(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】繊維強化複合材管状シャフトおよびその製造
(51)【国際特許分類】
B29C 70/32 20060101AFI20220831BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B29C70/32
B29C70/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577106
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 EP2020064881
(87)【国際公開番号】W WO2020259951
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517330988
【氏名又は名称】ノース、スィン、ピーエルワイ、テクノロジー、ソシエテ、ア、レスポンサビリテ、リミテ
【氏名又は名称原語表記】NORTH THIN PLY TECHNOLOGY SARL
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】グザビエ、ルペルク
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AD16
4F205AG09
4F205AR07
4F205HA02
4F205HA37
4F205HB01
4F205HC02
4F205HF05
4F205HG01
4F205HL02
4F205HT22
(57)【要約】
繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトであって、シャフトは、巻き付け層のスタックを備える長尺管状体を備え、各巻き付け層は、樹脂マトリックスの繊維強化材を備え、長尺管状体は、長尺管状体の長さの少なくとも一部に沿って非円筒形の幾何学的形状を有する第1の表面部分を有する長尺内周面と、長尺外周面とを有し、繊維強化材の巻き付け層のスタックは繊維層を備え、繊維層は、繊維強化材の少なくとも1つのプライを備え、繊維層は、巻き付け層のスタックを形成するために、長尺管状体の縦軸の周りに螺旋状に巻き付けられ、各巻き付け層は縦軸と平行であり、第1の表面部分を周方向に囲む巻き付け層のスタックの一部において、繊維層は、部分内の長尺内周面の半径の変化と共に非線形に変化する一定でない幅を有し、繊維強化材は、長尺管状体の長さに沿って、長尺管状体の縦軸の周りの円筒座標系に対して一定に配向された繊維を備え、任意の部分の繊維配向は、その部分の長尺内周面および長尺外周面の幾何学的形状とは無関係である、長尺管状シャフト。繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトを製造する方法もまた開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトを製造する方法であって、前記方法は、
a)長尺のマンドレルを提供するステップであって、前記マンドレルは、縦軸と、前記縦軸に沿って互いに離間した対向する第1および第2の末端と、前記縦軸に沿って延在する前記マンドレルの長さの少なくとも一部に沿って非円筒形である外周面とを有する、ステップと、
b)繊維強化材を備えるプリフォーム層を提供するステップであって、前記プリフォーム層は、互いに離間している第1および第2の末端部分と、互いに離間している内縁部および外縁部とを有し、前記内縁部および外縁部は、前記第1の末端部分から前記第2の末端部分まで延在し、前記プリフォーム層が平面構成であるとき、少なくとも前記内縁部は非線形であり、前記内縁部および外縁部の間の間隔は、前記第1および第2の末端部分の間に延在する前記プリフォーム層の長さに沿って変化する、ステップと、
c)前記内縁部が前記マンドレルに向かって配向され、前記外縁部が前記マンドレルから離れる方に配向される開始構成で、前記マンドレルの前記第1の末端に隣接して前記プリフォーム層の前記第1の末端部分を配置するステップと、
d)前記マンドレルの前記外周面が、長尺チューブを形成するために巻き付けられた前記プリフォーム層によって徐々に覆われるように、前記マンドレルの周りに前記プリフォーム層を巻き付けるステップであって、これにより、前記長尺チューブ内で、前記内縁部が前記マンドレルの前記外周面に接触し、前記外縁部が前記長尺チューブの前記外周面に配置され、前記巻きステップの間、前記マンドレルおよび前記プリフォーム層は、前記マンドレルの前記縦軸に沿った回転軸の周りで相対的に回転され、前記プリフォーム層は、前記プリフォーム層の前記第1の末端部分から前記第2の末端部分まで、前記マンドレルの前記縦軸に垂直な供給路に沿って前記マンドレル上に継続的に供給される、ステップと、
e)前記プリフォーム層から形成された繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトを形成するために、前記マンドレル上に前記長尺チューブを成形するステップと
を備え、
ステップe)の前または最中に、前記プリフォーム層の前記繊維強化材と接触して樹脂材料が提供され、ステップe)の最中に、前記樹脂材料は前記繊維強化材を組み込む樹脂マトリックスを形成し、
ステップb)において、前記プリフォーム層の前記内縁部は、ステップd)において、前記内縁部が前記マンドレルの前記外周面と継続的に一致し、前記長尺チューブが前記縦軸の周りに螺旋を形成する複数の巻き付け層を備えるように、成形および寸法決めされ、各巻き付け層は、前記縦軸と平行である、方法。
【請求項2】
各巻き付け層にはしわがなく、前記巻き付け層の各領域は、前記縦軸と一貫して整合している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップd)において、前記長尺チューブの前記長さの少なくとも一部に沿って、前記内縁部の少なくとも一部と非円筒形の前記マンドレルの前記外周面の領域との間の接触は、前記マンドレルの前記外周面と一致する、複数の前記巻き付け層に沿って延在する連続内側螺旋線を形成する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記連続内側螺旋線は、前記巻き付け層の連続する螺旋回転の間に均一なピッチを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記連続内側螺旋線は、前記巻き付けられたプリフォーム層の少なくとも2つの巻き付け層に沿って延在する、請求項3または請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップb)において、前記プリフォーム層は、前記プリフォーム層が平面構成であるとき、前記内縁部の少なくとも一部が湾曲するように成形および寸法決めされる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップb)において、前記プリフォーム層は、前記プリフォーム層が平面構成であるとき、前記内縁部の前記部分が凸状に湾曲するように成形および寸法決めされる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップb)において、前記プリフォーム層は、前記プリフォームが平面構成であるとき、前記内縁部の少なくとも一部が、x軸およびy軸を有する直交座標系を使用して、以下の関係によって定義されるように成形および寸法決めされ、前記x軸は、前記第1および第2の末端部分の間の間隔と平行であり、前記回転軸と平行であり、前記y軸は、前記内縁部および外縁部の間の間隔と平行であり、
Bn=f(x
n
B,y
n
B)、ここで、
Bは前記直交座標系に対する前記内縁部の位置であり、
n=前記巻き付けられたプリフォーム層の回転数であり、
x
n
B=f(c,e)、ここでc=Bnにおける巻き付けられたプリフォーム層の円周、e=前記プリフォーム層の厚さであり、
【数1】
ここで、i=Bにおける前記巻き付けられたプリフォーム層の総回転数である
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
非円筒形である前記外周面は円錐台形である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記外周面は、前記円錐台表面の少なくとも1つの末端で前記円錐台表面に隣接した円筒面をさらに備え、ステップb)において、前記プリフォーム層は、前記プリフォーム層が平面構成であるとき、ステップd)で前記円筒面に接触する前記内縁部の第2の部分が、ステップc)およびd)において線形であり、前記縦軸と平行になるように、成形および寸法決めされる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記外周面は、前記円錐台表面と反対の方向に傾斜した第2の円錐台表面をさらに備え、前記第2の円錐台表面は、前記円錐台本の末端に隣接するかまたは離間しており、ステップb)において、前記プリフォーム層は、前記プリフォーム層が平面構成であるとき、ステップd)で前記第2の円錐台表面に接触する前記内縁部の第3の部分が、ステップc)およびd)において、前記内縁部に切り込まれて前記縦軸に対して傾斜した凹状開口の一部となるように、成形および寸法決めされる、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記円錐台表面は、前記マンドレルの前記縦軸に対して角度αで傾斜しており、ステップ(b)において、前記プリフォーム層は、前記プリフォームが平面構成であるとき、前記内縁部の前記湾曲部分が、x軸およびy軸を有する直交座標系を使用して、以下の関係によって定義されるように成形および寸法決めされ、前記x軸は、前記第1および第2の末端部分の間の間隔と平行であり、前記回転軸と平行であり、前記y軸は、前記内縁部および外縁部の間の間隔と平行であり、
Bn=f(x
n
B,y
n
B)、ここで、
Bは前記直交座標系に対する前記内縁部の位置であり、
n=前記巻き付けられたプリフォーム層の回転数であり、
【数2】
ここで、e=前記プリフォーム層の厚さ、i=Bにおける前記巻き付けられたプリフォーム層の総回転数であり、
【数3】
ここで、r
n=回転nにおける前記マンドレルの半径である
