(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20220830BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20220830BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20220830BHJP
H05H 1/46 20060101ALN20220830BHJP
【FI】
C23C16/44 B
C23C16/505
H01L21/302 101B
H05H1/46 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574823
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(85)【翻訳文提出日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 KR2020007614
(87)【国際公開番号】W WO2021002605
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】10-2019-0079657
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504210651
【氏名又は名称】ジュスン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ ジャエ ワン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム ユーン ジェオン
(72)【発明者】
【氏名】キム ユン ホエ
(72)【発明者】
【氏名】パク チャン キュン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン グ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム キ バム
(72)【発明者】
【氏名】サ セウン ユウブ
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F004
【Fターム(参考)】
2G084BB21
2G084BB32
2G084CC11
2G084CC33
2G084FF15
4K030EA04
4K030FA03
4K030KA04
4K030KA14
5F004AA01
5F004BA04
5F004BB28
(57)【要約】
本発明は、熱膨張率の差を考慮して第1電極と第2電極の位置を予め調整することにより、工程が進行して第1電極および第2電極の熱膨張が発生しても前記第1電極と第2電極とが接触してショートが起こるのを防止できるようにした基板処理装置に関する。本発明による基板処理装置によれば、工程進行中の温度上昇によって第1電極および第2電極が熱膨張が生じても前記第1電極と第2電極との間のショートを防止でき、大面積基板処理装置で薄膜の均一度を維持できる効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための反応空間を提供する工程チャンバと、
前記工程チャンバの内部に設けられて、前記基板に対向し、前記基板側に突出した複数の突出電極を含む第1電極と、
前記工程チャンバの内部に設けられて、前記突出電極が挿入される複数の挿入ホールが形成された第2電極と、を含み、
前記第2電極は、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周辺領域と、前記周辺領域を取り囲むエッジ領域とを有し、
前記中心領域は、前記突出電極の中心が前記挿入ホールの中心に挿入され、
前記周辺領域は、前記突出電極の中心が前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第1距離だけ離隔して挿入され、
前記エッジ領域は、前記突出電極の中心が前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第2距離だけ離隔して挿入され、
前記第1距離は、前記第2距離より短いことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
基板を処理するための反応空間を提供する工程チャンバと、
前記工程チャンバの内部に設けられて、前記基板に対向し、前記基板側に突出した複数の突出電極を含む第1電極と、
前記工程チャンバの内部に設けられて、前記突出電極が挿入される複数の挿入ホールが形成された第2電極と、を含み、
前記第2電極は、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周辺領域と、前記周辺領域を取り囲むエッジ領域とを有し、
前記突出電極の中心は、前記中心領域から前記エッジ領域へいくほど前記挿入ホールの中心から遠くなる状態で挿入されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
