(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】生体組織の置換および再生のためのプラグ形状のインプラント、ならびにインプラントの調製方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/28 20060101AFI20220831BHJP
A61F 2/30 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A61F2/28
A61F2/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575059
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 NL2020050411
(87)【国際公開番号】W WO2020263086
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521549028
【氏名又は名称】ジョイントスフィア ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヘルセン,エギディウス ジェラルダス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ブール,エヴェラルドゥス ヨハネス フーベルトゥス
(72)【発明者】
【氏名】メルソム,ジャイルズ ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】フランセン,ペトリュス マテウス エギディウス アドリアヌス
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA01
4C097AA30
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC03
4C097CC06
4C097DD02
4C097DD04
4C097DD06
4C097EE09
(57)【要約】
プラグの形状の生体組織の置換および再生のためのインプラントであって、骨組織に固定するように構成されたベースセクション(2)と、軟骨組織を置換するように構成された中間セクション(3)と、軟骨組織をその上および中に成長させるように構成された上部セクション(4)と、を含み、中間および上部セクションが、上部セクションでは多孔性であり、中間セクションでは非多孔性である、同じ熱可塑性エラストマー材料を含み、ベースセクションが、ポリアリールエーテルケトンポリマーの総体積に対して20%未満の多孔度を有する実質的に非多孔性のポリアリールエーテルケトンポリマーを含む、インプラント。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグの形状の生体組織の置換および再生のためのインプラントであって、骨組織に固定するように構成されたベースセクションと、軟骨組織を置換するように構成された中間セクションと、軟骨組織をその上および中に成長させるように構成された上部セクションとを含み、前記中間および上部セクションが、前記上部セクションでは多孔性であり、前記中間セクションでは非多孔性である、同じ熱可塑性エラストマー材料を含み、前記ベースセクションが、ポリアリールエーテルケトンポリマーの総体積に対して20%未満の多孔度を有する、実質的に非多孔性のポリアリールエーテルケトンポリマーを含む、インプラント。
【請求項2】
前記ベースセクションが、非多孔性ポリアリールエーテルケトンポリマーのコアと、多孔性ポリアリールエーテルケトンポリマーの円周シェルと、を含み、前記シェルが、前記ベースセクションの最大直径の10%未満の厚さを有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記ベースセクションが、上部表面と底部表面との間に延在し、多孔性ポリアリールエーテルケトンポリマーの層を含み、前記層が、前記上部表面に隣接し、前記ベースセクションの最大高さの10%未満である厚さを有し、前記層における前記ポリアリールエーテルケトンポリマーの細孔が、生体適合性エラストマー材料を含む、請求項1または2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記ベースセクションの前記上部表面が、不規則性または起伏を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項5】
前記ベースセクションが、前記生体適合性エラストマー材料を含む中央に位置する空洞を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項6】
前記ベースセクションが、非多孔性ポリアリールエーテルケトンポリマーを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項7】
前記ベースセクションが、アパタイト、より好ましくは、ヒドロキシルアパタイト、フルオロアパタイト、および/またはクロロアパタイト、最も好ましくは、ヒドロキシルアパタイトを含む、リン酸塩鉱物をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項8】
前記ベースセクションが、不規則性または起伏を有する外部表面を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項9】
前記中間セクションの前記エラストマー材料が、10MPa未満、より好ましくは、5MPa未満の室温における弾性率を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項10】
前記上部セクションの前記多孔性エラストマー材料が、前記中間セクションの前記エラストマー材料の前記弾性率の80%未満の室温における弾性率を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項11】
前記ベースセクションの高さ、前記非多孔性中間セクションの高さ、および前記多孔性上部セクションの高さが、前記インプラントの上部表面が、好ましくは、0.1~1mmの距離にわたって、移植されたときに、骨軟骨構造上に存在する軟骨の上部表面よりも下にあるように選択される、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項12】
前記ベースセクションの高さ、前記非多孔性中間セクションの高さ、および前記多孔性上部セクションの高さが、前記中間セクションの底部表面が、移植されたときに、骨軟骨構造上に存在する軟骨の底部表面とほぼ同じ高さになるように選択される、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項13】
わずかに湾曲した上部表面を有する上部セクションを含み、矢状平面および/または内側-外側平面において15mm~150mmの範囲の曲率半径を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項14】
前記ベースセクションの前記ポリアリールエーテルケトンポリマーが、繊維状もしくは粒子状のポリマーおよび/または金属からなる群から選択される強化材料を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項15】
前記熱可塑性エラストマー材料が、ウレタンおよび尿素基を含む線状ブロックコポリマーを含み、軟骨再生特性を有する付加ペプチド化合物を実質的に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項16】
