IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オーバスネイチ・メディカル・プライベート・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(54)【発明の名称】マルチルーメンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/14 20060101AFI20220830BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
A61M25/14 518
A61M25/14 512
A61M25/00 540
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576461
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 US2020039061
(87)【国際公開番号】W WO2020263780
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/865,482
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518440682
【氏名又は名称】オーバスネイチ・メディカル・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】コットーネ,ロバート・ジェー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267AA28
4C267BB02
4C267BB09
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB40
4C267BB52
4C267GG34
(57)【要約】
近位セグメント、遠位セグメント、およびカテーテル本体を通る第1のルーメンを画定する細長いカテーテル本体と、カテーテル本体の遠位セグメントへ付着されるチューブであって、該チューブは、近位端、遠位端、およびチューブを通る第2のルーメンを画定する、チューブと、を含む医療デバイスであって、チューブの近位端は、第1の接合部でカテーテル本体へ付着され、チューブの遠位端は、第2の接合部でカテーテル本体へ付着され、かつ、第1および第2の接合部間に延在するチューブの一部分は、カテーテル本体に対して移動可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位セグメント、遠位セグメント、およびカテーテル本体を通る第1のルーメンを画定する細長いカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記遠位セグメントへ付着されるチューブであって、近位端、遠位端、および該チューブを通る第2のルーメンを画定する、チューブと
を備え、
前記チューブの前記近位端は、第1の接合部で前記カテーテル本体へ付着され、
前記チューブの前記遠位端は、第2の接合部で前記カテーテル本体へ付着され、
前記第1および第2の接合部間に延在する前記チューブの一部分は、前記カテーテル本体に対して移動可能である、
医療デバイス。
【請求項2】
前記第1の接合部は、前記チューブの前記近位端上へ同心的に取り付けられる第1のキャップを含み、
前記第1のキャップは、前記カテーテル本体へ付着される、
請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記第2の接合部は、前記チューブの前記遠位端上へ同心的に取り付けられる第2のキャップを含み、
前記第2のキャップは、前記カテーテル本体へ付着される、
請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記第1および第2の接合部の少なくとも一方は、熱収縮チュービングによる前記カテーテル本体への前記チューブのアタッチメントを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記チューブは、少なくとも部分的にポリマーから構築され、
前記第1および第2の接合部の少なくとも一方は、前記チューブの一部分を前記カテーテル本体の一部分へ融着することによる、前記カテーテル本体への前記チューブのアタッチメントを含む、
請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記第1および第2の接合部の少なくとも一方は、接着剤による前記カテーテル本体への前記チューブのアタッチメントを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記第1のルーメンは、前記第2のルーメンと同心ではない、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記カテーテル本体の前記遠位セグメントへ付着される偏向エレメントをさらに備え、