基板を処理するための反応空間を提供する工程チャンバと、
前記工程チャンバの内部に設けられて、前記基板に対向し、前記基板側に突出した複数の突出電極を含む第1電極と、
前記工程チャンバの内部に設けられて、前記突出電極が挿入される複数の挿入ホールが形成された第2電極と、を含み、
前記第2電極は、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周辺領域と、前記周辺領域を取り囲むエッジ領域とを有し、
前記突出電極の外周面と前記挿入ホールの内周面との間の間隔のうち最短距離を有する間隔は、前記第2電極の中心領域から前記エッジ領域へいくほど短くなることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
基板を処理するための反応空間を提供する工程チャンバと、
前記工程チャンバの内部に設けられて、前記基板に対向し、前記基板側に突出した複数の突出ノズルを含む第1噴射プレートと、
前記工程チャンバの内部に設けられて、前記突出ノズルが挿入される複数の挿入ホールが形成された第2噴射プレートと、を含み、
前記第2噴射プレートは、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周辺領域と、前記周辺領域を取り囲むエッジ領域とを有し、
前記中心領域は、前記突出ノズルが前記挿入ホールの中心に挿入され、
前記周辺領域は、前記突出ノズルが前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第1距離だけ離隔して挿入され、
前記エッジ領域は、前記突出ノズルが前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第2距離だけ離隔して挿入され、
前記第1距離は、前記第2距離より短いことを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
基板を処理するための反応空間を提供する工程チャンバと、
前記工程チャンバの内部に設けられて、前記基板に対向し、前記基板側に突出した複数の突出ノズルを含む第1噴射プレートと、
前記工程チャンバの内部に設けられて、前記突出ノズルが挿入される複数の挿入ホールが形成された第2噴射プレートと、を含み、
前記第2噴射プレートは、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周辺領域と、前記周辺領域を取り囲むエッジ領域とを有し、
前記突出ノズルは、前記中心領域から前記エッジ領域へいくほど前記挿入ホールの中心から遠くなる状態で挿入されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
基板を処理するための反応空間を提供する工程チャンバと、
前記工程チャンバの内部に設けられて、前記基板に対向し、前記基板側に突出した複数の突出ノズルを含む第1噴射プレートと、
前記工程チャンバの内部に設けられて、前記突出ノズルが挿入される複数の挿入ホールが形成された第2噴射プレートと、を含み、
前記第2噴射プレートは、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周辺領域と、前記周辺領域を取り囲むエッジ領域とを有し、
前記突出ノズルの外周面と前記挿入ホールの内周面との間の間隔のうち最短距離を有する間隔は、前記第2噴射プレートの前記中心領域から前記エッジ領域へいくほど短くなることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
前記工程チャンバは、常温であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記周辺領域は、第1周辺領域および第2周辺領域を含み、
前記第1周辺領域は、前記突出電極の中心が前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第1距離だけ離隔して挿入され、
前記第2周辺領域は、前記突出電極の中心が前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第3距離だけ離隔して挿入され、
前記第1距離は、前記第3距離より短いか等しいことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記エッジ領域は、第1エッジ領域および第2エッジ領域を含み、
前記第1エッジ領域は、前記突出電極の中心が前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第2距離だけ離隔して挿入され、
前記第2エッジ領域は、前記突出電極の中心が前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第4距離だけ離隔して挿入され、
