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特表2022-539252活性層と導電層との間の接着力が改善された懸濁粒子装置
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  • 特表-活性層と導電層との間の接着力が改善された懸濁粒子装置 図1
  • 特表-活性層と導電層との間の接着力が改善された懸濁粒子装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(54)【発明の名称】活性層と導電層との間の接着力が改善された懸濁粒子装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/169 20190101AFI20220831BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220831BHJP
【FI】
G02F1/169
B32B7/023
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500076
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 IL2020050730
(87)【国際公開番号】W WO2021001823
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】62/869,597
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520289981
【氏名又は名称】ガウジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペソ、エイアル
(72)【発明者】
【氏名】ローファー、エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ファディダ、タニア
(72)【発明者】
【氏名】ガル - ファス、ダナ
【テーマコード(参考)】
2K101
4F100
【Fターム(参考)】
2K101AA08
2K101BA13
2K101BD01
2K101BD81
2K101BE09
2K101BE51
2K101BE81
2K101EB71
2K101EE02
2K101EG27
2K101EG45
2K101EG52
2K101EJ01
2K101EK02
4F100AA28B
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4F100AA33D
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4F100BA06
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4F100BA10E
4F100DE01C
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4F100EJ08D
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4F100JN01E
4F100JN30C
(57)【要約】
活性層と導電層との間の接着力が改善された懸濁粒子装置が開示される。導電層は、導電層の表面に共有結合し、アクリラートなどの架橋性部分を含む少なくとも1つのオルガノシランを含む接着促進剤でコーティングされる。活性層は、アクリラートなどのペンダント架橋性部分を有するポリマーを含むポリマーマトリックス中の活性粒子の懸濁液を含む。(例えば、紫外光の照射によって)硬化すると、活性層のポリマーマトリックスは、接着促進剤の架橋性部分と架橋し、それによって活性層および導電層を結合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁粒子装置(SPD)であって、
外面および内面を有する第1の透明外層(100)と、
外側と、前記外側が前記第1の透明外層の前記内面上に配置されるように配置された内側とを有する第1の導電層(150)と、
外面および内面を有する第2の透明外層(100’)と、
外側と、前記外側が前記第2の透明外層の前記内面上に配置されるように配置された内側とを有する第2の導電層(150’)と、
ポリマーマトリックス中の活性粒子の懸濁液を含み、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に配置された活性層であって、前記ポリマーマトリックスが、少なくとも1つのペンダント架橋性側鎖を含むポリマーを含む、活性層と、
前記第1の導電層の前記内側および前記第2の導電層の前記内側の少なくとも一方の上に配置された接着促進剤であって、少なくとも1つの架橋性部分を含む、接着促進剤と、を含み、
前記接着促進剤は、それが配置されている前記面に共有結合しており、
前記接着促進剤および前記ポリマーマトリックスは、前記架橋性側鎖および前記架橋性部分を介して架橋されている、
前記懸濁粒子装置(SPD)。
【請求項2】
前記透明層の少なくとも1つがPETを含む、請求項1に記載のSPD。
【請求項3】
前記導電層の少なくとも1つがITOを含む、請求項1に記載のSPD。
【請求項4】
請求項1に記載のSPDであって、前記活性粒子が、元素状ヨウ素、ハロゲン化水素酸またはハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化アルカリ金属またはハロゲン化アルカリ土類金属、ピラジン-2,5-ジカルボン酸を含む第1の化合物、およびピラジン-2,5-ジカルボン酸のモノアルキルエステルまたはモノアミドを含む第2の化合物を反応させることによって得られる錯体を含むポリハロゲン化物偏光材料を含む、前記SPD。
【請求項5】
