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  • 特表-低用量のメタキサロン製剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-08
(54)【発明の名称】低用量のメタキサロン製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/421 20060101AFI20220901BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220901BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220901BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220901BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220901BHJP
   A61P 29/02 20060101ALI20220901BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220901BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220901BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
A61K31/421
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/36
A61P21/00
A61P29/02
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577421
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020039041
(87)【国際公開番号】W WO2020263768
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/866,356
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/524,952
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521565419
【氏名又は名称】プリマス ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ギャンデ,マクテシュワー
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ,ロバート,エム.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC03
4C076DD41
4C076DD67
4C076EE16
4C076EE36
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC69
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA52
4C086NA11
4C086ZA08
4C086ZA94
(57)【要約】
摂食状態および絶食状態においてバイオアベイラビリティーが改善されたメタキサロンの経口投与剤形は、このような改善されたバイオアベイラビリティーに基づき、低用量を利用する剤形を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタキサロンおよび1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む固形経口医薬製剤であって、
a.USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLの水中0.5%SLS中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤もしくはカプセル剤が、メタキサロンの少なくとも50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、もしくは70重量%を60分以内に放出する、および/または
b.USP装置2型(パドル)において50rpmおよび37±0.5℃で、900mLの絶食状態をシミュレートした腸液中で試験した場合、前記製剤の100mg錠剤もしくはカプセル剤が、メタキサロンの少なくとも65重量%、70重量%、75重量%、もしくは80重量%を300分以内に放出する、
固形経口医薬製剤。
【請求項2】
USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLの水中0.5%SLS中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤またはカプセル剤が、メタキサロンの少なくとも50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、または70重量%を60分以内に放出する、請求項1に記載の固形経口医薬製剤。
【請求項3】
