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特表2022-539359水素化反応用ニッケル触媒及びその製造方法
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  • 特表-水素化反応用ニッケル触媒及びその製造方法 図1
  • 特表-水素化反応用ニッケル触媒及びその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-08
(54)【発明の名称】水素化反応用ニッケル触媒及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 27/053 20060101AFI20220901BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20220901BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20220901BHJP
   B01J 37/03 20060101ALI20220901BHJP
   B01J 37/18 20060101ALI20220901BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20220901BHJP
   B01J 37/14 20060101ALI20220901BHJP
   B01J 37/12 20060101ALI20220901BHJP
   C08F 8/04 20060101ALI20220901BHJP
   C08F 132/08 20060101ALI20220901BHJP
   C07C 13/10 20060101ALI20220901BHJP
   C07C 13/605 20060101ALI20220901BHJP
   C07C 5/03 20060101ALI20220901BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220901BHJP
【FI】
B01J27/053 Z
B01J35/10 301A
B01J37/04 102
B01J37/03 A
B01J37/18
B01J37/08
B01J37/14
B01J37/12
C08F8/04
C08F132/08
C07C13/10
C07C13/605
C07C5/03
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577245
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 KR2020008290
(87)【国際公開番号】W WO2020262987
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】10-2019-0078367
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520263899
【氏名又は名称】ハンファ ソルーションズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA SOLUTIONS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】パク ウジン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ボンシク
(72)【発明者】
【氏名】イ ヨンヒ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ウィグン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
4J100
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA02C
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB10A
4G169BB10B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC68C
4G169BD08A
4G169CB05
4G169DA05
4G169EA01X
4G169EA02X
4G169EA02Y
4G169EB18X
4G169EB18Y
4G169EC03X
4G169EC03Y
4G169EC04X
4G169EC05X
4G169EC06X
4G169EC06Y
4G169EC07X
4G169EC08X
4G169EC14X
4G169EC14Y
4G169EC15X
4G169EC15Y
4G169FA01
4G169FA02
4G169FB05
4G169FB08
4G169FB30
4G169FB40
4G169FB41
4G169FB44
4G169FB57
4G169FC02
4G169FC07
4G169FC08
4G169FC09
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC11
