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特表2022-5389583つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具
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  • 特表-3つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具 図1
  • 特表-3つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具 図2
  • 特表-3つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具 図3
  • 特表-3つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具 図4
  • 特表-3つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具 図5
  • 特表-3つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具 図6
  • 特表-3つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具 図7
  • 特表-3つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具 図8
  • 特表-3つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具 図9
  • 特表-3つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具 図10
  • 特表-3つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具 図11
  • 特表-3つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】3つの先端部分を有する刃先交換式穴あけインサート、及びそのような穴あけインサートが中心に取り付けられる回転切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23B 51/00 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
B23B51/00 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565140
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(85)【翻訳文提出日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 IL2020050628
(87)【国際公開番号】W WO2020261256
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】16/451,127
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シットリット,シモン
【テーマコード(参考)】
3C037
【Fターム(参考)】
3C037BB00
3C037BB13
(57)【要約】
穴あけインサート(20)は、中心軸(AC)を有する中心部分(22)と、3つの円周方向に離間する先端部分(24a、24b、24c)と、を有する。各先端部分は、第1の軸(A1)と、径方向最外切削点(NC1、NC2)を有する2つの分岐する第1の切れ刃(30a、30b)と、を有し、径方向最外切削点(NC1、NC2)は、第1の軸に直交する先端平面上にある第1の円を画定し、第1の切削直径を有する。第1の軸の1つに沿った図において、第2の直径を有する第2の円は、穴あけインサートに外接し、第1の切削直径は、第2の直径の少なくとも60パーセントである。ある工具切削直径を有する工具軸回りに回転可能な切削工具は、穴あけインサート(20)と、第2の切れ刃を有する第2の切削インサートと、を含む。先端部分の1つは、有効であり、工具軸に同軸な第1の軸を有し、第2の切れ刃は、第1の切削直径の径方向外側に延在する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃先交換式穴あけインサート(20)であって、
中心部分(22)と、3つの先端部分(24a、24b、24c)と、を備え、
前記中心部分(22)は、対向する第1の側面(26a)及び第2の側面(26b)と、前記第1の側面(26a)及び前記第2の側面(26b)を通過する中心軸(AC)と、を有し、
中央平面(M)は、前記中心軸(AC)に直交し、2つの前記側面(26a、26b)の間を通過し、
3つの前記先端部分(24a、24b、24c)は、前記中心部分(22)回りに円周方向に離間し、
各前記先端部分(24a、24b、24c)は、第1の軸(A1)及び2つの分岐する第1の切れ刃(30a、30b)を有し、
前記第1の軸(A1)は、先端点(NT)で前記先端部分(24a、24b、24c)に交差し、
2つの前記第1の切れ刃(30a、30b)は、前記第1の軸(A1)から離れて、前記第1の軸(A1)に対する2つの径方向最外切削点(NC1、NC2)まで延在し、
先端平面(PT)は、前記第1の軸(A1)に直交し、2つの前記径方向最外切削点(NC1、NC2)を含み、
2つの前記径方向最外切削点(NC1、NC2)は、前記第1の軸(A1)及び第1の切削直径(DC1)と一致する中心を有する仮想第1の円(C1)上にあり、
前記中央平面(M)は、3つの前記第1の軸(A1)を含み、
3つの前記第1の軸(A1)のいずれか1つに沿って取った図において、第2の直径(D2)を有する仮想第2の円(C2)は、前記穴あけインサート(20)に外接し、
