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  • 特表-車両クレーンを操作するための方法 図1
  • 特表-車両クレーンを操作するための方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】車両クレーンを操作するための方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/00 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
B66C13/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575419
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(85)【翻訳文提出日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 EP2020066642
(87)【国際公開番号】W WO2020254332
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】102019116759.0
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520417377
【氏名又は名称】タダノ デマグ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Tadano Demag GmbH
【住所又は居所原語表記】Europaallee 2, 66482 Zweibruecken, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン マーク
(72)【発明者】
【氏名】シュローダー ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ラゴ マシュー
(57)【要約】
本発明は、車両クレーン(1)の周辺のライブビューが運転手に表示される、ブーム支持体(9)を備えた下部シャーシ(2)および釣り合いおもり(8)を備えた上部シャーシ(3)を有する車両クレーン(1)を操作するための方法に関する。安全かつ簡略化された操縦および使用を可能にする車両クレーンを操作する可能性を提供するために、ライブビューが少なくとも下部シャーシ(2)に配置されたカメラ(10)によって作成され、ブーム支持体(9)の移動範囲および上部シャーシ(3)の旋回範囲を示すマーキング(12a~c、13)が、拡大縮小するためにライブビューに重ね合わされ、マーキング(12a~c、13)が固定プログラムされたクレーン固有のオーバーレイであり、ライブビューが寸法に関して較正されたクレーン固有のビューであることが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジブ支持体(9)を備えた下部キャリッジ(2)および釣り合いおもり(8)を備えた上部構造(3)を有し、車両クレーン(1)の周辺のライブビューが運転手に表示される、前記車両クレーン(1)を操作するための方法であって、
前記ライブビューが少なくとも前記下部キャリッジ(2)に配置されたカメラ(10)を介して生成され、前記ジブ支持体(9)の移動範囲および前記上部構造(3)の旋回範囲の識別情報(12a~c、13)が拡大縮小するために前記ライブビューに重ね合わされ、前記識別情報(12a~c、13)が固定プログラムされたクレーン固有のオーバーレイであり、前記ライブビューが寸法に関して較正されたクレーン固有のビューであることを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記ライブビューが360度の鳥瞰図であることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記鳥瞰図の中心点が前記車両クレーンの前記クレーンの縦方向および横方向の中心点であることを特徴とする、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両クレーン(1)についての前記識別情報(12a~c、13)が、特に最小および最大について、定義された移動範囲を含むことを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両クレーンの周辺のライブビューが運転手に表示される、ジブ支持体を備えた下部キャリッジおよび釣り合いおもりを備えた上部構造を有する車両クレーンを操作するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Clarion Europe GmbH(https://www.clarion.com/de/de/products-business/surroundeye/)社から、車両に取り付けられた複数のカメラを介してトラック周辺の鳥瞰画像を提供するために、上記の画像が運転室のモニタに表示されることが知られている。システムは、運転手の死角にある領域内でもそのようなライブビューを提供するので、運転および操縦時の安全性の向上に寄与する。
【0003】
360°のパノラマビューを有するカメラベースの運転支援システムは、Motec GmbH(https://www.motec-cameras.com/rundumsichtsystem/)社から知られている。
【0004】