4H006BA21
4H006BA30
4H006BA55
4H006BE20
4H039CA40
4H039CB10
4J100AR22P
4J100CA01
4J100HA03
4J100HB02
4J100HB09
4J100HB17
4J100HB50
4J100HB61
4J100HD22
4J100HE05
4J100HE41
(57)【要約】
本発明は、水素化反応用ニッケル触媒及びその製造方法に関し、石油樹脂の色相を改善するために水素化反応に添加されるニッケル触媒に関する。本発明による触媒は高含量のニッケルを含みながらもニッケルの結晶サイズは小さいとともに分散性は改善して水素化反応で高い活性を提供できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル及び酸化ニッケルから選択される少なくとも1つ以上の活性物質40~80重量部に対して、硫黄及び酸化硫黄から選択される少なくとも1つ以上の促進剤を0.1~3重量部を含み、支持体としてシリカ担体10~50重量部を含む水素化反応用触媒。
【請求項2】
前記活性物質50重量部以上を含み、活性物質と促進剤を含み、
活性物質100重量部に対して促進剤は0.1~3.0重量部である請求項1に記載の水素化反応用触媒。
【請求項3】
前記触媒の粒度分布は平均粒子サイズD10は2μm以上で、D50は5~7μmで、D90は15μm以下である請求項1に記載の水素化反応用触媒。
【請求項4】
前記触媒は窒素吸着法を用いた細孔構造分析でメソ細孔径サイズ(meso pore size)が4.5nm以上で、BET比表面積は200m/g以上で、BJH累積吸着体積(cumulative BJH adsorption volume)が0.25cm/g以上である請求項1に記載の水素化反応用触媒。
【請求項5】
前記ニッケルは平均結晶サイズが3~8nmである請求項1に記載の水素化反応用触媒。
【請求項6】
前記シリカ担体は比表面積が200~400m/gで、細孔サイズが10~30nmである請求項1に記載の水素化反応用触媒。
【請求項7】
前記水素化反応の反応物は石油樹脂(Hydrocarbon Resin)である請求項1に記載の水素化反応用触媒。
【請求項8】
前記水素化反応の反応物はジシクロペンタジエン(Dicyclopentadiene、DCPD)、C5留分を含む石油樹脂及びC9留分を含む石油樹脂から選択された少なくとも1つ以上を含む石油樹脂(hydrocarbon resin)である請求項1に記載の水素化反応用触媒。
【請求項9】
前記触媒は粉末、粒子及び顆粒の形態から選択される少なくとも1つ以上である請求項1に記載の水素化反応用触媒。
【請求項10】
(a)活性物質としてニッケル40~80重量部に対して、支持体としてシリカ担体10~50重量部を溶媒に溶解して第1溶液を製造するステップ;
(b)前記第1溶液を沈殿容器に入れて攪拌しながら60~100℃に昇温するステップ;
(c)前記昇温後、沈殿容器にpH調整剤を投入して第1溶液の沈殿物を製造するステップ;
(d)前記沈殿物を洗浄及びろ過した後、100~200℃で5~24時間乾燥して乾燥物を製造するステップ;及び
(e)前記乾燥物を水素雰囲気で還元して還元物を製造するステップ;を含む水素化反応用触媒の製造方法。
【請求項11】
前記(d)ステップ後に、還元物を製造する前に乾燥物を空気雰囲気で焼成するステップをさらに含む請求項10に記載の水素化反応用触媒の製造方法。
【請求項12】
前記空気雰囲気の温度は200~500℃である請求項11に記載の水素化反応用触媒の製造方法。
【請求項13】
前記(e)ステップ後に、還元物を0.1~20%酸素が含まれた窒素混合ガスで不動態化するステップをさらに含む請求項10に記載の水素化反応用触媒の製造方法。
【請求項14】
前記(e)ステップ後に、還元物を有機溶媒に浸漬させて不動態化するステップをさらに含む請求項10に記載の水素化反応用触媒の製造方法。
【請求項15】
前記(c)ステップの沈殿物の製造時のpHは7~9である請求項10に記載の水素化反応用触媒の製造方法。
【請求項16】
前記(e)ステップの水素雰囲気の温度は200~500℃である請求項10に記載の水素化反応用触媒の製造方法。
【請求項17】
前記請求項10~16のいずれか一項に記載の製造方法で製造された水素化反応用触媒の存在下で石油樹脂を水素と接触させる水素化方法。
【請求項18】
前記石油樹脂はジシクロペンタジエン(Dicyclopentadiene、DCPD)、C留分を含む石油樹脂及びC留分を含む石油樹脂から選択される少なくともいずれか1つ以上を含む請求項17に記載の水素化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油樹脂の水素化反応用ニッケル触媒及びその製造方法に関し、ニッケル(Ni)を活性物質として含み、石油樹脂の色相を改善するために添加される水素化反応用触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ナフタクラッキングは石油化学及び化学産業で広範囲に用いられるエチレン、プロピレン、ブチレン及びブタジエンのような低級オレフィン、並びに、ベンゼン、トルエン及びキシレンのような芳香族化合物の基本的な中間物質を生産するための重要な工程である。熱クラッキング又はスチーム熱分解は典型的にスチームの存在下で、そして酸素の不在下で、これらの物質を形成させるための工程の主な類型である。供給源料はナフサ以外にもケロシン及びガスオイルのような石油ガス及び蒸留物を含むことができる。この時、ナフサなどを熱分解することで、エチレン、プロピレン、ブタン及びブタジエンを含むC4留分、ジシクロペンタジエン、イソプレン、ピペリレンを含むC5留分、分解ガソリン(ベンゼン、トルエン及びキシレンを含む)、分解ケロシン(C9以上の留分)、分解重油(エチレンボトム油(bottom oil))及び水素ガスのような物質を生成することができる。そのうちC5、C9留分を重合して石油樹脂を製造できる。
