(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】触媒物品および触媒物品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B01J 23/89 20060101AFI20220831BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20220831BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20220831BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20220831BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20220831BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B01J23/89 A
B01J37/04 102
B01J37/08 ZAB
B01J37/02 301C
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/28 301A
F01N3/28 301Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576718
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 US2020039103
(87)【国際公開番号】W WO2020263806
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】スン,シヤン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,シヤオライ
(72)【発明者】
【氏名】ヴュノフ,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】チー,チュンシン
(72)【発明者】
【氏名】デュンブヤ,カリファラ
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本出願で請求される発明は、触媒物品および排気ガス処理システムを提供する。触媒物品は、セリア含有金属酸化物成分を含む第1の担体上に担持された白金と、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される第2の担体上に担持されたロジウムと、基材と、を含み、該触媒物品は、パラジウムを本質的に含まない。本出願で請求される発明はまた、触媒物品を調製するためのプロセス、ならびに炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための触媒物品および排気ガス処理システムの使用も提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セリア含有金属酸化物成分を含む第1の担体上に担持された白金と、
耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される第2の担体上に担持されたロジウムと、
基材と、を含む、触媒物品であって、
前記触媒物品が、パラジウムを本質的に含まない、触媒物品。
【請求項2】
前記第1の担体が、耐火性アルミナ成分をさらに含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項3】
前記セリア含有金属酸化物成分が、セリア-アルミナ、セリア-イットリウム-アルミナ、セリア-シリカ-アルミナ、セリア-スズ-アルミナ、セリア-マンガンアルミナ、セリア-鉄-アルミナ、セリア-ニッケル-アルミナ、セリア-イリジウム-アルミナ、セリア-ルテニウム-アルミナ、セリア-インジウム-アルミナ、セリア-チタニア-アルミナセリア-チタニア、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項4】
前記セリア含有金属酸化物成分が、セリア-アルミナまたはセリア-イットリウム-アルミナを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項5】
前記セリア含有金属酸化物成分が、セリア-アルミナを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項6】
前記セリア含有金属酸化物成分が、セリア-ジルコニアを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項7】
前記第2の担体が、耐火性アルミナ成分と酸素貯蔵成分との組み合わせである、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項8】
前記触媒物品が、単層の触媒物品であり、950℃超のエージング温度で水熱安定性を呈する、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項9】
前記触媒物品が、第1の層と、第2の層と、基材と、を含む二層物品であり、前記第1の層が、セリア含有金属酸化物成分および耐火性アルミナ成分上に担持された白金を含み、前記基材上に堆積されており、前記第2の層が、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される担体上に担持されたロジウムを含み、前記第1の層上に堆積されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項10】
前記触媒物品が、第1の層と、第2の層と、基材と、を含む、二層物品であり、前記第1の層が、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される担体上に担持されたロジウムを含み、前記基材上に堆積されており、前記第2の層が、セリア含有金属酸化物成分および耐火性アルミナ成分上に担持された白金を含み、前記第1の層上に堆積されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項11】
白金の量が、前記第1の担体の総重量に基づいて、0.1~10.0重量%の範囲にあり、ロジウムの量が、前記第2の担体の総重量に基づいて、0.1~10.0重量%の範囲にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項12】
前記セリア含有金属酸化物成分のセリア含有量が、前記セリア含有金属酸化物成分の総重量に基づいて、1.0~80重量%の範囲にある、請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項13】
前記セリア含有金属酸化物成分のセリア含有量が、前記セリア含有成分の総重量に基づいて、5.0~50重量%の範囲にある、請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項14】
前記セリア含有金属酸化物成分のセリア含有量が、前記セリア含有成分の総重量に基づいて、5.0~30重量%の範囲にある、請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項15】
前記耐火性アルミナ成分が、アルミナ、ランタナ-アルミナ、セリア-アルミナ、チタニア-アルミナ、セリア-ジルコニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミア-アルミナ、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項16】
前記酸素貯蔵成分が、セリア-ジルコニア、セリア-ジルコニア-ランタナ、セリア-ジルコニア-イットリア、セリア-ジルコニア-ランタナ-イットリア、セリア-ジルコニア-ネオジミア、セリア-ジルコニア-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア-プラセオジミア、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項17】
前記酸素貯蔵成分が、前記酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5.0~100重量%の量のセリアを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項18】
前記触媒物品に、前記セリア含有金属酸化物成分上に担持された1.0~300g/ft
3の白金、および耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの任意の組み合わせから選択される担体上に担持された1.0~100g/ft
