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特表2022-539134二酸化炭素捕捉、捕捉二酸化炭素を組み込んだ製品又は捕捉二酸化炭素を用いて生成した製品、及びそのような製品と関連付けられる経済的利益
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  • 特表-二酸化炭素捕捉、捕捉二酸化炭素を組み込んだ製品又は捕捉二酸化炭素を用いて生成した製品、及びそのような製品と関連付けられる経済的利益 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】二酸化炭素捕捉、捕捉二酸化炭素を組み込んだ製品又は捕捉二酸化炭素を用いて生成した製品、及びそのような製品と関連付けられる経済的利益
(51)【国際特許分類】
   C04B 40/02 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
C04B40/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577200
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 IB2020056094
(87)【国際公開番号】W WO2020261228
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/867,096
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジュニア,グレン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】フォレスト,ブロック アラン
(72)【発明者】
【氏名】ボーシャン,ダミアン
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112RA02
(57)【要約】
本開示は、それにより製品が、そのような製品の市場価値を超える価値を製品に加える方法で調製できる方法を提供し、本開示は、正の正味の結果をもたらす処理に向けて製品の生成を最適化する方法をさらに提供する。製品を調製する方法は、合成酸化物の化合物を利用でき、組み合わせの順序に応じて、二酸化炭素と第2の成分の両方と組み合わせることによって合成酸化物の化合物を改変できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を調製するための方法であって、
合成酸化物の化合物を第2の成分を組み合わせて中間物質を形成すること;及び
前記中間物質に添加される二酸化炭素の少なくとも大部分が前記中間物質と組み合わされてそれと関連付けられる経済的利益を有する炭素改変製品を形成するように前記中間物質に二酸化炭素を添加すること、
を含む、方法。
【請求項2】
製品を調製するための方法であって、
二酸化炭素の少なくとも大部分が合成酸化物の化合物と反応して少なくとも部分的に固体形態である合成炭酸塩化合物を形成するように少なくとも部分的に固体である合成酸化物の化合物に前記二酸化炭素を添加すること;及び
前記合成炭酸塩の化合物を第2の成分と組み合わせてそれと関連付けられる経済的利益を有する炭素改変製品を形成すること、
を含む、方法。
【請求項3】
前記合成酸化物の化合物を形成することをさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記合成酸化物の化合物を形成することが、出発炭酸塩化合物から二酸化炭素を除去することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記出発炭酸塩化合物から除去される二酸化炭素の少なくとも一部が、炭素捕捉される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記合成酸化物の化合物が、アルカリ酸化物の化合物、アルカリ性酸化物の化合物、遷移金属酸化物の化合物及び結晶性酸化物の化合物の1以上を含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の成分が、ケイ酸塩、アルミナ、酸化物、水、セルロース系成分、リグニン系成分、及びヘミセルロース系成分の1以上を含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記炭素改変製品が、コンクリート製品、鉄鋼製品、アスファルト製品、及びプラスチック製品の1以上を含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記炭素改変製品と関連付けられる経済的利益の価値と前記炭素改変製品の調製と関連付けられるコストの間の差として前記炭素改変製品の正味の利益を決定することをさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項10】
それと関連付けられる経済的利益を有する、請求項1又は請求項2に記載の方法に従って調製される炭素改変製品。
【請求項11】
製品の生成を最適化するための方法であって、各炭素改変製品が炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方と関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程を実行することを含む方法によって調製される、複数の炭素改変製品のそれぞれを調製することと関連付けられるコストを決定すること;
各炭素改変製品と関連付けられる経済的利益の価値を決定すること;
各炭素改変製品について、前記複数の炭素改変製品のそれぞれと関連付けられる経済的利益の価値と前記複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストの間の差として正味の利益を決定すること;並びに
正味の利益が正の値を有するように前記複数の炭素改変製品の1以上を形成すること、
を含む、方法。
【請求項12】
前記複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストを決定することが、前記複数の炭素改変製品のそれぞれについて、酸化物の化合物を合成するために出発炭酸塩化合物から二酸化炭素を除去することと関連付けられるコストを決定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストを決定することが、前記複数の炭素改変製品のそれぞれについて、合成酸化物の化合物を第2の成分と組み合わせて中間物質を形成することと関連付けられるコストを決定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストを決定することがさらに、前記複数の炭素改変製品のそれぞれについて、前記中間物質に添加される二酸化炭素の少なくとも大部分が前記中間物質と組み合わされるように前記中間物質に二酸化炭素を添加することと関連付けられるコストを決定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストを決定することが、前記複数の炭素改変製品のそれぞれについて、二酸化炭素の少なくとも大部分が合成酸化物の化合物と反応して少なくとも部分的に固体形態である合成炭酸塩の化合物を形成するように少なくとも部分的に固体形態である合成酸化物の化合物に前記二酸化炭素を添加することと関連付けられるコストを決定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストを決定することがさらに、前記複数の炭素改変製品のそれぞれについて、前記合成炭酸塩の化合物を第2の成分と組み合わせて前記炭素改変製品を形成することと関連付けられるコストを決定することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
各炭素改変製品と関連付けられる経済的利益の価値を決定することが、各製品についての及び各製品と関連付けられる二酸化炭素隔離クレジットの少なくとも一部を決定することを含み、二酸化炭素隔離クレジットがその製品を組み込む実体の構築と資金調達の一方又は両方に基づいて換金可能である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
各炭素改変製品と関連付けられる経済的利益の価値を決定することが、税額控除、税の適用不能性、取引可能な価値、譲渡可能な価値、炭素基準、気候基準、炭素便益指定、気候便益指定、炭素便益認証、及び気候便益認証の1以上の価値を決定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
製品を調製するための方法であって、そのように生成される製品が生産コストよりも大きい価値を有するように炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程を実行することによって製品を形成することを含み、そのような価値が炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に少なくとも部分的に起因する、方法。
