(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】ベータ細胞の分化の向上
(51)【国際特許分類】
C12N 5/071 20100101AFI20220831BHJP
A61K 35/36 20150101ALI20220831BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220831BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220831BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220831BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20220831BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20220831BHJP
C07K 14/765 20060101ALN20220831BHJP
C07K 14/62 20060101ALN20220831BHJP
C12N 15/55 20060101ALN20220831BHJP
C12N 9/20 20060101ALN20220831BHJP
【FI】
C12N5/071
A61K35/36
A61P3/10
A61K47/18
A61K47/12
A61K47/22
A61K47/20
C07K14/765
C07K14/62
C12N15/55
C12N9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577490
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 US2020039487
(87)【国際公開番号】W WO2020264072
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598032106
【氏名又は名称】バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】キャリー,ブライス
【テーマコード(参考)】
4B050
4B065
4C076
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC02
4B050DD07
4B050EE02
4B050LL01
4B065AA90X
4B065AC14
4B065BA30
4B065BB19
4B065BB20
4B065BB23
4B065BD03
4B065CA44
4C076BB32
4C076CC29
4C076DD41
4C076DD51
4C076DD57
4C076DD61
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB65
4C087CA12
4C087DA32
4C087MA67
4C087NA05
4C087ZC35
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA61
4H045CA40
4H045DA37
4H045DA70
4H045EA20
(57)【要約】
本明細書では、β細胞をin vitroで製造する方法が提供される。また本明細書では、in vitroで製造されたβ細胞を対象に投与することを含む、対象の疾患を処置する方法が提供される。また本明細書では、幹細胞をβ細胞へと分化させる方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞およびBMPシグナル伝達経路阻害剤を含む組成物。
【請求項2】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞およびROCK阻害剤を含む組成物。
【請求項3】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞およびヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤を含む組成物。
【請求項4】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞および亜鉛を含む組成物。
【請求項5】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞およびモノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤を含む組成物。
【請求項6】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞および脂質を含む組成物。
【請求項7】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞、およびグルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンのうちの1つまたは複数を含む組成物。
【請求項8】
BMPシグナル伝達経路阻害剤を含む、請求項2から7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはその誘導体である、請求項1または8に記載の組成物。
【請求項10】
ROCK阻害剤を含む、請求項1または3から9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、もしくは14-1152、またはそれらの誘導体である、請求項2または10に記載の組成物。
【請求項12】
ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤を含む、請求項1、2、または4から11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、3-デアザネプラノシンA塩酸塩またはその誘導体である、請求項3または12に記載の組成物。
【請求項14】
亜鉛を含む、請求項1から3または5から13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記亜鉛は、ZnSO
4の形態にある、請求項4または14に記載の組成物。
【請求項16】
モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤を含む、請求項1から4または6から15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記MGLL阻害剤は、JJKK048、KML29、NF1819、JW642、JZL184、JZL195、JZP361、プリスチメリン、もしくはURB602、または前出のもののうちのいずれかの誘導体である、請求項5または16に記載の組成物。
【請求項18】
脂質を含む、請求項1から5または7から17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記脂質は、飽和脂肪酸である、請求項6または18に記載の組成物。
【請求項20】
前記飽和脂肪酸は、パルミテートである、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記脂質は、不飽和脂肪酸である、請求項6または18に記載の組成物。
【請求項22】
前記不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはパルミトレイン酸である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
血清アルブミンタンパク質をさらに含む、請求項1から22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記血清アルブミンタンパク質は、ヒト血清アルブミンタンパク質である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
0.01%~1%、0.03~1%、0.03~0.9%、0.03~0.08%、0.03~0.06%、0.03~0.05%、0.04~0.8%、0.04~0.7%、0.04~0.6%、0.04~0.5%、0.04~0.4%、0.04~0.3%、0.04~0.2%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、0.04~0.8%、0.04~0.07%、0.04~0.06%、0.04~0.05%、0.05~1%、0.05~0.9%、0.05~0.8%、0.05~0.7%、0.05~0.6%、0.05~0.5%、0.05~0.4%、0.05~0.3%、0.05~0.2%、0.05~0.1%、0.05~0.09%、0.05~0.8%、0.05~0.07%、または0.05~0.06%の血清アルブミンタンパク質を含む、請求項23または24に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物中の前記細胞の90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満は、細胞クラスターになっている、請求項1から25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
TGF-β経路阻害剤を含む、請求項1から26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
前記TGF-β経路阻害剤は、Alk5i(SB505124)またはその誘導体である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を含む、請求項1から28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
前記甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、GC-1もしくはT3、またはそれらの誘導体である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
タンパク質キナーゼ阻害剤を含む、請求項1から30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
前記タンパク質キナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンである、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
グルタメートを含む、請求項1から32のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項34】
アセテートを含む、請求項1から33のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項35】
β-ヒドロキシブタレートを含む、請求項1から34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項36】
L-カルニチンを含む、請求項1から35のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項37】
タウリンを含む、請求項1から36のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項38】
ホルメートを含む、請求項1から37のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項39】
ビオチンを含む、請求項1から38のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項40】
ビタミンCを含む、請求項1から39のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項41】
インスリンを含む、請求項1から40のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項42】
前記解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞は、以前に凍結されたものである、請求項1から41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、BMPシグナル伝達経路阻害剤と接触させるステップを含む方法。
【請求項44】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ROCK阻害剤と接触させるステップを含む方法。
【請求項45】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤と接触させるステップを含む方法。
【請求項46】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、亜鉛と接触させるステップを含む方法。
【請求項47】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤と接触させるステップを含む方法。
【請求項48】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、脂質と接触させるステップを含む方法。
【請求項49】
複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンのうちの1つまたは複数と接触させるステップを含む方法。
【請求項50】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、BMPシグナル伝達経路阻害剤と接触させるステップを含む、請求項44から49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはその誘導体である、請求項43または50に記載の方法。
【請求項52】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ROCK阻害剤と接触させるステップを含む、請求項43または45から51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記ROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、もしくは14-1152、またはそれらの誘導体である、請求項44または52に記載の組成物。
【請求項54】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤と接触させるステップを含む、請求項43、44または46から53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、3-デアザネプラノシンA塩酸塩またはその誘導体である、請求項45または54に記載の方法。
【請求項56】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、亜鉛と接触させるステップを含む、請求項43から45または47から55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記亜鉛は、ZnSO
4の形態にある、請求項46または56に記載の方法。
【請求項58】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤と接触させるステップを含む、請求項43から46または48から57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記MGLL阻害剤は、JJKK048、KML29、NF1819、JW642、JZL184、JZL195、JZP361、プリスチメリン、もしくはURB602、または前出のもののうちのいずれかの誘導体である、請求項47または58に記載の方法。
【請求項60】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、脂質と接触させるステップを含む、請求項43から47または49から59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記脂質は、飽和脂肪酸である、請求項48または60に記載の方法。
【請求項62】
前記飽和脂肪酸は、パルミテートである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記脂質は、不飽和脂肪酸である、請求項48または60に記載の方法。
【請求項64】
前記不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはパルミトレイン酸である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、血清アルブミンタンパク質と接触させるステップを含む、請求項43から64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記血清アルブミンタンパク質は、ヒト血清アルブミンタンパク質である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記組成物は、0.01%~1%、0.03~1%、0.03~0.9%、0.03~0.08%、0.03~0.06%、0.03~0.05%、0.04~0.8%、0.04~0.7%、0.04~0.6%、0.04~0.5%、0.04~0.4%、0.04~0.3%、0.04~0.2%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、0.04~0.8%、0.04~0.07%、0.04~0.06%、0.04~0.05%、0.05~1%、0.05~0.9%、0.05~0.8%、0.05~0.7%、0.05~0.6%、0.05~0.5%、0.05~0.4%、0.05~0.3%、0.05~0.2%、0.05~0.1%、0.05~0.09%、0.05~0.8%、0.05~0.07%、または0.05~0.06%の血清アルブミンタンパク質を含む、請求項65または66に記載の方法。
【請求項68】
前記組成物中の前記細胞の90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満は、細胞クラスターになっている、請求項43から67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、TGF-β経路阻害剤と接触させるステップを含む、請求項43から68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記TGF-β経路阻害剤は、Alk5i(SB505124)またはその誘導体である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と接触させるステップを含む、請求項43から70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、GC-1もしくはT3、またはそれらの誘導体である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、タンパク質キナーゼ阻害剤と接触させるステップを含む、請求項43から72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記タンパク質キナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、グルタメートと接触させるステップを含む、請求項43から74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、アセテートと接触させるステップを含む、請求項43から75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、β-ヒドロキシブタレートと接触させるステップを含む、請求項43から76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、L-カルニチンと接触させるステップを含む、請求項43から77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、タウリンと接触させるステップを含む、請求項43から78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ホルメートと接触させるステップを含む、請求項43から79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ビオチンと接触させるステップを含む、請求項43から80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ビタミンCと接触させるステップを含む、請求項43から81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、インスリンと接触させるステップを含む、請求項43から82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞は、以前に凍結されたものである、請求項43から83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
1~10日間、1~9日間、1~8日間、1~7日間、1~6日間、1~5日間、1~4日間、1~3日間、1~2日間、2~10日間、2~9日間、2~8日間、2~7日間、2~6日間、2~5日間、2~4日間、2~3日間、3~10日間、3~9日間、3~8日間、3~7日間、3~6日間、3~5日間、3~4日間、4~10日間、4~9日間、4~8日間、4~7日間、4~6日間、または4~5日間にわたって行われる、請求項43から84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記解離した細胞を複数の細胞クラスターへと再凝集させる、請求項43から85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記複数の細胞クラスターの少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、または90%は、約50μm~約250μm、約75μm~約250μm、または約100μm~約200μmの直径を有する、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
第2の細胞集団の前記複数の細胞クラスターの前記細胞の少なくとも約40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、または99%は、生存可能である、請求項86または87に記載の方法。
【請求項89】
前記解離した細胞を少なくとも2、3、4、5、10、50、100、1000、10000、100000、または1000000個の細胞クラスターへと再凝集させる、請求項86から88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
複数の細胞クラスターを含む組成物であって、前記細胞クラスターは、インスリン陽性細胞を含み、前記組成物は、
a)前記組成物中の前記細胞の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、もしくは少なくとも65%が、11日間のin vitro培養後に生存可能であること、
b)前記組成物中の前記細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%が、直径90~140μm、90~130μm、90~120μm、90~110μm、100~140μm、100~130μm、100~120μm、100~110μmであること、および/または、
c)前記組成物中の前記細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%が、1.5~4.5、1.5~4.0、1.5~3.5、1.5~3.0、1.5~2.5、1.5~2.5、1.5~2.0、2.0~4.5、2.0~4.0、2.0~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、2.5~4.5、2.5~4.0、2.5~3.5、2.5~3.0、3.0~4.5、3.0~4.0、3.0~3.5、3.5~4.5、3.5~4.0、もしくは4.0~4.5のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)刺激指数を呈すること
のうちの少なくとも1つを伴う、組成物。
【請求項91】
前記細胞クラスターは、Cペプチド陽性細胞を含む、請求項90に記載の組成物。
【請求項92】
前記細胞クラスターは、ソマトスタチン陽性細胞を含む、請求項90または91に記載の組成物。
【請求項93】
前記細胞クラスターは、グルカゴン陽性細胞を含む、請求項90または91に記載の組成物。
【請求項94】
前記組成物中の前記細胞の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、または少なくとも65%は、11日間のin vitro培養後に生存可能である、請求項90から93のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項95】
前記組成物中の前記細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、直径90~140μm、90~130μm、90~120μm、90~110μm、100~140μm、100~130μm、100~120μm、100~110μmである、請求項90から94のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項96】
前記組成物中の前記細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、1.5~4.5、1.5~4.0、1.5~3.5、1.5~3.0、1.5~2.5、1.5~2.5、1.5~2.0、2.0~4.5、2.0~4.0、2.0~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、2.5~4.5、2.5~4.0、2.5~3.5、2.5~3.0、3.0~4.5、3.0~4.0、3.0~3.5、3.5~4.5、3.5~4.0、もしくは4.0~4.5のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)刺激指数を呈する、請求項90から95のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項97】
少なくとも2、3、4、5、10、50、100、1000、10000、100000、または1000000個の細胞クラスターを含む、請求項90から96のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項98】
請求項43から89のいずれか1項に記載の方法に従って調製される、請求項90から97のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項99】
請求項90から98のいずれか1項に記載の組成物を含むデバイス。
【請求項100】
長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、請求項90から98のいずれか1項に記載の組成物または請求項99に記載のデバイスを前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項101】
(a)インスリン陽性細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、
(b)前記第1の細胞集団中の前記複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、
(c)前記解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む前記第1の細胞集団を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数のインスリン陽性細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第2の細胞集団を取得するステップであって、前記第1の組成物は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、またはタンパク質キナーゼ阻害剤のうちの少なくとも1つの薬剤を含むステップと、
(d)前記第2のインスリン陽性細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性細胞集団の少なくとも一部を、複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、前記第2の組成物は、前記第1の組成物とは異なり、前記第3の細胞集団は、前記第1の組成物と接触していない前記第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応するβ細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能なβ細胞を含むステップと
を含む方法。
【請求項102】
(a)インスリン陽性細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、
(b)前記第1の細胞集団中の前記複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、
(c)前記解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む前記第1の細胞集団を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数のインスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第2の細胞集団を取得するステップであって、前記第1の組成物は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、またはそれらの両方、およびモノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、またはタンパク質キナーゼ阻害剤のうちの少なくとも1つの薬剤を含むステップと、
(d)前記第2のインスリン陽性細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性細胞集団の少なくとも一部を、複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、前記第2の組成物は、前記第1の組成物とは異なり、前記第3の細胞集団は、前記第1の組成物と接触していない前記第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応するβ細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能なβ細胞を含むステップと
を含む方法。
【請求項103】
(a)インスリン陽性細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、
(b)前記第1の細胞集団中の前記複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、
(c)前記解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む前記第1の細胞集団を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数のインスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第2の細胞集団を取得するステップであって、前記第1の組成物は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤を含むステップと、
(d)前記第2のインスリン陽性細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性細胞集団の少なくとも一部を、複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、前記第2の組成物は、前記第1の組成物とは異なり、前記第3の細胞集団は、前記第1の組成物と接触していない前記第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応するβ細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能なβ細胞を含むステップと
を含む方法。
【請求項104】
(a)前記解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む前記第1の細胞集団の少なくとも一部を凍結するステップと、
(b)前記凍結した第1の細胞集団の少なくとも一部を解凍するステップと、
(c)前記解凍した第1の細胞集団の少なくとも一部をin vitroで前記第1の組成物と接触させるステップと
をさらに含む、請求項101、102、または103に記載の方法。
【請求項105】
前記第2の細胞集団の前記複数の細胞クラスターの少なくとも一部は、約50μm~約250μm、約75μm~約250μm、または約100μm~約200μmの直径を有する、請求項101から104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記第2の細胞集団の前記複数の細胞クラスターの少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、または90%は、約50μm~約250μm、約75μm~約250μm、または約100μm~約200μmの直径を有する、請求項101から105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記第2の細胞集団の前記細胞の少なくとも約40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、または99%は、生存可能である、請求項101から106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記第2の細胞集団の前記複数の細胞クラスターの前記細胞の少なくとも約40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、または99%は、生存可能である、請求項101~107のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
前記第2の細胞集団は、少なくとも2、3、4、5、10、50、100、1000、10000、100000、または1000000個の細胞クラスターを含む、請求項101から108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
前記第2の細胞集団は、前記第1の組成物と接触していないインスリン陽性内分泌細胞を含む対応する細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの前記インスリン陽性内分泌細胞を含む、請求項101から109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
前記第2の細胞集団は、前記第1の組成物と接触していないインスリン陽性内分泌細胞を含む対応する細胞集団と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%多くの生存可能なインスリン陽性内分泌細胞を含む、請求項101から110のいずれか1項に記載の方法。
【請求項112】
前記第2の細胞集団は、前記第1の細胞集団と前記第1の組成物の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日間の接触の後、前記第1の組成物と接触していないインスリン陽性内分泌細胞を含む対応する細胞集団と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%多くの生存可能なインスリン陽性内分泌細胞を含む、請求項101から111のいずれか1項に記載の方法。
【請求項113】
前記第2の細胞集団は、前記第1の細胞集団と前記第1の組成物の約1~10日間、1~9日間、1~8日間、1~7日間、1~6日間、1~5日間、1~4日間、1~3日間、1~2日間、2~10日間、2~9日間、2~8日間、2~7日間、2~6日間、2~5日間、2~4日間、2~3日間、3~10日間、3~9日間、3~8日間、3~7日間、3~6日間、3~5日間、3~4日間、4~10日間、4~9日間、4~8日間、4~7日間、4~6日間、または4~5日間の接触の後、前記第1の組成物と接触していないインスリン陽性内分泌細胞を含む対応する細胞集団と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%多くの生存可能なインスリン陽性内分泌細胞を含む、請求項101から111のいずれか1項に記載の方法。
【請求項114】
前記複数のβ細胞の少なくとも一部は、複数の細胞クラスターを形成する、請求項101から113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
前記第3の細胞集団の前記複数の細胞クラスターの少なくとも一部は、約50μm~約250μm、約50μm~約150μm、約50μm~約100μm、約75μm~約250μm、約75μm~約150μm、約75μm~約125μm、約75μm~約100μm、または約100μm~約200μmの直径を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記第3の細胞集団の前記複数の細胞クラスターの少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、または90%は、選択ステップなしで、約50μm~約250μm、約50μm~約150μm、約50μm~約100μm、約75μm~約250μm、約75μm~約150μm、約75μm~約125μm、約75μm~約100μm、または約100μm~約200μmの直径を有する、請求項114または115に記載の方法。
【請求項117】
前記細胞クラスターの少なくとも約40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%は、選択ステップなしで、約50~150μm、75~12μm、80~120μm、または90~110μmの直径を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項118】
前記細胞クラスターの少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%は、選択ステップなしで、約100ミクロンの直径を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項119】
前記第3の細胞集団の前記細胞の少なくとも約40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、または99%は、選択ステップなしで、生存可能である、請求項114から118のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
前記第3の細胞集団の前記複数の細胞クラスターの前記細胞の少なくとも約40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、または99%は、選択ステップなしで、生存可能である、請求項114から119のいずれか1項に記載の方法。
【請求項121】
前記第3の細胞集団は、少なくとも2、3、4、5、10、50、100、1000、10000、100000、または1000000個の細胞クラスターを含む、請求項114から120のいずれか1項に記載の方法。
【請求項122】
前記第3の細胞集団は、前記第1の組成物と接触していない前記第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%多くの生存可能なβ細胞を含む、請求項114から121のいずれか1項に記載の方法。
【請求項123】
前記第3の細胞集団は、前記第1の細胞集団と前記第1の組成物の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日間の接触の後、前記第1の組成物と接触していない前記第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%多くの生存可能なβ細胞を含む、請求項114から122のいずれか1項に記載の方法。
【請求項124】
前記第2の細胞集団は、前記第1の細胞集団と前記第1の組成物の約1~10日間、1~9日間、1~8日間、1~7日間、1~6日間、1~5日間、1~4日間、1~3日間、1~2日間、2~10日間、2~9日間、2~8日間、2~7日間、2~6日間、2~5日間、2~4日間、2~3日間、3~10日間、3~9日間、3~8日間、3~7日間、3~6日間、3~5日間、3~4日間、4~10日間、4~9日間、4~8日間、4~7日間、4~6日間、または4~5日間の接触の後、前記第1の組成物と接触していない前記第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%多くの生存可能なβ細胞を含む、請求項114から123のいずれか1項に記載の方法。
【請求項125】
前記第3の細胞集団の前記複数のβ細胞の少なくとも一部は、in vitroでのグルコース負荷に応答してグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)を示す、請求項114から124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
前記第3の細胞集団の前記複数のβ細胞の少なくとも一部は、インスリンを発現する、請求項114から125のいずれか1項に記載の方法。
【請求項127】
前記第1の組成物は、前記薬剤のうちの2つ、3つ、4つ、または5つを損なう、請求項101または104から126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
前記第1の組成物は、前記薬剤のうちの3つ、4つ、5つ、6つ、または7つを損なう、請求項102または104から126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項129】
前記第1の組成物と接触させる前記ステップは、前記第1の細胞集団を前記第1の組成物と約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、または8日間以上にわたって接触させるステップを含む、請求項101から128のいずれか1項に記載の方法。
【請求項130】
前記第1の組成物と接触させる前記ステップは、前記第1の細胞集団を前記第1の組成物と約4日間にわたって接触させるステップを含む、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記第1の組成物と接触させる前記ステップは、前記第1の細胞集団を前記第1の組成物と約6時間、10時間、12時間、24時間、30時間、36時間、40時間、48時間、56時間、72時間、またはそれよりも長い時間にわたって接触させるステップを含む、請求項101から128のいずれか1項に記載の方法。
【請求項132】
前記第1の組成物と接触させる前記ステップは、前記第1の細胞集団を前記第1の組成物と約1~10日間、1~9日間、1~8日間、1~7日間、1~6日間、1~5日間、1~4日間、1~3日間、1~2日間、2~10日間、2~9日間、2~8日間、2~7日間、2~6日間、2~5日間、2~4日間、2~3日間、3~10日間、3~9日間、3~8日間、3~7日間、3~6日間、3~5日間、3~4日間、4~10日間、4~9日間、4~8日間、4~7日間、4~6日間、4~5日間、5~10日間、5~9日間、5~8日間、5~7日間、5~6日間、6~10日間、6~9日間、6~8日間、6~7日間、7~10日間、7~8日間、8~10日間、8~9、日間、または9~10日間にわたって接触させるステップを含む、請求項101から128のいずれか1項に記載の方法。
【請求項133】
前記第1の組成物と接触させる前記ステップは、前記第1の細胞集団を前記第1の組成物と約6~96時間、6~72時間、6~48時間、6~24時間、6~12時間、12~96時間、12~72時間、12~48時間、12~24時間、24~96時間、24~72時間、24~45時間、48~96時間、または48~72時間にわたって接触させるステップを含む、請求項101から128のいずれか1項に記載の方法。
【請求項134】
前記第1の組成物と接触させる前記ステップは、前記第1の細胞集団を前記第1の組成物と約72時間にわたって接触させるステップを含む、請求項101から128のいずれか1項に記載の方法。
【請求項135】
前記第1の組成物は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、またはそれらの両方をさらに含む、請求項101または103から134のいずれか1項に記載の方法。
【請求項136】
前記第1の組成物は、MGLL阻害剤を含む、請求項101から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項137】
前記第1の組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤を含む、請求項101から136のいずれか1項に記載の方法。
【請求項138】
前記第1の組成物は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を含む、請求項101から137のいずれか1項に記載の方法。
【請求項139】
前記第1の組成物は、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤を含む、請求項101から138のいずれか1項に記載の方法。
【請求項140】
前記第1の組成物は、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤を含む、請求項101から139のいずれか1項に記載の方法。
【請求項141】
前記第1の組成物は、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤を含む、請求項101から140のいずれか1項に記載の方法。
【請求項142】
前記第1の組成物は、タンパク質キナーゼ阻害剤を含む、請求項101から141のいずれか1項に記載の方法。
【請求項143】
前記第1の組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、およびタンパク質キナーゼ阻害剤を含む、請求項101から142のいずれか1項に記載の方法。
【請求項144】
前記第1の組成物は、MGLL阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、およびタンパク質キナーゼ阻害剤を含む、請求項101から143のいずれか1項に記載の方法。
【請求項145】
前記TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、Alk5i(SB505124)である、請求項101から144のいずれか1項に記載の方法。
【請求項146】
前記甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、T3またはそのアナログもしくは誘導体である、請求項101から145のいずれか1項に記載の方法。
【請求項147】
前記甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、TRβ選択的アゴニストGC-1である、請求項101から146のいずれか1項に記載の方法。
【請求項148】
前記甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、3,5-ジメチル-4-[(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルベンジル)-フェノキシ]酢酸である、請求項101から147のいずれか1項に記載の方法。
【請求項149】
前記骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤は、LDN193189またはその誘導体である、請求項101から148のいずれか1項に記載の方法。
【請求項150】
前記Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤は、チアゾビビンである、請求項101から149のいずれか1項に記載の方法。
【請求項151】
前記ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、3-デアザネプラノシンAである、請求項101から150のいずれか1項に記載の方法。
【請求項152】
前記タンパク質キナーゼ阻害剤は、スタウロスポリン(SSP)である、請求項101から151のいずれか1項に記載の方法。
【請求項153】
前記第1の組成物は、硫酸亜鉛を含まない、請求項101から152のいずれか1項に記載の方法。
【請求項154】
前記第1の組成物は、脂質をさらに含む、請求項101から153のいずれか1項に記載の方法。
【請求項155】
前記脂質は、飽和脂肪酸である、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
前記飽和脂肪酸は、パルミテートである、請求項155に記載の方法。
【請求項157】
前記脂質は、不飽和脂肪酸である、請求項154に記載の方法。
【請求項158】
前記不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはパルミトレイン酸である、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
前記第1の組成物は、ヒト血清アルブミン(HSA)を含む、請求項101から158のいずれか1項に記載の方法。
【請求項160】
前記第1の組成物は、約0.01~5%、0.01~4%、0.01~3%、0.01~2%、0.01~1%、0.01~0.5%、0.01~0.06%、または0.01~0.05%のHSAを含む、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
前記第1の組成物は、約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、または0.1%超のHSAを含む、請求項159に記載の方法。
【請求項162】
前記第1の組成物は、約5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.06%、または0.05%未満のHSAを含む、請求項159に記載の方法。
【請求項163】
前記第1の組成物は、約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.9%、1%、2%、3%、4%、または5%のHSAを含む、請求項159に記載の方法。
【請求項164】
前記第1の組成物は、約0.05%のHSAを含む、請求項159に記載の方法。
【請求項165】
前記第1の組成物は、MCDB 131を含む、請求項101から164のいずれか1項に記載の方法。
【請求項166】
前記第1の組成物は、DMEM/F12を含む、請求項101から165のいずれか1項に記載の方法。
【請求項167】
前記第1の組成物は、亜鉛を含む、請求項101から166のいずれか1項に記載の方法。
【請求項168】
前記第1の組成物は、ZnSO4を含む、請求項101から167のいずれか1項に記載の方法。
【請求項169】
前記第1の組成物は、少なくとも1つの代謝産物を含む、請求項101から168のいずれか1項に記載の方法。
【請求項170】
前記少なくとも1つの代謝産物は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンである、請求項101から169のいずれか1項に記載の方法。
【請求項171】
前記第1の組成物は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つを含む、請求項101から168のいずれか1項に記載の方法。
【請求項172】
前記第2の組成物は、少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項101から171のいずれか1項に記載の方法。
【請求項173】
前記少なくとも1つのアミノ酸は、アラニン、グルタメート、グリシン、プロリン、トレオニン、またはトリプトファンである、請求項172に記載の方法。
【請求項174】
前記第2の組成物は、少なくとも1つのビタミンを含む、請求項101から173のいずれか1項に記載の方法。
【請求項175】
前記少なくとも1つのビタミンは、ビオチンまたはリボフラビンである、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
前記第2の組成物と接触させる前記ステップは、前記第2の細胞集団を前記第2の組成物と約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、または8日間以上にわたって接触させるステップを含む、請求項101から175のいずれか1項に記載の方法。
【請求項177】
前記第2の組成物と接触させる前記ステップは、前記第2の細胞集団を前記第2の組成物と約6時間、10時間、12時間、24時間、30時間、36時間、40時間、48時間、56時間、72時間、またはそれよりも長い時間にわたって接触させるステップを含む、請求項101から175のいずれか1項に記載の方法。
【請求項178】
前記第2の組成物と接触させる前記ステップは、前記第2の細胞集団を前記第2の組成物と約1~10日間、1~9日間、1~8日間、1~7日間、1~6日間、1~5日間、1~4日間、1~3日間、1~2日間、2~10日間、2~9日間、2~8日間、2~7日間、2~6日間、2~5日間、2~4日間、2~3日間、3~10日間、3~9日間、3~8日間、3~7日間、3~6日間、3~5日間、3~4日間、4~10日間、4~9日間、4~8日間、4~7日間、4~6日間、4~5日間、5~10日間、5~9日間、5~8日間、5~7日間、5~6日間、6~10日間、6~9日間、6~8日間、6~7日間、7~10日間、7~8日間、8~10日間、8~9、日間、または9~10日間にわたって接触させるステップを含む、請求項101から175のいずれか1項に記載の方法。
【請求項179】
前記第2の組成物と接触させる前記ステップは、前記第2の細胞集団を前記第2の組成物と約6~96時間、6~72時間、6~48時間、6~24時間、6~12時間、12~96時間、12~72時間、12~48時間、12~24時間、24~96時間、24~72時間、24~45時間、48~96時間、または48~72時間にわたって接触させるステップを含む、請求項101から175のいずれか1項に記載の方法。
【請求項180】
前記第2の組成物と接触させる前記ステップは、前記第2の細胞集団を前記第2の組成物と約7日間にわたって接触させるステップを含む、請求項101から175のいずれか1項に記載の方法。
【請求項181】
前記第2の組成物は、MGLL阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、またはタンパク質キナーゼ阻害剤のうちの1つまたは複数を含まない、請求項101から180のいずれか1項に記載の方法。
【請求項182】
前記第2の組成物は、MGLL阻害剤を含まない、請求項101から181のいずれか1項に記載の方法。
【請求項183】
前記第2の組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤を含まない、請求項101から182のいずれか1項に記載の方法。
【請求項184】
前記第2の組成物は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を含まない、請求項101から183のいずれか1項に記載の方法。
【請求項185】
前記第2の組成物は、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤を含まない、請求項101から184のいずれか1項に記載の方法。
【請求項186】
前記第2の組成物は、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤を含まない、請求項101から185のいずれか1項に記載の方法。
【請求項187】
前記第2の組成物は、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤を含まない、請求項101から186のいずれか1項に記載の方法。
【請求項188】
前記第2の組成物は、タンパク質キナーゼ阻害剤を含まない、請求項101から187のいずれか1項に記載の方法。
【請求項189】
前記第2の組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、およびタンパク質キナーゼ阻害剤を含まない、請求項101から188のいずれか1項に記載の方法。
【請求項190】
前記第2の組成物は、MGLL阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、およびタンパク質キナーゼ阻害剤を含まない、請求項101から188のいずれか1項に記載の方法。
【請求項191】
前記第2の組成物は、脂質を含む、請求項101から190のいずれか1項に記載の方法。
【請求項192】
前記脂質は、飽和脂肪酸である、請求項191に記載の方法。
【請求項193】
前記飽和脂肪酸は、パルミテートである、請求項192に記載の方法。
【請求項194】
