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特表2022-539161改善された熱機械複合材料の付加製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】改善された熱機械複合材料の付加製造
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/112 20170101AFI20220831BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220831BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20220831BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20220831BHJP
   B29C 64/336 20170101ALI20220831BHJP
【FI】
B29C64/112
B33Y10/00
B29C64/386
B33Y50/00
B29C64/336
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577452
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 US2020039980
(87)【国際公開番号】W WO2020264419
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/866,854
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517151372
【氏名又は名称】ナノ ディメンション テクノロジーズ,リミテッド
【住所又は居所原語表記】2 Ilan Ramon St., 74036 Nes Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビレツキー アリク
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AG03
4F213AG18
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL24
4F213WL53
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】
本開示は、付加製造(AM)を使用して、複合構成要素を製作するためのシステム、方法、および組成物に関する。具体的には、本開示は、例えばインクジェット印刷を使用して改良されたまたは調整された熱機械的特性、ならびに派生的誘電強度を有する複合構成要素の製作の方法、システムおよび組成物に関する。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタを使用して、付加的に製造された電子機器(AME)の強化された三次元(3D)誘電体セクションを製作する方法であって、
a.インクジェット印刷システムを提供することであって、前記インクジェット印刷システムが、
i.第1の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第1のプリントヘッドと、
ii.第2の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第2のプリントヘッドであって、前記第2の誘電体インク組成物が、前記第1の誘電体インク組成物とは異なる熱機械的特性パラメータを有する、第2のプリントヘッドと、
iii.前記第1のプリントヘッドおよび前記第2のプリントヘッドの各々に基材を搬送するように動作可能な、前記第1のプリントヘッドおよび前記第2のプリントヘッドに結合されたコンベヤと、
iv.少なくとも前記コンベヤならびに前記第1のプリントヘッドおよび前記第2のプリントヘッドの各々と通信する中央処理モジュール(CPM)を含む、コンピュータ支援製造(「CAM」)モジュールであって、前記CPMが、実行可能命令のセットを内部に記憶する非一時的プロセッサ可読記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、前記命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、
1.前記AMEを表す3D視覚化ファイルを受信するステップと、
2.各ファイルが前記AMEの前記強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための実質的に2Dの層を表す複数のファイル、および少なくとも印刷順序を表すメタファイルを含むファイルライブラリを生成するステップと、を含むステップを実行することによって、前記CPMにインクジェット印刷システムを制御させる、CAMモジュールと、を備える、提供することと、
b.前記第1の誘電体インク組成物および前記第2の誘電体インク組成物を提供することと、
c.前記CAMモジュールを使用して、前記AMEの前記強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための前記第1の層を表す第1のファイルを前記ライブラリから取得することであって、前記第1のファイルが、前記第1の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、前記第2の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、を含む、取得することと、
d.前記第1のプリントヘッドを使用して、前記第1の誘電体インクに対応する前記パターンを形成することと、
e.前記第1の層の前記第1の誘電体インク表現に対応する前記パターンを硬化させることと、
f.前記第2のプリントヘッドを使用して、前記第2の誘電体インクに対応する前記パターンを形成することと、
g.前記第1の層の前記第2の誘電体インクに対表現応する前記パターンを硬化させることと、
h.前記CAMモジュールを使用して、前記AMEの前記強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための後続の層を表す後続のファイルを前記ライブラリから取得することであって、前記後続のファイルが、各後続の層の前記第1の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、前記第2の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、を含む、取得することと、
i.前記CAMモジュールを使用して、前記2Dファイルライブラリから前記後続の実質的に2Dの層を取得するするステップまで、前記第1のプリントヘッドを使用して、前記第1の誘電体インクに対応する前記パターンを形成するステップと、その上で、最終層の前記第2のインク組成物に対応する前記パターンを硬化させるステップと、を繰り返すことであって、前記AMEの前記強化された三次元(3D)誘電体セクションが、前記第1の誘電体インク組成物の連続マトリックス内の前記第2の誘電体インク組成物の複数の強化された形態のアレイと、前記第1の誘電体インク組成物と前記第2の誘電体インク組成物の交互層、のうちの少なくとも1つを含む、繰り返すことと、
j.前記基材を除去することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記熱機械的特性パラメータが、各々、前記硬化層で測定されるような、熱膨張係数(α)、引張強度、ヤング率(E)、ガラス転移温度(T)、脆性-延性転移温度(Tβ)、[Tβ/T]比、および誘電強度、のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の誘電体インク組成物が、ポリエステル(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ(酢酸ビニル)(PVA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(ビニルピロリドン)、多官能性アクリレート、または前述のもののうちの1つ以上の混合物、モノマー、オリゴマー、およびコポリマーを含む組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のインク組成物が、セラミック成分を有する、有機的に修飾されたケイ酸塩ベースのセラミック(ORMODS)コモノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記セラミック成分が、テトラエチルオルトシリケート、テトラメチルオルトシリケート、テトライソプロピルチタネート、トリメトキシシラン(TMOS)、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ポリジメトキシシラン、ポリジエトキシシラン、ビニルメトキシシロキサン、ポリシラザン、チタンイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、ジルコニウムプロポキシド、ホウ酸トリエチル、トリメトキシボロキシンジエトキシシロキサン-エチルチタネート、チタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトネート)、シラノールポス、アルミニウムトリセクブトキシド、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、1、3、5、7、9-ペンタメチルシクロペンタシロキサン、シロキサンのポリ(ジブチルチタネート)オリゴマー、およびAl-O-Alのオリゴマー、Ti-O-Tiのオリゴマー、Zn-O-Znのオリゴマー、または前述のものを含む組成物、のモノマーおよび/もしくはオリゴマーを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記多官能性アクリレートが、1,2-エタンジオールジアクリレート、1,3-プロパンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリレート、ヒドロキシピバル酸ネオペンタンジオールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセリントリアクリレート、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのうちの少なくとも1つのモノマー、オリゴマー、ポリマー、およびコポリマー、または前述もののうちの1つ以上を含む多官能アクリレート組成物、の、うちの少なくとも1つである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の誘電体インク組成物と前記第2の誘電体インク組成物との前記交互層における前記第1の誘電体インク組成物に対応する層が、約2μm~50μmの厚さを有するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の誘電体インク組成物と前記第2の誘電体インク組成物との前記交互層における前記第2の誘電体インク組成物に対応する層が、約7μm~120μmの厚さを有するように構成されている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の誘電体インク組成物に対応する前記層と前記第1の誘電体インク組成物に対応する前記層との間の比が、1:2~1:5である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の誘電体インク組成物の前記連続マトリックス内の前記第2の誘電体インク組成物の前記複数の強化された形態物体の前記アレイ内の前記形態物体が、ロッド、ペグ、多角形の断面を有する細長い部材、および前述を含む形態の組み合わせ、のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記強化された形態物体が、円筒状ロッドである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の誘電体インク組成物から形成された前記マトリックス中の前記第2の誘電体インク組成物から形成された前記円筒状ロッドの総体積が、約10%(v/v)~約30%(v/v)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各円筒状ロッドの直径が、前記第1の誘電体インク組成物から形成される全マトリックス体積の約0.1%(v/v)~約1.0%(v/v)の体積を有するサイズのロッドを形成するように構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記強化された形態物体が、前記第2の誘電体インク組成物によって形成された多角形ネットワークであり、前記第1の誘電体インク組成物で充填された独立気泡マトリックスを形成し、それによってハニカム構造を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記多角形の独立気泡を形成する前記ネットワークが、セラミック成分を有する有機修飾シリケート系セラミック(ORMODS)コモノマーを含む組成物から形成され、前記第1の誘電体インク組成物が、ポリエステル(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ(酢酸ビニル)(PVA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(ビニルピロリドン)、多官能性アクリレート、または混合物、モノマー、オリゴマー、および前述の1つ以上のコポリマーを含む組み合わせを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、付加製造(additive manufacturing、AM)を使用して、複合構成要素を製作するためのシステム、方法、および組成物に関する。具体的には、本開示は、例えばインクジェット印刷を使用して、改良された熱機械的特性を有する複合構成要素の製作の方法、システムおよび組成物に関する。
【0002】
付加製造(AM)(いわゆる「3D印刷」)は、自動制御下で3Dワークエンベロープ全体に順次層の材料を追加/結合することで物体を製造するプロセスに与えられる一般的な用語である。ISO/ASTM52900-15は、付加製造プロセスの7つのカテゴリを定義している:バインダー噴射、指向性エネルギー蒸着、材料押出、材料噴射、粉末床溶融、シートラミネーション、およびバット重合である。
【0003】
AMによって生成される複合材料は、典型的に、連続マトリックスと、不連続相としての分散強化材料、および場合によっては界面またはバインダーで構成される。構成材料および製作方法を正しく選択することにより、物理的および機械的特性、および複合材料の微細構造を制御することができる。複合材料を製作するための材料押出カテゴリの方法の1つは、溶融堆積モデリング(FDM)である。FDMはAMプロセスを指し、熱可塑性フィラメントを加熱された押出ヘッドに供給することによって物体/構成要素が構築される。加熱された押出ヘッドは、溶融し、溶融した熱可塑性材料を、例えば、一連のビーズとして堆積させる。各ビーズは、ほぼ球形または円筒状で、印刷された部品を層ごとに構築する。印刷部品の品揃えを広げるために、ノズルのうちの1つをサポート材料として使用することができる。サポート材料は、ビルド材料によって直接サポートされていない、最終構造の張り出した印刷構成要素をサポートすることができる。サポート材料は、ビルド材料と同じ方法で印刷される(換言すれば、堆積される、が、しかし、ビルド材料とは異なり、サポート材料は印刷プロセスの後に除去され、最終的な3D部品を与える(特定の状況では、ボイドが組み込まれ得る)。
