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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(54)【発明の名称】高容量分子検出
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6876 20180101AFI20220830BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20220830BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
C12Q1/6876 Z ZNA
G01N21/78 C
G01N21/64 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576655
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2020040474
(87)【国際公開番号】W WO2021003258
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】62/869,502
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/925,197
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521559223
【氏名又は名称】ダヴィンチ バイオ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ホン、タオ
(72)【発明者】
【氏名】トン、ジィソン
【テーマコード(参考)】
2G043
2G054
4B063
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA16
2G043EA01
2G043JA01
2G043JA03
2G043KA02
2G043LA01
2G043LA03
2G054AA06
2G054AA08
2G054AB05
2G054CA21
2G054CA22
2G054GA04
2G054GB02
4B063QA01
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4B063QA17
4B063QA18
4B063QQ02
4B063QQ08
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4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
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4B063QR72
4B063QR77
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本開示は一般に、生体サンプルの高容量検出のための組成および方法に関する。複数の光標識、および、異なる比率の光標識を含み得るその組み合わせが、大量の標的分子、細胞または組織の検出を可能にするために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査のために調製される生体サンプルであって、
第1光標識に直接的または間接的に結合する第1標的分子と、
第2光標識に直接的または間接的に結合する第2標的分子と
を備え、前記第1標的分子および前記第2標的分子は、(a)前記第1光標識が前記第2光標識と同一である場合に、各々に結合する光標識の数が異なること、または、(b)前記第1光標識と前記第2光標識との間で類似の色の強度が異なることに起因して、1または複数の色チャネルにおいて光学的に区別可能である、
生体サンプル。
【請求項2】
前記第1光標識は、前記第2光標識と同一であり、前記第1標的分子は更に、前記第1光標識および前記第2光標識と異なる第3光標識に結合する、請求項1に記載の生体サンプル。
【請求項3】
前記第1標的分子は、第1の数の前記第1光標識および前記第3光標識を含む第1プローブに結合される、請求項2に記載の生体サンプル。
【請求項4】
前記第2標的分子は、第2の数の前記第2光標識を含む第2プローブに結合し、前記第2の数は前記第1の数と異なる、請求項3に記載の生体サンプル。
【請求項5】
前記第2プローブは更に前記第3光標識を含む、請求項4に記載の生体サンプル。
【請求項6】
前記第1光標識および前記第2光標識は、100nm未満、50nm未満または20nm未満だけ離間するピーク発光波長を有する、請求項1に記載の生体サンプル。
【請求項7】
検査のために調製された生体サンプルであって、複数の異なる標的分子を備え、その各々は、1または複数の光標識に結合し、前記標的分子は、1または複数の色チャネルにおいて互いから光学的に区別可能であり、前記標的分子の少なくとも2つは、同一の光標識に結合するが、前記標的分子に結合する異なる前記光標識の異なる比率に起因して光学的に区別可能である、生体サンプル。
【請求項8】
前記比率は少なくとも2、2.3、3.5、5、8.1、10、20、50または100倍異なる、請求項7に記載の生体サンプル。
【請求項9】
前記少なくとも2つの標的分子の各々は、少なくとも3つの異なる光標識に結合する、請求項7に記載の生体サンプル。
【請求項10】
前記標的分子の各々は、1または複数のプローブに結合し、1つの標的分子に結合する前記プローブは、他の標的分子の各々に結合するプローブから光学的に区別可能である、請求項7に記載の生体サンプル。
【請求項11】
前記標的分子の各々は、1または複数のプローブに結合し、1つの標的分子に結合する前記プローブは、他の標的分子の各々に結合されるプローブから必ずしも光学的に区別可能でないが、標的分子に結合するすべてのプローブの組み合わせは、前記標的分子を他の標的分子から光学的に区別可能にする、請求項7に記載の生体サンプル。
【請求項12】
検査のために調製される生体サンプルであって、複数の異なる標的分子を備え、その各々は、1または複数の光標識に結合し、前記標的分子は、1または複数の色チャネルにおいて互いから光学的に区別可能であり、前記標的分子の少なくとも2つは、1つの共通の第1光標識に、ならびに、類似の色を有する第2光標識および第3光標識にそれぞれ結合するが、前記第2光標識および前記第3光標識が異なる強度を有することに起因して光学的に区別可能である、生体サンプル。
【請求項13】
前記少なくとも2つの標的分子は、異なる数の前記第1光標識に結合する、請求項12に記載の生体サンプル。
【請求項14】
前記標的分子の各々は1または複数のプローブに結合し、1つの標的分子に結合する前記プローブは、他の標的分子の各々に結合されるプローブから光学的に区別可能である、請求項12に記載の生体サンプル。
【請求項15】
前記第2光標識および前記第3光標識は、100nm未満、50nm未満、または20nm未満だけ離間するピーク発光波長を有する、請求項12に記載の生体サンプル。
【請求項16】
少なくとも1つの前記標的分子は更に、消光分子またはシグナル増強分子に結合する、請求項1から15のいずれか一項に記載の生体サンプル。
【請求項17】
同一の標的分子に関連する同一の光標識の少なくとも2つは、シグナル消光を引き起こすのに十分近接する、請求項1から16のいずれか一項に記載の生体サンプル。
【請求項18】
各標的分子は1または複数の一次プローブに結合する、請求項17に記載の生体サンプル。
【請求項19】
各光標識は標識プローブに関連する、請求項18に記載の生体サンプル。
【請求項20】
各一次プローブは2以上の標識プローブに結合する、請求項19に記載の生体サンプル。
【請求項21】
前記光標識は蛍光色素、蛍光タンパク質またはナノ粒子である、請求項1から20のいずれか一項に記載の生体サンプル。
【請求項22】
前記標的分子は、RNA分子、RNA断片、DNA分子またはDNA断片を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の生体サンプル。
【請求項23】
前記標的分子は、タンパク質、脂質、多糖、または粒子を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の生体サンプル。
【請求項24】
前記標的分子は、DNA改変、RNA改変、またはタンパク質改変を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の生体サンプル。
【請求項25】
前記標的分子は、細胞、組織に位置する、または、固形スカフォールドに付着する、請求項1から24のいずれか一項に記載の生体サンプル。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載の生体サンプルを調製するのに好適な光標識で標識されたプローブを含む、ハイブリダイゼーションのためのプローブのキット、パッケージ、または混合物。
【請求項27】
生体サンプルにおける2以上の標的分子を検出するための方法であって、請求項26に記載の前記プローブを、標的分子を含むサンプルと混合する段階であって、前記プローブが前記標的分子に結合することが可能な条件下で混合し、異なる種類の標的分子が異なる組み合わせの光標識に関連し、標的分子の各々は、少なくとも2の色チャネルによって検出される、段階を備える方法。
【請求項28】
前記標的分子に関連する前記光標識に関連する異なる光学シグナルは、参照光学コードマップと照合され、前記異なる標的分子の検出を可能にする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
参照強度コードマップから利用可能である強度比率コードの一部は、前記プローブを設計するために使用される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
任意の2つの標的分子は空間的に少なくとも250nm離間される、請求項27から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
各光標識はイメージングプローブに関連し、前記イメージングプローブは一次プローブに関連し、前記一次プローブは標的分子に付着する、請求項27から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
各一次プローブは少なくとも2つの光標識に関連し、これらの光標識は、前記一次プローブの5'末端または3'末端のいずれかに付着するが、両方の末端に付着することはない、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
各一次プローブは少なくとも2つの光標識に関連し、これらの光標識は前記一次プローブの5'末端および3'末端の両方に付着する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
各一次プローブの前記5'末端および前記3'末端は、異なる数の光標識を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
各光標識はイメージングプローブに関連し、前記イメージングプローブは、1または複数の階層の仲介プローブに関連し、前記仲介プローブは一次プローブに関連し、前記一次プローブは標的分子に付着する、請求項31から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
複数の同一または異なる種類のイメージングプローブが仲介プローブに関連する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1つのイメージングプローブは、2以上の同一または異なる種類の光標識に関連する、請求項31から36のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2019年7月1日に出願された米国仮特許出願第62/869,502号、および、2019年10月23日に出願された米国仮特許出願第62/925,197号の利益を主張するものであり、その各々の内容の全体は参照によって本開示に組み込まれる。
【0002】
蛍光in‐situハイブリダイゼーション(FISH)は、個別のDNA座位をin‐situで検出するための強力なツールである。それは、細胞遺伝学的解析などの臨床診断において広く使用されている。それは今でも、高感度(>98%)、高特異性(98%)、幅広い範囲の数値および構造の両方の変化を検出する広いカバレッジ、ならびに、単一細胞レベルでの変化を検出する優れた能力に起因して、臨床におけるゲノム異常を検出するためのゴールドスタンダードとみなされている。このことは、次世代シーケンシングがゲノム解析のルーチンになるときに、一層顕著である。FISHは単一細胞レベルでのゲノムの変化を解析できるので、細胞遺伝学的解析に対して固有の利益をしばしば提供するが、現在のFISH技術は、長いハイブリダイゼーション時間(数時間から一晩)を必要とし、マルチプレックス機能を欠き、低いゲノム分解能(約100kb)を有する。特に、その限定されたマルチプレックス機能は、顕微鏡検査のために利用可能な異なる蛍光色/チャネルの限られた数に起因する。また、その低いゲノム分解能は、悪いプローブ設計から生じ得る。そのような制限により、FISHは、全ゲノムレベルでの単一細胞の構造変動検出における使用に成功していない。
【0003】
DNA解析については、マルチプレックスFISH(M‐FISH)、COBRA-FISH、スペクトル核型決定(SKY)などのマルチプレックスDNA FISHのために複数の方法が開発されてきた。これらの方法は主に24色ヒト染色体可視化に使用されている。M‐FISHおよびSKYの両方は、組み合わせ標識の方策を使用し得る。COBRA-FISHは、組み合わせ標識を比率標識と共にまとめる。染色体解析のために開発された比率標識は、各DNA座位および染色体について、大量の二本鎖DNAプローブおよび蛍光色素分子(典型的には10,000-100,000)を利用し、非常に低いゲノム分解能(10Mbから100Mb)を実現する。
【0004】
RNA解析については、scRNA-seqが、全トランスクリプトームレベルにおける単一細胞遺伝子発現プロファイルのために広く使用されている。しかしながら、この方法は、空間情報を提供できない、検出効率が低い、および、細胞捕捉効率が低いなど、著しい制限を有する。in‐situ RNA検出は、細胞損失無しで配列情報と空間情報とをシームレスに統合する最良の手段である。それは組織完全性を保護し、(1)固形組織および液状検体の両方から、単一細胞における局所化された遺伝子発現を視覚化する、(2)通常の組織アーキテクチャのコンテキストにおいて遺伝子調節を研究する、(3)トランスクリプトームレベルにおいて細胞不均一性を理解する、(4)珍しい細胞集団および病原体感染を検出するために使用され得る。
【0005】
多くのマルチプレックスin‐situ RNA検出技術が開発されてきた。それらは主に3つのカテゴリ、すなわち、(1)FISSEQなどのin‐situシーケンシング方法、(2)STARmapなど、in‐situハイブリダイゼーションおよびin‐situシーケンシングを用いるハイブリッド手法、(3)seqFISHおよびMERFISHなどのシーケンシャルFISH方法に分類され得る。
【0006】
in‐situシーケンシングは最高のゲノム分解能(単一ヌクレオチド)を有するが、単一の実験を実行するのに数日から数週間を要する。さらに、低い検出効率(0.01%~5%)、および、ローリングサイクル増幅の大きいドットサイズに起因して、細胞あたり約500の遺伝子だけを検出でき、単一細胞において遺伝子発現を正確に定量化することは不可能である。STARmapは、ヒドロゲル-組織化学、標的化シグナル増幅、および、in‐situシーケンシングを統合して、マルチプレックスRNA in‐situ検出を実現するが、その検出効率はなお、ゴールドスタンダードである単一分子RNA FISHほど高くない。単一分子RNA FISHは、複数の短いDNAオリゴヌクレオチドプローブを使用して、一度に1つのRNAコピーを標的化して、高い検出特異性および感度(>90%)を実現する。
【0007】
マルチプレックスおよびシーケンシャルFISH技術は検出効率を改善した。その中の2つ、seqFISHおよびMERFISHは、最高のパフォーマンスを有する。これら2つの方法は、両方とも、単一分子RNA FISHに基づいて、>90%の検出効率を実現する。しかしながら、それらのターンアラウンドタイムは、完了に3~5日を必要とする、特に小さい遺伝子パネル(<500遺伝子)検出については十分に速くない。ラウンドあたりのマルチプレックス機能はなお、利用可能な蛍光色/チャネルによって制限される。
【0008】
in‐situのマルチプレックスタンパク質検出についてはまた、CodexおよびDNA交換方法などの複数の方法も開発されてきた。しかしながら、これらの方法は、大きいタンパク質のパネル検出では時間がかかる。主な速度制限要因の1つはまた、顕微鏡に利用可能な限られた数の蛍光チャネルである。
【0009】
高容量および高スループットの細胞バーコーディングについては、異なる細胞集団を検出するために多色および多強度レベルが組み合わされてきた。蛍光細胞バーコーディング(FCB)は、フローサイトメトリーによって2つの蛍光色素分子を用いて最大36の細胞集団を区別するために開発され、3つの蛍光色素分子を用いて最大216の細胞集団を検出する能力を有する。しかしながら、FCBのプローブ標識方式は、in‐situ分子検出および空間イメージングに拡張できない。
【発明の概要】
【0010】
様々な実施形態において、本開示は、in‐situ、in vitro、ex vivo、またはin vivo条件において、空間的に離間された複数の標的分子、粒子および細胞の高容量検出のための組成物および方法を提供する。分子は、DNA、RNA、ペプチド、タンパク質などを含み得るが、これらに限定されない。異なる色の色素の数の制限を克服するべく、本技術は、数が大きいがなお互いに光学的に見分けられる、異なる比率および強度の色素、またはより一般には光標識の組み合わせを採用する。本技術は更に、標識コーディング方式の設計、ならびに、シグナル検出および訂正のための方法を提供する。
【0011】
本開示の一実施形態によれば、生体サンプルにおける第1標的分子に直接的または間接的に結合された第1の複数のプローブ、ならびに、生体サンプルにおける第2標的分子に直接的または間接的に結合された第2の複数のプローブを含む、検査のために調製されたサンプルが提供され、各標的は、少なくとも2つの種類の光標識に関連し、(a)第1の複数のプローブには、少なくとも第1の種類の光標識が付着し、第2の複数のプローブには、少なくとも第2の種類の光標識が付着し、(b)第1標的および第2標的分子は励起されると、2または2より多くの色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する。
【0012】
また、一実施形態において、ハイブリダイゼーションのためのプローブのキット、パッケージまたは混合物が提供され、それらは、各々が第1標的分子に結合し得る第1の複数のプローブ、または、第1の複数のプローブおよび第1の複数のプローブが第1標的分子に間接的に結合することを可能にする1または複数の仲介プローブと、各々が第2標的分子に結合し得る第2の複数のプローブ、または、第2の複数のプローブおよび第2の複数のプローブが第2標的分子に間接的に結合することを可能にする1または複数の仲介プローブとを備え、各標的は、少なくとも2種類の光標識に関連し、(a)第1の複数のプローブは、少なくともの第1の種類の光標識に付着し、第2の複数のプローブは、少なくとも第2の種類の光標識に付着し、(b)第1標的および第2標的分子は、励起時に、2または2より多くの色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する。
【0013】
更に別の実施形態において、サンプルにおける2以上の標的分子を検出する方法が提供され、方法は、プローブが標的に結合することが可能な条件下で、第1標的および第2標的を含むサンプルとプローブとを混合する段階を備え、標的に関連する異なる色または色強度が標的の検出を可能にする。
【0014】
別の実施形態は、生体サンプルにおける第1標的分子に直接的または間接的に結合された第1の複数のプローブ、ならびに、生体サンプルにおける第2標的分子に直接的または間接的に結合された第2の複数のプローブを備える、検査のために調製されたサンプルを提供し、プローブの各々は、1または複数の光標識に付着し、(a)少なくとも第1光標識は、第1標的および第2標的の両方に関連するが、第1標的および第2標的は、異なる数の第1光標識に関連し、(b)第1標的および第2標的は、励起されると、光標識から放出される異なる色、色の異なる強度、または、それらの組み合わせに関連する。
【0015】
また、一実施形態においてにおいて、ハイブリダイゼーションのためのプローブのキット、パッケージ、または混合物が提供され、それらは、各々が第1標的分子に結合できる第1の複数のプローブ、または、第1の複数のプローブおよび第1の複数のプローブが第1標的分子に間接的に結合することを可能にする1または複数の仲介プローブと、各々が第2標的分子に結合できる第2の複数のプローブ、または、第2の複数のプローブおよび第2の複数のプローブが第2標的分子に間接的に結合することを可能にする1または複数の仲介プローブとを備え、プローブの各々は、1または複数の光標識に付着し、標的生体分子に結合すると、(a)少なくとも第1光標識が第1標的および第2標的の両方に関連するが、第1標的および第2標的は、異なる数の第1光標識に関連し、(b)第1および第2標的は、励起時に、光標識から放出された異なる色、異なる強度の色、または、それらの組み合わせに関連する。
【0016】
別の実施形態は、第1標的生体分子に直接的または間接的に結合された第1の複数のプローブ、ならびに、第2標的生体分子に直接的または間接的に結合された第2の複数のプローブを含む光プローブ検出サンプルを提供し、プローブの各々は、1または複数の光標識に付着し、(a)第1標的および第2標的は2つの異なる光標識に関連し、(b)第1標的および第2標的は、同一の色の2つの異なる強度に関連する。
【0017】
更に別の実施形態において、本開示は、第1プローブおよび第2プローブを含むプローブセットを提供し、第1プローブおよび第2プローブはそれぞれ、異なる強度の同一または重複する色スペクトラムを有する2の光標識に付着し、第1プローブおよび第2プローブは各々、第2光標識に更に付着し、第1プローブおよび第2プローブは光学的に区別可能である。いくつかの実施形態において、プローブは異なる結合特異性を有する。いくつかの実施形態において、第1プローブおよび第2プローブは、生体サンプルにおける2つの標的分子に直接的または間接的に結合される。
【0018】
サンプルにおける2つの異なるプローブを検出する方法も提供され、第1プローブおよび第2プローブはそれぞれ、同一または重複する色スペクトラムを有するが異なる強度を有する2つの光標識に付着し、第1プローブおよび第2プローブは各々、第2光標識に更に付着し、方法は、2つの共通の色チャネルを通じて第1プローブと第2プローブとを光学的に検出および区別する段階を備える。
【0019】
更に別の実施形態において、本開示は、第1プローブおよび第2プローブを含むプローブセットを提供し、第1プローブおよび第2プローブはそれぞれ、同一または重複する色スペクトラムを有するが2または2より多くの共通の色チャネルにおいて異なる強度を有する第1光標識および第2光標識に付着し、第1プローブおよび第2プローブは光学的に区別可能である。いくつかの実施形態において、プローブは異なる結合特異性を有する。いくつかの実施形態において、第1プローブおよび第2プローブは、生体サンプルにおける2つの標的分子に直接的または間接的に結合される。
【0020】
サンプルにおける2つの異なるプローブを検出する方法も提供され、第1プローブおよび第2プローブはそれぞれ、同一または重複する色スペクトラムを有するが2または2より多くの共通の色チャネルにおいて異なる強度を有する2つの光標識に付着し、方法は、2または2より多くの共通の色チャネルを通じて第1および第2プローブを光学的に検出および区別する段階を備える。
【0021】
別の実施形態において、検査のために調製される生体サンプルであって、第1光標識に直接的または間接的に結合する第1標的分子と、第2光標識に直接的または間接的に結合する第2標的分子とを備え、第1標的分子および第2標的分子は、(a)第1光標識が第2光標識と同一である場合に、各々に結合する光標識の数が異なること、または、(b)第1光標識と第2光標識との間で類似の色の強度が異なることに起因して、1または複数の色チャネルにおいて光学的に区別可能である、生体サンプルが提供される。
【0022】
また、一実施形態において、検査のために調製された生体サンプルであって、複数の異なる標的分子を備え、その各々は、1または複数の光標識に結合し、標的分子は、1または複数の色チャネルにおいて互いから光学的に区別可能であり、標的分子の少なくとも2つは、同一の光標識に結合するが、標的分子に結合する異なる光標識の異なる比率に起因して光学的に区別可能である、生体サンプルが提供される。
【0023】
また、一実施形態において、検査のために調製される生体サンプルであって、複数の異なる標的分子を備え、その各々は、1または複数の光標識に結合し、標的分子は、1または複数の色チャネルにおいて互いから光学的に区別可能であり、標的分子の少なくとも2つは、1つの共通の第1光標識に、ならびに、類似の色を有する第2光標識および第3光標識にそれぞれ結合するが、第2光標識および第3光標識が異なる強度を有することに起因して光学的に区別可能である、生体サンプルが提供される。
【0024】
また、本開示のサンプルを調製するために好適な光標識で標識されたプローブを含む、ハイブリダイゼーションのためのプローブのキット、パッケージ、または混合物が提供される。なお更に、サンプルにおける2以上の標的分子を検出するための方法であって、開示に記載のプローブを、標的分子を含むサンプルと混合する段階であって、プローブが標的分子に結合することが可能な条件下で混合し、異なる種類の標的分子が異なる組み合わせの光標識に関連し、標的分子の各々は、少なくとも2の色チャネルによって検出される、段階を備える方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】2色および2強度レベルによって、8強度コードマトリクスのHC-smFISHの概略を提示する。(a)単一色素標識プローブのセット、または、プローブあたり複数の色素を有するプローブのいずれかによる、強度比率コーディングのためのプローブ標識方式の概略である。(b)強度コーディングのための色チャネル方式。異なる色素が、異なる色チャネル(例えばCy3およびCy5色素)でイメージングされる。代替的に、重複する放出スペクトラム(例えば、Cy5、Cy5.5)を有する色素は、同一の色チャネルでイメージングされる。少なくとも2の色チャネルが強度コーディングに使用される。各長方形のバーは1の色チャネルを表す。(c)8コードマトリクス(N=2およびM=2)の強度座標マップ。2強度レベル(0を除く)が各色チャネルにおいて使用される。各ドットは、オリゴFISHスポットからの測定された強度比率を表す。(d)FISHスポットの2次元(2D)強度分布から生成された参照強度コードマップ。境界を有する3つのクラスタは、スポットの密度分布を解析して3つの強度コードをここに表すことによって生成される。各強度コードは、不規則境界を有する。
