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特表2022-539128リチウムイオンバッテリ用フルオロポリマー含有コートセパレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】リチウムイオンバッテリ用フルオロポリマー含有コートセパレータ
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/449 20210101AFI20220831BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220831BHJP
   C09J 127/12 20060101ALI20220831BHJP
   C09J 127/16 20060101ALI20220831BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20220831BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20220831BHJP
   H01M 50/42 20210101ALI20220831BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20220831BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20220831BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20220831BHJP
   H01M 50/451 20210101ALI20220831BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20220831BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20220831BHJP
   H01G 11/52 20130101ALI20220831BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20220831BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20220831BHJP
【FI】
H01M50/449
C09J7/38
C09J127/12
C09J127/16
C09J133/00
C09J11/04
H01M50/42
H01M50/426
H01M50/403 D
H01M50/443 M
H01M50/451
H01M4/13
H01M50/489
H01G11/52
H01G11/84
H01M50/434
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577177
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 US2020039100
(87)【国際公開番号】W WO2020263804
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/866,314
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユチエ・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ユアンチン・リウ
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5E078
5H021
5H050
【Fターム(参考)】
4J004AA07
4J004AA10
4J004AB01
4J004CB03
4J004CC02
4J004FA08
4J040DC091
4J040DF011
4J040DF031
4J040HA136
4J040HA156
4J040HA356
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA42
4J040LA06
4J040MA10
4J040NA19
5E078AA10
5E078AA15
5E078AB02
5E078BA27
5E078BA44
5E078BA53
5E078BB23
5E078CA02
5E078DA04
5E078FA02
5E078FA13
5H021BB12
5H021CC03
5H021CC04
5H021EE03
5H021EE06
5H021EE10
5H021EE21
5H021HH00
5H021HH01
5H050AA14
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050DA09
5H050DA19
5H050EA01
5H050EA23
5H050EA24
5H050FA04
5H050FA17
5H050GA22
5H050HA00
5H050HA01
(57)【要約】
本発明は、例えば、電気化学デバイスのコート電極及び/又はコートセパレータに使用することが可能なフルオロポリマー-アクリルコート組成物に関する。リチウムイオンバッテリ用コートセパレータは、多孔質セパレータ基材と、セパレータの少なくとも一方の面にコートを含む。コートは、セパレータの少なくとも一方の面の無機コートと、無機コート又はセパレータの少なくとも一方の面の接着性有機コートとからなる。有機コートは、改良されたフルオロポリマー-アクリル組成物又はフルオロポリマーとアクリルとの混合物を含む。本発明は、コートセパレータの電極への接着を改善することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータの少なくとも一方の面に接着層(バインダーコート)を含み、
前記接着層が、フルオロポリマー-アクリル組成物を含み、
前記組成物が、フルオロポリマー-アクリル樹脂を含み、
前記樹脂が、フルオロポリマー-アクリル樹脂の総重量を基準としてアクリルモノマー単位を5~50wt%有し、
前記樹脂が、架橋され、
前記樹脂が、フルオロポリマーシードの存在下でアクリルモノマーを重合した重合物を含む組成物である、リチウムイオンバッテリ用コートセパレータ。
【請求項2】
前記フルオロポリマーシードが、フッ化ビニリデン(VDF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(VF3)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、フッ化ビニル(VF)、ヘキサフルオロイソブチレン、ペルフルオロブチルエチレン(PFBE)、ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2-クロロ-1-1-ジフルオロエチレン(R-1122)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、2-フルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロペン、フッ素化ビニルエーテル、フッ素化アリルエーテル、非フッ素化アリルエーテル、フッ素化ジオキソール又はそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを含む、請求項1に記載のコートセパレータ。
【請求項3】
前記フルオロポリマーシードが、フッ化ビニリデンポリマー、好ましくはVDFを少なくとも50重量パーセント、好ましくはVDFを少なくとも70重量パーセント含む、請求項1に記載のコートセパレータ。
【請求項4】
前記シードが、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマーを含み、
フルオロポリマー-アクリル樹脂中のヘキサフルオロプロピレンモノマー単位の総重量パーセントが、前記接着層中のポリマーの総重量パーセントを基準として5~20%、好ましくは10~20wt%である、請求項1に記載のコートセパレータ。
【請求項5】
前記フルオロポリマーシードが、ヘキサフルオロプロピレンを3~30wt%含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項6】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂中のアクリルモノマー単位の前記総重量パーセントが、15~40wt%である、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項7】
前記アクリルポリマーが、架橋可能な官能基含有モノマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項8】
前記アクリルポリマーが、エチルアクリレート(EA)、メチルアクリレート(MA)、ブチルアクリレート(BA)、アリルオキシプロパンジオール(AOPD)、アミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート(EMA)、メチルメタクリレート(MMA)、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、アセト酢酸エチルメタクリレート(AEAまたはAAEM);このうち、エチルアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート及びメチルメタクリレートが好ましい;α,β-不飽和カルボン酸(アクリル酸又はAA、メタクリル酸(maa又はMAA)、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸又はIA)、ビニルエステル化合物、アミド化合物(アクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド又はNMA、N-アルキルアクリルアミド、N-ジアルキルメタクリルアミド、N-ジアルキルアクリルアミド、イソブトキシメタクリルアミド(IBMA又はiBMA))、水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(例えば、ヒドロキシルエチルメタクリレート又はHEMA、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールエチルアクリレート又はDGEA)、エポキシ基含有モノマー(例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート又はGMA)、シラノール含有モノマー(例えば、γ トリメトキシシランメタクリレート、γ トリエトキシシランメタクリレート、トリメチルシリルプロピルアクリレート(TMPA又はTMSPA))、アクロレイン等のアルデヒド基含有モノマー、アクリロニトリルメタクリロニトリル等のシアン化アルケニル及びそれらの組合せ等からなる群から選択されるモノマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項9】
前記アクリルポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及びアリルグリシジルエーテルからなる群から選択されるモノマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項10】
前記アクリルモノマーの少なくとも1種以上が、メチルメタクリレート、メタクリル酸、メタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、アクリル酸、ジアセトンアクリルアミド、ポリメトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項11】
前記セパレータの少なくとも一方の面がコートされた接着層の厚さは、0.5~10マイクロメートルである、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項12】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、自己架橋性である、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項13】
前記フルオロポリマー-アクリル組成物が、架橋剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項14】
前記接着層が、ポリマーと無機粒子との総重量を基準として、無機粒子を50~99重量パーセント更に含み、
前記無機粒子が電気化学的に安定な無機粒子である、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項15】
前記接着層が、ポリマーと無機粒子との総重量を基準として、無機粒子を50~99重量パーセント更に含み、
