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特表2022-539066監視した生体データを変更するための身体に装着するセンサからのデータの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】監視した生体データを変更するための身体に装着するセンサからのデータの使用
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576817
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 US2020039705
(87)【国際公開番号】W WO2020264223
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/866,621
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514291163
【氏名又は名称】スペースラブズ ヘルスケア エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003258
【氏名又は名称】特許業務法人北澤・小泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガリアルド、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ギルハム、ジェフリー、ジェー
(72)【発明者】
【氏名】ダウンズ、ウィリアム、グレゴリー
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XB04
4C117XE15
4C117XE16
4C117XE17
4C117XE24
4C117XE26
4C117XE37
4C117XE60
4C117XE62
(57)【要約】
【課題】 本明細書は、観察対象の位置や動きの変化の結果として得られる、心電図データ、呼吸データ、血圧データのような生体データの変化を監視する方法とシステムを提供する。本明細書の実施の形態は、コストと装備の追加を最小限に抑えながら生体監視システムを使用することによりモーションデータを検知し処理するシステムを提供する。接続ワイヤは、存在する生体監視装置にモーションセンサを追加することにより用いられる。接続ワイヤは、モーション検知装置に電力を供給し、モーション検知装置とデータ通信するためのチャンネルを提供する。モーションセンサはワイヤに埋め込まれていてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の動きと、前記人間の生体パラメータとを監視するように構成された生体リードワイヤであって、
第1端部と、前記第1端部の他端である第2端部とを有する接続ワイヤと、
前記第1端部に装着される接続プラグであって、前記生体リードワイヤを生体監視システムに電気的に接続するように構成されている接続プラグと、
第2端部に設けられたレセプタクルであって、人間に取付られるように構成されているレセプタクルと、
前記レセプタクルに一体化されたモーション検出器であって、人間の位置および動き情報を取得し、前記位置および動き情報を接続ワイヤを通じて送信するように構成されているモーション検出器と、
前記レセプタクルに一体化された生体センサであって、前記人間の生体データを取得し、前記生体データを前記接続ワイヤを通じて送信するように構成されている生体センサであって、前記生体データは、心電図(ECG)データと、呼吸データと、経皮的動脈血酸素飽和度(SPO2)データと、血圧データとの少なくとも一つを有することを特徴とする生体センサと、
を備える生体リードワイヤ。
【請求項2】
前記接続ワイヤは、更に前記モーション検出器に電力を伝達し、データを前記モーション検出器に送受信するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の生体リードワイヤ。
【請求項3】
前記生体センサは前記人間の心臓の活動により生成された電気信号を検出するように構成された電極を有することを特徴とする請求項1に記載の生体リードワイヤ。
【請求項4】
前記電極は、前記レセプタクルの外部に部分的に露出することを特徴とする請求項3に記載の生体リードワイヤ。
【請求項5】
前記電極は、前記人間の心臓の活動によって生成された前記電気信号を前記接続ワイヤを介して送信することを特徴とする前記請求項3に記載の生体リードワイヤ。
【請求項6】
前記電極は、前記モーション検出器に隣接し、
前記モーション検出器は、その内部に、電力変換器を有するプリント回路基板と、プロセッサと、比較器と、3つの部材の少なくとも一つと、を統合的に備え、
前記3つの部材は、3軸加速度計と、3軸加速度計とジャイロスコープとの組合わせと、3軸加速度計とジャイロスコープと磁力計との組み合わせであることを特徴とする請求項3に記載の生体リードワイヤ。
【請求項7】
人間の動きと、前記人間の心臓で生成された電気信号とを監視するように構成された生体監視システムであって、
前記電気信号を示すデータと、前記人間の動きを示すデータとを受信する監視装置であって、少なくとも2つのポートを有する監視装置と、
前記少なくとも2つのポートのいずれかと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有する第1電気心電計リードワイヤであって、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極を有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする第1電気心電計リードワイヤと、
前記少なくとも2つのポートのいずれかと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有する第2電気心電計リードワイヤであって、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極と、モーション検出器とを有し、前記モーション検出器は、前記人間の位置および動き情報を取得し、前記位置および動き情報を前記第2電気心電計リードワイヤを通じて送信するように構成されていることを特徴とする第2電気心電計リードワイヤと、
を備えることを特徴とする生体監視システム。
【請求項8】
前記第2電気心電計リードワイヤは、更にモーション検出器に電力を伝達し、データを前記モーション検出器に送受信するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の生体監視システム。
【請求項9】
前記第1電気心電計リードワイヤにおいて、前記電極は、前記レセプタクルの外部に部分的に露出し、前記電気信号を検出するように構成され、前記電極は、前記第1電気心電計リードワイヤと電気的通信をしており、
前記第2電気心電計リードワイヤにおいて、前記電極は、前記レセプタクルの外部に部分的に露出し、前記電気信号を検出するように構成され、前記電極は、前記第1電気心電計リードワイヤと電気的通信をしていることを特徴とする請求項7に記載の生体監視システム。
【請求項10】
前記第2電気心電計リードワイヤにおいて、前記電極は、前記モーション検出器に隣接し、前記モーション検出器は、その内部に、電力変換器を有するプリント回路基板と、プロセッサと、比較器と、3つの部材の少なくとも一つと、を統合的に備え、
前記3つの部材は、3軸加速度計と、3軸加速度計とジャイロスコープとの組合わせと、3軸加速度計とジャイロスコープと磁力計との組み合わせであることを特徴とする請求項7に記載の生体監視システム。
【請求項11】
第3のポートを更に備える前記請求項7に記載の生体監視システム。
【請求項12】
前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートとのいずれか一つと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有する第3電気心電計リードワイヤであって、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極を有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする第3電気心電計リードワイヤを更に備える請求項11に記載の生体監視システム。
【請求項13】
第4のポートを更に備える請求項12に記載の生体監視システム。
【請求項14】
前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートと前記第4のポートとのいずれか一つと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有する第4電気心電計リードワイヤであって、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極を有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする第4電気心電計リードワイヤを更に備える請求項13に記載の生体監視システム。
【請求項15】
前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートと前記第4のポートとは、構造的に同じであり、同一の形状のコネクタを受けるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の生体監視システム。
【請求項16】
人間の動きと、前記人間の心臓の活動によって生成された電気信号とを監視するための方法であって、
前記電気信号を示すデータと、前記人間の動きを示すデータとを受信するように構成され、少なく2つのポートを有する監視装置を取得する工程と、
第1電気心電計リードワイヤを前記少なくとも2つのポートのいずれかに接続する工程であって、前記第1電気心電計リードワイヤは、前記少なくとも2つのポートのいずれかと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有し、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極を有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする接続する工程と、
