IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特表2022-539009仮想特徴開発のためのシステム及び方法
<>
  • 特表-仮想特徴開発のためのシステム及び方法 図1
  • 特表-仮想特徴開発のためのシステム及び方法 図2
  • 特表-仮想特徴開発のためのシステム及び方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】仮想特徴開発のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20220831BHJP
   G06F 3/04815 20220101ALI20220831BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20220831BHJP
   A63G 31/00 20060101ALI20220831BHJP
   A63F 13/52 20140101ALI20220831BHJP
   A63F 13/25 20140101ALI20220831BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G06F3/04815
G06F3/0484
A63G31/00
A63F13/52
A63F13/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576285
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(85)【翻訳文提出日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 US2020039255
(87)【国際公開番号】W WO2020263901
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/866,481
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/908,374
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ヘインズ ストックウェル ダッドリー
(72)【発明者】
【氏名】ゲルゲン パトリック ジョン
(72)【発明者】
【氏名】グラハム マーティン エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】クラッフ トーマス エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ブロンビー クリストファー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マラス クレイグ リチャード
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050CA07
5B050EA07
5B050EA09
5B050EA19
5B050EA30
5B050FA05
5E555AA27
5E555AA79
5E555BA20
5E555BA74
5E555BB20
5E555BC08
5E555BC18
5E555BE17
5E555CA09
5E555CA24
5E555CA41
5E555CA45
5E555CB02
5E555CB74
5E555CC22
5E555DA08
5E555DA09
5E555DA13
5E555DB02
5E555DB53
5E555DC13
5E555DC36
5E555DC43
5E555DD11
5E555EA11
5E555FA00
(57)【要約】
ユーザに提供される拡張現実(AR)体験を評価するためのシステムが、背景幕と、背景幕上に光を投影するように構成された物理的ライトと、仮想特徴を表示するように構成されたディスプレイシステムとを含む。ディスプレイシステム及び物理的ライトには、コントローラが通信可能に結合される。コントローラは、仮想特徴をレンダリングし、物理的ライトの動作パラメータを示すフィードバックを受け取り、仮想特徴の外観を定める仮想光の状態を示す追加フィードバックを受け取るように構成される。コントローラは、物理的ライトの動作パラメータを示すフィードバックに基づいて仮想特徴の外観を更新された外観に調整し、仮想光の状態を示す追加フィードバックに基づいて物理的ライトの動作パラメータを調整し、又はこれらの両方を行うように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに提供される拡張現実(AR)体験を評価するためのシステムであって、
背景幕と、
前記背景幕上に光を投影するように構成された物理的ライトと、
仮想特徴を表示して、前記ユーザが前記仮想特徴を前記背景幕上にオーバーレイされたものとして見ることを可能にするように構成されたディスプレイシステムと、
前記ディスプレイシステム及び前記物理的ライトに通信可能に結合されたコントローラと、
を備え、前記コントローラは、
前記仮想特徴を仮想空間内でレンダリングし、
前記物理的ライトの動作パラメータを示すフィードバックを受け取り、
前記仮想特徴の外観を定める仮想光の状態を示す追加フィードバックを受け取り、
前記物理的ライトの前記動作パラメータを示す前記フィードバックに基づいて前記仮想特徴の前記外観を更新された外観に更新し、前記仮想光の前記状態を示す前記追加フィードバックに基づいて前記物理的ライトの前記動作パラメータを調整し、又はこれらの両方を行う、
ように構成される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記物理的ライトの前記動作パラメータを示す前記フィードバックを前記コントローラに提供するように構成されたセンサを備え、前記動作パラメータは、前記背景幕に対する前記物理的ライトの位置、前記背景幕に対する前記物理的ライトの向き、前記背景幕上に投影される前記光の色相、前記背景幕上に投影される前記光の強度、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記物理的ライトに結合されて該物理的ライトの前記動作パラメータを調整するように構成されたアクチュエータを備え、前記コントローラは、前記仮想光の前記状態を示す前記追加フィードバックを受け取ったことに応答して前記物理的ライトの前記動作パラメータを調整するように前記アクチュエータに命令するよう構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記動作パラメータは、前記背景幕に対する前記物理的ライトの位置、前記背景幕に対する前記物理的ライトの向き、又はこれらの両方を含む、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラに通信可能に結合されて、前記ユーザが前記仮想光の前記状態を示す前記追加フィードバックを前記コントローラに提供することを可能にするように構成されたユーザ入力装置を備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記背景幕を有する物理的ステージに対応する仮想ステージを介して前記仮想空間の境界を定めるように構成され、前記仮想光の前記状態は、前記仮想ステージに対する前記仮想光の位置、前記仮想ステージに対する前記仮想光の向き、前記仮想光によってレンダリングされる仮想光の色相、前記仮想光によってレンダリングされる仮想光の強度、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ディスプレイシステムは、前記ユーザによって装着されるように構成されたヘッドマウントディスプレイを含み、該ヘッドマウントディスプレイは、該ヘッドマウントディスプレイの透過スクリーンを介して前記背景幕上に前記仮想特徴をオーバーレイするように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ディスプレイシステムは、前記背景幕上に前記仮想特徴をオーバーレイするために前記仮想特徴を前記ユーザの目に投影するように構成された1又は2以上のプロジェクタを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記背景幕を取り巻く周囲照明状態を示す周囲照明フィードバックを受け取り、
前記周囲照明フィードバックに基づいて前記仮想特徴の前記外観を前記更新された外観に調整する、
ように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
ユーザに提供される拡張現実(AR)体験を評価する方法であって、
ディスプレイシステムを介して背景幕上に仮想特徴をオーバーレイして、前記ユーザが前記背景幕上にオーバーレイされた前記仮想特徴を見ることを可能にするステップと、
前記背景幕を照明するように構成された物理的ライトの動作パラメータを示すフィードバックをセンサから受け取るステップと、
前記仮想特徴の外観を定める仮想光の状態を示す追加フィードバックをコントローラにおいて受け取るステップと、
