(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(54)【発明の名称】モノパイルおよび風力タービン構造物
(51)【国際特許分類】
E02D 27/42 20060101AFI20220830BHJP
F03D 13/20 20160101ALI20220830BHJP
F03D 80/00 20160101ALI20220830BHJP
【FI】
E02D27/42
F03D13/20
F03D80/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021575452
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(85)【翻訳文提出日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2020067121
(87)【国際公開番号】W WO2020260154
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518399243
【氏名又は名称】オルステッド・ウィンド・パワー・エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Orsted Wind Power A/S
【住所又は居所原語表記】Kraftvaerksvej 53,7000 Fredericia,Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】エルクジャー, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ラスムッセン, マーティン フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】シモンセン, ヘンリック スコヴガード
【テーマコード(参考)】
2D046
3H178
【Fターム(参考)】
2D046DA05
2D046DA31
2D046DA62
3H178AA20
3H178AA25
3H178AA43
3H178BB35
3H178BB77
3H178CC23
3H178DD70Z
(57)【要約】
モノパイルは、中空内部と、モノパイル設置中に土壌(19)に挿入するための先端の止端(9)と、モノパイルが設置された後に風力タービンタワーなどの構造物(7)を支持するための基端領域(2)とを有する本体(1)を含む。本体(1)は、本体(1)の内部にアクセスするために本体(1)に設けられるドア開口(12)をさらに含む。ドア開口(12)は、モノパイル(1)が設置された後、ドアアセンブリー(6、18)を受けるように構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空内部と、モノパイルの設置中に土壌に挿入するための先端の止端と、前記モノパイルが設置された後に構造物を支持するための基端領域と、を有する本体と、
前記本体の前記中空内部にアクセスするために前記本体に設けられたドア開口と、を含み、
前記ドア開口は、前記モノパイルが設置された後にドアアセンブリーを受けるように構成されていることを特徴とするモノパイル。
【請求項2】
前記ドア開口に隣接する前記本体を軸方向に補強するための一つまたは複数の補強形成物をさらに含む請求項1に記載のモノパイル。
【請求項3】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記本体と長手方向に並んで配置された一つまたは複数の支柱を含む請求項2に記載のモノパイル。
【請求項4】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記ドア開口の高さと少なくとも同じ高さに位置している請求項2または3に記載のモノパイル。
【請求項5】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記ドア開口の両側に位置する二つの補強形成物を含む請求項2ないし4のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項6】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記ドア開口から少なくとも100mm離れて位置する請求項5に記載のモノパイル。
【請求項7】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記本体の前記中空内部上に設けられている請求項2ないし6のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項8】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記本体の内部表面から半径方向かつ内側に突出している請求項7に記載のモノパイル。
