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特表2022-539362心電図(EKG)監視、除細動およびペーシングの機能を有する血液ポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-08
(54)【発明の名称】心電図(EKG)監視、除細動およびペーシングの機能を有する血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/13 20210101AFI20220901BHJP
   A61N 1/365 20060101ALI20220901BHJP
   A61N 1/39 20060101ALI20220901BHJP
   A61M 60/135 20210101ALI20220901BHJP
   A61M 60/237 20210101ALI20220901BHJP
   A61M 60/414 20210101ALI20220901BHJP
   A61M 60/416 20210101ALI20220901BHJP
   A61M 60/50 20210101ALI20220901BHJP
   A61M 60/515 20210101ALI20220901BHJP
   A61M 60/531 20210101ALI20220901BHJP
   A61M 60/538 20210101ALI20220901BHJP
   A61M 60/816 20210101ALI20220901BHJP
   A61M 60/857 20210101ALI20220901BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20220901BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20220901BHJP
【FI】
A61M60/13
A61N1/365
A61N1/39
A61M60/135
A61M60/237
A61M60/414
A61M60/416
A61M60/50
A61M60/515
A61M60/531
A61M60/538
A61M60/816
A61M60/857
A61B5/33 110
A61B5/33 120
A61B5/287 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577251
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(85)【翻訳文提出日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 US2020039339
(87)【国際公開番号】W WO2020263962
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/868,403
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】タン チン
(72)【発明者】
【氏名】エル カテルジ アーマッド
【テーマコード(参考)】
4C053
4C077
4C127
【Fターム(参考)】
4C053KK02
4C053KK07
4C077AA03
4C077AA11
4C077DD01
4C077HH10
4C077HH20
4C077HH21
4C077JJ08
4C077JJ19
4C127AA02
4C127DD04
4C127GG15
4C127LL08
(57)【要約】
血液ポンプシステムは、カテーテルと、カテーテルの遠位端の遠位に配置されたポンプハウジングと、ポンプハウジング内に少なくとも部分的に配置されたロータと、コントローラと、血液ポンプの遠位領域に連結された電極とを含む。電極を使用して、心電図(EKG)信号を感知し、血液ポンプのコントローラに信号を送信することができる。血液ポンプの動作を、EKG信号と、EKG信号から導出された心臓パラメータとに基づいて調整することができる。さらに、コントローラは、前記信号に基づいて患者の心臓の除細動またはペーシングの必要性を判定することができ、血液ポンプに連結された電極を介して心臓に電気ショックによる治療を施すことができる。既に心臓内の適所にある電極と血液ポンプとを使用することにより、重篤な心臓状態のより効率的で安全な治療が可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端および遠位端を有するカテーテル、
前記カテーテルの前記遠位端に連結されたポンプハウジング、
回転駆動されるように構成された、前記ポンプハウジング内に少なくとも部分的に配置されたロータ、ならびに
前記ポンプハウジングに連結されたカニューレ
を含む、血管内血液ポンプと;
前記血管内血液ポンプに連結され、患者の心臓の心電図(EKG)信号を感知するように構成された電極と
を含む、血管内血液ポンプシステム。
【請求項2】
前記血管内血液ポンプおよび前記電極に通信可能に連結され、かつ、前記血管内血液ポンプによって提供される補助のレベルを前記ロータが回転駆動される速度を制御することによって制御するように構成された、コントローラ
をさらに含む、請求項1記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項3】
前記血管内血液ポンプが、前記カニューレの遠位端に連結された柔軟な突出部をさらに含み、前記電極が前記柔軟な突出部上に配置された、請求項1記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項4】
前記血管内血液ポンプが、前記ロータから前記カテーテルを通って前記カテーテルの前記近位端まで延在する駆動ケーブルをさらに含み、前記駆動ケーブルが、前記ロータを回転駆動するように構成されている、請求項1記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項5】
前記血管内血液ポンプが、前記ポンプハウジング内に配置されたモータをさらに含み、前記モータが、前記ロータを回転駆動するように構成されている、請求項1記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、
前記電極からのEKG信号を処理し、
前記EKG信号に基づいて左心室拡張末期圧(LVEDP)を決定する
ようにさらに構成された、請求項2記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記EKG信号および前記LVEDPの少なくとも一方をディスプレイに表示するようにさらに構成された、請求項6記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項8】
前記コントローラが、
前記電極からの第1のEKG信号を処理し、
前記第1のEKG信号に基づいて第1のLVEDPを決定し、
前記第1のLVEDPをメモリに格納し、
前記電極からの第2のEKG信号を処理し、
前記第1のEKG信号に基づいて第2のLVEDPを決定し、
前記第2のLVEDPをメモリ内でアクセスされる前記第1のLVEDPと比較し、
前記第2のLVEDPと前記第1のLVEDPとの差を決定する
ようにさらに構成された、請求項2記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項9】
前記コントローラが、前記第2のLVEDPと前記第1のLVEDPとの差に基づいて前記血管内血液ポンプのための補助の推奨を決定するようにさらに構成された、請求項8記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項10】
前記コントローラが、前記第2のLVEDPと前記第1のLVEDPとの前記差が正である場合に、前記血管内血液ポンプによって提供される補助を増加させるための補助の推奨を決定するようにさらに構成された、請求項9記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項11】
前記コントローラが、前記第2のLVEDPと前記第1のLVEDPとの前記差が負である場合に、前記血管内血液ポンプによって提供される補助を減少させるための補助の推奨を決定するようにさらに構成された、請求項9記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項12】
前記コントローラが、前記補助の推奨をディスプレイに表示するようにさらに構成された、請求項9記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項13】
前記コントローラが、前記ロータが回転駆動される速度を調整することによって前記補助の推奨を自動的に実施するようにさらに構成された、請求項9記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項14】
前記コントローラが、
前記電極からのEKG信号を処理し、
前記EKG信号に基づいて患者の心臓のペーシングまたは除細動を提供するための推奨を決定する
ようにさらに構成された、請求項2記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項15】
前記コントローラが、患者に不規則な心拍が生じていることを前記EKG信号が示すかどうかに少なくとも一部は基づいて前記推奨を決定するようにさらに構成された、請求項14記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項16】
前記コントローラが、前記推奨をディスプレイに表示するようにさらに構成された、請求項14記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項17】
前記電極が、患者の心臓内で電荷を供給することによって前記患者の心臓のペーシングまたは除細動を提供するようにさらに構成された、請求項14記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項18】
前記コントローラが、前記電極に患者の心臓内で電荷を供給させることによって前記推奨を自動的に実施するようにさらに構成された、請求項17記載の血管内血液ポンプシステム。
【請求項19】
血管内血液ポンプを用いて患者に循環補助を提供する方法であって、以下の工程を含む方法:
