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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】高電圧電力供給源
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/10 20060101AFI20220831BHJP
   H02M 9/04 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
G05F1/10
H02M9/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021578025
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 US2020040803
(87)【国際公開番号】W WO2021003458
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】19184399.4
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519027693
【氏名又は名称】エーイーエス グローバル ホールディングス, プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バイフィールド, ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】フラット, アーサー
【テーマコード(参考)】
5H410
【Fターム(参考)】
5H410BB04
5H410CC02
5H410DD02
5H410EB37
5H410FF03
(57)【要約】
本発明は、高電圧直流電力供給源を提供し、高電圧直流電力供給源は、一次出力をもたらす一次高電圧直流供給源と、一次出力に対して浮動性を有しかつ一次出力によって動力供給される浮動性の二次出力と、出力電圧を提供するための浮動性の二次出力における出力端子と、出力端子における出力電圧の変化を検出し、出力電圧の変化に応答して制御信号を発生させるように動作するコントローラと、制御信号に応答して、浮動性の二次出力における電流を提供するように配列され、それによって、該電流が、出力電圧が変化するにつれた二次出力静電容量の充電を低減させるように提供されるプログラム可能電流源を備え得る制御可能電流源とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧直流電力供給源であって、
第1の接地を基準とし、一次出力をもたらす一次高電圧直流供給源と、
前記一次出力に対して浮動性を有しかつ前記一次出力によって動力供給される、前記第1の接地の二次出力に対して浮動性を有する浮動性の第2の接地を基準とする二次高電圧直流供給源と、
出力電圧を提供するための前記浮動性の二次出力における前記二次高電圧直流供給源の出力端子と、
前記出力端子における前記出力電圧の変化を検出し、前記出力電圧の変化に応答して制御信号を発生させるように動作するコントローラと、
前記制御信号に応答して、電流を前記浮動性の二次出力端子に提供するように配列される制御可能電流源であって、それによって、前記電流が、前記出力電圧が変化するにつれた二次出力静電容量の充電を低減させるように提供される、制御可能電流源と
を備える、電力供給源。
【請求項2】
前記制御可能電流源は、前記出力端子と前記第2の接地との間に接続される前記浮動性の二次出力と並列に配列される、請求項1に記載の電力供給源。
【請求項3】
前記制御可能電流源は、プログラム可能電流源を備える、請求項1または2に記載の電力供給源。
【請求項4】
前記制御可能電流源は、電流シンクをもたらすように配列される、請求項1、2、または3に記載の電力供給源。
【請求項5】
前記電流シンクは、電力電子デバイスチェーンによって形成される、請求項4に記載の電力供給源。
【請求項6】
感知抵抗器を用いて調整されるように配列される、前記請求項のうちのいずれか1つ以上の請求項に記載の電力供給源。
【請求項7】
前記コントローラは、前記出力端子における前記出力電圧の変化を検出するための抵抗分割器を含む、前記請求項のうちのいずれか1つ以上の請求項に記載の電力供給源。
【請求項8】
前記コントローラは、前記電流源を調整するための誤差信号を生成するように配列される、前記請求項のうちのいずれか1つ以上の請求項に記載の電力供給源。
【請求項9】
前記コントローラは、前記電流源のトランジスタチェーンを調整するように配列される、請求項8に記載の電力供給源。
