(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(54)【発明の名称】遺伝子およびタンパク質の大きな運送物をヒト細胞に送達するための原核生物-真核生物ハイブリッドウイルスベクター
(51)【国際特許分類】
C12N 15/86 20060101AFI20220830BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20220830BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
C12N15/86 Z ZNA
C12N7/01
C12N15/864 100Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510123
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 IB2020057588
(87)【国際公開番号】W WO2021033082
(87)【国際公開日】2021-02-25
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504228117
【氏名又は名称】ザ カトリック ユニバーシティ オブ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラオ、ヴェニガラ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】チュー、ジンゲン
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AA98X
4B065AA98Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA60
(57)【要約】
バクテリオファージT4などの第1のウイルス;アビジン-ビオチン架橋などの架橋を介して第1のウイルスに結合した、アデノ随伴ウイルス(AAV)などの1つ以上の第2のウイルス;第1のウイルスにパッケージされた1つ以上のDNA分子;第2のウイルスにパッケージされた1つ以上の核酸分子;および第1のウイルスの表面に表示される1つ以上のタンパク質を含む、ハイブリッドウイルスベクターが記載される。そのようなハイブリッドウイルスベクターを作製および使用する方法も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のウイルスベクター;
第2のウイルスベクター;および
真核生物ウイルスベクターを原核生物ウイルスベクターに連結する架橋を含む、生成物。
【請求項2】
前記第1のウイルスベクターが、ラムダファージ、バチルスファージPhi29、大腸菌ファージT2、T3およびT7、腸内細菌ファージP22、ファージSPP1、ヘルペスウイルスならびにアデノウイルスからなる群から選択される、請求項1記載の生成物。
【請求項3】
前記第2のウイルスベクターが、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、レンチウイルスおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の生成物。
【請求項4】
前記架橋が、SBA、HBBAおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の生成物。
【請求項5】
前記第1のウイルスベクターにパッケージされた1つ以上のDNA分子をさらに含む、請求項1記載の生成物。
【請求項6】
前記DNAが二本鎖である、請求項5記載の生成物。
【請求項7】
前記第2のウイルスベクターにパッケージされた1つ以上の核酸分子をさらに含む、請求項1記載の生成物。
【請求項8】
前記核酸が、一本鎖DNA、二本鎖DNAおよびRNAからなる群から選択される、請求項7記載の生成物。
【請求項9】
前記第1のウイルスベクターにパッケージされた1つ以上の二本鎖DNA分子と、前記第2のウイルスベクターにパッケージされた1つ以上の核酸分子とをさらに含む、請求項1記載の生成物。
【請求項10】
前記第1のウイルスベクターの表面に表示される1つ以上のタンパク質をさらに含む、請求項1記載の生成物。
【請求項11】
生物学的検体の細胞に曝露されると、前記生物学的検体の前記細胞に核酸を送達する、請求項1記載の生成物。
【請求項12】
生物学的検体の細胞に曝露されると、前記生物学的検体の前記細胞にタンパク質を送達する、請求項1記載の生成物。
【請求項13】
生物学的検体に投与された場合、前記生物学的検体において免疫応答が誘導される、請求項1記載の生成物。
【請求項14】
T4ヘッドカプシド;
ビオチン化AAV;および
ビオチン-アビジン架橋を含む生成物であって、
前記ビオチン-アビジン架橋が、Soc-ビオチン-アビジン(SBA)またはHoc-BAP-ビオチン-アビジン(HBBA)であり;
前記架橋のアビジンがビオチン化AAV上のビオチンに結合し、HocまたはSocがT4に結合する、生成物。
【請求項15】
前記T4にパッケージされた1つ以上のDNA分子をさらに含む、請求項14記載の生成物。
【請求項16】
前記DNAが二本鎖である、請求項15記載の生成物。
【請求項17】
AAVにパッケージされた1つ以上のDNA分子をさらに含む、請求項14記載の生成物。
【請求項18】
前記DNAが一本鎖である、請求項17記載の生成物。
【請求項19】
T4にパッケージされた1つ以上の二本鎖DNA分子と、AAVにパッケージされた1つ以上の一本鎖DNA分子とをさらに含む、請求項14記載の生成物。
【請求項20】
前記T4の表面に表示される1つ以上のタンパク質をさらに含む、請求項14記載の生成物。
【請求項21】
生物学的検体の細胞に曝露されると、前記生物学的検体の前記細胞にDNAを送達する、請求項14記載の生成物。
【請求項22】
生物学的検体の細胞に曝露されると、前記生物学的検体の前記細胞にタンパク質を送達する、請求項14記載の生成物。
【請求項23】
生物学的検体に投与された場合、前記生物学的検体において免疫応答を誘導する、請求項14記載の生成物。
【請求項24】
第1のウイルスベクター;
前記第1のウイルスベクターにパッケージされた1つ以上のDNA分子;
第2のウイルスベクター;
前記第2のウイルスベクターにパッケージされた1つ以上の核酸分子、および
前記第2のウイルスベクターを前記第1のウイルスベクターに連結する架橋を含む、生成物。
【請求項25】
前記DNA分子が前記核酸分子と同じである、請求項24記載の生成物。
【請求項26】
前記DNA分子が二本鎖である、請求項25記載の生成物。
【請求項27】
前記核酸分子が、一本鎖DNA、二本鎖DNAおよびRNAからなる群から選択される、請求項25記載の生成物。
【請求項28】
生物学的検体に投与された場合、前記生物学的検体において免疫応答が誘導される、請求項24記載の生成物。
【請求項29】
第1のウイルスベクター;
前記第1のウイルスベクターにパッケージされた1つ以上の二本鎖DNA分子;
第2のウイルスベクター;
前記第2のウイルスベクターにパッケージされた、一本鎖DNA、二本鎖DNAまたはRNAを含む1つ以上の核酸分子、および
前記第2のウイルスベクターを前記第1のウイルスベクターに連結する架橋を含む、生成物。
【請求項30】
生物学的検体に投与された場合、前記生物学的検体において免疫応答が誘導される、請求項29記載の生成物。
【請求項31】
第1のウイルスベクター;
前記第1のウイルスベクターの表面に表示される1つ以上のタンパク質
第2のウイルスベクター;および
前記第2のウイルスベクターを前記第1のウイルスベクターに連結する架橋を含む生成物であって、
生物学的検体の細胞に曝露されると、前記生物学的検体の前記細胞にタンパク質を送達する、生成物。
【請求項32】
SBAまたはHBBA架橋を設計すること;
前記架橋のSocまたはHoc末端をT4に結合させること;
AAVをビオチン化すること;および
前記架橋のアビジン末端をAAVに結合することを含む、方法。
【請求項33】
架橋を設計すること;
前記架橋の一端を第1のウイルスベクターに結合させること;および
前記架橋の他端を第2のウイルスベクターに結合することを含む、方法。
【請求項34】
生物学的検体を処置する方法であって、
前記生物学的検体に第1のウイルスベクター;
第2のウイルスベクター;および
前記第2のウイルスベクターを前記第1のウイルスベクターに連結する架橋を投与することを含み、
投与経路が、混合、経口摂取、吸入、皮下移動、筋肉内注射、静脈内注射、経皮移動、鼻腔内吸入、直腸挿入、眼、局所移動、舌下または頬側からなる群から選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表への言及
本出願は、電子的に提出されたテキスト形式の配列表を含む。テキストファイルは、2020年8月7日に作成された「109007-23530US01_ST25.txt」という名称の配列表を含み、サイズは2,079バイトである。このテキストファイルに含まれる配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の権益表明
本発明は、NIAIDおよびNIHによって授与された助成金番号AI111538およびAI081726の下、米国政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する
【0003】
本発明は、一般に、タンパク質および核酸の送達成分、組成物、機構およびその送達方法に関する。
【背景技術】
【0004】
標的細胞への遺伝子およびタンパク質の送達は、機構研究ならびに癌、感染症および遺伝性疾患などの多くのヒト疾患の予防および治療に不可欠であろう。しかしながら、遺伝子およびタンパク質の両方を標的細胞に効率的かつ安全に送達することができるビヒクルを製剤化することは、依然として大きな課題である。本出願は、本明細書に記載されるように従来技術の欠点を克服する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の広域な態様によれば、本発明は、第1ウイルス(例えばバクテリオファージT4);架橋(例えば、アビジン-ビオチン架橋)によって原核生物ウイルスのヘッドに結合した1つ以上の第2ウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス、AAV)を含むハイブリッドウイルスベクター(例えばT4-AAV)を含む生成物を提供する。
【0006】
第2の広域な態様によれば、本発明は、アビジン-ビオチン架橋を設計する工程;架橋の一端(SocまたはHoc)を第1ウイルス(バクテリオファージT4)に結合させる工程;および架橋の他端(アビジン)を第2ウイルス(AAV)に結合させる工程を含む方法を提供する。
【0007】
第3の広域な態様によれば、本発明は、生物学的検体の細胞をハイブリッドウイルスベクター(T4-AAV)に曝露し、それによってベクターを細胞に結合させるか、またはハイブリッドベクターを生物学的検体に投与する工程を含む方法を提供し、ここでベクターは、第1ベクターまたは第2ベクターのいずれかまたは両方にパッケージされた1つ以上の核酸分子を含み、場合により第1ウイルスの表面上に提示される1つ以上のSoc融合タンパク質が存在し、ベクターは細胞内に内在化され、ベクターの細胞内への内在化によって、パッケージされた核酸が各細胞内のサイトゾル内へ放出され、パッケージされた1つ以上の核酸分子が各細胞のサイトゾル内に放出されることによって、1つ以上の核酸分子が各細胞の核へ入り、1つ以上の核酸分子が各細胞の核へ入ることによって、DNAの転写またはRNAの逆転写、および核酸にコード化されるタンパク質の過剰発現が起こる。
【0008】
本特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を含む本特許または特許出願公開のコピーは、要求および必要な料金の支払いに応じて、局から提供される。
【0009】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を示し、上記の一般的な説明および以下の詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態によるバクテリオファージT4の概略図である。
【0011】
【
図2】本発明の一実施形態によるT4-AAVハイブリッドウイルスベクターの概略図である。
【0012】
【