【0004】
同様に、粉末床溶融の例は、典型的には、粉末床ハウジング基材に粉末を充填し、一般にレーザー、電子ビーム、または溶接デバイスなどの熱源を用いて、粉末の一部を層として基材に選択的に溶融することを伴う。層が基材上に現像されると、基材は、粉末床に引き込まれ、粉末床は、追加の粉末で再充填され、後続層が前に基材に追加された層に溶融される。粉末は、一般に、比較的微細な粘稠度の金属、セラミック、またはプラスチック材料を含み、これは、再コーティングデバイスを使用して粉末内に容易に堆積される。リコーターデバイスは、典型的には、粉末を粉末源(すなわち、粉末貯蔵器)から粉末床に移動させるように動作可能なブレードまたはローラータイプのデバイスであり、ここで、送達時に、粉末は、以前に粉末床に送達され、前の層が基材に追加されたときに下にある基材に溶融されなかった残留粉末と結合する。最終層が構造に追加されると、後続の処理のために構造が粉末床から除去される。
【0005】
マトリックスと強化材料の組み合わせは、意図された用途の特定の要件をなお満たしながら、従来の材料よりも強く、軽く、および/または安価な最終構成要素を与えるように構成されている。
【0006】
複合材料は、プリント回路基板(PCB)、フレキシブルプリント回路(FPC)、高密度相互接続PCB(HDIP)、およびその他の付加的に製造された電子機器(AME)の生産にも使用される。PCBは、例えば、フォトリソグラフィーを伴う多段階プロセスによる生産物であり得るPCBの製作に使用される最も一般的な材料の1つは、ガラス繊維織物が埋め込まれたエポキシポリマーマトリックスで作製された複合材料であるFR-4である。この組み合わせにより、材料はある程度難燃性になり、良好な重量比に対する強度、およびかなりの機械的強度を提供する。
【0007】
付加製造プロセスにより、3D CADデータから非常に複雑な形状を直接(工具なしで)作成することを可能にし、それにより高解像度の表面を明示する物品を作成することができる。これらのプロセスは、製作された物品の様々な表面特性を詳細に説明するのに役立ったが、そのようなプロセスは、0.2mm未満の解像度で複雑な物品を生産するのに苦労していた。
【0008】
したがって、性能を低下させることなく、広範囲の熱機械的条件に耐えることができる複合構成要素の複雑な構成要素の効率的かつ正確な製作を可能にする組成物、システム、および方法が必要とされている。開示された技術は、上記で特定された欠点のいくつかに対処する。
【発明の概要】
【0009】
開示されているのは、様々な例示的な実装形態において、付加製造、例えばインクジェット印刷を使用して3D複合構成要素を形成または製作する方法、ならびに改善された熱機械的特性を有する複合材料を形成する方法の例示的な実装形態である。
【0010】
別の例示的な実装形態において、本明細書に開示されているのは、インクジェットプリンタを使用して、付加的に製造された電子機器の強化された三次元(3D)誘電体セクションを製作するための方法であって、インクジェット印刷システムを提供することであって、インクジェット印刷システムが、第1の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第1のプリントヘッドと、第2の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第2のプリントヘッドであって、第2の誘電体インク組成物が、異なる熱機械的特性パラメータを有する、第2のプリントヘッドと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々に基材を搬送するように構成された第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドに動作可能に結合されたコンベヤと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々と通信する、中央処理モジュール(CPM)を含むコンピュータ支援製造(「CAM」」モジュールであって、CPMが、実行可能命令のセットを内部に記憶する非一時的記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、命令が実行されると、CPMに、(3D)誘電体セクションを表現する3D視覚化ファイルを受信させ、第1の誘電体インクを使用して強化された(3D)誘電体セクションを印刷するための第1の実質的に2Dの層を表すファイルを生成させ、第1の誘電体インクを使用して、強化された(3D)誘電体セクションを印刷するための第2の実質的に2Dの層を表すファイルを生成させることであって、CAMモジュールが、コンベヤ、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々を制御するように構成される、生成させるように構成される、CAMモジュール、を備える、提供することと、第1の誘電体インク組成物および第2の誘電体インク組成物を提供することと、CAMモジュールを使用して、(3D)誘電体セクションの第1の実質的に2Dの層を取得することであって、第1の2Dの層が、第1の誘電体インクを表すパターンを含む、取得することと、第1のプリントヘッドを使用して、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、(3D)誘電体セクションの2Dの層の第1の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させることと、(3D)誘電体セクションの第2の実質的に2Dの層を取得することであって、第2の2Dの層が、第2の誘電体インクを表すパターンを含む、取得することと、第2のプリントヘッドを使用して、第2の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、第2の誘電体インクに対応するパターンを硬化させることと、基材を除去することと、を含む、方法である。
【0011】
別の例示的実装形態において、本明細書に開示されているのは、インクジェットプリンタを使用して、付加的に製造された電子機器の強化された三次元(3D)誘電体セクションを製作するための方法であって、インクジェット印刷システムを提供することであって、インクジェット印刷システムが、第1の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第1のプリントヘッドと、第2の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第2のプリントヘッドであって、第2の誘電体インク組成物が、異なる熱機械的特性パラメータを有する、第2のプリントヘッドと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々に基材を搬送するように構成された第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドに動作可能に結合されたコンベヤと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々と通信する、コンピュータ支援製造(「CAM])モジュールであって、CPMが、実行可能命令のセットを内部に記憶する非一時的記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、命令が実行されると、CPMに、(3D)誘電体セクションを表現する3D視覚化ファイルを受信させ、第1の誘電体インクを用いて強化された(3D)誘電体セクションを印刷するための第1の実質的に2Dの層を表すファイルを生成させることであって、ファイルが、第1の層に印刷するための第1のインク組成物に対応するパターンを含む、生成させ、同一の第1の実質的に2Dの層の第2のインク組成物を印刷するためのパターンを表すファイルを生成させることであって、第1および第2のパターンが、第1の誘電体インク組成物のマトリックス内に第2の誘電体インク組成物の円筒状ロッドのアレイを形成するように構成され、CAMモジュールが、コンベア、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々を制御するように構成されている、生成させるように構成される、CAMモジュール、を備える、提供することと、第1の誘電体インク組成物および第2の誘電体インク組成物を提供することと、CAMモジュールを使用して、(3D)誘電体セクションの第1の実質的に2Dの層を取得することであって、第1の2Dの層が、第1の誘電体インクを表すパターンを含む、取得することと、第1のプリントヘッドを使用して、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、(3D)誘電体セクションの2Dの層の第1の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させることと、第2のプリントヘッドを使用して、第2の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、第2の誘電体インクに対応するパターンを硬化させることと、基材を除去することと、を含む、方法である。
【0012】
さらに別の例示的な実装形態において、本明細書に開示されているのは、インクジェットプリンタを使用して、付加的に製造された電子機器(AME)の強化された三次元(3D)誘電体セクションを製作する方法であって、インクジェット印刷システムを提供することであって、インクジェット印刷システムが、第1の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第1のプリントヘッドと、第2の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第2のプリントヘッドであって、第2の誘電体インク組成物が、第1の誘電体インク組成物とは異なる熱機械的特性パラメータを有する、第2のプリントヘッドと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々に基材を搬送するように動作可能な、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドに動作可能に結合されたコンベヤと、少なくともコンベヤおよび第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々と通信する、中央処理モジュール(CPM)を含む、コンピュータ支援製造(「CAM」)モジュールであって、CPMが、実行可能命令のセットを内部に記憶する非一時的プロセッサ可読記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、AMEを表現する3D視覚化ファイルを受信するステップと、複数のファイルを含むファイルライブラリを生成するステップであって、各ファイルが、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための実質的に2Dの層を表し、メタファイルが、少なくとも印刷順序を表す、生成するステップと、を含むステップを実行することによって、CPMにインクジェット印刷システムを制御させる、CAMモジュール、を備える、インクジェット印刷システムを提供することと、第1の誘電体インク組成物および第2の誘電体インク組成物を提供することと、CAMモジュールを使用して、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための第1の層を表す第1のファイルをライブラリから取得することであって、第1のファイルが、第1の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、第2の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、を含む、取得することと、第1のプリントヘッドを使用して、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、第1の層の第1の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させることと、第2のプリントヘッドを使用して、第2の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、第1の層の第2の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させることと、CAMモジュールを使用して、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための後続の層を表す後続のファイルをライブラリから取得することであって後続のファイルが、各後続の層の第1の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、第2の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、を含む、取得することと、第1のプリントヘッドを使用して、CAMモジュールを使用するステップまで、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成し、2Dファイルライブラリから後続の実質的に2Dの層を取得するステップと、すぐに、最終層の第2のインク組成物に対応するパターンを硬化するステップと、を繰り返すことであって、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションが、第1の誘電体インク組成物の連続マトリックス内の第2の誘電体インク組成物の複数の強化形態のアレイと、第1の誘電体インク組成物と第2の誘電体インク組成物の交互層、のうちの少なくとも1つを含む、繰り返すことと、基材を除去することと、を含む、方法である。
【0013】
強化された複合構成要素および/または物品を製作するための方法および組成物のこれらおよび他の特徴は、限定ではなく例示的な図および実施例と併せて読むと、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
改善された熱機械的特性を有する複合構成要素のシステム、製作方法、および組成物をよりよく理解するために、その例示的な実装形態に関して、添付の実施例および図を参照する。
図1A図1Aは、複合材料を製作するために異なる熱機械的特性を有する誘電体材料の交互層を使用して製作された3D部品を例示し、図1Bは、均一な熱機械層を備えた交互の基本誘電体層と、ロッドアレイマトリックス層との組み合わせを例示し、図1Cは、図1AのTMA分析結果を例示している。
図1B】同上。
図1C】同上。
図2A図2Aは、マトリックスに埋め込まれたロッドアレイの例示的な実装形態を示し、ロッドアレイ構成の概略図は、図2Bに例示されている。
図2B】同上。