前記熱可塑性エラストマー材料が、炭酸塩基をさらに含む、請求項15に記載のインプラント。
【請求項17】
前記熱可塑性エラストマー材料が、ポリ-ウレタン-ビス尿素-アルキレンカーボネートを含む、請求項16に記載のインプラント。
【請求項18】
前記熱可塑性エラストマー材料が、脂肪族である、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項19】
前記中間セクションが、非多孔性エラストマー材料のコアと、多孔性エラストマー材料の円周シェルと、を含み、前記シェルが、前記中間セクションの最大直径の10%未満の厚さを有する、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項20】
先行請求項のいずれか一項に記載のインプラントの調製方法であって、
a)室温で、成形型内に、ポリアリールエーテルケトンポリマーの総体積に対して20%未満の多孔度を有する実質的に非多孔性のポリアリールエーテルケトンポリマーを含むベースセクションと、前記ベースセクションの上部に熱可塑性エラストマー材料の顆粒と、を提供することと、
b)前記成形型を閉じ、前記熱可塑性エラストマー材料が溶融し、前記ベースセクションと融合するように、1~2GPaの圧力下で100℃~250℃の温度に上記アセンブリを加熱することと、
c)前記アセンブリを室温まで冷却して、前記熱可塑性エラストマー材料を固化し、前記成形型を開くことと、
d)前記成形型を開く前または開いた後のいずれかにおいて、前記熱可塑性エラストマー材料の上部セクションに細孔を設けることと、を含む、方法。
【請求項21】
ステップb)の後に、前記成形型が開かれ、前記熱可塑性エラストマー材料の追加の顆粒が前記成形型に加えられ、ステップb)が繰り返される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
先行請求項のいずれか一項に記載のインプラントを含む骨軟骨構造であって、前記インプラントの上部表面が、好ましくは、0.1~1mmの距離にわたって、前記骨軟骨構造上の軟骨層の上部表面よりも下にある、骨軟骨構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグの形状の生体組織の置換および再生のためのインプラントに関する。本発明は、特に、プラグの形状の骨軟骨構造の置換および再生のためのインプラントに関する。本発明はさらに、インプラントの調製方法、およびインプラントを含む骨軟骨構造に関する。
【背景技術】
【0002】
骨軟骨構造とは、軟骨および骨を含む構造を指す。典型的な骨軟骨構造は、大腿骨(大腿骨)、脛骨(脛骨)、および膝蓋骨(膝蓋骨)にみられる。骨の表面は関節(硝子)軟骨の比較的厚い層で覆われているため、そのような構造はぴったりとはまり、滑らかに動く。(骨)軟骨欠損は、関節軟骨および任意で下にある(軟骨下)骨へのあらゆるタイプの損傷である。通常、(骨)軟骨欠損は、例えば、大腿骨および脛骨の端、ならびに膝蓋骨の裏の特定の体重のかかるスポットに現れる。それらは、荒れた軟骨、動きを妨げる小さな骨および軟骨の断片から、完全な軟骨の喪失にまで及ぶ可能性がある。
【0003】
関節面の外傷は、スポーツをしている若い活動的な人々に、または事故の後遺症として一般的である。損傷は軟骨層のみを含む場合もあるが、多くの場合、下にある軟骨下骨も含まれる。関節軟骨は治癒する傾向が非常に低く、修復組織は元の組織より質的に劣っている。これは、常に何年にもわたって変形性関節症(OA)の形成につながり、これは高齢者における障害および生活の質の低下の主な原因である。この状態に対する標準的な治療法は、最終的には人工関節による関節置換である。臨床的には効果的であるが、非生物学的インプラントは10~20年より長くは持続せず、修正手術ははるかに効果が低く、非常に費用がかかる。このため、多くの研究が生涯続く生物学的再生療法の開発に専念している。しかしながら、有望なインビトロの結果にもかかわらず、これまでのところ、実際の生活条件で長期間にわたって現在の標準治療よりも効果的であることが証明されている解決法は1つもない。
【0004】
軟骨層には神経線維がないため、患者は損傷の重症度に気づいていないことが多い。最終段階では、影響を受ける関節は骨に対して摩擦する骨から構成され、激しい痛みおよび可動性の制限につながる。患者が医学的治療を求めるときまでに、痛みを和らげ、軟骨損傷を修復するために外科的処置が必要になる場合がある。そのような外科的処置を回避または延期するために、関節用のインプラントが開発されてきた。これらは、軟骨損傷の初期段階で骨構造に移植される可能性があり、したがって、関節の気づかれない変性を回避するために、予防的治療のために提供され得る。
【0005】
膝などの関節の関節軟骨損傷を治療するために、最も保守的で非侵襲的な選択肢から始まり、損傷が関節全体に広がっている場合は関節全置換術に至るまで、多くの治療法が利用できる。現在利用可能な治療法には、初期段階の抗炎症薬が含まれる。これらは痛みを軽減することができるが、関節炎の症状に対する効果は限られており、さらに関節組織を修復しない。関節鏡によるデブリードマンなどの軟骨修復法は、少なくとも組織の変性を遅らせるよう試みる。しかしながら、これらの方法は、軟組織の修復に部分的にしか効果がなく、関節の間隔を回復したり、関節の安定性を改善したりすることはない。関節置換(関節形成術)は、痛みを軽減し、可動性を回復するための他のすべての選択肢が失敗したか、もはや効果がない場合の最終的な解決策とみなされる。関節形成術は効果的である可能性があるが、この手順は極めて侵襲的で技術的に困難であり、将来の治療の選択肢を損なう可能性がある。軟骨の再生も、特に組織工学技術によって試みられてきた。足場と組み合わせた細胞、遺伝子および成長因子の使用は、機能的および存続可能な関節軟骨の再生において基本的な役割を果たす。これらのアプローチはすべて、細胞レベルで体の通常の治癒または修復プロセスを促すことに基づいている。これらの化合物の多くは、ポリ乳酸系ポリマーの織物またはコラーゲン繊維を含む種々の担体またはマトリックスで送達される。軟骨を再生するための様々な試みにもかかわらず、関節軟骨の欠損を修復するための信頼できる証明された治療法は現在存在しない。
【0006】
別の標準的な治療法は、より小さな損傷(≦2cm2)に対するマイクロフラクチャー(MFx)、より大きな損傷(>2cm2)に対する自家軟骨細胞移植(ACI)で構成される。しかしながら、これらの技術で再生された軟骨組織は、関節の生体力学的課題に耐えることができず、既に18か月以内に変性し始める。したがって、人工関節による関節置換を大幅に遅延させること、まして防止することは不可能である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、改善された負荷分散および軟骨再生特性を有するプラグの形状の生体組織の置換および再生のためのインプラントを提供することである。別の目的は、骨軟骨構造の置換および再生のためのそのようなプラグ形状のインプラントを提供することである。さらに別の目的は、インプラントの調製方法を提供することである。本発明はさらに、関節軟骨損傷を耐久性のある方法で修復することができ、人工関節による関節置換を少なくとも延期し、好ましくは防止するインプラントを提供することを目的とする。
【0008】