【請求項9】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記本体の表面と、半径方向に突出するセクションとの間で先細りするテーパ端部を含む請求項2ないし8のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項10】
前記一つまたは複数の補強形成物は、Tビーム断面を含む請求項2ないし9のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項11】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記本体に溶接されている請求項2ないし10のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項12】
前記本体は、複数の接続された管状セクションを含み、
前記管状セクションのうちの一つは、自身に形成された前記ドア開口を含む請求項2ないし11のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項13】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記ドア開口部に隣接する前記本体の横方向剛性を実質的に変化させないように構成されている請求項2ないし12のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項14】
前記構造物は、風力タービンタワーである請求項1ないし13のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載のモノパイルと、
前記モノパイルに取り付けられた風力タービンタワーと、を含み、
前記風力タービンタワーは、ローターブレードアセンブリーと、ナセル内に収容された発電器と、前記モノパイルの上方の高い位置にある前記ローターブレードアセンブリーおよび前記ナセルを支持するタワー支持部と、を含むことを特徴とする風力タービン構造物。
【請求項16】
モノパイルを設置する方法であって、
請求項1ないし14のいずれかに記載のモノパイルを土壌内に挿入する工程と、
前記モノパイルを必要な設置深度まで送り込む工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記モノパイルが前記必要な設置深度まで送り込まれた後、前記ドアアセンブリーを前記ドア開口に設置する工程をさらに含む請求項16に記載のモノパイルを設置する方法。
【請求項18】
プラットフォームを前記ドア開口と同じ高さに設置する工程をさらに含む請求項16または17に記載のモノパイルを設置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンタワーなどの構造物を支持するためのモノパイル(monopile)に関し、特に、トランジションピース(TP: Transition Piece)を必要としないモノパイル、いわゆる「TP無し(TP-less)」モノパイルに関する。本発明は、特に、洋上風力タービン構造物、および、洋上風力タービン構造物において使用されるモノパイル基礎に好適である。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーの供給源として、洋上風力発電所の重要性が高まっている。ゼロ炭素エネルギーへの需要が高まるにつれ、関連コストを低減するための新しい方法を見つける必要性がますます高まっている。この点において、風力エネルギーに関連する主要なコスト要因の一つは、風力タービン構造物の設置に関連するコストに関するものであり、特に洋上風力発電所は、多くの場合、多数のタービンを含んでいるためである。
【0003】
典型的には、複数のモノパイルが、洋上の基礎として使用される。モノパイルは、通常、陸上で管状セクションから組み立てられ、その後、洋上に設置される、長尺の円筒形のケーソン(caisson)を有する。設置中、パイルハンマーを使用して、一連の軸方向の衝撃をモノパイルの頭部に印加し、基礎を海底の土壌内に挿入方向へと送り込む。設置されると、モノパイルは中央支持管を提供し、その上部にトランジションピースが取り付けられる。
図1は、トランジションピース3を有するモノパイル1の従来の配置を示す。トランジションピース3は、フランジ構造を有し、モノパイル1の基端2上に嵌合され、グラウティング(grouting: 注入工法)を使用して、または水平フランジを介して垂直に取り付けられるボルト20を使用して定位置に固定される。重要なことに、トランジションピース3の取り付けを調整することによって、その取り付け中に生じるモノパイルの傾斜の任意の不正確さをグラウティングによって補正することができる。このように、トランジションピース3は、風力タービンタワー7が次にボルト留めされ得る、レベル嵌合表面(level mating surface)を提供するように調整され得る。また、トランジションピース7は、例えば、点検のために、または例えば、メンテナンスのために風力タービンの上部へ昇るために、風力タービン構造物の内部にアクセスするためのアクセスドア6を収容するだけでなく、ボート上陸場、外部はしご4およびプラットフォーム5などのさまざまな二次的鋼構造を支持するために使用される。
