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特表2022-538876可動構成要素を追跡するためのRFIDシステムを備える外科用器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(54)【発明の名称】可動構成要素を追跡するためのRFIDシステムを備える外科用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20220830BHJP
   A61B 90/90 20160101ALI20220830BHJP
【FI】
A61B17/072
A61B90/90
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577548
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2020055731
(87)【国際公開番号】W WO2020261065
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/868,457
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/458,111
(32)【優先日】2019-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】アダムス・シェーン・アール
(72)【発明者】
【氏名】ロス・ニコラス・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC23
4C160MM32
4C160NN15
4C160NN23
(57)【要約】
コントローラと、ステープル発射システムと、RFIDシステムと、を備える外科用器具が開示される。コントローラは、RFIDシステムの第1のRFIDリーダ及び第2のRFIDリーダ並びにステープル発射システムと通信する。様々な実施形態において、コントローラは、第1のRFIDタグから第1の信号を受信すると、外科用器具内のステープルカートリッジの存在を検証する。また、様々な実施形態において、コントローラは、第2のRFIDタグから第2の信号を受信すると、ステープルカートリッジが未発射のステープルカートリッジであることを検証する。コントローラはまた、RFIDシステムを通じてステープル発射ストロークの進行を追跡するように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
ステープル発射システムと、
エンドエフェクタであって、
アンビルと、
ステープルカートリッジチャネルと、
前記ステープルカートリッジチャネル内に位置付けられたステープルカートリッジであって、
長手方向スロットを備えるカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、
前記ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、
前記ステープル発射システムによって近位未発射位置と遠位発射位置との間で移動可能なスレッドと、
前記カートリッジ本体に付着された第1のRFIDタグと、
前記スレッドに付着された第2のRFIDタグと、を備える、ステープルカートリッジと、
前記第1のRFIDタグから第1の信号を検出するように構成された第1のRFIDリーダと、
前記第2のRFIDタグから第2の信号を検出するように構成された第2のRFIDリーダと、を備える、エンドエフェクタと、
前記第1のRFIDリーダ、前記第2のRFIDリーダ、及び前記ステープル発射システムと通信するコントローラであって、前記コントローラは、前記第1のRFIDタグから前記第1の信号を受信すると前記ステープルカートリッジチャネル内の前記ステープルカートリッジの存在を検証し、前記コントローラは、前記第2のRFIDタグから前記第2の信号を受信すると、前記ステープルカートリッジが未発射ステープルカートリッジであることを検証する、コントローラと、を備える、外科用器具。
【請求項2】
前記コントローラは、前記コントローラが前記第1の信号を受信するが、前記第2の信号を受信しない場合に、前記ステープル発射システムを無効化するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記コントローラは、前記コントローラが前記第1の信号及び前記第2の信号を受信する場合に、前記ステープル発射システムをロック解除するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記第1のRFIDタグは第1の動作範囲を備え、前記第2のRFIDタグは第2の動作範囲を備え、前記第1の動作範囲と前記第2の動作範囲は、前記スレッドが前記近位未発射位置にあるときに重複しない、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記第1のRFIDリーダは第1の動作範囲を備え、前記第2のRFIDリーダは第2の動作範囲を備え、前記第1の動作範囲と前記第2の動作範囲は重複しない、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記コントローラと通信する第3のRFIDリーダを更に備え、前記第3のRFIDリーダは、前記スレッドが前記遠位発射位置にあるときに前記第2のRFIDタグから前記第2の信号を検出するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記第2のRFIDリーダは、前記スレッドが前記遠位発射位置にあるときに前記第2の信号を検出することができず、前記第3のRFIDリーダは、前記スレッドが前記近位未発射位置にあるときに前記第2の信号を検出することができない、請求項6に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記コントローラは、メモリデバイスに記憶された1組のデータを備え、前記コントローラは、前記第1の信号及び前記第2の信号からのデータを1組のデータと比較するように構成され、前記コントローラは、前記第1の信号及び前記第2の信号のうちの一方からのデータが前記1組のデータと一致しない場合、前記ステープル発射システムを無効化するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記ステープルカートリッジは、前記カートリッジ本体に解放可能に取り付けられた着脱式カバーを更に備え、前記着脱式カバーは、それに付着された第3のRFIDタグを備え、前記第3のRFIDタグは第3の信号を放出するように構成され、前記外科用器具は、前記着脱式カバーが前記カートリッジ本体に取り付けられているときに前記第3の信号を受信するように構成された第3のRFIDリーダを更に備え、前記第3のRFIDリーダは、前記着脱式カバーが前記カートリッジ本体から取り外されているときに前記第3の信号を受信することができない、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記第1のRFIDタグはアクティブRFIDタグを含み、前記第2のRFIDタグはアクティブRFIDタグを含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記第1のRFIDタグはパッシブRFIDタグを含み、前記第2のRFIDタグはパッシブRFIDタグを含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項12】
外科用器具であって、
ステープル発射システムと、
エンドエフェクタであって、
アンビルと、
ステープルカートリッジ支持体と、
前記ステープルカートリッジ支持体内に位置付けられたステープルカートリッジであって、
長手方向スロットを備えるカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、
前記ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、
前記ステープル発射システムによって近位未発射位置と遠位発射位置との間で移動可能なスレッドと、
前記カートリッジ本体に装着された第1のRFIDタグと、
前記スレッドに装着された第2のRFIDタグと、を備える、ステープルカートリッジと、
前記第1のRFIDタグから第1の信号を受信するように構成された第1のRFIDリーダと、
前記第2のRFIDタグから第2の信号を受信するように構成された第2のRFIDリーダと、を備える、エンドエフェクタと、
前記第1のRFIDリーダ、前記第2のRFIDリーダ、及び前記ステープル発射システムと通信するコントローラであって、前記コントローラは、前記第1のRFIDタグから前記第1の信号を受信すると前記ステープルカートリッジチャネル内の前記ステープルカートリッジの存在を検証し、前記コントローラは、前記第2のRFIDタグから前記第2の信号を受信すると、前記ステープルカートリッジが未発射ステープルカートリッジであることを検証する、コントローラと、を備える、外科用器具。
【請求項13】
外科用器具であって、
ステープル発射システムと、
エンドエフェクタであって、
アンビルと、
ステープルカートリッジチャネルと、
前記ステープルカートリッジチャネル内に位置付けられたステープルカートリッジであって、
長手方向スロットを備えるカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、
前記ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、
前記カートリッジ本体に解放可能に取り付けられた着脱式カバーと、
前記ステープル発射システムによって近位未発射位置と遠位発射位置との間で移動可能なスレッドと、
前記カートリッジ本体に付着された第1のRFIDタグと、
前記着脱式カバーに付着された第2のRFIDタグと、を備える、ステープルカートリッジと、
前記第1のRFIDタグから第1の信号を検出するように構成された第1のRFIDリーダと、
前記第2のRFIDタグから第2の信号を検出するように構成された第2のRFIDリーダと、を備える、エンドエフェクタと、
前記第1のRFIDリーダ、前記第2のRFIDリーダ、及び前記ステープル発射システムと通信するコントローラであって、前記コントローラは、前記第1のRFIDタグから前記第1の信号を受信すると前記ステープルカートリッジチャネル内の前記ステープルカートリッジの存在を検証し、前記コントローラは、前記第2のRFIDタグから前記第2の信号を受信すると、前記ステープルカートリッジが無損傷のステープルカートリッジであることを検証する、コントローラと、を備える、外科用器具。
【請求項14】
前記コントローラは、前記コントローラが前記第1の信号を受信するが、前記第2の信号を受信しない場合に、前記ステープル発射システムを無効化するように構成されている、請求項13に記載の外科用器具。
【請求項15】
前記コントローラは、前記コントローラが前記第1の信号及び前記第2の信号を受信する場合に、前記ステープル発射システムをロック解除するように構成されている、請求項13に記載の外科用器具。
【請求項16】
前記第1のRFIDタグは第1の動作範囲を備え、前記第2のRFIDタグは第2の動作範囲を備え、前記第1の動作範囲と前記第2の動作範囲は、前記カバーが前記カートリッジ本体に取り付けられているときに重複しない、請求項13に記載の外科用器具。
【請求項17】
前記第1のRFIDリーダは第1の動作範囲を備え、前記第2のRFIDリーダは第2の動作範囲を備え、前記第1の動作範囲と前記第2の動作範囲は重複しない、請求項13に記載の外科用器具。
【請求項18】
前記コントローラは、メモリデバイスに記憶された1組のデータを備え、前記コントローラは、前記第1の信号及び前記第2の信号からのデータを1組のデータと比較するように構成され、前記コントローラは、前記第1の信号及び前記第2の信号のうちの一方からのデータが前記1組のデータと一致しない場合、前記ステープル発射システムを無効化するように構成されている、請求項13に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年6月28日に出願された米国仮特許出願第62/868,457号、発明の名称「SURGICAL SYSTEMS WITH MULTIPLE RFID TAGS」の利益を米国特許法第119条(e)の下で主張するものであり、この仮特許の全開示内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、外科用器具に関し、様々な実施形態において、組織の切断及びステープル留めを行うように設計されている外科用切断及びステープル留め器具、並びに外科用切断及びステープル留め器具用のステープルカートリッジに関する。様々な実施形態において、例えば、ステープルカートリッジなどの外科用器具の構成要素を識別するために、RFID技術が用いられ得る。RFID技術を使用する外科用システムの例が、2011年6月14日に発行された米国特許第7,959,050号、発明の名称「ELECTRICALLY SELF-POWERED SURGICAL INSTRUMENT WITH MANUAL RELEASE」及び2015年2月26日に公開された米国特許出願公開第2015/0053743号、発明の名称「ERROR DETECTION ARRANGEMENTS FOR SURGICAL INSTRUMENT ASSEMBLIES」の開示内容に見出され得るが、その両方が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本発明の特徴及び利点、並びにこれらを達成する方法は、添付の図面と併せて、本発明の実施形態の以下の記載を参照することによってより明らかになり、また本発明自体がより良好に理解される。
図1】ハンドルと、シャフトと、関節屈曲式エンドエフェクタと、を備える外科用器具の斜視図である。
図2図1の外科用器具の立面図である。
図3図1の外科用器具の平面図である。
図4図1の外科用器具のエンドエフェクタ及びシャフトの横断面図である。
図5図1のシャフトとエンドエフェクタとを回転可能に連結する関節継手の詳細図であり、この拡大図は、中立の、つまり中心の位置にあるエンドエフェクタを示している。
図6】中立の、つまり中心の位置にある、図1の外科用器具の関節制御部の横断面図である。
図7図1の外科用器具のエンドエフェクタ、細長シャフト、及び関節継手の分解図である。
図8図1の外科用器具のエンドエフェクタ、細長シャフト、及び関節継手の横断面図である。
図9図1の外科用器具のエンドエフェクタ、細長シャフト、及び関節継手の斜視図である。
図10】関節継手の周りに関節屈曲させられた、図1の外科用器具のエンドエフェクタを示している。
図11図12に示すようなエンドエフェクタを動かすために作動された、図6の関節制御部の横断面図である。
図12】ハンドルと、シャフトと、関節屈曲式エンドエフェクタとを備える外科用器具の斜視図である。
図13図12の外科用器具の側面図である。
図14図12のハンドル内に定置された発射部材及びピニオンギアの斜視図である。
図15図14の発射部材及びピニオンギア、並びにそのピニオンギアと動作可能に係合した歯車減速機アセンブリの斜視図である。
図16図12のハンドルの斜視図であり、図14の発射部材及びピニオンギア、図15の歯車減速機アセンブリ、並びに電気モータが回転される方向に応じて遠位側及び/又は近位側に発射部材を駆動するように構成された電気モータを示すために各部分が取り除かれている。
図17】ハンドルと、シャフトと、エンドエフェクタと、エンドエフェクタをシャフトに連結する関節継手とを備える外科用器具の斜視図であり、この斜視図は、説明のためにハンドルの各部分を取り除いて示されている。
図18図17の外科用器具の横断面図である。
図19図17の外科用器具の分解図である。
図20】エンドエフェクタが開放構成にあり、関節継手がロック解除構成にあり、外科用器具ハンドルの関節ロックアクチュエータがロック解除構成にある状態で示した、図17の外科用器具の横断面詳細図である。
図21】エンドエフェクタが関節屈曲した開放構成にあり、関節継手がロック解除構成にあり、関節屈曲ドライバが図17の外科用器具の発射部材と係合している状態を示す、図17の外科用器具の横断面詳細図であり、発射部材の移動により、関節屈曲ドライバを動かし、エンドエフェクタを関節屈曲させることができる。
図22】エンドエフェクタが閉鎖構成にあり、関節継手がロック解除構成にあり、エンドエフェクタ閉鎖駆動部がエンドエフェクタを閉じさせ、関節ロックアクチュエータをロック構成へと動かすために作動されている状態を示す、図17の外科用器具の横断面詳細図である。
図22A図22に関連して説明された構成で示された、図17の外科用器具のハンドルの横断面詳細図である。
図23】エンドエフェクタが閉鎖構成にあり、関節継手がロック構成にある状態を示す、図17の外科用器具の横断面詳細図であり、作動された閉鎖駆動部は、関節ロックアクチュエータが図20図22に示すロック解除構成の中に移動させられることを防止する。
図24A】ロック構成で示された、図17の外科用器具の関節継手の平面図である。
図24B】ロック解除構成で示された、図17の外科用器具の関節継手の平面図である。
図25】閉鎖駆動部によって発射部材から連結解除された関節屈曲ドライバを示す、図17の外科用器具のハンドルの横断面詳細図である。
図26】発射部材が少なくとも部分的に発射される位置にあり、関節屈曲ドライバが閉鎖駆動部によって発射部材から連結解除された状態を示す、図17の外科用器具の横断面詳細図である。
図27】エンドエフェクタが閉鎖構成にあり、関節継手及び関節継手アクチュエータがロック構成にあり、発射部材が後退位置にある状態を示す、図17の外科用器具の横断面詳細図である。
図28】エンドエフェクタが開放構成にあり、エンドエフェクタ閉鎖駆動部が後退位置にあり、関節継手がロック構成にある状態を示す、図17の外科用器具の横断面詳細図である。
図29】エンドエフェクタが開放構成にあり、関節継手及び関節継手アクチュエータがロック解除構成にある状態を示す、図17の外科用器具の横断面詳細図であり、ここで、関節屈曲ドライバは、発射駆動部に再連結され、エンドエフェクタを再度、関節屈曲させるために利用され得る。
図30】代替の関節ロック装置を有する外科用器具のシャフト及びエンドエフェクタの分解図である。
図31】エンドエフェクタがロック解除構成にある状態を示す、図30の外科用器具のエンドエフェクタ及びシャフトの横断面立面図である。
図32】エンドエフェクタがロック構成にある状態を示す、図30の外科用器具のエンドエフェクタ及びシャフトの横断面立面図である。
図33】外科用器具と複数の交換式シャフトアセンブリとを含む外科用システムの一形態の組立図である。
図34】交換式シャフトアセンブリに結合された外科用器具ハンドルの斜視図である。
図35図34の外科用器具ハンドルの分解斜視図である。
図36】ハンドルハウジングの一部分を取り除いた、図35のハンドルの側面から見た立面図である。
図37】交換式シャフトアセンブリの分解斜視図である。
図38】明確にするためにそれらの一部分が省略された、図34のハンドル及び交換式シャフトアセンブリの一部分の組立側面図であり、互いに結合される前のハンドルと交換式シャフトアセンブリとの配列を示す。
図39】外科用器具のハンドルに取り付ける前の交換式シャフトアセンブリの一部分の斜視図である。
図40】ハンドルに結合された交換式シャフトアセンブリの一部分の側面図であり、ロックヨークは、ハンドルのフレーム装着モジュールの一部分とのロック又は係合位置にある。
図41図40の交換式シャフトアセンブリ及びハンドルの別の側面図であり、ロックヨークは分離又はロック解除位置にある。
図42】互いに結合される前の交換式シャフトアセンブリ及びハンドルの一部分の平面図である。
図43】互いに結合された図42の交換式シャフトアセンブリ及びハンドルの別の平面図である。
図44】互いに結合される前に外科用器具ハンドルと整列させられた交換式シャフトアセンブリの側面から見た立面図である。
図45図44の交換式シャフトアセンブリと外科用器具ハンドルの正面斜視図であり、それらの一部分は明確にするために取り外されている。
図46】互いに結合する前に外科用器具ハンドルの一部分と整列させられた交換式シャフトアセンブリの一部分の側面図であり、それらの一部分は明確にするために省略されている。
図47図46の交換式シャフトアセンブリとハンドルの別の側面から見た立面図であり、シャフトアセンブリはハンドルと部分的に結合して係合している。
図48】互いに結合された後の図46及び図47の交換式シャフトアセンブリとハンドルの別の側面から見た立面図である。
図49】結合プロセスを開始する前に、ハンドルの一部分と整列させられた交換式シャフトアセンブリの一部分の別の側面から見た立面図である。
図50】可撓性ナイフバンドが斜めに伸びることが横切開長さに与える影響を補正する方法に関する論理図の一実施形態を示している。
図51】シャフトアセンブリが外科用器具ハンドルに結合されていないときに、外科用器具ハンドルの電気コネクタへの給電を停止するためのシステムの概略図である。
図52】モータの速度及び/又は本明細書で開示される外科用器具の駆動可能部材の速度を制御するシステムを示す略図である。
図53】モータの速度及び/又は本明細書で開示される外科用器具の駆動可能部材の速度を制御する別のシステムを示す略図である。
図54】本開示の様々な実施形態による、本明細書において説明された様々な外科用器具の様々な動作を制御するための制御システムを示す略図である。
図54A図54の略図の部分図である。
図54B図54の略図の部分図である。
図55】本開示の様々な実施形態による制御システム用のスイッチ回路を示す略図である。
図56】本開示の様々な実施形態による制御システム用のスイッチ回路を示す略図である。
図57】本開示の様々な実施形態による、本明細書において説明された様々な外科用器具の様々な動作を制御するための制御システムを示す略図である。
図57A図57の略図の部分図である。
図57B図57の略図の部分図である。
図58】本開示の様々な実施形態による、本明細書において説明された様々な外科用器具の様々な動作を制御するための制御システムを示す略図である。
図59】本開示の様々な実施形態による、図58の横切開手術についての様々な副手術を示す略図である。
図60】本開示の様々な実施形態による、図59のファイヤーアウトニヤハードストップ(Fire Out Near Hard Stop)手術についての様々な副手術を示す略図である。
図61】少なくとも1つの実施形態による、ハンドルと、シャフトと、関節屈曲式エンドエフェクタと、を備える外科用器具の立面図である。
図62】少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの上面図である。
図63】少なくとも1つの実施形態による、図62のステープルカートリッジなどのステープルカートリッジに対して生成され得るシリアル番号の構造を示す。
図64図62のステープルカートリッジの立面図である。
図65図62のステープルカートリッジの平面図である。
図66図62のステープルカートリッジを受容するように構成されたジョーの断面平面図である。
図67】少なくとも1つの実施形態による、RFIDタグの斜視図である。
図68図62のステープルカートリッジのカートリッジ本体の部分断面図である。
図69図62のステープルカートリッジのスレッドの断面図である。
図70図62のステープルカートリッジの着脱式カバーの斜視図である。
図71】少なくとも1つの実施形態によるスレッドの横断面図である。
図72】少なくとも1つの実施形態による、図70のスレッドを含んだエンドエフェクタの立面図である。
図72A】ステープル発射ストローク中に遠位に前進されている図70のスレッドを示す図72のエンドエフェクタの立面図である。
図72B】ステープル発射ストロークの終点にある図70のスレッドを示す図72のエンドエフェクタの立面図である。
図73A図70のスレッドに埋め込まれたRFIDタグの詳細図である。
図73B】ステープル発射ストロークの終点において切断されているRFIDタグの詳細図である。
図74】2つのステープルカートリッジを示す。
図75】エンドエフェクタを示し、ここで図74のステープルカートリッジのうちの1つはエンドエフェクタと適合性があり、他方のステープルカートリッジはエンドエフェクタと適合性がない。
図76】少なくとも1つの実施形態による、制御システムのためのアルゴリズムを示す。
図77】少なくとも1つの実施形態による、RFIDスキャナを含んだフレックス回路を示す。
図78】外科用ステープルカートリッジパッケージの斜視図であり、パッケージは、その中に収容された外科用ステープルカートリッジの識別特性を備える。
図79】パッケージが封止構成にあるときの、図78のパッケージと一体化されたRFIDシステムの部分断面図である。
図80】パッケージが非封止構成にあるときの、図79のRFIDシステムの部分断面図である。
図81】外科用ステープルカートリッジと共に使用するためのリテーナの斜視図であり、リテーナは一体型RFIDタグを備える。
図82】外科用ステープルカートリッジから取り外されている図81のリテーナの斜視図である。
図83】リテーナが外科用ステープルカートリッジから取り外されるときの、図81及び図82のRFIDタグの詳細図である。
図84】拡張アンテナを備えたRFIDシステムを備える外科用ステープルカートリッジの部分斜視図であり、拡張アンテナの一部分は組織切断部材の切断経路を横断する。
図85】RFIDタグと、第1のフレックス回路層に統合された第1のRFIDスキャナと、第2のフレックス回路層に統合された第2のRFIDスキャナと、を備えるRFIDシステムである。
図86】ステープル発射ストロークの前の図85のRFIDシステムの通信経路の表現である。
図87】ステープル発射ストローク中及びその後の図85のRFIDシステムの通信経路の表現である。
図88】ロック解除構成にあるステープル発射ロックアウトシステムの部分斜視図である。
図88A】ロック解除構成にある図88のステープル発射ロックアウトシステムのブロックボルトアセンブリの斜視図である。
図89】ロック構成にある図88のステープル発射ロックアウトシステムの部分斜視図である。
図89A】ロック構成にある図88Aのブロックボルトアセンブリの斜視図である。
図90図88図89Aのカートリッジロックアウトアセンブリを備える外科用器具のモータ制御回路図である。
図91】ステープルカートリッジの組み立て及びパッケージングを容易にするために暗号化プロトコルを使用するように構成された製造プロセスの概略表現である。
図92】外科用システムと共に使用するためのステープルカートリッジを認証するための復号プロトコルを表すフローチャートである。
【0004】
複数の図面を通して、対応する参照符号は対応する部分を示す。本明細書に記載する事例は、ある一形態として、本発明の特定の実施形態を例示するものであり、そのような事例は、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本願の出願人は、本願と同日に出願された以下の米国特許出願を所有しており、これらは各々、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
-代理人整理番号END9145USNP1/190235-1M、発明の名称「METHOD FOR AUTHENTICATING THE COMPATIBILITY OF A STAPLE CARTRIDGE WITH A SURGICAL INSTRUMENT」、
-代理人整理番号END9146USNP1/192036、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT SYSTEM COMPRISING AN RFID SYSTEM」、
-代理人整理番号END9148USNP1/190238、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING AN ALIGNED RFID SENSOR」、
-代理人整理番号END9123USNP1/192039、発明の名称「SURGICAL STAPLING SYSTEM HAVING AN INFORMATION DECRYPTION PROTOCOL」、
-代理人整理番号END9124USNP1/190240、発明の名称「SURGICAL STAPLING SYSTEM HAVING AN INFORMATION ENCRYPTION PROTOCOL」、
-代理人整理番号END9125USNP1/190241、発明の名称「SURGICAL STAPLING SYSTEM HAVING A LOCKOUT MECHANISM FOR AN INCOMPATIBLE CARTRIDGE」、
-代理人整理番号END9126USNP1/190242、発明の名称「SURGICAL STAPLING SYSTEM HAVING A FRANGIBLE RFID TAG」、及び
-代理人整理番号END9127USNP1/192043、発明の名称「PACKAGING FOR A REPLACEABLE COMPONENT OF A SURGICAL STAPLING SYSTEM」。
【0006】
本願の出願人は、本願と同日に出願された以下の米国特許出願を所有しており、これらは各々、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
-代理人整理番号END9119USNP1/190245-1M、発明の名称「METHOD OF USING MULTIPLE RFID CHIPS WITH A SURGICAL ASSEMBLY」、
-代理人整理番号END9120USNP1/192046、発明の名称「MECHANISMS FOR PROPER ANVIL ATTACHMENT SURGICAL STAPLING HEAD ASSEMBLY」、
- 代理人整理番号END9121USNP1/192047、発明の名称「MECHANISMS FOR MOTOR CONTROL ADJUSTMENTS OF A MOTORIZED SURGICAL INSTRUMENT」、
-代理人整理番号END9122USNP1/190248、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH BATTERY COMPATIBILITY VERIFICATION FUNCTIONALITY」、
-代理人整理番号END9131USNP1/190249、発明の名称「SURGICAL SYSTEM WITH RFID TAGS FOR UPDATING MOTOR ASSEMBLY PARAMETERS」、
-代理人整理番号END9132USNP1/190250、発明の名称「SURGICAL SYSTEMS WITH MULTIPLE RFID TAGS」、
-代理人整理番号END9149USNP1/190251、発明の名称「RFID IDENTIFICATION SYSTEMS FOR SURGICAL INSTRUMENTS」、
-代理人整理番号END9150USNP1/190252、発明の名称「RFID IDENTIFICATION SYSTEMS FOR SURGICAL INSTRUMENTS」、
-代理人整理番号END9151USNP1/192053、発明の名称「SURGICAL RFID ASSEMBLIES FOR DISPLAY AND COMMUNICATION」、
-代理人整理番号END9152USNP1/190254、発明の名称「SURGICAL RFID ASSEMBLIES FOR COMPATIBILITY DETECTION」、
-代理人整理番号END9153USNP1/190255、発明の名称「SURGICAL RFID ASSEMBLIES FOR INSTRUMENT OPERATIONAL SETTING CONTROL」。
【0007】
本願の出願人は、2018年5月1日に出願された以下の米国特許出願を所有しており、これらは各々、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
-米国仮特許出願第62/665,129号、発明の名称「SURGICAL SUTURING SYSTEMS」、
-米国仮特許出願第62/665,139号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS COMPRISING CONTROL SYSTEMS」、
-米国仮特許出願第62/665,177号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS COMPRISING HANDLE ARRANGEMENTS」、
-米国仮特許出願第62/665,128号、発明の名称「MODULAR SURGICAL INSTRUMENTS」、
-米国仮特許出願第62/665,192号、発明の名称「SURGICAL DISSECTORS」、及び
-米国仮特許出願第62/665,134号、発明の名称「SURGICAL CLIP APPLIER」。
【0008】
本願の出願人は、2018年8月24日に出願された以下の米国特許出願を所有しており、これらは各々、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
-米国特許出願第16/112,129号、発明の名称「SURGICAL SUTURING INSTRUMENT CONFIGURED TO MANIPULATE TISSUE USING MECHANICAL AND ELECTRICAL POWER」、
-米国特許出願第16/112,155号、発明の名称「SURGICAL SUTURING INSTRUMENT COMPRISING A CAPTURE WIDTH WHICH IS LARGER THAN TROCAR DIAMETER」、
-米国特許出願第16/112,168号、発明の名称「SURGICAL SUTURING INSTRUMENT COMPRISING A NON-CIRCULAR NEEDLE」、
-米国特許出願第16/112,180号、発明の名称「ELECTRICAL POWER OUTPUT CONTROL BASED ON MECHANICAL FORCES」、
-米国特許出願第16/112,193号、発明の名称「REACTIVE ALGORITHM FOR SURGICAL SYSTEM」、
-米国特許出願第16/112,099号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING AN ADAPTIVE ELECTRICAL SYSTEM」、
-米国特許出願第16/112,112号、発明の名称「CONTROL SYSTEM ARRANGEMENTS FOR A MODULAR SURGICAL INSTRUMENT」、
-米国特許出願第16/112,119号、発明の名称「ADAPTIVE CONTROL PROGRAMS FOR A SURGICAL SYSTEM COMPRISING MORE THAN ONE TYPE OF CARTRIDGE」、
-米国特許出願第16/112,097号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT SYSTEMS COMPRISING BATTERY ARRANGEMENTS」、
-米国特許出願第16/112,109号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT SYSTEMS COMPRISING HANDLE ARRANGEMENTS」、
-米国特許出願第16/112,114号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT SYSTEMS COMPRISING FEEDBACK MECHANISMS」、
-米国特許出願第16/112,117号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT SYSTEMS COMPRISING LOCKOUT MECHANISMS」、
-米国特許出願第16/112,095号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS COMPRISING A LOCKABLE END EFFECTOR SOCKET」、
-米国特許出願第16/112,121号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS COMPRISING A SHIFTING MECHANISM」、
-米国特許出願第16/112,151号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS COMPRISING A SYSTEM FOR ARTICULATION AND ROTATION COMPENSATION」、
-米国特許出願第16/112,154号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS COMPRISING A BIASED SHIFTING MECHANISM」、
-米国特許出願第16/112,226号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS COMPRISING AN ARTICULATION DRIVE THAT PROVIDES FOR HIGH ARTICULATION ANGLES」、
-米国特許出願第16/112,062号、発明の名称「SURGICAL DISSECTORS AND MANUFACTURING TECHNIQUES」、
-米国特許出願第16/112,098号、発明の名称「SURGICAL DISSECTORS CONFIGURED TO APPLY MECHANICAL AND ELECTRICAL ENERGY」、
-米国特許出願第16/112,237号、発明の名称「SURGICAL CLIP APPLIER CONFIGURED TO STORE CLIPS IN A STORED STATE」、
-米国特許出願第16/112,245号、発明の名称「SURGICAL CLIP APPLIER COMPRISING AN EMPTY CLIP CARTRIDGE LOCKOUT」、
-米国特許出願第16/112,249号、発明の名称「SURGICAL CLIP APPLIER COMPRISING AN AUTOMATIC CLIP FEEDING SYSTEM」、
-米国特許出願第16/112,253号、発明の名称「SURGICAL CLIP APPLIER COMPRISING ADAPTIVE FIRING CONTROL」、及び
-米国特許出願第16/112,257号、発明の名称「SURGICAL CLIP APPLIER COMPRISING ADAPTIVE CONTROL IN RESPONSE TO A STRAIN GAUGE CIRCUIT」。
【0009】
本願の出願人は、2018年10月26日に出願された以下の米国特許出願を所有しており、これらは各々、それぞれの全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる。
-米国特許出願第16/172,130号、発明の名称「CLIP APPLIER COMPRISING INTERCHANGEABLE CLIP RELOADS」、
-米国特許出願第16/172,066号、発明の名称「CLIP APPLIER COMPRISING A MOVABLE CLIP MAGAZINE」、
-米国特許出願第16/172,078号、発明の名称「CLIP APPLIER COMPRISING A ROTATABLE CLIP MAGAZINE」、
-米国特許出願第16/172,087号、発明の名称「CLIP APPLIER COMPRISING CLIP ADVANCING SYSTEMS」、
-米国特許出願第16/172,094号、発明の名称「CLIP APPLIER COMPRISING A CLIP CRIMPING SYSTEM」、
-米国特許出願第16/172,128号、発明の名称「CLIP APPLIER COMPRISING A RECIPROCATING CLIP ADVANCING MEMBER」、
-米国特許出願第16/172,168号、発明の名称「CLIP APPLIER COMPRISING A MOTOR CONTROLLER」、
-米国特許出願第16/172,164号、発明の名称「SURGICAL SYSTEM COMPRISING A SURGICAL TOOL AND A SURGICAL HUB」、及び
-米国特許出願第16/172,303号、発明の名称「METHOD FOR OPERATING A POWERED ARTICULATING MULTI-CLIP APPLIER」。
【0010】
本出願の出願人は、2018年12月4日に出願された以下の米国特許出願を所有しており、これらの各開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
-米国特許出願第16/209,385号、発明の名称「METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAY」、
-米国特許出願第16/209,395号、発明の名称「METHOD OF HUB COMMUNICATION」、
-米国特許出願第16/209,403号、発明の名称「METHOD OF CLOUD BASED DATA ANALYTICS FOR USE WITH THE HUB」、
-米国特許出願第16/209,407号、発明名称「METHOD OF ROBOTIC HUB COMMUNICATION,DETECTION,AND CONTROL」、
-米国特許出願第16/209,416号、発明の名称「METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,DISPLAY,AND CLOUD ANALYTICS」、
- 米国特許出願第16/209,423号、発明の名称「METHOD OF COMPRESSING TISSUE WITHIN A STAPLING DEVICE AND SIMULTANEOUSLY DISPLAYING THE LOCATION OF THE TISSUE WITHIN THE JAWS」、
-米国特許出願第16/209,427号、発明の名称「METHOD OF USING REINFORCED FLEXIBLE CIRCUITS WITH MULTIPLE SENSORS TO OPTIMIZE PERFORMANCE OF RADIO FREQUENCY DEVICES」、
-米国特許出願第16/209,433号、発明の名称「METHOD OF SENSING PARTICULATE FROM SMOKE EVACUATED FROM A PATIENT,ADJUSTING THE PUMP SPEED BASED ON THE SENSED INFORMATION,AND COMMUNICATING THE FUNCTIONAL PARAMETERS OF THE SYSTEM TO THE HUB」、
-米国特許出願第16/209,447号、発明の名称「METHOD FOR SMOKE EVACUATION FOR SURGICAL HUB」、
-米国特許出願第16/209,453号、発明の名称「METHOD FOR CONTROLLING SMART ENERGY DEVICES」、
-米国特許出願第16/209,458号、発明の名称「METHOD FOR SMART ENERGY DEVICE INFRASTRUCTURE」、
-米国特許出願第16/209,465号、発明の名称「METHOD FOR ADAPTIVE CONTROL SCHEMES FOR SURGICAL NETWORK CONTROL AND INTERACTION」、
-米国特許出願第16/209,478号、発明の名称「METHOD FOR SITUATIONAL AWARENESS FOR SURGICAL NETWORK OR SURGICAL NETWORK CONNECTED DEVICE CAPABLE OF ADJUSTING FUNCTION BASED ON A SENSED SITUATION OR USAGE」、
-米国特許出願第16/209,490号、発明の名称「METHOD FOR FACILITY DATA COLLECTION AND INTERPRETATION」、
-米国特許出願第16/209,491号、発明の名称「METHOD OF CIRCULAR STAPLER CONTROL ALGORITHM ADJUSTMENT BASED ON SITUATIONAL AWARENESS」。
【0011】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例解される。当業者は、本明細書で具体的に説明され、添付図面に示される装置及び方法が、非限定的な例示的実施形態であること、並びに、本発明の様々な実施形態の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。例示的な一実施形態に関連して例解又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0012】
本明細書を通じて、「様々な実施形態(various embodiments)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」、「一実施形態(one embodiment)」、又は「ある実施形態(an embodiment)」等は、その実施形態と関連して述べられる特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通して各所において、「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、又は「ある実施形態では」などの句が出現するが、これらは必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性を、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせることもできる。かくして、一実施形態に関して図示又は説明される特定の特徴、構造、又は特性は、無制限に1つ若しくは2つ以上の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と全て、あるいは、部分的に組み合わせてもよい。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0013】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は臨床医から離れて位置する部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0014】
腹腔鏡下及び低侵襲性の外科処置を行うための、様々な例示的な装置及び方法が提供される。しかしながら、本明細書に開示する様々な方法及び装置は、例えば、切開外科的処置と関連するものを含む多数の外科処置及び用途で使用することができることが、当業者には容易に理解されるであろう。この「発明を実施するための形態」を読み進めると、本明細書で開示する様々な器具が、自然開口部を通って、組織内に形成された切込み又は穿刺孔を通ってなど、任意の方式で体の内部に挿入され得ることが、当業者には更に明らかとなろう。器具の作動部分又はエンドエフェクタ部分は、患者の体の内部に直接挿入されてもよく、あるいは、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長シャフトを前進させ得る作動チャネルを有するアクセス装置を通って挿入されてもよい。
【0015】
外科用ステープル留めシステムは、シャフトと、シャフトから延在するエンドエフェクタと、を備えることができる。エンドエフェクタは、第1のジョー及び第2のジョーを備える。第1のジョーは、ステープルカートリッジを備える。ステープルカートリッジは、第1のジョー内に挿入可能であり、かつ第1のジョーから取り外し可能であるが、ステープルカートリッジが第1のジョーから取り外し可能でない、又は第1のジョーから少なくとも容易に交換可能ではない、他の実施形態が想到される。第2のジョーは、ステープルカートリッジから排出されたステープルを変形させるように構成されているアンビルを備える。第2のジョーは、閉鎖軸線を中心に第1のジョーに対して枢動可能であるが、第1のジョーが第2のジョーに対して枢動可能である、他の実施形態が想定される。外科用ステープル留めシステムは、エンドエフェクタをシャフトに対して回転させる、すなわち関節屈曲させることができるように構成されている関節継手を更に備える。エンドエフェクタは、関節継手を通って延在する関節屈曲軸線を中心にして回転可能である。関節継手を含まない他の実施形態も想到される。
【0016】
ステープルカートリッジは、カートリッジ本体を備える。カートリッジ本体は、近位端部と、遠位端部と、近位端部と遠位端部との間に延在するデッキ部と、を含む。使用中、ステープルカートリッジは、ステープル留めされる組織の第1の側に位置付けられ、アンビルは、組織の第2の側に位置付けられる。アンビルは、ステープルカートリッジに向かって移動させられて、デッキ部に対して組織を押し付けて及びクランプする。続いて、カートリッジ本体内に着脱可能に格納されているステープルを、組織内に配備することができる。カートリッジ本体は、内部に画定されたステープルキャビティを含み、ステープルは、ステープルキャビティ内に着脱可能に格納される。ステープルキャビティは、6つの長手方向列に配置されている。3列のステープルキャビティが長手方向スロットの第1の側に位置付けられ、3列のステープルキャビティが長手方向スロットの第2の側に位置付けられている。ステープルキャビティ及びステープルの他の配置も可能であり得る。
【0017】
ステープルは、カートリッジ本体内のステープルドライバによって支持されている。ドライバは、第1の、すなわち未発射位置と、ステープルキャビティからステープルを排出する、第2の、すなわち発射済み位置との間で移動可能である。ドライバは、カートリッジ本体の底部周辺に延在するリテーナによってカートリッジ本体内に保持され、また、カートリッジ本体を把持し、リテーナをカートリッジ本体に対して保持するように構成されている、弾性部材を含む。ドライバは、スレッドによってそれらの未発射位置とそれらの発射済み位置との間で移動可能である。スレッドは、近位端部に隣接した近位位置と、遠位端部に隣接した遠位位置との間で移動可能である。スレッドは、ドライバの下を摺動し、ドライバを持ち上げるように構成されている複数の傾斜面を含み、ステープルがその上に支持され、アンビルに向かう。
【0018】
上記に加えて、スレッドは発射部材によって遠位側に移動される。発射部材は、スレッドに接触し、スレッドを遠位端部に向かって押すように構成されている。カートリッジ本体内に画定された長手方向スロットは、発射部材を受容するように構成されている。アンビルは、発射部材を受容するように構成されているスロットも含む。発射部材は、第1のジョーに係合する第1のカムと、第2のジョーに係合する第2のカムと、を更に備える。発射部材を遠位側に前進させる際、第1のカム及び第2のカムは、ステープルカートリッジのデッキ部とアンビルとの間の距離、すなわち組織隙間を制御することができる。発射部材はまた、ステープルカートリッジとアンビルとの中間に捕捉された組織を切除するように構成されているナイフも備える。ステープルがナイフよりも前方に排出されるように、ナイフが傾斜面に対して少なくとも部分的に近位に位置付けられることが望ましい。