上記および他の目的は、請求項1に記載のプラグ形状のインプラントによって提供される。本発明によるインプラントは、プラグの形状のインプラントを含み、骨組織に固定するように構成されたベースセクションと、軟骨組織を置換するように構成された中間セクションと、軟骨組織をその上および中に成長させるように構成された上部セクションとを含み、中間および上部セクションは、上部セクションでは多孔性であり、中間セクションでは実質的に非多孔性である、同じ熱可塑性エラストマー材料を含み、ベースセクションは、ポリアリールエーテルケトンポリマーの総体積に対して20%未満の多孔度を有する、実質的に非多孔性のポリアリールエーテルケトンポリマーを含む。
【0009】
本発明の文脈における実質的に非多孔性の材料とは、材料の総体積に対して20%未満、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%、さらにより好ましくは材料の総体積の最大1%の多孔度を有する材料を意味する。多孔性材料は、微細な開口部として定義される細孔を含む。細孔は、1mm未満の直径を有するミクロ細孔であってもよく、1mmを超える直径を有するマクロ細孔であってもよい。細孔は相互接続されていてもよく、これは好ましいことであり、これは、細孔が内部で接続されているか、または部品間または要素間に連続性があることを意味する。本発明の文脈における非多孔性材料は、任意のサイズの分子に対して不透過性である材料を意味するものではなく、いくつかの小分子は実際に非多孔性材料を通過することができる可能性がある。むしろ、本発明の文脈における非多孔性材料は、滑液および/または血液に対して不透過性である材料を表す。
【0010】
インプラントの多孔性部分の細孔サイズは、100~1000ミクロン、より好ましくは100~500ミクロン、最も好ましくは、300~500ミクロンから選択することができる。
【0011】
本発明のインプラントで使用される材料は、好ましくは生体適合性であり、これは、これらの材料が、生体組織または生物に害を及ぼすことなく、それらと共存することができることを意味する。さらに、本発明によるインプラントは、実質的に非生分解性であり、軟骨置換と軟骨再生を組み合わせる。本発明の文脈における非生分解性材料とは、移植されたインプラントの環境によって、より複雑でない化合物またはより少ない炭素原子を有する化合物に分解されない材料を意味する。実質的に非生分解性材料の重量平均分子量は、移植の1年後の元の重量平均分子量に対して、最大で20%、より好ましくは最大で10%、さらにより好ましくは最大で5%、さらにより好ましくは最大で1%減少する。
【0012】
プラグ形状のインプラントのベースセクションは骨アンカーとして機能するが、中間セクションおよび上部セクションの組み合わせは、損傷した軟骨の部分的な置換として、および軟骨再生のための足場として機能する。プラグ形状のインプラントでは、上部セクションは、移植されたときに軟骨相に最も近いセクションを指す。ベースセクションは、移植されたときに軟骨相から最も遠いセクションを指す。中間セクションは、上部セクションとベースセクションとの間に位置する。
【0013】
プラグ形状のインプラントの水平面または垂直面を通る断面は、任意の好適な形状を有することができる。断面は、円形、正方形、または六角形、八角形、もしくは十角形などの多角形であってもよい。いくつかの実施形態では、プラグ形状のインプラントは、円錐台構造として成形されるようにテーパー状にされ得る。好ましくは、インプラントは、上部セクションよりもベースセクションでより小さな断面を有する。断面(または円筒形インプラントの場合は直径)は、ベースセクションと上部セクションとの間で連続的に変化してもよく、または、例えば、セクション間の境界面で不連続性を示してもよい。
【0014】
インプラントがテーパー状のプロファイルを有する場合、テーパーの角度は好ましくは1°~45°である。いくつかの実施形態では、テーパーは、約3°~30°、より好ましくは5°~30°、さらにより好ましくは10°~15°である。テーパー状のプロファイルは、骨軟骨欠損へのインプラントの挿入を容易にし、宿主組織への損傷の可能性をさらに低減する可能性がある。
【0015】
本発明の有用な実施形態は、ベースセクションが、非多孔性ポリアリールエーテルケトンポリマーのコアと、好ましくは、多孔性ポリアリールエーテルケトンポリマーの円周シェルと、を含み、シェルは、ベースセクションの最大直径の10%未満の厚さを有する、インプラントを提供する。他の有用な実施形態は、(円周)シェルが、ベースセクションの最大直径の9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の厚さを有するインプラントを提供する。あるいは、(円周)シェルの断面積は、ベースセクションの最大断面積の最大35%を占める。他の有用な実施形態は、円周シェルの断面積が、ベースセクションの最大断面積の30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、または1%未満であるインプラントを提供する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、ベースセクションが、上部表面と底部表面との間に延在し、多孔性ポリアリールエーテルケトンポリマーの層を含み、層は、上部表面に隣接し、ベースセクションの最大高さの10%未満である厚さを有し、層におけるポリアリールエーテルケトンポリマーの細孔、好ましくはすべての細孔は、生体適合性エラストマー材料を含む、インプラントを提供する。他の実施形態では、上部表面に隣接する層は、ベースセクションの最大高さの10%未満、8%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満である厚さを有する。上記のすべての実施形態は、中間セクション(および上部セクション)のベースセクションへの接着を様々な程度に改善することができる。同時に、ベースセクションの機械的特性、およびベースセクションによってインプラントに提供される支持体は、適切なレベルに維持される。
【0017】
本発明の別の実施形態では、インプラントのベースセクションの上部表面は、不規則性または起伏を含む。不規則性は、例えば、鋸歯状の形状を有する隆起を含み得る。起伏は、正弦波形状を有するものなど、不規則または規則的であり得る。
【0018】
別の有用な実施形態は、ベースセクションが、生体適合性エラストマー材料を含む中央に位置する空洞を含むインプラントに関する。そのような空洞は、中間セクション(および上部セクション)のベースセクションへの接着をさらに改善することができる。空洞は円筒形であってもよく、その断面は正方形、または多角形であってもよい。空洞の壁はまた、不規則性または起伏を備えていてもよく、またはその平均断面積よりも大きな断面積のセクションを含み得る。そのような空洞セクションのいくつかは、機械的ロック構造を形成するために、ベースセクションの異なる高さに設けられ得る。
【0019】
本発明の好ましい実施形態は、ベースセクションが非多孔性ポリアリールエーテルケトンポリマーを含み、より好ましくは、ベースセクションを組み合わせた中央の空洞を含むインプラントを提供する。
【0020】
ベースセクションと中間(および上部)セクションとの間の接着をさらに改善するために、本発明の実施形態は、ベースセクションがアパタイト、より好ましくは、ヒドロキシルアパタイト、フルオロアパタイト、および/またはクロロアパタイト、最も好ましくは、ヒドロキシルアパタイトを含む、リン酸塩鉱物をさらに含むインプラントを提供する。リン酸塩鉱物は、ベースセクションの外部表面に提供されてもよく、またはベースセクションの細孔内に提供されてもよい。
【0021】