【0003】
C5留分のうち石油樹脂の主原料はジシクロペンタジエン(DCPD)で、プロピレン、イソプレン、スチレンなどを共重合する場合もある。しかし、石油樹脂は一部に不飽和結合を含むので黄色又はオレンジ色の色相を帯び、石油樹脂固有の悪臭がする。この時、水素を添加する水素化工程を経れば不飽和結合が除去されて色相が明るくなり石油樹脂特有の臭いが減るなど品質を改善できる。不飽和結合が除去された石油樹脂は無色、透明なのでwater white樹脂と呼ばれ、耐熱性及び紫外線安定性などに優れた高級樹脂として流通されている。
【0004】
したがって、石油樹脂の水素化工程において水素化触媒の適用は必須である。石油樹脂の水素化触媒としてはパラジウム、白金、ロジウムなどの貴金属やニッケル、コバルトなどの多様な遷移金属を活性成分として、シリカ、アルミナ、活性炭素、チタニアなどに担持された形が適用可能である。
【0005】
特許文献1には石油樹脂及びその製造方法に関し、さらに詳細にはジシクロペンタジエン及びインデン系化合物を反応させて生成された色相が鮮やかで臭いが少ない石油樹脂及びその製造方法を開示している。上記特許の場合、パラジウム系の触媒を限定して提供している。
【0006】
特許文献2には石油樹脂の水素化触媒としてパラジウム及び白金担持アルミナ触媒を言及しながら、パラジウム/白金の比率が2.5~3.5(質量比)である硫黄成分を含有した石油樹脂の水素化触媒を開示しながら、水素化反応の活性が高いながらも触媒寿命が長いことを特徴とする。これも、水素化触媒としてパラジウム及び白金を提供し、これらは高価なため、費用面で不利である。
【0007】
ニッケル系触媒としては、特許文献3は石油樹脂を水素化触媒下、水素化反応で水素化石油樹脂を製造する方法に関し、ニッケル及びシリカアルミナを含みながらニッケルの含有は50~65重量%、触媒の表面積は300~400m/g及び総比重0.22~0.50g/cmの触媒を開示している。ただし、ニッケルの含量を上記に限定している点で多少限界がある。
【0008】
ニッケルを含有する触媒の場合、他の遷移金属を含む触媒に比べて水素化反応で活性が高い長所がある。しかし、石油樹脂の水素化反応において触媒の活性を確保するためにはニッケルを最小40%重量%以上含むことが好ましい。ニッケルを担体に担持する場合、ニッケルの含量が大きいほど分散性が減少してニッケル結晶のサイズが大きくなり、これにより触媒の活性が減少する問題点が生じる。これを防止するために、ニッケル含量を下げると分散性は相対的に改善されるが、活性が減少する問題点が生じる。したがって、高い含量のニッケルを担持するとともにニッケルの結晶のサイズを適合レベルに維持するべきである。
【0009】
なお、石油樹脂の水素化反応は粉末状態の水素化触媒を石油樹脂が溶解された反応物溶液に分散した後、高速で回転させる方法によって行われる。溶液に触媒が混合されているので、反応器の出口にフィルタを設置して生成物溶液と触媒を分離する。生成物溶液はフィルタ表面の触媒層を経てろ過されて分離されるので、触媒のろ過性は工程の安定した運転を決定する重要な指標の1つである。触媒のろ過性は一般に触媒粒子のサイズ分布によって決定されるが、粒子のサイズが増加するほど粒子の間の孔隙体積が増加してろ過性が増加する。特に、触媒と生成物溶液を分離するフィルタの細孔サイズが約1μmなので、触媒の1μmサイズ以下の粒子の比率が高い場合、フィルタの細孔を塞いでろ過性が大きく減少する。
【0010】
その上、粉末状態の触媒が溶液に分散されて高速で回転しているので、運転時間の経過につれて触媒が粉砕されて平均的な粒子サイズは持続的に減少し、1μm以下の触媒粒子の比率も増加する。したがって、石油樹脂水素化触媒は粘度の高い石油樹脂溶液に対するろ過性が高くなければならず、高速粉砕後も1μm以下サイズの粒子生成が抑制されなければならない。
【0011】
したがって、以上で言及した問題点を克服した石油樹脂水素化反応に適した触媒の開発が切実に求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10-2017-0038404号(2017.04.07)
【特許文献2】大韓民国公開特許公報第10-2005-0010940号(2005.01.28)
【特許文献3】日本特許公開公報第2002-275212号(2002.09.25)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述の問題点をすべて解決することを目的とする。
