(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-09
(54)【発明の名称】低プロファイルアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/06 20060101AFI20220902BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20220902BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20220902BHJP
H01P 11/00 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
H01Q21/06
H01Q13/08
H01Q23/00
H01P11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021578188
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(85)【翻訳文提出日】2021-12-29
(86)【国際出願番号】 US2020040197
(87)【国際公開番号】W WO2021061251
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100196449
【氏名又は名称】湯澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】フランスン、スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ、ダグラス、ジェイ.
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA09
5J021AB06
5J021CA03
5J021FA05
5J021FA17
5J021FA23
5J021FA26
5J021FA31
5J021FA32
5J021JA07
5J021JA08
5J045AA05
5J045AB05
5J045DA10
5J045EA08
5J045HA03
5J045HA05
5J045JA17
5J045JA19
5J045MA07
(57)【要約】
【解決手段】 複数のアンテナ要素を有する第1のサブアセンブリと、第1のサブアセンブリに接着された第2のサブアセンブリとを含むアンテナ装置が開示される。第2のサブアセンブリは、成形材料内に封入されたビーム形成ネットワークの複数の構成要素を含み得る。ビーム形成ネットワークの複数の構成要素を複数のアンテナ要素に電気接続するために、1つ以上の相互接続層を成形材料上に配置してもよい。アンテナ装置の製造方法もまた開示される。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ装置であって、
複数のアンテナ要素を備える第1のサブアセンブリと、
前記第1のサブアセンブリに接着された第2のサブアセンブリであって、成形材料内に封入されたビーム形成ネットワークの複数の構成要素を備え、前記ビーム形成ネットワークの前記複数の構成要素を前記複数のアンテナ要素に電気接続するために、前記成形材料上に1つ以上の相互接続層を更に備える、第2のサブアセンブリと
を備えるアンテナ装置。
【請求項2】
前記ビーム形成ネットワークの前記複数の構成要素の表面は、前記成形材料の表面と同一平面上にある、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記複数のアンテナ要素は前記第1のサブアセンブリの第1の表面上にあり、前記第1のサブアセンブリは、前記複数のアンテナ要素に直接接続されており、かつ前記第1のサブアセンブリの第2の表面に延在するビアのアレイを更に備え、前記第2のサブアセンブリは、前記第1のサブアセンブリの前記第2の表面に接着されている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記複数の構成要素は、前記1つ以上の相互接続層内の複数のビアを介して前記複数のアンテナ要素に接続された複数の増幅器を含む、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記複数の増幅器の増幅器は、前記複数のアンテナ要素の対応するアンテナ要素に接続されており、当該アンテナ要素の下にある、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第2のサブアセンブリは、前記1つ以上の相互接続層に接続されており、かつ前記成形材料を通って前記第2のサブアセンブリの表面まで延在する1つ以上のビアを更に備える、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記構成要素のうちの少なくとも1つは、前記1つ以上の相互接続層に接続されており、かつ前記成形材料を通って前記第2のサブアセンブリの表面まで延在する伝送線路である、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第1のサブアセンブリは上面及び底面を有し、前記複数のアンテナ要素は前記上面に配置されており、前記第1のサブアセンブリは、前記底面に配置された接地プレートを更に備える、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記アンテナ要素の各々は、本体を有するパッチアンテナ要素であり、前記本体の主表面に直交するプローブフィードによって前記本体の直接下の点からフィードされる、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第1のサブアセンブリ及び第2のサブアセンブリは、少なくとも複数の接地-信号-接地(GSG)はんだ接続によって互いに接着されており、各々が前記アンテナ要素の1つを前記1つ以上の相互接続層上の信号及び接地接点に電気接続する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記複数の構成要素は、入出力ポート、結合器/分割器ネットワーク、及び前記アンテナ要素のうちの少なくとも1つに各々電気接続された複数の集積回路(IC)チップを含み、
前記入出力ポートは、送信無線周波数(RF)信号を送信方向に前記結合器/分割器ネットワークにルーティングし、及び/又は前記結合器/分割器ネットワークからの結合された受信RF信号を受信方向にルーティングし、
前記結合器/分割器ネットワークは、前記RF伝送信号を複数の分割された伝送RF信号に分割し、及び/又は各々が前記ICチップの1つから受信された複数の修正されたRF受信信号を、前記結合されたRF受信信号に結合するように構成されており、
前記ICチップの各々は、前記分割されたRF伝送信号のうちのそれぞれ1つを修正して、修正されたRF伝送信号を提供し、前記ICチップに接続された前記少なくとも1つのアンテナ要素に前記修正されたRF伝送信号を出力し、及び/又は前記ICチップに接続された前記少なくとも1つのアンテナ要素から提供されたRF受信信号を修正して、前記修正されたRF受信信号のうちの1つを前記結合器/分割器ネットワークに提供するように構成されている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記ICチップの各々は、前記分割されたRF伝送信号及び/又は前記ICチップに提供された前記RF受信信号を修正するために、(i)送信増幅器及び/又は送信位相シフタ、又は(ii)受信増幅器及び/又は受信位相シフタ、のうちの少なくとも1つを備える、請求項11に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記入出力ポートは、前記第2のサブアセンブリの第1の主表面から、前記第2のサブアセンブリの対向する第2の主表面まで延在する同軸伝送線路であり、
前記結合器/分割器ネットワークは、前記入出力ポートと前記複数のICチップとの間に配置された誘電体によって支持されるコプレーナ導波管から構成されている、請求項11に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記誘電体は、前記成形材料の損失係数よりも低い損失係数を有する、請求項13に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記誘電体は石英であり、前記成形材料は液晶ポリマーであり、
第1のサブアセンブリは、前記複数のアンテナ要素を支持する石英基板を備える、請求項13に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記構成要素は、2次元アレイの行及び列に配置された複数の集積回路(IC)チップを備え、各ICチップは、行方向及び列方向に互いに離間しており、各々は、少なくとも2つのプローブフィードの直接下にあり、かつ当該プローブフィードに電気接続されており、前記プローブフィードは、少なくとも2つの対応するアンテナ要素を前記それぞれのICチップに接続する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記構成要素は複数の集積回路(IC)チップを含み、前記第2のサブアセンブリは複数のヒートスプレッダタブを含み、各々は前記ICチップのうちの1つの主表面に取り付けられている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記ヒートスプレッダタブの各々の第1の主表面は前記ICチップのうちのそれぞれ1つに取り付けられており、前記ヒートスプレッダタブの対向する第2の主表面は、前記成形材料の外側に露出されている、請求項17に記載のアンテナ装置。
【請求項19】
前記ビーム形成ネットワーク及び前記アンテナ要素は、ミリ波周波数の信号を送受信するように構成されている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項20】
前記複数のアンテナ要素は、少なくとも16個のアンテナ要素を含む、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項21】
アンテナ装置を形成する方法であって、
複数のアンテナ要素を含む第1のサブアセンブリを形成することと、
成形材料内にビーム形成ネットワークの複数のビーム形成構成要素を封入して、埋め込み構成要素構造を形成することと、
前記埋め込み構成要素構造上に1つ以上の相互接続層を形成することにより、第2のサブアセンブリを形成することと、
前記複数のビーム形成構成要素が前記複数のアンテナ要素に電気接続されるように、前記第1のサブアセンブリを前記第2のサブアセンブリに接着及び電気接続することと
を含む方法。
【請求項22】
前記第1のサブアセンブリの前記第2のサブアセンブリへの接着及び電気接続は、前記第1のサブアセンブリ及び前記第2のサブアセンブリの各々の上のそれぞれの信号パッドと接地パッドとの間で複数の接地-信号-接地(GSG)はんだ接続を加熱及び冷却することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
1つ以上の相互接続層の形成は、前記第1のサブアセンブリ及び前記第2のサブアセンブリが互いに接着及び電気接続されるときに、前記ビーム形成構成要素のうちの少なくともいくつかを前記アンテナ要素のそれぞれ1つに直接的に電気接続するために、前記1つ以上の相互接続層を完全に貫通して複数のビアを形成することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記複数のビーム形成構成要素の封入は、
接着箔が接着された支持体を提供することと、
前記複数のビーム形成構成要素を前記接着箔の表面上に配置することと、
前記接着箔表面上に配置されている間に、未硬化状態の前記成形材料を前記ビーム形成構成要素の周りに適用することと、
前記成形材料を硬化させて、中間構造を形成することと、
前記支持体及び前記接着箔を前記中間構造から除去して、前記埋め込み構成要素構造を形成することと