さらに別の実施形態は、ベースセクションが、不規則性または起伏を有する外部表面を含むインプラントを提供する。そのような外部表面の不規則性は、例えば、鋸歯状の形状を有する隆起を含み得、例えば、ベースセクションの外部表面(の一部)上に円周方向に延在する。起伏は、正弦波形状を有するものなど、不規則または規則的であり得る。起伏は、同様に、ベースセクションの外部表面(の一部)上に円周方向に延在してもよい。不規則性および起伏は、適切にプロファイルされた成形型に材料をキャストすることによって提供されてもよく、あるいは、機械加工によって、例えば、成形されたインプラントの回転フライス加工によって提供されてもよい。
【0022】
ベースセクションのポリアリールエーテルケトン(PAEK)ポリマーは、ケトン(R-CO-R)およびエーテル基(R-O-R)を交互に含有する半結晶性熱可塑性ポリマーを含む。官能基間の連結基Rは、1,4-置換アリール基を含む。ベースセクションで使用されるPAEKポリマーは、とりわけ、PEK(ポリエーテルケトン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEKK(ポリエーテルケトンケトン)、PEEKK(ポリエーテルエーテルケトンケトン)およびPEKEKK(ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン)を含み得る。加水分解に対するその優れた耐性のために、ベースセクションのポリアリールエーテルケトンポリマーは、本発明のインプラントにおいて有利に使用される。滅菌しても分解せず、長時間体内に移植しても分解しない。また、中間および上部セクションのエラストマー材料に特によく結合することがわかる。ベースセクションのポリアリールエーテルケトンポリマーは、そのまま使用してもよく、または一実施形態では、繊維状もしくは粒子状のポリマーおよび/または金属からなる群から選択される強化材料を含んでもよい。
【0023】
本発明によれば、中間および上部セクションの材料は、同じ熱可塑性エラストマー材料を含む。これは、少なくともその構成要素が化学的に同じであることを意味する。本明細書で以下に述べるように、いくつかの物理的特性、例えば、それらの重量平均分子量は異なる場合がある。特に好適な実施形態では、熱可塑性エラストマー材料は、ウレタンおよび尿素基を含む線状ブロックコポリマーを含み、軟骨再生特性を有する付加ペプチド化合物を実質的に含まない。驚くべきことに、本発明のインプラントは、軟骨組織を再生することができ、したがって、軟骨再生特性を示すいかなる機能性化合物の使用も回避することができることが見出された。特に、この実施形態によるインプラントは、ペプチド、例えば、RGD配列を含むものの使用を必要としないことが見出された。これらの化合物は、インテグリンの結合を可能にし、それによって細胞接着を促すと言われている。好ましくは、熱可塑性エラストマー材料は、軟骨再生特性を有するいかなる添加化合物も実質的に含まない。
【0024】
本発明の実施形態によるインプラントの熱可塑性エラストマー材料は、線状ブロック(またはセグメント化)コポリマーを含む。そのようなコポリマーは、ポリウレタンおよび/またはポリ尿素セグメントの「硬質」結晶化ブロックを含み、「軟質」ブロック間にポリエステルおよび/またはポリアミドの「硬質」結晶化ブロックも含み得る。室温では、低融点の「軟質」ブロックは、高融点の「硬質」ブロックと適合しない可能性があり、結晶化または液液分離による相分離を引き起こす。これらのコポリマーは、セグメント化コポリマーの「硬質」ブロックの結晶化に起因する可逆的な物理的架橋を示す。熱可塑性エラストマーは、より高い温度、より具体的には「硬質」ブロックの融点を超える温度で任意の形状に成形することができる。他方では、熱可塑性エラストマーは、低温で、すなわち典型的な体温で機械的安定性および弾性を提供する。これにより、これらの材料は、ヒトまたは動物の軟骨の代替材料として特に適している。
【0025】
本発明のインプラントの別の好ましい実施形態では、熱可塑性エラストマー材料は、炭酸塩基をさらに含む。この実施形態は、その機械的特性がヒトまたは動物の軟骨の機械的特性によく適合しているという点で有益であることが証明されている。驚くべきことに、移植されたインプラントにこの実施形態を使用すると、軟骨の再生が改善される。
【0026】
本発明の特に好ましい実施形態は、熱可塑性エラストマー材料は、ポリ-ウレタン-ビス尿素-アルキレンカーボネート、より好ましくはポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートを含むインプラントを提供する。
【0027】
熱可塑性エラストマーの成分は、一般に、3つの構成要素を含み得る。例えば、ポリエーテル、ポリエステルまたはポリカーボネート骨格を有する長鎖ジオール、二官能性ジ-イソシアネート、および最後に、水などの鎖延長剤、別の(時には短鎖)ジオール、またはジアミンである。後者の鎖延長剤は、熱可塑性エラストマーにビス尿素単位をもたらすため好ましい。
【0028】
熱可塑性エラストマー材料は、脂肪族であるインプラントの実施形態が好ましい。これは、熱可塑性エラストマーのすべての構成要素が芳香族基を持たず、脂肪族基のみを含有することを意味する。本発明の熱可塑性エラストマーは、長鎖ジオールを最初に過剰のジ-イソシアネートと反応させてイソシアネート官能化プレポリマーを形成するワンポット法で調製することができる。続いて、後者を、好ましいジアミンなどの鎖延長剤と反応させ、その結果、ウレタン基を含有する高分子量の熱可塑性エラストマーポリマーが形成される。ジアミンが鎖延長剤として使用される場合、熱可塑性エラストマーはビス尿素基も含有し、これが好ましい。
【0029】
熱可塑性エラストマーを調製するための合成手順は、「硬質」ブロック長の分布につながる可能性がある。その結果、これらのブロックコポリマーの相分離は不完全である可能性があり、「硬質」ブロックの一部、特により短いブロックが軟質相に溶解し、ガラス転移温度の上昇を引き起こす。これは、上部および中間セクションの熱可塑性エラストマー材料の低温での柔軟性および弾性にはあまり望ましくない。「硬質」ブロックの多分散性は、広い融解範囲、および温度に依存する動的機械熱分析(DMTA)のゴム状のプラトーとして示される。したがって、好ましい実施形態は、実質的に均一な長さの「硬質」ブロックを含有するエラストマーブロックコポリマーを含む。これらは、「硬質」ブロックオリゴマーの混合物の分画、およびその後の特定の長さ(または長さの変化)の均一な「硬質」ブロックオリゴマーと上記のプレポリマーとの共重合によって調製することができる。
【0030】
