(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】腕時計または時計
(51)【国際特許分類】
G04B 5/18 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
G04B5/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021576557
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(85)【翻訳文提出日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 NL2020050428
(87)【国際公開番号】W WO2021002745
(87)【国際公開日】2021-01-07
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520294217
【氏名又は名称】フレクシャス メカニズムス イー ペー ベー. ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴエーケ、シブレン レナード
(72)【発明者】
【氏名】ルスティフ、マールテン ピーター
(57)【要約】
輪体(2)と、輪体(2)を駆動する質量体(3)とを備える腕時計または時計(1)である。質量体(3)は、この質量体(3)を移動式の質量体(3)の状態にするための外力を受けることができる。質量体(3)は、フレーム(4)と、質量体(2)をフレーム(3)から懸下する少なくとも第1の弾性ビーム(6)とを備えたシステムの一部である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪体(2)と、輪体(2)を駆動する質量体(3)とを備え、質量体(3)は、この質量体(3)を移動式の質量体(3)の状態にするための外力を受けることができ、質量体(3)は、フレーム(4)と、第1の弾性ビーム(6)および第2の弾性ビーム(7)とを備えるシステムの一部であり、第1の弾性ビーム(6)および第2の弾性ビーム(7)はともに正の剛性を備え、質量体(3)は、前記第1の弾性ビーム(6)および前記第2の弾性ビーム(7)を介してフレーム(3)から吊り下げられることにより、フレーム(4)から吊り下げられた状態で前後方向の運動を行うことができ、前記前後方向の運動が回転式の前後方向の運動であることを特徴とする腕時計または時計。
【請求項2】
質量体(3)は、この質量体(3)が吊り下げられているフレーム(4)の中心(11)とは異なる回転中心(10)を有することを特徴とする請求項1記載の腕時計または時計。
【請求項3】
輪体(2)は、ラチェット式の輪体であって、移動式の質量体(3)に接続される中間たわみ体(8、9)を使用して駆動されるものであることを特徴とする請求項1または2記載の腕時計または時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪体と、この輪体を直接的または間接的に駆動する質量体とを備えた、腕時計または時計に関する。前記の質量体は、この質量体を移動式の質量体の状態にするための外力を受けることが可能なものである。
【背景技術】
【0002】
機械式腕時計は、手首の運動エネルギが利用され、この運動エネルギが、ラチェット車と歯車を介して、バレルスプリング(主スプリング)に伝達されて、時計を巻く。バレルスプリングに蓄えられたエネルギは、伝動歯車を介して脱進機に伝えられ、時計の振動子を前進させ、歯車列を介して時計の針を進める。
【0003】
イギリス特許第766295号明細書(特許文献1)は、輪体と、この輪体を駆動する質量体とを備えた腕時計または時計を開示する。質量体は、外力を受けて移動式の質量体の状態となる。質量体は、フレームと、第1の弾性ビームと、第2の弾性ビームとを備えたシステムの一部を構成する。第1の弾性ビームおよび第2の弾性ビームは、ともに、正の剛性をもつ。質量体は、第1の弾性ビームおよび第2の弾性ビームを介してフレームから懸下されている。これによって、フレームから懸下されている間に、質量体は前後運動を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、外部からエネルギを得るために適切な、機械的でかつ改良された手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明の腕時計または時計は、添付のうちの1つまたは複数の請求項の特徴を有する。
【0007】
本発明の第1の態様では、往復運動は、回転的な往復運動である。
【0008】
質量体の回転中心が、この質量体が吊り下げられているフレームについての中心(時計の中心と一致する)と異なる中心であることで、質量体の振動しやすさが促進される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】腕時計または時計の輪郭を模式的に示す図である。
【
図2】本発明におけるエネルギ取得部の基本的な構造を示す図である。
【
図3】質量体が左に移動したときの
図2のエネルギ取得部の様子を示す図である。
【
図4】質量体が右に移動したときの
図2のエネルギ取得部の様子を示す図である。
【
図5】本発明の腕時計または時計の顕著な特徴についての基本的な構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の特許請求の範囲を限定するものではないところの、本発明のエネルギ取得部の例示的な実施形態に係る図面を参照しながら、本発明をさらに説明する。
【0011】
図中、同じ参照数字が付されている場合、これらの数字は同じ部材を指す。
【0012】
まず、
図2を参照すると、本発明の腕時計または時計に含まれる質量体3が示されている。この質量体3は、この質量体3を移動式の質量体の状態にするための外力を受けることが可能である。この目的のために、質量体3は、フレーム4と、質量体3をフレーム4から吊り下げるための少なくとも第1の弾性ビーム6および第2の弾性ビーム7とを備えたシステムの一部である。第1の弾性ビーム6および第2の弾性ビーム7は、ともに正の剛性を有する。質量体3は、第1の弾性ビーム6および第2の弾性ビーム7を介してフレーム4から吊り下げられる。質量体3は、フレーム4から吊り下げられた状態で、回転的な往復運動を行うことができる。
図3は質量体3が
図1の中立位置から左側に移動した状態を示し、
図4は質量体3が
図1の中立位置から右側に移動した状態を示す。
【0013】
図5は、輪体2(好ましくはラチェットホイール)と、輪体2を駆動する質量体3とを備えた、本発明の時計1の内部の特徴を再び示す。質量体3は、この質量体3を移動させるところの、特に前後に振動させるところの、外力を受けることが可能である。質量体3は、フレーム4と、質量体3をフレーム4から吊り下げる少なくとも第1の弾性ビーム6とを備えたシステムの一部である。図示の実施の形態では、第1の弾性ビーム6だけでなく、第2の弾性ビーム7もフレーム4から質量体3を吊り下げるために使用されているが、これはオプションである。少なくとも1つの弾性ビームが質量体3をフレーム4から吊り下げれば、十分である。
【0014】
図示のように二つの弾性ビーム6、7を用いてフレーム4から質量体3を吊り下げる場合に、第1の弾性ビーム6と第2の弾性ビーム7とがともに正の剛性を有することが好ましく、また質量体3が第1の弾性ビーム6と第2の弾性ビーム7とを介してフレーム4から吊り下げられ、質量体3がフレーム4から吊り下げられた状態で回転的な往復運動ができるようにされていることが好ましい。
【0015】
質量体3は、この質量体3が吊り下げられているフレーム4の中心11とは異なる回転中心10を有することがさらに好ましい。これにより、質量体3がその回転中心10のまわりに振動しやすくなることが促進される。
【0016】
図5に示すように、(ラチェット式の)輪体2は、移動式の質量体3に接続された中間たわみ体8、9を用いて駆動される。図示の実施形態では、移動式の質量体3がその中立位置から左側に偏向されると、たわみ体9の動作によって輪体2が時計方向に回転されることになる。同様に、たわみ体8の動作により、移動式の質量体3が右側への偏向位置から中立位置に向かって移動されると、輪体2が時計方向に回転される。
【0017】
本発明は、本発明の腕時計または時計の例示的な実施形態を参照して、前述のように議論されてきた。しかし、本発明は、この特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明から逸脱することなく多くの方法で変化させることができる。したがって、上で説明した例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲を、同実施形態に厳密に従って解釈するために使用されるべきものではない。それどころか、この実施形態は、単に添付の請求項の文言を説明するためのものであり、請求項をこの例示的な実施形態に限定する意図はない。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲のみに従って解釈されるものとし、特許請求の範囲の文言における起こり得る曖昧さが、この例示的な実施形態を使用して解決されるものとする。
【国際調査報告】