【請求項10】
前記一次高電圧直流供給源は、加速器電力供給源を備える、前記請求項のうちのいずれか1つ以上の請求項に記載の電力供給源。
【請求項11】
前記二次高電圧直流電力供給源の浮動性の出力端子は、抑制器出力を含むまたは備える、前記請求項のうちのいずれか1つ以上の請求項に記載の高電圧電流電力供給源。
【請求項12】
前記抑制器二次高電圧直流供給源は、-100V~-3kVの範囲内の定格出力電圧を有する、請求項11に記載の高電圧電流電力供給源。
【請求項13】
前記抑制器二次高電圧直流供給源は、0.1W~50Wの範囲内の定格出力電力を有する、請求項11に記載の高電圧電流電力供給源。
【請求項14】
前記二次高電圧直流供給源の浮動性の電力出力端子は、抽出器出力を含むまたは備える、前記請求項のうちのいずれか1つ以上の請求項に記載の高電圧電流電力供給源。
【請求項15】
前記抽出器二次高電圧直流供給源は、1kV~15kVの範囲内の定格出力電圧を有する、請求項14に記載の高電圧電流電力供給源。
【請求項16】
前記抽出器二次高電圧直流供給源は、0.1W~20Wの範囲内の定格出力電力を有する、請求項14に記載の高電圧電流電力供給源。
【請求項17】
高電圧直流電力を提供する方法であって、
第1の接地を基準とする一次高電圧直流供給源の一次出力において、第1の出力電圧、すなわち、一次高電圧直流供給量を提供することと、
前記第1の接地に対して浮動性を有しかつ前記一次高電圧直流供給源の出力によって動力供給される第2の接地を基準とする二次高電圧直流供給源において、前記二次高電圧直流供給源の出力端子における出力電圧、すなわち、前記一次出力に対して浮動性を有する浮動性の二次出力を提供し、前記一次出力によって前記浮動性の二次出力を動力供給することと、
前記浮動性の二次出力における出力端子において出力電圧を提供することと、
前記出力端子における前記出力電圧の変化を検出し、前記出力電圧の変化に応答して制御信号を発生させることと、
前記制御信号に応答して、制御可能電流源を用いて、前記二次高電圧直流供給源の出力端子の前記浮動性の二次出力に電流を提供することであって、それによって、前記電流が、前記出力電圧が変化するにつれた二次出力静電容量の充電を低減させるように提供される、ことと
を含む、方法。
【請求項18】
請求項2~16のうちのいずれか1つ以上の請求項に記載の電力供給源を用いて、前記高電圧直流電力を提供する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビーム点検(EBI)、走査電子顕微鏡(SEM)、およびリソグラフィ用途等の電子放出システムにおいて使用するため等の高電圧直流電力供給源および関連供給方法に関する。特に、本発明は、前述の用途のための荷電粒子の流動の放出および操作のための「浮動性」の高電圧電力出力を備える高電圧直流電力供給源に関し得る。
【背景技術】
【0002】
(背景)
電子ビーム点検(EBI)、走査電子顕微鏡(SEM)、およびリソグラフィ用途において使用するために適した高電圧直流HVDC電力供給源は、典型的には、アース電位を基準とし、共通の「浮動性」の接地(すなわち、アース電位から数十kV)を基準とする1つ以上の二次HVDC電力出力に動力供給する一次HVDC電力出力を備える共通電気アーキテクチャを共有する。そのような供給源の概略図が、図1に図示される。
【0003】
一次HVDC出力電源105は、典型的には、数十キロボルトの出力電圧を送達することが可能である可変HVDC電源を備える。一般に、加速器として知られるそのような電源は、電子供給源システム内の第1の段階を形成する。
【0004】
一次出力電源の端子106は、それらが全て共通の「浮動性」の接地を基準とするように、1つ以上の二次HVDC出力電源103、104に接続される。動作時、これらの二次HVDC出力電源は、一次HVDC出力電源105上のアース電位から数十キロボルト「浮動性」を有し得る。
【0005】
例示的浮動性の二次HVDC出力電源103、104は、例えば、電子エミッタによって放出される電子の群(すなわち、荷電粒子)の移動を制御するために適した(典型的には、20μAにおいて-1,000V DCに定格される)抑制器出力104と、電子が電子エミッタから抽出される量および様式を制御するために適した(典型的には、400μAにおいて10kV DCに定格される)抽出器出力103とを含んでもよい。また、二次供給源側上に存在するものは、電子エミッタ源(すなわち、電子エミッタ)に給電するために適した低電圧DC出力電源(例えば、(典型的には、3Aにおいて5V DCに定格される)加熱器出力107)である。しかしながら、低電圧DC出力電源の動作は、本願では考慮されていない。