請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップb)において、前記プリフォーム層は、前記プリフォーム層が平面構成であるとき、前記内縁部の反対の、前記外縁部の少なくとも一部が湾曲するように成形および寸法決めされ、ステップd)において、前記長尺チューブの前記長さの少なくとも一部に沿って、前記外縁部の前記湾曲部分が連続外側螺旋線を形成する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記外縁部の前記部分が凹状に湾曲している、および/または凸状に湾曲している、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記連続外側螺旋線は、前記長尺チューブがその前記部分に沿って一定の厚さを有するように、前記複数の巻き付け層に沿って前記連続内側螺旋線から等距離にある、請求項3またはこれに従属する任意の請求項に付随するときの、請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップb)において、前記プリフォーム層は、前記プリフォーム層が平面構成であるとき、前記外縁部の少なくとも一部が線形となるように成形および寸法決めされ、ステップc)およびd)において、前記外縁部の前記線形部分がステップc)およびd)における前記縦軸と平行であり、前記線形部分によって形成された前記長尺チューブの前記外面が円筒形である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記外周面は、前記円錐台表面の少なくとも1つの末端で前記円錐台表面に隣接した円筒面をさらに備え、ステップb)において、前記プリフォーム層は、前記プリフォーム層が平面構成であるとき、ステップd)で前記円筒面に接触する前記内縁部の第2の部分が、ステップc)およびd)において線形であり、前記縦軸と平行になるように、成形および寸法決めされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記外周面は、前記円錐台表面と反対の方向に傾斜した第2の円錐台表面をさらに備え、前記第2の円錐台表面は、前記円錐台本の末端に隣接するかまたは離間しており、前記プリフォーム層は、前記プリフォーム層が平面構成であるとき、ステップd)で前記第2の円錐台表面に接触する前記内縁部の第3の部分が、ステップc)およびd)において、前記内縁部に切り込まれて前記縦軸に対して傾斜した凹状開口の一部となるように、成形および寸法決めされる、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プリフォーム層は、一定の厚さまたは可変の厚さを有する、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記プリフォーム層は、前記繊維強化材が前記樹脂によって少なくとも部分的に含浸されているプリプレグを備える、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記プリフォーム層は、乾燥繊維強化材層と、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂で構成された樹脂層とを備え、前記プリフォーム層および前記樹脂層は、互いに積み重ねられる、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記プリフォーム層の樹脂は、ステップd)の前に部分的または全体的に予備硬化される、請求項20または請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記プリフォーム層は乾燥繊維強化材を含み、ステップd)とe)との間に、前記樹脂が、液体樹脂として前記乾燥繊維強化材に注入される、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記プリフォーム層は、前記プリフォーム層または前記繊維強化材の表面上に、コア材料および/または接着材料をさらに備える、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記プリフォーム層は、前記繊維強化材の複数のプライのスタックを備える、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記繊維強化材は、ステップc)の間に前記縦軸と平行に整合され、ステップd)の間に前記縦軸の周りの円筒座標系に対して一定に配向されたまま維持される構造繊維を備える、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記構造繊維は一方向(UD)繊維プライに含まれる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ステップd)の間、(i)前記マンドレルが、前記マンドレルの周りに前記プリフォーム層を巻き付けるために前記回転軸の周りで回転されるか、または(ii)前記マンドレルは回転的に静止しており、前記プリフォーム層が、前記マンドレルの周りに前記プリフォーム層を巻き付けるために前記回転軸の周りで回転される、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記プリフォーム層は、前記プリフォーム層の厚さを通って延在する1つ以上の穴を備え、前記各穴は、前記第1および第2の末端部分ならびに前記内縁部および外縁部の内側に位置している、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトであって、前記シャフトは、巻き付け層のスタックを備える長尺管状体を備え、各巻き付け層は、樹脂マトリックスの繊維強化材を備え、前記長尺管状体は、前記長尺管状体の長さの少なくとも一部に沿って非円筒形の幾何学的形状を有する第1の表面部分を有する長尺内周面と、長尺外周面とを有し、繊維強化材の前記巻き付け層のスタックは繊維層を備え、前記繊維層は、繊維強化材の少なくとも1つのプライを備え、前記繊維層は、前記巻き付け層のスタックを形成するために、前記長尺管状体の縦軸の周りに螺旋状に巻き付けられ、各巻き付け層は前記縦軸と平行であり、前記第1の表面部分を周方向に囲む前記巻き付け層のスタックの一部において、前記繊維層は、前記部分内の前記長尺内周面の半径の変化と共に非線形に変化する一定でない幅を有し、前記繊維強化材は、前記長尺管状体の前記長さに沿って、前記長尺管状体の前記縦軸の周りの円筒座標系に対して一定に配向された繊維を備え、任意の前記部分の前記繊維配向は、その部分の前記長尺内周面および長尺外周面の前記幾何学的形状とは無関係である、長尺管状シャフト。
【請求項31】
前記第1の表面部分に沿って、前記繊維層の内縁部は、前記内周面と一致しており、複数の前記巻き付け層に沿って延在する連続内側螺旋線を形成する、請求項30に記載の長尺管状シャフト。
【請求項32】
前記連続内側螺旋線は、前記巻き付け層の連続する螺旋回転の間に均一または不均一なピッチを有する、請求項31に記載の長尺管状シャフト。
【請求項33】
前記連続内側螺旋線は、前記巻き付け層のうちの少なくとも10個に沿って延在する、請求項31または請求項32に記載の長尺管状シャフト。
【請求項34】
前記内縁部の少なくとも一部は、前記縦軸に直交して延びる横断面に対して湾曲している、請求項31から33のいずれか一項に記載の長尺管状シャフト。
【請求項35】
前記内縁部の前記湾曲部分は、前記繊維層に対して凸状に湾曲している、請求項34に記載の長尺管状シャフト。
【請求項36】
前記第1の表面部分は円錐台形である、請求項30から35のいずれか一項に記載の長尺管状シャフト。
【請求項37】
前記長尺内周面は、前記第1の表面部分の少なくとも1つの末端で前記第1の表面部分に隣接している円筒面をさらに備え、前記繊維層は、前記円筒面を画定する末端部分を有し、線形であって前記縦軸と平行な縁部を有する、請求項30から36のいずれか一項に記載の長尺管状シャフト。
【請求項38】
前記長尺内周面は、非円筒形の幾何学的形状を有し、前記第1の表面部分と反対の方向に傾斜している第2の表面部分をさらに備え、前記第2の表面部分は、前記第1の表面部分の末端に隣接するかまたは離間している、請求項30から37のいずれか一項に記載の長尺管状シャフト。
【請求項39】
前記長尺外周面は非円筒形の幾何学的形状を有する、請求項30から38のいずれか一項に記載の長尺管状シャフト。
【請求項40】
前記長尺外周面は円筒形の幾何学的形状を有する、請求項30から38のいずれか一項に記載の長尺管状シャフト。
【請求項41】
前記長尺管状体は、その前記長さの少なくとも一部に沿って一定でない厚さを有する、請求項30から40のいずれか一項に記載の長尺管状シャフト。
【請求項42】
前記長尺管状体は、その前記長さの少なくとも一部に沿って一定な厚さを有する、請求項30から40のいずれか一項に記載の長尺管状シャフト。
【請求項43】
前記繊維強化材は、前記チューブの前記縦軸の周りの円筒座標系に対して一定に配向された構造繊維を備える、請求項30から42のいずれか一項に記載の長尺管状シャフト。
【請求項44】
前記構造繊維は一方向(UD)繊維プライに含まれる、請求項43に記載の長尺管状シャフト。
【請求項45】
繊維強化材の対向する層の間に挟まれたコア材料をさらに備える、請求項30から44のいずれか一項に記載の長尺管状シャフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトを製造する方法に関する。本発明はまた、繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトにも関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料の分野では、別途管状シャフトとも呼ばれる複合材料チューブは、プリフォーム材料のテープが金属マンドレルの周りに重ねて巻回される、たとえば螺旋状に巻回される方法によって製造され得ることが、一般に知られている。次に、成形プロセスにおいて、圧縮システムを用いてこの複合構造に圧力が印加され、熱硬化性および/または熱可塑性樹脂マトリックスが固化され、次いで成形管状製品からマンドレルが除去される。
【0003】
あるいは、プリフォーム材料は、マンドレルの縦軸に対して整合された方向を有する回転軸に沿って巻回されたシートの形状であってもよい。特に、このような複合材チューブは、一般に、ロールラッピングプロセスによって作られる。シートは、マンドレルの縦軸に対して垂直に、または傾斜した角度で配向され得る。ロールラッピングは、マンドレルの周りに、チューブと同じかまたは異なる長さおよびマンドレルの周りの特定の巻き数に対応する幅を有する個々のプリフォームまたはプリフォーム材料の個々の層を巻き付けることを含む。
【0004】
プリフォーム材料は、乾燥した繊維材料、すなわち、引き続き複合材料の樹脂マトリックスを形成するために使用される樹脂材料、たとえば熱硬化性および/または熱可塑性樹脂材料を含まない繊維材料からなる繊維層を備えてもよい。繊維層が上記のように巻回された後、繊維材料は、成形ステップの前または最中に樹脂材料によって被覆、含浸、または注入され得る。あるいは、プリフォーム材料はプリプレグ材料を備えてもよい。このようなプリプレグ材料は、複合部品および構造の製造に広く使用される。プリプレグ材料は、熱硬化性および/または熱可塑性樹脂マトリックスと繊維強化材との組合せであり、樹脂が少なくとも部分的に、典型的には完全に、繊維強化材を含浸している。
【0005】
円筒面、すなわちマンドレルの全長に沿って延在する所与の半径の円形断面によって与えられる円筒面以外を有するマンドレルの周りに、細いテープを使用して螺旋状に、またはマンドレルに対して垂直にまたは傾斜して整合されたシートをロールラッピングすることによってプリフォームまたはプリプレグを巻回すると、重大な技術的問題が生じる可能性がある。
【0006】
第1の技術的問題は、マンドレルの断面がマンドレルの長さに沿って変化するので、プリプレグが所望のラッピング方向に対して斜めになる可能性があることである。これは、巻き付けられた長尺チューブにしわおよび繊維不整合をもたらす可能性があり、これにより、プリプレグで形成された繊維強化樹脂マトリックス複合材料から構成された結果としての長尺管状シャフトの機械的性能および外観を著しく劣化させる可能性がある。