前記脂質は、不飽和脂肪酸である、請求項191に記載の方法。
【請求項195】
前記不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはパルミトレイン酸である、請求項194に記載の方法。
【請求項196】
前記第2の組成物は、MGLL阻害剤を含む、請求項101から181、183から189、または191から195のいずれか1項に記載の方法。
【請求項197】
前記第2の組成物は、ヒト血清アルブミン(HSA)を含まない、請求項101から196のいずれか1項に記載の方法。
【請求項198】
前記第2の組成物は、ヒト血清アルブミン(HSA)を含む、請求項101から196のいずれか1項に記載の方法。
【請求項199】
前記第2の組成物は、約0.1~5%、0.1~4%、0.1~3%、0.1~2%、0.1~1%、0.1~0.5%のHSAを含む、請求項198に記載の方法。
【請求項200】
前記第2の組成物は、約5%、4%、3%、2%、1%、0.6%、0.5%未満のHSAを含む、請求項199に記載の方法。
【請求項201】
前記第2の組成物は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、または5%のHSAを含む、請求項199に記載の方法。
【請求項202】
前記第2の組成物は、約1%のHSAを含む、請求項199に記載の方法。
【請求項203】
前記第2の組成物は、MCDB 131を含む、請求項101から202のいずれか1項に記載の方法。
【請求項204】
前記第2の組成物は、DMEM/F12を含む、請求項101から202のいずれか1項に記載の方法。
【請求項205】
前記第2の組成物は、亜鉛を含む、請求項101から204のいずれか1項に記載の方法。
【請求項206】
前記第2の組成物は、ZnSO4を含む、請求項101から205のいずれか1項に記載の方法。
【請求項207】
前記第2の組成物は、少なくとも1つの代謝産物を含む、請求項101から206のいずれか1項に記載の方法。
【請求項208】
前記少なくとも1つの代謝産物は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンである、請求項207に記載の方法。
【請求項209】
前記第2の組成物は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つを含む、請求項101から206のいずれか1項に記載の方法。
【請求項210】
前記第2の組成物は、少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項101から209のいずれか1項に記載の方法。
【請求項211】
前記少なくとも1つのアミノ酸は、アラニン、グルタメート、グリシン、プロリン、トレオニン、またはトリプトファンである、請求項210に記載の方法。
【請求項212】
前記第2の組成物は、少なくとも1つのビタミンを含む、請求項101から211のいずれか1項に記載の方法。
【請求項213】
前記少なくとも1つのビタミンは、ビオチンまたはリボフラビンである、請求項212に記載の方法。
【請求項214】
前記解離させるステップは、前記細胞集団をフローサイトメトリーに供するステップを含まない、請求項101から213のいずれか1項に記載の方法。
【請求項215】
(a)インスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、
(b)前記第1の細胞集団中の前記複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、
(c)前記解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む前記第1の細胞集団の少なくとも一部を凍結するステップと、
(d)前記凍結した第1の細胞集団の少なくとも一部を解凍するステップと、
(e)前記解凍した第1の細胞集団の前記少なくとも一部を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数の細胞クラスターを含む複数のインスリン陽性内分泌細胞を含む第2の細胞集団を取得するステップであって、前記第1の組成物は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、またはタンパク質キナーゼ阻害剤のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの薬剤を含むステップと、
(f)前記第2のインスリン陽性内分泌細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性内分泌細胞集団の少なくとも一部を、複数の細胞クラスターを含む複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、前記第2の組成物は、前記第1の組成物とは異なり、前記第3の細胞集団は、前記第1の組成物と接触していない前記第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応するβ細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能なβ細胞を含むステップと
を含む方法。
【請求項216】
前記第1の組成物は、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、およびタンパク質キナーゼ阻害剤を含む、請求項215に記載の方法。
【請求項217】
前記第1の組成物は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤をさらに含む、請求項215または216に記載の方法。
【請求項218】
前記第1の組成物は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤をさらに含む、請求項215から217のいずれか1項に記載の方法。
【請求項219】
前記第1の組成物は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤をさらに含む、請求項215から218のいずれか1項に記載の方法。
【請求項220】
(a)インスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、
(b)前記第1の細胞集団中の前記複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、
(c)前記解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む前記第1の細胞集団の少なくとも一部を凍結するステップと、
(d)前記凍結した第1の細胞集団の少なくとも一部を解凍するステップと、
(e)前記解凍した第1の細胞集団の前記少なくとも一部を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数の細胞クラスターを含む複数のインスリン陽性内分泌細胞を含む第2の細胞集団を取得するステップであって、前記第1の組成物は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、またはそれらの両方、およびモノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、またはタンパク質キナーゼ阻害剤のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの薬剤を含むステップと、
(f)前記第2のインスリン陽性内分泌細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性内分泌細胞集団の少なくとも一部を、複数の細胞クラスターを含む複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、前記第2の組成物は、前記第1の組成物とは異なり、前記第3の細胞集団は、前記第1の組成物と接触していない前記第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応するβ細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能なβ細胞を含むステップと
を含む方法。
【請求項221】
前記第1の組成物は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、およびタンパク質キナーゼ阻害剤を含む、請求項220に記載の方法。
【請求項222】
(a)インスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、
(b)前記第1の細胞集団中の前記複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、
(c)前記解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む前記第1の細胞集団を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数のインスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第2の細胞集団を取得するステップと、
(d)前記第2のインスリン陽性内分泌細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性内分泌細胞集団の少なくとも一部を、複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、前記第2の組成物は、前記第1の組成物とは異なり、前記第2の組成物は、少なくとも1つの代謝産物を含み、前記第3の細胞集団は、前記第2の組成物と接触していない前記第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能細胞を含むステップと
を含む方法。
【請求項223】
(a)インスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、
(b)前記第1の細胞集団中の前記複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、
(c)前記解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む前記第1の細胞集団を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数のインスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第2の細胞集団を取得するステップと、
(d)前記第2のインスリン陽性内分泌細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性内分泌細胞集団の少なくとも一部を、複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、前記第2の組成物は、前記第1の組成物とは異なり、前記第2の組成物は、少なくとも1つの代謝産物を含み、前記複数のβ細胞は、前記第2の組成物と接触していない前記第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比して、向上したグルコース刺激性インスリン分泌を呈するステップと
を含む方法。
【請求項224】
前記代謝産物は、アミノ酸、ビタミン、ポリオール、有機物、酸、抗酸化剤、ヌクレオチド、またはアルコールである、請求項222または223に記載の方法。
【請求項225】
前記少なくとも1つの代謝産物は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンである、請求項222または223に記載の方法。
【請求項226】
前記第2の組成物は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンのうちの少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つの代謝産物を含む、請求項222または223に記載の方法。
【請求項227】
前記第2の組成物は、DMEM/F12を含む、請求項222から226のいずれか1項に記載の方法。
【請求項228】
前記第2の組成物は、約0.05~2%のHSAを含む、請求項222から227のいずれか1項に記載の方法。
【請求項229】
前記第2の組成物は、約1%のHSAを含む、請求項228に記載の方法。
【請求項230】
前記第2の組成物は、亜鉛を含む、請求項222から229のいずれか1項に記載の方法。
【請求項231】
前記第2の組成物は、ZnSO4を含む、請求項222から230のいずれか1項に記載の方法。
【請求項232】
前記第2の組成物は、少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項222から231のいずれか1項に記載の方法。
【請求項233】
前記少なくとも1つのアミノ酸は、アラニン、グルタメート、グリシン、プロリン、トレオニン、またはトリプトファンである、請求項231に記載の方法。
【請求項234】
前記第2の組成物は、少なくとも1つのビタミンを含む、請求項222から233のいずれか1項に記載の方法。
【請求項235】
前記少なくとも1つのビタミンは、ビオチンまたはリボフラビンである、請求項234に記載の方法。
【請求項236】
前記複数のβ細胞は、前記第2の組成物と接触していない前記第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比して、向上したグルコース刺激性インスリン分泌を呈する、請求項222から235のいずれか1項に記載の方法。
【請求項237】
前記第3の細胞集団は、前記第2の組成物と接触していない前記第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能細胞を含む、請求項222から236のいずれか1項に記載の方法。
【請求項238】
前記第3の細胞集団は、それぞれが約50~150ミクロンの直径を有する複数の細胞クラスターを含む、請求項222から237のいずれか1項に記載の方法。
【請求項239】
前記第3の細胞集団は、それぞれが約100ミクロンの直径を有する複数の細胞クラスターを含む、請求項222から238のいずれか1項に記載の方法。
【請求項240】
前記第3の細胞集団は、複数の細胞クラスターを含み、前記細胞クラスターの少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%は、選択ステップなしで、約100ミクロンの直径を有する、請求項222から239のいずれか1項に記載の方法。
【請求項241】
前記第3の細胞集団は、複数の細胞クラスターを含み、前記細胞クラスターの少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%は、選択ステップなしで、約50~150ミクロン、75~125ミクロン、80~120ミクロン、または90~110ミクロンの直径を有する、請求項222から240のいずれか1項に記載の方法。
【請求項242】
前記第1の組成物は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、またはタンパク質キナーゼ阻害剤のうちの少なくとも1つの薬剤を含む、請求項222から241のいずれか1項に記載の方法。
【請求項243】
(a)前記解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む前記第1の細胞集団の少なくとも一部を凍結するステップと、
(b)前記凍結した第1の細胞集団の少なくとも一部を解凍するステップと、
(c)前記解凍した第1の細胞集団の少なくとも一部をin vitroで前記第1の組成物と接触させるステップと
をさらに含む、請求項219から239のいずれか1項に記載の方法。
【請求項244】
請求項101から243のいずれか1項に記載のインスリン陽性内分泌細胞を含む前記第2の細胞集団の少なくとも一部を含む組成物。
【請求項245】
請求項101から243のいずれか1項に記載のβ細胞の前記第3の細胞集団の少なくとも一部を含む組成物。
【請求項246】
請求項101から243のいずれか1項に記載のβ細胞の前記第3の細胞集団の少なくとも一部と、請求項101から243のいずれか1項に記載のインスリン陽性内分泌細胞を含む前記第2の細胞集団の少なくとも一部とを含む組成物。
【請求項247】
請求項244に記載のβ細胞の組成物を含むデバイス。
【請求項248】
請求項245に記載のインスリン陽性内分泌細胞の組成物を含むデバイス。
【請求項249】
請求項246に記載のインスリン陽性内分泌細胞およびβ細胞の組成物を含むデバイス。
【請求項250】
長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、請求項244に記載の細胞の組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項251】
長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、請求項245に記載の細胞の組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項252】
長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、請求項246に記載の細胞の組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項253】
長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、請求項247に記載のデバイスを前記対象に埋め込むステップを含む方法。
【請求項254】
長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、請求項248に記載のデバイスを前記対象に埋め込むステップを含む方法。
【請求項255】
長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、請求項249に記載のデバイスを前記対象に埋め込むステップを含む方法。
【請求項256】
前記疾患は糖尿病である、請求項250から255のいずれか1項に記載の方法。
【請求項257】
in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことがあり、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する前記薬剤と接触したことのない対応する単離されたインスリン陽性内分泌細胞集団と比較して、モノグリセリドの遊離脂肪酸への変換率の減少を呈する、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物。
【請求項258】
in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことがあり、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことのない対応する単離されたインスリン陽性内分泌細胞集団と比較して、モノグリセリドの遊離脂肪酸に対する比の増加を呈する、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物。
【請求項259】
in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことがあり、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことのない対応する単離されたインスリン陽性内分泌細胞集団と比較して、遊離脂肪酸のモノグリセリドに対する比の減少を呈する、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物。
【請求項260】
in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことがあり、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことのない対応する単離されたインスリン陽性内分泌細胞集団と比較して、遊離脂肪酸のレベル低下を呈する、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物。
【請求項261】
in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことがあり、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことのない対応する単離されたインスリン陽性内分泌細胞集団と比較して、モノグリセリドのレベル上昇を呈する、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物。
【請求項262】
インスリン陽性内分泌細胞集団と、モノグリセリドの遊離脂肪酸への変換を阻害する薬剤とを含む組成物。
【請求項263】
前記薬剤は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する、請求項262に記載の組成物。
【請求項264】
インスリン陽性細胞集団と、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤とを含む組成物。
【請求項265】
モノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する前記薬剤は、JJKK048、KML29、NF1819、JW642、JZL184、JZL195、JZP361、プリスチメリン、またはURB602である、請求項257から264のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項266】
グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンからなる群から選択される少なくとも1つの薬剤とin vitroで接触したことのあるβ細胞集団を含む組成物であって、前記β細胞集団は、前記少なくとも1つの薬剤と接触したことのない対応するβ細胞集団と比較して、増加したグルコース刺激性インスリン分泌を呈する、組成物。
【請求項267】
前記細胞集団は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンからなる群から選択される前記薬剤のうちの少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つと接触したことがある、請求項266に記載の組成物。
【請求項268】
β細胞集団、およびグルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンからなる群から選択される薬剤のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つを含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2019年6月25日に出願された米国仮特許出願第62/866,100号の利益を主張するものであり、同仮特許出願は、全体としてこれにより参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]膵臓または膵島の移植は、I型糖尿病などの糖尿病の処置に使用されてきた。膵島移植は大手術を必要とせず、膵島移植片の機能はレシピエントにおいて長期にわたり維持され得る。しかしながら、膵島ドナーの不足により、この療法が効果的に実施されることが妨げられている。人工の膵臓または膵島は、移植可能な膵島の代替的供給源となる。
【発明の概要】
【0003】
[0003]一部の実施形態では、本開示は、解離した細胞を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示の組成物は、細胞クラスターを含まない。一部の実施形態では、本開示の組成物は、インスリン陽性細胞クラスターを含まない。一部の実施形態では、本開示の組成物は、5、10、20、30、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000個を超える細胞を含む細胞クラスターを含まない。一部の実施形態では、本開示の組成物は、50個を超える細胞を含む細胞クラスターを含まない。一部の実施形態では、本開示の組成物は、100個を超える細胞を含む細胞クラスターを含まない。一部の実施形態では、本開示の組成物は、500個を超える細胞を含む細胞クラスターを含まない。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、解離した細胞は、Ngn3陽性である。一部の実施形態では、解離した細胞は、PDX.1陽性である。一部の実施形態では、解離した細胞は、NKX6.1陽性である。一部の実施形態では、本開示は、解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびBMPシグナル伝達経路阻害剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびROCK阻害剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、もしくは14-1152、またはそれらの誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、3-デアザネプラノシンA塩酸塩またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)および亜鉛を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、亜鉛は、ZnSO4の形態にある。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびモノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、MGLL阻害剤は、JJKK048、KML29、NF1819、JW642、JZL184、JZL195、JZP361、プリスチメリン、もしくはURB602、または前出のもののうちのいずれかの誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)および脂質を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、脂質は、飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、飽和脂肪酸は、パルミテートである。一部の実施形態では、脂質は、不飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはパルミトレイン酸である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびグルタメートを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびアセテートを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびβ-ヒドロキシブタレートを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびL-カルニチンを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびタウリンを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびホルメートを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびビオチンを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示の組成物は、血清アルブミンタンパク質をさらに含む。一部の実施形態では、血清アルブミンタンパク質は、ヒト血清アルブミンタンパク質である。一部の実施形態では、本開示の組成物は、0.01%~1%、0.03~1%、0.03~0.9%、0.03~0.08%、0.03~0.06%、0.03~0.05%、0.04~0.8%、0.04~0.7%、0.04~0.6%、0.04~0.5%、0.04~0.4%、0.04~0.3%、0.04~0.2%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、0.04~0.8%、0.04~0.07%、0.04~0.06%、0.04~0.05%、0.05~1%、0.05~0.9%、0.05~0.8%、0.05~0.7%、0.05~0.6%、0.05~0.5%、0.05~0.4%、0.05~0.3%、0.05~0.2%、0.05~0.1%、0.05~0.09%、0.05~0.8%、0.05~0.07%、または0.05~0.06%の血清アルブミンタンパク質を含む。一部の実施形態では、組成物中の細胞の90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満は、細胞クラスターになっている。一部の実施形態では、本開示の組成物は、TGF-β経路阻害剤を含む。一部の実施形態では、TGF-β経路阻害剤は、Alk5i(SB505124)またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示の組成物は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を含む。一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、GC-1もしくはT3、またはそれらの誘導体である。一部の実施形態では、本開示の組成物は、タンパク質キナーゼ阻害剤を含む。一部の実施形態では、タンパク質キナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンである。一部の実施形態では、本開示の組成物は、ビタミンCを含む。一部の実施形態では、本開示の組成物は、インスリンを含む。特定の実施形態では、本開示の組成物は、in vitroである。一部の実施形態では、本開示の組成物は、γセクレターゼ阻害剤(例えば、XXI)を含まない。一部の実施形態では、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞は、以前に凍結されたものである。
【0004】
[0004]一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、BMPシグナル伝達経路阻害剤と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ROCK阻害剤と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、もしくは14-1152、またはそれらの誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、3-デアザネプラノシンA塩酸塩またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、亜鉛と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、亜鉛は、ZnSO4の形態にある。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、MGLL阻害剤は、JJKK048、KML29、NF1819、JW642、JZL184、JZL195、JZP361、プリスチメリン、もしくはURB602、または前出のもののうちのいずれかの誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、脂質と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、脂質は、飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、飽和脂肪酸は、パルミテートである。一部の実施形態では、脂質は、不飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはパルミトレイン酸である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、グルタメートと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、アセテートと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、β-ヒドロキシブタレートと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、L-カルニチンと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、タウリンと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ホルメートと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ビオチンと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、血清アルブミンタンパク質と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、血清アルブミンタンパク質は、ヒト血清アルブミンタンパク質である。一部の実施形態では、本開示の組成物は、0.01%~1%、0.03~1%、0.03~0.9%、0.03~0.08%、0.03~0.06%、0.03~0.05%、0.04~0.8%、0.04~0.7%、0.04~0.6%、0.04~0.5%、0.04~0.4%、0.04~0.3%、0.04~0.2%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、0.04~0.8%、0.04~0.07%、0.04~0.06%、0.04~0.05%、0.05~1%、0.05~0.9%、0.05~0.8%、0.05~0.7%、0.05~0.6%、0.05~0.5%、0.05~0.4%、0.05~0.3%、0.05~0.2%、0.05~0.1%、0.05~0.09%、0.05~0.8%、0.05~0.07%、または0.05~0.06%の血清アルブミンタンパク質を含む。一部の実施形態では、組成物中の細胞の90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満は、細胞クラスターになっている。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、TGF-β経路阻害剤と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、TGF-β経路阻害剤は、Alk5i(SB505124)またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、GC-1もしくはT3、またはそれらの誘導体である。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、タンパク質キナーゼ阻害剤と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、タンパク質キナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンである。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ビタミンCと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、インスリンと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌細胞を、γセクレターゼ阻害剤(例えば、XXI)と接触させるステップを含まない。一部の実施形態では、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞は、以前に凍結されたものである。一部の実施形態では、本開示の方法は、1~10日間、1~9日間、1~8日間、1~7日間、1~6日間、1~5日間、1~4日間、1~3日間、1~2日間、2~10日間、2~9日間、2~8日間、2~7日間、2~6日間、2~5日間、2~4日間、2~3日間、3~10日間、3~9日間、3~8日間、3~7日間、3~6日間、3~5日間、3~4日間、4~10日間、4~9日間、4~8日間、4~7日間、4~6日間、または4~5日間にわたって行われる。一部の実施形態では、本開示の方法は、解離した細胞を複数の細胞クラスターへと再凝集させる。一部の実施形態では、複数の細胞クラスターの少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、または90%は、約50μm~約250μm、約75μm~約250μm、または約100μm~約200μmの直径を有する。一部の実施形態では、第2の細胞集団の複数の細胞クラスターの細胞の少なくとも約40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、または99%は、生存可能である。一部の実施形態では、本開示の方法は、解離した細胞を少なくとも2、3、4、5、10、50、100、1000、10000、100000、または1000000個の細胞クラスターへと再凝集させる。
【0005】
[0005]一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物であって、細胞クラスターは、インスリン陽性細胞を含み、組成物中の細胞の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、または少なくとも65%は、11日間のin vitro培養後に生存可能である、組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物であって、細胞クラスターは、インスリン陽性細胞を含み、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、直径90~140μm、90~130μm、90~120μm、90~110μm、100~140μm、100~130μm、100~120μm、100~110μmである、組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物であって、細胞クラスターは、インスリン陽性細胞を含み、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、1.5~4.5、1.5~4.0、1.5~3.5、1.5~3.0、1.5~2.5、1.5~2.5、1.5~2.0、2.0~4.5、2.0~4.0、2.0~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、2.5~4.5、2.5~4.0、2.5~3.5、2.5~3.0、3.0~4.5、3.0~4.0、3.0~3.5、3.5~4.5、3.5~4.0、または4.0~4.5のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)刺激指数を呈する、組成物を提供する。一部の実施形態では、細胞クラスターは、Cペプチド陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、ソマトスタチン陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、グルカゴン陽性細胞を含む。一部の実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、または少なくとも65%は、11日間のin vitro培養後に生存可能である。一部の実施形態では、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、直径90~140μm、90~130μm、90~120μm、90~110μm、100~140μm、100~130μm、100~120μm、100~110μmである。一部の実施形態では、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、1.5~4.5、1.5~4.0、1.5~3.5、1.5~3.0、1.5~2.5、1.5~2.5、1.5~2.0、2.0~4.5、2.0~4.0、2.0~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、2.5~4.5、2.5~4.0、2.5~3.5、2.5~3.0、3.0~4.5、3.0~4.0、3.0~3.5、3.5~4.5、3.5~4.0、または4.0~4.5のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)刺激指数を呈する。一部の実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、50、100、1000、10000、100000、または1000000個の細胞クラスターが存在する。一部の実施形態では、本開示の組成物は、本明細書で開示されるいずれかの方法に従って調製される。一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示されるいずれかの細胞組成物を含むデバイスを提供する。一部の実施形態では、本開示は、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、本明細書で開示されるいずれかの組成物または本明細書で開示されるいずれかのデバイスを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0006】
[0006]一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物であって、細胞クラスターは、インスリン陽性細胞を含み、組成物中の細胞の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、または少なくとも65%は、11日間のin vitro培養後に生存可能である、組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物であって、細胞クラスターは、インスリン陽性細胞を含み、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、直径90~140μm、90~130μm、90~120μm、90~110μm、100~140μm、100~130μm、100~120μm、100~110μmである、組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物であって、細胞クラスターは、インスリン陽性細胞を含み、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、1.5~4.5、1.5~4.0、1.5~3.5、1.5~3.0、1.5~2.5、1.5~2.5、1.5~2.0、2.0~4.5、2.0~4.0、2.0~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、2.5~4.5、2.5~4.0、2.5~3.5、2.5~3.0、3.0~4.5、3.0~4.0、3.0~3.5、3.5~4.5、3.5~4.0、または4.0~4.5のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)刺激指数を呈する、組成物を提供する。一部の実施形態では、細胞クラスターは、Cペプチド陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、ソマトスタチン陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、グルカゴン陽性細胞を含む。一部の実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、または少なくとも65%は、11日間のin vitro培養後に生存可能である。一部の実施形態では、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、直径90~140μm、90~130μm、90~120μm、90~110μm、100~140μm、100~130μm、100~120μm、100~110μmである。一部の実施形態では、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、1.5~4.5、1.5~4.0、1.5~3.5、1.5~3.0、1.5~2.5、1.5~2.5、1.5~2.0、2.0~4.5、2.0~4.0、2.0~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、2.5~4.5、2.5~4.0、2.5~3.5、2.5~3.0、3.0~4.5、3.0~4.0、3.0~3.5、3.5~4.5、3.5~4.0、または4.0~4.5のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)刺激指数を呈する。一部の実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、50、100、1000、10000、100000、または1000000個の細胞クラスターが存在する。一部の実施形態では、本開示の組成物は、本明細書で開示されるいずれかの方法に従って調製される。一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示されるいずれかの細胞組成物を含むデバイスを提供する。一部の実施形態では、本開示は、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、本明細書で開示されるいずれかの組成物または本明細書で開示されるいずれかのデバイスを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0007】
[0007]本明細書では、(a)インスリン陽性細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、(b)第1の細胞集団中の複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、(c)解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む第1の細胞集団を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数のインスリン陽性細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第2の細胞集団を取得するステップであって、第1の組成物は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、またはタンパク質キナーゼ阻害剤のうちの少なくとも1つの薬剤を含むステップと、(d)第2のインスリン陽性細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性細胞集団の少なくとも一部を、複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、第2の組成物は、第1の組成物とは異なり、第3の細胞集団は、第1の組成物と接触していない第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応するβ細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能なβ細胞を含むステップとを含む方法が提供される。
【0008】
[0008]本明細書では、(a)インスリン陽性細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、(b)第1の細胞集団中の複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、(c)解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む第1の細胞集団を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数のインスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第2の細胞集団を取得するステップであって、第1の組成物は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、またはそれらの両方、およびモノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、またはタンパク質キナーゼ阻害剤のうちの少なくとも1つの薬剤を含むステップと、(d)第2のインスリン陽性細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性細胞集団の少なくとも一部を、複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、第2の組成物は、第1の組成物とは異なり、第3の細胞集団は、第1の組成物と接触していない第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応するβ細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能なβ細胞を含むステップとを含む方法が提供される。
【0009】
[0009]本明細書では、(a)インスリン陽性細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、(b)第1の細胞集団中の複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、(c)解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む第1の細胞集団を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数のインスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第2の細胞集団を取得するステップであって、第1の組成物は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤を含むステップと、(d)第2のインスリン陽性細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性細胞集団の少なくとも一部を、複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、第2の組成物は、第1の組成物とは異なり、第3の細胞集団は、第1の組成物と接触していない第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応するβ細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能なβ細胞を含むステップとを含む方法が提供される。
【0010】
[0010]一部の実施形態では、本開示の方法は、解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む第1の細胞集団の少なくとも一部を凍結するステップと、凍結した第1の細胞集団の少なくとも一部を解凍するステップと、解凍した第1の細胞集団の少なくとも一部をin vitroで前記第1の組成物と接触させるステップとをさらに含む。
【0011】
[0011]一部の実施形態では、第2の細胞集団の複数の細胞クラスターの少なくとも一部は、約50μm~約250μm、約75μm~約250μm、または約100μm~約200μmの直径を有する。一部の実施形態では、第2の細胞集団の複数の細胞クラスターの少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、または90%は、約50μm~約250μm、約75μm~約250μm、または約100μm~約200μmの直径を有する。一部の実施形態では、第2の細胞集団の細胞の少なくとも約40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、または99%は、生存可能である。一部の実施形態では、第2の細胞集団の複数の細胞クラスターの細胞の少なくとも約40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、または99%は、生存可能である。
【0012】
[0012]一部の実施形態では、第2の細胞集団は、少なくとも2、3、4、5、10、50、100、1000、10000、100000、または1000000個の細胞クラスターを含む。
【0013】
[0013]一部の実施形態では、第2の細胞集団は、第1の組成物と接触していないインスリン陽性内分泌細胞を含む対応する細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの前記インスリン陽性内分泌細胞を含む。一部の実施形態では、第2の細胞集団は、第1の組成物と接触していないインスリン陽性内分泌細胞を含む対応する細胞集団と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%多くの生存可能なインスリン陽性内分泌細胞を含む。一部の実施形態では、第2の細胞集団は、第1の細胞集団と第1の組成物の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日間の接触の後、第1の組成物と接触していないインスリン陽性内分泌細胞を含む対応する細胞集団と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%多くの生存可能なインスリン陽性内分泌細胞を含む。一部の実施形態では、第2の細胞集団は、第1の細胞集団と第1の組成物の約1~10日間、1~9日間、1~8日間、1~7日間、1~6日間、1~5日間、1~4日間、1~3日間、1~2日間、2~10日間、2~9日間、2~8日間、2~7日間、2~6日間、2~5日間、2~4日間、2~3日間、3~10日間、3~9日間、3~8日間、3~7日間、3~6日間、3~5日間、3~4日間、4~10日間、4~9日間、4~8日間、4~7日間、4~6日間、または4~5日間の接触の後、第1の組成物と接触していないインスリン陽性内分泌細胞を含む対応する細胞集団と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%多くの生存可能なインスリン陽性内分泌細胞を含む。
【0014】
[0014]一部の実施形態では、複数のβ細胞の少なくとも一部は、複数の細胞クラスターを形成する。一部の実施形態では、第3の細胞集団の複数の細胞クラスターの少なくとも一部は、約50μm~約250μm、約50μm~約150μm、約50μm~約100μm、約75μm~約250μm、約75μm~約150μm、約75μm~約125μm、約75μm~約100μm、または約100μm~約200μmの直径を有する。
【0015】
[0015]一部の実施形態では、第3の細胞集団の複数の細胞クラスターの少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、または90%は、選択ステップなしで、約50μm~約250μm、約50μm~約150μm、約50μm~約100μm、約75μm~約250μm、約75μm~約150μm、約75μm~約125μm、約75μm~約100μm、または約100μm~約200μmの直径を有する。一部の実施形態では、細胞クラスターの少なくとも約40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%は、選択ステップなしで、約50~150μm、75~12μm、80~120μm、または90~110μmの直径を有する。一部の実施形態では、細胞クラスターの少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%は、選択ステップなしで、約100ミクロンの直径を有する。一部の実施形態では、第3の細胞集団の細胞の少なくとも約40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、または99%は、選択ステップなしで、生存可能である。一部の実施形態では、第3の細胞集団の複数の細胞クラスターの細胞の少なくとも約40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、または99%は、選択ステップなしで、生存可能である。
【0016】
[0016]一部の実施形態では、第3の細胞集団は、少なくとも2、3、4、5、10、50、100、1000、10000、100000、または1000000個の細胞クラスターを含む。一部の実施形態では、第3の細胞集団は、第1の組成物と接触していない第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%多くの生存可能なβ細胞を含む。一部の実施形態では、第3の細胞集団は、第1の細胞集団と第1の組成物の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日間の接触の後、第1の組成物と接触していない第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%多くの生存可能なβ細胞を含む。一部の実施形態では、第2の細胞集団は、第1の細胞集団と第1の組成物の約1~10日間、1~9日間、1~8日間、1~7日間、1~6日間、1~5日間、1~4日間、1~3日間、1~2日間、2~10日間、2~9日間、2~8日間、2~7日間、2~6日間、2~5日間、2~4日間、2~3日間、3~10日間、3~9日間、3~8日間、3~7日間、3~6日間、3~5日間、3~4日間、4~10日間、4~9日間、4~8日間、4~7日間、4~6日間、または4~5日間の接触の後、第1の組成物と接触していない第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%多くの生存可能なβ細胞を含む。