USP装置2型(パドル)において50rpmおよび37±0.5℃で、900mLの絶食状態をシミュレートした腸液中で試験した場合、前記製剤の100mg錠剤またはカプセル剤が、メタキサロンの少なくとも65重量%、70重量%、75重量%、または80重量%を300分以内に放出する、請求項1に記載の固形経口医薬製剤。
【請求項4】
a.USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLの水中0.5%SLS中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤またはカプセル剤が、メタキサロンの少なくとも60重量%を60分以内に放出し、
b.USP装置2型(パドル)において50rpmおよび37±0.5℃で、900mLの絶食状態をシミュレートした腸液中で試験した場合、前記製剤の100mg錠剤またはカプセル剤が、メタキサロンの少なくとも75重量%を300分以内に放出する、
請求項1に記載の固形経口医薬製剤。
【請求項5】
USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLのpH4.5の酢酸塩緩衝溶液中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤またはカプセル剤が、メタキサロンの65重量%、60重量%、55重量%、50重量%、または45重量%以下を90分で放出する、請求項1に記載の固形経口医薬製剤。
【請求項6】
USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLのpH6.0のリン酸緩衝溶液中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤またはカプセル剤が、メタキサロンの65重量%、60重量%、55重量%、50重量%、または45重量%以下を90分で放出する、請求項1に記載の固形経口医薬製剤。
【請求項7】
40~80重量%のメタキサロンの微粉化粒子および20~60重量%のメタキサロンの非微粉化粒子を含み、
a.マルバーン法に従い試験した場合、前記メタキサロンの微粉化粒子の90%が200ミクロンより小さく、
b.篩分け法で試験した場合、前記メタキサロンの非微粉化粒子の少なくとも35%が#120篩上に保持される、
請求項1に記載の固形経口医薬製剤。
【請求項8】
a.640重量部のメタキサロン、および
b.10~30重量部のアルギン酸プロピレングリコール
を含む、請求項1に記載の固形経口医薬製剤。
【請求項9】
40~80重量%のメタキサロンの微粉化粒子および20~60重量%のメタキサロンの非微粉化粒子を含む錠剤およびカプセル剤から選択される固形経口医薬製剤であって、
a.マルバーン法に従い試験した場合、前記メタキサロンの微粉化粒子の90%が500、350、200、100、75、または50ミクロンより小さく、
b.篩分け法で試験した場合、前記非微粉化粒子の10%、5%、または2%未満が#30篩上に保持され、前記メタキサロンの非微粉化粒子の少なくとも20%、25%、30%、または35%が#120篩上に保持される、
固形経口医薬製剤。
【請求項10】
a.マルバーン法に従い試験した場合、前記メタキサロンの微粉化粒子の90%が200ミクロンより小さく、
b.篩分け法で試験した場合、前記非微粉化粒子の5%未満が#30篩上に保持され、前記メタキサロンの非微粉化粒子の少なくとも35%が#120篩上に保持される、
請求項9に記載の固形経口医薬製剤。
【請求項11】
a.USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLの水中0.5%SLS中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤またはカプセル剤が、そのメタキサロンの少なくとも60重量%を60分以内に放出し、
b.USP装置2型(パドル)において50rpmおよび37±0.5℃で、900mLの絶食状態をシミュレートした腸液中で試験した場合、前記製剤の100mg錠剤またはカプセル剤が、メタキサロンの少なくとも75重量%を300分以内に放出する、
請求項9に記載の固形経口医薬製剤。
【請求項12】
a.USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLのpH4.5の酢酸塩緩衝溶液中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤またはカプセル剤がそのメタキサロン65%以内を90分で放出し、
b.USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLのpH6.0のリン酸緩衝溶液中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤またはカプセル剤がメタキサロンの65%以下を90分で放出する、
請求項9に記載の固形経口医薬製剤。
【請求項13】
a.640重量部のメタキサロン、および
b.10~30重量部のアルギン酸プロピレングリコール
を含む、請求項9に記載の固形経口医薬製剤。
【請求項14】
請求項1に記載の製剤形態の640mgのメタキサロンを、それを必要とする絶食状態または摂食状態の患者に投与することを含む、筋骨格の疼痛を処置する方法。
【請求項15】
前記投与が前記摂食状態に対して行われる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摂食状態および絶食状態においてバイオアベイラビリティーが改善され、このようなバイオアベイラビリティーの改善に伴い食物の影響が減少し、用量が減少した経口投与剤形のメタキサロンに関する。
