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特表2022-538785ポリマーブレンド組成物で作られた分解性押出ネット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(54)【発明の名称】ポリマーブレンド組成物で作られた分解性押出ネット
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20220830BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20220830BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20220830BHJP
   C08L 101/16 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
C08L67/04 ZBP
C08L67/02
C08K5/098
C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573810
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020037388
(87)【国際公開番号】W WO2020252233
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】62/860,931
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521518057
【氏名又は名称】エスヴェーエム ルクセンブルク
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】カーク ジェフリー デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
4J002AE053
4J002CD013
4J002CD163
4J002CF03X
4J002CF05X
4J002CF18W
4J002EG047
4J002ER006
4J002FD197
4J002FD203
4J002FD206
4J002GA00
4J200AA04
4J200AA06
4J200BA14
4J200BA19
4J200BA20
4J200CA06
4J200DA01
4J200EA07
4J200EA11
(57)【要約】
本開示は、複数の相互接続したストランドを含み、ストランドの少なくともいくつかがポリマーブレンドで作られ、ポリマーブレンドはポリ乳酸ポリマー組成物、ポリブチレンスクシナート、及び分解添加剤を含み、分解添加剤は担体樹脂中の分解剤を含む、分解性押出ネットに関する。本開示は、該分解性押出ネットを用いた芝草ソッド及び芝草ソッドの調製方法にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の相互接続したストランドを含む分解性押出ネットであって、前記ストランドの少なくとも一部がポリマーブレンドで作られ、前記ポリマーブレンドが、
約40質量%~約60質量%の範囲の量のポリ乳酸組成物;及び
約40質量%~約60質量%の範囲の量のポリブチレンスクシナート組成物
を含む、分解性押出ネット。
【請求項2】
約0.1質量%~約5質量%の範囲の量で分解添加剤をさらに含む、請求項1に記載の分解性押出ネット。
【請求項3】
前記ポリマーブレンドが、
約48質量%~約52質量%のポリ乳酸組成物;及び
約48質量%~約52質量%のポリブチレンスクシナート組成物
を含む、請求項1に記載の分解性押出ネット。
【請求項4】
約0.1質量%~約5質量%の範囲の量で分解添加剤をさらに含む、請求項3に記載の分解性押出ネット。
【請求項5】
前記分解添加剤が、担体樹脂中の金属カルボン酸塩を含む、請求項1に記載の分解性押出ネット。
【請求項6】
前記分解添加剤が、担体樹脂中のステアリン酸鉄を含む、請求項1に記載の分解性押出ネット。
【請求項7】
前記ポリ乳酸組成物が、植物デンプン由来の1種以上のポリ乳酸ポリマーを含む、請求項1に記載の分解性押出ネット。
【請求項8】
約5質量%の量で分解添加剤をさらに含む、請求項1に記載の分解性押出ネット。
【請求項9】
約3質量%の量で分解添加剤をさらに含む、請求項1に記載の分解性押出ネット。
【請求項10】
前記ポリブチレンスクシナート組成物が脂肪族ポリエステルを含む、請求項1に記載の分解性押出ネット。
【請求項11】
第1の側面と、前記第1の側面と反対側の第2の側面とを有する、請求項1に記載の分解性押出ネット;及び
前記ネットの前記第1の側面に固定された第1の材料層
を含む、複合体。
【請求項12】
分解性押出ネットの調製に適したポリマーブレンド組成物であって:
約55質量%~約60質量%の範囲の量のポリ乳酸組成物;
約35質量%~約40質量%の範囲の量のポリブチラート組成物;
約0.5質量%~約3質量%の範囲の量の相溶化剤組成物;及び
約2質量%~約7質量%の範囲の量の分解添加剤
を含む、前記ポリマーブレンド組成物。
【請求項13】
約52質量%~約58質量%のポリ乳酸組成物;
約38質量%のポリブチラート組成物;
約2質量%のポリ乳酸-ポリブチラート相溶化剤;及び
約2質量%~8質量%の分解添加剤
を含む、請求項12に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項14】
約55質量%~約57質量%のポリ乳酸組成物;及び
約3質量%~約5質量%の分解添加剤
を含む、請求項13に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項15】
前記分解添加剤が、担体樹脂中の金属カルボン酸塩を含む、請求項12に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項16】
前記分解添加剤が、担体樹脂中のステアリン酸鉄を含む、請求項12に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項17】