前記無機粒子が電気化学的に安定な無機粒子であり、前記無機粒子は、BaTiO3、Pb(Zr,Ti)O3、Pb1-xLaxZry3(0<x<1,0<y<1)、PBMg3Nb2/33、PbTiO3、hafnia(HfO(HfO2)、SrTiO3、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、ZnO、Y23、ベーマイト(y-AlO(OH))、Al23、SiO2、SiC、ZrO2、ボロンシリケート、BaSO4、ナノ-粘土、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項16】
前記接着層が、ポリマーと無機粒子との総重量を基準として、無機粒子を50~99重量パーセント更に含み、
前記無機粒子が電気化学的に安定な無機粒子であり、前記無機粒子が、MgO、ベーマイト(y-AlO(OH))、Al23、ナノ-粘土、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項17】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、1マイクロメートル以下、好ましくは500nm以下、好ましくは400nm以下、好ましくは300nm以下の平均粒子径を有する個別の樹脂粒子を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項18】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂は、溶媒に溶解されたポリマーから形成された膜を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項19】
アノードと、カソードと、請求項1~18のいずれか一項に記載のセパレータとを備える、バッテリ。
【請求項20】
電気化学デバイスの部品であって、
前記部品の少なくとも一方の面に乾燥架橋フルオロポリマー-アクリル組成物が直接コートされ、
フルオロポリマー-アクリル組成物が、フルオロポリマー-アクリル樹脂を含み、
前記樹脂が、フルオロポリマー-アクリル樹脂の総重量を基準としてアクリルモノマー単位を5~50wt%含み、
前記樹脂が、フルオロポリマーシードの存在下でアクリルモノマーを重合した重合物を含む組成物であり、
前記被覆部材が、セパレータ又は電極であり;
前記乾燥架橋フルオロポリマー-アクリル組成物が、180度剥離強度測定で10N/m以上、好ましくは15N/m以上の乾燥接着強度を有する、電気化学デバイスの部品。
【請求項21】
a)セパレータの少なくとも一方の面に、架橋性フルオロポリマー-アクリル組成物をディップコート、スプレーコート、マイクロ-グラビアコート又はスロットコートするステップと、
b)前記コートセパレータを25~85℃の温度で乾燥させ、乾燥接着層をセパレータ上に形成するステップとを含み、
前記組成物は、フルオロポリマー-アクリル樹脂を含み、該樹脂は、該フルオロポリマー-アクリル樹脂の総重量を基準として、アクリルモノマー単位を5~50wt%有し、
前記樹脂は、フルオロポリマーシードとアクリルモノマーとを重合した重合物を含む組成物である、コートセパレータの形成方法。
【請求項22】
前記フルオロポリマーシードが、フッ化ビニリデン(VDF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(VF3)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、フッ化ビニル(VF)、ヘキサフルオロイソブチレン、ペルフルオロブチルエチレン(PFBE)、ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2-クロロ-1-1-ジフルオロエチレン(R-1122)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、2-フルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロペン、フッ素化ビニルエーテル、フッ素化アリルエーテル、非フッ素化アリルエーテル、フッ素化ジオキソール又はそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記フルオロポリマーシードが、ビニリデンフルオロポリマー、好ましくはVDFを少なくとも50重量パーセント、好ましくはVDFを少なくとも70重量パーセント含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記シードが、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマーを含み、フルオロポリマー-アクリル樹脂中のヘキサフルオロプロピレンモノマー単位の前記総重量パーセントが、前記接着層中のポリマーの前記総重量パーセントを基準として5~20%、好ましくは10~20wt%である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記フルオロポリマーシードが、ヘキサフルオロプロピレンを3~30wt%含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記アクリルポリマーが、架橋可能な官能基含有モノマーを含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記アクリルポリマーが、エチルアクリレート(EA)、メチルアクリレート(MA)、ブチルアクリレート(BA)、アリルオキシプロパンジオール(AOPD)、アミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート(EMA)、メチルメタクリレート(MMA)、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、アセト酢酸エチルメタクリレート(AEAまたはAAEM);このうち、エチルアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート及びメチルメタクリレートが好ましい;α,β-不飽和カルボン酸(アクリル酸又はAA、メタクリル酸(maa又はMAA)、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸又はIA)、ビニルエステル化合物、アミド化合物(アクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド又はNMA、N-アルキルアクリルアミド、N-ジアルキルメタクリルアミド、N-ジアルキルアクリルアミド、イソブトキシメタクリルアミド(IBMA又はiBMA))、水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(例えば、ヒドロキシルエチルメタクリレート又はHEMA、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールエチルアクリレート又はDGEA)、エポキシ基含有モノマー(例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート又はGMA)、シラノール含有モノマー(例えば、γ トリメトキシシランメタクリレート、γ トリエトキシシランメタクリレート、トリメチルシリルプロピルアクリレート(TMPA又はTMSPA))、アクロレイン等のアルデヒド基含有モノマー、アクリロニトリルメタクリロニトリル等のシアン化アルケニル及びそれらの組合せ等からなる群から選択されるモノマーを含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記アクリルポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリルレート及びアリルグリシジルエーテルからなる群から選択されるモノマーを含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記アクリルモノマーの少なくとも1種以上が、メチルメタクリレート、メタクリル酸、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、アクリル酸、ジアセトンアクリルアミド、ポリメトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記セパレータの少なくとも一方の面がコートされた前記接着層の厚さは、0.5から10マイクロメートルである、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、自己架橋性である、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記フルオロポリマー-アクリル組成物が、架橋剤を含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記接着層が、ポリマーと無機粒子との前記総重量を基準として、無機粒子を50~99重量%更に含み、
前記無機粒子が、電気化学的に安定な無機粒子である、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂は、前記コートするステップの前に溶媒に溶解される、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年6月25日に提出された米国仮出願62/866314の優先権を主張し、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電気化学デバイスのセパレータをコートする際に使用されるフルオロポリマーバインダー組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願公開第2014/0322587号明細書、米国特許出願公開第2015/0280197号明細書、米国特許出願公開第2017/0288192号明細書、及び米国特許出願公開第2018/0233727号明細書はすべて、セパレータコートの物理的混合システムにおける候補としてアクリル系樹脂に言及した。米国特許出願公開第2015/0280197号明細書、米国特許出願公開第2017/0288192号明細書及び米国特許出願公開第2018/0233727号明細書は、アクリル系樹脂をPVDF-HFPまたはPVDF系樹脂と混合して、セパレータコートをセパレータに接着させた。米国特許出願公開第2015/0280197号明細書は、コートの厚さが1~8ミクロンメートルであることを強調している。米国特許出願公開第2017/0288192号明細書は、PVDF関連コートのコート密度と有機ポリマーの粒子サイズが1~150ミクロンメートルの範囲とを強調している。米国特許出願公開第2018/0233727号明細書は、アクリル系モノマーとスチレン系モノマーとを加えてアクリル型樹脂を合成したことを強調している。それから、PVDF-HFPコポリマーと異なる比率のアクリル系樹脂を混合する。米国特許出願公開第2014/0322587号明細書は、ポリマーワックスの融点と粒子サイズとを強調している。
【0004】
現在入手可能なリチウムイオンバッテリ及びリチウムイオンポリマーバッテリは、カソードとアノードとの間の短絡を防ぐために、ポリオレフィンベースのセパレータを使用している。しかしながら、このようなポリオレフィンベースのセパレータは、その融点が140℃以下であるため、使用時に収縮して溶融し、バッテリの温度が内部及び/又は外部の要因によって上昇すると体積が変化する可能性があり、短絡の原因になり得る。さらに、ポリオレフィンベースのセパレータは、高電圧活物質と接触すると酸化しやすくなる。ポリオレフィンセパレータの酸化により、サイクル寿命が短くなり、ピンホールが発生し、短絡の原因となる場合がある。短絡は、電気エネルギーの放出によって引き起こされるバッテリの爆発や火災などの事故を起こし得る。そのため、高温での熱収縮や高電圧での酸化を起こさないセパレータを設ける必要がある。
【0005】
ポリフッ化ビニリデンは、フルオロポリマーの中でも耐電気化学薬品性に優れ、密着性に優れているため、非水電解質デバイスのセパレータのバインダーやコートとして有用であることがわかる。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,662,517号、米国特許第7,704,641号、米国特許出願公開第2010/00330268号明細書、米国特許第9,548,167号、及び米国特許出願公開第2015/0030906号明細書は、粉末金属酸化物材料又はナノと組み合わせて使用される有機溶媒及び水溶性分散液中のPVDFコポリマー溶液を記載し、これが非水系バッテリに使用されるポリオレフィンセパレータのコートに、粉末状の金属酸化物材料又はナノセラミックスと組み合わせて使用されることが記載されている。セパレータは、バッテリのアノードとカソードとの間にバリアを形成する。多孔質有機セパレータに結合した無機粒子は、液体電解質が浸透する空間の体積を増加させ、イオン伝導性を改善することが見出された。