コントローラの1つまたは複数のプロセッサによって、第1のポンプ速度でポンピングするよう血管内血液ポンプを制御する工程;
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記血管内血液ポンプに連結された電極から前記患者の心臓の心電図(EKG)信号を受信する工程;
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記EKG信号に基づいて、前記第1のポンプ速度とは異なる第2のポンプ速度を決定する工程;および
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記第2のポンプ速度でポンピングするよう前記血管内血液ポンプを制御する工程。
【請求項20】
血管内血液ポンプを用いて患者に循環補助を提供しながら前記患者の心臓のペーシングまたは除細動を提供する方法であって、以下の工程を含む方法:
コントローラの1つまたは複数のプロセッサによって、第1のポンプ速度でポンピングするよう血管内血液ポンプを制御する工程;
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記血管内血液ポンプに連結された電極から前記患者の心臓の心電図(EKG)信号を受信する工程;
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記EKG信号に基づいて前記患者の心臓のペーシングまたは除細動の必要性を判定する工程;および
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記患者の心臓のペーシングまたは除細動を提供するために前記患者の心臓内で電荷を供給するよう前記電極を制御する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月28日に出願された米国仮特許出願第62/868,403号の優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
心血管疾患は、世界中で、病的状態、死亡率、および医療への負担の主な原因である。心血管疾患に対しては、医薬品から機械的装置、最終的には移植にまで及ぶ様々な治療法が開発されてきた。心室補助装置などの一時的心臓補助装置は、血行力学的補助を提供し、心臓の回復を促進する。いくつかの心臓内心臓ポンプアセンブリを、外科的または経皮的に心臓に導入し、心臓または循環系のある位置から心臓または循環系の別の位置に血液を送達するために使用することができる。例えば、心臓内に展開されると、心臓内ポンプは、心臓の左心室から大動脈に血液をポンピングするか、または下大静脈から肺動脈に血液をポンピングすることができる。心臓内ポンプは、患者の体外に配置されたモータまたは患者の体内に配置されたモータによって駆動することができる。心臓内血液ポンプシステムの中には、自己心と並行して動作して、心拍出量を補い、心臓の構成要素の負担を部分的または完全に軽減することができるものもある。そのようなシステムの例には、IMPELLA(登録商標)ファミリーの装置(Abiomed,Inc.、マサチューセッツ州ダンバーズ)が含まれる。
【0003】
心臓内血液ポンプなどの機械的循環補助システムによる血行力学的補助を必要とする患者集団の中では、心臓不整脈や、不規則な心拍を経験することが一般的である。不整脈が重症の場合、ペーシング装置または除細動装置で心調律を補正する必要があり得る。
【0004】
救命治療の場面では、生命を脅かす心不整脈または心調律異常に苦しむ患者は、しばしば、大きなパッドまたは電極を患者の皮膚に当てることによって心臓に一定量の電流を流して心臓を脱分極させ、不規則な心拍を終了させるために、手動体外式除細動器または自動体外式除細動器によって除細動される。除細動は、特定の種類の不整脈が検出された場合にのみ使用され、不適切な除細動は、危険な調律異常その他の傷害を引き起こす可能性がある。
【0005】
心臓のペーシングに対する調整も、経皮または体外式ペーシングの使用によって救命治療の場面で同様に対処される。経皮ペーシングでは、臨床医は通常、患者の胸部に配置されたパッドまたは電極を使用して電流のパルスを与えて、心臓の収縮を刺激する。徐脈と呼ばれる異常に遅い心拍が検出された場合、ペーシングが必要である。
【0006】
ペーシングまたは除細動が必要とされる状況では、臨床医はまず治療が必要であることを認識し、心臓の不規則性を診断し、適切な治療を決定しなければならない。除細動が指示された場合、臨床医は次いで電極またはパッドを患者に配置し、電気ショックの電圧およびタイミングを決定し、患者に電気ショックを施さなければならない。ペーシングが指示された場合、臨床医は電極またはパッドを患者に配置し、心拍数を選択し、電流を適切なレベルに調整する。
【0007】
必要なときに患者にペーシングまたは除細動を施すのが遅れると、患者の状態に有害となる可能性があり、生存率の低下をもたらし得る。さらに、除細動および経皮ペーシングは、患者にとって不快であり得る。残念なことに、救命治療または緊急事態における除細動およびペーシングのための電気ショックは外部から与えられることが最も多いため、大量の電荷が必要とされ、患者に深刻な傷害をもたらすことがある。したがって、患者に効率的で安全なペーシングおよび除細動を提供する新しい技術が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
概要
本明細書に記載される方法、システム、および装置は、伝送機能、感知機能、および電荷受渡し機能を有する電極を含む循環補助装置を使用して、循環補助を提供し、心電図(EKG)信号を検出し、EKG信号に基づいて心機能の変化を検出し、変化に反応して、装置によって提供される補助の量を変更し、必要な場合に心臓の除細動およびペーシングを提供することを可能にする。
【0009】
ペーシングおよび除細動機能を循環補助装置に統合することにより、不整脈を循環補助中にリアルタイムで治療するためのシステムが利用可能になり、それによって、不整脈徴候の治療遅延および重症度が低減される。ペーシングおよび除細動のための電極(または感知もしくは刺激、もしくは両方のための他の同様の装置)が循環補助装置(例えば、血液ポンプ)に実装され得る。そのような装置は、EKG(ECGと呼ばれることもある)電極としても利用され得る。EKGデータを電極によって循環補助装置のコントローラに提供して、臨床医に患者の状態に関する追加情報を提供することができる。EKGデータは、補助装置コントローラが心イベントまたは心機能の変化を迅速に識別してそれに応答する能力をさらに高めることができる。
【0010】
概して、機械的循環補助システムは、機械的循環補助装置と、機械的循環補助装置に通信可能に連結され、機械的循環補助装置によって提供される補助のレベルを制御するように設計されたコントローラと、機械的補助装置に連結された電極とを含む。機械的循環補助システムは、血管内血液ポンプ、体外式膜型人工肺(ECMO)装置、大動脈内バルーンポンプ、外科的に植え込まれた左心室補助装置(LVAD)、または右心もしくは左心に配置された経皮的拡張可能血液ポンプのうちの1つまたは複数を含み得る。一局面において、循環補助装置は、近位端および遠位端を有するカテーテルと、カテーテルの遠位端の遠位に配置された血液ポンプと、血液ポンプの遠位領域に連結された電極とを備えた血管内血液ポンプシステムを含む。
【0011】
別の局面において、血管内血液ポンプシステムは、血管内血液ポンプと、コントローラと、血管内血液ポンプに連結された電極とを含む。血管内血液ポンプは、近位端および遠位端を有するカテーテルと、カテーテルの遠位端の遠位に配置されたポンプハウジングと、回転駆動されるように設計された、ポンプハウジング内に少なくとも部分的に配置されたロータとを含む。コントローラは、血管内血液ポンプに通信可能に連結され、ロータの速度を制御することにより、血管内血液ポンプによって提供される補助のレベルを制御するように設計される。
【0012】
別の局面において、血管内血液ポンプなどの循環補助装置を用いて循環補助を提供する方法は、装置(例えば、血管内血液ポンプ)を患者の脈管構造内に配置する工程と、ポンプハウジング内のロータをポンプ速度で回転させることによって血管内血液ポンプを動作させる工程とを含む。この方法は、血管内血液ポンプに連結された電極を使用して脈管構造内のEKG信号を測定する工程と、EKG信号に基づいてロータのポンプ速度を調整する工程とをさらに含む。
【0013】
別の局面において、循環補助を提供しながらEKG信号を測定する方法は、患者の脈管構造内に、循環補助装置に連結された電極を含む循環補助装置を配置する工程を含む。この方法はまた、患者の脈管構造内で循環補助装置を動作させる工程と、電極を使用して脈管構造内でEKG信号を測定する工程とを含む。
【0014】
別の局面において、循環補助を提供しながら患者の心臓のペーシングを提供する方法は、患者の脈管構造内に、循環補助装置に連結された電極を含む循環補助装置を配置する工程を含む。この方法は、脈管構造内で循環補助装置を動作させる工程と、電極を使用して脈管構造内でEKG信号を測定する工程と、EKG信号に基づいて患者の心臓のペーシングの必要性を判定する工程と、患者の心臓をペーシングするために電極で供給するための電荷を送る工程とをさらに含む。
【0015】
別の局面において、循環補助を提供しながら患者の心臓の除細動を提供する方法は、患者の脈管構造内に、循環補助装置に連結された電極を含む循環補助装置を配置する工程を含む。この方法は、脈管構造内で循環補助装置を動作させる工程と、電極を使用して脈管構造内でEKG信号を測定する工程と、EKG信号に基づいて患者の心臓の除細動の必要性を判定する工程と、患者の心臓を除細動するために電極で供給するための電荷を送る工程とをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の局面による電極を含む例示的な血液ポンプシステムを示す図である。
図2】本開示の局面による左心に配置された電極を含む例示的な血液ポンプシステムを示す図である。
図3】本開示の局面による右心に配置された電極を含む例示的な血液ポンプシステムを示す図である。
図4】本開示の局面による血管内血液ポンプに連結された電極で測定されたEKG信号に基づいて血管内血液ポンプを動作させるための例示的な方法を示すフローチャートである。