アクティブセンサシステムを使用する同様のカメラシステムは、ifm electronic GmbH(https://www.ifm.com/de/de/shared/technologien/3d-smart-sensor-o3m/3d-smart-sensor-o3m)社から知られている。
【0005】
これらのシステムでは、現在の鳥瞰パノラマビューは、運転手に車両の周辺のライブビューを提供する様々なビューのコンピュータ化された合成によって生成される。そのようなシステムにより、センサからの周辺の情報がライブビューに重ね合わされることが可能になる。
【0006】
DE102016004382A1は、建設機械の動作をシミュレートするためのビルディングインフォメーションモデリング(BIM)の使用を開示しており、ここでは、シミュレートされた再現の現実性を高めるために、ライブ画像が仮想画像に重ね合わされる。
【0007】
さらに、特許文書DE112016000127B4は、ダンプトラックに積み込むときに掘削機の運転手を支援するための採石場の掘削機の周辺監視装置をすでに開示している。この目的のために、採石場の掘削機およびその周辺の鳥瞰ライブ画像が、採石場の掘削機に配置されたカメラを介してモニタ上で掘削機の運転手に表示される。このライブ画像では、カラーで保存された採石場の掘削機の周りに環状の間隔範囲がオーバーレイされる。加えて、選択可能な方向、たとえば、積み込まれるダンプトラックの方向の個々の画像が掘削機の運転手に表示される。さらに、センサは採石場の掘削機に配置されており、障害物が間隔範囲に移動すると、信号がセンサを介して掘削機の運転手に送信される。掘削機の運転手に周辺のライブ画像を提供する掘削機用のさらなる監視装置が、欧州公開文書EP2570556A1および公開文書US2016/0024758A1に記載されている。
【0008】
さらに、欧州公開文書EP3235773A2は、車両クレーン用のさらなる環境監視装置をすでに記載している。車両クレーンは、通常、ジブ支持体を備えた下部キャリッジ、ならびに釣り合いおもりおよび伸縮ジブを備えた上部構造から構成される。持ち上げられた伸縮ジブの先端にはステレオカメラが配置され、それにより、車両クレーンの作業領域内の物体の三次元位置を特定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この場合、本発明の目的は、安全かつ簡略化された操縦および使用を可能にする車両クレーンを操作するための選択肢を提供することである。この目的は、請求項1に記載された方法によって達成される。この堅固な解決策により、車両クレーンの時々厳しい環境条件における使用も可能になる。有利な実施形態は、従属請求項および説明から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、車両クレーンの周辺のライブビューが運転手に表示される、ジブ支持体を備えた下部キャリッジおよび釣り合いおもりを備えた上部構造を有する車両クレーンを操作する方法において、安全かつ簡略化された操縦および使用を可能にする車両クレーンを操作するための選択肢は、ライブビューが少なくとも下部キャリッジに配置されたカメラを介して生成され、ジブ支持体の移動範囲および上部構造の旋回範囲の識別情報が拡大縮小するためにライブビューに重ね合わされ、識別情報が固定プログラムされたクレーン固有のオーバーレイであり、ライブビューが寸法に関して較正されたクレーン固有のビューであるという事実のおかげで提供される。較正されたビューは、車両クレーンおよびその周辺の距離およびサイズに関して調整される。したがって、永久保存された移動範囲は、拡大縮小するためにライブ画像にオーバーレイすることができる。したがって、車両クレーンごとに、上部構造の旋回範囲、ジブ支持体の延長部の長さなどのその部分の移動範囲は、個別に具体的に決定(較正)され、これらはオーバーレイ(重ね合わせ)を生成するためにコントローラに永久保存される。したがって、ジブ支持体の移動範囲の識別情報および/または上部構造の旋回範囲の移動範囲の識別情報は、固定プログラムされたクレーン固有のオーバーレイである。
【0011】
本発明によれば、クレーンまたはその部分の移動範囲の識別情報が拡大縮小するためにライブビューに重ね合わされると、クレーンまたはその部分が安全に周辺に配置もしくは移動できるかどうか、または移動制限が存在するかどうかを簡単な方式で運転手に表示することが可能であることが認識されている。
【0012】
言い換えれば、恒久的に事前に決定され設定されたマーキングがライブ画像上に表示またはオーバーレイされ、マーキングは対応する移動範囲を識別するので、運転手は、たとえば、上部構造の回転により、釣り合いおもりが家の壁にぶつかることにつながるかどうか、またはジブ支持体が、障害物と衝突することなく、途中までしか伸ばすことができないかどうかを容易に認識することができる。本発明は、使用条件下で誤動作する傾向があり、追加の保守を必要とする可能性もある追加のセンサシステムなしにこれを行うことができる。
【0013】
車両クレーンについての識別情報は、特に最小および最大が定義された移動範囲を含むことができる。たとえば、最小移動位置はたとえば緑で識別することができ、最大移動位置は赤で識別することができる。オーバーレイでは、2つの識別情報がライブ画像に重ね合わされるので、運転手(またはオペレータ)が迅速かつ安全に推定することが可能になる。
【0014】
ライブビューが360度の鳥瞰図である場合、特にその隣接する周辺にある車両クレーン全体の概要として、特に好ましい。しかしながら、鳥瞰図が潜在的な移動制限を有する移動構成要素が配置されているクレーンの領域のビューのみを表示する場合、それは実現可能である。たとえば、270度の正面図および背面図で十分な場合がある。
