(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】流体エアレーション検出システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20220831BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571466
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(85)【翻訳文提出日】2022-01-05
(86)【国際出願番号】 US2020040625
(87)【国際公開番号】W WO2021003346
(87)【国際公開日】2021-01-07
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クローニン, マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ワン, シャオビン
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD03
2G024BA11
2G024CA13
2G024DA28
2G024FA04
2G024FA06
2G024FA14
2G024FA15
(57)【要約】
本明細書の実施形態は、振動センサを使用して流体のエアレーション特性を検出するためのシステム及び方法に関する。一実施形態において、流体流路に沿って取り付けられるように構成されている振動センサと、振動センサと信号通信する制御回路とを有する流体エアレーション監視用システムが含まれる。制御回路は、振動センサから受信された信号を評価し、振動センサからの信号に基づいて1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成され得る。本明細書にはその他の実施形態も含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流路に沿って取り付けられるように構成されている振動センサと、
前記振動センサと信号通信する制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、前記振動センサから受信された信号を評価し、
振動の周波数及び
特定周波数における振動の規模
を決定するように構成されており、
前記制御回路は更に、振動の前記周波数及び前記規模に基づいて1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成されている、
流体エアレーション監視用システム。
【請求項2】
前記振動センサは、加速度計及び音響トランスデューサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1及び3~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項3】
前記振動センサは加速度計を含む、請求項1又は2及び4~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御回路は、計算エアレーションが所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信するように構成されている、請求項1~3及び5~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記信号は、ECU及びシステムオペレータの少なくとも一方に送信される、請求項1~4及び6~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御回路は、計算エアレーションの変化率が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信するように構成されている、請求項1~5及び7~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御回路は、既定の期間にわたる計算エアレーションの総量が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信するように構成されている、請求項1~6及び8~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記流体流路はポンプを含み、前記振動センサは、前記ポンプ上又は前記ポンプ内に取り付けられるように構成されている、請求項1~7及び9~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御回路は更に、前記ポンプの動作速度に基づいて、振動センサの信号を正規化するように構成されている、請求項1~8及び10~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記流体流路はフィルタハウジングを含み、前記振動センサは、前記フィルタハウジング上又は前記フィルタハウジング内に取り付けられるように構成されている、請求項1~9及び11~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記振動センサは加速度計を含み、前記振動センサは、少なくとも1つの感度軸がポンプの構成要素の運動軸と整合されるように配置されている、請求項1~10及び12~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記流体流路は、作動液導管、潤滑油導管、ブレーキ流体導管、冷媒流体導管、及び燃料供給導管からなる群より選択される、請求項1~11及び13~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
通信回路及びアンテナを更に含む、請求項1~12及び14~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記エアレーションパラメータは、エアレーション量、エアレーション比率、気泡のサイズ、気泡のサイズ区分のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~13及び15~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
温度センサを更に含み、前記温度センサは、前記流体流路内の流体の温度を検知するように構成されている、請求項1~14及び16~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御回路は、前記温度センサから受信された信号を評価するように構成されており、更に、前記振動センサから受信された前記信号とともに、前記温度センサから受信された前記信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成されている、請求項1~15及び17~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
圧力センサを更に含み、前記圧力センサは、前記流体流路内の流体の圧力を検知するように構成されている、請求項1~16及び18~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御回路は、前記圧力センサから受信された信号を評価するように構成されており、更に、前記振動センサから受信された前記信号とともに、前記圧力センサから受信された前記信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成されている、請求項1~17及び19~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
フローセンサを更に含み、前記フローセンサは、前記流体流路内の流体の流量を検知するように構成されている、請求項1~18及び20~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御回路は、前記フローセンサから受信された信号を評価するように構成されており、更に、前記振動センサから受信された前記信号とともに、前記フローセンサから受信された前記信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成されている、請求項1~19及び21~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
油圧式アクチュエータを有する可動式機器上又は可動式機器内に取り付けられている、請求項1~20及び22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
油圧式アクチュエータを有する据置式機器上又は据置式機器内に取り付けられている、請求項1~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
流体流路内の流体のエアレーションを決定する方法であって、
前記流体流路に沿って取り付けられた振動センサによって振動を検出することと、
前記振動センサから制御回路に信号を送信することと、
前記振動センサから前記制御回路にて受信された信号を評価し、
振動の周波数及び
特定周波数における振動の規模
を決定することと、
振動の前記周波数及び前記規模に基づいて1つ以上のエアレーションパラメータを計算することと、
を含む、方法。
【請求項24】
ポンプ動作速度に基づいて前記振動センサの信号を正規化することを更に含む、請求項23及び25~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記振動センサは、加速度計及び音響トランスデューサのうちの少なくとも1つを含む、請求項23~24及び26~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記振動センサは加速度計を含む、請求項23~25及び27~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
計算エアレーションが所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信することを更に含む、請求項23~26及び28~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記信号は、ECU及びシステムオペレータの少なくとも一方に送信される、請求項23~27及び29~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
計算エアレーションの変化率が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信することを更に含む、請求項23~28及び30~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
既定の期間にわたる計算エアレーションの総量が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信することを更に含む、請求項23~29及び31~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記流体流路はポンプを含み、前記振動センサは、前記ポンプ上又は前記ポンプ内に取り付けられるように構成されている、請求項23~30及び32~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記流体流路はフィルタハウジングを含み、前記振動センサは、前記フィルタハウジング上又は前記フィルタハウジング内に取り付けられるように構成されている、請求項23~31及び33~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記振動センサは加速度計を含み、前記振動センサは、少なくとも1つの感度軸がポンプの構成要素の運動軸と整合されるように配置されている、請求項23~32及び34~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記流体流路は、作動液導管、潤滑油導管、ブレーキ流体導管、冷媒流体導管、及び燃料供給導管からなる群より選択される、請求項23~33及び35~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記エアレーションパラメータは、エアレーション量、エアレーション比率、気泡のサイズ、気泡のサイズ区分のうちの少なくとも1つを含む、請求項23~34及び36~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
