(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】熱可塑性繊維強化プラスチック製のロッドエンド
(51)【国際特許分類】
F16C 23/04 20060101AFI20220831BHJP
B29C 70/68 20060101ALI20220831BHJP
F16C 17/10 20060101ALI20220831BHJP
F16C 33/12 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
F16C23/04 E
B29C70/68
F16C17/10 B
F16C33/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576559
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 US2020038945
(87)【国際公開番号】W WO2020263743
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】102019004341.3
(32)【優先日】2019-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508135080
【氏名又は名称】アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】フンク,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】シンメルプフェニヒ,フォルカー
【テーマコード(参考)】
3J011
3J012
4F205
【Fターム(参考)】
3J011AA20
3J011BA10
3J011DA01
3J011KA08
3J011LA08
3J011MA12
3J011PA10
3J011QA20
3J011SA02
3J011SA03
3J011SA05
3J011SA06
3J011SC03
3J011SC20
3J012AB01
3J012BB03
3J012DB02
3J012FB04
3J012GB10
3J012HB01
4F205AA11
4F205AA13
4F205AA29
4F205AA32
4F205AA34
4F205AB25
4F205AD03
4F205AD16
4F205AG03
4F205AH14
4F205HA12
4F205HA27
4F205HA34
4F205HA36
4F205HB01
4F205HB12
4F205HK04
4F205HT16
(57)【要約】
本発明は、ベアリング(4)の周りを通る構成要素のループによってロッドエンド(1)の高い機械的負荷能力を実現するものであり、構成要素は、熱可塑性マトリックスを有する連続繊維強化複合材(3)で作製することができ、熱可塑性マトリックスを有する連続繊維強化複合材は、ロッドエンドのねじ山付きステム(2)の中に延びることができ、熱可塑性マトリックスを有する連続繊維強化複合材で作製された構成要素は、短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)によって囲まれ得る。ねじ山付きステムは、雄ねじまたは雌ねじを用いて実装することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベアリングを備えるロッドエンドであって、前記ベアリングは、前記ベアリングの周りでループの形態で少なくとも部分的に延びる繊維強化プラスチックを含む構成要素によって少なくとも部分的に囲まれる、ロッドエンド。
【請求項2】
請求項1に記載のロッドエンドにおいて、前記繊維強化プラスチックは、連続繊維強化熱可塑性物質である、ロッドエンド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロッドエンドにおいて、前記ベアリングおよび/または前記構成要素は、プラスチックによって少なくとも部分的に囲まれる、ロッドエンド。
【請求項4】
請求項3に記載のロッドエンドにおいて、前記プラスチックは、短繊維強化熱可塑性物質、長繊維強化熱可塑性物質、または非強化熱可塑性物質である、ロッドエンド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記ベアリングの周りでループを形成する前記繊維強化プラスチックは、ねじ山付きステムの中に少なくとも部分的に延びる、ロッドエンド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記構成要素は、単方向の連続繊維強化熱可塑性物質を含む、ロッドエンド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記構成要素は、連続繊維強化熱可塑性物質の多層を含む、ロッドエンド。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記ベアリングは、連続繊維強化熱可塑性物質によって1回または複数回完全に囲まれる、ロッドエンド。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記構成要素は、ねじ山付きステム内で延び、前記ねじ山付きステムのねじ山外形に適合する、ロッドエンド。