前記コントローラを介して、前記物理的ライトの前記動作パラメータを示す前記フィードバックに基づいて前記仮想特徴の前記外観を更新された外観に更新し、前記仮想光の前記状態を示す前記追加フィードバックに基づいて前記物理的ライトの前記動作パラメータを調整し、又はこれらの両方を行うステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記仮想光の前記状態を示す前記追加フィードバックを受け取ったことに応答して、前記物理的ライトに結合されたアクチュエータを介して前記物理的ライトの前記動作パラメータを調整するステップを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記動作パラメータは、前記背景幕に対する前記物理的ライトの位置、前記背景幕に対する前記物理的ライトの向き、又はこれらの両方を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記仮想特徴を仮想空間の仮想ステージ内でレンダリングするステップを含み、前記仮想ステージは、前記背景幕を有する物理的ステージに対応し、前記物理的ステージに寸法的に比例する、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記仮想光の前記状態を示す前記追加フィードバックを、前記コントローラに通信可能に結合されたユーザインターフェイスから受け取るステップを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記物理的ライトを該物理的ライト固有の識別子に関連付けるステップを含み、前記物理的ライトは、前記背景幕を照明するように構成されてそれぞれの識別子に関連付けられた複数の物理的ライトのうちの第1の物理的ライトであり、
前記第1の物理的ライトにおける故障状態の発生を検出するステップと、
前記発生の検出に応答して、前記ディスプレイシステムを介して、前記第1の物理的ライトに関連する識別子を表示するステップと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
拡張現実(AR)システムであって、
ユーザが見ることができる環境上に仮想特徴をオーバーレイするように構成されたディスプレイシステムと、
前記環境を照明するように構成された物理的ライトと、
前記ディスプレイシステム及び前記物理的ライトに通信可能に結合されたコントローラと、
を備え、前記コントローラは、
仮想光を有する仮想空間内で前記仮想特徴をレンダリングし、前記仮想光の状態が前記仮想特徴の外観を定め、
前記物理的ライトの動作パラメータを示すフィードバックに基づいて前記仮想光の状態を調整し、
前記仮想光の前記状態を示す追加フィードバックに基づいて前記物理的ライトの前記動作パラメータを調整する、
ように構成される、
ことを特徴とするARシステム。
【請求項17】
前記動作パラメータをモニタするように構成されたセンサを備え、前記動作パラメータは、前記環境内の前記物理的ライトの位置、前記環境内の前記物理的ライトの向き、前記物理的ライトによって出力される光の色相、前記物理的ライトによって出力される光の強度、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項16に記載のARシステム。
【請求項18】
ユーザインターフェイスであって、当該ユーザインターフェイスにおけるユーザ入力に応答して前記仮想光の前記状態を示す前記追加フィードバックを生成するように構成されたユーザインターフェイスを備える、
請求項16に記載のARシステム。
【請求項19】
前記ディスプレイシステムは、前記ユーザによって装着されるように構成されたヘッドマウントディスプレイを含む、
請求項16に記載のARシステム。
【請求項20】
前記仮想光の前記状態は、前記仮想特徴の陰影、彩色、色相及び/又は強調表示を定める、
請求項16に記載のARシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2019年6月25日に出願された「仮想特徴開発のためのシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR VIRTUAL FEATURE DEVELOPMENT)」という名称の米国仮特許出願第62/866,481号に基づく優先権及びその利益を主張するものであり、この文献はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
遊園地及び/又はテーマパークは、遊園地のゲスト(例えば、家族及び/又は全ての年齢層の人々)に楽しみを提供する上で有用な様々な娯楽アトラクション、レストラン及び乗り物を含むことができる。遊園地のエリアは、特定の観衆を特異的に対象とする異なるテーマを有することができる。例えば、いくつかのエリアは伝統的に子供が興味を抱くテーマを含むことができ、他のエリアは伝統的にさらに成熟した観衆が興味を抱くテーマを含むことができる。一般に、このような遊園地に関連するテーマを有する場所は、アトラクション又はテーマ別アトラクションと呼ばれることがある。このようなアトラクションでは、テーマを仮想特徴で補強することによってゲストの没入的体験を向上させることが望ましいと認識されている。残念ながら、様々な遊園地アトラクションのために仮想特徴を開発することは困難で時間が掛かることが判明している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
以下、本明細書に開示するいくつかの実施形態の概要を示す。これらの態様は、読者にこれらのいくつかの実施形態の要約を示すものにすぎず、本開示の範囲を限定するものではないと理解されたい。実際には、本開示は、以下では示していないこともある様々な態様を含むことができる。
【0004】
1つの実施形態では、ユーザに提供される拡張現実(AR)体験を評価するためのシステムが、背景幕(backdrop)と、背景幕上に光を投影するように構成された物理的ライトと、ディスプレイシステムとを含む。ディスプレイシステムは、仮想特徴を表示して、ユーザが背景幕上にオーバーレイされた仮想特徴を見ることを可能にするように構成される。システムは、ディスプレイシステム及び物理的ライトに通信可能に結合されたコントローラも含む。コントローラは、仮想空間内で仮想特徴をレンダリングし、物理的ライトの動作パラメータを示すフィードバックを受け取り、仮想特徴の外観を定める仮想光の状態を示す追加フィードバックを受け取るように構成される。コントローラは、物理的ライトの動作パラメータを示すフィードバックに基づいて仮想特徴の外観を更新された外観に調整し、仮想光の状態を示す追加フィードバックに基づいて物理的ライトの動作パラメータを調整し、又はこれらの両方を行うようにも構成される。
【0005】
1つの実施形態では、ユーザに提供される拡張現実(AR)体験を評価する方法が、ディスプレイシステムを介して背景幕上に仮想特徴をオーバーレイして、ユーザが背景幕上にオーバーレイされた仮想特徴を見ることを可能にするステップを含む。この方法は、背景幕を照明するように構成された物理的ライトの動作パラメータを示すフィードバックをセンサから受け取るステップと、仮想特徴の外観を定める仮想光の状態を示す追加フィードバックをコントローラにおいて受け取るステップとを含む。この方法は、コントローラを介して、物理的ライトの動作パラメータを示すフィードバックに基づいて仮想特徴の外観を更新された外観に調整し、仮想光の状態を示す追加フィードバックに基づいて物理的ライトの動作パラメータを調整し、又はこれらの両方を行うステップをさらに含む。
【0006】
1つの実施形態では、拡張現実(AR)システムが、ユーザが見ることができる環境上に仮想特徴をオーバーレイするように構成されたディスプレイシステムと、環境を照明するように構成された物理的ライトと、ディスプレイシステム及び物理的ライトに通信可能に結合されたコントローラとを含む。コントローラは、仮想光を有する仮想空間内で仮想特徴をレンダリングするように構成され、仮想光の状態が仮想特徴の外観を定める。コントローラは、物理的ライトの動作パラメータを示すフィードバックに基づいて仮想光の状態を調整し、仮想光の状態を示す追加フィードバックに基づいて物理的ライトの動作パラメータを調整するようにも構成される。
【0007】
本開示の様々な態様に関連して、上述した特徴の様々な改善を行うこともできる。また、これらの様々な態様にさらなる特徴を組み込むこともできる。これらの改善及びさらなる特徴は、個別に又はあらゆる組み合わせで存在することができる。
【0008】
全体を通じて同じ要素を同じ記号で示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態による、現実世界の環境に仮想特徴をオーバーレイするために利用できる拡張現実(AR)システムの実施形態のブロック図である。
図2】本実施形態による、ARシステムにおいて使用できるヘッドマウントディスプレイの実施形態の図である。
図3】本実施形態による、ARシステムにおいて使用できる拡張現実(AR)ライトボックスシステムの実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の1又は2以上の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実施の特徴を全て説明しているわけではない。あらゆる工学又は設計プロジェクトにおいて見られるようなあらゆるこのような実施の開発においては、実施によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の個別の目的を達成するために、数多くの実施固有の決定を行わなければならないと理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑で時間が掛かる場合もあるが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みであると理解されたい。