前記ポリブチラート組成物が、1種以上のポリブチラートアジパートテレフタラート(PBAT)ポリマーを含む、請求項12に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項18】
前記ポリ乳酸組成物が、植物デンプン由来の1種以上のポリ乳酸ポリマーを含む、請求項12に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項19】
前記相溶化剤組成物が、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ化綿実油(ECSO)、又はマレイン化綿実油(MCSO)から選択される相溶化剤を含む、請求項12に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項20】
前記分解添加剤が、担体樹脂中のステアリン酸鉄及びステアリン酸マンガンを含む、請求項12に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項21】
前記分解添加剤が、約2.5%の量でステアリン酸鉄及び約2.5%の量でステアリン酸マンガンを含む、請求項12に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項22】
分解性押出ネットの調製に適したポリマーブレンド組成物であって:
約55質量%~約60質量%の範囲の量のポリ乳酸組成物;
約35質量%~約43質量%の範囲の量のポリブチラート組成物;及び
約2質量%~約7質量%の範囲の量の分解添加剤
を含む、前記ポリマーブレンド組成物。
【請求項23】
約58質量%のポリ乳酸組成物;
約40質量%のポリブチラート組成物;及び
約2質量%の分解添加剤
を含む、請求項22に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項24】
前記分解添加剤が、担体樹脂中の金属カルボン酸塩を含む、請求項22に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項25】
前記分解添加剤が、担体樹脂中のステアリン酸鉄を含む、請求項22に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項26】
前記ポリブチラート組成物が、1種以上のポリブチラートアジパートテレフタラート(PBAT)ポリマーを含む、請求項22に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項27】
前記ポリ乳酸組成物が、植物デンプン由来の1種以上のポリ乳酸ポリマーを含む、請求項22に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項28】
土壌で育てられた芝草と、
前記土壌中の分解性押出ネット
とを含む芝草ソッドであって、前記ネットが、複数の相互接続したストランドを含み、前記ストランドの少なくとも一部がポリマーブレンドで作られ、前記ポリマーブレンドが、
約40質量%~約60質量%の範囲の量のポリ乳酸組成物;及び
約40質量%~約60質量%の範囲の量のポリブチレンスクシナート(PBS)組成物
を含む、前記芝草ソッド。
【請求項29】
約0.1~約5質量%の範囲の量で分解添加剤をさらに含む、請求項28に記載の芝草ソッド。
【請求項30】
前記分解添加剤が、担体樹脂中のステアリン酸鉄を含む、請求項28に記載の芝草ソッド。
【請求項31】
ソッドの生育方法であって、
ネット材料を土壌に供給すること;並びに
前記土壌で芝草作物を栽培すること
を含み、前記ネット材料が、複数の相互接続したストランドを含み、前記ストランドの少なくとも一部がポリマーブレンドで作られ、前記ポリマーブレンドが、
約40質量%~約60質量%の範囲の量のポリ乳酸組成物;
約40質量%~約60質量%の範囲の量のポリブチレンスクシナート(PBS)組成物;及び
約0.1質量%~約5質量%の範囲の量の分解添加剤
を含む、前記方法。
【請求項32】
前記分解添加剤が、担体樹脂中のステアリン酸鉄を含む、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全ての目的で参照することによりその開示全体を本明細書に援用する2019年6月13日に出願された米国仮特許出願第62/860,931号の利益を主張する。
背景
本開示の分野は、押出プラスチックネットに関し、さらにいっそう詳細には、芝草ソッド(sod)と共に使用するための複数の相互接続したストランドを含む分解性押出ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
芝草ソッドの従来の生育方法では、芝草の実を土壌に植え付ける。切断時にソッドが密着性カーペット様マットとして固結するように根が十分に織り合わされるまで芝草作物を栽培した後、ソッドを剥がすか又は転がして基礎土壌から除去することができる。しばしば、土壌層にネット等の合成構造体を含めて、収穫後にソッドを無傷かつ密着性に保つのを助ける。
押出プラスチックネットは、腐食制御用途、つる性植物の支持ネット、バリアフェンス、ツリーガード、芝草ソッドネット等の多くの商業用途に利用される。現在、プラスチックネットを製造するための典型的な押出プロセスは、相互接続する網状構造の個々のプラスチックストランドを押し出してネット様構造体を形成することを含む。従来のプラスチックネット及びその製造方法は、米国特許第3,700,521号;米国特許第3,767,353号;米国特許第3,723,218号;米国特許第4,123,491号;米国特許第4,152,479号及び米国特許第4,190,692号に開示されており、参照することによりそれらの完全な開示内容全体をここに援用する。
【0003】
既存のプラスチックネットは、典型的に金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル等のような非腐食性、耐摩耗性、耐薬品性及び/又は丈夫な種々のベース樹脂から製造される。押出プロセス中に着色剤及び添加剤を導入して、明白な色又は特性、例えば、紫外線による劣化に対する安定化をもたらすこことができる。
既存のプラスチックネットの欠点の1つは、これらのネットを作るために使用する材料が一般的に分解性又は再生可能でないことである。従って、それらはより大きいごみ埋め立て地を消費し、望まれるより多くの危害を環境にもたらす。
