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特表2022-539243発作を治療し、その進行を抑制する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】発作を治療し、その進行を抑制する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/742 20150101AFI20220831BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20220831BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A61K35/742
A61K38/16
A61P25/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500029
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(85)【翻訳文提出日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 US2020040908
(87)【国際公開番号】W WO2021007165
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】62/870,872
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018268
【氏名又は名称】アラーガン、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】バースタイン ラミ
(72)【発明者】
【氏名】キャリロ オーガスティン メロ
(72)【発明者】
【氏名】ブリン ミッチェル エフ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA44
4C084CA04
4C084DA33
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA061
4C084ZC541
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC68
4C087CA08
4C087CA16
4C087MA17
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA06
4C087ZC54
(57)【要約】
クロストリジウム誘導体を頭蓋外投与することによって、発作を治療し、焦点発作から全般発作の進行を抑制する方法を記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発作障害に関連する発作を治療し、または前兆発作症状を治療する方法であって、
発作を治療するのに有効な量のクロストリジウム誘導体を発作障害または前兆発作症状を有する対象に投与することを含み、クロストリジウム誘導体は、少なくとも1つの投与部位に頭蓋外投与される、方法。
【請求項2】
投与は、筋肉外注射、皮下注射、皮膚下注射または皮膚内注射を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
投与は、対象の頭皮に注射することによって投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
投与は1つ以上の投与部位になされる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
投与は2~20個の投与部位になされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
投与部位は、対象の頭骨の任意の縫合線にほぼ沿っており、または人字縫合にほぼ沿っている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの投与部位は、人字縫合および矢状縫合のほぼ接合部である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの投与部位は、頸神経によって神経支配されている頭蓋の後頭部領域に対してである、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
投与されるクロストリジウム誘導体の量は、それぞれの投与部位に投与するために、部分に均等に分割される、請求項4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
クロストリジウム誘導体の量の部分は、それぞれの投与部位、それぞれの注射部位に投与され、それぞれの投与部位に投与される部分は不均等である、請求項4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
クロストリジウム誘導体はボツリヌス神経毒である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
投与される量は約1~3000単位である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ボツリヌス神経毒は、ボツリヌス毒素A型、ボツリヌス毒素B型、ボツリヌス毒素C型、ボツリヌス毒素D型、またはボツリヌス毒素E型である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ボツリヌス毒素は、オナボツリヌス毒素A、アボボツリヌス毒素A、インコボツリヌス毒素A、ダキシボツリヌス毒素A、プラボツリヌス毒素A、およびリマボツリヌス毒素Bからなる群から選択される、請求項11または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ボツリヌス毒素はボツリヌス神経毒複合体または純粋な毒素である、請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項16】
投与されるボツリヌス毒素は、約2~10個の投与部位に均等に分割される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
発作は、焦点発症発作、ミオクローヌス発作、または原発性全般強直間代発作である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
発作は、てんかん、若年性ミオクローヌスてんかん、特発性全般てんかん、およびレノックス・ガストー症候群から選択される発作障害に関連する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
発作は、レノックス・ガストー症候群に関連する全般強直間代発作である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記投与は、発作を治療しまたは制御するために与えられる経口または静脈内薬物療法の補助療法である、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
焦点発作から全般発作への進行を抑制する方法であって、
焦点発作に苦しむ対象の頭皮に、焦点発作から全般発作への進行を抑制する治療有効量のクロストリジウム誘導体を頭蓋外投与することを含む方法。
【請求項22】
発作障害に関連する発作を治療する方法であって、
発作に苦しむ対象の頭皮に、発作を治療するための治療有効量のクロストリジウム誘導体を頭蓋外投与することを含む方法。
【請求項23】
てんかんを有する対象の発作を治療し、または前兆発作(もしくはてんかんの前兆)症状を有する対象の前兆発作(もしくはてんかんの前兆)症状を治療する方法であって、
対象の頭皮に、発作を治療するための治療有効量のクロストリジウム誘導体を頭蓋外投与することを含む方法。
【請求項24】
焦点てんかん発作を制御する方法であって、
焦点てんかん発作を制御する治療有効量のクロストリジウム誘導体を対象に頭蓋外投与することを含む方法。
【請求項25】
焦点無症状性発作から焦点症状性発作への進行を予防する方法であって、
焦点無症状性発作から焦点症状性発作への進行を予防する治療有効量のクロストリジウム誘導体を対象に頭蓋外投与することを含む方法。
【請求項26】
投与は、筋肉外注射、皮下注射、皮膚下注射または皮膚内注射による投与を含む、請求項21~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
投与は、対象の頭皮に注射することによって投与することを含む、請求項21~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
投与は1つ以上の投与部位になされる、請求項21~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
投与は2~20個の投与部位になされる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
投与部位は、頭骨の任意の縫合線にほぼ沿っており、または人字縫合にほぼ沿っている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つの投与部位は、人字縫合および矢状縫合のほぼ接合部である、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つの投与部位は、頸神経によって神経支配されている頭蓋の後頭部領域に対してである、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
投与されるクロストリジウム誘導体の量は、それぞれの投与部位に投与するために、部分に均等に分割される、請求項28~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