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記複数のビーム形成構成要素は、複数の集積回路(IC)チップと、少なくとも1つの伝送線路部分内に形成された結合器/分割器ネットワークと、前記成形材料の適用前に前記接着箔の前記表面上に各々配置される同軸フィードスルー伝送線路とを備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記成形材料の硬化後に前記成形材料を通して複数のビアを形成し、引き続き、前記1つ以上の相互接続層を通して前記ICチップの少なくとも1つに接続することを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ビーム形成構成要素を封入する前に、ヒートスプレッダタブを、前記ビーム形成構成要素のうちの少なくともいくつかのそれぞれの主表面に取り付けること
を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
アンテナ装置であって、
複数のアンテナ要素を含む第1のサブアセンブリを形成することと、
成形材料内にビーム形成ネットワークの複数のビーム形成構成要素を封入して、埋め込み構成要素構造を形成することと、
前記埋め込み構成要素構造上に1つ以上の相互接続層を形成することにより、第2のサブアセンブリを形成することと、
前記複数のビーム形成構成要素が前記複数のアンテナ要素に電気接続されるように、前記第1のサブアセンブリを前記第2のサブアセンブリに接着及び電気接続することと
によって形成された、アンテナ装置。
【請求項29】
前記複数のビーム形成構成要素は、入出力ポート、結合器/分割器ネットワーク、及び前記アンテナ要素のうちの少なくとも1つに各々電気接続された複数の集積回路(IC)チップを含み、
前記入出力ポートは、送信無線周波数(RF)信号を送信方向に前記結合器/分割器ネットワークにルーティングし、及び/又は前記結合器/分割器ネットワークからの結合された受信RF信号を受信方向にルーティングし、
前記結合器/分割器ネットワークは、前記RF伝送信号を複数の分割された伝送RF信号に分割し、及び/又は各々が前記ICチップの1つから受信された複数の修正されたRF受信信号を、前記結合されたRF受信信号に結合するように構成されており、
前記ICチップの各々は、前記分割されたRF伝送信号のうちのそれぞれ1つを修正して、修正されたRF伝送信号を提供し、前記ICチップに結合された前記少なくとも1つのアンテナ要素にそれを出力し、及び/又は前記ICチップに結合された前記少なくとも1つのアンテナ要素から提供されたRF受信信号を修正して、前記修正されたRF受信信号のうちの1つを前記結合器/分割器ネットワークに提供するように構成されており、
前記ICチップの各々は、前記分割されたRF伝送信号及び/又は前記ICチップに提供された前記RF受信信号を修正するたに、(i)送信増幅器及び/又は送信位相シフタ、又は(ii)受信増幅器及び/又は受信位相シフタ、のうちの少なくとも1つを備える、請求項28に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してアンテナアレイに関する。
(関連技術の考察)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
アンテナアレイは現在、航空機、衛星、車両、一般的な陸上通信用の基地局などで、マイクロ波及びミリ波周波数の様々な用途に使用されている。このようなアンテナアレイは、典型的には、ビームを方向付けするためのフェーズドアレイを形成するために、位相シフトビーム形成回路を用いて駆動されるマイクロストリップ放射素子を含む。多くの場合、アンテナアレイ及びビーム形成回路を含むアンテナシステム全体が、必要な性能メトリックを満たす一方で、低プロファイルの最小空間しか占有しないことが望ましい。
【0003】
本開示の技術の一態様では、アンテナ装置は、複数のアンテナ要素を有する第1のサブアセンブリと、第1のサブアセンブリに接着された第2のサブアセンブリとを含む。第2のサブアセンブリは、成形材料内に封入されたビーム形成ネットワークの複数の構成要素と、成形材料上の1つ以上の相互接続層とを含む。1つ以上の相互接続層は、ビーム形成ネットワークの複数の構成要素を複数のアンテナ要素に電気接続する。
【0004】
構成要素は、アンテナ装置がフェーズドアレイとして動作可能であるように、位相シフタを動的に制御する集積回路(IC)チップを含んでもよい。
【0005】
別の態様では、アンテナ装置を形成する方法は、複数のアンテナ要素を含む第1のサブアセンブリを形成することと、成形材料内にビーム形成ネットワークの複数のビーム形成構成要素を封入して、埋め込み構成要素構造を形成することと、を含む。次いで、1つ以上の相互接続層を、埋め込み構成要素構造上に形成し、それによって第2のサブアセンブリを成してもよい。次いで、第1のサブアセンブリは、複数のビーム形成構成要素が複数のアンテナ要素に電気接続されるように、第2のサブアセンブリに接着及び電気接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
開示された技術の上記及び他の態様及び特徴は、同様の参照番号が同様の素子又は特徴を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態による例示的なアンテナ装置の斜視図である。
【0008】
【
図2A】
図2Aは、アンテナ装置の例示的なアンテナ要素の斜視図である。
【0009】
【
図2B】
図2Bは、アンテナ装置のアンテナ要素とICチップとの間の例示的な配置及び接続技術を示す断面図である。
【0010】
【
図3A】
図3Aは、送信及び受信動作のためのフェーズドアレイアンテナとして構成されたアンテナ装置100の例を概略的に示す。
【0011】
【0012】
【
図4】
図4は、
図1の線IV-IVに沿って取られたアンテナ装置の一部の断面図である。
【0013】
【
図5】
図5は、アンテナ装置の例示的な埋め込み構成要素サブアセンブリの平面図である。
【0014】
【
図6】
図6は、アンテナ装置を製造するための例示的な方法を示す流れ図である。
【0015】
【
図7】
図7は、埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する例示的な方法の流れ図である。
【0016】
【
図8A】
図8Aは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図8B】
図8Bは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図8C】
図8Cは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図8D】
図8Dは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図8E】
図8Eは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図8F】
図8Fは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図8G】
図8Gは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【0017】
【
図9】
図9は、アンテナ装置の別の例示的な埋め込み構成要素サブアセンブリの平面図である。
【0018】
【
図10】
図10は、埋め込み構成要素のサブアセンブリを形成する別の例示的な方法の流れ図である。
【0019】
【
図11A】
図11Aは、
図10の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図11B】
図11Bは、
図10の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図11C】
図11Cは、
図10の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図11D】
図11Dは、
図10の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図11E】
図11Eは、
図10の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明は、添付の図面を参照して、例示目的のために本明細書に開示される技術の特定の例示的実施形態の包括的な理解を支援するために提供される。本明細書は、技術を理解する当業者を支援するための様々な具体的な詳細を含むが、これらの詳細は単なる例示であると見なされるべきである。簡潔さ及び明瞭さのために、周知の機能及び構造の説明は、当業者が技術を理解することを不明瞭にし得る場合には、周知の機能及び構造の説明を省略することができる。
【0021】
図1は、一実施形態による例示的なアンテナ装置100の斜視図である。アンテナ装置100は、低プロファイルの積層構造を形成するアンテナサブアセンブリ110を含んでもよく、これは、埋め込み構成要素サブアセンブリ150に接着されている。アンテナサブアセンブリ110は、アンテナアレイ122を形成するために、基板117の上部主表面にわたって空間的に配置された複数のアンテナ要素120を含む。アンテナ要素120の数、それらの種類、サイズ、形状、要素間間隔、及びそれらが駆動される方法は、目標とする性能メトリックを達成するために設計によって変更してもよい。このような性能メトリックの例としては、必要な周波数帯域にわたるビーム幅、指向方向、偏波、サイドローブ、電力損失、ビーム形状などが挙げられる。典型的な事例では、アンテナアレイ122は、少なくとも16個のアンテナ要素120を含む。アンテナ要素120は、
図1に示すようなマイクロストリップパッチアンテナ要素であってもよいが、プリントダイポール又はスロット付き要素などの他のラジエータ形式を代用してもよい。接地プレート119は、基板117の底部主表面上に形成してもよい。用途に応じて、アンテナ要素120は、RF信号を送信及び/又は受信するためのビーム形成構成要素に接続してもよい。以降の説明は、アンテナ装置100が同時に送信及び受信能力を有すると仮定するが、他の実施形態は、単に受信又は送信するように構成してもよい。一実施例では、アンテナ要素120は、30GHz~300GHz範囲の帯域として一般に定義される、ミリ(mm)波周波数帯域にわたって動作するように設計されている。他の実施例では、アンテナ要素120は、30GHz未満で動作するように設計される。
【0022】
図2Aを一時的に参照すると、アンテナ装置100のアンテナ要素120の一例が斜視図で例示されている。(後述する
図2Bは、アンテナ要素120を断面図で示す。)アンテナ要素120は、基板117の上面に印刷してもよく、又は上面の下で基板117に配置してもよい。基板117の底面上に金属被覆してもよい接地プレート119は、アンテナ要素120への/アンテナ要素120からの信号エネルギーを反射する。基板117は、石英又は溶融シリカなどの低損失正接材料であってもよい。これは、損失を最小限に抑えるために、高周波動作において特に有益であり得る。各アンテナ要素120は、基板117を通って垂直に延在し、点pでアンテナ要素の下面に直接接続されたそれぞれのマイクロストリッププローブフィード114によって駆動することができる。マイクロストリッププローブフィード114は、基板117を通る基板貫通ビア(TSV)(以下、「ビア」)として形成してもよい。したがって、それぞれの複数のアンテナ要素120にフィードする複数のプローブフィード114は、誘電体117を通って延在するビアのアレイと見なしてもよい。点pは、所望の偏波を達成するためにアンテナ要素120の本体内の位置で選択され、所望の偏波を達成することができる(例えば、中心から特定の距離だけずれたときに円形偏波)。インピーダンス整合のために、パッチ要素にスリット121を形成してもよい。代替的な設計では、プローブフィードは、アンテナ要素120へのインセットフィード及び/又は非接触の結合接続により置換してもよいことに留意されたい。
【0023】
更に