【0006】
電子ビーム関連形成の構造的複雑性および縦横比は、発展し続けており、これまで以上に大きな圧力をシステム動作要件に対してかけており、例えば、現代の統合されたチップIC設計の複雑性が上昇し続けてウエハ上の構造がますますより入り組みかつ複雑となること(すなわち、より高い縦横比およびより小さい構造)を要求するにつれて、一次HVDC出力電源105(すなわち、加速器)は、電子ビームがウエハにわたって走査される際、ますますより高いスルーレート(すなわち、出力電圧の変化率)で動作することが要求されている。これは、要求される縦横比が、新しい新興用途において使用される高性能ICを生成するために要求される複雑なデバイス構造を作成するために、ウエハの表面上で達成されることを可能にする。
【0007】
そのようなHVDC電力供給源の電気アーキテクチャの引き継がれる限界は、加速器出力のスルーレートを増加させることが、電圧擾乱を浮動性の二次HVDC出力上に発生させ得、これが、ひいては、電子ビームカラムの付勢、したがって、結果として生じるデバイス構造を画定する特性に影響を及ぼす望ましくない効果を及ぼし得ることである。
【0008】
加速器スルーレートを限定し、電圧擾乱を低減させることは、これがウエハ加工/処理時間を実質的に増加させるため、実践的解決策ではない。市場は、より高速の点検時間およびより長いエミッタ寿命へと向かっている(すなわち、より小さいカラムV変化の採用を通して)。
【0009】
図1は、電子ビーム点検(EBI)、走査電子顕微鏡(SEM)、およびリソグラフィ用途において使用するための典型的HVDC電力供給源100の電気アーキテクチャを図示する。電圧擾乱機構は、後の節でさらに詳細に解説される。原理上、加速器出力電圧が急速に増加または減少される場合、容量分割器が、浮動性の抽出器出力静電容量(C2)101とケーブル静電容量(C8)102との間に形成され、これは、ひいては、望ましくない電圧擾乱を抽出器出力上に作成する。抽出器出力が整定するまでにかかる時間は、有限であり、電源の過渡応答に依存する。
【0010】
適した静電容量を伴うコンデンサを配設し、浮動性の抽出器および抑制器出力への電圧擾乱を平滑化することが可能性として考えられ得るが、そのようなアプローチは、これが、コンデンサの意図しない高速放電からエネルギーの危険を作成し、出力の応答および整定時間に影響を及ぼすため、実践的ではない。
【0011】
本発明は、公知のそのような供給源および方法に優る利点を有するHVDC電力供給源および関連供給方法を提供することを模索する。特に、本発明は、上記の限界のうちの少なくとも1つを呈することなく、現在の技術における問題に対処することができるHVDC電力供給源および関連供給方法を提供することを模索する。
【0012】
本発明の側面および実施形態が、前述を踏まえて考案されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の側面から見ると、本発明は、高電圧直流電力供給源を提供し、高電圧直流電力供給源は、一次出力をもたらす一次高電圧直流供給源と、一次出力に対して浮動性を有しかつ一次出力によって動力供給される浮動性の二次出力と、出力電圧を提供するための浮動性の二次出力における出力端子と、出力端子における出力電圧の変化を検出し、出力電圧の変化に応答して制御信号を発生させるように動作するコントローラと、該制御信号に応答して、電流を浮動性の二次出力に提供するように配列され、それによって、該電流が、出力電圧が変化するにつれた二次出力静電容量の充電を低減させるように提供される制御可能電流源とを備える。
【0014】
第2の側面から見ると、本発明は、高電圧直流電力を提供する方法を提供し、方法は、一次出力において、一次高電圧直流供給量を提供することと、一次出力に対して浮動性を有する浮動性の二次出力を提供し、一次出力によって浮動性の二次出力を動力供給することと、浮動性の二次出力における出力端子において出力電圧を提供することと、出力端子における出力電圧の変化を検出し、出力電圧の変化に応答して制御信号を発生させることと、該制御信号に応答して、制御可能電流源を用いて、電流を浮動性の二次出力に提供し、それによって、該電流が、出力電圧が変化するにつれた二次出力静電容量の充電を低減させるように提供されることとを含む。
【0015】
本発明の実施形態の側面および利点は、実施例のみとして例証的実施形態を記載する以下の詳細な説明および付随の図面の考慮に応じて、より完全に理解および認識される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、例えば、電子ビーム点検(EBI)、走査電子顕微鏡(SEM)、およびリソグラフィ用途において使用するためのHVDC電力供給源のブロック図である。