クロストリジウム誘導体の量の部分は、それぞれの投与部位、それぞれの注射部位に投与され、それぞれの投与部位に投与される部分は不均等である、請求項28~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
クロストリジウム誘導体はボツリヌス神経毒である、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
投与される量は約1~3000単位である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ボツリヌス神経毒は、ボツリヌス毒素A型、ボツリヌス毒素B型、ボツリヌス毒素C型、ボツリヌス毒素D型、またはボツリヌス毒素E型である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
ボツリヌス毒素は、オナボツリヌス毒素A、アボボツリヌス毒素A、インコボツリヌス毒素A、ダキシボツリヌス毒素A、プラボツリヌス毒素A、およびリマボツリヌス毒素Bからなる群から選択される、請求項35または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ボツリヌス毒素はボツリヌス神経毒複合体または純粋な毒素である、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項40】
投与されるボツリヌス毒素は、約2~10個の投与部位に均等に分割される、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記投与は、発作を治療しまたは制御するために与えられる経口または静脈内薬物療法の補助療法である、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年7月5日に出願した米国仮特許出願第62/870,872号に対して米国特許法第119条(e)に従って優先権を主張する。
本開示は、クロストリジウム誘導体を頭蓋外投与することによって、発作を治療し、焦点発作から全般発作への進行を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発作は、一般的に、異常な発作性の電気的な脳の活性に関連する。発作の臨床的症状として、患者または観察者によって知覚される意識および運動、感覚、自律神経、または精神的イベントの変化を挙げることができる。多くは、発作によって一時的な意識喪失、痙攣、筋緊張の変化、異常動作および/または意識障害(staring spell)が生じる。発作は、薬、高熱、頭部外傷、遺伝的病因、感染性疾患、代謝障害、脳卒中および他の疾患等の多くの原因を有する可能性がある。再発性非挑発性の発作は、てんかんとして知られる神経症候群を規定する。発作は、観察、または脳の電気的活性の記録、脳波(EEG)によって診断することができる。
発作は、患者または観察者が知覚する症状、および/または発作を伴う電気的な脳活性のパターンに基づいて、3つのカテゴリーに分けられる。最も広義の用語では、発作は、焦点、全般および未分類として分類することができる。
焦点(「部分的」とも呼ばれる)発作は、初期セミオロジーまたはEEGの所見が、1つの大脳半球の一部分のみにおける発症を示すものである。注目すべきことに、焦点発作は、1つの半球において、少容積の皮質にのみ無症候性の異常な電気的な脳活性で生じることが多い。それらの非常に局在的な発症に従って、焦点発作は、患者または観察者によって知覚される時に、半球内の隣接する皮質領域に広がる。
【0003】
全般発作は、初期セミオロジーまたはEEGの所見が大脳半球の両方の最小関与以上を示し、痙攣発作および非痙攣発作に細分することができる。
全般発作の別の下位範疇化は、原発性が全般的であり、両方の半球から同時に生じるもの、二次的に全般的であり、広がる前に一方の半球に焦点的に生じて、他方の半球に関与するものがある。第3のカテゴリーである未分類発作は、不完全なデータによって分類が不可能な全ての発作を含む。
世界の人口の1%がてんかんに罹患している。局在的(焦点または部分)発作を経験しているてんかんを有する個体において、意識を妨げることがあり、様々な程度の健忘症が明らかになることがあるが、この発作は意識の喪失には至らない。しかしながら、焦点発作は、二次的に全般発作に進行する可能性があり、この場合、個体は意識を失う。臨床的に、全般発作および両側発作は、けがおよび発作後の合併症に罹患する可能性がより大きいため、より危険であると考えられる。疫学的に、てんかんと診断された全成人の半分近くは、少なくとも1種の全般発作または両側発作を経験し、てんかん患者の約25%はそれらを定期的に経験する。てんかんおよび他の発作の現在の治療として、抗てんかん薬(AED)が挙げられる。しかしながら、標準治療の薬物療法は多くの患者によって完全に有効ではなく、望ましくない副作用を生じさせる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、発作障害に関連する発作を治療する方法が提供される。方法は、発作を治療するのに有効な量のクロストリジウム誘導体を発作障害を有する対象に投与することを含み、クロストリジウム誘導体は、少なくとも1つの投与部位に頭蓋外投与される。
一実施形態において、てんかんを治療する方法が提供される。方法は、治療有効量のクロストリジウム誘導体をてんかんを有する対象に投与することを含み、クロストリジウム誘導体は、少なくとも1つの投与部位に頭蓋外投与される。
【0005】
一実施形態において、前兆発作(またはてんかんの前兆)症状を治療する方法が提供される。方法は、治療有効量のクロストリジウム誘導体を前兆発作(またはてんかんの前兆)症状を有する対象に投与することを含み、クロストリジウム誘導体は、少なくとも1つの投与部位に頭蓋外投与される。
一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、筋肉外注射、皮下注射、皮膚下注射または皮膚内注射から選択される注射経路によって投与される。
一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頭皮に注射することによって投与される。
一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頭皮の頸部内の縫合線に投与される。一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、人字縫合、頭頂乳突縫合、後頭縫合線、またはその組み合わせに、またはその近傍に投与される。代替の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頭皮の頸部の筋肉に投与される。別の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頸部内の頸神経に投与される。さらに別の実施形態において、クロストリジウム誘導体は頸部の三叉神経に投与される。
別の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、患者の頭骨の少なくとも1つの縫合線に投与される。一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頸神経に投与される。別の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、三叉神経に投与される。別の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、患者の頭骨の筋肉に投与される。
【0006】
別の実施形態において、方法は、クロストリジウム誘導体を1つ以上の投与部位に投与することを含む。例示的な実施形態において、投与部位の数は2~8個である。
一実施形態において、少なくとも1つの投与部位は、人字縫合にほぼ沿っている。
別の実施形態において、少なくとも1つの投与部位は、人字縫合および矢状縫合のほぼ接合部である。
別の実施形態において、少なくとも1つの投与部位は、例えば、前頭縫合線、鱗状縫合、冠状縫合、人字縫合、後頭乳突縫合、頭頂乳突縫合、および矢状縫合から選択される頭骨の任意の縫合線の近傍および/またはそこにほぼ沿っている。
一実施形態において、少なくとも1つの投与部位は、頸神経によって神経支配されている頭蓋の後頭部領域内である。特定の実施形態において、オナボツリヌス毒素Aは、頸神経によって神経支配されている頭蓋の後頭部領域に注射することによって投与される。
一実施形態において、少なくとも1つの投与部位は、筋膜、副筋膜、腱膜、神経上膜、または一般に結合組織、筋肉、神経、および縫合線を含む三叉神経または頸神経の近傍の任意の構造または組織である。
【0007】
さらに他に実施形態において、投与されるクロストリジウム誘導体の量は、それぞれの投与部位に投与するために、部分に均等に分割される。他の実施形態において、クロストリジウム誘導体の量の部分は、それぞれの投与部位に投与され、それぞれの投与部位に投与される部分は不均等である。
他の実施形態において、クロストリジウム誘導体はボツリヌス神経毒である。一実施形態において、ボツリヌス神経毒は、ボツリヌス毒素A型、ボツリヌス毒素B型、ボツリヌス毒素C型、ボツリヌス毒素D型、またはボツリヌス毒素E型である。
一実施形態において、ボツリヌス毒素はボツリヌス毒素A型である。いくつかの実施形態において、ボツリヌス毒素A型は、オナボツリヌス毒素A、インコボツリヌス毒素A、アボボツリヌス毒素A、ダキシボツリヌス毒素A、プラボツリヌス毒素A、およびその組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ボツリヌス神経毒A型の投与量は、約1単位~3000単位である。いくつかの実施形態において、ボツリヌス神経毒A型の投与量は、2単位~200単位である。いくつかの他の実施形態において、ボツリヌス神経毒A型の投与量は、200単位~500単位である。さらに他の実施形態において、ボツリヌス神経毒A型の投与量は、500単位超である。