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記構成要素は、囲む短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質に接続される、ロッドエンド。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記ベアリングは、短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質によって半径方向および軸方向に取り囲まれる、ロッドエンド。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記ベアリングは、金属材料、プラスチック材料、繊維材料、またはそれらの組合せを含む、ロッドエンド。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記構成要素は、炭素繊維、バサルト繊維、アラミド繊維、プラスチック繊維、綿繊維、金属繊維、ガラス繊維、およびそれらの組合せからなる群から選択される1種類または複数種類の繊維を含む、ロッドエンド。
【請求項14】
請求項13に記載のロッドエンドにおいて、前記プラスチック繊維は、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ロッドエンド。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記構成要素は、少なくとも30%の繊維混入率を有する熱可塑性材料に含浸された1種類または複数種類の繊維を含む、ロッドエンド。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、雌ねじを有する接続ロッドにある取付け要素であるロッドエンド。
【請求項17】
請求項16に記載のロッドエンドにおいて、ねじ山付きステムを含み、止めワッシャおよび止めナットによって前記接続ロッドに固定されるロッドエンド。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、クレビスの形態であるロッドエンド。
【請求項19】
請求項1から17のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、スイベルヘッドの形態であるロッドエンド。
【請求項20】
請求項1から19のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記ループは、前記ベアリングを複数回完全に取り囲み、熱可塑性物質は、前記ベアリングを前記ベアリングの側面に軸方向にさらに固定する、ロッドエンド。
【請求項21】
請求項20に記載のロッドエンドにおいて、前記熱可塑性物質は、短繊維強化熱可塑性物質、長繊維強化熱可塑性物質、および非強化熱可塑性物質からなる群から選択される、ロッドエンド。
【請求項22】
請求項1から21のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記繊維強化プラスチックのプラスチックは、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、プライエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ロッドエンド。
【請求項23】
請求項4から22のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記短繊維強化熱可塑性物質、長繊維強化熱可塑性物質、または非強化熱可塑性物質の前記プラスチックは、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、プライエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ロッドエンド。
【請求項24】
請求項4から23のいずれかに記載のロッドエンドにおいて、前記短繊維強化熱可塑性物質および/または長繊維強化熱可塑性物質における1種類または複数種類の繊維は、炭素繊維、バサルト繊維、アラミド繊維、プラスチック繊維、綿繊維、金属繊維、ガラス繊維、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ロッドエンド。
【請求項25】
請求項24に記載のロッドエンドにおいて、前記プラスチック繊維は、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ロッドエンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条の下、2019年6月23日に出願したドイツ出願第102019004341.3号の優先権の利益を主張する。前述の出願は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、ベアリングの周りで少なくとも部分的に延びる熱可塑性繊維強化プラスチック製のロッドエンドに関する。
【背景技術】
【0003】
繊維強化プラスチックは、繊維状物質がプラスチックに組み込まれる繊維強化材料である。それらは、例えば、比較的低い重量に対して高い剛性および強度を含む特性によって区別される。
【0004】
航空宇宙技術において、他の工学分野においてほとんどないように、軽量設計が顕著に重要である。したがって、革新的な軽量設計の概念が、多くの航空宇宙構成要素の競争力にとって特に重大である。