前記偏向エレメントは、前記第1のルーメンに隣接して位置合わせされる弧状表面を画定する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記弧状表面は、45度~135度の弧を画定する、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記偏向エレメントは、前記第1のルーメンと略同軸である第1の開口と、前記第1の開口に対して略垂直である第2の開口とを画定し、
前記弧状表面は、前記第1および第2の開口間に延在する、
請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記偏向エレメントは、前記第1および第2の開口の各々に対して略垂直な第3の開口を画定する、請求項10に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記偏向エレメントは、放射線不透過性である、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記偏向エレメントは、前記カテーテル本体に対して移動可能である、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記偏向エレメントは、前記カテーテル本体の長手方向軸に沿って移動可能である、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項15】
近位セグメント、遠位セグメント、およびカテーテル本体を通る第1のルーメンを画定する細長いカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記遠位セグメントへ付着されるチューブであって、前記第1のルーメンと同心ではない、該チューブを通る第2のルーメンを画定する、チューブと、
前記カテーテル本体の前記遠位セグメントへ付着される偏向エレメントであって、前記第1のルーメンの遠位端へ隣接して位置合わせされる弧状表面を画定する、偏向エレメントと
を備え、
前記弧状表面は、45度~約135度の弧を画定する、
医療デバイス。
【請求項16】
前記偏向エレメントは、前記第1のルーメンと略同軸である第1の開口と、前記第1の開口に対して略垂直である第2の開口とを画定し、
前記弧状表面は、前記第1および第2の開口間に延在する、
請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項17】
前記偏向エレメントは、前記第1および第2の開口の各々に対して略垂直な第3の開口を画定する、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項18】
前記偏向エレメントは、放射線不透過性である、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項19】
前記偏向エレメントは、前記カテーテル本体に対して移動可能である、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項20】
前記偏向エレメントは、前記カテーテル本体の長手方向軸に沿って移動可能である、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項21】
前記チューブの少なくとも一部分は、前記カテーテル本体とは独立して移動可能である、請求項15に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血管内医療デバイスおよびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステントまたは血管形成術用バルーンなどの医療デバイスを血管内送達するために、様々なカテーテルシステムが開発されている。典型的には、血管内にガイドワイヤが導入され、血管系を通して治療部位へと進められる。次に、カテーテルの遠位端が治療部位に位置決めされるように、ガイドワイヤを越えてカテーテルが前進される。次に、カテーテルおよび/またはガイドワイヤは、ステント、移植片、血管形成術用バルーン、アテレクトミーデバイス、他などの様々な医療デバイスのいずれかを輸送し、かつ治療部位に近接して配置するために使用され得る。
【0003】
多くの最小侵襲性医療処置の成功は、このような医療デバイスをこのような標的組織領域内に精確に位置合わせする能力に依存する。治療が標的血管系内の分岐部にアクセスしかつこれをナビゲートすることを必要とする場合、こうした精確な配置は、複雑化する可能性がある。本開示は、このような血管分岐部および他の複数の蛇行経路のアクセスおよびナビゲーションを改善するためのデバイスおよびその使用方法を提供する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、効果的には、近位セグメント、遠位セグメント、およびカテーテル本体を通る第1のルーメンを画定する細長いカテーテル本体と、カテーテル本体の遠位セグメントへ付着されるチューブであって、近位端、遠位端、および該チューブを通る第2のルーメンを画定する、チューブとを備え、チューブの近位端は、第1の接合部でカテーテル本体へ付着され、チューブの遠位端は、第2の接合部でカテーテル本体へ付着され、第1および第2の接合部間に延在するチューブの一部分は、カテーテル本体に対して移動可能である、医療デバイスを提供する。
