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特表2022-539200グルカゴン及びGLP-1コアゴニストペプチドのための医薬組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】グルカゴン及びGLP-1コアゴニストペプチドのための医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/26 20060101AFI20220831BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220831BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220831BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220831BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220831BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220831BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220831BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220831BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220831BHJP
   C07K 14/00 20060101ALI20220831BHJP
   C07K 14/605 20060101ALN20220831BHJP
【FI】
A61K38/26
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/02
A61K47/18
A61P3/06
A61P1/16
A61P3/10
A61K9/08
C07K14/00 ZNA
C07K14/605
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577897
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 EP2020068411
(87)【国際公開番号】W WO2021001374
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】62/869,263
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508098350
【氏名又は名称】メドイミューン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MedImmune Limited
【住所又は居所原語表記】Milstein Building,Granta Park,Cambridge CB21 6GH,England
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス ドス サントス,アナ ルシア
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB16
4C076CC16
4C076CC21
4C076DD22Z
4C076DD26Z
4C076DD38D
4C076DD50Z
4C076FF36
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA19
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA03
4C084ZA75
4C084ZC33
4C084ZC35
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA18
4H045BA55
4H045DA30
4H045EA27
4H045FA33
(57)【要約】
本発明は、GLP-1/ペグルカゴンアゴニストペプチドを非経口投与するための製剤、このような製剤を製造する方法及びこのような製剤を使用する治療方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号4を含むペプチドを含む医薬組成物であって、前記組成物のpHは、約8.1である医薬組成物。
【請求項2】
配列番号4及びソルビトールを含むペプチドを含む医薬組成物。
【請求項3】
配列番号4及びメタ-クレゾールを含むペプチドを含む医薬組成物。
【請求項4】
前記組成物のpHは、少なくとも7.9である、請求項2又は3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記組成物のpHは約7.9~約8.4であり、任意選択的に、前記組成物の前記pHは約8.1である、請求項2又は3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記組成物は、pH調整剤を含む、請求項1~3の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記組成物は、水酸化ナトリウムを含む、請求項1~3の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記組成物は、前記組成物のpHを少なくとも7.9にさせるために十分な濃度で水酸化ナトリウムを含む、請求項2又は3に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記組成物は、前記組成物のpHを約7.9~約8.4、任意選択的に約8.1にさせるために十分な濃度で水酸化ナトリウムを含む、請求項2又は3に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記組成物は、等張化剤を含む、請求項1又は3~9の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記等張化剤は、ソルビトール、マンニトール又はプロピレングリコールである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記ソルビトールの濃度は、約190mM~約250mMである、請求項2又は11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記ソルビトールの濃度は、約220mMであり、任意選択的に、前記濃度は、220.3mMである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ソルビトールの濃度は、約35mg/mL~約45mg/mLである、請求2又は11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記ソルビトールの濃度は、約40mg/mL~約41mg/mLであり、任意選択的に、前記濃度は、40.13mg/mLである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記組成物は、抗菌剤を含み、任意選択的に、前記抗菌剤は、メタ-クレゾール又はフェノールである、請求項1、2又は4~14の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記メタ-クレゾールの濃度は、約0.27重量/体積%~約0.45重量/体積%である、又は前記メタ-クレゾールの濃度は、約25mM~約30mMである、請求項3又は16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記メタ-クレゾールの濃度は、約0.31重量/体積%であり、前記メタ-クレゾールの濃度は、約28.6mMである、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記メタ-クレゾールの濃度は、約2.7mg/ml~約4.5mg/mlである、請求項3又は16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記メタ-クレゾールの濃度は、約3.1mg/mlである、請求項3又は19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記組成物は、バッファーを含み、任意選択的に、前記バッファーは、リン酸ナトリウム又はTRISである、請求項1~20の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記リン酸ナトリウムの濃度は、約5mM~約25mMである、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記リン酸ナトリウムの濃度は、約20mMであり、任意選択的に、前記濃度は、20mM又は20.1mMである、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びリン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む、請求項21~23の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記リン酸ナトリウム一塩基性一水和物の濃度は、約1mMであり、前記リン酸ナトリウム二塩基性七水和物の濃度は、約19mM、任意選択的に、19mM又は19.1mMである、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記リン酸ナトリウムの濃度は、約10mMである、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記リン酸ナトリウムの濃度は、約1mg/mL~約10mg/mLである、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記リン酸ナトリウムの濃度は、約5.25mg/mLである、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びリン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む、請求項21、28及び29の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記リン酸ナトリウム一塩基性一水和物の濃度は、約0.13mg/mLであり、前記リン酸ナトリウム二塩基性七水和物の濃度は、約5.12mg/mLである、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記リン酸ナトリウムの濃度は、約2.68mg/mLである、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物である、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
配列番号4を含む前記ペプチドの前記濃度は、約0.5mg/mL~約5mg/mLである、請求項1~33の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
配列番号4を含む前記ペプチドの前記濃度は、約1mg/mLである、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
配列番号4を含む前記ペプチドの前記濃度は、約2mg/mLである、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項37】
配列番号4を含む前記ペプチドの前記濃度は、約5mg/mLである、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項38】
配列番号4を含む約0.5mg/mL~約5mg/mLのペプチド、約190mM~約250mMのソルビトール、約5mM~約25mMのリン酸ナトリウム及び約0.27重量/体積%~約0.45重量/体積%のメタ-クレゾールを含む医薬組成物であって、前記医薬組成物のpHは、約7.9~約8.4である医薬組成物。
【請求項39】
配列番号4を含む約0.5mg/mL~約5mg/mLのペプチド、約220.3mMのソルビトール、約20.1mMのリン酸ナトリウム及び約0.31重量/体積%のメタ-クレゾールを含む医薬組成物であって、前記医薬組成物のpHは、約8.1である医薬組成物。
【請求項40】
配列番号4を含む約0.5mg/mL~約5mg/mLのペプチド、約220.3mMのソルビトール、約20mMのリン酸ナトリウム及び約0.31重量/体積%のメタ-クレゾールを含む医薬組成物であって、前記医薬組成物のpHは、約8.1である医薬組成物。
【請求項41】
前記リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びリン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む、請求項39又は40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
配列番号4を含む約0.5mg/mL~約5mg/mLのペプチド、約220.3mMのソルビトール、約10mMのリン酸ナトリウム及び約0.31重量/体積%のメタ-クレゾールを含む医薬組成物であって、前記医薬組成物のpHは、約8.1である医薬組成物。
【請求項43】
前記リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物である、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
水酸化ナトリウムを含む、請求項38~43の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
配列番号4を含む約1mg/mLの前記ペプチドを含む、請求項38~44の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項46】
配列番号4を含む約2mg/mLの前記ペプチドを含む、請求項38~44の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
配列番号4を含む約5mg/mLの前記ペプチドを含む、請求項38~44の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記組成物は、液体である、請求項1~47の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記組成物は、非経口投与用である、請求項1~48の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記組成物は、皮下投与用である、請求項1~49の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
請求項1~50の何れか一項に記載の医薬組成物を含むシリンジ、バイアル又はペンであって、任意選択的に、複数回用量シリンジ、バイアル又はペンである、シリンジ、バイアル又はペン。
【請求項52】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)又は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を治療する方法であって、それを必要とするヒト対象に請求項1~50の何れか一項に記載の医薬組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項53】
肝臓脂肪を低減させる方法であって、それを必要とするヒト対象に請求項1~50の何れか一項に記載の医薬組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項54】
2型真性糖尿病を治療する方法であって、それを必要とするヒトに、請求項1~50の何れか一項に記載の医薬組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項55】
前記ペプチドは、毎日投与され、任意選択的に、前記ペプチドは、1日1回投与される、請求項52~54の何れか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記ペプチドは、注射によって投与され、任意選択的に、前記注射は、皮下である、請求項52~55の何れか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記投与は、食事及び運動を補助するものである、請求項52~56の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子的手段によって提出された配列表の参照
本願とともに提出したASCIIテキストファイルにおいて電子提出した配列リスト(名称GLPGG-300-WO-PCT_ST25.txt;サイズ:1,840バイト;及び作成日:2020年6月22日)の内容は、その全体において参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本開示は、グルカゴン及びGLP-1コアゴニストペプチドを投与するための医薬組成物及びそれを投与する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
肥満は、世界規模で主要な、増大し続ける健康問題である。肥満は、心血管疾患、腎臓病、高血圧、発作、不妊、呼吸不全及び2型糖尿病等の生命を脅かす多くの疾患に関連している。
【0004】
グルカゴン及びグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、158アミノ酸前駆体ポリペプチドであるプレプログルカゴンに由来し、これは、様々な組織でプロセシングされて、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)及びオキシントモジュリン(OXM)等、幾つかの異なるプログルカゴン由来のペプチドを形成するが、これらは、グルコースホメオスタシス、インスリン分泌、胃内容排出及び腸成長並びに食物摂取の制御等の多様な生理学的機能に関与する。グルカゴンは、プログルカゴンのアミノ酸33~61(プレプログルカゴンの53~81)に対応する29アミノ酸ペプチドであるのに対し、GLP-1は、プログルカゴンのアミノ酸72~108(プレプログルカゴンの92~128)に対応する37アミノ酸ペプチドとして生成される。
【0005】
グルカゴンは、膵臓により生成され、グルカゴン受容体(「glucR」)と相互作用する。グルカゴンは、肝臓内で作用して、糖新生とグリコーゲン分解によって血糖を高める。血糖が下がり始めると、グルカゴンは、グリコーゲンを分解し、グルコースを放出するように肝臓にシグナルを送り、血糖値を通常のレベルへと上昇させる。
【0006】
GLP-1は、グルカゴンと比較して異なる生物活性を有する。GLP-1は、消化管内L細胞(gut L cells)から分泌され、GLP-1受容体に結合する。その活性には、インスリン合成及び分泌の刺激、グルカゴン分泌の阻害及び食物摂取の阻害が含まれる。GLP-1(7~36)アミド又はGLP-1(7~37)酸は、GLP-1受容体で本質的に同等の活性を示すGLP-1の生物活性の形態である。
【0007】
グルカゴン及びGLP-1はどちらも、それぞれの各受容体でアゴニストとして作用し、体重減少に有効であることが証明されている。所定のGLP-1類似体は、販売されているか、又は肥満の治療のために開発中であり、例えば、Liraglutide(Novo NordiskからのVICTOZA(登録商標))及びExenatide(Eli Lilly/AmylinからのByetta(登録商標))等がある。グルカゴン/GLP-1アゴニストペプチドは、特許文献1にも開示されている。
【0008】
幾つかの療法は、血糖管理のために利用可能であるが、これまでのところ実質的な体重減少を達成するものは皆無であり、患者にとって重要な必要は未だ満たされていないままである。50%の患者は、血糖管理のための経口単剤療法(通常、メトホルミンを用いる)から10年以内にインスリン療法の開始へと進行し、多くの場合、インスリン療法を開始する前に複数の経口併用療法を採用する。インスリンの使用は、体重増加を悪化させ、これはインスリン療法の開始後の1年目で6キログラム(kg)もの増加となり得る。この体重増加は、インスリン抵抗性の増大を招く恐れがあり、これは、高血圧、脂質異常症及び主要有害心血管事象のリスク増大に関連する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2014/091316号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