【0019】
図1図3は、ハンドル103と、シャフト104と、関節継手110においてシャフト104に枢動可能に連結された関節屈曲式エンドエフェクタ102と、を備える例示的な外科用器具100を示している。関節継手110の周りでのエンドエフェクタ102の回転を達成するために、関節制御部112が設けられている。エンドエフェクタ102は、組織をクランプ、切断、及びステープル留めするためのエンドカッターを備えているが、様々な実施形態が、例えば、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤ、アクセス装置、薬物/遺伝子治療送達装置、超音波、RF、及び/又はレーザーエネルギー装置などを含む他の外科用装置として機能するように構成されたエンドエフェクタを含み得ることが理解されよう。器具100のハンドル103は、エンドエフェクタ102を作動させるための閉鎖トリガ114及び発射トリガ116を含んでいる。様々な外科的タスクを対象とするエンドエフェクタを有する器具が、様々な数若しくは種類のトリガ、又はエンドエフェクタを操作するための他の好適な制御部を有してよいことは理解されるであろう。エンドエフェクタ102は、シャフト104によってハンドル103に連結されている。以下で更に詳細に説明するように、臨床医は、関節制御部112を利用することによって、シャフト104に対してエンドエフェクタ102を関節屈曲させることができる。
【0020】
理解されるように、垂直、水平、右、左などの空間に関する用語は、トリガ114、116がハンドル103の底部から鋭角をなして下方に延びる状態で、外科用器具100の長手方向軸線がシャフト104の中心軸線と同軸であると想定して、本明細書において図に関連させて用いられている。実際の診療においては、しかしながら、外科用器具100は様々な角度に方向付けられてよく、したがって、これらの空間に関する用語は、外科用器具100自体に対して用いられる。更に、近位は、ハンドル103の後方にいて、エンドエフェクタ102を遠位側に、つまり自身から遠ざけて置く臨床医の視野を示すために用いられる。本明細書で用いられるとき、「長手方向軸線を実質的に横断する」という表現(「長手方向軸線」はシャフトの軸線)は、長手方向軸線にほぼ垂直な方向を指す。しかしながら、長手方向軸線に対する垂直から幾分逸脱した方向であっても、長手方向軸線に実質的に横断する方向であることが理解される。
【0021】
本明細書で開示される種々の実施形態は、ケーブル又はバンドを曲げることによって駆動される関節継手を有する器具に関する。図4及び図5は、細長シャフト104及びエンドエフェクタ102の横断平面図であり、エンドエフェクタ102は、エンドエフェクタ102から延びるボス206に機械的に結合されたバンド205を有している。バンド205はバンド部分202及び204を有してもよく、このバンド部分202及び204は、ボス206から近位側に、細長シャフト104に沿って、関節制御部112を通って延びている。バンド205及びバンド部分202、204は、固定長を有することができる。バンド205は、例えば、接着剤、溶接などを含む任意の好適な締結方法を使用して、図示されるようにボス206に機械的に連結され得る。様々な実施形態において、各バンド部分202、204は、別個のバンドとして設けられてもよく、各別個のバンドの一端がボス206に機械的に連結され、他端がシャフト104及び関節制御部112を通って延びている。別のバンドは、上述のようにボス206に機械的に結合されてもよい。
【0022】
上記に加えて、バンド部分202、204は、ボス206から関節継手110を通って、シャフト104に沿って、図6に示す関節制御部112まで延びてもよい。関節制御部112は、関節スライド208と、フレーム212と、エンクロージャ218とを有することができる。バンド部分202、204は、スロット210又は他のアパーチャを通って関節スライド208を通過することができるが、理解されたいこととして、バンド部分202、204は、任意の好適な手段によってスライド208に結合されてよい。関節スライド208は、図6に示すように1つの部品であってもよく、あるいは、2つの部品を有し、2つの部品の境界面がスロット210を画定してもよい。非限定的な一実施形態において、関節スライド208は、複数のスロットを有してもよく、例えば、各スロットは、バンド部分202、204のうちの1つを受容するように構成される。エンクロージャ218は、関節制御部112の種々の構成要素を被覆して、細片が関節制御部112に浸入することを防止することができる。
【0023】
再び図6を参照すると、バンド部分202、204はそれぞれ、スロット210から近位側に位置する連結点214、216においてフレーム212に係留されてもよい。理解されたいこととして、バンド部分202、204は、ハンドル103を含めて、スロット210から近位側に位置する、器具10の任意の箇所に係留され得る。図6の非限定的な実施形態が示すこととして、バンド部分202、204は、連結点214、216と、シャフト104の長手方向軸線付近に位置するスロット210との間で、曲がった形態を有することができる。バンド部分202、204が直線的である他の実施形態も考えられる。
【0024】
図7図9は、図5に示す関節継手110を含む、器具100のエンドエフェクタ102及び細長シャフト104の図を示している。図7は、様々な内部構成要素を含む、エンドエフェクタ102及び細長シャフト104の分解図を示している。少なくとも1つの実施形態において、エンドエフェクタフレーム150とシャフトフレーム154とは、関節継手110において接合されるように構成される。ボス206は、エンドエフェクタフレーム150と一体であってもよく、バンド205は図示のようにボス206と作用し合う。シャフトフレーム154は、アパーチャ304を画定する遠位に向けられたタング302を備えてもよい。アパーチャ304は、エンドエフェクタフレーム150に備えられた関節ピン(図示せず)と作用し合うように定置され、エンドエフェクタフレーム150をシャフトフレーム154に対して旋回させ、したがってエンドエフェクタ102をシャフト104に対して旋回させることができる。組み立てられると、種々の構成要素は、図9及び図10に示す関節屈曲軸線306において関節継手110の周りを旋回することができる。
【0025】
図7はまたアンビル120を示している。この非限定的な実施形態では、アンビル120は、細長いチャネル198に結合されている。例えば、アパーチャ199を、アンビル120から延在するピン152を受け入れることができる細長いチャネル198内に画定することができ、アパーチャ199によって、細長いチャネル198及びステープルカートリッジ118に対してアンビル120を開位置から閉位置まで枢動させることができる。加えて、図7は発射バー172を示しており、この発射バー172は、シャフトフレーム154を通って、柔軟クロージャ及び旋回フレーム関節継手110を通って、そして遠位フレーム150内の発射スロット176を通って長手方向にエンドエフェクタ102まで並進するように構成されている。発射バー172は、1つの中実部分から構築されてもよく、又は様々な実施形態では、例えば、鋼板のスタックを含む、積層材料を含んでもよい。理解されるように、積層材から作製された発射バー172は、エンドエフェクタ102を関節屈曲させるのに必要な力を低減することができる。様々な実施形態において、発射バー172を下向きに付勢するために、ばねクリップ158がエンドエフェクタフレーム150に装着され得る。エンドエフェクタフレーム150の上部に形成された遠位及び近位の方形アパーチャ164、168がそれらの間に、クリップばね158の上部アーム162を受容するクリップバー170を画定してもよく、クリップばね158の下部の遠位延在アーム160は、以下で議論するように発射バー172の隆起部分174に下向きの力を及ぼす。
【0026】
発射バー172の遠位側に突出する端部は、E型梁178に取り付けることができ、E型梁178は、中でも特に、アンビル120が閉位置にあるとき、細長いチャネル198内に位置付けられたステープルカートリッジ118からアンビル120を離すことを支援することができる。E型梁178はまた、E型梁178を発射バー172によって遠位側に前進させながら組織を切るために使用することができる、鋭利な切刃182を含むことができる。動作の際、E型梁178はまた、ステープルカートリッジ118を作動させること、即ち発射することができる。ステープルカートリッジ118は、ステープルドライバ192上に載置された複数のステープル191を、それぞれの上向きに開いたステープルキャビティ195内で保持する、成形カートリッジ本体194を含むことができる。楔形スレッド190は、E型梁178によって遠位側に駆動されて、交換可能なステープルカートリッジ118の様々な構成要素を共に保持するカートリッジトレイ196上を摺動する。楔形スレッド190は、E型梁178の切断面182がクランプされた組織を切る間、ステープルドライバ192を上向きにカム駆動して、ステープル191を追い出してアンビル120と変形接触させる。
【0027】
上記に加えて更に、E型梁178は、発射の間、アンビル120に係合する上部ピン180を含み得る。E型梁178は、カートリッジ本体194、カートリッジトレイ196、及び細長いチャネル198の様々な部分に係合することができる、中央ピン184と下部フット186とを更に含むことができる。ステープルカートリッジ118が細長いチャネル198内に位置付けられると、カートリッジ本体194に画定されたスロット193を、カートリッジトレイ196に画定されたスロット197及び細長いチャネル198に画定されたスロット189と位置合わせすることができる。使用の際、E型梁178は、位置合わせされたスロット193、197、及び189を通って摺動することができ、図7に示されるように、E型梁178の下部フット186は、スロット189の長さに沿ってチャネル198の底面に沿って通っている溝に係合することができ、中央ピン184は、長手方向スロット197の長さに沿ってカートリッジトレイ196の上面に係合することができ、上部ピン180は、アンビル120に係合することができる。かかる状況では、発射バー172が遠位側へと移動させられて、ステープルをステープルカートリッジ118から発射し、かつ/又はアンビル120とステープルカートリッジ118との間に捕捉された組織を切開するにつれて、E型梁178は、アンビル120とステープルカートリッジ118とを離すか、又はそれらの相対移動を制限することができる。その後、発射バー172及びE型梁178を近位側へと後退させることができ、それによってアンビル120を開いて、ステープル留めされ切られた2つの組織部分(図示せず)を解放することができる。
【0028】
図7図9は、また、種々の実施形態による二重旋回閉鎖スリーブアセンブリ121を示している。特に図7を参照すると、二重旋回閉鎖スリーブアセンブリ121は、上部及び下部遠位突出タング146、148を有するシャフト閉鎖チューブ区間128を備えている。エンドエフェクタ閉鎖チューブ区間126は、馬蹄形アパーチャ124と、アンビル120上の開口タブ122と係合するためのタブ123とを備えている。馬蹄形アパーチャ124及びタブ123は、アンビル120が開口されると、タブ122と係合する。閉鎖チューブ区間126は、上部近位突出タング144と下部(不可視)近位突出タングとを有して示されている。上部二重旋回リンク130は、上部近位突出タング144内の上部遠位ピンホール138、及び上部遠位突出タング146の上部近位ピンホール140とそれぞれ係合する、上向きに突出する遠位及び近位旋回ピン134、136を含む。下部二重旋回リンク132は、下向きに突出する遠位及び近位旋回ピン(図7には図示されないが、図8を参照)を備え、これら遠位及び近位旋回ピンはそれぞれ、下部近位突出タングの下部遠位ピンホール、及び下部遠位突出タング148の下部近位ピンホール142と係合する。
【0029】
使用の際に、閉鎖スリーブアセンブリ121は、例えば、閉鎖トリガ114の作動に応答してアンビル120を閉鎖するために遠位側に並進させられる。アンビル120は、閉鎖チューブ区間126を、したがってスリーブアセンブリ121を遠位側に並進させて、図9Aにおいてタブ122の左側に位置するアンビル120の近位表面と衝突させることによって閉鎖される。図8及び図9に更に明確に示すように、アンビル120は、チューブ区間126を、そしてスリーブアセンブリ121を近位側に並進させて、タブ123及び馬蹄形アパーチャ124をタブ122と接触させ、タブ122に押し当ててアンビル120を持ち上げることによって開かれる。アンビル開位置において、二重旋回閉鎖スリーブアセンブリ121はその近位位置に移動させられる。
【0030】
操作の際に、臨床医は、制御部112を側方に押すことによって、シャフト104に対して器具100のエンドエフェクタ102を旋回軸110の周りに関節屈曲させることができる。中立位置から、臨床医は、制御部112の左側に側方力を与えることによって、シャフト104に対してエンドエフェクタ102を左に関節屈曲させることができる。力に応答して、関節スライド208はフレーム212の中に少なくとも部分的に押し込まれることができる。スライド208がフレーム212の中に押し込まれるとき、スロット210及びバンド部分204は、横断方向、例えば、シャフト104の長手方向軸線に対して実質的に横又は垂直の方向に、細長シャフト104を横断して並進させられることができる。したがって、力がバンド部分204に加えられると、バンド部分204は、その初期の予め曲がった姿勢から、シャフト104の反対側に向かって、弾性的に曲がり、及び/又は変位することになる。その結果、バンド部分202は、その初期の予め曲がった姿勢から弛緩する。バンド部分204のそのような運動が、バンド部分202の直線化と相まって、反時計回りの回転力をボス206に加えることができ、次に、それによって、ボス206及びエンドエフェクタ102は、図12に示すように、シャフト104の軸に対して所望の角度まで、関節旋回軸線110の周りを左に旋回することになる。バンド部分202が弛緩することによって、このバンド部分にかかる引張力が低減し、バンド部分204は、バンド部分202から実質的に干渉を受けることなく、エンドエフェクタ102を関節屈曲させることができる。臨床医はまた、制御部112の右側に側方力を与えることによって、シャフト104に対してエンドエフェクタ102を右に関節屈曲させることができることが理解されるであろう。これによってケーブル部分202が曲がり、その結果、時計回りの回転力がボス206に生じ、次に、それによって、ボス206及びエンドエフェクタは、関節旋回軸線110の周りを右に旋回する。上記と同様に、バンド部分204が同時に弛緩させられて、そのような運動が可能となる。
【0031】
図12及び図13は、電動式の外科用切断及び締結器具310を示している。この図示された実施形態は、内視鏡器具を示すものであり、一般に、器具310は、内視鏡的手術用の切断及び締結器具として本明細書に記載されている。しかしながら、本発明はそのように限定されず、他の実施形態によれば、本明細書に開示される任意の器具が、非内視鏡的手術用の切断及び締結器具を含み得ることに留意されたい。図12及び図13に示す外科用器具310は、ハンドル306と、シャフト308と、シャフト308に連結されたエンドエフェクタ312とを備えている。種々の実施形態において、エンドエフェクタ312は、関節継手314の周りをシャフト308に対して関節屈曲され得る。エンドエフェクタ312を関節屈曲させるための種々の手段、及び/又はシャフト308に対してエンドエフェクタ312を関節屈曲させるための手段が、2010年7月13日発行の米国特許第7,753,245号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS」、及び2010年3月2日発行の米国特許第7,670,334号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT HAVING AN ARTICULATING END EFFECTOR」に開示されており、これらの特許の全ての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。エンドエフェクタ312を関節屈曲させるための他の様々な手段について、以下でより詳細に記載する。上記と同様に、エンドエフェクタ312は、組織をクランプ、切断、及び/又はステープル留めするためのエンドカッターとして機能するように構成されるが、他の実施形態において、他の種類の外科用装置、把持具、カッター、ステープラ、クリップ適用器具、アクセス装置、薬物/遺伝子治療装置、超音波、RF、及び/又はレーザー装置などのためのエンドエフェクタなど、様々な種類のエンドエフェクタが使用されてもよい。いくつかのRF装置は、1995年4月4日に発行された米国特許番号第5,403,312号、発明の名称「ELECTROSURGICAL HEMOSTATIC DEVICE」、及び2008年2月14日に出願された、米国特許出願第12/031,573号、発明の名称「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT HAVING RF ELECTRODES」において見出すことができ、これらの開示全体が参照によりそれらの全体が参本明細書に組み込まれる。
【0032】
理解されるように、「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書において、器具310のハンドル306を握持する臨床医を基準として用いられている。したがって、エンドエフェクタ312は、より近位側のハンドル306に対して遠位側にある。更に理解されたいこととして、便宜のため、また明確にするために、「垂直」及び「水平」などの空間に関する用語は、本明細書において、図面を基準にして用いられている。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0033】
エンドエフェクタ312は、とりわけ、ステープルチャネル322と、例えば、アンビル324などの旋回並進式クランプ締め部材とを備えることができる。器具310のハンドル306は、エンドエフェクタ312を作動させるための閉鎖トリガ318及び発射トリガ320を含んでもよい。異なる外科的タスクを目的とするエンドエフェクタを有する器具が、エンドエフェクタ312を操作するために異なる数又は種類のトリガ又は他の適切な制御部を有してもよいことが理解されるであろう。ハンドル306は、下向きに延びるピストルグリップ326を備えることができ、このピストルグリップ326に向かって閉鎖トリガ318が臨床医によって旋回式で引き寄せられて、エンドエフェクタ312のステープルチャネル322に向かってアンビル324のクランプ又は閉鎖が生じ、それによって、アンビル324とチャネル322との間に位置する組織がクランプされる。他の実施形態において、種々のクランプ部材が、アンビル324に加えてあるいはそれに代わって使用され得る。ハンドル306は、閉鎖トリガ318を閉位置に解放可能に保持するように構成され得るロックを更に有することができる。閉鎖トリガ318を後退させることによってエンドエフェクタ312のアンビル324を閉鎖(又はクランプ)する例示的な閉鎖システムの実施形態に関する更なる詳細が、2006年2月21日発行の米国特許第7,000,818号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING SEPARATE DISTINCT CLOSING AND FIRING SYSTEMS」、2008年9月9日発行の米国特許第7,422,139号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT WITH TACTILE POSITION FEEDBACK」、並びに、2008年12月16日発行の米国特許第7,464,849号、発明の名称「ELECTRO-MECHANICAL SURGICAL INSTRUMENT WITH CLOSURE SYSTEM AND ANVIL ALIGNMENT COMPONENTS」に提供されており、これらの特許の全ての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0034】
臨床医がエンドエフェクタ312の位置決めに満足すると、臨床医は、閉鎖トリガ318をピストルグリップ326に近接した完全閉鎖ロック位置に引き戻すことができる。次いで、発射トリガ320が作動、つまり発射され得る。少なくとも1つのそのような実施形態において、発射トリガ320は、閉鎖トリガ318の更に外側にあってもよく、閉鎖トリガ318を閉じることで、発射トリガ320をピストルグリップ326に向かって移動又は回転させることができ、そのため、発射トリガ320に、様々な状況下で操作者が片手で触れることができる。その後、操作者は、ピストルグリップ312に向かって発射トリガ320を旋回式で引き寄せて、エンドエフェクタ312内にクランプされた組織をステープル留め及び切断することができる。その後、発射トリガ320は、発射トリガ320に加えられている力を臨床医が軽減又は解放した後に、非作動、つまり非発射位置(図1及び2に示す)に復帰され得る。ハンドル306上の解放ボタンは、押下されると、ロックした閉鎖トリガ318を解放することができる。開放ボタンは、例えば、2006年1月31日に出願された米国特許出願公開第2007/0175955号、発明の名称「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT WITH CLOSURE TRIGGER LOCKING MECHANISM」に開示されるものなど、様々な形態で実施され得、この全開示内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
上記に加えて、エンドエフェクタ312は、例えば、発射トリガ320がユーザによって後退させられたときに、エンドエフェクタ312内にクランプされた組織を切断するために、ナイフなどの切断器具を備えてもよい。更に上記に加えて、エンドエフェクタ312はまた、例えば、ステープル、RF電極、及び/又は接着剤など、切断器具によって切断された組織を締結するための手段を備えてもよい。器具310のシャフト308内に設置された長手方向移動式駆動シャフトが、エンドエフェクタ312内で切断器具及び締結手段を駆動/作動させてもよい。本明細書で更に説明するように、駆動シャフトを駆動するために、器具310のハンドル306内に設置された電気モータが使用されてもよい。様々な実施形態では、モータは、例えば、約25,000RPMの最大回転数を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。他の実施形態では、モータは、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッピングモータ、又は任意の他の好適な電動モータであってよい。例えばリチウムイオン電池などの電池(又は「電源」又は「電源函」)が、モータに隣接させてハンドル6のピストルグリップ部分26内に設けられてもよく、この電池はモータ制御回路を介してモータに電力を供給することができる。様々な実施形態によれば、直列に接続されている多数の電池セルが、モータに電力を供給するための電源として使用されてもよい。加えて、電源は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0036】
上に概説したように、器具310のハンドル306内の電気モータは、シャフト308内に定置された縦移動式駆動部材と動作可能に係合され得る。ここで図14図16を参照すると、電気モータ342は、ハンドル306のピストルグリップ部分326内に装着及び定置され得る。電気モータ342は、歯車減速機アセンブリ370と動作可能に結合された回転式シャフトを有することができ、歯車減速機アセンブリ370は、とりわけ、ハウジング374と、出力ピニオンギア372とを備えることができる。特定の実施形態において、出力ピニオンギア372は、長手方向移動式駆動部材382と直接、動作可能に係合されることができ、又はそれに代わって、1つ又は2つ以上の中間歯車386を介して駆動部材382と動作可能に係合され得る。中間歯車386は、少なくとも1つのそのような実施形態において、駆動部材382に画定された駆動歯384の組又はラックと噛合い係合することができる。使用の際、電気モータ342は、電気モータ342が中間歯車386を回転させる方向に応じて、矢印D(図15)で示される遠位方向及び/又は矢印D(図16)で示される近位方向に、駆動部材を駆動することができる。使用の際に、電池によって与えられる電圧極性により、電動モータ342を時計回り方向に動作させることができるが、電池によって電動モータに付与される電圧極性は、電動モータ342を反時計回り方向に動作させるために、逆転され得る。ハンドル306は、電池によって電動モータ342に付与される極性を逆転させるように構成され得るスイッチを備えることができる。ハンドル306はまた、駆動部材382の位置及び/又は駆動部材382が移動させられている方向を検出するように構成されたセンサ330を有することもできる。
【0037】
上に示したように、外科用器具310は、エンドエフェクタ312が関節屈曲させられることができる中心となる関節継手314を有することができる。器具310は、エンドエフェクタ312を所定位置に選択的にロックするように構成及び操作され得る関節ロックを更に有することができる。少なくとも1つのそのような実施形態において、関節ロックは、シャフト308の近位端部からシャフト308の遠位端部に延びることができ、関節ロックの遠位端部は、エンドエフェクタ312と係合してエンドエフェクタ312を所定位置にロックすることができる。再び図12及び図13を参照すると、器具310は、関節制御部316を更に有することができ、関節制御部316は、関節ロックの近位端部と係合されることができ、ロック状態とロック解除状態との間で関節ロックを操作するように構成され得る。使用の際、関節制御部316は、近位側に引っ張られてエンドエフェクタ312をロック解除し、関節継手314の周りにエンドエフェクタ312を回転させることができる。エンドエフェクタ312が好適に関節屈曲された後、関節制御部316は遠位側に移動させられて、エンドエフェクタ312を所定位置に再びロックすることができる。少なくとも1つのそのような実施形態において、ハンドル306は、関節制御部316を遠位側に付勢するように、また関節ロックを付勢してエンドエフェクタ312とのロック構成になるように構成されたばね及び/又は他の好適な付勢要素を更に有することができる。臨床医が望む場合、臨床医は再び関節制御部316を後方に、つまり近位側に引いて、エンドエフェクタ312をロック解除し、エンドエフェクタ312を関節屈曲させ、次いで関節制御部316を再びロック状態へと動かすことができる。そのようなロック状態において、エンドエフェクタ312は、シャフト308に対して関節屈曲することができない。
【0038】
上に概説したように、外科用器具310は、エンドエフェクタ312をシャフト308に対して所定位置に保持するように構成された関節ロックを有することができる。また、上に概説したように、エンドエフェクタ312は、関節ロックがそのロック解除状態にあるときに、シャフト308に対して回転又は関節屈曲され得る。そのようなロック解除状態において、エンドエフェクタ312をシャフト308に対して関節屈曲させるために、エンドエフェクタ312は、例えば、患者の体内の手術部位の周囲にある軟組織及び/又は骨に隣接され、押し当てられることができる。特定の実施形態において、関節制御部316は関節屈曲スイッチを備えることができ、あるいは、発射トリガ320が電気モータ342を動作させるのを選択的に許可及び/又は防止することができる関節スイッチを操作するように構成され得る。例えば、そのような関節屈曲スイッチは、電気モータ342、及び発射トリガ320と動作可能に関連付けられた発射スイッチと直列に配置されることができ、関節屈曲スイッチは、関節制御部316がロック状態にあるときに、閉鎖状態にあることができる。関節制御部316が移動されてロック解除状態となると、関節制御部316は関節屈曲スイッチを開放し、それにより、発射トリガ320の動作と電気モータ342の動作を電気的に結合解除することができる。そのような状況において、エンドエフェクタ312がロック解除状態にあり、シャフト308に対して関節屈曲可能である間、器具310の発射駆動部は発射され得ない。関節制御部316がロック状態に復帰されると、関節制御部316は関節スイッチを再閉鎖することができ、関節屈曲スイッチは次いで、発射トリガ320の動作を電気モータ342と電気的に結合することができる。1つ又は2つ以上の外科用ステープル留め器具の様々な詳細が、米国特許出願第12/647,100号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT WITH ELECTRIC ACTUATOR DIRECTIONAL CONTROL ASSEMBLY」に開示されており、この特許出願は、2009年12月24日に出願され、2011年6月30日に、米国特許出願公開第2011/0155785号として公開され、現在の米国特許第8,220,688号であり、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
ここで図17図29を参照すると、外科用器具400は、ハンドル403と、ハンドル403から延在するシャフト404と、シャフト404から延在するエンドエフェクタ402とを備えることができる。読者に留意されたいこととして、ハンドル403の一部が説明の目的で取り外されているが、ハンドル403は、例えば、図1に示される閉鎖トリガ114及び発射トリガ116と同様の閉鎖トリガ及び発射トリガを含み得る。以下で更に詳細に説明するように、発射トリガ116は、シャフト404を通って延びる発射部材470を有する発射駆動部と動作可能に結合されることができ、発射トリガ116の動作により、発射部材470はエンドエフェクタ402に向かって遠位側に前進することができる。以下でも更に詳細に説明するように、外科用器具400は、発射部材470と選択的に結合され得る関節屈曲駆動部を更に有することができ、それにより、例えば、発射トリガ116によって及び/又は別個の関節トリガ及び/若しくはボタンによって発射部材470が発動されると、関節屈曲駆動部は、発射部材470によって駆動されることができ、また関節屈曲駆動部は、次いで、関節継手410の周りにエンドエフェクタ402を関節屈曲させることができる。
【0040】
ここで図17を参照すると、読者に留意されたいこととして、外科用器具400のエンドエフェクタ402は開放構成で示されている。より具体的には、アンビル420を備えたエンドエフェクタ402の第1のジョーが、エンドエフェクタ402の第2のジョーのチャネル498に対する開位置で示されている。上記と同様に、チャネル498はその中にステープルカートリッジを受容して緊締するように構成され得る。ここで、同様にエンドエフェクタ420を開放構成で示す図20を参照すると、外科用器具400のハンドル403は、関節ロックアクチュエータ409を有することができ、この関節ロックアクチュエータ409は、エンドエフェクタ402がシャフト404に対して所定位置にロックされた遠位又はロック位置と、エンドエフェクタ402が関節継手410の周りにシャフト404に対して関節屈曲され得る近位又はロック解除位置との間で移動させられることができる。エンドエフェクタ402とシャフト404とは、図20において、直線的な構成で整列しているように示されているが、関節ロックアクチュエータ409は、後退したロック解除位置で示されており、その結果、エンドエフェクタ402はシャフト404に対して関節屈曲させられることができる。図19図24A及び図24Bを参照すると、関節ロックアクチュエータ409(図21)は、関節ロック443と動作可能に結合されることができ、関節ロックアクチュエータ409は、関節ロック443がエンドエフェクタ402の近位ロック部材407と係合される遠位位置(図24A)と、関節ロック443がエンドエフェクタ402から係合解除される近位位置(図24B)との間で、関節ロック443を移動させることができる。読者に理解されたいこととして、関節ロックアクチュエータ409の遠位ロック位置は、関節ロック443の遠位位置に対応し、関節ロックアクチュエータ409の近位ロック解除位置は、関節ロック443の近位位置に対応している。ここで図19を参照すると、関節ロック443は、関節ロックバー440によって関節ロックアクチュエータ409に結合されており、関節ロックバー440は、図24Aに最もよく示されるように関節ロック443と係合される遠位端部442と、図22に最もよく示されるように関節ロックアクチュエータ409と係合される近位端部441とを備えている。図24A及び図24Bに示すように、関節ロック443は1つ又は2つ以上の歯445を備えることができ、この1つ又は2つ以上の歯445は、例えば、近位ロック部材407の周囲に画定された1つ又は2つ以上の歯446と噛合い係合するように構成され得る。主として図19を参照すると、シャフト404は、例えば、ばね444などの付勢部材を更に備えることができ、その付勢部材は、関節ロック443の歯445を付勢して、エンドエフェクタ402の近位ロック部材407の歯446と係合させるように構成され得る。同様に、ハンドル403は、関節ロックアクチュエータ409とフレーム480との間に画定された空洞488(図23)内に定置された付勢部材を更に備えることができ、それにより、付勢部材は、関節ロックアクチュエータ409を遠位ロック位置に向かって押圧することができる。
【0041】
図17に示すように、関節ロックアクチュエータ409は、2つのノズル半部又は部分411a及び411bから構成されてもよく、読者に留意されたいこととして、ノズル部分411bは、説明の目的で、図18図27から取り外されている。また図17に示すように、関節ロックアクチュエータ409は、複数のフィンガフック413を備えることができ、このフィンガフック413は、関節ロックアクチュエータ409を近位ロック解除構成に後退させるために、外科医又は他の臨床医に握持され得る。再び図20を参照すると、関節ロックアクチュエータ409は、移動止めアセンブリ452を更に有することができ、移動止めアセンブリ452は、シャフト404のフレーム又はハンドル403のフレームに対して移動止め部材457を付勢するように構成され得る。より具体的には、シャフト404は、ハンドルフレーム480から延びるシャフトフレーム454を備えることができ、移動止めアセンブリ452は、シャフトフレーム454に対して移動止め部材457を付勢するように構成され得る。図19を参照すると、シャフトフレーム454は、その中に画定された移動止めチャネル453を有することができ、移動止めチャネル453は、関節ロックアクチュエータ409が上述のロック位置とロック解除位置との間でスライドされるとき、移動止め部材457が移動止めチャネル453内でスライドできるように、移動止め部材457と整列させられることができる。移動止めアセンブリ452は、再び図20を参照すると、固定フレーム部分458を有することができ、この固定フレーム部分458は、調節式ねじ付き部材459を受容するように構成されたねじ付きアパーチャを画定することができる。調節式ねじ付き部材459は、内部アパーチャを有することができ、移動止め部材457の少なくとも一部分は、内部アパーチャ内に定置されることができ、移動止め部材457は、例えば、移動止め部材457と内部アパーチャの閉鎖端部との中間に定置されたばねによって、内部アパーチャの端部に付勢されることができる。図19に示すように、移動止めチャネル453の近位端部は移動止めシート455を備えることができ、移動止めシート455は、関節ロックアクチュエータ409が近位ロック解除位置に到達したときに移動止め部材457を着脱可能に受容するように構成され得る。様々な状況下で、移動止め部材457、移動止めシート455、及び調節式ねじ付き部材459内に定置される付勢ばねは、移動止めアセンブリ452が関節ロックアクチュエータ409を近位ロック解除位置に解放可能に保持できるように寸法を定められ、構成され得る。以下により詳細に説明するように、関節ロックアクチュエータ409は、エンドエフェクタ402が好適に関節屈曲されるまで、近位ロック解除位置に保持され得る。そのような点で、関節屈曲ロックアクチュエータ409は、前方に押されて、移動止め部材457を移動止めシート455から係合解除することができる。読者に理解されたいこととして、主として図20を参照すると、調節式ねじ付き部材459は、移動止め部材457を移動止めシート455から離脱させるのに必要な力を増大させるために、シャフトフレーム454に向かって下向きに回転され得るが、調節式ねじ付き部材459は、移動止め部材457を移動止めシート455から離脱させるのに必要な力を低減させるために、シャフトフレーム454から離れて下向きに回転され得る。また図20に示すように、関節ロックアクチュエータ409はアクセスポート418を備えることができ、アクセスポート418は、ねじ付き部材459にアクセスし、ねじ付き部材459を回転させるために利用され得る。
【0042】
上で議論したように、関節ロックアクチュエータ409は、図20において、後退ロック解除位置にあるが、エンドエフェクタ402は、図24Bに示すように、ロック解除構成をなす。ここで図19及び図20を参照するが、外科用器具400は関節屈曲ドライバ460を更に備え、関節屈曲ドライバ460は、図21に示すように、遠位側に押されると、関節継手410を中心としてエンドエフェクタ402を第1の方向に回転させることができ、また、近位側に引かれると、関節継手を中心としてエンドエフェクタ402を第2の、つまり反対の方向に回転させることができる。図20図21を比較して、読者に留意されたいこととして、関節屈曲ドライバ460は発射部材470によって近位側に引かれている。より具体的には、発射部材470の中間部分475が、その中に画定されたノッチ又はスロット476を備えることができ、そのノッチ又はスロット476は、関節屈曲ドライバ460の近位端部461を受容するように構成されることができ、そのため、発射部材470が近位側に引かれると、発射部材470は同様に関節屈曲ドライバ460を近位側に引くことができる。同様に、発射部材470が遠位側に押されると、発射部材470は、関節屈曲ドライバ460を遠位側に押すことができる。また図20及び図21に示すように、関節屈曲ドライバ460は、例えば、近位ロック部材407から延びる突起414と係合する遠位端部462を備えることができ、近位ロック部材407は、関節屈曲ドライバ460の近位方向及び遠位方向の関節屈曲運動をエンドエフェクタ102に伝達するように構成することができる。主として図18図20を参照すると、ハンドル404は、発射部材470の近位発射部材部分482を更に備えることができ、近位発射部材部分482は、発射部材470の中間部分475の近位端部477と係合する遠位端部481を有している。上記と同様に、ハンドル403は、出力シャフトと、その出力シャフトと動作可能に係合される歯車とを備えた電気モータを有することができ、その歯車は、発射部分482の表面に画定された、長手方向の一連の歯484と動作可能に係合され得る。使用の際、上記に加えて、電気モータは、発射部材470を遠位側に前進させるためには第1の方向に、発射部材470を近位側に後退させるためには、第2の、つまり反対の方向に動作され得る。図示しないが、ハンドル403は、電気モータを第1の方向に動作させる第1の状態、電気モータを第2の方向に動作させる第2の状態、及び/又は、電気モータをいずれの方向にも動作しない中立の状態に位置付けることができるスイッチを更に備えることができる。少なくとも1つのそのような実施形態において、スイッチは、例えば、ばねなど、少なくとも1つの付勢部材を有することができ、その付勢部材は、例えば、スイッチを中立の状態に付勢するように構成され得る。また、少なくとも1つのそのような実施形態において、関節屈曲スイッチの第1の状態は、例えば、中立位置の第1の側にあるスイッチトグルの第1の位置を含むことができ、関節屈曲スイッチの第2の状態は、中立位置の第2の、つまり反対の側にあるスイッチトグルの第2の位置を含むことができる。
【0043】
様々な状況下で、上記に加えて、関節屈曲スイッチは、エンドエフェクタ402の位置にわずかな調節を行うために使用され得る。例えば、外科医は、エンドエフェクタ402が所望の位置に定置されるまで、関節屈曲スイッチを第1の方向に動かして、エンドエフェクタ402を関節継手の周りに第1の方向に回転させ、次に、関節屈曲スイッチを第2の方向に動かすことによってエンドエフェクタ402の移動を逆転させること、及び/又は第1及び第2の方向への移動の任意の他の好適な組み合わせが可能である。主として図19図24A、及び図24Bを参照すると、関節継手410は、シャフトフレーム部材451から延びる旋回ピン405を、またそれに加えて、近位ロック部材407に画定されたアパーチャ408を有することができ、アパーチャ408は、その中に旋回ピン405を緊密に受容するように構成されており、そのため、エンドエフェクタ402の回転は、例えば、関節屈曲軸線406を中心とした回転に制約されている。主として図19を参照すると、シャフトフレーム454の遠位端部は、その中にシャフトフレーム部材451を受容するように構成された凹部456を有することができる。以下で更に詳細に説明するように、シャフト404は、アンビル420を閉鎖するために、シャフトフレーム454に対してスライドされ得る外側スリーブスイッチを有することができる。主として図19図21を参照すると、シャフト410の外側スリーブは、関節リンク430及び432によって互いに連結され得る近位部分428及び遠位部分426を備えることができる。外側スリーブが関節継手410に対してスライドされると、関節リンク430は、図21に示すように、エンドエフェクタ402が関節屈曲されるとき、外側スリーブの遠位部分426と近位部分428との斜行する相対運動に適応することができる。様々な状況下で、関節リンク430及び432は、エンドエフェクタ402の関節屈曲に適応するために、2以上の自由度を関節継手410にもたらすことができる。また読者に留意されたいこととして、関節継手410は、ガイド401を更に有することができ、ガイド401は、その中に発射部材470の遠位切断部分472を受容し、関節継手410の中で及び/又は関節継手410に対して遠位切断部分472が遠位側に前進され及び/又は近位側に後退させられるときに遠位切断部分472を案内するように構成され得る。
【0044】
上に概説したように、発射部材470は、関節屈曲ドライバ460を遠位側に前進させ、その結果としてエンドエフェクタ402を第1の方向に回転させるために、遠位側に前進することができ、同様に、発射部材470は、関節屈曲ドライバ460を近位側に後退させ、その結果としてエンドエフェクタ402を反対方向に回転させるために、近位側に後退することができる。状況によっては、しかしながら、エンドエフェクタ402を関節屈曲させるために発射部材470が利用されているとき、発射部材470の遠位切断部分472を動かすか、又は少なくとも実質的に動かすことが望ましくない場合もある。ここで図19図21を参照すると、発射部材470の中間部分475は、その遠位端部に画定された長手方向スロット474を備えることができ、この長手方向スロット474は、遠位切断部分472の近位端部473を受容するように構成され得る。長手方向スロット474及び近位端部473は、それらの間の相対運動を可能にするようにサイズ決めされ、構成されることができ、かつスリップ継手471を備えることができる。スリップ継手471は、遠位切断部分472を動かすことなく、又は少なくとも実質的に動かすことなく、発射駆動部470の中間部分475を動かしてエンドエフェクタ402を関節屈曲させることができる。以下で更に詳細に説明するように、エンドエフェクタ402が好適に方向付けられると、遠位切断部分472を前進させ、チャネル498内に定置されたステープルカートリッジを発射するために、長手方向スロット474の近位側壁が近位端部473と接触するまで、中間部分475は、遠位側に前進させられることができる。主として図19を参照すると、シャフトフレーム454は、関節屈曲ドライバ60をスライド可能に受容するように構成することができる、シャフトフレーム454内に画定された長手方向スロット469を備えることができ、同様に、外側シャフトスリーブの近位部分428は、関節屈曲ドライバ460と上述のシャフト404の外側スリーブとの相対運動に適応するように構成された長手方向開口部425を備えることができる。
【0045】
上記に加えて、関節屈曲ロックアクチュエータ409は、関節屈曲ロックアクチュエータ409が近位ロック解除位置にあるときに、関節屈曲ドライバ460の近位部分461を駆動部材470に向かって付勢するように構成することができる。より具体的には、少なくとも1つのそのような実施形態において、関節ロック409の内表面はカムを備えることができ、そのカムは、近位部分461の外側部466と係合し、近位部分461を付勢して、駆動部材470の中間部分475に画定されたスロット476と係合させることができる。関節ロックアクチュエータ409が再び遠位ロック位置に移動させられると、関節ロックアクチュエータ409は、駆動部材470に向かって近位部分461を内向きに付勢することができなくなる。少なくとも1つのそのような実施形態において、ハンドル403及び/又はシャフト404は、例えば、ばねなどの弾性部材を備えることができ、この弾性部材は、近位部分461を外向きに付勢して発射部材470から離すように構成することができ、そのため、上述のように、関節屈曲ロックアクチュエータ409がロック解除位置へと近位側に移動されるとき、弾性部材の付勢力が関節屈曲ロックアクチュエータ409によって克服されない限り、近位部分461はスロット476と動作可能に係合されないようになっている。様々な状況下で、近位部分461及びスロット476は力制限クラッチを備えることができる。
【0046】
エンドエフェクタ402が、所望の向きに関節屈曲されると、上記に加えて、閉鎖トリガ114は、図22に示すように、アンビル420を閉位置に動かすように作動され得る。より具体的には、例えば、閉鎖トリガ114は、シャフト410の外側スリーブを遠位側に前進させることができ、そのため、外側スリーブの遠位部分426はアンビル420を遠位側にかつ下向きに押すことができる。アンビル420は、アンビル420の両側から延びる突起497を備えることができ、突起497はそれぞれ、カートリッジチャネル498内に画定された細長スロット499内でスライド及び回転するように構成され得る。アンビル420は、アンビル420から上向きに延びる突起496を更に備えることができ、突起496は、外側スリーブの遠位部分426に画定されたアパーチャ495内に定置されることができ、アパーチャ495の側壁は、遠位部分426が遠位側に前進されてアンビル420をカートリッジチャネル498に向かって動かすとき、突起496と接触することができる。上記に加えて、閉鎖駆動部の作動によっても、関節屈曲ロックアクチュエータ409を近位ロック解除位置(図20図22)から遠位ロック位置(図23)に動かすことができる。より具体的には、図22に示すように、閉鎖駆動部は、閉鎖駆動キャリッジ415を遠位側に前進させるように構成されることができ、閉鎖駆動キャリッジ415は、関節アクチュエータ409内に装着されたカラー450と接触することができる。図19及び図22に示すように、カラー450は、カラー450の対向部分がシャフト404を囲繞できるように互いに組み立てられることができる対向部分、又は半部を備えることができる。カラー450はまた、上で議論した移動止めアセンブリ452を支持することができ、また、同様に上で議論した関節ロックバー440の近位端部441と係合する装着部分を有することができる。いずれにせよ、図23に示すように、閉鎖駆動キャリッジ415は、カラー450と接触し、関節ロックアクチュエータ409を遠位側にスライドさせることができ、また上記に加えて、移動止め部材457を移動止めシート455から移動止めチャネル453へと変位させることができ(図19を参照)、そのため、関節ロックアクチュエータ409はロック位置へと押されることができ、関節ロック443は、移動させられて近位ロック部分407と係合し、エンドエフェクタ402を所定位置にロックすることができる。そのような点で、以下で更に詳細に説明するように、閉鎖駆動部及びアンビル420が再び開放され、閉鎖駆動キャリッジ415が近位側に移動させられるまで、閉鎖駆動キャリッジ415は、エンドエフェクタ402がロック解除され関節屈曲されるのを防止することができる。
【0047】
ここで図25を参照するが、閉鎖駆動アクチュエータ114によって閉鎖駆動部が作動されること、及びシャフト410の外側スリーブ428が遠位側に前進することにより、関節屈曲ドライバ460を発射駆動部470から動作可能に係合解除することもできる。図20及び図21をもう一度、確認すると、読者に留意されたいこととして、外側スリーブ428は、その中に画定された窓424を有しており、この窓424の中に回転式カム部材465が定置され得る。カム部材465は、シャフトフレーム454に回転可能にピン留め又は結合された第1の端部と、カム部材465のピン留めされた端部に対して回転するように構成された第2の端部とを備えることができる一方で、他の実施形態において、カム部材465は任意の好適な形状を有することができる。外側スリーブ428がその近位位置にあり、アンビル420がその開放構成にあるとき、カム部材465は、関節屈曲ドライバ460の近位端部461を発射部材470に画定されたスロット476と係合させることができる第1の位置にあり得るが、外側スリーブ428が遠位に前進されると、窓424の側壁がカム部材465に係合し、カム部材465の第2の端部をシャフトフレーム454から離れる方向に第2の位置へと持ち上げることができる。この第2の位置において、カム部材465は、関節屈曲ドライバ460の近位端部461を動かして発射駆動部470から離すことができ、それにより、近位端部461は、もはや発射駆動部470に画定されたスロット476内に位置しない。したがって、閉鎖駆動部が作動されてアンビル420が閉鎖されるとき、閉鎖駆動部は関節屈曲ロックアクチュエータ409を押して遠位ロック形態にすることができ、関節屈曲ロックアクチュエータ409は、関節屈曲ロック445を押してエンドエフェクタ402とのロック形態にすることができ、加えて、閉鎖駆動部は関節屈曲ドライバ460を発射駆動部470から動作可能に連結解除することができる。そのような点で、外科用器具400の操作において、発射駆動部470の作動は、エンドエフェクタ402を関節屈曲させることにならず、また発射駆動部470は関節屈曲ドライバ460とは独立に動くことができる。
【0048】