図3】本発明の一実施形態によるT4-AAV組み立ての工程を示す概略図である。
【0013】
【
図4】本発明の一実施形態によるSocタンパク質のビオチン化を示すグラフである。
【0014】
【
図5】本発明の一実施形態によるHocへのBAPの結合を示すグラフである。
【0015】
【
図6】本発明の一実施形態によるHoc-BAPのビオチン化を示すグラフである。
【0016】
【
図7】本発明の一実施形態によるSoc-ビオチンのT4への異なる比率での結合を示すグラフである。
【0017】
【
図8】本発明の例示的実施形態による、異なる比率でのアビジンのT4-Soc-ビオチンへの結合を示すグラフである。
【0018】
【
図9】本発明の例示的実施形態による、アビジンのHoc-BAP-ビオチンへの結合を示すグラフである。
【0019】
【
図10】本発明の例示的実施形態による、HBBAのT4への異なる比率での結合を示すグラフである。
【0020】
【
図11】本発明の例示的実施形態による、AAVのビオチン化を示すグラフである。
【0021】
【
図12】本発明の例示的な実施形態による、チュアブル錠の異なるAAV対T4比率形態での未結合AAVの量を示すグラフである。
【0022】
【
図13】本発明の例示的実施形態による、AAVのT4への結合を示す電子顕微鏡写真である。
【0023】
【
図14】本発明の例示的な実施形態による、T4またはAAVにパッケージされたDNAの概略図である。
【0024】
【
図15】本発明の例示的な実施形態による、T4(luci)-Soc-AAV粒子を使用して、T4に対するAAV比が増加するとルシフェラーゼDNA送達および発現がどのように増加するかを示すグラフである。
【0025】
【
図16】本発明の例示的な実施形態による、細胞に対してT4-Soc-AAV比が増加するとルシフェラーゼDNA送達および発現がどのように増加するかを示すグラフである。
【0026】
【
図17】本発明の例示的な実施形態による、AAVの結合によるルシフェラーゼDNA送達および発現の増加を示すグラフである。
【0027】
【
図18】本発明の例示的な実施形態による、細胞に対してT4-Hoc-AAV比が増加するとルシフェラーゼDNA送達および発現がどのように増加するかを示すグラフである。
【0028】
【
図19】本発明の例示的な実施形態による、GFPおよびmCherry DNAの送達および細胞における発現を示す顕微鏡写真である。
【0029】
【
図20】本発明の例示的な実施形態によるβ-gal-Soc-T4(luci)-AAV(GFP)粒子の概略図である。
【0030】
【
図21】本発明の例示的な実施形態による、β-gal-Soc-T4(luci)-AAV(GFP)粒子を使用して、T4に対するAAV比が増加するとルシフェラーゼDNA送達および発現がどのように増加するかを示すグラフである。
【0031】
【
図22】本発明の例示的な実施形態による、β-gal-Soc-T4(luci)-AAV(GFP)粒子を使用して、T4に対するAAV比が増加するとGFP DNA送達および発現がどのように増加するかを示すグラフである。
【0032】
【
図23】本発明の例示的な実施形態による、β-gal-Soc-T4(luci)-AAV(GFP)粒子を使用してT4-HocAAVに対するSoc-β-gal比が増加するとβ-ガラクトシダーゼタンパク質送達がどのように増加するか、およびAAVの結合がβ-ガラクトシダーゼタンパク質送達をどのように増強するかを示すグラフである。
【0033】
【
図24】本発明の例示的な実施形態による、GFP-T4(mCherry)-AAVおよびNLS-GFP-T4(mCherry)-AAV粒子を使用したGFPおよびNLS-GFPタンパク質の送達ならびにmCherry DNAの送達および発現を示す顕微鏡写真である。
【0034】
【
図25】本発明の例示的な実施形態による、T4またはAAVにパッケージされたITR-Luci DNAの概略図である。
【0035】
【
図26】本発明の例示的な実施形態による、パッケージされたDNAの送達およびインビボ持続性をAAVが増強したことを示すマウスのITR-Luci DNA送達および発現の画像である。
【0036】
【
図27】本発明の例示的な実施形態による、マウスにおけるITR-Luci DNAの送達および発現およびインビボ持続性を示すグラフである。
【0037】
【
図28】本発明の例示的な実施形態による、パッケージされたDNAの送達およびインビボ持続性をAAVが増強したことを示す、T4-AAVの投与量を減らしたマウスにおけるITR-Luci DNA送達および発現の画像である。
【0038】
【
図29】本発明の例示的な実施形態による、T4-AAVの投与量を減らしたマウスにおけるITR-Luci DNAの送達および発現およびインビボ持続性を示すグラフである。
【0039】
【
図30】本発明の例示的な実施形態による、T4またはAAVにパッケージされたITR-HA4900 DNAの概略図である。
【0040】
【
図31】本発明の例示的な実施形態による、T4にパッケージされたHA4900 DNAの送達および発現を示すグラフである。
【0041】
【
図32】本発明の例示的実施形態による、AAVのTSAへの結合を示すグラフである。
【0042】
【
図33】本発明の例示的実施形態による、AAVのTHAへの結合を示すグラフである。
【0043】
【
図34】本発明の例示的な実施形態による、野生型AAV、またはSocもしくはHocで架橋されたPLA2変異を有するAAVのいずれかとT4にパッケージされたルシフェラーゼDNAの送達効率を比較するグラフである。
【0044】
【
図35】本発明の例示的な実施形態による、AAVが混合されているが結合されていない、T4にパッケージされたルシフェラーゼDNAの送達効率を示すグラフである。
【0045】
【
図36】本発明の例示的な実施形態によるプライムブーストスキームを示すグラフである。
【0046】
【
図37】本発明の例示的な実施形態による、AAVを結合させたまたは結合させないT4(HA4900)によって誘導された14日目の抗HA IgG力価を示すグラフである。
【0047】
【
図38】本発明の例示的な実施形態による、AAVを結合させたまたは結合させないT4(HA4900)によって誘導された35日目の抗HA IgG力価を示すグラフである。
【0048】
【
図39】本発明の例示的な実施形態による、AAVを結合させたまたは結合させないT4(HA4900)によって誘導された0日目~180日目までの抗HA IgG力価を示すグラフである。
【0049】
【
図40】本発明の例示的な実施形態による、AAVを結合させたまたは結合させないT4(HA4900)によって誘導された0日目~180日目までの血清CXCL13を示すグラフである。
【0050】
【
図41】本発明の例示的な実施形態による、AAVを結合させたまたは結合させない、およびF1mutVを結合させたまたはさせないT4(HA4900)によって誘導された抗HA IgG力価を示すグラフである。
【0051】
【
図42】本発明の例示的な実施形態による、AAVを結合させたまたは結合させないF1mutV-T4(HA4900)によって誘導された抗F1mutV IgG力価を示すグラフである。
【0052】
【
図43】本発明の例示的な実施形態による、AAV結合させたまたは結合させないF1mutV-T4(HA4900)で免疫したマウスの生存率を示すグラフである。
【0053】
【
図44】本発明の例示的な実施形態による、軟質ゲルの剤形に製剤化された組成物を示す画像である。
【0054】
【
図45】本発明の例示的な実施形態による、硬質カプセルの剤形に製剤化された組成物を示す画像である。
【0055】
【
図46】本発明の例示的な実施形態による、別様に被覆された化合物を含む硬質カプセルの剤形に製剤化された組成物を示す画像である。
【0056】
【
図47】本発明の例示的な実施形態による、錠剤の剤形に製剤化された組成物を示す画像である。
【0057】
【
図48】本発明の例示的な実施形態による、チュアブル錠剤の剤形に製剤化された組成物を示す画像である。
【0058】
【
図49】本発明の例示的な実施形態による、カプレットの剤形に製剤化された組成物を示す画像である。
【0059】
【
図50】本発明の例示的な実施形態による、シェルに包まれたコアを含むカプレットの剤形を示す。
【0060】
【
図51】本発明の例示的な実施形態による、注射用薬物送達装置および注射液を含む、本明細書に開示される組成物を送達するための治療送達装置を示す。
【0061】
【
図52】本発明の例示的な実施形態による、本明細書に開示される組成物を対象の体内に送達するための経皮パッチを含む治療送達装置を示す。
【0062】
【
図53】本発明の例示的な実施形態による、経皮パッチ内に埋め込まれた本明細書に開示される組成物を含む経皮パッチを示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
定義
用語の定義が用語の一般的に使用される意味から逸脱する場合、出願人は、特に示されない限り、以下に提供される定義を利用することを意図している。
【0064】
別に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、特許請求される対象が属するものが一般に理解するのと同じ意味を有する。本明細書における用語について複数の定義がある場合、このセクションのものが優先する。本明細書で言及されるすべての特許、特許出願、刊行物ならびに公開されたヌクレオチドおよびアミノ酸配列(例えば、GenBankまたは他のデータベースで利用可能な配列)は、参照により組み込まれる。URLまたは他のそのような識別子またはアドレスを参照する場合、そのような識別子は変わる可能性があり、インターネット上の特定の情報が行き来する可能性があるが、インターネットを検索することによって同等の情報が見出され得ることが理解される。それへの言及は、そのような情報が利用可能であり、一般に公開されていることを証明する。
【0065】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される対象を限定するものではないことを理解されたい。本出願では、特に明記しない限り、単数形の使用は複数形を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。本出願では、「または」の使用は、別途記載されない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含む(including)」ならびに他の形態、例えば「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含んだ(included)」の使用は、限定するものではない。
【0066】
本発明の目的のために、用語「含む(comprising)」、用語「有する(having)」、用語「含む(including)」、およびこれらの単語の変形は、オープンエンドであることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0067】
本発明の目的のために、「上(top)」、「下(bottom)」、「より上(upper)」、「より下(lower)」、「上(above)」、「下(below)」、「左(left)」、「右(right)」、「水平(horizontal)」、「垂直(vertical)」、「上(up)」、「下(down)」などの方向を示す用語は、単に本発明の様々な実施形態を説明する際の便宜のために使用される。本発明の実施形態は、様々な方法で方位を決定することができる。例えば、図面に示されているダイヤグラム、装置などをひっくり返しても、任意の方向に90°回転しても、反転してもよい。
【0068】
本発明の目的のために、値または特性は、その値がその値、特性または他の要因を使用して数学的計算または論理的決定を実行することによって導出される場合、特定の値、特性、条件の満足、または他の要因に「基づく」。
【0069】
本発明の目的のために、本明細書に与えられるいくつかの量的表現は、より簡潔な説明を提供するために「約」という用語で修飾されていないことに留意されたい。「約」という用語が明示的に使用されているかどうかにかかわらず、本明細書に与えられるすべての量は、実際の所与の値を指すことを意味し、当業者の通常の技能に基づいて合理的に推測されるそのような所与の値の近似値を指すことも意味する、と理解される。そのような所与の値には、実験および/または測定条件による近似値を含む。