温度センサによって前記流体流路内の流体の温度を検知することを更に含む、請求項23~35及び37~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記温度センサから受信された信号を評価することと、前記振動センサから受信された前記信号とともに、前記温度センサから受信された前記信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算することと、を更に含む、請求項23~36及び38~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
圧力センサによって前記流体流路内の流体の圧力を検知することを更に含む、請求項23~37及び39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記圧力センサから受信された信号を評価することと、前記振動センサから受信された前記信号とともに、前記圧力センサから受信された前記信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算することと、を更に含む、請求項23~38及び40~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
フローセンサによって前記流体流路内の流体の流量を検知することを更に含む、請求項23~39及び41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記フローセンサから受信された信号を評価することと、前記振動センサから受信された前記信号とともに、前記フローセンサから受信された前記信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算することと、を更に含む、請求項23~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
流体エアレーション追跡用のシステムであって、
流体流路に沿って取り付けられるように構成されている振動センサであって、振動信号を発生させる、振動センサと、
前記振動センサと信号通信する制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、
前記振動信号の特徴値を計算し、
前記計算された特徴値に基づいて流体エアレーション値を推定する
ように構成されている、
システム。
【請求項43】
前記特徴値は重心値を含む、請求項42~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
前記特徴値は拡散値を含む、請求項42~43又は45~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記振動センサは、加速度計及び音響トランスデューサのうちの少なくとも1つを含む、請求項42~44又は46~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記振動センサは加速度計を含む、請求項42~45又は47~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
前記制御回路は、計算エアレーションが所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信するように構成されている、請求項42~46又は48~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
前記信号は、ECU及びシステムオペレータの少なくとも一方に送信される、請求項42~47又は49~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
前記制御回路は、計算エアレーションの変化率が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信するように構成されている、請求項42~48又は50~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
前記制御回路は、既定の期間にわたる計算エアレーションの総量が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信するように構成されている、請求項42~49又は51~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項51】
前記流体流路はポンプを含み、前記振動センサは、前記ポンプ上又は前記ポンプ内に取り付けられるように構成されている、請求項42~50又は52~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項52】
前記制御回路は更に、前記ポンプの動作速度に基づいて、振動センサの信号を正規化するように構成されている、請求項42~51又は53~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項53】
前記流体流路はフィルタハウジングを含み、前記振動センサは、前記フィルタハウジング上又は前記フィルタハウジング内に取り付けられるように構成されている、請求項42~52又は54~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項54】
前記振動センサは加速度計を含み、前記振動センサは、少なくとも1つの感度軸がポンプの構成要素の運動軸と整合されるように配置されている、請求項42~53又は55~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項55】
前記流体流路は、作動液導管、潤滑油導管、ブレーキ流体導管、冷媒流体導管、及び燃料供給導管からなる群より選択される、請求項42~54又は56~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項56】
通信回路及びアンテナを更に含む、請求項42~55又は57~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項57】
前記エアレーションパラメータは、エアレーション量、エアレーション比率、気泡のサイズ、気泡のサイズ区分のうちの少なくとも1つを含む、請求項42~56又は58~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項58】
温度センサを更に含み、前記温度センサは、前記流体流路内の流体の温度を検知するように構成されている、請求項42~57又は59~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項59】
前記制御回路は、前記温度センサから受信された信号を評価するように構成されており、更に、前記振動センサから受信された前記信号とともに、前記温度センサから受信された前記信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成されている、請求項42~58又は60~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項60】
圧力センサを更に含み、前記圧力センサは、前記流体流路内の流体の圧力を検知するように構成されている、請求項42~59又は61~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項61】
前記制御回路は、前記圧力センサから受信された信号を評価するように構成されており、更に、前記振動センサから受信された前記信号とともに、前記圧力センサから受信された前記信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成されている、請求項42~60又は62~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項62】
フローセンサを更に含み、前記フローセンサは、前記流体流路内の流体の流量を検知するように構成されている、請求項42~61又は63~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項63】
前記制御回路は、前記フローセンサから受信された信号を評価するように構成されており、更に、前記振動センサから受信された前記信号とともに、前記フローセンサから受信された前記信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成されている、請求項42~62又は64~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項64】
油圧式アクチュエータを有する可動式機器上又は可動式機器内に取り付けられている、請求項42~63又は65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項65】
油圧式アクチュエータを有する据置式機器上又は据置式機器内に取り付けられている、請求項42~64のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項66】
流体流路内の流体のエアレーションを決定する方法であって、
前記流体流路に沿って取り付けられた振動センサによって振動を検出することと、
前記振動センサから制御回路に信号を送信することと、
前記振動センサから前記制御回路にて受信された信号を処理して、
前記振動信号の特徴値を計算し、
前記計算された特徴値に基づいて流体エアレーション値を推定することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、Donaldson Company,Inc.(米国企業、全ての指定国の出願人)及びMichael J.Cronin(米国市民、発明者)及びXiaobin Wang(米国市民、発明者)の名義でPCT国際特許出願として2020年7月2日に出願されたものであり、2019年7月3日に出願された米国仮特許出願第62/870,386号明細書の優先権を主張し、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本明細書の実施形態は、流体のエアレーションの検出に関する。より具体的には、本明細書の実施形態は、振動センサを使用して、1つ以上の流体のエアレーションパラメータを検出するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
流体中に空気が閉じ込められることは、「エアレーション」として知られている。エアレーションは、自由空気(泡)と溶解空気の両方から得られる空気の総量を含み得る。圧力が流体のエアレーションに影響を及ぼす場合がある。例えば、液体中のガスの飽和限界は圧力によって変化し、全ての条件が同じであれば、圧力が増加するにつれて飽和限界も増加する。別の例として、キャビテーションとは、圧力の変化が泡の形成及び後の爆縮につながり、振動を発生させる現象である。
【0004】
機器内の流体(例えば、作動液、エンジン油、燃料など)のエアレーションは、油の劣化、構成要素(弁、ポンプなど)の摩耗の加速、体積弾性係数の減少(油圧式構成要素の不正確な制御につながる)、エンジン性能の低下、及び他の様々な非効率を含む様々な課題につながる可能性がある。キャビテーションは、弁、ポンプ、プロペラ、インペラなどを含む様々な構成要素の損傷につながる可能性がある。
【0005】