従って、再生可能資源由来の容易に加工できる分解性材料で製造される、許容できる機械的強度を有する改善された押出ネットを提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0004】
概要
請求項に記載の対象のいくつかの態様の基本的理解を提供するため、請求項に記載の対象の簡単な概要を以下に示す。この概要は、請求項に記載の対象の広範囲に及ぶ全体像ではない。請求項に記載の対象の鍵となる又は重大な意味を持つ要素を特定する意図ではなく、請求項に記載の対象の範囲の輪郭を描く意図でもない。その唯一の目的は、請求項に記載の対象のいくつかの概念を、後述するより詳細な説明への前置として簡単な形で提示することである。
【0005】
本開示は、複数の相互接続したストランドを含む分解性押出ネットに関する。ネットのストランドの少なくとも一部は、ポリ乳酸組成物、及びポリブチレンスクシナート組成物を含むポリマーブレンドで作られる。特定実施形態では、ポリマーブレンドは、分解添加剤をさらに含む。ネットのストランドの少なくともいくつかは、ポリ乳酸組成物、ポリブチラート組成物、ポリ乳酸-ポリブチラート相溶化剤組成物、及び分解添加剤を含むポリマーブレンドで作られる。分解添加剤は、担体樹脂中の分解剤を含んでよい。
【0006】
特定実施形態では、ポリマーブレンドは、約40質量%~約60質量%の範囲の量でポリ乳酸組成物、及び約40質量%~約60質量%の範囲の量でポリブチレンスクシナート(PBS)を含有する。ポリマーブレンドは、さらに約0.1質量%~約5質量%の範囲の量で分解添加剤を含む。
ポリ乳酸組成物は、少なくとも一部はラクチド又は乳酸由来の1種以上のポリマーを含んでよく、本明細書では該ポリマーをポリラクチド又はPLAと総称する。特定実施形態では、ポリ乳酸組成物は、植物デンプン由来の1種以上のポリ乳酸ポリマー、例えばトウモロコシ等の再生可能資源由来の直鎖脂肪族熱可塑性ポリエステルを含む。
PBS組成物は、コハク酸又はその任意の誘導体と1,4-ブタンジオールの重縮合によって生成された脂肪族ポリエステルを含む1種以上のポリマーを含むことができる。
分解添加剤は、好ましくは担体樹脂中の分解剤を含む。1つ以上の実施形態では、担体樹脂は、分解添加剤の約90質量%~約99質量%を占め、残余が分解剤である。実施形態では、担体樹脂は生分解性で透明であり、再生可能資源由来である。
分解添加剤は、主に熱への暴露に基づいてプラスチック材料の分解を引き起こす多くの適切な分解添加剤を含み得る。特定実施形態では、分解添加剤は、ステアリン酸鉄、ステアリン酸マンガン、金属カルボン酸塩又はその任意の組み合わせを含む。
【0007】
本開示の別の態様では、分解性押出ネットを調製するためのポリマーブレンドは、約55質量%~約60質量%の範囲の量でポリ乳酸(PLA)組成物、約35質量%~約40質量%の範囲の量でポリブチラート組成物、約0.5質量%~3質量%の範囲の量で相溶化剤組成物、及び約2質量%~約7質量%の範囲の量で分解添加剤を含む。
ポリブチラート組成物は、1種以上のポリブチラートアジパートテレフタラート(PBAT)ポリマーを含み得る。相溶化剤組成物は、PLAとPBATの実質的に均質な混合物の確実な達成を助けるいずれの組成物をも含んでよい。特定実施形態では、PLA-PBAT相溶化剤組成物は、PLA担体樹脂と相溶化剤の混合物、例えばポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ化綿実油(ECSO)、又はマレイン化(maleinized)綿実油(MCSO)を含む。
分解添加剤は、主に熱への暴露に基づいてプラスチック材料の分解を引き起こす多くの適切な分解添加剤を含み得る。特定実施形態では、分解添加剤は、ステアリン酸鉄、ステアリン酸マンガン、金属カルボン酸塩又はその任意の組み合わせを含む。
【0008】
本発明の別の態様では、本開示は、土壌で生育した芝草、及び土壌中の分解性押出ネットを含む芝草ソッドに関する。ネットは、複数の相互接続したストランドを含み、ストランドの少なくとも一部は、約40質量%~約60質量%の範囲の量でポリ乳酸組成物、及び約40質量%~約60質量%の範囲の量でポリブチレンスクシナート組成物を含むポリマーブレンドで作られる。ポリマーブレンドは、約0.1質量%~約5質量%の範囲の量で分解添加剤をさらに含んでよい。
【0009】
本発明のさらに別の態様では、本開示は、ソッドの生育方法あって、下記ステップ:ネット材料を土壌に供給することであって、該ネット材料が複数の相互接続したストランドを含み、当該ストランドの少なくとも一部は、約40質量%~約60質量%の範囲の量でポリ乳酸組成物、約40質量%~約60質量%の範囲の量でポリブチレンスクシナート組成物、及び約0.1質量%~約5質量%の範囲の量で分解添加剤を含むポリマーブレンドで作られている、該供給すること;並びにその土壌で芝草作物を栽培することを含む方法に関する。
前述の一般的説明及び下記詳細な説明は、両方とも単なる例示及び解説に過ぎず、本開示を制限するものでないことを理解すべきである。本開示のさらなる特徴は、以下の説明で一部示されるか又は本開示の実施により学べるであろう。
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示のいくつかの実施形態を例示し、下記記述と共に本開示の原理の説明に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の例示実施形態のネットの斜視図である。
図2】本開示の実施例1~5の組成物及び比較組成物で作製した押出フィルムから収集したQUV試験データを表し、経時的な縦方向の強度損失の百分率を示す。
図3】本開示の実施例1~5の組成物及び比較組成物で作製した押出フィルムから収集した、結露を伴うQUV試験データを表し、経時的な縦方向の強度損失の百分率を示す。
図4】本開示の実施例3及び実施例5~7の組成物並びに比較組成物で作製した押出ネットから収集したQUV試験データを表し、経時的な縦方向の強度損失の百分率を示す。
図5】本開示の組成物、及び実施例7~10の組成物で作製したブレンドのモジュラスデータを表す。
図6】本開示の組成物、及び実施例7~10の組成物で作製したブレンドの引張強度データを表す。