図3】開示されたシステム、方法、および組成物を使用して製作されたハニカム構成の例示的な実装形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で提供されるのは、改善された熱機械的特性を有する複合構成要素を製作するためのシステム、方法、および組成物の例示的な実装形態である。
【0016】
三次元(3D)ポリジェットプリンタは、印刷ヘッドのノズルアレイのオリフィスから噴射(排出)される液体インクを使用するように適合されている。典型的に、市販の3Dプリンタは、ポリマーベースのインク、セラミックベースのインク、または金属ナノ粒子ベースのインクのいずれかを使用する。ポリジェット印刷システムを使用すると、FDMプリンタが抱える精度と解像度の問題を克服することができる。ポリジェット方式の3D印刷では、印刷ヘッドのノズルから噴射されるインクは、液体状態である必要がある。
【0017】
したがって、いくつかの例示的な実装形態では、本明細書で提供されるのは、2つ以上の材料から製作される3D構成要素を印刷するための方法であり、材料の一方は、主(ビルド)マトリックスとして機能し、他方は強化材料として機能する。最終的な印刷構成要素は、本開示の文脈において、複合材料と呼ばれる。開示された方法では、すべての噴射されたインクは、噴射前は液体であり、噴射後に硬化および固化する。これらの方法は、最終的な印刷構成要素の引張強度、熱膨張係数(CTE)などの機械的および/または熱的特性の両方を改善するように構成されている。例示的な実装形態では、改善された特性は、主マトリックスと強化材の交互層を印刷することによって達成される。別の例示的な実装形態では、改善は、主マトリックス(ビルド)材料に埋め込まれた円筒様状の強化材を印刷することによって達成される。
【0018】
別の例示的な実装形態において、本明細書に開示されているのは、インクジェットプリンタを使用して、付加的に製造された電子機器の強化された三次元(3D)誘電体セクションを製作するための方法であって、インクジェット印刷システムを提供することであって、インクジェット印刷システムが、第1の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第1のプリントヘッドと、第2の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第2のプリントヘッドであって、第2の誘電体インク組成物が、異なる熱機械的特性パラメータを有する、第2のプリントヘッドと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々に基材を搬送するように構成された第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドに動作可能に結合されたコンベヤと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々と通信する、中央処理モジュール(CPM)を含むコンピュータ支援製造(「CAM])モジュールであって、CPMが、実行可能命令のセットを内部に記憶する非一時的記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、命令が実行されると、CPMに、(3D)誘電体セクションを表現する3D視覚化ファイルを受信させ、第1の誘電体インクを使用して強化された(3D)誘電体セクションを印刷するための、第1の実質的に2Dの層を表すファイルを生成させ、第1の誘電体インクを使用して強化された(3D)誘電体セクションを印刷するための第2の実質的に2Dの層を表すファイルを生成させることであって、CAMモジュールが、コンベヤ、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々を制御するように構成される、生成させるように構成される、CAMモジュール、を備える、提供することと、第1の誘電体インク組成物および第2の誘電体インク組成物を提供することと、CAMモジュールを使用して、(3D)誘電体セクションの第1の実質的に2Dの層を取得することであって、第1の2Dの層が、第1の誘電体インクを表すパターンを含む、取得することと、第1のプリントヘッドを使用して、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、(3D)誘電体セクションの2Dの層の第1の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させることと、(3D)誘電体セクションの第2の実質的に2Dの層を取得することであって、第2の2Dの層が、第2の誘電体インクを表すパターンを含む、取得することと、第2のプリントヘッドを使用して、第2の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、第2の誘電体インクに対応するパターンを硬化させることと、基材を除去することと、を含む、方法である。
【0019】
さらに別の例示的な実装形態において、本明細書に開示されているのは、インクジェットプリンタを使用して、付加的に製造された電子機器(AME)の強化された三次元(3D)誘電体セクションを製作する方法であって、インクジェット印刷システムが、インクジェット印刷システムを提供することであって、第1の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第1のプリントヘッドと、第2の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第2のプリントヘッドであって、第2の誘電体インク組成物が、第1の誘電体インク組成物とは異なる熱機械的特性パラメータを有する、第2のプリントヘッドと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々に基材を搬送するように動作可能な第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドに動作可能に結合されたコンベヤと、少なくともコンベヤおよび第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々と通信する、中央処理モジュール(CPM)を含む、コンピュータ支援製造(「CAM」)モジュールであって、CPMが、実行可能命令のセットを内部に記憶する非一時的プロセッサ可読記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとAMEを表現する3D視覚化ファイルを受信するステップと、複数のファイルを含むファイルライブラリを生成するステップであって、各ファイルが、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための実質的に2Dの層を表し、メタファイルが、少なくとも印刷順序を表す、生成するステップと、を含むステップを実行することによって、CPMにインクジェット印刷システムを制御させる、CAMモジュール、を備える、インクジェット印刷システムを提供することと、第1の誘電体インク組成物および第2の誘電体インク組成物を提供することと、CAMモジュールを使用して、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための第1の層を表す第1のファイルをライブラリから取得することであって第1のファイルが、第1の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、第2の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、を含む、取得することと、第1のプリントヘッドを使用して、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、第1の層の第1の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させることと、第2のプリントヘッドを使用して、第2の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、第1の層の第2の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させることと、CAMモジュールを使用して、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための後続の層を表す後続のファイルをライブラリから取得することであって、後続のファイルが、各後続の層の第1の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、第2の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、を含む、取得することと、第1のプリントヘッドを使用して、CAMモジュールを使用するステップまで、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成し、2Dファイルライブラリから後続の実質的に2Dの層を取得するステップと、すぐに、最終層の第2のインク組成物に対応するパターンを硬化するステップと、を繰り返すことであって、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションが、第1の誘電体インク組成物の連続マトリックス内の第2の誘電体インク組成物の複数の強化形態のアレイと、第1の誘電体インク組成物と第2の誘電体インク組成物の交互層、のうちの少なくとも1つを含む、繰り返すことと基材を除去することと、を含む、方法である。
【0020】
本方法では、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションは、従来の「マトリックス+ロッド/ワイヤ強化」(FR-4など)ではなく、2つの異なる材料の設定された厚さの「交互層」で構成することができる。層の形状は、印刷された構成要素またはその一部の最終的な3D形状(印刷用に2Dビットマップまたはラスターに解析される3Dファイルから取得)に従って印刷されるように構成される。2つの材料の層の厚さと比率(例えば、強化材とビルドマトリックスの間)は、印刷された構成要素の3D形状にしたがってサイズ化され、構成される必要がある。例えば、複合材料を使用する主な目的が印刷構成要素のCTEを下げることである場合、図1A~1Bで分かるように、CTEが低い(硬化後の)材料の薄い層を組み込む必要がある。
【0021】
完全な3D構成要素の印刷を実現するために、実行可能命令のセットは、実行されると、CPM(および/またはCPMと通信する少なくとも1つのプロセッサ)に後続の層でファイルのライブラリを生成させるようにさらに構成され、各層は、第1の誘電体インクおよび第2の誘電体インク、のうちの少なくとも1つを表すパターンを含み、これにより、層が、第1の誘電体インクと第2の誘電体インクの間で交互の順序-ライブラリ内の各層ファイルのメタファイルによって決定することができる順序で印刷されるように構成される。さらに、各誘電体インク組成物のパターンは同じでも異なっていてもよく、両方のパターン(交互層構成)は、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための単一層ファイルとして扱うことができる。
【0022】
本開示の文脈において、「ライブラリ」という用語は、3D視覚化ファイルから導出された2Dの層ファイルのコレクションを指し、第1および第2の誘電体インクで印刷される層のパターンの各々を印刷するために必要な情報を含有し、これは、CPMによってアクセスおよび使用され、これは、次々にコンピュータ可読メディアに組み込まれた実行可能命令によって実行することができる。CAMは、ライブラリと通信するプロセッサと、(少なくとも1つの)プロセッサによって実行するための操作命令のセットを格納する非一時的記憶デバイスと、マイクロメカニカルインクジェットプリントヘッドまたはプロセッサおよびライブラリと通信するヘッドと、2Dファイルライブラリ、非一時ストレージデバイスおよびマイクロメカニカルインクジェットプリントヘッドと通信するプリントヘッド(またはヘッド)インターフェイス回路、とをさらに備えるCPMを含み、2Dファイルライブラリは、特定の層、例えば、硬後マトリックス層または強化層および/または異なる熱機械的特性を有するパターンを印刷するためのプリンタ動作パラメータを提供するように構成される。
【0023】
したがって、AMを使用して改善された、または調整された熱機械的特性を有する複合材料を製作するための方法は、CAMモジュールを使用して、ライブラリから、印刷用のAMEの強化3D誘電体セクションの実質的に2Dの層(例えば、単一の層ファイルおよびそれらの印刷順序で、第1の誘電体(DI)インク組成物を使用するマトリックス層、または第2のDI組成物を使用する強化層、または両方)の後続の層を表す生成ファイルを取得することと、第1の誘電体インク組成物を表すパターンを含む、後続の層(各マトリックスおよび強化層の初期の少なくとも2つの層の後)を得るステップから、第2の誘電体インク組成物を表すパターンを含む後続の層を硬化させるステップへのステップを繰り返すことと、を含む。
【0024】
ビルドマトリックス内で(ここでも、硬化後、同じまたは異なる条件下であり得る)、交互層、または埋め込まれたフォームアレイ(例えば、ロッド、六角形など)を硬化させるステップの後、改善または調整されるべき熱機械的特性パラメータは、本明細書に開示される方法を使用して、熱膨張係数(a)[温度の単位上昇あたりの長さまたは体積のわずかな増加を指す]、引張強度[換言すれば、硬化した構成要素の比例限界、または応力とひずみが比例したままで、それを超えると、加えられたひずみが弾性応答をもたらさない最大応力]、ヤング率(E)、ガラス転移温度(T)[温度の上昇により、格子間自由体積が並進鎖長に対応するのに十分な大きさになった後の、臨界ポリマー鎖長の協調並進運動の開始温度を指す]、脆性-延性転移温度(Tβ)[硬化した3D複合構成要素の温度関連の破壊挙動を指す]、および[Tβ/T]比、ポアソン比(横方向の収縮(または圧縮)と縦方向の伸長または収縮の比を指す)AMEの硬化層および/または強化された3D誘電体セクション上で各々測定される、のうちの少なくとも1つである。
【0025】
別の例示的な実装形態では、本明細書に開示される方法、システム、および組成物を使用して、改善または調整されることが求められる熱機械的特性パラメータは、絶縁破壊強度である。「絶縁破壊」(DEB)という用語は、例示的な実装形態において、電圧誘導絶縁体-そのような電気絶縁材料を通る電流の流れから生じる電気絶縁材料の導体遷移を指し、これは通常、抵抗の大幅な減少を引き起こす電極間の電気アークとして観察される。この現象の1つの説明は、絶縁材料の原子が非常に緊密に結合した電子を持ち、自由な電子の流れに非常によく抵抗することを前提としている。しかしながら、絶縁体は、無限量の電圧に耐えることができない。さらに、電流が印加電圧に線形に比例する導体が関係する状況とは異なり、絶縁体を流れる電流は主に非線形であり、特定のしきい値レベル未満の電圧の場合、実質的に電荷は流れないが、電圧がそのしきい値を超えると、電流が急増する。電流が絶縁材料を強制的に通過すると、その材料の分子構造の崩壊が表面上に発生した。絶縁破壊には2種類があり、つまり、熱的および電気的破壊である。
【0026】