請求項1に記載のSPDであって、前記活性粒子が、適切な液体元素状ヨウ素中で、無機ハロゲン化物、芳香族またはヘテロ芳香族基を介して互いに結合された2つの環式構造を有する実質的に剛直な多環式前駆体化合物、前記2つの環式構造によって規定され、空洞内への開口部を1つのみ有する3次元構造、前記多環式前駆体化合物の外側の少なくとも1つの極性基、および前記空洞内の水素または金属イオンをキレート化するための少なくとも1つのキレート化基を反応させることを含むプロセスの生成物である、前記SPD。
【請求項6】
前記接着促進剤が、Si-O結合を介して前記導電層の前記内面に共有結合したオルガノシランである、請求項1に記載のSPD。
【請求項7】
前記接着促進剤が、式Si(OR(式中、Rは架橋性有機官能基である)によって特徴付けられるオルガノシランである、請求項1に記載のSPD。
【請求項8】
請求項1に記載のSPDであって、前記接着促進剤が、各ケイ素原子が少なくとも1つの架橋性部分Rおよび少なくとも1つのOR基に結合し、連続するケイ素原子が酸素原子に相互に結合している式[(ORSi-O-SiR(ORによって特徴付けられるポリオルガノシランである、前記SPD。
【請求項9】
前記架橋性部分が少なくとも1つのアクリラート基を含む、請求項1に記載のSPD。
【請求項10】
前記架橋性側鎖が少なくとも1つのアクリラート基を含む、請求項1に記載のSPD。
【請求項11】
SPDを製造する方法であって、
第1の透明層と、前記第1の透明層の側面に配置された第1の導電層とを含む第1の表面を得るステップと、
第2の透明層と、前記第1の透明層の側面に配置された第2の導電層とを含む第2の表面を得るステップと、
少なくとも1つの架橋性部分を含む接着促進剤の溶液を調製するステップと、
前記接着促進剤を前記第1の導電層および前記第2の導電層の少なくとも一方に塗布するステップと、
前記接着促進剤を、前記接着促進剤が塗布された前記層の露出した表面に少なくとも部分的に共有結合するまで縮合させるステップと、
ポリマーマトリックス中に活性粒子の懸濁液を含む活性層を配置するステップであって、前記ポリマーマトリックスは、前記第1の導電層と前記導電層との間に、架橋性ペンダント基を含む少なくとも1つのポリマーを含む、ステップと、
前記架橋性ペンダント基および前記架橋性部分を架橋するステップと、
を含む、前記方法。
【請求項12】
前記第1の透明層および前記第2の透明層の少なくとも1つがPETを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の導電層および第2の導電層の少なくとも1つがITOを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記接着促進剤が、式Si(OR(式中、Rは架橋性有機官能基である)によって特徴付けられるオルガノシランである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、前記接着促進剤が、各ケイ素原子が少なくとも1つの架橋性部分Rおよび少なくとも1つのOR基に結合し、連続するケイ素原子が酸素原子に相互に結合している式[(ORSi-O-SiR(ORによって特徴付けられるポリオルガノシランである、前記方法。
【請求項16】
前記架橋性部分がアクリラートである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記接着促進剤を塗布する前記ステップが、噴霧およびグラビアコーティングからなる群から選択される方法によって前記接着促進剤を塗布するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記縮合ステップが、前記接着促進剤が前記導電層に少なくとも部分的に共有結合するまで前記表面および前記接着促進剤を加熱するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記架橋性ペンダント基がアクリラートを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記硬化ステップが、前記架橋性部分および前記架橋性ペンダント基が少なくとも部分的に架橋されるまで紫外光を照射するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記硬化ステップが、前記架橋性部分および前記架橋性ペンダント基が十分に架橋されて、前記活性層と前記導電層との接着力が少なくとも0.1N/インチになるまで硬化するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記硬化ステップが、前記架橋性部分および前記架橋性ペンダント基が十分に架橋されて、前記活性層と前記導電層との接着力が少なくとも0.2N/インチになるまで硬化するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
前記硬化ステップが、前記架橋性部分および前記架橋性ペンダント基が十分に架橋されて、前記活性層と前記導電層との接着力が0.1N/インチ~0.3N/インチになるまで硬化するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
請求項11に記載の方法に従って製造された、請求項1に記載のSPD。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連公開の参照
本出願は、2019年7月2日出願の米国仮特許出願公開第62/869,597号明細書の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、懸濁粒子装置(SPD)に関する。本発明は、より具体的には、活性層と導電層との間の接着力が改善されたSPD、およびそのような装置を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