【0006】
残念ながら、フルオロポリマーによって提供される優れた特性は、それらを使用できる用途を制限する可能性もある。例えば、フルオロポリマーを他の材料に接着することは困難である。したがって、有機溶媒及び他の有機添加剤は、一般に、PVDFベースポリマーと多孔質セパレータ及び任意に添加される粉末粒子との間の良好な接着(非可逆的接着)を提供するためにコート配合物に使用される。
【0007】
電気化学デバイスのセパレータに使用されるフルオロポリマーベースの組成物は、優れた乾式接着性を有する必要がある。結晶性の高いフルオロポリマーを使用することにより、機械的強度を得ることができる。残念ながら、これらの高結晶性フルオロポリマーは乾式接着性に乏しい。機能性ポリマーは良好な乾式接着性を提供するが、結晶化度が低下するため、バインダーの機械的強度が損なわれる。
【0008】
驚くべきことに、架橋可能なアクリルフルオロポリマー樹脂組成物は、バッテリセパレータのバインダーとして使用される場合、良好な乾式接着性および良好な膨潤特性の両方を提供できることが見出された。ポリマーバインダーとして、架橋性アクリルフルオロポリマー樹脂を使用する。ポリマーバインダー樹脂でコートされたセパレータは、優れた機械的強度と優れた乾式接着性を備えているだけでなく、優れた膨潤特性を備えているため、高温での寸法安定性を備えている。
【0009】
現在の製品は、本発明のフルオロポリマーバインダー組成物に見られるように、乾式接着性と膨潤性の両方のバランスを有さない。
【0010】
本発明
本発明の目的は、リチウムイオンバッテリ用途で使用される場合に、セパレータコートのために改善された接着特性を有する材料を提供することである。この材料は、セパレータのポリマーバインダー又は接着成分として使用される。現在公開されている特許は、接着成分としてフルオロポリマーとアクリルポリマーとの物理的ブレンドを使用している。これらのブレンドは、各ポリマーを別々に製造し、次に2つの個々のポリマーを物理的にブレンド/混合することによって調製された。本発明は、セパレータコートのための新しい化学溶液を提供する。フルオロポリマーとアクリルとの物理的混合物の代わりに、改良されたフルオロポリマー-アクリル組成物は、シードとしてフルオロポリマーラテックスを使用するアクリレート/メタクリレートモノマーの乳化重合によって合成される。アクリル変性フルオロポリマーのアクリル部分は、架橋することができる。それは自己架橋することができ、又は架橋剤を使用して架橋することができる。
【0011】
本発明では、材料でコートされたセパレータの電極への接着は、化学成分の同様の比率を有するブレンドポリマーと比較して、少なくとも2倍である。本発明の材料は、同様の組成物のポリマーのブレンド/混合物と比較して少なくとも2倍の接着、好ましくは少なくとも3倍の接着を提供する。バインダーの接着力は少なくとも10N/mである。好ましくは、接着は、10N/m~200N/m、より好ましくは10N/m~175N/m、好ましくは15N/m~175N/mである。
【0012】
フルオロポリマー-アクリル組成物は、シードとしてフルオロポリマーラテックスを使用して(メタ)アクリレートモノマーの乳化重合によって合成される。このプロセスは、米国特許第5,349,003号、米国特許第6,680,357号及び米国特許出願公開第2011/0118403号明細書に記載されているプロセスと類似する。本発明で使用されるポリマー結合剤は、プロセスで形成され、ここで、フルオロポリマーは、アクリルモノマーと、アクリルモノマーと共に共重合可能なモノマーからのアクリルポリマーとの重合におけるシードとして使用され、本明細書で「AMFポリマー」と呼ばれるものを形成する。本発明において、AMFポリマーは、アクリル部分において、架橋されたAMFポリマーを形成するためのセパレート架橋助剤の助けの有無にかかわらず、他のAMFポリマーのアクリル部分における他の官能基と反応することが可能な官能基を有する。
【0013】
本発明は、フルオロポリマーラテックスをシードとして使用するアクリレート/メタクリレートモノマーの乳化重合によって合成された架橋可能なフルオロポリマー-アクリル組成物を含む結合剤組成物に関する。
【0014】
本発明はさらに、溶媒中に架橋可能なフルオロポリマー-アクリル組成物を含む配合物に関するものであり、電気化学的に安定な粉末粒子状物質をさらに含み得、任意選択で他の添加剤を更に含み得る。
【0015】
本発明はさらに、架橋可能なフルオロポリマー-アクリル組成物でコートされたセパレータに関する。これらのコートされたセパレータは、バッテリやコンデンサ用のセパレータ等の用途に使用される。
【0016】
本明細書の中で、実施形態は、明確で簡潔な明細書を書くことを可能にする方法で説明されてきたが、実施形態は、本発明から離れることなく、様々に組み合わせまたは分離され得ることが意図され、理解されよう。例えば、本明細書に記載されているすべての好ましい特徴は、本明細書に記載されている本発明のすべての態様に適用可能であることが理解されよう。
【0017】
この出願に記載されているすべての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。特に明記しない限り、組成物中のすべてのパーセンテージは重量パーセントである。
【0018】
特に明記しない限り、分子量は、ポリメチルメタクリレート標準を使用してGPCによって測定された重量平均分子量である。ポリマーに架橋があり、不溶性ポリマー画分によりGPCが適用できない場合は、ゲルから抽出した後の可溶性画分/ゲル画分又は可溶性画分分子量を使用する。結晶化度および融解温度は、10℃/分の加熱速度でASTM D3418に記載されているようにDSCによって測定される。溶融粘度は、230℃でASTM D3835に従って測定され、k Poise @ 100 Sec-1で表される。
【0019】
「ポリマー」という用語は、特に明記しない限り、ホモポリマー、コポリマー及びターポリマー(3つ以上のモノマー単位)の両方を意味するために使用される。「コポリマー」は、2つ以上の異なるモノマー単位を有するポリマーを意味するために使用される。例えば、本明細書で使用される場合、「PVDF」および「ポリフッ化ビニリデン」は、特に断りのない限り、ホモポリマーおよびコポリマーの両方を含むために使用される。ポリマーは、均質、不均一であってもよく、コモノマー単位の勾配分布を有してもよい。
【0020】
「バインダー」という用語は、架橋可能なフルオロポリマーアクリル組成物又は架橋できる官能基を含むフルオロポリマーアクリル組成物を指し、基材にコートすることができ、好ましくは寸法安定性を改善するための粒子を含み、本発明のための基材は主に電気化学デバイス(例えば、リチウムイオンバッテリ)に見られるセパレータを意味する。
【0021】
架橋可能とは、フルオロポリマーアクリル樹脂のアクリル部がモノマーに架橋可能な官能基を有するか、架橋剤を含有することを意味する。
【0022】
アクリルには、特に断りのない限り、アクリルモノマーとメタアクリルモノマーとの両方を含む。
【0023】
乾式接着性:
乾式接着性を向上させるため、架橋可能なフルオロポリマーアクリル樹脂は、キャストステップ及び/又は圧縮ステップ中、電極又はセパレータに接着し、コート内の無機粒子に接着する必要がある。溶液ベースのキャストでは、ポリマーは溶媒に溶解し、基材と無機粒子をコートする。水ベースのキャスト又はラテックスキャストでは、ポリマー粒子が電極又はセパレータに十分に接着するために変形する必要がある。一般的に、接着性が高いほど良いとされている。ポリマーに機能性を付与することで、接着性を向上させることができる。湿式接着性は、電解質で膨潤したフルオロポリマーに関与する。電解質は、可塑剤によって引き起こされるのと同様の方法で、フルオロポリマーを軟化させる傾向がある。フルオロポリマーに機能性を付与すると、フルオロポリマーが柔らかくなり、脆くなくなり、膨潤が大きくなる傾向がある。したがって、良好な乾式接着性を発生させることが可能な非常に柔らかいバインダーは、電解液で膨潤すると柔らかくなりすぎて、凝集力が低下し、良好な湿式接着性にならないことがある。
【0024】
フルオロポリマー、特にポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)とそのコポリマーは、リチウムイオンバッテリに使用される電極製品中のバインダーとしての用途がある。エネルギー密度及びバッテリ性能の向上が求められるにつれ、電極中のバインダー含有量を低減させる必要性が高まっている。バインダー含有量を低減するためには、バインダー材料の性能を向上させることが最も重要である。主要なバインダー性能マトリックスの1つは、接着試験によって決定され、これにより、配合された電極が剥離試験にかけられる。バインダー性能を向上させることで、全体のバインダー充填量を減らし、活物質充填量を増やし、バッテリ容量及びエネルギー密度を向上させる可能性を高める。
【0025】
本発明に使用されるバインダーは、ポリフッ化ビニリデンホモポリマー及びポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマーの群から選択される、好ましくはポリフッ化ビニリデンホモポリマーをベースにしたアクリル変性フルオロポリマーを含む硬化性組成物(架橋性)であり、ここでアクリル相は、官能基を有するモノマー残基を含み、それによってアクリル相が、架橋反応を起こし架橋され得る。
【0026】
本発明は、改善された接着性能を有するバッテリセパレータにおけるバインダーとしての架橋可能なフルオロポリマーアクリルAMFポリマーの使用を提供する。フルオロポリマー-アクリル組成物は、接着性の向上等、フルオロポリマーと比較して向上された特性を提供する。本発明は、向上された親水性特性を提供し得る。本発明は、増加した親水性特性を提供し得る。本発明のフルオロポリマーは、電極-形成組成物及びセパレータ組成物中のバインダーとして含む、機能性フルオロポリマーの恩恵を受ける用途に使用することができる。
【0027】
リチウムイオンバッテリ用コートセパレータは、多孔質のセパレータ基材と、セパレータの少なくとも一方の面のコートとを含む。好ましくは、コートは、無機材料部と接着性ポリマー部とを有する。無機材料と接着性ポリマーを、ブレンドして単一のコートとしてセパレータに塗布することができ、又は無機材料と接着性ポリマーを、別々の層として塗布することができる。コートを、セパレータの一方の面又は両面に塗布することができる。接着性ポリマーは、架橋する改良されたフルオロポリマー-アクリル組成物を含む。AMFは、セパレータ上の乾式コートで架橋される。本発明は、コートセパレータの電極への接着を向上させる。
【0028】
本発明は更に、溶媒内の架橋性フルオロポリマー-アクリル組成物を含む製剤に関する。溶媒は、好ましくは、水、n-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、トリエチルホスファイト(TEP)、アセトン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MiBK)、酢酸エチル(EA)、酢酸ブチル(BA)、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸ジエチル(DEC)又は炭酸メチル(EMC)等から選択される。
【0029】
本発明によれば、粒子径が0.05~3μmである水溶性含フッ素ポリマー分散液が提供され、それは、アルキル基が1~18個の炭素原子を有するアルキルアクリレート及びアルキル基が1~18個の炭素原子を有するアルキルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーと、任意にアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートと共重合可能なエチレン性不飽和化合物と、を含む5~100重量部、好ましくは5~95重量部の混合物を、水系溶媒中、100重量部のフッ化ビニリデンポリマーの粒子存在下で乳化重合して得られる。
【0030】
膨潤率は、好ましくは175wt%~1000wt%であり、より好ましくは175wt%~900wt%である。
【0031】
シードフルオロポリマー
本発明でアクリル重合のシードとして使用されるフルオロポリマーは、フルオロモノマーを主として形成されたものである。「フルオロモノマー」という用語又は「フッ素化モノマー」という表現は、重合させるアルケンの二重結合に結合した少なくとも1種のフッ素原子、フルオロアルキル基、又はフルオロアルコキシ基を含む重合性アルケンを意味する。「フルオロポリマー」という用語は、少なくとも1種のフルオロモノマーの重合によって形成されるポリマーを意味し、それはホモポリマー、コポリマー、ターポリマー及び熱可塑性、つまり成形や押出加工で行われるような熱を加えることで流動して有用物に成形できる高分子の総称である。フルオロポリマーは、好ましくは、1種以上のフルオロモノマーを少なくとも50モルパーセントを含む。