熱破壊は、電流によるDI構成要素の過度の加熱によって引き起こされ得、特定の電圧でポリマーが溶融または燃焼を引き起こし、一方、絶縁破壊は通常、衝突電離によって引き起こされるが、電極からおよび価電子帯から伝導体への電荷キャリアのトンネリングの結果であり得る。トンネル効果は、主として、薄い層内で起こる(p-n接合)。本明細書に開示されるシステム、方法、および組成物を使用して、複合材料の、複合3D構成要素を通る高周波電流変動に対する耐性を高めることが可能である。
【0027】
例えば、誘電率(ε)が2.8(1MHz)のポリ(メチルメタクリレート)をビルド材料として含む第1のDI組成物を使用し、層を交互に配置し、例えば、2.0のeを有するポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)を含む第2のDI組成物を有する、複数の埋め込み物体のアレイを形成することは、約100kV/cm~約300kV/cmから、約400kV/cm~約650kV/cmまでの絶縁強度(換言すれば、DEBしきい値)の増加(つまり、改善または調製)を可能にする。
【0028】
第2のDI組成物で製作された強化層の厚さは、約7μm~約120μm、例えば、約15μm~約100μm、または約25μm~約75μmで変化し得る。同様に、マトリックス(ビルド)材料の厚さは、2~50μm、または約5μm~約40μm、例えば、約10μm~約35μm、または約15μm~約25μmで変化するようにサイズ化され、構成され得る。さらに、強化材料層とマトリックス(ビルド)材の間の厚さの比率は、1:2~1:5で変化するようにサイズ化され、構成されることができる。
【0029】
例示的な実装形態では、複合3D構成要素は、様々なタイプの強化層が散在するマトリックス(ビルド層、例えば、1つの散在層において第2のDI組成物を使用して製作された所定の層厚からなるサポート層から構成され得、別の強化層では、強化された層は、第1のDI組成物と第2のDI組成物の両方から構成される(例えば、20、図1Bを参照)。したがって、実行可能命令のセットは、実行されるとCPMに、第1の誘電体インクを使用して強化(3D)誘電体セクションを印刷するための、第1の実質的に2Dの埋め込み物体形態(ロッド、ペグ、球、細長い多角形ロッド、ハニカム壁など)層を表すファイルを生成させるようにさらに構成され、ファイルは、第1の層に印刷するための第1のインク組成物に対応するパターンと、印刷用の同じ実質的に2Dのロッドマトリックス層内の第2のインク組成物に対応する印刷用のパターンと、を含み、第1および第2のパターンは、第1の(ビルド)誘電体インク組成物の実質的に連続したマトリックス内に実質的に埋め込まれた第2の誘電体インク組成物の複数の物体形態のアレイを形成するように構成される(例えば、図2A、2Bを参照)。その後、第1のプリントヘッドを使用して、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成し、(3D)誘電体セクションの層の第1の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させ、次に、順次にまたは同時に、第2の誘電体インクを表し、対応する層を表すファイルを取得し、第2のプリントヘッドを使用して、第2の誘電体インクを表し、対応するパターンを形成し、第2の誘電体インクのパターンを硬化させ、それにより、第1のDI組成物から製作されたマトリックスに埋め込まれた第2のDI組成物(異なる熱機械的特性を有する)から製作された複数の物体形態のアレイの少なくとも一部を形成する。
【0030】
交互層の例と同様に、ここでも、実行可能命令のセットは、実行されると、CPMまたはCPMと通信している少なくとも1つのプロセッサに、後続の層を有するファイルのライブラリを生成させ、各層は、第1の誘電体インク組成物を表し、それに対応するパターンと、第2の誘電体インク組成物を表し、それに対応するパターンと、を含み、層は、すべてのライブラリファイルが印刷され、硬化されると、第1の誘電体インク組成物のマトリックス内に第2の誘電体インク組成物の複数の物体形態のアレイを形成し、その結果、すべての層が印刷されると、(ビルド)マトリックス内に埋め込まれた、複合物体形態の強化セクションは、AMEの強化された3D誘電体セクションに、改善された、および/または調整された所望の熱機械的特性を提供するように適合された所定の厚さに印刷される。したがって、別の例示的な実装形態において、ライブラリがコンパイルされると(換言すれば、CPMによって直接実行可能な形式にされると)、CAMモジュールを使用して、印刷用のAMEの強化3D誘電体セクションの後続の実質的に2Dの層を表す生成ファイルを取得し、後続の副層および/物体形態を印刷するステップを(ビルド)マトリックスの第1のDIに対応するパターンを形成するステップから、AMEの所望の厚さの完了または強化3D誘電体セクションの完了に続く、その同じ後続の層および任意の層における交互層および/または物体形態のアレイに対応する第2のDI組成物を表し、それに対応するパターンを硬化するステップまで繰り返す。
【0031】
例示的な実装形態では、3D複合構成要素全体は、第1のDI組成物を使用して製作されたビルドマトリックス内に第2のDI組成物で構成されるロッドアレイを埋め込むこと、または、付加的にまたは代替的に、図3に概略的に示されるように、第1のDI組成物内に分散された第2のDI組成物のパターンによって製作することができる。したがって、および例示的な実装形態において、本明細書に開示されているのは、インクジェットプリンタを使用して、付加的に製造された電子機器(AME)の強化された三次元(3D)誘電体セクションを製作する方法であって、インクジェット印刷システムを提供することであって、インクジェット印刷システムが、第1の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第1のプリントヘッドと、第2の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第2のプリントヘッドであって、第2の誘電体インク組成物が、第1の誘電体インク組成物とは異なる熱機械的特性パラメータを有する、第2のプリントヘッドと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々に基材を搬送するように動作可能な、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドに動作可能に結合されたコンベヤと、少なくともコンベヤおよび第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々と通信する、中央処理モジュール(CPM)を含む、コンピュータ支援製造(「CAM」)モジュールであって、CPMが、実行可能命令のセットを内部に記憶する非一時的プロセッサ可読記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、AMEを表現する3D視覚化ファイルを受信するステップと、複数のファイルを含むファイルライブラリを生成するステップであって、各ファイルが、AME強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための実質的に2Dの層を表し、メタファイルが、少なくとも印刷順序を表す、生成するステップと、を含むステップを実行することによって、CPMにインクジェット印刷システムを制御させる、CPMと、を含む、CAMモジュール、を備える、インクジェット印刷システムを提供することと、第1の誘電体インク組成物、および第2の誘電体インク組成物を提供することと、CAMモジュールを使用して、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための第1の層を表す第1のファイルをライブラリから取得することであって、第1のファイルが、第1の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、第2の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、を含む、取得することと、第1のプリントヘッドを使用して、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、第1の層の第1の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させることと、第2のプリントヘッドを使用して、第2の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、第1の層の第2の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させることと、CAMモジュールを使用して、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための後続の層を表す後続のファイルをライブラリから取得することであって、後続のファイルが、各後続の層の第1の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、第2の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、を含む、取得することと、第1のプリントヘッドを使用して、CAMモジュールを使用するステップまで、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成し、2Dファイルライブラリから後続の実質的に2Dの層を取得するステップと、すぐに、最終層の第2のインク組成物に対応するパターンを硬化するステップと、を繰り返すことであって、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションが、第1の誘電体インク組成物の連続マトリックス内の第2の誘電体インク組成物の複数の強化形態のアレイと、第1の誘電体インク組成物と第2の誘電体インク組成物の交互層、のうちの少なくとも1つを含む、繰り返すことと、基材を除去することと、を含む、方法である。
【0032】
開示された交互層の強化方法例示的実装形態と同様に、実行可能命令のセットは、実行されると、CPM、またはCPMと通信する少なくとも1つのプロセッサに、後続の層(ローカルまたはリモートで記憶され得る)を有するファイルのライブラリを生成させるようにさらに構成され、各層は、第1の誘電体インクおよび第2の誘電体インクを表し、対応するパターンを含み、後続の層は、第1の誘電体インク組成物のマトリックス内の第2の誘電体インク組成物の円筒状ロッド(例えば、図2Bを参照)および/または多角形(例えば、図3を参照)のアレイを形成するように構成されている。ここでも、方法はさらに、CAMモジュールを使用して、印刷用に強化された3D誘電体セクションの後続の実質的に2Dの層を表す生成されたファイルを取得するステップと、方法ステップを、例えば、強化層、例えば層103図1B)、およびその全体の3D構成要素または部分のうちの少なくとも1つの完了まで繰り返す(例えば、図2Aの30を参照)ステップと、を含む。
【0033】
例示的な実装形態において、第1の誘電体インク組成物によって形成される(ビルド)マトリックス中の第2の誘電体インク組成物によって形成される円筒状ロッドのアレイおよび/または多角形パターンの総体積は、3D誘電体構成要素全体またはそのセクション(例えば部分)の約10%(v/v)~約30%(v/v)、例えば12%(v/v)~約28%(v/v)、または約15%(v/v)~約24%(v/v)である。本明細書に開示されている方法で第2のDI組成物を使用して製作された強化されたパターンがロッドアレイである場合、各円筒状ロッドの直径は、第1の誘電体インク組成物から形成される全マトリックス体積の約0.1%(v/v)~約1.0%(v/v)の体積を有するサイズのロッドを形成するように構成される。逆に、本明細書に開示されている方法で第2のDI組成物を使用して製作された強化されたパターンが多角形ネットワーク(例えば、203、図3参照)である場合、全体の3D DI複合構成要素、断面、またはその部分に対する総体積は、約10%(v/v)~約30%(v/v)、例えば12%(v/v)~約28%(v/v)、または約15%(v/v)~約24%(v/v)であるように構成されている。
【0034】
さらに、ここでも、異なる熱機械的特性パラメータを有する第2のDI組成物によって形成されたロッドアレイまたは多角形ネットワークに加えて、第2のDI組成物の交互層を3D DI構成要素、断面またはその部分に組み込むことができ、これにより、実行可能命令のセットが、実行されたとき、CPMまたはCPMと通信する少なくとも1つのプロセッサに、第1の誘電体インクを使用して強化された(3D)誘電体セクションを印刷するための第1の実質的に2Dの交互層を表すファイルが生成されるように第1および第2のインクジェットヘッドを基材に対して移動させ、第1の誘電体インクを使用して強化された(3D)誘電体セクションを印刷するための第2の実質的に2Dの交互層を表すファイルが生成されるように第1および第2のインクジェットヘッドを基材に対して移動させる、ようにさらに構成することができる。その後、第1のDI組成物のパターンを表す後続の層のファイルを取得し、第1のプリントヘッドを使用して、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成し、2Dロッドマトリックス層および/または(3D)誘電体セクションの多角形ネットワーク内の第1の誘電体インクの表現に対応するパターンを硬化させ、第2の誘電体インクを表し、対応する層を表すファイルを取得し、第2のプリントヘッドを使用して、第2の誘電体インクに対応する層を形成し、第2の誘電体インクに対応するパターンを硬化させる。
【0035】
例示的な実装形態では、マトリックス(ビルド)材料、または第1のDI組成物は、任意の硬化可能な有機、セラミック、有機セラミック材料、および強化材はまた、CTEを低下させることができる(または主要材料の熱的および/または機械的特性を改善することができる特性を有する)任意の硬化可能な有機、セラミックまたは有機セラミックであり得る。最終製品は、同じ形状の印刷部品と比較してCTEが低い印刷複合部品であるが、強化材は追加されていない。
【0036】
例えば、第1のDI組成物は、分岐樹脂であり得、それにより、熱機械的特性は、分岐の程度、分岐間の骨格長、架橋密度などによって制御され得る。例えば、第1の誘電体インク組成物は、ポリエステル(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ(酢酸ビニル)(PVA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(ビニルピロリドン)、多官能性アクリレート、または混合物、モノマー、オリゴマー、および前述の1つ以上のコポリマーを含む組み合わせを含み得る。
【0037】
したがって、本明細書に開示される方法で使用される第1および/または第2のDI組成物を形成するために使用される多官能性アクリレートは、1,2-エタンジオールジアクリレート、1,3-プロパンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリレート、ヒドロキシピバル酸ネオペンタンジオールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセリントリアクリレート、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、または前述の1つ以上を含む多官能アクリレート組成物、のうちの少なくとも1つであり得る。