【0014】
本発明の目的は、高含量のニッケルを含みながらもニッケルの結晶サイズは小さいとともに分散性は改善して水素化反応用触媒の活性を向上させることにある。
【0015】
本発明の目的は、触媒粒子のサイズ分布が均一で水素化反応で高速回転時に粒子の破砕が抑制される触媒を提供することにある。
【0016】
本発明の目的は、石油樹脂の水素化反応で1μm以下のサイズの粒子の生成が抑制され、石油樹脂溶液に対するろ過性が向上した触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記のような本発明の目的を達成し、後述する本発明の特徴的な効果を実現するための、本発明の特徴的な構成は下記のとおりである。
【0018】
本発明の一実施例によれば、ニッケル及びシリカ担体を含む水素化反応用触媒であって、ニッケル及び酸化ニッケルから選択される少なくともいずれか1つ以上の活性物質40~80重量部に対して、硫黄及び酸化硫黄から選択される少なくともいずれか1つ以上の促進剤を0.1~3重量部を含み、支持体としてシリカ担体10~50重量部を含む水素化反応用触媒が提供される。
【0019】
本発明の一実施例によれば、上記触媒の粒度分布は平均粒子サイズ(D50)は5~7μmで、体積を基準にして下位10%に該当する粒子の直径(D10)が2μm以上で、体積を基準にして上位10%に該当する粒子の直径(D90)が15μm以下である石油樹脂水素化触媒が提供され得る。
【0020】
本発明の他の一実施例によれば、(a)活性物質としてニッケルは40~80重量部に対して支持体としてシリカ担体10~50重量部を溶媒に溶解して第1溶液を製造するステップ;(b)上記第1溶液を沈殿容器に入れて攪拌しながら60~100℃に昇温するステップ;(c)上記昇温後、沈殿容器にpH調整剤を投入して第1溶液の沈殿物を製造するステップ;(d)上記沈殿物を洗浄及びろ過した後、乾燥して乾燥物を製造するステップ;及び(e)上記乾燥物を水素雰囲気で還元して還元物を製造するステップ;を含む水素化反応用触媒の製造方法が提供される。
【0021】
本発明によれば、上記(d)ステップ以後(e)ステップの還元前に製造された乾燥物は空気雰囲気で焼成するステップをさらに含むことができる。上記空気雰囲気で焼成するステップは必ずしも提供されなければならないわけではなく、当業者が必要に応じてステップを適切に選択できる。この場合、温度は200~500℃のものを提供できる。
【0022】
本発明の一実施例によれば、上記製造方法で製造された水添触媒の存在下で、石油樹脂を水素と接触させる水素化方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、高含量のニッケルを含みながらもニッケルの結晶サイズは小さいとともに分散性は改善して水素化反応用触媒の活性を向上させる効果がある。
【0024】
本発明は、触媒粒子のサイズ分布が均一で水素化反応で高速回転時に粒子の破砕が抑制される触媒を提供する効果がある。
【0025】
本発明は、石油樹脂の水素化反応で1μm以下のサイズの粒子の生成が抑制され、石油樹脂溶液に対するろ過性が向上した触媒を提供する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例による触媒粒度分布を分析したグラフである。
図2】本発明の比較例による触媒粒度分布を分析したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
後述する本発明に対する説明は、本発明が実施され得る特定の実施例を例示として参照する。これらの実施例は当業者が本発明を十分に実施できるように詳細に説明される。本発明の多様な実施例は互いに異なるが相互排他的である必要はないことが理解されるべきである。例えば、ここに記載される特定の形状、構造及び特性は一実施例に関連して本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の実施例として具現され得る。また、各々の開示された実施例内の個別構成要素の位置又は配置は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変更され得ることが理解されるべきである。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味として取ろうとするものでなく、本発明の範囲は、適切に説明された場合、その請求項らが主張するものと均等な全ての範囲とともに添付された請求項によってのみ限定される。
【0028】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施例を参照して詳細に説明する。
【0029】
本発明ではジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene、DCPD)を主原料として重合製造した石油樹脂の品質を改善するために、水素化反応用(水添反応)ニッケル触媒を提供する。DCPD石油樹脂は、重合後に残っている不飽和結合(オレフィン及び芳香族の不飽和結合)によって黄色、悪臭、空気中で容易に酸化される特徴を持つ。石油樹脂の品質を改善するために、高温高圧の条件でニッケル触媒、好ましくはニッケル粉末触媒を使用して水添反応を行うと不飽和結合が除去された無色、無臭、及び熱安定性が向上した透明なwater-white石油樹脂を製造できる。