【0032】
本発明の実施に有用なフルオロモノマーとしては、例えば、フッ化ビニリデン(VDF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(VF3)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、フッ化ビニル(VF)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2-クロロ-1-1-ジフルオロエチレン(R-1122)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、2-フルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロペン、フッ化ビニルエーテル、フッ化アリルエーテル、非フッ化アリルエーテル、フッ化ジオキソール及びそれらの組合せが挙げられる。
【0033】
シード粒子として使用されるフルオロモノマーは、乳化重合により得られるフッ化ビニリデンポリマーであることが好ましい。係る水溶性フッ化ビニリデンポリマー分散液は、従来の乳化重合法、例えば、重合開始剤の存在下、水系溶媒中で出発モノマーを乳化重合することによって製造でき、このプロセスは当技術分野で知られている。乳化重合によって得られるフッ化ビニリデンポリマーの具体例としては、フッ化ビニリデンホモポリマー及び(1)ビニリデンフルオライドと(2)含フッ素エチレン性不飽和化合物(例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(VF3)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、フッ化ビニル(VF)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2-クロロ-1-1-ジフルオロエチレン(R-1122)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、2-フルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロペン、フッ化ビニルエーテル、フッ化アリルエーテル、非フッ化アリルエーテル、フッ化ジオキソール、パーフルオロアクリレート等)とのコポリマー、非フッ素エチレン性不飽和化合物(例えば、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル等)、非フッ素ジエン化合物(ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等)等が挙げられ、それらはいずれもフッ化ビニリデンと共重合可能なものである。これらのうち、好ましいものとしては、フッ化ビニリデンホモポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等が挙げられる。
【0034】
特に好ましいフルオロポリマーは、VDFのホモポリマー、及びHFP、TFE又はCTFEを含むVDFのコポリマーであり、VDFを約50~約99重量パーセント、より好ましくはVDFを約70~約99重量パーセント含む。特に好ましいコポリマーは、VDFとHFPとのコポリマーであり、コポリマー中のVDFの重量パーセントが、コポリマー中の全モノマーを基準として50~99重量パーセント、好ましくは65~95重量パーセントである。VDF/HFPコポリマーの好適な一実施形態では、HFPの重量パーセントは、ポリマー中の全モノマーを基準として、5~30%、好ましくは8~25%である。
【0035】
特に好ましいターポリマーは、VDF、HFP及びTFEのターポリマー、並びにVDF、トリフルオロエチレン及びTFEのターポリマーである。特に好ましいターポリマーは少なくとも10重量パーセントのVDFを含み、他のコモノマーは様々な割合で存在してもよい。
【0036】
フルオロポリマーは、好ましくは分子量が大きい。本明細書で使用される大きい分子量とは、232℃(450F)、100sec-1で測定したASTM法D-3835による1.0キロポイズ以上、好ましくは5キロポイズ以上、より好ましくは10キロポイズ以上の溶融粘度を有するPVDFを意味する。
【0037】
本発明に使用されるフルオロポリマーは、当該技術分野で知られている手段、例えば、乳化、懸濁液、溶液、又は超臨界CO2重合プロセスによって製造できる。好ましくは、フルオロポリマーは、乳化プロセスによって形成される。好ましくは、プロセスはフッ素-界面活性剤フリーである。
【0038】
好ましい実施形態では、フルオロポリマーシードは、ポリマーバインダーの総重量を基準として、0.1~25重量パーセント、好ましくは2~20重量パーセントの官能基含有モノマー単位を含む。官能基は、セパレータに、ポリマーバインダー、及び任意に無機又は有機粒子を接着するのに役立つ。
【0039】
本発明の官能基は、好ましくはフルオロポリマーの一部であり、ポリオレフィン及び他の熱可塑性バインダーポリマーと比較して、バッテリ環境下でのフルオロポリマーの耐久性に起因する。
【0040】
フルオロポリマーシードは、0.1~25重量パーセント、0.2~20重量パーセント、2~20重量パーセント、好ましくは0.5~15重量パーセント、より好ましくは0.5~10重量パーセントの少なくとも1つの官能性コモノマーを使用する共重合によって機能を持たせることができる。共重合は、フルオロポリマー骨格に1種以上の官能性コモノマーを添加でき、又はグラフト化プロセスによって添加され得る。シードフルオロポリマーは、0.1~25重量パーセントの1種以上の低分子量ポリマー官能性連鎖移動剤を使用して重合することによっても機能を持たせることができる。低分子量とは、重合度が1,000以下、好ましくは800以下のポリマーを意味する。低分子量官能性連鎖移動剤は、例えばポリアクリル酸のように、2以上のモノマー単位、好ましくは3以上のモノマー単位を有するポリマー又はオリゴマーである。残留ポリマー性連鎖移動剤は、末端低分子量官能性ブロックを含むブロックコポリマーを形成する。シードフルオロポリマーは、官能性コモノマーと残留官能ポリマー性連鎖移動剤との両方を有し得る。
【0041】
有用な官能性コモノマーは、一般的に極性基を含むか、又は高い表面エネルギーを有する。いくつかの有用なコモノマーの例としては、これらに限定されるものではないが、酢酸ビニル、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2,3,3トリフルオロプロペン、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、及び2-クロロ-1-1-ジフルオロエチレン(R-1122)が挙げられる。HFPは良好な接着性を付与する。官能性コモノマーとしては、リン酸(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、及びヒドロキシル-官能性(メタ)アクリルコモノマーも使用可能である。
【0042】
本発明で使用される官能性ポリマー性連鎖移動剤とは、低分子量ポリマー性連鎖移動剤が1つ以上の異なる官能基を含むことを意味する。
【0043】
アクリル部
本発明によれば、粒子径が0.05~3μmの水溶性含フッ素ポリマー分散液が提供され、それは、それは、アルキル基が1~18個の炭素原子を有するアルキルアクリレート及びアルキル基が1~18個の炭素原子を有するアルキルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーと、任意にアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートと共重合可能なエチレン性不飽和化合物と、からなる5~95重量部の混合物を、水系溶媒中、100重量部のフッ化ビニリデンポリマーの粒子存在下で乳化重合して得られる。
【0044】
フッ化ビニリデン系ポリマー粒子存在下で乳化重合される1種のモノマーとして使用されるアルキル基が1~18個の炭素原子を有するアクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、ラウリルアクリレート等が挙げられる。これらのうち、アルキル基が1~8個の炭素原子を有するアルキルアクリレートが好ましく、アルキル基が1~5個の炭素原子を有するアルキルアクリレートがより好ましい。これらの化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用可能である。
【0045】
乳化重合される他のモノマーとして使用されるアルキル基が1~18個の炭素原子を有するアルキルメタクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリルレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、へキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等が挙げられる。これらのうち、アルキル基が1~8個の炭素原子を有するアルキルメタクリレートが好ましく、アルキル基が1~5個の炭素原子を有するアルキルメタクリレートがより好ましい。これらの化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用可能である。
【0046】
アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートと共重合可能な任意のエチレン性不飽和化合物は、(A)官能基含有アルケニル化合物と(B)官能基非含有アルケニル化合物とを含む。
【0047】
官能基含有アルケニル化合物(A)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等のα,β-不飽和カルボン酸;酢酸ビニル等のビニルエステル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド、N,N-ジアルキルアクリルアミド、N,N-ジアルキルメタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等のアミド化合物;2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ジアルキルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、フルオロアルキルアクリレート等のアクリル酸エステル;ジアルキルアミノエチルメタクリレート、フルオロアルキルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等のメタクリル酸エステル;アリルグリシジルエーテル等のアルケニルグリシジルエーテル化合物が挙げられる。これらのうち、好ましいものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及びアリルグリシジルエーテルが挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用可能である。
【0048】
官能基非含有アルケニル化合物(B)としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;スチレン、α-メチルスチレン、スチレンハライド等の芳香族アルケニル化合物;ジビニルベンゼン等のジビニル炭化水素化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアルケニルシアニド類が挙げられる。これらのうち、好ましいものとしては、1,3-ブタジエン、スチレン、アクリロニトリルが挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用可能である。
【0049】
官能基含有アルケニル化合物(A)は、モノマー混合物の重量を基準として50重量%未満の割合で使用し、官能基非含有アルケニル化合物(B)は、モノマー混合物の重量を基準にして30重量%未満の割合で使用することが好ましい。
【0050】
アルキルアクリレートとアルキルメタクリレートとの両方を使用する場合、これら2つのエステルの割合は重要ではなく、得られる含フッ素ポリマーの所望の特性に応じて適切に変更可能である。
【0051】
