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特表2022-539117揚げ物用の加水分解グルテンベースのまぶし組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】揚げ物用の加水分解グルテンベースのまぶし組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/157 20160101AFI20220831BHJP
   A23L 5/10 20160101ALI20220831BHJP
【FI】
A23L7/157
A23L5/10 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577127
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2020067029
(87)【国際公開番号】W WO2020260139
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】19305864.1
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】伊東 護
(72)【発明者】
【氏名】堀 紗矢香
【テーマコード(参考)】
4B025
4B035
【Fターム(参考)】
4B025LB07
4B025LB08
4B025LG02
4B025LG04
4B025LG07
4B025LG18
4B025LG19
4B025LG26
4B025LG27
4B025LG28
4B025LG29
4B025LG32
4B025LG33
4B025LG41
4B025LG44
4B025LG54
4B035LC01
4B035LC03
4B035LC05
4B035LG01
4B035LG14
4B035LG15
4B035LG19
4B035LG20
4B035LG21
4B035LG27
4B035LG32
4B035LG35
4B035LG42
(57)【要約】

本発明は、揚げ物に関し、具体的には、揚げ物用のまぶし組成物中の加水分解グルテンの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚げ物用のまぶし組成物であって、前記まぶしの総乾燥重量の1重量%~65重量%、好ましくは14重量%~65重量%の加水分解グルテンを含む、まぶし組成物。
【請求項2】
加水分解グルテン小麦が、0.5%~5%の加水分解度を有する、請求項1に記載のまぶし組成物。
【請求項3】
天然の小麦グルテンを含む、請求項1又は2に記載のまぶし組成物。
【請求項4】
小麦粉を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のまぶし組成物。
【請求項5】
総乾燥重量の1重量%~65重量%の加水分解グルテン及び総乾燥重量の35重量%~99重量%の天然のグルテンからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載のまぶし組成物。
【請求項6】
1)天然の小麦グルテンを提供することと、
2)0.5%~5%の加水分解度(DH)を得るために小麦グルテンを加水分解することと、
3)加水分解小麦グルテンを総乾燥重量の1重量%~65重量%にするために、加水分解小麦グルテンを他のコンパウンドと混合することと、
4)任意選択で、ステップ3で得られたミックスを乾燥させることと、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のまぶし組成物を製造するための方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載のまぶし組成物でコーティングされた食材を含む、揚げ物製品。
【請求項8】
揚げ物を調製する方法であって、
食品製品に請求項1~5のいずれか一項に記載の下まぶし組成物をコーティングすることと、
前記まぶしコーティングされた食品製品に衣組成物をコーティングすることと、
前記衣コーティングされた食品製品にパン粉組成物をコーティングすることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揚げ物に関し、具体的には、揚げ物用のまぶし組成物中の加水分解グルテンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
揚げることは、食品が熱い食用油に漬けられる調理方法である。これは通常、揚げ器又は深鍋を用いて行われ、工業的には圧力フライヤー又は真空フライヤーが使用されてもよい。揚げることは、水が使用されないため、乾式調理法として分類される。関与する高温及び油の高い熱伝導のために、食品はその後迅速に調製される。