【0030】
このような目的を達成するために、本発明の一実施例によれば、ニッケル及びシリカ担体を含む水素化反応用触媒が提供される。
【0031】
ニッケル及び酸化ニッケルから選択される少なくともいずれか1つ以上の活性物質40~80重量部に対して、硫黄及び酸化硫黄から選択される少なくともいずれか1つ以上の促進剤を0.1~3重量部を含み、支持体としてシリカ担体10~50重量部を含む水素化反応用触媒が提供される。ニッケル及び酸化ニッケルの含量が上記範囲未満の場合は、触媒活性が低い場合があり、超過の場合は、分散性が低くて触媒活性が低下する問題が生じ得る。
【0032】
また、硫黄を促進剤として上記範囲でニッケルとともに担持することにより、芳香族基を含む不飽和炭化水素化合物の水素添加反応時、オレフィンに対比して芳香族の水添速度を大幅に増加させて水添性能を大きく改善する効果を提供できる。残留する硫黄及び酸化硫黄が3重量部を超えると、水素添加反応性能が急激に低下する短所がある。
【0033】
本発明の一実施例によれば、上記活性物質は50重量部以上を含み、活性物質と促進剤を含み、活性物質100重量部に対して促進剤は0.1~3.0重量部である水素化反応用触媒が提供される。例えば、酸化硫黄/酸化ニッケル(SO/NiO)の重量比は0.1~3.0が提供され得る。
【0034】
したがって、DB法によって高含量のニッケルを含みながらもニッケルの結晶サイズは小さいとともに分散性は改善して水素化反応用触媒の活性を向上させる効果を提供できる。
【0035】
本発明の一実施例によれば、水素化触媒でニッケル供給源(前駆体)はニッケル又はその前駆体の形態で、例えば、ニッケル及び硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、塩化物などの金属塩を含むものが提供され得る。
【0036】
硫黄供給源(前駆体)として、また、硫黄、酸化硫黄及び硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、塩化物又はその組み合わせのような金属塩に結合された状態を使用することができ、これに限定されない。
【0037】
これらを溶媒中に混合して製造されることができ、沈殿体を使用すればニッケル又は硫黄の成分が溶媒に懸濁されている個体担体に沈積され得る。この場合、担体はシリカ担体が好ましい。
【0038】
すなわち、上記ニッケルは沈殿を形成してシリカ担体に担持されて析出沈殿(Deposition-Precipitation、DP)法で提供され得る。
【0039】
DP(Deposition-Precipitation)法は金属前駆体塩溶液とpH調整剤が担持体分散液内で反応して沈殿体が生成され、これらが担持体表面に吸着及び固化するが、これは従来の共沈法及び含浸法によって製造された金属触媒とは比べものにならないほど触媒の均一度が著しいことが確認された。したがって、粒度分布が均一なシリカを担体として用いるDP法で触媒を製造する場合、反応に適した粒子サイズ、サイズ分布、表面積、細孔構造などを持つ担体を選択して最適化することが容易である長所がある。
【0040】
本発明の一実施例によれば、触媒粒度分布は上記触媒の粒度分布は平均粒子サイズD10は2μm以上で、D50は5~7μmで、D90は15μm以下の触媒が提供される。上記範囲未満の粒子サイズが1μm以下の比率が高くなれば、水素化反応工程において、フィルタの細孔を塞いでろ過性が低下される触媒のろ過性が不足する可能性があり、上記範囲を超える場合、触媒の活性が低下する問題があり得る。したがって、高含量のニッケルを含みながらもニッケルの結晶サイズは小さいとともに分散性は改善して水素化反応用触媒の活性を向上させることができる。
【0041】
一般に固体多孔性物質の細孔構造は様々な方法によって決定され得るが、最も広く使われたものの1つは固体表面上に凝縮された多層ガスの吸着及び脱着(desorption)の間に吸着されたガスの蒸発(脱着)に対するBET理論(Brunauer, Emmett and Teller)に基づく窒素等温吸着/脱着法である。窒素はマイクロ及びメソ多孔性領域を調査するための一般的な吸着物である。吸着及び脱着等温線から次を計算できる。単層窒素の吸着からBET表面積、P/P0=0.99で吸着された窒素の量から取った全細孔体積、及び平均細孔直径は吸着又は脱着データからBET理論又はBJH(Barrett, Joyner and Halenda)理論に基づく計算法を使用して決定され得る。
【0042】
これにより窒素吸着法を用いた触媒の細孔構造分析でメソ細孔径サイズ(meso pore size)が4.5nm以上で、好ましくは4.5~8.0nmで提供され得る。また、BET比表面積は200m/g以上で、BJH累積吸着体積が0.25cm/g以上の水素化反応用触媒が提供される。
【0043】
本発明の一実施例によれば、上記ニッケルは平均結晶サイズが3~8nmである水素化反応用触媒が提供される。従来の共沈法などの製造方法による触媒に比べて、本発明による触媒はDP法によって、ニッケルの結晶サイズを3~8nmに制御するとともに分散性も高く維持することができる。上記ニッケルの平均結晶サイズが上記範囲から逸脱する場合、触媒活性を低下させる問題が生じ得るので、上記範囲の3~8nmで提供されることが好ましい。