当業者であれば、架橋反応を起こすことが可能な官能基を含む係るモノマーが1種含まれる限り、アクリルモノマーと共に共重合可能であることが知られている既知のアクリルモノマー及びエチレン性不飽和モノマーのいずれかを置換できることを認識するであろう。ただし、モノマーの主要部はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択されなければならず、残りの選択されたモノマーの少なくとも1種は架橋反応を起こすことが可能でなければならない。
【0052】
架橋剤
使用されるアクリル変性フルオロポリマー樹脂は、その官能基の自己縮合によって、又は触媒及び/或いはメラミン樹脂やエポキシ樹脂等の架橋剤並びに既知の低分子量架橋剤との反応によって架橋することができ、該低分子量架橋剤としては、例えば、2以上のポリイソシアネート、ポリアジリジン、ポリカルボジイミド、ポリオキサゾリン、グリオキサール、二官能性及び三官能性アセトアセテート等のジアルデヒド、マロン酸塩、アセタール、チオール並びにアクリレート、脂環式エポキシ分子、エポキシシラン及びアミノシラン等のオルガノシラン、カルバメート、ジアミン、トリアミン、特定の亜鉛及びジルコニウム塩等の無機キレート剤、チタナイト、グリコールウリル並びにその他のアミノプラストが挙げられる。場合によっては、界面活性剤、開始剤、シード粒子等の他の重合成分からの官能基が架橋反応に関与可能である。2種以上の官能基が架橋プロセスに関与する場合、相補的な反応性基の例示的な対は、例えば、ヒドロキシル-イソシアネート、酸-エポキシ、アミン-エポキシ、ヒドロキシル-メラミン、アセトアセテート-酸がある。他の相補的な官能基は当技術分野でよく知られており、本発明によって同等のものとして考えられる。当業者であれば、本発明によって考えられる樹脂は、自己縮合(自己反応)により、又は触媒の使用の有無にかかわらず外からの架橋剤の使用により架橋することを理解されるであろう。また、架橋は、同一分子上又は異なる分子上の2つの異なる官能基の反応によって起こり得ることが明らかであろう。触媒は、通常の方法で硬化を促進すること又は必要な硬化温度を下げることの一方の機能を果たす。
【0053】
重合後に架橋反応を開始することが可能な官能基を含まないアクリレート及び/又はメタクリレートモノマーは、好ましくは全モノマー混合物の70重量パーセント以上であり、より好ましくは90重量パーセント超である。
【0054】
乳化重合
水溶性ポリフルオロポリマー-アクリル組成物は、上記フッ化ビニリデンポリマー粒子100重量部の存在下、水性媒体中で上記アクリルモノマー5~100重量部、特に好ましくは5~95重量部、好ましくは20~90重量部を乳化重合させることにより得ることができる。乳化重合は、乳化重合条件下で行うことができる。乳化重合プロセスは、当該技術分野において知られている。フルオロポリマー粒子、好ましくはフッ化ビニリデンポリマー粒子をシート粒子として使用する乳化-重合は、知られている方法に従って実施することができ、例えば、フルオロポリマー粒子、好ましくはフッ化ビニリデンポリマー粒子の存在下でモノマーの全量を一度に反応系に供給する方法、モノマーの一部を供給して反応させ、それから残りのモノマーを連続的或いは部分的に供給する方法、モノマーの全量を連続的に供給する方法、又はモノマーを反応させながらフルオロポリマー粒子を部分的或いは連続的に添加する方法等がある。
【0055】
フルオロポリマー粒子、好ましくはフッ化ビニリデンポリマー粒子は、水系溶媒中に粒子の形態で分散していれば、重合系にいかなる状態で添加してもよい。フッ化ビニリデンポリマーは、通常、水溶性分散液として製造されることから、製造されたままの水溶性分散液をシード粒子として使用することが適切である。フルオロポリマー粒子、好ましくはフッ化ビニリデン系ポリマー粒子の粒子径は、当該ポリマーの、対象の水溶分散液中に存在するポリマー粒子の径に応じて変更し得るが、通常は、好ましくは0.04~2.9ミクロンの範囲内である。好ましい実施形態では、ポリマー粒子の直径は、好ましくは50nm~700nmである。
【0056】
モノマー混合物の大部分はフルオロポリマー粒子、好ましくはフッ化ビニリデンポリマー粒子に吸収又は吸着され、粒子を膨潤させながら重合されると考えられる。
【0057】
本発明によれば、ポリマーの水溶性分散液中の含フッ素ポリマーの平均粒子径は、0.05~3μm、好ましくは0.05~1μm、より好ましくは0.1~1μmである。平均粒子径が0.05μm未満では、得られる水溶性分散液の粘度が高い、それ故、高濃度の固形分の水溶性分散液を得ることができず、且つ使用条件次第で機械的せん断条件が厳しい場合、凝固物が形成される。平均粒子径が3μmを超える場合、水溶性分散液の保存安定性に乏しい。
【0058】
架橋可能なAMFポリマーを含む水溶性分散液は、そのままでも使用できるが、添加剤と混合して使用できる。
【0059】
重合生成物は、ラテックスであり、それは通常、重合プロセスからの固体副生成物の濾過後にその形態で使用でき、又は凝固して固体を単離し、次にその固体を洗浄及び乾燥することができる。ラテックス形態で使用するために、ラテックスは界面活性剤の添加によって安定化することができ、それは(もしあれば)重合中に存在する界面活性剤と同一又は異なってもよい。この後に添加される界面活性剤は、例えば、イオン性又は非イオン性界面活性剤でもよい。本発明の一実施形態では、フッ素系界面活性剤をラテックスに添加しない。固体生成物の場合、ラテックスは、機械的に、又は塩或いは酸の添加によって凝固させ、次いで、濾過等のよく知られた手段によって単離することができる。一旦単離された固体生成物は、洗浄又は他の技術によって精製することができ、それを粉末として使用するために乾燥させることができ、該粉末を顆粒又はペレット等に更に加工させることができる。
【0060】
フルオロポリマーアクリル組成物は、水中のラテックスとして、又は溶媒溶液として、基材に塗布され、該溶媒は、本明細書に記載されているものの中から選択される。
【0061】
一実施形態では、前記基材は多孔質であり、例えば多孔質膜である。
【0062】
無機粒子
バインダー組成物は、微細孔を形成し、セパレータコート中のスペーサーとして物理的形状を維持するのに役立つ無機粒子を任意に含み、好ましくは含有する。無機粒子は、バッテリ部品の耐熱性にも役立つ。
【0063】
セパレータコートでは、無機粒子は粉末状の粒子状物質であり、電気化学的に安定している必要がある(駆動電圧の範囲で酸化及び/又は還元を受けてはならない)。さらに、粉末状の無機材料は、好ましくは、高いイオン伝導性を有する。製造されるバッテリの重量を減らすことができるので、高密度の材料よりも低密度の材料が好ましい。誘電率は好ましくは5以上である。無機粉末材料は通常セラミックである。本発明における有用な無機粉末材料は、以下に限定されるものではないが、BaTiO3、Pb(Zr,Ti)O3、Pb1-xLaxZry3(0<x<1,0<y<1)、PBMg3Nb2/33、PbTiO3、ハフニア(HfO(HfO2))、SrTiO3、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、ZnO、Y23、ベーマイト(y-AlO(OH))、Al23、SiC、ZrO2、ケイ酸ホウ素、BaSO4、ナノ-粘土又はそれらの混合物を含む。有用な有機繊維は、以下に限定されるものではないが、アラミドフィラー及び繊維、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエーテルケトン繊維、PTFE繊維、並びにナノファイバーが挙げられる。
【0064】
ポリマー固体と無機材料との比率は、ポリマーバインダー固体0.5~25重量部と粉末状無機材料75~99.5重量部とであり、好ましくはポリマーバインダー固体分0.5~15重量部と粉末状無機材料85~99.5重量部とであり、より好ましくはポリマーバインダー固体1~10重量部と粉末状材料90~99重量部とであり、そして一実施形態ではポリマーバインダー固体0.5~8重量部と粉末状無機材料92~99.5重量部である。ポリマーがほとんどない使用されない場合、完全な相互接続性が得られないことがある。組成物の用途の1つは、非常に小型で軽量なバッテリであり、それ故、過剰なポリマーは、組成物が体積を占め、重量を増加させるため、望ましくない。
【0065】
他の添加物
本発明のバインダー組成物は、下記に限定されないが、ポリマーを基準として0~15重量パーセント、好ましくは0.1~10重量パーセントの、増粘剤、pH調整剤、沈降防止剤、界面活性剤、湿潤剤、フィラー、消泡剤、及び不堅牢定着剤を任意に含むことができる。
【0066】
本発明のバインダー組成物は、優れた乾式接着性を有する。乾燥接着性は、多相ポリマーの溶液をアルミホイルにキャストして乾燥後に厚さ3ミクロンの固体の未充填ポリマーフィルムを形成し、剥離強度を測定することによって決定できる。
【0067】
湿式接着性は、アルミホイル上の3ミクロンの固体フィルムを電解液に60℃で72時間浸し、欠陥と層間剥離を探すことによって判断できる。
【0068】
コートセパレータの形成
セパレータコートとしての使用:
多孔質セパレータは、本発明の架橋性AMFポリマーを含むコート組成物を少なくとも一方の面にコートされている。それが細孔を有する多孔質基材である限り、本発明の水溶性コート組成物でコートされるセパレータ基材を選択することに特に制限はない。好ましくは、基材は、120℃を超える融点を有する耐熱性多孔質基材である。そのような耐熱性多孔質基材は、外部及び/又は内部の熱衝撃下でのコートセパレータの熱安全性を改善することができる。
【0069】
多孔質基材は、膜又は繊維状ウェブの形態をとることができる。セパレータに使用される多孔質基材は当技術分野で知られている。
【0070】
セパレータとしての本発明で有用な多孔質基材の例は、下記に限定されるものではないが、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレン又はそれらの混合物を含む。他の耐熱性エンジニアリングプラスチックは特に制限なく使用可能である。天然及び合成材料の不織布材料も、セパレータの基材として使用可能である。
【0071】
バインダーは、ラテックスの形でセパレータにコートし、又は無機粒子或いは他の添加剤とブレンドしてから塗布することができる。ポリマーバインダーは、溶媒に溶解してからセパレータに塗布し、又は溶媒に溶解して無機粒子又は他の添加剤とブレンドしてから塗布することもできる。
【0072】
バインダーコート組成物は、溶液、溶媒分散液、又は水溶性分散液であること可能であり、それは、ブラシ、ローラー、インクジェット、ディップ、ナイフ、グラビア、ワイヤーロッド、スキージ、フォームアプリケーター、カーテンコート、真空コート、又はスプレー等の当技術分野で知られている手段によって多孔質基材の少なくとも一方の面に塗布される。次に、コートは室温又は高温下、セパレータ上で乾燥させる。最終的な乾燥コートの厚さは、0.5~15ミクロン、好ましくは1~8ミクロン、より好ましくは1~5ミクロンである。
【0073】
本発明のコートセパレータは、当技術分野で知られている手段によって、バッテリ、コンデンサ、電気二重層コンデンサ、燃料電池用の膜電極アセンブリ(MEA)等の電気化学デバイスを形成するために使用することができる。非水系バッテリは、コートセパレータの両面に負極と正極を配置することで形成できる。
【0074】
本発明の態様
【0075】
態様1.
セパレータの少なくとも一方の面に接着層(バインダーコート)を含み、前記接着層が、フルオロポリマー-アクリル組成物を含み、前記組成物が、フルオロポリマー-アクリル樹脂を含み、前記樹脂が、フルオロポリマー-アクリル樹脂の総重量を基準としてアクリルモノマー単位5~50wt%を含み、前記樹脂が、架橋され、前記樹脂が、フルオロポリマーシードの存在下でアクリルモノマーを重合した重合物を含む組成物である、リチウムイオンバッテリ用コートセパレータ。
【0076】
態様2.
前記フルオロポリマーシードが、フッ化ビニリデン(VDF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(VF3)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、フッ化ビニル(VF)、ヘキサフルオロイソブチレン、ペルフルオロブチルエチレン(PFBE)、ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2-クロロ-1-1-ジフルオロエチレン(R-1122)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、2-フルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロペン、フッ素化ビニルエーテル、フッ素化アリルエーテル、非フッ素化アリルエーテル、フッ素化ジオキソール又はそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを含む、態様1に記載のコートセパレータ。
【0077】
態様3.