前記第1電気心電計リードワイヤの電極を前記人間に取付ける工程と、
第2電気心電計リードワイヤを前記少なくとも2つのポートのいずれかに接続する工程であって、前記第2電気心電計リードワイヤは、前記少なくとも2つのポートのいずれかと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有し、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極と、モーション検出器とを有し、前記モーション検出器は、前記人間の位置および動き情報を取得し、前記位置および動き情報を前記第2電気心電計リードワイヤを通じて送信するように構成されていることを特徴とする接続する工程と、
前記第2電気心電計リードワイヤの電極を人間に取付ける工程と、
監視装置を起動する工程と、
前記電気信号を示すデータと、前記人間の動きを示すデータとを記録する工程と、
を含む方法。
【請求項17】
前記第2電気心電計リードワイヤは、モーション検出器に電力を伝達し、データを前記モーション検出器に送受信するように構成されていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2電気心電計リードワイヤにおいて、前記電極は、前記モーション検出器に隣接し、前記モーション検出器は、その内部に、電力変換器を有するプリント回路基板と、プロセッサと、比較器と、3つの部材の少なくとも一つと、を統合的に備え、
前記3つの部材は、3軸加速度計と、3軸加速度計とジャイロスコープとの組合わせと、3軸加速度計とジャイロスコープと磁力計との組み合わせであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
第3電気心電計リードワイヤを前記少なくとも2つのポートと第3のポートとのいずれか一つに接続する工程であって、前記第3電気心電計リードワイヤは、前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートとのいずれか一つと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有し、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極を有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする接続する工程と、
前記第3電気心電計リードワイヤを前記人間に取付ける工程と、
を更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項20】
第4電気心電計リードワイヤを前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートと第4のポートとのいずれか一つに接続する工程であって、前記第4電気心電計リードワイヤは、前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートと前記第4のポートとのいずれか一つと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有し、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極を有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする接続する工程と、
前記第4電気心電計リードワイヤを前記人間に取付ける工程と、
を更に含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートと前記第4のポートとは、構造的に同じであり、同一の形状のコネクタを受けるように構成されていることを特徴とする請求20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の優先権は、2019年6月26日付で出願され、「Using Data From a Body Worn Sensor to Modify Monitored Physiological Data」と題された米国特許仮出願番号第62/866,621号に基づいている。
【0002】
本明細書は、健康に関するパラメータを一般に監視することに関連し、より詳細には、生体情報を修正、調整、あるいは変更するために、モーションセンサのようなセンサであって、人間についての活動および相対位置情報を提供するためのセンサを人間の身体に装着し、使用する方法やシステムに関連する。さらに、本明細書は、モーションセンサと、少なくとも1つの他のセンサとを統合する単一ワイヤ通信システムを用いることに関する。
【背景技術】
【0003】
ほとんどのモニタ装置が不規則な心臓の鼓動、あるいは、不規則または異常な生体活動を測定する。携帯型心電計(AECG)は、一週間以上にわたって24時間常に装着されるものであり、心電図(ECG)データを監視する。同様に血圧(BP)モニタ装置は、高血圧の管理や心臓の監視に用いられる。このようなモニタ装置は、異常状態を検出することに応じて、単一または様々なレベルの緊急事態の警報を生成する。しかしながら、患者が実際には健康であり、患者の健康状態が警報を正当化するものではないにも関わらず、患者の位置の変化や、患者の移動によって、センサが異常な生体活動に見えることを検出することがしばしば存在する。このことは移動する患者において特にあてはまる。例えば、検出されたBPレベルが異常を示しているときに、BPモニタ装置を使用している人間が運動をしていることがありうる。同様に、着用者が運動中に着用者の鼓動が異常を示しているようにみえるときに、AECGモニタ装置が誤って警報を鳴らすことがありうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運動が生体監視を歪めている可能性があっても、鋭敏さの低い患者は自身の回復を行うために迅速に行動することが求められる。従って、ある期間にわたって患者の動きを監視することできることが求められるかもしれない。いくつかのモニタ装置は、異なる種類の生体データについての情報を組合わせて、当該モニタ装置(複数ありうる)の装着者(患者)が異常な健康状態を経験しているかを判断している。例えば、様々な製造業者からのBPモニタ装置のいくつかのモデルが開発されており、これらのモデルは、変則的な鼓動の検出を検出する機能が付加されている。しかしながら、これらのモニタ装置は、実際には健康な人間が運動しているときに、偽陽性を提供する傾向がある。運動のほかに、身体的ストレスなどの外部の事象、例えば、物体を持ち上げること、疲労、環境の変化などによって偽陽性が生成されるかもしれない。時には、睡眠時の姿勢の変化でさえ偽陽性を生成するかもしれない。
【0005】
従って、効果的に生体データを監視し、生理学的モニタ装置によって生成される偽陽性を低減あるいはなくすことができるように、モーションセンサなどを介した移動検出情報を組合わせることが必要とされている。患者の動き(モーション)情報および/または位置情報と、他の生体データとを関連させて、生体データ監視の信頼性と正確性を高め、診断を向上することが求められている。ここで、上記のデータは、継続的に、定期的に、または、リアルタイムに監視されてもよい。現在のAECGなどの生体監視システムは、動き位置情報を効果的に統合(一体化)することができない。監視システムは、回路レベルの変更や、それ以外の形態におけるシステムに関連した変更を導入することなしに、存在する構成要素の範囲でモーション検出器を効果的に組み合わせることに失敗している。従って、単純な方法とシステムが継ぎ目なく、現存する監視システムと統合され、モーション検出の能力を付加することが求められている。また、モーション検出情報と生体監視情報とを組合わせ、相関のあるデータをユーザに提供することが求められている。
【0006】
多くの現存する通信方法では、ひとつの電子機器が、一つあるいはいくつかの別の装置と複数のワイヤを介して通信可能である。モーションセンサデータと別の目的の装置とを組合わせて、このような組み合わせに必要なコストや装置を最小化する通信方法が求められている。しかしながら、いくつかの設計では、通信に必要となるワイヤの数を最小化することが最も実践的である。双方向通信のための単一のワイヤバスを用いる装置が知られている。双方向通信のための単一ワイヤ接続は、2またはそれ以上の装置を相互に接続することができる。マスター装置は、1または複数のスレーブ装置に接続され、データの通信が行われ、マスター装置からスレーブ装置に電力を供給することが知られている。モーション検出装置と、他の生体監視装置の間で、効率的で、低コスト、かつ、信頼性の高い通信を可能にするシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の実施の形態およびその側面は、システム、ツール、方法と共に記載および説明されるが、これらは例示であり説明のためのものにすぎず、範囲を限定するものではない。
【0008】
本明細書は、人間の動きと、前記人間の生体パラメータ(生理学上のパラメータ)とを監視するように構成された生体リードワイヤであって、第1端部と、前記第1端部の他端である第2端部とを有する接続ワイヤと、前記第1端部に装着される接続プラグであって、前記生体リードワイヤを生体監視システムに電気的に接続するように構成されている接続プラグと、第2端部に設けられたレセプタクルであって、人間に取付られるように構成されているレセプタクルと、前記レセプタクルに一体化されたモーション検出器であって、人間の位置および動き情報を取得し、前記位置および動き情報を接続ワイヤを通じて送信するように構成されているモーション検出器と、前記レセプタクルに一体化された生体センサであって、前記人間の生体データを取得し、前記生体データを前記接続ワイヤを通じて送信するように構成されている生体センサであって、前記生体データは、心電図(ECG)データと、呼吸データと、経皮的動脈血酸素飽和度(SPO2)データと、血圧データとの少なくとも一つを有することを特徴とする生体センサと、を備える生体リードワイヤを開示する。
【0009】