3のロジウムが充填されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項19】
白金が、熱的または化学的に固定されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項20】
パラジウムの量が、前記触媒物品中の前記担体の総重量に基づいて、0.001%未満である、請求項1~19のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項21】
前記基材が、セラミック基材、金属基材、セラミックフォーム基材、ポリマーフォーム基材、および織物繊維基材から選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項22】
前記触媒物品が、酸化バリウムを本質的に含まない、請求項1~21のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の触媒物品を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、セリア含有金属酸化物成分および任意選択的に耐火性アルミナ成分を含む第1の担体上に担持された白金と、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される第2の担体上に担持されたロジウムと、を含むスラリーを調製することと、基材上に前記スラリーを堆積させて、触媒物品を得て、続いて、400~700℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、前記スラリーを調製するステップが、インシピエントウェットネス含浸、インシピエントウェットネス共含浸、および後添加から選択される技術を含む、プロセス。
【請求項24】
請求項1~22のいずれか一項に記載の触媒物品を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、セリア含有金属酸化物成分および任意選択的に耐火性アルミナ成分を含む第1の担体上に担持された白金を含む第1層スラリーと、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される第2の担体上に担持されたロジウムを含む第2層スラリーと、を調製することと、基材上に前記第1層スラリーを堆積させて、第1の層を得、前記第1の層上に前記第2層スラリーを堆積させて、第2の層を得て、続いて、400~700℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、前記スラリーを調製するステップが、インシピエントウェットネス含浸、インシピエントウェットネス共含浸、および後添加から選択される技術を含む、プロセス。
【請求項25】
内燃機関用の排気ガス処理システムであって、前記システムが、請求項1~22のいずれか一項に記載の触媒物品を含む、排気ガス処理システム。
【請求項26】
前記システムが、白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品と、請求項1~22のいずれか一項に記載の触媒物品と、を備え、前記白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品が、内燃機関の下流に位置しており、前記触媒物品が、前記白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流に位置している、請求項25に記載の排気ガス処理システム。
【請求項27】
前記システムが、白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品と、請求項1~22のいずれか一項に記載の触媒物品と、を備え、前記触媒物品が、内燃機関の下流に位置しており、前記白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品が、前記三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流に位置している、請求項25に記載の排気ガス処理システム。
【請求項28】
炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法であって、前記排気流を、請求項1~22のいずれか一項に記載の触媒物品または請求項25~27のいずれか一項に記載の排気ガス処理システムと接触させることを含む、方法。
【請求項29】
ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減する方法であって、前記ガス状排気流を、請求項1~22のいずれか一項に記載の触媒物品または請求項25~27のいずれか一項に記載の排気ガス処理システムと接触させて、前記排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む、方法。
【請求項30】
炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の触媒物品または請求項25~27のいずれか一項に記載の排気ガス処理システムの、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月27日に出願された米国仮出願第62/867351号および2019年7月12日に出願された欧州出願第19185912.3号に対する優先権の利益をその全体について主張するものである。
【0002】
本出願で請求される発明は、排気ガスを処理してその中に含有される汚染物質を低減するのに有用な触媒物品に関する。特に、本出願で請求される発明は、白金系触媒物品、触媒物品を調製する方法、および排出制御触媒としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
三元変換(TWC)触媒(以下、三元変換触媒、三元触媒、TWC触媒、およびTWCと互換的に呼ぶ)は、内燃機関からの排気ガス流の処理に数年間利用されてきた。一般に、炭化水素、窒素酸化物、および一酸化炭素等の汚染物質を含有する排気ガスを処理または精製するために、三元変換触媒を含有する触媒コンバータが内燃機関の排気ガスラインに使用される。三元変換触媒は、典型的には、未燃の炭化水素および一酸化炭素を酸化し、窒素酸化物を還元することが知られている。
【0004】
典型的には、ガソリン車用途の排気ガス処理システムでは、二触媒モノリスシステムが使用される。フロントブリックである密結合触媒(CC1)は、主にコールドスタートおよび高速走行の排出物を取り扱うために、PGM充填量がより高くなっている。第2のブリックであるクリーンアップ触媒(CC2)は、加速、上り坂などの走行負荷によって生じる追加の排出物を取り扱うために、PGM充填量がより低くなっている。現在、排出物処理システムには、パラジウムがより少量のロジウムとともに主要な白金族金属成分として使用されるPd/Rhテクノロジーが専ら用いられている。
【0005】
排気ガス汚染物質の量を低減するのに役立つ触媒コンバータの製造に大量のパラジウムが使用されるため、今後数年間で市場においてパラジウムの供給不足が発生する可能性がある。現在、パラジウムは白金よりもかなり高価である。同時に、白金需要の減少により、白金価格は下落すると予想される。理由のうちの1つは、ディーゼル車の生産量が減少していることであり得る。
【0006】
したがって、触媒のコストを大幅に削減するために、TWC触媒中のパラジウムの一部を白金で置き換える必要がある。白金は、ディーゼル燃料車の排出物制御用のディーゼル酸化触媒(DOC)およびリーンNOxトラップ(LNT)で広く使用されているが、ガソリン燃料車におけるその使用は限定されている。パラジウムの一部を白金で置き換えるという提案されたアプローチは、触媒の所望の有効性を維持または改善する必要性によって複雑になり、パラジウムの一部を白金で単純に置き換えることによっては可能ではないだろう。先行技術はまた、パラジウムが白金よりも優れていることが見出されていると述べており、この差は、高速走行または広い変動振幅などのより応力の大きな条件でより高いように思われる。その理由のうちの1つは、白金がパラジウムと比較して安定性が低く、担体が異なればPdまたはPtに対して異なる結合エネルギーが提供されることである。白金は、長時間の高温エージング条件下で焼結する傾向にある。さらに、車両の保証期間がより長くなり、例えば、100,000マイル/10年から150,000マイル/15年になった。そのため、OEMは、より厳しいエージングプロトコルを使用することが義務付けられている(すなわち、OEMおよび車両に応じて、エージング温度を、ピーク温度850℃から、950、1050、1000、および1050℃に増加)。従来の耐火性アルミナ上に堆積された白金粒子は、確立されているオスワルド熟成メカニズムを介してサブミクロンサイズに成長し得ることがよく知られている。したがって、適切な担体材料を使用して白金を安定化させることに関するさらなる研究が必要である。したがって、本出願で請求される発明の目的は、パラジウムを本質的に含まず、かつ950℃超のエージング温度で高温水熱安定性を呈し、かつ自動車の排出物の制御においてパラジウム-ロジウム系触媒と比較して同等のまたは改善された有効性を有する、白金-ロジウム系触媒を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の実施形態の理解を提供するために、添付図面が参照され、これらは、必ずしも縮尺どおりに描かれておらず、参照番号は、本発明の例示的な実施形態の成分を指す。図面は、単なる例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本出願で請求される本発明の上および他の特色、それらの性質、ならびに様々な利点は、添付されている図面と併せて以下の詳細な説明を考慮すると、より明らかになるであろう。