エアレーションには多くの潜在的原因がある。いくつかの場合において、摩耗したシールを通って空気が漏入する可能性がある。いくつかの場合において、吸引ラインの漏れにより空気が漏入する可能性がある。いくつかの場合において、エアレーションは、低い流体レベル及び/又は斜面上で作業することに起因する可能性がある。いくつかの場合において、エアレーションは、貯蔵部内での少ない滞留時間及び/又は高循環比率により生じる可能性がある。いくつかの場合において、エアレーションは、流体貯蔵部内の撹拌により生じる可能性がある。いくつかの場合において、自由空気のエアレーションは、キャビテーションにより生じる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の実施形態は、振動センサを使用して流体のエアレーションパラメータを検出するためのシステム及び方法に関する。一実施形態において、流体流路に沿って(例えば、流体パイプ若しくはホース内又は流体パイプ若しくはホースに沿って、流体貯蔵部内又は流体貯蔵部上、ポンプ若しくはポンプヘッド内又はポンプ若しくはポンプヘッド上、流体フィルタハウジング内又は流体フィルタハウジング上など)取り付けられるように構成されている振動センサと、振動センサと信号通信する制御回路とを有する流体エアレーション監視用システムが含まれる。制御回路は、振動センサから受信された信号を評価し、目的の信号内容(全体的な振幅、振動の周波数、及び特定周波数における振動の規模を含み得る)を決定するように構成され得る。制御回路は更に、振動の周波数及び規模に基づいて1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成され得る。
【0007】
一実施形態において、流体流路内の流体のエアレーションを決定する方法が含まれる。当該方法は、流体流路に沿って取り付けられた振動センサによって振動を検出することを含み得る。当該方法はまた、振動センサから制御回路に信号を送信することを含み得る。当該方法はまた、振動センサから制御回路にて受信された信号を評価し、振動の周波数及び特定周波数における振動の規模を決定することを含み得る。当該方法はまた、振動の周波数及び規模に基づいて1つ以上のエアレーションパラメータを計算することを含み得る。
【0008】
一実施形態において、流体エアレーション追跡用のシステムが含まれる。システムは、振動信号を発生させる、流体流路に沿って取り付けられるように構成されている振動センサを含み得る。システムは、振動センサと信号通信する制御回路を含み得る。制御回路は、振動信号の特徴値を計算し、計算された特徴値に基づいて流体エアレーション値を推定するように構成され得る。
【0009】
一実施形態において、流体流路内の流体のエアレーションを決定する方法が含まれる。当該方法は、流体流路に沿って取り付けられた振動センサによって振動を検出することと、振動センサから制御回路に信号を送信することと、振動センサから制御回路にて受信された信号を処理して、振動信号の特徴値を計算し、計算された特徴値に基づいて流体エアレーション値を推定することと、を含み得る。
【0010】
この発明の概要は、本出願の教示のうちのいくつかの概要であり、本主題の排他的又は網羅的な取り扱いを意図するものではない。更なる詳細は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲に記載されている。その他の態様は、当業者であれば、以下の詳細な説明を読んで理解し、その一部を成す図面(これらのそれぞれは、限定的な意味で解釈されるべきではない)を見ると明らかとなるであろう。本明細書の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその法的均等物によって定義される。
【0011】
態様は、以下の図との関連で、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本明細書の様々な実施形態による油圧式システムを含む機器の図である。
【
図2】本明細書の様々な実施形態による油圧式システムの概略図である。
【
図3】本明細書の様々な実施形態による、監視システムの要素の概略図である。
【
図4】本明細書の様々な実施形態による、フィルトレーションシステムのデータ通信環境の概略図である。
【
図5】本明細書の様々な実施形態による方法のフローチャートである。
【
図6】本明細書の様々な実施形態による方法のフローチャートである。
【
図7】自由空気のエアレーション対検出された振動のグラフである。
【
図8】エアレーションに応じた異なる周波数の振動の分布率を示すグラフである。
【
図10】経時的なエアレーションを示すグラフである。
【
図11】経時的な周波数スペクトログラムを示すグラフである。
【
図13】特定のスペクトル特徴の経時的な周波数を示すグラフである。
【
図14】特定のスペクトル特徴の経時的な周波数を示すグラフである。
【
図15】経時的なエアレーション対経時的な推定エアレーションを示すグラフである。
【
図17】経時的なエアレーションを示すグラフである。
【
図18】経時的な周波数スペクトログラムを示すグラフである。
【
図20】特定のスペクトル特徴の経時的な周波数を示すグラフである。
【
図21】特定のスペクトル特徴の経時的な周波数を示すグラフである。
【
図22】経時的なエアレーション対経時的な推定エアレーションを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態は様々な修正形態及び代替形態の余地があり、例及び図面を用いてその詳細を示し、詳述する。しかしながら、本明細書の範囲は、記載されている特定の態様に限定されるものではないことは理解すべきである。逆に、本明細書の趣旨及び範囲内にある修正形態、均等物、及び代替形態を包含することが意図される。
【0014】
上述のように、機器内での流体(例えば、作動液、エンジン油、燃料など)のエアレーションは、油の劣化、構成要素(弁、ポンプなど)の摩耗の加速、体積弾性係数の減少(油圧式構成要素の不正確な制御につながる)、エンジン性能の低下、及び他の様々な非効率を含む様々な課題につながるおそれがある。
【0015】
したがって、エアレーションの測定は、機器の動作及び維持という状況において重要であり得る。いくつかの場合において、エアレーションの測定は、エアレーションが閾値を超えて上昇した場合に様々なアクションをトリガーするために使用され得る。例えば、いくつかの場合において、エアレーションが閾値より上であることの検出は、エアレーションを緩和するためのアクションをトリガーするために使用され得る。いくつかの場合において、エアレーションが閾値より上であることの検出は、エアレーションの原因の診断を開始するように乗物のオペレータ又は乗物の保守専門家に通知するために使用され得る。いくつかの場合において、閾値を超えているかに関わらず、エアレーションの検出は、エアレーションの傾向を評価し、考えられる課題を検出することができるように、経時的に機器の状態を評価するために使用され得る。
【0016】
本明細書の様々な実施形態を使用して、エアレーションを監視する及び/又は1つ以上のエアレーションパラメータを測定する若しくは推定することができる。いくつかの実施形態において、エアレーションの測定は、比較的低コストの構成要素によって実施され得る。いくつかの実施形態において、エアレーションの測定は、迅速且つ正確に実施することができ、実世界の状況(例えば、実験室環境の外)において事実上有用な監視システムにつながる。
【0017】
ここで
図1を参照すると、本明細書の様々な実施形態による、油圧式システムを含む重機100の図が示される。重機100は、例えば、ホイールローダ、ブルドーザ、グレーダ、又はダンプトラックなどの可動式重機であり得る。しかしながら、本明細書中の機器は据置式機器も含み得ることは理解されるであろう。いくつかの場合において、本明細書中の機器は、冷却システム、工業用水処理システムなどを含み得る。本明細書では多くの異なる機器が企図される。
【0018】
重機100は、エンジン102を含み得る。いくつかの場合において、エンジン102は、具体的には、ディーゼルエンジンであり得る。しかしながら、本明細書中では、ガソリンエンジン及び電気モータを含む他の種類のエンジンも企図される。重機100は、油圧用途部の一例として、油圧式シリンダ108を含む油圧式アクチュエータを含み得る。この場合、油圧式シリンダ108は、ローダアーム及びバケットを上昇及び下降させるために使用され得る。しかしながら、油圧式シリンダは様々なタスクに対して使用され得ることは理解されるであろう。重機100は、油圧式シリンダ108に動力を供給するための油圧式ポンプ104も含み得る。流体エアレーション監視用システム106(又は「監視システム」)も含むことができ、これについては以下でより詳細に説明する。
【0019】
ここで
図2を参照すると、本明細書の様々な実施形態による油圧式システムの概略図が示される。油圧式システム200は、作動液を収容するためのタンク210を含む。油圧式システム200はまた、タンク210から油圧式シリンダ108などの1つ以上の油圧用途部に流体を移送する油圧式ポンプ104を含む。油圧用途部の例としては、油圧式機械、油圧式駆動システム、油圧式トランスミッションシステム、油圧式ブレーキなどが挙げられる。流体は、タンク210から出力ライン212を通って油圧式ポンプ104に、及び油圧式ポンプ104から出力ライン222を通って油圧式シリンダ108に流れる。油圧式ポンプ104は流体に圧力を加えるため、出力ライン222内の流体にはタンク210又は出力ライン212内の流体よりも高い圧力がかけられる。加圧された流体を使用して、油圧式シリンダ108において仕事を行うことができる。流体は、油圧式シリンダ108から戻りライン232を通ってタンクに戻り得る。
【0020】
流体エアレーション監視用システム106は、油圧式システム内を移動する流体のエアレーションを検出するために使用され得る。以下でより詳細に説明するように、流体エアレーション監視用システム106は、様々なエアレーションパラメータを計算するために使用され得る。油圧式システム200は、例えば、追加のタンク、ライン、ポンプ、計器、コントロールなど追加の構成要素を含んでもよい。
【0021】
任意選択的に、いくつかの実施形態において、油圧式システム200は脱気器240を含み得る。脱気器240は、流体中に溶解した又は捕捉されたガスの少なくとも一部を除去するように構築されている。脱気器240は、図示されるようにタンク210内に配置されてもよい、又は油圧式システム200内の別の場所に配置されてもよい。例えば、脱気器240は、戻りライン232に沿ってインラインで配置されてもよい。一実施形態によれば、脱気器240は、タンク210を通って流れる又はタンク210内を流れる流体の流路内に配置されている。例えば、脱気器240は、戻りライン232からタンク210に排出される流体の流路内に配置されてもよい。流れの方向は、
図2に示されるように上から下であってもよく、この場合、戻りライン232からの流体は、上からタンク210に流入する。戻りライン232からの流体の少なくとも一部は脱気器240に入り得る。
【0022】
ここで
図3を参照すると、本明細書の様々な実施形態による流体エアレーション監視用システム(又は「監視システム」)106の要素の概略図が示される。様々な実施形態ではより多数又は少数の構成要素を含むことができ、この概略図は単なる例示であることは理解されるであろう。監視システム106は、ハウジング302及び制御回路304を含み得る。
【0023】
制御回路304は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)チップ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は1つ以上のデジタル信号処理チップなどが挙げられるがこれらに限定されない様々な電子構成要素を含み得る。
【0024】
様々な実施形態において、監視システム106は、振動センサ308及び振動センサチャネルインターフェイス306を含み得る。様々な実施形態において、監視システム106は、温度センサ312及び温度センサチャネルインターフェイス310を含み得る。様々な実施形態において、監視システム106は、圧力センサ316及び圧力センサチャネルインターフェイス314を含み得る。様々な実施形態において、監視システム106は、フローセンサ320及びフローセンサチャネルインターフェイス318を含み得る。センサは、流体流路340内の流体の状態を検出するように構成され、そのために取り付けられ得る。いくつかの場合において、流体流路340は、例えば、ポンプ、弁、又はフィルタハウジングなどのデバイスの一部を形成し得る。いくつかの実施形態において、流体流路340は、とりわけ、作動液導管、潤滑油導管、ブレーキ流体導管、冷媒流体導管、燃料供給導管、又は水流導管を含み得る。
【0025】
