(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-08
(54)【発明の名称】静止型乾燥機
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
B01D53/26 230
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570942
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 IB2019057707
(87)【国際公開番号】W WO2020250028
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマンス ゲールト
(72)【発明者】
【氏名】クレパン ティボルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ニーダーカッセル フレデリク
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA01
4D052CE00
4D052DA02
4D052FA00
4D052HA01
4D052HA02
(57)【要約】
互いに隣接して延び、第1の接続端(4)及び第2の接続端(5)の各々で少なくとも1つの開口部(8)に関連する所定の数の乾燥セグメント(3a、3b、...3f)を有する乾燥媒体(2)を含む乾燥装置(1)であって、所定の数は6以上であり、接続端の各々は、軸(9)の周りで互いに相対的に回転可能な相補的な第1及び第2の同心要素を備え、開口部は、軸の周りの回転リングに沿って第1の同心要素に設けられ、第2の同心要素の各々は、回転リングの位置で開口する少なくとも2つの経路(10A、10B)を区切り、第1及び第2の接続端の対応する経路が、乾燥装置を通る第1の空気流及び第2の空気流を可能にするために、開口部及び乾燥セグメントを介して互いに接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接して延び、第1の接続端(4)及び第2の接続端(5)の各々で少なくとも1つの開口部(8)に関連する所定の数の乾燥セグメント(3a、3b、...3f)を有する乾燥媒体(2)を含む乾燥装置(1)であって、前記所定の数は6以上であり、前記接続端の各々は、軸(9)の周りで互いに相対的に回転可能な相補的な第1及び第2の同心要素を備え、前記開口部は、前記軸の周りの回転リングに沿って前記第1の同心要素に設けられ、前記第2の同心要素の各々は、前記回転リングの位置で開口する少なくとも2つの経路(10A、10B)を区切り、前記第1及び第2の接続端の対応する経路が、前記乾燥装置を通る第1の空気流及び第2の空気流を可能にするために、前記開口部及び前記乾燥セグメントを介して互いに接続される、乾燥装置。
【請求項2】
前記第2の同心要素の各々には少なくとも第1の経路が形成されており、前記第1の経路は、前記回転リングの位置で、前記第1の経路及び前記関連するセグメントを通る前記第1の空気流を可能にするために、前記開口部の第1の選択対象に開口する、請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記第2の同心要素の各々は、前記第2の同心要素の周りに第2の経路を区切り、前記第2の経路及び前記関連するセグメントを通る前記第2の空気流を可能にするために、前記第1の選択対象とは異なる前記開口部の第2の選択対象に開口したままにするように、さらに形成されている、請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの開口部の各々は、前記回転リングに沿って設けられた第1の開口部8を備えると共に追加の回転リングに沿って設けられた第2の開口部8’を備え、前記第2の同心要素は、前記第1の経路が前記第1の開口部8に開口している場合に、前記第2の開口部8’をカバーし、前記第1の開口部8がカバーされている場合に、前記第2の開口部8’を開放したままにするように形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記開口部は、実質的に一定の大きさを有し、前記回転リングに沿って互いに実質的に一定の中間距離に位置する、請求項1から4のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記乾燥セグメント及び前記第1の同心要素は、静的に設けられており、前記第2の同心要素は、回転可能である、請求項1から5のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記所定の数は、50よりも小さく、好ましくは40よりも小さく、より好ましくは30よりも小さく、前記所定の数は、好ましくは10よりも大きく、より好ましくは15よりも大きく、最も好ましくは20よりも大きい、請求項1から6のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記第2の同心要素は、前記第1の同心要素に対して同期して回転するように動作可能に結合されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項9】
前記動作可能な結合は、前記第2の同心要素を互いに物理的に結合する軸よって形成される、請求項8に記載の乾燥装置。
【請求項10】
前記2つの経路は、第1の空気流がXのセグメントを流れることができるように、及び第2の空気流がYのセグメントを流れることができるように設けられており、XはYよりも大きい、請求項1から9のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項11】
前記乾燥装置は、前記第1の空気流及び前記第2の空気流が反対方向に流れることができるように設けられている、請求項1から10のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項12】
前記乾燥装置は、一方で前記第1の空気流の端と他方で前記第2の空気流の端との間に広がる第3の空気流を許容するように形成される、請求項11に記載の乾燥装置。
【請求項13】
前記2つの経路は、前記第3の空気流がZのセグメントを流れることを可能にするために設けられており、ZはYよりも小さい、請求項10又は11、及び12に記載の乾燥装置。
【請求項14】