【0004】
しかし、トランジションピースの使用には問題がある。特に、モノパイルが設置された後、タービンタワーがその後取り付けられる前にトランジションピースを嵌合するのに時間がかかる。これは、モノパイルとタービンタワーの両方を設置するために必要な重機が、通常、トランジションピースの取り付けが固定される間、アイドリング状態で待つ必要があるため、全体的な設置コストの大幅な増加をもたらす。また、トランジションピース3は、トランジションピース3とモノパイル本体1の基端2との間の大規模な表面重なり(surface overlap)のため、かなりの量の鋼材を使用する。従って、トランジションピース3は比較的高価であり得る。また、モノパイルへのトランジションピースの取り付けは、風力タービンの運転中に印加される著しい周期的負荷による故障に対して脆弱である。上記の問題により、別途取り付けられるトランジションピースを必要としない新しいモノパイル設計の開発に向けた動きがある。
【0005】
別個に取り付けたトランジションピースを有さない洋上構造物を提供する場合の大きな課題は、設置中にモノパイルを海底の土壌中に送り込むときに印加される大きな衝撃力が、影響を受ける構造物に損傷を与えるリスクがあることである。従って、設置中に変形または疲労する恐れがあるため、上部にあらかじめ溶接されたトランジションピース型構造でモノパイルを単に提供することはできない。これに対処するために、モノパイル本体の端部から後退した箇所に位置し、後に風力タービンタワーが取り付けられ得る突出部上に設けられた取り付け構造を有するモノパイルを提供することが提案されている。EP1770276は、このようなTP無しモノパイル配置の一例を開示している。こうした設計では、モノパイルの上部は、突出部上に設けられた取り付け点を損なうことなく、設置中の衝撃を受けることができる。一旦定位置に着くと、風力タービンタワーを、その後、取り付け形成物の表面に直接取り付けることができる。
【0006】
モノパイル上に別個の取り付け構造を提供することは、トランジションピースの必要性を除去するが、こうした配置には新たな問題が生じる。
図2は、風力タービンタワー7がモノパイル本体1に直接接続される、TP無しモノパイルの例の簡略図を示す。トランジションピースが存在しない場合、風力タービン構造物の内部にアクセスするためのアクセスドア6が、風力タービンタワー7に設けられる。しかし、使用中にタワー7に印加される応力および周期的負荷のため、アクセスプラットフォーム5は、タワー7自体ではなく、モノパイル本体1に取り付けられなければならない。しかしながら、アクセスプラットフォーム5のドア6への近接は、タワー7をモノパイル1に固定するカップリングに必要な空間によって制限される。結果として、アクセスプラットフォーム5は、アクセスドア6よりも低い高さに設けられ、その後、それらの間に階段11を設置する必要がある。プラットフォームおよびドアが異なる高さにある場合、機器をドア6まで持ち上げることを可能にするために、持ち上げ機構10が、機器をドアに移動させるための追加のビーム交換システムとともに、設置されなければならない。同時に、ドア6までの距離を最小化するために、プラットフォーム5は、典型的には、モノパイルの頭部に可能な限り近い位置に取り付けられる。しかしながら、この影響に関する問題は、プラットフォーム5の位置が、そうでなければ、ボートによる上陸からの容易なアクセスを可能にするように選択されるであろう位置よりも、水位8からはるかに高い位置となることである。最終的に、これらの要因は、必要とされる二次的鋼構造の全体的な複雑さを増大させ、TP無し設計の採用に関連する利点の多くを小さなものとしてしまう。
【0007】
従って、上記の問題に対処することを試みる風力タービン構造物およびモノパイルの改善に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第一の態様によれば、中空内部と、モノパイルの設置中に土壌に挿入するための先端の止端(toe)と、モノパイルが設置された後に構造物を支持するための基端領域とを有する本体と、本体の内部にアクセスするために本体内に設けられたドア開口と、を含み、ドア開口は、モノパイルが設置された後にドアアセンブリーを受けるように構成されていることを特徴とするモノパイルが提供される。
【0009】