いくつかの場合において、センサは、その感度を最大化するように配置され得る。例として、いくつかの実施形態では、加速度計(1軸、2軸、3軸など)が振動センサとして使用され得、少なくとも1つの感度軸が、その往復動構成要素などのポンプの構成要素の運動軸と整合されるように配置され得る。
【0026】
チャネルインターフェイスは、例えば、アンプ、アナログ-デジタル変換器(ADC)、デジタル-アナログ変換器(DAC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィルタ(ハイパス、ローパス、バンドパス)など様々な構成要素を含み得る。いくつかの場合において、チャネルインターフェイスは、別個の構成要素として存在しなくてもよく、むしろ、制御回路304に統合され得る。
【0027】
本明細書で使用する場合、「振動(vibration)」という用語は、物体/構造体の振動(oscillation)(周期的、ランダム、又はこれらの組み合わせ)を指し、文脈で特に明記されていない限り、物体/構造体の振動により生じ得る又は物体/構造体の振動を誘発し得る圧力波(又は音)への言及も含む。
【0028】
本明細書の実施形態において使用される様々なタイプのうちのいくつかのセンサは、特に、高サンプルレートのセンサであり得る。高サンプルレートのセンサは、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、5,000、10,000、15,000、20,000Hz以上のレートで又は前述のいずれかの間の範囲内のレートでサンプリングするものを含み得る。様々な実施形態において、高速圧力センサは、10、5、2.5、1、0.5、0.25、0.1、0.05若しくは0.01ミリ秒未満の応答時間又は前述のいずれかの間の範囲内の応答時間を有し得る。
【0029】
本明細書の振動センサは、様々なタイプのものであり得る。例として、いくつかの実施形態において、振動センサ308は加速度計であり得る。いくつかの実施形態において、振動センサ308は、具体的には、3軸加速度計などの多軸加速度計であり得る。加速度計は、DC応答加速度計及びAC応答加速度計の両方を含み得る。加速度計は、容量式MEMS加速度計、圧電抵抗式加速度計、圧電式加速度計(電荷モード圧電式加速度計及び電圧モード内部電子圧電式(IEPE:internal electronic piezoelectric)加速度計を含む)などを含み得る。いくつかの実施形態において、振動センサは、例えばマイクロフォンなどの音響トランスデューサであり得る。マイクロフォンとしては、コンデンサ(ダイアフラムコンデンサを含む)マイクロフォン、リボンマイクロフォン、ダイナミック(誘導コイルを含む)マイクロフォンなどが挙げられ得るがこれらに限定されない。いくつかの場合において、振動センサはまた、以下に記載するものなどの高速圧力センサを含み得る。本明細書では様々な振動センサが企図される。
【0030】
本明細書の温度センサは、様々なタイプのものであり得る。いくつかの実施形態において、温度センサ312は、サーミスタ、抵抗温度デバイス(RTD)、熱電対、又は半導体温度センサなどであり得る。
【0031】
本明細書の圧力センサは、様々なタイプのものであり得る。圧力センサ316としては、ひずみゲージ式圧力センサ、容量式圧力センサ、圧電式圧力センサなどが挙げられ得るがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書の圧力センサは、MEMSベースの圧力センサであり得る。様々な実施形態において、圧力センサは、高速(例えば、高サンプルレート)圧力センサであり得る。様々な実施形態において、高速圧力センサは、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、5,000、10,000、15,000、20,000Hz以上のレートで又は前述のいずれかの間の範囲内のレートでサンプリングすることができる。様々な実施形態において、高速圧力センサは、10、5、2.5、1、0.5、0.25、0.1、0.05若しくは0.01ミリ秒未満の応答時間又は前述のいずれかの間の範囲内の応答時間を有し得る。
【0032】
本明細書のフローセンサは、様々なタイプのものであり得る。フローセンサ320としては、タービンフローセンサ、回転速度センサ、斜盤式フローセンサ、電磁式フローセンサ、熱容量式フローセンサ、圧力ベースのフローセンサ、渦流センサ、コリオリ流センサなどが挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0033】
制御回路304及びその構成要素の処理能力は、様々な操作を実施するのに十分なものであり得る。この様々な操作には、平均化、時間平均化、統計的分析、正規化、集約化、分類、削除、移動、変換、凝縮(例えば、選択したデータを排除する及び/又はデータを粒度がより低い形態に変換する)、圧縮(圧縮アルゴリズムを使用するなど)、結合、挿入、タイムスタンピング、フィルタリング、線外値の破棄、傾向及び傾向線(線形、対数的、多項、累乗、指数関数、移動平均など)の計算、データ/信号の正規化などが挙げられるがこれらに限定されない、センサ(センサ308、312、316、及び320など)からの信号/データに関する様々な操作を含む。フーリエ解析は、物理的信号を連続的な範囲にわたるいくつかの離散的周波数又は周波数スペクトルに分解することができる。本明細書の様々な実施形態において、信号/データに対する操作は、データ/信号を時間領域から周波数領域に変換するための高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transformation)を含み得る。本明細書では、信号/データに対する他の操作としては、スペクトル推定、周波数領域解析、二乗平均平方根加速度値(GRMS:root mean square acceleration value)の計算、加速度スペクトル密度の計算、パワースペクトル密度の計算、フーリエ級数の計算、Z変換の計算、共振周波数決定、調波周波数決定などが挙げられ得る。本明細書に記載される様々な操作(高速フーリエ交換など)は、汎用マイクロプロセッサによっては実行され得るが、これらはまた、いくつかの実施形態においては制御回路304と統合され得るデジタルシグナルプロセッサ(DSP)によってより効率的に実行され得る、又は別個のディスクリート構成要素として存在してもよいことは理解されるであろう。
【0034】
制御回路304によって実行される正規化操作としては、1つ以上の値を別の値又は一連の値に基づいて調整することが挙げられ得るが、これに限定されない。本明細書のいくつかの実施形態において、正規化操作は、具体的には、ポンプ動作速度又は他の機器の動作速度に基づいて振動センサの信号を正規化することを含み得る。一例として、ポンプは動作周波数(速度)を有し得る。特徴的に、システムの振動センサは、ポンプの動作周波数の又はその近辺の周波数にて顕著な量の振動を記録する傾向にある。したがって、振動センサによるデータ/信号の正規化には、ポンプ又は他の機器の動作周波数によって提供される振動の周波数スペクトルに寄与するものを除去する、消去する、減衰する、或いは、考慮に入れることを含み得る。いくつかの場合において、これには、ポンプ又は他の機器の動作速度の又はその近辺の振動を排除すること或いは使用しないことを含み得る。いくつかの場合において、これには、ポンプ又は他の機器の動作速度を包含する帯域の振動を排除すること或いは使用しないことを含み得る。いくつかの場合において、これには、ポンプ又は他の機器の動作速度を包含する一連の帯域の振動及びポンプ又は他の機器の動作速度の調波周波数を示す他の周波数の振動を排除すること或いは使用しないことを含み得る。
【0035】
いくつかの場合において、ポンプ又は他の機器の動作速度は変化し得ることは理解されるであろう。したがって、いくつかの実施形態において、除去する、消去する、減衰する、或いは考慮に入れる1つの周波数、複数の周波数、又は周波数範囲は動的であり得る。いくつかの実施形態において、監視システムは、ポンプ又は他の機器の動作速度を示す入力として信号を受信することができ、次いで、その周波数又は周波数範囲は、除去する、消去する、減衰する、又はその他考慮に入れるための目標にされ得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、監視システム自体が、信号入力を評価することによりポンプ又は他の機器の動作速度を計算することができる。例えば、この場合のフローセンサは、ポンプの動作速度を導出するために評価され得る信号を生成することができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、ポンプ又は他の機器の動作速度の範囲は、監視システムにプログラムされ得、ポンプ又は他の機器から得られる信号周波数を識別するために使用され得る。例えば、所与の油圧式ポンプは、85Hz~300Hzの動作速度範囲を有し得る。この情報は、監視システムに入力され、そのメモリに記憶され得る。動作時、監視システムは、85Hz~300Hzの動作速度範囲において検出された振動を評価する。その周波数範囲内において特定の周波数の顕著な振動が検出された場合、ポンプ又は他の機器はその周波数にて現在動作していると決定することができ、その周波数が、除去する、消去する、減衰する又はその他考慮に入れるための目標とされ得る。
【0038】
本明細書のエアレーションパラメータの計算は、様々な手法で実施され得る。以下、第1の実施例に示されるように、いくつかの場合において、エアレーション(特に、自由空気のエアレーション)は、主周波数における振動の規模と直線関係を有する。したがって、いくつかの場合において、エアレーションの計算には、主周波数を特定し、式x=(y-b)/mを解くことを含み得る。式中、xは、エアレーション(自由空気)の比率、yは、主周波数における振動の規模(例えば、最大規模を有する周波数)、mは、振動規模とエアレーション比率との間の直線関係の傾きである。いくつかの実施形態において、規模としてのyは、二乗平均平方根加速度値、即ち「GRMS」として測定され得る。これは、加速度スペクトル密度(ASD)(G2/Hz)対周波数曲線(Hz)下の面積の平方根である。
【0039】
いくつかの場合において、周波数に基づいてエアレーションを計算する式は、主周波数における振動の規模のみに比べてより多くのパラメータを考慮に入れることができる。例として、以下、実施例に示されるように、振動応答の帯域幅とエアレーションの程度との間には関係が存在し得る。したがって、いくつかの実施形態においては、振動応答の帯域幅を使用して、エアレーション比率及び/又は他のエアレーションパラメータを決定することができる。いくつかの実施形態において、関連する帯域幅は、主周波数(例えば、最大規模を有する周波数)の規模のうち少なくとも所与の割合の規模を有する周波数を包含する帯域として決定され得る。所与の割合は異なり得るが、いくつかの実施形態では、40、50、60、70、80、90若しくは95パーセント又は前述のいずれかの間の範囲内の量であり得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、特定のタイプの機器に関して収集した実験データ(加速度計の信号など)を評価することにより回帰方程式が導出され得る。例えば、本明細書の方法の1つの操作において、1つ以上の空間的成分を含む1つ以上の振動信号が取得され、記録され得る。一例では、1つ、2つ、又は3つの振動信号が取得され得るが、4、5、6、7、8、9、10以上、又は前述のいずれかの間の範囲内の数を含む他の様々な数の振動信号が使用され得る。様々な数の振動信号の空間的成分が取得され得る、記録され得る、及び/又は評価され得る。いくつかの実施形態において、振動信号の空間的成分は、前後、左右、及び垂直(例えば、乗物又はポンプなどその構成要素に対して)のうちの1つ以上を含み得、これらは例えば3軸加速度計から取得されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態においては、単軸又は2軸加速度計が使用され得る。
【0041】
本明細書の方法の別の操作において、取得した振動信号(いくつかの場合においては多次元振動信号)に対して時間周波数解析が実施され得る実施され得る。
【0042】