【0070】
本発明の目的のために、用語「結合する」、用語「結合している」および用語「結合した」は、任意の種類の化学的または物理的結合を指し、これには、限定されないが、共有結合、水素結合、静電結合、生物学的束縛、膜貫通結合、細胞表面結合および発現が含まれる。
【0071】
本発明の目的のために、「ベクター」、「ビヒクル」、および「ナノ粒子」という用語は互換的に使用される。これらの用語は、遺伝子またはタンパク質を送達するために使用され得るウイルスまたはハイブリッドウイルス粒子を指す。
【0072】
本発明の目的のために、「指向性」という用語は、ウイルスが特定の宿主の細胞または組織に感染する傾向を指す。
【0073】
本発明の目的のために、用語「生物学的試料」および用語「生物学的検体」は、インビトロまたはインビボでのヒト、脊椎動物、無脊椎動物、微生物または植物の一部または全体のいずれかを指す。この用語には、ヒト、脊椎動物、無脊椎動物、微生物または植物起源の材料、例えばヒト、動物、微生物または植物の組織切片、細胞または組織培養物、ヒト、脊椎動物、無脊椎動物、微生物または植物の細胞またはその単離された部分の懸濁液、ヒトまたは動物の生検物、血液試料、細胞含有流体および分泌物が含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
本発明の目的のために、用語「カプシド」および用語「カプシドシェル」は、タンパク質のいくつかの構造サブユニットを含むウイルスのタンパク質シェルを指す。カプシドは、ウイルスの核酸コアを封入する。
【0075】
本発明の目的のために、用語「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNAおよびRNAを含む。核酸分子を形成する核酸塩基は、塩基A、C、G、TおよびUならびにそれらの誘導体であり得る。これらの塩基の誘導体は、当技術分野で周知である。この用語は、等価物として、ヌクレオチド類似体から作製されたDNAまたはRNAのいずれかの類似体を含むと理解されるべきである。この用語はまた、線状および環状DNAの両方を含むと理解されるべきである。この用語は本明細書で使用される場合、cDNA、すなわちRNA鋳型から、例えば逆転写酵素の作用によって生成された相補的またはコピーDNAも包含する。
【0076】
本発明の目的のために、「免疫応答」という用語は、抗原または免疫原に対する生物学的検体の免疫系の特異的応答を指す。免疫応答には、抗体の産生および細胞性免疫が含まれ得る。
【0077】
本発明の目的のために、「免疫」という用語は、感染生物または物質に対する生物学的検体の耐性の状態を指す。感染生物または物質は広く定義され、寄生生物、毒性物質、癌細胞および他の細胞、ならびに細菌およびウイルスを含むことが理解されよう。
【0078】
本発明の目的のために、「免疫化条件」という用語は、免疫応答に影響を及ぼす因子を指し、生物学的検体に送達される免疫原またはアジュバントの量および種類、送達方法、接種回数、接種間隔、生物学的検体の種類およびその状態を含む。「ワクチン」は、免疫を誘導することができる医薬製剤を指す。
【0079】
本発明の目的のために、「免疫用量」という用語は、免疫応答を引き起こすのに必要な抗原または免疫原の量を指す。この量は、様々なアジュバントの存在および有効性によって変動する。この量は、生物学的検体および抗原、免疫原および/またはアジュバントによって異なるが、一般に、約0.1μg/ml以下~接種当たり約100μgである。
【0080】
本発明の目的のために、用語「ネックタンパク質」および用語「テールタンパク質」は、ウイルス粒子、特にバクテリオファージのネックまたはテールの任意の部分の集合に関与するタンパク質を指す。テールバクテリオファージはカウドウイルス目に属し、3つのファミリーを含む。シフォウイルス科は長い柔軟なテールを有し、テールウイルスの大部分を構成する。マイオウイルス科は長い硬質のテールを有し、細菌宿主へのファージ結合時に収縮する尾鞘によって十分に特徴付けられる。テールウイルスの最も小さいファミリーは、ポドウイルス科(短い脚状のテールを有するファージ)である。例えば、T4において、バクテリオファージgp10はgp11と会合して、ベースプレートのテールピンを形成する。テールピンの集合は、テール集合の第1の工程である。バクテリオファージT4のテールは、硬質チューブを取り囲み、ファージの長いテール繊維および短いテール繊維が結合される多タンパク質ベースプレートで終端する収縮性尾鞘からなる。ヘッドがDNAとパッケージされると、タンパク質gp13、gp14およびgp15は、パッケージされたヘッドを密封するネックに集合し、gp13タンパク質は、DNAパッケージング後にポータルタンパク質gp20と直接相互作用し、gp14およびgp15は、次いでgp13プラットフォーム上に集合する。T4バクテリオファージのネックおよびテールタンパク質には、タンパク質gp6、gp25、gp53、gp8、gp10、gp11、gp7、gp29、gp27、gp5、gp28、gp12、gp9、gp48、gp54、gp3、gp18、gp19、gp13、gp14、gp15およびgp63が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0081】
本発明の目的のために、「精製された」という用語は、比較的純粋な状態の、例えば少なくとも約90%純粋、または少なくとも約95%純粋、または少なくとも約98%純粋な成分を指す。
【0082】
説明
本発明は、様々な修正および代替形態が可能であるが、その特定の実施形態は、例として図面に示されており、以下で詳細に説明される。しかしながら、本発明を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、それどころか、本発明は、本発明の精神および範囲内に入るすべての修正、等価物、および代替物を包含するものであることを理解されたい。
【0083】
標的細胞形態への遺伝子およびタンパク質の送達は、機構研究ならびに癌、感染症および遺伝性疾患などの多くのヒト疾患の予防および治療に不可欠であろう。ウイルスベクターは、遺伝子およびタンパク質を標的細胞に送達するビヒクルとして利用されてきた。一般的に使用されるウイルスベクターには、真核生物ウイルスベクターおよび原核生物ウイルスベクターが含まれる。
【0084】
アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルスおよび/またはレンチウイルスなどの真核生物ウイルスベクターは、それらのゲノムを哺乳動物細胞に効率的に送達するように自然に進化しており、ヒト細胞に遺伝子を送達することを可能にしている。しかしながら、AAVなどの真核生物ウイルスベクターは、それらの送達能力が限定されている、すなわち(1)1つまたは2つの遺伝子かつ4~8 kbのサイズしか送達することができず、(2)タンパク質の送達には適していないので、効率的な送達ビヒクルではないさらに、ヒト細胞に対するそれらの指向性および毒性、既存の免疫、および安全性の懸念は、それらの広範な適用を制限する2。
【0085】
バクテリオファージ(ファージ)T4などの原核ウイルスベクターは、真核生物ウイルスベクターの欠点を克服する
4~13。しかしながら、ファージも効率的な送達ビヒクルではない。哺乳動物細胞への導入、または導入後の適切な細胞内区画への到達のための天然機構を欠いているからである。
図1の112は、ファージT4の構造モデルである。
図1の表面
図120に示すように、T4ヘッドカプソマーは、カプシドタンパク質gp23*(「*」はgp23の切断された成熟形態を表す)126と、2つの必須ではない外側カプシドタンパク質、Soc 124およびHoc 122とからなる。SocおよびHocは、短いポリペプチド、大きなドメイン、全長タンパク質、または多量体複合体を含む様々な外来タンパク質の表示に使用できることが発見された
8、10。これらの発見は、真核生物ウイルス粒子をファージに結合させて、細胞関連生物学的検体のためのより効率的な送達ビヒクルを作製することができるかどうかという疑問を提起した。一実施形態では、本発明は、遺伝子およびタンパク質を標的細胞に高効率で送達するために独自に設計されたハイブリッドウイルスベクターを提供する。本発明の方法および組成物は、効果的なワクチン、遺伝療法およびバイオテクノロジー分野における研究ツールに使用することができる。
【0086】
T4-AAVハイブリッドウイルスベクターの設計および構築
一実施形態では、本発明は、ビオチン-アビジン架橋によってAAVをT4ヘッドに結合させることによって、T4-AAVハイブリッドウイルスベクターを提供する。
図2に示すように、AAVは、Soc-ビオチン-アビジン(SBA)210およびHoc-ビオチン受容体ペプチド(BAP)-ビオチン-アビジン(HBBA)220の2種類の架橋分子によってT4ヘッドに結合している。Soc 212およびHoc 222はT4ヘッド202に結合し、アビジン206は反対側のビオチン化AAV 204に結合する。
【0087】
一実施形態では、本発明は、Soc架橋T4-AAVハイブリッドウイルスベクターを作製する方法であって、(1)Socタンパク質をビオチン化する工程;(2)ビオチン化Soc(Soc-ビオチン)タンパク質をT4ヘッドに結合させてT4-Soc-ビオチンを作製する工程;(3)T4-Soc-ビオチンにアビジンを結合させてT4-Soc-アビジン(TSA)を作製する工程;(4)AAVをビオチン化する工程;(5)AAV上のビオチンをアビジンに結合させることによって、ビオチン化AAVをTSAに結合させる工程を含む方法を提供する。
【0088】
別の実施形態では、本発明は、Hoc架橋T4-AAVハイブリッドウイルスベクターを作製する方法であって、(1)ビオチン受容体ペプチド(BAP)をHocタンパク質に結合させてHoc-BAPを作製する工程;(2)Hoc-BAPをビオチン化してHBBを形成する工程;(2)アビジンをHBBに結合させてHBBAを形成する工程;(3)HBBAをT4ヘッドに結合させてTHAを作製する工程;(4)AAVをビオチン化する工程;(5)AAV上のビオチンをアビジンに結合させることによって、ビオチン化AAVをTHAに結合させる工程を含む方法を提供する。
【0089】
TSAの作製
図3は、Soc-ビオチンを作製する工程を示す。Soc-ビオチン316を作製するために、精製Socタンパク質312を最初に、ビオチン-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)314での活性化によってビオチン化した(
図3)。
図4に示すように、Soc 412の効率的なビオチン化が確認される。
【0090】
次に、Soc-ビオチンをT4ヘッドに結合させる。
図5に示すように、ビオチン化Socの結合は、Soc-ビオチン712の量の増加によって示されるように、カプシド結合部位に対するSoc-ビオチン分子の比が増加するにつれて増加する。30:1の比で、T4結合Soc-ビオチンピークの相対強度はピークに達し(
図5)、ほぼすべてのカプシド結合部位がSoc-ビオチンによって占められたことを示唆している。その後、アビジンはT4-Soc-ビオチンに結合してTSAを形成する。アビジンのT4-Soc-ビオチンへの結合も、TSA 612中のアビジンの量の増加によって示されるように(
図6)、T4-Soc-ビオチン比率に対するアビジンの比率が増加するにつれて増加する。2:1の比率において、T4-Soc-ビオチン結合アビジンの相対強度はピークに達し、ほぼすべてのT4-Soc-ビオチンがアビジンを結合させたことを示唆している(
図6)。
【0091】
THAの作製
図3は、Hoc-ビオチンを作製する工程を示す。Hoc架橋を作製するために、BAP 324を最初にHoc 322のN末端に結合させる(
図3)。
図7に示すように、BAPのHoc 712への結合が確認される。次いで、
図3に示すように、ビオチンリガーゼ(BirA)を用いてHoc-BAP 326をビオチン化する。
図8に示すように、Hoc-BAP 812のビオチン化が確認される。
【0092】
その後、アビジンがビオチン化Hoc-BAP(HBB)328に結合し、HBBAを形成する。次いで、HBBAをT4に結合させて、THA 912を効率的に形成する(
図9)。HBBAの結合は、THA 1002中のアビジンに対する量の増加によって示されるように、カプシド結合部位に対するHBBA分子の比が増加するにつれて増加する。30:1の比率で、T4結合Hoc-BAP-ビオチン-アビジンの相対強度がピークを示し(