図1を参照すると、埋め込み構成要素サブアセンブリ150は、成形材料152内に封入されたビーム形成ネットワーク構成要素を含み、これは、再構成ウェハと呼ばれることもある埋め込み構造154を共に形成する。サブアセンブリ150は、成形材料152の上に形成された(例えば、誘電体及び導電性材料の多工程堆積プロセスを使用して)1つ以上の相互接続層155(本明細書では、「再分配層(RDL)」と互換的に呼ばれる)を更に含み、これは、ビーム形成ネットワーク構成要素をアンテナ要素120に電気接続することができる。そのようなビーム形成ネットワーク構成要素の例には、集積回路(IC)チップ160、結合器/分割器ネットワークを形成し得る伝送線路部分180、及び少なくとも1つのRFフィードスルー伝送線路170が含まれる。ICチップ160は、モノリシックマイクロ波IC(MMIC)チップであってもよい。一実施例では、ICチップ160は、各々リン化インジウム(InP)である。別の例では、ICチップは、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)などの別の半導体材料であってもよい。任意のICチップ160は、いくつかのアンテナ要素120にフィードすることができる。(本明細書で、アンテナ要素に「フィードする」とは、アンテナ要素に信号を送信すること、及び/又はアンテナ要素から信号を受信することを指す。)
【0024】
以下、伝送線路部分180は、互換的に結合器/分割器ネットワーク180と呼ばれてもよい。送信方向では、結合器/分割器ネットワーク180は、伝送線路170を介して印加されるRF伝送信号を、各々がICチップ160の1つに印加される複数の分割された伝送信号に分割する分割器として機能する。受信方向において、結合器/分割器ネットワーク180は、アンテナ要素120の1つ又は群によって各々受信され、ICチップ160を介してルーティングされる(及び典型的にはそれによって修正される)複数の受信信号を結合する結合器として機能する。したがって、ICチップ160は、アンテナアレイ122に電気接続された「RFフロントエンド」を集合的に含んでもよい。信号を送信するために、RFフロントエンドは、伝送線路170を介して印加されるRF信号を増幅するための電力増幅器を分散的に含み得る。受信方向において、RFフロントエンドは、低ノイズ増幅器、ミキサ、フィルタ、スイッチなどを含んでもよい。アンテナアレイ122がフェーズドアレイとして提供される場合、ICチップ160は、アンテナ要素120を互いに対して位相調整するための送信経路及び/又は受信経路内でアクティブな位相シフタを含み、それによってアンテナビームを動的に方向付けすることができる。一例では、単一の同軸フィードスルー伝送線路(「同軸フィードスルー」)170は、送信側の入力RF信号をルーティングし、及び/又は受信側の全てのアンテナ要素120からの結合された受信信号をルーティングしてもよい。他の場合には、2つ以上の同軸フィードスルー170が提供され、送信/受信信号の追加の分割/結合は、アンテナ装置100の別の層で、例えば、複数の同軸フィードスルー170への/複数の同軸フィードスルー170からの信号の分割/結合によって行われる。同軸フィードスルー170は、アンテナ装置100の入出力ポートの一例である。CPWフィードスルーなどの他の種類のフィードスルーにより置換してもよい。
【0025】
図3Aは、送信及び受信動作のためのフェーズドアレイアンテナとして構成されたアンテナ装置100の例を概略的に示す。本実施例のアンテナ装置100は、N個のICチップ160
1~160
N及び(N×k)個のアンテナ要素(120
1-1~120
1-k),...,(120
N-1~120
N-k)を含み、各チップ160はk個のアンテナ要素120に接続されており、変数N及びkは各々2以上である。(ただし、特定の他の実施形態では、各ICチップ160に接続されたアンテナ要素120は1つのみであり得ることに留意されたい。)
図1の例では、1つのICチップ160が4つのアンテナ要素120の下にあり(かつ接続され)、したがってk=4であることが分かる。各ICチップ160
i(iは1~Nの任意の数)は、k個の送受信回路(T/R)回路165
i-1~165
i-kを含む。任意のT/R回路165
i-jの一端(jは1~kの任意の数)は、対応するアンテナ要素120
i-jに接続され、T/R回路165
i-jの他端は、結合器/分割器ネットワーク180のそれぞれのフィードポイントに接続される。送信方向では、フィードスルー170からの伝送RF信号(例えば、モデムから提供される)は、結合器/分割器180によって(N×k)個の信号に分割され、各分割された信号は、T/R回路165に供給され、T/R回路165によって修正(例えば、増幅、位相シフト及び/又はフィルタリング)される。各T/R回路165の修正された信号は、放射されるそれぞれのアンテナ要素120に出力される。受信方向において、各アンテナ要素120によって受信された受信信号は、対応する各T/R回路165を通って供給され、修正される(例えば、増幅、フィルタリング、及び/又は位相シフトされる)。各々の修正された受信信号は、結合器/分割器180の入力ポイントに出力される。この結合器/分割器は、修正された全ての受信信号を結合し、フィードスルー170に結合された受信信号を提供する。
【0026】
図3Bは、
図12Aのアンテナ装置100のT/R回路165のいずれかに使用することができるT/R回路165
i-jの一例を示す。T/R回路165
i-jは、一対のT/Rスイッチ70、72と、送信経路位相シフタ82と、送信増幅器80と受信増幅器60と、受信経路位相シフタ62とを含んでもよい。制御信号CNTRLは、T/Rスイッチ70、72のスイッチ状態を制御するためにT/R回路165
i-jに印加することができ、また、位相シフタ62、82の位相シフトを動的に制御することができる。送信期間中、T/Rスイッチ70及び72は、第1のスイッチ位置に切り替えられ、結合器/分割器ネットワーク180から入力される伝送信号を位相シフタ82及び増幅器80を介してアンテナ120
i-jにルーティングする。受信期間中、T/Rスイッチ70及び72は、第2のスイッチ位置に切り替えられ、RF受信信号をアンテナ120
i-jから増幅器60及び位相シフタ62を介して結合器/分割器ネットワーク180にルーティングする。同じ周波数帯域又は異なる周波数帯域を送信及び受信動作に使用してもよい。
【0027】
図3BのT/R回路165
i-jは、共有アンテナ要素120(伝送信号及び受信信号の両方を処理するために共有される)と共有結合器/分割器ネットワーク180との間で送受信信号をルーティングするT/R回路の一例である。当業者に知られている他の構成を代用してもよい。例えば、代替のT/R回路は、T/Rスイッチ70、72を省略し、伝送信号電力が受信増幅器60を損傷するのを防ぐための適切な隔離機構を用いて、送信及び受信動作にそれぞれ異なる周波数帯域を利用してもよい。また、偏波ダイバーシティ方式(例えば、送信の左円偏波、受信の右円偏波、又はその逆)を実装することによってT/Rスイッチ70、72を省略することも可能であり得る。
【0028】
図2Bを参照すると、アンテナ装置100の任意のアンテナ要素120とICチップ160との間の例示的な配置及び接続技術を示す断面図が示されている。ICチップ160は、埋め込み構造154内に埋め込まれ、RF信号をルーティングするために、埋め込み構造154の上面S1又はその付近に信号線接点162s及び一対の接地接点162gを有してもよい。相互接続層155内に形成された導電性ビアVs、Vgは各々、接点162s、162gに接続されたそれぞれの端部と、それぞれのコンタクトパッドPs、Pgを有する対向端部とを有する。組み立て段階では、接地プレート119の下面を相互接続層155の上面S2に接着することによって、アンテナサブアセンブリ110をサブアセンブリ150に取り付けてもよい。このような取り付けは、サブアセンブリ110、150上の対応するパッド間の電気接続材料(例えば、はんだ)により実現してもよく、任意選択で、サブアセンブリ110、150の他の表面領域上で接着剤を使用して補充してもよい。この組み立て段階の間に、パッドPsは、接着プロセス中に溶融され、次いで冷却されるはんだボール(又はバンプ/ピラー)147sを介してマイクロストリッププローブフィード114にはんだ付けすることができる。同様に、一対のパッドVgは、それぞれの一対のはんだボール147gを介して接地プレート119にはんだ付けされ、それによって、フィード114/接地プレート119とICチップ160の信号/接地ポイントとの間に接地-信号-接地(GSG)接続を形成することができる。はんだボール147s、147gは最初から、
図2Bに示すように、アンテナフィード/接地プレート114/119に、又は代替的にパッドPs、Pgに接着していてもよい。
【0029】
示される実施形態では、アンテナ要素120の直接下にあるICチップ160を用いて、ビアVs、Vgは、ICチップ160とアンテナ要素120の接触ポイントとの間に望ましい短い接続を形成する。ICチップ160がアンテナ要素120の直接下にない他の実施形態では、GSG接続は、相互接続層155内のコプレーナ導波管(CPW)伝送線路のポイントで行うことができる。このようなCPW伝送線路は、パッドPまで延在する内側トレースと、一対のパッドPgまでそれぞれ延在する一対の接地トレース(内側トレースの各側面上の1つ)とを有し得る。
【0030】
図4は、
図1の経路IV-IVに沿って切り取られたアンテナ装置100の一部分の断面図である。この例示的な断面図では、埋め込み構成要素サブアセンブリ150は、ICチップ160、伝送線路部分180、同軸線(「同軸」)フィードスルー170、及びDCビア190を含む。ICチップ160は、
図2Bに関して上述したやり方で、サブアセンブリ110の1つ以上のアンテナ要素120に接続してもよい。絶縁性接着層130を、上述の接着段階に続いてサブアセンブリ110、150の間に形成してもよい。接着層130は、GSGはんだ接続を使用するサブアセンブリ110、150の電気機械的取り付けを補充するために接着剤が塗布される場合に存在する。そうでない場合には、接着層130は省略することができる。示される例では、1つ以上のRDL層155は、下部RDL層155a及び上部RDL層155bを含み、上部RDL層155bは、198、168、及び188などの導電性トレースと接着層130/接地プレート119とを分離する。代替的な設計では、上部RDL層155bは省略され、接着層130のみがRDL層155aの上の接地プレート119と導電性トレースを分離する。
【0031】
ICチップ160、伝送線路部分180、及び同軸フィードスルー170は各々、成形材料(「封止材」)152内に埋め込まれたビーム形成ネットワーク構成要素の例であり、各々は、封止材152の上面s1と実質的に同一平面上にある上面を有してもよい。これらの要素間のRDL層接続は、RDL層155aの表面s1から上面s4まで延在するそれぞれのビアV1を介して行ってもよい。V1、Vg又は190などの任意のビアは、周囲の誘電体材料を通って延在するバレル(例えば、ビア190のバレル191)及び両端上の一対のパッド、例えば、P1、P3、Pg、Psを有してもよい。例えば、ICチップ160は、ビアV1に接続された接点162fを有してもよく、これは次に、導電性トレース198、ビアV1及びDCビア190に接続する。DCビア190は、その対向端が下部パッドP3を有する封止材152の下面s3まで延在してもよい。表面s4に沿ってパターン化された導電性トレース198、168、188は、ビアパッドへの接続を通じてビーム形成構成要素を相互接続してもよい。封止材152の上面s1上に形成された任意のビアパッドは、誘電体層を適用してRDL層155aを形成する前に形成してもよい。RDL層155aの誘電体が適用された後、ビアの対向パッドを形成してもよく、その後、ビアホールが上部パッドを通して穿孔され、下部パッドまで延在してもよい。次に、ビアホールは、ビア形成を完了するために、例えば電気めっきされた導体により充填することができる。
【0032】