【0007】
高性能複合材料製品では、高い機械的特性を実現するために、管状シャフトの全長に沿った繊維配向および整合が所望の精密公差内に維持されることが不可欠である。
【0008】
繊維不整合は、特に製品の均一性および一貫性が重要な性能パラメータであるとき、非円筒チューブの製造において特に問題である。
【0009】
複雑なチューブの幾何学的形状を有する非円筒チューブの製造におけるもう1つの問題は、繊維層が不注意に曲げられ、捻られ、または折られ、最終成形複合材料製品において不整合または曲がった繊維として、または空隙としてさえも現れるプリフォーム層のしわの望ましくない形成をもたらすことである。
【0010】
また、しわおよび繊維不整合は、複数の管状製品間で性能の一貫性の欠如をもたらす可能性がある。既知の製造方法は、このような所望の特性を獲得する上で重大な製造問題に遭遇する可能性がある。
【0011】
第2の技術的問題は、その長さに沿ってマンドレルの幾何学的形状の変化に適合することであるが、これは、製造プロセス中の高度な人間の介入を必要とし、結果的に自動化のレベルが低下する可能性がある。これは、製造のコストおよび複雑さを増加させ、複数の管状製品の一貫性および均一性を低下させる。
【0012】
第3の技術的問題は、このような既知のプロセスが、マンドレルから余分な材料を除去するために個別に切断または調整される必要があるプリプレグテープまたはシートの結果として、または成形ステップに続いて管状製品から除去される必要がある余分な材料の結果として、または製造された管状製品が所望の品質を満たさないため不合格となった結果として、高レベルのプリプレグ廃棄を生じる可能性があることである。
【0013】
さらに、繊維強化樹脂マトリックス複合材料、特に炭素繊維複合材料からゴルフクラブシャフト、釣り竿、ラケットなどのスポーツ用品を製造することが知られている。しかしながら、炭素繊維複合材料の長尺管状シャフトは、特にシャフトの軸周りの異なる回転配向で曲げ力が印加されたとき、不均一な特性、特にシャフトに沿って望ましくない曲げ剛性の変動をもたらす不均一な壁厚を呈するという問題を抱える傾向がある。管状のスポーツ用品は、多くの場合、用品の剛性を局所的に制御するための制御された可変厚を組み込む必要があるが、しかしながら、複数の製品に対して高度な均一性および一貫性を伴ってこのように制御された可変厚を製造するための製造プロセスを確実かつ繰り返し可能に自動化することは、困難である。
【0014】
英国特許出願第2177062号明細書は、円錐台形マンドレル上にプリプレグテープが巻回された複合材料部品の製造を開示している。テープは、巻回されたテープの各々の連続する巻きが、テープ幅のおよそ50%だけ巻回されたテープの先行する巻きに重なるように巻回される。テープ幅(W)は、式W=nt/tanαによって定義され、ここで、tはテープ厚さ、αは角度単位のマンドレルの円錐角、nはテープ層の数または1回の巻回で巻回されるテープ層またはテープの数であり、nが増加するにつれてテープ幅も比例的に増加するようになっている。円錐台表面上のフィラメント巻回方法は、重ならずに縁部同士を接触させてテープが巻回される場合に発生する歪みを回避すること、ならびに巻回された材料内に大きなギャップが形成されないことが述べられているが、それにもかかわらず、この方法は、かなりの長さの管状部品、またはかなりの巻き数のフィラメントに対して正確なフィラメント整合を保証することができない。したがって、この製造方法は、マンドレルの直径が増加し、プリプレグ中の、したがって最終複合材料中の繊維が徐々に位置ずれしていき、部品の機械的特性の低下、および部品の長さに沿った機械的特性の変化をもたらすという問題を抱えている。さらに、部品の長さに沿って、マンドレルの、したがって部品の縦軸に対する任意の繊維の角度が変化し、繊維は、マンドレルおよび部品の直径を増加させながら縦軸に対して徐々に位置ずれするかまたは捻れていく。予め巻回されたプリプレグでは、繊維配向は、常に直線的で、プリプレグ内の所望の軸に沿って正確に整合されていてもよいが、しかしながら、最終的な巻回部品では、繊維配向は、一定に配向されなくてもよく、部品内の所望の軸に沿って正確に整合されなくてもよい。さらに、幾何学的円錐台形チューブ以外の複雑な形状をどの程度正確に製造するかについての開示はない。
【0015】
米国特許出願第2011/0097526号明細書は、プリフォームを組み込んだ繊維強化複合材を形成するための織り繊維プリフォームを開示している。織りプリフォームは、連続的な螺旋布を形成するために織り合わされた複数の縦糸と横糸または縦繊維と横繊維を含む。螺旋布は、アルキメデスの螺旋の形状を取り得る。プリフォームの横糸は、均一または可変のピック間隔、もしくは均一または可変の角分離を有し得る。アルキメデスの螺旋の螺旋布は、円錐形シェル構造を形成するために組み立てまたは巻回されてもよく、これはスピナまたは吹き出し口の一部であり得る。この開示は、プリフォームが、複雑な特定の螺旋幾何学的形状を有し、円錐形シェルの特定の幾何学的構造を作成するためにのみ使用可能であるという問題を抱えている。また、横糸が均一な間隔および均一な角分離を有する場合には、円錐形シェルにおいて、糸が位置ずれするが、しかしながら、横糸が可変間隔および/または可変角分離を有する場合には、円錐形シェル内で、糸は円錐状に整合され得るが、プリフォームは可変繊維構造で織るように非常に複雑化されており、各プリフォームは特定の幾何学的な形状を作成するためにのみ使用され得る。プリフォーム用にこのような非常に複雑な布を実際にはどのように作成するかについての開示はない。さらに、幾何学的円錐形シェル以外の複雑な形状をどの程度正確に製造するかについての開示はない。
【0016】
米国特許出願第2003/0056846号明細書は、様々な直径のチューブを形成するために可変幅を有する長い布を開示している。この開示は、個々のチューブが、可変径チューブの特定の幾何学的構造を作成するためにのみ使用され得る縦繊維と横繊維の特定の配置を有するという問題を抱えている。布は、可変繊維構造で織るには非常に複雑である。チューブの外側の幾何学的形状を制御する方法についての開示はない。
【0017】
国際公開第2004/067264号パンフレットは、可変径を有し得る支持体上に連続巻回バンドから傾斜した繊維層を堆積する方法を開示している。この開示は、方法が非常に複雑であるという問題を抱えている。さらに、傾斜した繊維層から円筒形または円錐台形の管状形状以外の複雑な形状をどの程度正確に製造するかについての開示はない。管のかなりの長さ、または特に全長に沿って縦方向に配向された繊維を提供する方法の開示もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】英国特許出願第2177062号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2011/0097526号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2003/0056846号明細書
【特許文献4】国際公開第2004/067264号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の目的は、複合材料管状シャフトの既知の製造方法によって遭遇する上記の問題のうちの1つ以上を少なくとも部分的に克服することである。
【0020】
したがって、本発明は、特に、シャフトの長さに沿って不均一な厚さ、断面、および/または外側もしくは内側の形状および寸法をシャフトが有し得る場合でも長尺管状シャフトが高品質の機械的特性を呈することができる、繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトの改善された製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
最も具体的には、本発明は、繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトの改善された製造方法であって、シャフトの軸の周りの均一に制御された壁厚およびシャフトの軸の周りの繊維整合の正確な制御を有する管状シャフトを低コスト製造方法で確実に、一貫して、繰り返し可能に提供するために自動化されることが可能であり、ひいてはシャフトがシャフトの軸の周りで一定の撓み特性を呈すると規定することができる、製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
本発明は、好ましくは自動化された、または自動化可能な製造方法を使用することにより、複雑なチューブの幾何学的形状を一貫して製造できるようにすることで最終的な管状製品の設計可能性を向上させることができる、繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトの改善された製造方法を提供することを、さらに目的とする。
【0023】
最後に、本発明はまた、非円筒形の内周面および断面を有する繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された改善された長尺管状シャフトを提供することも目的とする。特に、本発明はまた、シャフトの軸の周りで高度に正確で一貫した繊維整合を呈することができ、ひいてはシャフトが複雑なチューブの幾何学的形状を組み込んだ場合であってもシャフトの長さに沿って高品質の機械的特性を提供することができる、繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された改善された長尺管状シャフトを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、請求項1に記載の繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトを製造する方法を提供する。本発明の好適な実施形態の方法は、各繊維がマンドレルの回転軸の周りの円筒座標系に対して一定に配向されると規定する。
【0025】
スポーツ用品の好適な特徴は、従属請求項2から26に定義されている。
【0026】
本発明はまた、請求項27に記載の繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトも提供する。
【0027】
長尺管状シャフトの好適な特徴は、従属請求項28から41に定義されている。
【0028】
本発明の好適な実施形態は、マンドレルの断面がマンドレルの長さに沿って変化し、これにより「複雑な」形状を有するマンドレル上に長尺管状シャフトを製造する方法を提供することができる。
【0029】
このように複雑なマンドレル形状にもかかわらず、少なくとも50mmの長さを有する「長い」繊維を使用するときでも、繊維の配向は、マンドレルの回転軸に関連付けられた円筒座標系内で一定のままであり得、「長い」繊維は10メートルを超える長さを有してもよく、これらの繊維の少なくとも一部は、長尺管状シャフトの全長に沿って個別に延在することができる。
【0030】
1つ以上の巻かれたプリフォーム層で形成された長尺管状シャフト内のこのような長い繊維の高度に一貫して正確な繊維配向および整合を実現するためのこの技術的効果および利点は、本発明者らによって複合材料技術において独特であると考えられており、製品の一貫性が重要な設計および性能要因である用途で繊維強化複合材構造の性能を向上できるようにする。さらに、少なくとも50mmの長さ、さらには10メートルを超える長さを有する高度に整合した「長い」繊維を提供することにより、複合材料の機械的特性、特に強度および靱性が向上する。