本明細書の方法の別の操作において、時間周波数信号(多次元時間周波数信号など)から特徴が抽出され得る。重心、拡散、明度、高周波成分、波頂、減少、エントロピー、平坦度、不規則性、尖度、歪度、ロールオフ、フラックス、変化などが挙げられるがこれらに限定されない様々な信号特徴が抽出され得る。特徴を抽出するための操作は、制御回路、又は例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)チップ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は1つ以上のデジタル信号処理チップなど、その構成要素を使用して実施され得る。いくつかの実施形態において、特徴抽出は、本明細書のシステム又はデバイスと関連する処理資源を使用して実施され得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、これにより導出される信号及び/又はデータは、特徴抽出用の外部の又は別個のデバイスにエクスポートされ得る。
【0043】
重心特徴値は、様々な手法で計算され得る。いくつかの特定の実施形態において、重心値は、以下の式に従い計算され得る。
【数1】
【0044】
重心特徴値は、様々な手法で計算され得る。いくつかの実施形態において、拡散特徴値は、以下の式に従い計算され得る。
【数2】
上記の式に関して、式中、X(t,f)=信号、t=時間、f=周波数、及びw=重みである。
【0045】
別の操作において、上で得られた値を使用して、エアレーション予測回帰方程式を導出することができる。エアレーション予測回帰方程式の一例は、以下の形態をとることができる。
エアレーション=b*スペクトル特徴-a。
【0046】
b及びaの特定の値は、用いられるシステム及び特定のスペクトル特徴に基づいて異なり得ることは理解されるであろう。しかしながら、様々な実施形態において、スペクトル特徴は重心であり、「b」は、約0.0001~約0.010であり得、「a」は、約0~100であり得る。例えば、bは、約0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.010の値をとることができる、又は前述の数のいずれかの間の範囲内の値であり得る。いくつかの実施形態において、aは、約0、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、7.5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90若しくは100の値をとることができる、又は前述の数のいずれかの間の範囲内の値であり得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、振動とエアレーションパラメータとの間の関係及び/又はこれを定義する式若しくはモデルを導出するために機械学習アルゴリズムが使用され得る。本明細書で使用される機械学習アルゴリズムとしては、教師あり学習アルゴリズム及び教師なし学習アルゴリズムが挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用される機械学習アルゴリズムとしては、分類アルゴリズム(カテゴリーラベルを予測する教師ありアルゴリズム)、クラスタリングアルゴリズム(カテゴリーラベルを予測する教師なしアルゴリズム)、アンサンブル学習アルゴリズム(複数の学習アルゴリズムを共に組み合わせるための教師ありメタアルゴリズム)、任意に構造化されたラベルセットを予測するための一般アルゴリズム、多重線形部分空間学習アルゴリズム(テンソル表現を用いて多次元データのラベルを予測)、実数値系列ラベリングアルゴリズム(実数値ラベルの系列を予測)、回帰アルゴリズム(実数値ラベルを予測)、及び系列ラベリングアルゴリズム(カテゴリーラベルの系列を予測)が挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0049】
本明細書の機械学習アルゴリズムとしてはまた、パラメトリックアルゴリズム(線形判別分析、二次判別分析、及び最大エントロピー分類器など)及びノンパラメトリックアルゴリズム(決定木、カーネル推定、単純ベイズ分類器、ニューラルネットワーク、パーセプトロン、及びサポートベクターマシンなど)が挙げられ得る。本明細書のクラスタリングアルゴリズムとしては、カテゴリー混合モデル、深層学習法、階層的クラスタリング、K平均クラスタリング、相関クラスタリング、及びカーネル主成分分析が挙げられ得る。本明細書のアンサンブル学習アルゴリズムとしては、ブースティング、ブートストラップ集約化、アンサンブル平均化、及び混合エキスパートが挙げられ得る。本明細書の任意に構造化されたラベルセットを予測するための一般アルゴリズムとしては、ベイジアンネットワーク及びマルコフランダムフィールドが挙げられ得る。本明細書の多重線形部分空間学習アルゴリズムとしては、多重線主成分分析(MPCA:multilinear principal component analysis)が挙げられ得る。実数値系列ラベリングアルゴリズムとしては、カルマンフィルタ及び粒子フィルタが挙げられ得る。本明細書の回帰アルゴリズムとしては、教師あり(ガウス過程回帰、線形回帰、ニューラルネットワーク、及び深層学習法など)手法及び教師なし(独立成分分析及び主成分分析など)手法の両方が挙げられ得る。本明細書の系列ラベリングアルゴリズムとしては、教師あり(条件付きランダムフィールド、隠れマルコフモデル、最大エントロピーマルコフモデル、及び再帰型ニューラルネットワークなど)手法及び教師なし(隠れマルコフモデル及び動的時間伸縮法)手法の両方が挙げられ得る。
【0050】
様々な実施形態において、制御回路は、エアレーションの所定の閾値を超えた場合にエアレーションに関する信号又は警報を送信することができる。信号は、ECU(CANBUSネットワークなどを介して)、システムオペレータ、作業場の管理者、フリート保守センター、フリート監視センター、又はクラウドサイトなどに送信され得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、閾値は、約0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5、2.75、3、3.25、3.5、4、4.5若しくは5パーセントのエアレーション、又は前述のいずれかの間の範囲内の量になるように事前設定され得る。他の実施形態において、閾値はユーザがシステムに入力し、その後、記憶され得る。いくつかの実施形態において、閾値は、計算エアレーションの変化率であり得る。いくつかの実施形態において、閾値は、既定の期間にわたる計算エアレーションの総量であり得る。
【0052】
いくつかの場合において、振動センサが、周波数範囲及び振幅の観点における振動の減少が最小限でポンプ又は他の機器から振動を受信するように、振動センサ(加速度計又はマイクロフォンなど)を監視システム106に取り付けると有用であり得る。いくつかの実施形態において、振動センサは、ポンプ又は他の機器の接触面に入射する振動が、振動センサに入射する際に50、40、30、20、又は10パーセント未満減衰されるように、ポンプ若しくは他の機器上又はポンプ若しくは他の機器内に配置され得る。
【0053】
様々な実施形態において、監視システム106は、電源回路322を含み得る。いくつかの実施形態において、電源回路322は、バッテリー324、キャパシタ、無線給電レシーバなどの給電レシーバ、変圧器、整流器などが挙げられるがこれらに限定されない様々な構成要素を含み得る。
【0054】
様々な実施形態において、監視システム106は、出力デバイス326を含み得る。出力デバイス326は、光(LED光など)、ディスプレイ画面、スピーカなどが挙げられるがこれらに限定されない視覚及び/又は聴覚出力用の様々な構成要素を含み得る。いくつかの実施形態において、出力デバイスは、例えば、現在のシステムステータス、問題の表示、ユーザの介入が必要であること、若しくは保守アクションを実施するのに適した時間などの通知又はアラートをシステムのユーザに提供するために使用され得る。
【0055】
様々な実施形態において、監視システム106は、メモリ328及び/又はメモリコントローラを含み得る。メモリとしては、ダイナミックRAM(D-RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、静的RAM(S-RAM)、ディスクストレージ、フラッシュメモリ、EEPROM、S-RAM又はD-RAMなどのバッテリーバックアップRAM、及び任意の他のタイプのデジタルデータストレージコンポーネントを含む様々なタイプのメモリコンポーネントが挙げられ得る。いくつかの実施形態において、電子回路又は電子構成要素は揮発性メモリを含む。いくつかの実施形態において、電子回路又は電子構成要素は不揮発性メモリを含む。いくつかの実施形態において、電子回路又は電子構成要素は、2つ以上の準安定状態を有し、外部入力によって変更されるまでこれら状態のうちの1つにとどまる回路を提供するラッチ又はフリップフロップとして動作する正帰還を提供するように相互接続されたトランジスタを含み得る。データストレージは、そのようなフリップフロップを含む回路に基づき得る。データストレージは、また、キャパシタ内における電荷の記憶又は他の原理に基づき得る。いくつかの実施形態において、不揮発性メモリ328は、制御回路304と統合され得る。
【0056】
様々な実施形態において、監視システム106はクロック回路330を含み得る。いくつかの実施形態において、クロック回路330は制御回路304と統合され得る。
図3には図示しないが、本明細書の様々な実施形態は、例えば、I
2C、シリアルペリフェラルインターフェース(SPI)、又は汎用非同期受信機/送信機(UART)などの構成要素間でデータの輸送を提供するためのデータ/通信バスを含み得ることは理解されるであろう。いくつかの実施形態において、アナログ信号インターフェイスが含まれ得る。いくつかの実施形態において、デジタル信号インターフェイスが含まれ得る。
【0057】
様々な実施形態において、監視システム106は通信回路332を含み得る。様々な実施形態において、通信回路は、例えば、アンテナ334、アンプ、フィルタ、デジタル-アナログ変換器及び/又はアナログ-デジタル変換器などの構成要素を含み得る。いくつかの実施形態において、監視システム106はまた、乗物のECU、又はCANBUSネットワーク(コントローラエリアネットワーク)などを含むがこれらに限定されない他のシステム/構成要素との有線通信のための有線入力/出力インターフェイス336を含み得る。
【0058】
ここで
図4を参照すると、本明細書の様々な実施形態による、フィルトレーションシステムのデータ通信環境400の概略図が示される。データ通信環境400は、油圧式システムを含むホイールローダなどの重機100を含み得る。いくつかの実施形態において、重機100は、作業環境402内にあり得る。作業環境402は、重機100が動作する地理的領域であり得る。作業環境402は、例えば、作業現場、作業場、鉱山、出荷又は配送センター、製造施設、材料保管場、又はごみ捨て場などであり得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、重機100からの無線信号は、セルラー塔又は他の無線通信塔であり得る無線通信塔420(又はアンテナアレイ)と交換され得る。無線通信塔420は、インターネット又は別の種類のパブリック若しくはプライベートデータネットワーク、パケット交換ネットワーク、又はその他などのデータネットワーク422に接続され得る。
【0060】
データネットワークは、作業環境402の外部にある他の構成要素との一方向又は双方向通信を提供することができる。例えば、サーバ424又は他の処理デバイスは、データを含む電子信号を重機100などの1つ以上の構成要素から受信することができる。サーバ424は、データを格納するためにデータベース426とインターフェイスことができる。いくつかの実施形態において、サーバ424(又はサーバシステムの一部のデバイス)は、ユーザがデータベース426に格納されたデータをクエリすることを可能にできるユーザデバイス428とインターフェイスすることができる。サーバ424及び/又はデータベース426は、別の物理的位置にあり得る又はクラウド内にあり得る。
【0061】
方法
本明細書では、製造方法、使用方法などが挙げられるがこれらに限定されない多くの異なる方法が企図される。本明細書の別の場所に記載されているシステム/デバイスの操作の態様は、本明細書の様々な実施形態による1つ以上の方法の操作として実施され得る。