熱可塑性エラストマーは、イソシアネート官能化プレポリマーとジアミンとの鎖伸長反応によって調製することができるが、アミン官能化プレポリマーとジ-イソシアネートとの鎖伸長反応によっても調製することができる。好適な市販のジアミンおよびジ-イソシアネートの例としては、アルキレンジアミンおよび/またはジ-イソシアネート、アリーレンジアミンおよび/またはジ-イソシアネートが挙げられる。アミン官能化プレポリマーも市販されており、または(容易に入手可能な)ヒドロキシ官能化プレポリマーから、シアノエチル化とそれに続くシアノ基の還元によって、ガブリエル合成法(ハロゲン化またはトシル化とそれに続くフタルイミドによる修飾、および最後にフタルイミド基の脱保護による一級アミンの生成)によって、または当技術分野で知られている他の方法によって調製することができる。イソシアネート官能化プレポリマーは、ヒドロキシ官能化プレポリマーと、例えばイソホロンジ-イソシアネート(IPDI)、1,4-ジイソシアナトブタン、1,6-ジイソシアナトヘキサンまたは4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)などのジ-イソシアネートとの反応によって調製することができる。あるいは、イソシアネート官能化プレポリマーは、アミン官能化プレポリマーから、例えば、ジ-tert-ブチルトリカーボネートとの反応によって調製することができる。あらゆる種類の組成物の典型的には約500g/モル~約5000g/モルの範囲の分子量のヒドロキシ官能化プレポリマーもまた有利に使用される。例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレン-コ-プロピレン)グリコールおよびポリ(テトラヒドロフラン)などのポリエーテル、ポリ(カプロラクトン)またはポリアジペートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリ(エチレン-ブチレン)などの水素化ポリオレフィンのプレポリマーなどが挙げられる。ポリカーボネートが好ましい。
【0031】
インプラントは、いかなる取り付け手段もなしで使用することが好ましく、その形状および周囲の組織構造によって骨軟骨構造に留まる。インプラントは膝に使用することができるが、側頭部の顎関節、足首、股関節、肩などの他の関節にも使用することができる。
【0032】
インプラントの上部および中間セクションに使用される熱可塑性エラストマーは、その機械的特性をヒトおよび動物の軟骨の機械的特性に適合させることができるため、特に有利である。本発明の一実施形態では、中間セクションのエラストマー材料が、10MPa未満、より好ましくは8MPa未満、7MPa未満、6MPa未満、5MPa未満、4MPa未満、3MPa未満、または2MPa未満の室温における弾性率を有するインプラントを提供することができる。
【0033】
本出願の文脈において、室温は、20~30℃の範囲、より好ましくは25℃の温度であることを意味する。
【0034】
同様に、インプラントの好ましい実施形態は、上部セクションの多孔性エラストマー材料が、中間セクションのエラストマー材料の弾性率の80%未満、より好ましくは50%未満、さらにより好ましくは10~50%、さらにより好ましくは15~40%、最も好ましくは中間セクションのエラストマー材料の弾性率の20~30%の室温における弾性率を有する上部セクションを含む。そのような弾性率の低下は、中間セクションの材料の多孔度を変更することによって、または例えば、その重量平均分子量を変更することによって中間セクションの材料の物理的性質を変更することによって達成することができる。
【0035】
上部セクションのエラストマー材料の多孔度は、広い範囲内で選択することができる。上部セクションのエラストマー材料の好ましい多孔度は、20~80体積%、より好ましくは30~70体積%、さらにより好ましくは40~60体積%、最も好ましくは45~55体積%から選択される。
【0036】
本発明の有用な実施形態は、中間セクションが、非多孔性エラストマー材料のコアと、好ましくは多孔性エラストマー材料の円周シェルと、を含み、シェルは、中間セクションの最大直径の10%未満の厚さを有するインプラントを提供する。他の有用な実施形態は、(円周)シェルが、中間セクションの最大直径の9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の厚さを有するインプラントを提供する。最大直径は、例えば、プラグ形状のインプラントがテーパー状であり、円形の断面を有する実施形態において適切である。あるいは、(円周)シェルの断面積は、中間セクションの最大断面積の最大35%を占める。他の有用な実施形態は、(円周)シェルの断面積が、中間セクションの最大断面積の30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、または1%未満であるインプラントを提供する。最大断面積は、例えば、プラグ形状のインプラントがテーパー状である実施形態において適切である。
【0037】
上部および中間セクションの機械的特性の上記に開示された好ましい組み合わせを有する実施形態は、軟骨の再生を促進する傾向がある。これは、(動的)負荷中のインプラントを含む骨軟骨構造の好ましい応力(再)分布によるものと考えられている。
【0038】
プラグ形状のインプラントの高さは、体内の特定の用途に応じて選択することができる。高さは、例えば3~18mmの範囲で変化し得る。本発明の有用な実施形態によれば、ベースセクションの高さ、非多孔性中間セクションの高さ、および多孔性上部セクションの高さが、インプラントの上部表面が、好ましくは、0.1~1mmの距離にわたって、移植されたときに、骨軟骨構造上に存在する軟骨の上部表面よりも下にあるように選択されるインプラントを提供する。この実施形態は、軟骨組織を上部セクション内だけでなく上部セクション上にも成長させることを促進し、それによって、上部セクションと新しく形成された軟骨との間に強力な固定が構築される。宿主軟骨由来の軟骨細胞は、上部セクションのセグメント化エラストマーに対する強い親和性を有し、したがって、その表面にコロニーを形成して、インプラントの上部に新しい硝子軟骨組織を生成する傾向があることが判明した。
【0039】
別の実施形態は、ベースセクションの高さ、非多孔性中間セクションの高さ、および多孔性上部セクションの高さが、中間セクションの底部表面が、移植されたときに、骨軟骨構造上に存在する軟骨の底部表面とほぼ同じ高さになるように選択されるインプラントを提供する。
【0040】
本発明のさらに別の実施形態は、上部表面がわずかに湾曲している上部セクションを提供する。矢状平面における上部セクションの上部表面の好ましい曲率半径は、15~150mm、より好ましくは17~125mm、さらにより好ましくは19~100mm、さらにより好ましくは21~75mm、さらにより好ましくは23~50mm、最も好ましくは25~30mmの範囲に選択される。この実施形態は、インプラントの上部セクションの上部表面上に、上部表面にわたってほぼ等しい厚さの新しい軟骨層を再生することができる。結果は、再生された軟骨の上部表面の半径は、すなわち、インプラントに隣接する周囲の生来の軟骨層の半径とほぼ同じであり得、それによって、半径の連続性を示す。インプラントの上部セクションの上部表面はまた、内側-外側平面において、好ましくは矢状平面について上記に開示された範囲を有する曲率半径で湾曲され得る。実用的な実施形態では、インプラントの上部セクションの上部表面は、矢状平面および内側-外側平面において等しい曲率半径を有する。したがって、この実施形態は、球形の上部表面を含む。
【0041】
本発明の別の態様は、インプラントの調製方法を提供する。インプラントを調製するための方法であって、以下の
a)室温で、成形型内に、ポリアリールエーテルケトンポリマーの総体積に対して20%未満の多孔度を有する実質的に非多孔性のポリアリールエーテルケトンポリマーを含むベースセクションと、ベースセクションの上部に熱可塑性エラストマー材料の顆粒と、を提供するステップと、
b)成形型を閉じ、熱可塑性エラストマー材料が溶融し、ベースセクションと融合するように、1~2GPaの圧力下で100℃~250℃の温度に上記アセンブリを加熱するステップと、
c)アセンブリを室温まで冷却して、熱可塑性エラストマー材料を固化し、成形型を開くステップと、
d)成形型を開く前または開いた後のいずれかにおいて、熱可塑性エラストマー材料の上部セクションに細孔を設けるステップと、を含む、方法が提供される。
【0042】
