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特表2022-538980電動工具の作業者の保護システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】電動工具の作業者の保護システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20220831BHJP
   A42B 3/30 20060101ALI20220831BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20220831BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20220831BHJP
   B23D 57/02 20060101ALI20220831BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20220831BHJP
   B27B 17/02 20060101ALI20220831BHJP
   B27G 19/06 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B25F5/00 A
A42B3/30
A41D19/00 Z
A41D13/00 112
B23D57/02
B25F5/00 G
B23Q11/00 D
B27B17/02
B27G19/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574860
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 SE2020050679
(87)【国際公開番号】W WO2021002794
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】1950847-2
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511234781
【氏名又は名称】フスクバルナ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】アルビン ハグバリ
【テーマコード(参考)】
3B011
3B033
3B107
3C011
3C040
3C064
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AA05
3B011AA07
3B011AA14
3B011AB01
3B011AC12
3B033AA24
3B033AB15
3B107EA06
3B107EA07
3B107EA19
3C011AA15
3C040AA10
3C040GG41
3C064AA05
3C064AA06
3C064AB02
3C064AC01
3C064BA20
3C064BB01
3C064BB24
3C064BB58
3C064BB87
3C064BB89
3C064CA41
3C064CA80
3C064CB56
3C064CB57
3C064CB58
3C064CB59
3C064CB63
3C064CB69
3C064CB71
3C064CB87
3C064DA02
3C064DA20
3C064DA29
3C064DA34
3C064DA36
3C064DA91
3C064DA95
3C064EA05
(57)【要約】
電動工具の作業者の保護システムは、手持ち式の電動工具の作業者によって装着されるように構成された複数の装着可能な位置センサと、手持ち式の電動工具の位置を検出するように構成された電動工具位置センサと、作業者の姿勢を規定する、互いに対するそれぞれの装着可能なセンサの相互位置に基づいて作業者のモデルを生成し、作業者の複数の肢体32a~32gの各々をそれぞれの保護体積部30a~30gと関連付け、保護体積部30a~30gに対する電動工具の位置及び/又は運動に基づいて、作業用具が保護体積部30a~30gに入るという差し迫った危険を示す保護信号を生成するように構成された処理装置とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具の作業者の保護システム(10)において、
前記保護システム(10)は、
手持ち式の電動工具(8)の作業者(6)に装着されるように構成された複数の装着可能な位置センサ(12a~12e)と、
手持ち式の電動工具(8)の位置を検出するように構成された電動工具位置センサ(14)と、
処理装置(18)であって、前記処理装置(18)は、
前記複数の装着可能な位置センサ(12a~12e)と前記電動工具位置センサ(14)から位置データを受信し、
前記複数の装着可能な位置センサ(12a~12e)から受信した前記位置データに基づいて、作業者の姿勢を表しかつ互いに対するそれぞれの前記複数の装着可能なセンサ(12a~12e)の相互位置に基づいている、作業者(6)のモデル(26)を生成し、
前記モデル(26)によって表されるように、前記作業者(6)の複数の肢体(32a、32c、32e)の各肢体(32a、32c、32e)をそれぞれの保護体積部(30a;30c,30d;30e,30f)と関連付け、