【0044】
本発明の一実施例によれば、シリカ担体は比表面積が200~400m/gで、10~30nmの細孔サイズを有する多孔性の担体であることを特徴とする。これにより、活性及び触媒寿命の向上が可能で、生成物と触媒を分離する工程の効率を向上する効果を最適に提供できる。また、粒度分布が均一なシリカ担体を提供して水素化反応で高速回転時にも粒子の破砕が抑制される効果を提供できる。
【0045】
本発明の一実施例によれば、反応に適した粒子サイズ、サイズ分布、表面積、細孔構造などを持つシリカ担体と上述の最適化された組み合わせの範囲の触媒を提供する。これによる触媒は水素化反応でニッケル還元度を80%以上で提供できる。
【0046】
また、本発明の一実施例による水素化反応用触媒は、蒸留、前処理及び重合によってC5又はC9石油分画及び副産物及びこれらの組み合わせからなる石油樹脂を水素化できる。
【0047】
本発明の一実施例による上記水素化反応の反応物は石油樹脂であり得る。上記石油樹脂はシクロペンタジエン(dicyclopentadiene、DCPD)を含むことができる。また、C5又はC9留分を含む石油樹脂、DCPD留分副産物及びこれらの組み合わせからなる石油樹脂であることができ、環状ジエン及びベンゼン官能基で構成されることができ、ただし、これに限定されない。
【0048】
本発明による触媒は粉末、粒子、顆粒の形態であることができ、好ましくは粉末の形態である。よって、粉末形態のニッケル触媒を提供して、石油樹脂の不飽和結合を除去して無色、無臭、熱安定性が向上した透明なwater-white石油樹脂を提供する効果がある。
【0049】
なお、本発明の一実施例によれば、上記の水素化反応用ニッケル触媒に対する製造方法が提供される。
【0050】
(a)活性物質としてニッケルは40~80重量部に対して支持体としてシリカ担体10~50重量部を溶媒に溶解して第1溶液を製造するステップ;(b)上記第1溶液を沈殿容器に入れて攪拌しながら60~100℃に昇温するステップ;(c)上記昇温後、沈殿容器にpH調整剤を投入して第1溶液の沈殿物を製造するステップ;(d)上記沈殿物を洗浄及びろ過した後、100~200℃で5~24時間乾燥して乾燥物を製造するステップ;及び(e)上記乾燥物を水素雰囲気で還元して還元物を製造するステップ;を含む水素化反応用ニッケル触媒の製造方法が提供される。
【0051】
また、上記(d)ステップ以後、上記乾燥物を空気の雰囲気で焼成するステップ;をさらに含むことができる。焼成するステップは必ずしも提供されなければならないわけではなく、当業者が必要に応じてステップを適切に選択できる。この場合、温度は200~500℃であることを提供できる。
【0052】
上記(e)ステップの水素雰囲気温度も200~500℃であることを提供できる。これによる焼成及び還元の効果が提供される。
【0053】
さらには、上記還元物を0.1~20%酸素が含まれた窒素混合ガスで不動態化するステップ又は有機溶媒が含まれた溶液に沈積して不動態化するステップをさらに含むことができる。
【0054】
窒素混合ガスで不動態化する場合、%は体積%を意味する。また、有機溶媒に含まれた溶液に直ちに沈積して不動態化することは有機溶媒に、例えば、D40 Exxsolが使用されることができ、空気を遮断できる有機溶媒は制限なく使用可能である。
【0055】
本発明の一実施例によれば、上記(c)ステップの沈殿物の製造は7~10のpHであリ得る。触媒前駆体の沈殿は塩基添加又は電気化学的手段でpH7以上の環境で行われることができ、好ましくはpH7~9であり得る。この場合、塩基添加のために塩基性化合物を添加することができ、塩基性添加物は炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア又はその水和物を含むことができるが、これに限定されず、好ましくは炭酸ナトリウム又はその水和物を含むことができる。
【0056】
本発明の一実施例によれば、上記(d)ステップの乾燥は100~200℃で5~24時間が提供される。上記の範囲で沈殿物が含む水分を除去する効果が提供される。
【0057】
本発明一実施例によれば、製造方法で製造された水素化反応用ニッケル触媒の存在下で石油樹脂(hydrocarbon resin)を水素と接触させる水素化方法が提供される。
【0058】
石油樹脂を水素化する際の温度は100~400℃、好ましくは200~300℃であることができ、圧力は1~200bar、好ましくは30~100barであることができる。水素化時間は主に温度、触媒の量及び水素化の程度によって異なる場合がある。
【0059】
そして、水素化反応は多様な反応器で行われ得るが、好ましくは、連続槽型反応器(CSTR)又はループ反応器内で行われ得る。加えて、還元温度は上述のように200~500℃、好ましくは350~450℃で最適の活性を示すことができる。
【0060】