【0005】
第1の接合部は、チューブの近位端上へ同心的に取り付けられる第1のキャップを含み得、第1のキャップは、カテーテル本体へ付着される。第2の接合部は、チューブの遠位端上へ同心的に取り付けられる第2のキャップを含んでもよく、第2のキャップは、カテーテル本体へ付着されてもよい。第1および第2の接合部の少なくとも一方は、熱収縮チュービングによるカテーテル本体へのチューブのアタッチメントを含んでもよい。第1および第2の接合部の少なくとも一方は、接着剤によるカテーテル本体へのチューブのアタッチメントを含んでもよい。チューブは、少なくとも部分的にポリマーから構築されてもよく、第1および第2の接合部の少なくとも一方は、チューブの一部分をカテーテル本体の一部分へ融着することによる、カテーテル本体へのチューブのアタッチメントを含んでもよい。第1のルーメンは、第2のルーメンと同心でなくてもよい。
【0006】
医療デバイスは、カテーテル本体の遠位セグメントへ付着される偏向エレメントをさらに備えてもよく、偏向エレメントは、第1のルーメンに隣接して位置合わせされる弧状表面を画定してもよい。弧状表面は、45度~135度の弧を画定してもよい。
【0007】
偏向エレメントは、第1のルーメンと略同軸である第1の開口と、第1の開口に対して略垂直である第2の開口とを画定してもよく、弧状表面は、第1および第2の開口間に延在してもよい。
【0008】
偏向エレメントは、第1および第2の開口の各々に対して略垂直な第3の開口を画定してもよい。偏向エレメントは、放射線不透過性であってもよく、及び/または、カテーテル本体に対して移動可能であってもよい。偏向エレメントは、カテーテル本体の長手方向軸に沿って移動可能であってもよい。
【0009】
本開示は、近位セグメント、遠位セグメント、およびカテーテル本体を通る第1のルーメンを画定する細長いカテーテル本体と、カテーテル本体の遠位セグメントへ付着されるチューブであって、第1のルーメンと同心ではない、該チューブを通る第2のルーメンを画定する、チューブと、カテーテル本体の遠位セグメントへ付着される偏向エレメントであって、第1のルーメンの遠位端へ隣接して位置合わせされる弧状表面を画定する、偏向エレメントとを備え、弧状表面は、45度~約135度の弧を画定する、医療デバイスも提供する。
【0010】
偏向エレメントは、第1のルーメンと略同軸である第1の開口と、第1の開口に対して略垂直である第2の開口とを画定してもよく、弧状表面は、第1および第2の開口間に延在してもよい。偏向エレメントは、第1および第2の開口の各々に対して略垂直な第3の開口を画定してもよい。偏向エレメントは、放射線不透過性であってもよく、及び/または、カテーテル本体に対して移動可能であってもよい。偏向エレメントは、カテーテル本体の長手方向軸に沿って移動可能である。チューブの少なくとも一部分は、カテーテル本体とは独立して移動可能であってもよい。
【0011】
本開示、ならびにそれに付随する利点および特徴のより完全な理解は、以下の詳細な説明を参照し、添付の図面と併せて考慮すれば、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の原理に従って構築された医療デバイスの一例を示す。
図2図1の医療デバイスの遠位セグメントを示す詳細図である。
図3図1の医療デバイスの遠位セグメントを示す側面図である。
図4図1の医療デバイスの遠位セグメントを示す別の図である。
図5図1の医療デバイスの遠位端面図である。
図6図1の医療デバイスの近位端面図である。
図7】本開示の原理に従って構築された医療デバイスの一例の曲がった形状を示す側面図である。
図8図7に示す医療デバイスの例の曲がった形状を示す斜視図である。
図9図7に示す医療デバイスの例の曲がった形状を示す正面図である。
図10】本開示の原理に従って構築された医療デバイスの別の例を示す。
図11】本開示の原理に従って構築された医療デバイスの別の例を示す。
図12図11の医療デバイスの遠位セグメントを示す側面図である。
図13図11の医療デバイスの遠位セグメントを示す断面図である。
図14A図11の医療デバイスの偏向エレメントの一例を示す図である。
図14B図11の医療デバイスの偏向エレメントの一例を示す図である。
図15】本開示の原理に従って構築された医療デバイスの偏向エレメントの別の例を示す。
図16図11の医療デバイスの近位端面図である。
図17図11の医療デバイスの遠位端面図である。
図18図11の医療デバイスの遠位セグメントを示す別の図である。
図19図11の医療デバイスの遠位セグメントを示すさらに別の図である。
図20】本開示の原理に従って構築された、図15の偏向エレメントを備える医療デバイスを示す。