【0017】
[0017]一部の実施形態では、第3の細胞集団の複数のβ細胞の少なくとも一部は、in vitroでのグルコース負荷に応答してグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)を示す。一部の実施形態では、第3の細胞集団の複数のβ細胞の少なくとも一部は、インスリンを発現する。
【0018】
[0018]一部の実施形態では、第1の組成物は、薬剤のうちの2つ、3つ、4つ、または5つを損なう。一部の実施形態では、第1の組成物は、薬剤のうちの3つ、4つ、5つ、6つ、または7つを損なう。一部の実施形態では、第1の組成物と接触させるステップは、第1の細胞集団を第1の組成物と約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、または8日間以上にわたって接触させるステップを含む。一部の実施形態では、第1の組成物と接触させるステップは、第1の細胞集団を第1の組成物と約4日間にわたって接触させるステップを含む。一部の実施形態では、第1の組成物と接触させるステップは、第1の細胞集団を第1の組成物と約6時間、10時間、12時間、24時間、30時間、36時間、40時間、48時間、56時間、72時間、またはそれよりも長い時間にわたって接触させるステップを含む。一部の実施形態では、第1の組成物と接触させるステップは、第1の細胞集団を第1の組成物と約1~10日間、1~9日間、1~8日間、1~7日間、1~6日間、1~5日間、1~4日間、1~3日間、1~2日間、2~10日間、2~9日間、2~8日間、2~7日間、2~6日間、2~5日間、2~4日間、2~3日間、3~10日間、3~9日間、3~8日間、3~7日間、3~6日間、3~5日間、3~4日間、4~10日間、4~9日間、4~8日間、4~7日間、4~6日間、4~5日間、5~10日間、5~9日間、5~8日間、5~7日間、5~6日間、6~10日間、6~9日間、6~8日間、6~7日間、7~10日間、7~8日間、8~10日間、8~9、日間、または9~10日間にわたって接触させるステップを含む。一部の実施形態では、第1の組成物と接触させるステップは、第1の細胞集団を第1の組成物と約6~96時間、6~72時間、6~48時間、6~24時間、6~12時間、12~96時間、12~72時間、12~48時間、12~24時間、24~96時間、24~72時間、24~45時間、48~96時間、または48~72時間にわたって接触させるステップを含む。一部の実施形態では、第1の組成物と接触させるステップは、第1の細胞集団を第1の組成物と約72時間にわたって接触させるステップを含む。
【0019】
[0019]一部の実施形態では、第1の組成物は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、またはそれらの両方をさらに含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、MGLL阻害剤を含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤を含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤を含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤を含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤を含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、タンパク質キナーゼ阻害剤を含む。
【0020】
[0020]一部の実施形態では、第1の組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、およびタンパク質キナーゼ阻害剤を含む。
【0021】
[0021]一部の実施形態では、第1の組成物は、MGLL阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、およびタンパク質キナーゼ阻害剤を含む。
【0022】
[0022]一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、Alk5i(SB505124)である。
[0023]一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、T3またはそのアナログもしくは誘導体である。
【0023】
[0024]一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、TRβ選択的アゴニストGC-1である。
[0025]一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、3,5-ジメチル-4-[(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルベンジル)-フェノキシ]酢酸である。
【0024】
[0026]一部の実施形態では、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤は、LDN193189またはその誘導体である。
[0027]一部の実施形態では、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤は、チアゾビビンである。
【0025】
[0028]一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、3-デアザネプラノシンAである。
[0029]一部の実施形態では、タンパク質キナーゼ阻害剤は、スタウロスポリン(SSP)である。
【0026】
[0030]一部の実施形態では、第1の組成物は、γセクレターゼ阻害剤(例えば、XXI)、硫酸亜鉛、またはそのいずれも含まない。
[0031]一部の実施形態では、第1の組成物は、脂質をさらに含む。一部の実施形態では、脂質は、飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、飽和脂肪酸は、パルミテートである。一部の実施形態では、脂質は、不飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはパルミトレイン酸である。
【0027】
[0032]一部の実施形態では、第1の組成物は、ヒト血清アルブミン(HSA)を含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、約0.01~5%、0.01~4%、0.01~3%、0.01~2%、0.01~1%、0.01~0.5%、0.01~0.06%、または0.01~0.05%のHSAを含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、または0.1%超のHSAを含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、約5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.06%、または0.05%未満のHSAを含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.9%、1%、2%、3%、4%、または5%のHSAを含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、約0.05%のHSAを含む。
【0028】
[0033]一部の実施形態では、第1の組成物は、MCDB 131を含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、DMEM/F12を含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、亜鉛を含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、ZnSO4を含む。
【0029】
[0034]一部の実施形態では、第1の組成物は、少なくとも1つの代謝産物を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの代謝産物は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンである。一部の実施形態では、第1の組成物は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つを含む。
【0030】
[0035]一部の実施形態では、第2の組成物は、少なくとも1つのアミノ酸を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸は、アラニン、グルタメート、グリシン、プロリン、トレオニン、またはトリプトファンである。一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、グルタメート、グリシン、プロリン、トレオニン、またはトリプトファンである。
【0031】
[0036]一部の実施形態では、第2の組成物は、少なくとも1つのビタミンを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのビタミンは、ビオチンまたはリボフラビンである。
[0037]一部の実施形態では、第2の組成物と接触させるステップは、第2の細胞集団を第2の組成物と約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、または8日間以上にわたって接触させるステップを含む。一部の実施形態では、第2の組成物と接触させるステップは、第2の細胞集団を第2の組成物と約6時間、10時間、12時間、24時間、30時間、36時間、40時間、48時間、56時間、72時間、またはそれよりも長い時間にわたって接触させるステップを含む。一部の実施形態では、第2の組成物と接触させるステップは、第2の細胞集団を第2の組成物と約1~10日間、1~9日間、1~8日間、1~7日間、1~6日間、1~5日間、1~4日間、1~3日間、1~2日間、2~10日間、2~9日間、2~8日間、2~7日間、2~6日間、2~5日間、2~4日間、2~3日間、3~10日間、3~9日間、3~8日間、3~7日間、3~6日間、3~5日間、3~4日間、4~10日間、4~9日間、4~8日間、4~7日間、4~6日間、4~5日間、5~10日間、5~9日間、5~8日間、5~7日間、5~6日間、6~10日間、6~9日間、6~8日間、6~7日間、7~10日間、7~8日間、8~10日間、8~9、日間、または9~10日間にわたって接触させるステップを含む。一部の実施形態では、第2の組成物と接触させるステップは、第2の細胞集団を第2の組成物と約6~96時間、6~72時間、6~48時間、6~24時間、6~12時間、12~96時間、12~72時間、12~48時間、12~24時間、24~96時間、24~72時間、24~45時間、48~96時間、または48~72時間にわたって接触させるステップを含む。一部の実施形態では、第2の組成物と接触させるステップは、第2の細胞集団を第2の組成物と約7日間にわたって接触させるステップを含む。
【0032】
[0038]一部の実施形態では、第2の組成物は、MGLL阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、またはタンパク質キナーゼ阻害剤のうちの1つまたは複数を含まない。
【0033】
[0039]一部の実施形態では、第2の組成物は、MGLL阻害剤を含まない。
[0040]一部の実施形態では、第2の組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤を含まない。
【0034】
[0041]一部の実施形態では、第2の組成物は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を含まない。
[0042]一部の実施形態では、第2の組成物は、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤を含まない。
【0035】
[0043]一部の実施形態では、第2の組成物は、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤を含まない。
[0044]一部の実施形態では、第2の組成物は、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤を含まない。
【0036】
[0045]一部の実施形態では、第2の組成物は、タンパク質キナーゼ阻害剤を含まない。
[0046]一部の実施形態では、第2の組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、およびタンパク質キナーゼ阻害剤を含まない。
【0037】
[0047]一部の実施形態では、第2の組成物は、MGLL阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、およびタンパク質キナーゼ阻害剤を含まない。
【0038】
[0048]一部の実施形態では、第2の組成物は、脂質を含む。一部の実施形態では、脂質は、飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、飽和脂肪酸は、パルミテートである。一部の実施形態では、脂質は、不飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはパルミトレイン酸である。
【0039】
[0049]一部の実施形態では、第2の組成物は、MGLL阻害剤を含む。
[0050]一部の実施形態では、第2の組成物は、ヒト血清アルブミン(HSA)を含まない。一部の実施形態では、第2の組成物は、ヒト血清アルブミン(HSA)を含む。一部の実施形態では、第2の組成物は、約0.1~5%、0.1~4%、0.1~3%、0.1~2%、0.1~1%、0.1~0.5%のHSAを含む。一部の実施形態では、第2の組成物は、約5%、4%、3%、2%、1%、0.6%、0.5%未満のHSAを含む。一部の実施形態では、第2の組成物は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、または5%のHSAを含む。一部の実施形態では、第2の組成物は、約1%のHSAを含む。
【0040】
[0051]一部の実施形態では、第2の組成物は、MCDB 131を含む。一部の実施形態では、第2の組成物は、DMEM/F12を含む。
[0052]一部の実施形態では、第2の組成物は、亜鉛を含む。一部の実施形態では、第2の組成物は、ZnSO4を含む。
【0041】
[0053]一部の実施形態では、第2の組成物は、少なくとも1つの代謝産物を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの代謝産物は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンである。一部の実施形態では、第2の組成物は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つを含む。
【0042】
[0054]一部の実施形態では、第2の組成物は、少なくとも1つのアミノ酸を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸は、アラニン、グルタメート、グリシン、プロリン、トレオニン、またはトリプトファンである。
【0043】
[0055]一部の実施形態では、第2の組成物は、少なくとも1つのビタミンを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのビタミンは、ビオチンまたはリボフラビンである。
[0056]一部の実施形態では、解離させるステップは、細胞集団をフローサイトメトリーに供するステップを含まない。
【0044】
[0057]本明細書では、(a)インスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、(b)第1の細胞集団中の複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、(c)解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む第1の細胞集団の少なくとも一部を凍結するステップと、(d)凍結した第1の細胞集団の少なくとも一部を解凍するステップと、(e)解凍した第1の細胞集団の少なくとも一部を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数の細胞クラスターを含む複数のインスリン陽性内分泌細胞を含む第2の細胞集団を取得するステップであって、第1の組成物は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、またはタンパク質キナーゼ阻害剤のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの薬剤を含むステップと、(f)第2のインスリン陽性内分泌細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性内分泌細胞集団の少なくとも一部を、複数の細胞クラスターを含む複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、第2の組成物は、第1の組成物とは異なり、第3の細胞集団は、第1の組成物と接触していない第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応するβ細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能なβ細胞を含むステップとを含む方法が提供される。
【0045】
[0058]一部の実施形態では、第1の組成物は、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、およびタンパク質キナーゼ阻害剤を含む。
【0046】
[0059]一部の実施形態では、第1の組成物は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤をさらに含む。
[0060]一部の実施形態では、第1の組成物は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤をさらに含む。
【0047】
[0061]一部の実施形態では、第1の組成物は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤をさらに含む。
[0062]本明細書では、(a)インスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、(b)第1の細胞集団中の複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、(c)解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む第1の細胞集団の少なくとも一部を凍結するステップと、(d)凍結した第1の細胞集団の少なくとも一部を解凍するステップと、(e)解凍した第1の細胞集団の少なくとも一部を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数の細胞クラスターを含む複数のインスリン陽性内分泌細胞を含む第2の細胞集団を取得するステップであって、第1の組成物は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、またはそれらの両方、およびモノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、またはタンパク質キナーゼ阻害剤のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの薬剤を含むステップと、(f)第2のインスリン陽性内分泌細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性内分泌細胞集団の少なくとも一部を、複数の細胞クラスターを含む複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、第2の組成物は、第1の組成物とは異なり、第3の細胞集団は、第1の組成物と接触していない第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応するβ細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能なβ細胞を含むステップとを含む方法が提供される。
【0048】
[0063]一部の実施形態では、第1の組成物は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、およびタンパク質キナーゼ阻害剤を含む。
【0049】
[0064]本明細書では、(a)インスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、(b)第1の細胞集団中の複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、(c)解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む第1の細胞集団を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数のインスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第2の細胞集団を取得するステップと、(d)第2のインスリン陽性内分泌細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性内分泌細胞集団の少なくとも一部を、複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、第2の組成物は、第1の組成物とは異なり、第2の組成物は、少なくとも1つの代謝産物を含み、第3の細胞集団は、第2の組成物と接触していない第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能細胞を含むステップとを含む方法が提供される。
【0050】
[0065]本明細書では、(a)インスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第1の細胞集団を取得するステップと、(b)第1の細胞集団中の複数の細胞クラスターの少なくとも一部をin vitroで解離させるステップと、(c)解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む第1の細胞集団を、第1の組成物とin vitroで接触させて、複数のインスリン陽性内分泌細胞を含む複数の細胞クラスターを含む第2の細胞集団を取得するステップと、(d)第2のインスリン陽性内分泌細胞集団を第2の組成物とin vitroで接触させ、それにより、前記第2のインスリン陽性内分泌細胞集団の少なくとも一部を、複数のβ細胞を含む第3の細胞集団へと分化させるステップであって、第2の組成物は、第1の組成物とは異なり、第2の組成物は、少なくとも1つの代謝産物を含み、複数のβ細胞は、第2の組成物と接触していない第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比して、向上したグルコース刺激性インスリン分泌を呈するステップとを含む方法が提供される。
【0051】
[0066]一部の実施形態では、少なくとも1つの代謝産物は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンである。
【0052】
[0067]一部の実施形態では、第2の組成物は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンのうちの少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つの代謝産物を含む。
【0053】
[0068]一部の実施形態では、第2の組成物は、DMEM/F12を含む。
[0069]一部の実施形態では、第2の組成物は、約0.05~2%のHSAを含む。
[0070]一部の実施形態では、第2の組成物は、約1%のHSAを含む。
【0054】
[0071]一部の実施形態では、第2の組成物は、亜鉛を含む。
[0072]一部の実施形態では、第2の組成物は、ZnSO4を含む。
[0073]一部の実施形態では、第2の組成物は、少なくとも1つのアミノ酸を含む。
【0055】
[0074]一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸は、アラニン、グルタメート、グリシン、プロリン、トレオニン、またはトリプトファンである。
[0075]一部の実施形態では、第2の組成物は、少なくとも1つのビタミンを含む。
【0056】
[0076]一部の実施形態では、少なくとも1つのビタミンは、ビオチンまたはリボフラビンである。
[0077]一部の実施形態では、複数のβ細胞は、第2の組成物と接触していない第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比して、向上したグルコース刺激性インスリン分泌を呈する。
【0057】
[0078]一部の実施形態では、第3の細胞集団は、第2の組成物と接触していない第1の細胞集団に由来するβ細胞を含む対応する細胞集団と比較して、より高いパーセンテージの生存可能細胞を含む。
【0058】
[0079]一部の実施形態では、第3の細胞集団は、それぞれが約50~150ミクロンの直径を有する複数の細胞クラスターを含む。一部の実施形態では、第3の細胞集団は、それぞれが約100ミクロンの直径を有する複数の細胞クラスターを含む。一部の実施形態では、第3の細胞集団は、複数の細胞クラスターを含み、細胞クラスターの少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%は、選択ステップなしで、約100ミクロンの直径を有する。一部の実施形態では、第3の細胞集団は、複数の細胞クラスターを含み、細胞クラスターの少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%は、選択ステップなしで、約50~150ミクロン、75~125ミクロン、80~120ミクロン、または90~110ミクロンの直径を有する。
【0059】
[0080]一部の実施形態では、第1の組成物は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、またはタンパク質キナーゼ阻害剤のうちの少なくとも1つの薬剤を含む。
【0060】
[0081]一部の実施形態では、本開示の方法は、(a)解離した細胞クラスターの少なくとも一部を含む第1の細胞集団の少なくとも一部を凍結するステップと、(b)凍結した第1の細胞集団の少なくとも一部を解凍するステップと、(c)解凍した第1の細胞集団の少なくとも一部をin vitroで前記第1の組成物と接触させるステップとをさらに含む。
【0061】
[0082]本明細書では、本明細書に記載されるかまたは本明細書に記載される方法によって作製されるインスリン陽性内分泌細胞を含む第2の細胞集団の少なくとも一部を含む組成物が提供される。
【0062】
[0083]本明細書では、本明細書に記載されるかまたは本明細書に記載される方法によって作製されるβ細胞の第3の細胞集団の少なくとも一部を含む組成物が提供される。
[0084]本明細書では、本明細書に記載されるかまたは本明細書に記載される方法によって作製されるβ細胞の第3の細胞集団の少なくとも一部と、本明細書に記載されるかまたは本明細書に記載される方法によって作製されるインスリン陽性内分泌細胞を含む第2の細胞集団の少なくとも一部とを含む組成物が提供される。
【0063】
[0085]本明細書では、本明細書に記載されるかまたは本明細書に記載される方法によって作製されるβ細胞の組成物を含むデバイスが提供される。
[0086]本明細書では、本明細書に記載されるかまたは本明細書に記載される方法によって作製されるインスリン陽性内分泌細胞の組成物を含むデバイスが提供される。
【0064】
[0087]本明細書では、本明細書に記載されるかまたは本明細書に記載される方法によって作製されるインスリン陽性内分泌細胞およびβ細胞の組成物を含むデバイスが提供される。
【0065】
[0088]本明細書では、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、本明細書に記載されるかまたは本明細書に記載される方法によって作製される細胞の組成物を対象に投与するステップを含む方法が提供される。
【0066】
[0089]本明細書では、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、本明細書に記載されるかまたは本明細書に記載される方法によって作製される細胞の組成物を対象に投与するステップを含む方法が提供される。
【0067】
[0090]本明細書では、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、本明細書に記載されるかまたは本明細書に記載される方法によって作製される細胞の組成物を対象に投与するステップを含む方法が提供される。
【0068】
[0091]本明細書では、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、本明細書に記載されるデバイスを対象に埋め込むステップを含む方法が提供される。
【0069】
[0092]本明細書では、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、本明細書に記載されるデバイスを対象に埋め込むステップを含む方法が提供される。
【0070】
[0093]本明細書では、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、本明細書に記載されるデバイスを対象に埋め込むステップを含む方法が提供される。
【0071】
[0094]一部の実施形態では、疾患は糖尿病である。一部の実施形態では、疾患はI型糖尿病である。一部の実施形態では、疾患はII型糖尿病である。
[0095]本明細書では、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことがあり、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことのない対応する単離されたインスリン陽性内分泌細胞集団と比較して、モノグリセリドの遊離脂肪酸への変換率の減少を呈する、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物が提供される。
【0072】
[0096]本明細書では、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことがあり、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことのない対応する単離されたインスリン陽性内分泌細胞集団と比較して、モノグリセリドの遊離脂肪酸に対する比の増加を呈する、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物が提供される。
【0073】
[0097]本明細書では、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことがあり、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことのない対応する単離されたインスリン陽性内分泌細胞集団と比較して、遊離脂肪酸のモノグリセリドに対する比の減少を呈する、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物が提供される。
【0074】
[0098]本明細書では、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことがあり、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことのない対応する単離されたインスリン陽性内分泌細胞集団と比較して、遊離脂肪酸のレベル低下を呈する、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物が提供される。
【0075】
[0099]本明細書では、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことがあり、in vitroでモノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤と接触したことのない対応する単離されたインスリン陽性内分泌細胞集団と比較して、モノグリセリドのレベル上昇を呈する、単離されたインスリン陽性内分泌細胞を含む組成物が提供される。
【0076】
[0100]本明細書では、インスリン陽性内分泌細胞集団と、モノグリセリドの遊離脂肪酸への変換を阻害する薬剤とを含む組成物が提供される。
[0101]一部の実施形態では、前記薬剤は、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する。
【0077】
[0102]本明細書では、インスリン陽性細胞集団と、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する薬剤とを含む組成物が提供される。一部の実施形態では、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)の発現または機能を阻害する前記薬剤は、JJKK048、KML29、NF1819、JW642、JZL184、JZL195、JZP361、プリスチメリン、またはURB602である。
【0078】
[0103]本明細書では、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンからなる群から選択される少なくとも1つの薬剤とin vitroで接触したことのあるβ細胞集団を含む組成物であって、前記β細胞集団は、前記少なくとも1つの薬剤と接触したことのない対応するβ細胞集団と比較して、増加したグルコース刺激性インスリン分泌を呈する、組成物が提供される。一部の実施形態では、前記細胞集団は、グルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンからなる群から選択される薬剤のうちの少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つと接触したことがある。
【0079】
[0104]本明細書では、β細胞集団、およびグルタメート、アセテート、β-ヒドロキシブタレート、L-カルニチン、タウリン、ホルメート、またはビオチンからなる群から選択される薬剤のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つを含む組成物が提供される。
【0080】
参照による組込み
[0105]本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の各刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別的に指示される場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる本開示と矛盾する範囲においては、本明細書があらゆるそのような矛盾する材料に取って代わるおよび/または優先することが意図される。
【0081】
図面の簡単な説明
[0106]本開示の新規な特色は添付の特許請求の範囲に詳細に記載される。本開示の特色および利点に対するより良好な理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、ならびに添付の図面(さらに本明細書の「図(Figure)および「図(FIG.)」)を参照することによって取得されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1】[0107]
図1は、DMEM F12および1%のヒト血清アルブミン(HSA)を含む解凍培地を使用した凍結保存ステージ5細胞の解凍後に回収したステージ6生存可能細胞のパーセントを示すグラフである。
【
図2】[0108]
図2は、実施例1に記載される実験プロトコールのうちの1つの概略を示す図である。
【
図3】[0109]
図3は、ステージ6の4日目(S6d4)に播種細胞から回収した細胞の凝集パーセントを示す棒グラフである。細胞は、示されるステージ6(S6)培地、XXIを含有する改変ステージ5(S5)培地、またはXXIを含有しない改変ステージ5(S5)培地で、示される補充物質、すなわちグルコース(Glc)およびピルベート(Pyr)と共に培養した。
【
図4】[0110]
図4は、ステージ6の4日目(S6d4)に回収したCHGA陽性細胞のパーセントを示す棒グラフである。細胞は、示されるステージ6(S6)培地、XXIを含有する改変ステージ5(S5)培地、またはXXIを含有しない改変ステージ5(S5)培地で、示される補充物質、すなわちグルコース(Glc)およびピルベート(Pyr)と共に培養した。
【
図5A】[0111]
図5Aは、ステージ6の4日目(S6d4)における幹細胞由来β細胞(Nkx6.1/Isl1二重陽性細胞)のパーセンテージを示すFACSプロットである。細胞は、示されるステージ6(S6)培地、XXIを含有する改変ステージ5(S5)培地、またはXXIを含有しない改変ステージ5(S5)培地で培養した。
【
図5B】
図5Bは、ステージ6の4日目(S6d4)における幹細胞由来β細胞(Nkx6.1/Isl1二重陽性細胞)のパーセントを示す表である。細胞は、示されるステージ6(S6)培地、XXIを含有する改変ステージ5(S5)培地、またはXXIを含有しない改変ステージ5(S5)培地で、示される補充物質、すなわちグルコース(Glc)およびピルベート(Pyr)と共に培養した。
【
図6】[0112]
図6は、ステージ6の4日目(S6d4)における幹細胞由来β細胞の回収率の向上倍率を示す棒グラフである。細胞は、示されるステージ6(S6)培地、XXIを含有する改変ステージ5(S5)培地、またはXXIを含有しない改変ステージ5(S5)培地で、示される補充物質、すなわちグルコース(Glc)およびピルベート(Pyr)と共に培養した。
【
図7】[0113]
図7は、ステージ6の11日目(S6d11)における細胞のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)を示す棒グラフである。GSISは、細胞1000個当たりのヒトCペプチドのレベル(pM)によって測定される。細胞は、示されるように、ステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)はステージ6(S6)培地または改変ステージ5(S5)培地のいずれかで培養し、示されるように、4~7または4~11日目の間はステージ6(S6)培地で培養した。
【
図8】[0114]
図8は、ステージ6の7日目(S6d7)における培養細胞の顕微鏡画像である。細胞は、示されるように、ステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)ステージ6(S6)培地、XXIを含有する改変ステージ5(S5)培地、またはXXIを含有しない改変ステージ5(S5)培地で培養した。細胞は、その後、ステージ6の4~7日目の間S6(S6)培地で培養した。示されるように、改変ステージ5基本培地は0.05%のHSAを含有するMCDB 131であった。ステージ6基本培地は1%のHSAを含有するDMEM F12であった。
【
図9】[0115]
図9は、ステージ6の期間1.0%のHSAを含有するステージ6(S6)培地で(左)、またはステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)0.05%のHSAを含有する改変ステージ5(S5)培地で(右)培養した細胞から生じたステージ6細胞クラスターの顕微鏡画像である。
【
図10】[0116]
図10Aは、ステージ6の11日目(S6d11)における細胞1000個当たりのヒトCペプチドのレベル(pM)を示す棒グラフである。細胞は、示されるように、ステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)はステージ6(S6)培地または改変ステージ5(S5)培地のいずれかで培養し、その後、ステージ6の4~11日目の間はステージ6(S6)培地で培養した。
図10Bは、ステージ6の4日目(S6d4)における幹細胞由来β細胞(Nkx6.1/Isl1二重陽性細胞)のパーセンテージを示すFACSプロットである。細胞は、示されるように、ステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)はステージ6(S6)培地または改変ステージ5(S5)培地のいずれかで培養し、その後、ステージ6の4~11日目の間はステージ6(S6)培地で培養した。
【
図11】[0117]
図11は、細胞がステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)ステージ6培地(左)または改変ステージ5培地(XXIを含まない)(右)で培養した場合に播種から回収した細胞のパーセントを示すグラフである。
【
図12】[0118]
図12は、実施例1の結果の概要を示す表であり、ステージ6の1~4日目(およそ72時間)における細胞の培養のためのステージ6培地またはステージ5の6日目の培地(S5d6培地)が、総細胞回収率、細胞の収率、β細胞のパーセンテージ(組成)、回収したβ細胞のインスリン含量、および細胞のGSISにもたらす効果を示す。
【
図13】[0119]
図13は、実施例2に記載される実験プロトコールのうちの1つの概略を示す図である。
【
図14】[0120]
図14は、ステージ6の4日目(S6d4)に回収した総細胞のパーセンテージおよび幹細胞由来β細胞のパーセンテージを示す棒グラフである。細胞は、示される1%のHSAまたは0.05%のHSAを含む培地で、示される改変ステージ5培地因子と共に培養した。
【
図15】[0121]
図15は、ステージ6の4日目(S6d4)における幹細胞由来β細胞の数を示す棒グラフである。細胞は、示される1%のHSAまたは0.05%のHSAを含む培地で、示される改変ステージ5培地因子と共に培養した。
【
図16】[0122]
図16は、ステージ6の12日目(S6d12)における幹細胞由来β細胞の数を示す棒グラフである。細胞は、示される1%のHSAまたは0.05%のHSAを含む培地で、示される改変ステージ5培地因子と共に培養した。
【
図17】[0123]
図17は、ステージ6の12日目(S6d12)における細胞1000個当たりのヒトCペプチドのレベル(pM)を示す棒グラフである。細胞は、示される1%のHSAまたは0.05%のHSAを含む培地で、示される改変ステージ5培地因子と共に培養した。
【
図18】[0124]
図18Aは、ステージ6の12日目(S6d12)における細胞のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)を示す棒グラフである。GSISは、グルコース刺激後の細胞1000個当たりのヒトCペプチドのレベル(pM)として測定した。細胞は、ステージ6の1~12日目の間ステージ6(S6)培地+1%のHSAで培養した。
図18Bは、ステージ6の12日目(S6d12)における細胞のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)を示す棒グラフである。GSISは、グルコース刺激後の細胞1000個当たりのヒトCペプチドのレベル(pM)として測定した。細胞は、ステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)は改変ステージ5(S5)培地+0.05%のHSA、ステージ6の4~12日目の間は基本ステージ5(S5)培地+0.05%のHSAで培養した。
【
図19】[0125]
図19は、実施例2の結果を例示する表であり、ステージ6の1~4日目における細胞の培養のためのステージ6培地またはステージ5の6日目の培地(S5d6培地)が、総細胞回収率、細胞の収率、回収した細胞の組成、細胞のインスリン含量、および細胞のGSISにもたらす効果を示す。
【
図20】[0126]
図20は、実施例3に記載される実験プロトコールのうちの1つの概略を示す図である。
【
図21】[0127]
図21は、ステージ5細胞がステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)示される培地で培養された場合の回収したSC-β細胞(Nkx6.1/Isl1二重陽性細胞)のパーセントを示す棒グラフである。
【
図22】[0128]
図22は、ステージ5細胞がステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)示される培地で培養された場合のステージ6の10日目(S6d10)におけるSC-β細胞の数を示す棒グラフである。
【
図23】[0129]
図23は、ステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)、0.5%のHSAを含有する改変ステージ5(S5)培地(左)、0.5%のHSAおよびパルミテートを含有する改変ステージ5(S5)培地(中央)、または0.5%のHSAおよびリノール酸を含有する改変ステージ5(S5)培地(右)で培養したステージ5細胞から生じたステージ6の4日目(S6d4)の細胞クラスターの顕微鏡画像である。
【
図24】[0130]
図24Aは、ステージ5細胞が、ステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)は示される培地、ステージ6の4~10日目の間はステージ6(S6)培地で培養された、ステージ6の10日目(S6d10)における細胞の数を示す棒グラフである。
図24Bは、ステージ5細胞が、ステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)は示される培地、ステージ6の4~10日目の間はステージ6(S6)培地で培養された、ステージ6の10日目(S6d10)における幹細胞由来β細胞(SC-β)細胞の数を示す棒グラフである。
【
図25】[0131]
図25は、MGLL阻害剤(1μMのJJKK048、10μMのKML-29、10μMのNF1819)を含む培地で培養したステージ6の14日目(S6d14)の細胞の16の異なる試料におけるCペプチド含量を示す棒グラフである。
【
図26】[0132]
図26Aは、ステージ6の1~10日目の間ステージ6(S6)培地で培養したステージ6の10日目(S6d10)の細胞のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)を示す棒グラフである。
図26Bは、ステージ6の1~4日目の間は0.05%のHSAを含有する改変ステージ5(S5)培地で培養し、4~10日目の間はステージ6(S6)培地で培養したステージ6の10日目(S6d10)の細胞のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)を示す棒グラフである。
【
図27】[0133]
図27Aは、ステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)0.5%のHSAを含有する改変ステージ5(S5)培地で培養したステージ6の10日目(S6d10)の細胞のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)を示す棒グラフである。
図27Bは、ステージ6の1~4日目の間0.5%のHSAおよびパルミテートを含有する改変ステージ5(S5)培地で培養したステージ6の10日目(S6d10)の細胞のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)を示す棒グラフである。
【
図28】[0134]
図28は、一連のFACSプロットであり、細胞が改変S5d6培地およびMGLL阻害剤中で培養された(ステージ6の1~10日目)場合のステージ6で回収した幹細胞由来β細胞(SC-β)細胞(Nkx6.1/Isl1二重陽性細胞)(右の2つのプロット)のパーセンテージを、S6対照培地(左)または因子を含有する改変S5培地(中央)で培養した細胞と比較して示す。
【
図29】[0135]
図29は、実施例3および実施例4の結果の概要を示す表であり、ステージ6の1~4日目(およそ72時間)における細胞の培養での1%のHSA、脂肪酸、およびMGLL阻害剤補充(因子および0.05%のHSAを含有するステージ5培地MCBDへの)が、幹細胞由来β細胞の収率、幹細胞由来β細胞のパーセント(組成)、回収した幹細胞由来β細胞のインスリン含量(含量)、および幹細胞由来β細胞のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)にもたらす効果を示す。
【
図30】[0136]
図30はステージ6を描写する図であり、ここで、1日目(D1)は凍結保存ステージ5細胞の解凍から開始し、4日目(D4)はプロセス中間体であり、7日目(D7)は原薬であり、11日目(D11)はGSIS活性およびインスリン含量を有する細胞である。DS2培地は、1~11日目にわたって使用される、DMDM/F12および1%のHSAを含有する必要に応じたステージ6培地である。DS3培地は第2の必要に応じたステージ6培地である。ステージ6の1~4日目の間、DS3培地は、S5d6因子(Alk5i(10μM)、GC-1(1μM)、LDN-193189(100nM)、チアゾビビン(thiazovinin)(2.5μM)、SSP(3nM)、DZNEP(100nM))、0.05%のHSA、ITS-X、glutamax、VitC、ならびに必要に応じて、脂質およびMGLL阻害剤等の追加の薬剤を補充したMCDB 131を含有する。ステージ6の5~11日目の間、DS3培地は0.05%のHSAを補充したMCDB 131を含有する。
【
図31】[0137]
図31は、ステージ6培地DS2およびステージ6培地DS3の組成を記載する表である。
【
図32】[0138]
図32は、DS2ステージ6培地の回収率および機能特性をDS3ステージ6培地と比較して例示する表である。示されるように、DS3培地は、DS2ステージ6培地と比較して、ステージ6の4日目(S6d4)およびステージ6の7日目(S6d7)の細胞回収率を向上させた。DS3ステージ6培地は、DS2ステージ6培地と比較して、ステージ6の11日目(S6d11)の細胞回収率を向上させず、細胞のインスリン含量もSC-β細胞のパーセンテージも向上させない。DS3ステージ6培地は、DS2ステージ6培地と比較して、グルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)機能を低下させる。
【
図33】[0139]
図33は、DS2培養ステージ6細胞またはDS3培養ステージ6細胞のいずれか由来のS6d4、S6d7、またはS6d11における生存可能播種細胞から回収した細胞のパーセントを示す棒グラフである。結果は、平均して、DS3培地の使用の場合にステージ6にわたる細胞回収パーセントの向上を示す。
【
図34】[0140]
図34Aは、DS2培養ステージ6細胞またはDS3培養ステージ6細胞のいずれか由来のS6d4またはS6d11におけるSC-β細胞(Nkx6.1/Isl1細胞)のパーセントを示す棒グラフである。結果は、DS3ステージ6培地がDS2ステージ6培地と類似したSC-β細胞パーセントを保持することを示す。
図34Bは、DS2培養ステージ6細胞またはDS3培養ステージ6細胞のいずれか由来のS6d4またはS6d11における内分泌細胞(chga+細胞)パーセントを示す。結果は、DS3ステージ6培地がDS2ステージ6培地と類似した内分泌細胞のパーセントを保持することを示す。
【
図35】[0142]
図35は、DS2培養ステージ6細胞またはDS3培養ステージ6細胞のいずれか由来のS6d4またはS6d11におけるSC島のインスリン含量の総レベルを示す棒グラフである。結果は、DS3ステージ6培地で培養した細胞がDS2ステージ6培地で培養した細胞と類似したインスリン含量を有することを示す。
【
図36】[0143]
図36は、DS2ステージ6培地またはDS3ステージ6培地、かつ高グルコース刺激(HG)、低グルコース刺激(LG)、またはKLC処理(陽性対照)のいずれかで培養した細胞のグルコース刺激性インスリン分泌を示す棒グラフである。結果は、DS3培地がDS2ステージ6培地と比較して、より低いGSIS機能を有するSC島を生成することを示す。
【
図37】[0144]
図37は、DS3ステージ6培地またはDS2ステージ6培地で培養したSC島を含有するデバイスを埋め込まれたマウスの血中グルコースレベル(mg/dL)を示す折れ線グラフである。結果は、DS2およびDS3 SC島がin vivoで機能できることを示す。
【
図38】[0145]
図38は、DS3ステージ6培地で培養したSC島を含有するデバイスを埋め込まれたマウスの血中グルコースレベル(mg/dL)を示す折れ線グラフであり、in vivoでの血中グルコースの制御を示す。
【
図39】[0146]
図39は、第3のステージ6培地(「DS6」)およびその成分をDS2ステージ6培地およびDS3ステージ6培地と比較して示す図である。
【
図40】[0147]
図40は、ヒト血漿様培地(HPLM)中のアミノ酸のMCDB 131中のアミノ酸に対する比(丸)、HPLMのDMEM/F12に対する比(四角)、およびHPLMのCRMLに対する比(三角)を示す散布図である。結果は、MCDB 131培地が、例えばアラニン、グルタメート、およびグリシンを含むより低いレベルの特定のアミノ酸を含有することを示す。
【
図41】[0148]
図41は、ヒト血漿様培地(HPLM)中のビタミンのMCDB 131中のビタミンに対する比(丸)、HPLMのDMEM/F12に対する比(四角)、およびHPLMのCRMLに対する比(三角)を示す散布図である。結果は、MCDB 131培地が、例えばビオチンおよびリボフラビンを含むより低いレベルの特定のビタミンを含有することを示す。
【
図42】[0149]
図42は、DS2ステージ6培地、DS3ステージ6培地、またはZnSO4を含有するDS3ステージ6培地で培養したS6d4、S6d7、およびS6d11の生存可能細胞の総数を示す表である。結果は、ZnSO4をDS3培地に含めることはS6d4生存可能細胞数を大きく向上させるが、細胞喪失がS6d4後に依然として存在することを示す。
【
図43】[0150]
図43は、DS2、DS3、またはZnSO4を含むDS3で培養された、S6d4、S6d7、およびS6d11に回収した細胞のパーセントを示す棒グラフである。結果は、ZnSO4をDS3培地に含めることはS6d4細胞回収率を大きく向上させるが、細胞喪失がS6d4後に依然として存在することを示す。
【
図44】[0151]
図44は、ZnSO4を補充したDS3ステージ6培地を使用した、S6d4に回収したβ細胞(chga+/Nkx6.1+)の数を示すFACSプロットである。
【
図45】[0152]
図45Aは、DS2ステージ6培地、DS3ステージ6培地、代謝産物を補充したDS3ステージ6培地、またはビタミンを含有しないがアミノ酸および代謝産物を補充したMCDB 131培地で培養した、S6d11の生存可能細胞の総数を示す表である。結果は、代謝産物およびビタミンをDS3培地に含めることがS6d11生存可能細胞数を大きく向上させることを示す。
図45Bは、DS2、DS3、または代謝産物を補充したDS3で培養した、S6d4またはS6d11に回収した細胞のパーセントを示す棒グラフである。結果は、代謝産物をDS3培地に含めることがS6d11の細胞回収率を大きく向上させることを示す。
【
図46】[0154]
図46は、DS2培地、記載される補充物質を含有するDS3培地、および記載される補充物質を含有するMCDB 131培地で培養したS6d11のSC-β細胞(Nkx6.1/Isl1+細胞)のパーセントを示す棒グラフである。データは、追加の培地補充物質(例えば、ビタミン、アミノ酸、代謝産物、および脂質)がS6d11にわたりSC-β細胞のパーセンテージを向上させ得ることを示す。
【
図47】[0155]
図47は、DS2、DS3、または示される補充物質を含有するMCDB 131培地で培養した細胞のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)を示す棒グラフである。結果は、補充物質はMCDB 131で培養した細胞の高グルコースGSIS機能をDS2培養細胞のGSISのレベルに達するまで向上させるのに不十分であるが、一部の態様、例えばKCL誘導性インスリン分泌の大きさを向上させることを示す。
【
図48】[0156]
図48Aは、DS2、DS3、DS6(代謝産物を含有しない)、またはDS6(代謝産物を含有する)培養からS6d7およびS6d11に回収した生存可能細胞の数を示す棒グラフである。データは、DMEM/F12を使用するDS6培地がステージ6全体にわたって生存可能細胞数をさらに向上させることを示す。
図48Bは、DS2、DS3、DS6(代謝産物を含有しない)、またはDS6(代謝産物を含有する)培養からS6d7およびS6d11に回収した細胞のパーセントを示す棒グラフである。データは、DMEM/F12を使用するDS6培地がステージ6全体にわたって細胞回収率をさらに向上させることを示す。
【
図49】[0158]
図49は、DS2、DS3、またはDS6(代謝産物を含有する)培養由来のS6d7およびS6d11におけるSC島クラスターの顕微鏡画像である。画像は、DS6クラスターがステージ6全体にわたってより高い均一性を呈することを示す。
【
図50】[0159]
図50は、DS2、DS3、およびDS6培養由来のS6d4、S6d7、およびS6d11における細胞クラスターの度数およびクラスターサイズを示す一連の面グラフである。結果は、DS6クラスターが、より小さく、S6d11でより大きな均一性を呈することを示す。
