IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニムの特許一覧

特表2022-538825セグメント化された誘導発熱体を有する誘導加熱配設
<>
  • 特表-セグメント化された誘導発熱体を有する誘導加熱配設 図1
  • 特表-セグメント化された誘導発熱体を有する誘導加熱配設 図2
  • 特表-セグメント化された誘導発熱体を有する誘導加熱配設 図3
  • 特表-セグメント化された誘導発熱体を有する誘導加熱配設 図4
  • 特表-セグメント化された誘導発熱体を有する誘導加熱配設 図5
  • 特表-セグメント化された誘導発熱体を有する誘導加熱配設 図6
  • 特表-セグメント化された誘導発熱体を有する誘導加熱配設 図7
  • 特表-セグメント化された誘導発熱体を有する誘導加熱配設 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(54)【発明の名称】セグメント化された誘導発熱体を有する誘導加熱配設
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20220830BHJP
【FI】
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021576281
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2020067948
(87)【国際公開番号】W WO2021001267
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】19184536.1
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA02
4B162AA22
4B162AB11
4B162AC12
4B162AC22
(57)【要約】
エアロゾル発生システム用の誘導発熱体(10)、エアロゾル発生システム用の誘導加熱配設、誘導加熱配設を有するエアロゾル発生装置、および誘導加熱配設を有するエアロゾル発生装置を有するエアロゾル発生システム。誘導発熱体(10)は、第一のサセプタ(12)であって、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタである第一のサセプタ(12)と、第二のサセプタ(14)であって、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタである第二のサセプタ(14)と、第一のサセプタ(12)と第二のサセプタ(14)の間の分離部(15)であって、第一のサセプタ(12)を第二のサセプタ(14)から断熱する分離部(15)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システム用の誘導発熱体であって、
第一のサセプタであって、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタである、第一のサセプタと、
第二のサセプタであって、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタである、第二のサセプタと、
前記第一のサセプタと前記第二のサセプタの間の分離部であって、前記第一のサセプタを前記第二のサセプタから断熱する分離部と、を備える、誘導発熱体。
【請求項2】
前記誘導発熱体が、前記第一のサセプタと前記第二のサセプタの間に配置された中間要素をさらに備え、前記中間要素が、前記第一のサセプタを前記第二のサセプタから断熱するための断熱材料を含む、請求項1に記載の誘導発熱体。
【請求項3】
前記中間要素が、前記第一のサセプタを前記第二のサセプタから電気的に絶縁するための電気絶縁材料を含む、請求項2に記載の誘導発熱体。
【請求項4】
前記中間要素が、内側空洞を画定する管状中間要素である、請求項2または請求項3に記載の誘導発熱体。
【請求項5】
前記中間要素が前記第一のサセプタの端に固定されている、請求項2~4のいずれか一項に記載の誘導発熱体。
【請求項6】
前記中間要素が前記第二のサセプタの端に固定されている、請求項5に記載の誘導発熱体。
【請求項7】
前記第一のサセプタが、断熱材料から形成された管状支持本体と、前記管状支持本体の内表面上のサセプタ層とを備え、
前記第二のサセプタが、断熱材料から形成された管状支持本体と、前記管状支持本体の内表面上のサセプタ層とを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の誘導発熱体。
【請求項8】
誘導加熱配設であって、
請求項1~7のいずれか一項に記載の誘導発熱体と、
第一のインダクタコイルと、
第二のインダクタコイルと、を備え、
前記第一のインダクタコイルが前記誘導発熱体に対して配設されていて、これによって前記第一のインダクタコイルに供給された変化する電流が、前記誘導発熱体の前記第一のサセプタを加熱する変動磁場を発生し、
前記第二のインダクタコイルが前記誘導発熱体に対して配設されていて、これによって前記第二のインダクタコイルに供給された変化する電流が、前記誘導発熱体の前記第二のサセプタを加熱する変動磁場を発生する、誘導加熱配設。
【請求項9】
前記第一のインダクタコイルが、内側空洞を有する管状コイルであり、前記第一のサセプタが前記第一のインダクタコイルの前記内側空洞内に配設されていて、
前記第二のインダクタコイルが、内側空洞を有する管状コイルであり、前記第二のサセプタが前記第二のインダクタコイルの前記内側空洞内に配設されている、請求項8に記載の誘導加熱配設。
【請求項10】
前記第一のインダクタコイルおよび前記第二のインダクタコイルの周りに配置された磁束集中器をさらに備え、前記磁束集中器が、前記第一のインダクタコイルによって発生された変動磁場を前記第一のサセプタに向かって歪め、かつ前記第二のインダクタコイルによって発生された変動磁場を前記第二のサセプタに向かって歪めるように構成されている、請求項9に記載の誘導加熱配設。
【請求項11】
前記磁束集中器の一部分が、前記第一のサセプタと前記第二のサセプタの間の前記中間要素の中に延びる、請求項10に記載の誘導加熱配設。
【請求項12】
前記第一のインダクタコイルの周りに配置された第一の磁束集中器であって、前記第一のインダクタコイルによって発生された変動磁場を前記第一のサセプタに向かって歪めるように構成されている、第一の磁束集中器と、
前記第二のインダクタコイルの周りに配置された第二の磁束集中器であって、前記第二のインダクタコイルによって発生された変動磁場を前記第二のサセプタに向かって歪めるように構成されている、第二の磁束集中器と、をさらに備える、請求項9に記載の誘導加熱配設。
【請求項13】
前記第一の磁束集中器の一部分が前記第一のサセプタと前記第二のサセプタの間の前記中間要素の中に延びる誘導加熱配設と、
前記第二の磁束集中器の一部分が前記第一のサセプタと前記第二のサセプタの間の前記中間要素の中に延びる誘導加熱配設とのうちの少なくとも一つである、請求項12に記載の誘導加熱配設。
【請求項14】
請求項8~13のいずれか一項に記載の誘導加熱配設を備えるエアロゾル発生装置。
【請求項15】
エアロゾル発生装置であって、
エアロゾル形成基体を受容するための装置空洞を画定する装置ハウジングと、
誘導加熱配設であって、
誘導発熱体であって、
前記装置空洞の第一の部分の周りに配置された第一のサセプタと、
前記装置空洞の第二の部分の周りに配置された第二のサセプタと、
前記第一のサセプタと前記第二のサセプタの間の分離部であって、前記第一のサセプタを前記第二のサセプタから断熱する分離部と、を備える誘導発熱体と、
前記第一のサセプタの少なくとも一部分および前記装置空洞の前記第一の部分の周りに配置された第一のインダクタコイルと、
前記第二のサセプタの少なくとも一部分および前記装置空洞の前記第二の部分の周りに配置された第二のインダクタコイルと、を含む誘導加熱配設と、
前記誘導加熱配設に接続された、かつ変化する電流を前記第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルに提供するように構成された電源と、を備え、
前記変化する電流が前記第一のインダクタコイルに供給される時、前記第一のインダクタコイルが変動磁場を発生し、これが前記第一のサセプタを加熱し、
前記変化する電流が前記第二のインダクタコイルに供給される時、前記第二のインダクタコイルが変動磁場を発生し、これが前記第二のサセプタを加熱する、エアロゾル発生装置。
【請求項16】
エアロゾル発生システムであって、
エアロゾル発生物品であって、
第一のエアロゾル形成基体と、
第二のエアロゾル形成基体と、を備えるエアロゾル発生物品と、
請求項15に記載のエアロゾル発生装置と、を備え、
前記エアロゾル発生物品が前記装置空洞内に受容されている時、前記第一のエアロゾル形成基体の少なくとも一部分が、前記装置空洞の前記第一の部分内に受容されていて、かつ前記第二のエアロゾル形成基体の少なくとも一部分が、前記装置空洞の前記第二の部分内に受容されている、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生システム用の誘導発熱体と、エアロゾル発生システム用の誘導加熱配設と、誘導加熱配設を有するエアロゾル発生装置と、誘導加熱配設を有するエアロゾル発生装置を有するエアロゾル発生システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこプラグなどのエアロゾル形成基体を加熱するために電気ヒーターを有するエアロゾル発生装置が使用される数多くの電気的に作動するエアロゾル発生システムが、当該技術分野において提案されてきた。こうしたエアロゾル発生システムの一つの目的は、従来の紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成されるタイプの周知の有害な煙成分を低減させることである。典型的に、エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生装置の空洞の中に挿入されるエアロゾル発生物品の一部として提供されている。一部の周知のシステムにおいて、エアロゾルを形成することができる揮発性の構成成分を放出することが可能な温度にエアロゾル形成基体を加熱するために、加熱ブレードなどの抵抗発熱体は、物品がエアロゾル発生装置内に受容されている時にエアロゾル形成基体の中に、またはその周りに挿入されている。他のエアロゾル発生システムにおいて、抵抗発熱体ではなく誘導ヒーターが使用される。誘導ヒーターは典型的に、エアロゾル発生装置の一部を形成するインダクタコイルと、エアロゾル形成基体と熱的に近接するように配設されたサセプタとを備える。インダクタは変動磁場を発生して、サセプタ内に渦電流およびヒステリシス損失を発生し、サセプタを加熱させ、それによってエアロゾル形成基体を加熱する。誘導加熱は、ヒーターをエアロゾル発生物品に露出することなく、エアロゾルを発生することを可能にする。これはヒーターのクリーニングのしやすさを改善することができる。
【0003】
一部の周知のエアロゾル発生装置は、二つ以上インダクタコイルを備え、各インダクタコイルは、サセプタの異なる部分を加熱するように配設されている。こうしたエアロゾル発生装置は異なる時間にて、または異なる温度にエアロゾル発生物品の異なる部分を加熱するために使用されてもよい。しかしながら、こうしたエアロゾル発生装置にとって、エアロゾル発生物品の隣接する部分も間接的に加熱することなく、エアロゾル発生物品の一つの部分を加熱することは困難である可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周知のシステムに伴うこれらの問題を軽減または克服するエアロゾル発生装置を提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によると、エアロゾル発生システムのための誘導発熱体が提供されている。誘導発熱体は第一のサセプタを備えてもよい。第一のサセプタは、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタであってもよい。誘導発熱体は第二のサセプタを備えてもよい。第二のサセプタは、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタであってもよい。誘導発熱体は、第一のサセプタと第二のサセプタの間の分離部をさらに備えてもよい。分離部は第一のサセプタを第二のサセプタから断熱してもよい。
【0006】
