り、特定のコンホメーションを示していないある化合物の構造は、当該化合物の全てのあり得る構造異性体の組成物のみならず、全て未満のあり得る構造異性体を含む組成物も包含することが意図される。一部の実施形態においては、当該化合物は、キラル化合物である。一部の実施形態においては、当該化合物は、非キラル化合物である。
【0082】
イソキサゾリン化合物は、例えば米国特許出願第2007/0066617号、国際公開第2007/079162号、国際公開第2009/002809号、国際公開第2009/080250号、国際公開第2010/070068号、国際公開第2010/079077号、第2011/075591号、及び国際公開第2011/124998号に記載のプロセス、又は化学合成が専門である当業者の力量の範囲内にあるその他のプロセス、のうちの1又はいずれかに従って調製される。本発明の製品の化学的な調製に関しては、当業者は、その者が思いのままに、とりわけ「ケミカルアブストラクツ(Chemical Abstracts)」とそこで引用されている文献との内容全体を有しているものとみなされる。
【0083】
本開示に記載の組成物の実施形態においては、イソキサゾリンは、フルララネル、アフォキソラネル、ロチラネル、サロラネル、(Z)-4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソキサゾール-3-イル]- -N-[(メトキシイミノ)メチル]-2-メチルベンズアミド(CAS RN:928789-76-8)、国際公開第2009/0080250号に開示された4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソキサゾール-3-イル]-2-メチル--N-(チエタン-3-イル)ベンズアミド(CAS RN:1164267-94-0)、及び国際公開第2010/070068号に開示された5-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-4,5-ジヒドロ-5-(トリフルオロメチル)-3-イソキサゾリル]-3- -メチル-N-[2-オキソ-2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル]-2-チオフェンカルボキシアミド(CAS RN:1231754-09-8)、からなる群から選択される1又は複数である。
【0084】
本開示の薬学的に活性である化合物はまた、天然の又は塩の形態としての組成物に製剤化され得る。薬学的に許容できる無毒性の塩としては、塩基付加塩(遊離カルボキシル基又は他のアニオン性基とともに形成される)であって、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム又は水酸化第二鉄等である無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノ-エタノール、ヒスチジン、プロカイン等である当該有機塩基に由来し得る当該塩基付加塩が挙げられる。当該塩はまた、任意の遊離カチオン性基を伴う酸付加塩として形成され得、概して、例えば塩酸、硫酸もしくはリン酸等である無機塩、又は例えば酢酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸とともに形成されることとなる。本開示の塩としては、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸によりアミノ基をプロトン化することによって形成されるアミン塩が挙げられる。本開示の塩としてはまた、例えばp-トルエンスルホン酸、酢酸等の好適な有機酸によりアミノ基をプロトン化することによって形成されるアミン塩も挙げられ得る。
【0085】
本開示の手法で使用するために考慮されるさらなる賦形剤は、当業者に治療可能である賦形剤であり、例えばUnited States Pharmacopeia第22巻及びNational Formulary第17巻、U.S. Pharmacopeia Convention, Inc., Rockville, Md.(1989)に見られる賦形剤であって、これらの関連する内容は、参照により本明細書に援用される。さらに、化合物の多形、水和物、及び溶媒和物が本開示に含まれる。水和物分子は、医薬組成物に水を与えることとなるが、他に水源は何も含まないことが想定されるということに留意されたい。
【0086】
組成物は、好都合には、投与単位形態で存在し得、また薬学技術分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。全ての方法には、活性成分が、1又は複数の補助成分を構成するキャリアと組み合わせるようにさせる工程が含まれる。通常、医薬組成物は、活性成分を、意図する経路を介した投与、特に局所投与に好適なキャリアと、均一にかつ密に、組み合わせるようにさせることによって調製される。医薬組成物においては、活性化合物は、疾患のプロセス又は状態に応じて、所望の効果を生成するのに十分な量で含まれる。
【0087】
