(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(54)【発明の名称】長手方向調整機構及び車両座席
(51)【国際特許分類】
B60N 2/06 20060101AFI20220830BHJP
F16H 25/24 20060101ALI20220830BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B60N2/06
F16H25/24 B
F16H25/24 Z
F16H25/20 Z
F16H25/24 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573877
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 EP2020066114
(87)【国際公開番号】W WO2020249625
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】102019116314.5
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019122606.6
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019125196.6
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521353920
【氏名又は名称】カイパー シーティング メカニズムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】グレゴル、 ペーター
(72)【発明者】
【氏名】シュールマン、 ソーステン
(72)【発明者】
【氏名】シュプレンガー、 エリック
(72)【発明者】
【氏名】ステマー、 ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】スラック、 アンドレイ
【テーマコード(参考)】
3B087
3J062
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA02
3B087BB02
3J062AA01
3J062AA60
3J062AB21
3J062AC07
3J062BA37
3J062CD02
3J062CD22
(57)【要約】
本発明は、長手方向調整機構(10)に関し、特に車両座席(1)に関しており、長手方向調整機構(10)は、第1のレール(12)及び第1のレール(12)に対して長手方向(x)に変位可能な第2のレール(14)から形成される少なくとも1対のレールを有し、ここで、レール(12、14)は互いに嵌合して内部チャネル(16)を形成し、第2のレール(14)に接続されたスピンドルナット(30)とスピンドルナット(30)に作動可能に接続されたスピンドル(20)とが内部チャネル(16)に配置され、第1のレール(12)の一端には、モータにより駆動されかつスピンドル(20)と相互作用するトランスミッション(50)が配置され、スピンドル(20)は、スピンドル(20)の雄ねじ(22)によってトランスミッション(50)のウォームギア(54)の雌ねじ(56)に螺合され、スピンドル(20)は固定要素(58)によってウォームギア(54)に結合するように接続され、固定要素(58)は、スピンドル(20)のスピンドル軸(A)と同軸に配置され、スピンドル(20)の端部(20a、20b)、特に前端部(20a)とウォームギア(54)との間で押圧される。本発明はさらに、このような長手方向調整機構(10)を有する車両座席(1)にさらに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレール(12)と、前記第1のレール(12)に対して長手方向(x)に変位可能な第2のレール(14)とから形成される少なくとも1対のレールを有する特に車両座席(1)用の長手方向調整機構(10)であって、前記レール(12、14)は、互いに嵌合して内部チャネル(16)を形成し、前記第2のレール(14)に接続されるスピンドルナット(30)と、前記スピンドルナット(30)に作動可能に接続されるスピンドル(20)とが、前記内部チャネル(16)に配置され、モータにより駆動可能でありかつ前記スピンドル(20)と相互作用するギア(50)が、前記第1のレール(12)の一端に配置され、前記スピンドル(20)は、前記スピンドル(20)の雄ねじ(22)によって前記ギア(30)のウォームホイール(54)の雌ねじ(56)に螺合され、前記スピンドル(20)は、固定要素(58)によって共回転するように前記ウォームホイール(54)に接続されており、