前記電動工具位置センサ(14) から受信した位置データに基づいて、前記電動工具(8) の作業用具(20)の位置を決定し、
保護体積部(30a;30c,30d;30e,30f)に対する電動工具(8)の位置及び/又は運動に基づいて、作業用具(20)が保護体積部(30a;30c,30d;30e,30f)に入るという差し迫った危険を示す、保護信号を生成するように構成された、処理装置(18)とを備える、電動工具の作業者の保護システム(10)。
【請求項2】
前記処理装置(18)は、
前記電動工具(8)の前記作業用具(20)を作業用具モデル(28)に関連付け、
前記作業用具モデル(28)が保護体積部(30a;30c,30d;30e,30f)と重複するという差し迫った危険があるか否かを判定するようにさらに構成されている、請求項1に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項3】
前記処理装置(18)は、
前記電動工具(8)の前記作業用具(20)を作業用具体積部(34)に関連付け、
前記作業用具体積部(34)が前記保護体積部(30a;30c,30d;30e,30f)と重複するという差し迫った危険があるか否かを判定するようにさらに構成されている、請求項1又は2に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項4】
前記処理装置(18)は、
前記作業用具(20)が保護体積部(30a;30c,30d;30e,30f)に近づく速度を決定し、
決定された前記速度に基づいて前記保護信号を生成するための安全距離を適合させるようにさらに構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項5】
前記処理装置(18)は、前記保護信号に基づいて、前記電動工具(8)の前記作業用具(20)を停止させるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項6】
前記処理装置(18)は、前記保護信号に基づいて、前記作業者(6)に警告を発するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項7】
前記作業者の脚部(32c)の各々は、それぞれの保護体積部(30c、30d)に関連している、請求項1~6のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項8】
前記複数の装着可能な位置センサ(12a~12e)は、空間内の絶対位置を決定するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項9】
前記複数の装着可能な位置センサ(30a;30c,30d;30e,30f)の各それぞれの位置センサ(12a;12b;12c;12d;12e)は、空間内の相対位置を決定するように構成されており、前記相対位置は他の位置センサに対する相対位置である、請求項1~8のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項10】
前記電動工具位置センサ(14)は、前記電動工具(8)の向きを検出するようにさらに構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項11】
前記複数の装着可能な位置センサ(12a~12e)のそれぞれは、ジャイロスコープ又は加速度計等の慣性測定ユニットを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項12】
前記保護システムは、RTK、すなわち、動的干渉測位の基地局をさらに備え、前記複数の装着可能な位置センサの各々がRTK対応のGNSS受信機を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項13】
前記電動工具の作業者の保護システムは、複数の無線ビーコンをさらに備え、前記複数の装着可能な位置センサ(12a~12e)の各々は、それぞれの無線インターフェイスを備え、前記装着可能な位置センサの位置は、それぞれの前記装着可能な位置センサから前記複数の無線ビーコンの各々への検出された距離によって決定される、請求項1~12のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項14】
各肢体(32a;32c、32d;32e、32f)の位置は、いくつかの異なるセンサ(12a~12e)からの入力に基づいて決定される、請求項1~13のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項15】
前記処理装置(18)は、1つの身体部分(32c)の位置を、他の身体部分(32g)に取り付けられた装着可能な位置センサ(12e)からの位置データに基づいて決定するように構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項16】
前記保護システムは、前記電動工具(8)に接続された電子作動式の作業用具ブレーキ(24)をさらに備え、前記作業用具ブレーキ(24)は、前記保護信号に基づいて、前記作業用具(20)の運動を停止させるために機械的に係合するように構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項17】