【
図51】[0160]
図51は、DS2培養由来のS6d11細胞のGSIS機能を示す棒グラフである。
【
図52】[0161]
図52は、DS3培養由来のS6d11細胞のGSIS機能を示す棒グラフである。結果は、DS3培地のSC島がDS2ほどのGSIS機能を呈しないことを示す(
図51と比較されたい)。
【
図53】[0162]
図53は、DS6(代謝産物を含有しない)培養由来のS6d11細胞のGSIS機能を示す棒グラフである。結果は、DS6(代謝産物を含有しない)培地のSC島が向上したGSIS機能を呈することを示す(
図51と比較されたい)。
【
図54】[0163]
図54は、DS6(代謝産物を含有する)培養由来のS6d11細胞のGSIS機能を示す棒グラフである。結果は、DS6培地のSC島がDS2培養と同一のGSIS機能を呈することを示す(
図51と比較されたい)。
【
図55】[0164]
図55は、DS5ステージ6培地の効果を示す表である。DS6ステージ6培地は、DS3と比較して向上したS6d11の細胞回収率、およびDS2培地と比較して向上したGSIS機能を示す。
【
図56】[0165]
図56は、脂質補充を伴うおよび伴わないステージ5培地で培養したSC島のクラスターサイズを示す面グラフである。結果は、クラスターサイズが脂質補充により増加することを示す。
【
図57】[0166]
図57は、内部で培養されるSC島を埋め込んだマウス中での血中グルコース制御のパーセントを示す棒グラフである。結果は、改変した配合が凍結保存後クラスター再凝集を向上させることだけでなく、細胞がin vivoでの有効性を呈することも示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
[0167]本明細書では、とりわけ、再凝集効率を高め、クラスターサイズおよびin vitroでのSC-β細胞の機能を最適化する方法が提供される。本明細書は、CDGA陽性内分泌細胞再凝集効率を増強するだけでなく、SC島組成およびクラスターサイズならびにin vitroでのSC-β細胞機能を向上させもする新規なシグナル伝達要件の同定を開示する。新規方法はヒト治療用途のためのSC島の大規模製造で用いることができる。
【0084】
[0168]本開示の様々な実施形態が本明細書に示され、記載されるが、そのような実施形態が例としてのみ提供されるということは、当業者には明らかだろう。数多くの変形例、変更例、および代用例が、本開示から逸脱することなく当業者には思い浮かぶだろう。本明細書に記載される本開示の実施形態の様々な代替形態が用いられてもよいということが理解されるべきである。
【0085】
定義
[0169]本出願において、単数形の使用は、別段の記述が具体的にない限り、複数形を含む。本明細書で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上別段の指示が明確にない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。
【0086】
[0170]本出願において、「または」の使用は、別段の記述がない限り、「および/または」を意味する。「および/または」および「それらの任意の組合せ」という用語、ならびにそれらの文法上の同義語は、本明細書で使用される場合、交換可能に使用することができる。これらの用語は、任意の組合せが具体的に企図されることを伝達することができる。単に例示的な目的として、以下の語句、「A、B、および/またはC」または「A、B、C、またはそれらの任意の組合せ」は、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとB、BとC、AとC、およびAとBとC」を意味することができる。「または」という用語は、選言的な使用への言及が文脈上明確にない限り、連言的にも選言的にも使用することができる。
【0087】
[0171]さらに、「含む(including)」という用語ならびに他の語形、例えば「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」の使用は限定的ではない。
【0088】
[0172]本明細書での「一部の実施形態」、「ある実施形態」、「一実施形態」、または「他の実施形態」への言及は、実施形態と共に記載される特定の特色、構造、または特徴が本開示の少なくとも一部の実施形態に含まれるが、必ずしも全ての実施形態に含まれるわけではないことを意味する。
【0089】
[0173]本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「含む(comprising)」(ならびに含む(comprising)の任意の語形、例えば「含む(comprise)」および「含む(comprises)」)、「有する(having)」(ならびに有する(having)の任意の語形、例えば「有する(have)」および「有する(has)」)、「含む(including)」(ならびに含む(including)の任意の語形、例えば「含む(includes)」および「含む(include)」)、または「含有する(containing)」(ならびに含有する(containing)の任意の語形、例えば「含有する(contains)」および「含有する(contain)」)という単語は、非排他的または非限定的であり、追加の記載されていない要素または方法ステップを排除しない。本明細書で論じられる任意の実施形態が本開示の任意の方法または組成物に関して実施することができ、逆もまた同様であることが企図される。さらに、本開示の組成物は本開示の方法を達成するために使用することができる。
【0090】
[0174]基準数値に関する「約」という用語およびその文法上の同義語は、本明細書で使用される場合、その数値それ自体とその数値からプラスまたはマイナス10%の範囲の値とを含むことができる。
【0091】
[0175]「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容誤差範囲内であることを意味し、部分的には、その値が測定または決定される方法、例えば測定系の制限に依存する。例えば、「約」は当技術分野の慣例通りに1以内または1を超える標準偏差を意味し得る。あるいは、「約」は、所与の値の最大20%、最大10%、最大5%、または最大1%の範囲を意味し得る。別の例では、「約10」という量は10および9~11の任意の量を含む。さらに別の例では、基準数値に関する「約」という用語はまた、その値からプラスまたはマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲の値を含み得る。あるいは、特に生物システムまたはプロセスに関して、「約」という用語は、ある値の10倍以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内であることを意味し得る。特定の値が本出願および特許請求の範囲に記載される場合、別段の記述がない限り、特定の値の許容誤差範囲内であることを意味する「約」という用語が想定されるべきである。
【0092】
[0176]「糖尿病」という用語およびその文法上の同義語は、本明細書で使用される場合、長期にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患を指すことができる。例えば、「糖尿病」という用語およびその文法上の同義語は、本明細書で使用される場合、全てまたは任意の種類の糖尿病、例えば、これらに限定されないが、1型、2型、嚢胞性線維症関連、外科的、妊娠糖尿病、およびミトコンドリア糖尿病を指すことができる。一部の場合では、糖尿病は遺伝性糖尿病の形態であり得る。
【0093】
[0177]「内分泌細胞」という用語は、特に指定されない場合、生物の膵臓に存在するホルモン産生細胞、例えば、「島」、「島細胞」、「島等価物」、「島様細胞」、「膵島」、およびそれらの文法上の同義語を指すことができる。ある実施形態では、内分泌細胞は膵臓前駆細胞または先駆体から分化させてもよい。島細胞は、膵α細胞、膵β細胞、膵δ細胞、膵F細胞、および/または膵ε細胞を含むがこれらに限定されない、多様な型の細胞を含むことができる。島細胞は細胞群、細胞クラスター等を指すこともできる。
【0094】
[0178]「前駆」および「先駆」細胞という用語は、本明細書で交換可能に使用され、分化によって生じ得る細胞よりも原始的である(例えば、発生経路または進行において完全に分化した細胞よりも早期のステップにある)細胞表現型を有する細胞を指す。多くの場合、前駆細胞はまた、有意なまたは非常に高い増殖能を有し得る。前駆細胞は、発生経路ならびに細胞が発生および分化する環境に応じて複数の別個の分化細胞型または単一の分化細胞型を生じ得る。
【0095】
[0179]インスリン陽性内分泌細胞に関連する用語としての「その先駆体」とは、先駆細胞をインスリン陽性内分泌細胞へと分化させるのに好適な条件下で培養した場合にインスリン陽性内分泌細胞へと分化させることができる、例えば、多能性幹細胞、胚体内胚葉細胞、原始腸管細胞、膵臓前駆細胞、または内分泌前駆細胞を含むあらゆる細胞を指すことができる。
【0096】
[0180]「外分泌細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、外分泌腺、すなわち管を介してその分泌物を排出する腺の細胞を指すことができる。特定の実施形態では、外分泌細胞は、小腸に分泌される酵素を産生することができる膵細胞である膵外分泌細胞を指すことができる。これらの酵素は、胃腸管を通過する食物を消化するのに役立ち得る。膵外分泌細胞は、2つのホルモン、すなわちインスリンおよびグルカゴンを分泌することができるランゲルハンス島としても公知である。膵外分泌細胞はいくつかの細胞型、例えば、α-2細胞(ホルモンであるグルカゴンを産生することができる)、またはβ細胞(ホルモンであるインスリンを生成することができる)、およびα-1細胞(調節物質であるソマトスタチンを産生することができる)のうちの1つであり得る。インスリン非産生外分泌細胞とは、この用語が本明細書で使用される場合、α-2細胞またはα-1細胞を指すことができる。膵外分泌細胞という用語は、血流に分泌されるホルモン(例えば、インスリン(β細胞から産生される)、グルカゴン(アルファ-2細胞によって産生される)、ソマトスタチン(デルタ細胞によって産生される)、および膵ポリペプチド(F細胞によって産生される)を産生する膵細胞を指すことができる「膵内分泌細胞」を包含する。
【0097】
[0181]「幹細胞由来β細胞」、「SC-β細胞」、「機能性β細胞」、「機能性膵β細胞」、「成熟SC-β細胞」という用語、およびそれらの文法上の同義語は、膵β細胞を示す少なくとも1つのマーカー(例えば、PDX-1またはNKX6.1)を示し、インスリンを発現し、内因性成熟β細胞に特徴的なグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)応答を示す細胞(例えば、非天然膵β細胞)を指すことができる。一部の実施形態では、「SC-β細胞」および「非天然β細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、交換可能である。一部の実施形態では、「SC-β細胞」は成熟膵細胞を含む。本開示の方法が、任意の細胞を出発点として使用して(例えば、本発明はこの様式に限定されることが意図されるものではないが、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、前駆細胞、部分初期化体細胞(例えば、人工多能性幹細胞とそれが由来する体細胞との間の中間状態に部分的に初期化された体細胞)、多分化能性細胞、全能性細胞、前出の細胞のうちのいずれかの分化転換形態等を使用することができる)、任意のインスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体からSC-β細胞を得ることができるので、SC-β細胞は幹細胞に(例えば、直接)由来する必要はないことが理解されるべきである。一部の実施形態では、SC-β細胞は複数回のグルコース負荷(例えば、少なくとも1回、少なくとも2回、または少なくとも3回以上の逐次グルコース負荷)に対する応答を呈する。一部の実施形態では、応答は内因性島(例えば、ヒト島)の複数回のグルコース負荷に対する応答に類似する。一部の実施形態では、SC-β細胞の形態は内因性β細胞の形態に類似する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、内因性β細胞のGSIS応答に類似するin vitro GSIS応答を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、内因性β細胞のGSIS応答に類似するin vivo GSIS応答を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、内因性β細胞のGSIS応答に類似するin vitro GSIS応答とin vivo GSIS応答の両方を呈する。SC-β細胞のGSIS応答は、SC-β細胞の宿主(例えば、ヒトまたは動物)への移植から2週間以内に観察することができる。一部の実施形態では、SC-β細胞はインスリンを分泌顆粒に内包する。一部の実施形態では、SC-β細胞は封入された結晶インスリン顆粒を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は1超の刺激指数を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は1.1超の刺激指数を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は2超の刺激指数を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞はサイトカインに応答してサイトカイン誘導アポトーシスを呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞からのインスリン分泌は公知の抗糖尿病薬(例えば、分泌促進薬)に応答して増強する。一部の実施形態では、SC-β細胞は単ホルモンである。一部の実施形態では、SC-β細胞は他のホルモン、例えば、グルカゴン、ソマトスタチン、または膵ポリペプチドを異常には共発現しない。一部の実施形態では、SC-β細胞は低い複製速度を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞はグルコースに応答して細胞内Ca2+を増加する。
【0098】
[0182]本明細書で使用される場合、「インスリン産生細胞」という用語およびその文法上の同義語は、膵臓前駆体またはその先駆体から分化したインスリンを分泌する細胞を指す。インスリン産生細胞としては、その用語が本明細書に記載される膵β細胞、およびインスリンを恒常的または誘導的に合成する(例えば、インスリン遺伝子を転写し、プロインスリンmRNAを翻訳し、プロインスリンmRNAを修飾してインスリンタンパク質にする)か、発現する(例えば、インスリン遺伝子によって保有される表現形質を表す)か、または分泌する(インスリンを細胞外空間に放出する)膵β様細胞(例えば、インスリン陽性内分泌細胞)を挙げることができる。例えばインスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体を本開示の方法に従ってSC-β細胞へと分化させることによって生成されるインスリン産生細胞集団は、膵β細胞または(β様細胞(例えば、内因性β細胞の特徴を少なくとも1つまたは少なくとも2つ有する細胞)であり得、内因性成体β細胞に類似するグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)応答を呈する。例えば本明細書に開示される方法によって生成されるインスリン産生細胞集団は、成熟膵β細胞またはSC-β細胞を含むことができ、インスリン非産生細胞(例えば、インスリンを産生することも分泌することもしないこと以外は細胞様表現型の細胞)を含有することもできる。
【0099】
[0183]「インスリン陽性β様細胞」、「インスリン陽性内分泌細胞」という用語、およびそれらの文法上の同義語は、膵β細胞を示す少なくとも1つのマーカーを示し、さらにインスリンを発現するが、内因性β細胞に特徴的なグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)応答を欠く細胞(例えば、膵内分泌細胞)を指すことができる。
【0100】
[0184]「β細胞マーカー」という用語は、限定されないが、膵β細胞に特異的に発現するかまたは存在するタンパク質、ペプチド、核酸、タンパク質および核酸多型、スプライスバリアント、タンパク質または核酸の断片、エレメント、ならびに他の分析物を指す。例示的なβ細胞マーカーとしては、これらに限定されないが、膵および十二指腸ホメオボックス1(Pdx1)ポリペプチド、インスリン、Cペプチド、アミリン、E-カドヘリン、Hnf3β、PCI/3、B2、Nkx2.2、GLUT2、PC2、ZnT-8、ISL1、Pax6、Pax4、NeuroD、1 Inf1b、Hnf-6、Hnf-3ベータ、およびMafA、ならびにZhangら、Diabetes.50(10):2231~6(2001)に記載されているものが挙げられる。一部の実施形態では、β細胞マーカーは核3-細胞マーカーである。一部の実施形態では、β細胞マーカーはPdx1またはPH3である。
【0101】
[0185]「膵内分泌マーカー」という用語は、限定されないが、膵内分泌細胞に特異的に発現するかまたは存在するタンパク質、ペプチド、核酸、タンパク質および核酸多型、スプライスバリアント、タンパク質または核酸の断片、エレメント、ならびに他の分析物を指すことができる。例示的な膵内分泌細胞マーカーとしては、これらに限定されないが、Ngn-3、NeuroD、およびIslet-1が挙げられる。
【0102】
[0186]「膵臓前駆体」、「膵内分泌前駆体」、「膵先駆体」、「膵内分泌先駆体」という用語、およびそれらの文法上の同義語は、本明細書で交換可能に使用され、膵内分泌細胞、膵外分泌細胞、または膵管細胞を形成することができる膵ホルモン発現細胞になることができる幹細胞を指すことができる。これらの細胞は、少なくとも1種の膵細胞、例えば、インスリンを産生するβ細胞、グルカゴンを産生するα細胞、ソマトスタチンを産生するδ細胞(もしくはD細胞)、および/または膵ポリペプチドを産生するF細胞へ分化することが決定付けられる。そのような細胞は、NGN3、NKX2.2、NeuroD、ISL-1、Pax4、Pax6、またはARXのうちの少なくとも1つのマーカーを発現することができる。
【0103】
[0187]「Pdx1陽性膵臓前駆体」という用語は、本明細書で使用される場合、SC-β細胞、例えば膵β細胞へと分化する能力を有する膵内胚葉(PE)細胞である細胞を指すことができる。Pdx1陽性膵臓前駆体はマーカーPdx1を発現する。他のマーカーとしては、これらに限定されないが、Cdcp1、またはPtf1a、またはHNF6、またはNRx2.2が挙げられる。Pdx1の発現は、抗Pdx1抗体を使用する免疫化学または定量RT-PCR等の当業者によって公知のあらゆる方法によって評価することができる。一部の場合では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞はNKX6.1の発現を欠く。一部の場合では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、NKX6.1の発現の欠如のためにPdx1陽性NKX6.1陰性膵臓前駆細胞とも称され得る。一部の場合では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は「膵前腸内胚葉細胞」と称される場合もある。
【0104】
[0188]「Pdx1陽性NKX6-1陽性膵臓前駆体」という用語は、本明細書で使用される場合、インスリン産生細胞、例えば膵β細胞へと分化する能力を有する膵内胚葉(PE)細胞である細胞を指すことができる。Pdx1陽性NKX6-1陽性膵臓前駆体はマーカーPdx1およびNKX6-1を発現する。他のマーカーとしては、これらに限定されないが、Cdcp1、またはPtf1a、またはHNF6、またはNRx2.2が挙げられる。NKX6-1の発現は、抗NKX6-1抗体を使用する免疫化学または定量RT-PCR等の当業者によって公知のあらゆる方法によって評価することができる。本明細書で使用される場合、「NKX6.1」および「NKX6-1」という用語は同義であり交換可能である。一部の場合では、Pdx1陽性NKX6-1陽性膵臓前駆細胞は「膵前腸先駆細胞」と称される場合もある。
【0105】
[0189]「Ngn3陽性内分泌前駆体」という用語は、本明細書で使用される場合、転写因子Neurogenin-3(Ngn3)を発現する膵内分泌細胞の先駆体を指すことができる。前駆細胞は、多分化能性幹細胞よりも分化しており、数少ない細胞型にのみ分化することができる。特に、Ngn3陽性内分泌前駆細胞は5つの膵内分泌細胞型(α、β、δ、ε、およびPP)へと分化する能力を有する。Ngn3の発現は、抗Ngn3抗体を使用する免疫化学または定量RT-PCR等の当業者によって公知のあらゆる方法によって評価することができる。
【0106】
[0190]「NeuroD」および「NeuroD1」という用語は、交換可能に使用され、膵内分泌前駆細胞に発現するタンパク質およびそれをコードする遺伝子を同定する。
[0191]「選択マーカー」という用語は、発現した場合に、選択可能な表現型、例えば、細胞毒性剤もしくは細胞分裂阻害剤に対する耐性(例えば、抗生物質耐性)、栄養原栄養性、またはタンパク質を発現する細胞と発現しない細胞とを区別する基準として使用することができる特定のタンパク質の発現を細胞に付与する、遺伝子、RNA、またはタンパク質を指す。「選択マーカー」という用語は、本明細書で使用される場合、遺伝子または遺伝子の発現産物、例えばコードされるタンパク質を指すことができる。一部の実施形態では、選択マーカーは、それを発現しないかまたは著しく低いレベルで発現する細胞と比して、それを発現する細胞に増殖および/または生存上の利点を付与する。そのような増殖および/または生存上の利点は、典型的には、細胞がある特定の条件、すなわち「選択条件」下に維持される場合に生じる。効果的な選択を保証するために、細胞集団は、マーカーを発現しない細胞が増殖および/または生存せず、かつ集団から取り除かれるかまたはそのような細胞の数が集団の非常に少ない割合のみに減少するような条件下で十分な期間維持され得る。マーカーを発現しない細胞を大部分または完全に取り除く選択条件下で細胞集団を維持することによって増殖および/または生存上の利点を付与するマーカーを発現する細胞を選択する方法は、本明細書では「ポジティブセレクション」と称され、マーカーは「ポジティブセレクションに有用」であると記載される。ネガティブセレクションおよびネガティブセレクションに有用なマーカーもまた、本明細書に記載されるいくつかの方法の対象である。そのようなマーカーの発現は、マーカーを発現しないかもしくは著しく低いレベルで発現する細胞と比して、マーカーを発現する細胞に、増殖および/もしくは生存上、不都合を生じさせる(または、別の点から考えると、マーカーを発現しない細胞は、マーカーを発現する細胞と比して、増殖および/もしくは生存上の利点を有する)。したがって、このマーカーを発現する細胞は、選択条件で十分な期間維持される場合、細胞集団から大部分または完全に取り除かれ得る。
【0107】
[0192]「エピジェネティクス」という用語は、DNA配列の変化を伴わない遺伝子機能の遺伝的変化を指す。エピジェネティクスとは、大半の場合、遺伝子活性および発現に影響を及ぼす染色体の変化を表すが、ゲノムの修飾に由来しない任意の遺伝的表現型変化を説明するために使用することもできる。細胞の表現形質および生理的な表現形質に対するそのような効果は、外的もしくは環境要因に起因し得るか、または正常な発生プログラムの一部であり得る。エピジェネティクスはまた、ヌクレオチド配列の変化を伴わないゲノムに機能的に関連する変化を指すことができる。そのような変化を生じる機構の例はDNAメチル化およびヒストン修飾であり、それぞれは、根底にあるDNA配列を変更せずに遺伝子が発現する方法を変更する。遺伝子発現は、DNAのサイレンサー領域に結合するリプレッサータンパク質の作用を介して制御され得る。これらのエピジェネティック変化は細胞分裂を介して細胞の寿命が尽きるまで継続する可能性があり、根底にある生物のDNA配列の変化を伴わないにもかかわらず、複数の世代にわたって継続する可能性もある。真核生物の生物学におけるエピジェネティック変化の一例は細胞の分化のプロセスである。形態形成の間、全能性幹細胞は様々な多能性細胞になり、多能性細胞は完全に分化した細胞になることができる。
【0108】
[0193]「エピジェネティック修飾化合物」という用語は、エピジェネティック変化を遺伝子に起こすことができる、すなわちDNA配列を変化させずに遺伝子発現を変化させることができる化学化合物を指す。エピジェネティック変化は、遺伝子がオンになっているかまたはオフになっているかを決定する役に立つことができ、ある特定の細胞、例えばベータ細胞のタンパク質の産生に影響を与えることができる。DNAメチル化およびヒストン修飾等のエピジェネティック修飾は、DNAアクセシビリティおよびクロマチン構造を変更し、それにより遺伝子発現のパターンを調節する。これらのプロセスは、成体生物の別個の細胞系列の正常な発生および分化に極めて重要である。これらのプロセスは、外的影響によって変更することができ、したがって、環境による表現型または病態表現型の変更の結果に寄与し得るかまたはそのような変更の結果であり得る。重要なことに、エピジェネティック修飾は分化の間に不活性化する多能性遺伝子の調節における極めて重要な役割を有する。非限定的で例示的なエピジェネティック修飾化合物としては、DNAメチル化阻害剤、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、ブロモドメイン阻害剤、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0109】
[0194]「分化細胞」という用語またはその文法上の同義語は、天然形態において本明細書で定義される多能性ではないあらゆる初代細胞を意味する。別の点から記述すると、「分化細胞」という用語は、細胞の分化プロセスにおいてより特殊化していない細胞型(例えば、幹細胞、例えば、人工多能性幹細胞)の細胞から得られる、より特殊化した細胞型の細胞を指すことができる。理論に限定されることを望むものではないが、正常な個体発生の過程における多能性幹細胞は、初めに、膵細胞および他の内胚葉細胞型を形成することができる内胚葉細胞に分化し得る。内胚葉細胞のさらなる分化は膵臓経路に至り、ここで、約98%の細胞は外分泌、小管、または基質細胞になり、約2%は内分泌細胞になる。初期内分泌細胞は島前駆体であり、これは、次いで、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、または膵ポリペプチドを分泌するインスリン産生細胞(例えば、機能性内分泌細胞)へとさらに分化することができる。内胚葉細胞はまた、内胚葉起源の他の細胞、例えば、肺、肝臓、腸、胸腺等へと分化することができる。
【0110】
[0195]本明細書で使用される場合、「体細胞」という用語は、生殖細胞系列細胞とは異なり、生物の身体を形成するあらゆる細胞を指すことができる。哺乳動物では、生殖細胞系列細胞(「配偶子」としても公知)は、受精中に融合して、哺乳動物胚全体が発生する接合子と呼ばれる細胞を生じる精子および卵子である。哺乳動物の身体における他のあらゆる細胞型-精子および卵子、それらを産生する元となる細胞(生殖母細胞)、ならびに未分化幹細胞を除く-は体細胞であり、内臓、皮膚、骨、血液、および結合組織は全て体細胞から構成される。一部の実施形態では、体細胞は「非胚体細胞」であり、これは、胚に存在することも胚から取得されることもなく、そのような細胞のin vitroでの増殖に起因しない体細胞を意味する。一部の実施形態では、体細胞は「成体体細胞」であり、これは、胚もしくは胎児以外の生物に存在するかもしくはそれから取得されるか、またはそのような細胞のin vitroでの増殖に起因する細胞を意味する。別段の指示がない限り、少なくとも1個のインスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体をインスリン産生グルコース応答性細胞に変換するための方法は、in vivoとin vitroの両方で行うことができる(ここで、in vivoは、少なくとも1個のインスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体が対象の体内に存在する場合に実施され、in vitroは、培養で維持される単離された少なくとも1個のインスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体を使用して実施される)。
【0111】
[0196]本明細書で使用される場合、「成体細胞」という用語は、胚発生後に身体全体にわたって見出される細胞を指すことができる。
[0197]「内胚葉細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、非常に初期の胚における3つの一次生殖細胞層のうちの1つに由来する細胞を指すことができる(他の2つの生殖細胞層は中胚葉および外胚葉である)。内胚葉は3つの層のうち最も内側にある。内胚葉細胞は、初めに胚腸を生じ、次いで気道および消化管(例えば、腸)の内面、肝臓、ならびに膵臓を生じるように分化する。
【0112】
[0198]「内胚葉起源の細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、内胚葉細胞から発生または分化したあらゆる細胞を指すことができる。例えば、内胚葉起源の細胞としては、肝臓、肺、膵臓、胸腺、腸、胃、および甲状腺の細胞が挙げられる。理論に拘束されることを望むものではないが、肝臓および膵臓前駆体(膵臓前駆体とも称される)は胚前腸の内胚葉細胞から発生する。特異化(specification)の直後、肝臓および膵臓前駆体は著しく異なる細胞機能および再生能を急速に獲得する。これらの変化は、脊椎動物間で高度に保存されている誘導シグナルおよび遺伝子調節因子によって誘発される。臓器の発生および再生に対する関心は、肝不全およびI型糖尿病の治療処置における肝細胞および膵β細胞の強い必要性によって高まっている。多様なモデル生物およびヒトにおける研究は、肝および膵細胞の分化を誘発する進化的に保存されている誘導シグナルおよび転写因子ネットワークを明らかにし、多様な幹および前駆細胞型からの肝細胞およびβ細胞分化を促進する方法の手引きを提供する。
【0113】
[0199]「胚体内胚葉」という用語は、本明細書で使用される場合、内胚葉細胞から分化し、SC-β細胞(例えば、膵β細胞)へと分化することができる細胞を指すことができる。胚体内胚葉細胞はマーカーSox17を発現する。胚体内胚葉細胞に特徴的な他のマーカーとしては、これらに限定されないが、MIXL2、GATA4、HNF3b、GSC、FGF17、VWF、CALCR、FOXQ1、CXCR4、Cerberus、OTX2、goosecoid、C-Kit、CD99、CMKOR1、およびCRIP1が挙げられる。特に、本明細書での胚体内胚葉細胞はSox17を発現し、一部の実施形態ではSox17およびHNF3Bを発現し、有意なレベルのGATA4も、SPARCも、APFも、DABも発現しない。胚体内胚葉細胞はマーカーPdx1に対して陽性ではない(例えば、これらはPdx1陰性である)。胚体内胚葉細胞は、肝臓、肺、膵臓、胸腺、腸、胃、および甲状腺の細胞を含む細胞へと分化する能力を有する。Sox17および胚体内胚葉の他のマーカーの発現は、例えば抗Sox17抗体を使用する免疫化学または定量RT-PCR等の当業者によって公知のあらゆる方法によって評価することができる。
【0114】
[0200]「膵内胚葉」という用語は、膵β細胞を含む複数の膵臓系統へと分化することができるが、非膵臓系統へと分化する能力をもはや有しない内胚葉起源の細胞を指すことができる。
【0115】
[0201]「原始腸管細胞」または「腸管細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、内胚葉細胞から分化し、SC-β細胞(例えば、膵β細胞)へと分化することができる細胞を指すことができる。原始腸管細胞は、HNP1-β、HNF3-β、またはHNF4-αのうちの少なくとも1つのマーカーを発現する。原始腸管細胞は、肺、肝臓、膵臓、胃、および腸の細胞を含む細胞へと分化する能力を有する。HNF1-βおよび原始腸管の他のマーカーの発現は、例えば抗HNF1-β抗体を使用する免疫化学等の当業者によって公知のあらゆる方法によって評価することができる。
【0116】
[0202]「幹細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、増殖可能であり、分化したかまたは分化可能な娘細胞を生じることができる多数の母細胞を生成する能力を有するより多くの前駆細胞を生じることができる未分化細胞を指すことができる。娘細胞それ自体は、親としての発生能を有する1個または複数の細胞を保持すると同時に、1つまたは複数の成熟細胞型へと後に分化する後代を増殖および産生するように誘導することができる。「幹細胞」という用語は、特定の状況下で、より特殊化しているかまたはより分化している表現型へと分化する能力または可能性を有し、ある特定の状況下で、実質的に分化することなく増殖する能力を保持する、前駆体のサブセットを指すことができる。一実施形態では、幹細胞という用語は、全体として、その子孫(後代)が分化によって、例えば、生殖細胞および組織の段階的な多様化において生じる完全に個別的な特質を獲得することによって、多くの場合異なる方向に特殊化する、天然に存在する母細胞を指す。細胞の分化は、典型的には多くの細胞分裂を介して行われる複雑なプロセスである。分化細胞は多分化能性細胞から得ることができ、多分化能性細胞それ自体は多分化能性細胞等から得られる。これらの多分化能性細胞のそれぞれは幹細胞と考えることができるが、それぞれが生じ得る細胞型の範囲は大きく異なり得る。一部の分化細胞はより高い発生能の細胞を生じる能力も有する。そのような能力は、天然であっても、様々な因子を用いた処置に基づいて人工的に誘導されてもよい。多くの生物学的事例では、幹細胞は、2つ以上の別個の細胞型の後代を産生することができるため、「多分化能性」でもあるが、これは「幹細胞性」に必要ではない。自己複製は、幹細胞の定義の他の古典的な部分であり、本文書で使用される場合、不可欠である。理論上、自己複製は2つの主要な機構のいずれかによって行われ得る。幹細胞は、一方の娘が幹細胞状態を保持し、他方の娘が何らかの別個の他の特異的機能および表現型を発現するように、非対称に分裂し得る。あるいは、集団中の幹細胞の一部は2個の幹細胞に対称に分裂し、したがって、集団中の一部の幹細胞を全体として維持すると同時に、集団中の他の細胞は分化した後代のみを生じることができる。形式上、幹細胞として開始する細胞が分化した表現型へ進むが、その後、「逆行」して幹細胞表現型を再発現する可能性があり、この用語は多くの場合、当業者によって「脱分化」または「初期化」または「逆分化」と称される。本明細書で使用される場合、「多能性幹細胞」という用語には、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、胎盤幹細胞等が含まれる。
【0117】
[0203]「多能性」という用語は、本明細書で使用される場合、多様な条件下で2つ以上の分化細胞型に分化する、好ましくは3つ全ての生殖細胞層に特徴的な細胞型に分化する能力を有する細胞を指すことができる。多能性細胞は、例えばヌードマウス奇形腫形成アッセイを使用して、2つ以上の細胞型、好ましくは3つ全ての胚葉に分化する能力によって主に特徴付けられる。多能性は胚性幹(ES)細胞マーカーの発現によっても証明されるが、多能性に関する好ましい試験は、3つの胚葉のそれぞれの細胞へと分化する能力の実証である。そのような細胞を単に培養することは、単独では細胞を多能性にしないことに留意するべきである。初期化多能性細胞(例えば、本明細書で用語として定義されるiPS細胞)もまた、一般に培養中で限られた回数のみの分裂の能力を有する初代細胞親と比して、成長能の喪失を伴わない長期の継代の能力という特徴を有する。
【0118】
[0204]本明細書で使用される場合、「iPS細胞」および「人工多能性幹細胞」という用語は、交換可能に使用され、例えば1つまたは複数の遺伝子の強制発現を誘導することによって非多能性細胞、典型的には成体体細胞から人工的に得られる(例えば、誘導されるかまたは完全な逆転による)多能性幹細胞を指すことができる。
【0119】
[0205]「表現型」という用語は、実際の遺伝子型とは無関係に、特定の一連の環境条件および要因下の細胞または生物を定義する1つまたはいくつかの総合的な生物学的特徴を指すことができる。
【0120】
[0206]「対象」、「患者」、または「個体」という用語は、本明細書で交換可能に使用され、細胞が取得され得る、および/または本明細書に記載される細胞を用いる予防的処置を含む処置が提供される動物、例えばヒトを指すことができる。ヒト対象等の特定の動物に特異的な感染症、状態、または疾患状態の処置の場合、対象という用語は、その特定の動物を指すことができる。本明細書で交換可能に使用される「非ヒト動物」および「非ヒト哺乳動物」には、哺乳動物、例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、および非ヒト霊長類が挙げられる。「対象」という用語はまた、哺乳動物、爬虫類、両生類、および魚類を含むがこれらに限定されないあらゆる脊椎動物を包含する。しかしながら、有利には、対象は、ヒト等の哺乳動物、または他の哺乳動物、例えば、飼育哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマ等、もしくは生産哺乳動物、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ等である。「それを必要とする患者」または「それを必要とする対象」とは、本明細書では、疾患または障害、例えば、これに制限されないが、糖尿病を有すると診断されたかまたは有する疑いがある患者を意味する。
【0121】
[0207]本明細書で使用される「投与すること」とは、本明細書に記載される1つまたは複数の組成物を患者または対象に提供することを指すことができる。例として、限定されないが、組成物投与、例えば注射は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、または筋肉内(i.m.)注射によって行うことができる。1つまたは複数のそのような経路が用いられ得る。非経口投与は、例えばボーラス注射または経時的な漸進的灌流によって行うことができる。代替的にまたは同時に、投与は経口経路によって行うことができる。加えて、投与はまた、細胞のボーラスもしくはペレットの外科的堆積(surgical deposition)、または医療デバイスの留置によって行うことができる。ある実施形態では、本開示の組成物は、増殖障害を処置または防止するのに効果的な量の、本明細書に記載される核酸配列を発現する操作された細胞もしくは宿主細胞、または本明細書に記載される少なくとも1つの核酸配列を含むベクターを含むことができる。医薬組成物は、本明細書に記載される細胞集団を1つまたは複数の薬学的または生理学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて含むことができる。そのような組成物は、緩衝液、例えば、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水等;炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはアミノ酸、例えばグリシン;抗酸化剤;キレート剤、例えばEDTAまたはグルタチオン;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);および保存剤を含むことができる。
【0122】
[0208]「処置する」、「処置すること」、「処置」という用語、およびそれらの文法上の同義語には、単離された細胞に適用される場合、細胞を任意の種類のプロセスもしくは条件に供すること、または任意の種類の操作もしくは手順を細胞に対して行うことが含まれる。対象に適用される場合、これらの用語は、内科的または外科的治療、看護、または管理を個体に提供することを指す。個体は通例、病気かもしくは健康を損なっているか、または集団の平均的な成員と比して病気になるリスクが増加しており、そのような治療、看護、または管理を必要とする。
【0123】
[0209]本明細書で使用される場合、「処置すること」および「処置」という用語は、対象に有効量の組成物を投与し、その結果、対象が疾患の少なくとも1つの症状の低減または疾患の改善、例えば有益なまたは所望の臨床結果を得ることを指すことができる。本発明の目的の場合、有益なまたは所望の臨床結果としては、これらに限定されないが、検出可能か検出不能かにかかわらず、1つまたは複数の症状の軽減、疾患の程度の減少、疾患の安定した(例えば、悪化しない)状態、疾患進行の遅延または緩徐化、疾患状態の改善または緩和、および寛解(部分的であれ完全であれ)が挙げられる。処置することは、生存期間を、処置を受けない場合に予期される生存期間と比較して延長することを指すことができる。したがって、当業者は、処置は疾患の状態を向上し得るが疾患の完全な治癒でなくてもよいことを認識する。本明細書で使用される場合、「処置」という用語には予防が含まれる。あるいは、処置は、疾患の進行が低下または停止する場合、「効果的」である。「処置」はまた、生存期間を、処置を受けない場合に予期される生存期間と比較して延長することを意味し得る。処置を必要とするものとしては、心臓病とすでに診断されたもの、ならびに遺伝子感受性または他の因子、例えば、体重、食事、および健康状態のために心臓病を発症する可能性が高いものが挙げられる。
【0124】
[0210]「治療有効量」、「治療量」という用語、またはその文法上の同義語は、所望の治療結果を達成するのに必要な投薬量および期間で効果的な量を指すことができる。治療有効量は、疾患状態、個体の年齢、性別、および体重、ならびに本明細書に記載される組成物の1個体または複数個体の対象に所望の応答を誘発する能力等の因子に応じて変動し得る。投与される本開示の組成物の正確な量は、患者(対象)の年齢、体重、腫瘍サイズ、感染または転移の程度、および状態における個々の差を考慮した医師によって決定することができる。
【0125】
[0211]あるいは、本明細書に記載される1つまたは複数の組成物の患者または対象への投与の薬理学的および/または生理学的効果は「予防的」であってもよく、例えば、効果は患者または対象の疾患または症状を完全にまたは部分的に防止する。「予防有効量」とは、所望の予防結果(例えば、疾患開始の防止)を達成するのに必要な投薬量および期間で効果的な量を指すことができる。
【0126】
[0212]全体にわたって開示される一部の数値は、例えば、「Xは少なくともまたは少なくとも約100、または200[もしくは任意の数字]である」と称される。この数値には、その数それ自体ならびに
a.Xは少なくとも100である、
b.Xは少なくとも200である、
c.Xは少なくとも約100である、および
d.Xは少なくとも約200である
のうちの全てが含まれる。
【0127】
[0213]これらの異なる組合せの全てが、全体にわたって開示される数値によって企図される。開示される数値の全ては、治療剤の投与を指す場合であれ日数、月数、年数、体重、投薬量等を指す場合であれ、反対のことが別段具体的に指示されない限り、このように解釈されるべきである。
【0128】
[0214]全体にわたって開示される範囲は、例えば、「Xは1~2日目または約1~2日目、あるいは2~3[もしくは任意の数値範囲]日目または約2~3[もしくは任意の数値範囲]日目に投与される」と称される場合がある。この範囲には、その数それ自体(例えば、範囲の端点)ならびに
i)Xは1日目と2日目との間に投与される、
ii)Xは2日目と3日目との間に投与される、
iii)Xは約1日目と2日目との間に投与される、
iv)Xは約2日目と3日目との間に投与される、
v)Xは1日目と約2日目との間に投与される、
vi)Xは2日目と約3日目との間に投与される、
vii)Xは約1日目と約2日目との間に投与される、および
viii)Xは約2日目と約3日目との間に投与される
のうちの全てが含まれる。
【0129】
[0215]これらの異なる組合せの全てが、全体にわたって開示される範囲によって企図される。開示される範囲の全ては、治療剤の投与を指す場合であれ日数、月数、年数、体重、投薬量等を指す場合であれ、反対のことが別段具体的に指示されない限り、このように解釈されるべきである。
【0130】
分化のステージ
[0216]一部の実施形態では、本明細書に開示される膵分化は段階的に実行される。段階的進行において、「ステージ1」または「S1」とは、分化プロセスの第1のステップ、すなわち、多能性幹細胞の、胚体内胚葉細胞(「DE」)に特徴的なマーカーを発現する細胞(「ステージ1細胞」または「S1細胞」)への分化を指す。「ステージ2」とは、第2のステップ、すなわち、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現する細胞の、腸管細胞(「GT」)に特徴的なマーカーを発現する細胞(「ステージ2細胞」または「S2細胞」)への分化を指す。「ステージ3」とは、第3のステップ、すなわち、腸管細胞に特徴的なマーカーを発現する細胞の、膵臓前駆1細胞(「PP1」)に特徴的なマーカーを発現する細胞(「ステージ3細胞」または「S3細胞」)への分化を指す。「ステージ4」とは、第4のステップ、すなわち、膵臓前駆1細胞に特徴的なマーカーを発現する細胞の、膵臓前駆2細胞(「PP2」)に特徴的なマーカーを発現する細胞(「ステージ4細胞」または「S4細胞」)への分化を指す。「ステージ5」とは、第5のステップ、すなわち、膵臓前駆2細胞に特徴的なマーカーを発現する細胞の、膵内胚葉細胞および/または膵内分泌前駆細胞(「EN」)に特徴的なマーカーを発現する細胞(「ステージ5細胞」、または「S5細胞」)への分化を指す。「ステージ6」とは、膵内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発現する細胞の、膵内分泌β細胞(「SC-β細胞」)または膵内分泌α細胞(「SC-α細胞」)に特徴的なマーカーを発現する細胞への分化を指す。しかしながら、特定の集団中の全ての細胞がこれらのステージを同じ速度で進行するわけではない、すなわち、一部の細胞は集団に存在する細胞の大多数よりも少なくまたは多く分化経路を進んでいてもよいことが理解されるべきである。
【0131】
培養培地および薬剤
TGF-βシグナル伝達経路阻害剤
[0217]例示的なTGF-βシグナル伝達経路阻害剤としては、ALK5阻害剤II(CAS 446859-33-2、TGF-B RiキナーゼのATP競合阻害剤、別称RepSox、IIJPAC名:2-[5-(6-メチルピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-1,5-ナフチリジン、ALK5阻害剤IIのアナログまたは誘導体、例えば米国特許公開第2012/0021519号に記載されているALK5阻害剤IIのアナログまたは誘導体、米国特許公開第2010/0267731号に記載されているTGF-β受容体阻害剤、米国特許公開第2009/0186076号および同第2007/0142376号に記載されているALK5阻害剤(例えば、A83-01、431542、D4476、GW788388、LY364947、LY580276、SB525334、SB505124、SD208、GW6604、またはGW788388を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
[0218]一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、以下の構造を有し得る。
[0219]
【0133】
【0134】
[0220]一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤の濃度は、約0.1~110μΜ、0.1~50μM、0.1~25μM、または0.1~10μMであり得る。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤の濃度は、約10μMであり得る。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤はAlk5阻害剤IIであり、阻害剤の濃度は約10μMである。
【0135】
甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤
[0221]例示的な甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤としては、トリヨードチロニン(T3)、T3のアナログまたは誘導体、例えば、選択的および非選択的チロミメティック(thyromimetics)、TRJ選択的アゴニストGC-1、GC-24,4-ヒドロキシ-PCB 106、MB0781 1、MB07344,3,5-ジヨードチロプロピオン酸(DITPA);選択的TR-βアゴニストGC-1;3-ヨードチロナミン(T(l)AM)および3,3’,5-トリヨードチロ酢酸(Triac)(ホルモンチロキシン(T(4))の生物活性代謝産物;KB-21 15およびKB-141;チロナミン;SKF L-94901;DIBIT;3’-AC-T2;テトラヨードチロ酢酸(Tetrac)およびトリヨードチロ酢酸(Triac)(チロキシン[T4]およびトリヨードチロニン[T3]アラニン鎖の酸化的脱アミノ化および脱カルボキシル化による)、3,3’,5’-トリヨードチロニン(rT3)(T4およびT3の脱ヨウ素化による)、3,3’-ジヨードチロニン(3,3’-T2)および3,5-ジヨードチロニン(T2)(T4、T3、およびrT3の脱ヨウ素化による)、ならびに3-ヨードチロナミン(T1AM)およびチロナミン(T0AM)(T4およびT3の脱ヨウ素化ならびにアミノ酸の脱カルボキシル化による)、ならびにTH構造的アナログ、例えば3,5,3’-トリヨードチロプロピオン酸(Triprop)、3,5-ジブロモ-3-ピリダジノン-1-チロニン(L-940901)、N-[3,5-ジメチル-4-(4’-ヒドロキシ-3f-イソプロピルフェノキシ)-フェニル]-オキサミン酸(CGS 23425)、3,5-ジメチル-4-[(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルベンジル)-フェノキシ]酢酸(GC-1)、3,5-ジクロロ-4-[(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェノキシ)フェニル]酢酸(KB-141)、および3,5-ジヨードチロプロピオン酸(DITPA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
[0222]一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、T4甲状腺ホルモン(例えば、チロキシンまたはL-3,5,3’,5’-テトラヨードチロニン)などのT3のプロドラッグまたはプロホルモンを含み得る。一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、米国特許第7,163,918号に記載されているヨードチロニン組成物であり得る。一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、2-[4-[[4-ヒドロキシ-3-(1-メチルエチル)フェニル]メチル]-3,5-ジメチルフェノキシ]酢酸(GC-1)であり得る。GC-1は、チロミメティックで、甲状腺ホルモン受容体(TR)βおよびTRoc受容体の高親和性アゴニストである(KD値はそれぞれ67pおよび440pである)。GC-1は、in vitroでTRoti受容体およびTRi受容体の内因性アゴニストT3よりもそれぞれ5倍および100倍高い効力を示す。
【0137】
[0223]一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、以下の構造を有し得る。
[0224]
【0138】
【0139】
[0225]一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤の濃度は、約0.1~110μΜ、0.1~50μM、0.1~25μM、または0.1~10μMであり得る。一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤の濃度は、約1μMであり得る。一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤はGC-1であり、活性化剤の濃度は約1μMである。
【0140】
タンパク質キナーゼ阻害剤
[0226]例示的なタンパク質キナーゼ阻害剤としては、スタウロスポリン、スタウロスポリンのアナログ、例えばRo-31-8220、ビスインドリルマレイミド(Bis)化合物、10’-{5”-[(メトキシカルボニル)アミノ]-2”-メチル}-フェニルアミノカルボニルスタウロスポリン、スタラログ(例えば、Lopezら、「Staurosporine-derived inhibitors broaden the scope of analog-sensitive kinase technology」、J.Am.Chem.Soc.2013;i 35(48):1 8153-18159を参照のこと)、およびcgp4125 1が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、タンパク質キナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンであり得る。
【0141】
[0227]一部の実施形態では、タンパク質キナーゼ阻害剤の濃度は、約0.1~110nΜ、0.1~50nM、0.1~25nM、0.1~10nM、または0.1~5nMであり得る。一部の実施形態では、タンパク質キナーゼ阻害剤の濃度は、約3nMであり得る。一部の実施形態では、タンパク質キナーゼ阻害剤はスタウロスポリン(SSP)であり、活性化剤の濃度は約3nMである。
【0142】
[0228]一部の実施形態では、タンパク質キナーゼ阻害剤は、以下の構造を有し得る。
[0229]
【0143】
【0144】
骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤
[0230]例示的なBMPシグナル伝達経路阻害剤としては、限定されないが、4-[6-(4-ピペラジン-1-イルフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]キノロン(LDN 193 189;LDN1931 89、1062368-24-4、LDN-193189、DM 3189、DM-3189としても公知であり、本明細書ではLDNと称される)、LDN193189のアナログもしくは誘導体、例えばLDN193189の塩(例えば、LDN193189塩酸塩)、水和物、溶媒、エステル、もしくはプロドラッグ、または米国特許出願公開第2011/0053930号の式Iの化合物が挙げられる。本発明の複数の態様においては、BMPシグナル伝達経路阻害剤はLDN193189を含む。
【0145】
[0231]一部の実施形態では、BMPシグナル伝達経路阻害剤は以下の構造:
[0232]
【0146】
【0147】
を有することができる。
[0233]一部の実施形態では、BMPシグナル伝達経路阻害剤の濃度は、約0.1~110nΜ、0.1~100nM、または0.1~50nMであり得る。一部の実施形態では、BMPシグナル伝達経路阻害剤の濃度は約100nMであり得る。一部の実施形態では、タンパク質BMPシグナル伝達経路阻害剤はLDN193189であり、活性化剤の濃度は約100nMである。
【0148】
Rho関連タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤
[0234]例示的なROCK阻害剤としては、これらに限定されないが、N-[(1S)-2-ヒドロキシ-1-フェニルエチル]-N’-[4-(4-ピリジニル)フェニル]-尿素(AS 1892802)、ファスジル塩酸塩(HA 1077としても公知)、N-[3-[[2-(4-アミノ-1,2,5-オキサジアゾール-3-イル)-1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル]オキシ]フェニル]-4-[2-(4-モルホリニル)エトキシ]ベンズアミド(GS 269962)、4-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-N-(6-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロ-3-ピリジンカルボキサミド(GSK 429286)、(S)-(+)-2-メチル-1-[(4-メチル-5-イソキノリニル)スルホニル]-ヘキサヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン二塩酸塩(Η 1 152二塩酸塩)、(S)-(+)-4-グリシル-2-メチル-1-[(4-メチル-5-イソキノリニル)スルホニル]-ヘキサヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン二塩酸塩(グリシル-M 1 152二塩酸塩)、N-[(3-ヒドロキシフェニル)メチル]-N’-[4-(4-ピリジニル)-2-チアゾリル]尿素二塩酸塩(RKI 1447二塩酸塩)、(3S)-1-[[2-(4-アミノ-1,2,5-オキサジアゾール-3-イル)-1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-7-イル]カルボニル]-3-ピロリジンアミン二塩酸塩(SB772077B二塩酸塩)、N-[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]-4-(1H-ピラゾール-4-イル)フェニル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-カルボキサミド二塩酸塩(SR 3677二塩酸塩)、およびtrans-4-[(1R)-1-アミノエチル]-N-4-ピリジニルシクロヘキサンカルボキサミド二塩酸塩(Y-27632二塩酸塩)、N-ベンジル-[2-(ピリミジン-4-イル)アミノ]チアゾール-4-カルボキサミド(チアゾビビン)、ROCK阻害剤、イソキノリンスルホンアミド化合物(Rhoキナーゼ阻害剤)、N-(4-ピリジル)-N’-(2,4,6-トリクロロフェニル)尿素(Rhoキナーゼ阻害剤II)、3-(4-ピリジル)-1H-インドール(Rhoキナーゼ阻害剤III、Rockout)、および4-ピラゾールボロン酸ピナコールエステルからなる群から選択される有機低分子ROCK阻害剤;Rock-1(B1)、Rock-1(C-19)、Rock-1(H-11)、Rock-1(G-6)、Rock-1(H-85)、Rock-1(K-18)、Rock-2(C-20)、Rock-2(D-2)、Rock-2(D-11)、Rock-2(N-19)、Rock-2(H-85)、Rock-2(30-J)からなる群から選択されるSanta Cruz Biotechnologyから市販されているRock抗体;Rock-1 CRISPR/Cas9 KOプラスミド(h)、Rock-2 CRISPR/Cas9 KOプラスミド(h)、Rock-1 CR1SPR/Cas9 KOプラスミド(m)、Rock-2 CRISPR/Cas9 KOプラスミド(m)からなる群から選択されるROCK CRISPR/Cas9ノックアウトプラスミド;Rock-1 siRNA(h):sc-29473、Rock-1 siRNA(m):sc-36432、Rock-1 siRNA(r):sc-72179、Rock-2 siRNA(h):sc-29474、Rock-2 siRNA(m):sc-36433、Rock-2 siRNA(r):sc-108088からなる群から選択されるROCK siRNA、shRNAプラスミド、および/またはshRNAレンチウイルス粒子遺伝子サイレンサーが挙げられる。