前記固定要素(58)は、前記スピンドル(20)のスピンドル軸(A)に対して同軸に配置され、かつ前記スピンドル(20)の端部(20a、20b)、特に前端部(20a)と前記ウォームホイール(54)との間で押圧されることを特徴とする、長手方向調整機構(10)。
【請求項2】
前記スピンドル(20)は、前記端部(20a、20b)のうちの1つ、特に前端部(20a)において前記ギア(50)の前記ウォームホイール(54)の前記雌ねじ(56)に螺合される、請求項1に記載の長手方向調整機構(10)。
【請求項3】
所定の力の作用に応答して、例えば衝突時に、前記第1のレール(12)からの力が、前記ギア(50)、前記スピンドル(20)及び前記スピンドルナット(30)を介して前記第2のレール(14)へと離れて伝達可能である、請求項1又は2に記載の長手方向調整機構(10)。
【請求項4】
前記スピンドル(20)は、その前端部(20a)にねじ無し部(24a)を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の長手方向調整機構(10)。
【請求項5】
前記固定要素(58)は、前記スピンドル(20)と前記ウォームホイール(54)との間に嵌合接続を提供する、請求項1~4のいずれか1項に記載の長手方向調整機構(10)。
【請求項6】
前記固定要素(58)は、前記スピンドル(20)と前記ウォームホイール(54)との間に圧入接続を提供する、請求項1~5のいずれか1項に記載の長手方向調整機構(10)。
【請求項7】
前記固定要素(58)は、ブッシングである、請求項1~6のいずれか1項に記載の長手方向調整機構(10)。
【請求項8】
前記固定要素(58)は、中空円筒形ブッシングである、請求項7に記載の長手方向調整機構(10)。
【請求項9】
前記固定要素(58)は、圧縮ブッシングである、請求項1~8のいずれか1項に記載の長手方向調整機構(10)。
【請求項10】
前記スピンドル(20)は、後端部(20b)にねじ無し部(24b)を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の長手方向調整機構(10)。
【請求項11】
前記スピンドル(20)の後端部(20b)は、前記第1のレール(12)における回転軸受(40)に取り付けられる、請求項1~10のいずれか1項に記載の長手方向調整機構(10)。
【請求項12】
前記スピンドル(20)の後端部(20b)は、ねじ無し部(24b)によって前記回転軸受(40)に取り付けられる、請求項11に記載の長手方向調整機構(10)。
【請求項13】
前記スピンドル(20)の前記雄ねじ(22)及び前記ウォームホイール(54)の前記雌ねじ(56)は、台形ねじの形状に構成される、請求項1~12のいずれか1項に記載の長手方向調整機構(10)。
【請求項14】
前記スピンドル(20)の前記雄ねじ(22)及び前記ウォームホイール(54)の前記雌ねじ(56)は、二条ねじで構成される、請求項1~13のいずれか1項に記載の長手方向調整機構(10)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の長手方向調整機構(10)を備える車両座席(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、車両座席用の長手方向調整機構に関し、長手方向調整機構は、第1のレールと、第1のレールに対して長手方向に変位可能な第2のレールとから形成される少なくとも1対のレールを有し、レールは、互いに嵌合して内部チャネルを形成し、第2のレールに接続されたスピンドルナット、及びスピンドルナットに作動可能に接続されたスピンドルが内部チャネルに配置され、モータにより駆動可能でありかつスピンドルと相互作用するギアが第1のレールの一端に配置され、スピンドルは、スピンドルの雄ねじによりギアのウォームホイールの雌ねじに螺合され、スピンドルは、固定要素により共回転するようにウォームホイールに接続されている。また、本発明は、車両座席に関する。
【背景技術】
【0002】