ここで図26を参照すると、上述のように、発射駆動部470は遠位側に前進させられて、エンドエフェクタ402のチャネル498内に定置されたステープルカートリッジからステープルを排出し、ステープルをアンビル420に押し当てて変形させることができる。上に概説したように、発射駆動部470は、エンドエフェクタ402内に捕捉された組織を横切開するように構成され得る切断部材を更に備えることができる。同様に上述したように、ハンドル403内の電気モータは、発射部材470を遠位側に前進させるために、発射アクチュエータ116によって動作することができ、様々な状況下で、電気モータは、ステープルカートリッジの遠位端部及び/又はステープルカートリッジ内の任意の他の好適な位置に発射部材470の遠位切断部分472が到達するまで動作することができる。いずれにせよ、図27に示すように、電気モータの回転が逆転されて、発射部材470を近位側に後退させることができる。様々な状況下で、電気モータは、中間部分475に画定された長手方向スロット474の遠位側壁が遠位切断部材472の近位端部473と接触するまで、近位駆動部分482及び中間部分475を後退させることができる。そのような点で、近位駆動部分482及び中間部分475の更なる後退により、遠位切断部材472が近位側に後退させられることになる。様々な状況において、電気モータは、発射部材470の中間部分475に画定されたスロット476が関節屈曲ドライバ460の近位部分461と再整列されるまで動作され得るが、閉鎖スリーブ428が依然として遠位に前進した位置にあるため、カム部材465は依然として、発射部材470との係合から外れるように関節屈曲ドライバ460を付勢し得る。関節屈曲ドライバ460を発射部材470と再び係合させるために、そのような状況下で、カム部材465が第1の位置へとシャフトフレーム454に向かって内向きに旋回することができるように、閉鎖駆動部は、外側スリーブ部分428に画定された窓424をカム部材465と整合させるように、再び開放されなければならない。様々な状況下で、関節屈曲ドライバ460は、弾性的に屈曲されて発射部材470との係合から外れることができ、そのため、カム部材465が再び第1の位置に移動できるようになると、関節屈曲ドライバ460はシャフトフレーム454に向かって内向きに弾性的に屈曲して、関節屈曲ドライバ460の近位部分461を、駆動部材470の中間部分475に画定されたスロット476と再び係合させることができる。様々な実施形態において、外科用器具400は、近位部分461を付勢して中間部分475と再び係合させるように構成され得る付勢部材を更に備えることができる。
【0049】
読者に留意されたいこととして、発射部材470の中間部分475は図27において近位側に後退されており、そのため、中間部分475に画定されたスロット476は、関節屈曲ドライバ460の近位部分461に対して近位側に定置されている。そのような状況下で、結果として、近位部分461は、中間部分475が遠位側に前進されてスロット476を近位部分461と整列させるまで、発射部材470に動作可能に再び連結されなくてもよい。そのような状況は、スリップ継手471が発生させる、発射部材470の中間部分475と切断部材部分472との間の相対的なスリップの結果として生じ得るものであり、このスリップは、例えば、電気モータを第1の方向に一時的に再作動させることによって対処することができる。
【0050】
再び図27を参照すると、発射部材470は、後退又はリセット位置にあってもよいが、閉鎖駆動部は依然として、作動又は閉鎖構成にあり、それにより、アンビル420が再び開放されること、及びエンドエフェクタ402が再び関節屈曲されることを防止することができる。ここで図28を参照すると、閉鎖駆動部が開放されると、閉鎖駆動キャリッジ415は、部分426及び428を含む閉鎖スリーブが同様に近位側に引かれる近位位置へと後退させられることができる。再び図19を参照すると、近位スリーブ部分428は、閉鎖駆動キャリッジ415と係合されることができる近位端部417を有することができ、そのため、近位スリーブ部分428と閉鎖駆動キャリッジ415が共に遠位方向及び/又は近位方向に動くようになっている。いずれにせよ、上記に加えて、遠位スリーブ部分426が近位側に動くことにより、図29に示すように、アンビル420を開位置に旋回させるために、アパーチャ495の遠位側壁を、アンビル420から延びる突起496と係合させることができる。更に、閉鎖駆動キャリッジ415が近位側に動くことにより、関節屈曲ロックアクチュエータ409をロック解除することができ、そのため、関節屈曲ロックアクチュエータ409は近位ロック解除位置に移動されることができ、これにより、結果として、関節屈曲ロック443を近位側に引いてばね444を圧縮し、エンドエフェクタ402をロック解除することができる。上述のように、エンドエフェクタ402は、次いで、関節継手410の周りに関節屈曲されることができ、上述した外科用器具400の動作が反復され得る。主として図18図20を参照すると、ハンドル404は、ハンドルフレーム480に装着されたスイッチ408を更に備えることができ、スイッチ408は、関節ロックアクチュエータ409が近位ロック解除位置にあるか否かを検知するように構成され得る。いくつかの実施形態において、スイッチ408は、例えば、ライトなどのハンドル404内の指示器と動作可能に結合されることができ、その指示器は、例えば、エンドエフェクタ402がロック解除状態にあること、そして操作者が関節屈曲スイッチを利用してエンドエフェクタ402を関節屈曲させてもよいことを、外科用器具400の操作者に指示することができる。
【0051】
図17の実施形態に関連して上で説明したように、外科用器具400は、エンドエフェクタ402をロック及びロック解除するように構成された関節ロックシステムと、エンドエフェクタ402のアンビル420を開放及び閉鎖するように構成された閉鎖駆動部とを備えることができる。外科用器具400のこれら2つのシステムは、上述したいくつかの点で相互作用するが、他の点では互いに独立に作動され得る。例えば、関節ロックアクチュエータ409及びエンドエフェクタロック443は、アンビル420を閉鎖することなく作動され得る。外科用器具400のこの実施形態において、閉鎖駆動部は独立に操作されてアンビル420を閉鎖する。ここで図30図32を参照すると、外科用器具400は、(1)アンビル420を閉鎖し、(2)エンドエフェクタ402を所定位置にロックする、ために閉鎖駆動部が作動される代替の構成を有することができる。主として図31及び図32を参照すると、シャフト404は関節ロックバー540を備えることができ、関節ロックバー540は、エンドエフェクタ402が関節継手410の周りに関節屈曲され得る近位ロック解除位置(図31)と、エンドエフェクタ402が所定位置にロックされ得る遠位ロック位置(図32)との間で移動させられることができる。関節ロックバー440と同様に、関節ロックバー540は、関節ロック443と動作可能に係合される遠位端部542を有することができ、そのため、関節ロックバー540が近位側に引かれると、関節ロック443が近位側に引かれることができる。同様に、関節ロックバー540が遠位側に押されると、関節ロック443も同様に遠位側に押され得る。上述のように、関節ロックアクチュエータ409によって遠位側に押され、また近位側に引かれる関節ロックバー440とは対照的に、関節ロックバー540は、閉鎖スリーブ428によって遠位側に押され、また近位側に引かれることができる。より具体的には、関節ロックバー540の近位端部541はフック547を備えることができ、フック547は、閉鎖スリーブ428が近位側に引かれると、閉鎖スリーブ428の一部分を捕捉し、閉鎖スリーブ428と共に近位側に引かれることができる。そのような状況下で、スリーブ428は関節ロックバー540をロック解除状態へと引くことができる。読者に留意されたいこととして、閉鎖スリーブ428は窓549を有することができ、この窓549内に関節ロックバー540の近位端部541が定置され得る。上記に加えて、閉鎖スリーブ428が遠位側に引かれると、エンドエフェクタ402を所定位置にロックするために、窓549の近位側壁548が、近位端部541と接触し、関節ロックバー540及び関節ロック443を遠位側に押すことができる。
【0052】
本明細書で説明するように、交換式の手術用部品と共に使用されるように構成された再使用可能な部分を含むことができる外科用システム及び装置を用いることが望ましい場合がある。例えば、図33を参照すると、全体として1000で示される外科用システムが示されており、この外科用システムは、少なくとも1つの形態では、外科用器具1010を備え、外科用器具1010は再使用されてもされなくてもよい。外科用器具1010は、複数の交換式シャフトアセンブリ1200、1200’、1200’’と共に用いられることができる。交換式シャフトアセンブリ1200、1200’、1200’’は、それらに動作可能に結合された外科用エンドエフェクタ1300、1300’、1300’’を有してもよく、外科用エンドエフェクタ1300、1300’、1300’’は、1つ又は2つ以上の外科的タスク又は手技を実施するように構成されている。例えば、外科用エンドエフェクタ1300、1300’、1300’’の各々は、その中に外科用ステープルカートリッジを動作可能に支持するように構成された外科用切断及び締結装置を備えてもよい。シャフトアセンブリのそれぞれは、異なるサイズ及び種類のステープルカートリッジを支持するように適合され、異なるシャフトの長さ、サイズ、及び種類などを有するエンドエフェクタを使用してもよい。本図は、組織を切断及びステープル留めするように構成されたエンドエフェクタを示しているが、外科用システム1000の様々な態様もまた、様々な手術用途及び手技で使用される交換式シャフト装着型エンドエフェクタ構成に、例えば、高周波(RF)エネルギー、超音波エネルギー及び/又は運動など、他の運動及び形式のエネルギーを適用するように構成された外科用器具と共に、効果的に用いられることができる。更に、エンドエフェクタ、シャフトアセンブリ、ハンドル、外科用器具、及び/又は外科用器具システムは、任意の好適な締結具(複数可)を利用して組織を締結することができる。例えば、内部に着脱可能に格納された複数の締結具を備える締結具カートリッジは、シャフトアセンブリのエンドエフェクタに着脱可能に挿入され得る及び/又は取り付けられ得る。様々な状況下で、シャフトアセンブリが、外科用器具のハンドルに装着されるように選択されることができ、締結具カートリッジがシャフトアセンブリに装着されるように選択され得る。
【0053】
図33に示す外科用器具1010は、ハンドル1042からなるハウジング1040を備え、ハンドル1042は、臨床医によって握持、操作、及び作動されるように構成されている。しかしながら、発明を実施するための形態を読み進めると、本明細書で開示する様々な形態の交換式シャフトアセンブリの、様々な独自で新規な構成が、ロボット制御される外科用システムと関連させて効果的に用いられることができることが理解される。したがって、「ハウジング」という用語はまた、本明細書に開示する交換式シャフトアセンブリ及びそれらそれぞれの等価物を作動させるのに使用することができる、少なくとも1つの制御運動を生成し適用するように構成されている少なくとも1つの駆動システムを収容するか又は別の方法で動作可能に支持する、ロボットシステムのハウジング又は類似の部分を包含してよい。「フレーム」という用語は、手持型外科用器具の一部分を指し得る。「フレーム」という用語はまた、ロボット制御式の外科用器具の一部分、及び/又は外科用器具を動作可能に制御するのに使用され得るロボットシステムの一部分を表し得る。例えば、本明細書で開示する交換式シャフトアセンブリは、米国特許出願公開第2012/0298719号に開示されている様々なロボットシステム、器具、構成要素及び方法と共に用いられ得る。米国特許出願第13/118,241号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」、現在の米国特許出願公開第2012/0298719号は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0054】
図34は、交換式シャフトアセンブリ1200が動作可能に連結された外科用器具1010を示している。図示の形態において、外科用器具はハンドル1042を有している。少なくとも1つの形態において、ハンドル1042は、ねじ、スナップ機構、接着剤などで相互連結され得る1対の相互連結式ハウジング分割部1044、1046を備え得る。図35を参照されたい。図示の装置構成において、ハンドルハウジングセグメント1044、1046は、臨床医に握持及び操作され得るピストルグリップ部分1048を形成するように協働する。以下で更に詳しく説明するように、ハンドル1042は、中に複数の駆動システムを動作可能に支持しており、これらの駆動システムは、ハンドルに動作可能に取り付けられた交換式シャフトアセンブリの対応する部分に対して、様々な制御動作を生成し、適用するように構成されている。
【0055】
ハンドル1042は、複数の駆動システムを動作可能に支持するフレーム1080を更に有してもよい。例えば、フレーム1080は、全体として1050と示される第1の、つまり閉鎖駆動システムを動作可能に支持することができ、この閉鎖駆動システムは、ハンドル1042に動作可能に取り付けられる又は結合される交換式シャフトアセンブリ1200に閉鎖及び開放運動を作用させるために用いられることができる。少なくとも1つの形態では、閉鎖駆動システム1050は、フレーム1080によって枢動可能に支持されている閉鎖トリガ1052の形態のアクチュエータを含んでもよい。より具体的には、図35に示すように、閉鎖トリガ1052はフレーム1080によって枢動可能に支持されてもよく、そのため、臨床医がハンドル1042のピストルグリップ部分1048を握持するとき、閉鎖トリガ1052は開始又は非作動位置から作動位置へ、より具体的には完全圧縮又は完全作動位置へと容易に枢動し得る。閉鎖トリガ1052は、ばね又は他の付勢構成(図示せず)によって、非作動位置へと付勢されてもよい。様々な形態では、閉鎖駆動システム1050は、閉鎖トリガ1052に枢動可能に連結された閉鎖リンク機構アセンブリ1060を更に含む。図35で分かるように、閉鎖リンク機構アセンブリ1060は、閉鎖リンク1064に枢動可能に連結される閉鎖トリガ1052を有してもよく、閉鎖リンク1064は、それから突出する1対の側方延出装着ラグ又は部分1066を有している。閉鎖リンク1064はまた、本明細書において「取付部材」とも呼ばれることがある。
【0056】
依然として図35を参照すると、閉鎖トリガ1052は、フレーム1080に枢動可能に連結される閉鎖解放アセンブリ1070と協働するように構成されたロック壁1068を有してもよいことが観察できる。少なくとも1つの形態において、閉鎖解放アセンブリ1070は解放ボタンアセンブリ1072を備えてもよく、解放ボタンアセンブリ1072は、その上に形成された遠位方向に突出するカム従動アーム1074を有する。解放ボタンアセンブリ1072は、解放ばね1076によって反時計回りの方向に枢動し得る。臨床医が閉鎖トリガ1052を非作動位置からハンドル1042のピストルグリップ部分1048に向かって押下すると、カム従動アーム1072が閉鎖リンク1062上のロック壁1068との保持係合に移る点に向かって、閉鎖リンク1062が上向きに枢動し、それによって、閉鎖トリガ1052が非作動位置に戻ることが防止される。したがって、閉鎖解除アセンブリ1070は、閉鎖トリガ1052を完全作動位置にロックするように働く。臨床医が閉鎖トリガ1052をロック解除して非作動位置に付勢することができるようにすることを望むとき、臨床医は単純に、カム従動アーム1074が移動して閉鎖トリガ1052上のロック壁1068との係合から外れるように、閉鎖解放ボタンアセンブリ1072を旋回させる。カム従動アーム1074が移動させられて閉鎖トリガ1052との係合から外れると、閉鎖トリガ1052は再び非作動位置に旋回することができる。他の閉鎖トリガロック及び解除構成が用いられてもよい。
【0057】
少なくとも1つの形式において、ハンドル1042及びフレーム1080は、本明細書で発射駆動システム1100と呼ばれる別の駆動システムを動作可能に支持してもよく、この発射駆動システム1100は、それに装着された交換式シャフトアセンブリのうちの対応する部分に発射動作を加えるように構成されている。発射駆動システムはまた、本明細書において「第2の駆動システム」と呼ばれることもある。発射駆動システム1100は、ハンドル1042のピストルグリップ部分1048内に位置する電気モータ1102を用いてもよい。様々な形態において、モータ1102は、例えば、約25,000RPMの最大回転数を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。他の装置構成では、モータとしては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は他の任意の好適な電気モータが挙げられ得る。制御回路基板アセンブリ1106に、そして最終的にモータ1102に電力を供給するために、例えば、リチウムイオン電池などの電池1104(又は「電力源」又は「パワーパック」)がハンドル1042に連結されてもよい。図34は、電池パックハウジング1104を示しており、電池パックハウジング1104は、制御電力を外科用器具1010に供給するために、ハンドル1042に解放可能に取り付けられるように構成されている。モータに給電するために、直列に接続された多数の電池が電源として使用されてもよい。加えて、電源は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0058】
他の様々な形態に関連して上に概説したように、電気モータ1102は、長手方向移動式駆動部材1110上にある駆動歯1112の組又はラックと噛合係合して取り付けられた歯車減速機アセンブリ1108と動作可能にインターフェースする回転式シャフト(図示せず)を含むことができる。使用の際に、電池によって与えられる電圧極性により、電動モータ1102を時計回り方向に動作させることができるが、電池によって電動モータに付与される電圧極性は、電動モータ1102を反時計回り方向に動作させるために、逆転され得る。電気モータ1102がある方向に回転されるとき、駆動部材1110は遠位方向「D」に軸方向に駆動される。モータ1102が反対の回転方向に駆動されるとき、駆動部材1110は近位方向「P」に軸方向に駆動される。例えば、図35を参照されたい。ハンドル1042は、電池によって電動モータ1102に付与される極性を逆転させるように構成され得るスイッチを備えることができる。本明細書に記載される他の形態と同様に、ハンドル1042はまた、駆動部材1110の位置、及び/又は駆動部材1110が移動させられている方向を検出するように構成されたセンサを含むことができる。
【0059】
モータ1102の作動は、ハンドル1042上で枢動可能に支持される発射トリガ1120によって制御され得る。発射トリガ1120は、非作動位置と作動位置との間を枢動してもよい。発射トリガ1120は、バネ(図示せず)又は他の付勢構成によって非作動位置に付勢されてもよく、これにより、臨床医が発射トリガ1120を離すと、発射トリガ1120は、バネ又は付勢構成によって非作動位置に枢動される又は他の様式で戻ることができるようになっている。少なくとも1つの形態では、発射トリガ1120は、上述したように、閉鎖トリガ1052の「外側」に配置することができる。少なくとも1つの形態では、閉鎖トリガ1052に発射トリガ安全ボタン1122が枢動可能に取り付けられてもよい。図35及び図36で分かるように、例えば、安全ボタン1122は、発射トリガ1120と閉鎖トリガ1052との間に定置され、安全ボタン1122から突出する旋回アーム1124を有してもよい。図38に示すように、閉鎖トリガ1052が非作動位置にあるとき、安全ボタン1122はハンドルハウジング内で拘束され、臨床医は容易には安全ボタン1122に触れることができず、発射トリガ1120の作動を防止する安全位置と、発射トリガ1120が発射され得る発射位置との間で移動させることができない。臨床医が閉鎖トリガ1052を押下すると、安全ボタン1122及び発射トリガ1120が下に枢動して、次いで、臨床医がそれらを操作することが可能になる。
【0060】
上に示されるように、少なくとも一形態において、長手方向移動式駆動部材1110は、歯車減速機アセンブリ1108の対応する駆動歯車1114と噛合係合するために、その上に形成された歯1112のラックを有する。また、モータが故障した場合に臨床医が手動で長手方向移動式駆動部材1110を後退させることができるように構成された手動作動式「脱出」アセンブリ1130が、少なくとも1つの形態に含まれてもよい。この脱出アセンブリ1130は、手動で枢動されて駆動部材1110内の歯1112とのラチェット係合をなすように構成されたレバー又は脱出ハンドルアセンブリ1132を有してもよい。したがって、臨床医は、脱出ハンドルアセンブリ1132を使用して駆動部材を近位方向「P」にラチェットで駆動させることによって、駆動部材1110を手動で後退させることができる。米国特許出願公開第2010/0089970号、現在の米国特許第8,608,045号は、本明細書において開示される様々な器具と共に用いられることもできる脱出装置、並びに他の構成要素、装置、及びシステムを開示している。「POWERED SURGICAL CUTTING AND STAPLING APPARATUS WITH MANUALLY RETRACTABLE FIRING SYSTEM」と題された米国特許出願第12/249,117号、現在の米国特許出願公開第2010/0089970号、現在の米国特許第8,608,045号は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0061】
図34及び図37は、例えば、動作可能に装着された外科用エンドエフェクタ1300を有する交換式シャフトアセンブリ1200の一形態を示している。これらの図に示されているようなエンドエフェクタ1300は、本明細書で開示する様々な方式で組織を切断及びステープル留めするように構成され得る。例えば、エンドエフェクタ1300は、外科用ステープルカートリッジ1304を支持するように構成されたチャネル1302を有してもよい。ステープルカートリッジ1304は、着脱式ステープルカートリッジ1304を備えてもよく、そのため、使用後に交換され得る。しかしながら、他の構成のステープルカートリッジは、チャネル1302内に据え付けられると、チャネル1302から取り外されることが意図されないように構成されてもよい。チャネル1032及びステープルカートリッジ1304は総称で、エンドエフェクタ1300の「第1のジョー部分」と呼ばれてもよい。様々な形態において、エンドエフェクタ1300は、アンビル1310の形態をなす「第2のジョー部分」を有してもよく、この第2のジョー部分は、本明細書で議論した様々な方式でチャネル1302上に移動可能に又は枢動可能に支持される。
【0062】
交換式シャフトアセンブリ1200はシャフト1210を更に有することができ、シャフト1210は、シャフト装着モジュール又はシャフト装着部分1220に結合されるシャフトフレーム1212を有している。少なくとも1つの形態において、シャフトフレーム1212の近位端部1214は、シャフト装着モジュール1220上に形成された中空カラー部分1222を通って延び、中空カラー部分1222に回転可能に装着され得る。例えば、シャフト装着モジュール1220のスロット1224を通って延びるU形リテーナ1226と係合するための環状溝1216が、シャフトフレーム1212の近位端部1214に設けられてもよい。そのような構成により、シャフトフレーム1212は、シャフト装着モジュール1220に対して回転することが可能となる。
【0063】
シャフトアセンブリ1200は、中空の外側スリーブ又は閉鎖チューブ1250を更に備えてもよく、その外側スリーブ又は閉鎖チューブ1250を通ってシャフト1212が延びる。外側スリーブ1250はまた、本明細書において「第1のシャフト」及び/又は「第1のシャフトアセンブリ」と呼ばれることもある。外側スリーブ1250は、閉鎖チューブ装着ヨーク1260に回転可能に結合されるように適合された近位端部1252を有する。図37で分かるように、外側スリーブ1250の近位端部1252は、閉鎖チューブ装着ヨーク1260内でクレードル1262の中に受容されるように構成されている。U形コネクタ1266が、閉鎖チューブ装着ヨーク1260内でスロット1264を通って延びて、外側スリーブ1250の近位端部1252の環状溝1254に受容されるようになっている。そのような構成は、外側スリーブ1250を閉鎖チューブ装着ヨーク1260に回転可能に結合するように働き、そのため、外側スリーブ1250は閉鎖チューブ装着ヨーク1260に対して回転することができる。
【0064】
図38及び図39で分かるように、シャフトフレーム1214の近位端部1214は、外側スリーブ1250の近位端部1252から近位側に突出しており、U形リテーナ1226(図38に示す)によってシャフト装着モジュール1220に回転可能に結合されている。閉鎖チューブ装着ヨーク1260は、シャフト装着モジュール1220の通路1268内にスライド可能に受容されるように構成されている。そのような構成により、外側スリーブ1250は、以下で更に詳細に議論するように、シャフト装着モジュール1220に対して、シャフトフレーム1212上の近位方向「P」及び遠位方向「D」に、軸方向に移動させられることが可能となる。
【0065】
少なくとも1つの形態では、交換式シャフトアセンブリ1200は、関節継手1350を更に含んでもよい。しかしながら、他の交換式シャフトアセンブリは、関節屈曲可能でなくてもよい。図37で分かるように、例えば、関節継手1350は二重旋回閉鎖スリーブアセンブリ1352を有する。種々の形態によれば、二重旋回閉鎖スリーブアセンブリ1352は、上部及び下部遠位突出タング1356、1358を有するシャフト閉鎖スリーブアセンブリ1354を含む。エンドエフェクタ閉鎖スリーブアセンブリ1354は、馬蹄形アパーチャ1360と、上述した方式でアンビル1310上の開放タブと係合するためのタブ1362とを有している。上述のように、馬蹄形アパーチャ1360及びタブ1362は、アンビル1310が開いているとき、アンビルタブと係合する。上部二重旋回リンク1364は、上向きに突出する遠位及び近位旋回ピンを備え、これら遠位及び近位旋回ピンは、外側スリーブ1250上で、上部近位突出タング1356の上部遠位ピンホール、及び上部遠位突出タング1256の上部近位ピンホールとそれぞれ係合する。下部二重旋回リンク1366は、下向きに突出する遠位及び近位旋回ピンを備え、これら遠位及び近位旋回ピンは、下部近位突出タング1358の下部遠位ピンホール、及び下部遠位突出タング1258の下部近位ピンホールとそれぞれ係合する。
【0066】
使用の際、閉鎖スリーブアセンブリ1354は、例えば、閉鎖トリガ1052の作動に応答してアンビル1310を閉鎖するために遠位側(方向「D」)に並進される。アンビル1310は、外側スリーブ1250を、したがってシャフト閉鎖スリーブアセンブリ1354を遠位側に並進させて、上述した方式でアンビル1310の近位表面に衝突させることによって閉鎖される。同様に上述したように、アンビル1310は、外側スリーブ1250及びシャフト閉鎖スリーブアセンブリ1354を近位側に並進させて、タブ1362及び馬蹄形アパーチャ1360をアンビルタブに対して接触及び押圧させてアンビル1310を持ち上げることによって開かれる。アンビル開位置において、シャフト閉鎖スリーブアセンブリ1352はその近位位置に移動させられる。
【0067】
少なくとも1つの形態において、交換式シャフトアセンブリ1200は、シャフトフレーム1212内での軸方向移動に関して支持される発射部材1270を更に含む。発射部材1270は、遠位切断部分1280に装着されるように構成された中間発射シャフト部分1272を含む。発射部材1270はまた、本明細書において「第2のシャフト」及び/又は「第2のシャフトアセンブリ」と呼ばれることもある。図37で分かるように、中間発射シャフト部分1272は、その遠位端部に長手方向スロット1274を有してもよく、長手方向スロット1274は、遠位切断部分1280の近位端部1282を受容するように構成され得る。長手方向スロット1274及び近位端部1282は、それらの間の相対運動を可能にするようにサイズ決め及び構成されることができ、かつスリップ継手1276を備えることができる。スリップ継手1276は、遠位切断部分1280を移動させることなく、又は少なくとも実質的に移動させることなく、発射駆動部1270の中間発射シャフト部分1272を移動させてエンドエフェクタ1300を関節屈曲させることができる。本明細書で説明するように、エンドエフェクタ1300が好適に方向付けられると、遠位切断部分1280を前進させ、チャネル1302内に定置されたステープルカートリッジを発射するために、長手方向スロット1272の近位側壁が近位端部1282と接触するまで、中間発射シャフト部分1272は遠位側に前進させられることができる。図37で更に分かるように、シャフトフレーム1212は細長い開口部又は窓1213を有して、中間発射シャフト部分1272をシャフトフレーム1212に組み付け、挿入するのを容易にしている。中間発射シャフト部分1272がシャフトフレーム1212に挿入されると、頂部フレーム分割部1215がシャフトフレーム1212と係合されて、それらの中に中間発射シャフト部分1272及び遠位切断部分1280を封入することができる。また読者に留意されたいこととして、関節継手1350はガイド1368を更に有することができ、ガイド1368は、その中に発射部材1270の遠位切断部分1280を受容し、関節継手1350の中で及び/又は関節継手1350に対して遠位切断部分1280が遠位側に前進され及び/又は近位側に後退させられるときに遠位切断部分1280を案内するように構成され得る。
【0068】
図37で分かるように、シャフト装着モジュール1220はラッチアクチュエータアセンブリ1230を更に有してもよく、ラッチアクチュエータアセンブリ1230は、押さえねじ(図示せず)又は他の好適な締結具によってシャフト装着モジュールに着脱可能に装着され得る。ラッチアクチュエータアセンブリ1230は、ロックヨーク1240と協働するように構成されており、ロックヨーク1240は、シャフト装着モジュール1220に対して選択的に旋回移動をなすように、シャフト装着モジュール1220に枢動可能に連結される。図41を参照されたい。図39を参照すると、以下で更に詳細に議論するように、ロックヨーク1240は、2つの近位突出ロックラグ1242(図37)を有してもよく、これら近位突出ロックラグ1242は、フレーム1080のフレーム装着モジュール部分1084に形成された、対応するロック移動止め又は溝1086と解放可能に係合するように構成されている。ロックヨーク1240は実質的にU形であり、ラッチアクチュエータアセンブリ1230がシャフト装着モジュール1220に連結された後に、ラッチアクチュエータアセンブリ1230の上に据え付けられるものである。ラッチアクチュエータアセンブリ1230は弓形本体部分1234を有してもよく、この弓形本体部分1234は、ロックヨーク1240がラッチ位置とラッチ解除位置との間でラッチアクチュエータアセンブリ1230に対して旋回するための十分なクリアランスをもたらす。
【0069】
様々な形態では、ロックヨーク1240は、ばね又は付勢部材(図示せず)によって近位方向に付勢される。換言すれば、ロックヨーク1240は、ラッチ位置(図40)へと付勢されており、ラッチアクチュエータアセンブリ1230上に移動可能に支持されるラッチボタン1236によって、ラッチ解除位置(図41)に旋回され得る。少なくとも1つの構成において、例えば、ラッチボタン1236は、ラッチハウジング部分1235内でスライド可能に保持され、ラッチばね又は付勢部材(図示せず)によって近位方向「P」に付勢される。以下で更に詳細に議論するように、ラッチボタン1236は遠位突出解放ラグ1237を有しており、遠位突出解放ラグ1237は、ラッチボタン1236が作動すると、ロックヨーク1240と係合し、ロックヨーク1240をラッチ位置から図41に示すラッチ解除位置へと旋回させるように設計されている。
【0070】
交換式シャフトアセンブリ1200は、シャフト装着モジュール1220上に回転可能に支持されるノズルアセンブリ1290を更に含んでもよい。少なくとも1つの形態において、例えば、ノズルアセンブリ1290は、ねじ、スナップ機構、接着剤などによって相互連結され得る2つのノズル半分又は部分1292、1294から構成され得る。シャフト装着モジュール1220上に取り付けられると、ノズルアセンブリ1290は、外側スリーブ1250及びシャフトフレーム1212とインターフェースしてもよく、それにより、臨床医が、シャフト1210を、例えば、発射部材アセンブリ1270の軸に画定され得るシャフト軸SA-SAの周りにシャフト装着モジュール1220に対して選択的に回転させることができる。特に、ノズルアセンブリ1290の一部分は、外側スリーブの窓1253を通って延びて、シャフトフレーム1212のノッチ1218と係合することができる。図37を参照されたい。したがって、ノズルアセンブリ1290が回転することで、結果として、シャフトフレーム1212及び外側スリーブ1250が軸A-Aの周りをシャフト装着モジュール1220に対して回転することになる。
【0071】
ここで図42及び図43を参照すると、フレーム1080のフレーム装着モジュール部分1084が、内向きに面する2つのダブテール形受容スロット1088を備えて形成されていることが、読者に認められよう。各ダブテール受容スロット1088は、先細状であってもよく、又は換言すれば、ある程度V字形であってもよい。例えば図36及び図38を参照されたい(各スロット1088の一方のみが示されている)。ダブテール受容スロット1088は、シャフト装着モジュール1220の近位延出コネクタ部分1228の対応するテーパ状の装着又はラグ部分1229を解放可能に受容するように構成されている。図37図39から更に分かるように、シャフト装着ラグ1278が、中間発射シャフト1272の近位端部1277に形成されている。更に詳細に後述するように、交換式シャフトアセンブリ1200がハンドル1042に連結されると、シャフト装着ラグ1278は、長手方向駆動部材1110の遠位端部1111に形成された発射シャフト装着クレードル1113に受け入れられる。また、閉鎖チューブ装着ヨーク1260は近位延出ヨーク部分1265を有し、この近位延出ヨーク部分1265は、閉鎖装着バー1064の装着ラグ1066を捕捉するように下向きに開口している2つの捕捉スロット1267を有している。
【0072】
ハンドル1042への交換式シャフトアセンブリ1220の装着について、これから、図44図48を参照して説明する。様々な形態において、フレーム1080又は駆動システムのうちの少なくとも1つは、作動軸AA-AAを規定する。例えば、作動軸AA-AAは、長手方向移動式駆動部材1110の軸によって規定されてもよい。したがって、中間発射シャフト1272が長手方向移動式駆動部材1110に動作可能に結合されると、図48に示すように、作動軸AA-AAはシャフト軸SA-SAと同軸となる。
【0073】
結合プロセスを開始するために、臨床医は、交換式シャフトアセンブリ1200のシャフト装着モジュール1220をフレーム1080のフレーム装着モジュール部分1084の上に又はそれに隣接させて配置することができ、これにより、図45に示すように、シャフト装着モジュール1220のコネクタ部分1228上に形成された装着ラグ1229が装着モジュール部分1084のダブテールスロット1088と整列するようにする。臨床医は次いで、作動軸AA-AAに対して実質的に直角な据付け軸IA-IAに沿ってシャフト装着モジュール1220を移動させることができる。換言すれば、コネクタ部分1228の装着ラグ1229が、対応するダブテール受容スロット1088との「動作可能な係合」をなして着座されるまで、シャフト装着モジュール1220は、作動軸AA-AAに対して実質的に直角な据付け方向「ID」に移動させられる。図44及び図46を参照されたい。図47は、中間発射シャフト1272上のシャフト装着ラグ1278が長手方向移動式駆動部材1110のクレードル1113に侵入し、閉鎖装着バー1064上の装着ラグ1066が、閉鎖チューブ装着ヨーク1260のヨーク部分1265の対応するスロット1267に侵入する前の、シャフト装着モジュール1220の位置を示している。図48は、装着プロセスが完了した後のシャフト装着モジュール1220の位置を示している。この図で分かるように、ラグ1066(1つのみ示す)は、閉鎖チューブ装着ヨーク1260のヨーク部分1265の対応するスロット1267に、動作可能な係合をなして着座されている。本明細書で使用するとき、2つの構成要素の文脈における「動作可能な係合」という用語は、それら2つの構成要素が互いに十分に係合され、それにより、作動運動をそれらに適用すると、構成要素が意図される作用、機能、及び/又は手順を実施し得ることを意味する。
【0074】
上で議論したように、再び図44図49を参照すると、交換式シャフトアセンブリ1200の少なくとも5つのシステムが、ハンドル1042の少なくとも5つの対応するシステムと動作可能に結合され得る。第1のシステムは、シャフトアセンブリ1200のフレームをハンドル1042のフレームと結合及び/又は整列するフレームシステムを含むことができる。上で概説したように、シャフトアセンブリ1200のコネクタ部分1228は、ハンドルフレーム1080の装着モジュール部分1084と係合され得る。第2のシステムは、ハンドル1042の閉鎖トリガ1052と、閉鎖チューブ1250と、シャフトアセンブリ1200のアンビル1310とを動作可能に接続することができる閉鎖駆動システムを含むことができる。上で概説したように、シャフトアセンブリ1200の閉鎖チューブ装着ヨーク1260は、ハンドル1042の装着ラグ1066と係合され得る。第3のシステムは、ハンドル1042の発射トリガ1120をシャフトアセンブリ1200の中間発射シャフト1272と動作可能に接続することができる発射駆動システムを含むことができる。上で概説したように、シャフト装着ラグ1278は、長手方向駆動部材1110のクレードル1113と動作可能に接続されることができる。第4のシステムは、(1)例えばシャフトアセンブリ1200などのシャフトアセンブリがハンドル1042と動作可能に係合されていることを、例えばマイクロコントローラ7004などのハンドル1042内のコントローラに伝えること、及び/又は(2)電力及び/若しくは通信信号をシャフトアセンブリ1200とハンドル1042との間で伝達すること、ができる電気システムを含むことができる。例えば、シャフトアセンブリ1200が6つの電気接点を有することができ、電気コネクタ4000もまた6つの電気接点を有することができ、ここで、シャフトアセンブリ1200がハンドル1042に組み付けられるとき、シャフトアセンブリ1200の各電気接点は、電気コネクタ4000の電気接点と対にされ、嵌合され得る。シャフトアセンブリ1200はまたラッチ1236を有することができ、ラッチ1236は、シャフトアセンブリ1200をハンドル1042に解放可能にロックすることができる、ロックシステムなどの第5のシステムの一部であってもよい。様々な状況下で、ラッチ1236は、例えば、ラッチ1236がハンドル1042と係合されるとき、ハンドル1042内の回路を閉鎖することができる。
【0075】
上記に加えて、シャフトアセンブリ1200のフレームシステム、閉鎖駆動システム、発射駆動システム、及び電気システムが、例えば、横断方向に、すなわち軸IA-IAに沿って、ハンドル1042の対応するシステムに組み付けられることができる。様々な状況下で、シャフトアセンブリ1200のフレームシステム、閉鎖駆動システム、及び発射駆動システムは、ハンドル1042の対応するシステムに同時に結合され得る。特定の状況下で、シャフトアセンブリ1200のフレームシステム、閉鎖駆動システム、及び発射駆動システムのうちの2つが、ハンドル1042の対応するシステムに同時に結合され得る。少なくとも1つの状況下で、フレームシステムは、閉鎖駆動システムと発射駆動システムが結合される前に、少なくとも初期に結合され得る。そのような状況下で、フレームシステムは、閉鎖駆動システムと発射駆動システムの対応する構成要素を、それらが上で概説したように結合される前に整列させるように構成され得る。様々な状況下で、ハウジングアセンブリ1200及びハンドル1042の電気システム部分は、フレームシステム、閉鎖駆動システム、及び/又は発射駆動システムが最終的に又は完全に着座されるのと同時に結合されるように構成され得る。特定の状況下で、ハウジングアセンブリ1200及びハンドル1042の電気システム部分は、フレームシステム、閉鎖駆動システム、及び/又は発射駆動システムが最終的に又は完全に着座される前に結合されるように構成され得る。いくつかの状況下で、ハウジングアセンブリ1200及びハンドル1042の電気システム部分は、フレームシステムが少なくとも部分的に結合された後に、かつ閉鎖駆動システム及び/又は発射駆動システムが結合される前に結合されるように構成され得る。様々な状況下で、ロックシステムは、係合される最後のシステムとなるように、すなわち、フレームシステム、閉鎖駆動システム、発射駆動システム、及び電気システムが全て係合された後に係合されるように構成され得る。
【0076】
上で概説したように、再び図44図49を参照すると、ハンドル1042の電気コネクタ4000は複数の電気接点を備えることができる。ここで図51を参照すると、電気コネクタ4000は、例えば、第1の接点4001aと、第2の接点4001bと、第3の接点4001cと、第4の接点4001dと、第5の接点4001eと、第6の接点4001fとを備えることができる。例示される実施形態は6つの接点を利用しているが、6つより多い接点又は6つより少ない接点を利用してもよい他の実施形態が想起される。図51に示すように、第1の接点4001aはトランジスタ4008と電気通信することができ、接点4001b~4001eはマイクロコントローラ7004と電気通信することができ、第6の接点4001fはアースと電気通信することができる。マイクロコントローラ7004については以下で更に詳細に議論する。特定の状況下で、ハンドル1042が給電状態にあるとき、電気接点4001b~4001eのうちの1つ以上が、マイクロコントローラ7004の1つ以上の出力チャネルと電気通信してもよく、また、給電されるか、電位を印加されることができる。いくつかの状況では、電気接点4001b~4001eのうちの1つ以上が、マイクロコントローラ7004の1つ以上の入力チャネルと電気的に連通していてもよく、ハンドル1042が給電状態にあるとき、マイクロコントローラ7004は、かかる電気接点にいつ電位が印加されたかを検出するように構成することができる。例えばシャフトアセンブリ1200などのシャフトアセンブリがハンドル1042に組み付けられるとき、電気接点4001a~4001fは互いに通信しなくてもよい。しかしながら、シャフトアセンブリがハンドル1042に組み付けられていない場合、電気コネクタ4000の電気接点4001a~4001fは露出していてもよく、またいくつかの状況下で、接点4001a~4001fのうちの1つ以上が、偶然に互いに電気通信状態にされることもある。そのような状況は、例えば、接点4001a~4001fのうちの1つ以上が導電性材料と接触する場合に生じ得る。これが生じると、例えば、マイクロコントローラ7004が、エラー入力を受信する場合があり、かつ/又はシャフトアセンブリ1200が、エラー出力を受信する場合がある。この問題に対処するために、様々な状況では、例えば、シャフトアセンブリ1200などのシャフトアセンブリがハンドル1042に取り付けられていないとき、ハンドル1042は、給電されなくてもよい。他の状況では、例えば、シャフトアセンブリ1200などのシャフトアセンブリが、ハンドル1042に取り付けられていないとき、ハンドル1042に給電することができる。かかる状況では、マイクロコントローラ7004は、シャフトアセンブリがハンドル1042に取り付けられるまで、マイクロコントローラ7004と電気的に連通している接点、すなわち、例えば接点4001b~4001eに印加される入力又は電位を無視するように構成することができる。マイクロコントローラ7004は、そのような状況下でハンドル1042の他の機能を操作するために電力を供給されてもよいが、ハンドル1042は非給電状態にあってもよい。ある意味で、電気接点4001b~4001eに印加される電位はハンドル1042の動作に影響しないことがあるので、電気コネクタ4000は給電停止状態にあってもよい。接点4001b~4001eは非給電状態にあってもよいが、マイクロコントローラ7004と電気通信していない電気接点4001a及び4001fは、非給電状態にあってもなくてもよいことを読者は理解するであろう。一例として、第6の接点4001fは、ハンドル1042が給電状態にあるか非給電状態にあるかに関わらず、アースと電気的に連通したままであってもよい。更に、トランジスタ4008、及び/又は、例えば、トランジスタ4010などの任意の他の好適なトランジスタの構成、及び/又はスイッチは、上で概説したようにハンドル1042が給電状態にあるか非給電状態にあるかに関わらず、例えば、ハンドル1042内の電池1104などの電源4004から第1の電気接点4001aへの電力の供給を制御するように構成され得る。様々な状況下で、シャフトアセンブリ1200のラッチ1236は、例えば、ラッチ1236がハンドル1042と係合されたときにトランジスタ4008の状態を変化させるように構成され得る。様々な状況において、本明細書の他の箇所で説明するように、ラッチ1236は、ハンドル1042と係合したときに回路を閉鎖し、その結果トランジスタ4008の状態に影響を与えるように構成され得る。特定の状況下で、以下に加えて、ホール効果センサ4002が、トランジスタ4010の状態を切り替えるように構成されることができ、トランジスタ4010はその結果として、トランジスタ4008の状態を切り替え、最終的に電源4004から第1の接点4001aに電力を供給することができる。このようにして、上記に加えて、コネクタ4000までの電源回路と信号回路の両方に対して、シャフトアセンブリがハンドル1042に設置されていないときは給電停止し、シャフトアセンブリがハンドル1042に設置されているときは給電することができる。
【0077】
図51を再び参照するが、様々な状況下で、ハンドル1042は、例えば、ホール効果センサ4002を有することができ、ホール効果センサ4002は、シャフトアセンブリがハンドル1042に結合されたときに、例えば、シャフトアセンブリ1200などのシャフトアセンブリ上の、例えば、磁気要素などの検知可能な要素を検知するように構成されることができる。ホール効果センサ4002は、例えば、電池などの電源4006によって給電することができ、電源は実際に、ホール効果センサ4002の検出信号を増幅し、図51に示される回路を介してマイクロコントローラ7004の入力チャネルと通信することができる。シャフトアセンブリがハンドル1042に少なくとも部分的に結合されたこと、そしてその結果として、電気接点4001a~4001fが露出されなくなっていることを示す入力をマイクロコントローラ7004が受信すると、マイクロコントローラ7004は、通常の、つまり給電動作状態に入ることができる。かかる動作状態では、マイクロコントローラ7004は、その通常の使用時に、接点4001b~4001eのうち1つ以上にシャフトアセンブリから伝達された信号を評価し、かつ/又は、接点4001b~4001eのうちの1つ以上を通してシャフトアセンブリに信号を伝達する。様々な状況下で、ホール効果センサ4002が磁気素子を検知できるまでに、シャフトアセンブリ1200が完全に着座されなければならない場合がある。シャフトアセンブリ1200の存在を検出するためにホール効果センサ4002を利用することができるが、例えば、シャフトアセンブリがハンドル1042に組み付けられているか否かを検出するために、センサ及び/又はスイッチの任意の好適なシステムを利用することができる。このようにして、上記に加えて、コネクタ4000までの電源回路と信号回路の両方に対して、シャフトアセンブリがハンドル1042に設置されていないときは給電停止し、シャフトアセンブリがハンドル1042に設置されているときは給電することができる。
【0078】
様々な実施形態では、例えば、シャフトアセンブリがハンドル1042に組み付けられているか否かを検出するために、任意の数の磁気感知素子が用いられてもよい。例えば、磁界感知に使用される技術としては、中でも特に、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、光磁気、及び微小電気機械システム系の磁気センサが挙げられる。
【0079】
交換式シャフトアセンブリ1200がハンドル1042に動作可能に結合された後、閉鎖トリガ1052の作動により、結果として、外側スリーブ1250及びそれに結合されたシャフト閉鎖スリーブアセンブリ1354が遠位側へ軸方向に前進して、本明細書に開示する様々な方式でアンビル1310が作動することになる。また図48で分かるように、交換式シャフトアセンブリ1200内の発射部材1270は、ハンドル1042内の長手方向移動式駆動部材1110に結合されている。より具体的に言えば、中間発射シャフト1272の近位端部1277に形成されたシャフト装着ラグ1278は、長手方向移動式駆動部材1110の遠位端部1111に形成された発射シャフト装着クレードル1113内に受容される。したがって、発射トリガ1120が作動すると、結果としてモータ1102に給電して長手方向移動式駆動部材1110を軸方向に前進させることになるが、同様に、発射部材1270をシャフトフレーム1212内で軸方向に移動させることにもなる。そのような動作により、遠位切断部分1280が、本明細書で開示する様々な方式で、エンドエフェクタ1300にクランプされた組織を通って前進することになる。図48では確認できないが、同様に当業者に理解されたいこととして、図48に示す結合位置にあるとき、シャフト装着モジュール1220の装着ラグ部分1229は、フレーム1080の装着モジュール部分1084の各ダブテール受容スロット1088内に着座させられる。このようにして、シャフト装着モジュール1220はフレーム1080に結合される。加えて、図48には示されていないが(図40で確認することはできる)、シャフト装着モジュール1220がフレーム1080に結合されているとき、ロックヨーク1240上のロックラグ1242が、フレーム1080の装着モジュール部分1084の対応するロック溝1086(図40では1つのみ示されている)内に着座されて、シャフト装着モジュール1220を、フレーム1080と結合し動作可能な係合をなす状態で解放可能に維持する。
【0080】
交換式シャフトアセンブリ1220をフレーム1080から装着解除するために、臨床医はラッチボタン1236を遠位方向「D」に押して、ロックヨーク1240を図41に示すように旋回させる。そのようなロックヨーク1240の旋回運動により、ロックヨーク1240上のロックラグ1242が移動してロック溝1086との保持係合から外れる。臨床医は次いで、シャフト装着モジュール1220を、図49に示すように連結解除方向「DD」にハンドルから離して移動させる。
【0081】
当業者に理解されたいこととして、シャフト装着モジュール1220はまた、不動に保持されてもよく、ハンドル1042は、コネクタ部分1228のラグ1229をダブテールスロット1088と着座係合させるために、シャフト軸SA-SAに対して実質的に直角な据付け軸IA-IAに沿って移動させられてもよい。更に理解されたいこととして、シャフト装着モジュール1220及びハンドル1042は、シャフト軸SA-SA及び作動軸AA-AAに対して実質的に直角な据付け軸IA-IAに沿って、互いに向かって同時に移動させられてもよい。