インスリン抵抗性の低減に関して、有意な体重減少(>5%)が、インスリン抵抗性を低減するための最適な介入であるが、これは、現時点で、集中的な食事及びライフスタイル介入並びに/又は肥満手術によってしか確実に達成することができない。GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを投与するための医薬組成物が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
MEDI0382は、C16脂肪酸(パルミチン酸)を含む30アミノ酸を含有する合成ペプチドである。MEDI0382は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)及びグルカゴン受容体の共作動性活性の両方を結びつける。GLP-1及びグルカゴン活性の組み合わせは、大きな体重減少を誘発し、血糖管理及び脂質プロファイルにおける改善をもたらし得る。デュアルアゴニスト応答を引き出すために、全ペプチドを安全且つ有効に作成する所定のアミノ酸を構造的に配列した。この配列は、製剤の安定性に対する挑戦課題を生じさせた。構造的障害に加えて、保存剤の添加は、溶液安定性への追加の制約を導入した。保存剤は、患者の便宜性のための複数回用量製剤としてMEDI0382を製剤化するために含められた。安全性を維持しながら製剤安定性を支持する好適な溶液条件を同定するために広範な製剤開発を実施した。溶液のpH、バッファー濃度及び保存剤を選択して、複数回用量製剤を生成した。
【0012】
MEDI0382複数回用量製剤は、有益にも2種の異なる薬物製品の提示を可能にするので、患者はMEDI0382を1mg/mL(「滴定用量」)で使用する治療を開始し、5mg/mL(「維持用量」)に切り換えることができる。維持用量の前の滴定用量の使用は、副作用を低減することができる。
【0013】
より高次の会合体を回避し、長期(例えば、2年間の)安定性を達成する組成物を達成するための本明細書に提供したGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物。
【0014】
本明細書では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を投与するための医薬組成物が提供される。
【0015】
所定の実施形態では、医薬組成物は、配列番号4(MEDI0382)を含むペプチドを含み、組成物のpHは、約8.1である。
【0016】
所定の実施形態では、医薬組成物は、配列番号4(MEDI0382)を含むペプチド及びソルビトールを含む。
【0017】
所定の実施形態では、医薬組成物は、配列番号4(MEDI0382)を含むペプチド及びメタ-クレゾールを含む。
【0018】
所定の実施形態では、組成物のpHは、少なくとも7.9である。所定の実施形態では、組成物のpHは、約7.9~約8.4である。所定の実施形態では、組成物のpHは、約8.1である。
【0019】
所定の実施形態では、組成物は、pH調整剤を含む。所定の実施形態では、組成物は、水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、組成物は、組成物のpHを少なくとも7.9にさせるために十分な濃度で水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、組成物は、組成物のpHを約7.9~約8.4にさせるために十分な濃度で水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、組成物は、組成物のpHを約8.1にさせるために十分な濃度で水酸化ナトリウムを含む。
【0020】
所定の実施形態では、組成物は、等張化剤を含む。所定の実施形態では、等張化剤は、ソルビトール、マンニトール又はプロピレングリコールである。所定の実施形態では、組成物は、ソルビトールを含む。所定の実施形態では、ソルビトールの濃度は、約190mM~約250mMである。所定の実施形態では、ソルビトールの濃度は、約220mMである。所定の実施形態では、ソルビトールの濃度は、220.3mMである。所定の実施形態では、ソルビトールの濃度は、約35mg/mL~約45mg/mLである。所定の実施形態では、ソルビトールの濃度は、約40mg/mL~約41mg/mLである。所定の実施形態では、ソルビトールの濃度は、40.13mg/mLである。
【0021】
所定の実施形態では、組成物は、抗菌剤を含む。所定の実施形態では、抗菌剤は、メタ-クレゾール又はフェノールである。所定の実施形態では、組成物は、メタ-クレゾールを含む。所定の実施形態では、メタ-クレゾールの濃度は、約0.27重量/体積%~約0.45重量/体積%である。所定の実施形態では、メタ-クレゾールの濃度は、約0.31重量/体積%である。所定の実施形態では、メタ-クレゾールの濃度は、約25mM~約30mMである。所定の実施形態では、メタ-クレゾールの濃度は、約28.6mMである。所定の実施形態では、メタ-クレゾールの濃度は、約0.4重量/体積%である。所定の実施形態では、メタ-クレゾールの濃度は、約2.7mg/mL~約4.5mg/mLである。所定の実施形態では、メタ-クレゾールの濃度は、約3.1mg/mLである。所定の実施形態では、メタ-クレゾールの濃度は、約4mg/mLである。
【0022】
所定の実施形態では、組成物は、バッファーを含む。所定の実施形態では、バッファーは、リン酸ナトリウム又はTRISである。
【0023】
所定の実施形態では、組成物は、リン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムの濃度は、約5mM~約25mMである。
【0024】
所定の実施形態では、リン酸ナトリウムの濃度は、約20mMである。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムの濃度は、20mMである。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムの濃度は、20.1mMである。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びリン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む。所定の実施形態では、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物の濃度は約1mMであり、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物の濃度は約19mMである。所定の実施形態では、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物の濃度は1mMであり、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物の濃度は19mMである。所定の実施形態では、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物の濃度は1mMであり、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物の濃度は19.1mMである。
【0025】
所定の実施形態では、リン酸ナトリウムの濃度は、約10mMである。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物である。
【0026】
所定の実施形態では、リン酸ナトリウムの濃度は、約1mg/mL~約10mg/mLである。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムの濃度は、約5.25mg/mLである。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びリン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む。所定の実施形態では、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物の濃度は約0.13mg/mLであり、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物の濃度は約5.12mg/mLである。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムの濃度は、約2.68mg/mLである。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物である。
【0027】
所定の実施形態では、医薬組成物は、リン酸ナトリウムを含んでいない。所定の実施形態では、医薬組成物は、リシン、トレハロース、塩化マグネシウム、ヒスチジン、アルギニン及び/又はグルタミン酸を含んでいない。
【0028】
所定の実施形態では、配列番号4(MEDI0382)を含むペプチドの濃度は、約0.5mg/mL~約5mg/mLである。所定の実施形態では、配列番号4(MEDI0382)を含むペプチドの濃度は、約1mg/mLである。所定の実施形態では、配列番号4(MEDI0382)を含むペプチドの濃度は、約2mg/mLである。所定の実施形態では、配列番号4(MEDI0382)を含むペプチドの濃度は、約5mg/mLである。
【0029】
所定の実施形態では、医薬組成物は、配列番号4(MEDI0382)を含む約0.5mg/mL~約5mg/mLのペプチド、約190mM~約250mMのソルビトール、約5mM~約25mMのリン酸ナトリウム及び約0.27重量/体積%~約0.45重量/体積%のメタ-クレゾールを含み、医薬組成物のpHは、約7.9~約8.4である。
【0030】
所定の実施形態では、医薬組成物は、配列番号4(MEDI0382)を含む約0.5mg/mL~約5mg/mL(例えば、約1mg/mL、約2mg/mL若しくは約5mg/mL)のペプチド、約220.3mMのソルビトール、約20.1mMのリン酸ナトリウム及び約0.31重量/体積%のメタ-クレゾールを含み、医薬組成物のpHは、約8.1である。所定の実施形態では、医薬組成物は、配列番号4(MEDI0382)を含む約0.5mg/mL~約5mg/mL(例えば、約1mg/mL、約2mg/mL若しくは約5mg/mL)のペプチド、約220.3mMのソルビトール、約20mMのリン酸ナトリウム及び約0.31重量/体積%のメタ-クレゾールを含み、医薬組成物のpHは、約8.1である。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びリン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む。
【0031】
所定の実施形態では、医薬組成物は、配列番号4(MEDI0382)を含む約0.5mg/mL~約5mg/mL(例えば、約1mg/mL、約2mg/mL若しくは約5mg/mL)のペプチド、約220.3mMのソルビトール、約10mMのリン酸ナトリウム及び約0.31重量/体積%のメタ-クレゾールを含み、医薬組成物のpHは、約8.1である。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物である。
【0032】
所定の実施形態では、医薬組成物は、配列番号4(MEDI0382)を含む約0.5mg/mL~約5mg/mL(例えば、約1mg/mL、約2mg/mL若しくは約5mg/mL)のペプチド、約220mMのソルビトール、約20mMのリン酸ナトリウム及び約0.31重量/体積%のメタ-クレゾールを含み、医薬組成物のpHは、約8.1である。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びリン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む。
【0033】
所定の実施形態では、医薬組成物は、配列番号4(MEDI0382)を含む約0.5mg/mL~約5mg/mL(例えば、約1mg/mL、約2mg/mL若しくは約5mg/mL)のペプチド、約220mMのソルビトール、約20mMのリン酸ナトリウム及び約0.4重量/体積%のメタ-クレゾールを含み、医薬組成物のpHは、約8.1である。
【0034】
所定の実施形態では、組成物は、水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びリン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む。所定の実施形態では、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物対リン酸ナトリウム二塩基性七水和物の比率は、約0.5:19.5である。
【0035】
所定の実施形態では、組成物は、配列番号4(MEDI0382)を含む約0.05mg~約0.5mgのペプチドを含む。所定の実施形態では、組成物は、約0.3mgの配列番号4(MEDI0382)のペプチドを含む。
【0036】
所定の実施形態では、組成物は、液体である。所定の実施形態では、組成物は、非経口投与のためである。所定の実施形態では、組成物は、皮下投与のためである。
【0037】
所定の実施形態では、バイアル、シリンジ又はペンは、本明細書に提供した医薬組成物を含む。所定の実施形態では、バイアル、シリンジ又はペンは、複数回用量バイアル、シリンジ又はペンである。
【0038】
所定の実施形態では、体重を低減させる方法は、それを必要とするヒト対象に本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む。
【0039】
所定の実施形態では、体脂肪を低減させる方法は、それを必要とするヒト対象に本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む。
【0040】
所定の実施形態では、肥満を治療する方法は、それを必要とするヒト対象に本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む。
【0041】
所定の実施形態では、過体重により引き起こされるか又は過体重を特徴とする疾患若しくは状態を治療若しくは予防する方法は、それを必要とするヒト対象に本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む。
【0042】
所定の実施形態では、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を治療する方法は、それを必要とするヒト対象に本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む。所定の実施形態では、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を治療する方法は、それを必要とするヒト対象に本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む。
【0043】
所定の実施形態では、肝臓脂肪を低減させる方法は、それを必要とするヒト対象に本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む。
【0044】
所定の実施形態では、脂質酸化を増加させる方法は、それを必要とするヒト対象に本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む。
【0045】
所定の実施形態では、食物摂取量を低減させる方法は、それを必要とするヒト対象に本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む。
【0046】
所定の実施形態では、血漿グルコースを低減させる方法は、それを必要とするヒト対象に本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む。
【0047】
本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、対象は糖尿病を有する。所定の実施形態では、糖尿病は、2型真性糖尿病である。
【0048】
所定の実施形態では、2型真性糖尿病を治療する方法は、それを必要とするヒトに、本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む。
【0049】
所定の実施形態では、2型真性糖尿病を有するヒト対象の血糖管理を改善する方法は、本明細書に提供した医薬組成物をその対象に投与する工程を含む。
【0050】
本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、投与は、体重を低減させる。本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、投与は、肥満を治療する。本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、投与は、体脂肪を低減させる。
【0051】
本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、約0.05mg~約0.3mgのペプチドが投与される。本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、約0.05mg、約0.1mg、約0.15mg、約0.2mg、約0.25mg又は約0.3mgのペプチドが投与される。
【0052】
本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、ペプチドは毎日投与される。本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、ペプチドは1日1回投与される。本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間又は少なくとも4週間に渡り投与される。
【0053】
本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、ペプチドは、注射によって投与される。本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、投与は、皮下である。
【0054】
本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、対象は、27kg/m~40kg/mのボディマスインデックス(BMI)を有する。本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、対象は、30kg/m~39.9kg/mのBMIを有する。本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、対象は、少なくとも40kg/mのBMIを有する。本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、対象は、過体重である。本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、対象は、肥満である。
【0055】
本明細書に提供した方法の所定の実施形態では、投与は、食事及び運動を補助するものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】MEDI0382(配列番号4)の化学構造、化学式(C1672524255)及び分子量(3728.09)を示す図である。
図2】アミノ酸、クエン酸塩及び塩化マグネシウムの存在下におけるチオフラビンT結合(ThT)アッセイの結果を示す図である(実施例11を参照されたい)。
図3】トレハロース、プロピレングリコール、ソルビトール、スクロース、マンニトール、リシン及びクエン酸ナトリウムの存在下におけるThTアッセイの結果を示す図である(実施例11を参照されたい)。
図4】40℃で保存された様々なMEDI0382組成物の純度レベルを示す図である(実施例11を参照されたい)。
図5】MEDI0382の純度及びフィブリル化にm-クレゾール及びフェノールが及ぼす作用を示す図である(実施例13を参照されたい)。
図6】ある範囲のpH、フェノール、グリセロール及びソルビトールに渡る流体力学半径(R(h))及びフィブリル化(遅延時間)を示す図である(実施例13を参照されたい)。
図7】6カ月に渡る25℃で7種の異なる組成物中のMEDI0382の純度を示す図である(実施例14を参照されたい)。
図8】総純度(DS)、不純物(酸化、異性体15及び異性体9)及び総不純物に及ぼす7種のMEDI0382組成物中の成分の影響に関する予測プロファイラーの推定値を示す図である(実施例14を参照されたい)。
図9】12週間に渡る5℃及び25℃での1mg/mLのMEDI0382の化学的安定性に液体フェノールが及ぼす作用を示す図である(実施例17を参照されたい)。
図10】12週間に渡る5℃及び25℃での1mg/mLのMEDI0382の化学的安定性に固体フェノールが及ぼす作用を示す図である(実施例17を参照されたい)。