このようにして、本発明は、改良されたTP無しモノパイル設計を提供する。この設計では、アクセスプラットフォームは、モノパイル本体上のより低い位置に位置することができ、一方、風力タービンタワーを、モノパイルの基端領域内でモノパイルの頭部に、またはそれに隣接して直接取り付けることができる。特に、ドア開口をモノパイルの本体に位置させることによって、風力タービンタワーにドアを提供する必要はなく、アクセス用のドアを、モノパイル自体に取り付けることができる。結果として、その後に取り付けられるプラットフォームを、アクセス用のドアに隣接するモノパイルに直接取り付けることができる。これにより、ドアにアクセスするために追加の階段または持ち上げ機構を設ける必要性がなくなる。同時に、ドアとプラットフォームを構造物のはるかに低い位置に配置することができるため、ボートによる上陸からのアクセスが単純化される。重要なことに、本発明では、一式のドアアセンブリーではなく、ドア開口が設けられる。モノパイルの設置後、ドアアセンブリーが、ドア開口に取り付けられて、機能する出入口を提供する。これは、ドアアセンブリーがモノパイルの設置前に取り付けられた場合、パイルを海底の土壌中に送り込む際に印加される衝撃ショックがドアアセンブリーを変形させることになるため、重要である。このように、ドアのヒンジおよびフレームは、本来の配置から変形し得、ドアの機能を損なう。従って、ドア開口を提供し、ドアアセンブリーを後で取り付ける(嵌合する)ことによって、本発明は、ドアをモノパイル本体に設けることを可能とし、その機能を損なうことなく、関連する位置的利益を得ることができる。
【0010】
好ましくは、モノパイルは、ドア開口に隣接する本体を軸方向に補強するための一つまたは複数の補強形成物を含む。このように、本体は、パイルを海底の土壌中に送り込む際に印加される圧縮衝撃力に抵抗するために、ドアの両側の本体材料を補強する軸補強物を有するよう形成される。それによって、本体の関連する領域内のドア開口の圧縮強度の減少を補償する。パイルを海底の土壌中に送り込むプロセスの間、衝撃力はモノパイルの頭部に送達され、モノパイルの壁部を通して、その先端の止端まで軸方向の衝撃波が伝わる。補強が存在しない場合、これらの衝撃波は、特にドア開口を歪め、ひいては、全体としてモノパイル本体の完全性(integrity)を損なう場合がある。従って、補強形成物を設けることによって、ドア開口の潜在的な歪みが軽減され、それゆえモノパイル構造の完全性が維持される。
【0011】
好ましくは、一つまたは複数の補強形成物は、本体と長手方向に並んで配置された一つまたは複数の支柱を含む。このように、補強形成物は、本体のドアを含む領域における本体の圧縮に抵抗するために、本体の表面上に形成され、かつ縦方向に並んで配置される複数のロッドまたは複数のビームとして設けられてもよい。好ましくは、補強形成物は、ドア開口の高さと少なくとも同じ高さであり、より好ましくは、ドア開口の上部境界および下部境界を越えて延伸する。
【0012】
好ましくは、一つまたは複数の補強形成物は、ドア開口の両側に位置する二つの補強形成物を含む。このように、本体は、ドア領域全体にわたって軸方向の支持を提供するために、ドアの両側において補強されている。
【0013】
好ましくは、補強形成物は、ドア開口から少なくとも100mm、より好ましくは少なくとも250mm離れて位置する。このように、補強形成物は、ドア開口部から十分に離れており、ドアアセンブリーがドア開口部の外周に嵌合し、本体の対向する内部表面および外部表面の両方と係合することを可能にする。これにより、効果的なドアシールがより容易に達成される。
【0014】
好ましくは、一つまたは複数の補強形成物は、本体の内部上に設けられる。これにより、製造が簡素化される。特に、モノパイル本体の各セクションは、典型的には、プレートとして形成され、その後、主に外部表面と係合するローラーを通して力をかけることによって円形管セクションに圧延される。このように、補強形成物を内部表面に設けることによって、ドア開口を含むセクションは、他のセクションと実質的に同じ方法で機械加工され得る。
【0015】
好ましくは、一つまたは複数の補強形成物は、本体の内部表面から半径方向かつ内側に突出する。このように、補強形成物は、本体の内部表面から突出し、さらに、下向きに延伸し、モノパイル本体の長さにおいて追加の軸方向の曲げ支持の柱を提供する。
【0016】
好ましくは、一つまたは複数の補強形成物は、本体の表面と半径方向に突出するセクションとの間で先細りするテーパ端部を含む。このように、補強形成物によって提供される軸剛性が、形成物の基端でのテーパを通して徐々に増加し、形成物の先端でのテーパを通して徐々に減少するので、応力集中は最小化される。
【0017】
好ましくは、一つまたは複数の補強形成物は、Tビーム断面を含む。このように、圧縮強度を増加させ、一方で重量を最小化させるために簡略化されたビーム構造が設けられる。
【0018】
好ましくは、一つまたは複数の補強形成物は、本体に溶接される。このように、複数の補強形成物は、別々に形成され、ドアを含む本体のセクションに固定され得る。
【0019】
