(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】CBD組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20220831BHJP
A61K 31/202 20060101ALI20220831BHJP
A61K 31/56 20060101ALI20220831BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220831BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20220831BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20220831BHJP
A61K 31/575 20060101ALI20220831BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220831BHJP
A61K 31/015 20060101ALI20220831BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220831BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220831BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20220831BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20220831BHJP
A23L 33/11 20160101ALI20220831BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20220831BHJP
【FI】
A61K31/05
A61K31/202
A61K31/56
A61P43/00 121
A61K31/355
A61K36/185
A61K31/575
A61K45/00
A61K31/015
A61P17/00
A61P29/00
A23L33/105
A23L33/10
A23L33/11
A23K10/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576785
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 AU2020050666
(87)【国際公開番号】W WO2020257875
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520492307
【氏名又は名称】キャンパル アニマル セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ミルズ レイトン
(72)【発明者】
【氏名】カーティス マーガレット アン
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4C084
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
2B150AA06
2B150AB10
4B018LB08
4B018LB10
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4C206MA04
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4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZB11
4C206ZC61
4C206ZC75
(57)【要約】
本出願は、カンナジビオール、均衡量のオメガ-3およびオメガ-6脂肪酸を含む脂肪酸成分、ならびにステロールおよび任意にビタミンE化合物を含む組成物を提供する。この組成物は皮膚障害および/またはアトピー性皮膚炎のような炎症状態に罹患しているか、または発症するリスクがある対象に投与された場合に、良好な忍容性および支持性を有することが示されている。組成物の投与を含む、対象の免疫系および皮膚の健康を支持する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約0.1重量%のカンナビジオール(CBD)、
均衡比率のオメガ-3脂肪酸とオメガ-6脂肪酸とを含む脂肪酸成分を少なくとも約40重量%、および
ステロール
を含む組成物。
【請求項2】
前記オメガ-3酸およびオメガ-6脂肪酸が約0.8:1~約1.2:1の比で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記オメガ-3酸およびオメガ-6脂肪酸が約1:1の比で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ビタミンE化合物をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記CBDが98%を超える純度を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記CBDがカンナビス抽出物の形態である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記CBDが約10重量%までの量である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記脂肪酸成分が約40%~約99.9%の濃度で存在する、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ステロールが植物性ステロールである、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記植物性ステロールがβ-シトステロールである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
さらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記の活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分が脂溶性および/または分散性である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記の活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分が精油、植物抽出物、テルペン、フラボノイド、ブロメライン、必須アミノ酸、必須アミノ酸を含むペプチド、CB2リガンド、ビタミン、オクラシチニブ(例えば、Apoquel
TM)、コルチコステロイド、皮膚障害および/または炎症を標的とするモノクローナル抗体、またはそれらの組合せから選択される、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
β-カリオフィレンをさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
カンナビジオール(CBD)、
オメガ-3脂肪酸とオメガ-6脂肪酸を含む脂肪酸成分、
β-シトステロール、
β-カリオフィレン、
ビタミンE化合物、および
酸化防止剤
を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
約0.01%~約10%のカンナビジオール(CBD)、
少なくとも約40%の、オメガ-3脂肪酸およびオメガ-6脂肪酸を含む脂肪酸成分、
約0.01%~約15%のβ-シトステロール、
約0.01%~約1%のβ-カリオフィレン、
約0.1%~約10%のビタミンE化合物、および
約0.05%~約6%の抗酸化剤
を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物と、薬学的に許容される希釈剤および/または賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物と、獣医学的に許容される希釈剤および/または賦形剤とを含む獣医学的組成物。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物と、栄養補助食品として許容される希釈剤および/または賦形剤とを含む栄養補助組成物。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、皮膚障害および/または炎症状態に罹患しているか、またはそれを発症する危険性がある対象を治療する方法。
【請求項21】
前記組成物を前記対象に経口投与することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象がコンパニオンアニマルである、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記対象がイヌである、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願はオーストラリア仮特許出願第2019902236号(2019年6月26日出願)の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、カンナビジオール(CBD)を含む組成物に関する。本発明はまた、皮膚障害および/または炎症状態を患っているか、または発症する危険性があるものなどの、皮膚または免疫支持を必要とする対象(コンパニオンアニマルを含む)を治療における、その使用のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
麻または工業用麻は、植物の独特の植物化学組成のために、全体的な健康および福祉のために報告された利益のために数千年間使用されてきた、多様なカンナビス・サティバ(Cannabis Sativa)植物種である。大麻植物から最も広く使用されている植物化学物質の1つは、CBDである。
【0004】
CBDは内因性カンナビノイド系、特にカンナビノイド2型受容体(CB2)での活性に因り、様々な生物活性を有することが報告されている。内因性カンナビノイド系は高度に保存されており、様々な健康利益を達成する内因性カンナビノイド系調節の可能性を理解することに関心が高まり、継続している。他のいくつかのカンナビノイドとは異なり、CBDは報告されている顕著な精神活性作用無しに、内因性カンナビノイド系を調節する。
【0005】
フラボノイド、テルペン、ビタミン、植物性ステロールおよび特定の脂肪酸のような大麻植物中に見出される他の植物化学物質もまた、それらの治療上の利点について報告されているが、温度および気象パターンが変動し得る屋外栽培を含む伝統的な栽培実務のために、活性成分の一貫して有効な組み合わせを提供するために必要とされるレベルの一貫性および再現性で、大麻植物から他の植物化学物質と共にCBDを含有する組成物を生成することは困難である。
【0006】
最近の、そして進化しつつある調節の変化のために、種々の状態を治療するため、または機能的健康を支持するために、薬学的、獣医学的および栄養補助的な薬剤として、大麻抽出物および/またはCBDを使用することへの関心が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
皮膚障害および/または炎症の治療を補助し得る組成物のような、CBDに基づく治療の選択肢を開発することが引き続き必要とされている。さらに、大麻抽出物中に報告された化合物を含み、一貫した活性成分プロファイルで確実に製造することができる、標準化された組成物を提供することも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は:
少なくとも約0.1重量%のカンナビジオール(CBD);
少なくとも約40重量%の均衡比率のオメガ-3脂肪酸とオメガ-6脂肪酸とを含む脂肪酸成分;および
ステロールを含む組成物を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、上記組成物はビタミンE化合物をさらに含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、上記組成物は:
少なくとも約0.1重量%のCBD;
少なくとも約40重量%の均衡比率のオメガ-3脂肪酸とオメガ-6脂肪酸とを含む脂肪酸成分;
βシトステロール;
βカリオフィレン;
ビタミンE化合物;および
酸化防止剤を含み得る。
【0011】
別の局面において、本発明は皮膚障害および/または炎症状態を有する対象を治療するための方法を提供し、これは、有効量の本発明の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0012】
さらなる態様において、本発明は皮膚障害および/または炎症状態を有する対象を治療するための薬剤の調製における、CBD、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸および/またはステロールの1つ以上の使用を提供し、ここで、薬剤は、少なくとも約0.1重量%のCBD、オメガ-3脂肪酸およびオメガ-6脂肪酸を含む少なくとも約40重量%の脂肪酸成分、およびステロールを含む。
【0013】
本発明を詳細に説明する前に、本発明は、組成物、方法、使用、およびプロセスなどの、特に例示された実施形態に限定されず、もちろん、変更することができることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0014】
本明細書に記載された任意の実施形態は特に断らない限り、独立して、または任意の他の実施形態と組み合わせて読まれるものとする。
本明細書中に引用され得る全ての刊行物、特許および特許出願は、上記または下記のいずれであっても、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