前記第1の切削直径(DC1)は、前記第2の直径(D2)の少なくとも60パーセントである、穴あけインサート(20)。
【請求項2】
各前記先端部分(24a、24b、24c)の2つの前記第1の切れ刃(30a、30b)に沿った点は、それぞれの前記先端点(PT)からそれぞれの前記先端点(NT)より遠くに位置することがない、請求項1に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項3】
各前記第1の軸(A1)は、前記中心軸(AC)に交差する、請求項1又は2に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項4】
各前記先端部分(24a、24b、24c)の2つの前記径方向最外切削点(NC1、NC2)は、前記中央平面(M)の両側に位置する、請求項1~3のいずれか1項に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項5】
前記中央平面(M)は、前記第1の側面(26a)と前記第2の側面(26b)との間の中間に位置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の穴あけインサート(20)
【請求項6】
前記第1の側面(26a)及び前記第2の側面(26b)は、第1の側平面(P1)及び第2の側平面(P2)を画定し、
前記第1の側平面(P1)及び前記第2の側平面(P2)は、前記中心軸(AC)に沿った方向で最大インサート厚さ(TI)を画定し、
前記穴あけインサート(20)には、前記最大インサート厚さ(TI)の外側に延在する部分がない、請求項1~5のいずれか1項に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項7】
前記第1の切削直径(DC1)は、前記最大インサート厚さ(TI)の少なくとも2倍である、請求項6に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項8】
各前記先端部分(24a、24b、24c)の2つの前記径方向最外切削点(NC1、NC2)は、前記第1の側平面(P1)と前記第2の側平面(P2)との間に位置する、請求項6又は7に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項9】
各前記仮想第1の円(C1)は、2つの交差点(NI1、NI2)で前記中央平面(M)に交差し、
前記中央平面(M)で取った断面図において、各前記交差点(NI1、NI2)は、前記中心軸(AC)を含む仮想径方向直線(RL1、RL2)上にあり、
各前記仮想第1の円(C1)に付随する2つの前記仮想径方向直線(RL1、RL2)は、70度よりも大きい第1の切削角(β1)を形成する、請求項1~8のいずれか1項に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項10】
3つの前記第1の軸(A1)のいずれか1つに沿って取った図において、
2つの前記付随しない先端部分(24a、24b、24c)のそれぞれの2つの前記径方向最外切削点(NC1、NC2)の1つは、前記仮想第2の円(C2)上にある、請求項1~9のいずれか1項に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項11】
各前記先端部分(24a、24b、24c)は、2つの当接面(34a、34b)を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項12】
各前記先端部分(24a、24b、24c)の2つの前記当接面(34a、34b)は、異なる第1の側面(26a)及び第2の側面(26b)に交差する、請求項11に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項13】
各前記先端部分(24a、24b、24c)の2つの前記当接面(34a、34b)は、2つのそれぞれの逃げ面(36a、36b)によって2つのそれぞれの前記第1の切れ刃(30a、30b)から離間する、請求項11又は12に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項14】
各前記当接面(34a、34b)は、前記中間平面(M)と第1の当接内鋭角(α1)を形成する、請求項11~13のいずれか1項に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項15】
前記第1の切削直径(DC1)は、前記第2の直径(D2)の少なくとも70パーセントである、請求項1~14のいずれか1項に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項16】
前記第1の側面(26a)及び前記第2の側面(26b)のそれぞれは、3つの円周方向に離間する切欠き(38a、38b)を有し、
各前記先端部分(24a、24b、24c)の各前記第1の切れ刃(30a、30b)は、前記切欠き(38a、38b)の対応する切欠き内に配設される隣接すくい面(40a、40b)を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項17】
各前記すくい面(40a、40b)の径方向内側部分は、対応する前記切欠き(38a、38b)のシンニング刃溝(42a、42b)上に配設される、請求項16に記載の穴あけインサート(20)。
【請求項18】
回転方向(DR)で工具軸(AT)回りに回転可能であり、工具切削直径(DCT)を有する回転切削工具(44)であって、
前記工具軸(AT)に沿って延在し、前端部(50)に複数のインサート受け入れポケット(48、148、248)を有する工具シャンク(46)と、
前記複数のインサート受入れポケット(48、148、248)内に取り外し可能に固着される複数の切削インサート(20、120、220)と、を備え、