前記手持ち式の電動工具(8)はチェーンソー等の手持ち式の切断工具である、請求項1~16のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項18】
前記電動工具位置センサ(14)は、電動工具ハウジング(9)内に一体化されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項19】
前記複数の装着可能な位置センサ(12a~12e)が、ジャケット、ズボン、手袋(16b、16c)、帽子(16a)又はブーツ(16d、16e)等の作業着(16a~e)に一体化されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項20】
前記作業着(16a~16e)は、作業者を負傷から機械的に保護するように構成された保護服である、請求項19に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項21】
前記保護服(16a~16e)がチェーンソー保護ヘルメット(16a)、チェーンソー保護ズボン、又は、チェーンソー保護ブーツ等のチェーンソー保護服である、請求項20に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項22】
前記処理装置(18)は、
隣接する人が装着した複数の装着可能な位置センサから位置データを受信し、
隣接する人の複数の装着可能な位置センサから受信した位置データに基づいて、前記隣接する人の姿勢を表しかつ前記隣接する人のそれぞれの前記装着可能な位置センサの相互位置に基づいている、隣接する人のモデルを生成し、
前記隣接する人のモデルによって表されるように、前記隣接する人の複数の肢体の各肢体を、前記隣接する人のそれぞれの保護体積部と関連付け、
前記隣接する人の前記保護体積部に対する前記電動工具(8)の位置及び/又は運動に基づいて、前記作業用具(20)が前記隣接する人の保護体積部に入るという差し迫った危険を示す保護信号が生成される、請求項1~21のいずれか一項に記載の電動工具の作業者の保護システム。
【請求項23】
手持ち式の電動工具(8)の作業者(6)を負傷から保護する方法において、
前記方法は、
作業者(6)が装着した複数の装着可能な位置センサ(12a~12e)からの位置データを受信するステップと、
電動工具位置センサ(14)から位置データを受信するステップと、
前記複数の装着可能な位置センサ(12a~12e)から受信した位置データに基づいて、前記作業者の姿勢を表しかつ互いに対するそれぞれの前記装着可能な位置センサ(12a~12e)の相互位置に基づく、作業者(6)のモデル(26)を生成するステップと、
前記モデル(26)によって表されるように、前記作業者(6)の複数の肢体(32a、32c、32e)の各肢体(32a、32c、32e)をそれぞれの保護体積部(30a;30c,30d;30e,30f)と関連付けるステップと、
前記電動工具位置センサ(14)から受信した位置データに基づいて、前記電動工具(8)の作業用具(20)の位置を決定するステップと、
前記保護体積部(30a;30c,30d;30e,30f)に対する電動工具(8)の位置及び/又は運動に基づいて、前記作業用具が保護体積部(30a;30c,30d;30e,30f)に入るという差し迫った危険を示す保護信号を発生させるステップとを備える、手持ち式の電動工具(8)の作業者(6)を負傷から保護する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具の作業者の保護システムに関し、かつ、手持ち式の電動工具の作業者を負傷から保護する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(米国特許出願公開第2010/0064532明細書)は、チェーンソーの作業者が作業者自身を切断しないように保護することを目的とした電動工具の作業者の保護システムを提案している。このシステムは、チェーンソーの切断バー上に配置された複数のセンサと作業者の身体との間の分離距離を追跡し続け、この分離距離が閾値内に減少する場合に電動工具を停止させる。しかしながら、さらに効率的で、正確で、信頼性のある保護システムが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0064532明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の問題の一部又は全てを解決する又は少なくとも緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、手持ち式の電動工具の作業者によって装着されるように構成された複数の装着可能な位置センサと、手持ち式の電動工具の位置を検出するように構成された電動工具位置センサと、前記装着可能な位置センサ及び前記電動工具位置センサからの位置データを受信するように構成された処理装置であって、前記装着可能な位置センサから受信された位置データに基づいて、作業者の姿勢を表しかつ互いにそれぞれの装着可能なセンサの相互位置に基づいている、前記作業者の姿勢を表すモデルを生成し、前記モデルによって表されるように、前記作業者の複数の肢体の相互位置をそれぞれの保護体積部と関連付け、前記電動工具位置センサから受信された前記位置データに基づいて、前記電動工具の作業用具の位置を決定し、かつ、保護体積部に対する前記電動工具の位置及び/又は運動に基づいて、前記作業用具が保護体積部に入るという差し迫った危険を示す、保護信号を生成するように構成された処理装置とを備える、電動工具の作業者の保護システムが提供される。保護信号は、作業用具が作業者の身体に係合することによる事故の危険が低減されうるように、作業者に警告することができ、又は、工具の安全機能を作動させることができる。