前記第2距離は、前記第4距離より短いか等しいことを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記第3距離は、前記第2距離より短いか等しく、第4距離より短いことを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記周辺領域は、第1周辺領域および第2周辺領域を含み、
前記第1周辺領域は、前記突出ノズルが前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第1距離だけ離隔して挿入され、
前記第2周辺領域は、前記突出ノズルが前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第3距離だけ離隔して挿入され、
前記第1距離は、前記第3距離より短いか等しいことを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記エッジ領域は、第1エッジ領域および第2エッジ領域を含み、
前記第1エッジ領域は、前記突出ノズルが前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第2距離だけ離隔して挿入され、
前記第2エッジ領域は、前記突出ノズルが前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第4距離だけ離隔して挿入され、
前記第2距離は、前記第4距離より短いか等しいことを特徴とする請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第3距離は、前記第2距離より短いか等しく、第4距離より短いことを特徴とする請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記突出電極の外周面と前記挿入ホールの内周面との間の間隔のうち最短距離は、前記挿入ホールの内周面のうち前記中心領域と反対方向に位置した内周面と前記突出電極の外周面との間の距離であることを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記突出ノズルの外周面と前記挿入ホールの内周面との間の間隔のうち最短距離は、前記挿入ホールの内周面のうち前記中心領域と反対方向に位置した内周面と前記突出ノズルの外周面との間の距離であることを特徴とする請求項6に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、より詳しくは、熱膨張率の差を考慮して電極間でショートが起こるのを防止できるようにした基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体素子、平板ディスプレイ、太陽電池(Solar Cell)などを製造するためには、基板上に所定の薄膜層、薄膜回路パターン、または光学的パターンを形成しなければならない。このために、基板に特定物質の薄膜を蒸着する蒸着工程、感光性物質を用いて薄膜を選択的に露出させるフォト工程、選択的に露出した部分の薄膜を除去してパターンを形成するエッチング工程などのような基板に対する処理工程が行われる。
【0003】
このような基板に対する処理工程は基板処理装置によって行われる。従来技術による基板処理装置は、基板を処理するチャンバと、基板を支持する基板支持部と、前記基板支持部の上側に配置された電極部とを含む。従来技術による基板処理装置は、前記電極部を通して基板にガスを供給することにより、前記基板に対する処理工程を行う。
【0004】
従来技術による基板処理装置の電極部は、基板側に突出した複数の突出電極を含む第1電極と、前記突出電極が貫通する挿入ホールが形成された第2電極とを備え、前記突出電極は、前記挿入ホールの中央に位置するように設計された。
【0005】
基板処理装置で基板処理工程が進行するにつれてチャンバ内の温度が上昇し、第1電極と第2電極は温度上昇によって熱膨張が生じる。一般的に、ヒータによって加熱される基板支持部に近い第2電極が第1電極より温度が高く、このような温度の差によって第1電極と第2電極との間で熱膨張の差が発生する。
【0006】
第1電極と第2電極との間での熱膨張率の差によって、工程の進行中に突出電極の中心と挿入ホールの中心との間のセンタリングが合わなくなる。一方、中心領域からエッジ領域へいくほど熱膨張率の差がさらに大きくなるに伴い、エッジ領域へいくほど突出電極の中心と挿入ホールの中心との間のセンタリングの不一致が大きくなり、突出電極と挿入ホールとが互いに接触してショートが発生する。
【0007】
