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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(54)【発明の名称】長手方向調節器及び車両座席
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/08 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
B60N2/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573881
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2020066113
(87)【国際公開番号】W WO2020249624
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】102019116315.3
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019122928.6
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521353920
【氏名又は名称】カイパー シーティング メカニズムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】グレゴル、 ペーター
(72)【発明者】
【氏名】シュールマン、 ソーステン
(72)【発明者】
【氏名】シュプレンガー、 エリック
(72)【発明者】
【氏名】ステマー、 ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】スラック、 アンドレイ
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA02
3B087BB02
3B087BC17
(57)【要約】
本発明は、特に車両座席(1)用の長手方向調節器(10)に関し、この長手方向調節器(10)は、第1のレール(12)と、第1のレール(12)に対して長手方向(x)に変位可能な第2のレール(14)とから形成される少なくとも1対のレールを備えており、レール(12、14)は、互いに嵌合して内部チャネル(16)を形成し、第2のレール(14)に接続されるスピンドルナット(130;230)及びスピンドルナット(130;230)に作動可能に接続されるスピンドル(20)が内部チャネル(16)に配置され、モータ(60)によって駆動可能でありかつスピンドル(20)と相互作用するスピンドルギア(50)が第1のレール(12)の一端に配置されており、このスピンドルナット(130;230)は、スピンドルナット(130;230)が少なくとも1つの自由度を有するように第2のレール(14)に固定され、スピンドルナット(130;230)は、固定手段(80)によって第2のレール(12)に固定されるように接続され、スピンドルナット(130;230)の基体(132;232)と第2のレール(14)との間に突起(134;234)が設けられ、この突起は、基体(132;232)と第2のレール(20)との間の距離を規定する。また、本発明は、このような長手方向調節器(10)を備える車両座席(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両座席(1)用の長手方向調節器(10)であって、前記長手方向調節器(10)は、第1のレール(12)と、前記第1のレール(12)に対して長手方向(x)に変位可能な第2のレール(14)とから形成される少なくとも1対のレールを有し、前記レール(12、14)は、交互に嵌合して内部チャネル(16)を形成し、前記第2のレール(14)に接続されるスピンドルナット(130;230)及び前記スピンドルナット(130;230)に作動可能に接続されるスピンドル(20)が前記内部チャネル(16)に配置され、モータ(60)によって駆動可能でありかつ前記スピンドル(20)と相互作用するスピンドルギア(50)が前記第1のレール(12)の一端に配置されており、
