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特表2022-539251医療機器、それを含む医療機器アセンブリ、および医薬組成物の再構成の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】医療機器、それを含む医療機器アセンブリ、および医薬組成物の再構成の方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500056
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(85)【翻訳文提出日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 IB2020056266
(87)【国際公開番号】W WO2021001786
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】19184249.1
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラジェシ ポーラ
(72)【発明者】
【氏名】アンビカイ ヴェンカタチャラパーティ
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047HH01
4C047HH06
(57)【要約】
医療機器は、バイアルに接続できるように構成されている。医療機器には、管状の本体とアダプターが含まれている。管状体は、組成物を収容するための容器を規定し、その遠位端に位置するスパイク(spike)を有する。スパイクには、容器と流体連通する少なくとも1つの貫通穴がある。アダプターは本体と一体に形成されているか、本体に結合されており、スパイクまたはその周囲に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアルと接続可能であるように構成された医療機器であって、
組成物を収容するための容器を規定する管状本体であって、前記本体は、その遠位端に配置されたスパイクを含み、前記スパイクは、前記容器と流体連通する少なくとも1つの貫通穴を有し、
前記本体で形成された、または前記本体に結合されたアダプターであって、前記アダプターは前記スパイクまたはその周囲に配置され、
前記アダプターは、前記本体から遠位に延びる壁と、環状のベース部分と、前記ベース部分から前記壁に延びるいくつかの取り付け部分とを含み、前記ベース部分は一般に前記スパイクを取り囲み、前記取り付け部分が、前記本体に対する前記アダプターの回転に応じて、前記壁から選択的に取り外し可能に構成されている、医療機器。
【請求項2】
前記アダプターは、それぞれが前記バイアルと接続可能に構成されたいくつかの偏向部材を備える、請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記偏向部材の数は、前記スパイクを取り囲み、前記スパイクに対して半径方向内向きおよび外向きに偏向するように構成されている複数の偏向部材である、請求項2に記載の医療機器。
【請求項4】
前記取り付け部分の数は、複数の取り付け部分であり、前記複数の取り付け部分は、それぞれ、間隔を置いて離れた隔離された位置で前記壁に取り付けられている、請求項1に記載の医療機器。
【請求項5】
前記本体および前記アダプターは、単一(unitary)構造を有する、請求項1に記載の医療機器。
【請求項6】
前記本体および前記アダプターは、別個に形成され、続いて組み立てられる、請求項1に記載の医療機器。
【請求項7】
前記偏向部材のそれぞれは、スナップフィット機構(snap-fit mechanism)を介して前記バイアルと接続可能であるように構成される、請求項2に記載の医療機器。
【請求項8】
前記アダプターは、環状形状の壁を含み、前記スパイクが前記環状形状の壁を通って伸びている、請求項1に記載の医療機器。
【請求項9】
前記壁が、針ハブとねじ式に接続されるように構成されたねじ付き内面を有する、請求項8に記載の医療機器。
【請求項10】
前記偏向部材のそれぞれは、細長い部材と、前記細長い部材から前記本体の長手方向軸に向かって内側に延びる歯とを備える、請求項2に記載の医療機器。
【請求項11】
前記偏向器部材の数は、第1の偏向部材と、前記第1の偏向部材に隣接して配置された第2の偏向部材とを備え、前記第1の偏向部材の前記細長い部材は、前記第2の偏向部材の前記細長い部材よりも長い、請求項10に記載の医療機器。
【請求項12】
前記細長い部材が、前記歯の反対側および遠位に配置された端部を有し、前記細長い部材は、前記端部に向かって偏向するように構成される、請求項10に記載の医療機器。
【請求項13】
プランジャーと、
上記の請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の医療機器と、
を含む、医療機器アセンブリ。
【請求項14】
請求項14に記載の医療機器アセンブリを提供すること、