【0011】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介する場合、「a」、「an」及び「the」といった冠詞は、これらの要素が1つ又は2つ以上存在することを意味するものとする。「備える(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」という用語は、包括的なものとして意図されており、列記する要素以外のさらなる要素が存在し得ることを意味する。また、本開示の「1つの実施形態」又は「ある実施形態」についての言及は、記載する特徴も含むさらなる実施形態の存在を排除するものとして解釈されるように意図するものではないと理解されたい。
【0012】
遊園地は、遊園地アトラクションのゲストにAR体験を提供することによってゲストの体験を個別化又は別様に強化するように構成された拡張現実(AR)システムを含むことができる。実際には、特定のハードウェア構成、ソフトウェア構成(例えば、アルゴリズム的構造及び/又はモデル化された応答)、並びに特定のアトラクション特徴の組み合わせを利用して、カスタマイズ可能な個別化された相互作用的AR体験をゲストに提供することができる。
【0013】
例えば、ヘッドマウントディスプレイ(例えば、電子ゴーグル又はディスプレイ、メガネ)などの視覚装置を、遊園地のゲスト又はその他のユーザがAR及び/又は複合現実シーンを見ることを可能にするように構成することができる。とりわけ、ヘッドマウントディスプレイは、例えば遊園地に関連する現実世界の環境内に仮想的に特徴を追加又はオーバーレイして、同じ遊園地乗り物内で異なる体験が得られるように調整可能な仮想環境を提供することなどによって、ゲストの体験を向上させるために利用することができる。残念ながら、遊園地の様々な現実世界の環境内で特定のAR特徴の知覚されるリアリズムを予測することは困難と考えられる。具体的には、ARシステムがAR特徴の外観(例えば、陰影、彩色)を効果的に調整するかどうかを開発者(例えば、AR特徴を開発する設計技師)が現実世界の環境の特定の照明条件に基づいて評価することは面倒であり、或いは別様に時間の掛かることであると考えられる。
【0014】
従って、本開示の実施形態は、様々なシミュレートされた現実世界の環境内で様々な異なる照明条件にわたって開発者が特定のAR特徴の外観を評価することを可能にする、本明細書ではARライトボックスシステムと呼ぶ仮想オブジェクトシミュレーションシステムを目的とする。とりわけ、ARライトボックスシステムは、AR特徴を生成して(例えば、ヘッドマウントディスプレイを介して)現実世界の環境上にAR特徴をオーバーレイするように構成されたARシステムがAR特徴の外観を効果的に調整するかどうかを開発者が現実世界の環境の様々な照明条件の変化に基づいて評価することを可能にする。従って、ARライトボックスシステムは、現実世界の環境を土台としているように見えるAR特徴の開発を容易にするとともに、このようなAR特徴を遊園地アトラクションのテーマなどの現実世界の環境上にオーバーレイするために使用されるアルゴリズムの開発を容易にすることができる。
【0015】
これらを踏まえて、図1は、ユーザ(例えば、ゲスト、遊園地の従業員、乗り物車両の乗客)が制御されたAR及び/又は複合現実シーンを体験する(例えば、見る、相互作用する)ことを可能にするように構成された拡張現実(AR)システム10の実施形態のブロック図である。いくつかの実施形態では、ARシステム10が、通信ネットワーク14(例えば、無線ローカルエリアネットワーク[WLAN]、無線ワイドエリアネットワーク[WWAN]及び近距離無線通信[NFC]などの有線及び/又は無線通信ネットワーク)と、コントローラ16と、1又は2以上のユーザシステム18(例えば、ゲームシステム)とを含むことができる。通信ネットワーク14は、コントローラ16、1又は2以上のユーザシステム18、及び/又はARシステム10の他のいずれかの好適なコンポーネントを互いに通信可能に結合する有線又は無線通信コンポーネントを含むことができる。
【0016】
コントローラ16は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)又はその他の好適な制御装置とすることができる。コントローラ16は、メモリ22(例えば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体及び/又はその他の記憶装置)に動作可能に結合されてメモリ22に記憶された命令を実行するプロセッサ20(例えば、汎用プロセッサ、システムオンチップ[SoC]デバイス、特定用途向け集積回路[ASIC]、又は他の何らかの同様のプロセッサ構成)を含むことができる。1又は2以上のユーザシステム18は、中央処理装置(CPU)又はその他の好適なシステムとすることができる。後述するように、コントローラ16及び1又は2以上のユーザシステム18は、一般に現実世界の環境ビュー上にオーバーレイするための仮想又は拡張グラフィックスをレンダリングするように構成することができる。また、1又は2以上のユーザシステム18は、特定のゲームロジック、及び実空間内の特定の仮想オブジェクトの配置を担うこともできる。いくつかの実施形態では、1又は2以上のユーザシステム18を互いに通信可能に結合することによって、複数のユーザが共有ゲーム(例えば、複数のプレーヤーを有するゲーム)に関与することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、1又は2以上のユーザシステム18の各々が、ユーザ入力装置26(例えば、ユーザインターフェイス)又は一群の複数のユーザ入力装置26と、コンピュータグラフィックス生成システム28とを含むことができる。ユーザ入力装置26は、コンピュータグラフィックス生成システム28に通信可能に結合することができ、コンピュータグラフィックス生成システム28は、(例えば、通信ネットワーク14を介して)ディスプレイシステム29に通信可能に結合することができる。
【0017】
本明細書で説明するように、いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム29が、ARシステム10のユーザによって装着されるように構成されるとともに、ユーザによって知覚される現実世界の環境上にAR特徴をオーバーレイするように構成された、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)30を含むことができる。従って、ヘッドマウントディスプレイ30は、AR体験、複合現実体験、コンピュータ利用現実体験、これらの組み合わせ又は他の同様の超現実環境を含むことができる超現実環境32(例えば、ゲーム環境)をユーザが視覚化して知覚することを可能にすることができる。すなわち、超現実環境32は、AR特徴で補強(例えば、オーバーレイ)できる現実世界のビュー及びオブジェクトを含むことができる。いくつかの実施形態では、ユーザが、乗り物(例えば、遊園地乗り物)の継続時間中、或いはゲーム中、遊園地の特定のエリアの入場時、遊園地に関連するホテルへの乗車中及びホテル滞在時などの別の所定の時点にヘッドマウントディスプレイ30を装着することができる。
【0018】
コンピュータグラフィックス生成システム28は、ヘッドマウントディスプレイ30上に表示すべきARグラフィックスを生成して送信することができる。具体的には、コンピュータグラフィックス生成システム28は、プロセッサ34(例えば、汎用プロセッサ又はその他のプロセッサ)などの処理回路及びメモリ36を含み、ユーザのための超現実環境32を生成するのに有用なデータを処理することができる。超現実環境32を生成するのに有用なデータとしては、以下に限定するわけではないが、それぞれのヘッドマウントディスプレイ30、(単複の)ユーザ入力装置26、コントローラ16から受け取られるリアルタイムデータ、1又は2以上のユーザシステム18によって受け取られる様々なセンサデータ、及びメモリ36に記憶されたデータを挙げることができる。いくつかの実施形態では、コンピュータグラフィックス生成システム28が、このようなデータを使用して、ヘッドマウントディスプレイ30によって提示されるAR特徴をユーザの周囲の現実世界の環境と調和させるための基準系(frame of reference)を生成することができる。
【0019】
例えば、コンピュータグラフィックス生成システム28は、ヘッドマウントディスプレイ30上に表示するためのARグラフィックスを、ユーザの向き、位置、注視方向、視野及び動きなどの変化を反映するように選択的に生成することができる。また、コンピュータグラフィックス生成システム28は、1又は2以上のユーザが(単複の)ユーザ入力装置26を使用して提供した入力の変化を反映するようにARグラフィックスを選択的に生成することもできる。さらに、コンピュータグラフィックス生成システム28は、コンピュータグラフィックス生成システム28によって(例えば、メモリ36に)記憶されているいくつかの所定の又はモデル化されたアルゴリズムに従って、AR特徴に影響を与えることができる模擬相互作用に基づいてARグラフィックスを生成することもできる。一例として、所定の又はモデル化されたアルゴリズムは、物理エンジン又は同様のモジュールによって、或いはコンピュータグラフィックス生成システム28の一部として実装することができる。いくつかの実施形態では、コンピュータグラフィックス生成システム28が、共有ゲーム内の複数のユーザのうちの特定のユーザが共有ゲーム内の複数のユーザのうちの他のユーザ(例えば、プレーヤ)によって適用されたゲーム効果を見ることができるように、共有ゲーム内の複数のユーザに対応する上述した情報又はデータを追跡することができる。
【0020】