【0038】
他のマトリックス(ビルド材料)を使用することができ、例えば、ビニルベンジル化合物樹脂、ポリオレフィン化合物、マレイミド樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン修飾ポリエステル樹脂、またはそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、ビニルベンジル化合物樹脂は、ビニルベンジルエーテル化ビシクロペンタジエンフェノール樹脂であり、ポリオレフィン化合物は、スチレン-ブタジエン-ジビニルベンゼンコポリマー、水素化スチレン-ブタジエン-ジビニルベンゼンコポリマー、スチレン-ブタジエン-無水マレイン酸コポリマー、ポリブタジエン-ウレタン-メチルメタクリレートコポリマー、ウレタン-メチルメタクリレートコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリブタジエンホモポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、マレイン化スチレン-ブタジエンコポリマー、メチルスチレンコポリマー、石油樹脂と環状オレフィンコポリマーのうちの少なくとも1つであり、マレイミド樹脂は、4,4’-ビスミスイミドジフェニルメタン、フェニルメタンマレイミドオリゴマー、N、N’-M-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-(4-メチル-1、3-フェニレン)ビスマレイミド、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、2,3-ジメチルフェニルマレイミド、2,6-ジメチルフェニルマレイミド、N-フェニルマレイミドおよび上記化合物のプレポリマーのうちの少なくとも1つである。
【0039】
ここでも、例えば、各々、硬化層で測定される、熱膨張係数(α)、引張強度、ヤング率(E)、ガラス転移温度(T)、脆性-延性転移温度(Tβ)、および[Tβ/T]比、のうちの1つ、などの熱機械的特性は、複数のパラメータ、例えば、使用されるモノマーのタイプ、重合度、架橋密度、モノマーの分画濃度、オリゴマーおよび/またはポリマー、ならびに組成物中のそれらの組み合わせなど、のうちの1つなど、を制御することにより、第1および第2のDI組成物間で適合させることができる。
【0040】
同様に、異なる熱機械的特性を有する第2のDI組成物は特徴的なパラメータであり、例えば、セラミック成分を有する、有機的に修飾されたケイ酸塩ベースのセラミック(ORMODS)コモノマーのうちの1つを含む組成物であり得る。これらの成分が使用される場合、セラミック成分は、テトラエチルオルトシリケート、テトラメチルオルトシリケート、テトライソプロピルチタネート、トリメトキシシラン(TMOS)、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ポリジメトキシシラン、ポリジエトキシシラン、ビニルメトキシシロキサン、ポリシラザン、チタンイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、ジルコニウムプロポキシド、ホウ酸トリエチル、トリメトキシボロキシンジエトキシシロキサン-エチルチタネート、チタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトネート)、シラノールポス、アルミニウムトリセクブトキシド、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、1、3、5、7、9-ペンタメチルシクロペンタシロキサン、シロキサンのポリ(ジブチルチタネート)オリゴマー、およびAl-O-Alのオリゴマー、Ti-O-Tiのオリゴマー、Zn-O-Znのオリゴマー、または前述を含む組成物、のモノマー、および/またはオリゴマーを含む。
【0041】
光開始剤(PI)は、本明細書に記載のアクリレートと共に使用することができ、本明細書に開示される第1および第2のDI組成物の少なくとも1つに組み込むことができ、例えば、ラジカルPIであり得る。これらのラジカルPIは、例えば、CIBA SPECIALTY CHEMICALのIrgacure(登録商標)500およびDarocur(登録商標)1173、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)184、TPO-L(エチル(2,4,6、トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート)ベンゾフェノンおよびアセトフェノン化合物など、のうちの1つであり得る。例えば、ラジカル光開始剤は、混合トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩などのカチオン性光開始剤であり得る。使用されるフリーラジカル光開始剤の別の例は、イソプロピルチオキサンテン(ITX)、2,4-ジエチルチオキサントン(DETX)、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート(EDAB)、および2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、のうちの少なくとも1つである。例示的な実装形態において、2つ以上のPI、例えば、ITXおよびEDAB、または別の例では、EDAB、ITXおよびDETXが使用される。
【0042】
さらに、本明細書に記載される3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分を形成する方法は、第1のプリントヘッドおよび/または第2のプリントヘッドを使用するステップの前に、剥離可能または除去可能な基材を提供するステップをさらに含むことができる。「剥離可能」という用語は、例示的な実装形態において、本明細書に記載の3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分を形成するための方法、組成物およびシステムによって作成された表面などの表面に除去可能に適用および付着することができ、その後、力でその表面から除去することができる材料を指す。本発明の組成物および方法による剥離可能なフィルムは、プリンタのコンベヤベルト上に配置されたチャックに接着剤および除去可能に適用することができ、強制的に除去することにより、3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分の層を露出させる。
【0043】
3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分を形成する方法は、上記のように、基材(例えば、剥離可能なフィルム)を提供するステップを含むことができる。樹脂および/または第2の誘電体インクを堆積させるプリントヘッド(およびその誘導体は、制御された形態で表面に材料を堆積、転写、または作成する任意のデバイスまたは技術を指すと理解されるべきである)は、要求に応じて、換言すれば、コンベヤ速度、所望の導電層の厚さ、層のタイプ、層の色などの様々な事前に選択されたプロセスパラメータの関数として、インク液滴を提供するように構成することができる。除去可能または剥離可能な基材はまた、比較的剛性のある材料、例えば、ガラスまたは結晶(例えば、サファイア)であり得る。付加的に、または代替的に、剥離可能な基材は、3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分からの基材の容易な剥離を可能にするために、柔軟な(例えば、回転可能な)基材(またはフィルム)、例えば、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリイミド(例えば、デュポンのKAPTONE(登録商標)、シリコンポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)フィルムなどであり得る。さらにその上、基材は、例えば、セラミック粉末であり得る。
【0044】
本明細書に開示される第1および/または第2の誘電体インク組成物に使用される好適な界面活性剤は、例えば、C~C12のアルキルベンゼンスルホン酸塩、C12~C16アルカンスルホネート、C12~C16アルキルサルフェート、C12~C16アルキルスルホコハク酸塩およびC12~C16の硫酸化エトキシル化アルカノールなどの陰イオン性界面活性剤、およびC~C12のアルキルフェノールエトキシレート、C12~C20アルカノールアルコキシレート、およびエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーなどの非イオン性界面活性剤である。
【0045】
例示的な実装形態では、3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分を製作するための方法およびシステムで使用される印刷システムは、サポートインク組成物または第2の誘電体インク組成物を分注するように動作可能なさらに追加の機能的プリントヘッドをさらに含むことができる。サポートインク組成物、または第2の誘電体インク組成物を有するプリントヘッドを使用して、方法は、サポートインク組成物、または第2の誘電体インク組成物を有する追加のプリントヘッドを提供することと、第1のプリントヘッド、第2のプリントヘッド、または他の任意の機能的なプリントヘッド(およびそれらの任意の順列)を使用するステップに続いて、順次に、または同時に、サポートインク組成物または第2の誘電体インク組成物を有するプリントヘッドを使用して、3D視覚化ファイルからCAMモジュールによって生成され、印刷用の3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分の実質的に2Dの層でパターンとして表される追加のサポートまたは導電性パターンの表現に対応する所定のパターンを形成することと、をさらに含むことができる。
【0046】
サポートインク組成物、または第2の誘電体インク組成物のパターン表現のいずれかに対応する所定のパターンをさらに処理して(例えば、硬化、冷却、架橋など)、パターンを機能化することができる。サポートインク組成物および/または第2の誘電体インク組成物を堆積するプロセスは、その後、必要に応じて、すべての順次層に対して繰り返すことができる。
【0047】
「形成する(forming)」(およびその変形「形成される(formed)など)という用語は、例示的な実装形態において、当技術分野で知られている任意の好適な形態を使用して、ポンピングする、注入する、注ぐ、解放する、変位させる、スポッティングする、循環させる、または別の材料(例えば、基材、樹脂、または別の層)と接触する流体または材料(例えば、第2の誘電体インク)を配置させることを指す。
【0048】
本開示の文脈において、「硬化(curing)」という用語は、光重合開始剤などの架橋剤または硬化剤が架橋可能な官能基と反応して、硬化したDI組成物に特徴的な架橋ネットワークを形成するプロセスを指す。本明細書で使用される硬化されたDI組成物は、特定の例示的な実実装形態では、従来の溶媒への溶解度が制限されているか、またはまったくない非変形性固体である。「硬化したとき(When cured)」は、例えば充填剤の重量分率の基礎としてDI組成物を参照して本明細書で使用される場合、溶媒、揮発性物質、および硬化中に生成される可能性のある揮発性反応構成要素を除く、硬化後に固体形態のままである熱硬化性樹脂組成物の部分を意味する。反応生成物は硬化中にのみ生成され、硬化が行われると、すべての反応(終了反応)が完了するため、その後では生成されない。硬化は、特定の実装形態では、DI組成物および改善および/または調整が求められる熱機械的パラメータに応じて、様々なDI組成物パターンを所定の波長、例えば、約190nm~約390nmのなどの化学線に、所定の時間、例えば、約2分~約2時間、曝露することによって実行される。
【0049】
同様に、他の機能的な「ヘッド」は、誘電体/樹脂性プリントヘッドおよび/または導電性(金属含有)プリントヘッドの前、間、または後に位置することができる。これらは、例示的な実装形態において、第2の誘電体インクと組み合わせて使用することができる光重合性樹脂の硬化を加速および/または調整および/または促進するために使用することができる所定の波長(λ)、例えば、190nm~約400nm、例えば、365nmで電磁放射を放出するように構成された電磁(例えば、化学線)放射の源を含み得る。他の機能的なヘッドは例えば、加熱要素、様々なインクを使用した追加の印刷ヘッド(例えば、はんだ付け前の結合インク、コンデンサ、トランジスタなどの様々な構成要素のラベル印刷)および前述の組み合わせであり得る。
【0050】
提示されるように、3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分を製作するための方法を実装するために使用されるシステムは、インクが様々な金属を含有し得る別の導電性インクプリントヘッドを有することができる。例えば、開示されるシステム、および方法で使用される第2の誘電体インク組成物は、例えば、銀(Ag)ナノ粒子、銅または金を含むことができる。同様に、他の金属(例えば、Al)または金属前駆体も使用することができ、提供される例は限定的であると見なされるべきではない。
【0051】
他の同様の機能的ステップ(したがって、これらのステップに影響を与えるための手段)は、第1および/または第2のDI/樹脂性インク組成物の堆積および硬化、および/または第2の誘電体インクの堆積および焼結、および/またはサポートインク組成物の堆積および硬化の各々の前または続いて行うことができる。これらのステップは、(これらに限定されないが)加熱ステップ(加熱要素または熱風の影響を受ける)、光硬化、または他の適切な化学線源への曝露(例えば、UV光源を使用する)、乾燥(例えば、真空領域および加熱要素を使用する)、(反応性)プラズマ蒸着(例えば、加圧プラズマガンおよびプラズマビームコントローラを使用)、コーティングまたは金属前駆体またはナノ粒子との分散剤として使用される前のDI/樹脂ポリマー溶液への{4-[(2-ヒドロキシテトラデシル)-オキシル].-フェニル}-フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどの架橋、アニーリング、または酸化還元反応の促進を含み得る。
【0052】
例示的な実装形態において、第1のDI組成物および/または第2のDI組成物を配合することは、堆積ツール(例えば、プリントヘッド-組成物の粘度と表面張力の観点から)によって課される要件および堆積表面特性がある場合はそれを考慮に入れる(例えば、親水性または疎水性、および剥離可能または除去可能な基材または使用されるサポート材料の界面エネルギー)。例えば、ピエゾヘッドを用いたインクジェット印刷を使用すると、異なる熱機械的特性パラメータを有する第1のDI組成物、および/または第2のDI組成物の粘度(40°C~55°Cで測定)は、約5cP以上、例えば、約8cP以上、または約10cP以上、および約30cP以下、例えば、約20cP以下、または約17cP以下である可能性がある。同様に、異なる熱機械的特性パラメータを有する第1のDI組成物および/または第2のDI組成物は、50msの表面エージングおよび25℃で最大気泡圧力張力計によって測定された、約25mN/m~約35mN/m、例えば、約29mN/m~約31mN/mの動的表面張力(プリントヘッドノズルアレイの開口部でインク液滴が形成されるときの表面張力を指す)を有するように適合させることができる。動的表面張力は、剥離可能な基材、サポート材料、樹脂層、またはそれらの組み合わせとの接触角が85°未満になるように定式化することができる。