図5】本開示の局面による電極を含む血管内血液ポンプを用いて心臓補助を提供するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図6】本開示の局面による循環補助を提供しながらEKG信号を測定するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図7】本開示の局面による患者の心臓のペーシングを提供するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図8】本開示の局面による患者の心臓の除細動を提供するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
図1に、カテーテル102と、ポンプハウジング104と、ロータ106と、駆動軸(または駆動ケーブル)118と、カニューレ108と、柔軟な突出部114と、電極112と、基準電極107とを含む、本開示の局面による例示的な血液ポンプシステム100を示す。血液ポンプシステム100のポンプハウジング104は、カテーテル102の遠位端に連結されている。ロータ106は、駆動軸118に連結され、ポンプハウジング104内に配置されている。加えて、図1の例に示されるように、ロータ106はまた、ポンプハウジング104の遠位端を越えてカニューレ108の近位端にも延在し得る。本技術のいくつかの局面では、駆動軸118は、カテーテル102を通って延在し得、患者の体外に配置されたモータを介してロータ106を回転駆動するように構成され得る。本技術のいくつかの局面では、ロータ106は、ポンプハウジング104内に配置されたモータによってなど、患者の体内に配置されたモータによって駆動され得る。カニューレ108は、ポンプハウジング104の遠位端から延在する。血液ポンプシステム100は、入口開口122および出口開口124を含む。出口開口124は、カニューレ108の近位端に形成されているものとして図1に示されているが、代替的に、ポンプハウジング104の壁に形成されていてもよい。同様に、入口開口122は、カニューレ108の遠位端に形成されているものとして図1に示されているが、代替的に、カニューレ108の遠位端に取り付けられた血液流入ケージ構造(カニューレ108の一部とみなされ得る)に形成されていてもよい。
【0018】
柔軟な突出部114は、カニューレ108の遠位端110から延在する。電極112は、血液ポンプシステム100に連結されている。血液ポンプシステムは、図2および図3でそれぞれ後述されるように、右心構成または左心構成で利用することができる。
【0019】
電極112は、カニューレの遠位端110、例えば、柔軟な突出部114上に配置されている。柔軟な突出部114は、ピグテールとして、またはカニューレの遠位端110からの真っ直ぐな突出部として実装され得る。いくつかの実装形態では、柔軟な突出部114はボールまたは球体を含む。柔軟な突出部114の遠位部分116は、心臓内での血液ポンプシステム100の案内および位置決めを提供し得る。例えば、柔軟な突出部は、血液ポンプシステム100の入口開口122と心臓の壁との間に間隔をあけるために、または血液ポンプシステム100を脈管構造を通して案内するために使用され得る。
【0020】
血液ポンプシステム100内には、電極112をコントローラ(図示されず)に接続する電線120が配置されている。電線120は、カニューレ108の壁に埋め込まれていてもよく、カテーテル102を通ってコントローラまで延在し得る。血液ポンプシステム100は、図示のようにカテーテル102上に配置された、または血液ポンプシステム100上の他の場所に配置された圧力センサおよび/または光学センサ126をさらに含み得る。電極112に連結された電線120は、血液ポンプシステム100の圧力センサおよび/または光学センサ126に連結された電線、圧力線、および光ファイバと同じカテーテル102を通る経路をたどり得る。電線120は、コントローラから電極112への電気的接続および電力供給を提供する。電極112は、心臓に電荷を送るように装備されたペーシングおよび/または除細動電極112として機能するように設計することができ、EKG信号を測定し、信号を電線120を介してコントローラに送信する感知電極112としても機能する。コントローラおよび電極112の機能を併せて、図2および図3を参照して以下でより詳細に説明する。
【0021】
図1の例では、基準電極107は、血液ポンプシステム100をコントローラに接続するカテーテル102上に、患者の脈管構造内に位置するようにカテーテル102の遠位端付近に配置されている。しかしながら、基準電極107は、代替的に、患者の体外に、例えば患者の皮膚上に配置されてもよい。この基準電極107は電線によってコントローラに接続され得、この電線は、カテーテル102を介して電極112をコントローラに接続する同じ電線120であってもよい。測定されたEKG信号は、血液ポンプシステム100上の電極112と基準電極107との間の電位の差を反映する。ペーシングまたは除細動療法が施されるとき、血液ポンプシステム101に取り付けられた電極112と基準電極107との間に電圧が送られる。
【0022】
感知、ペーシング、および除細動のための電極112を血液ポンプシステム100上に直接設けることにより、EKG感知のための追加のカテーテルは不要であり、外部ペーシングおよび除細動方法は不要である。重症の不整脈の治療を提供する際の時間遅延は、必要な電極112が心臓に電荷を供給する位置に既にあるため、対外式手動除細動または経皮ペーシングを利用する従来の方法と比較して減少する。電極112が心臓内にあり、心臓組織に直接電気ショックを与えることができるので、必要な電荷量が減少し、より効率的なシステムが提供され、より大きな電流および電荷を必要とする体外式除細動またはペーシングで起こり得るさらなる傷害を引き起こす可能性が減少し得る。
【0023】
図2に、左心で血液ポンプ201上に配置された電極212を含む、本開示の局面による例示的な血液ポンプシステム200を示す。血液ポンプシステム200は、血液ポンプ201とコントローラ238とを含む。血液ポンプ201は、カニューレ208と、ポンプ204と、(矢印223で示されるように)血液がカニューレ208に流入する際に通る少なくとも1つの入口開口222と、(矢印225で示されるように)血液がカニューレ208から出る際に通る少なくとも1つの出口開口224と、基準電極207と、カテーテル202と、カニューレ208の遠位端にある柔軟な突出部214とを含む。例えば、電極212を含む血液ポンプ201は、図1の血液ポンプシステム100であり得る。血液ポンプ201は、IMPELLA(登録商標)装置、または任意の他の適切な血液ポンプであり得る。ここでもまた、少なくとも1つの出口開口224は、カニューレ208の近位端に形成されていてもよく、またはカニューレ208の近位端に取り付けられたポンプハウジング構造に形成されていてもよい。同様に、少なくとも1つの入口開口222も、カニューレ208の遠位端に形成されていてもよく、またはカニューレ208の遠位端に取り付けられた血液流入ケージ構造(カニューレ208の一部とみなされ得る)に形成されていてもよい。
【0024】
ポンプ204は、第2のカテーテル203を通って延在する第1のカテーテル202に連結されている。第1のカテーテル202と第2のカテーテル203の両方が、血液ポンプ201をコントローラ238に取り付けるために脈管構造を通って延在する。第1のカテーテル202は、第2のカテーテル203内で移動可能であり得る。第2のカテーテル203は、非回転カテーテルである。いくつかの実装形態では、脈管構造を通して血液ポンプ201を挿入または除去するために、血液ポンプ201を第2のカテーテル203内に引き込むことができる。いくつかの実装形態では、血液ポンプ201を、第2のカテーテル203内に引き込むことによって圧縮することができる。
【0025】
電極212は、図示のように柔軟な突出部214上に、またはカニューレ208の遠位端などの血液ポンプ201の遠位端の他の場所に配置される。血液ポンプ201は、少なくとも1つの入口開口222が左心室249内にあり、少なくとも1つの出口開口224が大動脈247内にあるように大動脈弁248を横切って配置される。電極212は、柔軟な突出部214上にあるにせよ、カニューレ208の遠位端にあるにせよ、左心室249内に配置され、そこで必要に応じて除細動またはペーシングのために心臓に電気ショックを施すために使用することができる。電極212は、柔軟な突出部216の最遠位部分にさらに配置されてもよい。柔軟な突出部214は、入口開口222と左心室249の壁との間に間隔をあけるのに役立ち得る。電極212は、心臓内の血液も導電性であるため、心臓組織と接触している必要はない。基準電極207は、血液ポンプ201をコントローラ238に接続するカテーテル202上に、患者の脈管構造内に位置するように血液ポンプ201付近に配置されている。基準電極207は、代替的に、患者の体外の皮膚上に配置されてもよい。この基準電極207は電線によってコントローラ238に接続され得、この電線は、カテーテル202を介して電極212をコントローラ238に接続する同じ電線219であってもよい。測定されたEKG信号は、血液ポンプ201上の電極212と基準電極207との間の電位の差を反映する。ペーシングまたは除細動療法が施されるとき、血液ポンプ201に取り付けられた電極212と基準電極207との間に電圧が送られる。
【0026】
コントローラ238は、電極212に通信可能に連結された、血液ポンプ218の動作を制御するためのプロセッサ240(または1つもしくは複数のプロセッサ240のセット)を含む。コントローラ238はまた、メモリ242と、ディスプレイ244(スピーカ、チャイムなどの1つまたは複数のオーディオデバイスをさらに含み得る)とを含む。例えば、コントローラ238は、Abiomed,Inc.のAutomated Impella Controller(AIC)または任意の他の適切なコントローラであり得る。電極212は、カニューレ208および第1のカテーテル202を通って延在する電線219によってコントローラ238に連結されている。図1に関して上述されたように、電線219は、カニューレ208の壁に埋め込まれていてもよく、カテーテル202を通ってコントローラ238まで延在し得る。電線219は、コントローラ238から電極212への電気的接続および電力供給を提供する。いくつかの実装形態では、電極212は、無線送信機に連結され得、電極212をコントローラ238に直接接続する電線219なしで血液ポンプシステム200上で機能するように設計され得る。
【0027】