図7】本開示の実施例8及び実施例10~12の組成物並びに比較組成物で作製した押出ネットから収集したQUV試験データを表し、経時的な残留強度の百分率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本説明及び添付図面は、典型的実施形態を例示し、限定するものと解釈すべきでなく、特許請求の範囲が、等価物を含め、本開示の範囲を規定する。本説明の範囲及び等価物を含めた特許請求の範囲を逸脱しなければ、種々の機械的、組成的、構造的、及び操作的変更を加えてよい。場合によっては、本開示を分かりにくくしないように、周知の構造及び技術については詳細に示さないか又は記載しなかった。2つ以上の図中の同様の数字は同一又は類似要素を表す。さらに、ある実施形態を参照して詳述する要素及びそれらの関連態様は、実際にはいつでも、具体的に示されていないか又は記載されていない他の実施形態に含めてよい。例えば、ある要素が、ある実施形態を参照して詳述され、第2の実施形態を参照しては記載されていない場合、その要素は、それでも第2の実施形態に含まれるものと主張し得る。さらに、本明細書の説明は例示目的に過ぎず、必ずしもシステム又は例示コンポーネントの実際の形状、サイズ、又は寸法を反映していない。
【0012】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」、並びにいずれの言葉のいずれの単数的使用も、明白かつはっきり1つの指示物に限定していない限り、複数の指示物を包含することを認める。本明細書で使用する場合、用語「含む(include)」及びその文法上の変形は、非限定であると意図され、その結果、リスト中のアイテムの列挙は、リストアイテムに置換又は追加され得る他の同様のアイテムを排除しない。
下記開示は、ソッドに関連して使用するための分解性押出ネットについて提示しているが、本分解性押出ネットは、種々の他の用途、例えば、包装ネット、例えば玉ネギ及びシチメンチョウバッグ;農業用ネット、例えば芝生(turf)ネット、芝生ラップ、干し草の俵等;腐食制御用途;並びに産業、濾過及び家具用途のネット等に容易に適応可能であると理解すべきである。さらに、本分解性押出ネットは、使い捨ておむつ、失禁用ブリーフ、トレーニングパンツ、絆創膏、包帯、おむつホルダー及びライナー並びに女性用生理用品、医療用ガウン、医療用ドレープ、マットレスパッド、ブランケット、シーツ、衣類、消費者用拭き取り繊維(wipe)用の複合ファブリック並びに他の同様の製品、例えば建築及び建設複合材に使用するために適応させることもできる。
【0013】
図1に示すように、本ネット10は、一方向に伸長するストランド12及び一般的に交差するように又は横方向に伸長するストランド14を含む。ストランド12及び14は、押出中に交差し、横切って、ネット様構造を形成する細長い部材である。ストランド12及び14は、押出中に交差するのではなく、編み合わされる押出ストランドで形成されることもある。特定実施形態では、ストランド12及び14は、同一材料で作られる。代替実施形態では、ストランド12は、ストランド14とは異なる材料で作られる。例えば、ネット10は、10~90wt.%のストランド12の材料及び10~90wt.%のストランド14の材料を含み得る。他の実施形態では、ネット10は、45~55wt.%のストランド12の材料及び45~55wt.%のストランド14の材料を含み得る。ストランド12及び14が同一材料で作られる実施形態では、ストランド12及び14が作られる材料は、本開示の分解性組成物である。本分解性組成物以外の材料を用いてストランド12又は14のセットの1つを製造するとき、該材料は、非分解性組成物を含んでもよい。
従って、本分解性押出ネットは、全体的に分解性組成物から製造されるか、又は分解性材料と非分解性材料の組み合わせから製造され得る。特定実施形態では、本押出ネットを調製するために使用する分解性材料は、1種以上のポリ乳酸(PLA)ポリマー組成物、1種以上のポリブチレンスクシナート(PBS)ポリマー組成物、及び分解添加剤の組み合わせを含んでよい。他の実施形態では、本押出ネットを調製するために使用する分解性材料は、1種以上のポリ乳酸(PLA)ポリマー組成物、1種以上のポリブチラートアジパートテレフタラート(PBAT)ポリマー組成物、PLA-PBAT相溶化剤、及び分解添加剤の組み合わせを含んでよい。
【0014】
PLA組成物
一般に、ポリ乳酸組成物は、少なくとも部分的に、本明細書ではポリラクチド又はPLAと総称する、ラクチド又は乳酸由来の1種以上のポリマーを含んでよい。
一般に、ポリマーの命名法は、ポリマーが作られるモノマーに基づいてポリマーを参照することが多く、他の場合には、ポリマー中で見られる最小反復単位に基づいてポリマーを特徴づける。例えば、ポリラクチド中の最小反復単位は乳酸(実際には乳酸の残基)である。しかしながら、典型的な場合、商用ポリラクチドは、乳酸ではなく、ラクチドモノマーの重合によって製造されるであろう。当然に、ラクチドモノマーは、乳酸のダイマーである。本明細書では用語「ポリ乳酸」、「ポリラクチド」、及び「PLA」は、乳酸ベースポリマーとポリラクチドベースポリマーの両方をそれらの範囲内に含める意図であり、これらの用語を互換的に使用する。すなわち、用語「ポリ乳酸」、「ポリラクチド」、及び「PLA」は、ポリマーが形成される方法に関して限定的であることを意図しない。
用語「ポリラクチドベース」ポリマー又は「ポリ乳酸ベース」ポリマーは、ポリ乳酸又はポリラクチドのポリマー、並びに乳酸又はラクチドのコポリマーを指すことを意味し、結果として生じるポリマーは、少なくとも50質量%の乳酸残基反復単位又はラクチド残基反復単位を含む。この文脈では、用語「乳酸残基反復単位」は、下記単位を指すことを意味する。
【0015】
【化1】
【0016】
上記定義を考慮すると、乳酸残基含有ポリマーをもラクチド残基含有ポリマーをも指し得ることが明白であろう。本明細書では用語「ラクチド残基反復単位」は、下記反復単位を指すことを意味する。
【0017】
【化2】
【0018】
ラクチド残基反復単位は、L-ラクチド、D-ラクチド、及びメソラクチドから得ることができることを理解すべきである。L-ラクチドは、2つのS-乳酸残基から構成され;D-ラクチドは、2つのR-乳酸残基から構成され;メソラクチドは、S-乳酸残基及びR-乳酸残基の両方から構成される。
