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特表2022-539308多目的血液制御弁と共に使用するように適合されたカテーテルハブ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-08
(54)【発明の名称】多目的血液制御弁と共に使用するように適合されたカテーテルハブ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20220901BHJP
   A61M 39/06 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M39/06 110
A61M39/06 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574960
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2020039134
(87)【国際公開番号】W WO2020263824
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/866,951
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】307048044
【氏名又は名称】スミス メディカル エーエスディー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093067
【弁理士】
【氏名又は名称】二瓶 正敬
(72)【発明者】
【氏名】ムスカテロ、ジェイムス、 エム
(72)【発明者】
【氏名】ゴライ、デイビット、 ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066QQ15
4C066QQ94
4C267AA22
4C267AA24
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB19
4C267BB33
4C267BB40
4C267CC08
4C267HH08
4C267HH20
(57)【要約】
多目的弁を含む安全針アセンブリのカテーテルハブは、弁が外部バイアス力を受けるとき、弁の区画膜を開くために、カテーテルの近位部分をアクチュエータとして使用する。別の実施形態において、アクチュエータはカテーテルハブの一体型構成要素として形成される。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、カテーテルと、アクチュエータとを備える、カテーテルハブであって、
前記本体は遠位端及び近位端を有し、前記本体は、前記近位端において開いた空洞と、前記遠位端におけるアパーチャとを有し、前記空洞は、前記開いた近位端から、前記遠位端において前記アパーチャを取り囲む内部遠位壁へと延在し、前記カテーテルは、近位部分と、遠位部分と、前記カテーテルの前記遠位部分が前記カテーテルハブの遠位的に外部であるように前記アパーチャを介して適切に延在する貫通内腔とを有し、また、前記カテーテルの前記近位部分によって画定される前記アクチュエータは、前記カテーテルハブの前記空洞内部に近位的に延在する、カテーテルハブ。
【請求項2】
前記空洞内部の前記カテーテルの前記アクチュエータは、区画がプローブ端と接触し、それによって開かれるように、弁が前記カテーテルハブに対して遠位的にバイアスがかけられたとき、前記空洞内に位置決めされた前記弁の再シール可能な前記区画を開くための前記プローブ端を有し、前記内腔は、前記カテーテルハブの前記近位端と前記カテーテルの遠位端との間に貫通通路を確立する、請求項1に記載のカテーテルハブ。
【請求項3】
前記アクチュエータを画定する前記カテーテルの前記近位部分は、前記区画を開くのに十分な剛性及び円柱強度を有するように構成される、請求項2に記載のカテーテルハブ。
【請求項4】
前記空洞は実質的に円筒形状であり、前記アパーチャを取り囲む前記空洞の前記遠位端を形成する前記内部遠位壁は、前記内部遠位壁と接触する前記弁の前記遠位端の所与の構成の対応構成を有する、請求項1に記載のカテーテルハブ。
【請求項5】
前記空洞内部の前記カテーテルの前記近位部分は、プローブ端を含むフレアに広げられた円筒部分を有する、請求項1に記載のカテーテルハブ。
【請求項6】
前記空洞内に位置決めされた弁を更に備え、
前記弁は、再シール可能区画と、近位弁端と、遠位弁端とを有し、前記遠位弁端は前記内部遠位壁と接触し、また前記近位弁端は外部デバイスの接触端によってバイアスがかけられるように適合され、前記弁がバイアスがかけられていない状態であるとき、前記区画は前記アクチュエータのプローブ端の近位に配置される、
請求項1に記載のカテーテルハブ。
【請求項7】
前記外部デバイスの前記接触端が前記近位弁と接触し、前記カテーテルハブに対して遠位に前記弁を移動させるとき、前記カテーテルハブの前記近位端と前記カテーテルの遠位端との間の前記カテーテルの前記内腔を介して開いた通路が確立されるように、前記区画は前記アクチュエータの前記プローブ端によって開かれる、請求項6に記載のカテーテルハブ。
【請求項8】
前記カテーテルハブがすぐに使える位置にあるとき、針の遠位先端が前記カテーテルの遠位端を越えて延在するように、前記区画を通過し、前記カテーテルの前記内腔を介してスライド可能に延在する、針を、
更に備える、請求項6に記載のカテーテルハブ。
【請求項9】
本体と、カテーテルのハブ部分と、アクチュエータとを備える、カテーテルハブであって、