前記スピンドルナット(130;230)は、前記スピンドルナット(130;230)が少なくとも1つの自由度を有するように第2のレール(14)に固定され、前記スピンドルナット(130;230)は、固定手段(80)によって前記第2のレール(14)に接続され、前記固定手段(80)の領域において、前記スピンドルナット(130;230)の基体(132;232)上又は前記第2のレール(14)上に突起(134;234)が設けられ、前記突起は、前記基体(132;232)と前記第2のレール(14)との間の距離を規定し、前記スピンドルナット(130,230)は、少なくとも1つのクラッシュボルト(90)、特に2つのクラッシュボルト(90)によって、衝突時に前記第2のレール(14)に接続可能であることを特徴とする、長手方向調節器(10)。
【請求項2】
前記クラッシュボルト(90)の各々は、前記第2のレール(14)の第1の開口(14a)を通過する、請求項1に記載の長手方向調節器(10)。
【請求項3】
前記ボルトと前記第2のレール(14)との間で各クラッシュボルト(90)の周囲に放射状ギャップ(100)が設けられる、請求項1又は2に記載の長手方向調節器(10)。
【請求項4】
前記ボルトと前記第2のレール(14)の第1の開口(14a)との間で各クラッシュボルト(90)の周囲に放射状ギャップ(100)が設けられる、請求項3に記載の長手方向調節器(10)。
【請求項5】
前記スピンドルナット(130;230)は、前記長手方向(x)に見て中央に配置された固定手段(80)によって前記第2のレール(14)に固定されるように接続される、請求項1~4のいずれか1項に記載の長手方向調節器(10)。
【請求項6】
前記自由度は、実質的に水平な軸を中心とする前記スピンドルナット(130;230)の旋回に対応する、請求項1~5のいずれか1項に記載の長手方向調節器(10)。
【請求項7】
前記自由度は、横手方向(y)に平行に延びる軸を中心とする前記スピンドルナット(130;230)の旋回に対応する、請求項6に記載の長手方向調節器(10)。
【請求項8】
前記自由度は、実質的に垂直な軸を中心とする前記スピンドルナット(130;230)の回転に対応する、請求項1~7のいずれか1項に記載の長手方向調節器(10)。
【請求項9】
前記自由度は、前記固定手段(80)の軸(A)を中心とする前記スピンドルナット(130;230)の回転に対応する、請求項8に記載の長手方向調節器(10)。
【請求項10】
前記自由度は、垂直方向(z)における前記スピンドルナット(130;230)の移動に対応する、請求項1~9のいずれか1項に記載の長手方向調節器(10)。
【請求項11】
前記自由度は、前記2つのクラッシュボルト(90)の間の仮想接続線に沿った実質的に水平な軸を中心とする前記スピンドルナット(130;230)の旋回に対応する、請求項1~10のいずれか1項に記載の長手方向調節器(10)。
【請求項12】
前記第2のレール(14)は、前記突起を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の長手方向調節器(10)。
【請求項13】
前記スピンドル(20)は、前記スピンドル(20)の前端部(20a)において前記スピンドルギア(50)内に、及び前記スピンドル(20)の後端部(20b)において前記第1のレール(12)の回転軸受内に取り付けられる、請求項1~12のいずれか1項に記載の長手方向調節器(10)。
【請求項14】
前記スピンドルナット(130)の前記基体(132)は、各クラッシュボルト(90)の領域内に、各クラッシュボルト(90)の頭部(92)と前記基体(130)との間の距離を規定する肩部(136)を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の長手方向調節器(10)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の長手方向調節器(10)を備える車両座席(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のレールと、第1のレールに対して長手方向に変位可能な第2のレールとから形成される少なくとも1対のレールを有する長手方向調節器、特に、車両座席用の長手方向調節器であって、レールは、互いに嵌合して内部チャネルを形成し、第2のレールに接続されるスピンドルナットと、スピンドルナットに作動可能に接続されるスピンドルとが内部チャネルに配置され、モータによって駆動可能でありかつスピンドルと相互作用するギアが第1のレールの一端に配置される長手方向調節器に関する。本発明は、車両座席にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