実施形態では、PLAは、トウモロコシ等の再生可能資源由来の直鎖脂肪族熱可塑性ポリエステルであってよく、多くの状況で堆肥にできる。ここ数年、PLAは持続可能かつ再生可能資源由来の原材料を提供するので、ネット等の繊維用途でますます利用されている。
トウモロコシ由来の植物ベースのPLAは周知である。伝統的に、トウモロコシを混合物に浸して分子結合を緩めた後、混合物をすりつぶして遠心分離機にかけてデンプンからトウモロコシ油を分離する。次に加水分解を利用してデンプンからデキストロースを抽出する。最終的に発酵によりデキストロースが乳酸を形成することになる。電気透析による乳酸のラクチドへの変換後、重合により長いラクチド鎖が形成され、完全に植物ベースのPLAをもたらす。
実施形態では、PLA組成物は、PLAポリマーの混合物を含み、PLAポリマーの少なくともいくつかは持続可能かつ再生可能資源由来、例えば植物のデンプン由来である。
実施形態では、PLA組成物は、少なくとも50質量%の、公称平均分子量が約200,000ダルトンであるPLAポリマーを含む。
【0019】
PBS組成物
一般に、PBS組成物は、コハク酸又はその任意の誘導体と1,4-ブタンジオールの重縮合によって生成された脂肪族ポリエステルを含む1種以上のポリマーを含むことができる。該生分解性ポリマーは、自然に二酸化炭素、水、及びバイオマスに分解する。実施形態では、使用PBSは、溶融縮合重合後のジイソシアナートによる鎖伸長によって合成可能である。バイオベースのコハク酸は該生分解性ポリマーの生成に適しているが、ポリアルキレンスクシナートは、石油化学前駆物質から合成可能である。実施形態では、PBS組成物は、商品名BioPBS(登録商標)で、PTT MCC Biochem Co., Ltd.から入手可能な市販のFZ91/FD92であってよい。
【0020】
PBAT組成物
一般に、PBAT組成物は、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールをその構成成分として有するジオール-ジカルボン酸縮合型ポリエステルを含む1種以上のポリマーを含み得る。実施形態では、PBAT組成物は、いずれの生分解性の統計学的な脂肪族-芳香族コポリエステルを含み得る。実施形態では、PBAT組成物は、ポリマー鎖中のモノマー1.4-ブタンジオール、アジピン酸、及びテレフタル酸をベースとする少なくとも1種の脂肪族-芳香族コポリエステルを含む。該生分解性ポリマーは、土壌又はコンポスト中で標準条件下にて代謝されると最終的に二酸化炭素、水、及びバイオマスに分解する。実施形態では、PBAT組成物は、BASF SEから入手可能な商品名ecoflex(登録商標)で販売されている市販のF Blend C1200であり得る。
実施形態では、PBAT組成物は、少なくとも50質量%のPBATポリマーを含む。PBATがPLA組成物中のポリマーより低分子量を有するポリマーを含む場合、PTAB組成物は、PLA組成物と混合すると、PLAのフレキシビリティーを高め得る。
【0021】
PLA-PBAT相溶化剤組成物
一般に、PLA-PBAT相溶化剤組成物は、PLAとPBATの実質的に均質な混合物の確実な達成に役立つ任意の組成物である。実施形態では、PLA-PBAT相溶化剤組成物は、PLA担体樹脂と相溶化剤の混合物を含む。実施形態では、PLA担体樹脂は、PLA-PBAT相溶化剤組成物の約90質量%~約99質量%を占め、残余は相溶化剤である。PLA担体樹脂は、プロセスを容易にするいずれの押出グレードの熱可塑性樹脂であってもよい。実施形態では、PLA担体樹脂は透明であり、再生可能資源由来である。実施形態では、PLA担体樹脂は、NatureWorksから入手可能な商品名Ingeo(商標)で販売されているBiopolymer 2003Dであってよく、PLA-PBAT相溶化剤組成物の95質量%を構成し得る。実施形態では、相溶化剤は、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(EJ400)又はエポキシベースの化合物、例えばエポキシ化綿実油(ECSO)又はマレイン化綿実油(MCSO)であってよい。PLA-PBAT相溶化剤組成物に使用し得る他の適切な相溶化剤としてはイソシアナート化合物があり、限定するものではないが、4,4 '-ジフェニルメタンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、3,3'-ジメチル-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート、水素化4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3'-トリジン-4,4'-ジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、二級メチルフェニレンジイソシアナート、水素化二級トルイレンビスマレイミドジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、メチレンジフェニルジイソシアナート、4,4'-ジイソプロピルジフェニルジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアナート、フェニレンジイソシアナート、1,8-4-イソシアナートメチルオクタンジイソシアナート、1,5-ナフタレンジイソシアナート、ジアニシジンジイソシアナート、ジフェニルエーテルジイソシアナート、リシンメチルエステルジイソシアナート、リシンエステルトリイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、トリイソシアナートフェニルホスホロチオアート、1,6,11-ウンデカントリイソシアナート、ビシクロヘプタントリイソシアナート、トリメチルヘキサメチレントリイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、又はその組み合わせが挙げられる。実施形態では、相溶化剤は、BASFによって販売されているJoncryl ADR、Arkemaによって販売されているLotader AX8900、又はDuPontによって販売されているBiomax Strong 120であってもよい。