図2図2は、回路から導出されるいくつかの電圧トレースのプロットを含むHVDC電力供給源の概略図である。
図3図3は、負の偏位の間の回路から導出されるいくつかの電圧トレースのプロットを含むHVDC電力供給源の概略図である。
図4図4は、負の偏位の間の抽出器出力電圧トレース、「浮動性」の接地Heater_0Vトレース、およびその2つの間の差動電位のプロットである。
図5図5は、負の偏位の間の抑制器出力電圧トレース、「浮動性」の接地Heater_0Vトレース、およびその2つの間の差動電位のプロットである。
図6図6は、正の偏位の間の回路から導出されるいくつかの電圧トレースのプロットを含むHVDC電力供給源の概略図である。
図7A図7(a)は、正および負の偏位の間の回路から導出されるいくつかの電圧トレースのプロットを含むプログラム可能電流源PCSに接続されるHVDC電力供給源の概略図である。
図7B図7(b)は、PCSのブロック図である。
図8図8は、PCSの回路レイアウトの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の側面および実施形態は、以下の説明に限定されず、したがって、当然ながら、変動し得る。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためのものであり、求められる保護の範囲が一般的な実践および法律に従って解釈または解釈される添付の請求項によってのみ限定されるため、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0018】
他の態様で定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学用語は、本発明の側面および実施形態が属する当業者によって一般に理解されるもの、またはそれらが使用される文脈によって判定されるものと同一意味を有する。本明細書に説明されるものに類似または匹敵する任意の方法および材料もまた、本発明の実践または試験において使用されることができるが、限定された数の例証的方法および材料が、本明細書に説明される。
【0019】
電圧擾乱機構
「浮動性」の二次HVDC出力電源(すなわち、抽出器または抑制器)の正常機能に影響を及ぼす電圧擾乱機構をより良く例証するために、HVDC電力供給源の異なる動作モードが、ここで分析される。
【0020】
図2は、そのようなHVDC電力供給源の典型的回路アーキテクチャの例示的概略図である。回路は、一次HVDC出力電源(加速器)を示し、出力は、アース電位202と、2つの二次「浮動性」のHVDC出力電源(すなわち、抽出器203および抑制器204)とを基準とする。これらの二次源の出力は両方とも、「浮動性」の接地Heater_0V 201を基準とし、これは、一次HVDC出力電源上のアース電位から離れて数十キロボルトにおいて「浮動性」を有し得る。続く電圧擾乱機構分析は、主に、抽出器源に焦点を当てる。同一電圧偏差機構は、抑制器源に等しく影響を及ぼすことを理解されたい。また、二次供給源側上に存在するものは、また「浮動性」の接地Heater_0Vを基準とする低電圧DC出力電源(すなわち、加熱器出力206)である。しかしながら、低電圧DC出力電源の動作は、本願では考慮されていない。
【0021】
抽出器203は、事実上、抽出器出力と並列に接続されるように現れる静電容量Cf205を有する出力を提示し、「浮動性」の接地Heater_0Vは、抽出器205の出力フィルタコンデンサCfである。抽出器出力とHeater_0Vとの間の電位は、V_Extractorによって示され、加速器と「アース」接地との間の電位は、V_accによって示される。
【0022】
動作モード1:一次HVDC出力電源電圧V_accの逓減
第1の動作モードでは、一次HVDC出力電源(すなわち、加速器)の出力電圧V_accは、一定率において、事前に設定された大きさから逓減される。抽出器V_Extractorの出力電圧に対する逓減V_accの効果は、図3に図示される。この動作モードでは、コンデンサCf内の電流は、図3に示されるように、Heater_0Vに向かってCfの方向に流動する。これは、本明細書では、「負の偏位」と称され、アース電位からさらに離れるように強制されている、Heater_0Vにおける電圧を表す。
【0023】