スライド装置における自動車座席の当該の種類の駆動装置は、DE102005023095A1から知られている。自動車座席スライド装置に用いられる駆動装置は、前方位置と後方位置との間で移動可能な嵌合式の固定レール部と可動レール部とを備えている。駆動装置は、細長いスピンドル、スピンドルナット、ギア、及び取り付け装置を備えている。スピンドルはスピンドル軸を規定し、長手方向に延びるスピンドルねじを有する。スピンドルナットは、第1のレール部に確実に締結可能であり、スピンドルねじに係合可能な雌ねじを有する。ギアは、異なるレール部分に取り付けることができ、スピンドル軸を中心にスピンドルを選択的に回転させる。駆動装置のスピンドルは、駆動装置が取り付けられた状態で、可動レール部のスピンドルホイール開口を通って外方に延びるスピンドルホイールを備えている。
【0003】
フローティングねじ付きスピンドル及び静止ナットを備えたシステムを有する座席スライド装置が、DE102006000193A1から知られている。ナットは、ねじ付きスピンドルがその中を回転する間、下部レールに締結され、それによって上部構造は前後に動くことができる。このシステムを使用すると、ナットは下部レールに固定される。
【0004】
DE102008024141A1は、座席長手方向調節器用のスピンドル軸受配置を開示しており、このスピンドル軸受配置は、車両側の構成要素又は座席側の構成要素に締結配置によって締結可能なハウジングを有し、スピンドル開口軸に沿ったスピンドルの通過のためのスピンドル開口がハウジングを通過し、そのスピンドル開口の領域におけるハウジング内の雌ねじが、スピンドル開口軸に沿ってハウジング及びスピンドルを互いに対して調節するために、このように通過されたスピンドルに係合するように設計されている。このスピンドル軸受配置は、雌ねじがスピンドルナット内に形成され、スピンドルナットがスピンドル開口軸に対して調節可能なようにハウジング内に取り付けられることを提供する。
【0005】
同様の軸受配置が、DE69620623T2及びDE102004036735B4から知られている。
【0006】
自動車座席用の別の駆動装置がDE102014201582A1から知られており、この駆動装置は、座席に固定された第2のレールに保持された駆動スピンドルギアと共に、車両に固定された第1のレールに回転不能に保持されたスピンドルを有する。このような駆動装置は、静止スピンドルナットを有していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、最初に述べた種類の長手方向調節器を改良すること、特に、スピンドルナットの領域における遊びをなくすこと及び公差補償を可能にする静止スピンドルナットを備えた長手方向調節器を提供すること、及び対応する車両座席を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この課題は、特に車両座席用の長手方向調節器によって解決され、この長手方向調節器は、第1のレールと、第1のレールに対して長手方向に変位可能な第2のレールとから形成される少なくとも1対のレールを有しており、レールは、互いに嵌合して内部チャネルを形成し、第2のレールに接続されるスピンドルナット及びスピンドルナットに作動可能に接続されるスピンドルが内部チャネルに配置され、モータによって駆動可能でありかつスピンドルと相互作用するギアが第1のレールの一端に配置されており、スピンドルナットは、スピンドルナットが少なくとも1つの自由度を有するように第2のレールに固定され、スピンドルナットは、固定手段によって第2のレールに接続され、特に固定されるように接続され、スピンドルナットの基体上に接続される又は第2のレール上において固定手段の領域に接続される突起が設けられ、突起は、基体と第2のレールとの間の距離を規定し、スピンドルナットは、衝突時に少なくとも1つのクラッシュボルト、特に2つのクラッシュボルトによって第2のレールに接続可能である。
【0009】