前記乾燥セグメントの各々は、前記少なくとも1つの開口部と前記乾燥媒体との間で空気を分配するために、前記乾燥媒体の両側に空気室を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項15】
ガスを圧縮するための圧縮機であって、前記圧縮機は。圧縮ガスのための出口を有する少なくとも1つの圧縮機要素を備え、前記圧縮ガスのための出口は、請求項1から14のいずれか一項に記載の乾燥装置に接続されている、圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮ガスを乾燥させる乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルギー国特許出願第2016/5804号明細書には、圧縮ガスを乾燥させるための乾燥装置が記載されている。この文献は、圧縮機要素から到来する圧縮ガスの熱をどのように効率的に利用することができるかを説明している。このような接続方法により、圧縮ガスを再生空気流として及び乾燥空気流として乾燥設備を介して搬送することができる。この乾燥設備は、乾燥空気が乾燥媒体の一部を通って運ばれるが、再生空気が乾燥媒体の別の部分を通って運ばれるという特徴をもつ連続乾燥設備である。再生空気と乾燥空気が媒体を流れる位置は、ほぼ連続的に変化する。ベルギー国特許出願第2016/5804号明細書には、実質的に静的に位置付けられた空気流の中を回転する円筒形の乾燥媒体が提示されている。軸の周りを回転する乾燥媒体の各セクションは、これによって再生空気流及び乾燥空気流に連続的に入り込むことになる。これは、実際には回転式乾燥機と呼ばれている。
【0003】
欧州特許出願公開第1140325号明細書には、実質的に円筒形の乾燥媒体が固定的に配置された乾燥装置が記載されている。ガス流を分離する手段は、乾燥媒体の上方及び下方に回転可能に設けられている。このようにして、上述の回転乾燥機と同様の、乾燥媒体と空気流との間で相対的な回転運動が行われる乾燥装置が得られる。相違点は、この文献では、乾燥媒体は静止しているが空気流は回転しており、空気流を分離するための手段が回転している点である。
【0004】
米国特許第7,077,187号明細書には、乾燥媒体が3つの空洞を有する代替装置が記載されている。これらの空洞は、壁によって相互に分離されている。3つの空洞は、その第1及び第2の端部の位置で、3つの空気室によって接続されている。空気分配エレメントは、3つの空気室の間の中央に配置されている。空気分配エレメントは回転することができ、それによって空洞には再生空気流及び乾燥空気流が交互に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ベルギー国特許出願第2016/5804号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1140325号明細書
【特許文献3】米国特許第7,077,187号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、乾燥空気流と再生空気流との間の最適な分配を得ることができ、より安価であまり手のかからない方法で製造することができる乾燥装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、互いに隣接して延び、第1の接続端及び第2の接続端の各々で少なくとも1つの開口部に関連する所定の数の乾燥セグメントを有する乾燥媒体を含む乾燥装置を提供し、所定の数は6以上であり、接続端の各々は、軸の周りで互いに相対的に回転可能な相補的な第1及び第2の同心要素を備え、開口部は、軸の周りの回転リングに沿って第1の同心要素に設けられ、第2の同心要素の各々は、回転リングの位置で開口する少なくとも2つの経路を区切り、第1及び第2の接続端の対応する経路が、乾燥装置を通る第1の空気流及び第2の空気流を可能にするために、開口部及び乾燥セグメントを介して互いに接続される。
【0008】
本発明は、乾燥セグメントの数が6より大きい場合に、再生空気流と乾燥空気流との間の比率を最適化できるという見識に基づいている。具体的には、乾燥空気を流すために、全乾燥媒体のより大きな容積セグメントを使用することができる。従って、乾燥媒体のより小さな容積部分を再生空気流に使用することができる。これによって、乾燥媒体がより最適に使用され、乾燥装置の効率も向上する。
【0009】
本発明は、さらに、従来の方法で乾燥ドラムを空気分配エレメントに接続し、乾燥ドラムと空気エレメントの間の相対的な移動を可能にすると、構造が複雑になり、メンテナンスが困難な高価な乾燥装置になるという見識に基づいている。乾燥セグメントを相補的な同心要素に設けられた開口部と関連付けることで、第2の同心要素で区切られた経路を介して空気を第1の同心要素の開口部に分配することができる。これは、より安価に実現でき、摩耗の影響を受けにくい、かなり単純な構造である。また、このような構造は、メンテナンスも容易である。従って、本発明による乾燥装置は、公知の乾燥装置よりも効率的であり、安価でメンテナンスが容易である。
【0010】
好ましくは、第2の同心要素の各々には、少なくとも第1の経路が形成され、第1の経路は、この第1の経路及び関連するセグメントを通る第1の空気流を可能にするために、回転リングの位置で開口部の第1の選択対象に開口する。第2の同心要素の各々に第1の経路を形成することにより、この第1の経路は、第1の経路を介して外部の空気流を運ぶために、簡単な方法で接続することができる。第2の同心要素を回転させることで、関連するセグメント、すなわち経路が開口する第1の選択対象の開口部に関連するセグメントを変更することができる。これによって、第1の空気流及び第2の空気流は、1つのセグメントを交互に通過することができる。
【0011】
好ましくは、第2の同心要素の各々は、第2の同心要素の周りで第2の経路を区切り、第2の空気流が第2の経路及び関連するセグメントを通過できるようにするために、第1の選択対象とは異なる第2の選択対象に開口したままになるようにさらに形成される。第2の選択対象の開口部を開口したままにすることで、第1の経路は、第2の経路から単純な方法で区切ることができる。より具体的には、第1の経路は、第2の同心要素に向かって延びてそれを通るが、第2の経路は第2の同心要素の周りに位置する。第2の経路は、第2の同心要素の周りのハウジングに空気流を与えることによって接続することができるが、第1の経路は、第2の同心要素を接続することによって接続される。
【0012】