【請求項20】
炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程が、合成酸化物の化合物を第2の成分と組み合わせて中間物質を形成することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程がさらに、前記中間物質に添加される二酸化炭素の少なくとも大部分が前記中間物質と組み合わされて炭素改変製品を形成するように前記中間物質に二酸化炭素を添加することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程が、前記二酸化炭素の少なくとも大部分が前記合成酸化物の化合物と反応して少なくとも部分的に固体形態である合成炭酸塩化合物を形成するように少なくとも部分的に固体形態である合成酸化物の化合物に二酸化炭素を添加することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程がさらに、前記合成炭酸塩の化合物を第2の成分と組み合わせて炭素改変製品を形成することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程が、炭素を捕捉するさらなるプロセスから移される熱と電力の一方又は両方を利用することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益が、税額控除、税の適用不能性、取引可能な価値、譲渡可能な価値、炭素基準、気候基準、炭素便益指定、気候便益指定、炭素便益認証、及び気候便益認証の1以上を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、炭素削減、正味のカーボンニュートラル、又は正味のカーボンネガティブである炭素の捕捉及び/又は隔離に関する。より詳細には、本開示は、二酸化炭素の捕捉及び/又は隔離のために改変され、それ自体が、カーボンニュートラル成分又はカーボンネガティブ成分、又は大気中から除去されるか若しくは大気に到達するのを妨げられている炭素から形成される物質に関する。本開示はさらに、1以上の第三者(民間又は公共)から利用可能である、又は利用可能になるであろう1以上の経済的利益又はインセンティブの収益化方法を包含し、そのような経済的利益又はインセンティブは、その中の二酸化炭素の組み込みから、及び/又は少なくとも1つの炭素枯渇成分を用いる調製から直接生じる、低炭素、カーボンニュートラル、又はカーボンネガティブになるように形成された製品と関連付けられる。
【背景技術】
【0002】
背景
大気中に存在する二酸化炭素の量を効果的に削減するために、炭素排出量(特に二酸化炭素)を削減する手段、及び二酸化炭素(人為的発生源又は大気源からの)を捕捉する手段に対する要求が世界中でますます高まっている。この目標と関連付けられる環境上の利益にもかかわらず、特に既存の産業実施に関連する経済的影響が、依然として持続可能な解決の実施に対する大きな障害となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カーボンニュートラル及びカーボンネガティブな産業実施の実行による経済的影響を相殺するために、公的機関と民間企業の両方が、そのような産業実施を行うための経済的利益及び/又はインセンティブを提供する様々なプログラムを設立している。例えば、2018年の超党派予算法は、発電、エタノール及び肥料の生成、天然ガス処理、化学製品の生成、精製、鉄鋼及びセメントの製造、並びに直接的な空気捕捉などの様々な産業における炭素捕捉技術への民間資本の投資を増やすことを意図とした26 U.S.C.§45Q(「炭素酸化物隔離のためのクレジット」)の改革を制定した。カーボンニュートラル及びカーボンネガティブな産業的実施の実行を改善するために、捕捉された二酸化炭素を組み込み、下流の利用に有用である製品、そのような製品の提供方法、並びにそのような製品、その形成、及びその使用と関連付けられ得る経済的利益及び/又はインセンティブ(例えば、税額控除)の収益化方法の必要性が当技術分野に依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、システムの境界定義に応じて、低炭素から正味のカーボンニュートラル、好ましくは正味のカーボンネガティブである、炭素の捕捉及び/又は隔離に関する。より詳細には、本開示は、他の化学物質又は化学物質の複合体への二酸化炭素の組み込みを通じて直接的若しくは間接的な二酸化炭素の隔離又は利用のために改変された物質に関する。本開示はさらに、炭素捕捉及び/又は物質への隔離並びにその後そのような物質から形成され得る製品と関連付けられ得る経済的利益及び/又はインセンティブを実現する方法に関する。
【発明の効果】
【0005】
1以上の実施形態では、本開示は、製品を調製する方法を提供できる。本方法は、特に、少なくとも部分的には気候及び/又は炭素管理において有益な生成方法によって、典型的な市場価値を超えて製品に経済的利益を付与するのに有効であり得る。具体的には、生成の方法は、炭素削減効果を有するか、カーボンニュートラルであり得るか、又はカーボンネガティブであり得る。いくつかの実施形態では、そのような方法は、第2の成分と合成酸化物化合物を組み合わせて、中間物質を形成すること;及び中間物質に添加される二酸化炭素の少なくとも大部分が中間物質と組み合わされて、それと関連付けられる経済的利益を有する炭素改変製品を形成するように、中間物質に二酸化炭素を添加すること、を含み得る。さらなる実施形態では、そのような方法は、以下に記載の1以上に関連して定義でき、それらは任意の数及び順序で組み合されてよい。
本方法はさらに、合成酸化物の化合物を形成することを含むことができる。
合成酸化物の化合物を形成することは、出発炭酸塩化合物から二酸化炭素を除去することを含むことができる。
出発炭酸塩化合物から除去される二酸化炭素の少なくとも一部が、炭素捕捉され得る。
合成酸化物の化合物は、アルカリ酸化物の化合物、アルカリ性酸化物の化合物、遷移金属酸化物の化合物及び結晶性酸化物の化合物の1以上を含むことができる。
第2の成分は、ケイ酸塩、アルミナ、酸化物、水、セルロース系成分、リグニン系成分、及びヘミセルロース系成分の1以上を含むことができる。
炭素改変製品は、コンクリート製品、鉄鋼製品、アスファルト製品、及びプラスチック製品の1以上を含むことができる。
本方法はさらに、炭素改変製品と関連付けられる経済的利益の価値と炭素改変製品の調製と関連付けられるコストとの差として炭素改変製品の正味の利益を決定することを含むことができる。
【0006】
さらなる実施形態では、本開示による方法は、二酸化炭素の少なくとも大部分が合成酸化物の化合物と反応して少なくとも部分的に固体形態である合成炭酸塩化合物を形成するように、少なくとも部分的に固体形態である合成酸化物の化合物に二酸化炭素を添加すること;及び合成炭酸塩化合物を第2の成分と組み合わせて、それと関連付けられる経済的利益を有する炭素改変製品を形成すること、を含むことができる。さらに、本方法は以下に記載の1以上に関連して定義でき、それらは任意の数と順序で組み合わされてよい。
本方法はさらに、合成酸化物の化合物を形成することを含むことができる。
合成酸化物の化合物を形成することは、出発炭酸塩化合物から二酸化炭素を除去することを含むことができる。
出発炭酸塩化合物から除去される二酸化炭素の少なくとも一部が、炭素捕捉され得る。
合成酸化物の化合物は、アルカリ酸化物の化合物、アルカリ性酸化物の化合物、遷移金属酸化物の化合物及び結晶性酸化物の化合物の1以上を含むことができる。
第2の成分は、ケイ酸塩、アルミナ、酸化物、水、セルロース系成分、リグニン系成分、及びヘミセルロース系成分の1以上を含むことができる。
炭素改変製品は、コンクリート製品、鉄鋼製品、アスファルト製品、及びプラスチック製品の1以上を含むことができる。
本方法はさらに、炭素改変製品と関連付けられる経済的利益の価値と炭素改変製品の調製と関連付けられるコストとの差として炭素改変製品の正味の利益を決定することを含むことができる。
【0007】
1以上の実施形態では、本開示は、製品の生成を最適化する方法に関連し得る。そのような方法は、形成された製品に生じ得る炭素インセンティブ、又は気候インセンティブなどの理由で製品に価値を付与できる1以上の工程を実行することを含むことができる。例となる実施形態では、そのような方法は、各炭素改変製品が炭素インセンティブ及び気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程を実行することを含む方法によって調製される複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストを決定すること;各炭素改変製品と関連付けられる経済的利益の価値を決定すること;各炭素改変製品について、複数の炭素改変製品のそれぞれと関連付けられる経済的利益の価値と、複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストとの差として正味の利益を決定すること;かつ正味の利益が正の値を有するように複数の炭素改変製品の1以上を形成すること、を含むことができる。さらなる実施形態では、そのような方法は、以下の1以上の記載に関連してさらに定義でき、それらは任意の数及び順序で組み合わせることができる。