図11】12週間に渡る5℃及び25℃での2mg/mLのMEDI0382の化学的安定性に固体フェノールが及ぼす作用を示す図である(実施例17を参照されたい)。
図12】12週間に渡る5℃及び25℃での1mg/mLのMEDI0382の化学的安定性にm-クレゾール(Sigma)が及ぼす作用を示す図である(実施例17を参照されたい)。
図13】12週間に渡る5℃及び25℃での1mg/mLのMEDI0382の化学的安定性にm-クレゾール(Hedinger)が及ぼす作用を示す図である(実施例17を参照されたい)。
図14A-14C】高分子量(HWM)MEDI0382不純物の形成にリン酸ナトリウム濃度及び塩のタイプが及ぼす作用を示す図である(実施例19を参照されたい)。
図15】40℃でのHMW不純物レベルにバッファーのタイプが及ぼす影響(SECの結果)を示す図である(実施例19を参照されたい)。
図16A】MEDI0382の5mg/mLの製剤が1mg/mL又は2mg/mLの製剤より低レベルの総不純物を有することを示す図である(実施例20を参照されたい)。
図16B】40℃、25℃及び5℃でのMEDI0382の5mg/mL及び1mg/mLの製剤中の高分子量(HMW)不純物を示す図である(実施例20を参照されたい)。
図17】MEDI0382の1mg/mL、2mg/mL又は5mg/mLの製剤中でFACSによって同定される有意なフィブリル化陽性粒子がないことを示す図である(実施例20を参照されたい)。
図18】MEDI0382の1mg/mL及び5mg/mLの製剤中のフィブリルのTEM画像を示す図である(実施例20を参照されたい)。
図19】40℃、25℃及び5℃でのMEDI0382の5mg/mL及び1mg/mLの製剤中の総不純物を示す図である(実施例21を参照されたい)。
図20】40℃、25℃及び5℃でのMEDI0382の5mg/mL及び1mg/mLの製剤中の高分子量(HMW)不純物を示す図である(実施例21を参照されたい)。
図21】FACSによって観察される5℃でのThT陽性粒子を示す図である(実施例21を参照されたい)。
図22】MEDI0382の1mg/mL及び5mg/mLの製剤中のフィブリルのTEM画像を示す図である(実施例21を参照されたい)。
図23】酸素置換を用いて配合したMEDI0382に25℃(左)、32℃(中央)及び40℃(右)での安定性試験の結果を示す図である。DO=溶存酸素。モデル系は、標準大気条件下において配合されたMEDI0382を用いた安定性試験データから開発されたアレニウスモデルを指す(実施例23を参照されたい)。
図24】標準大気条件下において配合されたMEDI0382のアレニウスモデルを用いて5%の溶存酸素(DO)及び20%のDO中で配合されたMEDI0382を用いて得られた安定性データの比較を示す図である(実施例23を参照されたい)。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本明細書で示し、説明した特定の実施は実施例であり、如何なる形であれ他の方法で本出願の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0058】
本明細書で言及した公開特許、特許出願、ウェブサイト、会社名及び科学文献は、それぞれが参照により組み込まれることが具体的且つ個別に示されるのと同程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で引用した任意の参考文献と本明細書の特定の教示との間に矛盾があれば、後者を優先して解決されるものとする。同様に、当技術分野で理解される単語又は語句の定義と、本明細書で具体的に教示する単語又は語句の定義との間の矛盾は、後者を優先して解決されるものとする。
【0059】
I.定義
本明細書中で使用する単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、具体的に、それらが指す用語の複数形も包含する。従って、用語「1つの」(又は「1つの(an)」)、「1つ以上の」及び「少なくとも1つの」は、本明細書では互換的に使用され得る。
【0060】
用語「約」は、本明細書では、おおよそ、~の辺り、大体又はおよそを意味するために使用される。「約」という用語が数値範囲とともに使用される場合、記載される数値の上下の限界を拡張することによってその範囲が変更される。一般に、特に言及されない限り「約」という用語は、20%の変動で述べられる値を上回る、及び下回る数値を修飾するために本明細書中で使用される。
【0061】
更に、本明細書で使用する「及び/又は」は、他方の有無にかかわらず、2つの指定された特徴又は成分のそれぞれの特定の開示と見なされるべきである。従って本明細書において、「A及び/又はB」等の語句で使用される「及び/又は」という用語は、「A及びB」、「A又はB」、「A」(単独)並びに「B」(単独)を含むことが意図されている。同様に、用語「及び/又は」は、「A、B及び/又はC」等の語句で用いられるとき、以下の態様:A、B及びC;A、B又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)のそれぞれを包含することが意図される。
【0062】
「含む(comprising)」という語とともに態様が本明細書中に記載されるときは如何なる場合も、「から成る(consisting of)」及び/又は「基本的にから成る(consisting essentially of)」という用語で記載される類似の態様も提供されることを理解されたい。特定のアミノ酸配列を「含む」ペプチドは、当該アミノ酸配列を含むペプチドを指し、ここで、ペプチドは、別のアミノ酸又は当該アミノ酸配列に対する他の修飾を含んでいてもよいし、又は含んでいなくてもよい。特定のアミノ酸配列「から成る」ペプチドは、当該アミノ酸配列のみを含み、別のアミノ酸又は当該アミノ酸配列に対する他の修飾を含まないペプチドを指す。特定のアミノ酸配列「から成る」アミノ酸配列を「含む」ペプチドは、当該アミノ酸配列を含み、別のアミノ酸を含まないペプチドを指すが;ペプチドは、アミノ酸配列(例えば、アシル部分又はパルミトイル部分)に対する他の修飾を含み得る。
【0063】
本明細書中で使用する技術用語及び科学用語は、別段の定めがない限り、本願が属する技術分野の当業者により一般的に理解される意味を有する。本明細書中では、当業者にとって公知の様々な方法及び材料について言及する。ペプチド合成の一般的原理を説明する標準的な参考書としては、W.C.Chan及びP.D.White.,“Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach”,Oxford University Press,Oxford(2004)が挙げられる。更に、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示で使用される用語の多くの一般的な辞書を当業者に提供する。
【0064】
単位、接頭辞及び記号は、それらの国際単位系(SI)承認形態で示される。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。別段の指示がない限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシ方向に向けて左から右に記述される。本明細書に提供した見出しは本開示の様々な態様の制限ではなく、これは、全体として本明細書を参照することによって得られる。従って、直後に定義される用語は、本明細書を全体として参照することによってより詳細に定義される。
【0065】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」及び「タンパク質断片」は、2個以上のアミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書中で互換的に使用される。これらの用語は、1個以上のアミノ酸残基が、対応する天然型アミノ酸の人工的な化学模倣物であるアミノ酸ポリマーに、並びに天然型アミノ酸ポリマー及び非天然型アミノ酸ポリマーに適用される。「ペプチド」という用語は、翻訳後又は合成後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解性切断又は非天然のアミノ酸による修飾が起こったペプチドを更に含む。「ペプチド」は、半減期を延長させるためのFcドメイン又はアルブミンドメイン等のさらなる構成成分を含む融合ペプチドの一部であり得る。本明細書に記載したペプチドは、多数の異なる方法で誘導体化することもできる。
【0066】
用語「アミノ酸」は、天然型アミノ酸及び合成アミノ酸、並びに天然型アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を指す。天然型アミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるもの、並びに後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然型アミノ酸と同じ基本的化学構造、例えば、水素、カルボキシル基、アミノ基及びR基に結合するα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。このような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)又は修飾ペプチド骨格を有し得るが、天然型アミノ酸と同じ基本的化学構造を保持している。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然型アミノ酸と同様に機能する化学化合物を指す。用語「アミノ酸」及び「アミノ酸残基」は、全体を通して互換的に使用される。
【0067】
用語「単離された」は、ペプチド又は核酸が、一般に本開示に従っているであろう状態を指す。単離ペプチド及び単離核酸は、それらの天然の環境、又はこのような調製がin vitro又はin vivoで実施される組み換えDNA技術による場合には、それらが調製される環境(例えば、細胞培養)でそれらが一緒に見られる他のペプチド又は核酸等、それらが天然に結び付いている物質について不含であるか又は実質的に不含である。ペプチド及び核酸は、希釈剤又はアジュバントとともに製剤化され得、更に実際的な目的のためには単離され得、例えば本ペプチドは、一般的に、免疫アッセイでの使用のためのマイクロタイタープレートをコーティングするために使用される場合、ゼラチン若しくは他の担体と混合されるか、又は診断若しくは治療で使用される場合、薬学的に許容される担体若しくは希釈剤と混合されるであろう。
【0068】
「組み換え」ペプチドは、組み換えDNA技術を介して生成されたペプチドを指す。宿主細胞中で発現した組み換え生成ペプチドは、分離されているか、分画化されているか又は何らかの適切な技術により部分的若しくは実質的に精製されている天然ポリペプチド又は組み換えポリペプチドであるので、本開示の目的のために単離されているとみなされる。
【0069】
用語「断片」、「類似体」、「誘導体」又は「変異体」は、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを指す場合、少なくとも一部の要望される活性、例えば、グルカゴン及び/又はGLP-1受容体への結合を保持する任意のペプチドを含む。本明細書に記載したGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの断片は、発現、精製及び/又は対象への投与の際に、望ましい特性を呈示するタンパク質分解断片、欠失断片を含む。
【0070】
本明細書で使用する用語「変異体」は、アミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は修飾のために、列挙したペプチドとは異なるペプチドを指す。変異体は、当技術分野で公知の変異誘発技術を用いて作製することができる。変異体は更に、又はその代わりに、他の修飾を含み得る。例えば、ペプチドは、例えば、半減期を延長する、溶解性を高める、又は安定性を高めるために、異種アミノ酸配列又は他の部分にコンジュゲート又は結合する、例えば、融合することができる。本明細書に提供したペプチドにコンジュゲート又は結合する部分の例としては、限定されるものではないが、アルブミン、免疫グロブリンFc領域及びポリエチレングリコール(PEG)等が挙げられる。ペプチドは、ペプチド(例えば、6-His)の合成、精製若しくは同定を容易にするため、又はポリペプチドの固体支持体への結合を促進するために、リンカー又は他の配列に結合させてコンジュゲートする、又は作り出すこともできる。
【0071】
用語「組成物」又は「医薬組成物」は、治療を必要とする対象、例えば、肥満を治療中のヒト対象への投与のための、例えば、薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と一緒に、本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを含有する組成物を指す。
【0072】
用語「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、合理的なリスク/ベネフィット比と釣り合った、過剰な毒性又は他の合併症がない、ヒト及び動物の組織との接触に適切である組成物を指す。
【0073】
「薬学的に許容される担体」という用語は、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの生物活性の有効性を妨害しない1つ以上の無毒性物質を指す。
【0074】
「有効量」は、単一用量又はシリーズの一部としての何れかで、対象に投与した場合、治療、例えば、肥満の治療に有効な、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの量である。ある量は、例えば、その投与により、体重減少又は体重維持(例えば、体重増加の予防)、体脂肪の減少、低血糖の予防若しくは調節、高血糖の予防若しくは調節、インスリン合成の促進又は食物摂取の抑制のうち1つ以上が達成されるとき、有効である。この量は、治療を受ける全ての対象について一定量であってもよいし、又は治療しようとする対象の体重、健康状態及び体調、要望される体重減少又は体重維持の程度、ペプチドの製剤化、医学的状況の専門家による評価並びに他の関連因子に応じて変動し得る。
【0075】
用語「対象」は、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを用いた治療を必要とする任意の対象、特に哺乳動物の対象を意味する。哺乳動物対象としては、ヒト、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、クマ、乳牛、類人猿、サル、オランウータン及びチンパンジー等が挙げられるが限定されない。一実施形態では、対象はヒト対象である。
【0076】
本明細書で用いる「それを必要とする対象」は、治療することが望ましい個体、例えば、体重若しくは体脂肪減少、体重若しくは体脂肪維持を促進すること、又は指定された期間に渡って体重増加を予防若しくは最小限にすることが望ましい肥満の対象、又は肥満になり易い対象を指す。
【0077】
「治療する(treating)」又は「治療(treatment)」又は「治療する(to treat)」等の用語は、診断された病的状態又は障害を治癒させる、及び/又はその進行を停止させる治療的手段を指す。「予防する(preventing)」等の用語は、標的とされる病的状態又は障害の発現を予防及び/又は緩徐にする予防的若しくは防御的手段を指す。従って、治療を必要とする者としては、疾患又は状態が既にある者が挙げられる。予防を必要とする者としては、疾患若しくは状態を有する傾向がある者及び疾患若しくは状態が予防されるべきである者が挙げられる。例えば過体重により引き起こされるか又は過体重を特徴とする疾患又は状態を有する「患者を治療する」という句は、対象がその疾患又は状態により不快感に苦しむ及び/又は機能変化に苦しむことがなくなる程度まで、疾患又は状態の重症度を軽減することを指す。過体重により引き起こされるか又は過体重を特徴とする疾患又は状態を「予防する」という句は、疾患若しくは状態に対する可能性を低下させること及び/又は疾患又は状態の発症を減少させること(例えば未治療患者と比較した場合の相対的な発生低下)を指す。
【0078】
「重症度を軽減すること」等の用語は、診断された病的状態又は障害の症状を緩徐にするか又は減少させる治療的手段を指す。例えば、過体重により引き起こされるか又は過体重を特徴とする疾患又は状態の「重症度を低減すること」という句は、疾患若しくは状態の重症度を低減すること(例えば、非治療患者と比較して体重の減少、又は血糖管理の向上)を指す。
【0079】
本明細書で用いる「GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド」は、アッセイ1の条件下で、グルカゴン受容体において、天然グルカゴンと比べ、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上の活性を呈示し、且つアッセイ1の条件下で、GLP-1受容体において、天然GLP-1と比べ、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上の活性を呈示するキメラペプチドである。
【0080】
本明細書で使用する用語「天然グルカゴン」は、HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT(配列番号1)の配列を含む、天然型グルカゴン、例えば、ヒトグルカゴンを指す。用語「天然GLP-1」は、天然型GLP-1、例えば、ヒトGLP-1を指し、例えば、GLP-1(7~36)アミド(HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGR;配列番号2)、GLP-1(7~37)酸(HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRG;配列番号3)又はこれら2種の化合物の混合物を包含する総称である。本明細書で使用する「グルカゴン」又は「GLP-1」との一般的参照は、それ以上の呼称がない場合、天然ヒトグルカゴン又は天然GLP-1をそれぞれ意味することが意図されている。他に指示のない限り、「グルカゴン」は、ヒトグルカゴンを指し、更に、「GLP-1」は、ヒトGLP-1を指す。
【0081】
II.GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド
本明細書では、グルカゴン受容体とGLP-1受容体の両方に結合するペプチドが提供される。MEDI0382(G933;コタデュチド(cotadutide))等の代表的なペプチドは、それぞれ、その全体において参照により本明細書中に組み込まれる国際公開第2014/091316号パンフレット及び同第2017/153575号パンフレットにおいて提供されている。所定の実施形態では、ペプチドはMEDI0382、即ちHSQGTFTSDX10SEYLDSERARDFVAWLEAGG酸(式中、X10=γグルタミン酸リンカー(即ち、K(gE-パーム))(配列番号4)を通して、ε窒素にコンジュゲート化したパルミトイル基を備えるリシンである)の配列を備える30アミノ酸直鎖ペプチドである。所定の実施形態では、本明細書に提供したペプチドは、グルカゴン及びGLP-1活性のコアゴニストである。このようなペプチドは、本明細書では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドと呼ぶ。本明細書に提供したGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、体重減少を促進し、体重増加を予防するか、又は望ましい体重を維持する上で好都合な比でGLP-1及びグルカゴン活性を有し、且つ最適化された可溶性、製剤化性及び安定性を備える。所定の実施形態では、本明細書に提供したGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、ヒトGLP1及びヒトグルカゴン受容体で活性である。所定の実施形態では、本明細書に開示したGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、グルカゴン及びGLP-1受容体において望ましい力価を有し、体重減少を促進する上で望ましい相対力価を有する。
【0082】