【0031】
内側チューブの幾何学的形状は、複雑な形状を有することができ、以下の幾何学的または構造的特徴のいずれかの組合せを組み込むことができる:増加および/または減少および/または中立斜面を有する円錐、1つまたは複数のバンプまたは突起、1つまたは複数のレッジ、1つまたは複数の凹入溝、あるいは1つまたは複数の窪み、任意の形状であってチューブの長さに沿って変化し得る断面。これに対応して、外側チューブの幾何学的形状は、複雑な形状を有することができ、以下の幾何学的または構造的特徴のいずれかの組合せを組み込むことができる:増加および/または減少および/または中立斜面を有する円錐、1つまたは複数のバンプまたは突起、1つまたは複数のレッジ、1つまたは複数の凹入溝、あるいは1つまたは複数の窪み。
【0032】
本発明の好適な実施形態は、マンドレル上に長尺管状シャフトを製造する方法であって、シャフトは複雑なチューブの幾何学的形状を有し、略ネット形状に成形されることが可能であり、これは、非常に少ない廃棄を伴って完全自動化された方法で1回の巻き付けおよび成形動作で実現でき、このため廃棄を削減しながら生産性および再現性を改善する、方法を提供することができる。
【0033】
さらに、本発明の好適な実施形態は、マンドレル上に長尺管状シャフトを製造する方法であって、内側チューブおよび外側チューブの幾何学的形状を独立して制御する能力があり、これにより管状シャフトの製造のために一般的な方法で設計空間を増加させる、方法を提供することができる。
【0034】
本発明の好適な実施形態は、長尺管状シャフトを製造する方法であって、マンドレルの断面がマンドレルの長さに沿って変化する場合でも、所望の巻き付け方向に対してプリフォームが斜めにならない、方法を提供することができる。したがって、巻き付けられた長尺チューブ内で、しわおよび繊維不整合が回避または最小化されることが可能である。繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された結果としての長尺管状シャフトは、確実に、および一貫して、および繰り返し可能に、高品質の機械的性能および外観を呈することができる。高い機械的特性を実現するために、管状シャフトの全長に沿った繊維配向および整合は、所望の精密公差内に維持されることが可能である。
【0035】
本発明の好適な実施形態はまた、特に複雑な幾何学的形状を有するチューブを製造するとき、高度な自動化と、その長さに沿ってマンドレルの幾何学的形状の変化に適合する製造プロセス中の人間の低レベルの介入、または介入をなくすこととを提供することもできる。特に複雑な幾何学的形状を有するチューブを製造するとき、既知の製造方法と比較して、製造のコストおよび複雑さが低減され、複数の管状製品の均一性が向上し、製造時間が短縮され得る。
【0036】
本発明の好適な実施形態はまた、長尺管状シャフトの幾何学的形状の複雑さに応じてプリフォーム廃棄を回避または最小化することもできる。本発明の好適な実施形態では、マンドレルに巻き付けられる各プリフォームの形状および構成は、複雑なチューブの幾何学的形状を形成するために複雑なマンドレルの幾何学的形状に垂直に巻き付けられるように適合された複雑なプリフォームの幾何学的形状を提供するために、プリフォーム層の厚さ、マンドレルの幾何学的形状、およびチューブの幾何学的形状の組合せのパラメータに基づいて、巻き付けステップの前に予め計算される。プリフォーム層は切断され、続いて巻き付けられ、その後、巻き付けまたは成形ステップの最中または後の廃棄の発生を回避または最小化する「略ネット形状」に成形されるので、巻き付けステップの前にこのような複雑なプリフォーム形状を予め計算することにより、ラッピングが自動化され、廃棄が最小化されることが可能である。最終製品形状に近いプリフォームチューブを形成するための巻き付けは、結果的に廃棄を削減し、最終成形管状シャフトを仕上げるための仕上げプロセス、たとえば検索プロセスに必要とされる時間を短縮または回避することができる。
【0037】
要約すると、本発明の好適な実施形態はまた、複合材料で構成された複雑な管状シャフトを作成するための高度に柔軟な自動化された製造方法を提供することもできる。結果として、本発明の好適な実施形態は、関連する高い機械的特性と共に、一方では複雑な幾何学的形状を、そして他方では高度に一貫して正確に整合された繊維を有することができる、複合材料で構成された管状シャフトをさらに提供する。
【0038】
本発明の好適な実施形態によって製造された管状シャフトは、繊維強化樹脂マトリックス複合材料、具体的にはガラスまたは炭素繊維複合材料から、ゴルフクラブシャフト、釣り竿、ラケット、ボートおよびウィンドサーフィンボード用のマストなどのようなスポーツ用品、または任意の他の高品質複合材料管状製品を製造するために使用されることが可能である。
【0039】
本発明の他の特長または利点は、以下の添付図面に示される本発明のいくつかの非限定的な実施形態の詳細な説明から、より明確になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の一実施形態による、繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトを製造する方法での使用に適したプリフォーム層の概略平面図である。
【
図2a】本発明の一実施形態による、直交座標系に対するプリフォーム層の平面図を概略的に示す。
【
図2b】本発明の一実施形態による、マンドレルに巻き付けられた後のプリフォーム層の断面図を概略的に示す。
【
図3】本発明の一実施形態による、マンドレル上に巻き付けられたプリフォーム層の層構造を通る断面を詳細に示すグラフである。
【
図4】本発明の一実施形態による、マンドレル上に巻き付けられたプリフォームの形状および寸法の計算を示す、
図3で使用されたプリフォーム層の計画を詳細に示すグラフである。
【
図5a】本発明の第2の実施形態による、直交座標系に対するプリフォーム層の平面図を概略的に示す。
【
図5b】本発明の第2の実施形態による、マンドレルに巻き付けられた後のプリフォーム層の断面図を概略的に示す。
【
図6a】本発明の第3の実施形態による、直交座標系に対するプリフォーム層の平面図を概略的に示す。
【
図6b】本発明の第3の実施形態による、マンドレルに巻き付けられた後のプリフォーム層の断面図を概略的に示す。
【
図7a】本発明の第4の実施形態による、直交座標系に対するプリフォーム層の平面図を概略的に示す。
【
図7b】本発明の第4の実施形態による、マンドレルに巻き付けられた後のプリフォーム層の断面図を概略的に示す。
【
図8a】本発明の第5の実施形態による、直交座標系に対するプリフォーム層の平面図を概略的に示す。
【
図8b】本発明の第5の実施形態による、マンドレルに巻き付けられた後のプリフォーム層の断面図を概略的に示す。
【
図9a】本発明の第6の実施形態による、直交座標系に対するプリフォーム層の平面図を概略的に示す。
【
図9b】本発明の第6の実施形態による、マンドレルに巻き付けられた後のプリフォーム層の断面図を概略的に示す。
【
図10a】本発明の第7の実施形態による、直交座標系に対するプリフォーム層の平面図を概略的に示す。
【
図10b】本発明の第7の実施形態による、マンドレルに巻き付けられた後のプリフォーム層の断面図を概略的に示す。
【
図11a】本発明の第8の実施形態による、直交座標系に対するプリフォーム層の平面図を概略的に示す。
【
図11b】本発明の第8の実施形態による、マンドレルに巻き付けられた後のプリフォーム層の断面図を概略的に示す。
【
図12a】本発明の第9の実施形態による、直交座標系に対するプリフォーム層の平面図を概略的に示す。
【
図12b】本発明の第9の実施形態による、マンドレルに巻き付けられた後のプリフォーム層の断面図を概略的に示す。
【
図13a】本発明の第10の実施形態による、直交座標系に対するプリフォーム層の平面図を概略的に示す。
【
図13b】本発明の第10の実施形態による、マンドレルに巻き付けられた後のプリフォーム層の断面図を概略的に示す。
【
図14】本発明のさらなる実施形態による、繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトの一部を通る縦断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1、
図2a、および
図2bは、本発明の一実施形態による、長尺管状シャフトを製造する方法での使用に適した可撓性プリフォーム層2の一例を示す。プリフォーム層2は可撓性であり、これは、本明細書では、後述されるように、プリフォーム層2が、所望の管状形状を形成するためにマンドレルの周りに回転的に巻回され得ることを意味している。可撓性プリフォーム層2は、繊維強化材6の少なくとも1つのプライ4を備える。プリフォーム層2は、前主面10を有する。好ましくは、プリフォーム層2は、一定の厚さを有する。しかしながら、別の実施形態では、厚さは、任意選択的に制御された方法で変化してもよく、たとえば厚さは、プリフォーム層2の長さに沿って線形に変化してもよい。プリフォーム層2の厚さは、好ましくは0.015から5mmの範囲内、任意選択的に0.1から2mmの範囲内である。
【0042】
プリフォーム層2は、相互に離間した第1および第2の末端部分12、14、ならびに相互に離間した内縁部および外縁部16、18を有する。内縁部および外縁部16、18は、第1の末端部分12から第2の末端部分14に向かって延在する。
【0043】
本発明によれば、プリフォーム層2が平面構成であるとき、
図1に示されるように、少なくとも内縁部16は非線形であり、内縁部および外縁部16、18の間の間隔は、第1および第2の末端部分12、14の間に延在するプリフォーム層2の長さに沿って変化する。
【0044】
したがって、プリフォーム層2の内縁部16の幾何学的な形状および寸法と第1および第2の末端部分12、14の間のプリフォーム層2の長さとの間には、非線形関係がある。これに対応して、内縁部および外縁部16、18の間の間隔と第1および第2の末端部分12、14の間のプリフォーム層2の長さとの間には、非線形関係がある。その結果、プリフォーム層2が、以下に記載されるように非円筒形マンドレルの周りに巻き付けられたとき、一方では内縁部16の位置と内縁部および外縁部16、18の間の間隔との間に、他方ではマンドレルの長さ方向に沿ったプリフォーム層2の位置とマンドレルの長さ方向、具体的にはマンドレルの縦軸に沿って延在する方向のプリフォーム層2の累積回転数との間には、非線形関係がある。
【0045】
図1の実施形態では、第1および第2の末端部分12、14は各々線形末端を備え、線形末端は互いに平行である。内縁部および外縁部16、18は各々、湾曲した縁部を備える。内縁部16は凸状に湾曲し、外縁部18は凹状に湾曲している。その結果、この実施形態では、プリフォーム層2は、プリフォーム層2が平面構成であるとき、内縁部16の少なくとも一部が湾曲するように、好ましくは凸状に湾曲するように、成形および寸法決めされる。しかしながら、別の実施形態では、内縁部16および外縁部18は、異なる幾何学的形状を有してもよく、たとえば内縁部16が凹状に湾曲し、および/または外縁部18が凸状に湾曲してもよい。