前記アダプターを前記バイアルに接続して、前記バイアルには固形薬物が含まれること、
前記医療機器アセンブリから前記バイアルに一定量の希釈剤を注入すること、
前記希釈剤と前記固形薬物を前記バイアル内で混合して、再構成された医薬組成物を作成すること、
前記再構成された医薬組成物をバイアルから前記本体内に吸引すること、
前記アダプターを前記本体から取り外すこと、
を含む医薬組成物の再構成の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に医療機器に関し、より具体的には医療機器を含む医療機器アセンブリに関する。本開示はまた、医薬組成物の再構成の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品包装の分野では、通常「バイアル」と呼ばれる医療容器に、例えば凍結乾燥薬物、劇薬(power drug)、または薬物の活性物質の形で薬物内容物を保存することが知られている。バイアルは通常ガラス製で、アルミニウムキャップで圧着されたエラストマーセプタムで密閉されている。セプタムの中央にあるエラストマーの一部は、プラスチックまたはアルミニウムの部品で覆われている。この部分は、再構成手順の前に医療専門家が取り外すことができるので、医療専門家は、注射器などの注射デバイスの針によって突き刺すことができるゴム製の中央部分にアクセスすることができる。
【0003】
薬物を再構成するために、ユーザーは通常、使い捨ての注射器を使用して、希釈剤をアンプルまたはバイアルから凍結乾燥薬物または劇薬を含むバイアルに移す。希釈剤が、通常はプレフィルドシリンジに既に保管されている場合、医療専門家は、希釈剤をシリンジから凍結乾燥薬が入っているバイアルに直接移す。医療専門家は、バイアルのゴム製隔壁(septum)に穴を開けるために、この移送に針を使用する。
【0004】
ただし、このプロセスには通常、いくつかの手順が含まれている。まず、希釈剤が事前に充填された注射器に標準的な針を取り付けることができる。次に、針を使用して、乾燥ワクチンを含むバイアルのストッパーを突き刺すことができる。最後に、乾燥ワクチンと希釈剤を混合し、通常はバイアルストッパーに針を刺して、溶液を吸引して注射器に戻し、投与する。本発明の目的は、多くの欠点に悩まされているこの技術を改善することである。
【0005】
実際、プロセス全体を通して、針シールドの取り外し、バイアルのセプタムの貫通、および/または針の挿入中のミスアライメントにより、針チップが損傷する可能性がある。したがって、損傷または曲がった針、またはバリを含む可能性のある針は、再構成中にバイアルストッパーを突き刺す前よりも著しく鋭くなく(切れ味悪化)、薬物の注射中に患者に痛みを引き起こす可能性がある。
【0006】
既知のプロセスの別の主な欠点は、ユーザーが再構成された薬物をバイアルから針を通して引き抜くときに、ユーザーがバイアル内の薬剤の量が減少するにつれて、バイアルに挿入される針の部分の長さを調整する必要があることである。実際的な方法では、ユーザーは注射器をバイアルから引き離すことによって、針の開口部は常に薬物と接触したままになり、つまり、薬物の表面の下になって、容器から針をゆっくりと引き戻す必要がある。この取り扱いが難しいだけでなく、バイアル内の針のそのような動きは、バイアル内に残っているかなりの量の薬物の損失につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、医療機器が提供される。医療機器は、バイアルに接続できるように構成されている。医療機器には、管状の本体とアダプターが含まれている。管状体は、組成物を収容するための容器を規定し、その遠位端に位置するスパイク(spike)を有する。スパイクには、コンテナとの流体連通する少なくとも1つの貫通穴がある。アダプターは本体と一体に形成されているか、本体に結合されており、スパイクまたはその周囲に配置されている。
【0008】
別の態様では、プランジャーおよび前述の医療機器を含む医療機器アセンブリが提供される。
【0009】
別の態様では、医薬組成物を再構成する方法が提供される。この方法は、前述の医療機器アセンブリを提供し、アダプターをバイアルに接続し、バイアルに固形薬物を入れ、医療機器アセンブリからバイアルに一定量の希釈剤を注入し、希釈剤と固形薬物をバイアル内で混合して再構成された医薬組成物を生成することを含み、バイアルから体内に再構成された医薬組成物を吸引し、アダプターを体から切り離す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の上述およびその他の特徴および利点、並びにそれらを達成する方法は、添付の図面と併せて取られた本開示の実施形態の以下の説明を参照することにより、より明らかになり、本開示自体もよりよく理解されるであろう。
図1図1は、開示された概念の1つの非限定的な実施形態による、医療機器アセンブリから離間されたバイアルと共に示されている医療機器アセンブリおよびそのための医療機器の等角図である。