なお、ディスプレイシステム29は、ユーザによって知覚される現実世界の環境上にAR特徴をオーバーレイするためにヘッドマウントディスプレイ30に加えて又は代えて使用される他のいずれかの好適なディスプレイ装置及び/又は投影装置を含むこともできると理解されたい。従って、このようなディスプレイ装置及び/又は視覚化装置は、AR特徴で補強(例えば、オーバーレイ)された現実世界のビューを含む超現実環境32をユーザが視覚化して認識することを可能にする。非限定的な例として、ディスプレイシステム29は、ユーザが自分の見ているAR特徴を現実世界の環境上にオーバーレイされたものとして知覚できるように、ユーザの片目又は両目に直接的又は間接的にAR特徴(例えば、光)を投影するように構成された1又は2以上のプロジェクタ37を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、1又は2以上のプロジェクタ37が、ユーザの目の虹彩及び/又は網膜上に直接AR画像をラスターする(raster)ように構成された仮想網膜ディスプレイとして動作することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム29が、他のいずれかの好適なホログラフィックディスプレイ又は透明発光ダイオード(LED)ディスプレイを含むことができる。例えば、ディスプレイシステム29は、ユーザから分離した(例えば、ユーザが装着できない)スタンドアロン型透明ディスプレイを含むことができる。
【0021】
いずれにせよ、上述したように、AR特徴の特定の特徴(例えば、陰影、彩色、反射)を現実世界の環境の過渡的環境条件(例えば、照明条件)と同期させることは困難と考えられる。実際に、開発者が遊園地、ホテル又はその他のエリアの様々な環境設定においてAR特徴の知覚されるリアリズムを評価することは面倒であり、或いは別様に時間の掛かることであると考えられる。従って、開発者は、コンピュータグラフィックス生成システム28が採用できるモデル化されたアルゴリズムを、特定の現実世界の環境内のAR特徴の外観(例えば、ユーザによって知覚されるリアリズム)を強化する形でAR特徴をレンダリングするように効果的に調整できない可能性がある。
【0022】
従って、本明細書で説明するARシステム10の実施形態は、様々なシミュレートされた現実世界の設定(例えば、テーマ)において様々な異なる環境条件(例えば、自然又は人工照明条件)にわたって開発者が特定のAR特徴の外観をテスト環境内で効率的に評価することを可能にするARライトボックスシステム38を含む。従って、開発者は、様々な設定におけるAR特徴の外観(例えば、知覚されるリアリズム)を素早く評価することができ、これによってAR特徴の開発、並びにAR特徴のレンダリング及び現実世界の環境ビュー上へのAR特徴のオーバーレイを制御するためにコンピュータグラフィックス生成システム28によって使用されるアルゴリズムの開発を容易にすることができる。ARライトボックスシステム38は、例えばコントローラ16又はコンピュータグラフィックス生成システム28などのARシステム10のいずれかの好適なコンポーネントに通信可能に結合することができ、これについては以下で詳細に説明する。
【0023】
図2は、ディスプレイシステム29に含めることができるヘッドマウントディスプレイ30の実施形態の図である。ヘッドマウントディスプレイ30は、遊園地のゲスト、遊園地の従業員又はARシステム10の開発者などのユーザ40が装着することができる。ヘッドマウントディスプレイ30は、遊園地設定で実装される場合には乗客乗り物(例えば、遊園地アトラクション)の乗り物車両に結合する(例えば、ケーブル又はワイヤを介して繋ぎ止める)ことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザ40(例えば、ゲスト)が遊園地設定内で使用するためにヘッドマウントディスプレイ30を購入し、又は別様にユーザ40に提供することができる。ヘッドマウントディスプレイ30は、電子メガネ42(例えば、ARメガネ、ゴーグル)と、電子メガネ42の少なくとも一部を収容するように構成された装着部分44とを含むことができる。ヘッドマウントディスプレイ30は、超現実環境32を作り出すように単独で又は他の機能と組み合わせて使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザ40が遊園地乗り物の継続時間全体を通じてヘッドマウントディスプレイ30を装着することができる。
【0024】
ヘッドマウントディスプレイ30は、プロセッサ46及びメモリ48(例えば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体)を含むことができる。プロセッサ46及びメモリ48は、ヘッドマウントディスプレイ30がディスプレイとして機能する(例えば、ヘッドマウントディスプレイ30を最終的に駆動する信号をコンピュータグラフィックス生成システム28から受け取る)のを可能にするように構成することができる。プロセッサ46は、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)デバイス、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の何らかの同様のプロセッサ構成とすることができる。
【0025】
ヘッドマウントディスプレイ30は、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、GPS受信機、動き追跡センサ、電磁式及び固体動き追跡センサ、慣性計測装置(IMU)、存在センサ又はその他のセンサなどの方位及び/又は位置センサを含むことができる追跡システム50を含むことができる。追跡システム50は、ユーザ40の位置、向き、焦点距離、注視方向、視野、動き、又はこれらのいずれかの組み合わせを示すリアルタイムデータを収集することができる。ヘッドマウントディスプレイ30は、追跡システム50を介して取り込まれたリアルタイムデータを処理のためにプロセッサ46及び/又はコンピュータグラフィックス生成システム28に送信できる(例えば、無線トランシーバを含む)通信インターフェイス52を含むことができる。通信インターフェイス52は、ヘッドマウントディスプレイ30がコンピュータグラフィックス生成システム28によって送信された表示信号を受け取ることを可能にすることもできる。
【0026】
いくつかの実施形態では、電子メガネ42が、それぞれがユーザ40のそれぞれの眼に対応する一対のディスプレイ60及び62を含むことができる。いくつかの実施形態では、一対のディスプレイ60、62の代わりに統合型ディスプレイを採用することもできる。ディスプレイ60、62の各々は、非限定的な例として、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、又はユーザ40が自身を取り巻く実際の物理的環境(例えば、現実世界の環境)の現実世界の画像66を見ることを可能にする他の同様のディスプレイ又は透明スクリーンを含むことができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ60、62の各々が、ユーザ40が物理的環境又は現実世界の環境内の実在するオブジェクト68(例えば、ベンチなどの物理的オブジェクト)を見ることを可能にする透明(例えば、シースルー)LEDディスプレイ、又は透明(例えば、シースルー)OLEDディスプレイを含むことができる。換言すれば、現実世界の画像66は、一般にユーザ40がヘッドマウントディスプレイ30を装着していない場合でも見えると思われるものを表す。
【0027】
電子メガネ42は、ユーザ40が見ている現実世界の画像66上にディスプレイ60、62が拡張現実画像70をオーバーレイすることを可能にする特徴(例えば、回路、発光体)を含むことができる。すなわち、いくつかの実施形態では、発光体がディスプレイ60、62上に1又は2以上の仮想特徴を投影することにより、ディスプレイ60、62から仮想特徴が反射してユーザ40の目に入るようにすることができる。従って、ヘッドマウントディスプレイ30は、表面上に特定の仮想特徴がオーバーレイされた実質的に透明な電子メガネセット42を通してユーザ40が物理的環境を見ることを可能にすることができる。従って、ユーザ40は、物理的環境に仮想特徴が組み込まれていると知覚することができる。このように、ユーザ40は、ヘッドマウントディスプレイ30を装着している時に完全に超現実環境32に包まれていると感じることができ、従って超現実環境32が特定の仮想特徴を含む現実世界の物理的環境であると知覚できるようになる。実際には、ヘッドマウントディスプレイ30は、超現実環境32が実際の物理的環境(例えば、現実世界の画像66)に拡張現実画像70をオーバーレイしたものであるようにユーザ40の視界を少なくとも部分的に制御することができる。
【0028】
例えば、ディスプレイ60、62は、現実世界のオブジェクト68(例えば、ベンチ)上に仮想オブジェクト72又は仮想特徴(例えば、幽霊)をオーバーレイすることにより、現実世界の環境内に仮想オブジェクト72が物理的に存在して現実世界のオブジェクト68と相互作用しているという錯覚を生み出すことができる(例えば、ヘッドマウントディスプレイ30は、幽霊がベンチに座っているという錯覚を生み出すことができる)。いくつかの実施形態では、拡張現実画像70が、現実世界のオブジェクト68をオーバーレイすることによって、現実世界のオブジェクト68が削除され又はもはや存在しないように見せる(例えば、現実世界のオブジェクト68が仮想オブジェクト72又は仮想環境表現で完全に又は部分的にオクルードされる)ように機能することもできる。
【0029】