本開示によると、エアロゾル発生システム用の誘導発熱体が提供されていて、誘導発熱体は、第一のサセプタであって、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタである第一のサセプタと、第二のサセプタであって、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタである第二のサセプタと、第一のサセプタと第二のサセプタの間の分離部であって、第一のサセプタを第二のサセプタから断熱する分離部とを備える。
【0007】
第一のサセプタと第二のサセプタの間に分離部を有する誘導発熱体を提供することは、同じ長さの単一のサセプタを備える誘導発熱体と比較して、第一のサセプタと第二のサセプタの間の伝導を介した熱伝達を低減する場合がある。これは、エアロゾル形成基体の個別の部分を選択的に加熱する誘導発熱体の能力を改善する場合がある。
【0008】
本開示によると、エアロゾル発生システムのための誘導加熱配設が提供されている。
【0009】
誘導加熱配設は誘導発熱体を備えてもよい。誘導発熱体は第一のサセプタを備えてもよい。第一のサセプタは、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタであってもよい。誘導発熱体は第二のサセプタを備えてもよい。第二のサセプタは、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタであってもよい。誘導発熱体は、第一のサセプタと第二のサセプタの間の分離部をさらに備えてもよい。分離部は第一のサセプタを第二のサセプタから断熱してもよい。
【0010】
誘導加熱配設は第一のインダクタコイルをさらに備えてもよい。誘導加熱配設は第二のインダクタコイルをさらに備えてもよい。第一のインダクタコイルは、第一のインダクタコイルに供給された変化する電流が、誘導発熱体の第一のサセプタを加熱する変動磁場を発生するように、誘導発熱体に対して配設されてもよい。第二のインダクタコイルは、第二のインダクタコイルに供給された変化する電流が、誘導発熱体の第二のサセプタを加熱する変動磁場を発生するように、誘導発熱体に対して配設されてもよい。
【0011】
特に、本開示によると、エアロゾル発生システム用の誘導加熱配設が提供されていて、誘導加熱配設は誘導発熱体と、第一のインダクタコイルと、第二のインダクタコイルとを含む。誘導発熱体は、第一のサセプタであって、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタである第一のサセプタと、第二のサセプタであって、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタである第二のサセプタと、第一のサセプタと第二のサセプタの間の分離部であって、第一のサセプタを第二のサセプタから断熱する分離部とを備える。第一のインダクタコイルは、第一のインダクタコイルに供給された変化する電流が、誘導発熱体の第一のサセプタを加熱する変動磁場を発生するように、誘導発熱体に対して配設されている。第二のインダクタコイルは、第二のインダクタコイルに供給された変化する電流が、誘導発熱体の第二のサセプタを加熱する変動磁場を発生するように、誘導発熱体に対して配設されている。
【0012】
誘導発熱体の第一のサセプタを加熱するように配設された第一のインダクタコイルと、誘導発熱体の第二のサセプタを加熱するように配設された第二のインダクタコイルとを有する誘導加熱配設を提供することは、第一のサセプタおよび第二のサセプタを選択的に加熱することを可能にする。こうした選択的に加熱することは、誘導加熱配設がエアロゾル形成基体の異なる部分を異なる時間にて加熱することを可能にし、またサセプタのうちの一つをその他のサセプタと異なる温度に加熱することを可能にする場合がある。
【0013】
本開示によると、誘導加熱配設を備えるエアロゾル発生装置が提供されている。
【0014】
誘導加熱配設は誘導発熱体を備えてもよい。誘導発熱体は第一のサセプタを備えてもよい。第一のサセプタは、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタであってもよい。誘導発熱体は第二のサセプタを備えてもよい。第二のサセプタは、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタであってもよい。誘導発熱体は、第一のサセプタと第二のサセプタの間の分離部をさらに備えてもよい。分離部は第一のサセプタを第二のサセプタから断熱してもよい。
【0015】
誘導加熱配設は第一のインダクタコイルをさらに備えてもよい。誘導加熱配設は第二のインダクタコイルをさらに備えてもよい。第一のインダクタコイルは、第一のインダクタコイルに供給された変化する電流が、誘導発熱体の第一のサセプタを加熱する変動磁場を発生するように、誘導発熱体に対して配設されてもよい。第二のインダクタコイルは、第二のインダクタコイルに供給された変化する電流が、誘導発熱体の第二のサセプタを加熱する変動磁場を発生するように、誘導発熱体に対して配設されてもよい。
【0016】
特に、本開示によると、エアロゾル形成基体を受容するための装置空洞を画定する装置ハウジングを備えるエアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置は、誘導発熱体と、第一のインダクタコイルと、第二のインダクタコイルとを含む誘導加熱配設をさらに備える。誘導発熱体は、装置空洞の第一の部分の周りに配置された第一のサセプタと、装置空洞の第二の部分の周りに配置された第二のサセプタと、第一のサセプタと第二のサセプタの間の分離部とを備え、分離部は第一のサセプタを第二のサセプタから断熱する。エアロゾル発生装置は、第一のサセプタの少なくとも一部分および装置空洞の第一の部分の周りに配置された第一のインダクタコイルと、第二のサセプタの少なくとも一部分および装置空洞の第二の部分の周りに配置された第二のインダクタコイルと、誘導加熱配設に接続された、かつ変化する電流を第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルに提供するように構成された電源とをさらに備える。変化する電流が第一のインダクタコイルに供給される時、第一のインダクタコイルは変動磁場を発生し、これは第一のサセプタを加熱する。変化する電流が第二のインダクタコイルに供給される時、第二のインダクタコイルは変動磁場を発生し、これは第二のサセプタを加熱する。
【0017】
装置空洞の第一の部分の周りに配置された第一のサセプタと、装置空洞の第二の部分の周りに配置された第二のサセプタとを有する誘導加熱配設を有するエアロゾル発生装置を提供することは、第一のサセプタによる装置空洞の第一の部分と第二のサセプタによる装置空洞の第二の部分とを選択的に加熱することを可能にする場合がある。第一のサセプタを加熱するように配設された第一のインダクタコイルと、第二のサセプタを加熱するように配設された第二のインダクタコイルとを提供することは、第一のサセプタおよび第二のサセプタを選択的に加熱することを可能にする場合がある。こうした選択的に加熱することは、誘導加熱配設が、装置空洞内に受容されたエアロゾル形成基体の異なる部分を異なる時間にて、異なる温度に加熱することを可能にする。これは有利なことに、エアロゾル発生装置が、異なる特徴を有するエアロゾルを発生することを可能にし、エアロゾル発生装置の機能性および柔軟性を増大する場合がある。
【0018】
本開示によると、エアロゾル発生システムが提供されている。また、エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するように構成されたエアロゾル発生装置とを備える。エアロゾル発生物品は、第一のエアロゾル形成基体および第二のエアロゾル形成基体を含んでもよい。エアロゾル発生装置は誘導加熱配設を備えてもよい。誘導加熱配設は誘導発熱体を備えてもよい。誘導発熱体は第一のサセプタを備えてもよい。第一のサセプタは、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタであってもよい。誘導発熱体は第二のサセプタを備えてもよい。第二のサセプタは、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞を画定する管状サセプタであってもよい。誘導発熱体は、第一のサセプタと第二のサセプタの間の分離部をさらに備えてもよい。分離部は第一のサセプタを第二のサセプタから断熱してもよい。誘導加熱配設は第一のインダクタコイルをさらに備えてもよい。誘導加熱配設は第二のインダクタコイルをさらに備えてもよい。第一のインダクタコイルは、第一のインダクタコイルに供給された変化する電流が、誘導発熱体の第一のサセプタを加熱する変動磁場を発生するように、誘導発熱体に対して配設されてもよい。第二のインダクタコイルは、第二のインダクタコイルに供給された変化する電流が、誘導発熱体の第二のサセプタを加熱する変動磁場を発生するように、誘導発熱体に対して配設されてもよい。誘導加熱配設は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に受容されている時に、第一のサセプタがエアロゾル発生物品の第一のエアロゾル形成基体を加熱するために位置付けられるように配設されてもよい。誘導加熱配設は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に受容されている時に、第二のサセプタがエアロゾル発生物品の第二のエアロゾル形成基体を加熱するために位置付けられるように配設されてもよい。
【0019】
有利なことに、こうしたエアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品の第一のエアロゾル形成基体および第二のエアロゾル形成基体を選択的に加熱するように構成されてもよい。第二のエアロゾル形成基体は、第一のエアロゾル形成基体と異なる時間にて加熱されてもよい。第二のエアロゾル形成基体は、第一のエアロゾル形成基体と異なる温度に加熱されてもよい。これは、エアロゾル発生システムが、特に望ましい特徴を有するエアロゾルを発生することを可能にする場合があり、またエアロゾル発生システムが、異なる特徴を有するエアロゾルを発生することを可能にする場合がある。
【0020】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は典型的に、エアロゾル発生物品の一部である。
【0021】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、システムの近位端またはユーザー側の端でマウスピースを吸うまたは吸煙するユーザーによって直接吸入可能なエアロゾルを発生する物品であってもよい。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。たばこを含むエアロゾル形成基体を含む物品は本明細書において、たばこスティックと呼ばれる場合がある。
【0022】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置を指す。
【0023】
本明細書で使用される「エアロゾル発生システム」という用語は、エアロゾル発生装置とエアロゾル発生物品の組み合わせを指す。エアロゾル発生システムにおいて、エアロゾル発生物品とエアロゾル発生装置は協働して、吸入可能なエアロゾルを発生する。
【0024】
本明細書で使用される「変化する電流」という用語は、変動磁場を発生するために時間とともに変化する任意の電流を含む。「変化する電流」という用語は、交流電流を含むことが意図されている。変化する電流が交流電流である場合、交流電流は交番磁場を発生する。
【0025】
本明細書で使用される「長さ」という用語は、エアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品の長軸方向での主要寸法、またはエアロゾル発生装置もしくはエアロゾル発生物品の構成要素の長軸方向での主要寸法を指す。
【0026】
本明細書で使用される「幅」という用語は、エアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品のその長さに沿った特定の場所での横断方向での主要寸法、またはエアロゾル発生装置もしくはエアロゾル発生物品の構成要素のその長さに沿った特定の場所での横断方向での主要寸法を指す。「厚さ」という用語は、幅と直角を成す横断方向での寸法を指す。
【0027】
本明細書で使用される「横断断面」という用語は、エアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品のその長さに沿った特定の場所での長軸方向と直角を成す方向でのエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品の断面、またはエアロゾル発生装置もしくはエアロゾル発生物品の構成要素のその長さに沿った特定の場所での長軸方向と直角を成す方向でのエアロゾル発生装置もしくはエアロゾル発生物品の構成要素の断面を記述するために使用される。