【0026】
図2】標識方式1を示す。(a)直接標識。(b)間接標識。(c)分岐DNA増幅による間接標識。ここでは2の色チャネル、Cy3/600およびCy5/700チャネルが使用される。強度コードの一桁目は、Cy3チャネルにおける強度レベルを表す。強度コードの二桁目は、Cy5チャネルにおける強度レベルを表す。
【0027】
図3】標識方式2を示す。(a)直接標識。(b)間接標識。(c)分岐DNA増幅による間接標識。ここでは2の色チャネル、Cy3/600およびCy5/700チャネルが使用される。強度コードの一桁目はCy3チャネルにおける強度レベルを表す。強度コードの二桁目はCy5チャネルにおける強度レベルを表す。
【0028】
図4】標識方式3を示す。(a)直接標識。(b)間接標識。(c)分岐DNA増幅による間接標識。強度コードの一桁目はCy3/600チャネルにおける強度レベルを表す。強度コードの二桁目はCy5/700チャネルにおける強度レベルを表す。
【0029】
図5】核酸ベース標的検出のための様々な強度コードを実現するためのローリングサイクル増幅による代替的なシグナル増幅手法を示す。(a)ローリングサイクル増幅のためのプローブ標識の異なるコンポーネントの例。(b)様々な強度コードを有するイメージングプローブ。(c)例として1つの標的を使用するシグナル増幅方式。各固有の標的は、標的固有プライマー、標的固有の識別子を有する標的固有のパドロックプローブによって標識される。標的固有の識別子は、ローリングサイクル増幅によって増幅される。最後に、色素の標的固有の組み合わせを有するイメージングプローブが、増幅された識別子とハイブリダイズされ、標的特異的な強度コーディングを実現する。イメージングプローブに異なる数および種類の色素を付着させることにより、様々な強度コードが取得され得る。
【0030】
図6】非特異的結合のエラー訂正のための参照色素を追加することを示す。Cy3、Alexa546、Cy5、Cy5.5は強度コーディングに使用される。Alexa488は、非特異的結合シグナルを除去するために参照色素として使用される。(a)標識方式2のために参照色素を追加する。(b)標識方式3のために参照色素を追加する。ここでは3つ色チャネル、Alexa488/500チャネル、Cy3/600およびCy5/700チャネルが使用される。500チャネルは、強度コーディングのために使用されない。強度コードの一桁目はCy3チャネルの強度レベルを表す。強度コードの二桁目はCy5チャネルの強度レベルを表す。
【0031】
図7】標識方式2および方式3のための区別された標識手法を示す。異なる色素は異なる一次プローブ(標的に直接結合されるプローブ)に関連する。(a)標識方式2のための区別された標識。(b)標識方式3のための区別された標識。強度コードの一桁目はCy3チャネルにおける強度レベルを表す。強度コードの二桁目はCy5チャネルにおける強度レベルを表す。
【0032】
図8】区別された標識のための交互の標識手法を示す。異なる標識に関連する一次プローブは、交互の手段で同一標的に結合するよう設計される。強度コードの一桁目はCy3チャネルにおける強度レベルを表す。強度コードの二桁目はCy5チャネルにおける強度レベルを表す。
【0033】
図9】代替的標識方式3を示す。標的あたり1色素であるが、異なる標的は、少なくとも2の色チャネルにおける重複するスペクトラムを有する異なる色素に関連する。(a)標的標識方式あたり1色素。2の色チャネルで3つの色素によって3つの強度比率コードが生成される。(b)重複するスペクトラムを有する3つの色素によって生成される異なる強度比率コードの3つのクラスタの説明。バックグラウンドおよび非特異的結合シグナルを除去するべく、各クラスタは、より低い強度の側で強度閾値によって切り取られている。強度コードの一桁目はチャネルAにおける強度レベルを表す。強度コードの二桁目はチャネルBにおける強度レベルを表す。
【0034】
図10】Alexa647およびAlexa700の重複する放出スペクトラムを示す。2の色チャネルは、Alexa647およびAlexa700のための2つの強度比率を生成するために使用され得、その結果、これら2つの色素はこれらの2の色チャネルによって区別され得る。(a)2つ色素を2つの標的および2の色チャネルのペアと照合する。(b)2の色チャネルにおけるAlexa647およびAlexa700の重複するスペクトラム。チャネルA:650nm~710nm。チャネルB:745nm~805nm。
【0035】
図11】消光による標識方式4を示す。強度レベルおよび強度の変動は、FRET(d-h)、限定距離におけるより多くの同一色素の蓄積の自己消光(i、j、l)およびクエンチャー(k、m)などの様々な消光設計によって微調整され得る。
【0036】
図12】強度コーディングによるタンパク質標識を示す。(a)一次プローブとしての標的特異的オリゴ配列に付着したタンパク質標的。(b)標識方式2によるタンパク質コーディングの説明。(c)標識方式3によるタンパク質コーディングの説明。(d)ローリングサイクル増幅による代替的なシグナル増幅。図12の(d)において、タンパク質などの標的は、標的固有オリゴヌクレオチドが付着した標的特異的抗体によって標識される。抗体は、HAまたはSNAPタグのような小型エピトープなどの他の標的特異的リンカによって置き換えられ得る。標的固有識別子を有する標的固有パドロックプローブは、抗体上のオリゴとハイブリダイズされ、次にライゲーションによって環化される。標的固有識別子は、ローリングサイクル増幅によって増幅される。最後に、色素の標的固有の組み合わせを有するイメージングプローブが、増幅された識別子とハイブリダイズされ、標的特異的な強度コーディングを実現する。イメージングプローブに異なる数および種類の色素を付着させることにより、様々な強度コードが取得され得る。3つの強度コード(1:0、1:1、3:1)が図の左に示される。
【0037】
図13】強度コーディングの異なる用途を示す。(a)異なる細胞タイプを検出する。異なる数は、別々の細胞マーカを有する異なる細胞タイプを表す。(b)ガラススライドなどの固形スカフォールド上にランダムに分布するタンパク質を検出する。異なる種類のタンパク質が、光標識の異なる組み合わせに関連する。(c)マイクロアレイ上の空間パターンと同時に複数の標的を検出する。異なる空間位置における異なる標的が、異なる強度比率でプログラムされたプローブでエンコードされる。
【0038】
図14】オリゴDNAプローブを用いた単一分子RNA FISHの結果、および、2色強度コーディングのシミュレーションを示す。(a)画像はHeLa細胞におけるTFRC RNA FISHである。右の画像は、左の画像の選択領域からズームインされたものである。(b)TFRC FISHスポットの強度分布。比率1:0は、単一Cy3標識TFRCプローブによって検出された790のスポットからの実験結果である。比率2:0および3:0は、それぞれ、スポットあたり2倍の強度および3倍の強度を有する比率1:0に基づくシミュレーションデータである。比率2:0は、比率1:0と重複する40%のスポットを有する。比率3:0は、比率1:0と重複する5%未満のスポットを有する。(c~d)8比率コーディング方式のための強度分布のシミュレーション結果を示す。(c)第2強度レベルが第1強度レベルの2×(2倍)の強度を有するときのN=2およびM=2の8比率コーディング方式を示す。(d)第2強度レベルが第1強度レベルの3倍の強度を有するときのN=2およびM=2の8比率コーディング方式を示す。
【0039】
図15】標識方式3を用いた強度比率イメージングの結果を示す。(a)~(b)Cy5(a)およびCy3(b)で標識されたテロメアの共焦点イメージングであり、aおよびbは、強度の同一の表示範囲においてレンダリングされる。(c)~(d)Cy5(c)およびAlexa532(d)で標識されたセントロメアの共焦点イメージングであり、cおよびdは、強度の同一の表示範囲においてレンダリングされる。(e)~(f)異なる色素ペアを用いるテロメアおよびセントロメアプローブの強度分布。(e)Tel-Cy5-Cy3、Cen-Cy5.5-Cy3、Cen-Cy5-A532、(f)Tel-Cy5-Cy3、Cen-Cy5-Atto590、Cen-Cy5-A546。(e)Tel-Cy5-Cy3はCen-Cy5.5-Cy3と重複するが、Cen-Cy5-A532から良く離間されている。(f)Tel-Cy5-Cy3はCen-Cy5-Atto590と重複するが、Cen-Cy5-A546から大まかに区別可能である。(g)異なる色素ペアについての、700および600の色チャネルの間の強度比率のヒストグラム。
【0040】
図16】標識方式3を使用する強度コーディングによるRNA FISHの結果を示す。POLR2AはCy5.5およびA546で標識される。CTNNB1はCy5およびCy3で標識される。(a)700チャネルにおけるPOLR2AおよびCTNNB1共標識の画像。(b)600チャネルにおけるPOLR2AおよびCTNNB1共標識の画像。(c)700チャネルだけにおけるCTNNB1標識の画像。(d)600チャネルだけにおけるCTNNB1標識の画像。(e)700チャネルだけにおけるPOLR2A標識の画像。(f)600チャネルだけにおけるPOLR2A標識の画像。(g)700チャネルにおける一次プローブの標識を有しないネガティブコントロール。(h)600チャネルにおける一次プローブの標識を有しないネガティブコントロール。両方のRNA標的についてのアンプリファイアおよびイメージングプローブがネガティブコントロールに追加される。
【0041】
図17】参照強度コードマップを使用してFISHスポットに強度コードを割り当てる手段を示す。(a)CTNNB1をCy5およびCy3で、POLR2AをCy5.5およびAlexa546で別個に標識することによって生成される参照強度コードマップ。境界は、各色素の組み合わせについてプロットされる。左上におけるクラスタは、Cy5.5およびAlexa546の共標識を用いるPOLR2Aの強度分布を表す。右下におけるクラスタは、Cy5およびCy3の共標識を用いるCTNNB1の強度分布を表す。(b)CTNNB1およびPOLR2Aの共標識を用いる細胞1の2D強度マップ。(c)CTNNB1およびPOLR2Aの共標識を用いる細胞2の2D強度マップ。(d)CTNNB1およびPOLR2Aの共標識を用いる細胞3の2D強度マップ。POLR2Aは、Cy5.5およびAlexa546で標識される。CTNNB1は、Cy5およびCy3で標識される。
【0042】
図18】強度コーディングによる4RNA共標識の結果を示す。(a)700チャネルにおけるMEF細胞のマルチプレックス標識の画像。(b)600チャネルにおけるMEF細胞のマルチプレックス標識の画像。(c)(d)に示されるズームインエリアを有する(a)および(b)の重複画像。(d)(c)において選択される領域のズームイン画像。異なる形状は、異なるRNAコピーの位置を示し、HOXB1の各コピーは円で、POLR2Aは正方形で、TFRCはひし形で、CTNNB1は六線星形で示される。(e)ドットの4つのクラスタが明確に互いに区別されるログスケールにおける2D強度分布マップ。
【0043】
図19】一次組織における2つのDNA座位の強度比率に基づく分離の結果を示す(a~c:マウス脳組織におけるテロメアおよびセントロメア座位、d~f:ヒトPBMC細胞における染色体1反復座位(Ch1‐Re)およびセントロメア座位)。(a)分解可能な強度比率分布に基づく強度比率の2つのクラスタの分離。(b)~(c)強度比率コード(b)への(c)におけるズームイン領域の割り当てに基づくテロメアおよびセントロメアの識別結果。(d)分解可能な強度比率分布に基づく強度比率の2つのクラスタの分離。(e)~(f)強度比率コード(e)への(f)におけるズームイン領域の割り当てに基づくCh1‐Reおよびセントロメアの識別結果。
【0044】
図20】異なる強度でコーディングされたプローブによるDNA FISHの結果を示す。(a~b)テロメアプローブ(一次プローブあたり1 Cy5および10 Cy3)の2の色チャネルにおける画像。(a)Cy5/700チャネル、(b)Cy3/600チャネル。(c)1 Cy5:10 Cy3の1つの強度比率で標識されたテロメアの2D強度分布。(d)1 Cy5:2 Cy3の1つの強度比率で標識されたテロメアの2D強度分布。(e)1 Cy5:30 Cy3の1つの強度比率で標識されたテロメアの2D強度分布。(c~e)同一の基準線を共有する。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本開示は、様々な実施形態において、分子、分子複合体、細胞、または組織などの高容量検出を実行するための組成物および方法を記載する。いくつかの実施形態において、高容量は、日常的に行われるものと比較して、互いから区別できるより多くの標識機構を使用することに起因し得る。そのような標識機構は、明細書において実証されるように、単一分子、または、2以上の分子の組み合わせであり得る。更に、標識機構間の違いは、異なる色もしくはスペクトル、異なる強度、またはその両方の問題であり得る。
A 高容量単一分子FISH(HC-smFISH)
【0046】
本技術の一実施形態は、「高容量単一分子FISH」またはHC-smFISHにおいて示される。HC-smFISHは、単一分子検出感度および高ゲノム分解能(>20nt)で、強度比率コーディング方式(または「強度コーディング」、「色彩比コーディング」または「スペクトル比率コーディング」と称される)を利用する。HC-smFISHは、従来のFISH技術で実現され得るものより著しく多くのRNA種またはDNA座位の可視化を可能にする。従来のFISH技術において、同時に視覚化できるRNA種またはDNA座位の数は、使用される顕微鏡方法で利用可能な異なる蛍光色の数によって制限される。HC-smFISHにより、大きいDNA/RNAパネル、更には全トランスクリプトームまたはゲノムをプロファイルすることができる。
【0047】
HC-smFISHは、1または複数の色チャネルからの強度比率(または色彩比とも称される)を強度コードとして使用し、RNA種またはDNA座位を区別する。強度の変動に起因して、典型的には、2以上の色チャネルの間の強度比率はマルチプレックスバーコーディングに使用され、その結果、任意の2つの強度コード間で強度の重複が最小化され得る。理論上、利用可能な強度の組み合わせまたは強度比率の組み合わせの数は、オリゴプローブ標識方式によってプログラムされ得る。例えば、2色、および、色あたり2の強度レベルの標識方式は、8の強度の組み合わせ(1:0、2:0、0:1、0:2、1:1、1:2、2:1、2:2)を生成し、したがって、細胞内で最大8のRNA種またはDNA座位をエンコードできる。(図1
【0048】
理想的には、同一のRNA種またはDNA座位からの個別のFISHスポットは、同一の標識設計を有するプローブによって検出されるものと同一の強度の組み合わせまたは強度比率の組み合わせを有するはずである。実験的には、同一のRNA種またはDNA座位からの個別のFISHスポットによって生成される強度値は、指定された強度コードから逸脱し得る。指定された組み合わせからの実験的な強度の組み合わせの各々の距離を比較することにより、各FISHスポットは、もっとも近い強度コードに割り当てられ得る(図1のc)。曖昧な強度値を有するFISHスポット(2つの指定された比率の中央)については、破棄される。
【0049】
理論上、HC-smFISHの容量、すなわち、標識方式のプログラムされた比率の最大数、または、FISHのラウンドあたり検出されるRNA種もしくはDNA座位の最大数は、Pmax=(M+1)-1の式によって予測される、蛍光色および強度レベルの数によって決定される。ここで、Pは、検出できるRNA種またはDNA座位などの異なる標的の数(すなわち、FISHのラウンドあたりのマルチプレックス機能)を表し、Mは、プローブ標識方式によって決定される、色あたりの強度レベルの数(ゼロを除く)を表し、Nは、顕微鏡から利用可能な蛍光色の数(すなわち色チャネル)を表す。したがって、色あたり2の強度レベル(第1強度レベル(または強度レベル1と呼ばれる)および第2強度レベル(または強度レベル2と呼ばれる)を含み、強度レベル0は含まれない)を有する2の蛍光色は、最大8のRNA種またはDNA座位をコードでき、色あたり3の強度レベルを有する4の色は、255のRNA種またはDNA座位をコードできる。HC-smFISH設計において、少なくとも1つの非ゼロ強度レベル(M≧1)を使用して、ハイブリダイゼーションおよびイメージングのラウンドあたり、著しく大きいコードサイズを生じさせ得る。
【0050】
強度コーディングについては、色チャネルの数は、各強度コードの桁の数を定義する。1の色チャネルだけがコードに使用される場合(1:0など)、1桁コードである。2の色チャネルがコードに使用される場合(1:2など)、コードは2桁コードである。
【0051】
HC-smFISHはしたがって、他のFISH技術と比較して、FISHのラウンドあたり10~100倍高いマルチプレックス機能を実現できる。HC-smFISHの各ラウンドは、4~5の蛍光色を用いて数百のRNA遺伝子をイメージングし得る。
【0052】
単一細胞遺伝子発現解析のための大きいRNAパネルをプロファイルするなどの実際の適用では、HC-smFISHは、強度コーディング方式をエラー訂正コードと組み合わせ得る。基本原理は、全体のコードスペースを疎に占有するコードのセットを設計することであり、その結果、わずか1の色チャネルのミスアライメントも検出および訂正され得る。例えば、N=5およびM=3については、Pmax=1023であるが、P=200を選択する。ハイブリダイゼーション、イメージング、およびデハイブリダイゼーションの連続的なラウンドにわたるコーディングとの統合は、単純な方式で検出容量の更なる拡大を可能にする。
【0053】
組み合わせ比率コードの数は、Qmax=((M+1)-1の式によって予測され得る。ここで、Qは組み合わせ強度比率コードの総数を意味し、Mは強度レベル(ゼロは除く)を意味し、Nは色の数(すなわち色チャネル)を意味し、Kは連続的なラウンドの数を意味する。したがって、M=3、N=5、Qmax=1023であるが、Qを200に選択する場合、5色イメージングの3ラウンドは原理的に、ヒトまたはマウスのトランスクリプトーム全体(約20,000のタンパク質コーディング遺伝子)をカバーする組み合わせコードを生じさせ得る。遥かに小さいPの値を有するMERFISHおよびseqFISHと比較して、HC-smFISHの高いマルチプレックス容量は、大きいサイズの組織の解析に特に有利である。なぜなら、解析のラウンドあたりの長いイメージング時間は、より少ないラウンドに都合が良いからである。
【0054】
強度コーディングを使用する最高のパフォーマンスのために、ここで強度コーディングを使用するとき、核酸標的の任意の2つのコピーは、イメージングシステムの光学分解能を超えて空間的に離間されるべきである。典型的には、従来の光学顕微鏡上で可視的光標識を使用するとき、この光学分解能は約250nmである。しかしながら、高度な任意の光学イメージング方法により、この光学分解能は、100nm未満、または更には20nm未満に強化され得、その結果、同一の空間においてより多くの分子を検出でき、強度コーディングを用いてより高い検出効率を実現できる。
B 他の種類の標的のための高容量検出
【0055】
HC-smFISHは、高容量検出技術の実装の例である。RNAおよびDNAの他に、高容量検出技術はまた、タンパク質、炭水化物、脂質、複合体、細胞小器官、細胞、組織および微生物など、空間的に互いから離間する他の非核酸ベースの生体分子、粒子、細胞および組織サンプルを検出するために使用され得る。ここでの一般原理は、最初にプログラムされたオリゴヌクレオチドまたはペプチドで複数の標的をバーコーディングし(標的の各種類は固有のオリゴまたはペプチド配列でプログラムされる)、次に、HC-smFISHおよびハイブリダイゼーションベースのプローブのための強度コーディングプローブ標識方式を使用して、様々な標的に関連するプログラムされたオリゴまたはペプチドを検出する。オリゴヌクレオチドは、天然ヌクレオチド、またはLNAなどの非天然ヌクレオチドから成り得る。ペプチドは天然アミノ酸または非天然アミノ酸から成り得る。代替的に、ハイブリッドオリゴヌクレオチドおよびペプチド配列が使用され得る。
【0056】
強度コーディングを使用する最高のパフォーマンスのために、ここで強度コーディングを使用するとき、非核酸標的の任意の2つのコピーは、イメージングシステムの光学分解能を超えて空間的に離間されるべきである。典型的には、空間分解能は250nm以上である。いくつかの場合において、分解能は、超分解能イメージングセットアップおよびアルゴリズムを用いることにより20nmもの低さになり得る。
C 高容量強度コーディングのための標識方式
【0057】
図2図4に示される3つの基本的な標識方式は、標識方式1(図2)、標識方式2(図3)および標識方式3(図4)とそれぞれ名付けられる。基本的な標識方式の各々において、3つの基本的バリエーション、すなわち、直接標識(図2図4のパネルa)、シグナル増幅無しの間接標識(図2図4のパネルb)、シグナル増幅を有する間接標識(図2図4のパネルc)が更に実装され得る。標識方式1において、標的に関連する各光標識についての光標識の数に比例する標的結合プローブまたは一次プローブの数は、各色チャネルにおける強度レベルを定義する。標識方式2において、一次プローブの数ではなく、一次プローブに関連する光標識の数が強度レベルを定義する。標識方式3において、光標識またはプローブの数ではなく、標的に関連する色素の種類だけが各色チャネルにおける強度レベルを定義する。
【0058】
図2図4に示されるように、水平方向に長い、太い実線の各々は検出のための標的を表す。標的は、分子(例えば、RNA、DNA、タンパク質、炭水化物、脂質)、複合体(例えば、抗原抗体複合体、リガンド-レセプター複合体、プロトロンビナーゼ複合体)、細胞小器官、細胞、組織または微生物であり得る。
【0059】
各標的は、短い実線によって表される複数のプローブに直接的または間接的に結合される。複数の短い線は、標的に結合する複数のプローブを表す単一の長い線に結合し得る。図2図4のパネルcに示されるように、複数の短い線は、仲介プローブに結合する複数のプローブを表す単一の短い線に結合し得る。いくつかの実線は更に、光標識に付着したイメージングプローブを表す1または複数の中実形状(例えば、星形および正方形)に連結される。各形状は異なる光標識を表す。例えば、図2に示されるように、暗い星形は、明るい黄緑色の蛍光色素であるCy3を表し、暗い正方形は、明るい遠赤色蛍光色素であるCy5を表す。
【0060】
図2のパネルaに示されるように、各標的は多くの光標識(例えばCy3および/またはCy5)に関連する。第1行の標的(「2:0」と標識される)は、大2行の標的(「0:2」と標識される)から容易に区別可能であり得る。パネルaにおいて、第1行における標的は4のCy3色素に関連し、Cy5色素に関連しない。第2行における標的はCy3色素に関連せず、4のCy5色素に関連する。したがって、第1標的は、顕微鏡下において、Cy3色チャネルにおける明るい黄緑色として現れ、第2標的は、Cy5色チャネルにおける明るい赤色として現れる。第3行の第3標的(「1:1」として標識される)は、2のCy3色素および2のCy5色素に関連する。したがって、第3標的は、Cy3およびCy5両方のチャネルにおいて強いシグナルを示すが、その強度は、両方のチャネルにおける第1標的および第2標的より著しく弱い。我々が、第1強度レベルは各色チャネルにおける2の色素、および、各チャネルにおける第2強度レベル4の色素によって区別されると定義する場合、異なるチャネルにおける上の各標的の強度には、異なる強度のレベルが割り当てられ得る。したがって、各標的は、固有の強度コードでエンコードされる。例えば、第3標的は、両方のチャネルにおいて第1強度レベルを有し、その結果、強度コード1:1によって標識される。第1標的は、Cy3チャネルにおいて第2強度レベルを有し、Cy5チャネルにおいて強度を有さず、強度コード2:0が割り当てられる。第2標的は、Cy5チャネルにおいて第2強度レベルを有し、Cy3チャネルにおいて強度を有さず、強度コード0:2が割り当てられる。
【0061】
なお図2のパネルaにおいて、第4行および第5行における標的は、Cy3およびCy5色素の両方に関連する。しかしながら、第4行における第4標的は、第5行における第5標的より少ないCy3(2:4)および多くのCy5(4:2)に関連する。第4標的には1:2の強度コードが割り当てられる。第5標的には2:1の強度コードが割り当てられる。したがって、それらは単に色によってではなく、色およびそれぞれの強度の組み合わせによって区別され得る。
【0062】
したがって、本開示のいくつかの実施形態によれば、検査のために調製されるサンプルが提供され、当該サンプルは、生体サンプルにおける第1標的分子、細胞または組織に直接的または間接的に結合される第1の複数のプローブと、生体サンプルにおける第2標的分子、細胞または組織に直接的または間接的に結合される第2の複数のプローブとを備える。いくつかの実施形態において、プローブの各々には、1または複数の光標識が付着し、少なくとも第1光標識は第1標的および第2標的の両方に関連するが、第1標的および第2標的は、異なる数の第1光標識に関連する。更に、いくつかの実施形態において、第1標的および第2標的は、励起されると、光標識から放出される異なる色、色の異なる強度、または、それらの組み合わせに関連し、第1標的および第2標的は光学的に区別され得る。
【0063】
明細書において使用される「プローブ」という用語は、検出可能な標識に連結される、または、検出可能な標識に間接的に連結するのに好適である分子または集合した分子の群を指す。プローブの非限定的な例は、DNAまたはRNAオリゴヌクレオチド、非天然オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、抗体、レセプター、リガンド、合成ポリマー(デンドリマーなど)、および様々な化合物を含む。典型的には、ハイブリダイゼーションに基づく核酸プローブ、または、PNAプローブなどのハイブリダイゼーションに基づくペプチドプローブが使用される。光標識に直接付着されたプローブは、「イメージングプローブ」と称される。イメージングプローブは、わずか1つの光標識に関連し得る。代替的に、イメージングプローブは、2以上の同一の種類の光標識に関連し得る。代替的に、イメージングプローブは、2以上の異なる種類の光標識に関連し得る。核酸標的の場合、標的に直接結合されるオリゴまたはペプチドプローブは、「一次プローブ」または「標的結合プローブ」と称される。非核酸標的の場合、標的に関連する第1プローブは、「一次プローブ」と称され、次に、更なる光プローブ(イメージングプローブおよび仲介プローブを含む)が、標的を検出するために、一連のハイブリダイゼーションを通じて第1プローブに関連する。
【0064】