【0082】
本明細書で用いるとき、「作動軸に対して及び/又はシャフト軸に対して実質的に直角」という表現は、作動軸及び/又はシャフト軸に対してほぼ垂直な方向を指す。しかしながら、理解されたいこととして、作動軸及び/又はシャフト軸に対する垂直からいくぶんか外れる方向もまた、それらの軸に実質的に直角である。
【0083】
ここで図52及び図53を参照すると、本明細書で開示する器具の物理的性質を用いて、例えば、マイクロコントローラ7004などのコントローラが、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように設計され得る。シミュレーションによる応答は、(ノイズを伴い離散的な)測定された実際のシステムの応答と比較されて、「観測された」応答が取得され、これが実際のフィードバックの決定に用いられる。観測された応答は、シミュレートされた応答の滑らかで連続的な性質と、測定された応答とのバランスを取る好適な調整された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。図52及び図53に関連するが、シャフトアセンブリ1200のエンドエフェクタ1300の発射要素又は切断要素は、目標の速さ若しくは速度又はその近傍で移動させられることができる。図52及び図53に開示するシステムは、切断要素を目標の速さで移動させるために利用され得る。システムは、フィードバックコントローラ4200を有することができ、フィードバックコントローラ4200は、限定するものではないが、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラを含む任意のフィードバックコントローラのうちの1つであってもよい。システムは電源を更に有することができる。電源は、例えば、フィードバックコントローラ4200からの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧に変換することができる。他の例としては、限定するものではないが、例えば、パルス幅変調(PWM)電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力が挙げられる。
【0084】
引き続き図52及び図53を参照すると、これらにおいて参照される物理的システムは、発射部材又は切断部材を駆動するように構成された器具の実際の駆動システムである。一例が、関節屈曲及び/又はナイフシステムへの歯車箱及び機械的リンクを備えたブラシ付きDCモータである。もう1つの例が、本明細書で開示するモータ1102であり、このモータ1102は、交換式シャフトアセンブリの、例えば、発射部材10060及び関節屈曲ドライバ10030を操作する。図52及び図53において参照される外的影響4201は、例えば、身体を囲む組織及び摩擦などの事物が物理的システムに与える、無制限の予測不可能な影響である。そのような外的影響は、抗力と呼ばれてもよく、例えば、モータ1102に逆らって作用するモータ4202によって表されることができる。様々な状況下で、抗力などの外的影響は、物理的システムのシミュレーションと実際の物理的システムとの偏差の主要な原因となる。図52及び図53において示され、以下で更に議論されるシステムは、発射部材又は切断部材の予想される挙動と、発射部材又は切断部材の実際の挙動との差に対処することができる。
【0085】
図52及び図53を引き続き参照すると、それらにおいて参照される個々のセンサは、実際の物理的システムの物理的パラメータを測定する。そのような個々のセンサの一実施形態は、絶対位置調整センサ7102と、本明細書において説明されるシステムとを有することができる。そのような個々のセンサの出力はデジタル信号である(又は、デジタルデータ取得システムに接続され得る)ので、その出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。個々のセンサの出力は、例えば、マイクロコントローラ7004などのマイクロコントローラに供給され得る。様々な状況において、マイクロコントローラは、シミュレートされた、又は推定された応答を、測定された応答と組み合わせることができる。特定の状況において、観測された応答をノイズが多く利用できないものにすることなく、外的影響が考慮されるのを確実にするために、測定された応答を十分に利用することが有用となることがある。これを行うアルゴリズムの例として、例えば、シミュレーションによる応答を測定による応答に近似する重み付き平均及び/又は理論的制御ループが挙げられる。最終的に、上記に加えて、例えば、入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどのようになるかを予測するために、物理的システムのシミュレーションでは、質量、慣性、粘性摩擦、及び/又は誘導抵抗などの特性が考慮される。図53は、実際のシステムを動作させるために供給される電流の評価及び測定が追加されているところを示しており、この電流は、例えば、シャフトアセンブリ1200の切断部材又は発射部材の速度を制御するために評価され得る更に別のパラメータである。特定の状況において、電圧を測定することに加えて、又はそれに代えて電流を測定することによって、物理的システムをより正確なものにすることができる。それでもなお、本明細書において開示される構想は、他の物理的システムについての他の状態パラメータの測定に拡張され得る。
【0086】
図54及び/又は図57に示された制御システムのような制御システムは、例えば、本明細書において開示される外科用器具のうちの任意のものを制御するために利用され得る。様々な状況において、制御システムは、例えば、マイクロコントローラ7004のようなマイクロコントローラを備えることができ、そのマイクロコントローラは、外科用器具の様々なシステムを操作するように構成され得る。上記に加えて、制御システムは、シャフトアセンブリ1200のようなシャフトアセンブリが、例えば、ハンドル1042に組み付けられたか、又は少なくとも部分的に組み付けられたか否か検知するための組立検知手段を備えることができる。そのような組立検知手段は、上記に加えて、例えば、上述のホール効果センサ4002、及びシャフトアセンブリがハンドル1042に組み立てられない場合にハンドル1042を非給電状態に維持するための手段、及び、シャフトアセンブリがハンドル1042に組み立てられない場合にハンドル1042を給電状態に維持するための手段を備えることができる。上で概説したように、マイクロコントローラ7004は、例えば、そのような手段を含むことができる。制御システムは、シャフトアセンブリに及び/又はそれから電力を伝達するための電力伝達手段、及び/又は、シャフトアセンブリに及び/又はそれから通信信号を通信する信号通信手段を更に備えることができる。そのような電力伝達手段及び信号通信手段は、例えば、電気接点4000、シャフトアセンブリ上の対応する電気接点、及び/又はマイクロコントローラ7004を備えることができる。
【0087】
図54及び図57を更に参照すると、制御システムは、少なくとも1つの閉鎖トリガースイッチ、及びマイクロコントローラ7004に通信する、及び/又は閉鎖トリガ1052が上述のように閉じられたことをマイクロコントローラ7004によって解釈されるように構成され得る少なくとも1つの閉鎖トリガ回路を更に含むことができる。様々なスイッチは、例えば、電位差計及び/又はホール効果センサを含むことができる。制御システムは、閉鎖トリガ1052が非閉鎖位置にあるときに、非閉鎖操作状態の外科用器具を操作するための非閉鎖操作手段、及び閉鎖トリガ1052が閉鎖位置にあるときに、閉鎖操作状態の外科用器具を操作するための閉鎖操作手段を更に備えることができる。制御システムは、例えば、電池1104のような電源、及び電源からの電力を制御システム全体に分配するための手段を備えることができる。制御システムは、例えば、モータ1102のようなモータ、例えば、発射トリガ1120のようなモータ電力スイッチ、及び、本明細書のいずれかに記述されているような、望ましい様態でモータ1102を操作するためのモータ操作手段を備えることができる。そのようなモータ操作手段は、特定の状況において、例えば、パルス幅変調(PWM)電圧制御を利用するモータ1102を制御するように構成され得る。更に、PWM電圧制御は、例えば、発射部材1272及び1280の速度を制御するために利用され得る。外科用器具の閉鎖動作状態において、一部の状況では、電池1104は、モータ1102から連結解除されていてもよく、一方、特定の状況では、たとえ電力がモータ1102に供給されても、マイクロコントローラ7004が閉鎖トリガ1052の閉鎖を検知するまで、モータコントローラがモータ1102の動作を防止するように構成され得る。そのような状況において、マイクロコントローラ7004は、その後、その閉鎖操作状態の外科用器具を操作することができる。閉鎖操作状態において、電力がモータ1102に供給されることができ、モータコントローラは、発射トリガ1120の動作に応答してモータ1102を操作するように構成され得る。図58図60は、例えば、モータ1102並びに発射部材1272及び1280を操作するための様々な操作を示す。
【0088】
図54及び図57を更に参照すると、例えば、制御システムは、12ビット磁気ロータリーエンコーダを備えることができ、発射部材1272及び1280の位置を監視するように構成され得る。様々な状況において、制御システムは、発射部材1272及び1280の位置を監視するために、上述の絶対位置調整センサ7102及び検知システムを含むことができる。制御システムは、また、発射部材1272及び1280を手動で動かすための手動駆動手段、及び/又は外科用器具の別のシステムを手動駆動手段の動作を考慮して操作するための手段を備えることができる。例えば、手動駆動手段は、例えば、上述された手動で作動可能な脱出アセンブリ1130を備えてもよい。また、例えば、手動駆動手段の動作は、モータ1102を電気的に非活動化させてもよい。一部の状況において、手動駆動手段の動作は、電池1104をモータ1102から連結解除することができる。特定の状況において、手動駆動手段の動作は、たとえ電力がモータ1102に供給され得るとしてもモータ1102の動作を防止するように構成され得るモータコントローラによって検知され得る。様々な状況において、例えば、モータコントローラは、マイクロコントローラ7004を備えることができる。
【0089】
図54及び図57を更に参照すると、制御システムは、器具の操作者と通信するための通信手段を更に含むことができる。様々な状況において、通信手段は、1つ又は2つ以上の発光ダイオード(LED)光を、例えば、ハンドル1042上に備えることができ、この光は、例えば、外科用器具が特定の動作状態にあることを外科用器具の操作者に通信するように構成され得る。少なくとも1つの状況において、ハンドル1042は、例えば、緑のLED光を含むことができ、この緑のLED光は、点灯されると、例えば、外科用器具が、組み立てられた状態、閉鎖状態、及び給電状態にあることを示すことができる。そのような状況において、点灯された緑のLED光は、外科用器具が使用準備完了であることを示すことができる。ハンドル1042は、赤のLED光を含むことができ、例えば、この赤のLED光は、点灯されると、外科用器具が、組み立てられていない状態、非閉鎖状態、又は非給電状態のいずれかにあることを示すことができる。そのような状況において、点灯された赤のLED光源は、外科用器具が使用準備が完了していないことを示すことができる。上記に加えて、LED光は、マイクロコントローラ7004の出力チャネルと電気通信し得、マイクロコントローラ7004は、外科用器具の動作条態を決定及び/又は設定し、例えば、LED光を介してその状態を伝えるように構成され得る。一部の状況において、通信手段は、例えば、ハンドル1042上に表示画面を含むことができ、表示画面は、外科用器具の操作者に情報を伝達するように構成され得る。上記に加えて、マイクロコントローラ7004は、表示画面と電気通信することにより、例えば、外科用器具の動作状態を通信することができる。
【0090】
図54及び図57を更に参照し、図55及び図56を付加的に参照すると、制御システムは、例えば、マイクロコントローラ7004と電気通信する複数のスイッチを備えることができる。スイッチは、上述した及び/又は本明細書に記載された外科用器具の任意のシステム及び/又はサブシステムに関連して記載したスイッチを含むことができる。スイッチは、スイッチ配列を備えることができ、このスイッチ配列は、例えば、マイクロコントローラ7004と電気通信するスイッチ回路に含まれることができる。特定の状況において、スイッチ回路は、例えば、マイクロコントローラ7004と通信することができる16ビットのI/Oエンコーダを含むことができる。更に、スイッチ回路は、マイクロコントローラ7004及び電気コネクタ4000の1つ又は2つ以上の接点と電気通信するバスを備えることができる。最終的には、次に、スイッチ回路及びスイッチ配列は、例えば、ハンドル1042とシャフトアセンブリ1200とに跨ることができる。様々な状況において、マイクロコントローラ7004は、ハンドル1042に装着されたシャフトアセンブリを識別し、例えば、発射部材1272及び1280に適用される発射ストロークの長さを調節するように構成され得る。米国特許第9,629,629号、発明の名称「CONTROL SYSTEMS FOR SURGICAL INSTRUMENTS」(2017年4月25日発行)の開示全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0091】
外科用器具18000が図61に示されている。外科用器具18000は、多くの点において外科用器具400と類似している。外科用器具18000は、ハンドル18100と、ハンドル18100から延在するシャフトアセンブリ18200と、シャフト18200から延在するエンドエフェクタ18300と、を備える。エンドエフェクタ18300は、第1のジョー18310及び第2のジョー18320を備え、第1のジョー18310は、第1のジョー18310と第2のジョー18320との間に組織をクランプするために、開放クランプ位置と閉鎖クランプ位置との間で移動可能である。更に、エンドエフェクタ18300は、関節継手18400を中心としてシャフトアセンブリ18200に回転可能に取り付けられる。ハンドル18100は、フレーム18110と、ハウジング18120と、を備える。ハンドル18100はまた、グリップ18130と、エンドエフェクタ閉鎖システムを作動させるように動作可能な閉鎖アクチュエータ18140と、ステープル発射システムを作動させるように動作可能な発射アクチュエータ18150と、を備える。ハンドル18100はまた、エンドエフェクタ関節屈曲システムを作動させるように動作可能な関節アクチュエータを備える。第2のジョー18320は、その中に着脱可能に格納されたステープルを含む交換可能なステープルカートリッジ18500を備え、第1のジョー18310は、ステープルを変形させるように構成されたアンビルを備える。外科用器具18000はまた、外科用器具18000のステープル発射システムを駆動するように構成された電気モータを備える。様々なステープル発射システムが、2006年2月21日に発行され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,000,818号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING SEPARATE DISTINCT CLOSING AND FIRING SYSTEMS」に開示されている。
【0092】
ここで図62を参照すると、ステープルカートリッジ18500は、長手方向スロット18520と、近位端部18530と、遠位端部18540と、を備えるカートリッジ本体18510を備えている。ステープルカートリッジ18500は、カートリッジ本体18510内に画定された複数のステープルキャビティ18222と、ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、を更に備えている。ステープルカートリッジ18500は、ステープルをステープルキャビティ18222から患者の組織の中へと上向きに駆動するために、ステープル発射ストローク中にステープル発射システムによって遠位に移動可能なスレッド18550(図69)を更に備える。ステープルカートリッジ18500は、ステープルキャビティの上に延在しステープルを保護する着脱式ステープルカートリッジリテーナ又はカバー18570(図70)を更に備えている。図70を参照すると、カバーは、細長い本体と、カートリッジ本体18510を解放可能に把持する、本体から延在する可撓性ラッチアーム18574と、長手方向スロット18520内に延在する長手方向フィン18572と、を備えている。多くの場合、ステープルカートリッジカバー18570は、臨床医とステープルカートリッジ18500のステープルとの間の保護バリアとして機能する。様々な例において、ステープルカートリッジカバー18570は、臨床医が、例えば、ステープルに接触することなく、ステープルカートリッジ18500を第2のジョー18320に着座させるために、ステープルカートリッジ18500の上部に自身の親指を配置することを可能にする。ステープルカートリッジ18500が第2のジョー18320内に着座されると、カートリッジカバー18570が取り外され、次いで外科用器具18000が患者に挿入され得る。しかしながら、ステープルカートリッジ18500が設置された後にカートリッジカバー18570が取り外されていない場合、カートリッジカバー18570は、ステープルが第1のジョー18310のアンビルに適切に接触することを妨害する。
【0093】
外科用器具18000は、マイクロプロセッサを含んだコントローラを更に備える。外科用器具18000はまた、コントローラと通信するRFIDシステムを更に備える。RFIDシステムは、以下でより詳細に論じられるように、1つ以上のRFIDリーダと、1つ以上のRFIDタグとを備える。様々な実施形態において、RFIDシステムは、ステープルカートリッジが外科用器具内に位置付けられているか否か、及び/又はステープルカートリッジが外科用器具と共に使用するのに適切なステープルカートリッジであるか否かを判定するように構成される。そのようなRFIDシステムはまた、ステープルカートリッジが、そのステープルカートリッジ用である正しい構成要素を含んでいるか否かを判定することができる。ステープルカートリッジが適切であり、ステープルカートリッジ内の構成要素が正しいとコントローラが判定した場合、外科用器具18000は、意図される通りに使用され得る。コントローラが、ステープルカートリッジが適切ではないか、あるいはステープルカートリッジ内の構成要素のうちの1つ以上が不適当であると判定した場合、コントローラは、いくつかの方法で外科用器具の動作を制限することができる。そのような例では、例えば、コントローラは、エンドエフェクタを開放及び閉鎖すること、並びに/又はエンドエフェクタを関節屈曲させることを可能にし得るが、ステープル発射ストロークが実施されるのを防止し得る。また、ステープルカートリッジがステープルカートリッジ支持体内に適切に位置付けられているか否かを判定するために、RFIDシステムが使用されてもよい。例えば、RFIDシステムは、ステープルカートリッジの近位端部及び/又はステープルカートリッジの遠位端部がステープルカートリッジチャネル内に適切に着座しているかどうかを指示してもよく、またステープルカートリッジの端部のうちの1つが完全に着座していない場合、コントローラは、ステープル発射ストロークが実施されるのを防止することができる。更に、RFIDシステムは、外科用器具内に位置付けられたステープルカートリッジが未使用のステープルカートリッジであるか否か、又はステープルカートリッジが既に使用されているか、あるいは別様に使用済みであるかを指示してもよい。ステープルカートリッジが使用済みであるとコントローラが判定した場合、コントローラは、使用済みステープルカートリッジが未使用のステープルカートリッジと交換されるまで、ステープル発射ストロークが実施されるのを防止する。RFIDシステムはまた、ステープルカートリッジの可動構成要素の動きを追跡することが可能であってもよく、これについては以下でより詳細に論じられる。
【0094】
無線周波数識別(RFID)は、物体を追跡及び識別するために様々な産業で使用されている。RFIDは、デジタル的に記憶された情報を、RFIDタグから、情報を受信するように構成されたRFIDリーダ又は受信機へと無線波を利用して転送するものである。RFID技術は、電子的に記憶された情報を収容する、時にチップとも呼ばれるRFIDタグと、そのRFIDタグを識別し、それと通信するように働くRFIDリーダと、を利用するものである。2つの異なるタイプのRFIDシステム、すなわち、アクティブRFIDシステムと、パッシブRFIDシステムとが存在する。アクティブRFIDシステムは、それらの信号をブロードキャストするためのオンボード電源を備えたRFIDタグを含む。アクティブRFIDタグは、RFIDタグ内の電池を含み得るが、これにより、アクティブRFIDタグはRFIDリーダから独立して機能することが可能となる。したがって、アクティブRFIDシステムのRFIDタグは、情報を送信する前にRFIDリーダから信号を受信するために待機する必要はない。むしろ、アクティブRFIDタグは、自在に信号又はビーコンを連続的に送信する。多くの市販のアクティブRFIDシステムは、2つの主周波数範囲である433MHzと915MHzのうちの1つで動作することが多いが、任意の適切な周波数範囲が使用され得る。典型的には、RFIDタグは、その対応するRFIDリーダによって識別されるために、特定の距離又は周波数範囲内にある必要がある。
【0095】
パッシブRFIDシステムは、オンボード電源を備えないが、その代わりに動作するために必要なエネルギーをRFIDリーダから受信するRFIDタグを含む。アクティブRFIDタグとは対照的に、パッシブRFIDシステムのRFIDタグは、プロンプトを受信する前に信号を能動的に送信しない。むしろ、パッシブRFIDタグは、信号を送信する前にRFIDリーダから情報を受信するために待機する。多くの市販のパッシブRFIDシステムは、多くの場合、3つの周波数範囲内、すなわち、低周波数(「LF」)、高周波数(「HF」)及び近距離無線通信(「NFC」)、並びに超高周波数(「UHF」)で動作する。LF帯域幅は125~134KHzであり、約1~10センチメートルの短い読み取り範囲を伴う、より長い波長を含む。HF及びNFC帯域幅は13.56KHzであり、1センチメートル~1メートルの典型的な読み取り範囲を伴う、中程度の波長を含む。UHF帯域幅は865~960MHzであり、長い読み取り範囲となる1メートルの短い高エネルギー波長を含む。上記のように述べられたが、任意の好適な周波数が使用され得る。
【0096】
異なるサイズのRFIDタグを備えた様々なRFIDシステムが存在する。しかしながら、いくつかは、非常に小さな物体の追跡を必要とする技術領域での使用により適している。例えば、日立化成株式会社(Hitachi Chemical Co.Ltd.)は、RFIDの技術分野における大手製造業者である。日立化成株式会社によって製造されている超小型のUHF RFIDタグは、典型的には、1.0~13mm以下であり、数センチメートル以上の距離でRFIDタグとRFIDリーダとの間の通信を可能にする。そのコンパクトな性質により、日立製RFIDタグは、識別される必要がある非常に小さな製品に適している。各日立製RFIDタグは、アンテナと、アンテナに接続されたICチップと、ICチップ及びアンテナを封止するシーリング材料と、を含む。日立製RFIDタグは、単一ユニットにアンテナとICチップを組み込んでいるため、日立製RFIDタグは、例えば、接着剤又はテープを使用して任意の小さな物体に容易に固定するのに十分に便利である。
【0097】
日立製RFIDタグは、正方形のステンレス鋼プレートと、金属アンテナとを備える。アンテナは、LC共振回路又は任意の他の適切な回路を備え、プレートに電気的に接続されている。プレート及びアンテナが互いに接続された後、アンテナとプレートは、シーリング材料を用いて単一ユニット内に一緒に封止される。シーリング材料は、日立製RFIDタグの耐熱能力を高めるために、主にエポキシ、炭素、及びシリカから構成される。すなわち、RFIDタグの耐熱性は、実質的に、シーリング材料の耐熱能力に依存する。シーリング材料は、数秒などのより短い期間に対しては、最大250~300℃の温度に耐える高度な耐熱性を有し、より長い期間に対しては、最大150℃の熱に耐性がある。したがって、日立製RFIDタグは従来のRFIDタグよりも高い耐熱性を有し、高温でも依然として正常に動作し得る。日立製RFIDタグに関する更なる情報は、2015年10月27日に発行され、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第9,171,244号、発明の名称「RFID TAG」の開示全体に見出され得る。
【0098】
上述のように、外科用器具システム18000は、1つ以上のRFIDリーダと1つ以上のRFIDタグとを含むRFIDシステムを備えている。図62を参照すると、様々な実施形態において、RFIDシステムは、第1のRFIDタグ18560aと、第2のRFIDタグ18560bと、第3のRFIDタグ18560cと、を備える。図67は、RFIDタグ18560a、18560b、及び18560cに使用され得るHitachi Ultra Small Package UHF RFIDタグ18900を示しているが、任意の好適なRFIDタグが使用されてよい。タグ18900は、例えば、2.5mm×2.5mm×0.4mmのサイズを備える。タグ18900は、基板又は基部18910と、基板18910に取り付けられたマイクロチップ18920と、マイクロチップ18920の出力チャネル又はピンと通信する円周パターンをなして基板18910に装着されたアンテナ18930と、を備える。RFIDタグ18900に関する更なる詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,171,244号において開示されている。しかし、任意の好適なRFIDタグが使用され得る。
【0099】
図62図64図66、及び図68を参照すると、第1のRFIDタグ18560aは、第1の位置Aにおいてカートリッジ本体18510に付着されている。第2のRFIDタグ18560bは、図69に示されるように、カートリッジ本体18510内に摺動可能に位置付けられたスレッド18550に付着され、第3のRFIDタグ18560cは、図70に示されるように、カバー18570に付着されている。主に図66を参照すると、外科用器具18000は、第1のRFIDリーダ18600、第2のRFIDリーダ18700、及び第3のRFIDリーダ18800を備えている。第1のRFIDリーダ18600は、外科用器具ハンドル18100のコントローラと第2のジョー18320との間に延在するフレキシブル回路を含んでいる。第1のRFIDリーダ18600は、ステープルカートリッジ18500が第2のジョー18320内に着座されているときに第1のRFIDタグ18560aと整列される第1の誘導コイル又はセンサ18620を備えている。同様に、第2のRFIDリーダ18700は、外科用器具ハンドル18100のコントローラと第2のジョー18320との間に延在するフレキシブル回路を含んでいる。第2のRFIDリーダ18700は、ステープルカートリッジ18500が第2のジョー18320内に着座されているときに第2のRFIDタグ18560bと整列される第2の誘導コイル又はセンサ18720を位置B(図62)に備えている。また、同様に、第3のRFIDリーダ18600は、外科用器具ハンドル18100のコントローラと第2のジョー18320との間に延在するフレキシブル回路を含んでいる。第3のRFIDリーダ18800は、ステープルカートリッジ18500が第2のジョー18320内に着座されているときに第3のRFIDタグ18560cと整列される第3の誘導コイル又はセンサ18820を位置C(図62)に備えている。
【0100】
RFIDタグ18560a、18560b、及び18560cは、アクティブ型及び/又はパッシブ型であり得る。RFIDタグ18560a、18560b、及び18560cがアクティブRFIDタグであるとき、それらは各々、それらの対応するRFIDリーダによって受信される信号を放出する。例えば、第1のRFIDセンサ18620は、第1のRFIDタグ18560aから第1のビーコン信号を受信し、第2のRFIDセンサ18720は、第2のRFIDタグ18560bから第2のビーコン信号を受信し、第3のRFIDセンサ18820は、第3のRFIDタグ18560cから第3のビーコン信号を受信する。第1、第2、及び第3のビーコン信号は全て、同じ周波数又は異なる周波数で放出され得る。ビーコン信号が同じ周波数で放出される場合、ビーコン信号の範囲及び/又はRFIDセンサの位置は、RFIDタグ18560a、18560b、及び18560cと、それらの対応するRFIDリーダセンサ18620、18720、及び18820との間に「クロストーク」が存在しないように制御されなければならない。RFIDビーコン信号の範囲は、ビーコン信号を伝送するために使用される電力、及びそれらのそれぞれの電源又は電池からのその電力の利用可能度によって決定される。一般に、ビーコン信号の範囲は、信号の伝送電力に比例する。ビーコン信号が異なる周波数で放出される場合、信号の範囲及びRFIDセンサ18620、18720、及び18820の相対位置はより柔軟となり得る。そのような実施形態では、コントローラは、例えば、RFIDタグ18560a、18560b、及び18560cから受信される信号及びデータが正しい入力ライン又はRFIDリーダ上で受信されることを確実にするために使用され得る、ローパスフィルタ及び/又はハイパスフィルタなどの1つ以上の信号フィルタを備える。例えば、第1のRFIDリーダ18600上の第2及び第3のビーコン信号をフィルタリングするためにローパスフィルタが使用されてもよく、第3のRFIDリーダ18800上の第1及び第2のビーコン信号をフィルタリングするためにハイパスフィルタが使用されてもよく、第2のRFIDリーダ18700上の第1及び第3のビーコン信号をフィルタリングするためにローパスフィルタとハイパスフィルタの両方が使用されてもよい。いずれにせよ、RFIDリーダ18600、18700、及び18800は、ステープルカートリッジ18500が第2のジョー18320内に着座されるとすぐに、それらの対応するRFIDタグ18560a、18560b、及び18560cからデータを受信する。特筆すべきことに、RFIDタグ18560a、18560b、及び18560cは、ステープルカートリッジ18500が着座されているとき、及び/又はステープルカートリッジ18500が第2のジョー18320と整列され、着座されようとしているときに、それらの対応するRFIDリーダと通信し始めることができる。
【0101】
RFIDタグ18560a、18560b、及び18560cがパッシブRFIDタグであるとき、RFIDタグ18560a、18560b、及び18560cは、それらの対応するRFIDスキャナ18600、18700、及び18800から信号を受信するまで信号を放出しない。例えば、第1のRFIDタグ18560aは、RFIDスキャナ18600の第1のセンサ18620から放出された信号によって通電されるまで信号を放出しない。このようにして、第1のセンサ18620は、第1の信号をブロードキャストする伝送アンテナとして作用し、この第1の信号は、第1のRFIDタグ18560aによって受信されたときに、第1のセンサ18620によって受信される第1の戻り信号を第1のRFIDタグ18560aに放出させる。したがって、第1のセンサ18620は、伝送アンテナと受信アンテナの両方として作用する。そうは言っても、第1のRFIDスキャナ18600は、伝送回路の一部としての伝送アンテナ及び受信回路の一部としての別個の受信アンテナを備え得る。同様に、第2のRFIDタグ18560bは、RFIDスキャナ18700の第2のセンサ18720から放出された信号によって通電されるまで信号を放出しない。このようにして、第1のセンサ18720は、第2の信号をブロードキャストする伝送アンテナとして作用し、この第2の信号は、第2のRFIDタグ18560bによって受信されたときに、第2のセンサ18720によって受信される第2の戻り信号を第2のRFIDタグ18560bに放出させる。したがって、第2のセンサ18720は、伝送アンテナと受信アンテナの両方として作用する。そうは言っても、第2のRFIDスキャナ18700は、伝送回路の一部としての伝送アンテナ及び受信回路の一部としての別個の受信アンテナを備え得る。また、同様に、第3のRFIDタグ18560cは、RFIDスキャナ18800の第3のセンサ18820から放出された信号によって通電されるまで信号を放出しない。このようにして、第3のセンサ18820は、第3の信号をブロードキャストする伝送アンテナとして作用し、この第3の信号は、第3のRFIDタグ18560cによって受信されたときに、第3のセンサ18820によって受信される第3の戻り信号を第3のRFIDタグ18560cに放出させる。したがって、第3のセンサ18820は、伝送アンテナと受信アンテナの両方として作用する。そうは言っても、第3のRFIDスキャナ18800は、伝送回路の一部としての伝送アンテナ及び受信回路の一部としての別個の受信アンテナを備え得る。
【0102】
上述のように、第1のRFIDタグ18560aは、ステープルカートリッジ18500のカートリッジ本体18510に付着されている。第1のRFIDタグ18560aは、1種類以上の接着剤を使用してカートリッジ本体18510に取り付けられている。そうは言っても、第1のRFIDタグ18560aは、任意の好適な様式でカートリッジ本体18510に付着されてよい。例えば、図68を参照するが、第1のRFIDタグ18560aは、射出成形プロセス中にカートリッジ本体18510と一体成形され得る。そのような例では、第1のRFIDタグ18560aの少なくとも一部は、カートリッジ本体18510内に埋め込まれる。そうは言っても、第1のRFIDタグ18560aの全体がカートリッジ本体18510に埋め込まれる実施形態が想定される。更に、カートリッジ本体18510の壁が凹部又はポケットを画定し、第1のRFIDタグ18560aがその凹部内に位置付けられる実施形態が想定される。様々な例において、RFIDタグ18560aの周囲は、カートリッジ本体18510内の凹部の周囲と一致する。
【0103】
第1のRFIDスキャナ18600が第1のRFIDタグ18560aから第1の信号を受信し、第1の信号又は第1の信号からのデータが外科用器具18000のコントローラに通信されるとき、コントローラは、ステープルカートリッジが第2のジョー18520内に存在すると判定する。様々な実施形態において、コントローラは、第1のRFIDタグ18560aから受信されたデータが、許容可能なステープルカートリッジからのデータと一致することを判定するために、認証評価を実施する。許容可能なステープルカートリッジに関するデータは、コントローラのメモリデバイスに記憶されてもよく、かつ/又は、例えば、オフボードコントローラ及び/又はクラウド環境に記憶されてもよい。ステープルカートリッジが第2のジョー18320内に存在し、そのステープルカートリッジが適合するとコントローラが判定した場合、以下でより詳細に論じられるように、コントローラは、RFIDシステムの第2及び第3のRFIDタグ18560b及び18560cとの追加的なチェックを実施する。そうは言っても、第1のRFIDタグ18560aがRFIDシステムの唯一のRFIDタグであり、適合するステープルカートリッジの存在が第1のRFIDタグ18560aを介して検証されると、コントローラがステープル発射システムをロック解除し得る実施形態が想定される。
【0104】
上述のように、第2のRFIDタグ18560aは、ステープルカートリッジ18500のカートリッジ本体18550に付着されている。第2のRFIDタグ18560aは、1種類以上の接着剤を使用してスレッド18550に取り付けられている。そうは言っても、第2のRFIDタグ18560bは、任意の好適な様式でスレッド18550に付着されてよい。例えば、図69を参照するが、第2のRFIDタグ18560bは、射出成形プロセス中にスレッド18550と一体成形され得る。そのような例では、第2のRFIDタグ18560bの少なくとも一部がスレッド18550に埋め込まれてもよい。そうは言っても、第2のRFIDタグ18560bの全体がスレッド18550に埋め込まれる実施形態が想定される。更に、スレッド18550の壁が凹部又はポケットを画定し、第2のRFIDタグ18560bがその凹部内に位置付けられる実施形態が想定される。様々な例において、RFIDタグ18560bの周囲は、スレッド18550内の凹部の周囲と一致する。
【0105】
第2のRFIDスキャナ18700が第2のRFIDタグ18560bから第2の信号を受信し、第2の信号又は第2の信号からのデータが外科用器具18000のコントローラに通信されるとき、コントローラは、スレッドがステープルカートリッジ内のその近位の未発射位置に存在すると判定する。この情報により、コントローラは、ステープルカートリッジが未使用状態にあると判定することができる。スレッド18550がその近位の未発射位置にない場合、第2のRFIDタグ18560bは、第2のRFIDスキャナ18700の範囲外に位することになり、コントローラは、第2のジョー18320内に位置付けられたステープルカートリッジが少なくとも部分的に使用済みであると判定する。そのような例では、コントローラは、ステープルカートリッジが適合する未使用のステープルカートリッジと交換されるまで、ステープル発射システムをロック解除しない。
【0106】
様々な実施形態において、コントローラは、第2のRFIDタグ18560bから受信されたデータが、第1のRFIDスキャナ18600によって識別されたステープルカートリッジに対応するデータと一致することを判定するために、認証評価を実施する。スレッド18550が第2のRFIDタグ18560bからのデータを介して第2のジョー18320に存在するステープルカートリッジの適切な構成要素であるとコントローラが判定した場合、以下でより詳細に論じられるように、コントローラは、RFIDシステムの第3のRFIDタグ18560cとの追加的なチェックを実施する。そうは言っても、第3のRFIDタグ18560cを含まず、適合する未発射ステープルカートリッジの存在が第1及び第2のRFIDタグ18560a及び18560bを介して検証されると、上述のように、コントローラがステープル発射システムをロック解除し得る実施形態が想定される。
【0107】
上述のように、図70を参照するが、第3のRFIDタグ18560cは、ステープルカートリッジ18500の着脱式カバー18570に付着されている。第3のRFIDタグ18560cは、1種類以上の接着剤を使用してカバー18570に取り付けられている。そうは言っても、第3のRFIDタグ18560cは、任意の好適な様式でカバー18570に付着されてよい。例えば、図70を参照するが、第3のRFIDタグ18560cは、射出成形プロセス中にカバー18570と一体成形され得る。そのような例では、第3のRFIDタグ18560cの少なくとも一部がカバー18570に埋め込まれてもよい。そうは言っても、第3のRFIDタグ18560cの全体がカバー18570に埋め込まれる実施形態が想定される。更に、カバー18570の壁が凹部又はポケットを画定し、第3のRFIDタグ18560cがその凹部内に位置付けられる実施形態が想定される。様々な例において、RFIDタグ18560cの周囲は、カバー18570内の凹部の周囲と一致する。
【0108】
第3のRFIDスキャナ18800が第3のRFIDタグ18560cから第3の信号を受信し、第3の信号又は第3の信号からのデータが外科用器具18000のコントローラに通信されるとき、コントローラは、カバー18570がステープルカートリッジに取り付けられていると判定する。この情報により、コントローラは、臨床医がカバー18570を付けて外科用器具18000にステープルカートリッジを挿入しており、したがってカートリッジ本体18510に格納されたステープルを妨害しなかったと判定することができる。カバー18570がカートリッジ本体18510上で検出されない場合、コントローラは、ステープルカートリッジが損傷した可能性があると判定する。そのような例では、コントローラは、ステープルカートリッジが適合する未使用かつ無損傷のステープルカートリッジと交換されるまで、ステープル発射システムをロック解除しない。
【0109】
様々な実施形態において、コントローラは、第3のRFIDタグ18560cから受信されたデータが、第3のRFIDスキャナ18700によって識別されたステープルカートリッジに対応するデータと一致することを判定するために、認証評価を実施する。カバー18570が第3のRFIDタグ18560cからのデータを介して第2のジョー18320に存在するステープルカートリッジの適切な構成要素であるとコントローラが判定した場合、コントローラは、ステープル発射システムをロック解除する。外科用器具内に位置付けられたステープルカートリッジの存在、状態、及び/又は適合性を評価するために、追加のRFIDタグ及びRFIDタグスキャナが使用されてもよい。
【0110】
上述のように、第2のRFIDスキャナ18700は、スレッド18550がその近位の未発射位置にあるか否かを評価するために、外科用器具18000のコントローラによって使用される。第2のRFIDスキャナ18700以外がない場合、コントローラは、スレッド18550の位置を、第2のRFID18700スキャナの通信範囲内にないことを除き、評価することができない。そうは言っても、外科用器具は、スレッド18500の位置を、したがってステープル発射ストロークの進行を評価するために外科用器具のコントローラによって使用され得る2つ以上のRFIDスキャナを備え得る。再び図66を参照するが、外科用器具18000の第1のRFIDスキャナ18600及び第3のRFIDスキャナ18800は、スレッド18500の位置を追跡するために使用され得る。スレッド18500がステープル発射ストローク中に遠位に移動されると、第2のRFIDタグ18560bは、第1のRFIDスキャナ18600の伝送範囲18610及び第3のRFIDスキャナの伝送範囲18810を通過する。第2のRFIDタグ18560bの第2の信号が第1のRFIDスキャナ18600によって検出されると、コントローラは、スレッド18550が位置Aに隣接すると判定する。同様に、コントローラは、第2のRFIDタグ18560bの第2の信号が第3のRFIDスキャナ18800によって検出されると、スレッド18550が位置Cに隣接すると判定する。様々な実施形態では、RFIDシステムは、スレッド18550がステープル発射ストロークの終了に到達したときを検出するために、コントローラと通信するステープルカートリッジの遠位端部に隣接するRFIDスキャナを備え得る。
【0111】
多くの市販のステープルカートリッジは、標準的な長さで販売されている。例えば、Johnson & Johnsonの子会社であるEthiconは、とりわけ、30mmの長さのステープルパターンを適用するように構成されたステープルカートリッジ、45mmの長さのステープルパターンを適用するように構成されたステープルカートリッジ、及び60mmの長さのステープルパターンを適用するように構成されたステープルカートリッジが販売している。これらの30mm、45mm、及び60mmという長さは、ステープルカートリッジの全長を表すものではなく、むしろ、これらの長さは、これらのステープルカートリッジが加えることができるステープルパターンの長さを表す。そうは言っても、Ethiconからは、30mmのステープルカートリッジを受容するように構成された外科用ステープラも販売されている。そのような外科用ステープラは、30mmのパターンでステープルを変形させるように構成されたアンビルを備える。Ethiconからはまた、45mmのステープルカートリッジを受容するように構成された外科用ステープラ、並びに60mmのステープルカートリッジを受容し、それぞれ45mmのステープルパターン及び60mmのステープルパターンを変形させるように構成されたアンビルを有するように構成された外科用ステープラが販売されている。他の考慮事項がないとすれば、30mmの長さのステープルパターンを作り出すように設計されたアンビルは、60mmのステープルパターンのステープルの全てを変形させることができない。様々な実施形態において、上記に加えて、外科用器具は、以下で更に詳細に説明されるように、外科用器具の中に挿入されているステープルカートリッジが、外科用器具のアンビルが変形させることができるステープルパターンに一致するステープルパターンを有しているか否かを評価するように構成されたRFIDシステムを含み得る。
【0112】
上記に加えて、図74及び図75を参照すると、外科用器具のエンドエフェクタ18300’は、第1のジョー18310及び第2のジョー18320を備え、第2のジョー18320は、その中に交換可能なステープルカートリッジ19700を受容するように構成されている。ステープルカートリッジ19700は、多くの点でステープルカートリッジ18500と同様であり、その中に着脱可能に格納された複数のステープルを備える。ステープルカートリッジ19700に格納されたステープルのパターンは、第1のジョー18310のアンビルに画定されたステープル成形ポケットのパターンと一致する。別のステープルカートリッジ19600が図74に示されている。ステープルカートリッジ19700と同様に、ステープルカートリッジ19600は、第2のジョー18320の中に挿入され得るが、ステープルカートリッジ19600は、ステープルカートリッジ19700によって生成されるステープルパターンと比べて異なるか、あるいは長さがより短いステープルパターンを生成する。したがって、ステープルカートリッジ19600は、外科用器具には不適切であるか、あるいは外科用器具と共に使用するには不適当である一方で、ステープルカートリッジ19700は、外科用器具に適切であるか、あるいは外科用器具と共に使用するのに適当である。外科用器具は、例えば、ステープルカートリッジ19600などの誤ったステープルカートリッジが第2のジョー18320内に位置付けられているか、あるいは第2のジョー18320内にステープルカートリッジが位置付けられていないときに、外科用器具がステープル発射ストロークを実施することを防止するために使用される、外科用器具のコントローラと通信するRFIDシステムを備える。それに対応して、コントローラは、ステープルカートリッジ19700などの適当なステープルカートリッジが第2のジョー18320内に位置付けられ、コントローラによって認識されたときに、ステープル発射ストロークを実施するためにステープル留め器具を使用することを可能にするように構成されている。
【0113】
エンドエフェクタ18300’は、第2のジョー18320の近位端部に第1のセンサを備える第1のRFIDスキャナと、第2のジョー18320の遠位端部に第2のセンサを備える第2のRFIDスキャナと、を備える。ステープルカートリッジ19700は、カートリッジ本体19710と、カートリッジ本体19710の近位端部に装着された第1のRFIDタグ19760aと、カートリッジ本体19710の遠位端部に装着された第2のRFIDタグ19760bと、を備える。ステープルカートリッジ19700が第2のジョー18320に着座しているとき、第1のRFIDタグ19760aは、第1のRFIDスキャナのセンサと整列され、第2のRFIDタグ19760bは、第2のRFIDスキャナのセンサと整列される。そのような例では、外科用器具のコントローラは、両方のRFIDスキャナがそれらの対応するRFIDタグの存在を検出したときに、第2のジョー18320内に適当なステープルカートリッジが存在することを確認することができる。本明細書で論じられるように、コントローラは、RFIDタグから受信された信号及び/又はデータが、適合するステープルカートリッジに対応する1組の信号及び/又はデータに一致するか否かを認証するように構成され得る。いずれにせよ、コントローラは、第2のジョー18320に着座した適当なステープルカートリッジの存在を判定すると、ステープル発射システムをロック解除するように構成されている。
【0114】
上記に加えて、ステープルカートリッジ19600は、カートリッジ本体19610と、カートリッジ本体19610の近位端部に装着された第1のRFIDタグ19660aと、カートリッジ本体19610の遠位端部に装着された第2のRFIDタグ19660bと、を備える。ステープルカートリッジ19600が第2のジョー18320内に着座されているとき、第2のRFIDタグ19660bは第2のRFIDスキャナのセンサと整列されるが、図75を参照すると、第1のRFIDタグ19660aは、第1のRFIDスキャナと整列されていない。実際、第1のRFIDタグ19660aは、第1のRFIDスキャナの伝送範囲又は通信範囲内に位置付けられていない。結果として、コントローラは、第2のRFIDタグ19660bから信号を受信することができるが、第1のRFIDタグ19660aからは信号を受信することができない。そのような例では、コントローラは、不適当な長さを有するステープルカートリッジが第2のジョー18320内に着座されていると判定するように構成されている。別の言い方をすれば、コントローラは、第2のRFIDスキャナによる第2のRFIDタグ19660bの検出により、ステープルカートリッジが第2のジョー18320内に存在すると判定することができるが、第1のRFIDスキャナによって検出される信号の欠如により、ステープルカートリッジは誤った長さであると判定することができる。コントローラは、適当なステープルカートリッジが第2のジョー18320内に着座されているとコントローラが判定するまで、ステープル発射システムをロックアウト状態に維持するように構成されている。少なくとも1つのそのような実施形態では、コントローラは、発射アクチュエータ入力に応答せず、また、適当なステープルカートリッジの存在が第2のジョー18320内で検出されるまでステープル発射システムの電気モータに電力を供給しない。
【0115】