前記本体は、遠位端、開いた近位端、及び、前記近位端と、前記遠位端においてアパーチャを取り囲む空洞内部の遠位壁との間の、内部空洞を有し、前記カテーテルのハブ部分は、前記アパーチャに適切に受け入れられる内腔を有し、前記アクチュエータは、前記遠位壁から前記空洞内へと離れて延在する前記本体と共に一体的に形成され、前記アクチュエータは、前記カテーテルの前記内腔と流体連結するように前記アパーチャと位置合わせされた内部通路を有する、カテーテルハブ。
【請求項10】
前記空洞内に位置決めされた弁を更に備え、前記弁は、近位弁端、遠位弁端、及び再シール可能区画を有し、前記遠位弁端は前記遠位壁と接触し、前記区画は、前記弁がバイアスがかけられていない状態であるとき、前記アクチュエータのプローブ端の近位にある、
請求項9に記載のカテーテルハブ。
【請求項11】
前記空洞が、前記アクチュエータが前記遠位壁から前記空洞内に延在する点を除き、実質的に円筒形であり、前記弁の前記遠位端は所与の構成を有し、また前記アクチュエータを取り囲む前記遠位壁は、前記弁の前記遠位端を受け取るための前記所与の構成に対する対応構成を有する、請求項10に記載のカテーテルハブ。
【請求項12】
外部デバイスが前記カテーテルハブに結合されたとき、前記弁は、前記カテーテルハブの前記近位端と前記カテーテルの前記内腔との間に、前記アクチュエータの前記内部通路を介した開いた通路を確立するために、前記アクチュエータの前記プローブ端に対して前記区画にバイアスをかけるように、外部デバイスによって遠位方向に移動される、請求項10に記載のカテーテルハブ。
【請求項13】
前記カテーテルハブがすぐに使える位置にあるとき、針の遠位先端が前記カテーテルの遠位端を越えて延在するように、前記区画、前記アクチュエータの前記内部通路、及び前記カテーテルの前記内腔を介してスライド可能に延在する針を、更に備える、
請求項11に記載のカテーテルハブ。
【請求項14】
装置であって、
開いた近位端、遠位端、及び内部空洞を備える、細長い本体を有するカテーテルハブであって、前記近位端は、前記空洞内への外部デバイスの拡張部を受け入れるように適合され、前記空洞は、前記細長い本体に沿って前記近位端から前記カテーテルハブの前記内部にある遠位端壁へと延在し、前記遠位端壁はアパーチャを有する、カテーテルハブと、
前記アパーチャを介して適切に延在する内腔を有するカテーテルであって、前記カテーテルは、前記カテーテルハブの前記遠位端から遠位に延在する患者端と、前記空洞内へと近位に延在する非患者端とを有し、前記カテーテルは前記アパーチャに固定的に取り付けられる、カテーテルと、
再シール可能区画によって分離された遠位セクション及び近位セクションを有する弁であって、前記弁は、前記遠位端壁と接触する前記遠位セクションの遠位端を伴う前記空洞内で固定的に取り付けられ、前記区画は、前記弁がバイアスがかけられていない状態にあるとき、前記カテーテルハブの前記開いた近位端から前記カテーテルの前記非患者端を分離する閉位置にある、弁と、
を備え、
前記拡張部が前記開いた近位端を介して前記空洞内に挿入され、前記近位セクションと接触するとき、前記弁は、前記外部デバイスと前記カテーテルの前記内腔との間に流体連結経路を確立するために、前記カテーテルの前記非患者端に対して前記区画を開くように、前記拡張部によってバイアスがかけられ、
前記拡張部が前記開いた近位端から取り除かれたとき、前記弁はそのバイアスがかけられていない状態に戻り、前記区画はその閉位置に戻る、
装置。
【請求項15】
前記カテーテルの前記非患者端は、前記カテーテルの前記患者端に向けて遠位に先細になる遠位端を有するフレアに広げられた円筒端部分を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記カテーテルの前記非患者端は、前記区画に対して前記患者がバイアスをかけられているとき、前記区画を開くのに十分な剛性及び円柱強度を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記カテーテルハブがすぐに使える位置にあるとき、針の遠位先端が前記カテーテルの遠位端を越えて延在するように、前記区画を通過し、前記カテーテルの前記内腔を介してスライド可能に延在する、針を、更に備える、
請求項14に記載の装置。
【請求項18】
装置であって、
開いた近位端、遠位端、及び内部空洞を備える、細長い本体を有するカテーテルハブであって、前記近位端は、前記空洞内への外部デバイスの拡張部を受け入れるように適合され、前記空洞は、前記細長い本体に沿って前記近位端から前記カテーテルハブの前記内部にある遠位端壁へと延在し、前記遠位端壁はアパーチャを有し、カテーテルは、前記カテーテルハブから遠位に延在する患者端と共に前記アパーチャに固定的に取り付けられた内腔を有し、アクチュエータは、前記遠位端壁から前記空洞内へと離れて一体的に延在する前記アパーチャと位置合わせされた内部通路を有し、前記アクチュエータの前記内部通路は前記カテーテルの前記内腔と流体連結する、カテーテルハブと、
再シール可能区画によって分離された遠位セクション及び近位セクションを有する弁であって、前記弁は、前記遠位端壁と接触する前記遠位セクションの遠位端を伴う前記空洞内で固定的に取り付けられ、前記区画は、前記弁がバイアスがかけられていない状態にあるとき、前記カテーテルハブの前記開いた近位端から前記カテーテルの前記非患者端を分離する閉位置にある、弁と、
を備え、
前記拡張部が前記開いた近位端を介して前記空洞内に挿入され、前記近位セクションと接触するとき、前記弁は、前記アクチュエータの前記内部通路を介して、前記外部デバイスと前記カテーテルの前記内腔との間に流体連結経路を確立するために、前記アクチュエータに対して前記区画を開くように、前記拡張部によってバイアスがかけられ、
前記拡張部が前記開いた近位端から取り除かれたとき、前記弁はそのバイアスがかけられていない状態に戻り、前記区画はその閉位置に戻る、
装置。
【請求項19】
