(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-08
(54)【発明の名称】刺激装置を内蔵したバンド
(51)【国際特許分類】
A61N 1/08 20060101AFI20220901BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20220901BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20220901BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20220901BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
A61N1/08
A61B5/08
A61B5/11 310
A61B5/02 310A
A61B5/02 B
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021578133
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(85)【翻訳文提出日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 IB2020056092
(87)【国際公開番号】W WO2020261226
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521504913
【氏名又は名称】レズメド ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダソス、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン、ベンジャミン、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】デ ソウザ、サキーナ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス、マーク、ニール
(72)【発明者】
【氏名】マダフィグリオ、ジェネヴィーヴ、クレア
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
4C053
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA09
4C017AA11
4C017AA12
4C017AA14
4C017BC11
4C017BD06
4C017DD14
4C017EE15
4C038SS09
4C038SV01
4C038SV05
4C038VA04
4C038VB09
4C038VC20
4C053JJ02
4C053JJ15
4C053JJ18
4C053JJ24
(57)【要約】
システムが、ユーザの首の周りに着用される首輪を含む。刺激装置が、ユーザの気道に隣接して位置付けられるように首輪に連結されている。センサは、首輪に連結されており、ユーザの気道と関連付けられたデータを生成するように構成されている。メモリは、首輪に連結されており、機械可読命令を記憶している。制御システムは、首輪に連結されており、ユーザが無呼吸事象を現在経験していると、生成されたデータの分析に少なくとも基づいて決定するために機械可読命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含む。決定を受け、制御システムが、気道に隣接するユーザの1つ以上の筋肉への電気刺激を第1の強度レベルで刺激装置に与えさせて、無呼吸事象の停止を支援する。
【選択図】
図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを支援するための方法であって、
1つ以上のセンサから、前記ユーザの気道と関連付けられたデータを受信することと、
(i)前記ユーザが無呼吸事象を経験しているかどうか、(ii)前記ユーザが無呼吸事象を経験する寸前であるかどうか、(iii)前記ユーザがもはや無呼吸事象を経験していないかどうか、(iv)またはそれらの任意の組み合わせを決定するために前記データを分析することと、
(i)前記ユーザが無呼吸事象を経験している、または(ii)前記ユーザが無呼吸事象を経験する寸前であるという決定を受け、前記無呼吸事象の停止または防止を支援するための電気刺激を刺激装置に与えさせることと、を備える、ユーザを支援するための方法。
【請求項2】
前記気道に隣接する前記ユーザの前記1つ以上の筋肉を収縮させることにより、前記電気刺激が前記無呼吸事象の停止または防止を支援する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザの睡眠状態、前記1つ以上の筋肉の緊張、またはその両方を判断するために前記データを分析することをさらに含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電気刺激の1つ以上のパラメータを変えることをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記電気刺激の前記1つ以上のパラメータが、前記電気刺激に対する前記1つ以上の筋肉の被測定反応に少なくとも部分的に基づいて変わる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電気刺激の前記1つ以上のパラメータが、周波数、強度、持続時間、滞留時間、パルスの立ち上がり時間、オフタイムに対するオンタイムの比、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記電気刺激の自動引き上げ強度の電流レベルが前記1つ以上の筋肉を収縮させたかどうかを決定するために前記データを分析することをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
以下のステップ:
前記電流レベルが前記1つ以上の筋肉を収縮させていないという決定を受けて、前記電気刺激の前記強度を前記電流レベルよりも上げることと、
前記電流レベルが前記1つ以上の筋肉を収縮させたという決定を受けて、前記電流レベルにおける前記電気刺激の前記強度を前記上げることを停止すること、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザがもはや無呼吸事象を経験していないという決定を受けて、前記刺激装置に、前記電気刺激を与えるのを停止させることをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
首輪が前記ユーザの首の周りに着用されたときに、前記首輪に連結された前記刺激装置が、(i)前記ユーザの前記気道に隣接する前記ユーザの1つ以上の筋肉、(ii)1つ以上の筋肉と関連付けられた1本以上の神経、または(iii)(i)および(ii)の両方に電気刺激を与えるように位置付けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つが前記首輪に連結されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
システムであって、
1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、
機械可読命令が保存されたメモリと、を含み、
前記制御システムは、前記メモリへ連結され、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法は、前記メモリ中の機械により実行可能な命令が前記制御システムの前記1つ以上のプロセッサのうち少なくとも1つによって実行されたときに実行される、システム。
【請求項13】
ユーザを支援するシステムであって、前記システムは、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された制御システムを含む、システム。
【請求項14】
命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令がコンピュータによって実行されると、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項15】
前記コンピュータプログラム製品は、非一時的なコンピュータ可読媒体である、請求項14のコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
ユーザを支援するためのシステムであって、
前記ユーザの首の周りに着用されるように構成された首輪と、
前記首輪が前記ユーザの前記首の周りに着用されたときに、(i)前記ユーザの気道に隣接する1つ以上の筋肉、(ii)前記1つ以上の筋肉と関連付けられた1本以上の神経、または(iii)(i)および(ii)の両方に電気刺激を与えるように位置付けられるように前記首輪に連結された刺激装置と、
前記首輪が前記ユーザの前記首の周りに着用されたときに、前記ユーザの前記気道と関連付けられたデータを生成するように構成されるように前記首輪に連結されたセンサと、
機械可読命令を記憶するメモリと、
前記機械可読命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、を備え、前記前記機械可読命令は、
(i)前記ユーザが無呼吸事象を経験しているかどうか、(ii)前記ユーザが無呼吸事象を経験する寸前であるかどうか、(iii)前記ユーザがもはや無呼吸事象を経験していないかどうか、(iv)またはそれらの任意の組み合わせを決定するために、前記生成されたデータを分析し、
(ii)前記ユーザが無呼吸事象を経験しているか、(ii)前記ユーザが無呼吸事象を経験する寸前であるという決定を受け、前記刺激装置に前記電気刺激を与えさせて前記無呼吸事象の停止または防止を支援する、ために前記機械可読命令を実行するように構成される、ユーザを支援するためのシステム。
【請求項17】
前記気道に隣接する前記ユーザの前記1つ以上の筋肉を収縮させることにより、前記電気刺激が前記無呼吸事象の停止または防止を支援する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ユーザの睡眠状態、前記1つ以上の筋肉の緊張、またはその両方を決定するために、前記生成されたデータを分析する目的で前記制御システムが前記機械可読命令を実行するようにさらに構成されている、請求項16または請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記制御システムが、前記電気刺激の1つ以上のパラメータを変えるために前記機械可読命令を実行するようにさらに構成されている、請求項16~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記電気刺激の前記1つ以上のパラメータが、前記電気刺激に対する前記1つ以上の筋肉の被測定反応に基づいて変わる、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記電気刺激の前記1つ以上のパラメータが、周波数、強度、持続時間、滞留時間、パルスの立ち上がり時間、オフタイムに対するオンタイムの比、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項19または請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