【0053】
一例示的な実装形態では、「チャック」という用語は、基材またはワークピースを支持、把持、または保持するための機構を意味することが意図される。チャックは、1つ以上の部品を含み得る。1つの例示的な実装形態において、チャックは、ステージとインサート、プラットフォームの組み合わせを含み、ジャケットを付けられるか、そうでなければ加熱および/または冷却用に構成され、別の同様の構成要素、またはそれらの任意の組み合わせを有することができる。
【0054】
例示的な実装形態において、3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分の連続的または半連続的なインクジェット印刷を可能にするインクジェットインク組成物および方法は、プリントヘッド(または基材)が、例えば2つの(X-Y)(プリントヘッドもZ軸で移動できることを理解する必要がある)寸法で、除去可能な基材または任意の後続の層の上の所定の距離で操作されるとき、本明細書で提供される液体インクの液滴を一度に1つずつオリフィスから排出することによってパターン化することができる。プリントヘッドの高さは、層の数に応じて変更することができ、例えば、一定の距離を維持することができる。各液滴は、例えば、オリフィスに動作可能に結合されたウェル内から、例示的な実装形態では、変形可能な圧電結晶を介して、圧電インパルスによって、命令に基づいて基材に対して所定の軌道を取るように構成され得る。第1のインクジェット第2の誘電体インクの印刷は付加的であり、より多くの層を収容することができる。本明細書に記載の方法で使用される、提供されるインクジェット印刷ヘッドは、約3μm~10,000μm以下の最小層フィルムの厚さを提供し得る。
【0055】
説明された方法で使用され、説明されたシステムで実行可能な様々なプリントヘッド間で動作するコンベヤは、約5mm/秒~約1000mm/秒の速度で移動するように構成することができる。例えば、チャックの速度は、例えば、必要なスループット、プロセスで使用されるプリントヘッドの数、異なる熱機械的特性パラメータを有する第1のDI組成物および/または第2のDI組成物の層の数および厚さ、それらのそれぞれの硬化時間、任意のインク溶剤の蒸発速度、第1のDI組成物および/または異なる熱機械的特性パラメータを有する第2のDI組成物などを分注するプリントヘッド間の距離、または前述の1つ以上を構成する要因の組み合わせに依存する可能性がある。
【0056】
例示的な実装形態において、異なる熱機械的特性パラメータを有する第1のDI組成物および/または第2のDI組成物の各液滴の体積は、各々0.5~300ピコリットル(pL)、例えば1~4pLの範囲であり得、駆動パルスの強度およびインクの特性に依存する。単一の液滴を放出する波形は、10V~約70Vのパルス、または約16V~約20Vのパルスであり得、約0.1kHz~約18kHzの周波数で放出され得る。
【0057】
硬化中の第1および/または第2のDI組成物の主鎖重合の開始は、開始剤、例えば過酸化ベンゾイル(BP)および他の過酸化物含有化合物を使用して行うことができる。本明細書で使用される「開始剤」という用語は、概して、化学反応を開始する物質、具体的には、重合を開始するか、または重合を開始する反応種を生成する任意の化合物を指し、例えば、これらに限定されないが、共開始剤および/または光開始剤を含む。
【0058】
加えて、「ライブモノマー」、「ライブオリゴマー」、「ライブポリマー」またはそれらの対応物(例えば、コモノマー)の組み合わせという用語は、例示的な実装形態において、モノマー、モノマーの短いグループ、またはラジカル反応を形成することができる少なくとも1つの官能基を有するポリマーを指す(換言すれば、反応を継続することができ、そうでなければ末端基によって終了することはできない)。多孔質粒子が含浸されるライブモノマー、ライブオリゴマー、またはそれらの組み合わせの量は、形成されようとしているボード、フィルム、またはシートの所望の物理化学的特性によって変化する。ライブモノマー、ライブオリゴマー、またはそれらの組み合わせは、数平均分子量(
【数1】
)、換言すれば1~約20,000の鎖あたりのモノマーの平均数、例えば、1~約20,000の
【数2】
または約250~約15,000の
【数3】
、具体的には約1,000~約10,000を有する。
【0059】
例示的な実装形態において、架橋剤、コモノマー、コオリゴマー、コポリマー、または前述の1つ以上を含み、提供される第1および第2のDI組成物に使用される組成物は、第1および第2のDI組成物内の一部であるか、または溶液、エマルジョン、または懸濁液を形成するように構成され得る。
【0060】
別の例示的な実装形態では、第1および第2のDI組成物は、本明細書で提供される光開始剤を使用して光開始を受けることができるポリマーの活性構成要素を含む。かかるライブモノマー、ライブオリゴマー、ライブポリマーまたはそれらの組み合わせは、例えば、多官能アクリレートであり得、例えば、1,2-エタンジオールジアクリレート、1,3-プロパンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリレート、ヒドロキシピバル酸ネオペンタンジオールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセリントリアクリレート、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ビニルベンジル化合物樹脂、ポリオレフィン化合物、マレイミド樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、またはそれらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つであり得る。例えば、ビニルベンジル化合物樹脂は、ビニルベンジルエーテル化ビシクロペンタジエンフェノール樹脂であり、ポリオレフィン化合物は、スチレン-ブタジエン-ジビニルベンゼンコポリマー、水素化スチレン-ブタジエン-ジビニルベンゼンコポリマー、スチレン-ブタジエン-無水マレイン酸コポリマー、ポリブタジエン-ウレタン-メチルメタクリレートコポリマー、ウレタン-メチルメタクリレートコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリブタジエンホモポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、マレイン化スチレン-ブタジエンコポリマー、メチルスチレンコポリマー、石油樹脂と環状オレフィンコポリマーのうちの少なくとも1つであり、マレイミド樹脂は、4,4’-ビスミスイミドジフェニルメタン、フェニルメタンマレイミドオリゴマー、N、N’-M-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-(4-メチル-1、3-フェニレン)ビスマレイミド、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、2,3-ジメチルフェニルマレイミド、2,6-ジメチルフェニルマレイミド、N-フェニルマレイミドおよび上記化合物のプレポリマーのうちの少なくとも1つである。
【0061】
「モジュール(module)」という用語の使用は、モジュールの一部として説明されたまたは特許請求されている構成要素または機能がすべて共通パッケージで構成されていることを暗示するものではない。実際、モジュールの様々な構成要素のいずれかまたはすべては、制御ロジックであろうと他の構成要素であろうと、単一のパッケージに組み合わせるか、個別に維持することができ、さらに、複数のグループまたはパッケージで、または複数の(リモート)場所に分散することができる。さらに、「モジュール」という用語は、本明細書では、ソフトウェアコンピュータプログラムコードおよび/またはモジュールに起因する機能を提供するために利用される任意のハードウェアまたは回路を指すために使用される。さらに、「モジュール」または「構成要素(component)」という用語は、コンピューティングシステム上で実行されるソフトウェアオブジェクトまたはルーチンを指すこともある。本明細書で説明される異なる構成要素、モジュール、エンジンおよびサービスは、コンピューティングシステム上で実行されるオブジェクトまたはプロセスとして(例えば、別個のスレッドとして)実装され得る。
【0062】
CAMモジュールは、3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分の3D視覚化ファイルから変換されたファイルを記憶する2Dファイルライブラリと、様々なプリントヘッド、コンベヤ、チャック、追加の機能的な「ヘッド」、およびライブラリと通信する少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサによって実行するための操作命令のセットを記憶する非一時的記憶媒体と、少なくとも1つのプロセッサおよびライブラリと通信するマイクロメカニカルインクジェットプリントヘッドまたはヘッドと、2Dファイルライブラリ、メモリおよびマイクロメカニカルインクジェットプリントヘッド(複数可)と通信するプリントヘッド(またはヘッド)インターフェイス回路であって、2Dファイルライブラリは、機能層に固有のプリンタ動作パラメータを提供するように構成されている、プリントヘッド(またはヘッド)インターフェイス回路と、を備えることができ、製作される3D 3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分に関連する情報が生成されたコンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造(CAD/CAM)を前処理し、それにより、印刷層を表す複数の2Dファイルを取得し、前処理のステップで処理された複数の2Dファイルを、3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分、3D視覚化ファイルから2Dファイルライブラリにロードし、2Dファイルライブラリを使用して、3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分の所定の層を、層番号ならびに第1および第2のDI組成物の対応するパターンの所定の順序で印刷するように少なくとも1つのプロセッサに命令する。
【0063】
製作に使用される3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分を表す3D視覚化ファイルは、例えば、.asm、STL、IGES、STEP、Catia、SolidWorks、ProE、3D Studio、Gerber、Rhinoファイル、または前述の1つ以上を含むファイルであり得、少なくとも1つの実質的に2D層を表す(そしてライブラリにアップロードされた)ファイルは、例えば、JPEG、GIF、TIFF、BMP、PDFファイル、または前述の1つ以上を含む組み合わせであり得る。
【0064】
特定の例示的な実装形態では、CAMモジュールは、1つ以上の3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分などを製作するためのコンピュータプログラム製品をさらに備える。印刷された構成要素は、例えば、医療デバイス、電子デバイスであり得、各々、任意選択で同時にまたは順次にかつ連続的に印刷される個別の導電性構成要素および誘電体/樹脂性構成要素の両方を含む。「連続」という用語およびその変形は、実質的に途切れのないプロセスでの印刷を意味することを意図している。別の例示的な実装形態では、連続とは、層、部材、または構造においてその全長に沿って有意な切れ目が存在しない層、部材、または構造を指す。
【0065】
例えば、図1Aに例示されるように、方法は、熱機械的特性パラメータで識別可能な2つの材料の設定厚さの「交互層」で構成することができ、例えば、FR-4のような従来の「マトリックス+ロッド/ワイヤ強化」では構成することができない。個々の層の2D形状、および構成要素の3D形状は、印刷された部品の最終的な3D形状に従って印刷されることができる。層の厚さh、h、およびh、ならびに2つの材料101、102、103の層の間の比率は、印刷された構成要素、セクション、またはその一部の3D形状に従って構成することができる。この方法は、立方体またはボックス10を印刷するときに実証され得る。例えば、主な目的が印刷された構成要素10、セクション、またはその部分のCTEを低下させることである場合、図1Aで分かるように、より低いCTEを有する材料のより薄い層102を組み込むことができる。マトリックス(ビルド)材料層101(例えば、第1のDI組成物)バンの厚さは、7~120μmの間で変化し、強化材料102(例えば、第2のDI組成物)の厚さは、2~50μmの間で変化し得る。例示的な実装形態では、マトリックス(ビルド)材料101は、任意の硬化可能な有機、セラミック、有機セラミック材料、および強化材料102はまた、CTEを低下させることができる(またはマトリックス(ビルド)材料の熱的および/または機械的特性を改善することができる特性を有する)任意の硬化可能な有機、セラミックまたは有機セラミックであり得る。最終製品は、同じ形状の印刷構成要素、セクション、または部分と比較してCTEが低い印刷複合構成要素であるが、強化材は追加されていない。
【0066】
図1Bは、強化層102および103がマトリックス(ビルド)層101の層内に散在するように製作された3D複合構成要素20を例示しているが、しかしながら、強化層102は、第2のDI組成物の均質な組成物から製作された層である一方、層103は、それ自体、ロッドアレイまたは多角形ネットワークをマトリックス(ビルド)材料101に印刷して層の厚さを形成することによって形成された複合層である。
【0067】
実施例I:交互層法結果
熱機械的特性の改善を実証するために、開示されたシステム、方法、および組成を使用して3つのボックスが印刷された。ファースボックスは、硬化プロセス中に化学線に曝露されなかったマトリックス(ビルド)材料101のみから製作される。第2のボックスは、マトリックス(ビルド)材料101のみから製作され、硬化プロセス中に化学線に曝露された。第3のボックスは、マトリックス(ビルド)材料101と有機セラミック材料102(複合ボックス)の交互層から製作され、硬化中に化学線に曝露された。硬化プロセス中に照射に曝露されると、印刷中の構成要素の温度が上昇し、熱機械的特性が低下する可能性がある。
【0068】
3つのボックスは、メトラー・トレドの機器を使用して、熱機械分析(TMA)技術によって検査された。3つのボックスの比較を図1Cに見ることができる。化学線に曝露されていない場合、マトリックス(ビルド)材料101のみで作られたボックスは、115℃までのTMA試験中に加えられた機械的応力に耐え、その後崩壊する。硬化プロセス中に化学線に曝露されたマトリックス(ビルド)材料102のみを使用して製作されたボックスは、はるかに早く-およそ25℃、崩壊するが、一方、硬化プロセス中に化学線に曝露された複合ボックスは、適用された、125℃までの温度依存の応力に耐えることができる。結果から分かるように、複合ボックス(例えば、10)は、マトリックス(ビルド)材料101のみを使用して製作れたボックスと比較した場合にはるかに優れたパフォーマンスを発揮する。