電極212は、心臓内のEKG信号を測定し、必要に応じて心臓にペーシングおよび除細動のための電荷を供給するために、図1に関して上述されたように機能する。電極212は、コントローラ238にEKG信号を送信する。コントローラ238は、ディスプレイ244上で臨床医に信号を表示して、臨床医が不整脈を診断することを可能にし得る。コントローラ238はまた、EKG信号をメモリ242に記録し得る。コントローラ238はまた、プロセッサ240および/またはメモリ242に、EKG信号を解析して不整脈を検出および診断するために使用されるソフトウェアを含み得、検出された不整脈、およびプロセッサ240によって判定された推奨される治療についてディスプレイ244上で臨床医に注意喚起するようにさらに構成され得る。電極212は、心臓内に既に配置されている血液ポンプ201に連結されているので、ペーシングまたは除細動による治療の適用は、はるかに効率的になる。例えば、臨床医は、コントローラ238上でコマンドを入力することによって、電極212を介して心臓に電気ショックを送り得る。加えて、コントローラ238は、適切な電圧、タイミング、および/または心拍数ならびに施されるべき電流を決定し、臨床医に治療の実施を促すソフトウェアを含み得る。コントローラ238でEKG信号を解析することにより、体外式手動除細動およびペーシングを使用して現在可能であるよりもはるかに迅速な不整脈および心イベントへの応答が可能になる。
【0028】
コントローラ238が電極212からEKG信号を受け取った後、コントローラ238は、ディスプレイ244に表示するためにEKG信号および/または信号から導出された心臓特性を生成する。EKG信号を臨床医に表示することにより、臨床医は診断目的でEKG波の形態およびタイミングを容易に見ることができる。
【0029】
電極212によって送られたEKG情報に基づき、コントローラ238は、血液ポンプ201の動作を支援する患者の心機能に関する判定を行うことができる。コントローラ238は、プロセッサ240でEKG信号を含むデジタル信号を受け取り、コントローラ238が利用可能な他の信号およびデータと共にその情報を使用して、心機能を示す心臓パラメータおよび特性を抽出する。
【0030】
コントローラ238は、電極212によって送られたEKGデータから心臓パラメータを抽出し、そのデータを使用して血液ポンプ201によって提供される補助の効果に関する判定を行う。コントローラ238に送信されたEKGデータに基づき、コントローラは、心機能をよりよく理解するために使用することができる左心室拡張末期圧(LVEDP)などの心臓パラメータを抽出することができる。LVEDPは、拡張末期の心臓の左心室内の圧力を示し、血液ポンプの圧力およびモータ特性からの信号処理から導出することができる患者の健康および心機能を判定する際の臨界値である。低いLVEDPは健康な患者を示し、高いLVEDPは疾患または病気の徴候であり得る。
【0031】
例えば、コントローラに提供されるEKG信号は、R波のトレースである。R波の上部は、圧力測定がLVEDPを示す場合の心周期のタイミングを示す。EKG信号は圧力測定のタイミングをより明確にするので、コントローラ238はEKG信号から心周期におけるLVEDPのタイミングに関する情報を抽出することができ、LVEDP測定を周期内でLVEDPが発生する正確なタイミングで行うことができる。EKG信号からの情報により、LVEDPをより正確に決定することができる。
【0032】
代替的または追加的に、EKG信号を使用して、左心室容積、大動脈脈圧、平均大動脈圧、ポンプ流量、圧力勾配、心拍数、心拍出量、心拍出力、自己心拍出量、自己心拍出力、心収縮力、心臓弛緩、輸液反応性、容量の状態、および心臓除荷または回復指数などの他の心臓パラメータを決定するために使用される測定のための心周期の適切なタイミングを決定することもできる。
【0033】
コントローラ238は、EKG信号を使用して大動脈圧の測定の時間を計って、圧力測定およびモータパラメータに基づくLVEDP(または他の心臓パラメータ)を正確に推定し、ディスプレイ244上で臨床医に情報を提示する。コントローラはまた、データをさらに処理して、患者への補助を増減するために血液ポンプ201によって提供される循環補助を変更すべきかどうかを決定することもできる。電極212からのEKG信号を使用したLVEDPの正確な測定により、コントローラ238は心機能の変化により早く応答することができる。特に、コントローラ238は、LVEDPを含む抽出された心臓パラメータを使用して、循環補助を増加させるべきか減少させるべきかを決定することができ、それに応じてロータの速度を変更するか、または臨床医にそうするように促すことによって補助を変更することができる。
【0034】
いくつかの実装形態では、コントローラ238を使用して、血液ポンプ201の動作および血液ポンプ201によって提供される補助を自動化することができる。コントローラ238に提供されるEKG信号は、コントローラ238が心機能の変化をより良好に予測し、迅速に識別することを可能にする。EKG信号と、EKG信号およびコントローラ238が利用可能な他の信号から抽出された心臓パラメータとに基づいて、コントローラ238は、より多くの、またはより少ない補助を提供するようにロータ速度を調整し得る。あるいは、コントローラ238は、ディスプレイ244に推奨を表示することによって臨床医にロータの速度を変更するよう促してもよい。
【0035】
コントローラ238はまた、EKG信号を使用して、心臓が拍動を飛ばすときの、心室性期外収縮、および他の心臓状態を検出することもできる。コントローラ238は次いで、臨床医に注意喚起することができ、必要に応じて補助を調整するか、または血液ポンプ201に組み込まれた電極212を使用して追加の治療オプションを提供することができる。
【0036】
コントローラ238はまた、EKG信号を使用して、心臓のペーシングまたは除細動の必要性があることを示す不規則な心拍が存在するかどうかを判定し得る。ペーシングの必要性は、EKG信号と基準信号との比較、患者の現在のEKG信号と過去のEKG信号との比較、またはEKG信号から抽出された毎分の心拍数と閾値、例えば成人の場合は毎分60回(BPM)の拍動との比較によって決定され得る。不規則な心拍、または心拍が速すぎることの検出は、心室細動や無脈性心室頻拍など、除細動がその適切な治療である心調律異常を示し得る。除細動を必要とする不規則な心拍は、EKG信号と基準信号との比較、患者の現在のEKG信号と過去のEKG信号との比較、EKG信号から抽出された毎分の心拍数と閾値との比較、またはEKG信号と、心停止と関連付けられる基準心拍律動との比較によって判定され得る。あるいは、不規則性は、不規則な心拍もしくは速すぎる心拍を識別するようにプログラムされたソフトウェアによって、またはこれらのイベントを識別するように訓練された機械学習アルゴリズムによって判定されてもよい。
【0037】
ペーシングまたは除細動の必要性が検出されると、コントローラ238は、ディスプレイ244に警告または推奨を表示することによって臨床医に注意喚起し得る。コントローラ238は、ペーシングまたは除細動のどちらが必要であるかの判定、および状態の治療として施されるべき電気ショックの適切なパラメータの決定をさらに行い得る。例えば、心臓を除細動するために施されるべき電気ショックのタイミングおよび電圧がコントローラ238によって決定され得る。いくつかの実装形態では、電気ショックのタイミングおよび電圧は、臨床医によってシステムに入力されるか、またはコントローラ238によって決定され、臨床医によって承認される。他の実装形態では、電荷のタイミング、電流、心拍数、および他のパラメータがコントローラ238によって決定される。いくつかの実装形態では、心臓のペーシングに関連した関連パラメータは、臨床医によってシステムに入力されるか、またはコントローラ238によって決定され、臨床医によって承認され得る。次いで、一定量の電流が電極212を介して心臓に送られて、心筋を脱分極させ、不整脈を終了させる。電極212が既に適所にあり、電荷を心臓に直接供給することができるため、電極212を含む血液ポンプシステム200を使用した心臓の除細動またはペーシングは、手動体外式除細動器または経皮ペーシング装置を使用した治療よりも効率的で危険性が低い。
【0038】
電極を含む血液ポンプシステムは、心臓を右心構成で補助する血液ポンプと共に使用することもできる。図3に、右心に配置され、かつEKG信号を測定することならびにペーシングおよび除細動のために心臓に電荷を供給することができる電極312を含む、本開示の局面による例示的な血液ポンプシステム300を示す。血液ポンプシステム300は、血液ポンプ301とコントローラ338とを含む。
【0039】
血液ポンプ301は、カニューレ308と、ポンプ304と、(矢印325で示されるように)血液がカニューレ308に流入する際に通る少なくとも1つの入口開口324と、(矢印323で示されるように)血液がカニューレ308から出る際に通る少なくとも1つの出口開口321と、カニューレ308の遠位端にある柔軟な突出部314とを含む。例えば、血液ポンプ301は、図1の血液ポンプシステム100であり得る。血液ポンプ301は、IMPELLA(登録商標)装置、または任意の他の適切な血液ポンプであり得る。上記と同様に、少なくとも1つの入口開口324は、カニューレ308の近位端に形成されていてもよく、またはカニューレ308の近位端に取り付けられたポンプハウジング構造に形成されていてもよい。同様に、少なくとも1つの出口開口321も、カニューレ308の遠位端に形成されていてもよく、またはカニューレ308の遠位端に取り付けられた血液流出ケージ構造(カニューレ308の一部とみなされ得る)に形成されていてもよい。
【0040】
ポンプ304は、第2のカテーテル303を通って延在する第1のカテーテル302に連結されている。第1のカテーテル302と第2のカテーテル303の両方が、血液ポンプ301をコントローラ338に取り付けるために脈管構造を通って延在する。例えば、血液ポンプ301が、少なくとも1つの入口開口324が下大静脈317内にあり、少なくとも1つの出口開口が血液を肺動脈350内に排出するように右心351内に配置されると、電極312は肺動脈内に配置される。電極312は、血液ポンプ301が右心351に配置されたときに電極312が右心室349に位置するように、血液ポンプ301のカニューレ308に連結され得る。電極312は、右心室349内に位置するカニューレ308上に、柔軟な突出部314上(柔軟な突出部がない場合には、機械的循環補助システムの遠位端もしくは先端)に、または下大静脈317内の右心351付近に位置するカテーテル302上に配置することができる。右心室349内に位置するカニューレ308の部分が、心筋に近いために、好ましい場合がある。電極312が右心室349内にない場合(例えば、電極312が柔軟な突出部314上にある場合)、ペーシングまたは除細動を適用する前に、血液ポンプ301を一時的に再配置して電極312を右心室349内に配置することができる。