前記接続ワイヤは、更に前記モーション検出器に電力を伝達し、データを前記モーション検出器に送受信するように構成されていてもよい。
【0010】
前記生体センサは前記人間の心臓の活動により生成された電気信号を検出するように構成された電極を有していてもよい。前記電極は、前記レセプタクルの外部に部分的に露出していてもよい。前記電極は、前記人間の心臓の活動によって生成された前記電気信号を前記接続ワイヤを介して送信してもよい。前記電極は、前記モーション検出器に隣接し、前記モーション検出器は、その内部に、電力変換器を有するプリント回路基板と、プロセッサと、比較器と、3つの部材の少なくとも一つと、を統合的に備え、前記3つの部材は、3軸加速度計と、3軸加速度計とジャイロスコープとの組合わせと、3軸加速度計とジャイロスコープと磁力計との組み合わせであってもよい。
【0011】
また、本明細書は、人間の動きと、前記人間の心臓で生成された電気信号とを監視するように構成された生体監視システムであって、前記電気信号を示すデータと、前記人間の動きを示すデータとを受信する監視装置であって、少なくとも2つのポートを有する監視装置と、前記少なくとも2つのポートのいずれかと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有する第1電気心電計リードワイヤであって、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極を有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする第1電気心電計リードワイヤと、前記少なくとも2つのポートのいずれかと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有する第2電気心電計リードワイヤであって、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極と、モーション検出器とを有し、前記モーション検出器は、前記人間の位置および動き情報を取得し、前記位置および動き情報を前記第2電気心電計リードワイヤを通じて送信するように構成されていることを特徴とする第2電気心電計リードワイヤと、を備えることを特徴とする生体監視システムを開示する。
【0012】
前記第2電気心電計リードワイヤは、更にモーション検出器に電力を伝達し、データを前記モーション検出器に送受信するように構成されていてもよい。
【0013】
前記第1電気心電計リードワイヤにおいて、前記電極は、前記レセプタクルの外部に部分的に露出し、前記電気信号を検出するように構成され、前記電極は、前記第1電気心電計リードワイヤと電気的通信をしており、前記第2電気心電計リードワイヤにおいて、前記電極は、前記レセプタクルの外部に部分的に露出し、前記電気信号を検出するように構成され、前記電極は、前記第1電気心電計リードワイヤと電気的通信をしていてもよい。
【0014】
前記第2電気心電計リードワイヤにおいて、前記電極は、前記モーション検出器に隣接し、前記モーション検出器は、その内部に、電力変換器を有するプリント回路基板と、プロセッサと、比較器と、3つの部材の少なくとも一つと、を統合的に備え、前記3つの部材は、3軸加速度計と、3軸加速度計とジャイロスコープとの組合わせと、3軸加速度計とジャイロスコープと磁力計との組み合わせであってもよい。
【0015】
第3のポートを更に備えていてもよい。前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートとのいずれか一つと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有する第3電気心電計リードワイヤであって、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極を有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする第3電気心電計リードワイヤを更に備えていてもよい。第4のポートを更に備えていてもよい。前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートと前記第4のポートとのいずれか一つと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有する第4電気心電計リードワイヤであって、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極を有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする第4電気心電計リードワイヤを更に備えていてもよい。前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートと前記第4のポートとは、構造的に同じであり、同一の形のコネクタを受けるように構成されていてもよい。
【0016】
本明細書は、さらに、人間の動きと、前記人間の呼吸によって生成された電気信号とを監視するように構成された呼吸監視システムであって、前記電気信号を示すデータと、前記人間の動きを示すデータとを受信する監視装置であって、少なくとも2つのポートを有する監視装置と、前記少なくとも2つのポートのいずれかと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有する第1ワイヤであって、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、呼吸センサを有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする第1ワイヤと、前記少なくとも2つのポートのいずれかと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有する第2ワイヤであって、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、呼吸センサと、モーション検出器とを有し、前記モーション検出器は、前記人間の位置および動き情報を取得し、前記位置および動き情報を前記第2ワイヤを通じて送信するように構成されていることを特徴とする第2ワイヤと、を備えることを特徴とする呼吸監視システムを開示する。
【0017】
前記第2ワイヤは、更にモーション検出器に電力を伝達し、データを前記モーション検出器に送受信するように構成されていてもよい。
【0018】
本明細書は、さらに、人間の動きと、前記人間の酸素飽和度よって生成された電気信号とを監視するように構成された酸素飽和度監視システムであって、前記電気信号を示すデータと、前記人間の動きを示すデータとを受信する監視装置であって、少なくとも2つのポートを有する監視装置と、前記少なくとも2つのポートのいずれかと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有する第1ワイヤであって、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、血中酸素飽和度センサを有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする第1ワイヤと、前記少なくとも2つのポートのいずれかと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有する第2ワイヤであって、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、血中酸素飽和度センサと、モーション検出器とを有し、前記モーション検出器は、前記人間の位置および動き情報を取得し、前記位置および動き情報を前記第2ワイヤを通じて送信するように構成されていることを特徴とする第2ワイヤと、を備えることを特徴とする酸素飽和度監視システムを開示する。
【0019】
前記第2ワイヤは、更にモーション検出器に電力を伝達し、データを前記モーション検出器に送受信するように構成されていてもよい。
【0020】
また、本明細書は、人間の動きと、前記人間の心臓の活動によって生成された電気信号とを監視するための方法であって、前記電気信号を示すデータと、前記人間の動きを示すデータとを受信するように構成され、少なく2つのポートを有する監視装置を取得する工程と、第1電気心電計リードワイヤを前記少なくとも2つのポートのいずれかに接続する工程であって、前記第1電気心電計リードワイヤは、前記少なくとも2つのポートのいずれかと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有し、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極を有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする接続する工程と、前記第1電気心電計リードワイヤの電極を前記人間に取付ける工程と、第2電気心電計リードワイヤを前記少なくとも2つのポートのいずれかに接続する工程であって、前記第2電気心電計リードワイヤは、前記少なくとも2つのポートのいずれかと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有し、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極と、モーション検出器とを有し、前記モーション検出器は、前記人間の位置および動き情報を取得し、前記位置および動き情報を前記第2電気心電計リードワイヤを通じて送信するように構成されていることを特徴とする接続する工程と、前記第2電気心電計リードワイヤの電極を人間に取付ける工程と、監視装置を起動する工程と、前記電気信号を示すデータと、前記人間の動きを示すデータとを記録する工程と、を含む方法を開示する。
【0021】
前記第2ワイヤは、モーション検出器に電力を伝達し、データを前記モーション検出器に送受信するように構成されていてもよい。
【0022】
前記第2電気心電計リードワイヤにおいて、前記電極は、前記モーション検出器に隣接し、前記モーション検出器は、その内部に、電力変換器を有するプリント回路基板と、プロセッサと、比較器と、3つの部材の少なくとも一つと、を統合的に備え、前記3つの部材は、3軸加速度計と、3軸加速度計とジャイロスコープとの組合わせと、3軸加速度計とジャイロスコープと磁力計との組み合わせであってもよい。