前記カテーテルハブがすぐに使える位置にあるとき、針の遠位先端が前記カテーテルの遠位端を越えて延在するように、前記区画を通過し、前記アクチュエータの前記通路及び前記カテーテルの前記内腔を介してスライド可能に延在する、針を、更に備える、
請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記空洞が実質的に円筒形であり、また弁の前記遠位端は所与の構成を有し、前記アクチュエータを取り囲む前記遠位端壁は、前記弁の前記遠位端を受け入れるための前記所与の構成に対する対応構成を有する、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静脈カテーテルアセンブリ及び末梢静脈カテーテル(PIVC)アセンブリを含む他の血管アクセスデバイスに関し、また、より具体的には、カテーテルアセンブリの血流を制御するために再シール可能弁と共に使用するように適合された、改良型カテーテルハブに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルアセンブリは、典型的には、カテーテルハブの遠位端から延在するカテーテルチューブを有する、カテーテルハブを有する。針カニューレ又は単なる針は、針の鋭い先端がカテーテルの遠位端を越えて延在するように、カテーテルの内腔を介してスライド可能に延在する。カテーテルは、患者に、及びその後血管系に挿入される針の鋭い先端によって、適切な血管系、例えば患者の静脈又は動脈内に案内される。カテーテルが所定の位置に置かれると、針はカテーテル及びカテーテルハブから除去される。その後、患者の血管系、例えば静脈と、流体格納デバイスとの間に、カテーテル及びカテーテルハブの内部空間を介して流体経路が確立されるように、注射器又はポンプなどの流体格納デバイスがカテーテルハブに結合される。
【0003】
カテーテルが患者の静脈又は動脈内に正しく位置決めされることを保証するために、針は、血液がカテーテルの内部表面と針の外部円周表面との間の空間内に漏れ出すことができるように、側面開口部を有することができる。このカテーテルに沿った血液は、カテーテルが正しく置かれていることを臨床医に示す働きをすることができる。しかしながら、カテーテルから針を除去した後であるが、流体格納デバイスをカテーテルハブに結合する前に、カテーテルの妨げるもののない内腔を介して、加圧された血液がカテーテル内に不必要に逆流する可能性がある。
【0004】
血液の逆流を防止するために、従来技術は、カテーテルハブ内に提供される弾性隔壁又はシール部材を開示している。静的シール部材は、プローブ、例えば雄型ルアーテーパの、カテーテルハブの空洞内への挿入運動に反応し、流体格納デバイスのルアーロック又は端部コネクタがカテーテルハブのルアー端部にしっかりと結合されたときに開く。流体格納デバイスは、例えば注射器、投与セット、又はポンプであってよい。
【0005】
本発明の譲受人に譲渡された特許及び出願は、カテーテルハブの内部に固定的に取り付けられたアクチュエータに対して、挿入されたルアーテーパによってバイアスがかけられる圧縮可能弁を記述している。アクチュエータは、アイレット部分を有する別個の構成要素である。アクチュエータ及びカテーテルをカテーテルハブに取り付けるために、アイレット部分は、カテーテルの近位端に沿ってカテーテルの遠位端におけるアパーチャ内に圧入される。アパーチャ内に圧入できるようにするために、アクチュエータの少なくともアイレット部分は金属材料で作られる。したがって、別個の構成要素を必要とすることに加えて、カテーテルハブに圧入されたアクチュエータを有するカテーテルアセンブリは、磁気共鳴映像法(MRI)において安全に使用されない場合がある。圧縮可能弁及び固定的に取り付けられたアクチュエータを有するカテーテルハブを記述する本出願の譲受人に譲渡された特許及び出願は、米国特許第8,652,104号、第9,399,116号、第9,545,495号、第10,080,867号、並びに、米国出願第16/110051号、及び第16/110111号を含む。’104号、’116号、’495号、及び’867号特許、並びに’051号、及び’111号出願の、それぞれの開示は、本出願の開示の参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、カテーテルアセンブリと共に使用するための改良型カテーテルハブを対象とする。本発明の第1の実施形態において、カテーテルは、別個のアクチュエータの代わりに、カテーテルハブのカテーテル及びアクチュエータの両方を形成するために使用される。そのため、カテーテルは、遠位部分がカテーテルハブから離れて遠位方向へと延在し、近位部分がカテーテルハブの内部空洞内へと近位方向に延在するように、カテーテルハブの遠位端におけるアパーチャを介して適切に通される。遠位部分と近位部分の間に挟まれたカテーテルの部分は、例えばとりわけ、化学接着剤接着、溶融接着、プラスチック挿入成形を含む、いずれかの従来方法によって、アパーチャに固定的に接着される。カテーテルの近位部分は構造的に堅固であるように構成可能であり、そのプローブ端部が多目的弁の再シール可能区画又は膜を開くように適合されるように、適切な円柱強度を有する。これは、近位部分の円周壁の厚みが遠位部分の円周壁の厚みよりも大きいようにカテーテルを射出成形することによって、達成することができる。代替として、カテーテルの近位及び遠位部分は、異なる材料を用いて押し出し成形され得るか、又は、円柱強度及び剛性を加えるために近位部分に粒子を加えることができる。カテーテルハブの空洞内に延在するカテーテルの近位部分は、カテーテルアクチュエータ又は単にアクチュエータと呼ぶことができる。
【0007】