【背景技術】
【0002】
メタキサロン(Skelaxin(登録商標))は、5-[(3,5-ジメチルフェノキシ)メチル]-2-オキサゾリジノンとして化学的に知られており、以下の化学構造を有する:
【0003】
【化1】
【0004】
Skelaxinは、急性、有痛性の筋骨格の状態に伴う不快感の軽減のための安静、物理的療法、および他の手段に対する補助剤として適応される。この薬物の作用機序は明確に特定されていないが、その鎮静特性に関係し得る。メタキサロンは人間の緊張した骨格筋を直接緩和するわけではない。市販の錠剤は、不活性な圧縮錠剤化賦形剤と共にメタキサロン400および800mgを含有する。
【0005】
メタキサロンの調製は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるLunsford et al, J. Am. Chem. Soc. 82, 1166 (1960)およびLunsfordへの米国特許第3,062,827号明細書(1962年11月6日、譲受人A.H.Robins)に記載されている。この‘827特許は、抗痙攣剤および抗痙性薬剤としての化合物および関連種を開示している。しかし、これらの活性は臨床経験により裏付けられていない。
【0006】
FDAで認可されたSkelaxin(登録商標)に対する処方情報は、薬物が食物により大きな影響を受けることを示唆している。特に、処方情報は、800mgの用量について、絶食状態と比較して、薬物投与時間における高脂肪の食事の存在は、Cmaxを193.6%増加させ、AUC(AUC0-t、AUC)をそれぞれ146.4%および142.2%増加させたことを報告している。絶食状態と比較して摂食状態では、最高濃度到達時間(Tmax)も遅延し(4.9時間対3.0時間)、末端半減期も低減した(4.2時間対8.0時間)。この食物の影響により、薬物の投与は一般的に絶食状態に限定され(空の胃に服用)、薬物の有用性が大きく損なわれる。
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは予想外に、従来技術のメタキサロン製剤に伴う食物の影響は、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(「SLS」)および/または絶食状態をシミュレートした腸液(「FaSSIF」)(pH6.5)において特定された溶解基準を満たす製剤を使用して回避することができることを発見した。よって、第1の主要な実施形態では、本発明は、メタキサロンおよび1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む固形経口医薬製剤であって、(a)USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLの水中0.5%SLS中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤もしくはカプセル剤が、メタキサロンの少なくとも50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、もしくは70重量%を60分以内に放出する、および/または(b)USP装置2型(パドル)において50rpmおよび37±0.5℃で、900mLの絶食状態をシミュレートした腸液中で試験した場合、前記製剤の100mg錠剤もしくはカプセル剤が、メタキサロンの少なくとも65重量%、70重量%、75重量%、もしくは80重量%を300分以内に放出する、固形経口医薬製剤を提供する。
【0008】
メタキサロンの従来技術の製剤に伴うこの食物の影響はまた、pH4.5の酢酸塩緩衝溶液およびpH6.0のリン酸緩衝溶液中で特定された溶解基準を満たす製剤を使用して克服することもできる。よって、第2の主要な実施形態では、本発明は、メタキサロンおよび1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む固形経口医薬製剤であって、(a)USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLのpH4.5の酢酸塩緩衝溶液中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤もしくはカプセル剤が、メタキサロンの65重量%、60重量%、55重量%、50重量%、もしくは45重量%以下を90分で放出する、および/または(b)USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLのpH6.0のリン酸緩衝液溶液中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤もしくはカプセル剤が、メタキサロンの65重量%、60重量%、55重量%、50重量%、もしくは45重量%以下を90分で放出する、固形経口医薬製剤を提供する。
【0009】