【
図1】本出願で請求される発明の一実施形態による例示的な構成における触媒物品設計の概略図である。
【
図2】本発明の触媒および参照触媒のTHC、NO、およびCOの変換の比較試験結果を示すグラフである。
【
図3A】セリア-アルミナ上に担持されたPt触媒およびセリア-ジルコニア上に担持されたPt触媒のNO変換の比較を例示する。
【
図3B】セリア-アルミナ上に担持されたPt触媒およびセリア-ジルコニア上に担持されたPt触媒のHCライトオフの比較を例示する。
【
図4A】セリア-アルミナ上に担持されたPt触媒およびセリア-ジルコニア上に担持されたPt触媒のλスイープNO変換の比較を例示する。
【
図4B】セリア-アルミナ上に担持されたPt触媒およびセリア-ジルコニア上に担持されたPt触媒のλスイープHC変換の比較を例示する。
【
図5A.5B.5C】セリア-アルミナ上に担持されたPt触媒およびアルミナ上に担持されたPt触媒の安定性の比較研究を例示する。
【
図6A】本出願で請求される発明の一実施形態による触媒組成物を含み得るハニカム型基材担体の斜視図である。
【
図6B】
図6Aと比較して拡大され、かつ
図6Aの基材担体の端面に平行な平面に沿って取った部分断面図であり、
図6Aに示される複数のガス流路の拡大図を示す。
【
図7】
図6A内のハニカム型基材が、ウォールフローフィルタ基材モノリスを表現する、
図6Aに対して拡大された区分の切断図である。
【発明の概要】
【0008】
本出願で請求される発明によると、セリア含有金属酸化物成分を含む第1の担体上に担持された白金と、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される第2の担体上に担持されたロジウムと、基材と、を含む、触媒物品であって、該触媒物品が、パラジウムを本質的に含まない、触媒物品が提供される。
【0009】
本出願で請求される発明の別の態様によると、本出願で請求される発明による触媒物品を調製するプロセスであって、該プロセスが、セリア含有金属酸化物成分を含む第1の担体上に担持された白金と、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される第2の担体上に担持されたロジウムと、を含むスラリーを調製することと、基材上にスラリーを堆積させて、触媒物品を得て、続いて、400~700℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、スラリーを調製するステップが、インシピエントウェットネス含浸、インシピエントウェットネス共含浸、および後添加から選択される技術を含む、プロセスが提供される。
【0010】
本出願で請求される発明の別の態様によると、内燃機関用の排気ガス処理システムであって、該システムが本出願で請求される発明による触媒物品を備える、排気ガス処理システムが提供される。
【0011】
本出願で請求される発明の別の態様によると、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法であって、排気流を、本出願で請求される発明による触媒物品と接触させることを含む、方法が提供される。
【0012】
本出願で請求される発明の別の態様によると、ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減する方法であって、ガス状排気流を、本出願で請求される発明による触媒物品または本出願で請求される発明による排気ガス処理システムと接触させて、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む、方法が提供される。
【0013】
本出願で請求される発明の別の態様によると、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための、本出願で請求される発明による触媒物品または本出願で請求される発明による排気ガス処理システムの使用が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これより、以下で本出願で請求される発明をより十分に説明する。本出願で請求される発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本出願で請求される発明が十分かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。本明細書中のいかなる言葉も、請求されていない要素を、開示された材料および方法の実施に必須であることを示すものと解釈されるべきではない。
【0015】
本明細書に考察される材料および方法を説明する文脈(特に以下の請求項の文脈)における「a」、「an」、「the」という用語、および同様の指示語の使用は、本明細書で別途指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。
【0016】
本明細書全体を通して使用される「約」という用語は、小さな変動を説明し、釈明するために使用される。例えば、「約」という用語は、±5%以下、例えば、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.2%以下、±0.1%以下、または±0.05%以下を指す。すべての数値は、明示的に示されているか否かに関わらず、「約」という用語によって修飾される。もちろん、「約」という用語によって修飾される値には、特定の値が含まれる。例えば、「約5.0」には、5.0が含まれる必要がある。
【0017】
本明細書に記載されているすべての方法は、本明細書で別途指示がない限り、またはそうでなければ文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意およびすべての例または例示的言語(例えば、「など」)の使用は、材料および方法をよりよく説明することのみを意図したものであり、別途請求されない限り、範囲を限定するものではない。
【0018】
本発明は、大量の白金がパラジウムを全体的に置換するために使用され得る、2つの白金族金属(PGM)を含む二金属触媒物品を提供する。
【0019】
白金族金属(PGM)は、PGM(Ru、Rh、Os、Ir、Pd、Pt、および/またはAu)を含む任意の成分を指す。例えば、PGMは、原子価がゼロの金属形態であってもよいか、またはPGMは、酸化物形態であってもよい。「PGM成分」についての言及は、任意の価電子状態でのPGMの存在を考慮に入れている。「白金(Pt)成分」、「ロジウム(Rh)成分」、「パラジウム(Pd)成分」、「イリジウム(Ir)成分」、「ルテニウム(Ru)成分」などの用語は、触媒の焼成または使用時に分解するか、さもなければ触媒活性形態、通常は金属または金属酸化物に変換する、それぞれの白金族金属化合物、錯体などを指す。
【0020】
「触媒」、「触媒物品(catalytic article)」、または「触媒物品(catalyst article)」という用語は、基材が、所望の反応を促進するために使用される触媒組成物でコーティングされた成分を指す。一実施形態では、触媒物品は、層状触媒物品である。層状触媒物品という用語は、基材が、PGM組成物で層状にコーティングされた触媒物品を指す。これらの組成物は、ウォッシュコートと称され得る。
【0021】
「NOx」という用語は、NO、N2O、および/またはNO2などの窒素酸化物化合物を指す。
【0022】