前記複数の切削インサート(20、120、220)は、
請求項1~17のいずれか1項に記載の穴あけインサート(20)と、
前記穴あけインサート(20)とは構造が異なる第2の切削インサート(120)と、を含み、
前記第2の切削インサート(120)は、少なくとも1つの第2の切れ刃(130a、130b、130c、130d)を有し、
前記穴あけインサート(20)の前記先端部分(24a、24b、24c)の1つは、有効であり、前記工具軸(AT)に同軸である前記第1の軸(A1)を有し、
前記第2の切削インサート(120)の前記第2の切れ刃(130a、130b、130c、130d)の1つは、有効であり、前記工具軸(AT)に対する前記第1の切削直径(DC1)の径方向外側に延在する、回転切削工具(44)。
【請求項19】
前記工具切削直径(DCT)は、前記第1の切削直径(DC1)よりも大きい、請求項18に記載の回転切削工具(44)。
【請求項20】
前記穴あけインサート(20)の各先端部分(24a、24b、24c)は、2つの当接面(34a、34b)を有し、
前記複数のインサート受入れポケット(48、148、248)は、第1のインサート受入れポケット(48)を含み、
前記第1のインサート受入れポケット(48)は、座面(58)を有し、前記座面(58)に横断する第1の支持壁(60)及び第2の支持壁(62)から離間し、
前記穴あけインサート(20)の前記第1の側面(26a)及び前記第2の側面(26b)の1つは、前記座面(58)と接触し、
前記穴あけインサート(20)の2つの前記非有効先端部分(24a、24b、24c)のそれぞれの2つの前記当接面(34a、34b)の1つは、前記第1の支持壁(60)及び前記第2の支持壁(62)の対応する支持壁と接触する、請求項18又は19に記載の回転切削工具(44)。
【請求項21】
貫通穴(28)は、前記第1の側面(26a)及び前記第2の側面(26b)に交差し、
締付けねじ(64)は、前記貫通穴(28)を通過し、前記座面(58)内にねじ穴(66)を螺合する、請求項20に記載の回転切削工具(44)。
【請求項22】
前記工具シャンク(46)は、第1のランド部分(54)及び第2のランド部分(56)と円周方向に交互である2つの溝部分(52a、52b)を有し、
前記座面(58)は、前記第1のランド部分(54)上に形成される、請求項20又は21に記載の回転切削工具(44)。
【請求項23】
前記複数の切削インサート(20、120、220)は、前記第2の切削インサート(120)と同じである第3の切削インサート(220)を更に含み、
前記第3の切削インサート(220)は、少なくとも1つの第3の切れ刃(230a、230b、230c、230d)を有し、
前記第3の切削インサート(220)の前記第3の切れ刃(230a、230b、230c、230d)の1つは、有効であり、前記工具軸(AT)に対する前記第1の切削直径(DC1)の径方向外側に延在し、
前記穴あけインサート(20)、前記第2の切削インサート(120)、及び前記第3の切削インサート(220)の有効切れ刃は、前記工具切削直径(DCT)を一緒に確立する、請求項18~22のいずれか1項に記載の回転切削工具(44)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属切削加工全般、特に穴あけ作業に使用する、3つの先端部分を有するインサート、及びそのような切削インサートが中心に取り付けられる回転切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
穴あけ作業で使用される切削工具の分野において、穴あけ作業で使用される刃先交換式切削インサートに対する多くの例、及び刃先交換式切削インサートが中心に取り付けられる穴あけ工具に対するいくつかの例がある。
【0003】
US8,702,357は、スペード・ドリルのための組立式スペード・ドリル・ヘッドを開示しており、スペード・ドリルは、本体部分と、本体部分に取り外し可能に固着されるドリル・ヘッドとを備え、組立て式スペード・ドリル・ヘッドは、スペード・ドリル・ヘッドの中心領域を形成し、第1の側部及び第2の側部並びに切れ刃を含む中心インサート部品と、スペード・ドリル・ヘッドの第1の側部の少なくとも一部分を形成し、切れ刃、及び中心インサート部品の第1の側部の少なくとも一領域と対合するように構成した対合面を備える第1の側部インサート部品と、スペード・ドリル・ヘッドの第2の側部領域の少なくとも一部分を形成する第2の側部インサート部品と、を備え、第2の側部インサート部品は、切れ刃と、中心インサート部品の第2の側部の少なくとも一領域と対合するように構成した対合面と、を備え、中心インサート部品、第1の側部インサート部品、及び第2の側部インサート部品は、中心インサート部品の第1の側部に対合する第1の側部インサート部品の対合面及び中心インサート部品の第2の側部に対合する第2の側部インサート部品の対合面で本体部分に個々に取り外し可能に固着されるように構成され、中心インサート部品の第2の側部は、インサート部品の切れ刃の端点に当接するように位置合わせされ、スペード・ドリルの一端部上でまっすぐな連続切れ刃領域を形成し、中心インサート部品、第1の側のインサート部品及び第2の側のインサート部品の少なくとも1つは、2つの切れ刃を含み、少なくとも2つの交互の切削方向で刃先交換可能であり、本体部分に固着可能である。
【0004】
US9,421,622は、底面と、上面と、底面と上面との間に延在する外周面と、を有する中心ドリル・インサートを開示している。少なくとも3つのリード・ドリル部分は、外周面から外側に突出し、それぞれ、ドリル軸と、複数のドリル切れ刃と、を有する。副切れ刃は、各リード・ドリル部分に隣接し、上面と外周面との交線に沿って、それぞれのドリル軸に横断的に延在する。各副切れ刃は、付随するドリル切れ刃からドリル軸に沿って離間する。ダブテール当接側面は、上面と外周面との交線に沿った外周面上に形成され、リード・ドリル部分のそれぞれから、別のリード・ドリル部分に付随する副切れ刃に向かって延在する。切削工具は、中心ドリル・インサートを保持するインサート・ポケットを有し、中心ドリル・インサートは、工具軸と位置合わせされた有効ドリル軸を有する。
