(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(54)【発明の名称】流体製品を分注するための分注機構、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B05C 11/00 20060101AFI20220830BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20220830BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20220830BHJP
F04B 53/10 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B05C11/00
B05C5/00 101
B05D1/26 Z
F04B53/10 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573377
(86)(22)【出願日】2020-06-09
(85)【翻訳文提出日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 IT2020050145
(87)【国際公開番号】W WO2020250259
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】102019000008571
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502294736
【氏名又は名称】コロブ ソシエタ ペル アチオニ
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】ベルガミーニ アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】カーサリーニ ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン ジョアン サラ
(72)【発明者】
【氏名】デプヌー アルバン アール
【テーマコード(参考)】
3H071
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
3H071AA11
3H071BB01
3H071CC26
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3H071DD35
4D075AC05
4D075AC84
4D075AC88
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4D075DC12
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4F041AB01
4F041BA05
4F041BA12
4F041BA32
4F041BA35
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4F042BA12
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4F042CB02
4F042CB08
4F042CB11
4F042CB20
(57)【要約】
【課題】経年劣化を抑え取り付けを容易にし吐出時間を短く又はかさばることを防止する分注機構。
【解決手段】
分注開口部40、収容容器12の基台42を含むハウジング44、ポンピング手段45、第1及び第2の流路A,Bを備え、回転軸Rを中心に回転可能で、その周面65に回転軸Rに対して半径方向に配置された開放端66を有する分岐素子53を含む弁配列と、吸引導管と、ポンピング手段の出口と回転可能な分岐素子53とを流体的に接続する送出導管50と、分岐素子53と容器12とを流体的に接続する再循環導管52とを備え、分岐素子53が、一方の流路の開放端66が前記送出導管50と流体連通するように送出導管50の開放端に面し、再循環位置Oと送出位置Iとを有し、開放端66は、送出導管50と流体連通するように送出導管50の開放端に面し、他方の流路の開放端66は、流体製品を分注するための分注開口部40に面する流体製品の分注機構。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品を分注するための分注機構であって、以下を備える。
-分注開口部(40)及び前記流体製品を収容する容器(12)のための基台(42)を含むハウジング(44)と、
-ポンピング手段(45)と、
-互いに流体連通する第1の流路(A)及び第2の流路(B)と
を備え、回転軸(R)を中心に回転可能であって、その周面(65)に前記回転軸(R)に対して半径方向に配置された開放端(66)をそれぞれ有する分岐素子(53)を含む弁配列と、
前記基台(42)上に設置された前記容器(12)から前記流体製品を送出するために、前記ポンピング手段(45)の入口に接続された吸引導管(49)と、
前記ポンピング手段(45)の出口と回転可能な前記分岐素子(53)とを流体的に接続する送出導管(50)と、
前記流体製品を前記容器(12)に戻すために、前記分岐素子(53)と前記容器(12)とを流体的に接続する再循環導管(52)と、を備え、
回転可能な前記分岐素子(53)が、前記流体製品を前記容器(12)に再循環させるために、一方の流路の開放端(66)が前記送出導管(50)と流体連通するように前記送出導管(50)の開放端に面し、他方の流路の開放端(66)が再循環導管(52)と流体連通するように再循環導管(52)に面している少なくとも1つの再循環位置(O)と、少なくとも1つの送出位置(I)とを有しており その際、一方の流路の開放端(66)は、前記送出導管(50)と流体連通するように前記送出導管(50)の開放端に面し、他方の流路の開放端(66)は、前記流体製品を分注するための前記分注開口部(40)に面していることを特徴とする分注機構。
【請求項2】
前記第1の流路(A)及び前記第2の流路(B)が、前記回転軸(R)に関して他方に対して対称的な構成を有する請求項1記載の分注機構。
【請求項3】
前記第1の流路(A)及び前記第2の流路(B)は、中央孔(64)を介して流体連通しており、前記第1の流路(A)及び前記第2の流路(B)は、互いに平行に延び、前記中央孔(64)から接線方向に出発することを特徴とする請求項1又は2記載の分注機構。
【請求項4】
前記流路(A,B)の開放端(66)が、前記回転分岐素子(53)の周面(65)上に、開放端が互いに約180°反対側に配置されるようなそれぞれの位置にあることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項記載の分注機構。
【請求項5】
前記回転可能な分岐素子(53)が、その回転軸(R)の周りの分岐素子(53)の各完全な回転ごとに、2つの再循環位置(O)及び2つの送出位置(I)を有し、前記各位置に到達するための分岐素子(53)が、例えば約90°の同じ角度だけ回転する、請求項1乃至4のいずれか1項記載の分注機構。
【請求項6】
前記再循環位置(O)の1つでは、前記第1の流路(A)が前記送出導管(50)と連通し、前記第2の流路(B)が再循環導管(52)と連通し、他の再循環位置では、前記第2の流路(B)が前記送出導管(50)と連通し、前記第1の流路(A)が再循環導管(52)と連通する、分注機構。そして、前記送出位置(I)の一方では、前記第1の流路(A)が前記送出導管(50)と連通し、前記第2の流路(B)が前記分注開口部(40)と連通し、他方、送出位置(I)では、前記第2の流路(B)が前記送出導管(50)と連通し、前記第1の流路(A)が前記分注開口部(40)と連通することを特徴とする請求項5記載の分注機構。
【請求項7】
前記ポンピング手段(45)及び前記回転可能な分岐素子(53)が、それぞれのモーター(46;55)によって独立して駆動されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項記載の分注機構。
【請求項8】