本発明の別の実施形態は、ステップb)の後に、成形型が開かれ、熱可塑性エラストマー材料の追加の顆粒が成形型に加えられ、ステップb)が繰り返される方法を提供する。この方法の2つのステップの実施形態において添加される材料の量は、広い範囲内で選択することができる。熱可塑性エラストマー材料の顆粒の第1の添加と第2の添加との間の比率が01:99~99:01、より好ましくは30:70~97:03、最も好ましくは70:30~95:05から選択される場合、ますます良好な結果が得られる。
【0043】
本発明の別の実施形態は、ステップb)の加熱温度が、110℃~225℃、より好ましくは120℃~200℃、最も好ましくは130℃~175℃である方法を提供する。引用されたすべての温度範囲での好ましい圧力は、1.1~1.8GPa、より好ましくは、1.2~1.6GPaである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
ここで、本発明は、以下の図および実施例によってさらに説明されるが、これらに限定されるものではない。図は以下のとおりである。
【
図1A-1D】本発明による例示的なインプラントの4つの実施形態の概略側面図を示す。
【
図2A】本発明の実施形態によるベースセクションの概略斜視図を示す。
【
図2C-D】
図2Bの実施形態の部分BおよびCの概略詳細図を示す。
【
図3】本発明の実施形態による熱可塑性ポリカーボネート材料への可能な合成経路の概略図を示す。
【
図4】本発明の実施形態による熱可塑性ポリカーボネート材料の
1H-NMRスペクトルを示す。
【
図5A-5C】異なる加熱速度での本発明の実施形態による熱可塑性ポリカーボネート材料のDSCサーモグラムを示す。
【
図6A-6C】骨軟骨構造の欠陥(6A)、本発明の実施形態によるインプラントを含む骨軟骨構造(6B)、および軟骨の上部/内部成長後の同じ骨軟骨構造(6C)の概略図を示す。
【
図7A-7D】本発明のさらに別の実施形態によるインプラントの4つの実施形態の概略側面図を示す。最後に
【
図8A-8C】骨軟骨構造の欠陥(8A)、本発明の別の実施形態によるインプラントを含む骨軟骨構造(8B)、および軟骨の上部/内部成長後の同じ骨軟骨構造(8C)の概略図を示す。
【0045】
図1Aを参照すると、本発明による例示的なインプラントの実施形態の側面図が示されている。プラグの形状のインプラント1は、骨組織に固定するように構成されたベースセクション2と、軟骨組織を置換するように構成された中間セクション3と、軟骨組織をその上および中に成長させるように構成された上部セクション4とを含む。中間セクション3および上部セクション4は、同じ熱可塑性エラストマー材料を含む。この実施形態における熱可塑性エラストマー材料は、ポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートを含み、この調製および特性は、以下でさらに説明される。しかしながら、上部セクション4は、多孔性のポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートを含み、一方、中間セクション3は、いかなる細孔もない同じポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートを含む。ベースセクション2は、非多孔性ポリアリールエーテルケトンポリマーを含み、示される実施形態では、非多孔性PEKKポリマーである。インプラント1は円筒形であり、6mmの直径10を有する。ベースセクション2の高さ20、中間セクション3の高さ30、および上部セクション4の高さ40は、合計すると全高6mmになる。
【0046】
図1Bは、本発明によるインプラントの別の実施形態の側面図を概略的に表す。プラグの形状の具体化されたインプラント1は、骨組織に固定するように構成されたベースセクション2と、軟骨組織を置換するように構成された中間セクション3と、軟骨組織をその上および中に成長させるように構成された上部セクション4とを再び含む。中間セクション3および上部セクション4は、同じポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネート材料を含み、これは、上部セクション4では多孔性であり、中間セクション3では非多孔性である。ベースセクション2は、PEKKポリマーの総体積に対して20%未満の多孔度を有する実質的に非多孔性のPEKKポリマーを含む。この実施形態のベースセクション2は、特に、非多孔性PEKKポリマーのコア21および多孔性PEKKポリマーの円周シェル22を含む。シェル22は、ベースセクション2(およびインプラント1)の直径10の約8%の厚さ23を有する。ベースセクション2は、上部表面24と底部表面25との間にさらに延在し、多孔性PEKKポリマーの層26を含み、この層26は、上部表面24に隣接し、ベースセクション2の高さ20の約8%の厚さ27を有する。層26のPEKKポリマーの細孔は、中間セクション3に由来し、製造中に層26のPEKKポリマーの細孔に浸透した生体適合性ポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートを含む。インプラントの製造方法については、以下でさらに説明する。
図1Aの実施形態と同様に、インプラント1は円筒形であり、6mmの直径10を有する。ベースセクション2の高さ20、中間セクション3の高さ30、および上部セクション4の高さ40は、合計すると全高6mmになる。
【0047】
図1Cは、本発明によるインプラントのさらに別の実施形態の側面図を概略的に表す。プラグの形状の具体化されたインプラント1は、骨組織に固定するように構成されたベースセクション2と、軟骨組織を置換するように構成された中間セクション3と、軟骨組織をその上および中に成長させるように構成された上部セクション4とを再び含む。中間セクション3および上部セクション4は、同じポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネート材料を含み、これは、上部セクション4では多孔性であり、中間セクション3では実質的に非多孔性である。ベースセクション2は、PEKKポリマーの総体積に対して20%未満の多孔度を有する実質的に非多孔性のPEKKポリマーを含む。この実施形態のベースセクション2は、特に、上部表面24と底部表面25との間に延在し、多孔性PEKKポリマーの層26を含み、この層26は、上部表面24に隣接し、ベースセクション2の高さ20の約8%の厚さ27を有する。層26のPEKKポリマーの細孔は、中間セクション3に由来し、製造中に層26のPEKKポリマーの細孔に浸透した生体適合性ポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートを含む。この実施形態の中間セクション3は、特に、非多孔性ポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートポリマーのコア31および多孔性ポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートポリマーの円周シェル32を含む。シェル32は、中間セクション3(およびインプラント1)の直径10の約8%の厚さ33を有する。ベースセクション2は、上部表面24と底部表面25との間にさらに延在し、多孔性PEKKポリマーの層26を含み、この層26は、上部表面24に隣接し、ベースセクション2の高さ20の約8%の厚さ27を有する。寸法および形状は、
図1Aおよび1Bの実施形態と同じである。
【0048】