上述したように、いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム29が、ヘッドマウントディスプレイ30の代わりに1又は2以上のプロジェクタ37を含むことができる。このような実施形態では、1又は2以上のプロジェクタ37を、(例えば、ユーザ40がディスプレイを介して物理的環境を見ることなく)ユーザ40の目に直接拡張現実画像70を投影して、ユーザ40が物理的環境の現実世界のオブジェクト68上にオーバーレイされた仮想オブジェクト72を知覚できるように構成することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム29が、ユーザ40から分離されて(例えば、ユーザ40によって装着されずに)物理的環境内に配置されたスタンドアロン型透明ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、又は他の同様のディスプレイ)を含むことができる。スタンドアロン型透明ディスプレイは、電子メガネ42に関して上述した技術と同様の形で現実世界の画像66上に拡張現実画像70をオーバーレイするように構成することができる。従って、ユーザ40は、スタンドアロン型透明ディスプレイを通して物理的環境を見た時に、拡張現実画像70がオーバーレイされた現実世界の画像66を見ることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、現実世界の環境が、現実世界の環境内に存在する物理的オブジェクトを照明できる様々な照明源80(例えば、入射太陽光、ユーザが操作する懐中電灯又はレーザーポインタ)を含むことができる。一例として、いくつかの実施形態では、遊園地アトラクションの一部としてユーザ40に照明装置82(例えば、懐中電灯、レーザーポインタ)を提供することができる。照明装置82は、ユーザ入力装置26、又はユーザ入力装置26の一部を含むことができる。ユーザ40は、照明装置82を使用して、ユーザ40を取り巻く特定の現実世界のオブジェクト68(例えば、ベンチ)を(例えば、遊園地アトラクションに関連するゲームの一部として)選択的に照明することができる。従って、ユーザ40は、自身が選択的に照明した現実世界の環境の部分を電子メガネ42を通して知覚することができる。ユーザ40が仮想オブジェクト72(例えば、幽霊)上及び/又はその方向にフラッシュライトを向けた場合には、照明装置82が仮想オブジェクト72を照らしているような錯覚を生じるように仮想オブジェクト72の外観(例えば、陰影効果、色、反射)を更新することが望ましいと考えられる。後述するように、ARライトボックスシステム38は、ARシステム10によって実装できるモデリングアルゴリズムをこのような照明入力に応答して開発者が効果的に更新、修正及び/又は別様に調整して仮想オブジェクト72の外観を調整し、これによって仮想オブジェクト72の知覚されるリアリズムを強化することを可能にする。実際に、このような仮想オブジェクトの外観の調整と現実世界の照明条件との間の同期は、仮想オブジェクト72が現実世界の環境内に物理的に存在しているという錯覚を強化することができる。
【0031】
以下の説明を容易にするために、図3は、ARライトボックスシステム38の実施形態の概略図である。上記で簡潔に説明したように、ARライトボックスシステム38は、様々な照明条件にさらされる現実世界の環境内に仮想オブジェクト72がレンダリングされた時の仮想オブジェクト72の知覚されるリアリズムを開発者が評価することを可能にする。具体的には、ARライトボックスシステム38は、仮想オブジェクト72を実装すべき遊園地乗り物又は別のアトラクションの継続時間全体を通じて発生すると予想される特定の現実世界の照明条件を再現するように構成されたテスト環境を提供することができる。従って、開発者は、コンピュータグラフィックス生成システム28がこのような照明条件において仮想オブジェクト72をリアルに見える形で提示するように適切に構成されているかどうかを評価することができる。実際に、ARライトボックスシステム38は、ARライトボックスシステム38のテスト環境においてシミュレートされる様々な照明条件での仮想オブジェクト72の評価及び検査時に、(例えば、コンピュータグラフィックス生成システム28を介して)仮想オブジェクト72を生成するために採用されるモデリングアルゴリズムを開発者が素早く修正、更新及び/又は調整することを可能にすることができる。従って、開発者は、様々な現実世界の環境内の仮想オブジェクト72をより良く提示(例えば、レンダリング)するように、及び/又は過渡的な照明条件に応答してこのような現実世界の環境内の仮想オブジェクト72の外観をより良く更新するようにコンピュータグラフィックス生成システム28のモデリングアルゴリズムを調整し、これによってこれらの環境内の仮想オブジェクト72の知覚されるリアリズムを強化することができる。さらに、ARライトボックスシステム38は、ARシステム10を実装すべき遊園地アトラクションでの経験的テストを伴わずに開発者がこのようなモデリングアルゴリズムの修正を引き出すことを可能にすることができる。
【0032】
例えば、図示の実施形態では、ARライトボックスシステム38が、1又は2以上の内壁94によって定められた背景幕92を有する物理的ステージ90(例えば、環境)を含む。従って、物理的ステージ90は、現実世界の環境内の物理的空間96を定める。明確にするために、物理的ステージ90は、物理的空間96又は物理的空間96の一部を定めるいずれかの好適なプラットフォーム、表面、壁、パネル、又はこれらの組み合わせを含むことができると理解されたい。後述するように、ディスプレイシステム29(例えば、ヘッドマウントディスプレイ30、1又は2以上のプロジェクタ37)は、仮想オブジェクト72を背景幕92上にオーバーレイして、ディスプレイシステム29を使用するユーザ40(例えば、開発者)が仮想オブジェクト72を物理的空間96内に位置するものとして知覚することを可能にするように構成することができる。ARライトボックスシステム38は、物理的ステージ90の特定の部分を照明するように個別に動作可能な1又は2以上の物理的ライト100を含む。具体的には、図示の実施形態では、ARライトボックスシステム38が、第1の物理的ライト102、第2の物理的ライト104及び第3の物理的ライト106を含む。明確にするために、本明細書で使用する「物理的ライト」は、現実世界の環境内に配置されて物理的ステージ90などの現実世界の環境内の現実世界のオブジェクトを照明するように構成された好適な照明装置を意味する。非限定的な例として、このような物理的ライトは、白熱電球、小型蛍光ランプ、ハロゲンランプ、ネオンランプ、発光ダイオード(LED)、懐中電灯(例えば、ユーザが操作可能な懐中電灯、及び/又は1又は2以上のアクチュエータを介して制御可能な懐中電灯)、又は他のいずれかの好適な照明装置を含むことができる。なお、物理的ライト100は、物理的ステージ90によって定められる物理的空間96内に配置することも、或いは物理的空間96の外部に配置することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、物理的ライト100を物理的ステージ90に隣接して配置して物理的空間96内及び背景幕92上に光を投影するように構成することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、背景幕92が、背景幕92上に表示された及び/又は背景幕92と一体化された様々なテーマ、デザイン及び/又はその他のグラフィックを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、アトラクション内で仮想オブジェクト72を提示する際に表示すべき特定の環境(例えば、宇宙テーマ、ジャングルテーマ)をシミュレートするように、背景幕92上に様々なグラフィックをペイント又は描画することができる。いくつかの実施形態では、背景幕92の表面上にグラフィックがオーバーレイされるように、投影システムを介して様々なグラフィックを背景幕92上に投影することができる。さらなる実施形態では、背景幕92の一部又は実質的に全部が、様々な静止画像又はビデオフィードを表示するように構成された1又は2以上のディスプレイを含むことができる。一例として、1又は2以上のディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、LEDディスプレイ、又は画像データを表示する他の好適なディスプレイを含むことができる。後述するように、背景幕92は、ユーザ40がヘッドマウントディスプレイ30を装着して本明細書で説明する技術に従ってARライトボックスシステム38を利用しながら部屋を横切る(例えば、歩く)ことができるように、部屋の1又は2以上の壁、床及び/又は天井を含むことができると理解されたい。
【0034】
いくつかの実施形態では、物理的ライト100のうちの1つ又は2つ以上を、特定の色(例えば、波長)の可視光を出力するように選択的に制御することができる。一例として、一定数/量の物理的ライト100は、背景幕92上に様々な色の光を選択的に投影するように動作できる制御可能なLEDを含むことができる。いくつかの実施形態では、物理的ライト100を、内部制御回路を介して光の強度(例えば、光度)を調整するように構成することができる。いくつかの実施形態では、物理的ライト100に含めることができる統合型制御回路に加えて又は代えて、1又は2以上の物理的な調整装置を使用して、物理的ライト100によって出力される光の色及び/又は光の強度を調整することもできる。例えば、物理的ライト100は、物理的ライト100によって出力される光の色を調整するために物理的ライト100の前に選択的に配置できるそれぞれの着色ゲルを伴うことができる。さらに、物理的ライト100は、物理的ライト100によって出力される光の強度を調整するように構成されたそれぞれのシャッターを伴うこともできる。