本発明の一実施例によれば、上記水素化反応で反応物である石油樹脂はジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene、DCPD)を含むことを特徴とすることができる。なお、C5留分を含む石油樹脂を提供することができ、さらにはC9留分を含む石油樹脂を提供できる。
【0061】
以下、本発明の好ましい実施例によって本発明の構成及び作用をより詳細に説明する。ただし、これは本発明の好ましい例示として提示されたものであって、いかなる意味でもこれによって本発明が制限されると解釈されることはできない。
【0062】
ここに記載していない内容は当該技術分野における熟練者であれば十分に技術的に類推できるものであるので、その説明を省略する。
【0063】
実施例1
300m/gの表面積と21nmの細孔サイズと平均粒度7μmを有する多孔性シリカ粉末40gと硫酸ニッケル491g、硫酸銅6g及び蒸留水2,000mlを沈殿容器に入れて攪拌しながら80℃に昇温した。80℃に到達した後、炭酸ナトリウム262gが含まれた溶液1,500mLをsyringe pumpを用いて1時間以内にすべて注入した。沈殿が完了した後のスラリーのpHは7.6であって、これを約30Lの蒸溜水で洗浄及びろ過した後、乾燥オーブンを用いて100℃で12時間以上乾燥した。これを小分けした後、空気雰囲気で350℃の温度で焼成した。これを再度小分けした後、水素雰囲気で350℃の温度で還元して活性化した。活性化された触媒は1%酸素が含まれた窒素混合ガスを用いて不動態化して水素化触媒を製造した。
【0064】
不動態化された触媒の活性物質含量は触媒の重量を基準として78.2重量部、促進剤0.8重量部、ニッケル結晶の平均サイズは3.8nmと測定された。
【0065】
製造された触媒の活性物質100重量部に対して、促進剤1.02重量部を含む。BET比表面積253m/g、全細孔体積0.36m/g、細孔平均サイズ5.7nmを持つ。触媒粒度分布はD10 2.8μm、D50 5.7μm、D90 10.8μmである。H-TPRで分析したニッケル(Ni)還元度は86%である。
【0066】
実施例2
触媒製造原料のうち促進剤/活性物質が0.38重量部であることを除けば実施例1と同じ方法で水素化触媒を製造した。
【0067】
実施例3
触媒製造原料のうち促進剤/活性物質が1.52重量部であることを除けば実施例1と同じ方法で水素化触媒を製造した。
【0068】
下記の[表1]に実施例の触媒組成物内の構成成分を示した。
【0069】
【表1】
【0070】
比較例1
水素化反応用に当業者に知られる典型的な水添触媒を製造した。硝酸ニッケル(150g/Lニッケル)及びケイ酸ナトリウム(100g/Lケイ素)を蒸留水に溶解した溶液80mLを沈殿容器に入れて攪拌しながら80℃に昇温した。80℃に到達した後、炭酸ナトリウム(288g/L)溶液80mLをsyringe pumpを用いて1時間以内にすべて注入した。沈殿が完了した後のスラリーを約15Lの蒸溜水で洗浄及びろ過した後、乾燥オーブンを用いて120℃で12時間以上乾燥した。これを小分けした後、水素雰囲気で350℃の温度で還元して活性化した。活性化された触媒は1%酸素が含まれた窒素混合ガスを用いて不動態化して水素化触媒を製造した。不動態化された触媒の活性物質(NiO)含量は触媒の重量を基準として78.9重量部、ニッケル結晶の平均サイズは6.2nmと測定された。BET比表面積245m/g、全細孔体積0.37m/g、細孔平均サイズ5.7nmを持つ。触媒粒度分布はD10 2.5μm、D50 5.7μm、D90 10.7μmである。H-TPRで分析したニッケル(Ni)還元度は83%である。
【0071】
比較例2
触媒製造原料のうち促進剤/活性物質の重量比が3になるように沈殿剤の炭酸ナトリウム262g、硫化ナトリウム7.1gが含まれた溶液1500mlをsyringe pumpを用いて1時間以内にすべて注入した。沈殿が完了した後のスラリーのpHは7.8であった。洗浄及びろ過、乾燥などの残りの方法は実施例1と同じ方法で製造した。
【0072】
不動態化された触媒の酸化ニッケル(NiO)含量は触媒の重量を基準として79.4重量部、ニッケル結晶の平均サイズは3.6nmと測定された。BET比表面積250m/g、全細孔体積0.35m/g、細孔平均サイズ5.6nmを持つ。触媒粒度分布はD10 2.7μm、D50 5.8μm、D90 11.1μmである。H-TPRで分析したニッケル(Ni)還元度は86%である。
【0073】
比較例3
触媒製造原料のうち平均粒度が4.3μmを有する多孔性シリカ粉末を使用したことを除けば実施例1と同じ方法で水素化触媒を製造した。
【0074】
比較例4
触媒製造原料のうち平均粒度が10.6μmを有する多孔性シリカ粉末を使用したことを除けば実施例1と同じ方法で水素化触媒を製造した。
【0075】
下記の[表2]に比較例の触媒組成物内の構成成分を示す。
【0076】
【表2】
【0077】
実験例1.触媒の活性テスト(Activity Test)
Hollow shaft攪拌機を含み、1600rpmの攪拌速度を有する300mLオートクレーブを用いた。非水添石油樹脂をExxsol D40に30重量%に溶解した溶液75gを230℃で石油樹脂質量に対して0.5%触媒を添加して水素化し、反応開始後30分間の水素消耗量を測定して活性を比較し、水素消耗量は下記の[表3]で示した。
【0078】