刺激装置が前記電気刺激を与えるときに、前記電気刺激の強度を自動的に上げるために前記制御システムが前記機械可読命令を実行するようにさらに構成されている、請求項16~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記電気刺激の前記自動的に上げられた強度の電流レベルが前記1つ以上の筋肉を収縮させたかどうかを決定するために、前記生成されたデータを分析する目的で前記制御システムが前記機械可読命令を実行するようにさらに構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記制御システムが、
前記電流レベルが前記1つ以上の筋肉を収縮させていないという決定を受けて、前記電気刺激の前記強度を前記電流レベルよりも自動的に上げ続け、
前記電流レベルが前記1つ以上の筋肉を収縮させたという決定を受けて、前記電気刺激の前記強度を自動的に上げることを前記電流レベルで停止する、ために前記機械可読命令を実行するようにさらに構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記刺激装置が、前記首輪に連結され、かつ前記ユーザの皮膚に直接働きかけるように位置付けられた2本以上のリード線を含む、請求項16~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記2本以上のリード線のうちの第1の1本が、前記1つ以上の筋肉のうちの第1の1つを刺激するように構成され、前記2本以上のリード線のうちの第2の1本が、前記1つ以上の筋肉のうちの第2の1つを刺激するように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記2本以上のリード線の第1の1本が、第1の周波数で前記電気刺激を与えるように構成され、前記2本以上のリード線の第2の1本が、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で前記電気刺激を与えるように構成されている、請求項25または請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記制御システムが、前記ユーザがもはや無呼吸事象を経験していないという決定を受けて、前記刺激装置に、前記電気刺激を与えるのを停止させるために前記機械可読命令を実行するようにさらに構成されている、請求項16~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記センサが、前記気道の動きを検出するように構成されたモーションセンサである、請求項16~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記センサが光電式容積脈波記録法(PPG)センサであり、前記データが、前記気道に隣接する前記ユーザの血流、前記気道に隣接する前記ユーザの血中酸素濃度、前記ユーザの心拍数、前記ユーザが現在経験している無呼吸事象、前記ユーザが将来経験する可能性の高い無呼吸事象、またはそれらの任意の組み合わせを示す、請求項16~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記センサがマイクロフォンであり、前記データが、いびき、窒息、無呼吸事象、またはそれらの任意の組み合わせを示す音データである、請求項16~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記センサが、モーションセンサ、光電式容積脈波記録法(PPG)センサ、血中酸素センサ、血流センサ、マイクロフォン、皮膚コンダクタンスセンサ、パルスセンサ、呼吸センサ、EKGセンサ、EMGセンサ、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項16~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記メモリおよび前記制御システムが前記首輪に連結されている、請求項16~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記首輪に連結され、かつ前記刺激装置に電力を供給するように構成されたバッテリをさらに備える、請求項16~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記バッテリを無線で充電するように構成されたドッキングステーションをさらに備える、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
ユーザを支援するための方法であって、
1つ以上のセンサから、前記ユーザの気道と関連付けられたデータを受信することと、
前記ユーザが無呼吸事象を現在経験していると、少なくとも部分的に前記データに基づいて決定することと、
前記ユーザが無呼吸事象を現在経験していると決定したことを受け、前記気道に隣接する前記ユーザの1つ以上の筋肉への電気刺激を第1の強度レベルで刺激装置に与えさせて前記無呼吸事象の停止を支援することと、を備える、ユーザを支援するための方法。
【請求項37】
前記電気刺激の前記第1の強度レベルが前記1つ以上の筋肉を収縮させたかどうかを決定するために前記データを分析することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
以下のステップ:
前記第1の強度レベルが前記1つ以上の筋肉を収縮させていないという決定を受けて、前記刺激装置に、前記電気刺激の強度を前記第1の強度レベルよりも上げさせることと、
第2の強度レベルが前記1つ以上の筋肉を収縮させたという決定を受けて、前記刺激装置に、前記電気刺激の前記強度を上げることを前記第2の強度レベルで停止させること、
をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
システムであって、
1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、
機械可読命令が保存されたメモリと、を含み、
前記制御システムは、前記メモリへ連結され、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法は、前記メモリ中の機械により実行可能な命令が前記制御システムの前記1つ以上のプロセッサのうち少なくとも1つによって実行されたときに実行される、システム。
【請求項40】
ユーザを支援するシステムであって、前記システムは、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された制御システムを含む、システム。
【請求項41】
命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令がコンピュータによって実行されると、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項42】
前記コンピュータプログラム製品は、非一時的なコンピュータ可読媒体である、請求項41のコンピュータプログラム製品。
【請求項43】
ユーザを支援するためのシステムであって、
前記ユーザの首の周りに着用されるように構成された首輪と、
前記首輪が前記ユーザの首の周りに着用されたときに、刺激装置が前記ユーザの気道に隣接して位置付けられるように前記首輪に連結された刺激装置と、
前記首輪に連結され、かつ前記ユーザの前記気道と関連付けられたデータを生成するように構成されたセンサと、
前記首輪に接続され、かつ機械可読命令を記憶しているメモリと、
前記首輪に接続され、かつ、1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、を備え、前記1つ以上のプロセッサは、
前記ユーザが無呼吸事象を現在経験していると、前記生成されたデータの分析に少なくとも基づいて決定し、
前記ユーザが無呼吸事象を現在経験していると決定したことを受け、前記気道に隣接する前記ユーザの1つ以上の筋肉への電気刺激を第1の強度レベルで前記刺激装置に与えさせて前記無呼吸事象の停止を支援する、目的で前記機械可読命令を実行するように構成される、ユーザを支援するためのシステム。
【請求項44】
前記制御システムが、前記電気刺激の前記第1の強度レベルが前記1つ以上の筋肉を収縮させたかどうかを決定するために、前記生成されたデータを分析する目的で前記機械可読命令を実行するようにさらに構成されている、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記制御システムが、
前記第1の強度レベルが前記1つ以上の筋肉を収縮させていないという決定を受けて、前記電気刺激の強度を前記第1の強度レベルよりも自動的に上げ、
第2の強度レベルが前記1つ以上の筋肉を収縮させたという決定を受けて、前記電気刺激の前記強度を自動的に上げることを前記第2の強度レベルで停止する、ために前記機械可読命令を実行するようにさらに構成されている、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記刺激装置が導電体である、請求項43~45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
前記首輪が伸縮可能である、請求項43~46のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
前記首輪に連結されたバッテリをさらに備える、請求項43~47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
ユーザの睡眠中の呼吸を支援する方法であって、
第1のセンサから第1のデータを受信することと、
第2のセンサから第2のデータを受信することと、
前記ユーザが第1のタイプの無呼吸事象を現在経験しているかどうかを決定するために前記第1のデータを分析することと、
前記ユーザが、前記第1のタイプの無呼吸事象とは異なる第2のタイプの無呼吸事象を現在経験しているかどうかを決定するために前記第2のデータを分析することと、
前記第1のデータを前記分析することに基づいて、前記ユーザが前記第1のタイプの無呼吸事象を現在経験していると決定したことを受け、前記ユーザの気道に隣接する前記ユーザの1つ以上の筋肉への電気刺激を第1の刺激装置に与えさせて、前記第1のタイプの無呼吸事象の停止を支援することと、
前記第2のデータを前記分析することに基づいて、前記ユーザが前記第2のタイプの無呼吸事象を現在経験していると決定したことを受け、前記ユーザの横隔膜への前記電気刺激を第2の刺激装置に与えさせて、前記第2のタイプの無呼吸事象の停止を支援することと、を含む、ユーザの睡眠中の呼吸を支援する方法。
【請求項50】