前記ポンピング手段(45)及び前記回転可能な分岐素子(53)が、前記それぞれのモータ(46;55)に接続された駆動要素(47;59)によって係合されるように構成されたカップリング手段(48;56)を備え、前記駆動要素(47;59)及び前記それぞれのモータ(46;55)は、好ましくは、少なくとも前記分注機構による分注時に、前記流体製品を分注するための分注機構と選択的に係合することができる可動式スライダ(20)に取り付けられている、請求項7記載の分注機構。
【請求項9】
前記ポンピング手段が、ベローズポンプ、ピストンポンプ......ギアポンプ、又はそれらの組み合わせから選択されるポンプからなる、請求項1乃至8のいずれか1項記載の分注機構。
【請求項10】
前記弁配列が、吸引導管(49)に沿って配置された逆止弁(51)及び/又は前記送出導管(50)に沿って配置された逆止弁(51)をさらに備える、請求項1乃至9のいずれか1項記載の分注機構。
【請求項11】
この表面をクリーニングするために、前記分岐素子(53)の周辺表面(65)に近接しているか又は接触しているストリップオフ要素(41)をさらに備え、好ましくは、ストリップオフ要素(41)は、リングの形状をしており、分注機構(11)の底部に作られた空洞(67)に受け入れられる請求項1乃至10のいずれか1項記載の分注機構。
【請求項12】
支持部材(68)が、特に支持部材(68)の下方に、ばね部材(69)が存在することにより、ストリップオフ要素(41)を前記空洞(67)内に弾性的にロックしており、このばね部材は、ストリップオフ要素(41)を分岐素子(53)の周辺表面(65)に常に近接させるように、支持部材(68)及びストリップオフ要素(41)を上方に押し上げるように構成された皿ばねである請求項11記載の分注機構。
【請求項13】
分注機(10)の支持手段によって構成された嵌合固定具(13)に分注機構を取り外し可能に取り付けることができるように構成された結合部(14)を備えることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項記載の分注機構。
【請求項14】
分注機構に一義的に関連付けられ、分注機構が取り付けられうる分注機に構成された可動スライダ(20)に取り付けられた光学バーコードリーダなどの検出手段(57)によって読み取られるように構成された、例えば2次元又は3次元のバーコード、又はRFIDタグなどのIDコードを含む請求項1乃至13のいずれか1項記載の分注機構。
【請求項15】
前記ポンピング手段(45)とは反対側の前面から前記ハウジング(44)から突出し、分注機構を扱うオペレータが把持することを意図した人間工学的なハンドル(58)を備える、請求項1乃至14のいずれか1項記載の分注機構。
【請求項16】
前記回転可能な分岐素子(53)に取り付けられた流体調整装置(76)であって、前記第1及び第2の流路(A,B)に存在する前記流体製品のドリップをそれぞれ吸引し、そのような前記流体製品のドリップを前記再循環導管(52)及び/又は前記送出導管(50)に向けて送出するために、前記回転軸(R)を中心とした前記分岐素子(53)の回転中に後方及び前方のストローク(S,D)を行うように構成された流体調整装置(76)を備える請求項1乃至16のいずれか1項記載の分注機構。
【請求項17】
前記流体調整装置(76)は、前記流体調整装置(76)の運動が前記回転可能な分岐素子(53)の回転によって駆動されるように、分注機構的接続によって前記回転可能な分岐素子(53)に接続されており、前記回転可能な分岐素子(53)の回転運動を、前記流体調整装置(76)の直線的な並進運動に変換して、前記流体調整装置(76)が前記前後のストローク(S,D)を実行できるようにするガイドシステム(78)が設けられている請求項16記載の分注機構。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項記載の少なくとも1つの分注機構を含む、前記流体製品を分注するための分注機。
【請求項19】
リニアサポート手段に沿って取り付けられた請求項1から17のいずれか1項記載の複数の部品を含む請求項18記載の分注機。
【請求項20】
分注機構と動作可能に接続される位置に移動されたときに、例えばリニアサポート手段と平行に延びるレール(22)に沿って、前記ポンピング手段(45)及び/又は回転可能な分岐素子(53)を駆動してそれぞれの前記流体製品の分注及び/又は再循環を制御するために、少なくとも1つのモータ(46;55)がその上に取り付けられた移動可能なスライダ(20)をさらに備えることを特徴とする請求項18又は19記載の分注機。
【請求項21】
少なくとも1つの分注機構に設けられたIDコードを読み取るための、光学式バーコードリーダなどの検出手段(57)をさらに備え、検出手段(57)は、好ましくは、可動式スライダ(20)に取り付けられてもよい、請求項18から20のいずれか1項記載の分注機。
【請求項22】
流体製品を分注するための方法であって、以下のステップを含む方法。
(a)分注開口部(40)を有し、前記流体製品を含む容器(12)のための基台(42)を含むハウジング(44)と、ポンピング手段(45)とを提供するステップ
(b)互いに流体連通する第1の流路(A)及び第2の流路(B)を備え、回転軸(R)を中心に回転可能な分岐素子(53)を含み、それぞれが回転可能な前記分岐素子(53)の周面(65)に回転軸(R)に対して半径方向に配置された開放端(66)を有する弁配列を提供するステップ
(c)前記基台(42)上に設置された前記容器(12)から前記流体製品を送出するための前記ポンピング手段(45)の入口に接続された吸引導管(49)を介して前記容器(12)から前記流体製品を抽出し、前記ポンピング手段(45)の出口と前記回転可能な前記分岐素子(53)とを流体的に接続する送出導管(50)に前記流体製品を送出するように、前記ポンピング手段(45)を作動させるステップ
(d)回転可能な前記分岐素子(53)を駆動して、前記分岐素子(53)を交互に再循環位置(O)にし、その際、一方の流路の開放端(66)が前記送出導管(50)の開放端に面して前記送出導管(50)と流体連通し、他方の流路の開放端(66)が、前記流体製品を前記容器(12)に戻すために前記分岐素子(53)を前記容器(12)に流体接続する再循環導管(52)の開放端に面していること、又は、送出位置(I)であって、一方の流路の開放端(66)が前記送出導管(50)と流体連通するように前記送出導管(50)の開放端に面し、他方の流路の開放端(66)が前記流体製品を分注するための分注開口部(40)に面しているステップ。
【請求項23】
回転可能な前記分岐素子(53)の前記駆動が、回転軸(R)の周りの前記分岐素子(53)の各完全な回転ごとに、後者を2つの循環位置(O)及び2つの送出位置(I)にすることを提供し、前記駆動が、前記各位置に到達するために、前記分岐素子(53)を同じ角度、例えば約90°回転させるステップを提供する、方法であって、
前記再循環位置(O)の1つでは、前記第1の流路(A)が前記送出導管(50)と、前記第2の流路(B)が再循環導管(52)と連通し、他の再循環位置では、前記第2の流路(B)が送出導管(50)と、第1の流路(A)が再循環導管(52)と連通し、そして、前記送出位置(I)の1つでは、前記第1の流路(A)が送出導管(50)と連通し、前記第2の流路(B)が分注開口部(40)と連通し、一方、他の送出位置(I)では、第2の流路(B)が送出導管(50)と連通し、第1の流路(A)が分注開口部(40)と連通することを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記回転軸(R)を中心とした前記分岐素子(53)の前記駆動中に、回転可能な前記分岐素子(53)に取り付けられた流体調整装置(76)が、前記第1及び第2の流路(A,B)内に存在する前記流体製品のドリップをそれぞれ吸引し、前記再循環導管(52)及び/又は前記送出導管(50)に向けて前記流体製品の当該ドリップを送出するために、後方及び前方のストローク(S,D)を行うことを特徴とする請求項22又は23記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体製品、特に例えば塗料、顔料、コーティング組成物などのような着色流体製品を分注(despense)するための分注機構(assemblies)及び方法、ならびにそのような分注機構の1つ又は複数を含む分注機、及び例えば再仕上げ又は修理用途の分野で、塗料配合物などのユーザ定義の配合物を調製するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