【0006】
一実施形態によれば、処理装置は、保護体積部の境界に既に入った作業用具に基づいて、保護信号を生成するように構成することができる。
【0007】
他の実施形態によれば、保護信号は、作業用具が保護体積部に隣接しているときに、既に生成されうる。装着可能な位置センサは、処理装置と無線で通信するように構成することができる。同様に、電動工具位置センサは、処理装置と無線で通信するように構成することができる。あるいは、処理装置は、電動工具位置センサ又は装着可能な位置センサと機械的に一体化されかつこれらセンサに配線されうる。作業者のモデルは、骨格モデル、又は、作業者の姿勢を規定することを可能にする作業者の任意の他の適切な表現としうる。
【0008】
実施形態によれば、処理装置は、電動工具の作業用具を作業用具モデルに関連付け、作業用具モデルが保護体積部と重複するという差し迫った危険があるか否かを判定するようにさらに構成することができる。これにより、電動工具の幾何学的形状を考慮して、例えば、身体により近い細長い作業用具を用いて作業することができるようにすることができる。作業用具モデルは、作業用具を1次元、2次元、又は3次元で表すことができる。さらに、電動工具位置センサは、保護信号の正確な開始を可能にしながら、作業用具から幾何学的に分離された電動工具の一部に取り付けることができる。例として、電動工具の作業用具のモデルが保護体積部の外側に留まっている限り、電動工具位置センサは保護信号の生成を開始することなく保護体積部に入ることができる。
【0009】
実施形態によれば、処理装置は、さらに、電動工具の作業用具を作業用具体積部と関連付け、作業用具体積部が保護体積部と重複するという差し迫った危険があるか否かを判定するように構成することができる。
【0010】
実施形態によれば、処理装置は、作業用具が保護体積部に近づく速度を決定し、決定された速度に基づいて保護信号を生成するための安全距離を適合させるようにさらに構成することができる。これにより、作業者は、高いレベルの安全を維持しながら、保護信号を発生させることなく、身体の近くにある作業用具で電動工具を操作することができるようになる。チェーンソーの反動の事故のかなりの部分は、作業者の身体から比較的遠く離れたガイドバーによって開始され、このようなインシデントに応答して保護信号を比較的早期に生成させると、作業者の安全性を高めることができる。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、処理装置は、保護信号に基づいて、電動工具の作業用具を停止させるように構成することができる。
【0012】
他の実施形態によれば、作業用具を低減された電力で継続させることができるか、又は、機械的保護要素を、作業用具と作業者の身体との間の接触を防止するように作動させることができる。
【0013】
実施形態によれば、処理装置は、保護信号に基づいて、作業者に警告を発するように構成することができる。警告は、例えば、例えばブザー又はスピーカを介して送信することができる可聴警告、例えば表示ユニット又は光源を介して送信することができる視覚警告、又は、例えばバイブレータを介して送信されうる触覚警告としうる。処理装置は、異なるそれぞれの安全距離に関連する異なる制御行動をとるように構成することができる。例として、処理装置は、作業用具が保護体積部から比較的長い第1の距離にあるときに可聴警告信号を発し、作業用具が保護体積部から比較的短い第2の距離にあるときに作業用具を停止させることができる。
【0014】
実施形態によれば、作業者の脚部の各々は、それぞれの保護体積部と関連付けられうる。選択的に、作業者の頭部は、それぞれの保護体積部に関連付けられうる。選択的に、作業者の胴体は、それぞれの保護体積部に関連付けられうる。選択的に、作業者の両腕の各々は、それぞれの保護体積部に関連付けられうる。
【0015】
実施形態によれば、複数の位置センサの各々は、空間内の絶対位置を決定するように構成することができる。
【0016】
実施形態によれば、複数の位置センサの各それぞれの位置センサは、空間内の相対位置を決定するように構成することができ、前記相対位置は、他の位置センサに対する相対位置である。
【0017】
一実施形態によると、電動工具位置センサは、電動工具の向きを検出するようにさらに構成されている。これにより、電動工具位置センサが作業用具に直接的に取り付けられていない場合、作業用具のより正確な位置を得ることができる。同様に、複数の装着可能な位置センサの各々は、それぞれの向きを検出するように構成することができる。これにより、作業者の姿勢を決定するための装着可能なセンサの数を減らすことができる。
【0018】
