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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-08
(54)【発明の名称】航空機用座席
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/06 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
B64D11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576867
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 FR2020051169
(87)【国際公開番号】W WO2021001636
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】1907345
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521561938
【氏名又は名称】サフラン・エレクトロニクス・アンド・ディフェンス・アクチュエーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オーブルン,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ピリ,ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ゲルー,オリビエ
(72)【発明者】
【氏名】ベルダ,エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】デュロン,ジョフレ
(57)【要約】
アクチュエータおよび運動伝達装置を備える航空機用座席であって、
固定部(52)が設けられたフレーム(28)と、
駆動シャフト(30)と、
傾斜側壁を有する結合歯が設けられた歯車(34)と、
フレームの固定部(52)に相補的な固定部(74)と、傾斜側壁を有する結合歯とを備えるスリーブ(32)と、
スリーブを押すことができる弾性部材(36)であって、弾性部材の剛性ならびに歯車およびスリーブの結合歯の側壁の傾斜は、閾値トルクよりも大きいトルクが歯車に加えられたときに、スリーブが、スリーブを歯車に結合する位置からスリーブをフレームに固定する位置まで駆動シャフト上を摺動するように選択される、航空機用座席に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動を生成することができる少なくとも1つのアクチュエータ(20)と、少なくとも1つの運動伝達装置(24)と、を備える航空機用座席(2)であって、伝達装置(24)が、
支持体(38)と、
支持体(38)に対して固定されたフレーム(28)であって、固定部(52)が設けられた前記フレーム(28)と、
回転軸線(A-A)を中心に回転するようにアクチュエータ(20)によって駆動されるのに適した駆動シャフト(30)と、
傾斜側壁(84)を有する結合歯(82)が設けられた歯車(34)であって、前記歯車(34)は前記駆動シャフト(30)に対して自由に回転することができる歯車と、
駆動シャフト(30)に摺動可能に取り付けられ、駆動シャフト(30)と一体で回転するスリーブ(32)であって、フレームの固定部(52)との結合に適した相補的な固定部(74)と、歯車の結合歯(82)との結合に適した傾斜側壁(84)を有する結合歯(80)と、を備えるスリーブ(32)と、
スリーブ(32)を歯車(34)に結合するために、スリーブ(32)を歯車(34)に向かって軸線方向に沿って押すことができる弾性部材(36)であって、弾性部材は剛性を有し、弾性部材(36)の剛性ならびに歯車の結合歯(82)およびスリーブの結合歯(80)の側壁(84)の傾斜は、閾値トルクよりも大きいトルクが歯車(34)に加えられたときに、スリーブ(32)が歯車(34)に結合される駆動位置から、フレームの固定部(52)がスリーブの相補的な固定部(74)に結合される固定位置まで、スリーブ(32)が駆動シャフト(30)上を摺動するように選択される、弾性部材と、
を備える、航空機用座席。
【請求項2】
スリーブの結合歯(80)の側壁(84)は、回転軸線(A-A)に対して8°~30°の角度を形成し、弾性部材(36)は、2daN/mm~15daN/mmの剛性を有する、請求項1に記載の航空機用座席(2)。
【請求項3】