前記第1の刺激装置および前記第1のセンサが、前記ユーザの首の周りに着用されるように構成された第1のバンドに連結されている、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第2の刺激装置および前記第2のセンサが、前記ユーザの胸部または腹部の周りに着用されるように構成された第2のバンドに連結されている、請求項49または請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記第1のタイプの無呼吸事象が閉塞性無呼吸事象であり、前記第2のタイプの無呼吸事象が中枢性無呼吸事象である、請求項49~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記第1のセンサは、光電式容積脈波記録法(PPG)センサである、請求項49~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記第2のセンサが、モーションセンサ、歪みゲージ、加速度計、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項49~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記第1のセンサが第1のタイプのセンサであり、前記第2のセンサが、前記第1のタイプのセンサとは異なる第2のタイプのセンサである、請求項49~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
システムであって、
1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、
機械可読命令が保存されたメモリと、を含み、
前記制御システムは、前記メモリへ連結され、請求項49~55のいずれか一項に記載の方法は、前記メモリ中の機械により実行可能な命令が前記制御システムの前記1つ以上のプロセッサのうち少なくとも1つによって実行されたときに実行される、システム。
【請求項57】
ユーザを支援するシステムであって、前記システムは、請求項49~55のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された制御システムを含む、システム。
【請求項58】
命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令がコンピュータによって実行されると、請求項49~55のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項59】
前記コンピュータプログラム製品は、非一時的なコンピュータ可読媒体である、請求項58のコンピュータプログラム製品。
【請求項60】
ユーザの睡眠中の呼吸を支援するシステムであって、
前記ユーザの首の周りに着用されるように構成された第1のバンドと、
前記第1のバンドが前記ユーザの前記首の周りに着用されたときに、第1の刺激装置が、前記ユーザの気道に隣接する1つ以上の筋肉に電気刺激を与えるように位置付けられるように前記第1のバンドに連結された第1の刺激装置と、
前記ユーザの胸部または腹部の周りに着用されるように構成された第2のバンドと、
前記第2のバンドが前記ユーザの胸部または腹部の周りに着用されたときに、第2の刺激装置が前記ユーザの横隔膜に電気刺激を与えるように位置付けられるように前記第2のバンドに連結された第2の刺激装置と、
前記第1のバンドに連結され、かつ第1のデータを生成するように構成された第1のセンサと、
第2のバンドに連結され、かつ第2のデータを生成するように構成された第2のセンサと、
機械可読命令を記憶するメモリと、
前記機械可読命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、を備え、前記前記機械可読命令は、
前記ユーザが第1のタイプの無呼吸事象を現在経験しているかどうかを決定するために、前記生成されたデータを分析し、
前記ユーザが、前記第1のタイプの無呼吸事象とは異なる第2のタイプの無呼吸事象を現在経験しているかどうかを決定するために、前記生成された第2のデータを分析し、
前記ユーザが前記第1のタイプの無呼吸事象を現在経験しているという決定を受け、前記ユーザの前記気道に隣接する前記ユーザの前記1つ以上の筋肉への前記電気刺激を前記第1の刺激装置に与えさせて、前記第1のタイプの無呼吸事象の停止を支援し、
前記ユーザが前記第2のタイプの無呼吸事象を現在経験しているという決定を受け、前記ユーザの前記横隔膜への前記電気刺激を前記第2の刺激装置に与えさせて、前記第2のタイプの無呼吸事象の停止を支援するように構成される、ユーザの睡眠中の呼吸を支援するシステム。
【請求項61】
前記第1のタイプの無呼吸事象が閉塞性無呼吸事象であり、前記第2のタイプの無呼吸事象が中枢性無呼吸事象である、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記第1のセンサは、光電式容積脈波記録法(PPG)センサである、請求項60または請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記第2のセンサが、モーションセンサ、歪みゲージ、加速度計、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項60~62のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項64】
前記第1のセンサが第1のタイプのセンサであり、前記第2のセンサが、前記第1のタイプのセンサとは異なる第2のタイプのセンサである、請求項60~63のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項65】
前記第1のバンドが、前記ユーザの前記首の周りに着用されたときに前記第1のバンドの長さを変更できるように調節可能である、請求項60~64のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項66】
前記第2のバンドが、前記ユーザの前記胸部または腹部の周りに着用されたときに前記第2のバンドの長さを変更できるように調節可能である、請求項60~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項67】
前記第1のバンド、前記第2のバンド、またはその両方が、少なくとも部分的に伸縮可能である、請求項60~66のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項68】
前記メモリおよび前記制御システムが、前記第2のバンドに物理的に連結され、かつ前記第1の刺激装置を無線制御するように構成されている、請求項60~67のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項69】
前記メモリおよび前記制御システムが、前記第1のバンドに物理的に連結され、かつ前記第2の刺激装置を無線制御するように構成されている、請求項60~68のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月28日に出願された米国仮特許出願第62/868,336号の恩恵と優先権を主張する。本明細書中、同文献全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、呼吸器関連障害の治療に関するものであり、より具体的には、1つ以上のタイプの無呼吸事象に対処するための刺激装置を有するバンドを用いたシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
睡眠時無呼吸症候群および関連呼吸器疾患に罹患しているユーザを支援するための様々なシステムは、種々存在する。かかるシステムの中には、ユーザの気道に加圧空気を供給するのを支援するマスクをユーザが着用することに頼ったものもある。一部のユーザは、かかるシステムを、不快、使いにくい、高価、見た目が悪い、などと感じている。
【0004】
そのため、睡眠時無呼吸症候群および関連呼吸器疾患に対処するための代替システムおよび方法に対するニーズが存在する。本開示は、これらの問題を解決し、他のニーズに対処することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のいくつかの実装形態によれば、ユーザを支援するための方法は、ユーザの気道と関連付けられたデータを1つ以上のセンサから受信することを含む。この方法は、(i)ユーザが無呼吸事象を経験しているかどうか、(ii)ユーザが無呼吸事象を経験する寸前であるかどうか、(iii)ユーザがもはや無呼吸事象を経験していないかどうか、(iv)またはそれらの任意の組み合わせ、を決定するためにデータを分析することをさらに含む。本方法は、(i)ユーザが無呼吸事象を経験している、または(ii)ユーザが無呼吸事象を経験する寸前であるという決定を受けて、無呼吸事象の停止または防止を支援するために電気刺激を刺激装置に与えさせることをさらに含む。
【0006】
本開示のいくつかの実装形態によれば、ユーザを支援するためのシステムは、首輪と、刺激装置と、センサと、メモリと、制御システムと、を含む。首輪は、ユーザの首の周りに着用するように構成されている。刺激装置は、首輪がユーザの首の周りに着用されたときに、(i)ユーザの気道に隣接する1つ以上の筋肉、(ii)1つ以上の筋肉と関連付けられた1本以上の神経、または(iii)(i)および(ii)の両方に電気刺激を与えるように位置付けられるように首輪に連結されている。センサは首輪に連結されており、首輪がユーザの首の周りに着用されたときに、ユーザの気道と関連付けられたデータを生成するように構成されている。メモリは、機械可読命令を記憶する。制御システムは、(i)ユーザが無呼吸事象を経験しているかどうか、(ii)ユーザが無呼吸事象を経験する寸前であるかどうか、(iii)ユーザがもはや無呼吸事象を経験していないかどうか、(iv)またはそれらの任意の組み合わせを決定するために、生成されたデータを分析する目的で機械可読命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含む。制御システムは、(i)ユーザが無呼吸事象を経験している、または(ii)ユーザが無呼吸事象を経験する寸前であるという決定を受けて、刺激装置に電気刺激を与えさせて無呼吸事象の停止または防止を支援する。
【0007】
本開示のいくつかの実装形態によれば、ユーザを支援するための方法は、ユーザの気道と関連付けられたデータを1つ以上のセンサから受信することを含む。この方法は、ユーザが無呼吸事象を現在経験していると、少なくとも部分的にデータに基づいて決定することをさらに含む。この方法は、ユーザが無呼吸事象を現在経験していると決定したことを受け、気道に隣接するユーザの1つ以上の筋肉への電気刺激を第1の強度レベルで刺激装置に与えさせて無呼吸事象の停止を支援することをさらに含む。
【0008】
本開示のいくつかの実装形態によれば、ユーザを支援するためのシステムは、首輪と、刺激装置と、センサと、メモリと、制御システムと、を含む。首輪は、ユーザの首の周りに着用するように構成されている。刺激装置は、首輪がユーザの首の周りに着用されたときに、刺激装置がユーザの気道に隣接して位置付けられるように首輪に連結されている。センサは、首輪に連結されており、ユーザの気道と関連付けられたデータを生成するように構成されている。メモリは、首輪に連結されており、機械可読命令を記憶している。制御システムは、首輪に連結されており、ユーザが無呼吸事象を現在経験していると、生成されたデータの分析に少なくとも基づいて決定するために機械可読命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含む。ユーザが無呼吸事象を現在経験していると決定したことを受け、制御システムは、気道に隣接するユーザの1つ以上の筋肉への電気刺激を刺激装置に第1の強度レベルで与えさせて無呼吸事象の停止を支援する。
【0009】