懸濁粒子装置(SPD)は、光の透過を制御するための装置である。SPDは、典型的には、それぞれが典型的にはスズドープ酸化インジウム(ITO)などの材料から構成される透明導電層でコーティングされた、典型的にはポリエチレンテレフタラート(PET)などの材料から構成される2つの透明基板の間に配置された装置を通る光の透過を制御する活性層を含む。したがって、SPDはコンデンサの一般的な形態で構成される。
【0004】
活性層は、連続ポリマー相と、連続ポリマー相に不溶性の液体ポリマーとのエマルジョンを含む。外部電場中で再配向することができる粒子または粒子を含有する液滴は、液体ポリマー中に分散される。その通常の(オフ)状態では、導電層に電位は印加されず、活性粒子は液滴内またはポリマーマトリックス内でランダムに配向される。この状態では、装置の光吸収が最大になり、可視範囲の透過率は通常1%以下である。導電層に電位が印加されると、活性層内に電場が形成され、粒子は電場と整列し、それによって装置を通る透過率が増加する。典型的なSPDは、可視範囲で最大透過率が最大50%である。
【0005】
SPDの耐久性に大きな影響を与える1つのパラメータは、活性層とPET-ITO膜基板との間の接着力である。活性層と導電層との間の接着力が不十分であると、場合によっては、わずかなせん断でもSPDを完全に破壊することができる程度の層間剥離が生じる可能性がある。さらなる例として、SPDは湿度に敏感であり、低い接着力がこの影響を悪化させ、実際条件下でのSPDの耐久性および寿命を低下させる可能性があることは当技術分野で周知である。
【0006】
導電層に対する連続ポリマー相の接着力は、導電層に対する活性層の全体的な接着力を決定する。ポリマーは、典型的には、導電層の表面と反応または相互作用することができる任意の官能基を欠いているので、これにより接着力は典型的には非常に限定される。
【0007】
この問題を解決するためのいくつかの試みが提案されている。例えば、米国特許出願公開第20120236393号明細書は、導電層がポリエチレンジオキシチオフェンなどのポリチオフェン系導電性ポリマーを含むSPDを開示している。発明者らは、これらの装置は、導電層にITOなどの無機材料を使用するSPDよりも、導電層と活性層との間の接着力が強いと主張する。対照的に、米国特許出願公開第20070195401号明細書は、活性層中の粒子が少なくとも1つの架橋シロキサンポリマーを含むポリマーマトリックス中に懸濁されているSPDを開示している。発明者らは、この場合、ポリマーマトリックス組成物が当技術分野で以前に周知である組成物よりも良好な接着力を有すると主張する。
【0008】
活性層および導電層の接着力を改善するための別のアプローチは、活性層および導電層が互いにより強く結合する接着剤などの材料で導電層をコーティングすることであった。例えば、米国特許第6271956号明細書は、室温で本質的に粘着性である接着剤、特にポリアクリラート系接着剤を使用して導電層をコーティングし、それによって導電層を活性層に結合させることを開示している。米国特許出願公開第20090153944号明細書は、TiOまたはSiOと589nmで1.54を超える屈折率を有する無機材料との組み合わせのいずれかを含むオーバーコートを導電層に塗布するSPDを開示している。米国特許出願公開第20180074377号明細書は、接着層が機能性ナノ粒子を含む、導電層と活性層との間の接着層の使用を開示している。
【0009】
第3の一般的なアプローチは、硬化すると活性層と導電層との間に共有結合を提供するシリコーン系架橋剤の使用であった。例えば、日本国特許公開第2010237265は、ITO導電層を固体シリコーン樹脂でコーティングしたSPDを開示している。活性層は、ポリアクリラートマトリックス中に懸濁された粒子を含む。硬化すると、シリコーン樹脂中のペンダントアクリロキシ基は、活性層マトリックス中のアクリラート基と架橋し、それにより、活性層を樹脂に結合させる。
【0010】
これらの異なる試みにもかかわらず、導電層と活性層との間の接着力が改善されたSPDは、長年にわたって切実であるが、必要性が満たされていないままである。
【発明の概要】
【0011】
本明細書に開示される発明は、この必要性に応えるように設計されている。導電層と活性層との間に配置された接着促進剤を含むSPDが開示される。接着促進剤は、導電層の表面に同時に共有結合し、活性層のポリマーマトリックスのペンダント基で架橋された分子を含む。
【0012】
したがって、本明細書に開示される発明の一目的はSPDを提供することであり、SPDは、外面および内面を有する第1の透明外層(100)と、外側と、前記外側が前記第1の透明外層の前記内面上に配置されるように配置された内側とを有する第1の導電層(150)と、外面および内面を有する第2の透明外層(100’)と、外側と、前記外側が前記第2の透明外層の前記内面上に配置されるように配置された内側とを有する第2の導電層(150’)と、ポリマーマトリックス中の活性粒子の懸濁液を含み、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に配置された活性層であって、前記ポリマーマトリックスが、少なくとも1つのペンダント架橋性側鎖を含むポリマーを含む、活性層と、前記第1の導電層の前記内側および前記第2の導電層の前記内側の少なくとも一方の上に配置された接着促進剤であって、少なくとも1つの架橋性部分を含む、接着促進剤と、を含む。前記接着促進剤が、それが配置されている前記表面に共有結合していること、および、前記接着促進剤および前記ポリマーマトリックスが、前記架橋性側鎖および前記架橋性部分を介して架橋されていることは、本発明の本質の範囲内である。
【0013】
本発明のさらなる目的は、前記透明層の少なくとも1つがPETを含むそのようなSPDを開示することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義されるようなSPDを開示することであり、前記導電層の少なくとも1つはITOを含む。