【0022】
分解添加剤
特定実施形態では、分解添加剤は、担体樹脂中の分解剤を含む。1つ以上の好ましい実施形態では、担体樹脂が分解添加剤の約90質量%~約99質量%を占め、残余が分解剤である。実施形態では、担体樹脂は生分解性で透明であり、再生可能資源由来である。実施形態では、担体樹脂は、NatureWorksから入手可能な商品名Ingeo(商標)で販売されているBiopolymer 2003Dであってよく、分解添加剤の95%を構成し得る。実施形態では、分解剤はステアリン酸鉄を含むが、いずれの適切な分解剤を使用してもよい。適切な分解性添加剤は、主に熱への暴露に基づいてプラスチック材料の分解を引き起こす添加剤である。金属カルボン酸塩は比較的周知の分解添加剤であるが、他の分解添加剤の例として、限定するものではないが、エーテル、アセタール、ケタール、アミン、アルデヒド、天然油、不飽和脂肪酸のような自己酸化性の不飽和有機化合物、並びに酸化反応に関与するフリーラジカル及びペルオキシドの発生を助ける他の化合物が挙げられる。
【0023】
他の添加剤
実施形態では、押出ネットを作るために使用する組成物に従来のさらなる添加剤を含めてよい。
実施形態では、適切な光分解性添加剤を使用してよい。適切な光分解性添加剤は、主に光への暴露に基づいてプラスチック材料の分解を引き起こす添加剤である。光分解性添加剤の例としては、限定するものではないが、芳香族ケトン、芳香族アミン、ペルオキシド、キノン、及びアゾ化合物のような感光性ポリマーがある。
実施形態では、着色剤を含めてよい。着色剤は、UV線の反射、拡散、吸収、又は屈折(defract)によってUV線の強度を弱めることができるので、分解速度に影響を及ぼす能力がある。1つの適切な着色剤としては、PolyOne Corporation of Assesse, Belgiumから入手可能な緑着色剤29025 GN PE Masterbatchがあり、担体中の緑着色剤が、結果として生じる押出ネットに緑色を与える。
実施形態では、安定剤を含める。安定剤は、UV光への暴露からネットが過剰に分解しないようにするのに役立ち得る。少なくとも特定の実施形態では、安定剤として、ヒンダードアミン化合物、例えばオリゴマーヒンダードアミン光安定剤又はヒンダードアミン光安定剤(HALS)を含む。
【0024】
例示組成物
実施形態では、分解性押出ネットを製造するために使用するポリマー組成物ブレンドは、約40質量%~約60質量%の範囲の量でPLA組成物及び約40質量%~約60質量%の範囲の量でPBS組成物を含み得る。実施形態では、分解性押出ネットを製造するために使用するポリマー組成物ブレンドは、約0.1質量%~5質量%の範囲の量で分解添加剤をさらに含んでよい。好ましい実施形態では、ポリマーブレンドは、約48質量%~約52質量%の範囲の量でPLA組成物及び約48質量%~約52質量%の範囲の量でPBS組成物を含み得る。
他の実施形態では、分解性押出ネットを調製するためのポリマーブレンド組成物は、約55質量%~約60質量%の範囲の量でポリ乳酸(PLA)組成物、約35質量%~約40質量%の範囲の量でポリブチラート組成物、約0.5質量%~3質量%の範囲の量で相溶化剤組成物及び約2質量%~約7質量%の範囲の量で分解添加剤を含む。代替実施形態では、ポリマーブレンド組成物は、約52質量%~約58質量%の範囲の量でポリ乳酸(PLA)組成物、約38質量%の量でポリブチラート組成物、約2質量%の量で相溶化剤組成物及び約2質量%~約8質量%の範囲の量で分解添加剤を含む。
【0025】
押出可能組成物の調製
押出可能組成物は、ポリマー組成物を形成するためのいずれの従来のプロセスによっても調製可能である。これらのプロセスとしては、限定するものではないが、コンパウンディングがある。一般的に、ポリマーブレンド組成物の適切な製造方法としては、2軸押出物機を用いる別々の操作としてのコンパウンディング、又は良い離散性及び分散性混合特性を特徴とするスクリューを備えた単軸押出機を用いるインラインコンパウンディングがある。
【0026】
非分解性繊維組成物
上述したように、実施形態ではストランド12、14のいくつかは非分解性繊維組成物で作られることがある。実施形態では、非分解性繊維組成物は、非エラストマー材料、例えばナイロン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリプロピレン、HDPEを含めたポリエチレン及び該樹脂のコポリマーを含み得る。実施形態では、非分解性繊維は、ポリオレフィンで作られる。実施形態では、非分解性繊維は、ポリプロピレンで作られる。
【0027】
ネット調製
本分解性押出ネットは、いずれの適切な押出プロセスによっても調製可能である。一般的に、押出ネットの適切な製造方法は、上記ポリマーブレンド組成物を、往復又は回転部を有するダイスを通して押し出してネット構造を形成することを含む。これは、連続的に流れる縦方向ストランドと交差する横方向ストランドを作り出す。当然に、本分解性ポリマーブレンド組成物を用いて、横方向ストランドと縦方向ストランドの両方、又はこれらのストランドの一方若しくは一部を形成することができ、ストランドの一方若しくは一部を形成する場合、異なる生分解性材料若しくは非分解性材料のような別の材料を用いて他方若しくは一部のストランドを形成できることを理解すべきである。押出後、ネットは次に典型的に2セットのニップロール間の差動を利用して縦方向に引き伸ばされる。この後、材料は、典型的に任意の適切な方法、例えば、参照することにより本明細書に援用する米国特許第4,152,479号に記載の方法で、テンターフレームを用いて横方向に引き伸ばされる。上記方法は、本発明の押出ネットを製造するために利用できる多くの適切な方法の1つに過ぎないことを理解すべきである。
【実施例
【0028】
下記非限定実施例により本開示の対象についてさらに説明する。
実施例1