【0003】
揚げ物の調製方法は、食品製品のコーティングプロセスを含むことが多い。コーティングプロセスは、1930年後半、最初にシーフードのために商業的に導入された。現在、多くの食品製品がコーティングされ、市販の衣の皮は、風味及び水分を保持しながら食品製品の外観及び食感を向上させる様々なメリケン粉、調味料、衣、及びパン粉から配合されている。
【0004】
揚げ物の調製方法では、コーティングプロセスにより、食品製品の視覚的外観及び独自性を改善し、風味を加えることによって食味を向上させ、食感、口当たり、又は「噛みごたえ」を修正し、栄養価を修正し(ビタミン又はカロリーの添加)、製品価値を高めるために収量を増加させ、製品コストを削減し、端切れ/廃棄物の使用を可能にし、冷凍中に製品を保護し、又はより多くの再構成方法を可能にする。
【0005】
典型的には、食品製品のコーティングプロセスは、3つの連続する層に配置された3つのタイプの衣の皮を伴う。
食品製品と次の衣層との間に媒介層を形成するために使用される乾燥した衣の皮である下まぶし又はまぶし。食品に固着することによる下まぶし又はまぶしで、次の層適用のために食品の表面を調製する。
湿った衣の皮である衣を、下まぶし層の上に適用して、パン粉の第3の層を接着させるためのベースを形成する。
概して穀物ベースの製品である、焼いた後に細かい、中程度の、又は大きなパンくずに粒状化した、乾燥した(粒子状の)衣の皮であるパン粉(Breading)(又はパン粉(breader))。パン粉は、典型的には、メリケン粉からパンくず及び粗いコーンフレークに及ぶ成分を含有する。
【0006】
下まぶし又はまぶしは、細かくすりつぶされた粒ベースのパン粉又は乾燥した衣の混合物を含む。これは通常、第1の層として食品製品に適用され、次の層の適用のために食品製品の表面を準備する。下まぶしは、既製の商品であってもよく、又は特定の製品又はプロセスに合わせて作られた製品であってもよい。それらは、通常、メリケン粉ベースであるが、衣の皮が具材に結着するのを助けるための追加の剤を含有してもよい。下まぶし及びまぶしは常に乾燥した粉末形態である。
【0007】
メリケン粉ベースのまぶしは長年使用されてきたが、多くの欠点を有する。それらのうちの1つは、高温のランプの保管下で、又はオーブン若しくは電子レンジでの再加熱後に、汁気のある揚げ物の内部の汁気を保つことが比較的困難なことである。内部からの汁が外部に浸透し、食品を固くさせる。
【0008】
調理後、小麦粉ベースのまぶしを用いた食品製品のサクサクした食感が、長くは維持されない。室温では、表面の水分が衣層から移動するため、食感が柔らかくなる。しかし、調理後に、揚げ物を高温のショーケースに保管した場合であっても、食材が硬くなり、外側の食感は噛む必要のあるものになる。したがって、小麦粉ベースのまぶしでは、調理後の食感を維持することができない。
【0009】
更に、小麦粉ベースのまぶしも接着機能に弱点がある。揚げ物を良好な外観で作るためには、トッピングと衣層との良好な接着性が重要である。小麦粉ベースのまぶしは、これらの2つの層間の良好な接着を可能にしない。更に、接着性が低いと、製品の姿形だけでなく、食感にも影響する。したがって、このパラメータは、揚げ物の重要なパラメータと考えられる。
【0010】
揚げ物は、揚げた直後に食べることができるが、それらを4時間超高温に保つために、赤外線ランプ保管下で保管することもできる。そのような保管は、コンビニエンスストアと呼ばれる店舗及びスーパーマーケットで、アジア諸国において非常に一般的である。残念なことに、保管後すぐに、揚げ物は、汁気とサクサクした食感が失われる。
【0011】
揚げた後、揚げ物はまた、例えば、冷蔵庫内で冷蔵保存し、電子レンジ又は従来のオーブンにて再加熱することもできる。これらの場合、揚げ物は、揚げ物を調理した直後よりも乾燥させるかなりの量の汁を失う。
【0012】
小麦グルテンは、膜形成能力のために使用され、食品産業において関心が持たれている。「Wheat Gluten Applications in Food Products」(Kalin&al.,J.Am.Oil Chemists Soc.,March 1979,V5-,p477-479)には、小麦グルテンが「水和したバイタル(活性)小麦グルテンの独特の膜形成特性」として記載されている。バイタル小麦グルテンは、主に焼成に使用されるが、パン粉及び衣にも使用される。Kalinらは、まぶしを全く記載していない。
【0013】
米国特許第6,174,559号に開示されているように、小麦グルテンは、コロイド形態の食用の衣の皮として知られている。この特許では、改善された食用の衣の皮としての加水分解グルテンのコロイド溶液の使用が教示されている。この文書では、加水分解グルテンは、使用される唯一の乾燥した化合物(乾燥物質中100%のコロイド溶液)である。更に、揚げるプロセス及びまぶしにおける加水分解小麦グルテンの使用は開示されていない。