図74及び図75の実施形態のコントローラのアルゴリズム16000が図76に示されている。工程16100において、コントローラは、第2のRFIDスキャナを使用して第2のRFIDタグ19660bの存在を評価する。コントローラが第2のRFIDスキャナから信号を受信しない場合、コントローラは、ステープルカートリッジが第2のジョー18320に存在しないと判定し、ステープルカートリッジの非存在が工程16110において臨床医に指示される。様々な例において、外科用器具は、ステープルカートリッジの非存在を臨床医に伝達するために使用される、コントローラと通信する表示画面を備える。そのような例では、アルゴリズム16000は、工程16100に戻り、ステープルカートリッジが第2のRFIDスキャナと通信し得る第2のジョー18320に挿入されるのを待機する。工程16100においてコントローラが第2のRFIDスキャナから信号を受信した場合、コントローラは、工程16200において第1のRFIDスキャナを使用して第1のタグ19660aの存在を評価する。コントローラが第1のRFIDスキャナから信号を受信しない場合、コントローラは、適合しないステープルカートリッジが第2のジョー18320に存在すると判定し、このことが工程16210において臨床医に指示される。この指示は、例えば、表示画面を介して臨床医に提供され得る。そのような例では、アルゴリズム16000は、工程16100に戻り、適合するステープルカートリッジが第1及び第2のRFIDスキャナと通信し得る第2のジョー18320に挿入されるのを待機する。工程16200においてコントローラが第1のRFIDスキャナから信号を受信した場合、コントローラは、工程16300において第1及び/又は第2のRFIDタグの真正性を検証する。様々な例において、コントローラは、第1及び第2のRFIDタグ19660a及び19660bから受信されたデータを認証するために使用され得る、メモリチップ又はメモリデバイスに記憶された1組のデータを備える。例えば、第1のRFID信号及び第2のRFID信号からのデータが、メモリチップに記憶された第1及び第2のRFID信号用の1組のデータと一致する場合、コントローラは、工程16300において、第2のジョー18320内に位置付けられたステープルカートリッジが真正であると判定することができる。工程16300において、受信されたデータが記憶されたデータと一致しない場合、コントローラは、ステップ16310において、例えば、表示画面を介して、不正なステープルカートリッジが第2のジョー18320内に存在することを臨床医に指示する。そのような例では、アルゴリズム16000は工程16100に戻り、適合する真正のステープルカートリッジが第2のジョー18320に挿入されるのを待機する。
【0116】
真正のステープルカートリッジが第2のジョー18320内の定位置にあるとコントローラが判定すると、工程16400において、コントローラはステープル発射システムを有効化する。そのような時点で、コントローラは、工程16500においてステープル発射アクチュエータからの入力に応答し、ステープル発射ストロークを実施するための他の全ての条件が満たされたと仮定して、入力が受信されると、ステップ16600においてステープル発射システムの電気モータに電位を印加する。例えば、コントローラは、第1のジョー18310が開位置にある間はステープル発射アクチュエータからの入力に応答しないように構成される。しかしながら、第1のジョー18310が閉鎖されているとき、コントローラは、工程16500及び16600においてステープル発射アクチュエータからの入力に応答することができる。入力がステープル発射アクチュエータから受信されない場合、コントローラは、工程16510においてそのような入力を待機する。
【0117】
様々な実施形態において、上記に加えて、ステープルカートリッジ19700及び/又は第2のジョー18320は、ステープルカートリッジ19700が第2のジョー18320内に着座されているときにステープルカートリッジ19700と第2のジョー18320との間にスナップ嵌めを作り出す機構を備える。そのようなスナップ嵌め装置構成は、ステープルカートリッジ19700を第2のジョー18320内にしっかりと保持するが、ステープルカートリッジ19700が第2のジョー18320から取り外されることを依然として可能にする。いくつかの例では、ステープルカートリッジ19700の遠位端部を第2のジョー18320に着座させることは比較的容易であるが、ステープルカートリッジ19700の近位端部を着座させることは、第1のジョー18310の近接性により、やや困難となり得る。様々な実施形態において、ステープルカートリッジが第2のジョー18320内に完全に着座されているかどうかを判定するために、RFIDシステムが使用され得る。例えば、ステープルカートリッジ19700の近位端部が第2のジョー18320内に完全に着座され、ステープルカートリッジ19700の遠位端部が第2のジョー18320内に着座されていない場合、コントローラは、第1のRFIDリーダから受信された信号によってステープルカートリッジ19700の存在を検出するが、第2のRFIDリーダからの信号がないために、ステープルカートリッジ19700の遠位端部が完全に着座されていないと判定する。そのような例では、コントローラは、例えば、ディスプレイを介してこの状態を臨床医に通信し、この問題を解決する方法に関する指示を臨床医に提供することができる。コントローラはまた、第2のRFIDリーダが第2のRFIDタグ19760bから信号を受信し、第1のRFIDリーダが第1のRFIDタグ19760aから信号を受信しないときに、ステープルカートリッジの近位端部が第2のジョー18320内に完全に着座されていないと判定するように構成され得る。そのような例では、コントローラは、ステープルカートリッジ19700が未着座であるにもかかわらず適当なステープルカートリッジであることを確認し得るか、あるいは少なくとも、第2のRFIDタグ19760bからの部分的な組のデータを認証することによって、ステープルカートリッジ19700が正しいステープルカートリッジであると推定し得る。いずれにせよ、ステープルカートリッジ19700の端部が完全に着座されていないとコントローラが判定した場合、コントローラは、ステープル発射ストロークが作動されるのを防止する。ステープルカートリッジ19700の両端部が完全に着座されると、コントローラは、ステープル発射ストロークを実施するための全ての条件が満たされたと仮定して、発射システムアクチュエータからの入力に応答する。
【0118】
上述のように、ステープルカートリッジは、その中に着脱可能に格納されたステープルを備え、それらのステープルは、ステープル発射ストローク中にステープルカートリッジを通じて移動されるスレッド及び/又は発射部材によってステープルカートリッジから排出される。様々な実施形態において、スレッドはステープルに直接接触するが、他の実施形態では、スレッドは、ステープル発射ストローク中にステープルを支持しステープルカートリッジの外へと駆動するステープルドライバに接触する。ステープルカートリッジのカートリッジ本体、スレッド、及び/又はステープルドライバは、ステープル発射ストローク中に相当な応力及び歪みを受けることが多く、そのような場合、使用済みステープルカートリッジを再使用すること、又は使用済みステープルカートリッジに新しいステープルを再装填することは、望ましくない場合がある。これを念頭に置いて、ステープルカートリッジが再使用されることを防止するために、ステープル発射ストロークの間及び/又はその後に、ステープルカートリッジの1つ以上の機構が意図的に破壊される様々な実施形態が想定される。図72を参照すると、ステープルカートリッジ19500は、カートリッジ本体19510と、カートリッジ本体19510内に着脱可能に格納されたステープルと、カートリッジ本体19510内に移動可能に格納されたステープルドライバと、ステープル発射ストローク中に近位位置(図72)と遠位位置(図72B)との間で移動するように構成されたスレッド18550’(図71)と、を備えている。スレッド18550と同様に、スレッド18550’は、それに装着されたRFIDタグ18560bを備え、また上記と同様に、外科用器具18000のRFIDシステムは、ステープルカートリッジ19500が外科用器具18000に装填されているときに、その近位の未発射位置(図72)にスレッド18550’が存在することを検証するように構成されている。図73Aを参照すると、ステープルカートリッジ19500が未だに発射されていないとき、RFIDシステムは、RFIDタグ18560bと通信し、ステープル発射ストロークが実施されることを可能にし得る。しかしながら、ステープル発射ストロークの終了時に、スレッド18550’のRFIDタグ18560bは、図73Bに示されるように、カートリッジ本体19510の遠位端部に位置付けられたナイフ19590と接触し、そのナイフによって切断される。RFIDタグ18560bがこのように切断されると、RFIDタグ18560bはもはや信号を発することができず、また、スレッド18550’が、ステープルカートリッジ19500を再装填するために、その近位の未発射位置に押し戻されるか、あるいはリセットされようとする場合でも、再装填されたステープルカートリッジ19500は、損傷したRFIDタグ18560bが原因で、外科用器具18000のRFIDシステムによって実施される認証試験に合格することはできない。その結果、外科用器具18000は、再装填されたステープルカートリッジ19500が外科用器具18000内に位置付けられた状態ではステープル発射ストロークを実行することができない。
【0119】
再び図71を参照すると、RFIDタグ18560bは、ステープルカートリッジ19500の長手方向スロット内で摺動するスレッド18550’の中央又は長手方向部分18552に装着されている。RFIDタグ18560bは、中央部分18552に部分的に埋め込まれ、RFIDタグ18560bの一部分が露出される。より具体的には、RFIDアンテナの一部分が露出される。そうは言っても、RFIDタグ18560bは、例えば、スレッド18550’のレール18554上などの任意の好適な場所でスレッド18550’に装着されてよい。RFIDタグ18560bの露出部分は、RFIDタグ18560bがステープル発射ストロークの終わりにカートリッジナイフ19590と接触するように、スレッド18550’の遠位端部に面している。そうは言っても、スレッド18550’上のRFIDタグ18560bがステープル発射ストロークの初期に破壊される実施形態が想定される。更に、他のステープルカートリッジ構成要素のRFIDタグが、使用中に意図的に破壊及び/又は無効化される実施形態が想定される。ステープルカートリッジカバーがステープルカートリッジから取り外されるときにステープルカートリッジカバーのRFIDタグが破壊及び/又は無効化される、そのような1つの実施形態が以下で更に論じられる。そのような例では、RFIDシステムによって実施される認証試験に合格するために、使用されたステープルカートリッジカバーをステープルカートリッジに取り付けることができない。
【0120】
上述のように、外科用器具18000のRFIDシステムは、それぞれが対応するRFIDタグと通信し、かつ/又は対応するRFIDタグから信号を受信することができる3つのRFIDリーダを備える。また上述したように、RFIDリーダは、例えば、外科用器具18000のエンドエフェクタ18300の中へと延在するフレックス回路を備え得る。そのような例では、図66を参照すると、フレックス回路は、第2のジョー18320の壁に装着されてもよく、また第2のジョー18320内に着座されたステープルカートリッジを収容するようにサイズ決定及び構成されてもよい。とりわけ、図66を再び参照すると、第2のジョー18320は、底壁又は支持体18322と、それらの間にステープルカートリッジを受容するように構成された、底壁18322から上方に延在する2つの横方向側壁18324と、を備えている。RFIDフレックス回路のうちの2つは、側壁のうちの1つに装着され、他方のRFIDフレックス回路は、他方の側壁に装着されている。様々な例において、RFIDフレックス回路は、例えば、1種類以上の接着剤を使用して側壁に装着される。上記に加えて、あるいは上記に代わって、RFIDフレックス回路を第2のジョー18320の壁に装着するために、締結具が使用されてもよい。様々な代替的な実施形態において、図77を参照すると、RFIDスキャナは、1つのフレックス回路の一部であり得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、RFIDスキャナは、フレックス回路のサブ回路を備える。
【0121】
再び図77を参照すると、フレックス回路19900は、フレキシブル基板と、そのフレキシブル基板に埋め込まれた導体と、を備える。フレキシブル基板は、例えば、プラスチックなどの絶縁性又は非導電性の材料から構成され、導体は、例えば、銅から構成される。フレックス回路19900は、第2のジョー18320の底壁18322に装着されており、第1のRFIDスキャナ19100と、第2のRFIDスキャナ19200と、第3のRFIDスキャナ19300と、を備えている。第1のRFIDスキャナ19100は、2つの導体と第1のセンサコイル又はアレイ19120とを含んだセンサ回路を備えている。導体のうちの1つは、第1のセンサ19120内に画定されたコイル部分と、コイル部分の端部を他の導体に接続して第1のRFIDスキャナ19100の回路を完成させる導電性コネクタと、を備えている。第1のセンサ19120は第2のジョー18320の第1の側壁18324に装着される。同様に、第2のRFIDスキャナ19200は、2つの導体と第2のセンサコイル又はアレイ19220とを含んだセンサ回路を備えている。導体のうちの1つは、第2のセンサ19220内に画定されたコイル部分と、コイル部分の端部を他の導体に接続して第2のRFIDスキャナ19200の回路を完成させる導電性コネクタ19222と、を備えている。第2のセンサ19220は第2のジョー18320の第2の側壁18324に装着される。また、同様に、第3のRFIDスキャナ19300は、2つの導体と第3のセンサコイル又はアレイ19320とを含んだセンサ回路を備えている。導体のうちの1つは、第3のセンサ19320内に画定されたコイル部分と、コイル部分の端部を他の導体に接続して第3のRFIDスキャナ19300の回路を完成させる導電性コネクタと、を備えている。第3のセンサ19320は第2のジョー18320の基部壁18322に装着される。
【0122】
再び図66を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ18500などのステープルカートリッジが、第2のジョー18320内に着座されると、第1のRFIDタグ18560aは、第1のRFIDスキャナ18600のセンサ18620と整列される。様々な実施形態において、第1のRFIDタグ18560aは、実質的に平面状の構成を備える。より具体的には、第1のRFIDタグ18560aのベース、マイクロチップ、及びタグアンテナは、視覚的に平坦であるように見える様式で配列される。RFIDスキャナ19200のセンサ19220に類似した第1のRFIDスキャナ18600のセンサ18620もまた、視覚的に平坦であるように見える実質的に平面状の構成を備える。ステープルカートリッジ18500が第2のジョー18320内に着座されているとき、第1のRFIDタグ18560aは第1のセンサ18620に対して平行であるか、あるいは少なくとも実質的に平行である。第1のRFIDタグ18560aと第1のセンサ18620は、それらの2つの平面の間に存在する角度が約10度以下である場合、互いに実質的に平行である。
【0123】
更に、上記に加えて、第1のRFIDタグ18560aのタグアンテナは、第1のRFIDタグ18560aによって規定される平面に対して直交するか、あるいは少なくとも実質的に直交するタグアンテナ軸線TA(図67)を中心として円周方向に延在する。タグアンテナ軸線TAは、タグアンテナ軸線TAと第1のRFIDタグ18560aによって規定される平面との間の角度が約80~100度であるとき、第1のRFIDタグ18560aに対して直交する。同様に、第1のセンサ18620のリーダアンテナは、第1のセンサ18620によって規定される平面に対して直交するか、あるいは少なくとも実質的に直交するリーダアンテナ軸線SA(図77)を中心として円周方向に延在する。リーダアンテナ軸線SAは、リーダアンテナ軸線SAと第1のリーダアンテナ18620によって規定される平面との間にある角度が約80~100度であるとき、第1のリーダアンテナ18620に対して直交する。ステープルカートリッジ18500が第2のジョー18320内に着座されているとき、タグアンテナ軸線TAはリーダアンテナ軸線SAと整列される。様々な例において、タグアンテナ軸線TAは、リーダアンテナ軸線SAと共線をなす。第2のRFIDタグ18560bと第2のRFIDリーダ18700のアンテナ18720との間で同様の装置構成が達成され得る。また、第3のRFIDタグ18560cと第3のRFIDリーダ18800のアンテナ18820との間で同様の装置構成が達成され得る。
【0124】
再び図66を参照すると、第1のRFIDタグ18560aと、第2のRFIDタグ18560bと、第3のRFIDタグ18560cは、第2のジョー18320内で長手方向に整列されていない。より具体的には、第2のRFIDタグ18560bは、第1のRFIDタグ18560aに対して近位に位置付けられており、また、第3のRFIDタグ18560cは、第1のRFIDタグ18560aに対して遠位に位置付けられている。第1のRFIDタグ18560a、第2のRFIDタグ18560b、及び第3のRFIDタグ18560cがアクティブRFIDタグである場合、RFIDタグ18560a、18560b、及び18560cの伝送範囲は、重複しないように確立され得る。更に、第2のRFIDリーダ18700の第2のセンサ18720は、第1のRFIDリーダ18600の第1のセンサ18620に対して近位に位置付けられており、また、第3のRFIDリーダ18800の第3のセンサ18820は、第1のセンサ18620に対して遠位に位置付けられている。図66にも示されるように、第2のセンサ18720の第2の伝送範囲18710は、第1のセンサ18620の第1の伝送範囲18610に対して近位にあり、それと重複せず、また、第3のセンサ18820の第3の伝送範囲18810は、第1のセンサ18620の第1の伝送範囲18610に対して遠位にあり、それと重複しない。
【0125】
上記に加えて、図64~66を参照すると、第1のRFIDタグ18560aと第2のRFIDタグ18560bは、第2のジョー18320内で横方向に整列されていない。より具体的には、第1のRFIDタグ18560aは、カートリッジ本体18510の横方向側壁18514内に位置付けられており、第2のRFIDタグ18560bは、長手方向スロット18520内に位置付けられている。更に、第1のRFIDタグ18560aと第3のRFIDタグ18560cは、第2のジョー18320内で横方向に整列されていない。より具体的には、第1のRFIDタグ18560aは、カートリッジ本体18510の横方向側壁18514内に位置付けられており、第3のRFIDタグ18560cは、長手方向スロット18520内に位置付けられている。
【0126】
本明細書で論じられるように、例えば、外科用器具18000などの外科用器具のコントローラは、RFIDシステムからのフィードバックに基づいて、ステープル発射ストロークが実施されることを防止するか、又はステープル発射ストロークが実施されることを可能にするように構成されている。そうは言っても、コントローラは、RFIDシステムからのフィードバックに基づいて、1つ以上の他の方式で外科用器具の動作を変更するように構成されてもよい。例えば、コントローラは、RFIDシステムからのフィードバックに基づいてステープル発射ストロークの速度を変化させるように構成されてもよい。少なくとも1つのそのような実施形態では、コントローラは、外科用器具内に着座されているステープルカートリッジに望ましい速度でステープル発射システムの電気モータを稼働させるために、RFIDタグ及び/又はメモリデバイスに記憶されたデータから取得されたデータを使用し得る。少なくとも1つの例では、データは、ステープル発射ストローク中により遅い速度で稼働するように電気モータに命令する。そのような装置構成は、ステープルカートリッジがステープルカートリッジのデッキに解放可能に取り付けられた植え込み可能な付属物を含む場合に有用となり得る。そのような装置構成はまた、ステープルカートリッジが、例えば、トール型のステープル、つまり、アンビルに抗って変形される前の高さが約2.5mm~約5.0mmのステープルを含む場合にも有用となり得る。他の例では、データは、ステープル発射ストローク中により速い速度で稼働するように電気モータに命令する。そのような装置構成は、ステープルカートリッジがステープルカートリッジのデッキに解放可能に取り付けられた植え込み可能な付属物を含まない場合に有用となり得る。そのような装置構成はまた、ステープルカートリッジが、例えば、ショート型のステープル、つまり、アンビルに抗って変形される前の高さが約2.5mm未満のステープルを含む場合にも有用となり得る。
【0127】
様々な外科処置の間、少なくとも1つの交換可能な構成要素を備える外科用器具が使用される。そのような交換可能な構成要素は、機能性及び/又は適合性のある構成要素で置き換えられることが重要である。本明細書でより詳細に説明される様々な識別システムは、とりわけ、外科用器具との構成要素の適合性を検証し、かつ/又は構成要素の動作状態を検証する。例を挙げると、識別システムは、例えば、交換可能な構成要素を収容したパッケージが破壊及び/若しくは改ざんされていないことを確実にし、製品パッケージを開封する前に構成要素が外科用器具と適合するか、あるいは適合しないかを臨床医にアラートし、かつ/又は、交換可能な構成要素の特定の製造バッチ若しくはタイプに対するリコールが存在する場合に臨床医にアラートするように働き得る。
【0128】
本明細書に記載の識別システムは、アクティブシステム又はパッシブシステムのいずれかであり得る。様々な実施形態において、アクティブ識別システムとパッシブ識別システムとの組み合わせが使用される。パッシブシステムには、例えば、バーコード、クイックレスポンス(QR)コード、及び/又は無線周波数識別(RFID)タグが含まれ得る。パッシブシステムは、内部電源を含まず、また本明細書に記載のパッシブシステムは、例えば、質問信号などの第1の信号を送信するためのリーダを必要とする。
【0129】
バーコードの実装は、光学バーコードリーダ及び/又はスキャナの使用を必要とする。バーコードは、スキャナに対して適切に方向付けられる必要があり、スキャナは、バーコードを適切に走査するために、バーコードの遮られていない視野を有する必要がある。少なくともこれらの理由で、バーコードは、典型的には、紙又はプラスチック上に印刷される。スキャナは、一般に一連の数を表すバーコードのバーを復号化する。復号化された情報は、コンピュータ又はコントローラに送信され、それらは読み取られたものを解釈する。この情報は、例えば、交換可能な構成要素の製造業者、交換可能な構成要素のタイプ若しくはモデル、及び/又は外科用器具と共に使用するための交換可能な構成要素の適合性情報に関するデータを含み得る。
【0130】
別のパッシブ識別システムは、クイックレスポンス(QR)コードを含む。QRコードは、マトリックスバーコードのタイプである。QRコードは、多くの場合、ウェブサイト又はモバイルデバイス上で使用するためのアプリケーションを指すロケータ、識別子、又はトラッカのデータを含む。QRコードは、4つの標準化された符号化モードを使用して、データを効率的に格納している。4つの標準化された符号化モードには、数値、英数字、バイト/バイナリ、及び漢字が含まれる。QRコードは、例えば、カメラなどの撮像デバイスによって読み取られ得る、白色背景上に正方形の格子として配列された黒色の正方形からなる。捕捉された画像は、適切に解釈され得るようになるまで、リードソロモンの誤り訂正を使用して処理される。次いで、画像の水平成分と垂直成分の両方に存在するパターンから、所望のデータが抽出される。この所望のデータは、例えば、交換可能な構成要素の製造業者、交換可能な構成要素のタイプ若しくはモデル、及び/又は交換可能な構成要素と外科用器具との適合性情報を含み得る。
【0131】
パッシブ無線周波数識別(RFID)システムは、無線周波数を使用することによって情報を読み取る。そのようなパッシブRFIDシステムは、RFIDスキャナと、内部電源を持たないRFIDタグと、を備える。RFIDタグは、RFIDスキャナから伝送される電磁エネルギーによって給電される。各RFIDタグは、例えば、交換可能な構成要素及び/又はその交換可能な構成要素と適合性がある外科用器具に関する情報を記憶する、マイクロチップなどのチップを備える。チップは、基本的な識別番号のみを収容し得るが、様々な例において、チップは、例えば、製造データ、出荷データ、及び/又はメンテナンス履歴などの追加情報を記憶することができる。各RFIDタグは、RFIDタグがRFIDスキャナと通信することを可能にする無線アンテナを含む。無線アンテナは、RFIDタグがRFIDスキャナから信号を受信し、応答信号を再びRFIDスキャナに送信し得る範囲を拡張する。パッシブRFIDシステムでは、同様にそれ自体のアンテナを含むRFIDスキャナは、所定の範囲内に位置付けられたRFIDタグを活動化させる無線信号を伝送する。RFIDスキャナは、RFIDタグから「返送された(bounced back)」応答信号を受信するように構成されており、これによりRFIDスキャナは、交換可能な構成要素を表す識別情報を捕捉することが可能となる。様々な例において、1つ以上の応答信号は、質問信号と同じ信号を含む。様々な例において、1つ以上の応答信号は、質問信号からの修正信号を含む。様々な例において、RFIDスキャナはまた、RFIDタグに直接情報を書き込むか、又は符号化することができる。いずれにせよ、RFIDスキャナ上のソフトウェアは、交換可能な構成要素に関する情報を、外科用器具、外科用ハブ、及び/又は遠隔外科用システムの制御システムなどのコントローラに渡すことができる。様々な外科用ハブが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題された2018年12月4日出願の米国特許出願第16/209,395号に更に記載されている。RFIDタグは無線信号によって活動化されるため、RFIDスキャナは、複数のRFIDタグを一度に読み取るように構成される。
【0132】
アクティブ無線周波数識別(RFID)システムもまた、RFIDタグと、RFIDスキャナとを含む。しかしながら、アクティブRFIDシステムのRFIDタグは、内部電源を備える。アクティブRFIDシステムは、それら自体の信号を連続的にブロードキャストするように構成された電池駆動RFIDタグを利用する。1つのタイプのアクティブRFIDタグは、一般に「ビーコン」と呼ばれるものである。そのようなビーコンRFIDタグは、RFIDスキャナから第1の信号を受信するために待機しない。代わりに、ビーコンRFIDタグは、その記憶された情報を連続的に送信する。例えば、ビーコンは、3~5秒ごとの間隔でその情報を送信することができる。別のタイプのアクティブRFIDタグは、トランスポンダを含む。そのようなシステムでは、RFIDスキャナは、最初に信号を送信する。次いで、RFIDトランスポンダタグが、関連する情報と共にRFIDスキャナに信号を送り返す。そのようなRFIDトランスポンダタグシステムは、例えば、RFIDタグがRFIDスキャナの範囲外にあるときに、電池寿命を節約するため、効率的である。様々な例において、アクティブRFIDタグは、環境パラメータを追跡するためのオンボードセンサを備える。例えば、オンボードセンサは、関連する可能性のある水分レベル、温度、及び/又は他のデータを追跡することができる。
【0133】
交換用ステープルカートリッジは、パッケージが手術室内で開封されるまで、製造された後も密封されたパッケージの中に収容される。様々な形態のパッケージには、例えば、剥離パウチ、織布及び/又は不織布のラッパー、並びに剛性容器が含まれる。図78は、封止されたパッケージ25000の例を示す。描写されたパッケージ25000は、剥離パウチである。パッケージ25000は、第1の外層25010と第2の外層25020とを備える。第1の層25010及び第2の層25020は、外科用器具と共に使用可能なステープルカートリッジ25100を囲む保護バリアを形成する。接着剤によって第1の層25010と第2の層25020とが一緒に結合されて、物品の周りに気密及び/又は液密の封止及び/又はパウチが形成される。接着剤は、折り目、しわ、及び/又はギャップを伴うことなく封止を形成する。接着剤によって生成された封止は、例えば、汚染物質がステープルカートリッジ25100と接触することを防止し、かつ/又はステープルカートリッジ25100の構成要素が誤配置されることを防止する。様々な例において、ステープルカートリッジ25100は、パッケージ25000内に気密封止される。様々な例において、パッケージ25000は、完全に液密な封止を提供する。様々な例において、パッケージは、完全に液密でかつ気密な封止を提供する。
【0134】
第1の層25010は、封止の外側に位置付けられた第1の角25011を備え、第2の層25020は、封止の外側に位置付けられた第2の角25021を備える。臨床医は、第1の層25010を第2の層25020から引き剥がすことによって、封止されたステープルカートリッジ25100を露出させることができる。様々な例において、臨床医は、第1の角25011と第2の角25021を別の手で保持し、第1の角25011を第2の層25021から離れる方向に引っ張ることによって、封止されたステープルカートリッジ25100を露出させることができるが、任意の好適な開封方法が用いられてよい。
【0135】
第1の層25010及び第2の層25020は、例えば、積層された内側表面を有する紙などの材料から構成される。積層された内側表面は、汚染物質がパッケージ25000の封止部分に侵入するのを防止するための障壁を提供する。様々な例において、第1の層25010と第2の層25020はプラスチックから構成される。第1の層25010及び第2の層25020は、例えば、臨床医がパッケージ25000の内容物を観察することを可能にするために、特定の程度の透明度を有する材料から構成され得る。上記のように述べられているが、任意の好適な材料又は材料の組み合わせが第1の層25010及び/又は第2の層25020に使用されてよい。
【0136】
パッケージ25000は、特定の外科用器具及び/又は特定の外科処置に適合するステープルカートリッジ25100を選択する際に外科用器具及び/又は臨床医を支援する様々な識別システムを備える。パッケージ25000の第1の層25010は、いくつかの方式でパッケージ25000の内容物を表す様々な視覚的インジケータを備える。例えば、図78に示されるように、パッケージ25000内に収容される製品の名称25012は、第1の層25010上に印刷されるか、あるいは別様に表示される。
【0137】
パッケージ25000は、第1の層25010上に表示される1つ以上のパッシブ識別システムを更に備える。例えば、パッケージ25000は、QRコード25014を備える。QRコード25014は、例えば、パッケージ25000のステータスを選別及び/又は追跡することを支援し得る。QRコード25014はまた、内容物が特定の器具と共に、かつ/又は特定の外科処置の間に使用するのに適切であることを確実にするために、パッケージ25000の封止を破る前にスキャンされ得る。
【0138】
パッケージ25000の内容物の名称25012が第1の層25010上に表示されることに加えて、パッケージ25000は、例えば、臨床医がパッケージ25000を開封するかどうかを判断する前に利用し得るより詳細な情報を提供し得るシリアル番号25016を備える。例えば、シリアル番号25016は、外科用システムに特有及び/又は固有の英数字記号を含んでもよい。各英数字記号は、適合する組み立て式外科用システムの構成要素を表し得る。例えば、英数字記号は、ステープルカートリッジ、エンドエフェクタ、シャフトアセンブリ、外科用器具などを表し得る。シリアル番号25016は、製造ロット、製造日などの付加的な要素を表し得る。様々な例において、シリアル番号25016は、本明細書でより詳細に説明されるように、暗号化された情報を含み得る。
【0139】
パッケージ25000は、本明細書で論じられる様々な形態の識別システムのうちのいくつか又は全てを含み得ることが想定される。
【0140】
図79及び図80は、パッケージ25000と統合されたRFIDシステム25200を示す。RFIDシステム25200は、RFIDタグ25210と絶縁体25220とを備える。RFIDタグ25210は、例えば、パッケージ25000及び/又はパッケージ25000の内容物に関する情報を記憶する、マイクロチップなどのチップを備える。様々な例において、チップは基本識別番号を備える。そのような基本識別は、チップの存在をRFIDスキャナに通信し得るチップに割り当てられ得る。様々な例において、チップは、例えば、製造データ、出荷データ、及び/又は適合性データなどの追加情報を備える。RFIDタグ25210は、RFIDタグ25210とRFIDスキャナとの間の通信を容易にするように構成された無線アンテナを更に備える。
【0141】
絶縁体25220はパッケージ25000の第1の層25010に取り付けられ、RFIDタグ25210はパッケージ25000の第2の層25020に取り付けられている。パッケージが封止構成にあるとき、絶縁体25220は、RFIDタグ25210に付着されるか、あるいは別様に接続される。RFIDタグ25210は、パッケージ25000が開封されたときに活動化される内部電源を備えたアクティブRFIDシステム25200の一部である。パッケージ25000が開封される前、絶縁体25220とRFIDタグ25210との間の界面は、電源がRFIDタグ25210に電力を供給するのを防止する。そのような例では、RFIDタグ25210は、信号を放出することができない。臨床医が、第1の層25010を第2の層25020から引き剥がすことによって、パッケージ25000の封止を破るとき、絶縁体25220は、RFIDタグ25210から接続解除されるか、あるいは別様に結合解除される。絶縁体25220がRFIDタグ25210から分離されると、電源とRFIDタグ25210との間の回路が閉じられ、RFIDタグ25210は通電される。図80に示されるように、RFIDタグ25210は、通電されると信号25215の放出を開始する。RFIDタグ25210は、任意の適切な周波数で及び/又は任意の適切な持続時間にわたり信号25215を放出するように構成されている。例えば、RFIDタグ25210は、信号25215を連続的に放出することができ、あるいはRFIDタグ25210は、3~5秒ごとに信号25215を放出することができる。信号25215は、チップに記憶された情報のうちのいくつか又は全てを含む。様々な例において、信号25215は、例えば、パッケージ25000が出荷及び/若しくは保管中に改ざんされていること、又は単にパッケージ25000が封止されていないことを、外科用器具にアラートするのに役立ち得る。
【0142】
RFIDタグ25210は、RFIDスキャナと通信するように構成されている。絶縁体25220が取り外されると、RFIDタグ25210の内部電源は、RFIDタグ25210が、RFIDスキャナから質問信号などの第1の信号を受信する前に信号25215を放出することを可能にする。RFIDスキャナは、RFIDタグ25210から無線信号25215を伝送及び/又は受信するように構成されたスキャナアンテナを備える。様々な例において、RFIDスキャナは、読み取り及び書き込み能力を備える。次いで、RFIDスキャナのソフトウェアは、更なる解釈のために、収集された情報をRFIDタグ25210から外科用器具のコントローラに渡すことができる。RFIDスキャナは、RFIDスキャナがRFIDタグ25210によって伝送された放出信号25215を受信することを可能にするRFIDタグ25210の所定の範囲内に位置付けられる。用途に応じて、RFIDスキャナは、外科用器具上に、パッケージの内容物上に位置付けられても、あるいは外科用器具と通信する遠隔外科用システムなどのコンソール上に遠隔に設置されてもよい。加えて、コントローラは、例えば、外科用器具又はリモートコンソール上などの任意の適切な場所に設置されてよい。
【0143】
様々な実施形態において、ステープルカートリッジ25100に装着されたRFIDタグを含むRFIDシステムが使用され得る。上記に加えて、RFIDタグは、ステープルカートリッジ25100内に位置付けられた内部電源を備える。RFIDタグの好適な位置としては、例えば、ステープルカートリッジのスレッド上、ステープルカートリッジの側壁上、又はステープルカートリッジアセンブリのリテーナ上が挙げられる。絶縁体25220と類似した絶縁体がパッケージ25000に取り付けられ、パッケージ25000が開封されると、ステープルカートリッジ25100上のRFIDタグが活動化される。絶縁体は、パッケージ25000の第1の層25010及び/又は第2の層25020に取り付けられるか、あるいは別様に関連付けられる。パッケージが封止構成にあるとき、絶縁体25220は、ステープルカートリッジ25100内のRFIDタグに取り付けられるか、あるいは別様に接続され、電源とRFIDタグとの間の回路を開く。絶縁体25220とRFIDタグとの間の界面は、電源がRFIDタグを活動化させるのを防止し、RFIDタグは信号を放出することができない。臨床医が、例えば、第1の層25010を引き剥がすことによってパッケージ25000の封止を破ると、絶縁体25220は、RFIDタグから接続解除されるか、あるいは別様に結合解除され、電源とRFIDタグとの間の回路は閉じられる。そのような時点で、RFIDタグは電圧を付加され、信号を放出し始める。
【0144】
様々な態様において、RFIDシステム25200はトランスポンダを更に備える。トランスポンダは、RFIDスキャナから第1の信号を受信するように構成される。様々な例において、RFIDスキャナからの第1の信号は、トランスポンダがRFIDタグと通信するのに十分な程度にトランスポンダに電圧を付加する。様々な例において、トランスポンダは、RFIDスキャナから第1の信号を受信する前に電圧を付加される。いずれにしても、トランスポンダは、RFIDスキャナからの第1の信号をヒアリングするか、あるいは別様に受信すると、RFIDタグに第2の信号を自動的に伝送するように構成される。RFIDタグの電源は、トランスポンダから第2の信号を受信するとRFIDタグに電圧を付加し、RFIDタグは、RFIDスキャナに第3の信号を伝送することによってRFIDスキャナの第1の信号に応答することができる。トランスポンダは、例えば、RFIDタグ25210がRFIDスキャナの範囲内に位するまで、RFIDタグ25210のバッテリ寿命を保持する。
【0145】
本明細書でより詳細に説明されるように、ステープルカートリッジの特定の外科用器具との使用及び/又は特定の外科処置中の使用に対する適合性を臨床医が検証することができることに価値がある。様々な理由で、外科用ステープルカートリッジが以前に使用されていないこと及び/又は改ざんされていないことを臨床医が確実にすることができることも有意味となり得る。臨床医はまた、例えば、外科用ステープルカートリッジが汚染されておらず、ステープル保持部材が取り外されていないこと、及び/又はスレッドなどの発射部材がカートリッジ本体内に位置付けられていることを確認するよう望むことがある。
【0146】
図81図83は、ステープルカートリッジアセンブリ26000を示す。ステープルカートリッジアセンブリ26000は、ステープルカートリッジ26100と、ステープルカートリッジ26100に取り付けられたステープル保持部材又はリテーナ26200と、を備える。リテーナ26200は、とりわけ、外科用器具へのステープルカートリッジ26100の取り付けを容易にするため、及び/又はステープルをステープルカートリッジ26100内の対応するステープルキャビティ内に保持するために、ステープルカートリッジ26100に沿って位置付けられる。リテーナ26200は、ステープルカートリッジ26100内に画定された細長いスロットによって受容されるように構成された長手方向突出部26210を備える。長手方向突出部26210は、リテーナ26200の底部表面26206から突出し、リテーナ26200の近位端部26202からリテーナ26200の遠位端部26204に向かって延在する。リテーナ26200は、外部突出部26240の近位セットと外部突出部26220の遠位セットとを更に備える。外部突出部26220、26240は、ステープルカートリッジ26100の側壁26102の一部分の周りに巻き付くように構成されている。長手方向突出部26210及び外部突出部26220、26240は、例えば、リテーナ26200をステープルカートリッジ26100に保持するように機能する。リテーナ26200は、例えば、ステープルカートリッジ26100からのリテーナ26200の取り外しを容易にするために、遠位端部26204から延在するサム突出部26230を備える。
【0147】
リテーナ26200がステープルカートリッジ26100に取り付けられると、リテーナ26200の底部表面26206は、ステープルカートリッジ26100のデッキ表面26106に沿って位置付けられる。様々な例において、底部表面26206は、押す力がリテーナ25200の上部に加えられるまで、ステープルカートリッジ26100のデッキ表面26106に接触しない。他の例では、底部表面20206は、デッキ表面26106と接触する。リテーナ26200をステープルカートリッジ26100から取り外し、それによって外科用器具へのステープルカートリッジ26100の取り付けを容易にするために、臨床医は、サム突出部26230をステープルカートリッジ26100から離れる方向に引っ張るか、あるいは持ち上げる。リテーナ26200は、例えば、リテーナ26200にある程度の可撓性をもたらす、プラスチックなどの材料から製造される。サム突出部26230がステープルカートリッジ26100から持ち上げられると、外部突出部26220、26240は、リテーナ26200とステープルカートリッジ26100との間の連結を維持しようとして、対向する力を提供する。リテーナ26200を取り外すために、臨床医は、外部突出部26220、26240によって生成される対向する保持力を克服するのに十分に強い力を、サム突出部26230に及ぼさなければならない。サム突出部26230がステープルカートリッジ26100から引き離されると、リテーナ26200は撓曲及び/又は屈曲し始めるが、リテーナ26200のそのような屈曲は、以下に記載されるように、RFIDタグを非活動化させるために使用され得る。
【0148】
リテーナ26200は、RFIDタグ26250を更に備える。RFIDタグ26250は、例えば、ステープルカートリッジアセンブリ26000に関する情報を記憶する、マイクロチップなどのチップを備える。図81図83に示されるように、RFIDタグ26250は、リテーナ26200の中に成形される。しかしながら、RFIDタグ26250は、任意の好適な方法によってリテーナ26200内に埋め込まれること、リテーナ26200に装着されること、及び/又は取り付けられることが可能である。図示の実施形態では、RFIDタグ26250は、長手方向突出部26210の遠位部分の中に成形されている。RFIDタグ26250は、構造的に弱い位置でリテーナ26200内に位置付けられる。構造的に弱い位置は、サム突出部26230が上方に引っ張られること及び/又はリテーナ26200がステープルカートリッジ26100から取り外されることに応答して屈曲及び/又は撓曲する、リテーナ26200のうちの任意の部分であり得る。RFIDタグ26250は、リテーナ取り外しプロセス中のRFIDタグ26250の物理的破壊を容易にする様式及び位置でリテーナ26200に付着される。RFIDタグ26250の第1の端部26252は、リテーナ26200の第1の部分26212に取り付けられ、RFIDタグ26250の第2の端部26254は、リテーナ26200の第2の部分26214に取り付けられている。サム突出部26230を上方に引っ張ることに応答してリテーナ26200が屈曲し始めると、リテーナ26200の第1の部分26212とリテーナの第2の部分26214は互いに離れるように撓曲する。RFIDタグ26250の第1の端部26252は、リテーナ26200の第1の部分26212によって引っ張られ、RFIDタグ26250の第2の端部26254は、リテーナ26200の第2の部分26214によって反対方向に引っ張られる。延伸及び/又は撓曲の結果として、RFIDタグ26250は、引き離され、かつ/又は別様に破壊される。RFIDタグ26250は、易破壊性、脆性、及び/又は脆弱性を有しており、著しく延伸するようには構成されていない。RFIDタグ26250は、RFIDタグ26250の破壊を引き起こすために、ステープルカートリッジ26100からのリテーナ26200の取り外しプロセス中に十分な屈曲及び撓曲を経験する、リテーナ26200上の任意の好適な場所に位置付けられ得ることが想定される。RFIDタグ26250は、ステープルカートリッジ26100からのリテーナ26200の取り外し中及び/又は取り外し後にRFIDタグ26250を動作不能にする任意の適切な様式で、リテーナ26200に付着され得る。様々な実施形態において、RFIDタグ26250は、取り外しプロセス中にリテーナ26200から分離するか、あるいは取り外され得る。
【0149】
様々な例において、外科用システムの構成要素を破壊することは望ましくない。しかしながら、リテーナ26200内のRFIDタグ26250の破壊は、適合しないかあるいは別様に不適切なステープルカートリッジと共にリテーナ26200を臨床医が再使用することを防止することになる。外科用器具の少なくとも1つの動作パラメータを有効化する前に、外科用器具のコントローラは、リテーナ26200上のRFIDタグ26250から信号を受信しなければならない。そのような信号は、リテーナ26200がステープルカートリッジ26100に接続されたままであることをコントローラに指示する。様々な例において、信号はまた、ステープルカートリッジ26100が外科用器具と適合するか、あるいは適合しないかを指示し得る。その信号を受信すること及び/又は適合しない信号を受信することなしには、外科用器具の様々な機能が利用不可となる。様々な例において、また以下に記載されるように、リテーナ26200内のRFIDタグ26250は、RFIDスキャナとの間で信号を送信及び/又は伝送する能力を失う必要がある。RFIDタグ26250は、物理的に破壊されること、及び/又はRFIDタグ26250をRFIDスキャナの範囲外に位置付けることによって、通信する能力を失い得る。いずれにせよ、RFIDタグ26250がRFIDスキャナと通信することができないことは、リテーナ26200がもはやステープルカートリッジ26100に接続されていないことを外科用器具のコントローラに指示することになる。リテーナ26200上のRFIDタグ26250の物理的破壊は、臨床医が適合しないステープルカートリッジ上でリテーナ26200を再利用し得ないことを確実にする。様々な例において、ステープルカートリッジ26100は、RFIDスキャナの通信範囲にあるRFIDタグを備える。コントローラが、ステープルカートリッジのRFIDタグからは検出されたが、リテーナのRFIDタグ26250からは検出されなかった情報を受信すると、コントローラは、ステープルカートリッジ26100が外科用器具に取り付けられたままであるが、リテーナ26200は取り外されていることを認識するように構成されている。
【0150】
リテーナ26200内のRFIDタグ26250は、外科用器具のロックアウトを提供する。外科用器具は、RFIDタグ26250に記憶された情報が外科用器具のコントローラによって受信されない場合、ステープル発射ストロークを実施しない。様々な例において、外科用器具は、RFIDタグ26250が依然としてRFIDスキャナと通信しているときにステープル発射ストロークを実施しない。そのようなロックアウトは、リテーナ26200が依然として取り付けられた状態で、ステープルカートリッジ26100が外科用器具内に不適切に着座されているときに、外科用器具がステープル発射ストロークを実施することを防止する。
【0151】
様々な例において、ステープルカートリッジ26100及びリテーナ26200は、製造業者によってステープルカートリッジアセンブリ26000に組み付けられる。そのような状況では、リテーナ26200は、ステープルカートリッジ26100が外科用器具と共に使用するために挿入されており、ステープルカートリッジアセンブリ26000が改ざんされており、かつ/又は適切な取り付けを妨げる製造欠陥があったときのみ、ステープルカートリッジ26100から取り出される。RFIDタグ26250の分離及び/又は物理的破壊は、例えば、使用されたステープルカートリッジ26100及び/又は別様に不適切なステープルカートリッジ26100上にリテーナ26200が配置されることを防止する。
【0152】
本明細書でより詳細に述べられるように、外科用器具は、近くのRFIDタグと通信するように構成されたRFIDスキャナを備え得る。RFIDスキャナは、無線信号を伝送するように構成されたスキャナアンテナを備える。無線信号は、RFIDスキャナの所定の範囲内に位置付けられたRFIDタグを活動化させる。次いで、RFIDスキャナは、RFIDタグから「返送(bounced back)された」1つ以上の応答信号を受信する。様々な例において、1つ以上の応答信号は、質問信号と同じ信号を含む。様々な例において、1つ以上の応答信号は、質問信号からの修正信号を含む。様々な例において、RFIDスキャナは、読み取り及び書き込み能力を備える。次いで、RFIDスキャナのソフトウェアは、更なる解釈のために、収集された情報をRFIDタグからコントローラに渡すことができる。コントローラは、外科用器具、リモートコンソール、又は任意の適切な場所に位置付けられ得る。RFIDスキャナ及び/又はコントローラは、特定の外科用器具と適合し、かつ/又は特定の外科処置中に使用するためのものである外科用ステープル留めアセンブリに対応する記憶された1組の情報を備え得る。
【0153】
より具体的には、外科用システムは、リテーナ26200の中に成形されたRFIDタグ26250と相互作用するように構成されたRFIDスキャナを備える。RFIDスキャナは、様々な場所に存在し得る。例えば、RFIDスキャナは、ステープルカートリッジ26100内に配置され得る。様々な例において、RFIDスキャナは、外科用器具のエンドエフェクタのジョー、外科用システム内の代替的な位置、及び/又はリテーナ26200がステープルカートリッジ26100に適切に取り付けられているときにRFIDタグ26250とRFIDスキャナとの間の通信を可能にする任意の他の適切な位置に配置され得る。RFIDスキャナ及び/又はRFIDタグ26250は、それらが放出した信号(複数可)が限られた半径内でのみ検出され得るように電力供給される。RFIDスキャナとRFIDタグ26250は、リテーナ26200がステープルカートリッジ26100に取り付けられているときは、通信するように十分に近接するが、リテーナ26200がステープルカートリッジ26100から取り外されているときは、通信するように十分に近接しない。そうは言っても、リテーナ26200がステープルカートリッジ26100から取り外されるとき、RFIDタグ26250は、例えば、物理的破壊又は分離によって動作不能にされる。RFIDタグ26250が動作不能であるとき、RFIDスキャナによって送信される質問信号などの信号は、回答されない。
【0154】