流体製品を分注するための分注機構(assemblies)は、当技術分野において非常によく知られており、通常、流体製品を分注するための自動分注機と関連している。そのような分注機構は、流体製品を分注するための複数の部品を含むことができ、各分注機構は、色、色調(shade)、又は明るさの異なるバリエーションを有する塗料を分注するように構成される。
当技術分野で知られている分注機(ディスペンシングマシン)では、取り出し口(デリバリステーション)が設けられている。その取り出し口には、分注ステーションには容器が設置され、そこに1つ又は複数の製品が納入され、オペレータが要求した処方を提供するために、場合によっては所定の納入順序に従って、それぞれの分注機構によって取り出される。
【0003】
当技術分野で知られている分注機構は、例えば容積式ポンプのようなポンプと、特定の状況下で流体製品の通過を選択的に許可又は防止するために流体製品が通過する導管に沿って適切に配置された1つ以上の弁要素からなる弁配列(valve arrangement)で構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願番号US-A1-2017/0252766
【特許文献2】欧州特許EP-B1-1492970
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
容器内の流体製品は、保管時に乾燥、沈降、相分離、及び/又は凝集物の形成などにより、経年劣化する傾向がある。そのため、製品の品質が低下したり、分注機構やその部品が詰まる危険性がある。
【0006】
この問題を解決するために、様々な分注機構が開発されてきた。当技術分野で知られているこのような分注機構の例は、米国出願番号US-A1-2017/0252766及び欧州特許No.EP-B1-1.492.970等の特許文献に開示されている。これらの分注機構では、互いに異なる直径を有する少なくとも3つの半径方向の流路を備えた回転可能なバルブ部材が、流体製品の容器とピストンポンプの間に配置されている。制御装置は、ポンプとバルブを操作して容器から液体を取り出し、選択されたサイズのバルブの流路を介して液体を分注位置にするか、ポンプからの液体を容器に戻してパージ位置にあるバルブの流路を洗浄することができる。これらの先行技術による解決策は、分注口の目詰まりを防ぐことはできても、容器内の液体製品を効率的に均質化することができず、長期間保管した後でも、引き出された製品の品質を高く保つことができない。
【0007】
別の分注機構は、国際特許出願No.WO-A1-2018/041051を参照されたい。この文献は、ハウジングの長手方向に沿って移動可能な弁要素を含む分注機構を開示している。弁要素の位置に応じて、上述の吐出条件又は再循環条件が交互に得られるように、異なる導管が互いに流体連通するようになっている。
さらに、上記の引用されたすべての先行技術文献の弁要素及び/又は導管の配置は、より高い流量での主送出と、送出されるべき流体の設定量に正確に到達するための精密送出とを得るように設計されている。
【0008】
そのため、前述の技術分野で知られている分注機構の欠点の1つは、製造及び分注機(ディスペンサー)への取り付けがかなり複雑であることである。そのため、製造やメンテナンスに必要なコストや時間が大幅に増加する。
【0009】
また、当技術分野で知られている分注機構のもう一つの欠点は、ポンプ、ハウジング内の導管、及び流体製品を含む缶が相互に配置されているため、流体製品が移動する経路が長くなることである。これにより、流体製品が分注機構を出て吐出されるまでに必要な送出時間が長くなる。
【0010】
当技術分野で知られている前述の分注機構の別の欠点は、それらがかさばることである。これは、分注機構が取り付けられている分注機が、分注機構を収容するために大きな内部容積を必要とすることを意味しており、その結果、かさばることになる。
そのため、上述した技術の欠点の少なくとも1つを緩和又は克服する、流体製品を分注するための分注機構及びそれに対応する分注方法が必要とされている。
【0011】
本出願人は、当該技術の状態の欠点を克服し、これら及び他の目的及び利点を得るために、本発明を考案し、試験し、具現化した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的に従い、本発明によれば、流体製品を分注するための分注機構が提供される。この分注機構は、分注開口部を有するハウジングであって、流体製品を収容する容器のための基台(マウント)を備える。分注機構は、ポンピング手段と、吸引導管、送出導管及び再循環導管を含む導管系と、弁配列とをさらに備える。弁配列は、互いに流体連通する第1の流路及び第2の流路を備えた、回転軸を中心に回転可能な分岐素子(エレメント)を含み、それぞれが、回転可能な分岐素子の周面上に、回転軸に対して半径方向に配置された開放端を有する。回転可能な分岐素子は、吸引・送出導管を介して送出された流体製品が再循環導管を介して容器に再循環される少なくとも1つの再循環位置と、吸引・送出導管を介して送出された流体製品が分注開口部を介して分注される少なくとも1つの送出位置とを有する。
【0013】
本発明はまた、少なくとも1つのこのような分注機構を含む、流体製品を分注するための分注機にも向けられている。
【0014】
本発明はまた、以下を含む、流体製品を分注するための方法にも向けられる。
(a)分注開口部を有し、流体製品を収容する容器のための基台を含むハウジングと、ポンピング手段とを提供するステップと
(b)互いに流体連通する第1の流路及び第2の流路を備えた、回転軸の周りに回転可能な分岐素子を含む弁配列であって、それぞれが、回転可能な分岐素子の周面上に、回転軸に対して半径方向に配置された開放端を有する弁配列を提供するステップと
(c)前記ポンピング手段を作動させて、前記容器から吸引導管を介して流体製品を抽出し、前記流体製品を送出導管に送出するステップと
(d)回転可能な分岐素子を駆動して、前記分岐素子を、(i)吸引・送出導管を介して送出された流体製品を再循環導管を介して容器に再循環させる再循環位置と、(ii)前記吸引・送出導管を介して送出された流体製品を分注開口部を介して分注する分注位置とに交互に配置するステップ。
【0015】
本発明による方法は、特に、本明細書に記載された本発明の流体製品を分注するための分注機構又はそれを構成する分注機を用いて実施することができる。
本発明による流体製品を分注するための分注機構は、コンパクトで柔軟なデザインを有しており、限られた空間環境での使用を可能にし、それを含む分注機において比較的小さな体積を占めるようになっている。従って、本発明の特徴的な利点は、ハウジング内の導管及び回転可能な分岐素子の配置によって、よりコンパクトなハウジングを持つことができ、従って、当技術分野で知られている分注機構に比べてはるかにかさばらない分注機構が、例えば、かなりコンパクトな寸法を有する分注機のような限られた空間環境での使用を可能にすることである。
【0016】
本発明の構成は、さらに、オペレータが分注機構に容易に操作できるようにし、手間のかかるメンテナンス作業を回避する。本発明による分注機構と方法は、必要な量の流体製品を、信頼性、安全性、経済性の高い方法で、高い精度と速度で供給することを可能にする。また、保管時の液体製品の老化、乾燥、劣化を効率的に緩和又は防止することができ、使用時に製品を効率的に均質化し、導管を洗浄することができる。このように、本発明は、長期間使用されていない容器からでも、液体製品を高品質に送出することができ、また、容器内での保管時に液体製品の乾燥や固化などの経年変化がないか、又は限定的である。さらに、回転可能な分岐素子の構成が単純であるため、分注機構、ひいてはそれが取り付けられた分注機の制御が容易である。
【0017】
本発明に従って使用される液状製品は、特に、着色液状製品を含む液状製品か、又は着色液状製品であることができる。本発明は、それに応じて、着色製剤の調製に特に有用である。それは例えば、特に再仕上げ又は修理の目的で、例えば車両のボディを塗装するためのボディショップで、ユーザーが配合を定めた塗料配合物又はコーティング組成物を提供するために使用することができる。
【0018】