【0005】
3つの先端部分を有する、改善された刃先交換式穴あけインサートを提供することは、本発明の一目的である。
【0006】
サイズ/体積に対して高い切削範囲を有する、改善された刃先交換式穴あけインサートを提供することも、本発明の一目的である。
【0007】
前記刃先交換式穴あけインサートが安定して取り外し可能に固着可能である、改善された回転切削工具を提供することも、本発明の更なる目的である。
【0008】
前記刃先交換式穴あけインサートの非有効切れ刃が十分に保護される、改善された回転切削工具を提供することは、本発明のまた更なる目的である。
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、刃先交換式穴あけインサートを提供し、刃先交換式穴あけインサートは、中心部分と、3つの先端部分と、を備え、
中心部分は、対向する第1の側面と、第2の側面と、第1の側面及び第2の側面を通過する中心軸と、を有し、
中央平面は、中心軸に直交し、2つの側面の間を通過し、
3つの先端部分は、中心部分回りに円周方向に離間し、
各先端部分は、第1の軸と、2つの分岐する第1の切れ刃と、を有し、
第1の軸は、先端点で先端部分に交差し、
2つの第1の切れ刃は、第1の軸から離れて、第1の軸に対する2つの径方向最外切削点まで延在し、
先端平面は、第1の軸に直交し、2つの径方向最外切削点を含み、
2つの径方向最外切削点は、第1の軸と一致する中心及び第1の切削直径を有する仮想第1の円上にあり、
中央平面は、3つの第1の軸を含み、
3つの第1の軸のいずれか1つに沿って取った図において、第2の直径を有する仮想第2の円は、穴あけインサートに外接し、
第1の切削直径は、第2の直径の少なくとも60パーセントである。
【0010】
また、本発明によれば、回転方向で工具軸回りに回転可能であり、ある工具切削直径を有する回転切削工具が提供され、回転切削工具は、
工具軸に沿って延在し、前端部に複数のインサート受入れポケットを有する工具シャンクと、
複数のインサート受入れポケット内に取り外し可能に固着される複数の切削インサートと、を備え、
複数の切削インサートは、
上記で説明した穴あけインサートと、
穴あけインサートとは構造が異なる第2の切削インサートと、を含み、
第2の切削インサートは、少なくとも1つの第2の切れ刃を有し、
穴あけインサートの先端部分の1つは、有効であり、工具軸に同軸である第1の軸を有し、
第2の切削インサートの第2の切れ刃の1つは、有効であり、工具軸に対して第1の切削直径の径方向外側に延在する。
【0011】
次に、より良好に理解するため、単に例として、添付の図面を参照しながら本発明を説明する。図面において、一点鎖線は、部材を部分的に見るための切断部の境界を表す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による第1の切削インサートの斜視図である。
図2図1に示す第1の切削インサートの中心軸に沿った側面図である。
図3図1に示す第1の切削インサートの第1の軸に沿った外周図である。
図4図2に示す切削インサートの線IV-IVに沿って取った断面図である。
図5図2に示す切削インサートの線V-Vに沿って取った断面図である。
図6図3に示す切削インサートの線VI-VIに沿って取った断面図である。
図7】本発明による回転切削工具の斜視図である。
図8図7に示す回転切削工具の端面図である。
図9図8に示す回転切削工具の線IX-IXに沿って取った断面図である。
図10図9に示す回転切削工具の線X-Xに沿って取った断面図である。
図11】本発明による工具シャンクの端面図である。
図12】線XII-XIIに沿って取った図11に示す工具シャンクの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図3に示すように、本発明の一態様は、中心部分22と、3つの先端部分24a、24b、24cと、を有する第1の刃先交換式切削インサート20に関する。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の切削インサート20は、穴あけインサートであってよい。
【0015】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第1の切削インサート20は、炭化タングステン等の超硬合金の成形プレス及び焼結によって製造し得、被覆しても、被覆しなくてもよい。
【0016】
図1図3に示すように、中心部分22は、対向する第1の側面26a及び第2の側面26bと、第1の側面26a及び第2の側面26bを通過する中心軸ACと、を有する。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の切削インサート20は、中心軸AC回りに刃先交換可能とし得る。
【0018】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第1の切削インサート20は、中心軸AC回りに3回の回転対称を呈し得る。
【0019】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、第1の側面26a及び第2の側面26bは、同一であってよい。
【0020】
図1及び図2に示すように、貫通穴28は、第1の側面26a及び第2の側面26bに交差し得る。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通穴28は、中心軸AC回りに同軸とし得る。
【0022】
図1図3に示すように、3つの先端部分24a、24b、24cは、中心部分22回りに円周方向に離間する。
【0023】