「光標識」または単に「標識」という用語は、好適な励起時に、光学的手段によって検出可能なシグナルを放出できる分子または生物学的部分を指す。例として、蛍光色素(Cy3、Cy5、Alexa532など)、蛍光タンパク質(GFP、YFP、RFPなど)、色原体色素、量子ドットおよび他の種類のナノ粒子が含まれる。いくつかの実施形態において、光標識は反応性を有し、プローブなど別の分子に付着され得る。例として、ヒドロキシクマリン、アミノクマリン、メトキシクマリン、カスケードブルー、パシフィックブルー、パシフィックオレンジ、ルシファーイエロー、NBD、R-フィコエリトリン(PE)、PE-Cy5コンジュゲート、PE-Cy7コンジュゲート、レッド613、PerCP、TruRed、FluorX、フルオレセイン、BODIPY- FL、G-Dye100、G-Dye200、G-Dye300、G-Dye400、Cy2、Cy3、Cy3B、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、TRITC、X-ローダミン、リサミンローダミンB、テキサスレッド、アロフィコシアニン(APC)、およびAPC-Cy7コンジュゲートが含まれる。いくつかの実施形態において、光標識は、光変換可能なローダミンアミドなどの光変換可能な色素である。いくつかの実施形態において、光標識は、化学コンジュゲーションによってプローブに付着する。いくつかの実施形態において、光標識は、化学反応ではなく物理的会合のみによってプローブに付着する。いくつかの実施形態において、光標識は、物理的会合、また、化学反応の両方によってプローブに付着する。
【0065】
「色チャネル」、「色スペクトル」または単に「色」、「スペクトル」、「チャネル」という用語は、発光スペクトルのウィンドウ(例えば、650nm~700nm)、励起スペクトルのウィンドウ(例えば640nmまたは635~645nm)、または、これら2つの光特性の組み合わせを指す。代替的に、「色チャネル」または「チャネル」という用語は、これら2つの光特性のウィンドウを定義または選択するための光学コンポーネントの組み合わせを指し、例えば、これらのコンポーネントは、吸収フィルタ(例えば、650~700nmの発光バンドパスウィンドウを有するフィルタ)、励起フィルタ(例えば、635~645nmの励起バンドパスウィンドウを有するフィルタ)、または、ダイクロイックミラー、吸収フィルタおよび励起フィルタを含む物理フィルタセットであり得るが、これに限定されない。疑似色によって仮想的にではなく物理的に実現される利用可能な色チャネルの数は、使用される顕微鏡システムによって限定される。典型的には、励起および発光波長ならびに対応する光学フィルタに基づく隣接するチャネル間のクロストーク無しで3~5の色チャネルが蛍光顕微鏡によって利用可能である。典型的には、本特許出願において、我々は、2~3のチャネルを使用して異なる光標識をイメージングする(Cy5/700チャネルでCy5、Cy5.5色素をイメージングし、Cy3/600チャネルでCy3、Alexa546、Alexa532色素をイメージングし、Alexa488/500チャネルでAlexa488色素をイメージングする)。より具体的には、例のセクションにおいて、Alexa488/500チャネルは、525/50mの吸収フィルタを備え、Cy3/600チャネルは、600/50mの吸収フィルタを備え、Cy5/700チャネルは、700/75mの吸収フィルタを備える。
【0066】
いくつかの実施形態において、検査のための生体サンプルは、生体サンプルにおける第1標的分子、細胞または組織に直接的または間接的に結合される第1の複数のプローブ、および、生体サンプルにおける第2標的分子、細胞または組織に直接的または間接的に結合される第2の複数のプローブを備える。第1光標識は第1標的に関連し、第2光標識は第2標的に関連し、第1標的に関連する第1光標識の数と、第2標的に関連する第1光標識の数とは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400または500だけ異なる。そのような違いは、(使用される光標識の数に基づく)異なる強度の同一の色(または類似の色)が互いから区別され得ることを確実にすることを助け得る。いくつかの実施形態において、2つの異なる種類の標的を検出するための光標識の数の違いは、200、500、1000、2000、5000または10000より大きくない。
【0067】
いくつかの実施形態において、検査のための生体サンプルは、生体サンプルにおける第1標的分子、細胞または組織に直接的または間接的に結合される第1の複数のプローブ、および、生体サンプルにおける第2標的分子、細胞または組織に直接的または間接的に結合される第2の複数のプローブを備える。第1光標識は第1標的に関連し、第2光標識は第2標的に関連し、第1標的に関連する第1光標識の数と、第2標的に関連する第1光標識の数との比率は少なくとも2である。いくつかの実施形態において、第1標的の関連する第1光標識の数と、第2標的に関連する第1光標識の数との比率は、少なくとも2.5、3、4、5、5.6、7、8または10である。
【0068】
いくつかの実施形態において、プローブは、一本鎖オリゴヌクレオチドまたはペプチドである。いくつかの実施形態において、光標識は蛍光色素、色原体色素、蛍光タンパク質、量子ドット、または他の種類のナノ粒子である。いくつかの実施形態において、第1標的および第2標的は更に、プローブに付着する第2光標識に関連するが、異なる数の第2光標識に関連する。
【0069】
いくつかの実施形態において、プローブはキメラポリマーである。いくつかの実施形態において、キメラポリマーは、天然ポリマー(核酸またはタンパク質など)および合成ポリマーから成る。いくつかの実施形態において、プローブは合成ポリマーである。いくつかの実施形態において、プローブは一本鎖オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、プローブはペプチドである。いくつかの実施形態において、プローブはペプチド核酸(PNA)である。いくつかの実施形態において、プローブは、ペプチドにコンジュゲートされるオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、プローブは、デンドリマーなどの他の合成ポリマーに付着するオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、プローブは、デンドリマーなどの他の合成ポリマーに付着するペプチドである。いくつかの実施形態において、プローブは、多鎖複合体の一部であり得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、DNA、RNA、または、他のリン酸-糖主鎖を有する核酸様構造(例えば、LNA、XNA)を含み得る。いくつかの実施形態において、一本鎖プローブは、非リン酸-糖部分を含む主鎖(例えば、ペプチド核酸およびモルフォリノ)から成る。いくつかの実施形態において、一本鎖オリゴプローブは、ヘアピンループなどの二次構造を含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、標的に関連する複数のプローブは、1つのプローブだけを含む。いくつかの実施形態において、標的に関連する複数のプローブは、異なる配列の少なくとも2つのプローブを含む。いくつかの実施形態において、標的に関連する複数のプローブは、異なる配列の少なくとも4または12のプローブを含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、標的に関連する複数の一次プローブは、少なくとも1つのプローブから成る。いくつかの実施形態において、標的に関連する複数の一次プローブは、異なる標的結合配列の少なくとも2つのプローブから成る。いくつかの実施形態において、標的に関連する複数の一次プローブは、異なる配列の少なくとも5、10、20、30または50のプローブから成る。いくつかの実施形態において、標的に関連する複数の一次プローブは、異なる配列の100以下のプローブから成る。
【0073】
いくつかの実施形態において、第1標的および第2標的は更に、プローブに付着する第2光標識に関連するが、同一の数の第2光標識に関連する。いくつかの実施形態において、第1標的および第2標的は更に、プローブに付着する第2光標識に関連するが、異なる数の第2光標識に関連する。いくつかの実施形態において、第1標的は、プローブに付着する第3光標識に関連し、第2標的は、第3光標識に関連しない。
【0074】
いくつかの実施形態において、第1の複数のプローブの各々は単一の光標識に付着する。いくつかの実施形態において、第1の複数のプローブの少なくとも2つは、2つの異なる光標識に付着する。いくつかの実施形態において、第1の複数のプローブの少なくとも2つは、2より多くの異なる光標識に付着する。
【0075】
いくつかの実施形態において、第1の複数のプローブの各プローブは、2以上の異なる光標識に、または、2以上の異なる数の同一の光標識に付着する。いくつかの実施形態において、第1の複数のプローブの各プローブは、同一の色に関連する。
【0076】
いくつかの実施形態において、標的に関連する複数のプローブは、一次プローブだけから成る。いくつかの実施形態において、標的に関連する複数のプローブは、2階層のプローブ、すなわち一次プローブおよびイメージングプローブ(または、二次プローブと名付けられる)から成る。いくつかの実施形態において、標的に関連する複数のプローブは、2より多くの階層のプローブから成る。いくつかの実施形態において、標的に関連する複数のプローブは、4階層のプローブ、すなわち、一次プローブ、一次アンプリファイア(または一次増幅プローブと名付けられる)、二次アンプリファイア(または二次増幅プローブと名付けられる)およびイメージングプローブから成る。
【0077】
いくつかの実施形態において、検査のための生体サンプルは、生体サンプルにおける第1標的分子、細胞または組織に直接的または間接的に結合される第1の複数のプローブと、生体サンプルにおける第2標的分子、細胞または組織に直接的または間接的に結合される第2の複数のプローブとを備え、各標的は少なくとも2つの光標識に関連し、第1光標識は第1標的に関連し、第2光標識は第2標的に関連し、第1光標識および第2光標識は、第1色チャネルにおいて重複するスペクトラムを有し、第3光標識は、第1標的および第2標的の両方に関連し、第2色チャネルによって検出され、第1標的および第2標的は励起時に2の色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する。いくつかの実施形態において、第4光標識は更に、第1標的および第2標的の両方に関連し、第1標的および第2標的は励起時に3の色チャネルとは異なる比率の信号強度に関連する。
【0078】
いくつかの実施形態において、検査のための生体サンプルは、生体サンプルにおける第1標的分子、細胞または組織に直接的または間接的に結合される第1の複数のプローブと、生体サンプルにおける第2標的分子、細胞、または組織に直接的または間接的に結合される第2の複数のプローブとを備え、各標的は少なくとも2つの光標識に関連し、第1光標識および第2光標識は第1標的に関連し、第3光標識および第4光標識は第2標的に関連し、第1光標識および第3光標識は第1色チャネルにおいて重複するスペクトラムを有し、第2光標識および第4光標識は、第2色チャネルにおいて重複するスペクトラムを有し、第1標的および第2標的は励起時に、2の色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する。いくつかの実施形態において、第4光標識は更に、第1標的および第2標的の両方に関連し、第1標的および第2標的は励起時に3の色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する。いくつかの実施形態において、第5光標識は更に、第1標的および第2標的の両方に関連し、第1標的および第2標的は励起時に3の色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する。
【0079】
いくつかの実施形態において、検査のための生体サンプルは、生体サンプルにおける第1標的分子、細胞または組織に直接的または間接的に結合される第1の複数のプローブと、生体サンプルにおける第2標的分子、細胞または組織に直接的または間接的に結合される第2の複数のプローブとを備え、各標的は、1種類の光標識だけに関連し、第1光標識は第1標的に関連し、第2光標識は第2標的に関連し、第1光標識および第2光標識は第1色チャネルおよび第2第2色チャネルにおける重複するスペクトラムを有し、第1標的および第2標的は励起時に、2の色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する。いくつかの実施形態において、第3光標識は更に、同一サンプルにおける第3標的に関連し、第3光標識は、第1色チャネルおよび第2色チャネルの同一の組み合わせにおける第1光標識および第2光標識との重複するスペクトラムを有し、第1標的、第2標的、第3標的は、励起時に、これら2の色チャネルからの3の異なる比率の信号強度に関連する。
【0080】
いくつかの実施形態において、複数のイメージングプローブの各プローブは、100nm未満、50nm未満、または20nm未満だけ離間したピーク発光波長を有する2つの標識など、部分的または完全に重複する放出スペクトラムの2つの異なる光標識に付着する。いくつかの実施形態において、近い発光波長を有する2または2より多くの光標識の蛍光は、イメージングのために同一の色チャネルを通過する。いくつかの実施形態において、重複する放出スペクトラムを有する2または2より多くの光標識の蛍光は、イメージングのために、少なくとも2の色チャネルを連続的に、または同時に通過する。
【0081】
いくつかの実施形態において、第1の複数のイメージングプローブの各プローブは、第1光標識だけに付着し、第2の複数のイメージングプローブの各プローブは第2光標識だけに付着する。ここで、第1光標識および第2光標識は、部分的または完全に重複する励起または発光スペクトルを有する(100nm未満、50nm未満、または20nm未満だけ離間したピーク発光波長を有する2つの標識など)。光標識の各種類は、少なくとも2の色チャネルによって検出され、強度比率を形成する。異なる光標識は、色チャネルの同一の組み合わせによって検出され、異なる強度比率を生成する。
1.標識方式1および標識方式2
【0082】
色チャネルにおける標的の標識方式1および方式2の強度レベルは両方とも、その色チャネルにおける標的に関連する色素の総数によって決定される。異なる色素は、異なる色チャネルと照合される。しかしながら、標識方式1において、標的に付着する各色素の数は、この標的上のこの色素に関連する標的結合プローブ(すなわち一次プローブ)の数に比例する。したがって、各色チャネルおよび選択された色素について、対応する色素に関連する標的結合プローブ(または一次プローブ)の数は強度レベルを定義するが、一次プローブに関連する色素の数は、強度レベルを定義しない。図2において、パネルaは、標識方式1を実装するもっとも単純な手段である直接標識を示す。基本的に、核酸または他の種類の標的は、任意の他のハイブリダイゼーションに基づく仲介のプローブイメージングプローブ無しで直接付着する。パネルaにおいて、各標的は、各々が光標識に付着する複数のプローブに結合する。標識はレポータ標識と称される。色素が使用される場合、色素は「レポータ」色素と称される。各プローブは1つのレポータ標識だけに付着する。代替的に、各タイプの色素について、プローブあたりの色素の数が同一であり続ける限り、各プローブは、複数の同一タイプの色素とコンジュゲートし得る。図2のaにおける上から下への5つの標的から、Cy3色素に関連するプローブの数と、Cy5色素に関連するプローブの数との間の強度比率コードはそれぞれ、2:0、0:2、1:1、1:2および2:1である。
【0083】
図2のbは、標識方式1を実装するための間接的ラベリング手法を示す。基本的に、核酸または他の種類の標的は、最初に一次プローブに付着し、次に、一次プローブがイメージングプローブに結合する。
【0084】
図2のcは、標識方式1を実装するための分岐DNA増幅手法と共に間接標識を示す。基本的に、核酸または他の種類の標的は、最初に一次プローブに付着し、次に、一次プローブが2階層のシグナル増幅プローブ(第1および二次増幅プローブ)に結合し、最後に二次増幅プローブがイメージングプローブに結合する。必要な場合、より多くの階層の増幅プローブが使用され得る。
【0085】
標識方式2は、異なる方式でこれら同一の比率を実現し得る。標識方式1と対照的に、強度レベルは、各色チャネルに使用される色素の数だけに比例し、標的あたりの標的結合プローブまたは一次プローブの数に関しない。異なる一次プローブは、同一の数および種類の色素に関連する。図3のパネルaは、標識方式2を実装するためのもっとも単純な手段である、任意の仲介プローブ無しの直接標識を示す。各標的は、同一の標的上の異なるプローブについて、同一のセットの光標識を有する多くのプローブに結合する。様々な強度レベルおよび比率コードが、各プローブ上の光標識の数および種類を変化させることによって実現される。例えば、第1標的上で、各プローブは2つのCy3にコンジュゲートされるが、Cy5にコンジュゲートされず、2:0の強度コードに対応する。第5標的上で、各プローブは2つのCy3および1つのCy5にコンジュゲートされ、2:1の強度コードに対応する。
【0086】
図3のbは、標識方式2を実装するための間接的ラベリング手法を示す。基本的に、核酸または他の種類の標的は、最初に一次プローブに付着し、次に、一次プローブがイメージングプローブに結合する。
【0087】
図3のcは、標識方式2を実装する分岐DNA増幅手法と共に間接標識を示す。基本的に、核酸または他の種類の標的は、最初に一次プローブに付着し、次に、一次プローブが2階層のシグナル増幅プローブ(第1および二次増幅プローブ)に結合し、最後に二次増幅プローブがイメージングプローブに結合する。必要な場合、より多くの階層の増幅プローブが使用され得る。
【0088】
光標識の相対強度および比率は、要件を満たすように容易に調節できる。例えば、1:2(赤色:緑色)の強度比率を実現するべく、10の赤色色素を20の緑色色素と混合し得る。異なる比率を実現するべく、10の赤色色素を15の緑色色素と混合し得る。しかしながら、下で更に記載されるように、光標識によって生じる強度の変動、異なる標的および位置間のプローブの結合の変動、ならびに、他の実験条件に起因する不正確な検出を低減または防止するために、色/強度ギャップは、異なる色/強度コード間で意図的に設計され得る。
【0089】
図2および図3に示される実装方式は異なる長所を有し得る。例えば、図2に示される方式は、特に図2のaおよび図2のbに示される直接的および間接的ラベリング手法についてのプローブ設計または合成に関してより単純である。しかしながら、一次プローブが異なる親和性または効率性で標的に結合する場合、結合における均一性の欠如の結果として、設計と異なる色または強度を有する標的の標識がもたらされ得る。そのような違いは、1つの光標識を有するプローブだけに結合する、図2のaにおける第1標的についてはあまり重大でないことがあり得る。しかしながら、設計によって1:1の比率を有するべきである第3標的に対して、より著しい影響を有し得る。Cy5標識プローブの1つが標的への結合に失敗する場合、結果の比率は1:1ではなく2:1となる。図3に示される標識方式2は、そのような問題を回避し得る。なぜなら、標的に結合する各プローブは色素の同一の組み合わせを有するからである。したがって、プローブの一部が標的への結合に失敗した場合でも、結果の標識に対する影響は著しくないことがあり得る。少なくとも色彩比は一定である。例えば、図3のa最後のサンプルにおいて、1つのプローブが標的への結合に失敗した場合、比率はなお2:1である。
【0090】
図2に示される標識方式1は、多くの一次プローブが検出に使用され得、異なる結合領域間の結合の変動が標的に対する多くのプローブの強度の変動に影響しない、長いDNAまたはRNA配列のFISHにより好適であり得ると想定される。他方、図3に示される標識方式2は、限られた数の一次プローブだけが検出に使用され得、異なる結合領域間の結合の変動が標的に対するプローブセットの強度の変動に著しく影響し得る、短いDNAまたはRNA配列により好適であり得る。
【0091】
標識方式1および2は、サンプルにおける異なる標的を標識するために共に使用され得る。例えば、異なる長さの遺伝子転写物から成るRNAパネルについては、より長い転写産物は、図2に示される標識コーディング方式で標識され得、より短い転写産物は、図3に示される標識コーディング方式で標識され得る。
2.標識方式3
【0092】
高容量検出を実現する更に別の手段は、重複する色スペクトルを有する異なる光標識を採用し、その結果、複数の強度レベルは同一の色チャネルを用いて取得され得る。これは図4、パネルa~cに示され、「標識方式3」と称される。この方式において、より暗い光標識(例えば、黄色の蛍光色を有するCy3)は、類似の色または重複するスペクトルを有する、より明るい標識(例えば、より一層明るい黄色蛍光色を有するAlexa546)と共に使用される。典型的には、それらのピーク発光波長は100nm未満だけ離間する。代替的には、それらは50nm未満、40nm未満、20nm未満、10nm未満または5nm未満だけ離間する。
【0093】
図4のaは、標識方式3を実装する直接標識手法を示す。基本的に、核酸または他の種類の標的が、任意の他の仲介するハイブリダイゼーションに基づくプローブ無しで直接的にイメージングプローブに付着する。
【0094】
図4のbは、標識方式3を実装するための間接的ラベリング手法を示す。基本的に、核酸または他の種類の標的は、最初に一次プローブに付着し、次に一次プローブがイメージングプローブに結合する。
【0095】
図4のcは、標識方式3を実装するための分岐DNA増幅手法と共に間接標識を示す。基本的に、核酸または他の種類の標的は、最初に一次プローブに付着し、次に、一次プローブが2階層のシグナル増幅プローブ(第1および二次増幅プローブ)に結合し、最後に二次増幅プローブがイメージングプローブに結合する。必要な場合、より多くの階層の増幅プローブを使用できる。
【0096】
Cy3およびAlexa546の色は、発光スペクトルに関して近い、または重複する。同一の色チャネルを用いて単独で使用され記録される場合、それらは区別が難しいことがあり得る。しかしながら、別の色チャネルからの1~2の他の光標識と組み合わせて使用されるとき、それらの違いは増強され、区別可能になる。これらの色素を正しい色チャネルの組み合わせと(例えば、1つのチャネルを670~720nmの吸収フィルタに、他のチャネルを580~620nmの吸収フィルタに)照合することによって、2つのチャネル間の異なる強度比率を実現できる(図1のbおよび図4)。例えば、図4のaにおいて、第4標的上では明るいCy5が暗いCy3と組み合わされ、第5標的上では暗いCy5.5が明るいAlexa546と組み合わされる。1の色チャネルを使用してCy5およびCy5.5を検出し、他の色チャネルを使用してCy3およびAlexa546を検出することにより、これら2つの標識された標的は、2の色チャネル間の相対強度比率によって区別できる。典型的には、3~4の色素を使用して色素の2つのペアを形成し、Cy5‐Cy3およびCy5‐Alexa546、またはCy5‐Cy3およびCy5.5‐Cy3など、2つの異なる標的を標識する。異なる色素ペアは、異なる強度比率を生成するために同一の2の色チャネルによってイメージングされ得る。
【0097】
したがって、いくつかの実施形態において、検査のために調製されるサンプルが提供され、当該サンプルは、生体サンプルにおける第1標的生体分子に直接的または間接的に結合される第1の複数のプローブと、生体サンプルにおける第2標的生体分子に直接的または間接的に結合される第2の複数のプローブとを備え、プローブの各々は1または複数の光標識に付着し、(a)第1標的は第1光標識に関連し、第2標的は第2光標識に関連し、(b)光標識のこれら2つの異なるタイプは同一または重複する色スペクトラムを有するが、異なる強度を有する。いくつかの実施形態において、光標識のこれら2つの異なるタイプは、少なくとも2倍、2.5、3、4、4.3または5倍異なる、色チャネルにおける異なる強度を有し得る。いくつかの実施形態において、光標識の2つの異なるタイプの異なる強度は、最大10倍、8倍、7.5倍、6.3倍、5倍、または4倍だけ異なる。
【0098】
いくつかの実施形態において、第1標的および第2標的の両方は更に第3光標識に関連する。第1標的に関連する第1光標識および第3光標識を検出し、第1標的の第1強度比率が生成される。第2標的に関連する第2光標識および第3光標識を検出し、第2標的の第2強度比率が生成される。第1強度比率および第2強度比率を比較して、第1標的および第2標的が区別される。
【0099】
また、第1プローブおよび第2プローブを備えるプローブセットが提供され、第1プローブおよび第2プローブはそれぞれ、同一または重複する色スペクトラムを有するが異なる強度を有する第1光標識および第2光標識に付着し、第1プローブおよび第2プローブの各々は更に、第3光標識に付着し、第1プローブおよび第2プローブは光学的に区別可能である。これらのプローブは、異なる標的分子を標的にするのに有用な異なる結合特異性を有し得る。
【0100】
異なるプローブを検出するとき、いくつかの実施形態において、光学的に区別可能なプローブは、強度の違いに起因して、少なくとも2の色チャネルにおける強度比率を比較することによって検出され得る。
【0101】
更に別の実施形態において、検査のために調製されるサンプルが提供され、当該サンプルは、生体サンプルにおける第1標的生体分子に直接的または間接的に結合された第1の複数のプローブと、生体サンプルにおける第2標的生体分子に直接的または間接的に結合される第2の複数のプローブとを備え、プローブの各々は、1または複数の光標識に付着し、(a)第1標的は第1光標識に関連し、第2標的は第2光標識に関連し、(b)これらの2つの異なるタイプの光標識は同一または重複する色スペクトラムを有するが、異なる強度を有し、(c)第1標的は更に第3光標識に関連し、第2標的は更に第4光標識に関連し、(d)第3光標識および第4光標識は同一または重複する色スペクトラムを有するが異なる強度を有する。第1標的に関連する第1光標識および第3光標識を検出し、第1標的の第1強度比率が生成される。第2標的に関連する第2光標識および第4光標識を検出し、第2標的の第2強度比率が生成される。第1強度比率および第2強度比率を比較して、第1標的および第2標的が区別される。
【0102】
第1プローブおよび第2プローブを備えるプローブセットも提供され、第1プローブおよび第2プローブはまた、同一または重複する色スペクトラムを有するが異なる強度を有する第1光標識および第2光標識にそれぞれ付着し、第1プローブおよび第2プローブはそれぞれ、同一または重複する色スペクトラムを有するが異なる強度を有する第3光標識および第4光標識に付着し、第1プローブおよび第2プローブは光学的に区別可能である。これらのプローブは、異なる標的分子を標的にするのに有用な異なる結合特異性を有し得る。
3.間接標識およびシグナル増幅
【0103】
標識方式1-3を使用するとき、いくつかの実施形態において、図2図4のパネルaに示されるように、標的は、光標識に付着されるプローブに直接結合する。代替的な設計において、図2図4のパネルbに示されるように、光標識は仲介プローブを用いて間接的に標的に結合し得る。図2のb、図3のbおよび図4のbにおいて、光標識を有しない一次プローブ(仲介プローブ)は最初に標的に結合し、光標識を有する二次プローブは一次プローブに結合し、複数の強度レベルおよび強度コードを実現する。いくつかの実施形態において、プローブが標的に既に結合した後に、光標識がプローブに付着する。