本明細書では特許明細書、他の外部文書、または他の情報源を参照したが、これは一般に、本発明の特徴を論じるための文脈を提供することを目的とする。特に別段の規定がない限り、当該外部文書への言及は、いずれかの法域における当該文書または当該情報源が先行技術であるかまたは当該技術分野における技術常識の一部を構成することを認めるものとは解釈されない。
【0016】
「投与する」という用語は、治療される障害および/または状態に罹患しているか、またはその危険性がある対象に組成物を提供することを指す。
【0017】
「有効量」とは、対象に投与される場合、効果を達成するために組成物の量が提供されるのに十分な量を意味する。治療方法の場合、この効果は、皮膚障害および/または炎症の治療であり得る。したがって、「有効量」は、「治療的有効量」であってもよい。「治療的有効量」とは、対象に投与された場合に、障害または障害の症状を治療するためにある量の組成物が提供されるのに十分な量を意味する。
【0018】
本文書において用いられる用語では、「治療すること」、「治療」、「治療する」等の用語は、望ましい薬理学的および/または生理学的効果を得るために、対象(例えば患者)、組織または細胞に影響を与えることを意味する。その効果は、疾患または関連症状の完全または部分的な予防、または重症度の低減の観点から予防的であってもよく、および/または疾患の部分的または完全な治癒の観点から治療的であってもよい。例えば、炎症を「治療すること」への言及は従って、(a)疾患の進行を停止させること、例えば、症状または合併症の経時的な悪化を防止すること;(b)炎症の効果を緩和または改善すること、すなわち、炎症の少なくとも1つの症状または合併症の改善を引き起こすこと;(c)炎症のさらなる症状または合併症が発現するのを防止すること;および/または(d)炎症または炎症に関連する症状が対象において発生するのを防止すること、を包含する。さらに、皮膚障害を「治療すること」への言及は:(a)皮膚障害の進行を重症度または罹患領域のいずれかの意味で停止させること;(b)皮膚障害の1つ以上の症状の重症度を軽減または改善すること;(c)皮膚障害に関連するさらなる症状が発現するのを防止する;および/または(d)対象における皮膚障害の発生または再発を防止または遅らせることを包含する。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は文脈が明らかにそわないことを指示しない限り、複数の参照を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「脂肪酸」および/または「少なくとも1つの脂肪酸」への言及は、1つ以上の脂肪酸などを含み得る。
【0020】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の材料および方法を使用して本発明を実施または試験することができるが、好ましい材料および方法をここに記載する。
【0021】
名詞に続く用語「(s)」は、単数形または複数形、あるいはその両方を意図する。
【0022】
用語「および/または」は、「および」または「または」を意味することができる。
【0023】
文脈が他のことを要求しない限り、本明細書で言及される全てのパーセンテージは、組成物の重量パーセンテージである。
【0024】
文脈が他のことを要求しない限り、本明細書で言及される全ての量は、重量による量であることが意図される。
【0025】
本発明の様々な特徴は、特定の値または値の範囲を参照して説明される。これらの値は様々な適切な測定技法の結果に関連することを意図しており、したがって、任意の特定の測定技法に固有の誤差のマージンを含むものとして解釈されるべきである。本明細書で言及される値のいくつかは、この変動性を少なくとも部分的に説明するために、用語「約」によって示される。用語「約」は、値を記述するために使用される場合、その値の±25%、±10%、±5%、±1%または±0.1%以内の量を意味し得る。
【0026】
用語「含む」は包括的な意味で使用され、すなわち、記載された特徴の存在を特定するが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を排除するものではない。その用語を含む本明細書の記述を解釈するとき、各記述においてその用語によって前置された特徴はすべて存在する必要があるが、他の特徴も存在することができる。「含む(comprise)」および「含んでいる(comprised)」のような関連する用語は、同様に解釈されるべきである。
【0027】
化合物または組成物への添加剤の形態の文脈における用語「薬学的に許容される」は、化合物または組成物への添加剤の形態が薬学的意味での使用に適していることを意味することが意図される。したがって、薬学的に許容される形態および/または添加剤は、本明細書中に記載される組成物中に存在する量において、対象に対して非毒性である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物が栄養補助食品組成物である。薬学的に許容される任意の成分もまた、栄養補助食品用途に適切であることが理解される。
【0028】
化合物または組成物への添加物の形態の文脈における用語「獣医学的に許容される」は、化合物または組成物への添加物の形態が獣医学的意味での使用に適していることを意味することが意図される。したがって、獣医学的に許容される形態および/または添加剤は、本明細書中に記載される組成物中に存在する量で、非ヒト対象に対して非毒性である。
【0029】
化合物または組成物への添加剤の形態の文脈における用語「栄養補助的に許容される」は、組成物への添加剤の化合物の形態が栄養補助的な意味での使用に適していることを意味することが意図される。したがって、栄養補助食品として許容される形態および/または添加剤は、本明細書中に記載される組成物中に存在する量で、対象に対して非毒性である。全ての薬学的に許容される形態および添加剤もまた、典型的には、栄養補助食品として許容されることが理解される。
【0030】
本明細書で使用される「カンナビノイド」という用語はカンナビノイド系に関与する活性を有し、カンナビス植物に由来するか、または合成的に作製されたかにかかわらず、カンナビス植物の抽出物において報告されている任意の化合物に関する。
【0031】
「フィトカンナビノイド」という用語は、カンナビス植物に由来するカンナビノイドを指す。
【0032】
用語「カンナビノミメティック」とは、内因性カンナビノイドまたはフィトカンナビノイド以外の内因性カンナビノイド系を含む活性を有する化合物を意味する。
【0033】
用語「カンナビノイド画分」は、カンナビス抽出物中に存在するカンナビノイドの組み合わせを記載するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下の非限定的な図面を参照して、本発明の実施形態をさらに説明する:
【
図1】
図1は、実施例2に記載される本研究に含まれる13匹のイヌにおけるCADESI-4スコア変化のチャートを示す。データは、プラセボまたは本発明の組成物(DC_ISOおよびDC_WHE)での治療の56日後のスコアに対する治療前CADESI-4スコアの比較として提供される。
【
図2】
図2は、56日間の治療期間にわたる実施例2.8の研究における、プラセボまたは本発明の組成物のいずれかで治療されたCADイヌにおける、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド2(CCL2)としても知られる単球化学誘引タンパク質-1(MCP-1)の変化のチャートを示す。
【
図3】
図3は、56日間の治療期間にわたる実施例2.8の研究における、プラセボまたは本発明の組成物のいずれかで治療されたCADイヌにおける、CXCL1としても知られるケラチノサイト由来ケモカイン(KC)の変化のチャートを示す。
【
図4】
図4は、56日間の処置期間にわたる実施例2.8の研究における、プラセボまたは本発明の組成物のいずれかで治療されたCADイヌにおけるインターロイキン-8(IL-8)の変化のチャートを示す。
【
図5】
図5は、56日間の治療期間にわたる実施例2.9の研究における、プラセボまたは本発明の組成物のいずれかで治療されたCADイヌにおけるケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド1(CXCL1)の変化のチャートを示す。
【
図6】
図6は、56日間の治療期間にわたる実施例2.9の研究における、プラセボまたは本発明の組成物のいずれかで治療されたCADイヌにおける肝細胞増殖因子(HGF、Hepatopoietin-A)の変化のチャートを示す。
【
図7】
図7は、56日間の治療期間にわたる実施例2.9の研究における、プラセボまたは本発明の組成物のいずれかで治療されたCADイヌにおける進行した糖化最終産物(RAGE)についての受容体の変化のチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、
少なくとも約0.1重量%のCBD;
少なくとも約40重量%の、均衡比率のオメガ-3脂肪酸およびオメガ-6脂肪酸を含む脂肪酸成分;ならびに
ステロールを含む組成物を提供する。
【0036】
≧0.1wt%のCBD、≧40wt%の均衡比率のオメガ-3脂肪酸およびオメガ-6脂肪酸を含む脂肪酸成分、ならびにステロールの上記組み合わせは、皮膚障害および/もしくは炎症状態に罹患しているか、またはそれらを発症する危険性がある対象の治療において;または健康な皮膚および免疫機能を支持するために有用な代替製剤を提供し得る。上記組成物は、単独で、または補助療法の一部として使用することができる。上記組成物は、薬学的、獣医学および/または栄養補助的な組成物であり得る。
【0037】
上記組成物は標準化された濃度の各成分を含み、種々の天然源に由来する成分の組み合わせによって調製され得る。しかしながら、上記組成物は、いかなる1つの天然源にも存在しない量の種々の化合物を含むことが理解されるのであろう。むしろ、少なくともイヌ対象については上記組成物中に存在する化合物の組み合わせが、十分に許容され、生物学的に意味のある効果を提供する製剤を提供することが示される。
【0038】
<カンナビジオール(CBD)>
CBDは以下の構造を有する:
【0039】
上記組成物は、少なくとも約0.1%~約60%未満の任意の量のCBDを含むことができる。いくつかの実施形態では、CBDの最小量が少なくとも約0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%または0.5%であってもよい。いくつかの実施形態では、CBDの最大量が約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%または0.6%以下であってもよい。上記組成物はこれらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでの量、例えば、約0.1%~約10%または約0.2%~約1%の量でCBDを含むことができる。
【0040】
CBDは、天然または合成の供給源、または半合成の供給源を含む組み合わせの供給源から提供され得る。天然供給源から提供されるCBDを単離し、次いで組み合わせることができる。あるいは、抽出物(CBDに富む)を使用して、CBDを提供してもよい。合成または半合成または単離された天然CBDをカンナビス抽出物に添加して、CBD中の抽出物を濃縮することができる。これらの混合物は、当技術分野で公知の任意の手段によって調製することができる。
【0041】
天然源に由来するCBDは、カンナビジオール酸(CBDA)との混合物として存在し得る。CBDAはCBDの天然のカルボキシル化形態であり、多くの定量化技術の下で脱炭酸される。従って、本明細書に記載されるCBDの任意の濃度は、天然の供給源に由来する場合、CBDとCBDAとの組み合わせ濃度を含む。好ましくは、組成物が存在する任意の量のCBDAに対して大部分のCBDを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、CBDが約98%、98.5%、99%、99.5%または99.9%を超える純度で提供される。天然の供給源から得られる場合、精製されたCBDは、これらの純度のいずれかでCBDとCBDAとの組み合わせを含み得る。精製されたCBDは、約0.5%、0.4%、0.3%、0.2%または0.1%までのような少量の他のカンナビノイドを含み得る。存在し得る他のカンナビノイドは、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、Δ8-テトラヒドロカンナビノール(Δ8-THC)、カンナビジバリン(CBDV)およびCBD-C4から選択され得る。いくつかの実施形態ではTHCおよびΔ8-THCの総量が約0.1%以下(典型的には0.03%以下)であり、および/またはCBDVの量は約0.5%以下(典型的には0.4%以下)であり、および/またはCBD-C4の総量は約0.5%以下(典型的には0.2%以下)である。他のカンナビノイド(すなわち、THC、Δ8-THC、CBDVおよびCBD-C4以外)は、0.1%以下、典型的には0.05%未満の量で存在し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、CBDがカンナビス抽出物、好ましくは大麻抽出物の形態で提供される。
【0044】