好ましくは、上記の少なくとも1つの開口部の各々は、回転リングに沿って設けられた第1の開口部と、追加の回転リングに沿って設けられた第2の開口部とを備え、第2の同心要素は、第1の経路が第1の開口部8に通じる第2の開口部をカバーし、第1の開口部がカバーされる第2の開口部を開放したままにするように形成される。各セグメントに第1の開口部及び第2の開口部を設けることで、第1の開口部を介して第1の空気流を接続し、第2の開口部を介して第2の空気流を接続するという選択肢を可能にすることができる。これにより、同心要素の設計の自由度が大幅に向上する。また、空気流に対する抵抗も減少する。
【0013】
開口部は、好ましくは、実質的に一定の大きさを有し、各開口部は、好ましくは、回転リングに沿って互いに実質的に一定の中間距離に位置する。実質的に一定のサイズ及び実質的に一定の中間距離に起因して、空気は、経路を介して最適な方法で開口部に送ることができる。また、経路を開口部に対して回転させることで、同心要素の相対的な角度位置に依存しない予測可能な効果を得ることができる。
【0014】
好ましくは、乾燥セグメント及び第1の同心要素は、乾燥装置内に静的に設けられ、第2の同心要素は、乾燥装置内で回転可能である。乾燥セグメントを静的に設けることで、乾燥媒体も静的に設けられる。乾燥セグメント及び第1の同心要素を静的に設けることにより、乾燥装置の大部分及び最大の動作要素が固定される。乾燥装置の固定構造は、相当数の構成要素及び大型構成要素を回転可能に設ける必要がある場合に比べて、かなり単純である。これにより、乾燥装置をより安価かつ確実に製造することができる。
【0015】
所定の数は、好ましくは50よりも小さく、より好ましくは40よりも小さく、最も好ましくは30よりも小さく、所定の数は、好ましくは10よりも大きく、より好ましくは15よりも大きく、最も好ましくは20よりも大きい。試験の結果、最適な乾燥セグメントの数は約25であることが分かっている。乾燥セグメントの数を増やすことで、再生空気流に対する乾燥空気流の比率をより正確に決定することができる。また、このような数の乾燥セグメントでは、乾燥媒体に第3の空気流、例えば冷却気流を流すことも可能になる。
【0016】
相補的な同心要素は、軸の横方向の断面での乾燥媒体の表面積よりもかなり小さな軸の横方向の断面での表面積を有する。換言すると、乾燥装置は、空気の分配を行う同心要素が、空気が分配される乾燥媒体自体よりもかなり小さくなるように形成することが可能である。これにより、空気を分配するための構成要素の相対運動が大幅に減少する。
【0017】
好ましくは、開口部と乾燥媒体との間に空気室が設けられ、開口部を流れる空気が乾燥媒体中に均一に分配されるようになっている。換言すると、空気室は、同心要素の小さな表面積と乾燥媒体の大きな表面積を橋渡しする。これにより、空気は、一方側の開口部と他方側の乾燥媒体との間で放射状に流れることができる。
【0018】
好ましくは、各第2の同心要素は、同期して第1の同心要素に対して回転するように動作可能に結合される。好ましくは、動作可能な結合は、第2の同心要素を互いに物理的に結合する軸によって形成される。物理的結合により、同心要素は常に同期して動くことになり、それにより、乾燥媒体の両側の経路は、2つの空気流が乾燥媒体のセグメントを通過できるように対応して配置される。同期回転により、少なくとも1つの開口部に関連付けされる連続したセグメントは、第1の接続端及び第2の接続端の両方で、第1の空気流及び第2の空気流のために交互に使用することができる。また、機械的な接続に代えて、電気的、電子的、又は油圧的な作動接続も可能であり、その場合、第2の同心要素は同期して駆動することができる。
【0019】
好ましくは、2つの経路は、第1の空気流がXのセグメントを通過し、第2の空気流がYのセグメントを通過するように設けられ、XはYよりも大きく、好ましくは、XはYの1.5倍よりも大きく、好ましくは、XはYの2倍よりも大きく、好ましくは、XはYの5倍よりも小さい。試験の結果、このような乾燥空気流と再生空気流との間の比率が乾燥装置に最適であり、効率的な作動を可能にすることが分かっている。
【0020】
好ましくは、乾燥装置は、第1の空気流と第2の空気流を逆方向に流すことができるように設けられる。これにより、乾燥装置を効率的に構成することができる。
【0021】
好ましくは、乾燥装置は、一方の第1の空気流の端と他方の第2の空気流の端との間に広がる第3の空気流を許容するように形成される。第1の空気流は乾燥空気流を形成し、第2の空気流は再生空気流を形成する。通常、乾燥空気は、冷却されている。この冷却された乾燥空気は、部分的に冷却空気として使用することができる。この目的のために、経路は、全ての乾燥空気が排出されるのではなく、乾燥空気のごく一部が冷却空気として少なくとも1つのセグメントに戻されるように形成することができる。この冷却空気は、典型的に、再生空気と並行して隣接して流れ、再生空気の流れと一緒に乾燥装置の反対側で集めることができる。冷却空気の主な機能は、冷却を行うことである。第二に、冷却空気は他の効果をもつことができる。好ましくは、2つの経路は、第3の空気流がZのセグメントを流れるように設けられており、ZはYよりも小さい。好ましくは、Zはセグメントの総数の最大10%、より好ましくは最大5%に相当する。
【0022】
本発明は、さらに、ガスを圧縮するための圧縮機に関し、この圧縮機は、圧縮ガス用の出口を備えた少なくとも1つの圧縮機要素を備え、圧縮ガス用の出口は、請求項のいずれか一項に記載の乾燥装置に接続される。この圧縮機は、乾燥装置の上述の利点を備えた乾燥圧縮ガスを生成する。
【0023】
次に、本発明を、図面に示す例示的な実施形態に基づいてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】圧縮機要素に接続されている先行技術の乾燥装置を有する圧縮機の概略図を示す。
【
図1B】圧縮機要素に接続された先行技術の乾燥装置を有する圧縮機の代替的な概略図を示す。
【
図2】好ましい実施形態による乾燥装置の概略的な分解図を示す。
【
図3】さらなる実施形態による乾燥装置の断面を示す。
【
図7】空気を分配するためのチャネルの詳細を示す。
【
図10】本発明による乾燥装置のさらなる代替的な実施形態を示す。
【
図11】相補的な同心要素の代替的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面において、同じ又は類似の要素は、同じ参照符号で示されている。
【0026】