各先端部分24a、24b、24cは、第1の軸A1と、2つの第1の分岐切れ刃30a、30bと、を有し、2つの第1の切れ刃30a、30bは、第1の軸A1から離れて、第1の軸A1に対する2つの径方向最外切削点NC1、NC2まで延在する。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、各第1の軸A1は、中心軸AC回りに交差し得る。
【0025】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各第1の軸A1は、2つの側面26aと26bとの間で第1の切削インサート20を通過し得る。
【0026】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、3つの先端部分24a、24b、24cは、3つの凹んだ接合部分32a、32b、32cによって円周方向に離間し得る。
【0027】
3つの凹んだ接合部分32a、32b、32cには切れ刃がなくてよいことを了解されたい。
【0028】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、各先端部分24a、24b、24cの2つの第1の切れ刃30a、30bは、同じであってよい。
【0029】
また更に、本発明のいくつかの実施形態では、各先端部分24a、24b、24cは、それぞれの第1の軸A1回りに2回(即ち、180°)の回転対称を呈し得る。
【0030】
各先端部分24a、24b、24cが2つの同一の径方向に延在する第1の切れ刃30a、30bを有する本発明の実施形態の場合、各先端部分24a、24b、24cの切削範囲は、有利に高くし得ることを了解されたい。
【0031】
図1図3に示すように、各先端部分24a、24b、24cは、2つの当接面34a、34bを有し得る。
【0032】
各先端部分24a、24b、24cが、2つの第1の切れ刃30a、30b及び2つの当接面34a、34bを含むように構成することにより、インサートのサイズ/体積の高効率な使用がもたらされることを了解されたい。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態では、各先端部分24a、24b、24cの2つの当接面34a、34bは、2つのそれぞれの逃げ面36a、36bによって2つのそれぞれの第1の切れ刃30a、30bから離間し得る。
【0034】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各先端部分24a、24b、24cの2つの当接面34a、34b、互いに離間し得る。
【0035】
各先端部分24a、24b、24cの2つの当接面34a、34bが2つのそれぞれの第1の切れ刃30a、30bから離間する本発明の実施形態は、2つの当接面34a、34bの少なくとも1つが対応する支持面、例えば工具本体/シャンクと接触した際に、第1の切れ刃30a、30bが意図せずに損傷する危険性が低減されることを了解されたい。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態では、各先端部分24a、24b、24cの2つの当接面34a、34bは、異なる第1の側面26a及び第2の側面26bに交差し得る。
【0037】
図2に示すように、第1の切削インサート20の側面図において、3つの見える当接面34bのそれぞれは、側刃35bで第1の側面26aに交差する。3つの側刃35bは、第1の仮想等辺三角形T1を画定し得る。第2の等辺三角形(図示せず)は、3つの当接面34aと第2の側面26bとの交線で形成される3つの側刃によって形成し得る。
【0038】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各当接面34a、34bは、3つの凹んだ接合部分32a、32b、32cの1つに交差し得る。
【0039】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、各当接面34a、34bは、平坦であってよい。
【0040】
図1図3に示すように、各第1の軸A1は、先端点NTでそれぞれの先端部分24a、24b、24cに交差し得る。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、各先端部分24a、24b、24cの2つの第1の切れ刃30a、30bは、それぞれの先端点NTで合流し得る。
【0042】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各先端部分24a、24b、24cの各第1の切れ刃30a、30bは、それぞれの先端点NTからそれぞれの径方向最外切削点NC1、NC2まで連続的に延在し得る。
【0043】
図2及び図3に示すように、第1の軸A1に直交する先端平面PTは、2つの径方向最外切削点NC1、NC2を含み、2つの径方向最外切削点NC1、NC2は、第1の軸A1及び第1の切削直径DC1と一致する中心を有する仮想第1の円C1上にある。先端平面PTは、仮想第1の円C1を含む。
【0044】
図2に示すように、中心軸ACに沿って取った図において、各先端点NTは、それぞれの先端平面PTの一方の側に位置し得、中心軸ACは、前記先端平面PTの反対側に位置し得る。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態では、各先端部分24a、24b、24cの2つの第1の切れ刃30a、30bに沿った点は、それぞれの先端平面PTからそれぞれの先端点NTより遠くに位置することがない。
【0046】
図3に示すように、中心軸ACに直交する中央平面Mは、3つの第1の軸A1を含む。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態では、各先端部分24a、24b、24cの2つの径方向最外切削点NC1、NC2は、中央平面Mの両側に位置し得る。
【0048】
また、中央平面Mは、2つの側面26a、26bの間を通過する。本発明のいくつかの実施形態では、中央平面Mは、第1の側面26aと第2の側面26bとの間の中間に位置し得る。