【0008】
一実施形態において、ボツリヌス毒素はボツリヌス毒素複合体を含む。別の実施形態において、ボツリヌス毒素は純粋な神経毒を含む。
一実施形態において、ボツリヌス毒素はオナボツリヌス毒素Aであり、約2~200単位の量で投与される。一実施形態において、投与量は、約2~10個の投与部位に均等に分割される。
さらに他の実施形態において、発作は、焦点発作、ミオクローヌス発作および全般強直間代発作から選択される。
別の実施形態において、発作は、てんかん、若年性ミオクローヌスてんかん、特発性全般てんかん、およびレノックス・ガストー症候群から選択される発作障害に関連する。
他の実施形態において、発作は、レノックス・ガストー症候群に関連する全般強直間代発作である。
一実施形態において、クロストリジウム誘導体の投与ステップは、発作を治療するために与えられる経口、皮下、直腸または静脈内薬物療法の補助療法である。
【0009】
別の実施形態において、クロストリジウム誘導体の投与ステップは、迷走神経、または顔面神経、または視床、または発作を治療するために投与される大脳皮質の電気刺激の補助療法である。
別の態様において、焦点発作から両側発作への進行を抑制する方法が提供される。方法は、焦点発作に苦しむ対象に、脳領域の近くで異常な脳の電気活性の伝播を抑制する治療有効量のクロストリジウム誘導体を頭蓋外投与し、それによって、焦点発作の拡散および/または全般化を予防することを含む。
別の態様において、焦点無症状性発作から焦点症状性発作への進行を予防する方法が提供される。方法は、焦点発作に苦しむ対象に、脳領域の近くで異常な脳の電気活性の伝播を抑制する治療有効量のクロストリジウム誘導体を頭蓋外投与し、それによって、焦点無症状性発作から焦点症状性発作の進行を予防することを含む。
さらに別の態様において、発作に苦しむ対象に、発作を治療するための治療有効量のクロストリジウム誘導体を頭蓋外投与することを含む、発作障害に関連する発作を治療する方法が提供される。
【0010】
さらに別の態様において、発作を治療するための治療有効量のクロストリジウム誘導体を対象に頭蓋外投与することを含むてんかんを有する対象の発作を治療する方法が提供される。
さらに別の態様において、焦点てんかん発作を制御する方法は、焦点てんかん発作を制御する治療有効量のクロストリジウム誘導体を対象に頭蓋外投与することを含む。
一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頭皮に投与される。
いくつかの実施形態において、本開示に従う方法は、発作の補助療法を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、補助療法は、1つ以上の抗てんかん薬を含む。
さらに別の態様において、発作性頭痛を治療するための治療有効量のクロストリジウム誘導体を対象に頭蓋外投与することを含む発作性頭痛を治療する方法が提供される。一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、発作の前(発作前)に投与される。別の態様において、クロストリジウム誘導体は、発作の後(発作後)に投与される。
以下の図面は、本発明の方法の実施形態の態様および特性を説明するために提示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A図1Aは、一実施形態において、クロストリジウム誘導体を送達するために、特定の頭蓋縫合線および投与部位を示す試験動物の模式的上面図である。
図1B図1Bは、発作を作動させるために使用されるピクロトキシン投与の場所および異なる皮質領域の皮質脳波を記録するために使用されるガラスピペット電極の場所を示す皮質解剖の模式的上面図である。
図2A-2B】図2A~2Bは、焦点発作を作動させるために、後頭皮質にピクロトキシンを局所的に適用する前および後の試験動物の後頭皮質(図2A)および頭頂葉皮質(図2B)の皮質脳波のトレースおよび図2Aの点線によって示されるピクロトキシンの適用時間である。
図3A-3B】図3A~3Bは試験動物の後頭皮質(図3A)および頭頂葉皮質(図3B)の皮質脳波のトレースであり、動物は、(図3Aの点線によって示される時間で与えられる)ピクロトキシンによる発作を誘発する前に、例示的なクロストリジウム誘導体(オナボツリヌス毒素A)で以前に治療を受けていた。
図4A-4B】図4A~4Bは、クロストリジウム誘導体を投与された頸部領域の三叉神経の不在を示すヒトの頭骨(図4A)およびラットの頭骨(図4B)の図である。
図5A-5C】図5A、5Bおよび5Cは、様々な縫合線を示すヒト頭骨の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
定義
以下の定義は本明細書に適用する:
本明細書に使用する場合、「約」または「おおよそ」は、当業者によって決定される特定の値の許容可能なエラー範囲内を意味し、値を測定し、または決定する方法に部分的に依存する(すなわち、測定システムの限界)。例えば、「約」は、技術の実践につき、1つの標準偏差よりも1つ以上大きい範囲を意味することができる。他に断りの無い限り、本出願および請求項に特定の値が記載されている場合、「約」という用語は、特定の値の許容可能なエラー範囲内を意味する。
「投与」または「投与すること」は、対象に医薬組成物を与える(すなわち投与する)ステップ、またはあるいは医薬組成物を投与された対象を意味する。
【0013】
「軽減すること」は、病態または障害に関連する発作の発生の減少を意味する。したがって、軽減することは、いくらかの減少、著しい減少、ほぼ全てに近い減少、および全ての減少を含む。
「生物活性」は、生物に対する薬の利益効果または有害効果を記載する。薬が複合化学混合物である場合、この活性は物質の有効成分によって発揮されるが、他の構成要素によって修正することができる。生物活性は、インビボのLD50またはED50アッセイによって、または例えば、米国特許第20100203559号および米国特許第20100233802号に記載される細胞ベースの潜在能アッセイ等のインビトロアッセイによって潜在能として、または毒性として評価することができる。
【0014】
「ボツリヌス毒素」は、クロストリジウムボツリヌス、ならびにボツリヌス毒素、断片、変異体または非クロストリジウム種によって組換えで作製されたそのキメラによって産生される神経毒を意味する。本明細書で使用する場合、「ボツリヌス毒素」という用語は、ボツリヌス毒素血清型A(BoNT/A)、ボツリヌス毒素血清型B(BoNT/B)、ボツリヌス毒素血清型C(BoNT/C)、ボツリヌス毒素血清型D(BoNT/D)、ボツリヌス毒素血清型E(BoNT/E)、ボツリヌス毒素血清型F(BoNT/F)、ボツリヌス毒素血清型G(BoNT/G)、ボツリヌス毒素血清型H(BoNT/H)、ボツリヌス毒素血清型X(BoNT/X)、ボツリヌス毒素血清型En(BoNT/En)、およびモザイクボツリヌス毒素ならびに/またはそのサブタイプおよびそのサブタイプの任意の他の種類、またはそれぞれの場合において、前述の任意の再設計されたタンパク質、類似体、誘導体、相同体、部分、サブパート、変異体またはバージョンを含む。本明細書で使用する場合、「ボツリヌス毒素」は、「改変ボツリヌス毒素」も含む。さらに、本明細書で使用する場合、「ボツリヌス毒素」は、ボツリヌス毒素複合体(例えば、300、600および900kDaの複合体)、ならびにタンパク質複合体と関連しないボツリヌス毒素の神経毒成分(150kDa)も含む。
【0015】
「クロストリジウム誘導体」は、本明細書に規定されるクロストリジウム毒素の任意の部分を含む分子を指す。本明細書で使用する場合、「クロストリジウム誘導体」という用語は、天然または組換え神経毒、組換え改変毒素、断片、キメラおよびその変異体、標的化小胞エキソサイトーシスモジュレーター(Targeted Vesicular Exocytosis Modulator)(TEM)、またはその組み合わせを含む。
【0016】
「クロストリジウム毒素」は、全体の細胞メカニズムを実行することができるクロストリジウム毒素株によって産生される任意の毒素を指し、それによってクロストリジウム毒素が細胞を中毒させ、低いまたは高い親和性のクロストリジウム毒素受容体にクロストリジウム毒素を結合させること、毒素/受容体複合体を内部移行すること、クロストリジウム毒素の軽鎖を細胞質に転置すること、およびクロストリジウム毒素基質を酵素改変することを含む。クロストリジウム毒素の非限定的な例として、ボツリヌス毒素様BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、BoNT/H、BoNT/X、BoNT/En、モザイクボツリヌス毒素、破傷風毒素(TeNT)、Baratii毒素(BaNT)、およびブチリカム毒素(BuNT)が挙げられる。BoNT/C2細胞毒およびBoNT/C3細胞毒は、神経毒ではなく、「クロストリジウム毒素」という用語から除外される。本明細書に開示のクロストリジウム毒素として、限定されないが、例えば、クロストリジウム毒素異性体およびクロストリジウム毒素サブタイプ等の天然のクロストリジウム毒素変異体、例えば、保護クロストリジウム毒素変異体、非保護クロストリジウム毒素変異体、クロストリジウム毒素キメラ変異体およびその活性クロストリジウム毒素断片、またはその任意の組み合わせ等の非天然のクロストリジウム毒素変異体が挙げられる。本明細書に開示のクロストリジウム毒素として、クロストリジウム毒素複合体、ならびに非毒素関連タンパク質(NAP)に関連していないクロストリジウム毒素の神経毒性成分が挙げられる。本明細書で使用する場合、「クロストリジウム毒素複合体」という用語は、例えば、ボツリヌス毒素複合体、破傷風毒素複合体、Baratii毒素複合体およびブチリカム毒素複合体等のクロストリジウム毒素および非毒素関連タンパク質(NAP)の神経毒成分を含む複合体を指す。クロストリジウム毒素複合体の非限定的な例として、クロストリジウムボツリヌス(Clostridium botulinum)によって産生される複合体、例えば、900kDaのBoNT/A複合体、500kDaのBoNT/A複合体、300kDaのBoNT/A複合体、500kDaのBoNT/B複合体、500kDaのBoNT/C1複合体、500kDaのBoNT/D複合体、300kDaのBoNT/D複合体、300kDaのBoNT/E複合体、および300kDaのBoNT/F複合体が挙げられる。