本出願で請求される発明は、全体的な触媒性能に影響を与えることなく、従来のパラジウム-ロジウム触媒におけるパラジウムを白金で置き換える問題に対処しており、パラジウムを本質的に含まない、白金を安定化させるための最適化された担体を含む白金-ロジウム系触媒を提供する。したがって、触媒は、950℃超のエージング温度で高温水熱安定性を有する。白金焼結の問題は、アルミナ上にドープされている場合、セリアを担体として使用することによって解決することができる。白金は、単分子層を形成し得、多くの場合、PtO-CeO2の強い相互作用を理由に、セリア表面上で部分的または完全に酸化される。しかしながら、バルクセリア自体は、高温エージングの後に焼結し得る。したがって、本発明は、前述の問題に対処し、TWC触媒用の白金担体としてのセリア-アルミナ複合材料を提供する。白金は、セリア-アルミナ複合材料上に選択的に堆積され、それによって、最適な三元触媒性能が提供され、白金が他の触媒成分に移動することが防止される。PGM成分は、ガソリンエンジンにおける高温エージング後に三元変換触媒作用のために白金を最適に利用すべく、異なる担体上に割り当てられている。
【0023】
したがって、本出願で請求される発明は、セリア含有金属酸化物成分を含む第1の担体上に担持された白金と、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される第2の担体上に担持されたロジウムと、基材と、を含む、触媒物品であって、該触媒物品が、パラジウムを本質的に含まない、触媒物品を提供する。本明細書で使用される場合、「パラジウムを本質的に含まない」という用語は、触媒物品中に外部からパラジウムが添加されないことを指すが、パラジウムは、任意選択的に<0.1重量%の量などの端数として存在していてもよい。一実施形態では、第1の担体は、耐火性アルミナ成分をさらに含む。一実施形態では、触媒物品は、セリア含有金属酸化物成分および耐火性アルミナ成分を含む第1の担体上に担持された白金と、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される第2の担体上に担持されたロジウムと、基材と、を含み、該触媒物品は、パラジウムを本質的に含まない。一実施形態では、ここで特許請求されている触媒物品は、950℃超のエージング温度で高温水熱安定性を呈する。安定性の研究の結果を
図5に記載する。
【0024】
実施形態では、白金の量は、第1の担体の総重量に基づいて、0.1~10.0重量%の範囲にあり、ロジウムの量は、第2の担体の総重量に基づいて、0.1~10.0重量%の範囲にある。一実施形態では、第1の担体は、安定化されたアルミナを含む。一実施形態では、安定化されたアルミナを製作するために使用される安定剤としては、ランタナ、バリウム、ストロンチウムなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。別の実施形態では、耐火性金属酸化物担体は、ランタン-ジルコニウム、ジルコニウム、アルミナ-ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化イットリウム、およびそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0025】
一実施形態では、セリア含有金属酸化物成分は、白金の担体として使用され、これは、セリア-アルミナ、セリア-イットリウム-アルミナ、セリア-シリカ-アルミナ、セリア-スズ-アルミナ、セリア-マンガンアルミナ、セリア-鉄-アルミナ、セリア-ニッケル-アルミナ、セリア-イリジウム-アルミナ、セリア-ルテニウム-アルミナ、セリア-インジウム-アルミナ、セリア-チタニア-アルミナセリア-チタニア、またはそれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態では、セリア含有金属酸化物成分は、セリア-ジルコニアを含む。
【0026】
一実施形態では、セリア含有金属酸化物成分は、セリア-アルミナまたはセリア-イットリウム-アルミナを含む。好ましい一実施形態では、セリア含有金属酸化物成分は、セリア-アルミナを含む。一実施形態では、セリア含有金属酸化物成分のセリア含有量は、セリア含有金属酸化物成分の総重量に基づいて、1.0~80重量%の範囲にある。一実施形態では、セリア含有金属酸化物成分のセリア含有量は、セリア含有成分の総重量に基づいて、5.0~50重量%の範囲にある。一実施形態では、セリア含有金属酸化物成分のセリア含有量は、セリア含有成分の総重量に基づいて、5.0~30重量%の範囲にある。
【0027】
一実施形態では、酸素貯蔵化合物は、動作環境における酸素の分圧に応じて酸素を貯蔵および放出することによってその原子価を変化させる材料である。ガソリン車の場合、排気ガス処理システムにおける環境は、絶えず変化しており、1に相当するラムダ値を中心に変動している。ラムダ値は、COおよびHCの含有量の組み合わせに対する酸素含有量の比率によって定義され、ラムダセンサによって測定される。最新のガソリン車の構成では、2つのラムダセンサが使用されている。1つはTWC触媒の前に位置しており、もう1つは後ろに位置している。TWCの前にあるセンサによって検出されたラムダ値が1より大きい場合、これは、エンジンが、シリンダーチャンバ内のCOおよびHCの燃焼に必要であるよりも多くの酸素で動作していることを示し、このことは、CO/HC排出量の削減に良好である。TWCの前にあるセンサによって検出されたラムダ値が1未満である場合、これは、エンジンが、シリンダーチャンバ内のCOおよびHCの燃焼に必要であるよりも不十分な量の酸素で動作していることを意味し、このことは、NOx排出量の削減に良好である。全体的なCO/HC/NOx排出量のバランスを取るために、最新の車両は、約1の厳密なラムダ変動下で動作している。しかしながら、ラムダ値に大きな変動を引き起こし、触媒性能の低下をもたらす実際の走行条件で生じる加速およびストップゴーのシナリオに対応するには、そのような極端な走行条件中のラムダ変動を最小限に抑えるための酸素貯蔵化合物が必要である。セリアは、その良好な酸素貯蔵能力でよく知られているが、熱安定性は劣っている。現代の車両には、顧客に長期保証を提供するために、良好な長期耐久性を有する触媒が必要とされている。したがって、最新のTWC触媒のための高温エージング耐久性(>950℃)がOEMから求められている。この目的のために、これらの要件を満たす手段として、ジルコニウムで安定化されたセリアが導入された。
【0028】
「酸素貯蔵成分とは、酸素貯蔵能力を呈するものであり、多くの場合、多価酸化状態を有し、酸素が減少した環境で酸素を積極的に放出することができ、かつ酸素が豊富な環境で再酸化(酸素を回復)することができる実体である。好適な酸素貯蔵成分の例としては、セリアおよびプラセオジミア、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、OSCは、他の金属酸化物と組み合わせたセリアおよび/またはプラセオジミアを含む混合金属酸化物複合材料である。そのような混合金属酸化物に含めることができるある特定の金属酸化物は、酸化ジルコニウム(ZrO2)、チタニア(TiO2)、イットリア(Y2O3)、ネオジミア(Nd2O3)、ランタナ(La2O3)、またはそれらの混合物である。例えば、「セリア-ジルコニア複合材料」とは、セリアおよびジルコニアを含む複合材料を意味する。いくつかの実施形態では、混合金属酸化物複合材料中のセリア含有量は、混合金属酸化物複合材料全体の約25重量%~約95重量%の範囲にある。
【0030】
いくつかの実施形態では、OSC中のセリアまたはプラセオジミア総含有量は、混合金属酸化物複合材料全体の約5重量%~約99.9重量%、好ましくは約5重量%~約70重量%、さらにより好ましくは約10重量%~約50重量%の範囲にある。
【0031】
一実施形態では、第2の担体は、耐火性アルミナ成分と酸素貯蔵成分との組み合わせである。一実施形態では、耐火性アルミナ成分は、アルミナ、ランタナ-アルミナ、セリア-アルミナ、チタニア-アルミナ、セリア-ジルコニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミア-アルミナ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。一実施形態では、酸素貯蔵成分は、セリア-ジルコニア、セリア-ジルコニア-ランタナ、セリア-ジルコニア-イットリア、セリア-ジルコニア-ランタナ-イットリア、セリア-ジルコニア-ネオジミア、セリア-ジルコニア-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア-プラセオジミア、またはそれらの任意の組み合わせを含む。一実施形態では、酸素貯蔵成分は、酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5.0~100重量%の量のセリアを含む。一実施形態では、第2の担体は、安定化されたアルミナをさらに含む。
【0032】