弁を近位部分及び遠位部分に分離する区画又は膜を有する弾性再シール可能多目的弁は、弁がその自然なバイアスがかけられていない状態にあるとき、アクチュエータに近位のその膜と共に、カテーテルハブの空洞内にスライド可能及び取り外し不可に挿入される。膜は、その開口を補助するための少なくとも1つのスリットを有する。膜が開いているとき、フラップを提供するために、複数のスリットを膜に与えることができる。たとえカテーテルが患者の動脈内に位置決めされており、カテーテルの内腔内の血液に圧力がかけられているときであっても、バイアスがかけられていない位置において、膜の柔軟性は、弁によって塞がれたカテーテルハブの部分からの流体漏れを防ぐために、膜が閉じたままであるようなものである。
【0008】
外部流体格納デバイスがカテーテルハブに結合される際に、外部デバイス、例えば流体格納デバイスの、コネクタの接触端(ルアーロックコネクタのルアーテーパ)が、弁の近位端と接触するとき、膜は、アクチュエータに対してカテーテルハブ内の開位置にバイアスがかけられる。膜が開いていると、流体を患者から集めること、又は患者に注入することができるように、弁の近位部分にあるチャンバ、カテーテルハブの近位部分の空洞、及びカテーテルの内腔の間に、開いた流体連結経路が確立される。外部流体格納デバイスがカテーテルハブから除去されたとき、もはやバイアスはかけられておらず、その固有の弾力性に起因して、弁は、閉じた位置でアクチュエータのプローブ端の近位に膜が再度位置決めされる、その自然な状態に戻る。
【0009】
本発明の別の実施形態は、カテーテルハブの一部として一体的に形成されるアクチュエータを有する。この実施形態の場合、アクチュエータは、カテーテルハブの遠位端におけるアパーチャと位置合わせされる内部通路を有するチューブ構造として、カテーテルハブ内の内部遠位端壁から一体的に延在する。アクチュエータは、膜の開口を補助するための円錐台状のプローブ端を有することができる。カテーテルの近位部分は、カテーテルハブの遠位端におけるアパーチャ内へ延在し、固定的に取り付けることができる。代替として、カテーテルの近位部分は、カテーテルの内腔が、カテーテルハブの内部空洞と患者の静脈又は動脈との間に貫通通路を提供するように、アクチュエータの通路を介して延在し得る。
【0010】
本発明の様々な実施形態では、別個のアクチュエータ構成要素、及び、別個のアクチュエータ構成要素をカテーテルハブに設置する追加のプロセスは必要としない。したがって、カテーテルハブアセンブリを生成するために必要な構成要素の数並びに製造の量の両方がより少ないことから、結果として経費が削減される。更に、金属アクチュエータをなくすことによって、本発明のカテーテルアセンブリをMRIスキャンにおいて安全に使用することができる。
【0011】
添付の図面に関連した本発明の下記の説明を参照することによって、本発明が明らかになり、また本発明自体が最も良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のカテーテルハブアセンブリの第1の実施形態を示す、半透明斜視背面図である。
図2】本発明のカテーテルハブアセンブリの第1の実施形態を示す、半透明斜視正面図である。
図3】本発明の第1の実施形態における、カテーテルハブアセンブリを示す分解図である。
図4】本発明の第1の実施形態のカテーテルハブを示す、破断断面図である。
図5】本発明の第1の実施形態のカテーテルハブアセンブリを示す、半破断破断断面図である。
図6】第1の実施形態のカテーテルハブアセンブリを示す、外壁半破断斜視図である。
図7】カテーテルハブアセンブリ及び内部に位置決めされた多目的弁を示す、斜視半透明図である。
図8】本発明のカテーテルハブアセンブリ、及び、バイアスがかけられていない位置における多目的弁とのその関係を示す、断面図である。
図9】本発明のカテーテルハブアセンブリの第1の実施形態、及び、弁がバイアスがかけられた位置にあるときのカテーテルのアクチュエータ部分に対する多目的弁の位置決めを示す、断面図である。
図10A】自然な閉位置にある多目的弁の膜を示す、本発明のカテーテルハブアセンブリを示す断面図である。
図10B】自然な開位置にある多目的弁の膜を示す、本発明のカテーテルハブアセンブリを示す断面図である。
図11】カテーテルハブの空洞内部のカテーテルのアクチュエータ部分がフレアに広げられるか又は拡大され、多目的弁の閉じた膜に対して遠位に配置される、別の実施形態を示す断面図である。
図12】フレアに広げられたカテーテルアクチュエータによって、その開位置にバイアスがかけられた多目的弁を示す、図11のカテーテルハブを示す断面図である。
図13A】膜が閉位置にある、フレアに広げられたカテーテルアクチュエータに対する多目的弁の位置決めを示す図である。
図13B】膜が開位置にある、フレアに広げられたカテーテルアクチュエータに対する多目的弁の位置決めを示す図である。
図14A】本発明のカテーテルハブアセンブリ内で使用するように適合された、異なる例示の多目的弁を示す断面図である。
図14B】本発明のカテーテルハブアセンブリ内で使用するように適合された、異なる例示の多目的弁を示す断面図である。
図14C】本発明のカテーテルハブアセンブリ内で使用するように適合された、異なる例示の多目的弁を示す断面図である。
図15】本発明のカテーテルハブの更なる実施形態を示す、破断図である。
図16】カテーテルを伴う図15のカテーテルハブを示す断面図である。
図17】カテーテルの近位部分がカテーテルハブの一体型アクチュエータの内部通路を介して延在する、一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
下記の説明では、近位及び非患者という用語、並びに遠位及び患者という用語は、本発明のカテーテルアセンブリの方向を示すために使用されるとき、互いに交換可能である。例えば、遠位端及び患者端という用語は同じ方向を示し、近位端及び非患者端という用語は同じ反対方向を示す。
【0014】