図1Aは、本発明による圧縮機設置装置11の第1の実施形態を示し、この場合、2つの圧縮機要素12a及び12bを備える。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明による圧縮機設備11は、1又は2以上の圧縮機要素12a及び12bを備えることもできる。
【0027】
圧縮機要素12a及び12bは、図示しない、例えば、1又は2以上のモータ、タービン、スプロケットホイールなどの形態の駆動手段に結合されている。
【0028】
この場合、圧縮機要素12a及び12bは、第1の低圧段12aと、その下流に位置する第2の高圧段12bを成す。好ましくは、インタークーラ13が関連する圧縮機要素12aと12bの間の接続導管に設けられている。
【0029】
高圧圧縮機12bは、圧力導管15の第1の外側端が接続される圧縮ガス用の出口14を備える。
【0030】
本発明による圧縮機設備11は、圧縮ガス用の乾燥装置1をさらに備え、この乾燥装置1は、乾燥媒体2が位置するハウジングを備える。乾燥空気流及び再生空気流は、この乾燥媒体を通って流れる。
図1において、乾燥空気流は、第1の入口16から第1の出口17まで乾燥媒体2を通過する。第1の出口17は、通常、第1の入口16に対して反対端に位置する。圧力導管15は、その第2の外側端が乾燥用の圧縮ガスのための第1の入口16に接続される。
【0031】
この圧力導管15は、再生空気を加熱するための熱交換器18を備えることができ、熱交換器18は、高圧圧縮機要素12bから乾燥装置1の第1入口16に流れる圧縮ガスの冷却も部分的に行う。このように、熱交換器18の構成は、高圧圧縮機要素12bから到来する圧縮ガスが乾燥装置1に入る前に冷却されるようになっている。
【0032】
また、この場合、圧力導管15にはアフタークーラ19が設けられており、アフタークーラ19は、好ましくは熱交換器18の下流側、すなわち圧縮ガスの流れ方向で、熱交換器18と乾燥装置の第1の入口16との間に配置される。
【0033】
以下の図を参照して乾燥装置及びその動作をより詳細に説明する。乾燥装置は、例えばシリカゲル顆粒、活性アルミナ、分子篩材料、又はそれらの組み合わせといった、再生可能な乾燥剤又はいわゆる乾燥剤材料を含む乾燥媒体2を備える。もちろん、乾燥剤は他の方法で組み込むことも可能である。
【0034】
図では、再生空気流は、再生ガスを供給するための第2の入口20から、使用済み再生ガスを排出するための反対側に位置する第2の出口21に流れる。使用済みの再生ガスは、乾燥媒体2を通過した後、そこから抽出された水分で汚染されたガスを意味すると理解される。
【0035】
乾燥装置1の第1の出口17は、乾燥した圧縮ガスを、例えば、圧縮空気システム、圧力容器、もしくは圧縮ガスを利用する機械又は工具の形のユーザ(図示せず)に取り出すための出口導管28に接続されている。
【0036】
本発明によれば、前記熱交換器18の冷却入口27に接続される第1の分岐導管26は、出口導管28に接続されるが、熱交換器18は、第2の再生導管30を介して乾燥装置1の第2の入口20に接続される冷却出口29をさらに備える。
【0037】
この場合、関連する冷却入口27及び冷却出口29は、熱交換器18の二次部分の一部を形成しており、熱交換器18の一次部分は、乾燥用の圧縮ガスを導くように構成されている。
【0038】
乾燥装置1の第2の出口21は、戻り導管22を介して、熱交換器18の下流の地点で圧力導管15に接続されており、この場合、アフタークーラ19を乾燥ゾーン8の第1の入口16に接続する圧力導管15の部分上である。
【0039】
また、本実施形態の戻り導管22には、追加の冷却器23及び凝縮水分離器が設けられているが、凝縮水分離器は、冷却器23の冷却部分と同じハウジングに収容することができ又は収容しなくてもよく、
図1Aには示されていない。
【0040】
図1Aの実施形態では、戻り導管22と圧力導管15との間の接続は、圧力導管15に配置され、戻り導管22が接続される吸引開口部25を備えるベンチュリ24によって実現される。
【0041】
図1Aによる圧縮機設備11の動作は非常に単純であり、以下の通りである。低圧段12aは、圧縮のために、例えば空気のようなガス又はガス混合物を吸い込む。その後、結果としての圧縮熱の一部はインタークーラ13によって排出される。
【0042】
インタークーラ13を出た圧縮ガスは、高圧段12bに流れ、そこでさらに圧縮された後、熱交換器18の一次部分に流れる。少なくとも部分的にガス-ガス熱交換器として機能する関連の熱交換器18において、圧縮熱は、冷却入口27を介して熱交換器18に入り、冷却出口29を介して再び熱交換器から出るガスに伝達される。
【0043】
熱交換器18は、圧力導管15を流れるガスが、冷却ガスとして熱交換器18の二次側を通って導かれるガスと混合されないように構成されていることを理解されたい。この場合、熱交換器18は、そこを流れる2つのガス流が相互に逆流するように構成されているが、これは本発明では厳密な要件ではない。
【0044】
熱交換器18を出て圧力導管15を経由して流れる予冷された圧縮ガスは、次に、アフタークーラに入り、そこでこのガス流のさらなる冷却が行われる。
【0045】
その後、低温の圧縮ガスは、ベンチュリ24及び第1の入口16を通って乾燥装置1に流れ、ここでガスの中に存在する水分が乾燥媒体2の中の乾燥剤によって吸収される。
【0046】
その後、低温の乾燥した圧縮ガスは、第1の出口17を通って乾燥装置1を出て、出口導管28を通って圧縮ガスのユーザに流れる。
【0047】
本発明によれば、低温の乾燥した圧縮ガスの一部は、出口導管28から取り出され、次に第1の分岐導管18を通って熱交換器18の二次部分に、より具体的には冷却入口27に送られ、そこで冷却媒体として機能する。
【0048】
ガスが冷却出口29を出るとき、その温度は、高圧圧縮機要素12bで発生した圧縮熱の吸収により上昇している。分岐導管26を介して取り出されたガスの相対湿度は、これによって非常にエネルギー効率の高い方法でさらに低下することになる。
【0049】
最後に、再生導管30を通って流れる余分な乾燥ガスは、乾燥装置1を通る再生空気として第2の入口20を通って運ばれ、このガスは、乾燥媒体2から余分な水分を抽出することになる再生ガスとして機能する。
【0050】
再生ガスは、第2の出口21を通って再生ゾーンから出た後、追加の冷却器23及びその下流に設けられた凝縮物分離器を通ってベンチュリ24の吸引開口部25へ流れることになる。凝縮物分離器は、必須ではなく随意的に、冷却器2と同じハウジングに統合することができる。
【0051】