【0014】
揚げ物の分野では、本出願人は、本明細書で上記言及された欠点を回避するために、まぶしの中の加水分解グルテンの使用を含む本発明の解決策を見出した。
【0015】
本発明は、以下の全般的な説明の章で説明される。
【発明の概要】
【0016】
本発明者らは、加水分解小麦グルテンをまぶしに使用することにより、揚げた直後又は4時間後に、高温のショーケース(赤外線ランプ)で保管した場合であっても汁気のある肉の食味を保つことができることを示した。従来の製品との明確な違いを以下の実施例に示す:加水分解小麦グルテンを含むまぶしで得られた揚げ物は、内部に水分を保持し、サクサクとした食感を維持し、衣とパン粉のより良好な接着性を維持する。
【0017】
以下の実施例に示されるように、加水分解小麦グルテンのみを含むまぶし組成物は、揚げ物内に汁を保持するのに十分な強さではない。まぶし組成物では、加水分解小麦グルテンは、1%超65%未満である必要がある。
【0018】
第1の実施形態は、まぶしの総乾燥重量の約1重量%~65重量%、好ましくは14重量%~65重量%の加水分解グルテンを含む、揚げ物用のまぶし組成物である。特定の実施形態では、加水分解グルテン小麦は、0.5~5%の加水分解度を有する。まぶし組成物は、天然の小麦グルテン及び/又は小麦粉を更に含んでもよい。より具体的な実施形態では、上記定義されたまぶし組成物は、総乾燥重量の1重量%~65重量%の加水分解グルテン及び総乾燥重量の35重量%~99重量%の天然のグルテンからなる。
【0019】
第2の実施形態では、本発明は、上記定義されたまぶし組成物を製造するための方法に関し、この方法は、以下のステップ、
1)天然の小麦グルテンを提供することと、
2)0.5%~5%の加水分解度(DH)を得るために小麦グルテンを加水分解することと、
3)加水分解小麦グルテンを総乾燥重量の1重量%~65重量%にするために、加水分解小麦グルテンを他の化合物と混合することと、
4)任意選択で、ステップ3で得られたミックスを乾燥させることと、を含む。
【0020】
第3の実施形態は、上記定義されたまぶし組成物でコーティングされた食材を含む、揚げ物製品である。
【0021】
最後の実施形態は、揚げ物を調製する方法に関し、この方法は、以下のステップ、食品製品に上記定義された下まぶし組成物をコーティングすることと、まぶしコーティングされた食品製品に衣組成物をコーティングすることと、衣コーティングされた食品製品にパン粉組成物をコーティングすることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】異なる組成のまぶしを用いて得られた揚げ物の写真を表す。写真の下には、揚げ物の衣の皮の状態及び衣の皮の食感の説明が示されている。
図2】異なる量の加水分解グルテン小麦を含むまぶしを用いて得られた揚げ物の写真を表す。
図3】グルテンと加水分解グルテンのミックスまぶし及び小麦粉まぶしを用いて得られた揚げ物の写真を示す。
図4】60℃の高温ショーケースの下で4、5時間保管した後の、グルテンと加水分解グルテンのミックスまぶし及び小麦粉まぶしを用いて得られた揚げ物の写真を表す。
図5】グルテンと加水分解グルテンのミックスまぶし及び小麦粉まぶしを用い、-40℃で1時間急速凍結し、従来のオーブンにて220℃で10分間再加熱して得られた揚げ物の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1の実施形態は、まぶしの総乾燥重量の1重量%~65重量%、好ましくは14重量%~65重量%の加水分解グルテンを含む、揚げ物用のまぶし組成物である。実施例に示されるように、本発明者らは、本発明のまぶしに加水分解グルテンを使用すると、約1%の非常に少量の場合であっても、揚げ物の食感及び色が改善されることを実証した。
【0024】
本出願では、「まぶし」は、細かく粉砕された材料で構成されたブレンド又は純粋な粉末として理解する必要がある。まぶしは、通常、衣の皮の体系のうち、残りの部分をその上に「構築」できるように具材の表面を準備するので、衣の皮の体系の第1の層として適用される。下まぶしは、既製の商品であってもよく、又は特定の製品又はプロセスに合わせて作られてもよい。それらは、通常、メリケン粉ベースであるが、衣の皮が具材により良好に結着するのを助けるための追加の剤を含有してもよい。
【0025】
食品業界で使用される典型的なまぶしは、小麦粉、米粉、タピオカ粉、トウモロコシデンプン又はジャガイモデンプンである。
【0026】
本出願では、「加水分解グルテン」は、加水分解バイタル小麦グルテン(以下のその定義を参照)として理解する必要があり、小麦グルテンを構成するタンパク質の分子量の減少として理解する必要がある。小麦グルテンを加水分解するために、当業者は、化学的プロセス、例えば酸加水分解若しくはアルカリ加水分解又は生化学的プロセス、例えばプロテアーゼ、ペプチダーゼを含む、現在公知の全てのプロセスの間で選択することができる。