実施形態によれば、複数の装着可能な位置センサの各々は、ジャイロスコープ又は加速度計などの慣性測定ユニットを備えうる。これにより、装着可能な位置センサの位置を既知の開始位置から追跡することができる。あるいは、作業者の運動を作業者の運動学モデルに適合させることによって、既知の開始位置なしに、装着可能な位置の位置を作業者の運動に基づいて較正することができる。選択的に、電動工具位置センサも同様に作動させることができる。
【0019】
実施形態によれば、電動工具の作業者の保護システムは、GNSS、すなわち、全地球的航法衛星システムの受信機を備えうる。選択的に、装着可能な位置センサの各々は、GNSS受信機を備えうる。さらに選択的に、電動工具位置センサは、GNSS受信機を備えうる。
【0020】
実施形態によれば、電動工具の作業者の保護システムは、すなわち、動的干渉測位の基地局をさらに備えることができ、前記装着可能な位置センサの各々は、RTK対応GNSS受信機を備える。RTK基地局は、GNSS信号の任意の位置の曖昧さを解消するための補正データを送信するように構成することができる。基地局は、例えば、駐車された林業用地形対応の車両上に、又は、手持ち式の林業用具のための携帯用工具ケース上などの他の林業用具上に配置されうる。
【0021】
実施形態によれば、電動工具の作業者の保護システムは、複数の無線ビーコンをさらに備えることができ、前記装着可能な位置センサの各々は、それぞれの無線インターフェイスを備え、前記装着可能な位置センサの位置は、前記それぞれの装着可能な位置センサから複数の無線ビーコンの各々への検出された距離によって決定される。選択的に、電動工具位置センサも同様に作動させることができる。各無線ビーコンは、複数の位置センサにそれぞれの無線信号を送信するように構成することができる。あるいは又はさらに、各ビーコンは、各それぞれの位置センサからの無線信号を受信するように構成することができる。
【0022】
実施形態によれば、各肢体の位置は、いくつかの異なるセンサからの入力に基づいて決定されうる。異なるセンサからのデータは、SLAM、すなわち、同時位置決め地図作製等の様々な技術を使用して融合されうる。さらに、1つの肢体によって担持されたセンサからの位置データは、別の肢体の位置を決定するために使用されうる。
【0023】
実施形態によれば、処理装置は、1つの身体部分の位置を、別の身体部分に取り付けられた装着可能な位置センサからの位置データに基づいて決定するように構成することができる。例として、作業者の足部と頭部の相対位置は、作業者の胴体及び脚の上部及び下側の長さを表すモデルと組み合わされて、作業者の膝の曲げ角度及び脚の上部及び下側の位置を含む、特定の統計的信頼度の範囲内で作業者の姿勢を決定するのに十分であり得る。さらに、作業者の複数の肢体の運動は、典型的には、少なくとも妥当な統計的信頼度を有する、作業者の身体の完全な運動学的モデルを生成するための装着可能なセンサを全ての肢体が備える必要がないように相互に関連している。それぞれの装着可能なセンサが設けられていない肢体及び身体部分の位置又は運動は、装着可能なセンサデータを、例えば、人工ニューラルネットワーク、又は、任意の他の適切なAIすなわち人工知能の装置に送ることによって決定されうる。
【0024】
実施形態によれば、電動工具の作業者の保護システムは、電動工具に接続された電子作動式の作業用具ブレーキをさらに備えることができ、この作業用具ブレーキは、保護信号に基づいて、機械的に係合して作業用具の運動を停止させるように構成されている。
【0025】
実施形態によれば、手持ち式の電動工具は、チェーンソー等の手持ち式の切断工具としうる。あるいは、手持ち式の電動工具は、例えば、植木用の電気バリカンとしうる。
【0026】
実施形態によれば、電動工具位置センサは、電動工具に固定して取り付けられうる。
【0027】
実施形態によれば、電動工具位置センサは、電動工具ハウジング内に一体化されうる。
【0028】
実施形態によれば、装着可能な位置センサは、ジャケット、ズボン、手袋、又はブーツ等の作業着に一体化されうる。
【0029】
実施形態によれば、作業着は、作業者を負傷から機械的に保護するように構成された保護着としうる。保護服は、例えば、チェーンソー保護ヘルメット、チェーンソー保護ズローザ、又は、チェーンソー保護ブーツ等のチェーンソー保護服としうる。
【0030】
また、実施形態によれば、処理装置は、隣接する人が装着する装着可能な位置センサからの位置データを受信し、隣接する人の装着可能な位置センサから受信した位置データに基づいて、隣接する人の姿勢を表しかつ隣接する人に対する隣接する人のそれぞれの装着可能なセンサの相互位置に基づいている、隣接する人のモデルを生成し、隣接する人のモデルによって表されるように、隣接する人のモデルによって表されるように、隣接する人の複数の肢体のそれぞれの肢体を隣接する人のそれぞれの保護体積部に関連付け、隣接する人の保護体積部に関連する電動工具の位置及び/又は運動に基づいて、作業用具が隣接する人の保護体積部に入るという差し迫った危険を示す、保護信号を生成するように構成することができる。これにより、電動工具の作業者に隣接する人も負傷から保護されることがある。隣接する人の装着可能なセンサは、作業者の装着可能なセンサと同じタイプとすることができ、隣接する人のモデル及び保護体積部は、同じように生成されうる。