このように第1電極と第2電極との間でショートが発生した場合、基板処理装置内にRFパワーを印加できず、基板処理工程中に均一な薄膜を生成できない問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、基板側に突出した複数の突出電極を有する第1電極と、前記突出電極が貫通する複数の挿入ホールが形成された第2電極とを備えた基板処理装置において、前記突出電極と挿入ホールの位置を調整することにより、工程進行中の温度上昇によって第1電極および第2電極の熱膨張が生じても前記第1電極と第2電極とが接触してショートが起こるのを防止し、突出電極の中心と挿入ホールの中心とが一致するようにして第1電極と第2電極から工程ガスが均一に噴射できるようにした基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題を達成するための、本発明の実施例による基板処理装置は、基板を処理するための反応空間を提供する工程チャンバと、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記基板に対向し、前記基板側に突出した複数の突出電極を含む第1電極と、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記突出電極が挿入される複数の挿入ホールが形成された第2電極と、を含み、前記第2電極は、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周辺領域と、前記周辺領域を取り囲むエッジ領域とを有し、前記中心領域は、前記突出電極の中心が前記挿入ホールの中心に挿入され、前記周辺領域は、前記突出電極の中心が前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第1距離だけ離隔して挿入され、前記エッジ領域は、前記突出電極の中心が前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第2距離だけ離隔して挿入され、前記第1距離は、前記第2距離より短いことを特徴とする。
【0010】
上記の技術的課題を達成するための、本発明の実施例による基板処理装置は、基板を処理するための反応空間を提供する工程チャンバと、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記基板に対向し、前記基板側に突出した複数の突出電極を含む第1電極と、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記突出電極が挿入される複数の挿入ホールが形成された第2電極と、を含み、前記第2電極は、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周辺領域と、前記周辺領域を取り囲むエッジ領域とを有し、前記突出電極の中心は、前記中心領域から前記エッジ領域へいくほど前記挿入ホールの中心から遠くなる状態で挿入されることを特徴とする。
【0011】
上記の技術的課題を達成するための、本発明の実施例による基板処理装置は、基板を処理するための反応空間を提供する工程チャンバと、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記基板に対向し、前記基板側に突出した複数の突出電極を含む第1電極と、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記突出電極が挿入される複数の挿入ホールが形成された第2電極と、を含み、前記第2電極は、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周辺領域と、前記周辺領域を取り囲むエッジ領域とを有し、前記突出電極の外周面と前記挿入ホールの内周面との間の間隔のうち最短距離を有する間隔は、前記第2電極の中心領域から前記エッジ領域へいくほど短くなることを特徴とする。
【0012】
上記の技術的課題を達成するための、本発明の実施例による基板処理装置は、
【0013】
基板を処理するための反応空間を提供する工程チャンバと、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記基板に対向し、前記基板側に突出した複数の突出ノズルを含む第1噴射プレートと、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記突出ノズルが挿入される複数の挿入ホールが形成された第2噴射プレートと、を含み、前記第2噴射プレートは、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周辺領域と、前記周辺領域を取り囲むエッジ領域とを有し、前記中心領域は、前記突出ノズルが前記挿入ホールの中心に挿入され、前記周辺領域は、前記突出ノズルが前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第1距離だけ離隔して挿入され、前記エッジ領域は、前記突出ノズルが前記挿入ホールの中心から前記中心領域の反対方向に第2距離だけ離隔して挿入され、前記第1距離は、前記第2距離より短いことを特徴とする。
【0014】
上記の技術的課題を達成するための、本発明の実施例による基板処理装置は、基板を処理するための反応空間を提供する工程チャンバと、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記基板に対向し、前記基板側に突出した複数の突出ノズルを含む第1噴射プレートと、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記突出ノズルが挿入される複数の挿入ホールが形成された第2噴射プレートと、を含み、前記第2噴射プレートは、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周辺領域と、前記周辺領域を取り囲むエッジ領域とを有し、前記突出ノズルは、前記中心領域から前記エッジ領域へいくほど前記挿入ホールの中心から遠くなる状態で挿入されることを特徴とする。