【0008】
複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストを決定することは、複数の炭素改変製品のそれぞれについて、酸化物の化合物を合成するために出発炭酸塩化合物から二酸化炭素を除去することと関連付けられるコストを決定することを含むことができる。
【0009】
複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストを決定することは、複数の炭素改変製品のそれぞれについて、合成酸化物の化合物を第2の成分と組み合わせて中間物質を形成することと関連付けられるコストを決定することを含むことができる。
【0010】
複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストを決定することはさらに、複数の炭素改変製品のそれぞれについて、中間物質に添加される二酸化炭素の少なくとも大部分が中間物質と組み合わされるように中間物質に二酸化炭素を添加することと関連付けられるコストを含むことができる。
【0011】
複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストを決定することは、複数の炭素改変製品のそれぞれについて、二酸化炭素の少なくとも大部分が合成酸化物の化合物と反応して少なくとも部分的に固体形態である合成炭酸塩の化合物を形成するように、少なくとも部分的に固体形態である合成酸化物の化合物に二酸化炭素を添加することと関連付けられるコストを決定することを含むことができる。
【0012】
複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストを決定することはさらに、複数の炭素改変製品のそれぞれについて、合成炭酸塩の化合物を第2の成分と組み合わせて炭素改変製品を形成することと関連付けられるコストを決定することを含むことができる。
【0013】
各炭素改変製品と関連付けられる経済的利益の価値を決定することは、その製品を組み込んだ実体の構築と資金調達の一方又は両方に基づいて換金可能である、各製品についての及び各製品と関連付けられる二酸化炭素隔離クレジットの少なくとも一部を決定することを含むことができる。
【0014】
各炭素改変製品と関連付けられる経済的利益の価値を決定することは、税額控除、税の適用不能性、取引可能な価値、譲渡可能な価値、炭素基準、気候基準、炭素便益指定、気候便益指定、炭素便益認証、及び気候便益認証の1以上の価値を決定することを含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、本開示による製品を調製する方法は、製品価値が適切な市場価値として特に認識されるものを超えて増加するように構成でき、そのような増加は、炭素インセンティブ、気候インセンティブ、又は価値の同様の有形品若しくは無形品を直接的又は間接的にもたらす1以上の生成工程に起因する。例となる実施形態では、そのような製品を調製する方法は、炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程を実行することによって製品を形成することを含むことができ、その結果、そのように生成される製品が生産コストよりも大きい価値を有し、そのような価値は、炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に少なくとも部分的に起因する。他の実施形態では、本方法は、以下の記述の1以上に関連して特徴付けることができ、それらは任意の数及び順序で組み合わせることができる。
【0016】
炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程は、合成酸化物の化合物と第2の成分を組み合わせて中間物質を形成することを含むことができる。
【0017】
炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程は、中間物質に添加される二酸化炭素の少なくとも大部分が中間物質と組み合わされて炭素改変製品を形成するように、中間物質に二酸化炭素を添加することをさらに含むことができる。
【0018】
炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程は、二酸化炭素の少なくとも大部分が合成酸化物の化合物と反応して少なくとも部分的に固体形態である合成炭酸塩化合物を形成するように、少なくとも部分的に固体形態である合成酸化物の化合物に二酸化炭素を添加することを含むことができる。
【0019】
炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程はさらに、合成炭酸塩の化合物を第2の成分と組み合わせて炭素改変製品を形成することを含むことができる。
【0020】
炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益を付与するのに有効な1以上の生成工程は、炭素を捕捉するさらなるプロセスから移される熱と電力の一方又は両方を利用することを含むことができる。
【0021】
炭素インセンティブと気候インセンティブの一方又は両方に関連する経済的利益は、税額控除、税の適用不能性、取引可能な価値、譲渡可能な価値、炭素基準、気候基準、炭素便益指定、気候便益指定、炭素便益認証、及び気候便益認証の1以上を含むことができる。
【0022】
本開示のこれらの及び他の特徴、態様、並びに利点は、以下に簡単に説明する添付図面と共に、以下の詳細な説明を読むことから明らかである。本発明は、そのような特徴又は要素が本明細書の具体的な実施形態の説明で明示的に組み合わされるかどうかにかかわらず、上記の2つ、3つ、4つの又はそれより多い実施形態の任意の組み合わせ、並びに本開示に記載の任意の2つ、3つ、4つの若しくはそれより多い特徴又は要素の組み合わせを含む。この開示は、開示される発明の任意の分離可能な特徴又は要素が、その様々な態様及び実施形態のいずれにおいても、文脈が特に明確に指示しない限り、組み合わせ可能であると意図するものと見なされるべきであるように全面的に読み取られることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本開示の実施形態による合成酸化物の形成における処理工程を示すフローチャートである。
図2図2は、本開示の実施形態による関連する経済的利益を有する製品の形成における処理工程を示すフローチャートである。
図3図3は、本開示のさらなる実施形態による関連する経済的利益を有する製品の形成における処理工程を示すフローチャートである。
図4図4は、本開示の実施形態による関連するカルシウムルーピングを有する合成酸化物の形成における処理工程を示すフローチャートである。
図5図5は、本開示の実施形態による正味の正の値に向けた製品生成の最適化における処理工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の詳細な説明
本開示は、炭素の捕捉及び/又は隔離に関連する方法並びに製品に関する。さらに、本開示は、それと関連付けられる経済的利益を有する炭素改変製品に関する。さらに、本開示は、正の正味の利益が実現されるようにそのような経済的利益の価値および炭素改変製品の調製と関連付けられるコストを決定することによって、そのような炭素改変製品の生成を最適化するための方法に関する。そのような決定は、炭素改変製品と関連する価値と引き換えに、関連する経済的利益を譲渡する能力に照らして行われ得る。そのような価値は、炭素改変製品の販売と共に譲渡できる(例えば、炭素改変製品を利用するプロジェクトのバイヤー及び/又はビルダー及び/又は財務担当者に)と特に本明細書に記載される既知のインセンティブ、クレジット、又は他の価値の検討事項に基づいて計算できる。
【0025】