本開示のいくつかの実装形態によれば、ユーザの睡眠中の呼吸を支援する方法が、第1のセンサから第1のデータを受信することを含む。この方法は、第2のセンサから第2のデータを受信することをさらに含む。この方法は、ユーザが第1のタイプの無呼吸事象を現在経験しているかどうかを決定するために第1のデータを分析することをさらに含む。この方法は、ユーザが、第1のタイプの無呼吸事象とは異なる第2のタイプの無呼吸事象を現在経験しているかどうかを決定するために第2のデータを分析することをさらに含む。この方法は、第1のデータを分析することに基づいて、ユーザが第1のタイプの無呼吸事象を現在経験していると決定したことを受け、ユーザの気道に隣接するユーザの1つ以上の筋肉への電気刺激を第1の刺激装置に与えさせて、第1のタイプの無呼吸事象の停止を支援することをさらに含む。この方法は、第2のデータを分析することに基づいて、ユーザが第2のタイプの無呼吸事象を現在経験していると決定したことを受け、ユーザの横隔膜への電気刺激を第2の刺激装置に与えさせて、第2のタイプの無呼吸事象の停止を支援することをさらに含む。
【0010】
本開示のいくつかの実装形態によれば、ユーザの睡眠中の呼吸を支援するシステムが、第1のバンドと、第1の刺激装置と、第2のバンドと、第2の刺激装置と、第1のセンサと、第2のセンサと、メモリと、制御システムと、を含む。第1のバンドは、ユーザの首の周りに着用されるように構成されている。第1の刺激装置は第1のバンドに連結されており、第1のバンドがユーザの首の周りに着用されたときに、第1の刺激装置がユーザの気道に隣接する1つ以上の筋肉に電気刺激を与えるように位置付けられる。第2のバンドは、ユーザの胸部または腹部周りに着用されるように構成されている。第2の刺激装置は第2のバンドに連結されており、第2のバンドがユーザの胸部または腹部周りに着用されたときに、第2の刺激装置がユーザの横隔膜に電気刺激を与えるように位置付けられる。第1のセンサは第1のバンドに接続されており、第1のデータを生成するように構成されている。第2のセンサは第2のバンドに接続されており、第2のデータを生成するように構成されている。メモリは、機械可読命令を記憶する。制御システムは、(i)ユーザが第1のタイプの無呼吸事象を現在経験しているかどうかを決定するために、生成された第1のデータを分析し、(ii)ユーザが第1のタイプの無呼吸事象とは異なる第2のタイプの無呼吸事象を現在経験しているかどうかを決定するために、生成された第2のデータを分析する目的で機械可読命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含む。ユーザが第1のタイプの無呼吸事象を現在経験していると決定したことを受け、制御システムは、そのユーザの気道に隣接する1つ以上の筋肉への電気刺激を第1の刺激装置に与えさせて、第1のタイプの無呼吸事象の停止を支援する。ユーザが第2のタイプの無呼吸事象を現在経験していると決定したことを受け、制御システムは、そのユーザの横隔膜への電気刺激を第2の刺激装置に与えさせて、第2のタイプの無呼吸事象の停止を支援する。
【0011】
本開示の上述および追加の態様および実装形態は、様々な実施形態および/または実装形態についての詳細な説明を、図面を参照しながら鑑みることにより、当業者にとって明らかになるであろう。それらの図面の簡単な説明を次に示す。
【0012】
本開示の上記および他の利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照すれば明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本開示のいくつかの実装形態に係る、ユーザ(例えば、睡眠中の呼吸)を支援するためのシステムのブロック図である。
【
図3A】本開示のいくつかの実装形態に係る、ユーザの(例えば、睡眠中の呼吸)を支援するためのバンド/首輪の形態のシステム(展開された状態)を示す正面平面図である。
【
図3B】
図3Aのシステム(展開された状態)を示す背面平面図である。
【
図3C】
図3Aのシステムがユーザによって着用/装着された様子を示す斜視図である。
【
図4】本開示のいくつかの実装形態に係る、ユーザ(例えば、睡眠中の呼吸)を支援するための2本のバンドを含むシステムをユーザが着用している様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、様々な変更および代替形態が可能であるが、具体的な実施形態が図面に例として示されており、本明細書中において詳述される。ただし本開示は、開示された特定の形態に限定されることを意図してはいないものと理解すべきであり、本開示はむしろ、添付の請求項によって定義された本開示の精神および範囲内にあるすべての変形、均等物、および代替物を網羅するものである。
【0015】
図1Aを参照すると、ユーザ10A(例えば、患者)の呼吸器系12の概略が示されており、この呼吸器系は、鼻腔と、口腔と、喉頭と、声帯と、食道と、気管と、気管支と、肺と、肺胞嚢と、心臓と、横隔膜と、を概して含む。ユーザ10Aは、ユーザ10の呼吸器系12の領域(複数可)を概してユーザ10Aの首部位に含む喉20Aを有するのが、より一般的である。ユーザ10Aの横隔膜は、ユーザ10Aの胸郭の底部に延在する1枚の筋肉である。横隔膜は、心臓、肺、および肋骨を格納するユーザ10Aの胸腔30Aを、ユーザ10Aの腹腔40Aから概して分け隔てる。横隔膜が収縮すると、胸腔30Aの容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0016】
以下にさらに詳述するとおり、本開示の1つ以上の刺激装置は、例えば、睡眠中の呼吸を支援するために、(例えば、1つ以上のバンド/首輪/ベルトなどを介して)ユーザ10Aに位置付けることができる。例えば、1つ以上の刺激装置を、ユーザ10Aの喉20Aの上または付近に(例えば、ユーザ10の首/喉の筋肉および/もしくは横隔膜に分布する1本以上の神経に隣接して、かつ/または首/喉20Aの1つ以上の筋肉に隣接して)、胸腔30Aおよび/もしくは腹腔40Aに(例えば、ユーザ10Aの横隔膜に隣接して)、またはそれらの任意の組み合わせで、位置付けることができる。
【0017】
図1Bを参照すると、ユーザ10Aの上気道14の図が示されており、鼻腔と、鼻骨と、外側鼻軟骨と、大口蓋軟骨と、鼻孔(片方を図示)と、上唇と、下唇と、喉頭と、硬口蓋と、軟口蓋と、口腔咽頭と、舌と、喉頭蓋と、声帯と、食道と、気管と、を含む。
【0018】
ユーザ10Aの呼吸器系12は、ガス交換を促す。ユーザ10Aの鼻50および口60は、ユーザ10の気道の入り口を形成する。
図1Aに最も良好に示すとおり、気道は一連の分岐管を含み、これらの管はユーザ10Aの肺の中に深く入り込むにつれて、より狭く、より短く、より数が多くなる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸領域と呼ぶ。
【0019】
ユーザ10Aに影響し得る呼吸器疾患は種々存在する。ある疾患は、特定の事象(例えば、無呼吸、低呼吸、過呼吸、またはそれらの任意の組み合わせなど)によって特徴付けられる。呼吸器疾患の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁疾患が含まれる。
【0020】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖および/または閉塞などの発症によって特徴付けられる。OSAは異常に小さい上気道と、舌の領域の筋緊張の通常の喪失、睡眠時の軟口蓋および後口咽頭壁の正常損失の組み合わせの結果である。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。
【0021】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、ユーザの呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。ユーザによっては、CCRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。
【0022】
呼吸不全とは、呼吸器障害の総称であり、ユーザの需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼気を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0023】
呼吸不全(一種の呼吸不全)のユーザは、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0024】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせである。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0025】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0026】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMDを罹患しているユーザの一部には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強直性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0027】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0028】
本開示のいくつかの実装形態によれば、睡眠中に呼吸事象(例えば、無呼吸事象)を経験するユーザ(例えば、患者)を支援するためのシステム(例えば、システム100、200、300)が提供される。無呼吸は、ユーザの空気流れが所定の閾値を一定時間(例えば10秒)にわたって下回った場合に生じるのが典型的である。第1のタイプの無呼吸事象は、閉塞性無呼吸と呼ばれる。閉塞性無呼吸症候群は、ユーザが呼吸をしようと努力しても、気道に何らかの障害物があるために空気が流れない場合に生じるのが典型的である。第2のタイプの無呼吸事象は、中枢性無呼吸と呼ばれる。中枢性無呼吸は、気道が広がっている(例えば、開いている)にもかかわらず、呼吸努力の減少、すなわち呼吸努力の不履行が原因で無呼吸が検出された場合に生じるのが典型的である。第3のタイプの無呼吸事象は、混合無呼吸と呼ばれる。混合無呼吸は、典型的には、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生する。
【0029】
図2を参照すると、ユーザ(例えばユーザ10A)を支援するためのシステム100のブロック図が示されている。システム100は、ユーザ10Aの(i)睡眠中の呼吸、(ii)覚醒中の呼吸、(iii)ユーザの気道の開放、(iv)呼吸機能の開始または増大(例えば、横隔膜の収縮)、(v)またはそれらの任意の組み合わせを支援することができる。いくつかの実装形態においては、システム100が、(i)ユーザ10Aの気道を開く、(ii)ユーザ10Aに空気を吸入させる(例えば、呼吸努力)、または(iii)その両方を行う、ためにユーザ10Aの1つ以上の筋肉を収縮させることによってユーザ10Aを支援する。
【0030】