【0015】
上記の技術的課題を達成するための、本発明の実施例による基板処理装置は、基板を処理するための反応空間を提供する工程チャンバと、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記基板に対向し、前記基板側に突出した複数の突出ノズルを含む第1噴射プレートと、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記突出ノズルが挿入される複数の挿入ホールが形成された第2噴射プレートと、を含み、前記第2噴射プレートは、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周辺領域と、前記周辺領域を取り囲むエッジ領域とを有し、前記突出ノズルの外周面と前記挿入ホールの内周面との間の間隔のうち最短距離を有する間隔は、前記第2噴射プレートの前記中心領域から前記エッジ領域へいくほど短くなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明による基板処理装置によれば、第2電極の中心領域では前記突出電極の中心を前記挿入ホールの中心に位置させ、前記第2電極の中心領域以外の領域では前記突出電極の中心を前記第2電極の中心領域からエッジ領域へいくほど前記挿入ホールの中心から外れた所に位置させることで、工程進行中の温度上昇によって第1電極および第2電極の熱膨張が生じても前記第1電極と第2電極とが接触してショートが起こるのを防止でき、大面積基板処理装置で薄膜の均一度を維持できる効果がある。
【0017】
本発明の他の基板処理装置によれば、工程進行中の温度上昇によって第1噴射プレートおよび第2噴射プレートの熱膨張が生じても突出ノズルの中心と挿入ホールの中心とが一致するようにして第1噴射プレートと第2噴射プレートから工程ガスが均一に噴射されるようにすることで、大面積基板処理装置で薄膜の均一度を維持できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による基板処理装置の一実施例を示す断面図である。
【
図2】
図1の一実施例による基板処理装置のA部分の拡大図で、熱膨張前の状態を示す図である。
【
図3】
図1の一実施例による基板処理装置のA部分の拡大図で、熱膨張後の状態を示す図である。
【
図4】
図1の一実施例による基板処理装置のB-B線に沿った平面図で、熱膨張前の状態を示す図である。
【
図6】
図1の一実施例による基板処理装置のB-B線に沿った平面図で、熱膨張後の状態を示す図である。
【
図7】
図1の他の実施例による基板処理装置のB-B線に沿った平面図で、熱膨張前の状態を示す図である。
【
図8】
図1の他の実施例による基板処理装置のB-B線に沿った平面図で、熱膨張後の状態を示す図である。
【
図9】
図1の他の実施例による基板処理装置のB-B線に沿った平面図で、熱膨張前の状態を示す図である。
【
図10】
図1の他の実施例による基板処理装置のB-B線に沿った平面図で、熱膨張後の状態を示す図である。
【
図11】
図1の他の実施例による基板処理装置のA部分の拡大図で、熱膨張前の状態を示す図である。
【
図12】
図1の他の実施例による基板処理装置のA部分の拡大図で、熱膨張後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
基板処理装置内での工程進行中には、下部電極である第2電極の温度が上部電極である第1電極の温度よりはるかに高いことが一般的であり、これによって第1電極と第2電極との間には温度の差による熱膨張率の差が発生する。
【0020】
このような差によって、工程進行前は第1電極の突出電極と第2電極の挿入ホールとの間に一定の間隔を維持していても、工程進行後は突出電極と挿入ホールとの間の間隔が一定でなくなり、熱膨張の差が激しい場合、突出電極が挿入ホールにくっついてショートが発生する。
【0021】
本発明は、このような問題を防止するために、第1電極の突出電極と第2電極の挿入ホールとの間の熱膨張の差を考慮して、工程進行前から突出電極と挿入ホールの間隔を調整して配置することで、熱膨張後に突出電極と挿入ホールのセンタリングが一致できるようにしたことを特徴とする。
【0022】
熱膨張率は温度と長さに比例して大きくなるので、第1電極および第2電極の中心領域では熱膨張が大きく生じず、中心領域からエッジ領域へいくほど放射状に熱膨張が多く生じるようになる。
【0023】
したがって、第1電極と第2電極の中心領域では突出電極の中心が挿入ホールの中心に位置するように配置し、第1電極と第2電極の中心領域からエッジ領域へいくほど突出電極の中心が挿入ホールの中心からより多く外れる所に位置するように配置することが好ましい。