いくつかの実施形態では、本開示は、それと関連付けられる経済的利益を有する製品に関する。経済的利益は、少なくとも部分的には、製品が形成されるか、調製されるか、若しくはさもなければそれが売れる形態に作られる方法又は処理から生じ得る。経済的利益は、特に、製品が形成される方法若しくは処理で発生する、かつ/又は生成方法に熱及び/若しくは電力を直接提供するために利用される関連処理で発生する炭素の捕捉並びに/又は隔離のために、少なくとも部分的に生じ得る。そのため、それと関連付けられる経済的利益を有する製品は、炭素改変製品又は炭素削減製品であると特徴づけられてよく、かつこれらの用語が本明細書において互換的に使用できることが理解される。同様に、炭素改変製品は、建物、橋梁、道路、トンネル、ダム、及び輸送部品などの物理的な建造物に組み込むのに使用することが知られているか、又は使用できる製品を含むことができる。そのような物理的な建造物を形成する際に使用するのに適し、そのため、それと関連付けられる経済的利益を有する製品(すなわち、炭素改変製品)として含まれ得る製品の非限定的な例は、セメント製品、コンクリート製品、鉄鋼製品、アスファルト製品、及びプラスチック製品を含む。炭素改変製品はそのため、意図的に添加される二酸化炭素が製品内に効果的に隔離されるように、二酸化炭素が製品に意図的に添加されるように(化学的及び/又は物理的に)調製された製品を包含し得る。さらに後述するように、製品への添加を介する二酸化炭素の効果的な隔離は、炭素捕捉及び/若しくは隔離に関連して誘発されるか、又は他の方法で生じさせることができる1以上の経済的利益に照らして、製品に価値を付加できる。そのようなものとして、形成された製品と関連付けられる経済的利益は、形成された製品の販売を通じてさもなければ回収され得る生産コストを超える付加価値であり得る。
【0026】
本明細書に記載の製品と関連付けられる経済的利益は、製品の形成中に炭素、二酸化炭素、具体的には二酸化炭素の捕捉及び/又は隔離から生じる、製品に割り当てられ得る任意の価値を含むことができる。そのような経済的利益はそのため、炭素、具体的には二酸化炭素を捕捉及び/若しくは隔離しない方法で調製されるか、又は炭素、具体的には二酸化炭素の捕捉及び/若しくは隔離をもたらす方法で調製された場合、通常の商業の過程で同じ製品に本来なら割り当てられない価値であり得る。
【0027】
経済的利益(複数可)はそのため、製品自体に結び付けることができかつしたがって製品と一緒に移すことができる炭素の捕捉及び/又は隔離のため、製品と関連付けることができる。経済的利益は、製品に付加価値を与えるいかなるものであってよく、かつ公的機関と民間企業を通じて換金できる。経済的利益は同様に、特定の機関から直接換金できない価値であり得るが、むしろ、本明細書に記載の炭素の関連する捕捉及び/又は隔離なしに本来ふさわしいものより、製品に対し下流の購入者により多くを支払わせる可能性のある良いスチュワードシップの商業圏及び兆候などの、価値への無形の付加である。炭素の捕捉及び/又は隔離は気候上の懸念と強く結びついているため、炭素の捕捉及び/又は隔離と関連付けられると本明細書に記載される経済的利益は、炭素主導及び/又は気候主導の利益を完全に含むことを意図していることが理解される。炭素主導の利益は、炭素インセンティブに直接的又は間接的に関連し、かつ/又は起因し、ひいては二酸化炭素がそのような炭素の例であるが、炭素排出量の削減、大気からの炭素の捕捉、又は炭素の隔離などを引き起こすか又はもたらす活動により提供される価値のあるものであり得る経済的利益であると理解できる。気候主導の利益は、気候インセンティブに直接的又は間接的に関連し、かつ/又は起因し、ひいては気候変動に寄与し得る環境害の減少若しくは無効を引き起こすか又はもたらす活動により提供される価値のあるものであり得る経済的利益であると理解できる。炭素排出は気候の懸念と密接に結びついているので、炭素削減、炭素インセンティブ、又は炭素主導のものへの参照は、気候の懸念、気候インセンティブ、又は気候主導のものを参照できることが同様に理解される。例えば、気候クレジット又は気候インセンティブは、炭素クレジット又は炭素インセンティブと共に含まれ、経済的利益を命名する際に機関が利用する命名法は、どのような場合でも、製品又は最終製品を形成するために最終的に使用される中間物質への二酸化炭素の組み込みに起因する炭素削減、カーボンニュートラル、又はカーボンネガティブにされる方法で形成される製品に直接結びつけることができる経済的利益を有する本開示とは異なると考えられるべきではない。そのため、「経済的利益」という用語は、付加価値の根底にある動機に関係なく、製品の形成中に炭素が捕捉及び/又は隔離される、炭素改変から生じる製品に加えられる価値を包含することを意味する。
【0028】
本開示はしたがって、製品が、その中での人為的発生の及び/若しくは大気中の二酸化炭素の物理的及び/又は化学的組み込みのため(又はそれによってその生成において回避される)、物質から形成された製品に添加された二酸化炭素を実質的に隔離するのに効果的であり、かつそのため、それに価値を付加できる様々な経済的利益にふさわしい、製品及びその調製方法を提供する。例となる実施形態では、経済的利益は、1以上の連邦政府、州政府、及び/若しくは地方政府の税額控除並びに/又は損金処理などの、税制上の利益又は複数の利益を含み得る。例えば、米国内国歳入法の45Q条(26U.S.C.§45Q)に基づく税額控除を含めることができる。同様に、1以上の政府当局によりさもなければ課される税金の回避を含めることができる。例えば、これは、炭素税の回避を含むことができる。さらなる例となる実施形態では、そのような経済的利益は、民間、半民間、政府、又は超国家機関を通じた価値の創造を含むことができる。そのような価値の創造は、本開示に包含される多くの形態をとり得る。例えば、これは、再生可能エネルギークレジット又は非公式若しくは公式の「キャップアンドトレード」実施に似た取引可能又は譲渡可能な価値を含むことができる。これはさらに、燃料に関連するか否かにかかわらず、いわゆる「低炭素燃料基準」又は同様の基準を含むことができる。さらに、これは、製品又は電力単位が環境に優しい、気候に優しい、又はさもなければ望ましいと認識されしたがって増加した価値を与えられるのに適切であることを、直接的又は間接的に示唆する名称を有する製品又は電力単位の特性を含むことができる。これは、「緑の」、「青い」、「クリーンな」、「気候に優しい」、「ESG準拠」(すなわち、1以上の環境、社会、及びガバナンスの基準に準拠している)、又はさもなければカーボンフットプリントの削減若しくは気候への影響の減少と関連付けられる理由で望ましいなどの、名称を含むことができる。
【0029】
本開示による製品と関連付けることができる経済的利益は、製品に与えられる特定の利益に基づいて変わり得る。そのため、本開示はまた、製品と関連付けられる経済的利益がそのような製品を製造及び/又は購入するコストを少なくとも部分的に相殺できるために炭素改変製品の好ましい購入を奨励するのに有効であり得る、製品の生成の最適化を提供する。そのような最適化を通じて、特定の製品はしたがって、他の製品よりも経済的及び/又は環境的に好ましい可能性がある。これは、例えば、経済的利益が、本明細書に記載の製品の販売、取引、又は他の処分と共に譲渡でき、かつそのような経済的利益は、製品の1以上の受取人の利益に役立ち得る(例えば、換金され得る)ためである。これは、製品(複数可)の購入者、製品(複数可)を利用するプロジェクトのビルダー、及び/又は製品(複数可)を利用するプロジェクトの財務担当者の1以上を含んでよい。関連製品(複数可)と共に経済的利益が譲渡されるので、製品(複数可)の受取人(又はビルダー、財務担当者など)は、少なくとも部分的に換金するか、又は別の方法で経済的利益を受けとることができる。例えば、炭素隔離と関連付けられる税制上の利益の場合、人為的発生源及び/又は大気源から二酸化炭素を除去すること、および二酸化炭素を製品(又は製品を形成するために使用される中間物質)に組み込むことによって、除去された二酸化炭素は製品内に効果的に隔離され、この活動は付随する経済的利益(炭素隔離クレジットなど)にふさわしいであろう。製品がプロジェクトに恒久的に組み込まれる場合、そのような活動は、代替的又は追加的に付随する経済的利益(炭素隔離クレジットなど)にふさわしいであろう。同様に、炭素が隔離されるそのような製品が提供されるプロジェクトの融資は、代替的又は追加的に付随する経済的利益(炭素隔離クレジットなど)にふさわしいであろう。製品の製造業者及び/又は提供者として機能する団体は、税額控除、又は任意の他の有形若しくは無形の価値の例となる実施形態などの、製品と関連付けられる経済的利益の一部又は全部を第三者に移してもよい。
【0030】
本開示による製品は、この製品が実質的に低炭素からカーボンニュートラル又はカーボンネガティブであり得るため、関連付けられる経済的利益を有し得る。これは、製品の調製に使用される基礎成分がカーボンニュートラルでなくても、人為的発生源又は大気源からの二酸化炭素を添加するように製品を形成することなどによって直接達成できる。あるいは、又は追加的に、これは、炭素を捕捉する1以上の処理から製品を調製するのに必要な熱及び/又は電力を提供することで達成できる。例えば、Allamらの米国特許第8,596,075号、同第9,546,814号、同第8,776,532号、同第9,850,815号、及び同第10,422,252号の全ては、同時炭素捕捉による熱と電力の生成に適するシステム及び方法を開示しており、そのような文書の開示はこれによって、参照により本明細書に組み込まれる。好ましくは、本明細書に記載の製品は、製品の形成に利用されるよりも多くの炭素を大気から除去するという点で、カーボンネガティブであり得る。これは特に、それにより形成された二酸化炭素が隔離されるかさもなければ使用され、かつ大気に実質的に放出されないように合成された合成化合物(例えば、合成酸化物の化合物及び/又は合成炭酸塩化合物)を用いて製品を形成することにより達成できる。