【0069】
ここで、提供されるシステムおよび方法を使用して製作された3D複合構成要素、セクション、またはその部分30を示す図2A、2Bに目を向けると、これにより、マトリックス(ビルド)材料101の強化は、図2Bで分かるように、選択した長さ(hなど)と直径D、Dの垂直(または水平およびその間の任意の角度)の円筒様状の強化ロッド201、202を組み込むことによって行われる。前に説明した「交互層」法と同様に、強化材料は、異なる熱的および/または機械的特性を有する必要がある。例えば、サポート材料の引張強度を改善する場合は、作製された有機セラミック材料の垂直円筒状の強化ロッドアレイ201、202を、マトリックス(ビルド)材料101で印刷する必要がある。円筒201、202の直径D、D、円筒間の距離(R、RqX、RqY)、およびそれらの総数は、印刷された部品の最終的な形状に対応して選択する必要がある。例示するように、円筒201、202の数は、円筒の総体積が、印刷された構成要素、セクション、またはその部分の総体積の10~30%で変化すべきであるように構成されている。円筒のベースの正確な直径は、この値(10~30%)に対応して選択する必要がある。各個々の円筒の体積は、印刷された部品の総体積の0.1~1%になるように構成され、アレイ内の各円筒の組み合わせと占有される総体積によって、特徴的な熱機械的パラメータの最終的な特性が決定する。加えて、サポート材料を主マトリックスとして印刷する場合、強化材の形状と量が除去方法の効率に影響を与えないようにする必要がある。
【0070】
ここで図3に目を向けると、3D複合構成要素、セクション、またはその部分を製作する別の例示的な実装形態を例示しており、それにより、円筒のロッドアレイの代わりに、強化された複合層は、多角形ネットワーク203を含み、マトリックス(ビルド)材料101iで満たされた独立気泡マトリックスを形成し、例えば、第2のDI組成物によって製作された強化材料203のハニカム構造を形成する。例えば、多角形の独立気泡を形成するネットワークは、セラミック成分を有する有機修飾シリケート系セラミック(ORMODS)コモノマーを含むものから形成され得、一方、マトリックス(ビルド)材料は、ポリエステル(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ(酢酸ビニル)(PVA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(ビニルピロリドン)、多官能性アクリレート、または混合物、モノマー、オリゴマー、および前述の1つ以上のコポリマーを含む組み合わせを含み得る。
【0071】
本明細書で説明される印刷プロセスを制御するコンピュータは、コンピュータ可読プログラムコードがそれによって具体化されたコンピュータ可読、非一時的記憶媒体であって、デジタルコンピューティングデバイスのプロセッサによって実行されたときのコンピュータ可読プログラムコードが、例示的な実装形態において、三次元インクジェット印刷ユニットに、製作される3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分(換言すれば、構成要素を表す3D視覚化ファイル)に関連する情報が生成されたコンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造(CAD/CAM)を前処理し、それにより、複数の2Dファイル(換言すれば、構成要素の層を印刷するための少なくとも1つの実質的に2Dの層を表すファイル)を取得することであって、各2Dファイルが、特定の順序で所定の層に固有である、取得するステップと、前処理のステップで処理された複数の2Dファイルを2Dファイルライブラリにロードするステップと、三次元インクジェット印刷ユニットのインクジェット印刷ヘッドからの導電性材料の液滴の流れを基材の表面に向けるステップと、三次元インクジェット印刷ユニットのインクジェット印刷ヘッドからのDI/樹脂性材料の液滴の流れを基材の表面に向けるステップと、付加的にまたは代替的に、三次元インクジェット印刷ユニットのさらに別のインクジェット印刷ヘッドからのサポートインク組成物の液滴の流れを表面に向けるステップと、チャック上の基材のX-Y平面内で、基材に対して第1のインクジェットヘッドおよび第2のインクジェットヘッドを移動させることであって、第1のインクジェットヘッドおよび第2のインクジェットヘッドを、基材のX-Y平面内の基材に対して移動させるステップが、複数の層の各々について、基材上に異なる熱機械的特性パラメータを有する第1のDI組成物および第2のDI組成物の層間製作において実施される、移動するステップと、を実施させる、コンピュータ可読、非一時的記憶媒体、を備えることができる。
【0072】
提示されるように、開示され、非一時的記憶媒体に記憶された実行可能命令を使用して提供されるシステムおよびデバイスを使用して実装可能な方法は、様々なコンピュータプログラムなどのプロセッサ可読媒体を利用するコンピュータ化された方法である。コンピュータプログラム(ソフトウェアおよび/またはファームウェア)は、本明細書に記載の方法のステップを実行するためのプログラムコード手段、ならびにハードディスク、CD-ROM、DVD、USBメモリスティックなど、またはコンピュータプログラム製品がコンピュータのマトリックス(ビルド)メモリにロードされ、コンピュータによって実行されるときインターネットまたはイントラネットなどのデータネットワークを介してアクセスできる記憶媒体など、コンピュータによって読み取ることができる媒体に格納されたプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品を含むことができる。
【0073】
したがって、「非一時的記憶媒体」および「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、必ずしもこれらに限定されないが、またはマトリックス(ビルド)テインプログラム、情報、およびデータを含有、記憶することができる媒体を含むものとして定義される。非一時的記憶媒体および非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子媒体、磁気媒体、光学媒体、電磁気媒体、または半導体媒体などの多くの物理媒体のいずれか1つを含み得る。好適な非一時的記憶媒体および非一時的コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例には、これらに限定されないが、ハードドライブなどの磁気コンピュータディスケット、磁気テープ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ソリッドステートドライブ(SSD)、シリアルATアタッチメント(SATA)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、フラッシュドライブ、コンパクトディスク(CD)、またはデジタルビデオディスク(DVD)が含まれる。
【0074】
加えて、非一時的記憶媒体は、プログラムが実行される第1のコンピュータ(例えば、提供される3Dインクジェットプリンタ)に位置し得、および/またはインターネットなどのネットワークを介した第1のコンピュータと通信する第2の異なるコンピュータに位置し得る後者の場合、第2のコンピュータは、実行のために第1のコンピュータにプログラム命令をさらに提供し得る。「メモリデバイス」という用語はまた、異なる位置、例えば、ネットワーク上で接続されている異なるコンピュータに存在し得る2つ以上のメモリデバイスを含み得る。したがって、例えば、ビットマップライブラリは、提供される3Dインクジェットプリンタに結合されたCAMモジュールから離れたメモリデバイス上に存在し、提供される3Dインクジェットプリンタによって(例えば、広域ネットワークによって)アクセス可能であり得る。
【0075】
特に明記されていない限り、以下の説明から明らかなように、明細書の議論全体を通して、「処理する(processing)」、「取得する(obtaining)」、「ロードする(loading)」、「通信して(in communication)」「検出する(detecting)」、「計算する(calculating)」、「決定する(determining)」、「分析する(analyzing)」などの用語の利用は、物理的構造(換言すれば、樹脂または金属/導電性)層として表される他のデータへのトランジスタアーキテクチャなど、物理的として表されるデータを操作および/または変換する、コンピュータまたはコンピューティングシステム、または同様の電子コンピューティングデバイスのアクションおよび/またはプロセスを指す。
【0076】
さらに、本明細書で使用される場合、「2Dファイルライブラリ」という用語は、各々が所与の目的に使用される単一の3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分、または複数の構成要素を一緒に定義する所与のファイルのセットを指す。この用語は、検索が構成要素を対象とするのか、所与の特定の層を対象とするのかをインデックス付け、検索、および再組み立てして、所与の構成要素の構造層を提供することができる2Dファイルのセットまたはその他のラスターグラフィックファイル形式(一般に、BMP、PNG、TIFF、GIFなどの長方形グリッドの形式のピクセルのコレクションとしての画像の表現)を指すためにも使用することができる。
【0077】
変換されたCAD/CAMデータパッケージに基づくインクジェット印刷を使用するための方法、プログラム、およびライブラリを使用して製作される3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分に関連する情報(が生成されたコンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造(CAD/CAM)は、例えば、IGES、DXF、DMIS、NCファイル、GERBER(登録商標)ファイル、EXCELLON(登録商標)、STL、EPRTファイル、.asm、STEP、Catia、SolidWorks、ProE、3D Studio、Rhinoファイル、および前述の1つ以上を含むパッケージであり得る。付加的に、グラフィックスオブジェクトに付属された属性は、製作に必要なメタ情報を転送し、印刷順序、画像、および画像の構造および色(樹脂、金属など)、を正確に定義することができ、その結果、設計(3D視覚化CADなど)から製作(CAMなど)への製作データの効率的かつ効果的な転送が可能になる。したがって、例示的な実装形態では、前処理アルゴリズムを使用して、本明細書に記載のGERBER(登録商標)、EXCELLON(登録商標)、DWG、DXF、STL、EPRT ASMなどが、2Dファイルに変換される。
【0078】
本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語およびその派生語は、記載された特徴、要素、構成要素、群、整数、および/またはステップの存在を指定するが、他の記載されていない特徴、要素、構成要素、群、整数、および/またはステップの存在を除外しない、制約のない用語であることが意図される。前述のことは、用語「含む(including)」、「有する(having)」、およびそれらの派生語などの類似の意味を有する単語にも適用される。
【0079】
本明細書で開示されるすべての範囲は、端点を含み、端点は、互いに独立して組み合わせることができる。「組み合わせ」には、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などが含まれる。本明細書の用語「a」、「an」、および「the」は、量の制限を示すものではなく、本明細書で特に明記しない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるものとする。本明細書で使用される接尾辞「(s)(複数可)」は、それが修飾する用語の単数形および複数形の両方を含み、それによってその用語の1つ以上を含むことを意図している(例えば、成分(複数可)は、1つ以上の成分を含む)。本明細書全体を通して、「1つの例示的な実装形態」、「別の例示的な実装形態」、「例示的な実装形態」などへの言及は、存在する場合、例示的な実装形態に関連して説明される特定の要素(例えば、特徴、構造、および/または特性)の構成要素、セクション、またはその一部は、本明細書で説明される少なくとも1つの例示的な実装形態に含まれ、他の例示的な実装形態に存在する場合も存在しない場合もあることを意味する。加えて、説明された要素を、様々な例示的実装において、任意の好適な方式で組み合わせてもよいことを理解されたい。
【0080】
本明細書で開示されるすべての範囲は、端点を含み、端点は、互いに独立して組み合わせることができる。さらに、本明細書の「第1」、「第2」などの用語は、任意の順序、量、または重要性を示すのではなく、1つの要素から別の要素を示すために使用される。
【0081】
同様に、「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータを意味し、他の量および特質が正確ではないこと、ならびにその必要がないことを意味するが、所望に応じて、許容範囲、変換係数、四捨五入、測定誤差など、および当業者に既知の他の要因を反映して、近似および/またはより大きいかより小さいことがあり得る。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ、または他の量もしくは特質は、明示的にそう述べられているかどうかにかかわらず、「約」または「おおよそ」である。
【0082】