【0023】
第3電気心電計リードワイヤを前記少なくとも2つのポートと第3のポートとのいずれか一つに接続する工程であって、前記第3電気心電計リードワイヤは、前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートとのいずれか一つと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有し、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極を有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする接続する工程と、前記第3電気心電計リードワイヤを前記人間に取付ける工程と、を更に含んでいてもよい。第4電気心電計リードワイヤを前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートと第4のポートとのいずれか一つに接続する工程であって、前記第4電気心電計リードワイヤは、前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートと前記第4のポートとのいずれか一つと接続されるように構成されたコネクタを有する第1端部と、レセプタクルを有する第2端部とを有し、前記レセプタクルは前記人間に取り付けられるように構成され、前記レセプタクルは、電極を有するがモーション検出器を有さないことを特徴とする接続する工程と、前記第4電気心電計リードワイヤを前記人間に取付ける工程と、を更に含んでいてもよい。前記少なくとも2つのポートと前記第3のポートと前記第4のポートとは、構造的に同じであり、同一の形のコネクタを受けるように構成されていてもよい。
【0024】
本明細書は、生体監視システムであって、当該システムの装着者を監視するための生体監視システムであって、少なくとも1つの接続ワイヤであって、各接続ワイヤは、当該接続ワイヤの第1端部にプラグと、当該接続ワイヤの第2端部にレセプタクルとを有し、第1端部は、前記接続ワイヤの第2端部と反対側にあることを特徴とする少なくとも1つの接続ワイヤと、前記レセプタクルの近傍に設けられたモーションセンサシステムであって、前記装着者の位置および動き情報を検知し、前記接続ワイヤを通じて当該情報を送信するモーションセンサシステムと、を備え、前記接続ワイヤは、前記モーションセンサシステムに電力およびモーションセンサシステムとの双方向データ通信を供給するためのチャンネルとを備えることを特徴とする生体監視システムを開示する。
【0025】
前記プラグは、電源に接続するインターフェースを有していてもよい。
【0026】
前記プラグは、データ記憶装置に接続するインターフェースを有していてもよい。
【0027】
前記レセプタクルは、装着者の身体に取り付けられるスナップコネクタレセプタクルであってもよい。
【0028】
前記レセプタクルは、心電図計(ECG)リードスナップと同様に、装着者の身体に取り付けられてもよい。前記プラグは、生体監視装置にインターフェース接続されてもよい。前記生体監視装置は、ECGk暗視装置でもよい。
【0029】
前記モーションセンサシステムは、前記位置および動き情報を検出する少なくとも1つのモーションセンサと、検出された情報を受信し処理するプロセッサとを有してもよい。前記モーションセンサは、3軸加速度計と、3軸加速度計とジャイロスコープとの組み合わせと、3軸加速度計とジャイロスコープと磁力計との組み合わせとの少なくとも1つを有していてもよい。前記モーションセンサは、傾き検出器を有していてもよい。前記モーションセンサは、全方向に関する動き示度(動き値)を提供するように構成されていてもよい。前記モーションセンサは、2軸に関する角度示度(角度値)を提供するように構成されていてもよい。
【0030】
前記モーションセンサは、少なくとも1つの他の生体監視装置とデータの送受信を行ってもよい。当該少なくとも1つの他の生体(生理学上の)装置は、ECG監視装置、呼吸監視装置、血圧(BP)監視装置、または、ECG監視装置と呼吸監視装置と血圧(BP)監視装置との2以上の組み合わせであってもよい。
【0031】
本明細書は、生体監視システムであって、当該システムの装着者を監視するための生体監視システムであって、少なくとも1つの接続ワイヤであって、各接続ワイヤは、当該接続ワイヤの第1端部にプラグと、当該接続ワイヤの第2端部にレセプタクルとを有し、第1端部は、前記接続ワイヤの第2端部と反対側にあることを特徴とする少なくとも1つの接続ワイヤと、前記レセプタクルの近傍に設けられたモーションセンサシステムであって、前記装着者の位置および動き情報を検知し、前記接続ワイヤを通じて当該情報を送信するモーションセンサシステムと、を備え、前記接続ワイヤは、前記モーションセンサシステムに電力およびモーションセンサシステムとの双方向データ通信を供給するためのチャンネルとを備えることを特徴とする生体監視システムを開示する。
【0032】
前記プラグは、電源に接続するインターフェースを有していてもよい。前記プラグは、データ記憶装置に接続するインターフェースを有していてもよい。
【0033】
前記レセプタクルは、装着者の身体に取り付けられるスナップコネクタレセプタクルであってもよい。前記レセプタクルは、心電図計(ECG)リードスナップと同様に、装着者の身体に取り付けられてもよい。
【0034】
前記プラグは、生体監視装置にインターフェース接続されてもよい。前記生体監視装置は、ECG監視装置でもよい。
【0035】
前記モーションセンサシステムは、前記位置および動き情報を検出する少なくとも1つのモーションセンサと、検出された情報を受信し処理するプロセッサとを有してもよい。前記モーションセンサは、3軸加速度計と、3軸加速度計とジャイロスコープとの組み合わせと、3軸加速度計とジャイロスコープと磁力計との組み合わせとの少なくとも1つを有していてもよい。前記モーションセンサは、傾き検出器を有していてもよい。前記モーションセンサは、全方向に関する動き示度(動き値)を提供するように構成されていてもよい。
【0036】
前記モーションセンサは、2軸に関する角度示度(角度値)を提供するように構成されていてもよい。
【0037】
前記モーションセンサは、少なくとも1つの他の生体監視装置とデータの送受信を行ってもよい。当該少なくとも1つの他の生体(生理学上の)装置は、ECG監視装置、呼吸監視装置、血圧(BP)監視装置、または、ECG監視装置と呼吸監視装置と血圧(BP)監視装置との2以上の組み合わせであってもよい。
【0038】
本明細書は、生体監視システムであって、当該システムの装着者を監視するための生体監視システムであって、少なくとも1つの接続ワイヤであって、各接続ワイヤは、当該接続ワイヤの第1端部にプラグを有し、前記プラグは、前記生体監視装置上のレセプタクルとインターフェース接続するように構成されていることを特徴とするプラグと、前記接続ワイヤの第2端部にハウジングとを有し、前記第1端部は前記第2端部と反対側に位置することを特徴とするハウジングと、前記ハウジング内に設けられたモーションセンサシステムとを有し、前記モーションセンサシステムは、前記装着者の位置および移動情報を検出し、当該情報を前記接続ワイヤを通じて送信し、前記モーションセンサシステムは、電源からの電力を変換する電力コンバータを有し、前記接続ワイヤは、前記生体監視システムの電源から前記モーションセンサシステムに電力を送信し、前記モーションセンサシステムから位置および移動情報を伝達するチャンネルを提供する生体監視装置を開示する。
【0039】
前記生体監視システムの前記レセプタクルは、複数のレセプタクルの一つであってもよい。レセプタクルの形状は、前記複数のレセプタクルの残りとは異なる形状であっても、同じ形状であってもよい。
【0040】
本明細書における上記および他の実施の形態は、図面と下記に示される詳細な説明においてより徹底的に説明される。
【0041】
本明細書における上記およびその他の特徴および効果は以下の詳細な説明を添付の図面を考慮して参照することにより、よりその意義が理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1A】本明細書のいくつかの実施の形態におけるモーションセンサを有する接続ワイヤを説明する図である。
図1B】本明細書のいくつかの実施の形態における図1Aの接続ワイヤと接続可能なアダプタを説明する図である。
図1C】本明細書のいくつかの実施の形態における、モーション検知システムとインターフェースで接続する独立コネクタを有する生体監視装置の別の実施の形態を説明する図である。
図1D】本明細書のいくつかの実施の形態における、人間の動きと、人間の心臓によって生成される電気信号との両方を監視する処理の例を示すフローチャートである。
図2】本明細書のいくつかの実施の形態における、図1に示すレセプタクル(容器)の正射影図である。
図3A】本明細書のいくつかの実施の形態における、図2に示すモーションセンサシステムの構成要素を保持するよう構成されたPCBの第1部分を説明する図である。
図3B】本明細書のいくつかの実施の形態における、図2に示すモーションセンサシステムの構成要素を保持するよう構成されたPCBの第1部分とは反対側の第2部分を説明する図である。
図4】本明細書のいくつかの実施の形態における、単一のワイヤによって電力と通信とを共有する2つの装置の構成要素を説明する図である。
図5】本明細書のいくつかの実施の形態における、単一のワイヤによる通信を行う模擬回路の例を説明する図である。
図6A】本明細書のいくつかの実施の形態における、図5の模擬回路を用いて第1装置から第2装置へのデータの転送の例を説明する図である。
図6B】本明細書のいくつかの実施の形態における、図5の模擬回路を用いて第2装置から第1装置へのデータの転送の例を説明する図である。
図7A】本明細書のいくつかの実施の形態における、ワイヤのプラグ部の写真である。
図7B図7Aに示されるワイヤのプラグ部の線図であり、ワイヤのハウジングの断面図を伴った図である。
図7C】ワイヤの構成要素の寸法に則った図7Aに示されるワイヤのプラグ部の模式図である。