【0046】
後述されるように、内縁部および外縁部16、18の曲率は異なっており、内縁部および外縁部16、18は平行ではない。内縁部および外縁部16、18の各々の形状および構成は、長尺管状シャフトを形成するために可撓性プリフォーム層2が巻き付けられるマンドレルの幾何学的形状、プリフォーム層2の厚さ、ならびに長尺管状シャフトの形状および寸法の分析に基づいて決定される。
【0047】
繊維強化材6は、任意の繊維構成を有することができ、たとえば一方向(UD)繊維、スプレッドトウ繊維、ステッチ布、編物または編組布の形態の、織り繊維または不織繊維を備えてもよい。繊維強化材6は、同じかまたは異なる配向の複数の繊維を備えてもよい。繊維強化材6は、単一の繊維のプライを備えてもよく、あるいは複数の繊維のプライのスタックを備えてもよく、プライは同じかまたは異なる繊維構成を有する。
【0048】
複数のプライがあるとき、プリフォーム層2全体は、前主面10、第1および第2の末端部分12、14、ならびに内縁部および外縁部16、18を画定する形状および寸法を有するが、各プライは、任意選択的に、任意の他のプライと比較して異なる形状および寸法を有してもよい。加えて、各プライは、互いに隣接して配置された2つ以上のプライ部分の組合せを備えてもよい。プリフォーム層2、またはプリフォーム層2のプライ内の1つ以上のプライは、少なくとも1つの穴を含んでもよく、1つまたは複数の穴は、プリフォーム層2によって囲まれている。
【0049】
繊維強化材6の繊維は、任意の天然および/または合成繊維を備えることができる。典型的には、繊維強化材6は、ガラス、炭素、および/またはアラミド繊維、もしくは綿またはジュート繊維を備える。
【0050】
プリフォーム層2は、乾燥繊維強化材6、すなわち、後に複合材料の樹脂マトリックスを形成するために使用される樹脂材料、たとえば熱硬化性および/または熱可塑性樹脂材料を含まない繊維材料を備えてもよい。プリフォーム層2が後述のように巻回された後、乾燥繊維強化材6は、成形ステップの前または最中に樹脂材料によって被覆、含浸、または注入されてもよい。たとえば、成形ステップの前または最中に、液体樹脂が乾燥繊維強化材6に注入されてもよい。別の実施形態では、干渉固体樹脂層は、成形ステップの前または最中に、乾燥繊維強化材6に隣接して堆積されてもよい。繊維強化樹脂マトリックス複合材料を形成するために繊維と樹脂とを組み合わせる他の技術は、当業者にとって明らかとなるだろう。
【0051】
あるいは、プリフォーム層2は、少なくとも部分的に、任意選択的に完全に、樹脂によって含浸されるプリプレグ材料を備えてもよい。
【0052】
樹脂8は、熱可塑性または熱硬化性樹脂であってもよい。繊維プリフォームの製造での使用に適していることが知られる任意の熱可塑性または熱硬化性樹脂が使用され得る。典型的には、繊維強化材6において、ガラスおよび/または炭素繊維と共にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が使用される。熱硬化性樹脂が使用されるとき、プリフォーム層2は、繊維強化材6が樹脂によって完全に含浸されたプリプレグを備えてもよい。いくつかの実施形態では、単一のプリフォーム層に、異なる樹脂を組み込んだ異なる領域が設けられてもよく、これは熱可塑性および/または熱硬化性樹脂の混合物を備えてもよい。
【0053】
本発明の代替実施形態では、プリフォーム層2は、乾燥繊維強化材層と、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂で構成された樹脂層とを備えることができ、プリフォーム層および樹脂層は、互いに積み重ねられる。本発明のさらなる実施形態では、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂で構成されたプリフォーム層2の樹脂は、後述のような後続の巻き付けステップの前に、部分的にまたは完全に予備硬化されてもよい。本発明の別の実施形態では、プリフォーム層2は、プリフォーム層2または繊維強化材6の上面に、コア材料(図示せず)および/または接着材料(図示せず)を備えてもよい。コア材料は、気泡材料、たとえば典型的にはポリオレフィンまたはポリエステルなどのポリマーで構成される気泡フォーム、またはハニカム材料の層を備え得る。コア材料が提供されると、コア材料は、巻き付けステップの後に繊維強化材の対向する層の間で、本発明にしたがって製造された最終的な長尺管状シャフト内に、挟まれる。
【0054】
本発明の方法では、
図1にも示されるように、長尺のマンドレル20が提供される。マンドレル20は、単一の部品、もしくは互いに接続または組み立てられた複数の部品で構成され得る。マンドレル20は、典型的には鋼などの金属で構成されるが、代わりに繊維強化樹脂マトリックス複合材料などの複合材料で構成されてもよい。
【0055】
マンドレル20は、縦軸L-Lと、縦軸L-Lに沿って相互に離間した対向する第1および第2の末端22、24とを有する。マンドレル20は、縦軸L-Lに沿って延在するマンドレル20の長さの少なくとも一部に沿って非円筒形である外周面26を有する。
図1の実施形態では、非円筒形の外周面26は、円錐台形である。しかしながら、マンドレル20は、任意の所望の断面形状および寸法を有することができ、加えて、断面形状および寸法は、マンドレルの長さに沿って変化してもよい。マンドレル外面26は、複雑な形状を有することができ、以下の幾何学的または構造的特徴のいずれかの組合せを組み込むことができる:増加および/または減少および/または中立斜面を有する円錐、1つまたは複数のバンプまたは突起、1つまたは複数のレッジ、1つまたは複数の凹入溝、あるいは1つまたは複数の窪み、任意の形状であってマンドレル20の長さに沿って変化し得る断面。
【0056】
本発明は、マンドレルの縦軸の周りの回転によってプリフォーム層をマンドレルに巻き付けた後、マンドレルの特定の個々の幾何学的形状に関係なく所望の長尺チューブが製造されるように、マンドレルおよび最終長尺チューブの形状および寸法にしたがってプリフォーム層を予め成形する。したがって、プリフォーム層のこのような事前成形により、多種多様な異なるマンドレルの幾何学的形状を使用することができ、同様に多種多様な長尺チューブの幾何学的形状を製造することができる。
【0057】
本発明の様々な実施形態を参照して以下に記載されるように、プリフォーム層2の第1および第2の末端部分12、14ならびに内縁部および外縁部16、18には、様々な異なる形状および寸法の長尺チューブを製造するために様々な異なるマンドレルの形状および寸法の周りにプリフォーム層2を巻き付けられるようにするための、様々な異なる形状および寸法が提供され得る。これらの実施形態における共通の特徴は、プリフォーム層、特に巻き付け中にマンドレルの外周面に接触するプリフォーム層の少なくとも内縁部が、個々のマンドレルに対する巻き付けを制御するために予め成形されることである。
【0058】
長尺管状シャフトを製造するために、プリフォーム層2の第1の末端部分12は、開始構成においてマンドレル20の第1の末端22に隣接して配置される。開始構成で、内縁部16はマンドレル20に向かって配向され、外縁部18はマンドレル20から離れる方に配向される。
【0059】
次いで、プリフォーム層2は、マンドレル20の外周面26が長尺チューブ28を形成するために巻き付けられたプリフォーム層2によって徐々に覆われるように、マンドレル2の周りに巻き付けられる。
【0060】
この巻き付けステップの間、マンドレル20およびプリフォーム層2は、マンドレル20の縦軸L-Lに沿った回転軸R-Rの周りで相対的に回転される。典型的に、マンドレル20は、マンドレル20にプリフォーム層2を巻き付けるために、回転軸R-Rの周りで回転され、プリフォーム層2は回転的に静止している。あるいは、マンドレル20は回転的に静止しており、プリフォーム層2は、マンドレル20にプリフォーム層2を巻き付けるために、回転軸R-Rの周りで回転される。
【0061】
この巻き付けステップの間も、プリフォーム層2は、プリフォーム層2の第1の末端部分12から第2の末端部分14まで、マンドレル20の縦軸L-Lに垂直な、したがって回転軸R-Rにも垂直な供給路32に沿ってマンドレル20上に、継続的に供給される。
【0062】
前主面10は、外周面26と面接触するように回転的に巻き付けられる。第1の巻き付け回転の後、前主面10は、好ましくは、マンドレル20上のプリフォーム層2の先に巻き付けられた部分と少なくとも部分的に重なる。巻き付けステップの結果として、長尺チューブ28内で、内縁部16はマンドレル20の外周面26に接触し、外縁部18は長尺チューブ28の外周面30に配置される。
【0063】
具体的には、プリフォーム層2の内縁部16は、巻き付けステップの間、内縁部16がマンドレル20の外周面26と継続的に一致するように成形および寸法決めされ、これにより、
図3に示されるように、長尺チューブ28は、縦軸L-Lの周りに螺旋42を形成する複数の巻き付け層34を備え、各巻き付け層34は、縦軸L-Lの周りの円筒座標系に対して一定に配向される。
【0064】
好ましくは、巻き付けステップの間、その内面29で長尺チューブ28の長さの少なくとも一部に沿って、内縁部16の少なくとも一部と非円筒形のマンドレル20の外周面26の領域との間の接触は連続内側螺旋線HL1を形成し、これは、マンドレル20の外周面26と一致する、複数(すなわち、少なくとも2つ)の巻き付け層34、たとえば少なくとも10個の巻き付け層34に沿って延在する。
【0065】
湾曲した内縁部16の特定の幾何学的形状と、縦軸L-Lに対して一定の傾斜角を有するマンドレル20の通常の円錐台形の周面26との組合せの結果として、連続内側螺旋線HL1は、巻き付け層34の連続する螺旋回転の間に均一なピッチを有する。しかしながら、たとえば後述のようなマンドレルの不規則な非円筒面を有する別の実施形態では、巻き付け層の連続する螺旋回転の間のピッチは、可変および非線形であってもよい。
【0066】
一実施形態では、外縁部18の少なくとも一部は、長尺チューブ28が長尺チューブ28の長さの少なくとも前記部分に沿って一定の厚さを有するように、複数の巻き付け層34に沿って連続内側螺旋線HL1から等距離にある長尺チューブ28の外面30に連続外側螺旋線HL2を形成する。
【0067】
プリフォーム層2は、特定の配向でマンドレル上に配置され、長尺チューブ28の縦軸でもあるマンドレル20の縦軸L-Lの周りに巻き付けられるので、長尺チューブ28の繊維強化材の配向は、開始構成において繊維強化材の最初の配向を提供することによって制御されることが可能である。
【0068】
典型的な一実施形態では、繊維強化材は、構造繊維、たとえば、配置ステップの間は縦軸L-Lと平行に整合され、巻き付けステップの間は縦軸L-Lの周りの円筒座標系に対して一定に配向されたまま維持される、一方向(UD)繊維プライに含まれる構造繊維を備える。
【0069】
本発明の好適な実施形態では、プリフォーム層2は、プリフォーム層2がマンドレル20の縦軸L-Lと一致する回転軸の周りのマンドレル20に巻き付けられ、プリフォーム層2がマンドレル20の縦軸L-Lに垂直な供給路32に沿って継続的に供給されるとき、マンドレル20の周りのプリフォーム層2の、第1の巻き付け回転を除く、各巻き付け回転が、直前の巻き付け回転を少なくとも部分的に覆うように、およびいくつかの巻き付け回転では全体的に覆うことができるように、成形および寸法決めされる。