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明による基板処理装置の一実施例を示す断面図である。
【0026】
図1示すように、本発明による基板処理装置100は、工程チャンバ110と、基板支持部120と、チャンバリッド130と、前記基板支持部に対向する第1電極141および第2電極142を含むガス噴射モジュール140とを備える。
【0027】
工程チャンバ110は、基板処理工程のための反応空間101を提供する。この時、工程チャンバ110の一側底面は、反応空間101を排気させるための排気口(図示せず)に連通可能である。
【0028】
前記基板支持部120は、工程チャンバ110の内部に設けられ、複数の基板Sまたは1つの大面積基板Sを支持する。前記基板支持部120は、工程チャンバ110の中央底面を貫通する支持軸(図示せず)によって支持される。この時、工程チャンバ110の下面の外部に露出する前記支持軸は、工程チャンバ110の下面に設けられるベローズ(図示せず)によって密閉される。一方、基板支持部120は、駆動装置(図示せず)によって昇降または下降可能であり、場合によっては、駆動装置の駆動によって回転することもできる。
【0029】
前記チャンバリッド130は、工程チャンバ110の上部を覆うように設けられて、反応空間101を密閉する。チャンバリッド130は、上部電極である第1電極141および下部電極である第2電極142を含むガス噴射モジュール140を支持し、ガス噴射モジュール140が挿入されて着脱可能に結合される。
【0030】
前記チャンバリッド130の上面には、工程チャンバ110内部のガス噴射モジュール140に第1ガスおよび第2ガスを供給する第1ガス供給部(図示せず)および第2ガス供給部(図示せず)を含むことができる。
【0031】
前記第1ガス供給部(図示せず)は、第1ガス供給ライン151を通して第1ガスである反応ガスをガス噴射モジュール140に供給する。反応ガスは、プラズマ形成のための気体や付随的反応のためのガスをいう。例えば、前記反応ガスは、水素(H2)、窒素(N2)、酸素(O2)、二酸化窒素(N2O)、アンモニア(NH3)、水(H2O)、またはオゾン(O3)などからなる。
【0032】
前記第2ガス供給部(図示せず)は、第2ガス供給ライン152を通して第2ガスであるソースガスをガス噴射モジュール140に供給する。ソースガスは、形成しようとする薄膜の主成分を含むガスをいう。例えば、前記ソースガスは、シリコン(Si)、チタン族元素(Ti、Zr、Hfなど)、またはアルミニウム(Al)などのガスからなる。
【0033】
工程チャンバ110の外部には、プラズマ電源を供給するためのプラズマ電源供給部(図示せず)が設けられる。
【0034】
ガス噴射モジュール140を構成する前記第1電極141および前記第2電極142は、前記基板支持部120に対向するように工程チャンバの上部に着脱可能に結合できる。
【0035】
前記第1電極141は、反応空間に第1ガスを噴射する第1噴射プレートとして動作し、前記第2電極141は、反応空間に第1ガスを噴射する 第1噴射プレートとして動作することができる。
【0036】
前記第1電極141は、前記工程チャンバ内に設けられ、前記基板S側に突出した複数の突出電極141aを含む。
【0037】
前記第1電極141には、前記第1ガス供給ライン 151aを通して第1ガス供給部 151 から供給された第1ガスが基板Sに噴射できるように複数の第1ガス噴射ホール141bが形成される。
【0038】
図1では、第1ガス噴射ホール141bが突出電極141aに形成されたものとして示したが、場合によっては、突出電極141aには第1ガス噴射ホール141bを形成せず、突出電極141a以外の第1電極141部分に第1ガス噴射ホール141bを形成することもできる。
【0039】
この時、前記第1ガスは、前記基板Sに噴射されてもよいし、前記突出電極141aの長さによって前記突出電極141aと前記挿入ホール142aとの間から噴射されてもよい。
【0040】
前記第1電極141は、多角形の平板状または円形の板状などの構造であってもよい。前記突出電極141aは、前記第1電極141と一体型または分離型であってもよいし、前記第1電極141と連結されて第1電極141と同一の電圧を有することができる。
【0041】
前記第2電極142には、前記第2ガス供給ライン152a を通して供給された第2ガスが基板Sに噴射できるように複数の第2ガス噴射ホール142bが形成される。
【0042】
前記第2電極142は、多角形の平板状または円形の板状などの構造であってもよいし、前記工程チャンバ内に設けられ、前記突出電極141aが貫通する複数の挿入ホール142aが形成される。
【0043】
図2および
図3は、
図1の一実施例による基板処理装置の「A」部分の拡大図であり、
図4および
図6は、
図1の一実施例による基板処理装置のB-B線に沿った平面図である。
【0044】
図2~