本開示のこれら及び他の任意の態様、特徴及び利点は、以下の説明、図面及び添付の特許請求の範囲を参照してよりよく理解されるであろう。本明細書に統合され、その一部を構成する図面は、本発明の実施形態のいくつかの非限定的な形態を示しており、本明細書と合わせて、本開示の原理を説明することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明による流体製品を分注するための分注機構の一実施形態の透視図であり、この分注機構は、分注機の座席に取り付けられ、容器が分注機構に取り付けられている。
【
図2】
図2は、
図1の分解透視図であり、分注機構と着座がはっきりと見える図である。
【
図3】
図3は、
図11に示された分注機の一部を後方から見た部分的かつ概略的な透視図であり、この図では、それぞれの座席に受け入れられた本発明によるいくつかの分注機構の別の実施形態が見える。
【
図4】
図4は、
図3に示された分注機構の一部及び概略断面図であり、分注機構に取り付けられる容器の一部及び分注機の一部も図示されている。
【
図5】
図5は、
図1の分注機構とそれに取り付けられる容器を、第1の縦断面に沿って撮影した断面図である。
【
図7】
図7は、第1の縦断面に直交する第2の縦断面に沿って撮影された、
図6のものとしての拡大詳細断面図である。
【
図8】
図8A-8Cは、
図7の拡大詳細図であり、その動作シーケンスを示している。
【
図9】
図9は、本発明による分注機構で使用することができる回転可能な分岐素子の代替的な変形例(
図7と同様の断面)を示す。
【
図10】
図10は、流体調整装置を有する回転可能な分岐素子を備えた本発明による分注機構の断面図である(
図5と同様の断面図である)。
【
図11】
図11は、本発明の複数の分注機構を備える、本発明による分注機の概略的な透視図である。
【0020】
理解を容易にするために、可能であれば、図面内の同一の共通要素を識別するために、同じ参照番号が使用されている。ある実施形態の要素及び特性は、さらなる明確化なしに他の実施形態に都合よく組み込むことができることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上述したように、本発明は、流体製品が例えば下の容器内に吐出されるような分注開口部を有するハウジングを含んで構成される、分注機構に関する。分注開口部は、分注機構が送出できる最大流量に応じて適切に設計及び寸法設定することができる。ハウジングは、流体製品を収納する容器のための基台を構成している。容器の形状や寸法は特に限定されるものではないが、作業者が適切に取り扱うことができ、一般的な処方目的に十分な量の流体製品を収容することができるはずである。典型的には、容器は、0.1リットルから5リットル、好ましくは0.5から2リットルの範囲の体積の流体製品を含む。本発明によれば、容器は基台に着脱可能に取り付けられ、その中に入っている流体製品が消費された後に交換又は再充填されるようになっている。例えば、基台は内部にネジが切られており、容器の首部(ネック部)と係合することができ、その首部は基台に係合するように、外側がネジ切りされている。本発明による分注機構は、ポンピング手段、特にベローズポンプ、ピストンポンプ、又はギアポンプなどの容積式ポンピング手段をさらに備えている。さらに、本発明による分注機構は、回転軸を中心に回転可能な分岐素子を含み、互いに流体連通する第1の流路及び第2の流路を備え、それぞれが回転可能な分岐素子の周面上で終端する開放端を有する弁配列を備える。本明細書において、「流体連通」という表現は、記載された要素(この場合、第1及び第2の流路)が、一方の要素(チャネル)から他方の要素に流体を通過させるような方法で互いに接続されていることを意味することを意図している。本発明によれば、分岐素子は、3方向2位置弁として機能してもよく、この場合、弁は、流体が弁に入る入口通路が、流体のための一方又は他方の出口通路と交互に連絡することに応じて、少なくとも2つの異なる構成を採ってもよい。第1の流路及び第2の流路は、回転軸に対して互いに対称な構成を有していてもよい。第1の流路と第2の流路は、中央の穴を介して流体連通し、中央の穴から接線方向に離れて互いに平行に延びていてもよい。流路は、実質的に同じ又は異なる寸法(例えば、断面)を有していてもよい。例えば、第1の流路と第2の流路は、実質的に同じ断面を有していてもよい。上記流路の開放端は、180°±5°又は180°±2°のように、互いに約180°反対側に配置されるようなそれぞれの位置で、分岐素子の周面上にあってもよい。ポンプと分流器は、それぞれのモーターで独立して駆動することができる。ポンプ及び分岐素子のモータは、分注機構によって構成されるか、又は、ポンプ及び分岐素子にそれぞれ動作可能に接続される外部要素とすることができる。例えば、モーターは、本発明の分注機構が取り付けられられている分注機によって構成されている可動式スライダーに取り付けられてもよい。このようにして、スライダを、送出される流体製品を含む分注機構と作動的に接続される位置に、時間ごとに移動させることができるので、スライダに取り付けられたモータは、ポンピング手段及び分岐素子を適切に作動させることができる。これは、たとえ複数の部品が同時に装置内に収容されていたとしても、分注機にはポンピング手段用の1つのモータと分注機用の1つのモータしか必要ないため、有利である。例えば、分注機は、本発明による複数の部品を収容することができ、例えば最大13個の分注機構を収容することができ、それらの分注機構の各々は、異なる流体製品が充填された容器を有する可能性がある。それぞれのモータに接続され、スライダに取り付けられた駆動要素が設けられてもよく、この駆動要素は、ポンピング手段又は分岐素子をそれぞれ駆動するために、分注機構の結合手段に選択的に係合するように構成される。
【0022】
本発明による分注機構は、任意に、回転可能な分岐素子の周辺表面に近接又は接触して、この表面を洗浄するためのストリップオフ要素を含んでいてもよい。好ましくは、ストリップオフ要素は、分注開口部を規定するハウジングの壁によって形成されてもよい。
【0023】
上述したように、本発明による分注機構は、さらに、吸引導管を備える。この吸引導管は、基台に設置された前記容器から流体製品を送出するためのポンピング手段の入口に接続されている。分注機構は、さらにデリバリ導管を備えている。デリバリー導管は、ポンピング手段の出口と回転可能な分岐素子とを流体的に接続する。さらに、本分注機構は、再循環導管を備える。 再循環導管は、流体製品を容器に戻すために、分岐素子を容器に流体的に接続する。再循環導管は、典型的には、分岐素子の下流に配置されている。ここで、「下流」とは、ポンプが吸引導管を介して容器から流体製品を送出することによって課せられる流れ方向の流体経路に沿って、指定された基準要素(上記の分岐素子など)に対して下位の配置を意味する。弁配列は、上記のような回転可能な分岐素子からなり、さらに1つ以上の逆止弁を含んでいてもよい。例えば、吸引導管に沿って配置された逆止弁及び/又は送出導管に沿って配置された逆止弁を含んでいてもよい。
【0024】
上述したように、回転可能な分岐素子は、少なくとも1つの再循環位置及び少なくとも1つの送出位置を有する。再循環位置では、一方の流路の開放端が送出導管の開放端に面して送出導管と流体連通し、他方の流路の開放端が再循環導管の開放端に面して再循環導管と流体連通し、流体製品を容器に再循環させる。送出位置では、一方の流路の開放端が送出導管の開放端に面し、送出導管と流体連通し、他方の流路の開放端が流体製品を送出するための送出開口部に面している。好ましくは、回転可能な分岐素子は、例えば、回転軸の周りで分岐素子が完全に回転するごとに、2つの再循環位置と2つの送出位置とを有してもよい。ここで、分岐素子は、特に、同じ角度、例えば約90°の回転によって、前記位置のうちの隣接するものの間で変化することができるように構成されていてもよい。例えば、一方の循環位置では、第1の流路が送出導管と連通し、第2の流路が再循環導管と連通し、他方の循環位置では、逆に第2の流路が送出導管と連通し、第1の流路が再循環導管と連通する。同様に、一方の送液位置では、第1の流路が送液導管と連通し、第2の流路が分注口と連通し、他方の送液位置では、第2の流路が送液導管と連通し、第1の流路が分注口と連通する。
【0025】