図1Dは、本発明によるインプラントのさらに別の実施形態の側面図を概略的に表す。プラグの形状の具体化されたインプラント1は、
図1Cに示されているものに対応する。加えて、この実施形態の中間セクション3は、ここで中間セクション3(およびインプラント1)の直径10の約10%の厚さ33を有する多孔性ポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートポリマーの円周シェル32を有する。さらに、ベースセクション2は、多孔性PEKKポリマーの層26を含み、この層26は、上部表面24に隣接し、ベースセクション2の高さ20の約5%の厚さ27を有する。層26のPEKKポリマーの細孔は、中間セクション3に由来し、製造中に層26のPEKKポリマーの細孔に浸透した生体適合性ポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートを含む。ベースセクション2は、非多孔性PEKKポリマーのコア21および多孔性PEKKポリマーの円周シェル22をさらに含む。シェル22は、ベースセクション2(およびインプラント1)の直径10の約5%の厚さ23を有する。最後に、ベースセクション2はまた、多孔性PEKKポリマーの層28を含み、この層28は、底部表面25に隣接し、ベースセクション2の高さ20の約5%の厚さ29を有する。寸法および形状は、
図1A~1Cの実施形態と同じである。
【0049】
図1B、1C、および1Dでは、円周シェル(22、32)は、それらのそれぞれの厚さ(23、33)を示すために断面で示されていることに留意されたい。側面図では、それらはインプラント1の直径10全体にわたって延在する。
【0050】
図7Aを参照すると、本発明によるインプラントの別の実施形態の側面図が示されている。プラグの形状のインプラント1は、
図1Aに示されているのと同じ材料およびセクションを含む。
図7Aのインプラントの寸法は、1つの例外を除いて、
図1Aのインプラントの寸法と同じである。
図1Aのように、上部セクション4(およびインプラント1)の平坦な上部表面41を有する代わりに、上部セクション4の上部表面41aは、約28mmの曲率半径Rを有する球形である(縮尺通りに描かれていない)。
【0051】
図7Bを参照すると、本発明によるインプラントの別の実施形態の側面図が示されている。プラグの形状のインプラント1は、
図1Bに示されているのと同じ材料およびセクションを含む。
図7Bのインプラントの寸法は、1つの例外を除いて、
図1Bのインプラントの寸法と同じである。
図1Bのように、上部セクション4の平坦な上部表面41を有する代わりに、上部セクション4の上部表面41aは、約28mmの曲率半径Rを有する球形である(縮尺通りに描かれていない)。
【0052】
図7Cを参照すると、本発明によるインプラントの別の実施形態の側面図が示されている。プラグの形状のインプラント1は、
図1Cに示されているのと同じ材料およびセクションを含む。
図7Cのインプラントの寸法は、1つの例外を除いて、
図1Cのインプラントの寸法と同じである。
図1Cのように、上部セクション4の平坦な上部表面41を有する代わりに、上部セクション4の上部表面41aは、約28mmの曲率半径Rを有する球形である(縮尺通りに描かれていない)。
【0053】
図7Dを参照すると、本発明によるインプラントの別の実施形態の側面図が示されている。プラグの形状のインプラント1は、
図1Dに示されているのと同じ材料およびセクションを含む。
図7Dのインプラントの寸法は、1つの例外を除いて、
図1Dのインプラントの寸法と同じである。
図1Dのように、上部セクション4の平坦な上部表面41を有する代わりに、上部セクション4の上部表面41aは、約28mmの曲率半径Rを有する球形である(縮尺通りに描かれていない)。
【0054】
再び、
図7B、7C、および7Dでは、円周シェル(22、32)は、それらのそれぞれの厚さ(23、33)を示すために断面で示されていることに留意されたい。側面図では、それらはインプラント1の直径10全体にわたって延在する(縮尺通りに描かれていない)。
【0055】
図2A~2Dを参照すると、本発明のインプラント1のベースセクション2の実施形態が概略的に示されている。示されているベースセクション2は、基本的に、直径10、および高さ20を有する円筒形状である。ベースセクションの上部表面24は、中央に位置する空洞241内に徐々に延在する円周方向に平坦なリム部分240を有する。空洞241は、空洞241の直径よりも大きな直径を有するロック部分242を備えている。
図2Cに詳細に示されるように、空洞241のロック部分242はディスク形状であり、それによって、ディスクの外側リムは、ベースセクション2の長手方向247に対して1°~20°、より好ましくは5°~15°の角度246をなす。インプラントの製造中に空洞241(および部分242)を、生体適合性エラストマー材料の一部で充填して、中間セクション3をベースセクション2に適切に固定する。上述のように、ベースセクション2は、非多孔性または実質的に非多孔性であり得るPEKKポリマーを含み、後者の実施形態は、上記に開示された実施例を含む。ベースセクション2はさらに、不規則性または起伏を有する外部表面を含むことがみられる。本実施形態では、これらは、
図2Dに詳細に示されるように、断面が鋸歯形状である円周方向の隆起243を含む。鋸歯状側面がベースセクション2の横方向245に対して延びる角度244は、好ましくは70°~85°、より好ましくは75°~80°である。
【0056】
上部および中間セクションのエラストマー材料の調製
中間セクション3および上部セクション4の脂肪族ポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料を、以下のように製造した(
図3を参照)。ポリ(ヘキシレンカーボネート)ジオール(23.9g、11.9ミリモル)を500mLの3つ口フラスコで秤量し、減圧下で75℃に一晩加熱することにより乾燥させ、その後、それを室温まで冷却した。アルゴン雰囲気下で、1,6-ジイソシアナトヘキサン(4.1g、23.9ミリモル)、DMAc(20mL)および1滴のSn(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)を添加し、その後、混合物を加熱し、3時間撹拌すると、粘度が上昇した。混合物を室温まで冷却し、DMAc(100mL)で希釈し、DMAc(50mL)中の1,6-ジアミノヘキサン(1.4g、11.9ミリモル)の溶液を完全に混合しながら一度に添加した。添加および混合すると、直ちにゲルが形成された。混合物をDMAc(150mL)でさらに希釈し、130℃の油浴で加熱して、均一な粘稠なスラリーを得た。室温まで冷却した後、混合物を水/ブライン混合物(2.75Lの水+0.25Lの飽和ブライン)中で沈殿させて、柔らかな白色の物質を得た。この物質をより小さな断片に切断し、メタノールおよび水の1:5混合物(3L)中で64時間撹拌した。上澄みをデカントした後、得られた固体をメタノールおよび水の2:1混合物(0.75L)中で6時間撹拌した。上澄みをデカントし、メタノールおよび水の2:1混合物(0.75L)中で16時間撹拌し、上澄みをデカントし、減圧下70℃で固体を乾燥させると、柔軟で強靭なエラストマーポリマーが得られた。
【0057】
Varian 200、Varian 400MHz、または400MHz Bruker分光計を298Kで使用して、得られたポリマーに対して1H NMR分光法を実施した。DSCは、Q2000機(TA Instruments)を使用して実施した。融解温度(Tm)およびガラス転移温度(Tg)の評価には、それぞれ10℃/分および40℃/分の加熱走査速度を使用した。Tmはピーク融解温度によって決定し、Tgは変曲点から決定した。