本発明の組成物に関して、薬学的に活性な薬剤は、疾患又は障害を臨床的に回復又は制御するための一連の治療全体に対して、単一の適用による投与だけを必要とする。しかしながら、薬学的に活性な薬剤は、疾患又は障害を臨床的に回復する期間にわたって必要に応じて例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回又はそれ以上の適用等である、一連の適用によって投与されてもよい。これに関して、「臨床的に回復する」又は「制御する」ことは、単一の適用から2、3、4、5又は6ヶ月より長いものであってもよい、必要な期間の間、動物の血流中でその活性の臨床的に有意及び測定可能な存在(少なくとも約1.0ng/ml)に照らして判断され得る。しかしながら、任意の特定の患者に対する投与量の特定の投与レベル及び頻度は変動し得、また種々の因子であって、用いる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与形態及び投与時間、排泄速度、薬物併用、特定の症状の重症度を含めた、種々の因子に左右されることとなる、ということが理解されるであろう。
【0088】
同様に、本開示の製剤は、単一の適用により疾患又は障害の少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の治癒率を達成することが期待される。当該製剤が投与される患者は、投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日以内に少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の治癒を示すこととなることが予想される。
【0089】
本明細書で用いる場合、「治癒率」は、例えば寄生虫感染症又は外寄生等である疾患又は障害を回復又は制御することにおける臨床的有効性を指す。実施形態においては、当該疾患又は障害は、単一の投与後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日未満の期間内で、約75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%までを超える有効性により回復する。
【0090】
一実施形態においては、本発明の組成物は、寄生虫、ダニ類及び/又は蠕虫類、特に寄生虫及び/又はダニの外寄生、を制御するための使用が意図される。「寄生虫及び/又はダニ類の外寄生を制御すること」の語は、数時間又は数日以内で、好ましくは当該昆虫及び/又はダニ類又は寄生線虫類を死滅させることによって、動物における当該寄生生物による外寄生を予防、軽減又は除去することを指す。
【0091】
「寄生虫及びダニ」の語は、例えば通常動物に外寄生する又は感染させる昆虫及びダニ類の有害生物である、外寄生生物を指す。当該外寄生生物の例としては、シラミ、ノミ、蚊、ダニ、マダニ、及びサシバエ又は有害なハエ種の卵、幼虫、蛹、若虫及び成虫期が挙げられる。特に重要であるのは、ノミ及びマダニ、特にそれらの成虫期である。
【0092】
保護しようとする動物に対して本発明の局所製剤を投与することによって制御される無脊椎の寄生有害生物の例としては、外寄生生物(節足動物、ダニ類等)及び内寄生生物(寄生虫、例えば線虫類、吸虫類、条虫類、鈎頭虫類等)が挙げられる。
【0093】
特に、本発明の製剤は、Haematobia(Lyperosia) irritans(ノサシバエ)、Stomoxys calcitrans(サシバエ)、シムリウム属の種(Simulium spp.)(ブユ)、グロシナ属の種(Glossina spp.)(ツェツェバエ)、Hydrotaea irritans(ヘッドフライ(head fly))、Musca autumnalis(フェイスフライ(face fly))、Musca domestica(イエバエ)、Morellia simplex(スウェットフライ(sweat fly))、アブ属の種(Tabanus spp.)(アブ(horse fly))、Hypoderma bovis(ウシバエ)、Hypoderma lineatum(キスジウシバエ)、Lucilia sericata(ヒロズキンバエ)、Lucilia cuprina(ヒツジキンバエ)(green blowfly(ヒロズキンバエ))、クロバエ属の種(Calliphora spp.)(クロバエ)、ルリキンバエ属の種(Protophormia spp.)、Oestrus ovis(ヒツジバエ(nasal botfly))、クリコイデス属の種(Culicoides spp.)(ヌカカ)、Hippobosca equine(ウマジラミバエ)、Gastrophilus instestinalis(ウマバエ)、Gastrophilus haemorrhoidalis(アトアカウマバエ)及びGastrophilus naslis(ムネアカウマバエ)等のハエ;Bovicola(Damalinia) bovis(ウシハジラミ)、Bovicola equi(ウマハジラミ)、Haematopinus asini(ウマジラミ)、Felicola subrostratus(ネコハジラミ)、Heterodoxus spiniger(ヘテロドクサス・スピニガ)、Lignonathus setosus(イヌジラミ)及びTrichodectes canis(イヌハジラミ)等のシラミ;Melophagus ovinus(ヒツジシラミバエ)等のシラミバエ;キュウセンヒゼンダニ属の種(Psoroptes spp.)