スライド装置における自動車座席の駆動装置はDE102005023095A1から知られている。自動車座席スライド装置に用いられる駆動装置は、前方位置と後方位置との間で移動可能な嵌合式の固定レール部と可動レール部とを備えている。駆動装置は、細長いスピンドル、スピンドルナット、ギア、及び取り付け装置を備えている。スピンドルはスピンドル軸を画定し、長手方向に延びるスピンドルねじを有する。スピンドルナットは、第1のレール部に確実に締結可能であり、スピンドルねじに係合可能な雌ねじを有する。ギアは、異なるレール部分に取り付けることができ、スピンドル軸を中心にスピンドルを選択的に回転させる。駆動装置のスピンドルは、駆動装置が取り付けられた状態で、可動レール部のスピンドルホイール開口を通って外方に延びるスピンドルホイールを備えている。
【0003】
特に車両座席用の長手方向調整機構が、DE102017218492A1から知られている。長手方向調整機構は、第1のレールと、第1のレールに対して長手方向に変位可能な第2のレールとから形成された少なくとも1対のレールを有し、これらのレールは互いに嵌合して内部チャネルを形成する。第2のレールに取り付けられたスピンドルナットと、スピンドルナットに作動可能に接続されたスピンドルとが内部チャネルに配置され、モータによって駆動可能でありかつスピンドルと相互作用するギアが第1のレールの一端に配置される。スピンドルは、ギアにおけるスピンドルの前端部と、第1のレールの回転軸受におけるスピンドルの後端部とに取り付けられている。スピンドルナットの前方の長手方向において、第1のクロスバーは、第1のレールのスロットに収容され、スピンドルは、接触することなく第1のクロスバーの開口を通過し、特に、包囲ギャップを形成し、スピンドルの肩部は、第1のクロスバーに対して長手方向前方に離間して配置され、所定の力の作用に応答して、特に、第1のレールの変位による、例えば、衝突の場合、第1のクロスバーが第1のレールと肩部との間で詰まり、それによって第1のレールからの力が、第1のクロスバー、肩部、スピンドル及びスピンドルナットを介して第2のレールへと離れて伝達可能である。
【0004】
車両座席用の長手方向調整機構は、DE102006035437A1及び特開2007-126103号の各々から知られており、この長手方向調整機構は、スピンドルの波形であるねじ無しの部分と、共回転されるスピンドルギアのウォームホイールの対応する波形である嵌合部分との間にプラグイン接続を提供する。
【0005】
車両座席用の長手方向調整機構は、DE102011004143A1及びWO2016/150790A1の各々から知られている。いずれの長手方向調整機構も、第1のレールと、第1のレールに対して長手方向に変位可能な第2のレールとから形成された少なくとも1対のレールを有し、これらのレールは互いに嵌合して内部チャネルを形成する。固定位置で第2のレールに回転不能に接続されたスピンドルと、スピンドルに作動可能に接続されたスピンドルギアとが内部チャネルに配置される。車両座席は、スピンドルギアによりスピンドルを移動させることで長手方向に調整される。
【0006】
EP3492312A1から、自動車内の座席の長手方向調整ユニットが知られており、これは、長手方向軸に沿って配置され、かつ第1のスピンドル開口及び第2のスピンドル開口を有する貫通開口を有するハウジングを備えている。さらに、長手方向調整ユニットは、ハウジングを通る長手方向軸に沿って貫通開口を通ることが可能なスピンドルを有する。長手方向調整ユニットは、スピンドルナット及びスピンドルナットを駆動するウォームを有し、ハウジング内に軸受カラーによって両側に取り付けられ、スピンドルナットはハウジング内に長手方向軸の両側で回転可能かつ軸方向に取り付けられ、スピンドルはスピンドルロックナットを備えており、これによってスピンドルは共回転するようにスピンドルナットに接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、最初に述べたタイプの長手方向調整機構、特に、耐荷重性を高めた長手方向調整機構を改良し、対応する車両座席を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、特に車両座席用の長手方向調整機構による本発明によって解決される。