一実施形態では、触媒物品は、単層の触媒物品である。一実施形態では、触媒物品は、第1の層と、第2の層と、基材と、を含む二層物品であって、第1の層が、セリア含有金属酸化物成分および耐火性アルミナ成分上に担持された白金を含み、基材上に堆積されており、第2の層が、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される第2の担体上に担持されたロジウムを含み、第1の層上に堆積されている、二層物品である。一実施形態では、触媒物品は、第1の層と、第2の層と、基材と、を含む二層物品であって、第1の層が、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される第2の層上に担持されたロジウムを含み、基材上に堆積されており、第2の層が、セリア含有金属酸化物成分および耐火性アルミナ成分上に担持された白金を含み、第1の層上に堆積されている、二層物品である。一実施形態では、触媒物品に、セリア含有金属酸化物成分上に担持された1.0~300g/ft3の白金、および耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの任意の組み合わせから選択される担体上に担持された1.0~100g/ft3のロジウムが充填されている。
【0033】
一実施形態では、白金は、熱的または化学的に固定されている。
【0034】
一実施形態では、触媒物品は、酸化バリウムを本質的に含まない。本明細書で使用される場合、「酸化バリウムを本質的に含まない」という用語は、外部から酸化バリウムが添加されないことを指すが、任意選択的に<0.001重量%の量などの端数として存在していてもよい。
【0035】
例示的な一実施形態では、触媒物品は、セリア-アルミナおよび安定化されたアルミナ成分を含む第1の担体上に担持された白金と、安定化されたアルミナおよびセリア-ジルコニア含有酸素貯蔵成分を含む第2の担体上に担持されたロジウムと、基材と、を含み、
該触媒物品は、パラジウムを本質的に含まず、
触媒物品は、単層であり、
セリア-アルミナのセリア含有量は、セリア-アルミナの総重量に基づいて、5.0~50重量%の範囲にあり、
酸素貯蔵成分は、酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5.0~100重量%の量のセリアを含み、
白金の量は、第1の担体の総重量に基づいて、0.1~10.0重量%の範囲にあり、ロジウムの量は、第2の担体の総重量に基づいて、0.1~10.0重量%の範囲にある。
【0036】
例示的な一実施形態では、触媒物品は、セリア-ジルコニアおよび安定化されたアルミナ成分を含む第1の担体上に担持された白金と、安定化されたアルミナおよびセリア-ジルコニア含有酸素貯蔵成分を含む第2の担体上に担持されたロジウムと、基材と、を含み、
該触媒物品は、パラジウムを本質的に含まず、
触媒物品は、単層であり、
セリア-ジルコニアのセリア含有量は、セリア-アルミナの総重量に基づいて、5.0~50重量%の範囲にあり、
酸素貯蔵成分は、酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5.0~100重量%の量のセリアを含み、
白金の量は、第1の担体の総重量に基づいて、0.1~10.0重量%の範囲にあり、ロジウムの量は、第2の担体の総重量に基づいて、0.1~10.0重量%の範囲にある。
【0037】
一実施形態では、基材は、セラミック基材、金属基材、セラミックフォーム基材、ポリマーフォーム基材、および織物繊維基材から選択される。
【0038】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、典型的には、触媒組成物を含有する複数の粒子を含有するウォッシュコートの形態のモノリス材料を指し、モノリス材料上に触媒組成物が置かれている。
【0039】
「モノリス基材」、または「ハニカム基材」への言及は、入口から出口まで均一かつ連続的な単一構造を意味する。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ウォッシュコート」という用語は、処理されるガス流の通過を可能にするのに十分に多孔性である、ハニカム型担体部材などの基材材料に適用される触媒または他の材料の薄い接着性のコーティングの技術分野におけるその通常の意味を有する。ウォッシュコートは、液体ビヒクル中のある特定の固体含有量(例えば、15~60重量%)の粒子を含有するスラリーを調製し、次いでこれを基材上にコーティングし、乾燥させてウォッシュコート層を提供することによって形成される。
【0041】
本明細書において使用され、Heck,Ronald,and Farrauto,Robert,Catalytic Air Pollution Control,New York:Wiley-Interscience,2002,pp.18-19に記載されているように、ウォッシュコート層は、モノリス基材または下側のウォッシュコート層の表面に配置された材料の、組成的に区別される層を含む。一実施形態では、基材は、1つ以上のウォッシュコート層を含有し、各ウォッシュコート層は、何らかの方式で異なる(例えば、粒径または結晶子相などの、例えば、その物理的特性において異なり得る)、および/または化学的触媒機能が異なり得る。
【0042】
触媒物品は、「未使用」であってもよく、これは、触媒物品が新しく、任意の熱または熱的ストレスに長期間の間曝露されていないことを意味する。「未使用」とはまた、触媒が最近調製され、任意の排気ガスまたは高温に曝露されていないことを意味し得る。同様に、「エージングした」触媒物品は、未使用ではなく、長期間(すなわち、3時間超)にわたって排気ガスおよび高温(すなわち、500℃超)に曝露されている。
【0043】
一実施形態では、本出願で請求される発明の触媒物品の基材は、自動車触媒を調製するために典型的に使用される任意の材料から構築され得、典型的には、セラミックまたは金属モノリスハニカム構造を備える。
【0044】
基材は、典型的には、上記で本明細書に記載の触媒組成物を含むウォッシュコートが塗布および接着される複数の壁面を提供し、それにより触媒組成物用の担体として作用する。
【0045】
例示的な金属基材は、チタンおよびステンレス鋼ならびに鉄が実質的なまたは主な成分である他の合金などの耐熱性金属および金属合金を含む。そのような合金は、ニッケル、クロム、および/またはアルミニウムのうちの1つ以上を含有し得、これらの金属の総量は、有利には、合金の少なくとも15重量%、例えば、10~25重量%のクロム、3~8重量%のアルミニウム、および最大20重量%のニッケルを含み得る。合金はまた、マンガン、銅、バナジウム、およびチタンなどの、少量または微量の1つ以上の金属を含有し得る。金属基材の表面は、高温、例えば、1000℃以上で酸化されて、基材の表面上に酸化物層を形成し、合金の耐食性を改善し、金属表面へのウォッシュコート層の接着を容易にし得る。
【0046】
基材の構築に使用されるセラミック材料としては、任意の好適な耐火性材料、例えば、コーディエライト、ムライト、コーディエライト-アルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカマグネシア、ケイ酸ジルコン、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト、アルミナ、アルミノシリケートなどを挙げることができる。
【0047】
通路が流体流に開放されるように、基材の入口から出口面まで延在する複数の微細で平行なガス流路を有するモノリスフロースルー基材などの、任意の好適な基材を用いることができる。入口から出口への本質的に直線の経路である通路は、通路を通して流れるガスが触媒材料と接触するように、触媒材料がウォッシュコートとしてコーティングされる壁によって画定される。モノリス基材の流路は、例えば、台形、長方形、正方形、正弦波形状、六角形、楕円形、および円形などの任意の好適な断面形状のものであり得る薄壁チャネルである。そのような構造は、断面の1平方インチ当たり約60~約1200以上のガス入口開口部(すなわち、「セル」)(cpsi)、より一般的には、約300~900cpsiを含有する。フロースルー基材の壁厚は、変動する可能性があり、典型的な範囲は、0.002~0.1インチである。代表的な市販のフロースルー基材は、400cpsiで6ミルの壁厚、または600cpsiで4ミルの壁厚を有するコーディエライト基材である。しかしながら、本発明は、特定の基材タイプ、材料、または幾何学的形状に限定されないことが理解されるであろう。代替的な実施形態では、基材は、各通路が、基材本体の一端で非細孔性プラグによって閉塞され、交互の通路が反対側の端面で閉塞されている、ウォールフロー基材であってもよい。これは、出口に到達するために、ガス流がウォールフロー基材の多孔質壁を通ることを必要とする。そのようなモノリス基材は、約100~400cpsi、より典型的には、約200~約300cpsiなどの、最大約700またはそれよりも多いcpsiを含有し得る。セルの断面形状は、上記に説明されているように、変動する可能性がある。ウォールフロー基材は、典型的には、0.002~0.1インチの壁厚を有する。代表的な市販のウォールフロー基材は、多孔性コーディエライトから構築され、その例は、200cpsiおよび10ミルの壁厚、または8ミルの壁厚を有する300cpsi、ならびに45~65%の壁の多孔度を有する。チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素、および窒化ケイ素などの他のセラミック材料もまた、ウォールフローフィルタ基材として使用される。しかしながら、本発明は、特定の基材の種類、材料、または形状には限定されないことが理解されるであろう。基材がウォールフロー基材である場合、触媒組成物は、壁の表面に配置されることに加えて、多孔質壁の細孔構造内に浸透し得る(すなわち、細孔開口部を部分的または完全に塞ぐ)ことに留意されたい。一実施形態では、基材は、フロースルーセラミックハニカム構造、ウォールフローセラミックハニカム構造、または金属ハニカム構造を有する。