本発明は、第1および第2の主要な実施形態における溶解基準を達成し、これにより従来技術のメタキサロン製剤の食物の影響を克服することが可能な製剤をさらに提供する。よって、第3の主要な実施形態では、本発明は、40~80重量%のメタキサロンの微粉化粒子および20~60重量%のメタキサロンの非微粉化粒子を含む錠剤およびカプセル剤から選択される固形経口医薬製剤であって、(a)マルバーン法に従い試験した場合、メタキサロンの微粉化粒子の90%が500、350、200、100、75、または50ミクロンより小さく、(b)篩分け法で試験した場合、非微粉化粒子の10%、5%、または2%未満が#30篩上に保持され、メタキサロンの非微粉化粒子の少なくとも25%、35%、または45%が#120篩上に保持される、固形経口医薬製剤を提供する。
【0010】
第4の主要な実施形態では、本発明は、(a)640重量部のメタキサロン、および(b)10~30重量部のアルギン酸プロピレングリコールを含む錠剤およびカプセル剤から選択される固形経口医薬製剤を提供する。
【0011】
第5の主要な実施形態では、本発明は、筋骨格の疼痛を処置する方法であって、本発明の主要な実施形態または下位実施形態のいずれかの製剤中の640mgのメタキサロンを、それを必要とする絶食状態または摂食状態、好ましくは絶食状態の患者に投与することを含む方法を提供する。
【0012】
本発明の追加の利点は、以下に続く記載に部分的に記載されており、部分的には記載から明らかとなるか、または本発明の実施により習得することもできる。本発明の利点は、特に添付の特許請求の範囲において指摘された要素および組合せの手段により実現され、達成される。前述の一般的な記載も以下の詳細な記載も単に例示および説明であり、特許請求された本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【0013】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図は、本発明のいくつかの実施形態を例示し、記載と一緒になって本発明の原理を説明するよう機能するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来技術のSkelaxin(登録商標)800mg錠剤(ダイヤモンド)および640mgメタキサロン錠剤(四角)(実施例5に記載の通り、ラウリル硫酸ナトリウム溶液中で本発明に従い製造)からのメタキサロンの放出速度のグラフによる描写である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
用語の定義および使用
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」または同様の用語が本明細書で使用されている場合、これらは、文脈が他を明確に指示していない限り、複数の指示対象を含むと考えられる。よって、例えば、「賦形剤(an excipient)」についての言及は、2種またはそれより多くのこのような賦形剤などの混合物を含む。「または」という単語または同様の用語は、本明細書で使用される場合、特定のリストのいずれか1つのメンバーを意味し、そのリストのメンバーの任意の組合せも含む。
【0016】
「約」または「およそ(ca.)」という用語が、本明細書で使用されている場合、医薬品業界において許容されているおよび医薬品に特有の変動性、例えば、製造のばらつきおよび時間誘発性の製品劣化による製品強度およびバイオアベイラビリティーにおける差異を埋め合わせるものである。この用語は、医薬品の慣例において、製品が、特許請求された製品の列挙された強度と薬学的に同等であるかもしくは生物学的に同等である、または文脈により必要とされる場合両方であるとみなされると評価され得るあらゆるばらつきを可能にする。本文書で表現されたすべての数値は、「約」という用語で前置きすることができることを理解されたい。
【0017】
本明細書および以下に続く特許請求の範囲において使用されている場合、「含む」という単語および単語の変化形、例えば、「含むこと(comprising)」および「含む(comprises)」は、「~を含むが、これらに限定されない」ことを意味し、例えば、他の添加物、構成成分、整数またはステップを排除することを意図するわけではない。要素が複数の構成成分、ステップまたは条件を含むと記載されている場合、この要素はまた、このような複数の任意の組合せを含む、または構成成分、ステップもしくは条件の複数もしくは組合せ「からなる」もしくは「から本質的になる」と記載することもできることを理解されたい。
【0018】
範囲の下端を、範囲の上端とは別に特定することにより、または特定の数値を特定することにより範囲が付与されている場合、数学的に可能である下端の変数、上端の変数、および特定の数値のいずれかを選択的に組み合わせることにより別の範囲が定義され得ることを理解されたい。同様の方式で、範囲が1つのエンドポイントから別のエンドポイントに及ぶように定義されている場合、この範囲はまたその間のスパンも包含し、2個のエンドポイントを除外すると理解される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」とは、所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量を指す。治療有効量または用量は、患者の年齢、性別および体重、ならびに患者の現在の医学的状態に依存する。当業者であれば、本開示に加えてこれらおよび他の要因に応じて適当な用量を決定することができる。
【0020】
「薬学的に許容される」とは、一般的に安全、無毒であり、生物学的にも、他の点でも不適当ではない医薬組成物を調製するのに有用であることを意味し、ヒトまたは動物への薬学的使用に許容されるものを含む。「薬学的に許容される塩」とは、上で定義されたような薬学的に許容される塩であり、所望の薬理学的活性を保有する塩を意味する。