【0015】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義されるようなSPDを開示することであり、前記活性粒子は、元素状ヨウ素、ハロゲン化水素酸またはハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化アルカリ金属またはハロゲン化アルカリ土類金属、ピラジン-2,5-ジカルボン酸を含む第1の化合物、およびピラジン-2,5-ジカルボン酸のモノアルキルエステルまたはモノアミドを含む第2の化合物を反応させることによって得られる錯体を含むポリハロゲン化物偏光材料を含む。
【0016】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義されるようなSPDを開示することであり、前記活性粒子は、適切な液体元素状ヨウ素中で、無機ハロゲン化物、芳香族またはヘテロ芳香族基を介して互いに結合された2つの環式構造を有する実質的に剛直な多環式前駆体化合物、前記2つの環式構造によって規定され、空洞内への開口部を1つのみ有する3次元構造、多環式前駆体化合物の外側の少なくとも1つの極性基、および空洞内の水素または金属イオンをキレート化するための少なくとも1つのキレート化基を反応させることを含むプロセスの生成物である。
【0017】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義されるようなSPDを開示することであり、前記接着促進剤は、Si-O結合を介して前記導電層の前記内面に共有結合したオルガノシランである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義されるようなSPDを開示することであり、前記接着促進剤は、式Si(OR(式中、Rは架橋性有機官能基である)によって特徴付けられるオルガノシランである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義されるようなSPDを開示することであり、前記接着促進剤は、各ケイ素原子が少なくとも1つの架橋性部分Rおよび少なくとも1つのOR基に結合し、連続するケイ素原子が酸素原子に相互に結合している式[(ORSi-O-SiR(ORによって特徴付けられるポリオルガノシランである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義されるようなSPDを開示することであり、前記架橋性部分は少なくとも1つのアクリラート基を含む。
【0021】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義されるようなSPDを開示することであり、前記架橋性側鎖は少なくとも1つのアクリラート基を含む。
【0022】
本発明のさらなる目的は、SPDを製造する方法を開示することであり、方法は、第1の透明層と、前記第1の透明層の側面に配置された第1の導電層とを含む第1の表面を得るステップと、第2の透明層と、前記第1の透明層の側面に配置された第2の導電層とを含む第2の表面を得るステップと、少なくとも1つの架橋性部分を含む接着促進剤の溶液を調製するステップと、前記接着促進剤を前記第1の導電層および前記第2の導電層の少なくとも一方に塗布するステップと、前記接着促進剤を、前記接着促進剤が塗布された前記層の露出した表面に少なくとも部分的に共有結合するまで縮合させるステップと、ポリマーマトリックス中に活性粒子の懸濁液を含む活性層を配置するステップであって、前記ポリマーマトリックスは、前記第1の導電層と前記導電層との間に、架橋性ペンダント基を含む少なくとも1つのポリマーを含む、ステップと、前記架橋性ペンダント基および前記架橋性部分を架橋するステップと、を含む。
【0023】
本発明のさらなる目的は、前記第1の透明層および前記第2の透明層の少なくとも1つがPETを含むそのような方法を開示することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義される方法を開示することであり、前記第1の導電層および第2の導電層の少なくとも1つはITOを含む。
【0025】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義されるような方法を開示することであり、前記接着促進剤は、式Si(OR(式中、Rは架橋性有機官能基である)によって特徴付けられるオルガノシランである。
【0026】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義されるような方法を開示することであり、前記接着促進剤は、各ケイ素原子が少なくとも1つの架橋性部分Rおよび少なくとも1つのOR基に結合し、連続するケイ素原子が酸素原子に相互に結合している式[(ORSi-O-SiR(ORによって特徴付けられるポリオルガノシランである。
【0027】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義される方法を開示することであり、前記架橋性部分はアクリラートである。
【0028】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義される方法を開示することであり、前記接着促進剤を塗布する前記ステップは、噴霧およびグラビアコーティングからなる群から選択される方法によって前記接着促進剤を塗布するステップを含む。
【0029】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義される方法を開示することであり、前記縮合ステップは、前記接着促進剤が前記導電層に少なくとも部分的に共有結合するまで前記表面および前記接着促進剤を加熱するステップを含む。
【0030】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義される方法を開示することであり、前記架橋性ペンダント基はアクリラートを含む。