【0028】
本明細書で使用される「近位」という用語は、エアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品のユーザー端または口側端を指す。エアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品の構成要素の近位端は、ユーザー端に最も近い構成要素の端、またはエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品の口側端である。本明細書で使用される「遠位」という用語は、近位端の反対側の端を指す。
【0029】
本開示によると、エアロゾル発生システム用の誘導発熱体が提供されている。
【0030】
発熱体は外部誘導発熱体であってもよい。本明細書で使用される「外部発熱体」という用語は、エアロゾル形成基体の外表面を加熱するように構成された発熱体を指す。
【0031】
外部発熱体は、エアロゾル形成基体がエアロゾル発生装置によって受容されている時に、エアロゾル形成基体を少なくとも部分的に包囲するように構成されていることが好ましい。誘導発熱体は、エアロゾル形成基体が誘導発熱体空洞内に受容されている時に、エアロゾル形成基体の外表面を加熱するように構成されてもよい。
【0032】
誘導発熱体は、エアロゾル形成基体を受容するための空洞を備える。誘導発熱体は、外側と、外側の反対側の内側とを備えてもよい。内側は、エアロゾル形成基体を受容するための誘導発熱体空洞を少なくとも部分的に画定する場合がある。第一のサセプタは、誘導発熱体空洞の一部分を画定する管状サセプタである。第二のサセプタは、誘導発熱体空洞の一部分を画定する管状サセプタである。
【0033】
一部の実施形態において、誘導発熱体は、エアロゾル形成基体を受容するための複数の内側空洞を備える。第一のサセプタの内側空洞は、誘導発熱体の第一の空洞を形成してもよく、第二のサセプタの内側空洞は、誘導発熱体の第二の空洞を形成してもよい。
【0034】
一部の好ましい実施形態において、誘導発熱体は、エアロゾル形成基体を受容するための単一の内側空洞を備える。これらの実施形態において、第一のサセプタの内側空洞は、誘導発熱体の単一の内側空洞の一部分を画定し、また第二のサセプタの内側空洞は、誘導発熱体の単一の内側空洞の第二の部分を画定する。一部の好ましい実施形態において、誘導発熱体は管状誘導発熱体である。管状誘導発熱体の内表面は、誘導発熱体空洞を画定する場合がある。
【0035】
エアロゾル発生装置が、エアロゾル形成基体を受容するための装置空洞を備える実施形態において、誘導発熱体は装置空洞を少なくとも部分的に囲んでもよい。誘導発熱体空洞は装置空洞と整列されてもよい。
【0036】
誘導発熱体は第一のサセプタおよび第二のサセプタを備える。
【0037】
本明細書で使用される「サセプタ」という用語は、電磁エネルギーを熱に変換する能力を有する材料を含む要素を指す。サセプタが変動磁場内に位置する時、サセプタは加熱される。サセプタの加熱は、サセプタ材料の電気的特性および磁気的特性に依存して、サセプタ内に誘導されたヒステリシス損失および渦電流のうちの少なくとも一つの結果である場合がある。
【0038】
サセプタは任意の適切な材料を含んでもよい。サセプタは、エアロゾル形成基体をエアロゾル化するために十分な温度に誘導加熱されることができる任意の材料から形成されてもよい。好ましいサセプタは、摂氏約250度を超える温度に加熱されてもよい。好ましいサセプタは導電性材料から形成されてもよい。本明細書で使用される「導電性」は、摂氏20度にて1×10-4オームメートル(Ω・m)以下の電気抵抗率を有する材料を指す。好ましいサセプタは熱伝導性材料から形成されてもよい。本明細書で使用される「熱伝導性材料」という用語は、改良非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定した場合、摂氏23度および50パーセントの相対湿度にて少なくとも約10ワット毎メートル毎ケルビン(W/(m・K))の熱伝導率を有する材料を記述するために使用される。
【0039】
サセプタのために適切な材料としては、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ニッケル含有化合物、チタン、および金属材料の複合材料が挙げられる。一部の好ましいサセプタは金属または炭素を含む。一部の好ましいサセプタは、例えばフェライト鉄、強磁性鋼またはステンレス鋼などの強磁性合金、強磁性粒子、およびフェライトなどの強磁性材料を含む。一部の好ましいサセプタは強磁性材料から成る。適切なサセプタはアルミニウムを含んでもよい。適切なサセプタはアルミニウムから成ってもよい。サセプタは、少なくとも約5パーセント、少なくとも約20パーセント、少なくとも約50パーセント、もしくは少なくとも約90パーセントの強磁性材料または常磁性材料を含んでもよい。
【0040】
サセプタは、気体に対して実質的に不透過性である材料から形成されていることが好ましい。言い換えれば、サセプタは、気体透過性ではない材料から形成されていることが好ましい。
【0041】
第一のサセプタは管状サセプタである。第二のサセプタは管状サセプタである。管状サセプタは、内側空洞を画定する環状本体を備える。サセプタ空洞はエアロゾル形成基体を受容するように構成されている。サセプタ空洞は開放空洞であってもよい。サセプタ空洞は一方の端で開放していてもよい。サセプタ空洞は両端で開放していてもよい。
【0042】
サセプタが、一方の端または両方の端にて開放している、エアロゾル形成基体を受容するための空洞を有する管状サセプタである場合、サセプタは、外表面から内側空洞を画定する内表面への気体に対して実質的に不透過性であることが好ましい。言い換えれば、サセプタは、サセプタの側壁を通る気体に対して実質的に不透過性であることが好ましい。
【0043】
誘導発熱体のサセプタは任意の適切な形態を有してもよい。例えば、サセプタは細長くてもよい。サセプタは任意の適切な横断断面を有してもよい。例えば、サセプタは円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、または他の多角形の横断断面を有してもよい。
【0044】
一部の実施形態において、各サセプタは実質的に同一である。例えば、第二のサセプタは第一のサセプタと実質的に同一であってもよい。各サセプタは同じ材料から形成されてもよい。各サセプタは実質的に同じ形状および寸法を有してもよい。各サセプタを他のサセプタと実質的に同一にすることは、所与の変動磁場に曝露された時に、各サセプタを実質的に同じ温度に加熱すること、および実質的に同じ速度で加熱することを可能にする場合がある。
【0045】
一部の実施形態において、第二のサセプタは、少なくとも一つの特性において第一のサセプタと異なる。第二のサセプタは、第一のサセプタと異なる材料から形成されてもよい。第二のサセプタは、第一のサセプタと異なる形状および寸法を有してもよい。第二のサセプタは、第一のサセプタの長さよりも長い長さを有してもよい。各サセプタを他のサセプタと異なるものにすることは、異なるエアロゾル形成基体にとって最適な熱を提供するように各サセプタを適合させることを可能にする場合がある。
【0046】
一実施例において、第一のエアロゾル形成基体は、所望の特性を有する第一のエアロゾルを発生するために第一の温度に加熱することを必要とする場合があり、また第二のエアロゾル形成基体は、所望の特性を有する第二のエアロゾルを発生するために第一の温度と異なる第二の温度に加熱することを必要とする場合がある。この実施例において、第一のサセプタは、第一のエアロゾル形成基体を第一の温度に加熱するために適切な第一の材料から形成されてもよく、第二のサセプタは、第二のエアロゾル形成基体を第二の温度に加熱するために適切な(第一の材料と異なる)第二の材料から形成されてもよい。
【0047】
別の実施例において、エアロゾル発生物品は、第一の長さを有する第一のエアロゾル形成基体と、第一の長さと異なる第二の長さを有する第二のエアロゾル形成基体とを備えてもよく、これによって第二のエアロゾル形成基体を加熱することは、第一のエアロゾル形成基体を加熱するのと異なる量のエアロゾルを発生する。この実施形態において、第一のサセプタは、第一の長さと実質的に等しい長さを有してもよく、また第二のサセプタは、第二の長さと実質的に等しい長さを有してもよい。
【0048】
一部の好ましい実施形態において、第一のサセプタは細長い管状サセプタであり、また第二のサセプタは細長い管状サセプタである。これらの好ましい実施形態において、第一のサセプタおよび第二のサセプタは、実質的に整列されてもよい。言い換えれば、第一のサセプタおよび第二のサセプタは、同軸に整列されてもよい。
【0049】
誘導発熱体は任意の適切な数のサセプタを備えてもよい。誘導発熱体は複数のサセプタを備えてもよい。誘導発熱体は少なくとも二つのサセプタを備える。例えば、誘導発熱体は三つ、四つ、五つ、または六つのサセプタを備えてもよい。誘導発熱体が三つ以上のサセプタを備える場合、中間要素は、隣接するサセプタの対の各々の間に配置されてもよい。
【0050】
一部の好ましい実施形態において、サセプタは、支持本体上に提供されたサセプタ層を備えてもよい。第一のサセプタおよび第二のサセプタの各々は、支持本体およびサセプタ層から形成されてもよい。サセプタを変動磁場内に配設することは、表皮効果と呼ばれる効果で、サセプタ表面に近接近して渦電流を誘導する。その結果、サセプタが変動磁場の存在下で効果的に加熱されることを確実にしながら、サセプタ材料の比較的に薄い層からサセプタを形成することが可能である。サセプタを支持本体および比較的に薄いサセプタ層から作製することは、単純で安価かつ頑丈なエアロゾル発生物品の製造を容易にする場合がある。
【0051】
支持本体は、誘導加熱の影響を受けやすくない材料から形成されてもよい。これは有利なことに、エアロゾル形成基体と接触していないサセプタの表面の加熱を低減する場合があり、ここで支持本体の表面は、エアロゾル形成基体と接触していないサセプタの表面を形成する。
【0052】
支持本体は電気絶縁材料を含んでもよい。本明細書で使用される「電気絶縁性」とは、摂氏20度にて少なくとも1×104オームメートル(Ω・m)の電気抵抗率を有する材料を指す。
【0053】
支持本体は、第一のサセプタを第二のサセプタから断熱するための断熱材料を備えてもよい。本明細書で使用される「断熱材料」という用語は、改良非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定した場合、摂氏23度および50パーセントの相対湿度にて、約40ワット毎メートル毎ケルビン(W/(m・K))以下のバルク熱伝導率を有する材料を記述するために使用される。
【0054】
断熱材料から支持本体を形成することは、サセプタ層と、誘導加熱配設の他の構成要素(誘導発熱体を囲むインダクタコイルなど)との間に断熱バリアを提供する場合がある。これは有利なことに、サセプタと誘導加熱システムの他の構成要素との間の熱伝達を低減する場合がある。
【0055】
支持本体は管状の支持本体であってもよく、またサセプタ層は管状の支持本体の内表面上に提供されてもよい。サセプタ層を支持本体の内部表面上に提供することは、サセプタ層を誘導発熱体の空洞内でエアロゾル形成基体に隣接して位置付ける場合があり、サセプタ層とエアロゾル形成基体の間の熱伝達を改善する。
【0056】
一部の好ましい実施形態において、第一のサセプタは、断熱材料から形成された管状支持本体と、管状支持本体の内表面上のサセプタ層とを備える。一部の好ましい実施形態において、第二のサセプタは、断熱材料から形成された管状支持本体と、管状支持本体の内表面上のサセプタ層とを備える。
【0057】
サセプタには、保護外層、例えば保護セラミック層または保護ガラス層が提供されてもよい。保護外層はサセプタの耐久性を改善し、かつサセプタのクリーニングを容易にする場合がある。保護外層はサセプタを実質的に包囲してもよい。サセプタは、ガラス、セラミック、または不活性金属から形成された保護被覆を備えてもよい。
【0058】
誘導発熱体は、第一のサセプタと第二のサセプタの間の分離部をさらに備える。
【0059】
分離部は、第一のサセプタを第二のサセプタから断熱するために、任意の適切なサイズであってもよい。
【0060】
誘導発熱体は、第一のサセプタと第二のサセプタの間に配置された中間要素を備えてもよい。中間要素は、第一のサセプタと第二のサセプタの間の分離部内に配置されてもよい。中間要素は、第一のサセプタと第二のサセプタの間に延びてもよい。中間要素は、第一のサセプタの端と接触してもよい。中間要素は、第二のサセプタの端と接触してもよい。中間要素は、第一のサセプタの端に固定されてもよい。中間要素は、第二のサセプタの端に固定されてもよい。中間要素は、第二のサセプタを第一のサセプタに接続してもよい。中間要素が第二のサセプタを第一のサセプタに接続する場合、中間要素は誘導発熱体に構造的支持を提供してもよい。中間要素は有利なことに、誘導加熱配設から取り外す、かつ交換するのを単純にしうる単一の分解できない要素として誘導発熱体を提供することを可能にする場合がある。