【0021】
薬物またはその薬学的に許容される塩の用量が本明細書に記載されている場合、記載がこの用量は塩、水和物または溶媒和物の重量に基づくと述べていない限り、この用量は遊離塩基の重量に基づき、いかなるその水和物または溶媒和物をも除外することを理解されたい。
【0022】
本特許出願全体にわたり、米国薬局方(「USP」)において処方された方法により分析が処方される場合にはいつでも、分析は、2019年1月1日に施行されたUSPの巻に従い実施されることを理解されたい。試験を実施する必要はないが、実施された場合には、試験は特許請求された結果を生じることも理解されたい。同様の方式で、本明細書で他に定義されていない任意の用語は、2019年1月1日に施行されたUSPの巻を参照して定義することができる。
【0023】
絶食状態をシミュレートした腸液または「FaSSIF」という用語は、Klein S. The AAPS Journal, Vol.12, No. 3, September 2010による表IIに記載されているような、pH6.5の以下の溶液を指す。
タウロコール酸ナトリウム 3mM
レシチン 0.75mM
NaHP0 4.438g
NaCl 6.186g
NaOH pH6.5まで適量を添加
脱イオン水 1Lまで適量を添加
重量オスモル濃度(mOsmol/kg) 約270
緩衝液許容量(mEq/pH/L) 約12
表面張力(mN/m) 54
【0024】
篩分け法とは、アメリカ材料試験協会(American Society for Testing and Materials)(ASTM)規格C136(2019年1月1施行)に記載されている粒径分析のための方法を指す。この方法では、代表的な秤量した試料を最も大きな篩の目を有する最上部の篩に注ぎ入れる。カラムの各下側の篩は、1つの上の篩より小さな篩目を有する。底部にはレシーバーと呼ばれる丸い皿がある。カラムは通常、機械的振盪機、例えば、Endecotts(London、UK)から入手可能なソニックシフターの中に配置する。Endecottsのウェブサイト、https://www.endecotts.com/products/sieve-shakers/sonic-sifter/product-specifications/を参照されたい。振盪機は普通、ある一定時間の間カラムを振動させる。振盪が完了した後、各篩上の材料を秤量する。次いで、各篩の試料の質量を全質量で割って、各篩上に保持されたパーセンテージを得る。次いで、各篩上の平均粒径を分析して、カットオフポイントまたは特定のサイズ範囲を得て、次いでこれを目の上で捕獲する。
【0025】
主要な実施形態
本発明は、主要な実施形態および下位実施形態の点から本明細書に記載されている。下位実施形態のそれぞれは主要な実施形態のいずれかを修正できることが理解されるが、ただし、そのような修正は論理的に矛盾しない、または本文書において明示的に否定されていないものとする。主要な実施形態は任意の方法で組み合わせることができ、下位実施形態は、任意の方法で組み合わせて、主要な実施形態のいずれかをさらに修正できることがさらに理解されるが、ただし、そのような組合せは論理的に矛盾しない、または本文書において明示的に否定されていないものとする。
【0026】
第1の主要な実施形態では、本発明は、メタキサロンおよび1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む固形経口医薬製剤であって、(a)USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLの水中0.5%SLS中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤もしくはカプセル剤が、メタキサロンの少なくとも50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、もしくは70重量%を60分以内に放出する、および/または(b)USP装置2型(パドル)において50rpmおよび37±0.5℃で、900mLの絶食状態をシミュレートした腸液中で試験した場合、前記製剤の100mg錠剤もしくはカプセル剤が、メタキサロンの少なくとも65重量%、70重量%、75重量%、または80重量%を300分以内に放出する、固形経口医薬製剤を提供する。
【0027】
第2の主要な実施形態では、本発明は、メタキサロンおよび1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む固形経口医薬製剤であって、(a)USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLのpH4.5の酢酸塩緩衝溶液中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤もしくはカプセル剤が、メタキサロンの65重量%、60重量%、55重量%、50重量%、もしくは45重量%以下を90分で放出する、および/または(b)USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLのpH6.0のリン酸緩衝溶液中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤もしくはカプセル剤が、メタキサロンの65重量%、60重量%、55重量%、50重量%、もしくは45重量%以下を90分で放出する、固形経口医薬製剤を提供する。