図1から図5を参照すると、本発明のカテーテルハブアセンブリ2の第1の実施形態は、開いた近位端6、遠位端8、及び、開口4oに向かって開いた内部空洞10を有する、細長い円筒体4を有するように示される。空洞10は、遷移部4sによって分けられた、近位セクション4pと、直径がわずかに大きな遠位セクション4dとを有する。アパーチャ12は、遠位端8を介して延在する。実施形態にとって必須ではないが、アパーチャ12は遠位部分12a及び近位部分12bを有するように示され、部分12bは部分12aの断面より大きな断面を有する。近位端6は、近位端6が、図5に示され、他の図では矢印14によって表される、外部デバイス14のルアーコネクタ14cとロック式に結合できるようにする、2つの他部6a及び6bを有する。外部デバイスは、例えば注射器、投与セット、又はポンプなどを含む、流体格納デバイスであってよい。このように結合されるとき、外部デバイスのルアーテーパコーン又は単にルアーテーパ14tは、下記でより詳細に説明するように、カテーテルハブの空洞10に入り、カテーテルハブ内に位置決めされた多目的弁16の近位端16bと接触する。ルアーテーパ14tは、外部デバイスのコネクタ端と呼ばれることもある。
【0015】
カテーテル18は、カテーテルハブの遠位端8から延在する。図3に最も良く示されるように、カテーテル18は近位部分18pと、遠位先端18tを有する遠位部分18dとを有する。図5に示されるように、カテーテル18の近位部分18pは、アパーチャ12を介してカテーテルハブ4の内部空洞10内へと延在する。カテーテル18がスライド可能にアパーチャ12を通ると、近位部分18pの一部は、カテーテルハブ4の遠位端8において、例えば粘着、接着剤接着、溶融接着、超音波接着などを含む、多数の従来型取り付け方法のいずれかによって、アパーチャ12を画定する内部壁に固定的に取り付けられる。アパーチャ12は、2つのセクション12a及び12bに構成することができ、カテーテル18はスライド可能にセクション12aを通る形であり、カテーテル18をカテーテルハブに固定的に接着するためにセクション12bに接着剤が提供される。空洞10内に近位に延在するカテーテル18の部分の長さは、図6において18iと指定され、カテーテルのアクチュエータ部分、カテーテルアクチュエータ、又は単にアクチュエータと呼ぶことができる。アクチュエータ18iは、弁16内の膜の開口を補助するために、円錐台状のプローブ端18eを有するように構成可能である。空洞10内部のアクチュエータ18iの長さは、下記で更に説明するように、弁16の膜又は区画を開くためのアクチュエータとして作用するために必要な、カテーテルの少なくともその部分の剛性及び円柱強度、並びに、カテーテルアクチュエータからの流体漏れを防ぐ、弁16の部分の長さ及び断面寸法に依存する。
【0016】
カテーテル18は、アクチュエータ部分の剛性及び円柱強度がカテーテルの残りの部分よりも強いように、異なる材料又は材料の混合を有するように押し出し成形され得る。カテーテル18は、カテーテルの患者端を形成する材料よりも大きい剛性を有するアクチュエータ部分を形成する材料を用いて射出成形することによっても形成可能である。カテーテル18を押し出し又は成形するために使用可能な材料は、ポリウレタン又はナイロン、及び他の従来から既知の材料を含むことができる。カテーテルの異なる部分に異なる円柱強度を提供するために、押し出し又は成形プロセス中に、気泡及び他の非金属粒子がアクチュエータ部分に加えられることもある。また、アクチュエータ部分の壁は、カテーテルの患者部分の壁よりも大きな厚みを有するように形成することもできる。
【0017】
シール部材とも呼ばれることのある弁16は、例えば、シリコン又はポリイソプレンなどの弾性材料、或いは、必要な柔軟性及び圧縮可能性特徴を有する他の同様の材料で作られる、細長い円筒部材である。図5から図7に示されるように、1つの例示的多目的弁16は、近位部分16p及び遠位部分16dを有する。弁16は、カテーテルハブの空洞10内をスライド可能に通ることができるようにする断面寸法を有する。弁16内部にチャンバを形成するために、弁16の近位端16bと遠位端16eとの間に貫通通路16oが延在する。近位部分16pの外側表面にあるノッチ16nは、遠位部分16dがカテーテルハブ内で圧縮されたとき、内部空洞10から空気を逃がすための排気口を提供する。ノッチ16nは、カテーテルハブアセンブリを滅菌するために、カテーテルハブの空洞の遠位部分に滅菌ガスを通すための吸気口も提供する。弾性材料の生来の弾力性特性は、弁がその縦軸に沿ったバイアス力に遭遇したときに空洞10内部で圧縮し、また、バイアス力が取り除かれたときにその自然な状態に戻るようにすることができる。遠位部分16dは、空洞10内で弁16を取り囲む空間に起因したバイアス力に応答して、より容易に圧縮可能であり、その後、バイアス力が取り除かれると、弁を自然な状態に戻すために減圧可能であるため、弁16の圧縮可能バイアス部材として更に機能できることを理解されたい。
【0018】
弁16の一体型の膜又は区画16mは、近位部分16p及び遠位部分16dに分かれる。弁16の遠位端16eは、カテーテルハブ4の内部遠位壁4wに接している。遠位壁4wは、カテーテルハブ4の内部空洞10の遠位端を画定する。図4に最も良く示されるように、壁4wはアパーチャ12を取り囲んでいる。例示の実施形態では、壁4wは平坦であるように示されているが、壁4wは、バイアス力の下で弁6による最適な圧縮を可能にし、バイアス力が取り除かれたときに弁6をその自然な位置に戻すために、壁4wと遠位端16eとの間に最大接触域が提供されることを保証するように、弁16の遠位端16eの特定の構成又は所与の構成を反映するように適合された、対応構成を有することを理解されたい。例えば、遠位端16eが丸みを帯びた構成を有する場合、壁4wは遠位端16eを受け取るために対応する溝付き構成を有することになる。或いは、遠位端16eが平坦な場合、遠位壁4wも同様に平坦である。例示の弁の実施形態で、たとえ遠位部分がバイアス部材と見なされる場合であっても、前述のように、弾性材料の生来の弾力性に起因して、図14Bに示された実施形態に関連して後に説明するように、弁全体が1つのバイアス部材として作用できることを理解されたい。