【0031】
本開示による製品を調製する方法はそのため、1以上の処理工程で合成酸化物の化合物を利用できる。合成酸化物の化合物は、別の物質と反応して中間物を形成するか、又は最終製品を形成し得る。
【0032】
例えば、いくつかの実施形態では、製品を調製する方法は、合成酸化物の化合物を第2の成分と組み合わせて中間物質を形成することを含むことができる。この方法で使用され得る第2の成分の非限定的な例は、ケイ酸塩、アルミナ、酸化物、水、セルロース系成分、リグニン系成分、ヘミセルロース系成分、及び類似の成分を含み得る。第2の成分と合成酸化物の化合物の組み合わせによって形成される中間物質は、二酸化炭素の少なくとも一部を効果的に捕捉及び/又は隔離するために、二酸化炭素との組み合わせに適する形態であり得る。好ましくは、中間物質に添加される二酸化炭素の少なくとも大部分(すなわち、50重量%超)は、中間物質と組み合わされて製品、より具体的には、前述のそれと関連付けられる経済的利益を有する炭素改変製品を形成する。しかし、大気から二酸化炭素を除去するなどの他の場合には、総二酸化炭素のより少ない部分が中間物質にそのように添加され得ることもある。
【0033】
中間物質に二酸化炭素を添加することは、中間物質との二酸化炭素の化学的反応及び/又は中間物質への二酸化炭素の物理的封入を包含できる。好ましくは、二酸化炭素は、このようにして、中間物質と組み合わされ、その結果そのように形成された製品は長期間にわたって二酸化炭素を保持する。そのように形成された製品は、例えば、中間物質に添加される二酸化炭素の重量で少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%を少なくとも最小時間保持し得る。例えば、最小時間は、少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年、少なくとも10年、少なくとも1世紀、少なくとも千年、又は実質的に無期限を含むさらに長い時間であり得る。好ましくは、上記の範囲の1つ内の二酸化炭素の定義量は、典型的な大気又は地質学的条件下(例えば、典型的な温度及び圧力範囲内)で実質的に無期限保持され、上記の時間の保持能力を示すことは、二酸化炭素を実質的に無期限保持する製品の能力を表し得る。
【0034】
さらなる実施形態では、製品を調製する方法は、二酸化炭素の少なくとも一部が合成酸化物の化合物と反応して合成炭酸塩化合物を形成するように、二酸化炭素を合成酸化物の化合物に添加することを含むことができる。より詳細には、合成酸化物の化合物は、少なくとも部分的に固体形態であり得るか、又は実質的に完全に固体形態であってよい(例えば、合成酸化物の化合物の重量で少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%が固体形態である)。好ましくは、合成酸化物の化合物に添加される二酸化炭素の少なくとも大部分(すなわち、50重量%超)は、それと反応して、合成炭酸塩の化合物を形成する。しかし、繰り返すが、例えば、大気中の二酸化炭素濃度を希薄化することはまた、処理を通して送られ得る膨大な量の空気のため有効である。
【0035】
上記のように調製された合成炭酸塩化合物を、第2の成分と組み合わせて製品、より詳細には、前述の、それと関連付けられる経済的利益を有する炭素改変製品、を形成できる。繰り返すが、この方法で使用され得る第2の成分の非限定的な例は、ケイ酸塩、アルミナ、酸化物、水、セルロース系成分、リグニン系成分、ヘミセルロース系成分、及び類似の成分を含み得る。
【0036】
最終製品を調製するのに利用される合成酸化物の化合物は、様々な形態を取ることができる。酸化物の化合物は、二酸化炭素の添加又は除去を介してそのような化合物に又はそのような化合物から容易に変換する能力のため特に有用であり得る。非限定的な例として、炭酸カルシウム(CaCO)は、熱を加えることにより酸化カルシウム(CaO)及び二酸化炭素(CO)に変換できる。さらに、酸化物の化合物は、例えば、一般的にプラスチックと呼ばれる物質を含む、いくつかの物質をもたらすポリマーの基礎を形成できる。同様に、酸化カルシウムは、二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウムを合成できる。有益なことに、炭酸カルシウムのような多くの物質は、天然の形態(例えば、石灰石)で存在でき、天然の形態を使用可能な反応性酸化物に変換する際に形成される二酸化炭素は、捕捉され得る。二酸化炭素を放出し、かつ結果として得られるより少ない酸化物の化合物を形成するように処理できる任意の炭酸塩化合物が、出発原料として利用されてよい。同様に、例えば、地質学的形成及び/又はリサイクル物質から供給され得る、かつその処理の際に二酸化炭素を放出できる任意の他の物質が、本明細書で利用され得る。そのため、出発炭酸塩化合物又は類似物質から除去された二酸化炭素の少なくとも一部は、製造過程で炭素捕捉でき、二酸化炭素を別の処理で隔離できるか、又は本明細書で別途記載のさらなる反応のために少なくとも部分的に保持できる。さらに、より少ない酸化物は次いで、排煙ガス又は大気などの他の供給源からの二酸化炭素と反応して炭酸塩を生成し、これを過熱して、隔離又は使用のための二酸化炭素を放出できる。
【0037】
本開示に用いられる合成酸化物の化合物はそのため、酸化物が合成で形成されたという点で、天然物とは異なる。好ましくは、合成酸化物は、合成処理で二酸化炭素が放出されないか、又は合成処理の結果として二酸化炭素が実際に大気から除去されるという点で、より低炭素、カーボンニュートラル、又はカーボンネガティブであるように合成で形成される化合物である。これは、合成反応でその構成成分から酸化物を作製することによって、又は上述のように石灰石を酸化カルシウムに変換するなどの、より複雑な構成物から酸化物を単離することによって起こり得る。1以上の実施形態では、合成酸化物はそのため、様々な適切な物質を包含できる。いくつかの実施形態では、有用な合成酸化物の化合物は、I族金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなど)の酸化物などの、アルカリ酸化物であり得る。いくつかの実施形態では、有用な合成酸化物の化合物は、II族金属(例えば、カルシウム、マグネシウムなど)の酸化物などの、アルカリ性酸化物であり得る。いくつかの実施形態では、有用な合成酸化物の化合物は、一般的に入手可能な任意の遷移金属(例えば、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛など)の酸化物などの、遷移金属酸化物であり得る。いくつかの実施形態では、有用な合成酸化物の化合物は、第4族周期表元素(例えば、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、及び鉛)の酸化物などの、結晶性酸化物であり得る。
【0038】
本開示は、様々な様式で組み合わされ得るいくつかの処理工程に関連して特徴付けられ得る。そのため、例示された処理工程の全てに満たない工程を実行して、製品の形成の際に実行される炭素処理に照らして、それと関連付けられる経済的利益を有することができる異なる種類の製品を提供することが理解される。さらに、本明細書に記載の処理工程は、形成された製品が、製品と共に譲渡できる、それと関連付けられる経済的利益を有するように、カーボンニュートラル、又は好ましくはカーボンネガティブであるように製品を形成するのに適する任意の方法で組み合わされてよいことが明示的に意図される。
【0039】
図1は、それにより合成酸化物が形成され得る処理を示し、その処理中に放出される二酸化炭素は、経済的利益が生じるように隔離又は他の使用のために捕捉される。より詳細には、図1において、炭酸塩又は他のCO2放出物質は、地質源及び/又はリサイクル物質などから供給され得る。非限定的な例として、炭酸塩は、石灰石などの炭酸カルシウムを含み得る。炭酸塩又は他の物質は、二酸化炭素の発生とともに1種以上の酸化物を合成するように処理され得る。例えば、炭酸カルシウムを用いて、酸化カルシウムを合成してもよい。形成された二酸化炭素は好ましくは、隔離のために注入されるか、又は別の方法で捕捉される、原油増進回収(EOR)を介した石油、ガス増進回収(EGR)、又は石炭床メタン回収(ECMBR)を介したガスなどの、炭素質堆積物の増進回収に利用される。このように、炭酸塩などの出発化合物から除去される二酸化炭素の少なくとも一部は、捕捉された炭素である。図1に示す処理は、必ずしも調達と処理が一緒に行われる必要はない。例えば、炭酸塩又は他の物質の処理装置は、物質を処理して合成酸化物を形成し、炭酸塩又は他の物質を第三者から供給してもよい。同様に、形成された二酸化炭素は、第三者が、例えば、関連する炭素隔離税額控除などの、隔離又は他の使用と関連付けられる経済的利益を受け取るように、隔離及び/又は他の使用のために第三者に販売されてよい。