図21図20の医療デバイスの遠位セグメントを示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、血管内医療デバイスおよびその使用方法を提供する。具体的には、本開示は、独立して、及び/または血管系の異なるセグメントに沿って操作される複数のガイドワイヤまたは他の補助デバイスを用いる処置を容易にするように動作可能なマルチルーメン医療デバイスを提供する。
【0014】
次に、図面を参照すると、図1図9は、本明細書に開示する原理および利点に従って構築された、カテーテルなどの血管内医療デバイスの一例10を示す。デバイス10は、介入心臓学において閉塞または他の血管障害または血管状態を評価し及び/または治療するために使用されるものなどの、本明細書で開示しているような1または複数の他のデバイスと併せて静脈内に導入されかつ操作されることが可能な最小侵襲性デバイスである。デバイス10は、概して、患者の外部から導入されかつ操作され、血管系を通り、かつ評価または治療される領域に近接して位置合わせされるに足る長さ、柔軟性およびトルク伝達特性を有する細長いカテーテル本体12を含む。カテーテル本体12は、概して、ハブ16へ連接し及び/またはハブ16で終わり得る近位セグメント14と、遠位セグメント18とを含む。カテーテル本体12は、さらに、カテーテル本体12を通って延在しかつ遠位セグメント18で出る第1のルーメン20を含み、またはこれを画定し、ルーメン20は、遠位セグメント18において、ガイドワイヤを通過させ及び/またはカテーテル本体12を介して1または複数の流体を導入するに足る直径を有する。
【0015】
カテーテル本体12は、金属、ポリマー、またはポリマーと金属との組合せから構築される1または複数の部分を含んでもよい。使用され得る材料の例としては、ステンレス鋼(SST)、ニッケルチタン(ニチノール)またはポリマーが含まれる。使用され得る他の金属の例としては、超弾性ニッケルチタン、形状記憶ニッケルチタン、Ti-Ni、ニッケルチタン、約55~60重量%Ni、Ni-Ti-Hf、Ni-Ti-Pd、Ni-Mn-Ga、300~400シリーズ、たとえば304、316、402、440シリーズにおけるSAEグレードのステンレス鋼(SST)、MP35N、および17-7析出硬化(PH)ステンレス鋼、他のばね鋼、または他の高引張強度材料、または他の生体適合性金属材料が含まれる。
【0016】
カテーテル本体12は、押し込み性、耐キンク性、回転応答のための軸方向トルク伝達、および/またはその長さに沿った破損に至るトルクによって測られるような、曲げ柔軟性の段階的移行を提供するために、内部に1または複数のカットパターンを有する1または複数のチューブコンポーネントを含んでもよい。
【0017】
カテーテル本体12の長さに渡る柔軟性/剛性の変調は、いくつかの方法で達成可能である。たとえば、カテーテル本体12の管状コンポーネントの柔軟性/剛性は、スパイラルカットパターンの変数(ピッチ、中断数)を変化させ、かつスパイラルカットパターン間を移行することによって制御されてもよい。さらに、スパイラルカットパターンは、管状モジュールが曲げられる、または湾曲される場合に、ルーメンの断面直径が保全されることを可能にする。異なるカットパターンを有するスパイラルカット部分は、管状モジュールの長さに沿って分布されてもよい。スパイラルカットパターンは、カテーテル本体12の長さに沿って連続的であっても、不連続であってもよい。たとえば、デバイスの長さに沿って、1、2、3、4、5、6、7、...n個のスパイラルカット部分が存在してもよい。スパイラルカット部分は、連続的であっても、中断されていてもよい。各部分内では、一定のカットパターンが存在していてもよいが、管状モジュール内の異なる部分間では、カットパターンは、たとえばピッチが変わってもよい。
【0018】
カテーテル本体12の1または複数の部分は、特定の部分内に可変ピッチパターンも含むことがある。各スパイラルカット部分は、たとえば約0.05mm~約10mmの範囲内で一定のピッチを、たとえばピッチ0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、他を有してもよい。ピッチもまた、各部分内で変わってもよい。異なるスパイラルカット部分のピッチは、カテーテル本体12の他の部分と比較して同じであっても、異なっていてもよい。あるいは、カテーテル本体12は、カテーテルの長さに沿って連続的に変化するスパイラルカットパターンを有する管状モジュールから形成されてもよい。モジュール内のスパイラルカット部分の向きまたは掌性も、スパイラルカット部分内で変わってもよい。
【0019】