【0062】
ここで
図5を参照すると、本明細書の様々な実施形態による方法のフローチャートが示される。一実施形態において、流体流路内の流体のエアレーションを決定する方法は、流体流路に沿って取り付けられた振動センサによって振動を検出すること502を含み得る。当該方法はまた、振動センサから制御回路に信号を送信すること504を含み得る。当該方法はまた、振動センサから制御回路にて受信された信号を評価し506、振動の周波数及び特定周波数における振動の規模を決定することを含み得る。当該方法はまた、振動の周波数及び規模に基づいて1つ以上のエアレーションパラメータを計算すること508を含み得る。
【0063】
様々な実施形態において、エアレーションパラメータは、エアレーション量、エアレーション比率、気泡のサイズ、気泡のサイズ区分のうちの少なくとも1つを含み得る。例として、いくつかの文脈において、250μm以下のサイズを有する泡は、「細かい」サイズとして分類することができ、サイズに基づくと、溶解した空気による核形成によって発生するものと思われる。200~250μm超のサイズを有する泡は、「粗い」サイズとして分類することができ、サイズに基づくと、ポンプ及び/又は悪いタンク設計に関する空気の漏れ/噴射及び/又は吸引漏れ(滝の効果(waterfall effect))の一種から発生するものと思われる。したがって、サイズ区分は診断値を有する。上で参照した特定のサイズは単なる例として提供するものであり、閾値は、50、100、150、200、250、300、350、400、500、750若しくは1000μm、又は前述のいずれかの間の範囲内の値などの状況に適したサイズ区分に対して設定され得ることは理解されるであろう。いくつかの実施形態において、サイズ区分に対して1つより多い閾値が使用され得る(例えば、2つを超えるサイズカテゴリが存在し得る)。本明細書の様々な実施形態において、計算され得るエアレーションパラメータは、「細かい」と認定されるものと粗いと認定されるものなど異なるサイズカテゴリに分類される気泡の比率又は比とともに、気泡の平均サイズを含み得る。
【0064】
様々な実施形態において、当該方法は、ポンプ動作速度に基づいて振動センサの信号を正規化することを更に含み得る。正規化の態様については、上でより詳細に記載されている。
【0065】
様々な実施形態において、方法は、計算エアレーションが所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信することを更に含み得る。例として、信号は、ECU及びシステムオペレータの少なくとも一方に送信され得る。
【0066】
一実施形態において、方法は、計算エアレーションの変化率が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信することを更に含み得る。一実施形態において、方法は、既定の期間にわたる計算エアレーションの総量が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信することを更に含み得る。この手法は、エアレーションの非常に一過性の発生にすぎないものを選別するために有用であり得る。定義される期間は様々であり得る。いくつかの実施形態において、定義される期間は、約30秒、1分、5分、10分、20分、30分、1時間、3時間、12時間、24時間、48時間など、又は前述のいずれかの間の範囲内の期間であり得る。
【0067】
ここで
図6を参照すると、本明細書の様々な実施形態による方法のフローチャートが示される。
図6は、
図5に全般的に類似しているが、
図6に示される実施形態では、他のセンサからの入力も使用される。一実施形態において、方法は、流体流路内の流体の温度602を温度センサによって検知することを更に含み得る。一実施形態において、方法は、温度センサから受信された信号を評価することと、振動センサから受信された信号とともに、温度センサから受信された信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算することと、を更に含み得る。
【0068】
一実施形態において、方法は、流体流路内の流体の圧力604を圧力センサによって検知することを更に含み得る。一実施形態において、方法は、圧力センサから受信された信号を評価することと、振動センサから受信された信号とともに、圧力センサから受信された信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算することと、を更に含み得る。
【0069】
一実施形態において、方法は、流体流路内の流体の流量606をフローセンサによって検知することを更に含み得る。一実施形態において、方法は、フローセンサから受信された信号を評価することと、振動センサから受信された信号とともに、フローセンサから受信された信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算することと、を更に含み得る。
【0070】
態様は、以下の実施例を参照するとより良く理解することができる。これらの実施例は、特定の実施形態を示すことを意図しているが、本明細書の実施形態の全体的な範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0071】
実施例1:可動式機器の油圧ライン内でのエアレーションの検出
機器(CNH Wheel Loader 1021G)の油圧式ポンプのハウジングに3軸加速度計を取り付けた。油圧式ポンプから上流の油圧ラインに空気ラインを接続した。自由空気のエアレーションの確定測定は、Froyennes、Belgiumに所在のDelta Services IndustrielsのAIR-Xセンサを使用することにより行った。エアレーションは、ファン/ブレーキポンプの入口/吸引側から引くサンプルポンプを用いて測定した。空気は、油を50℃まで加温した後、油圧式ポンプの上流で、9:35(分:秒)にわたって100PSIにて0.5LPMで注入した。乗物は静止していたが、全体を通してバケット装備を昇降させていた。
【0072】
次いで、異なる量の空気を油圧ラインに注入し、自由空気のエアレーションの量をAIR-Xセンサを用いて決定し(0%は自由空気なし)、加速度計からの振動を記録し、評価した。加速度計は、20,000Hzのサンプリングレートで動作し、x線減衰デバイスは0.1Hzのサンプルレートで動作していた。したがって、加速度計のデータは、x線減衰デバイスのサンプリングレートと整合させるために10秒間において平均化した。
【0073】
図7は、ホイールローダにおいて測定された自由空気のエアレーション対検出された振動のグラフである。
図7において、0%は、自由空気のエアレーションがないことを示す。本出願では、自由空気のエアレーションが約1.4%までにおいては振動の変化が最小限であったことが分かった。その水準を上回ると、振動は、自由空気のエアレーションと直線関係(相関係数0.55)を有し、自由空気のエアレーション比率の計算が可能になる。この実施例は、エアレーションパラメータが振動センサの信号に基づいて計算され得ることを示す。
【0074】
この実施例における作動液は脱気されていなかったため、総溶解空気は、エアレーションを測定した時点で、ライン内の流体の圧力に対してほぼ溶解限度にあったと想定され得る。総エアレーションは、溶解空気と自由空気のエアレーションとの合計であるため、総エアレーションは、振動センサの信号の評価に基づいて、溶解空気部を、一定量として又は決定された溶解限度に基づいて調整された量として扱い、加えることにより、測定され得る。
【0075】
検出された振動を、異なる機械の周波数に基づいて更に分析した。
図8は、スキッドステア(マルチャー装備を備えるCAT 272D SSL)で測定した、エアレーションに応じた、0~5000Hzの周波数範囲にわたる異なる時点の振動の分布率を示すグラフである。時間「A」は、空気の注入が始まる前であり、油圧式ポンプの通常の動作振動周波数を示す。時間「B」は、空気注入中であり、エアレーションは上昇し、エアレーションの程度は中程度(0.4%)(エアレーション測定サンプルポイントの下流及びチャージポンプ入口の上流において95PSIにて0.25CFH)である。時間「C」は、空気注入中であり、空気の量が増加され、エアレーションが高程度である(4.1%)ときである。
【0076】
図示されるように、時間「A」において、全ての周波数における振動は比較的小さく、ポンプの動作速度である約85Hzにていくらかの振動が検出された。時間「B」において、振動の規模は、特定の範囲802内で顕著な増加を示した。時間「C」において、振動の規模は、時間「B」と比較して大幅に増加し、範囲804にわたってかなりの強さを示した。範囲804は、幅及び規模が範囲802よりも広く、また、周波数もわずかに高い。
【0077】
この実施例は、エアレーションの程度によって振動範囲の幅及び規模が変化すること、並びに本明細書では、範囲及び規模が挙げられるがこれらに限定されない検出振動のパラメータを使用してエアレーションのパラメータを計算することができることを示す。
【0078】
実施例2:多次元時間周波数信号からの特徴の抽出及びエアレーション予測式の構築
マルチャー装備を備えるCAT 272D SSLの各油圧式ポンプのハウジング(油圧回路内のチャージポンプ、インプリメントポンプ、及びトランスミッションポンプ)に3軸加速度計を取り付けた。加速度計からの振動を記録し、評価した。加速度計は、20,000Hzのサンプリングレートで動作していた。自由空気のエアレーションの確定測定は、チャージポンプ入口/吸引側から引くサンプルポンプを用い、Froyennes,Belgiumに所在のDelta Services IndustrielsのAIR-Xセンサを使用することにより行った。
【0079】
第1の試験状況において、スキッドステアが静止した状態で、最小限の作動液タンク容量を使用し、次いで、マルチャーを運転した状態で装備を極めて高く持ち上げることによりタンクをほぼ完全に空にし、顕著なエアレーションを生じさせた。
【0080】
図9は、インプリメントポンプに取り付けられた加速度計からの振動信号の垂直成分に関する経時的な振動信号を示すグラフである。
図10は、x線減衰密度測定機を使用して決定された経時的なエアレーション(%)(例えば、実際のエアレーションの確定測定値として解釈される)を示すグラフである。
図11は、振動信号の経時的な周波数スペクトログラム(Hz)を示すグラフである。
図12は、振動信号の経時的なパワー密度を示すグラフである。
【0081】
次いで、振動信号から信号特徴を抽出した。特に、重心特徴を抽出した。
図13は、抽出した重心特徴の経時的な周波数(Hz)を示すグラフを示す。
図14は、重心特徴の経時的な周波数(Hz)を示すグラフである。
【0082】
次いで、抽出した重心特徴及び実際のエアレーション値を回帰分析で用い、エアレーションを推定するために使用され得る回帰方程式を決定した。決定した方程式は以下の通りである。
エアレーション=0.0054*スペクトル特徴1-11.74。
【0083】
図15は、経時的な実際のエアレーション(%)(実線)対重心特徴及び決定した方程式を用いた推定エアレーション(破線)を示すグラフである。2つの線の間の密接な相関関係は、この技法を使用して、エアレーションを正確に推定することができることを示す。
【0084】
第2の試験状況において、マルチャー装備を備えるCAT 272D SSLを前後に駆動し、マルチャーを運転した状態で装備をわずかに持ち上げ、エアレーションを生じさせた。次いで、第1の試験状況について説明したものと同様の手順を繰り返した。したがって、
図16は、インプリメントポンプに取り付けられた加速度計からの振動信号の垂直成分に関する経時的な振動信号を示すグラフである。
図17は、x線減衰密度測定機を使用して決定された経時的なエアレーション(%)(例えば、実際のエアレーションの確定測定値として解釈される)を示すグラフである。
図18は、振動信号の経時的な周波数スペクトログラム(Hz)を示すグラフである。
図19は、振動信号の経時的なパワー密度を示すグラフである。
【0085】
次いで、振動信号から信号特徴を抽出した。特に、重心特徴を抽出した。
図20は、抽出した重心特徴の経時的な周波数(Hz)を示すグラフを示す。
図21は、重心特徴の経時的な周波数(Hz)を示すグラフである。