コプレーナ導波管(CPW)接続はまた、RDL層155を通して様々な構成要素間で行うことができ、RF信号をルーティングするための相互接続を形成する。例えば、伝送線路部分180は、石英又は溶融シリカなどの低損失誘電体材料185の上面に沿って延在する内側CPWトレース182などの導電性トレースを含んでもよい。誘電体材料185は、望ましくは、封止材152の損失係数よりも低い損失係数を有する材料である。
図5のトレース184a、184bとして後述される、
図4には示されていない外側CPWトレースは、その反対側の内側トレース182に平行に延在してもよい。(
図4の断面図では、1つのCPW外側トレースは、内側トレース182の前方にあってもよく、他方の外側トレースは内側トレース182の後ろにある。)内側トレース182の一端は、一対のビアV1間のRDLトレース168によって形成された相互接続を介してICチップ160の信号接点162tに接続してもよい。同様に、一対の外側RDLトレース(図示せず)は、信号接点162tの反対側のICチップ160(
図4には示されてはいないが、
図5の接点162gとして例示されている)の一対の接地接点に、伝送線路部分180の外側CPWトレースを接続してもよい。
【0033】
同軸線170は、内側導体172と外側円筒形導体174とを分離するガラスなどの誘電体176から構成される。同軸線170は、表面s1から封止材152の下面s3まで垂直に延在してもよい。内側導体172は、一対のビアV1間にRDLトレース188を含む相互接続を介して、内側CPWトレース182の他端に接続してもよい。外側導体174は、内側トレース182の両側の外側トレースに2点で接続してもよい。例えば、ビアV2は、
図4の断面図において、内側CPW RDLトレース188の後方に形成してもよい。このビアV2は、外側導体174の点を、内側CPW RDLトレース188の後方に位置するRDL外側CPWトレースのうちの1つに電気接続してもよい。同軸フィードスルー170及びDCビア190は各々、表面s3において表面実装コネクタ(図示せず)に接続してもよい。1つ以上の追加のICチップは、表面s3に取り付けられ、所望に応じて追加のビアを介してICチップ160に接続することができる。このような追加ICチップの一例は、ICチップ160に電圧を提供する電圧調整チップである。別の例は、ICチップ160内の位相シフタ及び/又はT/Rスイッチなどのビーム形成回路に制御信号を提供するマイクロプロセッサチップである。
【0034】
図5は、アンテナ装置100の例示的な埋め込み構成要素サブアセンブリ150の平面図である。サブアセンブリ150は、平面グリッド配置でレイアウトされたICチップ160を含んでもよい。いくつかのICチップ160間の空間(「ストリート」)には、伝送線路部分180が配置されている。伝送線路部分180は単一の部分として示されているが、RDL層155内の相互接続を介して互いに相互接続された複数の部分から構成してもよい。間隙「g」は、ICチップ160の隣接する側面から伝送線路部分180の端部を分離することができる。場合によっては、熱膨張を考慮して最小間隙gサイズが割り当てられる。小さい間隙gが一般的に望ましいが、間隙サイズは、主に製造上の制限によって決められてもよい。複数のビア190は、各ICチップ160の1つ以上の端部に隣接して配置してもよい。各ビア190は、ICチップ160に/からDCバイアス信号又は制御信号をルーティングするために、隣接するICチップ160のそれぞれの接点162fにRDL相互接続198を介して接続され得る。例えば、DCバイアス信号は、ICチップ160の送信方向電力増幅器及び/又は受信方向低ノイズ増幅器(LNA)をバイアスしてもよい。制御信号は、ICチップ160内の位相シフタの位相を動的に制御することができる。
【0035】
ICチップ160は、矩形プロファイルを有してもよい。ICチップ160の少なくともいくつかは、いくつかのアンテナ要素120の部分の直接下にあってもよく、ビアを介して行われるプローブフィード114への短い接続を可能にする。例えば、ICチップ160の信号接点162fは、相互接続層155内のそれぞれのビアの直接下にあってもよく、このビアは更にプローブフィード114の直接下にある。各アンテナ要素120の大部分(例えば、プローブフィードポイントを含む部分)は、ICチップ160のそれぞれの部分を覆ってもよい。アンテナ要素120のいくつかは、ICチップ160の角部を覆う大部分を有してもよく、少部分を、ICチップ160の周囲の外側に配置してもよい。
【0036】
内側導体172及び外側導体174を有する同軸フィードスルー170は、入力RF信号を、伝送線路部分180を介してICチップ160の一部又は全部にルーティングしてもよい。
図4に記載されるように、内側導体172は、RDL相互接続188を介して内側CPWトレース182の近位端に接続してもよい。更に、第1及び第2のCPW外側トレース184a、184bは、RDL層155内のそれぞれのパッドP1及びRDL相互接続189a、189bを介して別々のポイントで外側導体174に接続してもよい。分割器ネットワーク(送信側)は、
図5に示すように、内側CPWトレース182を複数の経路に分けRF伝送信号の信号エネルギーを分割することによって、及びトレース184c、184d及び184eなどの追加のCPW外側トレースを提供することによって形成することができる。各ICチップ160内の電力増幅器は、アンテナ要素120へのルーティング前に分割されたRF信号の部分を増幅することができる。適切な送信/受信(T/R)スイッチングにより、同じCPW導電性トレースを受信経路の結合器ネットワークとして使用して、アンテナ要素120によって受信され、ICチップ160内の低ノイズ増幅器(LNA)によって増幅されたRF受信信号を結合することができる。CPW外側トレースは各々、RDL相互接続によって、隣接するICチップ160内の接地接点162gに接続してもよい。同様に、内側CPWトレース182の遠位端を、各々、RDL相互接続168を介してICチップ160のそれぞれにおける信号接点162tに接続してもよい(
図4参照)。
【0037】
図6は、アンテナ装置100を製造するための例示的な方法600を示す流れ図である。最初に、アンテナ要素サブアセンブリ110と埋め込み構成要素サブアセンブリ150は、別個に形成することができる(ブロックS610)。例えば、アンテナ要素サブアセンブリ110は、まず、低損失誘電体117、例えば石英又は溶融シリカのスラブをアンテナ装置100の所望のプロファイルに予め切断することによって形成してもよい。その後、誘電体117の下部主表面は、各プローブフィード114の位置を取り囲む円形領域を除いて、接地プレート119と共にパターン化してもよい。次いで、プローブフィード114のためのパッドが、円形領域内の下面上に形成され、パッドを通して穿孔されたビアホールを形成することができる。ビアホールをその後、電気めっきして、ビアとして具現化されたプローブフィード114を形成してもよい。なお、接地プレート119は、プローブフィード114の形成前に形成していても又は形成後に形成してもよいことに留意されたい。次いで、プローブフィード114の位置と一致する領域でパターン金属化することによって誘電体117の上部主表面上にアンテナ要素120を形成することができ、これにより、アンテナ要素サブアセンブリ110を完成することができる。代替的なシーケンスでは、アンテナ要素120は、プローブフィード114及び/又は接地プレート119を形成するためのプロセスの前に形成される。埋め込み構成要素サブアセンブリ150は、
図7に関連して以下に記載される方法で形成してもよい。GSGはんだボールは、サブアセンブリ110又は150のいずれかのGSG接点に取り付けてもよい。
【0038】
次に、アンテナ構成要素サブアセンブリ110は、
図2Bに記載されるように、GSGはんだボールが同時に溶融及び冷却されて、2つのサブアセンブリ間のGSG相互接続を形成する間に、埋め込み構成要素サブアセンブリ150に直接接着することができる(S620)。(上述のように、GSGはんだ接続は、一部の実施形態では、補足的な接着剤なしで、全体的な機械的接続として機能してもよい。)次いで、残りの構成要素が、埋め込み構成要素サブアセンブリ150に取り付けられ得る(S630)。これらは、上記の表面実装同軸コネクタ及びDCコネクタ、並びに封止材152の下面s3に取り付けられたICを含み得る。
【0039】
図7は、埋め込み構成要素サブアセンブリ150を形成する例示的な方法700の流れ図であり、
図8A~
図8Gは、方法700のそれぞれの工程に対応する構造を示す断面図である。初期工程S710では、接着箔810(
図8Aを参照)が支持体プレート820上に積層され、支持体アセンブリ830を形成する。次いで、ビーム形成構成要素を、ピックアンドプレースツールを使用して箔上に配置することができる(S720)(
図8B参照)。ビーム形成構成要素は、例えば、ICチップ160、伝送線路部分180(例えば、既に形成されたCPW導電性トレース182、184を有するか又は有さない石英部分)、1つ以上のRFフィードスルー、例えば、同軸フィードスルー170、及びICチップ160とは異なる機能/材料/サイズの他のICチップ(図示せず)を含み得る。ビーム形成構成要素のうちのいくつか、例えば、ICチップ160のうちのいずれかは、接着箔810上に配置される前に取り付けられたヒートスプレッダタブ(例えば、後述する
図11Bのヒートスプレッダタブ1102)を有してもよい。
【0040】
次いで、成形材料152を、成形プレスを使用して、ビーム形成構成要素の周りの接着箔の表面上、及びビーム形成構成要素の少なくともいくつかの表面上に、(液体又は柔軟な)非硬化状態で適用することができる(S730)。成形材料152の例としては、エポキシ成形コンパウンド、液晶ポリマー(LCP)、及びポリイミドなどの他のプラスチックが挙げられる。ここで、成形材料152は、箔表面に対して少なくとも最も高い構成要素の高さ、例えば、同軸フィードスルー170の厚さで適用され得る。次に、成形材料152は、硬化され、任意選択でトリミング/平坦化されて、
図8Cに示されるように、埋め込み構成要素構造154を備えた中間構造を形成することができる。このようにして、埋め込み構成要素構造154は、実質的に平面の対向する主表面s1、s3を有するウェハ様構造として形成することができ、ウェハのように更に加工してもよい。
【0041】
以下の工程(S740)において、支持体820及び箔810は、接着解除ツールを使用して、埋め込み構造154から剥離することによって中間構造から除去されてもよく、埋め込み構造154は、
図8Dに見られるように裏返されてもよい。(
図8Dにおいて、ヒートスプレッダタブがICチップ160に取り付けられている場合、タブの厚さは、タブの下面が成形材料152の表面s3と同一平面上にあるように、事前設定してもよく、又は後でトリミングしてもよいことに留意されたい。)その後、パッドを、ビアが形成される場所、又は他の構成要素への電気的接触が行われる場所で、構造154の対向する表面s1及びs3上に形成することができる(S750)。
図8Eに見られるように、相互接続層155を介して後続のビアの一部を形成するためのパッドP1、Ps及びPgは、パターン金属化によって上面s1上に形成される。この処理段階の間に、CPW導電性トレース182、184なしに伝送線路部分180が埋め込まれている場合、パッドP1、Ps、Pgが形成されるとき、これらパッドをパターン金属化によって同時に形成してもよい。成形材料152を介してビア(例えば、190)の一部を形成するための、及び/又は他の構成要素に接続するためのパッドP3もまた、下面s3上に形成してもよい。ビアホールは、パッド及び成形材料152を通して穿孔され、例えば電気めっきを用いて導電性材料(S760)により充填され、完成したビア(例えば190)を形成することができる。埋め込みプロセスの前に1つの構成要素として同軸フィードスルー170を提供する代替として、同軸フィードスルーをこの処理段階で、複数の別個の埋め込み構成要素を使用して形成してもよいことに留意されたい。
【0042】
次いで、埋め込み構成要素構造154の上に、ビア及び相互接続を有する1つ以上のRDL層155を形成することができる(S770)。例えば、第1及び第2のRDL層155a、155bを有する構成では、第1のRDL層155aは、