【0040】
図2は、図1の処理に従って調製される合成酸化物が、それと関連付けられる経済的利益を有する他の製品を調製するために利用され得る処理を示す。図1の処理は、図2の処理と共に順次行われてよいことが分かる。しかし、図2の処理は、図1の処理とは無関係に行わてよく、図2の処理で利用される合成酸化物は、図1の処理の一部又は全部を実行する別の当事者から供給されてよい。
【0041】
図2に示すように、合成酸化物の化合物(図1のプロセスに直接由来するか、又はカーボンニュートラル若しくはカーボンネガティブである処理で酸化物を好ましく合成する代替源由来であり得る)を、第2の成分と組み合わせて、中間物質を形成する。第2の物質と合成酸化物の化合物の組み合わせは、合成酸化物の化合物が物理的に及び/又は化学的に第2の成分と組み合わされるか、又は第2の成分に添加されるように、物理的組み合わせと化学的反応の一方又は両方を包含し得る。第2の成分の非限定的な例は、ケイ酸塩、アルミナ、酸化物、水、セルロース系物質、リグニン系物質、ヘミセルロース系物質、及び特に本明細書に記載の適切な物質に酸化カルシウムなどの酸化物を変換するのに適する類似物質を含む。中間物質はさらに、添加された二酸化炭素を効果的に捕捉及び/又は隔離するように処理できる。これは、中間物質に添加される二酸化炭素の少なくとも一部、及び好ましくは少なくとも大部分が中間物質と組み合わされるように、中間物質に炭素を添加することを包含できる。特に、添加される二酸化炭素の重量で少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%を、中間物質に添加してよい。二酸化炭素は、二酸化炭素の人為的発生源又は大気源に由来し得、二酸化炭素は特に、大気中にさもなくば二酸化炭素を加えるさらなる処理からの排ガスとして取得され得る。二酸化炭素の添加は、二酸化炭素が、物理的に及び化学的にの一方又は両方で中間物質と組み合わされるようなものであり得る。中間物質への二酸化炭素の添加に照らして、このように形成された製品は炭素改変製品として特徴づけられ得、形成された製品はそのため、さもなければ上記の、それと関連付けられる経済的利益を有し得る。関連する経済的利益を有する、図2の形成された製品は、必要に応じてさらなる製品/プロジェクト/構成要素を形成する際の使用のために必要に応じて販売/譲渡され、経済的利益は、製品と一緒に1以上の第三者に販売/譲渡され得る。
【0042】
合成酸化物が組み合わされる第2の物質は、様々な形態で提供できる。いくつかの実施形態では、第2の物質は、粉末、ペレット、顆粒、繊維などとして提供され得るか、又は合成酸化物の流れに添加してもよい。あるいは、第2の物質は、バッチ形態又はさらにより大きな構成で提供され、合成酸化物が連続的に又はバッチモードで第2の成分に加えられてよい。そのような処理の例となる実施形態は、第2の成分が水である場合、それは淡水、塩水、形成されたブライン混合物、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。合成酸化物を次いで、水に添加し、能動的又は受動的な通気を行ってよい(例えば、機械的混合が通気のために適用され得るか、又は通気が自然の若しくは人為発生の水域中の自然な流れ、若しくは風作用などにより受動的に起こり得る)。酸化物と水の混合物は、通気活性からの二酸化炭素の吸収を優先するpH緩衝溶液を効果的に形成できる。非限定的な例として、合成された酸化カルシウムを水域(例えば、海洋又は他の塩水域)に添加して、二酸化炭素吸収を増加させてよい。同様に、酸化カルシウム又は他の酸化物を、石油探査及び生成で作られる水域並びに/又は淡水化施設から作られる水域などの処分水域に添加してよい。水域への酸化物の添加も同様に、逆浸透(RO)水域の石灰処理などの再石灰化の成分として利用できる。
【0043】
図3は、本開示による製品を調製するためのさらなる方法を示す。1以上の実施形態では、合成酸化物の化合物(図1のプロセスに直接由来するか、又はカーボンニュートラル又はカーボンネガティブである処理で酸化物を好ましく合成する代替供給源由来であり得る)は、二酸化炭素を添加することによって処理される。そのような実施形態における合成酸化物の化合物は好ましくは、少なくとも部分的に固体形態である(例えば、重量で少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%固体)。二酸化炭素の少なくとも一部、及び好ましくは少なくとも大部分が、合成酸化物の化合物と反応して、少なくとも部分的に固体形態である(例えば、合成酸化物に関して上記の範囲で固体の割合を有する)合成炭酸塩化合物を形成するように、二酸化炭素を合成酸化物に添加できる。そのように形成された炭酸塩化合物は、例えば、実質的に全体的に固体形態であってよく、溶液中に少なくとも部分的に溶解される少なくとも部分的に固体形態であってよく、液体媒体中に懸濁液として存在する固体であってよく、又はコロイド形態で分散される固体であってよい。
【0044】
特定の実施形態では、添加した二酸化炭素の重量で少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%を合成酸化物に添加して、酸化物の炭酸塩形態を形成してよい。1以上の実施形態では、そのような二酸化炭素の添加は、合成酸化物が二酸化炭素と化学的に反応して炭酸塩物質を形成するようものであり得る。そのように形成された炭酸塩は、合成酸化物に添加される二酸化炭素を効果的に隔離する。炭酸塩物質は、それが合成反応を経て形成され、かつそのため石灰石などの天然の炭酸塩と区別されるという点で、合成炭酸塩であると特徴付けられ得る。
【0045】
図3に示すように、形成された炭酸塩は、それに二酸化炭素を添加することに照らして、それと関連付けられる経済的利益を有し得る。したがって、いくつかの実施形態では、形成された炭酸塩物質の少なくとも一部は、それと関連付けられる経済的利益を有する炭素改変製品であると考えられ得る。例えば、炭酸塩の一部は、関連する経済的利益と共に販売又は譲渡され得る。しかし、炭酸塩の全部又は一部は、図3に示すようにさらに処理されてよい。特に、合成炭酸塩の化合物は、第2の成分と組み合わされて、それと関連付けられる経済的利益を有する炭素改変製品を形成できる。繰り返すが、第2の成分は、前述した物質であってよい。中間炭酸塩の調製における二酸化炭素の添加に照らして、最終製品は、炭素改変製品として特徴づけられ得、形成された製品はそのため、さもなければ上記で説明した、それと関連付けられる経済的利益を有し得る。関連する経済的利益を有する図3で形成される製品は、必要に応じてさらなる製品/プロジェクト/構成要素を形成する際の使用のために、必要に応じて販売/譲渡され、経済的利益は、製品と一緒に1以上の第三者に販売/譲渡され得る。
【0046】
1以上の実施形態では、合成酸化物を形成する処理は、捕捉及び/又は隔離され得る二酸化炭素の量を増加させるために、図1に示されるものから改変できる。例えば、図4に見られるように、合成酸化物を形成する処理は、カルシウムルーピング又は類似の処理を含むように改変できる。カルシウムルーピングでは、図1に関連して説明されるように生成される合成酸化物の一部を追加の二酸化炭素と組み合わせて、炭酸塩化合物を再形成できる。合成酸化物に添加される二酸化炭素は、人為的発生の又は大気中のものであり得、これは、最終製品として二酸化炭素を提供する任意の処理と組み合わされてよい。二酸化炭素は、合成酸化物との反応を通じて捕捉されて、炭酸塩を形成できる。そのように形成された炭酸塩を次に、処理して(例えば、加熱により)、制御された方法で二酸化炭素を追い出し、放出された二酸化炭素を、隔離又は他の使用のために送達でき、前述したように、これは追加の経済的利益を含み得る。図4に示すように、再形成された炭酸塩は、供給源カーボネートの処理に加えられるが、再形成された炭酸塩は、隔離又は他の使用のために送達できる二酸化炭素の別の流れを形成するように供給源炭酸塩とは別に処理されてもよいことが理解される。
【0047】
二酸化炭素を組み込むための改変によって、及び第2の成分との組み合わせによって(任意の順序で)、さもなければ上記のように形成された製品は、有益に多数の製品を包含でき、そのような製品は、合成酸化物の正確な化学的性質及び第2の成分の性質に基づいて変化し得る。形成された製品は特に、大規模および小規模の多種多様なプロジェクトの建設資材として有益であり得、そのため、インフラ物質として有用であると特徴付けられ得る。しかし、製品は、消費者製品又は他の類似製品の形成にも有用であり得る。好ましくは、製品は、建物、道路、及び橋梁などの寿命が著しく長いように構成されたプロジェクトで、又はプラスチック及びカーボンナノ物質と一般に呼ばれる製品を組み込む装置などの耐用年数が著しく長い製品で使用できる。本明細書に記載のように形成され得る製品の非限定的な例は、セメント製品、コンクリート製品、鉄鋼製品、アスファルト製品、及びプラスチック製品を含む。例えば、珪酸塩、アルミナ、及び酸化物は、セメント及びコンクリート製品の形成に一般的に使用され、そのような物質は、鉄鋼製品及びアスファルト製品の形成にも使用され得る。セルロース系物質、リグニン系物質、及びヘミセルロース系物質は、プラスチック及びカーボンナノ物質製品を含むがこれらに限定されない多種多様な製品の添加剤として使用できる。