【0005】
例えば旅客機および貨物機において、ロッドエンドは、鉄鋼、アルミニウム、およびチタンなどの金属材料で主に作製される。繊維強化プラスチック、特にガラス繊維および炭素繊維強化プラスチックの使用は、飛行機における多数のそのようなロッドエンドによりかなり大きい重量および/またはコストの節減を実現することを可能にする。
【0006】
プラスチック製のロッドエンドは、先行技術によりすでに知られている。
【0007】
DE1,995,788Uは、単一形ブッシングおよびねじ山付きステムを有するロッドエンドであって、単一形ブッシングおよびねじ山付きステムの上端が射出成形プロセスにおいて単一部品として製造されたプラスチック本体によって取り囲まれているロッドエンドを開示する。
【0008】
ベアリングソケットおよびベアリング本体が、両方ともプラスチックで作製され、その実施形態のうちの1つではモールドオンねじ山付きステムを有する、球形のプレーンベアリングが、DE19615872A1により知られている。
【0009】
プラスチック製の知られているロッドエンドは、金属ロッドエンドと比較してかなり大きい重量節減をもたらす。これらの設計の欠点は、プラスチックおよび短繊維強化プラスチックが比較的低強度であり、そのため比較的小さい負荷しかプラスチック製のロッドエンドで伝達することができないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、金属の解決策と比較して低重量であり、同時に、高い機械的負荷を伝達することができ、経済的に製造することもできるロッドエンドを開発することに関する課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ベアリングを備えるロッドエンドに関し、このベアリングは、ベアリングの周りでループの形態で少なくとも部分的に延びる繊維強化プラスチックを含む構成要素によって少なくとも部分的に囲まれる。
【0012】
ある特定の実施形態では、繊維強化プラスチックは、連続繊維強化熱可塑性物質である。
【0013】
他の実施形態では、ベアリングおよび/または構成要素は、プラスチックによって少なくとも部分的に囲まれる。さらなる実施形態では、プラスチックは、短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質である熱可塑性物質である。
【0014】
ある特定の実施形態では、ベアリングの周りでループを形成する繊維強化プラスチックは、ねじ山付きステムの中に少なくとも部分的に延びる。
【0015】
いくつかの実施形態では、構成要素は、単方向の連続繊維強化熱可塑性物質を含む。
【0016】
他の実施形態では、構成要素は、連続繊維強化熱可塑性物質の多層を含む。ある特定の実施形態では、ベアリングは、連続繊維強化熱可塑性物質によって1回または複数回完全に囲まれる。
【0017】
他の実施形態では、構成要素は、ねじ山付きステム内で延び、ねじ山付きステムのねじ山外形に適合する。
【0018】
さらに他の実施形態では、構成要素は、囲む短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質に接続される。いくつかの実施形態では、ベアリングは、短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質によって半径方向および軸方向に取り囲まれる。
【0019】
ある特定の他の実施形態では、ベアリングは、金属材料、プラスチック材料、繊維材料、またはそれらの組合せを含む。
【0020】
ある特定の実施形態では、構成要素は、炭素繊維、バサルト繊維、アラミド繊維、プラスチック繊維、綿繊維、金属繊維、ガラス繊維、およびそれらの組合せから選択される1種類または複数種類の繊維を含む。さらなる実施形態では、プラスチック繊維は、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、およびそれらの組合せから選択される。さらに他の実施形態では、構成要素の繊維は、少なくとも30%の繊維混入率を有する熱可塑性材料に含浸される。
【0021】
ある特定の実施形態では、ロッドエンドは、雌ねじを有する接続ロッドにある取付け要素である。さらなる実施形態では、ロッドエンドは、ねじ山付きステムを含み、ロッドエンドは、止めワッシャおよびナットによって接続ロッドに固定される。
【0022】
他の実施形態では、ロッドエンドは、クレビスの形態である。さらに他の実施形態では、ロッドエンドは、スイベルヘッドの形態である。
【0023】
いくつかの実施形態では、ループは、ベアリングを複数回完全に取り囲み、熱可塑性物質は、ベアリングをベアリングの側面に軸方向にさらに固定する。ある特定の実施形態では、熱可塑性物質は、短繊維強化熱可塑性物質、長繊維強化熱可塑性物質、または非強化熱可塑性物質である。
【0024】
ある特定の実施形態では、繊維強化プラスチックのプラスチックは、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、プライエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびそれらの組合せから選択される。
【0025】