図8Fに示されるように、埋め込み構造154の上面s3の上に最初に形成してもよい。後続の工程では、ビアV1から層RDL層155aを形成し、RDL層155aの表面s4に198、168、188などの導電性トレースを形成して、ビーム形成構成要素間の相互接続を完了することができる。その後、第1のRDL層155bの上面s4上に第2のRDL層155bを形成してもよい。次に、第1及び第2のRDL層155a、155bの両方を通って延在するビアVg及びVsを形成することができる。代替的なシーケンスでは、ビアV1が形成されるときに、各ビアV及びVgの下部を最初に、すなわち、第2のRDL層155bの形成前に形成してもよい。ビアV及びVgの上部は、その後、第2のRDL層155bが適用された後に形成することができる。
【0043】
図9は、別の実施形態による、別の例示的なアンテナ装置100’の部分的なレイアウトを示す。アンテナ装置100’は、埋め込み構成要素サブアセンブリ150’に接着されたアンテナサブアセンブリ110’を含んでもよい。アンテナサブアセンブリ110’は、アンテナサブアセンブリ110と実質的に同じ構造であってもよいが、ADC/DAC/プロセッサ910が取り付けられた又は埋め込まれた拡張誘電体部分117を有する。あるいは、ADC/DAC/プロセッサ910は、サブアセンブリ150’の拡張部分に取り付けられるか、又はその内部に埋め込まれ、誘電体部分117を拡張しなくてもよい。サブアセンブリ150’は、上述のものと同様又は同一の構成の少なくとも1つの相互接続層155を介して相互接続された埋め込みICチップ160’及び埋め込みICチップ960を含んでもよい。ICチップ960は、ICチップ160’とは異なる機能性を有してもよく、及び/又は異なる半導体材料から構成してもよい。一実施例では、ICチップ160’は、InPトランジスタ(例えば、電力増幅器、低ノイズ増幅器など)を含み、一方、ICチップ960は、シリコン又はSiGeベースのトランジスタ(例えば、位相シフタなどのビーム形成要素)を含む。ICチップ160’は、RF電力増幅器を含んでもよく、ICチップ160について先に説明したやり方で、少なくとも1つの相互接続層155内のビアを介してアンテナサブアセンブリ110’のアンテナ要素120に直接接続してもよい。ICチップ960は、拡張信号経路を介してアンテナ要素120に接続してもよい。
【0044】
一例では、ICチップ960は、受信機フロントエンド回路、例えば、ICチップ160’内及び/又は1つ以上の相互接続層155内の導電性トレースを介してアンテナ要素120に接続する低ノイズ増幅器(LNA)、バンドパスフィルタ位相シフタなどを含む。この場合、所与のICチップ960内の受信回路は、1つ以上のアンテナ要素120からルーティングされた1つ以上の受信信号を修正(例えば、増幅、位相シフト及び/又はフィルタリング)し、ICチップ160’とICチップ960との間に配置された結合器/分割器ネットワーク180’に修正された受信信号を出力することができる。ICチップ960は同様に又は代替的に、ベクトル発生器を含んでもよい。ICチップ970、例えば、モデムを、埋め込み構成要素サブアセンブリ150’内に埋め込んでもよく、ADC/DAC/プロセッサ910とICチップ960及び160’との間に接続してもよい。
【0045】
図10は、埋め込まれたビーム形成構成要素の少なくとも一部と一体化されたヒートスプレッダタブを有する埋め込み構成要素サブアセンブリ150又は150’を製造する方法1000の流れ図である。
図11A~
図11Eは、方法1000における各工程に対応する構造を示す断面図である。方法1000では、支持体アセンブリ830を形成するために、接着箔810が支持体820上に積層され得る(S1010、
図11A)。ヒートスプレッダタブは、選択されたビーム形成構成要素の表面、例えば、
図11BのICチップ160’に取り付けられたヒートスプレッダタブ1102に取り付けることができる(S1020)。ヒートスプレッダタブの厚さ及びプロファイルは、取り付けられたビーム形成構成要素、その所望の動作温度範囲、及びヒートスプレッダタブの放熱特性の推定に基づいて選択することができる。
【0046】
次いで、ビーム形成構成要素(ヒートスプレッダタブ1102が取り付けられたものを含む)を箔810表面上に配置することができる(S1030、
図11B)。次いで、成形材料152をビーム形成構成要素(S1040、
図11C)の周りに適用し、硬化させることができる。成形材料152は、例えば、ヒートスプレッダタブ1102の表面を露出するように必要に応じてトリミングしてもよく、したがって、露出したタブ1102の表面は、成形材料152の主表面s3と同一平面上にあってもよい。同軸フィードスルー170などの他のビーム形成構成要素が、ヒートスプレッダタブが取り付けられたビーム形成構成要素よりも高い場合(高さは箔表面810から測定される)、ヒートスプレッダタブは、
図11Cに見られるように、表面s3がヒートスプレッダタブの露出面及び最も高いビーム形成構成要素(例えば、170)の露出面の両方と同一平面上にあるように予め設計することができる。あるいは、ヒートスプレッダタブ及び/又は同軸フィードスルー170は、後の表面s3の平坦化プロセスでトリミングされる。このようにして、結果として得られる埋め込み構成要素構造154は、両方とも実質的に平坦である対向する主表面を備えたウェハ様のものにすることができる。
【0047】
続いて、支持体及び箔は、埋め込み構成要素及び成形材料(S1050)から剥離され、対向する表面s1及びs3を有するウェハ様の埋め込み構成要素構造154(
図11D)を得ることができる。各ビーム形成構成要素の1つの主表面は、表面s1と同一平面上にあってもよい。次に、ビア用のパッドを表面s1上に形成することができ(S1060)、ビアが成形材料152を通して形成される場合は、表面s3上にも形成することができる。ビアホールはパッド(S1070)に穿孔され、導電性材料により充填され、DCバイアス及び低周波制御信号用のビアを成形材料に形成することができる。次に、
図11Eに示すように、埋め込み構成要素構造154の上に、ビア及び相互接続を有する1つ以上の相互接続層155を形成することができる(S1080)。ビア190は、
図11A~
図11Eには示されないが、埋め込み構成要素サブアセンブリ150’内に形成され、サブアセンブリ150について上で説明したのと同じやり方で、ICチップ160’、960及び/又は970に接続してもよい。
図11Eの実施例では、ICチップ160’は、一対のビアV1間の信号トレース998を含む相互接続を介してICチップ960に電気接続される。
図8A~
図8Gの前の例と同様に、単一の相互接続層、又は3つ以上の相互接続層は、代替的な設計例において、一対のRDL層155a、155bを代替することができる。
【0048】
上述のアンテナ装置の実施形態は、低プロファイルで形成することができ、したがって、制約された空間用途において特に有利であり得る。更に、この構造は、低損失要素、例えば、低損失伝送線路及びアンテナ基板を含むのに適しており、ミリ波周波数において特に有益である可能性がある。
【0049】
本明細書に記載の技術は、その例示的な実施形態を参照して特に示され説明されているが、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される特許請求の範囲に記載の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更を行うことができることが当業者には理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してアンテナアレイに関する。
(関連技術の考察)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
アンテナアレイは現在、航空機、衛星、車両、一般的な陸上通信用の基地局などで、マイクロ波及びミリ波周波数の様々な用途に使用されている。このようなアンテナアレイは、典型的には、ビームを方向付けするためのフェーズドアレイを形成するために、位相シフトビーム形成回路を用いて駆動されるマイクロストリップ放射素子を含む。多くの場合、アンテナアレイ及びビーム形成回路を含むアンテナシステム全体が、必要な性能メトリックを満たす一方で、低プロファイルの最小空間しか占有しないことが望ましい。
【0003】
本開示の技術の一態様では、アンテナ装置は、複数のアンテナ要素を有する第1のサブアセンブリと、第1のサブアセンブリに接着された第2のサブアセンブリとを含む。第2のサブアセンブリは、成形材料内に封入されたビーム形成ネットワークの複数の構成要素と、成形材料上の1つ以上の相互接続層とを含む。1つ以上の相互接続層は、ビーム形成ネットワークの複数の構成要素を複数のアンテナ要素に電気接続する。
【0004】
構成要素は、アンテナ装置がフェーズドアレイとして動作可能であるように、位相シフタを動的に制御する集積回路(IC)チップを含んでもよい。
【0005】
別の態様では、アンテナ装置を形成する方法は、複数のアンテナ要素を含む第1のサブアセンブリを形成することと、成形材料内にビーム形成ネットワークの複数のビーム形成構成要素を封入して、埋め込み構成要素構造を形成することと、を含む。次いで、1つ以上の相互接続層を、埋め込み構成要素構造上に形成し、それによって第2のサブアセンブリを成してもよい。次いで、第1のサブアセンブリは、複数のビーム形成構成要素が複数のアンテナ要素に電気接続されるように、第2のサブアセンブリに接着及び電気接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
開示された技術の上記及び他の態様及び特徴は、同様の参照番号が同様の素子又は特徴を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態による例示的なアンテナ装置の斜視図である。
【0008】
【
図2A】
図2Aは、アンテナ装置の例示的なアンテナ要素の斜視図である。
【0009】
【
図2B】
図2Bは、アンテナ装置のアンテナ要素とICチップとの間の例示的な配置及び接続技術を示す断面図である。
【0010】
【
図3A】
図3Aは、送信及び受信動作のためのフェーズドアレイアンテナとして構成されたアンテナ装置100の例を概略的に示す。
【0011】
【0012】
【
図4】
図4は、
図1の線IV-IVに沿って取られたアンテナ装置の一部の断面図である。
【0013】
【
図5】
図5は、アンテナ装置の例示的な埋め込み構成要素サブアセンブリの平面図である。
【0014】
【
図6】
図6は、アンテナ装置を製造するための例示的な方法を示す流れ図である。
【0015】
【
図7】
図7は、埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する例示的な方法の流れ図である。
【0016】
【
図8A】
図8Aは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図8B】
図8Bは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図8C】
図8Cは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図8D】
図8Dは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図8E】
図8Eは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図8F】
図8Fは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図8G】
図8Gは、
図7の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【0017】
【
図9】
図9は、アンテナ装置の別の例示的な埋め込み構成要素サブアセンブリの平面図である。
【0018】
【
図10】
図10は、埋め込み構成要素のサブアセンブリを形成する別の例示的な方法の流れ図である。
【0019】
【
図11A】
図11Aは、