システム100は、バンド102(例えば、首輪、胸部バンド、胴部バンド、腰部バンド、ベルトなど)、刺激装置104、モーションセンサ112、マイクロフォン116、コンダクタンスセンサ118、心拍数センサ120、光電式容積脈波記録法(PPG)センサ124、1つ以上のその他のセンサ126(例えば、EKGセンサ、EEGセンサ、EMGセンサ、血流センサ、呼吸センサ、パルスセンサなど)、メモリ128、制御システム130、バッテリ132、ドッキングステーション150、またはそれらの任意の組み合わせ、のうちの1つ以上を含む。すなわち、システム100は、これらの要素の任意の部分および任意の組み合わせを含むことができ、これらの要素は、(例えば、物理的および/または無線などの)様々な異なる配置構成および/またはハウジングで組み合わせることができる。
【0031】
本開示のいくつかの実装形態によれば、システム100の要素の一部分が、バンド102に連結および/または内蔵されており、システム100(例えば、システム100の一部分)が、システム100の使用時に、ユーザ10Aの身体の一部分(例えば、ユーザ10Aの首、ユーザ10Aの胸部、ユーザ10Aの腹部、ユーザ10Aの胴部など)の周りにバンド102を位置付けることによってユーザ10が着用/着装するようになっている。いくつかの実装形態においては、ドッキングステーション150を除くシステム100の要素のすべてがバンド102に連結または内蔵されており、システム100の使用時にユーザ10Aによって着用される。
【0032】
刺激装置104は、バンド102に連結および/または内蔵されている。そのため、バンド102がユーザ10Aの首の周りに着用されると、刺激装置104の1本以上のリード線105が、ユーザ10Aの1つ以上の筋肉および/またはユーザ10の1つ以上の筋肉に接続されているユーザ10Aの1本以上の神経に隣接して位置付けられる。
【0033】
いくつかの実装形態においては、1本以上のリード線105が、1つ以上の筋肉の第1の1つ、および/または1本以上の神経の第1の1本を刺激するように位置付けられている第1のリード線105を含む。同様に、第2のリード線105が、1つ以上の筋肉の第2の1つ、および/または、1本以上の神経の第2の1本を刺激するように位置付けられている。いくつかのかかる実装形態においては、第1のリード線105が、ユーザ10Aの気道の第1の側に位置付けられており、第2のリード線105が、ユーザ10Aの気道の第2の対向側に位置付けられている。
【0034】
いくつかの実装形態においては、第1のリード線105が、第1の周波数で電気刺激を与え、第2のリード線105が、第1の周波数とは異なる第2の周波数で電気刺激を与える。いくつかの実装形態においては、第1のリード線105が、第1の強度で電気刺激を与え、第2のリード線105が、第1の強度とは異なる第2の強度で電気刺激を与える。
【0035】
いくつかの代替実装形態においては、刺激装置104がリードレスである。かかる代替実装形態においては、刺激装置104が、バンド102に連結および/または内蔵されており、刺激装置104の本体の1つ以上の端部がバンド102から突出してユーザ10Aの皮膚に接触し、電極の働きをするようになっている。
【0036】
バンド102がユーザ10Aの首の周りに着用されると、刺激装置104は、電気刺激および/または磁気刺激をユーザ10Aに届けて、ユーザ10Aの1つ以上の筋肉を収縮させるのを支援することができる。ユーザ10Aの1つ以上の筋肉の収縮は、ユーザ10Aの気道を開くことを支援することができる。この収縮は、代替または追加として、ユーザ10Aに呼吸努力をさせる(例えば、横隔膜に空気を引き込ませる/吸入させる)ことを支援することができる。
【0037】
この電気刺激は、ユーザ10Aの1つ以上の筋肉(例えば、ユーザ10Aの喉20Aの筋肉、ユーザ10Aの気道を包囲および/またはユーザ10Aの気道に隣接する筋肉、ユーザ10Aの横隔膜など、またはそれらの任意の組み合わせ)に(例えば、ユーザ10Aの皮膚を通じて)直接、および/または1つ以上の筋肉に接続されている1本以上の神経に(例えば、ユーザ10Aの皮膚を通じて)直接印加することができる。この電気刺激を(1つ以上の筋肉に直接与えるのではなく)1本以上の神経に向けることにより、(1本以上の神経に接続された)1つ以上の筋肉を収縮させる目的で印加される電気刺激(例えば、電圧、アンペアなど、またはそれらの任意の組み合わせ)を比較的低い強度にすることが可能となる。
【0038】
刺激装置104は、導電体(例えば、一部分が電気的に絶縁されているか否かを問わない1本以上の導電性ワイヤ)を含むか、導電体である。刺激装置104は、ユーザ10Aの1つ以上の筋肉および/または1本以上の神経に電流を運び、かつ/または流して届けることのできる1本以上のリード線105を含む。この電流は、刺激装置104に直接的かつ物理的に接続されているバッテリ132または他の電源によって供給することができる。バッテリ132は、再充電可能であり得る。いくつかの実装形態においては、バッテリ132を、(例えば、システム100がユーザ10Aによって着用/使用されていないときに、)ドッキングステーション150によって有線または無線で再充電することができる。刺激装置104がバッテリ132を含むことに対する代替または追加として、いくつかの実装形態においては、電流が有線接続(例えば、システム100を壁のコンセントなどに接続するワイヤ)によって供給される。
【0039】
いくつかの実装形態においては、刺激装置104が、一部分が電気的に絶縁されているか否かを問わず、1本以上の導電性ワイヤを含むだけである。いくつかのかかる実装形態においては、刺激装置104が、約1ミリメートルから約100センチメートルの間の長さ、約1ミリメートルから約100ミリメートルの間の長さ、約1ミリメートルから約10ミリメートルの間の長さ、またはそれらの間の任意の長さを有する。さらに、いくつかのかかる実装形態においては、刺激装置104が、約0.01ミリメートルから約5ミリメートルの間の直径、約0.1ミリメートルから約2ミリメートルの間の直径、約0.1ミリメートルから約1ミリメートルの間の直径、またはそれらの間の任意の直径を有する。刺激装置104のサイズおよび形状は、刺激装置104をバンド102に内蔵できるようなものを選択することができる。
【0040】
刺激装置104がバンド102に連結および/または内蔵されることに加え、システム100の多くの他の要素をバンド102に連結および/または内蔵し、ユーザ10Aの首の周りに着用することができる。例えば、いくつかの実装形態においては、モーションセンサ112、マイクロフォン116、コンダクタンスセンサ118、心拍数センサ120、光電式容積脈波記録法(PPG)センサ124、その他のセンサ(複数可)126、メモリ128、制御システム130、バッテリ132、またはそれらの任意の組み合わせを、刺激装置104とともにバンド102に連結および/または内蔵することができる。バンド102に連結および/または内蔵されるというのは、その要素(複数可)が、バンド102内に完全に収納されていること、バンド102の外面に取り付けられていること、バンド102の1つ以上の開口部から部分的に突出していること、バンド102に直接的または間接的に取り付けられていること、またはそれらの任意の組み合わせを意味する。
【0041】
様々なセンサのうちの1つ以上をシステム100に含めることができる。センサは、制御システム130および/または1つ以上の他のシステム(例えば、携帯電話、コンピュータ、サーバ、クラウドベースのデバイスなど)によって分析可能なデータを生成することができる。データの分析は、情報を判断するため、ならびに/または刺激装置104を介してユーザ10Aに印加される電気刺激の印加および/もしくは停止について決定するためである。
【0042】
いくつかのかかる実装形態においては、システム100がモーションセンサ112を含む。モーションセンサ112は、1つ以上の加速度計、1つ以上のジャイロスコープ、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。モーションセンサ112は、ユーザ10Aによる呼吸またはその欠如を示すモーションデータを生成するのに使用することができる。いくつかの実装形態においては、モーションセンサ112が、バンド102に連結および/または内蔵されており、バンド100がユーザ10Aの首/喉20A(
図1Aおよび1B)の周りに着用されたときに、モーションセンサ112がユーザ10Aの気道に隣接して位置付けられるようになっている。そのため、モーションセンサ112は、呼吸またはその欠如を示す気道の動きまたはその欠如と関連付けられたデータを生成することができる(例えば、気道に隣接する首/喉20Aの移動、拡張、収縮などは、呼吸を示す)。
【0043】
同様に、いくつかの他の実装形態においては、モーションセンサ112が、バンド102に連結および/または内蔵されており、バンド100がユーザ10Aの胴周り(例えば、胸腔30Aおよび/または腹腔40Aの周り)に着用されたときに、モーションセンサ112がユーザ10Aの肺および/または横隔膜に隣接して位置付けられるようになっている。そのため、モーションセンサ112は、呼吸努力またはその欠如を示す肺および/または横隔膜の動きまたはその欠如と関連付けられたデータを生成することができる(例えば、ユーザ10Aの胴部の移動、拡張、収縮などは、呼吸を示す)。
【0044】
モーションセンサ112に対する追加または代替として、システム100は、マイクロフォン116、コンダクタンスセンサ118、心拍数センサ120、PPGセンサ124、その他のセンサ126、またはそれらの任意の組み合わせを含み得、かかるセンサまたはその一部分は、モーションセンサ112について上述したのと同一または同様の方法で、バンド102に連結および/または内蔵されている。
【0045】
例えば、いくつかの実装形態においては、システム100が、バンド102に連結および/または内蔵されたPPGセンサ124を含む。そのため、PPGセンサ124は、バンド102がユーザ10Aに(例えば首輪として)着用/装着されると、喉20Aに隣接して、またはユーザ10Aの首に位置付けられる。かかる実装形態においては、PPGセンサ124が、気道に隣接するユーザ10Aの血流、気道に隣接するユーザ10Aの血中酸素濃度、ユーザ10Aの心拍数、ユーザ10Aが現在経験している無呼吸事象、ユーザ10Aが将来経験する可能性の高い無呼吸事象、またはそれらの任意の組み合わせを示すデータを生成することができる。
【0046】
別例として、いくつかの実装形態においては、システム100が、バンド102に連結および/または内蔵されたマイクロフォン116を含む。そのため、マイクロフォン116は、バンド102が(例えば、首輪、胸部バンド、腰部バンドなどとして)ユーザ10Aによって装着されると、ユーザ10Aの喉20Aまたは胴体に隣接して位置付けられる。かかる実装形態においては、マイクロフォン116が、いびき、窒息、ユーザ10Aが現在経験している無呼吸事象、ユーザ10Aが将来経験する可能性の高い無呼吸事象、またはそれらの任意の組み合わせを示すデータ(例えば、音データ)を生成することができる。
【0047】
別例として、いくつかの実装形態においては、システム100が、バンド102に連結および/または内蔵された心拍数センサ120を含む。そのため、心拍数センサ120は、バンド102が(例えば、首輪、胸部バンド、腰部バンドなどとして)ユーザ10Aによって装着されると、ユーザ10Aの喉20Aまたは胴体に隣接して位置付けられる。かかる実装形態においては、心拍センサ120が、ユーザ10Aの心拍数および/または脈拍を示すデータを生成することができる。
【0048】