【0048】
本明細書で使用されているように、「流」という用語は、広義的には、固体または液体の微粒子状物質を含有し得る流動ガスの任意の組み合わせを指す。
【0049】
本明細書で使用されているように、「上流」および「下流」という用語は、エンジンからテールパイプに向かうエンジン排気ガス流の流れに応じた相対的な方向を指し、エンジンは上流位置にあり、テールパイプおよびあらゆる汚染物軽減物品、例えばフィルタおよび触媒は、エンジンの下流にある。
【0050】
図6Aおよび6Bは、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされたフロースルー基材の形態の例示的な基材2を例示する。
図6Aを参照すると、例示的な基材2は、円筒形状を有し、円筒外面4、上流端面6、および端面6と同一の対応する下流端面8を有する。基材2は、内部に形成された複数の微細で平行なガス流路10を有する。
図6Bに見られるように、流路10は、壁12によって形成され、基材2を通って上流端面6から下流端面8まで延在し、通路10は、遮られておらず、流体、例えば、ガス流が、そのガス流路10を介して基材2を通って長手方向に流れることを可能にする。
図6Bでより容易に見られるように、壁12は、ガス流路10が実質的に規則的な多角形形状を有するように寸法決めされ、構成される。示されるように、ウォッシュコート組成物は、必要に応じて、複数の区別される層で適用することができる。例示される実施形態において、ウォッシュコートは、基材部材の壁12に接着された別個の第1のウォッシュコート層14および第1のウォッシュコート層14の上にコーティングされた第2の別個のウォッシュコート層16からなる。一実施形態では、本出願で請求される発明はまた、2つ以上(例えば、3つまたは4つ)のウォッシュコート層で実施され、例示される二層の実施形態に限定されない。
【0051】
図7は、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされたウォールフローフィルタ基材の形態の例示的な基材2を例示する。
図7に見られるように、例示的な基材2は、複数の通路52を有する。通路は、フィルタ基材の内壁53によって管状に囲まれている。基材は、入口端54および出口端56を有する。交互の通路は、入口端で入口プラグ58により、出口端で出口プラグ60により塞がれて、入口54および出口56で逆となる市松模様を形成する。ガス流62は、塞がれていないチャネル入口64を通して入り、出口プラグ60によって止められ、(多孔性である)チャネル壁53を通して出口側66に拡散する。ガスは、入口プラグ58を理由に、壁の入口側に戻って通ることができない。本発明で使用される多孔質ウォールフローフィルタは、その上にまたはその中に1つ以上の触媒材料を有するかまたは含有する該要素の壁に触媒作用を有する。触媒材料は、要素壁の入口側のみ、出口側のみ、入口側および出口側の両方に存在してもよく、または壁自体が、触媒材料からすべてまたは一部が構成されてもよい。本発明は、要素の入口壁および/または出口壁における1つ以上の触媒材料層の使用を含む。
【0052】
本出願で請求される発明の別の態様によると、本発明は、触媒物品を調製するためのプロセスを提供する。一実施形態では、このプロセスは、以下のステップを伴う。
【0053】
第1のステップでは、金属酸化物成分を含むセリアおよび任意選択的に耐火性金属酸化物を含む第1の担体上に担持された白金と、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される第2の担体上に担持されたロジウムと、を含むスラリーが調製される。次のステップでは、スラリーが基材上に堆積されて、触媒物品が得られ、続いて、400~700℃の範囲の温度で焼成が行われる。一実施形態では、スラリーを調製するステップは、インシピエントウェットネス含浸、インシピエントウェットネス共含浸、および後添加から選択される技術を含む。
【0054】
一実施形態では、触媒物品を調製するためのプロセスは、セリア含有金属酸化物成分および任意選択的に耐火性アルミナ成分を含む第1の担体上に担持された白金を含む第1層スラリーと、耐火性アルミナ成分、酸素貯蔵成分、またはそれらの組み合わせから選択される第2の担体上に担持されたロジウムを含む第2層スラリーと、を調製することと、基材上に第1層スラリーを堆積させて、第1の層を得て、第1の層上に第2層スラリーを堆積させて、第2の層を得て、続いて、400~700℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、スラリーを調製するステップが、インシピエントウェットネス含浸、インシピエントウェットネス共含浸、および後添加から選択される技術を含む。
【0055】
一実施形態では、このプロセスは、白金を担体上に熱的または化学的に固定する前ステップを伴う。熱的固定は、例えばインシピエントウェットネス含浸法を介して、白金を担体上に堆積させ、続いて、得られた白金/担体混合物を熱によって焼成することを伴う。一例として、混合物は、1~25℃/分の傾斜速度で、400~700℃で1~3時間にわたって焼成される。
【0056】
化学的固定は、白金を担体上に堆積させ、続いて、白金を化学的に変換するための追加の試薬を使用して固定することを伴う。
【0057】
毛細管含浸または乾式含浸とも称されるインシピエントウェットネス含浸技術は、一般的に、不均一材料、すなわち触媒の合成に使用される。
【0058】
典型的には、活性金属前駆体を水溶液または有機溶液に溶解させ、次いで触媒担体に金属含有溶液を添加し、触媒担体は、添加された溶液の体積と同じ細孔容積を含有する。毛細管現象により、溶液が担体の細孔に引き込まれる。担体の細孔容積を超えて添加された溶液により、溶液輸送が、毛細管現象プロセスから、はるかに遅い拡散プロセスに変わる。触媒を乾燥および焼成して、溶液内の揮発性成分を除去し、触媒担体の表面上に金属を堆積させる。含浸させられた材料の濃度プロファイルは、含浸および乾燥の間の細孔内の物質移動条件に依存する。適切に希釈した後、複数の活性金属前駆体を触媒担体に共含浸させてもよい。あるいは、活性金属前駆体は、スラリー調製のプロセス中に撹拌下で後添加を介してスラリーに導入される。
【0059】
担体粒子は、典型的には、溶液の実質的にすべてを吸収して、湿潤固体を形成するのに十分に乾燥している。典型的には、(ロジウムが活性金属である場合)塩化ロジウム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、またはそれらの組み合わせ、および(パラジウムが活性金属である場合)硝酸パラジウム、パラジウムテトラアミン、酢酸パラジウム、またはそれらの組み合わせなどの活性金属の水溶性化合物または錯体の水溶液が利用される。活性金属溶液を用いた担体粒子の処理後、粒子は、高温(例えば、100~150℃)で一定期間(例えば、1~3時間)、粒子を熱処理などによって乾燥させ、次いで、活性金属をより触媒的に活性な形態に変換するために焼成される。例示的な焼成プロセスは、400~550℃の温度で、10分間~3時間、空気中での熱処理を含む。必要に応じて、含浸の手段によって上のプロセスを繰り返して、所望の活性金属の充填レベルに到達させることができる。
【0060】
上記の触媒組成物は、典型的には、上記のように触媒粒子の形態で調製される。これらの触媒粒子を水と混合して、ハニカム型基材などの触媒基材をコーティングする目的でスラリーを形成する。触媒粒子に加えて、スラリーは、任意選択的に、アルミナ、シリカ、酢酸ジルコニウム、ジルコニア、もしくは水酸化ジルコニウム、会合性増粘剤、および/または界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、もしくは両性の界面活性剤を含む)の形態のバインダーを含有してもよい。他の例示的なバインダーとしては、ベーマイト、ガンマ-アルミナ、またはデルタ/シータアルミナ、ならびにシリカゾルが挙げられる。バインダーは、存在する場合、典型的には、約1.0~5.0重量%の量のウォッシュコート総充填量で使用される。スラリーに酸性または塩基性の種の添加を行い、それによりpHを調整する。例えば、いくつかの実施形態では、スラリーのpHは、水酸化アンモニウム、硝酸水溶液、または酢酸の添加により調整される。スラリーの典型的なpH範囲は、約3~12である。