現在までに、100を超えるカンナビノイドがカンナビス抽出物中で同定されている。これらのカンナビノイドのリストは、Mahmoud A. El Sohly and Waseem Gul, "Constituents of Cannabis Sativa" In Handbook of Cannabis Roger Pertwee(Ed.)Oxford University Press(2014)(ISBN: 9780199662685)に見出すことができる。カンナビス抽出物植物中で同定されているカンナビノイドとしては:カンナビゲロール(E)-CBG-C5、カンナビゲロールモノメチルエーテル(E) CBGM-C5 A、カンナビゲロール酸A (Z) CBGA-C5 A、カンナビゲロバリン(E)-CBGV-C3、カンナビゲロール酸A (E)-CBGA-C5 A、カンナビゲロール酸Aモノメチルエーテル(E)CBGAM-C5 A、およびカンナビゲロバリン酸A (E) CBGVA-C3 A;(±)-カンナビクロメンCBC-C5、(±) カンナビクロメン酸A CBCA-C5 A、(±)-カンナビバリクロメン、(±) カンナビクロメバリンCBCV-C3、(±)-カンナビクロメバリン酸A CBCVA-C3 A;(-)-カンナビジオール CBD-C5、カンナビジオールモメチルエーテル CBDMC, カンナビジオール-C4 CBD-C4、(-)-カンナビジバリン CBDV-C3、カンナビジオルコル(Cannabidiorcol)CBD-Cl、カンナビジオール酸 CBDA-C5、カンナビジバリン酸 CBDVA-C3;カンナビノジオール CBND-C5、カンナビノジバリン CBND-C3;Δ9-テトラヒドロカンナビノールΔ9 THC-C5、Δ9 テトラヒドロカンナビノール-C4 Δ9 THC-C4、Δ9 テトラヒドロカンナビバリンΔ9 THCV-C3、Δ9-テトラヒドロカンナビオルコールΔ9 THCO-Cl、Δ9 テトラヒドロカンナビノール酸 A Δ9 THCA-C5 A、Δ9 テトラヒドロカンナビノール酸B Δ9 THCA-C5 B、Δ9-テトラヒドロカンナビノール酸-C4 Aおよび/またはB Δ9 THCA-C4 Aおよび/または B、Δ9 テトラヒドロ-カンナビバリン酸A Δ9 THCVA-C3 A、Δ9-テトラヒドロカンナビオルコール酸 Aおよび/またはB Δ9 THCOA-Cl A および/またはB)、(-)-Δ8 トランス (6aR,10aR)-Δ8-テトラヒドロカンナビノール Δ8 THC-C5、(-)-Δ8 トランス-(6aR,10aR)-テトラヒドロカンナビノール酸 A Δ8 THCA-C5 A、(-)-(6aS,10aR) Δ9 テトラヒドロカンナビノール (-)-シス-Δ9 THC-C5;カンナビノール CBN-C5、カンナビノール C4 CBN-C4、カンナビバリン CBN-C3、カンナビノール C2 CBN-C2、カンナビオルコール CBN Cl、カンナビノール酸 A CBNA-C5 A、カンナビノールメチルエステル CBNM-C5、(-)-(9R,10R)-トランス カンナビトリオール(-)-トランス-CBT-C5、(+)-(9S,10S)-カンナビトリオール (+)-トランス-CBT-C5、(±)-(9R,10S/9S,10R)-);カンナビトリオール (±)-cis-CBT-C5、(-)-(9R,10R)-トランス-10-O-エチル-カンナビトリオール (-)-トランス-CBT-OEt-C5、(±)-(9R,10R/9S,10S)-カンナビトリオール-C3 (±)-トランス-CBT-C3、8,9 ジヒドロキシ Δ6a(10a)-テトラヒドロカンナビノール8,9-Di-OH-CBT-C5、カンナビジオール酸 A カンナビトリオールエステルCBDA-C5 9-OH-CBT-C5 エステル、(-)-(6aR,9S,10S,10aR)-9,10-ジヒドロキシヘキサヒドロカンナビノール、カンナビリプソール、カンナビリプソール-C5、(-)-6a,7,10a-トリヒドロキシ-Δ9-テトラヒドロカンナビノール(-)-カンナビテトロール(Cannabitetrol)、10 オキソ-Δ6a(10a)テトラヒドロカンナビノール (OTHC);(5aS,6S,9R,9aR)-カンナビエルソイン CBE-C5、(5aS,6S,9R,9aR)-C3-カンナビエルソイン CBE-C3, (5aS,6S,9R,9aR)-カンナビエルソン酸 A CBEA-C5 A、(5aS,6S,9R,9aR)-カンナビエルソン酸 B CBEA-C5 B;(5aS,6S,9R,9aR)-C3-カンナビエルソン酸 B CBEA-C3 B、カンナビグレンドール-C3 OH-iso-HHCV-C3、デヒドロカンナビフラン DCBF-C5、カンナビフランCBF-C5、(-)-Δ7-トランス-(1R,3R,6R)-イソテトラヒドロカンナビノール、(±)-Δ7-1,2-シス-(1R,3R,6S/1S,3S,6R)-イソテトラヒドロカンナビバリン、(-)-Δ7-トランス-(1R,3R,6R)-イソテトラヒドロカンナビバリン;(±)-(laS,3aR,8bR,8cR)-カンナビシクロル CBL C5、(±)-(1aS,3aR,8bR,8cR)-カンナビシクロル 酸 A CBLA-C5 A、(±)-(laS,3aR,8bR,8cR) カンナビシクロバリン CBLV-C3;カンナビシトラン CBT-C5;カンナビクロマノン CBCN-C5、カンナビクロマノンC3 CBCN-C3、ならびにカンナビクマロノンCBCON-C5が挙げられる。
【0045】
カンナビノイド画分に加えて、カンナビス抽出物(大麻抽出物を含む)はまた、テルペンおよびテルペノイド、ステロール、トリグリセリド、アルカン、スクアレン、トコフェロール、カロテノイドおよびアルカロイドを含む、多様な一連の二次代謝産物を含み得る。これらの二次代謝産物の混合は、カンナビス品種、抽出されたカンナビス植物の一部、抽出方法、抽出物の処理、および季節を含むいくつかの因子に依存して変化する。
【0046】
カンナビス植物にはいくつかの品種があり、これらは2つの別個の命名規則の下で記載されている。これらの慣行の1つは、カンナビス植物の3つの明確な種類、すなわち、Cannabis sativa Linnaeus、Cannabis indica LAM、およびCannabis ruderalisを特定する。別の規約では、すべての大麻植物をCannabis sativa L.種に属するものとして同定しており、以下を含むいくつかの亜種間で様々な変種が分けられている: Cannabis sativa ssp.sativaとssp. indica.本明細書中で使用される場合、用語「カンナビス(Cannabis)」は、これらの植物品種のいずれかおよび全てをいう。本発明の好ましい実施形態において、カンナビス抽出物は、大麻(Hemp)植物の抽出物(大麻抽出物)である。
【0047】
カンナビス抽出物は、当該分野で公知の任意の手段によって調製され得る。抽出物は、カンナビス植物の任意の部分から形成され得る。抽出物は、抽出剤を、葉、種子、トリコーム、花、ケイフ(keif)、こけら、芽、茎、またはそれらの組み合わせと接触させることによって形成され得る。例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールなど)、水、炭化水素(例えば、ブタン、ヘキサンなど)、油(例えば、オリーブ油、植物油、精油など)、極性有機溶剤(例えば、酢酸エチル、ポリエチレングリコールなど)、または超臨界流体(例えば、液状CO2)を含む、当技術分野で公知の任意の好適な抽出剤を使用することができる。抽出剤はカンナビス抽出物を組成物に組み込む前に、完全にまたは部分的に除去されてもよく、またはCB2アゴニスト、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、および抗酸化剤も担体として作用するように、組成物に含まれてもよい。抽出剤は抽出物を任意に減圧下(例えば、真空下)で加熱することによって除去することができる。より揮発性の植物代謝産物(テルペンなど)のいくつかは、抽出剤と共に除去されてもよいことが理解されるのであろう。したがって、いくつかの実施形態では、抽出剤を除去することにより、抽出物のカンナビノイド画分を濃縮することができる。いくつかの実施形態では、抽出物は、例えば、抽出物を濾紙または細かい篩(例えば、5μmの孔径を有する篩)に通すことによって、濾過されて粒状物質が除去される。
【0048】
いくつかの実施形態では、カンナビス抽出物が植物材料に熱および圧力を加えることによって形成される。典型的には、これらの実施形態では抽出剤は必要とされない。
【0049】
いくつかの実施形態では、カンナビス抽出物はカンナビス油である。本明細書中で使用される場合、「カンナビス油」は、カンナビス植物の少なくとも一部を油と接触させることによって形成される抽出物である。抽出油は、任意に除去されてもよい。抽出油は、オリーブ油、大麻油、ゴマ油、ヤシ油、植物油、カノーラ油、ブドウ種子油、アーモンド油、中鎖トリグリセリド(MCT)油、および任意の他の食用油、またはそれらの組み合わせから選択され得る。
【0050】
カンナビノイド画分は、典型的にはカンナビス抽出物中に存在する化合物の大部分を占める。
【0051】
いくつかの実施形態において、カンナビス抽出物は約35重量%~約95重量%のカンナビノイド、例えば、カンナビス抽出物の重量の約40重量%~約90重量%、約45重量%~約70重量%、または約45重量%~約55重量%を含み得る。いくつかの実施形態では、カンナビス抽出物が約5重量%~約65重量%の非カンナビノイド、例えば、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、または約15重量%~約30重量%の非カンナビノイドを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、カンナビノイド画分が主要カンナビノイドとしてCBDを含む。カンナビス画分は、少なくとも約40%、45%、50%、55%または60%の最小量のCBDを含み得る。カンナビス画分は、約97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%または80%以下の最大量のCBDを含み得る。カンナビノイド画分はこれらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれか、例えば、約40~約97%または約50~約90%までのCBDを含むことができる。
【0053】
典型的には、カンナビス抽出物はまた、CBDに加えて他のカンナビノイドを含んでいてもよい。これらのカナビノイドとしては、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、Δ8-テトラヒドロカンナビノール(d8-THC)、Δ9-テトラヒドロカンナビアノール酸(THCA)、Δ9-テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、(-)-カンナビバリン(CBDV)、カンナビノジオール(CBN)およびカンナゲゲロール(CBG)が挙げられる。これらのカンナビノイドの各々は、カンナビス抽出物の0.001重量%~40重量%の量で存在し得る。例えば、THCは約20%、15%、10%、5%または1%以下の量でカンナビノイド画分中に存在し得る。CBNは0.5%、0.4%、0.3%、0.2%または0.1%以下の量でカンナビノイド画分中に存在し得る。CBNは、0.001~0.5重量%または0.001~0.1重量%の量でカンナビノイド画分中に存在し得る。CBGは抽出物の少なくとも0.3重量%、例えば、抽出物の0.3~10重量%または0.35~5重量%の量でカンナビノイド画分中に存在し得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、特定のカンナビノイドがカンナビス抽出物に存在しなくてもよく、または検出不可能な量(例えば、検体の0.001重量%未満)で存在してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、組成物がTHCを含まず、例えば約1%未満または0.1%未満である。
【0055】
<脂肪酸成分>
組成物の脂肪酸成分は、均衡比率でオメガ-3脂肪酸およびオメガ-6脂肪酸を含む。
【0056】
オメガ-3脂肪酸は、その末端炭素原子から3原子の二重炭素-炭素結合を有する不飽和脂肪酸である。オメガ-6脂肪酸は、その末端炭素原子から6原子の二重炭素-炭素結合を有する不飽和脂肪酸である。
【0057】
オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸は、動物代謝において重要である。特に、α-リノレン酸(ALA;18:3n-3)およびリノール酸(LA;18:2n-6)は、イヌおよびヒトを含む一連の哺乳動物種に必須の脂肪酸である。ALAは、ステアリドン酸(18:4n-3)、エイコサテトラエン酸(20:4n-3)、エイコサペンタエン酸(EPA;20:5n-3)およびドコサヘキサン酸(DHA;22:6n-3)を含む、より複雑なオメガ-3脂肪酸の構成単位である。LAは、γ-リノレン酸(GLA;18:3n-6)、ジホモγ-リノレン酸(DGLA;20:3n-6)およびアラキドン酸(AA;20:4n-6)を含む他の重要なオメガ-6脂肪酸に関与する。
【0058】
これらのオメガ-3およびオメガ-6脂肪酸は、次にエイコサノイド、内因性カンナビノイドおよびリポキシンを含むいくつかのクラスの重要な代謝産物の生合成前駆体である。
【0059】
オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸は、プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサンおよびレゾルビンなどの様々な炎症誘発性および抗炎症性のバイオマーカーおよびシグナル伝達化合物の生合成経路にも関与している。例えば、リノール酸(オメガ-6)はプロスタグランジン2(PG2)、ロイコトリエンB4(LTB4)およびトロンボキサンA(TXA)などの様々な炎症誘発性化合物の生合成前駆体であるが、α-リノレン酸(オメガ-3)はプロスチガランジン3(PG3)、ロイコトリエンB5(LTB5)、トロンボキサンA3(TXA3)、レゾルビンE1(RvE1)、レゾルビンE2(RvE2)、レゾルビンD3(RvD3)およびレゾルビンD4(RvD4)などの様々な抗炎症性化合物の生合成前駆体である。
【0060】
したがって、組成物の脂肪酸成分はまた、投与後の対象における炎症の管理を補助し得る。炎症を減少させることは、対象の免疫系を補助し得る。加えて、食事性オメガ‐3およびオメガ‐6脂肪酸は、部分的には内因性カンナビノイド生合成前駆体であるため、内因性カンナビノイドの恒常性調節因子として作用する可能性があることが報告されている。したがって、組成物中の脂肪酸組成物とCBDとの組み合わせは、対象の内因性カンナビノイド系の調節を補助すると考えられる。