【0104】
いくつかの実施形態において、図3のパネルbに示されるように、一次プローブはハイブリダイゼーション配列およびリードアウト配列から成る。ハイブリダイゼーション配列はDNAおよびRNA上の標的配列と相補的である。色素標識された二次プローブに結合するためにリードアウト配列が使用される。1つの一次プローブは、最大2のリードアウトプローブに(一方が5'末端、他方が3'末端に)付着し得る。異なる数の色素および複数の異なる種類の色素を標識することにより、異なる強度コードが実現され得る。
【0105】
いくつかの実施形態において、架橋化学を通じて色素がオリゴプローブに付着する。ジスルフィド架橋、アジ化物、またはアルカリ基などの架橋がオリゴプローブに連結され、可逆的または非可逆的いずれかの部位特異的色素-オリゴのコンジュゲーションを容易にする。
【0106】
いくつかの実施形態において、シグナル増幅技術を通じて、標的分子に関連する一次プローブの後に仲介プローブが追加される。いくつかの実施形態において、1より多くの階層の仲介プローブが、一次プローブとイメージングプローブとの結合の間に追加される。いくつかの実施形態において、一次アンプリファイアおよび二次アンプリファイアが、一次プローブとイメージングプローブとの結合の間に追加される。
【0107】
いくつかの実施形態において、図2図4のパネルcに示されるように、分岐DNA増幅技術が単一分子強度コーディングに使用される。パネルcにおいて、1つの標的をより多くの光標識で標識するために、一次および二次プローブ(または一次アンプリファイアと名付けられる)だけでなく、三次プローブ(または二次アンプリファイアと名付けられる)が使用され、その結果、より高い信号強度が実現され得る。ハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)、交換反応によるシグナル増幅(SABER)など他のシグナル増幅技術も使用され得る。
【0108】
いくつかの実施形態において、信号強度は、平衡化または非平衡化分岐DNA増幅によって増幅される。各一次プローブ(すなわち直接標的結合プローブ)は5'および3'末端の両方でアンプリファイアに関連し得る。平衡化分岐DNA増幅については、図3のcの第3標的(2:2において標識される)について示されるように、各一次プローブは、一次プローブの各末端において同一の数の色素に関連する。非平衡化分岐DNA増幅については、図3のcにおける第4標的および第5標的(1:2および2:1において標識される)について示されるように、各一次プローブは、一次プローブの5'および3'末端における色素の異なる数に関連する。
【0109】
いくつかの実施形態において、一次プローブは、5'および3'末端の両方におけるアンプリファイアに関連し、一次プローブは、5'および3'末端における異なる種類の色素に関連する。いくつかの実施形態において、一次プローブは、5'末端および3'末端の両方におけるアンプリファイアに関連し、一次プローブは、5'末端および3'末端における同一の種類の色素に関連する。
【0110】
いくつかの実施形態において、一次プローブとイメージングプローブとの結合の間に仲介プローブを追加するために酵素増幅方法が使用される。酵素増幅の一例はローリングサイクル増幅(RCA)である。図5において、標的固有識別プローブが最初に標的に付着し、次に、標的固有識別子を増幅するためにローリングサイクル増幅(RCA)によるシグナル増幅段階が追加され、最後に、異なる標的の識別情報を有する増幅プローブがイメージングプローブに関連する。これは、核酸および非核酸の両方の標識に使用され得る。
4.標識方式1~3の代替的な標識方式
【0111】
いくつかの実施形態において、強度コーディングのためのレポータ色素を使用する以外に、参照色素が標識のために追加される。この手法は、明細書に記載され開示される標識方式のいずれかに適用され得る。参照色素は、強度コードを形成するために使用されない。むしろ、非特異的結合を特異的結合から区別するために使用される。この参照色素は、非特異的結合シグナルのエラー訂正のための強度コーディングについての色チャネルとは別個の色チャネルによってイメージングされる。強度コーディングされたレポータ色素および参照色素の共局在解析を行うことにより、参照色素についてのチャネルにおいてシグナルを有しない非特異的結合のFISHドットが除去され得る。いくつかの実施形態において、各標的を標識するために、追加の複数の一次プローブに関連する参照色素が追加される(図6)。
【0112】
いくつかの実施形態において、標識方式2および標識方式3を使用するとき、区別された標識手法が使用される。換言すると、異なる光標識が、同一の標的についての一次プローブの異なるセットに関連する(図7)。
【0113】
いくつかの実施形態において、標的に対する異なる光標識に関連する異なる一次プローブが、交互の順序で標的に結合する。この手法により、割り当てられた強度コードの強度の変動に対する異なる標的領域間の様々な一次プローブの結合親和性の変動の影響を最小化できる。標識方式2を例にとると、図8のbに示されるように、1:2の強度コードを有する第1RNA標的(2の色チャネルがCy3およびCy5のオーダに従う)について、2つごとの一次プローブが、RNA標的に沿ってグループを形成する。各グループは、1つのCy3色素に関連する1つの一次プローブ、および、2つのCy5色素に関連する1つの一次プローブを含む。図8のbにおける2:1の強度コードを有する第2RNA標的については、2つごとの一次プローブも、RNA標的に沿ってグループを形成する。各グループは、2つのCy3色素に関連する1つの一次プローブ、1つのCy5色素に関連する1つの一次プローブを含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、図9に示される代替的標識方式3が使用される。この代替的標識方式3において、標的を標識するために1つの光標識だけが使用される(図9)。異なる標的が、色チャネル(少なくとも2つ)の同一の組み合わせにおける重複する励起または発光スペクトルを有する異なる光標識で標識される。例えば、Alexa647およびAlexa700がこの方式に使用され得る(図10、例10)。各光標識は、色チャネル(少なくとも2の色チャネル)の同一の組み合わせによってイメージングされ、異なる光標識は、これらのチャネルにおける標識の強度を比較することによって異なる強度比率を生成する。典型的には、標識のために、一本鎖DNAオリゴまたはPNAなどのオリゴヌクレオチドまたはペプチドプローブに光標識が付着する。
【0115】
いくつかの実施形態において、代替的標識方式3を実現するために間接標識が使用される。いくつかの実施形態において、代替的標識方式3を実現するために間接標識およびシグナル増幅が組み合わされる。いくつかの実施形態において、代替的標識方式3を実現するために間接標識および分岐DNAシグナル増幅が組み合わされる。いくつかの実施形態において、代替的標識方式3を実現するべく、1つの一次プローブおよび1つのイメージングプローブが、標的を検出するために使用される。いくつかの実施形態において、少なくとも2または4の一次プローブが、第1標的および第1光標識に関連する。いくつかの実施形態において、少なくとも12の一次プローブが、第1標的および第1光標識に関連する。いくつかの実施形態において、少なくとも24の一次プローブが第1標的に関連する。
【0116】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つの標的を検出するために、代替的標識方式3は、標識方式2または方式1と組み合わされる。例えば、標的AおよびBを検出するべく、標的Aの各コピーは1つの色素Aによって標識され、標的Bの各コピーは20の色素Bによって標識される。これら2つの色素は2の色チャネル、および、これら2つの標的についての生成された2つの異なる強度比率によって検出される。標的Aは、2:1の強度コードによってエンコードされ、標的Bは、1:2の強度コードによってエンコードされる。
【0117】
いくつかの実施形態において、検査のための生体サンプルは、生体サンプルにおける第1標的分子、細胞または組織に直接的または間接的に結合される第1の複数のプローブと、生体サンプルにおける第2標的分子、細胞または組織に直接的または間接的に結合される第2の複数のプローブとを備え、各標的は、1種類の光標識だけに関連し、第1光標識は第1標的に関連し、第2光標識は第2標的に関連し、第1光標識および第2光標識は第1色チャネルおよび第2第2色チャネルにおける重複するスペクトラムを有し、第1標的および第2標的は励起時に、2の色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する。いくつかの実施形態において、同一のサンプルにおいて、第1光標識および第2光標識は、第3色チャネルにおける重複するスペクトラムを有し、第1標的および第2標的は励起時に、3の色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する。いくつかの実施形態において、同一のサンプルにおいて、第1標的に関連する第1光標識の数と、第2標的に関連する第2光標識の数との比率は少なくとも2である。いくつかの実施形態において、第1標的に関連する第1光標識の数と、第2標的に関連する第2光標識の数との比率は、少なくとも4、4.5、6、7.2、8または10である。
5.スパースコーディング
【0118】
いくつかの実施形態において、重複率(種割り当てのエラー率)を低減し、強度コーディングのスパース性を制御するために、可能なコードのエラーロバストなサブセットが実際の適用に選択されるべきである。例えば、N=2、M=2の場合、2:0、0:2、1:1、2:2のコードを除去することにより、2の色チャネルだけを有する4の異なる強度の組み合わせ(1:0、0:1、1:2、2:1)をなお残したまま、強度の重複が5%未満まで低減し得る(例1を参照)。
【0119】
いくつかの実施形態において、異なる強度の光標識が異なるプローブによって採用されるとき、近隣の強度レベルの差が閾値より上であることを確実にすることは、強度レベルが低く、または高くシフトするときに不正確な検出を低減する上で有用であり得る。不正確な検出は、限定的な検出能力、色収差、異なるプローブ結合効率、光標識の強度の変動、または、異なるプローブがそれらの標的に対する異なるアクセス性を有することの結果であり得るが、これらに限定されない。例えば、5つCy3色素および1のCy5色素に結合する標的DNAは、1のCy3色素および1のCy5色素に結合する別の標的DNAから容易に区別可能であり得るが、4のCy3色素および1のCy5色素に結合する更に別の標的DNAから容易に区別可能でないことがあり得る。
【0120】
いくつかの実施形態において、第1標的に関連する第1光標識と、第2標的に関連する第1光標識との比率は、少なくとも2、2.5、3、3.4、4または5倍異なる。いくつかの実施形態において、第1標的に関連する第1光標識と、第2標的に関連する第1光標識との強度比率は、少なくとも2、2.5、3、3.4、4または5倍異なる。
【0121】
いくつかの実施形態において、第1標的に関連する第1光標識と、第2標的に関連する第1光標識との比率は、100倍以下だけ異なる。いくつかの実施形態において、第1標的に関連する第1光標識と、第2標的に関連する第1光標識との比率は、50倍以下だけ異なる。いくつかの実施形態において、第1標的に関連する第1光標識と、第2標的に関連する第1光標識との比率は、10倍以下だけ異なる。
【0122】
いくつかの実施形態において、第1標的に関連する第1光標識の数、および、第2標的に関連する第1光標識の数は、少なくとも2だけ異なる。換言すると、2つの異なる標的分子は、両方とも同一の光標識、ならびに、同一の数およびタイプの他の光標識に結合するとき、1つの光標識だけ異なることはない。そのような構成の1つの特定の例として、奇数の数の特定の光標識のだけが生体サンプルにおいて使用される。別の例において、偶数の数の光標識だけが使用される。
【0123】
いくつかの実施形態において、第1標的に関連する第1光標識の数、および、第2標的に関連する第1光標識の数は、少なくとも10、20、40、100、500または1000だけ異なるが、これらに限定されない。
【0124】
いくつかの実施形態において、第1標的に関連する第1光標識の数、および、第2標的に関連する第1光標識の数は、1000、980、900、800、750、620、500、400、300、200、120、または、1000未満の任意の他の整数未満だけ異なる。いくつかの実施形態において、第1標的に関連する第1光標識の数、および、第2標的に関連する第1光標識の数は、100、95、80、70、65、50、または、100未満の任意の他の整数だけ異なる。
【0125】
いくつかの実施形態において、標識方式3を使用するとき、100nm未満離間したピーク発光波長を有する2つの光標識は、2つの異なる標的に関連し、同一の色チャネルで検出される。しかしながら、スペクトルの重複を低減し、コーディングのスパース性を増加させるべく、第1光標識のピーク発光波長は、第2光標識のピーク発光波長から5nm以上離間する。代替的に、それらは、10nm以上、15nm以上、18nm以上または20nm以上離間する。
【0126】
いくつかの実施形態において、強度コーディング方式に使用される任意の2つの強度レベル(0を除く)の間の強度差(強度分布ヒストグラムのピーク、平均、または中間強度によって定義される)は、少なくとも2、2.5、3、3.4、4、4.6、または5倍だけ離間する。例えば、M=3のコーディング方式では、レベル2の強度は、レベル1の2倍である。レベル3の強度は、レベル2の2倍、レベル1の4倍である。いくつかの実施形態において、強度コーディング方式に使用される任意の2つの強度レベル(0を除く)の間の強度差は、少なくとも3倍だけ離間する。例えば、M=3のコーディング方式では、レベル2の強度は、レベル1の3倍である。レベル3の強度は、レベル2の3倍、レベル1の9倍である。2つの強度レベル間の差は、特定の倍に限定されない。倍の差はまた、整数に限定されず、3.5倍、5.2倍または10.6倍などの小数であり得る。
6.複数の標識方式の組み合わせ
【0127】
いくつかの実施形態において、隣接する強度コードの強度ギャップおよび検出精度を増加させるために、複数の標識方式が組み合わされる。いくつかの実施形態において、同時に標的パネルにおける異なる標的を標識するために、複数の標識方式が使用される。例えば、パネルにおける第1標的を検出するために標識方式1を使用し、同一パネルにおける第2標的を検出するために標識方式3を使用する。いくつかの実施形態において、同一の標的を標識するために複数の標識方式が組み合わされる。例えば、標識方式2および方式3を組み合わせてパネルにおける第1標的を検出し、標識方式1および方式3を組み合わせて同一パネルにおける第2標的を検出する。
【0128】
いくつかの実施形態において、2つの強度コードの分離をより良くするために標識方式2および方式3が組み合わされる。例えば、Cy5‐Cy3(一次プローブあたり1のCy5色素および1のCy3色素)およびCy5.5‐Alexa546(一次プローブあたり1のCy5.5色素および1のAlexa546色素)の色素ペアだけを使用して2の標的を標識するのではなく、2Cy5‐Cy3(一次プローブあたり2のCy5色素および1のCy3色素)を使用して第1標的を標識し得、Cy5.5‐2Alexa546(一次プローブあたり1のCy5.5色素、および、2のAlexa546色素)を使用して第2標的を標識し得る。
【0129】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つの標的を検出するために、区別された標識、および、標識方式3が組み合わされる。例えば、重複するスペクトラム(Cy5、Cy5.5は色チャネル1において重複する放出スペクトラムを有し、Cy3、Alexa546は、色チャネル2において重複する放出スペクトラムを有する)を有する4の色素を使用して、2つの標的AおよびBを検出する。標的Aを検出するためにCy5およびCy3が共に使用されるが、これら2つの色素は、一次プローブの2つの異なるセットに関連する。標的Bを検出するためにCy3およびAlexa546が使用されるが、これら2つの色素は、一次プローブの2つの異なるセットに関連する。
【0130】
いくつかの実施形態において、天然の核酸との間の場合と比較して、天然の核酸に対するより高い結合親和性を有する、LNA、PNAおよびゼノ核酸(XNA)など、非天然の核酸および非核酸ベースの分子が、一次プローブ、増幅プローブ、イメージングプローブなどの異なる種類のプローブに使用され得る。そのような使用により、DNA/RNA標的のゲノム分解能が増加し得る。換言すると、同一の標的に対して天然のオリゴヌクレオチドを使用する場合と比べて、プローブあたりより短い配列を有するより多くのプローブが、この手法を用いて設計され得る。この方策は上のすべての標識方式に当てはまる。
【0131】
いくつかの実施形態において、PNAおよび天然ヌクレオチドのハイブリッドなど、ペプチドおよびオリゴヌクレオチド配列のハイブリッドがプローブとして使用される。
7.標識方式4
【0132】
単一分子レベルにおける強度レベルおよび分布を調節するための更に別の手段は、蛍光増感、または、蛍光消光を用いる。これは標識方式4と名付けられる。この方式は、強度の変動を調節する、または、新しい強度レベルを形成するために使用され得る。蛍光増感または消光は、レポータ色素を強度増強分子または消光化学基とコンジュゲートすることによって生じ得る。図11に示されるように、BHQ(ブラックホールクエンチャー色素)のような消光化学基に色素を関連させ、別の色素に色素を関連させてFRET色素ペアを形成する(Cy3およびCy5を共に連結するなど)、標的核酸配列に沿った隣接する色素の距離を短縮するなど、蛍光消光を誘導するために複数の手段が利用され得る。
【0133】
いくつかの実施形態において、標的に関連する少なくとも1つの光標識は、より多くの同一の光標識に付着する。いくつかの実施形態において、標的に関連する少なくとも1つの光標識は、FRETによって光標識を消光し得る異なる光標識に付着する。いくつかの実施形態において、標的に関連する少なくとも1つの光標識は、BHQのようなクエンチャー化学群に付着する。いくつかの実施形態において、標的に関連する同一の光標識の少なくとも2つは、10以下のヌクレオチドだけ離間する。
【0134】
オリゴプローブの標識密度を増加させることにより、光学消光を誘導し得る。例えば、100ntのオリゴを5未満の光標識に関連させることは、消光を誘導しないことがあり得るが、光標識を5つより多くの光標識に増加させることは、蛍光色素分子消光を誘導する。いくつかの実施形態において、オリゴプローブは複数の光標識に関連し、プローブ配列は100ntごとに5より多くの光標識に関連する。いくつかの実施形態において、オリゴプローブは複数の光標識に関連し、その結果、100ntごとのプローブ配列は、6、8、10または15より多くの光標識に関連する。いくつかの実施形態において、オリゴプローブは複数の光標識に関連し、その結果、100ntごとのプローブ配列は、50、60、80、または100より多くの光標識に関連する。
【0135】
いくつかの実施形態において、標的を標識するために、標識方式4は他の標識方式と組み合わされる。いくつかの実施形態において、標的を検出するために、標識方式4および2が組み合わされる。いくつかの実施形態において、標的を検出するために、標識方式2、3および4が組み合わされる。
8.非核酸ベース標的の高容量検出
【0136】
高容量in‐situ生体分子検出:in‐situ RNAおよびDNA検出のために開発された強度コーディング技術は、タンパク質、脂質、糖分子、他の生体分子in‐situ検出、エピゲノム改変、および、エピトランスクリプトーム改変などに拡張され得る。一般的な標識シナリオでは、最初に非核酸標的を標的特異的オリゴヌクレオチドまたはペプチド配列(PNAなど)に付着して強度バーコードを標的に割り当て、次に、ハイブリダイゼーションによって、強度コーディングされた検出プローブを標的特異的オリゴまたはペプチドに関連させる。標的特異的オリゴヌクレオチドまたはペプチドは、様々な種類のリンカまたは仲介分子を通じて標的分子に付着し得る。
【0137】
いくつかの実施形態において、異なる標的が、異なる種類の一次プローブに関連する。いくつかの実施形態において、異なる標的が、異なる数および種類の一次プローブに関連する。いくつかの実施形態において、少なくとも第1標的が、2または2より多くの一次プローブに関連する。いくつかの実施形態において、第1標的は2または2より多くの同一の一次プローブに関連する。いくつかの実施形態において、第1標的は2または2より多くの異なる一次プローブに関連する。
9.高容量in‐situタンパク質検出
【0138】
タンパク質標的を標識するための標識方式は、図12に示され、下に記載される。一実施形態において、タンパク質は一次抗体によって認識される。一次抗体は、標的特異的一次オリゴヌクレオチドまたはペプチド核酸(PNA)に付着する。異なる種類のタンパク質が、異なる標的の特異的一次オリゴヌクレオチドまたはペプチド核酸に関連する。次に、異なる強度比率コードを実現するべく、異なる標的特異的一次プローブを認識するために光プローブが追加され得る。個別のタンパク質を検出するために、ローリングサイクル増幅、分岐DNA増幅などのシグナル増幅技術が、オリゴおよび抗体結合化学の上に更に追加され得、その結果、より高い強度レベルおよび様々な強度比率コードが実現され得る。
【0139】
いくつかの実施形態において、部位特異的標識を容易にするために、タンパク質は、ビオチン、GFP、HAタグ、SNAPタグ、Haloタグなどの小さい、または大きい分子に付着し得る。異なるタンパク質は、異なる抗体によって認識される異なるエピトープを有する。異なる抗体が異なる標的特異的一次プローブに付着する。異なる強度比率コードを実現するために、異なる一次プローブは、異なる光プローブによって検出される。
【0140】
いくつかの実施形態において、異なるタンパク質標的は、異なる種類の一次プローブに関連する。いくつかの実施形態において、異なるタンパク質標的は異なる数の一次プローブに関連する。いくつかの実施形態において、少なくとも第1タンパク質標的は2または2より多くの一次プローブに関連する。いくつかの実施形態において、第1タンパク質標的は、2または2より多くの同一の一次プローブに関連する。いくつかの実施形態において、第1タンパク質標的は、2または2より多くの異なる一次プローブに関連する。
10.後成的修飾の高容量in‐situ検出
【0141】
後成的修飾とは、DNAまたはRNAメチル化、ヒストン修飾など、ヌクレオチド配列の変更を伴わない、ゲノムに対する機能関連の変更を指す。強度コーディングを行うために、これらの修正は最初に、後成的修飾を認識してそれに結合するオリゴ付着抗体または任意のオリゴ付着分子を用いて検出され得る。次に、これらのオリゴは、一次プローブとして機能し異なる強度でコーディングされたプローブと更にハイブリダイズし、様々な強度比率コードを実現し得る。典型的には、分岐DNA増幅、またはローリングサイクル増幅などのシグナル増幅技術が、オリゴ標識抗体と組み合わされて、様々な強度レベルおよび強度比率コードを実現する。
11.高容量細胞検出
【0142】
強度比率コーディングによる高容量検出は、限られた数の色および限定された種類の光標識を有する複数の細胞集団を検出、区別、ソートするために使用され得る。当該シナリオでは、RNAおよびタンパク質などの細胞タイプ特異的バイオマーカを通じて異なる細胞タイプを標識する(図13のa)。異なる細胞マーカは、異なる強度でコーディングされた光プローブに関連する。例えば、ここで開発された強度比率コーディングは、4のタンパク質、CD34、CD45、CD9、汎サイトケラチンを共に検出するために使用され得る。これら4の各タンパク質は細胞マーカである。したがって、少なくとも4の細胞タイプが、これら4のタンパク質の強度バーコーディングによって区別され得る。
12.高容量in-vitro分子または粒子検出
【0143】
強度比率コーディングによる高容量検出は、単一分子または単一粒子をin vitroで検出および区別するために使用され得る。例えば、図13のbに示されるように、個別のタンパク質がガラス基板上にランダムかつ疎に捕捉されて、異なる強度比率コードを有するオリゴプローブによって検出され得る。代替的に、図13のcに示されるように、異なる種類の分子が、基板上に捕捉され得、整列されたパターンで、互いに空間的に離間され得る。次に、異なる位置における異なるグループの分子が、強度コーディングされた光プローブによって検出され得る。
D.光学セットアップ
【0144】
光学セットアップ:強度コーディングされたサンプルイメージングの場合、少なくとも2つの種類の計器、すなわち顕微鏡およびフローサイトメトリーが使用され得る。顕微鏡イメージングの場合、生体サンプルは典型的には、ガラススカフォールド上に付着し、CCDまたはカメラを有する顕微鏡によってイメージングされる。顕微鏡を通じた強度イメージングの最高のパフォーマンスのために、最良のシグナル対バックグラウンド比およびシグナル対ノイズ比率を有する高品質画像を実現するために、スピニングディスク共焦点顕微鏡.などのレーザ励起蛍光顕微鏡、および、EMCCDまたはsCMOSカメラなどの高感度カメラが必要である。フローサイトメトリーの場合、サンプルは、強度バーコードプローブで標識され、次に、PMTによって検出される。しかし、いくつかの他のサンプルの場合、それらは、プレートリーダなど他の種類の計器によって検出される。
E.画像解析:正規化およびエラー訂正
1.強度正規化
【0145】
この段階は、FISHスポットなどの光学スポットに関するすべての色チャネルの強度値を個別の強度比率に変換するために使用され得る。RNA FISHを例にとると、RNAエンコードに使用される強度コードに応じて、異なる色チャネル間の各色チャネルまたは相対強度比率の絶対強度値が、FISHスポットの強度比率を計算するために使用され得る。例えば、1:1および2:2の2つの色コーディング方式を使用して2つのRNA種を標識する場合、各FISHスポットの強度比率を計算するために絶対強度値が使用される必要がある(例1を参照)。しかしながら、全コードスペクトルからのコードの一部だけが、任意の2つの強度コード間の強度重複を最小化するために使用される場合、異なるチャネル(少なくとも2の色チャネル)間の相対強度だけを使用して、強度比率を計算し得る(例1を参照)。
2.参照強度コードマップを使用するコード割当
【0146】
上に記載されたように、スパースコーディングの使用は、近隣の強度間の好適な空間を残すことを助け、それにより、重複するシグナルを低減しエラーを低減し得る。それにもかかわらず、いくつかの実施形態において、シグナル読み取り精度を更に確実にするためにエラー訂正が採用され得る。
【0147】