【0031】
第2の態様によれば、上述した問題の部分又は全ては、手持ち式の電動工具の作業者を負傷から保護する方法であって、当該方法は、作業者が装着する装着可能な位置センサからの位置データを受信するステップと、電動工具位置センサから受信した位置データを受信するステップと、前記装着可能な位置センサから受信した前記位置データに基づいて、作業者の姿勢を表しかつ互いに対する前記各装着可能なセンサの相互位置に基づいている、作業者のモデル(26)を生成するステップと、前記モデルによって表されるように、作業者の複数の肢体の相互位置をそれぞれの保護体積部と関連付けるステップと、前記電動工具位置センサから受信した前記位置データに基づいて、前記電動工具の作業用具の位置を決定するステップと、保護体積部に対する前記電動工具の位置及び/又は運動に基づいて、前記作業用具が保護体積部に入るという差し迫った危険を示す、保護信号を生成するステップとを備える、手持ち式の電動工具の作業者を負傷から保護する方法によって解決されるか、少なくとも軽減される。
【0032】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載された複数の特徴の可能な全ての組み合わせによって具体化することができることに留意されたい。さらに、上述した電動工具の作業者の保護システムについて説明した様々な実施形態は、第2の態様に従って規定された方法と全て組み合わせ可能であり、その逆も同様に可能であることが理解されよう。
【0033】
本発明のさらなる目的、特徴及び利点は、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態の以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明を通して、より良く理解されるであろう。また、添付図面において、同一の参照番号は、類似の要素に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、チェーンソーを操作するチェーンソー作業者に用いられる個人用の保護システムの模式図である。
図2図2は、図1の作業者及びチェーンソーに用いられる骨格モデルの模式図である。
図3図3は、図1の作業者及びチェーンソーに用いられる複数の保護体積部及び作業用具体積部の模式図である。
図4図4は、図2及び図3の骨格モデル、保護体積部及び作業用具体積部の模式図である。
図5図5は、手持ち式の電動工具の作業者を負傷から保護する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
全ての図は、概略的であり、必ずしも縮尺通りではなく、概して、実施形態を説明するために必要な部分のみを示し、他の部分は省略されうる。
【0036】
図1は、チェーンソー8を操作するチェーンソーの作業者6を示す。作業者6は、作業者の作業着に一体化された複数の装着可能な位置センサ12a~12eと、チェーンソー8のハウジング9内に一体化された電動工具位置センサ14とを備えた、電動工具の作業者の保護システム10によって保護される。装着可能な位置センサ12a~12eは、加速度計として具現化され、垂直方向に対する各センサの向きと共に任意の運動を識別するように構成されている。装着可能なセンサ12a~12eは、それぞれ、作業者のチェーンソー保護ヘルメット16aと保護手袋16b~16cと保護ブーツ16d~16eに一体化されている。
【0037】
電動工具位置センサ14は、電動工具の作業者の保護システム10の制御部18と共同で配置されている。また、電動工具位置センサ14は、加速度計として具現化され、それによって、センサ14の運動及び向きを感知する。制御部18は、装着可能な位置センサ12a~12eから位置データを無線で受信し、電動工具位置センサ14の位置を受信し、装着可能な位置センサ12a~12e及び電動工具位置センサ14から受信した位置データに基づいて、作業者6及びチェーンソー8のモデルを、以下にさらに説明する方法で生成するように構成されている。
【0038】
チェーンソー8は、チェーンソー8のハウジング9内に配置された駆動モータ(図示せず)によってガイドバー22の周囲を中心に回転されるように構成されたエンドレス鋸チェーン20を備える。電子作動式のチェーンブレーキ24が制御部18に作動可能に接続されており、制御部18がチェーンブレーキ24を作動させて鋸チェーン20を停止させることができる。
【0039】
作業者6が肢体を動かすと、複数の装着可能な位置センサ12a~12eは運動データを制御部18に送信し、この制御部18は、運動のパターンに基づいて、位置センサ12a~12eを、図2に図示されている、作業者6を表す作業者骨格モデル26に適合させる。これにより、一旦、作業者骨格モデル26に適合すると、互いに対する位置センサ12a~12eの位置が決定され、複数の装着可能な位置センサ12a~12eのいずれかの位置の任意の変化が、それらの運動データを制御部18に送信するそれぞれの装着可能な位置センサ12a~12eによって更新される。作業者骨格モデル26は、複数のジョイント部27によって相互接続された複数の剛性バー25を備える。このモデルは、利用可能な曲げ方向及び曲げ角度範囲などの、ジョイント部の各々に関連するそれぞれの制約をさらに備えうる。