図3における電圧トレース301は、加速器の電圧出力波形V_acc304を示す。図3における電流トレース302は、フィルタコンデンサCfを通して流動する電流の電流波形を示す。図3における電圧トレース303は、抽出器の電圧出力波形V_Extractorを示す。加速器電圧出力V_accは、元々は、事前に設定された大きさ(例えば、100V)に設定される。V_acc電圧変化を伴わないこの動作周期の間は、フィードバックコンデンサCf305を通して流動する電流は、存在しない。V_acc304が一定率において逓減されるにつれて、一定電流が、図3におけるトレース302に図示されるように、Heater_0V306(「浮動性」の接地)に向かって、Cf305へと流動する。V_accが逓減している時間周期の間、抽出器V_Extractorの電圧出力波形は、動作時の電圧偏差機構の直接結果(すなわち、背景節に説明される容量分割器効果)として、一定率で増加するという点で、歪曲される。
【0024】
V_accの逓減が停止すると、Cf305を通して流動する、結果として起こる一定電流は、図3におけるトレース302に示されるように、停止する。V_Extractorは、図3における303に示されるように、抽出器の過渡応答、静電容量値、および回路時間定数に依存する率において、その元の値に復元し始める。
【0025】
負の偏位の間の抽出器出力上の電圧擾乱は、図4においてより明確に観察されることができる。図4は、V_Extractor401、402およびHeater_0Vにおいて測定された電圧のトレースを図示する。V_ExtractorとHeater_0Vとの間の電圧差は、負の偏位の間の404に示される。トレース401は、「アース」接地に対する抽出器電圧(すなわち、V_acc+V_Extractor)を示す。401にわたって重畳されるトレース402は、Cfが存在しないまたは抽出器出力を横断して影響を及ぼさないと仮定して、「アース」に対する抽出器電圧を示す点線トレースである。容量分割器効果(Cf)に起因した「アース」接地に対する抽出器電圧への電圧擾乱の効果は、401および402の重複トレースから明白であり、401および402の比較は、主に、抽出器出力における遅れに起因して、問題となるトレース404の源を確認する。
【0026】
回路定数、ケーブル静電容量、および電圧スルーレートの典型的値を考慮すると、結果として生じる電圧擾乱は、数十ボルトの領域内にあり得る。この大きさの電圧擾乱は、HVDC電力供給源によって給電されるシステムの正常動作に有害であり得る。例えば、電子ビームカラムの付勢が、影響され、動作時の遅延または放出不足/過放出を引き起こし得る。
【0027】
負の電流偏位の間の抑制器出力上の電圧擾乱もまた、完全性のために、図5に提供される。図5は、負の電流偏位の間のV_Suppressor501、502およびHeater_0V503において測定された電圧と、V_SuppressorとHeater_0V504との間の電圧差とを図示する。501は、「アース」接地に対する抽出器電圧(すなわち、V_acc+V_Suppressor)を示す。501にわたって重畳される502は、Cfが抽出器出力を横断して存在しないと仮定して、「アース」に対する抽出器電圧を示す点線トレースである。容量分割器効果(Cf)に起因した「アース」接地に対する抽出器電圧への電圧擾乱の効果は、501および502の重複トレースから明白である。
【0028】
一次HVDC出力電源電圧V_accの逓増
第2の動作モードでは、一次HVDC出力電源(すなわち、加速器)の出力電圧V_accは、一定率において、「アース」電位から恣意的値(例えば、100V)まで逓増される。抽出器V_Extractorの出力電圧に対する逓増V_accの効果は、図6に図示される。この動作モードでは、コンデンサCf内の電流は、図6に示されるように、CFおよび抽出器から離れる方向に流動する。これは、本明細書では、「正の電流偏位」と称される。
【0029】
図6における電圧トレース601は、加速器の電圧出力波形V_acc604を示す。図6における電流トレース602は、フィルタコンデンサCf605を通して流動する電流の電流波形を示す。図6における電圧トレース603は、抽出器の電圧出力波形V_Extractorを示す。加速器電圧出力V_acc604は、元々は、「アース」電位にある。この動作周期の間、電流は、フィードバックコンデンサCfを通して流動しない。V_accが一定率において逓増されるにつれて、一定電流は、図6におけるトレース602に図示されるように、Cf605および抽出器から離れるように流動し始める。V_acc604が逓増している時間周期の間、抽出器V_Extractorの電圧出力波形は、動作時の電圧偏差機構の直接結果(すなわち、背景節に説明される容量分割器効果)として、一定率において減少するという点で、再び歪曲される。
【0030】