【0070】
しかしながら、本発明のいくつかの実施形態では、プリフォーム層2は、プリフォーム層2がマンドレル20の縦軸L-Lと一致する回転軸の周りでマンドレル20に巻き付けられたとき、マンドレル20の周りのプリフォーム層2の、第1の巻き付け回転を除く、巻き付け回転のうちの少なくともいくつかが、直前の巻き付け回転に隣接するかまたは離間し得るように、成形および寸法決めされてもよい。
【0071】
1つ以上のプリフォーム層は、マンドレルの長さに沿って互いに隣接した、または離間した、2つ以上のプリフォーム部品で構成されてもよい。複数のプリフォーム部品は、順次、または少なくとも部分的に同時に、巻き付けられてもよい。複数のプリフォーム部品は、同じかまたは異なるプリフォーム組成、たとえば同じかまたは異なる布および/または樹脂および/または配向で構成されてもよい。
【0072】
プリフォーム層2がマンドレル20上に完全に巻き付けられた後、本発明のいくつかの好適な実施形態では、第2のプリフォーム層(図示せず)が、第1のプリフォーム層2の上に相応に巻き付けられてもよい。任意選択的に、第2のプリフォーム層は、第1のプリフォーム層2と同じかまたは反対の回転方向で巻き付けられてもよく、および/または第2のプリフォーム層は、第1のプリフォーム層2と同じかまたは反対の並進方向で巻き付けられてもよい。第2のプリフォーム層の上にさらなるプリフォーム層が巻き付けられてもよい。これらの実施形態は、完成した複合材料製品において、単層管状構造と比較して向上した機械的特性を呈することができる多層管状構造を提供する。
【0073】
たとえば、ゴルフクラブシャフトなどのスポーツ用品の製造のための好適な実施形態は、シャフトが4プライまたは6プライ多層構造を形成するために2つの2プライまたは3プライプリフォームの積層物を備える、2プライまたは3プライプリフォームである。各2プライまたは3プライプリフォームにおいて、第1のプライは、上述のような巻き付けステップの後に、シャフトに沿って実質的に縦に配向される、平行に配向されたUD繊維を備えてもよく、1つまたは2つの隣接する第2のプライは各々、上述のような巻き付けステップの後に、たとえばシャフトの縦軸に対して30から45度の角度で、シャフトの周りに螺旋状に配向される、平行に配向された繊維を備えてもよい。たとえば、3プライプリフォームは、シャフトの縦軸に対して0、+45、および-45度で繊維を提供することができる。
【0074】
巻き付けステップの間、典型的には(1つまたは複数の)プリフォーム層は、最初の巻き付けが、下層面、たとえば第1のまたは唯一のプリフォーム層のためのマンドレルの外周面と完全に接触して(1つまたは複数の)プリフォーム層を配置するように、張力下で巻き付けられる。この巻き付け配置は、プリフォームの表面が、たとえば典型的な熱硬化性樹脂含有プリプレグが室温で呈するようなある程度の粘着性を有するとき、特定の用途を有する。しかしながら、代替実施形態では、特にプリフォームの表面が、たとえば典型的な乾燥繊維強化材が呈するように非粘着性である場合、巻き付けステップの間、最初の巻き付けが幾分緩く、下層面と部分的にのみ接触して、および/または完全には最終長尺チューブ内の所望の位置ではなく(1つまたは複数の)プリフォーム層を配置するように、(1つまたは複数の)プリフォーム層に張力を印加することなく巻き付けられてもよい。このような実施形態では、巻き付けステップの後、(1つまたは複数の)プリフォーム層を張力下で最終長尺チューブ内の所望の位置に摺動させるために、(1つまたは複数の)プリフォーム層に張力が印加されてもよい。
【0075】
その後、プリフォーム層2から形成された繊維強化樹脂マトリックス複合材料38で構成された長尺管状シャフト36を形成するために、長尺チューブ20がマンドレル20上に成形される。成形ステップの前または最中に、プリフォーム層2の繊維強化材6と接触して樹脂材料が提供され、成形ステップの間に、樹脂材料は、繊維強化材6を組み込んだ樹脂マトリックスを形成する。
【0076】
上述のように、いくつかの実施形態では、プリフォーム層2はプリプレグを備えてもよく、その場合、(1つまたは複数の)巻き付けられたプリフォーム層2は、成形された長尺管状シャフト36を形成するために、高温、および任意選択的に長尺チューブ20の外面に印加された外圧を受けることがある。
【0077】
別の実施形態では、乾燥繊維強化材6がマンドレル20の周りに巻き付けられ、その後、成形ステップの前または最中に、たとえば液体樹脂注入によって、または成形プロセス中に液化して繊維強化材6を含浸させる干渉固体樹脂層を乾燥繊維強化材に隣接して提供することによって、プリフォーム層6の繊維強化材6と接触して提供されるように、樹脂材料が加えられる。したがって、成形ステップの間に、樹脂材料は、繊維強化材6を組み込んだ樹脂マトリックスを形成する。
【0078】
成形ステップの後、長尺管状シャフト36は、中空のチューブを形成するために、マンドレル20から分離され得、あるいは、マンドレル20、またはその一部は、中実部品を形成するために、長尺管状シャフト36の中央の縦空洞40内に保持されてもよい。いずれの場合も、長尺管状シャフト36は、所望の製品、たとえばゴルフクラブシャフト、釣り竿、または繊維強化樹脂マトリックス複合材料で有用に構成され得る任意の他の長尺管状用品を形成するために、さらに加工され得る。
【0079】
巻き付けステップの間、内縁部16がマンドレル20の外周面26と継続的に一致するようにプリフォーム層2の内縁部16が成形および寸法決めされ、これにより長尺チューブ28が、縦軸L-Lの周りに螺旋42を形成する複数の巻き付け層34を備え、各巻き付け層34は縦軸L-Lと平行であると規定することにより、長尺チューブの幾何学的形状に基づいてプリフォーム層2の形状および構成が予め決定され、これにより、各巻き付け層34にしわがなく、巻き付け層34の各領域が一貫して縦軸L-Lと整合すると規定することができる。
【0080】
これにより、成形管状製品の繊維配向および層構造が非常に正確に制御され、長尺管状シャフト36の全長に沿って一貫して実現される、高品質の複合構造を提供する。
【0081】
本発明の好適な実施形態によれば、プリフォーム層2は、プリフォーム層2が平面構成であるとき、内縁部16の少なくとも一部が、x軸およびy軸を有する直交座標系を使用して定義されるように、成形および寸法決めされる。x軸は、第1および第2の末端部分12、14の間の間隔と平行であり、回転軸R-Rと平行であり、したがって、プリフォーム層2が巻き付けられるマンドレル20の縦軸L-Lとも平行である。y軸は、内縁部および外縁部16、18の間の間隔と平行である。内縁部16の少なくとも一部は、以下の関係によって定義され、
Bn=f(x
n
B,y
n
B)、ここで、
Bは直交座標系に対する内縁部の位置であり、
n=巻き付けられたプリフォーム層の回転数であり、
x
n
B=f(c
i,e)、ここで、c
i=Bnにおける巻き付けられたプリフォーム層の円周、およびe=プリフォーム層の厚さであり、
【数1】
ここで、i=Bにおける巻き付けられたプリフォーム層の総回転数である。
【0082】
言い換えると、縦軸L-Lに対するその長さに沿った内縁部16の形状および寸法は、縦軸L-Lに対する内縁部16の長さに沿ったいずれの位置でも、プリフォーム層2、特にプリフォーム層2の厚さと、形成される長尺チューブ28、特に巻き付けられたプリフォーム層34の回転数および巻き付けられたプリフォーム層34の円周との両方の関数である。
【0083】
実際には、この関係は、巻き付けステップの間にマンドレル20の外周面26に最初に接触する内縁部16の部分である、内縁部16がプリフォーム層2の第1の末端部分12に接する位置から始まる内縁部16の場所を計算することによって、いずれのマンドレルの幾何学的形状に対しても決定されることが可能である。
【0084】
この開始位置から、1回の巻き付け回転の後にマンドレル20の外周面26上の内縁部16の所望の場所が計算され、この計算は、ゼロ巻き付けおよび1回の巻き付け回転後のマンドレル20の円周の差と、この円周の差の変化率との関数である。第2の巻き付け回転では、第2の巻き付け回転の後にマンドレル20の外周面26上の内縁部16の所望の場所が計算され、この計算は、第1および第2の巻き付け回転のマンドレル20の円周の差と、この円周の差の変化率と、プリフォーム層2の厚さとの関数である。その後、内縁部16の全長に沿った連続する巻き付け回転ごとに、内縁部16の形状および寸法が計算される。
【0085】
長尺チューブ28の外周面30が非円筒形の幾何学的形状を有するとき、たとえばマンドレル20の幾何学的形状に対応する幾何学的形状を有するとき、外縁部18に対して対応する計算が行われる。しかしながら、長尺チューブ28の外周面30が円筒形の幾何学的形状を有する場合、外縁部18は、x軸と平行な、したがってマンドレル20の縦軸L-Lと平行な、線形の縁部を備えてもよい。
【0086】
プリフォーム層2がどのようにして所与のマンドレルの幾何学的形状の周りに徐々に巻き付くかの分析に基づいてプリフォーム層2の正確な幾何学的形状を予め決定することにより、マンドレル20の長さに沿ってマンドレルの幾何学的形状と正確に一致する、一貫して再生可能な巻き付け層34が実現され得る。
【0087】
巻き付けは、マンドレル20の縦軸L-Lに対応して、回転軸R-Rに垂直なので、巻き付けは容易に実現され、簡単な制御システムを使用して確実に制御されることが可能である。これは、プリフォーム層2の厚さを含むプリフォーム層2の形状および構成を、マンドレル20および結果としての長尺チューブ28の形状および構成と幾何学的に一致させることにより、このような幾何学的一致が複雑で問題のある巻き付けパラメータを回避することができるからである。
【0088】
対照的に、たとえば、従来のチューブ形成方法では、プリフォームテープが、縦軸に対して鋭角である巻き角でマンドレルに螺旋状に巻回される。マンドレルの外径は、形成されるチューブの内径を決定する。マンドレルの直径が変化すると、テープは所望の繊維配向に対して容易に位置ずれする可能性がある。たとえば、マンドレルおよび形成されているチューブの直径の変化は、マンドレル表面に対するテープの角度の変化をもたらす。これは、巻き付け層のしわおよび不整合な繊維をもたらす可能性があり、このような繊維不整合を回避するために、巻き付けプロセスの、関連する制御システムによる複雑で慎重な制御を必要とする。
【0089】
したがって、本発明は、低コストで簡単な製造装置を使用して達成可能な高品質の繊維配向および整合を有する複合材料チューブを製造する確実で一貫した方法を提供する。
【0090】
図1では、可撓性プリフォーム層2は、円錐台形であって一定の壁厚を有する長尺管状シャフト28を形成するために、円錐台形マンドレル20の周りに可撓性プリフォーム層2が巻き付けられることを可能にするために決定された形状および寸法を有する。
【0091】
図2を参照すると、
図2aは、直交座標系のx軸およびy軸に対して示された
図1の可撓性プリフォーム層2の平面図である。
図2bは、長尺チューブ28を形成するために円錐台形マンドレル20の周りに巻き付けられた後の可撓性プリフォーム層2を示し、これは、円錐台形であって一定の壁厚を有する長尺管状シャフト36を形成するために、続いて成形される。円錐台形マンドレル20は、円形断面を有する。