【0031】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義される方法を開示することであり、前記硬化ステップは、前記架橋性部分および前記架橋性ペンダント基が少なくとも部分的に架橋されるまで紫外光を照射するステップを含む。
【0032】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義される方法を開示することであり、前記硬化ステップは、前記架橋性部分および前記架橋性ペンダント基が十分に架橋されて、前記活性層と前記導電層との接着力が少なくとも0.1N/インチになるまで硬化するステップを含む。
【0033】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義される方法を開示することであり、前記硬化ステップは、前記架橋性部分および前記架橋性ペンダント基が十分に架橋されて、前記活性層と前記導電層との接着力が少なくとも0.2N/インチになるまで硬化するステップを含む。
【0034】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義される方法を開示することであり、前記硬化ステップは、前記架橋性部分および前記架橋性ペンダント基が十分に架橋されて、前記活性層と前記導電層との接着力が0.1N/インチ~0.3N/インチになるまで硬化するステップを含む。
【0035】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかに定義される方法によって製造された、上記のいずれかに定義されるSPDを開示することである。
【0036】
次に、本発明を図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本明細書に開示される本発明の1つの非限定的な実施形態による、SPDの導電層に共有結合した接着促進剤の化学構造を概略的に示す。
【0038】
図2】本明細書に開示される本発明の1つの非限定的な実施形態による、SPDの導電層に共有結合した接着促進剤のペンダント基の活性層のペンダント基への架橋を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の説明では、本発明の様々な態様について説明する。説明の目的のために、本発明の完全な理解を提供するために特定の詳細が記載されている。本発明の本質的な性質に影響を及ぼすことなく詳細が異なる本発明の他の実施形態が存在することは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、図に示され、本明細書に記載されるものによって限定されず、添付の特許請求の範囲に示されるものによってのみ限定され、適切な範囲は、前記特許請求の範囲の最も広い解釈によってのみ決定される。場合によっては、明確さまたは簡潔さのために、本発明の個々の要素を別々に説明する。それにもかかわらず、自己矛盾しない本明細書に開示された本発明の要素の任意の組み合わせは、本発明の範囲内にあると本発明者らは考える。
【0040】
本明細書で使用される場合、略語「SPD」は「懸濁粒子装置」を表す。
【0041】
本明細書で使用される場合、略語「PET」は「ポリエチレンテレフタラート」を表す。
【0042】
本明細書で使用される場合、略語「ITO」は「スズドープ酸化インジウム」を表す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「活性粒子」という用語は、適切な媒体に懸濁された場合、外部電場の印加時にそれ自体を再配向させる材料の粒子を指し、外部電場の非存在下で粒子がランダムに配向している活性粒子の懸濁液が外部電場にさらされると、粒子は電場と整列する傾向があり、それによって可視光の透過率などの懸濁液の光学特性が変化する。活性粒子は、典型的には、棒状または針状である。当技術分野で周知の活性粒子の非限定的な例は、TiOおよびFe・HOなどの金属酸化物、CoAlなどの金属塩、ハロゲン化アルカリ、ならびにアルカリ酸化物を含む。
【0044】
特に明記しない限り、数値に関して、「約」という用語は、公称値の±20%の範囲を示すために使用される。
【0045】
本明細書に開示される発明では、典型的なSPDの弾性および寿命を制限する導電層と活性層との間の接着力が低いという問題に対する新規な解決策が提供される。本発明のSPDは、導電層と活性層との間に接着促進剤を含む。接着促進剤は、導電層の表面に共有結合しており、活性層のポリマーマトリックスを含むポリマーに架橋されている。接着促進剤は、両方の層に共有結合することにより、導電層および活性層に化学的に結合するように作用し、当技術分野で周知のSPDにおける層間の物理的接着よりもはるかに強い結合を提供する。
【0046】
ここで、図1を参照すると、図1は、導電層への接着促進剤の1つの非限定的な実施形態の結合を概略的に示している。導電層150は、透明外層100上に配置される。本発明の典型的な実施形態では、透明外層はPETから作製され、導電層はITOから作製されるが、SPDの作製に使用するのに適した当技術分野で周知の任意の物質を使用することができる。少なくとも1つの架橋性官能基を含む接着促進剤200は、導電層の露出した表面に共有結合し、架橋性官能基を露出させたままにする。図1に示すものなどの本発明のいくつかの非限定的な実施形態では、接着促進剤は、一般式Si(ORを有するオルガノシランであり、式中、Rは水素またはアルキル基などの有機官能基であってもよく、Rは架橋性有機官能基である。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、図1に示すように、架橋性有機官能基はアクリラートである。図1に示すように、ケイ素原子がSi-O-Si結合を介して結合している一般式[(ORSi-O-SiR(ORのポリシランを含む接着促進剤は、本発明者らによって本発明の範囲内であると考えられている。接着促進剤は、導電層の上面に化学的に結合される。接着促進剤がオルガノシランであり、導電層がITOなどの酸化物である場合、接着促進剤は、オルガノシランと酸化物の表面との縮合によって生成されるSi-O-[表面]結合によって導電層の表面に結合される。