V_accの逓増が停止すると、Cf605を通して流動する結果として起こる一定電流は、図6におけるトレース602に示されるように、停止する。V_Extractorは、図6における603に示されるように、抽出器の過渡応答、静電容量値、および回路時間定数に依存する率で、その元の値に復元し始める。
【0031】
「浮動性」の二次低電圧DC出力電源上の電圧擾乱機構は、加熱器の出力静電容量Cfが、非常に大きく、出力インピーダンスが、他の出力と比較して低いため、無視可能である。
【0032】
プログラム可能電流源PCS
本明細書の本開示は、特に、例えば、電子ビーム点検(EBI)、走査電子顕微鏡(SEM)、およびリソグラフィ用途における使用のためのHVDC電力供給源のための電子放出のために使用されるHVDCシステム内で生じる電圧擾乱を緩和するために適したシステムの提供を対象とする。
【0033】
PCSは、抽出器出力静電容量が、事実上、電流シンクをもたらすことによって充電されることを防止し、それによって、HVDC電力供給源が正および負の偏位の両方を受けているときの周期の間、常時、V_Extractorの大きさを制御するような様式で動作するように構成される。
【0034】
1つの配列では、プログラム可能電流源PCS701は、図7(a)および7(b)に図示されるように、例えば、正の出力端子と抽出器の「浮動性」の接地との間の「浮動性」の二次HVDC出力電源のうちの1つの出力と並列に接続される。別の配列では、PCSは、例えば、正の出力端子と抑制器の「浮動性」の接地との間の「浮動性」の二次HVDC出力電源のうちの別の1つの出力と並列に接続される。さらに別の配列では、PCSは、例えば、正の出力端子と抑制器および抽出器の「浮動性」の接地との間の「浮動性」の二次HVDC出力電源の1つを上回るものの出力と並列に接続される。
【0035】
1つの配列では、PCSは、電流コントローラ804を使用して調整され得る一定電流シンクの一部として動作するように構成される、図8に示されるような様式において接続されるMOSFETデバイス801のチェーンを備えてもよい。PCS内のMOSFETデバイス801のチェーンは、所望の電流シンク効果を達成するために、任意の他の適した制御手段によって(例えば、電圧コントローラを使用して)調整されてもよい。PCSはまた、電流をシンクさせる目的のために、任意の他の適した電力電子デバイス(例えば、BJT、IGBT、またはJFET)のチェーンを備えてもよい。PCSはまた、1つ以上の「浮動性」の二次HVDC出力電源の需要される出力電圧と測定された出力電圧との間の差異を監視するように構成される出力電圧偏差感知回路網802、803、805を備えてもよい。出力電圧偏差感知回路網は、「浮動性」の二次HVDC出力電源毎に、個別の電源に関して検出された電圧出力偏差または誤差に基づいて、電流コントローラによる使用のための制御信号を発生させる。電流コントローラは、受信された制御信号(すなわち、需要される出力電圧と測定された出力電圧との間で検出された偏差の量)に基づいて、チェーン内のMOSFETデバイスのトランスコンダクタンスを変動させることによって、一定電流シンクの大きさを増加または減少させてもよい。本システムはまた、前述の電圧擾乱を抑制する同一技術的効果を達成するために、それらが「浮動性」の二次HVDC出力電源のうちの(すなわち、正の出力端子と抑制器および/または抽出器の「浮動性」の接地との間の)1つ以上のものの出力と並列に接続され得るように構成される任意の他の適したプログラム可能電流源を備えてもよい。
【0036】
出力電圧感知回路網
1つの配列では、出力電圧感知回路網は、図8に示されるような様式において構成される、抵抗電位分割器回路805、緩衝回路802、およびインバータ回路803等の回路の組み合わせを備えてもよい。出力電圧感知回路網は、2つの入力電圧間の偏差(すなわち、「浮動性」の二次HVDC出力電源の需要される出力電圧と測定された出力電圧との間の差異)を比較し、一定電流シンクをリアルタイムで調整するために、電流コントローラ804による使用のための制御信号806をリアルタイムで発生させる。
【0037】
本システムは、例えば、電流を測定し、予期される電圧差を予測するために、または需要電圧の変化に基づいて、固定された補正値を使用するために電流センサを使用して、「浮動性」の二次HVDC出力電源の需要される出力電圧と測定された出力電圧との間の差動を感知するための任意の他の適した手段を備えてもよい。
【0038】
本システムはまた、感知される差動に基づいて、例えば、YYYを使用して、制御信号を発生させるための任意の他の適した手段を備えてもよい。
【0039】
電流コントローラ