【0061】
本明細書中に記載される任意の脂肪酸は、遊離酸形態で、またはトリグリセリドなどのエステルの形態で、組成物中に含まれ得る。したがって、「脂肪酸」への言及(オメガ-3脂肪酸およびオメガ-6脂肪酸への言及を含む)は、遊離脂肪酸およびそのエステルを含むことが理解される。脂肪酸エステルには、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドなどのグリセリルエステルが含まれる。ジグリセリドおよび/またはトリグリセリドに含まれる脂肪酸残基は、同じであっても異なっていてもよく、本明細書に記載の脂肪酸のいずれかから選択されてもよい。
【0062】
オメガ-6脂肪酸に対するオメガ-3脂肪酸の相対的割合は、脂肪酸代謝、CBD生体吸収、および対象について達成される健康影響にとって重要であり得ると考えられる。
【0063】
組成物は、(i)オメガ-3脂肪酸およびオメガ-6脂肪酸が一連の健康上の利益に関連すること、および(ii)いくつかの活性な医薬、獣医および/または栄養補助の成分の効力が脂肪酸との同時投与によって増強されること、例えば、脂肪酸が活性成分のバイオアベイラビリティを増強し得ることから、脂肪酸成分を含むことが望ましい。
【0064】
組成物は、オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸を均衡比率で含む。いくつかの実施形態において、オメガ-3対オメガ-6脂肪酸の最小比は、脂肪酸成分の重量に基づいて、少なくとも約0.8:1、0.9:1、0.95:1または1:1であり得る。オメガ-3対オメガ-6脂肪酸の最大比は、脂肪酸成分の重量に基づいて、約1.2:1、1.15:1、1.1:1、1.05:1または1:1までであり得る。オメガ-3脂肪酸対オメガ-6脂肪酸の比はこれらの最小比のいずれかからこれらの最大比のいずれかまで、例えば、約0.8:1~約1.2:1、約0.9:1~約1.1:1、または約1:1~約1.15:1であり得る。
【0065】
脂肪酸成分は、オメガ-3脂肪酸を含む。脂肪酸成分の最小オメガ-3脂肪酸含量は、脂肪酸成分の重量に基づいて少なくとも約15%、20%、25%または30%であり得る。脂肪酸成分の最大オメガ-3脂肪酸含量は、脂肪酸成分の重量に基づいて約65%、60%、55%、50%または45%までであり得る。脂肪酸成分のオメガ-3脂肪酸含量はこれらの最小量のいずれかから、これらの最大量のいずれか、例えば、約15%~約65%または約25%~約50%であり得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、組成物は、ALA、EPA、ステアリドン酸およびDHAならびにそれらの組み合わせから選択されるオメガ-3脂肪酸を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、オメガ-3脂肪酸が主要量のALAを含む。「主要量」への言及は最高濃度で存在する画分(例えば、オメガ-3脂肪酸)の成分(例えば、ALA)を指す。ALAの最小濃度は、オメガ-3脂肪酸の重量に基づいて、少なくとも約80%、90%、95%または97%であり得る。ALAの最大濃度は、オメガ-3脂肪酸の重量に基づいて、約100%、99.9%、99.5%、99%、または98%までであり得る。オメガ-3脂肪酸の重量に基づくALAの濃度はこれらの最小濃度のいずれかから、これらの最大濃度のいずれか、例えば、約97%~約100%であり得る。
【0068】
脂肪酸成分は、オメガ-6脂肪酸を含む。脂肪酸成分の最小オメガ-6脂肪酸含量は、脂肪酸成分の重量に基づいて少なくとも約15%、20%または25%であり得る。脂肪酸成分の最大オメガ-6脂肪酸含量は、脂肪酸成分の重量に基づいて約65%、60%、55%、50%または45%までであり得る。脂肪酸成分のオメガ-6脂肪酸含量はこれらの最小量のいずれかから、これらの最大量のいずれか、例えば、約15%~約65%または約25%~約50%であり得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、組成物は、LA、GLA、DGLAおよびAAならびにそれらの組み合わせから選択されるオメガ-6脂肪酸を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、オメガ-6脂肪酸は、主要量のLAを含む。「主要量」への言及は最高濃度で存在する画分(例えば、オメガ-6脂肪酸)の成分(例えば、LA)を指す。LAの最小濃度は、オメガ-6脂肪酸の重量に基づいて、少なくとも約80%、90%または94%であり得る。LAの最大濃度は、オメガ-6脂肪酸の重量に基づいて約100%、99%または98%までであり得る。オメガ-6脂肪酸の重量に基づくLAの濃度はこれらの最小濃度のいずれかから、これらの最大濃度のいずれか、例えば、約90%~約98%であり得る。
【0071】
オメガ-3とオメガ-6脂肪酸の比は、典型的には脂肪酸成分中の各クラスの各脂肪酸の重量に基づいて決定される。しかしながら、いくつかの実施形態では、オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸の比が各タイプの主要成分の比に基づいて決定されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、ALAとLAの比は均衡がとれている。ALA対LAの比は、本明細書中に記載されるオメガ-3対オメガ-6脂肪酸の均衡比のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、ALA対LAの均衡比が重量基準で約1:1であり、例えば、0.9:1~1.1:1である。
【0072】
いくつかの実施形態では、脂肪酸成分はGLAを含む。脂肪酸成分は、約1%~約5%の量のγ-リノレン酸を含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、脂肪酸成分はステアリドン酸を含んでいてもよい。脂肪酸成分は、ステアリドン酸を0~2.5%の量で含み得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、脂肪酸成分はALAを含む。脂肪酸成分は、少なくとも約20%および/または約50%まで、例えば約20%~約50%または約30%~約48%の量のα-リノレン酸を含み得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、脂肪酸成分はLAを含む。脂肪酸成分はLAを少なくとも約25%の量および/または43%までの量、例えば、約25%~約43%または約28.5%~約42.5%の量で含み得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、脂肪酸成分は、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、LA、ALA、GLAおよびステアリドン酸を含む。脂肪酸成分は、以下の量のいずれかでこれらの脂肪酸を含み得る:
約3~9%のパルミチン酸、
約1~6%のステアリン酸、
約8~24%のオレイン酸、
約28~43%のリノール酸、
約30~50%のαリノレン酸、
約1~5%のγリノレン酸、および
0~2.5%のステアリドン酸。
【0077】
組成物は、少なくとも約40%の脂肪酸成分を含む。いくつかの実施形態では、組成物が少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%または96%の最小濃度の脂肪酸成分を含む。組成物は、約99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、97.5%、97%または96.5%までの最大濃度の脂肪酸成分を含み得る。組成物中の脂肪酸成分の濃度はこれらの最小値のいずれかからこれらの最大値のいずれか、例えば、約40%~約99.99%または約75%~約98%であり得る。
【0078】
オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸に加えて、脂肪酸成分は、1つ以上のさらなる脂肪酸を含み得る。追加の脂肪酸は、飽和または不飽和脂肪酸であってもよい。
【0079】
不飽和脂肪酸は、1~n/2個の二重炭素-炭素結合を含み得、ここで、nは脂肪酸側鎖中の炭素原子の数である。典型的には、不飽和脂肪酸が1~10個の二重炭素-炭素結合を含む。二重炭素-炭素結合は、シスまたはトランスであり得る。典型的には、二重炭素-炭素結合はシスである。
【0080】
追加の脂肪酸は:
2~6個の炭素原子(カルボキシル炭素を含む)を含む短鎖脂肪酸(SCFA);
7~13個の炭素原子(カルボキシル炭素を含む)を含む中鎖脂肪酸(MCFA);
14~22個の炭素原子(カルボキシル炭素を含む)を含む長鎖脂肪酸(LCFA);および/または
23個以上の炭素原子(カルボキシル炭素を含む)、例えば23~100個の炭素原子を含む超長鎖脂肪酸(VLCFA)であり得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、脂肪酸成分がMCFA、LCFA、またはそれらの組み合わせを含む。
【0082】
少なくとも1種のMCFAを含むトリグリセリドは、本明細書では中鎖トリグリセリド(MCT)と呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、脂肪酸成分はMCTを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、脂肪酸成分が、酪酸(4:0);カプロン酸(6:0);カプリル酸(8:0);カプリン酸(10:0);ウンデカン酸(11:0);ラウリン酸(12:0);トリデカン酸(13:0);ミリスチン酸(14:0);ミリストレイン酸(14:1);ペンタデカン酸(15:0);シス-10-ペンタデカン酸;シス-10-ペンタデセン酸;パルミチン酸(16:0);パルミトレイン酸(16:1n-9);ヘキサデセン酸(16:1);ヘキサデカジエン酸(16:2);マルギン酸/ヘプタデカン酸(17:0);シス-10-ヘプタデカン酸;シス-10-ヘプタデセン酸;マーガロレイン酸(margaroleic acid)(17:1);ステアリン酸(18:0);バクセン酸(18:1);オレイン酸(18:1);エライジン酸(18:1);リノール酸(LA; 18:2);リノレイド酸(18:2n-6);α-リノレン酸(ALA)およびγ-リノレン酸(GLA)などのリノレン酸(18:3);オクタデカトリエン酸(18:3);ステアリドン酸(SDA;18:4n-3);アラキジン酸(20:0);ガドレイン酸(20:1n-11)、ゴンド酸(20:1n-9)およびパウリン酸(20:1n-7)などのエイコセン酸(20:1);エイコサジエン酸(20:1n-6);シス-11,14,17-エイコサトリエン酸;シス-8,11,14-エイコサトリエン酸;エイコサテトラエン酸;アラキジン酸(AA;20:0);エイコサペンタエン酸(20:5n-3);ヘンイコシル酸(21:0);ベヘン酸(22:0);セトレ酸/エルカ酸(22:1n-9);ドコサジエン酸(22:2n-6);ドコサペンタン酸/ドコサペンタエン酸(DPA;22:5);ドコサヘキサエン酸(DHA;22:6n-3);トリコサン酸(23:0);リグノセリン酸(24:0);ならびにネルボン酸(24:1n-9)からなる群の1つ以上から選択される脂肪酸を含む。これらの脂肪酸は、遊離脂肪酸として存在してもよく、または脂肪酸エステルに組み込まれてもよい。
【0084】
脂肪酸成分は天然に由来するか、または合成的に生成される(すなわち、非天然)脂肪酸を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は、非天然源由来の少なくとも1つの脂肪酸を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、脂肪酸成分は、亜麻種子油、大麻種子油、魚油、ココナッツ油、ココアバター、パーム核油、パーム油、綿実油、小麦胚芽油、大豆油、オリーブ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、カノーラ油、ゴマ油、ピーナッツ油、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、脂肪酸成分は、本明細書に記載される油のいずれかなどの2、3、4またはそれ以上の油の組み合わせを含む。典型的には脂肪酸成分が油の組み合わせを含む場合、これらは実質的に等しい割合で、例えば、約1:1または1:1:1などの体積比で混合される。
【0086】
<ステロール>
組成物はステロールを含む。ステロールは、植物性ステロール、動物性ステロールまたは真菌ステロールであり得る。典型的には、ステロールは植物性ステロールである。植物性ステロールには、β-シトステロール、カンペステロールおよびスチグマステロールならびにそれらの誘導体が含まれる。いくつかの実施形態では、組成物はβ-シトステロールを含む。
【0087】
組成物は、少なくとも約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%または約0.25%の最小量でステロールを含むことができる。組成物は、約15%、約10%、約5%、約1%、約0.5%、または約0.4%以下の最大量でステロールを含み得る。組成物は、約0.01%~約15%または約0.2%~約0.4%など、これらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでの量でステロールを含み得る。
【0088】
<その他の成分>
CBD、脂肪酸成分およびステロールに加えて、組成物は、1つ以上のさらなる成分を含み得る。さらなる成分は、ビタミンE化合物、抗酸化剤、テルペン、食品成分、さらなる医薬的、獣医学的または栄養補助的な活性成分、担体、希釈剤および賦形剤、またはそれらの組み合わせから選択され得る。