【0017】
「クロストリジウム毒素活性成分」は、対象または患者に投与した時、または投与した後に効果を発揮する任意の部分のクロストリジウム毒素を含む分子を指す。本明細書で使用する場合、「クロストリジウム毒素活性成分」という用語は、約150kDaのクロストリジウム毒素および非毒素関連タンパク質(NAP)と集約的に呼ばれる他のタンパク質、約150kDaのクロストリジウム毒素単体、または例えば、再標的化されたクロストリジウム毒素等の改変クロストリジウム毒素を含むクロストリジウム毒素複合体を含む。
生物活性成分に適用される「有効量」は、概して、対象に所望の変化を与えるのに十分な成分の量を意味する。例えば、所望の効果が発作を軽減すること、または発作の進行を抑制することである場合、成分の有効量は、重大な毒性を生じることなく、発作の頻度、または焦点発作から全般発作に進行する尤度の少なくとも実質的な減少が生じる量である。クロストリジウム誘導体の有効量は、潜在能または毒性単位(例えば、LD50またはED50)または質量単位(例えば、ngまたはmg)で測定することができる。
「頭蓋外投与」は、頭蓋の外側の部位への投与を意味する。いくつかの実施形態において、頭蓋外投与は、任意の縫合線、または患者の頭蓋縫合線の組み合わせへの投与を指す。
【0018】
「局所投与」は、動物の身体の部位またはその内部に、またはその近傍に薬剤を投与することを意味し、その部位において、例えば、筋肉内、または皮膚内もしくは皮膚下注射または局所的投与によって、薬剤の生物学的効果が望まれる。局所投与は、静脈または経口投与等の全身経路の投与を除外する。局所的投与は、薬剤が患者の皮膚に適用される局所投与の種類である。
「改変ボツリヌス毒素」は、天然のボツリヌス毒素に比べて、そのアミノ酸の少なくとも1つが削除、改変または置換されたボツリヌス毒素を意味する。さらに、改変ボツリヌス毒素は、組換え産生された神経毒または組換え作製された神経毒の誘導体もしくは断片であってもよい。改変ボツリヌス毒素は、天然のボツリヌス毒素の少なくとも1種の生物活性、例えば、ボツリヌス毒素受容体に結合する能力、またはニューロンから神経伝達物質放出を阻害する能力を保持する。改変ボツリヌス毒素の一例は、1つのボツリヌス毒素血清型(血清型A等)からの軽鎖、および異なるボツリヌス毒素血清型(血清型B等)からの重鎖を有するボツリヌス毒素である。改変ボツリヌス毒素の別の例は、物質P等の神経伝達物質に連結するボツリヌス毒素である。
【0019】
「変異」は、天然のタンパク質または核酸配列の構造的改変を意味する。例えば、核酸変異の場合において、変異は、DNA配列の1つ以上のヌクレオチドの削除、追加または置換であってもよい。タンパク質配列の変異の場合において、変異は、タンパク質配列の1つ以上のアミノ酸の削除、追加または置換であってもよい。例えば、タンパク質配列を含む特定のアミノ酸は、別のアミノ酸、例えば、アミノ酸アラニン、アスパラギン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンまたは他の天然、もしくは非天然アミノ酸または化学修飾アミノ酸を含む群から選択されるアミノ酸について置換することができる。タンパク質配列の変異は、転写される場合、得られる翻訳されたmRNAが変異したタンパク質配列を生成するDNA配列に対する変異の結果であってもよい。タンパク質配列の変異は、所望のタンパク質配列に対する所望の変異を含むペプチド配列に融合することによって作製することもできる。
「患者」は、医療または獣医学的ケアを受けるヒトまたは非ヒト対象を意味する。したがって、本明細書に開示の組成物は、例えば、哺乳動物等の任意の動物の治療に使用することができる。
【0020】
「末梢投与すること」または「末梢投与」は、皮膚下、皮膚内、経皮、皮下投与または筋肉内投与を意味する。
「医薬組成物」は、例えば、ボツリヌス毒素等のクロストリジウム毒素等の活性医薬成分、および例えば、安定剤または賦形剤等の少なくとも1種の追加の成分を含む組成物を意味する。医薬組成物は、したがって、ヒト患者等の対象への診断または治療的投与に適した製剤である。医薬組成物は、例えば、凍結乾燥または真空乾燥条件下で、凍結乾燥または真空乾燥した医薬組成物の再構築後に形成される溶液、または再構築を必要としない溶液もしくは固体であってもよい。
標的化エキソサイトーシスモジュレーター(Targeted Exocytosis Modulator)の略語である「TEM」は、特定の種類の神経細胞に対して、またはいくつかのヒト疾患のエキソサイトーシスの阻害の有益な臨床効果を拡大するボツリヌス毒素によって影響を受けない標的細胞に対して軽鎖の触媒活性を指向する再標的化エンドペプチダーゼである。
「治療すること」または「治療」は、一時的または恒久的に少なくとも1つの症状を軽減(または無くす)ことを意味する。より詳細には、本明細書で使用する場合、発作、発作障害またはその症状の「治療」は、発作、その全体的な障害もしくは症状の頻度を減少させること(または予防すること)または発作の持続時間を減少させること、発作、その全体的な障害もしくは症状の重症度を改善すること、発作、その全体的な障害もしくは症状を治療すること、発作、その全体的な障害もしくは症状を治癒すること、発作もしくは症状の数または重症度の減少を達成すること、発作を経験している患者のQOLを改善することの1つ以上を含む。
【0021】
「変異体」は、野生型ボツリヌス毒素血清型A、B、C、D、E、F、G、H、X、または野生型ボツリヌス毒素に対する少なくとも1つのアミノ酸の交換、修飾、追加または削除によって改変されたモザイクボツリヌス毒素等のクロストリジウム神経毒を意味し、標的細胞によって認識され、標的細胞によって内部移行され、標的細胞のSNARE(SNAP(可溶性NSF付着タンパク質)受容体)タンパク質を触媒的に切断する。変異体神経毒成分の例は、置換、修飾、削除および/または追加される1つ以上のアミノ酸を有するボツリヌス毒素の変異体軽鎖を含むことができる。この変異体軽鎖は、エキソサイトーシス、例えば、神経伝達物質小胞の放出を防ぐ同じまたはより良い能力を有し得る。さらに、変異体の生物学的効果は、親化学属性に比べて減少し得る。例えば、削除されたアミノ酸配列を有するボツリヌス毒素A型の変異体軽鎖は、親(または天然)ボツリヌス毒素A型軽鎖よりもより短い生物学的持続を有し得る。
本明細書で使用する場合、「発作障害を改善すること」または「発作を改善すること」という用語は、発作および/または関連する症状の頻度を減少させること、ならびに/または発作および/または関連する症状の重症度を減少させること(例えば、焦点発作から全般発作に進行しないように発作状態を安定化すること)、ならびに/または対象の本質的に無発作状態を維持すること、ならびに/または疾患もしくは障害、または前述の任意の組み合わせに関連する望ましくない発作を軽減することを意図している。
【0022】
「発作」は、てんかん、てんかん障害、聴原性発作障害、てんかん症候群および関連の病態から生じる発作を含む任意の非慢性的または慢性的発作を意味する。熱、ナトリウムまたはグルコースの異常な血中レベル、薬物乱用、特定の薬物療法、高血圧、フェニルケトン尿症および尿毒症、ならびに脳腫瘍および/または脳損傷によって引き起こされる急性発作障害から生じる発作は、今度は慢性発作障害になり得る。「てんかん障害」または「てんかん」という用語は、再発性発作を特徴とする慢性神経学的症候群を指す。
「てんかん」という用語は、てんかん障害と考えることができる慢性再発性てんかん発作を伴う病態を指す。てんかん発作という用語は、てんかん障害の一部または別の症候群もしくは関連の病態の結果として発作の任意の状態を含むと理解されるべきである。てんかん発作の種類の非限定的な例は、焦点発作(単純部分発作、複合部分発作、二次的全般発作を有する部分発作、部分的原発性発作、複合部分発作、または精神運動性発作)、全般発作(痙攣および非痙攣、例えば、欠神発作、意識消失発作、ミオクローヌス発作、慢性発作、強直性発作、強直間代発作、脱力発作(無定位)、二次的全般発作および他の慢性未分類発作)である。
【0023】
本明細書で使用する場合、「部分発作」という用語は、脳の限定的領域に影響する発作を指す。対照的に、「全般発作」は脳全体に影響する発作である。部分発作の症状として、限定されないが、異常な筋収縮、意識障害、強制的眼球運動、しびれおよびピリピリ感等の異常な感覚、幻覚、異常な疼痛、吐き気、異常な発汗、速い心拍、視覚的変化、気分変化、および意識の喪失が挙げられる。部分発作は、概して、観察される症状、脳波(EEG)データの分析または他の要因に基づいて、「単純」または「複合」として分類される。
本明細書で使用する場合、「複合部分発作」という用語は、部分的または完全な意識の喪失を引き起こす部分発作を指す。複合部分発作は、脳の任意の領域で発生する可能性がある。複合部分発作は、脳の2つの側頭葉の1つで発生することが多い。典型的な複合部分発作は、1~2分間継続し、これから発作が生じることを示す「前兆」(すなわち吐き気等の警告的感覚)が先立つ可能性がある。
【0024】