したがって、および実施形態において、本明細書に開示されているのは、インクジェットプリンタを使用して、付加的に製造された電子機器(AME)の強化された三次元(3D)誘電体セクションを製作する方法であって、インクジェット印刷システムを提供することであって、インクジェット印刷システムが、第1の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第1のプリントヘッドと、第2の誘電体インク組成物を分注するように動作可能な第2のプリントヘッドであって、第2の誘電体インク組成物が、第1の誘電体インク組成物とは異なる熱機械的特性パラメータを有する、第2のプリントヘッドと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々に基材を搬送するように動作可能な、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドに動作可能に結合されたコンベヤと、少なくともコンベヤおよび第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々と通信する、中央処理モジュール(CPM)を含むコンピュータ支援製造(「CAM」)モジュールであって、CPMが、実行可能命令のセットを内部に記憶する非一時的プロセッサ可読記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、AMEを表現する3D視覚化ファイルを受信するステップと、複数のファイルを含むファイルライブラリを生成するステップであって、各ファイルが、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための実質的に2Dの層を表し、メタファイルが、少なくとも印刷順序を表す、生成するステップと、を含むステップを実行することによって、CPMにインクジェット印刷システムを制御させる、CPMと、を含む、CAMモジュール、を備える、インクジェット印刷システムを提供することと、第1の誘電体インク組成物および第2の誘電体インク組成物を提供することと、CAMモジュールを使用して、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための第1の層を表す第1ファイルをライブラリから取得することであって、第1のファイルが、第1の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、第2の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、を含む、取得することと、第1のプリントヘッドを使用して、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、第1の層の第1の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させることと、第2のプリントヘッドを使用して、第2の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、第1の層の第2の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させることと、CAMモジュールを使用して、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションを印刷するための後続の層を表す後続のファイルをライブラリから取得することであって、後続のファイルが、各後続の層の第1の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、第2の誘電体インクに対応するパターンの印刷命令と、を含む、取得することと、第1のプリントヘッドを使用して、CAMモジュールを使用するステップまで、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成し、2Dファイルライブラリから後続の実質的に2Dの層を取得するステップと、すぐに、最終層の第2のインク組成物に対応するパターンを硬化するステップと、を繰り返すことであって、AMEの強化された三次元(3D)誘電体セクションが、第1の誘電体インク組成物の連続マトリックス内の第2の誘電体インク組成物の複数の強化形態のアレイと、第1の誘電体インク組成物と第2の誘電体インク組成物の交互層、のうちの少なくとも1つを含む、繰り返すことと、基材を除去することと、を含む、方法であり、(i)熱機械的特性パラメータが、各々、硬化層、またはAMEのセクションおよび他のそのように強化された構成要素で測定されるような、熱膨張係数(ε)、引張強度、ヤング率(E)、ガラス転移温度(T)、脆性-延性転移温度(Tβ)、[Tβ/T]比、および誘電強度(kV/cm)、のうちの少なくとも1つであり、(ii)第1の誘電体インク組成物が、ポリエステル(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ(酢酸ビニル)(PVA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(ビニルピロリドン)、多官能性アクリレート、または混合物、モノマー、オリゴマー、および前述の1つ以上のコポリマーを含む組み合わせを含み、(iii)第2のインク組成物が、セラミック成分を有する、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、または有機的に修飾されたケイ酸塩ベースのセラミック(ORMODS)コモノマーを含み、(iv)セラミック成分が、テトラエチルオルトシリケート、テトラメチルオルトシリケート、テトライソプロピルチタネート、トリメトキシシラン(TMOS)、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ポリジメトキシシラン、ポリジエトキシシラン、ビニルメトキシシロキサン、ポリシラザン、チタンイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、ジルコニウムプロポキシド、ホウ酸トリエチル、トリメトキシボロキシンジエトキシシロキサン-エチルチタネート、チタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトネート)、シラノールポス、アルミニウムトリセクブトキシド、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、1、3、5、7、9-ペンタメチルシクロペンタシロキサン、シロキサンのポリ(ジブチルチタネート)オリゴマー、およびAl-O-Alのオリゴマー、Ti-O-Tiのオリゴマー、Zn-O-Znのオリゴマー、または前述を含む組成物、のモノマー、および/またはオリゴマーを含み、(v)多官能性アクリレートは、1,2-エタンジオールジアクリレート、1,3-プロパンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリレート、ヒドロキシピバル酸ネオペンタンジオールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセリントリアクリレート、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、または前述の1つ以上を含む多官能アクリレート組成物、のうちの少なくとも1つのポリマー、オリゴマー、およびコポリマーのうちの少なくとも1つであり得、(vi)第1の誘電体インク組成物と第2の誘電体インク組成物との交互層における第1の誘電体インク組成物に対応する層が、約2μm~50μmの厚さを有するように構成(例えば、ライブラリ2Dの層ファイルによって定義される印刷プロセスによって、「層」は、第1のDI組成物から製作されたサブ層、および第2のDI組成物から製作された別のサブ層を指し、例えば、印刷順序とそれぞれの厚さを含むメタファイルを含む)されており、(vii)第1の誘電体インク組成物と第2の誘電体インク組成物の交互層における第2の誘電体インク組成物に対応する層が、約7μm~120μmの厚さを有し、(viii)第2の誘電体インク組成物に対応する層と第1の誘電体インク組成物に対応する層との間の比が、1:2~1:5であり、(ix)第1の誘電体インク組成物(から製作された)の連続マトリックス内の第2の誘電体インク組成物の複数の強化された形態物体のアレイ内の形態物体(換言すれば、第2のDI組成物から製作された、所定の形態を有する物体)が、ロッド、ペグ、3~359辺の多角形の断面を有する細長い部材、および前述を含む形態の組み合わせ、のうちの少なくとも1つであり、例えば、(x)強化された形態物体が、円筒状ロッドであり、(xi)第1の誘電体インク組成物から形成されたマトリックス中の第2の誘電体インク組成物から形成された円筒状ロッドの総体積が、約10%(v/v)~約30%(v/v)であり、(xii)各円筒状ロッドの直径が、各円筒状ロッドの体積が、第1の誘電体インク組成物から形成される総マトリックス体積の約0.1%(円筒状ロッドのv=πrh/2/v総強化されたセクション(v/v))~約1.0%(v/v)になるように構成され、付加的に、または代替的に、(xiii)強化された形態物体が、第2の誘電体インク組成物によって形成された多角形ネットワークであり、第1の誘電体インク組成物で充填された独立気泡マトリックスを形成し、それによってハニカム構造を形成し、(xiii)多角形の独立気泡を形成するネットワークが、有機的に修飾されたケイ酸塩ベースのセラミック(ORMODS)コモノマーを含む組成物で形成され、セラミック成分を有し、第1の誘電体インク組成物が、ポリエステル(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ(酢酸ビニル)(PVA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(ビニルピロリドン)、多官能性アクリレート、または混合物、モノマー、オリゴマー、および前述の1つ以上のコポリマーを含む組み合わせである。
【0083】
別の実装形態において、本明細書に開示されているのは、インクジェットプリンタを使用して、付加的に製造された電子機器の強化された三次元(3D)誘電体セクションを製作するためのコンピュータ化された方法であって、インクジェット印刷システムを提供することであって、インクジェット印刷システムが、第1の誘電体インク組成物を分注するようにサイズ化され、構成された第1のプリントヘッドと、第2の誘電体インク組成物を分注するようにサイズ化され、構成された第2のプリントヘッドであって、第2の誘電体インク組成物が、異なる熱機械的特性パラメータを有する、第2のプリントヘッドと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々に基材を搬送するように構成された第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドに動作可能に結合されたコンベヤと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々と通信する、コンピュータ支援製造(「CAM])モジュールであって、CPMが、実行可能命令のセットを内部に記憶する非一時的記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、命令が実行されると、CPMに、(3D)誘電体セクションを表現する3D視覚化ファイルを受信させ、第1の誘電体インクを使用して強化(3D)誘電体セクションを印刷するための第1の実質的に2Dの層を表すファイルを生成させ、第1の誘電体インクを使用して強化された(3D)誘電体セクションを印刷するための第2の実質的に2Dの層を表すファイルを生成させることであって、CAMモジュールが、コンベヤ、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々を制御するように構成される、生成させるように構成される、CAMモジュールと、を備える、提供することと、第1の誘電体インク組成物、および第2の誘電体インク組成物を提供することと、CAMモジュールを使用して、(3D)誘電体セクションの第1の実質的に2Dの層を取得することであって、第1の2Dの層が、第1の誘電体インクを表し、対応するパターンを含む、取得することと、第1のプリントヘッドを使用して、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、(3D)誘電体セクションの2Dの層の第1の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させることと、(3D)誘電体セクションの第2の実質的に2Dの層を取得することであって、第2の2Dの層が、第2の誘電体インクを表すし、対応するパターンを含む、取得することと、第2のプリントヘッドを使用して、第2の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、第2の誘電体インクに対応するパターンを硬化させることと、基材を除去し、それによって複合材料のAM製作された構成要素用の強化された(3D)誘電体セクションを製作することと、を含む、方法である。
【0084】
さらに別の実装形態において、本明細書に開示されているのは、インクジェットプリンタを使用して、付加的に製造された電子機器の強化された三次元(3D)誘電体セクションを製作するためのコンピュータ化された方法であって、インクジェット印刷システムを提供することであって、インクジェット印刷システムが、第1の誘電体インク組成物を分注するようにサイズ化され、構成された第1のプリントヘッドと、第2の誘電体インク組成物を分注するようにサイズ化され、構成された第2のプリントヘッドであって、異なる熱機械的特性パラメータを有する、第2のプリントヘッドと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々に基材を搬送するように構成された第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドに動作可能に結合されたコンベヤと、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々と通信する、コンピュータ支援製造(「CAM])モジュールであって、CPMが、実行可能命令のセットを内部に記憶する非一時的記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、命令が実行されると、CPMに、(3D)誘電体セクションを表現する3D視覚化ファイルを受信させ、第1の誘電体インクを用いて強化された(3D)誘電体セクションを印刷するための第1の実質的に2Dの層を表すファイルを生成させることであって、ファイルが、第1の層に印刷するための第1のインク組成物に対応するパターンを含む、生成させ、同一の第1の実質的に2Dの層の第2のインク組成物を印刷するためのパターンを表すファイルを生成させることであって、第1および第2のパターンが、第1の誘電体インク組成物のマトリックス内に第2の誘電体インク組成物の円筒状ロッドのアレイを形成するように構成され、CAMモジュールが、コンベア、第1のプリントヘッドおよび第2のプリントヘッドの各々を制御するように構成されている、生成させるように構成される、CAMモジュール、を備える、提供することと、第1の誘電体インク組成物および第2の誘電体インク組成物を提供することと、CAMモジュールを使用して、(3D)誘電体セクションの第1の実質的に2Dの層を取得することであって、第1の2Dの層が、第1の誘電体インクを表し、対応するパターンを含む、取得することと、第1のプリントヘッドを使用して、第1の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、(3D)誘電体セクションの2Dの層の第1の誘電体インク表現に対応するパターンを硬化させることと、第2のプリントヘッドを使用して、第2の誘電体インクに対応するパターンを形成することと、第2の誘電体インクに対応するパターンを硬化させることと、基材を除去することと、を含む、方法である。
【0085】
変換された3D視覚化CAD/CAMデータパッケージに基づく付加製造を使用した、3Dの強化された複合構成要素、それらのセクションおよび/または部分の3D印刷に関する前述の開示が、いくつかの例示的な実装形態に関して説明されてきたが、他の例示的な実装形態は、本明細書の開示から当業者には明らかであろう。さらにその上、説明された実装形態は、例としてのみ提示されており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に説明される新規の方法、プログラム、ライブラリ、およびシステムを、その趣旨から逸脱することなく、他の様々な形態で具体化してもよい。したがって、他の組み合わせ、省略、置換、および修正は、本明細書の開示を考慮することで当業者に明らかになるであろう。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
【国際調査報告】