MEDI0382は、12位でグルタミン酸塩残基を有し、グルカゴン及びGLP-1受容体の両方で安定した活性を維持する。対応する残基は、エキセンディン-4(エキセナチド)及びグルカゴンではリシンであり、GLP-1ではセリンである。この残基は、受容体と接触するとは考えられないが、正から負への電荷の変化が隣接する環境を改変し得る。更に、MEDI0382は、27位でグルタミン酸塩残基を有する。残基27は、エキセンディン4ではリシンであり、GLP-1(バリン)及びグルカゴン(メチオニン)では非荷電疎水性残基である。エキセンディン4のリシンは、残基Glu127及びGlu24におけるGLP1受容体との静電気的相互作用をもたらす(C.R.Underwood et al J Biol Chem 285 723-730(2010);S.Runge et al J Biol Chem 283 11340-11347(2008))。27位の電荷が負に変化すると、GLP1R力価の損失を予想し得るのに対し、この変化は、MEDI0382におけるGLP1R活性と適合性である。
【0083】
MEDI0382は、血清アルブミンとの連関によってその半減期を延長させるために、従ってその腎クリアランスの傾向を低減させるためにパルミトイル化されている。
【0084】
上記に代わり、又はこれに加えて、例えば、半減期を延長するために、本明細書に開示のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを異種部分と結合することができる。異種部分は、タンパク質、ペプチド、タンパク質ドメイン、リンカー、有機ポリマー、無機ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ビオチン、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、HSA FcRn結合部分、抗体、抗体のドメイン、抗体断片、単鎖抗体、ドメイン抗体、アルブミン結合ドメイン、酵素、リガンド、受容体、結合ペプチド、非FnIIIスカフォールド、エピトープタグ、組み換えポリペプチドポリマー、サイトカイン又はこれらの部分の2つ以上の組み合わせであってよい。
【0085】
III.GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの製造方法
本開示は、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの製造方法を提供する。本明細書に提供したGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、任意の好適な方法により製造することができる。例えば、所定の実施形態では、本明細書に記載するGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、当業者には周知の方法、例えば、Merrifield(1963,J.Am.Chem.Soc.85:2149-2154)により記載された固相合成法により、化学的に合成される。固相ペプチド合成は、例えば、国際公開第2014/091316号パンフレットの実施例1に説明されているように、標準的試薬を用いる、例えば自動合成装置によって達成することができる。
【0086】
又は、本明細書に提供したGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドは、当業者には周知である好都合なベクター/宿主細胞の組み合わせを用いて、組み換えにより製造することもできる。GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを組み換えにより製造するための様々な方法が入手可能である。一般に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を適切な発現ビヒクル、例えば、挿入されたコード配列の転写及び翻訳に必要なエレメントを含有するベクターに挿入する。GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドをコードする核酸を適正なリーディングフレーム内のベクターに挿入する。次に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを発現する好適な宿主細胞に、発現ベクターをトランスフェクトする。好適な宿主細胞としては、限定はしないが、細菌、酵母又は哺乳動物細胞が挙げられる。市販の様々な宿主発現ベクター系を用いると、本明細書に記載のGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドを発現させることができる。
【0087】
IV.医薬組成物
更には、代謝性疾患、例えば、肥満の治療のために製剤化される、有効量の本明細書に提供したGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含有する組成物、例えば、医薬組成物が提供される。
【0088】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、液剤である。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、非経口投与のために製剤化される。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、非経口投与のために製剤化される液体である。
【0089】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、少なくとも1種の固定用量を含有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、1~10種の固定用量を含有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、1~6種の固定用量(例えば、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550及び600mcg)を含有する。
【0090】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、冷蔵条件(2℃~8℃)で少なくとも12カ月の保存寿命を有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、冷蔵条件(2℃~8℃)で少なくとも2年の保存寿命を有する。
【0091】
所定の実施形態では、医薬組成物は、約0.5mg/mL~約5mg/mLのGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む。所定の実施形態では、医薬組成物は、約1mg/mLのGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む。所定の実施形態では、医薬組成物は、約2mg/mLのGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む。所定の実施形態では、医薬組成物は、約5mg/mLのGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む。
【0092】
所定の実施形態では、医薬組成物は、約0.05mg~約0.5mgのGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む。所定の実施形態では、医薬組成物は、約0.3mgのGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む。
【0093】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、少なくとも7.9のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約7.9~約8.5のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約7.9~約8.4のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約7.9~約8.3のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約7.9~約8.2のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約7.9~約8.1のpHを有する。
【0094】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、少なくとも8のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約8~約8.5のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約8~約8.4のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約8~約8.3のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約8~約8.2のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約8.1~約8.5のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約8.1~約8.4のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約8.1~約8.3のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約8.1~約8.2のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約8.1のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約8.2のpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約8.4のpHを有する。
【0095】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、pH調整剤を含む。幾つかの実施形態では、pH調整剤は、水酸化ナトリウムである。幾つかの実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、水酸化ナトリウムを含む。
【0096】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを少なくとも7.9にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約7.9~約8.5にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約7.9~約8.4にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約7.9~約8.3にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約7.9~約8.2にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約7.9~約8.1にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。
【0097】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを少なくとも8にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約8~約8.5にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約8~約8.4にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約8~約8.3にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約8~約8.2にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約8.1~約8.5にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約8.1~約8.4にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含むpHを有する。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約8.1~約8.3にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約8.1~約8.2にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、組成物のpHを約8.1にさせるために十分な濃度にある水酸化ナトリウムを含む。
【0098】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、等張化剤を含む。所定の実施形態では、等張化剤は、ソルビトール、マンニトール又はプロピレングリコールである。
【0099】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、ソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約190mM~約270mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約190mM~約250mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約200mM~約250mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約210mM~約250mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約220mM~約250mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約200mM~約240mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約210mM~約240mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約220mM~約240mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約210mM~約230mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約220mM~約230mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約200mM~約220mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約210mM~約220mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約215mM~約225mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約219mM~約221mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約220mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、220.1mM、220.2mM、220.3mM、220.4mM又は220.5mMのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、220.3mMのソルビトールを含む。
【0100】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約35mg/mL~約45mg/mLのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約40mg/mL~約41mg/mLのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約40mg/mL~約40.5mg/mLのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約40.1mg/mL~約40.2mg/mLのソルビトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約40.13mg/mLのソルビトールを含む。
【0101】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、マンニトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約50mM~約300mMのマンニトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約100mM~約300mMのマンニトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約150mM~約300mMのマンニトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約50mMのマンニトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約100mMのマンニトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約150mMのマンニトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約200mMのマンニトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約220mMのマンニトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約250mMのマンニトールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約300mMのマンニトールを含む。
【0102】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、プロピレングリコールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.05重量/体積%~約2重量/体積%のプロピレングリコールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約1重量/体積%~約2重量/体積%のプロピレングリコールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約1.5重量/体積%~約2重量/体積%のプロピレングリコールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約1重量/体積%のプロピレングリコールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約1.35重量/体積%のプロピレングリコールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約1.5重量/体積%のプロピレングリコールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約1.85重量/体積%のプロピレングリコールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約2重量/体積%のプロピレングリコールを含む。
【0103】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、保存剤/抗菌剤を含む。所定の実施形態では、保存剤又は抗菌剤は、メタ-クレゾール(m-クレゾール)又はフェノールである。
【0104】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、メタ-クレゾール(m-クレゾール)を含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.2重量/体積%~約0.5重量/体積%のm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、少なくとも0.27重量/体積%のm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.27重量/体積%~約0.45重量/体積%のm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.27重量/体積%~約0.4重量/体積%のm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.27重量/体積%~約0.35重量/体積%のm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.28重量/体積%~約0.34重量/体積%のm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.29重量/体積%~約0.33重量/体積%のm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.3重量/体積%~約0.32重量/体積%のm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.31重量/体積%のm-クレゾールを含む。