いくつかの実施形態において、エラー訂正は、各強度コードの強度の変動(または強度比率の変動)の正確な測定、および、その対応するプローブ設計方式を必要とする。各強度コードの強度の変動は、厳密なプローブ配列設計、光標識の設計、関心のある標的、使用されるサンプル、染色およびイメージング条件など、複数の要因に関するプローブ標識方式の強度の変動によって決定される。すべての強度コードの強度の変動の参照マップは、参照サンプルを用いて測定され得る。そのような参照強度コードマップに基づき、強度コードの強度分布の境界、およびその標識方式が決定され得る(例4を参照)。任意の2つの強度コードの重複比率も、適宜決定され得る。
【0148】
強度の変動、および、強度コードの重複割合を測定する単純なシミュレーションが例1に示される。
コード割当およびスポット除去
【0149】
図1のcに示されるように、理想的には、光学画像からの各FISHスポットまたは強度スポットは、強度座標マップにおける、スポットの測定された強度(または強度比率)と、予め決定された強度コードの中央強度(または強度比率)との距離に基づいて、もっとも近い強度コードに割り当てられる。2つの近く強度コードへの距離が等しいスポットは破棄される。
【0150】
強度距離を計算する式は以下の通りである。
【数1】
【0151】
式においてDは、予め決定された強度コードの中央強度に対する、実験サンプルからの強度スポットの測定された強度の距離を表す。(x,y,z,...)は、特定の色チャネルにおける強度スポットの測定された強度を表す。(x,y,z,...)は、ここでは格子強度座標と名付けられる、特定の色チャネルにおける予め決定された強度コードの個別の強度を表す。3より多くの色を使用する強度コーディング方式の場合、x、yおよびz以外の追加の変数が上の式の右側に追加され得る。
【0152】
N=2およびM=2(2つの色および2つの強度レベル)を例にとると、強度コードは1:2の強度を有する(色チャネル1における強度は1、色チャネル2における強度は2)。x=1、y=2は、2つの色または2次元の強度座標マップ上のこのコードの位置を表す。FISHスポットから測定された強度が1:1.7である場合、x=1、y=1.7である。周囲の4つの格子座標に対する距離を計算することにより、このFISHスポットを1:2の強度コードに割り当てることができる。FISHスポットからの測定された強度が1:1.5である場合、x=1、y=1.5である。周囲の4つの格子座標への距離を計算することにより、格子座標(1,1)および(1,2)に対して等しい距離を有する。このFISHスポットは、コード割当の曖昧性に起因して除去される。
【0153】
実際には、様々な要因がプローブ標識方式の強度分布を変更し得る。そのため、選択されたプローブ標識方式の強度分布および対応する強度コードは、強度座標マップにおいて不規則境界を有し得る(図1のd)。すべての強度スポットを正しい強度コードに割り当てるべく、すべての強度コードの境界は、参照サンプルを使用して実験的に決定される必要がある。実験サンプルと同様の参照サンプルにおける設計された強度コードおよび標識方式を用いて関心のある標的を標識することにより、各標識方式の強度分布およびその対応する強度コードは別々に測定され得る。次に、参照サンプルから生じるすべての強度スポットの密度分布に基づいて、境界が決定され得る。実験サンプルからの強度スポットの測定された強度を、参照サンプルを用いて決定された境界と比較することにより、強度が強度コードの境界に位置する場合に、このスポットには対応する強度コードが割り当てられ、そうでない場合、除去される。強度が2つの強度コードの2つの境界に位置する場合、このスポットは、割り当ての曖昧性に起因して除去される。
【0154】
強度コードの境界を決定する1つの手段は、下の式を使用して、強度座標マップにおける任意の2つの強度スポットの強度距離を測定することである。
【数2】
当該式において、Dは、参照サンプルからの別のランダム強度スポットの測定された強度に対する、参照サンプルからのランダム強度スポットの測定された強度の距離を表す。(x,y,z,...)および(x,y,z,...)は、特定の色チャネルにおけるランダム強度スポットの測定された強度を表す。3より多くの色を使用する強度コーディング方式の場合、x、yおよびz以外の追加の変数が上の式の右側に追加され得る。特定の範囲より下の強度距離を有する強度スポットは、共にグループ化され得、強度スポットのクラスタを形式し、したがって、クラスタ、すなわち強度コードの境界を生成する。
エラーロバスト強度コーディング
【0155】
強度コーディングの場合、標識方式の予め決定された強度コードの中央位置に対する、実験的な強度比率の距離に基づくエラー訂正方式が使用される(図1のc)。具体的には、よりロバストな検出の場合、2つの隣接する格子座標に対する距離の差が、2つの色強度コーディングについて±0.01など特定の範囲内にある場合、実験的な比率が曖昧性を有するとみなし、コード割当についての対応するFISHスポットを破棄し得る。
【0156】
実際には、強度コーディングについてのエラー訂正方式は、参照サンプルにおける強度コードの強度分布に基づいて参照強度コードマップを生成する(例4)。実験サンプルからの強度スポットの強度を、参照強度コードマップにおけるすべての強度コードの強度境界と比較することにより、強度スポットは、正しい強度コードを割り当てられ得る、または、除去され得る。
【0157】
別のエラー訂正は、全体のコードスペースのスパース性を利用する。HC-smFISHおよび強度コーディングによる高容量検出におけるエラーの1つの主要な原因は、2つの強度コード間の重複する強度であり、これにより、強度コードのミスアライメントがもたらされる。このエラーを解決するべく、2つの隣接する強度コード間の強度ギャップ、および、全体のコードスペースにおいて使用されるコードのスパース性を増加させるように、単に、利用可能な強度コードの一部を選択し得る。
F.強度コーディングのイメージング方式の概要
【0158】
まとめると、本発明は、限られた数(この数はNとして示される)の色チャネルおよび様々な光標識(異なる標識の数はLとして示される)を使用して、利用可能な色チャネルの数より多い、多くの異なる標的(異なる標的の数はPとして示される)を検出する方法を提供する。典型的は、検出される標的の数は、式P≧2(N≧1)で示され得る。いくつかの実施形態において、我々は、色チャネルの数より多くの光標識を使用して、P種類の標的(P>N、L>N)を検出する。これは標識方式3に該当する。いくつかの実施形態において、我々は、色チャネルの数と同一の数の光標識を使用して、P種類の標的(P>N、L=N)を検出する。これは標識方式1および2に該当する。いくつかの実施形態において、我々は色チャネルの数に等しい数、または、より多くの光標識を使用して、P種類の標的(P>N、L≧N)を検出する。これは、代替的標識方式3に該当する。ハイブリダイゼーションに基づくプローブに限定されない、ハイブリダイゼーションに基づくプローブアッセイは典型的には、ここでは様々な強度コーディング方式を実装するために使用される。
【0159】
以下の例は、開示の特定の実施形態を実証するために含まれる。以下の例に開示される技法は、開示の実践において良く機能するための技法を表したものであり、したがって、実践のための具体的なモードを構成するものとみなされ得ることが、当業者によって理解されるはずである。しかしながら、当業者であれば、本開示に鑑み、開示される特定の実施形態において多くの変更が加えられ得る、開示の思想および範囲から逸脱することなく、類似または同様の結果をなお得ることができることを理解するはずである。
例1
単一分子RNA FISHの強度の変動、および、2色のHC-smFISHのシミュレーション
【0160】
単一分子RNA FISH:LGC Biosearch TechnologiesのTFRC mRNAプローブを使用する高速RNA FISHがHeLa細胞において行われた。TFRCプローブは、48のオリゴプローブを含む。各プローブは20nt長であり、5'末端において1つのQuasar570色素で標識した。サンプルイメージングのために8ウェルガラス底培養チャンバ(Ibidi)が使用された。細胞は、4%パラホルムアルデヒド(PFA; Electron Microscopy Sciences)において室温で5~10分間固定され、次に、純メタノール(Sigma)で5~10分間透過処理された。次に、サンプルは以下の段階、すなわち、(1)75℃で10分間、ドライバスにおける、80%ホルムアミド(Sigma)および2×SSC緩衝液における完全熱変性、(2)10%ホルムアミド、20%硫酸デキストラン(Sigma、MW>500,000)および2X SSCのハイブリダイゼーションバッファにおける、10分間のハイブリダイゼーション時間での短いDNAオリゴヌクレオチドプローブの追加、(3)2×SSC緩衝液2~3回による洗浄、(3)サンプルのイメージングで処理された。プローブ濃度は、ハイブリダイゼーション中、100nMであった。
【0161】
イメージングセットアップ:蛍光画像は、Plan apo VC 100X 1.45 N.A.油浸対物レンズを有する反転蛍光顕微鏡(Ti-E; Nikon, Melville,ニューヨーク州)上で捕捉された。Andor Borealis CSU-W1スピニングディスク共焦点が顕微鏡本体の左ポートに連結された。DAPI、FITC、Cy3およびCy5チャネルにおける蛍光励起および発光を生じさせるべく、4のレーザ(405、561、640nmで100mW、488nmで150mW)が装備された。入射するレーザのために、CSU-Wにおける内部ダイクロックが使用された。スピニングディスク共焦点イメージングのために、追加の励起フィルタは使用されなかった。4のレーザが使用され、4の吸収フィルタ(Chroma)と照合された(405nmレーザと450/50mの吸収フィルタ、488nmレーザと525/50mの吸収フィルタ、561nmレーザと600/50mの吸収フィルタ、640nmレーザと、700/75mの吸収フィルタ)。すべての吸収フィルタは、駆動フィルタホイール(Lambda 10-B; Sutter Instrument, Novato, カリフォルニア州)内に搭載された。サンプルのxyおよびz方向の並進を制御するために、駆動顕微鏡ステージ(Applied Scientific Instrumentation (ASI), Eugene, オレゴン州)が使用された。蛍光像は、200msの曝露時間で、sCMOSカメラ(Andor Zyla 4.2 sCMOSカメラ)を用いて記録された。顕微鏡、光源、駆動ステージ、駆動フィルタホイール、およびカメラは、ソフトウェアMicro-Manager (www.micro-manager.org)におけるカスタム構成を通じて制御された。
【0162】
画像解析:画像は最初に、ピクセルノイズおよび長波長画像変動を抑制する実空間バンドパスフィルタを用いて処理された。バンドパス画像は次に、蛍光スポットの中心の大まかな推測を提供するピクセルレベル精度で極大値を見つけるためにアルゴリズムが適用される。非特異的結合プローブから生じるバックグラウンド信号から蛍光スポットを区別するために、強度閾値はこの段階においてセットアップする必要があった。この段階において、我々は単に、蛍光スポットが無いエリアの平均強度の4倍の強度を有するスポットを選択した。選択された極大値は次に、ガウシアンフィッティングのアルゴリズムによって更にフィッティングされ、蛍光スポットの位置の強度、スポット数およびサブピクセル解像度を実現し、すべての合理的な蛍光スポットは10ピクセル×10ピクセルの領域に制限されると想定した。
【0163】
結果および考察:比率1:0は、単一のQuasar570色素標識TFRCプローブによって検出された790のスポットからの実験結果である。比率2:0および3:0は、スポットあたり、それぞれ2倍の強度および3倍の強度を有する、比率1;0に基づくシミュレーションデータである。比率2:0は、比率1:0と40%のスポット重複を有する。比率3:0は、比率1:0と5%未満のスポット重複を有する。Quasar570標識されたTFRCスポットの強度の変動は、スポット重複または識別失敗率5%未満で、2つの比率1:0および3.0を非常に良く分離することが可能であることを示す(図14のb)。
【0164】
ここではTFRC転写産物(LGC Biosearch Technologies)についての単一のQuasar570色素標識オリゴプローブの強度分布がシミュレーションに使用された。
【0165】
シミュレーションは以下のように行われた。
(1)我々は最初に、例4における単一色素標識TFRC RNA分子の実験結果から強度の分布(光子の数)を取得し、ヒストグラム解析を行った。
(2)次に我々は、ヒストグラムに従って異なる数の光子の確率密度関数(PDF)をフィッティングした。
(3)PDFに基づいて、我々は各比率についてデータセットをシミュレートすることができた。PDFはすべての値の確率を提供するので、我々のシミュレーションは、Matlab(登録商標)(R2016a)において乱数発生器を使用して、それらの確率に従って乱数を生成した。例えば、1:0の場合、我々は単に、PDFを使用して500の値をシミュレートした。それは1:0データについての500のドットのx値を提供した。
(4)強度比率1:1の500のドットをシミュレートするべく、我々は、段階2のPDFからの500の値をシミュレートして500のドットのx値を提供し、次に、500のドットのy値を提供するために同一のPDFからの別の500の値をシミュレートした。なぜなら、ドットのx値およびy値は独立であり、我々の現在のシミュレーションにおいて想定されるものと同一のPDFに従うからである。
(5)強度比率1:2の500のドットをシミュレートするべく、我々は、段階2から取得されたPDFおよび同一のPDFの畳み込みを通じて、より高い強度レベル(ここでは2倍の強度)についてPDFを計算した。次に、段階4で我々が行ったように、我々は強度比率1:2をシミュレートした。
(6)強度比率1:3の500のドットをシミュレートするべく、我々は、単一色素についての段階2からのPDF、および、2つの色素についての段階5からのPDFの畳み込みを通じて、より高い強度レベル(ここでは3つの色素)についてのPDFを計算した。次に、段階4において我々が行ったように、我々は強度比率1:3をシミュレートした。
【0166】
図14のcは、ドットのシミュレーション結果が、2色および2強度レベル(N=2およびM=2)と重複することを示す。比率1:0、2:0、0:1、0:2は、中間の4の強度比率から非常に良く分離し得る。なぜなら、最初の4の比率の1の色チャネルはシグナルを有しないからである。中間の4の強度比率の間の重複割合は下の表に列挙される。1:1&2:2、および、1:2&2:1の重複割合は10%未満である。これは、下の表において列挙されるように10~70%の間である他の4の組み合わせより著しく小さい。
【表1】
【0167】
図14のdは、ドットのシミュレーション結果が2色および2強度レベルと重複するが、第1強度レベルと第2強度レベルとの間により大きい強度ギャップがあることを示す。第2強度レベルは平均で、第1強度レベルの3倍の強度を有する。任意の2つの強度比率コードの重複割合は、1%未満であり、これは、下の表に列挙されるように、互い非常に良く離間していることを意味する。FISHイメージングの同一ラウンドにおいて、これら8のコードを8のRNA検出に使用する場合、99%より多くのFISHドットが正しいRNA種に正確に割り当てられるべきである。
【表2】
【0168】
上の結果に基づいて、任意の強度コード間の強度重複を最小化するべく、強度ギャップは十分に大きい必要がある。このようにして、単一分子検出効率が最大化され得る。
【0169】
しかしながら、遺伝子アクセス性は、異なるDNAまたはRNA標的、ならびに、異なる種類の細胞および組織サンプル間で大きく変動するので、DNA/RNAパネルに使用される強度コードの実際の重複率は、もっとも正確なコード割当および最高のDNA/RNA検出効率のために実験によって確認される必要がある。
例2 複数の色素で標識されたオリゴプローブの生成
【0170】
同一の色または異なる色の複数の色素は、多色強度コーディングのために各オリゴプローブにコンジュゲートされ得る。オリゴあたり2の色素で標識するために、我々は短いオリゴ(典型的には20~50nt)および各オリゴヌクレオチドの両方の末端における終端標識を使用できる。3および4の色素で標識するために、我々は、より長いがなお100nt以下であるオリゴプローブを使用して、オリゴあたり複数の色素のコンジュゲーションを可能にする。長いプローブの各々は、ハイブリダイゼーション配列およびリードアウト配列から成る。ハイブリダイゼーション配列は、20~40ntの長さの天然ヌクレオチドである。リードアウト配列は典型的には、少なくとも15ntの長さである。隣接する色素間のエネルギー移送および消光を最小化するために、色素標識密度は、色素あたり10ntより大きいように制御される(通常は色素あたり約20nt)。
【0171】
オリゴ色素コンジュゲーション:異なる強度レベルを実現するために、複数の異なる色素を同一のオリゴにコンジュゲートするための複数の手段、すなわち、(1)オリゴ合成中に異なる色素を有するヌクレオチド誘導体を組み込むこと、(2)オリゴ合成中に異なるエピトープを有するヌクレオチドを組み込み、次に、クリックケミストリーなどの直交標識化学によって色素をコンジュゲートすること、(3)(1)および(2)の組み合わせがある。加えて、KREATECHユニバーサルリンケージシステム(Leica Biosystems)を使用して、同一の色の複数の色素が、予めプログラムされた配列を有するDNAオリゴ上にコンジュゲートされ得る。したがって、1:2などの2色コーディングを実現するべく、我々は、各オリゴの5'または3'末端に1つの赤色色素を組み込み、KREATECH標識方法を用いる内部標識および末端標識の両方を通じて2の緑色色素をコンジュゲートすることができる。代替的に、Cy5のような(Cy5.5と比較して)明るい色素、および、Cy3のような(Alexa546と比較して)暗い色素をペアにして、その結果、オリゴあたり2の色素だけを使用して1:2の強度比率を実現できる。1:1:1:1などの3および4の色コーディングを実現するべく、2種類のクリックケミストリー((1)アジ化物およびアルキン反応、(2)テトラジンおよびビニル反応)を使用して、最大4の異なる色素を同一のオリゴ上に標識することができる。
例3 標識方式3およびDNA FISHを用いる強度コードのスクリーニング
【0172】
この例では、マウス細胞における反復DNA配列を使用して、標識方式3のための良い色素ペアをスクリーニングする。各色素ペアは、実験において別々にテストされる。
【0173】
マウスゲノムにおけるテロメアおよびセントロメアのそれぞれの領域のプローブ配列をIDTに注文した。
テロメアプローブ、Tel-Cy5-Cy3:CCCTAACCCTAACCCTAA、Cy5で5'標識、Cy3で3'標識
セントロメアプローブ1、Cen-Cy5.5-Cy3:ATTCGTTGGAAACGGGA、Cy5.5で5'標識、Cy3で3'標識
セントロメアプローブ2、Cen-Cy5-A532:ATTCGTTGGAAACGGGA、Cy5で5'標識、Alexa532で3'標識
セントロメアプローブ3、Cen-Cy5-A546:ATTCGTTGGAAACGGGA、Cy5で5'標識、Alexa546で3'標識
セントロメアプローブ4、Cen-Cy5-Atto590:ATTCGTTGGAAACGGGA、Cy5で5'標識、Atto590で3'標識
【0174】
マウス胎児線維芽(MEF)細胞に対するDNA FISHが、以下のように実行された。MEF細胞は、#1.5ガラス底8ウェルチャンバ上に播種され、10%FBSおよび1%ペニシリンが添加されたDMEMにおいて少なくとも12時間培養された。DMEM溶液を除去した後に、MEF細胞は直ちに、4%パラホルムアルデヒド(PFA、Electron Microscopy Sciences)で10分間固定された。PFAを除去し、2X SSCで3回洗浄した後に、MEF細胞は、70%エタノールを用いて4℃で少なくとも1時間にわたって透過処理された。次に、エタノール溶液は除去され、80%ホルムアミド(Sigma)、2X SSCにおける90℃、10分間の変性を受ける前に、MEF細胞は2X SSCで3回洗浄された。変性溶液を除去した後に、MEF細胞は、10%ホルムアミド、2×塩化ナトリウムクエン酸、20%硫酸デキストラン(Sigma、MW>500,000)、および、200nM DNAプローブを含む200μLプローブ緩衝液において、37℃で4時間インキュベートされた。DNA座位の強度比率を検出するために、チャンバの各ウェルは、1種類のプローブだけを用いてインキュベートされた。MEF細胞は次に、レーザ励起を用いたスピニングディスク共焦点顕微鏡上でのイメージングに進む前に、37℃で2分間にわたって、2X SSCにおける10%ホルムアミドで2回洗浄された。
【0175】
顕微鏡構成:光学フィルタを含むイメージングセットアップは、例1で使用されたものと同一であった。
【0176】
イメージング:重複する放出スペクトラムを有する複数の色素が同一のレーザで励起され、同一チャネルで同時にイメージングされた。基本的に、レーザ640nmで励起されたすべての蛍光は、Cy5/700のチャネルで記録された。レーザ561nmで励起された蛍光はCy3/600のチャネルで記録された。
【0177】
画像解析:同一のFOVからの3Dスキャン画像は最初にスタックされ、最大強度で投影された。この段階は、700および600チャネルの両方について行われた。両方のチャネルにおいてそのピーク強度および空間位置を取得するべく、最大強度投影図は、ガウス関数を用いてフィッティングされた。700チャネルからのフィッティングスポットは次に、600チャネルからのスポットと整列され、2つのチャネルにおいて3ピクセル以内に離間している場合、同一のテロメアまたはセントロメアスポットとみなされた。次に、スポットについてのこれらの2つのチャネルの強度比率を計算するべく、同一の蛍光スポットからの700チャネルおよび600チャネルの強度が選択された。次に、2D(700および600チャネル)強度比率分布マップは、すべての蛍光スポットの強度比率値を用いて形成された。700および600チャネルの両方に現れるスポットについて、我々は、700チャネルからの強度をx軸として、600チャネルからの強度をy軸としてプロットした。このマップにおいて、各ドットは、2の色チャネル上のFISHスポットの強度比率を表す。
【0178】
結果および考察:我々は、色素ペア(下の表に列挙される)間の重複する比率を計算し、2D強度分布マップおよび1D強度比率ヒストグラム(図15のe~g)を形成した。図15のeに示されるように、Tel-Cy5-Cy3およびCen-Cy5-A532の色素ペアプローブによって標識されたFISHスポットの2D強度分布は、互いに完全に離間する。更に、Tel-Cy5-Cy3のFISHスポットからの強度分布は、Cen-Cy5-A546(図15のf)から大まかに区別可能である。下の表に列挙されるように、Tel-Cy5-Cy3からのドットの9.14%はCen-Cy5-A546と重複し、Cen-Cy5-A546からのドットの22.35%はTel-Cy5-Cy3と重複する。さらに、Tel-Cy5-Cy3の強度分布は、Cen-Cy5.5-Cy3から部分的にだけ区別可能である。Tel-Cy5-Cy3からのドットの34.13%はCen-Cy5.5-Cy3と重複し、Cen-Cy5.5-Cy3からのドットの82.28%はTel-Cy5-Cy3と重複する。Tel-Cy5-Cy3の強度分布は、Cen-Cy5-Atto590とほとんど区別可能でない。下の表に列挙されるように、Tel-Cy5-Cy3からのドットの90.86%はCen-Cy5-Atto590と重複し、Cen-Cy5-Atto590からのドットの85.13%は、Tel-Cy5-Cy3と重複する(図15のg)。最後に、Cen-Cy5-A532およびCen-Cy5.5-Cy3の強度分布は、互いに完全に離間する。Cen-Cy5-Atto590およびCen-Cy5-A546の強度分布は、下の表に列挙されるように、互いにわずかに重複する(約2%、図15のg)。
【表3】
例4 培養細胞における標識方式3を用いたマルチプレックスRNA検出
【0179】
我々は標識方式3を使用して、ここでは2の色チャネルを用いて、MEF細胞における2のRNA標的(PORL2A、CTNNB1)を検出した。CTNNB1は、Cy5およびCy3の色素の組み合わせで標識された。POLR2Aは、Cy5.5およびAlexa546の色素の組み合わせで標識された。
【0180】
プローブ設計の一般原理:我々は、ここでは標識方式3を実現するために分岐DNA増幅と共に間接標識を使用した。我々は各色素および各一次プローブについて5×5分岐DNAシグナル増幅を使用した。このようにして、各一次プローブは、5の反復を有する一次アンプリファイアに結合し、次に、各一次アンプリファイアは、5の二次アンプリファイアに結合し(各二次アンプリファイアは、5の反復を有した)、最後に、同一の一次プローブに関連するこれら5の二次アンプリファイアは、最大25のイメージングプローブに結合した。
【0181】
プローブ設計の4階層(一次プローブ、一次アンプリファイア、二次アンプリファイア、イメージングプローブ)の詳細:我々は、各RNA種について48の一次プローブを設計した。各一次プローブは、標的RNA配列に相補的である20nt標的結合配列と、20nt標的結合配列の5'末端および3'末端側の両方における20ntリードアウト配列とから成る。同一のRNA種についてのすべての一次プローブは、同一のリードアウト配列を含む。異なるRNA種の一次プローブは異なるリードアウト配列を有し、異なる種類のRNA標的間の架橋結合を回避するために、異なる一次アンプリファイアおよび二次アンプリファイアに関連する。2つのRNA種両方の各一次プローブは、一次アンプリファイアに結合された。各一次アンプリファイアは、対応する一次プローブ上のリードアウト配列と相補的である20nt配列を有する。各一次アンプリファイアは、5の反復を有し、その結果、5の二次アンプリファイアに結合できる。各二次アンプリファイアは、対応する一次アンプリファイア上の反復に相補的である20nt配列を有する。各二次アンプリファイアは、5の反復を有し、その結果、5のイメージングプローブに結合できる。このようにして、各蛍光色素について5×5の増幅が実現された。各イメージングプローブは、20nt長であり、5'末端に蛍光色素を有する。2のイメージングプローブ、すなわち、1つのCy5色素にコンジュゲートしたイメージングプローブ、および、1つのCy3色素にコンジュゲートした別の1つがCTNNB1に使用された。2のイメージングプローブ、すなわち、1つのCy5.5色素にコンジュゲートされたイメージングプローブ、および、1つのAlexa546色素にコンジュゲートされた別の1つがPOLR2Aに使用された。CTNNB1についての各一次プローブは、5'末端における最大25のCy5色素、および、3'末端における最大25のCy3色素に関連し得る。POLR2Aについての各一次プローブは、5'末端における最大25のCy5.5色素、および、3'末端における最大25のAlexa546色素に関連する。したがって、理論上、すべてのプローブの結合効率が100%である場合、合計で1200の(48X5X5)Cy5色素、1200のCy3色素が、CTNNB1のRNAコピーに関連し得る。すべてのプローブの結合効率が100%である場合、合計1200のCy5.5色素、1200のAlexa546色素が、CTNNB1のRNAコピーに関連する。しかしながら、不十分な結合に起因して、標的あたりの色素の総数は、強度コードの強度の変動を増加させたこの数より遥かに低いことがあり得る。