本明細書で使用する場合、「前兆」、「前兆発作症状」または「てんかん前兆症状」という用語は、近づいてくる発作またはてんかんを示す患者によって知覚される任意の警告的感覚を指し、例えば、吐き気、視覚的変化、聴覚的変化、嗅覚的変化、変な光の知覚、涙ぐむこと、不快なにおい(異嗅症)または味(幻味)、共感覚、頭部前兆、思考または経験の乱れ、突然不安になること、恐怖またはめまい、しびれ感またはピリピリ感、および幻覚を含んでもよい。
本明細書で使用する場合、「単純部分発作」という用語は、意識の喪失を引き起こさない部分発作を指す。典型的な部分発作は60秒以下の間継続する。
本明細書で使用する場合、「辺縁系けいれん」という用語は、脳の辺縁系構造の1つを起源とする発作を指す。辺縁系は、身体の無意識の運動、ホルモン活動の制御に寄与している。辺縁系構造として、限定されないが、視床、視床下部、帯状回、扁桃体、海馬および基底核が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「化学的に誘発される発作」という用語は、対象を化学物質に暴露することから生じる対象の発作を指す。
【0025】
本明細書で使用する場合、「治療有効量」という用語は、所望の治療効果を達成するのに十分な量を指す。
本明細書で使用する場合、「~の近傍の」という用語は、特定の参照場所の約1.5cmまたはその範囲内、より好ましくは約1.0cmまたはその範囲内、最も好ましくは約0.5cmまたはその範囲内を指し、例えば、ボツリヌス毒素を本開示に従って投与する場合、患者の少なくとも1つの縫合線の近傍、すなわち、参照される縫合線から約1.5cmまたはその範囲内、より好ましくは約1.0cmまたはその範囲内、最も好ましくは0.5cmまたはその範囲内に投与される。
任意の部分範囲またはグループ内の部分範囲の組み合わせを含む任意のこのようなグループの任意の個別のメンバーを排除するまたは除外する権利を保持することによって、範囲に従って、または任意の同様の方法で請求することができ、いかなる理由であっても本開示を全てとは言えないが請求することができる。さらに、任意の個別の置換基、類似体、化合物、リガンド、構造またはそのグループ、または請求されるグループの任意のメンバーを排除するまたは除外する権利を保持することによって、いかなる理由であっても本開示を全てとは言えないが請求することができる。
【0026】
本開示にわたって、様々な特許、特許出願および公報が参照される。本開示の提出日から当業者に周知の技術の状態をより完全に記載するために、これらの特許、特許出願および公報の開示は、その全体が参照による本開示に組み込まれる。本開示は、本開示に記載の特許、特許出願および公報の間で任意の矛盾がある場合には、本開示が管理する。
利便性によって、本明細書で使用される特定の用語、例および請求項をここに集約する。他に断りの無い限り、本開示で使用される技術用語および科学用語の全ては、本開示が属する技術分野の当業者によって共通して理解される意味と同じ意味を有する。
使用方法
一態様において、発作障害に関連する発作を治療する方法および焦点発作から全般発作への進行を抑制する方法、前兆発作(またはてんかんの前兆)症状を治療する方法、または発作性頭痛を治療する方法が提供される。方法は、治療有効量のクロストリジウム誘導体またはクロストリジウム毒素を対象に頭蓋外投与することを含む。クロストリジウム誘導体を頭蓋外投与することが、焦点発作から全般発作へと進行することを抑制することによって、動物の発作を治療したことを示す研究が実施され、実施例1に記載する。この研究では、第1グループの動物を、化学的に発作を誘発させる前に、クロストリジウム誘導体で治療した。第2グループの動物は、生理食塩水で治療し、第3グループの動物は、化学的に発作を誘発させる前に何の事前治療を受けなかった。
【0027】
化学的に発作を誘発させる前に、クロストリジウム誘導体で治療を受けた動物について、図1Aは、特定の頭蓋縫合線の場所を示すために、切断された動物の頭蓋の模式的上面図である。矢状縫合10は、2つの頭頂骨12、14の間の結合組織の結合部である。人字縫合16は、頭頂骨を後頭骨18に接続する頭骨の後側面の結合組織の結合部である。冠状縫合20は、前頭骨22と頭頂骨12および14を分ける結合組織の結合部である。実施例1に記載の研究において、クロストリジウム誘導体は、人字縫合に、またはそれに沿って投与される。クロストリジウム誘導体の用量は、この研究では5つに均等に分けられ、1つの部分は、人字縫合に沿って、5つの投与部位に注射することによって投与した。5つの投与部位は、代表的には点24というように、点によって図1Aで識別される。発作前にクロストリジウム誘導体で治療を受けた試験群の動物に、ピクロトキシンによる化学的発作を誘発させる前に、7~12日間、クロストリジウム誘導体の用量を投与した。生理食塩水の試験群の動物は、各動物がクロストリジウム誘導体の代わりに、投与部位に生理食塩水を投与されたことを除いて、同じように治療を受けた。
【0028】
発作を誘発させるために、ピクロトキシンを図1Bの番号識別子30によって識別される場所に局所的に投与する。局所電場電位および皮質脳波を記録するための電極32、34を全ての試験動物の頭頂葉皮質および後頭皮質に置いた。皮質脳波のトレースを図2~3に示す。図2Aにおいて、生理食塩水で治療した動物群についての分での時間の関数として後頭皮質のトレースを示す。生理食塩水で治療した動物群についての頭頂葉皮質からのトレースを図2Bに示す。時間ゼロの直後にピクロトキシンを投与し、投与時間を図2Aの点線によって示す。後頭皮質に対するピクロトキシン投与してから数分後、焦点発作が後頭皮質に誘発し(図2A)、その後頭頂葉皮質(図2B)に進行する。図2A~2Bのトレースは、未治療の動物において、ピクロトキシンによる発作の誘発が全般発作に進行する焦点発作を作動する。
図3Aは、ピクロトキシン誘発の発作の前にクロストリジウム毒素で治療を受けた群の動物の後頭皮質からのトレースを示す。時間ゼロの直後にピクロトキシンを投与し、投与時間を図3Aの点線によって示す。後頭皮質に対するピクロトキシン投与してから数分後、焦点発作が後頭皮質に誘発する(図3A)。しかしながら、図3Bに示されるように、焦点発作は全般発作に進行しない。これらの調査は、クロストリジウム誘導体の投与が焦点発作から全般発作への進行を抑制し、または本質的に予防したことを示唆している。
【0029】
前述および実施例1に記載の研究において、クロストリジウム誘導体は、人字縫合に沿って頭蓋外投与される。図4A~4Bは、クロストリジウム誘導体を投与された頸部領域の三叉神経の不在を示すヒトの頭骨(図4A)およびラットの頭骨(図4B)の図である。したがって、一実施形態において、クロストリジウム誘導体を投与することおよび/またはそれぞれの投与部位は、三叉神経を除外する。頭蓋外投与は、筋肉を含まない頭皮に注射することによって行われた。頭皮は層化した構造であり、最上層は皮膚(皮脂腺および毛包を有する)皮膚であり、続いて結合組織、帽状腱膜、疎な輪状結合織、および頭蓋骨膜である。一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頭皮の全層に注射することによって投与され、他の実施形態において、頭皮の1、2、3、4および/または5つの層に投与される。
一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頭皮および/または頸部を含む複数の投与部位に投与される。例えば、クロストリジウム誘導体は、後頭筋の複数の投与部位ならびに頚部傍脊柱筋および/または頭皮の複数の投与部位に投与することができる。より詳細な例において、クロストリジウム誘導体は、後頭筋の約1~10、1~8、1~6、2~6、2~5または2~4部位に投与され、ならびに/または頚部傍脊柱筋の2~6、2~4部位に投与され、ならびに/または頭皮の1~8、1~6、2~6、3~5部位に投与され、縫合にもしくはそれに沿って、または縫合接合部に含まれてもよい。例えば、筋肉内、皮膚内および/または皮下注射によって投与することができる。いくつかの実施形態において、望ましくは、投与は、クロストリジウム誘導体を頸神経に送達する。一実施形態において、少なくとも1つの投与部位は、頸神経によって神経支配されている頭蓋の後頭部領域である。
【0030】
一実施形態において、少なくとも1つの投与部位は、図5A、5Bおよび5Cに例示されるように、頭骨の任意の縫合線の近傍および/またはほぼそこに沿っている。図5Aは、ヒト頭骨11の斜視正面図であり、図5Bは背面図である。図5Cは、ヒト頭骨上で特定されているいくつかのあまり一般的ではない縫合線も示す。頭骨を含む骨板は、前頭骨13、頭頂骨15、側頭骨17、蝶形骨19および後頭骨21を含む。これらの骨板が出合う端は、頭蓋縫合によって結合される。例えば、冠状縫合23(図5Cの冠状(coronal)としても呼ばれる)は、前頭骨13と頭頂骨15の接合部にある。鱗状縫合25(図5Cの鱗としても呼ばれる)は、頭頂骨15と側頭骨17の間の接合部にある。人字縫合26は(図5Cのラムダ縫合としても呼ばれる)は、頭頂骨15と後頭骨21との間の接合部にある。矢状縫合28(図5Cに示されず)は、2つの頭頂骨の間の接合部にあり、前頭鼻骨縫合31は、前頭骨13と鼻骨33の間の接合部にある。
【0031】
したがって、発作を治療し、および/または発作の進行を抑制または予防し、および/または発作の焦点からの二次的拡散を抑制または予防する方法が考えられる。方法は、クロストリジウム誘導体をそれを必要とする対象に投与することを含む。一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頭蓋外に投与される。いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頭皮に頭蓋外投与される。いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頭骨の少なくとも1つの縫合線に投与される。他の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頭骨の三叉神経に投与される。さらに他の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頭骨の筋肉に投与される。
いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頸部の少なくとも1つの縫合線に投与される。他の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頸部の三叉神経に投与される。さらに他の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頸部の筋肉に投与される。
他の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、筋肉外注射、皮下注射、皮膚下注射または皮膚内注射によって投与される。クロストリジウム誘導体は、1つの部位または1つ以上の部位または複数の部位に投与されてもよい。一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、約2~15部位、約2~12部位、約2~10部位、約2~8部位、約2~6部位、約2~5部位、約3~6部位、約3~5部位、または3、4、5、6、7、8、9、または10部位に投与される。一実施形態において、部位は注射部位である。
【0032】
前述のように、クロストリジウム誘導体は、頭蓋外に投与される。クロストリジウム誘導体は、人字縫合、矢状縫合、冠状縫合、鱗状縫合等の頭蓋縫合に、または隣接する1つ以上の部位に投与することが考えられる。クロストリジウム誘導体は、人字縫合および矢状縫合の接合部、または冠状縫合と矢状縫合の接合部等の縫合および/または縫合の接合部に投与することができる。一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、頭蓋の後頭部領域に投与される。後頭部領域において、投与は、頸神経によって神経支配されている領域であってもよい。
いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体の投与は、発作の原発領域に左右分化される。別の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、発作の原発領域の反対部位に投与される。
いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体はボツリヌス毒素A型である。いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体は、オナボツリヌス毒素A、アボボツリヌス毒素A、インコボツリヌス毒素A、ダキシボツリヌス毒素A、プラボツリヌス毒素A、およびその組み合わせから選択される。一実施形態において、ボツリヌス毒素A型は、2~6部位のなかで分けられた約5~50単位の矢状縫合に投与され、2~8部位のなかで分けられた約10~60単位の冠状縫合に投与され、2~20部位のなかで分けられた約10~100単位の側頭筋および/または鱗状縫合に投与され、2~10部位のなかで分けられた約10~60単位の後頭および/または人字縫合に投与され、1つの部位で分けられた、もしくは2~4部位のなかで分けられた約1~20単位の頚部傍脊柱の少なくとも1つに投与され、2~6部位のなかで分けられた約1~30単位の皺筋および1~14部位の約1~10単位の鼻根筋に投与することができる。一実施形態において、治療パラダイムは、ボツリヌス毒素A型を人字縫合-矢状縫合接合部に、1部位の約5単位の用量で投与することをさらに含む。
【0033】
他の例は、ボツリヌス毒素A型を、矢状縫合線に3部位のなかで分割された約15単位、冠状縫合線に5部位のなかで分割された約50単位、鱗状縫合線に6部位のなかで分割された約30単位、人字縫合線に6部位のなかで分割された約30単位、および/または人字縫合-矢状縫合接合部に1部位に約1単位を投与することを含む。
一実施形態において、治療を受ける対象によって経験される発作は、障害または病態に関連する。非限定的な例として、てんかん、若年性ミオクローヌスてんかん、特発性全般てんかんおよびレノックス・ガストー症候群が挙げられる。別の実施形態において、治療を受ける対象によって経験される発作は、てんかんまたは発作を特徴とする他の障害を含むてんかん症候群に関連する。てんかん症候群および発作に関連する他の障害の非限定的な例として、良性家族性新生児発作、初期ミオクローヌス脳症、大田原症候群、乳児期の移動性部分発作、ウエスト症候群、乳児期の良性ミオクローヌスてんかん、良性家族性乳児発作、良性乳児発作(非家族性)、ドラベ症候群、片側けいれん・片まひ・てんかん症候群、中心側頭棘波による良性小児てんかん、初期発症良性小児後頭てんかん(パナイトポーラス型)、後期発症良性小児後頭てんかん(ガストー型)、ミオクローヌス不在によるてんかん、ミオクローヌス-失立発作によるてんかん、レノックス・ガストー症候群、ランドウ・クレフナー症候群(LKS)、徐波睡眠の間の連続的棘徐波を有するてんかん(LKS以外)、小児欠神てんかん、進行性ミオクローヌスてんかん、様々な表現型を有する特発性全般発作、若年性欠神てんかん、若年性ミオクローヌスてんかん、全般強直間代発作のみによるてんかん、反射てんかん、突発性光過敏後頭葉てんかん、驚愕てんかん、常染色体優性夜間前頭葉てんかん、家族性側頭葉てんかん、熱性痙攣プラスによる全般発作、様々な焦点による家族性焦点発作、症候性焦点発作、辺縁系てんかん、海馬硬化症による内側側頭葉てんかん、特定の病因によって規定される内側側頭葉てんかんが挙げられる。
【0034】
本明細書の方法の使用は、てんかんに関連しない発作を経験している患者の発作の治療および/または発作の進行の抑制にも適している。てんかんの診断を必要としない発作の条件として、例えば良性新生児発作、熱性痙攣、反射発作、アルコール離脱発作、薬物または他の化学物質誘発発作、即時型および初期外傷後発作、単発作または発作の孤立クラスタ、稀発発作(オリゴエピレプシー)が挙げられる。一実施形態において、治療対象の発作は、部分発症発作、ミオクローヌス発作、または原発性全般強直間代発作である。別の実施形態において、発作は、レノックス・ガストー症候群に関連する全般強直間代発作である。
本明細書に記載の方法は、当該技術分野で知られている発作を停止または予防するために与えられる経口、皮下、直腸または静脈内薬物療法の補助療法であってもよい。
【0035】
クロストリジウム誘導体
一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、例えば、BoNT/A、BoNT/B等のボツリヌス神経毒(BoNT)である。これらの毒素は神経伝達物質等の神経分泌物質の放出を遮断することによって神経系に作用する。BoNTの作用は、細胞表面で受容体分子と結合することによって開始し、その後、毒素受容体複合体がエンドサイトーシスを経る。細胞の内部に入ると、BoNTは、SNAREタンパク質(可溶性N-エチルマレイミド感受性因子付着タンパク質受容体)として知られている細胞から神経伝達物質のドッキングおよび放出を担うエキソサイトーシス特異的タンパク質を切断する。得られる一時的な化学的脱神経(chemodenervation)は、医学的に使用されて、様々な治療的適用を導く神経筋接合部において運動神経伝達をブロックしている。
【0036】
いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体は、天然、組換えクロストリジウム毒素、組換え改変毒素、その断片、TEMまたはその組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体はボツリヌス毒素である。いくつかの実施形態において、ボツリヌス毒素は、ボツリヌス毒素A型、B型、C1型、D型、E型、F型、またはG型、H型、X型、モザイクボツリヌス毒素またはその任意の組み合わせであってもよい。ボツリヌス神経毒は、大腸菌(E.coli)によって産生されるボツリヌス毒素等の組換え作製されたボツリヌス神経毒であってもよい。代替の実施形態において、クロストリジウム誘導体はTEMである。
【0037】
いくつかの実施形態において、ボツリヌス神経毒は、改変された神経毒であってもよく、天然毒素に比べて削除され、改元されまたは置換されたそのアミノ酸の少なくとも1つを有し、または改変されたボツリヌス神経毒は、組換え産生されたボツリヌス神経毒またはその誘導体もしくは断片であってもよい。特定の実施形態において、改変された毒素は、目的の神経または非神経細胞について変化した細胞標的能力を有する。この変化した能力は、ボツリヌス毒素の天然の標的ドメインを非ボツリヌス毒素標的細胞に存在する非ボツリヌス毒素受容体について選択的結合活性を示す標的ドメインに置換することによって達成される。このような標的ドメインに対する改変によって、非ボツリヌス毒素標的細胞(再標的化された)に存在する非ボツリヌス毒素受容体(標的受容体)に選択的に結合することができる改変された毒素が生じる。非ボツリヌス毒素標的細胞についての標的活性を有する改変されたボツリヌス毒素は、非ボツリヌス毒素に存在する受容体に結合することができ、細胞質に転置することができ、標的細胞のSNARE複合体にタンパク分解性効果を発揮することができる。本質的に、酵素ドメインを含むボツリヌス毒素軽鎖は、適切な標的ドメインを選択することによって、任意の所望の細胞に細胞内送達される。
【0038】