カテーテル本体12の1または複数の部分は、カテーテル本体12のカットパターンコンポーネントを保護する、かつカテーテル本体12のチューブコンポーネントを通って遠位のロケーションに至るガイドワイヤおよびバルーンなどの追加のツールデバイスの輸送を容易にするライニングで被覆されることが可能である。外側および/または内側のライニングは、ポリマーから、たとえば、チューブ壁を同時押出しされたポリマー管状構造体の複数の層のうちの1つで封入し、かつ管状構造体を熱収縮させる、または浸漬コーティングプロセスによってチューブ壁を被覆することによって、作製されることが可能である。ポリマージャケットの材料は、ナイロン、ポリエーテルブロックアミド、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)またはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)であってもよい。さらに、遠位チューブ部分120(または、カテーテル100の全長)は、潤滑性および追従性を高めるために、親水性ポリマーコーティングで被覆されてもよい。親水性ポリマーコーティングは、限定するものではないが、高分子電解質ポリマーおよび/または非イオン性親水性ポリマーを含むことが可能であり、高分子電解質ポリマーには、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)塩類、ポリ(メタクリルアミド-コ-アクリル酸)塩類、ポリ(アクリルアミド-コ-メタクリル酸)塩類、他が含まれ得、かつ、非イオン性親水性ポリマーは、ポリ(ラクタム)、たとえばポリビニルピロリドン(polyvinylpyrollidone)(PVP)、ポリウレタン、アクリル酸およびメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、シナピン酸無水物系コポリマー(snapic anhydride based copolymer)、ポリエステル、ヒドロキシプロピルセルロース、ヘパリン、デキストラン、ポリペプチド、他であってもよい。
【0020】
血管を介するデバイス10の移動を容易にするために、カテーテル本体12上に潤滑性のコーティングまたはフィルムが追加されてもよい。潤滑性コーティングは、たとえば、ビニルポリマー、ポリアルキレングリコール、アルコキシポリエチレングリコールの高分子網目などのシリコーンまたはヒドロゲルポリマーまたはこれらに類似するもの、または未架橋ヒドロゲル、たとえばポリエチレンオキシド(PEO)で構成されることが可能である。本明細書に開示しているコーティングおよびライナは、浸漬コーティングプロセスによって、またはコーティングをチューブの外面および内面に噴霧することによって貼付されることが可能である。
【0021】
デバイス10およびカテーテル本体12の追加的な特徴は、「MODULAR VASCULAR CATHETER」と題する米国特許出願第15/726,024号明細書(米国特許公開第2018/0093070号明細書)に記載されていて、該特許出願は、その全体が参照により開示に含まれる。
【0022】
デバイス10は、カテーテル本体12の遠位セグメント18へ結合される二次ルーメンアセンブリ22を含んでもよい。二次ルーメンアセンブリ22は、概して、ガイドワイヤまたは他の器具/補助デバイスを通して受け入れるように動作可能なルーメン26を内部に画定するチューブまたはチューブセグメント24を含んでもよい。チューブセグメント24は、カテーテル本体12と同様に構築されてもよく、及び/または、カテーテル本体12に類似する所定の特徴および特性を有してもよい。チューブセグメント24は、チューブセグメント24がカテーテル本体12と同心または同軸でなく、代わりに並列構成になるように、カテーテル本体12の外面へ付着されてもよい。
【0023】
チューブセグメント24は、カテーテル本体12からのある程度の回転自由度、移動、曲げ、および/または変位を可能にするために、カテーテル本体12へ部分的に結合されてもよい。たとえば、チューブセグメント24は、近位接合部28を形成するために、チューブセグメント24の近位部分でカテーテル本体12へ結合されてもよく、かつ、遠位接合部30を形成するために、チューブセグメント24の遠位部分でカテーテル本体12へ結合されてもよい。近位接合部および遠位接合部28、30間におけるチューブセグメント24の残りのかなりの部分は、カテーテル本体へ固定されていなくてもよく、及び/または、これへ付着されていなくてもよい。
【0024】
近位接合部および遠位接合部28、30は、様々な異なるアタッチメントモダリティのうちの1または複数を含んでもよい。たとえば、接合部28、30は各々、チューブセグメント24の一部分を内部に受け入れる予め形成された成形キャップを含んでもよく、接合部28、30は、チューブセグメント24の端部を取り囲むシースおよび/または熱収縮チュービングから形成されてもよく、及び/または、接合部28、30は、接着剤、ヒューズおよび/または溶接アタッチメントを含んでもよい。たとえば、近位接合部および遠位接合部28、30は、接合部28、30またはチューブセグメント24を構成する管状コンポーネントの外部ポリマー層を、ニチノールなどの金属から構築され得るカテーテル本体12へ溶融または融合することによって形成されてもよい。
【0025】