【0048】
上述から分かるように、本開示は、製品が二酸化炭素を組み込み、そのため隔離するような製品、又は処理及び方法が炭素を捕捉する供給源からの熱及び/又は電力を使用するような製品の形成に適する、様々な処理及び方法を提供する。したがって、これらの処理及び方法は、1以上の経済的利益が発生し、そのため製品と関連付けられ、製品と一緒に譲渡可能にさせることができる様式で製品を形成するのに有効であり得る。この利点は、いくつかの実施形態では、炭素改変され、かつ/又はそれと関連付けられる経済的利益を有するものとして製品を特徴付けることができるように、製品を形成するための第2の成分を用いた少なくとも1つの酸化物の化合物の改変、及び製品への二酸化炭素の組み込みから生じる。さらなる実施形態では、この利点は、二酸化炭素と少なくとも1つの酸化物の化合物が反応して、第2の成分と組み合わせることができる中間炭酸塩化合物を形成して、それと関連付けられる経済的利益を有する最終製品を形成することから生じ得る。さらに、形成された製品は、出発酸化物物質自体が、進化した二酸化炭素を捕捉及び/又は隔離する様式で合成された合成酸化物の化合物であり得るという点で、さらに有益であり得る。さらなる実施形態では、この利点は、他の炭素捕捉システム及び方法からの熱及び/又は電力を使用して製品を作製することから生じ得る。記載される製品の調製における二酸化炭素の管理及び隔離のために、形成される製品は、1以上の第三者に譲渡され得る関連する経済的利益を有し得る。このようにして、特定の製品の使用は、製品と共に譲渡される経済的利益から価値を引き換えるか、又はさもなけれべ獲得するために、製品の購入者、製品を利用するプロジェクトを構築する開発者、若しくは製品を利用するプロジェクトの財務担当者などの能力を通じて奨励される。二酸化炭素は大気から効果的に除去されるか、又は上記のように製品を形成する際に大気中に放出されるのを防ぐため、かつそのように形成された製品が大きなプロジェクト又は装置に組み込まれるため、その中に隔離された二酸化炭素は、プロジェクト又は装置が製品と関連付けられる経済的利益から生じる履行又は他の価値に適するように貯蔵され得る。
【0049】
本明細書に記載の調製方法を通じて製品と関連付けられる経済的利益により、そのような製品と関連付けられる純利益の決定をさらに実行することも、同様に有益であり得る。例えば、これは、炭素改変製品と関連付けられる経済的利益の価値と、炭素改変製品の調製と関連付けられるコストとの差を決定することを含むことができる。これは特に、本明細書にさらに記載されるように単位ごとに評価されてよい。
【0050】
1以上の実施形態では、本開示は、1以上の製品の生成を最適化する方法に関連し得る。そのような方法は、二酸化炭素を捕捉及び/又は隔離して、製品が効果的に炭素改変製品となるようにする1以上の処理によって調製された製品と関連付けられる経済的利益の価値を評価するのに特に有用であり得る。本方法は、上記の製品を調製する方法と組み合わせて実行できるか、又は既存の処理に価値を与えるオプションを評価するために、本方法は上記の生成処理とは別に実行できる。1以上の製品の生成を最適化する方法の例となる実施形態を、図5に示す。その中に見られるように、本方法は、複数の製品(例えば、本明細書で定義される炭素改変製品)のそれぞれの調製と関連付けられるコストを決定する工程を含むことができる。これは、製品のバッチの調製と関連付けられる総コスト(例えば、原料のコスト、人件費、輸送費、運用費など)を合計し、バッチで調製された製品単位数で割るか、又は生産コストを単位ごとに変換するように構成された任意のさらなるアルゴリズム若しくはコンピュータプログラムを利用することを含むことができる。本方法は、各製品と関連付けられる経済的利益の価値を決定する工程をさらに含むことができる。既に前述したように、これは、形成される製品と、与えられる経済的利益の種類によって変化し得る。例えば、税額控除の通貨値を、この計算において直接使用できる。あるいは、環境への配慮の一般的な概念から生じる製品への付加価値は、優勢な市場データ又は他の適切な方法に基づいて計算できる。このようにして、実際の値又は理論値を単位ごとに設定できる。さらに、本方法は、各炭素改変製品について、複数の炭素改変製品のそれぞれと関連付けられる経済的利益の価値と、複数の炭素改変製品のそれぞれの調製と関連付けられるコストとの差としての正味利益を決定する工程を含むことができる。これは次に、炭素改変製品の生成の経済的実現可能性の計算に使用するのに必要なデータを提供する。例えば、ある製品及び/又はある最終用途について、製品の販売時に炭素削減、カーボンニュートラル、又はカーボンネガティブであるように製品を形成するコストは、炭素改変されるか又は炭素削減された製品と関連付けられる(例えば、既に述べたように直接的又は間接的に)追加の経済的利益を考慮すると、製品の実現可能なリターンを超える可能性がある。例えば、製品が炭素改変されるように製品を調製する追加のコスト(炭素改変されないように製品を調製するコストに対して)が、炭素改変又は炭素削減のために製品に生じ得る経済的利益よりも大きい場合、処理の生成は、最適化されたと考えられないであろう。一方、炭素改変又は炭素削減によって製品に生じ得る経済的利益が、製品を調製する追加のコスト(炭素改変されないように製品を調製するコストに対して)を超える場合、そのような生成を進めることは、最適化されると考えられ得る。いくつかの実施形態では、本方法は最初に負の値を示し得るが、さらなる検討が行われ、炭素改変製品を調製する処理は、正の値が得られ得るように変更されてよい。したがって、本方法は、純利益が正の値を有するような複数の炭素改変及び炭素削減製品の1以上を形成する実際の工程を実行することをさらに含むことができる。
【0051】
本方法の実行には、さらに様々な検討事項が含まれ得る。例えば、炭素改変製品又は炭素削減製品の調製と関連付けられるコストを決定することは、合成酸化物の化合物を形成するために出発炭酸塩化合物から二酸化炭素を除去することと関連付けられるコストを決定することを含むことができる。図1を参照して、これは、炭酸塩又は他のCO放出物質を処理してそこから二酸化炭素を除去することについて単位ごとにコストを決定することを含むことができる。そのようなコストは、形成された二酸化炭素の隔離又は他の使用によって生じる経済的利益によって削減され得る。あるいは、隔離又は他の使用によるそのような経済的利益は、最終製品(例えば、図2又は図3の製品)と関連付けられる経済的利益に付加され得る。別の例では、任意の物質の生成コストを単位ごとに削減でき、なぜならそのような物質を生成するために使用される熱及び/又は電力のコストが、炭素を捕捉する処理を通じてそのような熱及び/又は電力を生成する経済的利益のため減少されたからである。
【0052】
いくつかの実施形態では、炭素改変製品の調製と関連付けられるコストを決定することは、合成酸化物の化合物を第2の成分と組み合わせて中間物質を形成することと関連付けられるコストを決定することを含むことができる。図2を参照して、これは、第2の成分の調達と関連付けられる全てのコストの評価、及び第2の成分と酸化物の組み合わせを実行する際の運用コストなどを含むことができる。同様に、図2を参照して、炭素改変製品又は炭素削減製品の調製と関連付けられるコストを決定することは、中間物質に添加される二酸化炭素が中間物質と組み合わされるように、中間物質に二酸化炭素を添加することと関連付けられるコストを決定することも含むことができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、炭素改変製品又は炭素削減製品の調製と関連付けられるコストを決定することは、合成酸化物の化合物と二酸化炭素が反応して合成炭酸塩の化合物を形成するように、合成酸化物の化合物に二酸化炭素を添加することと関連付けられるコストを決定することを含むことができる。図3を参照して、これは、二酸化炭素調達コスト(これは供給源に応じてゼロ又はマイナスであり得る)及び実行され得る炭酸化反応と関連付けられる運用コストを含むことができる。形成された炭酸塩は関連する経済的利益を有し得るので、炭酸塩の調製と関連付けられるコストは、経済的利益によって少なくとも部分的に相殺され得る。あるいは、その経済的利益は、最終製品に部分的又は完全に関連付けられるように保持され得る。さらに図3を参照して、炭素改変製品の調製と関連付けられるコストを決定することは、合成炭酸塩の化合物を第2の成分と組み合わせて炭素改変製品を形成することと関連付けられるコストを決定することをさらに含むことができる。
【0054】