本発明の方法に従って使用するために、ボツリヌス毒素等のクロストリジウム誘導体は、真空圧または安定な液体下で、容器に、凍結乾燥、真空乾燥形態で保存することができる。凍結乾燥する前に、ボツリヌス毒素は、薬学的に許容可能な賦形剤、安定剤、および/または例えば、アルブミン等の担体と組み合わせることができる。アルブミンを含む実施形態において、アルブミンは、例えば、ヒト血清アルブミン等であってもよい。凍結乾燥された材料は、例えば、生理食塩水、水等の適切な液体で再構築されて、患者に投与されるボツリヌス毒素を含む溶液または組成物を作製することができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体は、クロストリジウム誘導体を被包するポリマーマトリックスを含む制御放出システムに提供され、クロストリジウム誘導体の分画量は、制御されて、長時間かけてポリマーマトリックスから放出される。制御放出された神経毒システムは、例えば、米国特許第6,585,993号、第6,585,993号、第6,306,423号および第6,312,708号に開示され、そのそれぞれの全体は参照により本明細書に組み込まれる。
代替の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、局所的投与に適した軟膏、ゲル、クリームまたはエマルジョンで提供される。
【0040】
本発明の方法に従って投与されるクロストリジウム誘導体、例えば、ボツリヌス毒素の治療有効量は、毒素の潜在能、ならびに治療する疼痛の重症度および患者の大きさ、体重、年齢および治療に対する反応を含む他の様々な患者についての変数を含んで、治療対象の疼痛の特定の特徴に応じて変化させることができる。毒素の潜在能は、それぞれが約20gの体重の18~20匹の雌のSwiss-Websterマウスのグループの50%を殺傷する毒素の等価量として規定される毒素の1単位(U)であるマウスのLD50値の倍数として示される。クロストリジウム誘導体の潜在能は、質量単位で示すことができる。質量単位の有効量は、意図する効果に基づいて決定することができる。例えば、有効量は、発作の軽減または焦点発作から全般発作への発作の進行を抑制するために必要とされ、著しい毒性を生じることのないクロストリジウム誘導体の量に基づいて決定することができる。
【0041】
ボツリヌス毒素の治療有効量は、市販のボツリヌス毒素製剤は等価な効能単位を有していないため、特定のボツリヌス毒素の効能に応じて変化させることができる。BOTOX(登録商標)(オナボツリヌス毒素A)の1単位、Allergan,Inc.社から入手可能なボツリヌス毒素A型は、Ipsen Pharmaceuticals社から入手可能なボツリヌス毒素A型でもあるDYSPORT(登録商標)(アボボツリヌス毒素A)の3~5単位とほぼ等しい効能単位を有することが報告されている。Elan社、現在はUSWorldmeds社から入手可能なボツリヌス毒素B型であるMYOBLOC(登録商標)(米国外ではNEUROBLOC(登録商標)として知られている)は、BOTOX(登録商標)よりもかなり低い効能単位を有することが報告されている。いくつかの実施形態において、ボツリヌス神経毒は、XEOMIN(登録商標)(インコボツリヌス毒素A)等の複合体化性タンパク質を欠いている純粋な毒素であってもよい。したがって、投与される毒素の量およびその投与頻度は、治療を担当する臨床医の裁量により、特定の毒素製剤によって生じる安全性および効果の問いに見合うだろう。実施形態において、クロストリジウム誘導体は、オナボツリヌス毒素A、インコボツリヌス毒素A、アボボツリヌス毒素A、ダキシボツリヌス毒素A、プラボツリヌス毒素Aおよびリマボツリヌス毒素Bから選択される。
投与されるクロストリジウム誘導体の用量は、1つ以上の投与部位が望ましいそれぞれの投与部位に対して投与の部分に均等に分割することができる。また、投与量は、それぞれの投与部位に均等ではない部分に分割される。
【0042】
一実施形態において、クロストリジウム誘導体の治療効果は、約1か月~5年、または約1か月~1年、または約1か月~6か月、または約1か月~5か月、約1か月~4か月、約1か月~3か月、約1か月~2か月持続する。いくつかの実施形態において、治療は、必要に応じて連続して、または断続的に提供することができる。
一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、安定した液体である組成物または固体医薬組成物にある。例示的な組成物は、クロストリジウム誘導体、二糖、界面活性剤および抗酸化剤を含む。組成物は、薬理学的に許容可能な賦形剤を含んでもよい。本明細書で使用する場合、「薬理学的に許容可能な賦形剤」は、「薬理学的賦形剤」または「賦形剤」と同義であり、哺乳動物に投与されたときに実質的に長期または永続的な有害効果を有しない、任意の賦形剤を指し、例えば、安定剤、充填剤、凍結保護物質、凍結乾燥保護物質、添加物、ビヒクル、担体、希釈剤または補助剤等の化合物を含む。賦形剤は、概して、有効成分と混合され、または有効成分を希釈もしくは封入することができ、固体、半固体または液体の剤であってもよい。クロストリジウム誘導体を含む医薬組成物は、有効成分を薬学的に許容可能な組成物に加工することを容易にする1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含むことができることも理解される。任意の薬理学的許容可能な賦形剤がクロストリジウム誘導体と適合性がない限り、薬学的に許容可能な組成物に使用することが考えられている。薬理学的に許容可能な賦形剤の非限定的な例は、例えば、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(Howard C. Ansel et al., eds., Lippincott Williams & Wilkins Publishers, 7th ed. 1999); Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Alfonso R. Gennaro ed., Lippincott, Williams & Wilkins, 20th ed. 2000); Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(Joel G. Hardman et al., eds., McGraw-Hill Professional, 10th ed. 2001);およびHandbook of Pharmaceutical Excipients(Raymond C. Rowe et al., APhA Publications, 4th edition 2003)に見つけることができ、それぞれの全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
医薬組成物の構成成分は、単一の組成物に(すなわち、全ての構成成分が、任意の必要とされる再構成液体を除いて、医薬組成物の最初の配合時に存在する)含むことができ、または二成分系、例えば、医薬組成物の最初の配合には存在しない成分を含み得る再構成ビヒクルで再構成された真空乾燥された組成物として含むことができる。二成分系は、長期保存について二成分系の第1の成分と十分には適合性のない成分を組み込むことができるように、いくつかの利点を提供することができる。例えば、再構成ビヒクルは、使用期間、例えば、1週間の冷蔵保存に細菌増殖に対して十分な保護を提供するが、毒素を変性させ得る期間である2年間の冷凍保存には存在しない保存剤を含むことができる。他の成分は、ボツリヌス毒素または他の成分と長期間適合性がない可能性があり、大体の使用期間に(例えば、再構成ビヒクルの)第2のビヒクルに加えるというように、組み込むことができる。医薬組成物は、ベンジルアルコール、安息香酸、フェノール、パラベンおよびソルビン酸等の保存剤を含むこともできる。医薬組成物は、例えば、界面活性剤等の賦形剤、分散剤、不活希釈剤、顆粒化および崩壊剤、結合剤、潤滑剤、保存剤、ゼラチン等の生理学的に分解可能な組成物、水性ビヒクルおよび溶媒、油性ビヒクルおよび溶媒、懸濁剤、分散剤または湿潤剤、乳化剤、粘滑剤、緩衝剤、塩、増粘剤、充填剤、抗酸化剤、安定剤、ならび当該技術分野で公知のおよび例えば、参照により本明細書に組み込まれるGenaro, ed., 1985, Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pa.に記載の薬学的に許容可能なポリマー疎水性物質および他の成分を含むことができる。
【0044】
実施形態において、ボツリヌス毒素はボツリヌス毒素A型、B型、C型、D型、E型、F型、G型、H型、X型、およびモザイク毒素から選択することができる。いくつかの実施形態において、ボツリヌス毒素はボツリヌス毒素A型である。ボツリヌス毒素は、約1単位および約3,000単位、または約2単位~約2000単位、または約5単位~約1000単位、または約10単位~約500単位、または約15単位~約250単位、または約20単位~約150単位、または25単位~約100単位、または約30単位~約75単位、または約35単位~約50単位の全量を患者に送達するように、治療パラダイムに従って投与することができる。いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体は、約0.001ng~約1000ng、好ましくは約0.001ng~約500ng、好ましくは約0.01ng~約250ng、好ましくは約0.1ng~約150ng、好ましくは約1ng~約100ng、好ましくは約1ng~約10ngの用量で投与することができる。例えば、オナボツリヌス毒素Aは、約1ng、2ng、3ng、4ng、5ng、6ng、7ng、8ng、9ngまたは10ngの用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、症状の軽減は、約1か月~約5年持続指せることができる。
【0045】