【0182】
一次プローブのための標的結合配列の設計:RNA標的の配列は、NCBIまたはUCSCなどのゲノムおよびトランスクリプトームデータベースから抽出された。標的結合配列は、45~65%の範囲内のGC含有量を有する必要があった。高い冗長性を有する配列を除去するために、BLASTクエリが種の全ゲノムおよびトランスクリプトームに対する各プローブ上で実行された。プローブ結合を容易にし、蛍光色素分子消光またはFRETを最小化するために、最小プローブ間隔(ここでは2ntより大きい)が追加および調節された。プローブ間隔とは、RNA標的に沿ったプローブ結合部位間のヌクレオチドの最小数を指す。
【0183】
一次プローブのリードアウト配列、一次増幅プローブの配列、二次増幅プローブの配列、および、イメージングプローブの配列は、マウストランスクリプトームに対する最小の非特異的結合を有するように設計された。
【0184】
強度コード:上に記載されたオリゴプローブ設計を用いて、我々はCTNNB1およびPOLR2Aを検出するために2の強度コードを割り当てた。この実験では、Cy5は700チャネルにおいてCy5.5より約2倍明るく、Alexa546は600チャネルにおけるCy3より約2倍明るいので、強度レベル1は、1200のCy3またはCy5.5で標的を標識することとして定義され得、強度レベル2は、1200のAlexa546または1200のCy5で標的を標識することとして定義され得る。したがって、CTNNB1およびPOLR2Aはそれぞれ、ここでのオリゴ設計を用いて2の強度コード(1:2)および(2:1)でエンコードされた。これら2つの強度コードにおいて、一桁目は600チャネルにおける強度レベルを表し、二桁目は700チャネルにおける強度レベルを表した。
【0185】
RNA FISHが以下のように実行された。MEF細胞は#1.5ガラス底8ウェルチャンバ(Ibidi)上に播種され、10%FBSおよび1%ペニシリンが添加されたDMEMにおいて少なくとも12時間培養された。DMEM溶液を除去した後に、MEF細胞は直ちに、4%パラホルムアルデヒド(PFA)で10分間固定された。PFAを除去し、2X SSCで3回洗浄した後に、MEF細胞は、70%エタノールを用いて4℃で少なくとも1時間にわたって透過処理された。次にエタノール溶液が除去され、MEF細胞は、洗浄バッファ(10%ホルムアミドおよび2X SSC)に10分間置かれる前に2X SSCで3回洗浄された。洗浄溶液を除去した後に、10%ホルムアミド、2×塩化ナトリウムクエン酸、10%硫酸デキストラン(Sigma、>500,000)、および、複数の一次DNAオリゴプール(IDT、各単一一次プローブについて10nM)を含む200μLプローブ緩衝液を用いてMEF細胞が37℃で一晩インキュベートされた。MEF細胞における1~2のRNA種(PORL2A、CTNNB1)を検出するべく、チャンバの各ウェルは、1~2種類の一次プローブでインキュベートされた。一晩のインキュベーション後、MEF細胞は、2X SSCにおける10%ホルムアミドを用いて、37℃で2分間、2回洗浄された。次に、細胞は、200μLハイブリダイゼーションバッファにおいて10nM一次増幅プローブと共に、37℃で1時間インキュベートされた。洗浄バッファにおいて5分間、2回洗浄した後に、MEF細胞は次に、200μLハイブリダイゼーションバッファにおいて10nM二次増幅プローブと共に、37℃で1時間インキュベートされた。洗浄バッファにおいて5分間、2回洗浄した後に、MEF細胞は次に、200μLハイブリダイゼーションバッファにおいて100nMイメージングプローブと共に、37℃で1時間インキュベートされた。洗浄バッファにおける5分間の洗浄の最終ラウンドの後に、MEF細胞は次に、レーザ励起(Nikon、Ti顕微鏡、Yokogawa CSU-W1共焦点スキャナ、sCMOSカメラAndor Zyla 4.2, 100x油対物レンズ)を用いたスピニングディスク共焦点顕微鏡上でのイメージングに進む前に、0.001mg/mL濃度のDAPIと共に1分間インキュベートされた。蛍光イメージングは、例1において使用された同一のセットアップ上で行われた。700チャネル(700/75mの吸収フィルタを用いた640nmレーザ励起)および600チャネル(600/50mの吸収フィルタを用いた561nmレーザ励起)の両方について、各視野(FOV)が連続的に3Dスキャンされた。各蛍光画像は、200msの曝露時間で捕捉された。
【0186】
単一のFISHスポットの強度および位置は、DNA FISHについて例3において使用されるものと同様に抽出された。非特異的結合シグナルおよびバックグラウンドをポジティブシグナルから分離するために、各RNA FISH画像について、強度閾値が注意深く選択され最適化された。2色素共標識を用いたRNAスポットの2D強度分布については、両方のチャネルにおける閾値より上の強度を有するスポットだけが解析のために選択され、そうでない場合、スポットは除去された。
【0187】
参照強度コードマップのガイドによるスポット割り当て:
1.参照マップの生成:我々は、コーディングされた強度比率を用いてPOLR2AおよびCTNNB1を別個に染色およびイメージングした。次に、我々は、約100の細胞の画像から、単一RNA種標識のすべてのFISHスポットの2D(700チャネルおよび600チャネル)強度分布を取得した。我々は、同一2D強度プロットにおいて、POLR2AおよびCTNNB1それぞれについて、2つの別個の強度クラスタを取得できた。
2.我々は次に、すべてのスポットの約95%を含む各色素の組み合わせの各クラスタのもっとも高密度のエリアを見つけることを試みた。アルゴリズムは、2つの点の間の距離が25ピクセル(ユーザによって定義され得、より疎に分布されたスポットを組み込むために増加され得る)より短い場合に、各点が近隣の点とクラスタ化するように機能した。各色素の組み合わせのもっとも高密度のエリアを表すスポットの新たに生成されたクラスタを用いて、我々は、各クラスタからのすべての点を包含する2D境界に適合する一連の点を選択することによって、各クラスタの境界を発見した。一連の点によって表されるこの境界は、混合標識された色素の組み合わせにおいて我々の特異的なシグナルエリアを定義するために、我々の次の段階で使用される。
3.参照マップから決定された各色素の組み合わせの境界を用いて、我々は、混合標識されたクラスタから、色素の組み合わせの境界によって包含されたスポットを選択した。境界に含まれる、または境界から排除されるスポットの数と、スポットの総数との間の比率を計算することによって、我々は、特異的結合および非特異的結合シグナルを定量化できた。
【0188】
結果および考察:ここで、図16は、単一RNA標識および2RNA共標識の代表的な生画像を示す。2の色素の組み合わせ(Cy5+Cy3、Cy5.5+A546)に関連する2の強度コードは、参照マップ上で互いからの離間に成功した。したがって、各強度コードの境界の決定に成功した。図17の(a)は、指定された境界を有する2つの色素の組み合わせについての単一RNA染色からの参照マップを示す。図17の(b)~(d)は、別個に示される3の細胞を有する混合標識データへの参照マップの適用を示す。下の表は、各細胞の統計的結果を示す。スポットは、固有の色素の組み合わせ(すなわち強度コード)でエンコードされたRNA標的への割り当てに成功するか、または、曖昧性または非特異的結合に起因して破棄されるかのいずれかである。
【表4】
【0189】
mRNAは典型的には、哺乳類細胞における単一コピーとして発現されるので、ここで開発された高容量FISH方法によって検出できる。しかしながら、光学イメージングの限定された物理的分解能に起因して、この方法は、各RNAが、回折限界光学分解能(典型的には、発光波長の約半分)より大きい距離で互いから離間されるべきであることを必要とし、その結果、それらは正確に区別され得る。複数のmRNAが高レベルで発現される場合、それらは互いに重複し得、その結果、高容量FISHイメージングの検出精度は損なわれる。
例5:培養された細胞における標識方式2を用いたマルチプレックスRNA検出
【0190】
我々は標識方式2を使用して、ここでは2の色チャネルを用いて、MEF細胞における2のRNA標的(POLR2A、CTNNB1)を検出する。
【0191】
プローブ設計および合成:ここでは標識方式2を実現するために、我々は分岐DNA増幅と共に間接標識を使用した。我々は、各RNA種について、48の一次プローブを設計した。それらは、例4において使用されたものと同一である。我々は、POLR2Aについて増幅を使用せず(または1X1)、CTNNB1について非平衡化3×3増幅を使用した。POLR2Aの各一次プローブは、1つのイメージングプローブにハイブリダイズする20ntのリードアウト配列を有する。POLR2Aについての各イメージングプローブは、5'末端で1つのCy5色素と、3'末端で1つのCy3色素とコンジュゲートした。CTNNB1についての各一次プローブは、5'末端および3'末端の両方において1つの20ntリードアウト配列を有し、その結果、5'末端は、1つの一次アンプリファイアとハイブリダイズでき、3'末端は、Cy5色素に直接コンジュゲートする画像プローブとハイブリダイズできた。CTNNB1についての各一次プローブの3'末端は、シグナル増幅を有しなかった。CTNNB1についての各一次プローブの5'末端における一次アンプリファイアは、3の二次アンプリファイアとハイブリダイズするために3の反復(各反復の20nt)を有する。CTNNB1についての各二次アンプリファイアは、3のイメージングプローブとハイブリダイズするために3の反復(各反復の20nt)を有する。CTNNB1についての二次アンプリファイアとハイブリダイズする各イメージングプローブは、イメージングプローブの5'末端においてCy3色素とコンジュゲートした。このようにして、POLR2Aについての各一次プローブは、1のCy5および1のCy3色素と間接的に関連した。CTNNB1についての各一次プローブは、1のCy5および9のCy3色素と間接的に関連し得る。
【0192】
強度コード:上に記載されたオリゴプローブ設計を用いて、我々は、CTNNB1およびPOLR2Aを検出するために2つの強度コードを割り当てた。CTNNB1の各コピーは、48のCy5および432のCy3に関連し、POLR2Aの各コピーは、48のCy5および48のCy3に関連した。強度レベル1は、48のCy3またはCy5で標的を標識することとして定義され得、強度レベル2は、432(48×3×3)のCy3またはCy5で標的を標識することとして定義され得る。CTNNB1およびPOLR2Aは、ここでのオリゴ設計を用いて、それぞれ2の強度コード(2:1)および(1:1)でエンコードされた。これら2つの強度コードにおいて、一桁目は600チャネルにおける強度レベルを表し、二桁目は700チャネルにおける強度レベルを表す。2:1の強度コードは、9:1の強度比率に対応する。1:1の強度コードは、1:1の強度比率に対応する。
【0193】
FISH染色、イメージングおよび画像解析は例4と同一である。例4に記載されるものと同一のFISHスポット割り当て方法を使用することにより、我々は、2D強度分布データを2のクラスタに分離し、したがって、2のRNA種、すなわち、CTNNB1およびPOLR2Aを検出できた。
例6:培養細胞における標識方式2および3を用いたマルチプレックスRNA検出
【0194】
この例は、例4において2のRNA標的(POLR2AおよびCTNNB1)を検出する結果を改善するために我々が標識方式2および方式3をどのように組み合わせ得るかを示す。色チャネルを含む、例4と同一のセットアップがここで使用される。CTNNB1はなお、Cy5およびCy3の色素の組み合わせで標識される。POLR2Aはなお、Cy5.5およびAlexa546の色素の組み合わせで標識される。しかしながら、我々は、RNA標的に関連する各色素の数を調節して、これら2つの色素の組み合わせの強度ギャップを増加させることができ、その結果、これら2つの色素の組み合わせによって生じる強度コードは、両方のRNA標的のより高い検出効率のために、より良く離間され得る。
【0195】
方策1:1つの標的に関連する色素の数を変更する。例えば、我々はなお、Cy5、Cy3およびAlexa546のために5×5の分岐DNA増幅を使用できるが、POLR2Aに関連するCy5.5のために3×2だけの分岐DNA増幅を使用し、その結果、このRNAを有するCy5.5色素の数は、76%(1‐6/25)低下する。このようにして、これら2つのRNA標的の共染色を行うとき、2D強度分布プロット(図17のb)におけるPOLR2Aの強度クラスタは、左にシフトし、その結果、POLR2AについてのクラスタとCTNNB1についてのクラスタとの間の強度ギャップは大きくなる。
【0196】
方策2:両方の標的に関連する色素の数を同時に変更する。例えば、我々はなおCy5およびAlexa546のために5×5の分岐DNA増幅を使用できるが、POLR2Aに関連するCy5.5のために3×2だけの分岐DNA増幅を使用し、CTNNB1に関連するCy3のために3×2だけの分岐DNA増幅を使用し、その結果、POLR2AについてのCy5.5色素の数、および、CTNNB1についてのCy3色素の数は両方とも、76%(1‐6/25)低下する。このようにして、これら2つのRNA標的の共染色を行うとき、2D強度分布プロット(図17のb)におけるPOLR2Aの強度クラスタは左にシフトし、一方で、同一のプロット(図17のb)におけるCTNNB1の強度クラスタは下にシフトする。このようにして、POLR2AについてのクラスタとCTNNB1についてのクラスタとの間の強度ギャップは、方策1で形成されるものより一層大きくなる。
例7:培養細胞における複数の標識方式を用いた4重RNA検出
【0197】
我々はこの例において、4重RNA検出を実現するためにN=2、M=2を使用した。3の光標識、すなわち、Cy5、Cy3およびAlexa546色素が使用された。ここでは、MEF細胞における4のRNA種(HOXB1、TFRC、POLR2A、CTNNB1)を検出するために、分岐DNAシグナル増幅を有する間接標識が複数の標識方式と共に使用された。間接標識については、一次プローブ、すなわち、標的結合プローブは、最初に一次増幅プローブに結合し、次に二次増幅プローブに結合し、最後にイメージングプローブに結合する。
【0198】
オリゴプローブの設計
【0199】
一次プローブは、40ntまたは60nt長のいずれかであり得る。これは、(1)20nt標的結合配列、および、(2)例4に記載されるような標的結合配列の一方の末端または両方の末端における1または2の20ntリードアウト配列を含む。48の一次プローブが、各mRNA標的に使用された。イメージングプローブ上の色素標識の異なる組み合わせ、または、異なる数のイメージングプローブ、または、これら2つの組み合わせが、異なる標的に対する異なる強度比率を実現するために使用された。各標的に対する一次プローブの設計は下に列挙される。
【表5】
【0200】
この例において、TFRCおよびHOXB1の各一次プローブは、2つの同一のリードアウト配列を有する(一方は5'末端、他方は3'末端)。POLR2Aについての各一次プローブは、2つの異なるリードアウト配列を有する(一方は5'末端、他方は3'末端)。CTNNB1についての各一次プローブは、5'末端に1つのリードアウト配列だけを有する。
【0201】
この例において、4のRNA種すべてについての一次アンプリファイアは130nt長であり、これは、(1)標的結合プローブのリードアウト配列に結合する1の20nt配列と、(2)対応する二次増幅プローブに結合する5反復の20nt配列とを含む。反復間には2ntの間隔がある。また、第1の反復と、リードアウト配列に結合する配列との間には2ntの間隔がある。
【0202】
この例において、対応するイメージングプローブが二重標識されているか(イメージングプローブあたり2の色素標識)、または、単一標識されているか(イメージングプローブあたり1の色素標識)に基づいて二次増幅プローブの2つの異なる設計がある。単一標識イメージングプローブに結合する二次増幅プローブについては、(1)対応する一次増幅プローブに結合する1の20nt配列、および、(2)対応するイメージングプローブに結合する5反復の20nt配列を含む。また、第1の反復と、一次増幅プローブに結合する配列との間に2ntの間隔がある。この第1の設計は、ここではPOLR2A、CTNNB1、TFRCに適用される。二重標識イメージングプローブに結合する二次増幅プローブについては、対応する二次増幅プローブは、(1)対応する一次増幅プローブに結合する1の20nt配列と、(2)対応するイメージングプローブに結合する5反復の20nt配列と、(3)任意の2反復間の22ntインサートとを含む。この第2設計は、ここではHOXB1に適用される。
【0203】
この例において、イメージングプローブは、(1)5'または3'末端上の1の色素(プローブあたり1の色素)、または、(2)5'および3'末端両方上の1の色素(プローブあたり2の色素)のいずれかで標識される。4のRNA標的は各々、イメージングプローブの4タイプの標識に対応する、標識方式2および方式3における間接標識のそれ自体の実装を有する。これら4タイプのイメージングプローブの標識は以下に列挙される。
【表6】
【0204】
一次プローブについての標的認識配列の設計は、例4に記載されているものと同一のオリゴ設計の原理に従う。リードアウト配列の設計、一次増幅プローブの配列、二次増幅プローブの配列、および、イメージングプローブの配列は、また、例4に記載されるものと同一のオリゴ設計の原理に従う。
【0205】
この例において、我々は、4のRNA標的、すなわち、2:2、0:1、2:1、2:0を検出するために4の強度コードを使用した。この例において、各mRNA標的は、48の標的結合プローブに結合する。したがって、この例において、各標的結合プローブのシグナルは、5×5=25または5×5×2=50のいずれかだけ増幅される。標的結合プローブの各セットの増幅は以下に列挙される。
【表7】
【0206】
強度レベル1は、1200のCy3またはCy5(25×48=1200)で標的を標識することとして定義され、強度レベル2は、Cy3/600チャネルについては1200のAlexa546または2400のCy3で、または、Cy5/700チャネルについては2400のCy5で標的を標識することとして定義される。
【0207】
各mRNAについての強度比率コードは、下のように列挙される。2の強度レベル(1:2)が、Cy3およびAlexa546についての600蛍光チャネルにおいて使用され、2の強度レベル(1および2)がCy5についての700蛍光チャネルにおいて使用される。
【表8】
【0208】
オリゴプローブの合成:すべてのオリゴプローブはIDTに注文された。
【0209】
FISH染色およびイメージング処理は、例4に記載されるものと同様に実行された。イメージング解析については、すべてのFISHスポットの2D強度分布は、DNA FISHについての例3において使用されたものと同一の手法を用いて取得された。その後、これらのスポットは、参照強度コードマップを使用することなく、期待値最大化アルゴリズムを用いて2つのクラスタに分割された。2桁の強度比率でコーディングされた2のクラスタは、離間に成功した。これら2つのクラスタの各々は1のRNA種を表す。我々は、単一RNA標識を用いたポジティブコントロールの強度分布に従って、上のクラスタをPOLR2Aに割り当て、下の他方をHOXB1に割り当てた。
【0210】
結果および考察
【0211】
結果として生じる、MEF細胞のマルチプレックス標識の700および600チャネルの共焦点画像は、それぞれ図18のaおよび図18のbに示される。重複画像および1つのズームインエリアが図18のcおよび図18のdに示される。各RNAの位置を示すために、異なる形状が図18のdに示される。HOXB1は円で示され、POLR2Aは正方形で示され、TFRCはひし形で示され、CTNNB1は六線星形で示される。この細胞において、54のHOXB1スポット、117のPOLR2Aスポット、157のCTNNB1スポット、および136のTFRCスポットが検出される。これらは、強度コーディング無しの従来の単一分子RNA FISHによって決定されるコピー数カウントに近い。
【0212】
ログスケールにおける対応する2D強度マップは、図18のeに示され、ドットの4のクラスタが互いから明確に区別される。この例におけるHOXB1のプローブ設計を使用して、Cy3チャネルにおけるHOXB1およびPOLR2Aの設計された強度レベルは同一であり、強度比率分布は互いから離間しないことがあり得る。しかしながら、図18のeにおける2D強度分布プロットによれば、2のクラスタの離間が成功する。ポジティブコントロールの結果と比較することにより、HOXB1の強度は、Cy3/600チャネルにおけるPOLR2Aの強度より低い。我々は、上のクラスタをPOLR2Aに、下の他のものをHOXB1に割り当てた。我々は、色素消光が、標識方式4の適用である、ここでのCy3‐Cy5の色素ペア標識方式を用いるイメージングプローブについて存在し得ると結論付ける。これは更に、同一の細胞系列における同一の色素の組み合わせで、HOXB1単独を染色するポジティブコントロール結果によって確認される。したがって、HOXB1についての設計された強度コードは実際には、2:2ではなく1:1である。換言すると、この場合における2:2および1:1の強度コードは、互いに重複し、よく離間できない。
【0213】
CTNNB1は、Cy5だけで標識され、700チャネルだけに示されるので、700および600チャネルの両方に示されるHOXB1およびPOLR2Aから目立つ。Cy3で標識され、600チャネルだけに示されるTFRCに同様のルールが適用される。
【0214】
まとめると、標識方式2、方式3、および方式4の組み合わせを使用して、4の異なる標的を表す4の固有クラスタの識別が成功する。
例8:標識方式3および区別された標識を用いたマルチプレックスRNA検出
【0215】
我々はここで、標識方式3および区別された標識を組み合わせて、ここで2の色チャネルを用いてMEF細胞において2のRNA標的(POLR2A、MTOR)を検出する。
【0216】
我々は、POLR2Aを標識するために60の一次プローブを、MTORのために60の一次プローブを設計した。各一次プローブは40nt長であり、その20ntは標的結合配列である。一次プローブの各標的結合配列は、5'末端において20ntリードアウト配列に連結された。例4と同様に、我々は、各一次プローブについて、5×5分岐DNA増幅を使用した。したがって、各一次プローブは、最初に5反復を有する一次アンプリファイアに結合され、次に25の二次アンプリファイアに結合され、最後に、色素で標識された25のイメージングプローブに結合される。
【0217】
区別された標識:標識方式3を実装するべく、POLR2Aを標識するためにCy5およびCy3が組み合わされ、MTORを標識するためにCy5.5およびAlexa546が組み合わされる。このようにして、POLR2AおよびMTORは2つの異なる強度比率で標識される。POLR2Aの一次プローブは、2のグループに離間した。30のプローブが5'末端においてCy5色素で、30のプローブが5'末端においてCy3色素で間接的に標識された。MTORについての一次プローブは、2のグループに離間した。30のプローブが5'末端においてCy5.5色素で、30のプローブが5'末端においてAlexa546色素で間接的に標識された。したがって、我々は、700チャネルにおいて部分的に重複する色素Cy5およびCy5.5を、600チャネルにおいて部分的に重複する色素Cy3およびAlexa546を使用して、これら2つのRNA種を検出した。これは、標識方式3の適用である。MTOR RNAの各コピーは、最大750(30×5×5)のCy5.5色素および750のAlexa546色素に関連するように設計された。POLR2Aの各コピーは、最大750(30×5×5)のCy5色素および750のCy3色素に関連するように設計された。
【0218】
FISH染色、イメージングおよび画像解析は、例4と同一である。この例における設計を用いて、POLR2Aは、2D強度分布プロット上のMTORから良く分離するべきである。
例9 標識方式1および方式3を用いたマルチプレックスRNA検出
【0219】
我々はここで、標識方式1および方式3を組み合わせて、ここでは2の色チャネルを用いてMEF細胞において2のRNA標的(MTOR、CTNNB1)を検出した。我々は、異なる数の一次プローブを使用して、これら2のRNA種を標識した。これは標識方式1の適用である。我々は、700チャネルにおける部分的に重複する色素Cy5およびCy5.5、および、600チャネルにおける部分的に重複する色素Cy3およびAlexa546を使用して、これら2のRNA種を検出する。これは標識方式3の適用である。
【0220】
プローブ設計および合成:我々はここで、分岐DNA増幅と共に間接標識を使用した。例4とは異なり、我々はCTNNB1についての24の一次プローブ、および、MTORについての96のプローブだけを設計した。RNA標的についての一次プローブの数が異なる以外に、両方のRNAについてのすべての他のプローブ設計は例4と同一であった。換言すると、MTORはCy5およびCy3によって標識された。CTNNB1はなお、Cy5.5およびAlexa546によって標識された。各一次プローブは、5'末端における25のCy5色素、および、3'末端における25のCy3色素に関連するように5×5に増幅された。すべてのプローブハイブリダイゼーション効率が100%である場合、MTORの各コピーは、最大2400(96×5×5)のCy5および2400のCy3色素に関連し得、CTNNB1の各コピーは、最大600(24×5×5)のCy5.5および600のAlexa546色素に関連し得る。
【0221】
FISH染色、イメージング、および画像解析は、例4と同一である。我々は、2D強度分布プロット上でPOLR2AがCTNNB1から非常に良く分離するべきであると予想した。例4におけるPOLR2Aの2D強度分布と比較して、ここでのMTORは、より高い数の一次プローブに起因して、右上に向かってシフトするはずである。例4におけるCTNNB1の2D強度分布と比較して、ここでのCTNNB1は、より低い数の一次プローブに起因して、左下に向かってシフトするはずである。
例10:代替的標識方式3を用いたマルチプレックスRNA検出
【0222】
我々はここで、代替的標識方式3を実現するために、標的手法あたり1の色素だけをどのように使用するかを実証する。
【0223】
我々は、それぞれ、Alexa647を使用してPOLR2A mRNAを標識し、Alexa700を使用してCTNNB1 mRNAを標識し得る。これら2の色素は、図10に示されるような重複する放出スペクトラムを有する。POLR2Aの各コピーは、5×5分岐DNA増幅と共に、48の一次プローブで標識される。CTNNB1の各コピーは、5×5の分岐DNA増幅と共に、48の一次プローブで標識される。POLR2Aのイメージングプローブは、1のAlexa647色素で標識される。CTNNB1のイメージングプローブは、1のAlexa700色素で標識される。プローブ(一次プローブ、一次アンプリファイア、二次アンプリファイア、イメージングプローブを含む)の各階層についてのすべての配列設計は、例4において使用されるものと同一である。
【0224】