【0049】
図4に示すように、各当接面34a、34bは、中央平面Mと第1の当接内鋭角α1を形成し得る。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の当接角α1は、50度より大きく、80度よりも小さい、即ち、50°<α1<80°とし得る。
【0051】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各先端部分24a、24b、24cの2つの当接面34a、34bは、中央平面Mの両側に完全に位置し得る。
【0052】
図2に示すように、各先端部分24a、24b、24cは、中央平面Mに直交し中心軸ACを含む二等分線平面PBによって二等分し得る。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、図2に示すように、第1の切削インサート20の側面図において、各当接面34a、34bは、それぞれの二等分線平面PBと第2の当接鋭角α2を形成し得る。
【0054】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第2の当接角α2は、60度よりも大きい、即ち、α2>60°とし得る。
【0055】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、各先端部分24a、24b、24cの2つの当接面34a、34bは、それぞれの二等分線平面PBの両側に位置し得る。
【0056】
図1及び図2に示すように、第1の側面26a及び第2の側面26bのそれぞれは、3つの円周方向に離間する切欠き38a、38bを有してよく、各先端部分24a、24b、24cの各第1の切れ刃30a、30bは、切欠き38a、38bの対応する切欠き内に配設される隣接すくい面40a、40bを有し得る。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態では、各すくい面40a、40bの径方向内側部分は、対応する切欠き38a、38bのシンニング刃溝42a、42b上に配設し得る。
【0058】
図1図3に示すように、各シンニング刃溝42a、42bは、一連の断面から複数の刃溝頂点によって画定される刃溝経路GPを有し得、この一連の断面は、それぞれの第1の軸A1に直交し、シンニング刃溝42a、42bに交差する平面で取られる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態では、各刃溝経路GPは、それぞれの先端点NTから離れて延在するため、中央平面Mから離れて延在し得る。
【0060】
明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、例えば図5に示す第1の軸A1のいずれか1つに直交し、それぞれのシンニング刃溝42a、42bに交差する平面で取った各断面に関し、付随する刃溝頂点は、最小半径を有する付随する外形区分の中間点に位置することを了解されたい。
【0061】
図3に示すように、3つの第1の軸A1のいずれか1つに沿って取った図において、第2の直径D2を有する仮想第2の円C2は、第1の切削インサート20に外接する。即ち、第2の円C2は、インサート全体がこの図に合う最小サイズの円である。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態では、仮想第2の円C2は、それぞれの第1の軸A1と一致する中心を有し得る。
【0063】
本発明によれば、第1の切削直径DC1は、第2の直径D2の少なくとも60パーセント、即ち、DC1≧D2×0.60である。
【0064】
第1の切削直径DC1が、各先端部分24a、24b、24cのための第2の直径D2の少なくとも60パーセントであるため、サイズ/体積に対する第1の切削インサート20の切削範囲は、有利に高く、第1の切削インサート20が典型的に製造される超硬合金の高効率な使用がもたらされる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の切削直径DC1は、第2の直径D2の少なくとも70パーセント、即ち、DC1≧D2×0.70とし得る。
【0066】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第1の切削直径DC1は、第2の直径D2の多くとも90パーセント、即ち、DC1≦D2×0.90とし得る。
【0067】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、図3に示すように、3つの第1の軸A1のいずれか1つに沿って取った図において、2つの付随しない先端部分24a、24b、24cのそれぞれの2つの径方向最外切削点NC1、NC2の1つは、仮想第2の円C2上にあってよく、これにより、前記2つの付随しない先端部分24a、24b、24cは、前記図が取られる第1の軸A1に付随しない2つの先端部分24a、24b、24cである。
【0068】
図3に示すように、第1の側面26a、第2の側面26bは、第1の側平面P1及び第2の側平面P2を画定し、第1の側平面P1及び第2の側平面P2は、中心軸ACに沿って方向で最大インサート厚さT1を画定する。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の切削インサート20には、最大インサート厚さTIの外側に延在する部分がない、即ち、中央平面Mから離れるそれぞれの方向で第1の側平面P1、第2の側平面P2を越えて延在する部分はない。
【0070】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第1の側平面P1及び第2の側平面P2は、中央平面Mに平行とし得る。
【0071】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、第1の切削直径DC1は、最大インサート厚さTIの少なくとも2倍、即ち、DC1≧TI×2とし得る。