【0041】
コントローラ338は、電極312に通信可能に連結された、血液ポンプの動作を制御するためのプロセッサ340(または1つもしくは複数のプロセッサ340のセット)を含む。コントローラはまた、メモリ342と、ディスプレイ344(スピーカ、チャイムなどの1つまたは複数のオーディオデバイスをさらに含み得る)とを含む。図2に関して上述されたように、電極312は、コントローラ338から電極312への電気的接続および電力供給を提供する電線319によってコントローラ338に連結されている。電極312は、上述のように、患者の心機能の評価に関連したいくつかのタスクを行うためにコントローラが使用することができるEKG信号をコントローラ338に送信する。例えば、EKG信号は、コントローラ338が、臨床医に信号を表示し、EKG信号およびコントローラ338が利用可能な他の信号から心臓パラメータを抽出し、ペーシングまたは除細動が必要であることを示す心イベントまたは特性を決定するために使用することができる。ペーシングまたは除細動が必要な場合、コントローラ338は、アラームを鳴らし、かつ/または警告および/もしくは推奨をディスプレイ344上で臨床医に表示することができ、またはペーシングもしくは除細動の一部として患者の心臓に電気ショックを施すための最適な設定およびパラメータを決定し、それらのパラメータを臨床医に提示することができる。臨床医はその場合、推奨された治療を承認して、患者の心拍を調節するために電極312が電気ショックを施すことを可能にしさえすればよい。図2に関して上述されたように、血液ポンプ301はまた、カテーテル302上に配置された基準電極(図示されず)も含み得る。心臓のペーシングまたは除細動は、電極312と基準電極との間に電圧を印加することによって提供される。
【0042】
コントローラ338が、その信号およびコントローラ338が利用可能な他の信号から心臓パラメータを抽出すると、これらの心臓パラメータを臨床医に提示して、患者の健康の診断および監視を支援することができる。代替的または追加的に、心臓パラメータを使用して、提供されている循環補助の変更が推奨されるかどうかを判定することもできる。コントローラ338は、抽出された心臓パラメータを使用して、ポンプ補助が増加または減少されるべきかどうかを判定し得る。コントローラ338は、この判定を行い、ディスプレイ344を介して臨床医に推奨を提供してもよく、またはコントローラ338は、血液ポンプ301によって提供される補助に対する調整を自動的に行ってもよい。電極312が右心室349内に配置された場合、電極312によって提供されるEKGデータは、右心梗塞の状態をより明らかにすることができる。右心室349内の電極312からのEKG信号はまた、心臓の左側に配置された電極312よりも右心351内の心伝導障害をより明らかにし得る。これらの種類の右心状態が検出されると、右心351内に配置された電極312からのEKG信号は、臨床医が患者の状態をよりよく知り、それに応じて治療を調整することを可能にする。
【0043】
電極312を血液ポンプ301に組み込むことにより、ペーシングまたは除細動を必要とする不整脈、ならびに血液ポンプ301によって提供される循環補助の変更を必要とする心機能の変化を含む心イベントに対するより迅速な検出および応答が可能になる。
【0044】
図4に、血管内血液ポンプ(例えば、図1の血液ポンプシステム100、図2の血液ポンプ201、図3の血液ポンプ301)を、血管内血液ポンプに連結された電極(例えば、図1の電極112、図2の電極212、図3の電極312)で測定されたEKG信号に基づいて動作させるための例示的な方法400を示すフローチャートを示す。図4に記載の方法は、血管内血液ポンプシステム(例えば、図1の血液ポンプシステム100、図2の左心血液ポンプシステム200、図3の右心血液ポンプシステム300)に適用される。この方法は、工程402で、電極を含む、血管内血液ポンプを患者の脈管構造内に配置する工程を含む。血液ポンプは、電極が左心室内に位置するように大動脈弁を横切って配置された左心血液ポンプであり得る。あるいは、血液ポンプは、電極が肺動脈内に位置するように配置された右心血液ポンプであってもよい。工程404で、血管内血液ポンプが、ポンプハウジング内のロータをポンプ速度で回転させることによって作動される。工程406で、血管内血液ポンプに連結された電極を使用して、脈管構造内のEKG信号が測定される。いくつかの実装形態では、EKG信号は、血液ポンプのコントローラによって、心機能を示す他の心臓パラメータを抽出するために使用される。例えば、心臓パラメータが、EKG信号から直接決定されてもよく、またはEKG信号は、心臓パラメータを抽出するために、大動脈圧やモータ電流などの、コントローラが利用可能な他の信号およびデータと併用されてもよい。EKG信号は、LVEDPなどの別の測定のタイミングを決定するために使用され得る。
【0045】
工程408で、EKG信号に基づいてロータのポンプ速度が調整される。ロータのポンプ速度は、コントローラによって、EKG信号自体に基づいて、またはEKG信号から決定された心臓パラメータに基づいて調整され得る。コントローラは、EKG信号および他の心臓パラメータに基づいて、患者の心臓の健康が改善していること、および患者が循環補助から切り離されるべきであることを判定し得る。コントローラは次いで、ロータのポンプ速度を自動的に調整してポンプ速度を低下させ得るか、または患者が切り離されるべきであることを臨床医に注意喚起し、ロータポンプ速度を手動で調整するよう臨床医に促し得る。
【0046】
工程410で、EKG信号に基づいて心イベントが識別される。コントローラは、EKG信号を解析し、不規則な心拍や、速すぎるかもしくは遅すぎる心拍などの心イベントを判定するためのソフトウェアを含み得る。コントローラは、識別された心イベントの治療方法をさらに決定し得る。工程412で、識別された心イベントに基づいて表示のための警告が生成される。コントローラは、臨床医に注意喚起し、心イベントが検出されたという通知を表示し得る。さらに、コントローラは、治療方法の推奨を表示し得、かつ/または血管内心臓ポンプに連結された電極によって推奨される治療方法を施すよう臨床医を促し得る。
【0047】
電極を血管内血液ポンプに組み込むことによって、電極によって検出された信号を、血液ポンプが血液ポンプの動作を制御する際に利用することができ、心機能および心イベントに関する重要な情報を、他の方法で利用可能であり得るよりもはるかに迅速に臨床医に提供するために解析することもできる。さらに、図5図8に関して後述されるように、電極が既に心臓内にあるので、電極を使用して、最小限の遅延で心臓の除細動およびペーシングなどの治療を提供することができる。
【0048】
図5に、電極(例えば、図1の電極112、図2の電極212、図3の電極312)を含む血管内血液ポンプ(例えば、図1の血液ポンプシステム100、図2の血液ポンプ201、図3の血液ポンプ301)を用いて心臓補助を提供するための例示的な方法500を示すフローチャートを示す。図5に記載の方法は、血管内血液ポンプシステム(例えば、図1の血液ポンプシステム100、図2の左心血液ポンプシステム200、図3の右心血液ポンプシステム300)に適用される。工程502で、血管内血液ポンプが患者の脈管構造内に配置される。工程504で、血管内血液ポンプが、ポンプハウジング内のロータをポンプ速度で回転させることによって作動される。工程506で、血管内血液ポンプに連結された電極を使用して、脈管構造内のEKG信号が測定される。工程508で、EKG信号に基づいてロータのポンプ速度が調整される。工程510で、EKG信号に基づいて心イベントが識別される。例えば、EKG信号は、心拍を正常化するために除細動またはペーシングを必要とする不規則な心拍、または速すぎるかもしくは遅すぎる心拍があるかどうかを判定するために解析され得る。工程512で、識別された心イベントに基づいて、心臓を除細動またはペーシングするために電極を介して脈管構造に電荷が供給される。
【0049】
図4および図5の方法は電極に連結された血管内血液ポンプに関して説明されているが、これらの方法は、外科的にまたは患者の脈管構造を介した経皮的挿入によって脈管構造内に配置され得る、電極が取り付けられた任意の機械的循環補助装置にも適用することができる。例えば、図4および図5の方法は、右心または左心に配置されたIABP、ECMO装置、外科的に植え込まれたLVAD、経皮的拡張可能血液ポンプ、および血管内血液ポンプシステムなどの機械的循環補助装置に適用可能である。
【0050】
図6に、循環補助を提供しながらEKG信号を測定するための例示的な方法600を示すフローチャートを示す。図6に記載の方法は、IABP、ECMO装置、LVAD、拡張可能血液ポンプ、ならびに血管内血液ポンプ(例えば、図2の血液ポンプ201、図3の血液ポンプ301)および血液ポンプシステム(例えば、図1の血液ポンプシステム100、図2の左心血液ポンプシステム200、図3の右心血液ポンプシステム300)を含む任意の機械的循環補助装置に適用される。工程602で、電極(例えば、図1の電極112、図2の電極212、図3の電極312)を含む循環補助装置が患者の脈管構造内に配置される。工程604で、循環補助装置が、患者の脈管構造内で作動される。例えば、循環補助装置は、患者の心臓を通して血液をポンピングして、連続的または拍動性の心臓補助を提供するように動作し得る。工程606で、電極を使用して脈管構造内でEKG信号が測定され、工程608で、EKG信号が循環補助装置のコントローラに送信される。
【0051】
工程610で、コントローラによってEKG信号から心臓特性が判定される。一例として、EKG信号から抽出された心臓特性は、不規則な拍動、遅すぎるか速すぎる拍動、または拍動を飛ばすなどの心拍の特性であり得る。別の例として、EKG信号に示されるR波のピークから、それに基づいて正確なLVEDP値を測定することができる、LVEDPの測定のタイミングが決定されてもよい。EKG信号と、圧力測定値や、ポンプパラメータまたはモータパラメータなどの、循環補助装置が利用可能であり得る他の信号および情報とから、他の心臓パラメータおよび心臓特性を抽出することができる。心臓特性が決定された後、心臓特性は、臨床医に表示されてもよく、または不規則な心拍を補正するための電気ショックの適用や、心機能が改善している患者を補助から切り離すために循環補助装置によって提供される循環補助のレベルの低減などの治療方法を決定および実施するためにコントローラによって使用されてもよい。