図10)、ほぼすべての結合部位が占有されていることを示唆している。
【0093】
AAVのビオチン化および結合
AAVをT4に結合させるために、AAV-DJ、ウイルス粒子を最初にビオチン-NHSによる活性化によってビオチン化した。AAV-DJは、3つのAAVカプシドタンパク質、VP1、VP2およびVP3を含有する。
図11に示すように、3つすべてのAAVカプシドタンパク質のビオチン化が確認される。
図11において、列1102はAAVカプシドタンパク質の検出を示し、列1104はビオチンの検出を示す。
【0094】
次いで、ビオチン化AAV-DJ粒子を、AAV-DJ粒子上のアビジンおよびビオチンの結合を通してTSAおよびTHA架橋に結合させる(
図12および
図13)。
図12は、TSAへのAAVの効率的な結合を確認し、列1202はAAVカプシドタンパク質の検出を示す。
図13は、THAへのAAVの効率的な結合を確認し、列1302はAAVカプシドタンパク質の検出を示す。
【0095】
AAVのT4へのコンジュゲーションもまた、未結合AAVの量を通して監視する。TSAまたはTHAに添加されるbioAAV(GFP)の比率を増加させた後、未結合bioAAV(GFP)を収集し、HEK293細胞に形質導入して、bioAAVによって運ばれるGFP遺伝子を発現させる。したがって、蛍光強度は、GFP発現の量および非結合AAVの量の指標である。
図14は、未結合bioAAV GFP発現の定量化を示す。点1402および1404における未結合AAVの量の急激な増加は、AAVのT4への飽和したコンジュゲーションを示唆する。平均して、最大4つのAAV粒子がTSA架橋によって1つのT4カプシドにコンジュゲートされる一方、最大2つのAAV粒子がTHA架橋によって1つのT4カプシドにコンジュゲートされる(
図14)。AAVをさらに添加すると、フロースルー中のウイルスの溶出量が増加した。T4-AAVの効率的な集合は、
図15に示すように、透過型電子顕微鏡法(TEM)によっても確認される。
図15では、青色矢印はT4 1502を示し、赤色矢印はT4の表面に結合したAAV 1504を示す。
【0096】
AAVが結合すると、遺伝子はT4によって著しくより効率的に送達される
T4ヘッド単独による哺乳動物細胞(HEK 293)への形質導入は非常に非効率的であることが以前に示されている10。本発明は、遺伝子がT4にパッケージされている場合のT4ヘッド単独とT4-AAVとで送達効率を比較した。
【0097】
一実施形態では、輝度遺伝子(luminance gene)を含むプラスミドを、TSA架橋によって結合したAAVと共にT4カプシドにパッケージし、HEK293細胞に送達する。送達効率は、相対発光単位によって測定される。
【0098】
図16に示すように、DNAパッケージングモーターを使用してT4カプシドにパッケージされた核酸は、CMVプロモーターの制御下で、ルシフェラーゼ(Luci)、GFPまたはmCherry遺伝子を含有する3つの異なるプラスミドを含む。
【0099】
1つの好ましい実施形態では、ルシフェラーゼDNAが、T4(luci)-Soc-AAVを使用して細胞に送達される。送達効率は、相対発光単位によって示される。
図17は、T4ヘッド単独1702、ならびに異なるAAV対T4比率、0.5:1(1704)、1:1(1706)、2:1(1708)、および3:1(1710)を有するT4-AAVベクターの相対発光単位を示す。
図17に示すように、TSA架橋を介したAAVへの結合によって、形質導入効率が少なくとも40,000倍増加する。加えて、送達効率は、ルシフェラーゼ活性の量によって示されるように、細胞あたりに添加されたSoc架橋T4-AAV粒子の数に比例し、細胞あたり10
5個の粒子で最大に達した(
図18)。
【0100】
別の好ましい実施形態では、ルシフェラーゼDNAは、T4(luci)-Hoc-AAVを使用して細胞に送達される。
図19は、T4ヘッド単独1902、ならびにHoc 1904およびSoc 1906によって架橋されたT4-AAVベクターの相対発光単位を示す。
図19に示すように、HSA架橋を介したAAVへの結合によって、形質導入効率は、T4ヘッド単独と比較して10,000倍増加する。加えて、送達効率はまた、ルシフェラーゼ活性の量によって示されるように、細胞あたりに添加されたHoc架橋T4-AAV粒子の数に比例し、細胞あたり10
6個の粒子で最大に達した(
図20)。
【0101】
遺伝子はT4およびAAVの両方によって効率的に送達される
T4-AAVハイブリッドベクターの利点は、T4とAAVの両方を同時に使用して遺伝子を送達できることである。T4が二本鎖DNAの形態で遺伝子を送達するのに対して23、AAVは、パッケージされたAAVゲノムの天然状態である一本鎖DNAの形態で遺伝子を送達する15。
【0102】
一実施形態では、mCherry DNA(赤色蛍光)はT4カプシドにパッケージされ、GFP DNA(緑色蛍光)はAAVにパッケージされ、両方がSoc架橋を介してコンジュゲートされる。次いで、これらのT4(mCherry)-AAV(GFP)ナノ粒子を、緑色蛍光および赤色蛍光の両方の送達および発現のためにHEK293細胞に添加し、蛍光シグナルを細胞全体に均一に分布させる(
図21中、2102)。重要なことに、シグナルは高度に融合し、T4-AAVハイブリッドベクターによってT4関連mCherryおよびAAV関連GFPの両方が共送達されるため、同じ細胞において両方のシグナルが発現することを実証する。
【0103】
別の実施形態では、GFP DNA(緑色蛍光)はT4カプシドにパッケージされ、mCherry DNA(赤色蛍光)はAAVにパッケージされ、これらはまた、Soc架橋を介してコンジュゲートされ、T4(GFP)-AAV(mCherry)粒子を形成する。T4(GFP)-AAV(mCherry)粒子をHEK293細胞に添加した後、緑色および赤色蛍光シグナルの両方も均一に分布され、高度に融合される(
図21中、2104)。
【0104】
両方の実施形態では、緑色蛍光シグナルおよび赤色蛍光シグナルの相関係数は、線形ピアソン(rp)および非線形スピアマンの順位(rs)を用いて定量化される。結果は、両方について高いrpおよびrs値を示し(T4(mCherry)-AAV(GFP)の場合:rp=0.881、rs=0.884;T4(GFP)-AAV(mCherry)の場合:rp=0.856、rs=0.902)、T4およびAAVによって送達される蛍光遺伝子の高い共発現を実証する。
【0105】
T4-AAVは、遺伝子およびタンパク質の両方を同時に効率的に送達する
T4-AAVベクターはまた、タンパク質および遺伝子の両方を送達する能力で有利であり、ハイブリッドナノ粒子の治療的可能性をさらに拡大する。
【0106】
一実施形態では、Soc(Soc-β-gal)2204に融合した大腸菌由来の116 kDaβ-ガラクトシダーゼの約250コピーがT4ヘッド2202に表示され、約6.2 kbのルシフェラーゼプラスミド(表示せず)の約9分子がT4ヘッド2202にパッケージされ、GFP DNA(表示せず)が、Hoc架橋を介してT4に結合したAAV 2206にパッケージされている(
図22)。得られたβ-gal-Soc-T4(luci)-AAV(GFP)粒子をHEK293細胞に形質導入する。
【0107】
図23は、送達効率の指標である相対発光単位を、T4ヘッド単独2302、ならびにT4に対して様々な比率、0.5:1(2304)、1:1(2306)および2:1(2308)でAAVを含むβ-gal-Soc-T4(luci)-AAV(GFP)粒子によるルシフェラーゼ送達の結果として示す。
図23に示すように、HSA架橋を介したAAVへの結合によって、形質導入効率は、T4ヘッド単独と比較して10,000倍増加する。
【0108】
図24では、AAV関連GFPの発現は、AAV対T4の比率への明確な用量依存性を示し、3:1の比率でピークに達する。
【0109】
T4によって送達されたβ-ガラクトシダーゼ酵素の発現を、X-Gal基質を使用して試験する。切断されたX-Gal基質の青色の外観は、機能性β-ガラクトシダーゼ酵素の発現が成功したことを示す。
図25は、T4ヘッド単独2502、およびT4-Hoc-AAVに対して異なる比率でSoc-β-galを含むβ-gal-Soc-T4(luci)-AAV(GFP)粒子2504によって送達した場合の青色の強度を示す。
図25に示すように、色の強度は、表示されたSoc-β-galタンパク質のコピー数に比例する。結果は、AAVの結合が、T4の表面に表示されたタンパク質の送達の増強にもつながることを裏付けている。
【0110】
別の実施形態では、T4カプシドを、核局在化シグナル(NLS)に融合されたGFPまたはGFPのいずれかと共に表示し、mCherryプラスミドDNAと共にパッケージし、AAVに結合させた。次いで、これらのT4-AAVナノ粒子をHEK293細胞に形質導入した。
図26に示すように、緑色蛍光シグナルおよびmCherryシグナルは、GFP-T4(mCherry)-AAV形質導入細胞およびNLS-GFP-T4(mCherry)-AAV形質導入細胞の両方で検出され、T4-AAV粒子によるタンパク質および遺伝子の両方の効率的な送達を裏付けている。
【0111】
さらに、T4-AAV粒子による形質導入後、Soc架橋またはHoc架橋にかかわらず、細胞あたり106個のT4-AAVベクターのレベルまで添加した場合でも、細胞生存率に対する測定可能な影響は観察されなかった。
【0112】
AAVを変異体に置換すると、送達効率を高めることができない。
一実施形態では、AAV VP1カプシドタンパク質のホスホリパーゼA2(PLA2)を変異させて、AAV-PLA2変異体を作製する。T4-AAVナノ粒子は、SBA架橋またはHBBA架橋のいずれかを介してAAV-PLA2変異体をT4に結合することによって組み立てられる。ルシフェラーゼDNAをT4にパッケージし、T4(Luci)-Soc-AAV-ANおよびT4(Luci)-Hoc-AAV-ANハイブリッドベクターを作製し、HEK293細胞に送達する。
図27は、PLA2変異を有さないT4(Luci)-Soc-AAV-WT 2702およびT4(Luci)-Hoc-AAV-WT 2706と比較した、T4(Luci)-Soc-AAV-AN 2704およびT4(Luci)-Hoc-AAV-AN 2708の相対発光を示す。結果は、野生型AAVを含むT4-AAVが、T4にパッケージされた送達遺伝子にPLA2変異体を含むT4-AAVよりも少なくとも5倍効率的であることを立証する。言い換えれば、T4(Luci)-Soc-AAV-AN(PLA2変異を含む)は、T4(Luci)-Soc-AAV-WTの形質導入効率の20%を維持し、したがって、核酸の送達においてT4ヘッド単独よりも依然としてさらに効率的である。
【0113】
ビオチン-アビジン架橋が存在しないと、送達効率を高めることができない
一実施形態では、ビオチン-アビジン架橋による結合なしに、T4をAAVと混合する。次いで、ルシフェラーゼDNAをT4にパッケージし、HEK293細胞に送達する。
図28は、様々なT4対AAV比率でのT4およびAAV混合物2802の相対発光単位を示す。ビオチン-アビジン架橋が存在しない場合、結果は、T4単独と比較して、T4送達が増強されないことを立証する。ペプチドTの結合は、T4によるLuci遺伝子の送達を改善する。しかしながら、混合物へ異なるT4対AAV比率でAAVを添加しても、T4(Luci)-Hoc-T 2804の送達効率のさらなる改善はない。
【0114】
上記の実施形態に従って、T4-AAVハイブリッドベクター作製の各工程における実務上の比率範囲および最適比率を以下の表に要約する。
【表1】
【0115】
T4-AAVナノ粒子による効率的なインビボ遺伝子送達
高い送達効率に加えて、長いインビボ持続性は、ウイルスベクターの別の望ましい特徴である。核に入ると、一本鎖AAV遺伝子は、複製して二本鎖AAV DNAを生成する。二本鎖AAV DNAは、ITRでの分子内または分子間再構成を介して頭尾コンカテマーに変換され、長期の導入遺伝子発現のためのエピソームとして存続すると考えられる。肝臓および筋肉を含む様々なAAV形質導入組織に関する研究は、コンカテマーが長期間、最長22ヶ月間持続することを示した15、26。以前の研究はまた、T4にパッケージされたDNAのインビボ持続性をITRが有意に増強することを示した10。
【0116】
一実施形態では、AAV逆位末端反復配列(ITR)は、パッケージされたDNAの導入遺伝子に隣接するように操作される。
【0117】