他の実施形態では、短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質のプラスチックは、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、プライエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびそれらの組合せから選択される。
【0026】
ある特定の実施形態では、短繊維強化熱可塑性物質および/または長繊維強化熱可塑性物質の繊維は、炭素繊維、バサルト繊維、アラミド繊維、プラスチック繊維、綿繊維、金属繊維、ガラス繊維、およびそれらの組合せから選択される。さらなる実施形態では、プラスチック繊維は、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、およびそれらの組合せから選択される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】ねじ山付きステム(2)を有し、ベアリング(4)を部分的に取り囲むループの形態の熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材、および短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)を備える本発明によるロッドエンド(1)の側断面図である。熱可塑性物質(5)は、ねじ山付きステム(2)に入る繊維強化熱可塑性物質(3)のループを完全に取り囲む。短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)は、ロッドエンド(1)の外側輪郭を定める。この図では、熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材は、4つの層で実施される。
【
図2】ねじ山付きステム(2)を有し、ベアリング(4)を複数回完全に取り囲むループの形態の熱可塑性マトリックスを有する連続繊維強化複合材(3)、および短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)を備える本発明によるロッドエンド(1)の側断面図である。熱可塑性物質(5)は、ねじ山付きステム(2)に入る繊維強化熱可塑性物質(3)のループを完全に取り囲む。短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)は、ロッドエンド(1)の外側輪郭を定める。
【
図3】ねじ山付きステム(2)を有し、ベアリング(4)を複数回完全に取り囲むループの形態の熱可塑性マトリックスを有する連続繊維強化複合材(3)、およびベアリング(4)をその側面に軸方向にやはり固定する短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)を備える。熱可塑性物質(5)は、ねじ山付きステム(2)に入る繊維強化熱可塑性物質(3)のループを完全に取り囲む。短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)は、ロッドエンド(1)の外側輪郭を定める本発明によるロッドエンド(1)の側断面図である。
【
図4】ねじ山付きステム(2)およびベアリング(4)を備える本発明によるロッドエンド(1)の側面図を示す。
【
図5】ねじ山付きステム(2)を有し、ベアリング(4)を取り囲むループの形態の熱可塑性マトリックスを有する連続繊維強化複合材(3)、および雌ねじ(7)を有する接続ロッドの中に構築され、止めワッシャ(9)および止めナット(8)によって固定される短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)を備える本発明によるロッドエンド(1)の側断面図である。熱可塑性物質(5)は、ねじ山付きステム(2)に入る繊維強化熱可塑性物質(3)のループ完全に取り囲む。短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)は、ロッドエンド(1)の外側輪郭を定める。
【
図6】短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)で作製される本発明によるねじ山外形(6)、および熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材がねじ山側面に沿って延びる熱可塑性マトリックスを有する連続繊維強化複合材(3)の断面図を示す。
【
図7】
図7は、ベアリング(4)およびねじ山付きステム(2)、ならびに破線で示されたループの形態の熱可塑性マトリックス(3)を有する内部の連続繊維強化複合材、および短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)を備えるクレビスの形態の本発明によるロッドエンド(1)の側断面図を示す。熱可塑性物質(5)は、ねじ山付きステム(2)に入る繊維強化熱可塑性物質(3)のループを完全に取り囲む。短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)は、ロッドエンド(1)の外側輪郭を定める。この図では、熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材は、3層で実施される。
【
図8】90°だけ回転された