前記フルオロポリマーシードが、ビニリデンフルオリドポリマー、好ましくはVDFを少なくとも50重量パーセント、好ましくはVDFを少なくとも70重量パーセント含む、態様1に記載のコートセパレータ。
【0078】
態様4.
前記フルオロポリマーシードが、ヘキサフルオロプロピレンを3~30wt%含む、態様1~3のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0079】
態様5.
前記シードが、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマーを含み、フルオロポリマー-アクリル樹脂中のヘキサフルオロプロピレンモノマー単位の総重量パーセントが、前記接着層中のポリマーの総重量パーセントを基準として5~20%、好ましくは10~20wt%である、態様1に記載のコートセパレータ。
【0080】
態様6.
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂中のアクリルモノマー単位の前記総重量パーセントが15~40wt%である、態様1~5のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0081】
態様7.
前記アクリルポリマーが、架橋可能な官能基含有モノマーを含む、態様1~6のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0082】
態様8.
前記アクリルポリマーが、エチルアクリレート(EA)、メチルアクリレート(MA)、ブチルアクリレート(BA)、アリルオキシプロパンジオール(AOPD)、アミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート(EMA)、メチルメタクリレート(MMA)、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、アセト酢酸エチルメタクリレート(AEAまたはAAEM);このうち、エチルアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート及びメチルメタクリレートが好ましい;α,β-不飽和カルボン酸(アクリル酸又はAA、メタクリル酸(maa又はMAA)、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸又はIA)、ビニルエステル化合物、アミド化合物(アクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド又はNMA、N-アルキルアクリルアミド、N-ジアルキルメタクリルアミド、N-ジアルキルアクリルアミド、イソブトキシメタクリルアミド(IBMA又はiBMA))、水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(例えば、ヒドロキシルエチルメタクリレート又はHEMA、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールエチルアクリレート又はDGEA)、エポキシ基含有モノマー(例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート又はGMA)、シラノール含有モノマー(例えば、γ トリメトキシシランメタクリレート、γ トリエトキシシランメタクリレート、トリメチルシリルプロピルアクリレート(TMPA又はTMSPA))、アクロレイン等のアルデヒド基含有モノマー、アクリロニトリルメタクリロニトリル等のシアン化アルケニル及びそれらの組合せ等からなる群から選択されるモノマーを含む、態様1~6のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0083】
態様9.
前記アクリルポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸などのα,β-不飽和カルボン酸;酢酸ビニル等のビニルエステル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド、N,N-ジアルキルアクリルアミド、N,N-ジアルキルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド化合物類;2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ジアルキルアミノエチルアクリルレート、グリシジルアクリレート、フルオロアルキルアクリレート等のアクリル酸エステル;ジアルキルアミノエチルメタクリレート、フルオロアルキルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等のメタクリル酸エステル;及びアリルグリシジルエーテル等のアルケニルグリシジルエーテル化合物からなる群から選択されるモノマーを含む、態様1~6のいずれか1つに記載のコートセパレータ。
【0084】
態様10.
前記アクリルポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及びアリルグリシジルエーテルからなる群から選択されるモノマーを含む、態様1~6のいずれか一つのコートセパレータ。
【0085】
態様11.
前記アクリル系モノマーの少なくとも1種以上が、メチルメタクリレート、メタクリル酸、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、アクリル酸、ジアセトンアクリルアミド、ポリメトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様1~6のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0086】
態様12.
前記多孔質セパレータが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレン、及びポリフッ化ビニリデンからなる群から選択されるポリマーで作られる、態様1~11のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0087】
態様13.
セパレータの少なくとも一方の面がコートされた接着層の厚さは、0.5~10マイクロメートルである、態様1~12のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0088】
態様14.
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、自己架橋性である、態様1~13のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0089】
態様15.
前記フルオロポリマー-アクリル組成物が架橋剤を含む、態様1~13のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0090】
態様16.
前記架橋剤は、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート、2官能以上のポリイソシアネート、ポリアジリジン、ポリカルボジイミド、ポリオキサゾリン、グリオキサール等のジアルデヒド、2、3官能のアセト酢酸塩、マロネート、酢酸塩、チオール及びアクリレート、シクロ脂肪族エポキシ分子、カルバメート、ジアミン及びトリアミン、特定の亜鉛及びジルコニウム塩等の無機キレート剤、チタント、グリコール及び他のアミノプラストイソシアナート、ジアミン、アジピン酸、ジヒドラジド並びにそれらの組合せ等からなる群から選択される、態様15に記載のコートセパレータ。
【0091】
態様17.
前記架橋剤が、イソシアネート、ジアミン、アジピン酸、ジヒドラジド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様15に記載のコートセパレータ。
【0092】
態様18.
前記接着層が、ポリマーと無機粒子の総重量を基準として、無機粒子を50~99重量パーセント更に含み、前記無機粒子が電気化学的に安定な無機粒子である、態様1~17のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0093】
態様19.
前記接着層が、ポリマーと無機粒子の総重量を基準として、無機粒子を50~99重量%更に含み、前記無機粒子が電気化学的に安定な無機粒子であり、前記無機粒子がBaTiO3、Pb(Zr,Ti)O3、Pb1-xLaxZry3(0<x<1,0<y<1)、PBMg3Nb2/33、PbTiO3、hafnia(HfO(HfO2)、SrTiO3、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、ZnO、Y23、ベーマイト(y-AlO(OH))、Al23、SiO2、SiC、ZrO2、ボロンシリケート、BaSO4、ナノ-粘土、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様1~17のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0094】
態様20.
前記接着層が、ポリマーと無機粒子の総重量を基準にして、無機粒子を50~99重量%更に含み、前記無機粒子が電気化学的に安定な無機粒子であり、前記無機粒子がMgO、ベーマイト(y-AlO(OH))、Al23、ナノ-粘土、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様1~17のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0095】
態様21.
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、1マイクロメートル未満、好ましくは500nm未満、好ましくは400nm未満、好ましくは300nm未満の平均粒子サイズを有する個別の樹脂粒子を含む、態様1~20のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0096】
態様22.
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、溶媒に溶解されたポリマーから形成された膜を含む、態様1~20のいずれか一つに記載のコートセパレータ。
【0097】
態様23.
前記溶媒が、n-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、トリエチルホスファイト(TEP)、アセトン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MiBK)、酢酸エチル(EA)、酢酸ブチル(BA)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様22に記載のコートセパレータ。
【0098】
態様24.
アノード、カソード及び態様1~22のいずか一つに記載のセパレータを含む、バッテリ。
【0099】
態様25.
電気化学デバイスの部品であって、
前記部品の少なくとも一方の面に乾燥架橋フルオロポリマー-アクリル組成物が直接コートされ、
フルオロポリマー-アクリル組成物が、フルオロポリマー-アクリル樹脂を含み、
前記樹脂が、フルオロポリマー-アクリル樹脂の総重量を基準としてアクリルモノマー単位を5~50重量%含み、
前記樹脂が、フルオロポリマーシードの存在下でアクリルモノマーを重合した重合物を含む組成物であり、
前記被覆部材が、セパレータ又は電極であり;
前記乾燥架橋フルオロポリマー-アクリル組成物が、180度剥離強度測定で10N/m以上、好ましくは15N/m以上の乾燥接着強度を有する、電気化学デバイスの部品。
【0100】
態様26
a)セパレータの少なくとも一方の面に、架橋性フルオロポリマー-アクリル組成物をディップコート、スプレーコート、マイクロ-グラビアコート又はスロットコートするステップと、
b)前記コートされたセパレータを25~85℃の温度で乾燥させ、乾燥接着層をセパレータ上に形成するステップとを含み、
前記組成物は、フルオロポリマー-アクリル樹脂を含み、該樹脂は、該フルオロポリマー-アクリル樹脂の総重量を基準として、アクリルモノマー単位を5~50wt%有し、該樹脂は、フルオロポリマーシードとアクリルモノマーとを重合した重合物を含む組成物である、コートセパレータの形成方法。
【0101】
態様27
前記フルオロポリマーシードが、フッ化ビニリデン(VDF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(VF3)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、フッ化ビニル(VF)、ヘキサフルオロイソブチレン、ペルフルオロブチルエチレン(PFBE)、ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2-クロロ-1-1-ジフルオロエチレン(R-1122)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、2-フルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロペン、フッ素化ビニルエーテル、フッ素化アリルエーテル、非フッ素化アリルエーテル、フッ素化ジオキソール又はそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも一つのモノマーを含む、態様26に記載の方法。
【0102】
態様28
前記フルオロポリマーシードが、ビニリデンフルオロポリマー、好ましくはVDFを少なくとも50重量パーセント、好ましくはVDFを少なくとも70重量パーセント含む、態様26に記載の方法。
【0103】
態様29