【0089】
<ビタミンE化合物>
ビタミンEは、トコフェロールとトコトリエノールとの混合物を含む。トコフェロールとしては、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロールおよびδ-トコフェロールが挙げられる。トコトリエノールとしては、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノールおよびδ-トコトリエノールが挙げられる。
【0090】
有利には、ビタミンE化合物は、組成物を投与される対象の皮膚の健康をサポートすることを含む、組成物にいくつかの利点を提供し得、また、対象のための抗酸化剤としての役割を果たすこと、および組成物中の脂肪酸酸化を防止することを補助し得る。
【0091】
ビタミンE化合物は、トコフェロール、トコトリエノール、トコフェロール誘導体およびトコトリエノール誘導体のいずれか、またはそれらの組み合わせから選択され得る。トコフェロールおよびトコトリエノール誘導体としては、アセチル誘導体、グリセリル誘導体およびリン酸誘導体が挙げられる。
【0092】
いくつかの実施形態では、ビタミンE化合物はα-トコフェロールまたはその誘導体である。いくつかの実施形態では、ビタミンE化合物がγ-トコフェロールまたはその誘導体である。
【0093】
いくつかの実施形態では、ビタミンE化合物がビタミンEとして提供される。
【0094】
ビタミンE化合物は、天然源または非天然源に由来し得る。ビタミンE化合物の非天然源としては、合成および/または半合成トコフェロール、トコトリエノール、トコフェロール誘導体およびトコトリエノール誘導体が挙げられる。
【0095】
組成物は、ビタミンE化合物を少なくとも約0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%または5%の最小量で含み得る。組成物は、約20%、15%、10%、9%、8%、7%または6%以下の最大量でビタミンE化合物を含み得る。組成物はこれらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれか、例えば、約0.1%~約20%または約1%~約10%までのビタミンE化合物を含み得る。
【0096】
<酸化防止剤>
いくつかの実施形態において、組成物は、組成物の脂肪酸成分の酸化を遅延または防止するための抗酸化剤を含む。任意の適合する抗酸化剤が含まれ得る。酸化防止剤は、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ビタミンE化合物、トコフェロールの混合物、またはそれらの組合せから選択することができる。例えば、酸化防止剤は、オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸を安定化するように設計されたトコフェロールおよび植物由来の成分の混合物を含むParamegaTMであってもよい。いくつかの実施形態において、抗酸化剤は、トコフェロールの混合物を含むローズマリーの抽出物である。
【0097】
組成物は、安定化量で酸化防止剤を含み得る。酸化防止剤が安定化量で含まれる場合、それは安定化剤と呼ばれ得る。安定化量は、脂肪酸成分の酸化を妨ぐために有効な任意の量の酸化防止剤である。したがって、安定化量は、選択された酸化防止剤または酸化防止剤の組み合わせ、ならびに存在する脂肪酸および組成物の予想される貯蔵条件などの他の因子に依存し得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、酸化防止剤の最小濃度が少なくとも約0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%または0.1%であり得る。いくつかの実施形態では、抗酸化剤の最大濃度が約20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%または5%以下であってもよい。組成物はこれらの最小濃度のいずれかからこれらの最大濃度のいずれかまでの濃度、例えば、約0.0001%~約20%または約0.05%~約6%の濃度で酸化防止剤を含み得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、抗酸化剤はビタミンE化合物を含む。いくつかの実施形態では、酸化防止剤がビタミンE化合物以外の酸化防止剤を含む。
【0100】
<さらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的成分>
いくつかの実施形態では、組成物は、CBD、脂肪酸成分およびステロール以外のさらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的成分を含み得る。任意の適合する活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分が含まれ得る。
【0101】
典型的にはさらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分は脂溶性および/または脂肪分散性である。脂肪分散性活性な、薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分は脂肪酸成分との分散体の形成を補助するために、任意に乳化剤または溶解度増強剤を含み得る。
【0102】
好適な例としては、精油(例えば、フランケンス油)、植物抽出物(例えば、ショウガ根抽出物、ウコン抽出物)、テルペン(例えば、β-カリオフィレン、α-ピネン、α-カリオフィレンオキシド)、フラボノイド(例えば、ケルセチン、カンナフラビンなど)、ブロメライン、必須アミノ酸を含むペプチドを含む必須アミノ酸、CB2リガンド(例えば、アナンダミド、2-アラキドノイルグリセロール、2アラキドニルグリセリルエーテルエーテル、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、N-アルキルアミド、β-カリオフィレン, 3,3’-ジインドリルメタン、AM-1221、AM-1235、AM-2232、UR-144、JWH-007、JWH-015、JWH-018など)、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤(例えば、JAK3阻害剤)、ビタミンE以外のビタミン、オクラシチニブ(例えば、ApoquelTM)、コルチコステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、デキサメタゾンなど)、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン(Benadryl)、ヒドロキシジン(Atarax)、クロルフェニラミン(Chlor-Trimeton)、ロラタジン(Claritin(登録商標))、セチリジン(Zyrtec(登録商標))など)、皮膚障害および/または炎症に関与する特異的ケモカインまたはサイトカインを標的とするモノクローナル抗体(例えば、ロキベトマブ-Cytopoint(登録商標))およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0103】
存在する場合、さらなる活性な、薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分は、投与後に対象に適切な投薬量を提供するのに十分な治療的に有用な量で含まれる。したがって、組成物は、有効量のさらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分を含み得る。
【0104】
いくつかの実施形態では各さらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分は少なくとも約0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%または0.05%の最小量で存在する。いくつかの実施形態では、さらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な各成分は約10%、5%、1%または0.5%以下の最大量で存在する。組成物はこれらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまで、例えば、約0.0001%~約10%または約0.01%~約1%までのさらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な各成分を含み得る。
【0105】
いくつかの実施形態において、さらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分はテルペンを含む。テルペンは、β-カリオフィレン、α-ピネン、β-カリオフィレンオキシド、またはそれらの組み合わせを含み得る。β-カリオフィレンを含む組成物は、β-カリオフィレンオキシドをさらに含んでもよい。組成物は、さらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分について上記の任意の量でテルペンを含み得る。典型的には、組成物は、テルペンを約0.001%~約0.5%または約0.1%~約0.4%の量で含み得る。
【0106】
いくつかの実施形態ではさらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分はβ-カリオフィレンである。この組成物は、さらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分について上記の任意の量のβ-カリオフィレンを含み得る。典型的には、組成物は約0.001%~約0.5%または約0.1%~約0.4%の量のβ-カリオフィレンを含み得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、さらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分はα-ピネンである。組成物は、さらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分について上記の任意の量のαピネンを含み得る。典型的には、組成物が約1%、0.5%、0.25%、または0.1%までの最大量のα-ピネンを含むことができる。組成物は、少なくとも約0.001%または0.01%の最小量のα-ピネンを含み得る。組成物は、これらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれか、例えば約0.001%~約1%までのα-ピネンを含み得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、組成物はα-ピネンを実質的に含まない。そのような実施形態では、微量レベルのα-ピネンのみが、カンナビス植物抽出物または不純物としての他の成分と共に導入されるように含まれていてもよく、例えば、そのような組成物は約0.0001%未満のα-ピネンを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は添加されたα-ピネンを含まない。いくつかの実施形態では、組成物は検出可能なレベルのα-ピネンを含まない。
【0109】
CBD、脂肪酸、ステロール、ならびにさらなる活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分などの本明細書に記載される種々の化合物への言及は、関連化合物ならびにその薬学的、獣医学的および/または栄養補助的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、多形体および/または立体異性体を含む。
【0110】
種々の化合物は、薬学的、獣医学的および/または栄養学的に許容される塩として提供され得る。薬学的および獣医学的に許容される塩の例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウムなどの薬学的、獣医学的および/または栄養学的に許容されるカチオン;塩酸、オルトリン酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸および臭化水素酸などの薬学的、獣医学的および/または栄養学的に許容される酸付加塩;または酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トリハロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、イセチオン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、吉草酸、オロト酸などの薬学的、獣医学的および/または栄養学的に許容される有機酸の塩が挙げられる。アミン基の塩(存在する場合)はまた、アミノ窒素原子がアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアラルキル部分などの適切な有機基を有する第四級アンモニウム塩を含み得る。
【0111】
塩は、化合物の遊離塩基形態を1つ以上の当量の適切な酸と反応させることなど、従来の手段によって形成することができる。
【0112】
薬学的、獣医学的および/または栄養学的に許容される塩への言及は、溶媒付加形態またはその結晶形態、特に溶媒和物および/または多形を含むことを理解されたい。
【0113】
「互変異性体」は、化合物の構造異性体のうちの別のものと平衡状態にある化合物の構造異性体である。この平衡は、典型的には従来の技術では互変異性を示す化合物の1つの互変異性体のみの単離を不可能にする熱力学によって駆動される。本発明の化合物のいずれかが互変異性を示す限りにおいて、本発明は、種々の化合物およびその誘導体の全ての互変異性体を含むことが意図される。
【0114】