破壊されたRFIDタグ26250を有する使用済みのリテーナが別のステープルカートリッジに取り付けられている場合、RFIDスキャナと破壊されたRFIDタグ26250は、通信することができない。そのような例では、外科用器具のステープルカートリッジ検証システムは、外科用器具がステープル発射ストロークを実施することを可能にすることができない。RFIDスキャナが、格納された1組の適合するステープル留めアセンブリには見出されない質問信号に対する応答を受信する場合、外科用器具のコントローラは、エラーを臨床医に通信するようにプログラムされる。同様に、RFIDスキャナが、質問信号に対する応答を受信しない場合、外科用器具のコントローラは、エラーを臨床医に通信するようにプログラムされる。様々な例において、コントローラによるエラーの検出は、外科用器具をその特定のステープルカートリッジと共に使用することに関して動作不能にし得る。様々な例において、検出されたエラーは、外科用器具がステープル発射ストローク及び/又は組織切断ストロークを実施することを防止し得る。様々な例において、外科用器具は、臨床医が任意のシステムロックアウトを無効化することを可能にし、緊急時に外科用器具の動作機能を利用することを可能にするために活動化され得る手動オーバーライドを更に備える。上述のように、コントローラは、エラーが検出されたことを臨床医にアラートするように構成されている。そのようなアラートは、例えば、触覚、聴覚、及び/又は視覚フィードバックを含む、様々な形態のフィードバックを介して通信され得る。少なくとも1つの例では、フィードバックは、音声フィードバックを含み、外科用器具は、例えば、エラーが検出されたときにビープなどの音を放出するスピーカを備えてもよい。特定の例では、フィードバックは、視覚フィードバックを含み、外科用器具は、例えば、エラーが検出されたときにフラッシュする発光ダイオード(LED)を備え得る。様々な例において、フィードバックは、触覚フィードバックを含み、外科用器具は、エラーが検出されたときに振動する偏心要素を備えた電気モータを備え得る。アラートは、特定的であっても、一般的であってもよい。例えば、アラートは、リテーナ26200上のRFIDタグ26250が検出され得ないことを特定的に示してもよく、あるいは、アラートは、RFIDタグ26250が適合しない及び/又は欠陥のあるステープルカートリッジアセンブリ26000を表す情報を含むことを特定的に示してもよい。
【0155】
図84は、ステープルカートリッジアセンブリ27000を示す。ステープルカートリッジアセンブリは、ステープルカートリッジ27100を含む。ステープルカートリッジ27100は、ベース27104と、デッキ表面27106と、ベース27104とデッキ表面27106との間に延在する側壁27102と、を含むステープルカートリッジ本体を備える。細長いスロット27110が、ステープルカートリッジ27100内に画定され、近位端部27101からステープルカートリッジ27100の遠位端部に向かって延在する。細長いスロット27100は、ステープル発射ストローク中に、スレッド27125などの発射及び/又は切断部材がそこを通過することを容易にするようにサイズ決定されている。チャネル27120が、近位端部27101からステープルカートリッジ27100の遠位端部に向かって延在するステープルカートリッジ27100内に画定されている。各チャネル27120は、スレッド27125のランプを受容するように構成されている。ステープルカートリッジ27100は、カートリッジ本体内に画定された縦列のステープルキャビティと、ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、を更に含む。ステープルは、ステープル発射ストローク中にスレッド27125によってステープルカートリッジ27100から排出される。
【0156】
ステープルカートリッジアセンブリ27000は、RFIDシステム27200を更に含む。RFIDシステム27200は、ステープルカートリッジアセンブリ27000に装着されたRFIDタグ27250と、外科用器具に装着されたRFIDスキャナ27300と、を備える。RFIDタグ27250は、例えば、ステープルカートリッジアセンブリ27000に関する情報を記憶する、マイクロチップなどのチップを備える。様々な例において、チップは、ステープルカートリッジ27100の基本識別番号を備える。様々な例において、チップは、例えば、製造データ、出荷データ、及び/又は適合性データなどの追加情報を備える。RFIDタグ27250は、RFIDスキャナ27300から質問信号を受信し、RFIDスキャナ27300に応答信号を送信するように構成された無線アンテナを更に備える。RFIDスキャナ27300は、ステープルカートリッジ27100が外科用器具内に着座されたときに、RFIDタグ27250と通信するように構成されている。RFIDスキャナ27300は、例えば、無線信号を伝送及び受信するように構成されたスキャナアンテナを備える。そうは言っても、RFIDシステム27200は、任意の適切な周波数を使用し得る。電磁波が様々な周波数で異なって挙動するとき、所望の周波数は、特定の用途に基づいて選択される。様々な例において、RFIDシステム27200は、低周波数、高周波数、及び/又は超高周波数を利用することができる。無線信号は、RFIDスキャナ27300の所定の範囲内に位置付けられたRFIDタグを活動化させる。次いで、RFIDスキャナ27300は、RFIDタグから「返送(bounced back)された」1つ以上の応答信号を受信する。様々な例において、1つ以上の応答信号は、質問信号と同じ信号を含む。様々な例において、1つ以上の応答信号は、質問信号からの修正信号を含む。様々な例において、RFIDスキャナ27300は、読み取り及び書き込み能力を備える。次いで、RFIDスキャナ27300のソフトウェアは、更なる解釈のために、収集された情報をRFIDタグからコントローラに渡すことができる。コントローラは、外科用器具、リモートコンソール、又は任意の適切な場所に位置付けられ得る。RFIDスキャナ及び/又はコントローラは、特定の外科用器具及び/又は特定の外科処置に適合する外科用ステープル留めアセンブリに対応する記憶された1組の情報を備え得る。
【0157】
上述のように、外科用器具内のRFIDスキャナ27300は、ステープルカートリッジ27100上に位置付けられたRFIDタグ27250と相互作用するように構成されている。図84に示されるように、RFIDタグ27250は、ステープルカートリッジ27100の側壁27102のうちの1つに付着され、RFIDスキャナ27300は、外科用器具内に装着されている。上述のように、RFIDタグ27250は、無線アンテナ27252とチップ27254とを含む。図示の実施形態では、無線アンテナ27252及びチップ27254は、RFIDタグ27250内に位置付けられている。様々な例において、無線アンテナ27252は、RFIDタグ27250の外部表面上に位置付けられる。RFIDタグ27250は、ステープルカートリッジ27100が外科用器具内に着座されているときに、RFIDスキャナ27300から距離「D」だけ離れて位置付けられる。特に、距離「D」は、例えば、ステープルカートリッジ27100の長さの約1/4、ステープルカートリッジ27100の長さの1/3、又はステープルカートリッジ27100の長さの1/2であり得る。図示の実施形態では、RFIDタグの無線アンテナとRFIDスキャナのアンテナの通信範囲27255は、例えば、約1センチメートル(cm)に及ぶ。距離「D」は、1cmより大きく、したがって、RFIDスキャナ27300とRFIDタグ27250の無線アンテナ27252との間の通信27255の範囲外である。したがって、RFIDタグ27250しかない場合には、RFIDタグ27250は、質問信号を受信し、RFIDスキャナ27300からの質問信号に応答することができない。
【0158】
RFIDスキャナ27300との通信を容易にするために、図84に示されるRFIDタグシステム27200は、RFIDタグ27250と通信する拡張アンテナ27260を更に備える。拡張アンテナ27260は、例えば、無線アンテナ27252と比較して、RFIDタグ27250の通信範囲を拡大するように機能する。拡張アンテナ27260は、側壁27102に沿って延在し、それに付着され、ステープルカートリッジ27100のベース27104の一部分を横切って取り付けられている。拡張アンテナ27260の少なくとも一部分は、細長いスロット27110を横断する。図示の実施形態では、拡張アンテナ27260の通信範囲27265は、例えば、約2センチメートル(cm)に及ぶ。前述のように、RFIDスキャナ27300は、RFIDタグ27250から距離「D」に位置付けられている。距離「D」は1cmより大きいが、距離「D」は2cm未満であり、したがって、拡張アンテナ27260及びRFIDスキャナアンテナによる通信27265の範囲内にある。拡張アンテナ27260を用いると、RFIDタグ27250は、質問信号を受信し、RFIDスキャナ27300からの質問信号に応答することができる。しかしながら、拡張アンテナ27260がない場合、RFIDタグ27250は、RFIDスキャナ27300と通信することができない。RFIDタグ27250及び拡張アンテナ27260は、例えば、ステープルカートリッジ27100の上に装着されること、その中に埋め込まれること、及び/又はそれに付着されることを含む、任意の好適な様式でステープルカートリッジ27100に取り付けられ得る。更に、RFIDタグ27250は、例えば、ベース27104及び/又はデッキ表面27106上など、ステープルカートリッジ27100上の任意の好適な場所に位置付けられ得る。
【0159】
前述のように、拡張アンテナ27260の少なくとも一部分は、ステープルカートリッジ27100の細長いスロット27110を横切る。ステープル発射ストローク中、組織切断及び/又はステープル発射部材は、ステープル発射ストロークの間には細長いスロット27110を通って長手方向に並進し、処置の際には拡張アンテナ27260を横切するかあるいは別様に破壊するように構成されている。細長いスロット27110を横断する拡張アンテナ27260の部分は、最近位のステープルキャビティに対して近位の位置に位置付けられる。したがって、拡張アンテナ27260は、ステープル発射ストロークの開始前にのみ機能する。ステープルの発射をもたらす組織切断及び/又はステープル発射部材のいかなる遠位移動も、拡張アンテナ27260を動作不能にする。拡張アンテナ27260は、任意の好適な様式で動作不能にされ得る。例えば、拡張アンテナ27260は、組織切断部材によって切断され、したがって物理的に破壊され得る。様々な例において、拡張アンテナ27260は、組織切断及びステープル発射部材によって及ぼされる力に応答して、RFIDタグ27250及び/又はステープルカートリッジ27100から分離し得る。特筆すべきことに、ステープル発射ストロークは、RFIDタグ27250の無線アンテナ27252に損傷を与えない。しかしながら、無線アンテナ27252の範囲は、RFIDタグ27250とRFIDスキャナ27300との間の通信を容易にするには不十分である。したがって、拡張アンテナ27260の分離によって、RFIDタグ27250の通信範囲27265が変更され、RFIDタグ27250がRFIDスキャナ27300と通信する能力が解除され得る。
【0160】
このように拡張アンテナ27260を破壊することは、外科用器具の動作に悪影響を及ぼさない。別の言い方をすれば、拡張アンテナ27260は、ステープルカートリッジ271000が認証されるまで破壊されない。したがって、ステープル発射ストロークは、拡張アンテナ27260が破壊された後に実施され得る。そうは言っても、拡張アンテナ27260が破壊され、ステープルカートリッジ27100が外科用器具から取り外されると、ステープルカートリッジ27100を外科用器具内に再着座させても、RFIDスキャナはRFIDタグ27250ともはや通信することができないため、ステープルカートリッジ27100は再認証されない。そのような装置構成は、とりわけ、使用済みカートリッジのロックアウトとして機能する。
【0161】
上述のように、拡張アンテナ27260が動作不能である場合、RFIDスキャナ27300は、その質問信号に対する応答を受信しない。RFIDスキャナ27300が、質問信号に対する応答を受信しない場合、外科用器具のコントローラは、エラーを認識するようにプログラムされる。RFIDスキャナ27300が、その質問信号に対する応答を受信するが、その応答が認識され得ないものであり、かつ/又は、適合するステープルカートリッジアセンブリ27000を表すものでない場合、外科用器具のコントローラはまた、エラーを認識するようにプログラムされる。様々な例において、コントローラによるエラーの検出は、外科用器具をそのステープルカートリッジアセンブリ27000と共に使用することに関して動作不能にし得る。様々な例において、検出されたエラーは、ステープルカートリッジアセンブリ27000が外科用器具に取り付けられているとき、外科用器具がステープル発射ストローク及び/又は組織切断ストロークを実施することを防止し得る。臨床医が任意のシステムロックアウトを無効化し、緊急時に外科用器具の動作機能を利用することを可能にするために、手動オーバーライドが活動化され得る。様々な例において、コントローラは、エラーが検出されたことを臨床医にアラートするように構成される。そのようなアラートは、例えば、触覚、聴覚、及び/又は視覚フィードバックを含む、様々な形態のフィードバックを介して通信され得る。アラートは、特定的であっても、一般的であってもよい。例えば、アラートは、RFIDタグ27250が検出され得ないことを特定的に示してもよく、あるいは、アラートは、RFIDタグ27250が適合しない及び/又は欠陥のあるステープルカートリッジアセンブリ27000を表す情報を含むことを特定的に示してもよい。
【0162】
細長いスロット27110を横断する拡張アンテナ27260の部分は、細長いスロット27110に沿った任意の好適な位置に配置され得る。例えば、拡張アンテナ27260は、最遠位のステープルキャビティと一致するか、あるいはそれに対してわずかに近位にある位置で細長いスロット27110を横断してもよい。そのような実施形態では、組織切断及びステープル発射ストロークが完了すると、拡張アンテナ27260は動作不能にされる。このシナリオにおいてRFIDスキャナ27300がRFIDタグ27250と通信することができない場合、臨床医は、例えば、ステープル発射ストローク全体が完了されたことを確認することができるであろう。更に、RFIDタグ27250は、例えば、ステープルカートリッジ27100のベース27104及び/又はデッキ表面27106上など、ステープルカートリッジ27100上の任意の好適な場所に位置付けられ得る。
【0163】
様々な例において、拡張アンテナ27260は、ステープルカートリッジ27100の細長いスロット27110を横断するように構成された第1のアンテナと、ステープルカートリッジ27100の細長いスロット27110を横断しない第2のアンテナと、を備える。言い換えれば、第2のアンテナは、ステープル発射ストローク中に発射部材によって横切されない。第1のアンテナが発射部材によって横切されると、RFIDタグ27250の通信範囲が縮小される。しかしながら、RFIDタグ27250の通信範囲は、ステープル発射ストローク中に発射部材によって横切されなかった第1のアンテナを使用して増大され得る。
【0164】
図85は、例えば、本明細書で論じられる外科用器具400などの外科用器具に組み込まれ得る例示的なRFIDシステム28200を示す。RFIDシステム28200は、例えば、ステープルカートリッジ、エンドエフェクタジョー、及び/又は外科用器具内の任意の他の適切な場所に統合され得る。RFIDシステム28200は、RFIDタグ28250とRFIDスキャナシステム28300とを備える。RFIDタグ28250の構造及び機能は、例えば、RFIDタグ26250、27250など、本明細書で論じられるRFIDタグと同様である。RFIDスキャナシステム28300は、第1のRFIDスキャナ28310と第2のRFIDスキャナ28320とを備える。RFIDスキャナ28310、28320の機能は、例えば、RFIDスキャナ27300など、本明細書で論じられる他のRFIDスキャナと同様である。
【0165】
RFIDタグ28250は、例えば、外科用システム内の交換可能な構成要素に関する情報を記憶する、マイクロチップなどのチップを備える。様々な例において、チップは、ステープルカートリッジの識別番号を含む。様々な例において、チップは、例えば、製造データ、出荷データ、及び/又はステープルカートリッジの他の適合性データなどの追加情報を含む。RFIDタグ28250は、RFIDスキャナ28310、28320の一方及び/又は両方から質問信号を受信するように構成された無線アンテナを更に備える。
【0166】
各RFIDスキャナ28310、28320は、無線信号を伝送するように構成されたスキャナアンテナを備える。無線信号は、RFIDスキャナ28310の所定の範囲内に位置付けられたRFIDタグ28250を活動化させる。次いで、RFIDスキャナ28310は、RFIDタグ28250から「返送(bounced back)された」1つ以上の応答信号を受信する。様々な例において、1つ以上の応答信号は、質問信号と同じ信号を含む。様々な例において、1つ以上の応答信号は、質問信号からの修正信号を含む。第2のRFIDスキャナ28320はまた、RFIDタグ28250に信号を伝送するように構成されている。
【0167】
様々な例において、RFIDスキャナ28310は、読み取り及び書き込み能力を備える。次いで、RFIDスキャナ28310のソフトウェアは、更なる解釈のために、収集された情報をRFIDタグ28250からコントローラに渡すことができる。コントローラは、外科用器具、リモートコンソール、又は任意の適切な場所に位置付けられ得る。第2のRFIDスキャナ28320もまた、このようにして使用され得る。
【0168】
RFIDスキャナシステム28300はフレックス回路を備え、フレックス回路は第1の層と第2の層とを含む。第1の層は第1のRFIDスキャナ28310として機能し、第2の層は第2のRFIDスキャナ28320として機能する。RFIDスキャナ28310、28320は、RFIDスキャナ28310、28320によって伝送される信号の電力を決定し、質問信号を所望の電力レベルに増幅するRF増幅器を更に備える。通電されると、第1の層28310は、約1ワット以下の電力で信号2815を伝送するように構成されている。通電されると、第2の層28320は、1ワット超の電力で信号28325を送信するように構成されている。実際、増幅器は、外科用器具のコントローラと通信し、以下でより詳細に説明されるように、第2のRFIDスキャナ28320の信号は、1ワットを十分に超える電力で伝送され得る。
【0169】
ステープル発射ストロークの前に、第1のRFIDスキャナ28310が通電される。図86に示されるように、第1のRFIDスキャナ28310は、質問信号28315をRFIDタグ28250に送信する。RFIDタグ28250は、RFIDタグ28250の無線アンテナを使用して、エネルギー又は質問信号28315を受信する。受信されたエネルギーはタグのアンテナを通って移動し、また、受信されたエネルギーの一部分は、チップを活動化させ、第1のRFIDスキャナ28310から受信されたコマンドに基づいてデータの伝送を準備するために使用される。チップの活動化により、チップは、RFIDタグ28250に記憶された情報を用いて、受信されるエネルギーを調整し、残りのエネルギーを応答信号28255の形態で「反射する(reflect)」ことが可能となる。チップは、質問信号と同じ及び/又は異なる応答信号28255をRFIDスキャナ28310に伝送する。応答信号28255は、第1のRFIDスキャナ28310がRFIDタグ28250に記憶された情報を回復させるために、第1のRFIDスキャナのアンテナによって受信される。
【0170】
ステープル発射ストロークの開始後、第2のRFIDスキャナ28320が、第1のRFIDスキャナ28310に加えて、かつ/又はそれに代わって通電される。図87に示されるように、第1のRFIDスキャナ28310と第2のRFIDスキャナ28320の両方が、質問信号28315、28325をRFIDタグ28250に同時に送信する。RFIDタグ28250は、RFIDタグ28250の無線アンテナを使用して、両方の質問信号28315、28325からエネルギーを受信する。受信されたエネルギーは、合計で、例えば、約2ワットの電力となり、また、例えば、RFIDタグ28250の動作電力閾値の1ワットを超える。RFIDタグ28250は、第1のRFIDスキャナ28310と第2のRFIDスキャナ28320の両方から、質問信号28315、28325を受信すると、動作不能にされる。様々な例において、RFIDタグ28250は、動作電力閾値の超過が原因でオーバーヒートする。熱の増加は、例えば、RFIDタグ内のヒューズを燃焼させ、RFIDタグの一部分を溶融させ、かつ/又は別様にRFIDタグ28250を動作不能にすることになり得る。
【0171】
このようにRFIDタグ28250を破壊することは、外科用器具の動作に悪影響を及ぼさない。言い換えれば、RFIDタグ28250の破壊は、ステープルカートリッジが外科用器具によって認証されるまで発生しない。代わりに、ステープルカートリッジが認証されると、外科用器具は、他の機能の中でも、ステープル発射ストロークを実施するために使用され得る。ステープル発射ストロークの後及び/又はステープルカートリッジが外科用器具から取り外された後、ステープルカートリッジは、外科用器具によって再認証され得ず、したがってステープルカートリッジは再使用され得ない。このシステムは、とりわけ、使用済みカートリッジのロックアウトとして機能する。
【0172】
いずれにせよ、RFIDタグ28250は、動作不能構成においてRFIDスキャナから信号を受信すること及び/又はRFIDスキャナに信号を送信することはできない。第1のRFIDスキャナ28310が、その質問信号28315に対する応答を受信しない場合、外科用器具のコントローラは、エラーを臨床医に通信するように構成される。RFIDスキャナ28310が、その質問信号28315に対する応答を受信するが、その応答が認識され得ないものであり、かつ/又は、適合するステープルカートリッジアセンブリを表すものでない場合、外科用器具のコントローラはまた、エラーを臨床医に通信するようにプログラムされる。様々な例において、検出されたエラーをコントローラから通信することは、ステープルカートリッジアセンブリが取り付けられたときに外科用器具を動作不能にすることになり得る。様々な例において、検出されたエラーは、ステープルカートリッジアセンブリが取り付けられている間に、外科用器具がステープル発射ストローク及び/又は組織切断ストロークを実施することを防止し得る。臨床医が任意のシステムロックアウトを無効化し、緊急時に外科用器具の動作機能を利用することを可能にするために、手動オーバーライドが活動化され得る。様々な例において、コントローラは、エラーが検出されたことを臨床医にアラートするように構成される。そのようなアラートは、例えば、触覚、聴覚、及び/又は視覚フィードバックを含む、様々な形態のフィードバックを介して通信され得る。アラートは、特定的であっても、一般的であってもよい。例えば、アラートは、RFIDタグ28250が検出され得ないことを特定的に示してもよく、あるいは、アラートは、RFIDタグ28250が適合しない/又は欠陥のあるステープルカートリッジアセンブリを表す情報を含むことを特定的に示してもよい。
【0173】
上述のように、第1のRFIDスキャナ28310は、RFIDタグ28250と通信するために使用されてもよく、第1のRFIDスキャナ28310と第2のRFIDスキャナ28320との組み合わせ動作は、RFIDタグ28250を破壊するために使用されてもよい。代替的に、第1のRFIDスキャナ28310は、RFIDタグ28250と通信するために使用されてもよく、第2のRFIDスキャナ28320は、RFIDタグ28250を破壊するために使用されてもよい。この実施形態では、第1のRFIDスキャナ28310は閾値を下回る電力を使用し、第2のRFIDスキャナ28320は閾値を上回る電力を使用する。また、代替的に、通信機能と破壊機能の両方が単一のスキャナによって実施され得るため、第2のRFIDスキャナが使用されなくてもよい。少なくとも1つのそのような例では、信号増幅器は、通信のための電力閾値を下回る信号及び破壊のための電力閾値を上回る信号を伝送するために使用される。
【0174】
図88図89Aは、カートリッジロックアウトシステム29000を示す。カートリッジロックアウトシステム29000は、適合しない及び/又は使用済みのステープルカートリッジが検出されたときに、外科用器具がステープル発射ストロークを実施することを防止するように構成されている。未使用の適合するステープルカートリッジが検出されると、外科用器具のコントローラは、ステープル発射ストロークを実施することが可能となる。1つのそのような適合するステープルカートリッジには、例えば、ステープルカートリッジ29100が含まれる。
【0175】
ステープルカートリッジ29100は、カートリッジデッキ29106と、ベース29104と、カートリッジデッキ29106とベース29104との間に延在する側壁29108と、を含むカートリッジ本体を備える。複数のステープルキャビティ29107が、カートリッジ本体内に画定される。ステープルキャビティ29107は、長手方向列として配列され、ステープルは、各ステープルキャビティ29107内に着脱可能に支持されている。ステープルカートリッジ29100は、近位端部29102と、遠位端部と、を備える。細長いスロット29110は、近位端部29102から遠位端部に向かって延在しており、ステープル発射ストローク中に発射部材29210を受容するように構成されている。ステープルカートリッジ29100は、ウェッジスレッド29125と、カートリッジ本体内に画定されたチャネル29120と、を更に備える。ウェッジスレッド29125は、ステープル発射ストローク中にステープルをカートリッジ本体からアンビルに向かって駆動するように構成されている。チャネル29120は、ウェッジスレッド29125がステープル発射ストローク中にステープルカートリッジ29100を通って並進されるときに、ウェッジスレッド29125のランプを受容するように構成されている。とりわけ、ウェッジスレッド29125のランプとインターフェースするために、また、チャネル29120内のウェッジスレッド29125の横方向位置を制御するために、戻り止めがチャネル29120の内側に形成されている。少なくとも1つの例では、ウェッジスレッド29125を近位の未発射位置に解放可能に保持するために、リブが使用され得る。
【0176】
ステープルカートリッジ29100は、RFIDタグ29250を更に備える。RFIDタグ29250は、例えば、ステープルカートリッジ29100に関する情報を記憶するマイクロチップなどのチップを備える。様々な例において、チップは基本識別番号を備える。様々な例において、チップは、例えば、製造データ、出荷データ、及び/又は適合性データなどの追加情報を備える。RFIDタグ26250は、RFIDスキャナから質問信号を受信するように構成された無線アンテナを更に備える。図88及び図89に示されるように、RFIDタグ29250は、ステープルカートリッジ29100の側壁29108のうちの1つに付着される。しかしながら、RFIDタグ29250が、ステープルカートリッジ29100内に埋め込まれ、かつ/又は、任意の好適な方法及び/又は任意の好適な場所でステープルカートリッジ29100に取り付けられ得ることが想定される。
【0177】
外科用システムは、RFIDスキャナを更に備える。RFIDスキャナは、無線信号を伝送するように構成されたスキャナアンテナを備える。無線信号は、RFIDスキャナの所定の伝送範囲内に位置付けられたRFIDタグを活動化させる。次いで、RFIDスキャナは、RFIDタグから「返送(bounced back)された」1つ以上の応答信号29255を受信する。様々な例において、1つ以上の応答信号は、質問信号と同じ信号を含む。様々な例において、1つ以上の応答信号は、質問信号からの修正信号を含む。RFIDスキャナは、例えば、ステープルカートリッジ29100、外科用器具のエンドエフェクタ、及び/又は外科用器具に対して遠隔に位置付けられたコンソールなどの様々な場所に位置付けられ得る。言い換えれば、RFIDスキャナは、ステープルカートリッジ29100が外科用器具のエンドエフェクタ内に着座されているとき、及び/又はステープルカートリッジ29100が外科用器具のエンドエフェクタ内に着座された後、RFIDスキャナがRFIDタグ29250と通信することを可能にする任意の好適な場所に位置付けられ得る。様々な例において、RFIDスキャナは、読み取り及び書き込み能力を備える。RFIDスキャナのソフトウェアは、更なる解釈のために、収集された情報29255をRFIDタグ29250からコントローラに渡すことができる。コントローラは、外科用器具内に、あるいは任意の適切な場所に位置付けられ得る。RFIDスキャナ及び/又はコントローラは、特定の外科用器具と適合し、かつ/又は特定の外科処置中に使用するためのものであるステープルカートリッジに対応する記憶された1組の情報を備え得る。
【0178】
RFIDタグ29250から収集された情報29255に基づいて、コントローラは、例えば、カートリッジロックアウトアセンブリ29000などのカートリッジロックアウトアセンブリを維持、活動化、及び/又は非活動化させることができる。カートリッジロックアウトアセンブリ29000は、ロックアウトバー29300を備える。ロックアウトバー29300は、近位端部29302と遠位端部29304とを備える。ロックアウトバー29300の遠位端部29304は、ステープルカートリッジ29100がエンドエフェクタのジョー内に着座されているときに、ウェッジスレッド29125とインターフェースするように構成されている。ロックアウトバー29300は、カートリッジ本体内に形成されたチャネル29120のうちの1つに嵌合するようにサイズ決めされている。ロックアウトバー29300の近位端部29302は、横方向突出部、つまりフランジ29310を備える。ロックアウトバー29300の近位端部29302は、ロックアウトバー29300と発射バー29200が一緒に移動するように、ステープル発射駆動装置の発射バー29200と係合される。発射バー29200は、ロックアウトバー29300の横方向突出部29310を受容する溝29225を備える。
【0179】
カートリッジロックアウトアセンブリ29000は、ブロックボルトアセンブリ29400を更に含む。図示の実施形態では、ブロックボルトアセンブリ29400は、ソレノイドを含む。ブロックボルトアセンブリ29400は、ロックボルト29410と、弾性部材29420と、誘導コイル29430と、を含む。図88図89Aに示される実施形態では、弾性部材29420はばねであるが、任意の弾性部材が使用され得る。ブロックボルトアセンブリ29400は、ロック解除構成及びロック構成で構成可能である。ロックボルト29410及び弾性部材29420は、ブロックボルトアセンブリ29400のハウジング29405内に位置付けられている。弾性部材29240は、ロックボルト29410をそのロック構成へと付勢する。ロック構成では、ロックボルト29410の一部分は、ハウジング29405の外側に延在する。ロック解除構成では、ロックボルト29410は、ハウジング29405内に完全に位置付けられる。
【0180】
ブロックボルトアセンブリ29400は、適合するステープルカートリッジ29100がコントローラによって検出されたときに、コントローラによってロック解除構成に配置される。適合するステープルカートリッジ29100は、RFIDタグ29250が、RFIDスキャナ及び/若しくはコントローラ内の記憶された1組の情報に対応する信号29255を放出するとき、並びに/又は臨床医がコントローラを無効化したときに検出される。そのような例では、コントローラは、ブロックボルトアセンブリ29400の誘導コイル29430を活動化させるように構成されている。コントローラは、コイル29430を活動化させるために、コイル29430に電圧源を加える。誘導コイル29430を活動化させることは、ロックボルト29410をハウジング29405の中へと引き込む磁場を生成することになる。この目的のために、ロックボルト29410は、鉄、ニッケル、及び/又は任意の好適な磁性材料から構成される。そうは言っても、弾性部材29420は、ロックボルト29410の動きによって圧縮され、したがって、弾性部材29240は、ロックボルト29410の動きに対向する。いずれにしても、ロックボルト29410は、ロックアウトバー29300の経路から離れるのに十分な量だけ後退される。そのような時点で、ステープル発射ストロークが実施され得る。ステープルカートリッジ29100が外科用器具から取り外される場合、コントローラは誘導コイル29430を非活動化させ、それによって弾性部材29240がロックボルト29410を再延出させることが可能となる。
【0181】
上記に加えて、ステープルカートリッジ29100がエンドエフェクタのジョーの中へと着座されているとき、ロックアウトバー29300の遠位端部29304は、ステープルカートリッジ29100のスレッド29125と接触する。ロックボルト29410が後退された場合、臨床医がステープルカートリッジ29100をジョー内に着座させるように試行するとき、ロックアウトバー29300の近位端部29302は、ステープルカートリッジ29100のスレッド29125によって近位に押される。そのような例では、ロックアウトバー29300は、近位方向に自由に並進するように構成される。ロックアウトバー29300の近位移動に対する抵抗の欠如は、ロックアウトバー29300がステープルカートリッジ29100内のウェッジスレッド29125を変位させることなく移動することを可能にする。言い換えれば、チャネル29120内の戻り止めによってウェッジスレッド29125に作用される保持力は、ステープルカートリッジ29100が外科用器具内に着座されているときにロックアウトバー29300を押しながら、ウェッジスレッド29125をその現在の位置に維持するのに十分である。
【0182】
上で論じられたように、ブロックボルトアセンブリ29400は、適合しないステープルカートリッジ29100’が検出されたときにロック構成にある。図89に示されるように、適合しないステープルカートリッジ29100’は、RFIDタグ29250がRFIDスキャナ及び/又はコントローラ内の記憶された1組の情報に対応しない信号29255’を放出するときに検出される。様々な例において、ステープルカートリッジ29100’は、RFIDスキャナがRFIDタグからの信号を検出することができないときに、外科用器具のコントローラによって適合しないと見なされる。放出された信号29255’、又は信号の欠如が、適合しないステープルカートリッジ29100’を示す場合、ブロックボルトアセンブリ29400の誘導コイル29430は、コントローラによって活動化されない。誘導コイル29430を活動化させることなく、付勢部材29420は、ロックボルト29410の一部分を保持し、ハウジング29405の外側に延出する。ステープルカートリッジ29100’がエンドエフェクタのジョーの中へと着座され、ロックボルト29410が延出されているとき、ロックアウトバー29300の遠位端部29304は、ステープルカートリッジ29100’のスレッド29125と接触する。ロックアウトバー29300は、ロックボルト29410がその経路にあるため、近位方向に並進することを阻止される。そのような場合、ロックボルト29410によってロックアウトバー29300に対して与えられる抵抗は、ウェッジスレッド29125を所定の位置に保持するチャネル29120内の戻り止めによって与えられる保持力を超える。したがって、ウェッジスレッド29125は、ステープルカートリッジ29100’が着座されており、ロックボルト29410が後退されていないときに、その未発射位置から遠位に変位される。ウェッジスレッド29125のその未発射位置からの遠位移動は、ステープルがステープルカートリッジ29100’から発射されていない場合でも、ステープルカートリッジ29100’を消費する。参照によってその開示内容が全て本明細書に組み込まれる、米国特許第7,143,923号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING A FIRING LOCKOUT FOR AN UNCLOSED ANVIL」(2006年12月5日発行)、米国特許第7,044,352号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING A SINGLE LOCKOUT MECHANISM FOR PREVENTION OF FIRING」(2006年5月16日発行)、米国特許第7,000,818号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING SEPARATE DISTINCT CLOSING AND FIRING SYSTEMS」(2006年2月21日発行)、米国特許第6,988,649号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING A SPENT CARTRIDGE LOCKOUT」(2006年1月24日発行)、及び米国特許第6,978,921号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING AN E-BEAM FIRING MECHANISM」(2005年12月27日発行)に開示されている発射ロックアウトシステムは、そのような場合にステープル発射ストロークが実施されることを機械的に防止するものである。
【0183】
図90は、カートリッジロックアウトアセンブリ29000を制御する際に使用するためのモータ制御回路30000を示す。モータ制御回路30000の様々な詳細については、参照によってその開示内容が全て本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0075474号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT」に更に詳細に記載されている。電池又は他の適切な電源30064が、電気モータ30065に電力を供給する。臨床医が最初に外科用器具の発射トリガを引くと、操作モータ(又は発射)スイッチ30110が閉鎖される。操作モータスイッチ30110が閉鎖されると、安全スイッチが閉鎖され、ロックアウトスイッチが開放され、電流が安全スイッチを通り、ロックアウトインジケータ30244を通り、モータ30065に流れる。ステープル発射ストロークの終点に到達すると、ストローク終了又は方向スイッチ30130が切り替えられ、モータ30065の方向が逆転される。回路30000はまた、手動戻りスイッチ30348を備え得る。臨床医は、発射部材29210などの発射部材が部分的にしか発射されなかった場合に、手動でこのスイッチ30348を反転させることができる。手動戻りスイッチ30348を切り換えることは、モータ30065を逆回転させて、発射部材をその元の位置又は定位置に復帰させることになる。
【0184】
モータ制御回路30000は、カートリッジロックアウトスイッチ30300を更に備える。コントローラ30310が、RFIDタグ29250などのRFIDタグからの受信信号を通じて、適合するステープルカートリッジがエンドエフェクタ内に着座されていると判定すると、誘導コイル30320がエネルギー印加される。誘導コイル30320のエネルギー印加は、カートリッジロックアウトスイッチ30300を閉鎖し、ステープルカートリッジのウェッジスレッドの変位なしに適合するステープルカートリッジをエンドエフェクタ内に着座させることになる。コントローラ30310が、RFIDタグ29250などのRFIDタグからの受信信号を通じて、適合しないステープルカートリッジがエンドエフェクタ内に着座されていると判定すると、誘導コイル30320’はエネルギー印加されない。非活動状態の誘導コイル30320’は、カートリッジロックアウトスイッチ30300が開放したままであることを可能にする。次いで、カートリッジロックアウト29000などのカートリッジロックアウトが、適合しない外科用カートリッジ内のウェッジスレッドの遠位変位を引き起こす。次いで、外科用器具は、適合しない外科用カートリッジが取り付けられている間、ステープル発射ストロークを実施することができなくなる。
【0185】
様々な外科用器具は、外科処置の開始前及び/又は外科処置の間に交換される必要がある交換可能な構成要素から構成される。例えば、外科用ステープル留め器具400などの外科用ステープル留め器具は、交換可能なステープルカートリッジを備える。臨床医は、例えば、実施される外科処置のタイプ、外科処置中に治療される組織の厚さ、及び/又はステープルカートリッジの状態などの様々な理由でステープルカートリッジを交換することを所望及び/又は要求し得る。ステープルカートリッジの状態は、例えば、ステープルカートリッジが使用済みであるかどうか、すなわち、ステープルカートリッジ内のステープルのうちの1つ以上がステープル発射ストローク中に排出されたかどうかに対応する。
【0186】
本明細書でより詳細に説明されるように、例えば、RFIDタグ、QRコード、及び/又はバーコードなどの様々な識別システムが外科用システム全体に位置付けられ得る。例えば、図91に示されるように、第1のRFIDタグ31560aは、ステープルカートリッジ31500のカートリッジ本体31510上に位置し、第2のRFIDタグ31560bは、ステープルカートリッジ31500のウェッジスレッド31550上に位置し、第3のRFIDタグ31560cは、ステープルカートリッジ31500のリテーナ31570上に位置する。各RFIDタグは、とりわけ、ステープルカートリッジアセンブリの状態、ステープルカートリッジの識別情報、及び/又はステープルカートリッジアセンブリと特定の外科用器具との適合性に関連する情報を記憶するチップを備える。とりわけ、患者の安全性及び外科用システム内の構成要素の適切な組み立てを確実にするために、各チップに記憶された情報は暗号化される。チップ上の情報の暗号化によってもたらされることとして、記憶された情報に、承認された当事者のみがアクセスすることができ、承認されていない者はアクセスすることができなくなる。言い換えれば、チップに記憶された情報が復号化され得ない場合、外科用システムは、適合しない組み立て構成要素を組み付けられる可能性がなくなり、かつ/又は、外科用システムの1つ以上の動作パラメータは、適合しない組み立て構成要素が取り付けられているとき、利用不可となりかつ/若しくは修正される。1つ以上のRFIDスキャナによってRFIDタグから収集された情報を復号化するために、暗号鍵が、外科用システムのコントローラ及び/又は外部記憶媒体内に記憶される。様々な例において、RFIDタグの全てが、暗号化された情報を含む。他の例では、例えば、ステープルカートリッジ上に位置するRFIDタグなど、RFIDタグのうちの1つのみが、暗号化された情報を含む。しかしながら、RFIDタグの任意の好適な組み合わせが、暗号化された情報を有するチップを備え得ることが想定される。様々な例において、暗号鍵のうちの1つ以上が外科用器具上のメモリに記憶されるが、任意の適切な記憶場所が想定される。
【0187】
ステープルカートリッジのRFIDタグに記憶されたデータは、暗号化プロトコルを使用してステープルカートリッジの製造プロセス中に暗号化され得る。その情報は、例えば、とりわけ、許可なしにかつ/又は低品位の構成要素を用いて複製されたステープルカートリッジの使用を防止するように暗号化され得る。ステープルカートリッジのそのような不正な複製は、適合するステープルカートリッジと同じ仕様及び/又は寸法で製造されない場合がある。適合しないステープルカートリッジが外科用器具と共に使用される場合、適合しないステープルカートリッジは、適合するステープルカートリッジと同じ様式で外科機能(複数可)を実施せず、それによって、適合しないステープルカートリッジが外科用器具と共に使用されるときに、患者を増大するリスクにさらすことになり得る。
【0188】
製造プロセス中、RFIDスキャナは、第1の質問信号を送信して、ステープルカートリッジ31500の第1のRFIDタグ31560aに質問する。第1のRFIDタグ31560aは、第1の質問信号に応答して第1の信号31580aを伝送する。第1の応答信号31580aは、ステープルカートリッジ31500に関連する暗号化されていない又は保護されていないデータを含む。そのようなデータには、例えば、製造データ及び/又はカートリッジ識別データが含まれ得る。RFIDスキャナは、第2の質問信号及び第3の質問信号を伝送して、第2のRFIDタグ31560b及び第3のRFIDタグ31560cにそれぞれ質問する。第2のRFIDタグ31560bは、第2の質問信号に応答して第2の信号31580bを伝送し、第3のRFIDタグ31560cは、第3の質問信号に応答して第3の信号31580cを伝送する。第2の応答信号31580b及び第3の応答信号31580cは、それぞれ、ウェッジスレッド31550及びリテーナ31570に関連する暗号化されていない又は保護されていないデータを含む。そのようなデータには、例えば、製造データ及び/又は識別データが含まれ得る。
【0189】
RFIDスキャナは、応答信号31580a、31580b、31580cを製造コントローラ31100に伝送する。製造コントローラ31100は、クラウド記憶媒体31150にアクセスして、例えば、受信されたデータを暗号化する。クラウド記憶媒体31150は、応答信号31580a、31580b、31580cに収容されたデータを暗号化するように構成された暗号化プロトコルを備える。暗号化プロトコルを使用して、クラウド記憶媒体31150は、RFIDタグを有するステープルカートリッジ31500の様々な構成要素を反映する暗号化シリアル番号を作成する。例えば、第1のRFIDタグ31560aに記憶された非保護データは、第1の値31202で暗号化される。第2のRFIDタグ31560bに記憶された非保護データは、第2の値31204で暗号化され、第3のRFIDタグ31560cに記憶された非保護データは、第3の値31206で暗号化される。第1の値31202と、第2の値31204と、第3の値31026は組み合わされて、ステープルカートリッジ31500の識別を反映する固有のシリアル番号31200を形成する。そのような暗号化プロセスは、各製造されたステープルカートリッジに対して行われる。図63も参照されたい。
【0190】
クラウド記憶媒体31150が暗号化プロトコルを完了した後、製造コントローラ31100は、暗号化されたデータをRFIDタグ31560a、31560b、31560cに再書き込みする。製造コントローラ31100は、RFIDスキャナに、第1の再書き込み信号31110aを第1のRFIDタグ31560aに送信するように指示する。第1の再書き込み信号31110aは、第1のRFIDタグ31560aに記憶された非保護データを削除し、非保護データを新しい保護データ31202で置き換えるように働く。RFIDスキャナは、第2の再書き込み信号31110bを第2のRFIDタグ31560bに伝送し、第3の再書き込み信号31110cを第3のRFIDタグ31560cに伝送する。第2の再書き込み信号31110bは、第2のRFIDタグ31560bに記憶された非保護データを削除し、非保護データを新しい保護データ31204で置き換えるように働く。第3の再書き込み信号31110cは、第3のRFIDタグ31560cに記憶された非保護データを削除し、非保護データを新しい保護データ31206で置き換えるように働く。この時点で、RFIDタグ31560a、31560b、31560cは、暗号化されたデータのみを含み、クラウド記憶媒体31150のみが、復号化プロトコルを介して、保護されていない非暗号化データへのアクセスを備える。上述のように、RFIDリーダは、RFIDタグに信号を伝送し、それから信号を受信するように構成されている。そのような場合、RFIDリーダは、読み取り能力と書き込み能力の両方を備える。
【0191】
各ステープルカートリッジ31500に記憶されたデータは暗号化されているため、クラウド記憶媒体31150は、関連付けられた暗号鍵と共に、ステープルカートリッジ31500の固有のシリアル番号31200のリスト31250を作成する。リスト31250は、リアルタイムで更新されてもよく、かつ/又は、各RFIDタグ31560a、31560b、31560cが暗号化された情報でプログラムされた後に作成されてもよい。製造コントローラ31100は、クラウド記憶媒体31150から固有のシリアル番号31200のリスト31250にアクセスするように構成される。パッケージプロセス中、製造コントローラ31100は、固有のシリアル番号31200をステープルカートリッジ31500のパッケージ上に印刷するように、パッケージプリンタ31600に指示する。
【0192】
ステープルカートリッジ31500が外科用器具への取り付けに必要とされるとき、臨床医は、ステープルカートリッジ31500のパッケージを走査するように要求される。外科用器具のコントローラ及び/又は手術室内の遠隔被制御は、走査されたパッケージデータをクラウド記憶媒体31150に通信する。リモートコントローラは、例えば、走査されたパッケージデータを、復号化のためにクラウド記憶媒体31150に通信する。クラウド記憶媒体31150は、走査されたパッケージデータに対して復号化プロトコルを実施し、受信されたデータを、適合するかあるいは別様に許容されるステープルカートリッジのリスト31250と比較する。クラウド記憶媒体31150が、走査されたパッケージデータを、外科用器具と共に使用するのに許容可能であると認識した場合、クラウド記憶媒体31150は、承認信号を遠隔コントローラに通信する。遠隔コントローラは、外科用器具上のコントローラに承認信号を通信し、外科用器具は、例えば、ステープル発射ストロークを実施することができる。クラウド記憶媒体31150が走査されたパッケージデータを認識することができない場合、クラウド記憶媒体31150は、エラーを遠隔コントローラに通信する。リモートコントローラは、外科用器具上のコントローラにエラーを通信し、外科用器具は、ステープル発射ストロークを実施することを防止される。様々な例において、外科用器具は、ステープルカートリッジが認証プロトコルに合格しなかったことを臨床医が適切に警告された後にのみ臨床医が活動化し得るオーバーライド入力を備える。
【0193】
前述のように、モジュール式構成要素のパッケージ25000などのパッケージは、パッケージの内容物に関する1つ以上の識別システムを備える。製造コントローラ及びパッケージプリンタ31600は、上述の暗号化された情報を使用して識別システムを作成する。パッケージにラベル付けするために、様々な技術が使用され得る。そのような技術には、例えば、レーザー印刷、パッド印刷、熱印刷、及び/又はチッププログラミングが含まれる。例えば、レーザー印刷は、QRコード及び/又はバーコードを製品パッケージ上に印刷するために使用され得る。チッププログラミングは、例えば、RFIDシステム25200などのRFIDシステム内に記憶された情報を変更するために使用され得る。
【0194】
図92は、外科用器具のコントローラによって動作される復号化プロトコル32000を示す。コントローラは、例えば、上記の外科用器具などの外科用器具の組み立て及び/又は使用を容易にするために、自動インクリメント暗号鍵を使用する。外科用器具コントローラは、メモリを備える。メモリは、コントローラが第1のRFIDタグを復号化することを可能にするデフォルトの内部鍵32010を記憶する。第1のRFIDタグは、ステープルカートリッジパッケージ上に位置付けられ、第1のRFIDタグは、第1の組みの暗号化された情報を含む。第1の組の暗号化された情報は、コントローラがデフォルトの内部鍵32010を使用することによってのみ復号化され得る。復号化プロトコル32000は、第1のRFIDタグの復号化の成功時に第2の内部鍵32040を解放する。コントローラが、パッケージングが真正でないと判定した場合、コントローラが第1のRFIDタグに記憶された情報を復号化することができない場合、及び/又は第1のRFIDタグに記憶された情報が認識され得ない場合、第2の内部鍵32040は解放されず、復号化プロトコル32000を前進させることができない。第1のRFIDタグは再走査されてもよく、あるいは、新しいパッケージがRFIDスキャナ32020によって走査されてもよい。復号化プロトコル32000の次の認証工程を継続することなく、外科用器具のコントローラは、外科用器具がステープル発射ストロークを実施することを防止する。