固定部(52)は、第1の円弧(C1)にわたって延在する溝(56)を備え、相補的な固定部(74)は、第2の円弧(C2)にわたって延在する突起(76)を備え、第2の円弧(C2)は、第1の円弧(C1)よりも小さい、請求項1または2に記載の航空機用座席(2)。
【請求項4】
歯車(34)の結合歯(82)の高さ(H)および/またはスリーブ(32)の結合歯(80)の高さ(H)は、固定部(52)の突起(54)の高さ(h)および/または相補的な固定部(74)の突起(76)の高さ(h)よりも大きい、請求項3に記載の航空機用座席(2)。
【請求項5】
フレーム(28)の第1の端部(44)が座繰り部(48)を備え、スリーブ(32)が、フレームの座繰り部(48)に面して配置されたハウジング(70)を備え、弾性部材(36)が、駆動シャフト(30)の周りに配置され、部分的にスリーブの座繰り部(48)内に、且つ部分的にスリーブのハウジング(70)内に収容される、請求項1~4のいずれか一項に記載の航空機用座席(2)。
【請求項6】
スリーブ(32)の内面および駆動シャフト(30)の外面は、回転軸線(A-A)の方向に沿って延在する摺動接続部(58)を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の航空機用座席(2)。
【請求項7】
スリーブ(32)の内面および駆動シャフト(30)の外面のうちの一方が、回転軸線の方向に沿って延在する溝(64)を備え、他方が、凹部(60)と、凹部(60)内に収容され且つ溝(64)内を摺動することができるピン(62)と、を備える、請求項6に記載の航空機用座席(2)。
【請求項8】
伝達装置(24)は、駆動シャフト(30)上に配置された第1の停止部(90)と、第1の停止部(90)から所定の距離を隔てて駆動シャフト(30)上に配置された第2の停止部(92)と、を備え、歯車(34)、スリーブ(32)、弾性部材(36)、およびフレーム(28)は、第1の停止部(90)と第2の停止部(92)との間で駆動シャフト(30)上に嵌合される、請求項1~7のいずれか一項に記載の航空機用座席(2)。
【請求項9】
第1の停止部(90)は、駆動シャフト(30)の外面に形成された周囲溝(88)と、周囲溝(88)に埋め込まれた止めリング(100)と、を備える、請求項8に記載の航空機用座席(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、航空機用の座席の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機では、座席ならびに座席の一部は、駆動システムによって移動または回転されることができる。これらの駆動システムは、例えば、座席背もたれを座部に対して枢動させるため、または座席を地面に対して移動させるために適している。駆動システムは、アクチュエータおよび伝達チェーンを含む。これらの駆動システムの機械部品は、機械部品が破損して乗客を負傷させることなく、突然の停止状況(一般に墜落と呼ばれる)に対応する負荷に耐えることができなければならない。したがって、突然の停止状況の間、座席は、9~16gの推力に耐えなければならない。これらの機械部品はまた、例えば、航空機がエアポケットを通過した後に復帰したとき、または肥満者が座席上に激しく落下するときに受ける、突然の、著しい、および繰り返しの負荷に耐えることができなければならない。これらの状況に直面して、伝達チェーンの機械部品は、メンテナンス目的のために地上での停止回数を減らすために、早期に破損または摩耗してはならない。
【0003】
この目的を達成するために、航空機駆動システムの機械部品はオーバースペックに設計される。しかしながら、このオーバースペックの設計は、機械部品の製造コストおよび航空機の重量の双方を増加させる。所与のルートを完了するために必要な灯油量を減らし、したがって航空輸送のコストを削減し、環境を保護するために、航空機の重量を減らすことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、この状況を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、運動を生成することができる少なくとも1つのアクチュエータと、少なくとも1つの運動伝達装置と、を備える航空機用座席であって、
支持体と、
支持体に対して固定されたフレームであって、固定部が設けられたフレームと、
回転軸線を中心に回転するようにアクチュエータによって駆動されるのに適した駆動シャフトと、
傾斜側壁を有する結合歯が設けられた歯車であって、前記歯車が駆動シャフトに対して自由に回転することができる歯車と、
駆動シャフトに摺動可能に取り付けられ、駆動シャフトと一体で回転するスリーブであって、フレームの固定部との結合に適した相補的な固定部と、歯車の結合歯との結合に適した傾斜側壁を有する結合歯と、を備えるスリーブと、