「立体異性体」は、化合物の溶液を通過する偏光の回転に測定可能な変化をもたらす化合物の空間異性体である。立体異性体には、鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、アトロプ異性体およびアノマーを含む回転異性体が含まれる。
【0115】
化合物は、水、エタノールなどの許容可能な溶媒を用いて、非溶媒和および溶媒和形態で存在し得る。溶媒和物は、化学量論的または非化学量論的量のいずれかの溶媒を含有する。水和物は、溶媒が水である場合に形成される。アルコラートは、溶媒がアルコールである場合に形成される。一般に、溶媒和形態は本明細書に提供される組成物および方法の目的のために、非溶媒和形態と同等であると考えられる。
【0116】
組成物は、典型的には形のあるものまたは液体で提供されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、組成物は粉末の形態で提供され得る。組成物の粉末形態は例えば、シクロデキストリン、乳化剤、タンパク質、ペプチド、またはそれらの組み合わせなどの多糖類を含むマトリックスまたはシェル内に、CBD、脂肪酸成分、およびステロールを任意の追加の成分とともにカプセル化することによって達成され得る。例えば、カプセル化技術は、WO2001/074175に記載されている。あるいは、組成物がリポソーム内にカプセル化され得る。
【0117】
薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な組成物は、例えば、従来の固体または液体ビヒクルまたは希釈剤、ならびに所望の投与形態に適したタイプの、薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な添加物(例えば、賦形剤、結合剤、保存剤、風味剤など)を、医薬製剤の技術分野で周知の技術(例えば、Remington: the Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., 2005, Lippincott Williams & Wilkins and/or Veterinary pharmacology and therapeutics, Riviere, J.(Ed.); Papich, Mark G., (Ed.); Wiley-Blackwell; 2017を参照のこと)に従って製剤化され得る。添加剤は、United States Pharmacopeia/National Formulary(USP/NF)、British Pharmacopoeia(BP)、European Pharmacopoeia(EP)、Japanese Pharmacopoeia(JP)またはChinese Pharmacopoeia(ChP)に含まれる任意の添加剤であり得る。いくつかの実施形態において、組成物は非天然(例えば、合成的に製造された)であり得る賦形剤を含む。
【0118】
医薬組成物(薬学的組成物)は任意の適切な投与経路によって投与することができ、したがって、任意のそのような投与経路に適切な形態で製剤化することができる。例えば、投与経路は、経口、直腸、局所(口腔および舌下を含む)、膣または非経口(皮下を含む)投与であり得る。しかしながら、本発明の組成物の利点は、活性成分の経口バイオアベイラビリティである。
【0119】
薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な組成物は、単位用量形態で調製され得る。このような形態では、組成物が適切な量の成分を含有する単位用量に細分される。単位用量形態はパッケージされた調製物であり得、パッケージは別個の量の調製物を含む。調製物は、パケット錠、カプセル(例えば、充填カプセル)、ロゼンジ、バイアルまたはアンプル中の粉末などの固体、または溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル、チンキ剤、またはそれらを充填したカプセルなどの液体であり得る。また、単位用量形態はそれ自体がカプセル、錠剤、カシェ剤、またはロゼンジであってもよく、または、これらのいずれかの適切な数を包装された形態にしたものであってもよい。
【0120】
本明細書に記載される薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な組成物を調製するために、薬学的、獣医学的および/または栄養補助的に許容される添加剤は、固体または液体のいずれかであり得る。固形製剤には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、ロゼンジおよび要指示顆粒剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、風味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化材料としても作用し得る1つ以上の物質であり得る。
【0121】
適切な担体としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンなど)、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバター、微結晶セルロース(MCC)、ケイ化微結晶セルロース、粉末セルロース、アルギン酸塩、ポリデキストロース、硫酸カルシウム二水和物、リン酸水素カルシウム二水和物、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩(HPMCAS)、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリレートおよびメタクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、アラビアゴムなどが挙げられる。錠剤、粉末、カプセル、丸剤、カシェ剤、およびロゼンジは、経口投与に適切な固体形態として使用され得る。
【0122】
液体形態の調製物は油溶液、分散液、懸濁液、およびエマルジョン、例えば、油中水型および水中油型エマルジョンを含む。液体調製物は、舌下投与を含む実施形態に好ましい。
【0123】
組成物の液体形態は無菌であり得る。滅菌液体形態組成物には、滅菌溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップおよびエリキシルが含まれる。成分は、滅菌水、滅菌有機溶媒または両方の混合物などの薬学的、獣医学的および/または栄養学的に許容される担体に懸濁されていてもよい。
【0124】
水溶液は水中の成分を乳化剤と混合し、必要に応じて適切な着色剤、香味剤、安定化剤および増粘剤を添加することによって調製することができる。水性懸濁液は、微細化された活性成分を粘性物質、例えば天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、または他の周知の懸濁剤と共に水中に分散させることによって作製することができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、組成物の投与は経口投与である。組成物は、任意の適切な形態で経口投与のために処方され得る。例えば、経口投与用組成物は、錠剤、トローチ、粉末、顆粒、ロゼンジ、溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル、シロップ、ウェーハまたは溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル、シロップ、粉末、顆粒、チンキまたはそれらの組み合わせで満たされたカプセルの1つ以上の形態で処方され得る。本発明の組成物は、さらに製剤化することなく経口投与することができる。しかし、いくつかの実施形態では、組成物の経口形態が1つ以上の薬学的、獣医学的および/または栄養学的に許容される賦形剤を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は液体経口組成物であり、溶液、懸濁液、エマルジョン(任意に乳化剤を含む)、エリキシル、シロップ、チンキまたはそれらの組み合わせから選択される形態であり得る。液体経口組成物は、非ヒト対象への投与に好ましい。
【0126】
錠剤、トローチ、丸剤、ロゼンジ、ロゼンジ、カプセルなどは、以下に列挙する成分のいずれか:アカシアガム、トウモロコシデンプンまたはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウム、微結晶セルロース(MCC)、ケイ化微結晶セルロースまたは粉末セルロースなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、ポリビニルピロリドン(PVP)などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤を含有し得、ならびにスクロース、ラクトースまたはサッカリンなどの甘味剤またはペパーミント、ウィンターグリーンの油、またはチェリー風味剤などの風味剤を添加してもよい。投与単位形態がカプセル剤である場合は、前述の物質に加えて、液体担体を含むことができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、投与単位形態はカプセルである。カプセルを形成するために、典型的には、脂肪酸成分、安定化剤、および任意の追加の成分を、本明細書に記載の賦形剤(例えば、担体)の1つ以上と組み合わせて、固体または液体製剤を提供し、次いで、これをカプセルシェル内に封入する。硬質および軟質カプセルシェルを含む、当技術分野で公知の任意の適切なカプセルシェルを使用することができる。適切な硬カプセルシェルは、ゼラチン、HPMC、デンプン、プルランおよび/またはポリ酢酸ビニル(PVA)を含み得る。適切な軟カプセルはポリオール(例えば、グリセリンまたはソルビトール)などの増粘剤で増粘されたゼラチンを含み得る。上記のように、カプセルシェルは、本明細書中に記載される以下の投与形態のいずれかで充填され得る:溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル、シロップ、粉末、顆粒またはそれらの組み合わせ。カプセルが固体剤形で充填される場合、それは充填前に乾燥されてもよい。いくつかの実施形態では、固体剤形がカプセルシェルを充填する前に凍結乾燥される。あるいは、液体賦形剤を添加して、顆粒剤、溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシルまたはシロップなどの湿潤剤形を提供してもよい。
【0128】
様々な他の物質がコーティングとして、またはそうではなく剤形の物理的形態を修正するために存在し得る。例えば、錠剤、丸薬またはカプセルはシェラック、糖または両方でコーティングされていてもよい。シロップまたはエリキシル剤は、脂肪酸成分、安定化剤、甘味剤としてのスクロース、防腐剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、染料、ならびにチェリーまたはオレンジフレーバーなどの香料を含有し得る。当然のことであるが、いずれかの単位投与形態を調製する際に使用されるいずれの物質も、薬学的に純度が高く、かつ使用量において十分に無毒でなければならない。さらに、脂肪酸成分および安定化剤は、徐放性調製物および製剤に組み込まれ得る。
【0129】
また、使用直前に、経口および/または舌下投与などのための液体形態の調製物に希釈されることが意図される調製物も含まれる。このような液体形態としては、溶液、懸濁液、およびエマルジョンが挙げられる。これらの調製物は、脂肪酸成分、安定化剤および任意の追加成分に加えて、着色剤、香味剤、緩衝剤、人工および天然甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有し得る。
【0130】
口内での局所投与に適した製剤(例えば、舌下投与)としては、本明細書に記載の任意の液体製剤、好ましくは点滴器または注射器による投与に適した粘性を有する液体製剤;通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントである風味付けされた塩基を含むロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性塩基を含むパスチル;ならびに適切な液体担体を含むマウスウォッシュが挙げられる。
【0131】
表皮への局所投与のために、組成物は、軟膏、クリームまたはローションとして、または経皮パッチとして処方され得る。軟膏およびクリームは、例えば適切な増粘剤および/またはゲル化剤を加えた水性または油性ベースと配合することができる。ローションは水性または油性基剤と共に製剤化することができ、一般に、1種以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、または着色剤も含有する。
【0132】
薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な組成物は非経口投与のために(例えば、注射、例えば、ボーラス注射または連続注入によって)処方され得、そしてアンプル、予め充填されたシリンジ、小容量注入、または任意に添加された防腐剤を伴う複数用量容器において、単位投与形態で提示され得る。組成物は油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルジョンなどの形態をとることができ、懸濁剤、安定化剤、および/または分散剤などの製剤化剤を含有し得る。
【0133】
非経口投与のための組成物はまた、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、単位用量形態で提供され得る。本明細書中で使用される単位用量形態は、治療される対象のための単位投与量として適した物理的に別個の単位をいい;各単位が必要な賦形剤と関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を含有する。