図7のロッドエンド(1)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示において、用語「備えている」および「備える」は、「含んでいる」および「含む」を意味することができ、または米国特許法において用語「備えている」および「備える」に一般に与えられる意味を有することができる。用語「から本質的になっている」または「から本質的になる」は、特許請求の範囲に使用される場合、米国特許法においてそれに説明される意味を有する。本発明の他の態様は、以下の開示において説明され、または以下の開示から明らかである(および本発明の範囲内にある)。
【0029】
本発明は、金属ロッドエンドと比較して低重量であり、一方、従前のプラスチックロッドエンドとは異なり高い機械的負荷を伝達することもできるとともに、経済的に製造することもできるロッドエンドを提供することによって先行技術の課題を解決する。
【0030】
ある特定の実施形態では、本発明によるロッドエンドは、例えば航空分野における応用向けの、様々な接続ロッドに張力および圧縮力を導入するための取付け要素であり得る。
【0031】
本発明によるロッドエンドは、多くの他の応用、特に、張力および圧縮力の伝達、案内および機械的取付け、および様々な支持用接続またはブレースに適している。
【0032】
従来のロッドエンドは、金属またはプラスチックから製造することができるが、これらは、それぞれ、重量が重くまたは高い機械的負荷を伝達することができないなどの欠点を有する。一態様では、本発明は、例えば、航空宇宙分野および航空分野において使用されるように、金属ロッドエンドと比較して低重量であり、従来のプラスチックロッドエンドとは異なり高い機械的負荷を伝達することできる能力を有するロッドエンドを提供する。
【0033】
ある特定の実施形態では、本発明は、球形のプレーンベアリングまたはブッシングの周りを通るとともに繊維強化プラスチックで作製されるループによってロッドエンドの高い機械的負荷能力を実現する。ある特定の実施形態では、繊維強化プラスチックは、熱可塑性マトリックスを有する単方向の連続繊維強化複合材などの熱可塑性マトリックスを有する連続繊維強化複合材である。80%を超える繊維含有量が本発明のロッドエンドの繊維強化プラスチック構成要素の長手方向に広がる繊維強化プラスチックは、本明細書中で単方向の繊維強化プラスチックと呼ばれる。連続繊維は、例えば、本発明のロッドエンドのねじ山付きステムから始まり、ロッドエンド内でベアリングまたはブッシングの周りを巻き、そしてロッドエンドのステムで末端をなす単一の繊維または繊維の束であり得る。連続繊維は、チョップ繊維、またはブロークンストレッチ炭素繊維などの不連続繊維とは対照的である。
【0034】
本発明は、熱可塑性マトリックスを有する連続繊維強化複合材などの繊維強化プラスチックを含む構成要素をさらに関する。ある特定の実施形態では、繊維強化プラスチックにおける1種類または複数種類の繊維は、熱可塑性材料などのプラスチック材料に含浸された炭素繊維、バサルト繊維、アラミド繊維、プラスチック繊維、綿繊維、金属繊維、ガラス繊維、および/またはそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、繊維強化プラスチックは、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、または少なくとも90%の繊維混入率を有する熱可塑性材料などのプラスチック材料に含浸された繊維で作製される。
【0035】
ある特定の実施形態では、熱可塑性マトリックスを有する連続繊維強化複合材などの繊維強化プラスチックを含む構成要素は、本発明のロッドエンドのねじ山付きステムの中に延びる。ねじ山付きステムは、雄ねじまたは雌ねじを用いて実装され得る。全ての知られているタイプの雌ねじおよび雄ねじが、同様に使用することができる特殊ねじ山の形態を含めて使用することができる。一例として、丸ねじ、台形ねじ、のこ歯ねじ、および三角ねじは、使用され得る知られているねじ山タイプである。雄ねじは、外面、例えば、ロッドエンドのステムの外面に存在するものである。逆に、雌ねじは、内部、例えば、ロッドエンドのステムの内部に存在するものである。
【0036】
ある特定のさらなる実施形態では、熱可塑性物質などの短繊維強化、長繊維強化、または非強化プラスチックは、ねじ山付きステムに入る繊維強化プラスチックのループを完全にまたは部分的に取り囲み、ロッドエンドの外側輪郭を完全にまたは部分的に定める。
【0037】
いくつかの実施形態では、繊維強化プラスチックのループは、熱可塑性マトリックスを有し、その手段によって繊維強化プラスチックは、短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質との一体接続を形成することができる。
【0038】
本発明のロッドエンドに使用するためにベアリング、繊維強化プラスチック、および/または短繊維強化プラスチック、長繊維強化プラスチック、もしくは非強化プラスチックを作製する任意の適した方法が用いられ得る。
【0039】