【0061】
中間要素は任意の適切な形態を有してもよい。中間要素は任意の適切な横断断面を有してもよい。例えば、中間要素は円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、または他の多角形の横断断面を有してもよい。中間要素は管状であってもよい。管状中間要素は、内側空洞を画定する環状本体を備える。中間要素は、気体が中間要素の外側から内側空洞の中に透過することを可能にするように構成されてもよい。中間要素空洞は、エアロゾル発生物品の一部分を受容するように構成されてもよい。中間要素空洞は、開放空洞であってもよい。中間要素空洞は、一方の端で開放していてもよい。中間要素空洞は、両方の端で開放していてもよい。
【0062】
一部の好ましい実施形態において、第一のサセプタおよび第二のサセプタは管状サセプタであり、また中間要素は管状中間要素である。これらの実施形態において、管状の第一のサセプタ、管状の第二のサセプタ、および管状の中間要素は、実質的に整列されてもよい。管状の第一のサセプタ、管状の中間要素、および管状の第二のサセプタは、管状ロッドの形態で端と端を接して配設されてもよい。管状の第一のサセプタ、管状の中間要素、および管状の第二のサセプタの内側空洞は、実質的に整列されてもよい。管状の第一のサセプタ、管状の中間要素、および管状の第二のサセプタの内側空洞は、誘導発熱体空洞を画定してもよい。
【0063】
中間要素は任意の適切な材料から形成されてもよい。
【0064】
好ましい実施形態において、中間要素は、第一のサセプタおよび第二のサセプタと異なる材料から形成されている。
【0065】
中間要素は、第一のサセプタを第二のサセプタから断熱するための断熱材料を含んでもよい。中間要素は、改良非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定した場合、摂氏23度および50パーセントの相対湿度にて、約100ミリワット毎メートル毎ケルビン(mW/(m・K))以下のバルク熱伝導率を有する材料を含んでもよい。第一のサセプタと第二のサセプタの間の分離部において断熱材料から形成された中間要素を提供することは、第一のサセプタと第二のサセプタの間の熱伝達をさらに減少させる場合がある。これは有利なことに、エアロゾル形成基体の個別の部分を選択的に加熱する誘導発熱体の能力を改善する場合がある。これはまた、第一のサセプタと第二のサセプタの間の分離部のサイズを低減することを可能にし、かつ結果として誘導発熱体のサイズを低減することを可能にする場合がある。
【0066】
中間要素は、第一のサセプタを第二のサセプタから電気的に絶縁するための電気絶縁材料を含んでもよい。サセプタは、摂氏20度にて少なくとも1×104オームメートル(Ωm)の電気抵抗率を有する材料を含んでもよい。
【0067】
中間要素は、第一のサセプタを第二のサセプタから断熱するための断熱材料と、第一のサセプタを第二のサセプタから電気的に絶縁するための電気絶縁材料とのうちの少なくとも一つを含んでもよい。一部の好ましい実施形態において、中間要素は、第一のサセプタを第二のサセプタから断熱するための断熱材料と、第一のサセプタを第二のサセプタから電気的に絶縁するための電気絶縁材料とを含む。
【0068】
中間要素のために特に適切な材料としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの高分子材料、Kevlar(登録商標)などの液晶ポリマー、ある特定のセメント、ガラス、および二酸化ジルコニウム(ZrO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、および酸化アルミニウム(Al2O3)などのセラミック材料が挙げられうる。
【0069】
中間要素は気体透過性であってもよい。言い換えれば、中間要素は、気体が中間要素を通して透過することを可能にするように構成されている。中間要素は典型的に、中間要素の一方の側から中間要素の他方の側に気体が透過することを可能にするように構成されている。中間要素は、外側と、外側の反対側の内側とを備えてもよい。中間要素は、気体が外側から内側に透過することを可能にするように構成されてもよい。
【0070】
一部の実施形態において、中間要素は、中間要素を通る空気の通過を許容するように構成された空気通路を備える。これらの実施形態において、中間要素は、気体透過性材料から形成されることを必要としなくてもよい。その結果、一部の実施形態において、中間要素は、気体に対して透過性ではない材料から形成されていて、中間要素を通る空気の通過を許容するように構成された空気通路を備える。中間要素は複数の空気通路を備えてもよい。中間要素は、任意の適切な数の空気通路、例えば二つ、三つ、四つ、五つ、または六つの空気通路を備えてもよい。中間要素が複数の空気通路を備える場合、空気通路は中間要素上で規則的に離隔していてもよい。
【0071】
中間要素が、内側空洞を画定する管状中間要素である場合、中間要素は、空気が中間要素の外表面から内側空洞の中に流れることを許容するように構成された空気通路を備えてもよい。中間要素は、外表面から内表面に延びる空気通路を備えてもよい。管状中間要素が複数の空気通路を備える場合、空気通路は管状中間要素の周囲の周りに規則的に離隔してもよい。
【0072】
誘導発熱体は誘導加熱配設内に備えられてもよい。
【0073】
誘導加熱配設はインダクタコイルをさらに備える。誘導加熱配設は、第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルを備えることが好ましい。
【0074】
第一のインダクタコイルは、第一のインダクタコイルに供給された変化する電流が変動磁場を発生するように構成されている。第一のインダクタコイルは、第一のインダクタコイルに供給された変化する電流が、誘導発熱体の第一のサセプタを加熱する変動磁場を発生するように、誘導発熱体に対して配設されている。
【0075】
第二のインダクタコイルは、第二のインダクタコイルに供給された変化する電流が変動磁場を発生するように構成されている。第二のインダクタコイルは、第二のインダクタコイルに供給された変化する電流が、誘導発熱体の第二のサセプタを加熱する変動磁場を発生するように、誘導発熱体に対して配設されている。
【0076】
インダクタコイルは任意の適切な形態を有してもよい。例えば、インダクタコイルは平坦なインダクタコイルであってもよい。平坦なインダクタコイルは、渦巻き状で、実質的に平面状で巻かれてもよい。インダクタコイルは、内側空洞を画定する管状インダクタコイルであることが好ましい。典型的に管状インダクタコイルは、軸を中心としてらせん状に巻かれる。インダクタコイルは細長くてもよい。インダクタコイルは細長い管状インダクタコイルであってもよいことが特に好ましい。インダクタコイルは任意の適切な横断断面を有してもよい。例えば、インダクタコイルは円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、または他の多角形の横断断面を有してもよい。
【0077】
インダクタコイルは任意の適切な材料から形成されてもよい。インダクタコイルは導電性材料から形成されている。インダクタコイルは金属または合金から形成されていることが好ましい。
【0078】
インダクタコイルが管状インダクタコイルである場合、誘導発熱体の一部分は、インダクタコイルの内側空洞内に配設されていることが好ましい。第一のインダクタコイルは管状インダクタコイルであり、また第一のサセプタの少なくとも一部分は、第一のインダクタコイルの内側空洞内に配設されていることが特に好ましい。管状の第一のインダクタコイルの長さは、第一のサセプタの長さと実質的に類似していてもよい。第二のインダクタコイルは管状インダクタコイルであり、また第二のサセプタの少なくとも一部分は、第二のインダクタコイルの内側空洞内に配設されていることが特に好ましい。管状の第二のインダクタコイルの長さは、第二のサセプタの長さと実質的に類似していてもよい。
【0079】
一部の実施形態において、第二のインダクタコイルは第一のインダクタコイルと実質的に同一である。言い換えれば、第一のインダクタコイルと第二のインダクタコイルは、同じ形状、寸法、巻数を有する。第二のサセプタが第一のサセプタと実質的に同一である実施形態において、第二のインダクタコイルは第一のインダクタコイルと実質的に同一であることが特に好ましい。
【0080】
一部の実施形態において、第二のインダクタコイルは第一のインダクタコイルと異なる。例えば、第二のインダクタコイルは、第一のインダクタコイルと異なる長さ、巻数、または横断断面を有してもよい。第二のサセプタが第一のサセプタと異なる実施形態において、第二のインダクタコイルは第一のインダクタコイルと異なることが特に好ましい。
【0081】
第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルは、任意の適切な配設で配設されてもよい。第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルは、軸に沿って同軸に整列されていることが特に好ましい。第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルが細長い管状インダクタコイルである場合、第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルは、コイルの内側空洞が長軸方向軸に沿って整列されているように、長軸方向軸に沿って同軸に整列されてもよい。
【0082】
誘導加熱配設は任意の適切な数のインダクタコイルを備えてもよい。誘導発熱体は複数のインダクタコイルを備える。誘導加熱配設は少なくとも二つのインダクタコイルを備える。誘導加熱配設のインダクタコイルの数は、誘導発熱体のサセプタの数と同じであることが好ましい。誘導加熱配設のインダクタコイルの数は、誘導発熱体のサセプタの数と異なってもよい。インダクタコイルの数がサセプタの数と同じである場合、各インダクタコイルはサセプタの周りに配置されていることが好ましい。各インダクタコイルは実質的に、周りにインダクタコイルが配置されているサセプタの長さだけ延びることが特に好ましい。
【0083】
誘導発熱体は磁束集中器を備えてもよい。磁束集中器は、誘導加熱配設のインダクタコイルの周りに配置されてもよい。磁束集中器は、インダクタコイルによって発生された変動磁場を誘導発熱体に向かって歪めるように構成されている。
【0084】
有利なことに、磁場を誘導発熱体に向かって歪めることによって、磁束集中器は磁場を誘導発熱体に集中させることができる。これは、磁束集中器が提供されていない実施形態と比較して、誘導加熱配設の効率を増加させる場合がある。本明細書で使用される「磁場を集中させる」という語句は、磁場が「集中する」場所で磁場の磁気エネルギー密度が増加するように磁場を歪めることを意味する。
【0085】
本明細書で使用される「磁束集中器」という用語は、インダクタコイルによって発生した磁場または磁力線を集中させ、かつ案内するように作用する、高い比透磁率を有する構成要素を指す。本明細書で使用される「比透磁率」という用語は、材料または媒体(磁束集中器など)の透磁率と自由空間の透磁率(「μ0」)との比を指し、ここでμ0は、4π×10-7ニュートン/平方アンペア(N・A-2)である。
【0086】
本明細書で使用される「高比透磁率」という用語は、摂氏25度にて少なくとも5、例えば摂氏度で、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも80、または少なくとも100の比透磁率を指す。これらの例示的な値は、6~8メガヘルツ(MHz)の周波数および摂氏25度の温度の場合の比透磁率の値を指すことが好ましい。
【0087】
磁束集中器は任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。磁束集中器は、強磁性材料(例えばフェライト材料など)、結合剤中に保持されたフェライト粉末、またはフェライト材料(フェライト鉄、強磁性鋼、またはステンレス鋼など)を含む任意の他の適切な材料を含むことが好ましい。
【0088】
一部の実施形態において、誘導加熱配設は、第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルの周りに配置された磁束集中器を備える。これらの実施形態において、磁束集中器は、第一のインダクタコイルによって発生された変動磁場を誘導発熱体の第一のサセプタに向かって歪めるように、かつ第二のインダクタコイルによって発生された変動磁場を誘導発熱体の第二のサセプタに向かって歪めるように構成されている。