【0105】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、少なくとも0.34重量/体積%のm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.34重量/体積%~約0.45重量/体積%のm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.38重量/体積%~約0.42重量/体積%のm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.39重量/体積%~約0.41重量/体積%のm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.4重量/体積%のm-クレゾールを含む。
【0106】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約2.7mg/mL~約4.5mg/mLのm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約2mg/mL~約4mg/mLのm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約3mg/mL~約3.5mg/mLのm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約3.1mg/mLのm-クレゾールを含む。
【0107】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約3mg/mL~約5mg/mLのm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約3.5mg/mL~約4.5mg/mLのm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約4mg/mLのm-クレゾールを含む。
【0108】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、フェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.05重量/体積%~約2重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.1重量/体積%~約2重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.2重量/体積%~約2重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.3重量/体積%~約2重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.4重量/体積%~約2重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.05重量/体積%~約1重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.1重量/体積%~約1重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.2重量/体積%~約1重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.3重量/体積%~約1重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.4重量/体積%~約1重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.4重量/体積%~約0.6重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.4重量/体積%~約0.5重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.5重量/体積%~約0.6重量/体積%のフェノールを含む。
【0109】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.35重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.4重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.45重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.5重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.5重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.55重量/体積%のフェノールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.56重量/体積%のフェノールを含む。
【0110】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、バッファーを含む。所定の実施形態では、バッファーは、リン酸ナトリウム又はTRISである。
【0111】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、リン酸ナトリウムを含む。
【0112】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、30mMまでのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約5mM~約30mMのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約10mM~約30mMのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約5mM~約25mMのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約10mM~約25mMのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約15mM~約25mMのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約18mM~約22mMのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約5mM~約20mMのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約10mM~約20mMのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約15mM~約20mMのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約10mMのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約20mMのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約20.1mMのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約50mMのリン酸ナトリウムを含む。
【0113】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約1mg/mL~約10mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約1mg/mL~約9mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約1mg/mL~約8mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約1mg/mL~約7mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約1mg/mL~約6mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約2mg/mL~約10mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約2mg/mL~約8mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約2mg/mL~約6mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約3mg/mL~約10mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約3mg/mL~約8mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約3mg/mL~約6mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約4mg/mL~約10mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約4mg/mL~約8mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約4mg/mL~約6mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約4mg/mL~約10mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約4mg/mL~約8mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約5mg/mL~約6mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約5.25mg/mLのリン酸ナトリウムを含む。
【0114】
所定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物を含む。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びリン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む。所定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、約0.13mg/mLのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物及び約5.12mg/mLのリン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む。所定の実施形態では、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物対リン酸ナトリウム二塩基性七水和物の比率は、約0.25:19.5~約1:19.5である。所定の実施形態では、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物対リン酸ナトリウム二塩基性七水和物の比率は、約0.5:19.5である。
【0115】
所定の実施形態では、20mMのリン酸ナトリウムは、約0.5mMのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物及び約19.5mMのリン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む。所定の実施形態では、20mMのリン酸ナトリウムは、1mMのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物及び約19mMのリン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む。所定の実施形態では、20.1mMのリン酸ナトリウムは、約1mMのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物及び約19.1mMのリン酸ナトリウム二塩基性七水和物を含む。
【0116】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、TRISを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約25mM~約150mMのTRIS(例えば、pH7.5)を含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約50mM~約100mMのTRIS(例えば、pH7.5)を含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約25mMのTRIS(例えば、pH7.5)を含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約50mMのTRIS(例えば、pH7.5)を含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約75mMのTRIS(例えば、pH7.5)を含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約100mMのTRIS(例えば、pH7.5)を含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約125mMのTRIS(例えば、pH7.5)を含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約150mMのTRIS(例えば、pH7.5)を含む。
【0117】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、リン酸ナトリウムを含有していない。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、バッファーを含有していない。
【0118】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、リシンを含有していない。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、トレハロースを含有していない。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、スクロースを含有していない。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、塩化マグネシウムを含有していない。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、ヒスチジンを含有していない。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、アルギニンを含有していない。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、グルタミン酸を含有していない。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、リシン、トレハロース、スクロース、塩化マグネシウム、ヒスチジン、アルギニン及び/又はグルタミン酸を含有していない。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、アミノ酸を含有していない。
【0119】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約190mM~約270mMのソルビトール及び約0.2%~約0.5%のm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約190mM~約270mMのソルビトール及び30mMまでのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約0.2%~約0.5%のm-クレゾール及び30mMまでのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約190mM~約270mMのソルビトール、約0.2%~約0.5%のm-クレゾール及び/又は30mMまでのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、pHは、少なくとも7.9、例えば、約8.1である。
【0120】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約35mg/mL~約45mg/mLのソルビトール及び約2.7mg/mL~約4.5mg/mLのm-クレゾールを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約35mg/mL~約45mg/mLのソルビトール及び10mg/mLまでのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約2.7mg/mL~約4.5mg/mLのm-クレゾール及び10mg/mLまでのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約35mg/mL~約45mg/mLのソルビトール、約2.7mg/mL~約4.5mg/mLのm-クレゾール及び10mg/mLまでのリン酸ナトリウムを含む。所定の実施形態では、pHは、少なくとも7.9、例えば、約8.1である。
【0121】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約220mM若しくは約220.3mMのソルビトール、約20mM若しくは約20.1mMのリン酸ナトリウム(例えば、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びリン酸ナトリウム二塩基性七水和物の混合物)、並びに約0.31重量/体積%のメタ-クレゾール及び約8.1のpHを含む。所定の実施形態では、医薬組成物は、約1mg/mLのGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む。所定の実施形態では、医薬組成物は、更に水酸化ナトリウムを含む。
【0122】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約220mM若しくは約220.3mMのソルビトール、約10mMのリン酸ナトリウム(例えば、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物)、並びに約0.31重量/体積%のメタ-クレゾール及び約8.1のpHを含む。所定の実施形態では、医薬組成物は、約1mg/mLのGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む。
【0123】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、約220mM若しくは約220.3mMのソルビトール、約20mM若しくは約20.1mMのリン酸ナトリウム(例えば、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びリン酸ナトリウム二塩基性七水和物の混合物)、並びに約0.4重量/体積%のメタ-クレゾール及び約8.1のpHを含む。所定の実施形態では、医薬組成物は、約1mg/mLのGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む。所定の実施形態では、医薬組成物は、更に水酸化ナトリウムを含む。
【0124】
所定の実施形態では、本明細書で提供した医薬組成物は、ペン、例えば、複数回用量ペン中に含有される。所定の実施形態では、本明細書で提供した医薬組成物は、シリンジ、例えば、複数回用量シリンジ中に含有される。所定の実施形態では、本明細書で提供した医薬組成物は、バイアル、例えば、ガラスバイアル中に含有される。バイアル、例えば、ガラスバイアルは、複数回用量バイアルであり得る。
【0125】