【0134】
注射可能な使用に適した投与形態には、無菌の注射可能な溶液または分散液、および無菌の注射可能な溶液の即時調製のための無菌の粉末が含まれる。それらは、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、酸化および細菌または真菌のような微生物の汚染作用に対して保存され得る。
【0135】
注射可能な溶液または分散液のための溶媒または分散媒は任意の従来の溶媒または担体系を含有していてもよく、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、ならびに植物油を含有し得る。
【0136】
滅菌注射溶液は必要量の組成物の成分を適切な担体中に、必要に応じて上記に列挙したような種々の他の成分とともに取り込み、続いて滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、種々の滅菌された活性成分を、塩基性分散媒および上記に列挙されたものからの必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクルに取り込むことによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分と任意の追加の所望の成分との以前に滅菌された懸濁液の真空乾燥または凍結乾燥である。
【0137】
いくつかの実施形態では、医薬組成物が食品の形態で提供される。適切な食品としては、焼商品などの固形食品および飲料などの液体食品が挙げられる。組成物は製造中に食品に組み込むことができ、または既存の製品に添加することができる。したがって、本明細書中に開示される食品は、脂肪酸成分、安定化剤、および少なくとも1つのさらなる食品成分を含み得る。
【0138】
食品成分は、食品に含めるのに適した任意の成分であり得る。食品が人間の消費のためのものである場合、食品成分は、一般的に安全と認められる(GRAS)成分であり得る。GRAS成分は、米国食品医薬品局(FDA);および米国風味および抽出物製造業者協会(FEMA)または食品および飼料成分の一般的な安全性を評価する他の地理的位置の他の規制当局によって維持されるGRASデータベースに含まれる任意の成分であり得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、食品がビスケットまたはチューなどの動物用トリートである。食品は、機能性食品であってもよく、ここで、食品はまた、薬学的、獣医学的および/または栄養学的に活性な成分を含む。上記の活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分のいずれかを機能性食品に含めることができる。活性な薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な成分は、組成物の一部として含まれてもよく、または機能性食品に別々に組み込まれてもよい。
【0140】
各食品成分は、少なくとも約0.01%、0.05%、0.1%または0.5%の最小量で存在し得る。各食品成分は、約25%、22.5%、20%、18%、15%、10%、8%、5%または1%までの最大量で存在し得る。各食品成分はこれらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでの量、例えば、約0.01%~約25%または約0.5%~約20%の量で含まれ得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、食品が食品の風味に過度に影響を及ぼすことなく、消費時に対象に組成物を提供するのに十分な任意の量で組成物を含むことができる。
【0142】
組成物の最小量は、少なくとも約0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%または15%であり得る。組成物の最大量は、約25%、20%、15%、12%または10%以下であり得る。最小量が最大量未満である限り、これらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでの量、例えば、約0.1%~約25%、約10%~約20%、または約5%~約15%で、食品は組成物を含むことができる。
【0143】
薬学的、獣医学的および/または栄養学的に許容される担体および/または希釈剤としては、任意のおよびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが挙げられる。
【0144】
所望される場合、活性成分の持続放出を与えるように適合された製剤が使用され得る。
【0145】
本発明の実施は別段の記載がない限り、当技術分野の範囲内の従来の医薬および/または医療技術を使用する。このような技術は当業者に周知であり、文献で十分に説明されている。
【0146】
<治療方法>
本発明はまた、外部寄生虫または他の環境または食物アレルゲンの関与の有無にかかわらず、弱められた免疫系に起因し得る、皮膚障害および/または炎症状態を患っているか、または発症する危険性がある対象を治療する方法を提供する。この方法は、それを必要とする対象に有効量の本発明の組成物を投与することを含む。有効量の組成物の投与は、それによって、皮膚障害および/または炎症状態を治療し得る。本明細書中に記載される本発明の組成物のいずれも、これらの方法において使用され得る。
【0147】
有利には、有効量の本発明の組成物の投与が対象の免疫系および炎症防御機構をサポートし得る。これは、皮膚障害および/または炎症状態に罹患しているか、またはそれを発症する危険性がある対象に有利であり得る。
【0148】
皮膚障害に罹患しているか、またはそのリスクがある対象は、対象の皮膚に影響を及ぼす何らかの疾患、障害または状態を患っているか、またはそのリスクがある可能性がある。いくつかの実施形態では、皮膚障害が炎症によって引き起こされるか、または炎症は皮膚障害の症状である。例えば、対象は、アトピー性皮膚炎(イヌのアトピー性皮膚炎を含む)、接触皮膚炎、異汗性湿疹、貨幣状皮膚炎、脂漏性皮膚炎およびうっ滞性皮膚炎から選択される皮膚障害、またはそれらの組合せを患っているか、または発症するリスクがあり得る。
【0149】
炎症状態に罹患しているか、または炎症状態を発症するリスクがある対象は、内因性カンナビノイド系の調節によって治療が補助され得る任意の形態の炎症を患っているか、または発症するリスクがあり得る。炎症は限局性のこともあれば、全身性のこともある。
【0150】
いくつかの実施形態では、炎症が症状であっても、疾患および/または障害の原因であってもよい。疾患および/または障害は、炎症性皮膚障害、変形性関節症(OA)、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎(PsA)、強直性脊椎炎(AS)、非X線学的軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)、食物および寄生虫誘発性皮膚炎を含むアレルギー性皮膚炎、細菌性および真菌性皮膚病変、特発性関節炎、膝前部痛、凍瘡、慢性再発性多巣性骨髄炎、線維筋痛症、家族性地中海熱(FMF)、痛風、成長痛、血色素性関節炎、限局性強皮症、ループス、リウマチ性多発筋痛症、反応性関節炎、ロスリバー熱、強皮症、セバー病、シェーグレン症候群および脊椎関節炎、皮膚癌、またはそれらの組み合わせから選択され得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、皮膚障害および/または炎症状態は、炎症性皮膚障害である。炎症性皮膚障害は、免疫グロブリンE(lgE)媒介1型過敏症(アレルギー)反応と関連し得る。いくつかの実施形態において、炎症性皮膚障害は、アトピー性皮膚炎(イヌアトピー性皮膚炎など)、ノミ咬傷過敏症、および食物過敏症を含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、皮膚障害および/または炎症状態がMCP-1、IL-8、KC、CXCL1、HGFおよびRAGE、またはそれらの組み合わせから選択されるバイオマーカーの上昇したレベルに関連する。したがって、本方法は組成物の投与前および/または投与後に、これらのバイオマーカーの1つ以上のレベルを評価するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物の投与が、治療前レベルと比較して、これらのバイオマーカーの1つ以上のレベルを低下させるのに有効である。
【0153】
皮膚疾患および/または炎症の症状は、疼痛であり得る。痛みは、侵害受容性(noiciceptive)疼痛、心因性疼痛および/または神経障害性疼痛であり得る。侵害受容性疼痛は、感覚神経終末(またはノイシセプター(noiciceptor))の刺激に関連している。心因性疼痛は疼痛障害をもたらす心理的要因と関連している(しばしば、疼痛の他の身体的原因が除外された場合に診断される)。神経障害性疼痛は、末梢神経系(PNS)または中枢神経系(CNS)の損傷または機能不全に関連する。カンナビノイド受容体(例えば、CB1およびCB2受容体)は、PNSおよびCNSで発現していると報告されている。従って、本発明の組成物は、皮膚障害および/または炎症に関連する疼痛のいずれかまたは全ての形態の治療において使用され得る。
【0154】
この方法は、有効量の組成物を投与することを含む。有効量は、対象の症状の重症度および種類、対象の病歴、対象の身体的属性(体重、性別など)、投与される医薬組成物に含まれる活性成分の特定の組み合わせ、および投与経路を含む多数の因子に基づいて当業者によって決定され得る。
【0155】
組成物の投与は、好ましくは経口投与である。経口投与は、典型的には全身投与と考えられる。従って、経口投与は、全身性皮膚障害および/または全身性炎症、または対象が複数の位置で経験する皮膚障害および/または炎症を治療するために好ましい。さらに、本発明の組成物の利点は、活性成分が経口的に生体利用可能であることである。
【0156】
いくつかの実施形態では、方法が組成物の経口投与を含む。組成物は、任意の適切な頻度で投与され得る。いくつかの実施形態では、組成物が1日1回または2回投与される。1日2回の投与は、典型的には少なくとも約6時間離れた等量の組成物の投与を含む。投与は食物なしであってもよいし、食物ありであってもよい。本発明の組成物の食品との投与は、典型的には対象が食品を消費した後約1時間以内に組成物を投与することを含む。例えば、食物中で消費されるか、または本発明の組成物の脂肪酸成分中に含まれる脂肪などの脂肪はCBDの経口吸収を補助し得ると考えられる。
【0157】
本方法はまた、さらなる活性成分を投与することを含み得る。この活性成分は組成物と同時に、別々に、または連続して投与することができる。同時に、組成物の各々およびさらなる活性成分が、同じ医薬組成物中で同時に投与されることを意味する。別々にで意味するのは、組成物およびさらなる活性成分の各々が異なる組成物中で、および任意に異なる投与経路によって同時に投与されることである。連続的とは、組成物およびさらなる活性成分の各々が任意選択で異なる投与経路によって別々に投与され、異なる時間にあってもよいことを意味する。典型的には組成物および他の活性成分が連続的に投与される場合、それらは24時間以内、または互いに12、8、6、5、4、3、2、または1時間以内に投与される。組成物は、他の活性成分の前または後に投与することができる。さらに、組成物および他の活性成分の投与経路は、同じであっても異なっていてもよい。
【0158】
さらなる活性成分は、本明細書中に開示されるさらなる活性成分のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、さらなる活性成分が皮膚障害および/または炎症またはその症状の管理および/または治療に使用される成分である。いくつかの実施形態では、さらなる活性成分がオクラシチニブ(例えば、ApoquelTM)、JAK阻害剤(例えば、JAK3阻害剤)、皮膚障害および/または炎症の治療を標的とするモノクローナル抗体、コルチコステロイド、またはそれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、さらなる活性成分との補助療法として使用され得る。
【0159】
上記の対象は、内因性カンナビノイド系を有する任意の対象であり得る。したがって、対象は、ヒトを含む哺乳動物であってもよく、また非ヒト種を含んでもよい。非ヒト種にはコンパニオンアニマルが含まれるが、これに限定されない。コンパニオンアニマルには、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジなどが含まれる。典型的には、対象はイヌまたはネコであり、最も典型的にはイヌである。しかしながら、このような治療を必要とするそのような動物には、サル、ゾウ、キリンおよび他の有蹄動物、クマ、マウスおよび他の小哺乳動物などの動物園動物も含まれ得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、方法は、それを必要とする対象に有効量を投与することを含む、皮膚障害および/または炎症状態を治療する方法であり得る。いくつかの実施形態では、対象はコンパニオン動物、好ましくはイヌである。いくつかの実施形態では、皮膚障害および/または炎症状態はCADである。
【0161】
カンナビジオール、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸および/またはステロールの1つ以上の、カンナビジオール、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸およびステロールを含む、薬学的、獣医学的および/または栄養補助的な組成物の調製における使用もまた、本明細書に開示される。栄養補助的、獣医学的および/または栄養補助的な組成物は、本明細書に記載される組成物のいずれかであってもよく、本明細書に記載される方法のいずれかで使用するためのものであってもよい。
【実施例】
【0162】