【0092】
上述のように、巻き付けステップは、第1の末端部分12から第2の末端部分14までマンドレル20上に可撓性プリフォーム層2を徐々に巻き付ける。
図2aでは、プリフォーム層2上に示される水平線Hは、巻き付け回転が完了するたびの連続する巻き付け層のそれぞれの開始および終了を表す。巻き付けが第1の末端部分12から第2の末端部分14に進むにつれて、長尺チューブ28の比較的小径の末端37から比較的大径の末端39まで進む長尺チューブ28の外面30の直径の増加、ならびに各連続する巻き付け層34の円周の対応する増加の結果として、水平線Hの間の分離距離が徐々に広がることがわかる。
【0093】
図1および
図2の実施形態では、円錐台表面26は、マンドレル20の縦軸L-Lに対して角度αで傾斜している。プリフォーム層2は、プリフォーム層2が平面構成であるとき、内縁部16の湾曲部分が、上述のような直交座標系を使用して、以下の関係によって定義されるように成形および寸法決めされ得、
Bn=f(x
n
B,y
n
B)、ここで、
Bは直交座標系に対する内縁部の位置であり、
n=巻き付けられたプリフォーム層の回転数であり、
【数2】
ここで、e=プリフォーム層の厚さ、i=Bにおける巻き付けられたプリフォーム層の総回転数であり、
【数3】
ここで、r
n=回転nにおけるマンドレルの半径である。
【0094】
より複雑なチューブの幾何学的形状では、この式は、プリフォーム層2の一部のみの形状および寸法を定義するために容易に修正されることが可能であり、この部分は、たとえば円周2πrnの割合を計算することによって、マンドレル20の1回転未満にわたって巻き付けられるように意図されている。
【0095】
図3を参照すると、この図は、複数の巻き付け層34で構成された長尺チューブ28を形成するためのマンドレル20の周りのプリフォーム層2の巻き付けを示している。マンドレル20は、マンドレル20の縦軸に対して一定の傾斜角αを有する円錐台形である。プリフォーム層2は一定の厚さを有し、結果としての長尺チューブ28は一定の壁厚を有する。
図3では、長尺チューブ28の図内で、水平線は、長尺チューブ28を形成するためにマンドレル20の周りに巻き付けられたプリフォーム層2の連続する巻き付け層34を表している。
【0096】
したがって、プリフォーム層28がマンドレル20の周りに円筒形に巻き付けられると、各水平線の半径は、r
0が開始点におけるマンドレルの外半径であり、eがプリフォーム層の厚さである、以下の式によって決定される。
【数4】
【0097】
各水平線は、以下の座標でチューブ外径およびチューブ内径とそれぞれ交差する2つの点AおよびBによって定義される。
【数5】
および
【数6】
【0098】
図4を参照すると、この図は、プリフォーム層が上述のような直交座標系に対して平面構成であるときに
図3の長尺チューブ28を形成するために使用されるプリフォーム層2の形状および寸法を示す。所与の数の巻き付け層34において内縁部および外縁部16、18の両方に適用される、巻き付けられていない平面プリフォーム層2のy座標は、前の巻き付け層34の周囲の全ての円周の合計を計算することによって得られる。
【0099】
円形断面の場合、これは以下のようになる。
【数7】
【数8】
【0100】
ここでも、より複雑なチューブの幾何学的形状では、この式は、プリフォーム層2の一部のみの形状および寸法を定義するために容易に修正されることが可能であり、この部分は、たとえば円周2πrnの割合を計算することによって、マンドレル20の1回転未満にわたって巻き付けられるように意図されている。
【0101】
巻き付けは、マンドレル20の回転軸R-Rに垂直なので、内縁部16のx座標は、以下のように計算され得る。
【数9】
ここで、e=プリフォーム層の厚さであり、i=Bにおける巻き付けられたプリフォーム層の総回転数である。
【0102】
外縁部18のx座標も相応に計算されることが可能である。
【0103】
したがって、プリフォーム層2のx、y座標は、以下のように定義されることが可能である。
【数10】
および
【数11】
【0104】
図1および
図2の実施形態では、プリフォーム層2の典型的な厚さは0.17mmであり、典型的に長尺チューブ28は、15個の巻き付け層34で構成された一定の厚さ、すなわち約2.5mmの典型的なチューブ厚さを有する。しかしながら、他のプリフォーム層厚さ、チューブ厚さ、および巻き付け層34の数も、本発明にしたがって使用され得る。
【0105】
図14は、本発明のさらなる実施形態による、繊維強化樹脂マトリックス複合材料302で構成された長尺管状シャフト300の一部を概略的に示す。シャフト300は、巻き付け層308のスタック306を備える長尺管状体304を備える。各巻き付け層308は、樹脂マトリックス312内に繊維強化材310を備える。
【0106】
図14では、説明を明確にするために、様々な要素の寸法は縮尺通りではなく、誇張されている。加えて、層308の螺旋形の縁部は、長尺管状体304の縦軸に直交して示されており、したがって長尺管状体304の円錐台形の内面および外面は階段状であるように示されている。しかしながら、実施形態の物理的な表現では、典型的に、巻き付け層308はこのように薄い厚さを有し、樹脂は、成形された長尺管状シャフト300内で、層の螺旋形の縁部が長尺管状シャフト300の全体的な円錐台形状と整合するように外面および内面で平滑かつ傾斜しているように肉眼で見えるように、マンドレルの外周面全体および任意の外側の成形部品と接触するように成形プロセス中に流動している。
【0107】
長尺管状体304は、長尺内周面314を有するが、これは、長尺管状体304の長さの少なくとも一部に沿って非円筒形の幾何学的形状を有する第1の表面部分316を有する。この実施形態では、
図3にも示されるように、非円筒形の幾何学的形状は円錐台形状である。長尺管状体304は長尺外周面318も有し、これは、
図3にも示されるように、この実施形態では、円錐台形状である非円筒形の幾何学的形状を有する。
【0108】
繊維強化材310の巻き付け層308のスタック306は、繊維層320を備える。繊維層320は、繊維強化材310の少なくとも1つのプライを備える。
【0109】
好適な実施形態では、繊維強化材310は、縦軸L-Lの周りの円筒座標系に対して一定に配向された構造繊維を備える。好ましくは、構造繊維は一方向(UD)繊維プライに含まれる。
【0110】
繊維層320は、巻き付け層308のスタック306を形成するために、長尺管状体304の縦軸L-Lの周りに螺旋状に巻き付けられる。各巻き付け層308は、縦軸L-Lと平行である。
【0111】
第1の表面部分316を周方向に囲む巻き付け層308のスタック306の部分322において、繊維層320は、
図3に示されるように、部分322内の長尺内周面314の半径の変化と共に非線形に変化する、一定でない幅を有する。
【0112】
繊維強化材310は、長尺管状体304の長さに沿って、長尺管状体304の縦軸L-Lの周りの円筒座標系に対して一定に配向された、繊維324を備える。任意の前記部分322の繊維配向は、その部分322の長尺内周面314および長尺外周面318の幾何学的形状とは無関係である。
【0113】
この実施形態では、第1の表面部分316に沿って、繊維層320の内縁部326は、内周面314と一致しており、複数の巻き付け層308に沿って延在する連続内側螺旋線HL3を形成する。連続内側螺旋線HL3は、巻き付け層308の連続する螺旋回転の間に均一なピッチを有する。連続内側螺旋線HL3は、典型的に、巻き付け層308のうちの少なくとも10個に沿って延在する。
【0114】
この実施形態では、長尺管状体304を形成するために使用されるプリフォーム層2に関連して
図1から
図3に相応に示されるように、内縁部326の少なくとも一部分328は、縦軸L-Lに直交して延在する横断面T-Tに対して湾曲している。典型的に、内縁部326の湾曲部分328は、繊維層320に対して凸状に湾曲している。
【0115】
この実施形態では、長尺外周面318は非円筒形の幾何学的形状を有し、長尺管状体304はその長さの少なくとも一部に沿って一定の厚さを有する。別の実施形態では、
図9から
図13を参照して以下に示されるように、長尺外周面は円筒形の幾何学的形状を有してもよく、および/または長尺管状体は、その長さの少なくとも一部に沿って一定でない厚さを有してもよい。
【0116】
図5は、
図2aおよび
図2bの実施形態の変形である、本発明のさらなる実施形態を示す。
図5aは、直交座標系のx軸およびy軸に対して示される可撓性プリフォーム層52の平面図であり、
図5bは、長尺チューブ56を形成するために円錐台形マンドレル54の周りに巻き付けられた後の可撓性プリフォーム層52を示し、これは、円錐台形であって一定の壁厚を有する長尺管状シャフトを形成するために、続いて成形される。
図2aおよび
図2bの実施形態と比較して、唯一の変形は、プリフォーム層52が、プリフォーム層52の厚さを通って延在する穴58を備えることである。穴58は、第1および第2の末端部分12、14ならびに内縁部および外縁部16、18の内側に位置している。穴58は円形であるが、任意の他の形状および寸法を有してもよい。
図3bに示されるように、可撓性プリフォーム層52は、長尺チューブ56を形成し、長尺チューブ56内に開口、窪み、または空洞を提供するために、巻き付けられることが可能である。別の実施形態では、複数の穴が存在してもよい。
【0117】
図6は、
図2aおよび
図2bの実施形態のさらなる変形である、本発明のさらなる実施形態を示す。
図6aは、直交座標系のx軸およびy軸に対して示される可撓性プリフォーム層62の平面図であり、
図6bは、長尺チューブ66を形成するために円錐台形マンドレル64の周りに巻き付けられた後の可撓性プリフォーム層62を示し、これは、円錐台形であって一定の壁厚を有する長尺管状シャフトを形成するために、続いて成形される。
図2aおよび
図2bの実施形態と比較して、唯一の変形は、プリフォーム層62が、その第1および第2の層部分68、70で構成されることである。第1の層部分68は、上述のように、最初にマンドレル64に巻き付けられ、その後第2の層部分70は、上述のようにマンドレル64の周りに、少なくとも部分的に第1の層部分68の上に、引き続き巻き付けられる。さらなる層部分が任意選択的に提供されてもよい。
【0118】
図示される実施形態では、第1および第2の層部分68、70は同じ厚さを有し、したがって一定の厚さの長尺チューブ66が形成される。しかしながら、第1および第2の層部分68、70は、長尺チューブ66が、好ましくは間に移行領域を伴って、第1および第2の厚さ領域を有するように、異なる厚さを有してもよい。
【0119】
代替的または追加的に、第1および第2の層部分68、70は、異なる繊維強化材、樹脂、配向などを有してもよい。
【0120】
図7は、
図2aおよび
図2bの実施形態のさらなる変形である、本発明のさらなる実施形態を示す。
図7aは、直交座標系のx軸およびy軸に対して示される可撓性プリフォーム層72の平面図であり、
図7bは、長尺チューブ76を形成するためにマンドレル74の周りに巻き付けられた後の可撓性プリフォーム層72を示し、これは、一定の壁厚を有する長尺管状シャフトを形成するために、続いて成形される。
図2aおよび
図2bの実施形態と比較して、唯一の変形は、マンドレル74、および結果的に長尺チューブ76が、円形断面を有する円錐台形ではなく、代わりに正方形断面を有する角錐台形であることである。