スリーブを歯車に結合するために、スリーブを軸線方向に沿って歯車に向かって押すことができる弾性部材であって、弾性部材は剛性を有し、弾性部材の剛性ならびに歯車の結合歯およびスリーブの結合歯の側壁の傾斜は、閾値トルクよりも大きいトルクが歯車に加えられたときに、スリーブが歯車に結合される駆動位置から、フレームの固定部がスリーブの相補的な固定部に結合される固定位置まで、スリーブが駆動シャフト上を摺動するように選択される、弾性部材と、を備える、航空機用座席に関する。
【0006】
本発明にかかる航空機用座席は、伝達システムのアクチュエータおよび機械部品が、過度に大きな力に耐える必要がないように、この力を打ち消すことを可能にする伝達装置を備える。力は、専用の動作経路を介して吸収され、通常の動作経路をオーバースペックに設計する必要性を回避する。
【0007】
有利には、伝達装置は、提供されるべき外部エネルギーを必要としない純粋に機械的なシステムである。それは、動作するための制御および実行システムを必要としない。伝達装置は、任意の回転伝達システムに挿入され、その動作を妨げない。その固定制御機能ならびにその適応性のおかげで、航空機用座席の伝達装置は、伝達システムのアクチュエータおよび機械部品をオーバースペックに設計する必要性を回避し、最終的に重量を低減し、および/または主伝達機能の技術的要件を低減する。
【0008】
以下の段落に記載される特徴は、任意に実装されてもよい。それらは、互いに独立して、または互いに組み合わせて実装されてもよい:
スリーブの結合歯の側壁は、回転軸線に対して8°~30°の角度を形成し、弾性部材は、2daN/mm~15daN/mmの剛性を有し、
固定部は、第1の円弧上に延在する溝を備え、相補的な固定部は、第2の円弧上に延在する突起を備え、第2の円弧は、第1の円弧よりも小さく、
歯車の結合歯の高さおよび/またはスリーブの結合歯の高さは、固定部の突起の高さおよび/または相補的な固定部の突起の高さよりも大きく、
フレームの第1の端部は、座繰り部を備え、スリーブは、フレームの座繰り部に面するように配置されたハウジングを備え、弾性部材は、駆動シャフトの周りに配置され、部分的にスリーブの座繰り部内に、且つ部分的にスリーブのハウジング内に収容され、
スリーブの内面および駆動シャフトの外面は、回転軸線の方向に沿って延在する摺動接続部を備え、
スリーブの内面および駆動シャフトの外面のうちの一方は、回転軸線の方向に沿って延在する溝を備え、他方は、凹部と、凹部内に収容され且つ溝内を摺動することができるピンと、を備え、
伝達装置は、駆動シャフト上に配置された第1の停止部と、第1の停止部から所定の距離を置いて駆動シャフト上に配置された第2の停止部と、を備え、歯車、スリーブ、弾性部材、およびフレームは、第1の停止部と第2の停止部との間で駆動シャフト上に嵌合される。
【0009】
他の特徴、詳細、および利点は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を分析すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明にかかる航空機用座席の概略側面図である。
図2】本発明にかかる航空機用座席の伝達装置の斜視側面図である。
図3図2に示す伝達装置の分解斜視図である。
図4】伝達装置が駆動位置にあるときの、図2に示す伝達装置の一部の軸線方向断面図である。
図5図4に示す伝達装置の一部の側面図である。
図6】伝達装置が固定位置にあるときの、図2に示す伝達装置の一部の軸線方向断面図である。
図7図6に示す伝達装置の一部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
大部分について、図面および以下の説明は、本質的に明確な要素を含む。したがって、それらは、本開示のより良い理解を提供するのに役立つことができるだけでなく、適切な場合にはその定義にも寄与することができる。
【0012】
図1を参照すると、本発明にかかる航空機用座席2の例が示されている。それは、座部4と、座部4に対して枢動するように取り付けられた背もたれ6と、背もたれ6に対して枢動するように取り付けられたヘッドレスト8と、レッグレスト10と、脚部12と、地面に固定された摺動部14とを備える。座席の脚部12は、座席2を前方または後方に移動させるために摺動部14内で摺動するのに適している。座席2はまた、格納位置と展開位置との間でレッグレスト10に対して摺動するのに適した乗客用フットレスト16を含むことができる。
【0013】