我々は、Alexa647およびAlexa700の蛍光、650~710nm、745~805nmを記録するために、2つの吸収フィルタをカスタマイズした。両方の色素は633nmの同一のレーザ線によって励起される。650~710nmの色チャネルにおいて、両方のRNA種について、標的あたり同一の数の色素を使用するとき、Alexa647は、Alexa700より著しく高い強度を放出する。745~805nmの色チャネルにおいて、Alexa700は、Alexa647より高い強度を放出し得る。イメージングを行うとき、633nmの同一の励起を使用し、上で記載された2つの吸収フィルタを用いて2の色チャネルにおける蛍光を連続的または同時に検出し、2つの色画像が記録される。このようにして、Alexa647およびAlexa700は、同一の2の色チャネル上で2つの異なる強度比率を生じさせ得、その結果、POLR2AおよびCTNNB1は区別され得る。各色素について色チャネルにおけるスペクトルエリアを計算することによって、我々は、650~710nmおよび745~805nmのチャネルにおけるAlexa647の強度比率は3:1であり(一桁目は、650~710nmのチャネルにおける強度)、Alexa700の強度比率は1:2.85である(一桁目は650~710nmのチャネルにおける強度である)と推定する。したがって、POLR2AおよびCTNNB1は、上で設計された2つのチャネルと共に、これら2つの色素によって区別され得る。これら2つの標的の強度クラスタがより良く離間し得るように、各標的の強度分布を更に調節するために、我々は、POLR2Aに関連するAlexa647の数、または、CTNNB1に関連するAlexa700の数、または、両方の数を調節し得る。さらに、我々は、フィルタ設計を変更して、より良いRNA検出効率のために2の色チャネル間で各色素の強度比率を調節し得る(例えば、吸収フィルタの発光ウィンドウを増加もしくは短縮する、または、吸収フィルタの光子伝達効率を変更する)。
【0225】
上で記載された色素標識および光学フィルタ以外に、プローブ設計、FISH染色実験、イメージングおよび画像解析を含むすべての他のプロセスは、例4における同一の手法で行われ得る。
例11:4の色チャネルを用いたマルチプレックスRNA検出
【0226】
この例において、我々は、強度コーディングのために3の色チャネル(N=3、M=2)を使用し、非特異的結合のエラー訂正のために、別の1の色チャネルを使用することを計画する。強度コーディングについての3の色チャネルは、例1で使用されるものと同一である。それ以外に、我々は、Cy7色素を検出するために1つ多い色チャネルを追加する。ここではテストのために12のマウスmRNA遺伝子、TFRC、MTOR、EGFR、HER2、TBP、TOP1、PRDM4、BRAC1、POLR2A、STAT3、NOTCH1、WNT11が使用される。
【0227】
プローブ設計および色素標識:マウスRNA配列は、NCBI遺伝子データベースから取得され得る。各RNAについて、長さに応じて、我々は強度コーディングのために24~48の一次プローブを設計する。我々は、各RNAおよびエラー訂正のために、追加の24~48一次プローブを設計する。ここでは、強度コーディングのために6の色素、すなわち、Cy5、Cy5.5、Cy3、Alexa546、Alexa488およびAlexa514が使用される。Cy7色素は、非特異的結合のエラー訂正だけに使用され、強度コーディングには使用されない。分岐DNA増幅はまた、各強度コードの強度レベルおよび変動を微調整するために組み合わされる。したがって、RNA検出効率の最高のパフォーマンスを実現するべく、エラー訂正のための標識方式1、方式2、方式3、および代替的方式の組み合わせが統合される。
【0228】
強度コーディング:我々は、2の強度レベルおよび3の色を使用して12のRNA種を検出する。12の強度コードは、下の表に列挙されるように、より多くの桁を有するコードが、より長いRNA種に割り当てられるような方式で12のRNAに割り当てられる。例えば、より長いRNA POLR2Aを標識するために3桁コード1:1:2が割り当てられ、より短いRNA AKT1を標識するために1桁コード1:0:0が割り当てられる。この表における各強度コードについて、一桁目はCy5/700チャネルであり、二桁目はCy3/600チャネルであり、三桁目はAlexa488/500チャネルである。例えば、強度コード1:0:0は、第1色が強度レベル1を有するCy5であり、他方、第2および第3色が強度を有しないことを表し、1:2:1は、第1色が強度レベル1を有するCy5であり、第2色が強度レベル2を有するCy3であり、第3色は強度レベル1を有するAtto488であることを表す。
【表9】
【0229】
セットアップおよびFISH実験:我々は、スピニングディスク共焦点顕微鏡(Nikon、Ti-E)およびAndor sCMOSカメラを使用して、プローブで染色されたMEF細胞をイメージングし得る。顕微鏡は、5のレーザおよび5の色チャネル、450/50mの吸収フィルタを有する405nmレーザ、525/50mの吸収フィルタを有する488nmレーザ、600/50mの吸収フィルタを有する561nmレーザ、700/75mの吸収フィルタを有する640nmレーザ、810/90mの吸収フィルタを有する750nmレーザと共に設置される。FISH染色実験は、例4において使用されるのと同様に行われ得る。
【0230】
画像解析:単一分子強度分布は、例4において使用されるのと同様に解析され得る。
例12:培養細胞における標識方式1を用いたマルチプレックスDNA検出
【0231】
方式1を実装するべく、我々は、2セットの一次プローブを設計した。これは、以下の領域、すなわち、Chr21: 18627683-18727683(合計で100kb、SI1として示される)、および、Chr19: 29120001-29220001(合計で100kb、SI2として示される)から構築される。関心のある上のゲノム領域に相補的な42nt標的配列が、100kbゲノム領域上でタイリングする1000プローブを有するSI1、および、100kbゲノム領域上でタイリングする1000プローブを有するSI2をカバーするように選択された。我々は次に、分岐DNAシグナル増幅のために、3'側の各一次プローブをリードアウト配列に隣接させた。我々は、両方の標的のすべての一次プローブについて、3×3の分岐DNA増幅を使用した。増幅プローブは、各一次および二次アンプリファイアが増幅のために3の反復だけを含むことを除き、RNA FISHについての例4と同様に設計された。加えて、SI1を標的とする1000のプローブについて、それらのうち100は、シグナル増幅によって間接的にCy5色素で標識され、それらのうち900は、シグナル増幅によって間接的にCy3色素で標識される。SI2を標的とする1000のプローブについては、それらのうち100は、シグナル増幅によって間接的にCy3色素で標識され、それらのうち900は、シグナル増幅によって間接的にCy5色素で標識される。
【0232】
強度コーディング:ここで、我々は、第1強度レベルを900(100×3×3)のCy3またはCy5色素として、第2強度レベルを8100(900×3×3)のCy3またはCy5色素として定義する。上のオリゴ設計に基づいて、SI1は、9:1(Cy3:Cy5)の設計された色素比率に対応して、2:1(600チャネル:700チャネル)の強度コードでコーディングされる。SI2は、1:9(Cy3:Cy5)の設計された色素比率に対応して、1:2(600チャネル:700チャネル)の強度コードでコーディングされる。
【0233】
FISH実験、イメージングおよび画像解析:我々はここではDNA FISHのためにHeLa細胞を使用した。染色プロトコルは、一次プローブが標的に結合した後に、より多くの階層の仲介プローブが追加されたことの除き、例3と同一である。仲介プローブ結合のためのハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、例3におけるイメージングプローブ結合と同一である。イメージング処理および画像解析は、例3と同様に行われ得る。
例13 一次組織における標識方式1および3を用いたマルチプレックスDNA検出
【0234】
我々はここで、マウス脳組織およびヒトPBMC細胞において2のクロマチン座位(テロメアおよびセントロメア)を検出するためにプローブを設計した。我々は、セントロメアの反復配列を認識するために、テロメアおよび別のプローブの反復配列を認識するプローブを設計した。異なるマウスまたはヒト染色体上の異なるテロメアまたはセントロメア座位は、様々な数の反復単位を有するので、異なる数のテロメアまたはセントロメアプローブに結合し得る、これは、標識方式1の適用である。一方で、異なる蛍光強度と部分的に重複する色素はここで、これら2のDNAセグメントを区別するために使用された。これは、標識方式3の適用である。
【0235】
マウス組織サンプルについて、C57BL/6マウスからの脳組織がここで使用された。典型的には、このマウス系統におけるテロメアの長さは、10kb~50kbの間で変動する。そのため、原理的には、数百から数千のテロメア反復単位が各テロメア座位に存在し得る。異なる染色体のマウスセントロメアは100kb~1Mbの間で変動する。
【0236】
ヒト細胞の場合、テロメアの長さは1kb~10kbの間で変動する。異なる染色体間のヒトセントロメアは、0.5~10Mbpの間で変動する。
【0237】
マウス組織におけるテロメアおよびセントロメア標識のためのプローブ:
マウスゲノムにおけるテロメアおよびセントロメアのそれぞれの領域のプローブ配列はIDTに注文された。
テロメアプローブ、Tel-Cy5-Cy3:CCCTAACCCTAACCCTAA、Cy5で5'標識、Cy3で3'標識
セントロメアプローブ、Cen-Cy5-A532:ATTCGTTGGAAACGGGA、Cy5で5'標識、Alexa532で3'標識
【0238】
ヒト細胞における染色体1およびセントロメアの反復配列のためのプローブ:染色体1(Ch1‐Re)上の反復DNAセグメントのための染色体1プローブChr1-TYE665-Cy3:CCAGGTGAGCATCTGACAGCC、TYE665で5'標識、Cy3で3'標識;セントロメアプローブ、Cen-Cy5-A546: ATTCGTTGGAAACGGGA、Cy5で5'標識、Alexa546で3'標識。ハイブリダイゼーションバッファにおける各プローブの濃度は200nMであった。
【0239】
マウス脳組織上のDNA FISHは、以下のように実行された。マウス脳組織(Cell Biologicsに注文)のブロックは、OCTで埋没され、8μmのセクションにクライオカットされた。セクションは、ポリリジン(PLL、CultreX)でコーティングされた格子カバーガラス(格子状カバーガラスGrid500、#1.5H(170μm)D263 Schottガラス、ibidi)上に付着された。組織セクションは、すぐに4%PFAを用いて、室温で12分間固定された。固定組織は次に、2X SSCを用いて3回洗浄され、70%エタノールを用いて少なくとも1時間にわたって室温で透過処理された。次にエタノール溶液は除去され、組織は、80%ホルムアミド、2X SSCを用いて90℃で10分間の変性を受ける前に、2X SSCを用いて3回洗浄された。変性の後に、組織は、10%ホルムアミド、2×塩化ナトリウムクエン酸、20%硫酸デキストラン(Sigma、>500,000)および200nM DNAプローブを含む200μLプローブ緩衝液と共に、37℃で4時間インキュベートされた。ここでは、テロメアプローブおよびセントロメアプローブの両方が、200nMの濃度で使用された。組織は次に、例16において使用された同一のセットアップ上のイメージングの前に、2X SSCにおける10%ホルムアミドを用いて37℃で2分間、2回洗浄された。各FOVは、すべてのシグナルをカバーするために3Dスキャンされ、各蛍光画像は、200msの曝露時間で捕捉された。Cy5色素は、700/75mの吸収フィルタを用いて、700の色チャネルでイメージングされ、Cy3およびAlexa532色素は、600/50mの吸収フィルタを用いて、600の色チャネルでイメージングされた。
【0240】
ヒトPBMC細胞に対するDNA FISHは、以下のように実行された。3:1(v/v)メタノールおよび酢酸溶液の組み合わせに固定された全血からヒトPBMC細胞が単離された。その後、細胞は#1.5ガラス底8ウェルチャンバ上に付着され、80%ホルムアミド、2X SSCにおいて90℃で10分間にわたる変性を受ける前に、2X SSCを用いて3回洗浄された。変性溶液が除去され、血球は、10%ホルムアミド、2X SSC、20%硫酸デキストラン、200nM DNAプローブを含む200μLプローブ緩衝液と共に37℃で1時間インキュベートされた。血球は次に、スピニングディスク共焦点顕微鏡上でのイメージングの前に、2X SSCにおける10%ホルムアミドを用いて37℃で2分間、2回洗浄された。これは例16と同一である。各FOVは、すべてのシグナルをカバーするために3Dスキャンされ、各蛍光画像は、200msの曝露時間で捕捉された。
【0241】
画像解析:マウスおよびヒト血球からのイメージングデータが同一の手法で解析された。同一のFOVからの3Dスキャン画像が最初にスタックされ、最大強度で投影された。この段階は、700および600チャネルの両方について行われた。最大強度で投影された図は、700および600チャネル両方についてのそのピーク強度および2D位置を取得するために、ガウス関数でフィッティングされた。700チャネルからのフィッティングされたドットは次に、600チャネルからのドットと整列され、それらが3ピクセル以内に配置された場合、同一のテロメアまたはセントロメアのスポットからのものであるとみなされた。同一のスポットからの700および600チャネルの強度は次に、下流の解析のために選択された。次に、ドットの2のクラスタ間の明白な分離に従って分離線が引かれた。各スポットは次に、それらの強度比率分布に基づいて、テロメアまたはセントロメアのいずれかに割り当てられた。同一画像におけるテロメアおよびセントロメアは次に、上の割り当てに基づいて異なるように示された。
【0242】
マウス組織におけるDNA FISHについての結果および考察:例3において取得された各色素ペアの強度分布の特性に基づいて、我々は、テロメアおよびセントロメアを同時に検出するために、2の色素ペア、Cy5‐Cy3およびCy5‐A532プローブを選択して組み合わせた。各色素ペアからの強度ドットのクラスタは、予想されるように互いから離間した(図19のa)。DNA FISH画像における各テロメアおよびセントロメアスポットの識別は図19のb~cに示された。
【0243】
ヒト細胞におけるDNA FISHについての結果および考察:例3において取得された各色素ペアの強度分布の特性に基づいて、我々は、2のDNA反復配列、Ch1‐Reおよびセントロメアを同時に標識するために、2の色素ペアCy5‐Alexa546およびTYE665‐Cy3を選択して組み合わせた。各色素ペアからの強度ドットのクラスタは、予想されるように互いから離間した(図19のd)。1のDNA FISH画像におけるCh1‐Reおよびセントロメアスポットの識別は図19のe~fに示される。図19のfにおいて、Ch1‐Reからの2のスポットを、強度比率コーディングによる他のセントロメアスポットのすべてから離間することに成功した。
例14:培養細胞における標識方式2および方式4を用いたDNA FISH
【0244】
この例において、我々は、標識方式2および方式4が、同一標的の強度レベルを調節するためにどのように使用され得るかを実証する。プローブ:我々は、同一のテロメア標的について3の異なる強度比率を実現するために、3セットのオリゴプローブ、すなわち、1Cy5:2Cy3、1Cy5:10Cy3、1Cy5:30 Cy3を設計した。テロメアについてのプローブ配列はCCCTAACCCTAACCCTAAである。プローブセット1は、一次プローブ、イメージングプローブを含む。プローブセット2は、一次プローブ、一次アンプリファイア、イメージングプローブを含む。プローブセット3は、一次プローブ、一次アンプリファイア、イメージングプローブを含む。3の一次プローブすべては、ヒトゲノムにおけるテロメアのそれぞれの領域について、同一の標的結合配列を共有した。これは、例13において使用されるものと同一である。3の一次プローブはすべて、1のCy5色素で内部的に標識された(標的結合配列の3'末端)。すべての一次プローブは、2の異なる20ntリードアウト配列を有した(一方が5'末端、他方が3'末端)。プローブセット1についての各一次プローブは、20ntの2のイメージングプローブに結合した(一方が5'末端、他方が3'末端)。プローブセット1についての各イメージングプローブは、プローブの3'末端において1のCy3標識を有した。プローブセット2およびセット3についての一次プローブは、プローブセット1についての一次プローブと同一の配列を有した。プローブセット2およびセット3についての各一次プローブは、2の異なる一次アンプリファイアに結合した(一方が5'末端、他方が3'末端)。プローブセット2についての各一次アンプリファイアは、このセットについての一次プローブのリードアウト配列に相補的な20nt配列、および、5のイメージングプローブに結合する20ntの5の反復を有した。プローブセット2についての各イメージングプローブは、20nt配列を有し、3'末端においてCy3色素で標識された。プローブセット3についての各一次アンプリファイアは、このセットについての一次プローブのリードアウト配列に相補的な20nt配列、および、15のイメージングプローブに結合する20ntの15の反復を有した。プローブセット3についての各イメージングプローブは、20nt配列を有し、3'末端においてCy3色素で標識された。このようにして、プローブセット1についての各一次プローブは、1のCy5および2のCy3に関連し得る。プローブセット2についての各一次プローブは、1のCy5および10のCy3に関連し得る。プローブセット3についての各一次プローブは、1のCy5および30のCy3に関連し得る。
【0245】
DNA FISH実験:HeLa細胞が、ポリリジン(PLL、CultreX)でコーティングされたガラス底8ウェルチャンバ(#1.5H(170μm) D 263 Schottガラス、ibidi)に付着された。3の異なるセットのプローブで染色されるように、3バッチの細胞が3の異なるウェルに付着された。各ウェルにおいて、FISH染色実験が以下の順序で行われた。細胞はすぐに、4%PFAを用いて、室温で5~10分間固定された。固定細胞は次に、2X SSCを用いて3回洗浄され、70%エタノールを用いて少なくとも1時間にわたって室温で透過処理された。次にエタノール溶液は除去され、細胞は、80%ホルムアミド、2X SSCを用いて90℃で10分間の変性を受ける前に、2X SSCを用いて3回洗浄された。変性の後に、細胞は、10%ホルムアミド、2×塩化ナトリウムクエン酸、20%硫酸デキストラン(Sigma、>500,000)および200nMの一次プローブを含む200μLプローブ緩衝液と共に、37℃で少なくとも4時間インキュベートされた。HeLa細胞は、2X SSCにおける10%ホルムアミドを用いて、37℃で2分間、2回洗浄された。細胞は次に、200μLハイブリダイゼーションバッファにおける10nM一次増幅プローブと共に、37℃で1時間インキュベートされた(一次アンプリファイアが使用されない場合、この段階はスキップされた)。洗浄バッファにおいて5分間、2回洗浄した後に、HeLa細胞は次に、200μLハイブリダイゼーションバッファにおいて100nMイメージングプローブと共に、37℃で1時間インキュベートされた。洗浄バッファにおける5分間の洗浄の最終ラウンドの後に、細胞は次に、レーザ励起(Nikon、Ti顕微鏡、Yokogawa CSU-W1共焦点スキャナ、sCMOSカメラAndor Zyla 4.2, 100x油対物レンズ)を用いたスピニングディスク共焦点顕微鏡上でのイメージングに進む前に、0.001mg/mL濃度のDAPIと共に1分間インキュベートされた。蛍光イメージングは、例1において使用された同一のセットアップ上で行われた。700チャネル(700/75mの吸収フィルタを用いた640nmレーザ励起)および600チャネル(600/50mの吸収フィルタを用いた561nmレーザ励起)の両方について、各視野(FOV)が連続的に3Dスキャンされた。各蛍光画像は、200msの曝露時間で捕捉された。
【0246】
画像解析は、DNA FISHについての例3において使用される同一の手法で行われた。
【0247】
結果および考察:図20のc~eは、3のプログラム強度比率の強度分布の結果を示す。それらはすべて同一の基準線と比較される。図20のcを図20のdと比較すると、Cy3/600チャネルにおける1Cy5:10Cy3の比率を用いたテロメア染色の強度は大部分、基準線の上であり、1Cy5:2Cy3より高く、これは、標的あたりのCy3色素の数を増加させることにより、Cy3/600チャネルにおける強度が増加し得ることを示す。図20のeにおいて、1Cy5:30Cy3の比率を用いたテロメア染色の強度は大部分、基準線よりに下であり、図20のcにおける1Cy5:10Cy3より遥かに低く、これは、標的あたりの色素の数を増加させ過ぎると、非常に緊密に近づくときに色素が互いに消光する密集消光効果に起因して、Cy3/600チャネルにおける強度が低下し得ることを示す。
例15:細胞タイプ解析のためのマルチプレックスタンパク質検出
【0248】
この例は、異なる細胞タイプを検出するために、強度コーディングをどのように使用して複数のタンパク質バイオマーカをバーコーディングするかを実証する(図13のa)。各タンパク質バイオマーカは、この例において1の細胞タイプを表す。この例において使用されるタンパク質標的は、CD34、CD45、CD9、汎サイトケラチンである。各タンパク質マーカは別々の細胞タイプを表す。
【0249】
タンパク質のマルチプレックス検出については、我々は、それぞれ4重のタンパク質検出を実現するために、(1)Cy5およびCy3色素を用いたN=2、M=2(標識方式2)、ならびに、(2)Cy5、Cy3、Alexa546、およびCy5.5色素を用いたN=2、M=2(標識方式3)を使用し得る。各標識方式のために間接標識およびシグナル増幅が使用される。図12のb~cに示されるそのような間接標識については、標的に直接連結する一次プローブ(すなわち標的結合プローブ)は最初に二次プローブに結合し、次に、一次増幅プローブおよび二次増幅プローブに関連する。色素標識イメージングプローブは、対応する二次増幅プローブに結合する。
【0250】
抗体-オリゴコンジュゲートの設計:図12に示されるように、抗体-オリゴコンジュゲートは、抗体、一次プローブとして機能するオリゴ、および、抗体にオリゴを連結させコンジュゲートを形成するリンカから成る。
【0251】
抗体-オリゴコンジュゲートのための抗体:抗体-オリゴコンジュゲートを作製するために使用される、標的タンパク質に対する一次抗体はベンダに注文された。抗体はコンジュゲーション前に精製されるべきである。
【0252】
抗体-オリゴコンジュゲートのためのリンカの設計:リンカは、コンジュゲーションのための抗体を活性化するときに抗体に追加される化合物またはポリマーであり得る。リンカはまた、コンジュゲーションのためのオリゴを活性化するときにオリゴに追加される化合物またはポリマーであり得る。リンカはまた、オリゴが合成されるときにオリゴの一部であり得る。リンカの長さは柔軟であり得る。この例において、リンカは、抗体にコンジュゲートされるオリゴの一部として合成されるポリT(10T')である。
【0253】
抗体-オリゴコンジュゲートのためのバーコーディングオリゴの設計:特異性のために、抗体-オリゴコンジュゲーションのために使用されるオリゴは、研究の生物において見られない配列を含む。抗体の各タイプは、抗体のそのタイプに固有である配列を有するオリゴにコンジュゲートされ、抗体の標的のための強度バーコードとして機能する。オリゴは、抗体と、標的の各種類に固有のオリゴとの間のリンカとしてポリT配列(10T')を含む。コンジュゲーションのために、オリゴは、5'末端上にアミン基を有する。
【0254】
強度コーディングおよびシグナル増幅のためのオリゴプローブの設計:
【0255】
標識方式2および3における(増幅を用いた)間接標識についての一次プローブ、二次プローブ、一次増幅プローブ、二次増幅プローブ、およびイメージングプローブのオリゴ配列が、例4と同様の手段で設計され、その結果、それらは、標的種のRNAトランスクリプトームおよびゲノムに対して最小の非特異的結合を有する。
【0256】
標識方式2および3の(増幅を用いた)間接標識において、すべての二次プローブは、(1)バーコーディング一次プローブの固有領域に結合する1の20nt一次プローブ結合配列、または、標的結合オリゴ、および、(2)一桁強度コードのための一次プローブ結合配列の一方の末端上の1の20ntリードアウト配列、または、二桁強度コードのための一次プローブ結合配列の各末端上の1の20ntリードアウト配列を含む。図12のbおよび図12のcにおける各一次プローブは、すべての標的について1の二次プローブだけに結合するが、この例において、各一次プローブは、4の標的すべてについて6の二次プローブに結合する。標的を間接的に標識するために、イメージングプローブ(すべて20nt)は、二次増幅プローブに結合した。各イメージングプローブは、1の色素だけで標識される。標識方式2における2の桁強度コードを有するCD9およびCD34について、Cy5/700およびCy3/600チャネルにおける色素を増幅するために非平衡化増幅が使用される。各標的および標識方式のためのプローブの増幅数および色素の選択が、下の表に列挙される。
【表10】
【0257】
上の表において使用されるプローブ設計および強度コードを用いて、標識方式2を使用する強度レベル1は、Cy3またはCy5チャネルにおいて12(6×2×1)のCy3またはCy5色素として定義された。標識方式2を使用する強度レベル2は、Cy3またはCy5チャネルにおいて、96(6×4×4)のCy3またはCy5色素として定義される。
【0258】
標識方式3における2の桁強度コードを有するCD9およびCD34について、Cy5/700およびCy3/600チャネルにおける色素を増幅するために平衡化増幅が使用される。各標的および標識方式のためのプローブの増幅数および色素の選択が、下の2の表に列挙される。
【表11】
【0259】
上の表において使用されたプローブ設計および強度コードを用いて、標識方式3を使用する強度レベル1は、Cy5またはCy3チャネルにおける96(6×4×4)のCy5.5またはCy3色素として定義された。標識方式3を使用する強度レベル2が、Cy5またはCy3チャネルにおいて96のCy5またはAlexa546色素として定義された。
【0260】
オリゴプローブの合成:すべてのオリゴセットは、チューブまたはプレートのフォーマットでIDTに注文された。
【0261】
抗体オリゴコンジュゲーション:コンジュゲーションプロセスは、3の主な段階、すなわち、抗体活性化、オリゴ活性化、抗体-オリゴコンジュゲーションから成る。
【0262】
抗体に対するオリゴのコンジュゲーションが抗体の抗原結合活性にどのように影響し得るかに応じて、オリゴは、アミン基、カルボキシル基、スルフヒドリル基へのコンジュゲーション(これに限定されない)などの複数の手段を通じて抗体にコンジュゲートされ得る。オリゴコンジュゲーションが抗体抗原相互作用を阻害しないように、または、それに対して最小の影響を有することを確実にするために、標的タンパク質上の特異的抗原に対する抗体の結合能がテストされる。この例において、ジベンゾシクロオクチン(DBCO)とアジ化物との間の銅フリークリックケミストリーによって、抗体はオリゴにコンジュゲートされる。