好ましい実施形態では、導入遺伝子は、SocまたはHoc架橋のいずれかを介してAAVに結合されるT4ヘッドにパッケージされた約9個のITR-Luci DNA分子である。得られたT4(ITR-Luci)-Soc/Hoc-AAV(GFP)粒子を次いでマウスに注射する。
図29に示されるように、ITR-Luci DNA分子からなる配列は、ITR 2902、CMVプロモーター(CMVpro)2904、ルシフェラーゼ遺伝子2906、ポリA 2908およびITR 2910の順序で連結する。
【0118】
一実施形態では、約2×1011個のT4(ITR-Luci)-Soc/Hoc-AAV(GFP)粒子をマウスに筋肉内(i.m.)注射する。マウスにおけるルシフェラーゼの発現を全身画像化によって監視し、60日間の光束を測定することによって定量化する。
【0119】
図30に示すように、ルシフェラーゼシグナルは局所注射部位で検出可能であり、T4-AAVナノ粒子の単回注射により、ルシフェラーゼがマウスにおいて効率的かつ長期に発現したことを立証している。T4-Soc-AAV粒子は、AAVを欠くT4粒子と比較した場合、30日目にルシフェラーゼシグナルの約25倍の増強をもたらした(
図30および
図31)。シグナルは30日目にピークに達し、60日目にも高レベルで保持された。対照的に、AAVを欠くT4粒子を投与されたマウスでは、シグナルは15日目にピークに達し、60日目までにほぼ消失した(
図30および
図31)。Hoc架橋T4-AAV粒子は、60日目にAAVを欠くT4よりも約130倍高い顕著なルシフェラーゼシグナルを生成した。
【0120】
一実施形態では、約5×10
10個のT4(ITR-Luci)-Soc/Hoc-AAV(GFP)粒子をマウスに筋肉内(i.m.)注射する。結果はまた、コンジュゲートされたT4-AAVが、T4単独と比較した場合、T4運送物のより効率的なマウス細胞への送達を促進し、結果として、より長期間にわたって遺伝子発現を増強することを確認した(
図32および
図33)。したがって、T4-AAVハイブリッドベクターは、治療適用のための魅力的な戦略を提供し得る。
【0121】
T4-AAVによって送達された多価DNAワクチンおよびタンパク質抗原は、防御免疫応答を効率的に誘導した
DNAワクチンは、それらの生産が全体的に安全かつ容易であるので、ワクチン開発の魅力的な候補である。DNAを分解から保護するためのDNAワクチンの製剤化および効率的な送達技術の開発は、DNAワクチンの最終的な有効性において重要な役割を果たす29。さらに、DNAワクチンによって誘発された免疫応答は、相同タンパク質のブーストによって劇的に増強された30。したがって、本発明では、DNAとタンパク質の両方を効率的に送達することができ、送達された遺伝子の発現を最大60日間維持することもできるT4-AAVハイブリッドベクターが、多機能遺伝子およびタンパク質(プライムブースト)ワクチン送達プラットフォームとして使用される。
【0122】
インフルエンザウイルスは、インフルエンザを引き起こす病原体である。インフルエンザウイルスエンベロープタンパク質のヘマグルチニン(HA)「ステム」領域は、非常に魅力的な「ユニバーサル」ワクチン候補である31。
【0123】
一実施形態では、本発明は、HA-ステム(HA4900)を含むT4-AAV送達ベクターを提供する。このDNAを、30:1のパッケージング比でカプシドあたり約10分子でT4ヘッドにパッケージした。
図34に示されるように、パッケージされたDNA分子は、以下の順序、ITR 3402、CMVプロモーター3404、HA4900 3406、ポリA 3408およびITR 3410で配列を含有する。これらの粒子をHEK293細胞へ形質導入すると、培養培地へのHA4900抗原の効率的な発現および分泌をもたらす(
図35)。
図35では、行3502は、HA4900タンパク質が細胞培養培地から回収されることを示す。
【0124】
一実施形態では、外部アジュバントなしのプライムブーストスキームを使用して、約2×1011個のHoc架橋T4(HA4900)-AAV(VRC 01)粒子でマウスを筋肉内免疫する。VRC-HIVMAB 060-00-AB(VRC01)は、HIV感染患者のB細胞から単離された広域中和HIV-1モノクローナル抗体(mAb)である。VRC01の形質導入は、マウスにおいても検出することができ(データは示さず)、2つの異なる遺伝子をパッケージおよび送達するT4-AAVハイブリッドベクターの能力を示している。
【0125】
図36は、プライムブーストスキームの実験設計を示す。手短に言えば、プライム注射の21日後、マウスはブースト注射を受ける。いくつかの実施形態では、マウスを51日目にペスト菌(Y.pestis)CO 92でチャレンジする。病原体DNAを運ぶT4-AAV粒子の注入によって誘導される免疫応答を評価するために、IgG力価を測定する。マウスでは、IgG2a力価はTH1(1型Tヘルパー細胞)免疫応答を反映し、IgG1力価はTH2(2型Tヘルパー細胞)免疫応答を反映する。
【0126】
一実施形態では、マウスは、21日目にプライム注射およびブースト注射を受ける。IgG力価として示される免疫応答を、14日目、35日目、60日目、120日目および180日目に測定する。T4(HA4900)の単回注射は、マウスにおいて抗HA IgG力価を誘発し(14日目)(
図37)、これを2回目の注射でさらに増強した(35日目)(
図38)。
図37および
図38は、それぞれ14日目および35日目のIgG力価を示す。PBSおよびT4対照は免疫応答を誘導しないが、AAVの結合は、AAVが結合されないHA4900を運ぶT4と比較して、高いIgG力価、したがってより強い免疫応答を誘導する。結果は、AAVへのコンジュゲーションがT4(HA4900)送達を有意に改善し、その結果、抗原発現の増加および感染因子に対するより強い免疫をもたらしたことを確認する。
図37および
図38は、IgGサブクラス、IgG1およびIgG2aの力価も示す。T4(HA4900)-AAV血清は、約25倍高いサブクラスIgG2a力価を含有していた。
図6Eは、免疫後6ヶ月でも安定し続ける、抗HA IgG2a力価の耐久性を示す。さらに、T4(HA4900)-AAVのIgG力価は、プライム注射後180日間を通して、T4単独によって誘導されたものよりも高いままである(
図39)。これらのデータは、T4-AAVナノ粒子が、T4ヘッド単独と比較した場合、より強いTH1バイアス性免疫応答を誘発することを示唆している。
【0127】
強力で耐久性のある体液性免疫活性は、通常、胚中心応答および長寿命の血漿およびメモリーB細胞を特徴とし、CD4+濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)の支援に大きく依存する33。CXCL13[ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13]ケモカインは、リンパ系組織における胚中心およびTfh細胞の活性について認められた血漿バイオマーカーである34。
【0128】
図40は、T4-AAVナノ粒子による免疫後180日間にわたる血清CXCL13レベルを示す。
図40に示すように、T4(HA4900)-AAV免疫化マウスは、T4(HA4900)免疫化マウスと比較してCXCL13の血清濃度が約4倍高く、ハイブリッドベクターによって誘発される胚中心およびTfh細胞の活性の増強を示している。
【0129】
ペスト菌(Y.pestisis)は、ペストを引き起こす病原体である。ペスト抗原F1mutVは、ペストに対する永続的な免疫応答を誘発することが知られている。
【0130】
別の実施形態では、本発明は、T4にパッケージされた約10分子のHA4900 DNA、Soc融合タンパク質としてT4の表面に表示された約590分子のF1mutV、Hoc架橋を介してT4に結合したAAVを含むハイブリッドT4(HA4900)-AAVナノ粒子を使用してマウスを免疫化する方法を提供する。プライム-ブーストスキームに従って、プライム注射の21日後のブースト注射でマウスを免疫化する。
【0131】
図41はIgG力価を示し、AAVの結合が抗HA IgG、特にIgG2a力価の増強をもたらすことを立証する。さらに、
図42に示すように、F1mutV-T4(HA4900)-AAVはまた、F1mutV-T4(HA4900)よりも高い総抗F1mutV IgG力価を刺激し、AAVの結合がT4によって送達されたタンパク質抗原に対する免疫応答も増強することを立証している。
【0132】
別の実施形態では、プライムブーストスキームを使用してマウスをF1mutV-T4(HA4900)-AAVベクターで免疫化し、次いで、51日目に、最も致死的なペスト菌(Y.pestis)CO92の295 LD50[Balb/cマウスにおいて1 LD 50=100コロニー形成単位(CFU)]のチャレンジ用量でチャレンジする。
【0133】
図43は、ペスト菌(Y.pestis)CO92でチャレンジしたマウスの生存率を示す。高い生存率は、免疫化による保護の増強を示す。
図43に示すように、F1mutV-T4(HA4900)-AAVベクターは完全な保護を示したが、非コンジュゲートF1mutV-T4(HA4900)ベクターは部分的な67%の保護を示した。したがって、結果は、AAVの結合がT4で送達された抗原によって誘導された免疫応答を改善することを確認した。
【0134】
別の実施形態では、プライムブーストスキームを使用してマウスをF1mutV-T4-AAV(HA4900)ベクターで免疫化し、次いで、51日目に、最も致死的なペスト菌(Y.pestis)CO92の295 LD50[Balb/cマウスにおいて1 LD50=100コロニー形成単位(CFU)]のチャレンジ用量でチャレンジする。
【0135】
しかしながら、AAVの結合は、T4ヘッド単独と比較した、HAに対する免疫応答の増強をもたらすことができない(データは示さず)。
【0136】
本発明では、有害作用または毒性関連作用、例えば血清アルカリホスファターゼの変化、体重減少、または温度変化の徴候は、T4-AAVナノ粒子で免疫化したマウスのいずれにおいても明らかにされなかった。
【0137】
本発明の多くの実施形態を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく修正および変形が可能であることは明らかであろう。さらに、本開示におけるすべての例は、本発明の多くの実施形態を示しているが、非限定的な例として提供されており、したがって、そのように示された様々な態様を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0138】
例
例1
プラスミド構築
プラスミドpET-28b-Soc、pET-28b-Soc-β-gal、およびpET-28b-F1mutV-Socを以前に記載されたように構築した10、12。pET-28b-BAP-Hocの構築のために、以下の3つのプライマー:FW1=ATCGAGTGGCACGAGGGTCTTTCGATGACTTTTACAGTTGATATAACTCC(配列番号1)、FW2=TTCTAGCTAGCGGTCTTAACGACATCTTCGAGGCACAGAAGATCGAGTGGCACGAGGGTCT TCG(配列番号2)、およびRW=ATAAAGCTTTTATGGATAGGTATAGATGATACCAGTTTC(配列番号3)を使用して、2回のPCRを行ってBAP-Hocを増幅した。第1回目のPCRは、FW1プライマーおよびRWプライマーを用いてBAP配列の一部にHocを融合することによって行った。
【0139】
FW2プライマーおよびRWプライマーを使用する2回目のPCRによって全長BAP-Hocを得、次いで、NheIおよびHindIIIで消化した。消化したBAP-Hoc断片をET-28bベクター内にサブクローニングした。BirA発現プラスミドpET-21a-BirAは、Addgene(登録商標)プラスミド#20857から購入した。プラスミドpAAV-DJ、pAAV-Helper、pAAV-GFP、pAAV-ルシフェラーゼおよびpAAV-mCherryは、Cell Biolabs(商標)から購入した。DJ-H75A-D76N変異体をクローニングするために、上流断片を、プライマーAN-F(CGCGGAAGCTTCGATCAACTACGCAGACAG)(配列番号4)およびHD-AN-R(GTTTGCCTCGAGGGCCGCGGCGTCTGCCTC)(配列番号5)および鋳型pAAV-DJを使用して増幅し、下流断片を、プライマーHD-AN-F(CCGCGGCCCTCGAGGCAAACAAAGCCTACGACCGGCAGCTCGACA)(配列番号6)およびAN-R(GAGAACGTACGGCAGCTGGTACTCCGAGTC)(配列番号7)を使用して増幅した。次いで、2つの断片を等量で混合し、これを鋳型として使用して、プライマーAN-FおよびAN-Rを用いてDJ-H75A-D76Nを増幅した。その後、PCR生成物をHindIII/BsiWI制限部位でpAAV-DJベクターにクローニングして、pAAV-DJ-H75A-D76Nを構築した。インフルエンザHA4900 DNA断片を最近の報告に従ってInvitrogen(登録商標)によって合成し31、次いで、EcoRIおよびHindIIIによる消化後にpAAVベクターにサブクローニングした。構築したすべてのプラスミドを配列決定して、正しい断片挿入を確認した(Retrogen(登録商標)、CA)。