図8A】本明細書のいくつかの実施の形態における、ワイヤのレセプタクル部(容器部)の平面図である。
図8B図8Aに示されるワイヤのレセプタクル部の側面図である。
図8C図8Aに示されるワイヤのレセプタクル部の側面視断面図である。
図8D図8Aに示されるワイヤのレセプタクル部の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
様々な実施の形態において、本明細書は、モーション検出システムを存在する生体監視装置にシームレスに統合する方法やシステムを提供する。モーション検出システムは、生体監視システムの装着者の位置および/または動き(移動、動作)の変化を監視する。監視された変化は、ほかの生体監視データと関連づけられ、生体の異常(生理学上の異常)を特定し、診断の向上を助ける。単一ワイヤの通信システムは、位置および/または動き(移動、動作)検知装置と、存在するまたは従来の生体モニタ装置とのインターフェースによる接続を可能にする。
【0044】
本明細書の実施の形態は、ECGリードワイヤ(リード線)の形状および構造を有する接続ワイヤ(接続線)の中に埋め込まれることが可能な監視センサシステムを提供する。接続ワイヤは、ECG監視装置のような監視装置に対応している。接続ワイヤは、心臓の信号を計測するほかのECGリードワイヤと同様にかつこれらに加えて、生体監視装置に接続される。接続ワイヤは、ECGリードワイヤの先端部分に統合されるモーションセンサシステムに電力を供給し、モーションセンサシステムと監視装置との間の双方向通信をサポートしている。別の実施の形態において、モーションセンサシステムを伴った接続ワイヤは、ECG監視装置に加えてそのほかの生体監視装置に対応している(コンパチブルである)。実施の形態において、異常を特定し、診断を向上するために、モーションセンサ情報は、1つまたは複数の生体センサからの情報と組み合わされている。
【0045】
本明細書は、複数の実施の形態を記載している。以下の開示は、通常の技術を有するものが発明を実施するのを可能にするために提供される。本明細書で用いられる言葉は、特定の実施の形態を一般に否認するものとして解釈すべきものでも、また、特許請求の範囲の述語の意味を超えて当該請求の範囲を制限するのに用いられるものでもない。ここで定義される一般的な原理は、発明の精神および範囲を超えない限り、別の実施の形態や別の応用例に適用されてもよい。また、用いられる用語や表現は、代表的な実施の形態を説明するのに用いられており、制限を課すものとして理解されるべきではない。本発明は、おびただしい例や変形を含む最も広い範囲と一致し、開示されている原理や特徴と同等でありかつ一貫するものである。明確化のため、不必要に本発明を不明瞭にしないために、本発明の技術分野において知られている技術的項目については、その詳細を省略する。
【0046】
本願の記載および特許請求の範囲において、「有する」、「含む」、「備える」などの各言葉は、その言葉が関連付けられている可能性のあるリストの構成に必ずしも限定されるものではない。明確にそうでないと示されるものを除いて、特定の実施の形態に関連付けられているいかなる特徴や構成要素は、ほかの実施の形態において用いられたり実施されたりしてもよい。
【0047】
本明細書の実施の形態は、ECGモニタ装置などの生体監視装置と接続可能な接続ワイヤ(接続線)を提供している。なお、本明細書においてECGモニタ装置は、ECG装置、ECG監視装置などとも称する。接続ワイヤの実施の形態は、図4、5、6A、6Bを用いて以下に記載される。一つの実施の形態において、ECG装置は、心臓の電気的な活動を記録することにより、ECG信号を検知し解析するシステムである。監視は、患者や、他の個体などの対象/人間の肌に配置される電極を用いてある期間にわたって行われる。実施の形態において、人間は、本明細書のシステムによって監視される観察対象の患者あるいは他の生物である。典型的なECG装置は、接続リードワイヤ(ECGリードワイヤ)を介して電極とインターフェース接続される。リードワイヤは、(本体に近い)一端において、対象の肌に配置される電極と接続する取付機構を有している。リードワイヤの他端(末端)は、ECG装置とインターフェース接続されるプラグを有している。心筋の電気生理学的な脱分極および再分極のパターンが測定され、時間に対する電圧のグラフ(心電図)の形式で視覚化される。心電図は、ECG装置に装着された画面でみることができ、および/または、紙に印刷されることができる。
【0048】
携帯型ECG装置は、対象に装着された小さな監視装置を用いる。当該監視装置は、無線通信を用いて、離れた監視ステーションに監視したデータを送信する。ECG装置は、自身でECGデータの記録、解析、通信を行う。この装置のハードウェア構成は、検知および記憶を可能にし、ソフトウェア要素はデータの処理を可能にする。
【0049】
血行動態の監視が、心臓の監視と共に時々行われる。血行動態の監視は、通常、血流の特徴を監視する水力学的(流体圧)回路(hydraulic circuits)を用いて行われる。いくつかのモニタ装置は、呼吸の監視とEGC監視および/または血行動態の監視、または、血圧(BP)の監視とを組合わせる。呼吸監視装置は、呼吸の速度、振幅、およびそのほかの特徴などの呼吸データを示している。これらの及びその他の監視装置のほとんどが対象に関するデータを受信するとともに、対象の動き(モーション)によって生じうるノイズを受信する傾向にある。モーションデータが、他の生体監視データと組み合わされたときに、対象に関する重要な診断情報を提供する。
【0050】
本明細書の実施の形態は、ECG装置、呼吸監視装置、BP監視装置、他の生体監視装置、またはこれらの装置の2つ以上の組み合わせとインターフェース接続するように構成されても良い。例えば、実施の形態は、非侵襲性BP(NIBP)のカフ(cuff)または経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)センサを装着した患者において使用されても良い。本明細書の実施の形態から導かれるモーション情報は、集められたNIBPデータまたはSpO2データについての状況(文脈、コンテキスト)を提供するのに用いられてもよい。ここで、状況は、例えば、データの読み込み(取得)時において、患者が上体を起こしたか否かや、患者が活動的であったか否かなどである。本明細書の実施の形態におけるシステムは、ECG装置の文脈で説明されるが、本明細書のシステムは、動作するためにECG構成要素に依存しているわけではない。なお、ここでのECG装置は、同様にECG電極を装着したシステムなどであり、ECGリードワイヤと同じ方法でコンバイナ(ヨーク(Yoke))ケーブルなどを介してモニタ装置に装着可能なシステムや、直接モニタ装置への装着が可能なシステムである。本明細書の実施の形態は、データと電力のための単一のワイヤを介して、対象の位置と動き(移動、動作)に関連したデータを追加的に監視する低コストで携帯できる選択肢を提供し、モーションデータを他の生体データと組合わせることを提供することで、健康とフィットネスのレベルを判断することに加えて医療的診断を向上させる。
【0051】
図1Aは、接続ワイヤ102を説明する図である。本明細書のいくつかの実施の形態における接続ワイヤ102は、モーション検知システムを有する。ワイヤ102は、対向する2つの端部を有している。かかる2つの端部は、第1の端部(末端)にコネクタ/プラグ104を有し、第2の端部(本体側)にレセプタクル(容器)106を有している。1つの実施例では、プラグ104は、ECGリードワイヤのプラグと同様であり、従って従来のECG監視装置に対応している(コンパチブルである)。さらにプラグ104は、装置110とインターフェース接続可能である。一つの実施の形態において、装置110は、ECG装置であり、プラグ104は、ECGリードワイヤ108が装置110に接続するのと同様な方法により、プラグ104が装置110とインターフェース接続する。このように、本発明は、一端においてコネクタを有するリードワイヤに関する。ここで、当該コネクタは、構造的に従来のECG監視装置の接続ポート、従来の呼吸監視装置の接続ポート、従来のSpO2監視装置の接続ポート、または、従来のBP監視装置の接続ポートと同様なものであることにより、当該コネクタが、このような従来のECG監視装置の接続ポート、従来の呼吸監視装置の接続ポート、従来のSpO2監視装置の接続ポート、または、従来のBP監視装置の接続ポートに対応する(コンパチブルである)。なお、これらの従来のECG監視装置、呼吸監視装置、SpO2監視装置、および、BP監視装置のいずれもがその内部にモーションセンサを備えてはいない。
【0052】
本明細書の実施の形態における図1Aの電気生体監視システムは、人間の動き(モーション)を監視し、人間の心臓から生成される電気信号を監視するように構成されている。ECG監視装置110は、1または複数のECGリードワイヤからの電気信号を示すデータを受信する。ここで、1または複数のECGリードワイヤは、リードワイヤ108およびモーションセンサリードワイヤ102を含むが、これらの構成に限定されるものではない。さらに、モーションセンサリードワイヤ102は、人間の動き(モーション)を示すデータを提供する。装置110は複数のポート120を有し、これらのポートの少なくとも1つはモーションセンサリードワイヤ102を接続するのに用いられる。レセプタクル(容器)106は、モーションセンサリードワイヤ102の第2の端部(本体側)に位置しており、患者に取り付けられる。レセプタクル106は、電極と、モーション検出器とを有している。モーション検出器は、患者の位置情報および動き(移動、動作)情報を取得し、当該情報をモーションセンサリードワイヤ102に送信する。装置110の残りの1つまたは複数のポート120は、モーション検出器を備えていない1つまたは複数のリードワイヤ108に接続する。
【0053】
1つの実施の形態において、レセプタクル(容器)106は、ECGリードワイヤ108のスナップ取付(snap-attach)レセプタクル(容器)と同様に構成される。スナップコネクタは、はさみクリップとして知られ、対象の身体に取り付けられる。ここで対象は、監視システムを装着する患者またはその他の生物であってよく、本明細書の様々な実施の形態により監視される対象である。レセプタクル106は、患者の身体に取り付けられる手段として、ECG粘着スナップを用いても良い。実施の形態において、患者の身体にレセプタクル106を位置、配置することは、ECG電極を配置することとは独立している。いくつかの実施の形態では、レセプタクル106を配置する最適の位置が患者に提案されることで、より良い呼吸活動の検出(呼吸データの検証や、呼吸困難や呼吸ストレスを知らせるのに用いられる)をもたらす。