スピンドルナットが少なくとも1つの自由度を有するようにスピンドルナットが第2のレールに固定されるので、特にアセンブリ中の個々の構成要素間の製造関連の公差及び遊びを補償することができる。
【0010】
「固定手段が第2のレールに固定されるように接続されている」とは、一般的に、固定手段が、少なくとも長手方向調節器の通常の使用状態において、第2のレールに対する遊びがないが、自由度に影響を与えないようにスピンドルナットを固定することを意味すると理解されるべきである。
【0011】
個別に又は互いに組み合わせて使用され得る有利な改良が、従属請求項の主題である。
【0012】
第1のレールは、好ましくは、車両座席に接続可能な座席レールである。第2のレールは、好ましくは、車両構造に接続可能なフロアレールである。スピンドルギアの可能な内部構造並びに動作及び機能の様式は、例えば、DE102013207665A1から知られており、その開示はここに明示的に含まれる。
【0013】
スピンドルは、スピンドルの前端部においてスピンドルギア内に、及びスピンドルの後端部において第1のレールの回転軸受内に取り付けられ得る。
【0014】
クラッシュボルトは、ねじであってもよい。クラッシュボルトは、ねじボルトであってもよい。各クラッシュボルトは、第2のレールにおける特にクラッシュボルト用の第1の開口を通過させられ得る。さらに、ボルトと第2のレールとの間、特にボルトと第2のレールの第1の開口との間で、各クラッシュボルトの周囲に、放射状ギャップが設けられ得る。
【0015】
スピンドルナットは、基体を有し得る。スピンドルナットは、特に長手方向に平行な、雌ねじを備えた連続ねじ穴を有し得る。スピンドルナットの雌ねじは、スピンドルの雄ねじに作動可能に接続され得る。
【0016】
スピンドルナットの基体は、各クラッシュボルトの領域内に肩部を有してもよく、この肩部は、各クラッシュボルトの頭部と基体との間の距離を規定する。ここで、肩部と第2のレールとの間、特に肩部と第2のレールの第1の開口との間で、肩部の周囲にギャップが設けられ得る。
【0017】
同様に、各クラッシュボルトは、各クラッシュボルトの頭部に隣接し、かつ頭部とスピンドルナット、特にスピンドルナットの基体との間の距離を規定する肩部を有し得る。
【0018】
スピンドルナットは、長手方向に見て、中央に配置された固定手段によって第2のレールに固定されるように接続され得る。第2のレールは、この目的のために第2の開口を有し得る。第2の開口の内径は、好ましくは、固定手段の外径に適合する。固定手段は、ねじであってもよい。固定手段は、ボルト、特にねじ付きボルトであってもよい。
【0019】
特にスピンドル軸に平行に、好ましくは、中央に配置された突起が、固定手段の領域において、スピンドルナットの基体上に設けられてもよく、この突起は、基体と第2のレール、特に内部チャネルの方向に向けられた第2のレールの上側との間の距離を規定する。スピンドルナットの領域において、第2のレールは、スピンドルナットと第2のレールとの間の距離、特に内部チャネルの方向に向けられた第2のレールの上側を規定する突起を有し得る。第2のレールの突起は、エンボス加工によって形成され得る。軸受要素が、スピンドルナットの基体と第2のレールとの間に配置され得る。軸受要素は、平座金であってもよい。軸受要素は、金属シートであってもよい。軸受要素は、突起、特に、スピンドル軸に平行に中央に配置された突起を有し得る。軸受要素は、基体と第2のレールの間の距離を規定し得る。
【0020】
自由度は、実質的に水平な軸を中心とするスピンドルナットの旋回に対応し得る。自由度は、実質的に水平でありかつ横手方向に平行に延びる軸を中心とするスピンドルナットの旋回に対応し得る。このようにして、衝突時の高荷重により、スピンドルナットが、特に、突起と第2のレールとの間の接触領域を中心として、傾斜可能又は旋回可能であることが有利に可能となる。第2のレールは、好ましくは、金属、特にばね鋼で作られ得る。第2のレールは、一部の領域においてスプリング座席の弾性特性を有し得る。
【0021】
自由度は、実質的に垂直な軸、特に固定手段の軸を中心とするスピンドルナットの回転に対応し得る。自由度は、垂直方向のスピンドルナットの移動に対応し得る。自由度は、特に2つのクラッシュボルト間の仮想接続線に沿った、実質的に水平な軸を中心とするスピンドルナットの旋回に対応し得る。本発明の文脈における「自由度」は、一般に、多くの相互に独立した移動の可能性を意味すると理解される。