【0149】
[0235]一部の実施形態では、ROCK阻害剤はY-27632を含む。一部の実施形態では、ROCK阻害剤はチアゾビビンである。
[0236]一部の実施形態では、ROCK阻害剤は以下の構造:
[0237]
【0150】
【0151】
を有することができる。
[0238]一部の実施形態では、ROCK阻害剤の濃度は、約0.1~110μΜ、0.1~50μM、0.1~25μM、または0.1~10μMであり得る。一部の実施形態では、ROCK阻害剤の濃度は約2.5μMであり得る。一部の実施形態では、ROCK阻害剤はチアゾビビンであり、阻害剤の濃度は約2.5μMである。
【0152】
[0239]一部の実施形態では、ROCK阻害剤(例えば、Y-27632またはチアゾビビン)の濃度は、約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約11μM、約12μM、約13μM、約14μM、約15μM、約16μM、約17μM、約18μM、約19μM、約20μM、約21μM、約22μM、約23μM、約24μM、約25μM、約26μM、約27μM、約28μM、約29μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMであり得る。
【0153】
ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤
[0240]一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤はエピジェネティック修飾剤として使用することができる。例示的なヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤としては、これらに限定されないが、例えば、3-デアザネプラノシンA塩酸塩(DZNep-(1S,2R,5R)-5-(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-3-(ヒドロキシメチル)シクロペンタ-3-エン-1,2-ジオール);Bix-01294、UNC0638、BRDD4770、EPZ004777、AZ505、PDB4e47、バルプロ酸(alproic acid)、ボリノスタット、ロミデプシン、エンチノスタット アベキシノスタット、ギビノスタット、およびモセチノスタット、ブチレート、セリンプロテアーゼ阻害剤(セルピン)ファミリーメンバーを挙げることができる。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤はDZNepであり得る。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤は以下の構造:
[0241]
【0154】
【0155】
を有することができる。
[0242]一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤の濃度は、約0.1~110nΜ、0.1~100nM、または0.1~50nMであり得る。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤の濃度は約100nMであり得る。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤はDZNepであり、阻害剤の濃度は約100nMである。
【0156】
[0243]一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤の濃度は、約0.01μM、約0.025μM、約0.05μM、約0.075μM、約0.1μM、約0.15μM、約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約15μM、約20μM、約25μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMであり得る。
【0157】
MGLL阻害剤
[0244]例示的なMGLL(モノグリセリドリパーゼ)阻害剤としては、例えば、JJKK048、KML29、NF1819、JW642、JZL184、JZL195、JZP361、プリスチメリン、またはURB602が挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
[0245]一部の実施形態では、MGLL阻害剤は、JJKK048であり得る。一部の実施形態では、MGLL阻害剤は、KML29であり得る。一部の実施形態では、MGLL阻害剤は、NF1819であり得る。
【0159】
[0246]一部の実施形態では、MGLL阻害剤は、以下の構造を有し得る。
[0247]
【0160】
【0161】
[0248]一部の実施形態では、MGLL阻害剤は、以下の構造を有し得る。
[0249]
【0162】
【0163】
[0250]一部の実施形態では、MGLL阻害剤は、以下の構造を有し得る。
[0251]
【0164】
【0165】
[0252]一部の実施形態では、MGLL阻害剤の濃度は、約0.1μM~100μMである。一部の実施形態では、MGLL阻害剤の濃度は、約0.1μM、1μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μMである。
【0166】
[0253]一部の実施形態では、MGLL阻害剤はJJKK048であり、濃度は約0.1μM~100μMである。一部の実施形態では、MGLL阻害剤はKML29であり、濃度は約0.1μM~100μMである。一部の実施形態では、MGLL阻害剤はNF1819であり、濃度は約0.1μM~100μMである。
【0167】
[0254]一部の実施形態では、MGLL阻害剤はJJKK048であり、濃度は1μMである。一部の実施形態では、MGLL阻害剤はKML29であり、濃度は10μMである。一部の実施形態では、MGLL阻害剤はNF1819であり、濃度は10μMである。
【0168】
脂質
[0255]例示的な脂質としては、脂肪酸、例えば、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、脂質は、飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、脂質は、不飽和脂肪酸である。例示的な飽和脂肪酸としては、例えば、パルミテート、パルミチン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘントリアコンチル酸、ラッセル酸、シリル酸、ゲジン酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンタン酸、オクタトリアコンタン酸、ノナトリアコンタン酸、もしくはテトラコンタン酸、またはそれらの塩もしくはエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0169】
[0256]一部の実施形態では、飽和脂肪酸は、パルミチン酸またはその塩もしくはエステルである。一部の実施形態では、飽和脂肪酸は、パルミテートである。
[0257]例示的な不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノレライド酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、バクセン酸、パウリン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、もしくはミード酸、またはそれらの塩もしくはエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
[0258]一部の実施形態では、不飽和脂肪酸は、オレイン酸である。一部の実施形態では、不飽和脂肪酸は、リノール酸である。一部の実施形態では、不飽和脂肪酸は、パルミトレイン酸である。
【0171】
初期化
[0259]「初期化(reprogramming)」という用語は、本明細書で使用される場合、体細胞の分化状態を変更または逆行するプロセスを指す。細胞は、部分分化した後に初期化しても、最終分化した後に初期化してもよい。初期化は体細胞の分化状態の多能性細胞への完全な逆行を包含する。そのような分化の完全な逆転は人工多能性(iPS)細胞をもたらす。初期化はまた、本明細書で使用される場合、細胞分化状態の、例えば多分化能性状態への、または多能性でも多分化能性でもないが、それが起因する分化細胞に特異的な1つもしくは複数の特徴を喪失している細胞である体細胞への部分的逆行、例えば分化細胞の異なる体細胞型への直接初期化を包含する。初期化は、全体として、接合子が成体へ発達する際の細胞の分化の間に生じる核酸修飾(例えば、メチル化)、クロマチン凝縮、エピジェネティック変化、ゲノムインプリンティング等の遺伝パターンのうちの少なくとも一部の変更、例えば逆転を伴う。
【0172】
[0260]本明細書で使用される場合、「初期化因子」という用語は、細胞「初期化」、すなわち、細胞が異なる細胞型または表現型に変換するような分化および/または脱分化および/または分化転換と関連する分子を指すことが意図される。初期化因子は、全体として、細胞分化、脱分化、および/または分化転換と関連する遺伝子の発現に影響を及ぼす。転写因子は初期化因子の例である。
【0173】
[0261]「分化」という用語およびそれらの文法上の同義語は、本明細書で使用される場合、より特殊化していない細胞(すなわち、より高い分化能を有するよりナイーブな細胞)がより特殊化した細胞型(すなわち、より低い分化能を有するよりナイーブでない細胞)になるプロセスを指し、「脱分化」という用語は、より特殊化した細胞がより特殊化していない細胞型(すなわち、より高い分化能を有するよりナイーブな細胞)になるプロセスを指し、「分化転換」という用語は、特定の細胞型の細胞がその「分化能」レベルも「ナイーブ性」レベルも有意に変化させずに別の細胞型に変換するプロセスを指す。理論に拘束されることを望むものではないが、細胞は、その「分化能」レベルも「ナイーブ性」レベルも有意に変化させずにある系統決定細胞型または最終分化細胞型から別の系統決定細胞型または最終分化細胞型に変換する場合、「分化転換」すると考えられる。
【0174】
[0262]本明細書で使用される場合、「分化能」という用語は、細胞の異なる系統の細胞へと分化する能力を指すと理解されるべきである。例えば、多能性細胞(例えば、幹細胞)は、3つの胚葉、すなわち、内胚葉(胃の内面、胃腸管、肺)、中胚葉(筋肉、骨、血液、泌尿生殖器)、または外胚葉(表皮組織および神経系)のいずれかの細胞へと分化する可能性を有し、したがって高分化能を有し、多分化能性細胞(例えば、幹細胞またはある特定の型の人工幹細胞)は、複数だが限定された数の系統由来の細胞(例えば、造血幹細胞、心臓幹細胞、または神経幹細胞等)を生じる能力を有し、比較的、多能性細胞よりも低い分化能を有する。特定の系統に決定付けられるかまたは最終分化する細胞はさらに低い分化能を有し得る。当技術分野で公知の分化転換の具体例としては、例えば、線維芽細胞のベータ細胞への、または膵外分泌細胞からベータ細胞への変換等が挙げられる。
【0175】
[0263]したがって、細胞はよりナイーブな細胞へと分化させることができる(例えば、最終分化細胞は多分化能性もしくは多能性となるように分化することができる)か、または細胞はよりナイーブでない細胞に脱分化させることができる(例えば、多分化能性もしくは多能性細胞は系統決定細胞もしくは最終分化細胞へと分化する可能性がある)。しかしながら、ある実施形態では、細胞はある細胞型(または表現型)から、例えば類似した分化能レベルを有する別の細胞型(または表現型)に変換または分化転換させることができる。したがって、本開示のある実施形態では、本開示の誘導ステップは分化、脱分化、および/または分化転換するように本開示の細胞を初期化することができる。本開示のある実施形態では、本開示の誘導ステップは分化転換するように細胞を初期化し得る。
【0176】
[0264]例えば、1つまたは複数の外因性ポリヌクレオチドまたはポリペプチド初期化因子を使用する分化、脱分化、および/または分化転換によって特定の型の細胞を初期化または誘導して別の型の細胞にする方法は当業者に公知である。そのような方法は、細胞初期化と関連する1つまたは複数の転写因子または他のポリペプチドをコードする遺伝子材料の導入に依存し得る。例えば、Pdx1、Ngn3、およびMafA、またはそれらの機能的断片は全て、本開示の細胞の細胞分化、脱分化、および/または分化転換を誘導することができるペプチドをコードすることが公知である。当業者に公知の一部の方法では、初期化遺伝子(例えば、上記の遺伝子)によってコードされる外因性ポリペプチド(例えば、組換えポリペプチド)は、細胞と接触して、例えば本開示の細胞を誘導する。当業者は、他の遺伝子が細胞の初期化と関連してもよく、そのような遺伝子(またはその機能的断片)をコードする外因性分子およびコードされるポリペプチドもまたポリヌクレオチドまたはポリペプチド初期化因子(例えば、細胞初期化と関連する別の遺伝子の発現レベルに影響を及ぼすポリヌクレオチドまたはポリペプチド)と考えられることを理解するだろう。例えば、p53不活性化を低下する外因性ポリヌクレオチドまたはポリペプチドエピジェネティック遺伝子サイレンサーの導入は人工多能性幹細胞(iPSC)を誘導する効率を高めることが示されている。したがって、エピジェネティックサイレンサーおよび細胞初期化または細胞プログラミング効率を高めることに直接または間接的に関与し得る他の遺伝子またはタンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、外因性ポリヌクレオチドまたはポリペプチド初期化因子を構成すると考えることができる。当業者は、細胞初期化に影響を与える他の方法、例えば細胞初期化を阻害することに関与する遺伝子の発現をノックダウンすることができるRNAi分子(またはRNAi分子をコードする遺伝子材料)を導入する方法が存在することを理解するだろう。したがって、細胞初期化と関連するかまたは細胞初期化を増強するいかなる外因性ポリヌクレオチド分子またはポリペプチド分子も、本明細書に記載される外因性ポリヌクレオチドまたはポリペプチド初期化因子であると理解されるべきである。
【0177】
[0265]本開示の一部の実施形態では、方法は低分子ではない初期化因子の使用を除外する。しかしながら、方法は「慣例的な」組織培養成分、例えば、培養培地、血清、血清代替物質、補充物質、抗生物質等、例えば、RPMI、腎上皮基礎培地(REBM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、MCDB 131培地、CMRL 1066培地、F12、ウシ胎仔血清(FCS)、ウシ胎児血清(FBS)、ウシ血清アルブミン(BSA)、D-グルコース、L-グルタミン、GlutaMAX(商標)-1(L-アラニン-L-グルタミンのジペプチド)、B27、ヘパリン、プロゲステロン、プトレシン、ラミニン、ニコチンアミド、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウム、セレン、エタノールアミン、ヒト上皮成長因子(hEGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、ヒドロコルチゾン、エピネフリン、ノルモシン(normacin)、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、およびアムホテリシン等を利用してもよいことが理解されるだろう。これらの典型的な組織培養成分(および組織培養で慣例的に使用される他の類似した組織培養成分)は本開示の目的のための低分子初期化分子ではないことが理解されるべきである。実際、これらの成分は、本明細書で定義される低分子ではない、および/または本明細書で定義される初期化因子ではない。
【0178】
[0266]したがって、ある実施形態では、本開示は、1つまたは複数の外因性ポリヌクレオチドまたはポリペプチド初期化因子を用いる細胞の培養ステップを伴わない。したがって、ある実施形態では、本開示の方法は、例えば、人工ベータ細胞を産生すること、またはそうでなければ分化、脱分化、および/もしくは分化転換するように本開示の細胞を誘導することに関与するトランスポゾン、ウイルストランスジェニックベクター(例えば、レトロウイルスベクター)、プラスミド、mRNA、miRNA、ペプチド、またはこれらの分子のうちのいずれかの断片を導入することによる1つまたは複数の外因性ポリヌクレオチドまたはポリペプチド初期化因子の導入を伴わない。
【0179】
[0267]すなわち、ある実施形態では、方法は1つまたは複数の外因性ポリヌクレオチドまたはポリペプチド初期化因子の非存在下で行われる。したがって、ある実施形態では、本開示の方法は、ポリペプチド転写因子;分化、脱分化、および/または分化転換を誘導することと特異的に関連する他のポリペプチド因子;ポリペプチド転写因子をコードするポリヌクレオチド配列、分化、脱分化、および/または分化転換を誘導することと特異的に関連する他のポリペプチド因子をコードするポリヌクレオチド配列;mRNA;干渉RNA;マイクロRNA、ならびにそれらの断片の付加を伴わずに、細胞を初期化する低分子を利用することが理解されるべきである。
【0180】
幹細胞
[0268]「幹細胞」という用語は、本明細書では、自己複製することと分化細胞型を生成することの両方の能力を有する細胞(例えば、植物幹細胞、脊椎動物幹細胞)を指すために使用される(Morrisonら(1997)Cell 88:287~298)。細胞個体発生の文脈では、「分化した」または「分化する」という形容詞は相対語である。「分化細胞」とは、比較されている細胞よりもさらに発生経路を進んだ細胞である。したがって、多能性幹細胞は系統制限前駆細胞(例えば、中胚葉幹細胞)へと分化することができ、系統制限前駆細胞はさらに制限された細胞(例えば、ニューロン前駆体)へと分化することができ、この制限された細胞は、ある特定の組織型において特徴的な役割を果たし、さらに増殖する能力を保持していてもしていなくてもよい最終ステージ細胞(すなわち、最終分化細胞、例えば、ニューロン、心筋細胞等)へと分化することができる。幹細胞は、特異的マーカー(例えば、タンパク質、RNA等)の存在と特異的マーカーの非存在の両方によって特徴付けることができる。幹細胞はまた、機能アッセイ、特に幹細胞の複数の分化した後代を生じる能力に関するアッセイによってin vitroとin vivoの両方で同定することができる。ある実施形態では、宿主細胞は、成体幹細胞、体性幹細胞、非胚性幹細胞、胚性幹細胞、造血幹細胞、人工多能性幹細胞(include pluripotent stem cell)、および栄養膜幹細胞である。
【0181】
[0269]目的の幹細胞には多能性幹細胞(PSC)が含まれる。「多能性幹細胞」または「PSC」という用語は、本明細書では、生物の全ての細胞型を産生することができる幹細胞を意味するために使用される。したがって、PSCは、生物の全ての胚葉(例えば、脊椎動物の内胚葉、中胚葉、および外胚葉)の細胞を生じることができる。多能性細胞は、奇形腫を形成することができ、生きている生物の外胚葉、中胚葉、または内胚葉組織に寄与することができる。植物の多能性幹細胞は、植物の全ての細胞型(例えば、根、茎、葉等の細胞)を生じることができる。
【0182】
[0270]動物のPSCはいくつかの異なる方法で得ることができる。例えば、胚性幹細胞(ESC)は胚の内部細胞塊から得られ(Thomsonら、Science.1998年11月6日;282(5391):1145~7)、人工多能性幹細胞(iPSC)は体細胞から得られる(Takahashiら、Cell.2007年11月30日;131(5):861~72;Takahashiら、Nat Protoc.2007;2(12):3081~9;Yuら、Science.2007年12月21日;318(5858):1917~20.電子公開2007年11月20日)。PSCという用語はその由来とは無関係に多能性幹細胞を指すため、PSCという用語は、ESCおよびiPSCという用語、ならびにPSCの別の例である胚性生殖幹細胞(EGSC)という用語を包含する。PSCは、樹立細胞系の形態にあっても、初代胚組織から直接取得されても、体細胞から得られてもよい。
【0183】
[0271]「胚性幹細胞」(ESC)とは、胚から、典型的には胚盤胞の内部細胞塊から単離されるPSCを意味する。ESC系、例えば、hESBGN-01、hESBGN-02、hESBGN-03、hESBGN-04(BresaGen,Inc.);HES-1、HES-2、HES-3、HES-4、HES-5、HES-6(ES Cell International);Miz-hES1(MizMedi Hospital-Seoul National University);HSF-1、HSF-6(San FranciscoのUniversity of California);およびH1、H7、H9、H13、H14(Wisconsin Alumni Research Foundation(WiCell Research Institute))は、NIH Human Embryonic Stem Cell Registryに列挙される。目的の幹細胞としては、他の霊長類由来の胚性幹細胞、例えばアカゲザル幹細胞およびマーモセット幹細胞も挙げられる。幹細胞は、任意の哺乳動物種、例えば、ヒト、ウマ科、ウシ亜科、ブタ、イヌ科、ネコ科、げっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、霊長類等から取得することができる(Thomsonら、(1998)Science 282:1145;Thomsonら、(1995)Proc.Natl.Acad.Sci USA 92:7844;Thomsonら、(1996)Biol.Reprod.55:254;Shamblottら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13726、1998)。培養中、ESCは、典型的には、大きな核細胞質比、明確な境界、および顕著な核小体を有する扁平コロニーとして成長する。加えて、ESCは、SSEA-3、SSEA-4、TRA-1-60、TRA-1-81、およびアルカリホスファターゼを発現するが、SSEA-1を発現しない。ESCを生成および特徴付ける方法の例は、例えば、米国特許第7,029,913号、同第5,843,780号、および同第6,200,806号に見出すことができ、それぞれは全体が本明細書に組み込まれる。未分化形態のhESCを増殖するための方法は、WO99/20741、WO01/51616、およびWO03/020920に記載されており、それぞれは全体が本明細書に組み込まれる。
【0184】
[0272]「胚性生殖幹細胞」(EGSC)または「胚性生殖細胞」または「EG細胞」とは、生殖細胞ならびに/または生殖細胞前駆体、例えば始原生殖細胞、すなわち精子および卵になり得る細胞から得られるPSCを意味する。胚性生殖細胞(EG細胞)は、上に記載した胚性幹細胞と類似した特性を有すると考えられる。EG細胞を生成および特徴付ける方法の例は、例えば、米国特許第7,153,684号、Matsui,Y.ら、(1992)Cell 70:841;Shamblott,M.ら(2001)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:113;Shamblott,M.ら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95:13726;およびKoshimizu,U.ら(1996)Development、122:1235に見出すことができ、それぞれは全体が本明細書に組み込まれる。
【0185】
[0273]「人工多能性幹細胞」または「iPSC」とは、PSCではない細胞から(すなわち、PSCと比して分化した細胞から)得られるPSCを意味する。iPSCは、最終分化細胞を含む複数の異なる細胞型から得ることができる。iPSCは、大きな核細胞質比、明確な境界、および顕著な核を有する扁平コロニーとして成長するES細胞様形態を有する。加えて、iPSCは、アルカリホスファターゼ、SSEA3、SSEA4、Sox2、Oct3/4、Nanog、TRA160、TRA181、TDGF1、Dnmt3b、FoxD3、GDF3、Cyp26a1、TERT、およびzfp42を含むがこれらに限定されない当業者によって公知の1つまたは複数の重要な多能性マーカーを発現する。iPSCを生成および特徴付ける方法の例は、例えば、米国特許出願公開第20090047263号、同第20090068742号、同第20090191159号、同第20090227032号、同第20090246875号、および同第20090304646号に見出すことができ、それぞれは全体が本明細書に組み込まれる。全体として、iPSCを生成するために、体細胞に、体細胞を初期化して多能性幹細胞にすることが当技術分野で公知の初期化因子(例えば、Oct4、SOX2、KLF4、MYC、Nanog、Lin28等)が提供される。
【0186】
[0274]「体細胞」とは、実験操作の非存在下で生物の全ての型の細胞を通常生じるわけではない、生物のあらゆる細胞を意味する。換言すれば、体細胞は、身体の3つの胚葉、すなわち、外胚葉、中胚葉、および内胚葉の全ての細胞を天然に生成するわけではない、十分に分化した細胞である。例えば、体細胞としては、ニューロンと神経前駆体の両方を挙げることができ、後者は、中枢神経系の全てまたは一部の細胞型を天然に生じることができるが、中胚葉系統の細胞も内胚葉系統の細胞も生じることができない。
【0187】
[0275]ある特定の例では、幹細胞は、本明細書に開示される方法に従った少なくとも1つのβ細胞成熟因子への曝露前に未分化(例えば、特定の系統に決定付けられていない細胞)であり得るが、他の例では、本明細書に記載される少なくとも1つの細胞成熟因子の曝露前に幹細胞を1つまたは複数の中間細胞型に分化させることが望ましい場合がある。例えば、幹細胞は、幹細胞を胚または成体起源の分化細胞と区別するために使用することができる未分化細胞の形態的、生物学的、または物理的特徴を示し得る。一部の例では、未分化細胞は、二次元の顕微鏡像において、高い核/細胞質比および顕著な核小体を有する細胞のコロニーに現れ得る。幹細胞はそれ自体であっても(例えば、実質的にいかなる未分化細胞も存在しない)、分化細胞の存在下で使用されてもよい。ある特定の例では、幹細胞は、好適な栄養素、および必要に応じて、幹細胞が成長し必要に応じて分化することができるような他の細胞の存在下)で培養され得る。例えば、胚性線維芽細胞または線維芽細胞様細胞は、幹細胞の成長を補助するために培養に存在し得る。線維芽細胞は幹細胞成長の1つの段階の間に存在し得るが、必ずしも全ての段階に存在しなくてもよい。例えば、線維芽細胞は第1の培養段階で幹細胞培養に添加され、1つまたは複数のその後の培養段階では幹細胞培養に添加されなくてもよい。
【0188】
[0276]本発明の全ての態様で使用される幹細胞は、いかなる種類の組織(例えば、胚組織、例えば胎児もしくは胎児前組織または成体組織)から得られるいかなる細胞であってもよく、適切な条件下で、多様な細胞型、例えば、3つの胚芽層(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)のうちの少なくとも1つの全ての誘導体の後代を産生することができるという特徴を有する。これらの細胞型は、樹立細胞系の形態で提供されても、初代胚組織から直接取得され、直ちに分化のために使用されてもよい。NIH Human Embryonic Stem Cell Registryに列挙される細胞は、例えば、hESBGN-01、hESBGN-02、hESBGN-03、hESBGN-04(BresaGen,Inc.);HES-1、HES-2、HES-3、HES-4、HES-5、HES-6(ES Cell International);Miz-hES1(MizMedi Hospital-Seoul National University);HSF-1、HSF-6(San FranciscoのUniversity of California);およびH1、H7、H9、H13、H14(Wisconsin Alumni Research Foundation(WiCell Research Institute))が挙げられる。一部の実施形態では、成熟インスリン陽性細胞への化学誘導分化のために使用されるヒト幹細胞または多能性幹細胞の供給源には、ヒト胚を破壊することは含まれなかった。
【0189】
[0277]別の実施形態では、幹細胞は固形組織を含む組織から単離することができる。一部の実施形態では、組織は、皮膚、脂肪組織(例えば、脂肪性組織)、筋組織、心臓または心組織である。他の実施形態では、組織は、例えば、これらに限定されないが、臍帯血、胎盤、骨髄、または軟骨である。
【0190】
[0278]目的の幹細胞としては、Thomsonら(1998)Science 282:1145によって記載されているヒト胚性幹(hES)細胞;他の霊長類由来の胚性幹細胞、例えばアカゲザル幹細胞(Thomsonら、(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:7844);マーモセット幹細胞(Thomsonら、(1996)Biol.Reprod.55:254);およびヒト胚性生殖(hEG)細胞(Shambloftら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13726、1998)によって例示される様々な型の胚細胞も挙げられる。また、系統決定幹細胞、例えば中胚葉幹細胞および他の初期心原細胞も目的の幹細胞である(Reyesら、(2001)Blood 98:2615~2625;EisenbergおよびBader(1996)Circ Res.78(2):205~16等を参照されたい)。幹細胞は、任意の哺乳動物種、例えば、ヒト、ウマ科、ウシ亜科、ブタ、イヌ科、ネコ科、げっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、霊長類等から取得され得る。一部の実施形態では、ヒト胚は、本明細書に開示される方法および組成物で使用される多能性細胞の供給源のために破壊されない。
【0191】
[0279]内皮幹細胞、筋幹細胞、および/または神経幹細胞の好適な供給源からの細胞の混合物は、当技術分野で公知の方法によって哺乳動物ドナーから採取することができる。好適な供給源は造血微小環境である。例えば、好ましくは結集された(すなわち、動員された)循環末梢血が対象から取り出され得る。ある実施形態では、幹細胞は初期化幹細胞、例えば体細胞または分化細胞から得た幹細胞であってもよい。そのような実施形態では、脱分化幹細胞は、例えば、これらに限定されないが、新生物細胞、腫瘍細胞、およびがん細胞、または代替的に人工初期化細胞、例えば人工多能性幹細胞もしくはiPS細胞であってもよい。
【0192】
[0280]一部の実施形態では、SC-β細胞は、毛胞、角化細胞、性腺刺激ホルモン産生細胞、副腎皮質刺激ホルモン産生細胞、甲状腺刺激ホルモン産生細胞、成長ホルモン産生細胞、プロラクチン産生細胞、クロム親和性細胞、傍濾胞細胞、グロムス細胞 メラニン細胞、母斑細胞、メルケル細胞、象牙芽細胞、セメント芽細胞 角膜実質細胞、網膜ミュラー細胞、網膜色素上皮細胞、ニューロン、膠細胞(例えば、乏突起膠細胞 星細胞)、上衣細胞、松果体細胞、肺細胞(例えば、I型肺細胞およびII型肺細胞)、クララ細胞、杯細胞、G細胞、D細胞、ECL細胞、胃主細胞、胃壁細胞、小窩細胞、K細胞、D細胞、I細胞、杯細胞、パネート細胞、腸細胞、小襞細胞、肝細胞、肝星細胞(例えば、中胚葉由来のクッパー細胞)、胆嚢細胞、腺房中心細胞、膵星細胞、膵α細胞、膵β細胞、膵δ細胞、膵F細胞(例えば、PP細胞)、膵ε細胞、甲状腺(例えば、濾胞細胞)、副甲状腺(例えば、副甲状腺主細胞)、好酸性細胞、尿路上皮細胞、骨芽細胞、骨細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞、線維芽細胞、線維細胞、筋芽細胞、筋細胞、筋衛星細胞、腱細胞、心筋細胞、脂肪芽細胞、脂肪細胞、カハール介在細胞、血管芽細胞、内皮細胞、メサンギウム細胞(例えば、糸球体内メサンギウム細胞および糸球体外メサンギウム細胞)、傍糸球体細胞、緻密斑細胞、間質細胞、間細胞、テロサイト 単層上皮細胞、足細胞、腎近位尿細管刷子縁細胞、セルトリ細胞、ライディッヒ細胞、顆粒膜細胞、栓細胞、生殖細胞、精子 卵子、リンパ球、骨髄性細胞、内皮前駆細胞、内皮幹細胞、血管芽細胞、メソ血管芽細胞(mesoangioblast)、周皮細胞 壁細胞、脾臓細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、樹状細胞、ミクロファージ、白血球)、栄養膜幹細胞、またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数から得ることができる。
【0193】
膵臓前駆細胞または先駆体
[0281]一部の態様では、本開示は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞からNKX6.1陽性膵臓前駆細胞を生成する方法であって、Pdx1陽性膵臓前駆細胞または先駆体を含む細胞集団を、細胞クラスター形成を促進する条件下で、a)線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、b)ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、および必要に応じてc)低濃度のレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤を含む少なくとも2つのβ細胞成熟因子と少なくとも5日の期間にわたって接触させて、集団中の少なくとも1個のPdx1陽性膵臓前駆細胞のNKX6.1陽性膵臓前駆細胞への分化を誘導するステップであって、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、NKX6.1を発現するステップを含む方法を提供する。
【0194】
[0282]一部の実施形態では、集団中のPdx1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも10%は、NKX6-1陽性膵臓前駆細胞へと分化するように誘導される。一部の実施形態では、集団中のPdx1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも95%は、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞へと分化するように誘導される。一部の実施形態では、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1、NKX6.1、およびFoxA2を発現する。一部の実施形態では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、胚性幹細胞および人工多能性幹細胞からなる群から選択される多能性幹細胞集団から生成される。
【0195】
幹細胞由来ベータ細胞
[0283]本明細書において、一部の実施形態では、幹細胞を使用してSC-ベータ細胞(例えば、成熟膵β細胞もしくはβ様細胞)またはその先駆体を生成する方法が提供される。ある実施形態では、生殖細胞は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20150240212号および同第20150218522号に記載されている類似したプロトコールを使用して、少なくとも1個のSC-β細胞を提供するために、幹細胞の代わりにまたは幹細胞と共に使用され得る。好適な生殖細胞は、例えば、最後の月経期の約8~11週間後に得られるヒト胎児材料に存在する始原生殖細胞から調製することができる。例示的な生殖細胞調製法は、例えば、Shamblottら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13726、1998、および米国特許第6,090,622号に記載されている。
【0196】
[0284]本明細書において、一部の実施形態では、SC-β細胞(例えば、膵β細胞)を生成する組成物および方法が提供される。全体として、少なくとも1個のSC-β細胞またはその先駆体、例えば本明細書に開示される方法に従って生成される膵臓前駆体は、異なる細胞の混合物または組合せ、例えば、Pdx1陽性膵臓前駆体、Pdx1とNKX6.1とを共発現する膵臓前駆体、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞(例えば、β様細胞)、およびインスリン陽性内分泌細胞、ならびに/または他の多能性もしくは幹細胞等の細胞の混合物等を含むことができる。
【0197】
[0285]少なくとも1個のSC-β細胞またはその先駆体は、幹細胞または多能性細胞を所望の分化のステージに分化させるのに好適な任意の培養プロトコールに従って生成することができる。一部の実施形態では、少なくとも1個のSC-β細胞またはその先駆体は、少なくとも1個の多能性細胞を、少なくとも1個の多能性細胞が少なくとも1個のSC-β細胞またはその先駆体へと分化するのに好適な期間および条件下で培養することによって生成される。
【0198】
[0286]一部の実施形態では、少なくとも1個のSC-β細胞またはその先駆体は、SC-β細胞またはその先駆体の実質的に純粋な集団である。一部の実施形態では、SC-β細胞またはその先駆体の集団は、多能性細胞または分化細胞の混合物を含む。一部の実施形態では、SC-β細胞またはその先駆体の集団は、胚性幹細胞も、多能性細胞も、iPS細胞も実質的に含まないかまたはそれらを欠く。
【0199】
[0287]一部の実施形態では、体細胞、例えば線維芽細胞は、例えば組織生検、例えば皮膚生検等として対象から単離することができ、さらなる分化のために人工多能性幹細胞に初期化して、本明細書に記載される組成物および方法での使用のための少なくとも1個のSC-β細胞またはその先駆体を生成することができる。一部の実施形態では、体細胞、例えば線維芽細胞は、当業者によって公知の方法によって培養に維持され、一部の実施形態では、増幅された後に、本明細書に開示される方法によってSC-β細胞に変換される。
【0200】
[0288]一部の実施形態では、少なくとも1個のSC-β細胞またはその先駆体は、当業者に公知の方法によって培養に維持され、一部の実施形態では、増幅された後に、本明細書に開示される方法によってSC-β細胞に変換される。
【0201】
[0289]さらに、少なくとも1個のSC-β細胞またはその先駆体、例えば、膵臓前駆体は、任意の哺乳動物種由来であることができ、非限定的な例としては、マウス、ウシ、類人猿、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヒト細胞が挙げられる。説明を明確かつ簡単にするために、本明細書の方法の記載は哺乳動物の少なくとも1個のSC-β細胞またはその先駆体に言及するが、本明細書に記載される全ての方法は他の細胞型の少なくとも1個のSC-β細胞またはその先駆体に容易に適用できることが理解されるべきである。一部の実施形態では、少なくとも1個のSC-β細胞またはその先駆体はヒト個体に由来する。
【0202】
幹細胞由来ベータ細胞の細胞クラスター
[0290]本明細書において、一部の態様では、内因性膵島の機能および特徴に類似する細胞クラスターが提供される。そのような細胞クラスターは、対象の代謝、例えばグルコース代謝を調節するという内因性膵島の機能を模倣することができる。したがって、細胞クラスターは、不十分な膵島機能に起因する疾患、例えば、糖尿病を処置するために対象に移植することができる。「クラスター」および「凝集体」という用語は、交換可能に使用することができ、密接な細胞間接触を有する細胞群、一部の場合では、互いに接着することができるクラスター中の細胞を指す。
【0203】
[0291]細胞クラスターは複数の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも2500、少なくとも3000、少なくとも3500、少なくとも4000、少なくとも4500、少なくとも5000、少なくとも6000、少なくとも7000、少なくとも8000、少なくとも9000、少なくとも10,000、少なくとも20,000、少なくとも30,000、または少なくとも50,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、10~10,000個の間の細胞、50~10,000個の間、100~10,000個の間、100~10,000個の間、1,000~10,000個の間、500~10,000個の間、500~5,000個の間、500~2,500個の間、500~2,000個の間、1,000~100,000個の間、1,000~50,000個の間、1,000~40,000個の間、1,000~20,000個の間、1,000~10,000個の間、1,000~5,000個の間、および1,000~3,000個の間の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは少なくとも500個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは少なくとも1,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは少なくとも2,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは少なくとも5,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、100,000個以下、90,000個以下、80,000個以下、70,000個以下、60,000個以下、50,000個以下、40,000個以下、30,000個以下、20,000個以下、10,000個以下、7,000個以下、5,000個以下、3,000個以下、2,000個以下の細胞、または1,000個以下の細胞を含む。
【0204】
[0292]本明細書の細胞クラスターは、少なくとも1個の非天然細胞、例えば非天然膵β細胞を含むことができる。非天然細胞(例えば、非天然膵β細胞)は、内因性細胞(例えば、内因性成熟膵β細胞)の特徴を共有することができるが、ある特定の態様(例えば、遺伝子発現プロファイル)の点で異なる。非天然細胞は遺伝子修飾細胞であり得る。非天然細胞は、前駆細胞、例えば幹細胞から分化した細胞であり得る。幹細胞は胚性幹細胞(ESC)または人工多能性幹細胞(iPSC)であり得る。一部の場合では、非天然細胞は前駆細胞からin vitroで分化した細胞であり得る。一部の場合では、非天然細胞は前駆細胞からin vivoで分化した細胞であり得る。例えば、細胞クラスターは少なくとも1個の非天然膵β細胞を含むことができる。非天然膵β細胞は、全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第14/684,129号および同第14/684,101号に記載されているものであり得る。細胞クラスターは複数の非天然膵β細胞を含むことができる。一部の場合では、細胞クラスター中の少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%の細胞は非天然膵β細胞である。細胞クラスターは1個または複数の天然細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターは1個または複数の初代細胞、例えば内因性膵島由来の初代細胞を含むことができる。
【0205】
[0293]細胞クラスターは、内因性細胞、例えば内因性成熟膵β細胞の少なくとも1つのマーカーを発現する1個または複数の細胞を含むことができる。「マーカー」という用語は、観察または検出することができる分子を指すことができる。例えば、マーカーとしては、これらに限定されないが、核酸、例えば特定の遺伝子の転写物、遺伝子のポリペプチド産物、非遺伝子産物ポリペプチド、糖タンパク質、炭水化物、糖脂質、脂質、リポタンパク質、または低分子を挙げることができる。多くの場合、マーカーは、特定の細胞型に特徴的であり得る分子を指すことができ、したがって、マーカーは細胞型のマーカーと呼ぶことができる。例えば、インスリン遺伝子はβ細胞のマーカーと称すことができる。一部の場合では、マーカーは遺伝子である。内因性成熟膵β細胞のマーカーの非限定的なものとしては、インスリン、Cペプチド、PDX1、NKX6.1、CHGA、MAFA、ZNT8、PAX6、NEUROD1、グルコキナーゼ(GCK)、SLC2A、PCSK1、KCNJ11、ABCC8、SLC30A8、SNAP25、RAB3A、GAD2、およびPTPRNが挙げられる。
【0206】
[0294]細胞クラスターは、内因性細胞、例えば内因性成熟膵β細胞の1つまたは複数のマーカーを発現する1個または複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターは、内因性細胞、例えば内因性成熟膵β細胞の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、または20のマーカーを共発現する1個または複数の細胞を含むことができる。一部の場合では、細胞クラスターは、いずれもβ細胞のマーカーであり得るNKX6.1およびCペプチドを発現する細胞を含む。
【0207】
[0295]細胞クラスターは、内因性細胞の少なくとも1つのマーカーを発現する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスター中の少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%の細胞は、内因性細胞の少なくとも1つのマーカーを発現することができる。一部の場合では、細胞クラスター中の全ての細胞は内因性細胞のマーカーを発現することができる。一部の場合では、内因性細胞は膵細胞、例えば、膵β細胞、膵α細胞、膵β細胞、膵Δ細胞、または膵γ細胞であり得る。本明細書で提供される細胞クラスターは異種細胞群、例えば多様な型の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターは、膵β細胞のマーカーであり得るインスリン/Cペプチドを発現する細胞、膵α細胞のマーカーであり得るグルカゴンを発現する細胞、膵Δ細胞のマーカーであり得るソマトスタチンを発現する細胞、膵ポリペプチドを発現する細胞、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0208】
[0296]例えば、本明細書の細胞クラスターは内因性成熟膵β細胞の1つまたは複数のマーカーを発現する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスター中の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の細胞は、内因性成熟膵β細胞の1つまたは複数のマーカーを発現することができる。
【0209】
[0297]細胞クラスターはCHGAを発現する複数の細胞を含むことができる。一部の場合では、細胞クラスター中の少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の細胞はCHGAを発現する。一部の場合では、細胞クラスター中の少なくとも約85%の細胞はCHGAを発現することができる。一部の場合では、細胞クラスターはCHGAを発現する細胞を約90%含むことができる。一部の場合では、細胞クラスターはCHGAを発現する細胞を約95%含むことができる。ある特定の場合では、細胞クラスター中の全ての細胞はCHGAを発現することができる。
【0210】
[0298]細胞クラスターはNKX6.1を発現する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスター中の少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%の細胞はNKX6.1を発現することができる。一部の場合では、細胞クラスター中の少なくとも約50%の細胞はNKX6.1を発現することができる。一部の場合では、細胞クラスター中の全ての細胞はNKX6.1を発現することができる。
【0211】
[0299]細胞クラスターはCペプチドを発現する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスター中の少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の細胞はCペプチドを発現することができる。一部の場合では、細胞クラスター中の少なくとも約60%の細胞はCペプチドを発現することができる。一部の場合では、細胞クラスター中の全ての細胞はCペプチドを発現することができる。
【0212】
[0300]細胞クラスターはNKX6.1とCペプチドの両方を発現する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスター中の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の細胞はCペプチドを発現することができる。一部の場合では、細胞クラスター中の少なくとも約35%の細胞はNKX6.1およびCペプチドを発現することができる。一部の場合では、細胞クラスター中の少なくとも約40%の細胞はNKX6.1およびCペプチドを発現することができる。一部の場合では、細胞クラスター中の少なくとも約35%の細胞はNKX6.1およびCペプチドを発現することができる。一部の場合では、細胞クラスターは、NKX6.1およびCペプチドを発現する細胞を約60%含むことができる。一部の場合では、細胞クラスターは、NKX6.1およびCペプチドを発現する細胞を約75%含むことができる。一部の場合では、細胞クラスター中の全ての細胞はNKX6.1およびCペプチドを発現することができる。
【0213】
[0301]細胞クラスターは、幹細胞も、前駆細胞、例えば膵臓前駆細胞もほとんど含まないか、または全く含まない可能性がある。例えば、本明細書で提供される細胞クラスターは、LIN28を発現する細胞を最大約5%、最大約5%、最大約5%、最大約5%、最大約5%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.1%、最大約0.05%、最大約0.01%含むか、または全く含まない可能性がある。一部の例では、本明細書で提供される細胞クラスターは、Ki67を発現する細胞を最大約5%、最大約5%、最大約5%、最大約5%、最大約5%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.1%、最大約0.05%、最大約0.01%含むか、または全く含まない可能性がある。
【0214】
[0302]一部の場合では、細胞クラスターは、SOX2を発現する細胞を最大3%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.1%、最大約0.05%、最大約0.01%含むか、または全く含まない可能性がある。一部の場合では、細胞クラスターは、SOX2を発現する細胞を約1%含み得る。一部の場合では、細胞クラスターは、SOX2を発現する細胞を約0.6%含み得る。一部の場合では、細胞クラスターは、SOX2を発現する細胞を約0.3%含み得る。一部の場合では、細胞クラスターは、SOX2を発現する細胞を約0.1%含み得る。
【0215】
[0303]一部の例では、細胞クラスターは、SOX9を発現する細胞を最大10%、最大約8%、最大約6%、最大約5%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.1%、最大約0.05%、最大約0.01%含むか、または全く含まない可能性がある。一部の場合では、細胞クラスターは、SOX9を発現する細胞を約2%含み得る。一部の場合では、細胞クラスターは、SOX9を発現する細胞を約6%含み得る。一部の場合では、細胞クラスターは、SOX9を発現する細胞を約1.2%含み得る。
【0216】
[0304]本明細書の細胞クラスターは、グルコース負荷(複数可)に曝露された場合、in vitroで1つまたは複数のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)応答を呈することができる。このGSIS応答は内因性膵島のGSIS応答に類似する場合がある。一部の場合では、細胞クラスターは、グルコース負荷に対するin vitro GSIS応答を呈する。一部の場合では、細胞クラスターは、複数回のグルコース負荷、例えば逐次グルコース負荷に対するin vitro GSIS応答を呈する。例えば、細胞クラスターは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10回の逐次グルコース負荷に対するin vitro GSIS応答を呈することができる。
【0217】
[0305]本明細書で提供される細胞クラスターは、in vitro GSISを呈する少なくとも1個の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスター中の少なくとも1個の細胞は成熟膵β細胞と称される場合がある。一部の場合では、少なくとも1個の細胞は非天然膵β細胞である。一部の場合では、少なくとも1個の細胞は天然/内因性β細胞に類似する膵β細胞である。一部の場合では、細胞はin vitroグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)応答を呈する。一部の場合では、少なくとも1個の細胞は少なくとも1回のグルコース負荷に対するGSIS応答を呈する。一部の場合では、細胞は少なくとも2回の逐次グルコース負荷に対するGSIS応答を呈する。一部の場合では、細胞は少なくとも3回の逐次グルコース負荷に対するGSIS応答を呈する。
【0218】
[0306]本明細書で提供されるように、細胞クラスターは、内因性膵島と類似したGSIS刺激指数を呈することができる。細胞クラスターまたは細胞の刺激指数は、高グルコース濃度に応答して分泌されるインスリンの低グルコース濃度と比較した比によって特徴付けることができる。例えば、本明細書で提供される細胞クラスターまたは細胞の刺激指数は、20mMグルコース刺激に応答して分泌されるインスリンの2.8mMグルコース刺激に応答して分泌されるインスリンに対する比として算出することができる。一部の例では、本明細書で提供される細胞クラスターまたは細胞の刺激指数は、1以上、または1.1以上、または1.3以上、または2以上、または2.3以上、または2.6以上である。一部の場合では、細胞クラスターまたは細胞は、サイトカインに応答してサイトカイン誘導アポトーシスを呈する。一部の場合では、サイトカインは、インターロイキン-β(IL-β)、インターフェロン-γ(INF-γ)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の場合では、細胞クラスターまたは細胞からのインスリン分泌は抗糖尿病剤に応答して増強する。一部の場合では、抗糖尿病剤は、インクレチン模倣薬、スルホニル尿素、メグリチニド、およびそれらの組合せからなる群から選択される分泌促進薬を含む。一部の場合では、細胞クラスターまたは細胞は単ホルモンである。一部の場合では、細胞クラスターまたは細胞は、内因性成熟膵β細胞の形態に類似する形態を呈する。一部の場合では、細胞クラスターまたは細胞は、電子顕微鏡下で内因性成熟膵β細胞のインスリン顆粒に類似する封入された結晶インスリン顆粒を呈する。一部の場合では、細胞クラスターまたは細胞は低い複製速度を呈する。一部の場合では、細胞クラスターまたは細胞は、内因性成熟膵β細胞のグルコース刺激性Ca2+流(GSCF)に類似するGSCFを呈する。一部の場合では、細胞クラスターまたは細胞は、少なくとも1回のグルコース負荷に対するGSCF応答を呈する。一部の場合では、細胞クラスターまたは細胞は、少なくとも2回のグルコース負荷に対するGSCF応答を呈する。一部の場合では、細胞クラスターまたは細胞は、少なくとも3回のグルコース負荷に対するGSCF応答を呈する。一部の場合では、細胞クラスターまたは細胞は増加したカルシウム流を呈する。一部の場合では、増加したカルシウム流は、増加した流入量または低グルコース濃度の高グルコース濃度に対する流入の比を含む。
【0219】