【0035】
いくつかの実施形態では、物理的ライト100の一部を、物理的ステージ90に対する物理的ライト100の向き及び/又は位置を調整するように動作可能なそれぞれのアクチュエータ108に結合することができる。例えば、アクチュエータ108は、物理的ライト100が物理的ステージ90の特定の部分に光を向ける角度を調整するように構成することができる。これに加えて又はこれに代えて、アクチュエータ108は、物理的ライト100と物理的ステージ90との間の分離距離を調整し、及び/又は物理的ステージ90に対して物理的ライト100を動かすこともできる。アクチュエータ108は、例えば線形アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、電気機械式アクチュエータ、又は他の好適なアクチュエータを含むことができる。従って、アクチュエータ108は、物理的ライト100のうちの1つ又は2つ以上に回転動作、線形動作及び/又はその他の動作を与えるように構成することができると理解されたい。
【0036】
物理的ライト100及びアクチュエータ108は、ライトコントローラ110又はARライトボックスシステム38の別の好適な制御装置に(例えば、有線又は無線通信コンポーネントを介して)通信可能に結合することができる。後述するように、ライトコントローラ110は、各物理的ライト100によって出力される光の強度及び/又は光の色を調整するように物理的ライト100に命令するよう構成することができる。さらに、ライトコントローラ110は、物理的ステージ90に対する物理的ライト100の向き及び/又は位置を調整するようにアクチュエータ108に命令するよう構成することができる。
【0037】
ライトコントローラ110は、ARライトボックスシステム38の様々なコンポーネントを制御するために使用できる、ARライトボックスシステム38のライトボックスコントローラ112に通信可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、ライトボックスコントローラ112がコンピュータグラフィックス生成システム28を含むことができ、或いはライトボックスコントローラ112をコンピュータグラフィックス生成システム28と一体化することができる。他の実施形態では、ライトボックスコントローラ112が、コンピュータグラフィックス生成システム28から分離されてコンピュータグラフィックス生成システム28との間で情報を送受信するように構成されたコントローラを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、コンピュータグラフィックス生成システム28が、ライトボックスコントローラ112がディスプレイシステム29を介して(例えば、ヘッドマウントディスプレイ30及び/又は1又は2以上のプロジェクタ37を介して)仮想特徴をレンダリングして表示することを可能にする命令(例えば、モデリングアルゴリズム)をライトボックスコントローラ112に与えることができる。なお、ライトコントローラ110及びライトボックスコントローラ112の各々は、これらが本明細書で説明する技術及びプロセスを実行することを可能にするそれぞれのプロセッサ114、116及びそれぞれのメモリ118、120(例えば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体)を含むことができると理解されたい。
【0038】
ライトボックスコントローラ112は、物理的ステージ90の仮想表現である仮想ステージ128を生成(例えば、レンダリング)するように構成することができる。仮想ステージ128は、物理的空間96のサイズ及び/又はスケールに一致するように構成された仮想空間130(例えば、ゲーム空間)を定めることができる。換言すれば、ライトボックスコントローラ112は、仮想ステージ128の相対的寸法が物理的ステージ90の相対的寸法に比例すること又は等しいことを保証することができる。いくつかの実施形態では、ライトボックスコントローラ112が仮想ステージ128をデジタル表現としてレンダリングせず、代わりに仮想ステージ128を利用して仮想空間130の外部寸法境界を定めることができる。仮想空間130は、それぞれが物理的ライト100のそれぞれの物理的ライトに関連する1又は2以上の仮想光132を含むことができる。具体的には、図示の実施形態では、仮想空間130が、第1の物理的ライト102、第2の物理的ライト104及び第3の物理的ライト106にそれぞれ関連する第1の仮想光134、第2の仮想光136及び第3の仮想光138を含む。明確にするために、本明細書で使用する「仮想光」は、仮想空間130内の仮想照明の表現を更新するように構成された光シミュレーションを意味することができる。なお、図示のARライトボックスシステム38の実施形態は3つの物理的ライト100及び3つの仮想光132を含むが、他の実施形態では、ARライトボックスシステム38がいずれかの好適な数量の物理的ライト100及び対応する仮想光132を含むことができると理解されたい。
【0039】
仮想空間130は、仮想オブジェクト72の表現140を含むことができる。表現140は、仮想オブジェクト72のモデル(例えば、デジタル表現)とすることができる。とりわけ、ライトボックスコントローラ112は、上述した技術に従ってディスプレイシステム29が好適な現実世界の環境上に仮想オブジェクト72をオーバーレイすることを可能にする入力としてディスプレイシステム29に表現140を提供するように構成することができる。換言すれば、いくつかの実施形態では、仮想オブジェクト72を、ライトボックスコントローラ112によって生成された表現140のレンダリングとすることができる。本明細書で詳述するように、ライトボックスコントローラ112は、物理的空間96の照明条件の変化及び仮想空間130の照明条件の変化に基づいて表現140の外観(例えば、着色、陰影)を更新するように構成することができる。この結果、表現140の外観の変化を仮想オブジェクト72の外観の変化として反映することができる(例えば、仮想オブジェクト72のレンダリングを表現140に従って更新することができる)。
【0040】
開発者は、特定の照明環境内の仮想オブジェクト72の外観を評価するために、ディスプレイシステム29を使用して背景幕92上に仮想オブジェクト72をオーバーレイするように入力装置144(例えば、ユーザ入力装置26)を介してライトボックスコントローラ112に命令することができる。物理的ライト100は、開発者によって指定された特定の現実世界の照明条件を物理的空間96内でシミュレートするように構成することができる。例えば、開発者は、特定の遊園地乗り物の継続時間全体を通じて発生すると予想される照明条件をシミュレートするように(例えば、ライトボックスコントローラ112に提供される入力を介して)物理的ライト100に命令することができる。各物理的ライト100は、その特定の物理的ライト100の現在の動作パラメータを示すフィードバックをライトコントローラ110に提供するように構成することができる。一例として、このような動作パラメータは、各物理的ライト100に関連する識別子(例えば、第1の物理的ライト102、第2の物理的ライト104及び第3の物理的ライト106を区別するために使用される識別コード)、各物理的ライト100によって出力される光強度、各物理的ライト100によって出力される光の色(例えば、色相)、物理的ステージ90に対する各物理的ライト100の位置、物理的ステージ90に対する各物理的ライトの向き、又はこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、物理的ライト100が、上述した動作パラメータのうちのいずれか1つ又は組み合わせを示すフィードバックをライトコントローラ110に提供するように構成されたセンサ(例えば、統合センサ)を含むことができる。これに加えて又はこれに代えて、物理的ライト100は、このような動作パラメータを示すフィードバックをライトコントローラ110に提供するように構成されたそれぞれのセンサ148(例えば、外部センサ)に関連することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、センサ148が、光学センサ(例えば、光強度センサ、波長検出器)、GPSセンサ、光電センサ、又はその他の好適なセンサを含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、物理的ライト100及び対応するアクチュエータ108の一部を、物理的ライト100の位置、向き、照明色相、照明強度及び/又はその他のパラメータを一時的に定める特定の照明シーケンス(例えば、所定の照明シーケンス)を実行するように構成することができる。照明シーケンスは、特定のオペレータ入力時(例えば、ユーザがライトボックスコントローラ112に結合されたユーザインターフェイスに入力を提供した時)及び/又はセンサフィードバック時(例えば、ユーザが物理的ステージ92に対して特定の場所に向かって移動した時)に開始することができる。物理的ライト100に関連する照明シーケンスは、例えばライトコントローラ110及び/又はライトボックスコントローラ112のそれぞれのメモリ118、120に記憶することができる。これに加えて又はこれに代えて、照明シーケンスは、物理的ライト100の関連するメモリ(例えば、統合メモリ)に記憶することもできる。