所定の実施形態では、本明細書に提供した医薬組成物は、物理的に安定性である。所定の実施形態では、本明細書に提供した医薬組成物は、化学的に安定性である。所定の実施形態では、本明細書に提供した医薬組成物は、物理的に安定性且つ化学的に安定性である。所定の実施形態では、本明細書に提供した医薬組成物は、高次凝集体を形成しない。所定の実施形態では、本明細書に提供した医薬組成物は、フィブリル形成の増加を示さない。所定の実施形態では、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、室温で28日後に本明細書に提供した医薬組成物中では増殖しない。所定の実施形態では、大腸菌(Escherichia coli)は、室温で28日後に本明細書に提供した医薬組成物中では増殖しない。所定の実施形態では、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)も大腸菌(Escherichia coli)も室温で28日後に本明細書に提供した医薬組成物中では増殖しない。
【0126】
V.治療方法
GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は、グルカゴンの作用、例えば、食物摂取の抑制又は血糖値の調節と、GLP-1の作用、例えば、胃運動性の抑制又はインスリン放出の促進とを組み合わせることができる。従って、これらは、過剰な脂肪組織の排除を加速し、持続可能な体重減少を誘導するとともに、血糖管理を改善するように作用することができる。GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)は又、高コレステロール及び高LDL-コレステロール又は異常なHDL/LDL比等の心血管リスク因子を低減するように作用することもできる。
【0127】
本開示は、肥満又は肥満関連疾患若しくは障害を治療する方法であって、治療を必要とする対象に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。所定の例では、投与は、食事及び運動を補助するものである。所定の例では、対象は、2型真性糖尿病を有する。所定の例では、対象は、30kg/m~39.9kg/mのボディマスインデックス(BMI)を有する。所定の例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。
【0128】
本開示は、体重を低減させる方法であって、治療を必要とする対象に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。所定の例では、投与は、食事及び運動を補助するものである。所定の例では、対象は、2型真性糖尿病を有する。所定の例では、対象は、2kg/m7~40kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、30kg/m~39.9kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。所定の例では、対象は、過体重である。所定の例では、対象は、肥満である。
【0129】
本開示は、体脂肪を低減させる方法であって、治療を必要とする対象に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。所定の例では、投与は、食事及び運動を補助するものである。所定の例では、対象は、2型真性糖尿病を有する。所定の例では、対象は、27kg/m~40kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、30kg/m~39.9kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。所定の例では、対象は、過体重である。所定の例では、対象は、肥満である。所定の例では、脂肪は、肝臓脂肪である。
【0130】
本開示は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を治療する方法であって、治療を必要とする対象に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。所定の例では、投与は、食事及び運動を補助するものである。投与は又、体重を低減させ得るか又は肥満を治療し得る。所定の例では、対象は、27kg/m~40kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、30kg/m~39.9kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。所定の例では、対象は、過体重である。所定の例では、対象は、肥満である。
【0131】
本開示は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を治療する方法であって、治療を必要とする対象に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。所定の例では、投与は、食事及び運動を補助するものである。投与は又、体重を低減させ得るか又は肥満を治療し得る。所定の例では、対象は、27kg/m~40kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、30kg/m~39.9kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。所定の例では、対象は、過体重である。所定の例では、対象は肥満である。
【0132】
本開示は、肝臓脂肪を低減させる方法であって、治療を必要とする対象に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。所定の例では、投与は、食事及び運動を補助するものである。投与は又、体重を低減させ得るか又は肥満を治療し得る。所定の例では、対象は、27kg/m~40kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、30kg/m~39.9kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。所定の例では、対象は、過体重である。所定の例では、対象は、肥満である。
【0133】
本明細書に提供するように、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物は、体重増加の予防、脂肪(例えば、肝臓脂肪)増加の予防、体重減少の促進、脂肪(例えば、肝臓脂肪)減少の促進、過体重の低減、脂肪(例えば、肝臓脂肪)の低減、又は病的肥満を含む肥満の治療(例えば、食欲、給餌、食物摂取、カロリー摂取及び/又はエネルギー消費の管理により)のために投与され得る。本開示は、更に過体重又は過剰体脂肪により引き起こされるか又は過体重又は過剰体脂肪を特徴とする疾患若しくは状態を治療若しくは予防する方法であって、治療を必要とする対象に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。所定の例では、投与は、食事及び運動を補助するものである。更に、本明細書に提供したGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む医薬組成物は、他の肥満関連代謝障害の治療に用いることもできる。他の肥満関連(過体重関連)障害の例としては、以下の:インスリン抵抗性、耐糖能障害、糖尿病前期、空腹時血糖値上昇、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症(又はこれら代謝リスク因子の組み合わせ)、グルカゴン産生腫瘍、心血管疾患、例えば、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化(atherosclerosis)、動脈硬化症、冠動脈性心疾患又は抹消動脈疾患、発作、呼吸不全又は腎疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
本開示は、2型真性糖尿病を治療する方法であって、治療を必要とする対象に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。所定の例では、投与は、食事及び運動を補助するものである。投与は又、体重を低減させ得るか又は肥満を治療し得る。所定の例では、対象は、27kg/m~40kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、30kg/m~39.9kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。所定の例では、対象は、過体重である。所定の例では、対象は、肥満である。
【0135】
本開示は、血糖管理を改善する方法であって、治療を必要とする対象に、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。所定の例では、投与は、食事及び運動を補助するものである。投与は又、体重を低減させ得るか又は肥満を治療し得る。所定の例では、対象は、2型真性糖尿病を有する。所定の例では、対象は、27kg/m~40kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、30kg/m~39.9kg/mのBMIを有する。所定の例では、対象は、少なくとも40のBMIを有する。所定の例では、対象は、過体重である。所定の例では、対象は、肥満である。
【0136】
所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物の投与経路は、非経口である。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物の投与経路は、皮下である。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物は、注射によって投与される。所定の実施形態では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物は、皮下注射によって投与される。
【0137】
所定の例では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物は、1日1回投与され得る。所定の例では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物は、注射(例えば、皮下投与)によって1日1回投与され得る。所定の例では、GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド(例えば、MEDI0382)を含む本明細書に提供した医薬組成物は、少なくとも1週間の期間に渡り、少なくとも2週間の期間に渡り、少なくとも3週間の期間に渡り、又は少なくとも4週間の期間に渡り、注射(例えば、皮下投与)によって1日1回投与され得る。
【0138】
VI.キット
更に他の実施形態では、本開示は、本明細書に記載したGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドの医薬組成物を含むキットを提供する。所定の実施形態では、キットは、1つ以上の容器に入った、本明細書に開示したGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド組成物を含む。当業者であれば、当技術分野では公知の確立されたキットフォーマットの1つに、本明細書に開示したGLP-1/グルカゴンアゴニストペプチド組成物を容易に組み込むことができることを容易に認識するであろう。
【実施例
【0139】
実施例1:MEDI0382の溶解性及びpH安定性プロファイル
GLP-1/グルカゴンアゴニストペプチドMEDI0382の溶解性及びpH安定性(図1)について試験した。詳細には、溶解性を様々なタイプのバッファー、様々なバッファーイオン強度、純水及び有機溶媒において試験した。MEDI0382の水性pH溶解性についても評価した。(逆相超高性能液体クロマトグラフィー(RP-UPLC)によって測定される)化学的安定性及び(フーリエ変換赤外分光法(FTIR)及び紫外線円二色性分光法(CD)によって測定される)二次構造についても、様々なpHで評価した。更に、MEDI0382凝集の動態にpHが及ぼす作用についても、チオフラビンT結合(ThT)アッセイにおいて評価した。これらの実験の結果は、表2に要約した。
【0140】
【表1】
【0141】
表2に記載の試験は、さらなる開発に含められるバッファー及びpH製剤の選択を誘導するための足がかりであった。
【0142】
実施例2:賦形剤のスクリーニング
溶解性及びpH安定性試験の結果に基づいて、皮下経路によって投与され得る液体製剤のための一般に安全と認められる(GRAS)賦形剤を用いてMEDI0382の適合性に注目した。15種の製剤中におけるMEDI0382の安定性は、動的光散乱(DLS)法によって評価した。結果は表3に要約する。
【0143】
【表2】
【0144】
促進条件において、リン酸バッファー、アルギニン及びグリシン(pH6.5)を含有する製剤は、Z平均値における劇的な増加を示し、低い物理的安定性を示した。MEDI0382の実験的pIは、4.1~4.5である。好ましいバッファー選択肢は、TRIS及びリン酸ナトリウムであり、最も許容される賦形剤は、マンニトール、プロピレングリコール及びソルビトールであった。
【0145】
表3において使用した製剤順位付けの原則は、促進条件でのペプチド純度の消失(主要エリアピーク/全ピークエリア)(純度消失≦40℃で1週間に付き3%、低リスク;純度消失>40℃で1週間に付き5%=高リスク)及び40℃若しくは5℃での物理的安定性(Z平均値<10nm=低リスク、>10nm=中リスク;>100nm=高リスク)であった。安定性の順位付けは、アルギニン(製剤4及び5)、3重量/体積%のソルビトール(製剤9)、低いリン酸ナトリウムバッファーのイオン強度(製剤1)及び7.0未満のpH(製剤5及び13)を用いた場合の低い安定性性能を示している。
【0146】
全体として、本試験の結果は、リン酸ナトリウム(>25mM)及びTRISバッファー、プロピレングリコール、グリセロール、メチオニン、マンニトール及び≧7のpHの方を指している。
【0147】
実施例3:1カ月及び3カ月安定性試験
開発を進めるために6種の製剤を設計した。これらの製剤は、表4に提供する。
【0148】
【表3】
【0149】
6種の選択した製剤を冷蔵(2℃~8℃)及びストレス条件(37℃)下の1カ月安定性試験において使用した。試料は、時点ゼロ、2週間後及び4週間後にRP-UPLC、DLS、目視検査、マイクロフローイメージング(MFI)、サイズ排除クロマトグラフィー-多角度光散乱法(SEC-MALS)によって評価した。
【0150】
RP-UPLCによって測定した分解率は、温度依存性であった。5℃で保存した場合、全製剤は、4週間以内に≧96.5%の純度レベルを示した。しかしながら、37℃では、製剤1(TRIS、マンニトール)は、他の製剤(≧90%の純度レベル)と比較して有意に高い分解率(≧80%の純度レベル)を示す。4週間以内にSEC MALSプロファイルについての有意な変化は見られなかった(5℃)。より高次の構造は、ストレス条件下でさえ三量体であった。
【0151】
安定性試験は、試験した全6種の製剤は、5℃で保存した場合に、4週間以内には有意な物理化学的不安定性の変化を示さないことを示唆している。製剤1(「DF」:100mMのTRIS、150mMのマンニトール1)は、熱ストレス条件下で有意に低安定性であった。製剤2(DF+メチオニン)は、強制条件(37℃)で熱安定性に関する有意な改善を示した。製剤2(DF+メチオニン)は、強制条件(37℃)で熱安定性に関する有意な改善を示した。全体としては、製剤2、4及び6は、ストレス条件下で限界的により優れた安定性プロファイルを証明している。
【0152】
製剤2、4及び6は、ストレス条件データに基づいて下記の実施例においてpK試験のために選択した。
【0153】
1カ月試験と一緒に、3カ月安定性試験は、製剤1(デフォルト製剤、100mMのTRIS/150mMのマンニトール、pH7.2±0.2)を用いて実施した。
【0154】
製剤1は、5℃での3カ月データに基づき、下記の実施例において薬物動態(PK)試験のために、及び以前の前臨床試験(MsC)との比較可能性のために選択された。
【0155】
実施例4:製剤のPK試験
PK分析は、以前の実施例から選択された製剤1、2、4及び6を用いてラット(0.1mg/kgの皮下(sc又はSQ))において実施した。PK分析は、試験した全4種の製剤について匹敵する半減期及びバイオアベイラビリティを示唆した。しかしながら、製剤2(TRIS、マンニトール、メチオニン)は、他の製剤に比してわずかに低いバイオアベイラビリティを有していた。これらの類似性を考慮して、製剤の優先順位を付けるために化学的安定性プロファイルを使用した。製剤2(50mMのリン酸ナトリウム、1.85重量/体積%のプロピレングリコール、5mg/mL、pH7.2±0.3)は、最高の性能を示した。製剤1は、さらなる比較可能性試験のために保持したが、製剤4は低下した酸化レベルを示した。
【0156】
実施例5:長期安定性試験
全部が5mg/mLの濃度でMEDI0382を含有する3種の製剤を長期安定性試験のために選択した。これらの製剤は、表5に提供する。
【0157】
【表4】
【0158】
純度(RP-UPLC)、凝集(DLS)、ペプチド濃度(A280)、高次構造(SEC-MALS)(多角度(レーザー)光散乱)、肉眼では視認できない粒子(MFI)、オスモル濃度、立体配座安定性(円二色性(CD)分光法)及びpH試験を実施した。下記の温度:5℃、15℃;25℃、40℃及び-80℃について試験した。下記の時点:0、2週間後、1カ月後、2カ月後、3カ月後、6カ月後、9カ月後、12カ月後、24カ月後及び36カ月後について試験した。
【0159】
1カ月当たり低量のMEDI0382分解(0.3%以下)が見られた。分解経路は、40℃のデータに基づいてLC-MSによって解明された可能性のある異性化、脱アミド化、酸化及び断片化を含んでいた。RP-UPLCによって測定されるように、分解は製剤3について最大であり、製剤1について最小であった。
【0160】
凝集の動的光散乱(DLS)評価は、低温(5℃~25℃)での凝集における有意な変化がないことを示している。しかしながら、製剤2においてより有意であった強制条件(40℃)でのZ平均値における急増が生じた。
【0161】
マイクロフローイメージング(MFI)は、全製剤及び全条件について≧10μm~25μmの低レベルの範囲内で肉眼では視認できない粒子形成を示した。SEC-MALS結果は、オリゴマー形態は3カ月に渡り安定性を維持する傾向があることを示した。製剤1は、四量体から三量体への着実な低下を示したが(従って、オリゴマー状態における変化を示している)、しかし観察は方法の変動性に関連した可能性がある。
【0162】
試験した全条件下で3カ月以内にペプチド濃度、オスモル濃度又はpHへの有意な変化は見られなかった。
【0163】
要するに、全3種の製剤は、3カ月以内に5℃及び-80℃で十分な安定性を示した。分解率は温度に高度に依存していたが、分解の動態は3種の製剤について極めて類似していた。3種の製剤のラットPK(SQ)は、極めて類似するプロファイルを示している。製剤3は、製剤1及び2と比較してわずかに優れた安定性を証明した。
【0164】
しかしながら、6カ月後の時点に、DLS及びMFIによって得られた物理的安定性データは、凝集プロセスが開始された可能性があることを示唆している。DLSデータは、経時的に、温度に依存していた粒径の急成長を示した。更に、MFI分析は、5℃及び-80℃で1μm~2μmの粒子数の増大を示した。これらの結果は、冷蔵条件(2℃~8℃)において6カ月保存した後に液体製剤及び冷凍製剤の両方について凝集/粒子形成リスクがあることを示した。
【0165】
実施例6:非GLP毒性試験
MEDI0382の化学的安定性は、50mMのリン酸バッファー、1.85重量/体積%のプロピレングリコール、pH7.4中で試験した。MEDI0382は、凍結融解ストレス条件下で安定性であり、これは3回の凍結融解ストレスサイクル後に5℃で1週間の期間に渡り発生した許容されるレベルの完全分解を示した。同一試験は、同一期間に渡る動的光散乱(DLS)及び目視検査による製剤物理的安定性を示した。
【0166】
PES Millex-GPフィルター(0.22μm)は、製剤滅菌のために推奨されたフィルターである。
【0167】
このMEDI0382製剤は、室温で少なくとも4時間に渡りBD Plastipakシリンジ内で安定性であった。
【0168】
しかしながら、低レベルの投与(0.1mg/mL未満)での容器へのペプチドの吸着が同定された。このMEDI0382製剤は、薬理学的(アゴニスト)作用を達成するために必要とされる可能性が高い低用量の薬物は、この方法で実行可能に送達できなかったために除外された。
【0169】
実施例7:吸着制御の評価