【0089】
これらの実施形態のうちの一部において、磁束集中器の一部分は、第一のサセプタと第二のサセプタの間の中間要素の中に延びる。磁束集中器の一部分が第一のサセプタと第二のサセプタの間の中間要素の中に延びることは、第一のインダクタコイルによって発生された磁場および第二のインダクタコイルによって発生された磁場をさらに歪める場合がある。このさらなる歪みは、第一のインダクタコイルによって発生された磁場が第一のサセプタに向かってさらに集中されること、かつ第二のインダクタコイルによって発生された磁場が第二のサセプタに向かってさらに集中されることをもたらす場合がある。これは、誘導加熱配設の効率をさらに改善する場合がある。
【0090】
一部の実施形態において、誘導加熱配設は複数の磁束集中器を備える。一部の好ましい実施形態において、個別の磁束集中器は各インダクタコイルの周りに配置されている。各インダクタコイルに専用の磁束集中器を提供することは、インダクタコイルによって発生された磁場を最適に歪めるように磁束集中器が最適に構成されることを可能にする場合がある。また、こうした配設はまた、誘導加熱配設がモジュール式誘導加熱ユニットから形成されることを可能にする場合がある。各誘導加熱ユニットは、インダクタコイルおよび磁束集中器を備えてもよい。モジュール式誘導加熱ユニットを提供することは、誘導加熱配設の標準化された製造を容易にし、かつ個別のユニットの取り外しおよび交換を可能にする場合がある。
【0091】
一部の好ましい実施形態において、誘導加熱配設は、第一のインダクタコイルの周りに配置された第一の磁束集中器であって、第一のインダクタコイルによって発生された変動磁場を第一のサセプタに向かって歪めるように構成されている第一の磁束集中器と、第二のインダクタコイルの周りに配置された第二の磁束集中器であって、第二のインダクタコイルによって発生された変動磁場を第二のサセプタに向かって歪めるように構成されている第二の磁束集中器とを備える。
【0092】
これらの好ましい実施形態において、第一の磁束集中器の一部分は、第一のサセプタと第二のサセプタの間の中間要素の中に延びてもよい。これらの好ましい実施形態において、第二の磁束集中器の一部分は、第一のサセプタと第二のサセプタの間の中間要素の中に延びてもよい。磁束集中器の一部分をサセプタ間の中間要素の中に延ばすことは、磁束集中器が、インダクタコイルによって発生された磁場をサセプタに向かってさらに歪めることを可能にする場合がある。
【0093】
誘導加熱配設は誘導加熱配設ハウジングをさらに含んでもよい。ハウジングは誘導発熱体、インダクタコイル、および磁束集中器を一緒に保ってもよい。これは、誘導加熱配設の構成要素の相対的配設を固定すること、かつ構成要素間の連結を改善することに役立つ場合がある。誘導加熱配設ハウジングは、電気絶縁材料から形成されていることが好ましい。
【0094】
誘導加熱配設が、インダクタコイルおよび磁束集中器を含む個別の誘導加熱ユニットを備える場合、各誘導加熱ユニットは誘導加熱ユニットハウジングを備えてもよい。誘導加熱ユニットハウジングは、誘導加熱ユニットの構成要素を一緒に保ち、かつ構成要素間の連結を改善する場合がある。誘導加熱ユニットハウジングは、電気絶縁材料から形成されていることが好ましい。
【0095】
誘導加熱配設はエアロゾル発生装置内に備えられてもよい。
【0096】
エアロゾル発生装置は電源を備えてもよい。電源は任意の適切なタイプの電源であってもよい。電源はDC電源であってもよい。一部の好ましい実施形態において、電源は再充電可能なリチウムイオン電池などの電池である。電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合がある。電源は、装置の一回以上の使用のために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は装置の所定の使用回数、または不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。一実施形態において、電源は、約2.5ボルト~約4.5ボルトの範囲のDC供給電圧、および約1アンペア~約10アンペアの範囲のDC供給電流(約2.5ワット~約45ワットの範囲のDC電源に対応)を有するDC電源である。
【0097】
エアロゾル発生装置は、誘導加熱配設と、電源に接続されたコントローラとを備えてもよい。具体的に、エアロゾル発生装置は、第一のインダクタコイルと、第二のインダクタコイルとに接続されたコントローラと、電源とを備えてもよい。コントローラは、電源から誘導加熱配設への電力の供給を制御するように構成されている。コントローラはマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)、もしくは制御を提供する能力を有する他の電子回路であってもよい。コントローラは、さらなる電子構成要素を備えてもよい。コントローラは、誘導加熱配設への電流の供給を調節するように構成されてもよい。電流はエアロゾル発生装置の起動後、誘導加熱配設に連続的に供給されてもよく、または断続的(例えば毎回の吸煙ごと)に供給されてもよい。
【0098】
コントローラは有利なことに、DC/ACインバータを備えてもよく、これはクラスC、クラスD、またはクラスEの電力増幅器を備えてもよい。
【0099】
コントローラは、任意の適切な周波数を有する誘導加熱配設に、変化する電流を供給するように構成されてもよい。コントローラは、約5キロヘルツ~約30メガヘルツの周波数を有する誘導加熱配設に、変化する電流を供給するように構成されてもよい。一部の好ましい実施形態において、コントローラは、約5キロヘルツ~約500キロヘルツの誘導加熱配設に、変化する電流を供給するように構成されている。一部の実施形態において、コントローラは、高周波の変化する電流を誘導加熱配設に供給するように構成されている。本明細書で使用される「高周波の変化する電流」という用語は、約500キロヘルツ~約30メガヘルツの周波数を有する、変化する電流を意味する。高周波の変化する電流は、約1メガヘルツ~約30メガヘルツ(約1メガヘルツ~約10メガヘルツ、または約5メガヘルツ~約8メガヘルツなど)の周波数を有してもよい。
【0100】
エアロゾル発生装置は装置ハウジングを備えてもよい。装置ハウジングは細長くてもよい。装置ハウジングは任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適切な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。材料は軽く、かつ脆くないことが好ましい。
【0101】
装置ハウジングは、エアロゾル形成基体を受容するための装置空洞を画定してもよい。装置空洞は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するように構成されてもよい。装置空洞は、任意の適切な形状およびサイズを有してもよい。装置空洞は、実質的に円筒状であってもよい。装置空洞は、1実質的に円形の横断断面を有してもよい。
【0102】
誘導発熱体は、装置空洞内に配置されてもよい。誘導発熱体は、装置空洞の周りに配置されてもよい。誘導発熱体が管状誘導発熱体である場合、誘導発熱体は装置空洞を囲んでもよい。誘導発熱体の内表面は、装置空洞の内表面を形成してもよい。
【0103】
第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルは、装置空洞内に配置されてもよい。第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルは、装置空洞の周りに配置されてもよい。第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルは、装置空洞を囲んでもよい。第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルの内表面は、装置空洞の内表面を形成してもよい。
【0104】
装置は、近位端と、近位端の反対側の遠位端とを有してもよい。装置空洞は装置の近位端に配設されていることが好ましい。
【0105】
装置ハウジングは空気吸込み口を備えてもよい。空気吸込み口は、周囲空気が装置ハウジングに入ることを可能にするように構成されてもよい。装置ハウジングは任意の適切な数の空気吸込み口を備えてもよい。装置ハウジングは複数の空気吸込み口を備えてもよい。
【0106】
装置ハウジングは空気出口を備えてもよい。空気出口は、空気が装置ハウジング内から装置空洞に入ることを可能にするように構成されてもよい。装置ハウジングは任意の適切な数の空気出口を備えてもよい。装置ハウジングは複数の空気出口を備えてもよい。
【0107】
誘導発熱体の中間要素が気体透過性である場合、エアロゾル発生装置は、空気吸込み口から誘導発熱体の中間要素に延びる気流経路を画定してもよい。こうした気流経路は、空気が空気吸込み口からエアロゾル発生装置を通り、中間要素を通って装置空洞の中に引き出されることを可能にしてもよい。
【0108】
一部の実施形態において、装置空洞は、近位端と、近位端の反対側の遠位端とを備える。これらの実施形態において、装置空洞は、エアロゾル発生物品を受容するために近位端にて開放していてもよい。これらの実施形態において、装置空洞は、遠位端にて実質的に閉じていてもよい。装置ハウジングは、装置空洞の遠位端にて空気出口を備えてもよい。エアロゾル発生装置は、装置空洞の近位端に向かって環状シールをさらに備えてもよい。環状シールは、装置空洞の中に延びてもよい。環状シールは、装置ハウジングと、装置空洞の中に受容されたエアロゾル発生物品の外表面との間に実質的に気密のシールを提供してもよい。これは使用時に、エアロゾル発生物品の外表面と装置空洞の内表面との間に存在する任意の間隙を通して、装置空洞の中に引き出される空気の体積を低減する場合がある。これは、透過性の中間要素を通してエアロゾル発生物品の中に引き出される空気の体積を増加する場合がある。
【0109】
一部の実施形態において、装置ハウジングはマウスピースを備える。マウスピースは、少なくとも一つの空気吸込み口と、少なくとも一つの空気出口とを備えてもよい。マウスピースは、二つ以上の空気吸込み口を備えてもよい。空気吸込み口のうちの一つ以上は、エアロゾルがユーザーに送達される前にエアロゾルの温度を低減してもよく、またエアロゾルがユーザーに送達される前にエアロゾルの濃度を低減してもよい。
【0110】
一部の実施形態において、マウスピースはエアロゾル発生物品の一部として提供されている。本明細書で使用される「マウスピース」という用語は、エアロゾル発生装置によって受容されたエアロゾル発生物品から、エアロゾル発生システムによって発生したエアロゾルを直接吸い込むためにユーザーの口の中に定置されているエアロゾル発生システムの一部分を指す。
【0111】
エアロゾル発生装置は温度センサーを備えてもよい。温度センサーは誘導発熱体の温度を感知するように配設されてもよい。エアロゾル発生装置は、第一のサセプタの温度を感知するように配設された第一の温度センサーを備えてもよい。エアロゾル発生装置は、第二のサセプタの温度を感知するように配設された第二の温度センサーを備えてもよい。
【0112】
エアロゾル発生装置は、装置を起動するためのユーザーインターフェース、例えばエアロゾル発生物品の加熱を開始するボタンを含んでもよい。
【0113】
エアロゾル発生装置は、装置またはエアロゾル形成基体の状態を示すディスプレイを備えてもよい。
【0114】
エアロゾル発生装置は、ユーザーがエアロゾル発生システムを吸うのを感知するための吸煙センサーを備えてもよい。
【0115】
エアロゾル発生装置は携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有してもよい。エアロゾル発生装置は、約30ミリメートル~約150ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生装置は、約5ミリメートル~約30ミリメートルの外径を有してもよい。
【0116】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生システムの一部を形成してもよい。
【0117】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品をさらに備えてもよい。エアロゾル発生物品は、第一のエアロゾル形成基体および第二のエアロゾル形成基体を含んでもよい。エアロゾル発生物品が装置空洞内に受容されている時、第一のエアロゾル形成基体の少なくとも一部分は、装置空洞の第一の部分の中に受容されてもよく、また第二のエアロゾル形成基体の少なくとも一部分は、装置空洞の第二の部分の中に受容されてもよい。