【0140】
例2
タンパク質の発現および精製
大腸菌(E.coli)BL21(DE3)RIPL細胞で発現した組換えタンパク質を、以前に記載されたプロトコルに従って精製した10、12。インフルエンザHA4900を、以前の報告に従ってHEK293F懸濁細胞(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)から精製した31。簡潔に説明すると、pAAV-ITRs-HA4900プラスミドを、293fectin(商標)トランスフェクション試薬(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)を使用して、FreeStyle(登録商標)293発現培地(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)に維持したHEK293F細胞に一過性に形質導入した。次いで、130rpmで一晩振盪しながら、37℃かつ8% CO2で細胞をインキュベートした。12時間後、酪酸ナトリウム溶液(タンパク質発現を増強、最終濃度2 nM)(Sigma-Aldrich(登録商標)、MO)を補充した等容量の新鮮培地を細胞に添加した。7日目に、純粋な上清を遠心分離によって回収し、0.22μmフィルタ(Sartorius Stedim Biotech、Germany)で濾過した。タンパク質を、HisTrapHPおよびゲル濾過カラム(GE Healthcare(商標)、IL)を使用して精製した。
【0141】
例3
T4ヘッドおよびAAVの作製
10アンバー13アンバーhoc-del soc-del T4ヘッドを以前に記載されたプロトコルに従って精製した6。この変異体に感染した大腸菌P301(sup-)細胞(500 mL)を、10μg/mLのDNaseIおよびクロロホルム(1 mL)を含有する40 mLのPi-Mg緩衝液(26mM Na2HPO4/68mM NaCl/22mM KH2PO4/1mM MgSO4、pH7.5)に溶解し、37℃で30分間インキュベートした。溶解物を2回の低速(6,000×g、10分間)および高速(35,000×g、45分間)遠心分離に供し、最終ヘッドペレットを200μLのTris Mg緩衝液(10mM Tris・HCl、pH7.5/50mM NaCl/5mM MgCl2)に再懸濁し、CsCl密度勾配遠心分離によって精製した。5 mL勾配の底から約1/3に沈降した主要なヘッド帯域を抽出し、Tris・Mg緩衝液に対して一晩透析した。ヘッドをDEAE-Sepharoseクロマトグラフィーによってさらに精製した。ピークヘッド留分を濃縮し、-80℃で保存した。
【0142】
rAAV-DJは、トリプルプラスミドトランスフェクション法(Cell Biolabs(登録商標)、CA)を製造者の説明書に従って使用して製造した。簡潔に言うと、アデノウイルスヘルパープラスミド(pHelper)、repおよびcapを発現するrep/capプラスミド(pAAV-DJまたはpAAV-DJ-H75A-D76N)、およびAAV導入遺伝子カセット(AAVゲノム)を運ぶ導入遺伝子プラスミド(pAAV-GFP、pAAV-mCherry、pAAV-ルシフェラーゼ、pAAV-HA4900またはpAAV-VRCO1)(1:1:1)を含むプラスミドを、ポリエチレンイミン(PEI)(Polysciences、PA)を使用して、アデノウイルスE1aおよびE1bタンパク質を発現するHEK293細胞にコトランスフェクションした。72時間後、1,140×gで10分間遠心分離することによって細胞を回収した。細胞ペレットを溶解緩衝液(50mM Tris-HCl、pH8.5、0.15 M NaCl)に再懸濁し、ドライアイス-エタノールおよび37℃水浴での3回の凍結/解凍サイクルによって溶解した。ベンゾナーゼを混合物に添加し(最終濃度50U/ml)、溶解物を37℃で30分間インキュベートした。溶解物を3,700×gで20分間の遠心分離によって清澄化し、ウイルス含有上清を粗溶解物とみなした。次いで、ウイルスを、500,000rpmで16時間の、4℃での非連続的イオジキサノール密度勾配遠心分離(55型 Tiローター、Beckman(登録商標)、CA)によって、および製造者(GE Healthcare(商標)、IL)の説明書に従ってHiTrap AVB Sepharose(登録商標)HPによって精製した。Slide-A-Lyzer透析カセット(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)で、ピーク留分をPBS-MK緩衝液(PBS、pH7.4、2.5mMKCl、および1mMMgCl2)に対して透析した。透析したAAV粒子を濃縮し、-80℃で保存した。AAV力価を、QuickTiter AAV Quantitationキット(Cell Biolabs(登録商標)、CA)を使用して決定した。
【0143】
例4
T4ヘッドのインビトロDNAパッケージングおよびタンパク質表示
インビトロDNAパッケージングアッセイのために、20μlの各反応混合物は、パッケージング緩衝液(30mMのTris-HCl、pH7.5、100mMのNaCl、3mMのMgCl2、および1mMのATP)中に精製T4ヘッド(約2×1010粒子)、精製全長gp17(約3μM)および線状DNAを含有していた。混合物を37℃で30分間インキュベートした後、ベンゾナーゼヌクレアーゼを添加し、37℃で20分間インキュベートしてパッケージされていない余分なDNAを除去した。カプセル化されたヌクレアーゼ耐性DNAは、50mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、0.5μg/μlのプロテイナーゼK(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)、および0.2%のSDSで65℃にて30分間処理することによって放出された。パッケージされたDNAを1%(wt/vol)アガロースゲル電気泳動によって分析し、続いて臭化エチジウムで染色し、パッケージされたDNAの量を、Quantity Oneソフトウェア(Bio-Rad(商標)、CA)を使用して定量化した。パッケージング効率を、T4あたりにパッケージされたDNA分子の数として定義した。
【0144】
T4ヘッド上のインビトロタンパク質表示を、以前に記載された共沈降によって評価した8。簡潔に言うと、上記のように線状DNAをカプセル化した後、T4ヘッドをSoc融合タンパク質および/またはHoc融合タンパク質と共に4℃で45分間インキュベートした。混合物を30,000×gで45分間の遠心分離によって沈降させ、上清中の未結合タンパク質を除去した。PBSで2回洗浄した後、ペレットを4℃で一晩インキュベートし、次いでSDS/PAGE分析用のPBSに、または形質導入用のOpti-MEMに再懸濁した。クマシーブルーR250(Bio-Rad(商標)、CA)染色および脱色後、SDS-PAGEゲル上のタンパク質バンドをスキャンし、レーザーデンシトメトリー(PDSI、GE Healthcare(商標)、IL)によって定量化した。Hoc、Socおよびgp23バンドの密度を各レーンについて別々に決定し、カプシド当たりの結合したHocまたはSoc融合分子のコピー数を、gp23を内部対照(930コピー/カプシド)として使用して計算した。
【0145】
例5
AAVベクターおよびSocタンパク質のビオチン化
AAVベクターおよびSocタンパク質を、EZ-Link(商標)Sulfo-NHS-LC-ビオチンを製造者の説明書(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)に従って使用してビオチン化した。精製AAVベクター(1×1012粒子)を500 nmolのSulfo-NHS-LC-ビオチンと共にPBS緩衝液中37℃で2時間インキュベートした。Socタンパク質のビオチン化のために、20倍モル過剰のビオチン試薬を使用して、PBS緩衝液中で10mgのSocを標識した。遊離ビオチンを除去するために、反応混合物を、Slide-A-Lyzer(登録商標)透析カセット(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)中のPBS-MK緩衝液に対して透析した。透析したbioAAVおよびbioSocを濃縮し、-80℃で保存した。
【0146】
例6
HBBAの製造
15アミノ酸ビオチンアクセプターペプチド(BAP、GLNDIFEAQKIEWHE)(配列番号8)をHocタンパク質のN末端に融合した。大腸菌酵素ビオチンリガーゼ(BirA)配列は、ビオチンをBAPに特異的に連結する。簡潔に言うと、BL21RIPL細胞においてHis6タグ付きBirAおよびHoc-BAPを誘導し、HisTrapHPカラムおよびSECによって精製した。Hoc-BAPのビオチン化のために、1μMの組換えBirAリガーゼを、0.3mMのビオチンおよび5mMのATPの存在下で30μMのHoc-BAPモノマー(pH7.4のPBS-MgCl2緩衝液中)に添加した。反応を室温(RT)で3時間進行させた。ビオチン化をストレプトアビジン-HRPウエスタンブロット分析によって確認した。遊離ビオチンをZeba(商標)脱塩スピンカラム(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)によって除去した。ビオチン化反応混合物を緻密な樹脂床の中心に充填し、1,000×gで2分間遠心分離して脱塩試料を回収した。精製したHoc-BAP-ビオチンをアビジンと1:3の比率で4℃で1時間インキュベートした。HBBAをSECによって精製した。ピーク留分を濃縮し、-80℃で保存した。
【0147】
例7
T4-Soc-AAVおよびT4-Hoc-AAVベクターの製造
ニッケルビーズ上でのT4-Soc-AAVベクターの組み立てのために、T4-Soc(His6)-ビオチンベクターをNi2+-NTAアガロースビーズ(Qiagen(登録商標)Netherlands)上に充填した。4℃で1時間インキュベートした後、混合物を100×gで30秒間遠心分離し、結合緩衝液で5回洗浄した。次いで、結合緩衝液に溶解したアビジンをビーズに添加した。4℃で20分間インキュベートした後、遊離アビジンを洗浄および遠心分離によって除去した。次いで、ビオチン化AAVベクターをT4-Soc-SBA固定化ビーズに添加し、30分間インキュベートした。結合緩衝液で5回洗浄した後、結合したT4-Soc-AAVベクターを溶出緩衝液(50mM Tris-HCl、pH8.0、300mM NaClおよび300mMイミダゾール)で溶出した。ニッケルビーズ上にT4-Hoc-AAVを組み立てるためのプロトコルは、T4-Soc-AAVに利用されたものと同様であった。最後に、溶出したベクターはPBS-MK緩衝液に替えられた。
【0148】
例8
ウエスタンブロット分析
AAVまたはT4-AAV粒子を充填緩衝液中で10分間煮沸し、12% SDS-PAGEで分離し、次いでニトロセルロースメンブレン(Bio-Rad(商標)、CA)に転写した。ブロッキングは、5% BSA/PBS-T緩衝液(PBS、pH7.4、0.05% Tween-20)中、穏やかに振盪しながら室温で1時間行った。次いで、ブロットをPBS-Tで3回洗浄した。一次抗体をブロットに添加し、5% BSAを含むPBS中、4℃で一晩インキュベートした。AAV VPタンパク質を、それらの同一のC末端領域に基づいてVP1、VP2およびVP3を認識するAAVカプシドタンパク質特異的抗体B1(1:50で希釈、American Research Products、MA)を使用して検出した。PBS-Tで3回洗浄した後、二次ヤギ抗マウスHRPコンジュゲート抗体(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)を5% BSA/PBS-T中で1:2,000に希釈して室温で1時間適用し、続いてPBS-Tで3回すすいだ。bio-AAV、bio-Soc、およびHoc-BAP-ビオチンは、HRPコンジュゲートストレプトアビジン(Abcam(登録商標)、UK)によって直接検出された。シグナルを、Bio-Rad(商標)Gel Doc XR+システムおよびImage Labソフトウェアを製造者の説明書(Bio-Rad(商標)、CA)に従って使用して、増強された化学発光基質(Bio-Rad(商標)、CA)で可視化した。