【0054】
一つの実施の形態において、ECG粘着パッドは、レセプタクル106を対象に取付るのに用いられる。様々な実施の形態において、レセプタクル106は、任意のECG電極コネクタと同様に構成される。ECG電極コネクタは、例えば、ワイヤダンベル(wire dumbbell)コネクタ、ロッキングスロット(locking slot)コネクタ、キーホール(keyhole)コネクタなどであるが、これらに限定されるものではない。実施の形態において、レセプタクル106に近接して、好ましくはレセプタクル106のハウジング内に、少なくとも1つのモーションセンサシステムが埋め込まれている。一つの実施の形態においてワイヤ102の第2端部においてハウジングが、レセプタクル106の内部に位置するモーションセンサを収容している。接続ワイヤ102は、モーション検出データをレセプタクル106からプラグ104に単独で伝達するように構成され、当該データは、装置110内の独立した回路によって記録され、および/または、処理される。接続ワイヤ102は、レセプタクル106内のモーション検知装置に電力を供給し、モーション検知システムと装置110との双方向通信を可能にする単一の経路を供給する。実施の形態において、モーションセンサシステムを介して収集されるデータは、呼吸データや血圧(BP)データのようなECG監視装置、および/または、ほかの生体監視装置からのデータと関連付けられる。
【0055】
一つの実施の形態において、1つのアダプタケーブルが、複数のモーションセンサシステムを装置110(図1)のような生体監査システムに接続することができる。アダプタのプラグ部は、特定の装置110に接続されるように構成されており、プラグ104をワイヤ102に接続させるのに必要な任意の安全のための特徴、又は、固有の/特別な態様を含んでいても良い。複数のレセプタクル(容器)が、アダプタケーブル、プラグ104、ワイヤ102を介して装置110と電気的に接続される。図1Bは、本明細書のいくつかの実施の形態における複数のワイヤを図1の装置110に接続するアダプタケーブル112を示している。プラグ104は、アダプタ112のコネクタ112aと接続され、同時に、アダプタ112の別のコネクタ部112bは別のモーションセンサシステムのような別のワイヤに利用可能である。図1Cは、装置110aの別の実施の形態を説明している。装置110aは、プラグ104に接続する独立したコネクタ116を有している。生体監視装置110aをインターフェース接続するために、従来のコネクタに加えて、コネクタ116が設けられていてもよい。コネクタ106は、複数のセンサを接続するために、アダプタ112とインターフェース接続してもよい。従って、コネクタは、第1のコネクタ部112と、当該コネクタ部112から延び、2つ以上の先端部に分岐するワイヤとを有している。第1のコネクタ部112は、従来のECG監視装置の接続部、従来の呼吸監視装置の接続部、または、従来のBP監視装置の接続部に接続するように構成されている。2つ以上の先端部のそれぞれは、ECGリードワイヤの接続部、呼吸センサのケーブル、または、血圧カフ(cuff)のケーブルを受けるように構成されたポート(112a、112bなど)につながっている。図1Aは、2つに分岐する接続を示しているが、分岐の数3、4、5、6、7、8、9、10、または、100などの任意の整数に増やすことができる。
【0056】
図1Dは、本明細書のいくつかの実施の形態における、人間の動き(モーション)と、人間の心臓で生成される電気信号との両方を監視する処理の例を示すフローチャートである。人間は、本明細書のシステムによる監視される観察対象の患者や生物である。図1A、1Dに示されるように、ステップ152において、医師や、人に対するケアワーカーのような人間が、装置110のような電気信号を示すデータや、人間の動き(モーション)を示すデータなどを受信するように構成された監視装置を入手する。監視装置110は、2つ以上のポートを有する。当該2つ以上のポートは、リードワイヤ108のような自身のレセプタクル(容器)内にモーション検出器を有さないECGリードワイヤと接続し、および、自身のレセプタクル(容器)内にモーション検出器を有するワイヤ102と接続するのに用いられる。装置110のかかる2つ以上のポートのそれぞれは、構造的に同一であり、同一の形状のコネクタを受けるように構成されている。ステップ154において、ワイヤ108のような第1ECGリードワイヤが第1ポートに接続される。実施の形態において、ワイヤ108はモーション検出器を有していない。第1ポートは、装置110の前記2つ以上のポートの任意の1つであってもよい。ワイヤ108の第1端部は、装置110のポートに接続するように構成されたコネクタを有している。ワイヤ108の第2端部は、人間に取り付けるように構成されたレセプタクル(容器)を有している。このレセプタクルは、電極を有しているが、モーション検出器を有していない。ステップ156において、第1ECGリードワイヤが人間の身体の適切な位置に取り付けられる。ステップ158において、ワイヤ102のような第2ECGリードワイヤが、装置110の前記2つ以上のポート120の第2ポートに接続される。第2ECGリードワイヤはプラグ104のようなコネクタを有する第1端部を有し、当該第1端部は、装置110のポートに対応するように構成されている。ワイヤ102の第2端部は、レセプタクル106のようなレセプタクル(容器)を有する。当該レセプタクルは、電極およびモーション検出器を有し、人間に取り付けられるように構成されている。モーション検出器は、起動しているときに、人間の位置および動き(動作、位置)情報を取得し、当該位置および動き情報を第2ECGリードワイヤ(ワイヤ102)を介して監視装置110に送信するように構成されている。ひとたび装置110が起動されると、ワイヤ102は、電力をモーション検出器に伝達し、モーション検出器にデータを送受信する。ステップ160において、リードワイヤ108のような他のECGリードワイヤと同様な方法で、第2ECGリードワイヤの電極が人間に取り付けられる。いくつかの実施の形態において、第3ECGリードワイヤが装置110の前記2つ以上のポート120の第3ポートに取付けられる。第3ECGリードワイヤは第1のECGワイヤ108と同様であり、モーションセンサを有していない。第1ファイヤ108と同様に第3ワイヤのレセプタクルは人間に取り付けられる。いくつかの実施の形態において、第4ECGリードワイヤが装置110の前記2つ以上のポート120のさらに別のポートに取付けられる。第4ECGリードワイヤは第1および第3のECGワイヤ108と同様であり、モーションセンサを有していない。第1ファイヤ108と同様に第4ワイヤのレセプタクルは人間に取り付けられる。ステップ162において、監視装置110が起動する。装置110を動作させることが可能な電力によって装置110は起動する。尚、装置110を起動する際に、ボタンのようなユーザインタフェースを介して、装置110を起動するための1つ以上の選択肢を選択してもよい。ステップ164において、装置110は電気信号を示すデータと、人間の動き(モーション)を示すデータとを記録する。
【0057】
従来の生体監視装置は、当該装置が意図する生体パラメータに関するデータを記録し、解析する。位置および/または動き(動作、移動)に関連したデータをリアルタイムの生体データと統合することは、対象の生理機能の変化を決定するのに効果的である。対象の姿勢あるいは動き(移動、動作)の変化の結果として生体データが監視される。
【0058】
図2は、本明細書におけるいくつかの実施例における図1に示されるレセプタクル(容器)200の正射影図を示している。レセプタクル200はハウジング206を有している。ハウジング206は、統合型モーションセンサシステム204の構成要素を取り囲んでいる。ECG電極コネクタと同様に、レセプタクル200を対象の身体に取り付けるために、リードコネクタ208は、ハウジング206の一部内であって接続ワイヤ202の先端部に配置され、電極コネクタとインターフェース接続する。モーションセンサシステム204は、プリント回路基板(PCB)に配置され、複数の構成要素を有していてもよい。ここで、複数の構成要素は、位置および動き(移動、動作)に関連するデータを検出し処理する要素を含む。一つの実施の形態において、本発明は、ハウジングと、ハウジングに埋め込まれハウジングから露出した電極と、ハウジングに統合(一体化)され電極に隣接するモーション検出器とを有するECG電極に関する。
【0059】
図3Aは、本明細書のいくつかの明細書における、PCBの第1部材300aを示している。第1部材300aは、図2のモーションセンサシステム204の構成要素を保持するように構成されている。図3Bは、本明細書のいくつかの明細書における、PCBの第2部材300bを示している。第2部材300bは、第1部材300aと反対側に設けられ、図2のモーションセンサシステム204の構成要素を保持するように構成されている。図3A、3Bに示されるように、PCB(300a、300b)は、リード接続ワイヤのレセプタクル(容器)のハウジング内に収容されている。ここで、リード接続ワイヤは、モーションセンサシステムを監視装置と接続し、当該監視装置は、モーションセンサデータを単体で、あるいは、他の生体監視データと組み合わせて、記憶および処理する。実施の形態において、PCB(300a、300b)は、レセプタクル(容器)のハウジング内に収まるような大きさに構成されている。一つの実施の形態において、PCB(300a、300b)は、長さ0.5インチ、幅0.3インチであり、電気および電子部品を両面に有している。いくつかの実施の形態において、PCB(300a、300b)上の電気パッド302は、アースおよび電力/通信ワイヤをPCB(300a、300b)に半田づけするように構成されている。
【0060】