【0022】
弾性手段が、スピンドルナットの基体と第2のレールとの間に配置され得る。金属ばね、特に金属板ばねが、スピンドルナットの基体と第2のレールとの間に配置され得る。プラスチック、特にゴムからなる緩衝材、特に平坦な緩衝材が、スピンドルナットの基体と第2のレールとの間に配置され得る。プラスチック、特にゴムからなる緩衝材、特に環状緩衝材が、各クラッシュボルトの頭部と第2のレールとの間に配置され得る。
【0023】
緩衝材は、プラスチック、特にゴムからなり得る。緩衝材は、金属からなり得る。緩衝材は、一方では金属からなり、他方ではプラスチック又はゴムからなり得る。緩衝材の一方の側が金属からなってもよく、緩衝材の他方の側がプラスチック及び/又はゴムからなり得る。
【0024】
スピンドルの直径は、従来技術から知られているスピンドルと比較して大きくされ得る。このスピンドルナットは、好ましくは、一体的に設計される。このスピンドルナットは、遊びの減少又は製造公差の補償を有利に可能にすることができる。
【0025】
この課題は、上述した長手方向調節器を備えた車両座席による本発明によっても解決される。
【0026】
本発明の改良を図面を参照して以下により詳細に説明する前に、まず、本発明は説明された構成要素に限定されないことに留意されたい。さらに、使用される用語は限定を構成するものではなく、単なる例示的な性質のものである。以下の説明及び特許請求の範囲において単数が使用される限り、文脈がこれを明示的に排除しなければ、複数も含まれる。
【0027】
本発明は、図示される有利な例示的な実施形態に基づいて以下により詳細に説明される。しかしながら、本発明は、これらの例示的な実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明による車両座席を概略的に示している。
図2図1の車両座席の発明による長手方向調節器を示す。
図3図2の長手方向調節器の1対のレールの斜視図を示す。
図4図3の1対のレールの長手方向断面を示す。
図5】第1の例示的な実施形態によるスピンドルナットの詳細が拡大された斜視図を示す。
図6図5のスピンドルナットの長手方向断面を示す。
図7】第2の例示的な実施形態によるスピンドルナットの詳細が拡大された斜視図を示す。
図8図7のスピンドルナットの長手方向断面を示す。
図9】第3の実施形態によるスピンドルナットの詳細が拡大された斜視図を示す。
図10図9のスピンドルナットの長手方向断面を示す。
図11】第4の実施形態によるスピンドルナットの詳細が拡大された斜視図を示す
図12図11のスピンドルナットの長手方向断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に概略的に示された車両座席1が、互いに直交する3つの空間方向を用いて以下に説明される。車両に搭載された車両座席1の場合、長手方向xは、車両の通常の走行方向に対応する車両長手方向と実質的に水平に、かつ好ましくは平行に延びる。長手方向xに対して垂直に延びる横手方向yは、同様に車両内で水平に方向付けられ、車両の横手方向と平行に延びる。垂直方向zは、長手方向xに対して垂直であり、横手方向yに対して垂直である。車両に設置された車両座席1の場合、垂直方向zは、車両の垂直な軸と平行に延びる。
【0030】
例えば、前方、後方、上部及び底部のように使用される位置及び方向指示は、通常の着座位置で車両座席1に着座している乗員の視線方向に関するものであり、車両座席1は、直立した背もたれ4を備えた旅客輸送に適した使用位置で車両内に搭載され、従来のやり方で進行方向に向けられる。しかしながら、車両座席1は、異なる向きで、例えば、進行方向に対して横手方向に搭載されてもよい。
【0031】
図1に示す自動車用の座席1は、座席部2と、座席部2に対して傾斜調節可能な背もたれ4とを有する。背もたれ4の傾斜は、例えば、ラッチ式取り付け具又はギア付き取り付け具によって調節可能である。車両座席1は、長手方向座席位置を調節するための長手方向調節器10に取り付けられる。
【0032】
図2は、車両座席1の本発明による長手方向調節器10を示す。長手方向調節器10は、少なくとも1対のレール、この場合、2対のレールを有する。図3は、図2の長手方向調節器10の1対のレールのうちの一方を示す。