【0149】
例9
T4カプシドの標識
T4カプシドをアミン反応性Alexa Fluor(登録商標)594(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)で標識するために、ペレット化したT4ヘッドを0.1 Mカルボナート緩衝液、pH9.0に再懸濁した。Alexa Fluor(登録商標)594を最終濃度0.2mg/mlまで添加した。暗所で回転させながら室温で1時間インキュベートした後、pH7.4のPBSへの緩衝液交換を介して未結合色素を除去した。
【0150】
例10
TEM
T4-AAV複合体を室温で5分間カーボングリッドに適用した。次いで、Gatan(登録商標)CP3低温プランジャを使用して、グリッドを液体窒素中で凍結させた。T4、AAV、およびT4-AAV複合体の低温EM画像は、親切にもパデュー大学のDr.Qianglin Fangによって、電荷結合素子(CCD)カメラを備えたTitan Krios顕微鏡を使用して収集された。この実験のためのAAV粒子は、フロリダ大学のDr.Mavis Agbandje-McKennaによって提供された。
【0151】
例11
細胞培養
HEK293細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)、1×HEPES(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)および1%抗生物質(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM,Gibco(登録商標))(完全DMEM)中で培養した。細胞を80~90%集密で1:5の継代培養比で0.05%トリプシン/EDTAで継代し、37℃および5% CO2の加湿雰囲気でインキュベートした。
【0152】
例12
細胞形質導入ならびに遺伝子およびタンパク質送達の検出
HEK293細胞を、完全DMEMにおいて24ウェルプレートに2.0×105細胞/ウェルで播種した。24時間後、細胞を、抗生物質を含まないOpti-MEM中、異なるMOIでAAV、bio-AAV、T4またはT4-AAVベクターと共に6時間インキュベートした。その後、Opti-MEMを除去し、完全DMEMと交換した。細胞を37℃でさらに48時間インキュベートした。GFP/mCherry導入遺伝子の発現を、形質導入の48時間後に蛍光顕微鏡法(Carl Zeiss、Germany)によって観察し、平均蛍光強度をImageJソフトウェアによって定量化した。核をHoechst 33342(Thermo Fisher Scientific(登録商標)、MA)で染色した。T4またはT4-AAVによる細胞へのルシフェラーゼ遺伝子送達を分析するために、本発明者らは、ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega(登録商標)、WI)を用いて製造者の説明書に従ってルシフェラーゼ活性を測定した。簡潔に言うと、増殖培地を除去し、細胞をPBS緩衝液ですすいだ。洗浄緩衝液を除去した後、150μlの受動的溶解緩衝液(passive lysis buffer)を各ウェルに添加し、その後室温で20分間穏やかに振盪した。次いで、20マイクロリットルの細胞溶解物を96ウェル白色不透明プレートに移し、80μlのルシフェラーゼアッセイ試薬と混合し、発光シグナルをGlomax Multi Detection System(Promega(登録商標)、WI)によって記録した。β-ガラクトシダーゼ染色キット(Sigma-Aldrich(登録商標)、MO)を用いてX-Galで染色することにより、細胞内のT4ヘッドに表示されるSoc-β-gal酵素の活性を測定した。3回の測定を各群に適用した。
【0153】
例13
共局在化分析
Zen(Carl Zeiss、Germany)およびImageJソフトウェアを使用して画像を処理した。2色比較のための共局在化の程度を定量化するために、緑色および赤色チャネルで蛍光シグナルを表すピクセルの線形ピアソン(rp)および非線形スピアマンのランク(rs)相関係数を、ImageJ PSCプラグインを使用して計算した。
【0154】
例14
細胞生存率アッセイ
48時間のトランスフェクション後、CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay Kit(Promega(登録商標)、WI)を製造者の説明書に従って使用して細胞生存率を決定した。簡潔に言うと、等量のCellTiter-Glo(登録商標)試薬を各ウェル中の細胞培養物に加えた。混合物を軌道振盪機上に2分間置いて細胞溶解を誘導し、次いで室温で10分間インキュベートして発光シグナルを安定化し、これをGlomax Multi Detection System(Promega(登録商標)、WI)によって記録した。未処理細胞群の生存率を任意に100%に設定し、各群に3回の測定を適用した。
【0155】
例15
インビボ生物発光画像化
インビボ生物発光画像化を以前に記載されたように行った10。具体的には、5×1010個および2×1011個のT4またはT4-AAV粒子をBALB/cマウスに筋肉内注射した。投与後0.25日目(d)、0.5d、1d、2d、5d、10d、15d、30dおよび60dに、0.9%生理食塩水に溶解したルシフェラーゼ基質であるRediJect D-Luciferin Ultra(Perkin-Elmer(商標)、MA)30μgを腹腔内注射した。5分後、マウスを2%イソフルランで軽く麻酔し、IVIS 200生物発光全身画像化ワークステーション(Caliper(商標))に置いた。生物発光放出シグナルを、カメラ制御プログラム、Living Imageソフトウェアを使用して定量化し、表面放射輝度の物理単位、ステラジアン当たりの平方センチメートル当たりの毎秒光子(光子/秒/cm2/sr)で表示した。
【0156】
例16
マウス免疫化
すべての動物実験は、アメリカカトリック大学(Washington,DC)およびテキサス大学医学部(Galveston,TX)の動物実験委員会によって承認された。マウス(BALB/c、雌、6~8週齢、Jackson Laboratories、ME)を無作為にグループ分けし、7日間順応させ、その後、ベクターを用いて後肢に筋肉内免疫化した(0日目のプライミングおよび21日目のブースティング)。擬免疫化マウス(PBSのみ)の一群を陰性対照として含めた。0日目(出血前)、14日目、21日目、35日目、60日目、120日目および180日目に各動物から血液を採取し、単離した血清を-80℃で保存した。
【0157】
例17
ELISA
ELISAプレート(Evergreen Scientific、CA)を、ウェルあたり、コーティング緩衝液(0.05M炭酸ナトリウム-重炭酸ナトリウム、pH9.6)中の0.1μgのタンパク質で4℃にて一晩被覆した。PBS-T緩衝液で3回洗浄した後、PBS-3% BSA緩衝液で37℃にて1時間プレートをブロッキングした。血清中の抗原特異的IgG/G1/G2aの濃度を、PBS-1% BSAにおける最初の100倍希釈から始まる5倍希釈系列を使用して監視した。希釈した血清試料を各ウェルに添加し、プレートを37℃で1時間インキュベートし、PBS-T緩衝液で5回洗浄した。次いで、二次ヤギ抗マウスIgG-HRP抗体(HRPコンジュゲートヤギ抗マウスIgG1またはIgG2a二次抗体をIgG1/IgG2aサブタイプに使用した、Invitrogen(登録商標))を1:5,000希釈で各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートし、続いてPBS-T緩衝液で5回洗浄した。次に、TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)Microwell Peroxidase Substrate System(KPL)を、発色のために暗所で塗布した。10分後、TMB BlueSTOP(KPL)溶液を添加することによって酵素反応をクエンチし、ELISAリーダー(VERSA max、Molecular Devices)によって30分以内に650 nmでプレートを読み取った。エンドポイント力価を、アッセイの平均バックグラウンド(陰性血清)の2倍に等しいOD650をもたらす試料希釈として提示した。血清中のCXCL13定量のために、マウスCXCL13 ELISAキット(Boster Biological Technology、CA)を製造者の説明書に従って使用した。
【0158】
例18
アルカリホスファターゼ(ALP)アッセイ
ALP生化学的パラメータを、T4、AAV、またはT4-AAVで免疫化したマウスの血清で決定した。対照として未処理マウスを使用した。ALPレベルは、市販のALPアッセイキット(Elabscience(登録商標)、MD)を製造者の説明書に従って使用して測定した。
【0159】
例19
マウスチャレンジ
順化マウスを、T4、AAV、F1mutV-T4(HA4900)またはF1mutV-T4(HA4900)-AAVで後肢に筋肉内免疫した(0日目にプライミングおよび21日目にブースティング)。0日目(出血前)および35日目に免疫学的分析のために各動物から血清を収集した。42日目に、マウスに295 LD50のペスト菌CO92細菌を鼻腔内チャレンジした40。動物を監視し、死亡率、体重および体温について記録した。
【0160】
例20
統計
定量化されたすべてのデータは、平均±標準偏差(SD)提示されている。統計分析を両側スチューデントのt検定によって行った。2群間の有意差を*p<0.05または**p<0.01で示す。
【0161】
例21
使用の有用性
治療有効量のハイブリッドベクターは、DNAおよびタンパク質送達ツールとして、または感染症、例えば、これらに限定されないがCOVID、インフルエンザ、HIV、炭疽およびペストに対するワクチン接種のために使用される。
【0162】
投与経路
DNA分子またはタンパク質を運ぶハイブリッドベクターの治療有効量を、様々な経路によって投与することができる。限定されないが、COVID、インフルエンザ、HIV、炭疽およびペストなどの感染性疾患を予防するための、対象へのワクチン接種の実施において、ハイブリッドベクターは、ハイブリッドベクターを有効量で生物学的に利用可能にする任意の形態または様式で投与することができる。例えば、化合物は、経口、吸入、または皮下、筋肉内、静脈内、経皮、鼻腔内、直腸、眼、局所、舌下、頬側、または他の経路によって投与することができる。
【0163】
ハイブリッドベクターを調製する当業者は、選択されたハイブリッドベクターの特定の特徴、治療される障害または状態、障害または状態の段階、および他の関連する状況に応じて適切な投与形態および投与様式を容易に選択することができる。
【0164】
医薬組成物
医薬組成物は、医薬分野で周知の方法で調製され、医薬組成物は、1つ以上のDNA分子およびタンパク質を運ぶハイブリッドベクターの組成物の治療有効量を含む。担体または賦形剤は、活性成分のためのビヒクルまたは媒体として機能することができる固体、半固体または液体材料であり得る。適切な担体または賦形剤は、当技術分野で周知である。
【0165】
医薬組成物は、経口または非経口に適合させることができ、錠剤、糖衣錠、カプセル、遅延放出硬質カプセル、軟質ゲル、チュアブル錠、ガム状、注射液、カプレット、粉末、顆粒、シロップ、エアロゾル、吸入剤、坐剤、溶液、懸濁液、組成物を含むカテーテル、組成物を含むシリンジ、組成物を含むインプラント、経皮パッチなどの剤形で対象に投与することができる。
【0166】
一例では、本明細書に開示される組成物は、
図44に示すような軟質ゲルの剤形で製剤化され得る。本明細書に開示される組成物は、
図45に示されるような硬質カプセルの剤形で製剤化され得る。本明細書に開示される組成物はまた、硬質カプセルの剤形で製剤化され得、組成物中のそれぞれ異なる化合物が別様に被覆される(