本発明による分注機構は、任意に、回転可能な分岐素子に取り付けられた流体調整装置を含んでいてもよい。この装置は、回転可能な分岐素子の回転時、例えば送出位置から再循環位置への変更時、又はその逆の場合に、回転可能な分岐素子の流路に含まれる流体製品の残量を制御可能に処理するように構成されている。
【0026】
例示的な態様では、流体調整装置は、分岐素子が回転軸の周りを回転している間に、例えば送出位置から再循環位置又はその逆に、後方及び前方のストロークからなる直線(並進)運動を行う。好ましい態様では、流体調整装置は、後方ストロークの間に、先行する分注段階又は再循環段階の終了時に第1及び第2の流路に存在する流体製品の液滴を吸引し、一方、前方ストロークの間に、流体調整装置は、そのような流体製品の液滴を再循環導管及び/又は送出導管に交互に送出し、特に、これらの導管のうち前記流路と流体的に接続されている一方又は他方に送出する。好ましい変形例では、分岐素子は、各サイクルで約90°回転する。流体調整装置は、回転可能な分岐素子の回転によって流体調整装置の動きが駆動されるように、分注機構的な接続によって回転可能な分岐素子に接続されてもよく、前述の直線(並進)運動を行うために、流体調整装置を直線的な並進運動に従って強制的に移動させることによって、流体調整装置の回転を防止するガイドシステムが提供される。好ましい実施形態では、分注機構的接続により、回転可能な分岐素子の回転軸に平行な流体調整装置のスライドが可能である。
【0027】
本発明によれば、分注機構は、分注機構を分注機の支持手段に取り外し可能に取り付けることを可能にするよう意図された結合部をさらに含んでいてもよい。支持手段は、本発明の分注機構を固定的に、すなわち、分注機の動作中に分注機構が実質的に移動しないように、しっかりと維持することができる。例えば、支持手段は、それぞれが前記分注機構のカップリング部分を受け入れて保持するように形成された複数の固定具を含むことができる。例えば、これに限定されることなく、ねじ込み式のカップリング、スナップフィットカップリングなど、当技術分野で知られているように、リバーシブルな取り付けを可能にする様々なタイプのカップリングを使用することができる。分注機構は、例えば、分注機構に取り付けられた容器の底部を上向きにするなど、特定の向きで固定具によって保持することができ、また、他の所望の向きで保持することができる。分注機構の結合部は、流体製品の製造業者に固有のものとすることができる。分注機構は、支持手段から取り外し可能であるため、特定の目的の製剤を調製する必要性に応じて、様々な異なる流体製品の含有ユニットを取り付けることができ、また、分注機構に取り付けられた容器の内容物が消費された後は、分注機構の交換が可能である。
【0028】
本発明によれば、組立て品は、組立て品に一義的に取り付けられ、光学式バーコードリーダーなどの検出手段によって読み取られるように構成されたIDコードをさらに備えており、このIDコードは、ポンピング手段及び分岐素子を作動させるモーターを搭載した前述の可動式スライダに取り付けられていることがある。好ましくは、IDコードは、2次元又は3次元のバーコードであり、検出手段は、当技術分野で知られているバーコードリーダーとして構成される。あるいは、検出手段は、当該技術分野で知られているRFID又はNFC技術に基づいて、各収容ユニットに一義的に関連付けられているIDコードを認識することができる適切な手段で構成することができる。検出手段は、分注機の動作を指令する主制御装置などの制御装置に動作的にリンクすることができ、これにより分注機は、どの流体製品がどの集合体に含まれているかを検出し、その情報を目的とする製剤の連続的な調製に使用することができる。制御装置は、ポンピング手段及び回転可能な分岐素子を作動させる前記モーター、スライダのスライドを駆動するアクチュエータ、及び分注機構によって送出される流体製品の量を測定することができる分注機構の測定手段(存在する場合)にも動作的にリンクすることができる。コントローラは、当技術分野で知られている1つ又は複数のプロセッサで構成することができ、これらのプロセッサは、上記の機能を実行するようにプログラムすることができる。コントローラは、ユーザが本発明による分注機構を含む分注機の動作を制御し、それによって生成される製剤を定義することを可能にするコンピュータシステムの一部であるか、又はコンピュータシステムに接続することができる。
【0029】
本発明による分注機構は、前記ポンピング手段の反対側の前面からハウジングから突出し、分注機構を扱うオペレータが把持することを意図した人間工学的なハンドルをさらに含んでもよい。
【0030】
以上のように、本発明は、流体製品を分注するための分注機に関するものである。分注機は、本発明による少なくとも1つの分注機構を備えている限り、当該技術分野で知られている任意のタイプのものとすることができる。本発明の分注機構と共に使用することができる適切な分注機の例は、例えば、イタリア特許出願No.IT2018000006154(同じ出願人によって出願された)に開示されている。例えば、分注機は、リニアサポート手段に沿って取り付けられた本発明の複数の部品を含んでいてもよい。上述したように、さらに、分注機構と動作可能に接続される位置に移動されたときに、例えばリニアサポート手段と平行に延びるレールに沿って、ポンピング手段及び/又は回転可能な分岐素子を駆動して、それぞれの流体製品の分注及び/又は再循環を制御するために、その上に取り付けられた少なくとも1つのモータを有する可動式スライダを含んでいてもよい。上述したように、分注機は、さらにオプションとして、少なくとも1つの分注機構に設けられたIDコードを読み取るための、光学式バーコードリーダーなどの検出手段を備えていてもよい。検出手段は、好ましくは、可動式スライダに取り付けられていてもよい。
【0031】
次に、図面を参照して、全体を参照番号11で示す、本発明に係る流体製品を分注するための例示的な分注機構について説明する。添付の図に描かれている分注機構及びその構成要素は、本発明の説明のためのものであり、その限定として理解されてはならない。例えば、ある実施形態の一部である限り、示された又は説明された特性は、他の実施形態に採用され、又は他の実施形態と関連して、別の実施形態を作り出すことができる。本発明は、そのようなすべての変更及び変形を含むものと理解される。
分注機構11は、基台42を介して分注機構11に着脱可能に取り付けられている容器12から引き出された一定量の流体製品を送出することができる。
【0032】
容器12は、一例として、100mLから5リットルまでの範囲の容積を有することができ、例えば、0.5リットル、1リットル、又は2リットルの着色液製品がある。
本発明による分注機構11は、連結部14を備えており、この連結部を介して、例えば
図3にそのような分注機構の一部が描かれているように、分注機構を分注機の支持手段に固定することができる。
【0033】
支持手段は、1つ以上の固定具13を含んでいてもよい。各固定具13は、それぞれの分注機構11の結合部14を受け入れて保持するようになっている。
【0034】
固定具13は、固定具13への分注機構の挿入及び固定具13からの分注機構の取り外しの際に、横方向のガイドとして機能し、同時に分注機構を下方及び側方から支持する一対の支持要素15A,15Bを含んでいてもよい。これを行うために、支持要素15A,15Bは、固定具13の側面及び少なくとも部分的に底面を囲むように形成されている。
固定具13は、支持要素15A,15Bに固定され、そこから上方に突出する補助支持部材18をさらに含んでいてもよい。補助支持部材18は、
図4~7の断面図を特に参照して以下でよりよく説明するように、分注機構に構成された基台42と係合するように構成されている。4-7. 例えば、補助支持部材18は、分注機構11の挿入又は取り外しの際に、基台42に対して交互にスナップしたり、基台42から離脱したりするために、一定の弾性を有する2つのアーム18A,18Bで構成されていてもよい。
【0035】
図3では、細長く、特に長手方向Xに平行な方向に直線的に延びる支持手段を備えた分注機10の一部が示されている。この図では、6つの固定具13が6つの分注機構11を保持及び支持する様子が示されている。
分注機の図示された例示的な部分によれば、スライダ20(
図3及び4)が設けられており、スライダ20のガイド手段を規定するリニアガイド21,22(