【0086】
次いで、抽出した重心特徴及び実際のエアレーション値を回帰分析で用い、エアレーションを推定するために使用され得る回帰方程式を決定した。決定した方程式は以下の通りである。
エアレーション=0.0009*スペクトル特徴1-1.22。
【0087】
図22は、経時的なエアレーション比率(実線)対回帰方程式を用いた経時的な推定エアレーション(破線)を示すグラフである。2つの線の間の密接な相関関係は、デバイス/乗物が動いている状況であっても、この技法を使用して、エアレーションを正確に推定することができることを示す。
【0088】
更なる実施形態
第1の態様において、流体流路に沿って取り付けられるように構成されている振動センサと、振動センサと信号通信する制御回路とを有する流体エアレーション監視用システムが含まれる。制御回路は、振動センサから受信された信号を評価し、振動の周波数及び特定周波数における振動の規模を決定するように構成され得る。制御回路は更に、振動の周波数及び規模に基づいて1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成され得る。
【0089】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第2の態様において、振動センサは、加速度計及び音響トランスデューサのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0090】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第3の態様において、振動センサは、少なくとも1つの軸において測定する加速度計を含み得る。
【0091】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第4の態様において、制御回路は、計算エアレーションが所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信するように構成され得る。
【0092】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第5の態様において、信号は、ECU及びシステムオペレータの少なくとも一方に送信される。
【0093】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第6の態様において、制御回路は、計算エアレーションの変化率が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信するように構成され得る。
【0094】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第7の態様において、制御回路は、既定の期間にわたる計算エアレーションの総量が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信するように構成され得る。
【0095】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第8の態様において、流体流路は、ポンプを含むことができ、振動センサは、ポンプ上又はポンプ内に取り付けられるように構成されている。
【0096】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第9の態様において、制御回路は更に、ポンプの動作速度に基づいて、振動センサの信号を正規化するように構成され得る。
【0097】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第10の態様において、流体流路はフィルタハウジングを含むことができ、振動センサは、フィルタハウジング上又はフィルタハウジング内に取り付けられるように構成されている。
【0098】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第11の態様において、振動センサは加速度計を含むことができ、振動センサは、少なくとも1つの感度軸がポンプの構成要素の運動軸と整合されるように配置されている。
【0099】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第12の態様において、流体流路は、作動液導管、潤滑油導管、ブレーキ流体導管、冷媒流体導管、及び燃料供給導管からなる群より選択され得る。
【0100】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第13の態様において、通信回路及びアンテナを更に含み得る。
【0101】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第14の態様において、エアレーションパラメータは、エアレーション量、エアレーション比率、気泡のサイズ、気泡のサイズ区分のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0102】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第15の態様において、温度センサを更に含むことができ、温度センサは、流体流路内の流体の温度を検知するように構成されている。
【0103】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第16の態様において、制御回路は、温度センサから受信された信号を評価するように構成され得、更に、振動センサから受信された信号とともに、温度センサから受信された信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成され得る。
【0104】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第17の態様において、システムは圧力センサを更に含むことができ、圧力センサは、流体流路内の流体の圧力を検知するように構成されている。
【0105】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第18の態様において、制御回路は、圧力センサから受信された信号を評価するように構成され得、更に、振動センサから受信された信号とともに、圧力センサから受信された信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成され得る。
【0106】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第19の態様において、システムは、フローセンサを更に含むことができ、フローセンサは、流体流路内の流体の流量を検知するように構成されている。
【0107】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第20の態様において、制御回路は、フローセンサから受信された信号を評価するように構成されており、更に、振動センサから受信された信号とともに、フローセンサから受信された信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成されている。
【0108】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第21の態様において、システム又はその一部は、油圧式アクチュエータを有する可動式機器上又は可動式機器内に取り付けられ得る。
【0109】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第22の態様において、システム又はその一部は、油圧式アクチュエータを有する据置式機器上又は据置式機器内に取り付けられ得る。
【0110】
第23の態様において、流体流路内の流体のエアレーションを決定する方法が含まれ、流体流路に沿って取り付けられた振動センサによって振動を検出することと、振動センサから制御回路に信号を送信することと、振動センサから制御回路にて受信された信号を評価し、振動の周波数及び特定周波数における振動の規模を決定することと、振動の周波数及び規模に基づいて1つ以上のエアレーションパラメータを計算することと、を含み得る。
【0111】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第24の態様において、方法は更に、ポンプ動作速度に基づいて振動センサの信号を正規化することを含み得る。
【0112】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第25の態様において、振動センサは、加速度計及び音響トランスデューサのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0113】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第26の態様において、振動センサは、少なくとも1つの軸において測定する加速度計を含み得る。
【0114】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第27の態様において、方法は更に、計算エアレーションが所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信することを含み得る。
【0115】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第28の態様において、信号は、ECU及びシステムオペレータの少なくとも一方に送信され得る。
【0116】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第29の態様において、方法は更に、計算エアレーションの変化率が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信することを含み得る。
【0117】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第30の態様において、方法は更に、既定の期間にわたる計算エアレーションの総量が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信することを含み得る。
【0118】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第31の態様において、流体流路は、ポンプを含むことができ、振動センサは、ポンプ上又はポンプ内に取り付けられるように構成されている。
【0119】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第32の態様において、流体流路はフィルタハウジングを含むことができ、振動センサは、フィルタハウジング上又はフィルタハウジング内に取り付けられるように構成されている。
【0120】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第33の態様において、振動センサは加速度計を含むことができ、振動センサは、少なくとも1つの感度軸がポンプの構成要素の運動軸と整合されるように配置されている。
【0121】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第34の態様において、流体流路は、作動液導管、潤滑油導管、ブレーキ流体導管、冷媒流体導管、及び燃料供給導管からなる群より選択され得る。
【0122】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第35の態様において、エアレーションパラメータは、エアレーション量、エアレーション比率、気泡のサイズ、気泡のサイズ区分のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0123】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第36の態様において、方法は更に、温度センサによって流体流路内の流体の温度を検知することを含み得る。