システム100に含めることができ、かつバンド102に連結および/または内蔵することのできるその他のセンサ(複数可)126は、例えば、血中酸素センサ、血流センサ、パルスセンサ、呼吸センサ、EKGセンサ、EMGセンサ、歪みゲージ、加速度計、またはそれらの任意の組み合わせを含む。かかるその他のセンサ126のそれぞれが、情報を判断するため、および/または刺激装置104を介してユーザ10Aに印加される電気刺激の印加および/または停止に関する決定を下すために、制御システム130および/または1つ以上の他のシステムによって分析可能なデータを生成することができる。
【0049】
メモリ128は、1つ以上の物理的に分かれたメモリデバイスを含むことができるため、1つ以上のメモリデバイスを、バンド102に、および/またはシステム100に無線連結された1つ以上の外部デバイス(例えば、携帯電話、コンピュータ、サーバ、クラウドベースのデバイスなど)に、連結および/または内蔵することができる。メモリ128は、制御システム130および/または1つ以上の他のシステムによって実行可能な機械可読命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体の働きをする。メモリ128は、システム100のセンサによって生成されたデータを(一時的および/または永続的に)記憶することもできる。いくつかの実装形態においては、メモリ128が、不揮発性メモリ、バッテリ駆動型スタティックRAM、揮発性RAM、EEPROMメモリ、NANDフラッシュメモリ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実装形態においては、メモリ128が、取り外し可能な形態のメモリ128(例えば、メモリカード)である。
【0050】
メモリ128と同様、制御システム130も、バンド102および/または1つ以上の外部デバイスに連結することができる。制御システム130はメモリ128に連結されており、メモリ128に記憶された機械可読命令を実行するように構成されている。制御システム130は、1つ以上のプロセッサおよび/または1つ以上のコントローラを含むことができる。いくつかの実装形態においては、1つ以上のプロセッサ131として、1つ以上のx86インテルプロセッサ、STマイクロフォンロエレクトロニックのSTM32シリーズマイクロフォンロコントローラなど、ARMホールディングス社のARM(登録商標) Cortex(登録商標)-Mプロセッサをベースとする1つ以上のプロセッサ、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実装形態においては、1つ以上のプロセッサとして、STマイクロエレクトロニクス社のSTR9シリーズマイクロコントローラなどの32ビットRISC CPU、またはテキサスインスツルメンツ社製MSP430マイクロコントローラファミリーのプロセッサなどの16ビットRISC CPUが挙げられる。
【0051】
いくつかの実装形態においては、制御システム130が、専用電子回路である。いくつかの実装形態においては、制御システム130が、特定用途向け集積回路である。いくつかの実装形態においては、制御システム130が、離散的な電子部品を含む。
【0052】
制御システム130は、システム100の他の要素(例えば、センサなど)のいずれかから入力情報(複数可)(例えば、信号、生成されたデータ、命令など)を受信することができる。制御システム130は、システム100において1つ以上の動作を発生させるため(例えば、刺激装置104にユーザ10Aへの電気刺激を提供させるためなど)の出力信号(複数可)を提供することができる。
【0053】
制御システム130は、(i)ユーザ10Aが無呼吸事象を経験しているかどうか、(ii)ユーザ10Aが無呼吸事象を経験する寸前であるかどうか、(iii)ユーザ10Aがもはや無呼吸事象を経験していないかどうか、(iv)ユーザ10Aの現在の睡眠状態、(v)ユーザ10の1つ以上の筋肉の緊張、(vi)またはそれらの任意の組み合わせを決定するために、システム100のセンサのいずれかによって生成されたデータを分析することができる。かかる決定のうちの1つ以上に基づいて、制御システム130は、ユーザ10への電気刺激および/または磁気刺激を刺激装置104に与えさせて、(i)ユーザ10Aが現在経験している無呼吸事象の停止を支援すること、および/または(ii)ユーザ10Aが経験する寸前である無呼吸事象の防止を支援することができる。いくつかのかかる実装形態においては、制御システム130が、ユーザ10Aの1つ以上の筋肉の電気刺激を起こすために信号を(有線または無線)送信する。
【0054】
制御システム130は、刺激装置104に電気刺激および/または磁気刺激を与えさせることに加え、刺激装置104によって提供された電気刺激の1つ以上のパラメータを変化させることができる。この刺激の1つ以上のパラメータとしては、周波数、強度、持続時間、滞留時間、パルスの立ち上がり時間、オフタイムに対するオンタイムの比、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0055】
いくつかの実装形態においては、この刺激の1つ以上のパラメータが、(例えば、システム100の1つ以上のセンサを使用して)測定された、この刺激に対する1つ以上の筋肉の反応に基づいて変化する。いくつかの実装形態においては、これらのパラメータに対する修正が、システム100のセンサ(例えば、モーションセンサ112、PPGセンサ124など、またはそれらの任意の組み合わせ)のうちの1つ以上によって生成されたデータを制御システム130が分析し続けることによる連続的なフィードバックループに基づき得る。そのため、制御システム130は、継続的な分析に基づいて、(例えば、ユーザ10Aが同じ無呼吸事象を経験している間にリアルタイムで、ユーザ10Aが無呼吸事象を経験した後で、ユーザ10Aが別の無呼吸事象を経験する前に)これらのパラメータのうちの1つ以上を修正することができる。
【0056】
例えば、システム100の1つ以上のセンサからの生成データの継続的な分析により、この刺激が存在する状況でユーザ10Aが無呼吸事象をまだ経験していることが示された場合には、制御システム130が、刺激装置104に、ユーザ10Aへと印加された刺激の強度を上げさせることができる。別例として、継続的な分析により、ユーザ10Aが刺激後に無呼吸事象を経験しなくなったことが示された場合には、制御システム130が、刺激装置104に、ユーザ10Aへのシミュレーションを提供するのを停止させることができる。そのため、ユーザ10Aは、(ユーザ10Aが無呼吸事象を経験していないときでも)継続的に刺激を印加するシステムと比較して、時間の経過とともに刺激に鈍感になる可能性が低い。
【0057】
いくつかの実装形態においては、制御システム130が、刺激装置104に、ユーザ10Aへと印加された刺激の強度を自動的に上げさせる。そのため、刺激の開始時から強度を人為的に高く設定しなくても、強度が、ユーザ10Aの1つ以上の筋肉を収縮させるレベルに達する可能性が高い。
【0058】
上記のとおり、制御システム130は、自動的に上げられた刺激の強度の現在レベルがユーザ10Aの1つ以上の筋肉を収縮させたかどうかを決定するために、生成されたデータを継続的に監視することができる。制御システム130は、現在のレベルがユーザ10Aの1つ以上の筋肉を収縮させていないと決定すると、刺激装置104に、刺激の強度を現在のレベルよりも自動的に上げ続けさせ、かつ/または刺激装置104が、刺激の強度を現在のレベルよりも自動的に上げ続けられるようにする。同様に、制御システム130は、現在のレベルがユーザ10Aの1つ以上の筋肉を収縮させたと決定すると、刺激装置104に、刺激の強度を自動的に上げるのを現在のレベルで停止させる。そのため、ユーザ10Aにとっての刺激が、(例えば、痛みを伴うような人為的に高い強度ではない)適切な強度に達する。
【0059】
バンド102は、首輪、ベルト、腰部バンド、胸部バンド、胴部バンドなどの形態、またはそれらの任意の組み合わせであり得、ユーザ10Aによって着用/装着される。いくつかのかかる実装形態においては、バンド102が、着用時にバンド102をユーザ10Aの皮膚の近くに少なくとも部分的に保持できるように、伸縮可能な材料から全体的または少なくとも部分的に作られている。例えば、バンド102は、バンド102が首輪としてユーザ10Aの首/喉20Aの周りに着用されたときに、バンド/首輪102が(ユーザ10Aを窒息させることなく)ユーザ10Aの首/喉20Aの周りにぴったり合うように、伸縮可能な材料を含むことができる。そのため、バンド/首輪102にPPGセンサ124が含まれていると、PPGセンサ124をユーザ10Aの首/喉20Aの近くに保持することができ、より正確なデータをPPGセンサ124から提供するのを支援することができる。
【0060】
バンド102のフォームファクタに対する追加または代替として、システム100は、ユーザ10Aの皮膚に貼着(例えば、ユーザ10Aの首/喉20Aに貼着)できるパッチの形態であり得る。システム100の他のフォームファクタも考えられる。例えば、システム100は、スカーフなどの形態であり得る。
【0061】
上記のとおり、制御システム130は、ユーザが1つ以上のタイプの無呼吸を経験しているかどうか、または経験する寸前であるかどうかを決定することができ、その決定を受けて1つ以上の動作を実施することができる。加えて、制御システム130は、ユーザが1つ以上の他の呼吸事象および/または呼吸関連疾患を経験しているかどうか、または経験する寸前であるかどうかを決定することができ、その決定を受けて1つ以上の動作を実施することができる。本明細書で論じられているかかる他の呼吸事象および/または呼吸関連疾患としては、例えば、低呼吸、過呼吸、睡眠障害呼吸、チェーン・ストークス呼吸、呼吸不全、肥満過換気症候群、慢性閉塞性肺疾患、神経筋疾患、胸壁障害、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0062】
制御システム130は、呼吸事象(例えば、無呼吸、低呼吸、過呼吸など)の存在を決定するための呼吸事象決定アルゴリズムを実行する。いくつかの実装形態においては、この呼吸事象決定アルゴリズムが、システム100のセンサのうちの1つ以上から生成されたデータの少なくとも一部分を入力情報として受け取り、呼吸事象(例えば、無呼吸、低呼吸など)が検出されたことを示すフラグを出力情報として提供する。いくつかの実装形態においては、この呼吸事象決定アルゴリズムが、システム100の1つ以上のセンサから生成されたデータの少なくとも一部分を入力情報として受け取り、ユーザ10Aに電気刺激を与えるために刺激装置104を作動させる命令を出力情報として提供する。いくつかのかかる実装形態においては、この命令が、刺激装置104によって与えられる電気刺激の1つ以上のパラメータの少なくとも一部分を設定するための命令を含む。
【0063】
システム100のいくつかの具現例において、呼吸イベントまたは無呼吸は、呼吸流量の関数が所定の期間にわたって流量閾値を下回ったときに検出される。この関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均およびピーク流量の流量中間値を決定し得る(例えば、RMS流量)。流量閾値は、流量の比較的長期間の測定値であり得る。
【0064】