二次ルーメンアセンブリ22のカテーテル本体12への部分的付着は、その長さに沿って実質的に及び/または完全に付着される従来のオフセットされた二重ルーメンカテーテルに比較して、改善された回転特性およびトルク伝達特性を提供する。患者の血管の曲がりくねった解剖学的構造内にある間に、このような従来のデバイスを一次ルーメン/カテーテル本体の長手方向軸を中心にして回転させようとすると、その遠位セグメントにおいて、オフセットされた、不調和な及び/または非対称の曲げが生じる可能性がある。このような不調和な曲がりおよび回転は、精確なロケーションにおいて特定の回転配向でデバイスにアクセスし、デバイスを扱い、または位置合わせしようとする医師にとって、困難さを略増大させる可能性がある。対照的に、デバイス10は、チューブセグメント24とカテーテル本体12の遠位セグメント18との間の運動自由度に起因して、たとえば図7図9に示すように、曲げられ、かつより迅速に輪郭のついた湾曲形状を呈することができる。チューブセグメント24とカテーテル本体12の遠位セグメント18との間の部分的な付着により、該2つのコンポーネントは、互いに対してシフトし、かつ血管系における1または複数の湾曲部を回って曲がる際に最も抵抗の少ない経路をたどることができる。
【0026】
別の例において、デバイスは、図10に示すように、間のチューブセグメント24なしにカテーテル本体12の遠位セグメント18に固定され及び/または付着される近位接合部および遠位接合部28、30を含んでもよい。この例では、ガイドワイヤ(不図示)または他のデバイスが、近位接合部および遠位接合部28、30のルーメン/開口を介してルーティングされ、遠位端36で出てもよい。したがって、ガイドワイヤは、先に述べたように、カテーテル本体12に対して同じ運動自由度を有することになり、使用中のその独立した動き、曲げおよび回転が可能にされる。
【0027】
次に、図11図21を参照すると、ガイドワイヤGWおよび/または他の補助デバイスをカテーテル本体12およびルーメン20の長手方向軸LAから離れて実質的角度で偏向する、または別段で操縦することを補助し得る、ルーメン20の出口より遠位に及び/またはこれに隣接してカテーテル本体12へ結合される偏向エレメント32を有する、デバイス10の追加的な例が示されている。このような角度づけされた出口は、ルーメン20の長手方向軸LAから45度~約135度の角度αであってもよく、ガイドワイヤGWまたは他の器具/補助デバイスの、「100」で表されかつ概して「100」としてラベルづけされる側枝または他の血管経路内への配置を容易にすることができる。
【0028】
図14A図14Bに示すように、偏向エレメント32は、近位端34と、遠位端36と、ガイドワイヤまたは補助器具/デバイスをカテーテル本体12の長手方向軸から離れて偏向させるランプ面または起伏のある表面38とを含んでも、これらを画定してもよい。起伏のある表面38は、所望される角度偏向を提供するために丸みを帯びた、または弧状の形状を含んでもよく、図14Bの断面側面図に示すように、約45度~約135度の弧を画定してもよい。
【0029】
偏向エレメント32は、ガイドワイヤまたは他の器具を、ルーメン20に隣接しかつこれと略同軸である第1の開口またはガイドワイヤ入口41a内へ、起伏のある表面38へ向かって方向づける、または案内することを補助すべく起伏のある表面38から延びる、または起伏のある表面38を縁取る、かつ、デバイス10から外側へ延びるために、入口41aに対して略垂直な第2の開口またはガイドワイヤ出口41bへ向かって偏向される、側壁39a、39bを含んでも、これらを画定してもよい。図示の例において、第1および第2の開口41a、41bは、偏向エレメント32を横断する連続した開放領域を形成しているが、追加の壁または他の構造体が、ガイドワイヤまたは他の介入デバイスがそれを介してデバイス10を横断しかつデバイス10を出ることができる偏向行路を形成し及び/または組み立て得ることも企図される。
【0030】
カテーテル本体12は、図18図19に示すように、偏向エレメント32のガイドワイヤ出口開口41bに隣接する、及び/またはこれと同一平面上にある開口41dを画定してもよい。開口41dは、ガイドワイヤがある角度で長手方向軸から離れてカテーテル本体12を出ることができる全体空間を増加させる。ガイドワイヤは、典型的には、その長さに沿って変わる剛性度を有し、ガイドワイヤの遠位端は、典型的には、ガイドワイヤの近位部分より柔軟である。開口41bおよび41dにより形成されるより大きい出口窓は、ガイドワイヤのより硬い部分が、より硬いガイドワイヤ部分が耐え得るより鋭い回転または屈曲を必要とすることなくカテーテル本体12を出ることを可能にする。したがって、より大きい出口は、ガイドワイヤからカテーテル本体12を動かす、または引き戻す際の、デバイス10とガイドワイヤとの間のより容易な相対運動を促進する。
【0031】
ガイドワイヤのより硬い部分の、カテーテル本体12を介する、およびカテーテル本体12を出るルーティングをさらに補助するために、偏向エレメント32及び/またはルーメン20の遠位出口は、ガイドワイヤの荷重下で伸張することができる1または複数の柔軟な縁または弾性縁を含んでもよい。柔軟なコンポーネントに加えて、及び/または該コンポーネントの代わりに、偏向エレメント32および/またはルーメン20の遠位出口は、単なる垂直な側壁ではなく、ガイドワイヤがカテーテル本体を出る際に横断するための湾曲した内面を提供する1または複数の丸みのある内部セグメントを含んでもよい。たとえば、ルーメン20を出る際にガイドワイヤが接触する垂直の縁を有する、図15に示す縁または側壁41eは、1または複数の弾性コンポーネントを含むことも可能であり、及び/または、ガイドワイヤとの摩擦を低減し及び/またはガイドワイヤの捻れを防止するために、厚さ、真円度、他を変更されてもよい。