【0263】
抗体活性化:この例において、オリゴは、抗体上のアミン基を通じて抗体にコンジュゲートされる。精製された抗体は、PBSを用いて1mg/mlの濃度に調節された。無水DMSOに溶解されたDBCO-NHSエステルが、様々なモル過剰における精製された抗体に追加された。未反応および過剰のDBCO-NHSがゲル濾過カラムによって除去される。
【0264】
オリゴ活性化(アジ化物修飾オリゴを作製する):PBS(pH7.4)に溶解されるアミン修飾オリゴは、無水物に溶解された過剰な3‐アジドプロピオン酸スルホン酸NHSエステル(3AA-NHS)と、25℃で2時間混合された。過剰な3AA-NHSは、スピンカラムを使用してゲル濾過によって除去される。
【0265】
抗体-オリゴコンジュゲーション:過剰な活性化アジ化物オリゴは、DBCO抗体DBCO溶液(PBS、pH7.2)と、微小遠心管において25℃で1時間混合された。コンジュゲートは、コンジュゲートクリーンアップ試薬(Abcam)および微小遠心管における遠心分離で精製された。
【0266】
タンパク質染色実験の例:新鮮なヒトの乳がん腫瘍組織スライドは、ベンダに注文され得る。染色のために、セクションが4%PFA溶液において30分間固定され、PBSで15分間洗浄された。この段階で、任意選択で、PBSにおける1%Hを用いた穏やかな1時間のプリブリーチが適用され得る(TSAのため)。サンプルは、2%BSAおよび0.1%Triton X‐100を含むPBSで1時間ブロックされ、3回の緩衝液交換がある。DNAコンジュゲート一次抗体は、0.2μg/ml断片処理済みサケ精子DNA、0.05%硫酸デキストラン、任意で4mM EDTAが添加されたブロッキング溶液において希釈され、サンプルと共に室温で1時間インキュベートされる。過剰な抗体は、2%BSAおよび0.1~0.3% Triton X‐100を含むPBSを用いて室温で15分間、3回洗浄し、PBSを用いて5分間、2回洗浄することによって除去される。結合した抗体は次に、PBSにおいて5mM BS(PEG)を用いて、室温で30分間にわたって後固定され、その後、PBSおける100mM NHClにおいて5分間消光され、0.1%Triton X‐100を有するPBSを用いて、室温で15分間洗浄された。二次プローブ、一次アンプリファイア、または二次アンプリファイアとのインキュベーションは、0.2mg/ml断片処理済みサケ精子DNAと共に、2×SSCにおける20~30%ホルムアミド、10%硫酸デキストラン、および、0.1%(vol/vol)Tween-20において、37℃で連続的に1~2時間実行される。プローブは、100nMの最終濃度においてこのバッファに希釈される。マルチプレックスのために、シグナル増幅の同一の階層におけるすべてのプローブは、同時にインキュベートされる。プローブハイブリダイゼーションの各階層の後に、サンプルは、PBSにおける50%ホルムアミドを用いて室温で5分間洗浄され、PBS+0.1%Triton X‐100を用いて、37℃で各々10分間、3回洗浄される。
【0267】
イメージングセットアップ、およびイメージング処理は、例1および2に記載されたものと同様に実行され得る。細胞のセグメンテーションは、ImageJを使用して手動で行われ得る。次に、強度比率解析のために、各細胞の染色領域におけるピクセルあたりの平均強度が抽出される。各細胞における未染色の領域は、強度比率解析について除外される。このようにして、各細胞は、700および600チャネルにおける染色領域の平均強度に従って強度比率が与えられ得る。次に、関心のあるすべての細胞の2D強度分布が、RNA FISHについての例4と同様にプロットされ得る。参照強度コードマップに基づく割り当て強度コードの同一の手法がここでも使用され得る。
例16:マイクロアレイを用いるin vitroマルチプレックスタンパク質検出
【0268】
この例は、in vitroタンパク質検出のための高容量強度比率バーコーディングの適用を実証する。異なるタンパク質は、異なる空間位置においてガラススライド上に付着され、マイクロアレイを形式する。
【0269】
ここで、我々は、2の色チャネルおよび2の強度レベルを使用して、マイクロアレイ上で4のタンパク質、すなわちCD34、CD45、CD9、汎サイトケラチンを検出するためにテストを行った。我々は、例15における標識方式3についての4×4分岐DNA増幅および同一セットのプローブを使用して、シグナルを増幅し、これら4のタンパク質をエンコードする。異なるタンパク質が、強度コーディングされたオリゴプローブに結合するための一次プローブとして機能するタンパク質特異的オリゴとの抗体コンジュゲートによって検出された。4のイメージングプローブが4のタンパク質を検出するために使用された。汎サイトケラチンについてのイメージングプローブ1は、1:0の強度コードとしてCy3色素だけを用いて標識され、CD45についてのイメージングプローブ2は、0:2の強度コードとしてCy5色素だけを用いて標識され、CD9についてのイメージングプローブ3は、1:2の強度コードとして、それぞれ、5'末端におけるCy5および3'末端におけるCy3色素を用いて標識され、CD34についてのイメージングプローブ4は、2:1の強度コードとして、それぞれ、5'末端におけるCy5.5色素および3'末端におけるAlexa546色素を用いて標識された。ここで、4の強度コードすべての一桁目は、Cy3/600チャネルにおける強度レベルを、二桁目は、Cy5/700チャネルにおける強度レベルを表す。
【0270】
アレイ調製およびタンパク質染色:これら4のタンパク質のための一次抗体は、空間的に離間するパターンで抗体に良く付着するための表面処理を受けて、ガラススライド上にスポット状に配置された。各スポットは、約1mmのサイズであり、任意の2のスポットは2cm離間された。各タンパク質は10のスポットを有した。そのため、4の異なるタンパク質を捕捉するために、合計で40のスポットが形成された。精製されたタンパク質は、1mg/mlでPBSバッファに溶解され、スポットが配置されたスライドを用いて、室温で少なくとも1時間インキュベートされた。次に、コーディングされたオリゴとコンジュゲートされた一次抗体は、スライドを用いて更に1時間インキュベートされ、過剰な抗体は、洗浄バッファを用いて室温で洗浄された。その後、強度コーディングされたプローブ(100nM)の複数の階層は、捕捉されたタンパク質と共に、スライドを用いてインキュベートされた。プローブ標識の各階層は、室温で1時間続き、過剰なプローブは、洗浄バッファを用いて洗浄された。最後に、スライドは、2の色チャネル(Cy5/700nmチャネル、Cy3/600nmチャネル)を有するPMTによってスキャンされた。700チャネルは、640nmレーザによって励起され、700/75mの吸収フィルタが設置された。600チャネルは、561nmレーザによって励起され、600/50mの吸収フィルタが設置された。
【0271】
画像解析:個別タンパク質スポットの平均強度が解析され、2D強度分布マップにプロットされた。次に、同様の強度比率を有するタンパク質スポットが共にクラスタ化された。RNA FISHについての例4と同様に、各クラスタは、参照強度コードマップでフィッティングされ、次に、最良の強度コードが割り当てられた。このようにして、タンパク質の検出に成功した。
開示の態様
【0272】
態様1.
検査のために調製されるサンプルであって、生体サンプルにおける第1標的分子に直接的または間接的に結合する第1の複数のプローブと、生体サンプルにおける第2標的分子に直接的または間接的に結合する第2の複数のプローブとを備え、プローブの各々は、1または複数の種類の光標識に付着し、(a)第1の種類の光標識は第1標的分子に関連し、(b)第2の種類の光標識は第2標的分子に関連し、各標的は、少なくとも2種類の光標識に関連し、第1の複数のプローブは、少なくとも第1の種類の光標識に付着し、第2の複数のプローブは、少なくとも第2の種類の光標識に付着し、第1標的および第2標的分子は、励起時に、2または2より多くの色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する、サンプル。
【0273】
態様2.
第1の種類の光標識は、第1標的および第2標的分子の両方に関連し、第2の種類の光標識は、第1標的および第2標的分子の両方に関連し、第1標的分子に関連する第1の種類の光標識の数と、第2の種類の光標識の数との比率と、第2標的分子に関連するこの比率とは、少なくとも2、2.3、3.5、5、8.1、10,20、50または100倍異なる、態様1のサンプル。
【0274】
態様3.
第1および第2の複数のプローブにおける各プローブは、1種類の光標識だけに関連し、第1標的についての第1の複数のプローブの数は、第2標的についての第2の複数のプローブの数と異なる、態様2のサンプル。
【0275】
態様4.
第1および第2の種類の光標識はそれぞれ、同一または部分的に重複する色スペクトルを有するが、第1色チャネルにおいて異なる強度を有し、第1標的は第3の種類の光標識に関連する、態様1および2のサンプル。
【0276】
態様5.
第2標的は第4の種類の光標識に関連し、第3および第4の種類の光標識はそれぞれ、同一または部分的に重複する色スペクトルを有するが、第2色チャネルにおいて、異なる強度を有する、態様4のサンプル。
【0277】
態様6.
第1および第2の種類の光標識は異なる数である、態様4および5のサンプル。
【0278】
態様7.
第1および第2の複数のプローブは異なる数である、態様6のサンプル。
【0279】
態様8.
第3の複数のプローブは、生体サンプルにおける第1標的および第2標的分子の両方に直接的または間接的に結合し、第3の複数のプローブの各々は、第5の種類の光標識に付着する、前述の態様のいずれかのサンプル。
【0280】
態様9.
異なる種類の光標識は、同一の標的分子に関連する複数のプローブにおける異なるプローブ付着する、前述の態様のいずれかのサンプル。
【0281】
態様10.
異なる光標識に関連する異なるプローブは、交互の順序で標的分子に結合する、態様9のサンプル。
【0282】
態様11.
標的分子に関連する任意の複数のプローブは、少なくとも2のプローブを含む、前述の態様のいずれかのサンプル。
【0283】
態様12.
標的分子に関連する第1または第2の複数のプローブは少なくとも12のプローブを有する、態様11のサンプル。
【0284】
態様13.
第1または第2標的分子は、少なくとも3の異なる種類の光標識に関連し、少なくとも3の色チャネルによって検出される、前述の態様のいずれかのサンプル。
【0285】
態様14.
複数のプローブにおける各プローブは、2以上の異なる種類の光標識、または、2以上の異なる数の同一の光標識に付着する、前述の態様のいずれかのサンプル。
【0286】
態様15.
少なくとも1の光標識が消光またはシグナル増強分子に付着する、前述の態様のいずれかのサンプル。
【0287】
態様16.
少なくとも1の光標識が、より多くの同一の光標識に、または、第5の種類の光標識に付着する、前述の態様のいずれかのサンプル。
【0288】
態様17.
同一の標的に関連する同一の光標識のうち少なくとも2つは、プローブ配列に沿って10以下のヌクレオチドだけ離間する、前述の態様のいずれかのサンプル。
【0289】
態様18.
光標識に付着した第1または第2の複数のプローブは、一次プローブを通じて標的分子に関連する、態様1から5のサンプル。
【0290】
態様19.
一次プローブが標的分子に関連した後に、第1または第2の複数のプローブは更に、少なくとも1の階層の仲介プローブに関連する、態様18のサンプル。
【0291】
態様20.
一次プローブが標的分子に関連した後に、第1または第2の複数のプローブは更に、一次アンプリファイアおよび二次アンプリファイアに関連する、態様19のサンプル。
【0292】
態様21.
第1標的は第1および第2の種類の両方の光標識に関連し、標的上の各一次プローブは、第1および第2の種類の両方の光標識に関連する、態様18から20のサンプル。
【0293】
態様22.
同一の一次プローブに関連する第1および第2の種類の光標識は、等しい数である、態様21のサンプル。
【0294】
態様23.
同一の一次プローブに関連する第1および第2の種類の光標識は異なる数である、態様22のサンプル。
【0295】
態様24.
同一の一次プローブに関連する第1および第2の種類の光標識は、一次プローブの異なる末端(5'または3'末端のいずれか)において標識される、態様22および23のサンプル。
【0296】
態様25.
第1標的分子は、第1および第2の種類の両方の光標識に関連し、それらは異なる数である、態様18~20のサンプル。
【0297】
態様26.
同一の標的分子を検出する異なる種類の光標識は異なる一次プローブに関連する、態様25のサンプル。
【0298】
態様27.
第1の種類の光標識は、第1標的および第2標的分子の両方に関連し、第1標的分子についての第1光標識の数と、第2標的分子についての第1光標識の数との比率は、少なくとも2、2.5、3、3.3、4、4.2、5、8、8.9、または10である、態様18から27のサンプル。
【0299】
態様28.
第1または第2の複数のプローブは、ローリングサイクル増幅など、酵素シグナル増幅によって一次プローブに関連する、態様18および19のサンプル。
【0300】
態様29.
プローブは一本鎖オリゴヌクレオチドまたはペプチドである、前述の態様のいずれかのサンプル。
【0301】
態様30.
光標識は蛍光色素、蛍光タンパク質、またはナノ粒子である、前述の態様のいずれかのサンプル。
【0302】
態様31.
標的分子は、RNA分子、RNA断片、100kb以下のDNA分子、または、100kb以下のDNA断片を含む、前述の態様のいずれかのサンプル。
【0303】
態様32.
標的分子はタンパク質、脂質、多糖または粒子を含む、態様1から31のいずれか1のサンプル。
【0304】
態様33.
標的分子はDNA改変、RNA改変またはタンパク質改変を含む、態様1から31のいずれか一項のサンプル。
【0305】
態様34.
光標識に付着するプローブは、オリゴヌクレオチドまたはペプチドを通じて標的分子に関連する、態様32および33のいずれか1のサンプル。
【0306】
態様35.
標的分子は、細胞、組織に配置される、または、固形スカフォールド上に付着する、前述の態様のいずれかに記載のサンプル。
【0307】
態様36.
ハイブリダイゼーションのためのプローブのキット、パッケージまたは混合物であって、各々が第1標的分子に結合できる第1の複数のプローブ、または、第1の複数のプローブおよび第1の複数のプローブが第1標的分子に間接的に結合することを可能にする1または複数の仲介プローブと、各々が第2標的分子に結合できる第2の複数のプローブ、または、第2の複数のプローブおよび第2の複数のプローブが第2標的分子に間接的に結合することを可能にする1または複数の仲介プローブを備え、第1の複数ののプローブは、少なくとも第1の種類の光標識に付着し、第2の複数のプローブは、少なくとも第2の種類の光標識に付着し、各標的は、少なくとも2種類の光標識に関連し、第1標的および第2標的分子は、励起時に、2または2より多くの色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する、ハイブリダイゼーションのためのプローブのキット、パッケージまたは混合物。
【0308】
態様37.
サンプルにおける2以上の標的分子を検出する方法であって、プローブが標的分子に結合することを可能にする条件下で、態様36のプローブを、第1標的および第2標的分子を含むサンプルと混合する段階を備え、異なる種類の標的分子は、異なる組み合わせの光標識に関連し、強度比率を形成するために、各標的は、少なくとも2の色チャネルによって検出され、異なる標的は異なる強度比率によって区別される、方法。
【0309】
態様38.
標的分子に関連する異なる強度比率は、異なる種類の標的分子の検出を可能にする参照強度コードマップと照合される、態様37のいずれか1の方法。
【0310】
態様39.
参照強度コードマップから利用可能な強度比率コードの一部は、プローブを設計するために使用される、態様38のいずれか1の方法。
【0311】
態様40.
検出する段階は、検出された強度比率を、参照強度コードマップにおける強度コードの分布と比較する段階を含む、態様38および39の方法。
【0312】
態様41.
比較する段階は、検出された強度比率を、参照強度コードマップにおける強度コードに割り当てる段階を含む、態様40の方法。
【0313】
態様42.
指示された強度比率が、強度コードマップにおける任意の強度コードから、予め定められたカットオフ値より遠い場合、検出された強度比率が除去される、態様41の方法。
【0314】
態様43.
任意の2の標的分子が、少なくとも250nmだけ空間的に離間する、態様37から42のいずれか1の方法。
【0315】
態様44.
検査のために調製されるサンプルであって、生体サンプルにおける第1標的分子に直接的または間接的に結合する第1の種類の光標識に付着する第1の複数のプローブと、生体サンプルにおける第2標的分子に直接的または間接的に結合する第2の種類の光標識に付着する第2の複数のプローブとを備え、第1の複数のプローブは、第1の種類の光標識に付着し、第2の複数のプローブは、第2の種類の光標識に付着し、異なる標的が、異なる種類の光標識に関連し、第1および第2の種類の光標識は、第1および第2色チャネルにおいて重複する励起または発光スペクトルを有し、第1標的および第2標的分子は、励起時に、2の色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する、サンプル。
【0316】
態様45.
各プローブは一本鎖オリゴヌクレオチド、ペプチド、または、オリゴおよびペプチドのハイブリッドである、態様44のサンプル。
【0317】
態様46.
第1標的分子に関連する第1光標識の数は、第2標的分子に関連する第1光標識の数と異なる、態様44および45のサンプル。
【0318】
態様47.
第1標的についての第1光標識、および、第2標的についての第2光標識は、異なる数の一次プローブに関連する、態様45および46のサンプル。
【0319】
態様48.
各複数のプローブは、少なくとも2のプローブを含む、態様45から47のサンプル。
【0320】
態様49.
各複数のプローブは、少なくとも12のプローブを含む、態様48のサンプル。
【0321】
態様50.
任意の2の標的分子は、少なくとも250nmだけ空間的に離間する、態様44から49のいずれか1のサンプル。
【0322】
態様51.
第2の種類の光標識に付着された第3の複数のプローブは、生体サンプルにおける第3の標的分子に直接的または間接的に結合され、第3光標識は第3標的に関連し、第3光標識は、第1および第2色チャネルの両方において第1光標識および第2光標識と重複するスペクトラムを有する、態様44から50のいずれか1のサンプル。
【0323】
態様52.
第3の標的分子は、励起時に、2の色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する、態様51のいずれか1のサンプル。
【0324】
態様53.
ハイブリダイゼーションのためのプローブのキット、パッケージ、または、混合物であって、各々が第1標的分子に結合できる第1の複数のプローブ、または、第1の複数のプローブおよび第1の複数のプローブが第1標的分子に間接的に結合することを可能にする1または複数の仲介プローブと、各々が第2標的分子に結合できる第2の複数のプローブ、または、第2の複数のプローブおよび第2の複数のプローブが第2標的分子に間接的に結合することを可能にする1または複数の仲介プローブとを備え、第1の複数のプローブは、第1の種類の光標識に付着し、第2の複数のプローブは、第2の種類の光標識に付着し、異なる標的が、異なる種類の光標識に関連し、第1および第2の種類の光標識は、第1および第2色チャネルにおける重複する励起または発光スペクトルを有し、第1標的および第2標的分子は、励起時に、2の色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する、ハイブリダイゼーションのためのプローブのキット、パッケージ、または、混合物。
【0325】
態様54.
サンプルにおける2以上の標的分子を検出する方法であって、プローブが標的分子に結合することを可能にする条件下で、態様53のプローブを、第1標的および第2標的分子を含むサンプルと混合する段階であって、異なる種類の標的分子が異なる光標識に関連し、強度比率を形成するために、各標的は、少なくとも2の色チャネルによって検出され、異なる標的は異なる強度比率によって区別される、段階を備える方法。
【0326】
態様55.
異なる種類の標的分子の検出を可能にするために、標的分子に関連する異なる強度比率は、参照強度コードマップと照合される、態様54のいずれか1の方法。
【0327】
態様56.
参照強度コードマップから利用可能な強度比率コードの一部は、プローブを設計するために使用される、態様55のいずれか1の方法。
【0328】
態様57.
検出する段階は、検出された強度比率を、参照強度コードマップにおける強度コードの分布と比較する段階を含む態様54から56のいずれか1の方法。
【0329】
態様58.
比較する段階は、検出された強度比率を、参照強度コードマップにおける強度コードに割り当てる段階を含む、態様57の方法。
【0330】
態様59.
指示された強度比率が、強度コードマップにおける任意の強度コードから、予め定められたカットオフ値より遠い場合、検出された強度比率は除去され、態様58の方法。
【0331】
態様60.
任意の2の標的分子は、少なくとも250nmだけ空間的に離間する、態様54から59のいずれか1の方法。
【0332】
態様61.
検査のために調製されるサンプルであって、生体サンプルにおける第1標的分子に直接的または間接的に結合する第1の種類の光標識に付着する第1の複数のイメージングプローブと、生体サンプルにおける第2標的分子に直接的または間接的に結合する第1の種類の光標識に付着する第2の複数のイメージングプローブとを備え、第1の複数のイメージングプローブに関連する光標識の数と、第2の複数のイメージングプローブに関連する光標識の数との比率は、2より多く、第1標的および第2標的分子は、励起時に、第1色チャネルからの異なる比率の信号強度に関連する、サンプル。
【0333】
態様62.
第1の複数のイメージングプローブは更に、第1の複数の一次プローブに関連し、第1の複数の一次プローブは、第1標的分子に関連し、一次プローブの各プローブは、直接的または間接的に、1より多くの光標識に関連する、態様61のサンプル。
【0334】
態様63.
第1標的および第2標的分子は、少なくとも20nm、100nm、または250nmだけ離間する、態様61および62のサンプル。
【0335】
態様64.
第1の複数のイメージングプローブに関連する光標識の数と、第2の複数のイメージングプローブに関連する光標識の数との比率は、少なくとも3、4または5である、態様61のサンプル。
【0336】
態様65.
各々が第1標的分子に結合し得る第1の複数のプローブ、または、第1の複数のプローブが第1標的分子に間接的に結合することを可能にする第1の複数のプローブおよび1または複数の仲介プローブと、各々が第2標的分子に結合できる第2の複数ののプローブ、または、第2の複数ののプローブが第2標的分子に間接的に結合することを可能にする第2の複数のプローブおよび1または複数の仲介プローブとを備え、第1および第2の複数のプローブは両方とも異なる数の第1の種類の光標識に付着し、第1標的および第2標的分子は、励起時に、同一の色チャネルからの異なる信号強度に関連する、ハイブリダイゼーションのためのプローブのキット、パッケージ、または混合物。
【0337】
態様66.
サンプルにおける2以上の標的分子を検出する方法であって、プローブが標的分子に結合することを可能にする条件下で、態様65のプローブを、第1標的および第2標的分子を含むサンプルに混合する段階であって、異なる種類の標的分子は、異なる数の同一の種類の光標識に関連し、任意の2の標的分子は、少なくとも20nmだけ空間的に離間し、異なる種類の標的分子の検出を可能にするために、標的分子に関連する異なる強度は、参照強度コードマップと照合される、段階を備える方法。
【0338】
別の定義がされている場合を除き、明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解するのと同一の意味を有する。
【0339】
本明細書に例として記載される発明は、明細書に具体的に開示されない任意の要素もしくは複数の要素、制限もしくは複数の制限無しで好適に実施され得る。したがって、例えば、「含む」、「備える」、「有する」などの用語は、限定なしで拡大的に読まれるべきである。加えて、本明細書において採用される用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および発現の使用には、示され記載される特徴またはその一部の任意の同等のものを排除する意図はなく、主張される発明の範囲内において様々な修正が可能であると認識される。
【0340】
したがって、本発明は、好適な実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されるが、開示される本明細書において具現化される発明の修正、改善、および変形が当業者によって行われてよく、そのような修正、改善、および変形は、本発明の範囲内にあるとみなされることが理解されるべきである。ここで提供される材料、方法および例は、好適な実施形態を表し、例示的であり、発明の範囲に対する限定の意図はない。
【0341】
本願発明は、本明細書において幅広く、および一般的に説明されてきた。包括的な開示内に属する、より狭い分類および下位概念のグループ分けのそれぞれもまた、本発明の一部を形成する。これは、除去された材料が本明細書において具体的に言及されているかどうかにかかわらず、種類からの任意の主題を除去する但し書きまたは消極的な限定を有する発明の一般的な説明を含む。
【0342】
加えて、発明の特徴または態様が、マーカッシュグループの観点でも記載されている場合、当業者は、発明がそれによって、マーカッシュグループの任意の個別のメンバ、または、メンバのサブグループの観点で記載されていることを認識する。
【0343】
本明細書において言及される、すべての公報、特許出願、特許、および他の参考文献は、各々が参照によって個々に組み込まれる場合と同一の程度で、参照によってその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。矛盾がある場合、定義を含めて本明細書が優先される。
【0344】
本開示は、上の実施形態と併せて説明されたが、上記の説明および例は、例示を意図としたものであり、本開示の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。本開示の範囲における他の態様、特長、および修正は、本開示に関連する当業者にとって明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【配列表】
2022538835000001.app
【国際調査報告】