PLA組成物として、NatureWorksから入手可能な商品名Ingeo(商標)で販売されている57質量%のBiopolymer 2003D、PBAT組成物として、BASF SEから入手可能な商品名ecoflex(登録商標)で販売されている38質量%のF Blend C1200、2質量%のTECHMER PLAM111474相溶化剤、及び3質量%の分解添加剤を含み、分解添加剤は5%のステアリン酸鉄と95%のPLA担体樹脂を含む混合物を用いて、本開示の分解性押出フィルムを製造する。華氏約355~約380度(約179~約193℃)の温度で所望のダイスを通して組成物を押し出す周知の押出方法によってフィルムを作製する。押出後、フィルムをニップローラーの中に通し、最終的にロールスタックにする。
【0029】
実施例2
PLA組成物として55質量%のBiopolymer 2003D、PBAT組成物として38質量%のF Blend C1200、2質量%のTECHMER PLAM111474相溶化剤、及び5質量%の分解添加剤を含み、分解添加剤は5%のステアリン酸鉄と95%のPLA担体樹脂を含む混合物を用いて、本開示の分解性押出フィルムを製造する。実施例1と同じ方法を利用して実施例2の組成物のフィルムを押し出した。
【0030】
実施例3
PLA組成物として60質量%のBiopolymer 2003D、PBAT組成物として38質量%のF Blend C1200、2質量%のTECHMER PLAM111474相溶化剤を含み、分解添加剤を含まない混合物を用いて、本開示の分解性押出フィルムを製造する。実施例1と同じ方法を利用して実施例3の組成物のフィルムを押し出した。
【0031】
実施例4
PLA組成物として55質量%のBiopolymer 2003D、PBAT組成物として38質量%のF Blend C1200、2質量%のTECHMER PLAM111474相溶化剤、ステアリン酸鉄を有する2.5%の分解添加剤、及びステアリン酸マンガンを有する2.5質量%の分解添加剤を含む混合物を用いて、本開示の分解性押出フィルムを製造する。分解添加剤は、2.5%のステアリン酸鉄、2.5%のステアリン酸マンガン、95%のPLA担体樹脂を含む。実施例1と同じ方法を利用して実施例4の組成物のフィルムを押し出した。
【0032】
実施例5
ポリプロピレンの組成物を用いて、本開示の分解性押出フィルムを製造する。分解添加剤は使用しなかった。実施例1と同じ方法を利用して実施例5の組成物のフィルムを押し出した。
【0033】
実施例6
PLA組成物として、NatureWorksから入手可能な商品名Ingeo(商標)で販売されている57質量%のBiopolymer 2003D、PBAT組成物として、BASF SEから入手可能な商品名ECOFLEX(登録商標)で販売されている38質量%のF Blend C1200、2質量%のTECHMER PLAM111474相溶化剤、及び3質量%の分解添加剤を含み、分解添加剤は5%のステアリン酸と95%のPLA担体樹脂を含む混合物を用いて、本開示の分解性押出ネットを製造する。往復又は回転部を有するダイスを通して組成物を押し出してネット構造を形成することによってネットを作製した。次に100度F~250度F(38℃~121℃)の温度で押出ネットを縦方向及び横方向に引き伸ばした。
【0034】
実施例7
PLA組成物として55質量%のBiopolymer 2003D、PBAT組成物として38質量%のF Blend C1200、2質量%のTECHMER PLAM111474、及び5質量%の分解添加剤を含み、分解添加剤は5%のステアリン酸鉄と95%のPLA担体樹脂を含む混合物を用いて、本開示の分解性押出ネットを製造する。実施例6と同じ手順を用いてネットを作製した。
【0035】
実施例8
PLA組成物として、NatureWorksから入手可能な商品名Ingeo(商標)で販売されている50質量%のBiopolymer 2003D、及びPBS組成物として、PTT MCC Biochem Co., Ltd.から入手可能な商品名BioPBS (商標)で販売されている50質量%のFD92を含む混合物を用いて、本開示の分解性押出フィルムを製造する。分解添加剤は使用しなかった。実施例1と同じ方法を利用して実施例8の組成物のフィルムを押し出した。
【0036】
実施例9
PLA組成物として、NatureWorksから入手可能な商品名Ingeo(商標)で販売されている50質量%のBiopolymer 2003D、及びPBS組成物として、PTT MCC Biochem Co., Ltd.から入手可能な商品名BioPBS(商標)で販売されている50質量%のFZ91を含む混合物を用いて、本開示の分解性押出フィルムを製造する。分解添加剤は使用しなかった。実施例1と同じ方法を利用して実施例9の組成物のフィルムを押し出した。
【0037】
実施例10
97質量%のポリプロピレンと、50%~80%のポリエチレン、7.5%~22.5%のステアリン酸コバルト、及び7.5%~22.5%のクエン酸を含有すると考えられる英国のCiba Speciality Chemicalsから入手可能な3質量%のEnvirocare Ag 1000Cとの組成物を用いて、本開示の分解性押出フィルムを製造する。実施例10のフィルムは、Conewedから入手可能な商品名Oxygrid(商標)で販売されている。実施例1と同じ方法を利用して実施例10の組成物のフィルムを押し出した。
【0038】
実施例11
PLA組成物として58質量%のBiopolymer 2003D、PBAT組成物として40質量%のF Blend C1200、及び2質量%の分解添加剤を含み、分解添加剤は5%のステアリン酸鉄と95%のPLA担体樹脂を含む混合物を用いて、本開示の分解性押出フィルムを製造する。実施例1と同じ方法を利用して実施例11の組成物のフィルムを押し出した。
【0039】
実施例12
PLA組成物として70質量%のBiopolymer 2003D、PBAT組成物として15質量%のF Blend C1200、及び15質量%のポリヒドロキシブチラート(PHBH)を含む混合物を用いて、本開示の分解性押出フィルムを製造する。実施例1と同じ方法を利用して実施例12の組成物のフィルムを押し出した。
【0040】
実施例1、2及び4、PLA/PBATコントロールフィルム(実施例3)、及び分解添加剤なしのポリプロピレン(実施例5)のフィルムについて縦方向の強度損失(MD強度損失)の試験を行なった。ASTM D4329-13に概要が示されている手順を若干修正した版に従うQUV-促進耐候(Accelerated Weathering)試験を通じて各サンプルのMD強度損失をまとめた。Q-Panel、QUV-Basic、及びQUV-EMを用いて、結露がある場合と無い場合で50℃の条件にサンプルをさらした。長時間の典型的な屋外環境の条件に類似する条件を再現する試みにおいては240時間にわたってUVA-340ランプを使用した。これらの強度損質試験から収集したデータを図2~3に示す。