【0032】
偏向エレメント32は、二次ルーメンアセンブリ22に対合可能に付着または結合するようなサイズにされかつ成形された相補的な表面またはセグメント40を含んでも、これを画定してもよい。図示の例において、表面40は、チューブセグメント24の丸みのある形状に対応すべく円筒形である。
【0033】
引き続き図15を参照すると、偏向エレメント32は、その側壁39b内に第3の開口またはガイドワイヤ出口41cを画定してもよい。第3の開口41cは、ガイドワイヤが、第1の開口41bの面に代わる面において、偏向エレメントを、ルーメン20の長手方向軸に対して略垂直な角度で出ることを可能にし得る。第3の開口41cは、本明細書において詳述するように、ガイドワイヤの押しのけまたは変位を低減しながら、デバイス10を引き戻すべく、位置合わせされたガイドワイヤを中心にしてデバイス10が回転されることを可能にする。
【0034】
デバイス10は、医師が患者の血管系内のデバイス10のロケーションおよび向きを視覚化することを補助するための、ならびに、医師がガイドワイヤおよび/または他の補助器具/デバイスをルーメンを介して希望通りに所望の組織に隣接して位置合わせする能力を高める、1または複数の特徴を含んでもよい。たとえば、カテーテル本体12および/または偏向エレメント32は、1または複数の放射線不透過性マーカを含んでもよく、及び/または、放射線不透過性材料から構築されてもよい。偏向エレメント32および/またはカテーテル本体12は、偏向エレメント32がカテーテル本体12および/またはルーメン20の出口に相対して動くことを可能にするための1または複数の弾性、変形可能及び/または可動性のコンポーネントを含んでもよく、これにより、医師に、ガイドワイヤまたは他の補助器具/デバイスをカテーテル本体12の長手方向軸から離れて側枝または他の血管経路内へ配置する、または方向づけるある程度の長手方向操作性が提供される。
【0035】
次に、図20図21を参照すると、デバイス10の例示的な使用法が示されている。デバイス10は、一次血管または血管系経路100a内へルーティングされてもよい。一次血管100aへのデバイス10の挿入およびルーティングは、本明細書で記述しているように、チューブセグメント24を含む第2のルーメンアセンブリを介してルーティングされる第1のガイドワイヤGW1を横切ることによって促進されてもよい。デバイス10は、二次血管または側枝血管経路100bに隣接して、または別段でこれに近接して位置合わせされてもよい。第2のガイドワイヤGW2は、カテーテル本体12の第1のルーメン20を介して偏向エレメント32へとルーティングされてもよい。偏向エレメント32は、第2の開口またはガイドワイヤ出口41bが二次血管100bと略アラインされるように配向されてもよい。このような位置合わせおよびアラインメントは、1または複数の医療撮像モダリティによって達成されてもよい。所望される位置合わせが達成されると、第2のガイドワイヤGW2は、偏向エレメント32を介してルーティングされ、かつランプ面38によってガイドワイヤ出口41bから二次血管100b内へと偏向されてもよい。デバイス10は、次に、図21に示すように、デバイス10から延びる第2のガイドワイヤGW2の部分がアラインされて、偏向エレメントの側壁39b内の第3の開口41cから外側へ出るように、第2のガイドワイヤGW2の長手方向軸を中心にして回転されてもよい。デバイス10は、次に、その後の使用のために二次血管100b内にルーティングされたままの第2のガイドワイヤGW2に加わる「引っ張り」または偏向を低減しながら、一次血管100aから引き戻されてもよい。
【0036】
本開示が、本明細書においてこれまでに具体的に示されかつ説明されたものに限定されないことは、当業者に理解されるであろう。さらに、これまでに反対のことが言及されていない限り、添付の図面が全て縮尺通りでないことは、留意されるべきである。なお、システムコンポーネントは、本明細書における記載を利用できる一般的な当業者には容易に明らかとなる詳細で本開示を不明瞭にしないように、適宜、本開示の実施形態の理解に関連のある特定の詳細のみを示す図中の従来の記号によって表されている。さらに、本明細書に記述している所定の実施形態または図は、他の図または実施形態に明示的に示されていない特徴を示すことがあるが、本明細書に開示している例の特徴およびコンポーネントが必ずしも互いに排他的なものではなく、よって、本開示の範囲および精神を逸脱することなく、様々な異なる組合せまたは構成において包含され得ることは、理解される。上述の教示に鑑みれば、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本開示の範囲および精神を逸脱することなく、様々な変更および変形が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】