MEDI0382について必要とされた低用量要件及び容器閉鎖面の吸着問題を前提にして、界面活性剤のポリソルベート80の添加について試験した。製剤は、以下の通りであった:1.85重量/体積%のプロピレングリコール(PG)及び0.03体積/体積%のポリソルベート80(PS80)を含有する50mMのリン酸ナトリウムバッファー(PB)、pH7.5、5mg/mL又は2mg/mLのMEDI0382。
【0170】
試料に温度及び凍結/融解によってストレスをかけ、純度、凝集、目視検査及び肉眼では視認できない粒子の存在について分析した。
【0171】
RP-UPLCを使用して、5℃、25℃、32℃及び40℃で2カ月に渡り製剤の純度を評価した。結果は、温度安定性の依存性を示しており、高温であるほど純度の低下を生じさせた。
【0172】
1カ月後、物理的安定性をDLSによって測定した。Z平均値は、-80℃を除き全温度で1カ月に渡り急激に増加し、高レベルの凝集を示唆した。DLS所見と一致して、目視検査は、2カ月の保存後にゲル様外観を示した。要約すると、全技術は、-80℃を除く全温度で製剤の物理的不安定性を示した。
【0173】
凍結/融解試験では、製剤は、2mg/mL又は5mg/mL何れかのタンパク質を含むポリソルベート80(0.3体積/体積%)の存在下又は非存在下において試験した。新鮮溶液(ガラスバイアル、I型、透明)は、3回の凍結/融解サイクルによって凍結させた。融解後、試料は、5℃及び25℃で3週間まで維持し、目視検査によって分析した。凍結を行わなかった試料は、コントロールとして並行してランした。第2試験では、容器栓適合性は、Nalgene HDPE(毒物学試験のためにより適合する)を用いて評価した。この場合には、5mg/mLの製剤だけを分析した。
【0174】
液体及び凍結/融解ストレス試験の両方をまとめて考慮すると、データは、ポリソルベート80が製剤の物理的安定性(ゲル様外観)に影響を及ぼすことを示している。ペプチド濃度、温度及び凍結/融解ストレスは、このMED0382製剤の物理的安定性を調節する最も重要な同定された因子である。
【0175】
実施例8:9カ月安定性試験
2種の5mg/mLのMEDI0382製剤の安定性について、9カ月に渡って分析した。第1製剤は、50mMのリン酸バッファー(1.85重量/体積%)及びプロピレングリコール、pH7.4を含有しており、第2製剤は、100mMのTRIS、150mMのマンニトール、20mMのメチオニン(pH7.4)を含有していた。2種の異なる製剤は、9カ月以内に極めて類似する純度の消失を示す。
【0176】
別の9カ月試験では、3種のMEDI0382製剤の安定性を冷蔵条件下において試験した。第1製剤は、100mMのTRIS、150mMのマンニトール、pH7.4を含有していた。第2製剤は、100mMのTRIS、150mMのマンニトール、20mMのメチオニンを含有し、第3製剤は、50mMのリン酸バッファー;1.85重量/体積%のプロピレングリコール、pH7.4を含有していた。製剤は、DLS及びMFIによって分析した。第3製剤は、3~9カ月後にZ平均粒径(DLS)の急激な増加を示した。MFI分析により肉眼では視認できない粒子について類似のパターンが観察されたが、これは高凝集レベル及び肉眼では視認できない粒子の形成を示唆している。
【0177】
要するに、許容される化学的安定性が観察されたが、6カ月後時点からは高レベルの凝集が同定された。フィブリル化が凝集の機序であろう。
【0178】
実施例9:MEDI0382のタンパク質濃度を2mg/mLへ減少させる
製剤の半減期を改善するために、2mg/mLのMEDI0382を備える製剤を評価した。2mg/mL及び5mg/mL製剤の化学的安定性は、極めて類似していたが、ペプチド濃度の減少は、物理的安全性を改善しなかった。全部の肉眼では視認できない粒子の急激な増加は、2mg/mL製剤については6カ月後及び5mg/mL製剤については12カ月後にMFIによって観察された。同様に、DLS分析は、2mg/mL製剤については6カ月後から、及び5mg/mL製剤については12カ月後からZ平均値の増加を示した。5mg/mLでの5例の試料中2例は、13カ月後にゲルに変化し、18カ月後には、他の3例の5mg/mLの試料がゲルに変化した。2mg/mLの試料は、1例も18カ月後までゲルに変化しなかった。
【0179】
2mg/mL製剤のpH安定性についてもガラスバイアル中で7.0、7.5及び8.0のpHで試験した。次に製剤は、3カ月に渡り5℃及び40℃の安定に配置した。試料は、RP-UPLC、DLS及びAFMによって分析した。pH7~7.5では、増加した凝集レベル及び純度消失が観察された。pHを7.8に上昇させることによって、物理化学的安定性が改善された。
【0180】
2mg/mL及び5mg/mL両方の製剤の化学的安定性は、液剤製品としてヒトを対象とする試験のために許容されるレベル内であった(12カ月後に≧94%)。ポリソルベート80の存在は、製剤の物理的安定性(ゲル様外観)に影響を及ぼす。ペプチド濃度、温度及び凍結/融解ストレスは、PS80を含有するMED0382の物理的安定性に影響を及ぼす最も重要な同定要素である。温度は、容器閉鎖具のタイプに依存してゲル様外観を形成するために要する時間に様々な作用を示す。ガラスバイアルの場合には、ゲル様形成は、低い温度(5℃)によって加速される。対照的に、Nalgene HDPE中で保存された製剤については、ゲル化は、より高い温度によって加速される。MEDI0382の物理的安定性は、最終製剤のpHに対して高度に感受性である。増加した物理的安定性は、pHを7から7.8へ上昇させることによって達成される。MEDI0382の凝集の機序は、ペプチドのフィブリルへの重合である。MEDI0382の濃度を5mg/mLから2mg/mL(PS80を含まない)へ変化させることは、凝集動態を改善しない。2mg/mL及びpH7.8にある製剤は、冷蔵条件下では7ヶ月後までの保存でフィブリルを形成しない。サイクル製剤安定性のGMP安定性は、冷蔵条件では少なくとも30カ月である。
【0181】
ヒトに投与するためには、ガラスバイアル及びシリンジ投与のための1.85重量/体積%のプロピレングリコール(PG)を含有する50mMのリン酸ナトリウムバッファー(PB)(pH7.8)、MEDI0382の2mg/mLの液剤製品(DP)を含有する製剤が推奨された。製剤の処方は、以下の表6に示す。
【0182】
【表5】
【0183】
実施例10:MEDI0382のタンパク質濃度を0.5mg/mLに減少させる
ヒト患者に投与されるべき薬物の意図される量に基づくと、MEDI0382タンパク質濃度のさらなる減少が望ましかった。そこで、プレフィルドシリンジ(PFS)使用と適合する0.5mg/mL製剤について評価した。50mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.8)、1.85重量/体積%のプロピレングリコール及びMEDI0382を含有する製剤を3種の異なる条件下:(i)2mg/mLでガラスバイアル中、(ii)0.5mg/mLでガラスバイアル中、及び(iii)0.5mg/mLでPFS中(シリコンで表面処理したBD 29 PFS)に配置した。PFSは、0.15mLの充填容量を有していた。ガラスバイアルは、1.0mLの充填容量で、2.0mg/mL又は0.5mg/mLのMEDI0382を手作業で充填した。安定性は、5℃、25℃及び45℃で0、2週間後、4週間後、6週間後及び3カ月後に評価した。
【0184】
結果は、全3種の異なる提示について匹敵する安定性及びヒトに投与するための許容される安定性を示した(純度≧95%)。しかしながら、ガラスバイアル製剤に比較してPFS製剤中には、より多くの肉眼では視認できない粒子(MFIによって測定した)が存在した。0.5mg/mLのMEDI0382を目標とする下記の製剤を考案した。
【0185】
【表6】
【0186】
実施例11-バッファー及び賦形剤が安定性に及ぼす作用
1日1回皮下注射のための複数回用量ペン及び可変用量ペン(6用量まで)を開発することが望ましかったが、ここで各ペンは30用量までを含有することができ、各1日量は50mcg~300mcgのMEDI0382であろう。ペン型デバイスが作動された後の微生物安全性を保証するためには保存剤が必要とされるであろう。このため、この製剤を開発するために追加の製剤分析を実施した。詳細には、抗菌剤の存在下においてpH、バッファー及び賦形剤がMEDI0382の物理的及び化学的安全性に及ぼす影響は、濃度が5mg/mLのMEDI0382を用いて評価した。
【0187】
賦形剤が線維形成に及ぼす作用は、アミノ酸及び二価イオンがpH7.5での線維形成を防止し得るか否かを評価することによって分析した。MEDI0382を最終pHが7.5の50mMのリン酸バッファー中のL-グルタミン酸、クエン酸、L-アルギニン、L-ヒスチジン又は塩化マグネシウムと混合した。線維形成は、チオフラビンT結合アッセイ(ThT)アッセイを使用して評価した。図2に示した結果は、何れの賦形剤もMEDI0382を安定させなかったことを証明している。実際に、ネガティブコントロールと比較して、試験した賦形剤の全部がMEDI0382を不安定にさせた。
【0188】
最終pHが7.5の50mMのリン酸バッファーの存在下でのMEDI0382の安全性にトレハロース、スクロース、L-リシン、ソルビトール、マンニトール、クエン酸ナトリウム及びプロピレングリコールが及ぼす影響を理解するために、別の試験を実施した。線維形成は、再びThTアッセイを使用して評価した。図3に示した結果は、マンニトール、ソルビトール、トレハロース及びプロピレングリコールがフィブリル化の大きな増加を誘発しなかったことを示しているが(図3におけるソルビトール及びトレハロースのデータは、コントロールデータに重なる)、他方スクロース、リシン及びクエン酸ナトリウムは、不安定性を増加させた。これらの賦形剤と関連する化学的分解については、RP-UPLCアッセイを使用して5℃及び40℃で保存した試料について更に1カ月監視した。結果は、トレハロースが化学的分解を有意に促進することを証明した。ソルビトール及びマンニトール(5℃で純度97%)はどちらもプロピレングリコール(純度95%)より少ない化学的分解を誘導した(40℃でのデータについては図4を参照されたい)。これらの賦形剤と関連する粒子形成についても、振とうストレス(4時間に渡り800rpm)後の目視検査によって監視した。トレハロース、ソルビトール、プロピレングリコール及びコントロール試料は、ほんの少数の粒子しか生じさせなかった。しかしながら、クエン酸塩及び溶解液試料は、それぞれ固体の白色ゲル及び軟質ゲルに変化し、マンニトール製剤は混濁した。
【0189】
この一連の実験に基づくと、ソルビトール、マンニトール及びプロピレングリコールは最高の結果を提供した。
【0190】
実施例12:MEDI0382のゲル形成のpH依存性
ポリソルベート80は、一般に凝集を防止するために使用されるが、MEDI0382がpH7.5の製剤中では急速にゲルを形成することを誘発した(実施例7を参照されたい)。このため、6.8及び8.3の2つの他のpHでのゲル形成について試験した。
【0191】
これらの実験では、0.03%のポリソルベート80を含む製剤をポリソルベート80を含まない製剤と比較した。試料は、7日間に渡り50℃でインキュベートした。pH6.9でポリソルベート80を含有する試料は固体ゲルに変化したが、pH8.3の試料は変化しなかった。この段階で、10mMのNaOHをゲル化試料に添加すると、試料は再び液体に変化した。全試料は、その後更に12日間に渡りインキュベートした。ポリソルベート80を含まないpH6.9の試料は軟質ゲルに変化したが、他の試料は液体のままであった。これらの結果は、ポリソルベート80がゲル形成を促進し得るが、その作用がpH依存性且つ可逆性であることを証明している。
【0192】
実施例13:抗菌剤の存在下で賦形剤が安定性に及ぼす作用
MEDI0382の物理的安定性は、>7.8の最適pHを有する。このpH範囲では、少数の保存剤しか活性ではない。保存剤のフェノール及びm-クレゾール中の種々のバッファー及び賦形剤中における促進条件において、MEDI0382の物理的及び化学的安定性を評価するために3セットの実験を実施した。
【0193】
1セットの実験で、マンニトール(0mM~300mM)及びプロピレングリコール(0%~2%)をpH8.0の50mMのリン酸バッファー中におけるm-クレゾール(0%~0.3%)及びフェノール(0%~1%)を用いて評価した。試料を5℃及び40℃でインキュベートし、4週間に渡り化学的純度について監視した。全試料について振とう試験を実施し、目視検査を実施した。物理的安定性は、ThTアッセイを用いて評価した。
【0194】
これらの実験では、pHが8で一定で維持された場合は、化学的及び物理的安定性に関して保存剤の反対の作用が観察された(図5)。保存剤にはフィブリル化へのわずかなネガティブ作用があったが、化学的安定性にはわずかなポジティブ作用がみられた。マンニトール及びプロピレングリコールは、純度又は物理的安定性への大きな影響を有していなかった。
【0195】
別のセットの実験では、7~8.2のpH範囲内におけるソルビトール(0mM~250mM)、プロピレングリコール(0%~2%)及びフェノール(0%~2%)がMEDI0382の物理的安定性に及ぼす影響を探索した。物理的安定性は、DLS(DynaProプレートリーダー、Wyatt)及びThTアッセイを用いて監視した。図6に示した結果は、試験した全賦形剤の存在下では、高pHがMEDI0382の物理的安定性のために好都合であることを証明している。
【0196】
第3セットの実験では、7~8.2のpH範囲内におけるソルビトール(0mM~250mM)、グリセロール(0%~5%)、メチオニン(0mM~10mM)及びm-クレゾール(0%~0.3%)がMEDI0382の安定性に及ぼす影響を探索した。化学的安定性は、RP-UPLCを用いて監視した。物理的安定性は、ThT及び振とう実験により評価した。化学的安定性は、RP-UPLCを用いて監視した。これらの実験の結果は、物理的安定性へのm-クレゾールのわずかなネガティブ作用及びメチオニンのわずかなポジティブ作用を示している。
【0197】
全体として、これらの3セットの実験からの結果は、pHがMEDI0382の物理的及び化学的安定性の両方に寄与する主要因子であること、そしてこれは試験した何れかの賦形剤若しくは保存剤によって対抗され得ないことを示している。pH≧8では物理的安定性及び化学的安定性のどちらも改善する。MEDI0382は、リシン、トレハロース、スクロース、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウム(MgCl2)、クエン酸塩、ヒスチジン、アルギニン又はグルタミン酸の存在下では低安定性である。M-クレゾール若しくはフェノールは、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール若しくはグリセロールの存在下ではMEDI0382の物理的又は化学的安定性に小さな影響しか示さなかったが、10mMまでのメチオニンの添加は、MEDI0382の物理的安定性を増加させることができた。
【0198】
実施例14:長期安定性
実施例13において考察した試験は、短期促進安定性試験を用いて、MEDI0382の安定性を最大化する潜在的賦形剤を同定した。しかしながら、MEDI0382凝集の動態は、極めて緩徐で有り得、粒子形成及びゲル化等の安定性問題は、長期間を経て発生し得る。このため、長期安定性試験のために7種の製剤を設計した。
【0199】
アッセイするための等張化剤として、ソルビトール、プロピレングリコール及びマンニトールを選択した。MEDI0382についての製品目標プロファイルは、290mOsm/kg~300mOsm/kgであり、等張化剤の濃度は、それを達成することを目的に調整した。フェノール及びm-クレゾールは、どちらも保存剤としてアッセイした。更に、安定性のための8.1のpHが望ましいことを前提に、濃度が20mMであるリン酸ナトリウムを緩衝剤としてアッセイした。リン酸ナトリウムは、pH8.1では低い緩衝能力を有し、MEDI0382の濃度が最終pH製剤に影響を及ぼすので、製剤の最終pHを調整するために水酸化ナトリウムを使用した。表8の下記の7種の製剤をこれらの基準に基づいてアッセイした。
【0200】
【表7】
【0201】
メチオニン(10mM)は、MEDI0382の化学的安定性を増加させる能力を評価するために製剤A及びBに添加し、クエン酸塩(10mM)が抗菌剤として作用する能力を評価するために製剤Eに添加した。
【0202】
7種の製剤は、2倍の最終ペプチド濃度を達成するためにMEDI0382を0.185Mの水酸化ナトリウム(NaOH)中に緩徐に溶解させることによって調製した。次に、2倍のMEDI0382溶液に最終製剤の他の全構成要素の2倍の濃度を含有する溶液を添加した。混合した溶液を濾過し、必要であれば0.1MのNaOHを用いてpHを調整した。充填するために、各製剤A~Gのためのプラセボを調製した。製剤は、カートリッジ及びバイアルに充填した。
【0203】
MEDI0382の一次容器は、透過性膜及びゴム栓(FORMULA ART22234023/50GRY)を備えた3mLカートリッジ(Ompi EZ充填カートリッジ、製品番号70109079)である。カートリッジには手作業で充填し、手動閉栓ツールを用いて栓を閉めた。充填容量は、3mLであった。
【0204】
7種の製剤(A~G)内のMEDI0382の純度は、25℃で6カ月に渡り、及び5℃で24カ月に渡り監視した。25℃で保存した製剤の化学的分解は、製剤間で何の差も明らかにせず、純度消失は、1カ月当たり約2%で一貫していた(図7)。
【0205】
幾つかの製剤については、流体力学直径の増加が見られ、これは凝集が発生していることを示唆している。製剤D、E及びFでは、5℃で保存したカートリッジについて9~12カ月間に増加が出現した(下記の表9を参照されたい)。製剤D、E及びFは、全部が等張化剤としてプロピレングリコールを含有している。
【0206】
【表8】
【0207】
予測プロファイラーモデルを使用して、7種の5mg/mLのMEDI0382製剤の総純度及び不純物に様々な製剤の構成要素が及ぼす影響を推定した。結果は、図8に示す。マンニトール及びクエン酸塩は、純度プロファイルに何の影響も及ぼさなかった。ソルビトールは、製薬原料の総純度レベル(若しくは「DS」)を改善し、酸化のレベルを低減する。メチオニンは、酸化レベルをわずかに増加させ、総不純物を減少させる。リン酸ナトリウムは、総純度を減少させ、総不純物を増加させる。m-クレゾールは、酸化レベルを減少させる。
【0208】
7種の製剤におけるオスモル濃度、粘度又はpHの大きな変化は、観察されなかった。製剤Gは、リン酸バッファーを有していなかったにもかかわらず、経時的にpHを変化させなかった。これは、この製剤におけるpHを制御するためにリン酸ナトリウムが必要とされないことを示唆している。
【0209】
24カ月後の目視検査は、気泡を含有する、又は含有しないカートリッジ内の外観の変動を示した。気泡を含有するカートリッジの大多数は肉眼で視認できる粒子を含有していたが、他方気泡を含有していないカートリッジは全部が肉眼で視認できる粒子を含有していなかった。例外は、気泡を含有するカートリッジ、気泡を含有していないカートリッジの何れも肉眼で視認できる粒子を含有していなかった製剤Gであった。
【0210】
肉眼では視認できない粒子についても又監視した。24カ月の期間に渡り、製剤Fは、5℃で保存したカートリッジ内で粒子の増加を示した唯一の製剤であった。約6カ月後に、25℃でバイアル内で保存した数種の製剤中でも線維様粒子を肉眼で視認できた。粒子の径は、約5um~100umであった。5℃で24カ月後に製剤Fについてのカートリッジ内の線維様粒子の径は、より小さく5um~40umであった。線維は、潜在的にバイアル内のより大きな空気界面の結果として、カートリッジ内よりバイアル内における方がより容易に形成されると思われた。
【0211】
全体として、製剤A~Gは、5℃で1年当たり約1.1%~2%の率で類似の分解プロファイルを有した。分解率は、等張化剤(ソルビトール、マンニトール又はプロピレングリコール)のタイプによって影響を受けなかったが、プロピレングリコールを含有する全製剤は、5℃で保存した場合に、12カ月後に開始したDLSによって測定すると高レベルの凝集を有した。5℃で2年間又は25℃で6カ月に渡りゲル化は観察されなかった。等張化剤としてのソルビトールとマンニトールとの間に測定可能な差は見られなかった。ソルビトールを含有する全製剤並びにマンニトール製剤は、2年間に渡って物理化学的安定性を示した。ソルビトール及びm-クレゾールは、総不純物レベルを改善し得る。従って、等張化剤としてのソルビトール及び8.1の目標pHは、最も安定性の製剤を提供すると思われた。低濃度のMEDI0382がリン酸ナトリウムバッファーの非存在下において安定性であるかどうかは不明確であるので、リン酸ナトリウムバッファーは、それが総純度を減少させる可能性があるとしても有用であるとみなされた。
【0212】
実施例15:保存剤の有効性
実施例14において評価した7種のMEDI0382製剤中における保存剤の有効性についても、欧州薬局方の抗菌性保存剤試験を用いて評価した。結果は、表10に示す。