【0047】
ここで、図2を参照すると、図2は、接着促進剤を介した活性層と導電層との結合を概略的に示している。SPDは、それぞれがその内面に配置された導電層(それぞれ150および150’)を有する2つの透明層100および100’を含む。接着促進剤は、導電層のうちの少なくとも1つの内面、好ましくはそれらの両方に配置される。接着促進剤の架橋性基R(210)は、表面から突き出て概略的に示されている。
【0048】
活性粒子(または活性粒子を含む液滴)の懸濁液を含む活性層300は、2つの導電層の間に配置される。当技術分野で周知の任意の種類の活性粒子を使用することができる。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、活性粒子は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,517,746号明細書に開示されているポリハロゲン化物偏光材料の少なくとも1つを含む。この実施形態の非限定的な例では、活性粒子は、元素状ヨウ素、ハロゲン化水素酸またはハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化アルカリ金属またはハロゲン化アルカリ土類金属、ピラジン-2,5-ジカルボン酸を含む第1の化合物、およびピラジン-2,5-ジカルボン酸のモノアルキルエステルまたはモノアミドを含む第2の化合物を反応させることによって得られる錯体を含む。本発明のいくつかの他の好ましい例では、活性粒子は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、欧州特許第1,056,974号明細書に開示されているポリハロゲン化物偏光材料の少なくとも1つを含む。この実施形態の非限定的な例では、活性粒子は、適切な液体元素状ヨウ素中で、無機ハロゲン化物、芳香族またはヘテロ芳香族基を介して互いに結合された2つの環式構造を有する実質的に剛直な多環式前駆体化合物、2つの環式構造によって規定され、空洞内への開口部を1つのみ有する3次元構造、多環式前駆体化合物の外側の少なくとも1つの極性基、および空洞内の水素または金属イオンをキレート化するための少なくとも1つのキレート化基を反応させることを含むプロセスによって調製される。
【0049】
ポリマーマトリックスは、マトリックスから突き出ているものとして概略的に示されているペンダント架橋性部分(310)を有するポリマーを含む。本発明の典型的な実施形態では、ペンダント架橋性部分は同様にアクリラート基を含む。
【0050】
SPDの最初の組み立て後、接着促進剤の架橋性部分とポリマーマトリックスの架橋性部分との間で反応が開始され、ポリマーマトリックスのペンダント基と接着促進剤の架橋性部分とが架橋され、それにより、活性層と導電層とが架橋された(330)SPDが得られる。
【0051】
本発明の典型的な実施形態では、活性層と導電層との接着力は少なくとも0.1N/インチである。本発明の好ましい実施形態では、活性層の接着力は0.1N/インチ~0.3N/インチである。本発明の特に好ましい実施形態では、活性層の接着力は約0.2N/インチである。
【実施例
【0052】
以下の例は、当業者が本明細書に開示される発明を作製および使用するのを支援することを意図しており、決して限定することを意図していない。
【0053】

200mlのエタノール/水混合物(約95%エタノール)を含有するボトルに4gの3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリラートを添加し、マグネチックスターラーを用いて30分間混合することによって、接着促進剤を含む溶液を調製した。
【0054】
PET-ITO(すなわち、ITOの層でコーティングされたPET膜)を得て、ITO層の上面に以前のステップで得られた溶液を塗布した。表面への溶液の塗布量は、約30~40g/mであった。次いで、PET-ITO-シランをシランおよび酸化物表面が縮合するまで110℃に加熱し、水を放出し、シランがSi-O-[表面]結合によってITOに結合した硬化PET-ITO-シラン膜を生成した。
【0055】
次いで、2つの硬化PET-ITO-シラン膜と、ポリアクリラートポリマーに懸濁された活性粒子を含む活性層とから、2つの硬化PET-ITO-シラン膜の間に活性層を配置し、接着促進剤およびポリマーマトリックスが架橋されるまでアセンブリにUV光を照射することによって、SPDが構成された。

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁粒子装置(SPD)であって、
外面および内面を有する第1の透明外層(100)と、
外側と、前記外側が前記第1の透明外層の前記内面上に配置されるように配置された内側とを有する第1の導電層(150)と、
外面および内面を有する第2の透明外層(100’)と、
外側と、前記外側が前記第2の透明外層の前記内面上に配置されるように配置された内側とを有する第2の導電層(150’)と、
ポリマーマトリックス中の活性粒子の懸濁液を含み、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に配置された活性層であって、前記ポリマーマトリックスが、少なくとも1つのペンダント架橋性側鎖を含むポリマーを含む、活性層と、
前記第1の導電層の前記内側および前記第2の導電層の前記内側の少なくとも一方の上に配置された接着促進剤であって、少なくとも1つの架橋性部分を含む、接着促進剤と、を含み、
前記接着促進剤は、それが配置されている前記面に共有結合しており、
前記接着促進剤および前記ポリマーマトリックスは、前記架橋性側鎖および前記架橋性部分を介して架橋されていることを特徴とする、