図2図2は、図1の医療機器アセンブリおよび同じ医療機器の別の等角図であり、バイアルが医療機器アセンブリに接続された状態で示されている。
図3図3は、図1の医療機器の正面等角図である。
図4図4は、図3の医療機器の一部の拡大図である。
図5図5は、図1の線A-Aに沿って取られた、図1の医療機器アセンブリの断面図であるが、プランジャーが完全に押し下げられた位置に動かされた状態で示されている。
図6図6は、図1の医療機器の正面等角図である。
図7図7は、図6の医療機器の一部の拡大図である。
図8A図8Aは、開示された概念の1つの非限定的な実施形態に従って、患者に投与するための再構成された薬物を調製するために使用される、開示された概念の態様の簡略図である。
図8B図8Bは、開示された概念の1つの非限定的な実施形態に従って、患者に投与するための再構成された薬物を調製するために使用される、開示された概念の態様の簡略図である。
図8C図8Cは、開示された概念の1つの非限定的な実施形態に従って、患者に投与するための再構成された薬物を調製するために使用される、開示された概念の態様の簡略図である。
図8D図8Dは、開示された概念の1つの非限定的な実施形態に従って、患者に投与するための再構成された薬物を調製するために使用される、開示された概念の態様の簡略図である。
図8E図8Eは、開示された概念の1つの非限定的な実施形態に従って、患者に投与するための再構成された薬物を調製するために使用される、開示された概念の態様の簡略図である。
図8F図8Fは、開示された概念の1つの非限定的な実施形態に従って、患者に投与するための再構成された薬物を調製するために使用される、開示された概念の態様の簡略図である。
図8G図8Gは、開示された概念の1つの非限定的な実施形態に従って、患者に投与するための再構成された薬物を調製するために使用される、開示された概念の態様の簡略図である。
図8H図8Hは、開示された概念の1つの非限定的な実施形態に従って、患者に投与するための再構成された薬物を調製するために使用される、開示された概念の態様の簡略図である。
図8I図8Iは、開示された概念の1つの非限定的な実施形態に従って、患者に投与するための再構成された薬物を調製するために使用される、開示された概念の態様の簡略図である。
図8J図8Jは、開示された概念の1つの非限定的な実施形態に従って、患者に投与するための再構成された薬物を調製するために使用される、開示された概念の態様の簡略図である。
図9図9は、混合されて再構成された薬物を含むバイアルとともに示され、図2の線B-Bに沿って取られた、図2の医療機器アセンブリの断面図である。
図10図10は、図11の線C-Cに沿って取られた断面図であり、開示された概念の実施形態に従って、アダプターが取り外され、追加の構成要素が医療機器に接続されている医療機器アセンブリを示す。
図11図11は、図10の医療機器アセンブリおよび構成要素の等角図である。
図12図12は、開示された概念の別の非限定的な実施形態による、別の医療機器の等角図である。 対応する参照符号は、いくつかの図の中で対応している部分を示している。本明細書に提示される例示は、本開示の例示的な実施形態を示しており、そのような例示は、いかなる形でも本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、当業者が本発明を実施するために企図される説明された実施形態を作成および使用することを可能にするために提供される。しかしながら、様々な修正、等価物、変形、および、代替物は、当業者に容易に明らかなことである。任意の、および、全てのそのような修正、変形、等価物、および代替物は、本発明の主旨および範囲の中に入ることが意図されたものである。
【0012】
以下、説明の目的のために、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「最上部」、「最下部」、「横」、「縦」、および、それらの派生語は、図面において配向されるように、本発明に関するものとする。しかしながら、本発明は、それとは反対に明示的に特定されない限り、様々な代替的な変形を前提としてもよいことは理解されよう。また、添付の図面に示され、および、以下の明細書に記載される具体的な装置は、単に、本発明の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。そのため、本明細書に開示される実施形態に関連する具体的な寸法、および、他の物理的な特徴は、限定的であるとしてみなされるべきではない。
【0013】
本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、一般に患者に接触する物体の端部を意味するものとする。本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、物体の遠位位置から最も遠い位置を意味するものとする。
【0014】
本明細書で使用される場合、「数」という用語は、1つまたは1より大きい整数(例えば、複数)を意味するものとする。