前記フルオロポリマーシードが、ヘキサフルオロプロピレンを3~30wt%含む、態様26~28のいずれか一つに記載の方法。
【0104】
態様30
前記シードが、ポリビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマーを含み、フルオロポリマー-アクリル樹脂中のヘキサフルオロプロピレンモノマー単位の前記総重量パーセントが、前記接着層中のポリマーの総重量パーセントを基準として5~20%、好ましくは10~20wt%である、態様26に記載の方法。
【0105】
態様31
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂中のアクリルモノマー単位の総重量パーセントが、15~40wt%である、態様26~30のいずれか一つに記載の方法。
【0106】
態様32
前記アクリルポリマーが、架橋可能な官能基含有モノマーを含む、態様26~31のいずれか一つに記載の方法。
【0107】
態様33
前記アクリルポリマーが、エチルアクリレート(EA)、メチルアクリレート(MA)、ブチルアクリレート(BA)、アリルオキシプロパンジオール(AOPD)、アミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート(EMA)、メチルメタクリレート(MMA)、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、アセト酢酸エチルメタクリレート(AEAまたはAAEM);このうち、エチルアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート及びメチルメタクリレートが好ましい;α,β-不飽和カルボン酸(アクリル酸又はAA、メタクリル酸(maa又はMAA)、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸又はIA)、ビニルエステル化合物、アミド化合物(アクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド又はNMA、N-アルキルアクリルアミド、N-ジアルキルメタクリルアミド、N-ジアルキルアクリルアミド、イソブトキシメタクリルアミド(IBMA又はiBMA))、水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(例えば、ヒドロキシルエチルメタクリレート又はHEMA、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールエチルアクリレート又はDGEA)、エポキシ基含有モノマー(例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート又はGMA)、シラノール含有モノマー(例えば、γ トリメトキシシランメタクリレート、γ トリエトキシシランメタクリレート、トリメチルシリルプロピルアクリレート(TMPA又はTMSPA))、アクロレイン等のアルデヒド基含有モノマー、アクリロニトリルメタクリロニトリル等のシアン化アルケニル及びそれらの組合せ等からなる群から選ばれるモノマーを含む、態様26~31のいずれか一つに記載の方法。
【0108】
態様34
前記アクリルポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸及びイタコン酸等のα,β-不飽和カルボン酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド、N-ジアルキルアクリルアミド、N,N-ジアルキルメタクリルアミド、ジアセトンアミド等のアミド化合物;ジアルキルアミノエチルメタクリレート、フルオロアルキルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート等のアクリル酸エステル;アリルグリシジルエーテル等のアルケニルグリシジルエーテル化合物からなる群から選択されるモノマーを含む、態様26~31のいずれか一つに記載の方法。
【0109】
態様35
前記アクリルポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及びアリルグリシジルエーテルからなる群より選択されるモノマーを含む、態様26~31のいずれか一つに記載の方法。
【0110】
態様36
前記アクリルモノマーの少なくとも1種以上は、メチルメタクリレート、メタクリル酸、メタクリルレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、アクリル酸、ジアセトンアクリルアミド、ポリメトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様26~31のいずれか一つに記載の方法。
【0111】
態様37
前記多孔質セパレータが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレン、及びポリビニリデンフルオライドからなる群より選択されるポリマーで作製される、態様26~36のいずれか一つに記載の方法。
【0112】
態様38
前記セパレータの少なくとも一方の面をコートする前記接着層の厚さが0.5~10マイクロメートルである、態様26~37のいずれか一つに記載の方法。
【0113】
態様39
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、自己架橋性である、態様26~38のいずれか一つに記載の方法。
【0114】
態様40
前記フルオロポリマー-アクリル組成物が、架橋剤を含む、態様26~38のいずれか一つに記載の方法。
【0115】
態様41
前記架橋剤は、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート、2官能以上のポリイソシアネート、ポリアジリジン、ポリカルボジイミド、ポリオキサゾリン、グリオキサールなどのジアルデヒド、ジおよびトリファンクショナルアセトアセテート、マロネート、アセタール、チオールおよびアクリレート、シクロ脂肪族エポキシ分子、カルバメート、ジアミン、及びトリアミン、特定の亜鉛及びジルコニウム塩等の無機キレート剤、チタント、グリコール及び他のアミノプラストイソシアナート、ジアミン、アジピン酸、ジヒドラジド並びにそれらの組合せ等からなる群から選択される、態様40に記載の方法。
【0116】
態様42
前記架橋剤は、イソシアネート、ジアミン、アジピン酸、ジヒドラジド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様40に記載の方法。
【0117】
態様43
前記接着層が、ポリマーと無機粒子の前記総重量を基準として、無機粒子を50~99重量パーセント更に含み、前記無機粒子が電気化学的に安定な無機粒子である、態様26~42のいずれか一つに記載の方法。
【0118】
態様44
前記接着層が、ポリマーと無機粒子との総重量を基準として、無機粒子を50~99重量パーセント更に含み、前記無機粒子が電気化学的に安定な無機粒子であり、前記無機粒子がBaTiO3、Pb(Zr,Ti)O3、Pb1-xLaxZry3(0<x<1,0<y<1)、PBMg3Nb2/33、PbTiO3、hafnia(HfO(HfO2)、SrTiO3、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、ZnO、Y23、ベーマイト(y-AlO(OH))、Al23、SiO2、SiC、ZrO2、ボロンシリケート、BaSO4、ナノ-粘土、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様26~42のいずれか一つに記載の方法。
【0119】
態様45.
前記接着層が、ポリマーと無機粒子との総重量を基準として、無機粒子を50~99重量パーセント更に含み、前記無機粒子が電気化学的に安定な無機粒子であり、前記無機粒子がMgO、ベーマイト(y-AlO(OH))、Al23、ナノ-粘土、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様26~42のいずれか一つに記載の方法。
【0120】
態様46.
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、3マイクロメートル未満、好ましくは1マイクロメートル未満、好ましくは500nm未満、好ましくは400nm未満、好ましくは300nm未満の平均粒子サイズを有する個別の樹脂粒子を含む、態様26~45のいずれか一つに記載の方法。
【0121】
態様47.
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、溶媒に溶解されたポリマーから形成された膜を含む、態様26~45のいずれか一つに記載の方法。
【0122】
態様48.
前記溶媒が、n-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、トリエチルホスファイト(TEP)、アセトン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MiBK)、酢酸エチル(EA)、酢酸ブチル(BA)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様47に記載の方法。
【0123】
態様49.
多孔質セパレータの少なくとも一方の面に接着層を含み、
前記接着層が架橋型フルオロポリマー-アクリル組成物を含み、
前記組成物が、フルオロポリマー-アクリル樹脂を含み、前記樹脂が前記フルオロポリマー-アクリル樹脂の総重量を基準として、ヘキサフルオロプロピレンを3~20wt%と、アクリルモノマー単位を5~50wt%とを含み、
前記樹脂が、ビニリデンフロライド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマーシードとアクリルモノマーとを重合した重合物を含む組成物であり、
メタクリル酸、メタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ジアセトンアクリルアミド、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルクリレート及びそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種のアクリルモノマー(s)であり、
前記接着層が、ポリマーと無機粒子との総重量を基準にして、無機粒子を50~99重量パーセント更に含み、前記無機粒子が電気化学的に安定な無機粒子であり、前記無機粒子がMgO、ベーマイト(y-AlO(OH))、Al23、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、リチウムイオンバッテリ用コートセパレータ。
【実施例
【0124】
実施例:
正極への接着強度:
正極の調製:
正極活物質として27.16gのニッケルマンガンコバルト622粉末、導電剤として0.42gのカーボンブラック粉末、及び結合剤として0.42gのポリフッ化ビニリデンを4.83gのN-メチル-ピロリドンに混合した。得られた溶液を例えば2000rpmの高速下で混合した。正極スラリーをアルミホイル上にコートし、オーブンで乾燥し、プレスによってカレンダ加工し正極を得た。
【0125】
剥離試験のためのサンプル調製:
コートされたセパレータ及び正極を、2.5cm×5cmの形状にカットした。セパレータの接着性有機層コート面を正極側に接触させ積層した。積層は85℃、0.62MPaで2分間行い、コートセパレータを正極に接着した。積層後、コートセパレータにバッキングサポート層として片面テープを貼付した。次に、片面テープ、コートセパレータ、及び正極の複合材料を幅1.5cm×長さ5cmにカットした。
【0126】
接着強度試験:
鋼板の厚いブロック(例えば、厚さ約1cm)に両面テープを貼り、電極とコートセパレータを合わせたアルミホイルがコートされていない面を両面テープに貼付し、片面テープとコートセパレータとを剥離して180°剥離試験を行う。剥離試験は、10Nのロードセルと2mm/分の剥離速度で引張モード下、行った。試験された接着力が高いほど、コートセパレータにより多くの電極材料が移行するという傾向が観察される。
【0127】
電解質の膨潤試験:
電解質は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートから構成され、体積比で1:1:1のものが使用された。サンプルは、有機溶媒を使用した溶液から乾燥するか、水を使用した溶液から乾燥することによって調製した。膨潤試験は、乾燥したサンプルを電解液に完全に沈めた状態で60℃、72時間実施した。サンプルの重量を、膨潤試験前(m1)と膨潤試験後(m2)に測定した。次に、膨潤率は(m2-m1)/m1*100%としてみなされた。
【0128】
実施例1:
ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)コポリマーラテックスをシードとして使用し、乳化重合プロセスを使用してフルオロポリマー-アクリル組成物を含むラテックスを合成した。このラテックスの固形分は約50wt%であった。PVDF-HFPコポリマー中のHFP部分の質量パーセントは、約20~22wt%であり、アクリル部分は、ポリマー全体で約50wt%である。アクリル部分には、架橋可能な官能基が含まれる。アクリル部分のガラス転移温度は-25℃である。
【0129】
フルオロポリマー-アクリル組成物を、ラテックスとして(水中で)直接使用した。
【0130】
スラリーを多孔質セパレータに塗布し、60℃で乾燥させた(ラテックススラリーの場合)。接着層の乾燥厚さは1~2μmの範囲である。実施例1のフルオロポリマー-アクリル組成物を含むコートセパレータのカソードへの接着強度は、ラテックススラリーで55.1N/mであった。電解質中のフルオロポリマー-アクリル組成物の平均膨潤率は500%であった。
【0131】