【0027】
好ましい実施形態では、加水分解された小麦は、0.5%~5%、好ましくは1%~4%、より好ましくは2%~3%の加水分解度(DH)を特徴とする。加水分解度は、タンパク質加水分解物中の切断されたペプチド結合の割合として定義される。加水分解度は、o-フタルジアルデヒド(OPA)又はトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)比色法などの周知のプロトコルを使用して容易に知ることができる。本出願では、好ましい方法はOPAである。
【0028】
好ましい実施形態では、まぶし組成物はまた、小麦グルテン、好ましくは、小麦グルテン及び他の化合物を除いた加水分解小麦グルテンのみを含む。
【0029】
本出願では、「小麦グルテン」は、グリアジン及びグルテニンによって構成される小麦作物中の最も豊富なタンパク質のうちの1つである天然の小麦グルテンとして理解する必要がある。天然のグルテンは、小麦グルテンを変性させず、その粘弾性特性を維持するプロセスによって得られるグルテンとして理解する必要がある。換言すれば、天然の小麦グルテンは、バイタルグルテンとしても知られている。
【0030】
別の好ましい実施形態では、まぶしはまた、小麦粉も含む。
【0031】
本出願では、「小麦粉」は、粒径を小さくするためにミル粉砕された小麦種子として理解する必要がある。小麦粉は内部で加工するか、又は商業市場で購入することができる。
【0032】
第2の実施形態は、前述のようなまぶしを製造する方法であって、以下のステップ、1)小麦グルテンを提供することと、2)0.5%~5%、好ましくは1%~4%、より好ましくは2%~3%のDHに達するために、小麦グルテンを加水分解することと、3)含有量を1%~65%、好ましくは14~65%にするために、加水分解小麦グルテンを他の化合物と混合することと、4)任意選択で混合物を乾燥させることと、を含む。
【0033】
第1のステップは、小麦グルテンを提供することからなる。小麦グルテンは商業市場で購入することができる。それは、天然であってもよく、又はバイタルであってもよい。小麦グルテンはまた、小麦種子から抽出することもできる。天然のグルテンを抽出するために、当業者は一般的に公知のプロセスを使用する。
【0034】
第2のステップは、小麦グルテンを加水分解することからなる。第1の解決策は、グルテンのサイズを小さくするための、酸又はアルカリ試薬の使用であってもよい。より好ましい第2の解決策は、プロテアーゼ及び/又はペプチダーゼの使用であってもよい。酵素はアミノ酸結合を選択的に切断し、タンパク質分子量を減少させる。好ましい実施形態では、酵素は、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)液から産生されたプロテアーゼであるニュートラーゼである。加水分解プロトコルは、1)選択された量のプロテアーゼを天然のグルテンに添加することと、2)酵素最適で温度及びpHを調整することと、3)グルテン/酵素ミックスを均質化し、加水分解度をチェックすることによって加水分解を実行することと、4)適正加水分解度に達した際に最適pHから遠く離れたpHを調整することによって反応を停止することからなる。
【0035】
第3のステップは、加水分解小麦グルテンを他のコンパウンドと混合することからなる。
【0036】
他のコンパウンドは、好ましくは小麦グルテン、小麦粉のリストの中から選択することができる。より好ましい実施形態では、他のコンパウンドはグルテン及び/又は小麦粉からなる。
【0037】
混合は、十分な撹拌力及び均質化力を用いて湿式で行うことができる。また、公知の選択された機器の助けを借りて、乾式で行うこともできる。
【0038】
混合物では、加水分解小麦グルテンは、まぶし組成物の総乾燥物質の1%~65%、好ましくは14%~65%を占める。
【0039】
第4の任意選択のステップは、残留水を除去し、貯蔵寿命安定性を最適化するために、任意選択の乾燥からなる。このステップは、特に混合が湿式で行われる場合に必要である。ミックスの乾燥物質を、80%超、好ましくは85%超、より好ましくは90%超に高める必要がある。
【0040】
別の実施形態は、揚げ物調理用のそのようなまぶしの工業用途である。
【0041】
本発明はまた、上記定義されたようなまぶし組成物でコーティングされた食材を含む揚げ物製品及び揚げ物を調製する方法に関し、この方法は、以下のステップ、食品製品に上記定義されたまぶし組成物をコーティングすることと、まぶしコーティングされた食品製品に衣組成物をコーティングすることと、衣コーティングされた食品製品にパン粉組成物をコーティングすることと、を含む。
【0042】