【表3】
【0079】
上記表1、2に記載のように、高含量のニッケル担持時にも相対的に小さなニッケル結晶サイズを有し、これにより、石油樹脂の水素化反応活性が比較例1に比べて高い値を有することを確認できる。
【0080】
実験例2.触媒の活性テスト(Activity Test)
比較例2を実験例1のように水素化反応を行った。反応開始後30分間の水素消耗量を測定して活性を比較し、水素消耗量は下記の[表4]で示した。
【0081】
【表4】
【0082】
高含量のニッケル担持、類似した細孔構造、粒度分布を有しても比較例2の場合、水素消耗量が6.2atmと実施例1に比べて低い水素消耗量を示した。したがって、SO/NiO重量部が増加すれば水素化反応が低下することを確認できる。
【0083】
実験例3.触媒の活性テスト(Activity Test)
平均粒度が異なる触媒を用いて触媒の活性テストを進めた。Hollow shaft攪拌機を含み、1600rpmの攪拌速度を有する300mLオートクレーブを用いた。非水添石油樹脂をExxsol D40に30重量%に溶解した溶液75gを230℃ 90barで石油樹脂質量に対して0.5%触媒を添加して水素化し、反応開始後30分間の水素消耗量を測定して活性を比較し、水素消耗量は下記の[表5]で示した。
【0084】
【表5】
【0085】
実験例3で平均粒度が異なる多孔性シリカ粉末を使用して作った水素化触媒の活性を比較したとき、比較例3と実施例1の結果のように所定のサイズまでは触媒の活性に差が出ないが、比較例4のようにサイズが大きくなるにつれて触媒の活性が低下することが確認された。
【0086】
実験例4.触媒のろ過性の確認実験
非水添石油樹脂をExxsol D40に60重量%に溶解した溶液30gに触媒0.36gを入れ、homogenizerを用いて20,000rpmで1時間の間粉砕した。粉砕後溶液の一部を小分けして触媒の粒子サイズを測定した。粒度分布の測定結果は[表6]に示した。
【0087】
【表6】
【0088】
また、実施例1と比較例1で製造された触媒を20,0000rpmで時間によって触媒粒度分布を分析したグラフを図1図2にそれぞれ示した。
【0089】
上記表6と図1の結果によって、共沈法で製造した比較例1に比べてDP法でニッケルをシリカ担体に担持して製造した実施例1で粒子の破砕が抑制されることを確認できた。
【0090】
実験例5.触媒のろ過性の確認実験
ジョイント接続型solid suspensionろ過装置に細孔サイズが0.5μmのフィルターペーパーを入れて締結した後、真空ポンプを用いてろ過装置のフラスコ内の圧力を100mbarに維持した。上記実験例4の粉砕後溶液のうち20gを取って100℃のオーブンで10分間保管した後、加熱溶液をろ過装置に注いで2分間ろ過される石油樹脂溶液の重さを測定した。ろ過速度はろ過された溶液の量を時間とフィルタの面積で割って計算した。ろ過速度の測定結果は[表7]に示した。
【0091】
【表7】
【0092】
表7の結果を参照すると、共沈法で製造した触媒(比較例1)に比べて実施例1の触媒の粉砕後のろ過速度が速いことを示し、粉砕前後のろ過速度の差も実施例1の触媒の場合が小さいことを確認できた。
【0093】
実験例5.触媒のろ過性の確認実験
実施例4と同じ方法で実施例1と比較例3、4の破砕前触媒粒度及びろ過性を比較して[表8]に示した。
【0094】
【表8】
【0095】
表8で確認できるように触媒粒度が小さい場合、ろ過速度が低いので工程に適用するには困難が生じ得ることを確認できた。
【0096】
上記実施例と比較例の実験例による結果を参照した結果、本発明によるニッケル触媒は触媒の粒度分布は平均粒子サイズがD10は2μm以上で、D50は5~7μmで、D90は15μm以下で提供しながら粒度分布が制御されたシリカ担体を使用して、触媒粒子のサイズ分布が均一で水素化反応で高速回転時に粒子の破砕が抑制され、さらには、石油樹脂の水素化反応でろ過性を向上させることができることを確認した。
【0097】
加えて、促進剤/活性物質重量部が2.0重量部以下の場合、DP法によって高含量のニッケルを含みながらもニッケルの結晶サイズは小さいとともに分散性は改善して水素化反応用触媒の活性を向上させることができることを確認した。
【0098】
また、従来のDP法に比べて、低い300~450℃の還元温度で高い還元度を提供可能であることを確認できた。
【0099】
さらには、窒素吸着法によるメソ細孔径サイズ及び比表面積などを含むことにより、高い活性を提供できることを確認できた。
【0100】
以上、本発明の具体的な構成要素などのような特定の事項と限定された実施例によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明が上記実施例らに限定されるわけではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、かかる記載から多様な修正及び変形を図ることができる。
【0101】
よって、本発明の思想は上記説明された実施例に限られて定められてはならず、後述する特許請求の範囲のみならず、その特許請求の範囲と均等又は等価的に変形されたあらゆるものは本発明の思想の範疇に属すると言える。
図1
図2
【国際調査報告】