図3)上で移動可能である。
【0036】
スライダー20は、例えば、上側のガイド21aと下側のガイド21bの両方に取り付けられていてもよい。
【0037】
オプションとして、スライダ20は、上下のガイド21a,21bと平行に延び、それらの間に配置された電動ガイド22にも取り付けられていてもよい。駆動モータ23は、電動ガイド22に取り付けられており、リニアガイド21,22に沿ったスライダ20の移動を引き起こす。
【0038】
リニアガイド21,22により、スライダ20は、長手方向Xに平行にスライドすることができる。
【0039】
描かれた例では、分注機10は、送出された流体製品の量を計量するのに適した計量手段の非限定的な例として、デジタルスケール16をさらに備えている。
スケール16は、スライダ20上に配置され、その上に容器80を配置することができる支持面17を構成してもよく(
図11)、その内部には、所望の製剤を得るために異なる流体製品が送出される。
【0040】
本発明によれば、容器は、例えば、缶、カップ、その他の容器であり、上部が開いており、実質的に円筒形又は切頭円錐形の形状をしており、予想される量の所望の製剤を含むのに適した容量を有している。
【0041】
図3に示すように、スライダ20と、それとともにスケール16と、支持面17上に置かれた容器は、すべての分注機構11の下に移動して、関係する分注機構の1つ又は複数によって所望の色調を得るために必要な送出された流体製品を受け取ることができる。
【0042】
図4でよく見えるように、スライダ20には、第1のモータ46と第2のモータ55が取り付けられている。第1のモータ46は、分注機構11のポンピング手段45を駆動するように構成されており、一方、第2のモータ55は、分注機構11の弁配列に構成された回転可能な分岐素子53を駆動するように構成されている。
【0043】
例えば、第1のモータ46は、コマンドピン47を垂直軸Zの周りに回転させることができる。コマンドピン47の回転は、以下でより詳細に開示される方法で、ポンピング手段45を作動させる。
【0044】
第2モータ55は、シャフト59を回転させることができ、このシャフトは、駆動シャフト56に接続されて後者を回転させる。駆動軸は、回転可能なディバーティング要素53に分注機構的に接続されており、後者の制御された回転を引き起こす。一実施形態では、シャフト59,56の回転は、シャフト59に取り付けられているポールホイール60の回転量を読み取るセンサ(図示せず)によって制御される。このようにして、回転可能な分岐素子53の回転を、非常に信頼性の高い正確な方法で制御することが可能である。
有利なことに、各分注機構11にはモータ手段がないことに留意すべきである。実際、流体製品が特定の分注機構11から送出される際には、モータ手段46,55を搭載したスライダ20が後者に対応して配置される。このようにして、同じモータ46が、流体製品が送出されるべき分注機構11に構成されたポンプ分注機構45に、時間ごとに動作的に取り付けられる。
【0045】
実際、モータ46は、一度に1つのポンプ組立体45と分注機構的に接続され、このポンプ組立体45に流体製品を送出させるために使用される。
【0046】
本発明による分注機は、オプションとして、各分注機構11に一義的に関連付けられた識別コードを検出するように構成された光学検出手段を定義する光学リーダ57を含んでいてもよい。光学リーダ57は、任意に、
図4で見えるように、スライダ20上に配置されてもよい。
【0047】
光学リーダ57は、例えば、当技術分野で既知のバーコードリーダであってもよい。
各分注機構11に一義的に関連付けられた前記識別コードは、容器12に収容された流体製品の識別ラベルとして構成されてもよい。例えば、
図1及び
図2に見えるように 例えば、
図1及び
図2に見えるように、本発明による分注機構11は、容器12の前に配置され、前記識別ラベルを受け取るように構成された前壁43を備えている。
図1及び2に示すように、分注機構11は、オペレータが分注機構11を容易に把持することを可能にするハンドル58をさらに含んでもよい。
【0048】
特に、
図5~7及び8A~8Cを参照してください。次に、
図5~7及び8A~8Cを特に参照して、本発明による分注機構11及びその動作についてより詳細に説明する。
【0049】
分注機構11は、流体製品を下の容器に送出することができる分注開口部40を有するハウジング44を備える。また、ハウジング44は、前述の基台42を備えており、この基台42の内部には、容器12を解放可能に受け入れるためのねじ込み式の内部空洞42Aが画定されている。この目的のために、容器12は、容器12をねじ山付きの内部空洞42A内にねじ込むことができる、外部にねじ込まれた首部12Aを備える。
典型的には、容器12は、首部12Aが下を向き、底部が上を向くように、上下逆に配置される。
【0050】
上述したように、分注機構11は、当技術分野で知られているタイプのポンピング手段45をさらに備えており、この理由から、ここでは詳細に説明しない。添付の図に示す例示的な実施形態では、ポンピング手段45は、
図5の双方向矢印Fで示すように、ポンピング要素を交互に前後に移動させるベローズポンプとして構成されている。
ここで説明した図示の例によれば、ハウジング44内には、複数の導管49,50,52が存在する。
【0051】
本発明によれば、分注機構は、容器12から流体製品を送出するためにポンピング手段45の入口に接続された吸引導管49と、ポンピング手段45の出口と前述の回転可能な分岐素子53とを流体的に接続する送出導管50と、流体製品を容器12に戻すために回転可能な分岐素子53と容器12とを流体的に接続する再循環導管52とを備えている。好ましくは、再循環導管52は、流体経路の流れを参照して、分岐素子53の下流側に配置される。
【0052】
ここで説明した例示的な実施形態によれば、分注機構は、ハウジング44の適切な位置に配置された複数の弁要素からなる。
【0053】
従って、逆止弁51は、吸引導管49と送出導管50の両方に設けられ、これらの導管に沿って容器12への流体製品の望ましくない逆流を防止する。この実施形態では、流体製品は、このようにして、吸引導管49に沿って容器12からポンピング手段45まで移動し、送出導管50に沿ってポンピング手段45から分岐素子53まで移動することができる。
本実施形態によれば、
図6でよくわかるように、逆止弁51は、それぞれの弁が取り付けられている導管の長手方向の軸に沿って移動可能なブロッキングピン61を備えている。ブロッキングピン61は、通常、決められた弾性力を発揮するように適切に寸法設定されたスプリング63によって、そのシート62に押し付けられた状態になっている。流体製品の流れがそれぞれの逆止弁51に到達すると、ばね63の弾性力に打ち勝って阻止ピン61をその座部62から離し、流体製品の通過を可能にするようになっている。
【0054】
上述したように、本発明による分注機構11は、ハウジング44内に受容された弁要素の1つとして構成された、回転可能な分岐素子53を備える。
一実施形態では、分岐素子53は、水平軸Yに実質的に平行又は対応する回転軸Rの周りに回転可能である。
一実施形態では、分岐素子53は、球形又は円筒形の形状を有する。
分岐素子53は、中心孔64によって互いに流体的に接続された第1の流路A及び第2の流路Bを備える。
【0055】
添付の
図7及び8A~8Cに示す実施形態では、流路A,Bは、互いに平行に延び、中央孔64から接線方向に離れる。これらは、回転軸Rに対して対称性のある構成に従って配置されていることに留意すべきである。
好ましくは、流路A,Bは、回転軸Rに対して垂直な方向に延びている。
流路A,Bは、中央孔64と、回転可能な分岐素子53の周面65上で終端するそれぞれの端部66との間に延びている。上述した流路A,Bの配置に起因して、2つの流路A,Bの端部66は、180°±5°又は180°±2°など、約180°だけ互いに反対側に配置されていることに留意すべきである。
【0056】
図9に示す分岐素子53の例示的な具体的構成によれば、流路A,Bは、互いに正確に整列するように、中央孔64の反対側から出発する。この変形例では、流路A,Bは、同じ展開軸Kに沿って延びており、一方は他方の直線的な延長である。