【0121】
図7aに示されるように、長尺チューブ76の正方形のプロファイルは、プリフォーム層72の内縁部および外縁部75、79上の振動する縁部のプロファイル77の計算に組み込まれることが可能である。
【0122】
代替実施形態では、マンドレルは、他の非円形断面を有してもよく、任意の他の規則的な(たとえば多角形、楕円形)または不規則な形状を有してもよい。
【0123】
図8は、
図2aおよび
図2bの実施形態のさらなる変形である、本発明のさらなる実施形態を示す。
図8aは、直交座標系のx軸およびy軸に対して示される可撓性プリフォーム層82の平面図であり、
図8bは、長尺チューブ86を形成するためにマンドレル84の周りに巻き付けられた後の可撓性プリフォーム層82を示し、これは、一定の壁厚を有する長尺管状シャフトを形成するために、続いて成形される。
図2aおよび
図2bの実施形態と比較して、唯一の変形は、プリフォーム層82の厚さが増加し、その結果、長尺チューブ86の所与の厚さについて、ラッパー層の数が減少していることである。
【0124】
図8の実施形態では、プリフォーム層の典型的な厚さは0.215mmであり、典型的に長尺チューブは、8個の巻き付け層で構成された一定の厚さ、すなわち約1.7mmの典型的なチューブ厚さを有する。
【0125】
図2と
図8との比較から、プリフォーム厚さを変化させると、プリフォーム層82の内縁部および外縁部85、89の曲率の幾何学的形状も変化することがわかり、これは、上述のように、プリフォーム層82の厚さが、所与の長尺チューブの幾何学的形状を製造するためのプリフォーム層82の形状および構成の計算における変数だからである。
【0126】
図9は、
図2aおよび
図2bの実施形態のさらなる変形である、本発明のさらなる実施形態を示す。
図9aは、直交座標系のx軸およびy軸に対して示される可撓性プリフォーム層90の平面図であり、
図9bは、長尺チューブ92を形成するためにマンドレル91の周りに巻き付けられた後の可撓性プリフォーム層90を示し、これは、一定でない壁厚を有する長尺管状シャフトを形成するために、続いて成形される。
【0127】
プリフォーム層90およびマンドレル91は、長尺チューブ92の円筒形の外面93を形成するように成形および寸法決めされる。具体的には、外縁部94は、
図2から
図8の実施形態のように凹状に湾曲するのではなく、線形であって回転軸と平行である。
【0128】
図2aおよび
図2bの実施形態と比較して、マンドレル91の外周面95は、円錐台表面97の少なくとも1つの末端98a、98bで円錐台表面97に隣接する円筒面96a、96bをさらに備える。プリフォーム層90は、プリフォーム層90が平面構成であるとき、巻き付けステップにおいて円筒面96a、96bと接触する内縁部100のそれぞれの第2の部分99a、99bが、巻き付けステップにおいて線形であり、回転軸、および縦軸と平行になるように、成形および寸法決めされる。
【0129】
図10は、
図2aおよび
図2bの実施形態のさらなる変形である、本発明のさらなる実施形態を示す。
図10aは、直交座標系のx軸およびy軸に対して示される可撓性プリフォーム層102の平面図であり、
図10bは、長尺チューブ104を形成するためにマンドレル103の周りに巻き付けられた後の可撓性プリフォーム層102を示し、これは、一定でない壁厚を有する長尺管状シャフトを形成するために、続いて成形される。
【0130】
プリフォーム層102およびマンドレル103は、長尺チューブ104の両端106a、106bに第1および第2の円筒形外面105a、105bを形成するように成形および寸法決めされ、円錐形外面105cは、第1および第2の円筒形外面105a、105bを相互接続する。加えて、第1および第2の円筒形外面105a、105bは、それぞれの第1および第2の円筒形壁部101a、101bに対して外側にある。第1の円筒形壁部101aは、第2の円筒形壁部101bの壁厚よりも厚い壁厚を有する。円錐形外面105cは、第1の円筒形壁部101aから第2の円筒形壁部101bまで徐々に壁厚を増加させる円錐形壁部101cの外側にある。
【0131】
プリフォーム層102は、プリフォーム層102が平面構成であるとき、巻き付けステップにおいてマンドレル103の円筒面109a、109bと接触する内縁部108のそれぞれの第2の部分107a、107bが、巻き付けステップにおいて線形であり、回転軸、および縦軸と平行になるように、成形および寸法決めされる。加えて、プリフォーム層102は、外縁部110が対向する線形部分113a、113bの間に中央湾曲部分112を備えるように、成形および寸法決めされる。巻き付けステップにおいてマンドレル103の円筒面109a、109bから離れている、外縁部110のそれぞれの対向する線形部分113a、113bは、巻き付けステップにおいて線形であり、回転軸、および縦軸と平行である。
【0132】
図11は、
図2aおよび
図2bの実施形態のさらなる変形である、本発明のさらなる実施形態を示す。
図11aは、直交座標系のx軸およびy軸に対して示される可撓性プリフォーム層115の平面図であり、
図11bは、長尺チューブ117を形成するためにマンドレル116の周りに巻き付けられた後の可撓性プリフォーム層115を示し、これは、一定でない壁厚を有する長尺管状シャフトを形成するために、続いて成形される。
【0133】
プリフォーム層115の内縁部118およびマンドレル116は、円錐台形状のための一定の傾斜角を有するために、
図2aおよび
図2bの実施形態と同じように成形および寸法決めされる。しかしながら、プリフォーム層115の外縁部119は、変化する幾何学的形状および寸法を有する長尺チューブ117の外面120を形成するように成形および寸法決めされる。具体的には、外面120は、第1の円筒形部分121、第1の傾斜角の第1の傾斜部分122、第2の傾斜角の第2の傾斜部分123、第3の傾斜角の第3の傾斜部分124、第4の傾斜角の第4の傾斜部分125、第2の円筒形部分126、および第5の傾斜角の第5の傾斜部分127を有する。
【0134】
先の実施形態について上述された計算を使用して、プリフォーム層115の外縁部119は、第1の円筒形部分121を形成するための第1の線形部分131、第1の傾斜部分122を形成するための第1の湾曲部分132、第2の傾斜部分123を形成するための第2の湾曲部分133、第3の傾斜部分124を形成するための第3の湾曲部分134、第4の傾斜部分125を形成するための第4の湾曲部分135、第2の円筒形部分126を形成するための第2の線形部分136、および第5の傾斜部分127を形成するための第5の湾曲部分137を提供するように、成形および寸法決めされる。
【0135】
図12は、
図2aおよび
図2bの実施形態のさらなる変形である、本発明のさらなる実施形態を示す。
図12aは、直交座標系のx軸およびy軸に対して示される可撓性プリフォーム層140の平面図であり、
図12bは、長尺チューブ144を形成するためにマンドレル142の周りに巻き付けられた後の可撓性プリフォーム層140を示し、これは、一定でない壁厚を有する長尺管状シャフトを形成するために、続いて成形される。
【0136】
マンドレル142は、マンドレル142が、中央傾斜面154の対向する縁部上に、マンドレル142の縦軸に対して異なる傾斜角を有する反対に傾斜した円錐台面150、152を有する外向き外周突起148を組み込むことを除いて、円錐台形状のための一定の傾斜角を有するように、
図2aおよび
図2bの実施形態と同じように成形および寸法決めされる。
【0137】
先の実施形態について上述された計算を使用して、プリフォーム層140の内縁部156は、突起148の対向する縁部上でマンドレル142の下部および上部傾斜部分162、164に巻き付くための対向する下部および上部湾曲部分158、160を有する。内縁部156は、突起148の回りに巻き付けるための内向きに配向されたノッチ166をさらに有する。ノッチ166は、下側円錐台面150に巻き付けるための第1の湾曲部分168、中央傾斜面154に巻き付けるための第2の湾曲部分170、および上側円錐台面152に巻き付けるための第3の湾曲部分172によって画定される。
【0138】
プリフォーム層140の外縁部174は、
図9の実施形態のように、円筒形の長尺チューブ144の外面176を形成するために、線形であり、回転軸と平行である。
【0139】
図13は、
図12の実施形態のさらなる変形である、本発明のさらなる実施形態を示す。
図13aは、直交座標系のx軸およびy軸に対して示される可撓性プリフォーム層180の平面図であり、
図13bは、長尺チューブ184を形成するためにマンドレル182の周りに巻き付けられた後の可撓性プリフォーム層180を示し、これは、一定でない壁厚を有する長尺管状シャフトを形成するために、続いて成形される。
【0140】
マンドレル182は、マンドレル182が凹入溝188を有する外向き外周突起186を組み込むことを除いて、円錐台形状のための一定の傾斜角を有するように、
図12の実施形態と同じように成形および寸法決めされる。突起186は、中央円筒面194の両側に、マンドレル182の縦軸に対して異なる傾斜角を有する、反対に傾斜した円錐台面190、192を有し、溝188は、円錐台形状のマンドレル182の円錐台面192と主要な外側円錐台表面198との間を接続する凹入傾斜面196によって画定される。
【0141】
先の実施形態について上述された計算を使用して、プリフォーム層180の内縁部200は、突起186の両側でマンドレル182の下部および上部傾斜部分206、208に巻き付くための対向する下部および上部湾曲部分202、204を有する。内縁部200は、突起186の回りに巻き付けるための内向きに配向されたノッチ210をさらに有する。ノッチ210は、下側円錐台面190に巻き付けるための第1の湾曲部分212、中央円筒面194に巻き付けるための第1の線形部分214、上側円錐台面192に巻き付けるための第2の湾曲部分216、および主要な外側円錐台表面198の凹入傾斜面196と上部傾斜部分208との間の溝188を埋めるための第3の湾曲部分218によって画定される。
【0142】
プリフォーム層180の外縁部220は、
図12の実施形態のように、円筒形の長尺チューブ184の外面222を形成するために、線形であり、回転軸と平行である。
【0143】
本発明による繊維強化樹脂マトリックス複合材料で構成された長尺管状シャフトを製造する方法は、上記で詳述された実施形態に限定されない。具体的には、本発明のさらなる実施形態(図示せず)では、マンドレルは、外周形状、寸法、および断面形状の任意の組合せを有することができる。マンドレルの周りに巻回されるプリフォーム層の数もまた、1より多くてもよい。さらに、プリフォーム層のプライの数は、1以上であってもよく、回転軸と平行なプリフォーム層の方向に対するプライの繊維の配向は、複合構造の所望の性能を提供するのに適した任意の角度であり得る。本発明の方法のいくつかの好適な実施形態は、複合構造の主要な性能にとって有益である管状シャフトの軸に沿った方向を有する一方向繊維の割合(たとえば、重量による)が、任意選択的に、その方向に対して斜めに配向された一方向繊維であり得る繊維の割合(たとえば、重量による)よりも大きくなるような、繊維強化複合材構造を形成するように選択されるべきである。
【国際調査報告】