【0015】
図1は、開示された概念の1つの非限定的な実施形態に従って、医療機器アセンブリ2から離間されたバイアル(vial)20と共に示されている医療機器アセンブリ2およびそのための医療機器100の等角図である。一例の非限定的な実施形態では、医療機器アセンブリ2は注射器アセンブリであり、医療機器100は注射器バレルである。しかしながら、適切な代替の医療機器およびアセンブリが本明細書で企図されることが理解されよう。医療機器アセンブリ2は、一般に、プランジャー4および医療機器100を含むと述べることができる。プランジャー4は、部分的に医療機器100内に配置され、溶液を医療機器100に出し入れするために医療機器100内でスライドするように構成される。図2は、バイアル20に接続された医療機器アセンブリ2を示している。通常、バイアル20は、貫通可能なセプタム(septum)によって閉じられる。バイアル20は、最初に、乾燥ワクチンなどの固形薬物を含み得、医療機器アセンブリ2は、最初に、希釈剤などの医薬組成物を含み得る。医療機器アセンブリ2がバイアル20に接続されている場合、図2に示すように、固形薬物と医薬組成物は、医薬組成物をバイアル20に排出することによって混合することができ、ワクチンなどの得られた組成物は、患者に投与するために、医療機器アセンブリ2に吸引して戻した。このプロセスは、ワクチンの再構成および/または投与中の望ましくない傷害から開業医を保護するなど、医療機器アセンブリ2およびそのための医療機器100を使用することに関連する利点とともに、以下でさらに説明される。
【0016】
図3は、医療機器100の等角図を示し、図4は、図3の医療機器100の一部の拡大図を示している。図3に示されるように、医療機器100は、遠位端104と、反対側に間隔を置いて配置された近位端105とを有する管状本体102を有する。本体102はさらに、遠位端104に配置されたスパイク106を有し、スパイク106は、好ましくは中空であり、溶液が本体102を出入りすることを可能にするために、少なくとも1つの貫通穴108、110(図5も参照)を有する。例示的な実施形態では、医療機器100の製造は、スパイク106に2つ以上の貫通穴108、110を使用することによって有利に単純化されることが理解されよう。しかしながら、単一の貫通穴を1つだけ有するスパイクを有するものなどの適切な代替の実施形態が、本明細書で企図されている。医療機器100はまた、本体102の近位端105から延びるフランジ107を含み、一例の実施形態では、本体102に対してほぼ垂直に配置されている。医療機器100は、本体102で形成された、または本体102に結合されたアダプター120をさらに含む。したがって、本体102およびアダプター120は、単一の材料片、例えば、材料片が1つまたは複数のポリマーから形成される射出成形片から作製された単一の構成要素であり得ることが理解されよう。アダプター120を有する医療機器100をバイアルに接続するとき、スパイク106は、薬物の再構成を可能にするためにバイアルの隔壁を貫通するように構成される。
【0017】
引き続き図4を参照すると、例示的なアダプター120は、スパイク106上またはその周辺に配置され、バイアル20(図1および2)と接続可能に構成された、いくつかの偏向(deflector)部材(図4には8つの例示的な偏向部材122、125、128、131、134、137、140、143が示されている)それぞれが設けられている。偏向部材122、125、128、131、134、137、140、143は、スパイク106を取り囲み、スパイク106に関して内向きおよび外向き半径方向に偏向するように構成された複数の偏向部材122、125、128、131、134、137、140、143であり得る。有利には、アダプター120は、2から10個の偏向部材、好ましくは4から8個の偏向部材を含む。通常、アダプター部材には、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つの偏向部材が含まれる。好ましくは、偏向部材122、125、128、131、134、137、140、143のそれぞれは、細長い部材123、126、129、132、135、138、141、144と、細長い部材から本体102の長手方向軸(例えば、図5に示される長手方向軸103を参照)に向かって内側に延びる歯124、127、130、133、136、139、142、145を含む。有利には、細長い部材123、126、129、132、135、138、141、144のそれぞれは、軸103などの長手方向軸に平行に延びる。
【0018】