【0118】
エアロゾル発生装置の誘導加熱配設の一部を形成する誘導発熱体は、エアロゾル形成基体を加熱するように構成されている。
【0119】
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチン含有エアロゾル形成基体は、ニコチン塩マトリクスであってもよい。
【0120】
エアロゾル形成基体は液体であってもよい。エアロゾル形成基体は、固体構成成分および液体構成成分を含んでもよい。エアロゾル形成基体は固体であることが好ましい。
【0121】
エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。特に好ましい一実施形態において、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。
【0122】
エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつシステムの動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはそれらの混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールなど)を含んでもよい。エアロゾル形成体はグリセリンであることが好ましい。存在する場合、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5重量パーセント以上(乾燥重量基準で約5重量パーセント~約30重量パーセントなど)のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。エアロゾル形成基体は、他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0123】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品内に含まれてもよい。誘導加熱配設を備えるエアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するように構成されてもよい。エアロゾル発生物品は任意の適切な形態を有してもよい。エアロゾル発生物品は実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。
【0124】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生セグメントとして提供されてもよい。エアロゾル発生セグメントは、複数のエアロゾル形成基体を含んでもよい。エアロゾル発生セグメントは、第一のエアロゾル形成基体および第二のエアロゾル形成基体を含んでもよい。一部の実施形態において、第二のエアロゾル形成基体は、第一のエアロゾル形成基体と実質的に同一である。一部の実施形態において、第二のエアロゾル形成基体は、第一のエアロゾル形成基体と異なる。
【0125】
エアロゾル発生セグメントが複数のエアロゾル形成基体を含む場合、エアロゾル形成基体の数は、誘導発熱体内のサセプタの数と同じであってもよい。同様に、エアロゾル形成基体の数は、誘導加熱配設内のインダクタコイルの数と同じであってもよい。
【0126】
エアロゾル発生セグメントは、実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル発生セグメントは、実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生セグメントはまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。
【0127】
エアロゾル発生セグメントが複数のエアロゾル形成基体を含む場合、エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生セグメントの軸に沿って端と端を接して配設されてもよい。一部の実施形態において、エアロゾル発生セグメントは、隣接するエアロゾル形成基体間に分離部を備えてもよい。
【0128】
一部の好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は、約30ミリメートル~約100ミリメートルの全長を有してもよい。一部の実施形態において、エアロゾル発生物品は、約45ミリメートルの全長を有する。エアロゾル発生物品は、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有してもよい。一部の実施形態において、エアロゾル発生物品は、約7.2ミリメートルの外径を有してもよい。
【0129】
エアロゾル発生セグメントは、約7ミリメートル~約15ミリメートルの長さを有してもよい。一部の実施形態において、エアロゾル発生セグメントは、約10ミリメートル、または12ミリメートルの長さを有してもよい。
【0130】
エアロゾル発生セグメントは、エアロゾル発生物品の外径とほぼ等しい外径を有することが好ましい。エアロゾル発生セグメントの外径は、約5ミリメートル~約12ミリメートルであってもよい。一実施形態において、エアロゾル発生セグメントは、約7.2ミリメートルの外径を有してもよい。
【0131】
エアロゾル発生物品は、フィルタープラグを備えてもよい。フィルタープラグは、エアロゾル発生物品の近位端に位置してもよい。フィルタープラグは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。一部の実施形態において、フィルタープラグは、約5ミリメートル~約10ミリメートルの長さを有してもよい。一部の好ましい実施形態において、フィルタープラグは、約7ミリメートルの長さを有してもよい。
【0132】
エアロゾル発生物品は、外側ラッパーを備えてもよい。外側ラッパーは、紙から形成されてもよい。外側ラッパーは、エアロゾル発生セグメントにて気体透過性であってもよい。具体的に、複数のエアロゾル形成基体を含む実施形態において、外側ラッパーは、隣接するエアロゾル形成基体間の境界面にて穿孔または他の空気吸込み口を備えてもよい。隣接するエアロゾル形成基体間に分離部が提供されている場合、外側ラッパーは、分離部にて穿孔または他の空気吸込み口を備えてもよい。これは、別のエアロゾル形成基体を通して引き出されていない空気をエアロゾル形成基体に直接提供することを可能にする場合がある。これは、各エアロゾル形成基体によって受容された空気の量を増加する場合がある。これは、エアロゾル形成基体から発生したエアロゾルの特徴を改善する場合がある。
【0133】
エアロゾル発生物品はまた、エアロゾル形成基体とフィルタープラグの間に分離部も含んでもよい。分離部は、約18ミリメートルであってもよいが、約5ミリメートル~約25メートルの範囲であってもよい。
【0134】
また当然のことながら、上述の様々な特徴の特定の組み合わせは、独立して実施されてもよく、供給されてもよく、使用されてもよい。
【0135】
ここで本開示の実施形態を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが説明する。
【図面の簡単な説明】
【0136】
図1図1は、一対のインダクタコイルの間に配設された、本開示の一実施形態による誘導発熱体の概略図を示す。
図2図2は、一対のインダクタコイルの間に配設された、本開示の一実施形態による誘導発熱体の概略図を示す。
図3図3は、本開示の一実施形態による誘導発熱体の分解組立斜視図を示す。
図4図4は、図3の誘導発熱体の斜視図を示す。
図5図5は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムの断面図を示し、エアロゾル発生システムはエアロゾル発生物品と、誘導加熱配設を有するエアロゾル発生装置とを備える。
図6図6は、図5のエアロゾル発生装置の近位端の断面図である。
図7図7は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の中に受容されている、図5のエアロゾル発生システムの断面図を示す。
図8図8は、本開示の一実施形態によるモジュール式誘導加熱配設の断面図を示し、誘導加熱配設は、二つの積み重ねられた誘導加熱ユニットを備え、各誘導加熱ユニットは、両端に配設された断熱性かつ電気絶縁性の中間要素を有するサセプタと、インダクタコイルと、磁束集中器と、ハウジングとを備える。
【発明を実施するための形態】
【0137】
図1は、本開示の一実施形態による誘導発熱体10の概略図を示す。誘導発熱体10は、円形の横断断面を有する細長い管状要素である。誘導発熱体10は、第一のサセプタ12と、第二のサセプタ14と、第一のサセプタ12と第二のサセプタ14の間の分離部15とを備える。第一のサセプタ12および第二のサセプタ14は各々、円形の横断断面を有する細長い管状要素である。第一のサセプタ12および第二のサセプタ14は、端と端を接して長軸方向軸A-Aに沿って同軸に整列されている。
【0138】
誘導発熱体10は、第一のサセプタ12および第二のサセプタ14の内表面によって画定された、両端で開放している円筒状の空洞20を備える。空洞20は、エアロゾル形成基体を含む円筒状のエアロゾル発生物品(図示せず)の一部分を受容するように構成されていて、これによってエアロゾル発生物品の外表面は、第一のサセプタおよび第二のサセプタによって加熱されて、それによってエアロゾル形成基体を加熱してもよい。
【0139】
空洞20は、管状の第一のサセプタ12の内表面によって画定された、第一の端にある第一の部分22と、管状の第二のサセプタ14の内表面によって画定された、第一の端の反対側の第二の端にある第二の部分24と、第一のサセプタ12と第二のサセプタ14の間の分離部15によって境界がつけられた中間部分26との三つの部分を備える。第一のサセプタ12は、空洞20の第一の部分22内に受容されたエアロゾル発生物品の第一の部分を加熱するように配設されていて、また第二のサセプタ14は、空洞20の第二の部分24内に受容されたエアロゾル発生物品の第二の部分を加熱するように配設されている。
【0140】
第一のインダクタコイル32は、第一のサセプタ12の周りに配置されていて、かつ実質的に第一のサセプタ12の長さだけ延びる。このように、第一のサセプタ12は、実質的にその長さに沿って、第一のインダクタコイル32によって囲まれている。変化する電流が第一のインダクタコイル32に供給される時、第一のインダクタコイル32は、空洞20の第一の部分22に集中する変動磁場を発生する。第一のインダクタコイル32によって発生されたこうした変動磁場は、第一のサセプタ12内に渦電流を誘導し、第一のサセプタ12を加熱させる。
【0141】
第二のインダクタコイル34は、第二のサセプタ14の周りに配置されていて、かつ実質的に第二のサセプタ14の長さだけ延びる。このように、第二のサセプタ14は、実質的にその長さに沿って、第二のインダクタコイル34によって囲まれている。変化する電流が第二のインダクタコイル34に供給される時、第二のインダクタコイル34は、空洞20の第二の部分24に集中する変動磁場を発生する。第二のインダクタコイル34によって発生されたこうした変動磁場は、第二のサセプタ14内に渦電流を誘導し、第二のサセプタ14を加熱させる。
【0142】
第一のサセプタ12と第二のサセプタ14の間の分離部15は、第一のサセプタ12と第二のサセプタ14の間に、第一のインダクタコイル32または第二のインダクタコイル34のいずれかによって発生された変動磁場に曝露された時に誘導によって加熱されない空間を提供する。さらに、分離部15は、第二のサセプタ14を第一のサセプタ12から断熱し、これによって、第一のサセプタおよび第二のサセプタが互いに隣接して配設されていて直接熱的に接触する誘導発熱体と比較して、第一のサセプタ12と第二のサセプタ14の間の熱伝達速度が低減される。結果として、第一のサセプタ12と第二のサセプタ14の間に分離部15を提供することは、空洞20の第二の部分24の加熱が最小限である、第一のサセプタ12による空洞20の第一の部分22の選択的加熱を可能にし、また空洞20の第一の部分22の加熱が最小限である、第二のサセプタ14による空洞20の第二の部分24の選択的加熱を可能にする。
【0143】
第一のサセプタ12および第二のサセプタ14は、変化する電流を第一のインダクタコイル32および第二のインダクタコイル34に同時に供給することによって同時に加熱されてもよい。別の方法として、第一のサセプタ12および第二のサセプタ14は、電流を第二のインダクタコイル34に供給することなく、変化する電流を第一のインダクタコイル32に供給することによって、およびその後、電流を第一のインダクタコイル32に供給することなく、変化する電流を第二のインダクタコイル34に供給することによって、独立して、または交互に加熱されてもよい。また、変化する電流が、第一のインダクタコイル32および第二のインダクタコイル34に順に供給されてもよいことも想定される。