1つの配列では、電流コントローラ804は、図8に示されるような様式において構成される感知抵抗器および増幅器を備えてもよい。電流コントローラは、出力電圧感知回路網802、803、805によって供給される入力制御信号806に基づいて、MOSFETチェーン801内の1つ以上のMOSFETのトランスコンダクタンスを変動させる。MOSFETが調節されるにつれて、PCSは、「浮動性」の二次HVDC出力電源の出力静電容量(例えば、抽出器出力静電容量)およびケーブル静電容量からの容量分割器効果に起因する、前節に開設されるような容量分割器効果から発生される過剰「寄生」電流を迂回させる。そうすることによって、一次HVDC出力電源が逓増または逓減されるときの「浮動性」の二次HVDC出力電源の出力電圧に対する望ましくない偏差は、最小限にされることができる。
【0040】
正および負の電流偏位の間の抽出器出力電圧に対する提案されるシステムの効果
抽出器の出力電圧に対する提案されるシステムの効果をより良く例証するために、図7(a)は、前段落に説明される2つの動作モードである、正の電流偏位(すなわち、V_accの逓増)および負の電流偏位(すなわち、V_accの逓減)の両方の間のV_Extractor704、705の電圧波形を示す。
【0041】
図7(a)における電圧トレース704は、PCS補償を伴わない抽出器の電圧出力波形V_Extractor(補償なし)を示す。704にわたって重畳される点線での図7(a)における電圧トレース705は、電圧出力波形V_Extractor(PCS補償あり)を示す。
【0042】
正の電流偏位(すなわち、領域706)の間、V_accが逓増されるにつれて、PCSは、抽出器の需要される出力電圧と測定された出力電圧との間の偏差を検出し、一定電流シンクの大きさを調節することによって反応し、抽出器フィルタ静電容量Cfを充電しないように電流を迂回させ、それによって、V_Extractorを制御する。PCSの効果は、V_Extractor(PCS補償あり)705によって示される。Cfによって引き起こされる電圧偏差は、もはや存在せず、V_Extractorは、V_accが逓減されるときの正の電流偏位の間、実質的に一定のままである。
【0043】
類似効果は、領域707に示されるように、負の電流偏位の間も達成される。再び、V_Extractorは、V_accが一定率で逓減される時間周期の間、実質的に一定のままである。
【0044】
本発明の特定および好ましい側面は、付随の独立請求項に記載される。従属および/または独立請求項からの特徴の組み合わせは、必要に応じて、請求項に記載されるものだけではなく、組み合わせられてもよい。
【0045】
本開示の範囲は、請求される発明に関連するかどうかまたは本発明によって対処される問題のいずれかまたは全てを緩和させるかどうかに関係なく、明示的にまたは暗示的にのいずれかで本明細書に開示される任意の新規特徴または特徴の組み合わせまたはその任意の一般的化を含む。本出願人は、本願またはそこから派生される任意のそのようなさらなる出願の申請の際、新しい請求項がそのような特徴に対して考案され得るという概念を与える。特に、添付の請求項を参照すると、従属請求項からの特徴は、独立請求項のものと組み合わせられてもよく、個別の独立請求項からの特徴は、任意の適切な様式において、請求項に列挙される具体的組み合わせだけではなく、組み合わせられてもよい。
【0046】
別個の実施形態の文脈に説明される特徴はまた、単一実施形態において組み合わせて提供されてもよい。逆に言えば、簡潔にするために単一実施形態の文脈において説明される種々の特徴はまた、別個に、または任意の適した副次的組み合わせにおいて、提供されてもよい。
【0047】
用語「comprising(~を備える)」は、他の要素またはステップを除外するものではなく、用語「a」または「an」は、複数形を除外するものはない。請求項における参照記号は、請求項の範囲の限定として解釈されるものではない。
(項目1)
高電圧直流電力供給源であって、
一次出力をもたらす一次高電圧直流供給源と、
前記一次出力に対して浮動性を有し、前記一次出力によって動力供給される浮動性の二次出力と、
出力電圧を提供するための、前記浮動性の二次出力における出力端子と、
前記出力端子における前記出力電圧の変化を検出し、前記出力電圧の変化に応答して制御信号を発生させるように動作するコントローラと、
前記制御信号に応答して電流を前記浮動性の二次出力端子に提供するように配列される制御可能電流源であって、それによって、前記電流が、前記出力電圧が変化するにつれた二次出力静電容量の充電を低減させるように提供される、制御可能電流源と
を備える、電力供給源。
(項目2)