【0019】
図7に示されるように、弁16は、カテーテルハブ4の近位端6における開口4oを介して、カテーテルハブの空洞10内にスライド可能に挿入される。弁16をカテーテルハブ4内に維持するがスライド可能とするために、図示されていないが、例えば協働する溝及びフランジなどの協働手段が、弁16の外部表面及びカテーテルハブ4の内部円周表面に、それぞれ提供可能である。
【0020】
図1を参照すると、針ハブ或いは針挿入デバイス又はアセンブリ22から延在する、すぐに使用できる位置にある針カニューラ、又は単に針20が、弁16の膜16mを介して、カテーテルハブ4の空洞10内に挿入され、カテーテル18の遠位端18tを越えて延在する鋭い先端20aと共に、カテーテル18の内腔18aを介してスライド可能に延在する。
【0021】
図8及び図9は、本発明のカテーテルアセンブリと共に使用するように適合された、別の例示の多目的弁の図である。上記で説明した例示の弁と同じ構成要素には、同じ参照番号が標示されている。図に示されるように、図8から図9の実施形態の多目的弁16の遠位セクション16dは、実質的に近位セクション16pの外部円周表面に続く外部円周表面を有するが、その内部表面は、カテーテルアクチュエータ18iを収容するチャンバ16fを画定するために不均一に形成される。遠位部分16dは、チャンバ16f内へと内側に向かって圧縮可能であるため、例示の弁16のバイアス部分である。図8から図9に示される弁16は、参照により組み込まれた前述の特許及び公開、例えば米国特許第8,652,104号に記載される、シール部材と同様である。図8は、膜16mがアクチュエータ18iのプローブ端16eの近位にある、自然な状態の弁16を示す。
【0022】
図9は、矢印14によって指定され、カテーテルハブ4の近位ルアー端6に結合又は接続された、外部デバイスを示す。外部デバイスがそのルアーロックを用いて近位端6に接続される際、そのルアーテーパ14tはカテーテルハブの空洞10内に挿入され、その遠位コネクタ端14eは、弁16の近位端16bと接触する。弁16は、参照により組み込まれた前述の特許及び公開、例えば、図9図10、及び図19に関連した’104号特許などに、より詳細に記載されるように、その弾力性に起因して、ルアーテーパ14tによってバイアスがかけられたとき、特にその遠位部分16dは、カテーテルハブ4内部の遠位端壁4wに対して圧縮する。遠位コネクタ端14eの更なる遠位移動は、弁16を、カテーテルハブ4に対して遠位方向に、アクチュエータ18i、より具体的にはそのプローブ端18eに対するバイアス膜16mへと、プローブ端18eの開口が貫通通路16o内に位置決めされるまで移動させ、貫通通路16oは、弁16のチャンバ又は近位チャンバ16oと呼ばれることもある。結果として、外部流体格納デバイスと患者の静脈との間に、カテーテル18の内腔18a、弁16のチャンバ16o、及びカテーテルハブ4内部の空洞10を介して、開いた流体連結通路が確立される。チャンバ16o及び空洞10はどちらもカテーテルハブ4の内部にあるため、空洞という用語は、アクチュエータ18iの近位プローブ端18eに対して開かれた、カテーテルハブの内部空間又は空洞も画定し得ることを理解されたい。外部デバイスがカテーテルハブ4から除去され、それによってアクチュエータ18iに対して膜16mにバイアスをかける力が除去されるとき、弁6は、図8に示されるように、膜16mが閉じており、プローブ端18eの近位である、その自然な状態又はバイアスがかけられていない位置に戻る。前述のように、膜16mの開口及び閉鎖を補助するために、膜16m内に1つ以上のスリットを形成することができる。
【0023】
図10A及び図10Bは、弁16の遠位移動を例示し、それぞれ、閉じた状態及び開いた状態での膜16mを示す。
【0024】
図1を参照すると、本発明のカテーテルアセンブリを使用するために、臨床医は、針20の鋭い先端20aを使用して、患者の血管系、例えば静脈又は血管を刺し通す。その後、針20は移動され、静脈内の針20を覆うようにカテーテル18を位置決めする。カテーテル18が正しく位置決めされた後、針は取り除かれ、カテーテルアセンブリは図8の断面図に示されるようになる。臨床医は、カテーテルハブ4の外部表面でいくつかの縫合固定リング24を使用し、患者の皮膚にカテーテルハブアセンブリを取り付けるためにテーピングすることができる。その後、流体格納デバイスのルアーコネクタをカテーテルハブ4のルアー端6に結合することによって、流体格納デバイス、例えば注射器をカテーテルアセンブリに接続することができる。
【0025】
カテーテルハブアセンブリ2から針20を取り外した後であるが、カテーテルハブ4への外部デバイスの結合前に、カテーテルアセンブリ2は図8に示されたとおりであり、弁16はその自然な状態にある。図に示されるように、膜16mは閉じており、カテーテルアクチュエータ18iのプローブ端18eの近位に位置決めされる。この位置で、膜16mは、近位部分16pにある近位チャンバ16oを、弁16の遠位部分16dにある遠位チャンバ16fから区分する。膜が閉じた状態では、血液がカテーテル18の内腔18aを介して患者から逆流し、チャンバ16fから漏れ出ることは防止される。
【0026】