本発明は、以下の実施形態の詳細な説明の助けを借りて、より良く理解される。
【実施例
【0043】
以下の実施例では、Roquette Freres製の市販の加水分解小麦グルテンを使用する。これは88.5%のタンパク質(N6,25方法)を含有し、DHは2.5である(OPA法)。
【0044】
実施例1:まぶしの中の加水分解小麦グルテンの使用が揚げ物の品質に及ぼす影響
まぶしとして使用された表1に列挙した異なる製品を比較する。
【表1】
【0045】
第2の層として、以下の表2の衣組成物を全ての試料に使用する。
【表2】
【0046】
水を比率1.5/1で粉末に添加し、ミックスを均質化する。
【0047】
第3の層として、以下の表3のパン粉組成物を全ての試料に使用する。
【表3】
【0048】
鶏肉の揚げ物を得るプロセスは以下のとおりである。
鶏肉片の表面に、表1に列挙した各材料をまぶす。
それらを衣に漬け、次いで、表面にパン粉をまぶす。
180℃で5分間揚げる。
高温のショーケース(60℃)下で0~9時間保管する。
【0049】
写真を撮影し、衣の皮の状態/食感を評価する(図1)。
【0050】
小麦粉に8%で加水分解グルテンを使用すると、まぶし特性が改善される。接着性及び衣の皮の食感は、オイルコーティングされたデンプン(Amusko KI)のまぶし状態と同様である。グルテンと加水分解グルテンのミックスの使用も良好な結果をもたらすことができ、まぶしから全てのデンプンを除去することができる(図1)。
【0051】
以下の表4に、結果を要約する。
【表4】
【0052】
まぶしの中に加水分解グルテンを導入することにより、鶏肉の揚げ物を高温のショーケースの保管下で初期の食感を維持することができる。時間的に保管は4倍になる。
【0053】
実施例2:加水分解小麦グルテンが揚げ物の品質に及ぼす影響
小麦粉中の異なる用量の加水分解小麦グルテン(Roquette製のNutralys(登録商標)W)をまぶしとして比較する。
【表5】
【0054】
衣及びパン粉のレシピは、実施例1と同じである。
【0055】
鶏肉の揚げ物を得るプロセスは以下のとおりである。
鶏肉の表面に各材料を均等にまぶす。
それらを衣に漬け、次いで、表面にパン粉をまぶす。
180℃で5分間揚げる。
【0056】
写真を撮影し、高温のショーケース(60℃)下で2.5時間保管した後に衣の皮の状態及び食感を評価する(図2)。
【0057】
食感及び色をランク付けし、以下の表6に要約する。
【表6】
【0058】
まぶしの中の約1%~60%の加水分解小麦グルテンで構成される用量は、鶏肉の揚げ物の良好な食感及び色に達することを可能にする。驚くべきことに、まぶしの中に非常に少量(約1%)の加水分解グルテンを使用することにより、食感の改善が可能になる。
【0059】
実施例3:メリケン粉まぶしに対するグルテンと加水分解グルテンのミックスまぶしの性能。
以下の表7に列挙される異なる粉末混合物を、まぶしとして比較する。
【表7】
【0060】
衣及びパン粉のレシピは、実施例1と同じである。
【0061】
鶏肉の揚げ物を得るプロセスは以下のとおりである。
鶏肉の表面に各材料を均等にまぶす。
それらを衣に漬け、次いで、表面にパン粉をまぶす。
180℃で5分間揚げる。
【0062】
本発明に有用なメリケン粉及びまぶしを使用した揚げ物について、写真を撮影し、揚げた直後の衣の皮の状態及び食感を評価する(図3)。揚げた前後の肉片の重量の変化百分率(パーセンテージ)である歩留まり率も計算する。
【0063】
[1]次いで、写真を撮影し、高温のショーケース(60℃)下で4.5時間保管した後に衣の皮の状態/食感を評価する(図4)。重量の変動も追跡し、パーセンテージ(1=100%)として表し、まぶしとしてメリケン粉を使用した揚げ物と比較して、グルテン及び/又は加水分解グルテンのまぶしを使用したものは、熱の下での保存に関して改善されている。更に、グルテンと加水分解グルテンの組み合わせを含むまぶしを使用した揚げ物は、対照に最も近く、衣の皮が粗すぎず、内部の食品が対照と同程度に汁気がある。
【0064】
また、鶏肉の揚げ物を-40℃で1時間急速冷凍し、従来のオーブンにて220℃で10分間再加熱する。
【0065】
グルテン/加水分解グルテンミックスをまぶしとして使用すると、冷凍/再加熱されたときに鶏肉の揚げ物によって放出される汁が少なくなり(図5)、まぶしとしてメリケン粉を使用する揚げ物と比較して、本発明のものはより良好な口溶けを有し、衣の皮は良好であり、厚すぎない。グルテンのまぶしを使用した揚げ物の問題は、食品上の薄い膜の衣の皮の感触のために、口の中で悪い感覚刺激体験も与えることである。加水分解グルテンのまぶしを使用した揚げ物は、固くなりすぎて食品から分離しやすくなりすぎ、感覚刺激性知覚も悪くなる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】