次に、図5を参照して、偏向部材137の機能について説明する。偏向部材137が本明細書で議論されている間、他の例示的な偏向部材122、125、128、131、134、140、143のそれぞれは、偏向部材137と実質的に同じように機能することが理解されよう。図5に示されるように、偏向部材137の細長い部材138は、偏向部材137の歯139の反対側および近位側に位置する端部148を有する。図5はさらに、実線の図では第1の位置にあり、破線の図では第2の偏向された位置137’にある偏向部材137を示している。示されるように、偏向位置137’は、端部148の周りで半径方向外向きに偏向された偏向部材137に対応する。より具体的には、偏向位置137’は、好ましくは、バイアル20(図1および2)および医療機器100が互いに接続された位置に移動されているときの偏向部材137の位置に対応する。したがって、この移動中に、バイアル20は、偏向部材137を最初に半径方向外向きに、例えば、偏向位置137’に偏向させ、次に、図5の実線図に示される半径方向内向きに非偏向位置に移動させる。一例の実施形態では、偏向部材122、125、128、131、134、137、140、143のそれぞれは、スナップフィット機構を介してバイアル20と接続可能であるように構成される。したがって、偏向部材122、125、128、131、134、137、140、143は、好ましくは、偏向されていない位置に向かってバイアスされる。したがって、半径方向内側に移動した後、歯(図9の歯127,139を参照)は、バイアル20と医療機器100との間の接続を有利に維持し、それにより、バイアル20と医療機器100との間の流体連通を可能にする。具体的には、バイアル20が医療機器100に接続される場合、アダプター120とバイアル20との間の比較的安全な接続のためを提供するために、バイアル20の少なくとも一部は、歯124、127、130、133、136、139、142、145とスパイク106との間に配置される。図解のために図9を参照する。開示された概念は、バイアル20への接続を可能にするために偏向部材122、125、128、131、134、140、143を有するアダプター120と併せてこれまで議論されてきたが、適切な代替接続機構および/または異なる形状(図示せず)を有するアダプターが本明細書で企図されている。
【0019】
さらに、図5に示されるように、すべての偏向部材122、125、128、131、134、137、140、143が完全に同じ形状を有するように構成され得るわけではないことが理解されよう。例えば、偏向部材128は、偏向部材128に隣接して配置されている偏向部材125よりも長い。
【0020】
図6は、医療機器100の背面等角図であり、図7は、図6の医療機器100の一部の拡大図である。示されているように、アダプター120は、環状形状のベース部分150を有する。アダプター120は、ベース部分150から壁146まで延びるいくつかの取り付け部分152、154、156、158(図5も参照)をさらに備える。アダプターは、少なくとも2つの取り付け部分、好ましくは2つから6つの取り付け部分の間を含み得、より好ましくは、アダプターは、4つの取り付け部分152、154、156、158を含む。取り付け部分152、154、156、158は、間隔を置いて離れた隔離された位置で壁146に取り付けられ得る。取り付け部分152、154、156、158は、例えば、射出成形によって一緒に形成することができる。ベース部分150は、一般に、スパイク106を取り囲み、好ましくは、壁146と同心である。しかしながら、適切な代替の配置が本明細書で企図されている。さらに、取り付け部分152、154、156、158は、本体102に対するアダプター120の回転に応答して壁146から選択的に除去されるように構成される。したがって、取り付け部分152、154、156、158は、それらが以前に取り付けられていた壁146から破断可能である。したがって、一例の実施形態では、アダプター120全体が壁146に取り外し可能に取り付けられ、管状本体102に対してアダプター120を把持して回転させると、アダプター120が医療機器100の残りの部分から外れる。したがって、取り付け部分152、154、156、158は、好ましくは、アダプター120が本体102に取り付けられる唯一の位置を提供し、有利には、取り付けのための比較的強い機構を提供するが、本体102からアダプター120全体を選択的に取り外し可能にするのに十分弱い。医療機器100からのアダプター120の取り外しは、有利には不可逆的である。医療機器100のこの属性の目的は、以下で議論される。
【0021】
バイアル20と接続可能であるように構成されることに加えて、アダプター120は、図10に示される針ハブ40などの針ハブと接続可能に構成される。一例の実施形態では、この接続を提供するために、アダプター120は、図4に示される、本体102から遠位に延びる環状の壁146をさらに含み、スパイク106がそれを通って延びる。壁146の外面は、管状本体102から遠位に延びることができる。壁146は、針ハブ40とねじ山で接続されるように構成されたねじ山内面147を有することができる。しかしながら、アダプターと針ハブとの間の適切な他の接続メカニズムは、開示された概念の範囲内にある。
【0022】