システム100のいくつかの具現例において、呼吸イベントまたは呼吸低下は、第2の呼吸流量の関数が所定の期間にわたって流量閾値を下回ったときに検出される。この関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均およびピーク流量の流量中間値を決定し得る(例えば、RMS流量)。第2の流量閾値は、無呼吸の検出に用いられる流量閾値よりも高い。
【0065】
システム100のいくつかの実装形態においては、(例えば、PPGセンサ124を少なくとも部分的に使用して決定された)血液流量の関数が所定の期間にわたって流量閾値を下回ると、呼吸事象または無呼吸が検出される。この関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均およびピーク流量の流量中間値を決定し得る。流量閾値は、流量の比較的長期間の測定値であり得る。
【0066】
制御システム130は、いびき関連事象(例えば、いびき、窒息など)の存在を決定するためのいびき事象決定アルゴリズムを実行する。いくつかの実装形態においては、このいびき事象決定アルゴリズムが、システム100のセンサ(例えば、マイクロフォン116、モーションセンサ112など)のうちの1つ以上から生成されたデータの少なくとも一部分を入力情報として受け取り、(i)いびき事象(例えば、無呼吸、低呼吸など)が検出されたことを示すフラグ、(ii)いびきが存在する度合いの値、または(iii)(i)および(ii)の両方を出力情報として提供する。
【0067】
システム100のいくつかの実装形態においては、いびき事象決定アルゴリズムが、30~300Hzの範囲の流量信号の強度を決定し得る。さらに、いびき事象決定アルゴリズムは、背景ノイズを低減するために呼吸流量信号をフィルタリングし得る。
【0068】
制御システム130は、ユーザの気道の開通性(例えば、開放性)を決定するために、気道開通性アルゴリズムを実行する。いくつかの具現例において、気道開通性アルゴリズムは、呼吸流量信号を入力として受信し、信号の出力を約0.75Hz~約3Hzの周波数範囲内において決定する。この周波数帯にピークが存在すれば、気道が開いているということになる。この周波数帯にピークが存在しなければ、気道が閉じていないということになる。いくつかの具現例において、気道開通性アルゴリズムは、呼吸流量信号を入力として受信し、心臓発生信号の存在または不在を決定する。心原性信号が存在しなければ、気道が閉じているということになる。
【0069】
制御システム130は、刺激装置104のパラメータ(例えば、強度、周波数、持続時間など)のうちの1つ以上を決定するための治療パラメータアルゴリズムを実行する。いくつかのかかる実装形態においては、この治療パラメータアルゴリズムが、本明細書に記載された1つ以上の他のアルゴリズムの出力情報(複数可)を入力情報として受け取り、刺激装置104によって与えられた電気刺激の1つ以上のパラメータ(例えば、強度、周波数、持続時間など)の1つ以上の値を出力する。
【0070】
システム100は、1本のバンド102と、1つの刺激装置104と、1つのバッテリ132と、を含むものとして示されているが、システム100は、任意の数のバンド102(例えば、1、2、3、5など)を含むことができ、システム100は、任意の数の刺激装置104(例えば、1、2、3、5、10、50など)を含むことができ、システム100は、任意の数のバッテリ132(例えば、1、2、3、5、10など)を含むことができるものと企図される。バンド102に対する刺激装置104の比率は、1対1または異なる比であり得る。例えば、いくつかの実装形態においては、2つ以上の刺激装置104を1本のバンド102に連結および/または内蔵することができる。
【0071】
いくつかの実装形態によれば、システム100はバンド102を含み、刺激装置104、PPGセンサ124、メモリ128、制御システム130、およびバッテリ132がすべてバンド102に連結されている。いくつかの実装形態によれば、システム100はバンド102を含み、刺激装置104、モーションセンサ112、メモリ128、制御システム130、およびバッテリ132がすべてバンド102に連結されている。
【0072】
いくつかの実装形態によれば、システム100はバンド102を含み、刺激装置104、PPGセンサ124、およびバッテリ132がすべてバンド102に連結されており、メモリ128および制御システム130は、バンド102とは別体または別個である(例えば、例えば、携帯電話、コンピュータ、サーバ、クラウドコンピュータなどのリモートデバイスに含まれている)。かかる実装形態においては、このシステムが、制御システム130と、バンド102に連結された構成要素との間でのデータおよび/または命令の送受信を可能にする無線通信モジュールを含む。
【0073】
次に、無呼吸事象を経験する際にユーザ10Aを支援する目的でシステム100を使用する方法について説明する。制御システム130は、ユーザ10Aにおける呼吸事象の有無を決定するための呼吸事象決定アルゴリズムを実行する。いくつかのかかる実装形態においては、この呼吸事象決定アルゴリズムが、メモリ128に命令として記憶されている。
【0074】
制御システム130は、ユーザ10Aが無呼吸事象(例えば、閉塞性無呼吸事象)を現在経験しているかどうかを決定するために、バンド102に連結および/または内蔵されたシステム100のセンサ(例えば、モーションセンサ112、PPGセンサ124など)のうちの1つ以上によって生成されたデータを分析する。制御システム130は、ユーザ10Aが無呼吸事象を現在経験していると決定した場合、刺激装置104に刺激を与えさせる。この刺激は、ユーザ10の喉20A、胸部30A、および/または腹部40Aに隣接するユーザ10Aの1つ以上の筋肉および/または1本以上の神経に与えることができる。この刺激は、(例えば、喉20Aの1つ以上の筋肉を収縮させてユーザ10Aの気道を開かせること、横隔膜を収縮させてユーザ10Aで呼吸機能を起こすこと、またはその両方により、)無呼吸事象の停止を支援することができる。
【0075】
図3Aおよび
図3Bを参照すると、システム200が、首輪の形態のバンド202を含む。バンド202は、システム200の様々な態様をより良好に表すために、展開された形で図示されている。システム200は、
図3Cにおいて、ユーザ10Bを基準に示されており、図中、バンド202は、ユーザ10Bの首/喉20Bの周りに首輪として着用されている。システム200は、システム100と同一または同様である。システム200は、バンド202と、刺激装置204と、センサ275と、メモリ228と、制御システム230と、バッテリ232と、を概して含む。
【0076】
図3Aに示すとおり、刺激装置204、センサ275、メモリ228、制御システム230、およびバッテリ232は、すべてバンド202に連結および/または内蔵されている。いくつかのかかる実装形態においては、センサ275がバンド202に組み込まれているため、その全体または一部分がバンド202によって不鮮明化され(例えば、隠され)ている。同様に、メモリ228、制御システム230、およびバッテリ232もバンド202に内蔵されて、それらのすべてまたは一部分がバンド202によって不鮮明化され(例えば、隠され)ている。
【0077】
センサ275は、モーションセンサ112、マイクロフォン116、コンダクタンスセンサ118、心拍数センサ120、PPGセンサ124、その他のセンサ(複数可)126、またはそれらの任意の組み合わせと同一または同様である。メモリ228は、本明細書において
図2と関連付けて説明されているメモリ128と同一または同様である。制御システム230は、本明細書において
図2と関連付けて説明されている制御システム130と同一または同様である。バッテリ232は、本明細書において
図2と関連付けて説明されているバッテリ132と同一または同様である。
【0078】
刺激装置204は、本明細書において
図2と関連付けて説明されている刺激装置104と同一または同様である。刺激装置204は、
図3Bに示すとおり、バンド202の背面に露出している2本のリード線205を備えて示されている。そのため、リード線205は、バンド202がユーザ10Bによって着用されたときに、ユーザ10Bの1つ以上の筋肉に隣接するユーザ10Bの皮膚に直接働きかける(例えば、触れる、接触する、当接するなど、またはそれらの任意の組み合わせ)ことができる(
図3C)。システム200は、2本のリード線205を含むものとして示されているが、システム200は、任意の数のリード線205(例えば、1本のリード線、3本のリード線、5本のリード線、10本のリード線など)を含むことができる。
【0079】
いくつかの代替実装形態においては、刺激装置204がリードレスである(非図示)。かかる代替実装形態においては、刺激装置204が、バンド202に連結および/または内蔵されており、刺激装置204の本体の1つ以上の端部がバンド202から突出してユーザ10Bの皮膚に接触し、電極の働きをするようになっている。
【0080】
刺激装置204はバンド202に連結および/または内蔵されており、バンド202がユーザ10Bの首/喉20Bの周りに着用され(
図3C)、整合したときに、刺激装置204がユーザ10Bの喉20Bおよび/または首の1つ以上の筋肉に電気刺激を与えるように位置付けられる。そのため、刺激装置204は、ユーザ10Bの気道を開くのを支援することができる。整合するとは、バンド202の周方向位置が、ユーザ10Bの首20Bの周りで、ユーザ10Bの解剖学的構造の1つ以上の部分に対して所定の位置および/または範囲にあることを意味する。
【0081】
いくつかの実装形態においては、バンド202にマークを入れて、ユーザ10Bがバンド202をユーザ10Bの解剖学的構造の1つ以上の部分と整合させるのを支援することができる。このようにして、シミュレータ204、リード線205、センサ275、またはそれらの任意の組み合わせが、ユーザ10Bに対して適切に配置される。例えば、バンド202の外面に垂直線状のマーク280を入れる(例えば、印刷する)ことができる。垂直線状のマーク280は、ユーザの解剖学的構造(例えば、喉20Bの正中線、ユーザ10Bの耳、ユーザ10Bの顎の後端、ユーザ10Bの顎先など)と整合する刺激装置204、リード線205の1つ以上、センサ275、またはそれらの任意の組み合わせの箇所をユーザ10Bに示すことができる。
【0082】
別例として、バンド202は、バンド202を装着する際にユーザ10Bがバンド202を整合させるのを支援するための他の特徴を含むことができる。例えば、バンド202における(例えば、円形状、正方形状、三角形状、多角形状など、またはそれらの任意の組み合わせを有する)切り抜き285が、例えば、刺激装置204、リード線205のうちの1本以上、センサ275、またはそれらの任意の組み合わせがユーザ10Bに対して適切に配置されるように、そのユーザの解剖学的構造の具体的な部分(例えば、喉20Bの正中線)と整合すべきバンド202の箇所を示すことができる。この切り抜きは、触って識別できるため、ユーザ10Bがバンド202を装着する際にその存在を感じることができ、この切り抜きを用いて、(例えば、鏡を見なくても、暗いところでも)バンド202を整合することができる。いくつかの実装形態においては、バンド202が、多数の切り抜き(例えば、ユーザ10Bの顎先と整合する円形の切り抜きと、ユーザ10Bの耳と整合する2つの三角形の切り抜きと、)を含む。
【0083】