本発明によれば、ベンチュリの存在は厳密には必要ではなく、再生ゾーン14から出る再生ガスを、熱交換器18から圧力導管15を通って乾燥ゾーン8に流れる高温の圧縮ガス流と混合するために、例えばブロアを使用することもできる。
【0052】
図示された実施形態の代替案として、アフタークーラ19及びクーラ23を1つの単一の要素に統合することができ、物理的に1つのクーラだけが必要となる。
【0053】
図IBは、乾燥装置1を圧縮機要素12に接続する代替的な方法を示す。
図IBでは、圧縮ガス用の出口14が分割され、圧縮ガスの一部が再生ガスとして乾燥装置1の第2の入口20に直接運ばれる、より単純な構造を示す。圧縮ガスの別の部分は、冷却器19で冷却され、乾燥させるために乾燥装置の入口16に運ばれる。また、乾燥装置の第2の出口21は、冷却器23で冷却され、ベンチュリ24又は小型圧縮機要素24を介して他の部分と混合され、冷却されるようになっている。
【0054】
上述の構造は好都合であるが、当業者は、圧縮ガスを乾燥させる目的で、乾燥装置1を異なる方法で圧縮機に統合できることを理解するであろう。圧縮機要素12の出口は、例えば、冷却器を介して第1の入口16に直接かつ完全に接続すること及び乾燥装置1によって完全に乾燥させることができる。ここでは、外部の空気流は、再生流としての機能を果たすために第2の入口20に接続することができる。
【0055】
図2は、乾燥装置1をより詳細に示す。
図2は、より具体的には、乾燥媒体2を示す。好ましくは、乾燥媒体は、軸9の方向に延びる複数の狭い細長い小さな経路又はチューブを有する内部構造を備える。これらの細長い経路又はチューブの壁は、所定の所望のエネルギー及び水分吸収容量を有する材料で構成される。これにより、乾燥媒体を流れる空気と、エネルギー及び水分の交換を可能にする材料との間で、大きな接触面が得られる。典型的には、乾燥媒体は、隣接する細長い小さな経路又はチューブが互いに隔離され、空気が1つの経路又はチューブから別の経路又はチューブに流れることができないように形成される。換言すれば、1つの小さな経路又はチューブの中の乾燥媒体に流入した空気は、同じ経路又はチューブを通って他端で乾燥媒体から流出することになる。
【0056】
どのような形態であっても、この乾燥媒体は、複数の乾燥セグメント3に分割される。セグメントの数は最小で6である。
図2では、セグメントは参照符号3a、3b、3c、3d、3e、3fで示される。好ましくは約25のセグメントが設けられる。乾燥媒体が円筒形の場合、各セグメントは、好ましくは約15度に広がる。乾燥媒体が上述の内部構造で形成される場合、各セグメント3は、複数の小さな経路又はチューブを有することができることを理解されたい。しかしながら、乾燥媒体2のセグメント化は、代替的な構成も可能にする。従って、各セグメントを別個のハウジングに形成すること、又は複数のキャビティを1つのハウジングに設けることができる。
【0057】
乾燥媒体2が、複数の細長い小さな経路又はチューブを有する内部構造により形成される場合、各経路又はチューブは、それ自体、乾燥媒体2内のセグメントとみなすことができ、その結果、非常に多くのセグメントを有することになる。しかしながら、細長い経路の始点と終点に空気室を形成することで、上記のセグメントを形成するようにこれらのセグメントは機能的に束ねられる。上記のセグメントの数は、細長い経路又はチューブの数よりもかなり少ない。
【0058】
乾燥媒体2は、第1の接続端4と第2の接続端5との間に延びる。好ましくは、乾燥媒体2は、上向きに延びる。
図2の実施形態では、第1の接続端4は上部に形成されている。
図2の実施形態では、第2の接続端5は下部に形成されている。接続端4及び5の位置では、空気流が制御され、乾燥媒体2を通して分配される。従って、第1の接続端4は、乾燥空気流のための第1の出口17を有しかつ再生空気流のための第2の入口20を有する。第2の接続端5は、乾燥空気流のための第1の入口16を有しかつ再生空気流のための第2の出口21を有する。
【0059】
空気流は、セグメント3に分配される。より具体的には、乾燥空気流及び再生空気流、随意的に冷却空気流は、セグメント3に分配されることになる。これによって、乾燥空気流は入口16から出口17に流れ、再生空気流は入口20から出口21に流れることになる。好ましくは、乾燥空気流及び再生空気流は、乾燥媒体2を通って反対方向に流れる。
【0060】
セグメント3に空気流を分配するために、第1の接続端4及び第2の接続端5の位置に相補的な同心要素が設けられている。
図2では、第1の接続端4での相補的な同心要素のみが示されている。当業者であれば、第2の接続端5の位置にも同じ又は同様の相補的な同心要素が設けられることを理解できるであろう。
【0061】
図2は、第1の同心要素6を示す。この第1の同心要素6は、円筒形の形態をとる。第1の同心要素6には、複数の開口部8が設けられている。これらの開口部8は、乾燥セグメント3と関連している。より具体的には、各乾燥セグメント3は、この少なくとも1つの開口部8を通って流れる空気が、それぞれの乾燥セグメント3にも流れるように、少なくとも1つの開口部8に関連することになる。開口部8は、軸9の周りの回転リングに沿って延びる。同様に、第1の同心要素6は軸9の周りに延びている。
【0062】
また、
図2は、第2の同心要素7を示す。第2の同心要素7は、第1の同心要素6と相補的である。より具体的には、第2の同要素7は、空気を分配できるように、第1の同心素6に対して相対的に動くことができる。この目的のために、本実施形態では、第2の同心円要素はまた、第1の同心要素6の直径に対応する直径で軸9の周りに延びている。第2の同心要素7は、軸9の周りの回転リングに沿って位置する経路10を有する。この回転リングは、それに沿って開口部8が形成される回転リングと同じである。これにより、同心要素6及び7が取り付けられると、経路10が開口部8上に開くという結果になる。
【0063】
図2は、2つの経路10A及び10Bを示す。当業者は、第1の経路10Aが第1の空気流である乾燥空気流に関連し、第2の経路10Bが第2の空気流である再生空気流に関連することを理解するであろう。2つの経路10A及び10Bは、軸9の周りで回転リングに沿って開口する。従って、経路10A及び10Bは、第1の接続端の位置で、第1の出口17を開口部8の一部に接続し、第2の入口20を開口部8の別の部分に接続する。従って、経路10A及び10Bは、第1の出口17及び第2の入口20からの空気を開口部に分配する。第2の接続端5の位置に同様の又は同一の同心要素7が設けられているので、2つの空気流が形成され、これは、乾燥媒体2を流れることができかつ互いにほぼ完全に分離されている。ここで、乾燥媒体及び第1の同心要素6を含む構成要素の大部分は、静的な形態、すなわち、ハウジング(