図10に示すように、回転可能な分岐素子53は、任意に、流体調整装置76を少なくとも部分的に収容するように構成されたソケット75を含んでいてもよい。
図10に描かれている流体調整装置76は、ソケット75の内部に収容され、分岐素子53の流路A,Bと流体連通する近位端76aと、分岐素子53の外部に突出する遠位端76bとを備える。遠位端76bは、ハウジング44に作られているそれぞれの穴77の中に受け入れられる。近位端76aは、回転軸R(
図10の水平軸Yと一致)を中心とした後者の回転が流体調整装置76にも運動を伝達するように、分岐素子53との分注機構的接続を規定するように形成されている。この目的のために、例えば、近位端76aにキーを取り付けることができ、あるいは、同等に、近位端76aの周方向の周面の少なくとも一部がキーとして機能するように形成されている。流体調整装置76に係合するガイドピン78が設けられており、流体調整装置76に軸方向の動き(すなわち、水平軸Yに沿った動き)を付与するように構成されている。一つの可能な実施形態では、ガイドピン78は、流体調整装置76に所望の軸方向の動きを与えるシステムカムフォロワーを定義するように、整形された経路(図には示されていない)の内部を移動する。言い換えれば、流体調整装置76は、分岐素子53との間の分注機構的接続により、一緒に回転する傾向があるが、流体調整装置76の回転は、ガイドピン78の分注機構的拘束により阻止され、ガイドピン78は、成形された経路内を移動することにより、流体調整装置76に前後の直線運動を与え、回転運動を並進運動に変換する。流体調整装置76の機能については、以下の組み立て作業の説明の中で、より詳細に説明する。
【0057】
なお、
図10では、流路A及びBは、
図9の構成で示されているが、
図7に示されている同等の構成のいずれかを想定することも可能であることは明らかである。
動作時には、スライダ20は、例えば上で説明した方法で、分注が行われるべき分注機構11に動作的に接続される位置にもたらされる。ここで、第1モーター46は、コマンドピン47を垂直軸Zの周りで回転させて、フィン48を順番に回転させる。なお、ベローズポンプの後方移動と前方移動は、コマンドピン47(従ってフィン48)を反対の回転方向、すなわち時計回りと反時計回りに回転させることで得られる。
上述のように作動したポンピング手段45は、容器12から一定量の流体を引き出す。ベローズの各ストロークごとに取り出される流体の量は予め決められており、ポンプのサイズと寸法の関数である。
【0058】
容器12から出た流体製品は、吸引導管49に入り、矢印F1で示すように後者に沿って移動する(
図5及び6)。その後、流体製品は、吸引導管49に沿って取り付けられた逆止弁51に到達し、ポンピング手段45の上流に位置する。
ポンピング手段45に到達すると、流体製品はその移動方向を変えて、矢印F2で示すように送出導管50(
図6及び
図7)に入り、この導管に取り付けられた逆止弁51を通過する。この後、流体製品は分岐素子53に到達し、この分岐素子によって、以下でより詳細に説明するように、再循環導管52又は分注開口部40のいずれかに交互に分流することができる。
【0059】
図7及び
図8Bに示す構成を参照すると
図7及び
図8Bの矢印F3で示すように、分岐素子53は、流体製品を容器12に再循環させるために、送出導管50が再循環導管52と流体接続する再循環位置Oに配置される。
あるいは、
図8A及び
図8Cに示す構成を参照すると また、
図8A及び
図8Cに示す構成を参照すると、分岐素子53は、流体製品を分注するために送出導管50が分注開口部40と流体接続する送出位置Iに配置される。
【0060】
再循環位置Oでは、一方の流路の開放端66は、送出導管50と流体連通するように、送出導管50の開放端に面し、他方の流路の開放端66は、後者と流体連通するように、再循環導管52の開放端に面している。
送出位置Iでは、流路の一方の開放端66は、送出導管50と流体連通するように、送出導管50の開放端に面しており、他方の流路の開放端66は、分注開口部40に面している。
【0061】
一実施形態では、回転可能な分岐素子53は、その回転軸Rの周りの分岐素子53の各完全な回転ごとに、2つの再循環位置O及び2つの送出位置Iを有し、この実施形態では、分岐素子53は、続いて前記各位置に到達するために、同じ角度、例えば時計回り方向に約90°回転させられる。
【0062】
下の表は、回転軸Rの周りを1回完全に回転する間に分岐素子53が到達する位置の順序をまとめたものである。 回転可能な分岐素子53の動作は周期的であり、最初から約270°回転した
図8Cに示す位置の後、分岐素子53は、丸い角度360°の回転が完了した
図7の初期位置に戻ってくることが明らかである。
このように、第1列及び第3列(
図7及び
図8B)に示された状態では、分岐素子53は上で定義した再循環位置Oにあり、一方、第2列及び第4列(
図8A及び
図8C)に示された状態では、分岐素子53は送出位置Iにある。
流体流入」に対応する列に示された流路は、送出導管50に面しており、「流体流出」の列に示された流路は、再循環導管52(表の第3列)又は分注開口部40(表の第4列)に交互に面している。
【0063】
【0064】
流路A,Bは、流体製品を分岐素子53の中に、又は外に無頓着に導くことができることに留意すべきである。従って、流体製品は、流路Aによって分岐素子53に入り、流路Bによって同じ要素から出ることができ、又はその逆も可能である。
【0065】
これは、分岐素子53のある位置から別の位置への移動を最小限にし、分岐素子53の制御を非常に容易にするので有利である。これはまた、分岐素子53が非常に単純で安価であるために有利である。
本発明のいくつかの実施形態では、流路A,Bの直径、従ってそれらの開放端の直径も、送出ステップ中の分注された流体製品の所望の流量の機能で較正される。
添付の図に示すように、流路A,Bは、同じ寸法及び/又は形状を有していてもよい。しかし、流路A,Bは、互いに異なる寸法及び形状を有していてもよい。特定の変形例では、流路A,Bは、実質的に同じ断面を有しており、すなわち、断面積が同じであるか、又は5%未満の差である。
【0066】
図5Aの拡大図でよくわかるように、分注機構11は、分岐素子53の周面65に近接しているか、又は周面65と接触しているストリップオフ要素41をさらに含んでいてもよい。ストリップオフ要素41は、回転軸Rの周りの分岐素子の回転中に分岐素子の周辺表面65を擦ることが可能な分注機構的作用を及ぼすことによって、分岐素子の周辺表面65を清掃するための手段として機能する。これは、汚れ又は可能な限り乾燥した流体製品の残留物がストリップオフ要素41によって分岐素子の周辺表面65から連続的に除去され、前記外部表面が清掃された状態に維持されるので、有利である。可能な一実施形態では、ストリップオフ要素41は、リング状に形成され、分注機構11の底部に作られた空洞67に受け入れられる。支持部材68は、支持部材68の下方にあるバネ部材69の存在により、ストリップオフ要素41を空洞67内に弾性的にロックする。好ましくは、ばね部材69は、その弾性力により、支持部材68と、支持部材68を介してストリップオフ要素41とを連続して上方に押し上げ、ストリップオフ要素41をディバーティング要素53の周辺表面65に常に近接させる皿ばねである。可能な実施態様では、分注機構11は、空洞67を閉鎖し、分岐素子53、ストリップオフ要素41,及び部材68、69を保護するカバー要素73を備え、これらは、そうでなければ、分注機構11の底面側ですべて外部に露出することになる。一例として、カバー要素73は、ネジなどの締結手段によって分注機構11に固定することができる。カバー要素73には、分注時に流体製品を通過させるように構成された穴74が設けられている。分注時には、穴74は、流体製品を分注口40に導く流路A,Bと実質的に一致する。
【0067】
流体調整装置76が設けられている
図10の例示的な実施形態を参照すると、分岐素子53の90°回転の間、流体調整装置76は、最初に、
図10の矢印Sで示される方向に移動する後方ストロークを行い、続いて、