前記懸濁粒子装置(SPD)。
【請求項2】
前記透明層の少なくとも1つがPETを含むことを特徴とする、請求項1に記載のSPD。
【請求項3】
前記導電層の少なくとも1つがITOを含むことを特徴とする、請求項1に記載のSPD。
【請求項4】
請求項1に記載のSPDであって、前記活性粒子が、
元素状ヨウ素、ハロゲン化水素酸またはハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化アルカリ金属またはハロゲン化アルカリ土類金属、ピラジン-2,5-ジカルボン酸を含む第1の化合物、およびピラジン-2,5-ジカルボン酸のモノアルキルエステルまたはモノアミドを含む第2の化合物を反応させることによって得られる錯体を含むポリハロゲン化物偏光材料を含む活性粒子、および
適切な液体元素状ヨウ素中で、無機ハロゲン化物、芳香族またはヘテロ芳香族基を介して互いに結合された2つの環式構造を有する実質的に剛直な多環式前駆体化合物、前記2つの環式構造によって規定され、空洞内への開口部を1つのみ有する3次元構造、前記多環式前駆体化合物の外側の少なくとも1つの極性基、および前記空洞内の水素または金属イオンをキレート化するための少なくとも1つのキレート化基を反応させることを含むプロセスの生成物である活性粒子
からなる群から選択されることを特徴とする、前記SPD。
【請求項5】
前記接着促進剤が、Si-O結合を介して前記導電層の前記内面に共有結合したオルガノシランであることを特徴とする、請求項1に記載のSPD。
【請求項6】
前記接着促進剤が、
式Si(OR(式中、Rは架橋性有機官能基である)によって特徴付けられるオルガノシラン、および
式[(OR Si-O-SiR (OR (式中、各ケイ素原子が、少なくとも1つの架橋性部分R および少なくとも1つのOR 基に結合しており、連続するケイ素原子が、酸素原子に相互に結合している)によって特徴付けられるポリオルガノシラン
からなる群から選択されるオルガノシランであることを特徴とする、前記SPD。
【請求項7】
前記架橋性部分および前記架橋性側鎖の少なくとも1つが少なくとも1つのアクリラート基を含むことを特徴とする、請求項1に記載のSPD。
【請求項8】
SPDを製造する方法であって、
第1の透明層と、前記第1の透明層の側面に配置された第1の導電層とを含む第1の表面を得るステップと、
第2の透明層と、前記第1の透明層の側面に配置された第2の導電層とを含む第2の表面を得るステップと、
少なくとも1つの架橋性部分を含む接着促進剤の溶液を調製するステップと、
前記接着促進剤を前記第1の導電層および前記第2の導電層の少なくとも一方に塗布するステップと、
前記接着促進剤を、前記接着促進剤が塗布された前記層の露出した表面に少なくとも部分的に共有結合するまで縮合させるステップと、
ポリマーマトリックス中に活性粒子の懸濁液を含む活性層を配置するステップであって、前記ポリマーマトリックスは、前記第1の導電層と前記導電層との間に、架橋性ペンダント基を含む少なくとも1つのポリマーを含む、ステップと、
前記架橋性ペンダント基および前記架橋性部分を架橋するステップと、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項9】
前記第1の透明層および前記第2の透明層の少なくとも1つがPETを含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の導電層および第2の導電層の少なくとも1つがITOを含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記接着促進剤が、
式Si(OR(式中、Rは架橋性有機官能基である)によって特徴付けられるオルガノシラン、および
式[(OR Si-O-SiR (OR (式中、各ケイ素原子が、少なくとも1つの架橋性部分R および少なくとも1つのOR 基に結合しており、連続するケイ素原子が、酸素原子に相互に結合している)によって特徴付けられるポリオルガノシラン
からなる群から選択されるオルガノシランであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記架橋性部分がアクリラートであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記縮合ステップが、前記接着促進剤が前記導電層に少なくとも部分的に共有結合するまで前記表面および前記接着促進剤を加熱するステップを含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記架橋性ペンダント基がアクリラートを含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記硬化ステップが、前記架橋性部分および前記架橋性ペンダント基が十分に架橋されて、前記活性層と前記導電層との接着力が少なくとも0.1N/インチになるまで硬化するステップを含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本明細書に開示される発明は、この必要性に応えるように設計されている。導電層と活性層との間に配置された接着促進剤を含むSPDが開示される。接着促進剤は、導電層の表面に同時に共有結合し、活性層のポリマーマトリックスのペンダント基で架橋された分子を含む。
他の記載と重複するが以下に本発明の諸態様を示す。但し、本発明は以下に限定されない。
[1]
懸濁粒子装置(SPD)であって、
外面および内面を有する第1の透明外層(100)と、
外側と、前記外側が前記第1の透明外層の前記内面上に配置されるように配置された内側とを有する第1の導電層(150)と、
外面および内面を有する第2の透明外層(100’)と、
外側と、前記外側が前記第2の透明外層の前記内面上に配置されるように配置された内側とを有する第2の導電層(150’)と、