【0058】
すべての試薬、化学物質、材料、および溶媒は、商業的供給源から入手し、さらに精製することなく使用した。使用したポリ(ヘキシレンカーボネート)ジオールは約2kg/モルの平均分子量を有した。
図4および5は、それぞれ、得られたポリマーの
1H NMRスペクトルおよびDSCサーモグラムを示す。
1H NMRスペクトルの結果は以下のように要約できる。
1H NMR(400MHz,HFIP-d2):δ=4.23(m,n*4H,n~14.3)、4.10(m,4H)、3.17(m,12H)、1.87-1.32(脂肪族CH2メチレンの多重シグナル)ppm。繰返し硬質/軟質ブロックセクションの平均分子量は約2.5kDaである。DSCの結果は以下のように要約できる。DSC(10℃/分、
図5A):Tm(上)=20.9℃(軟質ブロック溶融)、DSC(40℃/分、
図5B):Tg=-38.0℃。硬質ブロックの第2の融点は200℃まで観察されなかった。しかしながら、10℃/分での250℃までの最終加熱実行(
図5C)では、約227℃で小さく幅広い融解転移が観察された。DSCダイアグラムでは、吸熱溶融ピークが下向きにプロットされ、これに対して、発熱結晶化は上向きにプロットされる。
【0059】
非多孔性脂肪族ポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料は、ASTM D638に準拠した3.6±0.03MPaの弾性率を有した。
【0060】
生体材料でキャップしたPEKK骨アンカーの調製
インプラント1を、骨アンカーとして機能するPEKKベースセクション2に上部および中間セクション(4、3)を取り付けることによって製造した。本発明の実施形態による方法では、脂肪族ポリカーボネートポリマーの小さな顆粒をPEKKアンカーの上部および中にプレスすることによって、PEKK骨アンカーをポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料でキャップした。この目的のために、特注のプレスセットアップを使用した。様々な温度(100℃~約150℃)、圧縮力(2kN~約4kN)および方法を試験した。最良の結果は、150℃の温度を用い、40kN(4トン、または4000kg、1.4GPaの圧力に相当する)の圧縮力を使用した、2つのステップの手順を使用して得られた。150℃よりも低い温度では、均一にプレスされていないポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料層(セクション3および4)が得られるようであったが、ポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料の尿素基が、その後ある程度劣化する可能性があるため、高温はあまり望ましくない。第1のステップでは、約50mgのポリマー12をPEKK骨アンカーに15分間プレスし、第2のステップでは、約2mgのポリマー12をセットアップに加え、試料を同じ条件下(150℃および40kN)でさらに15分間プレスした。その後、試料を圧縮セットアップから取り出し、次いで冷却させた。第2のプレスステップの後、ベースセクション2の上部のポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料層(セクション3および4)の表面は実質的に平坦であるよう思われた。生体材料はほとんど透明で無色であった。生体材料の端にいくつかのへりまたはほつれが見られ、これらはメスを使用して除去した。
【0061】
ベースセクション2の中央の穴(241、242)は、深さ約4.5mmおよび直径約2mmであった。穴は、実質的に、ポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料で充填され、PEKKベースセクション2への生体材料の取り付けは非常に強力で堅牢であるように思われた。力によってPEKKベースセクションから生体材料を取り除くこと、またはPEKK-生体材料界面での接続を緩めることは、事実上不可能であることが証明された。PEKKベースセクション2および/またはエラストマー生体材料と接触することを目的としたすべての使用機器および付属品をエタノールまたはイソプロパノールですすぎ、その後乾燥させた。プレスし、ほつれをカットした後、PEKK-生体材料プラグインプラントをイソプロパノールですすぎ、乾燥させた。プラグは、必要に応じて、滅菌環境で製造することもできる。
【0062】
測定により評価したところ、PEKKベースセクションは、直径6mmおよび高さ6mm(高さ6mm)であった。ベースセクションの中央の空洞は、直径約2mmおよび深さ約4.5mmであった。PEKKベースセクション上に配置されたエラストマー生体材料(脂肪族ポリカーボネート)は、直径約6mmおよび高さ約1mmであった。したがって、PEKK-生体材料プラグインプラントの合計の高さは約7mmであった。
【0063】
上部セクション4には、平均直径300ミクロンの穴を開けることによって細孔を設けて、最終的な多孔度を50体積%にした。上部セクション4の多孔性脂肪族ポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料は、ASTM D638に準拠した0.9±0.2MPaの弾性率を有した。
【0064】
インプラント1は、
図6A~6Cに示されるように、骨軟骨欠損8に移植され得る。典型的な方法では、軟骨下骨に延在する軟骨欠損(
図6A)にドリルで穴を開け、
図6Bに示すように、プラグ形状のインプラント1をドリル穴に一定の圧力下で移植する(「圧入」)。その後、骨は、PEKKベースセクション2上に成長し、いくつかの実施形態では、PEKKベースセクション2内に成長し、インプラント1を固定する。
図6Cに示すように、周囲の生来の軟骨5が上部セクション4の上部表面41上に成長し、新しい軟骨5aがインプラント1の上部に生成される。
図6Cにも示されているように、ベースセクション2の高さ20、非多孔性中間セクション3の高さ30、および多孔性上部セクション4の高さ40は、インプラント1の上部表面41が、好ましくは、0.1~1mmの距離51にわたって、移植されたときに、骨軟骨構造(5、6)上に存在する軟骨5の上部表面50よりも下にあるように選択される。この場合、この距離は約0.5mmであった。骨軟骨構造(5、6)は、軟骨下骨6およびその上の軟骨層5を含む。滑液腔7も一般的に存在する。
【0065】
図6Bおよび6Cにも示されるように、ベースセクション2の高さ20、非多孔性中間セクション3の高さ30、および多孔性上部セクション4の高さ40は、中間セクション3の底部表面24(またはベースセクション2の上部表面24)が、移植されたときに、骨軟骨構造(5、6)の軟骨層5の底部表面51とほぼ同じ高さになるように選択される。
【0066】
最後に、
図7A~7Dに示される実施形態によるインプラントはまた、
図8A~8Cに示されるように、骨軟骨欠損8に移植され得る。最上層4の球形の上部表面41aにより、この実施形態は、インプラント1の上部セクション4の上部表面41a上に、上部表面41aにわたってほぼ等しい厚さの新しい軟骨層5aを再生することができる。結果は、再生された軟骨5aの上部表面50の半径は、すなわち、インプラントに隣接する周囲の生来の軟骨層5の半径とほぼ同じであり得、それによって、半径の連続性を示す。
【0067】
本発明の添付の特許請求の範囲内で、当分野の当業者には、多くの変形例および適用が可能であることは明らかであろう。
【国際調査報告】