一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、再構成について滅菌の真空乾燥状態で、約100単位のクロストリジウムボツリヌスA型神経毒複合体を、0.5mgのヒト血清アルブミンおよび0.9mgの塩酸ナトリウムと含む組成物に投与される。他の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、動物性タンパク質のない組成物に投与される。いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体は、界面活性剤および糖を含む動物性タンパク質のない組成物に投与される。いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体は、ボツリヌス毒素A型、ポロクサマーおよびトレハロースまたはショ糖を含む動物性タンパク質のない組成物に投与される。一実施形態において、クロストリジウム誘導体は、再構成について滅菌の真空乾燥状態で、クロストリジウムボツリヌスA型神経毒複合体を、8%のトレハロース、4%のポロクサマー188および0.2%のメチオニンを含む組成物に投与される。
【0046】
ボツリヌス毒素A型等のクロストリジウム誘導体の投与ステップは、患者の頭皮1つ以上の層および頭蓋縫合線の近傍およびそれに沿って挿入される針を使用すること、その後、同時に縫合線に沿って毒素を送達しながら、縫合線に沿って針を徐々に引き抜くことを含んでもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の挿入部位は、ボツリヌス毒素A型またはB型等のボツリヌス毒素を、縫合線に沿って投与するために使用される。投与は、縫合線の長さに沿って、例えば、本開示に従ったボツリヌス毒素の投与のガイドとして参照され、使用される縫合線から、約1.5cm離れてまたは最大でも1.5cm離れて、より好ましくは約1.0cm離れてまたは最大でも1.0cm離れて、最も好ましくは約0.5cm離れてまたは最大でも0.5cm離れて、実質的に従うことができる。一実施形態において、針に適合し、クロストリジウム毒素を含む組成物を充填したシリンジを提供し、針は、皮膚表面の下の縫合線に沿って挿入して毒素を投与する。
【実施例
【0047】
以下の非限定的な実施例は、本発明の方法の実施形態の範囲内の特定の好ましい方法を当業者に提供し、その範囲を限定することを意図しない。
(実施例1)
クロストリジウム毒素による治療は発作の進行を抑制する
試験動物(ラット)を3つの治療群に無作為に分けた。動物の第1群は治療なしであった。第2群は、より多くの、より少ない後頭神経によって神経支配されている頭皮の領域に、クロストリジウム毒素のオナボツリヌス毒素Aで治療した。5単位のオナボツリヌス毒素Aの用量を、5つの投与部位に、それぞれの部位に1単位ずつ、発作を誘発する7~12日前に投与した。動物の第3群は、オナボツリヌス毒素Aが注射された同じ領域に、生理食塩水を、発作を誘発する7~12日前にも注射した。
局所電場電位および皮質脳波を0~3000Hzで記録することができるガラスピペット電極を使用して、ピクロトキシン-選択的GABAブロッカーを局所的に投与することで誘発されるてんかん様発作の前およびその間に、皮質活性を特定した。図1Bに示すように、電極を配置した。
クロストリジウム毒素による治療を受けた第2および生理食塩水による治療を受けた第3群の動物の後頭皮質および頭頂葉皮質の皮質脳波のトレースはそれぞれ、後頭皮質に焦点発作を作動させるピクロトキシンを局所的に適用するちょうど前とちょうど後に行われ、これを図2A~2Bおよび図3A~3Bに示す。この研究は、オナボツリヌス毒素Aを、より多くの、より少ない後頭神経によって神経支配されている頭皮の領域に-両者ともそれぞれC2およびC3後根神経節に由来する、頭蓋外注射することによって、焦点発作から全般発作への発現および進行を予防するエビデンスを提供する。
【0048】
(実施例2)
クロストリジウム毒素による外傷後てんかんの治療
42歳女性は、車両の前面衝突において、抑制のきかない乗客である。彼女は、結果として生じた頭骨の骨折による頭部の創傷、双前頭部の硬膜下血腫、左前皮質の挫傷、および左前実質内の出血を患う。集中治療から3週間後、彼女は、内科病棟に移され、そこからリハビリテーション施設に移された。彼女はてんかんを有することはないが、翌年に(約20%の尤度で)発症し得る外傷後発作のリスクを有する。
患者は任意の経口薬物療法を受けたくない。彼女は、事故後に任意の発作を有しない。しかしながら、事故から9か月後、表出性失語症のエピソードを発症し、60秒以内に強直性発作/間代性てんかん発作(TC)を右腕と右足に発症し、その後30秒後に意識の喪失を有する両側TC発作が全身に広がる。同時に解決しない1つのこのような発作の後、IV抗てんかん薬物療法の投与のために救急部に入院する。回復時、言語の表出が困難である。継続的なモニタリングにおいて、EEGは、発作性の焦点棘波が表出性失語症に関連する左前頭葉にわたって緩慢になることを示す。経口薬物療法を開始するが、耐容性がなく、十分な発作の軽減をもたらさないため、定期的に変えなければいけない。彼女にとって最良の発作の制御はラモトリギンで起こり、用量を最適化するにもかかわらず、表出性失語症のエピソードを有し、右側TC痙攣に進行し、全般化するが、短時間である。これらは、ほぼ毎月発生する。
【0049】
彼女は以下のようにオナボツリヌス毒素Aで治療を受ける:前頭筋の4部位のそれぞれに5単位、前頭鼻骨縫合の近傍に10単位の1つの注射、縫合の全長にわたって分布する冠状縫合(筋膜下)の近傍に分散した5単位の7つの注射、耳の上および前側の鱗状縫合の近傍に2つの注射および後側鱗状縫合の近傍に1つの注射と共に、左側頭筋に5単位の6つの注射。矢状縫合にわたって分布する筋膜下の5単位の3つの注射がある。彼女は、約10秒間続く表出性失語症のエピソードを有するが、右側への進行がなく、全般化しない。ラモトリギンの投与を停止した。治療を3~5か月毎に継続し、短い表出性失語症のエピソードを毎月有する。
【0050】
(実施例3)
クロストリジウム毒素による治療は発作の発生を減少させる
ある成人女性は、意識を喪失する前の約20秒間、言葉を理解することが困難になる混乱が突然発生することを特徴とし、痙攣が最大1分間続く発作を1週間に数回有する。診断(EEGおよびMRI)は、発作が発生する領域が、皮質受容言語領域と重なる左側頭頭頂の領域にあることを明らかにする。したがって、患者はてんかん手術によってアプローチすることができない領域の焦点発作を有する。レベチラセタム、オキシカルバゼピンおよびラモトリジンを含む複数の抗てんかん薬物療法を試みるが、発作は続く。この患者は、薬剤抵抗性であり、手術不可能なてんかんを有している。
左側頭頭頂領域に、全用量40単位のBOTOX(登録商標)で一側性に治療を行い、15単位は3つの部位の人字縫合の近傍に投与し、10単位は2つの部位の頭頂乳突縫合の近傍に投与し、15単位は3つの部位の後頭縫合線の近傍に投与した。治療から1週間以内に、患者は発作を起こさない。翌3か月間、患者は3回しか発作を有しない。4か月の間、3回の発作を経験し、さらなる治療に戻る。3か月毎に同じ治療パターンで再度治療を受け、治療期間の間は発作がない状態である。
【0051】
(実施例4)
クロストリジウム毒素による治療は全般発作を軽減する
自閉症および発育遅延を有する4歳の男児は頻繁な短い強直性発作を発症する。MRIは正常であり、EEGは、レノックス・ガストー症候群と一致する頻繁なゆっくりとした棘徐波を明らかにする。複数の抗てんかん薬物療法およびケトン食療法を試みるが、発作は続く。
患者は以下のように投与部位につき5単位のオナボツリヌス毒素Aによる両側性治療を受ける:それぞれの側頭筋に3つの注射、それぞれの後頭筋に2つの注射、それぞれの側の頭頂乳突縫合に沿って2つの注射、それぞれの側に頸神経によって神経支配されている頚部傍脊柱筋に2つの注射の合計90単位の合計18個の注射。翌3か月間、患者の発作の頻度は50%減少する。以下のように追加の部位で、同じプロトコルを使用して3か月の最後に患者を再度治療する:冠状縫合に沿って4つの注射および矢状縫合に沿って3つの注射、それぞれの側に後側鱗状縫合に沿って1つの注射、ならびにそれぞれの側に沿って人字縫合に沿って2つの注射。追加の治療は、追加の13個の注射、65単位を追加した。合計155単位の治療であった。このパラダイムで3か月毎に患者を治療し、発作はない。
【0052】
(実施例5)
クロストリジウム毒素による治療は脳腫瘍に関連する焦点発作を減少させる
右半球に由来する多形神経膠芽腫を有する35歳男性は、脳梁を横切って左に広がっており、左半球および右半球について独立して焦点発作を発症する。複数の抗てんかん薬物療法を試みるが、発作は続く。しかしながら、EEGに基づいて、所見は右側により顕著であった。
患者は、以下のように、1つの注射につき10単位のオナボツリヌス毒素Aで治療を受ける:冠状縫合に沿って4つの注射(それぞれの側に2つ)、矢状縫合に沿って3つの注射、および右人字縫合に沿って3つの注射。合計投与量は100単位である。興味深いことに、EEG棘波活性は、両側性に顕著に抑制するが、EEGは異常なまま継続し、臨床的発作活性を有しなかった。
【0053】
本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって多くの修正および変更がなされてもよい。したがって、記載の実施形態は、例の目的でのみ記載され、実施形態は、以下の請求項の範囲を限定するものとして捉えるべきではない。したがって、以下の請求項は、文字通りに記載される要素の組み合わせだけでなく、実質的に同じ結果を悦ために実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を実施するための全ての等価な要素も含むように読まれるべきである。したがって、請求項は、前述、概念的に等価なもの、および本開示のアイデアを組み込むものを含むと理解される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
【国際調査報告】