図2には示されていない)に固定的に結合された形態をとることができることを理解されたい。
【0064】
図3は、本発明の実施形態による乾燥装置1の実際の実施形態を示す。
図3は、乾燥媒体2がハウジング31内に設けられていることを示す。この実施形態では、ハウジングは円筒形である。乾燥媒体2はハウジング内に固定的に設けられているので、矩形又は分割された形態などの他の形態も可能であることを理解されたい。第1の接続端4の第2の同心要素7を第2の接続端5の第2の同心要素7に物理的に結合する軸34は、ハウジング31を通って中央に延びている。物理的な結合のため、これらの第2の同心要素7は常に完全に同期して回転する。
【0065】
図3は、第1の入口16が第2の同心要素7に直接接続されており、空気は、第1の接続端4の位置での開口部8の一部を通過できることを示す。この空気は、乾燥媒体2を流れ、第2の接続端5の位置で、開口部8及び第2の同心要素7を通って第2の出口に送られる。このように、空気流は、乾燥媒体を通って、より具体的には、第2の同心要素7及び限られた数のセグメントを通って送ることができる。
【0066】
空気室33は、乾燥媒体2のセグメントの全ての小さな経路又はチューブに空気が流れるようにするために設けられている。空気室は、乾燥媒体のそれぞれのセグメントの横面から、少なくとも1つの関連する開口部まで延びている。小さな断面積を有する第1の同心要素に形成された開口部から、かなり大きな断面積を有する乾燥媒体へ空気が流れを可能にするために、空気室は、開口部8から少なくとも部分的に半径方向に延びている。断面は、軸9に垂直な方向から見たものである。従って、空気室は、乾燥媒体全体への空気の分配を可能にする。好ましくは、各空気室は、1つの乾燥セグメント3に関連する。例えば、乾燥セグメント3が複数の開口部8を有する場合、乾燥セグメント3は複数の空気室に関連することができる。
【0067】
図3は、開口部8が参照符号8で示された円筒形の表面に位置するだけでなく、参照符号8’で示された軸9に垂直な表面にも位置することができることをさらに示す。各空気室33、及びこれに伴って各セグメント3は、第1の開口部8及び第2の開口部8’と関連する。これらの追加の開口部8’は、第2の同心要素7の一部を形成するカバープレート35によって少なくとも部分的に覆われている。第2の開口部8’は、第1の同心要素6の一部を形成する。第2の開口部8’は、第1の開口部8の回転リングよりもかなり大きい回転リングの位置に開口する。当業者であれば、第1及び第2の同心要素6及び7が依然として相補的であり、また依然として同心状であることを理解できるであろう。これに関連して、同心とは、互いに交差せず、同じ軸の周りに構成されている要素と定義される。補完的とは、機能的に関連しており、空気流を互いに分離するように協働することと定義される。この同心性により、エレメント6及び7は、軸9の周りで相対的に回転させることができる。
【0068】
図3の実施形態では、2つの同心要素7は経路を互いに区切ることができるが、第2の同心要素7は、2つの経路を備える必要はないであろう。これは、第1の経路が第2の同心要素7を通ることになるからである。この第1の経路は、第1の開口部8に開口し、一方、カバープレートは、関連する第2の開口部8’を覆う。従って、区切ることは、開口部8に関連する空気室33、ひいてはセグメント3の第2の同心要素7によって実現される。より具体的には、第2の同心要素7は、これらのセグメントを周囲の領域に対して隔離することによって、これらのセグメントを区切ることができる。従って、第1の経路は、第2の同心要素7及びそれに接続されたセグメントを介して形成することができ、一方、第2の経路は、第2の同心要素7の周囲に形成される。本実施形態では、第1の経路に接続される開口部は、開口部の第1の選択対象と呼び、第2の経路に接続される開口部は、開口部の第2の選択対象と呼ぶことができる。第2の同心要素は、第1の選択対象の第1の開口部に通じる経路を構成し、一方、カバープレートは、第1の選択対象の第2の開口部をカバーする。また、第2の同心要素は、第2の選択対象の第2の開口部をカバーしないように及び第2の選択対象の第1の開口部をカバーするように形成されている。第1の選択対象の第2の開口部をカバーするために及び第2の選択対象の第1の開口部をカバーするために、それぞれの開口部を個別に閉じる必要はないが、第1の経路からの空気が第2の経路に流れないように(その逆も同様)、互いに他の経路から開口部を仕切る必要があることを理解されたい。
【0069】
図3の実施形態では、経路の接続は以下のように単純である。上部及び下部において、第2の同心要素は、再生空気の入口20及び出口21に直接、回転可能に接続することができる。第2の同心要素を回転させることにより、再生空気は乾燥媒体の異なるセグメントを交互に運ばれる。ハウジング31は、第2の空気流が第2の同心要素の周りを流れることができるように、出口17及び入口16の上部及び下部に設けることができる。換言すると、第2の同心要素は、再生空気流が乾燥空気流と反対方向に流れることができるようにするために、乾燥媒体のゾーンを遮蔽する。乾燥空気流は、第2の同心要素によってカバーされているセグメントを除いて、開口部8’を介してセグメントを通って乾燥装置のハウジングを流れる。
【0070】
図4は、相補的な同心要素の一実施形態を示す。より具体的には、
図4Aは、第1の同心要素を示し、
図4Bは、第2の同心要素を示す。
図4Aの第1の同心要素は、中心ゾーンが円筒形であり、円筒面に沿って延びる開口部8を有する。当業者は、円筒形は単なる1つの実施形態であり、随意的に切頂円錐形などの他の形態も適用可能であることを理解することができる。
図4Aの実施形態には、セグメント化壁36がさらに示されている。セグメント化壁36は、第1の同心要素6の中央ゾーンから半径方向に延びている。乾燥装置1が
図3に示すように構成されている場合、セグメント化壁36は、乾燥媒体の直径に実質的に等しい直径まで延びる。セグメント化壁36は、乾燥セグメント3の全ての小さな経路又はチューブに空気を分配するための空気室33を形成する。セグメント化壁36は、少なくとも乾燥媒体2に接触して、好ましくは、部分的に乾燥媒体2の中に配置される。これにより、セグメント化壁36と乾燥媒体の材料との間の空気の密閉性が保証される。セグメント化壁36を部分的に乾燥媒体2の中に配置することで、依然として粗く完全に滑らかでない仕上げ乾燥媒体2を確実に使用することが可能になる。先行技術のように、乾燥媒体2が空気分配器に対して相対的に回転する場合には、乾燥媒体2が非常に滑らかな仕上げを有することが不可欠である。