【0028】
第3の主要な実施形態では、本発明は、40~80重量%のメタキサロンの微粉化粒子および20~60重量%のメタキサロンの非微粉化粒子を含む錠剤およびカプセル剤から選択される固形経口医薬製剤であって、(a)マルバーン法に従い試験した場合、メタキサロンの微粉化粒子の90%が500、350、200、100、75、または50ミクロンより小さく、(b)篩分け法で試験した場合、メタキサロンの非微粉化粒子の少なくとも20%、25%、30%、または35%が#120篩上に保持される、固形経口医薬製剤を提供する。
【0029】
第4の主要な実施形態では、本発明は、(a)640重量部のメタキサロン、および(b)10~30重量部のアルギン酸プロピレングリコールを含む、錠剤およびカプセル剤から選択される固形経口医薬製剤を提供する。
【0030】
第5の主要な実施形態では、本発明は、筋骨格の疼痛を処置する方法であって、本発明の主要な実施形態または下位実施形態のいずれかの製剤中の640mgのメタキサロンを、それを必要とする絶食状態または摂食状態の患者に投与することを含む方法を提供する。
【0031】
下位実施形態
本発明は、様々な下位実施形態の点からさらに定義することができ、下位実施形態のそれぞれは、主要な実施形態を単独でまたは任意の組合せで修正することができる。
【0032】
本発明の様々な下位実施形態では、製剤の640mg錠剤またはカプセル剤は、USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLの水中0.5%SLS中で試験した場合、メタキサロンの少なくとも50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、または70重量%を60分以内に放出することができる。
【0033】
特に好ましい下位実施形態では、前記製剤の640mg錠剤またはカプセル剤は、USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLの水中0.5%SLS中で試験した場合、メタキサロンの少なくとも60重量%を60分以内に放出する。
【0034】
本発明の他の下位実施形態では、USP装置2型(パドル)において50rpmおよび37±0.5℃で、900mLの絶食状態をシミュレートした腸液中で試験した場合、前記製剤の100mgの錠剤またはカプセル剤は、メタキサロンの少なくとも65重量%、70重量%、75重量%、または80重量%を300分以内に放出する。
【0035】
特に好ましい下位実施形態では、USP装置2型(パドル)において50rpmおよび37±0.5℃で、900mLの絶食状態をシミュレートした腸液中で試験した場合、前記製剤の100mg錠剤またはカプセル剤は、メタキサロンの少なくとも75重量%を300分以内に放出する。
【0036】
別の下位実施形態では、USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLのpH4.5の酢酸塩緩衝溶液中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤またはカプセル剤は、メタキサロンの65重量%、60重量%、55重量%、50重量%、または45重量%以下を90分で放出する。
【0037】
特に好ましい下位実施形態では、USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLのpH4.5の酢酸塩緩衝溶液中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤またはカプセル剤は、メタキサロンの65%以下を90分で放出する。
【0038】
さらなる別の下位実施形態では、USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLのpH6.0のリン酸緩衝溶液中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤またはカプセル剤は、メタキサロンの65重量%、60重量%、55重量%、50重量%、または45重量%以下を90分で放出する。
【0039】
特に好ましい下位実施形態では、USP装置2型(パドル)において100rpmおよび37±0.5℃で、900mLのpH6.0のリン酸緩衝溶液中で試験した場合、前記製剤の640mg錠剤またはカプセル剤は、メタキサロンの65%以下を90分で放出する。
【0040】
本発明の製剤はまた、メタキサロン粒径の点から定義することもできる。1つの下位実施形態では、製剤は40~80重量%のメタキサロンの微粉化粒子および20~60重量%のメタキサロンの非微粉化粒子を含む。1つの特定の下位実施形態では、製剤は30~50重量%または35~45重量%のメタキサロンの微粉化粒子および50~70重量%または55~65重量%のメタキサロンの非微粉化粒子を含む。
【0041】
1つの下位実施形態では、製剤がメタキサロン粒径に基づき特徴付けられる場合、マルバーン法に従い試験した場合(すなわちレーザー回折)、メタキサロンの微粉化粒子の少なくとも50%、70%、または90%が、200、100、または75ミクロンより小さい。代わりにまたは加えて、マルバーン法に従い試験した場合、微粉化粒子の少なくとも30%、40%、または50%が、50、30、または20ミクロン未満である。
【0042】