図6は、第1電極および第2電極を含む電極に関する実施例であって、図面を簡素化して説明を容易にするために第1ガス噴射ホール141bおよび第2ガス噴射ホール142bは示していない。第1ガス噴射ホール141bおよび第2ガス噴射ホール142bを含むガス噴射プレートに関する実施例は後述する。
【0045】
図2を参照すれば、本発明による基板処理装置は、第2電極142の中心領域では突出電極141aが貫通ホール142aの中心に位置しているが、中心領域からエッジ領域へいくほど突出電極141aが 貫通ホール142aの中心から外れて 貫通ホール142aの外側内周面側に偏って形成されていることが分かる。
【0046】
このように突出電極141aの位置を第2電極142の中心領域からエッジ領域へいくほど 貫通ホール142aの中心から外れて形成することにより、工程が進行して熱膨張が完了した後は、
図3に示すように、突出電極141aが 貫通ホール142aの中心に位置して突出電極141aと 貫通ホール142aとの間にショートが起こるのを防止できる。
【0047】
図4~
図5を参照すれば、本発明による基板処理装置の第2電極142は、中心領域CAと、前記中心領域CAを取り囲む周辺領域PAと、前記周辺領域PAを取り囲むエッジ領域EAとを含む。
【0048】
前記中心領域CAでは、前記突出電極141aの中心が前記挿入ホール142aの中心に挿入される。
【0049】
前記周辺領域PAでは、前記突出電極141aの中心が前記挿入ホール142aの中心から前記中心領域CAの反対方向に第1距離d1だけ離隔して挿入される。
【0050】
前記エッジ領域EAでは、前記突出電極141aの中心が前記挿入ホール142aの中心から前記中心領域CAの反対方向に第2距離d2だけ離隔して挿入される。
【0051】
この時、温度および長さによる熱膨張率の差を考慮して、前記第1距離は、前記第2距離より短くなるようにすることが好ましい。
【0052】
すなわち、本発明の一実施例による基板処理装置では、前記突出電極141aの中心が前記中心領域CAから前記エッジ領域EAへいくほど前記挿入ホール142aの中心から遠くなる状態で挿入される。
【0053】
また、本発明の一実施例による基板処理装置では、前記中心領域CAから前記エッジ領域EAへいくほど前記挿入ホール142aの内周面のうち前記中心領域CAと反対方向に位置した内周面と前記突出電極141aの外周面との間の距離が短くなる状態で挿入される。
【0054】
一方、前記周辺領域PAは、第1周辺領域PA1および第2周辺領域PA2を含む。
【0055】
前記第1周辺領域PA1では、前記突出電極141aの中心が前記挿入ホール142aの中心から前記中心領域CAの反対方向に第1距離d1だけ離隔した状態で前記突出電極141aが前記挿入ホール142aに挿入される。
【0056】
前記第2周辺領域PA2では、前記突出電極141aの中心が前記挿入ホール142aの中心から前記中心領域CAの反対方向に第3距離d3だけ離隔した状態で前記突出電極141aが前記挿入ホール142aに挿入される。
【0057】
この時、温度および長さによる熱膨張率の差を考慮して、前記第1距離d1は、前記第3距離d3より短いか等しくなるようにすることが好ましい。
【0058】
一方、前記エッジ領域EAは、第1エッジ領域EA1および第2エッジ領域EA2を含む。
【0059】
前記第1エッジ領域EA1では、前記突出電極141aの中心が前記挿入ホール142aの中心から前記中心領域CAの反対方向に第2距離d1だけ離隔した状態で前記突出電極141aが前記挿入ホール142aに挿入される。
【0060】
前記第2エッジ領域EA2では、前記突出電極141aの中心が前記挿入ホール142aの中心から前記中心領域CAの反対方向に第4距離 d1だけ離隔した状態で前記突出電極141aが前記挿入ホール142aに挿入される。
【0061】
この時、温度および長さによる熱膨張率の差を考慮して、前記第2距離d2は、前記第4距離d4より短いか等しくなるようにすることが好ましい。
【0062】
本発明において、第1距離d1は、第1周辺領域PA1における前記突出電極141aの中心と前記挿入ホール142aの中心との間の距離であり、第2距離d2は、第1エッジ領域EA1における前記突出電極141aの中心と前記挿入ホール142aの中心との間の距離であり、第3距離d3は、第2周辺領域PA2における前記突出電極141aの中心と前記挿入ホール142aの中心との間の距離であり、第4距離d4は、第2エッジ領域EA2における前記突出電極141aの中心と前記挿入ホール142aの中心との間の距離であると定義することができる。
【0063】
この時、温度および長さによる熱膨張率の差を考慮して、前記第3距離d3は、前記第2距離d2より短いか等しく、前記第4距離d4より短くなるようにすることが好ましい。
【0064】
本発明による基板処理装置によれば、第2電極の位置を中心領域CAから第1周辺領域PA1および第2周辺領域PA1と第1エッジ領域EA1および第2エッジ領域EA2とに区分し、突出電極141aの位置を中心領域CAから第1周辺領域PA1および第2周辺領域 PA1と第1エッジ領域EA1および第2エッジ領域EA2へいくほど 貫通ホール142aの中心から外れて形成することにより、工程が進行して熱膨張が完了した後は、