[0307]本明細書で提供される細胞クラスターは、内因性膵島、例えばヒト膵島と類似した、高グルコース濃度刺激に応答した二相性インスリン分泌を呈することができる。二相性インスリン分泌は、内因性膵島、例えばヒト島に特徴的な現象であり得る。一部の実施形態では、本明細書で提供される細胞クラスター、例えば再凝集膵細胞クラスターの高グルコース濃度負荷、例えば、10mM、15mM、20mM、または30mMに対する応答は、インスリン分泌のピーク値への一過性の増加と、それに続く比較的上昇したインスリン分泌レベル、例えばより低いグルコース濃度、例えば2.8mMグルコースに応答したインスリン分泌レベルよりも高いレベルへの急速な低下とを呈することができる。そのような一過性の増加および低下プロセスは、二相性インスリン分泌パターンの第1相と称される場合がある。したがって、永続的な高グルコース負荷では、第1相の後に、細胞クラスターによるインスリン分泌が比較的上昇したレベルで維持され得る第2相が続くことができる。第2相は長期間、例えば、高グルコース濃度負荷が継続する限り、または第1相よりも比較的長く継続し得る。そのような二相性インスリン分泌パターンは、成熟天然膵β細胞に特徴的な固有の細胞シグナル伝達変化に起因する可能性がある。
【0220】
[0308]対象に移植される場合、細胞クラスターは、グルコース負荷(複数可)に曝露された場合に1つまたは複数のin vivo GSIS応答を呈することができる。本明細書の細胞クラスターは、対象に移植されてから短い期間以内にin vivo GSIS応答を呈することができる可能性がある。例えば、細胞クラスターは、移植後約6、12、または24時間以内にin vivo GSISを呈することができる。一部の場合では、細胞クラスターは、移植後約2日、4日、6日、8日、10日、12日、14日、21日、28日、35日、または42日以内にin vivo GSISを呈する。細胞クラスターによって分泌されるインスリンの量は、内因性膵島と類似するかまたはそれよりも高い可能性がある。基準数値に関する「約」という用語は、本出願を通じて使用される場合、その値からプラスまたはマイナス10%の範囲の値を含み得る。例えば、「約10」という量は9~11の量を含む。例えば、基準数値に関する「約」という用語はまた、その値からプラスまたはマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲の値を含み得る。
【0221】
[0309]細胞クラスターは、対象へ移植された後の期間、in vivo GSIS応答を呈する能力を維持することができる。例えば、細胞クラスターのin vivo GSIS応答は、細胞クラスターの対象(例えば、ヒト)への移植後少なくとも2週間、3週間、4週間、5週間、10週間、15週間、20週間、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、10年、20年、30年、40年、60年、80年、または100年まで観察することができる。
【0222】
[0310]細胞クラスターのGSISは刺激指数によって測定することができる。細胞クラスターの刺激指数は、高グルコース濃度に応答して分泌されるインスリンの低グルコース濃度に応答して分泌されるインスリンと比較した比と等しい可能性がある。細胞クラスターは内因性膵島と類似した刺激指数を有し得る。一部の場合では、細胞クラスターは、少なくとも1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5.0の刺激指数を有する。
【0223】
[0311]グルコース負荷(例えば、高濃度、例えば20mMのグルコース)に応答して細胞クラスターによって分泌されるインスリンの量は、約0.1μIU/103細胞~約5μIU/103細胞、約0.2μIU/103細胞~約4μIU/103細胞、約0.2μIU/103細胞~約3μIU/103細胞、または約0.23μIU/103細胞~約2.7μIU/103細胞の範囲であり得る。一部の場合では、グルコース負荷(例えば、高濃度、例えば20mMのグルコース)に応答して細胞クラスターによって分泌されるインスリンの量は、少なくとも0.05、0.1、0.15、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3μIU/103細胞である。
【0224】
[0312]細胞クラスターはプロインスリンとインスリンの両方を分泌することができる。例えば、細胞クラスターは、内因性膵島によって分泌されるプロインスリンのインスリンに対する比と実質的に同じプロインスリン対インスリン比でプロインスリンおよびインスリンを分泌することができる。一部の場合では、細胞クラスターは、約0.01~約0.05、約0.02~約0.04、約0.02~約0.03、または0.029~約0.031のプロインスリン対インスリン比でプロインスリンおよびインスリンを分泌する。一部の場合では、細胞クラスターは、約0.02、0.021、0.022、0.023、0.024、0.025、0.026、0.027、0.028、0.029、0.03、0.031、0.032、0.033、0.034、0.035、0.036、0.037、0.038、0.039、または0.04のプロインスリン対インスリン比でプロインスリンおよびインスリンを分泌する。
【0225】
[0313]細胞クラスターは、内因性膵島と類似したサイズであり得る。例えば、細胞クラスターは内因性膵島と類似した直径を有し得る。細胞クラスターの直径とは、細胞クラスターの表面の2点間の最大の直線距離を指すことができる。一部の場合では、細胞クラスターの直径は、最大300μm、200μm、150μm、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、または40μmである。細胞クラスターの直径は約75μm~約250μmであり得る。細胞クラスターの直径は最大100μmであり得る。
【0226】
[0314]細胞クラスターは、死細胞をほとんど含まないか、または全く含まない可能性がある。細胞クラスターは、周囲環境から細胞クラスターの中心への分子(例えば、栄養および気体)の効果的な拡散を可能にするサイズであり得る。拡散した分子は、中心の細胞の生存および機能に重要であり得る。一部の場合では、細胞クラスターは、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%未満の死細胞、例えば中心における死細胞を有し得る。一部の場合では、細胞クラスターは死細胞を全く有しない可能性がある。死細胞は、アポトーシス細胞、麻薬細胞(narcotic cell)、またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0227】
[0315]細胞クラスターは1つまたは複数の型の細胞を含むことができる。一部の場合では、細胞クラスターは1つまたは複数の型の膵細胞を含む。例えば、細胞クラスターは、1個または複数の膵β細胞、膵α細胞、膵Δ細胞、膵γ細胞、およびそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合では、膵細胞は非天然膵細胞、例えばESCおよび/またはiPSC等の幹細胞に由来する細胞であり得る。一部の場合では、細胞クラスターはまた、iPSC、ESC、胚体内胚葉細胞、原始腸管細胞、Pdx1陽性膵臓前駆細胞、Pdx1陽性/NKX6.1陽性膵臓前駆細胞、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、およびそれらの任意の組合せを含む成熟膵細胞の1個または複数の前駆細胞を含むことができる。
【0228】
[0316]細胞クラスターは、サイトカインに応答してサイトカイン誘導アポトーシスを呈することができる。例えば、細胞クラスターは、インターロイキン-1β(IL-β)、インターフェロン-γ(INF-γ)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、およびそれらの組合せ等のサイトカインに応答してサイトカイン誘導アポトーシスを呈することができる。
【0229】
[0317]本明細書の細胞クラスターからのインスリン分泌は、抗糖尿病薬(例えば、ex vivo、in vitro、および/またはin vivoで膵β細胞に作用する抗糖尿病薬)によって増強し得る。本開示はいかなる公知の抗糖尿病薬も企図することができる。一部の場合では、細胞クラスターからのインスリン分泌は分泌促進薬によって増強し得る。分泌促進薬は、インクレチン模倣薬、スルホニル尿素、メグリチニド、およびそれらの組合せであり得る。
【0230】
[0318]細胞クラスターは単ホルモンを含むことができる。例えば、細胞クラスターは、単ホルモンである膵細胞(例えば、膵β細胞、膵α細胞、膵β細胞、膵Δ細胞、または膵γ細胞)を含むことができる。一部の場合では、細胞クラスターは、単ホルモンであるインスリン分泌非天然膵細胞を含む。細胞クラスターは多ホルモンを含むことができる。一部の場合では、細胞クラスターは単ホルモン細胞および多ホルモン細胞を含む。
【0231】
[0319]細胞クラスターは、内因性成熟膵β細胞の形態に類似する形態を有する細胞(例えば、非天然膵細胞)を含むことができる。一部の場合では、細胞クラスターは、例えば電子顕微鏡によって検出される、内因性成熟膵β細胞のインスリン顆粒に類似する結晶インスリン顆粒を封入する細胞を含むことができる。細胞クラスターは、内因性成熟膵β細胞の形態に類似する形態を有する複数の細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスター中の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%の細胞は、内因性成熟膵β細胞のインスリン顆粒に類似する結晶インスリン顆粒を封入することができる。一部の場合では、細胞クラスター中の100%の細胞は、内因性成熟膵β細胞のインスリン顆粒に類似する結晶インスリン顆粒を封入する。
【0232】
[0320]細胞クラスターは、1回または複数回のグルコース負荷に対するグルコース刺激性カルシウム(Ca2+)流を呈することができる。一部の場合では、細胞クラスターは、内因性膵島のグルコース刺激性Ca2+流(GSCF)に類似するGSCFを呈する。一部の場合では、細胞クラスターは、内因性膵島の複数回のグルコース負荷に対するGSCF応答に類似する様式で少なくとも1、2、3、4、5、6、8、または10回の逐次グルコース負荷に対するGSCF応答を呈する。細胞クラスターは、グルコース負荷に曝露された場合、in vitroおよび/またはin vivo GSCF応答を呈することができる。
【0233】
[0321]細胞クラスターは、任意の種を起源とする細胞を含むことができる。例えば、細胞クラスターは、哺乳動物種由来の細胞を含むことができ、非限定的な例としては、マウス、ウシ、類人猿、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヒト細胞が挙げられる。一部の場合では、細胞クラスター中の少なくとも1個の細胞はヒト細胞である。
【0234】
[0322]本明細書で提供されるものには、本出願を通じて開示される細胞クラスター含む組成物も含まれる。細胞クラスターに加えて、組成物は、細胞クラスターを対象に移植するために使用することができる足場またはマトリックスをさらに含むことができる。足場は細胞クラスターが接着する構造体を提供することができる。細胞クラスターは足場と共に対象に移植することができる。足場は生分解性であり得る。一部の場合では、足場は生分解性ポリマーを含む。生分解性ポリマーは合成ポリマー、例えば、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、および他のポリヒドロキシ酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、および生分解性ポリウレタンであり得る。生分解性ポリマーはまた、天然ポリマー、例えば、アルブミン、コラーゲン、フィブリン、ポリアミノ酸、プロラミン、ならびに多糖(例えば、アルギネート、ヘパリン、および他の天然に存在する糖単位の生分解性ポリマー)であり得る。あるいは、足場は非生分解性であり得る。例えば、足場は非生分解性ポリマー、例えば、ポリアクリレート、エチレン-酢酸ビニルポリマー、および他のアシル置換酢酸セルロース、ならびにそれらの誘導体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、およびポリ酸化エチレンを含み得る。
【0235】
解離した細胞の組成物および幹細胞由来ベータ細胞の細胞クラスターを作製する方法
[0323]本明細書ではさらに、内因性組織または細胞クラスター、例えば、内因性膵島の機能および特徴に類似する細胞クラスターを作製する方法が開示される。本開示の方法は、第1の細胞クラスターを解離させるステップと、解離した細胞を第2の細胞クラスターに再凝集させるステップを含み得、ここで、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較して、内因性組織または細胞クラスター、例えば、内因性膵島の機能および特徴に、より密接に類似する。「再凝集」という用語およびその文法的均等物は、本明細書で使用される場合、クラスターが解離してより小さなクラスターまたは単一細胞になり、解離した細胞が次いで新たな細胞間接点を形成し、新たなクラスターを形成することを意味し得る。本開示の方法は、a)第1の細胞クラスターから複数の細胞を解離させるステップ、およびb)培地中でa)の複数の細胞を培養し、それにより、複数の細胞に第2の細胞クラスターを形成させるステップによって、細胞クラスターをin vitroで生成するために使用され得る。場合により、第2の細胞クラスターは、in vitro細胞クラスターである。第1の細胞クラスターは、in vitro細胞クラスター、例えば、培養培地におけるin vitroの単一細胞の懸濁液によって形成されたクラスターであり得る。場合により、第1の細胞クラスターは、ex vivo細胞クラスター、例えば、生きた生物の体内で形成され、前記生物から単離された細胞クラスターであってもよい。例えば、本明細書で提供される方法が適用可能である第1の細胞クラスターは、ヒトの膵島であり得る。場合により、第1の細胞クラスターは、死体の膵島であってもよい。
【0236】
[0324]本明細書で提供される方法は、細胞クラスター内の膵臓細胞、例えば、膵臓β細胞、内分泌細胞、または内分泌前駆細胞を濃縮することができる。一部の例では、本開示の方法は、幹細胞または膵臓前駆細胞を細胞クラスターから低減させるまたは排除することができる。場合により、第2の細胞クラスターは、クロモグラニンAを発現する細胞を、第1の細胞クラスターと比較してより高いパーセンテージで含む。場合により、第2の細胞クラスターは、NKX6.1およびCペプチドを発現する細胞を、第1の細胞クラスターと比較してより高いパーセンテージで含む。場合により、第2の細胞クラスターは、SOX2を発現する細胞を、第1の細胞クラスターと比較してより低いパーセンテージで含む。場合により、第2のin vitro細胞クラスターは、SOX9を発現する細胞を、第1の細胞クラスターと比較してより低いパーセンテージで含む。
【0237】
[0325]場合により、培地は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤およびトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤を含む。場合により、培地は、a)血清、ならびにb)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤およびTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のうちの一方または両方を含む。場合により、本明細書で提供されるような再凝集のための培地(再凝集培地)は、小分子化合物を含まなくてもよい。例えば、再凝集培地は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を含まなくてもよい。場合により、再凝集培地は、トリヨードチロニン(T3)を含まないか、または微量のT3しか含まない。再凝集培地は、TGFβシグナル伝達経路阻害剤を含まなくてもよい。場合により、再凝集培地は、Alk5阻害剤(Alk5i)を含まないか、または微量のAlk5iしか含まない。
【0238】
[0326]第1の細胞クラスターの解離は、当技術分野で知られる方法を使用して行われ得る。細胞クラスターを解離させるための非限定的で例示的な方法は、物理的な力(例えば、セルスクレーパー、ナローボアピペットによる粉砕、細針吸引、ボルテックス脱凝集、および細目ナイロンまたはステンレス鋼メッシュを通した強制濾過などの機械的解離)、トリプシン、コラゲナーゼ、TrypLE(商標)のような酵素を使用した酵素的解離など、またはそれらの組合せを含む。解離後、第1の細胞クラスターの細胞は、細胞懸濁液、例えば、単一細胞懸濁液中に存在し得る。「懸濁液」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞が固体支持体に結合していない細胞培養条件を意味し得る。懸濁液中で増殖する細胞は、当業者に周知の装置を使用して増殖中に撹拌され得る。
【0239】
[0327]一部の実施形態では、本開示は、解離した細胞を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示の組成物は、細胞クラスターを含まない。一部の実施形態では、本開示の組成物は、インスリン陽性細胞クラスターを含まない。一部の実施形態では、本開示の組成物は、5、10、20、30、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000個を超える細胞を含む細胞クラスターを含まない。一部の実施形態では、本開示の組成物は、50個を超える細胞を含む細胞クラスターを含まない。一部の実施形態では、本開示の組成物は、100個を超える細胞を含む細胞クラスターを含まない。一部の実施形態では、本開示の組成物は、500個を超える細胞を含む細胞クラスターを含まない。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、解離した細胞は、Ngn3陽性である。一部の実施形態では、解離した細胞は、PDX.1陽性である。一部の実施形態では、解離した細胞は、NKX6.1陽性である。一部の実施形態では、本開示は、解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびBMPシグナル伝達経路阻害剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびROCK阻害剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、もしくは14-1152、またはそれらの誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、3-デアザネプラノシンA塩酸塩またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)および亜鉛を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、亜鉛は、ZnSO4の形態にある。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびモノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、MGLL阻害剤は、JJKK048、KML29、NF1819、JW642、JZL184、JZL195、JZP361、プリスチメリン、もしくはURB602、または前出のもののうちのいずれかの誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)および脂質を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、脂質は、飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、飽和脂肪酸は、パルミテートである。一部の実施形態では、脂質は、不飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはパルミトレイン酸である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびグルタメートを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびアセテートを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびβ-ヒドロキシブタレートを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびL-カルニチンを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびタウリンを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびホルメートを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離した細胞(例えば、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞)およびビオチンを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示の組成物は、血清アルブミンタンパク質をさらに含む。一部の実施形態では、血清アルブミンタンパク質は、ヒト血清アルブミンタンパク質である。一部の実施形態では、本開示の組成物は、0.01%~1%、0.03~1%、0.03~0.9%、0.03~0.08%、0.03~0.06%、0.03~0.05%、0.04~0.8%、0.04~0.7%、0.04~0.6%、0.04~0.5%、0.04~0.4%、0.04~0.3%、0.04~0.2%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、0.04~0.8%、0.04~0.07%、0.04~0.06%、0.04~0.05%、0.05~1%、0.05~0.9%、0.05~0.8%、0.05~0.7%、0.05~0.6%、0.05~0.5%、0.05~0.4%、0.05~0.3%、0.05~0.2%、0.05~0.1%、0.05~0.09%、0.05~0.8%、0.05~0.07%、または0.05~0.06%の血清アルブミンタンパク質を含む。一部の実施形態では、組成物中の細胞の90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満は、細胞クラスターになっている。一部の実施形態では、本開示の組成物は、TGF-β経路阻害剤を含む。一部の実施形態では、TGF-β経路阻害剤は、Alk5i(SB505124)またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示の組成物は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を含む。一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、GC-1もしくはT3、またはそれらの誘導体である。一部の実施形態では、本開示の組成物は、タンパク質キナーゼ阻害剤を含む。一部の実施形態では、タンパク質キナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンである。一部の実施形態では、本開示の組成物は、ビタミンCを含む。特定の実施形態では、本開示の組成物は、in vitroである。一部の実施形態では、本開示の組成物は、インスリンを含む。一部の実施形態では、本開示の組成物は、γセクレターゼ阻害剤(例えば、XXI)を含まない。一部の実施形態では、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞は、以前に凍結されたものである。
【0240】
[0328]一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物であって、細胞クラスターは、インスリン陽性細胞を含み、組成物中の細胞の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、または少なくとも65%は、11日間のin vitro培養後に生存可能である、組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物であって、細胞クラスターは、インスリン陽性細胞を含み、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、直径90~140μm、90~130μm、90~120μm、90~110μm、100~140μm、100~130μm、100~120μm、100~110μmである、組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の細胞クラスターを含む組成物であって、細胞クラスターは、インスリン陽性細胞を含み、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、1.5~4.5、1.5~4.0、1.5~3.5、1.5~3.0、1.5~2.5、1.5~2.5、1.5~2.0、2.0~4.5、2.0~4.0、2.0~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、2.5~4.5、2.5~4.0、2.5~3.5、2.5~3.0、3.0~4.5、3.0~4.0、3.0~3.5、3.5~4.5、3.5~4.0、もしくは4.0~4.5のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)刺激指数を呈する、組成物を提供する。一部の実施形態では、細胞クラスターは、Cペプチド陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、ソマトスタチン陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、グルカゴン陽性細胞を含む。一部の実施形態では、組成物中の細胞の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、もしくは少なくとも65%は、11日間のin vitro培養後に生存可能である。一部の実施形態では、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、直径90~140μm、90~130μm、90~120μm、90~110μm、100~140μm、100~130μm、100~120μm、100~110μmである。一部の実施形態では、組成物中の細胞クラスターの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%は、1.5~4.5、1.5~4.0、1.5~3.5、1.5~3.0、1.5~2.5、1.5~2.5、1.5~2.0、2.0~4.5、2.0~4.0、2.0~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、2.5~4.5、2.5~4.0、2.5~3.5、2.5~3.0、3.0~4.5、3.0~4.0、3.0~3.5、3.5~4.5、3.5~4.0、または4.0~4.5のグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)刺激指数を呈する。一部の実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、50、100、1000、10000、100000、または1000000個の細胞クラスターが存在する。一部の実施形態では、本開示の組成物は、本明細書で開示されるいずれかの方法に従って調製される。一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示されるいずれかの細胞組成物を含むデバイスを提供する。一部の実施形態では、本開示は、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患(例えば、糖尿病)を有する対象を処置する方法であって、本明細書で開示されるいずれかの組成物または本明細書で開示されるいずれかのデバイスを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0241】
[0329]一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、BMPシグナル伝達経路阻害剤と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ROCK阻害剤と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、もしくは14-1152、またはそれらの誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、3-デアザネプラノシンA塩酸塩またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、亜鉛と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、亜鉛は、ZnSO4の形態にある。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、モノグリセリドリパーゼ(MGLL)阻害剤と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、MGLL阻害剤は、JJKK048、KML29、NF1819、JW642、JZL184、JZL195、JZP361、プリスチメリン、もしくはURB602、または前出のもののうちのいずれかの誘導体である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、脂質と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、脂質は、飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、飽和脂肪酸は、パルミテートである。一部の実施形態では、脂質は、不飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、またはパルミトレイン酸である。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、グルタメートと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、アセテートと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、β-ヒドロキシブタレートと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、L-カルニチンと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、タウリンと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ホルメートと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ビオチンと接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、血清アルブミンタンパク質と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、血清アルブミンタンパク質は、ヒト血清アルブミンタンパク質である。一部の実施形態では、本開示の組成物は、0.01%~1%、0.03~1%、0.03~0.9%、0.03~0.08%、0.03~0.06%、0.03~0.05%、0.04~0.8%、0.04~0.7%、0.04~0.6%、0.04~0.5%、0.04~0.4%、0.04~0.3%、0.04~0.2%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、0.04~0.8%、0.04~0.07%、0.04~0.06%、0.04~0.05%、0.05~1%、0.05~0.9%、0.05~0.8%、0.05~0.7%、0.05~0.6%、0.05~0.5%、0.05~0.4%、0.05~0.3%、0.05~0.2%、0.05~0.1%、0.05~0.09%、0.05~0.8%、0.05~0.07%、または0.05~0.06%の血清アルブミンタンパク質を含む。一部の実施形態では、組成物中の細胞の90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満は、細胞クラスターになっている。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、TGF-β経路阻害剤と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、TGF-β経路阻害剤は、Alk5i(SB505124)またはその誘導体である。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、GC-1もしくはT3、またはそれらの誘導体である。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、タンパク質キナーゼ阻害剤と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、タンパク質キナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンである。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、ビタミンCと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞を、インスリンと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、本開示の方法は、複数の解離したインスリン陽性内分泌細胞を、γセクレターゼ阻害剤(例えば、XXI)と接触させるステップを含まない。一部の実施形態では、解離したインスリン陽性内分泌前駆細胞は、以前に凍結されたものである。一部の実施形態では、本開示の方法は、1~10日間、1~9日間、1~8日間、1~7日間、1~6日間、1~5日間、1~4日間、1~3日間、1~2日間、2~10日間、2~9日間、2~8日間、2~7日間、2~6日間、2~5日間、2~4日間、2~3日間、3~10日間、3~9日間、3~8日間、3~7日間、3~6日間、3~5日間、3~4日間、4~10日間、4~9日間、4~8日間、4~7日間、4~6日間、または4~5日間にわたって行われる。一部の実施形態では、本開示の方法は、解離した細胞を複数の細胞クラスターへと再凝集させる。一部の実施形態では、複数の細胞クラスターの少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、または90%は、約50μm~約250μm、約75μm~約250μm、または約100μm~約200μmの直径を有する。一部の実施形態では、第2の細胞集団の複数の細胞クラスターの細胞の少なくとも約40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、または99%は、生存可能である。一部の実施形態では、本開示の方法は、解離した細胞を少なくとも2、3、4、5、10、50、100、1000、10000、100000、または1000000個の細胞クラスターへと再凝集させる。
【0242】
[0330]場合により、本明細書で提供される方法は、活性細胞選別プロセス、例えば、フローサイトメトリーを含まない。場合により、本明細書に記載される細胞クラスターは、未選別の細胞クラスターであり得る。場合により、本明細書で提供される方法は、第1の細胞クラスター内の特定の細胞型の濃縮または排除のために活性細胞選別に依存しない。場合により、ある方法は、第1の細胞クラスターを解離させるステップと、第1の細胞クラスターから解離した複数の細胞を培地中で培養し、それにより、第2の細胞クラスターの形成を可能にするステップとを必要とするに過ぎない。
【0243】
[0331]場合により、本明細書で提供される方法は、細胞クラスターを解離させ、2回以上再凝集させるために適用され得る。例えば、本明細書で提供される方法によれば、第1の細胞クラスターを解離および再凝集させて第2の細胞クラスターを形成させることができ、第2の細胞クラスターをさらに解離および再凝集させて第3の細胞クラスターを形成させることができる、などということである。本明細書で提供されるような再凝集は、細胞クラスターに対して少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回連続して行われ得る。
【0244】
[0332]本明細書に記載される細胞選別は、細胞のサイズ、形状(形態)、表面タンパク質発現、内因性シグナルタンパク質発現の差異、またはそれらの任意の組合せに依存することにより、複数の細胞から細胞群を単離するプロセスを意味し得る。場合により、細胞選別は、細胞をフローサイトメトリーに供することを含む。フローサイトメトリーは、レーザーまたはインピーダンスに基づく生物物理学的技術であり得る。フローサイトメトリーでは、流体の流れに細胞を懸濁し、それらを電子検出装置に通すことができる。フローサイトメトリーの一種である蛍光活性化細胞選別(FACS)では、細胞の光学的特性の1つまたは複数のパラメーター(例えば、レーザー励起時の発光波長)に基づいて、フローサイトメトリーを使用し、目的の細胞を物理的に分離することによって精製することができる。本明細書に記載されるように、未選別の細胞クラスターは、活性細胞選別プロセス、例えば、フローサイトメトリーに供されていない複数の細胞によって形成された細胞クラスターであり得る。場合により「再凝集した細胞クラスター」と呼ばれる未選別の細胞クラスターは、既存の細胞クラスターから解離した複数の細胞によって形成され得、それらが新たな細胞クラスターに再凝集する前に、本明細書で提供されるような再凝集のための1つまたは複数の特定の細胞型を単離するための、活性細胞選別プロセス、例えば、フローサイトメトリーまたは他の方法は存在しない場合がある。場合により、本明細書に記述されるフローサイトメトリーは、細胞において発現される1つまたは複数のシグナルペプチドに基づき得る。例えば、細胞クラスターは、シグナルペプチド(例えば、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはtdTomato)を発現する細胞を含み得る。場合により、シグナルペプチドは、細胞におけるインスリン発現を示すものとして発現される。例えば、細胞クラスターは、インスリンプロモーターの制御下のGFPをコードする外因性核酸配列を有する細胞を含み得る。インスリンプロモーターは、内因性または外因性プロモーターであり得る。場合により、これらの細胞におけるGFPの発現は、前記細胞におけるインスリンの発現を示し得る。したがって、GFPシグナルは、膵臓β細胞のマーカーであり得る。場合により、本明細書に記載される細胞選別は、異なる種類の細胞を標識するために磁性抗体または他のリガンドが使用され、磁気特性の差異が細胞選別のために使用され得る、磁気活性化フローサイトメトリーを含み得る。
【0245】
[0333]第1の細胞クラスターから解離した細胞は、第2の細胞クラスターへの再凝集のための培地中で培養され得る。培地は、Connought Medical Research Laboratories 1066補充膵島培地(CMRLS)を含み得る。場合により、好適な培養培地は、CMRLSの成分(例えば、補助的な亜鉛)を含む。CMRLSには、例えば、血清(例えば、ヒト血清、ヒト血小板溶解物、ウシ胎仔血清、またはKnockout Serum Replacementなどの血清代替物)が補充されていてもよい。
【0246】
[0334]培地は、細胞におけるある特定のシグナル伝達経路を調節する1つまたは複数の化合物を含み得る。例えば、培地は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤、またはそれらの両方を含み得る。
【0247】
[0335]本明細書で使用される培地中の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、トリヨードチロニン(T3)であり得る。場合により、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、T3のアナログまたは誘導体であり得る。T3の非限定的で例示的なアナログとしては、選択的および非選択的チロミメティック、TRβ選択的アゴニストGC-1、GC-24,4-ヒドロキシ-PCB 106、MB07811、MB07344,3,5-ジヨードチロプロピオン酸(DITPA);選択的TR-βアゴニストGC-1;3-ヨードチロナミン(T(1)AM)および3,3’,5-トリヨードチロ酢酸(Triac)(ホルモンチロキシン(T(4))の生物活性代謝産物;KB-2115およびKB-141;チロナミン;SKF L-94901;DIBIT;3’-AC-T2;テトラヨードチロ酢酸(Tetrac)およびトリヨードチロ酢酸(Triac)(チロキシン(T4)およびトリヨードチロニン(T3)アラニン鎖の酸化的脱アミノ化および脱カルボキシル化による)、3,3’,5’-トリヨードチロニン(rT3)(T4およびT3の脱ヨウ素化による)、3,3’-ジヨードチロニン(3,3’-T2)および3,5-ジヨードチロニン(T2)(T4、T3、およびrT3の脱ヨウ素化による)、ならびに3-ヨードチロナミン(T1AM)およびチロナミン(T0AM)(T4およびT3の脱ヨウ素化ならびにアミノ酸の脱カルボキシル化による)、ならびにTH構造的アナログ、例えば3,5,3’-トリヨードチロプロピオン酸(Triprop)、3,5-ジブロモ-3-ピリダジノン-1-チロニン(L-940901)、N-[3,5-ジメチル-4-(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルフェノキシ)-フェニル]-オキサミン酸(CGS 23425)、3,5-ジメチル-4-[(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルベンジル)-フェノキシ]酢酸(GC-1)、3,5-ジクロロ-4-[(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェノキシ)フェニル]酢酸(KB-141)、および3,5-ジヨードチロプロピオン酸(DITPA)が挙げられる。場合により、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、T4甲状腺ホルモン(例えば、チロキシンまたはL-3,5,3’,5’-テトラヨードチロニン)などのT3のプロドラッグまたはプロホルモンである。甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,163,918号に記載されているヨードチロニン組成物であってもよい。
【0248】
[0336]培地中の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤の濃度は、細胞凝集に好適な範囲内であり得る。場合により、培地中の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤の濃度は、約0.1μM~約10μM、例えば約0.5μM~約2μM、約0.8μM~約1.5μM、約0.9μM~約1.5μM、約0.9μM~約1.2μM、または約0.9μM~約1.2μMである。場合により、培地中の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤の濃度は、少なくとも約0.1μM、0.2μM、0.4μM、0.8μM、0.9μM、1μM、1.1μM、1.2μM、1.3μM、1.4μM、1.5μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、または10μMである。場合により、培地中の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤(例えば、T3)の濃度は、約1μMである。
【0249】
[0337]本明細書における培地中で使用されるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、TGF-β受容体I型キナーゼ(TGF-β RI)シグナル伝達阻害剤であり得る。TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、アクチビン受容体様キナーゼ-5(Alk5)阻害剤、例えば、ALK5阻害剤II(CAS 446859-33-2、TGF-β RIキナーゼのATP競合阻害剤、別称RepSox、IUPAC名:2-[5-(6-メチルピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-1,5-ナフチリジン)であり得る。場合により、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、ALK5阻害剤IIのアナログまたは誘導体であり、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2012/0021519号、同第2010/0267731号、同第2009/0186076号、および同第2007/0142376号に記載されているものを含む。場合により、本明細書における培地中で使用され得るTGF-βシグナル伝達経路阻害剤の例としては、D 4476、SB431542、A-83-01、別称3-(6-メチル-2-ピリジニル)-N-フェニル-4-(4-キノリニル)-1H-ピラゾール-1-カルボチオアミド;2-(3-(6-メチルピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1,5-ナフチリジン、Wnt3a/BIO、BMP4、GW788388(-(4-[3-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]ピリジン(pyridm)-2-イル}-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ベンズアミド)、SMI 6、ΓΝ-1130(3-((5-(6-メチルピリジン-2-イル)-4-(キノキサリン-6-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)メチル)ベンズアミド、GW6604(2-フェニル-4-(3-ピリジン-2-イル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン)、SB-505124(2-(5-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-2-tert-ブチル-3H-イミダゾール-4-イル)-6-メチルピリジン塩酸塩)、SU5416、レルデリムマブ(lerdelimumb)(CAT-152)、メテリムマブ(CAT-192)、GC-1008、ID1 1、AP-12009、AP-1 1014、LY550410、LY580276、LY364947、LY2109761、SD-208、SM16、NPC-30345、ΚI26894、SB-203580、SD-093、ALX-270-448、EW-7195、SB-525334、ΓΝ-1233、SKI2162、Gleevec、3,5,7,2’,4’-ペンタヒドロキシフラボン(pentahydroxyfiavone)(Morin)、アクチビン-M108A、P144、可溶性TBR2-Fc、ピリミジン誘導体およびインドリノンも挙げられる。TGF-β/アクチビン経路の阻害は同様の効果を有し得る。したがって、TGF-β/アクチビン経路の任意の阻害剤(例えば、上流または下流)が、本明細書に記載されるTGF-β/ALK5阻害剤との組合せで、またはその代わりに使用され得る。例示的なTGF-β/アクチビン経路阻害剤としては、TGF-β受容体阻害剤、SMAD 2/3リン酸化の阻害剤、SMAD 2/3とSMAD 4との相互作用の阻害剤、ならびにSMAD 6およびSMAD 7の活性化剤/アゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本明細書に記載されるカテゴリー分類は、体系化を目的とするものに過ぎず、当業者には、化合物が経路内の1つまたは複数の点で作用し得るため、化合物が定義されたカテゴリーのうちの2つ以上で機能し得ることが分かるであろう。TGF-β受容体阻害剤は、任意の一般的なTGFシグナル伝達阻害剤またはTGF-β受容体(例えば、ALK5)阻害剤に特異的な阻害剤を含み得、これは、TGF-β受容体に対する抗体、TGF-β受容体のドミナントネガティブバリアント、ならびにTGF-β受容体の発現を抑制するsiRNAおよびアンチセンス核酸を含み得る。
【0250】
[0338]培地中のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤の濃度は、細胞凝集に好適な範囲内であり得る。場合により、培地中のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤の濃度は、約1μM~約50μM、例えば約5μM~約15μM、約8μM~約12μM、または約9μM~約11μMである。場合により、培地中のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤の濃度は、少なくとも約1μM、5μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM、35μM、40μM、45μM、または50μMである。場合により、培地中のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤(例えば、Alk5阻害剤II)の濃度は、約10μMである。
【0251】
[0339]第1の細胞クラスターから解離した細胞を培養するために使用される培地は、ゼノフリーであり得る。動物に起源を有する細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、他の動物に由来する生成物を有し得ない。場合により、ヒト細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、いかなる非ヒト動物由来の生成物も有し得ない。例えば、ヒト細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、ウシ胎仔血清(FBS)の代わりにヒト血小板溶解物(PLT)を含み得る。例えば、培地は、約1%~約20%、約5%~約15%、約8%~約12%、約9~約11%の血清を含み得る。場合により、培地は、約10%の血清を含み得る。場合により、培地は、小分子および/またはFBSを含まなくてもよい。例えば、培地は、2%のBSAが補充されたMCDB131基礎培地を含み得る。場合により、培地は血清を含まない。一部の例では、培地は、外因性小分子またはシグナル伝達経路アゴニストもしくはアンタゴニスト、例えば、線維芽細胞増殖因子ファミリーからの増殖因子(FGF、例えばFGF2、FGF8B、FGF 10、またはFGF21)、ソニックヘッジホッグアンタゴニスト(例えばSant1、Sant2、Sant 4、Sant4、Cur61414、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、シクロパミン、またはそれらの誘導体)、レチノイン酸シグナル伝達アゴニスト(例えば、レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHPB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、またはCD2314)、Rho関連コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ(ROCK)の阻害剤(例えば、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、または14-1152)、タンパク質キナーゼC(PKC)の活性化剤(例えば、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート13-アセテート、ブリオスタチン1、またはそれらの誘導体)、TGFベータスーパーファミリーのアンタゴニスト(例えば、Alk5阻害剤II(CAS 446859-33-2)、A83-01、SB431542、D4476、GW788388、LY364947、LY580276、SB505124、GW6604、SB-525334、SD-208、SB-505124、またはそれらの誘導体)、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体の阻害剤(例えば、LDN193189またはそれらの誘導体)、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤(例えば、T3またはそれらの誘導体)、ガンマ-セクレターゼ阻害剤(例えば、XXI、DAPT、またはそれらの誘導体)、上皮増殖因子(EGF)ファミリー(例えば、ベータセルリンまたはEGF)からのTGF-βシグナル伝達経路(例えば、WNT3aまたはアクチビンA)増殖因子の活性化剤、広域キナーゼ(例えば、スタウロスポリンまたはその誘導体)、非必須アミノ酸、ビタミンもしくは抗酸化剤(例えば、シクロパミン、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンA、またはそれらの誘導体)、またはN-アセチルシステイン、硫酸亜鉛、もしくはヘパリンのような他の添加物を含まなくてもよい。場合により、再凝集培地は、外因性細胞外基質分子を含まなくてもよい。場合により、再凝集培地は、Matrigel(商標)を含まない。場合により、再凝集培地は、他の細胞外基質分子または物質、例えば、コラーゲン、ゼラチン、ポリ-L-リシン、ポリ-D-リシン、ビトロネクチン、ラミニン、フィブロネクチン、PLOラミニン、フィブリン、トロンビン、およびRetroNectin、ならびにそれらの混合物など、または溶解細胞膜調製物を含まない。
【0252】
[0340]当業者は、培地に補充されるBSAの濃度が様々であり得ることを理解するであろう。例えば、培地(例えば、MCDB131)は、約0.01%、0.05%、0.1%、1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、または約15%のBSAを含み得る。使用される培地(例えば、MCDB131培地)は、微量元素、プトレッシン、アデニン、チミジン、ならびにより高いレベルのいくつかのアミノ酸およびビタミンなど、従来の基礎培地には見出されない成分を含み得る。これらの添加は、培地に非常に低いレベルの血清または規定の成分が補充されることを可能にし得る。培地は、タンパク質および/または増殖因子を含まなくてもよく、EGF、ヒドロコルチゾン、および/またはグルタミンが補充されていてもよい。
【0253】
[0341]培地は、1つまたは複数の細胞外基質分子(例えば、細胞外タンパク質)を含み得る。培地中で使用される非限定的で例示的な細胞外基質分子は、コラーゲン、胎盤マトリックス、フィブロネクチン、ラミニン、メロシン、テネイシン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、アグレカン、バイグリカン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、およびデコリンを含み得る。場合により、培地は、LN-332などのラミニンを含む。場合により、培地は、ヘパリンを含む。
【0254】
[0342]培地は、例えば、培地中の細胞に最適な環境を提供するために、培養中定期的に変更され得る。再凝集のために第1の細胞クラスターから解離した細胞を培養する場合、培地は、少なくともまたは約4時間、12時間、24時間、48時間、3日または4日おきに変更され得る。例えば、培地は、約48時間おきに変更され得る。
【0255】
[0343]第1の細胞クラスターから解離した細胞は再凝集のために容器に播種することができる。播種密度は、再凝集する第2の細胞クラスターのサイズと相関し得る。播種密度は、第2の細胞クラスターのサイズが内因性膵島と類似し得るように制御することができる。一部の場合では、播種密度は、第2の細胞クラスターのサイズが約75μm~約250μmとなり得るように制御される。第1の細胞クラスターから解離した細胞は、1mL当たり約10万個~1mL当たり約1000万個、例えば、1mL当たり約50万個~1mL当たり約150万個、1mL当たり約80万個~1mL当たり約120万個、1mL当たり約90万個~1mL当たり約110万個、1mL当たり約200万個~1mL当たり約300万個の密度で播種することができる。一部の場合では、第1の細胞クラスターから解離した細胞は1mL当たり約100万個の密度で播種することができる。一部の場合では、第1の細胞クラスターから解離した細胞は1mL当たり約150万個の密度で播種することができる。一部の場合では、第1の細胞クラスターから解離した細胞は1mL当たり約200万個の密度で播種することができる。一部の場合では、第1の細胞クラスターから解離した細胞は1mL当たり約250万個の密度で播種することができる。一部の場合では、第1の細胞クラスターから解離した細胞は1mL当たり約300万個の密度で播種することができる。
【0256】
[0344]第1の細胞クラスターから解離した細胞は培養容器で培養することができる。培養容器は、細胞の培養の懸濁液を培養するのに好適であり得る。本明細書の細胞または細胞クラスターを培養するために使用される培養容器としては、これらに限定されないが、内部で細胞を培養することができる限り、フラスコ、組織培養フラスコ、皿、ペトリ皿、組織培養皿、マルチディッシュ、マイクロプレート、マイクロウェルプレート、マルチプレート、マルチウェルプレート、マイクロスライド、チャンバースライド、管、トレイ、培養バッグ、およびローラーボトル、撹拌槽バイオリアクター、またはポリマー(例えば、バイオポリマーもしくはゲル)封入を挙げることができる。細胞および/または細胞クラスターは、培養の必要に応じて、少なくとももしくは約0.2ml、0.5ml、1ml、5ml、10ml、20ml、30ml、40ml、50ml、100ml、150ml、200ml、250ml、300ml、350ml、400ml、450ml、500ml、600ml、800ml、1000ml、1500ml、2000ml、3000ml、またはこれらにおける導出可能な任意の範囲の容量で培養することができる。