図10の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図11B】
図11Bは、
図10の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図11C】
図11Cは、
図10の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図11D】
図11Dは、
図10の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【
図11E】
図11Eは、
図10の埋め込み構成要素サブアセンブリを形成する方法におけるそれぞれの工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明は、添付の図面を参照して、例示目的のために本明細書に開示される技術の特定の例示的実施形態の包括的な理解を支援するために提供される。本明細書は、技術を理解する当業者を支援するための様々な具体的な詳細を含むが、これらの詳細は単なる例示であると見なされるべきである。簡潔さ及び明瞭さのために、周知の機能及び構造の説明は、当業者が技術を理解することを不明瞭にし得る場合には、周知の機能及び構造の説明を省略することができる。
【0021】
図1は、一実施形態による例示的なアンテナ装置100の斜視図である。アンテナ装置100は、低プロファイルの積層構造を形成するアンテナサブアセンブリ110を含んでもよく、これは、埋め込み構成要素サブアセンブリ150に接着されている。アンテナサブアセンブリ110は、アンテナアレイ122を形成するために、基板117の上部主表面にわたって空間的に配置された複数のアンテナ要素120を含む。アンテナ要素120の数、それらの種類、サイズ、形状、要素間間隔、及びそれらが駆動される方法は、目標とする性能メトリックを達成するために設計によって変更してもよい。このような性能メトリックの例としては、必要な周波数帯域にわたるビーム幅、指向方向、偏波、サイドローブ、電力損失、ビーム形状などが挙げられる。典型的な事例では、アンテナアレイ122は、少なくとも16個のアンテナ要素120を含む。アンテナ要素120は、
図1に示すようなマイクロストリップパッチアンテナ要素であってもよいが、プリントダイポール又はスロット付き要素などの他のラジエータ形式を代用してもよい。接地プレート119は、基板117の底部主表面上に形成してもよい。用途に応じて、アンテナ要素120は、RF信号を送信及び/又は受信するためのビーム形成構成要素に接続してもよい。以降の説明は、アンテナ装置100が同時に送信及び受信能力を有すると仮定するが、他の実施形態は、単に受信又は送信するように構成してもよい。一実施例では、アンテナ要素120は、30GHz~300GHz範囲の帯域として一般に定義される、ミリ(mm)波周波数帯域にわたって動作するように設計されている。他の実施例では、アンテナ要素120は、30GHz未満で動作するように設計される。
【0022】
図2Aを一時的に参照すると、アンテナ装置100のアンテナ要素120の一例が斜視図で例示されている。(後述する
図2Bは、アンテナ要素120を断面図で示す。)アンテナ要素120は、基板117の上面に印刷してもよく、又は上面の下で基板117に配置してもよい。基板117の底面上に金属被覆してもよい接地プレート119は、アンテナ要素120への/アンテナ要素120からの信号エネルギーを反射する。基板117は、石英又は溶融シリカなどの低損失正接材料であってもよい。これは、損失を最小限に抑えるために、高周波動作において特に有益であり得る。各アンテナ要素120は、基板117を通って垂直に延在し、点pでアンテナ要素の下面に直接接続されたそれぞれのマイクロストリッププローブフィード114によって駆動することができる。マイクロストリッププローブフィード114は、基板117を通る基板貫通ビア(TSV)(以下、「ビア」)として形成してもよい。したがって、それぞれの複数のアンテナ要素120にフィードする複数のプローブフィード114は、誘電体117を通って延在するビアのアレイと見なしてもよい。点pは、所望の偏波を達成するためにアンテナ要素120の本体内の位置で選択され、所望の偏波を達成することができる(例えば、中心から特定の距離だけずれたときに円形偏波)。インピーダンス整合のために、パッチ要素にスリット121を形成してもよい。代替的な設計では、プローブフィードは、アンテナ要素120へのインセットフィード及び/又は非接触の結合接続により置換してもよいことに留意されたい。
【0023】
更に
図1を参照すると、埋め込み構成要素サブアセンブリ150は、成形材料152内に封入されたビーム形成ネットワーク構成要素を含み、これは、再構成ウェハと呼ばれることもある埋め込み構造154を共に形成する。サブアセンブリ150は、成形材料152の上に形成された(例えば、誘電体及び導電性材料の多工程堆積プロセスを使用して)1つ以上の相互接続層155(本明細書では、「再分配層(RDL)」と互換的に呼ばれる)を更に含み、これは、ビーム形成ネットワーク構成要素をアンテナ要素120に電気接続することができる。そのようなビーム形成ネットワーク構成要素の例には、集積回路(IC)チップ160、結合器/分割器ネットワークを形成し得る伝送線路部分180、及び少なくとも1つのRFフィードスルー伝送線路170が含まれる。ICチップ160は、モノリシックマイクロ波IC(MMIC)チップであってもよい。一実施例では、ICチップ160は、各々リン化インジウム(InP)である。別の例では、ICチップは、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)などの別の半導体材料であってもよい。任意のICチップ160は、いくつかのアンテナ要素120にフィードすることができる。(本明細書で、アンテナ要素に「フィードする」とは、アンテナ要素に信号を送信すること、及び/又はアンテナ要素から信号を受信することを指す。)
【0024】
以下、伝送線路部分180は、互換的に結合器/分割器ネットワーク180と呼ばれてもよい。送信方向では、結合器/分割器ネットワーク180は、伝送線路170を介して印加されるRF伝送信号を、各々がICチップ160の1つに印加される複数の分割された伝送信号に分割する分割器として機能する。受信方向において、結合器/分割器ネットワーク180は、アンテナ要素120の1つ又は群によって各々受信され、ICチップ160を介してルーティングされる(及び典型的にはそれによって修正される)複数の受信信号を結合する結合器として機能する。したがって、ICチップ160は、アンテナアレイ122に電気接続された「RFフロントエンド」を集合的に含んでもよい。信号を送信するために、RFフロントエンドは、伝送線路170を介して印加されるRF信号を増幅するための電力増幅器を分散的に含み得る。受信方向において、RFフロントエンドは、低ノイズ増幅器、ミキサ、フィルタ、スイッチなどを含んでもよい。アンテナアレイ122がフェーズドアレイとして提供される場合、ICチップ160は、アンテナ要素120を互いに対して位相調整するための送信経路及び/又は受信経路内でアクティブな位相シフタを含み、それによってアンテナビームを動的に方向付けすることができる。一例では、単一の同軸フィードスルー伝送線路(「同軸フィードスルー」)170は、送信側の入力RF信号をルーティングし、及び/又は受信側の全てのアンテナ要素120からの結合された受信信号をルーティングしてもよい。他の場合には、2つ以上の同軸フィードスルー170が提供され、送信/受信信号の追加の分割/結合は、アンテナ装置100の別の層で、例えば、複数の同軸フィードスルー170への/複数の同軸フィードスルー170からの信号の分割/結合によって行われる。同軸フィードスルー170は、アンテナ装置100の入出力ポートの一例である。CPWフィードスルーなどの他の種類のフィードスルーにより置換してもよい。
【0025】
図3Aは、送信及び受信動作のためのフェーズドアレイアンテナとして構成されたアンテナ装置100の例を概略的に示す。本実施例のアンテナ装置100は、N個のICチップ160
1~160
N及び(N×k)個のアンテナ要素(120
1-1~120
1-k),...,(120
N-1~120
N-k)を含み、各チップ160はk個のアンテナ要素120に接続されており、変数N及びkは各々2以上である。(ただし、特定の他の実施形態では、各ICチップ160に接続されたアンテナ要素120は1つのみであり得ることに留意されたい。)
図1の例では、1つのICチップ160が4つのアンテナ要素120の下にあり(かつ接続され)、したがってk=4であることが分かる。各ICチップ160
i(iは1~Nの任意の数)は、k個の送受信回路(T/R)回路165
i-1~165
i-kを含む。任意のT/R回路165
i-jの一端(jは1~kの任意の数)は、対応するアンテナ要素120
i-jに接続され、T/R回路165
i-jの他端は、結合器/分割器ネットワーク180のそれぞれのフィードポイントに接続される。送信方向では、フィードスルー170からの伝送RF信号(例えば、モデムから提供される)は、結合器/分割器180によって(N×k)個の信号に分割され、各分割された信号は、T/R回路165に供給され、T/R回路165によって修正(例えば、増幅、位相シフト及び/又はフィルタリング)される。各T/R回路165の修正された信号は、放射されるそれぞれのアンテナ要素120に出力される。受信方向において、各アンテナ要素120によって受信された受信信号は、対応する各T/R回路165を通って供給され、修正される(例えば、増幅、フィルタリング、及び/又は位相シフトされる)。各々の修正された受信信号は、結合器/分割器180の入力ポイントに出力される。この結合器/分割器は、修正された全ての受信信号を結合し、フィードスルー170に結合された受信信号を提供する。
【0026】
図3Bは、
図12Aのアンテナ装置100のT/R回路165のいずれかに使用することができるT/R回路165
i-jの一例を示す。T/R回路165
i-jは、一対のT/Rスイッチ70、72と、送信経路位相シフタ82と、送信増幅器80と受信増幅器60と、受信経路位相シフタ62とを含んでもよい。制御信号CNTRLは、T/Rスイッチ70、72のスイッチ状態を制御するためにT/R回路165
i-jに印加することができ、また、位相シフタ62、82の位相シフトを動的に制御することができる。送信期間中、T/Rスイッチ70及び72は、第1のスイッチ位置に切り替えられ、結合器/分割器ネットワーク180から入力される伝送信号を位相シフタ82及び増幅器80を介してアンテナ120
i-jにルーティングする。受信期間中、T/Rスイッチ70及び72は、第2のスイッチ位置に切り替えられ、RF受信信号をアンテナ120
i-jから増幅器60及び位相シフタ62を介して結合器/分割器ネットワーク180にルーティングする。同じ周波数帯域又は異なる周波数帯域を送信及び受信動作に使用してもよい。
【0027】
図3BのT/R回路165
i-jは、共有アンテナ要素120(伝送信号及び受信信号の両方を処理するために共有される)と共有結合器/分割器ネットワーク180との間で送受信信号をルーティングするT/R回路の一例である。当業者に知られている他の構成を代用してもよい。例えば、代替のT/R回路は、T/Rスイッチ70、72を省略し、伝送信号電力が受信増幅器60を損傷するのを防ぐための適切な隔離機構を用いて、送信及び受信動作にそれぞれ異なる周波数帯域を利用してもよい。また、偏波ダイバーシティ方式(例えば、送信の左円偏波、受信の右円偏波、又はその逆)を実装することによってT/Rスイッチ70、72を省略することも可能であり得る。
【0028】