同様に、任意の適した方法は、本発明のロッドエンド内でベアリング、繊維強化プラスチック、または短繊維強化、長繊維強化、もしくは非強化プラスチックのうちの1つまたは複数の間の一体接続を作り出すために使用され得る。ある特定の実施形態では、非限定の例によって、本発明のロッドエンドに繊維強化プラスチック構成要素およびベアリングを配置する一体接続を作製する方法が、射出成形によって、繊維強化プラスチックおよびベアリングが互いに対して正確に配置されるようにされ得る。他の実施形態では、同様に、射出成形の使用は、繊維強化プラスチック構成要素および取り囲む熱可塑性物質が互いに対して正確に配置されるように、本発明のロッドエンド内に繊維強化プラスチック構成要素と短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質との間の一体接続を作り出すために用いられ得る。
【0040】
繊維強化プラスチック構成要素に使用され得るプラスチックの例は、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、プライエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびそれらの組合せを含む。
【0041】
繊維強化プラスチック構成要素に使用され得る繊維の例は、炭素繊維、バサルト繊維、アラミド繊維、プラスチック繊維(ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維などを含む)、綿繊維、金属繊維、ガラス繊維、およびそれらの組合せを含む。
【0042】
短繊維強化、長繊維強化、および/または非強化プラスチックに使用され得るプラスチックの例は、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、プライエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびそれらの組合せを含む。
【0043】
短繊維強化または長繊維強化プラスチックに使用され得る繊維の例は、炭素繊維、バサルト繊維、アラミド繊維、プラスチック繊維(ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維などを含む)、綿繊維、金属繊維、ガラス繊維、およびそれらの組合せを含む。本発明による短繊維強化プラスチックに使用するための短繊維は、典型的には、長さが0.1mmから1mmの範囲である。本発明による長繊維強化プラスチックに使用するための長繊維は、典型的には、長さが1mmから50mmの範囲である。
【0044】
短または長繊維強化プラスチックの繊維は、単方向および/またはランダムな方向を含む任意の適した方向に向けられてもよい。
【0045】
本発明のロッドエンドにおける熱可塑性マトリックスを有する連続繊維強化複合材などの繊維強化プラスチックの含有量を増加させるために、繊維強化プラスチックは、多層としてロッドエンドに実施されてもよい。多層は、全て、同じであってよく、異なっていてもよく、または同じおよび異なる繊維強化材料の様々な組合せを有してもよい。一例示的実施形態では、1つの層が、多方向の連続繊維強化熱可塑性物質であってもよく、一方、2つのさらなる層は、単方向の連続繊維強化熱可塑性物質である。
【0046】
いくつかの実施形態では、張力および圧縮力によりよく対応するために、さらに、単方向の繊維強化プラスチックなどの繊維強化プラスチックが、本発明に従って球形のプレーンベアリングまたはブッシングを1回または複数回完全に取り囲むことができる。
【0047】
ある特定の実施形態では、本発明は、ピンを収容するための1つまたは複数の穴を含む。さらに、関節要素、ブッシング、または球形のプレーンベアリングの球形のプレーンベアリング、ブッシング、および外リングは、本明細書でベアリングとも呼ばれる。概して、ベアリングは、互いに対して移動する1つまたは複数の構成要素を支持することができる。
【0048】
ある特定の実施形態では、ベアリングは、金属材料、プラスチック材料、繊維複合材料、またはそれらの組合せを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、本発明は、ベアリングの周りを少なくとも部分的にループの形態で延び、繊維強化プラスチックもねじ山付きステムの中に延びる、熱可塑性マトリックスを有する連続繊維強化複合材などの繊維強化プラスチックによってロッドエンドの高い機械的負荷能力を実現する。
【0050】
「ループの形態で」は、160°を超える巻き角で熱可塑性マトリックスを有する連続繊維強化複合材などの繊維強化プラスチックによるベアリングの取り囲みおよび包み込みを意味する。ある特定の実施形態では、巻き角は、180°を超える。
【0051】
ある特定の実施形態では、ねじ山付きステム内の繊維強化プラスチックは、ねじ山付きステムの離脱に対してロッドエンドを強化する。加えて、さらなる実施形態では、連続繊維などの繊維のコースは、例えば、
図6におけるようにねじ山に繊維によって投じられる形状でねじ山付きステムの表面近くでねじ山外形に適合し、ねじ山から剪断するのに対してねじ山付きステムを強化する。例えば、ある特定の実施形態では、繊維は、ねじ山付きステムの表面の近くでねじ山外形に適合する連続繊維である。
図6は、連続繊維がねじ山付きステム形状のねじ山に適合していることを示す。ねじ山付きステムの表面近くの外形に連続繊維を適合させることによって、ねじ山付きステムは、ねじ山から剪断するのに対して強められる。
【0052】