【0052】
図7に、患者の心臓のペーシングを提供するための例示的な方法700を示すフローチャートを示す。図7に記載の方法は、IABP、ECMO装置、LVAD、拡張可能血液ポンプ、ならびに血管内血液ポンプ(例えば、図2の血液ポンプ201、図3の血液ポンプ301)および血液ポンプシステム(例えば、図1の血液ポンプシステム100、図2の左心血液ポンプシステム200、図3の右心血液ポンプシステム300)を含む任意の機械的循環補助装置に適用される。工程702で、電極(例えば、図1の電極112、図2の電極212、図3の電極312)を含む循環補助装置が患者の脈管構造内に配置される。工程704で、循環補助装置が、患者の脈管構造内で作動される。例えば、循環補助装置は、患者の心臓を通して血液をポンピングして、連続的または拍動性の心臓補助を提供するように動作し得る。工程706で、電極を使用して脈管構造内でEKG信号が測定される。
【0053】
工程708で、EKG信号に基づいて患者の心臓のペーシングの必要性が判定される。例えば、異常に遅い心拍は、徐脈および心臓の調節の必要性を示し得る。ペーシングの必要性は、EKG信号と基準信号との比較、患者の現在のEKG信号と過去のEKG信号との比較、またはEKG信号から抽出された毎分の心拍数と閾値、例えば成人の場合は毎分60回(BPM)の拍動との比較によって決定され得る。あるいは、異常に遅い心拍は、徐脈を識別するようにプログラムされたソフトウェアによって、またはこれらのイベントを識別するように訓練された機械学習アルゴリズムによって判定されてもよい。
【0054】
工程710で、患者の心臓にペーシングを提供するために電極で供給するための電荷が送られる。電荷のタイミング、電流、心拍数、および他のパラメータは、臨床医によってシステムに入力され得るか、またはコントローラによって決定され、臨床医によって承認され得る。電荷は、心臓内の電極で供給される。電極が既に適所にあり、電荷を心臓に直接供給することができるので、電極を含む循環補助装置を使用する心臓のペーシングは、経皮ペーシングを使用する治療よりも効率的で危険性が低い。
【0055】
図8に、患者の心臓の除細動を提供するための例示的な方法800を示すフローチャートを示す。図8に記載の方法は、IABP、ECMO装置、LVAD、拡張可能血液ポンプ、ならびに血管内血液ポンプ(例えば、図2の血液ポンプ201、図3の血液ポンプ301)および血液ポンプシステム(例えば、図1の血液ポンプシステム100、図2の左心血液ポンプシステム200、図3の右心血液ポンプシステム300)を含む任意の機械的循環補助装置に適用される。工程802で、電極(例えば、図1の電極112、図2の電極212、図3の電極312)を含む循環補助装置が患者の脈管構造内に配置される。工程804で、循環補助装置が、患者の脈管構造内で作動される。例えば、循環補助装置は、患者の心臓を通して血液をポンピングして、連続的または拍動性の心臓補助を提供するように動作し得る。工程806で、電極を使用して脈管構造内でEKG信号が測定される。
【0056】
工程808で、EKG信号に基づいて患者の心臓の除細動の必要性が判定される。例えば、不規則な心拍、または心拍が速すぎることは、心室細動や無脈性心室頻拍など、除細動がその適切な治療である心調律異常を示し得る。心拍の不規則性は、EKG信号と基準信号との比較、患者の現在のEKG信号と過去のEKG信号との比較、EKG信号から抽出された毎分の心拍数と閾値との比較、またはEKG信号と、心停止と関連付けられる基準心拍律動との比較によって判定され得る。あるいは、不規則性は、不規則な心拍もしくは速すぎる心拍を識別するようにプログラムされたソフトウェアによって、またはこれらのイベントを識別するように訓練された機械学習アルゴリズムによって判定されてもよい。
【0057】
工程810で、患者の心臓を除細動するために電極で供給するための電荷が送られる。電気ショックのタイミングおよび電圧は、臨床医によってシステムに入力され得るか、またはコントローラによって決定され、臨床医によって承認され得る。次いで、一定量の電流が電極を介して心臓に送られて、心筋を脱分極させ、不整脈を終了させる。電極が既に適所にあり、電荷を心臓に直接供給することができるので、電極を含む循環補助装置を使用する心臓の除細動は、手動体外式除細動器を使用する治療よりも効率的で危険性が低い。
【0058】
以上の説明は、単に本技術の原理を例示するためのものである。よって、本明細書に記載される装置および方法を、限定ではなく例示を目的として提示された、記載の実装形態以外によって実施することができる。
【0059】
加えて、開示の特徴は、本明細書に記載されている1つまたは複数の他の特徴と共に、(複数の従属的組み合わせおよび部分的組み合わせを含む)任意の組み合わせまたは部分的組み合わせとして実装され得る。以上で説明または例示された様々な特徴は、それらの任意の構成要素を含めて、他のシステムに結合または統合されてもよい。さらに、本技術の精神から逸脱することなく、特定の特徴が省略されるか、または実装されなくてもよい。
【0060】
記載のシステムおよび方法は、心臓ポンプシステム上またはAICなどの心臓ポンプシステムのコントローラ上でローカルで実装されてもよい。心臓ポンプシステムは、データ処理装置を含み得る。本明細書に記載されるシステムおよび方法は、別個のデータ処理装置上でリモートで実装されてもよい。別個のデータ処理装置は、心臓ポンプシステムに直接、またはクラウドアプリケーションを介して間接的に接続され得る。心臓ポンプシステムは、別個のデータ処理装置とリアルタイム(またはほぼリアルタイム)で通信し得る。
【0061】
コンピュータプログラムの実行に適するプロセッサには、例えば、汎用と専用両方のマイクロプロセッサや、任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリまたはランダム・アクセス・メモリまたはその両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを格納するための1つまたは複数のメモリデバイスとである。一般に、コンピュータは、データを格納するための1つもしくは複数の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスクや光磁気ディスクや光ディスクを含むか、または大容量記憶装置からデータを受信するかもしくは大容量記憶装置にデータを転送するように動作可能に連結されるか、またはその両方である。しかし、コンピュータにはそのような装置がなくてもよい。
【0062】
例示的な実装形態
既に説明されたように、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、様々なやり方で実装され得る。その点に関して、以上の開示は、以下の例示的な実装形態のカテゴリに記載されているシステム、方法、ならびにそれらの組み合わせおよび部分的組み合わせを含むことが意図されているが、これらに限定されない。
【0063】
カテゴリA:
A1:
機械的循環補助装置と、
機械的補助装置に連結された電極と
を含む、機械的循環補助システム。
A2:機械的循環補助装置が、少なくとも一部は患者の心臓内に配置されるように構成された、A1の機械的循環補助システム。
A3:機械的循環補助装置が、血管内血液ポンプ、体外式膜型人工肺(ECMO)装置、大動脈内バルーンポンプ、外科的に植え込まれた左心室補助装置(LVAD)、または右心もしくは左心に配置された経皮的拡張可能血液ポンプのうちの1つである、A1またはA2の機械的循環補助システム。
A4:電極からの電気信号が心電図(EKG)信号である、A1~A3のいずれかの機械的循環補助システム。
A5:電極が心臓内に配置されるように構成された、A1~A4のいずれかの機械的循環補助システム。
A6:電極がコントローラに通信可能に連結され、コントローラが、電極から電気信号を受信するように構成された、A1~A5のいずれかの機械的循環補助システム。
A7:コントローラが、機械的循環補助装置によって提供される補助のレベルを制御するように構成された、A6の機械的循環補助システム。
A8:コントローラが、
電極からの電気信号を処理し、
表示のために電極からの前記電気信号を生成する
ように構成された、A7の機械的循環補助システム。
A9:コントローラが、EKG信号から左心室拡張末期圧(LVEDP)を抽出するように構成された、A8の機械的循環補助システム。
A10:コントローラが、EKG信号およびLVEDPをディスプレイに表示するように構成された、A9の機械的循環補助システム。
A11:コントローラが、
過去のLVEDPメモリに格納し、
新しいLVEDPをメモリ内でアクセスされる過去のLVEDPと比較し、
新しいLVEDPと過去のLVEDPとの差を決定する
ように構成された、A6~A10のいずれかの機械的循環補助システム。
A12:コントローラが、新しいLVEDPと過去のLVEDPとの差に基づいて補助の推奨を決定するようにさらに構成された、A11の機械的循環補助システム。
A13:コントローラが、新しいLVEDPと過去のLVEDPとの差が正である場合に、機械的循環補助装置による補助を増加させるための補助の推奨を決定するように構成された、A12の機械的循環補助システム。
A14:コントローラが、新しいLVEDPと過去のLVEDPとの差が負である場合に、補助を減少させるための補助の推奨を決定するように構成された、A12の機械的循環補助システム。
A15:コントローラが、表示のために補助の推奨を生成するようにさらに構成された、A12~A14のいずれかの機械的循環補助システム。
A16:コントローラが、補助の推奨を自動的に実施するようにさらに構成された、A12~A15のいずれかの機械的循環補助システム。
A17:機械的循環補助装置に連結された基準電極をさらに含む、A1~A16のいずれかの機械的循環補助システム。
【0064】
カテゴリB:
B1:
近位端および遠位端を有するカテーテルと、
カテーテルの遠位端の遠位に配置されたポンプハウジングと、
ポンプハウジング内に少なくとも部分的に配置されたロータと、
血液ポンプの遠位領域に連結された電極と
を含む、血管内血液ポンプシステム。