【0072】
第1の切削直径DC1が、最大インサート厚さTIの少なくとも2倍である本発明の実施形態の場合、サイズ又は体積に対する第1の切削インサート20の切削範囲は、有利に高く、第1の切削インサート20が典型的に製造される超硬合金の高効率な使用がもたらされることを了解されたい。
【0073】
図3に示すように、各先端部分24a、24b、24cの2つの径方向最外切削点NC1、NC2は、第1の側平面P1と第2の側平面P2との間に位置し得、したがって、2つの径方向最外切削点NC1、NC2のそれぞれは、第1の側平面P1及び第2の側平面P2のいずれかに含まれることがない。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態では、各先端部分24a、24b、24cの2つの第1の切れ刃30a、30bは、第1の側平面P1と第2の側平面P2との間に完全に位置し得る。
【0075】
各先端部分24a、24b、24cの2つの第1の切れ刃30a、30bが、第1の側平面P1と第2の側平面P2との間に完全に位置する本発明の実施形態の場合、第1の切削インサート20を切削工具に組み付ける間、及び切削作業の間、非有効先端部分24a、24b、24cに付随する第1の切れ刃30a、30bは、意図しない接触/損傷からより良好に保護し得ることを了解されたい。
【0076】
図3に示すように、各仮想第1の円C1は、2つの交差点NI1、NI2で中央平面Mに交差する。
【0077】
図6に示すように、中央平面Mで取った断面図において、各交差点NI1、NI2は、中心軸ACを含む仮想径方向直線RL1、RL2上にあり、各仮想第1の円に付随する2つの仮想径方向直線RL1、RL2は、第1の切削角β1を形成する。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の切削角β1は、70度よりも大きい、即ち、β1>70°とし得る。
【0079】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第1の切削角β1は、90度よりも大きい、即ち、β1>90°とし得る。
【0080】
図7図12に示すように、本発明の別の態様は、回転方向DRで工具軸AH回りに回転可能な回転切削工具44に関し、回転切削工具44は、工具切削直径DCTを有する。
【0081】
回転切削工具44は、工具シャンク46と、複数の切削インサート20、120、220とを含み、工具シャンク46は、工具軸ATに沿って延在し、前端部50で複数のインサート受入れポケット48、148、248を有し、複数の切削インサート20、120、220は、複数のインサート受入れポケット48、148、248内に取り外し可能に固着される。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態では、回転切削工具44は、穴あけ工具とし得る。
【0083】
また、本発明のいくつかの実施形態では、工具シャンク46は、第1のランド部分54及び第2のランド部分56と円周方向に交互である2つの溝部分52a、52bを有し得る。
【0084】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、2つの溝部分52a、52bは、工具軸ATに沿ってシャンク前端部50かららせん状に延在し得る。
【0085】
図7図10に示すように、複数の切削インサート20、120、220は、上述の第1の切削インサート20及び第2の切削インサート120の1つを含み、第2の切削インサート120は、少なくとも1つの第2の切れ刃130a、130b、130c、130dを有する。第2の切削インサート120は、第1の切削インサート20とは構成が異なる。複数の切削インサートは、少なくとも1つの第3の切れ刃230a、230b、230c、230dを有する第3の切削インサート220も含むことができる。第3の切削インサート220は、第2の切削インサート120と同じであってよい。これらの図は、第2の切削インサート120と第3の切削インサート220との両方を有する回転切削工具44を示すが、他の実施形態では、第2の切削インサート120のみを設け得る。
【0086】
図7図9に示すように、先端部分24a、24b、24cの1つは有効であり、工具軸ATと同軸である第1の軸A1を有し、第2の切れ刃130a、130b、130c、130dの1つは、有効であり、工具軸ATに対して第1の切削直径DC1の径方向外側に延在する。また、第3の切れ刃230a、230b、230c、230dの1つも、有効であり、工具軸ATに対して第1の切削直径DC1の径方向外側に延在する。図示の実施形態では、有効な第3の切れ刃230a、230b、230c、230dは、有効な第2の切れ刃130a、130b、130c、130dに径方向に重なる。また、図示の実施形態では、第1の切削インサート20、第2の切削インサート120、及び第3の切削インサート220の有効切れ刃は、工具切削直径DCTを一緒に確立する。
【0087】
有効先端部分の第1の軸A1が工具軸ATに同軸であることにより、第1の切削インサート20は、中心取付けと表すことができる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態では、工具切削直径DCTは、第1の切削直径DC1より大きくてよい。
【0089】
第1の切削直径DC1が、各先端部分24a、24b、24cのための第2の直径D2の少なくとも60パーセントであることにより、所望される場合、有効先端部分24a、24b、24c及び2つの径方向に延在する第1の切れ刃30a、30bは、有利には、工具切削直径DCTの50パーセント超に寄与し得る。
【0090】