この長手方向調整機構は、第1のレールと、前記第1のレールに対して長手方向に変位可能な第2のレールとから形成される少なくとも1対のレールを有し、前記レールは、互いに嵌合して内部チャネルを形成し、前記第2のレールに接続されるスピンドルナットと、前記スピンドルナットに作動可能に接続されるスピンドルとが、前記内部チャネルに配置され、モータにより駆動可能でありかつ前記スピンドルと相互作用するギアが、前記第1のレールの一端に配置され、前記スピンドルは、前記スピンドルの雄ねじによって、特に、一端において、好ましくは、前端部において、前記ギアのウォームホイールの雌ねじに螺合され、前記スピンドルは、固定要素によって、共回転するように前記ウォームホイールに接続され、前記固定要素は、前記スピンドルのスピンドル軸に対して同軸に配置され、かつ前記スピンドルの端部、特に前端部と前記ウォームホイールとの間で押圧される。
【0009】
固定要素がスピンドルのスピンドル軸に対して同軸に配置され、かつスピンドルの端部、特に前端部とウォームホイールとの間で押圧されるので、スピンドルは共回転するようにウォームホイールに接続される。
【0010】
前記スピンドルは、好ましくは、一端部において、好ましくは、前端部において、前記スピンドルの雄ねじによって前記ギアのウォームホイールの雌ねじに螺合される。その結果、スピンドルの長手方向に荷重可能なウォームホイールとの接続が可能となり、長手方向に対応する力の伝達が可能となる。
【0011】
スピンドルが固定要素によって共回転するようにウォームホイールに接続されるので、スピンドルの長手方向の軸周りのトルクをウォームホイールからスピンドルに伝達することも可能になる。
【0012】
第1のレールは、好ましくは、車両座席に接続可能な座席レール、特に上部レールであり得る。第2のレールは、好ましくは、車両構造に接続可能なフロアレール、特に底部レールであり得る。
【0013】
所定の力の作用に応答して、例えば、衝突時に、前記第1のレールからの力が、ギアホルダ、前記ギア、前記スピンドル及び前記スピンドルナットを介して第2のレールへと離れて伝達可能である。
【0014】
長手方向調整機構は、ギアホルダを有し得る。ギアホルダは、互いに平行な2つの脚部を有し得る。2つの対向する脚部は、好ましくは、それ自体公知のやり方でウェブを介して互いに接続される。ギアホルダを第1のレールに保持する締結部が各脚部に接続され得る。締結部は、隣接する各脚部に対して約90°だけ曲げられ得る。U字形状のギアホルダをアセンブル状態では、ギアは脚部間に収納され得る。ギアホルダと第1のレールとの間に、衝突時に荷重を受ける接続を提供するために、横手方向に横断して突出する突出部がギアホルダの脚部に設けられてもよく、この突出部は、第2のレールの横部分における対応する切欠部を介して相互作用する。
【0015】
前記スピンドルは、その前端部にねじ無し部を有し得る。スピンドルの前端部は、ねじ無し部及びねじ付き部を有し得る。前記スピンドルは、後端部にねじ無し部を有し得る。スピンドルの後端部は、ねじ無し部及びねじ付き部を有し得る。
【0016】
前記固定要素は、前記スピンドルと前記ウォームホイールとの間に嵌合接続を提供し得る。前記固定要素は、前記スピンドルと前記ウォームホイールとの間に圧入接続を提供し得る。前記固定要素は、ブッシング、特に、中空円筒形ブッシングであってもよい。固定要素は、塑性変形ブッシングとし得る。固定要素は、軸方向に塑性変形されたブッシングとし得る。固定要素は、半径方向に塑性変形されたブッシングとし得る。固定要素は、軸方向及び半径方向に塑性変形されるブッシングであってもよい。固定要素は、圧縮スリーブであってもよい。固定要素は、材料結合によってスピンドル及びウォームホイールに接続され得る。固定要素は、スピンドル及びウォームホイールに接着接合され得る。固定要素は、スピンドル及びウォームホイールに溶接され得る。
【0017】
前記スピンドルの後端部は、前記第1のレールにおける回転軸受に取り付けられ得る。スピンドルの後端部は、回転軸受におけるねじ無し部によって第1のレールに取り付けられ得る。スピンドルの後端部における回転軸受の領域には、特に後方衝突の場合に、力を消散するための追加の手段が設けられ得る。そのような手段は、例えば、DE102017218492A1に記載されており、その関連する開示内容はここに明示的に含まれる。
【0018】
前記スピンドルの雄ねじは、台形ねじの形状に構成され得る。前記ウォームホイールの雌ねじは、台形ねじの形状に構成され得る。前記スピンドルの雄ねじ及び前記ウォームホイールの前記雌ねじは、それぞれ二条ねじで構成され得る。