図11及び図12は、アクチュエータ及び患者の血管系コンジットの両方が示されるように、1片のカテーテルを使用する、別の実施形態を示す。考察している図面内で同じ構成要素を識別するために使用される図1から図10の同じ参照番号は繰り返される。図に示されるように、カテーテル18’のアクチュエータ18i’は、フレアに広げられた円筒カテーテルアクチュエータ18i’が、テーパ型セクション26tを介して内腔18a’と合致するように先細になるボア26を有するように、フレアリングデバイスによって拡大される。フレアに広げられたアクチュエータを有することによって、膜16mは、プローブ端18e’に対してバイアスがかけられるとき、より大きな開口を有する。これが、カテーテルアセンブリを介したより多くの流体流れにつながることになる。また、テーパ型セクション26tは、円周突起16hによって保持的に支持される一方で、フレアに広げられた部分18i’は、より安定したアクチュエータを提供するために、弁16の円形突起16gによって保持的に支持される。図11及び図12に示されるカテーテルアセンブリの動作及び機能は、図1から図10に示された実施形態について上記で考察したものと同様である。図13Aから図13Bは、膜が、フレアに広げられたアクチュエータに対してバイアスがかけられておらず、バイアスがかけられていない閉位置にあるとき、及び、膜が、フレアに広げられたアクチュエータに対してバイアスがかけられており、その開位置にあるときの、カテーテルハブに対する弁の移動を示す。
【0027】
図14Aから図14Cを参照すると、カテーテルハブ内でアクチュエータと共に使用するように適合された、多目的弁の3つの実施形態が示される。異なる多目的弁は、それらのバイアスがかけられていない位置にあるように示される。前の図面で記述されたものと同じ構成要素には、同じ参照番号が標示される。図14Aに示される多目的弁16は、参照による組み込まれる’104号特許に記載されたものと同じ弁である。弁16の遠位部分16dにおける空洞28は、弁16がカテーテルハブ4に対して遠位方向にバイアスがかけられたとき、遠位部分16dが遠位端壁4wに対して容易に圧縮されることを可能にする。円周突起16hは、カテーテルアクチュエータ18iに対する支持を与える。
【0028】
図14Bは、アクチュエータ18iを支持する実質的に中実の弾性部分30と共に形成される遠位部分16d’を有する、多目的弁16’を示す。この実施形態では、部分30を形成する弾性材料は、例えば、部分30をより容易に圧縮することができる、Elastosilなどの、より多くの弾力性及び柔軟性を有する材料とすることができる。図14Bの実施形態の場合、図14A及び図14Bのカテーテルアクチュエータと同じ長さを有するように示されている場合であっても、カテーテルハブ内部のカテーテルアクチュエータ18iの長さは、前述のように変動する(短くなるか又は長くなる)ことができ、また、弁の遠位部分30の長さも、弁の膜をバイアス力の下でアクチュエータ18iによって開くことが求められる、端壁4wまでの距離に対してその弾力性のバランスを取るように変動することができる。更に、弁の近位部分16p’は、添加剤を用いて増強するか、或いは、例えば弁が作られる弾性材料よりも高いショア硬度を有する円筒リングによって強化又は置換することができる。
【0029】
図14Cは、図5から図7に示された多目的弁16’’を示す。弁16’’は、遠位部分16d’’が近位部分16p’’の直径より小さな直径を有するように、近位部分16p’’の遠位端から先細になる、遠位部分16d’’を有する。したがって、弁の遠位部分16d’’の細長い円筒34を取り囲む円周空間32が存在する。この実施形態において、円筒型円筒34は、カテーテルアクチュエータ18iの全体長さに対して支持を提供し、空間32は、弁がバイアス力によって遠位に移動されたとき、折り畳まれるか又は圧縮されるために円筒34に余裕を提供する。
【0030】
本発明のカテーテルハブの別の実施形態が、図15から図17に示される。図に示されるように、カテーテルハブ36は、細長い円筒本体と、本体38から先細になる遠位端40と、前述のように、外部デバイスからルアーコネクタを受け入れるように構成された近位端39とを有する。前に考察した実施形態と同様に、カテーテルハブ36は、テーパ型遷移部50によって接続された、直径がより小さな近位セクション46及び直径がより大きな遠位セクション48を有する、内部空洞44に対して開いた近位端42を有する。カテーテルの近位部分をアクチュエータとして利用する代わりに、本実施形態のアクチュエータ52は、カテーテルハブの内部遠位端壁54から一体的に延在する。言い換えれば、アクチュエータ52は、同じ型から形成され得る1片のカテーテルハブ36の一体型構成要素である。図に示されるように、アクチュエータ52は、円錐台状プローブ端56と、カテーテルハブ36の遠位端40にあるアパーチャ60と位置合わせされた、通路58とを有する、円筒拡張部である。通路58及びアパーチャ60はまとめて、遠位端62から内部空洞10への貫通通路を形成する。多目的弁を有するようには示されていないが、前の実施形態で説明した多目的弁16は、カテーテルハブ36の空洞44内に提供することができ、また同じ様式で、すなわち、弁の膜16mがアクチュエータ52のプローブ端56に対してその開位置へとバイアスがかけられるように、矢印14によって指定された遠位力が、カテーテルハブに対して遠位方向に弁を移動する様式で、利用でき、また、外部遠位力が取り除かれたとき、その膜が血液の漏れを防止するために、その閉位置で、アクチュエータ52の近位にあるように、弁はその自然な状態に戻ることを理解されたい。一体型アクチュエータを有することによって、前の実施形態で説明したようなカテーテルアクチュエータに必要とされ得るタイプの支持は必要とされない。アクチュエータ及びカテーテルハブが1片の構成要素として成形されるため、製造ステップの減少に起因して、製造コストも削減することができる。
【0031】