【0144】
図2は、本開示の別の実施形態による誘導発熱体の概略図を示す。図2に示す誘導発熱体は、図1に示す誘導発熱体と実質的に同一であり、同様の特徴を説明するために同様の参照番号が使用されている。
【0145】
図2の誘導発熱体10は、円形の横断断面を有する細長い管状要素である。誘導発熱体10は、第一のサセプタ12、第二のサセプタ14を備える。図1の誘導発熱体10と図2の誘導発熱体10の間の差異は、図2の誘導発熱体10が、第一のサセプタ12と第二のサセプタ14の間に配置された中間要素16を備えることである。図2の実施形態において、第一のサセプタ12と第二のサセプタ14の間の分離部は依然として存在するが、分離部は中間要素16によって充填されている。この実施形態において、中間要素16は、第一のサセプタ12の端に固定されていて、また第二のサセプタ14の端にも固定されている。中間要素16を第一のサセプタ12の端に固定すること、および中間要素16を第二のサセプタ14の端に固定することは、第一のサセプタ12を第二のサセプタ14に間接的に接続する。有利なことに、第一のサセプタ12を第二のサセプタ14に間接的に固定することは、誘導発熱体が分解できない単一の構造を形成することを可能にする。
【0146】
中間要素16は断熱材料を含む。また、断熱材料は電気絶縁性である。この実施形態において、中間要素16は、PEEKなどの高分子材料から形成されている。このように、第一のサセプタ12と第二のサセプタ14の間の中間要素16は、第一のインダクタコイル32または第二のインダクタコイル34のいずれかによって発生された変動磁場に曝露された時に誘導によって加熱されない、第一のサセプタ12と第二のサセプタ14の間に空間を提供する。さらに、中間要素16は、第一のサセプタおよび第二のサセプタが互いに隣接して配設されていて直接熱的に接触する誘導発熱体と比較して、第一のサセプタ12と第二のサセプタ14の間の熱伝達速度が低減されるように、第二のサセプタ14を第一のサセプタ12から断熱する。中間要素16はまた、図1の誘導発熱体10の分離部15と比較して、第一のサセプタ12と第二のサセプタ14の間の熱伝達速度をさらに低減する場合もある。結果として、第一のサセプタ12と第二のサセプタ14の間に中間要素16を提供することは、空洞20の第二の部分24の加熱が最小限である、第一のサセプタ12による空洞20の第一の部分22の選択的加熱を可能にし、また空洞20の第一の部分22の加熱が最小限である、第二のサセプタ14による空洞20の第二の部分24の選択的加熱を可能にする。
【0147】
図3図7は、本開示の一実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図を示す。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置100およびエアロゾル発生物品200を備える。エアロゾル発生装置100は、本開示による誘導加熱配設110を備える。誘導加熱配設110は、本開示による誘導発熱体120を備える。
【0148】
図3および図4は、誘導発熱体120の概略図を示す。誘導発熱体120は、第一のサセプタ122と、第二のサセプタ124と、第三のサセプタ126と、第一の中間要素128と、第二の中間要素130とを備える。第一の中間要素128は、第一のサセプタ122と第二のサセプタ124の間に配置されている。第二の中間要素130は、第二のサセプタ124と第三のサセプタ126の間に配置されている。
【0149】
この実施形態において、第一のサセプタ122、第二のサセプタ124、および第三のサセプタ126の各々は同一である。各サセプタ122、124、126は、内側空洞を画定する細長い管状サセプタである。各サセプタ、およびその対応する内側空洞は、実質的に円筒状であり、サセプタの長さに沿って一定である円形の横断断面を有する。第一のサセプタ122の内側空洞は、第一の領域134を画定する。第二のサセプタ124の内側空洞は、第二の領域136を画定する。第三のサセプタの内側空洞は、第三の領域138を画定する。
【0150】
同様に、第一の中間要素128および第二の中間要素130は同一である。中間要素128、130は管状であり、内側空洞を画定する。各中間要素128、130は実質的に円筒状であり、中間要素の長さに沿って一定である円形の横断断面を有する。中間要素128、130の外表面がサセプタ122、124、126の外表面と同一平面上で整列されてもよいように、中間要素128、130の外径はサセプタ122、124、126の外径と同一である。また、中間要素128、138の内表面がサセプタ122、124、126の内表面と同一平面上で整列されてもよいように、中間要素128、130の内径もサセプタ122、124、126の内径と同一である。
【0151】
第一のサセプタ122、第一の中間要素128、第二のサセプタ124、第二の中間要素130、および第三のサセプタ126は、端と端を接して、軸B-B上で同軸に整列されて配設されている。この配設において、サセプタ122、124、126、および中間要素128、130は、管状の細長い円筒状構造を形成する。この構造は、本開示の一実施形態による誘導発熱体120を形成する。
【0152】
細長い管状誘導発熱体120は、内側空洞140を備える。誘導発熱体空洞140は、サセプタ122、124、126の内側空洞と、中間要素128、130の内側空洞とによって画定されている。誘導発熱体空洞140は、下記により詳細に説明されている通り、エアロゾル発生物品200のエアロゾル発生セグメントを受容するように構成されている。
【0153】
中間要素128、130は、電気絶縁性の断熱材料から形成されている。このように、サセプタ122、124、126は、実質的に互いから電気的に絶縁され、断熱されている。また、中間要素128、130の材料は、気体に対しても実質的に不透過性である。この実施形態において、管状誘導発熱体120は、誘導発熱体空洞140を画定する、外表面から内表面への気体に対して実質的に不透過性である。
【0154】
図5図6、および図7は、エアロゾル発生装置100およびエアロゾル発生物品200の概略断面図を示す。
【0155】
エアロゾル発生装置100は、従来の葉巻たばこに類似した形状およびサイズを有する、実質的に円筒状の装置ハウジング102を備える。装置ハウジング102は、近位端にて装置空洞104を画定する。装置空洞104は実質的に円筒状であり、近位端にて開放していて、また近位端の反対側の遠位端にて実質的に閉じている。装置空洞104は、エアロゾル発生物品200のエアロゾル発生セグメント210を受容するように構成されている。その結果、装置空洞104の長さおよび直径は、エアロゾル発生物品200のエアロゾル発生セグメント210の長さおよび直径と実質的に類似している。
【0156】
エアロゾル発生装置100は、再充電可能なニッケルカドミウム電池の形態の電源106と、マイクロプロセッサを含むプリント基板の形態のコントローラ108と、電気コネクター109と、誘導加熱配設110とをさらに備える。電源106、コントローラ108、および誘導加熱配設110はすべて、装置ハウジング102内に収容されている。エアロゾル発生装置100の誘導加熱配設110は、装置100の近位端に配設されていて、また概して装置空洞104の周りに配置されている。電気コネクター109は、装置空洞104の反対側の、装置ハウジング109の遠位端に配設されている。
【0157】
コントローラ108は、電源106から誘導加熱配設110への電力の供給を制御するように構成されている。コントローラ108は、クラスD電力増幅器を含むDC/ACインバータをさらに備え、また変化する電流を誘導加熱配設110に供給するように構成されている。コントローラ108はまた、電気コネクター109からの電源106の再充電を制御するように構成されている。加えて、コントローラ108は、ユーザーが装置空洞104の中に受容されたエアロゾル発生物品を吸っている時に感知するように構成された吸煙センサー(図示せず)を備える。
【0158】
誘導加熱配設110は、第一の誘導加熱ユニット112、第二の誘導加熱ユニット114、および第三の誘導加熱ユニット116を含む、三つの誘導加熱ユニットを備える。第一の誘導加熱ユニット112、第二の誘導加熱ユニット114、および第三の誘導加熱ユニット116は、実質的に同一である。
【0159】
第一の誘導加熱ユニット112は、円筒状の管状の第一のインダクタコイル150と、第一のインダクタコイル150の周りに配置された円筒状の管状の第一の磁束集中器152と、第一の磁束集中器152の周りに配置された円筒状の管状の第一のインダクタユニットハウジング154とを備える。
【0160】
第二の誘導加熱ユニット114は、円筒状の管状の第二のインダクタコイル160と、第二のインダクタコイル160の周りに配置された円筒状の管状の第二の磁束集中器162と、第二の磁束集中器162の周りに配置された円筒状の管状の第二のインダクタユニットハウジング164とを備える。
【0161】
第三の誘導加熱ユニット116は、円筒状の管状の第三のインダクタコイル170と、第三のインダクタコイル170の周りに配置された円筒状の管状の第三の磁束集中器172と、第三の磁束集中器172の周りに配置された円筒状の管状の第三のインダクタユニットハウジング174とを備える。
【0162】
その結果、各誘導加熱ユニット112、114、116は、円形の横断断面を有する実質的に管状のユニットを形成する。各誘導加熱ユニット112、114、116において、磁束集中器は、インダクタコイルの近位端および遠位端にわたって延び、これによってインダクタコイルは磁束集中器の環状空洞内に配設されている。同様に、各誘導加熱ユニットハウジングは、磁束集中器の近位端および遠位端にわたって延び、これによって磁束集中器およびインダクタコイルは、誘導加熱ユニットハウジングの環状空洞内に配設されている。この配設は、磁束集中器が、インダクタコイルによって発生された磁場をインダクタコイルの内側空洞内に集中させることを可能にする。この配設はまた、インダクタユニットハウジングが、磁束集中器およびインダクタコイルをインダクタユニットハウジング内に保持することを可能にする。
【0163】
誘導加熱配設110は、誘導発熱体120をさらに備える。誘導発熱体120は、装置空洞104の内表面の周りに配置されている。この実施形態において、装置ハウジング102は、装置空洞104の内表面を画定する。しかしながら、一部の実施形態において、装置空洞の内表面は、誘導発熱体120の内表面によって画定されていることが想定される。
【0164】
誘導加熱ユニット112、114、116は、誘導発熱体120の周りに配置されていて、これによって誘導発熱体120および誘導加熱ユニット112、114、116は、装置空洞104の周りに同心円状に配設されている。第一の誘導加熱ユニット112は、装置空洞104の遠位端にて、第一のサセプタ122の周りに配置されている。第二の誘導加熱ユニット114は、装置空洞104の中央部分にて、第二のサセプタ124の周りに配置されている。第三の誘導加熱ユニット116は、装置空洞104の近位端にて、第三のサセプタ126の周りに配置されている。一部の実施形態において、磁束集中器はまた、インダクタコイルによって発生された磁場をサセプタに向かってさらに歪めるために、誘導発熱体の中間要素の中に延びてもよいことが想定される。
【0165】
第一のインダクタコイル150は、コントローラ108および電源106に接続されていて、またコントローラ108は、変化する電流を第一のインダクタコイル150に供給するように構成されている。変化する電流が第一のインダクタコイル150に供給される時、第一のインダクタコイル150は変動磁場を発生し、これは誘導によって第一のサセプタ122を加熱する。
【0166】
第二のインダクタコイル160は、コントローラ108および電源106に接続されていて、またコントローラ108は、変化する電流を第二のインダクタコイル160に供給するように構成されている。変化する電流が第二のインダクタコイル160に供給される時、第二のインダクタコイル160は変動磁場を発生し、これは誘導によって第二のサセプタ124を加熱する。
【0167】
第一のインダクタコイル170は、コントローラ108および電源106に接続されていて、またコントローラ108は、変化する電流を第三のインダクタコイル170に供給するように構成されている。変化する電流が第三のインダクタコイル170に供給される時、第三のインダクタコイル170は変動磁場を発生し、これは誘導によって第三のサセプタ126を加熱する。
【0168】
装置ハウジング102はまた、装置空洞106の遠位端に近接近している空気吸込み口180を画定する。空気吸込み口180は、周囲空気が装置ハウジング102の中に引き出されることを可能にするように構成されている。気流経路181は、空気が空気吸込み口180から装置空洞104の中に引き出されることを可能にするために、空気吸込み口180と装置空洞104の遠位端にある空気出口との間に、装置を通して画定されている。