座席2は、これらのヒンジのそれぞれを枢動させて、座席2および乗客用フットレスト16を移動させるための専用の1つ以上の電気駆動システム18を備える。各駆動システム18は、回転またはリニアアクチュエータ20と、アクチュエータによって生成された運動を、移動される座席要素に伝達するための伝達システム22とを備える。
【0014】
伝達システム22は、アクチュエータ20によって生成された運動を座席の可動要素に伝達するのに適した機械部品を備える。これらの機械部品は、例えば、歯車、接続ロッド、ラックなどを備える。
【0015】
伝達システム22はまた、特に図2および図3に示す伝達装置24を備える。この伝達装置24は、支持体26と、支持体26に固定されたフレーム28と、回転軸線A-Aを形成する長手方向軸を有する駆動シャフト30とを備える。この伝達装置24は、スリーブ32と、出力歯車34と、駆動シャフト30の周りに配置された弾性部材36とをさらに備える。
【0016】
支持体26は、例えば、プレート38と、プレート38と一体のジョー40とから構成される。
【0017】
フレーム28は、ジョー40によってプレート38に固定される。図示の例では、フレーム28は、回転円筒形状を有する。図4および図5を参照すると、フレーム28には、駆動シャフト30の直径にクリアランスを加えたものに実質的に等しい直径を有するボア42が設けられている。ボア42は、例えば、回転円筒の中心軸線の周りに延在する。フレーム28は、スリーブ32に面して配置された第1の端面44と、第1の端面とは反対側の第2の端面46とを有する。第1の端面44は、弾性部材36の一部を受け入れるのに適した座繰り部48を備える。座繰り部の底部環状壁は、弾性部材36の一端の支持面50を構成する。
【0018】
第1の端面44にはまた、フレーム28に対するスリーブ32の回転をロックするための固定装置の固定部52が設けられている。図示の実施形態では、固定装置は、一時的に不活性なクラッチ型カップリングである。固定部52は、フレームの第1の端面44の管状縁部の周りに延在する交互の突起54および溝56から構成される。突起54は、ギザギザ形状を有する。2つの突起54の間に配置された溝56は、図2に示す円弧C1にわたって延在する。
【0019】
駆動シャフト30は、フレームのボア42内で自由に回転するように取り付けられる。駆動シャフト30は、伝達システムの機械部品またはアクチュエータによって回転軸線A-Aを中心に回転するように駆動されるのに適している。
【0020】
スリーブ32は、駆動シャフト30の周りに摺動可能に取り付けられている。それは、図4および図5に示す出力歯車34を駆動する位置と、図6および図7に示す出力歯車34をロックまたは固定する位置との間を移動することができる摺動シャトルを形成する。
【0021】
スリーブ32は、駆動シャフト30と一体で回転する。この目的のために、スリーブ32と駆動シャフト30との間に摺動接続部58が形成される。この摺動接続部58は、図3および図4に示すように、回転軸線A-Aの方向に沿って延在する。図示の実施形態では、この摺動接続部58は、駆動シャフト30の外側円筒面に形成された凹部60と、凹部に収容されたピン62と、スリーブ32の内面に配置された溝64とを備える。この溝64は、回転軸線A-Aの方向に沿って長手方向に延在する。
【0022】
図3および図4を参照すると、スリーブ32は、フレーム28に面して配置された第1の端面66と、出力歯車34に面して配置された第2の端面68とを有する。
【0023】
第1の端面66は、弾性部材36の一部を受け入れるのに適した円形の中央ハウジング70を備える。このハウジングの環状底部は、弾性部材のための支持面72を形成する。フレームの支持面50およびスリーブの支持面72は、回転軸線A-Aに対して垂直である。
【0024】
弾性部材36は、駆動シャフト30に外嵌されている。それは、フレーム28とスリーブ32との間で作用するのに適している。特に、図示の実施形態では、弾性部材36は、フレームの支持面50およびスリーブの支持面72に当接する。それは、部分的にフレームの座繰り部48内に配置され、部分的にスリーブのハウジング70内に配置される。弾性部材36は、スリーブ32を軸線方向に沿って出力歯車34に向かって押すのに適している。弾性部材36は、2daN/mm~15daN/mmの間の剛性を有する。
【0025】
図示の実施形態では、弾性部材36は、圧縮ばねである。あるいは、弾性部材36は、ベルビル型または波ばね型のSmalleyワッシャとしても知られる1つ以上のばねワッシャから構成されてもよい。
【0026】