図16は、アパーチャ60内にスライド可能に通されるカテーテル18を示す。アパーチャ60及び通路58を接合するステップ64は、カテーテルの近位端に対するストップとして作用する。アパーチャ60内のカテーテル18の一部は、前述の従来型接着方法のいずれかによってアパーチャの内部円周表面に固定的に取り付けられる。カテーテルがカテーテルハブ36に取り付けられると、カテーテルの遠位端から空洞44へ、及びカテーテルハブの近位端に結合された外部流体格納への、流体連結経路が確立される。
【0032】
図17は、貫通アパーチャ66が、カテーテルハブ36の遠位端62からアクチュエータ52のプローブ端56へと延在する、一実施形態の例示である。カテーテル18の近位部分は、アクチュエータ52のプローブ端56まで、アパーチャ60’内へスライド可能に通る形である。カテーテルは、前述のようにアパーチャ66に接着的に取り付け可能であるか、又は、アパーチャ66内に圧入可能である。アクチュエータ52のプローブ端56へと通るカテーテルを延在させることによって、同じ直径の連続内腔が提供される。
【0033】
上記で開示される本発明は、多くの詳細な変形、修正、及び変更の対象となる。したがって、本明細書全体を通じて説明され添付の図面に示されるすべての内容は、限定的な意味ではなく、単なる例示として解釈されるべきであることが意図される。したがって本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲によってのみ限定されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
弁16の一体型の膜又は区画16mは、近位部分16p及び遠位部分16dに分かれる。弁16の遠位端16eは、カテーテルハブ4の内部遠位壁4wに接している。遠位壁4wは、カテーテルハブ4の内部空洞10の遠位端を画定する。図4に最も良く示されるように、壁4wはアパーチャ12を取り囲んでいる。例示の実施形態では、壁4wは平坦であるように示されているが、壁4wは、バイアス力の下で弁6による最適な圧縮を可能にし、バイアス力が取り除かれたときに弁6をその自然な位置に戻すために、壁4wと遠位端16eとの間に最大接触域が提供されることを保証するように、弁16の遠位端16eの特定の構成又は所与の構成を反映するように適合された、対応構成を有することを理解されたい。例えば、遠位端16eが丸みを帯びた構成を有する場合、壁4wは遠位端16eを受け取るために対応する溝付き構成を有することになる。或いは、遠位端16eが平坦な場合、遠位壁4wも同様に平坦である。例示の弁の実施形態で、たとえ遠位部分がバイアス部材と見なされる場合であっても、前述のように、弾性材料の生来の弾力性に起因して、図14Bに示された実施形態に関連して後に説明するように、弁全体が1つのバイアス部材として作用できることを理解されたい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
図9は、矢印14によって指定され、カテーテルハブ4の近位ルアー端6に結合又は接続された、外部デバイスを示す。外部デバイスがそのルアーロックを用いて近位端6に接続される際、そのルアーテーパ14tはカテーテルハブの空洞10内に挿入され、その遠位コネクタ端14eは、弁16の近位端16bと接触する。弁16は、参照により組み込まれた前述の特許及び公開、例えば、図9図10、及び図19に関連した’104号特許などに、より詳細に記載されるように、その弾力性に起因して、ルアーテーパ14tによってバイアスがかけられたとき、特にその遠位部分16dは、カテーテルハブ4内部の遠位端壁4wに対して圧縮する。遠位コネクタ端14eの更なる遠位移動は、弁16を、カテーテルハブ4に対して遠位方向に、アクチュエータ18i、より具体的にはそのプローブ端18eに対するバイアス膜16mへと、プローブ端18eの開口が貫通通路16o内に位置決めされるまで移動させ、貫通通路16oは、弁16のチャンバ又は近位チャンバ16oと呼ばれることもある。結果として、外部流体格納デバイスと患者の静脈との間に、カテーテル18の内腔18a、弁16のチャンバ16o、及びカテーテルハブ4内部の空洞10を介して、開いた流体連結通路が確立される。チャンバ16o及び空洞10はどちらもカテーテルハブ4の内部にあるため、空洞という用語は、アクチュエータ18iの近位プローブ端18eに対して開かれた、カテーテルハブの内部空間又は空洞も画定し得ることを理解されたい。外部デバイスがカテーテルハブ4から除去され、それによってアクチュエータ18iに対して膜16mにバイアスをかける力が除去されるとき、弁6は、図8に示されるように、膜16mが閉じており、プローブ端18eの近位である、その自然な状態又はバイアスがかけられていない位置に戻る。前述のように、膜16mの開口及び閉鎖を補助するために、膜16m内に1つ以上のスリットを形成することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
図14Cは、図5から図7に示された多目的弁16’’を示す。弁16’’は、遠位部分16d’’が近位部分16p’’の直径より小さな直径を有するように、近位部分16p’’の遠位端から先細になる、遠位部分16d’’を有する。したがって、弁の遠位部分16d’’の細長い円筒34を取り囲む円周空間32が存在する。この実施形態において、細長い円筒34は、カテーテルアクチュエータ18iの全体長さに対して支持を提供し、空間32は、弁がバイアス力によって遠位に移動されたとき、折り畳まれるか又は圧縮されるために円筒34に余裕を提供する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正の内容】
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正の内容】
図15
【国際調査報告】