【0019】
本発明によれば、本発明による長手方向調整機構、特に上記説明による長手方向調整機構を備えた車両座席により、課題がさらに解決される。
【0020】
本発明の改良を図面を参照して以下により詳細に説明する前に、まず、本発明は説明された構成要素に限定されないことに留意されたい。さらに、使用される用語は限定を構成するものではなく、単なる例示的な性質のものである。以下の説明及び特許請求の範囲において単数が使用される限り、文脈がこれを明示的に排除しなければ、複数も含まれる。
【0021】
本発明は、図に示される有利な例示的な実施形態に基づいて、以下の文章においてより詳細に説明される。しかしながら、本発明はこの例示的な実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】
図1の車両座席の発明による長手方向調整機構の長手方向断面を示す。
【
図4】第1のアセンブリ状態にあるギア、スピンドル、及び固定要素を有するギアホルダを示す。
【
図5】第2のアセンブリ状態にあるギア、スピンドル及び固定要素を有するギアホルダを示す。
【
図6】第3のアセンブリ状態にあるギア、スピンドル、及び固定要素を有するギアホルダを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に概略的に示す車両座席1は、互いに直交する3つの空間方向を使用して以下に説明される。車両に搭載された車両座席1の場合、長手方向xは、車両の通常の走行方向に対応する車両長手方向と実質的に水平に、かつ好ましくは平行に延びる。長手方向xに対して垂直に延びる横手方向は、同様に車両内で水平に方向付けられ、車両の横手方向に平行に延びる。垂直方向zは、長手方向xに対して垂直に、かつ横手方向に対して垂直に延びる。車両に搭載される車両座席1の場合、垂直方向zは、車両の垂直軸に対して平行に延びる。
【0024】
例えば、前方、後方、上部及び底部のように使用される位置及び方向指示は、通常の着座位置で車両座席1に着座している乗員の視線方向に関するものであり、車両座席1は、直立した背もたれ4を備えた旅客輸送に適した使用位置で車両内に搭載され、従来のやり方で進行方向に向けられる。しかしながら、車両座席1は、異なる向きで、例えば、進行方向に対して横手方向に搭載されてもよい。
【0025】
図1に示す車両座席1は、座部2と、座部2に対して傾斜が調整可能な背もたれ4とを有する。背もたれ4の傾斜は、例えば、ラッチ式取り付け具又はギア付き取り付け具によって調整可能である。車両座席1は、長手方向座席位置を調整する長手方向調整機構10に取り付けられる。
【0026】
図2は、
図1の車両座席1の発明による長手方向調整機構10を示す。長手方向調整機構10は、少なくとも1対のレール、好ましくは、2対のレールを有する。1対のレールは、それぞれ、特に、座席構造に接続するための第1のレール12と、特に、車両構造に接続するための第2のレール14とから形成される。1対のレールのレール12,14は、互いに対して長手方向xに変位可能であり、互いに嵌合して内部チャネル16を形成する。第2のレール14に接続されたスピンドルナット30と、スピンドルナット30に作動可能に接続されたスピンドル20とが内部チャネル16内に配置される。この場合、スピンドルナット30は、第2のレール14に固定され、特に螺合される。スピンドル20は、長手方向xに平行なスピンドル軸Aに沿って延びる。
【0027】
スピンドル20の前端部20aには、モータ(図示せず)によって駆動可能でありかつスピンドル20と相互作用するギア50が配置される。モータは、各レール対の2つのギア50の間に取り付けられたモータキャリアに保持され、
図2に示されていないシャフトによって2つのギア50を駆動し得る。ここで、モータは、特に、ウォーム回転軸を中心に回転可能に取り付けられるウォーム52を駆動し、これによって、ウォーム回転軸に垂直に回転可能に取り付けられたウォームホイール54が所定の減速比で駆動可能である。ウォーム52及びウォームホイール54は、好ましくは、共通のギアハウジング内に収容される。ウォームホイール54は、雌ねじ56を有する中央部54aと、長手方向xと平行に中央部54aに隣接する2つの軸受部54bとを有する。少なくとも長手方向xの前方軸受部54bは、ねじ山が無いように構成される。
【0028】