【0033】
1対のレールは、それぞれ、特に車両座席1の座席構造に接続するための第1のレール12と、特に車両構造に接続するための第2のレール14とから形成される。1対のレールのレール12,14は、互いに対して長手方向xに変位可能であり、互いに嵌合して内部チャネル16を形成する。第2のレール14上に取り付けられ、この場合、第2のレール14に特に回転不能に接続されるスピンドルナット130;230;330;430と、スピンドルナット130;230;330;430と相互作用するスピンドル20とが内部チャネル16に配置される。スピンドル20は、長手方向xに平行なスピンドル軸Sに沿って延びる。モータ60により駆動可能でありかつスピンドル20を駆動するスピンドルギア50が、第1のレール12の前端に配置される。モータ60は、各レール対の2つのスピンドルギア50の間に取り付けられるモータキャリア70に保持され、図2に示されていないシャフトによって2つのスピンドルギア50を駆動する。
【0034】
図4は、図3の1対のレールの長手方向断面を示す。スピンドルギア50は、スピンドル20の先端部20aを支持する。スピンドルナット130;230;330;430は、ここで図示した状態でスピンドル20の長さに沿って中央に配置される。スピンドル20がスピンドル軸Sを中心に回転することによって、スピンドルナット130;230;330;430は、回転方向に応じてスピンドル20の雄ねじに沿って長手方向xに又はこれと逆方向に螺合され、それによって第1の座席レール12を第2の座席レール14に対して変位させる。スピンドル10とスピンドルナット130;230;330;430との間の相対位置もそれに応じて変位する。
【0035】
図5及び図6は、第1の例示的な実施形態によるスピンドルナット130を示す。スピンドルナット130は、基体132を有する。スピンドルナット130は、特に長手方向xに平行に方向付けられかつ雌ねじを有する連続ねじ穴を有する。スピンドルナット130の雌ねじは、スピンドル20の雄ねじに作動可能に接続される。
【0036】
スピンドルナット130は、2つのクラッシュボルト90によって第2のレール14に接続される。この目的のために、第2のレール14は2つの第1の開口14aを有し、その各々にはクラッシュボルト90が通される。さらに、クラッシュボルト90の周囲には、ボルトと第2のレール14との間にギャップ100が設けられる。スピンドルナット130は、固定手段80、特に、長手方向yに見たときに、クラッシュボルト90の間の中央に配置される固定手段80によって第2のレール14に固定される。このため、第2のレール14は、固定手段80のための第2の開口14bを有する。第2の開口14bの内径は、固定手段80の外径に適合する。スピンドルナット130は、固定手段80の領域において基体132上に突起134を有しており、この突起は基体132と第2のレール14との間の距離を規定する。スピンドルナット130は、好ましくは、衝突時に、実質的に水平な軸、特に横手方向yに平行に延びる軸を中心として旋回可能であり得る。
【0037】
第1の例示的な実施形態によれば、肩部136が、各クラッシュボルト90の領域のスピンドルナット130の基体132に配置され、特に一体的に形成されており、各クラッシュボルト90の頭部92と基体132との間の距離を規定する。この場合、頭部92は、通常、第2のレール14から離間しており、長手方向調節器10が荷重を受けて変形した後にのみ、特に衝突時に、第2のレール14と接触する。
【0038】
この場合、自由度に応じたスピンドルナット130の移動の1つの可能性は、スピンドルナット130が実質的に垂直な軸、特に固定手段80の軸Aを中心として回転することである。クラッシュボルト90の領域では、第2のレール14も、頭部92とスピンドルナット130との間の垂直方向zに限定された範囲で移動可能である。
【0039】
図7及び図8は、第2の実施形態によるスピンドルナット230を示す。スピンドルナット230は、基体232を有する。スピンドルナット230は、特に長手方向xに平行に方向付けられかつ雌ねじを有する連続ねじ穴を有する。スピンドルナット230の雌ねじは、スピンドル20の雄ねじに作動可能に接続される。
【0040】