前記制御可能電流源は、前記浮動性の二次出力と並列に配列される、項目1に記載の電力供給源。
(項目3)
前記制御可能電流源は、プログラム可能電流源を備える、項目1または2に記載の電力供給源。
(項目4)
前記制御可能電流源は、電流シンクをもたらすように配列される、項目1、2、または3に記載の電力供給源。
(項目5)
前記電流シンクは、電力電子デバイスチェーンによって形成される、項目4に記載の電力供給源。
(項目6)
感知抵抗器を用いて調整されるように配列される、前記項目のうちのいずれか1つ以上の項に記載の電力供給源。
(項目7)
前記コントローラは、前記出力端子における前記出力電圧の変化を検出するための抵抗分割器を含む、前記項目のうちのいずれか1つ以上の項に記載の電力供給源。
(項目8)
前記コントローラは、前記電流源を調整するための誤差信号を生成するように配列される、前記項目のうちのいずれか1つ以上の項に記載の電力供給源。
(項目9)
前記コントローラは、前記電流源のトランジスタチェーンを調整するように配列される、項目8に記載の電力供給源。
(項目10)
前記一次高電圧直流供給源は、加速器電力供給源を備える、前記項目のうちのいずれか1つ以上の項に記載の電力供給源。
(項目11)
浮動性の二次電力供給源は、抑制器出力を含むまたは備える、前記項目のうちのいずれか1つ以上の項に記載の高電圧電流電力供給源。
(項目12)
前記抑制器は、-100V~-3kVの範囲内の定格出力電圧を有する、項目11に記載の高電圧電流電力供給源。
(項目13)
前記抑制器は、0.1W~50Wの範囲内の定格出力電力を有する、項目11に記載の高電圧電流電力供給源。
(項目14)
前記浮動性の電力供給源は、抽出器出力を含むまたは備える、前記項目のうちのいずれか1つ以上の項に記載の高電圧電流電力供給源。
(項目15)
前記抽出器は、1kV~15kVの範囲内の定格出力電圧を有する、項目14に記載の高電圧電流電力供給源。
(項目16)
前記抽出器は、0.1W~20Wの範囲内の定格出力電力を有する、項目14に記載の高電圧電流電力供給源。
(項目17)
高電圧直流電力を提供する方法であって、
一次出力において、一次高電圧直流供給量を提供することと、
前記一次出力に対して浮動性を有する浮動性の二次出力を提供し、前記一次出力によって前記浮動性の二次出力を動力供給することと、
前記浮動性の二次出力における出力端子において出力電圧を提供することと、
前記出力端子における前記出力電圧の変化を検出し、前記出力電圧の変化に応答して制御信号を発生させることと、
前記制御信号に応答して、制御可能電流源を用いて、前記浮動性の二次出力に電流を提供することであって、それによって、前記電流が、前記出力電圧が変化するにつれた二次出力静電容量の充電を低減させるように提供される、ことと
を含む、方法。
(項目18)
項目2~16のうちの任意の1つ以上の項目に記載の電力供給源を用いて、前記高電圧直流電力を提供する、項目17に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
図1図1は、例えば、電子ビーム点検(EBI)、走査電子顕微鏡(SEM)、およびリソグラフィ用途において使用するためのHVDC電力供給源のブロック図である。
図2図2は、回路から導出されるいくつかの電圧トレースのプロットを含むHVDC電力供給源の概略図である。
図3図3は、負の偏位の間の回路から導出されるいくつかの電圧トレースのプロットを含むHVDC電力供給源の概略図である。
図4図4は、負の偏位の間の抽出器出力電圧トレース、「浮動性」の接地Heater_0Vトレース、およびその2つの間の差動電位のプロットである。
図5図5は、負の偏位の間の抑制器出力電圧トレース、「浮動性」の接地Heater_0Vトレース、およびその2つの間の差動電位のプロットである。
図6図6は、正の偏位の間の回路から導出されるいくつかの電圧トレースのプロットを含むHVDC電力供給源の概略図である。
図7A図7(a)は、正および負の偏位の間の回路から導出されるいくつかの電圧トレースのプロットを含むプログラム可能電流源PCSに接続されるHVDC電力供給源の概略図である。
図7B図7(b)は、PCSのブロック図である。
図8-1】図8は、PCSの回路レイアウトの概略図である。
図8-2】 図8は、PCSの回路レイアウトの概略図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8-1
【補正方法】追加
【補正の内容】
図8-1】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8-2
【補正方法】追加
【補正の内容】
図8-2】
【国際調査報告】