【0061】
スラリーを粉砕して、粒径を低減させ、粒子の混合を促進してもよい。粉砕は、ボールミル、連続ミル、または他の同様の機器で達成され、スラリーの固形分は、例えば、約20~60重量%、より具体的には、約20~40重量%であり得る。一実施形態では、粉砕後のスラリーは、約3~約40ミクロン、好ましくは10~約30ミクロン、より好ましくは約10~約15ミクロンのD90粒径によって特徴付けられる。D90は、専用の粒径分析装置を使用して決定される。この実施例で用いられている機器は、レーザー回折を使用して、少量のスラリーの粒径を測定する。典型的にはミクロン単位のD90は、粒子の数の90%が、引用値よりも小さな直径を有することを意味する。
【0062】
当該技術分野において知られている任意のウォッシュコート技術を使用して、スラリーを触媒基材上にコーティングする。一実施形態では、触媒基材は、スラリーに1回以上浸漬されるか、または別様にスラリーでコーティングされる。その後、コーティングされた基材は、高温(例えば、100~150℃)で一定期間(例えば、10分~3時間)乾燥させ、次いで、例えば、400~700℃で、典型的には、約10分~約3時間加熱することによって焼成される。乾燥および焼成後、最終的なウォッシュコートコーティング層は、本質的に溶媒を含まないと考えられる。焼成の後に、上記のウォッシュコート技術により得られる触媒充填量は、基材のコーティングされた重量とコーティングされていない重量との差を計算することにより求めることが可能である。当業者に明らかであるように、触媒充填量は、スラリーのレオロジーを変えることにより修正することが可能である。さらに、ウォッシュコートを生成するためのコーティング/乾燥/焼成プロセスを必要に応じて繰り返して、コーティングを所望の充填レベルまたは厚さに構築することができ、すなわち2回以上のウォッシュコートを塗布してもよい。
【0063】
ある特定の実施形態では、コーティングされた基材は、コーティングされた基材に熱処理を施すことによってエージングさせる。一実施形態では、エージングは、10.0体積%の水分の環境において、約850℃~約1050℃の温度で、20~100時間、交互に炭化水素/空気を供給して行われる。したがって、ある特定の実施形態では、エージングした触媒物品が提供される。ある特定の実施形態では、特に有効な材料は、エージング時(例えば、約850℃~約1050℃、交互に炭化水素/空気を供給して10体積%の水分、20~100時間のエージング)に、細孔容積の高いパーセンテージ(例えば、約80~100%)を維持する金属酸化物系担体(実質的に100%のセリア担体を含むが、これに限定されることはない)を含む。
【0064】
本出願で請求される発明の別の態様によると、内燃機関用の排気ガス処理システムが提供される。排気ガス処理システムは、本出願で請求される発明による触媒物品を備える。一実施形態では、本出願で請求される発明による触媒物品は、第1の密結合位置(CC1)で使用される。別の実施形態では、本出願で請求される発明による触媒物品は、第2の密結合位置(CC2)で使用される。一実施形態では、本出願で請求される発明による触媒物品は、床下触媒(UF)として使用される。一実施形態では、排気ガス処理システムは、白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品と、本発明による触媒物品と、を備え、白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品は、内燃機関の下流に位置しており、触媒物品は、白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流に位置している。
【0065】
別の実施形態では、排気ガス処理システムは、白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品と、本発明による触媒物品と、を備え、層状触媒物品は、内燃機関の下流に位置しており、白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品は、三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流に位置している。
【0066】
本出願で請求される発明の別の態様によると、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法であって、排気流を、本出願で請求される発明による触媒物品と接触させることを含む、方法が提供される。「排気流」、「エンジン排気流」、「排気ガス流」などの用語は、固体または液体の微粒子状物質も含有し得る、流動するエンジン流出ガスの任意の組み合わせを指す。流れは、ガス状成分を含み、例えば、液滴、固体粒子などのようなある特定の非ガス状成分を含有し得るリーンバーンエンジンの排気である。リーンバーンエンジンの排気流は、典型的には、燃焼生成物、不完全燃焼生成物、窒素の酸化物、可燃性および/または炭素質微粒子状物質(煤)、ならびに未反応の酸素および/または窒素を含む。そのような用語は、本明細書に記載されるような1つ以上の他の触媒系成分の下流の流出物を同様に指す。
【0067】
本出願で請求される発明の別の態様によると、ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減する方法であって、ガス状排気流を、本出願で請求される発明による触媒物品または本出願で請求される発明による排気ガス処理システムと接触させて、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む、方法が提供される。
【0068】
本出願で請求される発明の別の態様によると、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための、本出願で請求される発明による触媒物品または本出願で請求される発明による排気ガス処理システムの使用が提供される。
【0069】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する一酸化炭素、炭化水素、および窒素化合物の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、炭化水素を二酸化炭素および水に変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する炭化水素の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、一酸化炭素を二酸化炭素に変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、窒素酸化物を窒素に変換する。
【0070】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する窒素酸化物の量の少なくとも約50%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する、組み合わされた炭化水素、二酸化炭素、および窒素酸化物の総量の少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。
【実施例】
【0071】
本出願で請求される発明の態様は、以下の実施例によってさらに完全に例示され、これらは、本発明のある特定の態様を例示するために記載されており、それを限定するものとして解釈されるべきではない。
【0072】
実施例1:参照触媒物品の調製(RC-1、二金属触媒:Pd:Rh(20.4:13.6))
Pd/Rh系TWC触媒物品を密結合触媒として調製した。PGM総充填量(Pt/Pd/Rh)は、0/20.4/13.6である。これは、2.9g/インチ3のウォッシュコート充填量を有する単層触媒である。安定化されたアルミナ(138グラム)とセリア-ジルコニア(OSC、40%のCe、18グラム)との混合物上に硝酸Pd溶液(20%、5.7グラム)を含浸させることによって、Pd含有ウォッシュコートを調製した。Pd含浸粉末を170グラムの水でスラリーにした。次いで、このスラリーを粉砕して、10μm未満のD90を有するウォッシュコートにし、硝酸を添加することによってpHを約4~5にした。安定化されたアルミナ(49グラム)とセリア-ジルコニア(40%のCe、76グラム)との混合物上に硝酸Rh溶液(10%、8グラム)を含浸させることによって、同様にRh含有ウォッシュコートを調製した。Rh含浸粉末を、50グラムの水と酢酸ジルコニウム(バインダーとして使用)との混合物に添加して、スラリーを形成した。次いで、Rh含有スラリーを粉砕して、10μm未満のD90を有するウォッシュコートにし、酢酸を添加することによってpHを約4~5にした。続いて、Rh含有ウォッシュコートを、酢酸Srおよび酢酸Ba(それぞれ9および7グラム)とともにPd含有スラリーに添加して、混合スラリーを得た。約19グラムのNiO粉末を混合スラリーに添加して、最終的なスラリーを得た。合したスラリーを400cpsi/4ミルのセラミック基材上にコーティングすることによって、触媒物品を調製した。次いで、得られたコーティング基材を乾燥させ、500℃で2時間にわたって焼成した。