接続ワイヤは、PCB(300a、300b)の構成要素と、電源と、生体データ監視装置との間の通信を可能にするように、電気パッドの1つに半田付けされている。電源からの電力は、接続ワイヤを通じて伝達され、電力コンバータ304に供給される。電力コンバータ304は、ケーブル上の電力を推奨チップ電圧まで降下させ、信号送信によって生じた電力の変動を取り除くように構成されることで、PCB(300a、300b)の構成要素に電力を供給する。プロセッサ306は、センサデータを処理すると共に、生体監視装置との双方向の通信を促すように構成されている。モーションセンサ308は位置および動き(移動、動作)に関するデータを検出し、プロセッサ306に当該データを供給する。いくつかの実施の形態において、モーションセンサ308は多軸加速度計である。一つの実施の形態において、モーションセンサ308は3軸加速度計である。他の実施の形態として、モーションセンサ308は、6軸センサ(3軸加速度計と3軸ジャイロスコープ)、または、9軸センサ(3軸加速度計と、3軸ジャイロスコープと、3軸磁力計)を有していても良い。これらのセンサは、患者の向きを決定するのに用いることが可能な3軸の位置及び方位情報を提供するのに用いられる。かかる向きを決定することは、例えば、患者が廊下を横切る際に廊下の下を向いているか否かを決定することである。加速度計における1Gの値が(重力による)まっすぐな下方向を示しているとすると、加速度計は、患者の傾きを決定するのに用いられてもよい。加速度計によって示される加速度の急激な変化は、対象が動いていること(モーション)を示してもよく、加速度のゆっくりした変化は傾きの変化(例えば、起き上がりや、転がり)を示していてもよい。モーションセンサ308は、対象の位置、傾き、動き(移動、動作)の少なくとも1つを検出する。
【0061】
本明細書の実施の形態は、呼吸監視装置、BP監視装置、複数の生体パラメータを監視する装置のような異なる種類の生体監視装置とインターフェース接続可能なように構成されている。但し、これらの各装置は、患者の身体に位置する従来の生体センサのハウジング内に位置していることが好ましい。
【0062】
本明細書の実施の形態は、対象のエクササイズデータを監視するのに用いられる。活動レベルは、対象が行うエクササイズについての有用な指標を提供するように定量化されていてもよい。例えば、歩数が監視されても良い。本明細書の実施の形態は、対象によって行われる一つまたは複数の活動の種類や期間を示すのに用いられてもよい。例えば、生体データは、姿勢情報と組合わされることで、対象の健康が持続している間に、対象が座っているか、立っているか、覚醒しているか、眠っているかを判断してもよい。同様に、実施の形態は、休息(無活動)のレベルを判断するのに用いられてもよい。例えば、寝たきりの対象者が、休息している期間(場合によっては複数の期間)に監視され、床ずれを避けるために対象者が移動する必要があることを示す警報や、あるいは、対象者が死亡したか否かを知らせる警報が生成される。実施の形態は、対象の落下を検出するのに用いられることも可能である。実施の形態は、不当な、偶発的な、あるいは、不健康な動き(移動、動作)が対象により行われたことを検知するのに用いることも可能である。例えばベッドにいる対象による動き(移動、動作)は、対象が自分自身でそこを去るとは考えられない場合に検出されてもよい。実施の形態は、発作(脳卒中)、身震い、てんかん性の出来事、震え、不快による早い呼吸、咳、嘔吐、ベッド内での回転などの急速な動き(移動、動作)を検知可能である。なお、ここで示した急速な動きの例は、一例にすぎず、これらに限定されるものではない。
【0063】
本明細書の実施の形態は、呼吸検出データをモーションセンサデータに組合せることで、胸部の動きを監視し、無呼吸を検出する。さらに、健康なエクササイズの養生法を行っている間は呼吸の特性を測定することが抑制されていてもよい。同様に、BP測定データを組合わせることで、対象が過剰に活動的であると特定されるときには、監視の試みが、中止され、遅れさせられ、後にリトライされることも可能である。
【0064】
本明細書の実施の形態は、ECG ST セグメントの誤った警報を最小化するのを促す。尚、かかる誤った警報は位置の変化に起因する。さらに、v-tach(心室の頻拍)、v-run(ventricular run)、あるいは、ほかのECGパラメータなどのECGリズムの誤った警報を最小化するのを促す。これらECGリズムの誤った警報は、位置の変化や、動きに起因する。本明細書の実施の形態において、例えば、心拍数が低下し、パルス振幅が減少したときなどの対象が危険な状態にいるときに、ECGデータ、呼吸データ、BPデータをモーションセンサデータと組み合わせることにより、適切な警報を検出し、警報を伝えることが可能になる。
【0065】
図4は、本明細書のいくつかの実施の形態による、電力とデータ通信のための単一のワイヤ402を用いて接続される2つの装置のブロック図400を示している。実施の形態にておいて、装置406は生体監視を行うのに用いられる装置110(図1A)に対応し、装置408はレセプタクル106(図1A)内に設けられた統合型モーションセンサシステム204(図2)に対応する。実施の形態において、第1装置406はと第2装置408とは、それぞれ、マスター装置と、スレーブ装置とを構成する。装置406は、装置408に電力を供給し、これらの装置の両方は互いにワイヤ402を介して通信する。いくつかの実施の形態において、複数のスレーブ装置は第1装置406に接続される。
【0066】
一つの実施の形態において、通常動作の間、第1装置406の第1トランジスタ410は非導通状態であり、電源からの電力を電源モジュール412、第2トランジスタ416、第1抵抗414を経てワイヤ402に供給し、ひいては、装置408のような接続された任意の装置に供給する。第1装置406と第2装置408とは、それぞれ、非導通状態のトランジスタ416とトランジスタ418とを有している。第2装置408におけるトランジスタ418は、通常は非導通状態である。従って、装置406からワイヤ402を経て装置408に供給される電力は、装置408内において、トランジスタ418と電源モジュール422との間に位置するダイオード420を通過し、電源モジュール422に流れる。装置408内において、比較器424は、ワイヤ402を介して供給された電力を受ける。比較器424は、入力電力線を参照電圧と比較し、装置408のプロセッサ426に設けられた受信ピンに「ロー」を出力する。
【0067】
一つの実施の形態において、ビット信号を第1/マスター装置406から第2/スレーブ装置408に送信するために、第1トランジスタ410は、導通状態に移行させられ、かかる導通状態となった第1トランジスタ410により、トランジスタ416が非導通状態に切り替わる。第1抵抗器414のワイヤ402に接続される側は、導通したトランジスタ410を介して「ロー」になる。ワイヤ402の他方側、第2装置408内において、比較器424は、入力供給が「ロー」に移行したことを検知し、プロセッサ426の受信ピンを「ハイ」に切り替える。いくつかの実施の形態において、「ロー」と「ハイ」は、電圧のレベルを示し、デジタル回路において、バイナリデータとして解釈されることが可能である。いくつかの実施の形態において「ハイ」状態と「ロー」状態とは置き換え可能、即ち、ここで「ロー」として説明されたものを「ハイ」とし、「ハイ」として説明されたものを「ロー」とすることが可能である。いくつかの実施の形態において、受信ピンが「ロー」から「ハイ」に遷移することがバイナリ「1」を示す。ダイオード420は、第2装置408の電源モジュール422にかかる電圧が急速に低下するのを防ぐ。コンデンサ428は、接地点と、ダイオード420および電源モジュール422とを結ぶ線との間に設けられる。コンデンサ428は、装置408に電源モジュール422を介して供給された電力が当該ノード422から電流の排出を開始するときに、少量の電力を供給する。ダイオード420とコンデンサ428との組み合わせは、電源モジュール422からの電源供給における電圧降下を瞬間的に最小化させる。
【0068】
第2モジュールがワイヤからの入力が「ロー」であることを見るのに十分な長さの時間が与えられたら、第1装置406は、第1トランジスタ410を非導通状態に戻し、非導通状態に戻った第1トランジスタ410はトランジスタ416を導通状態に移行させ、通常量の電流がワイヤ402を介して流れる。第1トランジスタ410が導通状態に変化し、比較的短期間に非導通状態に戻ると、第2装置408はこの変化をデータとして登録するが、第2装置408への電力は一定に維持される。トランジスタ410が自身の状態をオンからオフに変化する時間の長さは、装置408(複数ありうる)によって消費される電流の量、ダイオード420を戻る電流の漏洩量、コンデンサ428の容量によって決定されてもよい。
【0069】
第2装置408がビットデータを第1装置406に送信するために、トランジスタ416と、従って、トランジスタ418とがプロセッサ426によって導通状態に移行させられる。ワイヤ402から抵抗器430を介した入力は瞬間的に「ロー」に戻される。ここで、抵抗器430は、ワイヤ402の出力と、装置408の抵抗器418との間に位置している。第1装置406の比較器432は、抵抗器414を介した電力出力が「ロー」に降下するのを検知し、その結果、第1装置406のプロセッサ434の受信ピンを「ハイ」に変化させる。十分な時間が経過した後、第2装置408のプロセッサ426は、トランジスタ418の導通をオフに切り替える。これにより、ワイヤ402の第2装置408への入力が接地しなくなるので、当該入力が急激に上昇し供給レベルにまで戻る。比較器432は出力電圧が「ハイ」に戻るのを検出し、第1装置406のプロセッサ434の受信ピンを「ロー」に設定する。
【0070】
実施の形態において、装置406の抵抗器414は、第2装置408による転送の際に電源ラインにみられる断続的な短絡が発生している間に、第1装置406のレギュレータ(電源供給)を過電流から保護する。これらの転送の際に、トランジスタ416、410は導通状態にあるため、ワイヤ402の瞬間的な短絡が、システム400を過電流状態にさせる電源モジュール412によって検出される。
【0071】