図2Bを参照すると、アンテナ装置100の任意のアンテナ要素120とICチップ160との間の例示的な配置及び接続技術を示す断面図が示されている。ICチップ160は、埋め込み構造154内に埋め込まれ、RF信号をルーティングするために、埋め込み構造154の上面S1又はその付近に信号線接点162s及び一対の接地接点162gを有してもよい。相互接続層155内に形成された導電性ビアVs、Vgは各々、接点162s、162gに接続されたそれぞれの端部と、それぞれのコンタクトパッドPs、Pgを有する対向端部とを有する。組み立て段階では、接地プレート119の下面を相互接続層155の上面S2に接着することによって、アンテナサブアセンブリ110をサブアセンブリ150に取り付けてもよい。このような取り付けは、サブアセンブリ110、150上の対応するパッド間の電気接続材料(例えば、はんだ)により実現してもよく、任意選択で、サブアセンブリ110、150の他の表面領域上で接着剤を使用して補充してもよい。この組み立て段階の間に、パッドPsは、接着プロセス中に溶融され、次いで冷却されるはんだボール(又はバンプ/ピラー)147sを介してマイクロストリッププローブフィード114にはんだ付けすることができる。同様に、一対のパッドPgは、それぞれの一対のはんだボール147gを介して接地プレート119にはんだ付けされ、それによって、フィード114/接地プレート119とICチップ160の信号/接地ポイントとの間に接地-信号-接地(GSG)接続を形成することができる。はんだボール147s、147gは最初から、
図2Bに示すように、アンテナフィード/接地プレート114/119に、又は代替的にパッドPs、Pgに接着していてもよい。
【0029】
示される実施形態では、アンテナ要素120の直接下にあるICチップ160を用いて、ビアVs、Vgは、ICチップ160とアンテナ要素120の接触ポイントとの間に望ましい短い接続を形成する。ICチップ160がアンテナ要素120の直接下にない他の実施形態では、GSG接続は、相互接続層155内のコプレーナ導波管(CPW)伝送線路のポイントで行うことができる。このようなCPW伝送線路は、パッドPまで延在する内側トレースと、一対のパッドPgまでそれぞれ延在する一対の接地トレース(内側トレースの各側面上の1つ)とを有し得る。
【0030】
図4は、
図1の経路IV-IVに沿って切り取られたアンテナ装置100の一部分の断面図である。この例示的な断面図では、埋め込み構成要素サブアセンブリ150は、ICチップ160、伝送線路部分180、同軸線(「同軸」)フィードスルー170、及びDCビア190を含む。ICチップ160は、
図2Bに関して上述したやり方で、サブアセンブリ110の1つ以上のアンテナ要素120に接続してもよい。絶縁性接着層130を、上述の接着段階に続いてサブアセンブリ110、150の間に形成してもよい。接着層130は、GSGはんだ接続を使用するサブアセンブリ110、150の電気機械的取り付けを補充するために接着剤が塗布される場合に存在する。そうでない場合には、接着層130は省略することができる。示される例では、1つ以上のRDL層155は、下部RDL層155a及び上部RDL層155bを含み、上部RDL層155bは、198、168、及び188などの導電性トレースと接着層130/接地プレート119とを分離する。代替的な設計では、上部RDL層155bは省略され、接着層130のみがRDL層155aの上の接地プレート119と導電性トレースを分離する。
【0031】
ICチップ160、伝送線路部分180、及び同軸フィードスルー170は各々、成形材料(「封止材」)152内に埋め込まれたビーム形成ネットワーク構成要素の例であり、各々は、封止材152の上面s1と実質的に同一平面上にある上面を有してもよい。これらの要素間のRDL層接続は、RDL層155aの表面s1から上面s4まで延在するそれぞれのビアV1を介して行ってもよい。V1、Vg又は190などの任意のビアは、周囲の誘電体材料を通って延在するバレル(例えば、ビア190のバレル191)及び両端上の一対のパッド、例えば、P1、P3、Pg、Psを有してもよい。例えば、ICチップ160は、ビアV1に接続された接点162fを有してもよく、これは次に、導電性トレース198、ビアV1及びDCビア190に接続する。DCビア190は、その対向端が下部パッドP3を有する封止材152の下面s3まで延在してもよい。表面s4に沿ってパターン化された導電性トレース198、168、188は、ビアパッドへの接続を通じてビーム形成構成要素を相互接続してもよい。封止材152の上面s1上に形成された任意のビアパッドは、誘電体層を適用してRDL層155aを形成する前に形成してもよい。RDL層155aの誘電体が適用された後、ビアの対向パッドを形成してもよく、その後、ビアホールが上部パッドを通して穿孔され、下部パッドまで延在してもよい。次に、ビアホールは、ビア形成を完了するために、例えば電気めっきされた導体により充填することができる。
【0032】
コプレーナ導波管(CPW)接続はまた、RDL層155を通して様々な構成要素間で行うことができ、RF信号をルーティングするための相互接続を形成する。例えば、伝送線路部分180は、石英又は溶融シリカなどの低損失誘電体材料185の上面に沿って延在する内側CPWトレース182などの導電性トレースを含んでもよい。誘電体材料185は、望ましくは、封止材152の損失係数よりも低い損失係数を有する材料である。
図5のトレース184a、184bとして後述される、
図4には示されていない外側CPWトレースは、その反対側の内側トレース182に平行に延在してもよい。(
図4の断面図では、1つのCPW外側トレースは、内側トレース182の前方にあってもよく、他方の外側トレースは内側トレース182の後ろにある。)内側トレース182の一端は、一対のビアV1間のRDLトレース168によって形成された相互接続を介してICチップ160の信号接点162tに接続してもよい。同様に、一対の外側RDLトレース(図示せず)は、信号接点162tの反対側のICチップ160(
図4には示されてはいないが、
図5の接点162gとして例示されている)の一対の接地接点に、伝送線路部分180の外側CPWトレースを接続してもよい。
【0033】
同軸線170は、内側導体172と外側円筒形導体174とを分離するガラスなどの誘電体176から構成される。同軸線170は、表面s1から封止材152の下面s3まで垂直に延在してもよい。内側導体172は、一対のビアV1間にRDLトレース188を含む相互接続を介して、内側CPWトレース182の他端に接続してもよい。外側導体174は、内側トレース182の両側の外側トレースに2点で接続してもよい。例えば、ビアV2は、
図4の断面図において、内側CPW RDLトレース188の後方に形成してもよい。このビアV2は、外側導体174の点を、内側CPW RDLトレース188の後方に位置するRDL外側CPWトレースのうちの1つに電気接続してもよい。同軸フィードスルー170及びDCビア190は各々、表面s3において表面実装コネクタ(図示せず)に接続してもよい。1つ以上の追加のICチップは、表面s3に取り付けられ、所望に応じて追加のビアを介してICチップ160に接続することができる。このような追加ICチップの一例は、ICチップ160に電圧を提供する電圧調整チップである。別の例は、ICチップ160内の位相シフタ及び/又はT/Rスイッチなどのビーム形成回路に制御信号を提供するマイクロプロセッサチップである。
【0034】
図5は、アンテナ装置100の例示的な埋め込み構成要素サブアセンブリ150の平面図である。サブアセンブリ150は、平面グリッド配置でレイアウトされたICチップ160を含んでもよい。いくつかのICチップ160間の空間(「ストリート」)には、伝送線路部分180が配置されている。伝送線路部分180は単一の部分として示されているが、RDL層155内の相互接続を介して互いに相互接続された複数の部分から構成してもよい。間隙「g」は、ICチップ160の隣接する側面から伝送線路部分180の端部を分離することができる。場合によっては、熱膨張を考慮して最小間隙gサイズが割り当てられる。小さい間隙gが一般的に望ましいが、間隙サイズは、主に製造上の制限によって決められてもよい。複数のビア190は、各ICチップ160の1つ以上の端部に隣接して配置してもよい。各ビア190は、ICチップ160に/からDCバイアス信号又は制御信号をルーティングするために、隣接するICチップ160のそれぞれの接点162fにRDL相互接続198を介して接続され得る。例えば、DCバイアス信号は、ICチップ160の送信方向電力増幅器及び/又は受信方向低ノイズ増幅器(LNA)をバイアスしてもよい。制御信号は、ICチップ160内の位相シフタの位相を動的に制御することができる。
【0035】
ICチップ160は、矩形プロファイルを有してもよい。ICチップ160の少なくともいくつかは、いくつかのアンテナ要素120の部分の直接下にあってもよく、ビアを介して行われるプローブフィード114への短い接続を可能にする。例えば、ICチップ160の信号接点162fは、相互接続層155内のそれぞれのビアの直接下にあってもよく、このビアは更にプローブフィード114の直接下にある。各アンテナ要素120の大部分(例えば、プローブフィードポイントを含む部分)は、ICチップ160のそれぞれの部分を覆ってもよい。アンテナ要素120のいくつかは、ICチップ160の角部を覆う大部分を有してもよく、少部分を、ICチップ160の周囲の外側に配置してもよい。
【0036】
内側導体172及び外側導体174を有する同軸フィードスルー170は、入力RF信号を、伝送線路部分180を介してICチップ160の一部又は全部にルーティングしてもよい。
図4に記載されるように、内側導体172は、RDL相互接続188を介して内側CPWトレース182の近位端に接続してもよい。更に、第1及び第2のCPW外側トレース184a、184bは、RDL層155内のそれぞれのパッドP1及びRDL相互接続189a、189bを介して別々のポイントで外側導体174に接続してもよい。分割器ネットワーク(送信側)は、
図5に示すように、内側CPWトレース182を複数の経路に分けRF伝送信号の信号エネルギーを分割することによって、及びトレース184c、184d及び184eなどの追加のCPW外側トレースを提供することによって形成することができる。各ICチップ160内の電力増幅器は、アンテナ要素120へのルーティング前に分割されたRF信号の部分を増幅することができる。適切な送信/受信(T/R)スイッチングにより、同じCPW導電性トレースを受信経路の結合器ネットワークとして使用して、アンテナ要素120によって受信され、ICチップ160内の低ノイズ増幅器(LNA)によって増幅されたRF受信信号を結合することができる。CPW外側トレースは各々、RDL相互接続によって、隣接するICチップ160内の接地接点162gに接続してもよい。同様に、内側CPWトレース182の遠位端を、各々、RDL相互接続168を介してICチップ160のそれぞれにおける信号接点162tに接続してもよい(
図4参照)。
【0037】
図6は、アンテナ装置100を製造するための例示的な方法600を示す流れ図である。最初に、アンテナ要素サブアセンブリ110と埋め込み構成要素サブアセンブリ150は、別個に形成することができる(ブロックS610)。例えば、アンテナ要素サブアセンブリ110は、まず、低損失誘電体117、例えば石英又は溶融シリカのスラブをアンテナ装置100の所望のプロファイルに予め切断することによって形成してもよい。その後、誘電体117の下部主表面は、各プローブフィード114の位置を取り囲む円形領域を除いて、接地プレート119と共にパターン化してもよい。次いで、プローブフィード114のためのパッドが、円形領域内の下面上に形成され、パッドを通して穿孔されたビアホールを形成することができる。ビアホールをその後、電気めっきして、ビアとして具現化されたプローブフィード114を形成してもよい。なお、接地プレート119は、プローブフィード114の形成前に形成していても又は形成後に形成してもよいことに留意されたい。次いで、プローブフィード114の位置と一致する領域でパターン金属化することによって誘電体117の上部主表面上にアンテナ要素120を形成することができ、これにより、アンテナ要素サブアセンブリ110を完成することができる。代替的なシーケンスでは、アンテナ要素120は、プローブフィード114及び/又は接地プレート119を形成するためのプロセスの前に形成される。埋め込み構成要素サブアセンブリ150は、
図7に関連して以下に記載される方法で形成してもよい。GSGはんだボールは、サブアセンブリ110又は150のいずれかのGSG接点に取り付けてもよい。