B2:ポンプハウジングの遠位に配置された柔軟な突出部をさらに含む、B1の血管内血液ポンプ。
B3:電極が柔軟な突出部上に配置された、B1またはB2の血管内血液ポンプ。
B4:電極が、センサとして機能するように構成された、B1~B3のいずれかの血管内血液ポンプ。
B5:ポンプハウジングに連結されたカニューレをさらに含む、B1~B4のいずれかの血管内血液ポンプ。
B6:柔軟な突出部がカニューレの遠位端に配置された、B5の血管内血液ポンプ。
B7:ポンプハウジング内のロータを駆動するように構成された、ロータからカテーテルを通ってカテーテルの近位端まで延在する駆動ケーブルをさらに含む、B1~B6のいずれかの血管内血液ポンプ。
B8:電極からカテーテルを通ってカテーテルの近位端まで延在する電線をさらに含む、B1~B7のいずれかの血管内血液ポンプ。
B9:電線がポンプハウジングの側壁に埋め込まれた、B8の血管内血液ポンプ。
B10:電線が、電極からの信号をカテーテルの近位端に伝送するように構成された、B8またはB10の血管内血液ポンプ。
B11:電線が、電極で供給するためにカテーテルの近位端から電荷を送るように構成された、B7~B10のいずれかの血管内血液ポンプ。
B12:電極が心臓内に配置されるように構成された、B1~B11のいずれかの血管内血液ポンプ。
B13:
ポンプハウジングに形成された複数の開口と、
ポンプハウジングに形成された複数の出口開口と
をさらに含む、B1~B12のいずれかの血管内血液ポンプ。
B14:カテーテルに連結された基準電極をさらに含む、B13の血管内血液ポンプ。
B15:
複数の入口開口が、心臓の左心室に配置されるように構成され、かつ
出口開口が、入口開口の近位にあり、心臓の大動脈内に配置されるように構成された、
B13またはB14の血管内血液ポンプ。
B16:電極が左心室内に配置されるように構成された、B15の血管内血液ポンプ。
B17:電極が、左心室内で電荷を送ることによって心臓を除細動するように構成された、B16の血管内血液ポンプ。
B18:電極が、左心室内で電荷を送ることによって心臓にペーシングを提供するように構成された、B16の血管内血液ポンプ。
B19:
複数の入口開口が、心臓の下大静脈に配置されるように構成され、かつ
複数の出口開口が、入口開口の遠位にあり、心臓の肺動脈内に配置されるように構成された、
B13の血管内血液ポンプ。
B20:電極が右心室内に配置されるように構成された、B19の血管内血液ポンプ。
B21:電極が、右心室内で電荷を送ることによって心臓を除細動するように構成された、B20の血管内血液ポンプ。
B22:電極が、右心室内で電荷を送ることによって心臓にペーシングを提供するように構成された、B20の血管内血液ポンプ。
B23:カテーテルに連結された圧力センサをさらに含む、B1~B22のいずれかの血管内血液ポンプ。
【0065】
カテゴリC:
C1:
機械的循環補助装置と、
機械的循環補助装置に通信可能に連結され、かつ、機械的循環補助装置によって提供される補助のレベルを制御するように構成された、コントローラと、
機械的循環補助装置に連結され電極と
を含む、機械的循環補助システム。
C2:電極がコントローラに通信可能に連結され、コントローラが、電極から電気信号を受信するように構成された、C1の機械的循環補助システム。
C3:
コントローラが、
電極からの電気信号を処理し、
表示のために電極からの前記電気信号を生成する
ように構成された、C2の機械的循環補助システム。
C4:電極からの電気信号が心電図(EKG)信号である、C2またはC3の機械的循環補助システム。
C5:電極が心臓内に配置されるように構成された、C1~C4のいずれかの機械的循環補助システム。
C6:コントローラが、EKG信号から左心室拡張末期圧(LVEDP)を抽出するように構成された、C4の機械的循環補助システム。
C7:コントローラが、EKG信号およびLVEDPをディスプレイに表示するように構成された、C6の機械的循環補助システム。
C8:コントローラが、
過去のLVEDPメモリに格納し、
新しいLVEDPをメモリ内でアクセスされる過去のLVEDPと比較し、
新しいLVEDPと過去のLVEDPとの差を決定する
ように構成された、C6またはC7の機械的循環補助システム。
C9:コントローラが、新しいLVEDPと過去のLVEDPとの差に基づいて補助の推奨を決定するようにさらに構成された、C8の機械的循環補助システム。
C10:コントローラが、新しいLVEDPと過去のLVEDPとの差が正である場合に、補助を増加させるための補助の推奨を決定するように構成された、C9の機械的循環補助システム。
C11:コントローラが、新しいLVEDPと過去のLVEDPとの差が負である場合に、補助を減少させるための補助の推奨を決定するように構成された、C9の機械的循環補助システム。
C12:コントローラが、表示のために補助の推奨を生成するようにさらに構成された、C9~C11のいずれかの機械的循環補助システム。
C13:コントローラが、補助の推奨を自動的に実施するようにさらに構成された、C9~C12のいずれかの機械的循環補助システム。
C14:基準電極をさらに含む、C9~C13のいずれかの機械的循環補助システム。
【0066】
カテゴリD:
D1:
近位端および遠位端を有するカテーテル、
カテーテルの遠位端の遠位に配置されたポンプハウジング、ならびに
回転駆動されるように構成された、ポンプハウジング内に少なくとも部分的に配置されたロータ
を含む、血管内血液ポンプと;
血管内血液ポンプに通信可能に連結され、かつ、血管内血液ポンプによって提供される補助のレベルをロータの速度を制御することによって制御するように構成された、コントローラと;
血管内血液ポンプに連結された電極と
を含む、血管内血液ポンプシステム。
D2:ポンプハウジングの遠位に配置された柔軟な突出部をさらに含む、D1の血管内血液ポンプシステム。
D3:電極が柔軟な突出部上に配置された、D1またはD2の血管内血液ポンプシステム。
D4:電極が、センサとして機能するように構成された、D1~D3のいずれかの血管内血液ポンプシステム。
D5:ポンプハウジングに連結されたカニューレをさらに含む、D1~D4のいずれかの血管内血液ポンプシステム。
D6:柔軟な突出部がカニューレの遠位端に配置された、D5の血管内血液ポンプシステム。
D7:ポンプハウジング内のロータを駆動するように構成された、ロータからカテーテルを通ってカテーテルの近位端まで延在する駆動ケーブルをさらに含む、D1~D6のいずれかの血管内血液ポンプシステム。
D8:電極からカテーテルを通ってカテーテルの近位端まで延在する電線をさらに含む、D1~D7のいずれかの血管内血液ポンプシステム。
D9:電線がポンプハウジングの側壁に埋め込まれた、D8の血管内血液ポンプシステム。
D10:電極が、電線によってコントローラに通信可能に連結され、コントローラが、電線を介して電極から電気信号を受信するように構成された、D8またはD9の血管内血液ポンプシステム。
D11:
コントローラが、
電極からの電気信号を処理し、
電極からの前記電気信号をディスプレイに表示する
ように構成された、D8~D10のいずれかの血管内血液ポンプシステム。
D12:電極からの電気信号が心電図(EKG)信号である、D8~D11のいずれかの血管内血液ポンプシステム。
D13:コントローラが、EKG信号から左心室拡張末期圧(LVEDP)を抽出するように構成された、D12の血管内血液ポンプシステム。
D14:コントローラが、EKG信号およびLVEDPの少なくとも一方をディスプレイに表示するように構成された、D13の血管内血液ポンプシステム。
D15:
コントローラが、
過去のLVEDPメモリに格納し、
新しいLVEDPをメモリ内でアクセスされる過去のLVEDPと比較し、
新しいLVEDPと過去のLVEDPとの差を決定する
ように構成された、D13またはD14の血管内血液ポンプシステム。
D16:コントローラが、新しいLVEDPと過去のLVEDPとの差に基づいて補助の推奨を決定するようにさらに構成された、D15の血管内血液ポンプシステム。
D17:コントローラが、新しいLVEDPと過去のLVEDPとの差が正である場合に、補助を増加させるための補助の推奨を決定するように構成された、D16の血管内血液ポンプシステム。
D18:コントローラが、新しいLVEDPと過去のLVEDPとの差が負である場合に、補助を減少させるための補助の推奨を決定するように構成された、D16の血管内血液ポンプシステム。
D19:コントローラが、補助の推奨をディスプレイに表示するようにさらに構成された、D16~D18のいずれかの血管内血液ポンプシステム。
D20:コントローラが、補助の推奨を自動的に実施するようにさらに構成された、D16~D19のいずれかの血管内血液ポンプシステム。
D21:コントローラが、EKG信号に基づいて治療の推奨を決定するようにさらに構成された、D13~D20のいずれかの血管内血液ポンプシステム。
D22:コントローラが、治療の推奨の指示をディスプレイに表示するようにさらに構成された、D13~D20のいずれかの血管内血液ポンプシステム。
D23:カテーテルに連結された基準電極をさらに含む、D22の血管内血液ポンプシステム。
D24:コントローラが、ユーザ入力に応答して心臓のペーシングまたは心臓の除細動を提供するために電線を介して電極で供給するための電荷を送るように構成された、D23の血管内血液ポンプシステム。
D25:コントローラが、治療の推奨に基づいて心臓のペーシングまたは心臓の除細動を提供するために電線を介して電極で供給するための電荷を自動的に送るように構成された、D23の血管内血液ポンプシステム。
D26:電極が心臓内に配置されるように構成された、D1~D25のいずれかの血管内血液ポンプシステム。
D27:血管内血液ポンプが、
カニューレに形成された複数の入口開口と
ポンプハウジングに形成された複数の出口開口と
をさらに含む、D1~D26のいずれかの血管内血液ポンプシステム。
D28:
複数の入口開口が、心臓の左心室に配置されるように構成され、かつ
出口開口が、入口開口の近位にあり、心臓の大動脈内に配置されるように構成された、
D27の血管内血液ポンプシステム。
D29:電極が左心室内に配置されるように構成された、D28の血管内血液ポンプシステム。
D30:電極が、左心室内で電荷を送ることによって心臓を除細動するように構成された、D29の血管内血液ポンプシステム。
D31:電極が、左心室内で電荷を送ることによって心臓にペーシングを提供するように構成された、D29の血管内血液ポンプシステム。
D32:
複数の入口開口が、心臓の下大静脈に配置されるように構成され、かつ
複数の出口開口が、入口開口の遠位にあり、心臓の肺動脈内に配置されるように構成された、
D27の血管内血液ポンプシステム。
D33:電極が右心室内に配置されるように構成された、D32の血管内血液ポンプシステム。
D34:電極が、右心室内で電荷を送るように構成された、D33の血管内血液ポンプシステム。
D35:電極が、右心室内で電荷を送ることによって心臓にペーシングを提供するように構成された、D33の血管内血液ポンプシステム。
D36:カテーテルに連結された圧力センサをさらに含む、D1~D35のいずれかの血管内血液ポンプシステム。
【0067】
カテゴリE:
E1:血管内血液ポンプを用いて循環補助を提供する方法であって、以下の工程を含む方法:
血管内血液ポンプを患者の脈管構造内に配置する工程;
ポンプハウジング内の血管内血液ポンプのロータをポンプ速度で回転させることによって血管内血液ポンプを動作させる工程;
血管内血液ポンプに連結された電極を使用して脈管構造内の心電図(EKG)信号を測定する工程;および
EKG信号に基づいてロータのポンプ速度を調整する工程。
E2:血管内血液ポンプを患者の脈管構造内に配置する工程が、血管内血液ポンプを、電極が心臓内に位置するように患者の心臓内に配置することをさらに含む、E1の方法。
E3:
表示のためにEKG信号を生成する工程;および
ポンプ速度を調整するためのユーザ入力を受け取る工程
をさらに含む、E2の方法。
E4:表示のためにEKG信号に基づいてポンプ速度を調整するための推奨を生成する工程をさらに含む、E3の方法。
E5:EKG信号から左心室拡張末期圧(LVEDP)を計算する工程をさらに含む、E1~E4のの方法。
E6:EKG信号から計算されたLVEDPに基づいてポンプ速度を調整するための推奨を決定する工程をさらに含む、E5の方法。
E7:ポンプ速度を調整するための推奨を決定する工程が、
患者の過去のLVEDPにアクセスすること;
患者の現在のLVEDPを過去のLVEDPと比較すること;および
現在のLVEDPと過去のLVEDPとの差を決定すること
をさらに含む、E6の方法。
E8:現在のLVEDPと過去のLVEDPとの差が正である場合に、ポンプ速度を増加させるための推奨を決定する工程をさらに含む、E7の方法。
E9:現在のLVEDPと過去のLVEDPとの差が負である場合に、ポンプ速度を減少させるための推奨を決定する工程をさらに含む、E7の方法。
E10:
EKG信号に基づいて心臓のペーシングを提供するための推奨を決定する工程;
表示のためにユーザに心臓のペーシングを提供するための推奨を生成する工程;および
ユーザから受け取られた入力に応答して、患者の心臓をペーシングするために電極で供給するための電荷を送る工程
をさらに含む、E1~E9の方法。
E11:心臓をペーシングするために電極で供給するための電荷を送る工程が、基準電極と電極との間に電圧を印加することをさらに含む、E10の方法。
E12:
EKG信号に基づいて心臓の除細動を提供するための推奨を決定する工程;
表示のためにユーザに心臓の除細動を提供するための推奨を生成する工程;および
ユーザから受け取られた入力に応答して、患者の心臓を除細動するために電極で供給するための電荷を送る工程
をさらに含む、E1~E9の方法。
E12:心臓を除細動するために電極で供給するための電荷を送る工程が、基準電極と電極との間に電圧を印加することをさらに含む、E11の方法。
E13:血管内血液ポンプを患者の脈管構造内に配置する工程が、血管内血液ポンプを、血管内血液ポンプに連結された電極が左心室内にあるように、脈管構造内に配置することをさらに含む、E1~E12の方法。
E14:血管内血液ポンプを患者の脈管構造内に配置する工程が、血管内血液ポンプを、血管内血液ポンプに連結された電極が右心室内にあるように、脈管構造内に配置することをさらに含む、E1~E12の方法。
【0068】
カテゴリF:
F1:循環補助を提供しながらEKG信号を測定する方法であって、以下の工程を含む方法:
患者の脈管構造内に、循環補助装置に連結された電極を含む循環補助装置を配置する工程;
患者の脈管構造内で循環補助装置を動作させる工程;および
電極を使用して脈管構造内で心電図(EKG)信号を測定する工程。
F2:循環補助装置が血管内血液ポンプである、F1の方法。
F3:患者の脈管構造内に循環補助装置を配置する工程が、循環補助装置を、電極が心臓内に位置するように患者の心臓内に配置することをさらに含む、F1またはF2の方法。
F4:EKG信号を、循環補助装置に連結されたコントローラに送信する工程をさらに含む、F1~F3のいずれかの方法。
F5:表示のためにEKG信号を生成する工程をさらに含む、F4の方法。
F6:EKG信号を過去のEKG信号としてコントローラのメモリに格納する工程をさらに含む、F4またはF5の方法。
F7:
EKG信号から左心室拡張末期圧(LVEDP)を計算する工程;および
LVEDPを過去のLVEDP信号としてコントローラのメモリに格納する工程
をさらに含む、F4~F6のいずれかの方法。
F8:過去のLVEDPと現在のLVEDPとの比較に基づいて治療の推奨を決定する工程をさらに含む、F6またはF7の方法。
F9:表示のためにユーザへの治療の推奨を生成する工程をさらに含む、F8の方法。
F10:治療の推奨を自動的に行う工程をさらに含む、F8の方法。
F11:
現在のLVEDPが過去のLVEDPよりも高い場合、循環補助装置によって提供される補助を増加させるための推奨を決定する工程;および
現在のLVEDPが過去のLVEDPよりも低い場合、循環補助装置によって提供される補助を減少させるための推奨を決定する工程
をさらに含む、F8~F10のいずれかの方法。
【0069】
カテゴリG:
G1:循環補助を提供しながら患者の心臓のペーシングを提供する方法であって、以下の工程を含む方法:
患者の脈管構造内に、循環補助装置に連結された電極を含む循環補助装置を配置する工程;
脈管構造内で循環補助装置を動作させる工程;
電極を使用して脈管構造内で心電図(EKG)信号を測定する工程;
EKG信号に基づいて患者の心臓のペーシングの必要性を判定する工程;および
患者の心臓をペーシングするために電極で供給するための電荷を送る工程。
G2:循環補助装置が血管内血液ポンプである、G1の方法。
G3:患者の脈管構造内に循環補助装置を配置する工程が、循環補助装置を、電極が心臓内に位置するように患者の心臓内に配置することをさらに含む、G1またはG2の方法。
G4:EKG信号を、循環補助装置に連結されたコントローラに送信する工程をさらに含む、G1~G3のいずれかの方法。
G5:表示のためにEKG信号を生成する工程をさらに含む、G4の方法。
G6:EKG信号を過去のEKG信号としてコントローラのメモリに格納する工程をさらに含む、G4またはG5の方法。
G7:患者の心臓のペーシングの必要性を判定する工程が、過去のEKG信号と現在のEKG信号との比較をさらに含む、G6の方法。
G8:患者の心臓のペーシングの必要性を判定する工程が、
現在のEKG信号からのEKG信号特性を抽出すること;および
EKG信号特性を1つまたは複数の閾値と比較すること
をさらに含む、G1~G6のいずれかの方法。
G9:患者の心臓のペーシングの必要性を判定する工程が、
現在のEKG信号と過去のEKG信号とからEKG信号特性を抽出すること;および
現在のEKG信号特性を過去のEKG特性と比較すること
をさらに含む、G6の方法。
G10:患者の心臓をペーシングするために電極で供給するための電荷を送る工程が、
心拍数を増加させるために心臓に供給するための1つまたは複数の電荷を送ること
を含む、G1~G9のいずれかの方法。
G11:患者の脈管構造内に循環補助装置を配置する工程が、
循環補助装置を、循環補助装置に連結された電極が左心室または右心室の一方に位置するように患者の脈管構造内に配置すること
をさらに含む、G1~G10のいずれかの方法。
G12:患者の心臓をペーシングするために電極で供給するための電荷を送る工程が、電極と基準電極との間に電圧を送ることをさらに含む、G1~G11のいずれかの方法。
【0070】
カテゴリH:
H1:循環補助を提供しながら患者の心臓の除細動を提供する方法であって、以下の工程を含む方法:
患者の脈管構造内に、循環補助装置に連結された電極を含む循環補助装置を配置する工程;
脈管構造内で循環補助装置を動作させる工程;および
電極を使用して脈管構造内で心電図(EKG)信号を測定する工程;
EKG信号に基づいて患者の心臓の除細動の必要性を判定する工程;および
患者の心臓を除細動するために電極で供給するための電荷を送る工程。
H2:循環補助装置が血管内血液ポンプである、H1の方法。
H3:患者の脈管構造内に循環補助装置を配置する工程が、循環補助装置を、電極が心臓内に位置するように患者の心臓内に配置することをさらに含む、H1またはH2の方法。
H4:EKG信号を、循環補助装置に連結されたコントローラに送信する工程をさらに含む、H1~H3のいずれかの方法。
H5:表示のためにEKG信号を生成する工程をさらに含む、H4の方法。
H6:EKG信号を過去のEKG信号としてコントローラのメモリに格納する工程をさらに含む、H4またはH5の方法。
H7:患者の心臓のペーシングの必要性を判定する工程が、過去のEKG信号と現在のEKG信号との比較をさらに含む、H6の方法。
H8:患者の心臓の除細動の必要性を判定する工程が、
現在のEKG信号からのEKG信号特性を抽出すること;および
EKG信号特性を1つまたは複数の閾値と比較すること
をさらに含む、H1~H6のいずれかの方法。
H9:患者の心臓の除細動の必要性を判定する工程が、
現在のEKG信号と過去のEKG信号とからEKG信号特性を抽出すること;および
現在のEKG信号特性を過去のEKG特性と比較すること
をさらに含む、H6の方法。
H10:患者の心臓を除細動するために電極で供給するための電荷を送る工程が、
心臓の機能を再開するために心臓に供給するための1つまたは複数の電荷を送ること
を含む、H1~H9のいずれかの方法。
H11:患者の脈管構造内に循環補助装置を配置する工程が、
循環補助装置を、循環補助装置に連結された電極が左心室または右心室の一方に位置するように患者の脈管構造内に配置すること
をさらに含む、H1~H10のいずれかの方法。
H12:患者の心臓を除細動するために電極で供給するための電荷を送る工程が、電極と基準電極との間に電圧を送ることをさらに含む、H1~H11のいずれかの方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】