図46)。
【0167】
別の例では、本明細書に開示される組成物は、
図47に示すような錠剤の剤形で製剤化され得る。本明細書中に開示される組成物を含む錠剤は、
図48に示されるようなチュアブル錠であり得る。本明細書に開示される組成物は、
図49に示されるようなカプレット中に製剤化され得る。本明細書に開示される組成物を含むカプレットは、
図50に示すように、コアおよびシェルなどの2つ以上の部分を含む徐放性カプレットとして製剤化されてもよく、コアはシェル内にある。
【0168】
経口投与のための剤形の上記の例に加えて、開示される組成物はまた、注射などによって対象の身体に送達されてもよい。組成物は、注射液の剤形に製剤化され、対象の体内に注射するために、注射用の装置(例えば、シリンジ)に充填され得る。
図51は、注射用薬物送達装置(5112)と、注射液の剤形の本明細書に開示される組成物(5114)とを含む治療送達装置(5110)の図である。本明細書に開示される組成物は、注射によって対象の皮膚(5120)を通して送達され、対象の体内(5122)に入ることができる。選択の実施形態では、注射用薬物送達装置は、対象の身体の外側(5124)に留まることができる。
【0169】
図51は、組成物を対象の体内に送達するための1つの例示的な実施形態を表すにすぎない。送達器具は、シリンジ型装置に限定されなくてもよい。当業者は、開示された生成物または薬剤の患者の身体への送達に適した任意の注射用装置が本発明の態様に従って利用され得ることを容易に理解するであろう。
【0170】
いくつかの例では、本明細書に開示される組成物は、経皮パッチなどを介して対象の体内に送達され得る。
図52は、本明細書に開示される組成物を含む経皮パッチ5214を示す。経皮パッチ5214は、対象の皮膚5212上に配置するための接着剤パッチと、接着剤パッチに埋め込まれた1つ以上の活性層とを含むことができ、1つ以上の活性層は、治療有効量で本明細書に開示される組成物を含む。経皮パッチ5214を対象の身体に配置して、接着剤パッチに埋め込まれた組成物を対象の血流中に送達させることができる。
【0171】
いくつかの例では、
図53に示すように、経皮パッチ5300において治療有効量のハイブリッドベクターの組成物は、1つ以上の活性層(例えば、5312および5314)に製剤化され、不透過性裏打ち層5310の下に埋め込まれる。
図52および
図53は、開示された組成物の経皮パッチを介した対象の体内への例示的な送達の単なる例証的表示である。当業者は、本発明に記載される開示された生成物を送達するのに適した任意の種類の経皮パッチが利用され得ることを容易に理解するであろう。
【0172】
用量
組成物を、あらゆる潜在的な毒性または他の望ましくない効果を最小限に抑えながら、慣例的な試験によって規定された適切な投与量で使用して、最適な薬理学的効果を得ることができる。
【0173】
有効量は、当業者である主治医によって、従来の技術を使用することによって、および類似の状況下で得られた結果を観察することによって、容易に決定することができる。有効量、ハイブリッドベクターの用量の決定において、いくつかの因子が主治医によって考慮され、これには、限定されないが、投与されるべきベクター;種-そのサイズ、年齢、および全般的な健康状態;関与する特定の障害;障害の関与の程度または重症度;個々の対象の応答;投与様式;投与される調製物のバイオアベイラビリティ特性;選択された用量レジメン;他の併用薬の使用;および他の関連状況が含まれる。
【0174】
投与される特定の用量は、各々の状況を取り巻く特定の状況によって決定され得る。これらの状況には、投与経路、レシピエントの過去の病歴、治療される症状、治療される症状の重症度、およびレシピエントの年齢が含まれ得る。レシピエント対象の主治医は、関連する状況を考慮して投与される治療用量を決定すべきである。
【0175】
また、正確な用量は、レシピエントを「用量滴定する」という医療分野の標準的な慣行に従って決定され得ることが理解されるべきである。すなわち、最初に低用量の化合物を投与し、所望の治療効果が観察されるまで用量を徐々に増加させる。
【0176】
投薬レジメンは様々な因子に従って選択され得ることが、さらに理解されるべきである。これらには、対象のタイプ、種、年齢、体重、性別、食事および医学的状態;治療される状態の重症度;投与経路;対象の腎臓および肝臓の機能;投与時間;排泄速度;使用される特定のハイブリッドベクターが含まれる。当業者の主治医は、治療されている疾患または障害の進行を予防、対抗または停止するために必要な薬物の有効量を容易に決定および処方することができる。
【0177】
一例では、この生成物は、1日1回の投与および/または1日複数回の投与の1つまたは複数から選択される投与間隔を有する連続スケジュールに従って投与するために使用され得る。一実施形態では、この生成物は、それを慢性的に必要とする対象に投与され得る。
【0178】
本発明は、本発明を実施するために企図される本明細書に開示された特定の実施形態に限定されず、本発明は特許請求の範囲内に入るすべての実施形態を含むことが意図される。
【0179】
本出願で引用されたすべての文書、特許、雑誌論文および他の資料は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0180】
本発明の多くの特徴および利点は、詳細な明細書から明らかであり、したがって、添付の特許請求の範囲によって、本発明の真の精神および範囲内に入る本発明のすべてのそのような特徴および利点を網羅することが意図される。さらに、多数の修正および変形が当業者には容易に思い浮かぶであろうから、本発明を図示および説明された厳密な構成および動作に限定することは望ましくなく、したがって、すべての適切な修正および等価物を本発明の範囲内に向かわせ、その中に入れることができる。
参考文献
【0181】
本出願で引用されたすべての文書、特許、雑誌論文および他の資料は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0182】
本発明は、特定の実施形態を参照して開示されているが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の領域および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対する多くの修正、改変、および変更が可能である。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の文言およびその均等物によって定義される全範囲を有することが意図される。
【配列表フリーテキスト】
【0183】
配列表1 <223>合成プライマー:FW1
配列表2 <223>合成プライマー:FW2
配列表3 <223>合成プライマー:RW
配列表4 <223>合成プライマー:AN-F
配列表5 <223>合成プライマー:HD-AN-R
配列表6 <223>合成プライマー:HD-AN-F
配列表7 <223>合成プライマー:AN-R
配列表8 <223>合成:ビオチン受容体ペプチド(BAP)
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のウイルスベクター;
第2のウイルスベクター;および
第1のウイルスベクターを
第2のウイルスベクターに連結する架橋を含む
生成物であって、
前記生成物が、ハイブリッドウイルスベクターであり、ハイブリッドウイルスベクターの形で宿主対象または宿主細胞に感染する能力を有する、生成物。
【請求項2】
前記第1のウイルスベクターが、ラムダファージ、バチルスファージPhi29、大腸菌ファージT2、T3およびT7、腸内細菌ファージP22、ファージSPP1、ヘルペスウイルスならびにアデノウイルスからなる群から選択される、請求項1記載の生成物。
【請求項3】
前記第2のウイルスベクターが、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、
およびレンチウイル
スからなる群から選択される、請求項1記載の生成物。
【請求項4】
前記架橋が、SBA、
およびHBB
Aからなる群から選択される、請求項1記載の生成物。
【請求項5】
前記第1のウイルスベクターにパッケージされた1つ以上のDNA分子をさらに含む、請求項1記載の生成物。
【請求項6】
前記DNAが二本鎖である、請求項5記載の生成物。
【請求項7】
前記第2のウイルスベクターにパッケージされた1つ以上の核酸分子をさらに含む、請求項1記載の生成物。
【請求項8】
前記核酸が、一本鎖DNA、二本鎖DNAおよびRNAからなる群から選択される、請求項7記載の生成物。
【請求項9】
前記第1のウイルスベクターにパッケージされた1つ以上の二本鎖DNA分子と、前記第2のウイルスベクターにパッケージされた1つ以上の核酸分子とをさらに含む、請求項1記載の生成物。
【請求項10】
前記第1のウイルスベクターの表面に表示される1つ以上の
非ウイルスタンパク質をさらに含む、請求項1記載の生成物。
【請求項11】
生物学的検体の細胞に曝露されると、前記生物学的検体の前記細胞に核酸を送達する、請求項1記載の生成物。
【請求項12】
生物学的検体の細胞に曝露されると、前記生物学的検体の前記細胞に
非ウイルスタンパク質を送達する、請求項
10記載の生成物。
【請求項13】
T4ヘッドカプシド;
ビオチン化AAV;および
ビオチン-アビジン架橋を含む生成物であって、
前記ビオチン-アビジン架橋が、Soc-ビオチン-アビジン(SBA)またはHoc-BAP-ビオチン-アビジン(HBBA)であり;
前記架橋のアビジンがビオチン化AAV上のビオチンに結合し、HocまたはSocがT4に結合する、生成物。
【請求項14】
前記T4にパッケージされた1つ以上のDNA分子をさらに含む、請求項
13記載の生成物。
【請求項15】
前記DNAが二本鎖である、請求項
14記載の生成物。
【請求項16】
AAVにパッケージされた1つ以上のDNA分子をさらに含む、請求項
13記載の生成物。
【請求項17】
前記DNAが一本鎖である、請求項
16記載の生成物。
【請求項18】
T4にパッケージされた1つ以上の二本鎖DNA分子と、AAVにパッケージされた1つ以上の一本鎖DNA分子とをさらに含む、請求項
13記載の生成物。
【請求項19】
前記T4の表面に表示される1つ以上の
非ウイルスタンパク質をさらに含む、請求項
13記載の生成物。
【請求項20】
生物学的検体の細胞に曝露されると、前記生物学的検体の前記細胞にDNAを送達する、請求項
13記載の生成物。
【請求項21】
生物学的検体の細胞に曝露されると、前記生物学的検体の前記細胞に
非ウイルスタンパク質を送達する、請求項
19記載の生成物。
【請求項22】
第1のウイルスベクター;
前記第1のウイルスベクターにパッケージされた1つ以上のDNA分子;
第2のウイルスベクター;
前記第2のウイルスベクターにパッケージされた1つ以上の核酸分子、および
前記第2のウイルスベクターを前記第1のウイルスベクターに連結する架橋を含む
生成物であって、
前記生成物が、ハイブリッドウイルスベクターであり、ハイブリッドウイルスベクターの形で宿主対象または宿主細胞に感染する能力を有する、生成物。
【請求項23】
前記第1のウイルスベクターにパッケージされた前記DNA分子が
、前記第2のウイルスベクターにパッケージされた前記核酸分子と同じである、請求項
22記載の生成物。
【請求項24】
前記DNA分子が二本鎖である、請求項
23記載の生成物。
【請求項25】
前記核酸分子が、一本鎖DNA、二本鎖DNAおよびRNAからなる群から選択される、請求項
22記載の生成物。
【請求項26】
SBAまたはHBBA架橋を
構築すること;
前記架橋のSocまたはHoc末端をT4に結合させること;
AAVをビオチン化すること;および
前記架橋のアビジン末端をAAVに結合することを含
む方法であって、
前記SBA架橋が、Soc、ビオチンおよびアビジンを順次接続して構築され、
前記HBBA架橋が、Hoc、ビオチン受容体ペプチド(BAP)、ビオチンおよびアビジンを順次接続して構築される、方法。
【請求項27】
架橋を設計すること;
前記架橋の一端を第1のウイルスベクターに結合させること;および
前記架橋の他端を第2のウイルスベクターに結合することを含
む方法であって、
結果として生じる生成物が、ハイブリッドウイルスベクターであり、ハイブリッドウイルスベクターの形で宿主対象または宿主細胞に感染する能力を有する、方法。
【国際調査報告】