好ましくは、本体は、複数の接続された管状セクションを含み、該管状セクションのうちの一つは、自身に形成されたドア開口を含む。
【0020】
好ましくは、一つまたは複数の補強形成物は、ドア開口に隣接する本体の横方向剛性を実質的に変化させないように構成される。これにより、本体の異なる領域間の横方向剛性の違いによる応力集中のリスクが軽減される。例えば、ドア開口を含む本体セクションが横方向に補強された場合、横方向荷重下のその剛性は、両方の側に接続される隣接する本体セクションよりも高い場合がある。時間経過によって、疲労故障が、使用中に風力タービンタワーによって印加される周期的横方向荷重下におけるこれらのセクション間の接合部を損傷する可能性がある。
【0021】
好ましくは、構造物は風力タービンタワーである。
【0022】
本発明の第二の態様によれば、上記の記述のいずれかに記載のモノパイルと、モノパイルに取り付けられた風力タービンタワーと、を含み、風力タービンタワーは、ローターブレードアセンブリーと、ナセル(nacelle: 収納室)内に収容された発電器と、モノパイルの上方の高い位置(elevated position)にあるローターブレードアセンブリーおよびナセルを支持するタワー支持部と、を含むことを特徴とする風力タービン構造物が提供される。
【0023】
本発明の第三の態様によれば、上述の記述のいずれかに記載のモノパイルを土壌に挿入する工程と、モノパイルを必要な設置深度まで送り込む工程とを含む、モノパイルを設置する方法が提供される。モノパイルは、パイルドライバーハンマーを介して衝撃を加えることによって送り込まれることができる。本方法は、モノパイルが必要とされる設置深度に送り込まれた後に、ドアアセンブリーをドア開口に取り付ける工程をさらに含み得る。方法は、ドア開口と同じ高さでプラットフォームを設置する工程をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
ここで、本発明の例示的実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【
図1】
図1は、風力タービンタワーを支持するモノパイルおよびトランジションピースを含む、従来の風力タービン構造物を示す。
【
図2】
図2は、風力タービンタワーを直接支持するモノパイルを含む、従来のTP無し風力タービン構造物を示す。
【
図3】
図3は、本発明の例示的実施形態に係るモノパイル本体の断面の断面等角図を示す。
【
図4】
図4は、設置中の例示的実施形態に係るモノパイルを示す。
【
図5】
図5は、ドアアセンブリーが取り付けられた、例示的実施形態に係るモノパイルの断面の水平断面図を示す。
【
図6】
図6は、設置後の例示的実施形態に係るモノパイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図3~6は、本発明の例示的実施形態に係るモノパイル1を示す。有利なことに、モノパイル1は、モノパイルが設置された後に、ドアアセンブリー6、18が続いて嵌合され得るドア開口12を含む。
【0026】
モノパイル1は、陸上において互いに接続され、土壌に挿入される中空管形状の本体を形成し得る、複数のセクションから構成される。他の実施形態では、モノパイル本体1は、一つまたは複数の円錐状セクションをさらに含み得る。
図3は、ドア開口12を含むモノパイル本体1の一つのセクションの断面等角図を示す。他のセクションと同様に、
図3に示すモノパイル本体1のセクションは、複数のローラーを含む曲げ機械で曲げられた鋼板から形成される。次いで、曲げ板の端部が接合されて、円形断面を画定する湾曲した壁部を含む環状体を形成する。この断面において、本体1の壁を挿通する開口部を形成するドア開口12が設けられている。
【0027】
二つの補強支柱13が、ドア開口12の両側の本体1の内部表面上に設けられ、ドア開口12に隣接する本体1を軸方向に補強する。補強支柱13は、半径方向に突出する固体ウェブ片(web piece)14によって本体1の内部表面に接続されるフランジ16を有する、鋼Tビームとして設けられる。このように、各補強支柱13は、本体1の内部表面が補強支柱のフランジ16と対向するフランジとして機能するIビーム配置を効果的に形成する。この配置では、本体1の内部表面から半径方向かつ内側に突出し、ドア開口12の長手方向軸と平行に、本体1上を長手方向に下方延伸する、形成物が設けられる。補強支柱13は、上部および底部において、ドア開口12の境界を越えて延伸する。これに関して、これらの領域では、補強支柱13の各端部には、突出したフランジ16と本体1の内部表面との間の先細りするウェブ14のテーパ状セクションが設けられている。それによって軸剛性の漸進的な変化が提供され、応力集中を回避する。本実施形態では、補強形成物は、ドア開口12の側面から250mm離間している。この点において、実施形態では、この間隔は、ドアアセンブリーを取り付けるための空間を確保するために、好ましくは100~400mmの範囲内、最も好ましくは200~300mmの範囲内である。特に、これにより、ドアフレームを、本体1の内部表面および外部表面の両方において、ドア開口12の両側に接続することが可能となる。