【0038】
次に、アンテナ構成要素サブアセンブリ110は、
図2Bに記載されるように、GSGはんだボールが同時に溶融及び冷却されて、2つのサブアセンブリ間のGSG相互接続を形成する間に、埋め込み構成要素サブアセンブリ150に直接接着することができる(S620)。(上述のように、GSGはんだ接続は、一部の実施形態では、補足的な接着剤なしで、全体的な機械的接続として機能してもよい。)次いで、残りの構成要素が、埋め込み構成要素サブアセンブリ150に取り付けられ得る(S630)。これらは、上記の表面実装同軸コネクタ及びDCコネクタ、並びに封止材152の下面s3に取り付けられたICを含み得る。
【0039】
図7は、埋め込み構成要素サブアセンブリ150を形成する例示的な方法700の流れ図であり、
図8A~
図8Gは、方法700のそれぞれの工程に対応する構造を示す断面図である。初期工程S710では、接着箔810(
図8Aを参照)が支持体プレート820上に積層され、支持体アセンブリ830を形成する。次いで、ビーム形成構成要素を、ピックアンドプレースツールを使用して箔上に配置することができる(S720)(
図8B参照)。ビーム形成構成要素は、例えば、ICチップ160、伝送線路部分180(例えば、既に形成されたCPW導電性トレース182、184を有するか又は有さない石英部分)、1つ以上のRFフィードスルー、例えば、同軸フィードスルー170、及びICチップ160とは異なる機能/材料/サイズの他のICチップ(図示せず)を含み得る。ビーム形成構成要素のうちのいくつか、例えば、ICチップ160のうちのいずれかは、接着箔810上に配置される前に取り付けられたヒートスプレッダタブ(例えば、後述する
図11Bのヒートスプレッダタブ1102)を有してもよい。
【0040】
次いで、成形材料152を、成形プレスを使用して、ビーム形成構成要素の周りの接着箔の表面上、及びビーム形成構成要素の少なくともいくつかの表面上に、(液体又は柔軟な)非硬化状態で適用することができる(S730)。成形材料152の例としては、エポキシ成形コンパウンド、液晶ポリマー(LCP)、及びポリイミドなどの他のプラスチックが挙げられる。ここで、成形材料152は、箔表面に対して少なくとも最も高い構成要素の高さ、例えば、同軸フィードスルー170の厚さで適用され得る。次に、成形材料152は、硬化され、任意選択でトリミング/平坦化されて、
図8Cに示されるように、埋め込み構成要素構造154を備えた中間構造を形成することができる。このようにして、埋め込み構成要素構造154は、実質的に平面の対向する主表面s1、s3を有するウェハ様構造として形成することができ、ウェハのように更に加工してもよい。
【0041】
以下の工程(S740)において、支持体820及び箔810は、接着解除ツールを使用して、埋め込み構造154から剥離することによって中間構造から除去されてもよく、埋め込み構造154は、
図8Dに見られるように裏返されてもよい。(
図8Dにおいて、ヒートスプレッダタブがICチップ160に取り付けられている場合、タブの厚さは、タブの下面が成形材料152の表面s3と同一平面上にあるように、事前設定してもよく、又は後でトリミングしてもよいことに留意されたい。)その後、パッドを、ビアが形成される場所、又は他の構成要素への電気的接触が行われる場所で、構造154の対向する表面s1及びs3上に形成することができる(S750)。
図8Eに見られるように、相互接続層155を介して後続のビアの一部を形成するためのパッドP1、Ps及びPgは、パターン金属化によって上面s1上に形成される。この処理段階の間に、CPW導電性トレース182、184なしに伝送線路部分180が埋め込まれている場合、パッドP1、Ps、Pgが形成されるとき、これらパッドをパターン金属化によって同時に形成してもよい。成形材料152を介してビア(例えば、190)の一部を形成するための、及び/又は他の構成要素に接続するためのパッドP3もまた、下面s3上に形成してもよい。ビアホールは、パッド及び成形材料152を通して穿孔され、例えば電気めっきを用いて導電性材料(S760)により充填され、完成したビア(例えば190)を形成することができる。埋め込みプロセスの前に1つの構成要素として同軸フィードスルー170を提供する代替として、同軸フィードスルーをこの処理段階で、複数の別個の埋め込み構成要素を使用して形成してもよいことに留意されたい。
【0042】
次いで、埋め込み構成要素構造154の上に、ビア及び相互接続を有する1つ以上のRDL層155を形成することができる(S770)。例えば、第1及び第2のRDL層155a、155bを有する構成では、第1のRDL層155aは、
図8Fに示されるように、埋め込み構造154の上面s3の上に最初に形成してもよい。後続の工程では、ビアV1から層RDL層155aを形成し、RDL層155aの表面s4に198、168、188などの導電性トレースを形成して、ビーム形成構成要素間の相互接続を完了することができる。その後、第1のRDL層155bの上面s4上に第2のRDL層155bを形成してもよい。次に、第1及び第2のRDL層155a、155bの両方を通って延在するビアVg及びVsを形成することができる。代替的なシーケンスでは、ビアV1が形成されるときに、各ビアV及びVgの下部を最初に、すなわち、第2のRDL層155bの形成前に形成してもよい。ビアV及びVgの上部は、その後、第2のRDL層155bが適用された後に形成することができる。
【0043】
図9は、別の実施形態による、別の例示的なアンテナ装置100’の部分的なレイアウトを示す。アンテナ装置100’は、埋め込み構成要素サブアセンブリ150’に接着されたアンテナサブアセンブリ110’を含んでもよい。アンテナサブアセンブリ110’は、アンテナサブアセンブリ110と実質的に同じ構造であってもよいが、ADC/DAC/プロセッサ910が取り付けられた又は埋め込まれた拡張誘電体部分117を有する。あるいは、ADC/DAC/プロセッサ910は、サブアセンブリ150’の拡張部分に取り付けられるか、又はその内部に埋め込まれ、誘電体部分117を拡張しなくてもよい。サブアセンブリ150’は、上述のものと同様又は同一の構成の少なくとも1つの相互接続層155を介して相互接続された埋め込みICチップ160’及び埋め込みICチップ960を含んでもよい。ICチップ960は、ICチップ160’とは異なる機能性を有してもよく、及び/又は異なる半導体材料から構成してもよい。一実施例では、ICチップ160’は、InPトランジスタ(例えば、電力増幅器、低ノイズ増幅器など)を含み、一方、ICチップ960は、シリコン又はSiGeベースのトランジスタ(例えば、位相シフタなどのビーム形成要素)を含む。ICチップ160’は、RF電力増幅器を含んでもよく、ICチップ160について先に説明したやり方で、少なくとも1つの相互接続層155内のビアを介してアンテナサブアセンブリ110’のアンテナ要素120に直接接続してもよい。ICチップ960は、拡張信号経路を介してアンテナ要素120に接続してもよい。
【0044】
一例では、ICチップ960は、受信機フロントエンド回路、例えば、ICチップ160’内及び/又は1つ以上の相互接続層155内の導電性トレースを介してアンテナ要素120に接続する低ノイズ増幅器(LNA)、バンドパスフィルタ位相シフタなどを含む。この場合、所与のICチップ960内の受信回路は、1つ以上のアンテナ要素120からルーティングされた1つ以上の受信信号を修正(例えば、増幅、位相シフト及び/又はフィルタリング)し、ICチップ160’とICチップ960との間に配置された結合器/分割器ネットワーク180’に修正された受信信号を出力することができる。ICチップ960は同様に又は代替的に、ベクトル発生器を含んでもよい。ICチップ970、例えば、モデムを、埋め込み構成要素サブアセンブリ150’内に埋め込んでもよく、ADC/DAC/プロセッサ910とICチップ960及び160’との間に接続してもよい。
【0045】
図10は、埋め込まれたビーム形成構成要素の少なくとも一部と一体化されたヒートスプレッダタブを有する埋め込み構成要素サブアセンブリ150又は150’を製造する方法1000の流れ図である。
図11A~
図11Eは、方法1000における各工程に対応する構造を示す断面図である。方法1000では、支持体アセンブリ830を形成するために、接着箔810が支持体820上に積層され得る(S1010、
図11A)。ヒートスプレッダタブは、選択されたビーム形成構成要素の表面、例えば、
図11BのICチップ160’に取り付けられたヒートスプレッダタブ1102に取り付けることができる(S1020)。ヒートスプレッダタブの厚さ及びプロファイルは、取り付けられたビーム形成構成要素、その所望の動作温度範囲、及びヒートスプレッダタブの放熱特性の推定に基づいて選択することができる。
【0046】
次いで、ビーム形成構成要素(ヒートスプレッダタブ1102が取り付けられたものを含む)を箔810表面上に配置することができる(S1030、
図11B)。次いで、成形材料152をビーム形成構成要素(S1040、
図11C)の周りに適用し、硬化させることができる。成形材料152は、例えば、ヒートスプレッダタブ1102の表面を露出するように必要に応じてトリミングしてもよく、したがって、露出したタブ1102の表面は、成形材料152の主表面s3と同一平面上にあってもよい。同軸フィードスルー170などの他のビーム形成構成要素が、ヒートスプレッダタブが取り付けられたビーム形成構成要素よりも高い場合(高さは箔表面810から測定される)、ヒートスプレッダタブは、
図11Cに見られるように、表面s3がヒートスプレッダタブの露出面及び最も高いビーム形成構成要素(例えば、170)の露出面の両方と同一平面上にあるように予め設計することができる。あるいは、ヒートスプレッダタブ及び/又は同軸フィードスルー170は、後の表面s3の平坦化プロセスでトリミングされる。このようにして、結果として得られる埋め込み構成要素構造154は、両方とも実質的に平坦である対向する主表面を備えたウェハ様のものにすることができる。
【0047】
続いて、支持体及び箔は、埋め込み構成要素及び成形材料(S1050)から剥離され、対向する表面s1及びs3を有するウェハ様の埋め込み構成要素構造154(
図11D)を得ることができる。各ビーム形成構成要素の1つの主表面は、表面s1と同一平面上にあってもよい。次に、ビア用のパッドを表面s1上に形成することができ(S1060)、ビアが成形材料152を通して形成される場合は、表面s3上にも形成することができる。ビアホールはパッド(S1070)に穿孔され、導電性材料により充填され、DCバイアス及び低周波制御信号用のビアを成形材料に形成することができる。次に、
図11Eに示すように、埋め込み構成要素構造154の上に、ビア及び相互接続を有する1つ以上の相互接続層155を形成することができる(S1080)。ビア190は、
図11A~
図11Eには示されないが、埋め込み構成要素サブアセンブリ150’内に形成され、サブアセンブリ150について上で説明したのと同じやり方で、ICチップ160’、960及び/又は970に接続してもよい。
図11Eの実施例では、ICチップ160’は、一対のビアV1間の信号トレース998を含む相互接続を介してICチップ960に電気接続される。
図8A~
図8Gの前の例と同様に、単一の相互接続層、又は3つ以上の相互接続層は、代替的な設計例において、一対のRDL層155a、155bを代替することができる。
【0048】
上述のアンテナ装置の実施形態は、低プロファイルで形成することができ、したがって、制約された空間用途において特に有利であり得る。更に、この構造は、低損失要素、例えば、低損失伝送線路及びアンテナ基板を含むのに適しており、ミリ波周波数において特に有益である可能性がある。
【0049】
本明細書に記載の技術は、その例示的な実施形態を参照して特に示され説明されているが、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される特許請求の範囲に記載の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更を行うことができることが当業者には理解されよう。
【国際調査報告】