ワイヤ402を介した通信は非同期通信であるため、装置(装置406または装置408)は任意の時間にワイヤ402上の通信を開始できる。従って、装置406、408のそれぞれが、おこりうるデータ衝突(コリジョン)を検出できることが重要である。データ衝突は、装置406、408の両方が同時にデータを送信しているときに生じる。装置がデータの送信を行おうとするとき、装置は転送状態に移行する。かかる転送状態において、装置のプロセッサにおける送信ピンを変化させたときには、受信ピンの状態の変化のみを検出すべきである。送信ピンが変化していないときに受信ピンが変化した場合、プロセッサ(434,426)は、衝突を検知したと結論づけ、プロセッサ434と426の上位レベルのプロトコルがそのような衝突を知らせる。上位レベルのプロトコル次第では、任意の修正処置(通常、ランダムな時間の待機(バックオフ)の後にリトライを行うこと)が開始される。
【0072】
図5は、本明細書のいくつかの実施の形態によるシミュレーション回路500の例を示す一つの実地の形態において、装置500の左側は、図4に示される装置406に対応する装置506に関するものである。同様に、装置500の右側は、図4に示される装置408に対応する装置508に関するものである。ワイヤ502(402)は、装置506(406)と装置508(408)とを接続する。図5の構成要素は、図4の様々な構成要素に対応し、同様な参照番号を付す。例えば、トランジスタ510、516は、第1装置406/506のトランジスタ410、416に対応する。別の実施の形態において、ワイヤ502を介して装置506と接続される装置508と同様な複数の装置が存在しうる。実施の形態において、ワイヤ502を介して装置506に接続される装置508と同様な装置の数は、装置506によって供給され、複数の装置508によって消費される電力に制限される。さらに、複数の装置508の数は、装置の特定の数以上を個別に処理するプロトコルの能力に制限される。一つの実施の形態において、8つの装置508までが装置506に接続される。
【0073】
図4に戻り、Vgateに接続される電圧供給シミュレーション「HostProc」が、プロセッサ434との相互作用をシミュレートしている。プロセッサ434のその他の部分はシミュレートされていない。同様に、電圧供給シミュレーション「DevProc」はプロセッサ426との相互作用をシミュレートしており、プロセッサのその他の部分はシミュレートされていない。図5において、抵抗「WIreR_1」540と静電容量「WireC_1」542とは、ワイヤ502に寄生する抵抗および静電容量をシミュレートしている。最後に、第1装置506の電源供給512において構成要素U5と関連する構成要素C9~C13はオプションである。いくつかの実施の形態において電圧分割器とオペアンプとが比較器部材524、532を構成する。比較器部材524と532とは、それぞれ、回路500における装置508と506内に設けられている。しかしながら、回路の部材にはいかなる制限もなく、内部参照を有した回路のような別の回路が用いられてもよい。
【0074】
図6Aは、本明細書の実施の形態における、図4、5に記載の第1装置406/506から第2装置408/508へのデータ送信を示している。図4、5との同時参照によってグラフの説明が強化される。図は、値「0xffff」(8ビット分の「1」の2つのセット)の送信を示している。下のグラフ602は、送信トランジスタ(図4の送信トランジスタ410の送信ピン)に供給される入力を示している。真ん中のグラフ604は、第2装置408/508における比較器424/524オペアンプへの入力を示しており、グラフ604にわたって引かれた線606は参照電圧である。一つの実施例において、参照電圧は2.19Vと2.3Vとの間である。上のグラフ608は、比較器424/524の出力を示し、この出力は、実質的な用途において送信された入力と同じものである。典型的な実施の形態において、それらの送信は、100KHzのレートでシミュレートされる。
【0075】
図6Bは、本明細書のいくつかの実施の形態において、図6Aのデータ送信に応じた、第2装置408/508から第1装置406/508へのデータの送信を示している。第1グラフ632において、上部の軌跡632は、第2装置408/508のレギュレータ422へのへの入力供給線を示している。ある程度の下落が軌跡632に見られるが、これは、電力入力が断続的に下落したことによって生じたものである。しかし、グラフ632の下側の軌跡636に示されるように、供給の出力は、一定値3.3Vで維持されている。これは入力が、レギュレータのドロップアウトリミットより上だからである。いくつかの実施の形態において、ドロップアウトが低いレギュレータが選択されることにより、第2装置408/508のようなスレーブ装置の電圧が低下してレギュレータのドロップアウト範囲になるのを防ぐことができる。あるいは、いくつかの実施の形態において、抵抗器414のような電源抵抗器は調整される。第2グラフ630は、抵抗器414を流れる電流を示す。グラフ630の下のグラフ628は、第1装置406/506の比較器432の出力を示しているが、このグラフ628は、装置406/506および装置408/508の両方の入力に一致する。第4グラフ622は、第1装置406/506のオペアンプ入力624を示し、直線626は、参照入力電圧を示す。グラフ618は、比較器424の出力620を示す。グラフ616の軌跡614は、比較器424への信号入力と参照入力とをそれぞれ示す。下のグラフ612の軌跡610は、第2装置408/508のトランジスタ418への入力である。
【0076】
さらに、送信するビットのパルス幅を最小化し、複数の転送間の十分なリカバリタイムを確保することが求められる。従って、各ビットのパルス幅は制御される。送信が駆動しているときのバンド幅(ボーレート)は、各ビットのパルス幅を制御するための一要素である。ボーレートと無関係に、実際の転送レートが低い場合、印加電圧の低下は少ない。転送レートが増加し、チャンネルのフルバンド幅(ボーレート)に近づくと、電圧低下は悪化する。いくつかの実施の形態において、これらの信号はkHzの範囲であり、パルスの底部は最小化される。実施の形態において、パルス幅は、各プロセッサ(434、426)の速度と、各装置408の電流の流れに依存する。コンデンサ428の容量、ダイオード420の漏洩、レギュレータ422のドロップアウト電圧もまた、パルス幅に影響を与える。1kHzから100kHzのハイとローの幅が同じパルスは、より大きく、高価な構成要素を必要とすることなく調節可能である。
【0077】
図7A、7B、7Cは、本明細書のいくつかの実施の形態における、第1マスター装置406(図4)と第2スレーブ装置408(図4)とを接続するワイヤの第1端部700の画像である。第1端部700は、図1の装置110のような生体監視装置と接続されるワイヤのプラグ部である。図7Aは、本明細書のいくつかの実施の形態におけるプラグ部700の写真を示す。図7Bは、プラグ部700のハウジングの断面図を含むプラグ部700の線図である。図7Cは、プラグ部700の線図であり、プラグ部700の構成要素の大きさを示す図である。図7A、7B、7Cに示されるように、プラグ部は、ピン702を有している。ピン702は、生体監視装置の対応する雌ポート内に配置され、ワイヤと生体監視システムとの間の電気接続を提供する。ピン702の先端は、約3.9mmの長さ伸びており、直径約2.35mmである。当該ピン702の先端は、約0.8mmの帯部から現れている。帯部は、ピン702の先端と、ピン702の他端とを接続する。ピン702の他端は、約6.7mmの長さ延びており、直径約2.46mmである。他端において、ピン702は、保護ハウジング704に接続されている。ハウジング704は、ワイヤの電気部品と共にスイッチを取り囲んでいる。ここで、ピン700が生体監視装置に差し込まれたときに、前記ワイヤは、電力およびデータの生体監視装置との双方向の伝達を提供する。プラグ部700の全長は約25.9mmである。実施の形態において、ピン部700は、生体監視装置の特別なピンに差し込まれ、あるいは、ヨーク(yoke)に組み込まれる。
【0078】
図8A~8Dは、本明細書の実施の形態におけるワイヤ800の異なる図面である。ワイヤ800はプラグ部802を一端部に有し、レセプタクル(容器)804を他端部に有する。図8Aは、ワイヤ800のレセプタクル部804の上面図である。図8Bは、ワイヤ800のレセプタクル部804の側面図である。図8Cは、ワイヤ800のレセプタクル部804の側面視断面図である。図8Dは、ワイヤ800のレセプタクル部804の底面図である。いくつかの実施の形態において、ワイヤ800は、クロストークを避けるために同軸ケーブルを有する。異なる実施の形態において、ワイヤ800の長さは、さまざまな応用に応じて異なる。ECGに用いる場合には、ワイヤ800の長さはECGリードワイヤと同じである。同様にECGに用いる場合には、ワイヤ800は、ECGリードワイヤと同じ曲げ半径を有している。実施の形態において、ワイヤ800は、プラグ部802を用いて、ECGワイヤを差し込み及び取り外すのと同じ力と手法によって接続、取り外しが行われる。レセプタクル部804は図2のレセプタクル200に対応している。レセプタクル部804は、統合型モーションセンサシステムの構成要素を取り囲むハウジング806を有している。ECG電極コネクタと同様に、レセプタクル部804を患者の身体に取り付けるために、リードコネクタが、接続ワイヤ800の一端部であって、ハウジング806の一部内に設けられている。ここで、リードコネクタは、電極コネクタとインターフェース接続する。上述のようにモーションセンサシステムは、プリント印刷基板(PCB)上に複数の構成要素を有していてもよい。ここで複数の構成要素は、位置および動き(移動、動作)に関するデータを検知し処理する要素を含む。レセプタクル部804は、対象の位置に取り付けるために周知の使用されているコネクタを構成していてもよい。
【0079】
上記の例は、本発明のシステムの応用を説明するためのものにすぎない。本発明のわずかな実施の形態が説明されたものの、本発明は、発明の精神と範囲から離れない限り他の特定の形態であってもよい。従って、ここでの例および実施の形態は説明のためのものであり、なんら制限を課すものではなく、発明は添付の特許請求の範囲内において変更されてもよい。



図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
【国際調査報告】