スピンドルナット230は、2つのクラッシュボルト90によって第2のレール14に接続される。この目的のために、第2のレール14は2つの第1の開口14aを有し、その各々にはクラッシュボルト90が通される。さらに、クラッシュボルト90の周囲には、ボルトと第2のレール14との間にギャップ100が設けられる。スピンドルナット230は、長手方向xに見て、固定手段80、特に中央に配置された固定手段80によって第2のレール14に固定されるように接続される。このため、第2のレール14は、固定手段80のための第2の開口14bを有する。第2の開口14bの内径は、固定手段80の外径に適合する。スピンドルナット230は、固定手段80の領域において基体232上に突起234を有しており、この突起は基体232と第2のレール14との間の距離を規定する。スピンドルナット230は、好ましくは、衝突時に、実質的に水平な軸、特に横手方向yに平行に延びる軸を中心として旋回可能であり得る。
【0041】
第2の例示的な実施形態によれば、クラッシュボルト90は、各クラッシュボルト90の頭部92に隣接する肩部236をそれぞれ有し、肩部236はそれぞれ、頭部92とスピンドルナット230との間の距離を規定する。この場合、頭部92は、通常、第2のレール14から離間しており、長手方向調節器10が荷重を受けて変形した後にのみ、特に衝突時に、第2のレール14と接触する。
【0042】
この場合、自由度に応じたスピンドルナット230の移動の1つの可能性は、スピンドルナット230が実質的に垂直な軸、特に固定手段80の軸Aを中心として回転することである。クラッシュボルト90の領域では、第2のレール14も、頭部92とスピンドルナット230との間の垂直方向zに限定された範囲で移動可能である。
【0043】
図9及び図10は、第3の実施形態によるスピンドルナット330を示す。スピンドルナット330は、基体332を有する。スピンドルナット330は、特に長手方向xに平行に方向付けられかつ雌ねじを有する連続ねじ穴を有する。スピンドルナット330の雌ねじは、スピンドル20の雄ねじに作動可能に接続される。
【0044】
スピンドルナット330は、2つのクラッシュボルト90によって第2のレール14に接続される。この目的のために、第2のレール14は2つの第1の開口14aを有し、その各々にはクラッシュボルト90が通される。さらに、クラッシュボルト90の周囲には、ボルトと第2のレール14との間にギャップ100が設けられる。クラッシュボルト90の各々は、各クラッシュボルト90の頭部92に隣接する肩部336を有し、肩部336はそれぞれ頭部92とスピンドルナット330との間の距離を規定する。この場合、頭部92は、通常、第2のレール14から離間しており、長手方向調節器10が荷重を受けて変形した後にのみ、特に衝突時に、第2のレール14と接触する。
【0045】
弾性手段338が、スピンドルナット330の基体332と第2のレール14との間に配置される。この場合、弾性手段338は、プラスチック、特にゴムからなる緩衝材338、特に平坦な緩衝材338である。プラスチック、特にゴムからなる環状緩衝材338が、クラッシュボルト90の頭部92と第2のレール14との間に配置される。
【0046】
この場合、自由度に応じたスピンドルナット330の移動の1つの可能性は、第2のレール14の第1の開口14aにおけるクラッシュボルト90のそれぞれの位置によって制限される実質的に垂直な軸を中心としたスピンドルナット330の回転である。
【0047】
自由度に応じたスピンドルナット330の別の移動の可能性は、緩衝材338の材料の弾性特性によって影響される垂直方向zへのスピンドルナット330の移動であり得る。
【0048】
自由度に応じたスピンドルナット330の別の移動の可能性は、実質的に水平な軸を中心とした、特に2つのクラッシュボルト90間の仮想接続線に沿ったスピンドルナット330の旋回であり、これも緩衝材338の材料の弾性特性によって影響を受ける。
【0049】
図11及び12は、第4の例示的な実施形態によるスピンドルナット30を示す。スピンドルナット430は、基体432を有する。スピンドルナット430は、特に長手方向xに平行に方向付けられかつ雌ねじを有する連続ねじ穴を有する。スピンドルナット430の雌ねじは、スピンドル20の雄ねじに作動可能に接続される。
【0050】