【0124】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第37の態様において、方法は更に、温度センサから受信された信号を評価することと、振動センサから受信された信号とともに、温度センサから受信された信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算することとを含み得る。
【0125】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第38の態様において、方法は更に、圧力センサによって流体流路内の流体の圧力を検知することを含み得る。
【0126】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第39の態様において、方法は更に、圧力センサから受信された信号を評価することと、振動センサから受信された信号とともに、圧力センサから受信された信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算することとを含み得る。
【0127】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第40の態様において、方法は更に、フローセンサによって流体流路内の流体の流量を検知することを含み得る。
【0128】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第41の態様において、方法は更に、フローセンサから受信された信号を評価することと、振動センサから受信された信号とともに、フローセンサから受信された信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算することとを含み得る。
【0129】
第42の態様において、流体流路に沿って取り付けられるように構成されている振動センサであって、振動信号を発生させる、振動センサと、振動センサと信号通信する制御回路とを有し、制御回路は、振動信号の特徴値を計算し、計算された特徴値に基づいて流体エアレーション値を推定するように構成されている、流体エアレーション追跡用のシステムが含まれる。
【0130】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第43の態様において、特徴値は重心値を含む。
【0131】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第44の態様において、特徴値は拡散値を含む。
【0132】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第45の態様において、振動センサは、加速度計及び音響トランスデューサのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0133】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第46の態様において、振動センサは、少なくとも1つの軸において測定する加速度計を含み得る。
【0134】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第47の態様において、制御回路は、計算エアレーションが所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信するように構成されている。
【0135】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第48の態様において、信号は、ECU及びシステムオペレータの少なくとも一方に送信される。
【0136】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第49の態様において、制御回路は、計算エアレーションの変化率が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信するように構成されている。
【0137】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第50の態様において、制御回路は、既定の期間にわたる計算エアレーションの総量が所定の閾値を超えると、エアレーションに関する信号を送信するように構成されている。
【0138】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第51の態様において、流体流路はポンプを含み、振動センサは、ポンプ上又はポンプ内に取り付けられるように構成されている。
【0139】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第52の態様において、制御回路は更に、ポンプの動作速度に基づいて、振動センサの信号を正規化するように構成されている。
【0140】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第53の態様において、流体流路はフィルタハウジングを含み、振動センサは、フィルタハウジング上又はフィルタハウジング内に取り付けられるように構成されている。
【0141】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第54の態様において、振動センサは加速度計を含み、振動センサは、少なくとも1つの感度軸がポンプの構成要素の運動軸と整合されるように配置されている。
【0142】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第55の態様において、流体流路は、作動液導管、潤滑油導管、ブレーキ流体導管、冷媒流体導管、及び燃料供給導管からなる群より選択される。
【0143】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第56の態様において、システムは、通信回路及びアンテナを含み得る。
【0144】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第57の態様において、エアレーションパラメータは、エアレーション量、エアレーション比率、気泡のサイズ、気泡のサイズ区分のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0145】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第58の態様において、システムは、温度センサを更に含むことができ、温度センサは、流体流路内の流体の温度を検知するように構成されている。
【0146】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第59の態様において、制御回路は、温度センサから受信された信号を評価するように構成され得、更に、振動センサから受信された信号とともに、温度センサから受信された信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成されている。
【0147】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第60の態様において、システムは更に、圧力センサを含むことができ、圧力センサは、流体流路内の流体の圧力を検知するように構成されている。
【0148】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第61の態様において、制御回路は、圧力センサから受信された信号を評価するように構成され得、更に、振動センサから受信された信号とともに、圧力センサから受信された信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成されている。
【0149】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第62の態様において、システムは更に、フローセンサを含むことができ、フローセンサは、流体流路内の流体の流量を検知するように構成されている。
【0150】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第63の態様において、制御回路は、フローセンサから受信された信号を評価するように構成され得、更に、振動センサから受信された信号とともに、フローセンサから受信された信号に基づいて、1つ以上のエアレーションパラメータを計算するように構成され得る。
【0151】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第64の態様において、システムは、油圧式アクチュエータを有する可動式機器上又は可動式機器内に取り付けられ得る。
【0152】
先行する若しくは以下の態様の1つ以上に加えて又はいくつかの態様の代わりに、第65の態様において、システムは、油圧式アクチュエータを有する据置式機器上又は据置式機器内に取り付けられ得る。
【0153】
第66の態様において、流体流路内の流体のエアレーションを決定する方法が含まれる。当該方法は、流体流路に沿って取り付けられた振動センサによって振動を検出することと、振動センサから制御回路に信号を送信することと、振動センサから制御回路にて受信された信号を処理して、振動信号の特徴値を計算し、計算された特徴値に基づいて流体エアレーション値を推定することと、を含み得る。
【0154】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、別段の明確な指示のない限り、複数形の指示対象を含むことに留意されたい。用語「又は(or)」は、別段の明確な指示のない限り、「及び/又は(and/or)」を含む意味で一般に用いられることにも留意されたい。
【0155】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「構成される(configured)」という語句は、特定のタスクを実施するように構築される若しくは構成される又は特定の構成をとるシステム、装置、又はその他の構造体を説明していることにも留意されたい。「構成される」という語句は、例えば、配置及び構成される(arranged and configured)、構築及び配置される(constructed and arranged)、構築される(constructed)、製造及び配置される(manufactured and arranged)などの他の類似の語句と互換的に使用され得る。
【0156】
本明細書の全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関連する当該技術分野における通常の技量のレベルを示す。全ての刊行物及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物又は特許出願が参照により具体的且つ個々に示されている場合と同程度、参照により本明細書に組み込まれる。
【0157】
本明細書で使用する場合、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数値を含むものとする(例えば、2~8は、2.1、2.8、5.3、7などを含む)。
【0158】
本明細書で使用される見出しは、米国特許法施行規則1.77(37 CFR 1.77)に基づく提案との整合性を得るために、或いは構成上の手がかりを提供するために提供されている。これらの見出しは、本開示から発行され得るあらゆる特許請求の範囲に定める本発明を制限したり特徴付けたりするものと解釈されるものではない。一例として、見出しでは「分野」とされていても、このような特許請求の範囲は、いわゆる技術分野を説明するためにこの見出しで選択された言葉によって制限されるべきではない。更に、「背景技術」における技術の説明は、この技術が本開示における任意の発明の先行技術であること承認するものではない。「発明の概要」も、発行される特許請求の範囲に定める本発明を特徴付けるものとみなされるべきではない。
【0159】
本明細書に記載される実施形態は、網羅的であること、又は以下の詳細な説明に開示される厳密な形態に本発明を限定することを意図するものではない。むしろ、実施形態は、当業者が原理及び手法を評価し、理解することができるように、選択され、記載されている。したがって、様々な具体的且つ好ましい実施形態及び手法を参照して態様を説明してきた。しかしながら、本明細書の趣旨及び範囲内に留まる限り、多くの変形及び修正を施すことができることは理解すべきである。
【国際調査報告】