図10の矢印Dで示される反対方向に移動する前方ストロークを行う。なお、流体調整装置76が全体的にソケット75内に受容されている状態であっても、流路A,B間の流体連通を確保するために、中心孔64に最も近いソケット75の部分には、チャンバ79が画定されている。流体調整装置76の後退ストロークSの間、チャンバ79は、流路A,Bから吸い込まれる一定量の流体を収容するようにその容積を増加させる。続く前進ストローク(矢印D)の間、流体調整装置76は、チャンバ79内に存在する流体を、送出導管50又は再循環導管52、あるいはその両方に交互に送出する。特に、チャンバ79内に存在する流体は、流路/A及び/又はBを介してチャンバ79と流体連通する導管/Sに送出される。
【0068】
流体が分注開口部40を介して分注されている間、流体調整装置76は、分岐素子53が安定しているため、不活性であることに留意すべきである。実際、流体調整装置76は、過渡的な段階、すなわち、
図7及び8A~8Cに示す4つの異なる位置に一度に到達する間の分岐素子53の回転の間にのみ動作する。この実施形態は、流体調整装置76が、分注段階が終了した後に分注要素53内に残っている流体の最後の滴を吸って、これらの流体の滴を、ハウジング44内に作られた流路50,52のうちの1つに戻すので、有利である。
【0069】
このようにして、本実施形態の分注機構11では、分注終了後に余分な液滴が落ちるのを防ぎ、より正確な分注を行うことができる。有利なことに、これにより、分注機構11自体をより清潔に保つことができ、期待される計量量の流体製品を非常に正確かつ確実に分注することができる。
【0070】
分注機10は、図には示されていないが、当技術分野で既知のタイプのコントローラをさらに含んでいてもよい。
【0071】
制御装置は、例えば駆動モータ23として具現化された作動手段、及び/又は例えばデジタルスケール16として具現化された計量手段、及び/又は例えばポンプ分注機構45として具現化された送出手段に動作的にリンクされていてもよい。使用時には、コントローラは、デジタルスケール16によって計量されたそれぞれの分注機構11から分注された流体製品の量を受け取るために、スライダ20を介して容器を1つ以上の分注機構11の下の分注位置に順次移動させ、ユーザ定義のレシピに従って製剤を製造するように、作動手段に命令するように構成されている。このようにして、便利で効率的な方法で、ユーザー定義のレシピに従って、多数の異なる流体成分から複雑な製剤を調製することができる。本発明は、特にカラー製剤の調製に有用である。例えば、ユーザー定義の塗料配合物を提供するために使用することができ、特に再仕上げ又は修理の目的で、例えば、車両のボディを塗装するためのボディショップで使用することができる。
【0072】
本発明による少なくとも1つの分注機構11を含む流体製品を分注するための分注機の一例が
図11に示されており、分注機は全体的に参照番号10で示されている。
分注機10は、上で開示され、
図1及び
図2に示されているように、複数の部品11を支持するために前述の支持手段が配置されている分注ゾーン70を備える。この例示的な分注機構では、スケール16及び容器を運ぶスライダ20は、長手方向Xに平行に、分注ゾーン70内をスライドして、前記支持手段に配置された分注機構11の実質的に垂直な下方にある送出位置に至る。
図11に示す分注機10では、支持手段は、一例として、破線の長方形で強調された列に沿って隣接して配置された最大13個の分注機構11を支持するように構成されてもよい。塗布装置10は、主キャビネット71と、主キャビネット71の例えば右側に、後者に対して角度をつけて配置された副キャビネット72とを備えている。主キャビネット71と副キャビネット72の両方には、複数の部品11を収納するように構成されたいくつかの収納ゾーンが設けられており、その中から分注ゾーン70の支持手段に配置されるものを選択することができる。メインキャビネット71のストレージゾーンでは、分注ゾーン70に配置された分注機構11の列の上下に、長手方向Xに平行に延びる一種の支持棚を定義するように、分注機構11を互いに隣接して配置することができる。また、二次キャビネット72の収納ゾーンは、複数の支持棚として構成することができ、それぞれが例えば5つの分注機構11を支持する。収納ゾーンのおかげで、分注機10は、多数の分注機構11,例えば、50から80の分注機構11を収納することができる。
上述したように、本発明は、流体製品を分注するための方法にも向けられている。
【0073】
この方法は、前述の分注機の好ましい動作モードに従って、以下のように構成される。
(a)分注開口部40を有し、流体製品を含む容器12のための基台42を構成するハウジング44と、ポンピング手段45とを提供すること。
(b)互いに流体連通する第1の流路A及び第2の流路Bを備え、回転軸Rを中心に回転可能な分岐素子53と、回転可能な分岐素子53の周面65に回転軸Rに対して半径方向に配置された開放端66とを備えた弁配列を提供し
(c)基台42上に設置された前記容器12から流体製品を送出するために、ポンピング手段45の入口に接続された吸引導管49を介して容器から流体製品を抽出し、ポンピング手段45の出口と回転可能な分岐素子53とを流体的に接続する送出導管50に流体製品を送出するように、前記ポンピング手段45を作動させるステップと
(d)回転可能な分岐素子53を駆動して、一方の流路の開放端66が送出導管50の開放端と整列し、他方の流路の開放端66が、流体製品を容器12に戻すために分岐素子53と容器12とを流体的に接続する再循環導管52の開放端と整列する、1つの再循環位置Oに交互に配置するステップと 又は、一方の流路の開放端66が送出導管50の開放端と整列し、他方の流路の開放端66が流体製品を分注するための分注開口部40と整列する、1つの送出位置Iにある。
【0074】
この方法は、回転可能な分岐素子53を上で定義したような再循環位置Oに持っていき、ポンピング手段を操作して、吸引導管49を介して流体製品を容器12から取り出し、流体製品を分注する前に、再循環導管を介して容器に再循環させることを含むことができる。分注前のこのような再循環は、例えば、容器が新たに設置されたとき、又はしばらくの間使用されなかった後、例えば、所定の期間にわたってそこから流体製品が分注されなかったときに行うことができる。従って、流体製品を効率的に均質化し、使用前に回転可能な分岐素子53の流路をパージするために、所定の時間、例えば1分以下の時間、流体製品を再循環させることができる。このような操作では、廃棄物は発生しない。流体製品が搭載された分注機構及び容器の状態及び履歴に関する情報は、例えば、特定の分注機構が分注機の駆動手段と作動的に接続され、上述したように可動式スライダに取り付けられたバーコードリーダなどの検出手段によって識別されたときに、記憶され、それに応じて作用することができる。また、本発明によれば、保管時の流体製品の相分離、凝集、沈降、又はその他の種類の経年劣化を回避又は打ち消すために、流体製品の後続の分注を伴わない再循環を、例えば所定の間隔で行うことも可能である。
【0075】
送出サイクルの終わりに、分注されるべき量が容器に送出されたとき、分岐素子53内に流体製品が残っている可能性があり、例えば分注機構的な撹拌(回転時)によって分岐素子53からこの材料の液滴が放出されることによる過剰投与の危険性がある。これは、再循環位置への切り替え時に、分岐素子53内の残留流体製品を一時的に(吸引によって)引き込み、その後、上述したように再循環及び/又は送出導管に排出する流体調整装置76の作用によって防止することができる。従って、本発明の方法では、前記回転軸の周りの前記分岐素子53の前記駆動中に、前記回転可能な分岐素子53に関連する流体調整装置76が、前記第1及び第2の流路A,B内に存在する流体製品の滴をそれぞれ吸引し、そのような流体製品の滴を前記再循環導管52及び/又は前記送出導管50に向けて送出するために、後方及び前方のストロークを行ってもよい。
【0076】
本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、先に説明したような分注機構及び/又は分注機構に対する部品の修正及び/又は追加が可能であることは明らかである。
本発明は、いくつかの具体的な例を参照して説明されたが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載されたような特性を有する、流体製品を分注するための分注機構又は方法の多くの他の同等の形態を実現することができることは確実であり、従って、すべてがそれによって定義される保護の分野内に入る。
【国際調査報告】