【0257】
[0345]一部の場合では、細胞は、動的条件下(例えば、細胞が、浮遊培養の間、一定の運動または撹拌を受ける条件下)で培養することができる。細胞の動的培養においては、細胞は、制御装置に接続することができ、したがって制御された培養系をもたらすことができる容器(例えば、非接着容器、例えばスピナーフラスコ(例えば、200ml~3000ml、例えば250ml;100ml;または125mlエルレンマイヤーの)で培養することができる。一部の場合では、細胞は、その増殖能力を保存すると同時に、非動的条件下(例えば、静置培養)で培養することができる。細胞の非動的培養においては、細胞は接着培養容器で培養することができる。接着培養容器は、細胞外基質(ECM)等の、細胞に対する容器表面の接着性を向上させる細胞接着のための任意の基質を用いてコーティングすることができる。細胞接着のための基質は、幹細胞またはフィーダー細胞(使用される場合)を付着させることが意図される任意の材料であり得る。細胞接着のための基質としては、コラーゲン、ゼラチン、ポリ-L-リシン、ポリ-D-リシン、ビトロネクチン、ラミニン、フィブロネクチン、PLOラミニン、フィブリン、トロンビン、およびRetroNectin、ならびにそれらの混合物、例えばMatrigel(商標)および溶解細胞膜調製物が挙げられる。
【0258】
[0346]動的細胞培養容器(例えば、スピナーフラスコ)中の培地は撹拌することができる(例えば、撹拌機によって)。回転速度は、再凝集する第2の細胞クラスターのサイズと相関し得る。回転速度は、第2の細胞クラスターのサイズが内因性膵島と類似し得るように制御することができる。一部の場合では、回転速度は、第2の細胞クラスターのサイズが約75μm~約250μmとなり得るように制御される。動的細胞培養容器(例えば、スピナーフラスコ)の回転速度は、約20回転毎分(rpm)~約100rpm、例えば、約30rpm~約90rpm、約40rpm~約60rpm、約45rpm~約50rpmであり得る。一部の場合では、回転速度は約50rpmであり得る。
【0259】
[0347]第1の細胞クラスターから解離した細胞は、細胞が再凝集することを可能にする期間にわたって培養することができる。第1の細胞クラスターから解離した細胞は、少なくとも12時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日 8日、9日 10日、15日、20日、25日、または30日間にわたって培養することができる。一部の場合では、第1の細胞クラスターから解離した細胞は少なくとも4日間にわたって培養することができる。
【0260】
[0348]本明細書の方法はまた、内因性細胞に類似する細胞、例えば細胞クラスター中の内因性成熟膵β細胞を濃縮するために使用することができる。方法は、第1の細胞クラスターを解離させるステップ、および第1のクラスターからの細胞を第2のクラスターに再凝集させるステップを含むことができる。第2のクラスターは、第1のクラスターと比較して、内因性成熟膵β細胞に類似する細胞をより多く含むことができる。解離させるステップおよび再凝集させるステップは、本出願を通じて開示される任意の方法および試薬を使用して行うことができる。
【0261】
[0349]再凝集後、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較して、内因性細胞の1つまたは複数のマーカーを発現する細胞をより多く含むことができる。例えば、第2のクラスターは、第1の細胞クラスターと比較して、内因性成熟膵β細胞の1つまたは複数のマーカー、すなわち、インスリン、Cペプチド、PDX1、NKX6.1、CHGA、MAFA、ZNT8、PAX6、NEUROD1、グルコキナーゼ(GCK)、SLC2A、PCSK1、KCNJ11、ABCC8、SLC30A8、SNAP25、RAB3A、GAD2、およびPTPRNを含むマーカーを発現する細胞をより多く含むことができる。一部の場合では、第2のクラスターはCHGAを発現する細胞をより多く含むことができる。一部の場合では、第2のクラスターはNKX6.1を発現する細胞をより多く含むことができる。一部の場合では、第2のクラスターはCペプチドを発現する細胞をより多く含むことができる。一部の場合では、第2のクラスターはNKX6.1およびCペプチドを発現する細胞をより多く含むことができる。一部の場合では、第2のクラスターはCHGA、NKX6.1、およびCペプチドを発現する細胞をより多く含むことができる。
【0262】
[0350]再凝集後、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較して、より小さいサイズ(例えば、より小さい直径)を有し得る。より小さいサイズは、細胞クラスターと周囲環境との間のより良好な分子交換を可能にし得る。例えば、より小さいサイズは、培地から細胞クラスター中の細胞への分子(例えば、試薬、気体、および/または栄養)のより良好な拡散を可能にし得る。したがって、より小さいサイズである場合、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較して、より効率的に分子を周囲環境と交換することができる。したがって、第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターと比較して、より少ない死細胞(例えば、不十分な栄養および/または気体のために死んだ細胞)を有し得る。
【0263】
[0351]本明細書で提供される方法は、内分泌細胞、例えばクロモグラニンA(CHGA)を発現する細胞を濃縮することができる。例えば、クロモグラニンAを発現する第2の細胞クラスター中の細胞のパーセンテージは、クロモグラニンAを発現する第1の細胞クラスター中の細胞のパーセンテージの少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、または少なくとも1.5倍である。一部の場合では、第2の細胞クラスターは、CHGAを発現する細胞を少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%含む。一部の場合では、第2の細胞クラスター中の少なくとも約85%の細胞はCHGAを発現することができる。一部の場合では、第2の細胞クラスターは、CHGAを発現する細胞を約90%含むことができる。一部の場合では、第2の細胞クラスターは、CHGAを発現する細胞を約95%含むことができる。ある特定の場合では、第2の細胞クラスター中の全ての細胞はCHGAを発現することができる。
【0264】
[0352]本明細書で提供される方法は膵β細胞を生成または濃縮することができる。例えば、第2の細胞クラスターは少なくとも1個の膵β細胞、例えば少なくとも1個の非天然膵β細胞を含む。例えば、NKX6.1とCペプチドの両方を発現する第2の細胞クラスター中の細胞のパーセンテージは、NKX6.1とCペプチドの両方を発現する第1の細胞クラスター中の細胞のパーセンテージの少なくとも1.5、少なくとも1.75、または少なくとも2倍である。一部の場合では、第2の細胞クラスターは、NKX6.1およびCペプチドを発現する細胞を少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%含む。一部の場合では、第2の細胞クラスター中の少なくとも約35%の細胞はNKX6.1およびCペプチドを発現することができる。一部の場合では、細胞クラスターは、NKX6.1およびCペプチドを発現する細胞を約60%含むことができる。一部の場合では、第2の細胞クラスターは、NKX6.1およびCペプチドを発現する細胞を約75%含むことができる。一部の場合では、第2の細胞クラスター中の全ての細胞はNKX6.1およびCペプチドを発現することができる。一部の場合では、第2の細胞クラスター中の少なくとも1個の非天然膵β細胞の少なくとも約70%は、フローサイトメトリーによって測定されるクロモグラニンAを発現する。一部の場合では、第2の細胞クラスター中の少なくとも1個の非天然膵β細胞の少なくとも約25%はフローサイトメトリーによって測定されるNKX6.1およびCペプチドを発現する。
【0265】
[0353]本明細書で提供される方法は、膵内分泌細胞の幹細胞または先駆細胞を減少するかまたは取り除くことができる。一部の場合では、SOX2を発現する第2の細胞クラスター中の細胞のパーセンテージは、LIN28、Ki67、SOX2、またはSOX9を発現する第1の細胞クラスター中の細胞のパーセンテージの2分の1、3分の1、5分の1、または10分の1以下である。例えば、第2の細胞クラスターは、LIN28を発現する細胞を最大約5%、最大約5%、最大約5%、最大約5%、最大約5%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.1%、最大約0.05%、最大約0.01%含むか、または全く含まない可能性がある。一部の例では、本明細書で提供される第2の細胞クラスターは、Ki67を発現する細胞を最大約5%、最大約5%、最大約5%、最大約5%、最大約5%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.1%、最大約0.05%、最大約0.01%含むか、または全く含まない可能性がある。例えば、第2の細胞クラスターは、SOX2を発現する細胞を最大3%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.1%、最大約0.05%、最大約0.01%含むか、または全く含まない可能性がある。一部の場合では、第2の細胞クラスターは、SOX2を発現する細胞を約1%含み得る。一部の場合では、第2の細胞クラスターは、SOX2を発現する細胞を約0.6%含み得る。一部の場合では、第2の細胞クラスターは、SOX2を発現する細胞を約0.3%含み得る。一部の場合では、第2の細胞クラスターは、SOX2を発現する細胞を約0.1%含み得る。例えば、第2の細胞クラスターは、SOX9を発現する細胞を最大10%、最大約8%、最大約6%、最大約5%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.1%、最大約0.05%、最大約0.01%含むか、または全く含まない可能性がある。一部の場合では、第2の細胞クラスターは、SOX9を発現する細胞を約2%含み得る。一部の場合では、第2の細胞クラスターは、SOX9を発現する細胞を約6%含み得る。一部の場合では、第2の細胞クラスターは、SOX9を発現する細胞を約1.2%含み得る。
【0266】
[0354]第2の細胞クラスターはまた、第1の細胞クラスターと比較して、内因性膵島とより類似して機能し得る。第2の細胞クラスターは、第1の細胞クラスターよりも高いインスリン含量、例えば第1の細胞クラスターと比較して少なくとも1.1、少なくとも1.25、または少なくとも1.5倍のインスリン含量を有し得る。第2のクラスターは、刺激指数によって測定されるように、第1の細胞クラスターよりも大きいin vitro GSISを呈することができる。第2のクラスターはまた、刺激指数によって測定されるように、第1の細胞クラスターよりも大きいin vivo GSISを呈することができる。一部の場合では、第2のクラスターは、刺激指数によって測定されるように、第1の細胞クラスターと比較してより大きいin vitro GSISおよびより大きいin vivo GSISを呈することができる。例えば、第2の細胞クラスターは、同じ刺激条件下で第1の細胞クラスターよりも多いインスリンを分泌することができる。第2の細胞クラスターはまた、カリウム負荷(K+)、例えばKClの濃度、例えば30mMのKClに対するインスリン分泌応答を呈することができる。
【0267】
[0355]一部の場合では、本明細書で提供される方法は、第1の細胞クラスター由来の細胞、例えば、膵β細胞または内分泌細胞の大部分を第2の細胞クラスター中に保持することができる。例えば、第1の細胞クラスター中の、NKX6.1とCペプチドの両方を発現する細胞の少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%は、第2のin vitro細胞クラスター中に保持され得る。一部の場合では、第1の細胞クラスター中のNKX6.1とCペプチドの両方を発現する細胞の最大約5%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、または最大約0.1%は、解離および再凝集プロセスの間に失われる。
【0268】
[0356]一部の場合では、本明細書に記載される細胞クラスターは任意の出発細胞集団からin vitroで生成される。例えば、出発細胞としては、限定されないが、インスリン陽性内分泌細胞(例えば、クロモグラニンA(chromogranina A)陽性細胞)またはその任意の先駆体、例えば、Nkx6.1陽性膵臓前駆細胞、Pdx1陽性膵臓前駆細胞、および多能性幹細胞、胚性幹細胞、および人工多能性幹細胞(stern cell)を挙げることができる。一部の場合では、方法は、初期化細胞、部分初期化細胞(例えば、人工多能性細胞とそれが由来する体細胞との間の中間状態で存在するような部分的に初期化された体細胞、例えば線維芽細胞)、分化転換細胞の分化を含む。一部の場合では、本明細書に開示される膵β細胞を含む細胞クラスターは、インスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体からin vitroで分化することができる。一部の場合では、膵β細胞を含む細胞クラスターは、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞、Pdx1陽性膵臓前駆細胞、および多能性幹細胞からなる群から選択される先駆体からin vitroで分化する。一部の場合では、多能性幹細胞は、胚性幹細胞および人工多能性幹細胞からなる群から選択される。上で論じたように、非天然膵β細胞はまた、幹細胞からin vitroで得ることができる場合、幹細胞由来β細胞(SC-β細胞)と称される場合がある。一部の場合では、SC-β細胞またはSC-β細胞が由来する多能性幹細胞はヒト細胞である。一部の場合では、SC-β細胞はヒト細胞である。
【0269】
[0357]本開示の一態様は非天然膵β細胞を生成する方法を提供する。一部の場合では、方法は、任意の現在利用可能なプロトコール、例えば、それぞれの全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第14/684,129号および同第14/684,101号に記載されているものであり得る。本開示の複数の態様は胚体内胚葉細胞を伴う。本明細書で使用される胚体内胚葉細胞は、任意の供給源から得ることも、任意の好適なプロトコールに従って生成することもできる。一部の態様では、多能性幹細胞、例えばiPSCまたはhESCは内胚葉細胞に分化する。一部の態様では、内胚葉細胞(ステージ1)は、例えば、原始腸管細胞(ステージ2)、Pdx1陽性膵臓前駆細胞(ステージ3)、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞(ステージ4)、またはNgn3陽性内分泌前駆細胞もしくはインスリン陽性内分泌細胞(ステージ5)にさらに分化し、続いて、SC-β細胞(ステージ6)に誘導されるかまたは成熟する。
【0270】
[0358]一部の場合では、胚体内胚葉細胞は、集団中の少なくとも一部の多能性細胞を胚体内胚葉細胞へと分化させることによって、例えば、多能性細胞集団を、i)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、およびii)WNTシグナル伝達経路活性化剤と接触させて、少なくとも一部の多能性細胞の胚体内胚葉細胞への分化を誘導することによって取得することができ、ここで、胚体内胚葉細胞は胚体内胚葉に特徴的な少なくとも1つのマーカーを発現する。
【0271】
[0359]多能性幹細胞を誘導して胚体内胚葉細胞へと分化させることができる(例えば、単独で、またはWNTシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)、TGF-βスーパーファミリーからの任意の増殖因子を本明細書で提供される方法に使用することができる。一部の場合では、TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子はアクチビンAを含む。一部の場合では、TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は増殖分化因子8(GDF8)を含む。多能性幹細胞を誘導して胚体内胚葉細胞へと分化させることができる(例えば、単独で、またはTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子と組み合わせて)、いかなるWNTシグナル伝達経路活性化剤も本明細書で提供される方法に使用することができる。一部の場合では、WNTシグナル伝達経路活性化剤はCHIR99Q21を含む。一部の場合では、WNTシグナル伝達経路活性化剤はWnt3a組換えタンパク質を含む。
【0272】
[0360]一部の場合では、集団中の少なくとも一部の多能性細胞を胚体内胚葉細胞へと分化させることは、多能性細胞集団を、i)アクチビンA、およびii)CHIR99021と3日の期間にわたって接触させて、集団中の少なくとも一部の多能性細胞の胚体内胚葉細胞への分化を誘導するプロセスによって達成され、ここで、胚体内胚葉細胞は胚体内胚葉に特徴的な少なくとも1つのマーカーを発現する。
【0273】
[0361]一部の場合では、本明細書に開示される方法によって生成される胚体内胚葉細胞は、Nodal、Tmprss2、Tmem30b、St14、Spink3、Sh3g12、Ripk4、Rab1S、Npnt、Clic6、CldnS、Cacna1b、Bnip1、Anxa4、Emb、FoxA1、Sox17、およびRbm35aからなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを発現し、ここで、少なくとも1つのマーカーの発現は、胚体内胚葉細胞において、それが由来する多能性幹細胞と比して統計的に有意な量だけ上方調節される。一部の場合では、本明細書に開示される方法によって生成される胚体内胚葉細胞は、Gata4、SPARC、AFP、およびDab2からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを、胚体内胚葉細胞が由来する多能性幹細胞と比して統計的に有意な量ほどは発現しない。一部の場合では、本明細書に開示される方法によって生成される胚体内胚葉細胞は、Zic1、Pax6、Flk1、およびCD31からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを、胚体内胚葉細胞が由来する多能性幹細胞と比して統計的に有意な量ほどは発現しない。一部の場合では、本明細書に開示される方法によって生成される胚体内胚葉細胞は、それが由来する多能性幹細胞と比して統計的に有意な量だけ高いレベルのSmad2のリン酸化を有する。一部の場合では、本明細書に開示される方法によって生成される胚体内胚葉細胞はin vivoで腸管を形成する能力を有する。一部の場合では、本明細書に開示される方法によって生成される胚体内胚葉細胞は、腸細胞に特徴的な形態を有する細胞へと分化することができ、ここで、腸細胞に特徴的な形態を有する細胞はFoxA2および/またはClaudin6を発現する。一部の場合では、本明細書に開示される方法によって生成される胚体内胚葉細胞は内胚葉起源の細胞へとさらに分化することができる。
【0274】
[0362]一部の場合では、多能性幹細胞集団は、任意の分化前または分化の第1のステージの間に少なくとも1つのβ細胞成熟因子の存在下で培養される。任意の多能性幹細胞、例えば、ヒト多能性幹細胞、またはヒトiPS細胞、または本明細書で論じられる多能性幹細胞もしくは他の好適な多能性幹細胞のいずれかを使用することができる。一部の場合では、本明細書に記載されるβ細胞成熟因子は、多能性幹細胞集団の培養培地に存在し得るか、または多能性幹細胞集団の成長(例えば、複製もしくは増幅)中にボーラスでもしくは定期的に添加されてもよい。ある特定の例では、多能性幹細胞集団は、任意の分化前に少なくとも1つのβ細胞成熟因子に曝露され得る。他の例では、多能性幹細胞集団は、分化の第1のステージの間に少なくとも1つのβ細胞成熟因子に曝露されてもよい。
【0275】
[0363]本開示の複数の態様は原始腸管細胞を伴う。本明細書で使用される原始腸管細胞は、任意の供給源から得ることも、任意の好適なプロトコールに従って生成することもできる。一部の態様では、胚体内胚葉細胞は原始腸管細胞に分化する。一部の態様では、原始腸管細胞は、例えば、Pdx1陽性膵臓前駆細胞、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞にさらに分化し、続いて、SC-β細胞に誘導されるかまたは成熟する。
【0276】
[0364]一部の場合では、原始腸管細胞は、集団中の少なくとも一部の胚体内胚葉細胞を原始腸管細胞へと分化させることによって、例えば、胚体内胚葉細胞を線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子と接触させて、少なくとも一部の胚体内胚葉細胞の原始腸管細胞への分化を誘導することによって取得することができ、ここで、原始腸管細胞は原始腸管細胞に特徴的な少なくとも1つのマーカーを発現する。
【0277】
[0365]胚体内胚葉細胞を誘導して原始腸管細胞へと分化することができる(例えば、単独で、または他の因子と組み合わせて)、FGFファミリーからの任意の増殖因子を本明細書で提供される方法に使用することができる。一部の場合では、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は角化細胞増殖因子(KGF)を含む。一部の場合では、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子はFGF2を含む。一部の場合では、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子はFGF8Bを含む。一部の場合では、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子はFGF10を含む。一部の場合では、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子はFGF21を含む。
【0278】
[0366]一部の場合では、原始腸管細胞は、集団中の少なくとも一部の胚体内胚葉細胞を原始腸管細胞へと分化させることによって、例えば、胚体内胚葉細胞をKGFと2日の期間にわたって接触させて、少なくとも一部の胚体内胚葉細胞の原始腸管細胞への分化を誘導することによって取得することができる。
【0279】
[0367]本開示の複数の態様はPdx1陽性膵臓前駆細胞を伴う。本明細書で使用されるPdx1陽性膵臓前駆細胞は、任意の供給源から得ることも、任意の好適なプロトコールに従って生成することもできる。一部の態様では、原始腸管細胞はPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化する。一部の態様では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞はさらに分化した細胞、例えば、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞であり、続いて、SC-β細胞に誘導されるかまたは成熟する。
【0280】
[0368]一部の態様では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、集団中の少なくとも一部の原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞へと分化させることによって、例えば、原始腸管細胞を、i)少なくとも1つの骨形態形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、in)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、およびv)少なくとも1つのタンパク質キナーゼC活性化剤と接触させて、少なくとも一部の原始腸管細胞のPdx1陽性膵臓前駆細胞への分化を誘導することによって取得することができ、ここで、Pdx1陽性膵臓前駆細胞はPdx1を発現する。一部の場合では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、集団中の少なくとも一部の原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞へと分化させることによって、例えば、原始腸管細胞を、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、およびii)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤と接触させて、少なくとも一部の原始腸管細胞のPdx1陽性膵臓前駆細胞への分化を誘導することによって取得することができ、ここで、Pdx1陽性膵臓前駆細胞はPdx1を発現する。
【0281】
[0369]原始腸管細胞を誘導してPdx1陽性膵臓前駆細胞へと分化させることができる(例えば、単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、および少なくとも1つのタンパク質キナーゼC活性化剤の任意の組合せと共に)、いかなるBMPシグナル伝達経路阻害剤も本明細書で提供される方法に使用することができる。一部の場合では、BMPシグナル伝達経路阻害剤はLDN193189を含む。
【0282】
[0370]原始腸管細胞を誘導してPdx1陽性膵臓前駆細胞へと分化することができる(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、および少なくとも1つのタンパク質キナーゼC活性化剤の任意の組合せと共に)、FGFファミリーからの任意の増殖因子を使用することができる。一部の場合では、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は角化細胞増殖因子(KGF)を含む。一部の場合では、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、FGF2、FGF8B、FGF10、およびFGF21からなる群から選択される。
【0283】
[0371]原始腸管細胞を誘導してPdx1陽性膵臓前駆細胞へと分化させることができる(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、および少なくとも1つのタンパク質キナーゼC活性化剤の任意の組合せと共に)、いかなるSHH経路阻害剤も使用することができる。一部の場合では、SHH経路阻害剤はSant1を含む。
【0284】
[0372]原始腸管細胞を誘導してPdx1陽性膵臓前駆細胞へと分化させることができる(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および少なくとも1つのタンパク質キナーゼC活性化剤の任意の組合せと共に)、いかなるRAシグナル伝達経路活性化剤も使用することができる。一部の場合では、RAシグナル伝達経路活性化剤はレチノイン酸を含む。
【0285】
[0373]原始腸管細胞を誘導してPdx1陽性膵臓前駆細胞へと分化させることができる(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および少なくとも1つのRAシグナル伝達経路活性化剤の任意の組合せと共に)、いかなるPKC活性化剤も使用することができる。一部の場合では、PKC活性化剤はPdbUを含む。一部の場合では、PKC活性化剤はTPBを含む。
【0286】
[0374]場合により、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、例えば、原始腸管細胞をレチノイン酸、KGF、Sant1、LDN193189、PdBUと2日間にわたって接触させることにより、集団中の少なくとも一部の原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化させることによって取得され得る。場合により、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、例えば、原始腸管細胞をレチノイン酸およびKGFと2日間にわたって接触させることにより、集団中の少なくとも一部の原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化させることによって取得され得る。場合により、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、S3培地中の少なくとも一部の原始腸管細胞を分化させることによって取得され得る。
【0287】
[0375]本開示の諸態様は、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を用いる。本明細書で使用されるNKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、任意の供給源から得ることも、任意の好適なプロトコールに従って生成することもできる。一部の態様では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化される。一部の態様では、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、例えば、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、またはインスリン陽性内分泌細胞にさらに分化され、その後、SC-β細胞へ誘導または成熟される。
【0288】
[0376]一部の態様では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞からNKX6.1陽性膵臓前駆細胞を生成する方法は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞集団を(例えば、細胞クラスター化を促進する条件下で)、a)線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、b)ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、および必要に応じてc)低濃度のレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤を含む少なくとも2つのβ細胞成熟因子と接触させて、集団中の少なくとも1つのPdx1陽性膵臓前駆細胞のNKX6.1陽性膵臓前駆細胞への分化を誘導するステップであって、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、NKX6.1を発現するステップを含む。
【0289】
[0377]場合により、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下で、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および必要に応じてiii)低濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤と接触させて、Pdx1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部のPdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞への分化を誘導することによって取得され、ここで、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1およびNKX6.1を発現する。場合により、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下で、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および必要に応じてiii)低濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、およびv)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子と接触させて、Pdx1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部のPdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞への分化を誘導することによって取得される。場合により、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下で、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子と接触させることによって取得される。
【0290】
[0378]場合により、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、多能性細胞集団から生成される。場合により、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、iPS細胞集団から生成される。場合により、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、ESC細胞集団から生成される。場合により、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、胚体内胚葉細胞集団から生成される。場合により、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、原始腸管細胞集団から生成される。
【0291】
[0379]Pdx1陽性膵臓前駆細胞を誘導してNKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させることができるFGFファミリーからの任意の増殖因子(例えば、単独、または少なくとも1つのSHH経路阻害剤、もしくは必要に応じて少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤との任意の組合せ)が、本明細書で提供される方法において使用され得る。場合により、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、ケラチノサイト増殖因子(KGF)を含む。場合により、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、FGF2、FGF8B、FGF 10、およびFGF21からなる群から選択される。
【0292】
[0380]Pdx1陽性膵臓前駆細胞を誘導してNKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させることができる任意のSHH経路阻害剤(例えば、単独、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ROCK阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子との任意の組合せ)が、本明細書で提供される方法において使用され得る。場合により、SHH経路阻害剤は、Sant-1を含む。
【0293】
[0381]Pdx1陽性膵臓前駆細胞を誘導してNKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させることができる任意のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えば、単独、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ROCK阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子との任意の組合せ)が使用され得る。場合により、RAシグナル伝達経路活性化剤は、レチノイン酸を含む。
【0294】
[0382]Pdx1陽性膵臓前駆細胞を誘導してNKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させることができる任意のROCK阻害剤(例えば、単独、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子との任意の組合せ)が使用され得る。場合により、ROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、または14-1152を含む。
【0295】
[0383]Pdx1陽性膵臓前駆細胞を誘導してNKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させることができるTGF-βスーパーファミリーからの任意の活性化剤(例えば、単独、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびROCK阻害剤との任意の組合せ)が使用され得る。場合により、TGF-βスーパーファミリーからの活性化剤は、アクチビンAまたはGDF8を含む。
【0296】
[0384]場合により、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下で、KGF、Sant1、およびRAと5日間にわたって接触させることによって取得される。場合により、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下で、KGF、Sant1、RA、Y27632、およびアクチビンAと5日間にわたって接触させることによって取得される。場合により、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下で、KGFと5日間にわたって接触させることによって取得される。場合により、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、S3培地中で接触させることによって取得される。
【0297】
[0385]本開示の諸態様は、インスリン陽性内分泌細胞を用いる。本明細書で使用されるインスリン陽性内分泌細胞は、任意の供給源から得ることも、または任意の好適なプロトコールに従って生成することもできる。一部の態様では、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、インスリン陽性内分泌細胞に分化される。一部の態様では、インスリン陽性内分泌細胞は、例えば、SC-β細胞への誘導または成熟により、さらに分化される。
【0298】
[0386]一部の態様では、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞からインスリン陽性内分泌細胞を生成する方法は、NKX6-1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞集団を(例えば、細胞クラスター化を促進する条件下で)、a)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、およびb)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と接触させて、集団中の少なくとも1つのNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導するステップであって、インスリン陽性内分泌細胞は、インスリンを発現するステップを含む。場合により、インスリン陽性内分泌細胞は、Pdx1、NKX6.1、NKX2.2、Mafb、glis3、Sur1、Kir6.2、Znt8、SLC2A1、SLC2A3および/またはインスリンを発現する。
【0299】
[0387]NKX6.1陽性膵臓前駆細胞の分化を誘導してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤(例えば、単独、または他のβ細胞成熟因子、例えば、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤との組合せ)が使用され得る。場合により、TGF-βシグナル伝達経路は、TGF-β受容体I型キナーゼシグナル伝達を含む。場合により、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、Alk5阻害剤IIを含む。
【0300】
[0388]NKX6.1陽性膵臓前駆細胞の分化を誘導してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤(例えば、単独、または他のβ細胞成熟因子、例えば、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤との組合せ)が使用され得る。場合により、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、トリヨードチロニン(T3)を含む。
【0301】
[0389]場合により、本開示の方法は、細胞集団(例えば、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞)を、少なくとも1つの追加の因子と接触させるステップを含む。場合により、本開示の方法は、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮増殖因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、および必要に応じてv)タンパク質キナーゼ阻害剤のうちの少なくとも1つと接触させるステップを含む。
【0302】
[0390]場合により、本開示の方法は、細胞集団(例えば、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞)を、少なくとも1つの追加の因子と接触させるステップを含む。場合により、本開示の方法は、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮増殖因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、およびv)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤のうちの少なくとも1つと接触させるステップを含む。
【0303】
[0391]集団中のNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導することができる任意のγ-セクレターゼ阻害剤(例えば、単独、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤のいずれかとの組合せ)。場合により、γ-セクレターゼ阻害剤は、XXIを含む。場合により、γ-セクレターゼ阻害剤は、DAPTを含む。
【0304】
[0392]集団中のNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導することができるEGFファミリーからの任意の増殖因子(例えば、単独、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤のいずれかとの組合せ)が使用され得る。場合により、EGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、ベータセルリンを含む。場合により、EGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、EGFを含む。
【0305】
[0393]NKX6.1陽性膵臓前駆細胞の分化を誘導してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えば、単独、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤のいずれかとの組合せ)が使用され得る。場合により、RAシグナル伝達経路活性化剤は、RAを含む。
【0306】
[0394]NKX6.1陽性膵臓前駆細胞の分化を誘導してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意のSHH経路阻害剤(例えば、単独、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤のいずれかとの組合せ)が、本明細書で提供される方法において使用され得る。場合により、SHH経路阻害剤は、Sant1を含む。
【0307】
[0395]NKX6.1陽性膵臓前駆細胞の分化を誘導してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、単独、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤のいずれかとの組合せ)が使用され得る。場合により、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189を含む。
【0308】
[0396]場合により、細胞集団は、必要に応じてタンパク質キナーゼ阻害剤と接触させられる。場合により、細胞集団は、タンパク質キナーゼ阻害剤と接触させられない。場合により、細胞集団は、タンパク質キナーゼ阻害剤と接触させられる。集団中のNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導することができる任意のタンパク質キナーゼ阻害剤(例えば、単独、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤のいずれかとの組合せ)。場合により、タンパク質キナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンを含む。
【0309】
[0397]場合により、本開示の方法は、細胞集団(例えば、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞)を、XXI、Alk5i、T3、RA、Sant1、およびベータセルリンと7日間にわたって接触させて、集団中の少なくとも1つのNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導するステップであって、インスリン陽性内分泌細胞は、インスリンを発現するステップを含む。場合により、本開示の方法は、細胞集団(例えば、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞)を、XXI、Alk5i、T3、RA、Sant1、ベータセルリン、およびLDN193189と7日間にわたって接触させて、集団中の少なくとも1つのNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導するステップであって、インスリン陽性内分泌細胞は、インスリンを発現するステップを含む。
【0310】
[0398]場合により、本開示の方法は、細胞集団(例えば、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞)をBE5培地中で培養して、集団中の少なくとも1つのNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導するステップであって、インスリン陽性内分泌細胞は、インスリンを発現するステップを含む。
【0311】
[0399]本開示の諸態様は、内因性成熟β細胞に形態および機能が類似するにもかかわらず天然β細胞とは明確に異なる非天然膵臓β細胞を生成することを含む。
[0400]場合により、本明細書で提供される方法を使用して生成されたインスリン陽性内分泌細胞は、単独で、または他の細胞型、例えば、その前駆体、例えば、幹細胞、胚体内胚葉細胞、原始腸管細胞、Pdx1陽性膵臓前駆細胞、またはNKX6.1陽性膵臓前駆細胞と共に、細胞クラスターを形成することができる。場合により、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞クラスターは、本明細書で提供される方法を使用して再凝集され得る。細胞クラスターの再凝集は、インスリン陽性内分泌細胞を濃縮し得る。場合により、細胞クラスター内のインスリン陽性内分泌細胞は、膵臓β細胞へとさらに成熟させることができる。例えば、再凝集後、第2の細胞クラスターは、天然の膵島に類似したin vitroのGSISを呈し得る。例えば、再凝集後、第2の細胞クラスターは、in vitroのGSISを呈する非天然膵臓β細胞を含み得る。
【0312】
[0401]本明細書で提供されるステージ6細胞は、本明細書に記載される解離および再凝集プロセスに供されても供されなくてもよい。場合により、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞集団は、Sc-β細胞に成熟するように直接誘導され得る。場合により、成熟因子は、本明細書に記載される少なくとも1つのTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を含み得る。場合により、Sc-β細胞は、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞集団をAlk5iおよびT3と接触させることによって取得され得る。場合により、インスリン陽性内分泌細胞は、10%のFBSが補充されたCMRL培地中で成熟させられ得る。他の場合では、Sc-β細胞は、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞集団を、2%のBSAが補充されてもよいMCDB131培地中で培養することによって取得され得る。場合により、インスリン陽性内分泌細胞をSc-β細胞に成熟させるための2%のBSAを含むMCDB131培地は、本明細書に記載される小分子因子を含まなくてもよい。場合により、インスリン陽性内分泌細胞をSc-β細胞に成熟させるための2%のBSAを含むMCDB131培地は、血清(例えば、FBS)を含まなくてもよい。
【0313】
[0402]本開示の一態様は、凍結保存の方法を提供する。本明細書で提供されるように、非天然膵臓β細胞を含む細胞集団は、凍結保存によって貯蔵され得る。例えば、非天然β細胞、例えば、場合によりステージ6細胞を含む細胞集団は、細胞懸濁液、例えば、単一細胞懸濁液に解離され得、細胞懸濁液は、凍結保存、例えば、凍結保存溶液中で凍結され得る。細胞の解離は、本明細書で提供されるいずれかの技術によって、例えば、酵素処置によって実行され得る。細胞は、最高-20℃、最高-30℃、最高-40℃、最高-50℃、最高-60℃、最高-70℃、最高-80℃、最高-90℃、最高-100℃、最高-110℃、最高-120℃、最高-130℃、最高-140℃、最高-150℃、最高-160℃、最高-170℃、最高-180℃、最高-190℃、または最高-200℃の温度で凍結され得る。場合により、細胞は、約-80℃の温度で凍結される。場合により、細胞は、約-195℃の温度で凍結される。凍結保存に必要な低い温度をもたらすためには、電気冷凍庫、固体二酸化炭素、および液体窒素などだがこれらに限定されない任意の冷却方法が使用され得る。場合により、特注と市販の両方の溶液を含め、当業者が利用可能な任意の凍結保存溶液が、細胞を低温でインキュベートして貯蔵するために使用され得る。例えば、抗凍結剤を含む溶液が使用され得る。抗凍結剤は、凍結による損傷から細胞を保護するように構成された薬剤であり得る。例えば、抗凍結剤は、凍結保存溶液のガラス転移温度を低下させることができる物質であり得る。使用され得る例示的な抗凍結剤としては、DMSO(ジメチルスルホキシド)、グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびグリセロール)、デキストラン(例えば、デキストラン-40)、およびトレハロースが挙げられる。追加の薬剤が他の効果のために凍結保存溶液に添加されてもよい。場合により、市販の凍結保存溶液、例えば、FrostaLife(商標)、pZerve(商標)、Prime-XV(登録商標)、Gibco Synth-a-Freeze Cryopreservation Medium、STEM-CELLBANKER(登録商標)、CryoStor(登録商標)Freezing Media、HypoThermosol(登録商標)FRS Preservation Media、およびCryoDefend(登録商標)Stem Cells Mediaが、本明細書で提供される方法において使用され得る。
【0314】
[0403]場合により、細胞クラスターは、本明細書で提供される方法を使用した再凝集に供される前に凍結保存され得る。場合により、細胞クラスターは、本明細書で提供されるように細胞懸濁液に解離され、次いで凍結保存されてもよい。ある特定の期間にわたる凍結保存の後、凍結保存された細胞は、本明細書で提供される方法を使用した再凝集のために解凍および培養され得る。本明細書で提供される凍結保存は、膵臓β細胞またはその前駆体の利用可能性を延長し得る。場合により、非天然膵臓β細胞が、例えば、ヒト患者への移植のために所望されるまで、非天然膵臓β細胞のその前駆体または幹細胞からの分化中、中間体細胞集団が本明細書で提供される方法に従って保存され得る。場合により、細胞は、そのさらなる使用または細胞のさらなる処理、例えば、再凝集前に、任意の所望の期間にわたって凍結保存され得る。例えば、細胞は、少なくとも1日間、少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも3か月間、少なくとも4か月間、少なくとも5か月間、少なくとも6か月間、少なくとも7か月間、少なくとも8か月間、少なくとも9か月間、少なくとも10か月間、少なくとも11か月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、または少なくとも10年間にわたって凍結保存され得る。
【0315】
[0404]Sc-β細胞は、少なくとも1回のグルコース負荷に対する応答を呈し得る。場合により、SC-β細胞は、少なくとも2回連続したグルコース負荷に対する応答を呈する。場合により、SC-β細胞は、少なくとも3回連続したグルコース負荷に対する応答を呈する。場合により、SC-β細胞は、複数のグルコース負荷に対する内因性ヒト膵島の応答に類似する複数の(例えば、連続した)グルコース負荷に対する応答を呈す。場合により、SC-β細胞は、2回連続するグルコース負荷に応答してインスリンを放出または分泌することができる。場合により、SC-β細胞は、3回連続するグルコース負荷に応答してインスリンを放出または分泌することができる。場合により、SC-β細胞は、4回連続するグルコース負荷に応答してインスリンを放出または分泌することができる。場合により、SC-β細胞は、5回連続するグルコース負荷に応答してインスリンを放出または分泌することができる。場合により、SC-β細胞は、恒久的な連続するグルコース負荷に応答してインスリンを放出または分泌する。場合により、本明細書の実施例に記載されるように、細胞をアッセイして、細胞が細胞内Ca2+を繰り返し増加させるかどうかを決定することにより、細胞が連続したグルコース負荷に応答するかどうかを決定することができる。
【0316】
[0405]場合により、本明細書で提供される方法は、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞集団から開始し得る。NKX6.1陽性細胞は、EGFスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子、例えば、ベータセルリンとNKX6.1陽性細胞を接触させることにより、NKX6.1陽性およびCペプチド陽性内分泌細胞に分化され得る。場合により、NKX6.1陽性およびCペプチド陽性内分泌細胞は、インスリン陽性内分泌細胞とも呼ばれ得る。場合により、インスリン陽性内分泌細胞の1つの特徴は、クロモグラニンAの発現であり得る。場合により、インスリン内分泌細胞を含む集団は、上記のように解離され、細胞クラスターへと再凝集され得る。
【0317】
[0406]場合により、細胞クラスター化を促進する条件は、懸濁培養を含む。場合により、期間は、CペプチドおよびNkx6-1を共発現する細胞の数を最大にするのに充分な期間を含む。場合により、期間は、少なくとも5日間である。場合により、期間は、5日間から7日間の間である。場合により、期間は、少なくとも7日間である。場合により、懸濁培養液は、毎日(例えば、β細胞成熟因子を)補給される。場合により、5日間から7日間の間の期間は、CペプチドおよびNKX6.1を共発現する細胞の数を最大にする。
【0318】
[0407]場合により、集団中のNKX6.1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも15%は、インスリン陽性内分泌細胞に分化するように誘導される。場合により、集団中のNKX6.1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも99%は、インスリン陽性内分泌細胞に分化するように誘導される。
【0319】