図8A~8Jは、開示された概念を使用することができる1つのプロセスを示している。プランジャー204、バイアル220、医療機器300、および追加の構成要素の、原寸に比例して描かれていない簡略化された描写が示されている。これらの構成要素は、医療機器アセンブリ2、バイアル20、およびそれらと組み合わせて使用される構成要素と実質的に同じように機能し、同様の番号は同様の構成要素を表すことが理解されよう。図8Aに示されるように、最初に、スパイクキャップ380がスパイク306から取り外され得る。次に、図8Bおよび8Cに示されるように、アダプター320、および、例えば、偏向部材325、337は、バイアル220に接続される。バイアル220およびアダプター320が接続されているとき、スパイク306は、バイアルの隔壁(septum)またはストッパー221を貫通して、バイアル220の内部と医療機器300の内部との間に流体経路を提供する。次に、図8Dに示されるように、プランジャー204は、ある量の希釈剤301を医療機器300からある量の固形薬物220を含むバイアル220に移動させるために押し下げられた。図8Eに示されるように、バイアル220を振ると、希釈剤と固形薬物が混合され、混合された再構成された医薬組成物225がもたらされる。
【0023】
図8Fおよび8Gは、プランジャー204によって医療機器300の内部に吸引されて戻される、混合され再構成された医薬組成物225を示す。図8Hでは、アダプター320およびバイアル220は、スパイク306から、例えば、スパイク306から一緒に回転して外されている。上記の壁146と同様の壁は、医療機器300では示されていないが、アダプター120の壁146からの取り外しは、アダプター320がスパイク306から取り外されるのと同様の方法で達成されることが理解されよう。例えば、ユーザーによる回転によって壁146から切り離される取り付け部分152、154、156、158に関する上記の説明を参照されたい。アダプター320がスパイク306から取り外された状態で、針ハブ240は、図8Iおよび8Jに示されるように、スパイク306に容易に接続され得る。圧入機構(press-fit mechanism)を介してスパイク306に接続されているものとして、図8Iおよび8Jに示されているが、針ハブ240は、例えば、制限なしに、ねじ山接続を介して、またはスパイク306にスナップフィットされるなど、適切な代替の結合機構を介して、スパイク306、またはアダプター320の適切な代替部分に接続されてもよいことが理解されよう。続いて、針ハブ240からの針シールド250の除去は、患者と共に使用するために準備された針242を提示する。針242は、再構成された医薬組成物225の作成に使用するために以前に使用されていなかったので、例えば、針242は、ストッパー221に挿入されず、希釈剤を注入し、再構成された医薬組成物225を医療機器300に吸引して戻すために使用されないため、針242は、患者との使用のために有利に、より安全な状態である。具体的には、針がストッパーに突き刺さることでバリが生じたり、針がストッパーに突き刺さることで切味が悪くなるといった既存の方法の問題点は、例えば、この機能にスパイク106、306を用いる医療機器300や上述の医療機器100を採用することにより解決される。
【0024】
図9は、バイアル20に接続された医療機器アセンブリ2を示しており、希釈剤と固形薬物がバイアル20内で混合されて、再構成された医薬組成物25が得られる。図10は、上記の方法でアダプター120が取り外され、再構成された医薬組成物25が本体102に吸引されて戻された医療機器アセンブリ2を示している。さらに、針ハブ40は、ねじ山内面147にねじ山式に接続されている。したがって、針ハブ40に接続されている針42は、図8A~8Jに関連して上で論じたのと同じ理由で、患者に使用するのに比較的安全な状態にある。したがって、針ハブ40から針シールド50(図11にも示されている)を取り外すと、患者に使用するための比較的鋭く、実質的にバリのない針42が露出する。
【0025】
概念の別の例示的な実施形態によれば、図12は、医療機器100および医療機器アセンブリ2と実質的に同じ方法で医療機器アセンブリに使用され得る別の医療機器400を示している。しかしながら、示されているように、医療機器400は、医療機器100とは異なる。第1に、医療機器400は、4つの偏向(deflector)部材を有する(図12には、1つの偏向部材422のみが示されている)。第2に、偏向部材422は、細長い部材423およびそこから延びる歯424を有するが、細長い部材422は、貫通穴を有する。
【0026】
医薬組成物の再構成方法が、医療機器アセンブリ2を提供すること、医療機器100が希釈剤などの医薬組成物を含むこと、アダプター120をバイアル20と接続すること、バイアル20が凍結乾燥医薬などの固体医薬を含むこと、医療機器アセンブリ2からバイアル20に一定量の希釈剤を注入すること、バイアル内の希釈剤と固形薬剤を混合して再構成医薬組成物25を作成すること、再構成医薬組成物25をバイアル20から本体102に吸引すること、および、アダプター120を本体102から取り外しこと、を含むことが理解されるであろう。この方法はまた、任意選択で、スパイク106からスパイクキャップを除去するステップ、および任意選択で、再構成された医薬組成物25を患者に注射するステップを含み得る。