適切に配置されるとは、例えば、(i)ユーザ10Bの1つ以上の対象筋肉が収縮してユーザの気道を開くのを支援するように、リード線(複数可)205が、ユーザ10Bに電気刺激を印加する箇所に位置付けられること、(ii)センサ275が、ユーザ10Bに対し、信頼できるデータおよび/もしくは使用可能なデータを生成できるような箇所に位置付けられること、またはその両方を意味する。いくつかのかかる実装形態においては、センサ275の箇所が、センサ275に含まれるセンサ(複数可)のタイプに依存する。例えば、センサ275がモーションセンサである場合には、センサ275の適切な箇所が第1の箇所であり得、センサ275がPPGセンサである場合には、センサ275の適切な箇所が、第1の箇所と同じであるか異なる第2の箇所であり得る。
【0084】
本明細書に記載のとおり、バンド202は、ユーザ10Bが自身の喉20A/首の周りに着用できる首輪の形態である。バンド202は、人体(例えば、首)に着用されるのに適した任意のタイプの材料(複数可)(例えば、1つ以上のタイプのプラスチック、1つ以上のタイプの金属、ナイロン、1つ以上のタイプの織地、伸縮可能な織地など、またはそれらの任意の組み合わせ)で製作することができる。
【0085】
バンド202は、ユーザ10Bの首および/または喉20Bの周りにバンド202を取り付けるのを支援するために、任意のタイプの連結機構260を含むことができる(
図3Aおよび
図3B)。例えば、連結機構260としては、面ファスナ、磁性クラスプ、スナップ接続、ボールクラスプ、ビーズクラスプ、バレルクラスプ、釣り針クラスプ、プッシュボタン式クラスプ、バネクラスプ、ロブスタークラスプ、フックアンドループクラスプなど、またはそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
【0086】
いくつかの実装形態においては、連結機構260が、バンド202の一端にループを含み、その中にバンド202の反対側端が入り込んで折り返すようになっており、面ファスナなどを使用してバンド202の外側の表面に固定する。他にも、バンド202をユーザ10Bに固定する様々な他の方法が考えられる。いくつかの実装形態においては、連結機構260が、バンド202をユーザ10Bにぴったり固定するのを支援する。代替として、連結機構260は、バンド202をユーザ10Bにゆったり固定するのを支援する。
【0087】
図4を参照すると、ユーザ10Cの断面図に対するシステム300の様子が示されている。システム300は、システム100、200と同一または同様である。システム300は、ユーザ10Cを支援するために協働する2つの刺激装置と2本のバンドとを含む点が主に異なる。
【0088】
システム300は、ユーザ10Cの喉20Cの周りに着用可能な第1のバンド302Aと、ユーザ10Cの概して胴部30C(例えば、胸部、腹部、腰部など)の周りに着用可能な第2のバンド302Bと、を含む。第1のバンド302Aは首輪と称することができ、第2のバンド302Bは胸部バンドと称することができる。第1のおよび第2のバンド302A、302Bは、
図2、
図3A、
図3B、および
図3Cと関連付けて本明細書に記載されているバンド102、202と同一または同様である。
【0089】
第1のバンド302Aは、1本以上のリード線305Aを有する第1の刺激装置304A、センサ375、メモリ328、制御システム330、バッテリ332、および連結機構360に連結されているか、またはそれらを内蔵して含み、これらは、
図2A~
図3Cと関連付けて記載されたシステム100、200の刺激装置104、204、センサ275、メモリ128、228、制御システム130、230、バッテリ132、232、および連結機構260と同一または同様である。第1のバンド302Aは、第1のバンド302Aの外面に(例えば、上に印刷された)垂直線状のマーク380も含み、これは、垂直線状のマーク280と同一または同様である。
【0090】
同様に、第2のバンド302Bは、1本以上のリード線305Bを有する第2の刺激装置304B、センサ375、メモリ328、制御システム330、バッテリ332、および連結機構360に連結されているか、またはそれらを内蔵して含み、これらは、
図3A~
図3Cと関連付けて記載されたシステム100、200の刺激装置104、204、センサ275、メモリ128、228、制御システム130、230、バッテリ132、232、および連結機構260と同一または同様である。第2のバンド302Bは、第1のバンド302Aと主に大きさが異なる。すなわち、第2のバンド302Bの方が大きい(例えば、長い)ため、第2のバンド302Bはユーザ10Cの胴部30Cの周りに着用することができる。
【0091】
いくつかの実装形態においては、第1のバンド302Aおよび第1の刺激装置304Aが、第2のバンド302Bおよび第2の刺激装置304Bから独立して動作することができる。かかる実装形態においては、第1のバンド302A(および第1のバンド302Aに連結された構成要素)が、ユーザ10Cによる第1のタイプの無呼吸事象(例えば、閉塞性無呼吸)への対処を支援するシステム300の第1のサブシステムを形成する。例えば、第1のサブシステムは、気道を開くために喉20Cの筋肉を収縮させる。同様に、かかる実装形態においては、第2のバンド302B(および第2のバンド302Bに連結された構成要素)が、ユーザ10Cによる第2のタイプの無呼吸事象(例えば、中枢性無呼吸)への対処を支援するシステム300の第2のサブシステムを形成する。例えば、第2のサブシステムは、ユーザ10Cの呼吸努力を支援するために、ユーザ10Cの横隔膜を収縮させる。かかる実施形態においては、第1のバンド302A(首輪)および第2のバンド302B(胴部バンド)の両方が、それぞれのメモリ328とそれぞれの制御システム330とを含む。いくつかのかかる実装形態においては、第1のおよび第2のサブシステムが、第1のおよび第2のサブシステムによって印加される刺激が(例えば、同時や交互など)協調するように治療を調整する。
【0092】
いくつかの代替実装形態においては、第1のおよび第2のバンド302A、302Bが独立して動作できず、(例えば、無線および/または有線で)互いに連結される。かかる実装形態においては、第1のおよび第2のバンド302A、302Bのうちの一方だけが、メモリ328と制御システム330とを含む。すなわち、例えば、第2のバンド302B(胴部バンド)はメモリ328と制御システム330とを含み、第1のバンド302A(首輪)はメモリも制御システムも含まない。別例として、第1のバンド302A(首輪)はメモリ328と制御システム330とを含み、第2の外部デバイス350B(胴部バンド)はメモリも制御システムも含まない。
【0093】
第1のバンド302Aに連結されたセンサ375および第2のバンド302Bに連結されたセンサ375は、同じタイプのセンサ(複数可)または異なるセンサ(複数可)であり得るものと理解すべきである。例えば、いくつかの実装形態においては、第1のバンド302A(首輪)に連結されたセンサ375がPPGセンサ(例えば、PPGセンサ124など)であり、第2のバンド302B(胴部バンド)に連結されたセンサ375がモーションセンサ(例えば、モーションセンサ112など)である。第1のバンド302Aのセンサ375および/または第2のバンド302Bのセンサ375は、任意の数のセンサ(例えば、異なるタイプのセンサまたは1つより多くの同じタイプのセンサ)を含むことができる。
【0094】
次に、1つ以上のタイプの無呼吸事象を経験しているときにシステム300を使用してユーザ10Cを支援する方法について説明する。制御システム330(第1のバンド302A内、第2のバンド302B内、またはそれらの組み合わせ)が、ユーザ10Cにおける呼吸事象の存在を決定するための呼吸事象決定アルゴリズムを実行する。いくつかのかかる実装形態においては、この呼吸事象決定アルゴリズムが、メモリ328(第1のバンド302A、第2のバンド302B、またはそれらの組み合わせ)に命令として記憶されている。
【0095】
制御システム330は、ユーザ10Cが第1のタイプの無呼吸事象(例えば、閉塞性無呼吸事象)を現在経験しているかどうかを決定するために、第1のバンド302Aに連結されたセンサ375によって生成されたデータを分析する。制御システム330は、ユーザ10Cが第2のタイプの無呼吸事象(例えば、中枢性無呼吸事象)を現在経験しているかどうかを決定するために、第2のバンド302Bに連結されたセンサ375によって生成されたデータも分析する。
【0096】
制御システム330は、ユーザ10Cが第1のタイプの無呼吸事象を現在経験していると決定した場合、1本以上のリード線305Aを介して第1の刺激装置304Aに電気刺激を与えさせる。この電気刺激は、ユーザ10Cの喉20Cに隣接するユーザ10Cの1つ以上の筋肉および/または1本以上の神経に与えることができる。この電気刺激は、(例えば、喉20Cの1つ以上の筋肉を収縮させ、ユーザ10Cの気道を開くことにより、)第1のタイプの無呼吸事象の停止を支援することができる。
【0097】
制御システム330は、ユーザ10Cが第2のタイプの無呼吸事象を現在経験していると決定した場合、1本以上のリード線305Bを介して第2の刺激装置304Bに電気刺激を与えさせる。この電気刺激は、ユーザ10Cの横隔膜に与えること、および/または横隔膜に接続された1本以上の神経に与えることができる。この電気刺激は、(例えば、横隔膜を収縮させ、ユーザ10Cに呼吸システムに空気を吸い込ませる/吸入させることにより、)第2のタイプの無呼吸事象の停止を支援することができる。
【0098】
さらに、制御システム330は、ユーザ10Cが第1のタイプの無呼吸事象と第2のタイプの無呼吸事象とを現在同時に経験していると決定した場合、(i)第1の刺激装置304Aに、ユーザ10Cの喉20Cに隣接するユーザ10Cの1つ以上の筋肉および/または1本以上の神経への電気刺激を与えさせ、(ii)第2の刺激装置304Bに、ユーザ10Cの横隔膜への電気刺激および/または横隔膜に接続された1本以上の神経への電気刺激を与えさせる。
【0099】
いくつかの実装形態においては、本開示のリード線105、205、305A、305Bが、バンド102、202、302A、302Bから突出するようなサイズおよび形状になっているため、バンド102、202、302A、302Bの装着により、リード線(複数可)105、205、305A、305Bがユーザ10A、10B、10Cの皮膚に押し込まれる。いくつかのかかる実装形態においては、リード線105、205、305A、305Bが、バンド102、202、302A、302Bから、約0.1インチ、約0.25インチ、約0.5インチ、約0.75インチ、約1インチなどの距離、またはそれらの間の任意の距離だけ延在している。
【0100】
以下の請求項1~69のうちいずれかの1つ以上からの1つ以上の要素または態様またはステップあるいはその一部(単数または複数)をその他の請求項1~69のいずれかの1つ以上あるいはその組み合わせからの1つ以上の要素または態様またはステップあるいはその一部(単数または複数)と組み合わせることにより、本開示の1つ以上のさらなる実行および/または請求項を形成することができ得る。
【0101】
本開示について1つ以上の特定の実施形態および実行を参照して説明してきたが、当業者であれば、本開示の意図および範囲から逸脱すること無く多数の変更が可能であり得ることを認識する。これらの実施形態および実装形態、ならびにそれらの明らかな変形のそれぞれが、以下の特許請求の範囲に記載されている本開示の精神および範囲内に収まるものと考察される。
【国際調査報告】