【0015】
鳥瞰図の中心点が車両クレーンのクレーンの縦方向および横方向の中心点である場合、それは有益であり得る。
【0016】
「車両クレーン」という用語は、本文書では、伸縮ジブを有する移動式クレーンまたは格子マストジブを備えたクローラクレーンを意味するように理解される。
【0017】
本発明のさらなる詳細は、図面を参照することにより、例示された実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ジブ支持体の移動範囲についてのオーバーレイされた識別情報を有する車両クレーンの概略的な鳥瞰ライブビューを示す図である。
図2】釣り合いおもりの領域内の上部構造の移動範囲についてのオーバーレイされた識別情報を有する車両クレーンの概略的な鳥瞰ライブビューを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これらの図は、各々数字1によって全体として指定された車両クレーンの周辺の概略的な鳥瞰ライブビューを示す。
【0020】
車両クレーン1は、下部キャリッジ2および上部構造3を備える。下部キャリッジ2は、運転室4と、各々が道路走行に適した2つのゴムタイヤ付き車輪6を有する6つの車軸5とを備える。下部キャリッジ2は、当然、6つより多いかもしくは少ない車軸5を備えることができるか、または代替として履帯を備えることができる。上部構造3は、垂直方向に向けられた回転軸Dの周りを旋回可能であるような方式で下部キャリッジ2に取り付けられる。あるいは、上部構造3および下部キャリッジ2は、互いに堅固に取り付けることもできる。主ジブ7は、垂直軸Dの周りを旋回することができる上部構造3に配置され、この主ジブは伸縮ジブとして設計されている。主ジブ7から見て反対側の上部構造3に、突き出る釣り合いおもり8が配置される。
【0021】
下部キャリッジ2は、いずれの場合も、左に伸ばすことができる2つのジブ支持体9と、右に伸ばすことができる2つのジブ支持体9とを備える。
【0022】
鳥瞰ライブビューは、この場合、車両クレーン1の下部キャリッジ2の前部、後部、および両側面に配置された4台のカメラ10からの、寸法およびスケールの観点から較正され、図示されていないコントローラ内のコンピュータによって生成された、車両クレーン1の周辺のビューである。大型車両クレーンでは、さらなるカメラ、たとえば、長い側面ごとに2つのカメラを、360度のカバレッジを得るために必要に応じて使用することができる。鳥瞰ライブビューは、常に車両クレーン1の較正されたビューのみから生成される。さらに、鳥瞰ライブビューは、車両クレーン1の作業領域をカバーする車両クレーン1の周りの隣接する周辺との関係でのみ「ライブ」である。ライブビューでは、車両クレーン1の平面図は、それ自体が状況を説明することのみを目的とした象徴的な写真にすぎない。本図1および図2では、持ち上げられたたジブ7を有する車両クレーン1が示されている。本発明の現実または実際の実装形態では、車両クレーン1は、ジブ7が収容された道路上を走行するための状態で上から示されている。したがって、車両クレーン1の運転手は、建設現場に到着すると、ジブ支持体9を位置付けるために自分の車両クレーン1を直ちに正しく方向付けることができる。識別情報13で上部構造3の旋回範囲を説明できるようにするために、ファイルから車両クレーン1の別の象徴的な図をロードすることも実現可能である。しかしながら、識別情報13は、オーバーレイとして道路上を走行するための状態での車両クレーン1の象徴的な図で示すこともできる。車両クレーン1自体の真の「ライブ画像」は提供されていない。
【0023】
このライブビューでは、その範囲が上部構造3の旋回中に発生する、ジブ支持体9の移動範囲または上部構造3の突き出る釣り合いおもり8の移動範囲についての識別情報12、12b、12cの形式のマーキングがオーバーレイされるか、または重ね合わされている。
【0024】
この目的のために必要な、ジブ支持体9および釣り合いおもり8の旋回運動の運動データは、クレーンごとに異なるようにまたは具体的に決定されており、それらが拡大縮小するためにライブ画像に重ね合わせることができるように永久保存される。
【0025】
したがって、クレーンごとに、上部構造8の旋回範囲の移動範囲およびジブ支持体9の延長部の長さは、個別かつ具体的に決定され、これらは、オーバーレイ(重ね合わせ)を生成するためにコントローラに永久保存される。したがって、移動範囲の識別情報は、固定プログラムされたクレーン固有のオーバーレイである。
【0026】
たとえば、図1では、最小および最大および中間の延長部の長さの識別情報12a、b、cが、4つのジブ支持体9の各々について緑、赤、および黄色で示されている。加えて、識別情報は、延長部の長さの詳細をメートル単位で含めることもできる。
【0027】
図2では、上部構造8の旋回範囲についての識別情報13が、その回転軸Dの周りの円として示されている。
【0028】
本発明による図は、運転手またはオペレータが、建物Gと衝突することなく、進行方向の右側のジブ支持体9を最小限以上に伸ばすことができないことを直ちに認識することを可能にすることが分かる。
【0029】
同様に、上部構造を反時計回りに約11時まで回転させると、釣り合いおもり8が建物Gと衝突するリスクがあることが分かる。
【符号の説明】
【0030】
1 車両クレーン
2 下部キャリッジ
3 上部構造
4 運転室
5 車軸
6 車輪
7 主ジブ
8 上部構造
9 ジブ支持体
10 カメラ
12a 識別情報
12b 識別情報
12c 識別情報
13 識別情報
G 建物
図1
図2
【国際調査報告】