[0408]一部の態様では、本開示は、多能性細胞からSC-β細胞を生成する方法であって、a)多能性幹細胞をTGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と3日間にわたって接触させることにより、集団中の多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞をFGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間にわたって接触させるプロセスにより、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を原始腸管細胞に分化させるステップと、c)原始腸管細胞を、i)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)BMPシグナル伝達経路阻害剤、v)PKC活性化剤、および必要に応じてvi)ROCK阻害剤と、2日間にわたって接触させるプロセスにより、原始腸管細胞の少なくとも一部をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップと、d)Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下で、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および必要に応じてiii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および必要に応じてiv)ROCK阻害剤、およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と、5日間にわたって1日おきに接触させるプロセスにより、Pdx1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部をPdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップであって、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1およびNKX6.1を発現するステップと、e)Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下で、i)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、ii)THシグナル伝達経路活性化剤、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)RAシグナル伝達経路活性化剤、v)γ-セクレターゼ阻害剤、およびvi)上皮増殖因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子と、5日間から7日間の間の期間にわたって1日おきに接触させるプロセスにより、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部をPdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップであって、Pdx1陽性NKX6.1インスリン陽性内分泌細胞は、Pdx1、NKX6.1、NKX2.2、Mafb、glis3、Sur1、Kir6.2、Znt8、SLC2A1、SLC2A3および/またはインスリンを発現するステップと、f)Pdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下で、i)トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達経路阻害剤、ii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、および必要に応じてiii)タンパク質キナーゼ阻害剤と、7日間から14日間の間の期間にわたって1日おきに接触させて、Pdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部のSC-β細胞へのin vitro成熟を誘導するプロセスにより、Pdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部をSC-β細胞に分化させるステップであって、SC-β細胞は、in vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を呈するステップとを含む方法を提供する。場合により、GSIS応答は、内因性成熟β細胞のGSIS応答に類似する。
【0320】
[0409]一部の態様では、本開示は、多能性細胞からSC-β細胞を生成する方法であって、a)多能性幹細胞をTGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と3日間にわたって接触させることにより、集団中の多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞をFGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間にわたって接触させるプロセスにより、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を原始腸管細胞に分化させるステップと、c)原始腸管細胞を、i)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、およびii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子と2日間にわたって接触させるプロセスにより、原始腸管細胞の少なくとも一部をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップと、d)Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下で、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子と5日間にわたって1日おきに接触させるプロセスにより、Pdx1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部をPdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップであって、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1およびNKX6.1を発現するステップと、e)Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下で、i)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、ii)THシグナル伝達経路活性化剤、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)RAシグナル伝達経路活性化剤、v)γ-セクレターゼ阻害剤、vi)上皮増殖因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、およびvii)BMPシグナル伝達経路阻害剤と、5日間から7日間の間の期間にわたって1日おきに接触させるプロセスにより、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部をPdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップであって、Pdx1陽性NKX6.1インスリン陽性内分泌細胞は、Pdx1、NKX6.1、NKX2.2、Mafb、glis3、Sur1、Kir6.2、Znt8、SLC2A1、SLC2A3および/またはインスリンを発現するステップと、f)Pdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞を、2%のBSAが補充されたMCBD131培地中で培養して、Pdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部のSC-β細胞へのin vitro成熟を誘導することにより、Pdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部をSC-β細胞に分化させるステップであって、SC-β細胞は、in vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を呈するステップとを含む方法を提供する。場合により、GSIS応答は、内因性成熟β細胞のGSIS応答に類似する。
【0321】
[0410]一部の態様では、本開示は、多能性細胞からSC-β細胞を生成する方法であって、a)集団中の多能性幹細胞を好適な条件下でPdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップと、b)Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を、細胞クラスター化を促進する条件下で、i)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、ii)THシグナル伝達経路活性化剤、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)RAシグナル伝達経路活性化剤、v)γ-セクレターゼ阻害剤、vi)上皮増殖因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、およびvii)BMPシグナル伝達経路阻害剤と、5日間から7日間の間の期間にわたって1日おきに接触させるプロセスにより、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部をPdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップであって、Pdx1陽性NKX6.1インスリン陽性内分泌細胞は、Pdx1、NKX6.1、NKX2.2、Mafb、glis3、Sur1、Kir6.2、Znt8、SLC2A1、SLC2A3および/またはインスリンを発現するステップと、c)Pdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞を、2%のBSAが補充されたMCBD131培地中で培養して、Pdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部のSC-β細胞へのin vitro成熟を誘導することにより、Pdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部をSC-β細胞に分化させるステップであって、SC-β細胞は、in vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を呈するステップとを含む方法を提供する。場合により、GSIS応答は、内因性成熟β細胞のGSIS応答に類似する。
【0322】
[0411]一部の態様では、本開示は、膵臓β細胞を含む細胞クラスターを生成する方法であって、a)NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞集団を取得するステップと、b)NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を上皮増殖因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子と接触させるプロセスにより、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部をNKX6.1陽性インスリン陽性(またはCペプチド陽性)内分泌細胞に分化させるステップであって、Pdx1陽性NKX6.1インスリン陽性内分泌細胞は、Pdx1、NKX6.1、NKX2.2、Mafb、glis3、Sur1、Kir6.2、Znt8、SLC2A1、SLC2A3および/またはインスリンを発現するステップと、c)Pdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞を、2%のBSAが補充されたMCBD131培地中で培養して、Pdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部の膵臓β細胞へのin vitro成熟を誘導することにより、Pdx1陽性NKX6.1陽性インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部を膵臓β細胞に分化させるステップであって、膵臓β細胞は、in vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を呈するステップとを含む方法を提供する。場合により、GSIS応答は、内因性成熟β細胞のGSIS応答に類似する。
【0323】
幹細胞由来ベータ細胞を濃縮する方法
[0412]本明細書では、β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)集団を細胞の異種集団、例えば、β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)またはβ細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)が由来するその先駆体を含む細胞の混合集団から単離または濃縮(enriching)する方法が提供される。上記のプロセスのいずれかによって生成されるβ細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)集団は、インスリン陽性内分泌細胞もしくはそれが由来するその先駆体、腸クロム親和性細胞(EC細胞)、および/またはα細胞(例えば、幹細胞由来α細胞)に存在しない、β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)に存在する細胞表面マーカー(例えば、CD49a、CD29、CD99、CD10、CD59、CD141、CD165、G46-2.6、CD44、CD57)を使用することによって濃縮、単離、および/または精製することができる。そのような細胞表面マーカーは、β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)に特異的な親和性タグとも称される。一部の実施形態では、細胞表面マーカーは誘導性細胞表面マーカーである。例えば、CD49aは、ある特定のシグナルによって表面に誘導され得る。
【0324】
[0413]一部の実施形態では、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)は、α細胞および内分泌細胞を含む他の細胞から選別および濃縮することができる。一部の実施形態では、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)は、細胞集団をCD49aと結合する薬剤と接触させることによって、α細胞、EC細胞、および未熟インスリン陽性内分泌細胞を含む他の細胞から選別および濃縮することができる。一部の実施形態では、薬剤は、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)の表面に発現するCD49aと結合する抗体またはその抗原結合断片である。
【0325】
[0414]一部の実施形態では、薬剤は、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)の細胞表面に存在するCD49aと特異的に結合するリガンドまたは他の結合剤である。一部の実施形態では、SC-β細胞(例えば、ヒトSC-β細胞)の表面に存在するCD49aに結合する抗体は、本明細書に記載される方法によって生成される、化学的に誘導される(例えば、本明細書に記載される少なくとも1つのβ細胞成熟因子と接触させることによって)SC-β細胞の濃縮、単離、または精製のための親和性タグとして使用される。そのような抗体は公知であり、市販されている。
【0326】
[0415]当業者は、SC-β細胞の濃縮、単離、および/または精製のための抗体を使用するための方法を容易に理解するだろう。例えば、一部の実施形態では、抗体等の試薬は、SC-β細胞を含む細胞集団であって、細胞間接着および基質接着を低下するために処理されている細胞集団と共にインキュベートされる。次いで、細胞集団は、洗浄され、遠心分離され、再懸濁される。一部の実施形態では、抗体がその時点で標識により標識されていない場合、細胞懸濁液は次いで二次抗体、例えば一次抗体に結合することができるFACSコンジュゲート抗体と共にインキュベートされる。次いで、SC-β細胞は、洗浄され、遠心分離され、緩衝液に再懸濁される。次いで、SC-β細胞懸濁液は、蛍光活性化細胞選別機(FACS)を使用して分析および選別される。抗体結合蛍光初期化細胞は、非結合非蛍光細胞(例えば、未熟インスリン産生細胞、α細胞、および内分泌細胞)と別々に収集され、それにより、SC-β細胞を、細胞懸濁液に存在する他の細胞、例えば、インスリン陽性内分泌細胞もしくはその先駆体、または未熟インスリン産生細胞(例えば、他の分化細胞型)から単離する。
【0327】
[0416]一部の実施形態では、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)を含む単離された細胞組成物は、親和性に基づく代替法を使用することによって、または分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)に特異的な同じもしくは異なるマーカーを使用する追加のラウンドの選別によってさらに精製することができる。例えば、一部の実施形態では、FACS選別は、NKX6-1を単独でもしくはCペプチドの発現と共に、または代替的に本明細書に開示されるβ細胞マーカーと共に発現するSC-β細胞を、細胞集団中のそれらのマーカーのうちの1つを発現しない細胞(例えば、陰性細胞)から初めに単離するために使用される。第2のFACS選別、例えば、FACSを使用して陽性細胞を再び選別して、第1の選別とは異なるマーカーに対して陽性の細胞を単離することは、細胞集団を初期化細胞に関して濃縮する。代替的な実施形態では、FACS選別は、大半のインスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体に存在するがSC-β細胞に存在しないマーカーをネガティブ選別することによって細胞を分離するために使用される。
【0328】
[0417]一部の実施形態では、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)は、抗体の使用を伴わずに蛍光標識され、次いで蛍光活性化細胞選別機(FACS)を使用することによって非標識細胞から単離される。そのような実施形態では、GFP、YFPをコードする核酸、または発現可能な蛍光マーカー遺伝子、例えばルシフェラーゼをコードする遺伝子をコードする別の核酸は、上に記載した方法を使用して初期化細胞を標識するために使用される。例えば、一部の実施形態では、GFPをコードする少なくとも1コピーの核酸またはその生物学的に活性な断片は、SC-β細胞へと初めに化学的に誘導される少なくとも1個のインスリン陽性内分泌細胞に、GFP遺伝子産物またはその生物学的に活性な断片の発現がインスリンプロモーターの制御下となるように、インスリンプロモーター等のSC-β細胞に発現するプロモーターの下流において導入される。
【0329】
[0418]直前に記載した手順に加えて、化学的に誘導されるSC-β細胞はまた、細胞単離のための他の技法によって単離され得る。加えて、SC-β細胞はまた、SC-β細胞の選択的生存または選択的増大を促進する成長条件での連続継代培養の方法によって濃縮または単離され得る。そのような方法は、当業者に公知であり、例えば、とりわけ、インスリン、TGF-ベータファミリーのメンバー、例えば、アクチビンA、TGF-ベータ1、2、および3、骨形態形成タンパク質(BMP-2、-3、-4、-5、-6、-7、-11、-12、および-13)、線維芽細胞増殖因子-1および-2、血小板由来増殖因子-AAおよび-BB、多血小板血漿、インスリン様成長因子(IGF-I、II) 増殖分化因子(GDF-5、-6、-7、-8、-10、-11、-15)、血管内皮細胞由来増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、プレイオトロフィン、エンドセリン、上皮成長因子(EGF)、ベータセルリン等の薬剤の使用を含み得る。他の医薬化合物としては、例えば、ニコチンアミド、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)およびII、GLP-1および2模倣体、Exendin-4、レチノイン酸、副甲状腺ホルモンを挙げることができる。
【0330】
[0419]濃縮、単離、および/または精製された分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)集団は、本明細書に記載される方法を使用して、インスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体(本明細書に記載される方法によって多能性幹細胞から分化した)からin vitroで生成することができる。一部の実施形態では、好ましい濃縮、単離、および/または精製方法は、ヒト多能性幹細胞またはヒト人工多能性幹(iPS)細胞から分化したヒトインスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体からのヒト分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)のin vitro生成に関する。SC-β細胞が、iPS細胞から予め得られた胚体内胚葉細胞から予め得られたインスリン陽性内分泌細胞から分化するそのような実施形態では、SC-β細胞は、iPS細胞を生成するために細胞が取得された対象に対して自家であり得る。
【0331】
[0420]分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)の単離された細胞集団は、本明細書に記載される方法を使用して、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)含量の点でインスリン陽性内分泌細胞または先駆体集団の化学誘導前の細胞集団と比較して少なくとも約2~約1000倍濃縮される。一部の実施形態では、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)は、インスリン陽性内分泌細胞または先駆体集団の化学誘導前の集団と比較して少なくとも約5~約500倍濃縮され得る。他の実施形態では、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)は、インスリン陽性内分泌細胞または先駆体集団の化学誘導前の集団と比較して少なくとも約10~約200倍濃縮され得る。さらに他の実施形態では、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)は、インスリン陽性内分泌細胞または先駆体集団の化学誘導前の集団と比較して少なくとも約20~約100倍濃縮され得る。さらに他の実施形態では、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)は、インスリン陽性内分泌細胞または先駆体集団の化学誘導前の集団と比較して少なくとも約40~約80倍濃縮され得る。ある特定の実施形態では、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞)は、インスリン陽性内分泌細胞または先駆体集団の化学誘導前の集団と比較して少なくとも約2~約20倍濃縮され得る。
【0332】
[0421]本明細書では、細胞集団から標的細胞(例えば、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞))を選択する方法であって、標的細胞を刺激化合物と接触させるステップであって、標的細胞の選択マーカー(例えば、CD49a)を誘導して標的細胞の細胞表面に局在化させるステップ、および細胞表面の選択マーカー(例えば、CD49a)の局在化に基づいて標的細胞(例えば、分化β細胞(例えば、幹細胞由来β細胞))を選択するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、選択マーカーはCD49aを含む。一部の実施形態では、標的細胞を選択するステップは細胞選別によって行われる。一部の実施形態では、選択するステップは、選択マーカーが標的細胞の表面に局在化する場合、標的細胞の選択マーカーを抗原結合ポリペプチドと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、抗原結合ポリペプチドは抗体を含む。一部の実施形態では、抗原結合ポリペプチドはCD49aに結合する。一部の実施形態では、方法は、選択マーカーを標的細胞集団の少なくとも1個の細胞の細胞表面から除去する化合物(例えば、酵素)を用いて細胞集団を処理するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的細胞集団は、標的細胞と刺激化合物との接触前に化合物を用いて処理される。一部の実施形態では、化合物は、選択マーカーを少なくとも1個の細胞の細胞表面から切断する。一部の実施形態では、標的細胞は内分泌細胞である。一部の実施形態では、刺激化合物はグルコースを含む。一部の実施形態では、内分泌細胞はβ細胞である。一部の実施形態では、β細胞はSC-β細胞である。一部の実施形態では、標的細胞を選択するステップは、標的細胞を細胞集団の1個または複数の細胞から分離する。
【0333】
医薬組成物
[0422]一部の実施形態では、本開示は、非天然膵ベータ細胞集団ならびに細胞成分および産物を疾患(例えば、糖尿病)の処置のための様々な方法に利用することができる医薬組成物を提供する。ある特定の場合は、生細胞(例えば、単独または他の細胞型と混合した非天然膵ベータ細胞)を含む医薬組成物を包含する。他の場合は、非天然膵ベータ細胞成分(例えば、細胞溶解物、可溶性細胞画分、条件培地、ECM、もしくは前出のもののうちのいずれかの成分)、または産物(例えば、非天然膵ベータ細胞によって、もしくは遺伝子修飾、非天然膵ベータ細胞培養由来の条件培地を介して産生される栄養因子および他の生物学的因子)を含む医薬組成物を包含する。いずれの場合でも、医薬組成物は、当業者に公知の他の活性剤、例えば、抗炎症剤、外因性低分子アゴニスト、外因性低分子アンタゴニスト、抗アポトーシス剤、抗酸化剤、および/または増殖因子をさらに含み得る。
【0334】
[0423]本開示の医薬組成物は、薬学的に許容される担体(例えば、培地または賦形剤)と共に製剤化される非天然膵ベータ細胞またはその成分もしくは産物を含むことができる。生体適合性担体または培地という用語と交換可能に使用され得る薬学的に許容される担体(または培地)という用語は、治療的に投与される細胞および他の薬剤と適合性があるだけでなく、過剰な毒性も、刺激も、アレルギー応答も、他の合併症も伴わずにヒトおよび動物の組織と接触させる使用に好適でもある試薬、細胞、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。好適な薬学的に許容される担体としては、水、塩溶液(例えば、リンガー液)、アルコール、油、ゼラチン、および炭水化物、例えば、ラクトース、アミロース、またはデンプン、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ならびにポリビニルピロリジン(polyvinyl pyrolidine)を挙げることができる。そのような調製物は、滅菌することができ、所望される場合、補助剤、例えば、滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝液、および着色剤と混合することができる。細胞の成分または産物を含むが生細胞を含まない医薬組成物は液体として製剤化することができる。生きている非天然膵ベータ細胞を含む医薬組成物は、液体、半固体(例えば、ゲル、ゲルカプセル、もしくはリポソーム)、または固体(例えば、マトリックス、足場等)として製剤化することができる。
【0335】
[0424]医薬組成物は当業者に知られている補助成分を含み得る。例えば、医薬組成物は抗酸化剤を、使用される抗酸化剤の種類に応じて変動する範囲で含有し得る。一般的に使用される抗酸化剤の合理的な範囲は、EDTAでは約0.01質量/容量%~約0.15質量/容量%、亜硫酸ナトリウムでは約0.01質量容量%~約2.0質量容量%、メタ重亜硫酸ナトリウムでは約0.01質量/容量%~約2.0質量/容量%である。当業者は、上記のそれぞれに対して約0.1質量/容量%の濃度を使用することができる。他の代表的な化合物としては、メルカプトプロピオニルグリシン、N-アセチルシステイン、ベータ-メルカプトエチルアミン、グルタチオン、および類似した種が挙げられるが、腎投与に好適な他の酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸およびその塩、または亜硫酸塩、またはメタ重亜硫酸ナトリウムもまた用いられ得る。
【0336】
[0425]緩衝剤は、製剤のpHを約4.0~約8.0の範囲に維持して、標的組織での刺激を最小化するために使用され得る。直接腹腔内注射の場合、製剤は7.2~7.5のpH、好ましくは7.35~7.45のpHであるべきである。組成物はまた、腎臓への投与に好適な等張化剤を含み得る。等張化剤のうち、塩化ナトリウムは製剤を血液とほぼ等張にするのに好適である。
【0337】
[0426]ある特定の場合では、医薬組成物は粘度増強剤と共に製剤化される。例示的な薬剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、およびポリビニルピロリドンである。医薬組成物は、必要とされる場合、共溶媒が添加されてもよい。好適な共溶媒としては、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリソルベート、プロピレングリコール、およびポリビニルアルコールを挙げることができる。保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、酢酸もしくは硝酸フェニル水銀、チメロサール、またはメチルもしくはプロピルパラベンもまた含まれ得る。
【0338】
[0427]細胞、細胞成分、または細胞産物を含む医薬組成物は、当技術分野で公知のいくつかの送達の方法のうちの1つまたは複数で患者の腎臓に送達することができる。一部の場合では、組成物は腎臓(例えば、腎被膜上および/または腎被膜の真下)に送達される。別の実施形態では、組成物は、定期的な腹腔内または腎内注射を介して腎臓内の様々な位置に送達され得る。あるいは、組成物は、当業者に公知の他の剤形、例えば、予め形成されたかまたはin situで形成されたゲルまたはリポソームで適用され得る。
【0339】
[0428]生細胞を半固体または固体担体中に含む医薬組成物は、腎被膜の上または下への外科的埋込のために製剤化することができる。液体組成物もまた外科的手順によって投与できることが理解されるべきである。特定の場合では、半固体または固体医薬組成物は、非生分解性であっても生分解性であってもよい半透過性ゲル、格子、細胞足場等を含み得る。例えば、ある特定の場合では、外来細胞を周囲から隔離するが、外来細胞が生体分子(例えば、インスリン)を分泌して周囲細胞または血流に送達することは可能とすることが望ましいかまたは適切である場合がある。これらの場合では、細胞は、移植細胞を宿主組織から物理的に分離する非分解性の選択的透過性障壁によって囲まれる、生きている非天然膵ベータ細胞または非天然膵ベータ細胞を含む細胞集団を含む自律型埋込剤として製剤化され得る。そのような埋込剤は、薬理学的に誘導される免疫抑制の非存在下で免疫細胞および高分子が移植細胞を死滅させることを防止する能力を有するため、「免疫保護的」と称される場合がある。
【0340】
[0429]他の場合では、様々な分解性ゲルおよびネットワークが本開示の医薬組成物のために使用され得る。例えば、徐放性製剤に特に好適な分解性材料としては、生体適合性ポリマー、例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲン等が挙げられる。
【0341】
[0430]他の場合では、生分解性、好ましくは生体吸収型または生体吸収性の足場またはマトリックス上または中の細胞を送達することが望ましいかまたは適切である場合がある。これらの典型的には三次元の生体材料は、足場に付着するか、足場内に分散するか、または足場に捕捉された細胞外基質に取り込まれる、生きている細胞を含有する。身体の標的領域に埋め込まれると、これらの埋込剤は宿主組織と一体化し、移植細胞はそこで漸進的に定着していく。
【0342】
[0431]本開示で使用され得る足場またはマトリックス(まとめて「枠組み」と称される場合がある)材料の例としては、不織マット、多孔性フォーム、または自己組織化ペプチドが挙げられる。不織マットは、例えば、グリコール酸と乳酸との合成吸収性コポリマー(PGA/PLA)、フォーム、および/またはポリ(イプシロン-カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーを含む繊維を使用して形成され得る。
【0343】
[0432]別の実施形態では、枠組みは、生体吸収性材料、例えば、PGA、PLA、PCLコポリマーもしくはブレンド、またはヒアルロン酸から作製されるマルチフィラメント糸から構成され得るフェルトである。糸は、捲縮、裁断、梳綿、およびニードリングからなる標準的な織物加工技法を使用してフェルトとなる。別の実施形態では、細胞は、複数の材料からなる構造体であり得るフォーム足場に播種される。上述の場合のうちの多くでは、枠組みは有用な形状に成形することができる。さらに、非天然膵ベータ細胞は予め形成された非分解性の外科的または埋込可能デバイス上で培養できることが理解されるだろう。
【0344】
[0433]マトリックス、足場、またはデバイスは、細胞付着性を増強するために細胞の接種前に処理されてもよい。例えば、接種前に、ナイロンマトリックスは、0.1モルの酢酸を用いて処理し、ポリリシン、PBS、および/またはコラーゲン中でインキュベートして、ナイロンをコーティングすることができる。ポリスチレンは硫酸を使用して同様に処理することができる。枠組みの外面はまた、細胞の付着性または成長、および組織の分化を向上させるために、例えば、枠組みをプラズマコーティングすることによって、あるいは1つもしくは複数のタンパク質(例えば、コラーゲン、弾性線維、細網線維)、糖タンパク質、グリコサミノグリカン(例えば、ヘパリン硫酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸)、細胞基質、ならびに/または他の材料、例えば、これらに限定されないが、とりわけ、ゼラチン、アルギネート、寒天、アガロース、および植物ゴムの添加によって修飾してもよい。
【0345】
[0434]一態様では、本開示は、少なくとも1個の膵β細胞を含む細胞クラスターを含むデバイスを提供した。本明細書で提供されるデバイスは、対象に埋め込まれる場合にインスリンを産生および放出するように構成することができる。デバイスは、少なくとも1個の膵β細胞、例えば、非天然膵β細胞を含む細胞クラスターを含むことができる。デバイス中の細胞クラスターはin vitro GSISを呈することができる。デバイスは、半透膜をさらに含むことができる。半透膜は、細胞クラスターをデバイスに保持し、かつ細胞クラスターによって分泌されるインスリンの通過を可能にするように構成することができる。一部の場合のデバイスでは、細胞クラスターは半透膜によって封入され得る。封入は、当業者に利用可能なあらゆる技法によって行うことができる。半透膜はまた、当業者であれば理解および立証し得るように、任意の好適な材料から作製することができる。例えば、半透膜は、多糖またはポリカチオンから作製することができる。一部の場合では、半透膜は、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、および他のポリヒドロキシ酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、生分解性ポリウレタン、アルブミン、コラーゲン、フィブリン、ポリアミノ酸、プロラミン、アルギネート、アガロース、ゼラチンを含有するアガロース、デキストラン、ポリアクリレート、エチレン-酢酸ビニルポリマー、および他のアシル置換酢酸セルロース、ならびにそれらの誘導体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリ酸化エチレン、またはそれらの任意の組合せから作製することができる。一部の場合では、半透膜はアルギネートを含む。一部の場合では、細胞クラスターは、半透膜によって囲まれるアルギネートコアを含むマイクロカプセルに封入される。一部の場合では、アルギネートコアは、例えば、RGD配列(アルギニン、グリシン、アスパラギン酸)を有するオリゴペプチドを共有結合によりコンジュゲートさせたアルギネートコアを含む足場を生成するように修飾される。一部の場合では、アルギネートコアは、例えば、増強した安定性を有する化学酵素的に操作されたアルギネートを有する、共有結合により強化されたマイクロカプセルを生成するように修飾される。一部の場合では、アルギネートコアは、例えば、アクリレート官能化リン脂質のin situ重合によって組織化される膜模倣フィルムを生成するように修飾される。一部の場合では、マイクロカプセルは、エピメラーゼを使用して酵素的に修飾されたアルギネートから構成される。一部の場合では、マイクロカプセルは、マイクロカプセル膜の隣接層間に共有結合を含む。一部の実施形態では、マイクロカプセルは、フェノール部分と結合したアルギネートを含むサブシーブサイズのカプセルを含む。一部の場合では、マイクロカプセルはアルギネート-アガロースを含む足場を含む。一部の場合では、SC-β細胞は、PEGを用いて修飾された後にアルギネート内に封入される。一部の場合では、細胞、例えばSC-β細胞の単離された集団は光反応性リポソームおよびアルギネートに封入される。マイクロカプセルに用いられるアルギネートは、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、キトサン、ポリエステルホローファイバー、コラーゲン、ヒアルロン酸、ROD、BHD、およびポリエチレングリコール-ジアクリレート(PEGDA)を含むデキストラン、ポリ(MPC-co-n-ブチルメタクリレート-co-4-ビニルフェニルボロン酸)(PMBV)およびポリ(ビニルアルコール)(PVA)、アガロース、ゼラチンを含有するアガロース、ならびにこれらが多層になったものを含む他の好適な生体材料と置き換え可能であることが理解されるべきである。
【0346】
処置の方法
[0435]本明細書では、対象の疾患を処置(treating)または防止(preventing)するための方法がさらに提供される。内因性膵島に類似する細胞クラスターを含む組成物は、対象の膵機能の程度を回復するために対象に投与することができる。例えば、内因性膵島に類似する細胞クラスターは、糖尿病を処置するために対象に移植することができる。
【0347】
[0436]方法は、本出願に開示される細胞クラスターを対象、例えばそれを必要とする対象に移植するステップを含むことができる。「移植すること」および「投与すること」という用語は、交換可能に使用することができ、導入される細胞または細胞クラスターを所望の部位に少なくとも部分的に局在化させる方法または経路による、細胞もしくは細胞クラスター、その細胞もしくは細胞クラスターの任意の部分、または細胞、細胞クラスター、もしくはそれらの任意の部分を含む任意の組成物の対象への留置を指すことができる。細胞または細胞クラスターは、膵臓に直接埋め込むことも、あるいは埋め込まれる細胞の少なくとも一部または1個の細胞が生存可能なままとなる対象の所望の位置に送達させる任意の適切な経路によって投与することもできる。対象への投与後の細胞または細胞クラスターの生存の期間は、短い場合には数時間、例えば24時間~数日、長い場合には数年までであり得る。一部の場合では、細胞もしくは細胞クラスター、またはその細胞もしくは細胞クラスターの任意の部分はまた、例えば、埋め込まれる細胞または細胞クラスターを埋込位置に維持して遊走を回避するためのカプセル(例えば、マイクロカプセル)において、肝臓中または皮下等の膵臓の位置ではない別の部位に投与(transadminister)することができる。
【0348】
[0437]本明細書の方法によって処置することができる対象はヒトであっても非ヒト動物であってもよい。一部の場合では、対象は哺乳動物であり得る。対象の例としては、これらに限定されないが、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、バンブー(bamboo)、またはヒトが挙げられる。一部の場合では、対象はヒトである。対象は、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ等を含むがこれらに限定されない非霊長類動物であり得る。一部の場合では、処置を受ける対象はそれを必要とする対象、例えばそれを必要とするヒトである。
【0349】
[0438]本明細書で使用される場合、「処置すること」および「処置」という用語は、対象に有効量の組成物(例えば、細胞クラスターまたはその一部)を投与し、その結果、対象が疾患の少なくとも1つの症状の低減または疾患の改善、例えば有益なまたは所望の臨床結果を得ることを指すことができる。本開示の目的の場合、有益なまたは所望の臨床結果としては、これらに限定されないが、検出可能か検出不能かにかかわらず、1つまたは複数の症状の軽減、疾患の程度の減少、疾患の安定した(例えば、悪化しない)状態、疾患進行の遅延または緩徐化、疾患状態の改善または緩和、および寛解(例えば、部分的または完全)が挙げられる。処置することは、生存期間を、処置を受けない場合に予期される生存期間と比較して延長することを指すことができる。したがって、当業者は、処置は疾患の状態を向上し得るが疾患の完全な治癒でなくてもよいことを認識する。本明細書で使用される場合、「処置」という用語には予防が含まれる。
【0350】
[0439]本明細書で提供される方法および組成物は、疾患を有するかまたは疾患を発症するリスク(例えば、増加したリスク)を有する対象を処置するために使用され得る。一部の場合では、疾患は、I型糖尿病、II型糖尿病、1.5型糖尿病、境界型糖尿病、嚢胞性線維症関連糖尿病、外科的糖尿病、妊娠糖尿病、およびミトコンドリア糖尿病を含むがこれらに限定されない糖尿病である。疾患はまた、心血管疾患、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、足損傷、および聴覚損傷を含む糖尿病合併症であってもよい。
【0351】
[0440]方法は、当技術分野の任意の手段を使用して細胞クラスターを対象に移植するステップを含むことができる。例えば、方法は、腹腔内空間、腎被膜下、腎被膜、網、皮下空間を介するか、または膵床注入を介して細胞クラスターを移植するステップを含むことができる。例えば、移植するステップは、被膜下移植、筋肉内移植、または門脈内移植、例えば門脈内注入であり得る。免疫保護封入は細胞クラスターに対する免疫保護を実現するために実施することができる。
【0352】
実施例
[0441]以下の実施例は、記載された実施形態を、本開示の範囲を限定することなくさらに例示する。
【実施例1】
【0353】
実施例1.ステージ6培養条件
[0442]ステージ5インスリン陽性内分泌前駆細胞クラスターを、本明細書に記載したように、幹細胞から分化させた。インスリン陽性内分泌前駆細胞クラスターを、解離した細胞の大多数が個々の細胞となるように解離し、細胞を凍結保存し、解凍した。次いで、解凍した細胞を、ステージ6分化を介してβ細胞クラスターへと分化させる。ステージ6培養培地は、1%のヒト血清アルブミン(HSA)、および必要に応じて1.5μMの亜鉛を含有するDMEM F12基本を含む(「DS2培地」)。しかしながら、S6培養培地を使用したステージ6分化後に回収された細胞の総パーセンテージは、全体として、凍結保存された細胞の総数の20%未満であると決定された(
図1)。したがって、S6培地の変更が回収率を向上し得るか否かを分析した。
【0354】
[0443]この例では、個々の凍結保存ステージ5細胞を解凍し、ステージ6の初めの4日の間(S6d1~d4)(およそ72時間)改変ステージ5(S5)培地で培養し、その後、ステージ6(S6)培地で細胞を培養した(
図2の実験の概略を参照されたい)。
【0355】
[0444]膵臓前駆細胞集団をステージ5インスリン陽性内分泌前駆細胞クラスター集団へと分化させるために使用される本来のステージ5培養培地は、Alk5i(10μM)、GC-1(1μM)、LDN-193189(100nM)、チアゾビビン(2.5μM)、SSP(3nM)、DZNEP(100nM)、glutamax、ITS-X、低ヒト血清アルブミン(HSA)(0.05%)、ビタミンC、XXI、およびZnSO4を補充したMCDB 131の基本培地を含む。本明細書に記載されるステージ6の一部の間に使用される改変ステージ5(S5)培地は、Alki5i(10μM)、GC-1(1μM)、LDN-193189(100nM)、チアゾビビン(thiazovinin)(2.5μM)、SSP(3nM)、DZNEP(100nM)、および低ヒト血清アルブミン(HSA)(0.05%)、および1nMの亜鉛を補充したMCDB 131の基本培地を含む(「DS3培地」)。
【0356】
[0445]結果は、ステージ6の初めの4日間(およそ72時間)の改変S5培地での解凍ステージ5細胞の培養が4日目の凝集細胞回収率を向上させることを示す(
図3)。加えて、改変S5の使用は4日目(およそ72時間)におよそ85%の生存可能なCHGA+細胞の回収率をもたらした(
図4)。
【0357】
[0446]ステージ6で改変S5培地を使用したSC-β細胞の生成もまた分析した。結果は、ステージ6の初めの4日間(およそ72時間)改変S5培地で解凍ステージ5細胞を培養することが、4日目までにSC-β細胞集団を増加させることを示す(対照S6培地の場合の24.1%のNkx6.1/Isl1二重陽性細胞(右上)と比較される、31.9%(左下)および28.3%(右下)のNkx6.1/Isl1二重陽性細胞を示す
図5A下段のFACSプロット、
図5Bも参照されたい)。驚くべきことに、ステージ6の初めの4日の間(およそ72時間)解凍ステージ5細胞を培養するための改変S5培地の使用は、ステージ6の4日目までにSC-β細胞の回収率をおよそ2.5倍に向上させた(
図6)。
【0358】
[0447]改変ステージS5培地(1~4日目-およそ72時間)およびS6培地(4~11日目)を使用してステージ6の11日目(S6d11)に生成されたSC-β細胞は、GSIS機能も示した(
図7)。おそらくは細胞の4日目の改変S5培地からS6培地への適応のために、ステージ6の11日目(S6d11)までにSC-β細胞のパーセントの低下が存在し得る(
図10A~B)。
【0359】
[0448]顕微鏡分析はまた、ステージ6の7日目(S6d7)における細胞クラスターのサイズおよび形態が、1)ステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)は改変S5培地で培養し、その後、ステージ6の4~7日目の間はS6培地で培養した細胞と、2)ステージ6の1~7日目の間S6培地で培養した細胞との間で矛盾しないことを示した(
図8)。顕微鏡分析は、0.05%のHSAを含む改変ステージ5培地が、1%のHSAを含むステージ6培地のみで培養したものと比較して、ステージ6細胞のクラスター形態を向上させることをさらに示す(
図9)。
【0360】
[0449]結果は、全体的に、解凍ステージ5細胞をステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)S6培地で培養した場合と比較した、解凍ステージ5細胞をステージ6の1~4日目の間(およそ72時間)改変S5培地で培養した場合に回収した細胞のパーセントの予期せぬ増加、および予期せぬクラスター形態の向上を示す(
図11および
図12)。
【実施例2】
【0361】
実施例2.ステージ6での使用のための改変ステージ5(S5)培地
[0450]実施例1で報告されたように、ステージ6で回収した細胞のパーセントは、細胞をステージ6の初めの4日間(およそ72時間)改変S5培地で培養する場合、細胞を初めの4日間S6培地で培養する場合と比較して、劇的に増加する(
図11)。したがって、改変S5培地の各因子の、観察された細胞回収率の増加への寄与度に対する分析を分析した。
【0362】
[0451]いくつかの因子脱落実験を実施して、各因子の寄与度を同定した。個々のS5培地成分に対するこの分析に基づいて、低HSA、Alki、およびチアゾビビンが、改変S5培地を用いて観察されたステージ6の4日目(S6d4)の、細胞回収パーセンテージの向上(
図14)および回収した細胞の絶対数の向上(
図15)に重要であることが示された。
【0363】
[0452]改変S5培地は、ステージ6の4日目(S6d4)以降、例えば12日目(S6d12)でさえSC-β細胞の数を維持することがさらに示された(
図16)。同様に、改変S5培地は、Cペプチド含量によって示されるように、S6培地の使用と同等のレベルのSC-β細胞のインスリン含量を維持することが示された(
図17)。
【0364】
[0453]改変S5培地中の低HSAの効果もまた分析した。結果は、改変S5培地中の低HSAがより低いグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)と関連することを示す(
図18A~B)。2.8mMおよび20mMのグルコースの範囲を使用してGSISを刺激した(
図13の実験プロトコールを参照されたい)。
【0365】
[0454]マウスモデルを使用して、凍結保存後にステージ6培地または改変ステージ5培地で培養したSC島のin vivo有効性を検討した。結果は、改変した配合が凍結保存後クラスター再凝集を向上させることだけでなく、細胞がin vivoでの有効性を呈することも示す(
図57)。
【0366】
[0455]全体的に、結果は、低HSA、Alki、およびチアゾビビンは改変S5培地を使用して観察される細胞回収のパーセンテージの向上に関連するが、改変S5培地の低HSA含量はステージ6細胞のより低いGSISと相関し得ることを示す。少なくとも一部のステージ5シグナル伝達の維持はSC-β細胞の凍結保存後の回収率を増強する。
【実施例3】
【0367】
実施例3.ステージ6での使用のための改変ステージ5(S5)培地中の脂質
[0456]ステージ6で使用される改変S5培地に1つまたは複数の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸を補充することの効果を分析した。分析される脂肪酸には、パルミテート(飽和脂肪酸)、オレイン酸(不飽和脂肪酸)、リノール酸(不飽和脂肪酸)、およびパルミトレイン酸(不飽和脂肪酸)が含まれた(
図20に概略を示すプロトコールを参照されたい)。脂肪酸不含HSA+脂肪酸を37℃で1時間撹拌した。
【0368】
[0457]
図21に示すように、回収したSC-β細胞(Nkx6.1/Isl1二重陽性細胞)のパーセントは、例えばパルミテートを含むある特定の脂肪酸の改変S5培地への添加により向上した。この効果を
図22にさらに示し、パルミチン酸および0.5%のHSAの添加は、ステージ6の10日目に回収したSC-β細胞の総数を増強した。SC-β細胞の数だけでなく、ステージ6で回収した細胞の数に対する脂肪酸補充の効果もまた分析した。結果は、改変S5培地に対する補充がステージ6の10日目(S6d10)における細胞収率(
図24A)とSC-β細胞数(
図24B)の両方を増加することを示す。改変S5培地に対する脂質補充もまたSC島クラスターのサイズを増加する(
図56)。
【0369】
[0458]顕微鏡分析は、パルミテートまたはリノール酸を含む脂肪酸の補充がステージ6の6日目(S6d6)における細胞クラスターのサイズを増強することを示した(
図23)。
【0370】
[0459]実施例2に記載したように、改変S5培地および低HSA(0.05%)を含めることは、1%のHSAを含有するS6培地と比較してGSISに影響を及ぼす(
図26A~B)。ステージ6の4日目(S6d4)後のパルミテートの添加はステージ6の10日目(S6d10)のGSISを向上する(
図27A~B)。全体的な結果は、遊離脂肪酸がSC-β細胞収率を増加し得ることを示す(
図29)。全体的な結果は、1%のHSAの添加がSC-β細胞のGSIS機能を増加し得ることを示す(
図29)。改変ステージ5培地に対する脂質の補充はステージ6 SC島の長期安定性を増強する。
【実施例4】
【0371】
実施例4.ステージ6での使用のための改変ステージ5(S5)培地中のMGLL阻害剤
[0460]MGLL(モノアシルグリセロールリパーゼ)は、モノアシルグリセリドの遊離脂肪酸およびグリセロールへの変換を触媒するセリン加水分解酵素である。SC-β細胞生成に対する3つの高特異性MGLL阻害剤(JJKK048(1μM)、KML29(10μM)、NF1819(10μM))の効果を分析した。結果は、3つのMGLL阻害剤のいずれかをステージ6の1~10日目の間培養培地に添加した場合、ステージ6のSC-β細胞パーセントの50%前後への増加が存在することを示す(
図28)(試料14-JJKK048(1μM)、試料15-KML29(10μM)、試料16-NF1819(10μM))。全体的な結果は、MGLL阻害が、約50%から25%に低下するEC細胞(腸クロム親和性細胞)の生存率を選択することによって、SC-β細胞パーセントを増加し得ることを示す(
図29)。
【0372】
[0461]MGLL阻害剤を含む培地で培養したステージ6の14日目の細胞の16の異なる試料におけるインスリン含量は矛盾しないことが示された(
図25)。
【実施例5】
【0373】
実施例5.改変ステージ6培養条件
[0462]ステージ5インスリン陽性内分泌細胞クラスターを、本明細書に記載したように、幹細胞から分化させた。インスリン陽性内分泌細胞クラスターを、解離した細胞の大多数がここで個々の細胞となるように解離し、次いで細胞を凍結保存し、解凍した。次いで、解凍した細胞を、ステージ6分化を介してβ細胞クラスターへと分化させた。上に記載したステージ6培養培地は、S5d6因子(Alki5i(10μM)、GC-1(1μM)、LDN-193189(100nM)、チアゾビビン(thiazovinin)(2.5μM)、SSP(3nM)、DZNEP(100nM))を、0.05%のHSA、ITS-X、VitC、ならびに必要に応じて、脂質およびMGLL阻害剤等の追加の薬剤と共にステージ6の1~4日目にわたって補充したMCDB 131を含む(「DS3培地」)。0.05%のHSAを含有するMDCB 131の基本培地をステージ6の5~11日目の間使用した(
図30、
図31)。
【0374】
[0463]DS2またはDS3培地で分化させたSC-β細胞はin vivoで機能することができる(
図37、
図38)。DS3培地は、S6d5およびS6d7における細胞の回収率を大きく増強し(
図33)、幹細胞由来β細胞(SC-β細胞)のパーセンテージ(
図34A)およびインスリン含量(
図35)を保持した(本来の培地、すなわち1%のHSAを含有するDMEM/F12(「DS2培地」)と比較して)一方で、S6d11の細胞回収率を向上させず、in vitroでのグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)機能を低下させた(
図36)(
図32の概要を参照されたい)。したがって、一連の実験を実施して、回収率および収率を増加し(例えば、再凝集効率を最大化して経時的な細胞喪失を最小化し)、細胞クラスター組成を向上させ(例えば、SC-β細胞数を増加させ、腸クロム親和性細胞(EC細胞)の数を減少させ)、細胞の機能を向上させた(例えば、SC-β細胞GSISを向上させ、SC-β細胞インスリン含量を増加し、動物におけるグルコース制御を向上させた)。
【0375】
[0464]MCDB 131基本培地の分析は、MCDB 131培地がより低いレベルの特定のアミノ酸(
図40)および特定のビタミン(
図41)を含有することを決定した。
図45Bに示すように、代謝産物およびビタミンをDS3培地に含めることはS6d11回収率を向上させた(約30%の細胞回収率)。
図46に示すように、DS3培地への追加の補充物質、例えば、ビタミン、アミノ酸、代謝産物、および脂質はS6d11にわたりSC-β細胞パーセンテージを向上させ得る。しかしながら、DS3培地への成分としてのビタミン、代謝産物、およびアミノ酸の補充は高グルコース媒介性GSISを向上させるのに不十分であった(
図47)。
図42、43、および44に示すように、ZnSO4をDS3培地に含めることはS6d4細胞回収率を大きく向上させたが、S6d4後の細胞回収率の低下は依然として存在した。
【0376】
[0465]要約すると、上記の実験は、S6d1~d4における亜鉛が解凍由来の細胞の回収率を向上させ、アミノ酸、ビタミン、および追加の代謝産物を補充したMCDB 131がS6d11にわたり細胞回収率を向上させ、補充されたMCBD 131が高グルコースGSISをDS2レベルまで確立するのに不十分であり、補充されたMCDBがDS2と同一のGSIS(KCLピーク)を有するSC島を生成し、1%のHSAを含有するMCDB 131基本培地がs6d4~S6d11由来の一部のSC島を安定化させるのに不十分であり得ることを示す。
【0377】
[0466]DMDM/F12基本培地、10μMの亜鉛、代謝産物、S5d6因子(ステージ6の1~4日目の間のみ)(Alk5i(10μM)、GC-1(1μM)、LDN-193189(100nM)、チアゾビビン(thiazovinin)(2.5μM)、SSP(3nM)、DZNEP(100nM))、およびHSA(1~4日目の間は0.05%、5~11日目の間は1%)を含む改変ステージ6培地(「DS6培地」)を作製した(
図39)。グルタメート、アセテート、βヒドロキシブタレート(hydroxybutarate)、L-カルニチン(caratine)、タウリン、ホルメート、およびビオチンを含む選択数の代謝産物がDS6培地に含まれた。
【0378】
[0467]
図48Bに示すように、DS6培地はステージ6細胞回収率を向上させる(S6d11で40%の回収率)。さらに、DS6細胞クラスターは、DS2またはDS3培地と比較して、より小さく(S6d11までに110ミクロン)、ステージ6にわたりより高い均一性を呈する(
図49、
図50)。DS3培地で分化させたSC島は、DS2培地で分化させたSC島に観察されるようなGSISを呈しないが(
図51、
図52)、代謝産物を含有しないDS6培地で培養したSC島はS6d11で向上したGSISを呈する(
図53、
図51)。しかしながら、代謝産物を含有するDS6培地で培養したSC島は、DS2培地で培養したSC島と同一のGSISを呈する(
図54、
図51)。結果は、ステージ6でのDS6培地の使用が、より小さくより均一性の高いSC島、より高い細胞回収率、S6d11にわたるより高い細胞収率、およびステージ6全体にわたるより良好なGSISプロファイルをもたらすことを示す(
図55)。
【国際調査報告】