【0213】
【表9】
【0214】
【表10】
【0215】
製剤A~Gの何れも厳格な(「A」)欧州基準に合格した。これは、製剤が以前に米国食品医薬品局によって承認された最高濃度に近い濃度のフェノール又はm-クレゾール(即ち、Victoza(登録商標)中の0.55重量/体積%のフェノール及びHumalog(登録商標)中の0.315重量/体積%のm-クレゾール)を含有していたという事実にもかかわらずである。典型的には、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び大腸菌(Escherichia coli)は、6時間後又は24時間後の時点に不合格であった。
【0216】
実施例16:1mg/mL~2mg/mLのMEDI0382製剤
臨床結果は、MEDI0382の低濃度の製剤が望ましいであろうことを証明したので、1mg/mL及び2mg/mLのMEDI0382製剤の長期安定性を評価するため、及び製剤の抗菌活性を更に改善するための追加の試験を実施した。表11に示した3種の製剤を長期安定性(LTS)試験において試験した。
【0217】
【表11】
【0218】
長期安定性アッセイの結果は、表12に示す。
【0219】
【表12】
【0220】
保存効力試験(PET)は更に、同一の3種の製剤を対象に、実施例15における不合格を誘発した2種の微生物をアッセイして実施した。結果は、表13に示す。
【0221】
【表13】
【0222】
1mg/mL及び2mg/mLのMEDI0382製剤の全部が黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)についての低ストリンジェントな欧州基準(「B」)(6時間後の<2の対数減少)及び大腸菌(E.coli)についてのより厳密な欧州基準(「A」)(6時間後に<2及び24時間後の>3の対数減少)に合格した。時点ゼロと25℃でカートリッジ内での1カ月の保存後との間の結果において有意差は見られなかった。
【0223】
実施例17:2mg/mLのMEDI0382製剤の安定性及び抗菌活性
220mMのソルビトール、20mMのリン酸ナトリウム、pHを8.1に調整するための水酸化ナトリウム、MEDI0382(1mg/mL又は2mg/mL)及びフェノール(固体又は液体)若しくはメタ-クレゾールのどちらかを含有する様々な製剤について更に試験した。これらの実験において試験した製剤は、表14に示す。
【0224】
【表14】
【0225】
これらの製剤を製造するために、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物(34mg)及びリン酸ナトリウム二塩基性七水和物(1.01g)を20~30分間に渡り磁気撹拌しながら80%充填(160mL)の1mM又は2mMのNaOH(表14に列挙)中に溶解させた。この溶液に、D-ソルビトール(8.02g)を添加し、10分間混合した。フェノール、m-クレゾール及びMEDI0382の添加は、グローブボックス内で実施した。保存剤に依存して、密度及び純度を補正した重量を添加した。次に溶液は、磁気撹拌を活用して1時間に渡り混合するに任せた。純度及び含水量を構成するために、10%過剰となるようにMEDI0382を添加した。試料は次に、室温で30分間に渡り撹拌せずに溶解するに任せた。
【0226】
次にpHを決定し、100mMのNaOHを用いて調整した。次に溶液は、脱イオンmilli-Q水を用いて200mLにした。各溶液についてのペプチド及び保存剤濃度は、RP-UPLCを用いて決定したが、ここでMEDI0382は0.5mg/mLに希釈した。試料には、表14に列挙した所望の濃度を達成するために、ペプチド又は保存剤の何れかをトッピングした。目標濃度と比較して(RP-UPLCによって測定した)実際濃度は、表15に示す。
【0227】
【表15】
【0228】
生じた溶液は、光線から保護し、各溶液3mLは、0.2μmのPVDFフィルター及び5mLのBD Plastikフィルターを用いて無菌的に3ccバイアル(SCHOTT 10cc、20mmのFalcon 10R;部品番号;CM1023)に充填した。
【0229】
各試料を安定性及び保存剤有効性について試験した。化学的安定性アッセイの結果は、図9~13に示す。物理的安定性アッセイの結果は、下記の表16に示す。
【0230】
【表16】
【0231】
保存効力アッセイでは、それにより調製した製剤の抗菌有効性を評価するために、2種の微生物(黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び大腸菌(E.coli))を使用する短期試験を実施した。試料は、t=0(バルク)及び25℃で保存したt=1カ月後に試験した。これらのアッセイの結果は、下記の表17に示す。
【0232】
【表17】
【0233】
安定性に関して、これらの試験は、何れの保存剤の濃度も試験した範囲内のペプチドの化学的又は物理的安定性に有意な影響を及ぼさないことを証明した。更に、ペプチド濃度(1mg/mL又は2mg/mLの何れか)は、保存剤として固体フェノールを使用した場合は、分解率に影響を及ぼさなかった。保存剤型のタイプは、MEDI0382の化学的分解率に同一の作用を示した。Hedinger製のm-クレゾールは、Sigma製のm-クレゾールを用いて観察された分解率と比較して、化学的分解率を緩徐化させると思われた。
【0234】
抗菌活性に関して、これらの試験は、試験した全保存剤が試験した最高濃度で低ストリンジェントな欧州薬局方(「B」)基準に合格したことを証明した。しかしながら、Hedinger製のm-クレゾールは、最高濃度を使用した場合によりストリンジェントな欧州薬局方(「A」)基準に合格した。低ストリンジェントな欧州薬局方(「B」)基準を達成するためには、1mg/mLのMEDI0382とともに少なくとも0.44重量/体積%のフェノールが必要とされる、又は2mg/mLのMEDI0382とともに少なくとも0.54重量/体積%のフェノールが必要とされる。0.56重量/体積%までのフェノールを含有する製剤は、何れもよりストリンジェントな欧州薬局方(「A」)基準に不合格であった。25℃で1カ月保存した後には、保存剤有効性は保持された。
【0235】
これらの結果に基づくと、製剤3(220mMのソルビトール、20mMのリン酸ナトリウム、1mg/mLのMEDI0382、0.3重量/体積%のメタ-クレゾール及びpH8.1へ調整するためのNaOH)は、最も好都合な製剤であると思われた。
【0236】
実施例18:メタ-クレゾール濃度の選択
追加の実験を実施して、上記の実施例17における製剤3に基づいて製剤中で使用できるメタ-クレゾールの最適濃度を同定した。表18に示したように、m-クレゾールの濃度は、製剤3では様々であり、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び他の細菌に対する抗菌有効性について試験した。
【0237】
【表18】
【0238】
更に、アッセイ変動性を評価するために、m-クレゾール濃度の目標0.31重量/体積%での補足試験を実施した。これらの試験を表19に要約する。
【0239】
【表19】
【0240】
これらの結果は、保存剤の有効性がMEDI0382の濃度に依存性であり、多少の変動性を示すことを証明している。更に、欧州薬局方基準Bを一貫して達成するためには、最小0.27重量/体積%のメタ-クレゾールが必要とされ、欧州薬局方基準Aを達成するためには、最小0.34重量/体積%のメタ-クレゾールが必要とされる。
【0241】
これを考慮に入れると、0.31重量/体積%(±10%)のm-クレゾール濃度が好ましいと思われる。この濃度は、24時間後の全細菌を3対数減少させる、1日1回投与製品についての有効性の適切なレベル(leave)を示している。
【0242】
220mMのソルビトール、20mMのリン酸ナトリウム、0.31重量/体積%のメタ-クレゾール及びpH8.1へ調整するためのNaOHを含有する高度に有益な製剤を製造するための処方は、表20に示す。1mgのMEDI0382製剤は滴定用量製品であり、5mgのMEDI0382製剤は、維持用量製品である。
【0243】
【表20】
【0244】
実施例19:リン酸ナトリウムの濃度及び塩のタイプが高分子量不純物に及ぼす影響
共有結合二量体は、MEDI0382の複数回投与製剤中の不純物であると同定された。従って、リン酸ナトリウムがMEDI0382上の高分子量(HWM)不純物の形成に及ぼす影響について試験した。
【0245】
0.31重量/体積%のm-クレゾール、220mMのソルビトール及びMEDI0382(1mg/mL)を含有する製剤は、様々な量(0mM~20mM)のリン酸ナトリウム一塩基性塩及び二塩基性塩、二塩基性塩のみ及び一塩基性塩のみを用いて調製した。試料を5℃及び25℃に配置し、SEC、RP UPLC及びLC-MSによって安定性について分析した。図14A、14B及び14Cに示した結果は、リン酸ナトリウム濃度が試験した温度でHMW不純物の率に有意な影響を及ぼすことを証明している。LC MSによる不純物の同定は、リン酸ナトリウムを含まない製剤が製剤中で見いだされる主要なHMW不純物を減少させたことを示している。
【0246】
これらのデータは、より低いリン酸ナトリウム濃度が安定性を改善することを示している。従って、より少ない塩を含む代替MEDI0382製剤並びにリン酸ナトリウムの置換物としての低濃度のTRIS塩基(トロメタミン)を含む代替製剤を開発した。代替製剤についての処方は、下記の表21~25に示す。
【0247】
【表21】
【0248】
【表22】
【0249】
【表23】
【0250】
【表24】
【0251】
【表25】
【0252】
濃度が1mg/mL及び5mg/mLのMEDI0382濃度で二塩基性リン酸ナトリウムを含むTRIS塩基を比較する安定性試験(製剤4及び5対製剤1)は、ガラスバイアル中でランした。SECデータは、二塩基性リン酸ナトリウムをTRIS塩基で置換すると、HMW不純物のレベルを低減させられることを示している(図15及び表26)。
【0253】
【表26】
【0254】
実施例20:5mg/mLの濃度のMEDI0382が及ぼす影響
表20に記載した1mg/mL、2mg/mL及び5mg/mLのMEDI0382製剤は、本質的に上記に記載した方法を用いてHMW種及び総不純物について試験した。結果は、図16A及び図16Bに示す。1mg/mL及び2mg/mL製剤間で、HMW種又は総不純物の量における有意差は見られなかった。しかしながら、HMW種及び総不純物は、5mg/mL製剤においては一貫してより低かった。
【0255】
3種の製剤の安定性について、30日間に渡ってペプチド含量及びm-クレゾール含量においても測定した。結果は、表27~表34に示す。
【0256】
【表27】
【0257】
【表28】
【0258】
【表29】
【0259】
【表30】
【0260】
【表31】
【0261】
【表32】
【0262】
【表33】
【0263】
【表34】
【0264】
これらのデータは、開始点と比較して、ペプチド含量又はm-クレゾール含量について、3種の製剤において有意差は見られなかったことを示している。
【0265】
製剤は更に、ThT染料の存在下での蛍光活性化セルソーティング(FACS)(図17を参照されたい)及び透過電子顕微鏡(TEM)(図18)によってフィブリル化陽性粒子について評価した。予備形成線維(ポジティブコントロール)並びに製剤バッファー(ネガティブコントロール)を含む1mg/mL及び5mg/mLの試料の比較は、試験した任意の条件下の任意の時点でフィブリル化陽性粒子を全く検出できなかったことを示している。
【0266】
保存効力試験(PET)も又、pH8.2で20mMのリン酸ナトリウムバッファー、220mMのソルビトール及びm-クレゾール(表35に指示した濃度で)を含有する2mg/mL及び5mg/mLのMEDI0382製剤上で実施した。
【0267】
【表35】
【0268】
PET実行可能性試験から、0.28重量/体積%~0.34重量/体積%のm-クレゾールを含む全2mg/mL及び5mg/mLのMEDI0382製剤は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)についての欧州薬局方(「B」)基準に合格した。
【0269】
実施例21:MEDI0382の濃度(1mg/mL対5mg/mL)が二塩基性ナトリウム系製剤の安定性に及ぼす影響
表21に記載した1mg/mL及び5mg/mLのMEDI0382製剤(代替MEDI0382製剤1)の安定性は、上述した方法を用いて、HMW種及び総不純物試験によって評価した。結果は、図19及び図20に示す。5mg/mL製剤についての総不純物及びHMW不純物は、1mg/mL製剤と比較して顕著な低減が生じたが、その作用はHMM不純物の場合により顕著であった。
【0270】
2種の製剤の安定性は、更に5℃、25℃及び40℃で30日間に渡ってペプチド含量及びm-クレゾール含量に関しても評価した。ペプチド含量についての結果は、表36~38に示しており、クレゾール含量については表39~41に示す。
【0271】
【表36】
【0272】
【表37】
【0273】
【表38】
【0274】
【表39】
【0275】
【表40】
【0276】
【表41】
【0277】
これらのデータは、開始点と比較して、1mg/mL及び5mg/mL両方の製剤について経時的にペプチド含量又はm-クレゾール含量における有意な変動は見られなかったことを示唆している。
【0278】
製剤は更に、FACS(図21を参照されたい)及び透過型電子顕微鏡(TEM)(図22)によってフィブリル化陽性粒子についても評価した。予備形成線維(ポジティブコントロール)並びに製剤バッファー(ネガティブコントロール)を含む1mg/mL及び5mg/mLの試料の比較は、試験した任意の時点で又は任意の条件下でのフィブリル化陽性粒子を全く検出できなかったことを示している。
【0279】
実施例22:5mg/mLのMEDI0382の複数回用量製剤の保存剤有効性のロバスト性
m-クレゾール含量、リン酸ナトリウム濃度及びm-クレゾール含量が5mg/mLの複数回用量製剤の保存剤有効性に及ぼす影響を調査するために、多変量ロバスト性試験を実施した。1mg/mL、2mg/mL及び5mg/mLでの以前の試験は、ペプチド濃度が保存剤有効性とのネガティブ相関を有することを示したので、このロバスト性試験は、全製剤について5.5mg/mLの設定濃度で実施した。計20バルクの製剤を調製し、欧州薬局方第10.0版第5.1.3セクション及び米国薬局方42<51>に従って試験した。
【0280】
表42に記載のデータは、0.24重量/体積%以上のm-クレゾール濃度では、EP基準Bが満たされた黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を除く全微生物について、USP及びEP基準Aが一貫して満たされることを示している。この微生物に対しては、24時間後に3より大きい対数減少を一貫して達成するためには、0.28重量/体積%以上のm-クレゾール濃度が必要とされる。データの統計的分析は、m-クレゾールが保存剤有効性に最高の影響を有したこと、並びにpH及びリン酸ナトリウム濃度がよりマイルドな影響を有することを示した。本試験は、高濃度複数回用量製剤が1日1回投与のための適正な抗菌特性を有することを確証した。
【0281】
【表42】
【0282】
【表43】
【0283】
【表44】
【0284】
【表45】
【0285】
【表46】
【0286】
【表47】
【0287】
【表48】
【0288】
実施例23:HMW凝集体を制御するために複数回用量薬物製品内の溶存酸素を制御する
有益な製剤は、20mMのリン酸ナトリウム、220mMのソルビトール、0.31%のm-クレゾール、pH=8.1である。m-クレゾールは、患者気候条件下でのMEDI0382の複数回用量使用を支持するために特に有用である。この要件を満たすために、MEDI0382薬物製品は、提案された(5℃での)長期保存条件に追加して十分な(>3週間)使用中安定性(30℃で)を明らかに示すはずである。冷蔵条件での24カ月及び30℃での4週間の終了時までに、この製剤は、SEC分析方法を使用すると約5%のHMW不純物を有している。
【0289】
探究的試験は、酸化がHMW不純物を形成する可能性に焦点を当てた。標準大気条件下で実施されるために設計されているMEDI0382配合プロセスについて再評価した。標準大気条件は、気相内で他の成分と一緒に約20%の酸素を有する。この高レベルの酸素濃度は、MEDI0382と潜在的に相互作用し、HMW不純物の形成を開始させる。標準工業的手法は、酸化を制御するためにメチオニン等の酸化防止剤の使用を強調した;しかしながら、メチオニンの使用は、MEDI0382製剤中のHMW不純物形成を制御しなかった。
【0290】
配合段階中の複数回用量ペプチドの酸化を制御するための公知の技術はなかった。従って、複数回用量ペプチド製剤のための配合プロセスは、新規な方法を用いて溶存酸素含量を枯渇させることによって開発した。この方法は、乾燥窒素ガスを利用して、複数回用量ペプチド製剤中に存在する溶存酸素を置換する。酸素置換方法は、下記の段階を含む。
【0291】
段階1:低減溶存酸素複数回用量製剤バッファー処方
水面下窒素チューブを使用して、溶存酸素含量が大気含量の5%未満になるまで、十分な期間(溶液1リットルに対しておよそ30分間)に渡り乾燥窒素を定常状態条件で複数回用量製剤バッファー中にパージする。
【0292】
段階2:処方薬剤物質製剤
密閉条件下で低減溶存酸素複数回用量製剤バッファーにペプチドを加えよく混ぜる。
【0293】
段階3:低減溶存酸素複数回用量薬物製品製剤
溶液を滅菌濾過し、溶存酸素含量を測定する。溶存酸素含量が5%超である場合は、過剰な溶存酸素に置換するために乾燥酸素を使用する。
【0294】
このプロセスを用いて製造したMEDI0382薬物製品を安定性試験にかけ、結果を標準大気条件において配合したMEDI0382に対して比較した。結果は、図23及び表43に示す。表43に記載の結果は、アレニウスモデルとの適合率(5%のDO、20%のDOから)を比較している。アレニウスプロットは、対数(率)対1/温度を使用する。
【0295】
【表49】
【0296】
全試験条件において、5%の溶存酸素(DO)を用いてこのプロセスを使用して製造されたMEDI0382薬物製品は、標準大気条件において製造された薬物製品より有意に低い(%)HMW不純物を有していた。
【0297】
試験結果を事前に開発したアレニウスモデル(以前の製造プロセスからのDPを用いて開発した)に対して比較した。図24に示したアレニウス適合は、溶存酸素を用いたプロセスからのMEDI0382薬物製品が標準大気条件下で製造された薬物製品より統計的有意に低いHMW分解率を有することを確証している。
【0298】
これらの安定性試験及びそれらの分析は、複数回用量製剤バッファー中の溶存酸素のレベルが配合段階中に制御され得ることを示している。これは、酸化へのMEDI0382の暴露を最小限に抑え、低HMW不純物を含む薬物製品を一貫して製造する配合プロセスを提供するであろう。このプロセスからの薬物製品は、>4週間の使用中安定性を有する。
【0299】
概要及び要約のセクションではなく、詳細な説明のセクションが、特許請求の範囲の解釈に用いられるように意図されていることは理解されるべきである。概要及び要約のセクションは、本発明者によって検討されるように、1つ以上であるがすべてでない本発明の例示的な実施形態を示す場合があり、故に、本発明及び添付の特許請求の範囲を限定することは決して意図されていない。
【0300】
本発明は、機能的構成要素を用いて上に説明されており、その具体的な機能及び関係の実施を例示している。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書において、説明の便宜のために自由裁量で画定される。代替の境界は、特定の機能及びそれらの関係性が適切に作動しさえすれば、画定され得る。
【0301】
具体的な実施形態の先行する記載は、他者が、当技術分野の技術内の知識を適用することにより、本発明の全般的な概念から逸脱することなく、不要な実験なしでこのような具体的な実施形態等の様々な適用のために容易に改変し且つ/又は適合させ得る本発明の全般的な性質を完全に明らかにする。従って、このような適応及び改変は、本明細書中で提示される教示及び指針に基づき、開示される実施形態の同等物の意味及び範囲内にあるものとする。本明細書中の専門用語又は用語は、本明細書中での用語又は専門用語が教示及び指針に照らして当業者により解釈されるべきであるように、説明を目的とするものであり、限定ではないことを理解されたい。
【0302】
本発明の広がり及び範囲は、上記の代表的な実施形態の何れによっても限定されるべきものではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ定められるべきものである。
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【配列表】
2022539200000001.app
【国際調査報告】