【0169】
エアロゾル発生物品200は概して、装置空洞104の内径と類似の直径を有する円筒状のロッドの形態である。エアロゾル発生物品200は、シガレットペーパーの外側ラッパー220によって一緒に巻かれた、円筒状のセルロースアセテートフィルタープラグ204および円筒状のエアロゾル発生セグメント210を備える。
【0170】
フィルタープラグ204は、エアロゾル発生物品200の近位端に配設されていて、かつシステムによって発生されたエアロゾルを受容するためにユーザーが吸う、エアロゾル発生システムのマウスピースを形成する。
【0171】
エアロゾル発生セグメント210は、エアロゾル発生物品200の遠位端に配設されていて、かつ装置空洞104の長さと実質的に等しい長さを有する。エアロゾル発生セグメント210は、エアロゾル発生物品200の遠位端にある第一のエアロゾル形成基体212と、第一のエアロゾル形成基体212に隣接する第二のエアロゾル形成基体214と、エアロゾル発生セグメント210の近位端にある、第二のエアロゾル形成基体216に隣接する、第三のエアロゾル形成基体216とを含む、複数のエアロゾル形成基体を含む。当然のことながら、一部の実施形態において、エアロゾル形成基体のうちの二つ以上は、同じ材料から形成されてもよい。しかしながら、この実施形態において、エアロゾル形成基体212、214、および216の各々は異なる。第一のエアロゾル形成基体212は、追加的な風味剤を有しない、均質化したたばこ材料の集合かつ捲縮したシートを備える。第二のエアロゾル形成基体214は、メントールの形態の風味剤を含む、均質化したたばこ材料の集合かつ捲縮したシートを含む。第三のエアロゾル形成基体は、メントールの形態の風味剤を含み、またたばこ材料またはニコチンの任意の他の供給源を含まない。エアロゾル形成基体212、214、216の各々はまた、一つ以上のエアロゾル形成体および水などのさらなる構成成分を含み、これによってエアロゾル形成基体の加熱は、望ましい感覚刺激性特性を有するエアロゾルを発生する。
【0172】
第一のエアロゾル形成基体212の近位端は、外側ラッパー220によって覆われていないため、露出されている。この実施形態において、空気は物品200の近位端にて、第一のエアロゾル形成基体212の近位端を介して、エアロゾル発生セグメント210の中に引き出されることができる。
【0173】
この実施形態において、第一のエアロゾル形成基体212、第二のエアロゾル形成基体214、および第三のエアロゾル形成基体216は、端と端を接して配設されている。しかしながら、他の実施形態において、第一のエアロゾル形成基体と第二のエアロゾル形成基体の間に分離部が提供されてもよく、また第二のエアロゾル形成基体と第三のエアロゾル形成基体の間に分離部が提供されてもよいことが想定される。
【0174】
図7に示す通り、エアロゾル発生物品200のエアロゾル発生セグメント210が装置空洞104内に受容されている時、第一のエアロゾル形成基体212の長さは、第一のエアロゾル形成基体212が装置空洞104の遠位端から、第一のサセプタ122の第一の領域134を通って、第一の中間部材128に延びるようなものである。第二のエアロゾル形成基体214の長さは、第二のエアロゾル形成基体214が、第一の中間部材128から、第二のサセプタ124の第二の領域136を通って、第二の中間部材130に延びるようなものである。第三のエアロゾル形成基体216の長さは、第三のエアロゾル形成基体216が、第二の中間部材130から装置空洞104の近位端に延びるようなものである。
【0175】
使用時に、エアロゾル発生物品200が装置空洞104内に受容されている時、ユーザーはエアロゾル発生物品200の近位端を吸って、エアロゾル発生システムによって発生したエアロゾルを吸入してもよい。ユーザーがエアロゾル発生物品200の近位端を吸う時、空気は空気吸込み口180にて装置ハウジング102の中に引き出され、かつ気流経路181に沿って装置空洞104の中に引き出される。空気は、装置空洞104の遠位端の出口を通して、第一のエアロゾル形成基体212の近位端にてエアロゾル発生物品200の中に引き出される。
【0176】
この実施形態において、エアロゾル発生装置100のコントローラ108は、誘導加熱配設110のインダクタコイルに所定の順序で電力を供給するように構成されている。所定の順序は、ユーザーからの第一の吸込み中に、変化する電流を第一のインダクタコイル150に供給することと、その後、第一の吸込みが完了した後、ユーザーからの第二の吸込み中に、変化する電流を第二のインダクタコイル160に供給することと、その後、第二の吸込みが完了した後、ユーザーからの第三の吸込み中に変化する電流を第三のインダクタコイル170に供給することとを含む。第四の吸込みで順序は、第一のインダクタコイル150にて再度開始する。この順序は、第一の吸煙で第一のエアロゾル形成基体212の加熱と、第二の吸煙で第二のエアロゾル形成基体214の加熱と、第三の吸煙で第三のエアロゾル形成基体216の加熱とをもたらす。物品100のエアロゾル形成基体212、214、216はすべて異なるため、この順序は、エアロゾル発生システムでの各吸煙ごとにユーザーにとって異なる体験をもたらす。
【0177】
当然のことながら、コントローラ108は、ユーザーへのエアロゾルの所望の送達に応じて、異なる順序で、または同時に、インダクタコイルに電力を供給するように構成されてもよい。一部の実施形態において、エアロゾル発生装置は、順序を変更するようユーザーによって制御可能であってもよい。
【0178】
図8は、本発明の別の実施形態による誘導加熱配設を示す。誘導加熱配設300は、二つのモジュール式誘導加熱ユニット、すなわち第一の誘導加熱ユニット310と、第二の誘導加熱ユニット360とを備える。モジュール式誘導加熱ユニット310、360は、誘導加熱配設300内の個別に取り外し可能で、かつ交換可能な同一の独立したユニットである。こうしたモジュール式誘導加熱ユニットを提供することは、製造するために誘導加熱配設を比較的に安価に、かつ単純にすることを可能にする。これは、誘導加熱配設全体ではなく、分離したモジュール式誘導加熱ユニットの製造を標準化することがより簡単である場合があるからである。こうしたモジュール式誘導加熱ユニットを提供することはまた、誘導加熱組立品を簡単にカスタマイズ可能なものにすることを可能にする場合がある。
【0179】
第一の誘導加熱ユニット310は概して、管状の第一のサセプタ312と、管状の第一のインダクタコイル314と、管状の第一の磁束集中器316と、管状の第一の誘導加熱ユニットハウジング318とを備える。
【0180】
第一のサセプタ312は、アルミナなどの電気絶縁性の断熱材料から形成された管状の支持本体320と、管状支持本体320の内表面上のサセプタ層322とを備える。中間要素324は、管状支持本体320の各端に提供されていて、サセプタ層322の端と重なり合っている。中間要素324はまた、アルミナなどの電気絶縁性の断熱材料から形成されている。
【0181】
第一のインダクタコイル314は、第一のサセプタ312の外表面の周りに配置されていて、かつ実質的に第一のサセプタ312の長さだけ延びる。第一のインダクタコイル312の各端326は、第一の磁束集中器316およびハウジング318を通って、第一の誘導加熱ユニット310の外表面に延び、これによって第一のインダクタコイル314は電源に接続され、かつ変化する電流が供給されてもよい。
【0182】
第一の磁束集中器316は、管状の第一のインダクタコイル314の外表面の周りに配置されていて、かつ第一のインダクタコイル314の端と第一のサセプタ312の端との外側に延びるが、第一のサセプタ312の内表面を超えて延びない。中間要素324は、第一のサセプタ312と第一の磁束集中器316の間に配置されていて、かつ第一のサセプタ312のサセプタ層を第一の磁束集中器316から電気的に絶縁する。
【0183】
第一の誘導加熱ユニットハウジング318は、第一の磁束集中器316の外表面の周りに、磁束集中器316の端の外側に、および第一の磁束集中器316の内表面の外側に延びる。第一の誘導加熱ユニットハウジング318はまた、第一のサセプタ312の中間要素324の外側に延び、これによって第一のサセプタ312、第一のインダクタコイル314、および第一の磁束集中器316は一緒に保持されている。このようにして、第一のサセプタ312、第一のインダクタコイル314、第一の磁束集中器316、および第一の誘導加熱ユニットハウジング318は、エアロゾル形成基体を受容することができる内側空洞を有する管状ユニットを形成する。第一の誘導加熱ユニットハウジング318は、電気絶縁性の断熱材料から形成されている。この実施形態において、第一の誘導ユニットハウジング318は、第一のサセプタ312、第一のインダクタコイル314、および第一の磁束集中器316の外側に射出成形されている、PEEKなどのポリマーから形成されている。
【0184】
第二の誘導加熱ユニット360は概して、管状の第二のサセプタ362と、管状の第二のインダクタコイル364と、管状の第二の磁束集中器366と、管状の第二の誘導加熱ユニットハウジング368とを備える。
【0185】
第二のサセプタ362は、PEEKなどの電気絶縁性の断熱材料から形成された管状の支持本体370と、管状支持本体370の内表面上のサセプタ層372とを備える。中間要素374は、管状支持本体370の各端に提供されていて、サセプタ層372の端と重なり合っている。中間要素374はまた、電気絶縁性の断熱材料から形成されていて、これはこの実施形態において、二酸化ジルコニウム(ZrO2)などのセラミック材料である。
【0186】
第二のインダクタコイル364は、第二のサセプタ362の外表面の周りに配置されていて、かつ実質的に第二のサセプタ362の長さだけ延びる。第二のインダクタコイル362の各端376は、第二の磁束集中器366およびハウジング368を通って、第二の誘導加熱ユニット360の外表面に延び、これによって第二のインダクタコイル364は電源に接続され、かつ変化する電流が供給されてもよい。
【0187】
第二の磁束集中器366は、管状の第二のインダクタコイル364の外表面の周りに配置されていて、かつ第二のインダクタコイル364の端と第二のサセプタ362の端との外側に延びるが、第二のサセプタ362の内表面を超えて延びない。中間要素374は、第二のサセプタ362と第二の磁束集中器366との間に配置されていて、かつ第二のサセプタ362のサセプタ層を第二の磁束集中器366から電気的に絶縁する。
【0188】
第二の誘導加熱ユニットハウジング368は、第二の磁束集中器366の外表面の周りに、磁束集中器366の端の外側に、および第二の磁束集中器366の内表面の外側に延びる。第二の誘導加熱ユニットハウジング368はまた、第二のサセプタ362の中間要素374の外側に延び、これによって第二のサセプタ362、第二のインダクタコイル364、および第二の磁束集中器366は一緒に保持されている。このようにして、第二のサセプタ362、第二のインダクタコイル364、第二の磁束集中器366、および第二の誘導加熱ユニットハウジング368は、エアロゾル形成基体を受容することができる内側空洞を有する管状ユニットを形成する。第二の誘導加熱ユニットハウジング368は、電気絶縁性の断熱材料から形成されている。この実施形態において、第二の誘導ユニットハウジング368は、第二のサセプタ362、第二のインダクタコイル364、および第二の磁束集中器366の外側に射出成形されている、PEEKなどのポリマーから形成されている。
【0189】
第二の誘導加熱ユニット360は、第一の誘導加熱ユニット310の上に積み重ねられていて、誘導加熱配設300を形成する。誘導加熱配設300は概して、エアロゾル形成基体を受容するための内側空洞380を画定する管状ユニットを形成する。
【0190】
第二の誘導加熱ユニット360が第一の誘導加熱ユニット310の上に積み重ねられている時、第一のサセプタ312と第二のサセプタ362の間に分離部がある。分離部は、第一の誘導加熱ユニット310および第二の誘導加熱ユニット360の各々からの中間要素324、374と、第一の誘導加熱ユニット310および第二の誘導加熱ユニット360の各々からの、磁束集中器316、366および誘導加熱ユニットハウジング318、368の端部分とを備える。こうした分離部は、第一のサセプタ312のサセプタ層322と第二のサセプタ362のサセプタ層372との間に効果的な断熱および電気絶縁性を提供する。
【0191】
当然のことながら、上述の実施形態は単なる特定の実施例にすぎず、また他の実施形態が本開示に従って想定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】