、Sarcoptes scabei(ヒゼンダニ)、Chorioptes bovis(ショクヒヒゼンダニ)、Demodex equi(ウマニキビダニ)、ツメダニ属の種(Cheyletiella spp.)、Notoedres cati(ネコショウヒゼンダニ)、ツツガムシ属の種(Trombicula spp.)及びOtodectes cyanotis(ミミダニ)等のダニ;マダニ属の種(Ixodes spp.)、ウシマダニ属の種(Boophilus spp.)、コイタマダニ属の種(Rhipicephalus spp.)、キララマダニ属の種(Amblyomma spp.)、カクマダニ属の種(Dermacentor spp.)、イボマダニ属の種(Hyalomma spp.)、及びチマダニ属の種(Haemaphysalis spp.)等のダニ;ならびにCtenocephalides felis(ネコノミ)及びCtenocephalides canis(イヌノミ)等のノミを含む外寄生生物に対して有効である。
【0094】
実施形態においては、適切な活性の濃度レベルは、概して、全て単一の剤形で、約0.1~約300.0mg/mlであることとなり、例えば約0.25~300.0mg/ml、1.0~300.0mg/ml、5.0~300.0mg/ml、5.0~250.0mg/ml、5.0~200.0mg/ml、5.0~150.0mg/ml、10.0~200.0mg/ml等であり、1.0、10.0、25.0、50.0、75.0、100.0、125.0、150.0、175.0、200.0、225.0、250.0、275.0及び300.0mg/ml(のみならず間に存在する全ての他の投与量)を含むこととなる。
【0095】
実施形態においては、適切な活性の濃度レベルは、概して、全て単一の剤形で、約0.01~約500.0mg/ml又は約0.1~約250.0mg/mlであることとなり、例えば約0.25~500.0mg/ml、1.0~400.0mg/ml、5.0~250.0mg/ml、1.0~100.0mg/ml、5.0~150.0mg/ml、10.0~250.0mg/ml、10.0~200.0mg/ml、15.0~250.0mg/ml又は15.0~200.0mg/ml(間に存在する全ての投与量を含む)等であることとなる。
【0096】
実施形態においては、適切な活性の濃度レベルは、概して、全て単一の剤形で、約0.1~約30.0mg/ml又は約0.1~約25.0mg/mlであることとなり、例えば約0.25~30.0mg/ml、1.0~25.0mg/ml、5.0~25.0mg/ml、1.0~10.0mg/ml、5.0~15.0mg/ml、10.0~25.0mg/ml、10.0~20.0mg/ml、15.0~25.0mg/ml又は15.0~20.0mg/ml(間に存在する全ての投与量を含む)等であることとなる。
【0097】
本発明の製剤は、哺乳動物で特に有用であり、格別には伴侶動物、また最も格別にはネコ及びイヌにおいて有用である。
【0098】
本発明の実施形態をさらに説明するために以下の実施例を提供するが、本発明の範囲を限定することは意図していない。当該実施例は用いられ得るものの代表的なものであるが、当業者にとって公知の他の手順、方法論又は技術を代替的に用いてもよい。
【実施例
【0099】
実施例I
製剤及び薬物動態
イヌに対して局所投与するために、表II(図1のPAH 17-07-0004)及び表IV(図1のPAH 17-07-006)の製剤を調製した。18匹のイヌに対して、投与濃度約5mg/kgでの局所的な適用(いずれも6であるプロハート(ProHeart(登録商標))、表IIの製剤、及び表IVの製剤)によって投与した。モキシデクチンの血中濃度は、図1に示すように(破線及び実線)、組成物の投与後80日以上にわたって臨床的に有意なレベル(約2.5及び5ng/mlより高い)で存在した。両製剤とも、モキシデクチンを含む皮下注射製剤であるプロハート(ProHeart(登録商標))とは対照的に(破線)、治療期間にわたってより高い血漿中のレベルのモキシデクチンを呈した。
【0100】
実施例II
製剤及び薬物動態
表VIの製剤を、イヌへの局所投与用に調製した。投与濃度約5mg/kgでの局所的な適用により投与されたイヌにおけるモキシデクチンの血中濃度は、組成物の投与後80日以上にわたって臨床的に有意なレベル(約2.5及び5ng/mlより高い)で存在することとなることが期待される。
【0101】
上記実施例を参照して本開示の目的を記載してきたが、本開示の趣旨及び範囲の範囲内に、変形及びバリエーションが包含されるということが理解されるであろう。したがって、本開示は、続く特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
【国際調査報告】