図7図12に示すように、複数のインサート受入れポケット48、148、248は、第1のインサート受入れポケット48を含んでよく、第1のインサート受入れポケット48は、座面58を有し、座面58に横断する第1の支持壁60及び第2の支持壁62から離間する。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態では、2つの溝部分52a、52bは、第1のインサート受入れポケット48と連通し得る。
【0092】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第1の支持壁60及び第2の支持壁62は平坦であってよく、座面58は平坦であってよい。
【0093】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、第1の支持壁60及び第2の支持壁62の少なくとも1つは、座面58と第1の支持外鋭角δ1を形成し得る。
【0094】
また更に、本発明のいくつかの実施形態では、第1の支持角δ1は、第1の当接角α1に等しくてよい。
【0095】
図7図10に示す回転切削工具44の組立て位置において、
第1の切削インサート20の第1の側面26a、26bの1つは、座面58と接触し得、
第1の切削インサート20の2つの非有効先端部分24a、24b、24cのそれぞれの2つの当接面34a、34bの1つは、第1の支持壁60及び第2の支持壁62の対応する支持壁と接触し得る。
【0096】
第1の支持壁60、62の少なくとも1つが、座面58と第1の支持外鋭角δ1を形成するように構成することで、第1の支持壁60及び/又は第2の支持壁62に作用する切削力が、座面58の方に部分的に向けられ、したがって、第1のインサート受入れポケット48内への切削インサート20の安定な締付け構成がもたらされることを了解されたい。
【0097】
各先端部分24a、24b、24cの各先端部分24a、24b、24cの2つの当接面34a、34bが、2つのそれぞれの第1の切れ刃30a、30bから離間する本発明の実施形態により、2つの非有効先端部分24a、24b、24cのそれぞれの2つの当接面34a、34bの1つが第1の支持壁60及び第2の支持壁62に接触した際、2つの非有効先端部分24a、24b、24cの第1の切れ刃30a、30bに対する意図しない損傷の危険性を低減することを了解されたい。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態では、締付けねじ64は、貫通穴28を通過し、座面58内にねじ穴66を螺合し得る。
【0099】
また、本発明のいくつかの実施形態では、座面58は、第1のランド部分54上に形成し得る。
【0100】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、貫通開口68は、第2のランド部分56上に形成し得る。
【0101】
貫通開口68が第2のランド部分56上に形成される本発明の実施形態の場合、オペレータに、貫通開口68を介して締付けねじ64を貫通穴28に通すアクセスもたらし、また、貫通開口68を介して締付けねじ64をトルク・レンチで締緩し得ることを了解されたい。
【0102】
図11に示すように、第2のランド部分56は、第1のランド部分54の座面58に面する内壁70を含むことができる。
【0103】
図8及び図10に示すように、回転切削工具44の組立て位置において、座面58と接触しない第1の側面26a及び第2の側面26bの1つは、内壁70から離間し得る。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態では、座面58と接触する第1の側面26a及び第2の側面26bの1つ、並びに第1の支持壁60及び第2の支持壁62とそれぞれ接触する2つの非有効先端部分24a、24b、24cそれぞれの2つの当接面34a、34bの1つ以外、第1の切削インサート20の他の面は、第1のインサート受入れポケット48の他の面と一切接触しない。
【0105】
図12に示すように、ねじ穴66は穴軸ABを有する。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の切削インサート20の各刃先交換位置において、中心軸ACは、穴軸ABと非同軸であってよく、ねじ穴66は、貫通穴28に対して偏心してよく、このため、締付けねじ64を締結する際、2つの非有効先端部分24a、24b、24cの2つの当接面34a、34bと第1の支持壁60及び第2の支持壁62との間に良好な接触がもたらされる。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の支持壁60及び第2の支持壁62は、第1のインサート受入れポケット48の異なる構造部分上に、互いに対して弾性変位可能に配設してよく、したがって、第1の支持壁60及び第2の支持壁62が、締付けねじ64を締結した際に2つの非有効先端部分24a、24b、24cの2つの当接面34a、34bと完全に対応可能であることを了解されたい。
【0108】
図7図8及び図11に示すように、複数のインサート受入れポケット48、148、248は、2つのランド部分54、56の1つの上に形成される第2のインサート受入れポケット148を含み得、第2の切削インサート120は、第2のインサート受入れポケット148内に取り外し可能に固着し得る。
【0109】
図7図8及び図11に示すように、複数のインサート受入れポケット48、148、248は、第2のインサート受入れポケット148を有さない2つのランド部分54、56の1つの上に形成される第3のインサート受入れポケット248を含み得、第3の切削インサート220は、第3のインサート受入れポケット248内に取り外し可能に固着し得る。
【0110】
本発明は、ある程度の詳細まで説明しているが、以下で請求する本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく様々な代替形態及び修正形態を行い得ることを理解されたい。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】