【0073】
実施例2:触媒物品の調製(IC-A、二金属、単層触媒中のPtおよびRh(比:20.4:0:13.6)、熱的固定なし)
触媒物品を、PtおよびRhを使用して配合し、20.4/0/13.6の設計を生成した。PGM総充填量は、34g/ft3であり、ウォッシュコート充填量は、2.9g/インチ3である。触媒調製手順は、Pdの代わりにPtを使用したことを除いて、例1(CC2-RC-1)と同様であった。担体上への貴金属の熱的固定はなかった。スラリーを400/4のセラミック基材上にコーティングすることによって、触媒物品を調製した。次いで、得られたコーティング基材を乾燥させ、500℃で2時間にわたって焼成した。
【0074】
実施例3:触媒物品の調製(IC-B、二金属-PtおよびRh、アルカリ土類金属の使用なし)
触媒物品を、PtおよびRhを使用して配合し、20.4/0/13.6の設計を生成した。PGM総充填量は、34g/ft3である。触媒物品のウォッシュコート充填量は、2.84g/インチ3である。触媒調製手順は、アルカリ土類化合物を使用しなかったことを除いて、例2の触媒調製手順と同様であった。スラリーを400/4のセラミック基材上にコーティングすることによって、触媒物品を調製した。次いで、得られたコーティング基材を乾燥させ、500℃で2時間にわたって焼成した。
【0075】
実施例4:本発明の触媒物品の調製(IC-C、二金属-PtおよびRh、アルカリ土類金属の使用なし、かつCe-ZrをCe-Alで置き換える)
触媒物品を、PtおよびRhを使用して配合し、20.4/0/13.6の設計を生成した。PGM総充填量は、34g/ft
3である。触媒物品のウォッシュコート充填量は、2.84g/インチ
3である。触媒調製手順は、アルカリ土類化合物を使用しなかったことを除いて、例2の触媒調製手順と同様である。また、Pt担体のうちの1つであるCe-ZrをCe-Al(50%のCe)で置き換えた。スラリーを400/4のセラミック基材上にコーティングすることによって、触媒物品を調製した。次いで、得られたコーティング基材を乾燥させ、500℃で2時間にわたって焼成した。触媒物品IC-A、IC-B、およびIC-Cは、
図1A、1B、および1Cに例示されており、参照触媒物品は、添付されている図面の
図1Dに例示されている。
【0076】
実施例5:触媒のエージング
例2~4による触媒物品および例1による参照触媒物品を、予期される燃料カットサイクルでガソリン車において観察される化学量論的な走行条件に類似したリッチおよびリーン変動を表すガス混合物を有する入口ガス流を生成することができる管状炉内でエージングした。炉の温度は、対象の触媒の前にブタン燃料を噴射することによって生成した。上記の一連の触媒についての入口エージング温度は875℃に設定し、発熱ピーク温度は950℃であった。エージング期間は、20時間に設定した。
【0077】
実施例6:比較試験:
実施例2~4による触媒物品を、例1による参照触媒物品とともに、Federal Testing Procedure 1972(FTP-72)下で、温度、流量(速度)、および排気ガス成分(CO、HC、NO、H
2O、CO
2など)のような車両走行条件をシミュレートすることができる反応器(ガソリン車シミュレーター-GVS)内でのエージング後に評価した。比較試験の結果を表1および
図2に記載する。
【表1】
【0078】
表1に示される結果は、本出願で請求される発明によるPt/Rh触媒物品が、HC/CO性能を損なうことなく、NO変換においてPd/Rh参照触媒物品を上回ることができることを示す。例示的な本発明の触媒(IC-C)の全体的な性能は、他の本発明の触媒(IC-BおよびIC-A)と比較して優れていることが見出されている。
【0079】
さらに、異なる担体上に担持されたPtを含有する粉末触媒を調製および試験した。Ce-Al上に堆積されたPtを含有する第1の触媒およびCe-Zr上に堆積されたPtを含有する第2の触媒を、45%の総希土類濃度(40%のCeおよび5%のLa)で調製した。これらの粉末を、リッチ/リーン変動(10分の空気、10分の4%のH
2/N
2)下で、蒸気(10%)を用いて、980℃の温度で5時間にわたって、炉内でエージングした。エージング後に、これらの粉末を、反応器内にて、1Hzでのリーン/リッチ変動(λ=1.025&λ=0.975)および以下からなる供給ガス組成を伴う化学量論(λ=1)のライトオフプロトコルのもと評価した。
【表2】
【0080】
図3Aおよび3Bに示される結果は、定常状態のライトオフ試験中のNOおよびHCの変換において、Ce-Al上のPtが、Ce-Zr担体上のPtよりも優れていることを示す。
【0081】
これらの触媒試料は、ラムダスイープ試験下でも評価した。λスイープ試験は、ガソリン車で観察されるリーン/リッチ変動に対する触媒応答を評価するための試験である。通常、この評価は、触媒のL/O温度よりも高い温度で実行される。リッチからリーンへのλスイープを350℃で実行した。
図4Aおよび4Bに示される結果は、全体的な性能の改善に関して、Ptにとって、セリア-アルミナ(Ce-Al)がセリア-ジルコニウム(Ce-Zr)よりも良好な担体であることを明確に証明している。
【0082】
実施例7:Ptの担体の試験:
標準的な高表面積アルミナ担体(SA:>150M
2/g)およびCe-Al(50%のCe、IC-Cと同じ)の2つの担体を使用して、Ptの安定化を確認した。1%のPtを両方の担体上に別々に含浸させ、エージングした。Pt/Ce-AlがPt/Alよりも良好に高温エージングに耐えられるかどうかを見るために、標準的な定常状態のライトオフ試験を実施した。
図5A、5B、および5Cに示される結果は、Ce-Al担体が高温エージングに対してPtを安定化させるのに役立つことを示す。
【0083】
本明細書全体を通して「一実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本出願で請求される発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「1つ以上の実施形態では」、「ある特定の実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、または「実施形態では」などの句が本明細書全体の様々な箇所に出現することは、必ずしも本出願で請求される発明の同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態では任意の好適な方法で組み合わせることができる。本明細書に開示される様々な実施形態、態様、およびオプションのすべては、そのような特徴または要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされるかどうかに関係なく、すべてのバリエーションで組み合わせることができる。本出願で請求される発明は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、開示される発明の任意の分けることが可能な特徴または要素が、その様々な態様および実施形態のいずれかにおいて、組み合わせ可能であることを意図すると考えるべきであると、全体として読み取られることが意図される。
【0084】
本明細書に開示される実施形態は、特定の実施形態を参照して説明されたが、これらの実施形態は、本出願で請求される発明の原理および用途の単なる例示であることを理解されたい。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本出願で請求される発明の方法および装置に対して様々な修正および変更がなされ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本出願で請求される発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある修正および変更を含むことが意図され、上記の実施形態は、限定ではなく例示の目的で提示される。本明細書で引用されたすべての特許および公開物は、組み込まれた他の記述が具体的に提供されない限り、記載されたその特定の教示について参照によって本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】