軸方向に作用する力に対応するために、球形のプレーンベアリングまたはブッシングなどのベアリングは、このベアリング、例えば、球形のプレーンベアリングまたはブッシングに導入される1つまたは複数の側面または輪郭にわたって短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質によるポジティブロック方式で部分的または完全に固定することもできる。
【0053】
概して、ロッドエンドは、非常に多種多様なサイズでおよび大量に使用される。本発明のある特定の実施形態では、本発明のロッドエンドは、クレビスまたはスイベルヘッドの形態にある。
【0054】
図1は、本発明によるロッドエンド(1)の側断面図を示す。
図1は、ベアリング(4)を有するねじ山付きステム(2)を示す。ねじ山付きステム(2)は、ベアリング(4)に隣接している。ステム(2)の中心軸は、ベアリング(4)の中心に交わる。熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化材が、ステム(2)の中に延びる。また、
図1は、ループの形態の熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材を示す。熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材は、ベアリング(4)を部分的に取り囲むループである。しかしながら、ベアリング(4)は、残りの「空いた空間」が短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)によって満たされるので露出されていない。熱可塑性物質(5)は、ステム(2)に入る繊維強化熱可塑性物質(3)も取り囲み、ロッドエンド(1)の外側輪郭を形成する。この図では、熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材は、4つの層で実施される。
【0055】
図2は、ねじ山付きステム(2)を有し、ループの形態の熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材を備える本発明によるロッドエンド(1)の側断面断面図を示す。ここで、ループは、ベアリング(4)を複数回完全に取り囲む。ステム(2)の中に入る繊維強化熱可塑性マトリックス(3)を取り囲み、ロッドエンド(1)の外側輪郭を形成する短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)が存在する。ベアリング(4)は、熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材によって完全に取り囲まれる。
【0056】
図3は、ねじ山付きステム(2)を有し、ループの形態の熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材を含む本発明によるロッドエンド(1)の断面図を示す。連続繊維強化熱可塑性物質(3)は、ベアリング(4)を複数回完全に取り囲む。
図3は、ベアリング(4)をベアリング(4)の側面に軸方向にやはり固定する短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)をさらに示す。
【0057】
図4は、ベアリング(4)およびねじ山付きステム(2)を有する本発明によるロッドエンド(1)の外側の側面図を示す。ロッドエンド(1)の表面上の材料は、短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)で作製される。
図4は、当業者によって理解されるような技術図面のために示されるものとしてねじ山付きステム(2)のねじ山をさらに示す。
【0058】
図5は、ねじ山付きステム(2)を有し、ループの形態の熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材、ならびに雌ねじ(7)を有する接続ロッドの中に構築され、止めワッシャ(9)および止めナット(8)によって固定される短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)を備える本発明によるロッドエンド(1)の側断面図を示す。
【0059】
図6は、短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)で作製された本発明によるねじ山外形(6)、および熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材の断面図を示す。
図6は、熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材がねじ山側面に沿って延びる場合を示す。
【0060】
図7は、クレビスの形態にあり、ベアリング(4)およびねじ山付きステム(2)を備える本発明によるロッドエンド(1)の側断面図を示す。ループの形態の熱可塑性マトリックス(3)を有する内部の連続繊維強化複合材、および短繊維強化、長繊維強化、または非強化熱可塑性物質(5)が破線で示されている。この例示では、熱可塑性マトリックス(3)を有する連続繊維強化複合材は、3層で実施される。
【0061】
図8は、90°だけ回転された
図7のロッドエンドの断面図を示す。
【0062】
上述したものに対する変更は、当業者に明らかであるが、本発明の範囲を超えて本発明にそのような変更をもたすものではない。下記特許請求の範囲は、そのような状況を含むものと解釈されるべきである。
【国際調査報告】