別の下位実施形態では、篩分け法で試験した場合、非微粉化粒子の10%、5%または2%以下が#30篩分け上に保持され、メタキサロンの非微粉化粒子の少なくとも15%、25%、35%、または45%が#120篩分け上に保持される。好ましい下位実施形態では、加えて、篩分け法で試験した場合、非微粉化粒子の少なくとも10%または20%が#325篩分け上に保持される。
【0043】
またさらなる実施形態では、本発明の製剤は、製剤を作製するために使用される成分に基づき定義される。よって、1つの下位実施形態では、本発明の製剤は、640重量部のメタキサロンおよび10~30重量部または15~25重量部のアルギン酸プロピレングリコールを含む。
【0044】
アルギン酸プロピレングリコールを含有する製剤のさらなる下位実施形態では、製剤は、20~35重量部または24~31重量部のラクトース一水和物、10~30または15~25重量部のアルギン酸、40~60重量部または45~55重量部のポビドン、および2~8重量部または4~6重量部の滑沢剤を含む。好ましい滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【実施例
【0045】
以下の実施例では、数(例えば、量、温度など)に関して精度を確実にするための努力がなされてきたが、いくらかの誤差および偏差が含まれるはずである。以下の実施例は、本明細書で特許請求された方法がどのように作られ、評価されたかについての完全な開示および記載を当業者に提供するために提示されたものであり、純粋に本発明を例示することを意図し、本発明者らが自分らの発明であると考える範囲を限定することを意図するものではない。
【0046】
[実施例1]
代表的製剤
表1は、本発明の640mg錠剤に対する代表的なバッチ製剤について記載している:
【0047】
【表1】
【0048】
[実施例2]
代表的メタキサロン粒径
表2aおよび2bは、表1の製剤に使用されている微粉化および非微粉化メタキサロン粒子についての代表的粒径を記載している。
【0049】
【表2a】
【0050】
【表2b】
【0051】
[実施例3]
代表的製造方法
この実施例は、表1および2に記載されている製剤およびメタキサロンを使用して、メタキサロン錠剤640mgを製造する方式について記載する詳細な情報を含む。
造粒溶液:必要とされるスピードでミキサーを使用して混合しながら、精製水にゆっくりと添加することにより、ポビドンを溶解した。
予備混合:微粉化メタキサロン、メタキサロン、FD&Cイエロー#6、アルギン酸プロピレングリコール、およびアルギン酸を適切なヘッドスピードで混合した。
湿った顆粒:上記プレミックスブレンドに、適切なヘッドスピードで混合しながら、造粒溶液を加えた。
乾燥:湿った顆粒を乾燥器で乾燥させて、所望の含水量を達成した。粉砕:乾燥プロセスの完了時、コミューティングミルを使用して乾燥した顆粒を粉砕した。
最終混合:ステアリン酸マグネシウムを加えて、ブレンドを粉砕し、適切なブレンダーを使用して潤滑化した。
圧縮:回転式打錠機を使用して、最終混合ブレンドを圧縮して錠剤にした。
【0052】
[実施例4]
溶解試験結果/絶食状態をシミュレートした腸液
表4aおよび4bは、実施例3の方法(他に指摘されていない限り)で生成した640mg錠剤および800mg Skelaxin(登録商標)錠剤に対する溶解試験結果について記載している。
【0053】
【表4a】
【0054】
【表4b】
【0055】
[実施例5]
溶解試験結果/SLSおよびpH緩衝液
表5aおよび5bならびに図1は、実施例3の方法で生成された640mg錠剤および800mgSkelaxin(登録商標)錠剤に対する追加の溶解試験結果について記載している。
【0056】
【表5a】
【0057】
【表5b】
【0058】
[実施例6]
生物学的同等性試験の結果
実施例3の方法で生成した640mgメタキサロン錠剤を比較する、無作為、単回用量、4重、非盲検、クロスオーバー実験、絶食状態および摂食状態での実験を、列挙された基準薬物、Skelaxin(登録商標)錠剤800mgを用いて、47人の健康な成人ボランティア(男性29人、女性18人)に行った。絶食状態および摂食状態実験を完了した47人の対象のデータを、SASを使用した薬物動態学的結果の計算に使用した。幾何平均の試験対参照領域およびピーク濃度比に対する90%信頼区間は0.80~1.25の生物学的同等性区間内であった。640mg錠剤は絶食状態および摂食状態でSkelaxin(登録商標)錠剤800mgと生物学的同等性があることが証明された。
【0059】
試験結果は表6aおよび6bに提示されている。
【0060】
【表6a】
【0061】
【表6b】
【0062】
本出願全体にわたり、様々な刊行物が参照されている。これら刊行物の開示は、本発明に関連する最新技術をより完全に記載するために、それら全体がここで参照により本出願に組み込まれている。本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、様々な修正および変化形が本発明において作製され得ることは当業者には明らかである。本発明の他の実施形態は、本明細書および本明細書に開示されている本発明の実施を考慮すると当業者には明らかである。本明細書および実施例は単なる例示に過ぎないと考えられ、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲により示されることが意図される。
図1
【国際調査報告】