ポリマーマトリックス中の活性粒子の懸濁液を含み、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に配置された活性層であって、前記ポリマーマトリックスが、少なくとも1つのペンダント架橋性側鎖を含むポリマーを含む、活性層と、
前記第1の導電層の前記内側および前記第2の導電層の前記内側の少なくとも一方の上に配置された接着促進剤であって、少なくとも1つの架橋性部分を含む、接着促進剤と、を含み、
前記接着促進剤は、それが配置されている前記面に共有結合しており、
前記接着促進剤および前記ポリマーマトリックスは、前記架橋性側鎖および前記架橋性部分を介して架橋されている、
前記懸濁粒子装置(SPD)。
[2]
前記透明層の少なくとも1つがPETを含む、[1]に記載のSPD。
[3]
前記導電層の少なくとも1つがITOを含む、[1]に記載のSPD。
[4]
[1]に記載のSPDであって、前記活性粒子が、元素状ヨウ素、ハロゲン化水素酸またはハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化アルカリ金属またはハロゲン化アルカリ土類金属、ピラジン-2,5-ジカルボン酸を含む第1の化合物、およびピラジン-2,5-ジカルボン酸のモノアルキルエステルまたはモノアミドを含む第2の化合物を反応させることによって得られる錯体を含むポリハロゲン化物偏光材料を含む、前記SPD。
[5]
[1]に記載のSPDであって、前記活性粒子が、適切な液体元素状ヨウ素中で、無機ハロゲン化物、芳香族またはヘテロ芳香族基を介して互いに結合された2つの環式構造を有する実質的に剛直な多環式前駆体化合物、前記2つの環式構造によって規定され、空洞内への開口部を1つのみ有する3次元構造、前記多環式前駆体化合物の外側の少なくとも1つの極性基、および前記空洞内の水素または金属イオンをキレート化するための少なくとも1つのキレート化基を反応させることを含むプロセスの生成物である、前記SPD。
[6]
前記接着促進剤が、Si-O結合を介して前記導電層の前記内面に共有結合したオルガノシランである、[1]に記載のSPD。
[7]
前記接着促進剤が、式Si(OR (式中、R は架橋性有機官能基である)によって特徴付けられるオルガノシランである、[1]に記載のSPD。
[8]
[1]に記載のSPDであって、前記接着促進剤が、各ケイ素原子が少なくとも1つの架橋性部分R および少なくとも1つのOR 基に結合し、連続するケイ素原子が酸素原子に相互に結合している式[(OR Si-O-SiR (OR によって特徴付けられるポリオルガノシランである、前記SPD。
[9]
前記架橋性部分が少なくとも1つのアクリラート基を含む、[1]に記載のSPD。
[10]
前記架橋性側鎖が少なくとも1つのアクリラート基を含む、[1]に記載のSPD。
[11]
SPDを製造する方法であって、
第1の透明層と、前記第1の透明層の側面に配置された第1の導電層とを含む第1の表面を得るステップと、
第2の透明層と、前記第1の透明層の側面に配置された第2の導電層とを含む第2の表面を得るステップと、
少なくとも1つの架橋性部分を含む接着促進剤の溶液を調製するステップと、
前記接着促進剤を前記第1の導電層および前記第2の導電層の少なくとも一方に塗布するステップと、
前記接着促進剤を、前記接着促進剤が塗布された前記層の露出した表面に少なくとも部分的に共有結合するまで縮合させるステップと、
ポリマーマトリックス中に活性粒子の懸濁液を含む活性層を配置するステップであって、前記ポリマーマトリックスは、前記第1の導電層と前記導電層との間に、架橋性ペンダント基を含む少なくとも1つのポリマーを含む、ステップと、
前記架橋性ペンダント基および前記架橋性部分を架橋するステップと、を含む、
前記方法。
[12]
前記第1の透明層および前記第2の透明層の少なくとも1つがPETを含む、[11]に記載の方法。
[13]
前記第1の導電層および第2の導電層の少なくとも1つがITOを含む、[11]に記載の方法。
[14]
前記接着促進剤が、式Si(OR (式中、R は架橋性有機官能基である)によって特徴付けられるオルガノシランである、[11]に記載の方法。
[15]
[11]に記載の方法であって、前記接着促進剤が、各ケイ素原子が少なくとも1つの架橋性部分R および少なくとも1つのOR 基に結合し、連続するケイ素原子が酸素原子に相互に結合している式[(OR Si-O-SiR (OR によって特徴付けられるポリオルガノシランである、前記方法。
[16]
前記架橋性部分がアクリラートである、[11]に記載の方法。
[17]
前記接着促進剤を塗布する前記ステップが、噴霧およびグラビアコーティングからなる群から選択される方法によって前記接着促進剤を塗布するステップを含む、[11]に記載の方法。
[18]
前記縮合ステップが、前記接着促進剤が前記導電層に少なくとも部分的に共有結合するまで前記表面および前記接着促進剤を加熱するステップを含む、[11]に記載の方法。
[19]
前記架橋性ペンダント基がアクリラートを含む、[11]に記載の方法。
[20]
前記硬化ステップが、前記架橋性部分および前記架橋性ペンダント基が少なくとも部分的に架橋されるまで紫外光を照射するステップを含む、[11]に記載の方法。
[21]
前記硬化ステップが、前記架橋性部分および前記架橋性ペンダント基が十分に架橋されて、前記活性層と前記導電層との接着力が少なくとも0.1N/インチになるまで硬化するステップを含む、[11]に記載の方法。
[22]
前記硬化ステップが、前記架橋性部分および前記架橋性ペンダント基が十分に架橋されて、前記活性層と前記導電層との接着力が少なくとも0.2N/インチになるまで硬化するステップを含む、[11]に記載の方法。
[23]
前記硬化ステップが、前記架橋性部分および前記架橋性ペンダント基が十分に架橋されて、前記活性層と前記導電層との接着力が0.1N/インチ~0.3N/インチになるまで硬化するステップを含む、[11]に記載の方法。
[24]
[11]に記載の方法に従って製造された、[1]に記載のSPD。
【国際調査報告】