実施例2:架橋性AMFポリマー
ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)コポリマーラテックスをシードとして使用し、乳化重合プロセスを使用してフルオロポリマー-アクリル組成物を含むラテックスを合成した。このラテックスの固形分は約44wt%である。PVDF-HFPコポリマー中のHFP部分の質量パーセントは、約20~22wt%であり、アクリル部分は、ポリマー全体で約30wt%であり、架橋可能な基を含む。アクリル部分のガラス転移温度は46℃である。
【0132】
フルオロポリマー-アクリル組成物をシクロペンタノンの溶媒に溶解し、その溶液濃度が質量で10wt%であった。
【0133】
スラリーを多孔質セパレータに塗布し、60℃のオーブンで乾燥させた。接着層の乾燥厚さは1~2μmの範囲内である。実施例2のフルオロポリマー-アクリル組成物を含むコートセパレータのカソードへの接着強度は平均31.8N/mであり、電解質中のフルオロポリマー-アクリル組成物の平均膨潤率は900wt%であった。
【0134】
実施例3:架橋可能なAMFポリマーとVDF/HFPコポリマーとのブレンド
実施例2のフルオロポリマー-アクリル組成物をポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(HFP10%含有PVDF-HFP、)コポリマーと混合してアクリル25wt%含有組成物を得たことを除き、実施例2と同じ手順でセパレータをコートした。
【0135】
実施例3の材料で塗布されたセパレータの正極への接着強度は平均17.1N/mであり、電解液への膨潤率は650wt%であった。
【0136】
比較例1:PVDFコポリマー-非アクリル
ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)コポリマーをシクロペンタノンの溶媒に溶解し、その溶液濃度が質量で10wt%であった。PVDF-HFPコポリマー中のHFP部の質量%は約4~6wt%である。このコポリマーをシクロペンタノンの溶媒に溶解し、溶液濃度が質量で10wt%であった。
【0137】
スラリーをセパレータに塗布し、60℃のオーブンで乾燥させた。接着層の乾燥厚さは1~2μmの範囲内である。比較例1の材料で塗布されたセパレータのカソードへの接着強度は3N/m未満であり、電解質中の材料の膨潤比は平均で160重量%であった。
【0138】
比較例2:架橋されていない
ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)コポリマーラテックスをシードとして使用し、乳化重合プロセスを使用してフルオロポリマー-アクリル組成物を含むラテックスを合成した。このラテックスの固形分は約44wt%である。PVDF-HFPコポリマー中のHFP部分の質量パーセントは、約20~22wt%であり、アクリル部分は、ポリマー全体で約30wt%である。アクリル部分のガラス転移温度は55℃である。
【0139】
フルオロポリマー-アクリル組成物をシクロペンタノンの溶媒に溶解し、その溶液濃度が質量で10wt%であった。
【0140】
スラリーを多孔質セパレータに塗布し、60℃のオーブンで乾燥させた。接着層の乾燥厚さは1~2μmの範囲であった。比較例2のフルオロポリマー-アクリル組成物でコートされたセパレータのカソードへの接着強度は、平均して13.7N/mであり、実施例2の材料は電解質に溶解した。
【0141】
比較例3:(フィジカルブレンド)架橋されていない
ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)コポリマーをアクリル型樹脂と混合して、アクリル質量比が30wt%であり、PVDF-HFPコポリマー中のHFP含有量が約8~10wt%である。アクリル系樹脂のガラス転移温度は約70℃である。
【0142】
材料をシクロペンタノンの溶媒に溶解し、その溶液濃度が質量で10wt%であった。比較例3の材料でコートされたセパレータのカソードへの接着強度は3N/m未満であり、質量欠損によって示されるように、材料の一部が電解質に溶解した。
【0143】
【表1】
【手続補正書】
【提出日】2022-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータの少なくとも一方の面に接着層(バインダーコート)を含み、
前記接着層が、フルオロポリマー-アクリル組成物を含み、
前記組成物が、フルオロポリマー-アクリル樹脂を含み、
前記樹脂が、フルオロポリマー-アクリル樹脂の総重量を基準としてアクリルモノマー単位を5~50wt%有し、
前記樹脂が、架橋され、
前記樹脂が、フルオロポリマーシードの存在下でアクリルモノマーを重合した重合物を含む組成物である、リチウムイオンバッテリ用コートセパレータ。
【請求項2】
前記フルオロポリマーシードが、VDFを少なくとも50重量パーセント、より好ましくはVDFを少なくとも70重量パーセント含むフッ化ビニリデンポリマーを含む、請求項1に記載のコートセパレータ。
【請求項3】
前記フルオロポリマーシードが、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマーを含み、
フルオロポリマー-アクリル樹脂中のヘキサフルオロプロピレンモノマー単位の総重量パーセントが、前記接着層中のフルオロポリマー-アクリル樹脂の総重量パーセントを基準として5~20wt%、好ましくは10~20wt%である、請求項1に記載のコートセパレータ。
【請求項4】
前記フルオロポリマーシードが、ヘキサフルオロプロピレンを3~30wt%含む、請求項1~のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項5】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、架橋可能な官能基含有モノマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項6】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、エチルアクリレート(EA)、メチルアクリレート(MA)、ブチルアクリレート(BA)、アリルオキシプロパンジオール(AOPD)、アミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート(EMA)、メチルメタクリレート(MMA)、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、アセト酢酸エチルメタクリレート(AEAまたはAAEM);このうち、エチルアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート及びメチルメタクリレートが好ましい;α,β-不飽和カルボン酸(アクリル酸又はAA、メタクリル酸(maa又はMAA)、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸又はIA)、ビニルエステル化合物、アミド化合物(アクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド又はNMA、N-アルキルアクリルアミド、N-ジアルキルメタクリルアミド、N-ジアルキルアクリルアミド、イソブトキシメタクリルアミド(IBMA又はiBMA))、水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(例えば、ヒドロキシルエチルメタクリレート又はHEMA、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールエチルアクリレート又はDGEA)、エポキシ基含有モノマー(例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート又はGMA)、シラノール含有モノマー(例えば、γ トリメトキシシランメタクリレート、γ トリエトキシシランメタクリレート、トリメチルシリルプロピルアクリレート(TMPA又はTMSPA))、アクロレイン等のアルデヒド基含有モノマー、アクリロニトリルメタクリロニトリル等のシアン化アルケニル及びそれらの組合せ等からなる群から選択されるモノマーを含む、請求項1~のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項7】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及びアリルグリシジルエーテルからなる群から選択されるモノマー単位を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項8】
前記アクリルモノマーの少なくとも1種以上が、メチルメタクリレート、メタクリル酸、メタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、アクリル酸、ジアセトンアクリルアミド、ポリメトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項9】
前記接着層が、ポリマーと無機粒子との総重量を基準として、無機粒子を50~99重量パーセント更に含み、
前記無機粒子が電気化学的に安定な無機粒子である、請求項1~のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項10】
前記接着層が、ポリマーと無機粒子との総重量を基準として、無機粒子を50~99重量パーセント更に含み、
前記無機粒子が電気化学的に安定な無機粒子であり、前記無機粒子が、MgO、ベーマイト(y-AlO(OH))、Al23、ナノ-粘土、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載のコートセパレータ。
【請求項11】
電気化学デバイスの部品であって、
前記部品の少なくとも一方の面に乾燥架橋フルオロポリマー-アクリル組成物が直接コートされ、
フルオロポリマー-アクリル組成物が、フルオロポリマー-アクリル樹脂を含み、
前記樹脂が、フルオロポリマー-アクリル樹脂の総重量を基準としてアクリルモノマー単位を5~50wt%含み、
前記樹脂が、フルオロポリマーシードの存在下でアクリルモノマーを重合した重合物を含む組成物であり、
前記被覆部材が、セパレータ又は電極であり;
前記乾燥架橋フルオロポリマー-アクリル組成物が、180度剥離強度測定で10N/m以上、好ましくは15N/m以上の乾燥接着強度を有する、電気化学デバイスの部品。
【請求項12】
a)セパレータの少なくとも一方の面に、架橋性フルオロポリマー-アクリル組成物をコートするステップと、
b)前記コートセパレータを25~85℃の温度で乾燥させ、乾燥接着層をセパレータ上に形成するステップとを含み、
前記組成物は、フルオロポリマー-アクリル樹脂を含み、該樹脂は、該フルオロポリマー-アクリル樹脂の総重量を基準として、アクリルモノマー単位を5~50wt%有し、
前記樹脂は、フルオロポリマーシードとアクリルモノマーとを重合した重合物を含む組成物である、コートセパレータの形成方法。
【請求項13】
前記フルオロポリマーシードが、VDFを少なくとも50重量パーセント、より好ましくはVDFを少なくとも70重量パーセント含むフッ化ビニリデンポリマーを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記シードが、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマーを含み、フルオロポリマー-アクリル樹脂中のヘキサフルオロプロピレンモノマー単位の前記総重量パーセントが、前記接着層中のフルオロポリマー-アクリル樹脂の前記総重量パーセントを基準として5~20wt%、好ましくは10~20wt%である、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記フルオロポリマーシードが、ヘキサフルオロプロピレンを3~30wt%含む、請求項1214のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記アクリルポリマーが、架橋可能な官能基含有モノマーを含む、請求項1215のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリルレート及びアリルグリシジルエーテルからなる群から選択されるモノマーを含む、請求項1216のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記アクリルモノマーの少なくとも1種以上が、メチルメタクリレート、メタクリル酸、メタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、アクリル酸、ジアセトンアクリルアミド、ポリメトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1217のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が、自己架橋性である、請求項1218のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記フルオロポリマー-アクリル組成物が、架橋剤を含む、請求項1218のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記接着層が、ポリマーと無機粒子との前記総重量を基準として、無機粒子を50~99重量%更に含み、
前記無機粒子が、電気化学的に安定な無機粒子である、請求項1220のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂は、前記コートするステップの前に溶媒に溶解される、請求項1221のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】