【0028】
補強支柱13は、ドア開口12の両側面における軸方向の補強を提供するが、本体1の関連セクションの横方向剛性を全体として著しく変化させないことが重要である。第一に、これにより、パイルを海底の土壌中に送り込んでいる際中の衝突波が本体材料を通して伝搬することによる剛性応答の局所的歪みによって引き起こされ得る変形を防止する。例えば、もしドア開口12の剛性がその周辺のフランジによって大きくなった場合、横方向剛性応答は、せん断波が開口の上部、両側面および底部を含む本体のセクションを通過するとき、異なるものとなる。これは、開口部12の周りの本体を変形させ得る。第二に、本体1のこのセクションの横方向剛性は実質的に他のセクションと同じであるため、風力タービンのその後の運転中に印加される周期的横方向荷重の下でのそれらの応答を実質的に反映する。これにより、疲労障害のリスクが軽減される。
【0029】
図4は、設置中のモノパイル1を示す。モノパイル1の先端は、自身の重量下で海底の土壌19に挿入される止端9を含む。挿入された後、ハンマー(図示せず)を使用して、本体1の基端領域2に位置するヘッド17に対して挿入方向Iに衝撃を加えることによって、土壌19内にモノパイル1が送り込まれる。ハンマーの各衝突の際、衝撃力は、本体1から止端9に軸方向に伝達され、さらに土壌19の中へと押し込まれる。この衝撃力は、本体の壁部を通って伝搬する圧力波を生成するが、その力は十分に高く、波がそこを通って伝送される際に本体1を横方向に弾性的に変位させるせん断波として現れる。有利なことに、印加された静的圧縮荷重に対して異なる技術的考慮事項を有する補強形成物が、これらの衝撃荷重の影響を軽減するように構成される。
【0030】
この点において、衝撃波がドア開口12を含むパイルのセクションを通って伝搬すると、補強支柱13は、本体1を軸方向に補強して、ドア開口12の過度の変形を防止するよう作用する。すなわち、支柱13の軸方向の配列は、ドア開口12周りの圧力波を伝達するように作用するだけでなく、せん断波によって引き起こされるドアの任意の横方向の変位にも抵抗する。このように、ドア開口12の存在は、モノパイル全体の全体的な軸方向剛性を減少させず、構造の完全性を損なうことなく、必要な設置深度までモノパイルを送り込むことを可能にする。
【0031】
モノパイル1が必要とされる深さにおいて設置されると、ドアアセンブリーを、ドア開口12に取り付ける(嵌合する)ことができる。
図5は、ドアアセンブリー6、18が取り付けられた後の、ドア開口12の水平断面図を示す。ドアアセンブリー6、18は、ドア開口12に嵌合され、本体1の対向する内部表面および外部表面の両方に係合する、フレームセクション18を含む。これにより、フレームのヒンジがドア6を回動可能に支持するための確実な固定が提供される。重要なことに、ドアアセンブリー6、18は、モノパイルを設置した後に取り付けられるため、パイルが海底の土壌中に送り込まれている最中に印加される衝撃力に晒されない。そのため、ドアアセンブリー6、18のヒンジおよびその他の可動構成要素への損傷は回避される。同時に、ドアフレーム18の取り付けにおける公差によって、ドア開口12のわずかな変形を許容する(accommodate)ことが可能である。
【0032】
図6は、モノパイルを設置し、風力タービンタワーを取り付けた後の例示的実施形態に係るモノパイルを示す。ドアアセンブリー6、18、プラットフォーム5およびはしご4の二次的鋼構造も、取り付けられている。図示のように、ドア6がモノパイル本体に設けられる状態で、プラットフォーム5は、出入口と同じ高さに位置することができる。また、プラットフォームも、水位8により近く、モノパイル上のより低い位置に位置し得るが、それでもなお、水中のいかなる波も受けない。従って、階段および追加のビーム交換システムが、ドア6にアクセスするためにもはや必要とされない。同時に、下側のプラットフォーム5は、短いはしご4を介してボートによる上陸からのより単純なアクセスを可能にする。
【0033】
他のTP無しモノパイルと同様に、
図6に示すモノパイル1は、設置速度の点で極めて有利である。例えば、トランジションピースが取り付けられ、土台が設置されるのを待つ必要がなくなることにより、モノパイルおよびタービンタワーの設置に必要な重機のアイドリング時間が最小化される。この重機は一般的にレンタルされるので、このような時間の節約は大幅な全体的コスト削減につながる。同時に、重なり合うトランジションピースの必要性がなくなるので、必要とされる鋼材は少ない。また、輸送船のスペースを解放することができるため、ここでさらにコスト削減が可能となる。
【0034】