いずれにせよ、特定の照明シーケンスの開始時には、物理的ライト100のうちの1つ又は2つ以上が、対応する照明シーケンスを実行中である物理的ライト100の現在の動作パラメータを示すフィードバックをライトボックスコントローラ112に提供することができる。すなわち、ライトボックスコントローラ112は、物理的ライト100の動作パラメータを示すフィードバックをセンサ148から受け取る代わりに、照明シーケンスを実行するように構成された物理的ライト100の対応するコントローラから物理的ライト100の現在の動作パラメータを示すフィードバックを直接受け取ることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、ARライトボックスシステム38が、物理的ステージ90を取り巻く周囲照明を示すフィードバック(例えば、周囲照明フィードバック)をライトコントローラ110に提供するように構成された1又は2以上の周囲照明センサ150を含むことができる。非限定的な例として、1又は2以上の周囲照明センサ150は、物理的ステージ90上に投影される自然太陽光、又は物理的ステージ90の上方に配置された追加照明装置から物理的ステージ90上に投影できる模擬太陽光を示すフィードバックをライトコントローラ110に提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、1又は2以上の周囲照明センサ150の一部を、物理的ステージ90に対する周囲照明センサ150の位置を調整するように構成された作動マニピュレータ(例えば、ロボットマニピュレータ)に結合することができる。従って、作動マニピュレータは、物理的ステージ90に沿った様々な場所の周囲照明状態を示すフィードバックを1又は2以上の周囲照明センサ150が取得することを可能にすることができる。作動マニピュレータは、ライトボックスコントローラ112に通信可能に結合することよって、ライトボックスコントローラ112が作動マニピュレータを介して1又は2以上の周囲照明センサ150の位置を調整する命令を送信することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム29を、作動マニピュレータにAR特徴をオーバーレイすることによって、ディスプレイシステム29を介して物理的ステージ90を見ている開発者(例えば、ユーザ40)に対して作動マニピュレータが削除され又はもはや存在しないように見せるように構成することができる(例えば、ディスプレイシステム29は、作動マニピュレータを仮想環境表現で完全に又は部分的にオクルードすることができる)。
【0043】
ライトコントローラ110は、物理的ライト100から受け取られたフィードバック、及び/又はセンサ148及び/又は周囲照明センサ150から受け取られたフィードバックを示す情報をライトボックスコントローラ112に提供することができる。なお、いくつかの実施形態では、物理的ライト100、センサ148及び/又は周囲照明センサ150が、このようなフィードバックを直接ライトボックスコントローラ112に提供することができると理解されたい。実際には、このような実施形態では、ARライトボックスシステム38からライトコントローラ110を省略することができる。いずれにせよ、ライトボックスコントローラ112は、物理的ライト100によって提供されたフィードバック、センサ148によって提供されたフィードバック及び/又は周囲照明センサ150によって提供されたフィードバックに基づいて仮想空間130内の仮想照明状態(例えば、仮想光132のそれぞれの状態)を更新することができる。例えば、ライトボックスコントローラ112は、物理的空間96内の対応する物理的ライト100の決定された位置及び/又は決定された向きに基づいて仮想空間130内の各仮想光132の位置及び/又は向きを更新することができる。とりわけ、ライトボックスコントローラ112は、仮想空間130に対する仮想光132の位置パラメータ(例えば、位置、向き)を物理的空間96に対する物理的ライト100の位置パラメータ(例えば、位置、向き)と一致するように調整することができる。さらに、ライトボックスコントローラ112は、物理的ライト100によって投影された光の現在の色及び/又は強度に基づいて、表現140上にレンダリングされる仮想照明の色及び/又は強度を更新することができる。
【0044】
非限定的な例として、ライトボックスコントローラ112は、第1の物理的ライト102の(例えば、物理的ステージ90に対する)位置、第1の物理的ライト102の(例えば、物理的ステージ90に対する)向き、第1の物理的ライト102によって出力される光の色相(例えば、色)、及び/又は第1の物理的ライト102によって出力される光の強度(例えば、発光強度)などの、第1の物理的ライト102の1又は複数の動作パラメータを示すフィードバックを第1の物理的ライト102から直接的又は間接的に受け取るように構成することができる。ライトボックスコントローラ112は、このようなフィードバックを受け取ると、第1の仮想光134の状態を第1の物理的ライト102の対応する1又は複数の動作パラメータに一致するように更新するよう構成することができる。すなわち、ライトボックスコントローラ112は、仮想空間130内の第1の仮想光134の(例えば、仮想ステージ128に対する)位置及び/又は向きを、物理的空間96内の第1の物理的ライト102の(例えば、物理的ステージ90に対する)現在の位置及び現在の向きと一致するように調整することができる。従って、ライトボックスコントローラ112は、物理的空間96内の第1の物理的ライト102の位置及び/又は向きに基づいて、表現140上に仮想光がレンダリングされる角度を調整することができる。また、ライトボックスコントローラ112は、第1の仮想光134によってレンダリングされる仮想光の色相及び強度を第1の物理的ライト102によって出力される光の色相及び強度と一致するように調整することもできる。従って、ライトボックスコントローラ112は、表現140上にレンダリングされる仮想光の色及び強度を第1の物理的ライト102によって出力される光の色及び強度に調整することができる。換言すれば、ライトボックスコントローラ112は、(例えば、第1の物理的ライト102の動作パラメータに基づいて)第1の仮想光134の状態を調整することによって仮想オブジェクト72の外観を調整(例えば、更新)することができる。
【0045】
ライトボックスコントローラ112は、上述した技術に従って、第2の物理的ライト104及び第3の物理的ライト106の照明出力に基づいて、第2の仮想光136及び第3の仮想光138によってレンダリングされる仮想光をそれぞれ調整することができる。すなわち、ライトボックスコントローラ112は、第2及び第3の物理的ライト104、106内の統合センサからのフィードバック、及び/又はセンサ148(例えば、第2及び第3の物理的ライト104、106の外部のセンサ)からのフィードバックに基づいて、第2及び第3の仮想光136、138によってレンダリングされる仮想光を調整することができる。このように、ライトボックスコントローラ112は、物理的ライト100の動作パラメータに基づいて、表現140のレンダリングされた外観(例えば、陰影、強調表示、彩色)を調整し、従って仮想オブジェクト72のレンダリングされた外観を調整することができる。実際に、ライトボックスコントローラ112は、物理的空間96内の物理的ライト100の動作パラメータ(例えば、位置、向き、色相、強度)の変化に応答して、上述した技術を実質的にリアルタイムで実行して仮想オブジェクト72の外観を調整することができる。これにより、ARライトボックスシステム38は、レンダリングされた仮想オブジェクト72の外観が物理的ライト100によって生成された照明条件と同等にリアルに見えるかどうかを開発者が評価することを可能にする。換言すれば、開発者は、コンピュータグラフィックス生成システム28が物理的ライト100によって出力される照明の変化に応答して仮想オブジェクト72の外観を適切に調整するかどうかを判定することができる。
【0046】
一例として、開発者は、1又は2以上の物理的ライト100が物理的ステージ90に対して移動した時、及び/又は異なる色相又は強度の光を出力するように命令された時に、ライトボックスコントローラ112が仮想オブジェクト72の陰影及び/又は影付けを空間的及び/又は時間的にリアルに調整するかどうかを判定することができる。実際には、開発者は、ARライトボックスシステム38を使用して、例えば特定の遊園地乗り物の継続時間全体を通じて発生し得る様々な現実世界の照明条件を(例えば、物理的ライト100を介して)シミュレートし、このような現実世界の照明条件の変化に応答して過渡的に調整される仮想オブジェクト72の外観のリアリズムを評価することができる。従って、開発者は、ARライトボックスシステム38を有するテスト環境内で、遊園地の特定の設定で仮想オブジェクトがどのように表示されるかを予測することができる。従って、ARライトボックスシステム38は、現在採用されているアルゴリズムによる仮想オブジェクト72の外観の調整がリアルでない又は不十分であるとの判定時に、仮想オブジェクト72の外観を更新するために使用されるアルゴリズムに開発者が調整を加えることを可能にすることができる。従って、ARライトボックスシステム38は、物理的ライト100によって出力された光が仮想オブジェクト72と相互作用している(例えば、反射している、色調又は陰影を変化させている)という錯覚をライトボックスコントローラ112及び/又はコンピュータグラフィックス生成システム28がより効果的に生成できるようにする形で開発者がライトボックスコントローラ112及び/又はコンピュータグラフィックス生成システム28のモデリングアルゴリズムをより良く調整することを可能にする。