ウォームホイール54は、スピンドル軸Aを中心としてスピンドル20を回転駆動するために設けられる。ギア50は、スピンドル20の前端部20aを支持する。スピンドル20の後端部20bは、第1のレール12上の回転軸受40に取り付けられる。
【0029】
図3は、スピンドル20の前端部の領域における長手方向調整機構10の詳細を拡大した図である。ギア50は、ギアホルダ60によって第1のレール12に接続される。ギアホルダ60は、互いに平行な2つの脚部62を有する。2つの対向する脚部62は、それ自体公知のやり方でウェブ64を介して互いに接続される。各脚部62には、締結部66が隣接しており、それによってギアホルダ60が第1のレール12に保持される。締結部66は、それぞれの脚部62に対して約90°曲げられる。U字形状のギアホルダ60のアセンブリ状態において、ギア50が脚部62間に収容される。
【0030】
長手方向座席調整のための公知の装置では、締結部66は、通常、対応するねじ及び/又はねじ付きボルトと相互作用して第1のレール12への接続をもたらすねじ穴を有する。ギアホルダ60は、代替的に、第1のレール12に溶接又はリベット留めされてもよい。
【0031】
スピンドル20は、実質的にU字形状のギアホルダ60の互いに平行な2つの脚部62の一方を貫通する。この場合、スピンドル20は、長手方向xに平行に後方脚部62を貫通する。その前端部20aにおいて、スピンドル20は、スピンドル20の雄ねじ22によってウォームホイール54の雌ねじ56に螺合される。スピンドル20は、固定要素58によって共回転するようにウォームホイール54に接続される。
【0032】
図4は、スピンドル20と固定要素58とがアセンブリに接続されていない第1のアセンブリ状態において、スピンドル20の前端部20aと、固定要素58と、ギアホルダ60及びギア50から形成されるアセンブリとを示す。スピンドル20は、その前端部20aにねじ無し部24を有する。
【0033】
図5は、後続のアセンブリ状態を示しており、スピンドル20が長手方向xに平行にギアホルダ60の後方脚部62を通過し、スピンドル20の雄ねじ22によってウォームホイール54の雌ねじ56に螺合されている。スピンドル20は、スピンドル20のねじ無し部24が雌ねじ56を介して軸受部54b内に突出するように、この場合、後者を通って突出するように、ウォームホイール54の雌ねじ56を介して螺合されている。
【0034】
図6は、第3の、特に最終的なアセンブリ状態を示しており、先にウォームホイール54に螺合されたスピンドル20とウォームホイール54とが固定要素58によって共回転するように互いに接続されている。この目的のために、固定要素58は、スピンドル20の前端部20aから、スピンドル20のねじ無し部24とねじ無し部24を囲むウォームホイール54の軸受部分50bとの間の以前に空であった領域に挿入され、この場合、押し込まれる。固定要素58に押し込むことにより、スピンドル20とウォームホイール54とが互いに摩擦接続される。
【0035】
上記の説明、特許請求の範囲及び図面に開示された特徴は、本発明をその種々の構成で実装するために、個々に及び組み合わせて重要であり得る。
【0036】
本発明は、図面及び上の例示において詳細に説明されているが、例示は、限定ではなく、説明であり、例として理解されるべきである。特に、個々の要素の図形的に例示された比率の選択は、要件又は限定と解釈されるべきではない。さらに、本発明は、特に、上述した例示的な実施形態に限定されない。本発明のさらなる変形及びその実装形態は、当業者には、上記の開示、図面及び請求項から明らかである。
【0037】
請求項において使用される「備える」、「有する」、「含む」、「保持する」等の用語は、さらなる要素又はステップを除外しない。不定冠詞の使用は複数を排除しない。単一の装置が、特許請求の範囲に記載された複数のユニット又は装置の機能を実行し得る。
【符号の説明】
【0038】
1 車両座席
2 座部
4 背もたれ
10 長手方向調整機構
12 第1のレール
14 第2のレール
16 内部チャネル
20 スピンドル
20a (スピンドル20の)前端部
20b (スピンドル20の)後端部
22 雄ねじ
24 ねじ無し部
30 スピンドルナット
40 回転軸受
50 ギア
52 ウォーム
54 ウォームホイール
54a 中央部
54b 軸受部
56 雌ねじ
58 固定要素
60 ギアホルダ
62 脚部
64 ウェブ
66 接続部
A (スピンドル20の)スピンドル軸
x 長手方向
z 垂直方向
【国際調査報告】