スピンドルナット430は、2つのクラッシュボルト90によって第2のレール14に接続される。この目的のために、第2のレール14は2つの第1の開口14aを有し、その各々にはクラッシュボルト90が通される。さらに、クラッシュボルト90の周囲には、ボルトと第2のレール14との間にギャップ100が設けられる。クラッシュボルト90の各々は、各クラッシュボルト90の頭部92に隣接する肩部436を有し、肩部336はそれぞれ頭部92とスピンドルナット430との間の距離を規定する。この場合、頭部92は、通常、第2のレール14から離間しており、長手方向調節器10が荷重を受けて変形した後にのみ、特に衝突時に、第2のレール14と接触する。
【0051】
弾性手段が、スピンドルナット430の基体432と第2のレール14との間に設けられる。金属ばね438、特に金属板ばね438が、スピンドルナット430の基体432と第2のレール14との間に配置され得る。それぞれの緩衝材440、特に環状緩衝材440が、各クラッシュボルト90の頭部92と第2のレール14との間に配置され得る。この場合、緩衝材440は金属からなる。
【0052】
代替的に、緩衝材440は、一方では金属で、他方ではプラスチック又はゴムから成り得る。頭部92に面する緩衝材440の一方の側は金属からなってもよく、第2のレール14に面する緩衝材440の側はプラスチック及び/又はゴムからなり得る。代替的に、緩衝材440の第2のレール14に面する側が金属からなってもよく、緩衝材440の頭部92に面する側がプラスチック及び/又はゴムからなり得る。
【0053】
この場合、自由度に応じたスピンドルナット430の移動の1つの可能性は、第2のレール14の第1の開口14aにおけるクラッシュボルト90のそれぞれの位置によって制限される実質的に垂直な軸を中心としたスピンドルナット430の回転である。
【0054】
また、自由度に応じたスピンドルナット430の別の移動の可能性は、スピンドルナット430の垂直方向zであってもよく、これは金属バネ438の材質の弾性特性に影響される。
【0055】
自由度に応じたスピンドルナット430の別の移動の可能性は、スピンドルナット430が実質的に水平な軸を中心に、特に2つのクラッシュボルト90間の仮想接続線に沿って旋回することであり、これは金属ばね438の材料の弾性特性によって影響を受け、第1の開口14a及びクラッシュボルト90の頭部92の寸法によって制限される。
【0056】
上記の説明、特許請求の範囲及び図面に開示された特徴は、本発明をその種々の構成で実装するために、個々に及び組み合わせて重要であり得る。
【0057】
本発明は、図面及び上の例示において詳細に説明されているが、例示は、限定ではなく、説明であり、例として理解されるべきである。特に、個々の要素の図形的に例示された比率の選択は、要件又は限定と解釈されるべきではない。さらに、本発明は、特に、上述した例示的な実施形態に限定されない。本発明のさらなる変形及びその実装形態は、当業者には、上記の開示、図面及び請求項から明らかである。
【0058】
請求項において使用される「備える」、「有する」、「含む」、「保持する」等の用語は、さらなる要素又はステップを除外しない。不定冠詞の使用は複数を排除しない。単一の装置が、請求項に記載された複数のユニット又は装置の機能を実行し得る。
【符号の説明】
【0059】
1 車両座席
2 座部
4 背もたれ
10 長手方向調節器
12 第1のレール
14 第2のレール
14a 第1の開口
14b 第2の開口
16 内部チャネル
20 スピンドル
20a (スピンドル20の)前端部
20b (スピンドル20の)後端部
50 スピンドルギア
60 モータ
70 モータキャリア
80 固定手段
90 クラッシュボルト
92 頭部
100 ギャップ
130 スピンドルナット
132 基体
134 突起
136 肩部
230 スピンドルナット
232 基体
234 突起
236 肩部
330 スピンドルナット
332 基体
336 肩部
338 弾性手段、緩衝材
430 スピンドルナット
432 基体
436 肩部
438 ばね手段、板ばね
440 緩衝材
S (スピンドル20の)スピンドル軸
A (固定手段の)軸
x 長手方向
y 横手方向
z 垂直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】