図6に示すように、突出電極141aが 貫通ホール142aの中心に位置して突出電極141aと 貫通ホール142aとの間にショートが起こるのを防止できる。
【0065】
図7は、第1電極141および前記第2電極142が長方形の板状であることを示すもので、熱膨張前の図であり、
図8は、熱膨張が完了した状態を示す図である。
【0066】
図9は、第1電極141および前記第2電極142が円形の板状であることを示すもので、熱膨張前の図であり、
図10は、熱膨張が完了した状態を示す図である。
【0067】
図4~
図10では、前記突出電極141aおよび前記挿入ホール142aの断面が円形であるものとして示したが、これに限定されるものではなく、四角形などで多様に実現可能である。
【0068】
図11は、
図1の他の実施例による基板処理装置のA部分の拡大図で、熱膨張前の状態を示す図であり、
図12は、熱膨張後の状態を示す図である。
【0069】
図2および
図3が第1電極および第2電極を含む電極に関する実施例を示すものであれば、
図11および
図12は、第1ガス噴射ホール141bおよび第2ガス噴射ホール142bを含み、反応空間にガスを噴射するガス噴射プレートに関する実施例を示す。
【0070】
図11は、
図2と比較して、第1電極が第1ガス噴射ホール141bおよび突出ノズル141aを備えた第1噴射プレート141として動作し、第2電極が挿入ホール142aおよび第2ガス噴射ホール(図示せず)を備えた第2噴射プレート142として動作する点を除いてその他の構成は同一である。
【0071】
【0072】
本発明の他の実施例による基板処理装置は、基板を処理するための反応空間を提供する工程チャンバ110と、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記基板に対向し、前記基板S側に突出した複数の突出ノズル141aを含む第1噴射プレート141と、前記工程チャンバの内部に設けられて、前記突出ノズル141aが挿入される複数の挿入ホール142aが形成された第2噴射プレート142とを含む。
【0073】
前記第2噴射プレート142は、中心領域CAと、前記中心領域CAを取り囲む周辺領域PAと、前記周辺領域PAを取り囲むエッジ領域EAとを含む。
【0074】
前記中心領域CAでは、前記突出ノズル141aが前記挿入ホール142aの中心に挿入される。
【0075】
前記周辺領域PAでは、前記突出ノズル141aが前記挿入ホール142aの中心から前記中心領域CAの反対方向に第1距離d1だけ離隔して挿入される。
【0076】
前記エッジ領域EAでは、前記突出ノズル141aが前記挿入ホール142aの中心から前記中心領域CAの反対方向に第2距離d2だけ離隔して挿入される。
【0077】
この時、温度および長さによる熱膨張率の差を考慮して、前記第1距離d1は、前記第2距離d2より短くなるようにすることが好ましい。
【0078】
すなわち、本発明の他の実施例による基板処理装置では、前記突出ノズル141aの中心が前記中心領域CAから前記エッジ領域EAへいくほど前記挿入ホール142aの中心から遠くなる状態で挿入される。
【0079】
また、本発明の他の実施例による基板処理装置では、前記中心領域CAから前記エッジ領域EAへいくほど前記挿入ホール142aの内周面のうち前記中心領域CAと反対方向に位置した内周面と前記突出ノズル141aの外周面との間の距離が短くなる状態で挿入される。
【0080】
一方、
図2に示された突出電極141aおよび
図11に示された突出ノズル141aは、挿入ホール142aに挿入された形態で形成されることが一般的であるが、工程条件によって挿入ホール142aに挿入されていない形態で形成されてもよい。
【0081】
突出ノズル141aが挿入ホール142aに挿入されていない場合にも、熱膨張によって突出ノズルの位置が挿入ホール142aの中心から外れると均一な品質の薄膜を形成できなくなるので、本発明のように工程前に突出ノズルの位置を調整する過程が必要になる。
【0082】
上述のように、本発明による基板処理装置は、電極間の温度および第2電極の中心部からの距離による熱膨張の差を考慮して、中心領域では突出電極が第2電極の挿入ホールの中心に位置するが、エッジ領域へいくほど中心から外れる位置に配置したことを特徴とする。
【0083】
これにより、本発明では、熱膨張が完了した後に突出電極の中心と挿入ホールの中心との間のセンタリングが一致して突出電極と挿入ホールとの間でショートが発生するのを防止でき、これによって基板処理装置で薄膜の均一度を維持できるというメリットがある。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲がこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義する本発明の基本概念に基づいてより多様な実施例で実現可能であり、これらの実施例も本発明の権利範囲に属する。
【国際調査報告】