【0071】
セグメント化壁は、開口部8を介してセグメント間でのみ空気を分配できるように、上部で閉鎖することができる(図示せず)。図示の実施形態では、セグメント化壁は上部で開いているので、軸9に実質的に垂直な表面に追加の開口部8’が形成されている。第2の同心要素は、追加の開口部8’の一部を閉じることができるように、追加の開口部8’に取り付くカバープレートを備えることが好ましい。これにより、異なる空気流を異なるセグメントに送ることができる。
【0072】
図4Bは、第2の同心要素7を示す。第2の同心要素は円筒形であり、第2の同心要素は第1の同心要素6の中にぴったり適合するような直径を有する。軸9の方向に測定された第2の同心円要素7の長さは、少なくとも、第1の同心円要素6の実質的に全体に広がるのに十分な大きさである。
図4Bにおいて、第2の同心要素7は、2つの経路10A及び10Bを有する。経路10A及び10Bは、同心要素6及び7が取り付けられた場合に、異なる開口部8に開口する。
図4Bは、経路10Aと10Bとの間の境界面を示す。この境界面は、経路境界37を形成し、回転リングの位置で2つの経路10A及び10Bを互いに分離する。経路境界37は、好ましくは開口部8の幅と少なくとも同じ大きさの幅、好ましくはわずかに大きい幅を有する。このような幅を有する経路境界37は、第1の経路10A及び第2の経路10Bが同じ開口部8に開口するのを防止する。
図4Bでは、第1の経路10Aは、第2の出口21を形成するパイプに接続されている。カバープレート(
図4Bには示されていない)は、典型的には、追加の開口部8’を閉じるように、第1の経路10Aの位置で半径方向に延びることができる。従って、第1の空気流及び第2の空気流は、2つの相補的な同心要素6及び7によって、簡単な方法で互いに分離することができる。
【0073】
図5は、乾燥装置の第1の接続端の実施形態の詳細を示し、乾燥媒体2内で2つの空気流を互いに分離するために、相補的な同心要素がどのように協働するかを示す。
図5は、乾燥媒体2を示し、セグメント化壁36が上部に空気室33をどのように形成するかを示す。また、
図5は、空気室33が中央ゾーンに開口部8を有し、上部に開口部8’をさらに有することを示す。図の左側では、追加の開口部8’がカバープレートによって閉じられている。第2の空気流39の空気は、セグメント3の一部を介して経路10Aを流れることができる。より具体的には、第2の空気流39は、経路10Aが開口する開口部8に関連するセグメントを流れる。これらのセグメントに関連する空気室は、カバープレート35によって上部が閉じられている。第1の空気流38は、図の右側の閉鎖されていない追加の開口部8’を流れる。当業者であれば、第1の空気流38は、開口部8を流れないが、追加の開口部8’を流れることを理解できるはずである。従って、第1の空気流38が流れるセグメントに関連する開口部8は、閉鎖することができる。この実施形態では、乾燥媒体2と、開口部8、追加の開口部8’、及びセグメント化壁36を備える第1の同心要素6とは、好ましくは静的な形態をとる。これは、後述の要素がハウジングに固定的に結合されていることを意味する。本実施形態では、経路10A及びカバープレート35を備える第2の同心要素7は、回転可能である。第1及び第2の接続端4、5の第2の同心要素7の回転を同期させるために、第2の同心要素7を相互に結合する軸34は、乾燥装置1を通って設けられる。
【0074】
図6は、冷却空気流40の原理を示す。冷却空気流40は、第1の空気流38及び第2の空気流39に加えて、乾燥媒体の少なくとも1つのセグメントを流れる第3の空気流を形成する。第1の空気流38は、乾燥空気流である。第2の空気流39は、好ましくは反対方向に流れる再生空気流39である。乾燥空気流の一部を乾燥媒体の少なくとも1つのセグメント内で逆流させることにより、このセグメントの冷却が達成される。従って、好ましくは、冷却空気流は、第1の空気流38が乾燥媒体から離れる第1の空気流38の端から、第2の空気流39の端まで広がり、そこで乾燥媒体から離れる第2の空気流と結合される。これにより、第3の空気流を同心要素に積極的に接続する必要はないが、冷却空気流は、第1及び第2の接続端4及び5の位置で、経路の所定の同期及び相対的な位置によって、乾燥媒体内に得ることができる。試験の結果、冷却空気の流れを与えると、乾燥装置の効率がさらに向上することが分かっている。
【0075】
図7は、第2の同心要素7の断面を示す。ここでは、
図7Aは、第1の接続端4の位置にある第2の同心要素を示し、
図7Bは、第2の接続端5の位置にある第2の同心要素7を示す。
図7A及び
図7Bの同心要素7は同一ではないが、互換性がある。より具体的には、経路10A及び10Bのサイズは同じではなく、それによって、上述の冷却空気流が流れることになる。
【0076】
図7Aは、約90度で広がる第1の経路10Aを有する第2の同心要素7を示す。第2の経路10Bは、約240度で広がる。経路10Aと10Bとの間には、約15度で広がる経路の境界が形成される。
【0077】
図7Bは、約105度で広がる第1の経路10Aを有する第2の同心要素7を示す。第2の経路10Bは、約225度で広がる。経路10Aと10Bとの間には、約15度で広がる経路の境界が形成される。
【0078】
上記で角度の数値が与えられる場合、その指示値は大まかに±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、最も好ましくは±5%と解釈される。当業者であれば、異なる経路と境界の合計の数値が360度になるように、この百分率変化を選択する必要があることを理解できるはずである。
【0079】
図7A及び
図7Bは、同心要素7の動作を説明するための同期線としての線42を示す。乾燥装置1が取り付けられた状態及び動作中では、同期線は平行に延びている。また、
図7A及び7Bでは、回転方向が矢印41で示されている。