【0195】
ステープルカートリッジは、カートリッジ本体上に位置付けられた第2のRFIDタグを備え、第2のRFIDタグは、第2の組の暗号化された情報を含む。第2の組の暗号化された情報は、コントローラが第2の内部鍵32040を使用することによってのみ復号化され得る。復号化プロトコル32000は、第2のRFIDタグデータの復号化の成功時に第3の内部鍵32070を解放する。コントローラが、ステープルカートリッジが真正でないと判定した場合、コントローラが第2のRFIDタグに記憶された情報を復号化することができない場合、及び/又は第2のRFIDタグに記憶された情報が認識され得ない場合、第3の内部鍵32070は解放されず、復号化プロトコル32000を前進させることができない。第2のRFIDタグは再走査されてもよく、あるいは、新しいステープルカートリッジがRFIDスキャナ32050によって走査されてもよい。復号化プロトコル32000の次の認証工程を継続することなく、外科用器具のコントローラは、外科用器具がステープル発射ストロークを実施することを防止する。
【0196】
上述のようにパッケージに予め収容されたステープルカートリッジは、パッシブ型の第2のRFIDタグを含む。第2のRFIDタグは、ステープルカートリッジ内の任意の好適な場所に位置付けられる。臨床医は、RFIDスキャナを第2のRFIDタグの範囲内に持ち込むことができ、RFIDスキャナは、ステープルカートリッジの第2のRFIDタグを走査する(32050)ために信号を放出する。RFIDスキャナの放出信号に応答して、第2のRFIDタグは、その暗号化された情報を再びRFIDスキャナに伝送するように構成される。RFIDスキャナ上のソフトウェアは、通信された情報をコントローラに送信し、解放及び/又はロック解除された内部鍵32040を使用して復号化するように構成されている。受信された情報が復号化されると、コントローラは、ステープルカートリッジが外科用器具32060と適合する真正の構成要素を含むかどうかを判定するように構成される。言い換えれば、第2のRFIDタグによって記憶された情報は、パッケージが真正のステープルカートリッジを収容していなかったことを臨床医が確認することを可能にする。様々な例において、コントローラはまた、ステープルカートリッジが改ざんされているかどうか、以前に使用されていたかどうか、及び/又はそうでなくとも適合するステープルカートリッジの不正な形態であるかどうかを判定するように構成される。コントローラが、ステープルカートリッジが真正でないと判定した場合、コントローラは、第2のRFIDタグに記憶された情報を復号化することができず、かつ/又は第2のRFIDタグに記憶された情報は認識され得ない。次いで、ステープルカートリッジは再走査されてもよく、あるいは、新しいステープルカートリッジがRFIDスキャナ32050によって走査されてもよい。コントローラが、ステープルカートリッジが真正であると判定した場合、コントローラは、ステープルカートリッジアセンブリ上のリテーナの存在の検出に使用するために、第3の内部鍵32070を解放及び/又はロック解除する。第3の内部鍵32070を解放及び/又はロック解除しなければ、臨床医は、プロトコル32000を完了することができず、また様々な例において、上述のようなオーバーライド入力がない限り、真正でない構成要素(複数可)で外科用器具を活動化させることができない。
【0197】
ステープルカートリッジは、リテーナ上に位置付けられた第3のRFIDタグを備え、第3のRFIDタグは、第3の組の暗号化された情報を含む。第3の組の暗号化された情報は、コントローラが第3の内部鍵32070を使用することによってのみ復号化され得る。暗号化された情報が、適合するステープルカートリッジを表すデータを含む場合、復号化プロトコル32000は第4の内部鍵を解放し、かつ/又は復号化プロトコル32000が成功裏に完結する。コントローラが、ステープルカートリッジが真正でないと判定した場合、コントローラが第3のRFIDタグに記憶された情報を復号化することができない場合、及び/又は第3のRFIDタグに記憶された情報が認識され得ない場合、次の、又は第4の鍵は解放されず、復号化プロトコル32000を前進させることができない。第3のRFIDタグは再走査されてもよく、あるいは、新しいリテーナがRFIDスキャナ32080によって走査されてもよい。第4の内部鍵を解放及び/又はロック解除しなければ、コントローラはプロトコル32000を完了することができず、また様々な例において、真正でない構成要素(複数可)で外科用器具を活動化させることができない場合がある。様々な例において、リテーナは、プロトコル32000で評価される最後のモジュール式構成要素である。しかしながら、他の例では、追加のモジュール式構成要素が、外科用システムと共に使用する前に認証を必要とする暗号化された情報を有するRFIDタグを備える。
【0198】
本明細書に記載の識別システムのいずれも、プロトコル32000に関連して説明されたアクティブ及び/又はパッシブRFIDタグの代わりに使用され得ることが想定される。
【0199】
本明細書で記載される主題の様々な態様を、以下の実施例において説明する。
【0200】
実施例セット1
実施例1.ステープルカートリッジと外科用器具との適合性を認証するための方法は、ステープルカートリッジを外科用器具に挿入する工程を含む。この方法はまた、RFIDリーダシステムにステープルカートリッジの第1の構成要素上の第1のRFIDタグから第1の信号を伝送する工程と、RFIDリーダシステムにステープルカートリッジの第2の構成要素上の第2のRFIDタグから第2の信号を伝送する工程と、を含む。この方法はまた、第1の信号及び第2の信号を、適合するステープルカートリッジの1組の記憶されたデータと比較する工程と、第1の信号及び第2の信号が、適合するステープルカートリッジの1組の記憶されたデータと一致する場合、外科用器具のステープル発射システムをロック解除する工程と、を含む。
【0201】
実施例2.比較する工程は、第1の信号及び第2の信号を、適合するステープルカートリッジの2組以上の記憶されたデータと比較することを含む、実施例1に記載の方法。
【0202】
実施例3.第1のRFIDタグ及び第2のRFIDタグは、アクティブRFIDタグを含む、実施例1又は2に記載の方法。
【0203】
実施例4.第1のRFIDタグから第1の信号を伝送する工程の前に、RFIDリーダシステムによって第1のRFIDタグに質問する工程を更に含む、実施例1~3に記載の方法。
【0204】
実施例5.第2のRFIDタグから第2の信号を伝送する工程の前に、RFIDリーダシステムによって第2のRFIDタグに質問する工程を更に含む、実施例1~4に記載の方法。
【0205】
実施例6.ロック解除する工程の後にステープル発射ストロークを実施するようにステープル発射システムを動作させる工程を更に含む、実施例1~5に記載の方法。
【0206】
実施例7.第1の構成要素はカートリッジ本体を備え、第2の構成要素は、ステープル発射ストローク中に近位未発射位置から遠位発射位置まで移動可能なスレッドを備える、実施例1~6に記載の方法。
【0207】
実施例8.RFIDリーダシステムに第2の信号を伝送する工程は、スレッドがその近位未発射位置にあるときにのみ発生し得る、実施例7に記載の方法。
【0208】
実施例9.第1の構成要素はカートリッジ本体を備え、第2の構成要素は、カートリッジ本体に着脱可能に取り付けられたカバーを備える、実施例1~8に記載の方法。
【0209】
実施例10.RFIDリーダシステムに第2の信号を伝送する工程は、カバーがカートリッジ本体に取り付けられているときにのみ発生し得る、実施例9に記載の方法。
【0210】
実施例11.ステープルカートリッジと外科用器具との適合性を認証するための方法は、ステープルカートリッジを外科用器具に挿入する工程を含む。この方法はまた、RFIDリーダシステムによってステープルカートリッジの第1の構成要素上の第1のRFIDタグから第1の信号を受信する工程と、RFIDリーダシステムによってステープルカートリッジの第2の構成要素上の第2のRFIDタグから第2の信号を受信する工程と、を含む。この方法はまた、第1の信号及び第2の信号を、適合するステープルカートリッジの記憶データと比較する工程と、第1の信号及び第2の信号が、適合するステープルカートリッジの記憶データと一致しない場合、外科用器具のステープル発射システムをロックする工程と、を含む。
【0211】
実施例12.比較する工程は、第1の信号及び第2の信号を、2つ以上の適合するステープルカートリッジの記憶データと比較することを含む、実施例11に記載の方法。
【0212】
実施例13.第1のRFIDタグ及び第2のRFIDタグは、アクティブRFIDタグを含む、実施例11及び12に記載の方法。
【0213】
実施例14.第1のRFIDタグから第1の信号を受信する工程の前に、RFIDリーダシステムによって第1のRFIDタグに質問する工程を更に含む、実施例11~13に記載の方法。
【0214】
実施例15.第2のRFIDタグから第2の信号を受信する工程の前に、RFIDリーダシステムによって第2のRFIDタグに質問する工程を更に含む、実施例11~14に記載の方法。
【0215】
実施例16.ロックする工程が発生しない場合にステープル発射ストロークを実施するようにステープル発射システムを動作させる工程を更に含む、実施例11~15に記載の方法。
【0216】
実施例17.第1の構成要素はカートリッジ本体を備え、第2の構成要素は、ステープル発射ストローク中に近位未発射位置から遠位発射位置まで移動可能なスレッドを備える、実施例11~16に記載の方法。
【0217】
実施例18.RFIDリーダシステムによって第2の信号を受信する工程は、スレッドがその近位未発射位置にあるときにのみ発生し得る、実施例17に記載の方法。
【0218】
実施例19.第1の構成要素はカートリッジ本体を備え、第2の構成要素は、カートリッジ本体に着脱可能に取り付けられたカバーを備える、実施例11~18に記載の方法。
【0219】
実施例20.RFIDリーダシステムによって第2の信号を受信する工程は、カバーがカートリッジ本体に取り付けられているときにのみ発生し得る、実施例19に記載の方法。
【0220】
実施例セット2
実施例1.外科用器具は、発射運動を実施するように構成された発射システムと、エンドエフェクタと、RFIDリーダシステムと、を備える。エンドエフェクタは、アンビルと、ステープルカートリッジ支持体と、ステープルカートリッジ支持体内に位置付けられたステープルカートリッジと、を備える。ステープルカートリッジは、長手方向軸線を規定するカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に画定された長手方向スロットと、カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、を備える。ステープルカートリッジはまた、ステープルキャビティに着脱可能に格納されたステープルと、カートリッジ本体に解放可能に取り付けられたカバーと、を備え、当該カバーは、カバーがカートリッジ本体に取り付けられているとき、ステープルキャビティの上方で延在する。ステープルカートリッジはまた、発射運動中に近位未発射位置から遠位発射位置まで移動可能なスレッドと、第1の長手方向位置においてカートリッジ本体に付着された第1のRFIDタグと、スレッドに付着された第2のRFIDタグと、を備え、スレッドの近位未発射位置は、第1の長手方向位置にない第2の長手方向位置にある。ステープルカートリッジはまた、第1の長手方向位置及び第2の長手方向位置にない第3の長手方向位置においてカバーに付着された第3のRFIDタグを備える。RFIDリーダシステムは、第1の長手方向位置にある第1のRFIDタグから第1の信号を受信し、第2の長手方向位置にある第2のRFIDタグから第2の信号を受信し、第3の長手方向位置にある第3のRFIDタグから第3の信号を受信するように構成されている。
【0221】
実施例2.RFIDリーダシステムは、第1のRFIDリーダと、第2のRFIDリーダと、第3のRFIDリーダと、を備える、実施例1に記載のステープル留め器具。
【0222】
実施例3.第1のRFIDリーダシステムは、第1の長手方向位置に隣接する第1のアンテナを備え、第2のRFIDシステムは、第2の長手方向位置に隣接する第2のアンテナを備え、第3のRFIDシステムは、第3の長手方向位置に隣接する第3のアンテナを備える、実施例2に記載のステープル留め器具。
【0223】
実施例4.第1のRFIDタグは、第1の信号を第1の範囲に放出するように構成され、第1のアンテナは、第1の範囲内に位置付けられ、第1の信号を受信するように構成されており、第2のRFIDタグは、第2の信号を第2の範囲に放出するように構成され、第2のアンテナは、第2の範囲内に位置付けられ、第2の信号を受信するように構成されており、第3のRFIDタグは、第3の信号を第3の範囲に放出するように構成され、第3のアンテナは、第3の範囲内に位置付けられ、第3の信号を受信するように構成されている、実施例1~3に記載のステープル留め器具。
【0224】
実施例5.第1の範囲は、第2の範囲及び第3の範囲と重複せず、第2の範囲は、第1の範囲及び第3の範囲と重複しない、実施例4に記載のステープル留め器具。
【0225】
実施例6.第1のRFIDリーダシステムは、第1の長手方向位置に隣接する第1の誘導コイルセンサを備え、第2のRFIDシステムは、第2の長手方向位置に隣接する第2の誘導コイルセンサを備え、第3のRFIDシステムは、第3の長手方向位置に隣接する第3の誘導コイルセンサを備える、実施例2~5に記載のステープル留め器具。
【0226】
実施例7.第1のRFIDタグは、第1の信号を第1の範囲に放出するように構成され、第1の誘導コイルセンサは、第1の範囲内に位置付けられ、第1の信号を受信するように構成されており、第2のRFIDタグは、第2の信号を第2の範囲に放出するように構成され、第2の誘導コイルセンサは、第2の範囲内に位置付けられ、第2の信号を受信するように構成されており、第3のRFIDタグは、第3の信号を第3の範囲に放出するように構成され、第3の誘導コイルセンサは、第3の範囲内に位置付けられ、第3の信号を受信するように構成されている、実施例6に記載のステープル留め器具。
【0227】
実施例8.第1の範囲は、第2の範囲及び第3の範囲と重複せず、第2の範囲は、第1の範囲及び第3の範囲と重複しない、実施例6及び7に記載のステープル留め器具。
【0228】
実施例9.第1のRFIDタグはアクティブRFIDタグを含み、第2のRFIDタグはアクティブRFIDタグを含み、第3のRFIDタグはアクティブRFIDタグを含む、実施例1~8に記載のステープル留め器具。
【0229】
実施例10.第1のRFIDタグはパッシブRFIDタグを含み、第2のRFIDタグはパッシブRFIDタグを含み、第3のRFIDタグはパッシブRFIDタグを含む、実施例1~8に記載のステープル留め器具。
【0230】
実施例11.ステープルカートリッジは、ある横方向幅を備え、第1の長手方向位置と、第2の長手方向位置と、第3の長手方向位置は、当該横方向幅にわたって横方向に整列しない、実施例1~10に記載のステープル留め器具。
【0231】
実施例12.RFIDリーダシステム及び発射システムと通信するコントローラを更に備え、当該コントローラは、第1の信号、第2の信号、及び第3の信号のうちの少なくとも1つがRFIDシステムによって受信されない場合、発射システムの動作を阻止するように構成されている、実施例1~11に記載のステープル留め器具。
【0232】
実施例13.RFIDリーダシステム及び発射システムと通信するコントローラを更に備え、当該コントローラは、メモリデバイスに記憶された少なくとも1組のデータを備え、当該コントローラは、第1の信号、第2の信号、及び第3の信号からのデータを一組のデータと比較するように構成され、当該コントローラは、第1の信号、第2の信号、及び第3の信号のうちの少なくとも1つからのデータが当該一組のデータと一致しない場合、発射システムを無効化するように構成されている、実施例1~12に記載のステープル留め器具。
【0233】
実施例14.ステープルカートリッジアセンブリは、長手方向軸線を規定するカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に画定された長手方向スロットと、カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、を備える。ステープルカートリッジアセンブリはまた、ステープルキャビティに着脱可能に格納されたステープルと、カートリッジ本体に解放可能に取り付けられたカバーと、を備え、当該カバーは、カバーがカートリッジ本体に取り付けられているとき、ステープルキャビティの上方で延在する。ステープルカートリッジアセンブリはまた、発射運動中に近位未発射位置から遠位発射位置まで移動可能なスレッドと、第1の長手方向位置においてカートリッジ本体に付着された第1のRFIDタグと、スレッドに付着された第2のRFIDタグであって、スレッドの近位未発射位置は、第1の長手方向位置にない第2の長手方向位置にある、第2のRFIDタグと、第1の長手方向位置及び第2の長手方向位置にない第3の長手方向位置においてカバーに付着された第3のRFIDタグと、を備える。
【0234】
実施例15.外科用器具は、発射運動を実施するように構成された発射システムと、エンドエフェクタと、RFIDリーダシステムと、コントローラと、を備える。エンドエフェクタは、アンビルと、ステープルカートリッジ支持体と、ステープルカートリッジ支持体内に位置付け可能なステープルカートリッジと、を備える。ステープルカートリッジは、近位端部と遠位端部とを備えるカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に画定された長手方向スロットと、カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、を備える。ステープルカートリッジはまた、ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、発射運動中に近位未発射位置から遠位発射位置まで移動可能なスレッドと、を備える。ステープルカートリッジはまた、近位端部においてカートリッジ本体に付着された第1のRFIDタグと、遠位端部においてカートリッジ本体に付着された第2のRFIDタグと、を備える。RFIDリーダシステムは、第1のRFIDタグから第1の信号を受信し、第2のRFIDタグから第2の信号を受信するように構成されている。コントローラは、RFIDリーダシステム及び発射システムと通信し、コントローラは、コントローラによって第1の信号及び第2の信号のうちの一方を受信するが、他方を受信しない場合に、発射システムの動作を無効化するように構成されている。
【0235】
実施例16.コントローラと通信するフィードバックシステムを更に備え、コントローラは、コントローラが発射システムの動作を無効化したときにフィードバックシステムを活動化させるように構成されている、実施例15に記載の外科用器具。
【0236】
実施例17.コントローラは、メモリデバイスに記憶された少なくとも1組のデータを備え、当該コントローラは、第1の信号及び第2の信号からのデータを1組のデータと比較するように構成され、当該コントローラは、第1の信号及び第2の信号のうちの一方からのデータが当該1組のデータと一致しない場合、発射システムを無効化するように構成されている、実施例15又は16に記載の外科用器具。
【0237】
実施例18.ステープルカートリッジは、近位端部と遠位端部とを備えるカートリッジ本体を備える。ステープルカートリッジはまた、カートリッジ本体内に画定された長手方向スロットと、カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、を含む。ステープルカートリッジはまた、発射運動中に近位未発射位置から遠位発射位置まで移動可能なスレッドと、近位端部においてカートリッジ本体に付着された第1のRFIDタグと、遠位端部においてカートリッジ本体に付着された第2のRFIDタグと、を備える。
【0238】
実施例セット3
実施例1.外科用器具は、ステープル発射システムと、エンドエフェクタと、第1のRFIDリーダと、第2のRFIDリーダと、コントローラと、を備える。エンドエフェクタは、アンビルと、ステープルカートリッジチャネルと、ステープルカートリッジチャネル内に位置付けられたステープルカートリッジと、を備える。ステープルカートリッジは、長手方向スロットを備えるカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、を含む。ステープルカートリッジはまた、ステープル発射システムによって近位未発射位置と遠位発射位置との間で移動可能なスレッドと、カートリッジ本体に付着された第1のRFIDタグと、スレッドに付着された第2のRFIDタグと、を備える。第1のRFIDリーダは、第1のRFIDタグからの第1の信号を検出するように構成され、第2のRFIDリーダは、第2のRFIDタグからの第2の信号を検出するように構成されている。コントローラは、第1のRFIDリーダ、第2のRFIDリーダ、及びステープル発射システムと通信し、コントローラは、第1のRFIDタグから第1の信号を受信するとステープルカートリッジチャネル内のステープルカートリッジの存在を検証し、またコントローラは、第2のRFIDタグから第2の信号を受信すると、ステープルカートリッジが未発射ステープルカートリッジであることを検証する。
【0239】
実施例2.コントローラは、第1の信号を受信するが、第2の信号を受信しない場合、ステープル発射システムを無効化するように構成されている、実施例1に記載の外科用器具。
【0240】
実施例3.コントローラは、第1の信号及び第2の信号を受信したとき、ステープル発射システムをロック解除するように構成されている、実施例1及び2に記載の外科用器具。
【0241】
実施例4.第1のRFIDタグは第1の動作範囲を備え、第2のRFIDタグは第2の動作範囲を備え、第1の動作範囲と第2の動作範囲は、スレッドが近位未発射位置にあるときに重複しない、実施例1~3に記載の外科用器具。
【0242】
実施例5.第1のRFIDリーダは第1の動作範囲を備え、第2のRFIDリーダは第2の動作範囲を備え、第1の動作範囲と第2の動作範囲は重複しない、実施例1~4に記載の外科用器具。
【0243】
実施例6.コントローラと通信する第3のRFIDリーダを更に備え、当該第3のRFIDリーダは、スレッドが遠位発射位置にあるときに第2のRFIDタグから第2の信号を検出するように構成されている、実施例1~5に記載の外科用器具。
【0244】
実施例7.第2のRFIDリーダは、スレッドが遠位発射位置にあるときに第2の信号を検出することができず、第3のRFIDリーダは、スレッドが近位未発射位置にあるときに第2の信号を検出することができない、実施例6に記載の外科用器具。
【0245】
実施例8.コントローラは、メモリデバイスに記憶された1組のデータを備え、当該コントローラは、第1の信号及び第2の信号からのデータを1組のデータと比較するように構成され、当該コントローラは、第1の信号及び第2の信号のうちの一方からのデータが当該1組のデータと一致しない場合、ステープル発射システムを無効化するように構成されている、実施例1~7に記載の外科用器具。
【0246】
実施例9.ステープルカートリッジは、カートリッジ本体に解放可能に取り付けられた着脱式カバーを更に備え、当該着脱式カバーは、それに付着された第3のRFIDタグを備え、第3のRFIDタグは第3の信号を放出するように構成され、外科用器具は、着脱式カバーがカートリッジ本体に取り付けられているときに第3の信号を受信するように構成された第3のRFIDリーダを更に備え、第3のRFIDリーダは、着脱式カバーがカートリッジ本体から取り外されているときに第3の信号を受信することができない、実施例1~8に記載の外科用器具。
【0247】
実施例10.第1のRFIDタグはアクティブRFIDタグを含み、第2のRFIDタグはアクティブRFIDタグを含む、実施例1~9に記載の外科用器具。
【0248】
実施例11.第1のRFIDタグはパッシブRFIDタグを含み、第2のRFIDタグはパッシブRFIDタグを含む、実施例1~9に記載の外科用器具。
【0249】
実施例12.外科用器具が、ステープル発射システムと、エンドエフェクタと、第1のRFIDリーダと、第2のRFIDリーダと、コントローラと、を備える。エンドエフェクタは、アンビルと、ステープルカートリッジ支持体と、ステープルカートリッジ支持体内に位置付けられたステープルカートリッジと、を備える。ステープルカートリッジは、長手方向スロットを備えるカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、を含む。ステープルカートリッジはまた、ステープル発射システムによって近位未発射位置と遠位発射位置との間で移動可能なスレッドと、カートリッジ本体に装着された第1のRFIDタグと、スレッドに装着された第2のRFIDタグと、を備える。第1のRFIDリーダは、第1のRFIDタグから第1の信号を受信するように構成されている。第2のRFIDリーダは、第2のRFIDタグから第2の信号を受信するように構成されている。コントローラは、第1のRFIDリーダ、第2のRFIDリーダ、及びステープル発射システムと通信し、コントローラは、第1のRFIDタグから第1の信号を受信するとステープルカートリッジチャネル内のステープルカートリッジの存在を検証し、またコントローラは、第2のRFIDタグから第2の信号を受信すると、ステープルカートリッジが未発射ステープルカートリッジであることを検証する。
【0250】
実施例13.外科用器具は、ステープル発射システムと、エンドエフェクタと、第1のRFIDリーダと、第2のRFIDリーダと、コントローラと、を備える。エンドエフェクタは、アンビルと、ステープルカートリッジチャネルと、ステープルカートリッジチャネル内に位置付けられたステープルカートリッジと、を備える。ステープルカートリッジは、長手方向スロットを備えるカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、を備える。ステープルカートリッジはまた、カートリッジ本体に解放可能に取り付けられた着脱式カバーと、ステープル発射システムによって近位未発射位置と遠位発射位置との間で移動可能なスレッドと、カートリッジ本体に付着された第1のRFIDタグと、着脱式カバーに付着された第2のRFIDタグと、を備える。第1のRFIDリーダは、第1のRFIDタグから第1の信号を検出するように構成されている。第2のRFIDリーダは、第2のRFIDタグから第2の信号を検出するように構成されている。コントローラは、第1のRFIDリーダ、第2のRFIDリーダ、及びステープル発射システムと通信し、コントローラは、第1のRFIDタグから第1の信号を受信するとステープルカートリッジチャネル内のステープルカートリッジの存在を検証し、またコントローラは、第2のRFIDタグから第2の信号を受信すると、ステープルカートリッジが無損傷のステープルカートリッジであることを検証する。
【0251】
実施例14.コントローラは、第1の信号を受信するが、第2の信号を受信しない場合、ステープル発射システムを無効化するように構成されている、実施例13に記載の外科用器具。
【0252】
実施例15.コントローラは、第1の信号及び第2の信号を受信したとき、ステープル発射システムをロック解除するように構成されている、実施例13及び14に記載の外科用器具。
【0253】
実施例16.第1のRFIDタグは第1の動作範囲を備え、第2のRFIDタグは第2の動作範囲を備え、第1の動作範囲と第2の動作範囲は、カバーがカートリッジ本体に取り付けられているときに重複しない、実施例13~15に記載の外科用器具。
【0254】
実施例17.第1のRFIDリーダは第1の動作範囲を備え、第2のRFIDリーダは第2の動作範囲を備え、第1の動作範囲と第2の動作範囲は重複しない、実施例13~16に記載の外科用器具。
【0255】
実施例18.コントローラは、メモリデバイスに記憶された1組のデーを備え、当該コントローラは、第1の信号及び第2の信号からのデータを1組のデータと比較するように構成され、当該コントローラは、第1の信号及び第2の信号のうちの一方からのデータが当該1組のデータと一致しない場合、ステープル発射システムを無効化するように構成されている、実施例13~17に記載の外科用器具。
【0256】
実施例セット4
実施例1.外科用器具は、エンドエフェクタとRFIDリーダとを備える。エンドエフェクタは、近位端部と、遠位端部と、近位端部と遠位端部との間に延在する長手方向軸線と、を備える。エンドエフェクタはまた、アンビルと、ステープルカートリッジチャネルと、ステープルカートリッジチャネル内に位置付けられたステープルカートリッジと、を備える。ステープルカートリッジは、長手方向スロットを備えるカートリッジ本体と、カートリッジ本体に解放可能に取り付けられた着脱式カバーと、カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、を備える。ステープルカートリッジはまた、ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、ステープル発射ストローク中に長手方向スロットに対して移動可能なスレッドと、タグ平面内でステープルカートリッジに装着されたRFIDタグと、を備える。RFIDリーダは誘導コイルレシーバを備え、当該誘導コイルレシーバは、レシーバ平面内でステープルカートリッジチャネルの側壁に装着され、レシーバ平面は、タグ平面と実質的に平行であり、レシーバ平面は、長手方向軸線に実質的に平行である。
【0257】
実施例2.RFIDタグはカートリッジ本体に装着されている、実施例1に記載の外科用器具。
【0258】
実施例3.カートリッジ本体は、第1の側壁と、第2の側壁と、第1の側壁と第2の側壁との間に延在するデッキと、を備え、ステープルキャビティは当該デッキ内に画定され、RFIDタグは、第1の側壁に装着されている、実施例1及び2に記載の外科用器具。
【0259】
実施例4.RFIDタグは、第1の側壁の外側表面に装着されている、実施例3に記載の外科用器具。
【0260】
実施例5.RFIDタグは、第1の側壁の内側表面に装着されている、実施例3に記載の外科用器具。
【0261】
実施例6.RFIDタグは第1の側壁内に埋め込まれている、実施例3に記載の外科用器具。
【0262】
実施例7.RFIDタグは第1の側壁の中に一体成形されている、実施例6に記載の外科用器具。
【0263】
実施例8.第1の側壁は、その中に画定された凹部を備え、RFIDタグは、当該凹部内に着座されている、実施例3に記載の外科用器具。
【0264】
実施例9.凹部は凹部周囲を画定し、RFIDタグは、当該凹部周囲と一致するタグ周囲を備える、実施例8に記載の外科用器具。
【0265】
実施例10.RFIDタグはスレッドに装着されている、実施例1に記載の外科用器具。
【0266】
実施例11.スレッドは、長手方向スロット内に位置付けられた長手方向部分を備え、RFIDタグは、当該長手方向部分に付着されている、実施例10に記載の外科用器具。
【0267】
実施例12.RFIDタグは当該長手方向部分の中に一体成形されている、実施例11に記載の外科用器具。
【0268】
実施例13.長手方向部分は、その中に画定された凹部を備え、RFIDタグは、当該凹部内に着座されている、実施例10に記載の外科用器具。
【0269】
実施例14.凹部は凹部周囲を画定し、RFIDタグは、当該凹部周囲と一致するタグ周囲を備える、実施例13に記載の外科用器具。
【0270】
実施例15.側壁は、第1の横方向側壁と第2の横方向側壁との間に延在する底部側壁を含む、実施例10に記載の外科用器具。
【0271】
実施例16.側壁は、底部側壁から延在する横方向側壁を備える、実施例10に記載の外科用器具。
【0272】
実施例17.ステープルキャビティ内に移動可能に位置付けられたステープルドライバを更に備え、スレッドは、発射ストローク中にステープルキャビティからステープルを排出するためにステープルドライバに係合するように構成されたレールを備え、RFIDタグは当該レールのうちの1つに装着されている、実施例10に記載の外科用器具。
【0273】
実施例18.RFIDタグは着脱式カバーに付着されている、実施例1に記載の外科用器具。
【0274】
実施例19.着脱式カバーはステープルキャビティの上方で延在し、着脱式カバーは、カートリッジ本体と解放可能に係合されるラッチと、長手方向スロット内に位置付けられる長手方向フィンとを備え、RFIDタグは長手方向フィンに装着されている、実施例18に記載の外科用器具。
【0275】
実施例20.RFIDタグは当該長手方向フィンの中に一体成形されている、実施例19に記載の外科用器具。
【0276】
実施例21.長手方向フィンは、その中に画定された凹部を備え、RFIDタグは、当該凹部内に着座されている、実施例18に記載の外科用器具。
【0277】
実施例22.凹部は凹部周囲を画定し、RFIDタグは、当該凹部周囲と一致するタグ周囲を備える、実施例21に記載の外科用器具。
【0278】
実施例23.RFIDタグは、ベースと、ベースに装着されたマイクロチップと、ベースに装着されたチップアンテナと、を備え、チップアンテナは、誘導コイルレシーバのレシーバアンテナと実質的に平行である、実施例1~22に記載の外科用器具。
【0279】
実施例24.チップアンテナは、チップアンテナ軸線を中心として円周方向にあり、レシーバアンテナは、レシーバアンテナ軸線を中心として円周方向にあり、チップアンテナ軸線とレシーバアンテナ軸線は共線をなす、実施例1~23に記載の外科用器具。
【0280】
実施例25.チップアンテナは、チップアンテナ軸線を中心として円周方向にあり、レシーバアンテナは、レシーバアンテナ軸線を中心として円周方向にあり、チップアンテナ軸線及びレシーバアンテナ軸線は長手方向軸線に直交する、実施例1~23に記載の外科用器具。
【0281】
実施例26.外科用器具は、エンドエフェクタとRFIDリーダとを備える。エンドエフェクタは、ステープルカートリッジ支持体と、ステープルカートリッジ支持体内に位置付けられたステープルカートリッジと、を備える。ステープルカートリッジは、長手方向スロットを備えるカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、を含む。ステープルカートリッジはまた、ステープルカートリッジに装着されたRFIDタグを備え、RFIDタグは、ベースと、当該ベースに装着されたタグアンテナと、を備え、タグアンテナはタグ平面内に画定される。RFIDリーダは誘導コイルレシーバを備え、当該誘導コイルレシーバは、レシーバ平面内でステープルカートリッジ支持体に装着され、レシーバ平面は、タグ平面と実質的に平行である。
【0282】
実施例27.外科用器具のエンドエフェクタは、ステープルカートリッジ支持体と、ステープルカートリッジと、RFIDリーダと、を備える。ステープルカートリッジは、ステープルカートリッジ支持体内に位置付けられ、カートリッジ本体内に画定された長手方向スロットとステープルキャビティとを備えるカートリッジ本体を備える。ステープルカートリッジはまた、ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、ステープルカートリッジに装着されたRFIDタグと、を備え、RFIDタグは、タグ平面内に画定されたタグアンテナを備える。RFIDリーダはレシーバアンテナを備え、当該レシーバアンテナは、レシーバ平面内でステープルカートリッジ支持体に装着され、レシーバ平面は、タグ平面と平行である。
【0283】
実施例セット5
実施例1.外科用システムは、外科用器具と、交換可能なステープルカートリッジと、リテーナと、RFIDスキャナと、コントローラと、を備える。外科用器具は、細長いシャフトと、当該細長いシャフトから延在するエンドエフェクタと、を備え、エンドエフェクタは第1のジョーと第2のジョーとを備える。交換可能なステープルカートリッジは、第1のジョー内に着座されるように構成され、交換可能なステープルカートリッジは、第1のジョー内に着座される前にパッケージ内に格納され、パッケージは第1のRFIDタグを備え、第1のRFIDタグは、第1の組の暗号化された情報を備え、交換可能なステープルカートリッジは、カートリッジデッキを備えるカートリッジ本体と、当該カートリッジ本体内に着脱可能に格納されるステープルと、ステープル発射ストローク中にステープルをカートリッジ本体から外に駆動するように構成されたスレッドと、第2の組の暗号化された情報を備える第2のRFIDタグと、を備える。リテーナは、交換可能なステープルカートリッジに解放可能に取り付けられ、リテーナは、カートリッジデッキの上方で延在し、リテーナは、第3の組の暗号化された情報を備える第3のRFIDタグを備える。RFIDスキャナは、第1の組の暗号化された情報、第2の組の暗号化された情報、及び第3の組の暗号化された情報を受信するように構成されている。コントローラは、復号化プロトコルを実施するように構成され、コントローラは第1の内部鍵を備え、コントローラは、第1の組の暗号化された情報を復号化するために第1の内部鍵を使用し、コントローラは、第1の組の暗号化された情報がコントローラによって認識された場合に第2の内部鍵を解放し、コントローラは、第2の組の暗号化された情報を復号化するために第2の内部鍵を使用し、コントローラは、第2の組の暗号化された情報がコントローラによって認識された場合に第3の内部鍵を解放し、コントローラは、第3の組の暗号化された情報を復号化するために第3の内部鍵を使用し、コントローラは、第1の組の暗号化された情報、第2の組の暗号化された情報、及び第3の組の暗号化された情報のうちの少なくとも1つが認識され得ない場合に、外科用器具がステープル発射ストロークを実施することを防止する。
【0284】
実施例2.コントローラは、第1の組の暗号化された情報、第2の組の暗号化された情報、及び第3の組の暗号化された情報のうちの少なくとも1つをコントローラが復号化することができない場合、外科用器具がステープル発射ストロークを実施することを防止する、実施例1に記載の外科用システム。
【0285】
実施例3.RFIDスキャナは、第1の質問信号に応答して、第1の組の暗号化された情報を受信するように構成されている、実施例1又は2に記載の外科用システム。
【0286】
実施例4.コントローラは、RFIDスキャナが第1の質問信号に応答して、第1の組の暗号化された情報を受信しない場合に、外科用器具がステープル発射ストロークを実施することを防止する、実施例3に記載の外科用システム。
【0287】
実施例5.RFIDスキャナは、第2の質問信号に応答して、第2の組の暗号化された情報を受信するように構成されている、実施例3又は4に記載の外科用システム。
【0288】
実施例6.RFIDスキャナは、コントローラが第1の組の暗号化された情報を認識することができない場合に、第2の質問信号を伝送しない、実施例5に記載の外科用器具。
【0289】
実施例7.RFIDスキャナは、第3の質問信号に応答して、第3の組の暗号化された情報を受信するように構成されている、実施例5又は6に記載の外科用システム。
【0290】
実施例8.RFIDスキャナは、コントローラが第2の組の暗号化された情報を認識することができない場合に、第3の質問信号を伝送しない、実施例7に記載の外科用器具。
【0291】
実施例9.RFIDスキャナは、読み取り能力と書き込み能力を備える、実施例1~8のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0292】
実施例10.外科用システムは、外科用器具と、交換可能なステープルカートリッジと、当該交換可能なステープルカートリッジに解放可能に取り付けられたリテーナと、第1の組の暗号化された情報を含む第1のRFIDタグと、第2の組の暗号化された情報を含む第2のRFIDタグと、第1の組の暗号化された情報及び第2の組の暗号化された情報を受信するように構成されたRFIDスキャナと、第1の内部鍵を備えるコントローラと、を備える。外科用器具は、細長いシャフトと、当該細長いシャフトから延在するエンドエフェクタと、を備え、エンドエフェクタは第1のジョーと第2のジョーとを備える。交換可能なステープルカートリッジは、第1のジョー内に着座されるように構成され、交換可能なステープルカートリッジは、カートリッジデッキを備えたカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に着脱可能に格納されたステープルと、ステープル発射ストローク中にステープルをカートリッジ本体から外に駆動するように構成されたスレッドと、を備える。リテーナは、カートリッジデッキの上方で延在する。コントローラは、第1の組の暗号化された情報を復号化するために第1の内部鍵を使用し、コントローラは、第1の組の暗号化された情報がコントローラによって認識された場合に、第2の内部鍵を解放し、コントローラは、第2の組の暗号化された情報を復号化するために第2の内部鍵を使用し、コントローラは、第1の組の暗号化された情報及び第2の組の暗号化された情報の少なくとも一方が認識され得ない場合に、外科用器具が動作機能を実施することを防止する。
【0293】
実施例11.当該動作機能はステープル発射ストロークを含む、実施例10に記載の外科用システム。
【0294】
実施例12.コントローラはメモリを備え、1組の適合する情報がメモリに記憶され、コントローラは、第1の組の暗号化された情報及び第2の組の暗号化された情報の少なくとも一方が当該1組の適合する情報に対応しない場合に、外科用器具が動作機能を実施することを防止する、実施例10又は11に記載の外科用システム。
【0295】
実施例13.第1のRFIDタグは、交換可能なステープルカートリッジ上に位置付けられている、実施例10~12のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0296】
実施例14.第2のRFIDタグはリテーナ上に位置付けられている、実施例10~13のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0297】
実施例15.RFIDスキャナは、第1の質問信号に応答して、第1の組の暗号化された情報を受信するように構成されている、実施例10~14のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0298】
実施例16.コントローラは、RFIDスキャナが第1の質問信号に応答して、第1の組の暗号化された情報を受信しない場合に、外科用器具がステープル発射ストロークを実施することを防止する、実施例15に記載の外科用システム。
【0299】
実施例17.RFIDスキャナは、第2の質問信号に応答して、第2の組の暗号化された情報を受信するように構成されている、実施例15又は16に記載の外科用システム。
【0300】
実施例18.RFIDスキャナは、コントローラが第1の組の暗号化された情報を認識することができない場合に、第2の質問信号を伝送しない、実施例17に記載の外科用器具。
【0301】
実施例19.第3のRFIDタグを更に備え、交換可能なステープルカートリッジは、第1のジョー内に着座される前にパッケージ内に格納され、第3のRFIDタグは、パッケージ上に位置付けられている、実施例10~18のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0302】
実施例20.外科用システムは、外科用器具と、交換可能なステープルカートリッジと、交換可能なステープルカートリッジに解放可能に取り付けられたリテーナと、RFIDスキャナと、第1の内部鍵を備えるコントローラと、を備える。外科用器具は、細長いシャフトと、当該細長いシャフトから延在するエンドエフェクタと、を備え、エンドエフェクタは第1のジョーと第2のジョーとを備える。交換可能なステープルカートリッジは、第1のジョー内に着座されるように構成され、交換可能なステープルカートリッジは、第1のジョー内に着座される前にパッケージ内に格納され、パッケージは第1のRFIDタグを備え、第1のRFIDタグは、第1の組の暗号化された情報を備え、交換可能なステープルカートリッジは、カートリッジデッキを備えるカートリッジ本体と、当該カートリッジ本体内に着脱可能に格納されるステープルと、ステープル発射ストローク中にステープルをカートリッジ本体から外に駆動するように構成されたスレッドと、第2の組の暗号化された情報を備える第2のRFIDタグと、を備える。リテーナは、カートリッジデッキの上方で延在し、第3の組の暗号化された情報を備える第3のRFIDタグを備える。RFIDスキャナは、第1の組の暗号化された情報、第2の組の暗号化された情報、及び第3の組の暗号化された情報を受信するように構成されている。コントローラは、第1の組の暗号化された情報を復号化するために第1の内部鍵を使用し、コントローラは、第1の組の暗号化された情報が外科用システムとの使用に適合するとコントローラが判定した場合に第2の内部鍵を解放し、コントローラは、第2の組の暗号化された情報を復号化するために第2の内部鍵を使用し、コントローラは、第2の組の暗号化された情報が外科用システムとの使用に適合するとコントローラが判定した場合に第3の内部鍵を解放し、コントローラは、第3の組の暗号化された情報を復号化するために第3の内部鍵を使用し、外科用器具は、第1の組の暗号化された情報、第2の組の暗号化された情報、及び第3の組の暗号化された情報のうちの少なくとも1つが外科用システムとの使用に適合しない場合に動作不能となる。
【0303】
実施例セット6
実施例1.外科用システムは、外科用器具と、RFIDスキャナと、コントローラと、遠隔記憶システムと、を備える。外科用器具は、エンドエフェクタと、交換可能なステープルカートリッジと、リテーナと、を備える。エンドエフェクタは、第1のジョー及び第2のジョーを備える。交換可能なステープルカートリッジは、第1のジョー内に着座されるように構成され、交換可能なステープルカートリッジは、カートリッジデッキを備えたカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に着脱可能に格納されたステープルと、第1の組の情報を備える第1のRFIDタグと、第2の組の情報を備える第2のRFIDタグを備えるスレッドであって、ステープル発射ストローク中にステープルをカートリッジ本体から外に駆動するように構成された、スレッドと、を備える。リテーナは、交換可能なステープルカートリッジに着脱可能に取り付けられ、リテーナは、カートリッジデッキに隣接して位置付けられ、リテーナは、第3の組の情報を備える第3のRFIDタグを備え、第1の組の情報と、第2の組の情報と、第3の組の情報は集合的に、固有の組み合わせを形成し、当該固有の組み合わせは、交換可能なステープルカートリッジを表す。RFIDスキャナは、第1の組の情報、第2の組の情報、及び第3の組の情報を受信するように構成されている。コントローラは、RFIDスキャナと通信する。遠隔記憶システムは、1組の適合する組み合わせを備え、コントローラは、交換可能なステープルカートリッジが外科用器具との使用に適合するかどうかを判定するために、当該固有の組み合わせと当該1組の適合する組み合わせとを比較し、コントローラは、当該固有の組み合わせが外科用器具との使用に適合しないとコントローラが判定した場合に、外科用器具の少なくとも1つの動作を防止する。
【0304】
実施例2.当該1組の適合する組み合わせは、交換可能なステープルカートリッジに関連付けられる固有の組み合わせのリストを含む、実施例1に記載の外科用システム。
【0305】
実施例3.当該1組の適合する組み合わせはリコール情報を含み、コントローラは、交換可能なステープルカートリッジ及びリテーナの少なくとも一方がリコールされた場合に、外科用器具の少なくとも1つの動作を防止する、実施例1又は2に記載の外科用システム。
【0306】
実施例4.外科用システムの少なくとも1つの動作はステープル発射ストロークを含む、実施例1~3のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0307】
実施例5.交換可能なステープルカートリッジは、第1のジョー内に着座される前にパッケージ内に格納され、当該固有の組み合わせは、暗号化された形式でパッケージ上に表示されている、実施例1~4のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0308】
実施例6.遠隔記憶システムは、暗号化された形式の当該固有の組み合わせを復号化するように構成された復号化プロトコルを備える、実施例5に記載の外科用システム。
【0309】
実施例7.暗号化された形式の当該固有の組み合わせはパッケージ上に印刷されている、実施例5又は6に記載の外科用システム。
【0310】
実施例8.第1のRFIDタグ、第2のRFIDタグ、及び第3のRFIDタグは、暗号化された情報を備える、実施例1~7のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0311】
実施例9.遠隔記憶システムは、第1のRFIDタグ、第2のRFIDタグ、及び第3のRFIDタグ上に備えられた当該暗号化された情報を復号化するように構成された復号化プロトコルを備える、実施例8に記載の外科用システム。
【0312】
実施例10.RFIDスキャナは、第1の質問信号に応答して、第1の組の情報を受信するように構成されている、実施例1~9のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0313】
実施例11.コントローラは外科用器具上に位置付けられている、実施例1~10のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0314】
実施例12.コントローラは、外科用器具に対して遠隔に位置付けられている、実施例1~10のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0315】
実施例13.外科用システムは、外科用器具と、交換可能なステープルカートリッジと、リテーナと、第1のRFIDタグと、第2のRFIDタグと、第3のRFIDタグと、RFIDスキャナと、コントローラと、遠隔記憶システムと、を備える。交換可能なステープルカートリッジは、カートリッジデッキを備えるカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に着脱可能に位置付けられたステープルと、ステープル発射ストローク中にカートリッジ本体から外にステープルを駆動するように構成されたスレッドと、を備える。リテーナは、交換可能なステープルカートリッジに着脱可能に取り付けられ、リテーナは、カートリッジデッキに隣接して位置付けられる。第1のRFIDタグは第1の組の情報を備え、第2のRFIDタグは第2の組の情報を備え、第3のRFIDタグは第3の組の情報を備え、第1の組の情報、第2の組の情報、及び第3の組の情報は、集合的に固有の組み合わせを形成する。RFIDスキャナは、第1の組の情報、第2の組の情報、及び第3の組の情報を受信するように構成されている。コントローラは、RFIDスキャナと通信する。遠隔記憶システムは、1組の適合する組み合わせを備え、コントローラは、交換可能なステープルカートリッジが外科用器具との使用に適合するかどうかを判定するために、当該固有の組み合わせと当該1組の適合する組み合わせとを比較し、コントローラは、当該交換可能なステープルカートリッジが外科用システムとの使用に適合しないとコントローラが判定した場合に、外科用システムの少なくとも1つの動作を防止する。