上述の実施形態は、例示の目的のためにのみ本発明の適用を示すことが理解されよう。実際には、本発明は、多くの異なる構成に適用されてもよく、詳細な実施形態は、当業者にとって実施することが簡単である。
【0035】
例えば、上記の例示的実施形態では、補強形成物はIビーム構成で提供されるが、他の構成も可能であることが理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空内部と、モノパイルの設置中に土壌に挿入するための先端の止端と、前記モノパイルが設置された後に
風力タービンタワーを支持するための基端領域と、を有する本体と、
前記本体の前記中空内部にアクセスするために前記本体に設けられたドア開口と、を含み、
前記ドア開口は、前記モノパイルが設置された後にドアアセンブリーを受け
ることを特徴とするモノパイル。
【請求項2】
前記ドア開口に隣接する前記本体を軸方向に補強するための一つまたは複数の補強形成物をさらに含む請求項1に記載のモノパイル。
【請求項3】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記本体と長手方向に並んで配置された一つまたは複数の支柱を含む請求項2に記載のモノパイル。
【請求項4】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記ドア開口の高さと少なくとも同じ高さに位置している請求項2または3に記載のモノパイル。
【請求項5】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記ドア開口の両側に位置する二つの補強形成物を含む請求項2ないし4のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項6】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記ドア開口から少なくとも100mm離れて位置する請求項5に記載のモノパイル。
【請求項7】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記本体の前記中空内部上に設けられている請求項2ないし6のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項8】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記本体の内部表面から半径方向かつ内側に突出している請求項7に記載のモノパイル。
【請求項9】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記本体の表面と、半径方向に突出するセクションとの間で先細りするテーパ端部を含む請求項2ないし8のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項10】
前記一つまたは複数の補強形成物は、Tビーム断面を含む請求項2ないし9のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項11】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記本体に溶接されている請求項2ないし10のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項12】
前記本体は、複数の接続された管状セクションを含み、
前記管状セクションのうちの一つは、自身に形成された前記ドア開口を含む請求項2ないし11のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項13】
前記一つまたは複数の補強形成物は、前記ドア開口部に隣接する前記本体の横方向剛性を実質的に変化させないように構成されている請求項2ないし12のいずれかに記載のモノパイル。
【請求項14】
請求項1ないし
13のいずれかに記載のモノパイルと、
前記モノパイルに取り付けられた風力タービンタワーと、を含み、
前記風力タービンタワーは、ローターブレードアセンブリーと、ナセル内に収容された発電器と、前記モノパイルの上方の高い位置にある前記ローターブレードアセンブリーおよび前記ナセルを支持するタワー支持部と、を含むことを特徴とする風力タービン構造物。
【請求項15】
モノパイルを設置する方法であって、
請求項1ないし
13のいずれかに記載のモノパイルを土壌内に挿入する工程と、
前記モノパイルを必要な設置深度まで送り込む工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記モノパイルが前記必要な設置深度まで送り込まれた後、前記ドアアセンブリーを前記ドア開口に設置する工程をさらに含む請求項
15に記載のモノパイルを設置する方法。
【請求項17】
プラットフォームを前記ドア開口と同じ高さに設置する工程をさらに含む請求項
15または
16に記載のモノパイルを設置する方法。
【国際調査報告】