さらなる実施形態では、様々な検討事項を、炭素改変製品又は炭素削減製品と関連付けられる経済的利益の価値を決定することに関連して考慮できる。場合によっては、経済的利益の価値は、政府機関によって制定された法令、又は条例などによって少なくとも部分的に定義され得る。例えば、定義された法的措置と関連付けられる税額控除は、炭素改変製品又は炭素削減製品に直接関連し、それと共に譲渡され得る。そのため、いくつかの実施形態では、炭素改変製品又は炭素削減製品と関連付けられる経済的利益の価値を決定することは、例えば、製品又はその生成のための、及びそれと関連付けられる二酸化炭素隔離クレジットの少なくとも一部を決定することを含むことができる。そのようなクレジットの例では、これはまた、特定の種類の活動がクレジットの換金に必要であるかどうか、例えば、クレジットが製品を組み込んだ実体の建設と資金調達の一方又は両方に基づいて換金可能であるかどうかも考慮し得る。経済的利益の価値はそのため、金銭的価値を提供し得る有形の利益と無形の利益の一方又は両方を考慮し得る。例えば、炭素改変製品と関連付けられる経済的利益の価値を決定することは、税額控除、税の適用不能、取引可能な価値、譲渡可能な価値、炭素基準、気候基準、炭素便益指定、気候便益指定、炭素便益認証、及び気候便益認証の1以上の価値を決定することを含むことができる。
【0055】
上述から分かるように、本開示は、そのような製品の市場価値を超えて、製品に価値を付与するように製品を調製できる方法を提供し、本開示はさらに、正の正味の結果をもたらす処理に向けて製品の生成を最適化する方法を提供する。製品を調製する方法は、炭素を捕捉する処理からの熱及び/若しくは電力を利用でき、かつ/又は合成酸化物の化合物を利用でき、組み合わせの順序に応じて、二酸化炭素と第2の成分の両方との組み合わせによって合成酸化物の化合物を改変できる。いくつかの実施形態では、方法は、中間物質に添加される二酸化炭素の少なくとも一部、及び好ましくは少なくとも大部分を中間物質と組み合わせてそれと関連付けられる経済的利益を有する炭素改変製品を形成するように、合成酸化物の化合物を第2の成分と組み合わせて中間物質を形成すること、及び中間物質に二酸化炭素を添加することを含むことができる。さらなる実施形態では、方法は、二酸化炭素の少なくとも一部、及び好ましくは少なくとも大部分が合成酸化物の化合物と反応して少なくとも部分的に固体形態である合成炭酸塩化合物を形成するように、少なくとも部分的に固体形態である合成酸化物の化合物に二酸化炭素を添加すること、及び合成炭酸塩の化合物を第2の成分と組み合わせてそれと関連付けられる経済的利益を有する炭素改変製品を形成することを含むことができる。
【0056】
出発酸化物の化合物は、様々な方法で取得できる。しかし、いくつかの実施形態では、本方法は、合成酸化物の化合物を形成するための1以上の処理工程を明示的に含むことができる。例えば、合成酸化物の化合物を形成することは、好ましくは炭素捕捉される出発炭酸塩化合物から除去される二酸化炭素の少なくとも一部と共に、出発炭酸塩化合物又は二酸化炭素の除去のために処理できる類似の化合物から二酸化炭素を除去することを含むことができる。
【0057】
炭酸塩又は類似の物質を処理してその酸化物を形成するのに適する任意の適切な処理工程及び装置を、本開示に従って利用してよい。一例として、2020年5月1日出願の米国特許出願第16/864,944号は、炭酸塩が二酸化炭素の進化に伴って酸化物に変換し得るシステム及び方法を記載しており、これは二酸化炭素を完全に捕捉でき、上記特許出願の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
例えば、適切な処理は、反応器、熱変換器、乾燥器/水分離器、加圧構成要素、酸性ガス分離器、及び二酸化炭素浄化器の任意の1以上を組み込むことができる。より詳細には、原料を、酸素の存在下で、反応器内で加熱して、二酸化炭素を形成してよい。利用される具体的な操作様式及び原料に応じて、反応器は、より詳細には窯又はカルシナーと呼ばれ得る。例となる実施形態では、反応器は、鉱物成分(例えば、石灰石)を受け取り二酸化炭素を追い出すためのカルシナーとして構成され得る。反応器に関連するいくつかの構成のいずれかを利用してよい。例えば、反応器は、垂直窯、水平窯、間接的に加熱された窯として、又は他の任意の適切な構成で構成され得る。反応器は、独立した構成要素であっても、又は反応器ユニットのセグメント又はセクションであってもよい。いくつかの実施形態では、反応器は、比較的低い圧力であるが周囲より高い圧力で作動され得る。例えば、作動圧力は、最大で約10バール、最大で約8バール、最大で約5バール、又は最大で約4バール、例えば、約1.5バール~約8バール、約2バール~約5バール、又は約2バール~約3バールの範囲であり得る。特に、反応器の作動圧力は、従来の送風機設計で合理的に達成できる任意の所望値であり得る。反応器は、望ましい化学反応が反応環境で進行することを確実にするために、酸素源が反応器に提供されるという点で酸素濃縮されることが好ましい。いくつかの実施形態では、反応器は、約1バール(例えば、+/-10%)である圧力で作動し得る。
【0059】
反応器の加圧は、吹き飛ばされる流入酸化剤及び/若しくは気体、又は気化された燃料源を熱生成のために燃焼させるか、又は酸化することによって達成できる。燃焼又は酸化された燃料源は、焼成反応器などのシステムの他の構成要素に有益な加熱を提供できる。燃料源は、任意の適切な物質であり得る。いくつかの実施形態では、上述のように、気体燃料が利用されてよく、非限定的な例は、天然ガス、合成ガス、酸性ガス、BOSガス(酸素高炉ガス)、消化ガス、又は燃料油などを含む。いくつかの実施形態では、固体燃料(例えば、特殊化石炭、バイオマス、又は褐炭など)を用いてよく、そのような実施形態では、酸化剤は、反応器にとって唯一の加圧源であり得る。
【0060】
燃料のように、可変化学も、酸化源に関連して利用してよい。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な酸素を、使用してよい(例えば、95%超、98%超、又は99%超のモル酸素)。しかし、そのような純度レベルは、必要とされない。いくつかの実施形態では、酸化剤は、本システムと組み合わせて又は本システムとは別々に作動され得る工業処理からの燃焼排ガスを含んでよい。
【0061】
反応器は、好ましくは炭酸塩鉱物分解に適する温度で焼成されてよい。例えば、焼成温度は、約850℃以上、約900℃以上、約950℃以上、又は約1000℃以上(例えば、利用される装置の実用限界まで)、例えば、約850℃~約1100℃、約900℃~約1100℃、又は約950℃~約1100℃の範囲であり得る。
【0062】
反応器は、反応器と一体であり得る固体分離構成要素(例えば、反応器の出口に位置する)と共に連続して作動し得るか、又は反応器単位の構成要素であり得るか、又はシステム全体の独立型構成要素であり得る。サイクロンセパレータ、キャンドルフィルター、並びに/又はこれらの技術と他の技術の任意の他の組み合わせなどの、任意の適切な分離装置を利用してよい。固体分離器の性能は、排出ガスが熱回収装置との使用に適するのに十分であるべきである。
【0063】
復熱が望ましくあり得る。例えば、単一の復熱装置(例えば、復熱交換器、熱回収蒸気発生器(HRSG)、又はガス加熱リフォーマー(GHR)など)を利用してよく、又は複数の復熱装置(例えば、複数の前述の例となる実施形態などのいずれか及び/又は前述の復熱装置の異なるタイプの組み合わせ)を利用してよい。同様に、ガス流から一般に水又は水分を除去するように適合されるか又は構成される構成要素を組み込むことができる、1以上の乾燥機又は乾燥ユニットが含まれてもよい。1以上の加圧構成要素又は加圧ユニットも含まれてよく、利用される分離機の種類に応じて、CO除去を容易にするのに特に有用であり得る。例えば、加圧は、あらゆる膜分離段階の上流で有益であり、また圧縮された流れの下流の拡大により冷凍を可能にできる。CO分離膜構成要素又はユニットなどの1以上の酸性ガス分離構成要素を、利用でき、水洗浄剤が、供給源物質の組成物に応じて存在する任意の残留SOx及びNOxを除去するために利用できる。二酸化炭素精製構成要素又は単位は、実質的に純粋な形態で除去された二酸化炭素を提供するのに有用であり得る。例えば、極低温用の精製器を用いてもよい。
【0064】
前述の説明及び添付の図面に提示された教示の利益を有する本開示の主題の多くの改変及び他の実施形態を、この主題が属する分野の当業者なら気づくだろう。したがって、本開示は本明細書に記載の特定の実施形態に限定されず、改変及び他の実施形態が、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解すべきである。具体的な用語が本明細書で採用されるが、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、制限することを目的とするものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】