【0027】
したがって、開示された概念は、改善された(例えば、限定されないが、より安全で、患者により少ない痛みを与えるという点でより良い)医療機器アセンブリ2およびそのための医療機器100、300、400を提供し、ワクチンなどは、希釈剤などの医薬組成物と混合することができ、したがって、再構成された医薬組成物が得られ、実質的により鋭く、比較的バリのない針42、242を用いて患者に投与され得る。
【0028】
1つの開示された態様(aspect)の要素は、1つ又は複数の他の開示された態様の要素と組み合わせて、異なる組み合わせを形成することができ、そのすべてが本概念の範囲内であると考えられる。
【0029】
本開示は例示的な構造を有するように記載されてきたが、本開示は、本開示の精神および範囲の中でさらに修正され得るものである。したがって、本願は、その一般原則を用いた本開示のあらゆる変形、使用、または適応を包含することを意図している。さらに、本願は、本開示が関連する技術分野における既知又は慣例の範囲内で、添付の請求項の範囲内に収まるような本開示からの逸脱をカバーすることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアルと接続可能であるように構成された医療機器であって、
組成物を収容するための容器を規定する管状本体であって、前記本体は、その遠位端に配置されたスパイクを含み、前記スパイクは、前記容器と流体連通する少なくとも1つの貫通穴を有し、
前記本体で形成された、または前記本体に結合されたアダプターであって、前記アダプターは前記スパイクまたはその周囲に配置され、
前記アダプターは、前記本体から遠位に延びる壁と、環状のベース部分と、前記ベース部分から前記壁に延びるいくつかの取り付け部分とを含み、前記ベース部分は一般に前記スパイクを取り囲み、前記取り付け部分が、前記本体に対する前記アダプターの回転に応じて、前記壁から選択的に取り外し可能に構成されている、医療機器。
【請求項2】
前記アダプターは、それぞれが前記バイアルと接続可能に構成されたいくつかの偏向部材を備える、請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記偏向部材の数は、前記スパイクを取り囲み、前記スパイクに対して半径方向内向きおよび外向きに偏向するように構成されている複数の偏向部材である、請求項2に記載の医療機器。
【請求項4】
前記取り付け部分の数は、複数の取り付け部分であり、前記複数の取り付け部分は、それぞれ、間隔を置いて離れた隔離された位置で前記壁に取り付けられている、請求項1に記載の医療機器。
【請求項5】
前記本体および前記アダプターは、単一(unitary)構造を有する、請求項1に記載の医療機器。
【請求項6】
前記本体および前記アダプターは、別個に形成され、続いて組み立てられる、請求項1に記載の医療機器。
【請求項7】
前記偏向部材のそれぞれは、スナップフィット機構(snap-fit mechanism)を介して前記バイアルと接続可能であるように構成される、請求項2に記載の医療機器。
【請求項8】
前記アダプターは、環状形状の壁を含み、前記スパイクが前記環状形状の壁を通って伸びている、請求項1に記載の医療機器。
【請求項9】
前記壁が、針ハブとねじ式に接続されるように構成されたねじ付き内面を有する、請求項8に記載の医療機器。
【請求項10】
前記偏向部材のそれぞれは、細長い部材と、前記細長い部材から前記本体の長手方向軸に向かって内側に延びる歯とを備える、請求項2に記載の医療機器。
【請求項11】
前記偏向器部材の数は、第1の偏向部材と、前記第1の偏向部材に隣接して配置された第2の偏向部材とを備え、前記第1の偏向部材の前記細長い部材は、前記第2の偏向部材の前記細長い部材よりも長い、請求項10に記載の医療機器。
【請求項12】
前記細長い部材が、前記歯の反対側および遠位に配置された端部を有し、前記細長い部材は、前記端部に向かって偏向するように構成される、請求項10に記載の医療機器。
【請求項13】
プランジャーと、
上記の請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の医療機器と、
を含む、医療機器アセンブリ。
【請求項14】
請求項13に記載の医療機器アセンブリを提供すること、
前記アダプターを前記バイアルに接続して、前記バイアルには固形薬物が含まれること、
前記医療機器アセンブリから前記バイアルに一定量の希釈剤を注入すること、
前記希釈剤と前記固形薬物を前記バイアル内で混合して、再構成された医薬組成物を作成すること、
前記再構成された医薬組成物をバイアルから前記本体内に吸引すること、
前記アダプターを前記本体から取り外すこと、
を含む医薬組成物の再構成の方法。
【国際調査報告】