図5を参照すると、スリーブの第1の端面66にはまた、固定部52と協働するように意図された固定装置の相補的な固定部74も設けられている。固定装置の相補的な固定部74はまた、スリーブの第1の端面66の管状縁部の周りに延在する交互の突起76および溝78から構成される。突起76は、ギザギザ形状を有し、図2に示す円弧C2に沿って延在する。有利には、図示の実施形態では、円弧C2は、円弧C1よりも小さく、相補部74と固定部52との結合を容易にする。
【0027】
スリーブの第2の端面68には、軸線方向に延在する結合歯80が設けられている。これらの結合歯80は、出力歯車34から軸線方向に延在する結合歯82との結合に適している。スリーブの結合歯80および出力歯車の結合歯82は、噛み合いクラッチ型の結合を形成する。
【0028】
スリーブの結合歯80および出力歯車の結合歯82は、所定のトルクが出力歯車に加えられたときに、スリーブの結合歯80が出力歯車の結合歯82にこすって摺動することができるように、回転軸線A-Aに対して傾斜した側壁84を有する。したがって、図から分かるように、スリーブの結合歯80および出力歯車の結合歯82は、ほぼ三角形の形状を有する。有利には、側壁84は、回転軸線A-Aに対して8°~30°の角度αを形成する。
【0029】
有利には、結合歯80、82の側壁84の傾斜、弾性部材36の剛性、および摺動接続部68の摩擦は、突然の衝撃の場合にアクチュエータ20および伝達システム22の機械部品を保護するために、選択された閾値トルクに達した瞬間から伝達装置24が運動の伝達を遮断するように適合されることができる。伝達装置は、固定の機械的制御により回転系を所望のトルクで固定することを可能にする機械的固定システムである。
【0030】
好ましくは、スリーブの結合歯80の高さHおよび出力歯車の結合歯82の高さHは、フレームの突起54の高さhおよびスリーブの突起76の高さhよりも大きく、それにより、スリーブの結合歯80は、常に出力歯車の結合歯82と係合したままとなる。したがって、固定装置は、技術者の介入なしに、伝達装置の固定後に出力歯車34を再び駆動することができる。
【0031】
出力歯車34は、駆動シャフト30を中心に回転自在に取り付けられている。従来、それは、軸線方向に延在する結合歯82と、半径方向に延在し、ラック、歯車、または伝達システム22の他の部品との結合に適した歯車歯86とを備える。
【0032】
伝達装置24は、駆動シャフト上に配置された第1の停止部90および第2の停止部92を有する。第2の停止部92は、第1の停止部90から所定の距離に配置される。この所定の距離は、歯車の幅、スリーブ32の幅、およびフレーム28の幅の合計よりも実質的に大きい。
【0033】
図示の実施形態では、第1の停止部90および第2の停止部92は、それぞれ、円形周囲溝88と、フレーム28、スリーブ32、および出力歯車34の軸線方向移動をロックするために周囲溝88に埋め込まれるのに適した止めリング100とを有する。あるいは、第1の停止部90および第2の停止部92は、例えば、駆動シャフト30上のサークリップまたは肩部から構成される。
【0034】
あるいは、固定部52の突起54および溝56と、相補的な固定部74の突起76および溝78とは、環状摩擦面に置き換えられる。この変形例では、スリーブ32の回転は、フレームの管状部に対するスリーブの管状部の摩擦によって阻止される。
【0035】
動作中、受動状態では、伝達装置24は、駆動位置にある。この位置では、弾性部材36は、図4および図5に示すように、スリーブ32を出力歯車34に向かって押圧する。スリーブの結合歯80は、出力歯車の結合歯82と結合される。乗客が座席の可動部材を移動または回転させたい場合、乗客は、アクチュエータ20を制御して、駆動シャフト30を回転軸線A-Aを中心に回転させる。駆動シャフト30は、スリーブ32を回転させる。スリーブ32は、スリーブの結合歯80と出力歯車の結合歯82との結合によって出力歯車34を枢動させる。アクチュエータ20によって生成された運動は、出力歯車34に伝達される。
【0036】
例えば急停止中に出力歯車34に大きなトルクが加えられると、伝達装置24は、自動的にそれ自体を固定位置に置く。実際、スリーブおよび歯車の結合歯80、82の側面84の傾斜からの影響を介して出力歯車34によって伝達されるトルクは、スリーブ32を出力歯車34に押し付けるために弾性部材36によって提供される力に打ち勝つ。次いで、スリーブ32は、フレーム28に向かって軸線方向に移動する。スリーブの固定部74は、フレームの固定部52と結合する。フレーム28が固定されると、スリーブ32は、フレームに対して回転可能に固定される。
【0037】
本開示は、単に例として上述した例示的な実施形態に限定されるものではなく、保護が求められる文脈内で当業者にとって考えられる全ての変形形態を包含する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】