なお、ライトボックスコントローラ112は、第1、第2及び/又は第3の仮想光134、136、138のいずれかによってレンダリングされる光を、周囲照明センサ150によって提供される周囲照明フィードバックに基づいて調整することができると理解されたい。従って、ライトボックスコントローラ112は、物理的ステージ90の背景幕92を取り巻く周囲照明条件に基づいて仮想オブジェクト72の外観を調整することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、ARライトボックスシステム38を、物理的ライト100の動作パラメータに基づいて仮想光132の動作状態を調整することに加えて又は代えて、仮想光132の動作状態(例えば、仮想ステージ128に対する仮想光132の位置及び/又は向き、仮想光132によってレンダリングされる仮想光の色相及び/又は強度)に基づいて物理的ライト100の動作パラメータ(例えば、物理的ステージ90に対する物理的ライト100の位置及び/又は向き、物理的ライト100によって出力される光の色相及び/又は強度)を調整するように構成することもできる。例えば、開発者は、入力装置144を通じて与えられる命令を介して、ライトボックスコントローラ112に仮想光132の動作状態を調整するように命令することができる。具体的には、開発者は、入力装置144を使用して、第1の仮想光134の(例えば、仮想ステージ128に対する)位置を調整し、第1の仮想光134の(例えば、仮想ステージ128に対する)向きを調整し、第1の仮想光134によってレンダリングされる仮想光の色相(例えば、色)を調整し、及び/又は第1の仮想光134によってレンダリングされる仮想光の強度を調整することができる。このような命令は、遊園地アトラクションの一部として提示されるゲームなどの、コンピュータグラフィックス生成システム28によって生成されるゲーム中にユーザが提供できる可能性があるユーザ入力をシミュレートするために使用することができる。ライトボックスコントローラ112は、このような命令を受け取ると、上述した技術に従って表現140の外観及び仮想オブジェクト72の外観を調整することができる。ライトボックスコントローラ112は、仮想オブジェクト72の外観を調整することと実質的に連動して、物理的空間96内の(例えば、物理的ステージ90に対する)第1の物理的ライト102の位置及び/又は向きを、仮想空間130内の(例えば、仮想ステージ128に対する)第1の仮想光134の現在の位置及び向き(例えば、状態)と一致するように(例えば、対応するアクチュエータ108を介して)調整することができる。また、ライトボックスコントローラ112は、第1の物理的ライト102によって出力される光の色相及び/又は強度を、第1の仮想光134によってレンダリングされる仮想光の色相及び強度(例えば、状態)に一致するように調整することもできる。なお、ライトボックスコントローラ112は、これらの技術に従って、第2の仮想光136及び第3の仮想光138の状態に基づいて第2の物理的ライト104及び第3の物理的ライト106の動作パラメータをそれぞれ調整することができると理解されたい。
【0048】
従って、ライトボックスコントローラ112は、(例えば、仮想光132の操作によって定められる)仮想オブジェクト72の更新された外観に基づいて物理的ライト100の動作パラメータを調整することができる。ライトボックスコントローラ112は、仮想オブジェクト72の外観の指定された調整に合わせて物理的ライト100の動作パラメータ(例えば、位置、向き、色相、強度)を実質的にリアルタイムで調整することができ、これによって物理的ライト100が仮想オブジェクト72の調整された外観と同等に同期的かつリアルな形でその照明出力を調整するかどうかを開発者が評価することを可能にすることができる。従って、ARライトボックスシステム38は、現在採用されているアルゴリズムによる物理的ライト100の動作の調整が(例えば、仮想オブジェクト72の外観の調整に関連して)リアルではないとの判定時に、物理的ライト100の動作を制御するために使用されるアルゴリズムに開発者が調整を加えることを可能にすることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、ライトボックスコントローラ112を、1又は2以上の物理的ライト100故障状態の発生を判定するように構成することができる。例えば、ライトボックスコントローラ112は、1又は2以上の物理的ライト100が効果的に動作していないかどうか、又は(例えば、ライト内のフィラメントの故障によって)動作不能であるかどうかを判定することができる。ライトボックスコントローラ112は、このような故障状態を検出すると、開発者に物理的ライト100のうちの1つ又は2つ以上に対してメンテナンス(例えば、交換、修理)を行うように促す通知を(例えば、ヘッドマウントディスプレイ30などの好適なディスプレイ装置、可聴警告を介して)開発者に提供することができる。いくつかの実施形態では、各物理的ライト100に関連する識別子が、物理的ライト100のうちのどのライト(例えば、第1の物理的ライト102、第2の物理的ライト104、第3の物理的ライト106)に特に故障状態が発生しているかをライトボックスコントローラ112が開発者に知らせることを可能にすることができる。例えば、ライトボックスコントローラ112は、(例えば、故障状態の発生の検出に応答して)故障状態を示している特定の物理的ライトの位置を、識別子の表示を介して開発者に通知することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、ARライトボックスシステム38を、様々なテスト場所又は設定に容易に移動できるように構成されたポータブルキットとすることができる。例えば、物理的ステージ90は、机又はその他の好適な構造上に配置されるサイズとすることができる。ライトコントローラ110及びライトボックスコントローラ112は、ポータブルな構造内に収容して、物理的ライト100、センサ148、150、及び/又はアクチュエータ108などの物理的ステージ90のコンポーネントに通信可能に結合するように構成することもできる。いくつかの実施形態では、ライトコントローラ110、ライトボックスコントローラ112、及び/又はARライトボックスシステム38に含まれる他の機能を、物理的ステージ90の好適な部分内で統合することができる。なお、他の実施形態では、物理的ステージ90をいずれかの好適なサイズにスケール調整することができると理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、物理的ステージ90を、開発者が物理的ステージ90上に立って及び/又は物理的ステージ90を横切って移動して(例えば、物理的ステージ90に対する)様々な視点から仮想オブジェクト72を見ることを可能にするようなサイズとすることができる。さらに、物理的ステージ90上にいくつかの小道具(例えば、アニマトロニクスフィギュア、劇場用小道具、その他のオブジェクト)を配置して、開発者が物理的ステージ90上の小道具に関する仮想オブジェクト72の外観を評価できるようにすることもできる。いくつかの実施形態では、物理的ステージ90が、上述した物理的ステージ90の特徴(例えば、背景幕92、物理的ライト100、アクチュエータ108など)を有する部屋を含む。従って、ユーザ(例えば、開発者、遊園地アトラクションのゲスト)は、上述した技術に従ってARライトボックスシステム38を利用して、様々な現実世界の設定で仮想オブジェクトを見ることができる。
【0051】
上述したように、本開示の実施形態は、様々なシミュレートされた現実世界の設定で様々な異なる照明条件にわたってAR特徴の外観を評価するのに有用な1又は2以上の技術的効果を提供することができる。とりわけ、本明細書で説明したARライトボックスシステムは、現実世界の環境を土台としているように見えるAR特徴を開発者又はその他のユーザがより効果的に開発して、このようなAR特徴を現実世界の環境上にオーバーレイするために使用されるアルゴリズムを開発することを可能にすることができる。なお、本明細書における技術的効果及び技術的課題は一例であり、限定的なものではないと理解されたい。実際に、本明細書で説明した実施形態は他の技術的効果を奏することもでき、他の技術的課題を解決することもできる。
【0052】
本開示で説明した実施形態は様々な修正及び代替形態が可能であるが、図面には特定の実施形態を一例として示し、本明細書ではこれらについて詳細に説明した。しかしながら、本開示は、開示した特定の形態に限定されるように意図したものではないと理解されたい。本開示は、以下の添付の特許請求の範囲によって定められる本開示の趣旨及び範囲内にある全ての修正物、同等物及び代替物を対象とする。
【0053】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のもの又は純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むいずれかの請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0054】
10 ARシステム
29 ディスプレイシステム
30 ヘッドマウントディスプレイ(HMD)
32 超現実環境
37 プロジェクタ
38 ARライトボックス
40 ユーザ
42 電子メガネ
44 装着部分
46 プロセッサ
48 メモリ
50 追跡システム
52 通信
60 ディスプレイ
62 ディスプレイ
66 現実世界の画像
68 実在するオブジェクト
70 拡張現実画像
72 仮想オブジェクト
80 照明源
82 照明装置
図1
図2
図3
【国際調査報告】