本発明は、非限定的な例としてさらに説明される。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正を行うことができることが、本発明の当業者には理解されるであろう。
【0163】
<実施例1>
製剤IVP1およびIVP2の組成を以下の表1に示す。成分を示した量で一緒に混合した。IVP1およびIVP2のすべての成分を周囲温度(~25℃)で混合した。
【0164】
【0165】
注:
a.使用した大麻種子油の脂肪酸組成は、4~10%パルミチン酸(16:0)、1~4%ステアリン酸(18:0)、6~20%オレイン酸(18:1)、45~65%リノール酸(C18:2)、14~28%αα‐リノレン酸(18:3)、1~5%γ‐リノレン酸(18:3)および0~2.5%ステアリドン酸(18:4)であった;
b.使用した亜麻仁油の脂肪酸組成は、3~8%パルミチン酸(16:0)、2~8%ステアリン酸(18:0)、11~24%オレイン酸(18:1)、12~20%リノール酸(18:2)および50~65%α‐リノレン酸(18:3)で あった;
c.使用したCBDは、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)分析に基づいて99.8%純粋である。使用されるCBDは、0.1%以下のΔ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、0.5%以下のカンナビジバリン(CBDV)、0.5%以下のCBD-C4および0.1%以下の他のフィトカンナビノイドを含む。
d.CBDに富む植物抽出物は、大麻種子油中に10.5%のCBDと、0.2%以 下のTHCと、1%以下の水とを含む。
【0166】
<実施例2>
本実施例は、既に診断され、ある程度コントロールされているが、無症状ではないイヌアトピー性皮膚炎(CAD)を有する様々な品種および年齢の、ほぼ性別で釣り合った、13匹のイヌについての、実施例1に記載された製剤の二重盲検プラセボ対照無作為化試験を記載する。
【0167】
<2.1 対象>
あらゆる品種または性別のイヌ(Canis familiaris)、そうでなければ選択基準および除外基準に合致する皮膚科専門医に提示した去勢処置された動物を含む。
【0168】
<選択基準>対象としたイヌは(a)≧5kgおよび≦45kg体重;(b)>6ヵ月齢;(c)臨床的および歴史的所見によりアトピー性皮膚炎と診断され、その患者に関連する他の潜在的原因が除外されている;(d)強化された掻痒スケール(Hill et al, 2007)で少なくとも「軽度の」かゆみを経験、および/またはCADESI-4スコアで約10の最小スコアを経験;(e)0日目の前の7日間、アトピー薬の変更なし、(f)試験56日間(+5)のアトピー薬の変更なし;(g)登録前4週間のシクロスポリン用量の変更なし;(h)試験期間を通してシクロスポリン用量(投与されている場合)の変更なし;(i)登録前8週間のプレドニゾロン投与なし;(j)アレルゲン免疫療法中であれば、試験登録前少なくとも12ヵ月間投与済み;(k)試験期間中、アレルゲン免疫療法の用量および頻度は設定されたプログラムに変更しない;(l)イヌは現在の住居に1ヶ月以上住んでいる;(m)イヌがイソキサリンまたは他の効果的なノミ治療で治療され、試験期間を通して治療されたままである;(n)イヌは登録前少なくとも1ヶ月間、追加のオメガ3および6の補給または高レベルのビタミンE補給を伴わない一貫した食事を与えられる;(o)イヌは試験56日間(+/-2)の間、オおよび食事内で見出されるものに追加されたメガ3または6およびビタミンE補給を受けない;(p)1世帯の1匹のイヌのみが登録され得る。1匹以上の動物がアトピーを有する場合、選択された動物は選択基準を満たさなければならず、かつ、医薬品の投与が最も遵守されているとみなされる;(q)複数のペット家庭において、試験期間を通じて、登録された動物を別々に治療/給餌しなければならない;および(r)ペットを保有する他のノミを有する家庭を登録に適格とし、ただし、すべての動物を効果的なノミコントロールで治療し、被験動物を別々に給餌/投薬しなければならない。
【0169】
参加したイヌは既に除去食(可能性がある食物アレルギーのため)を摂取しており、イヌはかなり安定した治療計画(対象ごとに列挙した治療)をとっている。イヌには、治療前および治療中に、同じ記録されたタイプおよび量の食餌を与える。
【0170】
試験前および試験中に受けたオメガ-3およびオメガ-6脂肪酸、ビタミンEの総量を、市販の食餌の脂肪酸含量の製造業者の情報を使用し、投与されたサプリメントの脂肪酸およびビタミンE含量を加えて、各イヌについて計算する。
【0171】
CADのイヌを以下の3群に分け、対照動物用製品(CVP)または2種類の治験動物用製品(IVP)のいずれかを投与する。飼い主も臨床医も補給の性質を認識していなかった。
A.治療群A(CVPプラセボ群イヌ5匹)中鎖トリグリセリド油(MCT)油(クロロフィルで着色)1ml/10kgを8週間、1日2回、食後1時間以内に投与。
a.この投与量が潜在的な緩下効果のためにイヌにとって高すぎると考えられる場合、投与量は、高熱カノーラ油またはブドウ種子油に置き換えられる。
B.治療群B(IVP1群-4匹のイヌ)は実施例1に記載されるように、IVP1(DermaCann_単離物;DC_ISO)を、1ml/10kgの投与量で、8週間、1日2回、食後1時間以内に投与。
C.治療群C(IVP2群-4匹のイヌ)には、実施例1に記載されるように、IVP2(DermaCann 全大麻抽出物;DC_WHE)を1ml/10kgの用量で、8週間、1日2回、食後1時間以内に投与。
【0172】
<2.2 治療プロトコル>治療は、シリンジを使用する経口投与によって、または観察された食事を伴ってイヌの食物に直接、1日2回(約12時間毎)投与した。注射器は、製品ボトルの頂部に取り付けられたアダプタに嵌合する。
【0173】
イヌは規則的なサイズの食事を与えられてから60分以内に(すなわち、食事の後に)投薬された。正確な投薬を保証するために、治療はイヌの口内に直接与えられた。IVP/CVPを含有する注射器を口の後ろに向けて(可能であれば舌の基部の上に)置き、内容物を嚥下を促進するように放出した。イヌが経口投薬を拒否した場合、投与量を少量の食物(治療サイズ)に適用し、所有者は、投与量を含む食物の全量がイヌによって消費されたことを監督した。
【0174】
<投与量計算>IVP/CVP投与量は、0日目の個体ごとの体重に基づいて、下の治療表(表2および表3)に従って算出した。
【0175】
【0176】
【0177】
<2.3 予備的安全性評価および有害事象>
3つの治療群、すなわち両IVP群を含む全3つの治療群は有害事象をほとんど報告せず、個々の被験者において有害事象を繰り返すこともなく、有害事象はすべて軽度であり、消失した。有害事象の結果、試験を中止したイヌはいなかった。有害事象は、対照を含む3治療群間に分布した。A群(プラセボ)のイヌ(イヌ4匹、有害事象6件)の有害事象発現数は、B群(イヌ2匹;有害事象3件)またはC群(イヌ2匹;有害事象6件)のいずれよりも2倍多かった。治療群内では、IVP投与との因果関係なしと判定されたB群の中等度の有害事象1件を除き、すべての有害事象は軽度として報告された。有害事象を発現したイヌは試験から除外しなかった。これらの有害事象の数および重症度が低いことは、2種類のIVP治療の忍容性が良好であることを強く示している。
【0178】
<2.4 臨床検査>
臨床病変は、イヌアトピー性皮膚炎の程度および重症度指数(CADESI-4)を用いてスコア化する:
a.閾値は、研究における各イヌについての選択基準として設定される。
b.評価のCADESI-4スコアリングシステムは、組入れ日、3または4週間の治療後、および6または8週間の治療後に使用される。
【0179】
結果を表4および
図1に要約する。
図1は、各治療群(プラセボ、DC_ISOおよびDC_WHE)におけるすべてのイヌについて、0日目と56日目との間の総CADESI-4スコア差を、いずれかのIVP製剤(DC_Total)で治療したイヌについてのスコアと比較することによって調製した。したがって、DC_totalは、DC_ISOおよびDC_WHE治療群の両方におけるすべてのイヌについてのCADESIスコアの差を表す。各イヌのCADESIスコアの差は、試験期間中、これらのアトピーイヌにみられた紅斑、苔癬化、表皮剥脱および脱毛の減少を表している。Shapiro-Wilk試験を用いてデータの正常性を評価し、全ての群が正常性試験に合格することが見出された。DC_ISOおよびDC_WHEのデータを、t検定を用いて比較したところ、有意差は認められなかった(P=0.88)。その後、両治療法のデータを統合し、t検定(P=0.06)を用いてプラセボと比較した。t検定は初期の有効性試験で認められているとおり、P<0.1レベルで有意であると考えられた。
【0180】
【0181】
<2.5 血液検査>
試験期間中、3または4週間毎に、血液サンプルを各対象からリチウムヘパリンチューブに採取し、1500×gで15分間、4℃で遠心分離した。血漿をアリコートし、直ちに凍結し、分析するまで保持した。
【0182】
血液学的および生化学的血液検査を実施し、試験開始時および終了時に併発疾患の可能性がないか、および/またはイヌを除外する理由をモニタリングする。
・血清サンプルを採血日にアッセイして、クレアチニン、尿素、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアルカリホスファターゼ(ALP)を決定する。
・全血球数(CBC)および白血球分画数(WCDC)測定のためのEDTA血液サンプルの、サンプリングの1~3時間以内の測定。
【0183】
<2.6 統計>
・記述統計は、データの基本的な特徴を記述するために使用される。
・Shapiro-Wilk試験を実施し、データが正常に分布しているかどうかを調べる
・ノンパラメトリックMann-Whitney UおよびKolmogorov-Smirnov検定を用いて、データが正規分布していない場合、治療群とプラセボ群で得られた結果の間に統計的有意差がないか確認する
・データが正規分布である場合、ANOVAおよびT検定が使用される。
・そう痒症の主観的評価は定量化された連続スケールプロットによって行い、分布の正常性についての連続データを用いたスケール距離評価はKolmogorov-SmirnovまたはShapiro-Wilks試験により行う。
・行動は、カテゴリーデータ分析を用いて評価される。
・群内の臨床医および所有者のスコアは、Wilcoxonマッチングペア検定を用いて評価する。
・結果はp<0.1で有意に異なり、p<0.15は指標である。
【0184】
<2.7 遺伝子発現アレイ>
全血のサンプルを、治療の0、28および56日後に各イヌから採取し、そして分析するまで-20℃でRNA保護チューブ中に保存した。RNAを、Rneasy Animal Bloodキットを使用して、プロトコルに従って抽出した:RNAprotect Stabilized Animal Bloodからの全RNA >200ヌクレオチド(miRNAを除く)の精製。カンナビノイドを単回投与した健康なイヌで以前に使用されていた疼痛および炎症性遺伝子のオーダーメイドアレイを用いて、3匹のイヌの遺伝子を評価し、治療前の発現と治療後56日目の発現を比較した。
【0185】
遺伝子発現解析のために選択した3匹のイヌには、プラセボ群では臨床反応がみられなかったイヌであったイヌと、IVP治療群の各群で臨床反応がみられたイヌであった他の2匹が含まれていた。上記のスクリーニングに基づいて、いくつかの遺伝子の発現を生物学的に重要な様式で調節した。このスクリーニングの結果を表5に要約し、そして表6は、選択された遺伝子の各々についてのさらなる情報を提供する。
【0186】
各遺伝子評価は、各イヌの倍率変化(アップレギュレーションは正の値、ダウンレギュレーションは負の値)を表す。
【0187】
倍率調節(hold regulation)は、生物学的に意味のあるような倍率変化の結果を表す。1より大きい倍率変化値は正またはアップレギュレーションを示し、倍率調節は倍率変化に等しい。
【0188】
1未満の倍率変化値は負またはダウンレギュレーションを示し、倍率調節は、倍率変化の負の逆数である。
【0189】
【0190】
【0191】
<2.8 イヌミリプレックス(Milliplex)サイトカイン/ケモカインアレイ>
血漿サンプルを採取し(上記2.5節参照)、Milliplexイヌサイトカイン/ケモカイン磁気ビーズパネル免疫多重アレイを用いてアッセイするまで-20℃で保存し、油分曝露後のイヌのサイトカインおよびケモカイン産生を測定した。サンプルを分析し、採取し、そして2回濃縮して、イヌ血漿中のこれらのバイオマーカーを検出する機会を最大にした。
【0192】
イヌのMilliplexサイトカイン/ケモカインパネルにおける分析物は、GM-CSF、IFN-γ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-15、IL-18、IP-10、KC様、MCP-1およびTNF-αを含む。結果を表7および
図2~4に示す。これらの結果は、プラセボ群に対する両治療群のMCP-1、IL-8およびKC濃度の明らかな差を示している。
【0193】
【0194】
<2.9 ELISA法>
上記のセクション2.5で得られたサンプルもRayBio ELISA法に供し、プラセボ群と少なくとも1治療群との間で、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド1(CXCL1)、肝細胞増殖因子(HGF)、インターフェロン-α(IFN-α/IFN-a)、最終糖化産物受容体(RAGE)、レジスチンおよびインターロイキン-1(IL-1)蛋白質の濃度に有意差(p=0.05)が検出された。CXCL1、HGFおよびRAGEの濃度の変化は、アトピー性皮膚炎などの皮膚障害および炎症状態の改善、ならびに免疫系の調節と相関する。
ELISA法の結果を表8および
図5~7に要約する。
【0195】
【国際調査報告】