実施例6及び7並びに実施例3のPLA/BPATコントロール及び実施例5のポリプロピレンの組成物から作製したネットについて本開示の分解性押出ネットの縦方向の強度損失(MD強度損失)の試験を行なった。これらの強度損失試験から収集したデータを図4に示す。
【0041】
実施例1、2、及び4、PLA/PBATコントロール(実施例3)の組成物から作製したフィルムについて熱安定性試験を行なった。所与の処方には安定剤を含めなかった。材料を試験するため、フィルムサンプルをキャストフィルムラインに華氏365度(185℃)で流して、押出装置内で処理中に組成物の熱プロファイルに起因する熱分解の兆候を組成物が示すかを判定した。処理中の分解は、ポリマーが加水分解、脱重合、酸化等によって破壊するにつれて、所与の例について1インチ当たりより低い重量ポンドの測定値をもたらす。熱安定性試験から集めたデータを下表1に示す。PLA/PBATコントロール(実施例3)は5061ポンド/平方インチである平方インチ当たりの力の値を有した。実施例4は分解の兆候を示し、結果としてより低い値を有したが、実施例1及び2は、より高い値を有した。
【0042】
【表1】
【0043】
現在記載した分解性ネットをソッドの調製に用いる実施形態では、手頃さ又は製造可能性を犠牲にすることなく実質的にバイオベースである分解性ネットを提供することが望ましい。各種量のPLA及びPBSのブレンドについてモジュラス及び引張強度試験を行なった。PLA組成物はBiopolymer 2003Dだった。試験したPBS組成物はBioPBS FZ91及びBioPBS FD92だった。0%のPBS、25%のPBS、50%のPBS、75%のPBS及び100%のPBSを含むブレンドを試験し、60%、38%のPBAT、及び2%のTechmer(商標)PLAM111474相溶化剤を含むPLA/PBAT/Techmerブレンド並びにConwedから入手可能な商品名Oxygrid(商標)で販売されている、上記実施例10に従って作製した組成物と比較した。この試験から収集したデータを図5及び図6に示す。
図5に示すように、50%のPLA 2003D及び50%のbioPBS FD92を含むブレンド、すなわち実施例8の組成物で作製したフィルムは、PLA/PBAT/Techmerを含むブレンド(実施例7)で作製したフィルムより低いモジュラス値を有し、結果として製造可能性の増加をもたらす。
図6に示すように、50%のPLA 2003D及び50%のbioPBS FD92を含む混合物、すなわち実施例8の組成物で作製したフィルムにより得られる製造可能性の増加は、PLA/PBAT/Techmerコントロールフィルムに比べて適切な引張強度を維持しながら達成される。
【0044】
実施例8及び10~12のフィルムについて促進耐候試験を通じて縦方向の強度損失(MD強度損失)の試験を行なった。ASTM D4329-13に概要が示されている手順の修正版に従うQUV促進耐候試験を通じて、各サンプルの残留強度の百分率を収集した。Q-Panel、QUV-Basic、及びQUV-EMを用いて、長時間の典型的な屋外環境の条件に類似する条件をシミュレートするように設計した2つの異なるサイクルにサンプルをさらした。第1のサイクルは4時間の長さであり、摂氏50度でUV光を与えた。第2のサイクルは4時間の長さであり、摂氏40度で光を与えなかった。UVA-340ランプを使用した。2つのサイクル間を交互に入れ替えて100時間後、サンプルを摂氏約45度の屋外温度及び水分レベル、並びに約80%の湿度にさらした。強度損失試験から収集したデータを図7に示す。図7に示すように、実施例8の組成物で作製したフィルムは、促進耐候試験下でコントロールフィルム(実施例10)と同様に働く。
【0045】
本分解性ネットを用いて、少なくとも1つ以上の材料層にネットが固定される他のタイプの複合体を形成することもできる。該複合体の例としては、消費者用拭き取り繊維、強化ティッシュタオル、及び腐食制御複合体が挙げられる。ネットの所望の機能に応じて、各層を作製し、それによって分解速度を制御するのにどの組成物を使用すべきかを当業者なら判断できるであろう。
本出願によって、本明細書で言及している全ての発行特許、公開特許出願、及び非特許公表文献は、それぞれ個々の発行特許、公開特許出願、又は非特許公表文献が具体的かつ個々に参照によって組み込まれると指示されたのと同程度まで全ての目的で参照することにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態について図面に示したが、本開示は当該技術分野が許容するであろう範囲ほどに広く、かつ本明細書は同様に読まれることを意図しているので、本開示を当該図面に限定することを意図しない。従って、上記説明を限定的と解釈すべきでなく、現在開示しいる実施形態の単なる例示と解釈すべきである。このように、実施形態の範囲は、与えられた例によってではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの法律的な等価物によって決定されるべきである。
本明細書に具体的に記載し、添付図面に示した装置及び方法は、非限定的な例示実施形態であることを当業者なら理解するであろう。1つの例示実施形態に関連して説明又は記載した特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてよい。種々の代替形態及び変更形態を当業者なら本開示から逸脱することなく考案することができる。従って、本開示は、そのような代替形態、変更形態及び相違を包含する意図である。同様に、上記実施形態に基づいて本開示のさらなる特徴及び利点を当業者なら認識するであろう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲によって指示されている場合を除き、具体的に示し、記載したことによって限定されるべきでない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】