【0316】
実施例14.当該1組の適合する組み合わせは、個々の交換可能なステープルカートリッジに関連付けられる固有の組み合わせのリストを含む、実施例13に記載の外科用システム。
【0317】
実施例15.当該1組の適合する組み合わせはリコール情報を含み、コントローラは、交換可能なステープルカートリッジがリコールされた場合に、外科用器具の少なくとも1つの動作を防止する、実施例13又は14に記載の外科用システム。
【0318】
実施例16.外科用システムの少なくとも1つの動作はステープル発射ストロークを含む、実施例13~15のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0319】
実施例17.交換可能なステープルカートリッジは、外科用器具の第1のジョー内に着座される前にパッケージ内に格納され、当該固有の組み合わせは、暗号化された形式でパッケージ上に表示されている、実施例13~16のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0320】
実施例18.第1のRFIDタグ、第2のRFIDタグ、及び第3のRFIDタグは、暗号化された情報を備える、実施例13~17のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0321】
実施例19.遠隔記憶システムは、第1のRFIDタグ、第2のRFIDタグ、及び第3のRFIDタグ上に備えられた当該暗号化された情報を復号化するように構成された復号化プロトコルを備える、実施例18に記載の外科用システム。
【0322】
実施例20.外科用システムは、外科用器具と、交換可能なステープルカートリッジと、RFIDスキャナと、コントローラと、遠隔記憶システムと、を備える。交換可能なステープルカートリッジは、カートリッジデッキを備えるカートリッジ本体と、当該カートリッジ本体内に着脱可能に格納されるステープルと、第1の組の暗号化された情報を備える第1のRFIDタグと、第2の組の暗号化された情報を備える第2のRFIDタグとを備えるスレッドと、を備え、当該スレッドは、ステープル発射ストローク中にカートリッジ本体から外にステープルを駆動するように構成され、当該第1の組の暗号化された情報と当該第2の組の暗号化された情報は、集合的に固有の組み合わせを形成し、当該固有の組み合わせは、交換可能なステープルカートリッジを表す。RFIDスキャナは、第1の組の暗号化された情報及び第2の組の暗号化された情報を受信するように構成されている。コントローラは、RFIDスキャナと通信する。遠隔記憶システムは、復号化プロトコルと、1組の適合する組み合わせと、を備え、遠隔記憶システムは、交換可能なステープルカートリッジが外科用器具との使用に適合するかどうかを判定するために、当該固有の組み合わせを復号化し、当該復号化された固有の組み合わせと当該1組の適合する組み合わせとを比較し、コントローラは、当該交換可能なステープルカートリッジが外科用器具との使用に適合しないとコントローラが判定した場合に、外科用器具の少なくとも1つの動作を防止する。
【0323】
実施例セット7
実施例1.外科用ステープル留め器具は、細長いシャフトと、エンドエフェクタと、交換可能なステープルカートリッジと、RFIDスキャナと、コントローラと、ロックアウト部材と、ソレノイドと、を備える。エンドエフェクタは、第1のジョー及び第2のジョーを備える。交換可能なステープルカートリッジは、第1のジョー内に着座されるように構成され、交換可能なステープルカートリッジは、カートリッジデッキを備えたカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に着脱可能に格納されたステープルと、ステープル発射ストローク中にステープルをカートリッジ本体から外に駆動するように構成されたスレッドであって、近位部分を備える、スレッドと、記憶された情報を備えるRFIDタグと、を備える。RFIDスキャナは、交換可能なステープルカートリッジが第1のジョー内に着座されているときに、RFIDタグと通信するように構成されている。ロックアウト部材は、近位端部と遠位端部とを備え、ロックアウト部材の遠位端部は、交換可能なステープルカートリッジが第1のジョー内に着座されているときに、スレッドの近位部分に接触する。ソレノイドは、アクティブ構成及び非アクティブ構成として構成可能であり、ソレノイドは、ハウジングと、ボルトと、弾性部材と、誘導コイルと、を備え、コントローラは、交換可能なステープルカートリッジが外科用ステープル留め器具との使用に適合するとコントローラが判定したときに、ソレノイドをアクティブ構成に配置し、ボルト及び弾性部材は、ソレノイドがアクティブ構成にあるときに、完全にハウジング内に位置付けられ、コントローラは、交換可能なステープルカートリッジが外科用ステープル留め器具との使用に適合しないことを示す信号をRFIDスキャナがRFIDタグから受信した場合に、ソレノイドを非アクティブ構成に配置し、ボルトの一部分は、ソレノイドが非アクティブ構成にあるときに、ハウジングの外側に延出し、ボルトの当該一部分は、ソレノイドが非アクティブ構成にあるときに、ロックアウト部材の近位移動を防止し、ロックアウト部材は、交換可能なステープルカートリッジが第1のジョー内に着座され、ソレノイドが非アクティブ構成にあるときに、スレッドを遠位に押圧する。
【0324】
実施例2.外科用ステープル留め器具は、交換可能なステープルカートリッジが外科用ステープル留め器具と適合しないとコントローラが判定したときに、ステープル留め発射ストロークを実施することができない、実施例1に記載の外科用ステープル留め器具。
【0325】
実施例3.ロックアウト部材によって引き起こされるスレッドの遠位移動は、外科用ステープル留め器具がステープル発射ストロークを実施することを防止する、実施例1又は2に記載の外科用ステープル留め器具。
【0326】
実施例4.ステープル発射ストローク中に発射経路に沿ってスレッドを並進させるように構成された発射部材を更に備える、実施例1~3のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0327】
実施例5.ロックアウト部材の近位端部は、横方向突出部を備え、当該横方向突出部の一部分は発射部材と係合する、実施例4に記載の外科用ステープル留め器具。
【0328】
実施例6.チャネルが、カートリッジ本体内に画定され、ロックアウト部材の遠位端部は、当該チャネルのうちの1つに受容されるようにサイズ決定されている、実施例1~5のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0329】
実施例7.ソレノイドは、適合するステープルカートリッジがコントローラによって検出されるまで、非アクティブ構成にある、実施例1~6のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0330】
実施例8.ソレノイドは、交換可能なステープルカートリッジが第1のジョー内に着座されていないときに、非アクティブ構成にある、実施例1~7のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0331】
実施例9.電気モータと電源とを更に備え、当該電源は、ソレノイドが非アクティブ構成にあるときに、電気モータに電力を供給することを防止される、実施例1~8のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0332】
実施例10.外科用器具は、細長いシャフトと、エンドエフェクタと、交換可能なステープルカートリッジと、RFIDスキャナと、コントローラと、ロックアウト部材と、ブロックボルトシステムと、を備える。エンドエフェクタは、第1のジョー及び第2のジョーを備える。交換可能なステープルカートリッジは、第1のジョー内に着座されるように構成され、交換可能なステープルカートリッジは、カートリッジデッキを備えたカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に着脱可能に格納されたステープルと、ステープル発射ストローク中にステープルをカートリッジ本体から外に駆動するように構成されたスレッドであって、近位部分を備える、スレッドと、記憶された情報を備えるRFIDタグと、を備える。RFIDスキャナは、交換可能なステープルカートリッジが第1のジョー内に着座されているときに、RFIDタグと通信するように構成されている。ロックアウト部材は近位端部と遠位端部とを備え、ロックアウト部材の遠位端部は、交換可能なステープルカートリッジが第1のジョー内に着座されているときに、スレッドの近位部分に接触し、ロックアウト部材は、交換可能なステープルカートリッジが外科用器具との使用に適合するとコントローラが判定すると、経路に沿って近位に並進するように構成されている。ブロックボルトシステムは、ハウジングと、ボルトと、弾性部材と、誘導コイルと、を備え、コントローラは、交換可能なステープルカートリッジが外科用器具との使用に適合するとコントローラが判定すると、ブロックボルトシステムをアクティブ構成に配置し、ボルトは、ブロックボルトシステムがアクティブ構成にあるときに、ロックアウト部材の経路の外側に位置付けられ、コントローラは、交換可能なステープルカートリッジが外科用器具との使用に適合しないとコントローラが判定すると、ブロックボルトシステムを非アクティブ構成に配置し、ボルトは、ブロックボルトシステムが非アクティブ構成にあるときに、ロックアウト部材の経路内に位置付けられ、ボルトは、ブロックボルトシステムが非アクティブ構成にあるときに、ロックアウト部材の近位並進を防止し、ロックアウト部材は、交換可能なステープルカートリッジが第1のジョー内に着座され、ブロックボルトシステムが非アクティブ構成にあるときに、スレッドを遠位に押圧する。
【0333】
実施例11.コントローラは、RFIDスキャナがRFIDタグから信号を受信することに失敗するときに、交換可能なステープルカートリッジが外科用器具との使用に適合しないと判定する、実施例10に記載の外科用器具。
【0334】
実施例12.コントローラは、RFIDスキャナが、適合しないステープルカートリッジを表すデータを備える信号をRFIDタグから受信したときに、交換可能なステープルカートリッジが外科用器具との使用に適合しないと判定する、実施例10に記載の外科用器具。
【0335】
実施例13.適合しないステープルカートリッジは使用済みのステープルカートリッジを含む、実施例12に記載の外科用器具。
【0336】
実施例14.外科用器具は、交換可能なステープルカートリッジが外科用器具と適合しないとコントローラが判定したときに、ステープル留め発射ストロークを実施することができない、実施例10~13のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0337】
実施例15.ロックアウト部材によって引き起こされるスレッドの遠位移動は、外科用器具がステープル発射ストロークを実施することを防止する、実施例10~14に記載のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0338】
実施例16.ステープル発射ストローク中に発射経路に沿ってスレッドを並進させるように構成された発射部材を更に備え、ロックアウト部材の近位端部は横方向突出部を備え、当該横方向突出部の一部分は発射部材と係合する、実施例10~15のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0339】
実施例17.チャネルが、カートリッジ本体内に画定され、ロックアウト部材の遠位端部は、当該チャネルのうちの1つに受容されるようにサイズ決定されている、実施例10~16のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0340】
実施例18.RFIDスキャナは、RFIDタグに質問信号を伝送し、ブロックボルトシステムは、RFIDスキャナが質問信号に対する応答信号を受信することに失敗するとき、非アクティブ構成にある、実施例10又は12~17のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0341】
実施例19.電気モータと電源とを更に備え、当該電源は、ブロックボルトシステムが非アクティブ構成にあるときに、電気モータに電力を供給することを防止される、実施例10~18のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0342】
実施例20.外科用器具と共に使用するための交換可能なステープルカートリッジであって、カートリッジデッキを備えるカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に着脱可能に位置付けられたステープルと、ステープル発射ストローク中にステープルをカートリッジ本体から外に駆動するように構成されたスレッドと、記憶された情報を備えるRFIDタグと、を備え、RFIDタグは、交換可能なステープルカートリッジが外科用器具に取り付けられているときに、外科用器具のRFIDスキャナと通信し、スレッドは、交換可能なステープルカートリッジが外科用器具との使用に適合しないと外科用器具のコントローラが判定したときに、交換可能なステープルカートリッジ内で遠位に前進され、コントローラは、判定された適合しないステープルカートリッジが外科用器具に取り付けられているときに、外科用器具がステープル発射ストロークを実施することを防止する。
【0343】
実施例セット8
実施例1.外科用システムは、エンドエフェクタを備える外科用器具と、交換可能なステープルカートリッジと、RFIDタグと、RFIDスキャナと、コントローラと、を備える。エンドエフェクタは、第1のジョー及び第2のジョーを備える。交換可能なステープルカートリッジは、第1のジョー内に着座されるように構成され、交換可能なステープルカートリッジは、近位端部と、遠位端部と、カートリッジデッキを備えたカートリッジ本体と、近位端部から遠位端部に向かって延在する細長いスロットと、カートリッジ本体内に着脱可能に格納されたステープルと、当該細長いスロットに沿って並進し、ステープル発射ストローク中にステープルをカートリッジ本体から外に駆動するように構成されたスレッドと、を備える。RFIDタグは、記憶された情報を備え、RFIDタグは、外科用器具の事前定義された作動後に動作不能となる。RFIDスキャナは、RFIDタグに第1の信号を伝送するように構成されており、RFIDスキャナは、第1の信号に応答してRFIDタグから第2の信号を受信するように構成されている。コントローラは、RFIDスキャナが第1の信号に応答してRFIDタグから第2の信号を受信しないときに、外科用器具の少なくとも1つの動作を防止する。
【0344】
実施例2.外科用器具の少なくとも1つの動作はステープル発射ストロークを含む、実施例1に記載の外科用システム。
【0345】
実施例3.外科用器具の事前定義された作動は、ステープル発射ストロークの開始を含む、実施例1又は2に記載の外科用システム。
【0346】
実施例4.外科用器具の事前定義された作動は、スレッドの遠位移動を含む、実施例1又は2に記載の外科用システム。
【0347】
実施例5.コントローラは、第2の信号の記憶された情報が適合しない交換可能なステープルカートリッジに対応するとコントローラが判定したときに、外科用器具の少なくとも1つの動作を防止する、実施例1~4のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0348】
実施例6.RFIDタグは、細長いスロットを横断する部分を備え、スレッドは、ステープル発射ストローク中に当該部分を横切し、RFIDタグは、当該部分が横切された後に、RFIDスキャナと通信することができない、実施例1~5のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0349】
実施例7.RFIDスキャナは、RFIDタグに第3の信号を伝送するように構成されており、第3の信号は、RFIDタグの閾値電力レベルを超える電力レベルで伝送され、第3の信号は、RFIDタグを動作不能にする、実施例1~6のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0350】
実施例8.RFIDタグの少なくとも一部分は、第3の信号に応答して融解する、実施例7に記載の外科用システム。
【0351】
実施例9.交換可能なステープルカートリッジに解放可能に取り付けられたリテーナを更に備え、当該リテーナは、カートリッジデッキに沿って延在し、RFIDタグは、リテーナ上に位置付けられ、RFIDタグは、リテーナが交換可能なステープルカートリッジから取り外されるときに動作不能にされる、実施例1~8のいずれか1つに記載の外科用システム。
【0352】
実施例10.RFIDタグは、リテーナが交換可能なステープルカートリッジから取り外されるときに、物理的に破壊される、実施例9に記載の外科用システム。
【0353】
実施例11.外科用器具と共に使用するための交換可能なステープルカートリッジであって、近位端部と、遠位端部と、カートリッジデッキを備えるカートリッジ本体と、近位端部から遠位端部に向かって延在する細長いスロットと、カートリッジ本体内に着脱可能に格納されたステープルと、当該細長いスロットに沿って並進し、ステープル発射ストローク中にカートリッジ本体から外にステープルを駆動するように構成されたスレッドと、交換可能なステープルカートリッジに関連する記憶された情報を備えるRFIDタグであって、外科用器具の事前定義された作動の後に動作不能にされる、RFIDタグと、外科用器具のコントローラと通信するRFIDスキャナであって、RFIDスキャナは第1の信号をRFIDタグに伝送し、RFIDスキャナは、第1の信号に応答してRFIDタグから第2の信号を受信するように構成されており、コントローラは、RFIDタグが動作不能であるときに、外科用器具の少なくとも1つの動作を防止する、RFIDスキャナと、を備える。
【0354】
実施例12.RFIDタグは、第1の通信範囲を備える第1のアンテナを備え、RFIDスキャナは、当該第1の通信範囲の外側に位置付けられている、実施例11に記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0355】
実施例13.第2の通信範囲を備える第2のアンテナを更に備え、第2のアンテナはRFIDタグと通信し、RFIDスキャナは、第2の通信範囲内に位置付けられている、実施例12に記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0356】
実施例14.第2のアンテナの一部分は、細長いスロットの近位部分を横断し、スレッドは、細長いスロットを通って遠位に並進するときに第2のアンテナの当該部分を破壊し、RFIDタグは、第2のアンテナの当該部分が破壊された後に、RFIDスキャナと通信することができない、実施例13に記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0357】
実施例15.リテーナを更に備え、当該リテーナは、カートリッジ本体に交換可能に取り付けられ、当該リテーナは、カートリッジデッキに沿って延在し、RFIDタグは、当該リテーナが交換可能なステープルカートリッジから取外されるときに動作不能にされる、実施例11~14のいずれか1つに記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0358】
実施例16.外科用器具の少なくとも1つの動作はステープル発射ストロークを含む、実施例11~15のいずれか1つに記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0359】
実施例17.外科用器具の事前定義された作動は、ステープル発射ストロークの開始を含む、実施例11~16のいずれか1つに記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0360】
実施例18.外科用器具の事前定義された作動は、スレッドの遠位移動を含む、実施例11~16のいずれか1つに記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0361】
実施例19.外科用器具のコントローラは、第2の信号の記憶された情報が適合しない交換可能なステープルカートリッジに対応するとコントローラが判定したときに、外科用器具の少なくとも1つの動作を防止する、実施例11~18のいずれか1つに記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0362】
実施例20.外科用システムは、外科用器具と、交換可能なステープルカートリッジと、RFIDタグと、RFIDスキャナと、コントローラと、を備える。外科用器具はエンドエフェクタを備え、当該エンドエフェクタは、第1のジョーと第2のジョーとを備える。交換可能なステープルカートリッジは、第1のジョー内に着座されるように構成され、交換可能なステープルカートリッジは、近位端部と、遠位端部と、カートリッジデッキを備えたカートリッジ本体と、近位端部から遠位端部に向かって延在する細長いスロットと、カートリッジ本体内に着脱可能に格納されたステープルと、当該細長いスロットに沿って並進し、ステープル発射ストローク中にステープルをカートリッジ本体から外に駆動するように構成されたスレッドと、を備える。RFIDタグは、外科用器具の事前定義された作動の後に動作不能となる。RFIDスキャナは、RFIDタグに第1の信号を伝送するように構成されており、RFIDスキャナは、第1の信号に応答してRFIDタグから第2の信号を受信するように構成されている。コントローラは、第2の信号が適合しない交換可能なステープルカートリッジに対応する情報を備えるとコントローラが判定したときに、外科用器具の少なくとも1つの動作を防止する。
【0363】
実施例セット9
実施例1.外科用器具と共に使用するための交換可能なステープルカートリッジであって、外科用器具に取り付けられる前にパッケージ内に格納され、当該パッケージは、第1の層と、第2の層と、RFIDシステムと、を含む、交換可能なステープルカートリッジ。第1の層及び第2の層は、交換可能なステープルカートリッジの周りに封止を形成する。RFIDシステムは、RFIDタグと絶縁体とを備える。RFIDタグは、第1の層に取り付けられ、RFIDタグは、内蔵型の電池と、タグアンテナと、記憶された情報を備えるRFIDチップと、を備える。絶縁体は、第2の層に取り付けられ、絶縁体は、内蔵型の電池をRFIDチップから電気的に分離し、絶縁体は、第1の層と第2の層との間で封止が破られると、内蔵型の電池から取り外されように構成され、RFIDタグは、絶縁体が内蔵型の電池から取り外されるとアクティブとなり、記憶された情報を外科用器具のRFIDスキャナに伝送する。
【0364】
実施例2.外科用器具のコントローラは、RFIDタグから伝送された記憶された情報を1組の適合する情報と比較し、コントローラは、伝送された記憶された情報が当該1組の適合する情報に見出されない場合に、外科用器具が少なくとも1つの機能を実施することを防止する、実施例1に記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0365】
実施例3.外科用器具の少なくとも1つの機能はステープル発射ストロークを含む、実施例2に記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0366】
実施例4.外科用器具のコントローラは、RFIDタグから伝送された記憶された情報をコントローラが認識しない場合に、外科用器具が少なくとも1つの機能を実施することを防止する、実施例1に記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0367】
実施例5.外科用器具の少なくとも1つの機能はステープル発射ストロークを含む、実施例4に記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0368】
実施例6.RFIDタグは、絶縁体が内蔵型の電池から取り外されたときに、記憶された情報を連続的に伝送するように構成されている、実施例1~5のいずれか1つに記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0369】
実施例7.RFIDタグは暗号化された情報を備える、実施例1~6のいずれか1つに記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0370】
実施例8.RFIDタグは、電離放射線防止バリア内に位置付けられ、RFIDタグはガンマ線滅菌耐性である、実施例1~7のいずれか1つに記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0371】
実施例9.RFIDチップの記憶された情報は有効期限を含み、外科用器具のコントローラは、交換可能なステープルカートリッジが期限切れになったとコントローラが判定した場合に、外科用器具が少なくとも1つの機能を実施することを防止する、実施例1~8のいずれか1つに記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0372】
実施例10.外科用器具と共に使用するための交換可能なステープルカートリッジであって、外科用器具に取り付けられる前にパッケージ内に格納され、当該パッケージは、第1の層と、第2の層と、RFIDタグと、絶縁体と、を含む、交換可能なステープルカートリッジ。交換可能なステープルカートリッジは、第1の層と第2の層との間に位置付けられる。RFIDタグは、電池と、タグアンテナと、記憶された情報を備えるRFIDチップと、を含む。絶縁体は、第1の層が第2の層から引き離されたときに、RFIDチップから電池を電気的に分離し、RFIDタグは、絶縁体が電池から分離されたときにアクティブになり、記憶された情報を外科用器具のRFIDスキャナに伝送する。
【0373】
実施例11.外科用器具のコントローラは、RFIDタグから伝送された記憶された情報を1組の適合する情報と比較し、コントローラは、伝送された記憶された情報が当該1組の適合する情報に見出されない場合に、外科用器具が少なくとも1つの機能を実施することを防止する、実施例10に記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0374】
実施例12.外科用器具の少なくとも1つの機能はステープル発射ストロークを含む、実施例11に記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0375】
実施例13.外科用器具のコントローラは、RFIDタグから伝送された記憶された情報をコントローラが認識しない場合に、外科用器具が少なくとも1つの機能を実施することを防止する、実施例10に記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0376】
実施例14.外科用器具の少なくとも1つの機能はステープル発射ストロークを含む、実施例13に記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0377】
実施例15.RFIDタグは、絶縁体が電池から取り外されたときに、記憶された情報を連続的に伝送するように構成されている、実施例10~14のいずれか1つに記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0378】
実施例16.RFIDタグは暗号化された情報を備える、実施例10~15のいずれか1つに記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0379】
実施例17.RFIDタグは、電離放射線防止バリア内に位置付けられ、RFIDタグはガンマ線滅菌耐性である、実施例10~16のいずれか1つに記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0380】
実施例18.RFIDチップの記憶された情報は有効期限を含み、外科用器具のコントローラは、交換可能なステープルカートリッジが期限切れになったとコントローラが判定した場合に、外科用器具が少なくとも1つの機能を実施することを防止する、実施例10~17のいずれか1つに記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0381】
実施例19.外科用器具と共に使用するための交換可能なステープルカートリッジであって、外科用器具に取り付けられる前にパッケージ内に格納され、当該パッケージは、第1の層と、第2の層と、RFIDタグと、絶縁体と、を含む、交換可能なステープルカートリッジ。第1の層及び第2の層は、交換可能なステープルカートリッジの周りに封止を形成する。RFIDタグは、交換可能なステープルカートリッジに取り付けられ、RFIDタグは、内蔵型の電源と、タグアンテナと、記憶された情報を備えるRFIDチップと、を備える。絶縁体は、パッケージの第2の層に取り付けられ、絶縁体は、内蔵型の電源をRFIDチップから電気的に分離し、絶縁体は、第1の層が第2の層から取り除かれると、内蔵型の電源から取り外されるように構成され、RFIDタグは、絶縁体が内蔵型の電源から取り外されるとアクティブとなり、記憶された情報を外科用器具のRFIDスキャナに伝送する。
【0382】
実施例20.外科用器具のコントローラは、RFIDタグから伝送された記憶された情報を1組の適合する情報と比較し、コントローラは、伝送された情報が1組の適合する情報に見出されない場合に、外科用器具が少なくとも1つの機能を実施することを防止する、実施例19に記載の交換可能なステープルカートリッジ。
【0383】
本明細書で説明する外科用器具システムの多くは、電動モータによって駆動される。しかしながら、本明細書に記載された外科用器具システムは、任意の好適な様式で駆動されることができる。様々な事例において、本明細書で説明した外科用器具システムは、例えば、手動操作トリガにより駆動されることができる。特定の例では、本明細書に開示されるモータは、ロボット制御式システムの1つ又は複数の部分を備えることができる。更に、本明細書に開示されるエンドエフェクタ及び/又は工具アセンブリのいずれもロボット外科用器具システムと共に利用することができる。米国特許出願第13/118,241号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」、現在の米国特許第9,072,535号は、例えば、ロボット外科用器具システムのいくつかの例を更に詳細に開示しており、その全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0384】
本明細書に記載される外科用器具システムは、ステープルの配備及び変形に関連して説明されてきたが、しかしながら、本明細書に記載される実施形態は、これに限定されない。例えば、クランプ又はタックなど、ステープル以外の締結具を配備する様々な実施形態が想定される。更に、組織を封止するための任意の好適な手段を利用する、様々な実施形態も想到される。例えば、様々な実施形態によるエンドエフェクタは、組織を加熱して封止するように構成されている電極を備え得る。また例えば、特定の実施形態によるエンドエフェクタは、組織を封止するために振動エネルギーを加えることができる。
【0385】
本明細書で説明した各種の実施形態は、直線状エンドエフェクタ及び/又は直線状締結具カートリッジとの関連で説明されている。このような実施形態及びその教示は、例えば、円形の及び/又は輪郭付けられたエンドエフェクタなど、非直線状エンドエフェクタ及び/又は非直線状締結具カートリッジに適用されることができる。例えば、非線形エンドエフェクタを含む様々なエンドエフェクタが、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、2011年2月28日出願の米国特許出願第13/036,647号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT」、現在の米国特許出願公開第2011/0226837号、現在の米国特許第 8,561,870号に開示されている。加えて、2012年9月29日出願の米国特許出願第12/893,461号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE」、現在の米国特許出願公開第2012/0074198号は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。2008年2月15日出願の米国特許出願第12/031,873号、発明の名称「END EFFECTORS FOR A SURGICAL CUTTING AND STAPLING INSTRUMENT」、現在の米国特許第7,980,443号もまた、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。2013年3月12日発行の米国特許第8,393,514号、発明の名称「SELECTIVELY ORIENTABLE IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE」もまた、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0386】
以下の開示の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
-1995年4月4日発行の米国特許第5,403,312号、発明の名称「ELECTROSURGICAL HEMOSTATIC DEVICE」、
-2006年2月21日発行の米国特許第7,000,818号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING SEPARATE DISTINCT CLOSING AND FIRING SYSTEMS」、
-2008年9月9日発行の米国特許第7,422,139号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT WITH TACTILE POSITION FEEDBACK」、
-2008年12月16日発行の米国特許第7,464,849号、発明の名称「ELECTRO-MECHANICAL SURGICAL INSTRUMENT WITH CLOSURE SYSTEM AND ANVIL ALIGNMENT COMPONENTS」、
-2010年3月2日発行の米国特許第7,670,334号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT HAVING AN ARTICULATING END EFFECTOR」、
-2010年7月13日発行の米国特許第7,753,245号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS」、
-2013年3月12日発行の米国特許第8,393,514号、発明の名称「SELECTIVELY ORIENTABLE IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE」、
-米国特許出願第11/343,803号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT HAVING RECORDING CAPABILITIES」(現在は、米国特許第7,845,537号)、
-2008年2月14日出願の米国特許出願第12/031,573号、発明の名称「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT HAVING RF ELECTRODES」、
-2008年2月15日出願の米国特許出願第12/031,873号、発明の名称「END EFFECTORS FOR A SURGICAL CUTTING AND STAPLING INSTRUMENT」(現在は、米国特許第7,980,443号)、
-米国特許出願第12/235,782号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT」(現在は、米国特許第8,210,411号)、
-米国特許出願第12/235,972号、発明の名称「MOTORIZED SURGICAL INSTRUMENT」(現在は、米国特許第9,050,083号)、
-米国特許出願第12/249,117号、発明の名称「POWERED SURGICAL CUTTING AND STAPLING APPARATUS WITH MANUALLY RETRACTABLE FIRING SYSTEM」(現在は、米国特許第8,608,045号)、
-2009年12月24日出願の米国特許出願第12/647,100号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT WITH ELECTRIC ACTUATOR DIRECTIONAL CONTROL ASSEMBLY」(現在は、米国特許第8,220,688号)、
-2012年9月29日出願の米国特許出願第12/893,461号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE」、(現在は、米国特許第8,733,613号)、
-2011年2月28日出願の米国特許出願第13/036,647号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT」、(現在は、米国特許第8,561,870号)、
-米国特許出願第13/118,241号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」(現在は、米国特許第9,072,535号)、
-2012年6月15日出願の米国特許出願第13/524049号、発明の名称「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING A FIRING DRIVE」(現在は、米国特許第9,101,358号)、
-2013年3月13日出願の米国特許出願第13/800,025号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」(現在は、米国特許第9,345,481号)、
2013年3月13日出願の米国特許出願第13/800,067号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」(現在は、米国特許出願公開第2014/0263552号)、
-2006年1月31日出願の米国特許出願公開第2007/0175955号、発明の名称「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT WITH CLOSURE TRIGGER LOCKING MECHANISM」、及び
-2010年4月22日出願の米国特許出願公開第2010/0264194号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH AN ARTICULATABLE END EFFECTOR」(現在は、米国特許第8,308,040号)。
【0387】
特定の実施形態と共に本明細書で様々な装置について説明したが、それらの実施形態に対して修正及び変更が実施されてもよい。特定の特徴、構造又は特性を、1つ以上の実施形態で、任意の好適な様式で組み合わせてもよい。したがって、一実施形態に関して図示又は説明される特定の特徴、構造、又は特性は、無制限に、1つ以上の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と全て、あるいは、部分的に組み合わされてよい。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。更に、様々な実施形態に従って、所与の機能を実行するために、単一の構成要素を複数の構成要素に置き換えてもよく、また複数の構成要素を単一の構成要素に置き換えてもよい。以上の説明及び以下の特許請求の範囲は、そのような修正及び変形形態を全て包含することが意図される。
【0388】
本明細書に開示される装置は、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、装置は少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整には、装置の分解工程、それに続く装置の特定の部品の洗浄工程又は交換工程、及びその後の装置の再組み立て工程の任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。具体的には、再調整の施設及び/又は外科チームは、装置を分解することができ、装置の特定の部品を洗浄及び/又は交換した後、装置をその後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0389】
本明細書に開示の装置は、手術前に処理され得る。最初に、新品又は使用済みの器具が入手され、必要に応じて洗浄されてもよい。次いで器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、γ線、x線、及び/又は高エネルギー電子などの、容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、医療施設で開封されるまで、器具を滅菌状態に保つことができる。装置はまた、β線、γ線、エチレンオキシド、過酸化水素プラズマ、及び/又は水蒸気が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の他の技術を用いて滅菌され得る。
【0390】
代表的な設計を有するものとして本発明について記載してきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正されてもよい。したがって、本出願は、その一般的原理を使用する本発明のあらゆる変形、使用、又は適合を包含するものとする。
【0391】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
ステープル発射システムと、
エンドエフェクタであって、
アンビルと、
ステープルカートリッジチャネルと、
前記ステープルカートリッジチャネル内に位置付けられたステープルカートリッジであって、
長手方向スロットを備えるカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、
前記ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、
前記ステープル発射システムによって近位未発射位置と遠位発射位置との間で移動可能なスレッドと、
前記カートリッジ本体に付着された第1のRFIDタグと、
前記スレッドに付着された第2のRFIDタグと、を備える、ステープルカートリッジと、
前記第1のRFIDタグから第1の信号を検出するように構成された第1のRFIDリーダと、
前記第2のRFIDタグから第2の信号を検出するように構成された第2のRFIDリーダと、を備える、エンドエフェクタと、
前記第1のRFIDリーダ、前記第2のRFIDリーダ、及び前記ステープル発射システムと通信するコントローラであって、前記コントローラは、前記第1のRFIDタグから前記第1の信号を受信すると前記ステープルカートリッジチャネル内の前記ステープルカートリッジの存在を検証し、前記コントローラは、前記第2のRFIDタグから前記第2の信号を受信すると、前記ステープルカートリッジが未発射ステープルカートリッジであることを検証する、コントローラと、を備える、外科用器具。
(2) 前記コントローラは、前記コントローラが前記第1の信号を受信するが、前記第2の信号を受信しない場合に、前記ステープル発射システムを無効化するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記コントローラは、前記コントローラが前記第1の信号及び前記第2の信号を受信する場合に、前記ステープル発射システムをロック解除するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 前記第1のRFIDタグは第1の動作範囲を備え、前記第2のRFIDタグは第2の動作範囲を備え、前記第1の動作範囲と前記第2の動作範囲は、前記スレッドが前記近位未発射位置にあるときに重複しない、実施態様1に記載の外科用器具。
(5) 前記第1のRFIDリーダは第1の動作範囲を備え、前記第2のRFIDリーダは第2の動作範囲を備え、前記第1の動作範囲と前記第2の動作範囲は重複しない、実施態様1に記載の外科用器具。
【0392】
(6) 前記コントローラと通信する第3のRFIDリーダを更に備え、前記第3のRFIDリーダは、前記スレッドが前記遠位発射位置にあるときに前記第2のRFIDタグから前記第2の信号を検出するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(7) 前記第2のRFIDリーダは、前記スレッドが前記遠位発射位置にあるときに前記第2の信号を検出することができず、前記第3のRFIDリーダは、前記スレッドが前記近位未発射位置にあるときに前記第2の信号を検出することができない、実施態様6に記載の外科用器具。
(8) 前記コントローラは、メモリデバイスに記憶された1組のデータを備え、前記コントローラは、前記第1の信号及び前記第2の信号からのデータを1組のデータと比較するように構成され、前記コントローラは、前記第1の信号及び前記第2の信号のうちの一方からのデータが前記1組のデータと一致しない場合、前記ステープル発射システムを無効化するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(9) 前記ステープルカートリッジは、前記カートリッジ本体に解放可能に取り付けられた着脱式カバーを更に備え、前記着脱式カバーは、それに付着された第3のRFIDタグを備え、前記第3のRFIDタグは第3の信号を放出するように構成され、前記外科用器具は、前記着脱式カバーが前記カートリッジ本体に取り付けられているときに前記第3の信号を受信するように構成された第3のRFIDリーダを更に備え、前記第3のRFIDリーダは、前記着脱式カバーが前記カートリッジ本体から取り外されているときに前記第3の信号を受信することができない、実施態様1に記載の外科用器具。
(10) 前記第1のRFIDタグはアクティブRFIDタグを含み、前記第2のRFIDタグはアクティブRFIDタグを含む、実施態様1に記載の外科用器具。
【0393】
(11) 前記第1のRFIDタグはパッシブRFIDタグを含み、前記第2のRFIDタグはパッシブRFIDタグを含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(12) 外科用器具であって、
ステープル発射システムと、
エンドエフェクタであって、
アンビルと、
ステープルカートリッジ支持体と、
前記ステープルカートリッジ支持体内に位置付けられたステープルカートリッジであって、
長手方向スロットを備えるカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、
前記ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、
前記ステープル発射システムによって近位未発射位置と遠位発射位置との間で移動可能なスレッドと、
前記カートリッジ本体に装着された第1のRFIDタグと、
前記スレッドに装着された第2のRFIDタグと、を備える、ステープルカートリッジと、
前記第1のRFIDタグから第1の信号を受信するように構成された第1のRFIDリーダと、
前記第2のRFIDタグから第2の信号を受信するように構成された第2のRFIDリーダと、を備える、エンドエフェクタと、
前記第1のRFIDリーダ、前記第2のRFIDリーダ、及び前記ステープル発射システムと通信するコントローラであって、前記コントローラは、前記第1のRFIDタグから前記第1の信号を受信すると前記ステープルカートリッジチャネル内の前記ステープルカートリッジの存在を検証し、前記コントローラは、前記第2のRFIDタグから前記第2の信号を受信すると、前記ステープルカートリッジが未発射ステープルカートリッジであることを検証する、コントローラと、を備える、外科用器具。
(13) 外科用器具であって、
ステープル発射システムと、
エンドエフェクタであって、
アンビルと、
ステープルカートリッジチャネルと、
前記ステープルカートリッジチャネル内に位置付けられたステープルカートリッジであって、
長手方向スロットを備えるカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体内に画定されたステープルキャビティと、
前記ステープルキャビティ内に着脱可能に格納されたステープルと、
前記カートリッジ本体に解放可能に取り付けられた着脱式カバーと、
前記ステープル発射システムによって近位未発射位置と遠位発射位置との間で移動可能なスレッドと、
前記カートリッジ本体に付着された第1のRFIDタグと、
前記着脱式カバーに付着された第2のRFIDタグと、を備える、ステープルカートリッジと、
前記第1のRFIDタグから第1の信号を検出するように構成された第1のRFIDリーダと、
前記第2のRFIDタグから第2の信号を検出するように構成された第2のRFIDリーダと、を備える、エンドエフェクタと、
前記第1のRFIDリーダ、前記第2のRFIDリーダ、及び前記ステープル発射システムと通信するコントローラであって、前記コントローラは、前記第1のRFIDタグから前記第1の信号を受信すると前記ステープルカートリッジチャネル内の前記ステープルカートリッジの存在を検証し、前記コントローラは、前記第2のRFIDタグから前記第2の信号を受信すると、前記ステープルカートリッジが無損傷のステープルカートリッジであることを検証する、コントローラと、を備える、外科用器具。
(14) 前記コントローラは、前記コントローラが前記第1の信号を受信するが、前記第2の信号を受信しない場合に、前記ステープル発射システムを無効化するように構成されている、実施態様13に記載の外科用器具。
(15) 前記コントローラは、前記コントローラが前記第1の信号及び前記第2の信号を受信する場合に、前記ステープル発射システムをロック解除するように構成されている、実施態様13に記載の外科用器具。
【0394】
(16) 前記第1のRFIDタグは第1の動作範囲を備え、前記第2のRFIDタグは第2の動作範囲を備え、前記第1の動作範囲と前記第2の動作範囲は、前記カバーが前記カートリッジ本体に取り付けられているときに重複しない、実施態様13に記載の外科用器具。
(17) 前記第1のRFIDリーダは第1の動作範囲を備え、前記第2のRFIDリーダは第2の動作範囲を備え、前記第1の動作範囲と前記第2の動作範囲は重複しない、実施態様13に記載の外科用器具。
(18) 前記コントローラは、メモリデバイスに記憶された1組のデータを備え、前記コントローラは、前記第1の信号及び前記第2の信号からのデータを1組のデータと比較するように構成され、前記コントローラは、前記第1の信号及び前記第2の信号のうちの一方からのデータが前記1組のデータと一致しない場合、前記ステープル発射システムを無効化するように構成されている、実施態様13に記載の外科用器具。
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【国際調査報告】