図7は、1つの乾燥セグメント3Aを示す。この乾燥セグメント3Aは、第1の接続端4から第2の接続端5まで延びており、空気はこの乾燥セグメント3Aを流れることができる。図示の位置では、乾燥セグメント3Aが第1の接続端4及び第2の接続端5の両方の位置で第2の経路10Bに接しているので、乾燥空気流は乾燥セグメント3Aを流れることになる。ここでは、本実施形態において、乾燥空気流は、第2のチャネル10Bを流れることが想定される。当業者は、同心要素7が回転すると、乾燥セグメント3Aがまず経路境界37によって閉鎖され、次に第1の経路10Aに隣接することができることを理解できるはずである。その時に、再生空気流は乾燥セグメント3Aを通って流れることになる。同心要素7は同一ではないので、乾燥セグメント3Aは、第1の端部の位置で最初に経路境界37によって閉鎖されることになるが、乾燥セグメントは、第2の端部の位置で依然として第1の経路10Aに接している。その結果、乾燥セグメント3Aは、第1の接続端4の位置で第2の経路10Bに接することになるが、乾燥セグメントは、第2の接続端5の位置で第1の経路10Aに接している。その時に、冷却空気流は、乾燥セグメント3Aを流れ始めることになる。この冷却空気流は、乾燥空気流の端部と再生空気流の端部との間に広がる。同心要素7がさらに回転すると、乾燥セグメントは、第2の接続端5の位置で経路の境界によって閉鎖され、冷却空気流が停止することになる。次に、このプロセスが再び繰り返される。複数のセグメント3は、経路10A及び10Bの構造により、上述の方法で、乾燥空気流、再生空気流、及び冷却空気流が交互に供給されることになる。乾燥空気流、再生空気流、冷却空気流の比率は、セグメントの数や第2の同心要素の構造によって決定することができる。
【0080】
図7A及び7Bに示され、上記の付随する説明で使用される回転方向は、限定的に解釈されるべきではなく、同心要素7を複数の方向に回転させることが可能であることを理解されたい。また、回転速度は、乾燥装置1を流れる空気の流量に基づいて及び空気流38及び39の温度に基づいて変化し得ることを理解されたい。
【0081】
図8は、乾燥装置1の第1の接続端4の一部の断面を示す。この
図8は、空気室33が乾燥媒体2の上にどのように形成されるかを示す。乾燥媒体2は、上方向に延びる小さな経路及び/又はチューブを備える。乾燥媒体2は、上側では、何らかの凹凸又は粗い仕上げを有することができる。セグメント化壁36は、少なくとも部分的に乾燥媒体2に押し込まれる。
図8では、セグメント化壁36の約l/3が乾燥媒体2に押し込まれている。しかしながら、セグメント化壁36の上部は平坦であり、カバープレート35が壁に対して密接に結合してシーリングを最適化することができるようになっている。
図8は、矢印43で示された開口部8からの空気を、矢印44で示された乾燥媒体の小さな経路及び/又はチューブに分配するために、空気室33がどのように利用されるかを示す。当業者であれば、逆方向の空気流も同様の方法で促進できることを理解できるはずである。
【0082】
セグメント化壁36を乾燥媒体2の両側で乾燥媒体に少なくとも部分的に押し込むことにより、乾燥媒体2を乾燥セグメント3に細分化することができ、空気は、開口部8を介して乾燥セグメント3から及び乾燥セグメント3に選択的に運ぶことができる。
【0083】
図9は、乾燥装置の代替的な実施形態の上面図を示す。この実施形態では、乾燥媒体2は矩形のハウジング31内に設けられており、乾燥媒体は8つのセグメント3a-3hを備える。各セグメントは、断面において実質的に等しい表面積を有しており、それにより、矩形のコーナーのセグメント3b、3d、3f、3hは、他のセグメント3a、3c、3e、3gよりも狭い。各セグメントは、第1の同心要素6の開口部に関する。この第1の同心要素6は、第2の同心要素7に適合する。第2の同心要素7は、第1の同心要素6の中で回転可能であり、2つの経路10a及び10bを有する。
図9に示す位置では、第1の経路10Aは、セグメント3a及び3hに接続されている。第2の経路10Bは、セグメント3c、3d、3e、3fに接続されている。セグメント3b及び3gは、経路境界37によって閉鎖されている。開口部8は、経路境界37が開口部を完全に閉じることができるように、経路境界37と同じ大きさであることが好ましい。
図9では、第1の同心要素6は、乾燥装置の中央に設けられている。第1の同心要素6は、偏心して配置することもできることを理解されたい。
【0084】
図10は、各乾燥セグメント3が別々に形成され、それ自体のハウジングを有する実施形態を示す。ここでは、各乾燥セグメント3は、接続部45を介して第2の同心要素7に接続されている。第2の同心要素は、接続部45が接続される開口部8(
図10には示されていない)を有し、空気が開口部を流れる際に、この空気がそれぞれの乾燥セグメント3を流れることができるようになっている。各乾燥セグメント3はそれぞれのハウジングを有しているので、一方のセグメントから他方のセグメントへの空気の漏れは不可能に近い。これにより、例えば、表面が所定の特性を有する顆粒を含むチャンバなどの、より安価な乾燥媒体を提供することができる。
【0085】
図10は、2つの接続部16及び21を備える第1の同心要素がどのように構成されるかをさらに示し、第1の同心要素は、第1の経路10Aが接続部16への貫流のために常に接続され、一方、第2の経路10Bが接続部21への貫流のために常に接続されるように内部設計することができる。このような内部設計は、米国特許第7077187号明細書に記載されている(参照により本明細書に組み込まれている)。
【0086】
図11は、相補的な同心要素6及び7の代替的な実施形態を示す。図示の実施形態では、第2の同心要素7は、2つの部分7a及び7bで構成される。第1の部分7aは、第1の同心要素6の内側に位置し、第1の同心要素6の内側の境界の位置で開口部8に向けられる第1の経路10aを有する。第2の部分7bは、第1の同心要素6の外側に位置し、第1の同心要素6の外側の境界の位置にある開口部8に向けられた第2の経路10Bを有している。空気は、このような相補的な同心要素6及び7を介してセグメント3上に分配することができる。
【0087】
当業者は、上記の説明に基づいて、本発明が異なる方法で異なる原理に基づいて具現化できることを理解するであろう。本発明は、上述の実施形態に限定されない。上述した実施形態及び図面は、単に例示的なものであり、本発明の理解を深めるためにのみ役立つものである。従って、本発明は、本明細書で説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義されるものである。
【符号の説明】
【0088】
1 乾燥装置
2 乾燥媒体
3 乾燥セグメント
4 第1の接続端
5 第2の接続端
8 開口部
9 軸
10A 第1の経路
10B 第2の経路
【国際調査報告】