【0040】
同様に、作業者6がチェーンソーハンドルでチェーンソー8をつかみ、それを動かし始めると、制御部18は、チェーンソー8の運動を検出し、チェーンソー8の位置を自動的に作業者骨格モデル26に適合させる。チェーンソー位置は、手袋16b、16c内のセンサ12b、12cの間の相対位置に基づいて、作業者の骨格モデル26に適合させることができ、これにより、鋸チェーン20を表す作業用具骨格モデル28を得て、作業者の骨格モデル26に関連して配置することができる。一旦、作業用具骨格モデル28が作業者骨格モデル26に関連して位置決めされると、作業者6に対する鋸チェーン20の位置の任意の変化が、その運動データを制御部18に送信することによって、電動工具位置センサ14によって更新される。
【0041】
ここで図3を参照すると、一旦、骨格モデル26、28が確立されると、制御部18は、作業者骨格モデル26を複数の保護体積部30a~30gに関連付け、各保護体積部は、作業者6のそれぞれの身体部分を囲んでいる。一例として、作業者の頭部32aはそれぞれの頭部保護体積部30aに関連付けることができ、作業者の胴体32bはそれぞれの胴体保護体積部30bに関連付けることができ、作業者の脚部32cのそれぞれは2つのそれぞれの脚部保護体積部30c、30dに関連付けることができ、作業者の腕部32eのそれぞれは2つのそれぞれの腕部保護体積部30e、30fに関連付けることができ、作業者の足部32gのそれぞれはそれぞれの足部保護体積部30gに関連付けることができる。図示の例では、保護体積部30a~30gの各々は、他の形状も可能であるが、骨格モデル26のそれぞれの剛性バー25(図2)の周囲で心合わせされた円柱状を有する。円柱状の保護体積部30a~30gは、それらが関連付けられている身体部分に応じて、異なるそれぞれの半径を有することができる。さらに、この半径は、例えば作業着の寸法などに基づいて設定することができ、この作業着の寸法は、制御部18に無線通信するように構成することができる。
【0042】
同様に、制御部は、鋸チェーン20を、ガイドバー22及び鋸チェーン20を囲む作業用具体積部34と関連付ける。また、作業用具体積部34は、作業用具骨格モデル28の中心に配置された円柱状を有する。
【0043】
図4は、骨格モデル26、28を保護体積部30a~30gと共に示す。作業用具体積部34のいずれかの部分が保護体積部30a~30gと重複すると、鋸チェーン20が保護体積部30a~30gに入るという差し迫った危険がある。制御部18は、このような重複を識別するとすぐに保護信号を生成する。保護信号は、作業者の聴覚保護具のイヤーカップ36(図1)内のスピーカに無線で送信される。さらに、保護信号は、電子作動式のチェーンブレーキ24を作動させ、鋸チェーン20を即座に停止させる。さらに、制御部18が、制限速度を超える速度で、作業用具体積部34が保護体積部30a~30gに近づくと判定するときはいつでも、制御部18は、作業用具体積部34が保護体積部30a~30gから安全距離内に入ったときに、すでに保護信号を発生する。安全距離は、作業用具体積部34が保護体積部30a~30gに近づく速度に応じて設定されうる。
【0044】
電動工具の作業者の保護システム10(図1)は、作業者の近くにいる他の人を保護するためにも使用できる。別のチェーンソー作業者などの隣接する人(図示せず)は、同様の一組の装着可能なセンサを装着することができ、これらセンサは、位置データを制御部18に送信することができる。隣接する人の装着可能なセンサからの位置データに基づいて、制御部18は、隣接する人の同様の骨格モデルを生成し、そのモデルを、隣接する人の複数の肢体のそれぞれの保護体積部と関連付けることができる。
【0045】
図5のフローチャートは、電動工具の作業者の保護システム10を作動させる方法を示している。
【0046】
ステップ501では、作業者6が装着した装着可能な位置センサ12a~12eから位置データが受信される。
【0047】
ステップ502では、電動工具位置センサ14から位置データが受信される。
【0048】
ステップ503では、作業者の姿勢を表しかつそれぞれの装着可能なセンサ12a~12eの相互位置に基づいている、作業者6のモデル26が、装着可能な位置センサ12a~12eから受信した位置データに基づいて生成される。
【0049】
ステップ504では、作業者6の複数の肢体の各肢体が、それぞれの保護体積部30a~30gに関連付けられる。
【0050】
ステップ505では、電動工具8の作業用具20の位置は、電動工具位置センサ14から受信した位置データに基づいて決定される。
【0051】
ステップ506では、保護体積部30a~30gに対する電動工具8の位置及び/又は運動に応答して、作業用具20が保護体積部30a~30gに入るという差し迫った危険を示す保護信号が生成される。
【0052】
本発明は、主に、いくつかの実施形態を参照して説明した。しかしながら、当業者であれば容易に理解できるように、上記で開示されたもの以外の他の実施形態も、添付の特許請求の範囲に規定されているように、本発明の範囲内で同様に可能である。請求項において、「備える(comprising)」という語は、他の要素又は段階を除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】